1: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 00:53:05.26 ID:eLGeKe3x0
○プロローグ○


前回までのラブライブ!

大学受験に失敗して引き篭もりになった僕

だけど、ラブライブに出会ってどっぷり嵌り、聖地巡礼の為に外に出るようになった!

ある日、神田明神でお祈りしていると

『ここでお百度達成出来たら私に逢えるわよ』

女神エリーチカの声に従いお百度にチャレンジした……

二度ほど職質され、体力的に何度か死にそうになりながらもお百度を達成!

見事ラブライブの世界に来て、スクールアイドルショップでバイトを始めた

思ってたより太っていた自分を自覚した僕はエリーチカとの恋愛を諦めて、μ'sをラブライブ出場させる為に影から応援することにしようと決意する


季節は春 物語を始めるべく一人の少女が店を訪れた

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401378785

引用元: 佐藤「ネバーエンディングラブライブ」 




2: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 00:55:06.45 ID:eLGeKe3x0
──裏主人公・にこ登場!


にこ「はい、これ」

佐藤(μ'sのメンバーの前に出る時は痩せてからと思ってたのに……。おまけに心の準備も出来てないのに空気読まずににこにーが来ちゃったよ)

にこ「何よ?」

佐藤(小さくて、コートの中が音乃木坂の制服で、似合わないグラサン、そして何とも言えない特徴的な声! レジに出されたのは部室に飾ってあったA-RISEのタペストリー。ここで買ったのか)

にこ「早くしてくんない?」ギロッ

佐藤(ぼっち戦士最強の座を揺ぎ無いものにしていた頃のにこにーだ。散々酷い扱いを受け続けながらも、12話と13話で恐ろしい速度で名誉挽回する音乃木坂アイドル研究部部長。どうすべきだ?)

佐藤(今のにこにーはダメにこにーだ。スクールアイドルを立ち上げ、そのまま誰も残らなかった。そのショックなのか知らないが穂乃果ちゃんに手を差し伸べられるまで何もしていなかった。そう、体力作りすらにこにーはしてなかったのだ)

佐藤(その証拠ににこ襲来でアッという間に体力が尽きて凛ちゃんに捕まった。ここで意識改革させないとダメだ。ここからどんだけ鍛えようと、どうせ凛ちゃんから逃げ切れる訳がない。ならば体力作りをさせなければならない。ただ、一つだけ懸念事項がある)

佐藤(意識革命させる為にここで僕がにこにーに発破を掛けて嫌われるとしよう。ワンダーゾーンでのミナリンスキーとの遭遇はこの店で行われた。にこにーが嫌ってここを早く通過させたら遭遇フラグをへし折ってしまうことになる。そうなったら大問題だ!)

佐藤(あの歌詞を自分で書き、センターで歌ったことは絶対にことりちゃんの自信に繋がった筈だ。日本に残ってと言われて残ることを決意出来たのもこの自信あってこそだと思う。何も取り柄がないと思ってる状況だったら、穂乃果ちゃんに言われても海外に行ってしまったと思うんだ)

佐藤(この選択はラブライブの根源に関わるくらいに重要だ。こんな大きな賭けをしなくても、にこにーは穂乃果ちゃんに出会って救われる。でも、救えるのなら先に救いたい。現実の結果に裏切られて殻に閉じこもる辛さを俺は痛いくらい知っている。救えるのなら救いたい)

3: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 00:58:27.44 ID:eLGeKe3x0
佐藤「失礼しました。こちら一点ですね。失礼ついでにもう一つ……。もしかしてお客様はスクールアイドルですか?」

にこ「うっさいわね。早く会計しなさいよ」

佐藤「これは失礼しました。スクールアイドルな訳がないですよね。体力作りをしてないスクールアイドルなんて居るわけがないですし、居たとしたら其れはスクールアイドルを冒涜しているとしか思えない存在ですよね」ニコリ

にこ「あんた! いい加減にしなさいよねぇ!」ムカッ

佐藤「失言でした。そんな風に顔を隠しているものですからもしかして有名なスクールアイドルだったりするんじゃないかと邪推してしまいました。有名でしたらサインをしてもらって、店内に飾ろうと思っていたのですよ。ただのファンの一人だったんですね。合計5250円です」

にこ「あんたなんかにスクールアイドルがどんなに大変か分からないからなんとでも言えるのよ」

佐藤「そうですね。ただ、お客様が僕と同じファンでしかないのは十分理解しましたよ? 5250円です」

にこ「ぐぬぬぬ! にこだってね、仲間さえギブアップしてなければ今頃はA-RISEと双璧を並べるくらいに有名になっていたわよ。それに、にこはこれからアイドルになってファンのみんなを笑顔にするんだから」

佐藤「それはもはや夢を通り越して妄想の域に達してる言葉ですね。今この時に輝いていない貴女が未来で輝いてファンを笑顔に……? ぷっ、話にならないお笑い種ですね。5250円です」

にこ「うるさい! うるさい! うるさいっ!! 私はアイドルになるのよ。その為には何だってする! 何だって出来る! アイドルになりたいという気持ちなら誰にも負けない!」

佐藤「はっ! ちゃんちゃらおかしいですね。この四月からでもいいですが、貴女がずっと無駄にしてきた時間もアイドル・スクールアイドルの皆さんは必死になって練習し、輝いているんですよ? 貴女みたいに未来を言い訳にして今を大切に出来ないような人間がアイドルを語るなんてアイドルへの冒涜です!」

にこ「──」

4: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:01:14.32 ID:eLGeKe3x0
佐藤「貴女は何もせずにアイドルを語るだけの人間と、少しでもこの先に希望があると信じて走りだしている人間。どちらを応援したいと思いますか? どちらが輝いていると思いますか? 仮に前者だと言うとして、そんな人間に果たして笑顔を浮かべてくれるファンが出来ると思うんですか?」

にこ「た……たかが、スクールアイドルショップの店員如きが!」ギリリッ

佐藤「少なくともA-RISEはそんな店員如きすらファンにしてしまってますよ。貴女とA-RISEの差は少なくとも目に見える形でこうして広がっているんです」

にこ「くっ!」

佐藤「お客様はせめて部活には入っているんですか?」

にこ「アイドル研究部の部長よ!」

佐藤「なるほど。部室はあるんですよね?」

にこ「あるわ。当然でしょ(部員はいないけど)」

佐藤「では一つ僕と賭けをしませんか?」

にこ「賭け?」

佐藤「ええ。僕は貴女がスクールアイドルとして有名になれるなんて微塵も思ってません。が、アイドルになりたいという気持ちは誰にも負けないと言った貴女の気迫に免じて賭けを成立させたいと思います。こちらの色紙にサインをしてください。それでこのタペストリーの代金の5250円はタダにします」

にこ「にこのサイン一つで? それが何の賭けになってるのよ」

佐藤「将来このサインが大量量産されているA-RISEのタペストリー一つよりも価値が出るのか否かですね。勿論、価値が出ても売ったりはしませんが」

にこ「面白そうじゃない」

5: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:07:31.25 ID:eLGeKe3x0
佐藤「ただ……大変失礼ですがお客様は賢そうには見えない。僕との賭けを三歩歩いただけで忘れられても困るので、思い出せるように部室に飾っておいてください」

にこ「にこは鶏かぁ!? 元々部室に飾るつもりだったからその賭け乗るわ。このサインには価値が生まれるわよ。このにこ様の記念すべき初めてのサインなんだから。将来的には一億以上の価値が付くわね」

佐藤「その頭の悪そうな台詞に後悔しかありません。どうぞ、サインペンです。この色紙にお願いします」

にこ「言ってればいいわ。にこは輝かしいスクールアイドル時代を経て、悠々とアイドル界に舞い降りるんだから」

佐藤「期待するには体力作りですね。ダンスの練習も当然ですし、メンタルの方も鍛えないとお話になりません。ただ悪戯に身体を鍛えてもいけません。自分の身体に合った練習メニューをきちんとこなせなければ意味がありませんし。腹筋が割れてるアイドルなんて見たくないですしね」

にこ「当然よ!」

佐藤「だからと言って拡大解釈して鍛えないなんていうのは甘えというよりアイドル舐めてます。人より小柄というのは体力的に不利です。が、逆に可愛らしさがアドバンテージになる。この辺は本人の方が理解してますね」

にこ「サイン出来たわ」

佐藤「では、こちらが商品となります。そう言えばお客様の学校名とお名前を聞き忘れてましたね」

にこ「音ノ木坂学院アイドル研究部部長の矢澤にこよ」

佐藤「おやおや。統廃合で潰れると噂の学校でしたか。これは賭けを誤りましたね。そんな学校でスクールアイドルを始めようとする奇特な生徒はいないでしょう。今日の分はタダ働きということになりそうですね」フゥ・・・

にこ「居るわ」

佐藤「おや、何がですか?」

にこ「統廃合で消えようとしている学院にもスクールアイドルになろうとする子達がよ」

6: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:10:58.76 ID:eLGeKe3x0
佐藤「部員なんですか?」

にこ「ぐっ……。違うけどっ」

佐藤「ああ、つまり矢澤さんはぼっちなんですね。ずっと自分のことしか言わないのでおかしいと思ってたんです。部長なのは一人しかいないから。アイドル目指してるのに一人ぼっち」

にこ「うるさいわね」

佐藤「僕には矢澤さんの気持ちが理解出来ない。何故スクールアイドルになろうとしてる子達が居るのに手を差し出さないのか。矢澤さんはスクールアイドルへの知識は豊富そうだ。スクールアイドルを目指すという意味で方向性も同じ。何故です?」

にこ「誰にもにこの気持ちなんて理解出来ないわ」

佐藤「理解? ええ、今手を差し出すべき子達に出さないのに理解を必要とするのでしたらスクールアイドル以前に人間として終わってます」

にこ「」タッタッ

佐藤「アイドルになりたいなら素直になれよ、矢澤にこ!!」

佐藤(言い過ぎた言い過ぎた言い過ぎた。頭を抱えたくなるが今は忘れる前に5250円を自分の財布からレジに入れておく。人にばかり言ってないで僕も走りこむ量を増やそう。後、小型の高性能カメラとPC買わないと。にこにーが秋には今日の事を忘れてる前提で準備だけしておこう)

佐藤(ことりちゃんが働いているメイド喫茶はベルベーラ秋葉原の一階だっけ? 名前は忘れたけど、表通りで僕コンの対面に近い目立つ所にあったから直ぐ分かるだろう。一枚ミナリンスキーの生写真を撮っておかないとな)

佐藤「……はぁ」

佐藤(にこにー落ち込んで逆走しないといいけど。覚醒後のにこにーなら言われなくても手を差し伸べるんだけど。根っこの部分はお姉ちゃんしてるから大丈夫だと思うんだ。料理だってすっごい上手だし。それは関係ないな)

7: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:14:48.32 ID:eLGeKe3x0
──裏・ファーストライブ


穂乃果「」

シーン……

ことり「穂乃果ちゃん」

海未「穂乃果」

穂乃果「っ、くすっ。そりゃそうだ。人生そんなに甘くない!」ウルウル

ことり「あれ? ちょっと見て。あそこに誰か居るよ!」

海未「本当ですね。顔しか出してないですがお客さんです」

穂乃果「──あ」

にこ(み、見つかった!? くっ、もう隠れてる意味ないわね。普通に座ってみましょう)

穂乃果「ことりちゃん、海未ちゃん! 全力で歌おう。その為に頑張ってきたんだから」パァァ

ことり「うん!」

海未「ええ!」

ことほのうみ「アイセー!」

8: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:18:28.82 ID:eLGeKe3x0
にこ(……意外。曲の出来が凄い。A-RISEとだって勝負出来る曲だわ。ただ、歌詞が少し恥ずかしいけど、様は合うかどうかだものね)

花陽「はぁっはぁっ……は、始まっちゃってた」

にこ(ふぅん。にこ以外に見に来る酔狂な子もいたのね。一年生が全員部活入るとしても三十人しかいないってのに)

凛「かよちん探したにゃー。かよちん? んぅ?」

にこ(また一人。……にことは逆じゃない。ライブに辿り着く所かメンバーが減って直ぐに一人になって。あんな風に息の合うメンバーとライブをしたかったのに……。でも、まだまだまだまだまだ甘々よ。アイドルのなんたるかも分かってない。それなのに輝いてる)

真姫(一年生が三人も……。あ、違う。あの子小さいけどリボンの色が三年生ね。どうりでクラスで見覚えない訳だわ。他の二年生二人は三人の先輩の友達かしら)

にこ「…………スタートか」

にこ(今手を差し出すべき子達に出さないのに理解を必要とするのでしたらスクールアイドル以前に人間として終わってる……。あのデブ店員めっ。生意気言いまくって。今でもムカつくわ。ふんっ!)

絵里「どうするつもり?」

穂乃果「いつか私達必ずここを満員にしてみせます!」

にこ「目標が小さいわ!」

9: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:24:39.72 ID:eLGeKe3x0
穂乃果「はい?」キョトン

にこ「やるんだったらもっと大きなステージでここより大勢のファンを感動させるって言いなさいよね」

絵里「……矢澤さん。関係のない人は黙ってて」

にこ「関係なくないわ。この子達は音ノ木坂アイドル研究部に入部させる。このにこがアイドルの事を教え込んで骨の髄まで染み込ませてやるんだから!」

海未「音ノ木坂アイドル研究部? そんなものが存在してたんですか。二人は知ってましたか?」ボソボソ

ことり「ううん。ことりは知らないよ。穂乃果ちゃんは?」ピヨピヨ

穂乃果「ほのかも初耳だよ」ボソボソ

にこ「最高のスクールアイドルになってやるわ」

絵里「ふふふ。矢澤さん……貴女忘れたの? 確か一年生の時にスクールアイドルを結成してたわよね。名前は忘れたけど」

にこ(アイドルになりたいなら素直になれか。なってやろうじゃない。アイドルの恥は掻き捨てだわ!)

にこ「失敗を知ってる人間がいることで守ってあげられる。知識があるから導いあげられる。志が高いこの三人となら今度こそ絶対に失敗しないわ!」キッパリ

ことほのうみ「…………」

絵里「──」キッ!

にこ「──」ジロッ!

10: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:26:19.70 ID:eLGeKe3x0
絵里「そう。なら別にいいわ。どうせ素人の貴女が指導したところで素人から抜け出せる訳もないもの。ただ、学校の評判を落とすようなことをしたらその時は直ぐに解散させますから」スタスタスタ

希(カードの導きが未来を変えた? スピリチュアルやね、にこっち)

にこ「ふんっ。嫌味なやつね」

海未「あの、それで貴女は?」

にこ「にこはアイドル研究部の部長。矢澤にこよ。あんた達を一人前のスクールアイドルにしてやるわ」

穂乃果「え?」

ことり「ちゅん」

海未「はぁ?」

にこ「それから、そこの一年達! 興味あるならスクールアイドルにならない?」

真姫「……私は帰るわ」スタスタ

11: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:28:36.47 ID:eLGeKe3x0
花陽「わ、私は……その」ボソボソ

凛「かよちん?」

花陽「い、いや。私も帰ります。行こう凛ちゃん」スタタッ

凛「うん、一緒に帰ろう♪」タッタッ

にこ「ふんっ。まぁいいわ」

海未「穂乃果、ことり。何だか凄い面倒な人みたいですよ?」ボソボソ

穂乃果「でもμ'sのメンバーに入ってくれるみたいだよ」ボソボソ

ことり「部にも入れるなら一石二鳥なのかな?」ピヨピヨ

海未「しかし、穂乃果より面倒そうですよ?」ボソボソ

穂乃果「海未ちゃん酷いよぅ」ガーン

ことり「海未ちゃんの愛情表現だよ☆」ピヨピヨ

にこ「そこっ! ひそひそと喋ってないで部室に行くわよ。今後の話をしたいし。ほら、行くわよ!!」

12: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:32:13.26 ID:eLGeKe3x0
──同日 犯人は現場に舞い戻る


佐藤「いらっしゃ──」

にこ「来てやったわ」

佐藤(何故にこにーが? こないだ言い過ぎたから怒ってる筈だぞ。某所のラブライブSSの一部みたいに殺戮マシーンになるような展開はないよね?)

佐藤「いらっしゃいませ」

にこ「可能性を感じたから……手を伸ばしたわ」

佐藤「それってあの──言っていた子達にですか」

佐藤(危うくμ'sとか口に出してしまうところだった)

にこ「μ's。それが私達のスクールアイドルのチーム名。ここにも直ぐにグッズが溢れることになるわ」フフーン

佐藤(思わずぼっち救済したくてあんな風に誘導しちゃったけど、エリーチカと違ってにこにーが早くμ's入りした所で何が変わるかっていうと、にこにー以外は特に変わらないんだよね。やる気スイッチは入ってくれたみたいだけど)

にこ「といっても、まだまだまだまだまだアイドルのアの字も理解してない感じだけどね。そこはにこのアイドルグッズを使って勉強させるわ」

佐藤「楽しみにしてますよ」

にこ「……でも、それ以外のこととなるとにこもまだ人を教育するというには不足なのよね」

佐藤「最初は体力トレーニング。ボイストレーニングを重点にした方がいいんじゃないですか? 基礎が疎かだとムラが出ますしね。ダンスをより上手くするには柔軟をしっかりしてないとダメですね。あとバランス感覚を鍛えないとこけたりし易いですからね」

13: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:35:25.69 ID:eLGeKe3x0
にこ「成る程ね。にこあんまり体柔らかくないのよね」

佐藤「熱いお風呂に浸かった後の筋肉が柔らかくなってる時に丹念にストレッチしていけば柔らかくなりますよ。要は痛くても辛くても毎日積み重ねることが出来るかどうかです」

にこ「そうね。アイドルを目指すなら日々精進よね」

佐藤「言うくらいですからあれからきちんと練習はしてたんですか?」

にこ「当然でしょう?」

佐藤(作戦とか考えておけば良かった。ぼっちの習性で嫌ってる相手でも話し相手がいるのなら行ってしまうという事を学んだよ。家が近いのもあるのだろう。しかし、関係ないがにこにーの声は生で聞いてると余計に毒だ。アニメで最初は変な声だと思ってたのに、何時の間にか中毒になっていた。あの歌声も勿論ありだ!)

佐藤(正史を弄り過ぎるのも問題だが、マッキーには少しでも長くにこにーと一緒に居る時間を上げたい。強そうに見えてμ'sの中で一番脆いからなぁ。仕方ない、ここは心を鬼にしてにこにーには汚れ役に徹して貰おう。これもきっとにこにーの運命なんだ)

佐藤「一つ聞きたいことがあるんだけど」

にこ「にこのプロフィールは内緒よ」

佐藤(残念ながら簡単なプロフィールなら全部頭に入っている)

14: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:40:29.65 ID:eLGeKe3x0
佐藤「そんなことじゃなくて、あの曲を作った人はメンバーに居るの?」ア、ヤベ・・

にこ「あの恥ずかしい歌詞を書いたのは居るんだけど、作曲した方は見には来てたわね。といっても其れを知らずに誘って振られたけどね」

佐藤(これは海未ちゃんや他の三年生だったら間違いなく今さっきの失言に追及されていた。まだエリーチカは編集すらしてないだろうし、UPするのは数日後になるだろう。それをなんで知ってるかの様に話してるんだってね)

にこ「どうにかして仲間に引き入れるつもりよ」

佐藤「その子はどういう感じの性格なのかとか訊いてきた?」

にこ「一人を好む性格で、将来は西木野病院の院長の後を継ぐ為に医者になるらしいわ」

佐藤「……他のメンバーの為に泥を被る覚悟があるなら手がないこともないよ。ただ、成功するかは厳しいかもしれない。泥船に乗りながら、信じれば向こう岸まで渡れると妄言を平気で吐けるくらいのメンタルの強さが必要だ」

にこ「にこに何をさせようってのよ?」ジロリ

佐藤「時に簡単で単純なことが何より難しいと感じることがある。今回の作戦はまさにそんな感じさ。やるかい?」ニヤリ

にこ「当然よ!」キリッ!

16: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:45:06.44 ID:eLGeKe3x0
──裏・にこ襲来


にこ「あなたが西木野真姫ね。初めまして、μ's唯一の三年生矢澤にこよ。にっこにっこにー♪」

真姫「……何よその気持ち悪いやつ。それに初めましても何も、昨日声を掛けてきたじゃない」

にこ「あれは本心からの返答ではなかったじゃない? だから会ってないも同じ。それに、あの曲に秘められた真姫ちゃんのSOSをにこはしっかりと感じたわ!」

真姫「ハァ? 頭おかしいんじゃないの」

にこ(本当にそうよ。これじゃあにこが頭の痛い超プリティガールにしか思われないじゃない。あのデブに言う通りにするなんて言うんじゃなかったわ。それにほとんど初対面の相手を名前でちゃん付けとか恥ずかしさで死ねそうよ)

にこ「そんなこと言わないで欲しいにこ☆」

真姫「……早く帰ってもらえる?」

にこ「何か困ったことがあれば何でも言っていいのよ。にこは三年生、真姫ちゃんは一年生なんだから」

真姫「どうでもいいけど、授業始まるわよ」

にこ「また来るにこ」

17: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:49:45.88 ID:eLGeKe3x0
──同日・昼休み ベストカップル


真姫「あなたねぇ~」

にこ「にっこにっこにー♪」

真姫「いい加減にしてよ。休み時間毎にきたと思ったら昼休みまで来るなんて」

にこ「自慢じゃないけどにこは友達がいないのよ。つまりは、二年後の真姫ちゃんが今のにこってことね。ううん、にこより酷くなるけど」

真姫「……何が言いたいのよ?」

にこ「友達もいない、後輩もいない。クラスメイトは少ない。でも一人ぼっち」

真姫「私は一人がいいのよ」

にこ「仲良しグループが完全に固定され、ただただ一人ぼっちで過ごす日々。始まったばかりの今ならそんな風に軽く『一人がいい』だなんて言えるわ。だけど、いつまでそんな強気が続くのかしら。にこの体験談では秋になった頃にそんな強気が言えなくなるわ。冬休み明けが妙に切なく感じるようになるの」

真姫「あ、あなた……。自分で言ってて寂しくないの?」

にこ(あのデブ許さない。これじゃあまるでにこがぼっちみたいじゃない。二年の時に十七回も隣のクラスだった希と話したことがあるし、クラスメイトとだって3回程個人的な挨拶をしたことあったわよ)

にこ「にこは自分がアイドルになるという夢があった。誰に強制されるでもない自分の意思でなりたいもの。誰に拒まれても、誰に否定されてもいい。にこはアイドルになる」

真姫「そんなこと私には関係ないわ」

18: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 01:54:08.97 ID:eLGeKe3x0
にこ「真姫ちゃんは自分の意思でお医者さんになりたいの? そうじゃないのだとしたら……きっとこの先重くなる。その思いに応えたい気持ちが自分を押し潰そうとする。孤独の中でそんな思いに耐えられる?」

真姫「勝手な妄想を押し付けないでよ。不快だわ」ムスッ

にこ「確かに妄想かもしれない。でもね、そう間違ってない未来が訪れると思う。正直に言うと、私は一人ぼっちは嫌。友達が欲しいわ」

真姫「はぁ?」

にこ(なんでこんなことを初対面に近い下級生の子に言わなきゃいけないのよ。しかも、昨日ライブを観に来てた他の二人も含めた他の子もこっちをチラチラ見てる。完全に聞き耳立ててる。あのデブはにこに何か恨みでもあんの?)

にこ「にこは友達が欲しいの! 正直寂しくて寂しくてしょうがないもの。だから、学年を気にしない友達になれる簡単な方法があるわ。μ'sに入って欲しいの。私達と一緒にスクールアイドルの頂点を目指しましょう!」

真姫「嫌よ。それにメンバーが友達っていうのなら他の三人が友達ってことでしょ? だったらもういいじゃない」

にこ「違うの! にこは真姫ちゃんと友達になりたいの!」カァァァァ!

にこ(あのデブが絶対ににこは真姫ちゃんと仲良くなれるとか言うから恥ずかしさ我慢してこう言ってるけど、今更になって騙されたんだと気付いたわよ。だけどもう後戻りできない!)

真姫「私は色々と忙しいのよ」

19: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:00:44.60 ID:eLGeKe3x0
にこ「だ、だったらこのにこ特製厚焼き玉子をあげるにこっ♪」

真姫「いらないわよ」

にこ「友達っていうのはこういうのからするものなのよ。貰うだけが嫌ならおかず交換よ。この白飯をあげるわ」

真姫「おかず交換でご飯を渡すとかありえないでしょ」

にこ「真姫ちゃんはこういうの経験あるの?」

真姫「な……なくても分かるわよ」プイッ

にこ(にこもご飯はないと分かるけど、真面目な話をしてない時は変な行動を取ってインパクトを残せって言われてるし。既に恐ろしいくらい恥を掻いてるのだから失うものはないわ)

真姫「それに友達じゃないって言ってるでしょ」

にこ「だったら友達になる証として好きなのを交換してあげる」

真姫「……友達じゃないって、はぁ~、もういいわ。仕方ないから今回だけ特別に交換してあげる。私はそのトマトでいいから」

20: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:10:02.83 ID:eLGeKe3x0
にこ「じゃあ、はいっトマト☆ このミニハンバーグもトマトソースでじっくり煮込んだからとっても美味しいにこっ♪」

にこ(とにかくトマトって言うのは正解ね。ただ、やたら語尾ににこを付けるのって自分でもウザイわ)

真姫「」

にこ「」

真姫「しょ、しょうがないわね。じゃあそのハンバーグも貰ってあげるわ」///

にこ「その前にトマトの分の交換にこ」

真姫「じゃあ、このご飯をあげるわ」

にこ「っ!?」ズキューン

にこ(自分で言ったけど本当に差し出されると困るわね。デブは白いご飯でも滅茶苦茶喜ぶ人間も中にはいるんだって言ってたけど、あれは流石に嘘よね。そんな人間がいたらにこが拍手してあげるわ)

花陽「くしゅん!」

凛「かよちん風邪かな?」

花陽「ううん。誰かに噂でもされたのかも」

凛「噂されるなんて、さっすが凛のかよちん! 大人気だね♪」

花陽「ちっ、違うよぉ。きっとお母さんだよ」

21: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:12:11.03 ID:eLGeKe3x0
真姫「くすっ。冗談よ。何が欲しいの?」

にこ(あ、笑った。一年生なのに大人びてるって思ったけど、笑うと年相応で可愛い顔するじゃない)

にこ「そうね、それじゃあ──」

にこ(は? な、なにこれ。今まで話に夢中で真姫ちゃんのお弁当の中身を見てなかったけど、何が何か分からないわよ。普通じゃ絶対にない料理が詰められてるのは分かるけど、料理名が分からない。……これがお嬢様ってやつなのね)

にこ「にこはーその……えっと、あれよ。ソレが欲しいわ」

花陽「くしゅん!」

凛「かよちん本当に大丈夫?」

花陽「きっと噂だよ、噂。お母さん以外でも噂する人がいたのかも」

22: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:19:37.98 ID:eLGeKe3x0
──同日・昼休み 二年生組はいつでも仲良し☆


海未「昨日は本当に色々ありましたね」

穂乃果「生徒会長が出てきたって思ったら突然現れたにこ先輩」

ことり「どうしてことり達の見方をしてくれたんだろうね?」

穂乃果「それは口でなんだかんだ言っても、ほのか達のライブに感激してだよ」

海未「私には本気でまだまだ甘いって言ってるようにしか見えませんでしたが……。ただ、生徒会長と違って私達の味方であることは間違いないですね。小さいとはいえ拠点である部室が出来たのは素直に嬉しいです」

ことり「それにアイドルの知識はすごそうだもんね」

穂乃果「部室にいっぱいあったもんね」

海未「振り付けを矢澤先輩が引き受けてくれれば、ことりは衣装作りに専念出来ますので助かりますね」

穂乃果「曲の方はにこ先輩が真姫ちゃんにアタックするってことだし。もしも真姫ちゃんまでμ'sに入ってくれれば完璧なんじゃないかな?」

ことり「完璧かどうかは分からないけど、それぞれの役割分担が出来るようになるよね」

海未「それでしたら引き続き穂乃果に勧誘をお願いしましょう」

穂乃果「うん! 任せてよ。きっとμ'sになくてはならない存在を連れてくるよ」ニッコリ

23: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:27:32.70 ID:eLGeKe3x0
ことり「穂乃果ちゃんが見つけてきてくれた子なら安心だね」

海未「ですが、無理に誘ったりはダメですよ? あくまで相手がスクールアイドルをやりたいって思う方だけです」

穂乃果「いくらほのかだって無理やりにはさそ──」

海未「──さそなんですか? まさか私のことを無理やり誘っておきながら忘れてるのではないでしょうね?」ニコリ

穂乃果「う、海未ちゃんはほのかにとって特別だからだよ。他の子を無理やりなんてしないもん」

海未「そうですか///」

ことり「海未ちゃん顔が真っ赤~」

海未「う、うるさいですよ、ことり」

穂乃果「スクールアイドルに興味があって可愛い子。花陽ちゃんに声を掛けてみようかなー」クシュン!

