1: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2012/12/27(木) 20:00:47.58 ID:8hEerJStP
シンジ『今年はサンタさんに何をお願いしようかな』

綾波『サンタさん』

シンジ『うん』

綾波『誰?』

アスカ『えーっ!? エコヒイキって、サンタを知らないの!?』

綾波『……』コクリ

シンジ『サンタさんはね、クリスマスの日にプレゼントをくれるおじさんなんだ』

綾波『どうしてプレゼントをくれるの?』

シンジ『子供たちの笑顔が大好きだからだよ』

綾波『良い人なのね』

アスカ『そうよ! 私が唯一尊敬できる大人だわ!』

シンジ『唯一って』

引用元: ゲンドウ「チルドレンがサンタを信じきっている」 




3: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(-1+0:15) 2012/12/27(木) 20:02:20.77 ID:8hEerJStP
アスカ『でも、サンタさんは良い子にしかプレゼントをくれないのよ』

綾波『そうなの?』

シンジ『みたいだね』

アスカ『つまり、今までプレゼントを貰ったことのないエコヒイキは~……ってことね!』

綾波『……』

シンジ『アスカ!』

アスカ『なによ。ちょっとした冗談でしょ』

シンジ『……そんな意地悪言う人のとこには、サンタさん、来てくれないよ』

アスカ『!』

シンジ『嫌なら、ちゃんと謝らないと』

アスカ『わ、分かったわよ……ごめん』

綾波『いいわ、別に』

4: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(-1+0:15) 2012/12/27(木) 20:04:11.81 ID:8hEerJStP
綾波『でも』

シンジ『なに?』

綾波『今まで、私のところにサンタさんが来てくれていないのは、事実だわ』

シンジ『あ……』

綾波『私は悪い子?』

シンジ『そんなことないよ! 綾波が悪い子なら、アスカなんて極悪非道だよ!』

アスカ『どういう意味よ!!』

シンジ『ごめん、口が滑った』

綾波『……』

アスカ『あ! もしかして、アレじゃない?』

綾波『あれ?』

アスカ『アンタ、靴下用意してなかったでしょ』

綾波『靴下……?』

6: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(-1+0:15) 2012/12/27(木) 20:06:24.82 ID:8hEerJStP
アスカ『サンタさんにプレゼントを貰うには、入れ物として靴下を用意しておかないといけないのよ』

綾波『そうなの?』

アスカ『私なんて、毎年そのために特大靴下を手作りしてるんだから』

シンジ『アスカにそんなこと出来るの?』

アスカ『バカにしないで! ……まぁちょっと、不格好だけど』 

シンジ『やっぱり』

アスカ『かっちーん? そこまで言うなら、今年の靴下はバカシンジに作ってもらおうじゃない』

シンジ『えっ』

アスカ『エコヒイキの分もね』

シンジ『や、やだよ! なんだか、サンタさんに贅沢なものをねだってるみたいじゃないか』

アスカ『アンタばかぁ? 相手がなにも言わないなら、最大限まで要求するのがネゴシエートというものよ』

シンジ『そうなのかなぁ……』

8: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(-1+0:15) 2012/12/27(木) 20:09:00.06 ID:8hEerJStP
綾波『碇君』

シンジ『なに?』

綾波『私からも、お願いしていい?』

シンジ『……綾波もおっきい靴下、欲しいの?』

綾波『ええ』

シンジ『そっか。なら僕、頑張って作ってみるよ』

綾波『ありがとう』


アスカ『……なによ、私が頼んだ時は渋ったくせに』

シンジ『だって、綾波はサンタさんにプレゼント貰うの初めてなんだよ?』

アスカ『それはそうだけど』

シンジ『じゃあ、靴下のデザインはアスカが決めていいよ』

アスカ『ほんと!?』

シンジ『うん』

アスカ『赤いやつ! サンタさんとお揃いみたいにして!!』

シンジ『わかった』

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:11:26.43 ID:8hEerJStP
ゲンドウ「―――以上が、先日チルドレンの間で行われた会話だ」

一同『……』


冬月「葛城一佐、撮影御苦労」

ミサト「はっ!」

シゲル「ユーロ空軍に確認取れました!」

冬月「ほう?」

シゲル「誕生日も十分に祝ってやれなかった為、せめてクリスマスプレゼントくらいは……という理由で、毎年サンタを演じていたそうです」

リツコ「素直になれない軍人の苦肉の策だったというわけね」

シゲル「喜ぶ顔を見るのが、毎年の楽しみだったとか」

リツコ「あのアスカの無邪気な笑顔を見たとするならば、それも納得だわ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:13:23.85 ID:8hEerJStP
マコト「シンジ君の元保護者の方にも確認取れました。サンタを信じているのは間違いないそうです」

マヤ「シンジ君、可愛いー」

加持「汚れなき少年少女か。若いねぇ」

冬月「しかし、その瞳を、我々が汚すわけにはいかない」

加持「確かに」

ミサト「では、碇司令」

ゲンドウ「ああ、やれ」


ミサト「現時刻、午後六時三十分」

ミサト「これより、サンタ作戦を開始します!!」

一同『了解!』

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:15:38.90 ID:8hEerJStP
―――12月24日、ミサトの家


