1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 10:04:53.02 ID:uCkP6a7X0
グール「ぐわあああああ」

女騎士「グール...私の盾になって...」

引用元: グール「ぐへへへ」女騎士「く、来るな!やめろ!」 



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 11:27:47.55 ID:Yeduoqw40
団長「今日我が騎士団に配属されたグールだ。よろしくしてやってくれ」

グール「アー」

女騎士「ま、魔物ではないか! しかも特に醜悪な部類の……。何故このような物を神聖な騎士団に?」

団長「人手が足りなくてな。苦肉の策だ。おまえにはこのグールの教育係を務めてもらう」

女騎士「なっ!? い、嫌だ! 断る!」

団長「団長命令だ」

女騎士「う……」

団長「雑用を一通り覚えさせたら剣の使い方も教えてやってくれ。頼んだぞ」

女騎士「……くそっ、なんでわたしがこんな目に……」

グール「アー」

女騎士「寄るなっ! 臭い! 醜い!」

グール「アー……」シュン

女騎士「……騎士団のため、そして命令ならば仕方ない。びしびししごいてやるから覚悟しろよ」

グール「アー」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 11:38:25.40 ID:Yeduoqw40
女騎士「まずは洗濯だついてこい!」 スタスタスタ…

グール「アー」ノロノロ

女騎士「遅い! 駆け足っ!」

グール「ア、アー」ペコペコ

女騎士「各部屋を回ってシーツと服を回収して……」

グール「アー」メモメモ

女騎士「こんなことでいちいちメモを取るな! 頭で覚えろ!」

グール「アー」ペコペコ

女騎士「よし、おまえはこっちを持て。わたしはこっちだ」

グール「アー」 ヒョイ

女騎士「……おまえ結構力あるな。魔物というだけはある」

グール「アー」テレテレ

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 11:48:32.09 ID:Yeduoqw40
女騎士「たらいに水を張って、石鹸を用意して……」

女騎士「洗い方はこうだ」 ジャブジャブ

グール「アー」

女騎士「よし、やってみろ」

グール「アー」 ジャブジャブ

ジワァ…

女騎士「うおっ!? 水が一気に濁った!」

グール「アー……」

女騎士「そうか、肉が腐ってるから……ええい、これでは洗濯どころか料理も任せられんぞ」

グール「アー……」

女騎士「……風呂に入れば少しはましになるだろうか」

グール「アー?」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 11:55:37.26 ID:Yeduoqw40
女騎士「ほら、ここが風呂場だ。特別に沸かしてやったんだから感謝しろよ。しっかり洗ってこい」

グール「アー」

女騎士「ふぅ……先が思いやられるな」



グール「アー?」

女騎士「!? な、何も着ずに出てくるな馬鹿者!」

グール「ア、アー……?」

女騎士「タオルならここだ! そらっ!」 ベシッ

グール「アー……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:01:59.35 ID:Yeduoqw40
グール「アー?」

女騎士「……うむ。あまり臭わなくなったな」

グール「アー」

女騎士「大分時間をつかってしまった。急ぐぞ」

グール「アー」


女騎士「洗濯!」

グール「アー」


女騎士「部屋の掃除!」

グール「アー」


女騎士「馬の餌やり!」

グール「アー」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:07:47.17 ID:Yeduoqw40
女騎士「よし、次は飯の用意だ」

グール「アー」

女騎士「こうやるんだ。よく見ておけ」 ズドッ

グール「ア……」

女騎士「材料を適当に切って……」 ドカッ バキッ

女騎士「後は鍋に入れて調味料を入れて……」 ドババババ

グール「……」

女騎士「わかったか? 同じ物を材料分作るだけだ。わたしは別に用があるから少し離れる」

グール「アー」

グール「……」 ペロッ

グール「……」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:21:01.58 ID:Yeduoqw40
グール「アー」 サクッ サクッ サクッ

グール「アーアー」 トプッ トプッ

グール「ア~」 ジュウウウウ…

グール「ア~ア~」 グツグツコトコト

グール「……」 ペロッ

グール「アー」


女騎士「戻ったぞ……む、もう作り終えたのか。中々手際がいいじゃないか」

グール「アー」


女騎士「飯の時間だぞ!」

団員「げ……今日の当番あいつかよ」

団員「……? いい匂いが……おかしいな、いつもはこんなことは……」


パクッ

団員「美味い!?」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:25:56.58 ID:Yeduoqw40
団員「今日の飯、本当におまえが作ったのか?」

