4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 17:45:41.48 ID:DiM6In/80
たぬきち「どうする……返すアテがないだも……」

男主人公「たぬきちさーん、いますかー」

たぬきち「うわっと! ……男さんだなも?」

男「はい。ちょっと売りたい物があるんです」

たぬきち「今日はちょっと……何も買い取れないだなも」

男「えー、そんな! シーラーカンス大量に釣ってきたのに!」

引用元: たぬきち「借金してしまっただなも……」 


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 17:48:27.83 ID:DiM6In/80
たぬきち「勘弁してほしいだも。買い取ってもいいけど、大した値にはならないだなも」

男「えぇぇ……。朝から夜まで粘ったのに……」

たぬきち「そんな事言われても困るだも」

女主人公「たぬきちさーん! 大量に化石が手に入ったので売りに来ましたー!」

たぬきち「」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 17:51:18.55 ID:DiM6In/80
たぬきち「ふざけんな! こっちはそれどころじゃないだも!」

女「……たぬきちさん?」

男「何か知らんけど、かなり取り込んでるらしいよ」

女「そんな……カブリバさんすぐそこまで来てるのに。今手持ちがないんですよ」

男「お、今日はカブが安いのか」

女「うん! 私がこの村に来て以来、最安価だよ」

たぬきち「死ねだも」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 17:52:42.48 ID:DiM6In/80
男「しねって……」

女「酷いです……」

たぬきち「酷いのはどっちだなも! 破産させる気か!」

たぬきち「そうやってお前らが売りつけるせいで、俺は借金したんだ!」

男「……借金?」

女「借金したんですか?」


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 17:58:11.47 ID:DiM6In/80
男「ここら辺は、良心的な金貸しが多いらしいですけど……」

女「どこに借りたんですか?」

たぬきち「そういうの、よく分からないから、
とりあえず帝愛グループってトコに借りたんだも」

 ざわ……
   ざわ…

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 17:55:42.14 ID:MhO2hxL5O
増築費は?ぼってそうだけど


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:00:36.80 ID:DiM6In/80
>>11

たぬきち「お前らの家はもう完全体で増築のしようがないし……」

たぬきち「そもそも増築費、お前らが売りつけてくる物品のせいで、
一瞬で消し飛んじまったし……」

たぬきち「悪い事尽くしだクソ野郎!」

男「ま、まあまあ……頑張りましょうよ」

女「そうですよ、頑張りましょう!」

たぬきち「おめーらに言われたくねぇよチクショウ!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:02:43.19 ID:DiM6In/80
男「俺らでよかったら、何でも言って下さい。聞くだけ聞きます」

女「うんうん、何でも言ってくださいね。場合によっては聞いてあげますよ」

たぬきち「……」

男「んじゃ帰ります」

女「頑張れー」

たぬきち「協力する気ゼロか!」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:05:31.46 ID:DiM6In/80
 外

男「なぁ、俺んちでファミコンやんね?」

女「あっ、やりたいやりたい! 私さ、ゼルダの伝説持ってないんだ」

男「二階はゲーム部屋だからな、全種類揃ってんぞ」

女「すごい! 早く行こう!」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:06:40.63 ID:DiM6In/80
たぬきち「どう……すれば……」

たぬきち「このままだと……借金取りが店まで押しかけてくるかもだなも……」

たぬきち「……」

たぬきち「……こうなったら……」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:08:19.12 ID:DiM6In/80
男「おおう、初心者なのに上手いなお前」

女「体力が満タンじゃないとビーム出ないんだね」

男「ああ」

男「……ん、外の掲示板の前に誰か立ってる……」

男「……」

男「あれ、たぬきちさんじゃん」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:11:29.18 ID:DiM6In/80
女「男君、どこ行くの?」

男「いや、ちょっと掲示板見てくる」

女「うん、行ってらっしゃい」

 掲示板 前

男「えーっと、何々……」

『一丁目五番地たぬきちの店の裏にて、お金を全額持って来てください。
なんと、私はお金を何倍にも増やす裏ワザを見つけました。
先着一名のみです。どうですか、私と一緒に、億万長者になりませんか』

男「……」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:15:46.54 ID:DiM6In/80
男「……釣られる奴なんているのかな?」

男「まあいいや。見に行ってみよう」

 たぬきちの店 裏

たぬきち「……よく来ただなも」

シドニー「あぅ……え、えと……たぬきちさんだったんですね……」

たぬきち「うむ。……お前は素晴らしいだも。よくぞ疑わずに来た」

たぬきち「全財産、持ってきただも?」

シドニー「はい……ここに……」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:20:12.24 ID:DiM6In/80
たぬきち(すごい! 何百万……いや、何千万ベル……だも!?)

たぬきち「この金……どうしたんだも?」

シドニー「実家のお母さんが……重い病気にかかってるんです……」

シドニー「だから、どうしてもお金が必要なんです。
たとえ、誉められるような事じゃなくても、お金が必要なんです!」

男(……シドニーにそんな複雑な事情が……)

男(それにしても、あんな書き込み、信じるバカはいないだろうと思ったけど……。
シドニーは疑う事を知らない性格だからな……)

男(……しかし、たぬきちさんはどうする気だ……?)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:21:36.79 ID:DiM6In/80
たぬきち「そうか、そうか。大丈夫、すぐに楽になるだも」

シドニー「本当ですか……?」

たぬきち「信じるだも。全て消し飛んじまうからな」

シドニー「……へ? けしとぶ……?」

男(!? 何をする気だ!)

たぬきち「くらえぃッ!」ズバッ

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:24:18.59 ID:DiM6In/80
シドニー「かはっ……!」

たぬきち「くっくっく……しばらく大人しくしてもらおうか」

男(あいつッ……! 金を奪って逃げる気か!)

