1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:01:01.93 ID:AR6d26c50

唯「なにニヤニヤしてるのあずにゃん」

梓「い、行くしか無いでしょwww16時から限定200個でやってるみたいですよ!!」

唯「あ、うん。いってらっしゃーい」

梓「んもうっ! ちゃんと聞いてください。一人1パックなんですよ!」

ぐいぐい

唯「あうー、1パックでいいじゃん……」

梓「だめですよ! 私卵好きですもん!」

唯「でも2パックも買ったら卵料理ばっかりになっちゃうし……10個入りなんでしょ?」

梓「いいじゃないですかー! ばかー!」

唯「わ、わかったよぅ……怒らないであずにゃん。一緒に行くからさ……着替えてくるね」

梓「えへへ。わかればいいんですよわかれば」ニコニコ

引用元: 梓「卵1パック98円ww先着200名様wwこれはwwwww」 



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:06:30.22 ID:AR6d26c50
唯「あずにゃん急かさないでー」

梓「はやくしてください。売り切れちゃいます」

唯「鍵うまく閉まらなくて……」ガチャガチャ…

梓「もー、どんくさいですね」

唯「違うよぉ……このアパート立て付け悪いから……」

梓「ほら、貸してください。こうやるんですよ」

ガチャガチャ ガチャガチャ! ガンガン 

カチッ

梓「はい。行きますよ」

唯「さすがだねあずにゃん」

梓「いまさら何いってるんですか」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:11:00.17 ID:AR6d26c50

スーパー


唯「あ! あずにゃん大変! あそこみて! 卵あと1パックしかないよ!」

梓「う、うそっ!? まだ一時間もたってないのに」

唯「人いっぱいだねー」

梓「卵の特売に加えて、この時間帯はタイムセールもありますからっ! しまったなぁ」

唯「急げー!」タカタカ

梓「た、卵ー!」


パシッ パシ

純「あ?」

梓「純!」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:18:57.07 ID:AR6d26c50

純「あ、なんだ梓。あんたも来たんだ」

梓「ちょっと純! 離してよ!! 卵!!」

純「はぁ~~? タッチの差で私の物でしょ。いひひ」

梓「えー……そんなぁ……」

純「そっちのやつ買えばいいじゃん。赤卵」

梓「う……こっちは、高いし……228円もする……」

純「その分おいしいんじゃない?」

梓「でも……今月もうお金……ないし」ジワッ

純「あーもうわかったわかった。あげるから、譲ってあげるからそんな顔しない」

唯「ご、ごめんね純ちゃんありがと……ほらあずにゃんもお礼言って」

純「いいですよ……長い付き合いですし。梓が卵星人なの知ってますし」

唯「あずにゃんほんと卵大好きだね」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:23:54.00 ID:AR6d26c50

純「唯先輩も苦労しますね。卵ばっか飽きません?」

梓「そんなことないもん!」

純「あんたには聞いてない」

梓「た、卵飽きてる!? ねぇ、ねぇ卵飽きてるんですか!?」ユサユサ

唯「う、うーん……べっつにぃ……」

梓「ですよね!」ニコッ

唯「あ、あずにゃんの料理はなんでもおいしいよっ!」

梓「えへへ」

純「おっと、こんな時間だ。それじゃ梓、またねん。仕事がんばって」

梓「うん!」

純「唯先輩もがんばってください。応援してます」

唯「ありがとー。新刊でたら買ってねー」

純「わかりました。大変な仕事でしょうけど体には気をつけてください」

唯「うん!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:31:03.57 ID:AR6d26c50


唯「さ、卵も手に入ったし、帰ろっか」

梓「ちょっと待ってください」

唯「……? 他になにか買うものあったっけ?」

梓「そろそろ半額シールの時間なんですよ」キョロキョロ

唯「……う、うん……そうなんだ?」

唯(ほんとだ……周りの主婦が殺気立ってる……)

梓「店員さんにこの食パンに半額シール貼ってもらってきます」

唯「えー、私ふわふわ食パンの方がいいなー」

梓「だめです!」ピシャリ

梓「半額のこれなら64円で買えるんですから我慢です!」

唯「は、はい……すいませんでした」

梓「あとこのカキフライも半額ならないかな……ちょっと聞いてきます!」


唯(……ごめんねあずにゃん。貧乏なばっかりにこんな苦労かけて……)クスン


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:38:27.01 ID:AR6d26c50

……


苺「……」ピッ ピッ

苺「……50%引きが一点……」ピッ

苺「50%引きが一点」ピッ

苺「30%引きが一点」ピッ

唯(なんだか恥ずかしいから読み上げないでほしいよぉ……///)

梓「あ、この割引券使えますか?」

苺「はい。5%割引いたしまして合計596円のお買い上げになります」

唯「ありがとー苺ちゃん」

苺「お箸いる?」

梓「2膳つけてください!」

苺「うん。ありがとうございました」

唯「またくるねー」

苺「またのご来店おまちしてます(棒)」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:45:20.61 ID:AR6d26c50


帰り道


梓「いっぱい買っちゃいましたね!」

唯「そだねー」

梓「アクエリアス158円でした! 買いませんでした!」

唯「いい子いい子」なでなで

梓「えへへ、えへへへ。ですよね、たまに128円までさがりますもんね!」

唯「よくしらないけどあずにゃんはすごい!」

梓「あのスーパーにも頑張ってほしいですね! 主婦の強い味方です!」

唯「私たちもがんばらないとねー」

梓「そうですね。新しいお話考えました?」

唯「う……まだ、です……」

梓「んもー、今日明日中にはお願いします」

唯「あずにゃんこそ。ちゃんとネーム治したの?」

梓「こ、こんばんやりますし!」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:50:35.37 ID:AR6d26c50

……

梓「……」カリカリカリカリ

梓「……」カリカリカリカリ

唯「……ふぁ……ベタどこ置いたっけー」

梓「そこ」カリカリカリカリ

唯「ん……いつもどおりでいいの?」

梓「はい、あんずとみーこの髪の毛塗りつぶしといてください」

唯「ほいほい」

梓「はみ出さないでくださいね。絶対、ぜーっっったいですよ?」

唯「わかってるよぉ……素人時代じゃあるまいし……」ペタペタ


唯「あ!」

梓「えっ!!? あんだけ言ったのに!!?」

唯「そろそろ番組はじまる時間だー」

梓「は……そうですか」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 15:57:05.62 ID:AR6d26c50

