26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:44:45.90 ID:1jx+DhWRO
きっと……

きっと迎えに来るから─────。

だから、待ってて……

絶対に……戻って来るから……。


─────────。

唯「むにゃあ……」

和「唯、ホームルーム終わったわよ」

唯「くぴー……」

和「はあ…、唯~部室にケーキが待ってるわよー」

唯「ッ!? ケーキ!!? どこ!?」くわっ

和「ケーキって単語に反応しすぎよ…。みんな先行っちゃったわよ?」

唯「なんですとっ! 酷いっ! 私達友達じゃなかったんだ…」

和「唯が掃除当番だからでしょ……」

引用元: 唯「サイレンが鳴ってる・・・」 



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:45:43.27 ID:1jx+DhWRO
そそくさと掃除を終え部室へと向かう。

唯「今日のケーキはな~にかな~♪」

それにしてもさっきの夢なんだったろう。何だか懐かしい様な気が……。

唯「そんなことより今はケーキケーキ♪」

忘れかけた内容の夢を思い出すことやめ、現実のケーキにスイッチする。

唯「たのもー! 私のケーキは何処にありまするかぁー!?」

紬「お掃除お疲れ様。ちゃんと唯ちゃんの分もあるわよ」

唯「えへへケ~キィ~」

紋白蝶でも追いかけているウブな少女の様な顔つきでケーキを見据え席につく。

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:46:34.20 ID:1jx+DhWRO
律「唯はほんとケーキ好きだよな~」

唯「りっちゃんは嫌いなの?!」

律「いや好きだけどさ。唯の好きとはレベルが違う気がするんだよね~」

唯「そうかなぁ?」

律「じゃあギー太とケーキどっちが大切?」

唯「それはギー太だよぅ」

律「じゃあ憂ちゃんとギー太は?」

唯「ういだよ~ギー太も大切だけどね」

律「じゃあ憂ちゃんと私は?」

唯「う~ん……選べないよ。どっちも大切だから」

律「じゃあギー太と私なら!?」

唯「りっちゃん!」

律「おーイェス!」ダキッ

唯「れっつかもんっ」ダキッ

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:47:34.81 ID:1jx+DhWRO
澪「ケーキ関係なくなってないか?」

律「細かいこと気にすんなって~」

梓「唯先輩のケーキの話じゃないですけど、物事の優先順位って決めるの難しいですよね。私もこないだギターの雑誌選ぶのに迷っちゃって…結局1つは立ち読みしちゃいました」

澪「あるある。私も作詞の時にどっちのフレーズがいいかな~とかで迷ったりするよ」

紬「私もどっちのお菓子を持って行こう~とかあるわ」

唯「みんな優柔不断さんなんだね~」

澪「唯は違うのか?」

唯「私は物に関してはあんまり迷ったことないかなぁ」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:49:10.26 ID:1jx+DhWRO
紬「ケーキ見た時にどれにするか一番早く決めるのいつも唯ちゃんだもんね」

唯「えっへん!」

澪「こっちを食べたい、でもこっちも食べたら美味しいだろうな~とか考えないの?」

唯「考える前に決めちゃうからわかんないやぁ」

梓「羨ましいです」

澪「律もそういうこと悩んでなさそうだよな」

律「何かびみょ~にグサッと来たんだけど」

澪「気のせいだろ。で、どうなんだ?」

律「う~ん確かに迷ったりはしないな。ドラムやってるからか細々考えるのは苦手なんだよ」

澪「私もドラム叩いたら優柔不断治るかな……」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:51:03.09 ID:1jx+DhWRO
紬「ドラム治療法ね!」

梓「わ、私も叩きます!」

律「とうとうドラムに日の目が当たったか! よぅしみんな順番に並べーぃ! ドラム講義だ!」

10分後────

紬「私には無理みたい…」

澪「手に豆が出来そう…」

梓「う、腕がぁ……」

律「えぇい情けないなお前達! そんなことじゃいつまでたっても優柔不断は治らないぞっ!?」

澪「優柔不断でいいよ…もう」

梓「ちょっと迷うぐらいの方が楽しいってこともありますしね」

澪「梓良いこと言った!」

律「諦めはやっ」

唯「練習しないの~?」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:52:59.11 ID:1jx+DhWRO
そんなこんなで結局練習はドラムの練習だけとなり部活は終わった。
まだ残る暑さの中帰路につく。みんなでドラムを練習したのが嬉しいのかテンションそのままに律は熱くドラムを語っている。

律「ドラムって凄いよなぁ! この感じだと他にも効果がありそうだよな!」

紬「今日のりっちゃんはいつも以上にドラムスね」

澪「結局練習出来なかったな」

唯「私はやろうって言ったのに~」

律「まあまあ。いつも脚光を浴びない後ろのドラムにもたまには水をやってくださいな唯さん」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:54:24.58 ID:1jx+DhWRO
あどけた笑顔で嬉しそうに笑う律。その顔を見て、ふと、過るものがあった。

唯「(なんだろ……いつもと同じなのに……なんだか)」

その時だった。同じくその笑顔を見ていた梓がこんなことを漏らす。

梓「本当に大切なもの同士どうしても比べなきゃならない時……皆さんならどうしますか?」

声色が真面目だったのを瞬時に読み取った澪がいち早く返す。

澪「どうした梓、そんなこと急に言い出すなんて」

梓「先輩達はもう決めてるんですか…? 音楽をこれからも続けるかそうじゃないか…」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:56:16.25 ID:1jx+DhWRO
澪「私は大学でもやるつもりだよ。まあまずは推薦もらえるかどうかだけど」

梓「貰えるといいですね、推薦」

澪「ああ。ムギは女子大だろ? あっちじゃやらないのか?」

紬「元々合唱部に入ろうって思ってたから…。お父様開く食事会とかで歌ったりしたくて入ろうと思ったの。今は家でボイストレーニング受けたりしているけど…やっぱり一人でやるのは寂しいから」

澪「そっか……ごめんな。無理矢理入れちゃったりしちゃって。今更言うのもどうかと思うけどさ」

紬「ううん。私、ほんとに軽音部に入って良かったって思ってるの。こんな楽しかった三年間初めてだったわ。だから謝ったりしないで澪ちゃん」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 20:59:46.44 ID:1jx+DhWRO
紬「軽音部でなくなるのは寂しいけど、これでみんなとの関係がなくなるなんて思ってないから」

澪「ムギ……」

梓「律先輩と唯先輩はどうするんですか?」

律「き、来たぞ唯」

唯「き、来ちゃったねりっちゃん」

澪「まさかまだ決めてないなんてことないだろ? もう9月だぞ」

紬「さすがに決めないとさわ子先生も心配するんじゃない?」

律「と言ってもな~……私の頭じゃ澪やムギみたいにいいとこ行けないだろうし? だからって遊ぶ為にとりあえず大学行っとこう~ってのも親に迷惑だと思うし。でも今は就職難だしなぁ」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:00:38.67 ID:1jx+DhWRO
唯「全く同じ意見でビックリだよりっちゃん!」

律「我々はー!」

唯「ニートでいいやー!」

澪「おいおい…」

和「全く、まだそんなこと言ってたのね」

唯「和ちゃん! 生徒会終わったの~? お疲れ様!」

和「ありがとう。じゃなくて唯、さすがに決めないと不味いわよ? 大学行くならそれに似合った勉強していかないと。
テスト勉強みたいに全員一緒にやるってわけにもいかないからね受験勉強は」

唯「そ、そうなの?」

和「ある程度なら出来るけど…その大学によって問題の出し方の傾向とかあるから」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:02:47.25 ID:1jx+DhWRO
律「澪~。私達友達だよな!」

澪「私は推薦もらうから…」

律「澪先生捨てないでおくんなましぃぃ」

澪「暑いから離れろよ~」

和「とにかく進路は早く決めときなさい。学園祭のこともいいけど将来のこともそろそろちゃんと見据えないと。今が楽しいってだけじゃ駄目よ。じゃあ私塾があるから」

唯「あれ? 和ちゃん塾なんて行ってたの?」

和「私は国立行こうと思ってたんだけど今の成績じゃちょっと不安だから最近行くようにしたの。○○塾ってとこ」

澪「それって東大とか排出してる有名塾じゃないか! 和は凄いな…」

和「私もついていくのがやっとよ。じゃあねみんな」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:03:54.63 ID:1jx+DhWRO
みんなに手を振りながらそそくさと帰る和。

澪「○○塾ってここからだと遠いのに頑張るな…。それに比べて……」

唯「りっちゃん! アリさんがいっぱい行列作ってるよ!」

律「この先には巣穴があるハズだー追うぞ唯ー!」

唯「はいっ! りっちゃん隊員!」

梓「現実逃避ですね…。さっきは優柔不断がどうとか言ってたメンバーと真逆になっちゃいましたね」

澪「そう言えばそうだな」

梓「……律先輩と唯先輩は結局のところ何も考えてないんですよ。だから本当に決めないと駄目な大切なことをいつまでも後回しにしてるんです」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:05:51.87 ID:1jx+DhWRO
紬「梓ちゃん、それはちょっと言い方が悪くないかしら?」

梓「そう聞こえたなら謝ります。けどあんなに私達のこと優柔不断だって言ってた二人が一番大切なことを決めれてないなんておかしいなって思っただけです」

律「……なんだよ、その言い方。私も唯もそんなキツい言い方してないだろ? そんなに揚げ足とって嬉しいのか?」

紬「りっちゃん、落ち着いて。梓ちゃんも、ね?」

梓「私はただ二人のことが心配なだけで……」

律「ああ確かに進路なんて決めてないよ。私にとって一番大切なことは学園祭だからな!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:07:45.92 ID:1jx+DhWRO
律「もっとも梓にとってはそうじゃなかったみたいだけどさ」

梓「っ…そんなこと言ってなっ…!」

澪「二人ともやめろ! こんなことで喧嘩してどうするんだよ? 律、進路のことで悩んでるのはわかるけど梓に当たるなよ」

律「なんだよ澪まで梓の仲間かよ? 優柔不断チーム結成ってか?」

紬「りっちゃん!」

律「唯も何か言ってやれよ」

唯「……違う」

律「…唯?」

唯「みんな…おかしいよ。いつもはこんなことじゃ喧嘩になんかならなかったよ…?」

律「こんなことってなんだよ…。お前のことだって入ってるんだぞ!」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:09:27.53 ID:1jx+DhWRO
ふと蘇る情景、
みんなが笑って、みんなが楽しかった記憶。
それは今なのか、何時なのか。

唯「違う……違うよ……」

澪「唯、どうかしたのか?」

紬「唯ちゃん……?」

優しく差し伸べられる手が、今は自分を突き落とす様に思えた。

拒む様に後ずさる唯。さすがに異常を感じ取ったのか澪や紬の表情も真剣になっている。
澪が唯の元へ走って近づき、両肩に手を遣りながら宥める。

澪「唯……震えてるぞ。寒いのか?」

夏明けの9月に言う台詞ではないが、それほど唯の体は冷たかった。

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:10:21.72 ID:1jx+DhWRO
紬「保健室で見てもらった方がいいんじゃない?」

澪「そうだな…。唯、歩けるか?」

頭を抱え震えるに優しく付き添う澪。

憂「あれ? お姉ちゃん?」

遠くから見知った声が聞こえる。

梓「あれ? 憂、まだいたんだ」

憂「うん。純ちゃんにジャズ研で作った曲聴いて欲しいって言われて。それよりお姉ちゃんどうしたの? 具合悪そうだけど…」

澪「ちょっとさっき色々あってさ…。それで唯が癇癪気味になって…」

憂「そうなんですか!? お姉ちゃんっ! 大丈夫?」

すぐさま駆け寄る憂。

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:11:21.94 ID:1jx+DhWRO
憂「お姉ちゃん……」

唯「うい……?」

憂「うん。大丈夫?」

憂が声をかけてくれた瞬間震えも消え、落ち着きを取り戻す。

唯「うん。ちょっと暑さにやられちゃったかな」テヘヘ

憂「でも心配だから一応保健室で見てもらおっか」

唯「うん…ごめんね、憂」

憂「ううん。いいよ、お姉ちゃん」

憂は唯に寄り添うと保健室の方へと一緒に歩き出す。

澪「私達も……」

唯「ううん、大丈夫だから。先に帰ってて」

紬「唯ちゃん…」

律「……」

梓「……」

澪「…わかった。唯をよろしく。憂ちゃん」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:13:04.76 ID:1jx+DhWRO
憂「はい」

そう言うと校舎の中に消えて行く二人。残されたメンバーにはさっきの気まずい空気が流れたままだ。

澪「唯……大丈夫かな」

紬「さっきの唯ちゃん…ちょっと変だったから。心配ね…」

澪「律、梓。明日唯に会ったらちゃんと謝るんだぞ」

律「…ああ。唯にはな」
梓「唯先輩には謝ります」

律「ふんっ」
梓「ふんっ」

澪「お前らまだそんなこと…!」

紬「澪ちゃん、放って置きましょう。これ以上話してもまた言い合いになりそうだから…」

澪「……ああ」

噛み合わない歯車の様にバラバラだった。

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:15:23.11 ID:1jx+DhWRO
律「私寄りたいとこあるから」

澪「律……」

スタスタと歩いて行く律を見ることしか出来ない歯痒さに顔を少し歪める澪。

紬「梓ちゃん。確かにりっちゃんも悪いけどあなたも悪いと思うわ。二人を心配してるのはわかるけど、今は学園祭前と受験生ってことでナイーブになってるんだから…」

梓「そうやって私だけ叱るんですね、ムギ先輩は」

紬「梓ちゃん…」

梓「帰ります…」

澪「おい梓っ」

逃げる様に駆け足で帰る梓。

澪「何でこんなことに…」

紬「澪ちゃん…。私達も帰ろ。きっと明日にはみんな仲直り出来るわ」

澪「…うん」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:17:27.38 ID:1jx+DhWRO
書きためオワタ

ジャンプのサイレン何か読んだこともないwwwwww

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:23:11.32 ID:1jx+DhWRO
保健室──

憂「お姉ちゃん大丈夫?」

唯「うん…だいぶ楽になったよ」

憂「…みんなと何かあったの?」

唯「…わかんないや。でも…何だか嫌だった。何が嫌なのか…わからなくて…段々頭が痛くなって」

憂「そっか…。大丈夫だよ…お姉ちゃん」よしよし

唯「うん…ありがと」

憂に撫でられると何故か落ち着く…。

憂「あっ、いけない! 買い物しないと商店街のお店閉まっちゃう!」

唯「私はもう少し寝てるから憂は行きなよ」

憂「でも…」

唯「大丈夫だから、ね?」

憂「うん…。じゃあねお姉ちゃん。一人で帰るのが辛かったら電話してね!」

唯「うん。わかった」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:24:27.15 ID:1jx+DhWRO
ゲームのサイレン…だよな?

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:30:54.29 ID:1jx+DhWRO
───??? PM18:00:00

始まる……。

いよいよ……。

もう戻れない。

だけど……やらなくちゃ。


仇を取るんだ…私が。

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:38:07.69 ID:1jx+DhWRO
───桜ヶ丘 大手スーパー 内部本屋

律「きゃふは、やっぱりマンガタイムキララは面白いよな~」

律「…梓のやつ勝手なこと言ってさ。私だってちゃんと……。この先か……」

考えてみたら軽音部のことだけでその先なんて考えてなかったな…。
いや、考えたくなかったんだ…きっと。

律「このまま時間が止まればいいのに…」

グラッ…

律「えっ…」

ゴオオオッ────

律「じしっ…」

少し揺れた後に訪れる強烈な縦揺。
次第に立っていられなくなり必死に何かに捕まる。

怒号さえ遠くなるような揺れの中で……


私は聴いた。

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:44:24.11 ID:1jx+DhWRO
澪「律…、梓…」

心配だ。今まであんな険悪な空気は中々ないだけに心配だ。
手にしている勉強もままならないまま私はただヘッドホンから流れる音楽に身を任せていた。

澪「明日…ちゃんと話し合わないとな。律と唯の進路のことも考えないと」

そう切り分けて勉強に集中し直し、ノートの上に転がっているシャーペンを手に取ろうととした時だった。

ガタタ……

澪「ん…?」

勝手に揺れるシャーペン。

ガタタタタタタ…

それは次第に自らをも震わす振動に変化していく────

澪「じ、地震!? 隠れなきゃ……ッ」

急いで机の下に隠れる。
しかし更に揺れ続ける地震に私は段々気が遠くなり……そして、

聴いた。

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 21:54:47.58 ID:1jx+DhWRO
──琴吹邸

紬「はあ…」

斎藤「お嬢様。どうなされましたか? 溜め息なんてらしくないですよ」

紬「ごめんなさい。ちょっと考え事を…ね」

斎藤「左様ですか。では、下がった方がよろしいでしょうか?」

紬「……あなたは機械みたいな人ね」

斎藤「よく琴吹様に言われます。自分の父親とは正反対だと」

紬「あなたの父親もここで?」

斎藤「そうらしいですね。もっともかなり前のことなので存じてませんが」

紬「そ…。じゃあいいわ。下がって」

斎藤「はい、お嬢様。何かありましたらまたお呼びください」

そう言い扉を閉める前に一礼。本当に機械の様な人、でもそれが一番楽なのかもしれない…。
何も考えなければ…こんな苦しむことも…。

紬「何考えてるのかしら…私は。軽音部のみんなは何よりも大事で…」

大事? 何よりも? 何で?

……わからない。

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 22:04:29.46 ID:1jx+DhWRO
紬「りっちゃんと梓ちゃん…仲直りするといいな」

そうじゃないといけない気がする。
軽音部はみんなが仲良しで、みんなが一人一人を大切にしなきゃいけない。

紬「澪ちゃんに電話してみようかな…」

携帯を手に取り、アドレス帳から澪ちゃんの名前を探しだし…かける。

…………。

紬「あれ…? 繋がらない…」

グラッ…

紬「きゃあっ」

突然の揺れに椅子から崩れ落ちる。

紬「地震…! 斎藤! 地震よ! 斎藤!」

返事はない…。

次第に強くなる揺れの中で私はただ床に這いつくばったまま、あの音を聴いた。

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 22:14:38.63 ID:1jx+DhWRO
──中野宅

梓「何であんなこと言っちゃったんだろ…」

梓「私はただあの二人に早くこの先のことを決めてもらいたくて…」

梓「ただそれだけだったのに…」

明日謝ろう。

梓「音楽続けて欲しいな…」

バラバラの道を選んだとしても…音楽だけは続けて欲しい。
音楽は、私達が繋がってる証だから。

梓「…勉強しよ」

リビングから階段に上ろうとした時、世界が揺れた。

梓「地震…」

すぐ止むと思い階段の手すり掴まるも一向に止まず、

梓「ダメ…………、謝りたいの! お願いだから…………!」

もう自分が立ってるのかどうかもわからなくなった頃に、響き渡る音。

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 22:17:11.29 ID:1jx+DhWRO
──保健室

夢を見ていた。

いつのことだろう。

私達みんなでただ遊んでる。

みんな楽しそう。

なのに…………

あの音が、全てを奪い去ったんだ────

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 22:19:04.01 ID:1jx+DhWRO
ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ────────




唯「サイレンが鳴ってる・・・」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 22:30:19.22 ID:1jx+DhWRO
桜ヶ丘高校 保健室 PM19:00:01

平沢唯
終了条件1 学校からの脱出
──────────

唯「さっきの音…何だったんだろう」

私はいつまで寝てたのか…いつの間にか外も暗くなっていた。

唯「帰らなきゃ…憂が心配してる」

ゆっくりと慣らすように地面に足をつけ、立ち上がる。

──【ギェギェ…】──
唯「うっ……何……今の」

頭に一瞬過ったそれはまるで誰かの目線を自分が見たような様だった。

唯「…さっき保健室って見え…」




「ハヘァハアッヘーヘッヘッへ!!! ネテナキャダメデスヨオオオオ!!!!!」

唯「ひいっっっ」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 22:37:45.56 ID:1jx+DhWRO
カッターナイフを持った白衣の女の人が危なげな表情で近寄ってくる…!

唯「先生…だよね? 危ないよぉ…そんなもの…」

「ゆいチャンハは病気ダカラ手術シナイトイケナイノヨォ?」

カチッ、カチッ、とカッターの刃を出し、それを楽しそうにしてる先生。
顔も真っ青で唇も青白い……とてもじゃないけど正気だとは思えなかった。

唯「わ、私帰ります!」

脇を抜けて帰ろうとした時────

「アアアアアッ!」

ザクッ────

唯「い、あっ……」

振られたカッターナイフで右腕に浅い切傷をつけられる。

唯「あ、ああ……」

本気だ。この人は本気で私を殺すつもりだ。

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 23:27:42.47 ID:1jx+DhWRO
唯「……あっ…あああ!!!!」

脱兎の様に逃げ出す。人間の本能、一番奥にある死と云う恐怖から逃れる為に。

「ハヤクこっちにおいでエエエエエエエ」

体を反りながら吠える様に鳴いた後、唯の追跡を開始する。

その足取りはもはや人間のもではなく、一歩一歩歩く度に血の様なものが目から流れ出ている。

「ユイチャアアアアアアン!!! ヒャッエッハア」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 23:33:32.79 ID:1jx+DhWRO
夢中になって走る…。
誰か…人を見つけて助けてもらおう。

足は自然と職員室に向かっていた。
職員室ならさわちゃんが…!
勢いよく扉をスライドさせ、

唯「さわちゃん! 助けて!!!」

…………

唯「嘘…………」

誰もいない。
電気もついてない薄暗い職員室は奇妙な程に静かだった。

トントン、

唯「えっ」

肩を叩かれ、不意に振り返る。

校長「ヤァ」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 23:39:41.08 ID:1jx+DhWRO
唯「校長先生…………も」

校長「コワクナイ…………こっちはスバラシイ世界ダヨ」

目から赤い血を流し、ニコニコと笑っている。
手には自分のものだろうか、ゴルフクラブを握っている。

唯「やめて…………よぉ……」

泣き出しそうな心を抑えつけながら後退る。死にたくない……その一心で体は逃げ場を模索していた。

校長「コッチニオイデェェェェ!!!」

振りかぶられたゴルフクラブを見てようやく私の体は動き出した。

唯「ひゃうっ」

ガシャアアンッ

咄嗟に避けたのが効をそうしたのかゴルフクラブは空を切り、誰かの机を粉砕した。

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 23:47:16.71 ID:1jx+DhWRO
校長「アヘへ…………ウヒャアアアア!!!」

ブンッ! と目の前をゴルフクラブが通過、

ガシャアンッ───

職員室のガラスが派手に割れる。

唯「ひぃぃっ」

尻餅をつくような体制でなんとかかわす、も、それはかわしたと言うよりただ腰が抜けてしまったと解釈した方が自然だろう。

校長「ウヘアッ………ウウ?」

またゴルフクラブを唯に定めようとするも職員室の窓に引っかかり中々抜けずにいる。

唯「(今の内に……!)」

尻餅をついたまま下がって行くと立ち上がり、職員室を抜け出す。

校長「待てエエエエエエエエエエ」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 23:54:41.08 ID:1jx+DhWRO
唯「はあ…はあ…どうなってるの……」

走りながらこの全くわからない状況を整理してみる。

唯「みんな目から血を流してた……考えたくないけど感染病とかかな……」

そう考えた瞬間キュッと胸を締め上げるものがきた。
友達のこと、家族のこと、憂のこと……。

まるで迷ってしまって家がどこかわからなくなったような不安感が押し寄せてくる。
誰もいない、いるのは私を殺そうとするわけのわからない人達だけ。

この世界は一体なんだ。私は……一体どこへ来てしまったのだろう。

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/13(水) 23:59:52.78 ID:1jx+DhWRO
駄目……。ここで挫けたら私は多分死んでしまう。
そしたらもうみんなにも会えない……。

唯「……」

思いついたように携帯を開く。

圏外

その二文字に心を折られそうになる。
でも…待ち受けのみんなで撮った写真を眺めていると自然とさっきまでの不安は幾らか和らいでくる。

唯「みんなを探そう…」

生きてる保証はない。だけど生きているのならみんなも同じことを考える筈だ。

唯「まずは学校を出よう」

買い物に行った憂も心配だ。

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:08:00.23 ID:aaTgFN2yO
──【ドコダー??】──

唯「うっ……」

また頭に過る映像。さっき見たのとは違って職員室辺りが映し出されていた。

唯「あの声……もしかして校長先生の目から見えてる景色が私に見えた……?」

何故かはわからない、けれどやってみる価値はあるだろう。

目を閉じ、意識を集中する……。

──【手術シマショウネー】──

これはさっきの保健の先生…。
何を切り刻んでるんだろうか、人形のようなものがズタズタになっている。

更に頭を別のチャンネルに切り替えてみる。
テレビに映っている番組を変える様なイメージ。

──【オーーーーーーイ】──

いた、校長先生だ。さっきよりこっちに近づいて来てる…。
間違いない、これは相手の視界に割り込む能力…!

唯「言うなら視界ジャック…!!!」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:15:03.78 ID:aaTgFN2yO
唯「これを利用したら上手く逃げられるかも…」

校長先生は今一階の職員室前…、保健室の先生は保健室。
校長先生は動き回ってるから注意しとかないと。

学校を出るだけなら色々道はあるけど…他の先生達もああなってるかもしれない。
なるべく見つからない様に正門は避けよう。

裏門から脱出だ。

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:23:23.75 ID:aaTgFN2yO
どうやら他にはいないようであっさりと裏門にまで辿りついた。

唯「後はここを出て…あっ」

裏門には金色の錠がかかっていた。

唯「もうっ!」

こんな大事な時なんだから鍵ぐらい外しておいてほしいよ!
ここで苛立っても仕方ないので危険を承知で体育館の裏を抜け、正門の方を覗き込む。

唯「誰かいる…」




体育教師「遅刻するヒトはユルシマセン」

木刀のようなものを持ちながら正門のど真ん中に立っている。

唯「正門は抜けれない…」

唯「壁は私じゃ乗り越えられそうにないし…」

私は鍵探しを開始した。

小目的 裏門の鍵の入手

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:30:15.02 ID:aaTgFN2yO
再び職員室の近くのトイレまで戻って来るも……。

──【ウヒャッヒャア】──

唯「どこか行ってよ校長先生!」

トイレの一室で一人作戦会議なのです。

唯「鍵は職員室にかかってる……それは校長先生の視界から確認したけど…」

職員室を出たり入ったし続ける校長先生を何とかしない限り鍵は手に入らない…。

唯「何とか注意を引けないかな…」

唯「……何か音が出せれば…そうだ!」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:40:30.76 ID:aaTgFN2yO
「来週のゴルフタノシミダナァ……」

ゴルフクラブをひたすら磨いている校長先生。

ガタンッ───

「アヒャッ!?」

隣の教室で大きな音が鳴り響いた。
それを聴いた校長先生は餌の臭いを嗅ぎ付けた野犬のようなスピードで早歩きで音の発信源へ向かう。

「みいいいいいつけたァァァァァァ」

ガラッ

教室の中はただ机が散乱しているだけで、中には誰もいない。

「いるノハワカッテルンダ」

「デテキナサイ」

そのまま扉を閉め、教室の中を物色し始めた。


127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:49:41.91 ID:aaTgFN2yO
唯「上手く行った…!」

唯は仕掛けを打っていた。隣の教室に静かに入りこんだ後、机や椅子を重ねる。
なるべく入口近くにして音が響く様に窓も開けておく。
教室を調べビニールの紐の様なものを入手した後、その机の足にビニールの紐を結ぶ。

それをトイレまで引っ張り込み、一気に引っ張た。

重ねた机や椅子は見事に崩れ、盛大に音が響いたのだ。

視界ジャックで校長先生が教室に入った所を確認してからトイレから職員室へ。

唯「かぎぃ~かぎぃ…あった!」

裏門の鍵を見つけると一目散に職員室を脱出した。

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 00:56:44.31 ID:aaTgFN2yO
カチャリと音を立てて錠が落ちる。

唯「開いた! とりあえず憂を……」

でも闇雲に探して見つかるかな…入れ違いになるのも怖いし…。

唯「家で待とう…。それにもう帰ってるかもしれないし」

そう決めると私は学校を飛び出して自分の家を目指した。



終了条件達成

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:06:05.85 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 大手スーパー 本屋
PM18:30:30

田井中律
終了条件1 スーパーからの脱出
小目的 武器の入手
──────────
律「う…なんだ?」

生きてる…?

律「さっきのサイレンは何なんだ…」

──【フッヒャア】──

律「うっ…頭が痛い」
さっきのは…?

