1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:06:27.32 ID:xBrmxCUf0

<prologue>


とあるマンションの一室。
ここはかつてある少女が使用していた部屋だ。
中央に置かれたベッド、その傍らには椅子、壁際には机、クローゼット、部屋の隅には鏡。
部屋の中にはほのかに漂う生活のにおい。

そこに、丁度机に向かうようにして一人の少女が立っていた。
黒い髪を背中まで伸ばし、その目はどこか物憂げで、しかし力強い目をした少女。
彼女の左手には一つの黄色い髪留めピンと一本の黒いリボン、右手には一枚の写真が握られていた。

コトッ

黒髪の少女はリボンとピンを重ねるように机の上に置いた。
そして右手で持った写真をゆっくり眺めた。
その写真には2人の少女が互いに寄り添うようにして笑顔で写っていた。

写真の左には長い髪を後ろで束ねてポニーテールにした赤い髪の少女。
目尻が少しつり上がっており、笑顔のこぼれた口元からは八重歯が覗いている。

その隣には髪を肩の少し上ぐらいまで伸ばしたショートボブの青髪の少女。
満面の笑みを浮かべながら赤髪の少女と腕を組んで写っている。

これはその2人の少女を中心とした、小さなひとつの物語。

引用元: 杏子「あぁ、生きてやるさ。私はさやかにそう誓ったんだ!」 



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:09:18.94 ID:xBrmxCUf0

さやか「……」パチッ

さやか「ん……」ムクリ

さやか「ふぁ~ぁ」ノビー

さやか「もう朝か……」

杏子「……」スー

さやか「!?」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:11:57.40 ID:xBrmxCUf0

さやか(な、何でこいつが隣で寝てんのよ!?)

杏子「……」クー

さやか(ここあたしの部屋だよね?えっ、まさか一緒に寝てたの?)

杏子「ん……」パチッ

さやか「ねぇ……」

杏子「……おっ、起きてたのかさやか」

さやか「起きてたのか、じゃないわよ。何であんたがここにいんのよ」

杏子「え?」

さやか「えっ?」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:14:09.13 ID:xBrmxCUf0

杏子「何言ってんだよ。いつものことじゃねーか」

さやか「はぁ?」

杏子「どーした?」

さやか「いつも?」

杏子「うん……そーだけど?」

さやか「いや……なんでもない」

杏子「そっか」ゴロン

さやか(……どういうこと?)

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:17:09.28 ID:xBrmxCUf0

さやか(いったん落ち着こう。えーっと……)キョロキョロ

さやか(うん、間違いなくあたしの部屋よね)

杏子「なーさやかー、どうしたんだよ」ゴロン

さやか「ううん、なんでもないの」

杏子「ふーん」

さやか「……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:20:24.82 ID:xBrmxCUf0

さやか(おかしい。杏子がいるなんておかしい)

さやか(泊まってたのかな?)

さやか(……聞いてみよっと)

さやか「そーいえば杏子が泊まりに来てたんだっけ?」

杏子「何言ってんだよ。一緒に暮らしてるじゃねーか」

さやか「そっかそっか…………って、はぁ!?」

杏子「あん?」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:23:16.21 ID:xBrmxCUf0

さやか(えぇぇええぇぇえええええ!?今なんて言ったこいつ!?)

さやか(暮らしてる?同居?冗談でしょ!?)

さやか(……そ、そうよ、冗談よね。何焦ってんだろあたし)

さやか「もー冗談はやめてよね」

杏子「いやほんとだって。ボケてんのか?」

さやか「」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:26:15.75 ID:xBrmxCUf0

さやか(おかしい!本格的におかしい!!)

さやか(いや、冗談よね。きっとそうよね。うん、そうだわ。からかってるのよ)

さやか(えーっと、昨日杏子が泊まりに……)

さやか(ん?昨日?昨日あたし何してたっけ……)

さやか(えっと……昨日は…………)

さやか(あれ……?)

さやか(思い出せない……?)

杏子「?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:28:48.09 ID:xBrmxCUf0

さやか(うー、ダメだ……何も思い出せない)

さやか「ねぇ杏子、昨日さ……」

杏子「それよりオメー学校は?」

さやか「えっ……い、今何時?」

杏子「ほい、時計」

さやか「やばっ!寝過ごしちゃった!」バッ

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:31:12.82 ID:xBrmxCUf0

さやか「急がないと!」アタフタ

杏子「まぁ落ち着けよ」ポリポリ

さやか「これが落ち着いてられっ……あんた何で制服着てんの?」

杏子「いやだって私も学校行くし」モグモグ

さやか「はぁ?」

杏子「だから、私も学校行くんだよ」ゴクン

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:34:18.20 ID:xBrmxCUf0

さやか「あんた学校なんか行ってないって……」

杏子「行ってるっての。この年で学校行かねーとかどんなだよ。私は不良か」

さやか「いやだって……」

杏子「いいからとっとと朝飯食って着替えろよ」

さやか「……あんた朝ごはんは?」

杏子「私はいつも朝はお菓子じゃん。マジでボケてんのか?」

さやか(いつもって……もうわけわかんない……)

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:36:45.94 ID:xBrmxCUf0

・・・

杏子「よしっ、準備OK。行こーぜ!」

さやか「うん……」

杏子「何だよ、元気ねーな」

さやか「え?ちょ、ちょっと寝不足なだけよ」

杏子「そっかー」アムアム

さやか(おかしい……何かおかしい)

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:39:18.48 ID:xBrmxCUf0

さやか(何がどうなってるのよ……)

さやか(杏子って学校なんか行ってなかったわよね……)

さやか(それになんかあたかも一緒に住んでるみたいな口ぶりするし……)

さやか(てゆーか暮らしてるとか言ってたような……まさか冗談じゃないの?)

さやか(……直接聞いてみよ)

さやか「杏子」

杏子「ん?」

さやか「あたしたちって一緒に住んでたっけ?」

杏子「え?」

さやか「えっ?」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:42:25.42 ID:xBrmxCUf0

さやか「あたし何か変なこと言った?」

杏子「いや、言ってない。言ってねーな、うん」

さやか「? で、どうなの?」

杏子「住んでるよ。当たり前だろ?今さら何言ってんだよ」

さやか「はっ?」

杏子「へ?」

さやか「いやそんなわけないでしょ」

杏子「いやそんなわけあるから」

さやか(どうなってるの……?)

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:45:25.53 ID:xBrmxCUf0

杏子「なーさやか、今日のオメー朝からなんか変だぞ?」

さやか「変?あたしが?」

杏子「うん。なんか私がいるのがダメみたいな話し方するし……」

さやか「そ、そんなんじゃなくてただあたしは……」

杏子「……」ジワッ

さやか「え、何で泣くの?あたしのせい?えっ?」アセッ

杏子「だって……今までずっと一緒に暮らしてたのに、今日になって突然…………」グスッ

さやか(やばい!どうにかしないと……)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:48:31.59 ID:xBrmxCUf0

さやか「な、なーんちゃって!」

杏子「え?」グシッ

さやか「さやかちゃんのドッキリ大作戦でした!」

杏子「……」ポカーン

さやか(は、外したかっ!?)

杏子「……何だよー騙されたじゃんかよー」チェー

さやか「へへっ」

さやか(セーフ…………何かよくわかんないけど、とりあえず向こうに合わせて様子を見てみるか)

杏子「……」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:51:30.93 ID:xBrmxCUf0

まどか「おーい!杏子ちゃーん、さやかちゃーん」フリフリ

さやか「まどか?」クルッ

杏子「おーす」

タッタッタ…

まどか「ごめんね、遅くなっちゃって」

杏子「別に走んなくてもよかったんだぜ?」

まどか「えへへ……」

さやか「ねぇ、まどか」

まどか「うん?」

さやか「いや……なんでもない」

まどか「……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:54:29.00 ID:xBrmxCUf0

杏子「早く行こーぜ、遅れちまうぞ?」

まどか「そうだね。行こっ、さやかちゃん」

さやか「ね、ねぇまどか。ひとついいかな?」

まどか「どうしたの?」

さやか「あたしたちっていつもこの3人でこうやって登校してたっけ?」

まどか「え?」

さやか「えっ?」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 10:57:44.21 ID:xBrmxCUf0

まどか「どういうこと?」

杏子「こいつ朝からこの調子なんだよ」

まどか「まさか……」

杏子「!」

さやか「まさか?」

杏子「おい……」

まどか「記憶喪失とか?」

さやか「へ?」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:00:22.36 ID:xBrmxCUf0

まどか「……」

さやか「……」

杏子「ぷっ……あっはっはっは!何だよそれ!」ケラケラ

まどか「なーんてね、冗談だよー」

さやか「……?」

杏子「ほら、ふふっ……早く行こうぜ」ハハッ

まどか「うん」

さやか(はぐらかされたような……)

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:03:22.74 ID:xBrmxCUf0

さやか「そういえばさ、仁美は?」

まどか「え?」
杏子 「え?」

さやか「な、何よ……」

杏子「ったく……オメー本当に記憶飛んでんのか?」

まどか「仁美ちゃんは朝に委員の仕事があるから、しばらく早めの登校になるって言ってたじゃん」

さやか「そ、そっかー。そうだったね」

杏子「ほらっ、急がねーとマジで遅刻だぞ」ダッ

まどか「ほんとだ!さやかちゃん、急いで」ギュッ

さやか「え、うん……」タッ

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:06:21.96 ID:xBrmxCUf0

学校



杏子「じゃーまどか、頼んだぞ」

まどか「うん、任せて。また後でねー」フリフリ

さやか「どこ行くの?」

杏子「くっ……私だけ違うクラスだからって…………」ギリギリ

まどか「あんまりいじめちゃかわいそうだよ!」

さやか(杏子は別のクラスなんだ……)

さやか「ご、ごめんごめん。杏子って反応が可愛いからいじりたくなっちゃうんだよねー」

杏子「なっ……///も、もう行くからなっ///」クルッ

まどか「もう、さやかちゃんてば……」クスッ

さやか(何とかなったみたいね……)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:09:29.30 ID:xBrmxCUf0

ガラッ

まどか「あ、おはようほむらちゃん!」

ほむら「おはよう」チラッ

さやか「えっ、あ、えと……おはよう?」

ほむら「……おはよう」


ガラッ

早乙女「さぁみなさん、席について!」

まどか「あわわっ」

さやか「……」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:12:24.45 ID:xBrmxCUf0

授業中



さやか(……とりあえず今の状況を整理してみよう)

さやか(あたしは杏子と同居している……らしい)

さやか(杏子も学校に通ってるけど、別のクラス)

さやか(まどかは……いつも通りか。仁美もいつも通りかな。そして転校生……)チラッ

ほむら「……」カリカリ

さやか(さっきは普通に挨拶したけど、そんな仲だっけ……)

さやか(何これ……全く別の世界に来たみたいな感じ………パラレルワールド、だっけ……?)

さやか(あぁっ、わかんない!……でも自分で何とかするしかないわよね)

さやか(んー、とりあえず今は様子見に徹しよう……)フム…



まどか「……」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:14:49.55 ID:xBrmxCUf0

屋上



杏子「涼しいなー」ポリポリ

杏子「うーん……」

杏子「さやか、あいつ大丈夫かな」

杏子「心配なってきた……」

杏子「まぁでも……鹿目まどかも暁美ほむらもいるし、大丈夫か」

杏子「……」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:17:21.04 ID:xBrmxCUf0

QB「やっぱりここかい?」

杏子「!?」

QB「驚かせてしまったかな」

杏子「キュゥべえか……」

QB「僕はお呼びじゃなかったかい?」

杏子「いや、そーゆーわけじゃねーけど」

QB「うん?」

杏子「で、何しに来たんだよ」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:20:54.13 ID:xBrmxCUf0

QB「最終確認、かな」

杏子「へぇ……」

QB「……続けるんだね?」

杏子「……」

QB「僕には君たち人間の考えてることなんてこれっぽっちもわからない」

杏子「……」

QB「でもこの状態がいつまでも続くなんて……」

杏子「わかってるよ!」

QB「わかってるならいいけどね」

杏子「……」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:23:18.87 ID:xBrmxCUf0

QB「それより、どうだい?念願の美樹さやかとの暮らしは」

杏子「念願のって………まぁ、悪くねーな」

QB「普通ってことかい?」

杏子「……幸せってことだよ。言わせんな恥ずかしい」

QB「ま、僕にとっては別にどうでもいいことだけどね」

杏子「おい……」

QB「わかってるよ。僕はしばらく傍観に徹すればいいんだろ?」

杏子「……わりーな」

QB「……全く、君たちは本当にわけがわからないな」シュタッ



杏子「これでいいんだ、これで」

杏子「……いいんだよな、きっと」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:26:39.90 ID:xBrmxCUf0

休み時間



さやか「あー疲れた」グデー

まどか「もーさやかちゃん、だらしないよ」

仁美「まどかさん?」

まどか「えっ、何かな?」

さやか「?」

仁美「あの、さっきから……」

まどか「ねぇ仁美ちゃん!」

仁美「何ですの?」

まどか「今日も習い事なの?」

仁美「えぇ、今日はお茶のお稽古ですわ」

さやか「へー。いつも大変だね」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:29:00.65 ID:xBrmxCUf0

まどか「辛くなったりしないの?」

さやか「確かに」

仁美「時々ありますけれど、やりがいもありましてよ?」

まどか「そっか……すごいね、仁美ちゃんは」

さやか「尊敬するわ」

仁美「ありがとうですわ……じゃあ私、ちょっとお花を摘みに行ってまいります」スタスタ

さやか「……」

まどか「……」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:32:42.02 ID:xBrmxCUf0

さやか「ねぇ、まどか」

まどか「な、何かな……」

ほむら「まどか」

まどか「!?」
さやか「!?」

まどか「何?ほむらちゃん」

ほむら「今日帰りうちに寄ってくれないかしら?」

さやか「?」

まどか「え……でも…………」チラッ

さやか「あーいいっていいって。行ってきなよ」

ほむら「ごめんなさいね、美樹さやか。今日はこの子を借りるわね」

さやか「まぁあたしの所有物じゃないし」

ほむら「そうね」クスッ

さやか(……?)

