ある火星での出来事をまとめた。
ある男と女の話である。

引用元: 男「ずっと一緒に居たかったな」女「うん、そうだね」 



2: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 20:57:20.22 ID:uXNikueZ0
女「ん・・・ここは・・?」

女「ん・・・」

女「分からない・・・」

女「…しょうがない。探索してみようかな」

3: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 20:59:30.75 ID:uXNikueZ0
女「どうやら夜みたい」

女「・・・今日はこの街の家に泊めて貰おう」


(探索中)

女「・・・人はいないみたいだなあ」

女「ごめんなさい、ちょっとだけ家借ります・・・」


 ガチャ…

5: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:00:51.17 ID:uXNikueZ0
(家の中)

女「・・・中は埃っぽいな」

女「・・二階に寝床があるはずだ。上がってみよう」

 ガチャ…

7: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:02:38.45 ID:uXNikueZ0
女「ベッドはやっぱり埃っぽいけど贅沢言える立場じゃないしな・・・」

女「1日だけ泊めて下さい! お願いします!」

 シーン…

女「・・・オッケーってことだね?」

女「よし! 寝よう!」

8: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:07:04.55 ID:uXNikueZ0
(二日目 晴れ)

女「・・・むにゃ」

女「もう一時間だけ・・・」


女「じゃない!」ガバッ!!

女「探索しないと! ここはどこなの?」

女「・・・まずは外に出よう!」イソイソ

9: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:08:57.79 ID:uXNikueZ0
女「砂漠……の砂かな?」サラサラ…

女「ここは砂漠の中の街ってことなのか」

女「うーん、私はどこから来たんだっけ・・・?」

女「・・・どこで生まれたのかなあ?」

女「・・・ヤバい。」

女「・・・全てを忘れてしまった」アワアワ

10: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:10:19.04 ID:uXNikueZ0
女「よし! なら色々街を見て回ろう!」

女「いつか思い出す筈だ!」

女「・・・とりあえず食料と水を貰って出発だな」

11: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:12:55.00 ID:uXNikueZ0
(街の中のある家)

女「・・・このリュックサックいいな」

女「貰おう」

女「・・・水はたくさん置いてあるけど食料が見つからないなあ・・・」

女「まあいいか、荷物を詰めて出発だあ!!」

12: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:15:07.82 ID:uXNikueZ0
(砂漠)

 ビュー…

女「メガネ持ってきたら良かった・・・」

女「目がとても……痛いよ……」ビュー…

女「・・・ダメだ、日が暮れてしまう・・・」

女「死んじゃう・・・」


 ビュー…

13: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:23:44.42 ID:uXNikueZ0
 ビュー……ガサ…ゴソ……

 ビュー…

男「ん? こんな所で何してんの? お前」

女「……」ガックリ…

男「おい! 大丈夫か? おい返事しろよ!」

女「……」ガックリ

男「……はぁ」

14: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:25:29.07 ID:uXNikueZ0
女「……むにゃ」

女「あと、30分だけでいいから…」


女「じゃない!! 私死ぬ!」バッ!!

女「あれ? 死んでない?」

女「・・・まずここはどこ?」

 ガチャ…

男「お、起きたか」

15: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:35:04.56 ID:uXNikueZ0
女「・・・おはよう」

男「・・・」

女「・・・ここはどこ?」

男「・・・」

女「あなたは誰?」

男「・・・」

女「ここにはあなた以外は誰もいないの?」

男「・・・水」

女「は?」

男「助けてやったろ、水ちょっとよこせ」

女「・・・え?」

男「水を俺によこすかここで俺に殺されるか俺に●●●されるか選べ」

男「早く」

女(なんだこの威圧感…あげる以外選択肢ないよ……)

女「・・・分かったよ。水あげるから、その代わりにここの事を色々と教えてよ」

18: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:38:12.67 ID:uXNikueZ0
女「はいお水、3本くらいでいいでしょ?」

男「ん・・・」ガシッ


男「じゃあ俺はこれで」

女「いや待ってよ!」

男「なんで?」

女「色々教えてって言ったじゃん! もう忘れたの?」

男「さっきの水は助けてやったお礼だろ? 他の事は自分で調べるんだな」プイッ

女「あっ! ちょっ! 待て!」ドタバタ!!

