1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 22:09:35.44 ID:ugxNxdcB0
黒子「え?」

佐天「いや、たいした意味はないんだけどさ。私と初春はほとんど学校の外でしか御坂さんと会ったことないし」

初春「まぁ私たちは学校が違いますからね~」

佐天「いや~やっぱ常盤台のエースっていったら学校でも人気者なのかな~と思って」

初春「どうなんですか白井さん?」

黒子「それはもちろん! なんといっても常盤台のエースですもの! 学校でも…………」

引用元: 佐天「御坂さんって学校じゃどんな感じなんだろ?」 


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 22:16:16.51 ID:ugxNxdcB0
黒子「そういえば、学校でのお姉様はよく知りませんでしたわ」

佐天・初春(え~~~!?)




初春「ルームメイトなんですよね?」

黒子「それはそうですけど学校では学年が違いますし……」

佐天「あ~そっかぁ」

初春「それでも白井さんなら知ってると思ったんですけどねぇ」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 22:27:50.12 ID:ugxNxdcB0
黒子「あぁ、でもお姉様と一緒にいるとよく後輩から声をかけられたりしますわ」

佐天「やっぱり人気ものなんだ~」

初春「御坂さんは性格も明るいですからね~後輩から慕われるのって分かる気がします」

黒子「当然ですわ! お姉様は後輩はもちろん同学年の友達も…………いましたっけ?」

佐天「え……? いないんですか?」

黒子「いえ、決してそういうわけでは……」

佐天「そういえば御坂さんの友達ってまだ会ったことなかったっけ?」

初春「まぁ私たちはまだ仲良くなって日が浅いですからねぇ」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 22:37:35.98 ID:ugxNxdcB0
黒子「考えてみれば、今までお姉様が学校でのことを話したことなんてありませんでしたわ」

佐天「…………」

初春「…………」








初春「たまたま……じゃないですかね…?」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 22:48:16.94 ID:ugxNxdcB0
佐天「こうなったら確かめてみようよ!」

黒子「でもどうやって……?」

佐天「だから、直接見に行けばいいじゃないですか!」

初春「なにを見に行くんですか?」

佐天「決まってるじゃん! 御坂さんのクラスだよ、クラス!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 22:51:44.76 ID:ugxNxdcB0
初春「でも、そんなのどうやって……?」

佐天「前みたいに制服借りれば簡単に入れるって! 白井さんのテレポートもあるんだし」

白井「ちょ、そんなことであてにされても困りますわ。それにそんな覗きみたいなこと……」

初春「そうですよぉ~やっぱりよくないですよ、佐天さん」

佐天「え~、初春は常盤台の制服着たくないの~?」

初春「それはそうですけどぉ……」

佐天「白井さんも、御坂さんがクラスでどんな感じか気にならないんですか~?」

黒子「そ、それは……」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/24(水) 23:00:51.13 ID:ugxNxdcB0
翌日 常盤台中学


初春「あの~ホントにこんなことしちゃって大丈夫なんでしょうか? 学校もサボっちゃって……」

佐天「1日ぐらい大丈夫だって! それに初春もノリ気だったじゃん」

初春「でもぉ……」

佐天「制服も似合ってるぞ!」

初春「そ、そうでしょうか///」


黒子「2人とも、そろそろ行きますわよ」

佐天・初春「はい!」



テレポートで2年生のフロアへ

17: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/24(水) 23:52:06.70 ID:ugxNxdcB0
黒子「え~と、たしかお姉様の教室はここですわ」

佐天「どれどれ~」

初春「佐天さん授業中なんですから静かにしてください」

黒子「そうですわ。見つかると面倒なことになりますの」

佐天「わかってるって。 あ、御坂さんみっけ! 一番後ろの窓際の席だ」

初春「ほんとだ~真面目に授業受けてますね」

黒子「ですわね。でも……」

21: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/24(水) 23:56:59.74 ID:ugxNxdcB0
佐天「授業中じゃ誰が御坂さんの友達なのかイマイチわかんないな~」

初春「こういうのって休憩時間とかの方がよかったんじゃないでしょうか?」

黒子「ですわね。休憩時間に出直しましょう」

23: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:02:08.76 ID:0Q8hAG4R0
休憩時間

ワイワイ ガヤガヤ

初春「わ、私たち部外者ってばれてないかなぁ……」

佐天「大丈夫大丈夫! 堂々としてりゃ問題ないって!」

黒子「そうですわ。制服を着てる以上部外者だと思われることはありませんわ」

黒子「それより、お姉様に見つからないように注意してくださいまし」

佐天「おっと、そうだった! 気をつけないとね」

初春「御坂さんに見つかったらさすがにアウトですからね~」


佐天「あ、御坂さんいたいた!」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/25(木) 00:06:41.09 ID:0Q8hAG4R0
佐天「あれは……寝てるのかな?」

初春「机に突っ伏してますねぇ。気分が悪いんでしょうか?」

佐天「それとも寝不足かな?」

黒子「それはないですわ。お姉様はいつも早くにお休みになりますから。昨日もそうでしたわ」

佐天「そっか~、じゃやっぱり具合が悪いのかな?」




10分経過




初春「結局授業が始まるまで一度も顔をあげませんでしたね」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/25(木) 00:12:48.09 ID:0Q8hAG4R0
次の休憩時間

初春「やっぱり机に突っ伏してますね」

黒子「そうとうお悪いそうですわね……心配ですわ」







佐天(あれ? これってもしかして……)

37: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:17:27.26 ID:0Q8hAG4R0
お昼休憩

初春「結局さっきも授業が始まるまで一度も顔をあげませんでしたね」

黒子「そうですわね。心配ですけど、今度はお昼休みですから――」

初春「そうですね。今度こそ御坂さんの友達がわかりますね!」







佐天(う~ん、考え過ぎかな。まだそうだと決まったわけじゃないけど……)

40: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:21:43.01 ID:0Q8hAG4R0
初春「え~と、御坂さんはと……あっ、いました――ってこっちに来ます!」

佐天「え?」

黒子「!」







美琴「あれ? 今黒子たちがいたような……?」ゴシゴシ

美琴「いやそんなわけないわよね。黒子はともかく他の2人はここにいるはずないし、見間違いね」

42: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:25:23.13 ID:0Q8hAG4R0
黒子「一瞬目があったような気がしましたが、なんとかやり過ごせましたわね」