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:36:07.81 ID:xBrmxCUf0

ほむら「もうすぐ授業が始まるわね。また後で」スタスタ

さやか「……」

まどか「……」

さやか「ねぇ、まどか。あたしって転校生とこんなに仲良かったっけ?」

まどか「同じクラスだもん。当然だよ!」

さやか「……そっか。そうだよね」

まどか「そうだよ」

さやか(なるほどね……)

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:39:19.24 ID:xBrmxCUf0

授業中



さやか(……朝はスルーしたけど)

さやか(あたし、記憶喪失なのかな……)

さやか(何も覚えてないし、何も思い出せないし……)

さやか(なぜか同居しててしかも学校に通ってる杏子、とげとげしくない転校生)

さやか(まさか本当に別世界に………って、ないない。どこの電波少女よ)

さやか(大体、まどかは普通だし)

さやか(うーん………あたし、どこかで頭でも打ったのかな?)

さやか(まぁいいや。昼休みにでも聞いてみよ)

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:42:56.49 ID:xBrmxCUf0

屋上



杏子「あー眠い」ファーア

杏子「ん……そろそろ昼か」

杏子「昼飯買ってこなくちゃ。さやかの分も」

杏子「ちゃんと2人分の弁当作ろうと思ってたんだけどなー」

杏子「……」

杏子「……心配だ」

杏子「あいつら、うまくやってっかな……」

杏子「……」

杏子「……」シュタッ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:45:55.18 ID:xBrmxCUf0

昼休み



まどか「お昼だー!」

ほむら「お昼ね」

さやか「あ……」

まどか「どうしたの?」

さやか「急いでたから、お弁当忘れちゃった……」

まどか「えっ?いつも杏子ちゃんが用意してくれてるんじゃなかったっけ?」

さやか「え?」

まどか「?」

さやか(そうだったんだ……なるほどね)

さやか「あ、あー、そうだったね!あはは、ボーっとしてたよ!」

まどか「んもぅ、さやかちゃんってば」クスッ

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:48:23.09 ID:xBrmxCUf0

ほむら「じゃあ屋上へ行きましょう?」

さやか「屋上?」

まどか「だって杏子ちゃんが待ってるよ?」

さやか(……つまりこれは、お昼ごはんはいつも杏子が屋上で用意してくれてるって解釈でいいのかな)

まどか「?」

さやか「いやいやー、行かなかったらあいつどんな顔するかなってね」ニヤ

まどか「かわいそうだよー」クスクス

さやか(ふー……)

まどか「ほむらちゃんも、行こっ」

ほむら「えぇ」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:51:38.46 ID:xBrmxCUf0

屋上



まどか「いただきまーす」
杏子 「いっただっきまーす!」
ほむら「いただきます」
さやか「……いただきます」

さやか(この3人になら記憶がないこと打ち明けても大丈夫かな……)

さやか(まぁ、まどかと杏子は大丈夫だろうけど……)チラッ

ほむら「……」パクパク

さやか(まどかの話だと転校生とは仲が良いはずよね)

さやか(……どうしようかな)

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:54:29.16 ID:xBrmxCUf0

まどか「さやかちゃん元気ないね。体調悪いの?」

杏子「そ、そうなのかさやか?」アセッ

ほむら「ビオフェルミンならあるわよ?」スッ

さやか「だ、大丈夫だよ!へーきへーき」

さやか(でもこの3人なら、あるいは……)

まどか「ほんとに?」

さやか「……身体は大丈夫。だけど、ひとつ悩んでることがあるの」

まどか「!?」
杏子 「!?」
ほむら「!?」

さやか「……笑わないで聞いてね」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 11:58:21.05 ID:xBrmxCUf0

杏子「記憶が……ない…………!?」

まどか「うそ……」

ほむら「……」

さやか「うん。何か全然思い出せないんだ……」

杏子「そ、それマジかよ!?」

まどか「さやかちゃん……」

ほむら「……」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:01:54.01 ID:xBrmxCUf0

杏子「ってことは朝のアレは……」

さやか「うん、そういうこと」

まどか「そうだったんだ……」

ほむら「ふむ……」

さやか「……病院とか行った方がいいのかな」

まどか「!?」

杏子「行く必要なんかねぇ!」

さやか「え?」

杏子「あ、いや……その、ど、どこから覚えてねーんだよ?」

さやか「んーとね……」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:04:24.17 ID:xBrmxCUf0

ほむら「とりあえず、全部が全部失われたわけではないようね」

まどか「そうみたいだね。よかったぁ……」フラッ

さやか「ま、まどか!?」ガシッ

まどか「えへへ……安心したら気が抜けちゃった。ありがと、もう大丈夫だよ」

ほむら「まどか……」

まどか「ほんとに大丈夫。ありがとうほむらちゃん」

杏子「とにかく、私らのことは覚えてるみたいだな?」

さやか「そうみたい。でもあたしが杏子と同居してたなんて……」

杏子「覚えてないのかー」ガックリ

ほむら「……」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:07:53.90 ID:xBrmxCUf0

さやか「そ、そんなに落ち込まなくても……」

杏子「ショックだー!」ウガー

さやか「てゆーかあたし、転校生ともこんなに仲良かったっけ?」

ほむら「あら、心外ね」

さやか「あ、いや、そういうつもりじゃなくて……気を悪くしたなら謝るよ」

ほむら「冗談よ」フフッ

まどか「……」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:10:23.19 ID:xBrmxCUf0

杏子「まぁいいじゃねーか。日常生活に支障をきたすわけでもなさそーだし。病院行くほどのことでもねーよ」

さやか「うん……」

杏子「普段の生活は私が全面的にサポートすっから!その、い、一緒に住んでるわけだし……///」

さやか「杏子……」

まどか「そうだね。何か困ったことがあったらいつでも頼ってね!親友なんだから!」

さやか「まどか……」

ほむら「私もできる限りのことはするつもりよ」

さやか「転校生……」



さやか「みんな……ありがとう」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:13:43.79 ID:xBrmxCUf0

キーンコーンカーンコーン



まどか「あっ、予鈴だ!」

ほむら「そろそろ教室に行きましょう」

まどか「行こっ、さやかちゃん」

さやか「あ、うん……」

杏子「さやか!」

さやか「え、何?」

杏子「放課後迎えに行くから。一緒に帰ろうぜ」

さやか「……うん!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:16:26.08 ID:xBrmxCUf0

ほむら「佐倉杏子」

杏子「あん?」

ほむら「ちょっと」

さやか「?」

ほむら「まどか、美樹さやかと先に教室に行っててくれないかしら」

まどか「おっけー。行こっ、さやかちゃん!」ギュ

さやか「えっ、あ、うん……」

タタタタ…

ほむら「……」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:19:42.85 ID:xBrmxCUf0

廊下



さやか「何だったんだろう、杏子と転校生……」

まどか「気になるの?」

さやか「え、あ、いや、そういうんじゃなくてただ単に……」

まどか「へ~」ニヤニヤ

さやか「違うってもー、まどかぁ!」ウリャー

まどか「逃げろー」タタッ

さやか「待てー!」ダッ

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:22:23.37 ID:xBrmxCUf0

屋上



杏子「で、何だよ」

ほむら「あなた、このまま続ける気?」

杏子「…………あぁ」

ほむら「私はあの時反対したはずよ」

杏子「……そう、だったな」

ほむら「こんなこと、許されない」

杏子「わかってるよ……」

ほむら「わかってない。あなたは最愛の人を騙してるのよ?」

杏子「……」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:26:35.35 ID:xBrmxCUf0

ほむら「あなたの気持ちもわからなくもないわ。でも、やっぱりこれはやりすぎ……」

杏子「わかってるっつってんだろ!」バン

ほむら「……まぁ、いいわ。くれぐれも言っておくけど、私はまどかが」

杏子「それもわかってる。お前はただ鹿目まどかに協力してるだけだろ?」

ほむら「そう、私にとってはまどかが全てなの。まどかがやるって言うからわざわざ演技してるのよ?」

杏子「演技……か」

ほむら「慣れないことをするのは難しいわ」

杏子「……恩に着るよ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:33:28.45 ID:xBrmxCUf0

ほむら「私の言いたいことはそれぐらいよ。それじゃ」スタスタ

杏子「待てよ」

ほむら「何?」クルッ

杏子「……私にとってのさやかは、お前にとっての鹿目まどかみたいなもんなんだよ」

ほむら「……」

杏子「あいつがいないと……ダメなんだよ…………生きて……一緒に…………」ジワッ

ほむら「……知ってるわ。じゃないとここまでするはずないじゃない」

杏子「お前……」

ほむら「ふふ……」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:38:39.70 ID:xBrmxCUf0

ほむら「でもこれだけは覚えておいて。物事には必ず終わりが来る」

杏子「キュゥべえにも同じこと言われたよ」

ほむら「そう?悔しいけれど、これは真理なの」

杏子「……そう、だな」

ほむら「美樹さやかがもし記憶を取り戻したとしたら、その時は……」

杏子「その覚悟はできてる。そう言っただろ?」

ほむら「ならいいわ。あぁ、あと」

杏子「まだあんのかよ」




ほむら「あなた、学校に通ってるなんて嘘、よくしゃあしゃあと言えたわね」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:41:27.17 ID:xBrmxCUf0

杏子「しかたねーだろ。全部さやかのためだ」

ほむら「わかってるわよ。くれぐれもバレないようにね」

杏子「制服着て堂々としてりゃバレねーよ。それにずっと屋上いるから誰にも会わねーし」

ほむら「そう……ならいいわ。まどかに迷惑がかかるようなことにはならないようにしてね」

杏子「りょーかい」

ほむら「それじゃ」ファサッ


スタスタ


バタン


杏子「嘘、ねぇ……」

杏子「さやか……」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:45:32.24 ID:xBrmxCUf0

放課後


さやか「んー、やっと終わったー」ノビー

まどか「最後の授業難しかったね」

さやか「頭パンクしそう…………ん?」

杏子「よっ」


エッ、ダレッ?
サァ…ホカノクラスノヒトダロ
ケッコウカワイクネ?


杏子「帰ろうぜ」

さやか「あ、うん。まどかは……」

まどか「私はこの後ほむらちゃん家に行くから」

さやか「そうだったね。じゃ、また明日」

杏子「じゃーなー」ヒラヒラ

まどか「うん、また明日!」フリフリ

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:48:49.84 ID:xBrmxCUf0

帰り道



さやか(うーん、一日過ごしてみたけど手がかりはこれといってないわよね)

さやか(まぁでもみんなもいるし、何とかなりそうね)

杏子「なーさやかー、今日の晩飯何にする?」

さやか「うーん、あたし的にはハンバーグが食べたい気分なんだけど」

杏子「じゃあそれでいこーぜ!」

さやか「うん。で、どっちがつくんの?」

杏子「あ、そっか。それ言ってなかったな」

さやか「決まってんの?」

杏子「昼飯は私、晩飯はさやか」

さやか「朝は?」

杏子「てきとー。私はお菓子だし」

さやか「お菓子ってあんた……」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:51:22.28 ID:xBrmxCUf0

杏子「ま、わかんねーことあったら何でも聞いてくれ」

さやか「そうさせてもらう」

ガチャ

杏子「たっだいまー!」

さやか(だからここはあんたの家じゃ……あ、今はそうなのか)

さやか「ただいま」

杏子「おかえりー!」

さやか「一人で何やってんのよ」

杏子「へへっ」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:54:20.77 ID:xBrmxCUf0

さやかの部屋



ボスン

さやか「ふー、疲れた」

杏子「おつかれー。まだ晩飯には早ぇし、ゆっくりしてろよ」

さやか「そうするわ」

さやか(って、まるで杏子の家に来たみたいね。内装は完全にあたしの家なんだけど)

さやか(なんかドッと疲れた……)ウツロウツロ

さやか(あ、やば、寝そう……)

