1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:10:27.50 ID:THbIJf8M0
ひだまり荘

セイバー「え……?」

ゆの「あの、違います」

セイバー「あ、いや、でも、そこの魔法陣は私を呼び出すための……」

ゆの「あ、すいません!この本に書いてあった模様が気に入って、そのスケッチしてただけなんです」

セイバー「スケッチ?」

ゆの「はい。あ、これ私が書いた絵なんですけど」

セイバー「……ふむ。なかなか味のある絵だ。なんとも温かみがあって、心を穏やかにしてくれる」

ゆの「え?そ、そうですか?」

セイバー「ああ。貴女はこのまま絵を描くべきでしょう。きっと良い絵師になれる」

ゆの「あ、ありがとうございます!」

セイバー「……で、聖杯戦争は?」

ゆの「……はい?」

引用元: セイバー「問おう。貴方が私のマスターか?」ゆの「違います」 




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:14:50.87 ID:THbIJf8M0
セイバー「いや、聖杯戦争はもう始まっているのでは?」

ゆの「どこの戦争ですか?」

セイバー「え、だから、聖杯をめぐる戦いが始まっているはず……」

ゆの「えと、日本は平和ですけど?」

セイバー「違う。聖杯戦争は人目を忍んで争われる魔術師の戦い。そんなことも知らないのですか?」

ゆの「す、すいません。世界史、苦手で」

セイバー「いや、世界史とかそういうレベルでは……」

トントン

宮子「おおーい、ゆのっち、いま凄い音がしたけどー!?」

ゆの「あ―――」

セイバー「曲者!!」

ダダダッ

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:19:30.13 ID:THbIJf8M0
ガチャ

宮子「お!?」

セイバー「貴様、何も―――」

アーチャー「それまでにしてもらおう。セイバー」

セイバー「貴様は……アーチャーか?」

アーチャー「剣を納めろ。仮にも剣王と呼び声高いお前が、こんな街の往来で人を殺めるのは不本意だろう」

セイバー「構わん。マスターの敵はすべて排除するまでだ」

ゆの「あの、えと」

宮子「大丈夫、ゆのっち?」

セイバー「貴様!!マスターに近づくな!!!」

キィィン!!

セイバー「!?」

アーチャー「主を斬りつけることをサーヴァントが許すと思うか?」

セイバー「……おのれ!」

アーチャー「それに良く見ろ。どちらも丸腰だ。素手で相手を殺すにも筋力が不足しすぎている」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:24:10.68 ID:THbIJf8M0
ゆの「あの、宮ちゃん、あの人、誰?」

宮子「知らない。なんかいきなりスケッチブックから出てきた」

ゆの「そうなんだ。私と一緒だね」

宮子「おーそなの?」

セイバー「マスター、その方とは知人の関係なのですか?」

ゆの「は、はい。隣の部屋に住んでる宮ちゃんです」

宮子「どーも、綺麗なお姉さん」

セイバー「関心しませんね」

ゆの「え?」

セイバー「聖杯戦争は始まっている。友人知人といえど、サーヴァントを従えている以上は倒すべき敵です」

ゆの「宮ちゃんは敵じゃないです!!」

セイバー「いいえ。敵です。現にああしてアーチャーが傍らにいる」

ゆの「で、でも……」

セイバー「アーチャーになら勝てます。この場で仕留めてみせましょう。マスター、指示を」

ゆの「えっと、とりあえず、お茶にしませんか?なんか、落ち着きたいですし」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:28:51.86 ID:THbIJf8M0
セイバー「そんな悠長なことを……!!」

ゆの「まあまあ……えっと……?」

セイバー「セイバーと呼んでください」

ゆの「セイバーさん、詳しい話を聞きたいですから、座りましょう」

セイバー「しかし、敵が!?」

宮子「じゃあ、あたし沙英さんとヒロさん呼んでくるー」

アーチャー「ではな、騎士王」

セイバー「……む」

ゆの「ほら、大丈夫ですから」

セイバー「分かりました……」

ゆの「セイバーさんは何が好きですか?」

セイバー「なんでも構いません」

ゆの「はい。わかりました。えっと……これにしようかな?」

セイバー「……にしても変だ。サーヴァントの気配が近くに3つもある……?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:33:31.76 ID:THbIJf8M0
ゆの「……」

セイバー「―――というわけです。聖杯戦争の概要はこんな感じです」

ゆの「大変ですね、セイバーさん。がんばってください」

セイバー「はい。気遣い痛み入ります―――って、貴女も戦うのですよ!?」

ゆの「えええええ!?!」

セイバー「しっかりしてください」

ゆの「でも、私運動音痴で……」

セイバー「そんなものは関係ない。現に私が以前に仕えていた人は体が丈夫ではなかった」

ゆの「そうなんですか?」

セイバー「はい。華奢で病弱で、走れば体が壊れてしまいそうなほど繊細な人でした」

ゆの「そうですか」

セイバー「ですから、身体能力など―――」

宮子「ゆのっちー!つれてきたよー」

ゆの「はいってー」

セイバー「―――まってください!!外にサーヴァントが……3人もいます!!」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:38:02.28 ID:THbIJf8M0
ゆの「え?」