初春「危なかったですね~」

佐天「白井さんがいなきゃ完全に終わってたね」


黒子「お姉様が教室から出る可能性をすっかり失念していましたわ」

初春「でも御坂さん一人でどこへ行くんでしょう?」

黒子「普通に考えればランチではないの?」

佐天「一人でですか?」

黒子「…………」

初春「…………」




黒子「と、とりあえず追いかけますわよ」

44: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:27:33.69 ID:0Q8hAG4R0
初春「ここは売店ですか?」

黒子「そうですわ。どうやらお姉様はパンを買ったようですわね」

佐天「意外と普通だな~」

黒子「いったいどんなものを想像してらしたんですの?」

佐天「いや~やっぱ常盤台っていったらお昼もすごいのかな~って」

黒子「まったく」ハァ



初春「ということは、あのパンを教室に戻ってお友達と食べるんですね」

黒子「そのようですわね」

佐天「なるほど、一人で出てきたのはみんながお弁当だったからか」

初春「これでやっと御坂さんのお友達がわかりますね」

黒子「そうですわね。追いかけましょう」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/02/25(木) 00:31:23.70 ID:0Q8hAG4R0
佐天(な~んだ。結局私の勘違いじゃん)




黒子「あれ? お姉様そっちは教室じゃございませんことよ」

初春「白井さん、御坂さんはどこへ向かってるんですか?」

黒子「さぁ……あっちのほうはたしか理科の実験室や何やらがあるところですが」

初春「そんなところへ何をしに……?」

黒子「わかりませんわ。とにかく追いかけてみましょう」

52: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:34:44.20 ID:0Q8hAG4R0
佐天「このへん全然人いないですね~」

黒子「それはそうですわ。お昼休みにこんな所へ用がある人なんてそうそういませんわよ」

佐天「ですよね~」


初春「あっ、御坂さんあそこに入りましたね」

黒子「えぇ、でもあそこは……」








佐天「トイレじゃん」

64: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:39:36.31 ID:0Q8hAG4R0
黒子「もうっ! お姉様ったら食べ物を持ってお手洗に行くなんて! すましてから買えばよろしいのに」

佐天「まぁ急に行きたくなるときもありますって」

初春「あれ? でもトイレならここに来るまでにいくつか通り過ぎたと思うんですけど」


黒子「たしかに…………言われてみればそうですわね」

初春「変ですよね?」

黒子「まぁいずれにしてもここで待つしかありませんわね」

初春「そうですね」









佐天(あれ? これってやっぱり……いやでも常盤台のエースがそんな……)

67: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:42:58.34 ID:0Q8hAG4R0
10分経過


黒子「遅いですわね」

初春「その……大きい方なんじゃ……」

黒子「まっ! お姉様ったらそんな!!///」カアァ

初春「いや御坂さんだって人間なんですから……」








佐天(う~ん……たしかに初春の言うとおりかもしれないけど……でもなぁ)

71: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:45:35.22 ID:0Q8hAG4R0
30分経過


黒子「いくらなんでも遅すぎますわ」

初春「ま、まさかなかでなにかあったんじゃ!」

黒子「なっ!? 私ちょっとなかを見てまいりますわ!」

佐天「ちょっと待った待った!!」

黒子「ちょ、佐天さん、どいてくださいまし!」

佐天「2人とも落ち着いて! 今御坂さんと鉢合わせしたらどーすんの!」

初春「でも……」

黒子「もう30分も出てきませんのよ」

73: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:47:58.90 ID:0Q8hAG4R0
佐天「わかった。それじゃそっと入ろう。たぶん御坂さんは個室に入ってるから、くれぐれも声で気づかれたりしないように」

黒子「了解ですわ」

初春「うん」

佐天「それじゃついてきて」





佐天(どうか鉢合わせにだけはなりませんように)

ガチャ






佐天(ふ~。とりあえずはセーフか)ホッ

75: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:51:05.50 ID:0Q8hAG4R0
黒子「一番奥だけドアが閉まってますわね」ヒソヒソ

初春「ですね。普通に考えればあそこに御坂さんがいるってことになりますけど」ヒソヒソ

黒子「さすがに確かめることはできませんけど、先ほども言ったように時間帯を考えればお姉様で間違いありませんわ」ヒソヒソ

初春「それじゃ私たちの思いすごしだったんですね。御坂さんが出てこないうちに出ましょうか?」ヒソヒソ

黒子「そうですわね」ヒソヒソ







佐天(かすかだけど……この臭いは……)

79: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:55:24.36 ID:0Q8hAG4R0
佐天「2人ともちょっと先に出ててくれない」ヒソヒソ

初春「え? 何でですか?」ヒソヒソ

黒子「もしかして佐天さんもお手洗ですの?」ヒソヒソ

佐天「まぁ……そんなところ」ヒソヒソ

初春「もう…早くしてくださいね」ヒソヒソ

84: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 00:58:03.50 ID:0Q8hAG4R0
ジャー バシャバシャ


初春「佐天さん、なんで蛇口を?」ヒソヒソ

佐天「入ってきた人が何もせずに出て行ったらおかしいでしょ」ヒソヒソ

初春「あ、そっか」ヒソヒソ

佐天「ほら早く行った、行った」ヒソヒソ

黒子「外で待ってますわ」ヒソヒソ



ガチャ バタン



佐天(私は……どうしても確かめたい……)

88: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:00:33.55 ID:0Q8hAG4R0
佐天(もうここには誰もいない)

佐天(女生徒が一人で入ってきて、手を洗い、出ていった)

佐天(普通はそう考える)


佐天(複数が入ってきた可能性は考えない。だって私たちは無言だったから)

佐天(友達同士で入ってきて無言はない)

佐天(人通りから考えて他人が同時に入ってくることもない)

佐天(ドアが開き、そして閉まったのに、まだなかにいる可能性なんて考えない)


佐天(だから私の予想が正しければ……)



ガサガサガサガサ



佐天「!」

91: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:02:42.59 ID:0Q8hAG4R0
ガサガサガサガサ


佐天(この音はやっぱり……)


モグモグモグ


佐天(明らかに……なにかを食べてる音…)


個室の中で何かを食べてると思われる人「ハァ……」


佐天「!」

佐天(声がきこえた! ため息みたいだけど、今のはやっぱり御坂さん!)





