9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:02:50.71 ID:XvKyIdKiO
唯「だから澪ちゃんの方が好きだもんねー」ぎゅう

澪「お、おいおい。あんまりくっつくなよ……」どきどき

唯「澪ちゃんだーい好き」すりすり

澪「わ、私も唯は好きだけど、そういうのは……」

梓「むー!」

引用元: 唯「最初にギター教えてくれたのは澪ちゃんだもん」 



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:09:40.94 ID:XvKyIdKiO
律「ムギ、今日は少し遅れてくるって」

唯「じゃあそれまでお茶は待とうか」

澪「いや、こういう時こそ練しゅ」

梓「じゃあ今日は私がお茶淹れます!」どーん

澪「あれー?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:13:37.92 ID:XvKyIdKiO
唯「いーよ、絶対ムギちゃんが淹れたお茶のがおいしいし」

梓「そんなのやってみないとわからないじゃないですか!」

唯「それに最初にお茶淹れてくれたのはムギちゃんだしね、二番煎じだよ」

梓「む、むー!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:16:26.54 ID:XvKyIdKiO
律「なるほど、これがホントの二番煎じか!お茶だけに!」

唯「あはは、りっちゃんおもしろーい!」けらけら

律「唯を最初に軽音部に誘ったのは、私だったよな?」

唯「そうだよねー、りっちゃん本当にありがとね!」

律「いやいやー」てれてれ

梓「……む、むぅ……」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:21:16.83 ID:XvKyIdKiO
律「おっと、もう帰りの時間だ」

紬「今日は時が流れるのが早いわねぇ」

澪「まだ練習してないのにー」とほほ

唯「今日のばんごはんはなーにかなー?」わくわく

梓(……そうだ!)

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:24:37.06 ID:XvKyIdKiO
梓「唯先輩!今度私がごはんごちそうします!」

唯「えー?いいよ。憂のごはんがあるもん」

梓「なんなら憂と二人で食べにきて下さい!」

唯「そもそもあずにゃん料理なんてできたっけ?」

梓「うっ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:30:02.37 ID:XvKyIdKiO
唯「バレンタインのチョコ、憂にだいぶ手伝ってもらったらしいじゃん」

梓「そ、それは……」

唯「だいたいあずにゃんが料理しても、憂のマネっこじゃーん」

梓「……」

唯「結局あずにゃんって、なにで一番なのかな?」

梓「……む」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:33:27.81 ID:XvKyIdKiO
唯「ん?」

梓「むー!むー!」じだんだ

澪「梓?」

梓「いいもん!いいもん!今に唯先輩を見返してやるもん!」とたとたとた

澪「……」

紬「……」

律「……何事?」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:37:50.54 ID:XvKyIdKiO
ガチャバタン!

梓ママ「お帰りなさい。あら、どうしたの?」

梓「……」

梓ママ「何かあったの?」

梓「……うして」じわー

梓ママ「?」

梓「どうして私を一年早く産んでくれなかったの!?おかーさん!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:40:38.74 ID:XvKyIdKiO
梓ママ「え?」

梓「そーすりゃ!私が誘って!私がお茶淹れて!私がギター教えたのに!」ポロポロ

梓ママ「何が言いたいのかわからない」

梓「二番煎じなんていやだもん!絶対にやだもん!」だっ

梓ママ「……若いって大変ねぇ」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:43:50.20 ID:XvKyIdKiO
梓のお部屋!

梓「……っく、ひっく……」ぐじゅ

梓「……どうしたらいいんだろ?」

梓「勉強は無理だし、スタイルは……認めたくないけど論外だし」

梓「何をしたら、唯先輩の一番になれるんだろ?」

梓「……そうだ!」



梓「運動だ!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:47:36.54 ID:XvKyIdKiO
梓「運動だったら一番になれるよ!」ふんす

梓「そしたら……」



唯「あずにゃん!あーずにゃーん!」

梓「ユイドリアン!ユイドリアーン!」

唯「あはははは」

梓「あはははは」





梓「……えへへ」にこー

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:49:11.54 ID:XvKyIdKiO
【翌朝 AM5:00】

ぴぴぴぴ ぴぴぴぴ

カチッ

梓「……よし」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:51:43.61 ID:XvKyIdKiO
梓「一個、二個……」

梓「……うん、六個くらいあればいいよね」

梓「うー、やっぱりなんか気持ち悪いー」

梓「……えいっ!」がぶっ

梓「生卵ってキくはずだよね……うぇ」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:55:11.03 ID:XvKyIdKiO
梓「出発!」

梓「えっほ、えっほ」

梓「朝の空気って、冷たくておいしいな」

梓「……もっと早くに、ジョギング始めてりゃ、よかった」ぜえ

梓「♪ごなーふらーい……」ぜえぜえ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 20:58:41.12 ID:XvKyIdKiO
【AM7:00】

梓ママ「……ふあぁーあ」のびー

梓ママ「……ん?」

梓「ていてい」ぺちぺち

梓ママ「……何してるの?」

梓「運動だよ!」ぺちぺち

梓ママ「……それ、今晩の豚カツ用なんだけど……」

梓「おかまいなく!」ぺちぺち

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:02:12.01 ID:XvKyIdKiO
三十分後!