セイバー「マスター!!近づいては―――」

ガチャ

セイバー「くそ!!!」

アーチャー「まてまて、騎士王。こちらに戦う意志はない」

セイバー「そんな口車に……!!」

ランサー「おいおい。セイバーってのはもっと品があると思ってたが、そこいらの野良猫と変わらんぐらい気性が荒いんだな」

セイバー「貴様!!我、セイバーを侮辱するとはいい度胸だ!!覚悟はいいか?!」

バーサーカー「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおん!!!!!」

セイバー「な!?」

アーチャー「ほらみろ。バーサーカーもやめろといっている」

セイバー「ふざけるな!バーサーカーに意志などあるわけ―――」

ヒロ「だめですよ?近所迷惑です」

バーサーカー「……(しゅん」

セイバー「なん、だと?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:42:16.52 ID:THbIJf8M0
ヒロ「ゆのさん、こんばんは」

ゆの「あ、はい」

ランサー「なあ、沙英」

沙英「ななな、なんですかぁ!?」

ランサー「おいおい。まだ、俺に慣れてくれねえのか?かなしいねえ」

沙英「いやいや、いきなり出てきて慣れろっていうほうが無理無理!!」

ランサー「はあ。俺のテクニックも錆びついたのかねえ」

アーチャー「む、茶か?」

ゆの「あ、はい。どうですか?」

アーチャー「ふむ。基本的なことは熟知しているようだが、詰めが甘い。どれ、私が入れ直そう」

ゆの「あ、はい。どうもすいません」

バーサーカー「おおおおん!!」

ヒロ「あ、バーサーカーさんはいれないわね。外で待っててくれる?」

バーサーカー「……(コク」

セイバー「なんだ、これは……?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:47:38.64 ID:THbIJf8M0
アーチャー「特製のハーブティーにしてみた。口に合えばいいが」

ゆの「……はぁ、すっごく美味しいです!」

宮子「いやー。この人、本当にすごいんだよねえ。出てきた瞬間、あたしの部屋を掃除してくれてさ、助かったよ」

アーチャー「乙女の居る部屋ではなかったのでね。少々、気を回しただけだ」

セイバー「ところで、どうしてここにサーヴァントが一堂に会しているんだ?」

ランサー「それが分かれば苦労しねえって」

アーチャー「その通り。マスターも我々もかなり混乱している」

セイバー「そうなのか?」

ヒロ「私もね庭でこの魔法陣書いてみたら、バーサーカーさんがいきなりドスンって」

宮子「ヒロさん、しこでも踏んだの?」

ヒロ「……宮ちゃん?」

ゆの「沙英さんのところにランサーさんが?」

沙英「もう心臓止まった」

ヒロ「でも、いいじゃない。すごい男前だし」

沙英「いやいや!!!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:52:34.56 ID:THbIJf8M0
セイバー「ふむ。聖杯戦争は始まっているのか?」

アーチャー「恐らくは。ただ、人数が足りない」

宮子「なんだっけ?7人いるんだっけ?」

沙英「えっと、セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー……でしたっけ?」

ランサー「その通りだ。流石だな、良い女は物覚えも速くて助かる」

沙英「いや、そんなこと……」

ランサー「照れるな照れるな!」

ヒロ「じゃあ、あと三人いるんですね」

アーチャー「ああ、そうだ」

セイバー「……でも、そのうちの一人はここに向かって来ていますね」

ゆの「え?本当ですか!?」

ヒロ「誰だろう……?」

大家「おおーい。だれかいるかー?」

セイバー「来ました!!」

宮子「大家さんじゃん」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 19:56:26.54 ID:THbIJf8M0
ゆの「はいはーい」

セイバー「あ、マスター!!!ですから、そんな無警戒に!?」

ガチャ

大家「おーいるいる」

ゆの「どうかしました?」

大家「どうもこうも、ここに変な人が入っていくのをみてさあ。男っぽかったから一応注意を……」

ゆの「あ……」

セイバー「……む」

大家「誰?あの美人?」

ゆの「あ、えっと、親戚の子!!です!!!」

沙英「無理があるでしょ!?」

大家「じゃあ、いいか。他にはいないみたいだし。んじゃ、帰るわ」

ゆの「は、はい!すいませんでした!」

大家「いいっていいって」

ヒロ「みなさん。もう出てきても大丈夫ですよー」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:00:39.27 ID:THbIJf8M0
ランサー「ふう。ここ男子禁制なんだってな」

アーチャー「まあ、基本的には消えていれば問題あるまい」

宮子「いいなー、便利だなー」

セイバー「……先ほどの人は?」

ゆの「あ、えと、ここひだまり荘の大家さんです」

セイバー「なるほど……」

ランサー「あいつも、サーヴァントを従えてたな」

アーチャー「それも、二体だ」

ゆの「え?二体もですか?」

セイバー「それは推測にすぎない。偵察のためにもう一体が動いていただけかもしれない」

ランサー「ま、そっちのほうが安心できるわな」

セイバー「貴様。それは軽侮か?」

ゆの「まぁまぁ」

沙英「とりあえず、これからどうするか決めない?」

ヒロ「そうね、じゃあ、ご飯にしましょう♪」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:05:00.74 ID:THbIJf8M0
大家「いなかったじゃん、嘘付き」

キャスター「おかしい……そんなはずはないのですが」

大家「またまたー」

キャスター「いや、でも、ほら、庭に銅像と見間違うほどの大男が!?」

大家「あれはヒロの作品みたいだけど?」

キャスター「な……!?」

大家「ほらほら、やっぱりあの子たちじゃなかったのよ。帰るよー」

キャスター「そんなバカな……!?」

キャスター「ちょっと、アサシン!!」

アサシン「なんだ、おっちょこちょい」

キャスター「あなたねえ……」

アサシン「怒るな怒るな。化粧が剥がれて現世では通用しない面になるぞ?」

キャスター「減らず口を……!?」

アサシン「して、なにようだ?」

キャスター「あのひだまり荘を四六時中見張ってなさい」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:10:18.02 ID:THbIJf8M0
ゆの「アーチャーさんってお料理もできるんですね!すごいです!!」

