1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 09:54:31.64 ID:BJc2OHCT0
ホロ「のう、ぬしよ…」



「どうして……      どうしてこうなってしまったのかや…」





 ~約一年前~



ホロ「ふふっ、見よ、かわいい寝顔じゃ」

赤ん坊「すーすー」

ロレンス「ああ、そうだな、お前に似てかわいい寝顔だ」

ホロ「くふっ、わっちに似てかわいいなんて…照れてしまいんす」パタパタ

ロレンス「///」


ホロ「こうして、ぬしと子と三人で暮らせるように成るとは、わっちは思わんかった…」

引用元: ホロ「のう、ぬしよ…」 


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 10:00:27.63 ID:BJc2OHCT0
ロレンス「そうだな、まさか子にまで恵まれるなんてな…」

ホロ「早く、この子に名前を付けてやらねば」

ロレンス「そうだな、なんと名づけるか悩むな…」

ホロ「…」

ホロ「よもや、ぬしと、こんな会話が出来るような日が来るとはのう…」

ロレンス「ホロ…」

ホロ「わっちは幸せ者じゃな」

ロレンス「俺もさ、ホロと、それに子供まで一緒に居られる、こんなに幸せなことは無い」

ホロ「///」パタパタ


ホロ「のう、ぬし、ロレンスよ…」

ロレンス「ん?」

ホロ「この子も、よく眠っておるようじゃし…」


ホロ「今夜は久し振りに、わっちを愛してくりゃれ?///」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 10:25:06.74 ID:BJc2OHCT0
ロレンス「ふあぁぁぁ…」

ホロ「お目覚めかや?」

ロレンス「ああ、ホロ…おはよう…」

ホロ「ふふっ、昨夜は大層激しかったでありんす」パタパタ

ロレンス「///」

ホロ「まだ、ぬしのが溢れてきておる…///」

ロレンス「す、すまない… 久し振りだったからつい…」

ホロ「この、たわけ…謝るでない」


ホロ「あんなに…



     あんなに激しく愛してもらって嫌な雌は居りんせん///」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 10:32:02.00 ID:BJc2OHCT0
~街中~


ホロ「相変わらず、この町は賑やかじゃな」

ロレンス「そうだな、概ね治安も良いと言うし、やっぱりココに家を借りて正解だったな」

ホロ「わっちは、ぬしと子と三人で、また旅がしたいんじゃが…」

ロレンス「もう少し赤ん坊が落ち着いたらな」

ホロ「まあ、それまでは我慢する… 我慢するから」


ホロ「リンゴ! 買ってくりゃれ?」ニコニコ


ロレンス「お前な~ 今日はこの子の為の買出しなんだが…」

ホロ「グスン… やっぱり、ぬしは、もう子供の方しか愛しておらんのかや…」

ロレンス「…」

ホロ「わっちの事は、もうどうでもよいのじゃな…」

ロレンス「もう、騙されないぞ」スタスタ…

ホロ「うわーん!! 買って!買って!! リンゴ買ってくりゃれー!!!」ジタバタ!

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 10:38:38.98 ID:BJc2OHCT0
ロレンス「は~ しょうがない、一個だけだぞ…」

ホロ「三個は欲しい!」ピンッ

ホロ「わっちと、ぬしと、赤ん坊の分じゃ!」

ロレンス「…」

ロレンス「わかったよ、三個な…」(赤ん坊にリンゴは、まだ無理なんだがな…)

ホロ「うむ!」


ロレンス「それじゃあ、買ってくるから、お前は先に荷物を持って家に帰っていてくれ」

ホロ「なんでじゃ? わっちも一緒に…」

ロレンス「俺と、この子が帰ってきた時、家の中が暖かい方が良いだろう?」

ホロ「む~ ならば、わっちと、この子が一緒に帰っておれば良いではないかや?」

ロレンス「今日一日お前が赤ん坊を抱いていただろう?」

ホロ「うむ」

ロレンス「俺も赤ん坊を抱いて町を歩きたい!」

ホロ「う~む… そういう事なら仕方ありんせん…」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 10:44:26.90 ID:BJc2OHCT0
ホロ「じゃあ、わっちは先に戻っておるからの」

ロレンス「ああ、なるべく早く帰るよ」ニコニコ

ホロ「嬉しそうな顔をしよって… 」

ロレンス「…… ホロ」

ホロ「なんじゃ?」


 チュッ


ロレンス「愛してるよ、ホロ」

ホロ「ぬ、ぬし!こんな往来で…///」


    オーオー オアツイネゴリョウニン!

