前回 「魔王を助けてやってくれ」勇者「え?」
470: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:32:00.82 ID:8tWHkztno
勇者「それじゃ、父さん。お願いするね」
勇者父「おう、まかせとけ。こういえても100レベルなんだから、一人でなんでもできるぞー!」
勇者「うん、じゃ、私は魔王とにゃんちゃんちゅちゅしてくるので」
勇者「父さんは一人で頑張ってください」
勇者父「勇者さん、かわってもらってもいいっすか?」
勇者「だが断る」ヒュン
勇者父「あ、いっちゃった……」
勇者父「よっし、俺もいっちょ仲間から探すかな!!」
引用元: ・「魔王を助けてやってくれ」勇者「え?」
471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:32:34.40 ID:8tWHkztno
トゥルー√
――
勇者父「こういう時に頼れるのは男という相場が決まっている」
戦士「だから俺のところにきたのか」
勇者父「すまん、忙しいとは思うがまた一緒に世界を救ってくれ」
戦士「かまわんよ」
勇者父「いいのか。仕事とかないのか?」
戦士「先日カミさんに逃げられて剣以外残っていないんだ」
勇者父「うわぁ……、お前なにしたの?」
戦士「浮気」
勇者父「ババアのカミさんよりも若い女を選んだかこいつwwwww」
戦士「男なら普通のことだろwwwwwっうぇっうぇwww」
472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:33:02.59 ID:8tWHkztno
戦士「確かお前って魔王に呪いか何かかけられてなかったっけ」
勇者父「それは勇者が頑張って解いてくれている」
戦士「おお、ならそれは問題にしなくてもいいな。ところで世界つっても今更何を救うんだ?」
勇者父「どうやら賢者が変な宗教つくって俺つえーやっているらしい」
戦士「昔から厨二病っぽいと思ってたが、そこまで悪化してたとは……」
473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:33:29.11 ID:8tWHkztno
勇者父「ということで俺達がその宗教を潰す」
戦士「魔王ちゃんと勇者ちゃんたちはなにしてんの?」
勇者父「魔物のイメージをアップさせるとか言っていたな」
戦士「そういや俺の町にも魔物来てトイレ掃除してたな」
勇者父「トイレ掃除とかwwwww地味すぎるwwwwww」
474: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:33:56.77 ID:8tWHkztno
戦士「あと一年ぐらい頑張れば結構いい線いくかもよwwww」
勇者父「よっし、俺たちもいいことするときはモシャスで魔物になってからやろうぜ」
戦士「斬新なアイディア。知り合いの雑誌のライターやっている友達にそれ勧めとくわ」
勇者父「モシャスで魔物になるのが今時のかわいい!! モテ☆かわ魔物スタイルで彼氏のハートをギガデインにしちゃお☆」
勇者父「がはやるってことですねwwww」
戦士「やばいwwwそれやばいwww」
475: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:34:23.60 ID:8tWHkztno
勇者父「でも実際、賢者のとこいくのは一年後くらいにしようぜ」
戦士「なにその一年後に本気出すみたいなwwwww」
勇者父「いやwwww魔物が一般化したら、魔物嫌いな宗教とか今より権力落ちるかもしれないからさwwww」
勇者父「あまり大きな権力に喧嘩うったら、お先真っ暗でござるよ」
戦士「それもそうだけどそんなのんびりで大丈夫なのかよwwwwwww」
戦士「もう俺たち後も長くねーし、さっさと倒して隠居したほうがはやいような気がするwwww」
476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:34:58.80 ID:8tWHkztno
勇者父「なぜだろう、お前がかしこくみえる」
戦士「テンションあげぽよ~ぉおおお!!」
勇者父「よっしこういうことは馬鹿な俺ら二人で話し合ってもしょうがないし、僧侶の意見を聞きに行こうぜ」
戦士「さっそく女に浮気したwwwwwwwwwwwww」
勇者父「うるせえwwww」
477: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:35:29.22 ID:8tWHkztno
――
僧侶「……おはようございます、僧侶です」
僧侶「今日も勇者様のところにいってお話したいなあ」
僧侶「……どうして私、僧侶なんて選んじゃったんだろ」
僧侶「この歳まで独身だなんて……。ぐすん……勇者様と結婚したかったのになぁ……」
僧侶「おはようございます、神様。どうか人間にとっても魔物にとっても今日が良い一日になりますように」
僧侶「……」
僧侶「そういえば賢者さんが変な宗教つくって、もう20年かぁ……」
僧侶「どうして賢者さんは魔物を殺したがるんだろう」
僧侶「……勇者様のところへいこっと」
僧侶「ごめんくださーい、僧侶ですけど、勇者様いますかー?」トントン
僧侶「……」
僧侶「…………いないや」
僧侶「どこにいったんだろう。いつもならいるはずなのに」
僧侶「……勇者様」
僧侶「…………かえろ」クルッ
僧侶「いたっ……」ゴツッ
僧侶「あれ、ドアの前に壁なんてあったっけ……」
魔物「オ、イタイタwwwwホントオイシソウッスネwwwww」
僧侶「ひっ。ま、魔物!? ど、どうしてこんなところに」
魔物「オレジュクジョモエナンスヨwwwwwwチョットイタダキマスネwwwwww」
僧侶「い、ひ……いやっあ!! こないで!! こな――――……」
勇者父「何人の家の前でいちゃついてやがるんだ魔物風情があぁあああああああ!!!」ドガッ!
魔物「フギャァwwwwwwwww」ズサササ――……!!
僧侶「!? 勇者様!?」
戦士「大丈夫か僧侶ちゃん!! 怖かったなら俺の胸に飛び込んできてもいいんだぜ!?」
僧侶「戦士くん……それは、遠慮しておくよ……」
魔物「エーwwwwwチョwwwwwエーwwwwwwwコンナテンカイwwwwキイテナインスケドwwwwww」
魔物「マオウサマノwwwwウソツキwwwwwwドウスリャイインダヨコレwwwwwwwww」ザザザザッ
戦士「お、こいつ逃げようとしてるぞ!!」
勇者父「まてぇえ!!! ぜってーにがさねーぞおおおおお!!!!!」ドドドドドッ
魔物「ヒィイイイイイイwwwwwwwwwwww」ザザザザザッ
勇者父「捕まえた」
魔物「」ピクピク……
僧侶「勇者様、その魔物まだ完全には死んでいませんよね。どうするんですか?」
戦士「生け捕りにして食べるのか?」
勇者父「いや魔王にみせようとおもって。こいつ魔王の嘘つき、とかいってたし」
戦士「そうと決まったら魔王城にれっつらごーだ!!」
僧侶(うう……なんだかめんどくさそうな展開になりそうだよぉ……)
僧侶「……おはようございます、僧侶です」
僧侶「今日も勇者様のところにいってお話したいなあ」
僧侶「……どうして私、僧侶なんて選んじゃったんだろ」
僧侶「この歳まで独身だなんて……。ぐすん……勇者様と結婚したかったのになぁ……」
僧侶「おはようございます、神様。どうか人間にとっても魔物にとっても今日が良い一日になりますように」
僧侶「……」
僧侶「そういえば賢者さんが変な宗教つくって、もう20年かぁ……」
僧侶「どうして賢者さんは魔物を殺したがるんだろう」
僧侶「……勇者様のところへいこっと」
478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:35:58.50 ID:8tWHkztno
僧侶「ごめんくださーい、僧侶ですけど、勇者様いますかー?」トントン
僧侶「……」
僧侶「…………いないや」
僧侶「どこにいったんだろう。いつもならいるはずなのに」
僧侶「……勇者様」
僧侶「…………かえろ」クルッ
僧侶「いたっ……」ゴツッ
僧侶「あれ、ドアの前に壁なんてあったっけ……」
479: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:36:25.49 ID:8tWHkztno
魔物「オ、イタイタwwwwホントオイシソウッスネwwwww」
僧侶「ひっ。ま、魔物!? ど、どうしてこんなところに」
魔物「オレジュクジョモエナンスヨwwwwwwチョットイタダキマスネwwwwww」
僧侶「い、ひ……いやっあ!! こないで!! こな――――……」
勇者父「何人の家の前でいちゃついてやがるんだ魔物風情があぁあああああああ!!!」ドガッ!
480: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:36:51.98 ID:8tWHkztno
魔物「フギャァwwwwwwwww」ズサササ――……!!
僧侶「!? 勇者様!?」
戦士「大丈夫か僧侶ちゃん!! 怖かったなら俺の胸に飛び込んできてもいいんだぜ!?」
僧侶「戦士くん……それは、遠慮しておくよ……」
481: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:37:18.38 ID:8tWHkztno
魔物「エーwwwwwチョwwwwwエーwwwwwwwコンナテンカイwwwwキイテナインスケドwwwwww」
魔物「マオウサマノwwwwウソツキwwwwwwドウスリャイインダヨコレwwwwwwwww」ザザザザッ
戦士「お、こいつ逃げようとしてるぞ!!」
勇者父「まてぇえ!!! ぜってーにがさねーぞおおおおお!!!!!」ドドドドドッ
魔物「ヒィイイイイイイwwwwwwwwwwww」ザザザザザッ
482: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:37:46.33 ID:8tWHkztno
勇者父「捕まえた」
魔物「」ピクピク……
僧侶「勇者様、その魔物まだ完全には死んでいませんよね。どうするんですか?」
戦士「生け捕りにして食べるのか?」
勇者父「いや魔王にみせようとおもって。こいつ魔王の嘘つき、とかいってたし」
戦士「そうと決まったら魔王城にれっつらごーだ!!」
僧侶(うう……なんだかめんどくさそうな展開になりそうだよぉ……)
483: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:38:13.11 ID:8tWHkztno
――
勇者「めっちゃ眠い」
魔王「あらー、勇者さん。おはようございます~」バサッバサッ
勇者「今日は洗濯ですか」
魔王「はい。今日は風が心地よくて素敵ね~」
勇者「あまり天候とか変わらないような気がするんですが」
魔王「それは勇者さんが魔界にあまりいないからわからないのよ~」
魔王「魔界はずーっと同じような天候でわかりにくいけれど、これでも毎日違うのよ?」
勇者「勉強になったなあ」
魔王「そういえば昨日スライムたちが魔界に帰ってきましたけど、何かあったんですか?」
勇者「ああ、そのことなんですけど、ちょっと話聞いてもらいますか?」
勇者「できれば側近さんとかもいるといいんですけど」
魔王「あら~、側近ちゃんもですか。 ごめんなさい、勇者さん。丁度側近ちゃんは――」
勇者父「魔王アッァァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
勇者「父さん!?」
戦士「 もませてくれー!!!」
魔王「ひっ、え、あ、ゆ、勇者様!? と、戦士様!? ど、どうしたんですか~?」
僧侶(私もいるよぉ……)
勇者父「論より証拠だ。まずこれをみてくれ、どう思う?」
戦士「いやその前に俺のはどうおもう」ギンギン
魔王「え、あ、やっ。やめてください、そういうのは……ちょっと……」
戦士「ウブだね、グッヘッヘッヘ。ほらほら」ブラブラ
勇者「戦士さん、それ以上やったらもぎ飛ばしますよ」
戦士「ひぃ」
魔物「」ピクピク…
魔王「あ、えっと、これ、魔物、ですよね」
魔王「あら、でも、どうしてこんなにボロボロに?」
勇者父「俺がボコボコにしました。僧侶食おうとしたので」
魔王「え、そ、僧侶さん、大丈夫でしたか?」タプーン
僧侶「は、はい。だ、大丈夫です」ペターン
僧侶(……巨 は何十年たっても苦手だなぁ)
勇者「僧侶さん襲ったって本当なの」
勇者父「ああ、本当だ。この目でしっかりみた」
魔王「人間を襲う魔物なんて……そんな……」
勇者「こいつ一匹だけとかじゃないでしょうか」
勇者父「それはさすがに楽観視しすぎだろう」
勇者「ですよねー」
魔王「……あら、でも、この魔物……。ううん……」
勇者「どうしたんですか?」
魔王「……こんな魔物、魔王軍にいたのかなって。私が忘れているだけかもしれませんが~……」
魔王「ちょっとこの子、回復させてもよろしいでしょうか?」
勇者「どうするんですか?」
魔王「本人から少し話を聞こうと。おしおきもしないといけませんしね」
勇者父「……まぁ、そういうことなら。だけど、このままだと絶対逃げるよな。縄とかない?」
魔王「あ、はい。あると思います。縄とってきますね。どうぞ城の中でお待ちください」
勇者「じゃ、いつもの個室で待ってます」
魔王「はーい、案内お願いしますね」タタタッ
勇者「わかりました」
勇者父「……」
戦士「……」
勇者「……なんすか?」
勇者父「なんでもないですよ」
戦士「ええなんでもないですよ」
勇者「なんだかむかついてきた」
魔王城 個室
戦士「やっぱくさいよねー」
勇者父「うんうんくさい」
戦士「だよねー」
魔王「お待たせしました~」
側近「失礼します」
勇者父「あれ、君だれ?」
側近「お会いするのは初めてですね。私は魔王様の側近をやっています、側近と申します」
勇者父「……ああ、魔王に電話かけるといつも出る子か」
勇者「声で判断できるほど電話してたのかよ」
勇者父「一人さびしい夜に、魔王の声を聞いて」
側近「勇者殿からの電話はとらないようにしますね」
勇者父「すいませんでした」
魔王「人を襲う魔物が現れたということで、側近ちゃんも呼んでみたんですよ」