さやか(……)スー



杏子「おやすみ、さやか」

バタン

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 12:57:35.85 ID:xBrmxCUf0

・・・

ほむらの家



ほむら「わざわざごめんなさい」

まどか「いいよいいよ、気にしないで!」

ほむら「……あなたはいつも優しいわね」

まどか「そ、そんなことないよー///」

ほむら「照れてるの?」

まどか「もうっ、からかわないでよ!」

ほむら「ふふっ、ごめんなさい。それで……今日ここに呼んだ理由はわかるわね?」

まどか「さやかちゃんの、ことだよね……」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:00:20.23 ID:xBrmxCUf0

ほむら「えぇ、その通りよ」

まどか「ほむらちゃん、これでよかったのかな……?」

ほむら「……」

まどか「わかってるよ。こうなったのは私のせいでもあるし、ほむらちゃんも巻き込んじゃって……」

ほむら「私のことはいいの。まどかのしたいようにすればいい」

まどか「私の、したいように……?」

ほむら「えぇ。私はいつでもまどかの味方よ」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん……」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:03:22.95 ID:xBrmxCUf0

ほむら「でも正直言って、無理があると思うの」

まどか「杏子ちゃんのことだよね……」

ほむら「屋上で少し話をしたわ」

まどか「あの時だね」

ほむら「えぇ、でも佐倉杏子はこのままの状態を続けるみたいだわ」

まどか「同居して、それで……」

ほむら「そうよ。それで、まどかはどうしたいの?無理なら無理とそう言えばいい」

まどか「大丈夫、私は続けれるよ。それにもうあんな杏子ちゃんを二度と見たくない」

ほむら「そう、それでいいのね」

まどか「……うん」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:06:43.50 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか「ん……」パチッ

さやか「寝ちゃったのか……」

さやか「ふぁ~ぁ」ノビー

さやか「もうこんな時間か。そろそろ晩御飯作らなきゃ……」

さやか「あれ、杏子は?」キョロキョロ

さやか「リビングかな……」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:09:22.27 ID:xBrmxCUf0

さやか「いない……」

さやか「ん?書置きがある……」



 マイスイートさやかへ

 ちょっと出かけてくる。
 晩飯よろしく!
 もちろん私は大盛りで!



さやか「……」

さやか「晩御飯、つくるか……」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:12:39.55 ID:xBrmxCUf0

・・・

ガチャ

杏子「ただいまー」

さやか「おかえり。どこ行ってたの?」

杏子「え?あー、散歩」

さやか「一人で?」

杏子「散歩は一人でするもんだろ」

さやか「それもそうね。ご飯できてるよ」

杏子「おっ、さんきゅ!腹へって死にそうだったんだよ。さ、食おーぜ」

さやか「その前に手洗いうがいしてきなさい」

杏子「えー、めんどくせー」ブー

さやか「つべこべ言わない!」

杏子「へーい」ツカツカ

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:15:55.35 ID:xBrmxCUf0

ジャーン

杏子「おぉ!うまそー!!」

さやか「でしょ?気合入れてつくったからね」フフン

杏子「んじゃあさっそく……」

杏子 「いっただっきまーす!」
さやか「いただきます」

杏子「うめぇ……うめぇよさやか……」ガツガツ

さやか「あんまりがっつくと詰まらせるよ」

杏子「へーきだっての…………うぐっ!?」グヌヌ…

さやか「ほら言わんこっちゃない。はいお茶」スッ

杏子「ゴクゴク……ぷはー。死ぬかと思った」

さやか「子供かあんたは」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:18:19.72 ID:xBrmxCUf0

杏子「で、どーよ?」パクパク

さやか「何が?」

杏子「何か思い出したか?」モグモグ

さやか「それがさっぱり」

杏子「そっかー……」

さやか「何でうれしそうなのよ」ムッ

杏子「そ、そんな顔してねーよっ」

さやか「ふーん……」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:21:03.54 ID:xBrmxCUf0

杏子「それよりさ、明日休みだろ?」

さやか「まぁ休日だからね」

杏子「遊びに行こーぜ!」

さやか「どこに?」

杏子「そうだなー、この季節だし花見とか!」

さやか「花見、か」

杏子「嫌か?」

さやか「ううん、いいわよ。それで、二人で行くの?」

杏子「多いほうが盛り上がると思うし、あの二人も呼ぶか?」

さやか「そうね」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:24:27.33 ID:xBrmxCUf0

杏子「んじゃメールよろしく」

さやか「あたしが!?」

杏子「だってアドレス知らねーし」ウン

さやか「はぁ……わかったわよ」

杏子「さんきゅ」バクバク

さやか(花見なんてしてる場合じゃないんだろうけど……)チラッ

杏子「うんめー!」ガツガツ

さやか(ま、杏子のために付き合ってあげるか)メルメル

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:28:35.33 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「もしも、もしもだよ?ほむらちゃんが杏子ちゃんの立場だったら、どうする?」

ほむら「……」

まどか「同じこと、してた?」

ほむら「……そうね、そうかも、しれないわね」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「でも、私の場合は……」

まどか「えっ?」

ほむら「いえ、何でもないわ」

まどか「……?」

ほむら「……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:31:39.09 ID:xBrmxCUf0

まどか「ご、ごめんね……変なこと聞いて」

ほむら「いいのよ、気にしないで」

まどか「そ、そうだ!今日の私、うまくやれてたかな?」

ほむら「えぇ、あなたはとてもうまくやれてたわ」

まどか「でもこれって、結局はさやかちゃんを騙してるってことになるんだよね」

ほむら「違うわ。あなたは人を救ってるのよ。それも2人」

まどか「そう、かなぁ……」

ほむら「……後悔、してるの?」

まどか「……してないよ。だって、私がそうするって決めたんだもん」

ほむら「そう。それならいいわ」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:34:25.36 ID:xBrmxCUf0

ヴヴヴヴ

まどか「あ、メールだ」

ピッ


From さやかちゃん
Sub (non title)

明日4人でお花見行かない?(*^o^*)



まどか「だって、ほむらちゃん」

ほむら「どうするの?」

まどか「ほむらちゃんは?」

ほむら「私はまどかに合わせるわ」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:36:30.55 ID:xBrmxCUf0

まどか「そっか。じゃあ、行こう?」

ほむら「かまわないわ」

まどか「うん!返信返信っと」メルメル

ほむら「お花見、ね……」

まどか「楽しくなるといいね!」

ほむら「えぇ、本当に……」

ほむら(何もないといいけど……)

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:39:17.64 ID:xBrmxCUf0

・・・

杏子「鹿目まどかから返信きたか?」

さやか「まだよ。とりあえずお風呂入ってきたら?」

杏子「んー、そうすっか。先入っていいのか?」

さやか「いいよ。いってらっしゃい」

杏子「いってきまーす」

バタン

さやか「……」

さやか「……なんかあたし、馴染みすぎじゃない?」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:42:41.68 ID:xBrmxCUf0

さやか(簡単にこの生活を受け入れちゃってるけど、これでいいのかな)

さやか(まぁでも、別に問題なさそうだし)

さやか(もしかしたら本当に記憶が飛んじゃってるだけで、これが普通だったのかも)

さやか(杏子と、同居か……)

さやか(なんか語感似てるな……ってくだらないこと言ってる場合じゃないか)

さやか(最初はびっくりしちゃったけど……)

さやか(……これはこれで、楽しいかも)

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:45:29.28 ID:xBrmxCUf0

ヴーヴー

さやか「ん、メールだ」ピッ

さやか「まどかからだ」


From まどか
Sub Re:

私もほむらちゃんもOKだよ(*´▽`)
場所と時間はどうするの?


さやか(場所と時間……どうするんだろ)

さやか(場所は多分見滝原公園よね。時間は……)

さやか(……杏子があがってきてからでいっか)

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:48:53.64 ID:xBrmxCUf0

杏子「あがったよ」ホカホカ

さやか「おかえり。まどかからメールあったよ。2人とも来るってさ」

杏子「おっ!」

さやか「それで、場所と時間はどうするの、だってさ」

杏子「場所はあれだ、中学の近くに公園あったろ?あそこ」

さやか(やっぱりね……)

杏子「時間はそーだなー、11時ぐらいにして昼飯食おーか。弁当かなんか持ってって」

さやか「おっけー。んじゃそう言っとく」メルメル

杏子「さやかも風呂入ってこいよ」

さやか「そうする。覗いたりしないでよね」

杏子「わかってるよ。少しにしとく」

さやか「おい」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:51:27.08 ID:xBrmxCUf0

杏子「じょ、冗談に決まってんだろ!」

さやか「ふーん?」ジトー

杏子「覗かねーって!」

さやか「……まぁ、いいわ」

杏子「えっ、覗いてもか?」

さやか「やっぱりどこかに縛り付けておいたほうがよさそうね。えーっとロープは……」

杏子「さ、先部屋行ってるからなー!」スタコラ

バタン

さやか「……」

さやか「……ばーか」クスッ

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:54:25.05 ID:xBrmxCUf0

・・・

ほむら「ふふっ、可笑しい」クスクス

まどか「でねー、その後……」

ヴヴヴヴ

まどか「あ、メールだ」


From さやかちゃん
Sub Re:Re:

11時に見滝原公園(^-^)/
お弁当かなんか持って行ってそこでお昼食べよ!



まどか「ってことみたいです」

ほむら「了解したわ」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 13:57:26.23 ID:xBrmxCUf0

まどか「それじゃ、そろそろ帰るね」

ほむら「遅くまで引き止めてごめんなさい。送っていくわ」

まどか「それは悪いよ……一人で大丈夫!」フンスッ

ほむら「夜遅くに女の子一人は危ないわ」

まどか「でも、私を送った後、ほむらちゃん一人になっちゃうよ……」

ほむら「私は大丈夫。魔法少女だもの」

まどか「でも……」

ほむら「いいから。行くわよ」

まどか「……ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「礼には及ばないわ」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:00:30.84 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか「あー、さっぱりした!」ホカホカ

さやか「杏子は部屋よね。先寝ちゃってたりして」

さやか「ってもしかしてまた一緒の布団で寝る気なのかな……」

さやか「うわー、なんかそんな気がするわー」アー

さやか「あたしよくそんなことしてたわね……」

さやか「まぁでもお風呂は別々みたいだし……」

さやか「いや、これは別に一緒に入りたかったとかそういうのじゃなくて……」

さやか「って一人で何やってんのよあたし……」

さやか「はぁ、のどかわいた……冷蔵庫なんかあんのかな?」ガシャ

さやか「……」

さやか「何でこんなにポッキーばっかり冷えてんのよ」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:03:25.92 ID:xBrmxCUf0

ガチャ

杏子「おかえりー」ゴロンゴロン

さやか「ただいま」ボスッ

杏子「もう寝る?」

さやか「そうね、今日はちょっと疲れちゃった。でさ、やっぱりその……一緒に寝るわけ?」

杏子「うん。ずっとそうだったし」

さやか「ですよねー」アハハ

杏子「ですよねー」アハハ

さやか「はぁ……」

杏子「ほら」スッ

さやか「……ありがと」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:06:33.50 ID:xBrmxCUf0

杏子「電気消すぞー」

さやか「うん」

杏子「よっ」カチッ

フッ

杏子「さやか」

さやか「何?」

杏子「おやすみ」

さやか「……おやすみ」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:09:39.25 ID:xBrmxCUf0

杏子「……」クー

さやか(今日一日が終わった)

さやか(いろいろあったけど、なんとかやっていけそうね)

さやか(記憶、戻るのかな……)

さやか(ま、考えても仕方ないか)

さやか(明日は明日の風が吹くってね)

さやか(さ、寝ちゃお寝ちゃお寝ちゃおー)

さやか(おやすみ、杏子)

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:12:39.81 ID:xBrmxCUf0

さやか「……」スー

杏子(これでいいんだよ)

杏子(……誰になんと言われようが、私は私で突っ走ってやる)

杏子(さやかに嘘ついてるのは悪いとは思うけど……でも、私にはさやかが必要なんだ)

杏子(ずっと傍にいてやりたい。いや、いてやりたいんじゃなくて私がいたいだけなのかもしれない)

杏子(……多分、後者だな)

杏子(私だって寂しかったんだ。心が壊れそうだったんだ)

杏子(さやかはそれを、癒してくれる)

杏子(全部私のわがままだけど……それでも、一緒に………もう、離したくない……)

杏子(頼むよ神様……こんな人生だったんだ……)

杏子(せめて一度ぐらい……幸せな夢を見させて…………)

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:18:11.20 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「送ってくれてありがとう!」

ほむら「どうってことないわ。それじゃ」

まどか「うん、気をつけてね!」

ほむら「まどかも風邪をひかないようにね」

まどか「もー、子供じゃないんだからっ」

ほむら「そうね」フフッ

まどか「えへへ……じゃあねほむらちゃん、また明日!」

ほむら「えぇ、おやすみなさい」

まどか「おやすみ」

バタン

ほむら「また明日、か……」

ほむら「いい言葉ね……」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:25:36.87 ID:xBrmxCUf0

・・・

翌日



杏子「さやか、準備できたか?」

さやか「うん、おっけー」

杏子「んじゃ行こう!」

ガチャ

さやか「……いい天気ね」

杏子「絶好の花見日和じゃねーか」

さやか「よかった、晴れて」

杏子「日ごろの行いがいいんだよ」

さやか「あたしの?」

杏子「私の」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:28:45.99 ID:xBrmxCUf0