      オシアワセニ!



ロレンス「ご機嫌は直りましたか? お姫様」ニコッ

ホロ「反則じゃぞ… ロレンス…」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 10:53:57.22 ID:BJc2OHCT0
ホロ「わっちも…  愛しておる///」

ロレンス「そうか、嬉しいよ」ニコニコ

ホロ「ぬしは随分と大胆に成ったの…」

ロレンス「普段から鍛えられてるからな」

ホロ「ふん!」




ホロ「…早く帰ってきてくりゃれ?」

ロレンス「ああ、じゃあ行って来るよ、ホロ」




ホロ「まったく、あやつは…」

ホロ「さて、わっちは先に帰って夕食の準備でもしておくとするかの」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:00:19.50 ID:BJc2OHCT0
 ~路地裏~


ロレンス「さて、リンゴも買ったし、早く帰るか」

ロレンス「それにしても、この子は本当に寝つきが良いな」

赤ん坊「すーすー」

ロレンス「手が掛からなくて良い反面、なんか寂しい気もするが…」

赤ん坊「すーすー」

ロレンス「こんなに大人しい子なら、思ったより早くに旅が再開出来るかもな…」

ロレンス「まあ、今は早く帰ることにしよう」


ロレンス「確か、この路地裏を通れば早く帰れる筈だしな」


「おい、そこの子連れの兄ちゃん…」


ロレンス「ん?」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:07:10.99 ID:BJc2OHCT0
 ~ロレンス達が住んでいる家~


ホロ「さて、夕食の用意は万全じゃ!」

「あとはここにリンゴが加わり… ふふっ、楽しみでありんす」パタパタ

「そろそろ、ロレンス達が帰ってくる頃かや?」


 ~1時間後~

「遅い… ロレンスは何をしておるんじゃ?」

「まあ、おおかた何処かで良い商売の種を見つけて時間を忘れて考えておるのじゃろう…」

「まったく、妻をこんなに待たせるとはとんだ不届き者じゃの…」

「帰ってきたら、小言の一つも言ってやらねば」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:14:12.72 ID:BJc2OHCT0
 ~2時間後~


「遅い!遅すぎじゃ!!」


「スープがすっかり冷めてしもうた…」

「せっかくの自信作じゃったのに…」


「覚悟せよ、 ロレンス…」


 ~翌朝~

  チュン  チュン

「z… ん?もう朝かや…」

「いつの間にか寝てしまったのう…」ポケー

「はっ! ロレンス達は!!」ガバッ!




「まだ帰ってないかや…」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:20:10.81 ID:BJc2OHCT0
「幾らなんでも、おかしい」

「二人に何かあったんじゃろうか…」

「いや、こんな時に悪い事ばかり考えていては良くありんせん」

「わっちゃあ、賢狼ホロじゃ、小娘のようにアタフタしていてもしょうがない!」



「とりあえず、行き違いになったら困るから書置きをして… と」

「町へ行ってみよう…」


 ~街中~


「一応、届けは出しておいたが…」

「とにかく、まずは昨日、ロレンス達と別れた所から二人の匂いを追ってみるとするかの」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:27:48.67 ID:BJc2OHCT0
「ココじゃな、匂いは…」

「うん、これくらい残っておれば十分に追える!」



「うん?この路地裏に匂いが通じておる…」

「ロレンスの事じゃ、きっと早く帰る為にココを通ったのじゃろう」

「じゃが、ココはどうにもキナ臭いのう…」



「この場所でロレンス達と他に数名の匂いが入り混じっておる…」

「しかも、これは薬品の匂い…」


「急いで追わねば!」ダッ!







「川…」

「ココから船で何処かに…」ギリッ!