魔王「きっと私以上に魔物は把握していると思いますので~……」
側近「そ、そんなことは……。と、とりあえずその魔物をみせてもらいますか?」
勇者父「これです」
魔物「」ピクピク……
側近「うむ……」
側近「……これは私も、みたことありませんね」
魔王「じゃあ、やっぱり本人から話を聞くしかないですね~……」
勇者父「縛ったよー」
魔王「あら~……難しそうな縛り方で縛りましたね~……」
勇者「なぜ 縛りなのか」
戦士「魔王ちゃん! 俺を縛ってくれ!!」
魔王「あ、え、私にこんな縛り方はできません~……」
勇者父「そもそも戦士よ。こーゆー胸してるんだから、こっちが縛ったほうが迫力あっていいとおもうぞ」
戦士「それもそうだな。魔王ちゃん、縛らせてくれ」
側近「私がしばいてあげましょうか?」
戦士「さいきんのおんなのこってこわい! なんでもすぐにほんきにする!!」
僧侶(私、影うすいなぁ……)
側近「ベホマズン!」
魔物「オ、オオオオオ、ウヒョーwwwwwナンダカシラナイケドwwwwwカラダカルイwwwwww」
魔物「ッテwwwwアレwwwwwココドコwwwwwwwwwwwww」
勇者「こいつの声聞き取りにくいなぁ」
魔王「はじめまして、魔物さん。わたしは、魔王と申します~」
魔物「エwwwwwハイ?wwwwwマオウwwwww?チョwwwwwニセマオウサマktkrwwwwww」
魔王「偽? あ、わ、私、偽の魔王だったんですか~!?」
側近「大丈夫です、魔王様。あなたは偽の魔王ではありません」
魔物「ヨクミタラwwwwシバラレテタwwwwwwコーユープレイwwwwwスキクナイノニwwwwwwwww」
勇者父「お前がいう魔王とは何者だ」
魔物「ゼッタイwwwwwオシエナイwwwwwwwww」
魔王「あ、私の父、のことでしょうか。名前はエスタークっていうんですけど」
魔物「ダレソレwwwwwwwwwwwwwwww」
側近「どうやら違うみたいですね」
勇者父「そういえばエスタークどうなってんの? まだビンビンギンギンで寝てるの?」
魔王「あ、はい。恥ずかしながら……。あと千年ぐらいで目覚めると思うんですが」
勇者父「千年以上もあの格好で寝るなら俺は死を選ぶ」
戦士「俺もだ」
魔王「実の父を殺せるほど、私は冷酷にはなれません~……」
勇者「なんだか魔王の口から殺せるとか聞くとものすごい違和感を覚えるよ」
魔物「イイカラハナセヨwwwwwwオマエラヲwwwwタベツクシテwwwwwマオウサマノトコロヘwwwwwカエルカラwwwwww」
勇者「だからその魔王の名前をいえってば」
戦士「そうだそうだ」
魔物「ゼッタイwwwwwオシエナイwwwwwwwコンナシバリカタシタwwwwwヤツラニハwwwwwゼッタイニwwwwww」
勇者「あーもう、聞き取りづらい。聞き取りづらい」
側近「魔王様、これは計画にかなり重要な打撃を与える出来事です」
側近「なんとしてもこいつからマオウサマの情報を聞き出さなければいけません」
魔王「え、ええ、そうね~……。どうしましょう」
側近「ずばり拷問しかないでしょう」
勇者父「うわ、ひどい」
戦士「さすが魔物、やることが汚い」
側近「そ、それしか解決方法が思いつかないんですからいいじゃないですか!!」
勇者「そうだよ、父さんたち。ちっ な側近さんにそれ以外の解決方法がうかぶとおもったr」
側近「うるさいぞ勇者!!!!」
魔王「……そうですね~。でも僧侶様を襲ったのですから、その分のお仕置きは同じ魔物としてしなければいけませんし」
魔王「わかりました。私、ちょっと叱ってみますね~」キリッ
戦士「魔王ちゃんの喋る速度って×1.5ぐらいにすれば丁度よくなりそうだよね」
魔王「あ、あら~? わ、わたし、そんなに喋る速度遅いですか?」
戦士「子守唄みたいで素敵だってことさ。どうだい、今夜。女としての悦びを俺の剣で刻み込んでやるぜ」ドヤッ
魔王「す、すいません。それはまた今度にお願いします。今日は勇者さんと寝る約束が」
勇者「ちょ、あぁぁぁあ!! たんま! 魔王まって! 戦士さん言っておきますけど、そーゆー意味じゃないですからね。アレの方向じゃないですからね」
戦士「これは、新種のツンデレか何かかな」
勇者父「父親としては喜んでいいのか悲しんでいいのかわからない」
魔王「……えっと、ご、ごめんなさい?」
魔王「とにかく、叱りますね。いいですか、魔物さん。私は今からあなたを叱るんですよ?」
魔物「ンwwwwwwオwwwwwwヨクミタラwwwwwオッパイデカイwwwwwジュクジョモエノwwwwwオレニトッテハwwwwテンスウタカイデスヨコレwwwww」
魔王「だ、だめですよ。女の人をそういう目でだけで見ては」オロオロ
魔物「オッパイマミマミシタイwwwwwwwwww」
側近「……」
勇者「大丈夫だって、側近さん。いつか大きくなるよ」
勇者父「むしろ大きくならないでくれ」
側近(くっ、こ、この親子。できることなら八つ裂きにしたいっ……!)
魔物「チwwwwチwwwwチwwwwチwwwwヲッパーイwwwwwボイーンwwwボイーンwwwww」
魔王「だ、だから、そ、そういう目では……うぅ……」
勇者「なにをやっているんですか魔王。この前のカンダタみたいにバイーンとやっちゃってくださいよ」
魔王「ご、ごめんなさい」
魔物「ヘイヘイwwwwwマオウサマwwwwwビビッテルwwwwwww」
魔王「も、もうっ、そういうこといっちゃメッ!」ツンッ
魔物「ギャアァァアアアアアアアアアア!!!!!!!ウデガァアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
戦士「魔物君の腕、ふっとばされたー!!!!」
魔王「ど、どうしましょ~……。こ、ここまでつよくやるつもりは、なかったんですけど」
魔物「イタイヨオオオオ!!!タスケテヨオオオ!!」
側近「助けてほしければマオウサマとやらの名前を言うがいい!!」
魔物「オ、オルゴ・デミーラサマダヨオオオオオオオ!!!ダカラナオシテエエエエエエ!!!イダイヨオオ!!!」
側近「オルゴ・デミーラ……?」
勇者「なんか聞いたことある」
勇者父「お前がゴルゴゴルゴいっていたやつじゃねーの」
勇者「あ、そうかも」
勇者父「もー、有名なスナイパーさんと間違えるなんて勇者はドジっ子だなあ!」
勇者「えへ☆」
魔物「イイカラタスケロヨオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
側近「あの魔物は回復させた後、牢屋の中にいれてきました」
勇者父「さすが側近、行動ははやい」
勇者「胸がない分、はやいんだよ」
側近「みんな違って、みんないいんだ!!!!」
僧侶(その通りだよ、側近さん。がんばれ側近さん)
勇者「これで、賢者さん達が崇める神様が魔王だということがわかりました」
勇者父「魔王といえば、同じ魔王の魔王。魔王について魔王は知っていますか?」
戦士「魔王がゲシュタルト崩壊しそう」
魔王「えぇ……と、オルゴさんは、父が以前話していたと思うんですけれど、確か以前はここに住んでいた魔王だとおもいます」
魔王「ただ、何かが原因で別次元にいってしまったみたいですね」
魔王「お子さんが反抗期にでもなり、落ち込んじゃったのですかね。ふふっ」
勇者父「そんなメンタル弱いのかよ魔王って」
勇者「なんでわざわざ帰ってきたんですかね」
勇者父「もしかしてエスタークが怖くて逃げて、封印させていることを知って安心したから戻ってきたりとかしてwwwwwwwwwww」
戦士「超豆腐メンタルじゃんwwwwwやばいwwwwwwwwww魔王やばいwwww」
魔王「魔王が二人いると、どっちのことを言われているかわからなくて、戸惑いますね~」
勇者父「正体が魔王ということならば、さっそくぶっ潰しにいかなきゃな」
戦士「ああ、そうだな」
僧侶「うん、じゃあ、私もがんばるね」
僧侶(この年になっても戦うなんていやだなあ)
側近「……勇者殿、ちょっと待ってください」
側近「確かに相手が魔王であることはわかりましたが、まだ情報が少なすぎます」
側近「一ヶ月……いや、三ヶ月ぐらい待っていただけないでしょうか?」
勇者父「長すぎwwwwwwwwwwwwww」
側近「しかし、今戦ってしまえば……確かに勇者殿の力であれば勝てるでしょう」
側近「だけれど…………その……」
魔王「……?」
側近「そ、そうです。今、教皇が魔王だと知られてしまえば、ただでさえ悪い魔物のイメージがもっと悪くなります」
勇者父「だが、あの魔物が人を襲うようなことが多数あればそれよりももっと悪いイメージがつくだろう」
側近「あ……。で、ですが、その、今は」
勇者父「側近とやら、ひとつ勘違いしているようだが、俺は魔王軍の為に動くわけじゃない」
勇者父「人の為に動くのだ。お前らの都合など知ったことじゃない。そういうのは勇者に頼め」
勇者「誰のために動いてやっているとおもってんだ、この親父」
戦士「おっさんは適当にかっこいいこといいたいだけだよ」
勇者父「外野うるさい!!」
勇者父「ということでだな、あきらめてくれ側近」
側近「……わかりました」
魔王(……なにか側近ちゃん、隠し事でもしているのかしら。いつもと雰囲気が違うような気がするわ~……)
魔王「えぇ~と、それでも一日ぐらいは休んでいってください」
魔王「こちらで勇者様方用の武器なども差し上げたいですから」
勇者父「えぇ~わるいなあ、くれるのお?」
魔王「はい。それが世界平和につながるのでしたら是非お使いください」
勇者父「じゃ、ありがたくもらっておきます」
戦士「世界平和のために魔王ちゃんの●が必要ですので、●●りさせてください」
勇者「もぎ取りますよ」
勇者「お風呂気持ちよかったです」
勇者父「俺たちも一緒に入りたかった」
側近「堂々と覗き見した人が何を言うんですか」
勇者父「覗かない選択を選ぶ奴がいたらそれは男じゃない」キリッ
戦士「そうだそうだ!!」
僧侶(ど、どうしよう~、ゆ、勇者様に裸みられちゃったよぉ……)
魔王「zzz……」
勇者父「俺たちはどこで寝ればいいの?」
戦士「できれば魔王ちゃんの胸の中でおねんねしたいお」
勇者父「じゃ俺は側近で」
側近「廊下があいていますのでそこで寝てください。冷たくて気持ちいいですよ」
勇者父「まじですか」
勇者「そうだね側近さん。それがいいとおもうよ」
側近「ほう、お前と話が合うなど珍しい」
勇者「変 は女の敵ですから」
側近「僧侶殿には部屋をご用意していますから安心してください」
僧侶(よかった……、私も床で寝るかとおもったよぉ……)
勇者父「まさか魔物に裸土下座する羽目になるとはおもわなんだ」
戦士「世も末だのぉ……」
勇者「この歳にもなって父親の哀れな姿を見せられる娘の気持ちにもなれ」
側近「ふふ……。それでは勇者殿達の部屋にご案内しますね」
勇者父「ここまでやってブタ小屋に放り込まれるってことはないよな?」
戦士「まっさか~☆」
側近「……」
勇者父「え、ちょ、側近ちゃーん。どうしてそこで黙るのかな~?」
側近「……ちっ、では案内します」
戦士「え~、ここ、舌打ちするとこ? 今、舌打ちするとこかな?」
勇者「ざまぁああああ!!」
勇者「そして二人きりになった」
魔王「zzz……」
勇者「でも魔王は寝ているから、実質一人です! 魔王起きてくださいよ。よだれたれてますよ」
魔王「う~ん……えっ、あ、わ、よだれ!? え、あっ……」
勇者「嘘ですよ。ほら、立ちながら寝ないでください」
魔王「あ、あら~、また私ったら……」
勇者「いいから部屋にいきましょう」
魔王「はーい」
勇者「魔王様のベッドなう」
魔王「勇者さん、少しお話したいことがあるんですが、大丈夫ですか?」
勇者「はい、なんでしょう」
魔王「明日、貴方のお父様はオルゴさんを倒しに行くんですよね」
勇者「そうみたいですね」
魔王「少し側近ちゃんの様子がおかしくありませんでしたか?」
勇者「……う~ん……、どうだろう」
勇者「そういわれてみれば、そんなよーな、って感じですけど」
魔王「そこで勇者さん、もし良かったら側近ちゃんを明日監視していただけないでしょうか」
勇者「え、まじすか」
魔王「えぇ……、私がやりたいんですが、そういうのは私向いていなくて……」
勇者「……確かに。そうっすね。う~ん……、まぁ、魔王がそういうなら協力しますよ」
魔王「よかった~。それじゃ午前三時から監視よろしくおねがいします~」
勇者「え? ちょっといみがわからないです。三時? 午前? 今、十二時ですよ」
魔王「側近ちゃん、朝起きるのはやくて~……」
勇者「」
勇者「ま、まぁ、がんばってみます。任せてください」
魔王「ごめんなさい~、お願いしますね」
勇者「はい……」
勇者(私早起き苦手な上、そういうの向いていないような気がするんだけどなあ~……)
勇者「おはようございます。只今二時半です」
勇者「実質一時間しか寝てないんですよ。今日実質一時間しか寝てないんすよ~」
勇者「身体だるいですが、魔王のためがんばってきます」
魔王「zzz……」
勇者「うらやましいから、魔王のほっぺたつんつんしておこう」ツンツン
勇者「うわ、柔らかい」
勇者「ついでに胸もやっておこう」フニフニ
勇者「うわ、柔らかい」
勇者「側近の部屋の前です。只今の時刻は三時。出てくる気配はありません」
勇者「側近の部屋の前です。只今の時刻は三時十二分。中から物音がします」
勇者「こちら勇者。大佐、聞こえるか。只今の時刻は三時二十一分。目標は廊下に移動した」
勇者「こちら勇者。大佐、ダンボールを手に入れた。これでかつる」
勇者「なんだと、コントローラを2Pにするだと!? そんなメタ発言をしてもいいとおもってるのか!! クタラギさーん!!」
側近(さっきからダンボールが動いているんだが、これはいったいなんだろうか……)
側近「ごちそうさまでした」
勇者「今日の側近の朝ごはんは、バナナと牛乳だったけどダイエットでもしてるのかな」
勇者「減る胸もないというのに!!」
側近(なんだろう……。何故か怒りがそこはかとなくわきあがってくる)
勇者「カロリーメイトがたべたいなあ」
勇者「こちら勇者。側近は何故か魔王城から出て行き、ルーラを使った」
勇者「卑怯な、ルーラを使われたらどこにいったかわからないというのに」
勇者「賢者さんのところにいったらダウトなんだから、そこにいってみようと思う」
勇者「ルーラ!」ビュン!