TV「みんなのうた」

唯「ほらあずにゃん、はじまるよー。ここ、ここ座って座って!」

梓「んー、録画してるじゃないですか。ていうか何度もみましたよ」

唯「えー、みようよー」


TV「『あらいぐまがあらったこい』  作者、みおみお」

唯「ほらー澪ちゃんのつくった歌だよー」


TV「~♪ ~~♪」


唯「いい歌だねー」

梓「絵もかわいいですね」

唯「澪ちゃんが全部やってるらしいよ」

梓「知ってますよ……はぁ」

唯「なんでためいき」

梓「かたやベストセラー絵本作家。かたや、売れない漫画家……はぁ」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:06:21.69 ID:AR6d26c50
唯「売れないっていっても、一応雑誌連載してるし……コミックもでてるし……」

梓「そうですけどーそうですけどー」

唯「きっと続けてればいいことあるよ!」

梓「打ち切られたらどうしましょう」

唯「めっ! ネガティブになったらだめだよ!」

唯「一緒に頑張るっていったじゃん!」

梓「……はい、すいません」

唯「こんな形でも一応夢かなったんだから私は嬉しいよ!」

梓「そうですよね……」

唯「あずにゃんとも一緒にいられるし!」

梓「……えへへ。ご飯用意します」

唯「うん!」


唯(やっぱり順位下がってきてるのが響いてるのかなー……)

唯(私はあずにゃんと漫画かけるだけで幸せなんだけど……)

唯(あれ? 私ってもしかして漫画家失格?)

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:12:36.76 ID:AR6d26c50


……


梓「はい、どうぞ。オムライスです」

唯「わーい具なしオムライスー」

梓「い、一応玉ねぎはいってますから!」

唯「ごめんごめん」

梓「これ食べたら再開しましょう。ネーム仕上げないと編集に怒られちゃいます」

唯「あ、そうだ、聞いてあずにゃん。次の話ね、あんずがゆっこに抱きつくシーンいれていい?」

梓「は? なんでですか」

唯「えー、だってあんずのほうからって珍しいじゃん! そんでねゆっこがふぉおおおっってなるの!」

梓「あんずはそういうキャラじゃありません」

唯「えー? そっかなー」チラッ チラッ

梓「なんですか」

唯「べっつにー。ダメならダメでいいよー」

梓「ま、まぁ、絶対ダメとも言いませんよ。原作は私じゃありませんし……」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:18:11.50 ID:AR6d26c50

唯「じゃあさーじゃあさー」

梓「後で聞きますから」

唯「えー、ひらめいたときに話しときたいのー」

梓「頭の中にちゃんとメモしといてくださいよぉ」

唯「できません! もうっ何年の付き合いだとおもってるの!」ぷんぷん

梓「そうでしたね」

唯「お買い物行く話とかどう?」

梓「絵におこせるかわかりません」

唯「アシスタント雇う?」

梓「お金ありません」

唯「もっと資料買う?」

梓「お金ありません」

唯「新しいテレビ買って♪」

梓「お金ありませんってば!」

唯「冗談だよぉ……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:25:09.91 ID:AR6d26c50

梓「私が財布のヒモ握ってないととっくに借金だらけですよ」

唯「感謝してますあずにゃん様」

梓「とにかく面白い話を書いてコミックの売上を伸ばさないとろくに食べてもいけませんね」

唯「漫画家になるー!って飛び出した手前、家にも戻りにくいよねぇ」

梓「……はい」

唯「ちゃんと連絡とってる?」

梓「とってますよ。別に怒られもしません。勝手に頑張ってって感じです」

唯「そっかぁ」

梓「呆れられたって言ったほうがいいんでしょうか」

梓「平沢家はいいですね。家族ぐるみで応援してくれて」

唯「まぁねー。ゆるーい家だから」

梓「私……なんとか見返してやりたいです」

唯「アニメ化されたら違うんだろうなー」

梓「アニメ化か……なんだか遠い話ですね……」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:34:51.07 ID:AR6d26c50


……


和「うーん、このページもう少しなんとかならないかしら」

唯「なんとかって」

和「オチが弱いのよ」

梓「こんなもんだと思いますけど」

和「ばんぎゃ!は一応コメディマンガなのよ?」

唯「そうだけど」

和「書きなおしは無理そう?」

梓「大丈夫です」

唯「ねぇねぇ和ちゃん」

和「なに?」

唯「編集者目線だとばんぎゃ!ってまんがタイムきらきらの中で何番目におもしろい?」

和「それは言えないわ」

唯「えー」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:41:53.91 ID:AR6d26c50

梓「ほぼ掲載順位の通りってことですか?」

和「私個人としては面白いと思うのよ」

唯「なんか慰められたー」

和「アドバイスして。絵の質は絶対おとしちゃだめよ!」

梓「は、はい」

和「それじゃ、もう会社もどるわね」

唯「ありがとー」

和「これ、食べなさい」

梓「あ、バウムクーヘン!」

和「……」キョロキョロ

唯「?」

和「……が、がんばるのよ」

唯「うん!」

梓「ありがとうございました」

和(この部屋にくるたびに実家を思い出して切なくなるわ……)

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 16:51:25.91 ID:AR6d26c50

唯「あずにゃん! バウムクーヘンだって! バウムクーヘン!」

梓「えへへ久しぶりに見ましたね!」

唯「えーこの間半額のやつたべたじゃん。あのぱっさぱさのやつ!」

梓「あ、そうでしたね! あはは」

和(ふたりとも、頑張って……生きるのよ……)