わからないことづくめだ。

ともかくみんなが心配だ。

律「……圏外ね」

地震の影響だろうか。携帯は使えそうにない。

律「直接確かめに行くしかないか」

周りを見回しながら私は携帯をポケットにし舞い込み、ここを出る為に動き出した。

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:15:00.58 ID:aaTgFN2yO
「うああああああああ」

律「なんだ!?」

下の方から叫び声が聞こえると、直ぐ様下を覗き込んだ。
吹き抜けになっている二階から一階の様子はよく見えた。

律「おいおい嘘だろ……」



「アヒャッヘハァ!!!」

「助けてく……」

グチャリ……

律「うっ……」

思わず目を背けてしまう。こんなの澪じゃなくても怖いっての……!
……男が持っていた包丁が他の人の心臓に刺さり込んでた……。

つまり……殺してたってことか。

律「地震に乗じたにしてはタチが悪すぎんだろ……!」

自分の身にも危険を感じつつ、私はその場を後にする。

律「武器がいる……自分を守るための武器が」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:20:25.73 ID:aaTgFN2yO
隠れつつ、何とかスポーツコーナーまで辿りつけた。

律「思ったらスポーツコーナーって武器の宝庫だよな」

バットにゴルフクラブ、テニスラケット……はちょっと威力がないか。

さて、どれにしようかな。

1 金属バット
2 木製バット
3 ゴルフクラブ
4 テニスラケット
5 卓球のラケット

>>137

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:22:39.66 ID:2cFVZ8hd0
3

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:26:58.83 ID:aaTgFN2yO
律「ゴルフクラブにしよう」

ドライバーはすぐ折れそうだからアイアンにしよっかな。

適当に一本引き抜くと軽くスイングしてみる。

ブンッ!!!

律「ナイショット」

ゴルフなんてしたことはないけど自分を守るためだ。

律「後で返せたら返しに来ます!」

誰もいないカウンターに一礼した後スポーツコーナーを出る。

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:32:45.96 ID:aaTgFN2yO
──【コッチニオイデ~】──

律「うっ……またかよ」

誰かの目線が頭に過る。

律「地震のせいで超能力に目覚めちゃったのか私」

試しに目を瞑り、一階にいるであろうさっきの男の視界を見ようとしてみる。

──【ケェッケェッケェッ……】──

律「見えた……本当に」

何でかはわからないけどどうやら他人の視界を盗み見ることが出来るらしい。

律「一体どうなってんだよ……」

律「澪……みんな」

無事でいてくれよ……!

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:40:02.40 ID:aaTgFN2yO
それからも隠れながら何人もさっきの様な男を見た。
警察は何やってんだ! こんな時の為の警察だろ!

律「って言っても電話も出来ないし…いざとなったら私も…」

やるしかない。

殺されるなんてごめんだ。

でも命乞いをして……変なことされるのも嫌だ。
私だってただの女子高生だ、みんなの前では強がってるけどやっぱり怖いものは怖い。
体が無意識に震える…けど、
それでも怖がってたらいいようにされるだけだ…。

律「来るなら来い…私も容赦しない」

ゴルフクラブを握る手が一段と強くなった。

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:47:33.26 ID:aaTgFN2yO
律「エレベーターは…まずいか」

音がなるし…下に参りまーすって言ってるようなもんだしな。

律「ということはエスカレーター…または階段だけど」

エスカレーターは中央にありすぎて降りた時に目立ち過ぎる。
なら階段か…。

律「階段は…こっちか」

どうやら二階にはいないらしく一階から見えないよう二階の吹き抜け部分にかけられている手刷りから離れて少し屈みながら歩く。
手刷りの下は白いガラスになっている為あっちから見られることはないだろう。

律「……」ビクッ

律「なんだ……」

階段に差し掛かった時、一瞬体が震えた。

律「もしかして……」

私は静かに目を閉じる。

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 01:54:20.69 ID:aaTgFN2yO
──【ハア……ハア……また怒らレチャッタ……死ねばイイノに……あんなヤツ】──


律「いる…」

目線から階段が見えた…ってことは多分正面のレジ辺りにいるのだろう。
言葉を聞く限り正気とは思いづらい。というよりここにいる人達はみんな信用出来ない。
下に居たってことはさっきの叫び声も聴いてるはずなのに…何の焦りも感じられない。
ってことは奴らの仲間か……。

律「わかんないけど早く逃げた方がいいな…。警察とかにこの事を伝えないと」

このスーパーの近くに交番があった筈。
まずはそこに駆け込もう。

律「さて…下のやつをどうするか」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:02:42.71 ID:aaTgFN2yO
女店員「服をタタミマショウネーイソガシイイソガシイ」

ウイーーーーン

女店員「!!!?」

エレベーターが動いているのに気付いたのか急いで駆け寄る。

女店員「降りてラッシャアアアアアアアい」

↓のボタンを狂うように連打しまくる女店員。

上の文字盤は2から1へ。そしてつきましたよと言う合図、ポーンという間抜けな音がした後、ゆっくりと扉が開いた。

女店員「アハハハハハ!!!」

勢い良く乗り込むものの、そこには誰もいない。
しかし、エレベーターの鏡に写った自分を他の誰かと勘違いしたのだろうか、ハンガーを振りかぶり襲いかかる。

女店員「キャエエエイ!!!」

バリンッ

ガチャン───

そうしてエレベーターの扉は閉まり、上に向かった。

律「行ってらっしゃい」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:08:31.39 ID:aaTgFN2yO
律「さて、早く行かないと。しかし便利だな~これ」

律は片目を瞑ったままでいる。
その瞑った片目にはさっきの女店員の視界がジャックされていた。
こうすることにより動きながら視界をジャック出来ると律は気付いたのだ。
それを利用し、女店員の様子を見ながら階段を降り、階段の隣のエレベーターに夢中になってるのを見て扉を閉めたのだ。

律「あはははバカだな~それじゃ上がっちゃうだろ」

ひたすら上のボタンを連打している女店員を後目に、律は出口を目指した。

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:16:29.26 ID:aaTgFN2yO
それからも視界ジャックを駆使し、相手が見てない内に後ろを通ったりを繰り返した。

律「何人いるんだよ……しかも全員目から……あれ血か?」

信じられないけど……どうやらとんでもないことになってるのは確かみたいだ。

律「まともな人間はいない……いたらさっきみたいに殺されてる? 何かの病気か……映画じゃあるまいし」

いくら考えても答えは出ない。たかだか十数年生きただけの私には引き出しが少なすぎる。

律「勉強しとくんだったな……」

こんな時に思い出すのはやはりみんなの顔だった。

律「梓の言う通りだよな……」

「ウヒャアアアアアアアアア!!!!!!」

律「しまっ……」

見つかった!!!

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:26:31.79 ID:aaTgFN2yO
凄い速度でこっちに来る!
よく見るとそれはさっきの包丁を持った男だった。

律「クソッ」

自分のノロマさに悪態をつきながら出入口に走る。

騒ぎを聞き付けた同じような奴等が次々と追いかけるのに参加しているようだ。
視界を盗み見るまでもない。後ろに感じる気配でわかる。

律「ヤバいヤバいヤバいヤバい」

前からも来たッ!

「サカナァ……」

律「ど……、けえええっ!」

魚を持ったおじさんを容赦なくゴルフクラブで殴りつける。

律「正当防衛ってことでよろしく!」

そのまま出口から一目散にスーパーを出ると私は急いで交番に走り込んだ。


終了条件達成

158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:28:29.64 ID:aaTgFN2yO
サイトジャック……だと?

みんなしかいジャックしかいジャック言ってたから視界ジャックだと思ってた

なんてこった……どう足掻いても絶望か……

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:41:55.05 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 秋山宅 澪の部屋
PM18:30:00

秋山澪
終了条件1 秋山宅からの脱出
──────────

澪「おさまった…?」

机の下からひょこっと顔を出すと辺りをリスの様に軽快に確認する。

澪「凄い地震だったな…。ああっ、本棚がぐちゃぐちゃ…」

澪「ってそんなことよりみんなが無事かを確かめるのが先だろう!」

散乱した本を退かしやっとの思いで携帯を見つけるも圏外。

澪「こんな時は災害コールセンターに電話だ!」

プープープー

澪「その災害地の真っ只中にいるの忘れてた…。かけられる側だろ私は」

地震の時に聴こえたあのサイレンの音…何だったんだろう。

──【フフ、澪ちゃんゴハン作らなきゃ……】──

澪「な、なに? ママの声が……」

163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:51:56.02 ID:aaTgFN2yO
──【ダンッ! ダンッ! ダンッ! 中々切ナイいわねぇ…………】──

澪「なに…………これ……」

──【澪ちゃんが待ってルノニ……】──

澪「ママ……何切ってるの……」

──【キレナイワネェ……】──

それが何かわかった瞬間に胃から土砂物が逆流してきた

澪「オェ…………」


間違いない…………ママが切ってるのは…………

あれは…………パパの手だ

165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 02:57:35.59 ID:aaTgFN2yO
澪「ゴホッ……アッ……ア…ア…アッ!」

これは夢だ。

澪「ママがそんなことするわけ…」

でも……あの薬指にあった指輪はパパの……。

澪「パパとママが愛し合った記念のものなのに……」

喧嘩になってママが勢い余って殺して……、

澪「ううん……家の家族は仲が良かった。それだけは間違いない。殺すだなんて……」

そもそもさっき見えたのはなんだ?
ママがいるのは一階なのにどうしてそれが見えたんだ?
それに地震があったって言うのに暢気にご飯……それもパパの手を……。

澪「考えちゃダメだ…! 頭がおかしくなる…」

こんな時、頭に浮かんだのは律の顔だ。

澪「助けて…律…」

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:03:54.88 ID:aaTgFN2yO
──【後はコレヲ煮込んで……】──

目を閉じると自然に浮かぶこの光景。

──【出来たら澪ちゃんに持って行ってアゲナキャ……】──

もう理性のブレーカーが飛んでいるのか私はその光景を黙って眺めていた。

澪「パパ……ママ……律……」

会いたい。律に。

怖かったろ? って慰めてもらいたい。

澪「逃げなきゃ……。そして律のとこに行くんだ」

そう決めた瞬間、頭のブレーカーを入れ直し、物事を冷静に考える。
律に会うためにはここで死ぬわけにはいかない。

澪「あのママはもう……ママじゃない!」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:15:34.69 ID:aaTgFN2yO
しかしこの能力は便利だ。相手の視界を盗み見ることが出来るらしい。
だがこんなアニメじみた能力があること自体異常だ。
つまり……

澪「もしかしたらもう……私は……」

よそう、そんなことを考えるのは。今はとにかく律やみんなの安否が心配だ。
携帯が使えない今直接会いに行くしかない。

澪「家を出るには下を抜けなきゃ……でも下には包丁を持ったマ……人がいる」

澪「窓からは……無理だ。とてもじゃないけど降りられない」

澪「下を抜けるしかない……」

ゆっくりと部屋のドアを開けると、階段を覗き込む。

澪「……」

そして目を静かに閉じた。

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:21:13.72 ID:aaTgFN2yO
──【ウフフ……出来タ……ハヤク澪チャンに持っテ行っテアゲナイト……】──

鍋で煮た腕をお椀によそいおぼんの上に置いている。

澪「まさか……こっちに来る?!」

慌てて隠れる場所を探す。
いっそのこと飛び降りた方が助かる見込みはあるか、元はママなんだから話せばわかってくれるんじゃないか、なんてバカみたいな提案が頭の中で立案されては却下されて行く。

トス……トス……トス……

スリッパが階段を噛む音が聞こえる……!

澪「ここしかない……!」

私は一番隠れられそうな所に身を滑らせた。

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:27:22.12 ID:aaTgFN2yO
澪ママ「澪ちゃん、ゴハンよ」

シーン────

澪ママ「オカシイワネェ……ドコに行っタノカシラ」

澪ママ「ヨイショ…………」

おぼんを机の上に置くママ。

澪「(うっ…………)」

ママの手には………包丁が握られていた。


澪ママ「ハヤクコッチニ来レバイイノにネー…………リッチャンと一緒ニ」

澪「(律………)」

澪ママ「遊ビニ来ナイカシラネー…………リッチャン。ソシタラ一緒ニコッチニ来サセテアゲルノニ」

ガタッ…………

澪ママ「アラ……」

澪「(しまった……ッ!)」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:31:11.07 ID:aaTgFN2yO
澪ママ「澪チャンイルノー?」

澪ママがクローゼットを覗き込むようにして見ている。

澪「ッ…………!」

心臓はもう耳障りな程に脈を打っている。

澪ママ「かくれんぼカシラ? 澪チャンったら子供ネー…………」

澪ママ「ミ~ツケタ」

澪ママは両手でクローゼットを開け放つとそのまま一気に包丁を中に突き立てた。

ザクッ─────

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:36:41.73 ID:aaTgFN2yO
澪ママ「…………」


澪「…………」


澪ママ「澪ちゃんの服ヤブイチャッタわー…………後で縫ワナイト…………」

澪「(…………ほっ)」

その破いた服を持ったまま澪ママは下へ降りて行った。


それを視界ジャックで確認した後、澪がベッドの下から出てくる。

澪「クローゼットに隠れてたら死んでたかな……」

これでしばらくは上には来ないだろう。考える時間が出来た。

澪「酷い臭い……」

机に置かれたそれを鼻をつまみながらゴミ箱に入れた。
そしてすかさずその周りに消臭剤を振りかけた。

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:49:15.28 ID:aaTgFN2yO
澪「今は……ご丁寧にさっき破いた服を縫ってる……。ママなのかママじゃないのか……」

さっき殺そうとしたんだ、ママだろうがママじゃなかろうが危険には変わりないか…。

澪「台所じゃなくなったぶん逃げやすくなったな……」

台所の勝手口から逃げればすぐ外だ。

澪「これで準備はよし……!」

鞄に食べ物や飲み物を詰めておく。きっと律は何も考えなしに外に飛び出してるだろうからな。
お腹が減ってたりしたら大変だ。

澪「…………」

念入りにママの視界を盗み見る。

──【澪ちゃんの服カワイイワァ………】──

相変わらずミシンで私の服を縦横無尽に縫っている。こうなるともう頭がどうかしたとしか思えない。

澪「夢なら覚めてよ……」

そう呟いた後、私は静かに階段を下った。

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 03:55:17.64 ID:aaTgFN2yO
階段の壁際から肉眼で覗き見る。
ママは背を向けたままリビングでミシンを縫っている。

澪「(よし……)」

今だとばかりにゆっくりと屈みながら台所に行き、勝手口に手をかける。

澪「(あれ……スリッパがない。いつもならここにあるはずなのに…)」

こんな非常自体だ、靴下だけでも何とかなるだろうとドアノブを回そうと……

ガチャ

澪「えっ」

澪パパ「タダイマァァァ」

澪「パ…パ…?」

目の前に立つのは片腕のない私のパパだった。

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 04:05:38.11 ID:aaTgFN2yO
澪パパ「ウヒャッヒャヒャッ」

澪ママ「アラァ澪ちゃん……帰ってタナライッテクレナイト」


挟まれた……。

澪パパ「コッチハスバラシイゾ~澪」

澪ママ「コッチニオイデ……澪ちゃん」

澪「あ、ああ……」

そうだ……これは夢なんだ。
きっと悪い夢で……起きたらまたあの楽しい日々が待ってるんだ。

目を瞑る。

澪ママ「澪チャアアアアアアアアアアアアアアン」

覚めたらきっと……会いに行くから、律。



斎藤「そんなんじゃ生き残れませんよ、澪さん」

この声の後、銃声が二つ響いた。

終了条件達成

251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:08:24.16 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 琴吹邸
PM??:??:??

琴吹紬
終了条件1 琴吹邸からの脱出
終了条件2 斎藤を倒す

紬「ここは……」

見渡せばそこは私の部屋だった。

紬「地震があって……その後……」

どれぐらい私は気を失ってたんだろう。辺りはもう真っ暗で夜と言うことだけしかわからない。

紬「携帯…、駄目ね。壊れてる」

地震のせいでクローゼットが倒れて携帯を踏み潰したのだろう。画面は無惨にひび割れている。
自分がこうなっていないだけでもよしとしておこう。

紬「お父様は出張で遠くに行かれてるから大丈夫だけど…他のみんなが心配ね」

252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:09:58.80 ID:aaTgFN2yO
耐震設備が完璧なこの家でさえこの有り様だ。一般家庭の家がどうなっているか…なんて考えたくもない。

紬「とにかく斎藤に車か何かを出してもらってみんなの安否を確かめに行きましょう」

着替えようと思ったけどクローゼットから服を出すのは一苦労だろう。
ネグリジェのまま彷徨くのも恥ずかしいけど事が事だけにそんな場合ではない。

紬「斎藤…無事かしら」

部屋を出ようとドアノブに手を回した時だった。

──【琴吹家は……オワリダ…】──

紬「何…さっきの」

一瞬頭に浮かんだのは猟銃の様なものを構えた誰かだった。

254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:11:38.84 ID:aaTgFN2yO
紬「あの声は……斎藤?」

もう一度見れないか試みるも、見えない。

紬「……気のせいにしては鮮明だった気がする…」

それにあれはエントランスの二階から見た私の部屋じゃなかった…?
私の部屋の扉を猟銃で狙いを定めてた…?
なんで……?

紬「琴吹家は…終わりだって言ってた…」

もしかしたらこの地震に便乗して私を殺して財産を盗みだそう…とか。

紬「斎藤は信用してるけど…あり得ない話じゃないわ…」

どうしよう…。

1 扉を開け斎藤に話を聞いた後、斎藤と共にみんなを探しに行く。

2 部屋から何とか外に脱出し、自力でみんなを探しに行く。

>>255

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:15:06.34 ID:MfXvgi3mO
2

265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:28:32.48 ID:aaTgFN2yO
紬「やっぱり危険だわ。この部屋から何とか脱出出来ないかしら…」

そう言えば昔お父様がもし火事になってこの部屋から出られなくなったりした場合に使いなさいって言われてたものが…。

紬「え~と…確かここに」

お父様が買ってくださった絵画を外すの何種類ものボタンが現れる。

紬「確か…」

その中の赤いボタンを押すと何やら窓の下から何かが勢いよく中庭に降り、固定される。
スロープ状に伸びたそれはまるでプールのスライダーのようになっている。

紬「わぁ…」

楽しそう…。

紬「家にこんな滑り台が…ずっと隠しておくなんてお父様も意地悪だわ」

ゆっくりとクリーム色のそれに体を預けてみる。

紬「1.2.3…ッ!」

手を離し、私は滑降を開始した。

終了条件達成

268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:40:33.76 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 中野宅
PM19:15:44

中野梓
終了条件1 侵入した屍人を倒す
──────────
梓「う…ううん」

梓「……はっ」

梓「地震……はもう止まってる」

梓「凄い地震だったけどどれぐらいの震度だったんだろう」

散乱している物の中からテレビのリモコンを探しだしてつけてみる。
ザアーーーーー

砂嵐。
梓「お父さんとお母さんは大丈夫かな? 仕事先で怪我とかしてなきゃいいけど…」

梓「唯先輩達にも電話してみよ……」

圏外。

梓「はあ……」
携帯やテレビがないだけでこれ程まで何も出来なくてわからないなんて……ちょっと自分が嫌になる。

ガタタッ……

梓「何…? リビングの方からだ…」

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:50:23.59 ID:aaTgFN2yO
「ウヒャアッヒャアッハァ」

グチャグチャ……


梓「(何…あれ……)」

冷蔵庫のものをひたすら口に運んでいる…。
強盗…?

梓「(どうしよう!!! とりあえず警察に……って電話使えないんだったよぉ!)」

「タリナイータリナイイイイイ」

グチャクチャグェップブチャ

梓「(自分の身は自分で守らなきゃ…。追い払ってやるです!)」

そそくさと部屋に戻ると武器になりそうなものを探す。

梓「後ろから思いっきり殴って気絶するぐらいのものがいいかな…」

1ムッタン
2ギターケース
3MDコンポ
4部員募集のポスター

>>273

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 17:53:00.34 ID:ghjHVviW0
2

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:01:28.95 ID:aaTgFN2yO
梓「ギターケースなら思いっきり殴っても死んじゃったりしないよね」

ムッタンは外に出して置き、空のギターケースを両手で担ぐ。


梓「……」

恐る恐る覗いて見ると……。

「ウメエ……ウメエ……」

まだお食事中のようだ。冷蔵庫の方を向いたままひたすら口に物を運んでいる。

梓「(よっぽどお腹がすいてたのかな…。でも強盗は良くないですよ!)」

正面から行けば何されるかわからないのは明白だ。そして力のない私はただそれに従うしかなくなる。
そうならないようにこの一撃を見舞ってやるです!

梓「……」

「クヒャッヒャ」

梓「このっ!!!」

ガツーーーーン

280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:07:06.78 ID:aaTgFN2yO
「ウア……?」

梓「ひいっ……」

ギョロリと瞳だけが動き蒼白の男がこちらを見据える。

「邪魔スルナアアアアアアア」

梓「あっ……あ……」

食事を邪魔されたのがよっぽど気に障ったのか物凄い力で私の首を締め上げてく……る……。

梓「あ……うあ……」

両手で……何とか……振りほどこうとしても……全く……動かな……。

「コッチニオイデ……」

梓「(こっちって……どこ……?)」

もう何も……見えない……よ。

284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:14:54.43 ID:aaTgFN2yO
意識が遠くなって行く。

梓「…………」

もう腕にも力が入らない。元々こんな細い腕じゃ敵いっこない……。
私は余りにも無力だ……。

梓「…………」

涙が溢れた。

悔しくて、こんな所で死んじゃう自分が情けなくて。

「ウヒャアッヒャアッハァ!!!!」

ギリギリ……と首を圧迫していく。
もう折れてしまいそう……。


285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:16:06.94 ID:aaTgFN2yO
梓「…………」

言葉も出せない。

そのまま、目を閉じた。最後くらいこんな奴の顔じゃなくて……私の大好きなみんなの顔を思い浮かべながら死にたい。

──【はっ……はっ……】──

何だろう……この景色は。私の家?

──【っつはっ……はっ……!】──

中に入って来た……。走馬灯かな……?

──【このっ……!】──

あれ……私が見える……。


純「梓を離せっ!!! この化け物!!!!!」

ガスンッ!!!

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:24:32.81 ID:aaTgFN2yO
「ゴオッ………」

純の振りかぶったバットが屍人の脳天にクリティカルヒットした。
余りの威力にそのまま土下座するように地に伏した。

純「梓っ!」

梓「ゲホッゲホッ……ゴホ…ッ……あ、純」

純「命がけで助けに来た友達に向かって第一声がそれ!?」

梓「ごめん……何だか夢みたいで。ほんとにもう死んだかなって思ってから」

純「私のウルトラCがなかったら間違いなく絞め殺されてたよ! 立てる?」

梓「……無理っぽい」

純「全く……。よいしょっと」

純に肩を貸してもらい立ち上がる。

純「とにかくここを出よう。またこいつが起きる前に」

梓「でも……さすがにあれじゃ…」

バットで思いきり殴ったのだ。幾ら女の力でも…。

純「…こいつらは死なないんだよ。どういうわけか知らないけど」

292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:31:06.34 ID:aaTgFN2yO
梓「死なない…?」

純「そ。多分後10分もすればまた起き上がるよそいつも」

梓「そんな…」

純「詳しい話は車でしよう。そっちの方が安全だから」

梓「車?」

純「乗ってきたの」

梓「純って運転出来たっけ…? そもそも免許は…?」

純「あんなの簡単簡単。こうやってぐわーってやった後、ぶしゃーって踏んで後は曲がりたい方にハンドルを切るだけ」

幾ら非常時? といっても正直……

梓「………乗りたくないなぁ」

純「つべこべあべこべ言わずに来るのっ!」

梓「あっ、ちょっと! 純! バットは?」

純「いいのいいの。また探せばいいから(……間に合って良かった……)」

終了条件達成?

298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:43:52.43 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 平沢宅
PM19:30:33

平沢唯

終了条件1 わかりやすい置き手紙を書き残す

唯「隠れながら帰ったから時間かかっちゃった…」

もう辺りは真っ暗で、ちらほら街灯が灯り初めている。

唯「憂~いる~?」

家に入ると一目散に憂を呼びながら部屋に行く。

唯「憂~」

そこには憂の姿はなく、ただ可愛らしい部屋が薄暗く映し出されていただけだった。

唯「まだ帰ってないんだ…憂」

心配だ。

もしも憂があの変な人達に襲われたのかもしれないと思うと心臓がキュッと締め付けられる。

待ってられないっ!

唯「探しに行こう…!」

300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:48:38.52 ID:aaTgFN2yO
唯「でも入れ違いになったら困るなぁ……。携帯も使えないし」

唯「う~ん……」

唯「!」

唯「そうだ! 置き手紙をしておこう!」

何て書こうかな~。これを見たら家にいなさい! とかかな~?



>>305

309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 18:59:12.72 ID:aaTgFN2yO
憂が家にいないので外に探しにいっています。
20:30までには私も帰ります。
もしも20:30までに私が帰ってこなかったらあずにゃん達と一緒に隠れてて!

唯「……と、これで完璧!」

唯「よし! 探しに行こっと!」

手紙をわかりやすくリビングの机の上に置くと着替えるのも忘れて再び真っ暗闇へと体を投じる。

唯「憂……みんな……無事でいてね」


終了条件達成

置き手紙の内容◎

318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:22:49.99 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 大手スーパー前の交番
PM19:10:00

田井中律

終了条件1 警察官からの逃亡
──────────

律「大変なんだよお巡りさん!!! スーパーの中がもうてんやわんやで…」

警察官「……」

律「聞いてんのかよ!!! 早くしないとあいつらが……」

ジリリリ……

ジリリリ……

時代に似つかわしくない黒電話が鳴り響く。その音に一旦間を取られた私は仕方なくその電話が終わるのを待つことにした。

警察官「もしもし…………」


律「(早くしろよな~……)」イライラ

警察官「……了解…射殺します…」

律「は…?」

320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:32:55.60 ID:aaTgFN2yO
律「何言って……」

カチャリ……カチャリ……

律「なんで弾なんて込めて……」

そうか……、

警察官「イイアーッ」

こいつもか。

踵を返すと急いで交番を出る。

律「銃なんて卑怯だろ!!」

走りながら片目を閉じ視界をジャック。

──【無駄ナ抵抗ハやめなさい】──

照準が見事に私の背中を捉えてるのを見て、
律「くっ……!」

思いきり体を揺さぶりながらジグザグに走る。

パァンッ
パァンッ

二発の銃弾はどちらも私を捉える事なくどこかへ消えていく。
律「相手が狙ってる場所がわかるなら避けるのも意外と簡単だな…」

321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:37:29.98 ID:aaTgFN2yO
上手くやれば拳銃を奪えるかもしれない…。

律「どうする……」

拳銃があればこの先楽になるかもしれないけど……その分リスクはあるか。


1 警察官を倒し、拳銃を奪い取る

2 いくら相手の視界を盗み見れると言って弾が完璧に避けられるとは限らない。危険だ、このまま逃げよう

>>322

322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:38:28.34 ID:urBWLwE/O

327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:49:24.07 ID:aaTgFN2yO
律「危険は承知の上だ!」

またまた踵を返すと来た道を逆走する。
視界ジャックで相手の手の位置、指のかかり具合などを見ていつ撃つかなども見落とさないようにする。
警察官「アファアアアアア」

パンッ──

律「(よし!)」
小刻みに動いてる為か相手の狙いは定まってない。
しかし近づくほどどんど的は大きくなる為油断は出来ない。

律「(もうちょい…!)」

パンッ──

5発目も何とかわきに逸れてくれた。

律「もらったあああああっ!!!」

329: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:50:39.22 ID:aaTgFN2yO
パンッ──

律「…………あれ?」

警察官「アッヒャハッヒャッハァ!!!!」

よろよろと崩れ落ちる体。

律「おっかしいな~……何か体に……力が入らないや」

ゴルフクラブが手から滑り落ち、赤い何かが私の胸辺りから沸き出ている。

律「ああ……血か……」

撃たれたんだな……私。
そう気付いた時にはもう意識は遠退いていた。

終了条件未達成

339: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 19:57:38.61 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 秋山宅
PM19:30:00

秋山澪

終了条件1
──────────

澪「あ、あの…助けてもらってありがとうございました」

斎藤「別にいいさ。探し物のついでだしな。あんたは確か琴吹嬢の友達だろ? どこ行ったか知らないか? てかここどこ?」

澪「ムギの知り合いなんですか!?」

斎藤「おっ、おお……まあな。あそこの執事だよ俺は」

澪「家にいなかったんですか?」

斎藤「いなかったから探しに来てるんだろうが。全くどこほっつき歩いてんのやら。おてんばの世話はこれだから…」

澪「おてんば…?(ムギが?)」

344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 20:08:25.15 ID:aaTgFN2yO
斎藤「そんじゃあ悪いけど探しに行くから」

澪「わ、私も行きます!」

斎藤「……そいつは無理だ。二度は助けない主義なんでね。それに足手まといにしかならい」

澪「そんな…」

斎藤「澪さん、誰かに助けてもらおうなんて思わない方がいい。じゃあな」

背中を向けたままひらひらと手を振る。

斎藤「ちなみに、この家は出た方がいい。多分そいつらは時期に起き上がってくる。そうしたら次こそあんたは死ぬ」

澪「……」

斎藤「じゃあな」

バタンッ

閉められた扉が……まるで私を拒絶しているように思えた。

345: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 20:13:41.95 ID:aaTgFN2yO
澪「ここは……どこだろう」

家を出た方がいいと言われただ闇雲に歩き回った。

律には……会えなかった。

他のみんなにも。

どれぐらい歩いただろうか……。

数時間かもしれないし……数十秒かもしれない。

そしてたどり着いた場所は……崖だった。

まるで街がくり貫かれたようにそこで終わっている。

そしてそこから下は……一面の赤い海。

澪「……」

私は静かに崖の縁に腰を下ろすと、それをぼんやりと眺めていた。

347: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 20:19:54.86 ID:aaTgFN2yO
澪「綺麗だな……まるで夕陽が落ちたみたいに真っ赤だ……」

いい詞が浮かびそうだな……。


澪「あれ……?」


よく見ると遠くの方に何やら人影が見える。
それは群れをなして赤い海を渡っていた。

澪「!?」

その中に見知った顔があった。

澪「律……やっと……やっと見つけた」

あの黄色いカチューシャ……間違いなく律だ。

澪「おーい律。今そっちに行くからなー」

山彦を呼ぶように両手で口周りを塞ぎ大声でそう行った。

澪「よっと」

私はそのまま、赤い海に飛び降りた。

ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────────

359: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 20:31:12.64 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘高校
PM20:00:00

琴吹紬

終了条件1 追跡者を倒す
──────────

紬「どこにもいない……」

いるのは死んだような顔をしてる人達だけ。あれは多分人間じゃない…。

紬「ここはどこなの!!!? 私達の日常を返してよ!!!」

紬「はあ…はあ…」

避けんでも誰もいない。

唯ちゃんもりっちゃんも澪ちゃんも梓ちゃんもみんないなくなっちゃったの?