勇者「こちら勇者。教会に潜り込んだなう」
信者1(ダンボールが動いている……)
信者2(きっと私、疲れてるのね……)
勇者「賢者がいるだろう最上階に向かって進むなう」
側近「―――」
勇者「向かっている途中で目標を発見! 限りなく黒に近いグレーやで~」
勇者「ジョニー側近に今度下剤でも混ぜてみようかな……」
側近(なんだろう、なんだか寒気がする……)
側近「賢者、いるか。入るぞ」トントン
勇者「最上階についたら大きなドアがあったなう」
勇者「ボスのカギがないと開かないレベルやでこれ!!」
勇者「側近にぴったりついていって中にはいるというチートを使うなう」サササッ
側近(なんだろう、今、後ろをみたらトラウマになりそう)
勇者「適当に隅に隠れて話を聞きます」
勇者「まさか厨二病真っ盛りのころに買ったペン型録音機がこんなところで役立つとは……」
側近「賢者よ、面倒なことが起きた」
教皇「……何が起きたというのです?」
側近「昨日、お前は僧侶のところに魔物を放っただろう」
教皇「ええ。当たり前ですよ。勇者様を惑わす女などいりませんから」
側近「その所為で魔王様にお前の存在がばれた」
教皇「……ほう。エスタークの娘にですか」
側近「あぁ……。少し早いが今日にでも魔物を放たなければまずいだろう」
教皇「ふふふ……、そんな慌てなくても娘ぐらいなら私でも倒せます」
側近「それとお前が大好きな勇者にも存在がばれた」
教皇「なんですって……!」
側近「ああ。明日にでもここに乗り込んでくるだろう」
教皇「……」プルプル……
勇者(よし、録音はこのくらいでいっか。リレミトを使って……)
勇者(あぁあああああああ!!! 私まだ11レベだったあぁあああああああ!!)
勇者(やっべ、これやっべ。すっげやっべ。どうやって帰ろう)
教皇「ところで、先ほどから隅のほうでダンボールが震えてるんですが、なんですかあれ」
勇者(しかもこのタイミングでばれたー!!)
勇者「ふははっ!! ばれてしまっては仕方ない! 私は勇者! じっちゃんの名にかけて月にかわって成敗してくれる!!」ガバッ!!
側近「ゆ、勇者!? どうしてお前、こんなところに!?」
勇者「うるさい裏切り者めが!! 私が闇に葬ってやろう!! ふははっ!!!」
側近「口ほどにもなかった」
勇者「」ピクピク……
教皇「作戦がばれてしまったら仕方ない。勇者様の娘ですが殺しましょう」
勇者「いやまってくださいよ。私主人公ですよ」
勇者「目の前がまっしろになるだけで教会に自動送還されるシステムになるんですから、殺したって無意味ですよ」
側近「そうだな。それよりも捕らえておくほうがいいだろう。勇者殿が来たときに役に立つかもしれん」
教皇「そうですね。ふふ……」
勇者(とりあえずペン型の録音機は無事なんで安心しています)
側近「それでは私はいったん魔王城に帰るな。リレミト!」
戦士「ふぇぇ……豚箱くさかったよぉ……」
魔王「おはようございます、なんだか獣くさいですがどうしたんですか?」
戦士「豚に妊娠させられそうになったのぉ……」
魔王「あら~、戦士様は女の人だったんですね~」
戦士「ふぇぇ……」
勇者父「いい歳したおっさんがこんなことやってる現実にドン引き」
僧侶(ちょっと勇者様もくさいよぉ……)
魔王「ごちそうさまでした」
側近「魔王様、今日こそは政務の勉強をしてくださいね」
魔王「あら~……?」
側近「? どうしましたか?」
魔王(側近ちゃんはここにいるのに、勇者さんはいない。どうしたのかしら~……)
魔王「いいえ、なんでもありません~。それでは勇者様、私は勉強してきます」スタスタ
勇者父「うぃーす」
戦士「俺たちは賢者でも倒しにいこうぜwwwww」
僧侶「そ、そうだね……」
側近「その件なのですが、勇者殿。武器の手配が終わっていないのでもう一日待っていただけないでしょうか」
勇者父「まじで」
側近「明日になればメタル系の装備を用意することができます」
側近「相手は腐っても魔王です。こちらとしても万全な装備で向かっていただきたいのですが」
戦士「確かにそのほうが安全だなwwww」
勇者父「おっし、わかった。なら明日いくことにすっか」
側近「ありがとうございます」ペコリ
魔王「……」
魔王城 中庭
勇者父「なら今日は訓練でもすっかwwwww」
戦士「そういえば最近まったく働いていないですものねwwwwww」
魔王「勇者様、ちょっとまっていただきますか~?」
勇者父「お、魔王。どうしたんですか? 勉強しなくていいんですか?」
魔王「それは今からします~。それよりも、これを持って行ってオルゴさんのところへ」
勇者父「あれ、メタル装備じゃん。明日にならないと手に入らないんじゃないの?」
魔王「いいえ。父がマニアだったものですから、こういうものは腐るほどたくさんあるんです」
僧侶「で、でも、さっき側近さんが明日にならないとって……」
魔王「不思議ですよね~。側近ちゃんも知っているはずなのに~……」
勇者父「なんだかめっちゃ怪しいヨカーン」
魔王「……あと昨日勇者さんに側近ちゃんを尾行するように頼んだんです」
魔王「しかし魔王城に勇者さんがいる気配が感じられません」
魔王「もしかすると……賢者さん達に捕まってしまったのかもしれません」
勇者父「な、なんだってー!!」
魔王「ごめんなさい、勇者様。貴方の了解もなしに危ない橋を渡らせてしまって……」
勇者父「それはかまわないけど、捕まったとなると危険だな」
僧侶「はやく助けにいってあげないと、ひどいことになっちゃうかもしれませんね」
戦士「信者に●●破られたりとか?」
勇者父「そういうのは薄い本で充分だぁああああ!!! 魔王、この装備もらって行ってもいいですか!?」
魔王「はい、構いません」
勇者父「よっしゃ、装備して賢者のところに向かうぞ!!」
勇者父「最上階まで余裕でした」
僧侶「魔物もまったくいませんでしたね……」
戦士「適当に信者に入会したいんですがー、アリシャス!! とかいってればこれたもんなー」
勇者父「しかしこのボスのカギがないとあかなそうな扉はなんだ」
戦士「エバラのごまだれ~」
僧侶「確か……勇者様さいごの鍵持っていませんでしたか?」
勇者父「あぁ、ある。だからなんかさっき中ボスみたいな奴いたけど無視してここまで来たってわけさ!」
戦士「きゃー、勇者様ずるいー!」
勇者父「ちょっと通りますよっと」バンッ!
教皇「!?」
魔物A「ウハwwwwwwクルノwwwwwハヤスギwwwwwww」
魔物B「マダwwwwアサノwwwwwwハチジwwwwwナノニwwwwwwww」
戦士「うお、あの魔物がたくさんいっぞ!!」
僧侶「うぅ……怖いよぉ……」
勇者父「ここで会ったが八年目! 勇者を返してもらおうか!!」
教皇「勇者? 勇者様、何をおっしゃっているんですか?」
勇者父「ごまかすな!! いるということはわかっているんだ!! たぶん!!」
教皇「何を根拠に……」
勇者父「根拠はない!! 仮にいなかったとしても、お前の崇めている神を倒すことは変わらぬよ!」
戦士「オルゴという魔王に会わせてくれ賢者!」
教皇「あぁ……。オルゴ・デミーラ様ですか。オルゴ様なら、私の……中に」
戦士「……」
勇者父「あれなんでお前●内にか! とかいわないの?」
戦士「いや、魔王が●内にいるって想像すると気持ちわるいなって」
僧侶「うぅ……馬鹿なこといってないで倒そうよぉ……」
戦士「というか中にいるってどういう状況なんだ?」
勇者父「あれなんじゃないの。多重人格みたいな」
勇者父「いきなり現れて「クク、この小娘は意思が強い……」とか言い出す、邪気眼の子とかいるじゃん。そういうのじゃないの?」
戦士「やばいwwwwwww賢者こんなおばさんになってまで邪気眼とか救いようがないwwwwww」
勇者父「いってやるなよwwwwwかわいそうじゃんwwwwwwwwぷぷぷwwwww」
教皇「私は魂をオルゴ様の下に返しただけです!!」
戦士「おっさん涙でてきたよ。まさかこんなこと言う人になるなんて……」
教皇「うるさいですね!!神にわが命捧げるのは喜ばしいことなのです!!」カァ///
勇者父「……あれ、ということはお前賢者じゃないってこと?」
教皇「えぇ、私はオルゴ・デミーラ。全能の神です」
勇者父「どうして賢者はお前なんかに魂を売ったんだ?」
教皇「そんなこと、私がしるはずがないでしょう」
教皇「ただ、そうですね。とても悲しんでいたんでしょうね。とても、乗っ取りやすかったですし」
教皇「今となっては誰も知る事は出来ない……。ふふ、魔王に毒された勇者よ。この私が闇に葬ってくれよう!」
勇者父「うわ、勝手に戦闘態勢にはいりやがった」
オルゴ・デミーラがあらわれた!
勇者父「こいつ脳みそ丸出しんごwwwwwwwwww」
戦士「ンゴゴゴwwwwこれは社会現象にならないwwwwww」
僧侶「ひぃ、気持ちわるいです……」
勇者父「どうやらあいつ律儀に待ってくれているってことは、俺たちから先行のようだ」
戦士「そのようだな」
勇者父「さすがに脳みそ出している奴に負けるはずないから、一時間くらいこの体制でいよーぜwwww」
戦士「焦らしプレイktkrwwwwwwwwwwwwww」
僧侶「脳みそ一時間もみているのいやだよぉ……」
一時間後
勇者父「でさー、あいつくさいのー」バリバリ
戦士「だよねー、あいつまじくさいよねー」バリバリ
僧侶「このお煎餅おいしいですね……」バリバリ
デミーラ「……」
勇者父「ちょwwwwここにファミコンあったwwwwww」
戦士「刺さっているのが桃鉄とか結構いい趣味をしている」
勇者父「今から桃鉄99年やろーぜwwww」
戦士「負ける気がしない」
僧侶「私それやったことない……」
デミーラ「…………」
二時間後
戦士「なんで貧乏神こっちにばっかよこすんだよ!! ぶっ殺すぞ!!」
勇者父「リアルファイトをする日がやってきたようだな」
僧侶「喧嘩はだめだよぉ……。あ、私目的地着いちゃった」
勇者父「ちょwwww一番遠いの俺じゃんwwwwwww」
戦士「ざまぁあwwwwwwwwwww」
デミーラ「あの……ちょっと、貴方たちのターンなんですけど」
勇者父「今いいところなの!! ちょっと待ってなさい!!」
デミーラ「ひぃ……」
三時間後
戦士「やっぱハリケーンがいないと途中からだれるな」
勇者父「ほぼ僧侶の勝ち決定だもんな」
戦士「仕方ないからNPCいじめる遊びしようぜwwwwwwww」
勇者父「よっしゃのったわwwwwwwwwwww」
デミーラ「……」グスン
四時間後
戦士「飽きたわ」
勇者父「飽きたわ」
僧侶「えぇ、でも後21年ですよ?」
戦士「それでも飽きたわ。めっちゃ負けて悔しい」
勇者父「俺も悔しい。桃鉄とマリオパーティだけは子供のころから一位だったのに」
戦士「むかついてきたからそろそろデミーラ倒すか」
勇者父「おっしゃ、倒す倒す」
デミーラ「!? ふ、ふはは、勇者たちよ! 倒される心の準備はできたか!!」
勇者父「うらああぁぁあしねええええええ!!」
勇者父の攻勇者父の勇者父の攻勇者父の攻撃!勇者父の攻勇者父の攻撃!!
デミーラ「ぶぼぼぼっぼぼぼぼぼぼぼっぼおっぼっぼぼぼbb」
オルゴ・デミーラに9999のダメージ!
デミーラ「ほほ、ぼうやたち。あなたの攻撃はその程度なn」
戦士「よっしゃ次は俺の番だあああああ貧乏神滅びろおおおおおお!!!」
戦士の攻撃!
オルゴ・デミーラに9999のダメージ
デミーラ「せ、せめてセリフはいわせなs」
勇者父「うらああぁぁあ戦士はまけんぞおおおあああああああ!!」
勇者父の攻撃!