アーチャー「まあ、多少心得があるのでね」

ランサー「なんだ?給仕でもしてましたってか?」

アーチャー「まあ、否定はせん」

ランサー「マジかよ!?」

セイバー「……(もぐもぐ」

宮子「へええ」

セイバー「なんですか、宮子?食事中に大口を開けるものではない。淑女としての慎みを……」

宮子「いや、セイバーさんってお箸が使えるんだなぁっと思って」

セイバー「ああ、これぐらいは別に」

ゆの「お箸の使い方綺麗ですね」

セイバー「お褒めいただき光栄です」

沙英「ヒロ、おかわりー」

ヒロ「はいはい」

ランサー「いいねえ。やっぱり、俺のマスターは健啖でないとな!」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:13:56.26 ID:THbIJf8M0
ゆの「あ、もうこんな時間ですね」

ヒロ「そうね。明日も学校だし、そろそろお開きにしましょうか」

宮子「ヒロさーんごちでしたー。あ、アーちゃんもゴチー」

アーチャー「なんだ、その呼び方は?」

宮子「可愛いでしょ?」

アーチャー「まあ、マスターの好きに呼ぶと良い。では、失礼する」

ランサー「んじゃ、俺達の愛の巣に帰るか、沙英?」

沙英「へへへ、変な言い方しないで!!!」

ヒロ「あ、これバーサーカーさんに持っていかなきゃ」

ゆの「おやすみなさい」

セイバー「……」

ゆの「ふう、楽しかったですね?」

セイバー「……何一つ、今後の目標が決まっていませんが?」

ゆの「あ、お風呂はいります?」

セイバー「……はい」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:19:33.89 ID:THbIJf8M0
吉野屋宅

吉野屋「……んー?」

ギルガメッシュ「おい、なにをそんなに我を眺めている?」

吉野屋「少し眩しいですね」

ギルガメッシュ「ふん。これは我の誇りにして威厳だ。しかとその目に焼き付けるがよい!」

吉野屋「着替えません?」

ギルガメッシュ「貴様。我が俗世の衣を身に纏うとでも思っているのか!?」

吉野屋「だって……眩しいですし、その鎧。センスもない」

ギルガメッシュ「言わせておけば……!!」

吉野屋「じゃあ、ちょっと、待ってってください」

ギルガメッシュ「な、なにをする気だ?」

吉野屋「えーと、はーい。これ私が作った服なんですけどー?着てみません?この世に一つしかないんですよ?」

ギルガメッシュ「なんだと?それは唯一無二の物だというのか?」

吉野屋「はい、そーでーす」

ギルガメッシュ「それは捨て置けんな。よこせ!!我が着てやろう。誇りに思いが良い!!はーっはっはっは!!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:23:11.14 ID:THbIJf8M0
夏目宅

夏目「あわわわわ!!!」

ライダー「そんなに怖がる必要はありませんよ?ふふふ……」

夏目「いや、でも……!!」

ライダー「少しだけ……少しだけでいいのです、夏目……?」

夏目「いや……なにを?!」

ライダー「ちょっとだけ、欲しいのですよ」

夏目「ひぃぃ!!!」

ライダー「ふふふ。さあ、ベッドに行きましょう」

夏目「や、やめ……!?」

ライダー「夏目の匂い……全ての神経を溶かしてしまいそうなほどに愛おしい……」

夏目「きゃぁあああ!!!やめてーーーー!!!!」

ライダー「ふふふふふ………ん……」

夏目「―――ぁ♪」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:28:39.19 ID:THbIJf8M0
浴室

セイバー「……ふう」

セイバー「なんだろうか。この感じ……」

セイバー「聖杯戦争は確実に始まっているはずなのに……高揚感がまるでない」

セイバー「それどころか、猛るはずの魔力が落ち着き払っている」

セイバー「こんなことがありえるのか……?」

ゆの「あ、セイバーさん。湯加減はどうですか?」

セイバー「ええ、丁度いいです」

ゆの「そうですか」

セイバー「すいません。まさか湯殿まで借りてしまって」

ゆの「いえいえ。ゆっくりしてください」

セイバー「はい」

セイバー「ふぅ……」

セイバー「……はっ!!ダメだ。今、一瞬聖杯のことを忘れかけた……」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:32:52.68 ID:THbIJf8M0
翌日

セイバー「マスター……マスター……起きてください」

ゆの「え……あ、うん……しょ……おはよーございます、せいばーさん」

セイバー「学校の時間ですよ?」

ゆの「え?あああ?!!」

セイバー「早く制服に着替えてください」

ゆの「あわわわ!!!わっ!!!!」

セイバー「危ない!」

パシッ

ゆの「あ、すいません……///」

セイバー「ふう、お怪我はありませんか?」

ゆの「はい」

セイバー「では、焦らずに急ぎましょう」

ゆの「それ、難しいですね」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:37:13.07 ID:THbIJf8M0
ゆの「じゃあ、行ってきます!」

