1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/26(日) 23:57:26 ID:vql8IiWA
眼下に広がる海へ身を投げればこの惨めな人生を終える事ができる___


男「おいおいおいおい。早まるな早まるな。何してんだお前。」

青年「なんですか。」

男「なんですかじゃないよ。死ぬつもりだろう。」

青年「あんたに関係ないでしょう。」

男「関係ないでしょうってお前ね。少なくとも俺の目の前で人が死のうとしてるんだよ。関係ない事ないだろう。」

青年「関係ないですよ。早くどっか行ってください。」

引用元: 死のトリガー 


2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 00:01:45 ID:y0mMcx3E
ジリッ

青年「…………」

男「なんだお前はそんなに死にたいのか」

青年「死にたい。もう何も考えたくないんですよ。」

青年「あんた説教する気だろう。うんざりなんだ。どうせ他人なんだ。悩みを打ち明けたところでどうにもならないし下らない人生論を垂れて気持ちよくなってく偽善者を見てるとムカムカしてくるんだよ。」


男「………」

男「言うねお前は。」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 00:21:23 ID:y0mMcx3E
男「お前ね。俺の命なんだ、他人は関係無いと言ってるな。」

男「そんなに死にたいなら死ねばいいんだ。」

男「死ねば楽になる。そうだよ。お前は楽になる。だがな、少なくとも俺が迷惑なんだよ。」

男「俺がここから立ち去ってお前が死ぬだろう。死んだら後のことは誰がやる?まず最初にお前の死体を見つける奴に迷惑が掛かるんだぞ?」

男「そしたら警察だろう。自殺か他殺かどうか。誰かがここを見てたらまず俺に疑いがかかる。」

男「まぁそれは別にどうでもいい。次は親だ。親が居なくても誰かお前と親しかった奴に連絡が行くだろう。次は葬式だ。そして遺品整理だ役所手続きだなんだだ。」

男「そして金が掛かるんだ。お前わかるか?」

男「死なれるのも楽じゃないんだぞ。」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 00:32:01 ID:y0mMcx3E
青年「それでも関係ない!!!!!!!!!!」

青年「勝手に…勝手に生まれてこさせられたんだぞ…別に望んでないのに…」

青年「もっとまともな人生に生まれたかった。でも周りはそれを努力が足りないで済ませるだろう!!分かるか!!?くそみてクソみてえな環境に生まれた苦しさ!!惨めさ!!」

青年「いくら頑張ってもどうにもできなかった!!努力すればするほど自分が惨めになっていくんだ!!」

青年「もっと才能があれば!!もっとかっこよければ!!もっと裕福だったら!!」

青年「どうにもできないんだよ!!」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 00:34:07 ID:y0mMcx3E
青年「それでなんだあんたは!今度は迷惑が掛かるだと!?」

青年「てめえらどれだけ俺を苦しめるつもりなんだ!!」

男「………………」


男「…………………」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 00:42:43 ID:y0mMcx3E
男「言うね。心に響いたよ。」

男「いくら何を言われたって自分の苦しみは他人には分からんわな。苦しいのはお前だけじゃないと言うのがとどのつまりだ。」

男「でもな、そう言うしかないんだよ。」

男「俺はお前の苦しみが分からない。」

男「お前も俺の苦しみがわからない。そうだろ?」

男「闘いなんだよ。」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 00:52:48 ID:y0mMcx3E
男「人生は苦しい闘い。しかもどこにも逃げ場が無い。」

男「だから楽になりたい。下の奴を見て優越に浸る、虐める、蹴落とす。快楽を得るのも良いな。」

男「でも逃げられない。後から苦しくなる。虐められる、蹴落とされる、快楽のかわりに病気が待ってるもんだ。」

男「そして死ぬ。」

男「これなら自分で死ぬのと何が違うんだ?と思うこともあるよ。」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 01:02:46 ID:y0mMcx3E
男「そんな人間の中で真正面から闘ってる奴らも居る。」

男「どんなに打ちひしがれても立ち上がってくる奴らが居る。」

男「俺はそういう人を見ると勇気が湧いてくる。俺も闘おうとまた頑張れるんだ。」

男「お前は他人は俺に関係無いと言ったけどね。」

男「お前が一生懸命生きる事で誰かの救いになる事があるんだ。」

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 01:15:54 ID:y0mMcx3E
男「卑怯な事をして生きる人間ばかりの中でそんな人間がいる事が救いになる事があるんだよ。」

男「その勇気ある人達の物語は救う力がある。それは確かだと思う。」

男「ここで死んで自分の物語を終わらせるか。生きて物語を続けるか。」

男「もし物語を続けるなら、その勇気で救って欲しいんだよ。」

男「他人は自分に関係ないって事は無いってのはそういう事だ。」

青年「………」

男「おおっと…説教垂れちまったよ…」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 01:21:15 ID:y0mMcx3E
男「じゃあ、俺はここでさよならだ。後は勝手にしろ。」

青年「……あんたさ」

青年「死のうとしたことはあるのか」

男「うん?ああ、そんなこともあったかな!」

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11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/04/27(月) 01:26:16 ID:y0mMcx3E
眼下に広がる海へ身を投げればこの惨めな人生を終える事ができた____

見渡すと晴れ晴れとした空と青々とした大海に陽が照っていた____