1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:05:25.58 ID:Qdyy5lSF0

室伏「……む」

室伏「うん? ここは何処だろう」キョロキョロ

室伏「昨晩は何事も無く眠ったはずなのに……夢、なのか?」

室伏「何だろう……何だか頭がぼんやりする。記憶がはっきりしない……」

 ジャラ……

室伏「これは……ハンマー? どうしてここに……」 ジャラ…

黒子「む? 見ない顔ですわね」

室伏「君は……ちょうどいい、ここがどこか教えてくれないか?」

黒子「!? 学園都市に来て何おっしゃってますの!?」

室伏「学園……都市……? 筑波……?」

黒子「……怪しいですわねぇ。学園都市の身分証を見せてくださいます?」

室伏「学園都市の身分証……?」

黒子「む……不審者の臭いがしますわ。ちょっとご同行願えまして?」

室伏「……分かった」

黒子「素直でよろしい」

引用元: 室伏「学園都市……?」 イチロー「そろそろここに来て1年か」 



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:08:10.12 ID:Qdyy5lSF0

黒子(しかしこの体付き、筋肉……タダ者じゃなさそうですの……)

 ジャラ……

黒子「ん?」

 ゴロゴロ 

黒子「なっ、なんですのそれはっ!?」

室伏「ああ、これはハン……」

黒子(武器っ!?)

黒子(素直に着いて来るフリして、後ろから襲う気でしたのね!?)

黒子「くっ……!」 シュンッ

室伏「! 消えた……?」

 シュッ

黒子「貴方……そっちがその気なら、容赦しませんわよ!」

室伏「! 一瞬で離れた所に……!」

黒子「ジャッジメントですの!!!」

室伏「………?」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:14:25.86 ID:Qdyy5lSF0

黒子「磔になりなさいっ!!」バッ

室伏(手錠……?)

黒子「はっ!!」

 シュンッ シュッ シュッ シュッ!

室伏「!!」

 ガシッ ガシッ

黒子「よし! 拘束完了ですの!」

室伏「む……?」

室伏(手錠が瞬間移動した……)

黒子「さて、大人しく……」

 ぶちっ

室伏「む、意外と脆いな……」 ぶちっ カチャカチャ

黒子「」

室伏「あの、君、何か誤解しているみたいだけど、僕は怪しい者じゃ……」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:20:53.48 ID:Qdyy5lSF0

黒子「て、て、手錠を素手で……そん、そんなば、ば、」

室伏「君……?」

黒子「肉体強化ですわねっ!! ですがっ、何のそれしきですわっ!!」

 シュンッ シュンッ シュンッ シュンッ

 黒子は持っている全ての手錠を室伏の手首に移動させた。

室伏「む……」

黒子「す、すぐに他のジャッジメントも招集ですわ!」 ピッピッピッ

室伏(参ったな……)

 と、そこで室伏は気付く。
 手錠を掛けられているのが手だけであることに。

室伏(走って逃げてしまおうか……)

室伏(いや、逃げてしまっては誤解を助長するだけだ)

室伏(どうしたものか……)

 ダッダッダッダッダッ!

室伏「……?」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:25:10.47 ID:Qdyy5lSF0

 ダダダダダ!
    ザッ

室伏(……警察?)

黒子「よしっ、アンチスキル到着ですの!」

アンチスキルA「通報があったのはこの男か!」

黒子「そうですの!」

アンチスキルB~Z「男!大人しくしろ!」

黒子(アンチスキルが来ればもう安心ですの!)