ことり「昨日観に来てくれた子だよね?」

穂乃果「うん。スクールアイドルに興味がなければ来てくれなかったと思うんだ。だってほのか達μ'sはまだ立ち上げたばかりだからね」

24: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:29:49.19 ID:eLGeKe3x0
海未「昨日の経験で一つ成長しましたね」

海未(本来の私なら観客0の可能性だって真っ先に思いついた筈です。言い聞かせていれば穂乃果が泣きそうになるくらいのショックを受けることはなかった。スクールアイドルの熱に冷静さを失ってました。これからはμ'sのブレーンとなるべく常に冷静さを失わないようにしましょう)

ことり「にこ先輩の誘いは断ってたよね?」

穂乃果「そこは毎日誘いに行って勧誘すればいいんだよ」

海未「おやめなさい。相手の迷惑を考えない行動は駄目です」

穂乃果「じゃあ……どうしよう」

ことり「一年生は一クラスしかないんだし、真姫ちゃんがμ'sに入ってくれれば真姫ちゃん経由で入ってくれるかもしれないよ?」

穂乃果「おぉ! さっすがことりちゃん! あれ? でもそうなると穂乃果の仕事がなくなるんじゃないかな」

海未「することなくなったとしても、穂乃果はそこに居てくれるだけで心の支えになりますから大丈夫ですよ。私達を応援してくれるだけで十分です」

ことり「そうだね。穂乃果ちゃんが居ると居ないのとでは全然違ってくるもん。正にリーダーって感じだよね」

海未「そうですね。リーダーは穂乃果以外考えられません」

25: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:33:32.93 ID:eLGeKe3x0
──同日 女神は裏で苦労してました


希「えりち、今日は随分と眠そうやね」

絵里「ちょっと慣れない事を勉強してたら遅くなっちゃってね」

希「慣れない事? そんな仕事あったっけ?」

絵里「別に生徒会が関係してることじゃないわ」

希「じゃあ、何に関係してることなん?」

絵里「希には関係ないことよ。現実を知らない人間に非常な現実を見せるだけだから」

希「ふぅん。よく分からんけど、ウチの力が必要なら貸すで」

絵里「希はPCに詳しくないでしょう?」

希「そうや。自分用のPCなんて持ってへんしね」

絵里「だったら今回は知恵を借りることも出来ないわ」

希「そっか……。あのな、えりち」

絵里「何?」

希「多分なんやけど、近々ウチ等は大きな見えない運命の渦に巻き込まれる可能性がある」

26: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:36:49.33 ID:eLGeKe3x0
絵里「見えない運命の渦?」

希「今まではカードが示してくれてたんやけど、一人が運命を変える動きを見せた。その所為で見えていた物が見えなくなったんよ」

絵里「話がよく見えてこないのだけど」

希「言葉を変えて簡単に言うと……ウチ等二人はいつの間にか大きな檻の中に閉じ込められてるのかもしれん」

絵里「誰の手によって?」

希「それが分からん。定められた運命を打破し、新しい道を作る者」

絵里「それってつまり神様ってこと?」

希「どうやろ? 姿が見えない、存在が分からない。でも、故に面白い」ニヤリ

絵里「良く分からないんだけど、希が生き生きしてるのだけは伝わってくるわ」

希「こんなこと初めてや。ウチは今、スピリチュアルの深遠を覗き込もうとしてるのかもしれん。えりちも心の準備をしておくことやね」

絵里「私はその前に現実が優先よ」

希「えりちはブレないね」フフフ

27: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:43:14.47 ID:eLGeKe3x0
──数日後 μ'sの動画がUPされました


にこ「見た!? 見たわよね。あれがにこのメンバーよ!」

佐藤「いらっしゃいませ」

にこ「見たかどうかを訊いてるのよ!」

佐藤「見ました。それよりもマッ──作曲少女は篭絡出来たんですか?」

にこ「ガードが固いけど、時々隙をみせるわね。あの様子だとそろそろにこの魅力に負けてμ's入りするわ」フフーン

佐藤「激しく不安にしかならないコメントですね。貴女が作曲少女をμ'sに入れれば、一年生の他の生徒もμ's入りさせることが出来る筈です」

にこ「そう簡単にいくとは思えないんだけど」

佐藤「簡単じゃないからこそ、根回しが必要になるんです。取り敢えず今は作曲少女。そして、見に来ていた二人の一年生。取り敢えず7人になったら僕がビデオカメラを貸すので、それで新しい曲で新しいPVを今回のようにUPしてください」

にこ「今回の映像はにこがやった訳じゃないんだけど」

佐藤「知ってます。でも、編集くらい矢澤さんなら簡単でしょ?」

にこ「当然よ! 今のアイドルは何でも出来ないとダメだもの。編集の一つや二つ出来るわ」

佐藤「では、少なくとも来週中には作曲少女を引きこんでください。そうしたら、他の一年生の勧誘は他の人に任せて、矢澤さんには理事長にある交渉をしてもらいます」

28: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:48:21.97 ID:eLGeKe3x0
にこ「ある交渉?」

佐藤「ええ、内容を今教えると矢澤さんのテンションがおかしくなるのでヤメておきます。メンバーを集めたら後のご褒美として教えますよ。あ、そうそう。μ'sのリーダーの……」

にこ「穂乃果?」

佐藤「そうそう。その穂乃果さんと矢澤さんにも言えることなんですが、家では勉強もしっかりとしてください。今ならまだ新学年が始まってそう時間が経ってないので遅れも少ない筈です」

にこ「べ、勉強」

佐藤「嫌そうな顔をしないでください。勉強出来ないアイドルなんて終わってるって言われますよ」

にこ「別に苦手だなんて言ってないでしょ!」

佐藤「とにかく頑張ってください。最悪の場合は僕が教えますので分からないことがあれば訊きにきてくれて構いませんよ。店が忙しい時は流石に相手出来ませんが」

にこ「あんたがこのにこのお近づきになりたいから勉強とか言い出したんじゃないの?」

佐藤「法的に問題なくてもロリータには興味ないので」キッパリ

にこ「誰が合法ロリよ!」

29: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 02:51:48.04 ID:eLGeKe3x0
佐藤「冗談言える余裕があるなら早く帰って勉強してください」

にこ「分かんないところあったらメールするからメアドとついでにケーバン教えなさいよ」

佐藤「…………えぇー」

にこ「本気で嫌そうな声出すんじゃないわよ!」

佐藤「すいません、お約束かと思って。じゃあ、こっちが携帯番号で、こっちがメールアドレスです。きちんと勉強してくださいね」

にこ「分かってるわよ。にこが勉強しないとマズイんでしょ?」

佐藤「ええ、大いなる喜びを慟哭の絶望に変えるくらいにマズイです」

にこ「分かったわ。穂乃果にも……いや、その友達の方に穂乃果の勉強を見るように言っておくわ」

佐藤「作曲少女はデレてれば矢澤さんがプチトマト咥えて口移しで食べさせればμ's入りは確実ですよ。あははっ」

にこ「にこがそんな恥ずかしいことする訳ないでしょ」///

佐藤「冗談ですよ」

にこ「そんな恥ずかしいこと///」

30: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:00:01.38 ID:eLGeKe3x0
──月曜日 友達を持たぬぼっちにこだからこそ、孤高の姫のハートを打つ!


真姫「今週も懲りずに来たのね」

にこ「そう嬉しそうな顔するんじゃないわよ。にこ照れちゃう♪」

真姫「はぁ? だ、誰がそんな顔してるのよ」プイッ

にこ「ニッコニッコニー」ギクシャク

真姫「お弁当食べにきたんでしょ。さっさと食べてさっさと帰りなさいよ」

にこ「……お、お弁当。そう、そうだったわね///」

真姫「どうしたのよ? いつもにも増して変よ」

にこ「にこはいつもアイドルよ」

真姫(何か企んでるのかしら? あの二年の三人組みも押し寄せてくるとか……。それは勘弁ね。ただでさえ最近はこの先輩の所為で注目浴びて、何かと話掛けられたりするのに。別に悪い訳じゃないけど……)

にこ(落ち着きなさい。アイドルとは常に自分以外のことに気を配ることが出来るからアイドルなのよ。緊張でとちったり、相手に心配を掛けたりなんてしないわ。にこならやれる! やれるったらやれる! やれるのよー!)

にこ「さあ、いつもの通りおかず交換しましょう」

真姫「あなたが勝手にしてくるだけでしょ」

にこ「そ、そうね」

31: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:04:41.09 ID:eLGeKe3x0
真姫「本当にどうしたのよ。調子が悪いのなら保健室くらいまで運ぶわよ。こう見てもきちんと鍛えてるんだから」

にこ「大丈夫にこ。心配してくれてありがとう」

真姫「別に心配なんてしてないわよ。ただ、医者の娘だし?」

にこ(やれない。できない。やっぱりムリ! 真姫ちゃんに口移しなんて恥ずかしくて恥ずかしくて堪らないわ。でも、アイドルならこういうことも仕事ですることになるかもだし。そう思えばこれは予行練習みたいなものよね)

にこ「……今日はね、美味しそうなミニトマトを買ってきたのよ」

にこ(買ったのは佐藤だけどね。世の中には値の張るトマトもあるのね、驚いたわ)

真姫「へぇ。じゃあ、私はこれを交換してあげる」

にこ「ありがとうにこ」

真姫「だから早くその美味しいミニトマトを寄越しなさいよ」

にこ「う、うん」

にこ(行くしかないわ。真姫ちゃんは年上にも見えるくらいの容姿してるけど年下。そう、年の近い妹と思い込めば楽勝よ。手の震えよ止まりなさい。やるの、やれるの、やりきるの!)

にこ「じゃあ、食べさせてあげるから」パク

真姫「ヴェェェェ!? な、何で口に咥えて顔を近づけてくるのっ!?」カァァァ

にこ「んー!」ググッ

真姫「ちょっ、やめてっ、い、いやぁぁぁ!」////

32: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:09:04.06 ID:eLGeKe3x0
にこ「んっ!」ピトッ

真姫「あ、んっ……モグモグ……ちゅぅ」///

にこ「っ!?」カァァァァ!

真姫「い、今までで一番美味しかったかもしれないわね////」

にこ「そっれは良かったわね///」

にこ(にこのファーストキスが女の子になっちゃた///)

真姫(美味しくて全部食べたら触れちゃっただけよ。それに相手は女の子なんだしノーカンよ///)

凛「今あの二人キスしてたにゃー」

花陽「だっ、ダメだよ。そういうのは見てみぬふりしないと」アセアセ

モブ子「すっごい。あれってどういう意味なのかな?」

モブ美「確かあの小さい先輩ってスクールアイドルだって話だから、その勧誘? それとも実は西木野さんもスクールアイドルに入ってて、次のPVが今のなのかも!!」キャー

モブ子「それすごいかも! 前回のは三人だけだったし、今度は五人の曲ってことだね。それにしても今のをもう一度見れるってPVが楽しみだね!」キャー

モブ江「待ってください。PVじゃないとしたら……本物ってことですのよ? 囃し立てない方がいいですわ。お嬢様系の女子校と違うんですからデリケートに扱わないといけません」

にこまき「////」

33: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:13:54.60 ID:eLGeKe3x0
にこ(サトウブタ~!! どうするのよこれ! 言った通りにしたら次回PVが口移しとかありえないわよ! どちらかと言うとそういうのは本物のアイドルの仕事よ!)

真姫(これって私がμ'sに入って次のPVでもう一度矢澤先輩とキスしないと妖しい関係って思われるじゃないの~! これが作戦……ではなさそうね。私以上に動揺してるっていうか、泣きそうなくらい瞳に涙が潤んでて可愛いっていうか。何を言ってるのよ私は~!! もう自棄よ!)

真姫「そ、そうよ。クラスメートの皆には一応報告しておかないとね。私はスクールアイドルμ'sの一員になったの。曲だって私が作ってるし。分かった人も居るみたいだけど、今のは次のPVでやる練習だったのよ」カァァァ

にこ(えぇっ!? それってもう一度真姫ちゃんとキスすることが確定じゃない。どうすれば……。あの男に連絡よ! というか、一発本気で蹴るわ)

花陽「西木野さんがスクールアイドルに……」ポツリ

凛「かよちんも入れて欲しいって言えばいいのに」

花陽「わ、私は……そんな。スクールアイドルになんて、なれっこないし」

凛「でも、やりたいんだよね?」

花陽「」

34: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:17:00.96 ID:eLGeKe3x0
モブ子「モブ美の言う通りだったね!」

モブ美「あたしって生まれる世界が違ったら名探偵JKだったし」

モブ江「百合だった方がインパクトがあったのですけど……。少しだけ残念ですわね」

モブ子「モブ江ってそんな趣味が!?」

にこまき「…………」

モブ江「PVの練習だとしてもプロでないからこそ逆にお互い好意を持ってなければ出来ないことですのよ。私は二人のスクールアイドルライフを応援致しますわ」パチパチ

モブ子「そうだね。私も応援する!」パチパチ

モブ美「あたしもあたしも! UTXに行った友達にもお勧めしてみる!」パチパチ

にこまき(大変なことになったわ)

35: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:22:44.36 ID:eLGeKe3x0
──同日 もしもし、私にこちゃん。今貴方のハートの中に居るニコッ♪


佐藤「知らない番号から電話ってことは、にこにーからか。あの声を電話越しで聞くとなるとちょっとヤバイかもしれない。トリップしないようにエリーチカの声を何度もリフレインしよう。……もしもし」ドキドキ

にこ『あんた! 何で今日バイトに来てないのよ!』

佐藤「さすがに毎日シフト入ってないですから。今日は休みですよ」

にこ『あんたが言った通りの行動したら確かに真姫ちゃんはμ's入りしたけど……だけど、お陰で大変なことになっちゃったわよ! 他のメンバーにも真っ先に言わなきゃいけないけど、あんたに文句言いたくてこうして授業終わったら即秋葉に来たのにあんたいないし!!』

佐藤「取り敢えず落ち着きましょう。言った通りにって何をしたんですか?」

にこ『何をって……あんたがプチトマトを口移しで食べさせろって言うからしたんでしょうが!!』

佐藤「え? あれは冗談だってきちんと言いましたよね?」

にこ『──は? 冗談って、言ってた?』

佐藤「絶対に言いましたよ」

にこ『あ、あー……ちょっと話したいことがあるんだけど、出てこれない?』

佐藤「いいですよ。電話より直接の方が脳への刺激が少ないんで」

にこ『はぁ?』

佐藤「何でもないです。ドーナツ屋にでも入ってて下さい。注文したものは仕方ないので今回は奢りとでいいですから。今から十分で行くんで」

にこ『早くしなさいよ』

36: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:40:53.40 ID:eLGeKe3x0
──戦場はドーナツ屋


佐藤「お待たせ。レシート頂戴」

にこ「待ったわ。はい、これ」

佐藤「不機嫌そうだね。その割りに頼んだのはドーナツひとつと飲み物だけか。はい、これお金」

にこ「いくらムカつく相手でもお金が関わることで無駄遣いなんてしないわ」

佐藤「意外と冷静ですね。それで何があったんですか。あの感じだと本当に口移しで食べさせたってことですか?」

にこ「そうよ。にこのファーストキスが女の子の上に、後輩達に見られながらだったし。その代わり真姫ちゃんがμ'sに入ってくれたけど、次のPVで同じことする流れになったわよ」

佐藤「うわぁ……」

佐藤(ダメな方に転ぶのはもはや運命的というくらいな人生だな。だけど、これで一つクリアーだ。一年組は今週中に突破出来るだろう。問題はPVにスクールアイドル同士でキスを入れてもいいのかどうかだな)

にこ「なんとかしなさいよ。半分はあんたの責任でしょ」

佐藤「作詞担当と衣装担当の名前は何でしたっけ?」

にこ「作詞が園田海未で衣装が南ことり」

37: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 03:58:31.40 ID:eLGeKe3x0
佐藤「園田さんに次の曲を白雪姫もしくは眠り姫のような歌詞を作るように言って下さい。勿論衣装もそれに合わせて。これなら最後に王子様の矢澤さんが真姫さんにキスしてもおかしくないでしょう?」

にこ「……確かに、そうだけど」

佐藤「絶対に生徒会が文句をつけてくるでしょう。理事長に事情を説明して許可を得て下さい。多分大丈夫だと思いますが、生徒会からの苦情が直接くるか理事長へ行くのか分かりませんからね」

にこ「なるほどね。確かにあの女ならイチャモンつけてくるわね」

佐藤(僕のエリーチカを悪性女みたいに言うな!)

にこ「何か言った?」

佐藤「いや、何でもない。作詞も衣装も見に来ていた一年生二人をスカウトして成功することを前提にしておいた方がいい。真姫さんが入って一年生にパイプが出来た。これを利用しない手はない」

にこ「真姫ちゃんを利用するなんて言い方しないで!」ジロリ

佐藤「それはごめん。話に聞いた感じだと年上から言われると引っ込んじゃう気がするんだよね。その点真姫さんなら同じ一年生ならプッシュし易いと思うし」

にこ「そうね。それはにこも同意権。でも一人のアイドル好きとして何か同じ匂いを感じるのよね」

佐藤「アイドル好きでなかったら同じ学校とはいえ、立ち上げたばかりのスクールアイドルのライブを見に行ったりしないだろうからね。早い方がいいけど決意するのにも時間を掛けないと逆効果になりかねない」

にこ「本気の決意っていうのは急かしちゃダメってことね」

38: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:01:07.61 ID:eLGeKe3x0
佐藤「今日は取り敢えず学校に戻ってμ'sの他のメンバーに話を通してください。あと、この先何があるか分からないので真姫さん含むメンバー全員と連絡先を交換しておいてください」

にこ「分かったわ」

佐藤「理事長には明日にでも話を通しておいてください。絶対に忘れないでくださいね」

にこ「にこが忘れるわけないでしょ」

佐藤「本気で心配なので明日メール入れておきます」

にこ「どんだけ信用ないのよ!?」クワッ

佐藤「冗談と言ってる人間の発言を聞かずに実行に移す人間を信用しろと?」

にこ「にこは学校に戻るわ。ご馳走様」

佐藤「がんばって」

40: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:04:05.51 ID:eLGeKe3x0
──翌日・昼休み


モブ子「四時間目の授業五分も延長したのに小さい先輩来てないね?」

モブ美「今日は来ないのかな?」

モブ江「きっと昨日の今日ですから三年生の教室で食べるんですわ」

真姫(……どうしてそうなるのよ。大体毎日来てたのにメンバーになった途端こないとか、一人ぼっちだったとか全部嘘だったわけ? 文句言いに行くわ! 別に他意なんかないわよ!)

モブ江「ほら見てください。西木野さんがお弁当を持って教室を出て行きますわ。私の予想通りみたいですわね」

41: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:09:28.84 ID:eLGeKe3x0
 
──ぼっちの居る教室


にこ(あの先生、六分も延長してるんじゃないわよ。今から行っても真姫ちゃんもう食べ始めてるだろうし、昨日のこともあるから今日は一人で食べましょう)

にこ「…………モグモグ」

真姫「何で一人で食べてるのよ?」

にこ「っ! ま、真姫ちゃん。どうしてここに?」

真姫「あなたが来ないからでしょ!」

にこ「ご、ごめん。授業終わるの遅くなったからもう食べ始めてるだろうなって思って」

真姫「そういうの確認するの必要だから教えて///」

にこ「え?」

真姫「携帯の番号とメールアドレスよ」カァァァ

にこ「あ、うん。昨日部室に来てなかったから真姫ちゃんとは交換出来てなかったものね」

42: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:19:50.06 ID:eLGeKe3x0
真姫「そもそも私はμ'sの部室がどこにあるのかも知らないんだけど?」

にこ「ごめんね。今日は放課後ににこが迎えに行くわ。昨日はちょっと色々あって授業が終わって直ぐに一度出てたから」

真姫「そうなの。私も昨日は病院に顔を出す用事があったからいいんだけど」

にこ「よかった。でも、本当にごめんね」

真姫(実際は一時間教室で待ってたんだけど。友達いないって言葉が嘘じゃなかったみただし、秘密にしておいてあげるわよ)

♪孤独の切なさ~

にこ「あ、メール」

佐藤『今日の放課後に例のシーンを入れたPVの許可を忘れずに理事長に取ってください』

にこ(思いっきり忘れてたわ。でも癪だから言われなくても分かってるって返信しておきましょう)

にこ「放課後にちょっとだけ用事があるから待っててもらえる?」

真姫「用事?」

にこ「部長としてしなきゃいけない用事があるのよ。にこはアイドル研究部の部長にこっ♪ 終わったら連絡するから先にメアドとケーバン交換しましょう」

真姫「ええ、そうね」

43: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:24:45.55 ID:eLGeKe3x0
──悪魔の契約はサイン済み


にこ「ってことで花陽の決意は固まりそうにないわ」

佐藤「そっか。意外と簡単に決まると思ったのは間違いだったか」

にこ「凛って子も花陽の背中押すの手伝ってるみたいなんだけどね」

佐藤(先に真姫を引き入れた所為で花陽のフラグが立ち難くなったのか。既にスクールアイドルを始めた真姫とそうでない真姫とでは花陽にとって別人なのだろう。考えが甘かったな。ちなみに口調はいつまでも敬語は気持ち悪いと言われたので崩した)

にこ「穂乃果達には今週中に後二人メンバーに引きこむって宣言してるし、衣装も歌詞も七人用で進行してるし……。明日一日でなんとか出来る方法を考えなさいよ」

佐藤「僕も考えるけど、矢澤さんもきちんと考えてね。馬鹿な考え休みに似たりって諺があるけど、考えない馬鹿の方がもっと馬鹿だから」

にこ「馬鹿馬鹿言ってるんじゃないわよ! にこはそういうの考えるのが不向きなだけ。実践向けなのよ。正に魔性のアイドルなの!」

佐藤「魔性という言葉の意味を知ってから発言し直してね。しかし、どうしたものかなぁ」

にこ「相変わらずムカつくやつね」

佐藤「……物事の切っ掛けってけっこう単純でいい加減でもいいよな。問題なのはその気持ちが本物かどうかだし」

にこ「何か思いついた?」

佐藤「褒められた作戦ではないけど、まずは餌で釣る。その後はにこのアイドルへの愛情次第かな」

44: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:27:54.79 ID:eLGeKe3x0
にこ「どういうこと?」

佐藤「君は持っている。伝伝伝を。あれは生きる伝説のアイテム。スクールアイドルファンならば誰しもが一度は鑑賞したい幻の作品。ソレを観て興奮状態に陥った後に矢澤さんがアイドルへの知識、情熱をぶつけ合えば陥落出来る」

にこ「ちょっと待ってよ! どうしてにこが伝伝伝持ってること知ってるのよ」

佐藤「持ってない筈がないと思ってね。実際に持ってるみたいだし」

にこ「二つ持ってて一つは部室にあるけど、あれを人に見せるつもりはないわ」

佐藤「矢澤にこ。以前アイドルはファンの皆を笑顔に出来る仕事って言ってたよな。仲間に対して自分の大切なモノを見せられないようじゃ小さい。もし、真姫さんに対して自分がぼっちの先輩だって暴露してなかったら、矢澤さんじゃ絶対に仲間に引き入れることは出来なかったと思う。今の矢澤さんには大切な物が見えていない」

にこ「……」ムッ

佐藤「多分リーダーシップのある人間ってそういうのが無意識に分かってて、自分の大切なものを共有するってことに抵抗がないんだと思う。僕もどちらかと言わなくても矢澤さんのタイプだから偉そうに言ってるけど気持ちは分かるよ」

にこ「……」

佐藤「でも、アイドルの一番星を目指すならそんな考え捨てちゃおう。それにね、僕は分からないけど……。大切なモノを一緒に語り合える、共感し合える人がいるっていうのはとっても幸せだと思うんだ。もし、今回の伝伝伝を共有してみて不快にしか思わないのなら僕はもう何も言わない」

にこ「……」

佐藤「それはにこにーの性格なんだって受け入れてこれからの方向性を考える。でも、もし今までと違った世界が見えたのなら、共感する世界が見えたのなら変わっていこう。この世界は孤独に慣れるなんて勿体無いことをしなくていいって僕は思う」

45: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:30:16.64 ID:eLGeKe3x0
にこ「だ、誰がにこにーよ。あんたみたいなデブが愛称で呼ぶんじゃないわ」

佐藤「あ、ごめんごめん」

にこ「……孤独に慣れるなんて勿体無い、か。言うのは簡単だけど、自分の大切なモノを見せるのって嫌だし、怖いわよ」

佐藤「そうだよね。でも、アイドルってライブの時は特に顕著になるけど、その場に一緒にいることで一番楽しい時間をファンと共有するんじゃないかな? それってさ、自分の大切なものを見せるよりももっと恥ずかしいくて難しくて、ちょっとだけ怖い事なんじゃないかな?」

にこ「そうかしら? そうだとしたらあんな楽しそうに笑顔を浮かべられるとは思わないけど」

佐藤「恥ずかしくても笑っていられるからアイドルなんだよ。矢澤さんは──」

にこ「──にこにーで良いわよ」フンッ

佐藤「ありがとう。にこにーはそういう世界で一番の笑顔を浮かべられるようになるんだ。その為の第一歩だと思おう。アイドルなんて不規則で休日なんていつあるかも分からない。そんな中でふと、振り向くことがあった時、スクールアイドルμ'sで経験したことが今の自分を支えているんだって思い出して元気になれる。その笑顔が多くのファンの笑顔を生み出す。そんな幸せの種を今蒔こう」

にこ「未来の自分の為に今恥を掻けって?」

46: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:40:00.93 ID:eLGeKe3x0
佐藤「ひいてはファンの為にもなるさ。形は違うけど聞くは一時の恥、聞かぬは末代までの恥に似てるね。恥も掻きたくないけど、最高の自分になりたい。なんて夢物語が通用しないくらいには世界も優しくはないよ」

にこ「はっ! そんな甘っちょろいことこのにこが言う筈ないでしょ。いいわよ、真姫ちゃんのことで恥は掻いたんだもの。怖くても一歩踏み出してやるわ。でも、あの時を思い出すと身体が震えちゃうわね」ガクガク

佐藤「あの時?」

にこ「言ったでしょ? にこは元々一年生の時に自分でスクールアイドルを始めたって。にこの想いは誰にも共感されなかった。にこと皆はアイドルに対する考えが全く別の方向を向いてたの。だから一人取り残されて、身動きが出来なくなった」

佐藤「あははっ。そんなことで怖がる必要はないよ。そんなことより一つお願いがあるんだけど」

にこ「反応かるっ! しかもこのタイミングでお願いとか言い出すわけぇ!?」

佐藤「だって僕けっこうにこにーの事を裏から支えてるし、一つくらいお願い聞いてもらってもおかしくないでしょ」

にこ「もしかしてにこの──」

佐藤「──だから合法でもペ は無理」キッパリ

にこ「最後まで言わせなさいよ! しかも、ロリからペ にグレードダウンしてるじゃない!!」

佐藤「僕にとってにこにーはロリでもペ でも変わらないってことさ。で、お願いなんだけど……敵である生徒会長の生写真が欲しいんだ」

にこ「絢瀬の生写真~? そんなもんがどうして必要なのよ」ケッ

47: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:44:18.82 ID:eLGeKe3x0
佐藤「捗るからさ!」キリッ

にこ「はかどる?」キョトン

佐藤「ああ、作戦を考える時に敵の顔を知ってるか知らないかで全てが変わると言ってもいい。大事なことなんだ。出来れば複数枚。笑顔とかあれば尚良し!!」キラキラ

にこ「え、笑顔って……敵同士なんだからありえるわけないでしょ」

佐藤「そこは一つ考えがある。にこにーが撮ると拒まれるに決まっている。だから他の人に協力を仰ぐ。生徒会長と仲が良い生徒に頼めばいいんだ。例の不思議ちゃんに頼もう」キラキラ

にこ「希に? 真姫ちゃんや穂乃果の話を聞く限りでは敵というよりは見方よりみたいだけど、こんなことに協力してもらえるとは思えないわよ」

佐藤「そんなことは知らん! にこにーは僕のお願いを聞くしかないんだ。もうこれは悪魔の契約だ。これを遂行しないとにこにーの未来は暗く閉ざされる。既にサイン済みだ覚悟しろ」ジロッ

にこ「何一人で興奮してんのよ! それより花陽の引きこみ作戦をきちんと教えてよ」

佐藤「写真を持ってくるまで次の作戦はないと思え!」キリッ!