セイバー「はい」

ゆの「宮ちゃーん!」

宮子「おーす、ゆのっち!」

アーチャー「宮子、ちゃんとハンカチはもったか?」

宮子「え?うん、多分」

アーチャー「……では、この私の手にあるハンカチはなんだ?幻かな?」

宮子「あー。えへへ」

アーチャー「えへへではない。きちんと確認をしろ」

宮子「もう、アーちゃんは厳しいなぁ」

ゆの「あはは、もうすっかり馴染んでますね」

アーチャー「宮子といると飽きないな。それだけが救いかも知れん」

宮子「あははは、照れるなぁ」

アーチャー「皮肉だ、たわけ。早く行け」

宮子「はぁーい!留守番よろしくねー」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:41:36.38 ID:THbIJf8M0
ランサー「沙英、何時ぐらいに帰ってくるんだ?」

沙英「え?あ、えと……四時には」

ランサー「そうかそうか。待ち遠しいな」

沙英「な、なんで?」

ランサー「そりゃ、こんだけ別嬪が一時とはいえ離れるなんて心配じゃねえか」

沙英「はあ?!」

ランサー「他の男に盗られないか。待つ男ってのはそれしか考えねえもんさ」

沙英「ちょっと、もうやめて!!」

ランサー「じゃあ、行ってきますの口付けを……」

沙英「―――もう!!!行ってきます!!!!」

ランサー「おう。気を付けろよー。ふふん、可愛いな。あんな初心な女は初めてだから新鮮だ」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:44:13.23 ID:THbIJf8M0
ヒロ「じゃあ、これはお昼ご飯ですからね」

バーサーカー「……(コク」

ヒロ「で、こっちはおやつですから」

バーサーカー「……(コク」

ヒロ「よし!」

沙英「ヒローいくよー」

ヒロ「あ、はーい」

ヒロ「じゃあ、行ってきます。ひだまり荘の安全をよろしくね?」

バーサーカー「……おおぉぉぉおおおおおん!!!」

ヒロ「うるさい!」

バーサーカー「……(しゅん」

沙英「すごいね」

ヒロ「なにが?」

沙英「ヒロが」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:47:54.02 ID:THbIJf8M0
セイバー「ふう……」

トントン

セイバー「……む。誰ですか?」

アーチャー「私だ」

セイバー「何用か?」

ランサー「庭にこい。話がある」

セイバー「分かった。

セイバー「……」

ガラッ

セイバー「ふっ!」

シュタ

アーチャー「ベランダから降りるてくるとは、恥じらいがないのか?」

セイバー「して、話とは?」

ランサー「この赤服が喋る」

アーチャー「うむ。今回の聖杯戦争についてだが……その前に、そこに居る者、姿を見せろ」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 20:54:32.31 ID:THbIJf8M0
アサシン「ふむ……ばれたか」

ギルガメッシュ「ふん。雑兵にしては良い勘をしているな」

セイバー「なに?!お前は、ギルガメッシュか!?」

ランサー「こっちにもいるな……向こうは学校の屋上から見ているが」

アーチャー「……どうやらライダーのようだな。この場にいないのはキャスターだけか」

アサシン「済まぬな。キャスターは何分出不精でなぁ。毎日みのもんたをみては菓子貪るだけの醜態を」

キャスター「死ぬか?」

アサシン「おー、出てきたか」

セイバー「ギルガメッシュ、貴様は前回の聖杯戦争で……」

ギルガメッシュ「ふん。我があの程度で死ぬものか。この世は尊い。我を鎮めるにはあまりにも無力」

ランサー「にしても、これだけ雁首そろえても殺意の一つも沸かねえな」

セイバー「ランサー、貴殿もか?」

アーチャー「恐らく、この場に全員が思っていることだ」

ギルガメッシュ「ふん」

バーサーカー「……(コク」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:00:52.02 ID:THbIJf8M0
やまぶき高校 食堂

沙英「にしても昨日は本当にびっくりしたよねえ」

ゆの「はい。でも、みなさん良い人そうですし」

ヒロ「うんうん。バーサーカーさんがいるだけで泥棒とかも大丈夫ね」

宮子「アーちゃんの料理うまいんだよねえ。朝ごはんもサイコー!」

夏目「……あー」

沙英「夏目!?どうしたのやつれてるけど!?」

夏目「なんでも、ないから……心配しないで……」

沙英「いやいや、するって!」

夏目「え?……沙英、心配してくれるの?」

沙英「当たり前でしょ?ほら、保健室にいこう」

夏目「う、うん……」

夏目(ライダーさんに血を吸われるのも悪くないかも……)

ヒロ「大丈夫かしら?」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:09:29.57 ID:THbIJf8M0
ひだまり荘

アーチャー「結論を言おう。今回の聖杯戦争は一種のバグだ」

セイバー「誤作動ということか?」

アーチャー「その証拠に魔術師の家系の者はおらず、また近くに教会も見当たらない」

ギルガメッシュ「そういえば言峰をみないな」

アサシン「では、聖杯戦争は起こっていないと解釈してもいいのか?」

アーチャー「いや、こうして英霊がいる以上、聖杯戦争は起こっている」

キャスター「では、聖杯はどこかになるというわけ?」

アーチャー「粘土細工にも劣る出来栄えで存在はしているかもしれない」

ギルガメッシュ「しかし、聖杯はサーヴァントが消えぬ限り、その姿を現さないぞ?」

ランサー「じゃあ、やっぱやりあうか?」

アーチャー「いや。その必要がないことは、我々に巣食うはずの殺意がないことで証明されている」

セイバー「では、どうするのだ?」

アーチャー「聖杯を探せばいい。どこかにあるはずだ。不完全ともいえない、ただの器がな」

セイバー「その器を探して誤作動を止める、というわけか?」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:13:25.54 ID:THbIJf8M0
校長「……」

