上条(チクショー……、体が動かねぇ……

   早く起き上がって二人を止めないと……)



上条(何で、こんな事になってんだよ……)



~~~


引用元: トルネコ「事情は知りませんが上条くんに手は出させません」美琴「」 



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:01:42.04 ID:NVXDdxmsQ
禁書目録を司るシスター、インデックスに仕掛けられた魔術を
学園都市の学生、上条当麻は異国の商人トルネコと共に打ち破った。
脳に回復不能な障害を負うようなこともなく
今日も上条はトルネコの用心棒のバイトを続けるのであった。



上条「あ"~、トルネコさんも人遣いが荒いな~

   荷物運びなんてボディガードの仕事じゃないだろ~」

??「ちぇいさー!」ガコオォン!

上条「あれは? …何やってんだビリビリ」

ビリビリ「ビリビリって言うな!私には御坂美琴って名前があるって言ってるでしょっ!」バチッ

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:04:20.26 ID:NVXDdxmsQ
上条「その御坂サンが自販機に蹴り入れて飲み物かっぱらうとかどんなお嬢様でせうか」

美琴「女子校なんて皆そんなもんよ。本物は怖いのよ? 例えば常盤台では私のことを……」



??「お姉様ー!」

美琴「そうそんな感じで呼んできたり…って黒子!?」

黒子「あらあらあら。お姉様、放課後のご予定はこちらの殿方との逢い引きの予定でありましたの?」

美琴「アンタ何言ってんのよ!」バチッ

黒子 ヒュン!

上条「消えた? …ってうわっ!」

黒子「申し遅れました。わたくしお姉様の露払いを務めさせていただきます白井黒子と申しますの」

上条「空間移動能力者(テレポーター)だったのか…あ、上条当麻です」

黒子「申し訳ありませんがこの後予定がありますので失礼させていただきますの」ヒュン

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:07:26.55 ID:NVXDdxmsQ
上条「そうだ、俺もまだバイトの途中だったんだ、悪い御坂…って、御坂が二人!?」

??「はい、ミサカの名前はミサカですが、とミサカは即答します」

美琴「…何でアンタがここにいるのよ……。さっ、もう行くわよ」

御坂妹「それでは失礼します、とミサカはお姉様の発言に従います」

トットットッ

上条「妹が居たのか、それにしても似すぎだよな…いけね、早くトルネコさんと合流しなきゃな」

~~~

上条「お待たせしましたトルネコさん、それにしてももうボディガードの仕事じゃないですよねこれ」

トルネコ「そうですな…学校がありますと実際にダンジョンに潜ってもらうのも

   時間的に厳しいでしょうし…私のお手伝いのアルバイトという形で改めてお願いします」

上条「わかりました、給料は出していただけるんですよね?」

トルネコ「そうですな。水の羽衣の代金を給料から全額天引きというのも可哀想ですし、善処しましょう」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:13:06.65 ID:NVXDdxmsQ
上条「それにしても荷物多いですね…うわった!」ドシャッ

トルネコ「おっとっと、気をつけてくださいよ」

コロコロ……

御坂妹「道路に散らばって大変ですね、とミサカは状況を把握しつつ手伝いを申し出ます」

上条「あれ? 御坂の妹じゃねーか。さっき別れたはずなのに」

トルネコ「こちらは?」

上条「御坂美琴って中学生の妹で、名前は…御坂ミサカ?」

御坂妹「早くしないと停められている自動車に迷惑です、とミサカは片付けを促します」

プップー

二人「そうですね」イソイソ



上条「悪いな、手伝ってもらって」

御坂妹「問題ありませんが、どちらまで運べばよろしいのでしょうか、とミサカは尋ねます」

上条「いーよいーよ、これは俺の仕事なんだし」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:16:45.19 ID:NVXDdxmsQ
上条(結局ついてきてもらってしまった……)