唯「和ちゃん?」

和「次はカステラもってくるわね。それともケーキがいい?」

唯「わーい! 和ちゃん大好きー♪」

梓「むっ……」

唯「わぁ、あずにゃん大嫉妬!」

梓「そんなんじゃありませんし!」

唯「そんなんじゃありませんしっ!」

梓「真似しないでください」

唯「真似しないでくださいぃ!」

和「いつも仲がいいわね。けどじゃれあってばかりいないで早く仕上げちゃいなさい」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:02:01.56 ID:AR6d26c50

……


律「うぃーっす。唯ー梓ー、弁当もってきたぞー」

律「あ? いねぇの?」

律「おーい、あがるぞー?」



 んぁ、ちょ……あ///

 えへ……んちゅ、ちゅ



律「……。 弁当ここ置いとくわーじゃあなー!」



 あんっ、あ……律センパイ帰っちゃいますよぉ……

 んちゅ、んふ、続きは夜でいっか……えへ
\ 


律「いえいえ帰りますんでお気遣いなく! ほんと、お邪魔してすいませんでしたー!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:07:27.37 ID:AR6d26c50


……


律「お前らさー、鍵くらいかけろよー。ほんとこれ何回目の遭遇だよ」

唯「でへへー申し訳ない」

梓「すいません……どれもこれもこの人が」ツンツン

唯「いやーんあずにゃんやめてよぉ……///」

梓「ちょっ、なんなんですか」

律「あーもううるせぇ!! 今後弁当もってこないからな!」

唯「ひぃいいっ」

律「はぁ……お前らこんなんで大丈夫なのかほんとに」

唯「りっちゃんの間が悪いんだよ。普段は超仕事してます!」

律「……」チラッ

梓「し、してますよ!」

律「へいへい。で、今月号の感想いいにきたんだけど」

唯「どうだったかな」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:12:25.42 ID:AR6d26c50

律「んー、つまんねぇ。何漫画だよって感じ」

唯「そっかー、いつもばっさりな意見ありがとうりっちゃん」

梓「でも結構私たちの学生時代を参考にしてるんですけど」

律「あんな感じだっけ?」

梓「割と」

律「なぁなぁ、りんをもっと活躍させてくれよ!」

唯「贔屓はしたくないよー」

律「ちぇっ」

梓「ところで、律先輩は最近お仕事どうですか?」

律「普通だよ」

唯「営業って難しい?」

律「別に。ストレスはちっと溜まるかもしれないけどな」

梓「そうですか……どうぞ目いっぱい涼んでいってください」

律「水しかでねーし、クーラーもついてねーのにか」

唯「節電だよ!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:21:19.97 ID:AR6d26c50

律「お前らって暑くないの?」

唯「アツアツだよ?」

梓「んもうっ、そう意味じゃないでしょ!」

律「いや、悪かった。そのさ、年から年中べったりしてんだろ?」

唯「してるかなー」

律「してるだろ。あてつけかよ」

唯「あてつけって?」

律「むぐ……なんでもねーし」

梓「澪先輩と連絡とってないんですか?」

律「あー……まぁ」

唯「なんでー?」

律「ほら、あいついまいろんなメディアから引っ張りだこだから……」

唯「絵本売れてるもんねー」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:27:02.60 ID:AR6d26c50

律「……はぁ、なんだか存在が遠く感じる」

梓「なんですか情けない。乙女じゃあるまいし」

律「まだぴっちぴちの乙女じゃい!」

律「それに」

唯「?」

律「いまあいつは波にのってるからな。余計なことで気を紛らわせたくないんだ」

唯「連絡しないのも思いやりってこと?」

律「そうともいう……かも」

梓「カッコつけてないで電話したらいいじゃないですか」

唯「そだよー。澪ちゃんも絶対寂しがってるよー」

律「なんでわかんだよー」

唯「私たち連絡とってるもーん」

律「な゙っ」

唯「澪ちゃんにメールしとこうか? りっちゃんが会いたがってるよーって」

律「あーー! やめいやめい! わかった連絡するって! するからそれは許して」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:33:54.50 ID:AR6d26c50

唯「早く電話ー」

律「今かよ!?」

梓「どーせ帰ってからまたうだうだ悩むんでしょ」

律「こ、心の準備がさぁ……」

唯「告白でもする気?」

律「ちげーし!」

唯「はやくー、気になって仕事もどれないよ」

律「……へいへい」ポチポチ

律「……澪、出るかな……」prrrr

律「…………あ、も、もしもし!?」

律「えっ、あ、うん……あたし」

律「お、おう……うん……うん……そっか、よかった元気そ、え? あーアタシは元気だよん」

律「へぇ……あ、わかった……明日夜9時な……お、おう……じゃ」プツ

唯「えへへ」

梓「むふー」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:39:02.04 ID:AR6d26c50

律「何みてんだよ。なんだよその顔、やめろやめろぉ!」

唯「いやーよかったですなー」

梓「おめでとうございますぅー」

律「なっ、お、お前らなぁ! 見世物じゃねーぞ!」

唯「待ち合わせできたの?」

律「お、おう、飯くうことになった……」

梓「澪先輩喜んでたでしょ?」

律「まぁ……普通」

唯「またまたー、こっちまで澪ちゃんの声きこえてたよ?」

梓「澪先輩とはおもえないくらいの勢いでまくし立ててましたね」

律「うっせぇー!! あ゙ーもうなんなのお前ら? おせっかい夫婦なの!?」

唯「夫婦じゃないよ恋人だよ」

梓「恋人じゃないですコンビです」

律「……なんかそのへん曖昧なのな。ていうかどーでもいいのか」

唯「まぁね。私とあずにゃんの仲だし」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:47:40.43 ID:AR6d26c50

律「ふぅ……じゃ、帰るわ。あ、そうだ」

唯「なにか忘れ物ある?」

律「いや……えっと……あ、あんがとな。その、後押しとかしてくれて」

唯「あんがとだって。プクク」

梓「笑っちゃまずいですよ……プク」

律「……帰る!!!」

唯「あはは、りっちゃんごめーーん、またきてねー」

梓「いつでも待ってます」

律「……へいへい。次はもっと安い弁当にしよーっと」

唯「あーん……ごめんってばぁ」

梓「また感想きかせてくださいね!」

律「あはは、わかってるって。がんばれよー、ゆずふらいせんせ」

梓「がんばります!」

唯「もう暗いから気をつけてー」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 17:53:30.80 ID:AR6d26c50


