もこっち「妄想を現実にする能力?」 前編

258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 16:58:44.06 ID:w03np3nYO
ーその夜ー

もこっち(結局、あのあとずっと渋谷を歩き回ってたな、疲れた…)

もこっち(しかし、別にどこに行くわけでもなく、ずっと歩き回ってただけだったな。こずぴぃ、蒼井さんは何の目的でウロウロしてるんだ?)

梢(うーん、こずぴぃにもよくわからないけどー、誰かを探してるみたいだよー?)

もこっち(なるほど。まあ守ってもらってる身だし、大人しくついていくことにするか…)

「ーその目誰の目?」

もこっち(っ!?な、なんだ?今の声…)

もこっち(って…)

「ーその目誰の目?その目誰の目?その目誰の目?その目誰の目?その目誰の目?」

もこっち「え?な、なに?この声…?」

梢(うぷー、この声聞いてると、なんだか気味が悪いのらー …)

セナ「これは、まさか…」

小宮山「み、みんなみて!あそこの公園!」

もこっち「あ、あれは…」

人々「その目誰の目?その目誰の目?その目誰の目?その目誰の目?…の目誰の目?その目誰の目?その目誰の目?」

もこっち(な、なにやってるんだあいつら…新手の宗教かなにかか?全員目が虚ろだし…って、あれ?)

ポーターA「うっしっしっしっし。いいぞいいぞ…」

もこっち(一人だけ正常な奴がいるぞ?なんかキモオタの典型みたいな見た目してる奴だが…っていうか、あいつはあんなところでなにをやってるんだ?)

セナ「…っ!NOZOMI…」ギリッ

もこっち「え?あの、蒼井さん…?」

セナ「…」

セナ「お前達はここで待っていろ…」スッ

もこっち「え?あの?」

セナ「…」スタスタ

もこっち(行っちゃった…あんまり近づかない方がいいんじゃ…)

引用元: もこっち「妄想を現実にする能力?」 



 

260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 17:31:39.50 ID:w03np3nYO
ポーターA「な、なんだよお前!あっちいけよ!」

セナ「…」

もこっち(こ、こずぴぃ、蒼井さん大丈夫なのか?)

梢(大丈夫大丈夫ー。セナしゃんはとっても強いのら♪)

もこっち(そ、そうか。ならいいけど…)

ポーターA「よ、用がないならあっち行ってろよ!俺はお前みたいなガキに構ってるほど暇じゃないんだよ!」

セナ「…」

セナ「…」スッ

ポーターA「ひっ!な、なんだよ…」

もこっち(あの構え…まさか!)

ースーッ

ージャキンッ!!

セナ「…」ジャキッ

ポーターA「ひ、ひぃぃ…な、なんだよ…それ」

もこっち(や、やっぱりだ!ディソードを取り出した!と、止めに行くぞこずぴぃ!)

梢(えー?大丈夫大丈夫ー。セナしゃんは普通の人を ディソードで斬ったりしないのら )

もこっち(じゃあなんでディソードを取り出したんだよ!?しかもリアルブートしてあるみたいだぞっ!?)

小宮山「えっ?えっと、大丈夫なの?これ…」

セナ「…」ジリッ

ポーターA「あ…あ…」

ポーターA「た、助けてぇ!」ダッ

セナ「…っ!」ダッ

もこっち(ちょっ!)

ズバァンッ!!

ポーターA「ひいいっ!!」ドデッ

ポーターA「はあっ、はあっ、はあっ…うっ、うううっ…」ジワッ

もこっち(って、よかった…リュックを斬っただけか…)

人々「…えっ?わ、うわあああああーっ!」ダッ

セナ「…」

セナ「ふん」スタスタ

265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 23:22:48.51 ID:w03np3nYO
小宮山「す、すごい…」

もこっち(そういえば、ディソードで何かを斬るところは始めてみたが、ものすごい威力だな…斬られたらひとたまりもなさそうだ…)

セナ「待たせたな、お前達」

もこっち「あ、いえ…」

梢(おかえりセナしゃーん!さっきのセナしゃん、すごーく格好よかったよー♪)

セナ「ほめても何もでないぞ」

梢(本当に格好ですよー♪ねー智子しゃん、琴美しゃん♪)

もこっち「ま、まあ…確かに…」

セナ「なっ!?ま、全く!黒木まで何を…」カアア

もこっち(なっ!?あの蒼井さんが照れてる…だと?さ、さすがはこずぴぃ…)

小宮山「…」

小宮山「あ、あのっ!」

セナ「ん?なんだ?小宮山」

小宮山「さ、さっきのあのリュックを背負った男は、一体誰なんですか?あ、あいつのリュック、中に変な機械入ってたし、それにあのリュックが破壊されてからなぜか周りにいた人がみんな正気に戻ったみたいだったし…」

もこっち(確かに。言われてみればそんな気がするな)

セナ「…」

セナ「あいつらは、ギガロマニアックスの能力を悪用しようとしている人間。それ以上詳しいことは教えられない」

小宮山「え?な、なんで…?」

セナ「これ以上、お前達を巻き込むわけにはいかないからな。安心しろ、お前達のことは必ず守ってみせる」

小宮山「は、はあ…」

セナ「すっかり暗くなってしまったし、今日は解散にしよう。帰りは、そうだな。梢、私は黒木を送っていくから、お前は小宮山を送れ」

梢(了解なのれーす♪さあさあ、行きましょ琴美しゃん♪)スタスタ

小宮山「あ、ま、待ってよ折原さん!」スタスタ

もこっち(帰り道は護衛してくれるってことか。しかし個人的には、こずぴぃの方が気を使わなくて済むから楽なんだけどな。まあ、守ってもらう立場だし、わがまま言うのはやめておくか…)

266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 23:40:28.97 ID:w03np3nYO
セナ「私より梢の方がよかったのか?」

もこっち「えっ?あっ、い、いえいえ!べ、別にそうは言ってないです!」

もこっち(そ、そういえば、蒼井さんも他人の思考を読めるのを忘れてた…)

セナ「冗談だ。さあ、時間も時間だし、そろそろ帰るとしよう」スタスタ

もこっち(まあ、確かにもう結構遅くなってるな。普段なら夕飯を食べてる時間だ…)スタスタ

プルルルルルル

もこっち(ん?電話か?ええっと相手は…)ガサゴソ

もこっち(って、お母さんか…おそらく、帰りが遅いことについてだろうな…)

もこっち「あ、あの、ちょっと失礼します…」

セナ「電話か。私のことは気にしなくていいから、早く出ておけ」

もこっち「は、はい…」ピッ

もこっち「も、もしもし、お母さん?」

黒木母「あっ智子?まだ帰ってこないけど、夕飯どうするの?」

もこっち「あ、今から帰るから、私の分も取っといて…」

黒木母「わかったわ。早く帰ってきなさいよね」

もこっち「う、うん。わかった…」ピッ

ツーツー

267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 23:51:40.58 ID:w03np3nYO
もこっち「あ、あの、お待たせしました…」

セナ「…」

セナ「家族からか?」

もこっち「え?ま、まあ…」

セナ「そうか…」

もこっち「あ、あの、蒼井さん?」

セナ「いや、なんでもない。家族とは幸せか?」

もこっち「え、ま、まあ。それなりに…」

もこっち(実際は母親が口うるさいし弟がムカつくけど…)

セナ「…」

セナ「そうか、家族を大切にな」

もこっち「え?」

セナ「さあ、家族が待っているんだろう?早く帰るぞ」スタスタ

もこっち「は、はあ…」スタスタ

268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 00:02:34.46 ID:76QxgyDqO
ー黒木家前ー

もこっち「あ、あの、今日はありがとうございました…」ペコリ

セナ「気にするな。明日の朝からは梢が黒木と小宮山を家まで迎えに行くことになっているから、三人で学校に行ってこい」

もこっち「は、はあ。ありがとうございます…」

もこっち(朝も迎えにきてくれるのか、大分心強いな。しかし蒼井さんは一緒に来ないのか?てっきり蒼井さんとこずぴぃは一緒に学校に行ってるものだと…)

セナ「私は基本的に学校には行かないんだ。他にやるべきことがあってな」

もこっち(え?それって、出席日数とか大丈夫なのか?)

セナ「なっ!こ、細かいことは気にするな!そ、それじゃあな…」スタスタ

もこっち「あ、は、はい。さ、さようなら…」

もこっち(大丈夫じゃないみたいだな…)

270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 21:14:30.73 ID:YeePqEPWO
ー数日後、学校の昼休みー

もこっち(結局あれから、登下校はこずぴぃと、放課後はずっと蒼井さんといる…)

もこっち(しかし、あの二人といると心強いな。私がディソードを手に入れるまでは、しばらく一緒にいてもらおう…)

もこっち(ん?待てよ?あの二人はギガロマニアックスなんだし、ひょっとして剣を手に入れる方法を知っているんじゃないか…?)

もこっち(おお!なんでもっと早く気がつかなかったんだ!こうしてはいられない!早速こずぴぃのところへ…)ダッ

ズキンッ

もこっち(っ!?)ガクッ

ズキズキズキズキズキズキ

もこっち(っ!?な、なんだ!?この頭痛は!頭が割れそうだ…だ、だれか、助けて…)

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

もこっち(な、なんだ?地震…?く、くそ。悪いタイミングで来やがって…)ズキズキ

もこっち(って、なんだあれは?空が…白くなっている!?)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 21:33:54.74 ID:YeePqEPWO
ーーーー
ーーー

もこっち「…」パチッ

もこっち(あれ?えっと、私、どうしたんだっけ…そうだ、確かこずぴぃのところに行こうとしたら、突然頭が痛くなって、それから…)

もこっち(…)

もこっち(記憶がないってことは、気絶してたのかな?ええっと、最後の記憶だと、時間は昼くらいだったけど…)チラッ

もこっち(え?な、なにこの時間…私、何時間も気絶してたのか?)

もこっち(そ、そんなばかな…ていうか、何で校舎内に他の生徒がいないんだ?まだ、下校時間じゃあないはずだろ…?)スタッ、キョロキョロ

もこっち(って、なんだあれ…校舎の前に人だかりができてるぞ?あんなところでなにを…)

もこっち(って、あの屋上に立ってるのは、岸本か?あ、あんなところでなにを…)

もこっち(く、くそ!こうしちゃいられない!)ダッ

272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 21:54:36.21 ID:YeePqEPWO
もこっち「はあっ、はあっ、はあっ…」タッタッタッタッ

もこっち(あのライブの日に見たあの映像…まさか、まさか!)タッタッタッタッタッ

もこっち(く、くそ!止めないと!早く止めないと!)タッタッタッタッタッ

ガチャンッ!

もこっち「はあっ、はあっ…き、岸本さんっ!!」

あやせ「…」

あやせ「ねえ、大いなる意志よ…」

もこっち(っ!!聞こえてないのか!?)

あやせ「お願い、この器は、差し出すから…」

あやせ「魂を、連れて行って…」

もこっち(と、止めないと!私が止めないと!)ダッ

もこっち「ま、待って!岸本さんっ!岸本さんっ!!」タッタッタッタッ

あやせ「ー還るべき」スッ

もこっち(やめろ)

あやせ「ー場所へ」グラッ

もこっち「やめろおーっ!!」

野次馬生徒「うわっ!飛んだっ!マジで飛んだぞっ!」

あやせ「…」ゴオオオ

もこっち(く、くそ!手を伸ばしても、届かない!こ、これじゃあ、あの時見た映像みたいに…)

もこっち(や、やだ!あんなの見たくないっ!あんなの見たくないっ!)

ドサアッ

もこっち「う、うわああああーっ!!!」

273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 22:04:17.71 ID:YeePqEPWO
もこっち「あ、あ、ああ…」ガクガク

もこっち(た、助けられなかった…私の目の前で飛び降りたのに、私は、私は…)ガクガク

野次馬生徒「な…」

もこっち(人が死んでしまった…岸本が死んでしまった…私の目の前で…)ガクガク

野次馬生徒「お、おい!生きてる!生きてるぞ!」

もこっち「えっ!?」ガバッ

もこっち(う、うそ…)

あやせ「う…」

もこっち(か、花壇の上に落ちたのか…よ、よかった…よかったぁ…)ジワッ

もこっち「ううっ、うううっ…」グスッ

もこっち(…あれ?でもあんなところに、花壇なんてあったっけ?)

274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 22:50:11.07 ID:YeePqEPWO
ーーーーー
ーーーー

ピーポーピーポー

教師A「ふう、岸本が無事でよかった」

リア充B「先生ー。ほんとにあの人大丈夫ー?」

教師A「ああ、目立った外傷もなかったしな。おそらく何ともないだろう」

リア充B「よかったー。あたしほんとに心配だったよー」

もこっち「…」

もこっち(みんな岸本に夢中で、私には気付いてなかったみたいだな。まあ、そっちの方がいいけど…)

もこっち(まあ岸本は無事みたいだし、こずぴぃを探して帰るとするか。ええっと、こずぴぃこずぴぃ…)キョロキョロ

セナ「おい」

もこっち「へいっ!?」ビクッ

もこっち(って、蒼井さんか…今日は学校に来てたのか。珍しいな…)

セナ「黒木、お前があの花壇を妄想したのか?」

もこっち「え…?花壇?」

セナ「そうか、違うのか。そうなると、やはりあの男か…」クルッ、スタスタ

もこっち「あっ…ちょ、ちょっと、蒼井さん?」スタスタ

275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 23:04:00.10 ID:YeePqEPWO
ーーーー
ーーー

セナ「どこへ行った。あの男…」キョロキョロ

もこっち「あ、あの…誰か探してるんですか?」

セナ「少しな。って、公園にいるあいつは…」

もこっち(公園?)チラッ

拓巳(やっぱり、あの花壇は何だったんだろう…何でだれも疑問を抱かないの?あんなもの前は無かったのに…)

もこっち(西條か…たしか今日はあいつ学校にはいなかった気がするが…あんなところで一体何を…)

セナ「見つけたぞ、あの男だ」

もこっち「え?」

もこっち(西條を探してた?一体何の用で?)

セナ「黒木。お前はここで待っていろ」スタスタ

もこっち「は、はあ…」

276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 23:18:18.64 ID:YeePqEPWO
拓巳(く、くそ…どうなってるんだよ一体…)

セナ「おい!」

拓巳「え?」クルッ

ガシッ

拓巳「…っ!?」

ガシャンッ

拓巳「うっ!げほっ…!」

セナ「…」

拓巳(な、なんだよこの女…いきなり胸ぐらつかんで遊具に押しつけてくるなんて…く、くそ!離せ!離せっ!)ジタバタ

セナ「…」

セナ「お前だな?」

拓巳(え?)

セナ「あの花壇を作ったのは」

277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 23:29:41.94 ID:YeePqEPWO
もこっち(おいおい、いきなり胸ぐらをつかんだぞ?止めに行った方がいいかな…?)

拓巳「…っ!!」ブンブン

セナ「とぼけるな!」

拓巳「…っ!!」

拓巳(な、なんだよこの女…誰か、誰か助けて…)

セナ「お前は、天成神光会と関係があるのか?」

拓巳「がはっ!え…?」

セナ「その力を誰から教わった!?」

拓巳「…っ!?」

拓巳(な、なんだよこの女…息が苦しい…だ、誰か、誰か助けて…)ジワッ

もこっち(ええっと、さすがに止めに行った方が良さそうだなこれは…)スタスタ

278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 23:42:37.64 ID:YeePqEPWO
セナ「ディソードなしで、エラーを現実にするなんて、ありえない!その力を誰に教わった!答えろ!」

拓巳(力のことなんて、誰にも教わってない…!でも、強いて言うなら…)

拓巳「うぐ…あ、あやせ…」

セナ「…」

拓巳(い、息が、できない…もう、だめだ…死ぬ…)

もこっち(って、西條のやつ顔が逝きかけてるぞ!?やばい!早く止めに行かねば…)ダッ

セナ「…」

スッ

拓巳「えっ?あ…」

ドサッ

拓巳「げっ…げほげほげほっ…げほっ…!」

もこっち(あ、蒼井さん、手を放した…)

セナ「本当に、天成神光会とは関係ないんだな?」

拓巳「…っ!!」コクコク

セナ「悪かった。関係ないならいい」

拓巳「え?」

セナ「それじゃあな…」クルッ

拓巳「え?あの…」

279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 23:54:13.69 ID:YeePqEPWO
セナ「ん?なんだ黒木。きてたのか」

もこっち「えっ?えーと、その…」

セナ「私の用は済んだぞ。お前もこの男に何か用があるのか?」

もこっち「い、いえ、別に…」

セナ「なら行くとするか。とりあえず、梢と小宮山たちと合流しよう」

もこっち「ええっと、そうですね…」

拓巳(なんだこいつら?僕を攻撃する気はないのか?だったら…)

拓巳「あ、あ、あの…」

セナ「ん?」クルッ

拓巳(あ、振り返ってくれた。話は聞いてくれるんだ…)

拓巳「ち、力って、なんなの…?」

280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 00:18:12.14 ID:jI5SQLHUO
拓巳「さ、さっきの花壇…どうなって…」

もこっち(花壇?花壇って、岸本が倒れてた花壇のことか?やっぱり、あんな花壇学校にはなかったよな…?確かにどうなってるんだろう…)

セナ「お前が妄想したんだろう?」

拓巳「…え?」

もこっち(なに?西條が妄想した?西條があの花壇をリアルブートしたってことか…?)

セナ「妄想は、現実にすることが可能だ」

セナ「本当じゃないモノが景色に紛れ込む」

セナ「つまりエラーを現実として認識させる」

もこっち(リアルブートの話か。ていうかなんだ?西條は、既にギガロマニアックスとして覚醒してるってことか?)

拓巳「で、でもっ!視界に移すだけじゃ、ま、幻でしかないじゃないか!」

セナ「いいか、世界の仕組みは3つの数字ですべて説明できる。0と1、そしてマイナス1」

セナ「ディソードはマイナス1を生み出すためのショートカットだが、お前はディソードなしでそれをやった…」

もこっち(なにっ!?ディソードなしでギガロマニアックスの力を使っただと!?くそ、羨ましい…)

セナ「いいか、これ以上エラーをつくるな。それがお前のためだ」

セナ「それと、エラーを見たら教えろ」

拓巳「は、はあ…」

セナ「目に見えるものだけを信じられることが、どんなに幸せか…」

拓巳「え?」

セナ「なんでもない。行くぞ、黒木」スタスタ

もこっち「あ、はい…」スタスタ

拓巳(また訳の分からないことばかり…セナって一体どれだけのことを知ってるんだろう?)

281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 00:19:44.86 ID:jI5SQLHUO
今日はここまでで

282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 23:50:56.51 ID:jI5SQLHUO
ーその夜、黒木家ー

もこっち(ふう、今日はいろいろあって疲れたな…)ゴロッ

もこっち(しかし結局、あの花壇は何だったんだ?蒼井さんは西條がリアルブートしたって言ってたけど、本当なのかな?)

もこっち(って、そういえば蒼井さんやこずぴぃに、ディソードを手に入れる方法を聞くのを忘れてた。まあいいや、明日聞くことにしよう…)

ブブブブブブブ…

もこっち(ん?メールか。誰からだろう…)スッ

もこっち(ええっと、知らないアドレスからか。迷惑メールかな?件名は…)チョイチョイ

もこっち(『その目誰の目?』?なんじゃこりゃ。誰かのいたずらか?)

283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 23:53:14.44 ID:jI5SQLHUO
もこっち(まあ一応、中身を読んでおくか)チョイチョイ

もこっち(ええっとなになに?)

『久しぶりだね。僕の名前はしょうぐんだよ』

もこっち「…」

もこっち「え?」

もこっち(将軍って、まさか…)

もこっち(な、なんで将軍が私のアドレスを?いや、もし将軍が私の思考を盗撮してるなら…メールアドレスなんて簡単に…)

もこっち「ウ、ウソでしょ…」

もこっち(と、とりあえず続きを…)

284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 23:55:36.22 ID:jI5SQLHUO
『あやせさんは助かったみたいだね。ニュージェネの新しいネタにしようかとも思ったけど、さすがは西條拓巳くん、僕の予定が大分狂っちゃった。彼はハイスコア更新だ』

もこっち(なぜ西條の名前が…やっぱり、あの花壇は西條が…?)

『でもそのおかげで、君と彼との間に大分スコアの差ができちゃったね。このままじゃ君は大差をつけられて負けちゃうぞ?』

もこっち(ス、スコアとか、何の話だよ…)

285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 23:57:39.75 ID:jI5SQLHUO
『彼の方も、新しいクエストを始めたみたいだし、君のクエストも開始しよう。なあに、このクエストを彼よりも早くクリアすれば、君のスコアはあっという間に彼に追いつくさ。今回の君のミッションは、成瀬優ちゃんの救出だ』

もこっち(え?ゆうちゃん?なんでここで、ゆうちゃんの名前が…?)