梓ママ「行ってらっしゃーい」

梓「……行ってきまーす」よろ

梓「……眠いし足痛いし手も痛い……」

梓「おまけになんか頭も痛いよー」よろよろ

梓「……っくち」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:04:54.64 ID:XvKyIdKiO
憂「おはよー梓ちゃん」

梓「ふんっ」

憂「あ、梓ちゃん?」

梓「……憂もライバルなんだからね」

憂「意味わからないよぅ」うるうる

梓「……今に唯先輩を、見返してやるんだから」よろよろ

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:10:09.39 ID:XvKyIdKiO
授業中!

先生「えー、であるからしてー、つまり」

ぎゅるりるりるー

先生「……」

クラス一同「……」

純「……何今の?」

梓「……」カアァ

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:13:33.20 ID:XvKyIdKiO
梓(やばいよ、めちゃくちゃお腹痛いよ……)

梓(朝飲んだ生卵が痛んでたのかな?)

梓(トイレ行きたい……けど恥ずかし)

ぎゅるりるー

ガタッ

梓「先生!トイレ行ってきます!」



梓(うわああぁーん!)

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:18:29.99 ID:XvKyIdKiO
一方……

唯「♪おトイレおトイレ……ありゃ」

唯「珍しいね、この時間に使われてるなんて」

唯「授業中におトイレなんて、精神がたるんどるよ!まったく!」ぷんぷん

ギイィ……

唯「……あ」

梓「……あ」

唯「あずにゃん?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:21:20.75 ID:XvKyIdKiO
梓「……ゆ、ゆいせんぱ……」

唯「どうしちゃったのさ、こんなにげっそりしちゃって」

梓「……ほっといてください、今に唯先輩のこと、みかえ……して……」

がくっ

唯「あずにゃん!?しっかりして、あずにゃああああん!」

……

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:26:51.10 ID:XvKyIdKiO
梓「……ん」ぱちっ

梓「あれ、ここは……」

唯「目、覚めた?」

梓「唯先輩!?どうして!……っていうか、ここは?」

唯「保健室だよ。あずにゃん、熱あったよ。風邪かな?」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:33:29.63 ID:XvKyIdKiO
梓「そっか、私、トイレで倒れて……」

唯「あずにゃんのお母さんには、もう連絡行ってるから大丈夫」にこっ

梓「……どうしてですか」

唯「んー?」

梓「どうして私なんかのために……授業までサボって」

唯「私“なんか”?」

梓「だって!私なんて何やっても唯先輩の一番になれなくて!今日もこんな失敗して!」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:37:36.14 ID:XvKyIdKiO
梓「私なんて、いつも、唯先輩に偉そうにしてても!本当は何にも、なんにも……できなくて……」ポロ

唯「あずにゃん……」

梓「私なんか……わたしなんか……うっ、うっ……」ポロポロ

唯「……」

梓「……うっ……ひっく……」ポロポロ

ぎゅ

梓「……唯先輩」ぐす

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:41:06.63 ID:XvKyIdKiO
唯「おバカだなー、あずにゃんは」なでなで

梓「……そうですよね、バカですよね……」ぐじゅ

唯「ちがうよー。私はあずにゃんが間違ってるって言いたいんだよ」

梓「え?」

唯「あずにゃんもね、私にとっては大切な一番だよ」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:46:51.22 ID:XvKyIdKiO
梓「え、だって私……ギターもお茶も一番じゃないもん」

唯「そんなの関係ないよ」

唯「あずにゃんはね、私にとって一番かわいい子なんだ。抱きつくとあったかい子なんだ」

梓「……そんなのうれしくないです!」ぐすっ

唯「それじゃあ、ダメなのかな?」

唯「私はうれしいんだけどなー?」

梓「……」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:50:34.67 ID:XvKyIdKiO
唯「昨日はね、これが言いたくて意地悪しちゃったんだ。でもあずにゃんたら、さっさと帰っちゃうから」