男「おい、たぬきちさん!」

たぬきち「! しまった……」

男「シドニーから離れろ!」

たぬきち「……ふふふ、そういう訳にはいかないだも」

たぬきち「見ろ、この大金。お前も欲しいだも?」

男「てめぇ……!」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:26:37.18 ID:DiM6In/80
男「たぬきちさん、いつからそんな風になっちまったんだよ!」

男「俺に家を売ってくれた時のッ……優しいたぬきちさんはどこに行っちまったんだ!」

たぬきち「おめーらが色々売りまくったからだろが!!」

男「なッ……」

たぬきち「お前と、あのクソ女が来るまではなァ……こっちも平和だったんだも!」

たぬきち「たぬきち商店、コンビニ、スーパー、着々と店の改良をしていたッ……」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:27:28.83 ID:AiPyto3gO
何故買い取ったものを売り出さない

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:31:02.42 ID:DiM6In/80
>>28

たぬきち「だがな……スーパーになった時、お前が引っ越してきた!」

たぬきち「お前はシーラカンスやらオオクワガタやらカブやら……
とにかく色々売りつけてきやがった!」

男「……その買い取ったものは売らなかったのか?」

たぬきち「売ったわ!」

たぬきち「その金は、パチンコと麻雀と酒と女で消し飛んだわ!」

男「じゃあ自業自得じゃねーか!」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:33:39.52 ID:DiM6In/80
たぬきち「今や俺の借金は……120万ベルだなも!」

男「え」

シドニー「え」

男「……大した事なくね?」

男「シドニーの金全部奪ったら……おつりの方がデカいじゃねーか!」

たぬきち「ああそうだよ! 何か問題でも!?」

男「開き直ってんじゃねーよ!」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:39:08.55 ID:DiM6In/80
男「最低だお前、いますぐ交番に連れてってやるよッ……!」

たぬきち「やれるものならやってみな。私の戦闘力は120万です」

男「借金の額だろそれは!」

男「この野郎縛り上げてやる!」ザッ

たぬきち「おっと、これ以上近寄ったら、このコアラを川に落とす!」

シドニー「ひやぁあっ! やめてくださいっ!」

男「クズが……!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:42:25.26 ID:DiM6In/80
男「……」

たぬきち「……」

男「……」

たぬきち「……」

たぬきち「どうした……? 怖気づいて、一歩も動けないだも?」

男「バカ……ちげぇよ」

男「あの書き込み……村の連中が見たら、飛んでくるだろう? 俺やシドニーのように」

男「複数人なら問題ねぇ。シドニーを助ける側と、お前を捕らえる側に分かれる」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:45:48.15 ID:DiM6In/80
たぬきち「くッ……くははははは!! 真のバカが目の前にいるだも!!」

男「何だと?」

たぬきち「俺が一人だと思ったのか?」

男「なッ……」

住人A「へへ……もちろん分け前はもらうぜ、たぬきちさんよ」

住人B「男よ、恨みはないが……いやあの時はよくも落とし穴にハメてくれたな!」

住人C「俺が必死に育ててた金のスコップが実る木……スコップだけ盗んで切り倒しやがって!」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:47:55.60 ID:DiM6In/80
男「くそッ!」

たぬきち「バァカァメェ! こんな事もあろうかと、金で雇った住人がいるだも!」

たぬきち「おいお前ら! 安心しろ! ここにウン千万ベルあるだも!」

住人達「オォー!!」

たぬきち「金を回収し終えたら、男を土に埋めろ! コアラは川に流す!」

住人達「オォー!!」

シドニー「やだぁあぁ……」ポロポロ

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:50:28.44 ID:DiM6In/80
たぬきち「覚悟はいいな……?」

男「……」

シドニー「いやだよぉぉ……」エグエグ

住人A「シドニーちゃんは、川に流す前に頂いちまおうぜ」

住人B「いいねぇ」

住人C「どうよたぬきちさん」

たぬきち「ふッ……勝手にするだも」

住人達「オォー!!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:53:48.80 ID:DiM6In/80
男(こっちにも……一応手はある……が……)

たぬきち「さぁて、まずはクソの役にも立たない男を始末するだも」

男(あいつが……間に合ってくれるかどうか……)

たぬきち「お前ら、可愛がってやるだも」

住人C「おうよ!」

住人C「死ねィ!」ズバッ

男「くそっ……」バキッ

男(動きが速い……まともに攻撃を受けてたら身がもたねぇッ……)

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:55:41.93 ID:DiM6In/80
住人B「おらァ!」ズドッ

男「か、はッ……!」ヨロッ

住人A「んらァ!」ズシッ

男「ぐァっ……!」バタリ

たぬきち「……口ほどにもないだも」

シドニー「男さぁん……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 18:57:41.50 ID:DiM6In/80
シドニー「そんな……いっつも……私の前で……笑ってくれて……」

シドニー「私の欲しいものを必ず持っていて……私……ちょっとしか
お金出せないのに……それを譲ってくれて……男さん……」

シドニー「やだよっ……男さん! 死んじゃやだよぉぉ!!」

たぬきち「黙れガキが……」

シドニー「ひッ」

たぬきち「お前もすぐこうなる……同情している場合じゃねぇんだよ……」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:02:51.16 ID:DiM6In/80
住人A「よぉし、服脱がせろ」

住人B「げへへ」

住人C「悪いねぇシドニーちゃん」

シドニー「いやっ……やめてぇっ……」

警察「そこまでだ」

住人達「あ゛!?」

たぬきち「なにッ」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:04:52.83 ID:DiM6In/80
警察「せぇい!」ズドドド

住人A「ぐぁ」バタリ

住人B「げひ」バタリ

住人C「バカなっ……」バタリ

たぬきち「あ……あ……」

男「……けっ、おせぇよ、女」

女「ごめーん♪」

たぬきち「な、なにィ!?」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:07:32.12 ID:DiM6In/80
男「ファミコンやってるせいで、気づくのが遅かったな」

女「本当にごめんって。すぐ追いかけるつもりだったんだって」

女「でも、警察も呼びに行ってたら遅くなっちゃって……」

たぬきち「ぐっ……ぐぞぉっ……!」

男「チェックメイトだ、たぬきちさん」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:08:46.03 ID:DiM6In/80
たぬきち「……ク……俺は……どうすれば……」

警察「逮捕だ」

男「待て」

警察「ん?」

男「こいつは俺が預かる」

警察「は?」

女「え?」

シドニー「……?」

たぬきち「なん……だと……?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:13:24.12 ID:DiM6In/80
男「お前、金が欲しいんだろ?」

たぬきち「あ、ああ……」

男「知り合いがいる。お前が言っていた帝愛という会社の者だが」

たぬきち「……?」

警察「……おい、キミ」

男「大丈夫です。彼は死なない器です」

女「……やらせる気なんだね」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:19:39.09 ID:DiM6In/80
たぬきち「……何の話をしている、だも?」