アスカ「美味しそー!」ピョンピョン

綾波「すごい量ね」

シンジ「張り切りすぎちゃった」

ミサト「まぁ、パーティはこれくらいじゃないとね」


加持「招待してくれて、ありがとう。シンジ君」

シンジ「いえ、そんな」

加持「イヴを愛する人と過ごせるなて、俺は幸せ者だな」

ミサト「……シンジ君、愛されてるわねぇ」

シンジ「えっ」

加持「やれやれ、素直じゃないな」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:17:23.01 ID:8hEerJStP
アスカ「ねぇねぇ、ケーキは?」

シンジ「加持さんが用意してくれたみたいだけど」

加持「ああ、チョコケーキとショートケーキをホールで買ってある」

アスカ「キャー! 両方食べるー!」


綾波「そんなに食べられるの?」

アスカ「甘いものは別腹って言葉、知らないの?」

綾波「?」

ミサト「女性はね、甘いもの専用の胃袋を隠し持っているものなのよ」

綾波「私にもあるの?」

ミサト「当然」

綾波「……碇君、私もケーキ二つ食べたい」

シンジ「う、うん。どうぞ」

加持「ははっ、ちゃんとシンジ君の料理を食べてからだぞ」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:18:09.76 ID:8hEerJStP
―――同時刻、NERV


シンジ『じゃあ、そろそろ』

ミサト『ええ』 

一同『いっただっきまーす!』


マコト「……楽しそうですね」

マヤ「いいなー」

シゲル「俺もあっちに行きたかったですよ、まったく」

リツコ「そういえば、私たちの食事って?」

冬月「どうなんだ、碇」

ゲンドウ「……忘れていた」

リツコ「なんですって!?」

マヤ「そ、そんな!」

シゲル「このままでは、作戦終了まで胃袋が持ちません、碇司令!!」

ゲンドウ「……」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:19:43.37 ID:8hEerJStP
冬月「出前でも取るか?」

マコト「ピザとか、クリスマスらしいものはちょっと混雑してそうですね」

シゲル「どうせなら、チキンが食べたいなぁ」

マヤ「ケンタッキーは予約してないと買えませんよ」

ゲンドウ「……問題ない」

リツコ「えっ?」

ゲンドウ「そのためのNERVだ」

冬月「ケンタッキーを我々に優先して販売させるよう、至急、政府に連絡させる」

シゲル「さっすが司令!」

リツコ「素敵よ」

マヤ「私たちの高感度が上昇していきます!」

マコト「じゃあ、僕が買ってきますね」

リツコ「やっぱり、ピザにはコーラよね」

マコト「たしかに。コンビニにも寄ってきます」

リツコ「頼んだわよ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:30:27.16 ID:8hEerJStP
―――ミサトの家


アスカ「おーいしー!」

シンジ「綾波はどう?」

綾波「このシチュー、すごく美味しいわ」

シンジ「良かった」

加持「にしても、これだけ女性がいて、料理担当がシンジ君というのも……」

ミサト「なにか文句があるの?」

加持「文句はないが、葛城の手料理が食べたいという欲求はあるな」

ミサト「うっ」

アスカ「ミサト、顔赤いわよ」

ミサト「お酒のせいよ!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:32:41.50 ID:8hEerJStP
アスカ「ワインって美味しいの?」

加持「一口飲むか?」

ミサト「未成年に飲ませようとしてんじゃないわよ」

加持「硬いこと言うなよ」

ミサト「私は、この子たちの保護者としてねぇ……!」

アスカ「一杯くらいならいいでしょ?」

加持「ああ、いけいけ」トクトク

ミサト「ちょっと!」

アスカ「いっただっきまーす」ゴクッ


綾波「お酒」

シンジ「綾波も飲みたいの?」

綾波「……」フルフル

シンジ「そっか」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:34:55.59 ID:8hEerJStP
アスカ「にがっ」

加持「アスカにはまだ早かったか?」

ミサト「実際問題、早いもの」

アスカ「でも、料理と一緒になら、悪くないわね」

加持「もっといくか?」

アスカ「うん」

シンジ「やめときなよ、アスカ」

綾波「私も止めておいた方が良いと思う」

アスカ「別にいいじゃない」

シンジ「酔っぱらった人間がどうなるか、知ってるだろ」

アスカ「……」チラ

ミサト「ん?」

アスカ「やっぱり、これくらいにしておくわ」

加持「そうか」

ミサト「今の視線はどういう意味よ……!!」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:38:33.52 ID:8hEerJStP
―――NERV


マコト「買ってきました」ガサッ

リツコ「早かったわね」

マコト「店に入ると同時に、手渡されました」

シゲル「せいふの ちからって すげー!」

冬月「年寄りに油ものは少々堪えるな」

マコト「サラダやスープ、パスタなどもありますが」

冬月「では、そちらを頂こうかな」

ゲンドウ「冬月」

冬月「なんだ」

ゲンドウ「……クリスマスだぞ」

冬月「だから、食えと?」

ゲンドウ「ああ」

冬月「分かった。では、一つ貰おうか」

マヤ「油の少ないささみの部分もあるんで、大丈夫ですよ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:41:17.26 ID:8hEerJStP
マヤ「美味しいですね―!」