オルゴ・デミーラに9999のダメージ
デミーラ「うがああぁぁああああせめてターンはまもってよおおおおおおお!!!!」
戦士「最後は俺だあああああ!!」
デミーラ「だから次はオレ様のターンだと!」
戦士の攻撃!
オルゴ・デミーラに9999のダメージ
デミーラ「ぎやああぁぁああああああああああああああ!!!!!!」
勇者父「おいしいところ取られたあああああああああ!!!!!!!!!!」
デミーラ「ど……どうしてオレさまは……こっちの世界でも……まけるのだ……」ドロドロ
デミーラ「しかも……四時間も……放置されたあげく……一度も攻撃……させてもらえないで……」ドロドロ
勇者父「うわ、めっちゃ溶けてる!!wwwwwwww」
僧侶「というか泣いています」
戦士「ざまぁあwwwwwwwwwwwwwwww」
デミーラ「おのれ……おのれ……たかがデクの人形ごときが……」
デミーラ「貴様らも道連れだ!! 骨すら残さん!!」チッチッチッ
勇者父「ちょ、おま、それ、ばくはt――――!!」
――
戦士「うおおおおおおおおおおおいてえええええええええええええええ!!」
僧侶「だ、大丈夫ですか戦士くん!! ベホマズン!!」
戦士「はー、はー、助かった。僧侶がいてくれて本当よかったよ」
僧侶「う、ううん。わ、私こそ、守ってくれてありがとう……」
戦士「どんな状況でも女は守るのが紳士のたしなみですよ」キリッ
魔物A「エ、ナニコレwwwwwマサカwwwwマオウサマwwwwシンジャッタノwwwww」
魔物B「ソウッポイwwwwwwwwドウスッカwwwwwwwwwwww」
魔物C「セメテwwwwユウシャノwwwwナカマモwwwwコロソウトオモッタケドwwwwメッチャゲンキダシwwwww」
魔物A「ニゲルガwwwwwカチデスwwwwwwwwwww」
戦士「させるかぁあああ!!」
魔物A「ウギャアアアアアアアアア!!!」
戦士「どーーーん!!!」
魔物B「ソンナアアアアアアアアアアア!!!!!」
戦士「がらがらどっしゃーん!!!」
魔物C「バイバイキーンwwwwwwwwwwww!!!」
戦士「よし、これでオルゴが呼んだ魔物の殲滅も終わったみたいだな」
僧侶「そうだね……、で、でも勇者様と勇者ちゃんはどこにいるんだろう」
僧侶「もしこの瓦礫のしたとかに埋まってたら、はやく治療しないと……本当に死んじゃうよ……」
戦士「うぐぐ……。僧侶、キメラの翼はもっているか?」
僧侶「う、うん」
戦士「魔王のところにいって、応援を呼んできてくれ!! 俺は呼びかけしながら探してみる!!」
僧侶「う、うん。わかった! まだ魔物いるかもしれないから気をつけてね!!」
戦士「あたぼーよ!! まかせとけ!!」
勇者「寝落ちしてたら建物崩れてきたでござる」
勇者「運よく柱みたいなのが私を守ってくれて、下敷きにならないですんだけどこのまま放置されたら死ぬよなぁ……」
勇者「どないしよー。ルーラ使ったら絶対頭ぶつけるもんなぁ……」
勇者「メラで縄を焼ききって……、いや、服まで燃えるか」
戦士『勇者あああああああああああああああああ勇者ちゃああああああああああああああ!!!!! どこだああああ!!!!!!!』
勇者「お、戦士さんがいるみたい。勇者はここですy 戦士『勇者ああああああああああああああぁあああああああああああ!!!』
勇者「ここでs 戦士『勇者ちゃああぁぁあああああああああああああ!!!』
勇者「だめだったわ、あの人の声でかすぎて私の声届かないわ。これ積んだわ」
魔王『せ、戦士様、勇者さん達見つかりましたか!?』
勇者「お、魔王ログインしたお」
戦士『魔王ちゃん! いんや、まだ見つかってない!』
魔王『そうですか……。力持ちな魔物たちを連れてきたので、それで見つかればいいのですけれど……』
戦士『ありがとう! そしてありがとう!! よっしゃ手分けしてやるぞおおおおおおお!!』
勇者「私はここにいるよ」
勇者「初埋まり…ドモ…。俺みたいな勇者で瓦礫とおねんねしてる11レベの野郎、他にいますかっていねーか、はは」
魔王『いっそのことメラゾーマで瓦礫をふっ飛ばしたくなりますね~……』
ゴーレム『そりゃいいですねえ!! ばばーんとやっちゃいますかあ!?』
魔王『ふふ、なんちゃって。さすがにそんなことは、最終手段ですよ~』
ゴーレム『ですよねー!! わっははは!!』
勇者「なんだか地上の会話が怖いです」
スライム1「あー、勇者さまみつけたー!」
勇者「女神が光臨なさった!! スライムだからこんな狭いところまでこれるんだね!!」
スライム1「勇者さま大丈夫? 今、魔王さま呼んでくるね!!」プルンプルン
勇者「ありがてぇ……ありがてぇ……」
スライム1『魔王さまー!! 勇者さまみつかったよー!!』
魔王『まぁ、こんな小さい穴の先にいるのー? 勇者さんー? きこえますかー? ただいまマイクのテスト中ですー! ふふっ』
勇者「聞こえてますよー! マイスのテストってなんですかー?」
魔王『よかった、無事みたいですねー。けれどどうしましょう。こんな小さい穴ですと助けるのも大変そうね~……』
ゴーレム『メラでふっ飛ばしましょう』
魔王『あら~』
勇者「おいやめろ」
勇者「救出されました」
魔王「勇者さん無事でよかったです~!」ダキッ
勇者「うわおっ!! 抱きつかないでください。 胸が、胸で、い、いきg……」
魔王「勇者さんよかった~……。助かってよかったわ~……」パフパフ
勇者「……」ガクッ
スライム1「魔王さま、どちらかというとトドメさしちゃった感じなんですけど……」
魔王「ごめんなさい、ごめんなさい!」
勇者「いや、まあ、ある意味ご褒美だとおもってますから、気にしないでください」
戦士「うおおおお!!!! 勇者ちゃん無事だったか!!」ダダダッ!
僧侶「よかった~。心配したんだよ~」タタタッ
勇者「あ、戦士さんと僧侶さん。……あれ、父はどうしたんですか?」
戦士「それが勇者ちゃんと同じように埋まっちまったみたいで……」
勇者「まじですか、大事ですね」
戦士「あぁぁあああでもさっきから呼びかけても、掘ってもぜんぜんでてこねーんだよ!!」
僧侶「勇者様に限ってし……あ、そ、そうじゃなくて。生きているには決まってるんだけど!」
勇者「あ、別に変な気を使わないでいいですよ。とりあえず探しましょう」
僧侶「う、うん。がんばろうね」
勇者「私が発掘されて一時間ぐらいは経過しましたかね」
魔王「そう、ね~……。大体そのくらいだと思うわ~……」
勇者「うーん、父さんどの辺に埋まってるんだろ」
魔王「……」ジー
勇者「? どうしました? 私の顔になにかついています?」
魔王「そういうわけではなく、よく冷静でいられるなーって」
勇者「……そういえば、なんででしょう」
魔王「あら、自分でもわからないのー?」
勇者「う~ん、なんでしょうね。父さんがこんなことで死ぬとかはおもえないし」
勇者「実感がないっていうんですか。たぶん大丈夫だろうなって」
魔王「お父さんのこと信じているのね」
勇者「そうなのかなぁ……」
戦士「ぜんぜんみつからんなぁ……」
僧侶「もう夜になっちゃうね」
魔王「どうしましょ~……。夜目が利く魔物がいますから、それに任せるのも……」
勇者「でも魔物だけ行動してたら信者に変な目に見られそうですね」
信者『――……』
戦士「そういや、さっきからウロチョロしているもんな」
勇者「もしかしたら賢者さんが魔物だったってこともばれちゃったり?」
僧侶「可能性としてはあるとおもうよ……」
戦士「信者についてはどうしようもないだろ。何百人といるんだろ?」
僧侶「そうだね。今の私たちには勇者様を探すぐらいしかできないよ」
戦士「そうだな。完全に日が暮れるまで――」
勇者父『うおおおおおおおおおおおっ!!!! わかったぞおおおおおお!!!』
戦士「!?」
魔王「い、今の勇者様の声ですよね?」
勇者「どうやらそのようだな。とりあえずは生きているみたいですね」
戦士「うおおおおおおおおおお!!! 勇者どこだああああああああああああ!!」
勇者父『!? なんだここは!! 賢者はどこにいった!?』
戦士「勇者!! どこにいる!! どこにいるぅううううううう!!」
勇者父『俺はここにいるぞおおおおお!!!!』
勇者「私と同じようなこといってる……」
勇者父「救出された」
勇者「父さん、無事で何よりです」
勇者父「なんだか俺は夢をみていたような気がする」
魔王「大丈夫ですか?」
勇者父「……賢者、なんだか賢者の、夢をみていた、ような」
勇者父「ん、でも、気のせいか……?」
戦士「あんま無茶すんなよ。いい歳なんだからさ。今日はもう帰って休もうぜ」
魔王「あ、それなら、私の家に……。できれば看病させていただきたいんですけど」
戦士「豚箱じゃなきゃ俺は大歓迎です!!」
勇者父「右に同じく」
魔王「あ、はい。わかりました~。それではルーラでちゃちゃっと戻りましょう」
魔王城
勇者「魔王城につくなり、魔王は父さん達の看病をしはじめてボッチなう」
勇者「もう三時間ぐらい帰ってこないし、寝るまで看病する気なのかなぁ……」
勇者「私も眠いし、もう寝ちゃおうかなあ」
魔王「ただいま帰りました~。ごめんなさい、勇者さん。一人ぼっちにさせちゃって」ガチャ
勇者「おかえりなさい。どうでした?」
魔王「ふふっ、ぐっすり眠っちゃいましたよ~」
勇者「ご迷惑おかけしました」
魔王「いえ、元はといえば私の所為なのですから……」
魔王「あ、勇者さん。側近ちゃんの件、どうでした?」
勇者「魔王の想像通りですよ。これを聞いてください」
魔王「あら~、これは、ペン型の録音機かしら?」
勇者「えぇ、会話は一通り録音しましたので……そういえば側近さんは?」
魔王「一応のことを思って牢屋に……」
勇者「そう、ですか。明日、事情でも聞くんですか?」
魔王「……そうね。本当はこんなことしたくないのだけれど……」
勇者「仕方ないですよ。裏切りは裏切りですから」
魔王「…………」
勇者「今日はもう寝ましょう。魔王も疲れましたよね?」
魔王「……はい。勇者さん、おやすみなさい」
勇者「朝になり、いつもの個室で側近含めて全員集まっています」
勇者「正直息苦しいです」
魔王「側近ちゃん、勇者さんから録音したもの聞かせてもらったわ」
魔王「どうして、裏切るようなことしたの?」
側近「…………」
魔王「怒っているわけじゃないのよ。だから、正直に話して?」
側近「……」
戦士「刑事物のドラマみたいwwwwwwwwwww」
側近「何を話したところで、魔王様を裏切った事実は変わりません」
側近「私はいまさら弁解するつもりはありません」
側近「どうぞ、魔王様。私を煮るなり焼くなり好きにしてください。そのくらいの覚悟はできています」
魔王「側近ちゃん……」
勇者「でも納得できないですよ。あんなに魔王様ラブの側近さんが裏切るなんて」
戦士「俺たちそこらへんわからないから話についていけないな」
勇者父「せやな」
魔王「なら側近ちゃん、私にどうして裏切る様なことをしたのか、話して?」
側近「……」
魔王「お願いよ、側近ちゃん……」
側近「…………」
戦士「さっそく煮るなり焼くなり発言をスルーしはじめた側近」
勇者父「運命はいかに!!」
勇者「ちょっと父さん達うるさいよ」
後見人「側近、魔王様に話したらどうだい?」
側近「……後見人」
勇者父「うわ、だれこれ。まるで今まで普通にメインキャラとしていましたよっていう感じで現れた魔物」
戦士「こーゆーのやな感じだよねぇ。あたしらの今までの活躍全部なかったことにされてるっていうか。なんかむかつくわよねぇ」
勇者父「そうよねぇ」
勇者「だからうるさいってば」
後見人「どの道、もう君の計画は丸つぶれだよ」
後見人「それなら魔王様にすべてお話しするべきだ。本人もそれを望んでいる」
側近「……」
魔王「側近ちゃん……」
側近「……」
側近「……わかり、ました。お話します」
側近「魔王様を助けるために、私は……魔王様を裏切りました」
魔王「私を助けるため?」
側近「魔王様に気持ちよく死んでもらうための準備です」
魔王「……!」
勇者「超展開キター!!」
勇者父「ど、どういうことなの……?」
側近「勇者殿の妻が勇者を出産した翌年、私は賢者に声をかけました」
勇者「あ、私たちはスルーの方向性でいくのね」
勇者父「悲しき世の中よ」
側近「勇者が二人に増えてしまう事態は、魔王様、あなたも想定外でしたよね」
魔王「え、ええ。人間よりも私たちの30年は短いものですし……」
側近「だから貴方の勇者に魔王の代わりになってもらう計画に歪が入りました」
勇者「新情報多すぎて処理できない小卒ですが何か」
勇者父「安心しろ、俺もよくわかってない」
側近「勇者が二人いれば……どちらかが邪魔をすることは確かでしょう」
側近「実際に、もし、人と魔物の戦争が今起きたとしたら……」
側近「勇者は魔王様を守り、勇者殿は武力で戦争を止めてしまうことでしょう」
側近「そして、いつまでたっても魔王様は死ぬことはできません」
側近「そうなってしまったら、いつまでも魔物は悪いまま」
側近「魔王様が望む世界を作ることができません」
勇者「つまりどういうことなの僧侶さん」
僧侶「えぇ、私に聞くの? えーと、私もよくわかんないんだけど、うーんと」
僧侶「たぶんなんだけど、魔王と勇者ちゃんは魔物をよく見せようといろんなところでボランティアをしてるんだよね?」
勇者「はい」
僧侶「それで魔物が好きな人が増えたとするでしょ?」
勇者「はい」
僧侶「だけど魔王のイメージはいつまでたっても悪いままだから、心のそこから魔物が好きな人が増えないんじゃないかなあ」
勇者「どうしてですか?」
僧侶「魔王とか、王様ってその種族の代表だよね。代表のイメージが悪かったら、たとえ個人個人はよくても悪くみえちゃうものなんだ」
勇者「……?」
勇者父「DQNの親から生まれたっぽい心愛姫なんていう名前の女がお前の会社の面接にきたとする」
勇者父「そして受け答えが普通によかったとする。だけど他に恵子って名前の女で受け答えが普通によかった奴がいる」
勇者父「お前はどっちを採る?」
勇者「……恵子」
勇者父「どうしてだ?」
勇者「だってDQNから生まれた子って、なんか嫌じゃん」
僧侶「勇者ちゃん、そういうことだよ。説明が下手でごめんね」
勇者「いえ。ということは、魔王のイメージが悪いから、魔王を殺して私や父さんみたいな勇者を魔王の代わりにする」
勇者「そして、魔物のイメージをアップアップっていう計画があったってことなんですね」
僧侶「うん、だけど、この世界に強い力を持つ勇者が二人いてしまった……」
僧侶「その所為で魔王を殺す状況が作りにくくなってしまった」