男「……」

男「女、今、彼に連絡はつくか?」

女「ちょっと待って」

女「…………はい、私です。……今から、来て頂けます?」

女「……はい、はい。裏です。例の……はい」

女「では、お待ちしています」ピッ

女「オッケーだよ」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:28:22.12 ID:DiM6In/80
たぬきち「だ、誰に連絡してただも?」

男「さっきも言っただろう。帝愛の関係者だ」

たぬきち「何をする気だも……」

男「一攫千金のチャンスを与えるんだよ、お前にな」

たぬきち「な、何故……さっきまで、俺はお前に酷い事を……」

男「……」

男「何故だろうな」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:30:45.77 ID:DiM6In/80
遠藤「やあ、キミがたぬきち君か」

たぬきち「誰だも!」

遠藤「……キミが借りた会社(トコ)の社長だよ。遠藤金融って名前、聞き覚えあるだろ」

たぬきち「!」

遠藤「金に困っているらしいな。いいギャンブルを紹介しよう」

たぬきち「……」

たぬきち「お、お願いするだも……」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:33:12.52 ID:DiM6In/80
遠藤「すぐそこの海岸に、船が来ている。名は、エスポワール」

遠藤「そこで一晩ギャンブルをするんだ」

たぬきち「……」

遠藤「ああ、ちなみに、金は持っていかなくていい」

遠藤「電子機器とか、そういう類の物も絶対に持ち込み禁止だ」

たぬきち「……」

遠藤「上手く行けば、借金チャラの上、一千万、二千万稼ぐ事も可能だ」

たぬきち「やらせてもらうだも!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:35:42.76 ID:DiM6In/80
シドニー「あ、あの……」

遠藤「ん?」

シドニー「私も参加させてください!」

女「えっ」

男「ちょっ……おいおい、やめとけシドニー!」

男「お前には、こんなにたくさん金があるじゃないか」

シドニー「男さん、さっきも言いましたけど……私にはお金が必要なんです!」

シドニー「お母さんの為に……お金がたくさん必要なんです! これじゃ足りないんです!」

男「……」

男「……分かったよ」

女「男君!」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:37:31.13 ID:DiM6In/80
女「ダメだよっ、シドニーちゃんまで巻き込んじゃ……」

男「……今の話、聞いてただろ?」

男「恐らく、シドニーには、あまり時間がない。
だからこそ、たぬきちのデマ書き込みに釣られちまったんだよ」

男「……いざとなりゃ、俺が助ける」

女「……男君……」

女「うん、分かったよ。……シドニーちゃん、頑張ってね!」

シドニー「はい!」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:39:18.32 ID:DiM6In/80
たぬきち「……」

シドニー「……」

たぬきち「さっきは……すまんかっただも」

シドニー「いいんです。たぬきちさんの気持ち、今なら分かります」

シドニー「お金が絡むと……生物は、見境をなくしてしまうんです」

たぬきち「シドニー……」

シドニー「……入りましょう」

たぬきち「ああ……」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:43:06.29 ID:DiM6In/80
黒服「……怪しい物は身に着けていないな」

黒服「いいぞ、入れ」

 エスポワール 船内

 ざわざわ ざわざわ

たぬきち「どいつもこいつも……クズって顔してやがるだなも……」

シドニー「たぬきちさんが言える事じゃないですよ……」

利根川「皆様、お静かに」

たぬきち・シドニー「!」

利根川「私、今宵皆様のギャンブルのお手伝いをさせて頂きます、利根川と申します」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:47:48.95 ID:DiM6In/80
『ギャンブル・限定ジャンケン』の説明

最初に金を100万~1000万を借りる

☆を三つ手にする

グーチョキパー四枚ずつ、計十二枚のカードを使って、ジャンケンする

勝った者は、負けた者から賭けた分の☆をもらえる

四時間経過後、☆を三つ以上手にしていたら勝ち


詳しくはカイジ見てください

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:50:03.57 ID:DiM6In/80
利根川「以上で説明を終わります」

たぬきち「なに!?」

たぬきち「利根川さん! 負けた時の処遇について教えてだも!」

利根川「質問には、一切お答え出来ません」

たぬきち「ふざけんなジジイ! 説明しろシバくぞオラァ!!」

利根川「xxxx YOU! ぶち殺すぞっ……!」

たぬきち「!?」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:51:45.58 ID:DiM6In/80
 
説明補足

カードを使い切らないと失格

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:53:08.78 ID:DiM6In/80
利根川「この狸が! 引っ込んでろ!」

 (説教省略)

たぬきち「うう……」グスッ

シドニー「たぬきちさん、元気出して……」

シドニー「ほ、ほら、ゲーム始まりますよ!」

たぬきち「うん……」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:55:04.23 ID:DiM6In/80
シドニー「え、えと、どうしましょうか?」

たぬきち「……」

たぬきち「別行動にするだも」

シドニー「へ?」

たぬきち「じゃあな」サササッ

シドニー「ちょ、ちょっとたぬきちさん!」

たぬきち(絶対シドニーは俺の事恨んでるだも)

たぬきち(十二回連続であいこにすればいいんですよ! とか言い出して
十回目とかそんくらいに絶対裏切るだなも)

たぬきち(……ん? 待て……それ滅茶苦茶良いアイデアだも!)

たぬきち(俺って天才だも!)

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:57:36.29 ID:DiM6In/80
住人D「なぁオイ」

シドニー「はい?」

住人D「勝負しろや」

シドニー「うう、怖いですけど……頑張りますね」

……
……
……

住人D「があああああ!! 三連敗だああああああ!!」

黒服「ご退場願います」

住人D「どこ連れてく気だ!? うわあああやめろおおおおおお」

シドニー「あ、わ……わ……」ガクブル

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 19:59:07.03 ID:DiM6In/80
シドニー……借りたお金 100万ベル ☆6個

たぬきち……借りたお金 100万ベル ☆3個


たぬきち「へい、そこの彼女」

住人E「ハイ?」

たぬきち「俺と組まないだも?」

住人E「え……」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:01:01.11 ID:DiM6In/80
たぬきち「」あいこでカード潰しの説明中