梓「……帰っちゃいましたね」

唯「いつもお弁当助かるねー」ガサガサ

梓「あ、私そっちのお弁当のほうがいいです」

唯「えー、私焼肉弁当やだー太るもん!」

梓「じゃあおかずは半分こしましょう」

唯「うん♪」

梓「じゃあ食べ終わったら」

唯「さっきの続きする!?」キラキラ

梓「はっ/// 何言ってるんですか!」

唯「さっきはイイトコでりっちゃんが来ちゃったからねー」

梓「しませんしっ/// 私は……その、漫画のことで頭がいっぱいでその」

唯「ネタづくりネタづくり♪」バクバクモグモグ

梓「あうー……す、すぐ終わってくださいね///」

唯「それはあずにゃん次第かな!」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:00:00.83 ID:AR6d26c50


翌日



梓「あの……こんなことしていいんですか?」

唯「取材だよ。 し ゅ ざ い ♪」

梓「律先輩に悪いですよ」

唯「違うよあずにゃん! たまたま同じレストランで会食していた。ただそれだけ!」


律「~♪ ~♪」


唯「きたきた、りっちゃんきたよー」コソコソ

梓「うわ、すごい上機嫌……きもちわるっ、おっとなんてことを私は……」

唯「澪ちゃんまだかなー」

梓「よく考えたらこれ完全にただの尾行ですよ、やめましょうよぉ」

唯「でもあずにゃんも気になるでしょ?」

梓「ま、まぁ……そうですけど」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:06:24.58 ID:AR6d26c50

唯「あ、ほらほら澪ちゃんきたよ」

梓「えっ、あ、ほんとだ。わぁいい服きてますね」

唯「澪ちゃんおっとなー!」


澪「××××」

律「×××××××」


唯「こっからじゃ聞こえないよぉ」

梓「席移してもらいましょうか?」

唯「お、あずにゃんノリ気だねぇ」

梓「えっ? あー、まぁここまできたら……ね?」

和「……で、いつになったら漫画の打ち合わせはじめるの」

唯「ご、ごめんごめん。すぐ始めるからっ、もうちょっと待ってよー」

和「わざわざ呼びつけておいて待たせるなんて……はぁ」

唯「席うつるよー」

梓「勝手にはまずいですって。す、すいませーん、あのー、席を移りたいんですけど……」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:14:32.67 ID:AR6d26c50


澪「こうして会うのも久しぶりだな」

律「だなぁ。社会でるまでは嫌っちゅうほどべったりだったのにな」

澪「うん……ほんと久しぶり」

律「最近どうよ? って活躍ぶりはしってるけど」

澪「読んでくれた?」

律「おう! キリンりんりんの方も読んだ」

澪「ありがと」

律「やっぱ才能あったんだよな」

澪「そ、そうかな……音楽のほうでは、あんまりうまく活かせなかったかもしれないけど、形になっただけ嬉しいよ」

律「こないだ新聞のってたな?」

澪「えっ、あ……うん。あれは恥ずかしいから、やめてほしかったけど……」

律「美人すぎる絵本作家だってよ」

澪「や、やめろぉ……」

律「なんでー、そのまんまじゃん!」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:19:47.70 ID:AR6d26c50

澪「ああいう取り上げられ方は……あんまり……」

律「ちょっと安心した」

澪「なにが?」

律「そういうとこあんま変わってねーなーって」

澪「……」

律「写真みたときさー、すんげー別人にみえたから」

澪「あれは……メディア用に化粧とかすごくしてたから……かも」

律「あたしはどう? 問題、どこがかわったでしょーか?」

澪「えーっと……えっと……」

律「3・2・1」

澪「わ、わかんない……あんまり変わってない……」

律「せーかい!」

澪「な、なんだそれ……」

律「変わってねーよー、これっぽっちも」

律「澪しゃんに対するあつ~い想いも! なんつって!」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:26:58.05 ID:AR6d26c50


唯「うわっ! りっちゃんさりげにアレ告ってない!?」

梓「あぁ……やっちゃいましたね……」

和「普通にスルーされたわね」

梓「……焦りすぎですよぉ」

唯「あーもうっ。澪ちゃんのばかばかー」

和「さて、無事織姫と彦星が出会えたところで打ち合わせするわよ」

唯「ふえーん、まだ盗み聞きしてたいよー」

梓「ちょっと! 大きい声ださないでください! バレちゃいますよ!」

唯「大丈夫大丈夫。あの二人は自分たちの世界にどっぷりだから」


律「あはははー澪コノヤロー」

澪「うふふふー律ぅーやめろってー」


梓「……」

唯「ね?」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:37:13.89 ID:AR6d26c50

梓「さて今回のネームなんですけど」

和「そうね。読ませてもらうわ」

唯「自信作だよー」

和「……」ペラッ

唯「ふんす!」

梓「……ふふ、どうですかね」

和「……」

純「ふむふむなるほどなるほど」

和「……」

純「おおう! まさかこんな展開に!」

梓「え゛っ」

唯「わぁ純ちゃん。エプロン似合ってるよー」

和「店員さんアイスコーヒー頼めるかしら」

純「えへへ。はーいただいまお持ちしますー」

梓「あんたこんなとこで働いてたんだ……」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:41:35.87 ID:AR6d26c50

純「ウェイトレス! やってみたかったんだ!」

梓「前のバイトは?」

純「やめた!」

梓「あ、そう……ほんと転々としてるなー」

唯「純ちゃんをモチーフにしたキャラもだそっかー」

梓「えぇ……いらないでしょ……」

純「ちょっとぉ! のけもんにするのはよくないとおもうなー?」

和「アイスコーヒーは?」

純「は、はいただいま!」スタコラ


唯「ねぇねぇ和ちゃん。キャラそろそろ増やすのはどうかな」

和「いいんじゃない? マンネリ化してきたし」

梓「ずばっと言いますね……」

和「ほんとのことよ?」

唯「じゃあ考える方向でー♪」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:49:10.04 ID:AR6d26c50