『それじゃクエスト開始だ。今日の21時、O-FRONTの向かいにあるビルの、屋上まで来てほしい。もし来なかったり、誰かにこのことを話したりしたら、君の友達がどうなるかわかってるよね?』

もこっち(な、なんだよこいつ…ついに私か?私が殺されるのか?)ガクガク

もこっち(や、やだ…た、たすけて…蒼井さん、こずぴぃ…)ガクガク

286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/17(火) 23:59:11.91 ID:jI5SQLHUO
『ー誰かにこのことを話したりしたら、君の友達がどうなるかわかってるよね?』

もこっち「…っ!!」ゾクッ

もこっち(ど、どういう意味だよこれ…ていうか、友達ってだれのことだ?ゆうちゃんか?ゆうちゃんのことか…?)ガクガク

もこっち(誰かにしゃべったら、ゆうちゃんを殺すってこと?そもそも、なんでゆうちゃんの名前が出てくるんだよ…)ガクガク

もこっち(って、まだ下にも文がある…な、なんだよ、もうなにも見たくないよ…)

『P.S.君の家族が留守の間に、君の部屋にプレゼントを置いておいたよ。拓巳くんの方には右手が送られたみたいだから、君には左手を送るね』

287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 00:01:05.19 ID:Re0jbYQUO
もこっち(は?プレゼント?左手?なんだよ、それ…)

もこっち(と、とりあえず、ゆうちゃんに連絡してみよう…ゆうちゃんがまだ無事なら、今からでも蒼井さんに守ってもらうこともできるし…)ピッピッ

もこっち(お、おねがい。出て、ゆうちゃん…)

プルルルルル…

もこっち(よ、よし、つながった…!)

チャーチャーラララー♪チャーラララー♪

もこっち(…え?この音ってたしか、ゆうちゃんのケータイの着メロじゃあ…)

チャーチャーチャーチャーチャチャラチャー♪

もこっち(な、なんでこの部屋からゆうちゃんのケータイの着メロが聞こえてくるんだ!?く、くそっ!)ピッ

ツーツー

シーン…

290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 00:41:37.96 ID:Re0jbYQUO
もこっち「…」

もこっち「え?」

もこっち(私がケータイを切ったら、あのメロディが聞こえなくなった…?)

もこっち「そ、そんな…そんな…」

もこっち(い、いや!そんなことはない!きっと、何かの間違いだ!も、もう一度かけてみよう…そ、そうすれば、今度は着信音も鳴らないかもしれないし、ゆうちゃんも電話に出てくれるかもしれない!)ピッピッ

プルルルルル

もこっち(お、おねがい…鳴らないで…)

チャーチャチャーチャーチャー♪

もこっち「うっ…」

もこっち(だめだ…やっぱり、この部屋に、ゆうちゃんの携帯電話が、ある…)

291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 00:43:48.24 ID:Re0jbYQUO
もこっち(なんで?なんで…?)

『君の部屋にプレゼントを置いておいたよ』

もこっち「…っ!!」ゾクッ

もこっち(そ、そんな…まさか…)ガクガク

チャチャーチャチャー♪

もこっち(…って、この音、この箱から…)

もこっち(こ、こんな箱、見たことない…こ、これが、あいつの言ってたプレゼント…?)スッ

もこっち(…っ!お、重い…どう考えても、ケータイが入ってるだけじゃない…)

『拓巳くんの方には右手が送られた みたいだから、君には左手を送るね』

もこっち(そ、そんなわけない…そんなの、無茶苦茶だ…)ガクガク

もこっち(そうだ、そんなわけない、きっと、そんなわけはないんだ…)

292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 00:45:51.20 ID:Re0jbYQUO
ビリッビリッ

もこっち「うう…」

もこっち(あ、開けたくない…開けたくないよぅ…)ジワッ

もこっち「ううっ、うううっ…」グスッ

もこっち(でも、開けないと…もしかしたら、ゆうちゃんが大変な目にあってるかもしれないし…)

もこっち「はあっ、はあっ…あ、開けるぞ…ううっ!うううっ…」グスッ

ガサッ

もこっち「…」

もこっち「あ…あ…」ガクガク

もこっち(これ、ゆうちゃんの携帯と…)

もこっち(切断された…左手だ…)

もこっち「う、うわああああーーーーーーーーーーー!!!!!!」

293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 00:47:20.92 ID:Re0jbYQUO
今日はここまで
グロくなっちゃってすみませんでした

296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 23:16:56.73 ID:Re0jbYQUO
ー21時前、渋谷表通りー

もこっち「ううっ、ううう…」トボトボ

もこっち(本当は蒼井さんやこずぴぃに助けてもらいたかったけど、誰にも話すなって言われてたから、それもできなかった…)

もこっち(行きたくない、行きたくないけど…ゆうちゃんが、ゆうちゃんが…)

もこっち(私が助けるしかないんだ…でも、どうやって?このまま出ていっても、一緒に殺されるだけじゃ…)

もこっち(…っ!友達が人質に取られてるのに、何を考えてるんだ私は!そ、そうだ…ディソードを手に入れよう…そうすれば、将軍なんて目じゃないし…ゆうちゃんだって助けられるはずだ…)

もこっち(お、おねがい…出てきて、ディソード…)

もこっち「…」

もこっち(く、くそ!出てくる気配もない!な、なんでだよ…こんなに欲してるのに…こんなに苦しんでるのに…なんで私は覚醒できないんだよ…)

もこっち(もうやだ…私が何をしたって言うんだよ…)

もこっち(って、言われた時間まで、あと五分しかない!と、とにかく…今は急がないと!)ダッ

297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 23:22:05.20 ID:Re0jbYQUO
ー数分後、O-FRONT前ビルの屋上ー

もこっち「はあっ、はあっ…」

もこっち(な、なんとか間に合った…時間ギリギリだけど…)

もこっち(でも、ここには誰もいないぞ?言われたとおりにきたのに、なんで誰もいないんだ?)キョロキョロ

ーーキイッ

もこっち「…っ!?」ゾクッ

??「振り向いたら、殺すよ?」

もこっち(こ、この車椅子の音…将軍っ!?)ガクガク

将軍「殺すっていうのは、君のことだけじゃないっていうことは、わかってるよね?」

もこっち(ゆ、ゆうちゃん…)

将軍「ほんとに一人できてくれたんだね。ありがとう」

もこっち(な、なんでこいつ、ボイスチェンジャーなんて使ってるんだ?今さら正体がバレたくないとでもいうのか…?)

もこっち(って、今はそんなことどうでもいい!それより…)

もこっち「ゆ、ゆ、ゆうちゃんは、今、ど、どこに…?」

将軍「さあ?どこだろうね」

もこっち「い、生きてるの…?」

将軍「うん」

もこっち「で、でも、手首を…切られた…それじゃいつか…しゅ、出血多量で、死んじゃう…」

もこっち「な、なんでゆうちゃんを…ひどいよ…」

将軍「そうなりたくなければ、今から始まるクエストをクリアすることだ」

もこっち「え?」

将軍「そうすれば、成瀬優ちゃんは無事に返ってくる」

もこっち(無事にって…もう左手が切られてるのに…)

298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 23:24:15.04 ID:Re0jbYQUO
将軍「でももしクリアできなかったら、成瀬優ちゃんは帰ってこない」

将軍「あの子だけじゃない。君も死ねばいい」

もこっち「…え?」

将軍「まあ、前置きはこれくらいにして、そろそろクエストを始めようか」

将軍「まずそこの、落下防止のフェンスを飛び越えてほしい」

もこっち「な…」

もこっち(そ、そんな…私、ここから突き落とされちゃうの?)

もこっち(逃げなくちゃ…このままじゃ、ほんとに殺されちゃう…)ガクガク

将軍「早くして」

将軍「従ってもらわないと、成瀬優ちゃんが死ぬことになるよ?」

もこっち「っ!?」

もこっち(そ、そうだ…ゆうちゃんの命が懸かってるんだ…ここは、従っておかないと…)

299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 23:27:25.11 ID:Re0jbYQUO
もこっち(うう、ごめん、ゆうちゃん…ごめん…)スタッ

通行人たち「ワー!ワー!」

もこっち「っ!?」

パシャッパシャッ

もこっち(うっ、まぶしっ!)バッ

もこっち(って、あれ…?あの街頭ビジョンに映し出されてるのって…)

もこっち(私と…西條…?)

もこっち(な、なんだよあれ…『渋谷より生中継!エスパー男子高校生vsエスパー女子高生!』?)

もこっち(って、よくみたら向かいのO-FRONTから西條が顔を出してる…何やってるんだあいつ…)

通行人たち「その目!」

通行人たち「だれの目!」

通行人たち「その目!」

通行人たち「だれの目!」

もこっち(な、なんだよあいつら…何をあんなにバカ騒ぎしてるんだ…)

通行人A「応援してるぞー!トモコー!」

通行人B「おれたちお前の方に賭けたんだからなー!」

通行人C「あんな男に負けんなよー!」

通行人D「ぎゃははははは!」

もこっち(だれだよあいつら…やっぱり、私はここから突き落とされちゃうの?それでこいつらは、私がここから突き落とされるのを見に来たってこと?)

もこっち「やだ…やだやだやだ…たすけて…怖いよ…死にたく、ないよ…」グスッ

 

302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/18(水) 23:50:36.54 ID:Re0jbYQUO
将軍「そこから一歩でも下がれば、君の友達が死ぬことになるからね?」

もこっち(うっ…)ピタッ

将軍「大丈夫。君にしてほしいことはひとつだけ」

将軍「君には、そこから一歩も動かずに、ディソードを手に入れてほしい」

もこっち「…え?」

将軍「ディソードはすでに、景色の中にあるんだ」

もこっち「けしきの、なか…?」

将軍「あとは、それを見つけて、手に取るだけでいい。君にはその力があるんだ」

もこっち「見つけて、手に取る…?」

将軍「それさえできれば、君は自由の身だ。成瀬優ちゃんも解放しよう」

もこっち「ほ、本当っ!?」

将軍「でも、条件がある」

もこっち「条件…?」

将軍「うん。向かいのO-FRONTにいる拓巳くんより、早く剣を手に入れるんだ。もし拓巳くんのほうが一秒でも剣を手に入れれば、君の友達は死ぬからね」

もこっち「え?」

将軍「ほら、はやくさがして。ディソードを」

もこっち(え?そ、そんなこといったって…)キョロキョロ

通行人たち「オオオー!タクミー!!」

もこっち(えっ?)チラッ

もこっち(って、西條のやつ、何でビルからあんなに身を乗り出してるんだ?死にたいのか…?)

将軍「どうやら彼は、もうディソードを見つけたようだね」

もこっち「えっ!?」

将軍「彼はあとはディソードを手にするだけだ。どうするの?このままじゃ、君の友達が死んじゃうよ?」

303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/19(木) 00:09:13.28 ID:+vUIDt/FO
もこっち(そ、そんなっ!くそっ!)キョロキョロ

もこっち(ど、どこにあるんだ…ディソード…ディソード…)キョロキョロ

もこっち(くそ、ない…やっぱり、どこにもない…)

通行人たち「んー!?どうしたんだー!?タクミー!!タクミー!!」

もこっち「え?」チラッ

もこっち(な、なんだ?西條が引っ込んだぞ?ま、まさかっ、もう剣を手に入れてしまったのか!?)

もこっち(そ、そんな…ゆうちゃんが…ごめん、ゆうちゃん…ごめん…)グスッ

将軍「どうやら彼は、あきらめたみたいだね」

もこっち「…え?」

将軍「彼は、ディソードを手に入れられなかったみたいだよ」

もこっち(な、なんだ…よかった、よかった…)ホッ

将軍「何を安心しているんだ?」

将軍「拓巳くんがいなくなっただけで、君がディソードを手に入れなくちゃいけないのは変わらないんだぞ?」

もこっち(そ、そうだ…はやく、ディソードを見つけないと…)キョロキョロ

もこっち(どこだ、どこにあるんだ…ディソード…ディソード…)キョロキョロ

もこっち「…」

もこっち(く、くそ!やっぱりない!どこにもない!)

もこっち(だめだ…やっぱり、私にはディソードを手に入れるなんて無理なんだ…どうしよう…なんとかして、ディソードを手に入れないでもゆうちゃんを助ける方法を見つけなきゃ…)

将軍「…」

304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/19(木) 00:45:56.37 ID:+vUIDt/FO
将軍「君にはがっかりしたよ」

もこっち「え?」

ドンッ

もこっち「っ!?」グラッ

もこっち「う、うわああーっ!!」ゴオッ

もこっち(だ、だれかに背中を押された…だれに?車椅子の音は聞こえなかった、将軍にじゃない…じゃあ、だれ!?)ゴオオオ

通行人たち「うわっ、な、なんだ!?飛び降りたぞっ!?」

もこっち(地面が迫ってくる…私、ここで死ぬの?い、イヤだ…こんな終わりは、イヤだっ!!)ゴオオ

通行人たち「や、やばい!逃げろー!!」

もこっち(だれか、助けて…)

グチャッ

ビチャアーッ

ープツンッー

305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/19(木) 01:16:34.97 ID:hEKDD+KwO
ーーーーー
ーーーー

ゆう「もこっち、もこっち!」

もこっち「っ!?」ビクッ

ゆう「もう、どうしたのもこっち?さっきからぼーっとしちゃって…」

もこっち「え?あの…ゆうちゃん?」

ゆう「ん?」

もこっち「あ、ううん…なんでもない…」

もこっち(なんだこれは?何でゆうちゃんの容姿が、中学生の時まで戻ってるんだ?)

もこっち(ていうか私は、屋上から突き落とされたはずじゃ…じゃあここは、死後の世界ってこと…?)

ゆう「今日はありがとね。もこっち」

もこっち「え?」

ゆう「私、自分から声をかけるの苦手で、一年の頃、あんまり友達いなかったんだ」

もこっち「…」

ゆう「だから今日も、一人で困ってたら、もこっちが声をかけてくれて、すごい嬉しかった」

もこっち「…っ!!」

ゆう「本当にありがとねもこっち。一人で困ってるところを、助けてくれて」

もこっち(やめて…)

ゆう「もこっちは、私のヒーローだよ」

もこっち(もう、やめてよ…)

ープツンッー

306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/19(木) 02:22:16.88 ID:+vUIDt/FO
もこっち「…」パチッ

もこっち(…?どこだろここ? 病室、かな?)ムクッ

ガララッ

もこっち(ん?)

葉月「あら、黒木さん。目が覚めたんですね。おはようございます」

もこっち「え…?あ、あの…?」

葉月「覚えてませんか?あなたはあのあと、気を失ったんです」

もこっち「へ…?」

葉月「屋上で、突然気を失って倒れて…全く、転落しなかったのが奇跡ですよ」

もこっち「え…?あ、あの…お、屋上からは、お、落ちてない、ですか…?」

葉月「はい、安心してください。運良く、屋上からは落ちませんでしたよ」

もこっち(な、なんだ、あの映像は幻覚だったってことか…)

葉月「ご家族の方も、昨夜まではいらしたんですけど…」

葉月「黒木さんの意識が戻らないので、いったんお帰りになりました」

葉月「でも、朝にもう一度様子を見に来るとおっしゃってましたから、そろそろお見えになると思いますよ」

もこっち(家族か、会いたくないな…あんなみっともない姿を、テレビ中継されたんだ…)

もこっち(しかも、私はゆうちゃんを助けることもできなかった…くそ、ごめんねゆうちゃん…ごめんね…)グスッ

葉月「あれ?あの…どうかしましたか?」

もこっち「あ、いえ…なんでも、ないです…」ゴシゴシ

葉月「そうですか。ならいいんですけど。それにしても、もこっちなんて、かわいいあだ名ですね、フフフ」

307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/19(木) 02:24:49.29 ID:+vUIDt/FO
もこっち「えっ!?」

葉月「…?どうしました?」

もこっち「な、なんで、そのあだ名…」

葉月「ああ、昨日いらしてた、お姉さん…ですか?その人がずっとあなたなことを呼んでたんですよ。『もこっち、目を覚まして!』って…」

もこっち(お姉さん?私に姉はいないし、何より私のことをもこっちと呼ぶのは…)

もこっち「あ、あの…その子、金髪、でしたか…?」

葉月「え?ええ…」

もこっち「う、腕に、けがとか、してなかったですか…?」

葉月「ええっと、特になかったと思いますよ…」

もこっち「そ、そうか…よかった。よかった…」グスッ

葉月「え?あの、黒木さん?」

もこっち「あはは…よかった、よかったぁ…」グスッ

もこっち(なんだ、結局、将軍の言ってた、ゆうちゃんを誘拐したって言うのは嘘か…よかった、よかった…)

葉月「えっと、それじゃあ、あと五分したら調べにきますので、とりあえずお熱計っておいてください」スッ

もこっち「あ、はい…」

葉月「それじゃあ、私は別の病室を見てくるので、またあとで…」

もこっち「は、はい…」

ガララッ

ピシャッ

310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/20(金) 00:45:08.40 ID:0N8BLfmZO
ー病院内倉庫ー

葉月「…」ピッピッ

プルルルル…

ピッ

諏訪『もしもし』

葉月「もしもし護、あの二人が目を覚ましたわよ」

諏訪『へえ、様子はどうだ』

葉月「言われたとおりにしておいたわ。今は二人とも、だいぶ落ち着いたみたい」

諏訪『そうか、ご苦労。しかしあの連中、とうとう派手に動き始めたな。おまけに人のやり方を真似しやがって』

葉月「あっちもだいぶ急いでるってことじゃない?私たちもあっちに先を越される前に、早く西條拓巳を覚醒させないと」

諏訪『そうだな。あのガキが覚醒さえすれば、もうこっちのもんだ』

諏訪『さて、それじゃあ新しいニュージェネ事件でも起こして、あのガキが覚醒するのを手伝ってやるとするか』

葉月「やるのね?」

諏訪『ああ、もうネタは考えてあるからな。それじゃあ、一度切るぞ。またあとで連絡する』

葉月「護、あなたに、神光の救いあれ…」ピッ

ツーツー…

311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/20(金) 01:16:30.77 ID:0N8BLfmZO
ーーーー
ーーー

もこっち(はあ、クソまずい朝食だったな…)カチャ

もこっち(あと30分ほどで、家族が迎えにくるらしい。くそ、どんな顔して家族に会えばいいんだ…)

もこっち(まあでも、そんなことどうだっていいか。だって、ゆうちゃんが無事だったんだから…)

もこっち「…」

もこっち(そういえば、朝起きてから一度もトイレに行ってなかったから、ちょっと行きたくなってきたな。トイレはたしか、この部屋を出て左だったか…)スタッ

312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/20(金) 01:25:05.69 ID:0N8BLfmZO
もこっち「…」スタスタ

拓巳「…」スタスタ

もこっち「ん…?」ピタッ

拓巳「あ…」ピタッ

もこっち(西條か。そういえば昨日、こいつも向かいのO-FRONTで、ディソードを探してたらしいな。将軍がちょいちょいこいつの名前を出してたけど、こいつは大丈夫なのか…?)

拓巳(黒木さんか。この子も昨日向かいのビルで何かやってたけど、一体何をしてたんだろう…)

もこっち(っていうか、思いっきり目が合ってるな…すごく気まずいぞこれ…)

拓巳(くそ、早く帰る予定だったのに、思わぬ奴に時間をとらされてしまった…)

もこっち(ええっと、何か言った方がいいのか、これ?ええっと…) 

拓巳(早く帰りたい…早く何とかいってよ…)

あやせ「…」

あやせ「そんなところで何をしてるの?二人とも」

もこっち「ん?」

拓巳「え?」

あやせ「久しぶりね。調子はどうかしら」

もこっち(岸本か。こいつも飛び降りたりしたから、大分きてるかと思ったのに、意外と平気そうだな。まあ、私としてもそっちの方が気が楽でいいけど…)

316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 12:25:00.20 ID:5K/ZJE7SO
あやせ「ところで二人とも、もう剣は見つかったかしら?」

拓巳「…っ!!」

もこっち「…っ!!」

あやせ「…?どうしたの二人とも。まだ剣を見つけていないの?」

拓巳「…」

もこっち「…」

あやせ「見つけて、はやく。そうすれば、あなた達は救われるわ」

拓巳(またそれか…)

もこっち(ディソード…結局見つけられなかったな)

もこっち(そもそもなんで、こいつはこんなにディソードを手に入れさせようとしてくるんだ?もしかしてこいつが将軍なのか?それならばニュージェネ事件の予言についても辻褄があうし…)

もこっち(いやそれはないか。こいつがもし将軍だったら屋上から飛び降りしないだろうし、なにより昨日のあの時間こいつは病院にいたはずだしな…)

あやせ「どうしたの智子?私の顔をじーっと見て」

もこっち「あっ、いえいえ!な、何でもありません…」

あやせ「そう、ならいいわ」

もこっち(びっくりした。疑ってるのがバレたのかと思った…)

317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 12:33:36.48 ID:5K/ZJE7SO
あやせ「ところで二人とも、今から時間はあるかしら?」

もこっち「えっ、な、なんで…?」

あやせ「見せたいものがあるのよ」

もこっち(まあ、親が迎えに来るまで30分はあるし、多分大丈夫だろ…)

もこっち「わ、私は別に、大丈夫ですけど…」

あやせ「拓巳は?」

拓巳「あっ、ちょ、ちょっと今…急いでて…」

拓巳(看護婦とか先生に見つかる前に、早く抜け出さないと…)

あやせ「そう、残念ね」

あやせ「それじゃ智子。私の病室にきて」

もこっち「あっ、ちょ、ちょっと…」

あやせ「どうしたの?」

もこっち「そ、その前に、トイレに…」

あやせ「そう。じゃあ私はここで待ってるわ」

もこっち「はい、それじゃあ…」スタスタ

拓巳(僕もそろそろ帰らないと…)

拓巳「あ、あの、僕も、この辺で…」

あやせ「さようなら拓巳。また会いましょう」

拓巳「う、うん。そ、それじゃ…」スタスタ

318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 15:19:51.59 ID:ZGsB0sOJO
ジャー

もこっち「ふう…」バタン

もこっち(そういえば、見せたいものって何だろうか…)テクテク

あやせ「お帰りなさい。智子」

もこっち「は、はあ…」

もこっち(お帰りって言うほどの距離でもない気がするが…)

あやせ「ついてきて」

もこっち「え?ど、どこに…?」

あやせ「私の病室よ。さっきも言ったでしょう」

もこっち「は、はい…す、すみません…」

319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 15:24:09.54 ID:ZGsB0sOJO
ーあやせの病室ー

あやせ「そこに座って」

もこっち「は、はい…し、失礼します…」

あやせ「これをみて」スッ

もこっち(なんだこれ?文庫本?)