住人E「……す、凄いですね! やりますやります!」

たぬきち「だもだも、じゃあ、グーチョキパーの順番だなも」

住人E「はい!」

たぬきち「チェック、セット、オープン」

住人E「あいこですねっ!」

たぬきち「だもだも」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:03:30.75 ID:DiM6In/80
たぬきち「チェック、セット、オープン」十回目

住人E「あ」

たぬきち「え?」

住人E「ご、ごめんなさい! 間違えちゃいました!」

たぬきち「え、あ、いや、大丈夫だも。次、キミがグーを出せばいいだも」

住人E「はいっ……、でも、黒服さんが見てるので、形だけ☆を下さい……」

たぬきち「ああ、構わないだも」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:05:35.53 ID:DiM6In/80
住人E「じゃあ、行きますね」

たぬきち「だもだも」

住人E「チェック、セット、オープン!」

たぬきち「え」

住人E「……」ニヤリ

たぬきち「え……俺……パーで……キミ……え……チョキ……」

住人E「えへへ」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:06:59.81 ID:DiM6In/80
住人E「☆二個、ごちそーさまでした♪」

たぬきち「あぇ? あぁ?」

住人E「さよならー♪」









たぬきち「騙された……?」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:08:53.70 ID:DiM6In/80
たぬきち「……」フラフラ

シドニー「あ、たぬきちさんだ!」

シドニー「どうですかたぬきちさん? 私、後カード二枚で、☆が十三個なんですよ!」

たぬきち「……え……?」

シドニー「たぬきちさんは……、……、……、ご、ごめんなさい」

たぬきち「☆一個で……カード……一枚……」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:10:52.91 ID:DiM6In/80
たぬきち「……くれないか……?」

シドニー「え……?」

たぬきち「☆……くれないか……?」

シドニー「え? えっと……いいですよ。
これだけあれば、多少負けても変わりありませんので……」

たぬきち「やっふー!!」

男「やめろ」

たぬきち「!?」

シドニー「お、男さん!?」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:13:09.76 ID:DiM6In/80
男「☆は、ゲーム終了後、余った分だけ帝愛が買い取ってくれる」

男「一個でウン百万だ。シドニー、お前のお母さんを助けられる額に達する」

シドニー「……!」

男「お人好しも、度が過ぎると自分を追い詰める事になるぞ」

男「……それにしても、シドニー、お前全勝してんだな……」

シドニー「はい、何か勝っちゃいました」

男「運良すぎだろ……」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:15:50.72 ID:DiM6In/80
シドニー「男さんは大丈夫なんですか?」

男「まあね。女とあいこで潰し合って、カードは使い切ったから」

シドニー「女さんも来てるんですか!」

男「ああ。俺より先に、上の階へ行ったよ。上は、勝者の娯楽場になっている」

男「酒、ジュースが飲み放題だぞ」

シドニー「わぁ! 私も早くカード使っちゃいます!」

たぬきち「……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:18:39.78 ID:DiM6In/80
住人F「勝負しろ!」

シドニー「あ、はーい! ……すみません、行ってきますね!」タッタッタ

男「……」

男「あいつ、イベントゲームか何かと勘違いしてないか?」

たぬきち「……」

男「てか、お前はどうなの」

たぬきち「……」

男「……カード一枚、☆一個」

男「……まあ、ドンマイ」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:23:27.12 ID:DiM6In/80
たぬきち「もう終わりだなも……」

男「諦めんなよ」

たぬきち「そんな事……慰めにもならない言葉……」

シドニー「男さーん! 勝ちました! 一緒に上に行きましょうよ!」

男「……」

男「いや、先に行ってくれ。俺は、こいつを助ける」

シドニー「え、そうですか? 分かりました、待ってますね!」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:26:22.02 ID:DiM6In/80
たぬきち「何故……」

男「あ?」

たぬきち「何故俺を……助けようとするだも?」

男「何の話だ」

男「……それより、ほら」

たぬきち「……え?」

男「さっき、カードを持て余していた奴から、一枚貰ってきた」

男「二枚あれば、運さえ良ければ三つまで達する事が出来るだろ」

たぬきち「お前……」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:30:41.19 ID:DiM6In/80
男「……俺と一戦するか?」

たぬきち「は?」

男「実は、女とあいこで潰し合ったっつったけど、実は最後、カードを貰ったんだ」

男「カードを持て余していた奴から貰った一枚、女から貰った一枚、俺が余した一枚」

男「その中の一枚を俺は使い、☆を四つにした」

男「そして、残った二枚の片方を、お前にやった」

たぬきち「何をバカな……。俺のカードが何か、分かってるだろ?」

男「バカはお前だ。だってお前、既に一枚持ってたじゃねぇか。それ使えばいいだろ」

たぬきち「あ……」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:32:00.07 ID:DiM6In/80
たぬきち「じゃ、じゃあ行くだも!」

男「おうよ」

たぬきち「チェック」

男「セット」

たぬきち・男「オープン!!」

男「……」

たぬきち「……あ」

男「あーあ、残念だなたぬきち」

たぬきち「……ま……け……た」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:35:46.56 ID:DiM6In/80
男「☆ゲット♪」

たぬきち「あ……あ……」

男「なぁ、この勝負、最初から勝敗決まってたんだぜ?」

たぬきち「……え……?」

男「一番最初に、お前があいこの話を持ちかけた女がいただろ」

男「あいつは、俺の仲間だ。本当は奴からお前にあいこの話を持ちかける
予定だったが、まさかお前から来てくれるとは思わなかったよ」

たぬきち「なッ……」

男「あいこ潰しを思いついたお前が、見事に騙されるのも計算外だったが、
まあ好都合だ。その後、彼女からお前の手に残ったカードの種類を聞いた」

男「……後は、分かるな?」

たぬきち「あぁああ……」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:38:20.27 ID:DiM6In/80
男「ちなみに、カードを持て余してた奴ってのも、お前と戦った女だ」

男「カードを持て余してるってのは、当然だよな。
お前との一戦で、カードが一枚残ってしまったんだから」

たぬきち「何故そうまでして……俺を……!」

男「あ?」

男「俺を殺そうとし……シドニーの金を奪い、やはり殺そうとしただろ……?」

男「謝罪の一つもなしに、金を稼いで社会復帰するなんて事……見逃すと思うか?」

たぬきち「お、俺は謝っただも! シドニーに謝っただも!」

男「俺は聞いてねぇから、知らねぇな」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:43:57.60 ID:DiM6In/80
男「じゃあな、たぬきち。☆ゼロ個。お前の人生ゲームセットって事で」