女騎士「いや、作ったのは新入りのグールだ」

グール「アー」

団員「やけに美味いと思ったらそういうことか」

女騎士「わたしが教えた通りに作らせたからな。美味しいのは当然だろう」

団員「美味かったよ、ごちそうさま」

グール「アー」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:40:33.03 ID:Yeduoqw40
女騎士「騎士団は雑用だけでは勤まらん。いざというときのために剣を振れるようにならなくては」

グール「アー」

女騎士「剣はこの高さだ。足はこう……」

グール「アー」

女騎士「よし、素振り始め!」

グール「アー。アー」 ブンッ ブンッ

女騎士「違う! こうだ!」 ビュッ

グール「アー」 ブンッ

女騎士「こう!」 ビュッ

グール「アー」 ブンッ

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:42:49.62 ID:Yeduoqw40
女騎士「素振り終わり!」ハァハァ

グール「アー……」ゼェゼェ

女騎士「だらしないぞ……この程度でへばってるんじゃない……」ハァハァ

グール「アー」

女騎士「う……もう動けるのか……? さすがアンデッド……」ハァハァ

グール「アー」

女騎士「きゅ、休憩もまた鍛錬だ……。初心者は特に無茶をしてはいけない……」ハァハァ

グール「アー」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:52:45.68 ID:Yeduoqw40
女騎士「ふぅ……底なしの体力につきあわせおって……」

女騎士「疲れた……今日はもう寝よう」

ガチャ

グール「アー……」ヌッ

女騎士「うおおおおおお!?」

グール「アー?」

女騎士「う、薄明かりの場所に現れるんじゃない! 心臓に悪いわ!」

グール「アー」ペコペコ

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 12:55:12.48 ID:Yeduoqw40
女騎士「ど、どうした。何の用だ」

グール「アー……」

女騎士「夜トイレ行くの怖いって……わたしは教育係であって貴様のかーちゃんではない! 一人で行け!」

グール「アー……」スゴスゴ

女騎士「まったく……」

グール「アー」ヌッ

女騎士「ぬわっ! 今度はなんだ!」

グール「オヤ……スミ……」

女騎士「え……あ、ああ。おやすみ……」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 14:04:56.50 ID:Yeduoqw40
アー…

女騎士「……ん……」ムニャ

アー…

女騎士「……ふあ……何……」

グール「アァー」

女騎士「うわあああああああ!?」

グール「アー!?」

女騎士「近い! 顔近い!」

グール「アー……」

女騎士「ふー……どうした? まだ起床時間ではないぞ」

グール「アー」

女騎士「団長が? わかった、すぐに行こう」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 14:15:04.56 ID:Yeduoqw40
女騎士「盗賊団……?」

団長「ああ、近頃被害が続出している。ついては我々で街と街道の警護に当たることになった。
 今日はおまえとグールが任に就け」

女騎士「あのグールは入団したばかりだぞ。命の危険がある仕事に就かせるのは……」

団長「……」

女騎士「……いや、既に死んでいるようなものだが、それでも荷が重いのは確かだ」

団長「仕方ないんだよ。他は誰も手が空いてないんだ。何かあればすぐに駆けつけるから……」



女騎士「何かあってからでは遅いだろう。まったく……」ブツブツ

グール「アー?」

女騎士「なんでもない。外出の用意をしておけ」

グール「アー」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 14:23:20.55 ID:Yeduoqw40
町長「わざわざご足労いただいてすみません」

女騎士「いえ、これも騎士の仕事ですので」

町長「……ところで、そちらの方は……」

グール「アー」

女騎士「我が騎士団所属のグールです」

町長「グ、グールですか」

女騎士「人は襲いませんのでご安心を」

グール「アー」

町長「な、なんでしょうか」

女騎士「『よろしく』と申しております」

町長「は、はは……ユニークな方ですね……」

グール「アー」テレテレ

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 14:40:57.14 ID:Yeduoqw40
女騎士「……」

グール「アー」キョロキョロ

ざわざわ ひそひそ

女騎士「巡回では異常を見落とさないよう気をつけるのと同時に、市井の人に不安を与えないようにしなくてはならない」

グール「アー?」

女騎士「あまり気を張り詰めるなということだ。表情ももっと柔らかくしろ」

グール「アー」ニコォ

ひぃっ ざわざわ…

女騎士「むむむ……」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 14:48:21.72 ID:Yeduoqw40
こつん