あやせ「『グラジオール記黙示録詩編』第3巻」

あやせ「11章23節にこう書かれてるわ。ディソードは、人の邪心を具現化したものだと」

もこっち「は、はあ…」

あやせ「智子。あなたにはディソードが見えている。あなたは、黒騎士なのよ。あなたには力がある。だから、早くディソードを手に入れて。手に入れてもらわなくちゃいけないのよ」

もこっち「…」

もこっち「私は…」

あやせ「?」

もこっち「私は、手に入れられなかった…」

もこっち(昨日だって、結局見つけることさえ出来なかったんだ…)

もこっち「む、無理だよ…」

あやせ「無理じゃないわ」

あやせ「不浄なる邪心に打ち勝って、純粋な邪心のみを心にとどめれば」

もこっち「…は?」

もこっち(なんだそれ…また電波を垂れ流し始めたか?)

あやせ「惑わされないで」

あやせ「それが、不浄なる邪心よ」

もこっち「…」

あやせ「黒騎士は、本来なら邪心を制御できるわ」

あやせ「けれど、邪心王は巧妙だった」

あやせ「グラジオール記黙示録詩編第2巻2章50節。グラジオールは邪心を少しずつ侵食することで、静かに支配を完了し、邪心の暴走を引き起こすのよ」

あやせ「負けてはいけないわ。邪心王の精神侵略に」

もこっち「…」

あやせ「みんなはこう言うわ。私が歌詞によって予知を行っていると」

あやせ「だけど私は、グラジオール記黙示録詩編からインスピレーションを受けているだけ」

あやせ「この詩編こそ、予言の書なのよ」

321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 15:29:08.40 ID:ZGsB0sOJO
もこっち「予言の書…」

あやせ「事実よ」

あやせ「この渋谷で起きたことを、ツィーグラーは予言し、物語にしている」

もこっち「ツィーグラー?」

あやせ「グラジオール記黙示録詩編の作者よ」

あやせ「故人だけれど、ツィーグラーは強大な黒騎士だったと思うわ。私は」

もこっち「は、はあ…」

あやせ「読んでみる?」スッ

もこっち「あ、はい…」スッ

もこっち(予言の書…一体なにが書いてあるのだろうか…)パラパラ

もこっち(って、なんだこれ…白紙?どこにもなにも書いてないぞ。不良品かな?)

もこっち「こ、これ、不良品?」

あやせ「どういうこと?」

もこっち「だ、だって、なにも書かれてない…」

あやせ「なにを言っているの?ここに字が書いてある。見えないの、智子?」

もこっち「いや…」

あやせ「あなたには見えないのね。侵食されているからだわ。邪心王に」

もこっち「は、はあ…」

もこっち(冗談を言ってる顔じゃないな…なんだこいつ、真性のメンヘラなのか?)

あやせ「考えたことがある?」

もこっち「え?」

あやせ「世界は人によって見える形がちがう」

あやせ「その違いは、邪心による影響」

あやせ「邪心の集合体が、邪心王グラジオール」

あやせ「目覚めようとしている。もうすぐ」

あやせ「もしも目覚めたら、この世に67億ある世界は、混じり、溶け合うことになる」

あやせ「境界が消え、邪心により連結された世界になるのよ。あらゆるものが規則なく生まれ、あらゆるものが一瞬で死ぬ。概念も認識も因果律も、すべて破壊される」

あやせ「すべてあるが故に、なにもない世界」

あやせ「あらゆる神話と同じように、予言されているわ」

あやせ「終末予言。滅びの詩」

もこっち(おまえはなにを言っているんだ…)

323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 16:38:56.76 ID:ZGsB0sOJO
あやせ「けれど智子、あなたが現れてから、少しずつ予言と今が違ってきているわ」

もこっち「え?」

あやせ「あなたの存在は予言されていなかったのよ。黒騎士の数は予言では7人だった」

もこっち「はあ…」

あやせ「でもあなたが現れてから、予言にはいなかった黒騎士も現れ始めた。あなたは、それほどイレギュラーな存在ということよ」

もこっち「私が、イレギュラー…?」

あやせ「だからこれからどうなるのかは、私にももうわからない」

もこっち「…」

あやせ「だから、ディソードを手に入れて。じゃないと、最悪の結末を迎えてしまうかもしれない」

もこっち「…」

もこっち「わ、私は…」

あやせ「?」

もこっち「私は昨日、ディソードを、手に入れようと、ひ、必死に、探した…」

あやせ「…」

もこっち「で、でも、どこにもなかった…私にはディソードが手に入る兆しもなかった…やっぱり、私には、ディソードを手に入れるなんて、む、無理なんだよ…」

あやせ「…」

あやせ「神罰を乗り越えて。そうすれば、剣は召喚される」

もこっち「神罰…?」

あやせ「苦しみ、心的負荷の爆発、心の扉の向こう側、あるい精神的拷問」

あやせ「言い方はいろいろ」

もこっち「わ、私…これまでも、たくさん苦しんできた…」

もこっち「これ以上、ないくらいに…」

あやせ「…」

もこっち「そ、それでも、ディソードは手に入らなかった…や、やっぱり、私はディソードを手に入れることなんて出来ないんだよ…」

あやせ「私はよく、窓ガラスを割っていたの」

もこっち「え?」

あやせ「割れたガラスの破片、そこにいつもぼんやりと、剣が見えていた」

もこっち「剣が…?」

あやせ「でも何年も、それが何か分からなかった」

あやせ「でも私はある日から、何ヶ月もいろいろな拷問をされて…」

もこっち「拷問…」

あやせ「心が壊れる直前に、大いなる意志の声が聞こえて、やっと召喚できたわ、ディソードを」

もこっち「…」

あやせ「邪心を打ち破るには、純粋なる邪心が必要なのよ」

324: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 16:41:03.62 ID:ZGsB0sOJO
もこっち(それはつまり、私がもっと苦しめということか?じゃなきゃ、ディソードは手に入らないということか?)

もこっち(だとしたら、ディソードなんていらない。もうこれ以上、苦しむなんてごめんだ…)

あやせ「すでに渋谷に集まってるはずなの。黒騎士たちは」

もこっち「え…?」

あやせ「あとは、全員が覚醒するだけ。急がないと、世界は滅びるわ」

あやせ「グラジオール、もしくは他の何者かの手によって」

325: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 23:43:51.56 ID:ZGsB0sOJO
ーーーー
ーーー

ガララッ

もこっち「はあ…」テクテク

もこっち(あのあと結局、30分近くも予言だの黒騎士だの聞かされた…)

もこっち(もう、ディソードなんていらないから、私のことは放っておいてくれよ…)

智貴「ん?あっ、おい姉ちゃん!」ガシッ

もこっち「ひっ!!」ビクッ

もこっち(ってなんだ、弟か…)

智貴「たく、病室に迎えに行ってもいないなんてよ…わざわざ探しに行かされるこっちの身にもなってくれ」

もこっち「あ、ご、ごめん…」

智貴「まあいい、帰るぞ」

もこっち「えっ?あの…?」

智貴「あ?」

もこっち「いや、なんでもない…」

智貴「そうか、いくぞ」スタスタ

もこっち「あっ、ま、待って…」スタスタ

もこっち(絶対昨日のことで何か言われると思ったのに…)

328: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/26(木) 00:21:31.17 ID:q+ZPjwRqO
ーその後、黒木家ー

もこっち「ふう…」ドサッ

もこっち(やっと帰ってこられた。昨日のことなのに、随分前のことのように感じるな…)

もこっち(昨日はほんとに辛かった。地震がきて突然頭が痛くなるし、岸本の自殺未遂を目撃する羽目になるし、将軍からメールが来るし、切断された手首が送られてくるし…)

もこっち「切断された、手首…」

もこっち(そうだ、浮かれてる場合じゃなかった。あのあと家族に見つからないように、机の引き出しにあのダンボールを隠したんだ…)

もこっち「…」

もこっち(あの看護婦によるとゆうちゃんは無事らしいし、ゆうちゃんの手首じゃないよな…?だとしたら、一体誰のものなんだろう…)

もこっち(もしゆうちゃん以外の誰かのものなら、ケータイのことはどう説明するんだ?ゆうちゃんの番号にかけたら、たしかにあのケータイに繋がったんだぞ…?)

もこっち(くそ、ものすごくイヤだけど、もう一度確かめてみるべきかも。もしかしたら、本当はゆうちゃんのケータイじゃないかもしれないし…)スッ

もこっち「うう、くそぅ…」

もこっち(あ、開けるぞ…開けるぞ…開けるぞ!)

ガラッ

もこっち「…」

もこっち「え?」

もこっち(なくなってる?おかしいな、確かに昨日ここに入れたのに…)

もこっち(どうしてだろう…もしかして、他のところに入れたのかな…?)ガサゴソ

もこっち「ええっと、ない、ない、どこにもない…」

329: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/26(木) 00:23:34.01 ID:q+ZPjwRqO
ーーーー
ーーー

もこっち(結局あのあと、どこにも手首の入ったダンボールはなかった。一体、何でなくなってるんだろう…)

もこっち(もしかして、あの手首は将軍のギガロマニアックスの力で見せられてた幻覚なのかも。だとしたら、全ての辻褄があうし…)

もこっち(そうか、そうだったのか…だとしたら、あんなに必死にならなくてもよかったじゃないか。全く、私はうまいことだまされてたってことか…)

もこっち「はは、ははは…」ジワッ

もこっち(嬉しくて涙が出てくる…たとえ世界中の人間からバカにされたって、構うもんか。だって、ゆうちゃんは生きてて、手首は偽物だったんだ。今、私の不安は全て取り除かれたんだ…)グスッ

もこっち「よかった。本当によかった…」

334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/26(木) 01:22:39.37 ID:q+ZPjwRqO
ー病院ー

将軍「…」

ガラッ

将軍「ん?」

梨深「…」

将軍「君か。どうしたの?」

梨深「これ、ナナちゃんの手と黒木さんの友達の手。ここの冷蔵庫に入れておこうかと思って…」

将軍「…」

将軍「そうだね、それがいい」

梨深「…」スタスタ

ガチャッ

梨深「…」スッ

バタンッ

梨深「…」

将軍「やつらが動き出した…ノア2とノア3は完成間近だ」

梨深「…っ!」

将軍「急がないとまずい事になる」

梨深「…」

梨深「どうしても、タクや黒木さんを覚醒させるつもりなの?それじゃあいつらとなにも変わらないよ?」

将軍「でも目的は違う。僕は覚醒したあの二人に、ノア2とノア3を破壊してもらいたいんだ」

梨深「でもタクが覚醒すれば、あなたは死ぬんだよ?それに黒木さんだって、これ以上巻き込むわけにはいかないよ…」

将軍「それじゃあ、どうするの?」

梨深「…」

梨深「私がタクを守る…ううん、黒木さんのことだって守るよ。それが結果的に、あなたを死なせない事になるんだから…」

将軍「…」

梨深「私が何とかする。だから、黙って見ててよ…」スタスタ

ガララッ

バタンッ

336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 02:00:45.67 ID:2Yvv2u1dO
ー黒木家ー

もこっち「ふう……」グスッ

もこっち(たくさん泣いて、ようやく落ち着いてきたな……ゆうちゃんも無事みたいだし、ひとまず昨日のことについて調べてみよう……)カチッ、ウィーン

もこっち(やっぱり、昨日の騒動についての記事がたくさんあるな……とりあえず、一つ開いてみるか……)カチッ

もこっち(ええっとなになに……)

『電波ジャックエスパーはオオカミカップル!?超能力ショー最悪の結末』

もこっち(カップルって、まさかとは思うが……)

『27日、自らをエスパーだと称する男子高校生Nと女子高生Kが、ニュージェネ事件の犯人を透視する競争をするとテレビ局にメールを送り、テレビ局では取材を敢行した。しかし二人とも何度かビル屋上から飛び降りるようなジェスチャーを繰り返したが、パフォーマンスはそこまで。二人ともその後気を失って病院へと運ばれていった』

もこっち「……は?」

もこっち(私は、テレビ局にメールなんて送ってないぞ?どういうことだ?これも将軍の仕組んだことか?)

もこっち(そういえば結局、将軍は何がしたかったんだろう……わざわざマスコミまで集めて、私にディソードを手に入れさせようとする意味がわからない。それに、なぜかどの記事も将軍のことについては全く触れていないし。まるで、将軍なんてあの場所にはいなかったみたいに……)

もこっち「……」

もこっち(もしかして、ゆうちゃんの手どころか、あのとき現れた将軍すら妄想なのかも……だって車椅子を使ってる将軍が、そんな短時間であそこから逃げ去るなんてできるわけないし……)

もこっち(もうなにが現実でなにが妄想なのかわからない……悪い夢なら早くさめてくれ……)

337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 02:09:40.81 ID:2Yvv2u1dO
ーーーー

ニュースキャスター「今日午後8時頃、渋谷区の渋谷川で、女性の変死体が発見されました」

ニュースキャスター「警察の調べによりますと、被害者は自らの右手を噛みちぎって食べたとみられ、また、足首が紐で縛られていたとのことです。警察では自殺と他殺の両面から捜査を……」

ーーーー

338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 02:45:36.76 ID:2Yvv2u1dO
ー1週間後ー

もこっち(はあ、今日から停学明けて学校か……学校行きたくねー……どうせバカどもに何かいわれるだろうし……)

黒木母「智子ー。お友達が迎えにきたわよー」

もこっち「はーい……」スタスタ

黒木母「気をつけてね」

もこっち「うん……行ってきます……」

ガチャッ

小宮山「あっ、黒木……」

もこっち「……」

梢(ひさしぶりー智子しゃん♪元気だったー?)

もこっち(……)

梢(あのーあのー、聞きたいなー。先週智子しゃんがテレビに出てたときのことー)

小宮山「ちょ、ちょっと折原さん!」

梢(うぷ?どうしたのー?)

もこっち「………」

もこっち「どうせ言ったって、信じてくれないよ……」

343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/02(水) 00:39:19.61 ID:ztRezHCuO
梢(え?)

小宮山「……黒木?」

もこっち「ど、どうせ……私が超能力パフォーマンスをやろうとしたとでも思ってるんでしょ……ネットでも、私の書かれっぷりは散々だったもん……バ、バカにしたければすればいいじゃん……こ、ここまできたら、もう何言われても気にならないからさ……」

小宮山「黒木……」

もこっち「……」

梢(それ決めつけー。うぷー)

梢(こずぴぃは、あの時、スクランブル交差点にいたんだよ)

もこっち(え?)

梢(ちょっと通りかかって。あの時、ずーっと智子しゃんの声、聞こえてきたよ)

梢(ゆうしゃんのこと、助けたい、助けなきゃーって、聞こえてたよ)

もこっち(え?私の心の声は、そんな遠くまで届いてたの?)

梢(それだけ、あのときの智子しゃんの想いは強かったーのら)

もこっち(じゃ、じゃあ……こずぴぃはわかってくれるんだね。私が超能力パフォーマンスをやりたくて、あんな騒動を起こしたわけじゃないって……)

梢(うん。それにそーれに、友達の智子しゃんを、バカにしたりするわけないよ♪)

もこっち(でも、私は何もできなかったんだ……これじゃ、ただの役立たずだよ……)

梢(そんなことなーいよ。ゆうしゃんは助かったんでしょ?それなら、それは智子しゃんががんばったおかげだよ♪)

もこっち(そんなことない……私は、何もできなかったんだし……)

梢(たーいじょうぶだよ。そんなに、気にすることないって♪)

梢(とりあえず、学校遅れちゃうし、そろそろ行きましょー。続きは、歩きながら教えてほしいのら)

もこっち「あっ、うん……」

梢(琴美しゃんも行きましょー♪)

小宮山「えっ?わ、わかった……」

梢(それじゃ、出発進行なのら♪)スタスタ

もこっち「う、うん……」スタスタ

小宮山「そ、そうだね……」スタスタ

小宮山「……」

小宮山(ゆうしゃんって、まさか……)

344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/02(水) 01:10:45.07 ID:ztRezHCuO
ー学校ー

もこっち(はあ、憂鬱だ……まじで教室行きたくねー……)

梢(だーいじょうぶだって。智子しゃんには、こずぴぃがついてるのら♪)

もこっち(ありがとう……私の味方はこずぴぃだけだよ……)

梢(えへへー。どういたしましてー♪)

小宮山「……」

小宮山「あ、あの、私こっちだから……」

梢(それじゃあね琴美しゃん。またあとでー♪)

小宮山「う、うん。じゃあね……」

もこっち「じゃ、じゃあ……」

小宮山「うん……」スタスタ

小宮山「……」

小宮山(やっぱり、一度確かめるべきじゃ……)

348: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 22:53:42.25 ID:WGSlt6mfO
ー教室ー

リア充B「ねえ、知ってる?西條と黒木、今日で停学あけるって話……」

リア充C「まじで?停学あけたとしても、学校来んのかな?」

リア充A「おれだったら無理だなー。よし、あの二人がくるかこないか賭けてみようぜww」

リア充B「いいねーwwじゃあわたし来るでー」

リア充A「じゃあ俺は来ないにww」

リア充C「俺も来ないでーww」

リア充たち「ギャハハハハハハハハ!!」

349: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 22:55:37.12 ID:WGSlt6mfO
ガララッ

リア充A「ん?」

もこっち「……」

梢「……」

リア充B「あー、黒木さん来たじゃーん。ふたりとも、私の勝ちだね」

リア充C「くそー!!負けたー!!」

リア充A「いやだってよー、普通来るって思わないじゃん。ていうか逆に、なんで来れんの?」

リア充B「ちょっとやめなってー。超能力で石にされちゃうよー?」

リア充たち「ギャハハハハハハハハ!!」

もこっち「……」

梢(智子しゃん、大丈夫ー?なんならこずぴぃがあの人達を、ドカバキグシャーってしてあげてもいいんだよ?)

もこっち(いや、もういいよ……どうでも……)

梢(ほんとにー?)

もこっち(うん。一週間前、ゆうちゃんが無事で手首も偽物ってわかって、思ったんだ。世界中の人間から馬鹿にされたって構うもんかって……)

梢(ならいいけど。困ったときは、いつでも言ってほしいのら♪)

もこっち(うん、じゃあ席つこ……)スタスタ

350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 23:57:36.15 ID:WGSlt6mfO
ーーーー
ーーー

生徒A「おーい黒木さーん。超能力見せてよーwww」

生徒B「テレビで見たぜー。すげー超能力者と知り合いなんだろー?」

生徒C「西條とはいつから付き合ってんのー?」

生徒D「今日彼氏くるー?」

生徒たち「ギャハハハハハハ!!」

もこっち「……」

もこっち(黙れ……)

梢(大丈夫ー?智子しゃーん)

もこっち(うん、心配しないで……)

ガララッ

リア充C「お?」

拓巳「……」

生徒B「おー超能力カップル二人が揃ったぞー。おい、夫婦で何かパフォーマンス見せてくれよwww」

生徒A「式には呼んでくれよなーwww」

生徒たち「ギャハハハハハハ!!」

拓巳「……」

拓巳(梨深、梨深……)

351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 23:59:43.63 ID:WGSlt6mfO
生徒C「なあ、お前ら生きてるのきつくね?」

生徒A「オレら手伝ってやろうか?」

生徒たち「ギャハハハハハハ!!」

三住「……」

拓巳「……」スタスタ

ガタッ

拓巳「……」

拓巳(いない……梨深が、どこにもいない……)

生徒B「おおー。カップル二人が並びましたーwww」

生徒A「いつになったら超能力見せてくれんのー?」

生徒たち「ギャハハハハハハ!!」

もこっち(くそ、どいつもこいつも好き勝手言いやがって……)

拓巳「……」

拓巳(梨深がいない……もしかすると、梨深なんていう女の子は、僕の妄想でしか無かったんじゃないかな。そう考えると色々と辻褄も合うし……)

拓巳(そうか。そうだったのか。もう、学校に来る理由がなにもない……唯一の理由が消えたんだ……)

生徒B「おーい、早く超能力見せてよーww」

生徒C「星来たんってかわいいよなーwww」

拓巳(こいつら……もういっそ、こいつらの命を、僕の手で踏みつぶしてやろうか……もう、僕の人生なんてどうでもいいんだし……そうだ、そうしよう……)

拓巳「ふひひ……」ガタッ

もこっち(ん?どうしたんだ西條のやつ……)

拓巳「ふひ、ふひひひひ……」

生徒A「え?ちょっと、何……?」

もこっち(こいつ、まさか来ちゃったのか……?)

梢「……」

352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/05(土) 00:04:58.73 ID:Wbk7o/yTO
生徒たち「ねえ、ちょっとどうしたのあいつ……」ジロジロ

拓巳(見るな……僕なんか、見られる価値も無いんだ……)

梢(価値なら、あるよ)

拓巳「……え?」

もこっち(こずぴぃ?)

梢(いーっぱい、いーっぱいある!)

拓巳(なんだこの声?幻聴?それとも、妄想?)