にこ「なっ!?」

佐藤「花陽ちゃんはさっき言ったのが全てだよ。伝伝伝と情熱だけだ。それ以外寧ろ不要。てことで、一日も早い任務達成を祈る。その時にビデオカメラも貸すから、それで次のPVを撮りな。あ、後生徒会長を撮るカメラも必要か。よし、これから買いに行こう。今すぐ行こう」ガシッ

にこ「ちょっ、何す──にこ~~~~!」ズルズル

48: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:51:40.34 ID:eLGeKe3x0
──翌日 一年生コンプリート


花陽「感動しましたぁ~。音ノ木坂にこんなにアイドルに詳しい先輩がいたなんて~。それに伝伝伝を拝める日がくるなんてっ」ハァーン♪

にこ「にこも驚いたわ。まさかあんな深い部分まで知っているなんてね」フッ

海未「私にはあの二人が何を話しているのか分からないのですが」

穂乃果「私も全然分からないけど、楽しそうなのは伝わってくるよ」

真姫「……確かに楽しそうね」ムスー

凛「あんなに楽しそうなかよちんはとってもレアだよ」

ことり「にこ先輩って意外と言ったら失礼だけど、頼もしいよね」

海未「そうですね。見た目に反して着実に成果を上げています」

穂乃果「子どもみたいなんだけどねー」

にこ「にこと一緒にアイドルを目指しましょう。花陽、あんたなら絶対に輝けるわ」

花陽「ふわぁぁぁあ~っ♪ 花陽頑張ります! どうか私をスクールアイドルに入れてください!!」ペコリ

にこ「大歓迎よ。それから凛。あなたも一緒にやりましょう」

凛「り、凛も?」

にこ「あんたも可愛いんだし、運動神経よさそうだし。スクールアイドルになるべきよ」

49: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 04:57:34.84 ID:eLGeKe3x0
凛「でも凛は……」

にこ「悩むくらいなら行動してみなさい。許可降りなさそうなことでも、いざ話してみたらすんなりと通るってこともあるんだし」

真姫「あれって完全に理事長のことじゃない」カァァ

ことり「そうだね。にこ先輩と真姫ちゃんのキスの許可だよね♪」

穂乃果「ぬふふふふ~♪」ニヤニヤ

にこ「やってみてやっぱり自分には似合わないって思ったらヤメても構わない。でも絶対に後悔はさせない。これから先大人になって、ふと過去を振り返る時がくると思う。その時に今日の事を思い出して、やるって決断したことでμ'sの楽しい思い出が出来たんだって誇らせてあげる。未来のあんたに笑顔を上げる。その幸せな種を今蒔きましょうよ。にこ達と一緒にスクールアイドルをやりましょう?」ニッコリ

穂乃果(大人みたいでカッコいい~♪)

海未(あんな恥ずかしい台詞を言えるなんて……にこ先輩凄いです)

ことり(ちゅーんときた! にこ先輩の王子様衣装の明確なヴィジョンが浮かんだよ☆)

真姫(相変わらずぶっちゃける人ね///)

花陽(はぁ~♪ まるでアイドルみたい。素敵です!)

凛「凛はかよちんと違ってアイドルについても知らないし、女の子っぽくないかもしれないけど……でも、一緒にスクールアイドルをやらせてください!」ペコッ

にこ「こちらこそよろしくね。練習は正直辛いと思うけど皆で乗り切っていきましょう。新しいPVの仕上げを目標に頑張っていくわよ。にっこにっこにー♪」

50: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:05:20.94 ID:eLGeKe3x0
──にこにークエスト~依頼を承諾させよ~


にこ「希。ちょっと話があるのよ」

希「にこっち。最近調子良さそうやね」

にこ「ええ、お陰さまでね。真姫ちゃんが最初の曲を渡せたのは希のお陰だって聞いてるわ。ありがとう」

希「……びっくり。にこっち随分と変わった気がする」

にこ「まぁね。にこは毎日アイドルになるべく進化してるのよ。にっこにっこにー♪」

希「それを見ると普段の子どもにこっちだって安心するわ」

にこ「誰が子どもよ!?」クワッ

希「それでウチに何か用事かいな?」

にこ「そう。すっごい重要な用事があるの。しかも、希にしか頼めないのよ」

希「ウチにしか頼めない?」キョトン

にこ「ええ。絢瀬の写真を撮って欲しいのよ。え、笑顔の写真とか、何かポーズを決めてる写真とか」

希「にこっち! 浮気はダメやで!」

にこ「違うわよ! ていうか、なんでしかも浮気になるのよ!」

希「え、だって真姫ちゃんと付き合ってるんやろ?」

にこ「」

希「それなのにえりちの写真が欲しいだなんて」

51: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:08:26.67 ID:eLGeKe3x0
にこ「い、いや……。付き合ってないわよ。女の子同士なんだから。そもそも真姫ちゃんとこれは別件よ。絢瀬のことなんてにこはなんとも思ってないわ」

希「ツンデレ?」

にこ「違うわよ! 悪魔の契約なのよ。取り敢えずにこの明るい未来の為に協力してよ」

希「うーん……そうやなぁ。生徒会の仕事を少し手伝ってくれるならええよ。ウチがえりちを丸め込んで写真取ったげる」

にこ「OK手伝うわ。カメラとフィルムはこっちで用意してあるから」

希「フィルムって、デジカメやないの?」

にこ「デジカメなんかじゃ写す物のなんたらかんたららしいわ」

希「よく分からんけど、了解や。ウチに任せとき~」

にこ「ありがとう。正直助かったわ」ニコッ

希「あ、そうそう一つだけ質問してもいい?」

にこ「何よ?」

希「最近変わった出会いでもあった?」

にこ「あったと言えばあったわね。にこの人生の中でダントツのムカつく出会いが」

希(その相手が新しい道を作る者とみて間違いないか。にこっちは良い方向に向かってる。ただ、このまま良い未来になるかどうか見えない以上不安や。機会があれば直接話をしたい)

にこ「真姫ちゃんに今日は練習遅れるって連絡したから生徒会の仕事とやらをさっさと終わらせましょう」

希「そうやね」

52: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:17:58.79 ID:eLGeKe3x0
──にこにークエストⅡ~魔性の生徒会長と似非関西弁の巫女~


絵里「どうして部外者の貴女が生徒会室にいるのかしら?」

にこ「あんたに会いに来た訳ではないのは確かよ」フンッ

絵里「じゃあ何をしに来たのよ。用がないのなら帰って」

にこ「私は希に言われて手伝いに来ただけよ」

希「そうそう。ウチが頼んだんや」

絵里「希が? よりによってどうして矢澤さんを?」

希「ギブ&テイクっていうところやね」

にこ「早く練習に行きたいし。さっさとやることを教えてくれない?」

希「そうやね。こっちのアンケートの結果をまとめて貰える? 一つ一つは多くないんやけど、種類が多いから困ってたんよ」

にこ「それが終わればいいのね? にこにとっては楽勝だわ」

53: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:21:06.05 ID:eLGeKe3x0
──1時間後


にこ(単純な作業ってどうも眠くなるのよね……。他の事を考えましょう。あの時は流されてて分からなかったけど、佐藤があんな強引に頼む事が無駄なわけないのよね。今までが今までだし)

にこ(そなると希をμ'sに引き入れるつもり? いや、まさかだけど……希だけでなく、絢瀬も? 佐藤はμ'sを盛り上げたいの? それとも壊したいの?)

にこ(まだ決まった訳じゃないけど、絢瀬への拘り具合を考えると引き入れを考えてるという方が自然よね)

絵里「矢澤さん、手が止まってるわ。そんな簡単なことも満足に出来ないの?」

にこ「くっ……」

希「焦らんでもゆっくりでええからね」

にこ「そんなことより、廃校の件は決定なの?」

希「まだ本決まりってことじゃなさそうだけど、行動を起こさない限りは……ね」

にこ「つまりμ'sが注目されれば廃校を回避できるって穂乃果の言葉もない訳じゃないってことね」

絵里「ありえないわ。あんな素人同然の動きで注目を集めるだなんて」

にこ「玄人気取りの生徒会長さん。次のPVを見て同じことが言えるかしらね」

絵里「ええ、言えるわ。当然でしょ? 矢澤さんが入ったくらいで何が変われるっていうの?」

希「まぁまぁ。二人共熱くならない」

54: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:25:39.45 ID:eLGeKe3x0
にこ「……ふんっ。絢瀬になんと言われても、この学院を救うのは生徒会じゃなくて、あんたが素人同然って言ってたμ'sになるの。ざまぁみろだわ!」

絵里「まずは夢と現実の区別を付けなさい。一度失敗して尚夢を見て、貴女は恥ずかしくないの?」

にこ「一度の失敗で諦めるなんてありえない。何度だって失敗しても、必ず最後に夢を叶えて笑ってみせるわ」

絵里「その一度の失敗の後何も行動を起こしてなかった人間の言う台詞ではないわね。そもそもみゅーず? だって、二年の高坂さんが立ち上げたものじゃない。貴女は何をしてたのかしら?」

にこ「そうね、あんたの言う通り。でも、気付けた。本当の夢に向かう勇気を与えてもらった。だから、もう怖くない」

絵里「それって結局は自分の力ではないってことでしょ? 一人になった時に発揮出来ない力なんて意味がないわ」

にこ「そんなことない。生徒会長という皆の力を纏める立場でありながらそんなことも分からないの?」

絵里「──」

にこ「──」

希(二人を引き合わせたのは失敗やったかな)

絵里「もういいわ。貴女の残りは私がやっておくから、早くこの部屋から出て行って」

にこ「嫌よ。にこは希に頼みごとをした。これはその分与えられた仕事だもの。絢瀬には関係ない領分よ」

絵里「」

希(さっき感じた以上ににこっちが成長してる。逆にえりちがにこっちの何かに反発してる。スクールアイドルという部分以上に何かあるみたいやね)

55: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:29:37.27 ID:eLGeKe3x0
──同日・夜


佐藤(バイトが終わり、シャワーを浴びてから一息吐いていたら思い出した。にこにーにご褒美としてラブライブ開催のこと伝えるの忘れていたことに)

プルルルルル

にこ『何よ。写真の催促?』

佐藤「いや、前に言ってたご褒美を先に与えておこうと思ってね」

にこ『ご褒美? そんなのあったっけ?」

佐藤「うん、あったよ。ここだけの秘密の話だから誰にも言っちゃダメだよ。μ'sのメンバーにも」

にこ『何もったいぶってるのよ。どうして大したことないんでしょ』

佐藤「この夏にラブライブの開催が決定した」

にこ『なっ!? そう、そういうことね』

佐藤「何が?」

にこ『悔しいけど絢瀬が入れば間違いなく女性人気が増える。希は間違いなく男性ファンが増えるわね。あんたが写真の依頼をしたのって希と絢瀬との繋がりを作る為のものだったんでしょ?』

佐藤(そんなつもりなんて当然なく、ただエリーチカの写真が欲しかっただけだなんて言えないな)

56: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:35:13.42 ID:eLGeKe3x0
佐藤「──な、なるほど。僕の考えを読みきったか」

にこ『あんだけ強引に話を進めれば誰だって気付くわよ。にこをバカにしてるの?』

佐藤「だが、写真は必要だ。絶対に忘れんな。絶対だぞ? 振りじゃねぇからな」

にこ『希の写真も必要なんじゃないの?』

佐藤「そっちは大丈夫だ。それからフィルムが余ってたからとか言ってにこにーの写真だらけとかも要らないから」

にこ『なっ! 誰がそんな子どもみたいなことすんのよ!』

佐藤「あ、でもμ'sのメンバーの写真は欲しいかも。あ、それから新しく入った子の凛ちゃんだっけ? あの子にも勉強、特に英語を重点的に勉強しておくように言っておいてね」

にこ『伝えておくわ。結局にこにーの写真が欲しいんじゃない。回りくどいやつねー』

佐藤「いや、にこにーの単独写真はいいや。真姫さんと並んでるショットでよろしく。あ、真姫さんのはきちんと単独の写真も頂戴ね」

にこ『本当に素直じゃないわねー』

佐藤「…………えっと、そんなに撮りたかったらにこにーの単独写真も撮っていいよ?」

にこ『同情風に言うんじゃないわよ!!』クワッ

佐藤「でね、冗談はともかく。次のPVなんだけどちょっと案を考えたから明日他のメンバーに話しておいてくれないかな。電話終わったらメール入れておくから」

57: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:39:08.56 ID:eLGeKe3x0
にこ『分かったわ。といっても、今回はまだ悩んでるみたいで歌詞が全然出来てないみたいだけど』

佐藤「その方が助かる。今回のPVで一気に50位以内を目指す。ラブライブ開催が発表される前に出来るだけ上位に食い込んでおきたい」

にこ『……1位のA-RISEは当然出場は確実ね』

佐藤「うん。上手くいけばA-RISEと争うんだ」

にこ『スクールアイドルの歴史の中で一番人気があると言われているA-RISEとにこ達μ'sが……』

佐藤「まずは20位以内をキープして予選を通らないと話にならないよ。予選が終わるまでは気を抜けない。少しでも気を抜けば足元をすくわれるだろう。だが、気負いすぎると逆に失敗の元になる。大きなイベントやライブの前に体調管理をきちんと出来てこそのアイドル。そういうのを目を光らせる必要がある」

にこ『ええ、そうね。特にうちのリーダーは猪突猛進だから心配だわ』

佐藤「ま、今はまだ発表までもう少しだけ時間がある。その前にPVを完成させておかないと。バランス感覚の練習や柔軟もきちんとするようにね。それから、にこにーもきちんと勉強忘れないように!」

にこ『分かってるわよ!』

佐藤「それじゃあ、電話切るよ。おやすみ」

にこ『おやすみ。いい夢みなさいよね』

佐藤「……これで後は海未ちゃんの作詞が上手く出来るかどうか、マッキーの曲が完成するかだな。こればかりは信じるしかない。っと、忘れる前にメールしておこう」

58: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:44:04.53 ID:eLGeKe3x0
──部室 裏・先輩禁止


海未「もう一度お願いします」

にこ「だから、次のPVは物語的なものにするから歌詞もそれを意識して作って。少し長めの方がいいわね」

海未「……頭が痛くなってきました」

にこ「真姫ちゃんも大変だと思うけど、そういう系の曲になるから」

真姫「簡単に言うわね」

にこ「仕方ないでしょ。そもそも王子様とお姫様が出てくるんだからそうなってもおかしくないって思ってたでしょ?」

海未「それとこれとは別物です!」

ことり「穂乃果ちゃんみたいなこと言い出したね」

穂乃果「えぇっ!? ほのかってあんな感じに見えるの」

ことり「うん! スクールアイドルを始めるって言い出した時だって唐突にそれが正しいことなんだって言うように言い出したでしょ?」

穂乃果「むむむっ……。確かに!」

海未「こんな難しい歌詞思いつける自信がないのですが」

真姫「私はなんとかなるけど」

59: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:48:24.55 ID:eLGeKe3x0
穂乃果「海未ちゃん! ふぁいとだよ!」ニッコリ

海未「穂乃果……。そうですね、とにかく考えてみます」ニコリ

にこ「勿論、力になれることがあれば雑用でも何でもするから」

真姫「本当に? だったら後で肩でも揉んでもらおうかしら?」フフフ

にこ「真姫ちゃんの肩ならいいけど」///

穂乃果「海未ちゃんの肩は私が揉んであげるねー♪」

にこ「あ、そうだ。穂乃果、あんたきちんと勉強はしてる?」

穂乃果「にこちゃんの所為で海未ちゃんが勉強しろーって煩く言ってくるからしてるよー」

海未「まさか数学があんなに壊滅的だとは思いませんでした」

ことり「穂乃果ちゃんは算数の頃から苦手だったもんね」

花陽「すいません! 掃除当番で遅れました」

凛「ました!」

60: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:52:28.62 ID:eLGeKe3x0
にこ「花陽。今日から凛の勉強見てあげて。特に英語を重点的に」

凛「ど、どうして突然勉強の話をするのぉ?」ビクビク

にこ「私達はアイドルの前にスクールが付くんだから当然でしょう」

花陽「凛ちゃんはやれば出来る子だから、そんなに嫌がらなくても平気だよ」

凛「うぅ~勉強嫌だよー」

穂乃果「なんていうか、にこちゃんってリーダーって感じだよね」

海未「無理難題も言いますが、確かにそういうイメージが付いてきましたね」

ことり「私は穂乃果ちゃんの方がリーダーって感じするけど」

凛「勉強しろっていうリーダーなんて要らないにゃー」

花陽「最上級生だし、頼りになるし、にこ先輩がリーダーっていうのは納得です」

にこ「そんな話はともかく。一年生も三人になったことだし、言いたいことがあるのよ。上級生だからって遠慮されると緊張してやれることもやれなくなると思うの。だから先輩とかやめましょう」

ことほのうみまきりんぱな「え?」

61: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:54:32.69 ID:eLGeKe3x0
にこ「敬語はなしで、呼び捨てにするなりちゃん付けにするなりは個人の自由」

真姫「そうね。私はありだと思うわ。……にこちゃん////」

にこ「うん、真姫ちゃん」ニコッ♪

海未「なるほど。にこ、其れはいい考えですね」

穂乃果「といっても、海未ちゃんは素が敬語だから敬語のままだけどね、にこちゃん」

にこ「ま、そこは海未の個性だからね」

凛「なんだかドキドキするにゃー。……ことりちゃん?」ドキドキ

ことり「はいっ♪」

花陽「……う、海未ちゃん///」

海未「はい、花陽」

にこ「さあ、いい感じになってきた所で今日の練習を始めるわよ!」

μ's「おー♪」

62: ◆CCblXqjw.2 2014/05/30(金) 05:57:34.68 ID:eLGeKe3x0
これから物語は『真姫デレ』『青春臭さ』『にこ超人化』『原作変動』『にこまきイチャイチャ』が無謀にも加速していく!

ワルチカ「佐藤君が主人公でまともな話っていうのがそもそも無謀なのよ。需要なんて皆無だわ」

穂乃果「確かに需要なんてないかもしれない、誰も読んでくれないかもしれない。でも私は信じたい。南條さんのファンならきっと佐藤君が好きなんだって! だって私は佐藤君好きだから!」キリッ

ワルチカ「貴女の好きは偽善だわ。それは佐藤君じゃなくてナンジョルノが好きなだけじゃない」

穂乃果「そうなのかも。でも、佐藤君で可能性感じたんだ」

ワルチカ「中ボスであるこのKKEすら攻略出来そうにないのに? そんなんじゃラスボスのA-RISEを倒すなんて夢のまた夢だわ。味噌汁で顔を洗って出直してきなさい」

穂乃果「かなりキてる絵里ちゃんの言う通りかもしれない。でも、夢見ていたいもん。穂乃果はまだまだ沢山夢みていたいもん! だったら夢のまた夢でも何もないよりずっと幸せだよ!!」

ワルチカ「かしこいかわいいエリーチカよ! それから、風の妖精が飛んできそうな臭い台詞はもううんざりなのよ!」ギップリャ!

穂乃果「過去の結果なしエリーチカ? 確かにA-RISEすら素人扱いしておきながら自分は結果残せずに逃げ出してきた負け犬だよね」

ワルチカ「どうやら遊んで欲しいみたいね。手加減なんてしないわ。(コインを上に弾く)これが私の全力よーーーー!」レールガン

穂乃果「それ絵里ちゃん関係ないとは言い切れないけど、登場人物なら水泳部の人だし反則だよね! えぇい! こうなったら電撃なんて穂乃果の圧倒的腕相撲力で地面に叩きつけちゃうよ!」オワラナイアルティメットバトル

穂乃果を使わずに絵里を攻略させる難易度はラスボスより強い中ボスレベル。 また次回!

70: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 05:38:05.94 ID:LvLxo80H0
ワルチカ「前回までのラブライブよ」ニヤリ


にこにぼっちであることを告白され、嫌でも意識してしまうようになった孤高の真姫。

ひょんなことからクラスメートの見てる前でキスをしてしまう。

それから更に意識してしまう自分に葛藤する真姫。

そんなある日、男と一緒に居るにこを見てしまい、自分の中にある気持ちが恋なんだと自覚する。

そして、男とは何でもない事を知り、緩んだ心が外に漏れてしまう。

真姫「私はにこちゃんが好き。世界中の誰にも渡したくない」

にこ「にこぉ////」

かくして二人は恋人同士になった。

73: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 05:47:54.01 ID:LvLxo80H0
──お昼 姫のデレる教室


にこ「どうかしたの? 心なしいつもより顔が熱ってるみたいだけど。少しでも体調が悪かったら保健室行った方がいいわよ。にこも付き合うから」

真姫「別に熱とかないから安心して。夢見が少し悪かった所為ね。あんなうがいなんてありえない!」カァァァ

にこ「うがい?」

真姫「何でもないわよ!」

にこ「そ、そう。もしかして曲作りが詰まってるとか?」

真姫「そうよ、曲は昨夜完成して気持ちよく眠りについたのに……。にこちゃんの所為よ! 謝って!」

にこ「え、ご、ごめん」ペコッ

真姫「まったく」ツンツン

にこ(海未もそうだったけど、やっぱり今回の曲は相当に難易度高かったみたいね。佐藤が言い出したこととはいえ、それを通したのはにこだし、謝るのは当然ね)

真姫「明日はまたアレ作ってきてよ」

にこ「何?」

真姫「トマトソースでじっくり煮込んだハンバーグ。取り敢えずそれで手を打ってあげるわ」

にこ「だったら明日は真姫ちゃんの分のお弁当もにこが作ってくるわ。ハンバーグはこの間のより美味しく仕上げてくるわね」ニコッ

真姫「……///」

74: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 05:51:49.23 ID:LvLxo80H0
真姫(にこちゃんの笑顔を見ると夢が鮮明に蘇るじゃない。胸の鼓動が早くなって息苦しい。これじゃあまるで病気よ。にこ病だわ。にこちゃんとのお昼を控えるべきと思いながら既に明日の約束を終えているし。モォォォォ! ドウスレバイイノヨ!)

にこ「無理させちゃってごめんね。お詫びに放課後にこがこれでもかってくらい肩揉みしてあげるから」

真姫「!?」

真姫(揉む! 今にこちゃん揉むって言った? 部室でって……皆の前で!?)

真姫「にこちゃんってば何を考えてるのよ!」カァァァァ

にこ「──へ?」

真姫「変なこと言ってる暇があるなら早く食べるわよ!」////

にこ「う、うん」

にこ(足元がふわふわしている感じね。曲が完成して浮き足立ってるのかしら? 今日は真姫ちゃんの機嫌を取っておいた方がいいわね。クールに見えてもまだ一年生だし)

にこ「完成したの曲は真姫ちゃん的にはどうかしら? にこの案の所為で歌詞が長くなっちゃったし、台詞も入ったし。こういうの初めてでしょ?」

真姫「初めてだけど完璧だったわ。こ、この姫ちゃんが作ったんだから当然でしょ///」

にこ(真姫ちゃんじゃなくて姫ちゃん!? これは相当だわ。今日は責任を持って家まで送らなきゃ)

真姫「時間的には9分強になったからライブだとけっこう踊るのがキツイかもしれない。でもPVとしては完璧だと思うわ。μ'sだからこそ出来た曲ね」

75: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 05:54:46.64 ID:LvLxo80H0
にこ「つまり七人になったからこそ生まれた曲ってことね。あ、それ美味しそう」

真姫「これが欲しいの? しょうがないわねー。ほら、口を開けなさいよ」

にこ「──え? あーん////」

真姫「あーん。……どう、美味しい? にこちゃんの口の中を私の色で染め上げてあげる」フフフ

にこ「モグモグ……色?」

真姫「って、何言ってるのよ! 今の現象は全部にこちゃんの所為よ。謝罪を!」

にこ「ご、ごめん」ペコー

真姫「どうしてにこちゃんが謝るのよ。別ににこちゃん自身は悪い事してないいじゃない。ほら、これも上げるから口開けなさいよ!///」

にこ「う、うん?」アーン

にこ(情緒不安定ってレベルじゃないわ。放課後も同じテンションかもしれないから、後で穂乃果とことりにそれとなくフォローしてくれるように連絡入れておきましょ。でも、真姫ちゃんのおかずは相変わらずおいしいわね)

真姫「次はにこちゃんの番よ。その厚焼き玉子を頂戴」ツンッ

にこ「厚焼き玉子はにこの食べかけしかないけど」

真姫「しょうがないから食べかけでいいわよ。早くしなさい」アーン

にこ「じゃあ……。にこの特製厚焼き玉子召し上がれっ♪」ヒョイ

真姫「モグ……モグモグ。んっ、にこちゃんなら素敵な行かず後家になれるわ」フフ

にこ「ホント? ありがとー♪ モグモグ(でも、行かず後家って何かしら?)」

76: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 05:58:28.16 ID:LvLxo80H0
真姫「次はそのウィンナーを頂戴。半分で十分だから、その食べかけで我慢しいてあげる///」

にこ「うん? さっきのと違ってちょっと歯形がついちゃってるけど、はいあ~ん♪」

真姫「あ~ん。モグモグモグ……とっても美味しいわ」ウットリ

にこ(タコの部分はにこが食べちゃってたから市販のウィンナーを炒めただけの物なのに。真姫ちゃんの反応を考えると、明日のお弁当はウィンナーを多めに入れてあげた方が喜ぶわね。タコやカニだけじゃなくて他の形も色々と作りましょう☆)


モブ江「今日は特に真姫さんの押しが強いですわね」

モブ子「そうだね。西木野さんがいつものクールとは思えない」

モブ美「でも、矢澤先輩の前だとクール部分は少なかったよね」

モブ江「学校が違えばスールになっていたわね、絶対に。色はきっと白ですわ」ニコリ

モブ美「スール? 白?」

モブ子「突っ込むだけ無駄よ。ネタがスールだけにスルーしましょう」ドヤァ

モブ美「」

77: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:02:46.37 ID:LvLxo80H0
花陽「真姫ちゃんとにこちゃんは毎日一緒に食べて仲いいよね」

凛「それは凛とかよちんも同じだけどね」ニコッ

花陽「うん。でも私達は幼馴染だから分かるけど、あの二人はつい最近知り合ったばかりなのに素敵だなぁって」キラキラ

凛「性格は正反対なのに不思議とお似合いなんだよね」

花陽「うん。まるで物語の中の主人公とヒロインみたい」ハァーン♪

凛「凛は勉強しろーって耳に痛いくらい言う主人公はごめんだよぉ」クスン

花陽「くすっ。でもきちんと英語も分かってきてるよ。やっぱり勉強は日々の積み重ねが大事なんだよ。これなら実力テストも期末テストも期待出来るね」

凛「成績良かったら美味しいラーメン食べに連れてってもらえるかな~?」

花陽「じゃあ、私からおばさんに凛ちゃんが成績上がってたらご褒美に美味しいラーメン屋さんに連れてってくれるようにお願いするね」

凛「もし叶ったら教えてくれたかよちんも一緒だよっ♪」

花陽「あはっ、楽しみだね」

凛「うん! これなら今よりももっと勉強頑張れそうだにゃー!」キラキラ

78: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:05:18.52 ID:LvLxo80H0
──同時刻 清楚のことり・爛漫の穂乃果・ 乱の海未(特に意味なし)


海未「なんですかそれは! 失礼ですよ!!」カァァァ

ことり「え、なにが?」キョトン

穂乃果「ほむぅ? どうかしたの、海未ちゃん」

海未「あ、いえ……なんでもないんです。特に意味もなく二年生組で私だけ失礼なことを言われた気がしたので。それより穂乃果、その鳴き声は別の人が使ってるからダメだと別の世界線でも言われたでしょう。流行らせようとしてるんですか?」