上条「取り敢えずうちの寮でいいんですよね」

トルネコ「うむ、ごくろうさん…おや? 上条くんの家の前が騒がしいですな」

禁書「おかえりとうま!今スフィンクスについてるノミを落とすためにセージの煙で燻すところなんだよ」

上条「やめてくれスフィンクスが可哀想だし火災報知器が鳴っちまう」

姫神「やっぱり。魔法のスプレーで一撃必殺」

トルネコ「魔法のスプレーとな? 学園都市にもそのようなアイテムがあるのですか」

上条「いやそれただの強力殺虫剤だから。スフィンクスにも被害が及びそうだからそれも却下」

御坂妹「要は猫に毒性を与えない手法でノミを駆除すればよいのですね、とミサカは確認します」

上条「まあ、そうだけどどうやって?」

御坂妹「こうやってです、とミサカは即答します」

パチン! パチンッ! …パラパラ……

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:20:02.47 ID:NVXDdxmsQ
御坂妹「特定周波数の電磁波でノミのみを駆除しました、とミサカはうまいことを言います」

トルネコ「何だか色々助けていただいたみたいですな

   いえね、わたくし商売人をやっているのですが、指輪に興味はありませんかな?」

御坂妹「いえ、ありません、とミサカは即答します」

トルネコ「それは勿体ない…上条くん、適当に見繕ってやってください。もちろんお代はいただきませんよ」

上条「ひっでー、俺の時と違うじゃねーか…これなんかどうかな」

トルネコ「これは魔法の指輪ですから、本当に必要なときにだけ身に付けるといいですよ。壊れるといけませんし」



御坂妹「ありがとうございます、とミサカはお礼を述べます。それでは失礼致します」



禁書「あれこそクールビューティーなんだよとうま」

上条「頼むから見習ってくれ……」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:22:18.69 ID:NVXDdxmsQ
~翌日~

上条「今日も補習でぐったりですよ…ってあれ? あれは御坂か。おっすー」

美琴「あ、ああアンタか。私は今疲れてるから攻撃は勘弁してあげるわ」

上条「(いつも勘弁してほしいんだが)そういえば妹は一緒じゃないんだな。昨日の礼も改めてしたいんだが」

美琴「…アンタまたあの子に会ったの?」ピク

上条「(う…ヤブヘビ?)…いや、まあ…そんな事より一緒に帰ろうぜ」

テクテク

上条「何か元気ねーな、悩みでもあんのか?」


美琴「えっ? あ、いや、別にないわよ。じゃっ、私こっちだから」タッ



上条「やっぱよくわかんねーな、アイツ……」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:23:59.31 ID:NVXDdxmsQ
上条「あれ? 御坂とはさっき別れたばっかなのに…ってあ、妹の方か」

御坂妹「あなたでしたか、とミサカは目の前の人物を確認します」

上条「昨日はありがとうな。捨て猫に餌やってるのか」

上条(嫌な予感がするな…ここはひとまず退散か、そっと、そーっと……)

御坂妹「お待ちください!、とミサカは強い口調で呼び止めます」

上条「(見てないのにバレてるー!)な、なんでせうか」

御坂妹「あなたはこの猫を見て何も思わないのですか、とミサカは詰問します。仮に保健所に回収された場合、この猫はまず……」

上条「だー!そんなに言うならお前が飼えばいいじゃないか!」

御坂妹「…ミサカの居住環境ではこの子の飼育は不可能です、とミサカは正直に述べます

   しかし仮にこの子の殺処分が決定した場合、第一の工程として……」

上条「わかったわかったからもう喋るなオマエー!」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:24:45.59 ID:NVXDdxmsQ
トルネコ「おや上条くん、また飼い猫を増やす気ですか」

上条「トルネコさん…そういえば前にトルネコさんペットを飼ってるって言ってましたっけ?」

トルネコ「正確には息子のポポロですがね」

上条「猫の飼い方とかよくわかりませんか?」

トルネコ「昔の仲間が犬を飼ってたりしていたんですが…息子のペットは一筋縄では行きませんし、残念ながら

   あと失礼ながら、御坂さん…でしたか、あなたはこの猫に嫌がられているように見えますが」

御坂妹「ミサカが放出する微弱な磁場が問題であり、嫌われているわけではありません、とミサカは発言の撤回を要求します」

上条「あー…ともかく、やっぱり猫の飼い方の本かなんかがいるな…ちょっと御坂妹コイツ頼む」ポーン

御坂妹「あっ。…投げたら受け取らざるを得ないですね、とミサカは走り行く少年を恨みがましく見送ります」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:31:07.66 ID:NVXDdxmsQ
アリガトウゴザイマシター

上条「ふう…こんなもんかな。お待たせしましたトルネコさん、御坂妹はもう帰ったんですか?」

トルネコ「いえ、突然急にどこかに走り出したみたいで…何か用事でも思いだしたのですかな」

上条「そうですか…あっ!待てコイツ!せっかく飼うって決めた矢先に!