僧侶「だから……賢者ちゃんを使って勇者様を殺そうとしたってことなのかな」
側近「いいえ、僧侶殿。それは違います」
側近「もし勇者のどちらかを殺すのであれば、私は勇者を向かわせていたでしょうね」
勇者「そうですね、私11レベですもんね」
側近「……三ヵ月たてば、魔物のイメージは今よりもよくなるでしょう」
側近「そのときに賢者、いやオルゴの手先である魔物に人間を襲わせます」
側近「油断、するでしょうね。30年間一度も魔物は人を襲ったことはないのですから」
側近「民は王に怒りをぶつけ、焦った王は勇者もどきをたくさん魔界に派遣するでしょう」
側近「そしてそれを知った勇者殿、あなたもきっと魔界に現れる」
側近「勇者もどきが戦争をしかけてくるのと同時に、勇者殿がオルゴ討伐に出かけてしまえば……」
側近「勇者は実質一人です」
勇者「…………」
魔王「……」
側近「その状況であれば、魔王様、あなたが望むようなシナリオが絵描けるわけです」
魔王「そのために……賢者様をオルゴさんに……?」
側近「それは彼自身が望んだことです」
魔王「でもその提案をしたのは、貴方なんですよね……?」
側近「……はい」
勇者父「……」
側近「勇者殿、私はあなたのお仲間を殺した、といっても過言ではないでしょう」
側近「魔王様、勇者殿、もう一度いいます。私はどんな処分でも受け入れる覚悟です」
勇者父「……俺は」
勇者父「……処分は魔王に任せる」
魔王「ゆ、勇者様……、本当に、それでいいんですか?」
勇者父「ああ、構わない」
魔王「…………」
魔王「……側近」
側近「はい」
魔王「貴方は、とても、ひどいことをしました」
魔王「間接的ですが一人の人間の命を奪い……、利用しました」
魔王「だから私はあなたを……」
魔王「…………」
魔王は、迷っているようだった。
私は魔王と側近が実際どのくらいの付き合いなのかを知らないけれど、あの様子じゃ随分と昔から一緒にいたのだろう。
親友ともいえるかもしれない彼女を自らの手で裁かなければいけないその重み。
目を閉じ、考える彼女の顔は悲しみの色が濃く、見ていて悲痛なものだった。
……だけれど少しの沈黙の後、彼女は目を開け、しっかりと側近を見つめなおす。
魔王「貴方を百年間、牢屋に閉じ込めます」
魔王「いいですね?」
側近「はい」
勇者「……」
勇者「側近さんが魔王につれられて牢屋に行ってしまわれた」
勇者父「百年も閉じ込めておくのか」
後見人「人間よりも魔物の百年という月日は短いものです」
後見人「妥当なものでしょう」
勇者父「そこまでしなくても、おしおきぐらいでよかった気がするんだけど」
勇者「お仕置きのほうがつらいような気がします」
勇者父「デコピンで腕ふっとばすもんな」
戦士「エスタークよりつよいんじゃねーのwwwwwwwww」
魔王「ただいま戻りました」
勇者「おかえり、魔王。顔色悪いけど大丈夫?」
魔王「え、ええ……」
勇者父「おっしゃ、次はあんたの番だな」
勇者「へ?」
魔王「え?」
勇者父「この馬鹿やろうがぁああああぁ!!」バチンッ!
魔王「――っ!?」
勇者「うわ、平手打ちした」
魔王「ゆ、勇者様……?」
勇者父「傷心のところ悪いが、エスタークの代わりに説教させてもらう」
勇者父「側近がいっていたお前が死んで俺か娘に魔王を代わってもらうというのは、本当だな?」
魔王「……は、い」
勇者父「この馬鹿野郎!! 何度でもいってやろう! 馬鹿! 馬鹿女!」
勇者父「まず自分の命を粗末にするその精神に馬鹿野郎だ! バーロ!!!」
勇者父「その上俺や娘にお前なんざの願いをかなえる為に魔王になれだぁ? 馬鹿も休み休みいえ」
勇者父「確かにお前が死ねば、魔物全体のイメージは確実によくなるだろう」
勇者父「だがな、そこからどうする? お前はもういないんだぞ」
勇者父「意思を継ぐ奴はいるかもしれない。しかし完全にお前の願いをかなえてくれる奴はお前自身しかいないんだぞ」
勇者父「他人に任せるほどお前の世界平和ってやらは軽いことなのか?」
魔王「ち、がいます。私は、本当に、心から……」
勇者父「自分の命ひとつ守れない奴に世界平和なんて無理なんだよ」
勇者父「俺の父ちゃんも、爺ちゃんも、戦って、勝って、生きてたから、人間界を平和に導くことができた」
魔王「……」
勇者父「それにな、お前が死んだら、エスタークだって、お前の母ちゃんだって、俺だって娘だって悲しいんだ」
勇者父「安易に死ぬ選択を考えるな。お前は魔王だが、その前に一人の女だろう」
勇者父「そのでけー でも押し付けながら泣きつけば、助けてくれる男は何百人といるぞ」
勇者父「たとえば勇者とか、戦士とか」
勇者「私男じゃない上に戦士さんと同列とかすごく嫌なんですけど」
戦士「傷ついた……」
勇者父「うん、まぁ、少なくても俺たちは絶対助ける」
勇者父「戦士はおいといて、お前は一人じゃないんだからさ」
戦士「えーっ」
勇者「そうですよ、魔王。戦士さんとかはともかくとして私たちを信用してください」
戦士「え、ともかくって何? どうして俺、そんなに扱い悪いの?」
魔王「ゆうしゃさん……う……っ……ごめんなさい……わたし……わたし……っ」
勇者「魔王、マジ泣きタイム終了しました」
戦士「正直俺も泣きたかった」
魔王「ごめんなさい勇者さん、あなたの服が鼻水だらけに……」
戦士「俺が舐めるから気にしないで」
勇者「いやいや、なに舐めようとしてるんですか。セクハラで訴えますよ」
戦士「殴んないでー!!」
勇者父「これからどうやって人間に魔王軍が受け入れられるかの会議を行うー!!」
戦士「ぱふぱふー!」
勇者「どうしましょうね。今までどおりにやっていきながら、何かやる形なんですかね」
僧侶「魔王が受け入れられるようになればいいんだよね……」
勇者父「というかそれは簡単だろう」
魔王「あら~」
勇者「というと」
勇者父「おまいらこの魔王をみて、最初になんとおもった」
戦士「 がでかい」
勇者「巨 」
僧侶「……えへへ」
魔王「……」
勇者父「胸以外だ!!」
戦士「こんな可愛い子が魔王のはずがない」
勇者「普通の人間」
僧侶「優しそうな人……」
魔王「あ、あら~、照れますね~……」
勇者父「と、いうことだ。人間界にいってたくさんの人と交流すればいいだけの話だ」
勇者「じゃ問題はその方法かぁ」
戦士「アイドルになるとか」
勇者「おったまげーしょん!」
戦士「俺、プロデューサになるから、一緒にAランク目指そうぜ!!」
勇者父「運命の人に会うためじゃなくて、世界が平和になるために歌うのか。 間が熱くなるな……」
勇者「やばい、ケツカッチンだ!」
魔王「……? でも私、その、歌うのも苦手ですよ」
勇者「ちょっと試しに歌ってみてください。はい、マイク」
魔王「どうして勇者さんマイクなんて持ってるんですか?」
勇者「3、2、1、はい!」
魔王「あわわ……」
勇者父「いいじゃん」
勇者「普通にかわいい」
僧侶「わ、私よりうまい……」
戦士「俺の 間がAランク」
魔王「そ、そんなベタ褒めはやめてください……。もうっ……」
勇者「ところで先ほどから空気の後見人さん。魔王がアイドルになったら困ります?」
後見人「そうですね、さすがに国のトップがアイドルなのは……」
勇者父「まずいかー……」
戦士「いい案だとおもったんだけどなあ」
勇者「キラッ☆」
僧侶「他になにかあるかなぁ……」
キメラ「すいませーん、魔王様。はいってもいいですかー?」トントン
魔王「あ、はい。どうぞー」
キメラ「しつれいしまーす」ガチャ
魔王「キメラちゃん、どうしたのー?」
キメラ「人間界で怪しい動きがあったので報告しまーす」
キメラ「なんだか勇者もどきが王の城に集まっているようでーす」
キメラ「そこで工作員を忍ばせたところ、明日勇者とその仲間たちを集めて王は何かの発表をする、という情報が手に入りましたー」
魔王「まぁ……」
勇者父「もしかして賢者が死んだことで錯乱して、魔王城に攻めてくるつもりじゃ……」
勇者「その可能性は高いですなぁ」
魔王「ど、どうしましょう……」
勇者父「明日、俺と勇者で城にいってみよう。一応勇者だし、詳しい話は聞きやすいだろう」
勇者父「ただ大事をとって、準備はしといてくれ」
魔王「せ、戦争の準備ですか? そんな……」
勇者父「一応だ、一応。もしなったら俺が全力でとめるから」
魔王「は、はい……」
勇者「もう向かう?」
勇者父「おい、キメラ。その集会は何時ころやるんだ?」
キメラ「明日の正午くらいですねー」
勇者父「なら明日向かおう。それまでは準備をしよう」
戦士「これはまた面倒なことになりそうだぞお」
勇者「父さんが働きすぎて私の立場がない」
僧侶(私の立場のほうが……)
勇者「時間が過ぎるのは早い。もう後は寝るだけです」
勇者「そして戦の準備だとかいって魔王城は父親好みの城にされました」
魔王「せっかく観光用にしていたのに……」
勇者「そんな私も父さんに鍛えられて20レベになりました。やったね!!」
魔王「明日、どうなるんでしょう……」
勇者「大丈夫ですよ、たぶんきっと恐らく」
魔王「そう、ですよね。こういう時こそ冷静でいないと……」
勇者「そうですよ」
魔王「戦争なんてそんなおったまげーしょんなナウいことは起きませんよね」
魔王「大丈夫です、だんだん落ち着いてきました~」
勇者「本当に落ち着いていますか?」
勇者「まあ、魔王も女の人ですからね。不安なのはよくわかります」
勇者「私を安眠用抱き枕として使ってくれて構いませんよ」
魔王「ありがとうございます~。うわあ、これはすごく癒されますね~ふふっ」
勇者「本当にだいじょうぶでふか、いつものまほうじゃなひ……んぐお、む、むねg……」
魔王「うう~……ゆうしゃさ~ん……」ギュー
勇者「ぢぬ!! まほうぢぬ!!」
勇者「最初から私が抱きしめればよかったですね」
魔王「ご、ごめんなさい……」
勇者「なるべく痛くないようにしますけど、息苦しかったりしたらいってくださいね」
魔王「はい。ありがとうございます~……ふふっ」
勇者「どうしたんですか、なんだか楽しそうですね?」
魔王「いえ、私のほうが年上なのに……今日は勇者さんのほうがお姉さんにみえるな、って」
勇者(そういえば魔王って何歳なんだろう……)
勇者「それなら今日だけお姉さんってことで」
魔王「あら……ふふっ。それならお姉ちゃん、と呼んだほうがいいですか?」
勇者「一回呼んでみてください」
魔王「お、お姉ちゃん~」
勇者「ツボです」
魔王「あ、あら~……それはそれで困ったわ~」
勇者「話全然代わっちゃうんですけど、知りませんでしたよ。魔王が死のうとしてたこと」
魔王「……そう、ね。貴方には最後の最後まで言わないでおくつもりだったから」
魔王「ごめんなさい」
勇者「謝らないでください。でも、よかったですよ。早めにわかって、防止できて」
勇者「そんなことになって直前に言われたら私、魔王のこと殺してしまうかも……しれませんし」
魔王「勇者さん……」
勇者「魔王は生きてくださいね。絶対に」
魔王「私がこういうのも変かもしれませんけど、勇者さんもですよ」
魔王「勇者さんも、生きてくださいね。約束ですよ」
勇者「はい。絶対に死にませんので安心してください」
魔王「約束ですよ? 破ったらひどいですからね」
勇者「……はい」
勇者「次の日になりました」
勇者父「準備はいいか野郎共」
勇者「野郎つっても私と父さんだけじゃん」
勇者父「気分だ! 気分!!」
城
勇者「城に着きました。勇者もどきがたくさんいますな~」
勇者父「見事に男ばっかりだな」
勇者「一人ぐらいは私以外の女勇者いるだろ!」
勇者父「いたとしても自分にも見えない妖精さんに話しかけるような女の子じゃないかな」
勇者「お近づきになりたくないね」
勇者「くっせえ、男くっせえ……」
勇者父「我慢しろ勇者だろ」
勇者「だけどさあ。ああ、くっせぇ。はやく王こないかな」
王『皆のものよく集まった!!』
王『わしは人間の王。王じゃ!!』
勇者もどき「「おおー!」」
勇者「ようやく始まったよ。一時間くらい待たされたっつーの」
王『今日はお主ら勇者に言わなければいけないことがあったため、お前らを呼んだ』
王『言わずかもがな。先日、我が神の声を告げてくれる教皇様が天に昇られた』
勇者もどき1「あぁ、あの魔物が教皇だったやつかぁ」
勇者もどき2「俺あれ神が魔物だって聞いたぜ」
勇者もどき3「ひでーwwwwww」
王『…………そう、お主らの言うとおりだ。我が神は……魔物だった』
王『神こそ魔物』
王『魔物こそ神、だったのだ』
勇者「へ?」
勇者父「は?」
王『ワシは間違っていたのだ。魔物こそが悪だと信じ、勇者こそが救世主だと信じてきた』
王『お主らの所為でな!』
勇者もどき1「え、なに、どういうこと?」勇者もどき2「どういう理論だよ、それ」
勇者もどき3「はぁ?」勇者もどき4「なになに?」
ザワザワ……
ザワザワ……
ザワザワ……
勇者「なんだこの展開」
勇者父「俺にもよくわからん」
王『ワシは気づかなかったのだ。だが、今、はっきりとわかる。それもそうだ、悪くもない魔物を危める勇者などただの殺人狂にしかすぎん』
王『神である魔物を殺す貴様らこそ、悪魔でありすべての元凶だ』
王『よって貴様ら悪魔は処刑する!!』
勇者もどき1「なんだと!? おい、今までの恩を忘れたのか!!」
勇者「はあああああぁぁあ!?」
勇者父「きがくるっとる」
王『うるさい、悪魔共め! 貴様らのような屑など元より不要なもの』
王『価値がないただの豚だ!!』
王『捕らえろ』
勇者「兵士がたくさんでてきましたーっ!」
兵士s「貴様らを拘束する!!」
勇者父「王、本気かよ、引くわ」
勇者もどき1「うわぁあっ!! 魔法使い大丈夫か!!」
勇者もどき2「リレミト!! ……あれ?」
勇者「これは逃げるしかあるまい。リレミト!」
勇者「……」
勇者「なんだ、これ。魔法が使えない……?」
勇者父「リレミト!! ……そうだな。使えないなこれ」
王『逃げようとしても無駄だ!! この町全体に魔法防御壁を作ったからな!!』
勇者「なにそのFFチックなものは」
勇者父「パルスのファルシにルシにされてコクーンのファルシにパルスへパージされたんですね。わかりません」
勇者「かりそめの平和に酔いしれるんですね、わかります」
勇者もどき1「だ、誰か、せかいじゅのはを!! 魔法使いが! 魔法使いが!!」
勇者もどき2「かまってやれるか!! うわぁあっ!!」
勇者「なんだかカオス。私たちも逃げないとやられちゃうかもね」
勇者父「俺は負ける気がしないが……魔王に報告せんといかんもんな。逃げるか」
勇者「100レベのご身分はいいものですね!! すたこらさっさ~」スタスタッ
兵士「勇者が逃げるぞー ぐあっ!!」バンッ!