美琴「ハァ……」

96: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:05:19.81 ID:0Q8hAG4R0
佐天(なんというか……やっぱりそうだったんですか……)


ガサガサモグモグ


佐天(でも、それがわかれば長居は無用)

佐天(御坂さんがトイレに入って40分、そろそろ出てくるかもしれない)

佐天(まぁ…たぶん授業開始ギリギリまで出てこないと思うけど、念には念を)

98: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:07:30.40 ID:0Q8hAG4R0
ガサガサモグモグ


佐天(でも…もし今……)

佐天(もし今、私が「御坂さ~ん♪ トイレで40分も何してるんですか~♪」とか言っちゃったら…)

佐天(御坂さんどんな顔するんだろう?)

佐天(たぶん私がなんでここにいるかなんて考える余裕もないだろうな)

106: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:09:51.98 ID:0Q8hAG4R0
佐天の想像 パターン1


佐天「御坂さ~ん♪ トイレで40分も何してるんですか~♪」

ガサガサモグモ…………シーン

佐天「無視ですか~♪ でもこんなドアぐらいなら――」ヒョイ


佐天はドアに手をかけて、ドアの上の隙間からなかを覗いた。


美琴「あ…………」

佐天「やっぱり御坂さんじゃないですかぁ♪ なんで無視したんですかぁ♪」ニヤニヤ

美琴「いや…これは……」

佐天「一応ききますけどそこで何してたんです♪」ニヤニヤ

美琴「…………」

佐天「だんまりですか~。そとに初春と白井さんもいるんですけどよんできましょうか?」ニヤニヤ

美琴「ま、まって!! お願い!みんなには言わないで!」

佐天「ん~どうしよっかな~♪」ニヤニヤ

美琴「お…お願い……なんでもいうこときくから……」ポロポロ

113: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:14:11.61 ID:0Q8hAG4R0
佐天の想像 パターン2

※序盤省略


佐天「一応ききますけどそこで何してたんです♪」ニヤニヤ

美琴「…………見てのとおりよ。ここでお昼食べてたの」

佐天「え?」

美琴「そうね、俗にいう便所飯ってやつよ。情けないでしょ。私はお昼を一緒に食べる友達すらいないの」

美琴「ほらっ、私ってレベル5で常盤台のエースとか言われてるじゃない? 私自信はそんなの全然大したことじゃないと思ってるんだけどさ、そう思わない人もいてさ」

美琴「小学校まではまだよかったんだけど、中学に入ったあたりから…………ウダウダウダウダ」



佐天(うっわ……語りだしたよ…………)

114: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:16:21.32 ID:0Q8hAG4R0
佐天の妄想 パターン3

※序盤省略


佐天「一応ききますけどそこで何してたんです♪」ニヤニヤ

美琴「いや…これは……」

佐天「な~んていちいちきかなくたってわかってますよ♪ 便所飯ですよね~♪」ニヤニヤ

佐天「いや~普段私らとしかつるまないから友達いないのかな~と思ってはいましたけどまさかここまでとは♪」

佐天「便所飯なんて都市伝説だと思ってましたよ♪ あ、写メとっていいですか」カシャ


――プチッ――


美琴「ふふ……ふふふふふ………」

佐天「え?」

美琴「あはははははははははははははははははははは」ビリビリビリビリ

佐天「ギャーーーーーーー!!」

118: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:18:30.26 ID:0Q8hAG4R0
妄想終了

佐天(いけないいけない! 私ったらなんてひどい妄想を!)

佐天(でも1が一番ありそうな気がするな)


佐天(やっぱりここは何もせず立ち去ったほうがいいか)


ガザガザモグモグ


佐天(あ、そうだ! 今は誰もいないことになってるんだった)

佐天(危ない危ない、忘れるところだった)

119: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:20:40.76 ID:0Q8hAG4R0
ガザガザモグモグ


佐天(まずはドアを開けて。そして閉める)


ガチャ バタン 


ガサガ…………シーン






佐天(なんか……ちょっと面白いかも♪)

123: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 01:22:59.10 ID:0Q8hAG4R0
佐天(でも初春たち待たせてるしね。このへんにしとこ)


ジャー バシャバシャ


ガチャ バタン




今度こそ佐天は出ていった

222: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 22:46:40.25 ID:0Q8hAG4R0
 

初春「もう、佐天さん遅いですよ」

佐天「ごめんごめん」

黒子「それにしても、お姉様大丈夫かしら。もうお昼休みも終わってしまいますけど」

初春「え? そうなんですか?」

黒子「ええ、もう10分もありませんわ」

初春「それじゃとてもお昼を食べてる時間はないですね。それとも午後の授業は欠席されるんでしょうか?」

黒子「そうかもしれませんわ。トイレに40分以上もこもるんですもの……そうとう悪いに違いありませんわ」






佐天(2人ともまだ気づいてないんだ……)

228: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 22:58:06.05 ID:0Q8hAG4R0
黒子「それにしてもトイレにこんなに長時間というのはちょっと不自然ですわね……」

初春「もしかして……なかで倒れてるとか…?」

黒子「そ、そんな…!! 今すぐ私が様子を――」

佐天「待った待った!」

黒子「佐天さんっ!」

佐天「そんなことしてもしなんともなかったらどうするんですか?」

黒子「ですがっ!」

佐天「とりあえず昼休みが終わるまで待ちましょうよ。それでも出てこなかったら、そのときは様子を見に行きましょう?」

黒子「……わかりましたわ。とりあえず昼休みが終わるまで待つとしましょう」



佐天(大丈夫ですよ。きっとあと5分そこそこで出てきますから)

232: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 23:09:10.48 ID:0Q8hAG4R0
初春「遅いですね……あと3分でお昼休み終わっちゃいますけど――」



ガチャ バタン


美琴「…………」




黒子「出てきましたわ!」

234: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 23:15:30.44 ID:0Q8hAG4R0
初春「長かったですね~結局お昼も――ってあれ?」

黒子「どうしたんですの初春?」

初春「御坂さん、パンはどこへやったんでしょう?」

佐天「あれー? ホントだー、手ぶらだー」棒

黒子「もうっ、お姉様ったら。食べ物をトイレに忘れるなんて!」







初春(あれ…? これって……)