さやか「いや、それはないでしょ」

杏子「ひどっ!」

さやか「ふふっ……冗談冗談」

杏子「うー……さやかぁ!」ウガー

さやか「へへーん。捕まえてごらーん!」タタッ

杏子「B級のドラマかっての!」

さやか「B級ドラマ馬鹿にすんなー!」

さやか(ふふっ。楽しいや……)

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:31:47.88 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「お弁当よし、シートよし、遊ぶ道具よし」

まどか「準備完了!しゅっぱーつ!」オー

QB「まどか」

まどか「あ、キュゥべえ」

QB「どこに出かけるんだい?」

まどか「今からみんなでお花見するの!キュゥべえもおいでよ!」

QB「遠慮するよ。僕が行くとややこしいことになるだろうしね」

まどか「そ、そっか……」

QB「それにまどかがよくても杏子と暁美ほむらが許さないよ、きっと」

まどか「そう、だね……」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 14:34:39.69 ID:xBrmxCUf0

QB「ま、楽しんでおいでよ。最後になるかもしれないんだし」

まどか「そんなこと言わないで!」

QB「ごめんごめん、言い方が悪かったね」

まどか「……最後になんか、させない」

QB「そっか。とりあえず僕はしばらくは関わらないようにするから」

まどか「ごめんねキュゥべえ。ありがとう」

QB「気にしないでよ。じゃあね、まどか」

まどか「うん、ばいばい」

QB「……」

129: さるった……ペース落としたほうがいいかな 2011/04/16(土) 15:02:22.13 ID:xBrmxCUf0

・・・

ほむら「お花見……」

ほむら「こんなこと初めてだわ」

ほむら「とりあえず言われたものは用意したけれど、他に何かいるかしら……」

ほむら「そうだ!」ゴソゴソ

ほむら「あった……デジカメはいるわよね」

ほむら「これでまどかを撮りまくりましょう」

ほむら「うん、それがいいわ」

ほむら「そうすれば私のまどかアルバム、通称"まどバム"も、もっと充実しそうだし……」

ほむら「さすが天才魔法美少女ほむらちゃんね」

ほむら「うふふふふ……」

132: >>130 了解です 2011/04/16(土) 15:08:13.18 ID:xBrmxCUf0

見滝原公園



杏子「着いたー」

さやか「あたしたちが最初みたいね」

杏子「どの辺にしよーか?」

さやか「んー……あ!あそこきれいよ?」

杏子「おっ、ナイス!」

さやか「さっすがあたしよね。もっと褒めていいよ」

杏子「さ、シートでもひくか」

さやか「ちょっと無視しないでよ」

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:13:16.77 ID:xBrmxCUf0

杏子「桜きれいだなー」

さやか「佐倉?」

杏子「佐倉はきれいじゃなくてかわいいんだよ」

さやか「うわっ、自分で言うとか……」

杏子「ちょ、ひかないでくれよ」

さやか「ま、かわいいのは認めるわ」

杏子「……///」

さやか「……ねぇ、照れるならはじめから言わなきゃいいじゃん」




まどか「さやかちゃーん、杏子ちゃーん!」フリフリ

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:17:10.04 ID:xBrmxCUf0

杏子「お、やっと来たか」

まどか「ごめんね、遅くなっちゃって」

さやか「ううん、あたしたちも今来たとこ」

まどか「そうなんだ。いい場所だね、ここ」

杏子「だろっ?私が見つけたんだぜ」フンス

さやか「はいはい、嘘はもういいよ」

まどか「ふふっ、仲良しさんだね、2人とも」




ほむら「私が最後のようね」

まどか「!?」
さやか「!?」
杏子 「!?」

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:21:16.28 ID:xBrmxCUf0

ほむら「……何かしら」

杏子「い、いきなり現れんな!びっくりしたじゃねーか!!」

ほむら「人をお化けみたいに……」

さやか「まーまー、とりあえず座りなよ2人とも」スッ

まどか「ありがとー」ポスン

ほむら「……」ホムン

杏子「ま、楽しくやろーぜ」

まどか「そうだね。せっかくだもんね」

さやか「うん!」

ほむら(今日もまどかかわいい……)

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:24:58.61 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「でね、そこのケーキがすっごくおいしかったんだよ!」

杏子「ケーキか……」ジュルリ

さやか「あんたは……」

ほむら「一度行ってみたいわね(あぁ、まどかかわいい)」

まどか「うん、行こう行こう!」

杏子「ケーキの話してたら腹減ってきた」

さやか「そろそろお昼にしよっか」

ほむら「そうね(今日のランチはまどかの女体盛り……にゃはははははははは!!)」

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:28:56.97 ID:xBrmxCUf0

まどか「じゃーん!」

杏子「おっ!鹿目まどかはサンドウィッチか!!」

まどか「ねぇ杏子ちゃん」

杏子「あん?」

まどか「そろそろフルネームじゃなくてまどかって呼んでほしいな」

ほむら「ほむっ!?」

杏子「えっ、あ、あぁ……かまわねーけど。じゃあ、まどか」

まどか「うん!それと、さやかちゃんも!」

さやか「え、あたし?」

まどか「もう転校生はやめにしなよ!」

さやか「あ、うん……」チラッ

ほむら「……」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:32:19.77 ID:xBrmxCUf0

まどか「ほらっ!」

さやか「う、うん……暁美、さん」

杏子「違うだろ」コツン

さやか「いたっ!……え、えっとー、ほむら?」

まどか「ほら、ほむらちゃんも!」

ほむら「…………さやか」

まどか「うん!これでみんなもっと仲良しだね!!」

さやか「まどか……」
杏子 「まどか……」
ほむら「ペ ペ (まどか……)」

まどさや杏「「「えっ?」」」

ほむら「あ、間違えた」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:36:25.22 ID:xBrmxCUf0

まどか「それで、みんなは何つくってきたの?」

杏子「私たちはこれだ」デーン

ほむら「重箱、だと……!?」

さやか「いやぁ、みんなで食べれるようにって多めにつくったの」

まどか「おいしそう!」

杏子「うまいぜ~。なんてったって杏子ちゃん特性弁当だからな」

さやか「8割方あたしがつくったけどね」

杏子「で、あけ……ほむらは何もってきたんだよ」

ほむら「私はこれよ」ジャン

さやか「……これパ  よね?」

ほむら「あ、間違えた」

まどか「あれ?私のと似てる……」

ほむら「気のせいよ、きっと」

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 15:40:30.64 ID:xBrmxCUf0

ほむら「こっちよ」ジャーン

さやか「!」

杏子「めちゃくちゃうまそう……」

まどか「すごいねほむらちゃん、お料理上手なんだ」

ほむら「褒めすぎよ。それに一人分しかないわ。まぁ、一応お菓子はもってきたけど」

杏子「お菓子!」ワーイ

まどか「十分だよ!」

杏子「だな!それにしてもなんて出来映えだよ……」

さやか「負けたわ、完全に」

ほむら「だから褒めすぎよ。恥ずかしいわ」

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:05:24.51 ID:xBrmxCUf0

杏子「よしよし揃ったな、おっと」ジュルリ

まどか「じゃあ杏子ちゃん、お願い!」

杏子「おし!」

さやか「?」

杏子「手を合わせましょう!」パチン

まどか「……」パチン
ほむら「……」パチン
さやか「……?」

杏子「いただきます!」

まどほむ「「いただきます!」」

さやか「……あんたら小学生か!」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:09:53.42 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「おいしかったねー」

杏子「うまかった。さやかにつくらせて正解だったよ」

さやか「もう……まどかのサンドウィッチもよかったよ!」

まどか「ありがとう!ほむらちゃんのお弁当もすっごくおいしかったよ!」

ほむら「ほむん!」

まどか「えへへ///」

ほむら「……///」

さやか「ほぅ……」ニヤッ

杏子「さてと、食後のポッキーは……あったあった」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:13:53.18 ID:xBrmxCUf0

ほむら「まどか」チョイチョイ

まどか「うん?」クルッ

ほむら「ほむたけフラッシュ!」パシャ

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「まどかの素、いただいたわ」

まどか「もー。いきなりなんてひどいよー」プクー

さやか「デジカメもってきてたんだ……」

まどか「あ!ねぇ、みんな!せっかくだからみんなで撮ろうよ!」

杏子「それいいな」

まどか「いいかな?ほむらちゃん」

ほむら「もちろんよ」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:17:30.26 ID:xBrmxCUf0

杏子「でもどーやって撮るんだ?」

さやか「セルフタイマーでしょ」

ほむら「どこに置こうかしら」

まどか「ここにおいたら丁度じゃないかな?」

ほむら「そうね、桜もちゃんと入るわ」



杏子「そりゃあ入るだろ」

さやか「今のは桜の方よ」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:21:51.80 ID:xBrmxCUf0

ほむら「では、セット」ピピッ

まどか「早く早く!」

ほむら「……」タタッ

まどか「えへへ、ほむらちゃんの隣///」

ほむら(やべっ、鼻血でそう……)

杏子「えい!」ツン

さやか「ひゃん!」


パシャ


杏子「ひゃんだってー」ケラケラ

さやか「杏子ぉ!」

153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:26:06.98 ID:xBrmxCUf0

杏子「ちゃんと撮れてんのか?」

ほむら「完璧よ」

まどか「見せて見せて!」

杏子「どれどれ」

さやか「きょ~こ~?」ユラッ

杏子「あ、やべ」



まどか「ほんとだ、きれいに撮れてるね」ニコッ

ほむら(にゃああああああああああああああ!!!まどかあああああああああああああああああ!!!!)

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:31:24.89 ID:xBrmxCUf0

さやか「むー」プンスカ

杏子「だからごめんって。ほら、きれいに撮れてるじゃねーか」

さやか「ほんとあんただけは……あ!」

まどか「?」
杏子 「?」
ほむら「?」

さやか「ねぇ、ほ、ほむら……さん?いや、ほむら様」

ほむら「さんも様もいらないわ」

さやか「ほむら伯爵」

ほむら「いや誰よ。ほむらでいいから。で、何?」

さやか「デジカメ貸して?」

ほむら「?」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:35:34.47 ID:xBrmxCUf0

さやか「まどかとのツーショット撮ってあげる」

ほむら「ほむっ!?」

さやか「いいでしょ、まどか?」

まどか「もちろんだよ!いいよね、ほむらちゃん?」エヘッ

ほむら「わわわわわ私も大丈夫よ!?」

さやか「落ち着きなって。ほら、もっと寄り添って」

ほむら「こ、こうかしら?」スッ

さやか「もっと引っ付いて」

ほむら「ここ、これぐらい?」ススッ

さやか「もうちょっと」

まどか「えい!」ギュッ

ほむら「ほむーん!」

杏子「カントリーマアムうめー」ムシャムシャ

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:39:38.14 ID:xBrmxCUf0

ほむら(う、うう、腕組まれてるわ!まどかの、まどかのおっぱおが私の肘にいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!)ドキドキ

まどか「あ、嫌だったかな……」パッ

ほむら(あぅ…………)

まどか「ごめんね……」シュン

ほむら「全然嫌じゃないわ」キリッ

まどか「よかったぁ!」ギュウッ

ほむら(ああぁぁぁああああぁぁああぁ生きててよかったああああああああああああああああ!!!!!!!)




さやか「……待ってる身にもなってほしいんだけど」

杏子「ピザポテトうめー。さやかも食うかい?」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 16:43:52.78 ID:xBrmxCUf0

さやか「いっくよー?はい、チーズ」


パシャ


杏子「ほむら表情かてぇぞー」サクサク

さやか「もう一枚ね。笑って笑って」

まどか「ピース!」ブイッ

ほむら「…………ピース」スッ



パシャ

164: さるが多いよ……書き込めないよ…… 2011/04/16(土) 17:04:18.09 ID:xBrmxCUf0

さやか「ブレなし、オッケーね。さすが完璧少女さやかちゃん!」

杏子「自分で言うかー?」

まどか「よく撮れてるね」

ほむら(焼き増し100枚で足りるかしら……)

まどか「じゃあ次はさやかちゃんと杏子ちゃんのツーショットだね!」

さやか「えっ、いーよ。照れくさいし……」

杏子「……」

さやか「……撮りたいの?」

杏子「……」コクッ

さやか「……じゃあ、まどかお願い」

まどか「任されたよ!」

ほむら(100じゃ足りないわ……せめて300…………)

165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:09:12.38 ID:xBrmxCUf0

まどか「撮るよー?」

杏子「イェーイ!」

さやか「……いぇい」

杏子「もっと笑ってくれよ」

さやか「いや、なんか照れくさいじゃん?」

杏子「お前の笑顔が、見たいんだ」キリッ

さやか「杏子……///」




まどか「あ、猫だ」ナデナデ

ほむら「かわいいわね」

167: >>166わかった、ありがとう! 2011/04/16(土) 17:13:50.15 ID:xBrmxCUf0

まどか「いくよ!」

杏子(今だっ……!)