アパート


梓「結局律先輩と澪先輩どうなったんですかねー」

唯「そのままホテルにでもいったんじゃない」

梓「なんでそんなになげやりなんですか」

唯「しずかに! いま新しい話し考えてるから!」

梓「あ、す、すいません……静かにしてます……」

唯「むーん、むーん」

梓「……」

唯「むーーん……」

梓「……絵かいとこ」カリカリカリカリ

唯「むーん…………むー……あーもうだめっ。あっずにゃ~ん♪」ギュムッ

梓「だーー! なんなんですか、考えてるんじゃないんですか」

唯「あずにゃん分をアイデアに変換するよぉ~~パワーをわけろわけろ~」スリスリ

梓「こんなことしてるからなかなか進まないんですよぉ~~! 離してください~」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 18:55:51.12 ID:AR6d26c50


……


梓「はい、今月のお小遣いです」

唯「えっ? こんだけ!?」

梓「ええ」

唯「えー……これで何買えって言うの」

梓「ハーゲンダッツ10個。三日に一個たべれますよ」

梓「まぁそんな無駄遣いしたらおこりますけど」

唯「ひどいよ~~」

梓「しかたないですよ」

唯「もうちょっと……あがらない?」チラッ

梓「だめ!!」

唯「そこをなんとか!」

梓「ノー。お断りです。経費とは別なんですから有効活用してください」

唯「鬼!」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:00:44.00 ID:AR6d26c50

梓「あ、そんなこと言うんですか?」

唯「あう……ごめんなさい」

梓「ぼっしゅーです」

唯「ごめんなさいごめんなさいいいっ!」

梓「全く。私の苦労もしらないで」

唯「でもね。ほら私よく打ち合わせで出版社いくでしょ?」

梓「知ってますけど。それが?」

唯「ジュースかったりとか……お腹すいたりとか……その」

梓「……我慢! です」

唯「……むぅ……どうしてもっていうなら」

梓「なんですか?」

唯「あずにゃんをお小遣い代わりにいただいちゃおう」

梓「はっ?」

唯「あずにゃむちゅちゅ~♪」

梓「や、やめっ、ひっ……あぅっ。こらああ!! だめですってば!」ビシビシ

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:08:23.42 ID:AR6d26c50

ガチャリ

律「おーっす来たz……ってお前らなあああああ!!」

梓「あぅ、あっ……はぅ……あぅ、やんっ///」

唯「んちゅ、ちゅぷ、ぁん……あ、りっちゃんおはよー!」

律「おはよーじゃねぇ! そういうことしてるなら鍵かけろって言ってんだろ!」

唯「だってー、急にはじまったんだもん。ねぇ?」

梓「にゃう……」

律「年中発情期か!」

唯「キャーりっちゃんみないでー!」

律「……15回目だ」

唯「ほえ?」

律「お前らバカ夫婦のアレを見るの今年入って15回目だ!!!!」

唯「りっちゃん覗き魔ー」

梓「すいません、ほんとすいません……ほら、唯先輩も謝って。お弁当の人ですよ」

律「ちっくしょー……なんだこのボロアパート呪われてんのかっ!」

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:12:49.39 ID:AR6d26c50

唯「あれ、今日は何用で? りっちゃん仕事おやすみ?」

律「おう」

梓「あ、今日はお弁当ないんですか」

律「ねーよ。なんで弁当前提だよ」

梓「すいません」

唯「遊びにきたのー?」

律「うんにゃ。まぁ、相談、かな?」

梓「あ、告ればいいとおもいますよー」

唯「大賛成ー! うふふふー」

律「おい!! まじめにきけよ!!」

唯「だっていつもりっちゃん邪魔するんだもん……こっちもいろいろたまるんだよ」

律「やめてくれ。本気で私が悪いみたいだろ」

梓「で、なんなんですか?」

律「お、おう……その、なんだ、澪がさ……あの、デートって言ったら変だけど、今度一緒にどこか」

唯「へー。デートするんだーいいなー」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:18:34.67 ID:AR6d26c50

律「だからデートじゃねぇっつってんだろっ!」

唯「じゃあなんでわざわざ相談しにくるの!」

律「えっ、そ、それはよぉ……うるせぇ! でもデートじゃねぇから!」

梓「めんどくさいなぁこの人」

律「とにかくおすすめのデートスポット教えてくれ」

唯「デートって言ったよ今」

梓「意識しすぎてますねカッコ悪い」

律「うるせーうるせーうるせー。お前らほんと嫌い!」

梓「それはどうも」

唯「デートスポットならいいとこあるよー。いつもあずにゃんと行くんだー」

律「まじ!? どこどこ」

唯「イオンだよー」

律「イオン行ってどうすんだよ」

梓「えっ、イオンですよ? デートといったらイオン、イオンといったらデートでしょ」

律「わっかんねーなぁ……わかんねぇよその感覚」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:21:41.37 ID:AR6d26c50

唯「お買い物できるしー」

梓「賑やかですしー」

唯「映画もあるよ!」

梓「ご飯たべるところもたくさんあります!」

唯「なによりタダってのがね! 遊園地とかだと入園料かかるじゃん!」

律「いや、金あるし……」


唯「……」

梓「……」


律「……すまん、弁当かってくるからなんか考えといて」

唯「……うん、私からあげ」

梓「じゃあ私はサバ乗っかってるやつで」

律「……ぉぅ」



127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:28:04.11 ID:AR6d26c50

……


律(デートか……なんかちげぇよなぁ……)

律(あー考えてると妙にむしゃくしゃする)

律(アタシもあいつらみたいな感じで暮らせたらなー)

律(幸せってのは金だけじゃねぇよなぁ)

律(澪はいま幸せなんだろうか)


純「いらっしゃいませー何にしますか?」

律「んじゃからあげ2つとサバ弁で」

純「はーい」

律「って何してんの? 鈴木さんだよね?」

純「えっ、バイトですよバイトー。やだなぁ何あたりまえのことを」

律「この間レストランいなかった?」

純「あ! あそこはもうやめました(笑)」

律(こいつはほんと人生幸せそうだな……)