黒子(ですがこんなに大人数で来るとは……)

室伏「……聞いてくれ、僕は……」

アンチスキルC「動くな!動けば撃つ!」

  ジャキッ

 アンチスキル達が一斉に銃を構える。

室伏「………」

室伏(不味いな……)

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:29:39.95 ID:Qdyy5lSF0

室伏「しょうがない、か……」

 そう呟くと、室伏は足元に落ちていたハンマーを手錠の掛かった両手で拾った。

アンチスキルD「おい!! 動くなと言っただろう!!」ジャキッ

 両手でしっかりと、ハンマーの取っ手を掴む。

室伏「……よっ、と」


  ブンッ


 室伏が、ハンマーを横に薙ぎ払う様に一回転させる。
 すると、辺りに突風が巻き起こった。

アンチスキルA「ぐおっ!?」

アンチスキルB「なっ!?」

アンチスキルC「きゃあぁっ!?」

 取り囲んでいたアンチスキル達が、一斉に吹き飛ばされた。
 取り落とされた銃が辺りに散らばる。

室伏「ふう……」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:39:25.56 ID:Qdyy5lSF0

アンチスキルA「そ、総員退避ーっ!!」

黒子「あ……あぁぁあ……」ガクガク

室伏「あれ、君以外何所か行ってしまった……参ったな……」

黒子「た、たす、助け……」ガクガク

室伏「いいかい、誤解しているようだけど……僕は怪しい者じゃ……」

「離れるんだ」

室伏「っ!?」

 室伏がとっさに地を蹴り、バックステップでその場を離れる。
 と、その瞬間、室伏がいた地面が凄まじい音を立てて爆発した。

室伏「っ……?」

「む?避けた? 手加減したとはいえ、意外だなぁ」

 爆発した様に見えたのは、地面に「撃ち込まれた物」によるものだった。
 地面に埋め込まれる様に、そこにあった物。
 それは野球ボールだった。

イチロー「黒子さんを傷つけるなら、容赦しないよ」

室伏「………」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:43:39.31 ID:Qdyy5lSF0

黒子「イ、イチローさん!? どうしてここに……」

イチロー「いや、本部にお邪魔してたんだけど……ちょうど君からの通報があってね」

イチロー「それで、駆けつけたって訳さ」

黒子「イチローさん……」

イチロー「それにしても……」チラ

室伏「………」

イチロー(何処かで見た気がする……だが、何故か思い出せない……)

室伏(この男、何所かで……だが、思い出せない……)

イチロー(この世界に来てから、何度か体験した感覚だ。異世界に飛んだ時のショックによるものか……)

イチロー「しかし今は……」

室伏「……!」

   ザッ

 イチローが室伏の前に立ち塞がる。
 黒子を庇うかのように。

イチロー「ジャッジメントだ。……で、いいのかな?」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:50:16.66 ID:Qdyy5lSF0

室伏「………」

室伏(何だろう……直感が、本能が、訴えている……!)

室伏(この男は、タダ者ではないと……!)

室伏「……」

 室伏が地面に埋め込まれた野球ボールを上から掴み、

  ボコッ

 引き抜いた。

黒子(嘘……以前、イチローさんが埋めたボールを回収する時は重機を使って3日がかりでしたのに……!)

イチロー「ふむ……」

室伏(誤解されたままなのは気掛かりだが、ここは一旦逃げるべきか……?)

室伏「ふんっ!」

 室伏が、手にした野球ボールをイチロー目掛けて投げる。

イチロー「!」

 決して、良い投球フォームとは言えないものだった。
 しかし、その速度は131km/s。
 素人にはあり得ない球速である。

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 16:59:01.64 ID:Qdyy5lSF0

イチロー(む、フォームが良くなかったから警戒していなかったが……)

  ギュオオオォォォォォオオ!!

 凄まじい勢いでボールがイチローに迫る!

イチロー(まさかここまでとは……)

 ギュオオオォォォォオォォオオォォ!!

イチロー(ふ……久しぶりだよ。これを『使わざるを得ない状況』は)

 イチローは、背負っていたバットケースを素早く開ける。
 そして、中から愛用のバットを取り出した。

イチロー「ピッチャー返しは、美徳に反する……しかし、君には手加減は出来ないようだ」

 ギュオオォォォォオオ!!

イチロー「大切な仲間を守る為だ……『撃ち返させて』もらう!!」

 イチローがバットを振る!!

  ゴッ ゴオオォオォオァァッ!!

