1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 15:42:10 ID:oL5FuYyw
女「暇すぎる……」

女「花の女子大生、まさかこんな事になろうとは完全に予想外だわ……」

女「オリエンテーション終わって、サークルから沢山の勧誘を受けて、カッコいい先輩とLINEのやり取りして、オシャレなカフェでアルバイトして……」

女「こんなハズじゃなかったのに!!」

女「良いの!ワタシ??貴重な10代の最後をこんな無駄に時間を過ごしてて良いのッ!?」

引用元: 女「コロナで弟が家の中でウザったい」 

2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 15:46:35 ID:oL5FuYyw
女「しかも……」

弟「おねーちゃん!あそんでよー!!つまらないつまらないつまらないつまらないつまらない��!!!」

女「お姉ちゃんも同じ!!今みんな病気になったらダメなんだから家の中で良い子にしてて!」

弟「やだ��!!やだやだやだ!!外に行きたい!!」

女「お姉ちゃんだって遊びに行きたいの!ワガママ言わないのー!!」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 15:52:43 ID:oL5FuYyw
父「姉ー!頼むから弟静かにさせてくれー!仕事進まん!」

母「お願いよ!母さんも父さんも、リモートワークなんか慣れてないんだから!」

姉「私にに言わないでよ!弟に言って!!」

母「もー。台所の棚にお菓子無かった?」

姉「そんなもん子どもが一週間で食べ切るに決まってるでしょ?とっくに無いわよ!」

母「困ったわねー。……弟ちゃん?良い子だからお姉ちゃんの部屋で遊んでてねー?」

姉「あ、私を売った。なんて汚い親!」

母「その為にアンタを産んだのよ。大学進学許してあげたんだから言う事聞きなさい」

姉「卑劣!鬼!慈悲はないの!?」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 15:57:00 ID:oL5FuYyw
父「そうだ。姉、お前弟ツーリングに連れていけ」

姉「はぁ?嫌よ!だいたい今自粛でそんな事してたらヒンシュク買うわよ?」

父「"蜜じゃないです☆"」

姉「小池さんのモノマネするな!しかも似てないし!」

父「バイクの後ろ乗せて、どっかに行って帰って来るだけだ。弟は多分満足するし、頼む仕事の間だけ連れ出してくれ」

姉「嫌よ絶対にいや!」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:05:12 ID:oL5FuYyw
父「……お前、俺は言ったよな?お前がバイクの免許取るときに辞めとけと」

父「多分お前の事だから『そうだ!男ってバイク好きじゃん?って事はバイク乗ってる女ってモテるじゃん?』とか浅ましい事考えて無いよな?と」

姉「……ギクり」

父「俺はちゃんと言ったぞ?『良いか、バイクに乗る女はモテんぞ?可愛い子をバイクの後ろに男は乗せたいんだ』と」

姉「……そ、そんな事あったっけ?」

父「再三の忠告を聞かないで『お願いだから教習所に通わせて、バイクも可愛いの欲しい!』と止めるのも聞かず。今、ガレージに誇り被ったお前のバイクが有るのを忘れてないだろうな?」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:13:38 ID:oL5FuYyw
姉「でも、冬の間は寒いし……それに……あのバイクキックしか無いから、冬はエンジン掛けにくかったから……」

父「アホか。去年の春も夏も全然乗って無いだろ?」

姉「そんな事ないわよ!……一回ぐらい乗ったもん」

父「俺は知ってるんだ。というかお前の幼馴染君が教えてくれた」

父『おじさん、姉ちゃんが高校にバイク乗って来たんだけど。……俺もだけど周りもちょっと引いててさ。高校に乗って来るのだけは辞めさせた方が……』

姉「……あのやろう」

父「俺は絶対に学校には乗って行くなと言ったよな?約束破って周りから引かれて……父さんは悲しいよ」

姉「……うん、私も時間差で話されるのが一番恥ずかしいでふ」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:21:21 ID:oL5FuYyw
父「良いか?バイクと教習所代含めていくらするか知ってるか?お前がワガママ言って可愛いのじゃなきゃヤダと買ったジャケット、ヘルメットその他諸々の金額」