238: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 23:23:31.21 ID:0Q8hAG4R0
黒子「しかたありませんわね。私が取ってきますわ」

初春「え? でも御坂さん見失っちゃいますよ」

黒子「大丈夫ですわ。テレ――」

佐天「いやいや、そもそもどうやって返すんですか」

黒子「あら、そうでしたわ」

佐天(まぁ証拠を残すようなヘマはしてないだろうけど


初春「とにかく今は追いかけましょう」

黒子「そうですわね」

243: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 23:36:10.03 ID:0Q8hAG4R0
初春「教室に向かってるみたいですね」

黒子「ええ、どうやら午後の授業を欠席するつもりはないみたいですわ」


美琴「…………」

ガラガラ ピシャ



初春「教室に入りましたね」

249: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 23:48:01.80 ID:0Q8hAG4R0
ワイワイガヤガヤ


初春「騒がしいですね、もう授業始まってますけど」

黒子「まだ先生がきていませんからね」

佐天「常盤台でもこういうところは普通なんですね」

初春「あ、御坂さんが席に着きましたよ」



美琴「…………」ガバッ

美琴「…………」zzz



初春「速攻で寝ましたね」



初春(あれ? これってやっぱり……)

256: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/25(木) 23:53:32.85 ID:0Q8hAG4R0
黒子「お姉様そうとうお悪いようですわね。心配ですわ」

初春「……そうですね」


先生 ガラッ


ザワザ…………シーン


美琴「…………」ムクリ




黒子「起きましたわね」

初春「……はい」





初春(起きた……というより今のは……)

佐天(もともと寝てなかったとしか……)

361: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:06:30.64 ID:O9W2p1LL0
 
授業中


美琴「…………」カリカリカリカリ



初春「御坂さん意外と真面目ですね」

佐天「たしかに」

黒子「まったく、どういうイメージを持ってらしたんですの」

佐天「あはは……」





佐天「でもこれだと……」

初春「そうですね、これ以上観察しててもあまり意味がなさそうですね」

黒子「仕方ありませんわね。今日はこれまでにしましょう」

363: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:13:23.08 ID:O9W2p1LL0
テレポートで校外へ


初春「は~常盤台の制服……もうちょっと着たいたかったです……」

佐天「まぁまぁ、白井さんがいればいつでもまた着れるんだし」

黒子「そんなことであてにされても困りますわ」



黒子「それではここで解散いたしましょう。私はさも出席していたかのように放課後のお姉様に声をかけますので」

初春「はい、今日のことは3人の秘密ということで」

佐天「うん」


黒子「それではまた」ヒュン


黒子テレポート

365: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:19:37.34 ID:O9W2p1LL0
帰り道


初春「結局御坂さんの友達はわからずじまいでしたね~」

佐天「あ~……そのことなんだけどさ」

初春「え? なんですか?」

佐天「ほら、私あのときトイレに1人残ったじゃん。実はそのとき…………」




佐天はトイレであったことの全てを初春に話した。




初春「そんな……まさか…御坂さんが……」

佐天「たぶん間違いないよ」

初春「でも……」

佐天「そうだね……初春は御坂さんに憧れてたもんね。やっぱ信じられない?」

367: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:26:24.34 ID:O9W2p1LL0
初春「いえ、ぶっちゃけそうなんじゃないかなぁとは思ってました」

佐天「え…? そうなの……?」

初春「はい、手ぶらでトイレから出てきたあたりから」

佐天「そうだったんだ……」

初春「はい。でも正直…こんなこと言っちゃ悪いんですが……」

佐天「ん?」

初春「御坂さんがハブられてるのって…なんだか納得です」

373: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:32:50.10 ID:O9W2p1LL0
初春「あっ――すいません! 私なんてこと――」

佐天「え? マジ!? 初春もやっぱそう思う?」

初春「え? 佐天さんもですか!?」

佐天「そうそう! やっぱそうだよね~!」

初春「そうだったんですか~。よかった~佐天さんも同じ気持ちだったんですね~」

378: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:34:58.33 ID:O9W2p1LL0
佐天「いや~別に御坂さんが嫌いってわけじゃないんだけどね~」

初春「そうそう! そういうわけじゃないんですけど、なんだか絡みづらい感じあるんですよね~」

佐天「あ~わかるわかる」

初春「正直今日のことも予想通りとは言いませんけど、やっぱりなというか」

佐天「だよね~。だって私も「友達がどんな人か」じゃなくて「友達がいるかどうか」が気になってたんだもん」

初春「ですよね~。で結果は――」

佐天「予想通り!」

初春「あははは――って笑っちゃダメですね」

382: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:38:40.89 ID:O9W2p1LL0
佐天「でもさ~初春は御坂さんに憧れてたんじゃないの?」

初春「それは今でもそうですけど、それは御坂さんにというよりはレベル5や常盤台のエースにって感じで……」

佐天「あ~」

初春「あのときも1回会えたらなぁくらいの気持ちだったんですよ。なんて言えばいいでしょうか……」

初春「そうですね……例えば芸能人やスポーツ選手のサインってもらえたら嬉しいじゃないですか」

佐天「あ~それすっごいわかる!」

初春「だから、別に親しい友達になりたいってわけじゃなかったんですよね~」

佐天「うん、わかるわかる。別に嫌いってわけじゃないんだけどね~」

386: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:41:18.59 ID:O9W2p1LL0
佐天「前にさ、学校帰りに御坂さんから声かけられて、ちょっと喋ったことがあったんだけどさ」

初春「え? それじゃ御坂さんと2人っきりですか?」

佐天「そうそう。それでやっぱ気ぃ使うんだよね~。だってむこうは先輩だし常盤台のエースだし」

初春「ですね」

佐天「しかも私からしたら御坂さんって友達の友達の先輩じゃん?」

初春「そうですね~、2人きりになるにはちょっとキツいですね」

佐天「そうそう、まぁどうにか会話はもつんだけどさ」

初春「大変でしたね」

391: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:44:53.77 ID:O9W2p1LL0
佐天「あ! そうだ、この機会に言っときたいんだけどさぁ」