たぬきち「貴様っ……! 殺すっ……!」バッ

男「うおっ」

黒服「こら何してるそこの狸!」

たぬきち「ぐわっ! 離せ! 離せぇえぇええ!!」

男「……当然の報いだ」

黒服「貴様、☆ゼロ個か。来てもらおう」

たぬきち「うがあああああああ!!」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:47:48.53 ID:DiM6In/80
シドニー「あ、男さんだ」

女「やっほー♪ たぬきちさんどうだった?」

男「……」

男「協力はしてやったが……ダメだったよ」

女「……そっか」

シドニー「負けた人……どうなっちゃうんですか?」

男「ああ、地下王国って所に連れて行かれる」

男「借金の分だけ働かされるんだ」

男「……まあ、問題ないと思うがな。
ここで借りた金、元からあった借金合わせて、奴の払うべき金は200万ちょいだ」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:50:32.07 ID:DiM6In/80
たぬきち「……」

たぬきち「……ここは、どこだも?」

岡林「別室だよ」

たぬきち「……!?」

岡林「こっちに来るかい?」

たぬきち「……」テクテク

岡林「どうやら、負けちまったようだね」

たぬきち「……ああ」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:52:58.86 ID:DiM6In/80
岡林「まあ、俺は大丈夫なんだがな」

たぬきち「あ……?」

岡林「見ろ、この金。実は、この別室から救出される展開もありえるんだぜ」

たぬきち「ど、どういう事だも!?」

岡林「☆三つ分、誰かが提供してくれたら、ここから出る事が出来る」

岡林「まあ、その救う人間に☆三つ分以上の価値があればの話だがな」

たぬきち「……それが、その金という訳だも?」

岡林「ああ」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:57:36.90 ID:DiM6In/80
たぬきち(……こいつの持ってる金は……多く見積もっても数百万ベルだも)

たぬきち(……☆一つ……そんなに価値が低いものだも?)

たぬきち(俺には……そうは思えないだも)

岡林「……ま、足りない場合は、金を宝石にでも代えて、持って別室に落ちる事だな」

岡林「今更言っても遅いだろうがな……はっはっは!」

たぬきち「……!」

たぬきち(こいつの背中……絆創膏が……! まさか、その中に足りない分の宝石……!?)

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 20:59:00.64 ID:DiM6In/80
岡林「そろそろ、ゲーム終了の時間だ」

岡林「じゃあな、あばよ」

たぬきち「……」

たぬきち「おらぁ!」バキッ

岡林「うぎゃああ!」

たぬきち「おらっ! おらっ!」ドガッ バギッ

岡林「うがああああ!」

黒服「何やってんだ狸!」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:02:24.98 ID:DiM6In/80
黒服「やめろっ! このっ!」ドガッ

たぬきち「くゥ!」

岡林「この野郎ッ……いくら妬ましいからって……ふざけやがって!」

黒服「もういい! お前はさっさと出ろ!」

岡林「ちぇッ! 死に晒せ狸ぃぃ!」テクテク

たぬきち「……」

たぬきち「ククク……」

黒服「!?」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:04:38.48 ID:DiM6In/80
たぬきち「気づかれなかった……な……バカな奴だなも……」

黒服「何を言っている……?」

たぬきち「……奴の持っていた宝石は……俺の口の中にある!」

黒服「!? 何だと……」

 別室の外

岡林「よぉ」

仲間「クク、宝石はどこだ?」

岡林「ああ、ここにあr……あァ!?」

仲間「ないぞ!?」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:06:44.90 ID:DiM6In/80
岡林「あの狸ッ!」

たぬきち「今更気づいても遅いだも……」

たぬきち「さあ、助けるだも! この宝石に、俺を助けるだけの
価値があるのなら……助けるだもッ!!」

仲間「くゥ!」

仲間「し、仕方ねぇっ……!」

 たぬきちが盗み取った宝石には二千万ベルの価値があった……!

たぬきち「奇跡の復活だも」

岡林・仲間「ちくしょおおおおお」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:08:10.36 ID:DiM6In/80
男「ふぅ……」

女「可哀想だね……たぬきちさん……」

男「まあ、仕方ねぇよ」

シドニー「うう……」

たぬきち「また会えて嬉しいだなも」

男「あ……!? ……!!?」

女「た……たぬきちさん!?」

シドニー「大丈夫だったんですか!?」

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:14:33.87 ID:DiM6In/80
男「チッ……どうやって出てきやがった……?」

女「男君、どうしたの?」

男「……何でもない」

シドニー「無事で良かったです!」

たぬきち「辛勝だっただなも」

男「……」

男「帰るぞ」

女「え? うん」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:16:21.49 ID:DiM6In/80
 どうぶつの森

シドニー「ありがとうございました……これでお母さんの病気を治せます」

男「ああ、気にするな」

シドニー「いえ、いつか絶対に、この恩を返します」

シドニー「本当に、ありがとうございました!」

男「……」

男「気をつけて行けよ」

シドニー「はいっ」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:20:50.11 ID:DiM6In/80
たぬきち「いらっしゃいだも」

男「……デパートになりやがったのか」

たぬきち「おかげさまで、だなも」

男「それはそうと、今日はシーラカンス大量に釣ってきた」

たぬきち「お前にやる金はないだも!」

女「たぬきちさーん! オオクワ大量に採ってきたよ!」

たぬきち「はいはい何匹だなも?」

男「……」

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:24:55.76 ID:DiM6In/80
 

 外

男「……旅に出ようかな」

女「え?」

男「いや、この村は捨てかな、って思って」

女「あ、それなら私も行きたいな」

男「すまねぇな、付き合せちまって」

女「いいんだよー」

男「さて、何持ってくかな……。ファミコンは全部持って行くぞ」

女「私はお花の種だけで十分かな」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:32:09.03 ID:DiM6In/80
男「次の村のたぬきちは……まともな奴だといいねぇ」

女「そうだねー」

男「物品を売る事が出来なくなるバグが発生するとは思わなかった」

女「おかげで、増築費用をまた捻り出さなくちゃいけなくなったよぅ」

男「まあ、いいんじゃないの。最初から一人暮らし始めるのも」

女「うん♪」

女「いっその事、二人暮らしする?」

男「バカ」

 
143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:37:46.64 ID:DiM6In/80
駅員「たぬきち村ー、たぬきち村ー」