勇者父「峰打ちじゃい」キリッ
兵士1「せいやっ!!」
盗賊「うわぁっ!! すいません!! もう悪いことしません!!」
兵士1「お前を拘束する!!」
盗賊「ひぃ!! お願いです! 俺には病気の母さんが!!」
兵士2「うらっ!! おとなしく捕まれ!!」
勇者もどき3「やなこった!! てめぇらみたいなやつらには絶対捕まらん!!」
勇者もどき4「ちくしょう……ゆるせねぇ。ゆるせねぇよ……」
兵士3「ははっ、お前ら勇者など皆殺しだ!!」
勇者もどき4「うるせぇ!! お前ら覚えておけよ!! 許さんからな!!」
兵士3「これは王の命令なのだ!! 恨むのなら王を恨むがよい!!」
勇者「これはひどい」
勇者父「そういえば道具袋のなかにそらとぶくつがあったよ」
勇者「そういうの先にいうものでしょ」
勇者父「おっし、お前がはいてくれ。俺はお前にしがみつく」
勇者「おk」ゴソゴソ
兵士4「そこの勇者!! 拘束する!!」
勇者父「なんだこいつら。馬鹿のひとつ覚えみたいに拘束拘束って」
勇者「きっと同じセリフしかいえないんだよ」
兵士4「黙れ!! 死ね!!」ビュッ!
勇者父「せいやっ!!」バンッ!
兵士4「ぐあっぁ!!」バタンッ……!
勇者父「兵士弱すぎワロタ」
勇者「父さんが強すぎるんだと思うよ。実際に兵士に勇者もどき達やられっぱなしだし」
勇者父「もどき共は対人戦になれていないだけだと思うよ」
勇者父「逆に兵士は対人戦になれてるから強くみえるだけだ」
勇者「あー、MMOでのPvPと、モンスター戦並みに違うってことだね」
勇者父「なにMMOって。また変なのやって!! 父さんそういうのよくないとおもうよ」
勇者「私はFF14を続けるよ」
勇者「飛ぶ準備ができました」
勇者父「よっしゃ、じゃ飛んでくれ」ギュッ
勇者「腰とかつかむのやめてくれませんか。セクハラで訴えるぞ」
勇者父「いいじゃん! 父親なんだからいいじゃん!!」
勇者「父親だからこそいやなんだよ。じゃ、飛びよー。びゅーん」
勇者父「あ、これいきできn」
魔王城
魔王「勇者さん達、大丈夫でしょうか……」
後見人「キメラ、人間界の様子はどうだ?」
キメラ「私が偵察してた時はいつもとあまり変わりませんでしたねー」
キメラ「今もキメラ達が監視しているので怪しい動きがあったら連絡を――」
勇者「うあああぁああああああああっああ!」
勇者父「息できねええええええええ!!」
キメラ「!?」
魔王「あら~、勇者さん。おかえりなさい~」
勇者「はぁ……はぁ……た、ただいま……でごわす……」
勇者父「しぬかとおもった」
魔王「あら、そらとぶくつでここまできたの? すごいわね~」
勇者「あ、あれって、ルーラとちがって……スピードが……はぁ……うぅ……」
魔王「あら~、大丈夫? 吐きそう?」
勇者「だ、大丈夫です……」
勇者父「俺は限界です、おろろ」
勇者「もらいげろした」
魔王「勇者さん、大丈夫ですか……?」ナデナデ
勇者「背中なでなできもちいれす」
後見人「……」ナデナデ
勇者父「男に背中なでなで……き、きもち……い……です」
後見人「無理に言わなくていいんですよ」
後見人「それで……どうでしたか?」
勇者父「あぁ……」
勇者「なんだかよくわからないけど、かくかくじかじかでごわす」
魔王「まぁ……。王様がそんなことを?」
後見人「気がおかしくなってしまったのでしょうか」
魔王「さぁー、どうでしょう。ただ、どんなに歪んでも賢者様が彼にとっての正義なのでしょうね~」
勇者「I love you と書いて、あなたこそが我の正義と読みます」
魔王「ほかの勇者方はどうなったんでしょうか~?」
勇者「さぁ……。一応は勇者なんですし、逃げ切る人が多いんじゃないですか」
勇者父「だが勇者の仲間は結構捕まっていたな」
勇者「あとで公開処刑とかなったりして」
後見人「話を聞く限り、ありえない話ではないですね」
魔王「でも、そんなことしたら、暴動が起きてしまいます~」
後見人「それも覚悟の上なのか……、それともそれすら分かっていないのか……」
勇者「たぶん後者じゃないですか。あの王に冷静な判断ができるとは思えません」
勇者父「同感だな。魔王よ、そこでひとつ話がある」
魔王「はい、なんでしょう?」
勇者父「少しだけでいい。勇者と俺達を解放してはくれないか?」
魔王「……といいますと?」
勇者父「仮にこれで内戦になってしまったら、そちらとしても困るだろう?」
勇者父「だから俺達で内戦を止める」
勇者父「それまで、魔物の好感度アップアップ作戦はお休みさせてもらえないだろうか」
魔王「それは構いませんけれど、契約書が許してくれるかどうか~……」
勇者「私を置いて話を進めないでもらえるかな。もし契約書からNG出たら、私が魔物の好感度アップアップ作戦を進めるよ」
魔王「それだったら大丈夫ですね~」
勇者父「勇者に負担かけてしまうことになるのだが、お前はそれでいいのか?」
勇者「大丈夫なんじゃない? やってみないことにはわかりませんえん」
魔王「しかし、どうやってとめるんですか~?」
勇者父「俺は、そうだな。王に近づいてみたいと思う」
勇者「それって大丈夫なの? 父さん、元勇者じゃん。捕まるかもよ」
勇者父「こういうときに便利なのはアイテムと相場が決まっている」
勇者父「へんげのつえ~」
勇者「似てないね」
魔王「あら~、元ネタがわからないわ~」
勇者「なん……だと……! 青狸を知らない人がいるとはっ!!」
後見人「魔王様はNHK以外のアニメはみてはいけない、とエスターク様に言われているんですよ」
勇者「マインちゃんがぎりぎりか……」
魔王「あら~」
勇者父「ということで、このへんげのつえで何かに変身して王を止める役をやります」
勇者「賢者さんには変身できないの?」
勇者父「俺がやった中では、魔物とか商人とかにはなれるけど、特定の人物にはなれなかったよ」
勇者「惜しいなぁ……」
勇者父「でも使いようはあるさ。んで、戦士と僧侶、そして勇者。お前は勇者もどき側をなんとかしてくれ」
勇者「うーん、王のほうにまわされるより楽そうだね」
勇者父「王はともかくとして、もどき達は何をするかわからない」
勇者父「暴動を起こすかもしれないし、腹いせに魔物を殺しまくるかもしれない」
勇者父「適度に抑えつつ、やらせつつ、気の高ぶりをとるんだぞ」
勇者「楽でもなかったわー。むしろ大変な分野だわー」
魔王「……」
勇者父「戦士達には俺から話しておこう」
勇者「うまくできるかなあ」
勇者父「戦士はアレだが、僧侶は頼りになるだろう。無理だとおもったら大人に頼って僕と一緒に内戦を止めようよ!!」
勇者「何かのアニメであったような……」
後見人「勇者殿、魔物の助けはいりますでしょうか?」
勇者父「それは……たぶん大丈夫だと思う。むしろ魔物が関わってきたらどえらい騒ぎに」
後見人「わかりました。では我々魔物はおとなしくしていましょう」
魔王「そう、ですね~……」
魔王(でも黙って静観していろというのも、良いことなのでしょうか~……)
魔王(人間さんたちが困っているのに、魔物が知らん振りというのも~)
勇者父「ということで、今日の夜から活動していきましょう」
勇者「明日からとかじゃないの? どうして今日からなの?」
勇者父「夜のほうが忍びやすいかなって。明日になったらどっちも警戒するだろうし」
勇者「うげー、徹夜フラグきたわー」
勇者父「人間の平和を守るのも勇者の仕事ですよ」
勇者「ブラックすぎるわー。就職情報で堂々の一位取れるレベルだわー」
勇者父「夜まで寝てればいいのよさ。起こしてやるから」
魔王「あ、そうですね。勇者様も寝てください。時間を指定してくださったら私が起こしますよ~」
勇者父「結婚ほやほやの若妻っぽく「も~あなた、朝よ。はやく起きなきゃだぁめ」とかいって起こしてくれるんですか?」
魔王「あ、あら、ぜ、善処します~……」
勇者父「ちっ……」
勇者「調子にのるな、ということですよ」
勇者「おはようございます、夜です。完全に昼夜逆転です」
魔王「おはようございます、勇者さん。がんばってくださいね~」
戦士「夜こそ俺のバトルステージだぜ!!」
僧侶「もう若くないんだから、無理はしないほうがいいとおもうんだけどな……」
勇者父「ということで、魔王。どのくらいかかるかわからないけど、俺達はいったん失礼するぜ」
魔王「えぇ……。人間さんの平和をお願いします~」
勇者父「うっす! か~ら~の~ ルーラ!!」ビュン!!