19: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:42:28.42 ID:uXNikueZ0
男「なあお嬢ちゃん」

女「・・・なに?」ビクッ

男「良いこと教えてやるよ。ここには法律なんてない」

女「・・・だから?」

男「俺がお前に何しようが止める奴は居ないってこった」

男「何もされたくないだろ?」

男「んじゃ、さよなら」

20: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:48:15.83 ID:uXNikueZ0
 ビュー…

男「……」ゴソ…ガソ……

男「……」ゴソ……

男「……なんでついてくるんだよ」

女「だって・・・」

男「…腹減ってるだろ?」

女「うん! ご飯ちょうだい!」

男「……俺は飯持ってない。あの街には飯あるぞ、あと少し頑張れ」

女「うん!」

男(…なんで俺がメスのお守りしてるんだろ……)

21: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:51:44.71 ID:uXNikueZ0
(大きな街)

男「あの工場だ、あそこで飯が食える」

女「え?そこにスーパーあるよ?」

男「とっくの昔に腐ってるよ。今じゃ砂になってるかもな」

女「…ここはどこなの?」

男「・・・本当に何も覚えてないのか?」

男「俺をからかってるのか?」

女「めっちゃ本気で聞いてる」


男「・・・ここは火星だ」

22: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:53:10.64 ID:uXNikueZ0
女「おー、なるほど…」

女「・・・ごめんよく分からない」

男「だろうな、まあ明日にでも教えてやるよ」

女「そうだね、今はご飯食べたい」

23: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 21:59:42.27 ID:uXNikueZ0
(大きな街の工場 内部)

女「ごちゃごちゃしてる…」

男「……まあ俺も仕組みは分からんが使い方は簡単だ」

男「そこの赤いボタン押してみろ」

女「これ? 分かった押すよ」ポチ…


 ゴオオオオオ……

 ボン…ボン……ボン…

女「何の音?」

男「飯の音」

男「裏に回るぞ、飯があるから」

24: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 22:10:32.66 ID:uXNikueZ0
女「すっご~い♪」

女「コレ何年分?」

男「さあ、別に全部食べる必要はないんだぞ?」

女「えー、でももったいないじゃん」

男「あはは、別にもったいないとかそういうのはないんだよ」

男「食べたい時に食べて寝たいときに寝ればいい、ここはそういう所だから」

女「……ずっと一人? なの?」モグモグ

男「おう」モグモグ

女「一人で寂しくないの?」モグモグ

男「別に、まあ生まれてずっと一人みたいなもんだし慣れたもんだよ」モグモグ

25: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 22:14:21.18 ID:uXNikueZ0
男「あと、この食べ物は日持ちしないからその大きなリュックサックに詰め込んでも無駄だぞ?」

女「お、うん・・・」

女(ヤバい・・・考えが読まれてる・・・)

男「・・・日持ちのする不味い食べ物はちゃんとあるから安心しろよ」

女「・・・意外と面倒見良いんだね」

男「久しぶりの人間だからな、少し相手したくなっただけだ。飽きたら見捨てる」

女「またまたそんなこと言っちゃって~♪」

26: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/13(日) 22:29:59.64 ID:uXNikueZ0
(大きな街のある家)

男「・・・じゃあおやすみ」

女「うん、おやすみ・・・」

36: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:27:39.83 ID:CCBsdAVX0
男「・・・おはよう」

女「むにゃ…」

男「はよ起きろや」

女「むむ…」

男「暗いうちに出るぞ」

女「なんで…?」

男「いいから早く」

37: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:30:29.74 ID:CCBsdAVX0
男「ちゃんとメガネ持ってきたな?」

女「うん、風も強くないね」

男「風は夜明け前は大したことないんだよ」

男「ほら、太陽が」

女「…キレイ」

男「早起きして良かったろ?」

女「うん!」

39: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:35:10.18 ID:CCBsdAVX0
 ビュー…