男「……何か凄い村に着いちまったみたいだが」

女「名前だけだよ、きっと」

男「嫌な予感するんだけど……まあ、行くか」

たぬきち「あなた達が男さんと女さんだなも?」

男「……」

女「はい」

たぬきち「案内するだも! こっちだも!」

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:39:15.48 ID:DiM6In/80
男「」

女「」

たぬきち「どうしただなも?」

男「……住人……皆……たぬきちなんだが」

たぬきち「たぬきち村だからだも」

女「……木に実ってるフルーツも……たぬきちさんの頭なんだけど……」

たぬきち「たぬきち村だからだも」

男「……」

女「……」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:40:49.98 ID:DiM6In/80
たぬきち「さぁ、こっちに僕の店があるだも!」

男「何だこの村……」

女「あ、はは……ちょっと面白いかもね」

男「どこがだ。気持ち悪いぞ」

女「……あ、お店見えてきたよ」

男「ん」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:42:09.41 ID:DiM6In/80
男「……あ、まだ初期のボロ店なんだ」

女「ホントだ」

男「……」

女「……」

男「……ぷぷっ」

女「あはは」

男「……久しぶりに、心の底から面白いと感じたわ」

女「あはははは」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:43:59.26 ID:DiM6In/80
たぬきち「さぁ、入って入って、だも」

シドニー「あ! 男さん、女さん!」

男「おわ、シドニー!」

女「しかも、私達の事知ってる……!」

女「本当にシドニーさんなんだね!」

シドニー「? 何言ってるんですか」

男「母さんはどうした?」

シドニー「おかげさまで、すっかり良くなりました!」

男「ああ、良かった……」

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:51:06.97 ID:DiM6In/80
たぬきち「うるさいだなも! これから、家の代金払ってもらうだも!」

男・女「千ベルしかないです」

たぬきち「な、な、なんだってー!? じゃあバイトだなも! バイトして稼ぐだなも!」

たぬきち「ほら、この作業着に着替えてくるだも!」

男・女「はぁーい」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:55:01.80 ID:DiM6In/80
男「……この後、どうせ花の種を渡されるんだろ?」

女「もらっちゃおー♪」

男「セコいなお前……」

女「え? いつも貰ってるよ?」

男「たぬきち可哀想」

女「キミが言える事じゃないでしょ♪」

男「もっともだ」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 21:57:05.74 ID:DiM6In/80
男「着替えましたー」

女「男君の前で着替えましたー」

シドニー「なっ……」////

たぬきち「じゃあ、これを渡すだも」

男「え」

女「え」

たぬきち「え?」

男「何……これ」

たぬきち「地雷」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:00:04.70 ID:DiM6In/80
男「何で地雷を埋めるの……」

たぬきち「この村はね、誰が一番のたぬきちとなるか、戦争をしているんだも」

女「えええええ」

シドニー「えええええ」

たぬきち「今日、この店で和平会議があるんだなも」

たぬきち「そこで、争っていたたぬきちがやってくるだも……」

たぬきち「店の前に地雷を仕掛け、全員吹っ飛ばしてやるんだなも」

163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:02:31.63 ID:DiM6In/80
男「この村こええええええ! お前もこええええええ!」

たぬきち「名誉を守る為だも。分かってほしいだなも」

男「つーか自分でやれよ! バイドがやる仕事じゃねぇよこれ!」

たぬきち「いやだって地雷とか危ないし」

男「俺達の人権は!?」

たぬきち「……人権……? って……何だなも?」

男「……」

男「やっぱ何でもない」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:04:48.16 ID:DiM6In/80
女「……まあ、とりあえず埋めようよ、地雷」

男「何言ってんのお前!」

女「だって、私達バイトだよ?」

男「バイトだから地雷埋めるの!?」

女「う、うん」

男「危ねぇ考え方してんなお前! 死ぬかも知れねぇぞ!」

女「そ、そうかな?」

男「そうだよ!」

165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:06:05.11 ID:DiM6In/80
シドニー「わ、私は……引っ越そうかな……」

男「よくここに住んでられたなお前も!」

シドニー「戦争の事……知らなくて」

シドニー「夜中に聞こえる爆音は、地雷の音だったのかな」

男「ええええええ」

女「ええええええ」

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:10:32.41 ID:DiM6In/80
男「引っ越せ、今すぐ引っ越せ」

男「もちろん家には帰るな。駅に直行しろ」

シドニー「は、はい」

シドニー「じゃあ、失礼しますね」タッタッタ

男「……」

女「……」

 ドガガアアアアアアアアアン

男「え……今何か爆発しなかった?」

女「……した、かも」

 

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:13:52.94 ID:DiM6In/80
女「たぬきちさん、今爆発音聞こえた……よね?」

たぬきち「え? 何?」

女「……何でもない」

男「シドニー……逝っちまったか」

女「えええぇぇ……」グスッ

男「俺達もさっさと出よう」

女「で、でも……地雷が……」アワアワ

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:16:10.26 ID:DiM6In/80
男「たぬきちさん、地雷がない道を通って帰りたいんですけど」

たぬきち「はぁ? 何をバカな事を言っているだも?」

たぬきち「帰らせるなんて許さないだなも」

男「あ……?」

女「……こ、こわい……」ガクブル

男「……」

男「いや、俺は覚えているぞ。ここに来るまでの道」

男「そこを通って逃げよう」

女「う、うん」

たぬきち「無駄だなも」

男「何!?」

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:19:51.47 ID:DiM6In/80
たぬきち「……この村では、一分に五回は新しい地雷が埋められるだも」

たぬきち「外を歩くのだって、命懸けなんだなも」

男「お前さっき悠々と歩いてたじゃねーかよ!」

たぬきち「あれも命懸けだったんだも」

女「もう……やだよぉ……」エグエグ

男「女! しっかりしろ!」

たぬきち「ゲヒャヒャヒャ、もう逃げ場はないんだも」

男「おまっ……笑い方きしょいな!」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:36:03.04 ID:DiM6In/80
男「……お前は、それでいいのか?」