梢(幻聴じゃ、ないのら)

梢(妄想でもなーい)

梢(こずぴぃは、ここにいるよ)

拓巳「こずぴぃって、なんだよ!?」

生徒たち「っ!?」ビクッ

拓巳「ここって、どこ!?」

拓巳「誰なの!?」

もこっち「……」

もこっち(こいつ、今心の声を初めて送られたところか……)

梢(西條くんに価値がないなんて、そんなのぜーんぜん違う)

拓巳「……」 

梢(むしろ西條君のことをひどく言う人たちの方が、価値がないから、いいと思うのら)

梢(殺しても♪)

拓巳「……」

拓巳「……」クルッ

スタスタ

ガタッ

拓巳「……」

拓巳(もう、やだ。どうやら僕は、完全におかしくなっちゃったみたいだ……)

357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/08(火) 19:31:32.46 ID:Yji15ScrO
ー放課後、渋谷駅前ー

もこっち(はあ、学校疲れた……)

梢(本当に大丈夫ー?智子しゃん)

もこっち(まあなんとか……そんなことよりこずぴぃ、朝は何で西條に心の声を送ったの?)

梢(西條くん、自分に価値がないとか心の中で言ってたから、そんなことないってことを教えてあげたかったのら♪)

もこっち(へえ、あいつもだいぶ精神的に来てるってことか……)

358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/08(火) 19:34:07.99 ID:Yji15ScrO
梢(まあとりあえず、今はセナしゃんを探しましょー♪)

もこっち(そ、そうだね……)

梢(ええっと今日はセナしゃんはー、確かあっちの方にいるって……)


男A「おい、さっさっとついてこい!!」


もこっち(っ!?な、なんだ?今の怒鳴り声……)キョロキョロ

小宮山「あ、あっち!!」

もこっち(あっち?ってあれは……)


拓巳「助けて!誰か助けて!」

男B「うるせーな!はやくついてこい!」

拓巳「や、やだ!誰か!誰か!」

男C「うるせえ!これ以上騒ぐと殺すぞ!!」

拓巳「……っ!!」

男A「おーし、やっと黙ったな。それじゃとりあえず、あそこの路地裏行こっか」ガシッ

拓巳(や、やだ……誰か……誰か……)

359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/08(火) 19:35:52.56 ID:Yji15ScrO
もこっち「……」

小宮山「……」

梢「……」

小宮山「えっと、連れてかれちゃったけど、どうするの?」

もこっち「えっと、さすがに見て見ぬ振りっていうのは……こずぴぃ、なんとかできる?」

梢(さっき連れてかれちゃったー、西條くんを助けてあげるってことだよね?さっきの悪そうな人たちはー、殺しちゃっても大丈夫ー?)

もこっち「えっと、一応死なない程度にしておいて……」

梢(えー?悪者だよあの人たーち)

もこっち(いやそうは言っても……って!こんなこと言ってる暇あったら、早く助けに行こう!!)

梢(あ、それもそうだね。えーっと、たしかあっちの路地裏だったのら♪)

362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/10(木) 19:34:35.18 ID:3xSTKb8ZO
梢(ええーっと、たしかここの路地裏だったよーね?)

もこっち(うん……)

梢(それじゃ、行ってくるのら♪)

もこっち(絶対に、殺しちゃだめだからね!?)

梢(わかってるってー♪)スタスタ

小宮山「大丈夫かな……」

363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/10(木) 19:36:00.41 ID:3xSTKb8ZO
ーーーー
ーーー

ドゴォッ

男A「うぎゃっ!!」

バキッ

男B「ぐえっ!!」

男C「ひ……な、何だよそれ……おい、よせ……やめろ……やめて……」

ドガッ

男C「ごばっ!!うぐ……」

ドサッ

男C「う……う……」ピクピク

梢(ふう、お掃除完了なのらー♪)

もこっち「……」

小宮山「……」

もこっち「あ、あれ、本当に生きてるの……?」

小宮山「一応、呼吸はしてるみたいだよ?全員顔面が原型をとどめてないけど……」

364: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/10(木) 19:42:53.33 ID:3xSTKb8ZO
梢(さーてと、これは西條くんの財布ですねー♪)スッ

梢(それでそれでー、その西條くんはー……)

拓巳「う……う……」ピクピク

梢(えーっと、智子しゃん琴美しゃん、ちょっと待っててねー)

もこっち(え?)

梢「……っ」サスサス

もこっち(ああ、なるほど……西條を起こしてやろうというのか……そこまでしなくていい気はするがな……)

拓巳「……ん?」パチッ

梢「……っ」

拓巳(あれ?僕、気絶してたのか……それにしても、なんでこの子こんな場所にいるんだろう……この子たしか、僕のクラスの転校生だよな?)

梢「……っ」スッ

拓巳(これ、僕の財布?どうしてこの子が……)

拓巳(って、なんだあれ?さっき僕に絡んできた三人がフルボッコにされてるぞ?ま、まさか……ニュージェネ第七の事件!?いったい、誰がこんなことを……)

梢「……っ」ガシッ

拓巳(え?なに?いきなり僕の手を掴んで……)

梢「……っ」ダッ

拓巳(って、いきなり走り出すなよ!!)

拓巳(てあれ?あそこにいるのは黒木さんと、もう一人は誰だろう……転校生といいあの二人といい、なんでこんなところに……)

梢(それじゃ智子しゃん琴美しゃん、表通りまで走るのら♪)

もこっち(え?あ、うん……)

小宮山(わ、わかった……)

365: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/10(木) 19:47:21.76 ID:3xSTKb8ZO
ー表通りー

梢「はあっ、はあ……」

拓巳「え?あの、えっと……」

梢「……」

拓巳「あ……」

梢「……」

もこっち「……」

小宮山「……」

拓巳(みんな黙り込んじゃった……みんな僕と同じで、口下手なのかな?いや、そんなことより、状況がよくわからない……どうやら気絶してたみたいだけど、どれくらい気絶してたんだろう……)

梢(5分くらいなのら)

拓巳「な!?」

拓巳(まただ……また朝の時と同じ幻聴が聞こえてきた……)

梢(幻聴じゃ、なーいよ)

拓巳(そうか、幻聴じゃないのか。それじゃ僕は、優愛の言うとおり多重人格ってことか……)

梢(こずぴぃは、こずぴぃなのらー!)

梢(西條君とは違う人だよー!?)

梢(こずぴぃは、折原梢、なのら)

拓巳「え……?」

拓巳(折原梢って、たしか三住くんが転校生の名前だって……ていうことは……)

拓巳「き、君なの……?」

梢「……っ」コクコク

拓巳(頷いた!っていうことは本当に!?この転校生いったい……)

梢(転校生じゃなくて、こずぴぃだよー!)

拓巳(って、僕の心の声も聞こえるの!?)

梢(聞こえるよ)

拓巳(ふ、普通に話さないのは、なんで……?)

梢(だって、恥ずかしいし……)

拓巳(そっか。気持ちはよくわかるよ。僕もそうだから……)

拓巳(それにしても、さっき殴られたところが痛い……どこか、人のいないところでゆっくり休みたい……)

梢(あっ!それなら、いいところがあるから、ご案内しまーす♪)

拓巳(え?あっ、うん……)

梢(さあさあ、行きましょ!智子しゃん、琴美しゃん♪)

もこっち(あ、うん……)

小宮山(わ、わかった……)

368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 02:35:28.49 ID:jJyRL4zVO
ーRoftの中ー

梢(さあさあみなさーん、こっちでーす♪)

拓巳「あっ、うん……」

梢(そんで次は次はー、このエスカレーターに乗ってー)

拓巳(ね、ねえこずぴぃ、こんな所に、人のいない場所なんてあるの?)

梢(だーいじょうぶだよ♪)

拓巳(いや、大丈夫って……)

梢(ところで西條くん、先週テレビにでてた時、屋上から手、伸ーばしてたよね?)

梢(何を、しようとしてたの?)

拓巳「……」

もこっち(西條が何をしようとしてたか、か。私も気になるな……将軍はディソードを掴もうとしてたとか言ってたけど……)

拓巳「剣を、手に入れようとしてたんだ……それは妄想の剣で、屋上からの景色に溶け込んでて……」

もこっち(え?妄想の剣?それってもしかして……)

梢(ディソード?)

拓巳「え?な、なんで?知ってるの?」

梢(こずぴぃも持ってるもーん)

拓巳(へ……?)

370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 02:39:17.84 ID:jJyRL4zVO
梢「……」スッ

もこっち(え?こずぴぃ、もしかして、こんな所でディソードを出すの?)

梢(だーいじょうぶだよ、ええと、リアルブータ?ブタ?ブッダ?)

もこっち(リアルブート?)

梢(そそ、リアルブートはしないのら♪)

もこっち(まあ、ならいいけど……)

ースーッ

ージャキンッ!!

梢「……」ジャキッ

拓巳「え……?」

梢(これが、こずぴぃのディソードだよー)

拓巳「ほ、本当だ……」

梢(悪い人たちをやっつけるのら♪)

拓巳(え?悪い人たちをやっつけるって……じゃあさっきのあの三人も、こずぴぃが……?)

梢(あんな人たち、死んでとーうぜんだよ、ぷんぷん)

拓巳(や、やっぱりあいつら、死んでたの……?)

梢(ううん。生きてる価値もないけどね。あんな人たちは)

梢(はあーあ、殺したかったのになー。智子しゃんが止めるんだもーん)

もこっち(え?ご、ごめん……)

拓巳「……」

拓巳(この子、僕とは違う意味で歪んでるのかも……)

371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 02:43:46.35 ID:jJyRL4zVO
ー階段ー

梢(さあさあ皆さーん、到着でーす♪)

拓巳(到着ってことは、ここが目的地だったわけか……たしかにここは、フロア内と違ってぜんぜん人がいないな……)

梢(Roftだけじゃなーくて、デパートの階段って、ぜんぜーん人がいないのー)

梢(それでそれで西條くーん、景色とか模様とか見ると、別の模様が見えたりしなーいかな?)

拓巳(え?なんの話?)

梢(ディソードの話ですよー、うぷー)

もこっち(ディソードの話?)ピクッ

梢(なにかの模様とか景色とか見ると、動物さんとか色んな形に見えることがあって)

拓巳(ああ、そのことか。そういえばO-FRONTでそんな見方で見たら、ディソードが見えたっけ……)

梢(はーい、ピンポンでーす♪)

梢(こずぴぃが初めて見えたのは、小学生の時)

梢(お空に、この剣の形が見えた)

梢(それからは、いろんなところでよく見るようになったのら)

拓巳(どうやって、手に入れたの?僕は、ディソードは見つけたけど、掴むことはできなかったんだけど……)

梢(ただ、願ったんだよ)

梢(殺してやりたい、ってね)

もこっち・拓巳・小宮山「え……?」

梢(こずぴぃね、この剣が怖くて、仕方なかったの)

梢(でもね、この前会ったホームレスのおじしゃんが、この剣は自分自身だ、って教えてくれたの。それからディソードを否定しないで見てみたたら、ディソード、こずぴぃのことを助けてくれたのら。だからこずぴぃね、ディソードのこと頼ることにしたの)

372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 02:46:14.35 ID:jJyRL4zVO
もこっち「……」

拓巳「……」

小宮山「……」

梢(うぴ?どうしたの?みんな黙っちゃって)

もこっち(こずぴぃは、壊れてる……)

梢(壊れてなーいよー!こずぴぃ、剣持ってるもーん!)

もこっち「……」

ーーー

セナ「ギガロマニアックスとなった者は、誰であろうと一度は壊れているんだよ」

ーーー

もこっち(私もこれくらい壊れなきゃ、ディソードを手に入れられなかったのかな……そもそも私は、まだ壊れてすらなかったのか……?)

梢(あ、そう言えばさっき話したおじしゃん、こんなことも言ってたのら)

梢(君たちは特別な存在だ。中でも一番特別なのは、その目誰の目?を産み落とした少年)

梢(なんだってー)

もこっち(その目誰の目?を産み落とした少年?誰のことだ、それは……)

拓巳「え……?」

もこっち(ん?どうしたんだ西條のやつ……)

梢(んー?どうしたの西條くーん?もしかして、なにか関係あーるの?)

拓巳「え?いや、別に……」

梢(ウソらー。西條くん、ものすごく関係ありまーすって考えてる)

拓巳「……」

梢(その目誰の目?って、西條くんが最初にかんがーえたの?)

拓巳「……」

拓巳「……」スタッ

梢(え?どこか行くの?)

拓巳「僕、帰る……」

梢(ええっ!?)

拓巳「そ、それじゃ……」スタスタ

梢(ちょ、ちょっと待ってよー!)

もこっち「あっ……ちょ、ちょっと……」

小宮山「私たちも忘れないで……」

373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 02:47:33.88 ID:jJyRL4zVO
今日はここまでで

375: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 17:59:25.73 ID:jJyRL4zVO
ー表通りー

拓巳「……」スタスタ

梢(あのあのー、こずぴぃ、怒らせるようなことしちゃったかなー?)

拓巳「……」

拓巳(その目誰の目?を産み落とした少年って誰のことだ。僕?いや、そんなわけはない、僕は、特別なんかじゃない……)

もこっち(西條のやつ、いきなり不機嫌になったな……)

もこっち(それはさておき、西條に先週のことをもっと詳しく聞きたいんだが……)

梢(西條くーん、智子しゃんが、先週のことをもっと詳しく聞きたいってー)

もこっち(って、ちょっとこずぴぃ!)

梢(うぴ?どうしたのー?)

拓巳「……」

もこっち「あ……」

拓巳「ぼ、僕の方こそ聞きたいよ……先週黒木さんは、あそこで何をしてたの?」

もこっち「え?あの……」

拓巳「ニュ、ニュースには、テレビ局に僕と黒木さんがメールを送ったって書いてあった……でも僕は、メールなんて送ってない……もしかして、黒木さんがメールを送ったの?」

もこっち「ち、ちが……」

拓巳「こずぴぃだってそうだ……ど、どうしてこのタイミングで、僕に心の声を送ってきたの?」

梢(えー?こずぴぃは……)

拓巳「き、君たちも、将軍の指示で僕に近づいてきてるんじゃないの?だとしたら、全ての辻褄が合う……」

もこっち「そ、そんなこと……」

376: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 18:02:34.18 ID:jJyRL4zVO
拓巳「……」

もこっち「……」

小宮山「……」

梢「……」

もこっち(場が静まりかえってしまった……しかし西條のやつ、だいぶ人間不信になってるな……)

小宮山(なによこいつ失礼ね……初対面の人間のことをいきなり将軍の手下呼ばわりしてくるなんて……)

梢(ええっと、こずぴぃはただ……)

拓巳「ただ……?」

梢(あー!)

梢(セナしゃんみっけー)

拓巳「え?」クルッ

セナ「お前たちか。黒木、久しぶりだな」

もこっち「え?は、はい……」

拓巳(な、なんだこいつら……セナと知り合いなのか?だとしたらこいつら、僕を殺すためにセナを呼び込んじゃ……)

梢(だーからー、それは被害妄想だよー)

拓巳(で、でもセナは、怖いし……)

梢(セナしゃんは、怖くなーいよ?)

拓巳(って、ちょっとこずぴぃ!!)

セナ「怖い?なんのことだ?」

拓巳「あ、いや……なんでも、ないです……」

梢(セナしゃんはねー、智子しゃんとか琴美しゃんと一緒で、こずぴぃのお友達なのらー。ね?ね?)

セナ「……」

セナ「お前たち、どうしてこいつと?」

梢(拓巳しゃんは、こずぴぃと智子しゃんのクラスメイトでーす。ね?智子しゃん♪)

もこっち「あ、うん……」

拓巳(た、拓巳しゃんって……)

梢(ほいでね、拓巳しゃんはこずぴぃの剣が見えるんだよ)

セナ「それは知っている。こいつもギガロマニアックスだ」

拓巳「え?なにそれ……」

梢(ディソードが見えるひとのことー。拓巳しゃんもそうだよ)

梢(あ、セナしゃんは、ガルガリ君買いーにいくとこなんですね?)

セナ「う、それは……」

梢(ほいじゃ、みんなでいきましょー)

拓巳「え?ぼ、僕は……」

セナ「……ついてこい」

セナ「お前にもおごってやる」

拓巳「え?は、はあ……」

梢(ほいじゃ智子しゃんも琴美しゃんも、行きましょー♪)

小宮山「あ、うん……」

もこっち(蒼井さん、相変わらずガルガリ君か……)

377: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 18:05:57.74 ID:jJyRL4zVO
ーーーー
ーーー

(ギガロマニアックスの説明省略)

セナ「と、いうわけだ」

拓巳「そ、そんなことが……」

もこっち(やっぱり、何度聞いてもギガロマニアックスの仕組みは理解できないな……)サクサク

もこっち「って、当たりだ……」

梢(わー!智子しゃん、すごいねー)

セナ「大した運だな」

拓巳「って、あれ?僕も……」

セナ「なにっ!?」

拓巳「ほ、ほら……」

セナ「本当だ……どういうことだ?ガルガリ君の当たり棒の割合は一割三分七厘……当たり棒が二つそろうなんて確率は、天文学的数値に等しい……」

もこっち(随分細かく把握してるな……)

セナ「私のは……くそ、外れか……」

もこっち「あ、あの、蒼井さん、よ、よければ、どうぞ……」

セナ「いや、いい。他人に施しを受けるつもりはない」

梢(でも、心は欲しーいって言ってるねー)

セナ「……」

梢(ほいじゃあ、こうしよーよ、セナしゃん)

梢(智子しゃんがお休み中に勉強した、渋谷言葉を言ったら、当たり棒をもらうのー♪)

小宮山「え?あれを言うの……?」

もこっち(渋谷言葉って……私が休みの間に何をしてたんだ……)

セナ「くっ……」

セナ「って、ていうか、ちょう楽しくて、まじやばい……」

セナ「ちょべりぐー」

梢(えへ。相変わらずセナしゃんはカタコトでーすね)

セナ「……っ!」カアアッ

もこっち「……」

もこっち(これはひどい)

 
379: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 18:09:29.39 ID:jJyRL4zVO
もこっち「そ、それじゃ、どうぞ……」

セナ「あ、ありがとう……」

拓巳「あの、よ、よければ、僕のもどうぞ……」

セナ「礼は、言わないからな……」

拓巳(何だろうこの扱いの差は……)

梢(あ、そだそだー!みんなで記念撮影しーましょ!ほらアレ!)

もこっち(え?あれって、もしかして……)

梢(ほらこれー!プリ撮りましょ!プリー!)

もこっち(やっぱりか……私はよくない思い出があるのであんまり撮りたく無いんだが……)

380: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 18:10:27.40 ID:jJyRL4zVO
ー写真機内部ー

梢(拓巳しゃん、ほら、まーんなか!)

拓巳「いや、僕は……」

梢(琴美しゃん、もう少し寄ってー!)

小宮山「ちょ、ちょっと……そんなにひっぱらないで……」

梢(智子しゃーん、表情が固まりすぎだよー)

もこっち「い、いや、だって……」

梢(セナしゃーん、横見てたらダメですぅ)

セナ「私は、こういうのは……」

梢(こずぴぃだって初めてーなのだ。ドキドーキ♪)

シール機「みんな可愛いポーズ決めてね!ハイ!ポーズ!」

カシャッ

381: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 18:24:12.03 ID:jJyRL4zVO
ーーーー
ーーー

もこっち「……」

拓巳「……」

小宮山「……」

梢(みんなでいい記念になったねー♪わーい!わーい!)

もこっち・拓巳・小宮山(これはひどい)

梢(ほいじゃあこずぴぃそろそろ帰るから、琴美しゃん、送ってくのら♪)

小宮山「え?あっ、うん……」

梢(ほいじゃあねー、また明日なのらー)

小宮山「そ、それじゃ……」ペコリッ

セナ「ああ、また明日な」

もこっち「じゃあね……」

拓巳(結局僕、あの人と一度も喋らなかったんだけど……)

セナ「さて、それでは私たちも行くとするか」スタスタ

もこっち「は、はい……」

拓巳(僕も帰るか……)スタスタ

セナ「お前も家がこっちなのか?」

拓巳「あっ、うん……」

セナ「そうか」スタスタ

拓巳(くそ、何で僕だけにはこんなに冷たいんだ……)

385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/18(金) 00:25:10.83 ID:Dvh1hfutO
ーーーー
ーーー

セナ「……」スタスタ

拓巳「……」スタスタ

もこっち「……」スタスタ

拓巳「あ、あの……」

セナ「ん?」

拓巳「こ、こずぴぃの、心の声も、ギガロマニアックスの能力なの?」

セナ「心の声は、いわば妄想だ。梢は自分の妄想を他人に見せていると同時に、他人の妄想を見ているんだ。いや、他人がたれ流す妄想を、ほぼ強制的に見せられていると言ってもいい」

もこっち(そういえばこずぴぃ、嫌でも他人の心の声が聞こえるとか言ってたな……)

セナ「梢は一度、奴等に追い詰められ、心を壊した」

拓巳「や、奴等って……?」

セナ「……」

セナ「わかった、教えてやろう」

セナ「梢の過去に、何があったのか」

もこっち(こずぴぃの過去に、何があったのか?)

386: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/18(金) 00:28:09.63 ID:Dvh1hfutO
(梢の過去編省略)

セナ「ということがあって、梢はディソードで、同級生3人に襲いかかった」

拓巳「そ、そんなことが……」

もこっち「こずぴぃ……」

拓巳「って、ここ……」

セナ「どうした?」

拓巳「いや、僕の家はあっちだから、そろそろ曲がろうかと……」

セナ「そうか」

拓巳「そ、それじゃあ……」

もこっち「じゃ、じゃあね……」

セナ「……」

もこっち「あ、蒼井さん……?」

セナ「西條」

拓巳「はい?」

セナ「おまえが望むと望まないにかかわらず、もしこれ以上踏み込んでくるなら」

セナ「負を正にするぐらいの強い意識を持つんだな」

拓巳「え?」

セナ「中途半端な気持ちじゃ、妄想に食われるだけだぞ」

拓巳「っ!!」

セナ「話はそれだけだ。行くぞ黒木」クルッ

もこっち「えっ?ちょ、ちょっと、蒼井さん……」

セナ「……」スタスタ

もこっち(西條に、先週のことを詳しく聞きたかったんだけどな。まあいいや、また別の機会にするか……)スタスタ

拓巳「……」

387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/18(金) 01:43:50.98 ID:Dvh1hfutO
ー翌朝、翠明学園付近ー

梢(さーて、今日も一日学校でーすね♪)

もこっち「う、うん……」

小宮山「……」

梢(てあれー?なんなのらこの建物?)