グール「ア?」

女騎士「む?」

子ども1「街から出てけー! 化け物ー!」 ブンッ

子ども2「正義の投石をくらえー!」 ブンッ

こん こん

グール「アー……アー……」

女騎士「こぉら悪童どもっ! 街を守ろうという者に何をするか!」

子ども1「おばさんが怒ったー!」

子ども2「逃げろー!」

女騎士「誰がおばさんだっ! ……ったく……」

グール「アー……」シュン

女騎士「そう落ち込むな。子どもは色々とストレートなんだ」

グール「アー」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 14:58:54.84 ID:Yeduoqw40
女騎士「異常なし。交代の者が来たら報告して終わりだ」

グール「アー!」

女騎士「どうした? ……あれは……!」


盗賊団「ヒャッハー!」


女騎士「件の盗賊か!」

グール「アー? アー?」オロオロ

女騎士「落ち着け! おまえは騎士団へ伝令。急げ」

グール「アー?」

女騎士「わたしはここでやつらの相手だ」

グール「アー」

女騎士「あの人数ならしばらくはなんとかできる。だからおまえは急いで騎士団を、と言ってるんだ」

グール「アー……」

女騎士「行ったか……よし」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 15:12:38.92 ID:Yeduoqw40
盗賊「うりゃぁ!」 ブンッ

女騎士「むんっ!」 ギンッ

女騎士「はぁっ!」 ズバッ

盗賊1「ぐぎゃっ!」

盗賊2「頭! こいつかなり使うぜ! どうする!?」

頭「慌てんじゃねえ。数人で一斉に斬りかかれ!」

盗賊3「ふへへ」

盗賊4「ぐひひ」

女騎士「卑怯な……」

頭「やれ!」

女騎士「くっ……くそっ」 ギンッ ギギンッ

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 15:14:49.97 ID:Yeduoqw40
盗賊5「すきありぃ!」

女騎士「しまっ……」

ズバッ

グール「アー……」ヨロッ

女騎士「おまえ……!」

盗賊5「な、なんだこいつ」

女騎士「おのれっ!」 ズバッ

盗賊5「ぎゃっ」

ドドドドド…

盗賊6「か、頭! 騎士団だ!」

頭「くそっ、ずらかるぞてめえら!」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 15:20:14.62 ID:Yeduoqw40
団長「無事かっ!?」

女騎士「わたしは……おいっ、生きてるか!?」

グール「アー……」

女騎士「見た目では重傷かどうかまるでわからん! 痛むのか? 治療は必要か?」

グール「アー……」

女騎士「そうか……よかった……」

団長「二人ともよくやった。討伐は他の者に任せて、ゆっくり休んでくれ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 15:33:01.99 ID:Yeduoqw40
女騎士「何故あんな真似を……」

グール「アー」

女騎士「わたしを庇うなど十年早い! そういうのは自分の身も守れるほど熟練してからするものだ!」

グール「アー……」

女騎士「……まぁ、危なかったのは確かだし、一応礼は言っておく……」

グール「アー」

女騎士「今日はもう休め。雑用は気にしなくていい」

グール「アー」

女騎士「そうだ、後で秘伝の回復料理を作って食べさせてやるよ」

グール「アー!?」

女騎士「なんだ? 遠慮するな。怪我人は素直に甘えるものだ」

グール「アー……」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 16:13:36.76 ID:Yeduoqw40



グール「アー!」

女騎士「もう全快したのか。やはりわたしの料理が効いたんだな」

グール「……」



町長「先日は本当にありがとうございました。これは町の者があなた方へ、と」

グール「アー……」

女騎士「……そうか、人から礼を受け取るのは初めてか」



グール「アー」 ビュッ

女騎士「うっ」 ビタッ

グール「アー。アー」ワーイ

女騎士「……やっと一本取れたとていい気になるなよ。今のは油断だ。次から本気だ……」ゴゴゴゴゴ

グール「アー……」ガクガクブルブル

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 16:24:34.48 ID:Yeduoqw40
グール「アー」 ジャブジャブ

団員「洗濯ごくろうさん。今日の飯当番おまえか?」

グール「アー……」

女騎士「今日の当番はわたしだが」

団員「そうか。……そうか……」

女騎士「?」

団員「なぁ、こっそり味調えといてくれよ」ヒソヒソ

グール「アー」ヒソヒソ

女騎士「何をこそこそしている!」


団長「急場しのぎのつもりだったんだが、馴染んでしまったなぁ……」

団長「ま、いいか」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 16:39:35.94 ID:Yeduoqw40
グール「アー」