たぬきち「あ?」

男「仮に、お前が他のたぬきちを吹っ飛ばしたとして……」

男「残った地雷はどうする気だ?」

たぬきち「あ」

男「え」

たぬきち「……」

男「……」

男「……考えてなかったの?」

たぬきち「うん……」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:40:33.95 ID:DiM6In/80
男「じゃあお前、トップになっても、この店に缶詰めかよ」

たぬきち「……」

たぬきち「いや――」

男「?」

たぬきち「キミをそこら辺の地面に放り投げて、地雷があるかどうか確認するだも」

男「どこまでクズなの!?」

たぬきち「でも、良い案だなも?」

男「どこがだよ! 俺が犠牲になってる時点で良い案じゃねぇよ!」

186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:43:49.46 ID:DiM6In/80
女「私は……?」

男「ああうんお前も犠牲になってるね! 良い案じゃないね!」

 コツコツ コツコツ

たぬきち「あああああああああああ!」

たぬきち「キミ達が早くしないから、皆が来てしまっただも!」

男「マジかよ!」

女「どうしよう!?」

男「商品棚の裏に隠れるぞ!」ササッ

女「う、うん!」ササッ

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:46:08.40 ID:DiM6In/80
 

たぬきち2「たのもー!」

たぬきち3「来たぞ、たぬきち!」

たぬきち4「ここに来るまでに、十数人が犠牲になってしまったが……」

たぬきち「よく来ただなも」


男「……たぬきちがいっぱい……きめぇ」

女「全員服も何もかも同じなんだけど……どうやって見分けてるんだろう」

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:54:27.01 ID:DiM6In/80
たぬきち2「……で、誰が真のたぬきちになるだも?」

たぬきち3「やはり私だなも。地雷なんて仕掛けた事がないだも」

たぬきち「いやいや僕だも。地雷は千個以上仕掛けてきただも」

たぬきち4「最悪だなも」


男「鬱陶しすぎだろ、この会議……」

女「だも、だなもがゲシュタルト崩壊してきたね……」

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:56:31.84 ID:DiM6In/80
たぬきち「あーもー、だもだなもうるさいんだも! これでも食らえだも!」パキッ

たぬきち234「え?」

 どがががあああああああん

男「」

女「」

たぬきち「ふぅ……」

男「いやふぅ……じゃねぇよ! 何やってんの!?」

たぬきち「全員、吹っ飛ばしてやっただも」

197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 22:59:04.61 ID:DiM6In/80
男「最初からそうしろよ! 何で俺達に地雷任せてんだよ!」

女「」

男「女が失神してるぞ!」

たぬきち「これだから女性はひ弱って言われるんだも」

男「こんだけ近くで爆発音聞いたら誰だって気絶するわ!」

たぬきち「僕はしてないだも?」ドヤッ

男「いやそんな誇らしげな顔されても……!」

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:03:00.91 ID:DiM6In/80
 バババババババ ババババババババ

男「? ……何の音だ?」

たぬきち「ああ、ヘリコプターだも」

男「何でヘリあんの!?」

たぬきち「この村のたぬきちは、今ので全滅だも」

たぬきち「この村の支配権を、スタッフが私に来てくれたんだなも」

男「スタッフ!?」

男「うわっ、店の前に下りてきた……!」

 ババババババ ズン……

たぬきち「待っていただも!」

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:05:36.67 ID:DiM6In/80
シドニー「ええ、来ましたよ」

たぬきち「!!!!???」

男「し、しどにー……?」

シドニー「男さん、さっきぶりですね」

男「お、お前……地雷で死んだんじゃ……」

シドニー「いいえ、生きてます」

シドニー「さっきの爆発は、ここに向かっていた他のたぬきちさんが
地雷を踏んでしまった時の爆発です」

たぬきち「なん……だと……」

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:08:00.11 ID:DiM6In/80
男「だからって、何でヘリだよ!」

シドニー「いえ、駅が爆破されていたので……駅員さんも灰になってて、
線路も粉々になっちゃってたので、帰りようがなかったんです」

シドニー「そこで、このヘリコプターの操縦者さんが私を助けてくれたんですよ」

男「お前以外誰も乗ってないよ! ていうか何で操縦出来るんだよ!」

シドニー「何か適当にイジって飛んでます」

シドニー「操縦者さんは、ヘリの中で爆発しました」

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:12:21.19 ID:DiM6In/80
男「この村は爆発せずにはいられないのか……」

男「モタモタしてたら俺らも爆発しそうだな。早く逃げよう」

シドニー「ええ。乗ってください」

たぬきち「松だも!!」

男「あ?」

たぬきち「行かせないだも! お前らはここで死ぬんだも!」

男「何でだよ!」

たぬきち「見るんだも、このスイッチ! これを押せば、店が吹っ飛ぶだも!」

男「なぬっ」

206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:13:36.44 ID:DiM6In/80
男「……とりあえず、女を抱きかかえて……」ヨイショ

たぬきち「動くな! 死にたいだも!?」

男「いやでも、それ押したらお前も死ぬじゃん」

たぬきち「当たり前だも! だから押せないだなも!」

男「バカだろお前」

男「シドニー、乗るぞ」

シドニー「はい」

212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:17:52.28 ID:DiM6In/80
女「あれ……ここは……って、えッ!? おおおお男君!?」////

男「おう、目覚めたか。多分、足が震えて使いモンにならねぇだろうから、
ちょっとこれでガマンしてくれ」

女「う、うん……」////

シドニー「では、出発しまーす」

たぬきち「待てぃ!」

シドニー「はい?」

たぬきち「スイッチ押すだも!」

シドニー「どうぞ」

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:21:08.77 ID:DiM6In/80
 バババババババ

たぬきち「本当にスイッチ押すだもぉぉお!!」

シドニー「どうぞぉぉおおおお!!」

たぬきち「死ねぇええぇ!」カチッ

 どがああぁぁぁああん

男「……」

女「……」////

男「自爆したな」

女「そ、そうだね」////

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:23:08.59 ID:DiM6In/80
シドニー「これから、どこに向かいましょう?」

男「……そうだな」

男「戻ろうぜ、俺達の村に」

女「……そうだね」////

男「いっその事、三人で暮らそうか」

シドニー「えっ」///

女「えっ」///

男「あのクソたぬきちは気に食わねぇが……極限状態の頭のキレだけは認めてやる」

男「確かにシドニーや俺を殺すとしたクズだが、まあ一緒の村で暮らすのも悪くない」

220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:28:06.65 ID:DiM6In/80
 バババババババ ズン