男「風が強くなってきたな、次の街に行こうぜ」

女「どうして決まった家に住まないの?」

男「……どうしてだろうな、分からない」

女「でも何か理由があるわけでしょ?」

男「……強いて言うなら俺の家じゃない家をずっと使うことの罪悪感かな」

女「・・・嘘つき、ホントの事言え」

41: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:37:01.90 ID:CCBsdAVX0
男「この星には未来がないから」

女「急に臭いセリフを吐いてきたな」

男「だって本当だもん」

女「まあいいや、詳しく教えてよ」

男「おう、気が向いた。教えてやるよ」

42: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:39:59.43 ID:CCBsdAVX0
男「昔はな、あそこにある『チキュウ』って星に住んでたらしい」

女「誰が?」

男「偉大なご先祖様」

女「なるほど、じゃあなんで私たちは火星にいるの? あそこにある『チキュウ』は今どうなってるの?」

男「まあ、そう焦るなよ」

男「時間は腐る程あるんだ。ゆっくり説明するからさ」

女「頼んだ!」

43: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:43:27.02 ID:CCBsdAVX0
男「今じゃあ考えられないがあの『チキュウ』にはたくさんの人が住んでたらしい」

女「ふーん、今は『チキュウ』にも火星にも誰もいないけどね」

男「たくさんの人が裕福になることを望んだらしい」

男「俺たちが使ったような機械を大量に使って『チキュウ』の皆が裕福になるように努力したらしい」

女「ふむふむ、良いことだね」

44: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:46:49.01 ID:CCBsdAVX0
男「でもそれは叶わなかった」

女「どうしてさ? 何も間違った事してないよ?」

男「どうしてなんだろうな。多分機械を使ったのが不味かったんだろうな」

男「『チキュウ』は確実に汚されていたんだ」

男「そしてある日『チキュウ』は俺たちの先祖様に牙を剥いた」

女「殺されたの?」ビクビク…

男「いいや」

46: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:53:18.46 ID:CCBsdAVX0
男「確かにその公害でたくさんの人が毒されたが、一部の裕福な人はそれを免れたんだ」

女「・・・火星に逃げたんだ」

女「・・・仲間を見捨てて」

男「おう、種の存続の大義名分の元に貧民を見殺しにしてな」

男「元々、火星を植民地にする計画はあったらしい」

男「要は空気とかの調整はあらかた終わってたから運良く『チキュウ』の公害からは逃げられた訳さ」

女「ロケットっていうのを使ったの?」

男「うん」

女「たくさんのロケットを使えばたくさんの人が乗れるんじゃないの?」

男「いいや、当時の『チキュウ』の人口からすると一握りの連中だけさ」

48: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:54:59.56 ID:CCBsdAVX0
男「ところが、それを『チキュウ』は許さなかった」

男「『チキュウ』は彼らに呪いをかけた」

女「もう火星に逃げたのに呪いをかけたの?」

男「……相当怒ってたんだろうな」

女「それはどんな呪いなの?」

49: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 21:56:16.97 ID:CCBsdAVX0
男『子が生めない』

男「……ただそれだけの呪いさ」

50: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:00:39.35 ID:CCBsdAVX0
男「相当研究したらしい、けれど結局よく分からなかったらしい」

男「ぼんやりと分かったのは『チキュウ』での公害が原因らしいこと」

男「…しばらくは人工受精を行っていた」

男「クローンの研究も進めていたが、その、色々あってな……辞めたらしい」

女「クローン?」

男「コピー人間さ。自分とおんなじのが百人いても困るだけだろ?」

女「・・・確かに」

51: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:02:07.62 ID:CCBsdAVX0
女「ふむふむ、だけどそれじゃあ星に未来がないことに繋がらないよ」

男「お、話をうやむやにしようかと思ってたが……見破られたか」

女「さあ教えてもらおうか!」

男「・・・いいよ、大事なのはここからだ」

52: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:07:49.48 ID:CCBsdAVX0
男「元居た貴族様たちの数は激減した」

男「人工受精は効率が悪いんだ。しかも多くの家庭に理解が得られなかったってのもある」

男「でも、ある程度の子どもたちは生まれ続けていた」

女「うん、それがどうして今は全く居ないのかって話だよ」


男「そうだな、進み過ぎた科学は悲惨な結末を人類の歴史に刻んだからだ」

女「・・・凄く、難しいよ…」

男「簡単に言うと、隕石が火星にぶつかることが分かったんだ。およそ100年前のことだ」

53: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:10:23.77 ID:CCBsdAVX0
男「科学技術が凄く高かったご先祖様達は手を尽くした」