紬「後いるとしたらもう…ここしかない」

学校…もしかしたらみんなここに

バンッ───カァンッ───
紬「ひっ…」

校門に銃弾が当たり火花が散る。

追ってきた…!?

362: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 20:46:29.89 ID:aaTgFN2yO
すぐさま正門から校庭に入り、職員室の窓から学校の中に入る。

紬「信じてたのに…!」

溢れそうになる涙を堪えながら職員室を出る。目指すのは勿論軽音部の部室。


校長「ゴルフ楽シミダナァ……」


紬「(校長先生も……)」

職員室の外を徘徊している校長先生がゴルフクラブを磨いている間に後ろを抜けていく。何故かはわからないがこの人達はかなり注意力が散漫だ。
なので足音を立てずゆっくりと歩けば大抵はバレずに済む。

365: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 20:54:54.68 ID:aaTgFN2yO
紬「あれは保健の先生…………」

保健の先生「ハァーイ唯ちゃん内臓カエマショウネー」

人形になりやら詰め込んでるみたい……ここからじゃよく見えないわ。

紬「唯ちゃん……無事かしら」



何人もの人をやり過ごし、ようやく部室にたどり着いた。

紬「お願い…誰か居て」

祈る思いで扉を開ける───




紬「……ふふ、遅れてごめんね。すぐにお茶入れるから」


紬「唯ちゃん」

377: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 21:05:19.28 ID:aaTgFN2yO
紬「みんな見つからないから心配したんだから」

紬「今日はね、ローズティーにしたの。とっても香りがいいのよ?」

紬「お菓子はね~……なんと飴玉!」


紬「ごめんね、急いでてこれしか持って来れなかったの」


紬「美味しい……? ねえ……唯ちゃん……」

コロン…………
口から転げ落ちる飴玉。

紬「返事してよ…………唯ちゃん………」

部室に血だらけで横たわっていた唯を抱きしめる。

強く……強く……。

紬「唯……ぢゃん゛……一緒にお菓子食べようよ……」

返事はない。

紬「唯ちゃん冷たいね……ほら、私の手……暖かいでしょう?」

唯の頬に両手を当てる紬。

383: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 21:13:48.17 ID:aaTgFN2yO
紬「唯ちゃんが寒くならないように……ずっと……ずっと暖めてあげるから……」

何にも思えない。
もう声にもならない。
ただあの元気で明るかった唯ちゃんがこんなに冷たくなって横たわっているのを受け止められない。

寝てるんじゃないかな……?

なんて思ったりもする。

紬「唯ちゃん……」

頭を撫でると、可愛らしい唯ちゃんの顔が少しだけ微笑んだように見えた。

そんな筈……ないのに。

384: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 21:15:16.60 ID:aaTgFN2yO
ドンッ──

ドンッ────

ドンッ──────

部室のドアが叩かれる。
多分あいつだろう。

紬「邪魔しないでよ……!」
私はそこら辺にあるものを武器として使うために掴み上げた。

1 キーボード
2 ドラムセット
3 トンちゃんの水槽
4 ケロちゃんの人形
5 ホワイトボード

>>386

386: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 21:16:25.27 ID:ecHm42wj0
3

391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 21:24:28.26 ID:aaTgFN2yO
怒りに任せて掴みあげる。
入って来たらこれで……

「スイースイー」

紬「あ……」


唯『可愛いね~トンちゃ~ん』
「スイースイー」
梓『飼うからにはちゃんと面倒みてくださいね!』

紬「あ……あ……」

ガチャン……

紬「駄目……このままじゃみんなが大切にしてたトンちゃんが……」

ダァンッ───

紬「ヅッ────」

体に風穴が開く。
糸が切れたマリオネットみたいに膝から崩れ落ちた。

バシャアアアアア

水槽が派手にひっくり返りその勢いでトンちゃんも床に投げ出された。
トン「パタパタ……パタパタ……」
仰向けになったまま動けないでいるトンちゃんに最後の力を振り絞って手を伸ばす。

400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 21:29:09.40 ID:aaTgFN2yO
紬「はい……これで……だいじょうゲフッ……」

トン「…………」

そのままトンちゃんはどこを目指しているのか這って進み始めた。

紬「ごめんね……トンちゃん……ごめんね……みんな」



最後に私が見たのは……この軽音部であった色々な出来事だった。


終了条件未達成

446: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 22:24:50.43 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 住宅街
PM19:45:45

中野梓

終了条件1 屍人を10体以上倒す
──────────

梓「わあっ純!!! ぶつかるうううっ」

純「大丈夫大丈夫~」

キキィ~!!!ドンッ

梓「!?」

純「……でさあ~」

梓「今なんかはねたよね!?」

純「えっ? 気のせいじゃない?」

梓「気のせいじゃないよ!!!」

純「まあまあ。で、これからどうする?」

梓「いいからせめて前見て運転して!」

純「はいはい」

449: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 22:32:48.98 ID:aaTgFN2yO
梓「とりあえずみんなを探さない?」

純「みんなって言うとー軽音部の?」

梓「うん」

ドンッ

純「……生きてるのかな」

梓「……わかんない」

純「私の親は駄目だったよ。私を見て化け物!化け物! って言いながら襲って来てさ。どっちが化け物だってーの」

ドドンッ

梓「もしかして……」

純「そ。殺したの。両親を…。けど…また起き上がって来てさ」

梓「……そっか」

ドンッ───

451: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 22:38:12.28 ID:aaTgFN2yO
ドンッ

純「それで梓が心配になって来たってわけ」

ドンッ

梓「ありがとね、純」

ドンッ

純「気にしないでよ。友達じゃない」

梓「純『ドンッ』……」

純「……」

梓「純!!! 前見て運転してって言ったでしょ!! もし唯先輩達だったら…」

純「大丈夫大丈夫」

ドンッ──

純「ちゃんと確認してからはね飛ばしてるから」

梓「そういう問題じゃなーーーい!!!」


終了条件達成

466: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 22:52:52.31 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘 国道
PM21:00:00

中野梓

終了条件1 二人でこの世界を脱出する。
──────────

純「いないね~」

梓「うん……」

街をひたすら走ってみるもいるのはあの頭のおかしい人達ばかりだ。

純「まるで屍人だよね」

梓「屍人……?」

純「昔どっかの本で読んだことがあるんだよね~…タイトル何だったかな~。羽がどうのことのだったような。まあそれに書いてた屍人って奴らに似てるな~って」

梓「ふーん…」

純「あっ、ガソリン無くなりそう。ちょっとガソスタ寄るね」

梓「なんかもう手慣れてて怖い」

472: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:01:30.65 ID:aaTgFN2yO
純「あ~お金ないや。ちょっとスタンドの中から拝借してくるよ」

梓「えっ、ちょっと! 純!」

一人でそそくさと行ってしまう。

全く頼りなるんだかならないんだか。

梓「不思議だな…」

こんな恐ろしい世界に来てるのに…自然と怖くなかった。
誰かが側に居てくれる、ただそれだけでこんなにも違うんだ…。

純もそう思ってくれてるのかな?

純「ヘイッお姉ちゃんガソリン何オクだい!? 今ならレギュラーもついてくるよ!!!」

梓「ふふ、混ぜちゃダメでしょ」

純も笑ってる。

だから私も笑うんだ。

こんな世界でも。

479: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:07:43.76 ID:aaTgFN2yO
純「ハイオクの方がよく走るかなー?」

梓「わかんない。レギュラーでいいんじゃない?」

純「梓がそういうならレギュラーにしとくよ。お金もあんまりないしねー」


あの時…律先輩に酷いこと言ったのを今頃思い出した。

本当に大切なものと本当に大切なものを比べなきゃいけない場合どうするか……なんてそんなの決まってる。

どっちも守ろうとするだろう。
きっと律先輩も唯先輩もそうしてる筈だ。

だから私もそうしよう。

純「お待たせ~」

梓「うん」

純のこと、守ろう。
死ぬ間際まで……。

487: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:14:22.00 ID:aaTgFN2yO
どれくらい純と走っただろう。
私達は一向に誰も見つけられず、そしてとうとう……。

見てしまった。

梓「……」

純「……行き止まり…だね」

梓「そうみたい…」

純「……実は薄々気づいてたんだよね。こんなオチじゃないかって…」

梓「……私も。だってここ…おかしいもん」

純「だね」

梓「……」

純「多分どこもこうなってると思う。ここは現実世界じゃないんだよ…多分。あの地震か…」

梓「サイレンのせい?」

純「梓も聴いたんだ」

梓「うん。地震の最中に…ね」
純「そっか…」
梓「降りてみない?」
純「ん」

489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:22:36.87 ID:aaTgFN2yO
純「な~んにも見えないね」

梓「そうだね…」

純「これ海? 何で真っ赤なのさ」

梓「知らないよ」

純「だよね…」

立ち上がって眺めていた純も飽きたのか私の隣に座り込む。

純「どっこらしょっと」

梓「ぷぷ。おばさんくさいよ純」

純「なんだとー!? 花の女子高生捕まえてその言い種はなんだー!」

梓「あはは、ごめんごめん。純は可愛らしいよ」

純「わかればよろしい」
梓「……純、ありがとね」
純「ん」
梓「純だけは生きて」
純「何言ってんの梓。生きるのも死ぬのも一緒だよ。ここまで来たら」

梓「うん……そうだね」


「ウアアアアアアアアア」「ウヒャアッヒャアッハァ」「クヒョアアアア」「コッチニオイデエエエエエ」「タノシイヨオオオオ」「キッキャッキャッ」

491: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:27:58.07 ID:aaTgFN2yO
純「さて、やりますか」

梓「武器は?」

純「ほら、車に積んであった角材」

梓「はねた方が早くない?」

純「あの数じゃ車が止まっちゃうでしょ」

梓「そっか」

純「ここで死んだら私達…どこに行くんだろうね」

梓「わかんない。普通に天国とか地獄とか?」

純「じゃあ梓とは会えないか~私殺しまくっちゃったし」ニヒッ

梓「私もこれからそうなるから一緒だよ。純」

神様、どうかいるのであれば……彼女だけは助けてあげてください。

私は一生ここに閉じ込められてもいいから…

純「桜ヶ丘軽音部~~~」
梓「ファイトッーーー!」

純は軽音部じゃないでしょってツッコミは、次に会った時にしよう。

終了条件未達成

500: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:37:33.24 ID:aaTgFN2yO
桜ヶ丘高校
PM19:45:00

平沢唯

終了条件1 憂をみつける
──────────
唯「はあ…はあ…商店街も通りながら来たけどすれ違わなかった…」

もしかしたらまだ私が寝てると思って学校に来てるかもしれない。そう思い私は学校の前にいる。

唯「視界……」ピシッ

唯「ジャック!!!」

まるで正義のヒーローの変身の様な動作をつけながら目を瞑る。

唯「……保健の先生は……と」

──【ゴルフ~……】──

唯「これは校長先生だ!」

唯「もうちょっとあっちかな?」

──【唯ちゃん手術シマショウネー】──

唯「まだやってる…。人形に私の名前までつけるなんて…。好かれてるのかな…」ブルブル

唯「憂はいないみたい…もしかしたら部室かな?」

504: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:43:58.29 ID:aaTgFN2yO
唯「体育の先生がいない……忍び込むならイマノウチ」

辺りを見回しながら学校の中へ。

唯「そう言えば学校のみんなはどこに行ったのかな? あの時私と保健の先生と校長先生と体育の先生だけしか学校いなかったのかな~」

唯「それで巻き込まれちゃったんだね…きっと」

唯「?? 巻き込まれる?? 何に?」

わかんない。

唯「それより憂だよ! 先生達に見つかってないといいけど…」

508: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:49:55.41 ID:aaTgFN2yO
唯「え~と…見つからないように部室に行くにはと」

保健室と職員室には先生達がいるから通りたくないんだけど……あそこ通らないと部室に行けないから…。

唯「バレないように行かなきゃ!」

「オーイ……遅刻はダメヨー」

唯「えっ……あっ」

しまった…!
まさか体育の先生が学校の中に居たなんて!
見つかった…。早く逃げないと!!!

「ウフフー」

唯「あれ?」

「体育ハタノシイヨー」

唯「襲ってこない?」

何で?

顔は相変わらず怖いままだけど…あっ! そっか!

唯「体育タノシイヨネー」オメメツリアゲ

仲間だと思われてるんだ!

509: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:53:14.30 ID:aaTgFN2yO
唯「ジャア私ハコレデー」トッタッタ


唯「何だかよくわかんないけど良かった!」

多分保健の先生も校長先生もこれで行けば私のことを仲間だと思って何もしてこないはず!

唯「フンスッ!」オメメツリアゲ

唯「憂~!!! 待っててねーーーー!!!」

513: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:56:03.25 ID:aaTgFN2yO
とうとう部室までやって来ました。

唯「いるかな…憂。いなかったらどうしよう…。まあその時はその時だよね」

書き置きもしてるしいなかったら一回家に帰ればいいか。

ガチャン

いつものように軽くノブを捻る。

唯「憂~いる~?」











憂「……お姉ちゃん?」

516: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/14(木) 23:59:59.51 ID:aaTgFN2yO
唯「憂っ!!!!」

憂「お姉ちゃん……どうしてここに?」

唯「どうしてじゃないよ! 憂を探しに来たんだよ! 心配したんだからね!」

憂「うん……書き置き見たよ。ありがとうお姉ちゃん」

唯「見たのにここにいるなんて、も~憂ったら! 世話がかかる妹なんだから」

憂「妹……」

唯「無事で良かったよぉ……憂」

優しく抱きしめる、

憂「お姉ちゃん……血が」

唯「えっ? ああこれはちょっと擦りむいちゃって」エヘヘ

とても擦りむいたと云うレベルの血の量じゃないが……それでも唯は笑みを絶やさなかった。

523: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:07:25.62 ID:BPpZnIIJO
憂「……」
唯「憂~……よしよし」
抱き締めながらよしよしと撫でる。憂はこれが大好きなのだ。
憂「お姉ちゃん……ごめんね」
唯「いいんだよ。謝らなくて」
憂「ううん…違うの。私は…わたしは…!」
唯「憂……?」

憂「……ゴメンナサイ……オネェチャン……」

グサッ─────

唯「えっ……」

お腹が熱い。
まるでインフルエンザにかかった時のおでこ……みたい……。
ああ……刺されたんだ……わたし。

唯「憂……」

それでも……

憂「ごめんね……ごめんね……」

唯「……私は憂を信じてるから」

大丈夫だよ、憂。

終了条件達成?

527: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:13:26.34 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM$%?`_=^);<<=_<

平沢憂

終了条件????????
──────────
憂「…………」

憂が家にいないので外に探しにいっています。
20:30までには私も帰ります。
もしも20:30までに私が帰ってこなかったらあずにゃん達と一緒に隠れてて!

憂「お姉ちゃん……」

532: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:17:41.83 ID:BPpZnIIJO
唯「憂っ!!!!」

憂「お姉ちゃん……どうしてここに?」

来ると思ってた…多分お姉ちゃんが一番大事に思ってる場所がここだから。

唯「どうしてじゃないよ! 憂を探しに来たんだよ! 心配したんだからね!」

憂「うん……書き置き見たよ。ありがとうお姉ちゃん」

唯「見たのにここにいるなんて、も~憂ったら! 世話がかかる妹なんだから」

憂「妹……」

妹……。お姉ちゃんはいつだって私に優しかった……。

唯「無事で良かったよぉ……憂」

優しく抱きしめる、

憂「お姉ちゃん……血が」

唯「えっ? ああこれはちょっと擦りむいちゃって」エヘヘ

やっぱり……手遅れなんだね……お姉ちゃん。

534: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:22:21.44 ID:BPpZnIIJO
憂「……」

唯「憂~……よしよし」

だから……私も…。

憂「お姉ちゃん……ごめんね」

唯「いいんだよ。謝らなくて」

嫌われてもいいから…。

憂「ううん…違うの。私は…わたしは…!」
唯「憂……?」


536: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:23:36.04 ID:BPpZnIIJO
こうするしかないんだ。大好きなお姉ちゃんを守るために。

憂「……ゴメンナサイ……オネェチャン……」


1 お姉ちゃんを刺す
2 お姉ちゃんを刺す
3 お姉ちゃんを刺す
4 お姉ちゃんを刺す
5 お姉ちゃんを刺す
6 お姉ちゃんを刺す
7 お姉ちゃんを刺す
8 お姉ちゃんを刺す
9 お姉ちゃんを刺す

>>537 尚、1~9以外の番号でもお姉ちゃんを刺すを選択

537: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:24:02.42 ID:TrOy9zF/0

548: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:30:02.31 ID:BPpZnIIJO
グサッ─────

唯「えっ……」

ごめんね……ごめんね……

唯「憂……」

痛いよね……痛いよね……

憂「ごめんね……ごめんね……」

きっと憎んでるよね……私のこと……

唯「……私は憂を信じてるから」

えっ……

そのまま目を瞑るように息を引き取る。

憂「こんなことになっても……信じてる……?」

何で……何で……

憂「わからないよ……お姉ちゃん。わからないおおおっ」

終了条件1 お姉ちゃん刺す

終了条件達成

552: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:33:49.94 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM──:──:──

???

──────────
律「どこだろ…ここ」

桜ヶ丘…じゃないよな?
こんな田舎じゃないし。

律「それにしても……綺麗だな……ここ」

空は赤くて夕焼けみたいで、周りには蛍のような光が舞っている。

わたしはここがどこかわからないままとりあえず歩き始めた。

555: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:37:21.90 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM──:──:──

???

──────────
澪「どこだろ…ここ」

気づけば川原の様な所で素足を水に晒していた。

澪「でも……綺麗なとこ」

こんな世界があったんだ……知らなかった。


律「お~い、澪」

澪「律。律も来てたんだな」

律「ああ、いつの間にかな」

澪「私も。綺麗だよな…ここ」

律「ああ。凄い綺麗だ」

澪「他のみんなも来てるのかな?」

律「かもな」

「りっちゃん~澪ちゃ~ん」

558: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:39:40.47 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM──:──:──

???

──────────
紬「ここは……」

気づいたら田んぼの真ん中で大の字になって眠っていたようだ。

紬「いい風……」

まるで撫でるような……。

ゆっくりと体を起き上げると、そこには何だか懐かしい顔が見えた。

紬「りっちゃん~澪ちゃ~ん」

563: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:43:00.28 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM──:──:──

???

──────────
うーん…。

梓「純……」

ゴツ。

梓「あいたっ」

梓「なんでこんな所に岩が……って……ここどこ?」

梓「純~? どこ~?」

何だか頭がモヤモヤする。私何でここにいるんだっけ……。

梓「忘れちゃった」

胸がいっぱいになるくらい大きく息を吸い込んでみる。

梓「気持ちいい……」

今までこんな気持ち、感じたことなかった。

「お~い梓~」

568: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:49:11.19 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM──:──:──

???

──────────
律「他のやつらは…いないみたいだな」

紬「そうね~。来るのが遅れてるのかも」

澪「待ってたらきっと来るさ」

梓「ですね」

律「綺麗だよな…ここ」

澪「ああ……」
紬「ええ…」
梓「はい…」

梓「まだ覚えてる内に謝っときます。律先輩」

律「いいよ。気にしてないから」
澪「大人げないよな律は」
紬「ね~」
律「ほっとけいっ!」

梓「もう一回、聞いてもいいですか? 澪先輩もムギ先輩も答えてください」

律「ん?」澪「ああ」紬「どうしたの? 梓ちゃん」

570: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:52:51.04 ID:BPpZnIIJO
梓「本当に大切なもの同士どうしても比べなきゃならない時……皆さんならどうしますか?」

律「そんなもん決まってるだろ。なあ?」

澪「ああ」

紬「ええ」


全員一緒に、答えた。

律「どっちも助ける」
澪「どっちも助けてみせるよ」
紬「どっちも助けなきゃね」
梓「どっちも助けます!」

そう、例えそれで自分の命がなくなったとしても。

次に……そんな機会があれば。

私達は必ずそうするだろう。

572: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 00:55:15.75 ID:BPpZnIIJO
??? ???
PM──:──:──


???

──────────

犬屍人「……アガア……」

犬屍人「ウギャウ……」

頭脳屍人「ブルウウウウ……」

羽根屍人「ウキャキャキャ……」




屍人END

641: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 02:30:15.95 ID:BPpZnIIJO
ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ─────

646: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 02:39:15.72 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘高校 地下室
AM00:00:01

???

終了条件1 宇理炎の入手
──────────
相変わらずうるさい音。
八尾の血筋をようやく見つけて生け贄にあげたもののさすがに遠すぎたかしら。
おかげでこの街はめちゃくちゃ……けどまあ仕方ないわね。
目的を達成する為には手段を選ばない…。

そう決めた…あの日から。

「急ぎましょう……時間がないわ」

宇理炎を使って……堕辰子を殺す。

それが私のただ一つの目標……。

650: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 02:47:22.18 ID:BPpZnIIJO
───

「あるとすれば……ここ以外あり得ないわよね」

封印の四つに面した丁度真ん中に当たるこの祭壇……。

「あちら側と繋がってるとすれば……」

カチャリ

「!」

斎藤「そう、そう言うことだよなぁやっぱり」

「あなたは…?」

斎藤「おっと手は上げたまま、お話しようぜお嬢さん」

「あら、嬉しいわね。そんな若く見えるかしら」

相手は猟銃持ちだ、敵うわけがない。ここは大人しく従うことにする。

斎藤「ああ、十分にな。で? 宇理炎をどうするつもりだ?」

「……あなた本当に何者?」

651: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 02:52:21.77 ID:BPpZnIIJO
斎藤「俺は斎藤。琴吹家の執事だ」

「ああ、ムギちゃんの」

斎藤「知ってるのか?」

「ええ。担任だから」

斎藤「担任…? あ、あ~……どっかで見たことあるような」

「口説いてるつもり?」

斎藤「ははっ、残念。先約があるもんで」

「そう、それは残念ね」

斎藤「さあて答えな。宇理炎をどうするつもりだ?」

「ええ、答えるわ……その前にそっちを向いていいかしら? 」

斎藤「ああ、ゆっくりな」

「ふふ、ありがとっ!!!」

シューーーー

斎藤「ぐえっくそっなんだこりゃっ」
「乙女のたしなみよ。じゃあね、ボーヤ」
斎藤「待てよ!!! まだ聞きたいことが山ほど……」

653: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 02:57:45.32 ID:BPpZnIIJO
斎藤「クソッ! あの女……」

何か知ってやがるな……。

斎藤「あ……?」

祭壇の奥にキラキラと青白く光っている。
土足のまま上がり込むとその光の正体と対面した。

斎藤「宇理炎……。あの女持っていかなかったのか? しかしまあ……俺が持ってても仕方ないけどな」

とりあえずそれをしまいこみ、さて、と一息つく。

斎藤「お嬢を探さねーと。しっかしここどこだよ全くよー……」

うんざりする気持ちを抑えつつ、猟銃を肩に掛けながら歩き始めた。

654: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 02:59:36.47 ID:BPpZnIIJO
「行ったみたいね」

一つはあっちに持たせといた方が都合がいいかもしれないわね。

「さて、もう一つを探すとしましょうか」



さわ子「舞台が整う前にね……」


終了条件未達成

656: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:14:38.18 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘高校/保健室
第二日
AM6:00:05

平沢唯

終了条件1 学校からの脱出
終了条件2 校長像の破壊
──────────
唯「ん…ここは?」

気づくと見慣れないベッドに横たわっていた。消毒液の香りが鼻を少し刺激する。
白いカーテンで仕切られているのを見て、最初は病院かと思ったけど…次第と頭にある思いが蘇る。

唯「憂……!」

そうだ…私は憂に刺されて…。

唯「あれ? 何ともない」

お腹や胸の辺りを確認してもナイフで刺されたような後はなかった。

唯「それにしても……成長してない…」ガーン

660: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:23:21.78 ID:BPpZnIIJO
唯「憂は……」

──【ギャッギャッギャ】──


──【ッラハギッ】──

──【ビュルルルルルルルル】──

──【バササササササ】──

唯「何か増えてる……というか進化してるよ! 空飛んでるのいたよ!?」

と言ったところで誰も突っ込んではくれないので私はやるべきことをやるべく立ち上がる。

唯「知ってる……私。何をしたらいいのか」

何で? それはまたまたわかんない。けど…。
多分それは間違ってない。それは憂やみんなを助けることに繋がる…!

662: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:26:34.15 ID:BPpZnIIJO
武器がないと。もう逃げてばっかりじゃいられない。
机の上にあるので武器になりそうなものは……

1 ハサミ
2 カッターナイフ
3 ロケット鉛筆

>>663

663: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:27:05.96 ID:a26/jBxZ0

665: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:34:44.01 ID:BPpZnIIJO
唯「カッターナイフが一番威力ありそうだよね」ムンズッ

カリ、カリ、と刃を出すと……右腕の傷が痛みだす……って。

唯「あれ? このハンカチ……憂の」

右腕に巻かれてたのは見間違おうものがない憂のお気に入りの白いハンカチだった。

唯「憂……。待っててね。お姉ちゃんがきっと助けてあげるから!」

カッターナイフを握りしめ、保健室を後にする。

遠慮はしない。だってあれはもう人間じゃないんだから。

唯「でも何でカッターナイフ持たなくなったんだろう…」

667: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:47:57.79 ID:BPpZnIIJO
「…………」

唯「ん?」

何だろう、これ。

「キョッキョッ…………」

四つん這いになった何かがいきなり飛び掛かってきた!!!

唯「わぁッー!!」

尻餅回避で難を逃れるもその四つん這いの生き物は素早く方向転換し、またこっちに狙いを定めてくる。

唯「なに……これ」

澪ちゃんが見たら魂が飛んで行きそうな程の造型だった。
頭に触覚の様なものが二本生えており、それが益々不気味さを醸し出している。

「ッラハギッ!!!」

唯「このっ!!!」

負けじと反撃! カッターナイフを相手の眉間辺りに突き立てる!というか勝手に突き刺さりに来た!

669: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 03:55:20.74 ID:BPpZnIIJO
「ギイイイイイイイ」

唯「やった…?」

「フクラハギッ!」

そう言った後、体をダンゴムシの様に丸めて大人しくなった。

唯「何か面白い鳴き声…」

急がないと、復活したら厄介だ。

唯「復活…」

そう、私は知っている。
屍人は死なない。

唯「……」

今はこの感覚に身を委ねることにする。


「ギャッギャッギャ……」

唯「ひいいいいいいいいいいいいいい」

エクソシストの様にブリッジしたままカサカサとこっちに走ってくる。澪ちゃんがとても心配です……。

676: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:07:05.37 ID:BPpZnIIJO
唯「上手く巻けたみたい……」

高さは十分、多分これぐらいから落とせば壊れる筈…。

窓を開け、校長先生の銅像の位置を確認する。

唯「う~んこれぐらいかな」

風は無風、天気は曇り空。

唯「角度よーし、んじゃ投下」

パンッ───
パンッ──

唯「わっ、わわっ。何!?」

慌ててしゃがむと視界ジャックを開始。
一つだけ真っ赤な画面の映像が浮かび上がる。

唯「これ…私がいるところ……」

さっきのは飛んでる奴が撃って来たんだ。
油断してた……。

唯「どうにかして倒さないと……けどあっちは銃持ってるし…」

682: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:14:03.88 ID:BPpZnIIJO
1 弾切れまで粘って近づいて来たところをほうきで叩き落としてやるぅ!