もこっち(建物?)チラッ

もこっち(って、なんだあれ……体育館かな?見る限り、もう使われてないみたいだけど……この辺に、こんな建物あったのか……)

梢(なんだかこの建物の中から、ヒュンヒュンヒュンヒューンって、音が聞こえてくるのら)

もこっち(え?そんな音、聞こえる?)

梢(こずぴぃには聞こえるよ。琴美しゃんは?)

小宮山「えっと、ごめん……私にも聞こえないな……」

梢(えー?そんなー……)

小宮山「ご、ごめんね……」

梢(そーれなら、今からあの建物の中を調べてみるのら)

もこっち「え?」

梢(学校が始まるまで、まだ時間はあるはずなの。悪い人たちがいても、こずぴぃがドカバキグシャーするから大丈夫なのら♪)

小宮山「そういう問題じゃないと思うけど……」

梢(いいから行きましょうよー。智子しゃん、琴美しゃん)

もこっち「まあ、そんなに行きたいなら私は別にいいけど……」

梢(琴美しゃんは?どーうしてもだめ?)

小宮山「いや別に、どうしてもってわけじゃ……」

梢(なーら、早くいきましょーよー)スタスタ

もこっち(仕方ないな……)スタスタ

388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/18(金) 01:47:15.10 ID:Dvh1hfutO
梨深「待って!」

もこっち(ん?)クルッ

梨深「どこに行く気?」

もこっち(咲畑?そういえば昨日、こいつは学校に来てなかったから、久しぶりに見た気がするな……)

梢(昨日だけじゃないよ。咲畑しゃん、地震のあとからずーっと学校に来てなかったのら)

もこっち(え?な、なんで……?)

梢(ふみゅー。何でかまでは分かんないのら……)

もこっち(そうなんだ……)

梨深「そっち、行っちゃだめだよ?立ち入り禁止だから……」

もこっち(立ち入り禁止?そんなことどこに……)キョロキョロ

もこっち(って、よく見るとそう書いてある看板がある……あれ?でもさっきまで、あんな看板あったっけ?)

梨深「ほら、立ち入り禁止のところに入ったら、あとで怒られちゃうよ?早く、学校にいこ?」

もこっち「そ、そうだね……」
 
梢「……」

小宮山「……」

392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 01:53:08.20 ID:PLhB31l2O
ー学校ー

生徒A「おい見ろよ、黒木まだ学校来てるぜww」

生徒B「彼氏の方はまだ来ないのかなー?」

生徒たち「ギャハハハハ!!」

もこっち「……」

梨深「……」

梨深(黒木さん……)

ガララッ

生徒B「ん?」

拓巳「……」
 
生徒C「おー!黒木さん!彼氏が来たぞー!」

生徒A「早く二人で超能力見せてよー!」

もこっち「……」

拓巳「……」スタスタ

ガタッ

拓巳「……」

梢(おはーよう、拓巳しゃん)

拓巳(おはよう、こずぴぃ……)

梨深「タク、おはよー」

拓巳「……っ!?」バッ

拓巳「あ……」

梨深「久しぶり、たはは……」

拓巳「り、み……」

拓巳(梨深がいる。よ、よかった……また会えた……)ジワッ

梨深「ちょ、ちょっとタクどうしたの!?もしかして、泣いてるの?」

拓巳「う、ううん……泣いてない、泣いてないよ……」ゴシゴシ

梨深「も、もしかして、あたしに再会できて嬉しいとか?」

梨深「なんてね。たはは」

拓巳「……っ」ゴシゴシ

もこっち(どうしたんた西條、いきなり泣き出して……)

三住「お、おう、タク」

拓巳「み、三住くん……?」

三住「おいおい、朝から辛気くさいぜ。ははは」

梨深「そういう大ちんは無駄に爽やかだねー」

三住「なんだよその言い方。久々に来たと思ったらそれか」

拓巳(三住くん、僕なんかにまた話しかけてくれるなんて……)

393: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 01:57:01.25 ID:PLhB31l2O
三住「それはそうとタク、岸本のこと知ってるか?」

三住「ケガは大丈夫らしいけど、精神的に参っててまだ入院中らしい」

三住「いいかタク。女を落とすには、弱ってるときに優しくしてやるのが一番いいんだ。そういうわけでオレ、岸本のお見舞いに行こうと思うんだよね」

三住「それでタクってさ、岸本と知り合いだよな?なあ、一緒に行ってくんね?」

梨深「大ちーん……今度こそ彼女さんに刺されるよ?」

三住「別にいいだろ。お見舞いに行くくらい」

梨深「落とすとか言ってたじゃーん」

三住「細かいことは気にすんな」

もこっち(細かくないだろ……)

394: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 01:58:33.24 ID:PLhB31l2O
三住「そう、岸本と言えば黒木さん!」

もこっち「はいっ!?」ビクッ

三住「黒木さんもたしか、岸本と知り合いだったよね?」

もこっち「ま、まあ……」

三住「知り合いの数は多いに越したことはねえ。黒木さんも、よければ一緒に来てくんねえかな?」

もこっち「え……?」

もこっち(なんだこいつ、私について来てくれって頼むなんて……自分の立ち位置が心配じゃないのか?)

梨深「黒木さん、嫌なら断ってもいいんだよ?」

もこっち「え、いや……別にいいですけど……」

三住「まじか!ありがとな黒木さん!助かるぜ!」

梨深「もー。黒木さんもタクもやさしいんだからー」

もこっち(三住とかいうやつ、意外といいやつなのかな……)

395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 03:02:26.88 ID:PLhB31l2O
ーその日の夜、黒木家ー

もこっち(はあ、今日も疲れたな……)

もこっち(暇だし久しぶりに、ネットでも見てみるか……)カチッ、ウイーン

もこっち(ってなんだこれ……ニュージェネ第7の事件?)

もこっち(また起きた……次こそ私か?私が殺されるのか?)

もこっち(とりあえず、事件の内容を見ておこう……)カチッ

もこっち「ええっとなになに……」

『今日午後4時50分頃、男性3人の他殺死体が発見された。3人とも胴体が切断されており、それぞれの上半身と下半身が入れ替えられて糸で縫合されていた』

『3人の額にはそれぞれ謎の傷がつけられており、警察では犯人からのメッセージではないかと見て調べている』

もこっち「あ……」

もこっち「この被害者の顔写真……」

もこっち「昨日、西條に絡んでた、あいつらだ……」

もこっち(どういうことだ……こずぴぃはあいつらを殺しはしなかったはずだ……ましてや胴体を切断なんて、絶対にしてない……)

もこっち(やっぱり、将軍だ……次こそ私か?私が殺されるのか?)

もこっち(もうやだ、私が何をしたって言うんだよ……)

397: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 03:28:23.43 ID:PLhB31l2O
ー翌日の放課後、病院ー

もこっち(今日は岸本のお見舞いに行く約束をしていたので、蒼井さんたちの方へは行かずに西條たちと一緒に病院に来た……)

もこっち(しかし私としては、昨日のことがあったから蒼井さんたちと一緒に居たかったんだけど……)

三住「んでタクー、岸本の病室ってどこなのかなー?」

拓巳「そ、そんなの、知らないよ……」

もこっち(しかしひどいな。病室も調べないでお見舞いに来たのかよ……)

拓巳「で、でも、精神的な理由で入院してるなら、精神科かも……」

三住「タクって物知りだな」

梨深「常識だよ常識。ね、タク」

拓巳(常識ってわけでもないんじゃ……)

梨深「ところであたし、トイレ行ってくる。先に行ってて」

拓巳「あ、うん……」

梨深「それじゃ、またあとでね」ダッ

もこっち(女が私一人になってしまった……まあ何も変わらない気はするけど……)

三住「とりあえず、ナースステーションで岸本の病室がどこか教えてもらおうぜ」

拓巳「そ、そうだね……」

もこっち(初めからそうすればよかったんじゃないかな……)

399: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 15:09:17.08 ID:dGnMRAI0O
ーーーー
ーーー

三住「ええーっと、ナースステーションで、岸本の病室はここだって言われたな」

拓巳「う、うん……」

三住「頼むぜタク、黒木さん。うまくオレに話を合わせてくれよ」

もこっち(こいつおそらく、まだ岸本の電波っぷりを知らないな……)

ガララッ

三住「おーっす、岸本さーん!お見舞いに……」

三住「ってあれ?いねえぞ?」

もこっち(本当だ……どこ行ったんだろう……)

もこっち(てあれ?あの窓際にあるのって、ディソード?たしかあれって、岸本のものじゃ……)

400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 15:10:56.35 ID:dGnMRAI0O
三住「おいなんだあれ?変な本があるぞ?」

拓巳「本……?」

三住「ああ。にしてもなんだこれ、オカルト雑誌に『グラジオール記黙示録詩編』?ファンタジー小説かな?」

もこっち(あの白紙の文庫本か……)

三住「はあ、岸本と付き合うとなると、この趣味に合わせねえといけねえのか。きつそうだぜ、これは……」

拓巳(以前秒殺でふられたのに、まだ諦めてないんだ……)

拓巳(そんなことより窓際にあるあのディソード……もし黙って持って行ったら僕のものになるのかな?)

拓巳(だとしたら、なりふり構ってる場合じゃない。あやせが帰ってくる前に、持って行ってしまおう……)スタスタ

もこっち(ん?どうしたんだ西條のやつ、急にディソードに歩み寄って……)

拓巳「……っ」ゴクリッ

もこっち(って、ディソードを盗もうとしてる!?やばい、早く止めねば……)

スカッ

拓巳「あれ……?」

もこっち(なんだ?掴めなかったのか?ということは、あのディソードはリアルブートされてなかったのか……)

三住「なにやってんだ?タク」

もこっち(まあ、ディソードが見えない人間から見たらそうなるよな……)

401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 15:12:48.31 ID:dGnMRAI0O
ー10分後ー

三住「梨深も岸本も来ねえな」

拓巳「そ、そうだね……」

もこっち(くそ、アウェー感が半端ない……)

三住「そもそも梨深って、この病室の場所知らないじゃねえか?」

拓巳「あ……」

三住「待つのも飽きたし、探しに行くか。タクもあいつがいねえと寂しいだろうからな。ははっ」

拓巳「……」

三住「なあ、タク。実際のところ、お前らって付き合ってんの?」

拓巳「え?」

三住「お前ら最近、けっこういい感じじゃね?」

もこっち(それは私もちょっと思ってたけど……)

拓巳「つ、付き合ってないよ……」

拓巳(僕も何度か妄想したことはあるけど、梨深は僕のことを友達って言ってきたし。梨深ってそういうのには鈍感そうだし……)

三住「おいおい、隠さなくてもいいんだぜ?」ニヤニヤ

拓巳(くそ、うざい……)

404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 16:35:00.72 ID:dGnMRAI0O
ーその頃、ベースの中ー

セナ「ここが西條の部屋か」

梢(お人形さんがいっぱいなのらー♪)

小宮山「あの、これ、まずくないですか?」

セナ「お前は扉の前で待っていろ。ってあれは……」

梢(あー!その目誰の目だー!)

セナ「っ!!この作文用紙の裏の落書きっ……」

梢(あいあーるに?なにこれー?)

小宮山(え?Ir2って、たしか将軍が送ってきた……)

セナ「そうか、あいつだったのか……」

405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 16:38:00.01 ID:dGnMRAI0O
ー病院ー

もこっち(あのあと結局、手分けして探してるけど咲畑も岸本も全然見つからない……いったいどこに行ったんだ……)

梨深「あ、黒木さん!」

もこっち「あ、咲畑さん……?」

梨深「やっと見つかったー!」

もこっち(こっちのセリフだ……)

三住「おーい。梨深ー」

梨深「あれ?大ちんにタク?」

三住「おお黒木さんも一緒か。もうお見舞いは終わったぜ。やっぱりおれには、あんな電波女無理だったわ」

もこっち「あ、そうなんだ……」

もこっち(やっぱりな……)

三住「ところで梨深、お前岸本にビンタされてただろ?何があったんだ?」

梨深「えっ、いやあ、見られてたんだ、たはは」

梨深「まあ大したことじゃないよ。ちょっと口論になっちゃって……」

もこっち(咲畑と岸本が口論?想像できないな……)

ニュースキャスター『続いてのニュースです』

もこっち(む?ニュースか……)

ニュースキャスター『ニュージェネレーションの狂気と呼ばれる事件のうち』

ニュースキャスター『張り付け事件の容疑者が逮捕されました』

もこっち「えっ!?」

ニュースキャスター『容疑者は容疑を認めており、警察では……』

もこっち(信じられない……ニュージェネの犯人が逮捕?)

梨深「よかったねタク。これでもう、怯える必要もないよ?」

拓巳「う、うん……」

もこっち(私もだ。この容疑者が将軍なのかはわからない。でもニュージェネの犯人が捕まったなら、もう怯える必要はない……)

プルルルルルルル

拓巳「あ、電話……ちょっと、外に行ってくる……」

梨深「うん、わかった」

406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 16:40:26.67 ID:dGnMRAI0O
ーその後、黒木家ー

もこっち(ふう、久しぶりに楽な気持ちだ……)

もこっち(それにしても、西條が電話のあと元気がなくなってたな……何でだろう……)

プルルルルルルル

もこっち(電話?って誰これ……非通知?)

ピッ

もこっち「は、はい?」

ゆう『……』

ゆう『もこっち……』

もこっち「え?ゆ、ゆうちゃん……?」

もこっち(声に元気がないような……)

ゆう『ねえ、もこっち……何でこんなことするの?』

もこっち「え?ゆ、ゆうちゃん……?」

ゆう『痛い……やめてよ、もこっち……』

もこっち「え……?」

ゆう『お願い、お願いだから……』

もこっち「ちょ、ちょっとゆうちゃん!?」

ピッ

ツーツー

もこっち(切れちゃった……どうしたんだろうゆうちゃんのあの様子は?ゆうちゃんはあんな悪戯しないはずだし……)

もこっち(と、とりあえず、ゆうちゃんの電話にかけてみよう……)ピッピッ

『おかけになった電話は電源が入っていないため、繋がりません。こちらは……』

もこっち(え?電源が切れてる?どういうこと?)

もこっち「……」

もこっち(仕方ない、ゆうちゃんの家に行ってみよう……そうすれば、全部分かるはずだ……)

407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 16:43:15.61 ID:dGnMRAI0O
ーーーー
ーーー

もこっち「ううっ……」トボトボ

もこっち(なんだよ、病院の看護師はゆうちゃんが無事だって言ってたじゃないか……どうなってるんだよ……)

小宮山「あれ?黒木?」

もこっち「あ、小宮山さん……」

小宮山「黒木、こんな所で何してるの?」

もこっち「そ、そっちこそ……今日は蒼井さんたちと一緒じゃないの?」

小宮山「それがね……」

408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 16:44:51.29 ID:dGnMRAI0O
(セナが拓巳に斬りかかったところの説明省略)

もこっち「そ、そんなことが……」

小宮山「それで、蒼井さんと折原さんは行くところがあるから、今日は私一人で帰ってくれって……」

もこっち「そ、そうなんだ……でも、小宮山さんの家って、たしかこっちの方じゃないよね?」

小宮山「それは……」

もこっち「あ、あの、小宮山さん……?」

小宮山「ねえ黒木、この前のあんたと折原さんの会話で、成瀬さんの名前が出てきたでしょ?」

もこっち「う、うん……」

小宮山「それで心配になって成瀬さんに連絡してみたら、全然連絡がつかないの……」

もこっち「え……?」

小宮山「そ、それで、今から成瀬さんの家に……」

もこっち「……」

小宮山「黒木?」

もこっち「わ、私も……」

小宮山「え……?」

もこっち「さ、さっきゆうちゃんから非通知で電話が来て……それでゆうちゃんの番号にかけても繋がらなくて、今からゆうちゃんの家に……」

小宮山「そ、そうなんだ。じゃあ、一緒に行こう……」

もこっち「う、うん……」

409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 16:58:48.13 ID:dGnMRAI0O
ーゆうちゃんの家の前ー

もこっち「じゃ、じゃあ、チャイム押すよ……?」

小宮山「うん……」

もこっち(ゆうちゃん、無事でいて……)

ピンポーン

『はい』

もこっち「あ、あの、私、ゆうちゃんの友達の、黒木智子です!」

『ああ、智子ちゃん?』

もこっち「あ、あの、ゆうちゃん居ますか……?」

『……』

もこっち「あ、あの……?」

『ゆう、先週から帰ってきてないの』

もこっち「え、先週から……?」

『それで今、捜索願いを出してるんだけど、見つからないらしくて……』

もこっち「え……」

『だからね、すごい心配なの。家出するような子じゃなかったし、何か知らないかしら?』

もこっち「あ、わからないです……」

『そう、じゃあ何か分かったら教えてね』

もこっち「は、はい……」

『それじゃあごめんね。ゆうが見つかったらまた遊んであげて』

もこっち「は、はい……」

『それじゃあね』

ピッ

411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/20(日) 17:03:59.72 ID:dGnMRAI0O
もこっち「……」

小宮山「……」

小宮山「な、成瀬さんに、何があったの?」

もこっち「え?」

小宮山「さっきは何も知らないって言ってたけど、そんなことないでしょ?先週、何があったの……?」

もこっち「……」

小宮山「もしかして、将軍に何かされたの?」

もこっち「う、うん……」

小宮山「黙ってちゃ力になれないよ……私だって、成瀬さんは見つかってほしいし……」

もこっち「わかった……全部話すよ……」

415: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 13:57:26.95 ID:2JB+13o8O
(説明省略)

もこっち「っていうことがあったの……」

小宮山「……」

もこっち「ごめん、私のせいだよね……私がディソードを手に入れられなかったからだよね……」

小宮山「そ、そんなこと……」

もこっち「ううん、私のせいだよ……私がゆうちゃんを巻き込んじゃったんだよ……」

小宮山「停学中に、連絡をとろうとはしなかったの……?」

もこっち「停学中は誰とも連絡とってなかったの……ゆうちゃんは無事だって決めつけてたし……」

もこっち「でも普通なら、無事かどうか確かめるよね……私はバカだ、最低だ……」

小宮山「と、とりあえず、過去を悔やんでもしょうがないよ……今は、成瀬さんを探そう……」

もこっち「え?ああ、うん……」

小宮山「それじゃ手分けして探そう……何かわかったら、私の携帯に連絡して……」

もこっち「う、うん……わかった……」

416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 13:59:46.65 ID:2JB+13o8O
ーーーー
ーーー

もこっち「はあっ、はあっ、いない……どこにもいない……」

もこっち(ゆうちゃん、どこにいるの……)

智貴「あれ?姉ちゃん?」

もこっち「はあっ、はあっ……ん?弟……?」

智貴「どうしたんだよ?そんなに息切らして……」

もこっち(そうだ!弟にもゆうちゃんを探すのを手伝ってもらおう!)

もこっち「あ、あの、弟!手伝ってほしいことが……」

智貴「あ?何だよ、またろくでもないことじゃ……」

もこっち「頼む!一刻を争うんだ!」

智貴「……」

智貴「言ってみろ……」

もこっち「それが……」

417: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 14:01:32.64 ID:2JB+13o8O
(説明省略)

もこっち「っていうわけで、今ゆうちゃんを探してるんだけど……」

智貴「あのギガロマニアックスとかいうの、姉ちゃんの妄想じゃなかったんだな……」

もこっち「そんなことは今はどうでもいい!今は……」

智貴「わかってるよ。とりあえずおれはあっちの方探してくるから、姉ちゃんは向こうの方を頼む」

もこっち「え?うん……」

智貴「何かわかったらすぐ連絡する。じゃ、またあとでな」ダッ

もこっち「うん……あ、ありがと……」

418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 14:03:03.05 ID:2JB+13o8O
もこっち「……」

もこっち(弟のやつ、こういう時は頼りになるな……とりあえず私も、ゆうちゃんを探さないと……)キョロキョロ

もこっち(って、あれ?)

拓巳「……」トボトボ

もこっち(西條?すごく目が虚ろだけど、どうしたんだろう……とりあえず、あいつにも手伝ってもらうよう頼んでみるか……)

420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 14:33:43.93 ID:2JB+13o8O
もこっち「あの、に、西條くん!」

拓巳「え……?」ピタッ

もこっち「そ、その、ちょっと手伝ってほしいことが……」

拓巳「黒木、さん……?」

もこっち「え?」

拓巳「黒木さん、なの……?」

もこっち「う、うん……」

もこっち(どうしたんだこいつ?いつにもまして生気がないが……)

拓巳「僕は、ちゃんと存在してる……?」

もこっち「え?」

拓巳「助けて……僕を証明して……」

もこっち「しょ、証明……?」

拓巳「それが出来ないんだったら……」

拓巳「殺してよ……」

もこっち「え……?」

もこっち(殺してだって?いきなり何を言い出すんだこいつは……)

拓巳「ねえ、こんなの、もうイヤなんだ……自分の存在がイヤなんだ……何もかも忘れたい……楽になりたい……死にたい……」

もこっち「に、西條くん?」

拓巳「殺して……僕を殺して……」

もこっち「ちょ、ちょっと……しっかりして……」

拓巳「出来ないの……?」

もこっち「へ?」

拓巳「だったらいいよ、お前になんか用はない……ふひ、ふひひ……」

もこっち「な、何を……」

拓巳「僕、帰る……じゃあね……妄想クラスメイト……ふひ、ふひひひひひ……」スタスタ

もこっち(どうしたんだ?西條のやつ……)

421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 15:33:17.32 ID:2JB+13o8O
もこっち「……」

もこっち(西條のことも気になるけど、今はゆうちゃんを探さないと……)キョロキョロ

ブブブブブブブ……

もこっち(ん?メール?もしかして、小宮山か弟が何か分かったのか?)ガサゴソ

もこっち(って、知らないアドレスからだ……なにこれ?件名『最後のチャンス』?)