リツコ「そうね」

シゲル「たまに食うからっていうのはありますがね」

マコト「連日ケンタッキーというのは、たしかに嫌ですね」

冬月「ケンタッキーの骨をダシにして、ラーメンを作るというのもあるらしいな」

ゲンドウ「あれは美味い」

冬月「やったことがあるのか?」

ゲンドウ「ああ」

マヤ「碇司令って、案外チャレンジャーなんですね」

シゲル「そういう部分が、使徒戦にも活かされているんでしょうかね」

リツコ「無謀とも思える判断を下すこともあるけどね」

ゲンドウ「……私は上司だぞ」

冬月「お前の言葉を返すぞ。今日はクリスマスだ」

ゲンドウ「無礼講というやつか。いいだろう、許す」

リツコ「ふふっ、ありがとうございます」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:45:51.06 ID:8hEerJStP
―――ミサトの家


アスカ「美味しかったー!」

シンジ「あんなにあったのに。綺麗になくなっちゃった」

綾波「ちょっと食べ過ぎてしまったわ」

アスカ「アンタは全然食べてなかったじゃない」

綾波「食べたわ」

アスカ「美味しかった?」

綾波「ええ」

アスカ「スペアリブも?」

綾波「……」

アスカ「バカシンジー。エコヒイキが料理、口に合わなかったってー」

綾波「そんなこと言ってないわ!」ガタッ

シンジ「分かってるよ。綾波はお肉が苦手なんだろ?」

綾波「……ええ。ごめんなさい」

シンジ「別に謝ることじゃないよ。シチュー、美味しいって言ってくれたじゃないか」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:47:47.53 ID:8hEerJStP
アスカ「私はちゃんと美味しく食べたわよ」

シンジ「うん」

アスカ「世界一美味しかった」

シンジ「そんなに?」

アスカ「毎日、私のご飯、作りなさいよ」

シンジ「作ってるじゃないか」

綾波「ねぇ」

シンジ「なに?」

綾波「この人、顔が赤いわ」

シンジ「……ほんとだ」

アスカ「赤くて当然よ! 私はエヴァンゲリオン二号機のパイロットなんだから!」ケタケタ

加持「酔っぱらってるな」

ミサト「アンタのせいじゃない」

加持「俺のせいだな」

アスカ「ケーキ出しなさいよ、ケーキ!」ケタケタ

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:50:42.12 ID:8hEerJStP
―――NERV


シンジ『ショートケーキのイチゴ、全部取ろうとしないでよ!』

アスカ『赤いから私の!』

シンジ『なに言ってんだよ!!』

綾波『チョコケーキが食べたいわ』

ミサト『二つ食べるんじゃなかったの?』

綾波『……お腹いっぱいになってしまったの』

加持『それならしょうがないな』


リツコ「カオスね」モグモグ

冬月「やはり、未成年に酒を与えるのは駄目だな」モグモグ

ゲンドウ「まったくだ」モグモグ

マヤ「でも、酔っぱらった姿も可愛いです」モグモグ

マコト「いい画ですね」モグモグ

シゲル「うーん、こんな残業なら、いつでもウェルカムなんですけどね」モグモグ

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:53:09.66 ID:8hEerJStP
リツコ「それにしても、このカップケーキ美味しいわね。どこのコンビニのやつ?」

マコト「ミニストップです」

マヤ「えっ、わざわざミニストップまで行ってきたんですか?」

マコト「コンビニスイーツはここが一番ですからね。ダッシュで行ってきました」

冬月「セブンイレブンもいいぞ」

シゲル「和菓子派の俺としては、同意です」

ゲンドウ「……ファミリマートの生クリームエクレアだ」

マコト「あれは間違いありません!」

マヤ「プレミアムロールケーキと並ぶ定番の一つですね」

リツコ「コンビニでここまで美味しいスイーツを作られたら、本業の人たちも大変ね」

マコト「とは言え、やはりケーキ屋のケーキは別格ではありますよ」

マヤ「シンジ君たちが食べてるの、美味しそうですもんね」

マコト「あれ、1ホールで5000円くらいする人気店のやつですよ」

リツコ「さすが、加持君ね……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:55:34.03 ID:8hEerJStP
―――ミサトの家


アスカ「はー、お腹いっぱい」

シンジ「アスカ、落ち着いた?」

アスカ「なにが?」

シンジ「うん、大丈夫みたいで安心した」

アスカ「?」

加持「っと、もう九時か」

綾波「……私、そろそろ帰らないと」

シンジ「あっ、じゃあ僕、送ってくよ」

アスカ「なんでアンタが行くのよ」

シンジ「一応、男だし」

アスカ「『一応』なんて言葉を付けるようなやつが一緒じゃ、意味ないわよ」

綾波「私は碇君が一緒にいてくれたら、心強いわ」

シンジ「ほら」

アスカ「むー!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 20:58:32.50 ID:8hEerJStP
ミサト「なら、レイがウチに泊っていけば?」