2 黒板消しとか投げれそうなものをポイポイ投げたら追い返せるかも!?

3 隙を見て、机を校長先生の銅像に落とす

4 ブレインを倒しに行く

>>683

683: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:14:45.89 ID:uDTVxLH80
4

689: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:24:21.13 ID:BPpZnIIJO
パンッ──

唯「飛べるからって好き勝手やってさ!」

視界ジャックで相手の位置をこまめに確認する。

──【ビュルルルルルルルル】──

唯「あれ…? この屍人だけ全く動いてない……」

何でだろ。

もしかしたらもしかするかもしれない。
言わばボス的のようなもの…!

唯「動かざること山の如しだね!」

大将は動かないのが常。
わたしは静かに教室を出て、ボス(ブレイン)を倒しに向かった。

691: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:34:45.89 ID:BPpZnIIJO
それはすぐに見つかった。
一階の調理室の片隅で何かが蠢いている。
何でこんな簡単に見つかったかと言うと視界ジャックをした時、その人に赤い十字の様な光がしばらくつくのだ。
これにより大体の位置を特定出来る。

唯「それにしても……」

「ビュルルルルルルルル」

唯「まさか……あれに入ってるのかな?」

鍋の蓋が小刻みに上下しているのを見る限り、間違いないだろう……。

唯「何か気持ち悪いのばっかりになったよね…」

誰に言うでもなくそんなことを呟いてしまう。

唯「……よしっ」

意を決して近づく。

唯「クッキング開始だよ!!!」

「!?」

692: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:40:23.72 ID:BPpZnIIJO
蛙の卵のような緑色のうねうねの集合体が入った鍋の下にあるガスコンロを一気に強火で点火。

「!!???」

唯「吹きこぼさないように上から強く蓋をしめましょう…!」

鍋の中はどんどん高温になって行き────

「ビュルアアアアアアアアアアアアア」

断末魔かもわからない声が調理室に木霊する。

グツグツグツグツ

唯「美味しくなーれ。美味しくなーれ」

「ピュガ……ガ……」

「」チーン

グツグツグツグツ……

694: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:45:01.09 ID:BPpZnIIJO
──【「グギャアアアアアア」】──

──【「フクラハギッ」】──

──【「ウオウエエエアアアアアアアアア」】ドサッ──


唯「はっ!」

唯「やっぱりそうだったんだ。多分だけどこの気持ち悪いのがあの気持ち悪いやつの親玉でこいつを倒すと他のやつも倒れる……!」

そう、つまり頭脳屍人!

唯「それにしても……酷い臭い」

グツグツグツグツ……

火を止めてさっさとあの教室に戻ろう。鍋の中身は…見たら気絶しそうだからやめとこう。

697: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 04:50:12.55 ID:BPpZnIIJO
──

唯「よーしあの羽根もいないぞ!」

唯「改めて! 角度よーし! 風よーし! 投下!!!」

三階から銅像目掛けて机を放り投げる。

ガツーーーーン

ボロ……

机は見事に校長先生の銅像にヒットし、その首をもぎ取った。
校長先生ごめんなさい!

すると……ふっと現れた光の塊が一気に天目掛けて飛んで行った。
そこだけ雲は晴れ、光が差し込んでいる。

唯「まず…一つ」


終了条件達成

769: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 17:54:25.53 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘 大手スーパー 内部本屋
AM6:30:33

田井中律
──────────
律「ん…あれ」

律「ここって……」

わたしが一番最初にいたスーパーじゃん。

律「戻って来た…?」

辺りを見渡しても澪達はいなかった。どうやらここにいるのはわたしだけのようだ。

律「夢…か?」

そう思うのが自然だろう。けど…どうせ夢ならここじゃなくて自分のベッドで目覚めたかったな。
律「……」

片目を閉じ、意識を集中する。

──【ブゥリゥ…】──
──【ッハッヒャア】──

律「ちっ…やっぱり夢とはいかないか」

終了条件1 スーパーからの脱出
終了条件2 頭脳屍人を倒す

772: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 17:58:53.75 ID:BPpZnIIJO
まずはスポーツコーナーで武器になるものを探そう。

律「夢だとしても……次こそはみんなを守る」

その為の力を。

1 木製バット
2 金属バット
3 テニスラケット
4 卓球のラケット
5 ピン球(卓球の玉)

>>774

774: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 17:59:36.44 ID:gDC/5AqB0
2

775: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:05:54.72 ID:BPpZnIIJO
律「やっぱりこの中で一番威力がありそうなのはこれか…」

金属バットを迷わず引っこ抜き、大きく振りかぶってみる。

ブンッ

律「うん、いけそう」

野球小僧みたいにそれを肩に担いで駆け出す。
片目を閉じる。

律「こいつらを操っている頭を潰す……」

それが早いってわたしが言っている。
わたしって誰だって? さあ……?

律「いた……」

──【サカナァ……】──

律「あいつがブレインだったのか……」

場所を確認しつつわたしはエレベーターのボタンを押した。

782: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:12:41.14 ID:BPpZnIIJO
それと同時に階段で下に駆け降り、様子を見る。

律「なんじゃありゃ……」

四つん這いになった犬のような化け物がエレベーターの前で何かやっている。

律「……あれが成れの果てってわけか」

もしかしたら……私達も……、いや、考えるのはやめよう。

エレベーターの中に入って行く犬の化け物を見た後、

律「上に参りま~す☆きゃはっ」

扉を閉めてやり上のボタンを連打してやった。

律「なんかデジャブ…」

やっぱり夢じゃなかったのかな…あれ。

783: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:19:30.49 ID:BPpZnIIJO
律「ってことは……」

──【ブゥリュリュ】──

律「なんか視界が逆さまになってるけど……こいつに見つかったんだっけ」

しゃがみながらその屍人の近くまで行ってみる。

律「うっ」

今度は蜘蛛かよ……。化け物ってレベルじゃないだろこれ。
澪が心配だ……。

律「さてと……」

服がいくつもかかっている銀の掛け棒? みたいなのをしゃがみながら押す。わたしはその服に隠れながら、ゆっくり、ゆっくり、と近づく。

蜘蛛屍人「?」

ピタッ

蜘蛛屍人「……」

ソローリソローリ……

蜘蛛屍人「?」

律「ハァイ」

出っ張ってるメタボ気味なお腹を思いきり金属バットで殴り付けてやった。

784: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:26:18.95 ID:BPpZnIIJO
律「よし。後はいるのはいるけどブレインまでの道筋にはいないな」

それでも警戒を怠らず鮮魚コーナーを目指す。
お菓子や野菜に目移りしながら鮮魚コーナーへ。
すると魚をもったまま魚の入ってない緑色のドロドロな水槽を眺めている……魚がいた。
というか頭が魚だ。

律「魚が好きすぎて魚になっちゃったのか……」

体は人型だから魚人? とりあえずあれがブレインってことは間違いないらしい。

律「ゆっくり……バレないように……」

頭脳屍人「ギョ!!」

律「あっ」

785: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:30:56.16 ID:BPpZnIIJO
頭脳屍人「ギョギョギョ!!!!!」

律「おいコラ逃げんな!」

頭脳屍人「ギョギョギョ!!!!!」

律「待てーーー!!!」

魚頭の怪物を追い回すわたしって一体……。


「ウア!」「ッラハギッ!」「フォッフォッ」

追いかけて走り回っている間に他のやつらに見つかりまくりだよ……ったく。

律「どうするか…」

1 あくまでもあの魚頭を叩き潰す
2 みんなまとめてかかってこい!!!
3 ブレインを放置してスーパーを脱出する

>>787

787: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:33:45.61 ID:ctSH37Wr0

793: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:39:32.64 ID:BPpZnIIJO
律「クソッ! さすがにこれ以上囲まれたらまずい! 迂回してスーパーから出よう!」

陳列棚を縫うように進み何とか出入口から脱出。

律「あの魚め! 覚えとけよ!!!」


終了条件未達成

794: ミス 2010/10/15(金) 18:40:41.36 ID:BPpZnIIJO
律「クソッ! さすがにこれ以上囲まれたらまずい! 迂回してスーパーから出よう!」

陳列棚を縫うように進み何とか出入口から脱出。

律「あの魚め! 覚えとけよ!!!」


終了条件1 達成

797: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:49:34.53 ID:BPpZnIIJO
交番
「ウヒャッヒャッヒャッヒャ」

飛び込むと同時に思いきり体を捻り込み、両腕にありったけの力を込める──

律「よぉ」

「ウヒャ!?」

ゴスゥンッ──

バットを思いきり後頭部から叩き込む。その勢いで机に顔がめり込み出来損ないのコント番組みたいな様になった。

律「なんか頭に羽根生えてら」

知ったこっちゃないけど。

ジリリリ……ジリリリ……
律「…………」

ガチャン

律「悪いな、射殺される前に撲殺したよ」

「もしもし!? その声もしかして律!?」
律「えっ……もしかしてその声……」

「ウヒャッヒャッヒャッヒャ」
律「ちっ、追ってきたか!」

798: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 18:54:51.37 ID:BPpZnIIJO
パァンッ───

律「ッ~。銃持ってるやつもいんのかよ! やっぱりあの魚潰しとくんだったな…」

「もしもし!? どうなってるの!? 無事なの!?」

律「悪い、話してる場合じゃないみたいだ」
「律!!!」

律「じゃあな、和」

電話を切ると警察官から素早く拳銃を抜き取り不慣れな手つきで構える。

律「死地ってやつか……」

律「上等!!!」

生き残るんだ……!!!
わたしは!!!
──────────

802: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 19:04:57.62 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘 琴吹邸
AM7:00:00

琴吹紬

終了条件1 琴吹邸からの脱出
終了条件2 斎藤を倒す
──────────
紬「ん…」
……またここ。

紬「せっかくいい夢見てたのに」
夢……なのかしら?

紬「……うっ」

自室の扉を出ようとする、

紬「すると斎藤がエントランスの二階から銃を構えていて、私はここから脱出した」

その映像が、さっき見えた内容。

紬「何なのかしら……これ」

益々わけがわからない……。
紬「……どうしよう」
1 素直にここから脱出する。
2 斎藤を倒す為に動く

>>803

803: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 19:06:02.66 ID:5/9Qt4dn0
2 殺すじゃなくて倒すっということは・・・

804: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 19:11:50.71 ID:BPpZnIIJO
紬「……斎藤を倒しましょう」

最後の記憶……私を殺したのは……間違いなく斎藤だった。
それに唯ちゃんも……よくわからないけどあれは夢じゃない。
今私がなんでまたここにいるのかわからないけど……またあの未来に行くわけにはいかない。

紬「その為に……封印を解く。あれと戦うために」

あれ? それは……なに?

紬「……わからないことが多すぎるわ」

それでも前に進むしかない。

どうあがいても絶望だとしても

807: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 19:21:59.31 ID:BPpZnIIJO
視界ジャック、

──【紬お嬢様……早く出てきてクダサイヨ】──

紬「斎藤…」

このまま出れば間違いなく撃たれる。そこで誘導することにする。

紬「携帯は駄目でも…内線は生きてるはず」

自分の部屋に設置されている電話で内線を押し、お父様の書斎にかける。書斎はエントランス二階の側にあるので斎藤まで聴こえる筈。

prrrrr prrrrr

視界ジャックで確認。

──【ウウ!?】──

電話に気づいたのか一目散で書斎に入って行く。
どうやら屍人は音に鋭く反応するみたいだ。目からは血を流してるだけあって視力は悪いのかも。
その間に自室を出るて、キッチンに向かう。

809: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 19:29:26.86 ID:BPpZnIIJO
紬「武器がいるわ…」

斎藤を倒せる武器…。武器庫に行けば拳銃も手に入るのだろうけど…。
他にも屍人がいるかもしれないし…危険かもしれないわね。
慎重に考えないと。

1 出刃包丁
2 果物ナイフ
3 危険を承知で武器庫へ
4 フライパン

>>811

811: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 19:30:29.40 ID:ghvNWbaN0
4

824: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:01:59.04 ID:BPpZnIIJO
紬「フライパンにしましょう!」

琴吹家のフライパンは炒めものに煮物、パンだって焼けちゃうんだから!

紬「銃弾だってへっちゃらよ」

フライパンを持ってキッチンから出る。

斎藤は……

──【琴吹家は……オワリダ……】──

書斎でまだ何かやってるみたい。後ろから殴りかかれば……。

階段を上がり、ゆっくりと書斎に近づく。
都合よく書斎の扉は開いたままだ。
開けたら閉める、それが基本。
いくら化け物になったって言ってもこれぐらいが出来ないなんて、琴吹家執事失格よ、斎藤。
肉眼で斎藤の後ろ姿を捉えた。

826: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:10:07.26 ID:BPpZnIIJO
今だっ!
紬「ええいっ」

パコン

斎藤「うぐぅ」
怯んだ! もう一撃!
紬「このっ!」
パコン
斎藤「があ……」
紬「これでとどめよ!」

バァン───

紬「あっ……っ……」
脇腹の肉が吹き飛ぶ、
紬「負け…………な…………」
カチャリ……
フライパンで……防御……。

バァン──

紬「ぐぶっ……」

銃弾はフライパンを突き抜けて紬の頭に突き刺さる。
血が吹き出し、天を仰ぐように仰向けで倒れ込んだ。
斎藤「お嬢様……くひゃひゃひゃ……こっちはいいでしょお?」

終了条件未達成

832: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:20:33.71 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘 澪宅
AM9:44:44

秋山澪

───────────

澪「律……もう…ダメだぞ。みんな見てるんだから…」ムニャムニャ

澪「そんなことないよ……律の髪も綺麗だよ」ムニャムニャ

澪「カチューシャつけた律も好きだけど……外した律も……好き」ムニャムニャ

澪「はっ!!! 私何を言って……」

澪「ここどこ…? 律? ムギー! 梓~」

…………

澪「夢……だったのかな」

目を瞑る。

──【ミオチャアン……】──

澪「ひいいいいっ! 夢じゃないいいっ」

終了条件1 秋山家からの脱出
終了条件2 梓を倒す

838: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:26:18.86 ID:BPpZnIIJO
澪「と、とにかくここから出ないと」

どこまでが夢でどこまでがあったことかわからないけど……。

澪「行こう、守られるんじゃなくて守るんだ!」

大切なものを!

この決意はちょっとやそっとのことじゃ揺らがない!!!


トス……トス……トス……

澪「(マ、ママだ!!! もう上がってきた!!! 早く隠れないと!!!)」

どこに隠れよう…?

1 クローゼット
2 ベッドの下
3 屋根裏
4 迎え撃つ
5 寝たフリ

>>840

840: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:28:01.75 ID:M1207+8R0

851: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:32:29.95 ID:BPpZnIIJO
澪「よ、よし! クローゼットに隠れよう!」

ベッドの下は前隠れたしな。

そそくさと服をかき分け中に潜り込む。

澪「……」ドキドキ

キィィィ……

澪ママ「ミオチャアン……」

澪「」ポカーン

ママが……唇お化けに…………。

澪『あはははは~』
澪「」

魂が抜けていく…………

澪ママ「ミオチャアン……オトモダチキテルワヨー」

857: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:38:43.01 ID:BPpZnIIJO
澪ママ「ミオチャアン~ドコニイルノ~?」

澪「」

澪ママ「カクレンボカシラー?」

澪「」

澪ママ「ウフフ……カクレテモムダヨー」

ゴオオオオッ

ベッドを叩き折る。

澪ママ「オカシイワネ~イルトオモッタノニ」

掛布団の下に枕が噛んでいて膨らみ、それを澪だと思い込んでいたようだ。

澪ママ「ミオチャンどこイッタノカシラ……オトモダチがキテルノニ」

いないと思ったのかそのまま唇の化け物は澪の部屋を出ていく。一方澪は、

澪「」チーン

まだクローゼットの中で気絶していた。

869: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:46:06.59 ID:BPpZnIIJO
澪「……ここは?」

真っ暗だ。私は何をしてたんだろう。

澪「クローゼットの中に入って寝るなんて余程疲れてたんだなぁ。律に笑われちゃうよ。顔洗いに行こっと」

ママにもおはようの挨拶しなきゃ。

部屋を出て、階段を降りる。
緩やかなカーブを描きながら下りリビングに出る。

澪「」

唇のお化けが羽根が生えたお化けと一緒にテレビを見ている。

あれ? 寝ぼけてるのかな?

澪「」ゴシゴシ

澪「」

…………。階段を上り、クローゼットに戻ると閉め、私はまた気絶した。

878: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:53:08.78 ID:BPpZnIIJO
澪「あれ……ここは?」

暗いな……って何回もやったよ!

澪「げ、げ、げ、現実を受け止めなきゃ……」ガクブル

澪「うう……うっ……」

駄目だ……怖すぎる。こんなの私じゃなくても卒倒するよ!

澪「このままここに引きこもろうかな…」

澪「そうだ! イルクーツクに行こう!」

澪「律と一緒に行くんだ! 楽しいだろうな~」

澪「イルクーツクって海とかあるのかな? わかんないや。けどあるならまたみんなで泳ぎたいな~」

澪「最近エリザベス触ってないな…」

1 エリザベスを弾く
2 そんなことをしてる場合じゃない

>>880

880: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 20:54:51.30 ID:ctSH37Wr0

885: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:00:37.29 ID:BPpZnIIJO
澪「そんなことしてる場合じゃない!」

みんなと約束しただろう……あの光る世界で。大切なものを守る為って!

澪「今この世界で生きてる人を私が救うんだ…!」

まずはみんなと合流しよう。学校に行けば誰かいるかも。
先に律の家かな? とりあえずここを脱出しないと!

澪「あの唇お化けと羽根お化けを倒すんだ……!」

武器になるようなもの……。

1 ギターケース
2 エリザベス
3 MDコンポ
4 椅子
5 ふでペーンFUFU
6 私の甘い歌詞で卒倒させてやる!

>>886

886: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:02:00.89 ID:GhwFH4EIO
6

902: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:12:24.12 ID:BPpZnIIJO
澪「私の歌詞で卒倒させてやる!!!」

勢いよく階段を駆け降りる!

ガタンッ

澪ママ「」
羽根屍人「」

音に反応して階段の方を振り向く二匹。

澪「屍人。こっちにおいでと呼びかける。綺麗な世界があるからと」

澪「でも中々聞いてくれない…。おめめからちょっぴり赤い涙」

澪ママ「」
羽根屍人「」

澪「唇が大きくなったり、羽根が生えたり、みんな違うよ愉快だよ」

澪「パタパタパタパタ、私も大空を飛んでみたいなどこまでも」

澪ママ「」
羽根屍人「」

澪「(即興にしては良くできたな!)」えへんっ

912: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:25:01.39 ID:BPpZnIIJO
澪ママ「こっちにオイデエエエエエエエエエエエエエ」

羽根屍人「ププ……」
澪「駄目だったみたい」

バササササササ

羽根がついた屍人が私の肩を掴む。

澪「えっ……あっ」

澪ママ「遊びにイクノ? 気をツケテネ」

ママが裏口を開け、そのまま裏口から外へ。
羽根屍人「ププ……」
どんどん……どんどん地上から遠ざかって行く。

澪の「高い……」

ここから落ちたら……。見上げる、私を掴みあげてるものの顔を見てみる……と、それは。
梓「ミーオ先輩」

澪「あ、梓……?」

その瞬間手を離され、私は一瞬だけ空の旅を満喫した。

ドシャッ──

終了条件未達成

926: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:41:42.88 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘 大手スーパー交番前
第二日
AM7:00:00

───────────

律「1.2.3.4.5……あ~やめたっ!!!」

敵の数を数えていたが多すぎて嫌になる。

交番に立てこもりながら銃で応戦するも上手く狙いが定まらず、当たらないことの方が多い。
それも当たり前だ、どこの世界に銃を撃つのが上手い女子高生がいると言うんだ。

パァンッ──
パァンッ──

律「ひっ」

交番の壁がすり減る。

律「……どうする、一か八か突撃するか…」

どうするっ…!

930: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:46:36.60 ID:BPpZnIIJO
1 一か八か突っ込む
2 きっと誰かが……誰かが助けに来てくれるはず! それを信じて待つ!

>>932

932: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:47:52.55 ID:ghvNWbaN0
2

938: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:55:56.00 ID:BPpZnIIJO
律「きっと誰かが……誰かが助けに来てくれる……」

でも……誰が?

律「くっ……」

こんな場所に?

律「それでもぉ……」

来てくれるわけないじゃん。
わたしが誰かを助けても、みんなはわたしを助けてくれない。そんなこともわかんないのかよ?

律「違うっ…! 違うっ…! きっと来てくれる!!!」
約束したんだ…!
わたしは仲間を信じる!
わたしは、思いきり仲間の名前を叫んだ。

1 澪
2 唯
3 ムギ
4 梓
5 和
6 憂ちゃん
7 純ちゃん
8 さわちゃん
9 トンちゃん

>>941

941: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 21:57:38.68 ID:/45q+bN/O
2

943: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:04:47.18 ID:BPpZnIIJO
律「唯ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」


交番に木霊する声、それに…………。


唯「りっちゃん!!!!!!!」


答えてくれた!!!

外だ!!!

律「唯!!!」

パァンッ──

律「っと!」

どうやら狙われてるらしい。
すぐさま交番内に戻り唯の視界をジャック。

そこから見えるのは屍人の大群。恐らく唯は物陰からこっちを見ているのだろう。

律「唯!!!」

唯「りっちゃん!? 無事だったんだね!」

律「なんとかな!」

950: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:14:00.91 ID:BPpZnIIJO
律「話は後だ!!! そっちで何とか銃を持ってる屍人を何とか出来ないか!?」

唯「わかった!!! やってみるよ!!!」

頼もしい唯の声。ここに来てから唯に会うのは初めてなのに自然と意志疎通出来た。
それにしても懐かしい気がする……、最後に会ったのは多分昨日?のことなのに……。


唯「こっちだよ!!!」

手を振って屍人達に陽動をかけているようだ。その声に釣られ屍人の何人かが唯に向かって行く。

律「あっ……逆に唯が危ないんじゃ!」

と思ったが唯は上手く曲がり角を利用して屍人達を巻いていく。

律「頼りになるぜ唯!」

それしても知ってる人の目線を盗み見るって……何か照れるな。ドキドキするっていうか、あっ~もうっなんでもないっ!

953: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:23:53.12 ID:BPpZnIIJO
律「この数なら!」

交番を一気に飛び出す。

「ウアアアアアアアアア」

律「そいやっ!」

金属バットで首をへし折る。

「ギュルルルルルルルル」

律「この近さなら外れる方が珍しい!!!」

パァンッ──

「ギイイイイイイヤアアアアアア」

律「いける……!」

けど相手にしてる時間が惜しい。銃を持った屍人が唯を追ってったんだ、のんびりしてたら唯が危ない!

片目で唯の視界をジャックしながらその後を追った。


終了条件1 唯を救出する

957: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:36:31.49 ID:BPpZnIIJO
唯「大体撒いたみたいだけど……」

──【ひっひっひ……マテェ……】──

唯「一人ついて来てる……、銃を持ったやつが」

そして行き止まり……、隠れられそうな場所は一つだけ……。武器はカッターナイフ……。

どうしよっか。

1 真っ向勝負! 倒してやる!
2 嫌だけどゴミ箱に隠れよう

>>958

958: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:37:03.58 ID:ghvNWbaN0
2

961: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:52:47.57 ID:BPpZnIIJO
「ひっひっひ……どこだぁぁぁぁ?」

裏路地の行き止まりの場所で銃を持った屍人がウロウロ何かを探している。

「ひ~ひっひっ……どこだぁ~」


律「こっちだよ」

ガンッ

「ごお…………」

バットで殴られ昏倒する屍人。

律「ふぅ、これで大体片付いたな」

片目を閉じ視界ジャック。

律「(ふふ)」

青いポリバケツの蓋をゆっくり開く。

律「わぁっ! 屍人だぞ~~~!!!」

唯「きゃ~やめて~た~すけ~て~」

律「ってもっと驚けよつまんな~い」

唯「りっちゃんがわたしの視界をジャックしてるみたいに私も見てたんだよぉ」

965: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 22:58:40.88 ID:BPpZnIIJO
律「/// 唯の●●●!」

唯「ほえ?」

唯に胸を隠すようにして照れて見せる律。

律「わたしのちっちゃい~とか思ってたんだろ! わ~視界にさえ映らないや~って!」

唯「思ってないよぉ~っと」

ポリバケツから出てニコりと律に笑いかける唯。

律「ほんとにぃ!?」

唯「ほんとほんと。りっちゃんこそポリバケツに入って震えてるわたしを見て笑ってたんじゃないの!?」

律「なわけないだろ! …………すっごい心配だった。変わってやりたいぐらい」

唯「えっ……あ、ありがと///」

律「さて、話したいことはお互いにいっぱいあるだろ」

唯「うん、何から話そうか……」

終了条件達成

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/15(金) 23:58:22.82 ID:BPpZnIIJO
桜ヶ丘 喫茶店SDK
第二日
AM10:10:10

平沢唯
田井中律

──────────
あれから場所を一目のつかない喫茶店に移し、唯が買ってくれた缶コーヒーをゆっくりと飲みながら話し合った。

あの後保健室で寝ていたら巻き込まれていたこと。
多分……一度死んだこと。
そしてそれをやったのは憂ちゃんで……でも唯はそれを何か意図があってだと、要するに信じてるってわけだ。妹を。

わたしも話した。
撃たれたこと。
その先で澪達に会ったこと。
そしたらまた元居た場所に戻っていたことなんかを……。

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:03:59.92 ID:wMSAAF0rO
律「ってことは唯が生きてる人に会ったのは憂ちゃんとわたしだけってことか」

唯「うん。りっちゃんはみんなと会ったんだよね?」

律「……どうだろうな」

薄暗い喫茶店のカウンターに目を遣る。

       ・・
律「少なくともここじゃなかったよ。何て言うか……幻想的な世界だった。凄い田舎で田んぼとかがあったっけ」

唯「……そっか」

律「……他のみんなどうしてるかな?」

唯「わかんない…。視界ジャックは範囲が限られてるから…」

律「ああ、知ってる…」

そう言うと律は残り僅かになったコーヒーを一気に煽り、体に流し込んだ。

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:09:30.86 ID:wMSAAF0rO
律「これからの話をしようぜ。唯はどうしたい?」

唯「わたしは……憂を助けたい」

律「憂ちゃんか……、今どこにいるのかわかるのか?」

唯「わかんない…」

律「……いそうなとことかは?」

唯「……」

律「はあ…。じゃあとりあえずみんなを探すついでに憂ちゃんを探すってことでどうだ? 澪やムギや梓なら家に行けばいるかもしれないしさ」

唯「……封印を解かないと」

律「封印……?」

唯「うん。この世界を……抜け出す為に」

律「……唯、何か知ってるのか? この世界のこと」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:15:38.76 ID:wMSAAF0rO
唯「多分……わたしは知らない。けど…知ってる」

律「なぞなぞなんてしてる場合じゃないだろ?」

唯「りっちゃんだって思い当たる節があるんじゃない? その証拠にあいつらのことを屍人って呼んでた。何で知ってたの? そんなこと」

律「それは……ピューピュー」

唯「りっちゃん、多分わたしのやってることは憂やみんなを助けることになると思うんだ。ここで助けても多分結果は変わらない…」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:19:03.50 ID:wMSAAF0rO
律「……どういうことだよ」

唯「…見た方が早いかな。ついてきて」

律「お、おい!」

先に行く唯を焦って追いかける。

唯「あ、そう言えば知ってる? りっちゃん。ここの喫茶店の店長の話」

律「あぇ? え~となんか異界から帰ってきた~とか噂があるんだよな。ムギが言ってたっけ」

唯「うん。その人のハンドルネームを名前にしたんだってさ」

律「SDKねぇ……」

唯「もしかしたらその異界からって話……本当なのかもしれないね」

律「ん?」

カランカラン…

律「あ、待てよ唯~」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:27:10.77 ID:wMSAAF0rO
──

律「なんだよ……これ」

崖の下に広がる広大な赤い海。

唯「わたしも見たときはびっくりしたよ。多分……桜ヶ丘がそっくりそのままどこかへ行ったんじゃないかな…」

律「…どこかって?」

唯「それはわからないけど…」

律「わからないじゃないだろ!!! 何か知ってんだろ唯!!!」

律が唯の肩を掴み強く揺さぶる。

唯「いたいよりっちゃん…」

律「あっ……ごめん」

唯「何でこんなことになったのかわからない……けど……脱出の仕方はあるよ」

律「本当か!?」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:35:38.23 ID:wMSAAF0rO
唯「四つの封印を解いて……この世界を作っているやつを倒すんだよ」

律「?? よくわかんないけどそうすれば元の世界に戻れるんだな?!」

唯「多分……だけど」

律「……わかった。その封印とやらがされてる場所はわかるのか?」

唯「うん。これまた何でわかるのかがわからないんだけどね。目を瞑るとその位置がわかる気がするんだぁ」ニコ

律「唯……」

そうだ、不安なのはわたしだけじゃない。唯だってわたしと同じだ。
更に自分の妹に刺されたって言うのにわたしの気を遣ってまでくれてる…。

律「唯…」

唯「りっちゃ…ん?」

わたしは優しく唯を抱きしめた。

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:44:24.10 ID:wMSAAF0rO
律「……こうするとさ、不安が弱まらないか?」

唯「うん……りっちゃんあったかい」

律「唯もあったかい」

人の暖かさが…不安や苦しみや絶望を和らげるんだ。
唯もこんな気持ちになってくれてるといいな。

律「憂ちゃん……助けような」

唯「うん。みんなもね」

律「よし、じゃあ行くか! 封印を解きに!」

唯「うん!」

終わらせるんだ……この絶望を。

唯「りっちゃん胸ちっちゃい」

律「ほっとけっ!」

ペシンッ

終了条件1 3つの封印を解く

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:56:31.62 ID:wMSAAF0rO
律「さて、どこから行こうか」

唯「学校のはもうわたしが解除したよ。後はこの近くと~澪ちゃん家の近くと~ムギちゃん家の近くかな」

律「なるほど。じゃあ近くからの方がいいかな?」

唯「かもね。順番はりっちゃんに任せるよ」

律「そうだな~……」

1 この近くから行くか
2 いや! 澪が心配だ! 澪の家の近くから行こう
3 ムギの家の近くから行こう
4 急ごう…この風が止む前に

>>52

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 00:58:59.90 ID:GiJ43dH50
2だろ

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:06:16.17 ID:wMSAAF0rO
律「澪が心配だ……。澪の家の近くやつから行こう」

唯「わかった。ちょっと遠くなるけど……こっち」

律「おいおい、何言ってんだよ唯ちゃん」

唯「へ?」

律「ジジャーン!!!」

唯「そ、それは!?」

律「さっきの喫茶店の表に止まってた車の鍵! こんなこともあろうかとってさ」

唯「りっちゃん……車運転出来るの?!」

律「……」

唯「……」

律「できゅなぃ……」

唯「ですよね~」

律「まあ何とかなるだろ! 戻ろうぜ唯~」

唯「大丈夫かなぁ」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:20:29.88 ID:wMSAAF0rO
唯「唯と!」

律「律の~!」

唯&律「正しい車の乗り方講座~」

唯「まず車が来てないか左右を確認しよう!」

律「来てないみたい!」

唯「次にドアを開けて乗り込みましょう」

ガチャ、バタン

律「乗り込んだぞ!」

唯「えーと次に座席の調節をしましょう! りっちゃんは小さいから座席をめいいっぱい前に出した方がいいかも」

律「ちっちゃい言うな!」

唯「そしてルームミラー、サイドミラーを調節」

律「ちょちょいっと(わかんないから適当でいいや)」

唯「そしたらいよいよ……」

律「発進スタンバイってわけだな……!」

二人の額に仄かに汗が浮かぶ

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:28:19.41 ID:wMSAAF0rO
唯「田井中君、じゃあエンジンかけてみて」

律「は、はぁい」

鍵穴にキーを差し込んで、回す!