父「母さんは止めてた。俺も辞めさせたかった。……お前が若いうちにツーリングがしたい。どうしてもと頼み込むから俺は……」

姉「あべひ…。うわらば…」

父「以上。とにかく弟をどこか連れて行きなさい。途中で道の駅とかどこかに絶対に寄らない事」

姉「そんなの楽しくないじゃん!」

父「お前がやりたいツーリングってのはそういうこと」

姉「……ううう。過去の私のアホさ。今から止めに行きたいわ」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:27:05 ID:oL5FuYyw
��・��・��
弟「わーい!お姉ちゃんバイク乗れるのー?凄いねー!」

父「凄いだろー?……姉、一時間ぐらいで良い。人のいないところ行って帰って来い」

姉「……私のバイク、こんなダンデム用のバックレスト着いてたっけ?」

父「お前が乗らんから、父さん母さんとデートする為に付けちゃった☆」

姉「人のバイクになんてコトを……」

父「乗って無いからだろ?しかもそれ一年以上前に付けたんだぞ?」

姉「知らなかった。気付かなかった」

父「それだけ乗って無いんだな。……弟?良いな?お姉ちゃんの言う事は絶対に守れよ?」

弟「うん!」

父「バイクが走ってる時はふざけちゃダメだぞ?」

弟「わかった!」

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:35:16 ID:oL5FuYyw
ガコン!!……ガコン!!
姉「はぁ……はぁ……エンジンかからない��!」

弟『おねーちゃんがんばれー!』

姉「……呑気なもんよね。しかも人のヘルメットにいつの間にかインカム付けてるし…………えい!………おりゃ!……こんにゃろ!!」

ガコン!!……ブロ…ブロ…ブロロロロ……!!

父「おっしゃ、行ってこい!くれぐれもどこか密な所は避けろよ?」

姉「分かってますー。……弟、いい?ちゃんとつかまってるのよ?」

弟「うん!」ムギュー!

姉「こら!そこは●●●●!ブラが変になっちゃうでしょ!?」

父「お前に胸などあったか?」

姉「うるさい!……じゃあ行ってくるね!」

ブロ……ブロロロロ…ロロロ……


父「……おーう、行ってこい。……さてと餓鬼の居ぬまに火遊びせねばと」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:40:36 ID:oL5FuYyw
~・~・~・~
姉「あーあ、なんでこんなコトに。コレもコロナのせいね」 

姉「オリンピックでスポーツバーでカッコいいスポーツマンと知り合う予定だったのになぁ……」

弟「おねーちゃん、まだカレシできないの?」 

姉「そーよ。アンタも直に彼女を作る難しさに気付くでしょうねー」

弟「ちゃんとコクハクしなきゃダメなんだよ?」

姉「告白が何か分かってるのかしら?」

弟「スキな人にスキってちゃんというんだよ?」

姉「いーい?それってとっても勇気がいるし尊いコトなのよ?」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:46:22 ID:oL5FuYyw
弟「ボクはちゃんといったよ?」

姉「え?だれに?」

弟「同じクラスの幼女ちゃん!」

姉「早すぎじゃない?……幼女ちゃんはなんて言ってたの?」

弟「逆上がりと2重飛びができないとイヤなんだって。だからボク、レンシュウしてるの!」

姉「微笑ましくて良いわね……。私もそんな頃があったのになー」

弟「2重飛びは3回できるようになったよ!」

姉「スゴイねー。ちゃんと練習したのね?」

弟「うん!」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:52:27 ID:oL5FuYyw
~・~・~
ブロロロロ……ブロロロロ……
弟「おねーちゃん!みてみて!田んぼがたくさん!」

姉「そーね。……ホントにちょっと走ると田舎よね」

弟「もうすぐカブトエビがつかまえられるね!」

姉「カブトエビ?カブトガニじゃない?」

弟「カブトガニはクロくて大きいヤツ!カブトエビは白くてユビぐらいで小さいんだよ」

姉「へぇー。そんなのこの辺にいるんだ?」

弟「アメリカザリガニはたくさんいるけどカブトエビはめずらしいんだよ!」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 16:57:53 ID:oL5FuYyw
姉「そういえばアンタ、バイク乗るの慣れてない?」