もこっち(って、よく見たらこのアドレス、前にもどこかで……)

422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 15:37:30.41 ID:2JB+13o8O
もこっち「あ……」

もこっち(思い出した。これ、将軍のアドレスだ……)

もこっち(な、なんでこのタイミングで将軍からメールが?もしかして、また私に何かやらせる気?)

もこっち(とりあえず、中身を読んでみよう……もしかしたら、ゆうちゃんの居場所について何か分かるかもしれないし……)

『久しぶり。元気だった?前にもメールしたから分かってると思うけど、僕の名前はしょうぐんだよ』

もこっち(やっぱり……)

『前回は君が途中でクエストをリタイアしちゃったから、スコアが更新できなかったね。もう分かってると思うけど、君の親友の命はまだ僕の手の中にある』

もこっち「……っ!!」

『でも僕はまだ彼女を殺してはいないよ。メールのタイトルにも書いたけど、これは最後のチャンスだ。今から始まるクエストにクリアしてくれたら、彼女のことは解放すると約束しよう』

もこっち(やっぱり、クエストだ……)

『クエストの内容は前回と同じ。君のミッションは、成瀬優ちゃんの救出。クエストをクリアする方法はただひとつ。ディソードを手に入れることだけだ』

もこっち(こいつ、まだディソードを……)

『それじゃあクエスト開始だ。今すぐ、翠明学園の屋上まで来てほしい。もちろん前回と同じで、誰にも話さず、一人でだ』

もこっち「……っ!!」

もこっち(やっぱり、一人でか……でも、行くしかない……今度こそ、ゆうちゃんを助けなきゃ……)

もこっち(ごめん……ゆうちゃん、ごめん……)トボトボ

423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/21(月) 16:54:59.25 ID:2JB+13o8O
ーーーー
ーーー

智貴「はあっ、はあっ……」

智貴(くそ、ああは言ったものの全然見つからねえ……とりあえず、人隠すのに適してそうな廃ビルとか見て回ってるけど……)

カツカツ

智貴(……っ!?足音!?やばい、勝手に入ったのがばれたか!?とりあえず、隠れないと……)

??「ともくーん、どこー?」

智貴「え……?」

??「ともくんいるんでしょー?でてきてよー」

智貴「この声、姉ちゃん……?」

??「あー、いたー!ともくんだー」

智貴(え?なんだあれ?何で姉ちゃんの見た目が、子供になってるんだ?)

もこっち(子供)「ねえともくん、こっちにきてー」

智貴「え……?」

もこっち(子供)「おねーちゃんといっしょにあそぼよー。ほらはやくー、こっちにきてよー」

智貴「……」

智貴「……っ」スタスタ

426: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/22(火) 17:24:00.47 ID:wr172H1TO
もこっち(子供)「きてくれたんだねー。やっぱりともくんはいいこだねー」

智貴「……」

智貴(なんだこれは?おれはおかしくなっちまったのか?)

もこっち(子供)「それじゃー、いうこときいてくれたごほうびにー♪」ニコニコ

スッ

智貴(え?ナイフ……?)

もこっち(子供)「ころしてあげる♪」

智貴「え?」

ドスッ

智貴「な……っ」

ビチャッ

智貴「うぐっ……」

もこっち(子供)「あはっ、あははははははっ!!」

智貴「な、なにを……」

もこっち(子供)「だからいったでしょ?いっしょにあそぼうって♪」ニコッ

智貴「……っ!!」ゾクッ

もこっち(子供)「だいじょーぶ。ともくんをひとりぼっちにはしないよー」

もこっち(子供)「すぐおねーちゃんも、ともくんのあとをおいかけていくから」

もこっち(子供)「だから、さきにいっててねー♪」ニコニコ

智貴(姉ちゃんがおれを殺そうとしてる……姉ちゃんが……)

もこっち(子供)「それじゃーね♪」

智貴(そうか、おれは姉ちゃんに殺されるのか……姉ちゃんに……)

427: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/22(火) 17:26:14.52 ID:wr172H1TO
智貴(ん?なんだあれ?何の模様もないはずの壁に、剣みたいなものが……)

智貴(掴めるわけない……わかってる……わかってるけど……)

智貴(指先に、何かが触れた気がする……)

智貴(引き寄せる……無意識に……)

智貴(次の瞬間、ナイフを刺された場所の痛みと、子供の姉ちゃんが消えた)

428: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/22(火) 17:32:34.22 ID:wr172H1TO
ースーッ

ージャキンッ!

リア充A「なっ!?」

智貴「……」

智貴「これが、ディソード?」チャキッ

智貴(軽い、まるで自分の体の一部みたいだ……)

リア充A「お、お前もギガロマニアックスだと!?きいてねえぞ!?」

智貴「お前か。さっきのきもちわりい妄想を見せてきたのは」

リア充A「ちっ!」スッ

ースーッ

ージャキンッ!

智貴「なっ、お前もディソードを?」

リア充A「こ、これがノア3の力だ!ノア3を使えば、人工のディソードを作り出すことだって出来るんだ!」

智貴「ノア3?なんだそれ?」

リア充A「へっ、知る必要はねえよ、だってお前は、今ここで死ぬんだからな!」ダッ

智貴「へえ、喋りたくねえってのか。じゃあ、力ずくで聞き出してやるよ」

リア充A「やってみろ!」ブンッ

ガキィン!

リア充A「なっ……」

智貴「人工のギガロマニアックスが本物に勝てる訳ねえだろ。諦めて、全部話せ。そうすれば、命まではとりはしねえからよ」

リア充A「ほ、ほざけ!」ブンッ

ガキィン!

リア充A「く、くそ……」

智貴「なるほどな。お前が背負ってるそのリュックの中の機械、そいつが壊されればお前はギガロマニアックスの力が使えなくなるわけか」

429: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/22(火) 17:35:53.54 ID:wr172H1TO
リア充A「なっ……」

智貴「悪いな、壊させてもらうぜ。そのリュックの中身」

リア充A「く、くそ!来るな!来るなぁ!」ブンッブンッ

智貴「なっ、剣を振り回し始めやがった……」

リア充A「死ね!死ねぇ!」ブンッブンッ

智貴「……っ!?」

ズバアンッ!

ビチャッ!

智貴「な……うぐっ……」ユラユラ

ドサッ

智貴「う……」

リア充A「え?や、やった……?やったのか……?」

智貴「……」

リア充A「へ、へへへへ!ざ、ざまあみろ!偉そうなことばっかりほざいてるからだ!やった!やっ……」

ズバアンッ!

リア充A「え……?」

智貴「リュック斬ってやったぜ。これでもう力も使えねえだろ」

リア充A「な、なんで……」フラッ

智貴「さあな。妄想でも斬ってたんじゃねえの?」

リア充A「く、くそ……」

ドサアッ

智貴「……」

智貴「さ、目が覚めたら洗いざらい吐いてもらおうか」

440: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/23(水) 01:01:46.32 ID:Pfh7ITJaO
ーーーー
ーーー

リア充A「……ん?」パチッ

智貴「やっと目を覚ましたか。さ、知ってることを全部話してもらうぜ」

リア充A「は?だ、誰だよ?お前……」

智貴「なに?とぼけてんのか?」

リア充A「とぼけるって、何のことだよ……そもそも、ここはどこだよ……」

智貴「……」

リア充A「な、なんだよ?なんとか言えよ……」

智貴(今こいつの思考を読んだからわかる。こいつは今、嘘をついていない……)

智貴「いや、なんでもない……ちょっと人を探しててな。何か知らないかと思っただけだ」

リア充A「そ、そうか……それにしても、何でおれはこんな所にいるんだ?」

智貴「さあ?少なくともおれがここに来た時には、あんたはここで横になってたぜ?」

リア充A「そうか……おかしいな……今日はあいつらと遊びに行ってた筈なんだけどな……」スタッ

リア充A「とりあえず、おれ帰るわ。誰かを探してるって話だけど、力になれなくてごめんな……」

智貴「ああ、気をつけてな……」

リア充A「それじゃあな……」スタスタ

智貴(どういうことだ?あいつは嘘をついていない……もしかして、誰かに記憶を消されでもしたのか?)

智貴「……」

智貴(考えても仕方ねえな。とりあえず今は、姉ちゃんの友達を探すとするか……)

441: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/23(水) 01:43:25.31 ID:Pfh7ITJaO
ー数十分後、翠明学園屋上ー

もこっち(はあ、学校が開いていて助かった……)バタンッ

もこっち(さあ、言われた通りに来てやったぞ……どこだ……どこにいるんだ……)

ーーキイッ

もこっち「……っ!!」ゾクッ

将軍「やあ、早かったね」

もこっち(この音、将軍だ……)

もこっち「……」

もこっち「こ、今度は、何をすればいいの……?」

将軍「メールに書いたでしょ?ディソードを手に入れてくれればいい。他には何も、望んではいないよ」

もこっち「ディソードは、どうすれば手に入る……?」

将軍「前に言ったでしょ?風景の中から見つけて、それを切り取るだけでいい」

もこっち「ふ、風景の中にディソードなんて、どこにもなかったよ……だからあの時、私はディソードを見つけることも出来なかったんだよ……?」

将軍「友達を人質にとられてるのに、随分と落ち着いてるんだね」

もこっち「……っ!!」

将軍「まあいいや、じゃあ前と同じように、そこのフェンスを乗り越えてよ」

もこっち「え……?」

将軍「今回も、君がディソードを手に入れるのにふさわしい舞台を用意してあるからさ」

もこっち「……」

将軍「どうしたの?出来ないの?」

もこっち「……」

もこっち「出来る……それくらい、出来るよ……」

446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/24(木) 23:53:27.24 ID:tZ+W+ADsO
もこっち「……」スタッ

祭参加者たち「ワー!ワー!」

パシャッパシャッ

もこっち「……っ!!」

レポーターA「おおーっ!とうとうエスパー少女の登場だー!今回は一体、どんなパフォーマンスを見せてくれるんだー!」

祭参加者A「待ってたぞー!トモコー!」

もこっち「……」

レポーターA「さあーみなさん!今日彼女からテレビ局に届いたメールによると、今日逮捕されたニュージェネの容疑者はただの実行犯に過ぎず、真犯人がいるらしい!その真犯人を、今から彼女が言い当ててくれるらしいぞー!」

祭参加者たち「ワアアアアア!!」

レポーターA「ちなみに現在渋谷のスクランブル交差点では、エスパー少年によるパフォーマンスが繰り広げられている!つまり今日ここに集まってくれた人達は、エスパー少年ではなく、エスパー少女の方を選んだ人達なのだー!」

祭参加者たち「ワアアー!!」

レポーターA「エスパー少年によるパフォーマンスの情報は分かり次第すぐにお知らせする!それでは、パフォーマンス開始!」

祭参加者たち「トモコー!頑張れー!」

447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/24(木) 23:55:16.55 ID:tZ+W+ADsO
もこっち「……」

もこっち「……っ!!」キョロキョロ

将軍「今回は随分と、探し始めるのが早いんだね。この前はあんなに遅かったのに」

もこっち「うるさい、気が散る……黙ってて……」

将軍「おやおや、それはごめんね」

もこっち(ディソード……どこ、ディソード……)

もこっち(お願い、出てきて……ゆうちゃんを助けるためには、どうしてもディソードが必要なの……)

448: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/24(木) 23:56:29.28 ID:tZ+W+ADsO
ースクランブル交差点ー

レポーターB「西條くん!ニュージェネの真犯人は君なんですか!?」

拓巳「そう……かもね……」

レポーターB「なんですって!?それは、事件への関与を認める発言と考えていいんですか!?」

拓巳「どうでも、いい……早く、殺してよ……」

祭参加者B「この人でなし!」

祭参加者C「望み通り、殺してやるよ!」

449: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/24(木) 23:58:15.72 ID:tZ+W+ADsO
ースクランブル交差点から少し離れた場所ー

小宮山「……」

祭り参加者たち「ワー!ワー!」

小宮山(みんな、バカみたい……なんであんなに、興奮してるんだろう……)

小宮山(そんなことより、街頭ビジョンに映し出されてる黒木のパフォーマンス……あれって、また将軍からの脅迫じゃ……)

小宮山(だとしたら、こんな所にいる場合じゃない……私も早く、翠明学園に行かないと……電車はまだ、ギリギリ動いてるかな?)

智貴「あれ?そこにいるのって……」

小宮山(え?智貴くん?)

智貴「どうも……あの、何かわかりましたか?」

小宮山「え……?」

智貴「あ、すみません……実はおれも、姉に頼まれて成瀬さんを探してて……」

小宮山「ああ、そういうこと……私はなにも分かってないけど、ただあの黒木のパフォーマンス……あれ、将軍からの脅迫じゃないかなって……」

智貴「おれもそんな気がするんですよ。携帯繋がんないし……とりあえず、おれ達もあっちに行ってみましょう」

小宮山「うん……そうだね……」

450: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/24(木) 23:59:32.62 ID:tZ+W+ADsO
ー十数分後、O-FRONT前ー

拓巳「どうしてあんなことを?グリム……」

葉月「ナイトハルト……」

葉月「全ては、教祖様のお言葉なんですよ」スッ

拓巳(な、メスを取り出したりして、まさか……)

葉月「神光の救いあれ!」

ドスッ

ビチャアッ

451: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:02:14.59 ID:3n2veA4rO
ー電車の中ー

小宮山「よかった……なんとか乗れた……」

智貴「祭りを見に行く人たちで、ほとんど満員ですけどね……」

乗客A「なあ?お前もやっぱ、りエスパー黒木見に行くの?」

乗客B「ああ、エスパー西條とどっち見に行くか迷ったぜ。やっぱりやべえよな、あのエスパーカップルww」

智貴「……」

小宮山「と、智貴くん……とりあえず、抑えて……」

智貴「大丈夫ですよ……この手のことは、学校でバカどもに言われ慣れてるんで」

小宮山「そ、そう……」

乗客C「ん?おい!みんなケータイ見てみろ!エスパー西條が、まじでニュージェネの真犯人を超能力で言い当てたってよ!」

小宮山「え……?」

乗客A「まじかよ!?くそ!そっちの方見に行けばよかった!!」

乗客C「なんでも目撃者の話じゃ、何もないところからすげー長い剣を取り出して、振り回してたって話だぜ!?」

小宮山(えっ?その剣ってまさか……)

智貴(ディソード……)

452: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:04:57.80 ID:3n2veA4rO
ー翠明学園、屋上ー

もこっち「……っ」キョロキョロ

もこっち(ディソード、ディソード……)

祭り参加者D「おーい!まただんまりかー!?」

祭り参加者E「今回も逃げるつもりじゃないだろうなー!?」

もこっち(くそ、うるさいな……私は今、ディソードを探すのに忙しいのに……)

将軍「どうしたの?まだ見つからないの?」

もこっち「……」

将軍「こっちも時間が惜しい。出来るだけ、早くしてね」

もこっち「うん、わかったから、少し黙っててよ……」

レポーターA「ん?みなさま!たった今情報が入りました!エスパー西條が、スクランブル交差点で超能力を使いニュージェネの真犯人を言い当てたそうです!」

もこっち「え?」

祭参加者A「おいおいなんだよそれ!?だったらそっち見に行った方がよかったじゃねえかよ!」

祭参加者D「ふざけんな!このインチキ能力者!」

もこっち「まさか……まさか……」

将軍「西條拓巳が、ディソードを手に入れたようだね」

もこっち「え?じゃあ……」

将軍「何をしている?早く見つけろ。ディソードを」

もこっち「え?」

将軍「お前の友達はまだ生かしておいてやるから、早くディソードを見つけろと言っているんだ。早くしろ。さもないと、お前の友達を殺すぞ」

もこっち「え?う、うん……」キョロキョロ

もこっち(どうしたんだこいつ?いきなり態度が豹変したけど……)

453: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:07:48.34 ID:3n2veA4rO
ズキンッ

もこっち「……っ!?」

ズキズキズキズキズキ

もこっち(この頭痛!この前の地震の時と同じ……)

ゴゴゴゴゴゴゴ

もこっち「っ!?な、なんだ?地震!?」ズキズキ

将軍「ちっ!サードメルト?予定より早い……」

祭り参加者たち「うわー!なんだ一体!?」

もこっち(揺れが大きい……落ちそう……とりあえず、フェンスに捕まらないと……)ガシャッ

もこっち(って、あれ……?)

??「なっ!?しまった……」

もこっち(なにあれ……あそこには、将軍がいたはずなのに……)

祭り参加者たち「ひいいい!た、助けて!」

もこっち(あそこにいるのって、私……?)

ゴゴゴゴゴゴゴ……

454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:12:15.03 ID:3n2veA4rO
ーーーー
ーーー

もこっち「……」パチッ

もこっち(……え?どこここ?私、学校の屋上にいたはずなのに……)

もこっち(それにしてもなんだろうここ……水平線しか見えないけど……)

タクミ「やあ」

もこっち(なっ!?将軍!?)

タクミ「そう驚かないで。あんまり時間もないし」

もこっち「ゆ、ゆうちゃんは、もう死んじゃったの……?」

タクミ「あそこにいた自称『将軍』は、僕じゃない」

タクミ「気を失う前に見えたでしょ?あいつの本当の姿が」

もこっち(え?気を失う前って……私が見えたんだけど……)

タクミ「……」

タクミ「君には今から、酷い事を言うことになっちゃうと思う」

もこっち「え?」

タクミ「でも、よく聞いていて。君の友達を、助けたいと思うならね」

もこっち「……」

455: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:19:01.20 ID:3n2veA4rO
タクミ「まず、渋谷を騒がせてるニュージェネ事件についてだけど、あれは実は、西條拓巳を精神的に追いつめるために起こされていたんだ」

もこっち「え……?」

タクミ「プロジェクト・ノアの責任者、野呂瀬玄一。その男が黒幕だよ。沈黙の兵器、ノア2はもう稼働してる」

もこっち「ノア2……?」

タクミ「ギガロマニアックスの力を利用して作られた機械だよ。ノア2に人々の心を支配されるのを恐れて、僕はもうひとりの僕を生み出したんだ」

もこっち「もうひとりの、僕……?」

タクミ「西條拓巳。君のクラスメイトだよ」

もこっち「え……?」

タクミ「ごめん。詳しく説明をしている時間はないんだ」

もこっち「……」

タクミ「ノア2のことは彼に任せたんだけど、まだもうひとつ、ノアはあるんだ」

もこっち「もうひとつの、ノア……?」

タクミ「ノア3。プロジェクト・ノアとは別につくられたノアだよ」

タクミ「ノア3を使えば、思考盗撮や視覚投影はもちろん、ギガロマニアックスでない者にディソードを持たせたりすることも出来る。もちろん偽物のディソードだから本物のギガロマニアックスの物よりも性能は落ちるけどね」

もこっち「それと私に、どういう関係があるの……?」

タクミ「さっきまで君の後ろにいた自称将軍、奴の目的はそのノア3を完成させることなんだ。君のコードサンプルを手に入れることで、ノア3は完成する」

456: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:20:50.22 ID:3n2veA4rO
もこっち「コードサンプル……?」

タクミ「ギガロマニアックスが力を使う過程で放出する、特殊な脳波のことだよ。それを手に入れるために、あの自称将軍は君にディソードを手に入れさせようとしていたんだ」

タクミ「そしてあの自称将軍は、君の友達を監禁している人物でもあるんだ」

もこっち「……」

もこっち「ねえ、あの自称将軍は、誰なの……?」

タクミ「……」

タクミ「黒木、智子」

もこっち「え……?」

457: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:27:19.49 ID:3n2veA4rO
タクミ「君は高校に入って以来、何度も理想の自分像を妄想してきたでしょ?その結果、もうひとりの君が無意識のうちにリアルブートされちゃったんだ」

もこっち「そ、そんな……」

タクミ「普通は人間をリアルブートするほどの力を使うと、昏睡状態になったりするんだけど」

タクミ「君の力はあまりにも強すぎて、ディソードを使うこともなく、昏睡状態になることもなく一人の人間をリアルブートしてしまったんだ」

タクミ「そしてその妄想によって生み出された人格が一人歩きを始めて、プロジェクト・ノアについて知った」

タクミ「そしてもう一人の君は、野呂瀬玄一がもつコードサンプルのデータを盗んで、ノアを作り上げた。さすがに一人じゃ作れなかったみたいで、技術のある人たちを操ってね」

タクミ「それだけじゃない。生み出された時からギガロマニアックスとして覚醒済みだった彼女は、自身のコードサンプルのデータを取り入れることで、より強力なノア……ノア3を作り出したんだ」

もこっち「……」

タクミ「全部、僕のせいだ。僕が、Ir2を妄想しちゃったから」

タクミ「何とかしようと思ったけど、僕はこんな身体だから、満足に動くことも出来ない」

タクミ「それでこうして君のところに来たんだ。君に、ノア3を破壊してもらうために」

458: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 00:32:51.23 ID:3n2veA4rO
もこっち「そ、そんなの……嘘だ……」