綾波「いいんですか?」

ミサト「ええ」

アスカ「……泊っていくって、どこで寝るのよ」

ミサト「アスカの部屋でいいじゃない」

アスカ「なんで、エコヒイキを私の部屋に泊めないといけないのよ!」

ミサト「じゃあ、シンジ君の部屋」

シンジ「ぼ、僕の?」

アスカ「それは駄目よ!」

ミサト「どうして?」

アスカ「だって……ス  シンジがなにをするか、分からないもの」

シンジ「なにもしないよ」

アスカ「私の裸は見たくせに!」

シンジ「あれは勝手にアスカが見せたんだろ!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:00:33.93 ID:8hEerJStP
アスカ「エコヒイキだって、ス  シンジと一緒の部屋なんて、嫌でしょ?」

綾波「私は構わないわ」

アスカ「えっ」

シンジ「えっ」

綾波「むしろ、碇君と一緒に寝たい」

アスカ「ちょっ!」

加持「ヒュー」

ミサト「というわけで、レイはシンジ君の部屋でお泊りけってーい!」

綾波「お世話になるわ。碇君」

シンジ「う、うん」

アスカ「異議を申し立てるわ、裁判長!」

ミサト「異議は認めませーん。閉廷でーす」

アスカ「控訴!」

ミサト「却下」

アスカ「こ、この……!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:03:12.75 ID:8hEerJStP
綾波「碇君、寝巻を貸してくれる?」

シンジ「スウェットでもいい?」

綾波「ええ」

シンジ「綾波が僕の服を着るなんて、ちょっと変な感じ」

綾波「私も、そう思う」

シンジ「あはは、そっか」

アスカ「……なぁーに話を進めてんのよ!」

シンジ「泊る方向で話がまとまったから」

アスカ「しかも、バカシンジの服を借りるとか!」

シンジ「このまま寝るわけにはいかないじゃないか」

アスカ「それは! ……そうだけど」

シンジ「アスカがなんで怒ってるのか、僕にはよく分からないよ」

加持(この状況で、よくそんなこと言えるな、この子は)ヒソヒソ

ミサト(傍目から見てる分には楽しいでしょ?)ヒソヒソ

加持(下世話な趣味だな。まったくもって同感だが)ヒソヒソ

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:05:42.23 ID:8hEerJStP
アスカ「……じゃあ、分かったわ」

シンジ「なにを?」

アスカ「私も、今日はバカシンジの部屋で寝る」

シンジ「えっ」

アスカ「良いわよね?」

シンジ「で、でも」

アスカ「良いわよね!?」

シンジ「うん……」

アスカ「それから寝巻だけど、しょうがないから私の服を貸してあげる」

綾波「あなたの服って露出が多そうだから、ちょっと」

アスカ「んなことないわよ! いいから、こっち来なさい!」

綾波「……」ズルズル

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:07:57.73 ID:8hEerJStP
―――NERV


冬月「作戦通り、チルドレンは一つの部屋で寝ることになったな」

ゲンドウ「ああ」

リツコ「アスカの性格を利用した、見事な誘導ね」

マヤ「アドリブですかね?」

リツコ「恐らくね」

マヤ「すっごーい」

ゲンドウ「葛城一佐に特別手当を」

冬月「うむ」

マコト「申請……ダメです、却下されました」

冬月「なぜだ」

シゲル「経費で買ったワインの値段が高すぎたみたいですね」

リツコ「たまに褒めたと思ったら、これよ」

ゲンドウ「……」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:10:58.92 ID:8hEerJStP
リツコ「ところで、アスカの部屋にカメラは?」

マコト「仕掛けてません」

マヤ「よかった、流石にそこまでやったら軽蔑しますよ」

冬月「しかし、二人になった彼女らがどんな会話をするのか、興味はあるな」

ゲンドウ「……盗聴器は?」

マコト「同様です」

ゲンドウ「使えんな」

シゲル「……待ってください! 加持さんから連絡です。アスカの衣服に盗聴器を付着させることに成功した、と」

リツコ「流石ね」

マヤ「でも、優秀すぎて、ちょっと怖いですね」

冬月「プライベートでもそんな真似をしているのではないかと疑ってしまうな」

ゲンドウ「それはないと信じたいが」

シゲル(酷い言われようだ)

マコト(熱心に仕事をしてるだけなのに……報われないなぁ)

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:14:11.90 ID:8hEerJStP
―――アスカの部屋


アスカ「どれがいい?」

綾波「どれでもいいわ」

アスカ「さっき、露出度の低い服が良いって言ったじゃない」

綾波「その条件を満たしてさえいれば、どれでもいいわ」

アスカ「最初からそう言いなさいよ……ん」

綾波「なに?」

アスカ「前から思ってたけど、アンタって肌白いわね」

綾波「だから?」

アスカ「見たいから、脱いで」

綾波「ええ」ガバッ

アスカ「……冗談半分のつもりだったんだけど、羞恥心ってものがないわけ?」

綾波「あると思うわ」

アスカ「なんで曖昧なのよ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:16:38.85 ID:8hEerJStP
アスカ「でも、ホントに肌きれー」

綾波「そう?」

アスカ「私も自信ある方だけど、流石に敵わないわ」

綾波「……こういう時、どんな反応すればいいのか分からない」

アスカ「えっ、なに? 照れてるの?」

綾波「いいえ」

アスカ「うわっ、照れてる。めずらしっ」

綾波「照れてないわ」

アスカ「ふーん。それはともかく、羨ましいくらい綺麗な肌してるわね」

綾波「……」

アスカ「やっぱり、照れてるじゃない」

綾波「あなたって、意地悪ね」

アスカ「よく言われるわ」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:19:24.90 ID:8hEerJStP
アスカ「寝巻はスウェットでいい?」