初春「え?」

佐天「4人で出かけてるときに、ジャッジメントだとか言って白井さんと2人で抜けるの勘弁してくんないかな~」

佐天「私いっつも御坂さんと2人きりで取り残されて毎回困ってるんだけど」

初春「すいません、実は私も2人きりで間はもつのかなぁ…なんて毎回思ってたんですけど、こればかりはどうしようもなくて」

佐天「ほんとに勘弁してよ……何の罰ゲームで友達の友達の先輩と2人きりにされなきゃいけないのよ……」

初春「本当にすいません…………」

397: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:48:39.70 ID:O9W2p1LL0
初春「そういえば、白井さんは御坂さんのこと気づいてるんでしょうか?」

佐天「う~ん、はっきりしたことは言えないけど、たぶん気づいてないんじゃないかなぁ」

初春「そうですか……やっぱり白井さんには黙っておいたほうが……」

佐天「うん……そのほうがいいだろうね。御坂さんにとっては」

初春「ですね……おそらく御坂さんとしては一番知られたくない相手ですよね」

佐天「そうだねぇ……まぁ私たちに気づかれただけでも相当ショックだろうけど……」

398: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:50:51.10 ID:O9W2p1LL0
初春「そうですよね後輩にこんなこと知られたら…御坂さんのためにも知らないふりをするしかないですよね」

佐天「それなんだけどさ、私はなんとかしてあげたいなぁとも思ってるんだ」

初春「え?」

佐天「別に御坂さんのこと嫌いってわけじゃないし、やっぱこのままだと可哀想だしさ」

初春「でも、そんなの…どうするんですか?」

400: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/26(金) 20:53:36.30 ID:O9W2p1LL0
佐天「だから私たちが友達の作り方を教えてあげるんだよ」

初春「ええ!? でもそんなの――」

佐天「大丈夫だよ! 私そういう能力に関しちゃ自信あるからさ!」

初春「そうですね、確かに佐天さんなら――って問題はそこじゃないです!」

佐天「うん、わかってるよ。それにはまず、今日のことを御坂さんに話さなきゃいけない」

初春「でも…そんなことしたら御坂さんショックを……」

佐天「わかってる。でも、やっぱりこのままじゃいけないと思うんだ」

佐天「そりゃ最初はすごく勇気いるし、辛かったりもするだろうけど、必ずやってよかったって思える日がくるから……」

初春「佐天さん……」

佐天「だから、どうやったら御坂さんをなるべく傷つけずに今日のことを話せるか、一緒に考えよ」

初春「はい!」

569: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/27(土) 23:58:17.49 ID:dM1d6YI40
 

翌日 とある喫茶店


美琴「ごめ~ん、2人とも待った?」

初春「いえ」

佐天「私たちもついさっき来たところです」

美琴「そう、よかった――で、なんなの? 黒子には内緒の話って?」



美琴は初春の隣、つまり佐天の向かい側に腰かけた。

576: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 00:10:51.81 ID:zK9Mb0kM0
佐天「それなんですけどね、その前にちょっと言わなきゃいけないことがあるんですよ」

美琴「え? なに?」

佐天「怒らないできいてくれますか?」

美琴「なに? 私が怒るようなことなの?」

佐天「怒るかもしれませんし、怒らないかもしれません」

美琴「なによそれ。まぁいいわ、話してみてよ」

佐天「じゃ怒らないできいてくれますか?」

美琴「そんなのわからないわよ。とりあえず話してみて」

佐天「それじゃ話せません。ね~初春?」

初春「え…あぁ…そうですね」

美琴「…………」イラッ




初春(結局あのあと、佐天さんが「初春は相槌うってくれてるだけでいいから」なんて言うからお任せしてますけど……)

初春(のっけからこんな不穏な感じで大丈夫なんでしょうか……)

579: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 00:19:35.28 ID:zK9Mb0kM0
美琴「わかったわよ、怒らないから話してみなさい」イライラ

佐天「よかった~それじゃ話しますね、話ってのはきのうのことなんですけど……」

初春(佐天さん…本題に入るつもりですね……)

佐天「白井さんと初春の3人でいるときに、御坂さんの友達ってどんな人何だろうって話になったんですよ」

美琴「――っ! へ、へぇ~…そう……」

初春(御坂さん、明らかに動揺してます)

初春(佐天さん、オブラートにお願いしますよ! オブラートに!)

589: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 00:29:39.57 ID:zK9Mb0kM0
佐天「で? ホントのとこどうなんですか?」ニコニコ

初春(ちょ…佐天さんそれ直球すぎじゃ……)

美琴「え…ど、どうって言われても……」

佐天「白井さんも気になってるみたいですよ。きのうも言いだしっぺは白井さんだし」ニコニコ

美琴「黒子が……」

初春(あれ? 言いだしっぺは佐天さんだったような……)

佐天「まぁ私たちも気になるんですけどね~、で実際どうなんです?」ニコニコ

美琴「どうって…………あっ! でも何でそれが私を怒らせる話になるのよ?」

佐天(うまく逃げましたね)

597: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 00:40:23.90 ID:zK9Mb0kM0
佐天「いや~実はここからが本題なんですけど……」

初春(佐天さん、お願いしますよ!)

佐天「きのうそれから……わからないなら、確かめてみようってことになりまして……」

美琴「え……?」

佐天「いや私たちは止めたんですけどね…白井さんがどうしてもって言うんで……」

初春「…………」

602: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 00:53:00.97 ID:zK9Mb0kM0
美琴「え…? どういうこと? 話が見えないんだけど?」

佐天「え~と…簡単に言うとですね、きのう私たち3人はずっと学校での御坂さんを観察してたんですよ」

美琴「え……あっ!」

美琴(そういえば…昨日学校で3人を見た。てっきり見間違いだ思ってたけど……)

佐天「あ、もしかして思い当るところありました? さすが御坂さんですね~感づかれてたとは」

佐天「でも、それならかえって話が早いですね。きのう私たちは御坂のことずっと見てたんですよ」ニコニコ

美琴「…………」

佐天「授業中や休憩時間……あ、もちろん昼休みもばっちり!」ニコニコ

美琴「…………」



初春(御坂さん…顔色悪い。それに凄い汗……)

初春(ていうか佐天さん。もう全然オブラートじゃないです)

610: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 00:57:39.62 ID:zK9Mb0kM0
佐天「あ、すいません。やっぱり怒ってますよね?」ニコニコ

美琴「……ぇ…ぃゃ……」

初春(声ちっさ!)