穂乃果「別の世界線??」

ことり「…………海未ちゃん。今回の作詞相当お疲れだったんだねぇ」

海未「ことり! その労わりを通り越して痛い子を優しく見守る大人の目は止めてください。私、傷つきます」

穂乃果「よく分からないけど、ふぁいとだよ!」ニッコリ

海未「ありがとう、穂乃果。元気出ました。そう言えばことり、衣装の方はどうですか?」

ことり「うん、こっちはバッチリだよ。細かいところはお店を利用したけどね」

穂乃果「さっすがことりちゃん仕事が早い!」

海未「お金はきちんと部費から落として下さいね」

79: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:08:02.90 ID:LvLxo80H0
ことり「細かい部分はお店でっていうのはにこちゃんの提案で、最初から部費を持っていったから。大よその見積もりも先に訊いててくれたし、どう仕立てたいかも話を通しててくれたから、早く仕上げてもらえて最高の出来栄えだったよ」

海未「ことりにも当然ですがにこにも頭が下がります」

穂乃果「一歳しか変わらないのににこちゃんって凄いよねー。見た目は雪穂より幼いのに」

ことり「本当にそうだよね。リーダーの穂乃果ちゃんも部長に負けないようにしないとねぇ」ニッコニコ

海未「そうですね。今回のセンターはにこと真姫ですし。リーダーとして頑張って次はセンターになれるように頑張りましょう」

穂乃果「うん! ほのか頑張るよ!」

ことり「ことりも穂乃果ちゃんと一緒にがんばるっ♪」

海未「では二人に負けないように私も頑張ります」

穂乃果「まずは今回のPVだね。曲が完成次第直ぐに取り掛かろう」

海未「……しかし、今更ですが。完成したPVはUPする訳ですよね?」

ことり「当然だよぉ」

海未「歌詞だけでなくあの台詞までが多くの人に聴かれる思うと……。恥ずかしくて顔から火が出る思いです。最大級に恥ずかしい出来栄えですし、書き直した方がいい気がしてきました!」カァァァ

80: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:13:10.23 ID:LvLxo80H0
穂乃果「ダメだよ海未ちゃん。これからも色々な曲を作ってはUPしていくんだから。それに、今回が一番恥ずかしいなら次からはもう大丈夫ってことでしょ?」

ことり「そうだよ。それに、一番恥ずかしいのは王子様とお姫様になるんだよ?」

海未「確かに。あの二人は最後に……キスがありますからね」

穂乃果「んふふ~♪ 楽しみだなー♪」

ことり「ことりも楽しみ。胸がドキドキしちゃう」

海未「最後は目覚めるよりも姫が王子の背中に両手を回して、自分の意思でもキスをしているというのを観てる人に伝える形にしたいのですが、どう思いますか?」

ことり「ふわぁぁぁぁ~♪ それ最高だよっ海未ちゃん♪」プワプワ

穂乃果「可愛い! さすが海未ちゃん。ラブアローシュート並みに効いたよ!」ニコニコ

海未「っ! ラブアローシュートは忘れてください!!////」

穂乃果「何れμ'sの七人はセブンスターとかラッキーセブンとか大仏セブンとか言われるようになるんだよ!」

81: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:17:31.28 ID:LvLxo80H0
海未「大仏って……μ'sは元々九人の歌の女神ですよ?」

ことり「セブンスターって確かタバコじゃなかったかな? 一般の人が聞いたら石鹸でタバコって意味が分からなくなっちゃうよ」

穂乃果「……九人? あと二人足りないね。三人足りなかったら当てがあったのに」

海未「あの三人がいないと、ライブの時に手伝ってくれる人がいなくなってしまいますよ」

穂乃果「それもそっか。でも、μ'sって誰がつけてくれたのかな? ファーストライブのPVもそうだけど」

海未「PVの方ですが、PCにも詳しいのでにこなのかもって思ったのですが否定されました。本当に誰なんでしょうか?」

ことり「その内判明してお礼を言えるといいねっ♪」

穂乃果「そうだね! あなたのお陰でほのか達のμ'sは多くの人に見てもらえましたって」

海未「まだそんなに多くの人に見られているとは言えません。これからが勝負ですよ。やるからには頂を目指しましょう」

ことり「にこちゃんが大好きなA-RISEの場所だねっ」

穂乃果「A-RISEといえば、ほのかがスクールアイドルを始めた切っ掛けだよ。あの人達と同じステージで歌えたら……。きっと、きっと穂乃果は……」

海未「どうかしましたか?」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「ううん! なんでもないよ、なんでも。………………」

82: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:21:12.81 ID:LvLxo80H0
──マジでキスするちょっと待っててぇぇぇぇ!


海未「後は最後のシーンを撮るだけですね」

花陽「はいっ! 花陽、興奮してきましたぁー♪」ドキドキ

凛「凛も楽しみだよー♪」ワクワク

海未「これで姫の準備は完了ですね」

真姫「ヴェェェェェ!! 待って、待ちなさいよ。まだよ、まだ全然準備できてないわ!」

海未「そんなに照れても今日中に撮る以外選択肢はないんですから。諦めてください」

凛「そうだよ。にこちゃんが交渉して、今日一日の体育館の使用許可をもぎとったんだから。その努力を無駄にしたら可哀想だよ」

花陽(と言っても、一部噂でキスシーンのことが流れてるから、すごい何かを期待してる顔で全部活の部長が快くOKしてくれたみたいだけど)

真姫「そうは言っても撮るのはやっぱり反則よ! だってネットに上げるのよ? 私、まだキス二回目なのに!」

海未「初めてではないのですか? となると、中学生の時に経験が?」

83: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:26:26.47 ID:LvLxo80H0
真姫「…………。そ、そうよ!」プイッ

凛「真姫ちゃん進んでるー♪」

花陽(凛ちゃん忘れてるのぉ!? 私達の目の前でにこちゃんにキスしてたよね? それとも女の子同士はカウントしないと思ってるのかな? でも、絶対にあれをカウントしてるよ。だって応えるのにすっごい間があったもん)

海未「あ、でも私も中学時代にキスしたことありました。まぁ、相手は穂乃果でしたが」

花陽「どんなシチュエーションだったんですか!?」

凛「もしかして二人は付き合ってたの?」

海未「付き合うって女の子同士ですよ? ただ、穂乃果がクラスメートに借りた漫画で女の子同士で恋したりキスしたりするって内容で、穂乃果がやたらとキスに興味出しまして。飛び掛ってきて、じゃれてる内に奪われただけです」

真姫(こ、これが普通の女の子同士でキスした時の反応。やっぱり私変よ。にこ病に掛かってるんだわ。どうすれば直るのかしら。内容が内容だけにお父さんにもお母さんにも相談出来ない! 末期まで進んだら戻れなくなりそう!)

花陽(意外。海未ちゃんって実は穂乃果ちゃんに対して恋心を抱いてるんだと思ってたのに。無意識でも意識してたらこんな風に何事もなく語れないよね。ことりちゃんだけなんだ)

凛「これだったら海未ちゃんがお姫様で穂乃果ちゃんが王子様の方がスムーズに撮れてたね」

84: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:32:46.67 ID:LvLxo80H0
海未「……え? わ、私がお姫様で、穂乃果が王子様? そして、最後のキスシーンでキスされながら穂乃果の背中に私が手を添えて……っ!」////

花陽(あれ? 一気に海未ちゃんの顔が真っ赤になったぁっ!?)

海未「そっ、そんなこと出来るわけないじゃないですか! そもそもキスはそんな安易にしてはダメな訳。いいえ、穂乃果が嫌だなんてことは絶対にないのですが! でも、中学といってもあれは中学に上がって直ぐのことで小学生とも言えるようなもので。今の成長した穂乃果ときっきききキスだなんて////」

まきりんぱな「」

海未「それはもう結婚を前提にお付き合いという工程を飛ばして結婚するしかないわけで。そうなると私が主婦ですか? 毎日穂乃果の為にお味噌汁を作る訳ですから。ああっ、それはいいです。実にいいです! 穂乃果には婿入りとして私の家で一緒に暮らしましょう///」ウットリ

真姫(これが末期!? これは穂乃果病ね。でも、にこ病と末期の症状は一緒な気がする。キス一つでこんなにトリップしちゃうだなんて。恐ろしいわ。早くどうにかしてにこ病から回復しなくちゃ)

花陽(はぁぁぁ~ん♪ やっぱり海未ちゃんは穂乃果ちゃんに恋心抱いてる! ことり先輩との三角関係!? い、いやでも真ん中に立ってるのが穂乃果ちゃんだからそのまま仲良くで深い関係になれそうかも。今度μ'sの同窓会とか毎年やろうねって提案しよっと♪)

凛(なんだか知らないけどかよちんがとっても幸せそう。新米の出来立てを食べてる時みたいだにゃー。何かあったのかなぁ?)

85: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:35:38.32 ID:LvLxo80H0
──王子様レベルにこっ♪


穂乃果「恥ずかしがり屋の真姫ちゃんが決意するにはまだ掛かるのかな?」

ことり「焦っちゃダメだよ、穂乃果ちゃん。女の子には心の準備が必要なんだから」

にこ「待たされてるにこも女の子なんだけど!」

穂乃果「にこちゃんはアイドルだもん。役の中なら誰とでもキス出来るでしょ?」

にこ「そんな訳ないじゃない! アイドルは役者じゃないのよ。どこの馬鹿監督がアイドルにキスシーン演じさせるのよ! にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!」

穂乃果「おぉー♪ すっごい。ことりちゃんの作戦通り」

ことり「でしょ? にこちゃんの性格を逆手に取るのは楽勝だよぉ☆」

にこ「何の話よ?」

ことり「んふふ♪ こ~れ☆」

ピッ!

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

ことり「いつも頑張ってる部長にサプライズしようと思って。穂乃果ちゃんに誘導してもらったの」

にこ「なっ、な……にこーーーー!?////」

86: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:38:19.78 ID:LvLxo80H0
穂乃果「いやぁ~前々から怪しいと思ってたんだよね。花陽ちゃんの話だと毎日お昼は一緒に食べてるっていうし」

ことり「そうそう。にこちゃんみたいに人望が厚そうな人が、わざわざ一年生の教室まで足を運ぶなんて真姫ちゃんを好きな以外ないもの」

にこ(恥ずかしすぎる罠に掛けられた上に、人望が厚そうとか嫌味まで言われたわ。にこはことりの逆鱗にでも触れてたの? 全く身に覚えがないわよ)

穂乃果「だよねー♪ クラスの友達の誘いを断ってまでなんて普通出来ないよね!」

にこ(穂乃果まで? いや、穂乃果はそういう事を出来る子じゃないわよね。ということは、もしかしてことりも本気で言ってるの? 一人ぼっちのにこが人望が厚いと。友達もいると……あれ? 余計に胸が痛むわ)ズキズキ

にこ「そうね、友達の中では一番真姫ちゃんが好きよ。キスだって嫌だなんて思えないくらい。でもそれを恋みたいに邪推するのはダメよ。ことりだって穂乃果とキス出来るくらいに好きでしょ? 穂乃果もことりにキス出来るくらい好きでしょ?」

穂乃果「うん! 皆仲良しだー!」バンザーイ

ことり「μ's内を女の子同士の恋愛が当たり前の空気にして穂乃果ちゃんと結ばれる計画だったのに」ポツリ

にこ「え──」

ことり「ナンデモナイノヨ!」アセアセ

にこ(気の所為かしら? 今、何かとてもインモラルな発言がことりの口から吐き出された気がするんだけど。天然系清楚なことりに限ってそんなことはないわよね)

87: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:41:31.60 ID:LvLxo80H0
穂乃果「今回のPVはすごいから今よりもっと順位が上がるよね!」

にこ「目標は50位以内よ」

ことり「ぴぃっ!? 50位って、にこちゃん。今の順位は794位だよ?」

穂乃果「50位ってことは……一気に744位も上がらないとダメなんだよ?」

ことり(あっ♪ 暗算出来てちょっと得意気の穂乃果ちゃん可愛い♪ 海未ちゃんと一緒に勉強見始めた頃は簡単な暗算すら怪しかったけど)

にこ「そんな弱気でどうするのよ。μ'sはこれから駆け上がるの! 今回のPVは言わば奇襲ってやつよ」

ことほの「奇襲?」キョトン

にこ「スクールアイドル史上未だ今回のように劇仕立てにした曲はないの。何事においても初めてというのは注目を浴びる。批判されるか称賛されるかは別としてね」

ことり「だから今回はこういう曲にしたんだぁ」

穂乃果「初めてか~。注目されて一気に駆け上がれたら海未ちゃん恥ずかしさで泣いちゃうかも」ニマニマ

にこ「泣かせてあげる程μ'sは暇じゃないわ。注目された後、次に必要なのは普通の歌がどうなのかってことなのよ。注目を浴びてるのに間を空けてしまったらせっかく上がった順位が下がる必要が出てくる」

穂乃果「おぉ~♪ にこちゃん本当に凄いっ!」キラキラ

ことり「にこちゃん輝いてるよぉ」

にこ「はいはい、ありがとう。真姫ちゃんと海未には特に負担になるから色んな意味で労ってあげてね」

88: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:45:23.36 ID:LvLxo80H0
ことり「真姫ちゃんはにこちゃんが労うから私と穂乃果ちゃんは海未ちゃんだね」

穂乃果「うん!」

にこ「ど、どうしてにこが真姫ちゃん限定みたいになってるのよ///」

ことり「だって王子様はお姫様限定だもの」

穂乃果「キス出来る仲だもんね♪」

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

にこ「忘れてた! ことりっ! その録音したの消しなさいよ!」

ことり「ダメだよ~。これは今日の打ち上げの時にお姫様に聞かせてあげないとだもん」

にこ「何考えてるのよ! 真姫ちゃんに聞かせるとかありえないわよ!」

ことり「打ち上げにはサプライズが必要なんだよ♪」

穂乃果「にこちゃん顔が真っ赤~♪」

にこ「あんた達! これからPVの最後を撮るっていうのに、そんなにこを虐めて楽しいの!?」クワッ

ことり「虐めてないよぉ。でもね、普通の劇の王子様なら照れは必要ないけど、私達はスクールアイドルだから。王子様が照れてる方が絶対に人気が出るよ♪」

にこ「」

89: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:48:08.23 ID:LvLxo80H0
──夫婦はどこかしら似る


海未「ん? 穂乃果、にこはどうかしたのですか? 真姫と違ってそんなに緊張はしてなかった筈ですが。……今はガチガチです」

穂乃果「色々あったんだよ。ね、ことりちゃん♪」

ことり「ねー♪」

海未「緊張を解すのが我々の仕事でしょうに。逆に緊張させてどうするのですか」

ことり「海未ちゃん。あのね、世の中は真っ直ぐだけじゃダメなんだよ」

穂乃果「そうなんだよ、海未ちゃん♪」

海未「なんですか……二人してその意味深な」

凛「なんだかよく分からないけど、そろそろ始めようよっ!」

花陽「そうだね。撮影終わった後、にこちゃんから話があるみたいだし。にこちゃんはその後今回のPVの編集で明日にはUP出来るようにするって張り切ってるし」

にこ「そうE。早くやって早ク終わらセましょう。時間は有限ナノよ」カチコチ

真姫(何よそれ! まるで私とのキスをさっさとして終わらせたいみたいじゃない!)

海未「それもそうですね。それから、そうよって言った時のよですが声がひっくり反ってましたよ。深呼吸してリラックスしてください」

にこ「すーはー……すーはー……ふぅ~」

90: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:51:16.78 ID:LvLxo80H0
花陽「真姫ちゃん緊張で汗掻いてる。今拭くからね」フキフキ

真姫「わ、悪いわね」

花陽「ううん。これくらいしかしてあげられなくてごめんね」

真姫「その気持ちだけで十分よ。……二度目二度目二度目二度目」

海未「それでは後一分したら開始しましょう。にこがまず足早に真姫に近づき、頭の後ろに左手を回して真姫の顔を持ち上げて……してください///」

凛「勿論するのはキスだよ!」

海未「そして、その十秒後にゆっくりとした動作で両手を上げてにこの背中に手を回してください。ここでの注意は唇を離さないことと、背中に回す手は力を入れないでってことです」

真姫「分かってるわ」

にこ「大丈夫よ」

海未「緊張は余り抜けてないようですが、失敗したらもう一度撮り直せばいいですからね」

にこまき「撮り直し!?」

海未「何を驚いているんですか。最後を飾る最高のシーンなんですから、最高でない限り何度でだって撮り直しますよ」

91: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 06:55:50.97 ID:LvLxo80H0
ことり「海未ちゃんのスイッチが入っちゃってるね」

穂乃果「こうなったら海未ちゃんは妥協を許さないから、二人共ふぁいとだよ!」ニコッ

花陽「最高のPVになる為にはここが重要ですから! 王子様がお姫様をキスで目覚めさせるこのシーン……はぁ~~~んっ♪ μ'sに入ってよかったぁ」キラキラ

凛「かよちんのアイドル好きスイッチも入ってるにゃー♪」

海未「とにかく一度失敗してしまえば今ほど緊張しなくなるでしょうし、失敗を前提で一回目やりましょうか」

にこ(簡単に言ってる! にこのセカンドキスがすっごい軽く扱われてる)

真姫(簡単に言うわね。私のセカンドキスが凄い軽く扱われてるじゃない)

海未「では穂乃果撮影の方お願いします」

穂乃果「うん、任せて!」

海未「ではにこまきお願いしますね」

真姫「にこちゃんと完全にセット扱いの呼び方しないで!」カァァァ

ことり「ダメだよ。お姫様は眠ってないと。ほら、髪も衣装も乱れちゃうでしょ」

にこ(くっ! この二年生組って似てないようで根っこの部分は繋がってるわね。ならば動揺したり、緊張すれば喜ばすだけだわ。平常心よ。アイドルの頂点ともなるとファンの一人一人の動きすら鮮明に見えると言うわ。興奮しながらも冷静になれてこそアイドルよね)

にこ「真姫ちゃん、落ち着いて。にこがリードするから、真姫ちゃんはただ眠っていればいいのよ」ニコリ

真姫「に、にこちゃん///」

92: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:00:00.51 ID:LvLxo80H0
にこ「さぁ、最後の撮影を始めましょう」

ことり「ちゅん」ピッ!

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

にこ「なぁぁぁっ!?////」カァァ

真姫「ヴェェェェ!?////」カァァァ!

凛「おぉ~♪」

花陽「はぁぁぁ~ん♪」キラキラ☆

海未「なるほど。にこまきはそういう仲だったのですね。苦労した甲斐があったというものです」フフッ

にこ「ことりそのデータさっさと消しなさいよ!」///

ことり「真姫ちゃんが欲しがるかなって思って」チュンチュン

真姫「欲しくなんてないわよ!」

ことり「じゃあ消しちゃおっと♪」

真姫「だめぇぇぇ!」

ことり「うっそ♪」

にこ「真姫……ちゃん?」

真姫「~~~っ!」////

93: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:03:48.34 ID:LvLxo80H0
──貴女のキスを数えましょう……。二回目ね(人前では///)


穂乃果「おかえり。念の為さっきの真姫ちゃんが飛び出て行って、にこちゃんが後を追うシーンまで録画しておいたよ」

にこ「消しなさいよ!!」

海未「まぁまぁ。先ほどのやりとりで時間を無駄に使ってしまいましたし、まずはきちんと完成させることを優先してください」

真姫「……///」

花陽「真姫ちゃんどうしたのかな? 戻ってきてからずっと無言だけど」

凛「顔は真っ赤だよ~」

ことり「にこちゃんが追いかけて行った後に何があったんだろうね?」

真姫(自分からしちゃった自分からしちゃった自分からしちゃった……。こないだ出会ったばかりなのに。そもそも女の子なのに///)

にこ「何モなかったわE」

海未「また声がひっくり返ってます。部長なんですからしっかりしてください」

にこ「……そ、そうね」

ことり「それじゃあ撮影開始しよう。テイク1!」

にこ(口移しの原因はにこだけど、口を付けてきたのは真姫ちゃんから。さっきのキスも真姫ちゃんから……。三度目だけど、自分からするという意味ではファーストキス)

ことり「あくしょん!」

94: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:07:59.06 ID:LvLxo80H0
にこ(よし、やるわ。まずは顔をゆっくり近づけて)ズイッ

にこ(あ、目を瞑ってると眉毛が綺麗に整えられてのが見栄えるわね。改めて年上か同い年に見えるくらい綺麗。うっすらとしたピンク色の唇が緊張で微かに震えてる)

にこ(って、それど頃じゃないわ。今はその唇ににこの唇を重ねるのよ。自分から……いくわ!)チュッ

にこ(唇が触れてる距離だと目の前に真姫ちゃんの顔があって恥ずかしい。キスの時に目を瞑るのはこういう理由からなのね)

にこ(で、でも目を瞑ったら瞑ったで今度は真姫ちゃんの鼻息がくすぐったいし、触れてる唇の柔らかさがさっきよりリアルに感じられて困るわ)

にこ(目を閉じてるのに意識すればするほど真姫ちゃんの目を閉じた顔が浮かび上がって。十秒だもの。恥ずかしいと思ってる間に終わるわ!)

にこ(……って、流石に長すぎない? ううん、あの真姫ちゃんが手を回してないんだからまだ経ってないってことよね。恥ずかしい時間って長く感じるもの)

真姫(にこちゃんにこちゃんにこちゃんにこちゃんにこちゃん)

海未「野暮な事は言いたくないのですが、いつまでただキスしてるつもりですか?」

穂乃果「あ~っ! 海未ちゃん空気読まなきゃダメだよ」

ことり「こういうところが海未ちゃんらしいけどね」

凛「一分以上キスしてたねっ」

花陽「すっ、すごかったです!」

95: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:11:42.47 ID:LvLxo80H0
にこ「んっ!」バッ!

真姫「あぁっ」

にこ「ど、どういうこと? 一分以上って……」

穂乃果「正確には80秒だったよ」

にこ「真姫ちゃん?」

真姫「緊張して手を回すのを忘れてただけよ。別に他意はないわ!」////

ことり「熱々だったね♪」

凛「映画見てるみたいだったよー」

海未「最初に言った通り十秒経ったら真姫がにこの背中に両手をゆっくりと回してくださいね」

真姫「次は大丈夫よ。この私に二度の失敗はないわ!」

にこ「もう一度……にこぉ///」

穂乃果「にこちゃん赤くなって可愛いね」ヒソヒソ

ことり「そうだねぇ。でも、穂乃果ちゃんの方が可愛いよ♪」ピヨピヨ

海未「では気を取り直してテイク2いきましょう」

にこ「う、うん。二度目で決めるわ」

にこ(直後の二度目となれば全然余裕だわ。……にこ~。人間の感情はそんな簡単じゃないわね)

海未「ではアクション!」

96: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:15:06.64 ID:LvLxo80H0
にこ(でもアイドルは人間の前にアイドルなのよ。こういう羞恥の時にも心は氷のようにクールでないとダメよ)

にこ(真姫ちゃんの唇はさっきと違って震えてはないわね。にこもしっかりしないと……)チュッ

にこ(でも目を瞑ると恥ずかしさが全身を駆け巡るわ。でも、後は真姫ちゃんが手を回すのを待つだけよ)

にこ(待つだけなのに胸のドキドキが止まらない。ヤバイわ……。目を開けたら意味も分からずに泣き出しちゃいそうだわ)

にこ(唇から真姫ちゃんの温もりが全部伝わってくるような錯覚がするのよね。その所為で意味も分からない感情が溢れ出てくるにこ~)

海未「……あの、真姫?」

凛「海未ちゃんまた空気読まないねー」

花陽「しょ、しょうがないよ……。そこが海未ちゃんなんだって幼馴染の二人が言うくらいだもん」

穂乃果「海未ちゃんだもんねー」

ことり「変わらない良さってあるよねぇ」

海未「な、なんですか? また私がおかしいのですか?」

にこ「っ! またなの!? 真姫ちゃん?」

真姫「ちっ、違うわよ。わざとなんかじゃないわ!」///

穂乃果「私はテイク8にほむまん賭けるよ」ヒソヒソ

ことり「じゃあ私はテイク12にことりのおやつを賭けちゃう」ピヨピヨ

凛「凛は大きくテイク15を選択するにゃー。かよちんは?」ヒソヒソ

花陽「え、そんな……賭け事なんて。で、でも……20回で」ポソポソ

97: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:19:17.50 ID:LvLxo80H0
──過ぎ去りしは遠くの思い出となりけり


にこ「…………」

海未「見事ににこが燃え尽きてますね」

穂乃果「まさか花陽ちゃんが勝つとは思わなかったよ」

ことり「愛は偉大だねっ」

凛「真姫ちゃんの志望と同じだね」

花陽「そ、それはちょっと面白くないかも……」

真姫「……んふっ」

海未「にことは逆になんだか真姫は満足そうですね」

穂乃果「撮る前はにこちゃんが今日中に編集するって言ってたけど、大丈夫かな?」

ことり「少し揺すってみるね」ユサユサ

にこ「…………にこ~」

凛「魂抜けてるみたい!」

海未「にこ、しっかりしてください。廃校を阻止する為に私達は頑張らないといけないんですよ!」

にこ「……ちょっと、電話してくる」

スタスタッ

98: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:23:35.86 ID:LvLxo80H0
にこ「もしもし、佐藤?」

佐藤『ああ、PVの撮影は終わった?』

にこ「……ええ、終わったわ」

佐藤『編集は今日中に出来そう? 本当は僕が編集とか出来れば代わるんだけど、生憎そういうのは勉強してなくて』

にこ「それは別にいいわ。で、話があるんでしょ?」

佐藤『うん。秋葉で伝説と語り継がれ始めたメイドを知ってる?』

にこ「知ってるわ。ミナリンスキーさんでしょ? それが何か関係あるの?」

佐藤『うん、次のセンターはミナリンスキーにしてもらう』

にこ「は? もしかしてミナリンスキーさんって絢瀬なの?」

佐藤『いや違うよ。ホームズのように変装して現場に潜入して隠し撮りしてきた』

にこ「ホームズは盗撮しないでしょ。盗撮は犯罪よ?」

佐藤『今回は訳ありでね。それに僕自身は他の人に接客されたし。で、その招待が衣装担当の南さん』

にこ「ことりが?」

佐藤『新曲は秋葉で路上ライブするから。秋葉に似合う歌詞をセンターになる南さんに作ってもらう事にする。正し、期間は一週間』

にこ「あんた、作詞舐めてるんじゃないの?」

99: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:27:43.32 ID:LvLxo80H0
佐藤『ただ悩んでも書けないことは分かってるからね』

にこ「は?」

佐藤『いや、こっちのこと。とある作戦があるんだ。次の土曜日に練習休みにしておいて。日曜日でもよかったんだけど、僕が休みなのが土曜日だから』

にこ「あんたの休みなんてどうでもいいんだけど、何させるつもりよ?」

佐藤『それは追々教えていくよ』

にこ「でも、ことりに作詞させたら衣装はどうするのよ?」

佐藤『ああ、そっか……。衣装はこっちで準備するから平気』

にこ「あんたに3サイズ教えろってこと?」

佐藤『そういうのは教えなくてもいいから。衣装はとにかく人数分用意するから大丈夫。こっちの世界に来た時に部屋に百万円が置いてあったから』

にこ「なんだって?」

佐藤『なんでもない。それから明日も違う話があるから。授業終わったら連絡して。あと、PV上げることによって生徒会長が乗り込んでくるかもって話忘れてないよね?』

にこ「それは覚えてるわ。そうそう、絢瀬で思い出したけど写真の方受け取ったから今度渡すわ」

佐藤『仕事上がったら取りに行く。絶対に取りに……いや、待て。フィルムを写真屋に出しておいてくれ! 出来れば取ってきておいて! お金は払うし、お礼に何か買ってくから!』

にこ「うぅん、でも今日はPVの編集があるから早く──」

佐藤『──PVより写真だ! 頼むから、マジでお願いだから!』

100: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:32:02.64 ID:LvLxo80H0
にこ「わ、分かったわよ。あんたのお陰で変な気分が吹き飛んだからそのお礼として、帰りに現像頼んで後で受け取っておくわよ。上がりは何時なの?」

佐藤『明日発売のA-RISEの商品が届いたから少し遅くなる。二十二時半前後かな?』

にこ「ならお礼はそのA-RISEの新商品で手を打つわ!」

佐藤『分かった。店長に五体倒置してでも売ってもらう。PVが上がるの楽しみにしてるよ』

にこ「上げられるのはあんたに写真渡した後になるのは確実だけどね。それじゃあ、ことりには言っておくから」

佐藤『あっ! 絶対にミナリンスキーだってことは言っちゃ駄目だから!』

にこ「分かったわ。でも、秋葉ってA-RISEのお膝元よ? そこで路上ライブなんて正気なの?」

佐藤『今は正気じゃないように聞こえても、今回のPVで一気に順位を上げて注目を浴びれば普通のことだよ。MCでA-RISEは憧れであり、私たちのライバルとか言えるレベルになってるさ』

にこ「……そうありたいものね。乙女の唇の対価にしては、それくらいじゃないと割りに合わないわ」

佐藤『仲良きことは美しき哉。その西木野さんなんだけど、これからPVラッシュになるから作曲の方が大変になるだろうから、部長であるにこにーがしっかりと心のケアをしてあげてね』

にこ「そうね、部長だものね。他に他意はないわ////」

101: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:36:09.66 ID:LvLxo80H0
──同日・部室にて


にこ「皆ご苦労だったわね。今回のPVはこれでクランクアップよ」

穂乃果「楽しかったし、またやりたいね☆」

ことり「そうだね。劇仕立てのままだったら、今度は穂乃果ちゃんが王子様でことりがお姫様が良いなぁ」

海未「穂乃果は王子様というよりお姫様って感じがします」

真姫「駄目よ。これは私がお姫様、にこちゃんが王子様ということを前提に作った曲だもの。キャスト変えはなしよ」

凛「真姫ちゃん可愛いー♪」

花陽「くすくすっ。みんな仲良しだね」

ことり「あ、そうだ。言い忘れたんだけど、にこちゃん。今度の土曜日なんだけどお休みしても平気かなぁ? 用事が入っちゃって」

にこ「今度の土曜日? ええ、丁度いいわ。土曜日は休みにしましょう」

ことり「ありがとう」ニッコリ

穂乃果「お休みだー♪ μ's始めてから初めてかも」

海未「そう言われるとそうですね」

凛「かよちん! ラーメン屋に行こうよ」

花陽「うん、いいよ。ラーメンはお昼にして、朝はご飯が美味しい定食屋さんに行こうか」

102: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:40:36.04 ID:LvLxo80H0
真姫「にこちゃんは土曜日に何か予定あるの? 別にどうでもいいんだけど、訊いてあげるわ」

にこ「そうね、用事はあるわ」

にこ(と言っても何をすることになるのか分からないけど)

真姫「」

にこ「今日のPVの編集もしてないけど、今日中にUPしてみせるわ。それで、次の曲なんだけどことりがセンターに決定したわ」

ことり「こ、ことりがセンター?」

穂乃果「おぉ! ことりちゃんがセンターなんだ。ぷわぷわした曲が似合いそうだよね!」

海未「空を飛ぶような歌詞がいいでしょうか?」

にこ「あ、今回の作詞は海未じゃなくてことり自身に書いてもらうから。その曲は秋葉で路上ライブする時に歌うから」

ことり「ぴいっ!? ことりが作詞もなの?」ピィィィ

にこ「作詞の期間は一週間よ。意義は認めないわ」キリッ!