ゆの「あ、校長先生、こんにちは」

校長「はい。こんにちは」

宮子「相変わらず顔ながいなー」

ゆの「宮ちゃん!」

ヒロ「あ、私は保健室に寄っていくから」

ゆの「はい」

宮子「じゃ、また後で」

ヒロ「ええ」

ゆの「さてと、午後の授業は……」

宮子「確か吉野屋先生の―――」

ライダー「……(キョロキョロ」

ゆの「うわ、あの人だれだろう?」

宮子「すげー。モデルみたい」

ゆの「描いてみたいね、あの人の絵……」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:20:21.81 ID:THbIJf8M0
セイバー「だが、器の見当がつかない。そもそもここにアインツベルンはいない」

アーチャー「しかし、こうして我々がここにいるということはそんなに遠いところにもあるまい」

ランサー「ま、そうだな」

キャスター「ふん、つまらない。私は帰るわ。貴方たちで勝手にやってちょうだい」

セイバー「待て、キャスター!!」

アサシン「ふむ。どうやら、出番はここまでだな」

セイバー「アサシンまで……」

ギルガメッシュ「ふん。では雑兵ども、我を早く元の場所へ戻すために働いてもらうぞ」

セイバー「貴様!それでも英雄王か!?」

ランサー「やめとけ。あいつらとは仲良くできねえって」

セイバー「しかし……」

アーチャー「まあ、我々だけでもなんとかなるだろう」

セイバー「……そうだろうか?」

ランサー「ま、いざとなればここに住んじまえばいいだろ?」

セイバー「それもそうだ―――いやいや!!!それはダメだ!!」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:26:16.15 ID:THbIJf8M0
ライダー「……」

校長「おや……あなたは?」

ライダー「……」

校長「生徒のお姉さん、ですかな?」

ライダー「……夏目」

校長「はい?」

ライダー「夏目はどこでしょう?」

校長「夏目……あぁ」

ライダー「知っているのですか?」

校長「今は保健室に……」

ライダー「それは助かりました……ところで……」

校長「はい?」

ライダー「あなた……魔術師ですか?」

校長「……?」

ライダー「ふむ……」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:32:39.56 ID:THbIJf8M0
校長「魔術師というのは……?」

ライダー「いえ、あなたからは不思議な魔力の奔流を感じます」

校長「そうですか……?」

ライダー「興味深いですね……」

校長「そんな顔を近づけないでください」

ライダー「―――私の目をよくみてください」

校長「は……」

ライダー「………」

校長「――――」

ライダー「ふぅ……少しこの男性について調べてみたほうがいいかもしれない」

ライダー「アーチャーの言っていた器、かもしれませんし」

沙英「あれ?誰だろうあの人?」

夏目「げげ!?ライダーさん!?」

沙英「ライダー?」

ライダー「あ、夏目。やっと見つけました」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:38:53.79 ID:THbIJf8M0
沙英「なに、この石像?校長そっくりなんだけど……」

ライダー「心配しましたよ、夏目」

夏目「ちょっとライダーさん!!これ校長じゃないの!?」

ライダー「さあ?」

夏目「さあって、なんで石化させちゃうかなぁ?」

ライダー「いえ、少し気になることがあったので」

沙英「夏目……その人……」

夏目「え?あ、えっと……親戚のお姉ちゃんで……」

ライダー「夏目、隠す必要はありません。この方もまたマスターです」

夏目「え?そうなの?」

沙英「う、うん」

夏目「じゃあ、沙英もこの魔法陣描いたの?」

沙英「うん、ちょっと惹かれて」

夏目(あぁ……沙英と一緒なんだぁ……うれしい)

ライダー「夏目。この男性を持って帰ってもいいでしょうか?」

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 21:55:56.82 ID:THbIJf8M0
セイバー「しかし、仮に器を見つけたとして、どうやって誤作動を止めるつもりだ?」

アーチャー「それなら問題あるまい」

ランサー「なんかいい手があるのかよ?」

アーチャー「ともかく今は器を探すほうが先だ」

セイバー「では、どこから探す?」

バーサーカー「……(ツンツン」

セイバー「む。どうした?」

バーサーカー「……(あっちあっち」

セイバー「学校?」

バーサーカー「……(コク」

アーチャー「うむ。確かに人が集まる場所だ。探すには効率がいい」

ランサー「んじゃ、いっちょいきますか!」

バーサーカー「……おおおぉぉおおぉおおおぉぉおおん!!!」

セイバー「お前はダメだ。目立つ」

バーサーカー「……(しゅん」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:00:51.08 ID:THbIJf8M0
やまぶき高校 教室 授業中

沙英「……」

ヒロ「……(かりかり」

ランサー「おお。いるいる……」

ランサー「おーし……」

沙英「ふう……」

ランサー(まあ、人目についたらまずいから……沙英の足元だな)

沙英「……」

ランサー(机の下に潜るか……)

ランサー「おし」

沙英「ん……?」

ランサー「おいおい。もう少し色気のある 着をはいたほうがいいぞ?」

沙英「ぎゃぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

ヒロ「?!!?」

ランサー(お、やべ。逃げよ)

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:05:35.12 ID:THbIJf8M0
ゆの「……」

宮子「ふわぁぁ」

吉野屋「では、以上のことを踏まえてデッサンしてみましょう」

生徒「はーい」

吉野屋「さて、今回はモデルにぴったりの人を連れてきました」

ゆの「また先生じゃあ……」

宮子「だろうねえ」

吉野屋「ギルさーん」

ガラ

ギルガメッシュ「あははははは!!!人間ども、光栄に思うが良い。我を見ること自体、おこがましいのが常だ。だが、この度は許してつかわす!存分に我を後光と共に描け!!」