佐天「でも御坂さん、きのうの休憩時間はずっと机に突っ伏してましたよね~白井さんなんか心配してましたよ」ニコニコ

佐天「やっぱり体調悪かったんですか?」ニコニコ

初春(うわぁ…白々しいです……)

美琴「えぇ…そうね……きのうはちょっと……」

佐天「え? ちょっと何ですか?」ニコニコ

初春(そこつっこむんだ)

美琴「だから…その……体調が悪くて……」

619: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:05:01.05 ID:zK9Mb0kM0
佐天「へ~そうだったんですか~体調が悪かったんですか。へ~そうなんですか~」ニコニコ

美琴「…………」

佐天「ね~初春。御坂さん体調が悪かったんだって~」ニコニコ

初春「え…あぁそうですね。御坂さんは体調が悪かったんですよね」

初春(いちいち振ってもらわなくても聞こえてますけど)

初春(てゆうか佐天さん楽しんでないですか?)

624: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:12:51.96 ID:zK9Mb0kM0
佐天「お昼休みなんて大変でしたよね~」ニコニコ

佐天「だって一人でパンを買って、比較的人気のないトイレに入って50分も」ニコニコ

佐天「あっ、ごめんなさい! 私たち本当はこんなに趣味の悪いことするつもりじゃなかったんですけど…白井さんが……」

初春「…………」

佐天「でも一人でパンを買って、比較的人気のないトイレに入って50分ってちょっと長すぎますよね~? 何してたんですか?」ニコニコ

初春(悪意のある強調を感じます)

美琴「ぇ……そ、それは……」

佐天「あ、すいません。私ったら変なこときいちゃって」

佐天「だってトイレでやることなんて1つしかないですよね」ニコニコ

628: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:18:37.26 ID:zK9Mb0kM0
佐天「あ、でも御坂さんきのうトイレに買ったパン忘れませんでしたか? 出るとき持ってませんでしたよね?」ニコニコ

美琴「そ……それは……」

佐天「ね? 持ってなかったよね初春?」ニコニコ

初春「はい、持ってませんでしたね」

初春(いちいち私でワンクッション置く意味あるんでしょうか)

佐天「ね~確かに持ってなかったよね~! やっぱり忘れちゃったんですか?」ニコニコ

美琴「う…ぅん……」

佐天「そうですか~忘れちゃったんですか~」ニコニコ

632: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:25:09.28 ID:zK9Mb0kM0
佐天「それじゃお昼は食べなかったんですか?」ニコニコ

美琴「ま…まぁ」

佐天「そうですかぁ。それは災難でしたね」


佐天「あれ~? でもそれだとおかしいですね~」

美琴「え…?」

佐天「いや~御坂さんが出ていったあと、私たちそのトイレに入ったんですけどね」

美琴「っ――」ピクッ

佐天「いや、別に入ったのは何となくなんですけどね」

佐天「でも、そこに御坂さんの買ったパンらしきものはなかったんですよ!」


初春(佐天さん…カマをかけにいってますね)

636: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:32:22.86 ID:zK9Mb0kM0
佐天「これってどういうことだと思いますか?」

美琴「え…それは……」

佐天「だって御坂さんが置き忘れたはずのパンがどこにもないんですよ?」

美琴「そんなの……誰かが持って行ったのかも――」

佐天「いいえ! それはありません! 私たちが入ったのは御坂さんが出ていってすぐです。その間、他に誰も出入りしてません」

美琴「でも…たかがパンくらいでそんなに騒がなくても……」

佐天「それでもおかしいことはおかしいです! あっ! もしかしたら能力者の犯行かも」

美琴「え?」

佐天「だって能力者なら能力によってはパンを盗むことも可能じゃないですか!」

佐天「ね、初春!」

初春「そうですね、確かに能力によっては可能ですね」

640: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:37:11.09 ID:zK9Mb0kM0
美琴「でも……」

佐天「能力者の犯行とわかればこうしてはいられませんね!」

佐天「ここに白井さんも呼んで――いやジャッジメントに連絡して、じっくり、じ~くりこの件について話し合わないと!」

美琴「ちょ、ちょっと――」

佐天「初春、すぐに白井さんに連絡して!」

初春「はい!」

美琴「ちょ、ちょっと待ってよ!」

643: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:39:27.32 ID:zK9Mb0kM0
佐天「え? どうしたんですか?」

美琴「いや……なにもパンくらいでそんなにムキならなくてもいいじゃないかな」

佐天「いけません! 能力者の犯行である可能性がある以上、これは大きな事件の前兆かもしれません!」

美琴「そ、それは……」

佐天「ほら初春! 白井さんに連絡して!」

美琴「待って!」

646: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 01:41:41.84 ID:zK9Mb0kM0
佐天「なんですか御坂さん?」

美琴「いや……その……」

佐天「なにか言いたいことでもあるんですか?」ニヤニヤ

佐天「あっ、そういえばさっきもいいましたけど白井さんは御坂さんのこと体調不良だと思ってるみたいですよ。今のところは」ニヤニヤ

佐天「で、なんですか御坂さん? なにか言いたいことがあるんですよね?」ニヤニヤ

美琴「…………」

佐天「ないんですか。それなら初春、白井さんに連絡を――」

美琴「ま、待ってよ!」

佐天「もぅ、なんですか御坂さん?」ニヤニヤ

美琴「えぇ…と……」

佐天「あぁ、そういえば私と初春ってかなり口は堅い方なんですよ~って今関係なかったですね」ニヤニヤ

佐天「で? なんですか? なにか言いたいことがあるんですよね?」ニヤニヤ

美琴「…………」

754: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 23:52:52.49 ID:zK9Mb0kM0
美琴「…………」

佐天「まただんまりですか~御坂さん」ニヤニヤ

佐天「ほら~今ならここにいるのは私と初春だけですよ~」ニヤニヤ

美琴「…ぁ…あの……」

佐天「え? すいませんきこえません」ニヤニヤ

美琴「あの、これから言うこと……誰にも言わないでほしいんだけど……」

佐天「え~なんですか? あ、もちろん人に言ったりしませんよ。ね~初春!」

初春「は、はい。もちろんです」




初春(こんなやり方で大丈夫なんでしょうか……御坂さんもう泣きそうになってますけど……)