男「結果は無駄だった。あまりにも大き過ぎたらしい」

男「そして先祖様達は人工受精も辞めた」



男「おしまい」

女「は? 続きは?」

男「無い。これ以上語ることは無い。」

54: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:12:57.93 ID:CCBsdAVX0
女「今度はロケットで脱出しなかったの?」

男「適当な惑星が見つからなかったんだ」

女「じゃあいっそのことロケットに住めば?」

男「あはは……そうだな。そうかもな、そうすれば良かったのかもしれない」

女「どうして? どうして隕石から逃げないの?」

男「どうしてなんだろうな」

55: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:16:13.95 ID:CCBsdAVX0
男「考えみてくれ。種を保存する能力を持たない虫けらのことを」

男「それがどうにか機械の力を使って数を増やす」

男「哀れじゃないか?」

女「そんな・・・でも! 」

男「諦めたんだよ、先祖様達は」

男「俺たちは仲間を裏切った哀れな貴族の末裔さ」

女「・・・やだ」

男「え?」

57: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:18:50.59 ID:CCBsdAVX0
女「私死にたくない!」

男「…誰でもそうじゃないか」

女「私はやだ!」

男「もう諦めろよ、無理なんだよ」

女「いつ隕石は来るの? 私それまでにロケットを修理して逃げる!」

男「……」

女「え?…早く言ってよ」

男「…もう、3ヵ月もないんだ」

58: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:21:12.09 ID:CCBsdAVX0
男「…俺も、ロケットを見に行ったさ」

男「治せるもんならと思ってな」

男「100年も経つといくらロケットでも朽ち果てるよ、あはは…」

女「……」ポロポロ…

女「…死にたくない……」

男「……」ギュッ

59: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:23:21.41 ID:CCBsdAVX0
男「…俺が」

男「俺がずっと歩いてるのはそういう理由だ」

女「……」ポロポロ…

男「ごめんな、ショックな話だったよな」

女「……」ポロポロ…

61: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:30:35.84 ID:CCBsdAVX0
男「着いてくるかはお前の自由だよ」

男「どうやっても無理だろうが、最後の抵抗を試みてもいいかもしれない」

男「俺は自分の最後の死に場所を探してる、それだけ」

男「あと、…恐怖を紛らわすため」



男「…どうする?」

女「……」グス…

男「……じゃあ今日までは傍に居てやるよ、明日からはお前は完全に自由だ、いいな?」

女「……」コクッ

63: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:32:39.69 ID:CCBsdAVX0
(小さな街)

男「……」

女「……Zzz」

男「よし、寝たな」

男「……」

男「……Zzz」

66: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:42:55.96 ID:CCBsdAVX0
(朝)

女「ねぇねぇ、おはよ」ツンツン

男「ん・・・随分早起きだな」

女「昨日はあんまり眠れなくてね」

男「そ、まあ無理すんなよ。余命は限られてんだ」

女「んでさ、誰と最後を過ごそうかなーっと、夜中考えてたんだ」

男「見つかった? その誰かさんは」

女「だ~か~ら~!」

男「なんだよ急に大声出すなよ」

女「…一緒に行きたいなあって」ヒソヒソ…


男「……もっと分かりやすく言えよ…」ヒソヒソ…

68: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:51:44.18 ID:CCBsdAVX0
女「というわけで着いていくから」

男「おう! どんと来い!」

女「ところでさ?」

男「ん?」

女「どうしてそんなに火星の歴史に詳しいの?」

男「俺もお前と同じでな、記憶が残ってないんだ。でも目が覚めたのが運良く大きな図書館でな」

男「幸い字は読めたからお勉強したんだよ」

女「ふーん、意外とちゃんとした人だったんだね。山賊かと思ってたよ」

男「…お前から取るものは●●くらいしかないな」

女「地獄に落ちろクソ男」

69: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:54:46.12 ID:CCBsdAVX0
男「…よしじゃあ気を取り直して次の街に行こうか!」

女「おー!」

70: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 22:57:22.02 ID:CCBsdAVX0
(昼)

女「……暑い」

男「水あるぞ? 飲むか?」

女「死ぬー、もう死んじゃうー」

男「勝手に死ねよ、今度は助けてやらねーぞ」

女「うー…うー…」

 ビュー…

71: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 23:02:54.14 ID:CCBsdAVX0
(村)

女「着いたー!!」

男「お疲れさん」

女「ふー! まああたしが本気出したらこんなもんよ!」ドヤ!