綾波「結局、スウェットなのね」

アスカ「どうせならバカシンジのが良かった、とでも言う気?」

綾波「ええ」

アスカ「肯定しないでよ」

綾波「そう思ったんだもの」

アスカ「ちょっと変 チックじゃない?」

綾波「そうかしら」

アスカ「バカシンジの匂いに包まれてる……とかいって悦に浸るわけでしょ? いやーんな感じ!」

綾波「あなただって、悪くないと思うでしょ」

アスカ「それはまぁ……って、なに言わせんのよ!」

綾波「言わせた覚えはないけれど」

アスカ「と、とにかく。アンタはこれ!」

綾波「分かったわ」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:22:57.36 ID:8hEerJStP
ガチャッ


ミサト「二人ともー、お風呂先に入っちゃって―」

アスカ「はーい」

綾波「……」グッ

アスカ「なに?」

綾波「下 、どうすればいいの」

アスカ「……あー」

ミサト「今穿いてるやつじゃダメなの?」

アスカ「ミサトじゃないんだから」

ミサト「なによそれー」

アスカ「さすがに下 を貸すのは嫌だし、コンビニで買ってきた方がよさそうね」

ミサト「じゃあ、シンジ君に選んで来てもらいましょうか」

綾波「ダメ!」

ミサト「ジョーク、ジョーク。私が買いにいってくるわ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:24:57.28 ID:8hEerJStP
―――NERV


シゲル「……一応聞きますけど、風呂場にカメラは?」

マヤ「あるわけないでしょう」

シゲル「ですよね」

リツコ「もちろん、盗聴器も無しよ」

冬月「しかしだな、先ほどの会話は盗み聞きしてよかったのか?」

マコト「あの程度ならセーフラインでは?」

シゲル「葛城一佐も分かってて話していたわけですし」

ゲンドウ「ああ、問題ない」


マヤ「いや……自分だったら嫌ですけどねー」

リツコ「まぁ、そもそも盗聴自体がアウトですもの。見逃してあげましょう」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:26:26.76 ID:8hEerJStP
リツコ「しばらく暇になるわね」

冬月「小休憩を挟んでも構わんぞ」

ゲンドウ「私たちは任務を継続する」

マヤ「ずるいですよー、私も聞いていたいです」

マコト「女性陣が自由時間に入っているため、今聞けるのは男性陣の会話ですね」

リツコ「シンジ君と加持君……いったい、どんなことを話しているのかしら?」

シゲル「一言一句、聞き逃せませんね」


冬月「……仕事熱心な部下たちでよかったな」

ゲンドウ「普段からこうであるならば、言うことはないが」

冬月「まぁな」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:29:24.19 ID:8hEerJStP
―――キッチン


加持「男二人が後片付けというのも、いやはや現代らしい構図だな」

シンジ「あはは、そうですね」

加持「言わないのか、葛城たちに」

シンジ「なにをですか?」

加持「たまには、家事をやってくれって」

シンジ「あー……初めは言ってたんですけど、もう慣れちゃいました」

加持「そんなものか」

シンジ「それに、作った料理を美味しそうに食べてくれる姿を見ると、どうでもよくなっちゃいます」

加持「あいつは美味そうに飯を食うからなぁ」

シンジ「アスカもですね。言葉は辛辣ですけど、残さず綺麗に食べてくれます」

加持「その歳から言葉の裏を見るか。成長が早いな」

シンジ「そんなこと……」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:31:13.59 ID:8hEerJStP
シンジ「加持さんは、この後どうされるんですか?」

加持「今日は夜遅くまで葛城の飲みに付き合うよ」

シンジ「そうですか。じゃあ、軽くおつまみでも作って置いた方がよさそうですね」

加持「……中学生とは思えんな」ボソッ

シンジ「え?」

加持「なんでもない。ありがとう」

シンジ「いつもやってることですから」

加持「いつも? 葛城のやつ、保護者名乗ってて恥ずかしくなることはないのか……?」

シンジ「だからこそ、僕も気兼ねなくやれているっていう部分もありますよ」

加持「そうか……シンジ君、俺の嫁に来ないか?」

シンジ「えっ!?」

加持「冗談だ、俺は葛城一筋さ」

シンジ「そ、そうですか」ドキドキ

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:34:39.40 ID:8hEerJStP
―――NERV


マヤ「これは正規ルートですか?」

リツコ「残念ながら、お蔵入りになった幻のルートね」

マヤ「そうですかぁ……」


シゲル「しかし、確かにシンジ君は良いお嫁さんになれそうですね」

冬月「夫を立て、三歩下がってついてくる理想の妻の姿が、容易に想像できるな」

マコト「大和撫子の言葉が相応しいですね」

ゲンドウ「……シンジは男だぞ」

マコト「そこなんですよねー!」

シゲル「それさえなければ、光源氏計画もやぶさかではありませんでした」

冬月「何故、女に産んでやらなかったのだ」

ゲンドウ「私に言うな」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:37:36.89 ID:8hEerJStP
―――シンジの部屋