魔王「……」
魔王「いって、しまいましたね」
後見人「寂しいですか?」
魔王「えぇ、少し……」
魔王「後見人さん、少しお話があるんですけれど、いいでしょうか~?」
後見人「それが魔王様の望みでしたら」
魔王「私は人間界に行こうと思っているんです~」
後見人「それは、どうしてでしょうか?」
魔王「黙って人間さん達同士の戦争をみていられません~」
魔王「それに私は今度こそ人間さんを信じきりたいです」
後見人「信じきりたい?」
魔王「私は、きっと心の底から人間さんを信じられなかったんです」
魔王「その所為であんな選択を選ぼうとしてしまった」
魔王「……勇者様や勇者さんにいわれてそう気づいたんです」
魔王「だから今度は、今度こそ、私は心の底から人間さんを信じます。信じています」
魔王「その大好きな人間さん達が……戦争をするのは私には耐え切れません」
魔王「だから私は私のやり方で戦争をとめようと思っているんです~」
後見人「しかしそれはあまりにも危険すぎます」
魔王「大丈夫よ~、確かに人間さん達の中には痴漢したり、悪いことをしようとする人もたくさんいますが」
魔王「みんな、幸せになるためにやっているんですもの。きっと分かり合えるわ~」
後見人「あなたの考えは危険すぎます」
後見人「あなたが死んでしまったら、私達魔物は路頭に迷ってしまいます」
後見人「それを承知で、人間界に行こうと決心なされたのですか?」
魔王「えぇ。……ふふっ、大丈夫よ。そんな悲しそうな顔しないで」
魔王「人間さんも大切だけれど、それ以上に私は魔物が大好きで、大切よ~」
魔王「絶対に無茶だけはしないわ~」
後見人「そうですか……」
後見人「わかりました。政務のほうは私にお任せください」
後見人「魔王様は魔王様のやり方で、夢をかなえてください」
魔王「……ありがとう」
魔王「それなら、まずお休みすることにしますね」
魔王「もう、私眠くて~……」コクリコクリ……
後見人「はい、分かりました。部屋までお運びしましょう」
魔王「ごめんなさい。よろしくおねがいしまぁ~……zzz……」
後見人「魔王様、立ちながら寝てはいけませんよ」
魔王「……zzz……」
後見人「……本当に、任せても大丈夫だろうか……」
勇者「朝です。やっぱり徹夜でした」
勇者もどき1「俺はゆるせねぇ、前々からあのバカ王嫌いだったんだ」
勇者もどき2「あぁ、俺もだぜ。人を使い捨ての何かを勘違いしてるんじゃねーのか」
勇者もどき3「くっそ!! 仲間もみんなやられちまったし……」
勇者「まぁ、まぁ、落ち着いてください。そんな怒っても仲間は返ってきませんよ」
勇者もどき1「そうだ、俺たちはなんとか逃げられたが、魔法使いは……!」
勇者もどき2「とりかえしにいかなければ、殺されてしまうかもしれない」
勇者もどき3「冗談でもそういうことはいうな!」
勇者もどき1「いや……、あの王のことだ。もしかすると……」
勇者「なんだかやばい流れになってきてるわ」
戦士「難しくてついていけない」
僧侶「たくさん男の人がいて怖いです……」
勇者もどき2「なら取り返しに、それだけじゃない!! あの王をぶっ殺そうぜ」
勇者「いやちょっと待ってくださいよ。そんなことしたっt」
勇者もどき1「それはいい考えだ!! あんな奴王でいる資格などない!!」
勇者もどき共「「「おおおおお!!!」」」
勇者「あかん、これあかんわ」
勇者「だから落ち着いてくださいってば」
勇者もどき1「落ち着いてられるか!! 仲間が死ぬかもしれないんだぞ!!」
勇者「お気持ちはわかりますが、王と戦争などしても何もなりませんよ」
勇者「そもそも王を殺したら、次に誰が王になるんです?」
勇者もどき2「んなしらねーよ!! 俺はただ王をぶっ殺したいだけだ!!」
勇者もどき1「そうだそうだ!!」
勇者もどき3「女はひっこんでろ!!!」
勇者「あかん、こいつらアホや。小卒にアホいわれるほどアホや」
勇者「だめだ、あいつら。三日間説得しても首を縦にふらねぇ」
僧侶「妙に一体感あるもんね……」
戦士「すごい一体感を感じる。今までにない何か熱い一体感を」
勇者「風……なんだろう吹いていない確実に、着実に、俺たちのほうには」
僧侶「え、えと、私その元ネタはわからないなぁ」ワタワタ
勇者「しかしどうしましょうか。このままじゃ確実に内戦ですよ」
僧侶「そうだね……。勇者様のほうはどうなんだろう」
戦士「音沙汰なしってことは、あまりイクナイってことだろうな」
勇者「う~ん……」
ワイワイ
ガヤガヤ
勇者「どうでもいいけど、なんかもどき達のスクツ騒がしくないですか?」
僧侶「スクツ、って巣窟のこと? 読み方そうくつだよ」
戦士「僧侶の純粋さに泣ける。気になるしいってみっか」
勇者「なんかめっちゃいやな予感するよこれ」
勇者もどき1「今日こそ決戦の日だ!! 今すぐ乗り込むぞ!!」
勇者「うおーーい!! マジでいやな予感あたっちまったよー」
勇者もどき2「もどき共!! さあいくぞ!! 風は俺たちに吹いてきてる!!」
戦士「中途半端でいいから! とにかく最後までやらなくていいから!! 流されてくれ!!」
勇者「そうだそうだ!!」
勇者もどき1「黙れ筋肉と 豚がっ!! 女の意見なんてきいてられるか!!」
??「あら~、だめですよ。そんな汚い言葉いっちゃ」
勇者「!?」
魔王「ほぅら、落ち着いてください。まずは深呼吸ですよ~」
勇者もどき1「えっ、あなた誰ですか? デカ」
勇者もどき2「この女の仲間? つーか美人だなおい!」
ザワザワ……
魔王「皆さん、深呼吸ですよ~。ひっひっふーすれば皆落ち着きますからね~」
勇者もどき1「は、はぁ。じゃ、やってみます。ひっひっふー」
勇者「魔王それちょっと違うと思います、というかどうしてこんなところにいるんですか」
魔王「ふふっ、勇者さん。ちょっと私も世界救っちゃおうかなって」
魔王「あら~、あなた動悸がすごいわねぇ~。心臓がドッキンドッキンしているわよ~」
勇者もどき2「あ、あの……。その、ダイレクトに触られると……」
魔王「よくみたら顔も赤くて熱っぽいわ。大丈夫ですか?」
勇者もどき2「いや、そりゃ、息がかかるぐらいに、そのそんな近いと……そりゃ……」
魔王「風邪ですか? ちゃんと安静にしないとだめですよ。あっちにベットがあったので休んでください」
勇者もどき2「もしかして俺、誘われてるの? いいのこれ。理性ぶっ飛ばしていいですか!」
勇者「いや、だめです。だめですよ。何腰に手回してるんですか。私がぶっ飛ばしてやろうか」
勇者もどき1「ま、魔王やってるんですか。えとご趣味とかは?」
魔王「趣味ですかー? あ、あの、少し恥ずかしいのですが……お、お昼寝、とか」
勇者もどき2「わかります。俺も昼寝大好きですよ!!」
魔王「気が合いますね~。私よく立ちながら寝ちゃって怒られるんですー」
勇者もどき3「かわいいじゃないですか。俺の妹なんて逆立ちしながら寝てたから大丈夫ですよ~」
勇者もどき1「なんだそれwww犬神家かよwwwww」
勇者もどき3「うっせえwwww」
勇者「なんだよこの合コンムードは」
勇者「私来たときは全員総スルーだったのによぉ……」
僧侶「ま、まぁ、勇者ちゃんはどっちかっていうと女の子に受ける子だもんね」
勇者「なんとなく傷つきました」
勇者もどき4「俺、こんな可愛い子が魔王だなんて知らなかったよ~」
勇者もどき5「実は俺知ってた! 魔王城で会いましたよね!?」
魔王「……? あ、あぁ、思い出しました。庭を荒らした人ですよね」
勇者もどき5「その件は申し訳ないっす!! すいませんでした!!」ペコリ
魔王「あらあら」
勇者もどき2「俺、仲間やられちゃって心が痛いんです」スリスリ
魔王「あらあら、可哀相に~」ナデナデ
勇者「まじでぶっ飛ばしてもいいですか」ギリギリ
僧侶「勇者ちゃん落ち着いて落ち着いて!!」
勇者もどき1「なんだか今日はこのまま魔王さんとカラオケいこうぜ」
魔王「カラ、オケ、ってなんですか~? 桶屋さんですか?」
勇者もどき2「歌をうたうところですよ。魔界にはそういうのないんですか?」
魔王「ありませんね。人間界にはそんな面白そうなところがあるんですね~。ふふっ」
勇者もどき5「ちょ、抜け駆けはずりーぞ。俺、魔王さんと同じ部屋な」
勇者もどき3「俺も俺もwwww」
勇者もどき6「まじずりー。俺も混ぜろよ。じゃ、俺たちいってくるんで。お疲れ様でーす」ゾロゾロ……
勇者「もどき共が全員戦場じゃなくてカラオケにいきやがった」
僧侶「よくみたら戦士くんもいないね……」
勇者「くっそ、なんか女として負けた気がする」
僧侶(勇者ちゃんは若いから逆転できそうだけど、私とかもう救いようがないよぉ……)
勇者「しかし、まぁ、結果オーライですよね」
僧侶「そう、だね。私たち何にもできなかったのに、魔王さんがきたらいきなり空気かわったよね……」
勇者「これが胸の差か」
僧侶「……あ、あの、私の胸をみながらは……いってほしくない、かな?」
勇者「私、魔王のこと心配なんで追いかけてきますね」
僧侶「戦士くんがついているから大丈夫じゃないかな?」
勇者「なんだかこれで薄い本みたいな展開で、全員にまわされるとかなったらと考えると……」
僧侶「そ、そんな漫画じゃあるまいし……」
勇者「それでも心配なんです! いってきますね!!」
勇者「カラオケ終わっての帰り道……なん……ですが……」
魔王「ゆうひゃしゃんら~。うふふっ」
勇者「すっごい酒くさいですけど。どんだけ酒飲んだんですか」
魔王「もういっけんいひまひょうよ~。ふふっ、ふふっ、ふふふふっ!」
勇者「あぁ、暴れないでください!! へんなヘナヘナしないで!!」
魔王「あ、らぁ……。うふふっ、こうみたら……ゆうひゃしゃんすごい……かわひい……」
勇者「あぁ、もう、やめてください。どうしたんですか、身体すりすりさせないで下さい!」
魔王「うふふっ、もう~、恥ずかしがるゆうしゃひゃんも……うふふっ……」
勇者「うわ、やめt……」
勇者「死ぬかとおもった」
僧侶「お疲れ様。魔王さんは寝た?」
勇者「うん。もう、ぐっすり……」
僧侶「首のところすごく虫刺されてるね。大丈夫?」
勇者「はは……、大丈夫です。むしろ私相手でよかったなあって」
僧侶「……?」
勇者「しかし不本意ながら、魔王光臨したことでいい方向に話がいきそうですな」
僧侶「そうだね。勇者ちゃんと私以外に女の人っていなかったから、その点でも安心できるね」
勇者「あとはこの流れをどううまく使うか、ですね」
僧侶「やっぱり勇者様に報告をして、お互い助け合わないと難しい、かも」
僧侶「こっちの闘志を冷やしたって、あっちの闘志が燃えているならどうしようもないからね……」
勇者「そう、ですねぇ……。しかし私も僧侶さんも王様のところには近づけない」
僧侶「捕まるのは嫌だもんね」
勇者「う~ん、がんばりましょう。明日までに解決案を出しましょう」
僧侶「うん」
勇者「朝まで討論したのにいい案が一個もでなかったでござる」
僧侶「ご、ごめんね。私、ちょっとこういうのは苦手、かも……」
勇者「小卒の私には何もかもが難しい世界だぜ!!」
僧侶「やっぱり私が変装して勇者様に会いに行くよ」
勇者「それだと危険ですって。それなら私が行きます」
僧侶「何かあったら私、勇者様に顔向けできなくなるよ……。そういうのは大人に任せて……」
魔王「おはようございます~。今日は一段と空が青くて世界がぐらぐらとゆれて……、あ、もしかして地震ですか!?」
魔王「あらあら大変~、勇者さん、鍋を持って外にでなきゃ危ないですよ~……」
勇者「おはようございます、それきっと二日酔いですよ」
魔王「あら、まぁ、私、いつお酒なんて飲んだのかしら~? 頭がズキズキしますね」
勇者「昨日のこと覚えていないんですか。まぁ、魔王らしいですけど」
僧侶「二日酔い用の薬ありますよ。魔王さん、飲みます?」
魔王「あらあら、ごめんなさい、いただきますね~」
僧侶「水なしで飲めるタイプだけど、水がないと苦いから今水持ってきますね」
魔王「あら~、そこまでしていただくのは悪いですよ。私が持ってきますね~、よっとと~あら~」ガッチャーン!!
勇者「うわ、包丁のところにつっこんだわー。朝から血だまりだわー」
魔王「どうしましょう。包丁が折れてしまったわ~……。べ、弁償しないと……」
勇者「無傷な上、包丁が……ま、まじで折れてる。これが魔王パワーか。末恐ろしい」
勇者「触るものみな傷つけた!」
魔王「ほ、包丁って一億ぐらいですか。どうましょう、今日はカード持ってきてないわ~……」
僧侶「そ、そんなに高くはないですよ。安心してください」
魔王「カンストする程度の持ち金しかないんですが、これで包丁分を」ジャララ……
僧侶「魔王さんそんなにはもらえないよぉ……。そんな家より高い包丁がこんなボロい基地なんかにあるわけないよ……」ワタワタ
勇者「レオなんとかレスみたいにチャイム押したら全員出てきそうなぐらい壁薄いしね!!」
魔王「す、すいません。私あまりお金の価値がわからないので……」
僧侶「うーん、なら、私が適当にもらっておくね。ありがとう」
勇者(三万もってったで! 確実に自分のポケットマネーにする気満々だろ僧侶さん!)