   トルネコさん、うちの寮に寄るついでにちょっと荷物と本を持っていってもらえませんか?」タッ

トルネコ「今夜は豪華絢爛焼きあばれうしどりパーティーの予定ですから早めに戻ってきてくださいよ

   …やれやれ、荷物運びを頼んだはずなのにまさか荷物を増やされるとは……」



上条「やっと捕まえた…こんな路地裏に逃げやがって、保健所に回収されても知らねぇぞ…ん?」コン

上条(女物の…靴?)ザッ

ゴトリ

上条(あれは…まさか!?

   血塗れの、みさ…妹!? う、ぁ……)

上条「(バカ野郎…何考えてんだ俺は、あれは御坂…妹……)う、うげえぇぇぇぇ!」ゲボッ

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:37:34.94 ID:NVXDdxmsQ
上条「………………」

上条(あれから救急に連絡して警備員に来てもらったのはいいが、

   死体はおろか、血の一滴すらなくなっていた…くそ、どうなってんだよ!)



ゴソッ

上条「誰だ!」

??「途中で抜け出して申し訳ありません、とミサカは謝罪します」

上条「…ま、て……、お前、御坂妹か? 悪ぃ、お前が危ない目にあった幻覚でも見ちまったみたいで……」



御坂妹「状況がいまいち把握できていませんが、ミサカは先程死亡しました、とミサカは報告します」



上条「なっ……(アイツの持っている寝袋、あれはまるで……)」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:43:10.77 ID:NVXDdxmsQ
上条「ちょっと待て、お前が抱えているそれって……」

御坂妹「どうやらあなたは実験の関係者では無さそうですね、とミサカは推測します

   この寝袋に入っているのは妹達ですよ、とミサカは答えます」


カツン、カツン、カツン……


上条「何だ、これは…御坂妹が、何人も……? 俺はさっきから幻でも見続けてるのか……?」

御坂妹「幻ではなく、御坂美琴お姉様の体細胞クローン…妹達です、とミサカは説明します

   これまであなたと接してきたミサカは検体番号10032号であるこのミサカであり、

   他のミサカは脳波リンクによる記憶の共有をしているに過ぎません、とミサカは追加説明します」

上条(実験、体細胞クローン、そしてさっきの御坂妹…まさか……)



上条(御坂美琴は、この事を知ってたってのか……?)

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:48:15.63 ID:NVXDdxmsQ
トルネコ「今日は250ゴールドは下らないと言われる特撰あばれうしどりの焼肉の差し入れですよ」

禁書「聞いたことないんだよ!でもおいしそうかも」

姫神「しっぽが。気になる」

トルネコ「上条くんはすぐ後から戻ってくるみたいだが、先にこれだけ用意して

   食べられないのも苦しいでしょうから、先に我々はいただきますか」

三人「いただきます」

ジュウジュウ

トルネコ「たまねぎマンの輪切りも焼けてきましたよ」

姫神「焼き蟹も。美味」

トルネコ「ぐんたいガニの身は絶品ですからな。それにしても上条くん少し遅いですな」

禁書「全くとうまはどこで道草を食ってるのかな?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 21:55:56.13 ID:NVXDdxmsQ
美琴「………………」

美琴(どうして、こんなことになっちゃったのかな……)

美琴「………………」


美琴「…誰か、…助けてよ……」

ザッ

上条「……、何やってんだよ、お前……」



美琴「アンタか…こんな時間にこんなところに出歩くなんて不良だねー」



上条「もう、やめようぜ。さっきまで俺はお前の家に行ってたんだ

   妹達のことも実験のことも一方通行のことも全部知ってる」



美琴「――――――!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:00:11.94 ID:NVXDdxmsQ
美琴「!? …ふーん、私の部屋に勝手に入って色々漁ったりしないと分かんないはずなのに、アンタは」
上条「それについては弁解の余地もない。後で好きなだけ償いをするつもりだ」