女騎士「ん……そうだな、最近暇だな」

グール「アー」

女騎士「しかし騎士が暇ということは、それだけ平和だということだ。喜ぶべきことだな」

グール「アー」

女騎士「だが平和に慣れて勘を鈍らせてはいけない。よし、一つ稽古を……ん?」

わいわいがやがや

女騎士「騒がしいな……なんだ?」

グール「アー?」


女騎士「山火事?」

団員「今季はかなり乾燥していたからな。かなりの規模になりそうだ」

女騎士「いつも通り、治まるまで待てばいいだけの話ではないのか? 何故こうも騒いで……」

団員「それが……町の子どもが山に入って戻ってこないらしい」

女騎士「なんだと?」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 16:43:41.74 ID:Yeduoqw40
グール「アー?」

女騎士「仕事だ。子どもが入った山で火事が起きている。町民と協力して捜索にあたる」

グール「アー」

女騎士「? いやいや、おまえは留守番だ」

グール「アー?」

女騎士「アンデッドは火に弱いだろうが。切られても平気だろうと、火に巻かれては本当に死んでしまう」

グール「アー……」

女騎士「おとなしく待っていろ。いいな?」

グール「アー」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 16:52:47.82 ID:Yeduoqw40
グール「……」ソワソワ

グール「アー?」

団長「落ち着け。大丈夫だ。やつもひよっこではない。自分の能力以上の無茶はしないさ」

グール「アー……」

団員「伝令!」

団長「どうした」


グール「……」

団長「姿が確認できないだと……? 追加の人員を……」

グール「アー」ダッ

団長「!? おいっ」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:01:20.11 ID:Yeduoqw40
メラメラ… パチパチ…

子ども1「熱いよぉ! 痛いよぉ……」

女騎士「めそめそするんじゃない! 男だろう!」

子ども1「うう……」

女騎士「いい子だ」

女騎士(しかし倒れた木に器用に挟まれたものだな。体が下敷きにならなかっただけ運がいいか)

女騎士「くっ……」 グッ

女騎士「……わたしの力では動かせんな。人を連れてすぐに戻ってくる。それまで待っていろ」

子ども1「やだぁ! 怖いよ!」

女騎士(一人残すのは危険すぎるが……しかし他にどうすることも……)

アー

女騎士「む?」

グール「アー」

女騎士「な……」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:06:10.18 ID:Yeduoqw40
グール「アー」

女騎士「ばかっ」 ぽかっ

グール「アー」

女騎士「助けに来たじゃないだろう! 言いつけを忘れたのか!」

グール「アー……」

女騎士「……だが実際助かった。約束を破った咎は今ので終わりにしてやる。手伝ってくれ」

グール「アー」


グググ… ズズン…

子ども1「うわぁぁぁん」

女騎士「よしよし、もう大丈夫だ」

グール「アー」

女騎士「ああ、急いで出よう」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:17:32.06 ID:Yeduoqw40
子ども1「母ちゃぁぁぁん」

母親1「このばか、心配かけて……!」 ギュッ

女騎士「ふぅ……危なかったな。いよいよ火の勢いも頂点に達するようだし……」

グール「アー」

母親2「あのっ」

女騎士「はい?」

母親2「うちの子……見かけませんでした? さっきからっ、どこにも……」

女騎士「え……」

ゴオオオオオオオ…

女騎士「まさか……」

グール「……アァァァァァァァ!」ダッ

女騎士「ま、待て! 今からでは……くそっ」ダッ

町民「だ、だめです! この火の中入ったりしたら死んじまいますよ!」 ガシッ

女騎士「放してくれ! 放せっ!」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:25:11.40 ID:Yeduoqw40
グール「アァー!? アァー!」キョロキョロ

グール「アー……」

うわーん

グール「ア?」


子ども2「うわぁぁぁぁぁぁぁん」

グール「アー」ホッ

子ども2「うわっ! 化け物!」

グール「アー」 ヒョイ

子ども2「やめろ! 下ろせ! 下ろせぇ!」


グール「……」テクテク

子ども2「友だちが……山の中にいるって聞いたから……おれが助けようと思って……」グスッ

子ども2「でもおれが迷子になっちゃって……うう、母ちゃん……」

グール「アー……」 ぽんぽん

子ども2「……」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:33:29.36 ID:Yeduoqw40
子ども2「あ、あそこ! 出口……!」