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:33:14.57 ID:BJc2OHCT0
「あと、わっちに出来るのは聞き込みをしながら二人を探すという事くらいじゃ…」



「のう、そこのぬし様、ちょっと尋ねたい事があるんじゃが…」
 

~夕方~


(結局、手掛かりになる様な話は無かった…)トボトボ…

(あの後、一応、川の対岸にも行ってみたが匂いは無いし…)

「可能性は低いが家に帰ってみるか…」




   ガチャッ!

「ロレンス帰って居るかや!」


   


 「じゃろうな…」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:40:53.84 ID:BJc2OHCT0
(あの場所で人攫いはこれまで起きた事が無いと、人々は言っておった)

(相当、用心深い連中のようじゃから、同じ場所では二度と仕事はしないじゃろう…)

(手掛かりが無い…)




「あの時、わっちが無理にでも付いていって居れば…」

「いや…」

「あの時、わっちが、あんな我が儘を言わなければ…」ジワ…

「ロレンス… 」ポロ…

「わっちの赤ちゃん… 」ポロ… ポロ…



「二人とも無事で帰ってきてくりゃれ… 」ポロポロ…

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:48:03.42 ID:BJc2OHCT0

 ~三日後の夜、ロレンス達が住んでいる家~



ホロ「今日も手掛かり無しじゃった…」

ホロ「これ程、あちこち探しているのに…」ジワ…

ホロ「はっ!いかん、いかん!」ゴシゴシ

ホロ「ここで、わっちが泣いたところでロレンス達は帰ってくる訳じゃありんせん」

ホロ「泣いている暇があったら少しでも行動せねば…」


     コンコン!


ホロ「!」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 11:55:02.51 ID:BJc2OHCT0
ホロ「…」(三人かや… ロレンス達の匂いではない…)

ホロ(こんなに近くまで来て、しかもドアをノックされるまで気が付かなかったとはのう…)

ホロ(賢狼ホロも落ちたものじゃな…)


ホロ「いま開ける…」


  ガチャ


「こんな夜遅くに申し訳ありません… ホロさんでしょうか?」

ホロ「いかにも、ホロは、わっちじゃが…」

「確認して頂きたいコトがあるのですが、今からよろしいでしょうか?」

ホロ「確認… じゃと?」


「はい、あるコトを…」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 12:01:46.80 ID:BJc2OHCT0
ホロ「のう、ぬし様よ、ここまでの道中、一言も喋らぬが、わっちに何を確認せよと言うのかや?」

「…」

ホロ「女性に対して無言とは少し愛想が無さ過ぎじゃないかや…」

「……着けば解ります」

ホロ「…」(どうして、こうも嫌な想像ばかりしてしまうんじゃ…)

ホロ(それに…)

ホロ(こやつらからはアノ嫌な臭いがしてきんす…)

ホロ(そう)


ホロ(死臭が…)




「着きました」

ホロ「…」

「どうぞ、こちらです」

ホロ(なんじゃ、この死臭を放つ建物は…)

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 12:07:26.74 ID:BJc2OHCT0
「こちらの部屋に、お入り下さい」

ホロ「うむ…」(取り分け臭いのきつい部屋じゃ…)

「ブランデー等は、お飲みですか?」

ホロ「いや、要らぬ…」(なぜじゃ…なぜソコの布が被せてある台から…)

「では、ホロさんにお越し頂いた用件の方に移らせて頂きます」

ホロ「ああ…」(なぜ、わっちとロレンスの赤ちゃんの匂いがするんじゃ!)


「この遺体を確認して頂きたい」


   バサッ…

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 12:14:08.50 ID:BJc2OHCT0
ホロ「う……くく、う……うぁぁぁ…!」 ボロ… ボロ…

「落ち着かれましたか?」

ホロ「ぬしには…… うぅ… 落ち着いているように……… うぐ……見えるかや…?」

「心中お察します」

「では、先ほど確認して頂いた遺体はホロさんのお子様で間違いありませんね?」

ホロ「…うぐ……ひっく……」コクッ…

「そうですか、わかりました」


ホロ(もう… もうイヤじゃ…)


「では、続いてもう一つ確認して頂きたいコトが有るのですが」

ホロ「ひっ!」


「…お疲れのようですし、また後日になさいますか?」

 

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 12:48:04.86 ID:BJc2OHCT0
ホロ「…グスッ…」(イヤじゃ!こんな所、一分一秒と居たくありんせん!)