ことり「そんなの無理だよぉ」

海未「作詞したことないことりに一週間しか与えないなんていくらなんでも無謀です!」

103: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:43:47.75 ID:LvLxo80H0
凛「いくら部長でもこれは勝手過ぎると思うなー」

花陽「そんなに焦らなくても、いいと思うけど」

真姫「私は作曲するの好きだしいいけどね」

にこ「ことりなら絶対に大丈夫だと思ったからにこは指名したの。無理だと思ったら最初から言わないわ」

海未「……確かに、なんだかんだにこの言うことは今まで正しいですが。今回は流石に」

ことり「絶対にムリだよぉ~」ウルウル

凛「衣装はどうするの?」

花陽「もしかして花陽達が作るのぉ!?」

にこ「今回の衣装は別ルートから用意されるから安心して。だから他のこと考えずにことりは作詞だけ考えて」

ことり「ピィィィッ!」

にこ「真姫ちゃんは代わってあげられないけど、その分にこが出来ることは手を貸すから何でも言ってね」

真姫「……べ、別ににこちゃんの手なんて借りることはないと思うけどね////」

104: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:47:55.43 ID:LvLxo80H0
──翌日 理事長室


絵里「あれは風紀の乱れを呼びます!」

理事長「そうかしら?」

絵里「そうです。あれが個人での撮影とかならまだいいですけど、あの子達はスクールアイドル。この学院の名前を使ってるんです!」

理事長「制服を着たままなら確かに問題だけど、衣装を着てるし劇のようなものじゃない?」

絵里「劇であっても多感な年頃の少女同士がキスするなんて問題です!」

理事長「私も朝に動画と寄せられたコメントを見させてもらったけど……。そういう部分を指摘してる声はなかったみたいだけど?」

絵里「言われなければ許しても構わないというのはおかしいです。それともあちらには理事長の娘さんがいるから──」

希「──えりち。言い過ぎや」

絵里「っ! 申し訳ありません」

理事長「別にいいわ。ただね、これが学院に秘密で作っていたのなら其れを理由にして何か言うことがあったかもしれないけど、部長の矢澤さんが自ら私に許可を得に来ていたから問題はないわ」

絵里「どうしてですか! 生徒会が活動するのはいけなくて、どうしてあちらはこんな理不尽なことでも許可が出るんですか!!」

理事長「分からない?」

絵里「分かるわけないじゃないですか!」

105: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 07:51:45.43 ID:LvLxo80H0
希「えりち、熱くなり過ぎや。落ち着いた方がいいよ」

絵里「希、だけど」

希「何をそんなに焦ってるん?」

絵里「私は焦ってなんか……いないわ」

……コンコン

理事長「どうぞ」

にこ「失礼します。……希、と絢瀬」

絵里「何の用かしら?」

にこ「あんたに用はないわよ。にこは理事長に話があんのよ」

理事長「何かあったの?」

にこ「はい。今度秋葉で路上ライブをしようと思うので、念の為に学院の許可を得ておこうと思いまして」

絵里「路上ライブ? あんな素人の動きで?」

にこ「あんたバカ? 路上なんだから歌がメインに決まってるでしょ」

理事長「二人共喧嘩しないで仲良くしてね。路上ライブねぇ……。どこでするのかとかの案は出ているの?」

106: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:01:50.22 ID:LvLxo80H0
にこ「はい。今とある店の前でライブをしていいかの許可を交渉中です」

にこ(とはいえ、ことりがバイトしてるっていうメイド喫茶の店長に佐藤が交渉するんだけど)

理事長「きちんと許可が出たのなら私は拒む権利はないわ。好きにしなさい」

にこ「ありがとうございます!」ペコリ

絵里「どうして許可を出すんですか! 恥の上塗りです!」

にこ「どういう意味よ?」

絵里「そのままの意味よ。あんなことしないと注目も浴びられない素人が路上で歌うなんて音ノ木坂学院を辱める行為よ!」

にこ「そう思いたいなら思ってればいいじゃない。それじゃあ、失礼します。あ、希。あの事ありがとうね。大変助かったわ」

希「いいんよ。ウチも楽しかったしね」

絵里「」

107: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:05:53.73 ID:LvLxo80H0
──同日・放課後


にこ「もしもし、佐藤? 授業は終わったわよ?」

佐藤『これから先は新曲作りにPVも絡むし、テストだってある。路上ライブの回数も増やしていくし大変になる』

にこ「ラブライブが開催されるとなると当然よね」

佐藤『うん。にこにーはそっちがメインだからいいんだけど、穂乃果ちゃん達は廃校撤回を目標としてるんでしょ?』

にこ「穂乃果ちゃんって……佐藤が言うとちょっと気持ち悪いわね」

佐藤『気持ち悪い言うな。で、目標を変化させる必要があるんだ』

にこ「どういうこと?」

佐藤『女子高生にとって廃校問題は重荷になるだけだ。始まりは確かに其れで良かっただろうけど、自分たちの評価次第では撤回出来るというのが目で見えるようになると負担がより大きくなる』

にこ「そんなもの?」

佐藤『ああ。不安や焦りが大きくなって、冷静になれなくて失敗することもありうる。だからこそ、ここで目標を変える必要がある!』

にこ「それでどんな目標にするつもり? やっぱりラブライブで優勝?」

佐藤『まだラブライブ開催のことは内緒だって。それにラブライブ優勝もまた同じ結末を生むよ。ここは単純な目標でいいんだよ。今この瞬間を心の底から楽しむってね』

にこ「今この瞬間を心の底から楽しむ? 子どもみたいじゃない」

108: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:09:23.26 ID:LvLxo80H0
佐藤『子どもっぽくていいじゃないか。だってさ、この瞬間を楽しむ以上に大切なことなんてないでしょ?』

にこ「……廃校問題がなかったら穂乃果が言いそうな台詞だわ」

佐藤『その穂乃果ちゃんだよ。猪突猛進タイプっぽいからさ、廃校撤回を目標にしてると絶対どこかで無理して失敗する。絶対にね!』

にこ「あんた妙に自信持ってるわね。でも、その通りだと思うわ。だけど、穂乃果含む二年生組は廃校のことを特に強く考えてるから、そんなに簡単に考え変わるかしら?」

佐藤『だからこそ早めに目標変更させていこう。口酸っぱくして今この瞬間を楽しめって言ってね。意識して今を楽しめるようになれば、大きな舞台を前にしてもそんなに緊張しなくて済むと思う』

にこ「つまりはμ'sがラブライブで結果を出すのにも必要な要素ってことね」

佐藤『それに一番の問題がね、μ's=廃校撤回だとね、もしそれを達成した時に意味をなくしてしまうとも言えるんだ。解散するつもりならそれでもいいけど』

にこ「確かにそうね。今の考えだと逆に廃校を撤回出来なかったらアイドルを嫌いになっちゃう子が出ることになりそうね。そんなのにこが許さない」

佐藤『それから昨日言い忘れたけど、ことりちゃんが休みで練習を休みにしたんだよね』

にこ「元々休むようにするつもりだったけど、ラッキーだったわ」

佐藤『ことりちゃんには内緒で残りの全員を秋葉に集合させて。午後一からでいいから』

にこ「そこで何かするってことね」

109: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:13:07.20 ID:LvLxo80H0
佐藤『ミナリンスキーであることを全員にバラさないとね。仲間意識強くなるし、作詞問題にも繋がるから。結果的に翌日の日曜日も休みになるけど』

にこ「二日も連続で休みにするの!?」

佐藤『今そのことでも交渉してるから。穂乃果ちゃんが動かないようならにこにーに提案してもらうことにする』

にこ「佐藤、あんたって謎が多いわよね。有能ではあるんだけど」

佐藤『女神の導きってやつさ』

にこ「ふぅん。どんな顔してる女神なんだか──あ、真姫ちゃん」

真姫「にこちゃん。電話中?」

にこ「うん、ちょっと待ってて。佐藤、他に何かある?」

佐藤『後は大丈夫かな。目標については今日からよろしくね』

にこ「分かったわ。それじゃあ、お疲れ」

真姫「にこちゃん、佐藤って誰?」

にこ「知り合いよ」

真姫「ふぅん」

にこ「わざわざ向かいに来てくれてありがとうね。部室に行きましょう」

真姫「そうね」

110: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:17:25.75 ID:LvLxo80H0
──今の順位は何位かな?


花陽「大変だよ! μ'sの順位がなんと、さっ、さっ、さ!」

凛「かよちん落ち着いて!」

海未「ゆっゆゆゆゆ、夢なんじゃないですか!?」

穂乃果「おおおおおっちついて! 夢じゃないよ!」

ことり「すごいよ、二人共っ。なんとμ'sの順位が38位なの!」

凛「急上昇のスクールアイドルにもピックアップされたよ!」

真姫「38位!? 昨日PVが上げられる前は794位だったわよ?」

にこ「凄まじく上がったわね。50位に届けばと思ってたけど、予想以上だわ。50位からは固定ファンが多くなるから壁が厚い筈なんだけど」

花陽「どうしてにこちゃんはそんなに冷静ナノォォォ!?」

にこ「今回のは話題になって当然だもの。問題は次の曲とPVの仕上がり次第よ。μ'sの真価が問われるのはことりの頑張りに掛かってるわ」

ことり「ぴぃっ!」ビクビクッ

穂乃果「ことりちゃん、ふぁいとだよ!」

海未「作詞のことで困ったら力になりますから」

111: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:20:50.27 ID:LvLxo80H0
にこ「その前に38位を記念して……みんな立ちなさい!」

ことほのうみまきりんぱな「?」スタッ

にこ「にっこにっこにー♪ さぁ、みんなもやりなさい!」

真姫「まっきまっきまー!」

海未「正直これがなければにこは完璧だと思うのですが……」

穂乃果「あははっ。ほのかは好きだけどね」

ことり「嬉しい気持ちは伝わってくるけど、ちょっと恥ずかしいなぁ」

凛「これはないにゃー」

花陽「でもアイドルっぽい動きだよ!」

真姫「って、どうして誰もしてないのよ!」カァァァ

にこ「真姫ちゃん最高ね! 他の人はどうしてやらないのよ!」

真姫「最高///」

にこ「まぁいいわ。皆に言いたいことがあるのよ。穂乃果、μ'sの目標を言いなさい!」

穂乃果「勿論この音ノ木坂を廃校にしない事だよっ!」

にこ「ええ、そうね。でも、その目標は今日でおしまいよ」

112: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:29:01.79 ID:LvLxo80H0
穂乃果「ど、どういうこと? もしかして廃校が決定!?」

海未「そんなっ!」

ことり「お母さんから何も聞いてないよぉ!」

凛「そんなー!」

花陽「もう後輩が出来ないのぉ?」

真姫「にこちゃんの顔からして悪い知らせって訳じゃないみたいよ」

にこ「真姫ちゃん正解。今日から廃校問題は忘れるのよ。にこ達は今この瞬間を楽しむことに精一杯になるの。廃校撤回なんてにこ達が今を楽しめば後から付いて来るわ」ニッコリ

海未「言い切りましたね」

凛「すごい自信」

真姫「でも、にこちゃんの言ってる事は間違ってないんじゃない?」

花陽「た、確かにそうかも。だって、今現在が38位だし、これからも順位が上がるのなら順当に入学希望者が増えると思うし」

ことり「入学希望者がずっと増えれば廃校は当然なくなるよねっ」

穂乃果「……今を楽しんで、それでもし駄目になったらどうするの? 私達が頑張らないと音ノ木坂がなくなっちゃうんだよ?」

113: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:32:33.52 ID:LvLxo80H0
にこ「逆に言うけど、穂乃果はもし廃校になったらこのμ'sを立ち上げた意味は全くなかったと言うの?」

穂乃果「──え?」

にこ「その逆も言えるわ。もし廃校が撤回されたらμ'sは意味をなくして解散するつもりなの?」

穂乃果「そんなつもりは……」

にこ「にこにとっては同じようなものよ。だからこそ目標を変える。意識を変えるの。今この瞬間を楽しむ。簡単に見えて難しいわ。でも、出来るようになれば武器になる」

穂乃果「にこちゃん。本当に結果として廃校撤回が付いてくる?」

にこ「ええ、この私が保障するわ。それともにこは信用出来ない?」ニコッ

穂乃果「ううん。にこちゃんはファーストライブを見に来てくれて、それからずっと力になってくれてる。一番信用出来る先輩だもん。信じるよ」ニッコリ

にこ「そういうことだから。今この瞬間を全力で楽しむのがこれからのμ'sの目標よ。だからことり、作詞も頭悩ませ過ぎないで楽しみなさい」

ことり「それとこれとは別問題だよぉ」

穂乃果「ことりちゃんなら出来るよ☆」

海未「注目を浴びてる今、ことりの可愛さがあれば更に波に乗れますよ」

凛「真姫ちゃんとにこちゃんに対してのコメントが凄いんだよー」

花陽「王子様がミスキャストだと思ってたけど、最後まで見るとナイスキャストでした、だって」

凛「お姫様の最後のキスの後のゆっくりと王子の背中に回すところが素敵でした。同じような意見が沢山だよ!」

にこまき「////」

114: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:36:54.68 ID:LvLxo80H0
──土曜日 ハンバーガーショップにて


にこ「みんな休日に悪いわね」

海未「いえ、それは構わないんですけど。何故ことりに内緒だったんでしょうか?」

凛「ラーメンは夕ご飯にするからいいよー」

穂乃果「パンもいいけどバンズもいいよね~。ハンバーガー美味しい……モグモグ」

真姫「それで、今日は何をする為に呼んだのよ?」

花陽「秋葉ですからやっぱりショッピングが目的ですか?」

にこ「ちょっと色々あるのよ。今は何も考えずに食事を楽しみましょう。この瞬間を楽しむのがμ'sよ!」

凛「それ聞き飽きたにゃー」

穂乃果「モグモグ……ポテトも美味しい~♪」

海未「ほら、穂乃果。口周りが汚れていますよ」フキフキ

穂乃果「んー。海未ちゃんありがとう☆」

花陽「凛ちゃんも口にケチャップが付いてるよ」フキフキ

凛「かよちんありがとう!」

真姫「……にこちゃんも口が汚れてるわよ。しょうがないから拭いてあげる」フキフキ

にこ「真姫ちゃん? にこまだ何も食べてないんだけど」

真姫「よ、汚れてたのよっ!」カァァ

115: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:39:45.02 ID:LvLxo80H0
にこ「そ、そう? 歯磨き粉でもついてたのかしら。アイドルだから身だしなみには十分気をつけてるんだけど」

真姫「そうよ。歯磨き粉だったわ」

♪愛してるばんざーい

にこ「あ、ちょっと電話だからごめんね」

スタスタッ

にこ「もしもし? 秋葉のハンバーガー屋に居るわ」

佐藤『丁度僕も今その近くに居るから店の前に直ぐ出てきてもらえる。少しだけ時間貰うけど、十五分か二十分くらいで済むから』

にこ「分かった。丁度食べてるところだから、それくらいなら平気よ」

佐藤『それじゃ、よろしく』

スタスタッ

にこ「みんな、ちょっと二十分前後席を外すけど戻ってくるから。それまでみんなで待っててもらえる?」

真姫「何処かに行くなら私も一緒に行ってあげるわ」

にこ「えっと、ごめんね。にこ一人じゃないと駄目なのよ」

真姫「ふぅん」ムスッ

穂乃果「ナゲットも美味しい♪」モグモグ

海未「こちらは気にせずに行ってきてください」

116: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:43:23.67 ID:LvLxo80H0
凛「秋葉の名物についてかよちんに聞いておけばアッと言うまだよ」

花陽「最近といえば伝説ってレベルのメイドさんのミナリンスキーさんっていう人がいるんだよ」

にこ「それじゃあ、真姫ちゃん。少しだけ言ってくるわね」

真姫「行ってくればいいでしょ」プイッ

にこ「じゃあ、ごめんね」スタスタ

凛「にこちゃん何か怪しかったよね?」

真姫「そうね、何かおかしかったわ」

海未「……そうでしょうか?」

花陽「あっ、お店の外でにこちゃんが男の人と会ってる」

穂乃果「モグモグ本当だ!」

真姫「──にこちゃっ!」スタッ

花陽「殺人は犯罪だよぉ!」ガシッ

凛「そ、そうだよ真姫ちゃん。思い直して!」ガシッ

真姫「どうして二人していきなり殺すなんて思ってるのよ! 頭の中を捌くだけよ! それより離して、にこちゃんが行っちゃう!」ググッ

穂乃果「というか、もう行っちゃったねぇ」

真姫「……にこちゃん」ガクリ

海未「自分の意思で行ったのですから変なことにはならいでしょう」

117: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:46:34.30 ID:LvLxo80H0
──ミナリンスキー捕獲計画


佐藤「で、二時からことりちゃんが休憩になるんだ」

にこ「じゃあ、その頃にあんたの働いてる店に行けば良いわけね」

佐藤「そう。先に常連さんや店長に協力を得てる。僕の働いてる店にミナリンスキーの生写真が飾ってあるってね」

佐藤(本来なら撮影禁止だったと言ってる割に、写真にはサインが付いてるんだけどね)

にこ「盗撮写真だけどね」

佐藤「しょうがないだろ? これもことりちゃんの為だよ」

にこ「普通だったら怪しすぎて警察に通報するけどね」

佐藤「それは勘弁」

にこ「で、にこをどこに連れていこうっての?」

佐藤「ミナリンスキーの逃亡ルート。正確にはそのルートだと捕まえられないから、この道を行くと近道になるんだ」

にこ「逃亡ルート?」

118: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:49:30.27 ID:LvLxo80H0
佐藤「ま、ミナリンスキーに出会ったら行き着く場所だよ。ことりちゃんが逃げたらそこに先回りすれば捕まえられるから」

にこ「あんたの存在って知れば知るほどミステリーよね。実はにこ以外には見えてなくて死んでるとかいうオチがあるんじゃない?」

佐藤「そうだったらバイトなんて出来ないよ」

にこ「で、見つけた後どうするのよ?」

佐藤「そこはリーダーである穂乃果ちゃん次第なんだけど、もしとある提案しなければにこにーが提案してくれる?」

にこ「とある提案?」

佐藤「明日、穂乃果ちゃんと海未ちゃんがことりちゃんと一緒にバイトするって提案」

にこ「何よ。その前触れも何もない超展開。どう提案すればいいのよ」

佐藤「わざと短い期間を決めたから穂乃果ちゃんが自ら提案してくれる筈だから心配ないと思う。店長さんには話し通してあるから、決まったら話してみて」

にこ「あんたは千里眼の能力でも持ってるわけ?」

佐藤「それは遠くを見通す力だよ」

119: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:53:46.24 ID:LvLxo80H0
──ワンダーゾーンに続く道


にこ「チェックメイトよ、ミナリンスキーさん」

ことり「ぴぃっ!」ビクッ

にこ(と、ことりを捕まえてみんなでメイド喫茶まで来たのはいいけど、真姫ちゃんの機嫌が戻ってからずっと悪いのが気になるわね)

にこ(海未が言うには佐藤と一緒に居たのを見られてからずっとらしいけど。どうしてこんなに機嫌悪くなるのかしら?)

ことり「ことりには何もないから」

穂乃果「そんなことないよ!」

海未「そうです。ことりに何もないというなら私達にも何もないことになってしまいます!」

ことり「実際にことりは海未ちゃんみたいに作詞頑張ってるけど、全然出来ないし」シュン

海未「ただ私は中学の時にぽ、ポエムを書いていたからです」カァァァ

ことり「ううん、そんなことない。ことりが何もない証拠だよ」

穂乃果「ことりちゃん! だったら作詞を一緒に考えようよ。とびっきりの方法で!!」ニッコリ

120: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 08:58:59.23 ID:LvLxo80H0
──その後、解散


にこ「真姫ちゃん?」

真姫「なによ?」

にこ「どうしてそんなに機嫌悪いの?」

真姫「別に機嫌悪くなんてないわよ。これが私の普通よ」ツンツン

にこ「いつもは何だかんだで笑顔をくれるじゃない」

真姫「そんなことないわ!」

にこ(なんだか妹達との約束を破っちゃった時の反応に似てるのよね。真姫ちゃんの魅力は見た目と違ってこういう可愛いギャップよね)

にこ「デートしましょうか? 今日はお母さんが居るから遅くなっても平気だし」

真姫「っ! どうして私がにこちゃんとデートなんてしないといけないのよ///」

121: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:01:48.56 ID:LvLxo80H0
にこ「にこがしたいからよ。真姫ちゃんとデートするとにこは嬉しい。真姫ちゃんの機嫌も直る。一石二鳥でしょう?」ニッコニッコニー♪

真姫「人前で恥ずかしい発言とそのポーズ止めなさいよ。私の方が恥ずかしいじゃない」カァァ

にこ「で、どうなの?」

真姫「にこちゃんがそこまで言うなら……家に泊まりに着てもいいわよ」カミノケクルクル

にこ「泊まり!? スケールがグレードアップしてるんだけど」

真姫「いいじゃない。どうせ明日も一緒に秋葉に来ることになるんだし。それなら泊まりにきた方がいいわ」

にこ「先に着替えとか必要だから家に寄ってもいい?」

真姫「別にそれくらい買うわ。買っておいて家に置いておけばいつでも泊まりにこれるでしょう?」

にこ「それは普通に悪いからいいわよ。にこの家は秋葉だからここから歩いても近いし」

真姫「いいから! いくら秋葉とはいえ服くらい売ってるでしょ?」ガシッ

にこ「秋葉で買う服って……! そんなことよりデートを」

真姫「買い物も立派なデートよ」

にこ「にこすっごい嫌な予感がするにこ~~~」ズルズル

122: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:06:02.03 ID:LvLxo80H0
──ようこそ、西木野家へ


にこ「同じ部活でお世話になってます。音ノ木坂学院三年の矢澤にこです。本日はお世話になります」

真姫ママ「高校生になってから真姫ちゃんがお友達を連れてくるなんて初めてだわ。それもお泊りだなんて。くすっ、最近機嫌がいいのは貴女のお陰なのかしら?」フフフ

真姫「ちょっと、ママは引っ込んでてよ!」

真姫ママ「あら? くすくすっ。恥ずかしがり屋なのと素直になれないのは誰に似たのかしらねぇ?」

真姫「ママでないのだけは確かよ! さ、にこちゃん私の部屋に行きましょう」

にこ「では、失礼します」ペコリ

真姫ママ「仲良くしてあげてね」ニコリ

真姫「全く! ママってば余計なことばかり言うんだから」ツンツン

にこ「でも、綺麗なお母さんね」

にこ(にこのお母さんとはやっぱ全然違うわね。美容に掛ける金額の違いかしら? ……元々の差という気もするけど。顔立ちは真姫ちゃんそっくりだし)

真姫「」ムスッ

にこ「将来の真姫ちゃんを見たって感じね」

真姫「そう? 別に綺麗って程でもないと思うけどね///」

にこ「十分綺麗よ」

123: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:09:10.17 ID:LvLxo80H0
真姫「さ、ここが私の部屋よ」

にこ「……想像はしてたけど広いわね。というか、一人で寝てるのよね? なんであんなにベッドが大きいの?」

真姫「大きい? あれくらい普通でしょ」

にこ「にこの家族全員寝られるサイズが普通な訳ないでしょ」

真姫「ふふっ。にこちゃんは面白いこと言うのね」

にこ「ジョークじゃないわよ! 意外とお嬢様思考だったのね」

真姫「クッション居る?」

にこ「これだけ柔らかい絨毯ならそのままでいいわ」ストン

真姫「それでにこちゃん……あの男って誰だったの?」

にこ「あの男? あぁ、佐藤のことね」

真姫「また佐藤」

にこ「何怖い顔してるの? 真姫ちゃんには涼しい笑顔が似合ってるわよ」

真姫「にこちゃんと佐藤の関係は?」

にこ「う~ん、言葉にすると難しいわねぇ。アイツって秋葉のスクールアイドルショップの店員なんだけどね。出会ったのは三月。春休みの時にね」

にこ「いきなりムカついたこと言われたからぶっ飛ばしたくなったけど、でもね……一応アイツのいうことは正しかった。真姫ちゃんとこうして友達になれたのもアイツのアドバイスがあったから」

にこ「前にも言ったけど、にこって一人ぼっちだったから、素直になるのが苦手だったんだけどね。ま、お陰でなんか穂乃果やことりにはにこにクラスの友達が普通に居ると思われてるんだけどね」

124: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:13:28.68 ID:LvLxo80H0
真姫「にこちゃん」

にこ「怪しい奴だけど悪いやつじゃないわ。それはにこが保障する」

真姫「結局佐藤はにこちゃんのファンなの?」

にこ「………………絢瀬のファンっぽいわ」ケッ

真姫「絢瀬? 絢瀬なんて苗字いたかしら?」

にこ「生徒会長の絢瀬よ。男は巨 で金髪に弱いっていう典型的なやつね」

真姫「そうなの。ふぅん、あっ別に私はにこちゃんが男と付き合えるなんて最初から思ってなかったけどね」

にこ「付き合うって、突然何の話よ?」

真姫「なんでもないわ」フフッ

にこ「おかしな真姫ちゃんね。そもそもアイドルは恋愛禁止よ?」

真姫「そうよね、《男性とのスキャンダル》で失脚するアイドルっているものね」

にこ(今やけに男性とのスキャンダルの部分を強調された気がするけど……)

125: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:16:51.85 ID:LvLxo80H0
にこ「そうだ、泊めてもらう訳だしにこが晩御飯作ろうか?」

真姫「料理人が作るからにこちゃんは私と一緒に居ればいいのよ」

にこ「料理人!? ま、真姫ちゃんの家には料理人まで居るの?」

真姫「ええ、だから私は一切料理が出来ないわね。尤も、ピアノが趣味だから料理人が居なかったとしても料理はしなかったと思うけど」

にこ「そうね、真姫ちゃんにはピアノがあるものね。μ'sって有能キャラが多いわよね」

真姫「にこちゃんだってその一人じゃない」

にこ「有能だったら昔から一人ぼっちじゃないわよ」

真姫「私だって一人だったけど?」

にこ「でもさっきのお母さんの話し方だと中学では友達を家に連れてきたりとかしてたんでしょ?」

真姫「違うわよ。あれはお金持ちの家って見てみたいとかくだらないこと言って押し切られたのよ。その一回をずっと言ってるだけ。友達ではなかったわ」

にこ(この話題は色々とにこが傷つくから話題を変えましょう)

にこ「それよりも……」

126: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:22:14.66 ID:LvLxo80H0
──にこがパジャマに着替えたら


にこ「どうしてよりによって……クルミ」

真姫「元が何か分からないけど、にこちゃんに似合いそうだったから。実際に似合ってるわ!」

にこ「こんなの似合ってるって言われても嬉しくないわよ! しかも、下 用意してないとか嫌がらせ以外のなんでもないわ!///」

真姫「それでこれはどんなキャラの衣装なの?」

にこ「言いたくない……」

にこ(原作そんなに知らないけど、確か高校に飛び級した中学生とかそんな感じのキャラだった筈よ。天才13歳だったっけ? ロリキャラであるのは確かね)

カシャッ!