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:34:56.51 ID:AR6d26c50


純「ありがとうございましたー」


律「さー、戻ろ戻ろ。9月になってもあっついなぁ」

和「あらっ」

律「お、和じゃん。唯たちんとこ行くのか?」

和「奇遇ね。あなたも?」

律「おう、飯かいに出たんだ。打ち合わせ?」

和「まぁそんなとこね」

律「あちゃー、仕事の邪魔しちゃ悪いか。ほんと漫画家って休みなしなのな」

和「別にいてもいいわよ」

律「そう? そりゃすまん。あ、和も弁当いる?」

和「私食べてきたからいいわ」

律「そうかい」

和「澪とはうまくいった?」

律「は!? な、なんでいきなり……てか知ってるのかよ」

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 19:42:55.28 ID:AR6d26c50

和「すこしそこのベンチで話していかない? 公園」

和「溜め込んでるんでしょ? あの二人がいるとまた話がそれるんじゃない?」

律「……うーん、どうしよ」

和「私も少し話したいことがあるの」

律「そなの? じゃあちょっとだけな」



和「ごめんなさいね。この間のレストラン、たまたま近くで打ち合わせしてて聞いちゃったの」

律「なんだよー言えよな」

和「こっちも仕事だったから」

律「澪とは、長い付き合いなんだ」

和「しってるわ」

律「でもあいつが絵本作家デビューして、私も働くようになったら全然会わなくなってさ」

律「このまま疎遠になるかもって不安だった」

和「……そう、でも再会できて良かったわね」

律「ま、まぁな。そのへんあいつらには感謝だよ」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 20:21:53.33 ID:AR6d26c50

和「あの日はたくさん話せた?」

律「いんや。なんか柄にもなく緊張っていうか、どぎまぎしてさ」

和「なんでも話せる仲なんでしょ?」

律「そりゃもちろん」

和「……暑いわね」

律「おう。お、アイス売ってんじゃん。買ってくるわ」

和「私はいいわ。お腹壊すから」

律「そうか?」



律「ひんやりおいひー♪」

和「で、伝えたい事は伝えられたの?」

律「む……どこまで知ってんだよー」

和「なんでもおみとおしよ」

律「和までおせっかいかー?」

和「そうね。おせっかいならごめんなさい」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 20:29:10.29 ID:AR6d26c50

律「あたしらは唯や梓みてーにはいかねーよ」

和「そうね。二人ともとてもぶきっちょ」

律「はぁー……キャラじゃねぇよなぁ……和ぁ、あいつらには黙ってろよぉ……」

和「大丈夫。口は堅いから」

和「ところで、前々から思ってだけど」

律「?」

和「澪って恋愛大好きよね」

律「ぶっ……なんでそう思った」

和「だってあんな歌詞つくって絵本書いてるんだし」

律「恋愛なぁ……うーん」

和「澪は好きな人いるのかしら?」

律「しーらーねーよーー」

和「そういうのは聞いたりしない?」

律「からかってんのかー? 簡単に聞けたら苦労しねーよー」

和「それもそうね」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 20:35:45.76 ID:AR6d26c50

律「……」

和「とけてるけど」

律「おっ? うおっ!」

ペロリ


和「そろそろいきましょっか」

律「えっ? 和もなんか相談あるんじゃねーの?」

和「そんなこと言った?」

律「話あるからって」

和「だから、あなたと澪のこと」

律「えーー?」

和「興味本位よ」

律「性格わっるぅー」

和「そう? 昔からこんなもんよ」

律「唯が泣かされてきたわけだ」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 20:42:13.77 ID:AR6d26c50

和「焦ってるでしょ」

律「あ、わかる?」

和「わかるわよ。私たち、もう気楽に恋愛ごっこなんてしていい歳じゃないもの」

律「そうなんだよなー」

和「澪、美人だし、有名人だもんね」

律「……おう」


律「いつか、どっか行っちゃうような気がしてさ」

律「どっかっていうか、ほっといたら誰かのものになっちゃうのかなって……気がきでなくて……」

律「和のいうとおり、あいつ超昔から恋愛ごととか考えるの好きっぽいし」


 『私はぜったいに25、いや、24には一緒に添い遂げる人に出会いたい!』

 『うーん、私を大事にしてくれる人……が好きかも』

 『恋愛は! 顔とかお金じゃないんだぞ律!』


律「…………はぁ」

163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 20:49:15.37 ID:AR6d26c50


……


唯「おかえりっちゃんー」

梓「おかえりつせんぱいー」

律「よぉ……」

唯「遅かったね! 寄り道かな!?」

梓「お弁当どうもです」ガサガサ

律「乞食か」

和「と、その前に、打ち合わせするわよ」

唯「うわわわっ! でた! 和ちゃん!」

梓「一緒だったんですか?」

律「まーなー」

唯「どったのりっちゃん? なんか落ち込んでない?」

和「この人考えすぎなのよ。シンプルにいきなさい」

律「こればっかしはちっとなぁ……」

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 20:56:54.19 ID:AR6d26c50

唯「元気だしてりっちゃん! きっとうまくいくよ!」モグモグ

梓「そうですよ! 考えるなんて律先輩らしくありません」モグモグ

律「な、殴りてぇ……」

和「一緒に住んでるとだんだん似てくるのね」

律「だな……」

唯「そうだ、デートコース考えといてあげたよ!」

律「んー?」

唯「まずはー、イオン2階の服屋さん。おしゃれなんだよー? そのつぎはパスタ屋さんでお昼してー」

律「イオンいかねーから!」

和「ちょっと待って! 打ち合わせよ! お弁当食べるのもやめなさい!」

律「わりーわりー」

和「あなたは謝らなくていいわ」

唯「じゃあとっとと始めよう」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:02:33.89 ID:AR6d26c50