ゆの「だ、だれ……?」

宮子「さあ。とりあえず、まぶしい」

ゆの「うん」

吉野屋「じゃあ、ここで踏ん反り返ってくださいね?」

ギルガメッシュ「うむ。苦しゅうない!あっはっはっはっは!!!」

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:09:43.68 ID:THbIJf8M0
アーチャー「ふむ……ここの教室にもそれらしい人物はいないな」

セイバー「そうか」

大家「あれー?校長いないや。ちょっと話があったのに」

キャスター「ちょっと、外出するならそういってください!!」

大家「なんで?」

キャスター「い、いや……それは……///」

大家「ん?」

キャスター「い、いっしょにでかけたいからです!!!」

大家「ほーん」

セイバー「キャスター!!」

キャスター「あら?あなた達もきてたの?」

セイバー「学び舎には似つかわしくない恰好だな」

キャスター「貴方こそ」

大家「はいはい。そこまで。まあ、校長がいないなら仕方ないかー」

ライダー「……む」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:16:45.89 ID:THbIJf8M0
セイバー「ライダー?」

ライダー「これはこれはお揃いで、どうかなさったのですか?」

セイバー「ライダーこそ」

ライダー「私はこの学校に危険がないか調べていただけです。万が一、夏目の身になにかあったら―――」

大家「おお!?ねえ、ちょっとその小脇に抱えているのは……?」

ライダー「この方ですか?」

大家「校長!?―――じゃないか、石像だ」

セイバー「おい!ライダー!!それは生きている人間じゃないか!!」

アーチャー「そのようだな。何故。石に?」

ライダー「少しきになることがあって」

セイバー「気になること?」

大家「ちょっと、待って。これ本物の校長!?」

キャスター「はあ、貴女は……」

ライダー「しかし、もしかしたは聖杯かもしれないのですよ?」

アーチャー「なんだと?」

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:25:37.33 ID:THbIJf8M0
放課後 ひだまり荘 庭

ゆの「えっと、これ校長なんですか?」

宮子「すげー、石だー」

コンコン

セイバー「宮子。乱暴にしないほうがいい」

アーチャー「……確かに我々の魔力が彼の者と繋がっているな」

ライダー「ええ」

キャスター「じゃあ、早いとこ石化を解きなさい」

沙英「どうなるんだろう……」

ヒロ「うん……」

夏目「大丈夫なの、ライダーさん」

ライダー「はい」

ライダー「では……」

校長「――――――は?」

大家「校長先生?!大丈夫ですか!?」

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:29:29.71 ID:THbIJf8M0
校長「何がなんだが……」

アーチャー「キャスター」

キャスター「はいはい……」

校長「え……?なにを……?」

大家「ちょっと!そんな変なナイフでどうするつもり!?」

キャスター「マスター大丈夫です。これで人は死にません」

大家「本当に?」

キャスター「はい。信じてもらえませんか?」

大家「……いいえ。信じる」

キャスター「嬉しい……」

宮子「ねね、アーちゃん、あれ何をしようとしてんの?」

アーチャー「聖杯を壊すんだ」

沙英「壊すって……!?」

ライダー「まあ、見とけって」

キャスター「―――破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:35:33.79 ID:THbIJf8M0
ゆの自室

ゆの「じゃあ、もうみなさんは消えるんですか?」

セイバー「聖杯は壊れた。もう私たちは消えるのみ」

アーチャー「本当ならすぐに消えるはずだが、何分バグでね。少しばかりの猶予はあるみたいだ」

沙英「そうですか」

ランサー「ったく。折角良い女に出逢えたのにもうさよならかよ」

沙英「ランサー……」

ランサー「よし。そうときまれば、最後の思い出にシーツを汚さねえか?」

沙英「セクハラ!!!!」

ヒロ「少し残念。もう少し、みなさんといたかったけど」

ゆの「はい」

アーチャー「そもそも私たちは出る場所を間違えたのだ。ここに居るべきではないのだよ」

セイバー「ゆの。一時とはいえ間違いなく貴女は私のマスターでした」

ゆの「セイバーさん……はい」

ヒロ「じゃあ、いつまでいれるかわからないし、やれることしちゃおうか!」

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:39:47.19 ID:THbIJf8M0
夏目「ライダーさん……」

ライダー「すいません、夏目」

夏目「いえ。もう明日には居なくなるんですよね?」

ライダー「はい」

夏目「そっか……」

ライダー「ところで、夏目。行くのですか?」

夏目「まあ、ね」

ライダー「そうですか」

夏目「じゃあ、そろそろ行きましょう」

ライダー「……夏目、最後ですし、私の宝具に乗っていきましょう」

夏目「なに、それ?」

ライダー「ふふ、これは気持ちいいですよ?」

夏目「はぁ……」

ライダー「騎兵の手綱(ベルレフォーン)!!!」

夏目「んな!?」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:43:20.40 ID:THbIJf8M0
大家「ほらほら、さっさとする!!」

キャスター「そ、そんな急に……」

アサシン「化粧が濃いと出かけるだけで骨だな」

キャスター「違うわ!!」

大家「おー、似合うじゃないの」

キャスター「よかったのですか?マスターの服なんて」

大家「気にしない気にしない!」

キャスター「マスター……」

アサシン「では行くとしよう。宴の熱を遅刻などで冷ましたくはないのでな」

キャスター「あなたが仕切るな!」

大家「ま、アサシンの言うことも一理あるか」

キャスター「そんな!?」

アサシン「ほら、早くしろ女狐」

キャスター「うっさい!」

大家「んじゃ、行こうか」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:47:58.52 ID:THbIJf8M0
河川 