梓「……なんですか、それ」

唯「あずにゃん、ごめんね。ホントにホントにごめんね」

梓「もう、絶対に許してあげません!」ぷいっ

唯「えぇー!?許してつかぁさぁい!」めそ

梓「……くすっ」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:56:43.10 ID:XvKyIdKiO
ガチャッ

律「おいーっす!梓無事かー!?」

澪「こら、保健室では静かにしろ!」ぺしっ

唯「あ~。みんな来てくれたんだ~」

律「あったり前よ!後輩のピンチだからな!」

紬「迎えがくるまで、お茶にしましょう」にこにこ

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/02(水) 21:57:49.85 ID:XvKyIdKiO
澪「梓、体の調子はどう?」

梓「ええ、もう大丈夫です!」にこー

律「お、なんか嬉しそうだな?」

梓「♪」

唯「?」



めでたしめでたし

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:31:03.40 ID:6YVnrOOw0
梓「だからここはこうして……」

唯「うーん……こう?」ベベーン

梓「そんな感じです。じゃあちょっと前の方からやってみましょうか」

♪~

唯「さっきの所だけどさ」

梓「はい?」

唯「こうした方がいいと思うんだけど、どうかな。楽譜とは違うけど」ベベーン

律「おーそっちのがいいんじゃないか。なあ、ムギ」

紬「そうね。すごく良いと思うわ」

澪「ホント、センスはあるんだよなあ……」

梓「なんかもう、私が教えなくても大丈夫かもしれませんね」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:31:46.99 ID:6YVnrOOw0
律「引退も近い三年が未だに後輩に教わってること自体そもそもおかしいんだけどな」

唯「うわ、りっちゃんひどーい」

律「だったら新しい事覚えるたび、前に覚えた事忘れる癖をなんとかしろぃ」

唯「りっちゃんのドラムが走らなくなったら考えるー」

律「このやろ、言ったなー!」グリグリ

唯「きゃー」

澪「ほらほら、じゃれてないで一回みんなで合わせるぞ」パンパン

紬「いよいよ明日が本番なのね」

梓「緊張します……」ドキドキ

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:33:08.81 ID:6YVnrOOw0


律「泊まり込もう」

唯「お泊まり?」

澪「突然どうした。ウチは無理だぞ」

律「なんで澪んちに泊まらなきゃならねーんだよ!」

梓「じゃあどこに……」

紬「ちょ、ちょっと電話してみるね!」

律「いや、ムギんちでもないから。興味はあるけど」

さわ子「学校に泊まり込みで練習したいと、そういうことね!」バーン

唯「さわちゃん!」

梓「あいかわらず神出鬼没ですね……」

さわ子「こんなこともあろうかと、寝袋持って来たわ!」ジャーン

紬「寝袋!?」キラキラ

律「よっしゃあ! 寝具も確保したし、今日は夜通し練習だー!」オー

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:34:38.85 ID:6YVnrOOw0


澪「――と、意気込んでた奴が真っ先に寝てどうする……」

律「んん……ゆいぃそっちは危険だぁ、戻れぇ」ムニャムニャ

唯「りっちゃん隊員、あとちょっとで、あとちょっとで手が届くんだよぅ……」ムニャ

澪(寝言がシンクロしている……)

紬「……」スースー

澪「やれやれ、これくらい静かに寝てくれたらな。こんな状態じゃアレだし、梓も眠たかったら寝ていいよ」

梓「はい。ここの確認が終わったらそうします」

澪「梓は練習熱心だな」

梓「熱心というか、練習してないと不安なんです」

澪「ン……」

梓「えと、ここのコードが……」

澪(不安、か)

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:36:44.40 ID:6YVnrOOw0
梓「むむむ……」

澪「あ、そこは指をこうした方が弾きやすいよ」

梓「……ホントだ。澪先輩ってギターにも詳しいですよね」

澪「ン……。そうかな?」

梓「そうですよ。私、ベースの方は全然なんですよね。演奏の幅を広げる為にも覚えたいんですけど」

澪「梓だったらすぐ上手くなるよ」

梓「よかったら、今度教えてくれませんか? 受験終わってからでいいので」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:38:08.58 ID:6YVnrOOw0
澪「私なんかで良ければ構わないけど……」

梓「楽しみです。澪先輩は教えるの上手いって聞きました」

澪「そんな、過大評価だよ」

梓「唯先輩ったらちょっと私がきつく言うと、"澪ちゃ……コホン、先輩はもっと優しく教えてくれたー"とか駄々こねたりして」

澪「はは。でも梓が来てくれてから唯はますます上手くなってるよ」

梓「そうですか?」

澪「うん。梓の指導がいいのかもな」

梓「……どもです」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:39:16.20 ID:6YVnrOOw0
澪「梓」