男「戻ってきたな……」

女「そうだね……」

シドニー「やっぱこのクソみたいな空気ですよね」

男「シドニー、口調が荒くなってる」

シドニー「す、すみません……エスポワールで色々見てしまったせいで……」

たぬきち「あー! お前ら!」

男「あ」

女「あ」

たぬきち「どこに行ってただも!? おかげで商売上がったりだなも!」

女「ごめん、たぬきちさん♪」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:29:36.60 ID:DiM6In/80
シドニー「最近、どうですか?」

たぬきち「ああ、おかげさまで、借金が二億ベルになってしまっただなも」

男「は?」

女「は?」

シドニー「は?」

たぬきち「え?」

男「いや、え? じゃねーよ」

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:31:53.59 ID:DiM6In/80
女「いやいやいや、何があったの……」

たぬきち「ちょっと調子乗って、ギャンブルと酒と女に力を入れたんだも」

男「調子乗りすぎだろ! 二億ってお前……」

たぬきち「そしたら、遠藤さんから連絡があって、またギャンブルを紹介されたんだも」

男「へぇ……」

たぬきち「命懸けの鉄骨渡りやったり、利根川とEカードで戦ったり……」

シドニー「す、すごい……」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:34:43.46 ID:DiM6In/80
たぬきち「……で、まあ帝愛の会長の兵藤ってのと戦ったんだも」

たぬきち「種目はティッシュ箱クジ引き」

たぬきち「イカサマを仕掛けた勝負だったんだけど、見事に負けちゃっただも」

たぬきち「足りない金は、ほら。身体で支払っただも」サッ

シドニー「ひぃっ!」

女「ゆ、指に……ツギハギ?」

男「……指四本……イカれたのか」

たぬきち「ああ」

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:37:26.25 ID:DiM6In/80
たぬきち「ま、その後は地下王国に行ってチンチロやったり」

たぬきち「VIPの裏パチンコで、
坂崎っていうおっちゃんと、遠藤さんと協力して、七、八億稼いだりしたんだも」

たぬきち「まあ、二人とも殺して、金は全額貰っちゃったけどね」

男「何やってんだお前!」

男「ていうか、その話だとお前大金持ちじゃねぇか!」

たぬきち「その後……色々あったんだも……」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:39:06.04 ID:DiM6In/80
女「色々って……?」

たぬきち「……お前らには、想像もつかないだも」

シドニー「話してくださいっ」

たぬきち「……分かった」

たぬきち「……実は――」





たぬきち「ギャンブルと酒と女に少々力を入れすぎちゃって……」

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:43:19.77 ID:DiM6In/80
男「やっぱりか! 大体そのオチは読めてたわ!」

たぬきち「その金を使い果たした上に……借金二億まで背負っちゃって……」

男「もう本当にどうしようもねぇなお前!」

たぬきち「だからお願いだ! 遠藤さんに連絡して新たなギャンブル紹介してくれ!」

男「お前さっき遠藤さん殺したっつってたじゃねーか!」

たぬきち「じゃあ天国にでも連絡してこの世に呼び返せよ!」

男「混乱して頭おかしくなってるよね絶対!?」

235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:45:31.20 ID:DiM6In/80
たぬきち「もういいだも……死ぬ……」

女「えーっ」

シドニー「えーっ」

男「……まあ、引き止めるアレはないよな。むしろ死んだ方がいいと思う」

男「二人殺してパチンコ屋破綻させてその金を下らない事に使っておまけに借金だからな……」

女「どうぶつの森史上っていうか、宇宙史上最悪のクズっぷりだね……」

男「ネロもビックリだぜ」

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:47:45.28 ID:DiM6In/80
男「でもお前さ、追い詰められると頭良くなるじゃん」

男「麻雀の代打ちでもやれば?」

たぬきち「え……?」

男「ヤの付くお仕事に就いて、大事な麻雀でレートを無駄に上げまくれば、
死んでも勝たなきゃいけない勝負になるぞ」

たぬきち「……おおお」

たぬきち「素晴らしい意見だも! 採用!」

女「軽っ」

242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:49:57.80 ID:DiM6In/80
 数日後

ニセアカギ(何だ……この狸……訳の分からない麻雀しやがるっ……!)

たぬきち「それ、ポンだも」

たぬきち「!」

たぬきち「ぷっ……クク……」

ニセアカギ「!? な、何だ急に」

たぬきち「ポンって……ポンって……狸だけに……? クク……」プププ

ニセアカギ「? ……? 何を言ってやがる」

たぬきち「だ、だってニーサン……クク……狸がポンですよ……?」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:52:24.12 ID:DiM6In/80
ニセアカギ「何なんだよテメェは……気持ち悪い奴だな」

ニセアカギ「鳴いたんなら、さっさと牌を切れ!」

たぬきち「へぇーい、すんませーん」

ニセアカギ(ここ……大事だぞ……何を切るかで決まる……)

ニセアカギ(恐らく、周りは全員テンパっている……俺もだが……)

ニセアカギ(おまけに……俺はデカい手……逆転の手……)

ニセアカギ(上手く行けば……一位の狸を蹴り落とす事も出来る……)

244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:54:16.91 ID:DiM6In/80
ニセアカギ(頼むッ……! ここでアガれば、俺は逆転トップ!)

ニセアカギ(レート十億とかいう馬鹿げた麻雀を……終わらせられる!)

ニセアカギ(借金を背負い込むのは……テメェだ!)

たぬきち「あ」

ニセアカギ「あ?」

たぬきち「ミスった。ごめん、これじゃないわ」ササッ

ニセアカギ「ちょっ……チョンボ(反則)だぞ、それ!」

ニセアカギ「しかもそれ、俺のロン牌じゃねぇか! ロン!」

たぬきち「」オワタ

245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 23:57:17.21 ID:DiM6In/80
 たぬきちは、十二億の借金を背負い込み、逃亡した。
 どうぶつの森、と呼ばれる場所に逃げ込んだというウワサがたっていたが、
誰もどうぶつの森がどこにあるのか分からず、たぬきちは逃げ切る事に成功した。
 その森では、男と女とコアラと狸が、仲良く暮らしているという。

 完