男「じゃあもう少し本気出して飯作ってくれないかなあ」

女「機械は?」

男「こんな村にあるわけないって」

女「えー、材料もないしなあ」



男「…じゃあ最後の手段だ」

女「最後の手段?」

男「この非常食を食べよう」

74: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 23:05:17.13 ID:CCBsdAVX0
女「うおおおぇえぇええ」

男「汚いから声出すな」ボリボリ

女「まっっっっず!!!」オエェー

男「だから不味いって言ったじゃん」ボリボリ

女「これは人が食べる食べ物じゃない!」ボリ…

女「…おぇ……」

75: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/14(月) 23:11:54.46 ID:CCBsdAVX0
的な世界観を説明しつつ今日はここまでということで
見てくれた人ありがとうございましたお

83: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 21:03:17.32 ID:MWIRESdD0
女「ねえ」

男「何だよ」

女「他には人間を見たことはないの?」

男「あるよ。おじさんだった」

女「世界に二人しかいないかと思ってた、意外だ」

男「そんな夢みたいな世界あるわけないだろ。火星はみんなのものなんだ」

84: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 21:07:56.83 ID:MWIRESdD0
女「そのおじさんはどんな人だった?」

男「良い人そうな人だった。生きる方法をいくつか教えて貰えたよ」

男「機械を使って飯を作る方法はその時おじさんに教えて貰ったんだ」

女「なるほど! そのおじさんは今どうしてるのかなあ」

男「さあ? まだどこかで生きてるかも知れないし、死んでるかも知れない」

男「でも出会いってのはそういうもんだろ?」

女「…ちょっと寂しいね」

85: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 21:20:34.36 ID:MWIRESdD0
(村 夜)

男「…火を焚こうか」

女「お、いいね! ワクワクする!」ワクワク

男「寒いから焚くんだからな? ガキのキャンプとは話が違うからな」

女「分かってるよ! ……フンフン♪」

男「……」

86: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 21:23:32.24 ID:MWIRESdD0
女「あったかーい♪」

男「そうか、良かったな」

男「…じゃあ、おやすみ」

女「うん! おやすみ!」

男「……」

男「…Zzz」

87: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 21:50:48.20 ID:MWIRESdD0
女「……フンフン♪」

女「…ほんとに寝たの?」ツンツン

男「……Zzz」

女「手が大きいんだ…」ギュッ

女「……温かい」ギュッ

男「……Zzz」

88: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 21:55:26.20 ID:MWIRESdD0
(村 朝)

男「おはよう」

女「おはよー♪」

男「朝飯食う?」

女「いや! 街で機械のご飯たべようよお」

男「うん、わかった。なら早めに出て早めに街に行こうぜ」

女「おー!」

89: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 22:13:14.00 ID:MWIRESdD0
(砂漠)

  ビュー……

男「……」ガサ…ゴソ……

女「……」ゴソ……

女「ねぇ、あとどのくらい?」

男「分からん、昼までには着くから水飲んで我慢しろ」

女「…」ガックリ…

 ビュー……

90: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 22:22:43.43 ID:MWIRESdD0
(そこそこ大きな街)

男「……着いたぞ」

女「……死ぬ、マジで死ぬ」ガックリ…

男「よし早速工場に行くぞ」

女「…お腹空いた」ガックリ

男「あとちょっとだから頑張れ!」

92: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 22:46:20.36 ID:MWIRESdD0
 ポチ…


 ボン……ボン…ボン……

女「お!」ドタバタ!!

男「走るとコケるぞ」

女「うわっ!」ドン!