ホロ(でも……  ココで帰ってしまっては、わっちは二度とココには来れんじゃろう…)

ホロ(もう二度と後悔したくない…)


ホロ「わかった」

ホロ「連れて行ってくりゃれ…」




「こちらです」

ホロ(ロレンスの匂いじゃ!)

ホロ(あの嫌な臭いもない!)


ホロ「ロレンス!」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 12:54:27.80 ID:BJc2OHCT0
  ガチャ!


ホロ「ロレンス!、無事で、無事でよかっ…」


ロレンス「…」


ホロ「ロレンス?」

「残念ですが、クラフト・ロレンスさんは薬物の実験台にされていたようです」

ホロ「う…うそじゃ…… そんな…」ポロ…

「発見された時は、もうこの状態で、手の施しようがありませんでした」

ホロ「う…… うぁぁ……  」ポロポロ…




ホロ「うああああぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!!!!!!」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:02:49.73 ID:BJc2OHCT0
 ~数週間後、街中~



「ねえ、聞きました?」

「ええ… あの山向こうの家に住んでいたご家族、旦那さんとお子さんが連れ去られて…」

「お子さんは遺体で、旦那さんは薬漬けの廃人状態で見つかったらしいわね」

「お子さんはまだ生まれて間もないのに…」

「とても幸せそうで、この町でも評判の、ご家族だったのに…」


「でも、奥さんも立派な方よね、旦那さんを家で甲斐甲斐しく面倒見てて…」

「あんなにつらい事が遭った後でも、すごく明るく振舞っていて…」


ホロ「みんなして、何の話かや?」ヒョコッ!


「!」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:08:18.76 ID:BJc2OHCT0
「ほ、ホロさん…」

ホロ「よいよい、みんなが、わっちに気を使ってくれとるのは痛いほど分りんす」

「…」

ホロ「確かに、悲しくないと言えば嘘になる…」

ホロ「じゃが、ロレンスは、わっちのツレはまだ生きておるんじゃ」

ホロ「それなのに、まるで何もかも失ってしまったように振舞っていたら」

ホロ「せっかく、帰ってきたツレに申し訳が立ちんせん」

「…」

ホロ「笑って暮らしておればこそ、良い事も有るというものでありんす」ニコッ


「ホロさん、何か私達に出来る事があったら言って下さいね」

「余り、一人で抱え込まないようにね?」


ホロ「ありがとう…」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:14:13.83 ID:BJc2OHCT0
   ガチャ…


ホロ「ただいま、ロレンス」

ロレンス「…」

ホロ「今日は町で奥様方と話したが…」

ホロ「みんな良い人ばかりじゃった」パタパタ

ロレンス「…」

ホロ「あんな事があって係わりたくないであろう、わっちに心から優しい言葉をかけてくれた…」

ホロ「わっち等は幸せ者じゃな」ニコッ

ロレンス「…」



ホロ「じゃが…        やっぱり寂しいものじゃの…… ロレンス…」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:21:54.53 ID:BJc2OHCT0
 ~夕食~


ホロ「さあ、ロレンス、夕食の準備が出来たぞ」

ホロ「今日のメニューは、あの日、ロレンスに食べて貰う筈だったスープじゃ!」

ホロ「ふふっ、なかなかの出来じゃぞ…」

ホロ「あの時作ったモノに、勝るとも劣らぬと自負しておりんす」

ロレンス「…」



ホロ「いま、食べさせてやるからの」

ホロ「熱くない様に…」フーフー

ホロ「ほら、ロレンス、あーん、してくりゃれ?」

ロレンス「…」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:28:00.88 ID:BJc2OHCT0
ロレンス「…」パク ゴクン…