美琴「まあいいわ今は。私が聞きたいのは、アンタがここに来た理由よ」

上条「…お前が心配だからに、決まってるだろ…お前を止めに来たんだ」

美琴「……、全部知っててもそういうことを言えるんだね、アンタは

   …なら、私の覚悟も分かってるわよね。私を止めたいなら戦いなさい。じゃなきゃさっさと消えなさい」



上条「俺は、戦わない……」

美琴「何言ってんのよアンタは!私は本気よ!死にたくなければそこを退きなさい!」バシュッ

上条「それでも、戦いたくないんだ」



美琴「戦えって、言ってるのよー!!」

ピシャァン!!

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:04:24.42 ID:NVXDdxmsQ
ドゴオォーン!

トルネコ「今の雷は…嫌な予感がしますなぁ。二人はここで上条くんを待っててくれないか」タッ



~~~



美琴「………………」

美琴(…これで…全て終わっちゃったんだ……、もう私を止める人はいない)



ザッ

トルネコ「上条くん!? これは一体……」

美琴「!?」

トルネコ「…事情はよく分かりませんが、上条くんにこれ以上手は出させませんよ」

美琴「…何よアンタ」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:08:29.48 ID:NVXDdxmsQ
トルネコ「彼の雇い主ですよ。彼に手を出したのはあなたで間違いないですかな」

美琴「…そうよ。文句ある?」

トルネコ「…恐らくあなたの妹さんと思われる方には先程お世話になったとか

   彼がいないとこれからの業務に支障が出るとか色々言いたいこともありますが……



   そんな事より私は仲間に手を出したあなたを黙って見逃せるほどお人良しではないんですよ!」ゴオッ



美琴(コイツ…並の相手じゃない!それに…妹達の誰かに会ってる?)

美琴「…いいわよ、相手してあげても。アンタが誰に喧嘩を売っているのか思い知らせてあげるわ」





上条(…チクショー……、体が動かねぇ……

   早く起き上がって二人を止めないと……)

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:11:15.15 ID:NVXDdxmsQ
トルネコ「いかずちの杖!」バリッ

美琴「(コイツも電撃使い!?)やっ!」バリッ

バチバチッ!

トルネコ「どうやら先程のライデインもあなたの仕業のようですな……

   英雄たる勇者の血筋の者が何故このようなことを……」

美琴「ふんっ!英雄(ヒーロー)なんてどこにも居やしないわよ!」バリバリ

ヒュッ

美琴(かわした!?)

トルネコ「少し痛い目に遭ってもらいますよ」ゴオッ

美琴「くっ!(ひとまず距離を取らなきゃ……)」ダッ

トルネコ モグモグ ボオッ!

美琴「火炎放射!? まさか…多重能力者?」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:15:20.59 ID:NVXDdxmsQ
美琴「信じられないわ…でも私の命にはまだ最後の使い道がある。ここで倒れるわけには行かないわ」

ピシャーン! ゴロゴロゴロ……

トルネコ「場所がえの杖!」ヒュッ

ドゴオォーン!

トルネコ「自らのライデインでは効果が薄い、みたいですな」

美琴(…位置を変えられた? 間違いない、実現不可能と考えられていた…多重能力者!)

美琴「…いいわ。私のとっておきの超電磁砲を見せてあげるわ

   音速の三倍で迫る攻撃は避ける暇を与えない。直撃はさせるつもりはないから安心して」

トルネコ「…つまり、それを捌きとれば私の勝ち、というわけですな」ダッ

美琴 ゴソゴソ ピーン 「喰らいなs…」



上条「…やめ、る…んだ……」

二人 ピクッ

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:28:30.99 ID:NVXDdxmsQ
トルネコ「上条くん!」

美琴「…ア…ンタ、生きてたの……?」

上条「声が…聞こえた。…ヒーローなんか、どこにも居やしないって……」グググッ

美琴「………………」

トルネコ「上条くん、無理して動くんじゃない。重傷なんだぞ」



上条「でも分かったんだ…全てを解決する方法が……

   学園都市最強の第一位が無能力者に負ければ…本当に最強か疑わしくなる……」

美琴「………………」



上条「御坂…お前や妹達がこの絶望の中から掬い上げるヒーローがいないって言うんなら……





   …まずは、その幻想をぶち殺す……!!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:35:32.88 ID:NVXDdxmsQ
トルネコ「やれやれ…上条くんが襲われたかと思ったら、ただの痴話喧嘩ですか」

美琴「ちわっ……」

トルネコ「仕方ありませんな。誤解して攻撃を仕掛けたお詫びに、私も手伝いましょう」

美琴「いいえ、複数の能力を操るなんて無能力どころかどの能力者にも不可能な話よ

   気持ちは嬉しいけどこの件でそんな能力者に力を借りるわけにはいかないわ」