シンジ「はぁ、良いお風呂だった」

アスカ「男のくせに、長風呂ね」

綾波「お帰りなさい」

シンジ「……ホントに、僕の部屋で寝るんだね」

アスカ「いまさら文句でもあるの?」

シンジ「ううん、こういうのって、なんかちょっと楽しいじゃないか」

綾波「楽しい?」

シンジ「友達とお泊り会とかって、楽しくない?」

アスカ「知らない」

綾波「分からない」

シンジ「ああ、うん、ごめん……」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:40:12.28 ID:8hEerJStP
アスカ「はぁー、でも楽しみ!」

シンジ「なにが?」

アスカ「サンタさんからのプレゼント!」

シンジ「そっか、明日の朝には貰えてるんだもんね」

アスカ「早く寝たいけど、ワクワクし過ぎて寝られないわ」

シンジ「分かる」

綾波「……サンタさんは、どうやって私たちが欲しいものを知るの?」

アスカ「あ、忘れてた! 用意しないと」

綾波「?」

シンジ「欲しいものを書いた手紙を、枕の下に忍ばせておくんだ」

綾波「そうなの」

アスカ「アンタも書きなさいよ、ほら、紙とペン」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:41:57.31 ID:8hEerJStP
シンジ「……」カキカキ

アスカ「……」カキカキ

綾波「……」ピタッ


シンジ「どうしたの?」

綾波「欲しいもの」

シンジ「うん」

綾波「なに?」

シンジ「えっ」

アスカ「ウソでしょ? プレゼントの内容、考えてなかったわけ?」

綾波「……」コクリ

アスカ「なんだっていいのよ、一つくらいはあるでしょ」

綾波「そう、じゃあ」カキカキ

アスカ「どれどれ……って、歯ブラシとか石鹸は生活必需品! ボツ!」

綾波「……」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:43:26.50 ID:8hEerJStP
シンジ「本とかは? いつも読んでるじゃないか」

アスカ「そんなの、つまんない。ボツ」

シンジ「なんでアスカが決めるんだよ!」

綾波「……あっ」

シンジ「思いついた?」

綾波「ええ」

アスカ「何にしたの?」

綾波「言えないわ」

アスカ「教えなさいよ」

綾波「……」フルフル

アスカ「ちょっと!」

シンジ「まぁまぁ、見られたくないって言ってるんだから、止めとこうよ」

アスカ「えー、つまんなーい!」

綾波「……」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:45:58.60 ID:8hEerJStP
―――NERV


マヤ「とうとう、最大の難所が来てしまいましたね」

冬月「ああ、レイのプレゼントの内容だけは定かではないからな」

リツコ「やはり、眠った後に枕下のメモを確認するしかないようね」


マコト「朝までにプレゼントの納入は間に合いますかね?」

ゲンドウ「そのためのNERVだと言っただろう」

シゲル「今さらですが、これって職権濫用じゃ」

冬月「総理が許可したんだ。問題あるまい」

シゲル「そ、総理がですか!?」

ゲンドウ「この映像は、リアルタイムで主相官邸に中継されている」

シゲル「それは知らなかった……」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:48:21.06 ID:8hEerJStP
マヤ「他の二人のプレゼントの内容はなんでしたっけ?」

リツコ「アスカはゲーム。シンジ君は食器洗い機よ」

マコト「ゲームは、まぁ分かりますね」

シゲル「女の子がっていうと、ちょっと微妙ですがね」


マコト「でも、食器洗い機って……」

シゲル「しかも、負担の軽減が目的ではなく、水道代節約がメインらしいですからね」

冬月「主婦の発想だな」

リツコ「加持君じゃないけど、普段どれだけシンジ君に面倒をかけているのか、ミサトには考え直してもらいたいわね」

ゲンドウ「まぁ、あれはあれで幸せなのだろう」

冬月「お前と暮らすよりはな」

ゲンドウ「……おい」

冬月「すまん」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:50:54.92 ID:8hEerJStP
―――シンジの部屋


アスカ「そういえばさぁ」

シンジ「ん?」

アスカ「サンタって、どんな顔してるんだろ」

シンジ「白髭の、ふっくらした感じのおじさんでしょ?」

アスカ「あれは模造品でしょ。火星人のイメージがタコなのと一緒で」

綾波「そうなの?」

シンジ「さぁ」

アスカ「見てみよっか」

シンジ「どうやって?」

アスカ「寝たふりして、サンタが来るのを待ち伏せするのよ」

シンジ「そ、そんなことしちゃダメだよ!」

アスカ「そうと決まれば、コーヒーでも飲んで眠気を吹き飛ばしましょうか」

シンジ「決定事項になってるし……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:53:08.07 ID:8hEerJStP
ガラッ


ミサト「シンジ君たち、ちょっといい?」

シンジ「なんですか?」

ミサト「ひっじょーに申し訳ないんだけど、明日の朝、訓練が入っちゃって」

アスカ「ウッソ!? 明日はクリスマスなのよ!?」

綾波「分かりました」

アスカ「アンタはすぐ承諾しないの!!」

ミサト「ほんと、ごめんねぇ。でも、すぐ終わるみたいだから」

アスカ「……すぐ終わるくらいなら、次の日にでも回せばいいのに」

ミサト「そこをなんとか」

アスカ「もー、分かった分かった。アスカ様は寛大だから、急遽入るような訓練でも、フルパワーでこなすわよ」

ミサト「ほんとに?」

シンジ「僕も良いですよ」

ミサト「ありがとー。それじゃ、本部に通達しておくわね」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:55:08.14 ID:8hEerJStP
アスカ「まったく、やるならやるで、最初っからそう言っておきなさいよ」