ホロ「どうかや?」

ロレンス「…」

ホロ「そうか!美味いかや!」パタパタ

ロレンス「…」

ホロ「そうじゃろう、そうじゃろう、なんたって、わっちの自信作なんじゃからな!」パタパタ

ロレンス「…」

ホロ「不味い筈がありんせん…」パタ… パタ…

ロレンス「…」

ホロ「…」パタ…


ホロ「…… のう、ロレンス… 感想でも、なんでも良い…… 」



ホロ「なにか、言ってくりゃれ…」ジワ…

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:35:23.83 ID:BJc2OHCT0
 ~就寝~


ホロ「これでよし」

ホロ「体も拭いて綺麗になったし」

ホロ「寝巻きも着せた」

ホロ「じゃあ寝るかや、ロレンス」

ロレンス「…」



ホロ「まったく、わっちのような綺麗処にあれこれ身の回りの世話をしてもらえて…」

ホロ「これが他の雄なら嬉しさの余り、とっくに天に召されておる所じゃ」

ロレンス「…」

ホロ「もっとも、わっちは、ぬし以外の雄にこんな事はせんがな」パタパタ

ロレンス「…」

ホロ「おやすみ… ロレンス」


   チュッ…

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:41:41.41 ID:BJc2OHCT0
 ~1時間後~



  ゴソゴソ…

ホロ「起きておるかや?ロレンス…」


ホロ「わっちは今夜も寂しいんじゃ…」


ホロ「だからギュッてして良いかや?」



    ギュッ…

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 13:47:12.61 ID:BJc2OHCT0
 ~2時間後~


ホロ「ロレンス…」

   ゴソゴソ… 

ホロ「すまぬ… わっちゃあ、やはりこれだけでは満足できんせん…」


ホロ「寂しいんじゃ……… じゃから…」


ホロ「わっちを…慰めてくりゃれ…」






143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:07:07.59 ID:BJc2OHCT0
ホロ「もう一度だけでよい… 」ポロ… ポロ…







ホロ「わっちの名前………    呼んでくりゃれ…」ポロポロ…

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:13:14.87 ID:BJc2OHCT0
 ~数週間後~


ホロ「ロレンス… おはよう…」

ロレンス「…」

ホロ「くふっ…」

ホロ「ロレンス、わっちは、あの日から今日まで泣かぬ夜は無い…」

ホロ「泣いて、泣いて、泣き続けたが…」

ホロ「ぬしは一言も声を聞かせてくれん…」


ホロ「じゃが、それは当然じゃ…… 」


ホロ「ロレンスよ、ぬしは……」


ホロ「ぬしがこうなった原因を作った…」



ホロ「わっちが憎いんじゃろう?」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:21:03.53 ID:BJc2OHCT0
ホロ「それは、そうじゃろう、わっちがあの時あんな我が儘を言わなければ…」

ホロ「ぬしを… そして、ぬしと、わっちの子供は、こんな事には成らずに済んだじゃろう…」

ホロ「弁解はせん、これからは、もう絶対に我が儘も言ったりしないと誓う…」


ホロ「じゃから… お願いじゃ…… 」


ホロ「わっちを見て… 」


ホロ「また、笑って…くれんかや…」


ホロ「また、前のように……」


ホロ「わっちを…」



ホロ「愛してくりゃれ…」




ロレンス「…」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:27:08.72 ID:BJc2OHCT0
「くふっ… あはは…」

「あはははは…!!」


「わっちゃあ、もう耐えられそうに無い…」

「子供を失って、あまつさえロレンスにも嫌われてしもうた…」

「これ以上、生きているのは最早、苦痛でしかない」

「もう死ぬしか…」



「ウッ!!!」




 ~洗面所~


   ジャー!


「ゲホッ!ゲホッ!」

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:33:07.92 ID:BJc2OHCT0
「なんじゃ… これから死のうかという時に…」(はて?)