ヒロ「バーサーカーさん、これ運んでください」

バーサーカー「……(コク」

ヒョイヒョイヒョイ

ヒロ「楽でいいなぁ」

沙英「でも、まさかバーベキューをするなんてね」

ゆの「大家さんも張り切ってましたね」

アーチャー「うむ……これはこうしてだな」

宮子「おおー。流石アーちゃん。手際がいいね」

アーチャー「ふん。これぐらいは英霊として当然だ」

ランサー「んなことができるのはてめえだけだよ」

セイバー「ゆの、この食材はここに置いておきます」

ゆの「ありがとう、セイバーさん」

セイバー「いえ」

沙英「……ん?なんか空から来る?」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:52:37.42 ID:THbIJf8M0
ヒュウゥゥゥゥゥゥ!!

夏目「きゃぁあああああああああああああ!!!!!!」

セイバー「な!?」

ドドーン!!!

ライダー「着きました、夏目」

夏目「おぉぉ……」

沙英「ちょっと、大丈夫?」

夏目「あーさえー」

セイバー「あなたはもっと常識的に考えるべきだ!!」

ライダー「あのスピードを目視できる者はいない」

セイバー「そういうもんだいじゃない!」

ゆの「まぁまぁ」

大家「おーやってるなー。花火も買ってきたぞー」

ヒロ「ありがとうございます!」

アーチャー「そろそろ良いだろう。食材を乗せろ」

153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 22:57:21.82 ID:THbIJf8M0
宮子「肉だー!」

ゆの「もう、宮ちゃんってば」

アーチャー「マスター。肉ばかりは美しくない。もっと、バランスを考えるべきだ」

宮子「そなの?」

ランサー「沙英、ほら」

沙英「あ、ありがとう」

ランサー「でも、本当に残念だ。沙英とは一回ぐらいヤリたかったけどな」

沙英「な、なにを?」

ランサー「何をって……いや、いい。沙英はそのまま純白の花であってくれ」

ヒロ「はーい、バーサーカーさん。あーん」

バーサーカー「……(もぐもぐ」

ヒロ「美味しい?」

バーサーカー「……(コク」

キャスター「マスター、これを……」

大家「お、サンキュー」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:04:37.21 ID:THbIJf8M0
セイバー「ゆの」

ゆの「あ、セイバーさん。これ、どうぞ」

セイバー「頂きます」

ゆの「……消えて行きそうですか?」

セイバー「ええ。徐々に魔力が薄くなっている」

ゆの「怖いですか?」

セイバー「いえ。怖くはない」

ゆの「私だったら、怖いと思います。きっと、この世界から消えたくないって最後まで泣くかも」

セイバー「そうでしょうね」

ゆの「あ、なんか酷いー」

セイバー「ふふ。―――怖くないですが、心残りが一つだけ」

ゆの「それは?」

セイバー「ゆのの絵をもう少しだけ見たかった……」

ゆの「セイバーさん……」

セイバー「過ぎた願いです。忘れてください」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:08:55.02 ID:THbIJf8M0
大家「おーい、良い感じに暗くなってきたし、花火しよっか!」

ライダー「夏目……?」

夏目「うぇぇ……」

ライダー「ふふ。まだ気分がすぐれませんか?」

夏目「うん。まだ、ちょっとね」

ライダー「……そうですか」

夏目「ライダーさん。一晩だけだったけど、すごく貴重な体験だったわ」

ライダー「ええ。私も夏目に出会えてよかったです」

夏目「……最後に吸います?」

ライダー「そうですね……いいのですか?」

夏目「初めに訊き返してくださいよ」

ライダー「ふふ………」

夏目「……・ライダーさん」

夏目「さようなら」

夏目「……」

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:14:30.36 ID:THbIJf8M0
大家「ほら、キャスター?」

キャスター「は、はい……わわ!」

アサシン「何をびびっておる?」

キャスター「う、うるさいわね!」

大家「もう少し一緒に居てくれてもよかったんだけどね」

キャスター「いえ。一晩とはいえ、多大な迷惑をおかけしてしまった。これ以上留まってもマスターの負担でしかない」

大家「別にいいのに」

キャスター「いえ。……大好きな人を苦しめたくはないですから」

大家「そっか」

アサシン「………先に行く。ではな」

大家「あ……」

キャスター「マスター……貴女のためなら命を投げ出せた。聖杯戦争も勝ち残れたと思います。それが本当に残念でなりません」

大家「キャスターなら次もいいマスターに巡り合えるって。大丈夫!」

キャスター「……マスター……ありがと―――」

大家「―――花火、丁度燃え尽きたかぁ」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:17:38.51 ID:THbIJf8M0
ヒロ「はい、あーん」

バーサーカー「……(ふるふる」

ヒロ「もういらないの?」

バーサーカー「……(コク」

ヒロ「そっか」

バーサーカー「……(アレアレ」

ヒロ「え?なに?花火したいの?」

バーサーカー「……(コク」

ヒロ「そっか。線香花火とかバーサーカーさんが持ったらかわいいかもね」

バーサーカー「……」

ヒロ「じゃあ、ちょっと待ってて」

バーサーカー「……(コク」

ヒロ「えっと……たしかぁ」

バーサーカー「……ヒロ、に出会えて……良かった……」

ヒロ「―――え?……バーサーカーさん?……バーサーカーさん!?どこー?!」

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:23:45.43 ID:THbIJf8M0
沙英「はあ」