梓「はい?」

澪「明日、頑張ろうな」

梓「……はい、絶対成功させてみせます!」

澪「その意気だ」

梓「じゃあ私はそろそろ失礼します」

澪「ああ。おやすみ」

梓「澪先輩はまだ寝ないんですか?」

澪「うん。もうちょっとだけ」

梓「そうですか。それじゃあ、おやすみなさい」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:41:10.72 ID:6YVnrOOw0


澪(梓は寝つきがいいな。……律達もやっと大人しくなったみたいだ)

梓「んん……」クー

澪(泣いても笑っても、明日が最後の学園祭ライブ)

律「んあ……」ムニャムニャ

澪(声が出なくなったら。歌詞を忘れたら。それに、それに――)

紬「……」スースー

澪(こんな調子で大丈夫かな。私のせいでみんなに迷惑かけたら……)

「みーおーちゃんっ」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:43:19.25 ID:6YVnrOOw0
澪「ん?」

ぷにっ

澪「……お前なあ」

唯「わーい! また引っかかったー」

澪「まだ起きるには早いぞ」

唯「寝るにも早いって思わない?」

澪「いつも寝てる……っていうかさっきまで寝てた奴が何を……」

唯「梓。明日頑張ろうな」キリッ

澪「……お前、狸寝入りだったのか」

唯「ラブラブでしたな。式はいつですの?」オホホ

澪「そんなんじゃないって」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:45:05.20 ID:6YVnrOOw0
唯「ね、私にもギター教えて?」

澪「ン……。今更、本業じゃない私が教えられることなんてないよ」

唯「あずにゃんには教えられるのに?」ズイッ

澪「あ、あれはたまたま知ってる所だったから……。あんまり顔近付けるなっ」

唯「じゃ、見てくれるだけでいいから」

澪「まあそれなら……」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:47:17.36 ID:6YVnrOOw0


唯「どう?」

澪「指運びは完璧だと思う。本番でそれをやれるなら言う事ないよ」

唯「だって~。やったね、ギー太。褒められちった」

澪「指に気を取られて歌詞忘れるなよ」

唯「忘れても澪ちゃんがフォローしてくれるも~ん」

澪「もうあんなのは勘弁してくれ……」

唯「……いっつも助けてくれてありがとうね」

澪「な、なんだよ、突然」

唯「なんとなく」

澪「……」

唯「澪ちゃんにはお世話になりっぱなしだから」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:50:20.64 ID:6YVnrOOw0
澪「……唯」

唯「なあに?」

澪「なんでそんなに私を頼ってくれるんだ?」

唯「ほえ?」

澪「みんな私の事買い被ってるけど、唯は、唯達は知ってるだろ」

唯「……」

澪(羨望の眼差しを向けられている秋山澪なんて虚像でしかない。本当の私は怖がりで、泣き虫で、それで――)

唯「最初にギター教えてくれたのは澪ちゃんだもん」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:52:18.53 ID:6YVnrOOw0
澪「え?」

唯「澪ちゃんから教えて貰った基礎の練習、今でもやってるんだよ」

澪「別にあれくらい、私が教えなくてもさわ子先生か誰かが――」

唯「でも、実際教えてくれたのは澪ちゃんだよ」

澪「そうだけど……」

唯「澪ちゃんはもっと自信持っていいと思うな」

澪「……」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 04:56:16.62 ID:6YVnrOOw0
唯「自惚れって大事だよ? 私は出来る! って。澪ちゃんは実際出来るんだからなおさらだよ」

澪「自信……」

唯「私も、りっちゃんも、ムギちゃんも。それに、あずにゃんだって。ちゃんと分かってるから、ね」

澪「唯……」

唯「なんちゃって」デヘヘ

澪「……そうだな」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 05:01:09.34 ID:6YVnrOOw0
思い起こせば――。

ギターの勉強をしたのは、いつも一生懸命な君を少しでも助けたかったから。

まだ私の中に残ってた迷いを振り切ったのも、あの花火を背にした君の演奏だった。

君が声をかけてくれたから大勢の前でも歌えた。

今日だってそう。ほんの少しの言葉で、行動で、私を変えてしまう。

いつだって気づいたら、君は私の標になっていたんだ。

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/03(木) 05:01:52.07 ID:6YVnrOOw0
澪(また助けられちゃったな)

唯「ン……。なにか言った?」

澪「……ううん。さあ、もう寝ないと明日起きられないぞっ」

唯「はーい」

澪「なあ、唯」

唯「んー?」

澪「その、これからもよろしくな」

唯「……うん。これからも、ずっと一緒だよ!」

(了)