杏子「さやかぁ!」ガバッ

さやか「にょわっ!?」

まどか「チーズ!」


パシャ


さやか「ちょ、ちょっと何してんのよ?」

杏子「いーじゃんいーじゃん!お約束だろ?」ニシシッ

さやか(ほんと子供ね。でもそんなところがいいんだけど)



ほむら(後ろから抱きつくなんて…………その手があったか)

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:19:16.87 ID:xBrmxCUf0

まどか「もう一枚、いくよー」

杏子「次はちゃんと撮ろうぜ?」

さやか「あたしはずっとそのつもりだったんだけど」

まどか「ほらっ、もっと寄り添って!」

杏子「来いよさやか」グイッ

さやか「……うん///」ギュッ

杏子「ブイ!」ニカッ

さやか「ピース」ニコッ 

まどか「はい、チーズ」


パシャ

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:24:23.09 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか「日が暮れてきたわね」

まどか「そろそろ帰ろっか」

杏子「おい……」ボソッ

ほむら「わかってるわよ」ボソッ

さやか「?」

杏子「私ら寄るとこあるから先帰っててくんね?」

ほむら「……」チラッ

まどか「……」コクッ

さやか「え?」

まどか「わかったよ!帰ろう、さやかちゃん」

さやか「え、う、うん」

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:29:37.87 ID:xBrmxCUf0

ほむら「写真は現像が出来次第もっていくわ」

さやか「うん、わかった」

ほむら「それじゃ」

杏子「……」

さやか「ねぇ」

ほむら「何かしら?」

さやか「今日はありがとね、ほむら」

ほむら「……じゃあ、また学校でね」

まどか「バイバイ、ほむらちゃん杏子ちゃん!」フリフリ

杏子「じゃあなー」ヒラヒラ

ほむら「……」フリフリ

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:34:04.10 ID:xBrmxCUf0

ほむら「……行ったわね」

杏子「わりーな」

ほむら「気にしないで」



QB「やぁ」

杏子「そろそろ来ると思ってたよ」

QB「魔女退治、行くんだろう?」

ほむら「えぇ、そうよ」

QB「今日も君たち2人かい?」

杏子「そりゃあ、な」

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:38:47.31 ID:xBrmxCUf0

QB「さやかにはずっと黙ってておくつもりかい?」

杏子「魔法少女のことか?」

QB「魔法少女も含めて全部だよ」

杏子「あたりめーだ。ちょっとでも知っちまったら、記憶が戻っちまうかもしんねーだろ?」

ほむら「そうね。でもいつかはバレるわ」

杏子「大丈夫だよ。昨日もうまくやったし」

ほむら「昨日?あぁ、魔女狩りの時ね。何て言ったの?」

杏子「……散歩行ってたって」

ほむら「散歩ってあなた……」

QB「杏子、君は嘘が上手なのか下手なのかどっちなんだい」

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:44:19.97 ID:xBrmxCUf0

ほむら「言ってても仕方ないわ。早く行きましょう」

杏子「だな。喋るなら歩きながらにしよーぜ」

QB「杏子」

杏子「何だよ」

QB「グリーフシードはまだ大丈夫なのかい?」

杏子「……あぁ。まだストックがある」

QB「ふーん。そっか」

杏子「……」

ほむら「杏子……」

杏子「大丈夫だから……」

ほむら「……」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 17:48:29.15 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか「悪いね、送ってもらっちゃって」

まどか「ううん、今日は楽しかったね!」

さやか「うん!また行きたいね!」

まどか「そうだね。次は違う場所がいいなぁ」

さやか「遊園地とか?」

まどか「それいいね!」

さやか「新しくできたとこあるじゃん?あそこ行ってみたいな」

まどか「わかるわかる!私も行ってみたかったんだぁ」

176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:11:00.39 ID:xBrmxCUf0

さやか「てゆーか大丈夫?一人で」

まどか「子供じゃないんだから」

さやか「いやー、最近は変質者とか多いからさ」

まどか「まだ明るいから大丈夫だよ!」

さやか「そっか、それじゃ」

まどか「うん。あ、杏子ちゃんが帰ってくるまでおとなしくしてるんだよ?」

さやか「あんたはあたしの母親かっての」

まどか「えへへ、バイバイ」フリフリ

さやか「バイバーイ」

バタン

まどか「……」

177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:16:48.70 ID:xBrmxCUf0

・・・


ゴゴゴゴゴ…


ほむら「見つけたわ」

杏子「魔女か」

ほむら「不服?」

杏子「まさか。おらっ、行くぞ?」シュタッ

ほむら「言われなくても」シュタタタ


ズバァン!
ドォン!
ガラガラガラガラ
ズズゥゥウウン…


QB「あの2人ならこの程度の魔女、瞬殺だろうね」

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:23:04.38 ID:xBrmxCUf0

ほむら「ザ・ワールド」ピキーン

ほむら「……」パラララララ

ほむら「……」カチッ シュッ

ほむら「解除」


ドゴゴォォオオオオ…


杏子「終わりだぁ!」ズッ


ボッシュウウン!


杏子「いっちょあがり、ってね」

ほむら「ぬるいわね」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:27:52.12 ID:xBrmxCUf0

ほむら「……」ヒョイ シュッ

杏子「!」パシッ

ほむら「あげるわ」

杏子「おい!」

ほむら「私もストックがあるのよ」スッ

杏子「でも……」

ほむら「人の好意は素直に受け取るものよ」

杏子「……さんきゅ」

QB「2人ともおつかれさま」

ほむら「帰りましょう」

杏子「そうだな」

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:31:40.73 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか(これでいいのかな、あたし……)

さやか(でも今日一日、楽しかった……)

さやか(こんな日がずっと続くんだったら)

さやか(記憶なんかなくったって大丈夫かも)

さやか(杏子、早く帰ってこないかな……)

さやか「あ、夕飯つくらきゃ!」バッ

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:36:51.13 ID:xBrmxCUf0

さやか「♪~」トントン

さやか(こうやってると主婦みたい)

さやか(あたしが主婦だと杏子が亭主か)

さやか(ふふっ、それはそれでいいかも)

さやか(お姫様抱っことかしてほしいな………///)

さやか(それにしてもあの2人どこ行ったんだろ……)

さやか(い、いや、これは嫉妬とかじゃなくて、ただ単なる興味本位で……)

さやか(って、また一人で何やってんだろあたし)

さやか(帰ってきたら聞いてみよっと)

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:44:41.66 ID:xBrmxCUf0

・・・

ほむら「それじゃ」

杏子「おう、またな」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか?」

まどか「一緒に帰ろ?」

ほむら「えぇ……」

杏子「ちぇー、いいなー。私もさやか迎えに来てほしい」

まどか「でもそれだと……」

杏子「わかってるって、言ってみただけだよ。んじゃなー」ヒラヒラ

まどか「バイバイ!」フリフリ

ほむら「……」フリフリ

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:50:34.61 ID:xBrmxCUf0

・・・

杏子「これでいいのさ」

杏子「もう何にもこわくなんかねぇ」

杏子「私にはさやかがいるんだ」

杏子「そうだ、それだけで生きていける!」

杏子「……」

杏子「晩飯何かなー?」フフン

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 18:56:05.74 ID:xBrmxCUf0

杏子「たっだいまー」ガチャ

さやか「おかえり」

杏子「……」

さやか「何よ……」

杏子「……ったく、そこはさ『お風呂にする?ご飯にする?それとも、あ・た・し?』だろ?」

さやか「はいはい、ご飯できてるよ」

杏子「ちくしょー!てめぇを食ってやる!」ウガー

さやか「バカ言ってないで手洗ってきなよ」

杏子「はーい」

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 19:08:06.76 ID:xBrmxCUf0

杏子 「いただきます!」
さやか「いただきます」

杏子「んー、やっぱさやかの料理はいつ食っても絶品だな!」モグモグ

さやか「ふふっ、ありがと………ねぇ、どこ行ってたの?」

杏子「ん、あぁ、ちょっとな」

さやか「?」

杏子「大したことじゃねーから」パクッ

さやか「そう言われると気になる……」

杏子「大丈夫、私はさやか一筋だから。浮気なんかしねーよ」ズズッ

さやか「うー、そういことじゃ……もういいや」

杏子「……」モグモグ

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 19:14:02.62 ID:xBrmxCUf0

部屋



杏子「あー、今日は楽しかったなー」

さやか「ねー」

杏子「でも疲れたな」

さやか「あんたずっとはしゃいでたもんね」

杏子「べ、別にいいだろ!」フンッ

さやか「悪いなんて言ってないよ」

杏子「そっか。んじゃそろそろ寝るか……」

さやか「うん。電気消すよ?」カチッ

杏子「ふぁ~」ゴロン

さやか「おやすみ」

杏子「おやすみ」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:03:38.00 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか(あれから数日経ったけど)

さやか(特にあたしの記憶が戻ったりってことはなかった)

さやか(それでもなんとかやっていけてる、のかな?)

さやか(ただ気になるのは、杏子が毎晩家を出て行ってること)

さやか(本人はなんでもないって言ってるけど……やっぱり気になるわね)

さやか(でもまどかとほむらはそれについて何か知ってる気がする……)

さやか(あたしだけ、除け者って感じ……)

さやか(ちょっと、寂しいかも……)

211: 保守ありがとうです 2011/04/16(土) 21:08:02.80 ID:xBrmxCUf0

昼休み



まどか「屋上行こ?」

さやか「おっけー」

ほむら「えぇ」

さやか「ねぇ、歩きながらでいいから聞いてほしいんだけどさ」

まどか「どうしたの?」

さやか「なんかさ、その、言いにくいんだけど……」

ほむら「?」

さやか「2人とも、何か隠してる?」

213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:12:25.25 ID:xBrmxCUf0

まどか「そ、そんなことないよ!」

ほむら「えぇ、そんなことないわ」

さやか「そ、そっか。ごめんね、変なこと言って」

まどか「ううん、気にしないで」

ほむら「そうよ。それに、気になることがあったら変に気を遣わないで今みたいにどんどん言って」

さやか「あ、ありがと……」

さやか(むしろあたしが遣われてる気がするんですけどー)

まどか「……」

ほむら「……」

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:16:44.28 ID:xBrmxCUf0

屋上



杏子「ウェルカーム!」

さやか「いや、あんたの部屋じゃないから」

杏子「細かいこと言うなよ。さ、飯だ飯!」ホイ

さやか「いつもありがと」

杏子「それはこっちのセリフ」

まどか「仲良いね」アハハ

ほむら「そうね」フフッ

218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:19:49.37 ID:xBrmxCUf0

杏子「ほむら」ボソッ

ほむら「?」

杏子「今日……放課後…………」ボソッ

ほむら「………………」ボソッ

杏子「まどかと…………ここ……」ボソッ

ほむら「………………」ボソッ

さやか「?」

まどか「ねぇ、さやかちゃん、これもらっていい?」

さやか「えっ、あ、うん、いいよ!」

まどか「ありがとー!」パクッ

さやか「……」

219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:23:36.15 ID:xBrmxCUf0

・・・

さやか「やっと授業終わったー」

まどか「さやかちゃん午後はずっと寝てたね」

さやか「お腹いっぱいだと眠くなるんだよね」

まどか「先生に怒られちゃうよ」

さやか「その時はその時よ。杏子まだかな……」

まどか「あれっ、杏子ちゃん先帰っててって言ってなかった?」

さやか「え、そうなの?」

まどか「あれ、聞いてないの?」

さやか「うん、初耳」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:28:25.62 ID:xBrmxCUf0

さやか「そっか……じゃあまどか一緒に帰ろうよ」

まどか「ごめんねさやかちゃん、私この後ちょっと用事があるんだ……」

さやか「そうなんだ……」

まどか「ごめんね……」

さやか「ううん、気にしないで!それじゃ、また明日ね」

まどか「うん、バイバーイ!」

スタスタ

まどか「……」

まどか「ごめんね、さやかちゃん」

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:32:09.04 ID:xBrmxCUf0

屋上



杏子「よっ」

ほむら「あなた、美樹さやかの傍にいなくていいの?」

杏子「大丈夫だよ、すぐ向かうから。鹿目まどかは?」

ほむら「きっともう来るわよ」


ガチャ


まどか「遅くなってごめんね」

杏子「気にすんな。急ぎの用でもねーし」

ほむら「……」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:37:15.33 ID:xBrmxCUf0

まどか「それで、どうしたの?」

杏子「あぁ、さやかのことでちょっとな」

ほむら「だと思ったわ」

杏子「ま、すぐ終わるから」

まどか「最近はうまくいってるの?」

杏子「ばっちりだよ」

ほむら「魔法少女については?」

杏子「それも大丈夫」

まどか「そっか。よかった」

杏子「さんきゅ。それでな……」

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:40:27.52 ID:xBrmxCUf0

帰り道



さやか(杏子もまどかもなんだったんだろ……)

さやか(2人で会ってたりするのかな……)

さやか(あーやだやだ!何でそんなこと考えちゃうかなー、あたしは)

さやか(はぁ……)