759: ◆jGz/6IPGo. 2010/02/28(日) 23:57:57.97 ID:zK9Mb0kM0
美琴「あ…あのね、パンは……盗まれたんじゃないの……」

佐天「え? そうなんですか!? でもなんでそんなことわかるんですか?」

美琴「そ…それは……私が食べたから……」

佐天「え? 御坂さんが食べた? それはありえないですよ」

佐天「だってトイレから出てきたときには、もうパンは持ってなかったじゃないですか。ね~初春」

初春「あ…はい、確かにそうですね」

佐天「ってことはおかしいじゃないですかぁ。一体どこで食べたっていうんですか?」ニヤニヤ

美琴「そ…それは……」




初春(佐天さんにやけすぎです)

764: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:04:58.57 ID:022q/OAO0
佐天「ん? どこで食べたんですかぁ?」ニヤニヤ

美琴「…うぅ……グスッ…ぅぅ……」

初春「み、御坂さん!」

美琴「さ、佐天さん……ホントは全部わかって……グスッ…」

初春「ごめんなさい、御坂さんもういいで――」

佐天「え~どこで食べたんですかぁ? 言ってくれなきゃわからないじゃないですかぁ? ね~初春」ニヤニヤ

初春「え……あ…はい」




初春(佐天さん、これはやりずぎじゃ……この後ちゃんと考えてあるんですか?)

770: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:10:39.63 ID:022q/OAO0
佐天「ほら、御坂さん! 言ってくれないとわかりませんよ」ニヤニヤ

美琴「ト、トイレで……」

佐天「え? なんですか? きこえません?」ニヤニヤ

美琴「ぅぅ……トイレで…グスッ……」

佐天「えー!? 御坂さんトイレでお昼食べてたんですかー!?」

美琴「さ、佐天さん声!」

佐天「あぁ、すいません。びっくりしちゃってつい」



初春(白々しい……)

771: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:14:13.80 ID:022q/OAO0
佐天「でもなんでわざわざトイレなんかで? 普通に教室で友達と食べればいいじゃないですかぁ」

初春(うわぁ……)

美琴「それは……」

佐天「それは~?」ニヤニヤ

美琴「わ…私……クラスに友達いないから……」

佐天「えー!? 御坂さんってクラスでハブられてたんですかー!?」

初春「さ、佐天さん! 声!」

佐天「あ~ごめんごめん」

美琴「……ぅぅ……グスッ…」



初春(佐天さん……もしかして性格悪くないですか)

778: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:17:56.05 ID:022q/OAO0
美琴「あの…2人とも……このこと…人には言わないでほしいんだけど…」

佐天「え? なんでですか? やっぱり知られると嫌だったりするもんなんですか?」ニヤニヤ

美琴「そ…それは……」

初春(佐天さんは鬼です)

美琴「…グスッ……お願い…」

佐天「ん~わかりました! 私たち友達ですからね! 約束します、誰にもいいません。ね~初春」

初春「は、はい」

美琴「…グスッ……ありがと」

782: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:21:38.43 ID:022q/OAO0
佐天「でもやっぱり私、友達としてこのまま御坂さんを放っておくことなんてできません!」

美琴「え?」

初春(あ、やっと話が本題に)

佐天「ですから、このままじゃまずいと思うんです」

美琴「でも……」

佐天「一緒にどうすればいいか考えましょうよ! 私たち友達じゃないですか!」

美琴「佐天さん……」



初春(あれ? もしかして御坂さん感動してます? これは結果オーライなんでしょうか……)

789: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:25:07.80 ID:022q/OAO0
佐天「あの~私思うんですけど、トイレじゃなくて教室で食べればいいんじゃないでしょうか?」

美琴「え、そんな……無理よ」

初春(それができないから困ってるんじゃ……)

佐天「でも、御坂さんって休憩時間も机に突っ伏してるし、昼休みはトイレに行くじゃないですか」

佐天「クラスメイトは御坂さんに話しかけたくても、話しかけるチャンスがないんですよ」

佐天「だから友達ができないんだと思うんです」


初春(それは因果関係が逆だと思うんですけど……)

792: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:27:40.00 ID:022q/OAO0
美琴「そんな…無理よ……みんなグループで仲良く食べてるのに…私だけ1人でなんて……グスッ……」

佐天「大丈夫ですよ! 必ず誰かが声をかけてくれますって!」

美琴「でも……」

佐天「御坂さんはいい人ですもん! 私たちはそれを知ってますから! ね、初春」

初春「は、はい! 御坂さんはすごく明るくて優しくていい人です!」

佐天「だから、もっと自信を…勇気を持ってください! きっと大丈夫ですから!」

美琴「佐天さん……初春さん……」

佐天「あした、まずは1日頑張ってみましょう、ね?」

美琴「ホントに……大丈夫かな?」

793: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/01(月) 00:30:28.17 ID:022q/OAO0
佐天「大丈夫ですって! ね、初春」

初春「はい! 御坂さんなら絶対大丈夫です!」

美琴「ホントにホント?」

初春「もちろんです!」

初春(って完全にノリで言っていまいました……)


美琴「……うん、わかった。とりあえず…あしただけ……頑張ってみるわ」

佐天「さすが御坂さん! 私たちもできることはなんでもしますからね!」



初春(いや、佐天さんなんにもしてないです! 完全に他力本願じゃないですか!)

初春(てゆうか佐天さんが考えてた作戦ってこれですか!? 本当に大丈夫なんですか?)