 バットとボールがぶつかった瞬間、そこに小爆発の様な光と衝撃が生まれた。
 凄まじい音と共に、剛速球がそのままの勢いで、真反対の向きに撃ち返される。

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:08:55.44 ID:Qdyy5lSF0

室伏「!!」

 室伏もまた、軽く驚いていた。

室伏(成程、良い反射神経と運動神経をお持ちのようだ)

  ギュオオオォォォオ!!

 今度は危機に立たされたのは室伏である!
 大砲にも匹敵するその球を喰らってしまえば、タダでは済まない!

室伏「しょうがない……『これ』を使わせてもらう……!」

 室伏はもう一度、ハンマーの取っ手を握り込むと、
 その場で頭の上で軽く振り回して見せる。
 1回、2回、3回、

 そして、今度は体ごとハンマーを振りまわす!

 回転するごとにハンマーは勢いを増し、その周囲に衝撃波を巻き起こす!
 しかし、その衝撃波の壁をものともせず、ボールは非情にも室伏目掛けて飛んでくる!

室伏「ふんっ!!」

 室伏が手を離す。ハンマーが、渾身の力を注がれたハンマーが、全ての物理法則を無視し、放たれる!
 一個の巨大な弾丸となって、ハンマーがその衝撃波で地面をえぐりながら、飛んで行く!

 そして、ボールとハンマーが、邂逅!
 両者がぶち当たった瞬間、学園都市が   揺れた  。

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:14:26.59 ID:Qdyy5lSF0
      
 ズ      ッ !
   ズ  ン


 地震か、とその場にいなかった者は思ったであろう。
 しかし、ただ、地が震えるだけよりも、余程恐ろしい事実がそこにはあったのだ。
 二者の化物の……ぶつかり合い!

 ボールとハンマーが互いに押し合う!
 その境目からはスパークと衝撃波が止めどなく弾け飛ぶ!
 

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 

イチロー「はぁぁぁぁぁああぁ!」

 ボールがハンマーを押し潰そうとする!

室伏「はぁぁぁぁぁぁあぁ!!」

 ハンマーがボールを叩き潰そうとする!!

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ !

 そして、

   ド ッ ゴ シ ャ ア ア ア ァ ア アア !!

 場は、凄まじい爆発に包まれた。

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:17:27.26 ID:Qdyy5lSF0

 トン……トン……

 野球ボールが転がる。


 ズンッ…

 ハンマーが落ちる。


 この間、0.0000014秒


黒子(………男がボールを投げた瞬間、爆発が起こった?)

 イチローの体によって衝撃波や爆発から守られた黒子だったが、何が起こったのかは分からなかった。

 イチローがボールを拾う。

イチロー「……へぇ……」

 室伏が、ハンマーを拾う。

室伏「……ふむ……」

黒子(まさか……)

黒子(あの男、イチローさんと、互角だと言いますの!?)

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:23:53.61 ID:Qdyy5lSF0

イチロー「…………」

室伏「…………」

 両者が互いにその目を見合う。
 辺りの空気が張り詰めて行く。

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 

イチロー「僕はイチロー」

 唐突に、イチローが口を開く。

イチロー「メジャーリーガーだ」

 どっ、と突風が吹き荒れた。

室伏「僕は室伏」

 今度は室伏が口を開いた。

 風は止まない。
 尚も勢いを増し、両者の間に吹き荒れる。


室伏「金メダリストだ」


184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:35:17.39 ID:Qdyy5lSF0

 タッタッタッタッ…

美琴「こっちから凄い音が……」

黒子「お姉さま!」

美琴「黒子! どうしたのよ!ボロボロじゃない!」

イチロー「あ……」

美琴「! それにイチローさん!」

美琴「あと何よこれ!地面えぐれてるじゃない!」

室伏「……? また一人増えた……?」

美琴「ふぅん……状況は大体把握したわ……」

室伏「ええと、イチロー、と言ったね……説明させてもらうと、僕は……」

美琴「この大男が悪者なのね!」

美琴「分かったわよー、私がちゃっちゃと片付けてあげるから!」チャリン

黒子「あ、あの。お姉様……この男、化けも……」

美琴「そこの男!こんなに学園都市を滅茶苦茶にして!許せない!」チャリンッ ビリッ

美琴「私のレールガンで……!!」ビリッ バチッ

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:38:23.50 ID:Qdyy5lSF0

室伏「ん?  まあいいか……イチロー、聞いてくれ、僕は」

美琴「レ───ルガンッ!!!」 ビリッ バヂイイィィィィイッ!