さやか(ま、いいや。杏子に晩御飯何がいいかメールしよ………あれ?)ゴソゴソ

さやか「……」

さやか「携帯忘れた……」

232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:58:53.44 ID:xBrmxCUf0

教室



さやか「あったあった!」ヒョイ

さやか「やっぱり中学生は携帯が命よね」

さやか「あっ」

さやか「まどかの鞄……まだ学校にいるのかな?」

さやか「探してみよっと……」

さやか「あたしの予想では…………屋上ね」

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:02:02.87 ID:xBrmxCUf0

階段



カンカンカンカン

さやか「最近よく来るわよね、ここ」

さやか「ん?ドアが少し開いてる……」

さやか「……」ジー

さやか「あ、まどか……と杏子…………」

さやか「ほむらもいる……」

さやか「3人で話してる」

さやか「……あたし、は………?」ズキッ

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:06:57.78 ID:xBrmxCUf0

さやか「帰ろっと……」

ギィ

さやか「あ、風でドアが……」

バァン

まどか「!?」
杏子 「!?」
ほむら「!?」

さやか「あぁ……」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「あ、あはは……」

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:11:24.49 ID:xBrmxCUf0

まどか「何でここに……」

さやか「い、いやー携帯忘れちゃってさ、取りに戻ってみたらまどかまだ学校にいるみたいだったし。それで探してみようかなーと……」アハハ

杏子「そ、そうか……」

まどか「もしかして今の会話……」

ほむら「!」

杏子「き、聞いてた、のか?」

さやか「え?なんのこと?」

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:15:59.41 ID:xBrmxCUf0

杏子「い、いや、いいんだ。大したことじゃねーし」

さやか(またはぐらかすんだ………)ズキッ

さやか「気になるじゃん。何話してたのよ?」

杏子「だから、何でもねぇって」

さやか「ねぇまどか……」

まどか「杏子ちゃんの言うとおりだよ!何でもないよっ!」

さやか「ほむら……」

ほむら「ほんとよ。何でもないの」

さやか「そっか。そうなんだ……あたしには内緒なんだ」

まどか「えっ?」

杏子「おいさやか……」

ほむら「……」

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:20:04.82 ID:xBrmxCUf0

さやか「おかしいと思ってた。3人ともずっと何か隠してるみたいだったし」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「あたしは除け者なんだね」

杏子「そんなんじゃねーよ!」

さやか「じゃあ教えてくれてもいいんじゃない?」

杏子「――っ!それは……」

さやか「ほらね、やっぱりそうなんだ」

ほむら「違うわよ。杏子はただ……」

さやか「もういいって。それじゃ、あたし帰るね」スタスタ

バタン

まどか「さやかちゃん……」

239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:24:58.28 ID:xBrmxCUf0

杏子「ど、どうしよう……」オロオロ

ほむら「ちゃんと弁明する必要があるわね」

まどか「さやかちゃん……ごめん…………ごめん、ね…………」ポロッ

ほむら「とにかく、さやかの誤解を解くことが先決よ」

杏子「でも、本当のこと言ったらさやかは……」

ほむら「誰が本当のこと言えって言った?」

まどか「わ、私さやかちゃんのこと追いかけてくる!」グシッ

杏子「わ、私も行くよ!」

QB「ちょっと待ってくれるかい?」

まどか「!?」
杏子 「!?」

ほむら「キュゥべえ……」

QB「魔女が現れた」

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:28:55.54 ID:xBrmxCUf0

ほむら「今?」

QB「そうだよ。とにかくできるだけ早くきてほしいんだ!」

ほむら「わかったわ。じゃあ私一人で……」

QB「それがそうもいかないんだ」

まどか「どういう、こと……?」

QB「その魔女から相当強力な魔力を感じる。暁美ほむら、君一人では心許ない」

ほむら「……杏子と2人で来いってことね?」

QB「できればそうしてほしいところだね」

杏子「そんなにやべぇのか?」

QB「何ていうか、今回の魔女はとてもイレギュラーな存在なんだ」

ほむら「……」

244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:34:04.28 ID:xBrmxCUf0

杏子「まさか……さやかが関係してるんじゃねぇだろうな?」

QB「僕も結界の中まで入ったわけじゃないから詳しくはわからない」

杏子「何だよそれ……」

まどか「でも、いつ見つけたの?」

QB「さっきだよ。魔力の歪みを感じてね」

ほむら「とにかく急ぎましょう。美樹さやかのことは後よ」

杏子「くっ……でも…………」

まどか「大丈夫だよ杏子ちゃん」

杏子「え?」

まどか「さやかちゃんのことは私に任せて?」

QB「まどか、僕としては君にも来てほしいところなんだけど」

ほむら「いいわまどか。さやかのもとに向かって」

まどか「うん!」ダッ

245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:39:38.32 ID:xBrmxCUf0

QB「やれやれ。まどかの力が必要になるかもしれないのに」

ほむら「そんなこと、私がさせない」

QB「まぁいいけどね」

杏子「おい、早く案内しろ」

QB「こっちだよ」

ほむら「……」チラッ

杏子「……」コクッ

ほむら「……」コクッ

杏子「行くぞ!」

247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 22:43:57.75 ID:xBrmxCUf0

・・・

ドサッ

さやか「はぁ……やっちゃった」

さやか「あんなつもりじゃなかったのに……」

さやか「バカだよ、あたし……なんてこと言ってんのよ」ジワッ

さやか「もう救いようがないよ……」ポロポロ

さやか「……」

さやか「……」スタッ

さやか「……頭冷やすためにちょっと外歩こう」

さやか「ごめんね、みんな……」


バタン

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:01:08.43 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「はぁ……はぁ……」タッタッタッタッ

まどか「着いた……」


ピーンポーン


まどか「さやかちゃん、私だよ!まどかだよ!」ドンドン

まどか「ねぇ!さやかちゃん」

まどか「……いないのかな」ガチャ

まどか「あいてる……」

まどか「さやかちゃん!」バッ

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:05:21.17 ID:xBrmxCUf0

まどか「いない……どこかに出かけちゃったのかな…………」

まどか「そうだ、携帯!」ピッ

まどか「お願い、出て!」プルルルルル…


カワシタヤークソクーワスレナイヨ♪


まどか「!」

まどか「携帯置いてっちゃってるんだ……」

まどか「探さなきゃ……もしあれを見つけちゃったら…………」

まどか「……」ダッ

バタン

まどか「さやかちゃん、どこ……どこなの?」

254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:09:34.54 ID:xBrmxCUf0

・・・

QB「ここだよ」

杏子「……行くぞ」

ほむら「……」コクッ

QB「くれぐれも気をつけて!これは異常なケースなんだ!」

杏子「言われなくてもわかってるよ」

ほむら「もう少し奥のようね……」

QB「……」

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:16:47.32 ID:xBrmxCUf0

キエェェェエエエエエ!


杏子「あれか……」

ほむら「そのようね」

杏子「んじゃ、とっとと片付けちまうか!」

ほむら「えぇ、でも油断は禁物よ」

杏子「わかってるよ。早くこいつを倒して、さやかと仲直りするんだ!」

QB「それは死亡フラグってやつかい?」

杏子「違ぇよ」

ほむら「そうよ、物騒なこと言わないで。死ぬんじゃないわよ、杏子」

杏子「あぁ、生きてやるさ。私はさやかにそう誓ったんだ!」

259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:22:58.35 ID:xBrmxCUf0

・・・

河原



さやか「……」

さやか「何やってんだろ、あたし」

さやか「記憶がなくなってどうしようもなかったあたしを、助けてくれたのはあの3人なのに……」

さやか「あたし、ひどいこと言っちゃった……」

さやか「……」

さやか「うぅ…………」ジワッ

さやか「ごめんね…………」ツー

さやか「ほんとに……ヒック……ごめんね…………グスッ…………」ポロポロ

260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:26:42.80 ID:xBrmxCUf0

さやか「……っ…………ヒック……」ポロポロ

『普段の生活は私が全面的にサポートすっから!』

さやか「杏子ぉ……」

『何か困ったことがあったらいつでも頼ってね!』

さやか「まどかぁ……」

『できる限りのことはするつもりよ』

さやか「ほむらぁ……」

さやか「うぅ…………」ポロポロ

さやか「…………泣いてちゃダメだ」グシッ

さやか「……みんなに、みんなに謝らなきゃ!」ダッ

261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:34:07.67 ID:xBrmxCUf0

・・・

ガキィィイン!

杏子「ちっ!」ザザッ

ほむら「大丈夫!?」

杏子「なんてことねーよ。それより……」


キエエェェェ!


杏子「何だよあの魔女は!」

ほむら「……思ったよりも手こずりそうだわ」

杏子「あんま長引かせたくねーってのに……おわっ」ダッ

ドドドドドドドド
ズズウウゥゥン…

杏子「大丈夫か!?」

ほむら「問題ないわ……」

杏子「何なんだよこいつ!」

262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:40:05.29 ID:xBrmxCUf0

ほむら「杏子、左から攻めて!」

杏子「おっしゃ、任せろ!」ダダッ


ドォォォォン!


QB(苦戦しているようだね……)

QB(ある程度の魔力は想定していたけれど、これほどのものだとは思わなかったよ)

QB(この2人でも厳しいとなると……)

QB(…………まどか)

QB(君の出番だ!)シュタッ

263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:45:50.11 ID:xBrmxCUf0

・・・

まどか「はぁ……はぁ…………」

まどか「どこ……ハァ……行っちゃったの……かな………ハァ…」

まどか「さやかちゃん……」

まどか「もう家に帰っちゃってるのかも……」

まどか「……」

まどか「……行ってみよう!」



QB「まどか!」

まどか「!?」

QB「まどか、大変だ!」

まどか「キュゥべえ……?」

264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 23:52:32.19 ID:xBrmxCUf0

まどか「ねぇキュゥべえ、さやかちゃんが見つからないの……」

QB「それどころじゃないんだ!」

まどか「えっ?」

QB「魔女のことは伝えたよね?」

まどか「うん。もう終わったの?」

QB「まさか、その逆だよ。あの2人が苦戦してるんだ。相当強力な魔女だよ」

まどか「そ、そんな……2人は無事なの!?」

QB「今のところはね。でも君の力が必要になるかもしれない。一緒に来てくれるかい?」

まどか(行かなきゃ……2人を助けなきゃ!でも、さやかちゃんも心配だし……どうしよう!)

QB「まどか!」

まどか「……わかったよ。キュゥべえ、私をそこに連れてって!」

267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:10:20.13 ID:P2S5Ifzv0

・・・

杏子「これでどうだ!」ズバァン


キエェェエエェエ!


杏子「ちっ、ダメか……」

ほむら「任せて」ピキーン

ほむら「……」パラララララ

ほむら「……」カチッ シュッ

ほむら「解除!」


ドォオオオオオン!


杏子「やったか?」

270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:14:39.87 ID:P2S5Ifzv0

キエエエエエエエエエエ!


杏子「くそっ!」

ほむら「おかしいわ……確かに手ごたえがあったのに」

杏子「おい!避けろ!!」

ほむら「!」


ドゴォン!
グシャ


杏子「おい……嘘だろ………ほむらっ!」

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:19:27.19 ID:P2S5Ifzv0

ほむら「……危なかったわ」

杏子「!? よかった、無事だったのか……気をつけろバカ!」

ほむら「私がやられるわけないじゃない。それより、これじゃらちがあかない。攻め方を変えましょう」

杏子「それはいいけど、どうすんだよ?」

ほむら「私に考えがあるわ」

杏子「?」

ほむら「私の手を握って」

杏子「……………………はぁ!?」

ほむら「いいから!」

杏子「う……こ、こうか?」ギュッ

ほむら「いくわよ」ピキーン

杏子「なっ!?」

274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:25:41.65 ID:P2S5Ifzv0

杏子「おいおい、これはどういうことだよ?」

ほむら「時間を止めたのよ。これが私の能力」

杏子「……へぇ、なるほどな。これでいろいろ合点がいったよ」

ほむら「……秘密にしてたんだけど、今はそんな場合じゃないわよね」

杏子「それにしてもすげぇ能力だな。で、私はどうすればいい?」

ほむら「今までは私一人でダメージを与えてた。でも2人なら……」

杏子「……そういうことね。オーケイ、一気に行くぞ!」シュッ

ほむら「言われなくても!」スッ


ドドドドドドド
ガァン
ズバッ
カチッ


ほむら「杏子、離れて!」

杏子「おう!」

ほむら「解除」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:31:12.16 ID:P2S5Ifzv0

ドッゴォォォォオオオオオオオン!