グール「アー」

バチバチ…メキッ

グール「ア?」

メキメキメキメキ…

子ども2「う、うわっ、木っ、こっちに倒れ……」

グール「アー!」 ブンッ

子ども2「うわあああああああ」

ズズーン…

子ども2「いてて……あっ、おい化け物! 大丈夫かよ!?」

グール「アー」

子ども2「こっち来れるか!?」

グール「アー……」

子ども2「お、大人呼んでくる! それまでがんばれよ!」

グール「アー」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:40:15.22 ID:Yeduoqw40
グール「アー……」

ゴオオオオオオ…

グール「アー、アツッ、アツッ!」

グール「……アー」テクテク


グール「アー……」

ゴオオオ…

グール(イキドマリ……)


ゴオオオ…

グール(コッチモ……ドッチモ……)

グール「アー……」ペタン

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:44:24.69 ID:Yeduoqw40
女騎士「こっちかっ!?」

子ども2「うん! 早く……」

子ども2「あ……」

ゴオオオオオオオ…

女騎士「……」

子ども2(こんなの、入れるわけ……)

ゴオオオオオオオ…


グール「アー」

ゴオオオオオオオ…

バキバキ… メキメキ…

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 17:59:42.23 ID:Yeduoqw40
団長「……子どもは軽い怪我をしてるが無事……そうか」

団長「火が治まったら再び捜索隊を組むぞ」

団長「……町民から志願者が? そうか、ありがたいな」

団長「……」



女騎士「……」

団員「おう、おつかれ」

女騎士「……」

団員(今日も何も見つからなかったのか……。もう何日も探し続けて……)

団員「……あまり自分を責めてやるなよ」

女騎士「ああ……すまない」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 18:16:24.12 ID:Yeduoqw40
団長「捜索を打ち切る……?」

女騎士「ああ。いつまでもかかずらっているわけにもいくまい。みんなよく探してくれた。これ以上はもう無意味だ」

団長「そうか……そうだな」



女騎士「立派な墓を作ってもらえてよかったな」

女騎士「……」

女騎士「悪たれ小僧どもが毎日聞きにくるんだよ。おまえが見つかったかって」

女騎士「団員たちの士気が下がった。おまえの飯が食いたいんだそうだ」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 18:18:43.50 ID:Yeduoqw40
女騎士「……」

女騎士「次は美男として生まれてこいよ。グールじゃ、かっこつけても様にならんだろう」

女騎士「まぁ、グールのまま戻ってきてくれても……別に……それはそれで……」

女騎士「……うぅ……」

女騎士「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……」

女騎士「うぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

グール「ア、アー……」

女騎士「うぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

グール「アー……」 スッ

女騎士「あ……ハンカチ、ありがと……」

ブビィィィィィィィィッ

女騎士「ふぅ……」

女騎士「うわあああああああ!?」

グール「アー!?」ビクッ

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 18:29:06.12 ID:Yeduoqw40
女騎士「な、なんで? どうして……」

グール「アー」

女騎士「深く穴を掘って土の中に埋まってた!? 窒息は……あ、酸素いらないのか……」

グール「アー」

女騎士「で、でも何日も探したのに! 火が治まって大分経つのになんでずっと埋まってたんだ!」

グール「アー……」

女騎士「久しぶりの土の中が心地よくて、ずっと寝てた……?」

グール「アー……」

女騎士「ごめんなさい……じゃないだろぉ! どれだけ心配したと思ってるんだ!」

グール「アー……」

女騎士「……ごめんなさいはもういいよ。他に言うことがあるだろう」

グール「アー? ……ア」

グール「タダイマ」

女騎士「おかえりっ」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/04(金) 18:36:48.46 ID:Yeduoqw40
女騎士「……」

グール「アー?」

女騎士「……墓、どうしよう。こんなに立派な物作ってもらっておいて、取っ払ってしまうのは……」

グール「アー」

女騎士「え? 寝床にする……あ、そう……」

グール「アー」

女騎士「ごきげんだな……ああ、そうだ。今日はわたしが飯の当番だった」

グール「ア、アー!?」

女騎士「ちょうどいい。英雄の帰還祝いに、腕によりをかけてやるよ」

グール「アー……」

女騎士「もう一日寝てればよかった……どういう意味だ?」

グール「アー」



おわり