 ドッゴオオオォォォオオォォ!!!


 パチン

室伏「? 何か当たっ……?  まあいいか、イチロー、僕はだね」

美琴「????」

美琴「? ??  ??? ?」

室伏「僕は決して怪しい者では……」

美琴「う、上手く避けたわね!! 今度はそうはいかないんだから!」

美琴「レ─────ルガンッッっっ!!!!」

 ドッ ゴオオオォォォォォオオオォォォ!!!

 パチン

室伏「?」

美琴「………」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:47:36.07 ID:Qdyy5lSF0
黒子「お姉様、お姉様」

美琴「………」ワナワナ

美琴「そんな……有り得ない……」ブツブツ

黒子「お姉様?」

美琴「私のレールガンが効かないなんて……そんな……」ワナワナ

美琴「許せないっ!!!」

室伏「何処まで言ったかな……いや、もう最初から……僕は怪しい者じゃ……」

美琴「はぁぁああぁぁああぁ!!」バヂバヂバヂバヂバヂィィッ!!

 美琴の全身からスパークが弾け飛ぶ。
 自身が制御できる限界を超えた電気を放出しているのだ!

美琴「レ────────ルガンッッっっ!!!」 ビリッ バヂイイィィィ!
 
 発射した瞬間、衝撃に耐えきれなかった美琴の腕が弾け飛んだ。
 腕を犠牲にしてでも、最大出力の超電磁砲を放ったのだ。
 それでも良かった。美琴は、自身の誇りと矜持と生き様の、全てを賭けたのだ。この一撃に。

 パシッ

室伏「ん?目に何か挟まっ……コイン?」

美琴「………」

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 17:54:06.22 ID:Qdyy5lSF0

室伏(ううむ……説明で誤解を解くのは難しそうだ……)

室伏(一旦ここを離れてゆっくり考えよう……)

 室伏はハンマーを拾うと、ぐるりと一回転してから空へ放った。
 ハンマーは凄まじい勢いで青空へ吸い込まれて行く。

 室伏は軽く助走を付けると、ひょいっとハンマーに飛び乗った。

 そして、ハンマーと共に遥か彼方へ飛んで行く。

黒子「な゙っ!?」

美琴「はは……あははー、あたしって努力ってれーるがんってー」

イチロー「大丈夫、逃がしはしないよ」

 イチローもバットを投げると、それに乗って室伏を追い掛けた。


イチロー「こら待てー」ビューン

室伏「参ったなぁ」ビューン


美琴「あはははーほら第三位だぞーすごいんだぞー」

黒子「お姉様! お姉さまぁ!」ユサユサ

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:02:54.50 ID:Qdyy5lSF0

 ビューン

    ビューン


一方通行「ン? なンだありゃァ 人が飛ンでンのか?」

美琴「あはははー」

一方通行「あァ? どうしたよ第三位」

黒子「それが……あの二人の強さを目の当たりにして……」

一方通行「強さ……ねェ……」

一方通行「………面白ェ」

───

 ヒューン スタッ

室伏「ここまで着いて来るとは……」

イチロー「メジャーリーガーだからね どんな球だって捕えてみせるさ」

室伏「……イチロー、誤解してるようだが、僕は……」

一方通行「見つけたぜェ!!」 ヒューン

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:15:09.76 ID:Qdyy5lSF0

一方通行「何だァこいつは……見ねェ顔だな」

室伏(また一人……)

室伏「初めまして、だね 僕は室伏、ちなみに怪しい者では……」

一方通行「なこたァどうでもいいんだよ……俺が興味あンのはァ……」

一方通行「てめェが強いかってことだ!!」

 一方通行がトン、と足を地面に着けると
 辺りから石の柱が沸き起こり、一斉に室伏に襲い掛かった!