にこ「何でにこのこんな姿を携帯で写してるのよ!」

真姫「いいじゃない。減るもんじゃないし」

にこ「こんな格好撮られたら魂が擦り減るわ! アイドル衣装ならいいけど、コスプレはNGよ!」

真姫「あっ、でもμ'sの皆に送っちゃったから」ニコリ

にこ「なんてことしてくれてんのよぉ~!!」////

真姫「にこちゃんが家に泊まりに着てるってこれで皆に知れ渡ったわね。勿論下 なしってことも伝えておいたから安心して」

にこ「にこ~~~~!?」カァァァァ

127: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:25:33.58 ID:LvLxo80H0
真姫「ふふっ、冗談よ。下 穿いてないなんてことは伝えてないわ」

にこ「送ったことが冗談にして欲しかったわ……」

真姫「にこちゃんって普段は年上って感じするけど、こうして弄ると年下みたいよね」フフッ

にこ「今のアイドルは需要があればバラエティにも進出しないといけないのよ。だからよ、別ににこが子どもっぽい訳じゃないわよ」ムスッ

真姫「ふふふっ。本当ににこちゃんは可愛いわね。にこちゃんの所為でもう一人には戻れそうにないわ」

にこ「戻らなくていいわよ。私や穂乃果達が卒業したって真姫には凛と花陽が残るんだし。一人になることなんてないわ。なんせ一クラスしかないしね」

真姫「……卒業。にこちゃんは卒業したらどうするか決めてるの?」

にこ「勿論! 卒業と同時に芸能界入りしてアイドルデビューにこっ♪」

真姫「もしもなれなかったらって考えたりしない?」

にこ「そういうのは考え事にしてるわ。だって、暗い考え持ってたらファンに見抜かれちゃうもの」

真姫「アンバランスよね。強かったり弱かったり。にこちゃんの実態ってまだまだ分からないわ」

にこ「それはそうよ。にこは奥が深い女なんだから」フフーン

真姫(成長途中の女の子って感じしかしないけど、得意気に胸を張るにこちゃんが可愛いから黙ってましょ)

128: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:29:05.86 ID:LvLxo80H0
──魔法少女の夜


にこ「これだけ広いベッドで二人くっついて眠る必要ってあるの?」

真姫「嫌なの?」

にこ「嫌じゃないけど、なんだか贅沢を無駄遣いっていうか……」

真姫「いいじゃない。誰かに寄りかかる経験なんて今までしたことなかったんだから」

にこ「私の小さい身体でいいのなら好きなだけ寄りかかりなさい」

真姫「……うん」ギュッ!

にこ(どう見てもアンバランスなのは真姫ちゃんよね)ナデナデ

真姫「ねぇ、にこちゃん」

にこ「んー?」

真姫「キスしましょう////」

にこ「…………真姫ちゃんって、キス好きよね」

真姫「好きでもない相手とキスなんてできないわよ」ポツリ

にこ「にこぉぉぉぉ!」カァァァァ

真姫「私も同じよ。好きな相手としかキスしたくないわ」ポッ

129: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:33:55.78 ID:LvLxo80H0
にこ「キスよりその台詞でにこは恥ずかしさで死にそうよ。……ほら、目を瞑って」

真姫「うん」

にこ「お姫様へのキスよ……///」チュッ

真姫「んっ」チュッ

にこ「一体何度目のキスなのやら分からないわね」

真姫「出逢って二ヶ月も経たないのに、にこちゃんが私の胸の中でどんどん大きくなっていくんだもの」ギューッ

にこ「その言い方だと恋みたいに聞こえちゃうわよ」

真姫「……そうね。もうにこ病は末期みたい。海未の穂乃果病と同じでもう後戻りなんて出来ないわ」

にこ「にこ病? 穂乃果病? え、なにμ's内にイジメがあるの?」

真姫「もう一回キスよ!」

にこ「え、その前ににこの質問を答え──んぅ!?」チュッ

真姫「ちゅっ!////」

にこ「……いや、だからキスの前にね、っん!」チュー

真姫「にこちゃん大好き! んーっ!」チュチュッ

130: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:37:05.44 ID:LvLxo80H0
にこ「はぁはぁ……。ちょっと、冷静になりましょう?」

真姫「私は冷静よ。冷静じゃなかったらキスなんて出来ないわよ!」

にこ「いや、真姫ちゃんの性格的に冷静だとキスとか出来なさそうなんだけど」

真姫「これから作曲が大変になるから、にこちゃんが何でも手伝うって言ってたわよね? 作曲にはにこちゃんのキスが必要なのよっ!」

にこ「言ってることが滅茶苦茶ニコッ!?」

真姫「いいの。もう我慢しないの! 今度はにこちゃんからキスして!」

にこ「しょうがないわねぇ。うちの妹達より甘えん坊なんだから。……真姫ちゃん、好きよ。ちゅぅ~」///

真姫「にこちゃん……んぅっ、んん!」////

131: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:41:15.57 ID:LvLxo80H0
──真夜中の魔法少女


真姫「スー……スー……」zzz

にこ「まさか50回もキスすることになるとは思わなかった。キス魔過ぎよ。せめて半分で25回でにことかにしなさいよねぇ」ナデナデ

にこ(随分と懐かれたわね。お互い少し前まで一人ぼっちだったのに、不思議だわ。偶然にも将来のことしか考えてなかった二人だったのに)

にこ(誰かと一緒に居ることがこんなにも嬉しいだなんてね。もう、どうするのよ。私はこの先芸能界に入って、一人に戻ったら寂しくて死んじゃうわよ)

にこ(μ'sの仲間もだけど、やっぱり真姫ちゃんのことが好きで仕方なくなっちゃってるわね。キスは反則よ)

真姫「……ンー……スーハー……」zzz

にこ「寝顔は年齢より幼く見えるわね。可愛い……。はぁ~、今人生で一番幸せだから相手が女の子でもいいかなと思っちゃうわね」ナデナデ

にこ「元々アイドルだから男性はNGだしね。あはは、私も寝ましょう。おやすみー真姫ちゃん」チュッ

132: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:46:05.52 ID:LvLxo80H0
──それからの日々


にこ(ことりの新曲ワンダーゾーンに路上ライブ。中間テストを難無くクリアーして次のPVは花陽と凛のWセンター。穂乃果とことりには次の海未のセンターの歌詞を考えてもらいながら慌しい日々が続いた)

にこ(路上ライブと間を余り空けないPVの連続で遂にμ'sは21位まで上がり、ラブライブの開催が発表されたわ!)

にこ「海未。今日は問答無用よ」

海未「……うぅ///」

ことほの「海未ちゃん」

凛「どうして海未ちゃんはそんなに恥ずかしがり屋なのー?」

花陽「最初は恥ずかしいと思うけど、これだけやってれば普通慣れる……と思うんだけどね」

真姫「人には当たり前のようにPVでにこちゃんとキスさせておいて、自分は路上ライブで自分のセンターの新曲披露出来ないとかないでしょ?」カミノケクルクル

海未「……そ、そうなんですが。昨日路上ライブ終えるときに今日もすると宣伝したから、集まるお客さんは昨日より多いじゃないですか! それも今日は土曜日なんですよ?」

にこ「だから昨日歌っておけって言ったでしょ」

穂乃果「にこちゃん耳が痛くなるくらい言ってたねー」

ことり「そうだねぇ」

花陽「ラブライブ出場圏内に居ますから、きちんと人前で歌うことに慣れておかないと駄目ですっ!」クワッ

凛「かよちんが燃えてるにゃー」

133: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:50:02.69 ID:LvLxo80H0
海未「で、ですがまだ出場が決まったわけでもないですし」

真姫「縁起悪いこと言うのはなしよ。にこちゃんが言ってたでしょ? 今を楽しめって。恥ずかしいと思う前に楽しんでみなさいよ」

にこ「さっすが真姫ちゃんね。いいこと言うわ」ニッコリ

真姫「////」

にこ「ラブライブの前にどこかで普通にライブを経験するつもりだし、路上ライブくらいは慣れて貰わないと困るわ」

海未「……すいません。分かってはいるのですが、どうしても恥ずかしくなってしまって」

ことり「いつもは凛々しいんだけどねぇ」

凛「何か緊張しない方法とかないのかな?」

花陽「手の平に人という字を三回書いて飲み込めば……」

海未「それは昔に意味がないと実践済みです」

穂乃果「その割に弓道は得意なんだよね。私は弓道の方が難しいと思うんだけど」

にこ「何かいい手がないかしらねぇ。……このままムリに歌わせて失敗したら今後に響くし。ちょっとトイレに行ってくるから皆で何か案を考えておいて」スタスタッ

134: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:55:27.96 ID:LvLxo80H0
にこ「という訳なんだけど、何かいい方法はないかしら?」

佐藤『ドラえもんに頼るのび太君じゃないんだから。少しは自分で考えよう』

にこ「佐藤今日休みでしょ?」

佐藤『休みだと考えて当然ってのは理不尽だけど……。海未ちゃんのあがり症を治すとか無理だよ。キャラ崩壊しちゃうし』

にこ「キャラ崩壊って……あんたねぇ」

佐藤『冗談抜きでこればかりは海未ちゃん自身に慣れてもらうしかないよ』

にこ「頼りにならないわね。佐藤のくせに~」

佐藤『ジャイアン並みの理不尽になってきた。そうだなー……単純だけど、歌うより前にもっと恥ずかしいことを体験させればいいんじゃない?』

にこ「そうね。精神は鍛えてるから泣き崩れて歌えなくなる心配は無さそうだし。何させるのがいいのかしら?」

佐藤『リーダーである穂乃果ちゃんを使うのはどうかな?』

にこ「穂乃果を?」

佐藤『海未ちゃんを抱きしめて、両の頬にキスして頬擦りすれば良いんじゃない?』

135: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 09:59:42.64 ID:LvLxo80H0
にこ「……あんたの案ってトリッキーなのが多いわね」

佐藤『一時間も惚気話する奴にトリッキーとか言われたくない』

にこ「真姫ちゃんと仲良くなったのは佐藤が起因なんだから、責任取って話を聞くのが当然でしょ」

佐藤『仲良い百合は美しき哉。でも行き過ぎるとウザイけどね』

にこ「ウザイ言うんじゃないわよ」

佐藤『にこにーが幸せならいいよ。穂乃果ちゃんなら協力してくれるだろうから海未ちゃんの件は良いとして、ラブライブの出場許可を理事長に取っておいてね』

にこ「本当にこんな作戦で大丈夫なのかしら?」

佐藤『ぼっち告白から仲良くなるよりは現実的だと思うけど?』

にこ「うっさい!」

プツッ!

にこ「……そう言えば、あの時混乱してたし押し切られて流したけど、海未の穂乃果病とか真姫ちゃんが言ってたわよね。ならこの作戦は有効なのかも」

136: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:03:06.76 ID:LvLxo80H0
──路上ライブ前のテロ行為


にこ(着替え終わって尚、海未の緊張は解けてないわね)

にこ「穂乃果、あれお願いね」ボソボソ

穂乃果「んふふ~♪ 任せてっ!」ニヤニヤ

真姫(にこちゃんが何か企んでる顔してるわね)カミノケイジイジ

ことり(穂乃果ちゃんが悪戯する時の顔になってる。こういう顔は小さい頃から変わらないなぁ)

にこ「海未。顔を上げて立ちなさい。いつもの海未らしくないわよ」

海未「……うぅ。あの歌詞を人前で歌うだなんて、恥ずかしさでへそで茶が沸かせます」

花陽「大和撫子の海未ちゃんが諺を間違えちゃってるよぉ!?」

凛「海未ちゃんがセンターの『海色の少女』は乙女ソングだもんね」

真姫「根は乙女思考が強いから似合ってると思うけど」

穂乃果「う~みちゃんっ♪」ギュッ!

海未「ひゃっ! ほ、穂乃果っ?」

穂乃果「あのね海未ちゃん……。ほのかとことりちゃんの作った歌詞は海未ちゃんの重荷になっちゃったかな?」

海未「いいえっ! そんなことある筈がありません。二人が私の為に考えてくれた物が重荷な筈がありません。私の勇気がないだけで……」

137: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:08:12.40 ID:LvLxo80H0
穂乃果「そんな海未ちゃんに穂乃果の勇気を上げるね♪」ニコッ

海未「え?」

穂乃果「まずは左頬に……ちゅっ」

海未「──」

ことり「」

穂乃果「右頬にも……ちゅぅ」

海未「────」

ことり「」

真姫(これはことりに取ってはテロに近い行為よね)

凛(穂乃果ちゃん。幼馴染だからってもう少し感情を汲み取ってあげるべきだよ)

花陽(この後ライブなのに……。だ、大丈夫なのかな?)

穂乃果「えへへっ。海未ちゃん、勇気出た?」ニッコニコ

海未「/////」プシュー!

ことり「ホノカチャンホノカチャン...」ズーン

139: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:12:03.90 ID:LvLxo80H0
穂乃果「これでみんな元気いっぱいだよね!」

海未「////」

ことり「ふぇ~♪」

凛「元気を通り過ぎて、完全に二人が行動不能になってるよー!」

にこ「……まだ時間があるわ。それまでに復活させましょう」

真姫「はぁ~。まったく、順位が上がっても締まらないわねぇ」

花陽「でも、ここがμ'sの魅力なんだって、私は思うよ」

真姫「そうかしら?」

花陽「うん! だって、先輩後輩気にするなって言われても、他の先輩達だったら絶対に緊張してたと思うから」

凛「確かにそうだよね。こういうドタバタがあるから気軽にやれるんだよ」

真姫「ま、そうかもね」フフッ

凛「特に真姫ちゃんは某先輩とは深い仲みたいだし」ニシシシ

真姫「ヴェェェェ!? にこちゃんとはまだそこまでしてないわよ!!」カァァァァ!

凛「古典的な形式は略すけど、真姫ちゃんの望む関係が分かったにゃー」

花陽「真姫ちゃんは本当ににこちゃんと仲がいいんだね」

真姫「モォォォォ! シラナイッ!」プイッ

140: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:15:01.88 ID:LvLxo80H0
 
──路上ライブの終わりに...


海未「本日は足を止めていただきありがとうございました! 中には昨日も聞いてくれた方の顔もあったりと嬉しい限りです」

にこ「いつも言ってますが、私達音ノ木坂学院アイドル研究部μ'sはA-RISEが憧れであり、勝手なライバルだと思ってます。ラブライブ開催が決まった今の目標は、ラブライブに出場して憧れを乗り越えて私達μ'sが優勝してみせることです!」

穂乃果「ありがとうございましたー!」

ことり「応援ありがとうございました」

凛「凛達頑張るよー!」

花陽「本当にありがとうございました」

真姫「μ'sの曲聴いたんだから、良い週末を過ごしなさいよ」

パチパチパチパチパチ

にこ「着替えて反省会よ」

ツバサ「さ、μ'sの皆さんの後は一曲だけど、私達A-RISEが歌わせてもらうよ」

にこ「──綺羅、ツバサ?」

花陽「あんじゅさんに英玲奈さんも。ほ、ほんものの……A-RISE」

にこ「どうし、て?」

ツバサ「人が集まりすぎると怒られちゃうから。じゃあ、いくよ!」

ワァーーーーー!

141: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:18:20.70 ID:LvLxo80H0
 
──その頂は今は遠く


にこ(にこ達が全曲披露しても届かない。A-RISEの凄さを目の当たりにして、控え室に戻ってきても誰も何も言わない)

にこ(綺羅ツバサの別れ際の一言がみんなの口を閉ざさせたトドメなのは確実ね)

ツバサ『私達A-RISEをライバルだと思うのなら、もっと死ぬ気で練習してきなさい』

にこ(過剰な言葉なんかじゃない。制服のままだっていうのに、衣装を着ている私達より惹き付けていた。それはファンだけでなく、ライバルを自称している私達も惹き込まれていた)

にこ(ラブライブの開催が決まったばかりだっていうのに、これはヤバイわ。一気にモチベーションが落ちた。ラブライブ出場なんて夢のまた夢になってしまう)

にこ(あの明るい穂乃果ですら黙り込むのだから、誰がみんなを元気付けられるのよ。部長である私? それが出来たらやってるわ)

にこ(でも、時間が経てば経つほど実力の差が心に染みていく。まるで感染症みたい。特効薬のない今は死に至る病)

♪愛してるばんざーい

にこ(電話? 着信が佐藤。…………出たくない)

『泥船に乗りながら、信じれば向こう岸まで渡れると妄言を平気で吐けるくらいのメンタルの強さが必要だ』

にこ(くっ! こんな時になんであんなどうでもいい言葉が思い出されるのよ! 出ればいいんでしょ! でも、みんなの前では話すものも話せないし、トイレに行きましょう)スタッ

タッタッタッ

142: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:22:18.13 ID:LvLxo80H0
にこ「もしもし」

佐藤『さっきのライブ観てたよ。それから、おめでとう』

にこ「何がめでたいのよ!」

佐藤『あのA-RISEがμ'sをライバルと認めた』

にこ「嫌味? あんた、本気で言ってるんだとしたら蹴り倒すわよ!!」

佐藤『本気だよ。何で怒ってるのか分からないんだけど?』

にこ「スクールアイドル好きでなくても目に分かる明確な実力差があったじゃない! おまけに綺羅ツバサに『死ぬ程練習してこい』とか言われるし。どこがライバルなのよ! ふざけたこと言ってるんじゃないわよ!」

佐藤『ツバサは仙道みたいなやつだな。でも、感じてる通り今はまだ確かな実力差があるのは否定しない』

にこ「つまりバカにしてるってことよね! 一生懸命頑張って、ラブライブに出場出来そうなくらい人気も出た。でも、結局……そんなの、A-RISEの盛り上げる要員にしかならない」

佐藤『悲観的だなー。前に言ったろ? メンタルも鍛えろって。これはA-RISEなりの愛情表現だよ。この僕が保障する』

にこ「あんたの保障なんて………………本当なの?」

佐藤『電話が遅くなった理由がね、過去にA-RISEが路上ライブをしたことがあったかなんだ。UTX学院はライブ会場を完備してるから、当然の事ながら今日が初めて』

にこ「……それで」

佐藤『いくら路上ライブするようになってからA-RISEのお膝元で毎回A-RISEをライバルだっていってもだよ、可能性がなければこんな無茶してまで接触してこないよ』

143: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:26:09.30 ID:LvLxo80H0
にこ「無茶?」

佐藤『ラブライブ開催が決定したから一つのパフォーマンスとも言える免罪符がなければ学院側に怒られるような無茶だよ』

にこ「……」

佐藤『それでもμ'sを知って可能性を見たんだろうね。A-RISEにはライバルがいない。出来レースでないのに優勝が決まってる。これは冷静に見れるスクールアイドルファンなら誰でも導き出せる答えだ』

にこ「確かに、そうかもね」

佐藤『好敵手。つまりはライバル。自分達を高めるには最高の存在。それを欲してるんじゃないかな。ライバルがいればA-RISEは頂から更に天を目指せる』

にこ「……貪欲ねぇ」

佐藤『故にA-RISEは磐石の人気を誇ってる。でも、僕は九人の歌姫ならA-RISEをも超えられるって信じてる』

にこ「神話は歌の女神でしょ」

佐藤『君達には女神より歌姫の方が似合ってるよ。リーダーも部長も女神には程遠いでしょ?』 

にこ「うっさい!」

佐藤『あはは。調子出てきたみたいだね』

にこ「ふんっ! あんたが言いたいのはこういうことでしょ? 希と……絢瀬をμ'sに引き込めって」

佐藤『その通り。絢瀬さんは元々バレエをしてたからね。人を惹き付ける術を自然と身につけている。近くに居てどういう仕草が魅力的に映るのか、どういう動きが滑らかなのか。よく学ぶべきだ』

144: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:30:41.69 ID:LvLxo80H0
 

にこ「ただ単にあんたの好みなんじゃないの?」

佐藤『正に女神だからな! 柔軟とかで柔らかくするように指示だしてはいたけど、本格的な練習となると彼女の力が必要なんだ。女性人気も抜群だしね』

にこ「まっ、にこじゃ逆立ちしたって勝てそうもないプロポーションなのは確かね」

佐藤『当たり前だ! 赤子と女優を比べるよりも浅はかだ!』

にこ「そこは普通絢瀬にはなくて、にこにしかない魅力を語るところでしょうが!」

佐藤『そんなものはない!!』キッパリ

にこ「ふっざけんじゃないわよ!!」

佐藤『ま、冗談はともかく。ちなみに、その答えは真姫ちゃんなら満足いくまで答えてくれるよ。それで十分だろう?』

にこ「…………///」

佐藤『希ちゃんは間違いなく男性人気が集まるね。アイドルにおいてソレは正に武器だよ。それに、落ち込んでたみたいだけど、そういう時に希ちゃんはきっと皆を優しく支えてくれる』

にこ「あんた希に会ったことあるの?」

佐藤『スピリチュアルだよ。会ったことはない』

にこ「希も使うけど、スピリチュアルって何なのよ?」

佐藤『さてね』

145: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:34:46.38 ID:LvLxo80H0
にこ「本当に佐藤は謎キャラよね。でも、敵である絢瀬がμ's入りするとは思えないわ。希だって絢瀬の見方だろうし。今度はどんな作戦で仲間にするの?」

佐藤『──』

にこ「佐藤?」

佐藤(ヤバイ……今の今までこの面倒掛かるにこにーの所為で見逃していた。致命的過ぎるミス。のんたんの活躍をにこにーがほとんど奪ってきた。あと、穂乃果の活躍も)

佐藤(本来なら海未が亜里沙ちゃんに出会ってからバレエの動画を見る筈だったのに、色々急ぎすぎて海未が亜里沙ちゃんと出会うフラグがきちんと立つのかどうかすっごく怪しい)

佐藤(それににこにーも言ったけどのんたんはエリーチカ派だ。本来ののんたんならばμ'sを九人にすることが廃校を阻止して、明るい未来を掴む為にμ'sよりで行動してくれていた)

佐藤(が、エリーチカが入らなければ必然的に接触が少なかったのんたんがμ's入りするフラグも消滅しているかもしれない。現状のフラグが模糊だ。どうすればいいんだ)

にこ「佐藤聞いてるの?」

佐藤『にこにーなんて無視してエリーチカ助けてれば良かったー!』

にこ「うるさいわね。耳がキーンとしたじゃない。そもそもエリーチカって誰よ?」

佐藤『エリーチカ:歌姫。優れた智を持ち、かしこい。美麗、かわいい・女神属性・エリーチカ科。通称KKE』

146: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:38:22.65 ID:LvLxo80H0
にこ「何バグってるのよ。戻ってきなさい!」

佐藤『はっ! そうだ、逃げても現実は変わらない。それはあの日知った筈だ。よし、相手が相手だけに作戦を立てるのが難しい。夜に連絡するから今は落ち込んでる大切な仲間を救ってあげて』

にこ「分かった。あ、佐藤」

佐藤『ん?』

にこ「ありがとう。正直、今回は危なかったわ」

佐藤『いいさ。次の作戦が思いつかなかったら真正面から挑んでもらうことになるし、先行投資ってやつ』

にこ「それでもいいわよ。助かったし、それに絢瀬とはぶつかり合う運命の気がするし」

佐藤『なるべく頭を捻る。じゃあ』

にこ「うん、それじゃあ」

佐藤『あ、最後に一つ。

《九人揃ってμ's》

これがこの世で一番美しい言葉だ』

147: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:41:04.93 ID:LvLxo80H0
──この瞬間を楽しむということ


にこ「みんな! 何を見当違いのことで落ち込んでるのよ」

にこ「暗い暗い! さ、反省会を始めるわよ。といっても、今のμ'sでは最高の出来だったと誇れるくらい完璧だったわ」

海未「それでも、A-RISEには到底及びません」ポツリ

にこ「μ'sって九人の歌の女神から付けられた名前でしょ? だったら足りないのよ」

凛「なにがなの?」ボソッ

にこ「人数。私達はまだ七人。二人足りてない。だからまだA-RISEに届かない。でもね、A-RISEは私達をライバルと認めてくれた」

穂乃果「どこが? 全然だよ。認められてるわけないよ」

にこ「まったく……。リーダーがそんな調子でどうするのよ。相手にもしてないグループの路上ライブに乱入し、終わった後にあんなこと言うと思う? 花陽、アイドル好きとしてどう思う?」

花陽「……言わない、かな。そもそも、アイドルは上を目指す存在だから。下を見る必要はないんじゃないかな?」

にこ「そうよ。アイドルは常に上を目指すの。今というこの瞬間を楽しんで笑顔を浮かべる。その笑顔がファンの笑顔を生む。そして、だからこそより輝いていける。最高の循環よね」

ことり「今この瞬間を、楽しむ」

穂乃果「にこちゃんがいつも言ってる言葉だよね」

148: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:44:01.64 ID:LvLxo80H0
にこ「皆は今この瞬間を楽しんでるようには見えないわ。真姫ちゃんに暗い顔似合わない。そんな顔してたらもうキスしてあげないわよ?」フフーン

真姫「ヴェェェ! なに言ってるのよにこちゃん!」カァァァ

にこ「その調子よ。元気出しましょう。取り合えずみんな立ちなさい。きりーつ!」

……スタッ

にこ「元気になる魔法いくわよ。魔法少女のにこにーの真似をしなさい。いっくわよ~!」

にこ「にっこにっこにー♪」

穂乃果「にっこにっこにー♪」

海未「うっみうみっうー♪」///

ことり「にっこにっこにー♪」

凛「にっこにっこにー♪」

真姫「まっきまっきまー♪」

花陽「にっこにっこにー♪」

にこ「……みんながやってくれた。感動だわ。にこ、部長やっててよかった。今日でμ'sが解散してもいいかも」ウルウル

149: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:48:36.50 ID:LvLxo80H0
穂乃果「待ってよにこちゃん! 穂乃果がリーダーやってる内は解散なんてさせないよ!」

ことり「そうだよっ。解散したら穂乃果ちゃんに可愛い衣装着せられなくなっちゃうよぉ」

海未「途中で投げ出すなんて私が許しません」

花陽「ラブライブを前にして辞めるなんてありえません!」

凛「可愛い衣装着るのって恥ずかしかったけど、今は楽しいから解散なんてなしだよ!」

真姫「にこちゃんは今日は私の家に泊りでキス一杯ね」

穂乃果「……あれ? 何か真姫ちゃんだけ他のこと言ってなかった?」

にこ「にこには『解散なんてさせないわ!』って聞こえたにこっ」アセアセ

海未「私の耳にも他のこと言ってるように聞こえましたが……」

ことり「くすっ。ねー、穂乃果ちゃん? 今日はお泊りに行ってもいいかなぁ?」

海未「でしたら私も一緒に泊まりたいです」

穂乃果「いいよ! 今日はいっぱい三人でお話しよう」

凛「この流れだと凛はかよちんのお家にお泊りだにゃー♪」

花陽「うん! えへへ。A-RISEの動きを勉強して、みんなの力になろうね」

150: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:52:27.25 ID:LvLxo80H0
ことり「ということは、にこちゃんは真姫ちゃんのお家でキスだねっ♪」

にこ「ななななんでキスになるのよ!」カァァ

真姫「(ことりに聞かれてた!)////」

ピッ!