ブゥンブウン……

車は軽快なエンジンを上げながら機動する。

唯「じゃあ次はシフトをDに入れて」

律「シ、シフト? D」

唯「これこれ」

運転席と助手席の間にレバーのようなものがある。

律「ああなるほど。これをDにして……」

ガチャリ

唯「じゃあサイドブレーキ外して発進してみようか」

律「サイド? あ、えっと……」

唯「君はもの覚えが悪いね~田井中君。その後ろにあるやつだよ」

律「すみましぇっん唯教官っ」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:35:35.55 ID:wMSAAF0rO
律「これを外して……」

スススス……

律「わわっ!!! 勝手に進み出した!!!?」

唯「心霊現象!?」

律「なんばんだぶなんばんだぶ」

唯「と、とにかくブレーキブレーキ!」

律「よっしゃあっ!!!」

ダンッ!

ブォォォッ──

唯「それアクセルだよりっちゃああああんっ!」

律「しまったあああああっ!!!」

唯「その隣のやつ!!! 早くぅっ!!」
律「これかぁっ!」

キキーッ

唯「ふう……」
律「止まった……」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:49:07.89 ID:wMSAAF0rO
唯「え~とさっきの現象は~……クリームだよりっちゃん!!」

律「美味しそうな現象だな……」

唯「きっと間違ってないよ!」

このままじゃ唯達が教習所で恥をかいてしまう!!!

正しい名称を教えてあげよう!

>>83

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:49:44.91 ID:rDoIVyUPO
>>77-79

タカトラバッタみたいだな

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:51:53.06 ID:j7qdqXaW0
クリープだよ

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 01:56:50.24 ID:wMSAAF0rO
タカトラバッタ……

律「はっ! 唯! それはクリームじゃない! タカトラバッタだ!」

唯「タカトラバッタ……?」

律「ああ! タカトラバッタ現象だ!」

唯「うん……うん! 何だかわたしもそんな気がしてきた!」

律「今までわたし達を導いてくれたって言うかさ、後押ししてくれた何かがそう言うんだよな。タカトラバッタって」

唯「わたしもわたしも」

律「タカトラバッタ現象……恐ろしいな」

唯「サイドブレーキを外す時はブレーキしながらだねりっちゃん!」

律「だな!」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:00:22.47 ID:wMSAAF0rO
律「唯~発進するぞ~いいか~?」

唯「何か忘れてるような……」

1 シートベルトを忘れてるよりっちゃん!
2 漫画タイムキララの発売日だよりっちゃん!
3 壊れるほど抱き締めて、りっちゃん

>>94

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:00:37.39 ID:K0648M0t0
サイレンにキメラが参戦!!

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:04:51.51 ID:wMSAAF0rO
唯「シートベルト忘れてるよりっちゃん!」

律「おっといけないいけない」

カチャリ

シートベルトは命のベルト、みんなつけよう命のために!

以上、もしも異界に巻き込まれて車を使うようになった時の為のマニュアル

アーカイブ ダッシュボードに入っていた発進マニュアル

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:10:38.63 ID:wMSAAF0rO
制限速度を守りつつ走行する。
自分達以外に車は走ってないので安全に走りさえすれば事故はなさそうだ。
ただし、突然出てきた屍人はそれに限った話じゃないが。

律「唯…、生き残ろうな……私達は。何があっても」

唯「うん……」

わたしだってバカじゃない。最悪想定はしている……。
でも……それでも……やっぱり無事でいてほしい。

澪……。

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:17:13.27 ID:wMSAAF0rO
ようやく澪の家についた私達は。どちらからでもなく車から降りた。

律「澪……無事でいてくれよ」

唯「澪ちゃん……」

終了条件2 梓、澪を倒す。

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:22:23.54 ID:wMSAAF0rO
──【ミオチャアン……】──

──【ププ……】──

──【ハチミツ……メープル……】──

律「見えるのは三人か……」

唯「もしかしてこの中に……」

律「ここからの視界ジャックじゃよくわからないな。中に入って確かめよう」

唯「うん…」

先に唯が行き、玄関から入ろうとするも、

律「さすがに玄関からはまずい、こっちだ」

澪の家を熟知していると言った感じで迂回して裏口に回る。

律「澪のお母さんはいっつもここ開けっ放しなんだよな」

そう言いノブを回してみると案の定と云った感じで勝手口のドアが開いた。

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:31:32.60 ID:wMSAAF0rO
律「……」
唯「……」

二人とも無言になり屈みながら秋山家に潜入した。
既に視界ジャックを行っており、リビングでテレビを見ているのはわかっていたからだ。

そこから素早く二階に上がり澪の部屋を目指す。

唯「(あのちっちゃい羽根の生えてたのは…………)」

律「唯、早く来い! 置いてくぞ」ボソッ

唯「う、うん」

ゆっくり音を立てないように階段を上がる。

律「…………」

唯「…………」

二人とも、目は閉じない。ここまで来れば、いや、唯なら最初からわかっていたかもしれない。
視界ジャックをした時、生きている人間は緑色で表示される。自分は青、そして赤は…………。
律は静かに澪の部屋のドアを開けた。

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:38:39.96 ID:wMSAAF0rO
澪「……」

律「澪、迎えに来たぞ」

唯「…………」

澪「リ…………ツ…………?」

律「そうだ、わたしだ。怖かったろう? もう大丈夫だからな」

律が優しく澪を抱き締める。

唯「……っ……うっ……」

唯はただただ溢れている涙を拭っていた。

澪「リツ……リツ……」

澪の目からは大量の血が流れている。それが律の制服に流れ紺色のブレザーが黒色に染まる。

唯「なんで……こんな……」

澪「リツ……リツ……」

律「わたしはここにいるからな……みお……みおっ」

律は声を震わしながら澪の名前を何回も呼んだ。

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:43:07.63 ID:wMSAAF0rO
唯「りっちゃん……離れなきゃ……」

律「……いやだ」

唯「もうそれは澪ちゃんじゃないんだよ……りっちゃん、」

律「ヤダッ!!! やだやーだぁーっ! これは澪だもんっ! わたしの大事な友達で……幼なじみで……」

律も澪に負けないぐらいの涙を流している。違いは赤か透明かと言うだけだろう。

唯「わたしだって大切だよ! 澪ちゃんは軽音部の……大切な友達だよ……でも」

律「唯なんて澪を知ってから3年も経ってないだろっ!! わたしはずっとずっとずぅっと澪と一緒だったんだ……」

唯「…………りっちゃん」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:45:41.03 ID:wMSAAF0rO
1 澪ちゃんに抱きついてるりっちゃんをひっぺがし、叩く
2 そうだね……澪ちゃんだもんね……と同調する
3 しばらく二人にしてあげる

>>119

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:46:23.80 ID:fO1pPja90

123: お前らwwwwww さすがだ 2010/10/16(土) 02:53:05.27 ID:wMSAAF0rO
抱きついているりっちゃんを力ずくで澪ちゃんから引き剥がす。

律「あっ……」

切なげな顔をしたままのりっちゃんをわたしは力いっぱい叩いた。

唯「ばかっ!」

パシンッ──

律「ッ……」

唯「生き残るって言ったじゃない……りっちゃん」

律「……」

唯「おいていかないでよ……」

律「唯……でも……ほら、澪のやつ襲って来ないぞ? もしかしたら……」

唯「それは多分まだ死んでから間もないからだよ…。半屍人なんだ…。でも……次にサイレンがなって血の海を渡ったら……もう姿も形も澪ちゃんじゃなくなる…」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 02:57:33.90 ID:wMSAAF0rO
唯「りっちゃんも見たでしょ?! あの化け物達を! ここで死んじゃったら……ああなるんだよ」

律「そんな……ことって……あ、ああ、ああああああああああああああ……」

頭にフラッシュバックする。サイレンの音に導かれ赤い海を渡っていた。
じゃあ……わたしは何で今生きてるんだ?
唯も……どうして?
澪が死んで屍人になったと言うならわたしも唯もそうなっていけなきゃならない。

頭が爆発しそうだ……。

唯「りっちゃん……」

ただ、言えることは……

律「ああ……」

・・
ここではもう澪は戻って来ないってことだ……。

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:07:03.83 ID:wMSAAF0rO
唯「攻撃して来ないのは本当にりっちゃんを思ってたからだと思うよ…。半屍人の行動はね…生前の生活がベースになってるから…」

律「そっか…。唯、澪を楽にしてやれる方法はないのか?」

唯「……屍人は死なないから…。何かを使えば浄化出来たんだけど…わからない」

律「そっか…。じゃあ今はそっとしておこう」

唯「うん…」

律「封印を解いて……必ず助け出してやるからな……澪。それまで待っててくれ…」

そうして二人が踵を返し、部屋を出ていこうとした時だった。

澪「リツ……リツウ……コッチニキテヨ……リツウウウウウウ」

エリザベスをネックから掴み上げ、振りかぶる。

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:15:53.83 ID:wMSAAF0rO
唯「危ない!!!」

壁に当たりそうになったベースのエリザベスにわざと当たりに行く唯。

唯「つ……ぅ……」

いくら片手で持っていたとは言っても細く小さい唯の体には余りにもオーバーダメージだった。

律「唯!!! バカなにやってんだよ!!! 避けれたろ!!!」

唯「だって…あんな勢いで壁に当たっちゃったら……エリザベス……壊れちゃうから」

律「唯……バカ……バカっ…!」

唯もわかっていた。自分が今こうしてると言うことは、もしかしたら澪もまた同じように戻れるのではないか? と。
その時にお気に入りのベース、エリザベスがバラバラだったら…澪は悲しむだろうと。だから、飛び込んだ……自分を犠牲にしてでも守ったのだ。澪の気持ちを。

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:20:06.64 ID:wMSAAF0rO
澪「リツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥコッチニキテヨーーーーーー」

そんな気も知らず、今の澪はまたエリザベスを振りかぶり、、、

律「澪……ごめん」


わたしは引き金を……

1 引いた
2 引かなかった

>>135

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:21:10.95 ID:giel8allO
1

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:31:53.62 ID:wMSAAF0rO
パァン───

澪「リ……ツ……」

一撃で心臓を貫いた銃弾は一時的にだが澪を安らかな眠りへと誘った。

律「…………」

目を伏せたまま口許を強張らせ静かに泣いている律。仕方がないとは言え友人を撃ってしまった悲しみは、これからずっとついて回るだろう……。

唯「りっちゃん……」

優しく律の肩を抱く唯。

律「……今のうちにエリザベス……隠しておこう」

唯「うん……」

唯はエリザベスを拾うと、ケースに入れクローゼットの中に収納した。

律「行こう……唯」

唯「うん……」

そのまま二人は澪の部屋を後にした。

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:44:19.88 ID:wMSAAF0rO
階段を降り、勝手口から律が出ようとした時だった。

唯「……りっちゃん、ちょっと先行ってて」

律「……ん、これ」

律が唯にもう一つの武器、金属バットを差し出す。

律「カッターナイフじゃ威力が足りないだろ。それとも左はわたしがやろうか?」

なんだ……知ってたのか。

唯「ううん、大丈夫。一人で出来るよ」

律「……そっか。じゃあ車で待ってる」

去り際に手をひらひらと二、三回振ると律は車の方へと歩いて行った。

バットを握りしめる。

唯「せめて少しぐらいは……いい夢を見てね。あずにゃん」

背後から忍び寄り……唯は二人の頭を砕いた。

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:52:18.95 ID:wMSAAF0rO
ガチャ……バタンッ

唯が車の中に入ると、律は無言のまま車を出した。

律「……無事で良かったよ」

唯「うん……」

律「……辛かったな」

唯「うん……」

靴を脱ぎ、助手席で体操座りをしている唯。膝に目元を押し当て、必死に堪えている。

律「泣いていいんだぞ……唯」

唯「……う゛ん゛」

それがきっかけになったのか、唯は大声で泣き始めた。
律は左手で唯の頭を持つと、黙って自分の膝まで持ってくる。

律「……」

唯「うぇ…ぐすっ…」

その泣き顔を見ることもせず、ただただ左手で唯を優しく撫でた。
車は唯が言った秋山宅近くの公園に向かって行く。

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 03:54:33.64 ID:wMSAAF0rO
終了条件2 達成



を書き忘れた

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:03:24.05 ID:wMSAAF0rO
律「唯、ついたぞ」

唯「うん、ここで間違いないよりっちゃん」

律「って言ってもただの公園だろ? ここにそんな大それた封印? なんてもんがあるのか?」

唯「まあまあ、見てなさい」

落ち着きを取り戻したのかいつも通りにあどけて見せる唯。
良かった……。

車を降りて公園の中に入る。昔よく遊んだっけな……澪と。

唯「これだよりっちゃん!」

ビシッと指をさしたのはどこの公園でも設置されている様な水飲み場だった。

律「おいおい……いくらなんでもこれは」

唯「まあまあ。物は試しだよりっちゃん。これを全開まで捻ってみて」

律「はあ…わかったよ」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:10:50.29 ID:wMSAAF0rO
それは捻ると上に噴き出す型の奴、わたし自身確かにこれを全力まで捻った覚えはないけど……。

律「こうか~」

唯「もっとだよりっちゃん!」

更に捻り込む。

律「これでどうだああっ」

唯「もっと!! もっとだよ!! 天まで届かせる勢いで!」

律「バカ言うなよ! そんなこと出来るわけ…」

キュ、と、とうとうそれに限界は訪れた。
次の瞬間光が立ち上ぼり、空を覆っている雲を退けた。

律「……」ポカーン

唯「だから言ったでしょ!? 本当だって」

律「うん……まあ……わたしはびしょ濡れだけどな……!」

唯「(残り…二つ)」キリッ

律「どや顔すなっ!」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:18:15.81 ID:wMSAAF0rO
律「は~もう、酷い目にあった。次の封印は唯が解くんだぞ!」

風邪をひかないようにそこら辺りの民家に干してあるタオルを拝借して体を拭く。

唯「わかってるよぉ~りっちゃん」ニヤニヤ

律「こっちみるなぁ!」

唯「ふふ、次はどこの封印を解除しに行く?」

律「う~ん残り二つか。ムギの家はここから遠いしな」

唯「……でももしかしたら」

律「ああ、生き残ってるかもしれない。澪はギリギリ間に合わなかったけど…ムギは助けられるかも…な」

唯「うん!」

1 喫茶店SDKの近くの封印を解く
2 ムギの家の近くの封印を解く

>>156

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:19:36.85 ID:fO1pPja90

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:25:19.95 ID:wMSAAF0rO
律「近い方から行こう。車ならそう時間も変わらないだろうしな」

唯「うん、わかった。近代世界万歳だぬ!」カミッ

律「だぬ!」

唯「りっちゃん酷い~」

律「水浴びさせてくれたお礼だ!」

唯「もぅ」

そうやってほっぺたを膨らます唯が可愛くて、ついついからかってしまう。

せめて唯だけは……生き残って欲しい。

唯だけは……。

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:35:15.61 ID:wMSAAF0rO
喫茶店SDK付近の川原──

唯「え~とね……」

律「また水難だけはご勘弁を……」

唯「多分変な石ころがあると思うんだ~。りっちゃんも探してみて~」

律「はあ…結局こうなるのか」

先に川の中に入ってじゃぶじゃぶしてる唯を見ながらわたしも靴を脱ぎ捨て靴下を脱ぎ、川の中に入る。

律「……」

太陽が届いてないせいか気温も秋後半ぐらいになっている為水も若干冷たい……。
って言うか……。

律「唯、これ大丈夫なのか? 赤いけど…」

唯「大丈夫だよ、多分」

律「多分って……」

ほんとに大丈夫かよ…。とにかく一刻も早くその石ころを探した方がいい…気がする。

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:39:55.65 ID:wMSAAF0rO
律「唯~あったか~」

唯「ん~ない~」

律「そもそもどんな石ころなんだ?」

唯「炎の形をしたやつ……は違うか。なんかねー掴んでみてこれだっ! ってなるやつー」

律「なんじゃそりゃ」

唯「多分りっちゃんにもわかると思うよー」

律「わかるわけないだろ……」

唯「石ころさえもいとおしい……」

律「? なんか言ったか~?」

唯「う~うん、なんにも~」

律「こんなんで見つかるのかよ……」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:43:18.58 ID:wMSAAF0rO
ん……この感触……まさか……これはっ!?

1 封印の石ころだ! 間違いない!
2 多分封印の石ころ……かな?
3 封印の石ころのわけないよなぁ……
4 漫画タイムキララだ!
5 暇だから唯にちょっかいだそう

>>170

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:44:29.98 ID:vzxPioLQ0
4

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:51:32.09 ID:wMSAAF0rO
律「まんがタイムキララだ! しかも最新号!」

律「気になってたんだよな~キャラット」

赤い色が染み付いていて読めない……。

律「もうっ!」ポイッ

早く探さないと……。

律「早く探さなイト……」

ムンズッ!

こ、この感触は!

1 間違いない! 封印の石ころだ!
2 封印の石ころだったらいいなぁ……
3 封印の石ころなんて存在しないだろ……
4 喉が乾いたな……ちょっとだけなら……
5 暇だから唯にちょっかいだそう

>>174

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 04:53:23.01 ID:WY1j8nub0
1

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:00:26.54 ID:wMSAAF0rO
律「このつるつるツベツベ感……そして手に馴染むフィット感……! まるでこれを持って生まれて来たんじゃないかと見間違ごうような……!」

律「これだああああああっ!!!」

それを天高く掴み上げた瞬間、光の矢が空へと放たれ、天空の霧を晴らしたもう。

唯「見つけたんだりっちゃん!」

律「おぅよ! 残りは後一つだな!」

唯「うん!(あと…一つ)」

ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────────

律「あの時聞いたサイレンの音……」

唯「12時になったんだ……(澪ちゃん…)」

律「唯、急ごう」

唯「うん」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:11:45.65 ID:wMSAAF0rO
桜ヶ丘 琴吹邸
第二日
PM12:26:32

平沢唯
田井中律

終了条件1 最後の封印を解く
終了条件2 怪力屍人を倒す
───────────

律「ついた…ムギの家。多分ここであってると思う」

唯「そう言えばムギちゃんの家って来たことなかったよね」

律「だな。住所は知ってたけどやっぱり突然は押し掛けにくいっていうか…。一回家に電話はしたことあるんだけどな」

唯「へぇ~そうなんだ」

律「そしたら執事みたいな人が出てさ。ビックリしたよほんと」

唯「なんとなくそんな気はしてたけど…やっぱりお嬢様だったんだね、ムギちゃん」

律「別荘何個も持ってる時点でそうだとは思ってたけどな」

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:20:27.69 ID:wMSAAF0rO
唯「でも……それを鼻にかけてたことなんて一度もなかったよね」

律「ああ。好奇心だけは人一倍あったけどな」

唯「そこがムギちゃんの可愛いところだよぉ」

律「だな」

唯「……封印はこの中だよ、りっちゃん。近くって言ってたけどこんなにもムギちゃん広いって思わなかったから」

律「まさか敷地内とは思わなかったか」

唯「そういうこと」

律「唯、先に言っとくよ。何があっても封印を解け、何があっても……だ」

唯「りっちゃん…それって…」

律「わたしはみんながいる世界がいい。一人も欠けてない…元の世界がいい」

律「だからその世界に、お前が導いてくれ。唯」

唯「…うん」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:30:45.87 ID:wMSAAF0rO
律「行こう。終わらせるんだ、この世界を」

唯「うん!」

車にあった役に立ちそうなものを一式持ってゆき、広大な敷地に足を踏み入れた。

律「……」

律が片目を閉じる。

律「多いな…執事とか使用人が屍人化したのか?」

律「唯、封印されてる場所は?」

唯「真ん中の中庭辺りかな?」

律「ならど真ん中を突っ切った方が早そうだ」

拳銃の弾の残りは後5発、それが切れたら後はバットで押すしかない。
唯は何故か車の中に入っていた火かき棒を新たな武器として持っている。

「ッラハギッ」「ラハギッ」「ギッ」

律「番犬の登場ってわけか!」

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:37:13.68 ID:wMSAAF0rO
無駄撃ちは出来ない…。銃をスカートとおへその間にし舞い込むと両手で金属バットを握る。

律「唯!」

唯「うんっ!」

左右から攻めてくる犬屍人に対抗するため唯と背中合わせになりながら迎え撃つ。

「ギイイイッ」

律「なろっ!」

飛びかかって来た一匹目を平行にスイングして弾き飛ばす。

「ッギ!!!」

続けざまに襲って来る犬屍人。
こっちに二匹来てくれたのは都合がいいが後ろに唯がいるから避けるわけにもいかないっ!

律「くっ」

バットの端と端を持って壁を作り、

律「てやっ!」

なんとか押し返す。

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:42:36.41 ID:wMSAAF0rO
唯「このっ! このっ!」

片目を閉じ、唯の視界をジャック。
火かき棒を振り回して何とか近づけさせてないようだ。
ちょっと可愛いな、なんて思ってたのは内緒。

「ッラハギッ!!」

律「来たか…!」

押し返した犬屍人が勢いをつけ、もう一度飛び込んで来る。
もう片方の目でも同じような光景が繰り広げられていた。

こうなったら…!

1 このまま迎撃だ!
2 唯を信じてしゃがみ、犬屍人同士の相討ちを狙う

>>196

197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:50:15.79 ID:wMSAAF0rO
2

202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 05:59:18.07 ID:wMSAAF0rO
ここは唯を信じて……!

律「そりゃっ!」

一気にしゃがむ……もし唯がここでしゃがまなかったら…。

唯「わわっ」

おおっ! さすが唯! わたしの意思を読み取ってくれたか!

「ギャンッ」「キャウンッ」

私達の上空で凄い勢いでぶつかり合う犬屍人達。
それぞれ明後日の方に弾き飛ばされたのを見て、一気に仕留めにかかる。

律「唯! そっち任せた!」
唯「う、うん! わかったよりっちゃん!」

弱っている犬屍人にわたしの必殺技が襲いかかる!
喰らえっ!

技名>>203

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:01:51.99 ID:MJqd9Kcr0
はかいこうせん

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:05:16.07 ID:wMSAAF0rO
律「はかいこうせん!!!」

「フクラハギッ」

律「決まった……」

打撃なのにこうせん? って質問は受け付けな、い、

唯「なんかちょっと触っただけで倒しちゃったよ~。あれ? りっちゃんなにやってるの?」

律「……反動で動けない」

唯「ふえ?」

律「恐ろしい技だ……」

207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:09:52.19 ID:wMSAAF0rO
犬屍人を撃破した私達はいよいよムギの家の中に潜入を開始する。

律「おじゃまします!」
唯「おじゃましませんよ~」

律「それ小さい時に澪ん家でやったやった」
唯「わたしも和ちゃん家でおじゃましま~すって言うと邪魔になるなら帰ってって言うからおじゃましませんよ~って言ってよぉ」

律「和は厳しいな~。あっ! そう言えば和から電話があったんだよ!」

唯「えっ?! いつ?!」

律「朝方だったかな。何でかわからないけど交番の電話から」

唯「う~ん……携帯も圏外でかからないはずなのにね」

律「謎だな…」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:16:52.12 ID:wMSAAF0rO
途端、体が震える。

律「唯! 伏せろ!!!」

唯「えっ?」

反応しきれていない唯の頭を掴んで無理矢理下げさせる。

チュインッ──

間一髪と言った具合にギリギリかわし、わたしと唯は左右に別れ、壁に隠れた。

律「唯、わたしが囮になるからお前は中庭の封印を解きに行け!」

唯「そんなの無茶だよ! 相手は銃を持ってるんだよ!? りっちゃんが死んじゃうよ…!」

律「唯…車で言ったろう!? 何があっても封印を解けって!」

唯「でも…やっぱりやだよ!! りっちゃんを置いてなんていけないっ!!」

駄々を捏ねるように首を振り拒否する唯。

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:18:08.84 ID:wMSAAF0rO
1 それでも行くんだ、唯
2 全く…お前が死んでも知らないからな!

>>212

212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:19:22.67 ID:ZLAxZEhuO

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:25:29.68 ID:wMSAAF0rO
律「全く……お前が死んでも知らないからな!」ニヤッ

唯「りっちゃん…」

律「わたしが銃を撃って間を作る。その間に唯は中に入って隠れるんだ。そして視界ジャックで様子を見て後ろを取れそうならそいつで一発頼む。くれぐれも無茶はするなよ!」

唯「了解でありますりっちゃん隊員!」

律「幸運を祈る、唯隊員!」

敬礼を交わし、りっちゃんの拳銃の音が合図になった。

パァン──

よーい…どん、まるでかけっこが始まる時の前みたいに緊張していて…ちょっと転びそうになったりした、けど…!
何とか中に入ることに成功した。とりあえずすぐ側にあった部屋へ逃げ込む。

唯「わぁ…本がいっぱい」

216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:31:52.01 ID:wMSAAF0rO
律「唯は上手くやったか…」

弾は後一発…陽動に使うにしては勿体無い。
私は再びそれをスカートにし舞い込むと、機会を伺う。

バァン───
バァン──

律「くっ…」

鈍々しい音を上げながら玄関、いや、門の方が表現は正しいかもしれない。を削り取っていく。
撃たれるごとに自分の居場所が削り取られているみたいで悪寒が走った。

律「だけど…ここがチャンスでもある」

あの猟銃は古いのか弾が二発しか込められないようだ。その証拠にどんな時でも二発撃つとその後若干間があった。

律「その間にわたしも飛び込めれば…!」

218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:41:42.42 ID:wMSAAF0rO
次だ…次に来たら飛び込む。出る振りをして陽動をかける、すると、
バァン──

律「(一つ…)」
すかさず陽動、
今度はギリギリまで行く。

バァン──

律「(二つ!!!)」

一気に飛び出し手短な部屋へと、

バァン──

律「なっ……」

ズウッ───

律「あ゛あ゛あ゛があああっ」

足を撃たれた……。
痛い……痛いよぉ……クソッ……何で三発目が…。
部屋に転がり込みながら片目を閉じ猟銃を持っている屍人の視界ジャック。

──【フエッヘッヘッ……】──

屍人は弾を一発だけ入れ、また狙いをつけている。
そうか……普段は一発づつにしておいて……わたしが出てこようとした時に素早く二発弾を入れたのか……なんてリロードの早さだよ…。

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:47:02.15 ID:wMSAAF0rO
それにこの知能……並みの屍人レベルじゃない。何だよ……こいつ!!!