一方通行「カカカキキキコココ! ぶっ潰れなァァァ!!」

室伏「む、これじゃ相手が見えないな」

 室伏がハンマーを1cm程持ち上げ、またトン、と地面に置く。

 すると、ハンマーを置いた場所を中心に、辺りの地に衝撃の波紋が走った。
 その波は、石柱を粉々に砕き、全て砂となって飛散した。

室伏「ええと、それで、僕が目が覚めた時には……」

一方通行「??」

一方通行「? ?? ? ???」

285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:21:47.95 ID:Qdyy5lSF0

 一方通行は理解した。
 この男は強い、と。
 かつてイチローに感じた物と同じ恐れを、この男から感じ取ったのだ。

一方通行「……!」ギリ…

 一方通行は決心した。
 出し惜しみせず、全力で行く、と。

 学園都市一位の自分の力を、全身全霊で示して見せると。

一方通行「うおおおォォォォォォォっっ!!」

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 

一方通行「自転パンチっっっっッッ!!!」

 一方通行の最強の技!凄まじい勢いと衝撃が拳に纏われる!!
 そして!地球の自転エネルギーを乗せたパンチを室伏にお見舞いする!!

 ギュッ

室伏「ああ、握手かい? どうも」ギュッ

一方通行「………」

室伏「なんだか君の肌、不思議な感触だね 握ると押し返すような……でも握り過ぎると破れてしまいそうな……」ギュッ

一方通行「………」

299: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:28:03.29 ID:Qdyy5lSF0

一方通行「………」

室伏「む……!」

イチロー「……ん」

 その時、室伏とイチローの頭に電流が走る!

室伏(何だ……今の感じは……)

イチロー「海の方、か……」

イチロー「室伏、といったね」

室伏「うん?」

イチロー「君のことは後で対処するとしよう。ここで待っていたまえ」

イチロー「間違っても逃げようとは思わないことだ。僕は必ず、捕ってみせる」

室伏「………」

一方通行「お、俺はこれで……」サッ

イチロー「さて、海の様子を見て来るか」

 そう言うと、イチローはバットに乗って何処かへ行ってしまった。

室伏(……さっき感じた気配は何だったんだろう……)

310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:32:02.37 ID:Qdyy5lSF0

───

イチロー「さて……この辺か」

イチロー「ストップ」

 イチローの乗ったバットが空中に静止する。

 ………

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 

イチロー「……この気配……」


 ザッパァ……ザップン……ザパァ……


イチロー「来る……!!


 ドッパアアアアアアアアァァァアアァン!!!


イチロー(……海が割れた……?)



北島「超気持ちいい─────!!」 ザッパァァン

328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:35:27.87 ID:Qdyy5lSF0

───

室伏「………」

 ピーン!

室伏「……!! この感じ……!」

室伏「さっきとは違う……さっきとは違う『何か』が近付いている!!」

 ダダダダダダダ!

室伏「!! 来る!  ハンマアアアアアアアァァァァァ!!!!」

ハンマー「合点だ!」

  ガシャァァァン

 室伏の手にハンマーがしっかりと握られる!

室伏「うおおおぉぉお!!」 ブンッ ブンッ ブンッ

 ハンマーが振り回され、辺りを嵐の様な凄まじい風が吹き荒れる!