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

にこ「ことり! いい加減それ消しなさいよね!!」クワッ

ことり「ちゅん♪」ニッコリ

穂乃果「ね、海未ちゃん」

海未「なんですか、穂乃果?」

穂乃果「やっぱりさ、μ'sは今を楽しんで笑ってるのが似合ってるよね」

海未「ええ、本当に。にこのお陰ですね」

穂乃果「うん。ほのかもあんな風になりたいな」

にこ「これは部長命令よ! 消さないとことりをメンバーから排除するわよ!」

凛「あーっにこちゃんってば大人げなーい☆」

花陽「くすくすっ。真姫ちゃんすごい赤いよ」

真姫「イワナイデ!!///」

151: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:55:22.28 ID:LvLxo80H0
ことり「ちゅん♪」

海未「ふふふっ。後はにこの様に揺るがない自信を持ってくれれば」

穂乃果「なれるかな?」

海未「なれますよ、絶対に。少なくとも私とことりはそう信じてます。……ですが、にこは本当に強い」

にこ「人語喋りなさいよ、この鳥類人間ことりんがー!」

花陽「もうスクールアイドルを超えて不思議物体になっちゃってるよぉ!?」

凛「にこちゃんはネーミングセンスが壊滅的だよねー」

ことり「ガガガガガ! ことりんがーだちゅん♪ ことりんがーのおやつにしちゃうぞっ♪」ギギギギ

花陽「ことりちゃんが機械人間ニナッチャッタノォォォ!?」

凛「にこちゃんだけじゃ勝てないから凛が力を貸してあげるよ!」シャー!

にこ「何の戦いが始まったのよ!? って、また誤魔化されるところだった。除去しなさい!」

ことり「ギギギ……それはムリだちゅん。魔法少女マッキー。にこちゃんと凛ちゃんをやっつけるのだぁ!」ウキウキ

真姫「わ、私は魔法少女マッキーよ////」

にこ「ムリして参加しなくていいから! か、可愛いけど///」

凛「見事に誤魔化されてるにゃー」ボソボソ

花陽「くすっ。そこがにこちゃんらしいよね」ボソボソ

152: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 10:58:09.15 ID:LvLxo80H0
穂乃果「皆が暗くなっちゃった時にこうして笑顔にさせられる。それってにこちゃんが目指してるアイドルそのものなんだよね」

海未「そうですね。にこならきっと素晴らしいアイドルになれそうです」

穂乃果「アイドルに……。そう、だね。にこちゃんなら…………」

海未「ん? どうかしましたか?」

穂乃果「ううん。A-RISEもアイドルを目指してるんだよね?」

海未「それはそうでしょう。でなければあの完成度は誇れないと思います」

穂乃果「そうだよね。にこちゃんもA-RISEも凄いなぁ」

海未「……穂乃果?」

153: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 11:02:04.68 ID:LvLxo80H0
──週明け 部室


海未「ラブライブの出場条件が赤点を取らないこと。これを見越してにこはずっと勉強もするように言ってた訳ですね。流石にこです」

穂乃果「じゃあ今度の期末を終えたらもう勉強しなくていいんだ!」パァァ

凛「それならもう少しだけ頑張れるね!」キラキラ

ことり「勉強に終わりはないよぅ?」

花陽「そうです。どこかで活動するにしろ、成績が下がった所為でライブを中止とかになるかもだし。これからも勉強はしていこう」

穂乃果「やる気が~」

凛「なくなったにゃ~」

海未「だらしないですよ。この瞬間を楽しむのがμ'sじゃないですか。勉強も楽しんでやればそこまで嫌うことはない筈です」

穂乃果「苦痛なものは苦痛だよ~」

凛「そうだよ~それに英語なんて海外に行く人だけ覚えればいいんだよ」

154: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 11:06:14.40 ID:LvLxo80H0
海未「英語の歌詞が入ったらどうするんですか? 凛だけその歌の時はマラカスでも振ってますか?」

凛「凛はマラカスでいいよ~」シャカシャカ♪><

ことり「それってとってもかわいいかもっ♪」

花陽「ふふふっ。マラカスの凛ちゃんも可愛いけど、花陽は一緒に歌いたいな」

凛「……はぁ~。頑張る」

ことり「穂乃果ちゃんも後輩の凛ちゃんが頑張るんだから、頑張らないとねっ♪」

穂乃果「ほむぅ」

海未「穂乃果。やっぱりソレを流行らせようとしてませんか?」

155: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 11:09:49.52 ID:LvLxo80H0
──同時刻 生徒会室


絵里「何の用なの? 用がない生徒の生徒会室への出入りは禁止なのだけど」

希「まぁまぁ。えりちそんな威嚇せんでも」

真姫「用がなければこないわよ。こんな所!」フンッ

にこ「スクールアイドルμ'sの代表として、二人に話があるの」

絵里「私達に? 見ての通り忙しいのだけど」

希「今日中にしなくちゃいけないものはないんだし、話聞いてあげよう」

絵里「……手短にね」

にこ「単刀直入に言うわ。μ'sに入って欲しいの。二人がいないとダメなの。A-RISEに届かない」

絵里「戯言を言うのなら身内同士ですることね。もう用がないんでしょ、出て行きなさい」

真姫「そんな言い方ないでしょっ!」キッ!

絵里「話にならないのだからしょうがないでしょ?」

にこ「だからこそ必要なのよ」

絵里「冗談じゃないわ。生徒会はね、ただでさえ人数が少ないの。廃校を阻止する為の準備だって必要で、逆にこっちが人員を借りたいくらいよ」

156: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 11:17:25.43 ID:LvLxo80H0
真姫「廃校問題なら私達μ'sが活躍すれば学院の注目も集まるし、そっちの方が確実じゃない」

絵里「そんな雲の上を歩くようなプランに確実性を求めるなんてどうかしてるわ。現実は絵本の中じゃないのよ? 地に足着けて生きなさい」

希「μ'sに入るのウチはいいよ」ニコリ

にこ「希っ!」

絵里「希っ!?」

希「ラブライブが開催されることになって、現在19位まで順位を上げてるμ's。ウチは雲の上を歩く趣味はないけど、叩いても落ちない石橋の上なら渡れるんやで」

絵里「考え直しなさい。この子達のやってることは素人がアイドルを真似てるだけの代物なのよ? 希が手を貸す事なんてないじゃない」

真姫「言いたいことばかり言って!!」ギリッ

にこ「真姫ちゃんダメっ!」ガシッ

真姫「離して!」

にこ「これくらいで腹を立ててたらアイドル失格よ。世の中ネット弁慶が多いんだから」

真姫「訂正しなさいよ!」

絵里「訂正する部分なんて一つもないわ」フンッ

157: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 11:20:30.01 ID:LvLxo80H0
希「えりち」

絵里「邪魔が入ったし、今日はもういいわ。私はこれで帰る。希、後悔しないことね」

希「ウチは信じてるから大丈夫や」

絵里「…………」スタスタッ

ピシャッ!

真姫「なんであんな性格悪いのが生徒会長なんてやってるのよ!!」

希「普段はいい子なんやけどね。にこっちと関わるとああなるんよ」

にこ「とんだ女神もいたもんね」

真姫「女神?」

にこ「女神属性エリーチカ科って、何でもないわ」

希「ところで二人はいつまでも抱き合ってるん?」ンフフ

にこ「にこはさっきから両手を離してるんだけど、不思議と離れないのよ」パタパタ

真姫「不思議ね///」ギュッ

希「本当に仲いいんだね」

にこ「うっさい!」クワッ!

希「……信じてるからね、えりち」ポツリ

158: ◆CCblXqjw.2 2014/06/03(火) 11:28:29.70 ID:LvLxo80H0
凛「にこちゃんと真姫ちゃんのイチャラブの所為で凛とかよちんの活躍が短縮されて割を食ったよ! にこちゃんの無駄なパジャマシーン割いて凛達に活躍の場くれてもいいじゃんか!」プンプン

花陽「で、でも海未ちゃんも同じなんだし。我慢しよう……ね?」

凛「海未ちゃんは絶対この先見せ場があるに決まってるにゃ!」

花陽(た、確かにそうかも……)

凛「凛達は皆の引き立て役じゃないのにぃ~」

絵里「引き立て役でも出番が多いんだからいいじゃない!!」

凛「だ、誰だっけ?」ボソボソ

花陽「生徒会長さんだよ」ボソボソ

絵里「そうよ! 私なんて他のメンバーの前に出たのはファーストライブの時くらいよ!! 女神が何よ! ヒロインって何よ! おまけに今は一人ぼっちよ!!」

りんぱな「ひ、悲惨……」

絵里「それから希! 信じればいいって訳じゃないのよ! 信じるくらいなら一緒にきなさいよ! アニメと違って淡白過ぎよ!! A-RISEのツバサなんて出番一つなのに私よりインパクトあるし! エリチカおうちかえる!」

これから物語は夏(イチャラブ)から秋(シリアス?)に向け動き始める。全てはラブライブに向けて。

そして、佐藤は遂に女神と……!? 穂乃果はことりのあの問題と……。 次回は同時刻の佐藤へ続く!

166: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:38:56.52 ID:9mHrquxw0
※矛盾を発見。前回の西木野家に泊まった時ににこが『春休み』と言ってましたが、四月の間違いです。ごめんなさい!
 


──同日 某小さな教会:懺悔室 ミラクル・ハイテンション

佐藤「ということで僕は女神を蔑ろにしてしまったのです。自殺物の大罪ですよ。神父さんの必殺技とかで滅ぼされる存在ですねっ」

佐藤「でよく考えると女神は穂乃果ちゃんに救われるまでけっこう空回りキャラだったりするんだけど。活動許可が出てやったのがまさかの学院の歴史。穂乃果達すら最初に断念した残念な発想とかね」

『そうですか』

佐藤「かしこいかわいいエリーチカ。歌姫であり女神であるエリーチカ。何故にこにーの為に。マジで泣ける。これが世に言うありふれた悲しみの果てってやつなのかな?」

佐藤「あの変のギャップが可愛いんですが。賢いのだけど、どこか抜けてるというか。合宿ではまさかの超音速枕に沈められるという。落ち武者……絶対に許さないよ」

『そうなのですか』

佐藤「確かにこの太っている身体をエリーチカに見られたら恥ずかしくして死ねるけど。でも、働いて分かったんだ。ダイエットする時間がちょっと取りにくいし、疲れてると運動しようとする気もおきないですしね?」

佐藤「飲めば贅肉が落ちる薬でも開発しませんかね? 黒ずくめの逆に現代では浮いてるファッションで、コードネームが酒の種類名組織とか。あははっ、んな組織ないって話ですか。いやいや、毒薬と間違えてそんな薬が出来て新薬で大当り」

『色々と大変そうですね』

167: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:42:51.25 ID:9mHrquxw0
佐藤「ストレスと運動不足が重なると悲惨になると気付いていれば……。これでよくお百度出来たと思います。いや、ここから考えるべきだったのかなってね? 何べんも考えたんすよね」

佐藤「もしかしてお百度の途中で倒れて階段から転げ落ちて死んで、ここは走馬灯みたいな感じで見てる最期の奇跡なんじゃないのかなって思ってるくらいで。だっておかしいっすもんね?」

『そうなのですね』

佐藤「だったらもう僕がぴょんっ♪ と、高層ビルの窓から飛べばこの世界の歪みは強制的になかったことに出来るんじゃないかな~なんてね。どう思います? 神の使い的な神父さんなら何でも知ってるんじゃないですか?」

『ところで、失礼ながら一つ質問を。告解の意味を分かっていますか?』

佐藤「国会くらい知ってます。物事を決める重要な役割を……僕が安易に原作に介入してなければっ。にこにーが店に来たあの時も普通に接客すればよかったんだ! そうすれば原作がこんなことにならずに! ああっ、ちくしょう!」ガクガク

『原作……? ぐっ、ううぅぅっ』バタン!!

佐藤「全部僕の所為っ! て、え? 神父さん? もしも~し?」

『ぐぅっ、ぐあぁっ!』

佐藤「ちょっと! あのスイマセン! 誰かーったぶん神父さんが倒れました!! 警察! いや、犯人にされる。救急車! 救急車早く!」

168: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:45:26.73 ID:9mHrquxw0
──懺悔室にて... 向き合う罪 ※ちょっと鬱なのでここだけ流し読み推奨


佐藤「……どうして、こうなった」

佐藤「シスターが一人しか居なくて、倒れた神父さんの付き添いで救急車に乗って行くことになった。おかしくない?」

佐藤「帰ったらお礼をするから懺悔室の聞く側に入って待ってるとかさ。誰もこないとかじゃないよ」

佐藤「意味が分からない。にこにーの為にエリーチカが不憫な扱いにあってるくらい意味が分からない。今一人になりたくなくて、誰かに話を聞いて欲しくて。それでここに辿り着いたのに!」

佐藤「……」

佐藤「……」

佐藤「…………はぁ」

佐藤「ヤバイ。一人が嫌で怖くて逃げ出した結果がここだったのに。まさかの逃げられない袋小路に変わってしまった。無理に上げていたテンションも強制的に戻される」

佐藤「真実に気付いてから現状を良い方向に行くように何度も作戦を考えたさ! のんたんだけど、原作と条件が同じならばエリーチカを仲間に出来れば必然的に仲間に出来る」

佐藤「逆に言えば、だ。エリーチカを仲間に出来ないと仲間にならない。こう考えるとのんたんはμ'sで一番強い子だな。漫画だと最初にこにーポジションだけど一人で全く平気だしな」

佐藤「現状は全てエリーチカに掛かってる。といっても、原作の《穂乃果の差し出した手》は神展開の素晴らしい物だ。あれ以外でエリーチカを仲間にする方法なんて思いつけない」

佐藤「そんなことを思いつけたら僕はこの世界の神になれるレベルだ。いや、本当にね。屋上から一人戻って行って、後ろからのんたんに呼び止められるところから、穂乃果に誘われて教室を出ようとするシーンまで何度リプレイしたか」

169: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:48:50.73 ID:9mHrquxw0
佐藤「冷静になってしまうと明確に詰んでいることを理解してしまうんだ。μ'sがラブライブに出場出来る未来を見たいというエゴで介入し、九人揃えない状態にした!!」

佐藤「どう贖えばいい!! いくら懺悔しても……もう原作通りには戻らない。ヤバイ、泣きそうだ。にこにーを救えたことで調子に乗ってた。七人で出場出来ても意味がない」

佐藤「エリーチカにどう言えばいい? 何をすればいい? もう、ダメだ……。僕はエリーチカを苦しめにきたんじゃない。笑顔でいて欲しかったのに。もっと物事を深く考えていれば…………ちくしょう!」

佐藤「失敗したんだ。僕は間違えた。見逃した。調子に乗った。油断した。よりによって最大の過ち。なんで冷静に考えられなかったんだ。時間ならあった筈だ! ダイエットに身体を鍛えるのは無理でも考える時間は十分にあった!」

佐藤「生徒会側はのんたんと接触すれば和解の道も絶対にあった。そうすれば納得いく形でエリーチカをμ's入りさせることも出来た! 予想以上ににこにーが上手く動いてくれたから」

佐藤「にこにーと出会いさえしなければ。にこにーがあの店を利用しなければ。…………もう、どうすればいいんだ。何も考えたくない。全てを忘れて眠りにつきたい」

佐藤「」

佐藤「」

佐藤「」

「……あの、懺悔を聞いてもらってもよろしいですか?」

佐藤「──」

佐藤「あ、はっい! どっどぞ!」

「失礼します」

佐藤「────」

170: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:51:42.57 ID:9mHrquxw0
──裏・エリーチカ


穂乃果「えぇぇぇっ! μ'sって希ちゃんが付けてくれたの!?」

真姫「そう言えば私が『START:DASHI!!』を作曲してその渡す方法のアドバイスをくれたのが希先輩だったわ」

にこ「にこの頼まれ事も軽い条件で承諾してくれたわね」

希「ああ、あのにこっちの浮気写真のことやね」

真姫「その話ゆっくりと聞かせてもらえるかしら?」ゴゴゴ

にこ「いだっ! ちょっと待って真姫ちゃん。にこの小さな肩をそんな強く握らないで! 踊れない身体になっちゃうにこ~!」オロオロ

海未「真姫という人がありながら浮気なんて……見損ないました!」

凛「そうだよ! にこちゃんに浮気出来る解消なんてないと信じてたのに!」

ことり「ことりはにこちゃんが浮気なんて出来ないと思うなぁ」

花陽「私もそう思う。にこちゃんって、人の気持ちを踏みにじるなんて、絶対にしないもの」

穂乃果「私もことりちゃんと花陽ちゃんに同意権」

希「その通り。ただ単に他の人の為にえりちの写真を撮るように頼まれただけだよ」

真姫「……にこちゃん、ごめんなさい」ギュッ

にこ「いいわよ。いきなり疑われるのも愛情として受け止めてあげるから」

海未「大きい、実に大きいです。そんなにこを私は言われただけで疑うなんて。最低です……。私は最低ですっ!」

171: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:56:19.63 ID:9mHrquxw0
にこ「そんな自分を責めるんじゃないわよ。海未は真面目ねぇ。でも、罰として穂乃果! 海未の前髪上げてデコピン一発よ」

穂乃果「えぇっ! どうして私が!?」

にこ「見ての通りにこは今動けないのよ」

穂乃果「えぇ~……でも」

海未「お願いします、穂乃果!」

ことり「やってあげなよ。罰がないと海未ちゃんって逆に沈んでいっちゃうから」

穂乃果「分かったよ。じゃあ、海未ちゃん」ファサッ

海未「思い切りやってください」

凛「何故かドキドキするよ?」

花陽「ドキドキシチャウノォォォ!?」

にこ「見えない部分とはいえ顔だから手加減するに決まってるでしょうが。あんたはスクールアイドルの自覚がないの? 穂乃果、輪ゴムが当たるくらいの力加減でやりなさい」

穂乃果「……ていっ!」ビシッ

海未「うっ……これでは全然痛くありませんよ」

にこ「罰が執行されたんだから罪はなくなったの。諦めなさい」

希「そもそもウチの冗談が原因やん? だからそれくらいで十分だよ」

真姫「にこちゃんにこちゃん」

172: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 21:59:23.51 ID:9mHrquxw0
にこ「真姫ちゃんもいい加減立ち直りなさいってば。一人で平気とか言ってた逞しい真姫ちゃんはどこ行っちゃったのよ」

花陽「あぁ……そういえば、にこちゃんが来るまでは真姫ちゃんって、一人行動ばかりだったよね」

凛「もう思い出せないくらいだけど。にこちゃんにくっついてるイメージしかないよね」

ことり「話を戻しちゃいますけどぉ、希先輩はどうしてμ'sって名付けたんですか?」

希「ウチもにこっちみたいに敬語も先輩も要らないよ。カードがそう告げてたから。ウチらは九人になって初めて成功するって」

海未「カード、ですか?」

希「ウチはスピリチュアルの申し子。タロットカードの僕なんよ」

凛「なんかカッコ良いにゃ~♪」キラキラ

希「んふっ。冗談や。ただ、占いが得意でね。その導きにしたがってたんや。……最初の内は」

花陽「今は従ってないってことかな?」

希「見えていた未来が見えなくなってな。丁度μ'sのファーストライブが行われた日からやね。にこっちとその後ろにいる存在が原因だと思ってるんやけど」

にこ「にこと佐藤っ、ぐぇっ! ちょっ、なんで佐藤の名前出したらきつく締めるにごぉっ!?」グエッ

ことり「佐藤さん?」

穂乃果「三年生なの?」

真姫「ことりは見てないけど、メイド喫茶に行くことになる前ににこちゃんが男と歩いてたでしょ? あれが佐藤よ」

173: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:02:10.28 ID:9mHrquxw0
穂乃果「あぁっ! ……って、そんなことあったっけ?」キョトン

海未「ありましたよ。あの時の穂乃果は食べるのに夢中でしたから記憶にないのでしょう」

ことり「ほぇ~そんなことがあったんだぁ」

希「でも、今朝占ってみたらずっと途絶えていた道が見えた」

穂乃果「ほぉほぉ。それで何て出てたの?」

希「信じて待つこと。だからウチはえりちに付いて行かずにこっちに残った。えりちがμ'sに入るって信じてね」

真姫「あんな性格悪いのが入ったらμ'sの空気が悪くなるわよ!」

凛「……あぁ~、なんだか怖そうだったのは覚えてる」

花陽「綺麗な人ってそう見えちゃうもんね」

にこ「A-RISEに届くには絶対に必要な存在よ。それに真姫ちゃん。スクールアイドルは学校の代表なんだから、生徒会長を嫌っちゃダメよ」

希「真姫ちゃんもにこっちに言われたくないと思うんやけど」

穂乃果「私は是非入って欲しいな~。ちょっと怖そうなところは確かにあったけど、そういうのは海未ちゃんで慣れてるし」

海未「わ、私は穂乃果に怖いと思われてるんですか?」ガーン

穂乃果「普段は優しいしカッコ良いし素敵だって思ってるよ? でも、勉強の時は……」

ことり「厳しさも愛の鞭だよぉ」

花陽「会長さんって雰囲気がA-RISEに似て惹き付けるものを感じるから、あれを取り入れられたらμ'sは今以上に輝くよね」

174: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:05:54.86 ID:9mHrquxw0
にこ「流石花陽ね。私と同じ事を考えられるなんて。その通りなの。みんな、絢瀬からいい部分を全部盗むの。それがラブライブでスクールアイドルの頂を手にする唯一の可能性」

希「ウチも頑張らないとね」

にこ「ただ、どうして絢瀬がにこを目の仇にするのか分からないんだけど」

真姫「嫉妬してるのよ! にこちゃんの可愛さに!!」キッパリ

海未「……え?」

穂乃果「……おぉ~」

ことり「ちゅん?」

凛「……んー?」

花陽「……ふむっ」

希「言い切ったなぁ」

にこ「自分でこんなこと言いたくないけど、絶対にソレはないわ」

希「でも、嫉妬という部分は間違ってないのかもしれない」

にこ「絢瀬がにこの何に嫉妬するっていうのよ?」

海未「生徒会長がどれくらいなのか分かりませんが、にこはスペックが高いですからね」

穂乃果「人を明るくする最高の魅力を持ってるしね」

ことり「好きなことを純粋に楽しめるしねぇ♪」

花陽「アイドルへの愛情は誰にも負けないくらいだし」

175: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:08:12.91 ID:9mHrquxw0
凛「二歳差とは思えないくらい万能にゃー」

真姫「にこちゃんに敵う存在なんてこの世に存在しないわ!」キリッ

にこ(にこには下の子がいるから学校で孤独でも家では寂しくないけど、真姫ちゃんはもしかしたら違ったのかもしれないわね。だから、依存率がバリバリ高いのかもしれないわ)

希「真姫ちゃんはヤンデレやね」

真姫「何よ、それ?」

にこ(ドンピシャね。否定出来ないし、否定したら嘘になる)

希「えりちは元々バレエをしてたらしいんよ。実際にその動画も見せて貰ったこともある。でも、結果が残せずにその道を諦めた」

海未「穂乃果、凛。先に言っておきます。希が今述べたのはバレーボールではなく踊る方のバレエのことですからね。勘違いしないように」

ほのりん「おぉー!」スゴーイ

希「本心では諦めたくなかったんじゃないかな。その時のえりちの瞳はそういう目をしてた。まるで情熱だけが残された感じやね」

にこ「……その辛さは分かるわ」

希「そうやね。にこっちも一度諦めてる人間。だけど、自分から動いてにこっちはμ'sに入った」

海未「生徒会長の目の前ででしたね」

希「自分と同じ側の人間であるにこっちが自分とは違う道を目指して歩き出した。関係はなかったのに、取り残されるような不安が生まれたのかもしれない。だからにこっちが関わってる時のえりちは反応が荒くなる」

にこ「……」

176: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:11:06.88 ID:9mHrquxw0
希「ああ見えてえりちって頭より身体が先に動いたりするところあってな、時にその所為でおっちょこちょいな面も見せてくれるんだけど……。もし、生徒会長という重みがなければμ's入りを真っ先にしてたかもしれない」

穂乃果「生徒会長の重み」

希「廃校をどうにかして撤回させたい。でも、その義務感から動こうとするえりちに対して理事長は生徒会として動く許可を出してくれない。なのに、μ'sに対しては許可がおりる」

海未「……くる物がありますね」

希「そうやね。生徒会が何も出来てない間にμ'sは注目度の高い存在になった。それこそ本当に撤回させられる可能性が十分にある存在に」

凛「なんだか生徒会長が可哀想」

希「カードの導きがなくなって、ウチも臆病になってた。導きがなくとも常にえりちの手を取ってμ's入りへ行動すべきだった。でも、結局……こうしてえりちが戻ってきてくれるのを待つしか出来なくなった」

花陽「……それは」

希「えりちの一番の友人でありながら何もしてあげられない。支えてあげることも出来なかった。それどころか、えりちを追い詰めてしまったんはウチや」

ことり「そんなっ!」

希「副会長失格や」

真姫「何を検討違いのこと言ってるの? 誰かが傍に居てくれるだけで人間って一人の時とは段違いに救われるのよ」

にこ「真姫ちゃんの言う通りね。自分の辛い過去を話せる友人が居る以上に救いになることはないわ。私は真姫ちゃんとμ'sのメンバーに出逢ってソレを知ったわ」

真姫「にこちゃんの一人称が私もいいかも///」

177: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:14:55.13 ID:9mHrquxw0
にこ「…………。こほんっ! 絢瀬を一番救っていた存在は間違いなく希、あんたよ。その無駄にデカイ を張んなさいよね、ケッ!」

希「ぼっちーず」

にこまき「誰がぼっちーずよ!!」クワッ

希「ありがとうな」ニコリ

穂乃果「難しいことよく分かんないけど一件落着だよね!」

海未「リーダーなんですから人間関係の機微に敏感になってください」

ことり「そこが穂乃果ちゃんの色あせない魅力だから」

穂乃果「ということで、部長のにこちゃん。元気付けにアレをやろうよ!」

にこ「アレって何よ?」

穂乃果「みんなきりーつ!」スタッ

海未「……うわぁ」

凛「……恥ずかしいにゃー」

花陽「花陽はμ'sといえばこれって気がしてきたよ!」

ことり「ちゅん♪」

真姫「にこちゃんの恥ずかしい遺伝子がμ'sに根付きそうよ」

にこ「恥ずかしい言うんじゃないわよ!!」

178: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:17:12.23 ID:9mHrquxw0
希「それで、何をするん?」

穂乃果「にこちゃん。初めての希ちゃんに見本を見せてあげて☆」

にこ「絢瀬が帰ってくることを祈願して……。にっこにっこにー♪」

穂乃果「じゃあ、みんなでいっくよー!」

にこのぞほのぱな「にっこにっこにー♪」

海未「うっみうっみうー♪」///

真姫「マッキマッキマー♪」

凛「にっこにっこにゃー♪」

ことり「にっこにっこちゅーん♪」

にこ「どんどんオリジナル要素が入ってくることを喜ぶべきか、それとも悲しむべきか分かんないわね!!」

179: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:21:20.85 ID:9mHrquxw0
──じぶたれな神様と不器用な女神


絵里「廃校になるかもしれないと生徒会長として努力してきたつもりです。ですが、結局何一つ出来ないまま。それなのにしたいことをして結果を残そうとしている子達がいる」

絵里「その中に自分と同じ諦めたと思っていた子がいた。自分と同じ傷を持ってたのに。今は光の中で笑っている。私はこうして暗い所で動けないままなのに」

絵里「自分ではそういう感情だって制御できると思ってた。でも、全然無理だった。不器用な自分がそんな器用なこと出来るわけがなくて、会う度にきつくあたってしまって」

絵里「それなのに向こうはそんなの気にしてないみたいに、私に手をさし伸ばしてきた。私にその手を握る資格はなかった。おまけに、一番の友達はその手を握った。今の私なんかの傍に居ても意味がないってことなのかな」