男「やっぱり」

男「…よいしょっと。怪我は?」

女「……ないよ。それより早くご飯食べようよ!」

男「おう」

93: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/15(火) 22:56:32.10 ID:MWIRESdD0
女「美味し~い♪」モグモグ

男「美味いね」モグモグ

女「ふう。幸せだなあ」

男「…お前は残り3ヶ月をどうやって過ごすつもりなんだ?」

女「そうだなあ、とりあえずまあ男に着いていこうかなーっと」

男「ふーん。やりたいことは無いのか?」

女「うん。特にやりたいことはないかなあ」

男「そっか…、やりたいことが出来たら言えよ」

女「了解です!」

102: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 20:36:56.78 ID:XhQSdNKb0
男「…色々やってる内に夜になっちゃったな」

女「星が綺麗だなー」

男「あれが『チキュウ』ね、青色してる星」

女「綺麗、その横の灰色の星は?」

男「『ツキ』っていう星」

女「ほんとによく知ってるんだね」

104: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 20:50:29.67 ID:XhQSdNKb0
男「星しか見るものがないからな」

女「飽きないの?」

男「ああ、星は飽きないな」



女「…なんだか今日は男が遠く感じるな……」

男「そうか? まあギャップがあるかもしれないな」

女「うん…」ゴシゴシ

男「……じゃあおやすみ」

女「うん……」ゴシゴシ…

105: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 21:44:52.01 ID:XhQSdNKb0
女「……Zzz」

男「……Zzz」

女「……」

男「……Zzz」

106: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 21:52:36.85 ID:XhQSdNKb0
女「おはよー♪」

男「うん」

女「むむ、返事が軽いぞ? レディーにはもっと心を持って接するのだ!」

女「わかったか!」

男「ん」

女「ん、じゃない! わかったとか、おう! とか言え!!」

女「わかったか!」

男「む」

女「…もう!」プイ

男「……」ボー

107: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 21:56:12.42 ID:XhQSdNKb0
女「今日は動かないの? 良い天気だよ?」

男「今日はいいや」

女「どうした? 風邪引いちゃった?」ナデナデ

女「…ちょっと熱があるね」ナデナデ

男「んん…」

女「…大丈夫?」

108: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 21:58:25.79 ID:XhQSdNKb0
女「……工場でご飯作ってくるね、ここで待っててよ?」

男「…うん」

女「心配だなあ」

男「……」

女「いってくるね」テコテコ

男「……」

109: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 22:00:34.61 ID:XhQSdNKb0
女「ただいまー♪」

男「……」ウトウト

女「男? ご飯作って来たよ♪」

男「……ん」ガシッ

女「……いただきます」モグモグ

男「……」モグモグ

110: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 22:05:11.69 ID:XhQSdNKb0
女「……男?」

女「お話しよう?」

男「……うん…」コクリ

女「……ほら早く、話題振って?」

男「……」

女「男? 大丈夫?」

女「どっかキツいの? 言ってみてよ」

男「……」

112: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/17(木) 22:30:40.33 ID:XhQSdNKb0
男「……」

女「……わかった。喋りたくなったら言ってね」

男「……うん」

女「よし! んじゃ私は街見てくるから!」

男「……」コクッ

134: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 18:58:24.94 ID:OS7hlCP/0
男「……Zzz」

女「ただいまー♪」

女「…ってお昼寝中ですか……」

女「んん……」スリスリ…

女「熱が高くなってる…心配だなあ」

男「……Zzz」

女「……」ジー

女「…よく見ると顔整ってるなあ」

135: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 19:02:27.01 ID:OS7hlCP/0
女「……」チュッ

男「……んん……」

女「え? 起きちゃった?」アワアワ

男「……Zzz」

女「ほっ……バレたら殺されるところだったよ…」

136: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 19:05:42.77 ID:OS7hlCP/0
(翌日)

男「ん! おはよう!」

女「…うむ」

男「元気になった!」

女「……キツい」グター

男「あはは、熱が移っちゃったの?」

男「……」スリスリ

男「うん、熱があるね。今日は看病してやるよ!」

女「……ありがとう」

137: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 19:13:01.10 ID:OS7hlCP/0
男「おら、飯作ってきてあげたぞ」