トルネコ「(姫神さんはおいといて)街の外の人間が超能力を使えますか?

   何なら能力を測る手段を試してみればいいですよ。彼同様私からも何も出ませんよ」

美琴「…それでも!相手は学園都市の第一位、あらゆる種類のベクトルを

   体表面に触れただけでコントロールできる最強の超能力者よ!

   こっちの攻撃は届かないのに向こうは何だってできる…私たちとは能力の次元が違うのよ!勝てるはずなんか無いわ!」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:44:56.38 ID:NVXDdxmsQ
上条「だから…なんだな」

美琴「!?」

上条「直接敵に向かっていこうとしないお前らしくない行動の原因は」

美琴「………………」

上条「戦うこともできない、他に止める手立てもない

   自分が死ねばそれで何とかなると、本気で考えてたんだな」

美琴「…そうよ。既に一万人以上の私の妹達が殺された

   私が死ぬことで私に価値がないと知らしめなければ、もう止めることはできないのよ!」




上条「…それを俺たちが止めるんだ。教えろ御坂…実験がどこで行われるかを」

トルネコ「…こう見えても私はレベル50を超えてるんですよ。任せておきなさい」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 22:54:24.56 ID:NVXDdxmsQ
一方「…それにしてもやっぱテメェらとは会話なンかできねェンだな

   さすがに一万回もやりゃまともな話の一つでもできるかと思ったンだがなァ」

御坂妹「実験開始時刻になりました、とミサカは第10032次絶対能力進化実験の開始を通告します」

一方「あァそうかい、やっと時間か、じゃあ始めるとするかァ」ビュッ

御坂妹「………………」バッ

一方「何だァ? いきなり逃げを打つって何考えてンだ? ヤル気あンのかテメェ」ダッ

御坂妹「…今夜は風が少ないのですね」バチバチッ

スン

一方「……、なるほどオゾンか、やるじゃねェか…だがな、」バヒュッ

御坂妹「!?」

ドゴォーン!

一方「オメェが俺に捕まってもその作戦は失敗になるンじゃねェもか?」ゲシッ

ザッ

一方「……? おィこの場合、実験はどォなるンだ?」

御坂妹「……!? あなた方は……」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 23:00:14.34 ID:NVXDdxmsQ
上条「…今すぐ御坂妹から離れるんだ」

一方「おいおい困ったなァ、お前ら人形を何万体ぶっ壊そうとも何とも思わねェがよ

   さすがに一般人を口封じに殺すってのは気が引け



上条「今すぐ離れろっつってんだろがこの三下が!」



一方「オマエ、何様? この学園都市第一位の超能力者に向かってなンてクチきいてンですかァ?」



トルネコ「やれやれ、上条くんはすぐ熱くなりすぎますな。まあそれがいいんですが」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 23:07:55.22 ID:NVXDdxmsQ
御坂妹(…な、にを……)

御坂妹「何をやっているんですか、とミサカは問い掛けます

   作り物の体に借り物の心、単価18万円のミサカのために、代わりのないその身を犠牲にするなど……」

上条「うるせえよ!そんな下らねぇことなんかどうでもいいんだよ!…お前は、世界でたった一人なんだぞ」

トルネコ「それに…ここで犠牲になるつもりなんかさらさらありませんよ」



一方「面白ェ、オマエら本当に面っ白ェわ」



トルネコ「まずはこの木の矢で、その力見せてもらいますか」ビュン

ヒュン!

トルネコ「ぐっ!…まさか矢筈を向けて矢が飛んでくるなんて思いもよりませんな」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/04(金) 23:36:39.65 ID:NVXDdxmsQ
一方「もっと威力の高ェ兵器を使ってくれれば致命傷になったかも知れねぇのになァ。仕方ねェこちらから行くぜ!」

ガンッ!

トルネコ「なっ!鉄塊が!?」

ドゴォン!!

一方「遅ェよテメェら。そのまま潰れなァ!」

上条「うわ! コンテナが崩れ……」

トルネコ「イオの巻物!」ドドドドォーン!

モクモク
……

上条「ケホ、砂埃が……」

一方「へェ、この広範囲に爆発を引き起こすとか面白ェ能力持ってンなァ

   爆発、爆発かァ…いいもン見せてやンよ、粉塵爆発って知ってっかァ?」

上条「やばい、離れ――」

ドオォーン!!

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:11:39.12 ID:0A1GaEVYQ
一方「あァ…クソッ、死ぬかと思ったぜェ、酸素奪われたら苦しいに決まってンじゃねェか」

上条「ぅ……」

トルネコ「ぐっ……(ろくに動けない上条くんをかばったのは応えましたな……)」

一方「オレを苦しめるたァ少しは誉めてやンよ、だがなァ」ビュン

トルネコ「ぐっ!(速い!ガードを……)」サッ

バガァン!

トルネコ「ぐおぉぉっ!(バカな、はぐれメタルの盾が!)」

一方「そンなもンは防御にもならねェンだよ!次はテメェだ!」