「吐き気を催すとは…… 」(この感じ… 確か前にも1度…… )




「はっ!?」


「まさか…」パタパタ

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:39:24.46 ID:BJc2OHCT0
 ~十ヵ月後~


「ほれ、ロレンス見えるかや?」


「わっちのお腹… こんなに大きくなったぞ」


「おおっ!また、お腹を蹴った」


「ふふ、ぬしに似て元気な男の子じゃな」パタパタ


「ん?、なぜ産まれる前の赤ん坊の性別が判るか、じゃと?」


「わっちは賢狼ホロじゃ、そのわっちの感が告げておる」


「この子は絶対、ぬしに似た男の子じゃとな」

165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 14:45:35.87 ID:BJc2OHCT0
「のう、ロレンスよ… 」


「前に授かった赤ん坊は結局、名前を付ける前に…」


「じゃから、今度は産まれる前に、この子の名前を決めておこうと思う…」


「安心してくりゃれ、変な名前じゃありんせん」


「わっちが、この世で最も愛しておった男の名前…」




「ロレンスと名づけたいんじゃ」

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:00:54.70 ID:BJc2OHCT0
「ぬしよ… あれから少しして、ぬしは、わっちを置いて先に逝ってしまったが…」


「代わりに、わっちにこの子を授けてくれた」


「ありがとう、ロレンス」


「わっちはもう泣きんせん」


「ぬしが逝った事が、わっちに降りかかった最後の不幸じゃ」


「これからは笑って暮らせるような、楽しい毎日に違いありんせん」


「わっちはこの子と二人で」



「ぬしの分まで精一杯、生きる」

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:06:59.20 ID:BJc2OHCT0
 ~数日後~


「う~む、どうやら今日、産まれそうじゃの」


「もう少し先と思っておったが…」


「ロレンスと同じで、わっちを困らせてくれる…」



「じゃが、もうすぐ、ぬしに会えるのは楽しみじゃ」パタパタ



「事前に準備は出来ておる」


「さすがに医者や産婆を呼ぶ事は出来んが…」


「なーに、狼はいつも一匹で出産するんじゃ」


「ならば、わっちにも出来て当然じゃ!」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:13:58.92 ID:BJc2OHCT0
 ~5時間後~


「ふう… 」


「なかなか強情じゃの…」


「さすがはロレンスじゃな…」



 ~さらに3時間後~


「さ、さすがにキツイのう…」


「前の時はロレンスが傍にいて擦ったりしてくれたんじゃが…」


「おっと!泣き言を言っても、なんにもなりんせん」


「二人のロレンスに笑われてしまいんす」

177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:20:29.32 ID:BJc2OHCT0
 ~3時間後~


「ハァハァ・・・」


「もう…… 少し…」


  ズルッ… バシャッ!!


「う、生まれた…」


「やった…無事に生まれたぞ…」ポロ…


「…… ありがとう、ロレンス」ポロ… ポロ…




「さあ、ロレンス… わっちが、ぬしの母親じゃ」


「わっちに顔を見せてくりゃれ?」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:27:14.18 ID:BJc2OHCT0
「ふふっ…かわいい顔じゃ」パタパタ


「これが20数年であのロレンスのように成るんじゃから…」


「まったく… 生命の神秘じゃな」


「おっと、へその緒を切らねば…」




「ふう…これで一件落着じゃな」


「へその緒を切って止血したし」


「わっちの方は…… まあ、アレだけ頑張ったんじゃ、疲れるのも当たり前じゃな…」


「取り敢えず、他に忘れている事はないと思うが…」


「なにか、引っ掛かるような……」

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:33:54.35 ID:BJc2OHCT0
「…それにしても」


「ロレンスは本当に、かわいいのう」パタパタ


「くふっ、もう一人のロレンスも生まれた時はこんなに、かわいかったのかや?」パタパタ


「ちょっと位なら抱きしめても良いじゃろうな」うずうず…


「ロレンス…」キュー…


「ああ…ぬしは柔らかいのう」パタパタ!