「む……凄いパワーだなぁ」

室伏「誰だ!」

長友「パワータイプ……!面白い……!」

354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:42:04.85 ID:Qdyy5lSF0
───
アレイスター「プランを……プランを完成させなくては……」

「プラン……? プランとは……?」

アレイスター「私の力で……未来を見る……そしてプラン通りに……」

アレイスター「! 誰だ貴様……何処から入った……!」

「未来を……見る……?」

アレイスター「……そうだ……全て読める……100年先までも……」ニヤ

「100年先……? たった……?」

アレイスター「何……?」

羽生「………?」
───
室伏「くっ……!当たらない!」

 もはや全体攻撃とも言える、ハンマーから繰り出される衝撃波と爆発の攻撃。

長友「遅いよっ」

 しかし、物理的に目にも見えぬはずの衝撃波すら、長友は避けていく。

長友「ハッ、ほっ」

 ドリブルしながら。

375: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:48:47.93 ID:Qdyy5lSF0

室伏「くっ……」

 次第に、ハンマーを振りまわす室伏の額に汗が浮かぶ。
 そして、ハンマーを振るうその勢いも落ちて行く!
 彼は金メダリスト……人類を超越した、まさに鬼神!
 だがしかし!
 無敵の室伏!その唯一の弱点──

長友「どうやら、スタミナは俺の方が上らしいな!」

 衝撃波の威力も段々と弱まって行く!

室伏「くっ……」

 室伏はどうなってしまうのか!

──────
イチロー「その勢いで泳いでいたら、海の生物が死んでしまう!」

イチロー「命は大切なんだ!魚や、クジラや、イルカだって、人と同じように生きているんだ!」

北島「超気持ちいい───!」ザッパン ザッパン

イチロー「ダメだ!聞いていない! 仕方ない……!」

イチロー「レーザービ────ム!!」

 イチローが海に向かってボールを投げ入れる!ボールは摩擦熱によって炎を纏い、光の帯を引いて海に叩き込まれた!
 海に巨大な炎の柱が立ち昇った。次の瞬間、海がドーム状に膨れ上がり、弾け、地球に巨大なクレーターが空いた。

393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:52:49.62 ID:Qdyy5lSF0

北島「熱っちぃ! 急に温水プールになった!?」

 海は沸騰していた。

イチロー「………」

北島「………」

 両者が睨み合う……。
 海と、陸の覇者同士が、邂逅した……!


 が、一人の男が神々の争いに止めに入った!!

「やめろ!!二人とも!!!」


イチロー「あなたは……」

北島「あんたは……」

───

410: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 18:56:19.84 ID:Qdyy5lSF0

───

室伏「くっ……何者だ! どうしてこんなことをする!」

 最後の死力を尽くし、ハンマーを振るう室伏。

長友「俺は……世界一になるんだ……!」

 室伏が発生させた空間の次元断裂を避けながら、叫び返す長友。

室伏「世界一……か……」

 室伏の腕に、力がこもる。
 血管が浮き、ビキビキと音を立ててエネルギーがみなぎっていく!

室伏「その言葉には……負けられないな……!」

室伏「僕は……金メダリストだ!!」

長友「俺は……サイドバックだ!!」

 二匹の怪物の、衝突!
 決着が近い!そう思われたその時!

「やめるんだ!!」

 一人の男が止めに入った!!

 その傍には、イチローと北島もいた!!

424: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 19:00:43.83 ID:Qdyy5lSF0

室伏「あなたは……」

長友「あ、あなたは……」

室伏「兄貴!」

長友「アニキ!アニキじゃないか!」

澤「全く……お前らは……」

イチロー「……アニキには敵わないよ」フッ

北島「さっすがアニキ~」

澤「ふん、これだから男はバカなんだ」

澤「……いいかい、争ってる場合じゃないんだ」

澤「あいつが……動き出した!」

───

443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/01(木) 19:04:49.13 ID:Qdyy5lSF0

アレイスター「ぐ……貴様……何、も………」ガクッ

羽生「………はぁ………詰めが甘いんですよ、詰めが」

羽生「さて……」

 ピッ

羽生「何だ、皆おそろいじゃあないですか……」

羽生「駒は揃った、という訳ですね」

羽生「ふむ……」

羽生「この世界の『対局』は、楽しめますかねぇ……」


澤「………羽生め………見ているな……!!!」


羽生「始めますか………」

羽生「  お願いします   」 

  室伏達はどうなってしまうのか!!
  地球の運命は!?
  人類の未来は!?
  澤達は、『名人』羽生に勝てるのか!?
                           邂逅編・完  つづかない