タクミ「信じたくないだろうけど、真実だよ」

もこっち「私が作り出した人間が、ゆうちゃんを監禁してる?そんなの嘘だ……デタラメだ……」

ーーーーー

ゆう『ねえ、もこっち……何でこんなことするの?』

ーーーーー


もこっち「……っ!!」


ーーーーー

ゆう『痛い……やめてよ、もこっち……』

ーーーーー

もこっち(そうか……あの時ゆうちゃんは、もうひとりの私に拷問されてたんだ……だから私に、あんな電話をかけてきたんだ……)

タクミ「もうひとりの君ほど強大なギガロマニアックスを止められるのは、もうひとりの僕か君しかいない」

もこっち「……」

タクミ「でももうひとりの僕は、今ノア2を破壊しに向かってる。だから、ノア3の方には行けないんだ。たとえノア2を破壊できたとしても、ノア3が稼働してしまったら意味がないし」

もこっち「……」

タクミ「辛い役目を押しつけてごめん。でも、こうするしか無かったんだ」

もこっち「……」

もこっち「ノア3は……」

タクミ「え?」

もこっち「ノア3は、どこにあるの……?」

タクミ「翠明学園の近くに、使われてない体育館があったでしょ?あそこにあるよ」

もこっち「そこに、ゆうちゃんもいるんだね……?」

タクミ「うん」

もこっち「わかった……それじゃ、ディソードを手に入れる方法を教えて……」

タクミ「それについてはもうひとりの君も言ってたけど、風景の中から見つけて、手に取るしかないんだ」

もこっち(またそれか……)

タクミ「ろくなアドバイスも出来ずにごめん。でも君には、必ずディソードを手に入れることが出来るはずなんだ。ディソードなしで、人間をリアルブート出来るほどの力の持ち主なんだからね」

もこっち「……」

タクミ「それじゃ時間もないし、僕は行くね。ここは僕の心象世界で、現実の君は気を失っているんだ。そろそろ目が覚める頃だと思うから、目が覚めたらディソードを見つけて、あの体育館に向かってほしい」

もこっち「うん……」

タクミ「それじゃ、がんばってね」

464: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:40:19.06 ID:Ekue6f5sO
ーーーー
ーーー

小宮山「……」パチッ

智貴「気がつきましたか?」

小宮山「あ、智貴くん……えっと、何があったの?」

智貴「実はさっきまでおれも気を失ったんでよくわかんないんですけど、窓から街を見る限り、地震でもあったんですかね?目が覚めたら何故か車内には誰もいないし……」

小宮山「本当だ……外すごいことになってる……よく電車横転しなかったね……」

智貴「とりあえずここにいてもしょうがないし、外に出ましょう。ここからなら、翠明もそんなに遠くないでしょうし」

小宮山「そ、そうだね……」

465: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:46:04.01 ID:Ekue6f5sO
ーーーー
ーーー

智貴「それにしても、大変なことになってますね」

小宮山「本当だね……」

智貴「って、あれ?」

一般人たち「……」ゾロゾロ

智貴「なんだあいつら……あんな大人数で……」

小宮山「すごい人数だね……10人くらいはいそう……」

一般人A「おいお前たち。黒木智貴に小宮山琴美か?」

小宮山「え……?」

一般人A「お前たち二人は、見つけしだい捕まえろという命令だ」スッ

ースーッ

ージャキンッ!

小宮山「え?それってまさか、ディソード……?」

智貴(こいつら……あいつと同じで人工のギガロマニアックスか……)

466: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:48:22.01 ID:Ekue6f5sO
一般人A「黒木智貴。お前がギガロマニアックスとして覚醒済みなのはわかっている。しかしこの人数相手では、さすがに分が悪いと思わないか?」

智貴「……」

小宮山「え?智貴くん……ギガロマニアックスだったの?」

一般人A「大人しく捕まれば、命は助けてやろう。さあ、大人しくついてこい」

智貴「……断る」

小宮山「え……?」

智貴「すみません、少し下がっててください」スッ

ースーッ

ージャキンッ!

智貴「……」ジャキッ

小宮山「ディソード……智貴くん、本当に……」

一般人A「残念だ。それではお前たち二人は、力ずくで捕らえることにしよう。みんな、ディソードを出せ」

一般人たち「はいっ!」

ースーッ

ージャキンッ!

一般人たち「……」ジャキッ

小宮山「え?なんでこんなにたくさんの人たちが、ディソードを持ってるの……?」

智貴「っ!!早く下がってください!」

小宮山「えっ!?う、うん……」

智貴(どこかにいるはすだ……あの機械を持っている奴が、どこかに……)

一般人A「いいかみんな、手加減するなよ!殺す気で行け!いいな!?」

一般人たち「オー!」

467: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:50:01.37 ID:Ekue6f5sO
ーーーー
ーーー

一般人B「オラ!」ブンッ

ガキインッ!

智貴「ぐっ……」

一般人C「ほらほらよそ見してんじゃねえぞ!」ブンッ

智貴「!?」バッ

ガキインッ!

智貴(くそ、埒があかねえ……さすがに殺すわけにはいかねえし……あの機械を持ってる奴は、いったいどこにいるんだ……)

小宮山「と、智貴くん……大丈夫かな?」

ジャリッ

小宮山「っ!?」バッ

小宮山「……え?」

ゆう「はあ、はあ、こみちゃん……」

小宮山「な、成瀬さん!?」

ゆう「痛い、痛いよ……こみちゃん……」

小宮山(っ!?ひどい……左手が切断されてる……)

ゆう「……っ」フラッ

ドサアッ

ゆう「ううっ……」

小宮山「ちょっと成瀬さん!大丈夫!?」

ゆう「ねえ、こみちゃん……左手が、痛いの……私の左手、どこ……?」

小宮山「成瀬さん!とりあえず、今は落ち着いて!」

ゆう「こみちゃんが、持ってるの……?」

小宮山「え?」

ゆう「なら返して……返してよ……私の、左手を……」

小宮山「いや、私は……」

ゆう「返してくれないんだったら……」スッ

ースーッ

ージャキンッ!

ゆう「ちょうだい……」ジャキッ

小宮山「え?ディソード……?」

ゆう「こみちゃんの、左手……」

小宮山「え?」

ブンッ

ズバアッ

小宮山「……っ!!」

ビチャッ

ゆう「やったあ……もらうね……こみちゃんの左手……」

468: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:51:14.15 ID:Ekue6f5sO
小宮山「っ!?な、成瀬さん……何を……」

ゆう「だって、こみちゃんが私の左手を持ってるんでしょ?だから、その代わりに……」

小宮山「何を言ってるの……」

ゆう「ところでこみちゃん、実は、もう一つお願いがあるの……」ジャリッ

小宮山「ひっ……」

ゆう「そんなに怖がらないでよ……私達、友達でしょ?」

469: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:52:30.77 ID:Ekue6f5sO
小宮山「あ……あ……」

ゆう「それじゃあ、こみちゃん……」チャキッ

ゆう「死んでくれる?」ブンッ

小宮山「え?」

スバアンッ!

小宮山「な……」

ビチャッ

小宮山「うっ……」フラッ

ドサアッ

小宮山「ううっ……」

ゆう「バイバイ……こみちゃん……」

小宮山(痛い……さっき斬られた左手も、今斬られたところも……)

小宮山(もう、こんな痛いのやだ……今すぐ楽になりたい……死にたい……)

小宮山(そうだ……もういっそ死んじゃおう……こんな痛いのに耐えたって、何もいいことないんだし……そうだ、そうしよう……)

(しっかりして)

(それは、妄想だから)

小宮山(え?だれ……?)

タクミ(ぼくは、将軍だよ)

470: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:54:29.33 ID:Ekue6f5sO
小宮山(将軍?一体、どこに……?)

タクミ(今は、君の心象世界から話しかけているんだ)

小宮山(心象世界?なにそれ……)

タクミ(ごめん、今は詳しく説明してる時間はないんだ)

タクミ(今は君に、ディソードを手に入れてほしい)

小宮山(え?何それ……?黒木の時と同じ……?)

タクミ(黒木智子を脅迫していた自称将軍は、僕じゃない)

タクミ(そんなことより、気をしっかり持って。君が今見ているのは、現実じゃない。ノア3の力によって、君が見せられている妄想なんだ)

小宮山(妄想?こんなに痛いのに……?)

タクミ(景色の中を、よく探してみて。どこかに必ず、ディソードがあるはずだよ)

小宮山(ディソード?そんなもの、どこにも……)

小宮山(って、なんだろうあれ?レールの上に、剣みたいなものが……)

タクミ(手をのばしてみて。君にはもう、剣を掴むことができるはずだよ)

小宮山(手を伸ばす?そんなことしたって、掴めるわけが……)

小宮山「……っ!!」

小宮山(なにもないところを握ったはずなのに、たしかに手応えが、ある……)

タクミ(引き寄せるんだ)

小宮山(言われた通りに、それを引き寄せてみる)

小宮山(次の瞬間、ディソードを持った成瀬さんと斬られた場所の傷が消えた)

471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:56:12.23 ID:Ekue6f5sO
ースーッ

ージャキンッ!

小宮山「……」

小宮山「これが、私のディソード……?」チャキッ

小宮山(重さは感じない……まるで、初めからここにあったみたい……)

タクミ(ここにいるノア3の端末を持つ者を、音を頼りにして探すんだ。彼らの持つ機械を破壊すれば、黒木智貴と戦っている人工のギガロマニアックス達も無力化できる)

小宮山(音?)

タクミ(聞こえてくるでしょ?機械の音が)

小宮山「……」

小宮山(見つけた、二人いる……)チャキッ

タクミ(黒木智貴と違って、君はギガロマニアックスの素質があることがすでに分かっていたからね。向こうも人数を増やしてきたんだと思う)

小宮山(関係ないよ……二人いるなら、二つその機械を壊せばいいんでしょ…‥)ダッ

タクミ(うん。でも気をつけてね、あっちもかなり警戒してると思うから)

472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:57:51.61 ID:Ekue6f5sO
ーーーー
ーーー

小宮山「……いた」タッタッタッ

リア充C「ふん、やっと覚醒したか」チャキッ

リア充B「さ、命令通りに連れていくよ」

リア充C「たしか、頭さえ残ってればそれでいいんだよな!」ブンッ

小宮山「……っ」

フッ

スカッ

リア充C「なっ!?消えた……?」

リア充B「バカ!後ろだよ!」

リア充C「なに!?」クルッ

小宮山「……」チャキッ

ズバアンッ!

リア充C「……っ!!」フラッ

ドサアッ

リア充C「う……」

小宮山「あとひとつ……」チャキッ

リア充B「ちっ!こんなに早くやられるなんて……」

リア充B「くそ!食らえ!」ブンッ

ガキインッ!

リア充B「な……」

小宮山「無駄だよ……本物のディソードと偽物のディソードじゃ、性能が違うんだから。大人しく、そのリュックを渡しなよ」

リア充B「っ!!うるさい!そんなことしてたまるか!」ブンッ

小宮山「仕方ないな……」ブンッ

ガキイッ!

リア充B「なっ……」ヨロッ

ドサッ

リア充B「く……」

小宮山「そこ……」チャキッ

リア充B「なっ!いつの間に後ろに……」

ズバアンッ!

リア充B「う……くそ……」フラッ

ドサアッ

小宮山「……」
 
小宮山「これで、よかったの?」

タクミ(うん、ありがとう)

473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/29(火) 16:59:33.99 ID:Ekue6f5sO
ーーーー
ーーー

一般人たち「オラオラ!」ブンッ

ガキインッ!

智貴(ぐっ、流石にキツくなってきた……もう、ダメだ……)

一般人たち「あっ!うぐっ!」フラッ

ドサアッ

智貴(え?どうしたんだこいつら?いきなり倒れたけど……)

小宮山「お待たせ、智貴くん」

智貴「え?」

小宮山「ノア3の端末なら、私が壊してきたから大丈夫だよ。さ、先を急ごう」

智貴「え?あの、もしかして……」

小宮山「うん、私もギガロマニアックスだったみたい」

智貴(まじか……)

小宮山「ほら、早く翠明に行くよ。黒木もあそこにいるだろうからさ」

智貴「あ……はい」

478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 13:49:02.46 ID:o3FQW38vO
ーーーー
ーーー

もこっち「……」パチッ

もこっち(ここは、学校の屋上か……ということは私は、屋上から落ちはしなかったのか……)

もこっち(でも、ここから見える街はひどいことになってる……建物が崩れて、辺り一面は瓦礫の山になってる……学校はなんとか倒壊しなかったみたいで、今は避難所になってる……)

もこっち「……っ」

もこっち(今は街の状態より、ゆうちゃんを助けに行かないと……今こうしてる間にも、私が作り出した人格がゆうちゃんを拷問してるかもしれないんだ……)

もこっち(うう、ごめん……ゆうちゃん、本当にごめん……)

479: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 13:51:17.20 ID:o3FQW38vO
ーーーー
ーーー

もこっち「はあ、はあ……」

もこっち(着いた……ここが将軍の言ってた、ノア3がある場所……)

もこっち(結局、来る途中どこにもディソードは無かった……でも、行かないと……ゆうちゃんを、助けないと……)

もこっち(お願い、ゆうちゃん……まだ生きていて……)

一般人D「おい」

もこっち「へ?」

一般人D「黒木智子か?」

もこっち「え……はい……」

一般人D「そうか」スッ

ースーッ

ージャキンッ!

一般人D「ならば動くな。大人しくついてこい」

もこっち「え?なにそれ……?ディソード……?」

一般人D「これはノア3の力によってつくられた人工のディソードだ。俺だけではない。ここにいる全ての者たちが、ディソードを持っている」

一般人D「お前たち!出てこい!」

一般人たち「はい!」

ゾロゾロ……

一般人D「どうだ?これだけのディソードを持った人間たちから、逃げきれる自信はあるかな?」

もこっち「……」

もこっち「……私は」

一般人D「ん?」

もこっち「私は、ディソードは持ってないけど、ゆうちゃんを助けてみせる……」

もこっち「あんたたちの指図には、従わない……」

一般人D「そうか。まあ生きていれば、どんな形でもいいという命令だからな」チャキッ

一般人D「では、死なない程度に痛めつけてやろう!」

480: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 13:55:39.53 ID:o3FQW38vO
ブンッ

もこっち「……っ」

ガキインッ!

一般人D「なっ……」

もこっち「へ?」

智貴「たくっ、ディソードも持ってねえのに意地張りやがって」

もこっち「と、智貴!?」

智貴「おう、待たせたな。もうエスパーショーは終わったのか?」

もこっち「お前そのディソード、何で……」

智貴「どうやらおれも、ギガロマニアックスだったらしい。おれだけじゃなくて、小宮山さんもそうだったみたいだ」

もこっち「え?」

小宮山「やっほー黒木」チャキッ

もこっち「小宮山さん……本当に……」

智貴「……」

智貴「なるほどな」

もこっち「え?」

智貴「大体の事情はわかった。お前の妄想が事の発端ってわけか」

もこっち「なっ……」

智貴「今姉ちゃんの思考を読んだ。お前、とんでもない力の持ち主だな」

もこっち「え……」

一般人D「ちっ!ゴチャゴチャうるせえ!!」ブンッ

智貴「……っ!」

ガキインッ!

一般人D「ちっ……」

一般人E「おれたちのことを忘れてんじゃねえよ!」ブンッ

小宮山「……っ!」ダッ

ガキインッ!

一般人E「くそ……」

小宮山「なるほど……ノア3の端末を持ってる奴が近くにいないのは、ノア3自体が近くにあるから、直接力を受けてるからってわけね」

もこっち「あ……あ……」

智貴「……っ!さっさっと行ってこい!」

もこっち「へ?」

智貴「ギガロマニアックスになった今ならわかる!お前にはとてつもなく強力なギガロマニアックスの能力がある!さっさっとディソードを見つけて、妄想のお前をぶったぎってこい!」

もこっち「え?あの……」

小宮山「ここは私たちが何とかする!だから早く!」

もこっち「う、うん!」ダッ

一般人F「ふん!逃がすか!」ブンッ

智貴「……っ!」ダッ

ガキインッ!

一般人F「くそ……」

智貴(頼むぜ、姉ちゃん……)

481: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 13:59:36.45 ID:o3FQW38vO
ー体育館の入り口ー

もこっち(とうとう着いた……この扉の先に、もう一人の私と、ゆうちゃんが……)

もこっち(結局、ディソードはどこにも見つけらなかった……でも、行かないと……もう一人の私が、ゆうちゃんを殺しちゃう前に……)

もこっち(ごめんね、ゆうちゃん、ごめんね……)

ガチャッ

ギイイーッ

バタンッ

もこっち「……っ」

フォンフォンフォン……

もこっち(あれがノア3……やっぱり、もう動き始めてる……)

もこっち「あっ」

ゆう「ううっ……」

もこっち「ゆうちゃん!」

ゆう「ひっ、もこっち……」

もこっち(っ!!やっぱり、左手がない……それに、ノア3の隣に立ててある鉄板みたいなものに縛りつけられてて、身動きもとれなそう……ずっと、あの状態だったってこと?)

もこっち「ごめんねゆうちゃん……待ってて……今助けるから……」

ゆう「や、やだ……やめて、来ないで……」

もこっち「ゆうちゃん、きいて。今までゆうちゃんを監禁してたのは、私じゃないの……」

ゆう「え……?どういうこと……?」

もこっち「ごめん、今は説明してる時間はないの……その拘束解くから、一緒に帰ろう……」

??「私じゃないっていうのには、語弊があるよ」

もこっち「っ!?」

ゆう「え……?」

もこっち(妄想)「やっと会えたね。もう一人の私」

もこっち(あれが、私の作り出した妄想の私……)

ゆう「ど、どういうこと……?もこっちが二人?」

もこっち「あれは私じゃないの……今までゆうちゃんを監禁したりしてたのは、全部あいつなの……」

ゆう「え……?」

もこっち(妄想)「ちょっとちょっと。だから私じゃないっていうのには語弊があるって」

もこっち(妄想)「私はあなたの妄想によって生み出されたんだよ?つまり私はあなたなの。都合が悪いからって他人の振りをしないでよ」

もこっち「……っ!!」

もこっち(妄想)「まあいいや。それで?ディソードはまだ手には入ってないの?」

もこっち「……」

482: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:03:18.37 ID:o3FQW38vO
もこっち(妄想)「はあ……全く、どれだけ焦らせば気が済むの?西條拓巳ですら、もう覚醒してるっていうのに……」

もこっち(妄想)「あなたを覚醒させようと、いろいろがんばってみたんだけどなあ……天成神光会のアイデアを真似したりもしてみたのに……まあ、全然だめだったけど……」

もこっち「……」

もこっち「ねえ……何でノア3を作ったの?」

もこっち(妄想)「え?だってあなただって思ってたでしょ?周りのやつらが楽しそうにしてるのを見て、全てぶち壊してやりたいって」

もこっち「そ、そんなこと……」

もこっち(妄想)「とぼけなくったっていいよ。私とあなたは、記憶を共有しているんだから」

もこっち「……」

もこっち(妄想)「そこでそこら辺にいた天成神光会の奴の思考を盗撮して、プロジェクトノアについて知ったの。それからコードサンプルのデータを盗んで、ノア3を作り上げた。やつらの持ってたコードサンプルだけじゃなく、私のコードサンプルも取り入れてね」

もこっち(妄想)「それでも、ノア3の性能はまだ不完全なものだった。それで思ったの。ディソードも使わず昏睡状態にもならないで人間をリアルブートできるほどのギガロマニアックスであるあなたからコードサンプルを採取すれば、ノア3の性能は完全なものになるだろうって」

もこっち(妄想)「そうそう、そう言えばゆうちゃんにも、ギガロマニアックスの素質があるんだよね」カツカツ

ゆう「ひっ……」

483: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:07:18.99 ID:o3FQW38vO
もこっち(妄想)「あなたを覚醒させるついでに、ゆうちゃんのコードサンプルもとろうかと思って、色々拷問したりしてみたのに、ゆうちゃんったら、全然覚醒しないの」ガシッ

ブンッ

ドサアッ!

ゆう「うっ……」

もこっち「ゆうちゃん!」

もこっち(妄想)「まあでも、ゆうちゃんを餌にあなたをここに呼び寄せることも出来たし、ゆうちゃんは期待通りの役目を果たしてくれたかな。あなたのコードサンプルを採取すれば、たぶんノア3は完成するしね」

ースーッ

ージャキンッ!

もこっち(妄想)「今からあなたを痛めつけて、覚醒させてあげる」チャキッ

もこっち「ディ、ディソード……」

もこっち(妄想)「安心して。コードサンプルをとるまでは、殺しはしないからさ」

フッ

もこっち(なっ、消えた……)

バッ

もこっち(っ!?いつの間に目の前に……)

ズバアンッ!

ビチャアッ

もこっち「うぐっ……」フラッ

ドサアッ

もこっち「ううっ……」

ゆう「もこっち!」

もこっち(妄想)「ほら!早く覚醒しなよ!」ブンッ

バキィッ

もこっち「うああああーっ!!」

ゆう「もこっち!」

もこっち(痛い、どこ……ディソード……どこ……)

484: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:09:52.90 ID:o3FQW38vO
もこっち(妄想)「ほらほら!覚醒しないとずっと続くよ!」ブンッ

バキイッ

もこっち「あぐっ!」

ゆう「もこっち!」

バキッ

ドガアッ

もこっち「うああっ!!」

ゆう「はあ……はあ……もこっち……」

ゆう「もこっちー!」

ースーッ

ージャキンッ!