上条(くっ……)スッ

パシ

一方「オイオイオイ今の何なンですかァ? 確かに俺はテメェに触れたぜ?」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:23:44.01 ID:0A1GaEVYQ
上条(わかる…速度こそとんでもないが、コイツは単純な動きしかしてない)

一方「いィねいィね最ッ高だねェ!テメェを先に血祭りに上げてやるよ!」ボンッ!

上条 スッ

上条(右手以外で触れたら終わりだろうが、こんな単純な動きなら…触れさせられる筈がない)

上条「喰らえっ!」ゴスッ

一方「がっ…いっ…てェ……、はっ、面白ェ、何なンだその右手は?」ドウッ!

ガシッ

トルネコ「そうか、彼は…今までろくに戦いというものをしてこなかった。その結果が……」



一方「く、か、」

ビュウゥゥゥ

トルネコ「…風?」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:25:29.45 ID:0A1GaEVYQ
一方「くかきけかくきけかくきけかくきけかかー!」

ゴオッ!

上条「!?」ゴウッ!

ズシャッ

美琴「ハァ、ハァ…心配だから来てみれば、アイツ、学園都市じゅうの風を操ってッ……!」

一方「ハッ、空気を圧縮、圧縮、圧縮ねェ。ならこンなこともできンのかなァ?」ギュオォォォン

美琴「大気を圧縮してプラズマを作り出してる!?」



トルネコ「風が原因ですか…ならば、大風の巻物!」ゴウッ!

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:27:25.19 ID:0A1GaEVYQ
一方(風が乱れた、だァ? ふン、だが再演算すれば何て事ァねェ)

トルネコ「プラズマがかき消えたのは一瞬…継続的に風を操る術がありませんと
   いやありますな…風神の盾よ!」ゴオッ

一方「ハッ、面白ェ小道具出しやがって…攻め方を変えてもいィンだが、俺の性に合わねェな

   所詮一方向からのオンオフの切り換えしかできねェなら、それすらも組み込んでやるぜェ」

トルネコ「くっ……」



御坂妹(…超自然的な力を操って戦っている彼は一体…とミサカは疑問を……)



美琴「アンタ、ただでさえ傷ついてるのに悪いんだけど……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:30:10.21 ID:0A1GaEVYQ
美琴「この戦いに私は手出しできないの。ゴメン、だからアンタしか頼れる人はいない

   お願い、アンタの力で学園都市のプロペラを回して!」



御坂妹「お…姉様、」

美琴「なに?」

コロッ

御坂妹「こ…の、指輪を、ミサカに……」



一方「そろそろ頃合いだァ、全て燃え尽きなァ!」

トルネコ「むう……」

フッ

トルネコ「プラズマが…完全にかき消えた?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:34:32.06 ID:0A1GaEVYQ
一方(バカな…自在に風をコントロールされてるみてェだ……誰の仕業だァ?)チラ

一方「テメェか…もう動くこともままならねェと思ったが、やたらピンピンしてンじゃないですかァ?」

御坂妹「ミサカの回復力が大幅に引き上げられているようです、と

   ミサカは信じられないという思いを抱きます」

美琴「アンタ、さっきまであんなにボロボロだったのに」

一方「クソがァ……」

ザッ

トルネコ「…上条くん」

一方「まだ動けたのか…面白ェ、先にテメェから完全に潰してやるぜェ!」ギュン

パシッ



上条「歯ぁ喰いしばれ最強…俺の最弱は、ちっとばかり響くぞ……」

フラッ ガクン

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:38:09.89 ID:0A1GaEVYQ
トルネコ「上条くん!」

バキャッ …ドサッ

美琴「………………」

トルネコ「………………」
御坂妹「………………」



一方「…ハァ、ハァ……、グッ、浅かった、みてェだな……」



上条「………………」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:41:33.86 ID:0A1GaEVYQ
一方「チキショウ、体は、動かねェし、複雑な演算式は組めそうにねェな

   …だが、三下野郎はこの様だァ……」

美琴 キッ

一方「おっとォ、例え今の俺でも、『反射』くれェはできるぜェ…アレはほぼ無意識に行う演算、

   俺が寝ていようが何の支障もねェ…運がいいな、死にたくなけりゃさっさと消えな……」



トルネコ「…そうは…行きませんよ……」ビュッ

一方「何だその杖はァ? …今何かしやがったのか?」

トルネコ「…彼の意志を尊重するためにも、我々無能力者によるあなたの敗北は…必須事項なんですよ……」

一方「ハッ、その妙な算盤でブン殴る気か」

一方(腕ごとへし折ってやらァ!)



バキャッ

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:45:22.42 ID:0A1GaEVYQ