和「再来月、久しぶりの巻頭カラーよ」

唯「えっ!?」

梓「すごい久しぶりですね」

和「気合いれなさい」

唯「ねー、なんでー? なんでばんぎゃ人気ないのにカラーもらえたの?」

和「……まだ内緒よ」

梓「普通に5人絵でいいんですか?」

和「そうね、それでいいと思う」

梓「ちょっとラフおこしてきます!」シュタッ

律「やっぱ巻頭カラーってすごいのか?」

和「そうね。やっぱり雑誌の顔だし、注目作品、新連載、連載回数記念じゃないと難しいわね」

律「へー、でもばんぎゃっていっつも後ろのほうにのってね? 人気あんの?」

和「……」

唯「……」

律「わりー……触れちゃだめだったか」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:13:41.90 ID:AR6d26c50

和「すべては私の力不足のせいよ」

唯「そ、そんなことないよっ! 和ちゃんのおかげで助かってるのにぃ」

律「そうだぞ和。和がうまく誘導しないとこいつら一生イチャつくだけで終わるぞ」

梓「その前に飢えて死にますけどね!!」カリカリ

唯「えへへ」

和「言い訳はしたくないけど、私も編集者としての経験なんてあってないようなもんだし」

和「至らないところがあるのはほんとにごめんなさい」

唯「いっつもネーム遅れてごめんね。和ちゃん会社の先輩に怒られたりしてない?」

梓「絵、雑ですいません」

和「気にしてないわ。二人がもっともっといい漫画をつくれるように頑張ってさえくれればいいの」

和「二人の力で最高の漫画を書くのよ」

唯「和ちゃんもいれて三人だよー」

和「……!」

梓「そうですよ。和先輩がいないと私たちの漫画なんて陽の目も見ませんでしたよ」


178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:21:48.94 ID:AR6d26c50

唯「そだよー、和ちゃんがいないとばんぎゃは生まれなかったんだから感謝してるよー?」

梓「同人活動しかしてなかった私たちに助言をくれたのは和先輩なんです。感謝してもしきれません」

律「だってさ和」

和「……もう、調子いいのねあなたたち」

唯「それに和ちゃんだけじゃない。りっちゃんもお弁当くれて、お腹をささえてくれるし、厳しい感想くれるし」

律「おいおい照れるぜ」

梓「澪先輩もよくアドバイスくれます。方向性はちがうけどやっぱり同じ創作という面では頼りになります」

唯「憂は毎回おもしろかったーって応援してくれるし」

梓「ムギ先輩は取材で海外や無人島にいかせてくれました!」

唯「みんながいるから今の私たちの作品があるんだよー」

和「そういうことにしときましょうか」

唯「まだまだばんぎゃはこれからの漫画なのです!」

和「……ええ、そのとおりよ」

律「がんばれよー、弁当なんかでいいならいくらでも持ってくるぞー」

唯「わーい」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:26:59.63 ID:AR6d26c50


……


律「んじゃ帰るわ」

唯「デートプランはー?」

律「いいっていいって。自分で考える」

梓「やっぱりそれがいいですよね」

律「お前らは和に言った手前しっかり漫画がんばれよ」

唯「うん。りっちゃんもがんばって!」

律「お? ……おう!」

梓「応援してます」

律「サンキュ。次会うときゃ良い報告できたらいいんだけどな」

律「おじゃましました」

和「私も一緒においとまするわ。それじゃあゆずふらい先生、次のネームよろしくお願いね」

唯「はーい、二人とも気をつけてねー」

ガチャン バタン

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:31:28.28 ID:AR6d26c50


唯「もう夏も終わりだねーあずにゃん。アイスまだあったかなー」

梓「好きですねぇ」

唯「あずにゃんの次に好きかな? うーん、憂の次、うーん和ちゃんもりっちゃんも澪ちゃんもムギちゃんもあれれれ」

梓「人と比べるものですか」

唯「りっちゃんうまくいくかなー」

梓「大丈夫ですよ」


梓「だって律先輩と澪先輩ですもん」

梓「わかりきってることじゃないですか」

唯「ちっちっち。あずにゃんはお子様だね」

梓「え?」

唯「大人の恋愛ってのはね、そう簡単にはいかないんだよ。特に付き合いが長ければ長いほどね」

梓「はぁ……? なにわかった気になってるんですか」

唯「いずれ君も分かるときがくるさ……ふっ」

梓「……どっちが子供ですか」ヤレヤレ

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:38:12.66 ID:AR6d26c50


数日後



律「……」

澪「……なぁ、なんで公園なんだ」

律「さ、さぁ……? なんか成り行きで」

澪「暑い……」

律「……」

澪「汗だくだぞ」

律「しってる……」

澪「アイスとけてるぞ」

律「しってる」

律「……」

澪「……なんか律らしくない。仕事でヘマでもした?」

律「そういうわけじゃないけど」モゴモゴ

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:44:04.54 ID:AR6d26c50

澪「?」

律「……」

澪「ほら、アイスとけてるって言ったろ」

ふきふき

律「おっ、おうっ……」アセアセ

澪「へんな律。悩みがあるなら聞くけど」

律「話していいのか?」

澪「なんでも話せる仲だろ? 何年たってもそれは変わらないよ」

律「じゃ、じゃあ……ってこんなとこで話すようなことでもないんだよなー。あー」

澪「も、もしかして深刻な悩みか!? 何かあったのか!?」

律「ちげーけど」

澪「言ってくれなきゃわからない……」

律「だよなぁ…………」


律(怖ぇーわ。ほんと、踏み出せる気がしない。唯も梓はこんな怖いの乗り越えたんだよなぁ、すげぇやあいつら)

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:53:05.57 ID:AR6d26c50
澪「ほら、話してみて。すっきりするかもしれないぞ?」

澪「な?」ニコリ

律「うっ……でも」

澪「話さないなら早くアイスたべろ! ほっておくと何もしなくても溶けていくんだぞ!」

律「!」

澪「それに私だって時間はないんだ! 仕事もあるし、仕事関係の付き合いもあるし!」

澪「律とだらだらこんなことしてられるもの、もしかしたらもう終わりかもしれない!」

律「!!」


律(そっか、運命って……待ってくれないんだな……)

律「……澪、行こう」

澪「?」

律「イオン」

澪「え??」

律「デートだよデート! ほら行くぞ!」スタスタ

澪「で、でー? ええ!? ま、まってよ律ー」

200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 21:59:53.70 ID:AR6d26c50