もこっち(妄想)「なっ……」

もこっち「ゆ、ゆう……ちゃん……?」

ゆう「はあ、はあ、もこっち……もこっち……」チャキッ

もこっち(ゆうちゃん……ギガロマニアックスとして、覚醒したの?)

もこっち(妄想)「へえ、やっと覚醒したんだ。ゆうちゃん」チャキッ

もこっち「え?」

ズバアンッ!

ビチャアッ

もこっち「あ……」

ブシャーッ

もこっち(え?なにこれ?私の腰と、胴体が切断された?なんで?私のコードサンプルをとるまでは、殺さないんじゃなかったの……?)

485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:12:05.62 ID:o3FQW38vO
もこっち(妄想)「残念だったね……」

もこっち(え……?)

もこっち(妄想)「あなたはとうとう、目覚めることはできなかった……」

もこっち(あれ?この光景、前にどこかで……)

もこっち(妄想)「まあでも、当初の予定より、大分多くのギガロマニアックスが覚醒してくれたし……」チャキッ

もこっち(妄想)「おそらく、あなたのコードサンプルはなくても大丈夫そう……」

もこっち(そうだ、あの時見た夢……)

もこっち(妄想)「それに、あそこにいる、あなたの友達も、すぐ にそっち側に送ってあげるから……」

もこっち(そうか、あの夢は……)

ゆう「は、はぁ……はぁ……も、もこっち…」

もこっち(今の、予知だったんだ……)

もこっち(妄想)「だから、安心して死になさい……」チャキッ

もこっち(これから私は、あのディソードを振り下ろされて)

もこっち(妄想)「さようなら……」ブンッ

もこっち(頭を潰される)

ゆう「え、や、やだ……もこっち…?」

もこっち(これから死ぬのに、何でこんなに落ち着いてるんだろう……)

ゆう「もこっちー!!」

もこっち(ゆうちゃんの声が聞こえた次の瞬間、もう一人の私のディソードが、私の頭の上に振り下ろされて……)

グチャッ

ドバーッ

もこっち(私の頭を潰した)

487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:14:23.06 ID:o3FQW38vO
もこっち(妄想)「はあ、つまんないの……結局覚醒しなかった」

ゆう「もこっち!もこっち!」

もこっち(妄想)「まあいいや、今からゆうちゃんのコードサンプルをとって、智貴と小宮山のコードサンプルもとらないといけないし……」

ゆう「もこっち!もこっち!」

もこっち(妄想)「はあ、うるさいなぁ……」

488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:16:25.95 ID:o3FQW38vO
ーーーー
ーーー

もこっち「……」

もこっち(どこだろうここ……真っ暗で、何も見えない……そもそも、何で私はまだ意識があるんだろう……私は、頭を潰されたはずなのに……)

もこっち(そうだ、黒木智子は、頭を潰されて死んだんだ。じゃあ、今あるこの意識は、黒木智子のものじゃないってこと?そうなると、この意識は、誰のもの……?)

もこっち(私は、誰……?)

489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:19:07.05 ID:o3FQW38vO
ゆう「もこっち!もこっち!」

もこっち(声が聞こえてくる……誰の声かわからない、誰かを呼んでいるのはわかるけど、誰を呼んでいるのかわからない、そんな声が……)

もこっち(まあ、そんなことどうだっていいや。だって、私はもう死んじゃってるんだから)

タクミ(君はまだ、死んでいないよ)

もこっち(え?だれ?)

タクミ(君のギガロマニアックスとしての力が、あまりにも強すぎて、君は今、脳が無い状態で生きているんだ)

もこっち(え……?)

タクミ(よく聞いてみてごらん、声が聞こえてくるでしょ?)

もこっち(声……?)

七海『智子さん!』

あやせ『智子』

梢『智子しゃん!』

セナ『黒木』

梨深『黒木さん!』

智貴『姉ちゃん』

小宮山『黒木』

ゆう『もこっち!』

もこっち(色んな人たちが、私のことを呼んでいる。私は……私は……)

タクミ(君はもう、一人じゃない)

タクミ(こんなにたくさんの人たちに、囲まれているんだ)

もこっち(私が、たくさんの人たちに……?)

もこっち(私は、私は……)

ゆう「もこっちー!!」

もこっち(そうだ、私は、黒木智子。ゆうちゃんの友達で、あだ名はもこっち……)

もこっち(私は、ゆうちゃんを、助ける!)

490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:20:27.02 ID:o3FQW38vO
もこっち(次の瞬間、暗闇の中に、青白く光る何かが見えた)

もこっち(迷うことなく、私はそれに手を伸ばす)

もこっち(次の瞬間、私はそれを握りしめていた)

491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:21:30.05 ID:o3FQW38vO
ビチャアッ

もこっち(次の瞬間、私の体が人の形へと収束する)

ースーッ

ージャキンッ!

もこっち(気づけば私は、ディソードを握りしめて立っていた)

492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:25:17.28 ID:o3FQW38vO
もこっち(妄想)「なっ!?」

ゆう「もこっち?」

もこっち「……」

ゆう「あれ?左手が治ってる……」

もこっち(妄想)「なにっ!?」

ゆう「左手だけじゃない……体中にあった傷も……」

もこっち(妄想)「そんな、バカな……ありえない……」

タクミ(ディソードをよく手に入れてくれたね)

タクミ(ありがとう)

もこっち(私はいいから、早く西條のところに行ってあげなよ……)

タクミ(僕の思考を読んだんだね。うん、わかった。それじゃ、行ってくる)

もこっち「……」

もこっち「ごめんね、ゆうちゃん」

もこっち(妄想)「っ!?」

もこっち「私がそいつを妄想しちゃったせいで、ゆうちゃんをこんな目に合わせちゃって……」

ゆう「もこっち……?」

もこっち「だから、待ってて。すぐに、終わらせるから……」チャキッ

もこっち(妄想)「ふんっ!すぐに終わらせる!?」

フッ

もこっち(妄想)「やってもらおうじゃん!」ブンッ

ズバアンッ

もこっち(妄想)(殺った……)パチッ

もこっち(妄想)「なっ!?」

もこっち「……」

もこっち(妄想)(再生してる……一秒も経っていないのに?)

もこっち(妄想)(そんな、ありえない……ギガロマニアックスは、怪我の治療に能力は使えないはずだ……だって……)

もこっち「そうだね」

もこっち(妄想)(なっ!?思考を読まれた!?)

もこっち「ギガロマニアックスは怪我の治療に能力を使えない。脳が痛みを認識しちゃうからね。だから……」チャキッ

もこっち「痛覚を遮断した」

494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:28:41.21 ID:o3FQW38vO
フッ

もこっち(妄想)(なっ!?消え……)

バッ

もこっち(妄想)(なっ!?いつの間に……)

ズバアンッ!

ビチャアッ

もこっち(妄想)「ぐっ……!!」

もこっち「へえ、倒れないんだね」

もこっち(妄想)「ふ、ふんっ、これくらいで倒れてたまるもんか……」

もこっち(妄想)「い、いいことを教えてあげるよ……ノア3、あれはノア2に野呂瀬玄一以外が近づけないように、私以外は誰も近づけないんだ……たとえ、私が死んだとしてもね……」

もこっち(妄想)「こうなったら未完成でも仕方ない……ノア3を稼働させて、世界を破滅させてやる……未完成とはいっても、すでに現段階のノア2を上回る性能はあるんだ……」

もこっち(妄想)「ははっ、ははははははっ!」

495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:32:04.91 ID:o3FQW38vO
もこっち「へえ、あんたにしか近づけないんだ。じゃあ……」

スタスタ

もこっち「私になら近付けるね」ピタッ

もこっち(妄想)「なっ!?」

もこっち「うん、やっぱり触れる」

もこっち(妄想)「そんな……どうして……」

もこっち「だって、あんたも言ったでしょ?あんたは私だって。それなら、あんたに近づけるなら、私に近づけないはずないじゃん」

もこっち(妄想)「……っ!!」

もこっち(そう、こいつは私。ノア3をつくったのもゆうちゃんを監禁してたのも、全部私。だから……)

もこっち「せめて一緒に、消えてあげるよ」チャキッ

もこっち(妄想)「く、くそっ!くそっ!」ブンッ

ガキインッ!

もこっち(妄想)「ううっ……」

もこっち「ごめんね、ゆうちゃん」

ゆう「もこっち……?」

もこっち「私のせいで、こんな事に巻き込んじゃって……」

ゆう「……」

もこっち「みんなにも、謝っておいて……」チャキッ

もこっち(妄想)「くそ!くそ!」

もこっち「バイバイ、ゆうちゃん」ブンッ

もこっち(妄想)「なっ……!」

ズバアンッ!

もこっち(妄想)「う、うわあああああ!!」シュウウウウウ

ビキビキビキッ

もこっち(妄想の私ごと、ノア3を破壊した……もう、何も思い残すことはない……あとは、ゆうちゃんが爆発に巻き込まれないように……そして、私が消えるように妄想するだけ……)

もこっち(みんな、さようなら……)

ドカアンッ

496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:35:07.08 ID:o3FQW38vO
ーーーー
ーーー

もこっち(今度こそ、絶対に死んだ。なぜなら、私自身がそう妄想したから)

もこっち(何も見えない。何も聞こえない。暗闇の中に、私は立っている。やっぱり、天国とか地獄っていうのは、人間の空想でしかなくて、死後の世界っていうのは、無の世界なのかな?)

ゆう「もこっち!もこっち!」

もこっち(ゆうちゃんが私を呼ぶ声がする気がする。この期に及んで、私はまだ未練があるのかな……なんて見苦しいんだろう……あまりに滑稽で笑えてくる……私は、自分の意志で死んだのに……)

ゆう「もこっち!!」

もこっち(……っ!?)

511: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 15:31:35.66 ID:o3FQW38vO
 
もこっち「……っ」パチッ

ゆう「よかった……目を覚ましてくれた……」

もこっち「え?なんで?私は、確かに死んだのに……」

ゆう「もこっち、やっぱり死のうとしてたんだ……」

もこっち「え……?」

ゆう「私ね、あの時思ったの。もこっち、死のうとし てるんじゃないかなーって。だから、強く願ったんだ 。もこっちがどうか、死にませんようにって」

もこっち「それじゃ、ゆうちゃんが……?」

ゆう「よかった……もこっちが、生きててくれて……」

もこっち「なんで?もうひとりの私が、ゆうちゃんに あんなひどいことしたのに……」

ゆう「私ね、もこっちに捕まって、色々ひどいことさ れて、すごく悲しかったの」

もこっち「え?」

ゆう「もこっちは、私のこと嫌いになったのかなって、だからこんなことするのかなって」

ゆう「でもね、もこっちが助けに来てくれて、本当にうれしかった」

ゆう「もこっちは昔からそうだよね。私がひとりで困ってると、いつも助けに来てくれる」

ゆう「もこっちは、私のヒーローだよ」


512: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 15:34:00.22 ID:o3FQW38vO
 
もこっち「……いいの?」

ゆう「え?」

もこっち「私は、生きていていいの……?」

ゆう「いいに決まってるよ……もこっちが生きていてく れなきゃ、私はやだよ……」グスッ

もこっち「……」

もこっち「泣かないで」

ゆう「え?」

もこっち(ゆうちゃんがそう言ってくれるなら……ゆう ちゃんがそう望んでくれるなら……)

もこっち「私も、生きていたい……」

もこっち「私もゆうちゃんに、一緒にいてほしい……」

ゆう「もこっち……」

パアアアアア……

ゆう「あ、空が晴れてく……」

もこっち(西條、うまくやったみたいだな……)

ゆう「見てもこっち。きれいな空……」

もこっち「うん……」

智貴「おーい、無事かー」

小宮山「大丈夫ー?」

もこっち「智貴に、小宮山さん……?」

小宮山「ふう、何とかノア3は破壊できたみたいね。成 瀬さんも無事みたいだし」

ゆう「こみちゃん……」

小宮山「久しぶり成瀬さん。大丈夫?」

ゆう「うん、怪我は全部、もこっちが治してくれたか ら……」

もこっち「……」

もこっち「みんな……」

ゆう・小宮山・智貴「ん?」

もこっち「ありがとう……みんなが助けてくれなきゃ、 私は今ここにはいられなかった……」

小宮山「私たちだけじゃなくて、他にもいろいろな人 たちがあんたを助けてきたんだからね」

もこっち「うん、わかってる……」

もこっち「みんな、本当に、ありがとう……」グスッ

498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:44:06.66 ID:o3FQW38vO
智貴「おいおい、いい年して泣くなよ。みっともねえ」

もこっち「ごめん……」グスッ

智貴「はあ、そう言ってもまだ泣いてるし……」

もこっち「ごめん、涙が止まんなくてさ…‥」グスッ

もこっち「ひとまず、渋谷に帰ろう……さっき確認したけど、ここにいるみんなの家族は全員無事みたいだからさ…‥」

小宮山「そうだね」

もこっち「それじゃ行こう……みんなの家族も心配してるだろうし…‥」

ゆう「うん…‥私なんて一週間ぶりだよ…‥」

智貴「姉ちゃんなんてエスパーショーやってたもんな」

もこっち「あはは、そうだね……」

智貴「なんだよ?突っかかってこねえのかよ」

もこっち「普段ならそうすると思うけど、今はそんなこと言われたって、全く気にならないよ……渋谷は崩壊しちゃったけど、それでも、今やっと、すべてが終わったんだから……」

ゆう「もこっち……」

もこっち「ありがとう……みんな本当に、ありがとう……」

499: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:47:03.66 ID:o3FQW38vO
ー数ヶ月後ー

黒木母「智子ー。お友達が迎えにきたわよー」

もこっち「はーい」

黒木母「行ってらっしゃい。気を付けてね」

もこっち「行ってきます」ガチャッ

バタンッ

梢「おはーよう、智子しゃん!」

もこっち「あっ……お、おはよう……」

梢「ふみゅー。なんで智子しゃんは心の声じゃないとそんなに元気がないのら?」

もこっち「い、いや……だって……」

もこっち(しょうがねーだろうが!だって声出すの苦手なんだもん!)

梢「ふみゅー。やっぱり心の声と現実の声じゃ違いが大きすぎるのらー……」

もこっち「ううっ……」

梢「まあでも、テレビにでた後の頃より、ぜんぜん元気になってるのら♪あの時の智子しゃんは、心の声でも元気がなかったから……」

もこっち「まあ、あの時はね……」

小宮山「ほらほら、いつまで喋ってるの。早くしないと、学校遅れちゃうよ?」

もこっち「あ、そうだね……」

梢「ふみゅー。ごめんなさいなのらー……」

小宮山「それじゃ、行こ」

500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:49:36.97 ID:o3FQW38vO
ー学校ー

小宮山「それにしても、渋谷の復興作業も大分進んできたね」

もこっち「そ、そうだね……」

梢「あー!セナしゃんみっけー!」

セナ「ん?お前たちか。おはよう」

梢「ねえねえセナしゃん!聞いて聞いてー、あのねー……」

小宮山「すごい話し込んでるね……」

もこっち「うん…‥」

あやせ「あら?そこにいるのは、智子に琴美?」

小宮山「え?」

あやせ「ふふ、おはよう二人とも」

もこっち「あ、おはよう……」

あやせ「ねえ二人とも、今度ファンタズムのライブがあるの。よければこないかしら?」

もこっち「え?まあ……行けたら行くよ……」

小宮山「最近すごいよねファンタズム……どんどん人気になってる……」

あやせ「もしかしたら、それは邪心の導きなのかも知れないわね」

小宮山「は、はあ……」

もこっち(ノアが破壊されたあとも、岸本は電波なままだ…‥たまに何を言っているのかわからないときもある……)

七海「あっ、智子さんたちだ!みなさーん、おはようございまーす!」

もこっち「あっ、七海さん……」

七海「久しぶりです智子さん!ほらおにぃ!挨拶しなよ!」

もこっち「え?西條……?」

拓巳「……」

拓巳「お、おはよう……」

もこっち「うっ、おはよう……」

七海「もー、何でおにぃと智子さんの仲はそんなに険悪なの……?」

拓巳「だ、だって……喪女と●●は相容れないものだし……」

501: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:51:50.11 ID:o3FQW38vO
もこっち「っ!誰が喪女だ!誰が!」

拓巳「き、君以外にいないだろ!」

もこっち「うぬぬ、このキモオタめ……」

拓巳「う、うるさい……」

梨深「もおー、この二人が顔を合わせる度にこれだよ……」

もこっち(ちなみにこうなってしまったのは何でかというと、私たち二人がギガロマニアックスとして覚醒した際に、西條と私が心の中でお互いの悪口を言いまくっていたのが分かってしまったからだ……全く、思考盗撮という能力も考え物だな…‥)

502: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:54:25.78 ID:o3FQW38vO
優愛「あら?みなさん、おはようございます」

もこっち「あ、楠さん……」

優愛「うふふ、またお二人で喧嘩ですか?」

もこっち(楠さん……あの騒動の時は全く顔を合わせることがなかったが、西條たちを通して知り合った。この人に何があったかは、西條の思考を読んだから知ってるしな……)

智貴「おーい姉ちゃん、朝から昇降口前で集まってんじゃねえよ」

もこっち「ん?弟?何してたんだお前……」

智貴「朝練だよ。そんなことより、これ何とかしろ。周りの迷惑になってるぞ」

もこっち「このメンバーで、私が何か言ってどうにかなるわけないだろ……」


梢「それでそのガルガリ君がー……」

セナ「なにっ!?それは本当か!?」

あやせ「そして開かれるのよ、大いなる扉が……」

小宮山「は、はあ……」

優愛「それで、その西條くんのフィギュアがですね……」

七海「ほえー」

梨深「タクは流石だねー」

ワイワイガヤガヤ……

智貴「確かに、どうにもならなそうだな……」

もこっち「だろ……?」

拓巳「はあ……何で僕がこんなに目立つ軍団と一緒にいなきゃいけないんだ……」

プルルルルルル

もこっち「ん?電話?」ガサゴソ

もこっち(って、ゆうちゃんからか……何の用だろう……)ピッ

もこっち「もしもし?」

ゆう『あ、もこっち?今日の放課後、空いてるかな?久しぶりに遊ばない?』

もこっち「あ、うん。いいけど……」

503: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:57:06.52 ID:o3FQW38vO
ゆう『よかったー。それじゃあ今日学校終わったら、渋谷駅に集まろう?そうそう、こみちゃんとか、他のみんなも誘っておいてくれないかな?』

もこっち(他のみんな……ギガロマメンバーズのことか。一度ギガロマメンバーズとゆうちゃんとで遊びに行ったら、すっかり意気投合しちゃったんだよな……)

もこっち「わかった……誘っておくよ……」

ゆう『うん!楽しみにしてるね!それじゃあね!』ピッ

ツー、ツー……

もこっち「はあ……え、えっとみんな!ゆ、ゆうちゃんが今日の放課後遊びに行こうって!き、来たい人いる!?」

梢「えー!本当ー!?行きたい!行きたいのらー♪」

セナ「まあ、私も用事もないし行くとしよう……」

梢「そんなこと言ってー、心ではすごーい行きたがってるねー♪」

セナ「……」

あやせ「私も行かせてもらうわ」

小宮山「わ、私も……」

優愛「それじゃあ、私も行きます」

七海「ナナも行きまーす!」

梨深「あたしも行きまーす!ビシィッ!」

拓巳「ぼ、僕はパスで……」

七海「ダメだよおにぃ!どうせ家に帰って引きこもってるだけでしょ!おにぃも来るの!いい!?」

拓巳「や、やだよ……だいたい、僕以外は全員女子じゃないか……絶対アウェーになる……まあ、君たちが二次元なら行ってやらないこともないけど。ふひひ」

七海「もー、いいから来なさい!わかった!?」

拓巳(くそ、放課後こっそり帰っちゃおうっかな……)

七海「梨深さん、おにぃが逃げ帰ろうとしたら、無理矢理連れてきてください」

梨深「了解!ビシィッ!」

拓巳(先に手を打たれた……)

もこっち「はあ……やっぱり全員参加か……」

智貴「がんばれよ。おれはこのメンバーとあんま面識ないし、部活あるから行かねえけど」

もこっち「そうか、お前も部活頑張れよ……」

504: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/03(日) 14:59:10.60 ID:o3FQW38vO
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もこっち「……」

もこっち「はあ……」

もこっち(あのあと私は、ギガロマニアックスとしての能力を失った。蒼井さんによれば、一気に力を使いすぎたらしい。おかげで私の、ギガロマニアックスの能力でリア充化計画は大失敗に終わった……)

もこっち(でももう、あんな能力を欲しいとも思わない。あの能力さえなければ、もう一人の私が生み出されて、ゆうちゃんを苦しめることも無かったんだ……)

もこっち(能力を失ったといえば、西條も能力を失った。さらに西條は心象世界に閉じこもったりもしたけど、それはまた別のお話……)

キーンコーンカーンコーン

もこっち(予鈴が鳴った……ギガロマメンバーズが慌てて教室へと向かっていく。私もその後を追う)

もこっち(ふと空を見上げる。青く澄み渡った、きれいな空があった……みんなが望んだ、あの空が……)

もこっち(今日の放課後は、なんだかんだ言ってもすごく楽しみだ…‥あの濃いメンバーに、たっぷり振り回されてこよう)

もこっち( この平和な日常……当たり前に思えるけど、すごく大切な日常……こんな日常が、いつまでも続きますように……)

梨深「黒木さん急いで!早くしないと遅れちゃうよ!」

もこっち「う、うん!待ってて!すぐ行くから!」


ーENDー