ランサー「どうした?綺麗な顔が溜息で濁るぞ?」

沙英「もう……貴方は嫌じゃないの?」

ランサー「何が?」

沙英「消えること」

ランサー「だから、嫌だって。沙英みたいな女にはもう二度と出逢えそうにないからな」

沙英「バカ」

ランサー「……ま、一晩だけだったけど、沙英の寝顔を拝めたからよしとするかな」

沙英「な!?人の寝顔を勝手に!?」

ランサー「不用心に寝る奴が悪い。男の傍で居眠りしたら、●されても文句はいえねえぞ?」

沙英「なんでよ!!!」

ランサー「ははは、本当に初心だな。そこに惚れたわけだが」

沙英「……」

ランサー「―――なんだ。タイムオーバーか。んじゃ、沙英。女を磨けよ?」

沙英「うん……バイバイ」

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:29:12.59 ID:THbIJf8M0
宮子「ほむほむほむ……!!!」

アーチャー「おいおい、宮子。そんなに一気に食べるな」

宮子「……んぐ!?」

アーチャー「ほら、水だ」

宮子「んぐんぐ……はぁ……たすかったぁ」

アーチャー「全く。美人なだけだな宮子は。他の要素が欠落しすぎている」

宮子「え?そう?ありがとうー」

アーチャー「美人だけを拾ったか。都合のいい耳だ」

宮子「アーちゃんもカッコいいぞ?あと一週間ぐらい一緒にいたら惚れてたかも」

アーチャー「それは私が美味しい料理を作れるからか?」

宮子「正解!」

アーチャー「ふ……宮子には叶わないな」

宮子「えへへへ」

アーチャー「―――もう、ハンカチを忘れるなよ?」

宮子「うん!もう絶対に忘れない!―――ゴチでした、アーちゃん!」

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:36:11.23 ID:THbIJf8M0
セイバー「……ゆの?」

ゆの「セイバーさん……急いで描いてみました!」

セイバー「これは……私?」

ゆの「すいません、スケッチブックがあれば良かったんですけど……地面に描くしかなくて」

セイバー「……いいえ。素晴らしい絵画です」

ゆの「そんなことは……」

セイバー「やはりゆのには才覚がある。あとはそれを目覚めさせられるかどうか、です」

ゆの「はい、がんばります」

セイバー「……最後にゆのの絵を……それも新作を見られるなんて……この上ない誉れです」

ゆの「―――嬉しかった」

セイバー「え?」

ゆの「最初に見てくれた絵。自分ではどうしても納得できなかった絵だったんです。でも、セイバーさんはそれを褒めてくれた。それが……とっても……」

セイバー「ゆの……その涙は私に未練を残す。是非、拭いてください。そして、貴女の絵のように温かい笑顔を私は見たい」

ゆの「……す、すいません……ぐすっ……すいません……セイバーさん……ありがとう……セイバーさん……」

セイバー「―――貴女の笑顔は美しい。ありがとう、マスター。私の願いは叶えられました……それでは」

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:41:02.51 ID:THbIJf8M0
ゆの「セイバー……さ、ん……」

宮子「ゆのっち、大丈夫?」

ゆの「み、やちゃぁぁん……!!!」

宮子「よしよし」

夏目「夢だったのかぁ……」

沙英「そんなわけないでしょ」

ヒロ「うん。確かに触れ合ってたから、夢じゃないわよね」

大家「……花火。まだ余ってるなぁ」

沙英「最後に全部、やりましょうか?」

大家「うん。そうだね」

ヒロ「じゃあ、私はこれ」

夏目「はい、沙英」

沙英「ほら、ゆの、宮子」

宮子「うん!」

ゆの「はい……」

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:43:41.77 ID:THbIJf8M0
大家「キャスター……アサシン……」



夏目「ライダーさん……」



ヒロ「バーサーカーさん……」



沙英「ランサー……」



宮子「アーちゃん……」



ゆの「……セイバーさん」




―――みんな、ありがとう。

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:47:37.42 ID:THbIJf8M0
吉野屋「くぅ……」

ギルガメッシュ「……全く。我の服を作るために褥にも行かずに」

吉野屋「ギルさぁん、新しい……ふくぅ……すー……」

ギルガメッシュ「うむ。しかと受け取った。この世に二つとない、良い服だ」

ギルガメッシュ「……それではな。中々に楽しめたぞ?」

吉野屋「ふふふ……むー……」

ギルガメッシュ「さて、そろそろ我も行くか」

ギルガメッシュ「ここは毒だな」

吉野屋「がんばって、くだしゃーい……」

ギルガメッシュ「……うむ」

ギルガメッシュ「……これでいいだろう」

ギルガメッシュ「……さらばだ」

吉野屋「うーん……うふふ……あったかぁい……」

186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/11(木) 23:50:22.15 ID:THbIJf8M0
翌朝

ゆの「……」

ゆの「……よいしょ」

テレビ『今日の運勢です―――』

ゆの「よし。ばっちり!」

宮子「ゆのっちーいくよー」

ゆの「はーい!ちょっとまってー」

ゆの「髪留めつけて……うん」

ゆの「よし、行こう」

―――いってらっしゃい

ゆの「……」

宮子「おーい!ゆのっちー!」

ゆの「はーい!」

ゆの「―――行ってきます、セイバーさん」


END