律(このまま澪を連れ去ってしまえたら……どんなに嬉しいか)

律(手が届きそうな距離にお前がいたらどんなに幸せか)

律(ずっと一緒に笑えるかな)


澪「律ー、歩くの早いってー」

律「時間は待ってくれないんだろー」

澪「暑いっ、暑い」

律「ついたらもっかいアイス食って涼むか! 唯おすすめのアイス屋があるんだってさ」

澪「そういえば唯達は好調らしいな」

律「ん? あぁ、巻頭カラーがどうのっての聞いたんだ?」

澪「いや、そっちじゃない。これホントはまだ言っちゃダメかもしれないけど、律なら内緒にしてくれるよな」

律「?」

澪「こないださ、テレビ関係の人からちょっと噂を聞いてさ。実は――――



―――――――――

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 22:03:58.97 ID:AR6d26c50


和「おめでとう。ばんぎゃ!春からアニメ化よ」


唯「……ほえ?」

梓「……」

和「聞いてるの?」

唯「ううう、打ち切り……そんなぁ……」

和「ちょっと唯! しっかりなさい!」ゆさゆさ

梓「あ、あああ、あに、あにめ!? あにめってあにめ!?」

和「そうアニメ化。京都アニメーションでアニメ化。良かったわね」

唯「アニメ化!?!?!?」

和「そういったじゃない」

唯「う、嘘……」

和「嘘じゃないわよ。ほら、書類」

唯「……あずにゃんほっぺたつねって」

梓「私もお願いします…………うぎゃ、痛いです!!」

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 22:10:57.93 ID:AR6d26c50

唯「本当にアニメ化……」

和「そうよ。巻頭カラーでも宣伝するから気合いれなおしなさい」

梓「は、はははい!!!」

和「……クスッ。最初聞いたとき私もびっくりしたわ。しばらく固まっちゃった」

唯「アニメ化だー、アニメ化だー!!」ギュウウ

梓「うぎゃああっ、痛い、痛いです! 夢じゃないのはわかりましたから!!」

唯「アニメ化だよーあずにゃああああん!! うううう! 良かったねぇあずにゃん」

梓「少しは、貧乏抜け出せますかね」

和「そうね。アニメがどうなるかはわからないけど、いまはおおいに喜びなさい」

梓「嬉しいです……生きててよかった」

唯「漫画かいててよかったー!」

梓「そうですね!!」ギュム

唯「幸せだよ! 幸せー! あずにゃんもやっとお父さんとお母さん、見返せるかな」

梓「そんなのどうでもいいです! いまは、なにより唯と一緒に漫画かけて幸せです!!」

和「愛の確認は後にしなさい。とりあえずネームの見直しするわよ。アニメ化に恥じない原稿にしなきゃ」

218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 22:21:51.22 ID:AR6d26c50


――――――――


律「もしもし、唯?」

律「あはは。なんだ今泣いてるのか?」

律「そうだ、聞いてくれよ……私さ」

律「うん……おう、もうこっちは心配いらねーよ。ありがと」

律「ちょっと澪に代わるな」

澪「もしもし……唯か? 梓もそこにいるか? うん、ありがと……律のために色々してくれたんだな」

澪「え? あーうん……私のほうこそ、踏み出せないでいたから。感謝してる」

澪「ずっと、出口のない永久迷路みたいだったんだ。おかしいよな、二人はこんなにそばにいたのにさ」

澪「……はは。そうだ唯、梓、その様子だともう知ってるんだよな」

澪「……アニメ化おめでとう!」

律「おめでとう唯!! おめでとう梓!!」

律「あはは、うるせー泣きすぎだろ! ……いや、アタシはないてねーし!」

澪「ちょっと泣いたくせに。律の嘘つき」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 22:30:53.22 ID:AR6d26c50


律「おう、おう。じゃあ今晩はゆずふらい先生のアニメ化記念祝賀会だな!」

律「え? 今晩は漫画かく? そりゃそうか。漫画家の鏡だな!」

律「澪ー次いつ空いてる? みんなでお祝いしようぜ」

澪「じゃあ次の日曜日で」

律「おーっし! 日曜日だぞ! 覚悟しとけよー!」

律「え? アタシらのお祝い? いやいや、そんな……照れるし」

澪「照れてる律とか気持ち悪い」

律「なにをー! あ、唯、じゃあまた後でな! ほんとおめでと!!」

プツ

律「ふー……・へへへ」

澪「まだ気持ち悪いぞー」

律「うっせぇ……あはは、ほっとけ。きっとこれからこんな顔見続けるんだから慣れてくれよ」

澪「あはは」

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 22:37:03.37 ID:AR6d26c50

澪「じゃ、行こうか」

律「どこへ?」

澪「律と一緒ならどこへでも」

律「やめろよぉ……真顔でそういうこというな」

澪「……なぁ律。幸せってなんだと思う?」

律「んー……さぁな。 人それぞれ……かな。澪の幸せって何?」

澪「わからない。きっとこの先もよくわからないままだと思う。けど、幸せはいつも知らないうちにそこにあるんだ」

律「だよな。そんなもんさ……」

律「ただひとつだけわかってることがある」

澪「?」

律「幸せは、増えたって減るもんじゃない……ってことさ」

澪「かっこつけるな律のくせに!」

律「惚れた!? もっと惚れた!?」

澪「ほーれーてーなーいーー」

律「ちぇっ」

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/07(木) 22:43:44.12 ID:AR6d26c50

律「じゃああいつらへのサプライズパーティでも考えるかー」

澪「うん、いいな。じゃあパーティには和とムギと憂ちゃんと」

律「あと鈴木さんも呼ぼうぜ」

澪「さわ子先生もな」

律「あー。あの人絶対たかり屋になっちまうよ」

澪「はは。みんなと会うの久しぶりだ」


律「あー夏が終わってくなー」

澪「そうだな。最高の夏になったよ……ありがと律」

キュ

律「おーい、手なんかつなぐな気持ち悪い。あたしら何歳だっつうの」

澪「ふふ、とかいいつつ顔まっか」

律「太陽のせいだよー、ちくしょうめー!!」



おわり