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:39:04.17 ID:BJc2OHCT0
「赤子にしては少し体温が低い気もするが…」パタパタ…


「よく寝ておるようじゃし、大丈夫じゃろう」パタパタ…


「しかしロレンスの寝息は驚くほど小さいようじゃの」パタ…パタ…



「わっちの耳でも聞きとれんとは…」パタ…




「そういえば……」








「ぬしは、産まれた時に泣いたかや?」

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:47:17.34 ID:BJc2OHCT0
ホロ「のう、ロレンス?ちょっと泣いてみてくりゃれ?」

「」

ホロ「ロレンス?」

「」

ホロ「は… ははは、親子揃って、わっちを脅かすとは…… 先が思いやられるのう…」

「」

ホロ「なあ、ロレンス?あんまり冗談が過ぎると幾ら温厚な、わっちも怒ってしまいんす」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 15:54:07.75 ID:BJc2OHCT0
ホロ「ほら、ほんの少しで良いんじゃ…」ジワ…

ホロ「泣くのがイヤなら笑ってくれても…… いや、目を開けてくれるだけでも…」ポロ…


ホロ「良いんじゃが…」ポロポロ…


「」



ホロ「ロレンス……」ボロボロ…


ホロ「うっ……あ、ああ……」ボロボロ…


ホロ「あああああああ!!!! 嘘じゃ! 嘘嘘嘘!!」


ホロ「いや……いやだっ! やめてくりゃれ……! なんで! なんで、わっちだけ、こんな…!


             
 
    …やだ!!! ……いやああああああああああ!!!!!!!!!!」

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:02:02.72 ID:BJc2OHCT0
「のう、ぬしよ…」



「どうして…どうしてこうなってしまったのかや…」


   ボウッ…   パチッ パチッ


「くふふ… 」

    パチッ パチッ パチッ

「あはは……… 」     

    パチッ パチッ パチッ パチッ パチッ パチッ

「ロレンスよ… 」



「わっちは、もうダメじゃ…」

222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:08:01.07 ID:BJc2OHCT0
    パチッ・・・ パチッ・・・ バチッ・・・


「ぬしにも、最初の子供にも、そして…… この子も逝ってしまって…」


「わっちは、とうとう一人ぼっちじゃ」


「もう、わっちは孤独には耐えられそうに無い……」



「わっちが宿っている、麦粒を収めた、この皮袋…… 」

「これと一緒に炎で焼かれれば、わっちも逝けるじゃろう…」

   

「いま思えば、決して楽ではなかったが…」

「ぬしと二人で旅をしていた頃が…」

「一番良かったのかも… と思いんす」


「今生では最早、叶わぬ願いじゃがな…」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:14:10.74 ID:BJc2OHCT0
    バチッ・・・!バチッ・・・!!バチッ・・・!!!バチッ・・・!!!! 


「のう、神よ…」


「どうやら、ぬし様は、わっちの事を心底、嫌っておるようじゃの…」


「じゃが、そんなわっちの今生での最後のお願いじゃ…… 聞いてくりゃれ?」


「わっちが死んだら……」




「わっちの魂を、ロレンスのもとに逝かせて欲しい」





「もっとも…」


「ぬし様が、大嫌いな、わっちの頼み事じゃ……」


「聞き入れてくれるとは思っておりんせん…」

232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:20:15.30 ID:BJc2OHCT0
「のう、ロレンス…」


「今から、わっちも逝きんす」


「じゃから…」



「もし、わっちの願いが万に一つも聞き入れられ、ぬしの傍に行けたら……」



「その時は、また、わっちを……」






   「ロレンスの傍に居させてくりゃれ」





       ~おわり~

 
263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:49:35.44 ID:BJc2OHCT0
    ホロ!…


 
ホロ( …ん?) 


 ホロ!!…


ホロ(ロレンスの声?…… そうか、わっちは望み通りロレンスのもとに逝けたんじゃな…)


ロレンス「ホロ!俺はココに居るぞ!」


ホロ(ああ…良かった、わっちの願いは聞き入れられたんじゃ)


ロレンス「ホロ、目を明けてくれ… お願いだ…」

264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:55:52.42 ID:BJc2OHCT0
ホロ「手を…」


ロレンス「えっ?」


ホロ「手を握ってくりゃれ?」

ロレンス「あ、ああっ、わかった!」ギュッ…


ホロ「暖かい…」

ロレンス「ああ…そうだな、ホロ…」

ホロ「ロレンス……もう、どこにも行かないでくりゃれ…」

265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 16:59:00.20 ID:BJc2OHCT0
ロレンス「? …わかった、約束だ」