律「クソ……立てよ…立てよわたし!!」

足から大量の血を流しながら、それでもバットを支え棒代わりにして立ち上がる。
幸い弾は貫通しているらしく、風通しはいい…かな。

──【死ね…殺してやる…幸せそうな面をしたやつなんてみんな死ね…】──

エントランスを降りてこっちに来ている…わたしを仕留めるつもりだろう。

律「な…ろうっ!」

バットを下手に持ち構える、唯だけはやらせない…!
相討ちになってでも倒す…!

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 06:52:47.41 ID:wMSAAF0rO
ギリギリの所で視界ジャックか切れる、なるほど…体力がなくなると出来なく…なるのかな?

ただ扉に向かって走り、敵が見えたところでバットを大きく振りかぶる。

律「持っていけ!!!」

わたしの命と引き換えだ!!!

カチャリ……

コンマ数秒、多分テレビでよく言われてる百分の何秒ってやつ足りない。
このバットが当たる前に…やつは引き金を引くだろう。
そうわかっていてもわたしはもう逃げない。この一発にはわたしだけじゃない、澪や梓…みんなの気持ちが込もってんだよ!!!

律「届けええええええええええええええええ!!!!」

バァン──

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:00:40.68 ID:wMSAAF0rO
律「……」

「…………オゥ…」


唯「間に合っ…た?」
律「…………」

糸の切れた人形みたいに倒れ込む律。

唯「りっちゃん!!!!」

頬と足から血を流し、眠ったように倒れている。

唯「…り゛っち゛ゃん……」

律の頬にポタリと落ちる……

律「……」

鼻水。

律「やけにねっとりしてると思ったら鼻水かよっ! 視界ジャック損だよ!」

唯「りっちゃん!!! 生きてて良かったよぉ……」

律「ギリギリな。唯がなんか投げつけたおかげで射線がズレたみたい。てか何投げたんだよ?」

唯「火掻き棒!」

235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:05:48.70 ID:wMSAAF0rO
律「あの車に入ってたやつか……救われたな、火掻き棒に」

唯「だね!」

律「」ビクッ


律「唯、わたしは動けないから一人で封印を解きに行ってくれないか?」

唯「でも……りっちゃんの手当てしなきゃ!」

律「それぐらい自分でできらぁい。心配するなよ。人間頑丈に出来てるからこれぐらいじゃ死なないよ」

唯「……ほんとに?」

律「ああ。りっちゃん嘘つかない」

唯「…………うん、わかった。じゃあ行ってくるね! 封印解いたらすぐ戻ってくるから!」

走り去る唯の後ろ姿を見て、安心した。これでもう大丈夫だな。

律「さて……と。いるんだろう、ムギ。出てこいよ」

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:12:12.01 ID:wMSAAF0rO
怪力紬屍人「オギャアァァァァァ……」

律「変わり果てちまったな……ムギ」

よっこらしょっと。
バットを杖がわりにして立ち上がる。このバットには本当世話になったな…。

律「今……楽にしてやるから」

ごめんな……唯。わたしは結局生きられる運命じゃなかったみたいだ。
でもここまでお前を守れて良かったよ。
あの時光る世界でしたみんなとの約束……守れたかな?

予告ホームランの構えでいい放つ。

律「りっちゃん甲子園、開幕だぜ」

唯、後、任せた。

242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:19:16.15 ID:wMSAAF0rO
──

唯「早く……早く封印を解いてりっちゃんの手当てを…」

ドアと言うドアを、扉と言う扉を開け、白色の光を追う。まるで江戸時代の殿様みたいな絵面だなんて思いながら、ようやく中庭へ辿り着いた。

唯「この噴水を壊せば……!」

目に入った大きめの石の目の前でしゃがみ込み、

唯「ふんすぅぅぅぅぅぅぅぅいっぱああああああああああつぅぅぅぅぅぅぅぅ」

ありったけの力で持ち上げる。
よたよた歩きながら水を溜めてる要因となってる噴水の段差に上り、石を、

憂「やめて、お姉ちゃん……」

唯「憂……?」

244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:26:16.89 ID:wMSAAF0rO
──

律「どうしたよ!? そんなもんかぁ!? 今のりっちゃんは絶好調だぜ!?」

怪力紬屍人「アアアアアアアア」

なんとかキッチンまで誘導出来たのはいいけど……そろそろ立ってるのも限界くさいな。

ここに入って回してから数分……そろそろいいか。

律「どうしたよ! そんなもんか!?」

ひたすら煽る、もっと近づけないと……!

怪力紬屍人「ウキャアアアアアア」

中華鍋を投げつけてくるムギ。それを弾かずかわす……。

律「あっ……」

余程足に来てたのか避けた拍子に尻餅をついてしまった。
その間に距離を詰められ、

紬「シャランラァァァァァァァァァァ」

首を締め上げられたまま持ち上げられる。

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:30:22.76 ID:wMSAAF0rO
なんて力だよ……、こりゃ後数秒持たずにへし折られるな。
他人事みたいに洞察した後、スカートとヘソの間にある拳銃を取り出す。

これで仕上げだ……。
・・
また、救えなかったな……ちくしょう。

でもまあ……いっか。
次こそは……必ず。

全員助け出すんだ……。

その時力を貸してくれよ……わたし。

意識が消える前に、引き金を、引いた。


ズオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンン

───────────

249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:35:24.74 ID:wMSAAF0rO
唯「憂……なんで」

憂「お姉ちゃん……。どうして諦めてくれないの?」

唯「諦められるわけないよ!!! みんながこんなことになる世界なんて……」

憂「それが現実なんだよ」

唯「違うっ! わたしの知ってる世界は……もっと希望に溢れてた!!!」

憂「絶望は希望、一緒なんだよ、お姉ちゃん」

唯「ちがうちがうっ! わたしは……わたしは……みんながいない世界なんて絶対に認めない!」

憂「……じゃあ私が消えてもいいの? お姉ちゃんは」

唯「えっ……」

憂「お姉ちゃん、私は……」



堕辰子なの──

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:42:22.03 ID:wMSAAF0rO
唯「堕辰子…?」

憂「そう。この世界を作って、みんなを苦しめてる元凶なんだよ?」

唯「そんな……嘘でしょ…?」

憂「……嘘じゃないよ。その証拠に」

憂が何かを差し出して来る。
青い炎……。

唯「宇理炎……?」

憂「それで私を焼けばこの世界は終わる。安心して、お姉ちゃんは死なないから」

唯「……?」

憂「終わらせたいんでしょ? なら封印を解くなんてまどろっこしいことしないで私を焼けばいい」

唯「憂……」

私は……

1 宇理炎で憂を……
2 宇理炎で憂を……

>>253

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:45:29.72 ID:Z06KmN11O

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:50:40.07 ID:wMSAAF0rO
唯「……焼かないよ」

憂「なんで……? お姉ちゃんを刺したり…みんなにいっぱい酷いことしてるのに!!」

唯「だったら怒る。めっ、そんなことしちゃダメでしょ!」

憂「なんで……なんでそんな優しいの……? お姉ちゃん」



唯「お姉ちゃんだからだよ。憂」

憂「…………」


唯「それに……憂を宇理炎で焼いても終わらないしね」

憂「!? なんで……そのことを」

唯「前はそれで失敗したから、もうしない。憂を助け出すから……必ず」

憂「お姉ちゃん……って呼んでもいいの?」

唯「いいに決まってるでしょ? 姉妹なんだから」

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 07:58:01.84 ID:wMSAAF0rO
憂「お姉ちゃん……」

憂「うっ……あ……ああっ……」

唯「!?」

突然頭を抱えて苦しみ始める憂。

憂「お姉ちゃん……来ちゃ……ダメ……ああ……ああああああああああああああ」

ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────

間近で聴こえるサイレンの音、いや、違う……あれよりもっと獰猛的な……。
唸り声のような…………。

憂「お……姉ち……ゃん……」

憂の伸ばした手を、

唯「憂いいいいいっ」

わたしは、掴めなかった。

唯「憂……」

跡形もなくどこかへ消え去ってしまった憂……。

270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 09:46:21.47 ID:wMSAAF0rO
唯「どれだけ時間がかかっても……」

唯「どれだけ絶望したって……!」

唯「絶対に助けてみせるから……!!!」

だから待ってて、憂。

そう決意するのと、爆発の余波が来るのは、同時の出来事だった。

わたしはりっちゃんとの約束通り石を投げ入れ封印を解く。

光の塊が天へ穿たれ、最後の封印が解かれた。

唯「ここから始まる……」

でも、それはもうちょっと先になりそうだ。



終了条件達成

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 09:48:10.99 ID:wMSAAF0rO
??? ???
???
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平沢唯

───────────
「ウアアアアアアアアア」

「グギャアアアアアア」

「ギイイイイイイ」

唯「何匹でもおいで……」

右手には火掻き棒、左手には宇理炎。

唯「はあっ!!!」

宇理炎を掲げ、浄化する。

「ギイイイッ」 「ウオオオオオ」 「ヒイエエエエエエ」

唯「次こそは……絶対に」

今はただそのピースが揃うのを待とう。

この、煉獄で。

ジェノサイドEND

321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 19:16:28.00 ID:wMSAAF0rO
私がその事を知り、愕然としたのはちょっと前のこと。
塾が終わり、桜ヶ丘行き、帰りのバスに乗り込みうとうとしていた私は突然の急ブレーキという派手な起こし方により強制的に意識を覚醒させられた。
桜ヶ丘への通行が全面封鎖───

不可解、としか言いようがない。

桜ヶ丘一帯にだけ強烈な地震が襲いかかるという現象。隣町の私が揺れさえ感じなかったのだからこれはもう珍事なんて言葉じゃ済まされないだろう。

更に不可解なのは桜ヶ丘の住人は一人を除き全て……消息不明と言うことだ。
当然、桜ヶ丘に住んでいた私の幼なじみ……平沢唯もその例外ではない。

326: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 19:30:28.48 ID:wMSAAF0rO
隣町 避難所
PM18:14:32

真鍋和

────────────
和「……唯」

国が一時的に用意した避難所で昨日は一日を過ごした。すぐにでも唯達を探しに行きたかったけれど街は封鎖されている為入れない。

和「……」

テレビに目を向けると、恐らくどのチャンネルでもやっているだろう桜ヶ丘についてのニュース。桜ヶ丘怪奇現象なんて面白半分のタイトルをつけられた特集番組が視聴率を集めてると思うと無性に腹がたった。

少女「和お姉ちゃん……」

和「ん? どうかしたの?」

328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 19:44:16.09 ID:wMSAAF0rO
少女「私達……お家に帰れるのかな?」

和「大丈夫よ。きっとすぐ帰れるから。心配しないで」

そう言って頭を優しく撫でると不安がっていた顔がゆっくりと笑顔に変わって行く。

少女「うんっ!」

そのまま私の膝にちょこんと座ると安心しきった猫の様に一緒にテレビを見始める。
私はすぐさまテレビの番組を楽しそうな童話の話に変えるとその女の子は嬉しそうにテレビを見始めた。

和「……」

私にもこれくらいの妹がいた。弟も……、勿論両親も。
今じゃ消息不明なんて言う勝手のいい言葉に握り潰され、生きてるのか死んでいるのかさえわからない。
そして、この子の両親も……。

329: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 19:54:25.75 ID:wMSAAF0rO
そもそも地震が起きて消息不明とはどういうことなのだろう。
死体さえ発見されないと言うのはどう考えたっておかしい。世論では集団失踪やら桜ヶ丘地盤沈下等々勝手に盛り上がっているがこれはどう考えたって現実から逸脱している。
何かが起きているのだ、あの街で。

和「……」

ただ、どうすればいいのか……。街に行ったところで私みたいな学生は門前払いだろう。
もし上手く入り込めたとしても、国が何百人体制で探しているのに見つからない人達を私が見つけられるとは思わない。

和「八方塞がりね……」

少女「はっぽ~ふさがり? ってなぁに和お姉ちゃん」

和「どこに行っても出口が見つからないな~って意味よ」

少女「怖いね……」

和「そうね…」

330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 20:00:27.82 ID:wMSAAF0rO
和「でもほら、あの仔猫はちゃんとお母さんのところへ帰れたでしょ?」

テレビを指さすと丁度母猫と仔猫が仲良く抱き合っているシーンで、少女も安心したのか「良かったね!」と笑顔を取り戻した。

和「そう……出口のない迷路なんてない」

ここでこのまま何もせず、ただ時が過ぎるのを待つなんて出来ない。
どう動いていいかはわからない……けど、必ず唯達や家族を見つけ出してみせる。

339: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 20:38:41.51 ID:wMSAAF0rO
隣町 図書館
第二日
AM9:00:00

真鍋和

───────────
次の日から私は唯達を助ける為に動き出した。世論のように現実的に捉えても埒が明かないと思い別の観点から物事を見ることにしてみる。
過去に同じ象例がなかったか調べ、その事件との関連性がないかを調べてみる。

少しでも関わりがありそうなものはファイリングし、コピー、ないしは書き写す。

それを何時間も行った結果たどり着いたのが……。

和「羽生蛇村土石流災害……?」

341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 20:49:06.54 ID:wMSAAF0rO
和「今から27年前…か」

村全体が土石流災害に合い…死体も出てこなかったと言う点では今の桜ヶ丘で起きている事と合致する…。

和「当時はこれを自然災害として処理…ね」

多分このまま行けば桜ヶ丘の件もこうやって風化していくのだろう。

和「実際に行って確かめた方が早いかしら」

いや、その前に桜ヶ丘にも足を運びたいわね。何か見落としてることがあるかもしれない……。

和「……」

1 桜ヶ丘へ行く
2 羽生蛇村へ行く

>>343

343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 20:50:28.64 ID:OTzzc2tFO
2

344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 20:55:04.39 ID:wMSAAF0rO
和「羽生蛇村へ行きましょう。何かわかるかもしれない」

善は急げと云う言葉に従い荷物をまとめると、私はすぐさま羽生蛇へと向かった。

349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 20:59:59.28 ID:wMSAAF0rO
──羽生蛇村跡地

和「地図だとこの辺りだけど……」

思ったより近く夕方になる前につけた。

和「立ち入り禁止……か」

村全体を襲った土石流災害なんて……ちょっと出来すぎてるわよね。
中に入ろうかとも思ったけれど、入口は土に埋もれて入って行けそうもなく……仕方なく引き返すことにした。

和「無駄足だったかしら……」

とりあえず現場を見れただけでよしとしておこう。

351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:07:57.59 ID:wMSAAF0rO
──

それからも色々調べてみたけれど……結局有力な情報は得られなかった。

それから時間はあっという間に過ぎて行き……桜ヶ丘の立ち入り禁止が解かれたのは、事件発生から1ヶ月後のことだった。
とは言ってもまだ住めると言うレベルにはほど遠く、ただの一時的な帰宅が許されただけだ。


和「地震があったにしてはあんまり変わってないな……」

1ヶ月振りに見た自分の家。勿論……誰もいなかった。

354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:17:16.76 ID:wMSAAF0rO
唯の家にも行ってみた。本当は盗難防止の為に自分以外の家には入ってはいけないのだけれど……見つかっても幼なじみだと言えば疑われはしないだろう。
やっぱり二人はいなかった。写真やアルバムなどを見つけ出してはどうしてこんなことになったのかと悲痛に嘆くしかなかった。

階段を上がり、右の部屋に入る。

和「唯の部屋……懐かしいわね」

部屋の片隅に置かれてあるギターの埃をはらうと大事にギターケースの中に収納する。

和「全く……世話が焼けるわね……ほんと」

あんなに……大切にしていたギターを置いて……どこに行ったのよ……唯。

356: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:24:45.06 ID:wMSAAF0rO
和「このまま置いといたら唯が帰って来る前にボロボロになっちゃうわね……」

ギターケースを肩に背負う。

和「これは私がちゃんと預かっておくから。ちゃんと取りに来るのよ、唯」

そう言い残し私は平沢家を出た。

──

その後も澪の家や律の家何かに言ってみたけれど……やっぱり誰にも会うことは出来なかった。ムギの家は交通機関がストップしてる中では時間的に行けそうにない為断念することにした。

和「そろそろ帰ろうかしら……時間もないし」

生徒会の人達と良く行った大手スーパーを横切り、交番を通った時だった。

ジリリリ……ジリリリ……

和「えっ……」

電話が……鳴ってる

363: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:33:42.68 ID:wMSAAF0rO
まだ復旧してない筈の電話が何故か鳴っている。まるで私が通るのを見越していたかのように。

和「……」

交番に中に入るとその音の主、今の時代で型遅れな黒電話の受話器を……ゆっくりと耳元へ持って行く。

もしもし、なんて流暢な返しも忘れ……ただあっちが喋るのを待った。

「悪いな、射殺される前に撲殺したよ」

いきなりそんな物騒な言葉を吐き捨てる相手、しかし私はその声の主を知っていた。

和「もしもし!? その声もしかして律!?」

律「えっ……もしかしてその声……」

あっちも同様に驚いたのかさっきと声色が変わる。

366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:43:19.86 ID:wMSAAF0rO
「ちっ……追ってきたか!」

パァンッ──

何?! あの音……銃声?

「ッ! 銃持ってるやつもいんのかよ! やっぱりあの魚潰しとくんだったな…」

和「もしもし!? どうなってるの!? 無事なの!?」

銃と云う単語に一気に不安感が高まる。

「悪い、話してる場合じゃないみたいだ」

和「律!!!」

「じゃあな、和」

そう言い残し、電話は切れてしまった。

和「律……」

かけ直すことも出来ず、またかかって来る可能性もあの様子だと薄いだろう。

和「でも……」

これで確信出来た。

律達は消えてなんかいない。生きている……どこかで。

371: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:50:12.14 ID:wMSAAF0rO
それから避難所に帰宅し、物事を整理する。

和「律達が生きてるとして……どこにいるのかしら」

ヒントは律が撲殺なんて仄めかす程の治安……銃がどうこうと言うのと掛け合わせると益々危険な場所に身を置いているのがわかる。

和「あ~もうっ! なんでどこにいるのかぐらい言ってくれないのよ! 全く律はいつもいつも……」

三年間全ての書類を忘れに忘れただけのことはある。

和「変わってないわね…ほんと」

律が生きていると言うことは唯や憂、私の両親に弟や妹、他のみんなも生きている可能性は高いだろう。
希望は見えてきた。後はみんながどこへ行ったのか…と言うことだけだ。

377: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 21:57:28.36 ID:wMSAAF0rO
次の日、私はまた桜ヶ丘に一時帰宅をした。数少ない生存者だからか二度目の帰宅に対してあれこれ言われることもなかった。
今日は昨日行けなかったムギの家に行ってみる。

和「大きいわね……」

唯から合宿した別荘のことやチェーン店を展開しているなどムギの話は聞いていたけれど……まさかこんなにもお嬢様だとはさすがに思わなかった。

和「門から玄関までがこんなに長い家初めて見るわね……」

ようやくたどり着いた入口の扉を開け、中に入る。

383: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 22:05:55.58 ID:wMSAAF0rO
解放感あふれるエントランスに圧倒されながらも一部屋一部屋回ってみる。

和「あんまりいい趣味じゃないわね……他人の家にづかづか上がり込んで物色なんて」

いくら手がかりを掴むためとはいえさすがに気が退ける。
最後にここを見たら帰ろうと、扉を開けてみた時だった。

和「本……それも凄い数ね」

ムギのお父様かお母様か、それともムギ自身が勉強家だったのか。その本の数は並みの図書館なら凌ぐほどだった。

和「……」

その中の、たった一冊に目が行く。
それを手に取ると、タイトルを読み上げてみる。

和「羽生蛇村異聞……」

390: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 22:19:57.78 ID:wMSAAF0rO
内容は、異界に取り込まれた人達が色々な思惑を抱いて繰り広げられる群像劇のようなものだった。
多分羽生蛇村の事件をネタに書いたフィクションだろうけど……何故か無視出来なかった。

和「異界……まさか……そんなわけ……」

もしも、律達もこれと同じような状況にあるとしたら?

和「……非科学的過ぎるわ」

それでも、律からの電話はもうこの可能性しかないと告げてくれた。

和「…………」

パタン。

和「ムギ、ちょっとこれ借りて行くわね」

やっと、やっと繋がった。それは紙よりも薄い可能性だけれど…………もう、これしか考えられない。

唯達は何らかの影響で異界に取り込まれたのだ……。

397: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 22:28:16.41 ID:wMSAAF0rO
──避難所

和「これでよし……」

準備は整った。後はもう信じるしかない。
自分がたどり着いたこの結論に。

少女「和お姉ちゃん……またどこか行くの?」

和「……ごめんね。お姉ちゃん大切なお友達を助けに行かなきゃいけないの。だからまた今度遊ぼうね」

優しく撫でる、けれど不安な色は消えていない。多分この子も何となくわかっているのかもしれない。私が今からどれだけ危険なことをするのかを。

和「大丈夫。お姉ちゃんは生徒会長なんだから」

少女「生徒会長……?」

和「そう。みんなを守る力が備わってるの。だから心配しないで」

少女「……うん」

400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 22:32:58.28 ID:wMSAAF0rO
ゆっくりと立ち上がり、少女に背を向ける。

和「じゃあ……」

ほんとに何でもないことのように。まるでちょっと散歩に行くような気軽さでこう告げる。

和「じゃあ、私羽生蛇村に行くね」

少女「??」

今はわからないだろう。でももしいつか……覚えていてくれたら。
こんな変なお姉ちゃんが居たなって思い出してね。

それが、私達が確かにここに居た証になるから。

408: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 22:46:54.20 ID:wMSAAF0rO
羽生蛇村 入り口付近
PM23:54:49

真鍋和

───────────

ギリギリの終電に飛び乗った甲斐あって何とか今日中にたどり着けそうだ。繋がる可能性が一番高そうなのは異聞にあったサイレンが鳴る時間帯。6時12時18時0時だろう。
元々万に一つに賭けた可能性だが少しでも上げておきたい。

和「ギターって結構重いのね…」

背中に背負った唯のギターのせいでだいぶ体力を消耗させられた。唯にあったらいっぱい文句を言ってやろう。

真っ暗闇の静寂の中、私の足音だけが周りを支配する。風に揺れる葉の音はまるで私を拒むかのように叫びをあげている。

412: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 22:55:10.73 ID:wMSAAF0rO
ようやく入り口にたどり着こうと言うところで、不気味に浮かび上がる人型のシルエットを眼孔が捉えた。

和「誰か……いる」

私が言えた義理じゃないがこんな時間にこんな山奥にいる人など正気の沙汰ではないだろう。
私は警戒心を強め、ゆっくりと近づき……、声をかけた。

和「あ、あの…」

「和先輩……こっちにいたんですね。良かった」

和「あなたは確か……」

純「梓と憂の同級生の鈴木純です。ここにいるってことは先輩も皆さんを助けに来たんですね…」

和「こっちとかあっちとか…詳しく説明してくれるかしら? 鈴木さん」

純「純でいいですよ。ただ時間がないですから、詳しい話はあっちでしましょう」

416: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:02:46.28 ID:wMSAAF0rO
和「あっちって…」

純「簡単に言えば異界……ですか」

和「それじゃやっぱり唯達は!!!」

純「先輩、時間がありません。この柵を登ってください」

そう言うと純は簡易的に置かれたであろう鉄の柵をよじ登った。幸い高さは全くなく、ただここから先は立ち入り禁止という目印だけに置かれたのだろう。私も後に続き鉄の柵を登り、上に立つ。

純「先に言っておきます。行きはよいよい帰りは怖いです」

和「?」

純「一度入ったら最後、抜けるのは奇跡でも起きない限り不可能ってことです。その覚悟は先輩にありますか?」

和「……あなたにはあるの?」

419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:09:06.40 ID:wMSAAF0rO
純「質問を質問で返さないでよ~」

和「そうね、ごめんなさい」

純「って梓によく言われました」

和「……そう」

純「わたしにはあります。その覚悟。絶対に助け出してみせる……梓が私を助け出してくれたみたいに」

和「……じゃあ行きましょうか」

純「聞かないんですか?」

和「詳しくはあっちで……でしょう?」

覚悟なんてとっくに出来ている。あの日みんなを失った日から……!

純「……はいっ!」

腕時計に目を落とす純。

純「00:00:00になったと同時に飛び込んでください! いいですか?」

和「わかったわ!」

422: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:14:00.25 ID:wMSAAF0rO
5.4.3.2.1...

00:00:00時になったと同時に柵の上から飛び出した。

唯、みんな……待っててね。

今迎えに行くから。

その瞬間世界は暗転し、耳をツン裂くようなサイレンの音が体を駆け巡った。


ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────

428: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:18:36.89 ID:wMSAAF0rO
??? ???
第三日
AM00:00:01

平沢憂

────────────

和ちゃん…来てくれたんだ。和ちゃんならきっと来てくれると思ってた。
お姉ちゃんを……助けてあげて。

お願い……

私に出来るのはもう……ここまでみたいだから……。

430: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:30:26.38 ID:wMSAAF0rO
羽生蛇村
第三日
AM00:15:15

山中さわ子

────────────

さわ子「ここは……羽生蛇村!?」

気づけばいつの間にかアスファルトは土に、ビルや家は木や森に変わっていた。

さわ子「ついにここまで来た……ここまで来たんだわ!」

逸る気持ちを抑え、冷静に分析する。

さわ子「宇理炎がない状態じゃ死に損ね……。先回りしてどちらかが持って来てくれるのを待つとしましょう」

そう言い、屍人の巣を目指す。

さわ子「頑張ってね、唯ちゃん。みんな」

それが最後の教師である山中さわ子の言葉だった。

434: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:38:17.27 ID:wMSAAF0rO
羽生蛇村
第三日
AM00:30:00

斎藤

終了条件1 琴吹紬を探し出す

────────────

斎藤「全く……たらい回しとはこのことか」

ま~た戻って来ちまった。まあ慣れ親しんだ土の道が俺には合ってるがな。

斎藤「紬……いるのか」

ドス黒い雲に覆われている空を見上げる。本来なら全く光など入らないであろうはずなのに、不自然に四つぽっかりと穴が開いている。

斎藤「あの時と同じか……急ごう」

436: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:43:18.95 ID:wMSAAF0rO
斎藤「探すっつってもどこをどう探せばいいのやら」

薄暗い田んぼ畑をただ闇雲に走り回ってみたが、人っ子一人いやしねぇ。
いると言えば……。

「ウヒャヘハッホ~イ」

斎藤「化け物ばかりか」

猟銃を構え、躊躇いなく頭を吹き飛ばす。

斎藤「死にたくても死ねないか」

懐に入っているこいつを使えば楽にしてやれるんだろうが……。

斎藤「悪いな。まだ使うわけにはいかないんでね」

そうしてまた当てのない探し物を捜し始めた。

438: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:48:18.09 ID:wMSAAF0rO
──

真っ暗だった。どうしてここにいるかもわからない。どうして生きているのかもわからない。どうして私がりっちゃんを……。

記憶にこびりついた焦げを振り払ってみるが一向に消える気配はない。

もう嫌だ……帰りたい……。みんながいたあの世界に……。希望が溢れていたあの世界に…。

絶望したくない…。

これ以上私を苦しめないで…。

紬「お願い……誰か助けて……」


「何やってるんだよ、お嬢」

紬「その声は……」

斎藤「よっ、やっと見つけた」

紬「斎藤……っ!!!」

445: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/16(土) 23:55:58.69 ID:wMSAAF0rO
紬「来ないでっ!!! まだ殺し足りないの!? あなたって人は!!!」

斎藤「なにいってんだよお嬢。帰ろうぜ、屋敷に」

斎藤から差しのべられた手を紬は容赦なくはらい飛ばす。

斎藤「なっ……」

紬「この化け物!!! なんで……なんで守ってくれなかったの……。そしたらこんな結末にはならなかったのかもしれないのに……」

泣きながら項垂れる紬に対して、斎藤はただ黙って隣に座り込んだ。

紬「……」

斎藤「お前が落ち着くまで隣にいるから。なんかあったら言え」

紬「えっ……」

ぶっきらぼうだがいつもの彼とは全く違ったやり方に紬は目を丸くした。

447: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:00:41.76 ID:QaUct9MlO
紬「あなた……ほんとに斎藤なの?」

斎藤「ああ、多分な」

紬「でも……全く雰囲気が…」

斎藤「何言ってんだよ、紬」

紬「!!」

この一言で確信する。あの人に無関心な男が人を馴れなれしく呼び捨てしてくるわけがない。だったら……これは誰?