杏子「やったか!?」


キェェェエエ…


杏子「まだ生きてんのかよ!?」

ほむら「でもダメージは与えたはずよ」

杏子「あと一押しってとこだな」

ほむら「えぇ、それじゃ……」



まどか「ほむらちゃん!杏子ちゃん!」

杏子「!?」

ほむら「まどか、あなた……」

277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:35:44.90 ID:P2S5Ifzv0

杏子「何でお前がここに……さやかは、さやかはどうなった!?」

まどか「ごめん、探してみたけど見つからなかった……」

杏子「っ!…………そっか」

ほむら「なぜここに来たの!ここは危険なのよ!?」

QB「僕だよ」

杏子「!」

ほむら「キュゥべえ……」

QB「君たちがどうも苦戦してるみたいだったから、もしもの時のために僕が呼んだんだ」

ほむら「……それには、及ばないわ」

杏子「あぁ。もう終わる」

まどか「ほむらちゃん……杏子ちゃん……」

278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:39:21.57 ID:P2S5Ifzv0

・・・

さやか「どこ行っちゃったんだろう……」

さやか「学校にも家にもいなかった……」

さやか「あたしのこと、怒ってるのかな……」

さやか「そ、そりゃあそうだよね!あんなこと言ったんだもん!」

さやか「……」

さやか「うぅ…………」ジワッ

284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:44:38.93 ID:P2S5Ifzv0

さやか「ダメダメ!ちゃんと謝るまでは泣いちゃダメ!!」

さやか「探さなきゃ…………」

さやか「って、え?」

さやか「なにこれ……」


オオォォオォオオオォォォォォオ…


さやか「時空の、裂け目?」

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:50:04.77 ID:P2S5Ifzv0

さやか「あ、あは、あはははは」

さやか「そ、そんなわけないわよね。どこのメルヘンよほんと」

さやか「……」

さやか「………違う」

さやか「何かひっかかる……」

さやか「多分あたし、これ知ってる……」

さやか「もしかしたら、失くした記憶の手がかりになるかもしれない……」

さやか「……入って、みようかな」


……ダヨ!


さやか「!?」

さやか「杏、子……?」

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 00:55:01.24 ID:P2S5Ifzv0

さやか「聞こえた……杏子の声…………」

さやか「きっとこの中だ」


キィン――


さやか「う……何だろうこの感覚」

さやか「何か……何か、思い出せそうな…………」

さやか(………怖い……けど………)

さやか「……怖がってちゃ、ダメだよね」グッ

さやか「行こう!」ダッ

290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:01:00.12 ID:P2S5Ifzv0

結界内



さやか(なによここ……気持ち悪い)

さやか(何か飛んでる……)

さやか(しかもこの色……頭が痛くなりそうだわ)


キィエエエエエエエ!


さやか「!」

さやか「魔…………女…………………?」

さやか「魔法…………」

さやか「結界…………」

さやか「あたし……………」

294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:07:07.03 ID:P2S5Ifzv0

ココハキケンナノヨ!
ボクダヨ


さやか「ほむらの声……それに、この声………」

さやか「キュゥ、べえ………」

さやか「……」

さやか「ソウル……ジェム………」ブツブツ

さやか「使い魔……」ブツブツ

さやか「あたしは…………」

296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:11:53.19 ID:P2S5Ifzv0

・・・

まどか「ほむらちゃん……杏子ちゃん……私…………」

杏子「!?」

まどか「ど、どうしたの……?」

杏子「何でだよ……」

ほむら「……」クルッ
まどか「……」クルッ

ほむら「!」
まどか「!」

杏子「何でなんだよ……」

まどか「そ、そんな………」

ほむら「――っ!」





杏子「何でお前がここにいるんだよ……さやかっ!」

297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:17:30.48 ID:P2S5Ifzv0

さやか「グリーフ……シード……」ブツブツ

杏子「おい、さやか……」

さやか「魔女の、口づけ……」ブツブツ

まどか「さやか、ちゃん……?」

さやか「……魔法少女」

ほむら「……っ!」

さやか「そっか」

杏子「さやかっ!」

さやか「ね、杏子。全部思い出したよ。記憶、戻ったよ」

杏子「――っ!」







さやか「あたし、もう死んでるんだね」

298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:22:14.16 ID:P2S5Ifzv0

まどか「さやかちゃん……そんな…………」

ほむら「くっ……」ギリッ

さやか「そっか、そういうことだったんだ」

杏子「やめろ……」

さやか「全部全部、あたしに気づかせないための嘘だったんだ」

杏子「やめろって……」

さやか「やっぱりみんな、あたしのために……」

杏子「やめろよ!!」

さやか「杏子……」

杏子「やめて……くれよっ………」ポロッ

301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:27:13.45 ID:P2S5Ifzv0

さやか「杏子……」

杏子「死んでる?ははっ何言ってんだよ……冗談きついな、さやかは……」ポロポロ

さやか「……」

杏子「ヒグッ……あんな魔女…グスッ……すぐ片付けてやっからよ……」ポロポロ

さやか「……」

杏子「一緒に……エグッ……帰ろうぜ………」ポロポロ

さやか「……」

杏子「それ、でさ、グスッ……一緒に、晩飯食って……」ポロポロ

さやか「……」

302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:33:11.26 ID:P2S5Ifzv0

杏子「そ、そうだ………グスッ……遊園地……行きたいんだろ………ウグッ…まどかから……聞いた………」ポロポロ

さやか「……」

杏子「楽しみだな……ヒック……何から、乗ろうか………グスッ…」ポロポロ

さやか「……」

杏子「その後は………」ポロポロ

さやか「もういいよ、杏子」ギュッ

杏子「え…………?」

さやか「もう嘘をつかなくていいんだよ、杏子」ギュゥ

杏子「……う、うわあああああああああああああああん!!!!」ボロボロ



まどか「さやかちゃん……」ポロポロ

ほむら(やっぱりあの時――――)

304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:37:27.82 ID:P2S5Ifzv0

・・・

QB『そうまでして死体の鮮度を保って、いったいどうするつもりだい?』

杏子『こいつのソウルジェムを取り戻す方法は?』

QB『僕の知る限りでは、ないね』

杏子『そいつは、お前が知らないこともあるって意味か?』

QB『魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれほどの不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない』

杏子『どんな不条理も、か……』

QB『杏子、君はいったい何を考えているんだい?』

杏子『なぁキュゥべえ、聞いてほしいことがあるんだ……』

305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:42:00.83 ID:P2S5Ifzv0

QB『……なるほどね』

杏子『できるか?』

QB『もちろんさ。君たちは魔法少女だ、どんな常識にも囚われない存在だよ』

杏子『!』

QB『でもわかってるね?その代償は、大きいよ』

杏子『あぁ、わかってるさ……』ピッピッ トゥルルルルル…

QB『?』

杏子『暁美ほむらか?ちょっと来てほしい。できれば鹿目まどかも連れて。場所は……』

306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 01:46:13.14 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『それで、何の用かしら?』

杏子『さやかを生き返らせる』

まどか『えっ……?』

ほむら『あいにくは私は忙しいの。あなたの冗談に付き合ってる暇はないわ』

まどか『そんなこと……できるの?』

杏子『キュゥべえ』

QB『僕から説明するのかい?』

杏子『2度も同じこと言うのは疲れる』

QB『全く……わかったよ。よく聞いてね、まどか、暁美ほむら』

まどか『?』
ほむら『……』

308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:00:34.04 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『そんなこと、可能なの……?』

QB『さっきも言ったように、君たちは魔法少女だ。できないことなんてないさ』

まどか『ほんとに……?』

QB『まぁその分、杏子は多大な代償を払うことになるけどね』

まどか『どういうこと?』

杏子『つまりだ、私がさやかに魔力を供給し続ける。そうすればさやかは魔力によって私たちと同じように生きていける』

まどか『うん、それはわかるよ』

杏子『でもその反面、私の魔力が失われる速度が急激に速まる。もちろんソウルジェムにも影響が出る』

まどか『そんな……ダメだよ、それじゃ杏子ちゃんが……』

杏子『私はいいんだ。さやかさえ……さやかさえ戻ってきてくれれば………』

まどか『杏子ちゃん……』

ほむら『私は反対よ』

311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:04:11.33 ID:P2S5Ifzv0

杏子『何でだよ!?』

ほむら『リスクが高すぎるわ。それに、その獣が嘘をついているかもしれない』

QB『そんなことないさ。これは過去にも事例があることなんだ』

杏子『そういうことだ』

ほむら『――っ!で、でもあなたのソウルジェムは……』

杏子『大丈夫。ほら、これ見てくれよ』バサッ

ほむら『!』

まどか『グリーフシードがたくさん……』

杏子『過去に狩ってきた魔女の分だ。これだけあれば十分だろ?それにこれからもどんどん狩って増やすつもりだ』

ほむら『……』

杏子『な?これでさやかを生き返らせることができる。あとは私が魔力を与え続けて、同時に自分のソウルジェムも浄化し続ければいい』

ほむら『……じゃあ、なぜ私たちをここへ呼んだの?』

313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:07:14.41 ID:P2S5Ifzv0

杏子『キュゥべえに聞いたところ、この方法には注意点が2つあるらしいんだ』

まどか『?』

杏子『まず、魔法少女についての記憶がなくなる』

まどか『記憶が……?』

杏子『あぁ。魔法少女についてはきれいさっぱり忘れることになる』

まどか『じゃあ、私たちのことも……』

QB『それは大丈夫さ。なくなるのは魔法少女についてだけで、君たちの事は記憶に残る。ただ、死ぬ前後の記憶は若干飛ぶだろうけどね』

杏子『そういうことだ』

まどか『そっか……』

ほむら『……それで、もうひとつは?』

315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:10:57.52 ID:P2S5Ifzv0

杏子『いくら私が魔力を与えても、本人に生きる意志がなければ全て無駄になる』

ほむら『……』

まどか『よくわからないや……』

QB『つまり、蘇生した本人が死を認識した時点でこの計画は破綻する』

まどか『?』

QB『ソウルジェムに宿せるのは魂だけ。意思や思考、行動は全て肉体、いわば脳によって行われている。
  つまり脳が死を認識した時点で、いくら魂を活性化させても、肉体が動いてくれないんだ。
  ほら、前に一度痛みについて話したね?あれも一緒さ。脳が痛みを認識しなければ、肉体にも影響は出ない。
  全ては脳に依拠していて、ソウルジェムはそれを補強するもの、と考えてくれていいかもね』

まどか『つまり……』

QB『簡単に言えば、さやかが自分自身が生きていると認識している間は肉体は動いてくれるけれど、死んだと認識した時点で肉体は動かなくなる。
  そして、杏子のやろうとしていることは、魂を活性化させると同時に肉体を騙し、生きていると思わせることなんだ。嘘をつくことでね。
  まぁ、そんなこと思わせなくても記憶がなくなるから、死んだことをさやかに悟られないようにする、と言った方がいいのかな』

ほむら『なるほどね……』

まどか『さやかちゃんに生きていると思わせる……』

316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:13:52.68 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『それで?』

杏子『お前らに協力してほしい』

まどか『え?どういうこと?』

杏子『さやかには魔法少女については一切話さない』

まどか『……』

ほむら『つまり、美樹さやかが自分の死を気づかないように私たちに演じろ、ってわけね』

杏子『そういうことだ』

317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:16:20.81 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『……私が承諾するとでも?』

杏子『思ってないさ……だから』スッ

ほむら『!』
まどか『!』

杏子『この通りだ』

まどか『きょ、杏子ちゃん!頭を上げてよ!!』アセッ

杏子『頼む、頼むよ』

まどか『わ、わかったよ、協力するから。ねっ、せめて頭上げて?』

杏子『暁美ほむらも……頼む』

ほむら『……』

まどか『ほむらちゃん……』

ほむら『……』

319: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:19:45.45 ID:P2S5Ifzv0

杏子『頼むよ……私、さやかがいないと………』ジワッ

まどか『ほむらちゃん!』

ほむら『……っ!』ギリッ

杏子『お願いだよぉ……』ポロポロ

ほむら『まどか……』

まどか『え?』

ほむら『あなたは、どうしたいの?』

まどか『わ、たし……?』

321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:22:37.26 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『……』

まどか『私は……』

杏子『……』

まどか『杏子ちゃんに……協力する!』

杏子『お前……』

ほむら『そう……わかったわ』

まどか『え?』

ほむら『不本意だけど……私も協力するわ』

杏子『あ……あぁ……ありがとう……ありがとう!』ポロッ

QB『……』

323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:25:33.26 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『言っておくけど、あなたに協力するわけではないわ』

杏子『え……?』

ほむら『あたしはまどかに協力する、そういうことにしておいて』

まどか『ほむらちゃん……』

杏子『……あぁ、何でもいいさ。ありがとな』

ほむら『お礼を言われる筋合いはないわ』

まどか『ほむらちゃんはやっぱり優しいね』

ほむら『うっ……』タジッ

杏子『へへっ……』

ほむら『ふ、ふんっ。それで、これからどうする気?』

杏子『そうだな、詳しく話すよ。まずは……』

325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:28:40.32 ID:P2S5Ifzv0

杏子『こんな感じだ』

ほむら『理解したわ』

まどか『だ、大丈夫かな私……』

杏子『要はさやかにだけ気づかれなきゃいいんだよ。そんな気を張らなくていい』

まどか『そっか、そうだよね……』

QB『やれやれ。話し合いは終わったかい?』

杏子『いや、もうひとつ言うことがある』

まどか『?』

ほむら『何?』



杏子『さやかと同居する』

327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 02:41:49.21 ID:P2S5Ifzv0