~~~

上条「…ここは? 病院か……」

御坂妹「目が覚めましたか、とミサカは意識を確認します」

トルネコ「実験は無事中止に向かうことになったそうですよ」

上条「そっか…あんまり覚えてないんだが、ちゃんと一方通行を倒せたのか」

トルネコ「そうですな。封印の杖を正面から避けられなくなるまでダメージを与えてくれて助かりましたよ

   魔力が起こした現象は操っていましたが魔力そのものを理解して制御することはできなかったみたいですからな」

御坂妹「回復の指輪と言うそうですね、とミサカはあなたがくれた指輪の力に驚嘆します」

上条「それで、やっと御坂妹も普通の生活を送れるようになるわけか」

御坂妹「いえ、そういうわけには行きません、とミサカは答えます」

上条「なっ!?」



御坂妹「寿命の回復のためには定期的な調整を行う必要があります、とミサカは説明します」

上条「そ、そうか……」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/03/05(土) 00:47:20.21 ID:0A1GaEVYQ
御坂妹「決して寿命がすぐ尽きる、などと言ったことはありませんから安心してください、とミサカは補足します」

トルネコ「体調が回復したらうちの仕事の手伝いをしてもらおうと思っていますよ」

上条「えっ!? そうなの?」

トルネコ「冷静で的確な判断を下せるし、武具の扱いや道具の知識も学んでくれたら立派な人材になること請け合いですな」



禁書「へ~、知らない間にトラブルに関わって大ケガしたって聞いたから心配したのに

   また粉をかけてるんだね、二人とも」

二人「イ…インデックスさん?」

ゴゴゴゴゴゴ……



この時、けたたましい悲鳴が病院内をこだました。





トルネコ「事情は知りませんが上条くんに手は出させません」美琴「」