紬「あっ……ああ……」

頭の中に入ってくる記憶の欠片。何で今まで忘れていたんだろう……そうだ……私は、私達は……ここへ来たことがある。

448: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:06:27.33 ID:QaUct9MlO
でも……それでも、私は彼女じゃない。それだけは確か。

紬「ごめんなさい……斎藤。あなたの言っている琴吹紬と……私は違うの」

斎藤「は? 何言ってんだよお嬢。冗談も大概に……」

バァンッ───

斎藤「伏せろ!!!」

紬「きゃっ」

斎藤が紬を守るように覆い被さる。

斎藤「ちっ! どっからだ!」

暗闇の向こう側から放たれた弾丸、その持ち主を探すように目を見開く。

斎藤「あんたはここにいろ、いいな」

紬「待って!! 斎藤っ!!!」


終了条件2 斎藤を倒す

455: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:13:19.31 ID:QaUct9MlO
とりあえず紬に流れ弾が当たらないようにその場を走って離れる。

斎藤「オラオラこっちだ!」

後は陽動に猟銃をぶっぱなしておけば……

バァン──

斎藤「っとおっ」

ノックが返ってくるわけよ。にしても究極的に視界が悪い……。敵の位置もわかんねぇし……。

斎藤「さてどうすっかな」

思案にふけこもうとすると、

バァン──
バァンッ───

耳元を鉄の塊が通過する。

斎藤「やろう見えてやがるな……」

どんなテクを使ってるのかは知らないがどうやらこっちの位置はバレバレのようだ。

462: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:19:16.09 ID:QaUct9MlO
自分だけ目を瞑ったまま喧嘩をするようなもんか……。

斎藤「おもしれぇ」


1 弾が飛んで来た方へ走り込み、姿を確認したところで猟銃で仕留める
2 弾幕を張り、物陰に隠れながら進み、仕留める
3 男なら特攻あるのみ! 駆け抜けて猟銃で殴りつける

>>464

464: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:20:06.57 ID:Bgjp3FAhO
2

468: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:26:04.40 ID:QaUct9MlO
斎藤「さすがに相手が見えないんじゃ突っ込むのは分が悪いか……」

しゃあねぇ、弾幕張ってチマチマ進むか。

物陰に隠れては撃ち、そしてまた安全マージンを確保するのをひたすら繰り返す。

斎藤「……」イライライライラ

斎藤「……追ってもあっちが離れてるからいつまで経っても追い付けねぇな……」

しゃなあない。

1 大和魂見せてやるよ!
2 チマチマ行くか……

>>470

470: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:26:32.18 ID:CJPEowte0
屍人となってるのは過去の世界の斎藤で
ムギを守ってるのは本来ムギたちがいる
現代の斎藤ってことか?

473: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:35:13.90 ID:QaUct9MlO
斎藤「大和魂見せてやるよ!!!」

一気に物陰から隠れると畳み掛ける。
多分その先にいると思われる敵目掛けて全力疾走する。

バァンッ──
バァンッ───

斎藤「っと!!!」

ギリギリをかすれて行く銃弾。

斎藤「今お前怖いだろ!!!! 銃に向かってくる人間なんてそうそういねぇもんな!!!」

そう叫んでやる。あっちにわかるかどうかは不明だが狂人は常人を行動だけで喰らう。
その異質な動きが相手を震わせる、ありえないと。

斎藤「捉えた……!!!」

闇の中に浮かぶ人型をついに眼中に捕らえる。

478: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:44:27.31 ID:QaUct9MlO
斎藤「っ……と」

二人同時に構える──

斎藤は走りながら──

もう一人は止まりながら──

一発目、互いに当たらず。

二発目、相手の攻撃はほぼ直撃コースだったが斎藤の天性の勘で撃たれる僅か0.コンマ何秒に首を振り、それを回避。
斎藤も避けるのに必死だった為に二発目を外してしまう。
決着はリロードの早さによって決まることとなった。

もう一人の斎藤のリロードの早さは律のお墨付きで、人間の速度ではないとまで言われていた。
この勝負どう考えてももう一人の斎藤が勝つ、筈だった。

481: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:49:59.57 ID:QaUct9MlO
カチャ──

弾倉を開き、そこに、

斎藤「ぺっ」

さっき口にくわえさせた弾を寸分の狂いなく吐き捨てる。

斎藤が構えた頃にようやく弾を込め終えたと云った感じで顔を上げると、斎藤と視線がぶつかる。

斎藤「おせーよ」



バァンッ────



終了条件2 達成

490: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 00:57:15.06 ID:QaUct9MlO
──

紬「……」

斎藤「よっ」

紬「その調子だと勝ったのはあなたの方だったみたいね…羽生蛇村の斎藤さん」

斎藤「勝ち名乗りありがとよ、桜ヶ丘の琴吹紬」

紬「……わかったの?」

斎藤「あぁ。あいつとあんたを見てな。そしてどうして俺があっちに飛ばされりこっちに戻ったりしたのかも大体な」

紬「……多分繋がったのね異界同士が」

斎藤「俺にはよくわからんがそういうことみたいだな」

紬「……あなたの探している琴吹紬は……多分もう……」

斎藤「言うなよ。泣いちまうだろ……」

紬「ごめんなさい……」

493: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 01:05:57.37 ID:QaUct9MlO
斎藤「いけよ、やることがあんだろう。もう一回、次こそは繰り返すなよ……紬お嬢様」

紬「もう助けてくれないの?」

斎藤「二度は助けない主義なんでね、紬以外」

紬「そう。うん……それじゃ行ってくるわね…斎藤」

斎藤「ああ。倅が迷惑かけたな」

闇の中へ消えていく紬をただ黙って見送る斎藤。

斎藤「やることなくなっちまったな」

ドサリとその場に寝転び、星空も見えない夜空を眺める。

斎藤「さようなら、お嬢様」

っと、後一つだけ役割があったな。それまで寝てるとしますか。そうして目を閉じた、何も見えない暗闇が即座に広がった。

513: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 01:49:53.07 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村
第三日
AM1:00:00

田井中律

終了条件1 屍人の巣への到着

────────────

体にまとわりつくような雨だ。
また……わたしはここにいる。

律「…………冷たい」

もしかしたらまた繰り返すかもしれない。それでも行かなきゃ……。

律「みんなが待ってる」

地面から跳ね起き、向かうべき場所に向かって走り出す。

──【フッシフッシフッシ】──

──【ユンケーーーーーーーール】──

──【ギョギョギョギョギョ】──

視界ジャックを済ませ、いつの間にか持っていた金属バットを握る。

律「もうちょっとだけ付き合ってくれよな」

517: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 01:56:33.77 ID:QaUct9MlO
廃虚の外周を彷徨いているブレインを潰す為に罠を打つ。

律「あの時みたいに逃げられても厄介だからな」

こんなもんでいいか。さて……。
視界ジャックをしながらゆっくりと後ろから近づく。

「ギョ?」

律「ハロー」

「ギョギョギョギョギョ!!!!!」

律「逃がすかああああああああっ!!!!」

追いかけっこ開始。
魚頭は家の周りを回るように逃げ始めた。
その後を追う律。

「ギョギョギョギョギョ」

もうまもなく律がいたところまで来て、一周目のラップタイムが表示されようかと言う時だった。

520: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:06:08.03 ID:QaUct9MlO
「ギョーーーー」ズコー

律「引っかかったな!!! 足元を見ないからこうなるんだよ!!」

律はただ帯を紐代わりにしてそこらへんにあった鉄の棒と床下が見えるようになっている場所にある金網のようなものを結びつけ、
鉄の棒を紐がピンと張るまで引っ張り、そして地面に差し込んでいた。
その紐に引っかかり魚頭は激しく転倒したというわけだ!

律「うらー観念しろ魚頭!」

524: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:13:42.43 ID:QaUct9MlO
「ギョ…………」

観念したのか身を固めるようにして死を待つ魚頭。

律「全部終わったら……楽にしてやるから」

わたしは知っている。こいつらが見てる風景はあの光る世界だってことを。そして多分私達はあっちから見たら化け物だろうってことも。屍人も私達も多分一緒なんだ。

それでも、行かなきゃ。

ぐちゃっ……ゴスッ…………べちゃっ…………。

律「これでここら一帯の屍人はくたばったはず」

澪達も来やすくなるだろう。

律「先に行ってるよ……」

次こそこの世界を終わらせる為に。

529: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:20:12.55 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村
第三日
AM1:30:00

秋山澪

終了条件1 屍人の巣への到着
────────────

澪「暗いよ~……怖いよ~……冷たいよ~……」

行かなきゃいけないのはわかってるよ…。けど怖いものは怖いんだ!

ガサガサ

澪「ひっ」

澪「……なんだ風か…」

昔からこれだけは治らないんだよな…。何でだろ…。

澪「暗いよ~……怖いよ~……」

こんな調子じゃいつ着けるか……。

澪「……そうだ! こんな時は詞を声に出しながら進もう!」

澪「…………」

澪「…………よし!」

533: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:29:19.98 ID:QaUct9MlO
澪「雨、風、暗闇」

澪「一緒に見るとちょっと怖いけど、別々に思えばパーティータイム」

澪「雨が私の心を叩いて刻んでくれるよハニービート」

澪「風がビュービュー後ろから吹き付ける。恥ずかしがり屋の私を舞台の表に押し出してくれようとするハリケーンラヴ」

澪「暗闇さんが私を目立たせてくれるためにライトダウン……」

澪「さあ、今日は私ためだけのパーティータイム」

澪「…………」

澪「詞と言うかポエムかな……これ」

気づけば後もう少しでゴールだ。後ちょっとだけ頑張ろう。

538: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:37:31.02 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村
第三日
AM1:45:00

琴吹 紬

終了条件1 屍人の巣への到着

────────────

紬「雨まで降ってくるなんて……」

どんどん絶望の色が濃くなっている気がする。心なしか空に穿たれた四つの光も次第に弱くなってきてるように見える。

紬「間に合うのかしら……私達」

そして……

紬「今度こそ堕辰子を倒す」

もう何年前か忘れたけれど、必ず……。

歩き出して数十分、ようやく屍人の巣へ到着した。
どうやら私が最後だったみたい。

542: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:44:30.86 ID:QaUct9MlO
律「遅いぞ二人とも。待ちくたびれたよ。あの魚頭復活が遅いから良かったものの」

澪「」

紬「りっちゃん駄目よ。澪ちゃんが気絶するようなこと言っちゃ」

律「いい加減慣れろよ~」

澪「慣れるか!!!」ポカッ

律「っ~! 怪力澪屍人が出たぞ~」

澪「誰か怪力屍人だ!!!」

律「ムギ~助けて~っ!」

紬「……」

律「ムギ?」

澪「どうしたんだよムギ」

紬「ごめんなさい……ほんとぉに……ごめんなさい……りっちゃん…………」

律「……」

澪「……」

全員いくつか思い当たる節があるのだろう。重苦しい沈黙が流れる。

546: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:52:12.02 ID:QaUct9MlO
律「長かったよなぁ」

律がポツりと呟く、

澪「あぁ、長かった」

紬「……」

律「最初にここへ来たときはまさかこんなことになるなんて思わなかったよな」

澪「あぁ……」

紬「でも……それは……」

律「そう。私達じゃない。前ここへ来たのは27年前の私達」

澪「律が村を探検しようって言い出して巻き込まれたんだよな」

律「唯とムギだってノリノリだったろ! わたし一人だけのせいじゃないしっ!」

澪「まあ止めなかった私にも責任はあるしな」

紬「…………」

律「ここまで来たのは、みんなの選択なんだ。ムギ」

澪「そう。間違ったからって決して戻れない。私達が選んだんだ。その責任はみんなにある。だからムギ一人が悪いんじゃない」

548: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 02:58:12.13 ID:QaUct9MlO
律「だからみんなでまたやり直そう」

澪「次が絶望でも……その次はどうかわからないしな」

紬「みんな……」

澪「行こう、ムギ。唯が待ってる」

律「行こうぜ! ムギ! 唯のところに!」

紬「うん……うんっ……」

どうあがいても絶望だとしても、みんなと一緒なら……きっと。


終了条件1 達成

549: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:05:56.79 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村
第三日
AM00:00:01

真鍋 和
鈴木 純

────────────

純「っと」

和「……ここが羽生蛇村」

純「はい。多分今はみんなもここにいると思います。全ての元凶を絶つために……」

和「もしかして異聞に書いていた宇宙人みたいなやつのことかしら?」

純「堕辰子ですよ先輩」

和「ある日宇宙人が降ってきて……なんて信じろって方が無茶よね」

純「どこの三文SFだよって話ですよね」

和「そんなことより話してもらうわよ。洗いざらいね」

純「……まだそれぐらいの時間はあるかな。わかりました。話します」

純「わたしは梓が大好きなんです」

555: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:11:23.37 ID:QaUct9MlO
和「……」

純「……」

和「真面目に答えなさい」

純「大真面目ですよ!!!」

和「はあ……。じゃあそうなった理由を話して。詳しくね」

純「はい。実は私も異界に巻き込まれてたんです」

和「桜ヶ丘で起きたやつのこと?」

純「はい。そこで梓と会って私達は最後まで足掻きに足掻きました……」

和「それで?」

純「愛が芽生えたのです!」

和「怒るわよ」

純「ごめんなさいごめんなさい」

557: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:12:25.86 ID:QaUct9MlO
>>554
夜中に笑わすなwwwwwwwwwwww

559: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:22:19.64 ID:QaUct9MlO
純「梓が助けてくれたんです。最後に」

和「梓が?」

純「私はどうなってもいいから純だけは生きてって……そう聞こえました」

和「……」

純「それで気づいたら私は普通の桜ヶ丘の街に一人で佇んでた……って感じです。わたしにもよくわかんないんですけどね」

和「そう……ニュースでやってた一人だけの生存者ってあなたのことだったのね」

純「はい…。療養とかマスコミ対策だとかで表面はいいフリしてたけどそりゃあ酷いことされましたよ。まるでマウスですねマウス」

あはは、と健気に笑う彼女…その奥に一体どれだけ辛い思いをしたのだろうか。私何かには想像出来ないだろう…。

562: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:31:16.96 ID:QaUct9MlO
純「だから次は……わたしが梓を助けに来たんです」

和「でも……せっかく梓が助けてくれたのに、良かったの? まあ今更だけど」

純「梓と一緒に助からないと意味がないんです。約1ヶ月……あっちで過ごした日々はこっちで梓と過ごした数時間より何倍も何倍も何倍も苦しくてつまらなくて……!」

純「いっそのこと死んでやろうとも思ったけど……梓にもらった命だからぁ……」

和「それで異聞を思い出してあそこに来たってわけね。大体わかったわ」

モップみたいなごわごわな頭を優しく撫でる。これはこれで心地いいかも。

純「和先輩って優しいんですね…。もっと生徒会生徒会してると思ってました」

和「何よ生徒会生徒会って」

570: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:45:05.94 ID:QaUct9MlO
純「私、生徒会室行くから邪魔しないでね、みたいな?」

和「ふふ、なによそれ。そんなに好きじゃないわよ生徒会室。寧ろいつだって唯達と話してたかったわ」

純「話せば良かったじゃないですか!」

和「それじゃ周りに示しがつかないでしょ? だから敢えて私、生徒会室行くねって行って自らに鞭を打ってたのよ。ちゃんとしろって」

純「生徒会長って大変なんですね…」

和「楽しいこともあるけどね」

純「それじゃ~それはまたの機会に聞かせてください」

和「…行くの?」

純「はい。梓がどこへいるかわからないし。視界ジャックも使えないから骨が折れそうだな~」

577: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 03:52:08.26 ID:QaUct9MlO
和「視界ジャック…?」

純「多分先輩も使えないと思いますから気にしなくていいですよ」

和「ああ、この目を閉じたら相手の視界が見えるやつかしら?」

純「嘘っ!? なんで!?」

和「?」

純「和先輩どこか怪我とかしたりしてないですよね…?」

和「してない…みたいだけど」

純「生徒会長恐るべしっ……」

和「?」

純「私も一応出来損ないだけど八尾の血筋なんだけどな…」

和「さっきから一人で納得しないでよ。異聞にまだ全部目を通してないんだから」

純「き、気にしないでください」

和「はあ…。まあいいわ」

584: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:05:32.89 ID:QaUct9MlO
純「それじゃあ今度こそそろそろいきますね」

和「私も唯のところへ行くわ。どこにいるかわからないけどね」

純「多分屍人の巣の中枢だと思います。行ってあげてください。そこにきっと憂もいます…」

その屍人の巣って言うのが既にわからないんだけどね…これ以上引き留めたら悪いわね。

和「わかったわ」

純「わたしも梓を助けたらすぐそっちに行きますから! また会いましょう和先輩!」

和「ええ、必ず」

走り去る純を見送り、屍人の巣へ目指し歩き出す。

和「待っててね、唯」

和「……こっちであってるのかしら」

596: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:16:06.00 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村 屍人の巣 中枢
第三日
AM3:00:00

平沢唯

────────────

……また、ここか。
もうどこが本当の世界で、どこが戻るべき場所なのかさえ忘れてしまった。

唯「どんなに悲しくても涙も出ない…」

私はまた起きて、この宇理炎と共に屍人を狩り続けるのだろう。

唯「死にたくても死ねない。帰りたくても帰れない。誰も…いない」

絶望。

まさにその二文字が相応しい。

唯「……堕辰子倒せば終わる……」

でも、それは二重の意味で出来なかった。
一つは今のままじゃ勝ても負けれもしないってこと。
一つは堕辰子を殺せば……。
その分身である憂が消えてしまうってこと…。

唯「憂、いるんでしょ? 出てきなよ」

600: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:24:46.82 ID:QaUct9MlO
憂「やっぱり気づいてたんだね……」

唯「ここへ来て二つの記憶が一つになった今、全部わかったんだ」

憂「……」

唯「答え合わせをしようか、憂」

唯「…現代時間で言えば27年前、私達は羽生蛇村の人間だった。私達4人は肝試しに出かけたところで異界に呑み込まれる。ここまで合ってる?」

憂「うん……」

唯「そして私達はここまで何とかたどり着いた……宇理炎を手にして」

唯の左手の青白い炎が輝く。

唯「四人で堕辰子に挑んだ……けど…私達は敗北した」

憂「……」

唯「一回打てば命を失う宇理炎を3回分、当てても敵わなかった……りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃんがいなくなり……怖くなった私は堕辰子に祈った。やり直させてくださいと……」

601: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:30:23.44 ID:QaUct9MlO
唯「そうしてやり直した世界が……あの世界なんだね」

憂「うん……。私はそれを管理するために堕辰子から産まれた分身…」

唯「妹って役割で入り込んで来たんだ。通りで憂に話しかけられるだけで心が安らぐと思った…。脱け殻のみんなを見る度に違うと思った……! そんな造られた世界を本当の世界だとずっと思ってた!!!」

憂「お姉ちゃん……」

唯「……答え合わせを続けよう、憂」

憂「…………お姉ちゃんがそれを望むなら」

603: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:38:08.18 ID:QaUct9MlO
唯「今私が不死身なのは憂のせい?」

憂「せい……だなんて言わないで欲しい」

唯「……じゃあ言い方を変えるよ。憂のおかげ?」

憂「うん……。部室で屍人化しそうなお姉ちゃんの血を抜き取って……私の血を…」

唯「私は他の三人と違って生身だったってわけだ」

憂「……うん。律さんや澪さん、紬さんは宇理炎で体を焼かれてしまったから……どうしようも出来なくて……」

唯「違和感を与えないように脱け殻を設置したってわけだ……」

憂「……」

唯「それで? いつまで続けるつもりなの? こんな終わらない世界をいつまであなたは繰り返すつもりなの?」

憂「私は……ただ……お姉ちゃんに生きて欲しかっただけなの」

605: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:47:03.42 ID:QaUct9MlO
唯「私だってそうだよ……! ただみんなと普通に暮らしたかった! 憂とだって……」

憂「でも……もう知っちゃったよ? お姉ちゃんは全て……それでも……また……やり直したい?」

唯「……私は……」


「おいおい、聞いてたら勝手に人を脱け殻だの何だの……言いたい放題だな、唯」

「いつからそんな口達者になったんだ? 唯」

「唯ちゃんはそんな辛そうな顔して周りに心配かけたりしない子でしょ~」


唯「みんな……」

憂「……」

律「よっ、久しぶり。唯も憂ちゃんも」

澪「それにしてもここ不気味だよな……」ガクブル

紬「じゃあとりあえずお茶にしましょうか!」

律「ムギー。さすがにそれは無理があるぞー」

609: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 04:59:56.52 ID:QaUct9MlO
唯「……」


澪「唯。私達のことが偽物だとか本物だとか……そんなことは大したことじゃないだろう?」

唯「澪ちゃん……」

律「澪の言う通りだぜ。それともなんだ!? 偽物だからってじゃあもう遊ぶのやーめたか?! そんなのわたしは寂しいぞ唯っ!」

紬「どこの世界だろうと、私達が友達っていう事実は変わらないわ。だからこうしてまた私達はここにいる」


唯「……でも……」

「全く……視界ジャックがなかったら死んでたわよほんとにもう」

唯「!?」

和「唯が勝手に否定するのは構わないけど、私の記憶にはちゃんと幼なじみの唯がいるんだから。それまで奪わないでよね」

唯「和ちゃん……!?」

612: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 05:12:02.32 ID:QaUct9MlO
和「私は何がどうなってるのかとか全くわからないけどね……。ただ唯やみんなが心配だからここまで来たの。それ以上もそれ以下もないわ!」

唯「……」

憂「ありがとう、和ちゃん。来てくれて」

和「憂。無事で良かったわ。なんだかよくわかんないけど喧嘩は駄目よ?」

憂「うんっ」

唯「……じゃあ今までのこと全部忘れて……また繰り返せって言うの? もうやだよ……わたしには……」


───────────

616: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 05:24:29.82 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村
第三日
AM1:00:00

鈴木 純

終了条件1 梓に自分の血を飲ませる

──────────
純「あ~ずさ~」

純「あずさ~」

純「梓二号~」

純「あずにゃ~ん」

純「駄目か」

一時間色々な呼び名で叫んでみるも反応なし、か。

純「半屍人は生前の記憶に反応するらしいけど……もう屍人になっちゃったかな……梓」

純「ううん諦めたら終わりだよっ! ここで取り出したりはわたし愛用のベース!」

純「これを楽しそうに引けば梓も寄って来るかもしれない!」

純「~♪」ベンベンベベン

純「……アンプないから寂しい」

620: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 05:34:23.35 ID:QaUct9MlO
バサバサバサ……

純「はあ……」ベンベンベベン~♪

バサバサバサ……

純「梓~」ベベンベベン♪

「シャアアアアアア」

純「うわっ!」

上から急に何かに掴み上げられ、わたしの体は宙へ浮いた。

純「な、なにっ! 屍人!?」

羽根梓屍人「シャアアアアアア……」

威嚇する猫のような声を出しながらわたしをどこかへ連れていこうとする屍人。

純「ってよく見たら梓じゃん!!! わたし! ほら! 純だよ!?」

羽根梓屍人「」バサバサバサ

純「聞いてないしっ! クソ~こうなったら!」

1 暴れてやる!
2 梓の口に無理矢理手を突っ込んで噛ませて血を飲ませてやる!

>>623

628: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 05:46:21.39 ID:QaUct9MlO
純「とりゃっ!!!」

羽根梓屍人「ンン!?」

純「ほら噛みなっ! そして純度100%の血を飲むんだよ!」

羽根梓屍人「ンン……ンンッ!」

純「っつ……そう……それでいいよ…。わたしは屍人にもならない体らしいから心配しないで」

羽根梓屍人「ンン……ンン……」

純「ありがとう、梓。わたしのことをあんなに思ってくれて。それがきっと神様に届いたからわたしはここを出れたんだよ」

羽根梓屍人「んん……ん……」

純「でもね……やっぱり駄目だった。梓がいなきゃ生きててもつまんなかった。だから今度はわたしが神様に願うよ」

神様、いるのならどうか梓を元の姿に戻してあげてください……!

純「届いて……っ」

633: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 05:55:07.93 ID:QaUct9MlO
ゆっくりと失速して行く二人。やがて木にぶつかると、長い遊飛行は終わりを告げた。

梓「……」

純「あ、梓……元に」

梓「殺す気か!」

ペシーン

純「あいたっ! ここは感動の再会の場面でしょうが! それを平手打ちってあんたね!」

梓「うるさいうるさいっ! せっかく出られたのに戻って来たりして! 私のことなんてほっとけば良かったのに!」

純「それが出来なかったから今ここにいるんだよ、梓」

梓「……う、…うん…」

純「奥さん見ました? これが噂のツンデレ」

梓「デレてないから」

純「相変わらず厳しいな~梓は」

639: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 06:04:31.81 ID:QaUct9MlO
梓「純……ありがと」

純「ん」

学校の中みたいなやりとりをした後、二人は光を遮る為に造られた屍人の巣に目を向ける。

純「行こう、梓。先輩達の助けになりにさ」

梓「うん。みんなで帰ろう。私達の場所に」


終了条件達成

665: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:13:56.70 ID:QaUct9MlO
────────────

先程和達が来た道からまた二人の人影が現れる。

梓「唯先輩は楽しくなかったんですか? みんなで過ごした日々が」

唯「あずにゃん…」

嘗て誰よりも可愛がっていた後輩の登場に複雑な笑みを浮かべる唯。

純「間に合った~…。おいてけぼり食らわなくて良かったぁ…」

ヘナヘナとその場に崩れ落ち、これで一安心とばかりに安堵の表情を浮かべる純。

和「良かったわね、純」

元気そうな梓を見て、和がそう告げた。

純「はい。和先輩も無事で何よりです」

667: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:16:26.58 ID:QaUct9MlO
唯「楽しかった…。毎日がいつもキラキラ輝いてて…」

それに同調するように律も続ける。

律「だから私達はこの異界に落ちても…何回絶望しても、戻ろうとした」

ゆっくりと律の隣まで歩いて来た澪も、

澪「軽音部で過ごした三年間は私の宝物だよ」

後ろから律と澪に飛びついた紬も、

紬「それにまだ最後の学園祭も残ってるわよ唯ちゃん」

その後ろから来た和、純、梓もその列に加わる。

和「私は唯に笑っていて欲しいの。軽音部にいた時の唯みたいに」

梓「帰って練習しましょう。学園祭に向けて」

668: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:17:27.35 ID:QaUct9MlO
純「わ、私も軽音部入りますから!」

授業参観で親御さんが見てる中、真っ先に手を挙げる子のような挙手を見せる。

「だから……」

全員の言葉だった。

「一緒に帰ろう」

唯「んっ……そうだよね……」

この世界に来た私達がどうして諦めなかったのか。それは帰る場所がわかっていたからだ。それは羽生蛇村じゃない、桜ヶ丘高校、そして軽音部……。

それが本当に堕辰子が造り出したものだとしても、ううん、もしそうなら逆に感謝しなきゃ。あんな楽しい世界をありがとうって。

だから……

669: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:18:19.07 ID:QaUct9MlO
唯「憂、帰ろう。私達の場所に」

手を伸ばす。

憂「私も……いてもいいの? みんなと一緒に……? 私……堕辰子だよ…? 人間じゃないんだよ……?」

声を震わせながら問う憂に、優しくこう告げた。

唯「憂はわたしの妹だよっ! たった一人の大切な妹」

憂「お姉ちゃん……って……呼んでもいいの?」

唯「当たり前でしょっ」フンスッ!

憂「う……うっ……ありがとう……」

両手で目頭を抑え泣く憂。

憂「お姉ちゃ……」

憂「ア」

憂の体が激しく震える。

唯「憂……?」

憂「アア……逃げて……お姉ちゃん…」

憂「クル…………堕辰子が」

672: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:27:37.60 ID:QaUct9MlO
憂の後ろに出来た暗闇から何かが出てくる。それは本当に生物なのかもわからない奇怪な姿をしていた。

背中に木の枝のような羽根を持ち

下腹部は蜂の様に膨れ

その上から人が伸びている。

しかし人のような顔ではなく、尖っており、狐のようだった。


唯「これが……堕辰子」

何もない一面の野原。その上に広がる暗闇の中、堕辰子は降臨した。

堕辰子「人間ノ真似ヲサセ過ギタヨウダナ。余計ナ事ヲ。所詮お前ハ私カラ産マレタ分身デシカ過ギナイト言ウノニ」

憂「アア……アア……ダメ……消さないで……」

堕辰子「私ノ血肉ニ還リナサイ」

憂「アアアアアアアアア……あああああああああああっ!」

唯「憂っ!!!」

675: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:37:25.17 ID:QaUct9MlO
憂「お姉……ちゃん…」

唯「憂いいいいいっ!!!」

伸ばした手は虚しく空を切り、さっきまで憂がいた場所にはもう何もない。

唯「憂……」

堕辰子「又性懲リモナクソレデ私ヲ焼クカ? 結果ハ見エテイルダロウ」

唯「憂を返して……!」

宇理炎を突き出し、堕辰子にそう要求する。返さないのなら……!