弟「おとーさんがのせてくれたんだ」

姉「なによ。ワタシのバイク勝手に楽しんでるんじゃない」

弟「おねーちゃんカレシのためにバイクかったんだよね?」

姉「"未来"の彼氏の為ね?」

弟「おとーさん言ってたよ」

姉「なんて?」

弟「おねーちゃんはモテなくて、いまビョウキなんだって。ムリにカレシは作るものじゃないのにきづかないんだって」

姉「……くそぅ、ハゲオヤジ。帰ったらみてなさいよ」

弟「おねーちゃんないてるの?」

姉「泣いてなんかない!」…グスン

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:05:48 ID:oL5FuYyw
弟「なんかクルマいつもより少ないねー」

姉「今、世の中大変なのよ?……ホントにこんなコトやってていいのかしら?」

弟「でもずっとバイク走ってるから楽しいね!」

姉「楽しい?ずっとバイクの上にいるだけじゃない?」

弟「うん!ボクがかけっこするよりもはやいし、カゼがキモチいいし、バイクの音もカッコいいし!」

姉「……そういえばそうね」

姉「……私も初めてバイクに乗って何処か言った時そんな事思ってたっけ」

弟「♪ツバメよりはやい~~!カラスよりもはやい~~!ネコよりはやい~~♪」

姉「変な歌!」

弟「ヘンじゃないよ!」

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:11:32 ID:oL5FuYyw
~・~・~
姉「ふぅ~~つかれた。……お尻痛い」

弟「じとーはんばいきたくさんだね!」

姉「そうねー。田舎の自販機ばかり有る所って誰か使ってるのか分からなかったけど、こういう時便利よね」

弟「おねーちゃん、ボクコレがいい!」

姉「チカラ水?そんなのが良いの?」

弟「うん!おとーさんがオトコの飲みモンだって言ってた!」

姉「父は変なこと教えるなー」

弟「ボクがおしたい!ボクが押したい!」

姉「ハイハイ、抱っこするわよ?」

弟「えい!」

姉「はい、おしまーい」

弟「おねーちゃんのも押したい!」

姉「ハイハイ、お願いね」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:26:24 ID:oL5FuYyw
姉「良い天気ねー」

弟「ねー!あ!イトトンボ!」

姉「どれ?」

弟「あのみずいろのキレーなトンボ!」

姉「へーイトトンボって言うの?」

弟「ベニイトトンボとかあかいのもいるんだよ!」

姉「弟は昆虫博士になれそうね」

弟「でも幼女ちゃん虫キライなんだって。だからコッソリ男の子だけで虫遊びしてるの」

姉「確かにあんなの捕まえて間近で見せられたらちょっと嫌かも……」

弟「あ、おねーちゃん!カタにルリシジミ止まってる!」

姉「え!嫌だ!とってとってとって!!」

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:31:16 ID:oL5FuYyw
~・~・~
姉「もーまだまだ帰りたくないって言ったから、山の方まで来たのにー」

弟「…………zzz」コックリ…コックリ…

姉「ベルトがあって良かったけど、ヘルメットの後ろゴンゴンしてー。傷ついちゃうじゃない」

弟「…………zzz」

姉「……でも別に良いか。誰かと一緒にツーリング来れる訳でも無いし、誰かに見せる訳でもないし」

姉「……ちゃんと好きって言わないとダメなのよね」

姉「ちゃんと言ってたら今頃、変わってたのかな……」

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:36:37 ID:oL5FuYyw
~・~・~
姉友『姉ー。幼馴染クンと中良さそうじゃん?』

姉『そんな事ないわよ!……ただ小さい頃から一緒なだけで』

姉友『惚けるなって!お似合いだなーって思うしさ!カッコイイじゃん!』

姉『そう?でも小学生の時とか直ぐ泣いてたのよ?』

姉友『今は違うでしょ?なんか頭良いし、いろいろ物知りだし面白いよねー』

姉『違う違う!オタクなだけよ!別に頭良い訳じゃないわよ!』

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:49:47 ID:oL5FuYyw
姉『大体、幼馴染がカッコいい訳無いじゃん!』