シンジ「たまにはそういうこともあるんじゃない?」

綾波「ええ」

アスカ「……アンタたちが文句ひとつ言わないもんだから、私が怠け者みたいじゃない」

シンジ「アスカはいつも頑張ってるじゃないか」

アスカ「当り前よ! そういうこと言ってんじゃないの!」

綾波「……でも、それなら今日はもう、寝ないと」

シンジ「そうだね」

アスカ「サンタの顔は、諦めるしかないわね」

シンジ「まぁ、プレゼントがあるし、明日はそれをバネに頑張ろうよ」

アスカ「はいはい、じゃ、お休み」

シンジ「お休み」

綾波「お休みなさい」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 21:57:57.79 ID:8hEerJStP
―――NERV


マヤ「今のは危なかったですね」

冬月「夜更かしなんてされたら、作戦が全てパーになってしまうからな」

マコト「しかし、このパターンも想定済みとは。流石は碇司令です」

碇「出来れば、この手は使いたくなかった」

シゲル「どうしてです?」

冬月「明日の午前、私たちにも仕事が入ってしまうからだ」

シゲル「……あー」

リツコ「本来なら、昼からだったものね」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:02:04.03 ID:8hEerJStP
―――ミサトの家


加持「了解。では」

ミサト「なんだって?」

加持「シンジ君たちが完全に熟睡したそうだから、作戦決行だと」

ミサト「それはそれは。行ってらっさい」

加持「しかしだな、俺がこの格好する必要はあったのか?」

ミサト「似合ってるわよ、サンタさん」

加持「どうせなら、葛城のミニスカサンタが見たかった」

ミサト「三十路前のおばさんのそんなコスプレ、どこに需要があるのよ」

加持「だから、俺が喜ぶ」

ミサト「……アンタねぇ、この映像も一応、中継されてるって分かってんの?」

加持「なにか問題があるか?」

ミサト「っもう! さっさと行ってきなさい!」

加持「大きい声出すなよ。子供が起きたらどうするんだ」

ミサト「くっ……」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:05:42.00 ID:8hEerJStP
―――NERV


『これより、潜入を開始する』

シゲル「了解」

マヤ「緊張しますねー」


『なお、食器洗い機は重量オーバーの為、現物はキッチンに設置。その旨を書いた手紙を対象の靴下に忍ばせる』

冬月「致しかたあるまい」

ゲンドウ「ああ」


『……ターゲットを目視。及び、睡眠状態にあることを確認』

リツコ「寝つきの良さは、さすが中学生ってところね」

マコト「地味にそういうのって羨ましいです」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:06:43.12 ID:8hEerJStP
『アスカの靴下にゲームの投下……成功』

シゲル「シンジ君が作った靴下、大きくて助かりますね」

マヤ「デザインも可愛いです」


『シンジ君の靴下に手紙の投下……成功』

冬月「ここで失敗する要素はない」

ゲンドウ「ああ」


『これより、綾波レイの枕の下からメモを抜き取る作業に移ります』

リツコ「慎重にね」

マコト「ここさえ乗り切れれば……!」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:08:36.09 ID:8hEerJStP
『……成功。ターゲットにも変化ありません』

シゲル「いーっ、よし!」

マヤ「素敵です!」


『メモを読み上げます』

冬月「さて、レイはなにを欲しがっているのか」

ゲンドウ「興味深いな」


『……碇君のスウェット、だそうです』

冬月「おや」

ゲンドウ「む」

シゲル「おっ」

マコト「うわっ」

リツコ「あら」

マヤ「わぁ」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:12:37.42 ID:8hEerJStP
冬月「そうきたか」

マコト「なかなか面白い注文ですね」

マヤ「だから、メモを書く時、何が欲しいのか言わなかったんですね」

リツコ「シンジ君そのものを頼まなかっただけ、マシというものかしら」

マコト「でも、どうしましょうか」

ゲンドウ「……部屋にあるスウェットを新品と交換しろ」

冬月「いいのか?」

ゲンドウ「レイは欲しいものを手に入れ、シンジはスウェットを新調出来る。問題ない」

シゲル「Win-Winの関係ってやつですね」

冬月「今の会話、聞いていたか?」


『一先ず、タンスのスウェットをレイの靴下に入れておきます』


冬月「うむ」

マヤ「やっていることは泥棒と変わりませんね」

マコト「サンタなんて、案外こんなもんですよ」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:15:46.96 ID:8hEerJStP
『新品のスウェットが届くまで、一時部屋に帰還します』