佐藤「それは絶対にありません」

絵里「いえ、愛想を尽かれても仕方ないと思ってますから」

佐藤「違います。絶対に違うんです。全て……違うんです。貴女は何も悪くない。全ては他に原因があるんです」

絵里「運命説は信じてないんです。私の一番の友達はそういうのが好きですけどって、教会でこういうこと言うのは失礼かもしれませんが」

佐藤「運命じゃない。むしろその運命を壊してしまった。逃げられない悲しみの渦に巻き込んだ存在がいるんです」

絵里「……渦? 友達が似たようなこと以前言ってたような。確か、運命の渦とか大きな折の中に閉じ込められたとか。あ、そうそう。新しい道を作る者がなんとか」

佐藤「それです! 全てはそいつの存在が貴女を苦しめたんです。貴女は被害者です。苦しんでるのは全部そいつが失敗した所為なんです」

絵里「失敗を人の所為には出来ません。それは昔、好きな事を諦めた時に誓ったんです」

180: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:25:17.82 ID:9mHrquxw0
佐藤(本当に僕が悪いんだ。それなのに伝わらない。どうすれば伝わる? どうすればエリーチカが希望に向かってくれる? ここだ、ここだけを考えろ。この先もう何も考えられなくなってもいい)

佐藤(μ'sに入れば運命は最高の状態に戻れる。ここを失敗すればエリーチカに一生の傷が残る。考えろ。考えろ。お願いだから、何か考えつけ)

絵里「それに友達が入れば華が出る。私は彼女の分の生徒会の仕事をすれば結果的に恩を返すことが出来る。それでいいんです」

佐藤(────)

絵里「ふぅ~。色々聞いてもらってありがとうございました。自分の中で整理も出来たのでこれで帰ろうと思います」

佐藤「おねがい、ちょっとだけ待って」

絵里「どうかしたんですか?」

佐藤「僕も貴女と同じ諦めた人間なんです。大学受験で失敗して、今までの自分を全部否定された気がして。自分の世界に入り込んで。そんな時に僕を救ってくれた存在があるんです」

佐藤「九人の歌姫達が織り成す物語。お互いにお互いを高め、助け合い、光り輝く。そんな物語を見て、訳も分からずに泣いてました。自分の世界から元の世界に戻れる蜘蛛の糸を掴んだみたいな気持ちで」

佐藤「結果的に少し立ち直ることが出来て、そんな時女神の声が聞こえたんです。ありえない筈の導き。それを信じて行動したら世界が変わった。生まれ変わったつもりで頑張った」

佐藤「上手くいってると思ってた。完璧だと思ってた。それがただの勘違いで、本来よりも最悪な状況になってた。気付いたのが遅すぎて修正が出来ないくらいに」

佐藤「僕も凄い不器用なんです。でも、記憶力には自信があったから勉強をしてたんです。でも、調子に乗ってその記憶力すら馬鹿になってて……完全な袋小路。女神をより光輝かせたかったのに、闇に堕とすような結果に……」

181: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:30:02.60 ID:9mHrquxw0
絵里「その、九人の歌姫っていうのは?」

佐藤「μ'sという神話から名前を取ったアイドルグループです」

絵里「偶然ですね。私の学校のスクールアイドルもμ'sって名前です」

佐藤「九人揃ってμ'sなんです」

絵里「え?」

佐藤「ごめんなさい。もう、自分が何を言ってるのか分からなくて。自分がやりたいことがもう見えなくて」

絵里「自分のやりたいこと……」

佐藤「ただ、一つだけ我が侭を言わせてください。僕は貴女に救われた。だから貴女には光り輝いて欲しい。その綺麗な声で歌って欲しい。人を惹き付けるその姿で踊って欲しい」

佐藤「不器用だと行き難い世界だけど、不器用だからこそ人の優しさを実感出来ると思うんだ。器用でこけたことがない人間には、こけてから差し伸べられる温もりを知りえない。勿論比喩で、こけたことがない人間はいないと思います」

佐藤「えっと、ごめんなさい。やっぱり言いたいことが分かんない。ただ、一人は辛いです。とっても辛いんです。差し伸べてくれる人がいたのなら掴んでください。一人にならないで下さい」

佐藤「お願いです。不器用でも強くなることを諦めないで、前に進むことを止めないで。差し出された手を振り払ってしまったのなら自分から追いかけて掴んでください」

佐藤「追いつくまでに何度も転ぶかもしれない。でも、怖がる心に負けないで立ち上がって、また走り出してください。それで光の中でみんなと笑いあって、支え合って笑顔をください」

佐藤「こんな所にこないで済むように自分に正直に、真っ直ぐに生きてください。九人の歌姫が歌ってました。真っ直ぐな心が皆を結ぶんだって。困ったことがあったら友達に相談してください」

佐藤「貴女の友達は貴女に愛想を尽けるような器用な人間ではない筈です。きっと、今貴女を一人にしてしまった自分を責めていると思います。光の中で待ってると思います。走り出して下さい」

182: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:33:36.44 ID:9mHrquxw0
絵里「────」

佐藤「お願いです。行ってください。僕は輝く貴女を応援したい。貴女のファンなんです。暗い部分があっても、不器用でも、情けなくても……僕は貴女のファンなんです。これからもファンでいさせてください。その為にも走って!」

絵里「滅茶苦茶言ってますよ?」

佐藤「知ってます。今は頭が真っ白だけど、冷静になれたら頭抱えてのた打ち回ること言いまくりました。後悔します。泣きながら羞恥に悶える。でも、胸を張れると自信持っていえます」

絵里「……私とどこかで会ったことがありましたっけ?」

佐藤「夢で逢ったことがあるんです。こうして壁を隔てて再会出来たのもスピリチュアルな導きがあったのでしょう」

絵里「ハラショー。希と似たようなことを言うのね」

佐藤「懺悔の時間は終わりです。途中から僕の所為で意味不明になりましたが、ちゃっちゃっと行ってください。店じまいです。閉店です。蛍の光です。……スタート切ってダッシュしてください」

絵里「戻ったらなんて言えばいいのかしら?」

佐藤「言いたいことを言えばいいんです。だって僕らは頑張ったって器用には出来ないから。だから全部言わないと伝えられない。恥ずかしさは残ったとしても、いつか仲間と笑い話になれるのなら宝物ですよ」

絵里「素敵な宝物ね。じゃあ、笑われてこようかしら。バレエは諦めてしまったけどやっぱり踊りたい。それが皆と一緒ならきっとバレエ以上に楽しめると思うし」

佐藤「間違いないですね。それは僕が保障しましょう」キッパリ!

絵里「随分と自信満々に言い切るのね」

183: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:36:08.14 ID:9mHrquxw0
佐藤「この世界で僕程これを言い切れる人間は居ません。そして、僕が感じてる可能性以上を見たい。その為に僕はここに居る」

絵里「……不思議な人。あなたは一体誰なの?」

佐藤「己の馬鹿さ加減に絶望してたけど、女神が自分から飛び込んできてくれて助かった……そうですね、神とでも言っておきましょうか」

絵里「前置きの時点で神様じゃないのだけれど。それに大学受験に失敗する神様なんていないでしょう?」フフッ

佐藤「学問の神様を祭ってる神社にお参りしても合格率は変わらないのは、意外と神様は馬鹿だからですよ。ま、僕ほど馬鹿な神も他にいないですけど」

絵里「──また、会うことはあるのかしら?」

佐藤「ないですね。間違いない。神様と人間は出逢えぬ運命なんですよ。これは偶然が生んだ奇跡の時間。ほら、心配させてるんですから早く仲間の元へ行ってください。もう頭が冷静になってて、恥ずかしさで死にそうなんですよ」

絵里「私が嫉妬してた子が言ってたの『失敗を知ってる人間がいることで守ってあげられる』って、凄く眩しかった。私も守れる側になりたい。不器用でも胸張ってね。……だから、ありがとうございました!」スタスタッ

184: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:39:15.50 ID:9mHrquxw0
佐藤「……いってらっしゃい。あ~……死にたい。僕何を言ったけ? 独り言をグダグダ言ってて、突然エリーチカが来て……それで、懺悔を聞いた後に頭真っ白のまま一人大暴走」

佐藤「はぁ~…………死にたい。でも、生きててよかった。後はにこにーに任せた。僕に出来ることはもうないかな? あーいや、不器用なりにやっぱり頑張らないとな。お詫びにならないかもだけど、九人揃ったらあの曲を早く聴きたい」

佐藤「こうしてまた一つ、海未ちゃんの活躍を奪ってしまうけど……今回のことでエリーチカに枕ぶつけたことを許してやろう!」

佐藤「しかし、どうしてのんたんが先にμ's入りしたのか全く分からないな。その辺は後でにこにーに訊こう。今は不器用だけど一生懸命で傷だらけで走る女神に祈るとしよう」

佐藤「修正出来た代わりにエリーチカ(μ's)との対面フラグは消滅しちゃった。……せめて生エリーチカの顔を見たかったなー。なんとしてもラブライブ決勝のチケットは手に入れてファンの一人として拝見させていただこう」

佐藤「がんばれ、僕の女神エリーチカ」

佐藤「…………嗚呼、恥ずかしくて死にたい」

185: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:44:17.36 ID:9mHrquxw0
──真・やりたいことは


ガラガラッ!!

絵里「はぁはぁはぁ……っく、はぁはぁ~」

希「えりちっ!」パァァ

真姫「何をしにきたのよ?」

にこ「真姫ちゃん。喧嘩腰にならないの。それで、そんなに汗掻いてどうかしたの?」

絵里「はぁ~ふぅ~。言いたいことがあったのよ。私ね、矢澤にこが大嫌い! 失敗して一人何もしてなかった癖に今は光の真ん中で笑ってて」

真姫「やっぱり喧嘩──」

にこ「──似たようなことを前にどっかの店員に言われたわね。さすがに嫌いとは言われなかったけど」ギュッ! マキチャンオチツイテ

絵里「こっちは廃校阻止する為だけに動こうとしてるのに何もさせてもらえないのに、あんた達はやりたいことだけやって成果を上げてて……ふざけんじゃないわよ!」ニッコリ

海未「満面の笑みで喧嘩売ってますね」

穂乃果「すごいね」

ことり「ほぇー」

絵里「私だってね、やりたいことして目的を果たせる方がいいに決まってるでしょ! 私は不器用だしドジなところあるし自分の夢から一度逃げ出した人間よ。それでも、もう一度輝きたい。一生懸命頑張りたい」

希「えりち、信じてたよ……」

186: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:47:23.50 ID:9mHrquxw0
絵里「だから私をμ'sの九人目に入れてください!!」ペコリ

にこ「本当に不器用ね。って、私も人のこと言えないけどね。頭下げてたら握手出来ないでしょ。顔見せなさい」

絵里「矢澤さん」

にこ「二つ言っておくわ。μ'sは廃校撤回の為に頑張るのでも、A-RISEに勝つ為に努力するものでもないの。今この瞬間を楽しむ為に頑張るのよ。もう一つは……九人揃ってμ'sなんだってさ。だから、これからよろしく」

絵里「神様と同じ言葉」

にこ「は?」

絵里「何でもないの。よろしくお願いします」

真姫「絵里! 私のにこちゃんに何かしたら私が許さないからね」キッ!

絵里「ふふっ。何もしないわよ。それから希、心配掛けてごめんね」

希「心配させた分はきっちり払ってもらうつもりや」

絵里「それは大変そうね」

穂乃果「なんだか盛り上がってきたね!」

海未「ええ、そうですね。九人になったので新しい曲も作らないとですね」

187: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:50:06.17 ID:9mHrquxw0
ことり「その前に練習もしないとだねぇ」

凛「ふぅ~。緊張して喋れなかったよー」

花陽「胸がドキドキしちゃったね」

にこ「それから、絵里。μ'sは敬語も先輩もないからね」

絵里「ええ、にこ。分かったわ」

希「ハラショーってところやね」

絵里「それは私の台詞よ」

穂乃果「九人で全員なら何かしたいよね。号令みたいな感じでさ☆」

にこ「いい案ね。後で考えましょう。さ、メンバーも揃ったし練習開始よ。って、真姫ちゃん。不機嫌そうな顔しないの」

海未「これを纏め上げるのはリーダーである穂乃果の仕事ですね」

穂乃果「えー……ねぇ、絵里ちゃん。私の代わりにリーダーにならない?」

絵里「新人にいきなりそんな無茶言わないの」

にこ「さぁ、練習頑張るわよ!」

188: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:54:38.11 ID:9mHrquxw0
──夏の始まり 開放感溢れる佐藤と最終回風のにこ


にこ「ふっふーん! 見たかしら? 見たわよね?」ドヤァ

佐藤「ただでさえ暑いのに、その顔が更に温度を上昇させるよ」

にこ「相変わらずうっさいわね! 素直に褒め称えることが出来ないの?」

佐藤「エリーチカが素晴らしいことは口に出すまでもない真理だし。今更感想を述べろというのならバイト終わってから明日の朝まで語り続けよう。覚悟はいいかい?」フッ

にこ「何でμ's=絵里になってるのよ! そんな覚悟一生出来ないわよ!」

佐藤「それは残念だよ。冗談はともかくとして、二曲連続リリースとはいえ5位とはねー。予想以上に伸びたね」

にこ「あんたの作詞した『僕らの僕らのLIVE 君とのLIFE』『きっと青春が聞こえる』両方とも文句の付けようのないくらい良い出来だったわ。海未が『私の仕事が……』とか嘆いてたけどね。振り付けも絵里に取られたし」

佐藤「話を聞く限り海未ちゃんは頑張り過ぎてるし、楽させるのは良い事だよ。その分、穂乃果ちゃんの勉強教える時間に回せるしね。不安材料は全部取り除くに限る」

にこ「そうね。もうテスト直前だし。逆に言えばこれを超えれば夏休みとラブライブ予選の最終スパートね。5位でも油断は出来ない。ううん、寧ろここからまだ上を目指さないとね」

佐藤「うん、その意気だ。夏と言えば合宿かな?」

にこ「合宿? いいわね、でも……お金が掛かるからムリそうね」

佐藤「真姫ちゃんに別荘使わせてもらえばいいんじゃない? そうすれば移動費と食材とかは割り勘でそこまで掛からないでしょ」

189: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 22:57:45.95 ID:9mHrquxw0
にこ「あんた相変わらず良い事言うわね」

佐藤「行くと決まったら合宿先の練習メニューとか作っておいた方がいいかも。きちんと休憩時間や遊ぶ時間も入れてるやつね。海を目の前に練習からだとテンション下がるし集中できないだろうから、まずは遊びからがいいと思う」

にこ「そういうをわざわざ作るのって嫌われたりしない?」

佐藤「部長なんだからそういうのを率先して作るべきだよ。今のにこにーを嫌うメンバーはいないでしょ」

にこ「そ、そう? まっ、まだ先の話だけどね」ニヤニヤ

佐藤「アッと言う間だよ。夏なんて気が付いてたら終わってるって。少なくとも僕の夏はそうなるに決まってる」

にこ「寂しいやつね。少しは痩せたんだし青春してみたら?」

佐藤「そんな余裕はないかな。もう後悔したくないからね。で、買い物終わったんだから帰ったら?」

にこ「この後、真姫ちゃんと待ち合わせしてるのよ。だからそれまで時間潰してるの」

佐藤「いい迷惑だ。エリーチカは女神だけど、にこにーは疫病神だよね?」

にこ「その喧嘩買ってあげてもいいわよ」

佐藤「残念ながら喧嘩は売り切れだよ。七月が終わる前にもう一曲書くからさ、真姫ちゃんに作曲よろしく言っておいて」

にこ「佐藤ってまるでμ'sの10人目みたいよね」

佐藤「最高の褒め言葉だよ。それにしても、暑いなぁ……」

にこ「そりゃもう夏本番だものね」

190: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:00:34.65 ID:9mHrquxw0
佐藤「秋がくれば学園祭に本戦決勝がその少し先」

にこ「学園祭で一気にテンションを盛り上げたいわね」

佐藤「うん。その前にあの問題があるな。……穂乃果ちゃんは元気?」

にこ「ええ、元気よ。今日は海未とことりに勉強見てもらってる話だから、今頃は奇声でも上げてるんじゃないかしら?」

佐藤「それくらいが一番いいけどね。あ、そういえば少し早いけど誕生日プレゼントでもあげようか? 何か欲しい商品ある?」

にこ「やっぱりあんたにこの──」

佐藤「──三度も言わせねぇよ! 僕は普通の人間には興味がない!」

にこ「もはやロリもペ も超越したわね。……てか、どんだけ絵里があんたの中では神格化してるのよ?」

佐藤「思ってた以上に素敵だった。心に闇があって、不器用で、だからこそ光の中でより輝くことが出来る。本物の女神とは意外とそういう人間を神格化して出来たものだったのかもしれないね」キラキラ

にこ「佐藤、あんた絵里と会ったの?」

佐藤「いいや、ないよ。女神と会うなんてことは今までもこの先もありえないよ」

にこ「そんだけ好きなのに?」

佐藤「……で、何が欲しいって? 真姫ちゃん関係のアイテムでも取り繕うか?」

にこ「なっ! 真姫ちゃんのグッズは自分で買うわよ///」

佐藤「じゃあ、出会った日のようにA-RISEの物にしておく?」

にこ「あの日からたった三ヶ月でこうも変わるとはね。佐藤には本当に感謝してるわ」

191: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:03:36.19 ID:9mHrquxw0
佐藤「最終回っぽい清々しい台詞の連発ありがとう。こないだちょっと鬱入った時に僕がにこにーの事をどれだけ恨んだ事か、なんていうのは些細なことだよね。あはははっ」

にこ「何笑いながら人のこと恨んだとか抜かしてるのよ! にこは人に恨まれるような性格してないわよ。なんせ生まれ持ってのアイドル体質なんだから。にっこにっこにー♪」

佐藤「アイドル体質? ぷっ!」

にこ「何噴き出してるのよ!」

佐藤「ぼっち体質もしくはぼっち属性の間違えだし! あはははははっ!」

にこ「ぐぬぬ! あんたの方がよっぽど人から恨まれる性格じゃない!」

佐藤「……いやぁ、本当に夏本番って感じだなー」

にこ「にこの話を聞きなさいよ! このバカ店員!!」

佐藤「だからそのお詫びも込めて誕生日プレゼントを上げるって言ってるじゃないか」

にこ「さっきはお詫びなんて一言も言ってなかったでしょ! こうなったら無駄に高い物にしてやるわ」

佐藤「えーあなたはですね、以前ご自分でこんな発言をしました。覚えておいででしょうか? 『いくらムカつく相手でもお金が関わることで無駄遣いなんてしない』と」

にこ「変な喋り方して誤魔化そうとしてもムダよ! 佐藤は女神エリーチカの使途だから人にカウントしないから高価なものでもいいの!」

佐藤「高価なものでもいいよ。本当にごめん」ペコッ

にこ「にこは心が広いんだから許してやるわよ。どっかの女神よりも心が広いアイドルなのよ?」フフーン

佐藤「今軽く殺意が沸いたけど、自称心が広いんだから許してね。はははっ」

にこ「あんたの絵里推しは本当にどんだけなのよ!!」クワッ!

192: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:06:59.04 ID:9mHrquxw0
──その頃のことほのうみ


穂乃果「勉強もう飽きた~!」

海未「叫ぶ元気があるなら次の問題をやってください。それとも数学の方がいいですか?」

穂乃果「数学はもっと飽きた~!」

ことり「ほら穂乃果ちゃん。息抜きにことり特製七色マカロン食べて元気出してっ♪」ニッコリ

穂乃果「あ~んっ!」

ことり「ちゅん♪ はい、どうぞ」ヒョイ

穂乃果「モグモグ……くぅ~っ! ことりちゃんのマカロン美味しいっ!」

海未「ほら、食べたのなら今度は集中してください」

穂乃果「えぇ~。もうちょっと休憩しようよ。ほら、海未ちゃんも食べて落ち着こう? ほのかが食べさせてあげるね。あ~ん♪」

海未「……/// あ、あ~ん。モグ……モグモグ。さ、さすが伝説のメイドことりです。とても美味しいですよ////」

ことり「メイドなのはミナリンスキーだよぉ」

穂乃果「そういえばミナリンスキーってどういう意味があるの?」

ことり「秘密っ♪」チュン

海未「ことりは私達二年生組では一番目覚しい活躍をしていますよね」

ことり「そんなことないよ! ことりには何もないから……」

193: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:10:06.53 ID:9mHrquxw0
穂乃果「もーぅ。まだそんなこと言ってるの? 衣装担当だけじゃなくて作詞だって経験あるじゃない。お菓子だってこんなに美味しいの作れるし」

海未「……二人が作った海色の少女は乙女過ぎて未だに歌う度に恥ずかしさで倒れそうになりますが///」

ことり「穂乃果ちゃんの手助けがあったからだよぉ」

穂乃果「他にも秋葉で伝説って言われるくらいの知名度のあるメイドさんだし」

海未「そうですね。あの経験は二度としたくないですが、凄いことです。ことりが持っている魅力の一つがあってこそですね」

ことり「そうかなぁ?」

穂乃果「そうだよ! ほのかの方が立ち上げ以外全然何も出来てないくらいだもん」

海未「そんなことはないのですが、言うまでもなくにこが万能すぎるだけです」

ことり「穂乃果ちゃんも来年はあんな感じになってそうだよねっ♪」

海未「寧ろそうなっていてくれないと困ります」

穂乃果「勉強だけで精一杯なのに」

194: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:13:40.87 ID:9mHrquxw0
海未「同じ三年生の希に訊いたところ、にこも勉強は得意ではないというか、不得意な方らしいですよ」

穂乃果「え、そうなの? そんなこと初耳だよ!」

海未「弱いところを見せないで自信を見せているからですね。穂乃果も弱音を吐かずに影で頑張るくらいの事をしてみせてください」

ことり「そうだね。穂乃果ちゃん、ふぁいとだちゅん♪」

穂乃果「……うん。そうだね、今この瞬間を楽しむんだもんね! そうじゃないといつまで経ってもにこちゃんには追いつけないもん!」

海未「ええ、その調子です。それこそが穂乃果です」

ことり「そうだね。あ、そうだぁ。今日のノルマまで終えられたらことりのバイト先で好きなの一つ奢ってあげるねぇ」

穂乃果「うぉぉぉしっ! やる気が燃えがってきたよ!」

海未「現金な人ですね」フフフ

195: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:16:32.57 ID:9mHrquxw0
──同日 女神とスピリチュアル


絵里「これって、どういうことだと思う?」

希「スピリチュアルやね」

絵里「真面目な回答が欲しいんだけど……」

希「と、言っても。えりちが懺悔に行ったあの日のあの時間には神父さんは病院に運ばれてて、教会には誰もいなかったって話やろ? これを真面目に言うとえりちの妄想になるよ?」

絵里「確かにあの日はショック受けてたけど、妄想と会話出来る程想像力逞しくないわよ。海未じゃないんだから」

希「海未ちゃんに失礼や。シスターの話では付き添いに行ったから教会は空だったって話だし。懺悔室の聞く方の部屋も鍵が掛けてたって話だし」

絵里「そんなことないのよ。確かに神様が居たのよ!」

希「……そりゃ教会なんだし、神様はいるでしょ?」

絵里「違うの、大学受験に落ちるような神様なの! きっとシスターの人が記憶違いしてるのよ」

希「そんなに気になるならどうしてこんなに間を空けたん? 翌日にでも行けば良かったやん」

絵里「私も神様も色々と恥ずかしいこと言ったから、冷却期間が必要だったの!」///

希「やっぱりスピリチュアルってことだね」

絵里「本当にどういうことなのよ、これは……?」

196: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:19:42.51 ID:9mHrquxw0
──期末テストと好敵手からの贈り物


海未「穂乃果はどうでしたか?」

穂乃果「音ノ木坂に入って一番だったよ~! 見てみて。一番苦手な数学で68点!」

海未「……あれだけ一所懸命教えたのにこの点数。私に教える才能はないみたいです」

ことり「そんなことないよぉ。それに今回の目標は赤点を取らないことなんだし~バッチリだよっ♪」

凛「凛も苦手な英語も74点で楽勝だったよー♪」

にこ「これでラブライブ出場の条件は予選終了までの20位以内のキープだけね」

真姫「今のままなら十分いけるわね。勿論気は抜かないわ」

花陽「今でも夢見たいです。スクールアイドルの祭典に出場出来るかもしれないだなんて……」キラキラ

ガチャッ

絵里「ごめんね。生徒会の仕事で遅くなったわ」

希「それでな、先生からにこっち宛にってこれを渡されたんやけど」ハイ

にこ「なにこれ? 見覚えもないんだけど。まぁいいわ、開けてみましょう。──え?」

真姫「どうしたの、にこちゃん?」

にこ「このメッセージが本物ならA-RISEのツバサから。練習の様子が撮ってあるって、DVD-Rが入ってるって」

花陽「A-RISEの練習がっ!? 今すぐ見ましょう!!」クワッ

197: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:22:06.68 ID:9mHrquxw0
海未「挑戦状でしょうか。粋なことをしますね」

凛「本当にライバル認定されてるってことかな?」

穂乃果「取り敢えず見てみようよ。今よりよくなる為のヒントが映ってるかもしれないし」

絵里「そうね。私たちはA-RISEより圧倒的に経験の差があるわけだし、得られるものは少なくない筈よ」

希「でも、どうしてわざわざA-RISEがこんな物を送ってくるの?」

にこ「希と絵里は入ってなかったから知らないけど、以前にこ達が路上ライブを終えた時に乱入してきてね、一曲だけ歌ったことがあるのよ」

にこ「その時の別れ際にリーダーの綺羅ツバサに『私たちをライバルに思うのなら死ぬ程練習してきな』みたいなこと言われたの。つまりはライバルに成り得るμ'sへの招待状ってところかしらね」フンッ

絵里「へぇ。それは素敵じゃない。だったら舞踏会に参加出来るように魔法を掛けてもらわないと駄目ね」

真姫「魔法といえば魔法少女のにこちゃんよ!」

ことり「丁度A-RISEのライブを見て落ち込んでた時に、にこちゃん本人が言ってよねっ♪」

穂乃果「これはうっみうっみうー! の流れかな?」

海未「お願いですからやめてください!」////

凛「絵里ちゃんのにっこにっこにゃーを見たことがないね?」

花陽「そういえばそうかも。でも今はそんなことよりA-RISEの練習を見ることが何よりも最優先! 他に何かをするなんて今は考えられないよ!!」

にこ「今花陽が良い事を言ったわ! 魔法を掛ける為にもまずは盗める所を盗んでからよ。絵里、A-RISEの振り付けに集中して。希、見逃しそうな細かいところに気をつけて。海未、足の動きを観察して」

198: ◆CCblXqjw.2 2014/06/10(火) 23:26:16.22 ID:9mHrquxw0
にこ「穂乃果、他に気づいたことがあったら後で教えて。ことりは衣装を重点的に見ておいて。花陽、どこに一番惹かれるのかを愛情で見つけ出しなさい。そして最後に真姫ちゃん、μ'sとA-RISEの歌い方の差を見つけて」

凛「あれ?」

にこ「……あ、凛は本能的に何かを探して!」

凛「どうして凛だけ扱いが悪いの~!」

にこ「場を和ませようとした冗談よ。にこは全体を通した流れを確認するわ。取り敢えず三回程見れば何かあると思うの。これを機に練習メニューを一新するかもしれないから、みんな覚悟しておいて」

穂乃果(こういう時のにこちゃんって輝いてる。あの日見たA-RISEを思い出すくらいに。ほのかも頑張らないと!)

にこ「さ、再生するわよ」


にこ(本当に練習している姿が淡々と映し出されているだけのものだったけど、これを欲しがるマニアはどれくらいいるのか。勿論これを複製することも世に出すことも当然しないわ)

にこ(私たちの頂はこんなに近づいてもまだまだ遠くに感じられる。でも、九人揃ったμ'sに届かない場所なんてない。登りきってみせようじゃない)

にこ(それに、あの時のようにショックを受けているメンバーはいない。寧ろ逆にやる気を出してる。メンタル面でも強くなってる。A-RISEより成長している)

にこ(それに綺羅ツバサ。μ'sをライバルと認めてこんなプレゼントを渡したこと第二位という結果で返してあげる。最高のアイドルの姿を魅せてね。だから今は、その頂で待ってなさいよ)