姉友『そう?後輩とかからは凄い人気らしいよ?優しいし、穏やかだし』

姉『え?人気?』

姉友『うん、たまに街で女の子と一緒にいるとこ見るし』

姉『……ふーん』

姉友『あれ?もしかして焦ってるー?』

姉『……別に焦ってなんか無いわよ!』

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 17:57:17 ID:oL5FuYyw
姉(一緒にいて当たり前な気がしてて。でも自分から何か言うの恥ずかしくて)

姉(何かきっかけほしかったのに)


幼馴染『これホワイトデーのヤツ。合うかどうか分からないけど』

姉『シミに効くって私まだそんな歳じゃないわよー!』

幼馴染『……そっか、ごめんね』


姉(ホントは幼馴染と一緒に居たかったし、たくさん話したかったのに)


友『幼馴染、乗り鉄かよー!変わってるなー!』

幼馴染『そう?どこか遠くに行くの楽しいよ?』

友『姉ちゃん、コイツ一人でどっかに行くんだぜー?一緒に行ってやれよー!』

姉『え?い、嫌よー!絶対につまらないじゃない!』

幼馴染『……そっか』

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 21:06:59 ID:oL5FuYyw
姉(いつからか変に意識しちゃって、話せなくなっちゃったんだっけ)

姉(バイク欲しくなったのだってアイツの為だったのに)


幼馴染『電車でどこか行くのも良いけど、バイクとか憧れるよね。高校生なら免許も取れるしバイトして買おうかなぁ』

友『バイクいいよなー!姉ちゃんもそう思わない?』

姉『え!バイク?……不良の乗るものじゃん!怖いしヤダー!』

幼馴染『……別に姉ちゃん乗らなきゃ良いじゃん』



姉(……もし、素直になれてたらかわったのかなー)

22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 21:19:57 ID:oL5FuYyw
~・~・~
姉「……高いなー。何にもないし誰も居ない」

姉「弟?起きてー」

弟「……う……ん」

姉「ほら景色キレイだよー」

弟「……ホントだー。とおくにマチがあるねー」

姉「もういい?そしたら帰るよー?」

弟「おねーちゃんはいいの?」

姉「私?アンタが来たいって言ったんでしょ?」

弟「おかーさんがおねーちゃん、さびしそうなカオしてるから、いっしょに行ってやさしくしなさいって言ってた」

姉「……お母さん」

23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 21:25:19 ID:oL5FuYyw
姉「全然、お姉ちゃん大丈夫よ。弟は?」

弟「うーん。ボクアイスたべたい」

姉「そしたらまた、自販機の所行ってセブンティーン食べよっか?」

弟「あとおしっこ!」

姉「おしっこ!?我慢できる」

弟「できない!」

姉「じゃあそこでしてきなさい!!」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 21:34:14 ID:oL5FuYyw
姉「あともうちょっとで家よー」

弟「たのしかったねー!アイスおいしかったし、バイクでたおれそうになったり!」

姉「立ちゴケしそうになった事はナイショだからね!?」

弟「ジュース当たったのは?」

姉「それは良い!今日来て良かった?」

弟「うん!おねーちゃんは?」

姉「楽しかったわ!ありがとーね?」

弟「どういたしまして!」

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 21:46:36 ID:oL5FuYyw
~・~・~
弟「ただいまー!」

母「おかえりー!ごめんねー弟ー!」

姉「私はー?」

父「お疲れさん。お陰で仕事捗ったよ!」

弟「おねーちゃんすごいよねー!バイクじょうずだったよー!」

母「危なくなかった?とりあえずご飯にするからちょっと待っててね!」

姉「あ、私ちょっと電話するから後で良い?」

父「早くなー?一家団欒したい」

姉「はーい!」

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/23(木) 21:50:24 ID:oL5FuYyw
~・~・~
姉(ちょっとだけ、素直になれたらって思うだけで何もしなかった)

姉(でももしかしたら、今からでもちゃんと出来るかもしれない)

姉(だから今の気持ちをちょっとだけ伝えたいな)


姉「あ、もしもし?幼馴染?コロナでどう?……うん、……わたし?実は今日ね………うん」

姉「それでね、もしコロナが落ち着いていろいろ平穏になったらさ、……私と…………」



おしまい