女「ありがとう…」

男「…ほら口開けて」

女「自分で出来るって」

男「出来てないから助けてあげてるんだろ。つべこべ言わずに口開けろって」

女「……ん」

男「ほら、よく噛めよ」

女「……恥ずかしい」

138: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 19:30:42.83 ID:OS7hlCP/0
男「よし、やっと食べ終わったな」

男「俺の飯が冷めてしまった」

男「温め直してくるから」

女「うん…」



女「……」ドキドキ

140: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 20:23:23.62 ID:OS7hlCP/0
男「……」モグモグ

男「……」モグモグ

男「……」


男「おい」

女「ん?」

男「何じろじろ人のこと見てんだよ」

女「……別に」

男「…熱があるなら寝ろよ」

女「うん…おやすみ」

男「おう」

141: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 21:27:13.53 ID:OS7hlCP/0
(翌日)

女「治った!」

男「おはよう、治ったのか良かったな」

女「…ありがと」

男「何が?」

女「看病してくれて…」

男「あぁ、別にいいよ。気にするな」

女「じゃあそろそろ出発する?」

男「うい」

142: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 21:31:20.16 ID:OS7hlCP/0
 ビュー……


女「ねえ」

男「ん?」

女「この時代に生まれて良かったと思う?」

男「……そんなこと考えたこともないな」

女「じゃ今考えて」

男「…良いんじゃないか」

女「理由は?」

男「世界を独り占め出来るじゃん」

女「ふーん」

男「お前はどうなんだよ?」

144: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 21:33:52.91 ID:OS7hlCP/0
女「私も良かったと思う」

男「そうか、理由は?」

女「男と会えたし……」ドキ…

男「?」

男「どういう意味だ? 分かりやすく言ってくれよ」

女「……男のこと」







女「……好き、……です…」

145: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 21:35:59.64 ID:OS7hlCP/0
男「……」

女「……好き」ギュッ

男「…俺も」ギュッ

男「ますます死ねなくなっちゃったな」

女「えへへ」

146: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 21:58:19.30 ID:OS7hlCP/0
男「最近ふと思ったんだけどさ」

女「どうしたの?」

男「神さまはなんで俺たちを選んだんだろうって」

女「…人類の初めはアダムとイヴだったんだよね?」

男「そうだよ」

女「雄と雌から始まって、雄と雌で終わる」

女「いい話じゃん?」

男「…そうだな、この話はハッピーエンドだ」

148: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:01:15.06 ID:OS7hlCP/0
女「……好き」

男「もうわかったって」

女「…私どうしてロケットで逃げようなんて言ったのかな」

男「やっとそこに考えが向いたか」

女「うん、男はもうとっくに分かってるだろうけど言わせて」

男「いいよ」

149: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:04:47.12 ID:OS7hlCP/0
女「こんなに星空は綺麗なのに何処に逃げるんだろう」

男「星空が綺麗だな。今日は一段と星達が光ってる」

女「……本来地球から逃げたことも間違ってたんだよね」

女「火星に着いてからやっとそれを先祖様達は理解した」

男「人それぞれ解釈はあるだろうな」

女「ほら見て、あの星綺麗…」

150: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:06:10.90 ID:OS7hlCP/0
男「女、ごめん」

女「どうしたの?」

男「『3ヶ月』って俺言ったよな?」

女「うん」

男「アレ嘘なんだ」

女「えっ?」

151: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:07:38.28 ID:OS7hlCP/0
男「今日なんだ」

女「え・・・?」

男「…死にたくないよな?」

女「……」





女「……いいや、私は男と手を繋いでいられたら死んでもいいよ」

152: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:08:48.02 ID:OS7hlCP/0
男「……ありがとう」

女「…うん」

153: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:11:06.28 ID:OS7hlCP/0
男「もっとずっと一緒に居たかったな」

女「うん、そうだね」

男「……じゃあ、さよなら」

女「また少しだけバイバイだね」



男「……好きだ」

女「……私も好きだよ、男」チュッ

154: ◆CiBH9t3vahcS  2014/04/20(日) 22:12:24.58 ID:OS7hlCP/0
ここで話は終わっている。
ある男と女の話である。