堕辰子「無駄ナ事ヲ。モウ次ハ無イ。お前ノ仲間達ノ様ニインフェルノニ閉ジ込メテヤロウ」

唯「次こそみんなで一緒に帰るんだ!!! 憂も一緒に!!!」

その言葉がきっかけとなり、後ろのみんなもそれぞれの武器を構える。

680: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:45:25.24 ID:QaUct9MlO
堕辰子とにらみ合う。どっちから仕掛けるか、その均衡がまだ場を支配していた。
しかし、その均衡を崩したのは思わぬ人だった。

「あんたは神なんかじゃないわっ! ただの薄汚い虫よ!!! 消え去りなさい!!!」

その声の持ち主が投げたものが破裂する。それはこの暗闇を一瞬だけだが光に変え、辺りを包み込んだ。

堕辰子「オオオオオオ体ガ焼ウウウウウウ」

次に見た光景は堕辰子から白い煙が挙がり、苦しんでいる様子だった。

唯「あっ……!」

左手に持っていた宇理炎の感触がなくなる。

さわ子「悪いわね、唯ちゃん。この役目だけは譲れないわ」

ポン、ポン、と右手で宇理炎を宙に上げたりキャッチしたりを繰り返しながらさわ子が告げた。

683: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 13:53:59.23 ID:QaUct9MlO
唯「さわちゃん……どうしてここに」

さわ子「どうして? 面白いこと言うわね唯ちゃん。こうなった全ての元凶は私とも言えるのよ」

唯「どういうこと……?」

和「やっぱりそうなのね…。でなきゃ桜ヶ丘が異界に飲み込まれたりしないもの…」

純「分家になった八尾の血筋でも探し当てて儀式を行なったんですか…!」

さわ子「その通りよ。当然そんな薄い血じゃ儀式は失敗するのはわかってたけどね。ただ異界が発生すれば堕辰子も出てくる…そう踏んだのよ。そしてそれは見事に当たった」

純「一体何のために!?」

さわ子「何のために? 全てのためよ!!! 私と云う存在理由が堕辰子を許せないの!!! 27年前のあの日、村を消し去ったその時から私の復讐は始まってた! まだ赤子ながらに覚えてるわ!!! あの忌まわしきサイレンの音を!!!」

686: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:03:00.35 ID:QaUct9MlO
そうか……あの時最後まで生き残ったのはさわちゃんだけだったのか…。

さわ子「だからいくら唯ちゃん達がこいつを許せないとしてもこの役目だけは譲れない!!! さあ宇理炎!!! こいつを焼き殺しなさいっ!!!」

宇理炎が青白く発光し始める。

唯「さわちゃんダメッ!!!!」

制止の言葉も虚しく堕辰子が青い炎に包まれる。

堕辰子「ウオオオオオオオオオオオオオ」

苦しむ堕辰子、だが、

さわ子「消えない…どうして……」

逆にさわ子の体に青白い火がつき、存在を燃やして行く。

唯「宇理炎だけじゃあいつは倒せないんだよ……さわちゃん……」

さわ子「そんな……それじゃあ私がしてきたことって……いった」

いったい、の最後の文字を言うことも出来ず燃やし尽くされたさわ子をただどうすることも出来ず見ているしかなかった。

695: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:13:37.46 ID:QaUct9MlO
堕辰子「人間ト云ウノハバカナ生キ物ダナ。自分ノ存在ヲ消シテマデ物事ヲ成ソウトスルトハ」

炎が収まった堕辰子がそう言う。

律「あんたにはずっとわからないよ。さわちゃんの気持ちも、私達の気持ちも」

澪「もし私がさわ子先生の立場なら……もしかしたら同じ過ちを犯していたかもしれない」

紬「確かに桜ヶ丘を異界に飲み込ませたのはさわ子先生のせいかもしれないけど……元を正せば全てがあなたに繋がるわ!」

堕辰子「器風情ガ。私ノ分身ガ創リアゲナケレバ存在サエ出来無カッタト云ウニ」

律「関係ないねそんなこと。わたしはわたしの意思で生きてんだから。それに良かったよ、私達を造ったのがお前じゃなくて憂ちゃんで」

698: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:26:29.34 ID:QaUct9MlO
堕辰子「同ジ事。憂ハ私デアリオ前達ノ言ウ堕辰子デモアル」

梓「あなたみたいなのと憂を一緒にしないで!」

純「そうだよっ! 憂は料理も得意で掃除も得意で勉強も出来るんだから! あんたなんかよりよっぽど凄いよっ!」

梓「そういう意味じゃないんだけど……」

堕辰子「……」

和「憂は返してもらうわよ。私の可愛い妹でもあるんだから」

唯「憂はわたしの妹だよ和ちゃんっ!」

和「私のでもあるってことよ」

堕辰子「ナラ私ノ存在ヲ消スカ、人間ヨ」

唯「あなたから憂を引っ張りだした後、ね!」

堕辰子「ナラバコノ先、インフェルノデ待ツ。今度コソオ前達ヲ消シ、二度ト我ノ前二現レヌ様二シテヤロウ」

そう言い残すと黒い空間の歪みを残したまま堕辰子はどこかへ消えていく。多分、いんふぇるのへ向かったのだろう。

701: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:37:37.87 ID:QaUct9MlO
唯「みんな、この先は一つの光も届かない世界……多分堕辰子を倒すまで出られない。覚悟はいい?」

律「ここまで来たら後は行くだけだ。今更後戻りなんてしないよ」

澪「ああ。終わらそう、この絶望を」

紬「堕辰子が来てから始まり…変わってしまったこの世界を元に戻しましょう」

純「でも憂は助けないとね!」

和「ええ、勿論」

梓「どうやって助けるんですか?」

純「わたしが梓を助けたみたいに純度100%の血を堕辰子に…!」

梓「多分無理だと思うよ…。そもそも口とかなかったような」

純「!? じゃあ一体どうやって喋っていたのか…謎だ」

うん、みんな大丈夫そう。これならきっと帰れるよ。また、あそこに。いつかきっと。

唯「じゃあいこう! いんふぇるのへ!」

703: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:51:09.58 ID:QaUct9MlO
いんふぇるの
第三日
AM3:33:33

平沢唯

終了条件1 U&Iを歌い憂を取り戻す

終了条件2 堕辰子を倒す

────────────

ついた先はまるで幻想のような世界だった。
上下に赤、黄、白の花のような模様が蠢き、万華鏡を覗いてるかのような気分になる。

唯「さわちゃん……」

さわ子の魂も宿った宇理炎を手に抱き、虚空に浮かんでいる堕辰子を視界に捉える。

これが最後の戦いだろう……後にも先にも。

唯「みんな……行くよ!!!」

705: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:54:14.61 ID:QaUct9MlO
律の装備を選択

1 エクスカリバット
2 エクスカリバール
3 ヒカキボルグ

>>707

707: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 14:56:09.86 ID:afEdbyF20
3

709: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:00:14.04 ID:QaUct9MlO
唯「りっちゃん、これを! 私には宇理炎があるから!」

律「おうよっ!」

魔剣とも恐れられた最強の武器の一つ、ヒカキボルグ。その流用さは武器だけに留まらず、灼熱をつついたりと云う荒業とて可能とする伝説の武器。

それが今、律の手に宿る!!!

律「よっしゃあっ!!!」

711: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:01:36.52 ID:QaUct9MlO
澪の装備を選択!

1 エクスカリバール
2 エクスカリバット
3 自分の詞

>>713

713: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:02:25.42 ID:afEdbyF20
1

715: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:06:03.48 ID:QaUct9MlO
澪「よし、私は自分の書いた詞で……」

律「澪……やめとけ」

澪「律がそういうなら……」

瞳を閉じ、念じる。

澪「こい……!」

その手に収まったのはエクスカリバール。カリバーンの原点とも言われるその武器の威力は深く刺さり込んだ釘さえも引き抜くっ……!

澪「よし、いくぞ!」

717: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:07:05.80 ID:QaUct9MlO
紬の武器を選択!

1 エクスカリバット
2 ネイルハンマー

>>718

719: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:08:18.67 ID:aBhpynr6O
2

723: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:11:54.39 ID:QaUct9MlO
紬「気づいたらこんなものが……」

ネイルハンマー、怪力のものにしか扱えないと言われる重槌。
このメンバーでは唯一彼女にしか扱えないであろう代物。

その一撃は本当に岩さえ砕くっ……!

紬「いくわよ!」

724: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:13:16.11 ID:QaUct9MlO
和の装備を選択!

1 エクスカリバット
2 山口組のドス

>>727

727: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:14:22.19 ID:PwjigtITO
1

730: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:17:42.01 ID:QaUct9MlO
和「来なさい……」

その手に来れりはエクスカリバット。木製バットに釘が無造作に打ち付けられており、持つと思わず……クソすぎだろ!!! と言いたくなるような代物。

和「…………」

言いたくなるような代物。

和「……言わないわよ」

733: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:20:26.90 ID:QaUct9MlO
梓の装備を選択!

1 猫の手
2 孫の手
3 猫耳カチューシャカッター

>>734

734: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:20:58.85 ID:aBhpynr6O
3

736: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:27:40.70 ID:QaUct9MlO
梓「よーし私も!」

梓「えいっ!」

猫耳カチューシャ

梓「…………」ポイッ

梓「もう一回!!! えいっ!」

猫耳カチューシャ

梓「…………」

純「……どんまい」


純の装備を選択!

1 モップ
2 モップ
3 モッ(ry


純「モップしか出ないようっ~!」

仕方なくモップを担ぐ純。髪の毛と御揃いで実に凛々しい。

ここに、また一人モッパーが生まれた!

739: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:31:05.88 ID:QaUct9MlO
唯「みんな!!! 堕辰子には宇理炎か宇理炎を纏った攻撃しか効かないから! 下がってて!」フンスッ!

律「えっ」
澪「えっ」
紬「えっ」
和「えっ」
梓「えっ」
純「えっ」

唯「ん?」

一同の心の声が聞こえるようだ。先に言えよ、と。

744: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:41:54.36 ID:QaUct9MlO
堕辰子「……来ナイノナラ此方カラ行クゾ」
その瞬間、堕辰子が消える。
この攻撃パターンは前と同じ……通じないよ!

静かに瞳を閉じると、

唯「視界ジャック!!!」

──【】──

私の後ろ姿が映し出される。

唯「後ろっ!!!」

何もない場所に宇理炎を翳す。すると消えていた筈の堕辰子が一気に青白い炎に巻き込まれる。

律「とりゃあああああああっ!」

その炎が残っている内に律がヒカキボルグで切り裂くと、斬撃が生まれ更に堕辰子に追撃をかけた。

堕辰子「ウオオオオオオオ」

そしてまた消える堕辰子。

律「ちっ、一回でダメになるか。もう使えないな……」

唯「りっちゃん!」

律「宇理炎を纏ってればいいんだろ? ならさっきみたいにやればいい。私達にも手伝わせろよ、唯」

745: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:48:33.17 ID:QaUct9MlO
澪「唯!!! 左だ!!!」

その声に反応してすぐさま宇理炎を翳す。

堕辰子「ノオオオオオッ」

紬「とやーーっ!」
澪「やあああっ!!!」

律と同じように炎が残っている内に二人同時の斬撃。

堕辰子「グウウウウウウ」

そしてまた堕辰子は消える。

澪「唯だけに背負わさしたりしないよ」

紬「みんなで戦いましょ♪」

唯「みんな……」

律「梓達もあっちで応援してくれてるしな」
──応援班
梓「フレーフレー唯先輩っ」

梓は猫耳カチューシャをつけながら、

純「頑張れ頑張れ唯先輩っ!」

純はモップをやんやと上げ下げしながらの応援だ。

748: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 15:54:54.83 ID:QaUct9MlO
和「唯! 上よ!」

唯「うんっ!!!」

上に宇理炎を翳し、堕辰子を炙り出す。

堕辰子「オオオオオオッ!!!! 何故ダ……何故ワカルウウウウウウ」

和「視界ジャックはね、あなたを倒すために用意された必然なのよ!!! はあああああっ!!!」

和のエクスカリバットが天空を裂く。

堕辰子「ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」

サイレンにも似た叫び声をあげる堕辰子。もう消えることも出来ずただ蠢いている。

和「唯! 憂を!!!」

唯「うんっ!」

憂、憂のこと思って考えた歌だよ。
受け取って……。

753: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:05:00.64 ID:QaUct9MlO
「キミがいないと何もできないよ
キミのごはんが食べたいよ
もしキミが帰ってきたらとびっきりの笑顔で抱きつくよ」

堕辰子「……」

「キミがいないと謝れないよ
キミの声が聞きたいよ
キミの笑顔が見れれば それだけでいいんだよ」

堕辰子「ヤメロオオオオオ」

「キミがそばにいるだけでいつも勇気もらってた
いつまででも一緒にいたい
この気持ちも伝えたいよ

晴れの日にも 雨の日も
キミはそばにいてくれた
目を閉じれば キミの笑顔 輝いてるっ!」

堕辰子「アアアアアアアアアアアアアアアア」


憂「お姉ちゃんああああああああああああああああんっ!!!」

756: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:10:32.32 ID:QaUct9MlO
そこにもう実体はないけれど、間違いなく憂はわたしの目の前にいる。

唯「憂……戻ってこれたんだね」

憂「お姉ちゃんの中にある私の血が私をお姉ちゃんに宿らせたの」

唯「そうなんだ…。憂……聞いてくれた?」

憂「聴こえたよ……! お姉ちゃんの歌!」

唯「憂。大好きだよ」

憂「うんっ……わたしも……わたしもっ!」

姿形はないけれど、私達はこの時確かに抱き合っていた。

終了条件1 達成

759: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:16:44.56 ID:QaUct9MlO
「ってぇ!!! なんだここ!!?」

後ろの方から聞こえる声にみんなが振り向いた。

紬「斎藤……どうして」

斎藤「よっ。最後にやり残したことがあってな。ほれ」

斎藤は懐から何かを取り出すと紬に向かって放り投げた。

紬「これは……宇理炎!」

唯「なんで二つもあるの!?」

斎藤「俺に聞くなよ。こっちはわかんないことばっかりなんだ。ただ必要かと思ってね」

紬「唯ちゃん、これ」

唯「うん……」

紬から宇理炎を受け取る。すると左右の宇理炎が中心で合わさり、太陽のような形となって赤々と燃えている。

761: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:20:31.18 ID:QaUct9MlO
それを手に取り、空に翳す。

宇理炎が二つ重なり、新たに生まれ変わった。

その名も、

唯「憂炎!!!!!!!!!!!!!!!!」

太陽のような眩しい様が、笑った時の憂と一緒だから。

767: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:26:51.27 ID:QaUct9MlO
和「唯、これもっ!」

和が唯にギターケースを渡す。

唯「ギー太ぁ! お帰りぃ~むちゅう~」

和「なに行ってるのよ。ギー太の方から迎えに来たんじゃない」

唯「そうでした」エヘヘ

唯「ギー太持って来てくれてありがとね、和ちゃん」

和「次から忘れないようにね」

眼鏡越しにウインクする和に笑顔で応え、ギターケースからギー太を出す。

唯「今こそ宿れ……四つの光!!!」

その瞬間、どこかから飛んできた四つの光がギー太に降り注ぐ。それは白いオーラのようになってギー太を纏った。

唯「行くよ!!! 焔薙ー太!!!」

左手に憂炎、右手に焔薙ー太。

もう、何が来ても負ける気がしないっ!!!

774: ※本人は至って真面目です 2010/10/17(日) 16:34:05.16 ID:QaUct9MlO
堕辰子「私ガ負ケル……?」

唯「あなたこそが元々ここに来るべき存在じゃなかった!!!! 還れ!!!」

憂炎を翳し、焼き尽くす。

堕辰子「ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ」

これが私達が聴く最後のサイレンになるだろう。

唯「いっけえええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!」

焔薙ー太を振りかぶり、憂炎を纏って堕辰子を切り裂く────

堕辰子「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

その声もやがて聞こえなくなり、堕辰子はその存在を消滅させた。

終了条件2 達成

780: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:40:49.09 ID:QaUct9MlO
ピキ、ピキ、

冬の水溜まりに張った氷が割れるような音が響く。

唯「空間が…」

その空間を作っていた主がいなくなった為、維持できなくなっているのだろう。

唯「憂! このままどこかに飛ばされても……消えたりしないよね!?」

憂「……」

憂は答えない。

唯「憂っ!!!」

憂「多分……消えちゃうと思う。私が今こうやって存在出来ているのはこの空間のおかげだから……」

律「そんな……」

澪「憂ちゃん…」

憂「でもね。私はいつだってお姉ちゃんと一緒にいるよ。いつだってそばにいるよ。いつだって、笑いかけてるから」

唯「憂……」

ピキ、ピキ、ピキキ

783: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:46:40.79 ID:QaUct9MlO
梓「憂……」

憂「ごめんね梓ちゃん。軽音部……入ってあげられなくて」

梓「ううん。大丈夫。純と一緒になんとかやってくから」

純「うん。梓の面倒は私に任せて!」

梓「逆でしょ!」

憂「うふふ」

梓「ありがとね、純を助けてくれて」

憂「えっ……」

梓「あの時純を外に出してくれたの憂だよね」

憂「……うん」

純「ってことは梓を治してくれたのも憂ってわけだ。 ありがとう、憂」

梓「私たちのこと……唯先輩の中から見守っててね」

憂「うん……っ!」

ピキ、ピキ、ビキ────

784: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:52:51.78 ID:QaUct9MlO
憂「こうして喋れるのも後少しか……残念」

唯「憂……」

憂「お姉ちゃんともっと色々なことしたかったな……」


斎藤「なら、すりゃあいい」

憂「えっ……」

斎藤は自分の心臓を親指でつつきながら言う。

斎藤「俺の命を使え。大丈夫だ。赤い水は入ってない。かすり傷一つないからな」

憂「でも……! そんなことしたらあなたが!!!」

斎藤「俺はいいんだ。もう帰る場所なんてない」

紬「斎藤……」


斎藤「さすがに飽きた……」

斎藤「この命も、紬もそうなった方が喜ぶだろうしな」

788: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 16:56:17.96 ID:QaUct9MlO
斎藤「終わらせて……いや、使ってやってくれ」

憂「でも……」

斎藤「迷ってる時間はないぞ!!! そんな荒業出来んのもこの中だけだろう!!! 早くやれっ!!!」

憂「っ……!」




次の瞬間ガラスが割れるような音がし、この世界は終焉を迎えた。

792: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:01:03.78 ID:QaUct9MlO
??? ???
???

平沢唯

───────────

真っ白な世界でわたしは、確かに感じ取っていた。
三人の存在を。

唯「ごめんね、待たせて」

───気づくのがおせーよ。全く唯はいっつもそうなんだから

唯「りっちゃん…」

───まあまあ。唯も色々大変だったんだ。許してあげよう。

唯「澪ちゃん…」


───斎藤の命、大事にしてって憂ちゃんに言っといてね。唯ちゃん。

唯「ムギちゃん……」

───私達を、よろしく

最後にそう聴こえた後、わたしの意識はそこから遠ざかった。

798: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:08:40.84 ID:QaUct9MlO
??? ???
???

平沢唯一同

───────────
唯「ん…あれ? ここは……」

見慣れぬ防波堤、そして広がる海。

律「んあ……はっ!!! 桜ヶ丘か!?」

次々とみんな起き出し、辺りを確認する。

澪「みたことない場所だな……」

紬「ええ。どこかの島みたい」

梓「あっ! 憂は!?」

憂「いるよ、梓ちゃん」

梓「憂~っ!」
純「無事だったんだね!」
憂「うん。斎藤さんがわたしに命をくれたの…」

唯「大事にしてねって、ムギちゃんから」
憂「……うん」
紬「?」

801: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:14:08.63 ID:QaUct9MlO
唯「それにしてもここどこだろ~」

律「澪~わかるか?」

澪「全然…」

紬「どこかの資料で見たことがあるんだけど…どこだったかしら」

唯「物知り和ちゃんならきっと!」

和「私も見たことないわね。ごめんなさい」

律「駄目か…」

唯「憂~、ワープとか……」

憂「出来ないよぉ。もう普通の人間なんだから」

唯「じゃあせめてタケコ○ター」

憂「出ないよっ!」

唯「だよね……」

純「まあ帰ることはとりあえず置いといて、泳ぎますかっ!!!」

唯「賛成っ!!!」

811: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:20:12.99 ID:QaUct9MlO
この先にまたどんな絶望が待っていようと、みんなとならきっと乗り越えられる。

どうあがいても絶望な世界なら、それに対抗しうる希望をぶつけてやればいい。

それでももし、また失敗したら……。

それでも何回も何回でも私達はやり直すだろう。


あの頃や、今を思い出して。


おしまい

834: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:32:10.15 ID:QaUct9MlO
色々ネタばらししていこうか

まず最初に、物語は繋がっていた。安価で全員生き残ってたらそのまま封印解除→和登場→羽生蛇村になってた。ちなみにこうなると純は外に出てない。
ちなみにこうならなかった要因は律の警察官とのバトルで視界ジャックを過信して撃たれて死んだとこ
律が死んだ時点で一貫ルートは消滅、屍人のEND確定。次の澪の終了条件がなかったのは、律があの後澪を迎えに行き、二人で海送りを見ることになってたから。

837: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:36:09.74 ID:QaUct9MlO
ちなみにスポーツコーナーで木のバットを選ぶとその後工具コーナーに行くイベントを予定してて序盤からエクスカリバットを入手出来てた。

梓が純に助けられたところで終了条件達成?となってたのは倒したのが純と言うことと生き残りルートが消えてる為につけてみた
後もう一個のやつも似た理由。

屍人END辺の安価の伏線はそんなもんかな?

840: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:41:57.62 ID:QaUct9MlO
封印辺は一人一つの封印を解くのが前提だった。序盤で紬、澪が死んでしまった為に律、唯が全部解きにいった。

赤い川に入った時3回以上長引かせると律が半屍人化して封印解除ならず→最後で焔薙ー太に光が宿らず全滅、ループBADENDってのも考えてた。

ちなみに喫茶SDKの店長は須田恭也
さすがにこれは気づかなかったかな?

パラレルワールド的な扱いなんで本当に実在してるかは不明

846: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:47:52.09 ID:QaUct9MlO
ジェノサイドENDはゲーム的に通らないと新エンドが見れない為もし4人とも生きていても発動してた。(その時は他のみんなが屍人を倒す描写が付け加えられてた)
ちなみに封印解除編で律が死んだのは紬が死んだから。紬が生きていると怪力屍人にならず二人は生還。澪は自力だけど神安価で生還しかけたけど詞を読んじゃったから死亡

ちなみに三人が屍人になったのに戻り、梓が戻らなかったのは
三人→憂、堕辰子が造り出したものだから
梓→現代の生きている人間だから何の要因もなしじゃ戻せない
だから梓だけが羽根屍人のままだった。

853: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 17:55:50.24 ID:QaUct9MlO
最後の羽生蛇村編の安価はあんまり物語とは関係なかった。
和の選択で桜ヶ丘に行く、ならその日中にヒントを得て純に心の傷が残らなかったってぐらいですかね。
元々斎藤の設定で異界の時間概念と外は違うって感じでやってたんで1ヶ月伸ばしてみました。すぐ桜ヶ丘に入れても違和感あるし。
電話をかけたのは憂、両方の世界の架け橋になって鳴らした。

まあ大体憂がやってくれましたよ。

861: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 18:11:28.26 ID:QaUct9MlO
唯達が視界ジャックが使えたのは羽生蛇村出身だから

唯には異界ジャック、紬には過去視、律にはNTの視界ジャックを持たせてみた。異界ジャックは異界から来たもの、宇理炎とか封印の場所とかがわかる能力って設定。ちなみに封印解除編で唯は死ない(既にSDK化してる為)

憂は唯達の世界を作ったって言ってたけど実際はそうじゃなくてただ異界から唯達を出した時間が27年後ってだけで桜ヶ丘は堕辰子が作ったものじゃなく実際に存在する世界。
つまり羽生蛇村の唯と桜ヶ丘の唯は別々の平行世界にいて異界を通して一緒になってしまったってわけですね。

863: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/17(日) 18:16:08.17 ID:QaUct9MlO
羽生蛇村の唯達が異界に飲み込まれる。

斎藤が後を追い紬を助けにいく。

唯達は負けて27年後の世界に飛ばされる

そこでまた異界に飲み込まれる

今回の騒動って思ってもらったら簡単かな


今更色々説明したところでどうなるって話でもないしここまでにしときましょう

これを見てけいおん、SIREN両方に興味を持ってくれたら嬉しい限りです!

あ~これあのSSにあったセリフだわwwwwwwとかたまに思い浮かべやってください

 

957: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:39:24.62 ID:vHM1SVVHO
唯「これで全部買えたかな」

手に下げた白いビニール袋にはスーパーで買った材料が顔を覗かせている。

寒い冬空、思い出すのはあの時のこと。


私達があの絶望から脱出してから、数ヶ月が経った。
学園祭をこなし、受験をこなし、後数ヶ月もすればわたしは晴れて大学生だ。

結局大学はみんな別々の場所に行くこととなった。大学に行っても仲間でいよう、そんなありきたりな言葉を言った気がする…。

960: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:47:02.73 ID:vHM1SVVHO
唯「あ……雪だ」

辛辣と降り注ぐ白く小さな塊。

唯「早く帰らないと……よいしょ、よいしょ……」

重たいビニール袋を一生懸命に抱え、帰路につく。

通いなれた道、それを通るのももう後何回だろうか。後学校へ行くのはもう卒業式ぐらいだろう。

唯「早く帰ってお鍋で暖まろう……」

961: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:50:32.49 ID:vHM1SVVHO
何かが足りなかった。
みんなも無事に戻って来れた。

学園祭も無事に終わり、受験も全員無事にクリアした。

何も悲しいことなんてない。あの絶望から生き延び、こんなにも幸せな毎日に舌鼓をうってもいい筈なのに……。

唯「うっ……う……」

涙が出た。

時々こうして堪らなく寂しい気持ちに襲われる。とてつもなく大事なものを置いてきた気がする。
わたしという存在がそれを忘れていたのだとしても……。

963: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:54:04.52 ID:vHM1SVVHO
ピンク色の長めのマフラーは虚しく垂れ下がっている。二人引っ付けば仲良く巻いていけそうな、それくらいの長さ。
でも、わたしにそんな相手はいない。

唯「いない……んだよね」

ようやく家にたどり着いたわたしは雪をはらって中に入った。

唯「ただいま……」

誰もいないのだからこんなものを言う必要もないのだけれど、何故か週間づいている。
鍋の材料を机に置くと、必要なものだけ取り出そうとした。

964: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:58:26.29 ID:vHM1SVVHO
唯「あれ……」

多い、明らかに一人分じゃなかった。

唯「ちょっと買いすぎちゃったかな……?」

余分な材料を冷蔵庫に押し込めると晩御飯の用意に取りかかる。

唯「作り方は……」

わからない。

唯「……」

なのにどうしてこんなものを二人分も買って来たんだろう。頭がどうかしてるとしか思えない。

唯「…………」

残りを黙って冷蔵庫につめた後、わたしはまた寒空の下に出ていった。

965: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 22:01:34.89 ID:vHM1SVVHO
唯「」もぐもぐ……

コンビニで買ってきたお弁当を適当に胃に流し込む。
特別美味しいとも思えない。ただ生きるためだけに食べている。

唯「……まただ……わたし……泣き虫だなぁ……」

リビングの床にお行儀よく体操座りしながら涙を堪える。

唯「っ……うあ……なんで……」

わからない。この悲しみがなんで生まれてくるのかもわからない。

966: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 22:05:07.58 ID:vHM1SVVHO
唯「……あれ?」

いぶかしげにカレンダーに近づいて見る。

今日は2月22日、そこに何故かあかぺんのはなまるが彩っていた。

わたしはそれを読み上げる、


唯「ういの……誕生日……?」

誰だろう。親戚にそんな子でもいただろうか。友達にもそんな名前は聞き覚えがない。

でも……何故か懐かしい。

憂という響きが……。

とても……暖かい

967: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 22:09:34.42 ID:vHM1SVVHO
唯「…………」

それでも、やっぱり何も思い出せない。

2月22日、わたしにとってはただの平日。

ビリッ─────

これが悲しくなる元凶だ、とでも思ったのかわたしはその2月のカレンダーを破り捨て、一足先に2月に移動させてやる。

唯「…………お風呂入ろ」

食べたコンビニの容器をゴミ箱に捨てると、わたしはまた一日を生きるための生活に戻って行った。