ホロ「ふふ… ぬしの顔を見るのは、およそ10ヶ月ぶりかや?」

ロレンス「ホロ?」

ホロ「くふっ、わっちが一番、愛している男の顔が見えておる…」

ロレンス「…」

ロレンス「よかった…」ダキッ…


ホロ「ぬし……    照れてしまいんす…///」パタパタ

268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 17:05:03.64 ID:BJc2OHCT0
ホロ「ところで、ぬしよ」

ロレンス「ん?」

ホロ「ここは、あの世の、どの辺なんじゃ?」

ロレンス「?」

ホロ「天国なら申し分ないんじゃが…… もしや…地獄の方かや?」

ロレンス「…」


ロレンス「ちょっ! ちょっと待ってくれ…」

ホロ「?」


 ~ロレンスが事情を説明中~

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 17:11:47.86 ID:BJc2OHCT0
ホロ「なるほど… つまり、わっちは、あの買い物の時に…」

ホロ「ロレンス達と別れたあと事故に巻き込まれて、ずっと意識を失っていた……と、いう訳かや?」

ロレンス「そうだ、事故から今日までの約12日間、ずっと眠ったままだったって訳さ…」

ロレンス「ごく稀に尻尾が動いていたから多分、夢でも見ているんじゃないかと思っていたんだが…」

ホロ「…」

ホロ「わっちは他には何かしておらんかったかや?例えば… 寝言とか…」

ロレンス「いや、やけに、うなされている事はあったけど寝言は無かったぞ」(実は、結構きわどい寝言が聞こえてて、ドキドキしたけどな…)

ホロ「…」

ホロ「嘘つき…」ジトー

ロレンス「!」

ホロ「まあ、今は、その事に付いて、追及はせんがの…」

ロレンス「ほっ…」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 17:17:16.02 ID:BJc2OHCT0
ホロ「わっちの赤ちゃんは…何処かや?」

ロレンス「ああ、お前の隣で眠っているよ」

ホロ「おお、本当じゃ、ちょっと眠っているところ悪いが抱かせてくりゃれ」


赤ん坊「すーすー」

ホロ「ちゃんと寝息が聞こえる…」

ホロ「よかった」ジワ…


ロレンス「お、おいおい、どうしたんだ?ホロ」

ホロ「グスッ…」ポロ…ポロ…

ロレンス「…」なでなで…

ホロ「なっ、ぬし!」


ロレンス「お帰り… ホロ」なでなで…

ホロ「…///」パタパタ

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 17:23:43.17 ID:BJc2OHCT0
 ~夢の内容を説明中~

ホロ「…と、いう夢を見ておったのじゃ…」ポロポロ…

ロレンス「それは…… 辛いな、例え夢だとしても…」

ホロ「じゃから、わっちはこれから、ぬしと、この子の傍を離れん…」グスン…

ロレンス「確かに現実に、あり得る話だからな…」

ロレンス「でもだからこそ、常に後悔する事が無い様に生きていかないとな」


ホロ「そうじゃな… ん?…ぬしよ、それは後悔せぬように自分の欲望に素直であれ、という事かや?」

ロレンス「おい、夢の中での反省はどうしたんだ…」

ホロ「すまん」シュン…


ロレンス「ははっ、冗談だよ」

ロレンス「ほら、あの時ご所望だったリンゴだ…」スッ…

ホロ「ぬし… ひょっとして、わっちの為に用意しておったのかや?」

ロレンス「お姫様がいつ目を覚ましても良いように… な」ニコッ


ホロ「///」パタパタ

282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 17:30:45.16 ID:BJc2OHCT0
ホロ「ロレンス…」

ロレンス「どうした?」

ホロ「わっちは、まだ少し夢心地でありんす…」

ロレンス「…」

ホロ「じゃから……… 眠り姫の魔法を解いて目を覚ましてくれると…」

ホロ「嬉しいんじゃが…///」



   チュッ…


ロレンス「これでよろしいですか… お姫様?」ニコッ


ホロ「う、うむ… 正解じゃ!」パタパタ!



     「ただいま、ロレンス」



     
         ~完~