まどか『えぇっ!?』

ほむら『は……?』

QB『それは初耳だよ』

杏子『魔力の供給のこともあるし、何かあった時のために傍にいてやりたい』

QB『なるほどね』

ほむら『……』

杏子『何だよ』

ほむら『それは……美樹さやかのため?それとも、自分のため?』

杏子『――っ!』

まどか『ほむら、ちゃん……?』

330: さるさん多い…… 2011/04/17(日) 03:00:37.92 ID:P2S5Ifzv0

ほむら『この機会を利用して同居したいという自分の欲望を満たそうとか思ってるんじゃないでしょうね?』

杏子『……』

ほむら『あきれた。あなた、最低ね』

杏子『さやかの傍にいたいのは本当だ!でも……欲望とか、そんなつもりない!』

ほむら『そ、まぁいいわ』

まどか『でも、それだとさやかちゃんもおかしいって感じるんじゃ……』

杏子『死んだ前後の記憶を失うんだ。その期間に同居していたって言ってしまえばいい』

ほむら『あなたって人は……』

杏子『あとは自然に振舞うだけだよ。私さえうまくやれば、大丈夫さ……』

まどか『杏子ちゃん……』

331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:04:47.64 ID:P2S5Ifzv0

杏子『あと、学校にも行くから』

まどか『え?』

杏子『だから、何かあったときのためだよ』

ほむら『……好きにしたらいいわ』スタスタ

まどか『あ、待ってほむらちゃん……でも杏子ちゃん、学校に入れるの?』

杏子『行くだけで授業は受けねぇ。どっかに隠れて、さやかの様子をみるだけだ』

まどか『そっか……』

杏子『よろしく頼むよ』

まどか『うん……』

332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:08:31.76 ID:P2S5Ifzv0

・・・

ほむら(こうなることぐらいわかってた……わかってた、けど…………)ギリッ

まどか「さやかちゃぁん……」グスッ

杏子「うわあああああああああ!!!!さやかああああああああああ!!!!!」ポロポロ

さやか「よしよし、ありがとね。それじゃ、もう、いかなきゃ」

杏子「えっ…………?」ポロッ

さやか「さっきからね、意識が曖昧なの……」

杏子「そ、そんな……ダメだダメだダメだ!いっちゃダメだ……!!」

さやか「うん、ごめんね…………」

杏子「いやだっ………いやだぁ!」ポロポロ

さやか「杏子……」

杏子「うぅ………エグッ」ポロポロ

333: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:12:26.52 ID:P2S5Ifzv0

さやか「ねぇ杏子、どうやってあたしを生き返らせてくれたのかは、あたしにはわかんない」

杏子「ぅ……」ポロポロ

さやか「でもね、すっごく感謝してる。ちょっとの間だったけど、楽しかった……」ツー

杏子「……ヒグッ………」ポロポロ

さやか「ありがとう、それとごめんね。それだけが言いたかったの……」

杏子「ざやがぁ………」ボロボロ

さやか「まどかも、ほむらも、ありがとう……ごめんね………」

まどか「さやがぢゃん……」ポロポロ

ほむら「…………さやか」ツー

さやか「手……握って………?」スッ

杏子「…エグッ……うん………」ギュッ

さやか「そ、そうだ…………ねぇ……杏子………」ポロ…

杏子「うん………?」

335: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:16:17.46 ID:P2S5Ifzv0



さやか「あたし……杏子のこと………だぁい、好…………」スゥ




トサッ…




杏子「さやかぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」




336: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:20:38.33 ID:P2S5Ifzv0

キエェェェェェェエエエ!


ほむら「!」

QB「まずい、魔女が暴走し始めた!」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「くっ……杏子!」

杏子「……」

ほむら「杏子!避けて!!」

杏子「……」

ほむら「杏子!!」

杏子「……」

ほむら「――っ!」ピキーン

338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:24:18.38 ID:P2S5Ifzv0

ほむら「まどか、ここにいてね。ここは安全なはずだから」

まどか「わかった……」チラッ

杏子「……」

ほむら「後は私がなんとかする……」

QB「無茶だ!君一人ではこの暴走は止められな……」

杏子「……」スタッ

まどか「!?」
ほむら「!?」
QB「!?」

ほむら「杏子……?」

杏子「……さやかのこと、頼む」シュタッ

340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:28:22.25 ID:P2S5Ifzv0

キエエエエエエ!


杏子「……」スッ

杏子「……」ダッ


ズバババババ
ガシャーン
ドッゴォォオオオン!


ほむら「なっ………」

まどか「強い……」

QB「なんて魔力だ……今の彼女、まどかレベルの強さだよ!」

341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:32:25.24 ID:P2S5Ifzv0

キェェェエエエエ!


ドスドスドスッ
ビシャァ
ポタッ…


まどか「杏子ちゃん!?」

ほむら「まずい……っ!」

QB「あんなのまともにくらったら……え?」



杏子「……」ニヤッ

杏子「終わりだよ」スッ


カッ
ズバァァァァァァン!
ボシュゥン


杏子「……」スタッ

344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 03:36:23.51 ID:P2S5Ifzv0

ほむら「勝った……」

まどか「すごい……」

QB「なんて強さだ……佐倉杏子、君は…………、!?」



杏子「……」ドサッ



まどか「杏子ちゃん!」ダッ

ほむら「杏子!」ダッ

368: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:23:38.09 ID:P2S5Ifzv0

ほむら「杏子……」

杏子「はっ……ざまぁねーや……」ニッ

まどか「グリーフシードだよ!早く……」スッ

パシッ

まどか「え?」

杏子「いらねぇ……」

ほむら「!」

杏子「やるよ……それ」

まどか「杏子ちゃん……」

369: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:28:16.48 ID:P2S5Ifzv0

杏子「もう……無駄なんだよ…………必要ない」

ほむら「バカなこと言わないで!まどかそれ貸して!早く浄化を……」キィン

杏子「……」

まどか「え?なんで……なんできれいにならないの……?」

QB「絶望だよ」

ほむら「――っ!」

まどか「え?」

QB「美樹さやかの死によって杏子の心は今度こそ完全に壊れた。もういくら浄化しても無駄だよ」

ほむら「キュゥべえ……まさかあなたこれが狙いで………」

まどか「そんな……あんまりだよ…………」ジワッ

371: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:33:04.05 ID:P2S5Ifzv0

QB「残念だけど、仕方ないよ」

まどか「で、でも、また魔力でさやかちゃんを生き返らせることができるんじゃ……」

QB「まどか、だからもう無理なんだって」

まどか「どういう、こと……?」

ほむら「……グリーフシード、ね」

QB「ご名答。ねぇまどか、杏子はさやかをたった数日間生かすだけで一体どれだけの魔力を使い、どれだけのグリーフシードで浄化してきたと思う?」

まどか「あ……ああ………」

QB「おそらく杏子のグリーフシードのストックは尽きかけていた。もしかしたら尽きていたのかもしれない。どっちにしろ、こうなる運命だったのさ」

ほむら「キュゥべえ…………」ギリッ

372: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:38:09.96 ID:P2S5Ifzv0

まどか「そ、そんな……もう……無理、なの………?」ウルッ

ほむら「まどか……っ!」

まどか「杏子ちゃんは……魔女になるしか……ないの………?」ポロッ

杏子「………バカ言ってんじゃ、ねーよ」

まどか「え……?」

杏子「おい、ほむら……約束………覚えてっか?」

ほむら「――っ!」

まどか「約束…………?」

374: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:43:11.06 ID:P2S5Ifzv0

・・・

ほむら『ソウルジェムを?』

杏子『そう、もしもの時は、頼んだ』

ほむら『いい加減にして。いったいいくつ頼みごとをする気なの?』

杏子『お前にしかできことなんだよ。きっと、そうなる』

ほむら『バカなこと言わないで。あなたは死なせない。もちろん魔女にもさせない』

杏子『ははっ、優しいこと言ってくれるじゃねーか』

ほむら『本気で言ったつもりよ』

杏子『とにかく、頼んだぜ……』

ほむら『ちょっと待っ……』

杏子『なぁ、暁美ほむら』

ほむら『……何かしら?』

375: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:48:55.48 ID:P2S5Ifzv0

杏子『私、死のうと思ってたんだよ。さやかを失ったときにな』

ほむら『……』

杏子『もちろん今はそんなことねーよ?でも……』

ほむら『………でも?』

杏子『お前言ってたよな、物事にはいつか終わりが来るって』

ほむら『えぇ、そうね……』

杏子『さやかは生き返らせる。でも、お前の言うとおり、終わりが来るとしたら……』

ほむら『…………』

杏子『……そういうことだよ』

ほむら『杏子……』

杏子『頼りにしてっから……』バタン

ほむら『……』

376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:53:58.79 ID:P2S5Ifzv0

・・・

杏子「なぁ……頼むよ……」

ほむら「……できない」

杏子「おい……」

ほむら「できるわけないじゃない!もう……もうこれ以上、目の前で誰かを失いたくなんてないのよ!!」ポロッ

杏子「お前……」

ほむら「私は……巴マミも、美樹さやかも……救えなった………だから………せめて……」グッ

まどか「ほむらぢゃん……」ポロポロ

ほむら「あなたは絶対に死なせない……」

378: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 09:59:38.25 ID:P2S5Ifzv0

QB「そろそろかな。離れてないと危ないよ?」

まどか「そんな言い方ってないよ!ねぇ、キュゥべえ……なんとかならないの………?」

QB「こうなってしまった以上、僕にできることなんて何もないよ」

まどか「うぅ……そんな………」

杏子「ほむら……!」

ほむら「……っ」

杏子「頼むよ……魔女になんかなりたくない……お前らのこと忘れたくない………だから……」

まどか「杏子ちゃん……」

杏子「せめて、魔法少女のまま……逝かせてくれよ…………」

380: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:04:37.95 ID:P2S5Ifzv0

ほむら「……」

杏子「うぐっ…………」ドクン!

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「―――っ!」ジャキィ

まどか「!」

杏子「それで……いい……撃って………くれ……」

ほむら「……っ」ギリッ

まどか「……」

杏子「早く…………」




まどか「……」ギュッ

ほむら「!?」

381: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:10:04.28 ID:P2S5Ifzv0

まどか「私も……背負うよ………」

ほむら「え……?」

まどか「ほむらちゃんだって、辛いはずだよね。だったら、私も背負うから。ほむらちゃんの辛さ、私も……背負うから……」ポロポロ

ほむら「まどか……」ポロッ

まどか「一人で抱え込まなくていいように……私も…………」ポロポロ

杏子「へへっ……さんきゅー、な………」

ほむら「……」ググッ

杏子「生きろよ……」

ほむら「え……?」

杏子「私と、さやかが……生きられなかった分、お前らは……生きてくれよな………」ニコッ

ほむら「………もちろん、よ……」

まどか「うん……約束するよ……」ポロポロ

382: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:15:49.05 ID:P2S5Ifzv0

杏子(なぁさやか)

杏子(私ももうすぐそっちに行くよ……)

杏子(向こうでも仲良くしてくれよな)

杏子(ごめんな、こんなことになって)

杏子(でも、もう大丈夫だから)

杏子(もう絶対に離さない)

杏子(ずっと傍にいるよ)

杏子(だって……)

383: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:17:27.49 ID:P2S5Ifzv0



杏子「独りぼっちは、寂しいもんな……」






ダァァァァン――




388: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:28:54.77 ID:P2S5Ifzv0

<epilogue>


「あれからもう、随分経つわね……」

黒髪の少女はまるで写真に話しかけるように呟いた。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
写真の中、2人の少女が笑っている。
満開の桜の中、お互いに寄り添い合い、とても、とても楽しそうに。

少女の目から一粒の雫が零れ落ちた。
その雫は頬を伝い、彼女が手にしている写真を濡らした。
一度流れ出すと涙は、堰を切ったように次々と溢れ出した。

「ほむらちゃん……」

気が付くと、少女の後ろにもう一人少女が立っていた。
その少女は淡いピンクの髪を二つ括りにし、とても優しい顔を覗かせている。

ピンクの髪の少女はそのまま、黒髪の少女のもとへ進んだ。
そして、そっと後ろから抱きしめた。

389: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:33:32.39 ID:P2S5Ifzv0

「やっぱりここに来てたんだね」

「まどか……」

しばらく二人は身体を寄せ合い、お互いの体温を感じていた。
それはとても温かく、どこか憂いを帯びていた。
しばらくして、2人は身体を離し、お互いに向き合う。
ピンクの髪の少女が鞄から何かを取り出した。

「これ……」

「……写真立て?」

「使ってあげて……」

黒髪の少女はうなずき、右手の写真をそれにおさめた。
写真の中では相変わらず2人の少女が笑っている。

390: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/17(日) 10:37:38.89 ID:P2S5Ifzv0

「そろそろ行こっか……」

「そうね……」

「また、来るね。さやかちゃん……杏子ちゃん……」


そう言い残し2人は部屋を後にした。
部屋におかれた机の上には、一つのピンと一本のリボン。
そして一枚の写真立てだけが残された。

窓から差し込む光を受けた、その写真からは
太陽のような輝きの笑みを浮かべた2人の少女が
いつまでも、いつまでも優しく、照らし出されていた。




【おしまい】