リツコ「お疲れ様、加持君」

ゲンドウ「後は、プレゼントを受け取ったチルドレンの顔を確認するだけだ」

冬月「仮眠をとっても構わんぞ」

マヤ「そんなこと言っても、楽しみで寝れませんよ」

シゲル「リアルタイムで喜ぶ顔を見たいですしね」

マコト「寝過ごしたりしたら、たまったもんじゃないですよ」

ゲンドウ「……全員、徹夜か」

シゲル「どうやって時間を潰しましょうか」

冬月「麻雀でもするか」

マコト「麻雀! いいですねー!」

シゲル「徹夜といったら、やっぱそれっすね!」

マヤ「人数が中途半端じゃないですか?」

ゲンドウ「政府の人間を呼べばよかろう」

リツコ「ミサトと加持君が来るまでの繋ぎですね」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:18:14.66 ID:8hEerJStP
―――翌朝、シンジの部屋


アスカ「んーっ」

シンジ「ふわぁ……」

綾波「……」ゴシゴシ


アスカ「そうだ、プレゼント!」

シンジ「あっ!」

綾波「……!」

アスカ「キャー、これが欲しかったの! 感激っ!!」

シンジ「台所にある!? 今すぐ確認しないと」ダッ

綾波「……!!!!!!」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:20:43.44 ID:8hEerJStP
アスカ「ねぇねぇ、けっきょくアンタが欲しいものってなんだったの?」

綾波「……言えない」

アスカ「見せてよ」

綾波「ダメ」

アスカ「いいじゃないのよ」

綾波「絶対、ダメ!!」

アスカ「な、なによ、分かったわよ」ビクッ


シンジ「すごいよ! 食器洗い機だよ!! 乾燥機能付きだよ!!」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:21:56.59 ID:8hEerJStP
―――NERV


アスカ『やっぱり時代は3Dね!』

シンジ『もう水荒れは怖くないよ!』

綾波『……』クンクン


冬月「やったな」

ゲンドウ「ああ」

加持「いい笑顔だ」

ミサト「くーっ! このために生きてるぅ!」

リツコ「レイはあれでいいの? っていう気もするけれど」

マコト「幸せなら、それが一番ですよ」

シゲル「見ている俺たちも幸せですしね」

マヤ「……ホントにいいのかなぁ」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:23:52.06 ID:8hEerJStP
ゲンドウ「あっという間だったな」

シゲル「そりゃ、司令はツキまくりでしたから、時間が経つのも早いでしょう」

マコト「裏ドラ乗って数えヤクマンされた日には、もう絶句ですよ」

リツコ「そういえば、ミサトと加持君、来るの遅くなかった?」

ミサト「お、お酒が美味しくて!」

加持「葛城の唇もな」

ミサト「ちょっと!?」

マヤ「……不潔です」

冬月「なにはともあれ、これで作戦終了だ」

ゲンドウ「葛城一佐」

ミサト「はい、では……」


ミサト「午前8時30分」

ミサト「これにてサンタ作戦を終了します!」

ミサト「お疲れさまでした!」

一同『お疲れさまでしたー!』

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:25:58.87 ID:8hEerJStP
―――エピローグ


シンジ「ミサトさん!」

ミサト「なに? ……って、どうしたの、その格好」

シンジ「トナカイです」

アスカ「サンタガールよ!」

綾波「サンタガール二号」

ミサト「まぁ、それは見れば分かるけど」


シンジ「ほら、この前クリスマスだったじゃないですか」

ミサト「そうね」

シンジ「で、僕たちはサンタさんからクリスマスプレゼントを貰ったんですよ」

ミサト「ふふっ、らしいわね」

シンジ「でも、大人は、サンタさんからプレゼント貰えないじゃないですか。だから……」ゴソゴソ

ミサト「……え?」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:27:25.58 ID:8hEerJStP
シンジ「これ、僕たちからのクリスマスプレゼントです!」

ミサト「……」

シンジ「中身はただのクッキーなんですけどね」

アスカ「三人で作ったのよ!」

綾波「ほとんど碇君が作ったようなものだけれど」

アスカ「いいのよ、こういうのは気持ちが入ってれば」

シンジ「ん、そうだね」

ミサト「……」

シンジ「ミサトさん?」

ミサト「あっ、ううん、なんでもないわ!」

シンジ「そうですか、じゃあこれ」

ミサト「うん、ありがとう! 三人とも!」

アスカ「へっへー」

綾波「……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:28:58.08 ID:8hEerJStP
シンジ「じゃあ、他の人たちにも配って来ますね」

アスカ「後で感想聞かせなさいよね!」

綾波「さよなら」

ミサト「ん、じゃね」




ミサト「……」

ミサト「……」

ミサト「くっ」ガクッ



ミサト「て、天使なの……? あの子たち」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:31:37.91 ID:8hEerJStP
冬月「碇」

ゲンドウ「なんだ」

冬月「チルドレンが、職員にクッキーを配っているそうだ」

ゲンドウ「ああ」

冬月「プレゼントを貰えない大人の為に、サンタを真似ているそうだ」

ゲンドウ「ああ」

冬月「後で、私たちのところにも来るだろうな」

ゲンドウ「ああ」

冬月「その時くらい、愛想よくしたらどうだ」

ゲンドウ「無理だ」

冬月「そうか」

ゲンドウ「ああ」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/27(木) 22:32:37.71 ID:8hEerJStP
ゲンドウ「冬月」

冬月「なんだ」

ゲンドウ「来年のクリスマスの準備を始めるか」

冬月「……それはちょっと、気が早すぎるな」

ゲンドウ「そうか」

冬月「ああ」







終劇