894: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:02:13.04 ID:devpGqhC0
翌日


初春「佐天さん、きのうはあんなこと言っちゃって大丈夫なんですか?」

佐天「まぁ大丈夫なんじゃない?」

初春「そんないい加減な……」

佐天「大丈夫だって! も~初春は心配性だな~」

初春「でも…教室で1人で食べろというのは少々酷じゃないでしょうか?」

佐天「う~ん、誰か1人くらい声掛けてくれる人がいるんじゃない?」

初春「結局人任せの運任せじゃないですか……」

898: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:04:21.42 ID:devpGqhC0
佐天「それで初春、きのう頼んでおいたことだけど――」

初春「あぁ、一応準備できてますよ。白井さんをそそのかしてなんとか」

佐天「さっすが初春! で、そのノートパソコンで見れるの?」

初春「はい、御坂さんの教室にカメラをしかけましたから。映像はリアルタイムで見れますよ」

佐天「そっか~さすがだね! これでいちいち常盤台まで行かなくてすむわけか」

初春「そうですね。御坂さんのためとはいえ、私たちも毎回学校サボるわけにはいきませんし」





初春(しかしこんな他力本願な作戦で本当に大丈夫なんでしょうか…………)


佐天「とりあえずお楽しみは昼休みか~、待ちどうしいな~」

901: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:06:30.50 ID:devpGqhC0
昼休み


佐天「ほら~初春! 早く早く! もう待ちくたびれてるんだから!」

初春「そんなに急かさないでくださいよ~」

佐天「だって~」

初春「はい、接続完了しました」

佐天「おぉ~映ってる映ってる! いいアングルじゃん」

初春「黒板の上に設置しましたからね。前からすみずみまで見渡せます」

初春「あ、生徒たちが席を立ちましたね。どうやらちょうど授業が終わったところのようです」

佐天「いいタイミングだったみたいね。――って御坂さんどこいくの?」

初春「きっとパンを買いに行ったんじゃないでしょうか?」

佐天「あぁ、そっか。じゃすぐ戻ってくるよね」




初春(戻ってくればいいんですけどね)

905: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:08:40.49 ID:devpGqhC0
佐天「でもさ~常盤台のお昼休みって初めて見たけどさ」

初春「なんですか?」

佐天「思ってたより私たちと変わらないね。もっとお上品なのかと思ってたけど」

初春「そうですね。常盤台でも普通に友達同士机くっつけてグループで食べたりするんですね」

佐天「ホント、むしろむこうの方が賑やかなかんじゃん。御坂さん大丈夫かな?」


初春(え? ここにきて弱気発言ですか……)

907: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:10:49.86 ID:devpGqhC0
美琴(と…とりあえずいつもどおりパン買ってきたけど……)

美琴(今日はこれを教室で食べるのよね……)

美琴(教室でお昼なんてもう長いことやってない……)

美琴(佐天さんは教室にいれば誰かが声をかけてくれるって言ってくれたけど……)

美琴(本当に大丈夫かな…………)


美琴(ええい! ウジウジするな美琴! そんなんじゃいつまでたっても変われない!)

美琴(きっと大丈夫!!)

910: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:12:58.85 ID:devpGqhC0
ガラッ


美琴は教室の扉を開けた




ワイワイガヤガヤ

ガラッ

ワイワイガヤガ……シーン


美琴(え…ちょ――なんでそんな急に静まり返るの!?)

美琴(てゆうか見過ぎ見過ぎ、なんでそんなに視線集まるのよ)

美琴(と……とりあえず席に着かないと…)


ザワザワヒソヒソ


美琴(か……帰りたい……)

913: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:15:08.03 ID:devpGqhC0
初春「あ、御坂さんが帰ってきました」


ワイワイガヤガヤ

ガラッ

ワイワイガヤガ……シーン


佐天「うわぁ……今明らかに空気変わったよ」

初春「ここまで空気が変わるのはやっぱり御坂さんだからなんでしょうか?」

佐天「そうなんじゃない? 友達はいなくても存在感はあるってことね」

初春「あ、御坂さん席に着きましたね」

917: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:17:17.00 ID:devpGqhC0
ザワザワヒソヒソ


初春「これは……一応沈黙は破られましたけど……」

佐天「明らかに陰口言ってるね。御坂さんのほうチラチラ見てるし」

初春「はい…何を言ってるかまではさすがに聞き取れませんが」

佐天「うわぁ……これはちょっと難しいかもな~」


初春(いや…だからそもそも無謀なんですって! あともう難しいとかいうレベルじゃないです)

918: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:19:26.11 ID:devpGqhC0
ザワザワヒソヒソ


美琴(みんな……私の方チラチラ見てる……なにか言ってる…)

美琴(ダメだ……顔上げられない……)

美琴(えっと……なにするんだっけ……そうだ、パン食べなきゃ)

美琴(そうすれば誰かが……)


パクパク モグモグ


美琴(誰かが……)

921: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:21:48.52 ID:devpGqhC0
初春「御坂さんパンを食べ始めましたね」

佐天「というかなんか異様だね……一人で黙々とパン食べてるのって。みんな机くっつけて食べてるのにさ。御坂さんだけだよ」

初春「そうですね……なんだか胸が痛くなってきました……」

佐天「う~ん、でも見た感じ御坂さんに声かけそうな人いないなぁ」

初春「そうですね」


初春(というか…未だに希望持ってたんですか……)

926: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:24:23.26 ID:devpGqhC0
ワイワイガヤガヤ

美琴「」パクパクモグモグ

ワイワイガヤガヤ

美琴「」パクパクモグモグ

ワイワイガヤガヤ

美琴「」パクパクモグモグ

ワイワイガヤガヤ



美琴(誰かが……きっと……)

933: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:27:48.75 ID:devpGqhC0
ワイワイガヤガヤ

美琴「」パクパクモグモグ

ワイワイガヤガヤ

美琴「」

ワイワイガヤガヤ

美琴「」

ワイワイガヤガヤ



美琴(食べ終わっちゃった……)

939: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:30:34.07 ID:devpGqhC0
佐天「なんかこれじゃ罰ゲームだね」

初春(佐天さんが考えたんじゃないですか……)

初春「そうですね……って御坂さん食べ終わっちゃったみたいですけど」

佐天「あ~そりゃ1人無言で食べてれば早く終わっちゃうよ」

初春「どうするんですか……?」

佐天「あちゃ~今回は失敗か~うまくいくと思ってたんだけどな~」

初春(思ってたんですか……)

佐天「このぶんだと、次はもうちょっと考えなくちゃね!」

初春(え? 次あるんですか?)

947: ◆jGz/6IPGo. 2010/03/03(水) 00:33:30.97 ID:devpGqhC0
ワイワイガヤガヤ

美琴「…………」

ワイワイガヤガヤ

美琴「…………」

ワイワイガヤガヤ

美琴「…………」

ワイワイガヤガヤ



美琴(……グスッ……佐天さんのうそつき…)



美琴の挑戦は続く  




第一部 完