僧侶(えへへ、これでテレビ通販の圧力鍋買えるぞ~)
勇者「ということで、かくかくじかじかということを話し合っていたんです」
魔王「そんな、じゃ寝ないで朝まで話し合っていたの?」
勇者「そういうことになりますね。今から私は寝ますけど」
魔王「あら~、私は、ということは……僧侶様は?」
僧侶「私は勇者ちゃんが起きる正午まで起きてようかなって」
魔王「それは大変ですねー。どうしましょう~」
魔王「あ、それなら私が勇者様に報告してきますね」
勇者「魔王がですか!?」
魔王「たぶん王様は私の姿を知らないとおもうから、大丈夫よ~」
僧侶「た、たしかに、私や勇者ちゃんがいくよりは……安全かもしれないね」
魔王「ふふっ、僧侶様もこういっていることですし、私一肌脱いでがんばりますよ」
勇者「でも心配ですよ……。もしものことがあったら……」
魔王「あらあら、勇者さん。心配性ね~。ふふっ、側近ちゃんみたい」
勇者「うぐ……」
勇者「否定できないことがつらい」
魔王「ということで私はいってきますね。えぇ、と、ルーラでは町にはいけないので直前のところに飛びますね。ルーラ」シュン!
勇者「……まじでいっちゃった」
僧侶「だ、大丈夫だよ。一応魔王さんも大人なんだし」
勇者「一応、ね」
僧侶「……うん」
王の間
勇者父「兵士の格好になって王様を化かしているが……」
王「知らん!! 勇者など皆殺しだ!! 国民全員がみている場で公開処刑だ!!」
勇者父「王、民にとってみれば勇者は魔物から守ってくれるヒーローです」
勇者父「ヒーローを処刑してしまったら、民は怒り狂うでしょう」
王「ならばそいつらも殺せばいいこと! ワシこそ政治、正義なのだ!!」
勇者父(だめだこりゃ……)
城内
勇者父「これはどうしたもんかねぇ」
兵士1「私に尋ねられても……」
勇者父「君は代々王に仕えている兵士だと聞く。今の状況はどう思う?」
兵士1「そうですね。いいにくいのですが、最悪でしょう。民の間では人権や正しい法律について感心を持つものが多くなりつつあります」
兵士1「王中心の国家から、民中心の、議会をもって政治を進めていくあり方に変えていったほうが良いのではないかと」
勇者父「確かに、先代ならともかく今の王に国は任せられん」
勇者父「それならば俺たちが物事を決めていったほうが、国のためかもしれんな」
兵士1「はっ、しかし、そうなれば王としての立場がなくなってしまいます」
兵士1「それを恐れているのでしょう。王は毎晩眠れないようでうめき声をあげています」
勇者父「ストレスが限界まできてしまっての暴走か……」
勇者父「あるいは捌け口がなくなってしまった所為での……、まぁ、民にとってしてみればいい迷惑だな」
兵士1「勇者殿、私は兵士として王に仕える立場。王への罵詈雑言は本来許されません」
兵士1「もちろん王に逆らうことも。どうか勇者殿、王を救ってください」
勇者父「あぁ、わかっている。お前らにしてみても無駄に人を殺すのは嫌だろうしな」
勇者父(だからといって、解決方法は……)
勇者父(口で説得など無理な話だろう。新しいストレスの捌け口を探すか……殺すか)
勇者父(あるいは心の支えを探すか……、どれも容易なことではないだろうな)
勇者父(しかしやらなければ内戦に……)
勇者父(どうするべきか……)
同時刻
魔王「あら~、せっかくお城についたのに勇者様が見つかりませんね~……」
魔王「道に迷ってしまったのかしら? でも、城内で迷うなんていくらなんでも」
魔王「私ならありえそうですね~……」
魔王「困ったわ~。兵士さんに聞くのも悪いですし……」
魔王「王様に聞いてみましょう」
王「勇者は皆殺しだ!! ふじこふじこ!!」
兵士「はっ、只今我々は生き残りの勇者共の捜索に全力を尽くしています!」
王「今すぐみつけろ!! 今日中にだ!!」
兵士「王様、それはさすがに不可能でございます」
王「不可能でもやるのだ!!」
魔王「あら~、修羅場ですね~」
兵士「!? だ、誰だ!!」
魔王「私は魔王といいます。勇者様をご存知ないでしょうか~」
兵士「ま、魔王だと!? 俺たちを殺しにきたのか!!」
魔王「殺しに~? どうしてそんな物騒なことをしないといけないんでしょうか~?」
兵士「王様、お下がりください!! この兵士、命に代えても王様を――」
王「この無礼者めが!! 兵士よ、お前が下がれ!!」
兵士「……は?」
王「何をあほ面をしているのだ!! 魔王殿の目の前で!!」バゴン!!
兵士「ひぎい!!」
魔王「……え、えと、王様。どうか、なされたんですか?」
王「おぉ、魔王殿。お初にお目にかかります」サササッ
魔王「や、やめてください。土下座なんて……」
王「魔王殿、わしが無知なばかりに神である貴女に歯向かってしまった。このようなことで許してはもらえないと思うが、侘びだけでもさせてくれ」
魔王(えぇ、と、勇者さんの話だと……賢者様、いえ、オルゴさんを王様は神だと思っている)
魔王(ということは……同じ魔王の私も神様だと勘違いしているのかしら?)
魔王「王様、顔を上げてください。あなたは謝罪をする相手を間違っています」
王「なんと慈悲深い。神よ、わしは貴女以外の誰に謝ればいいというのか」
魔王「勇者様方、いえ、民に謝ってください」
王「それはどういうことなのでしょうか」
魔王「勇者様方はあなたを信じて、平和を夢見て、魔物と戦ってきました」
魔王「それを否定し、反逆者としたあなたはおかしいです」
魔王「そして今、内戦が始まるか始まらないかの瀬戸際です。民は、不安がっています」
魔王「あなたは王として、勇者を殺すことよりも、もっとやらなければいけないことがあるのではないでしょうか」
王「お言葉ですが、神よ。勇者は貴女方神を傷つけた悪魔です」
王「そしてそれはワシも同じ。ワシもいずれ罪を償いましょう。同じ悪魔を葬った後で」
王「これは聖戦なのです。けして内戦ではありません」
王「神よ、また貴女は私を言葉で試そうとするのですね」
魔王「あ、あら~、どうしましょう~……。どう説明しても正反対の意味で捉えられそうだわ~」
王「神よ、今日はこの城にお泊まりください。崇めさせてください」
魔王「お泊りですか~。ふふっ、楽しそうですね~」
城内
勇者父「どうしたものか……」
勇者父「まったく考えが浮かばないぞ……」
魔王「あら~、もしかして勇者様ですか~? 見ない間に細くなりましたね~」
勇者父「魔王!? どうしてお前がここに!?」
魔王「勇者様に会いに行こうと思ったら、王様に会っちゃいまして~」
魔王「今日泊まっていけ、など男らしいことをいわれたのでそのお言葉に甘えたのですが……」
魔王「案内された部屋から一歩、二歩、……三歩ぐらい歩いたらどの部屋なのか忘れてしまって迷
子になってしまったんです~」
魔王「でも、勇者様に会えたので結果おーらいですね。ふふっ」
勇者父「わけがわからないよ」
魔王、勇者側のことを報告中……
勇者父「……あぁ、勇者側はそういう状況なのね。なんとなく把握できたわ」
魔王「こちらのほうはどうですか? あの王の様子ですと……あまり良いほうに進んでいないようですが」
勇者父「そのとおりだな。状況はよくない」
勇者父(……いや、待てよ。魔王をつかえばもしかすると……)
魔王「それでは私は一晩泊まりましたら、勇者さんのところへ帰らせてもらいますね~」
勇者父「まってくれ。魔王、ひとつだけ頼みたいことがある」
魔王「はい、なんでしょう」
勇者父「王の娘になれ」
魔王「……はい?」
勇者父「義理でもいいぞ。娘になってやってくれ」
魔王「あの……私の理解力がない所為なのか、あまり話がよくわからないのですが……」
勇者父「今、王は生きがいをなくし、ストレスマッハで頭がパーだ」
勇者父「そこでお前が娘、まぁ、娘みたいなものになって、王のメンタルを平常にする」
勇者父「王はお前という生きがい、癒しを手にすることで、元の王に戻る」
勇者父「そこでお前や俺で、内戦をやめるよう説得し、エンドだ」
勇者父「わかったか?」
魔王「なんとなくは……。えぇ、と、どうすればいいんでしょうか?」
勇者父「普段通りでいいさ。魔王が好きなように王の隣にいてやってくれ」
勇者父「たぶんそれだけで大丈夫だ。たぶん」
魔王「は、はぁ……。わかりました。それなら明日、一度勇者さんに報告した後、来て王様とお話ししようと思います」
勇者父「あぁ、そうしてくれ」
勇者父(なんとなく、解決の糸口がみえてきたぞ……!)
―― 翌日
勇者「じゃ、魔王は父さんとこ行くの?」
魔王「えぇ、ふふっ、うまくいくかはわかりませんが」
戦士「魔王ちゃんならあの王も丸くできるかもしれんなぁ」
魔王「あら~、そうですか~?」
僧侶「確かに……」
魔王「勇者さんたちはどうするんですか?」
勇者「私たちは今までどーりに止めようとがんばります」
戦士「合コンに誘い続けたら案外なんとかなるような気がしてきた」
魔王「ふふっ、戦士さまったら」
戦士「ハァハァ、魔王ちゃんに窘められたよぉ」
勇者「きもっ」
魔王「ということで、私は王様のところにいってきますね」
勇者「変なことされたらすぐにいうんですよ」
魔王「はい、わかっています」
勇者「魔王のわかっていますは、あてにならないというソースがあってな……」
城内
魔王「戻ってきました、勇者様」
勇者父「忘れてたけど俺変装してるんだよね。勇者様じゃなくて兵士とでもよんでくりゃ」
魔王「あら~、妙に細くなったわけはそういうことでしたか」
魔王「では兵士様とお呼びしますね」
勇者父「ういうい」
勇者父「魔王はともかく王の側にいて、適当に介護なり話し相手になりなってやってくれ」
勇者父「俺もすぐ側にいるから、なんかあったらすぐ相談してくれや」
魔王「はい、わかりました」
王「おぉ、神よ。いかがなさったか」
魔王「王様とお友達になりたくて来ちゃいました」
王「友達……ですと? ワシとですか?」
魔王「はい」
王「……」
魔王「どうか、なさいましたか?」
魔王「もしかして、友達は嫌でしょうか? それでしたら――」
王「ワシと……本当に友達になって……くださるんでしょうか?」
魔王「え?」
王「……」
王「……神よ、ワシは今まで友達と呼べる人物は一人もおりませぬ」
王「勿論友達との付き合い方も知りません」
王「そんなワシと、あなたは友達になるというのですか?」
魔王「なる、というよりなれたらいいな、って思っています」
王「……どう、違うのですか」
魔王「友達は今から友達になりましょう、はい、なりました、っていうものではなく」
魔王「お互い気が合うなー、一緒にいて楽しいなー、って思っていく内にいつの間にかなっているものだと、私は思っています」
勇者父「つまり●●いことしない恋人同士みたいな感じですね」
魔王「ゆう……へ、兵士様、そのたとえはちょっと……」
王「……」
王(友達……か……)
―― 三日後 昼
勇者「それダウトー!!! ぜってーダウトおおおおおお!!」
勇者もどき1「はい、ちがうー。おーまえのまけー」
勇者「うわあああああああああ!!!!」
勇者もどき1「まじで勇者ってダウトよえーよな」
勇者もどき2「これで5回連続負け? やばいwwww」
戦士「ねぇwww今どんな気持ちwwwwどんな気持ちwwww」
勇者「私、切れそう」
勇者「10回連続で負けるとかないわー。まじないわー」ビュンビュン
僧侶「ゆ、勇者ちゃん。落ち着いて。剣振り回さないで、……ね?」
戦士「まー、まさか、こんなトランプで足止めできるとはおもわなかったなー」
僧侶「魔王さんが、もどきさん達にしばらく落ち着いてるよういったみたいだよ」
戦士「……あぁ、そんなこと、いってたよーな。いってなかったよーな」
勇者「しかしもどき共、魔王の言うことなら聞くんですね」
僧侶「ま、まぁ、ベタ惚れだったからね」
戦士「魔王>>>越えられない壁>>>>>>>>仲間」
勇者「これはひどい」
勇者「天然が故になんとなーく逆らえない感じだもんげ」
戦士「そうだなあ。あと美人だもんな。あんな美人に駄目とか言われたら普通やめる」
僧侶「……」
戦士「あと でかいしな!! 服着てても凄さがわかるってのがいい!! ドゥフフwwwもちろんお世話になってますwwww」チラッ
勇者「よく女の人口密度が高い空間でそんな発言できるものだと、ある意味では尊敬します」チラッ
僧侶「ち、ちらちらとこっちみるのやめてよぉ……。じ、自分でも小さいってことぐらいわかってます!」
勇者「しかしこれで多少は足止めできそうですな」
僧侶「これで王様が納得してくれたら……なんとかなるのかな……」
戦士「さぁな」
僧侶「ただ王様、そんな簡単に魔王さんの意見、聞くのかな?」
戦士「頑固の塊みたいな奴だもんなあ……。魔王ちゃんでもきついかもな」
勇者「案外、簡単にやっちゃうかもですよ」
勇者「それこそ「飯はまだかのー?」「あらおじいちゃん、ご飯は一昨日食べたじゃない」みたいな関係に」
戦士「んなわけないだろさすがにwwwwww」
僧侶「そうだよぉ、さすがの魔王さんでもそんな」
戦士「ですよねーwwww」
王「飯はまだかの……」
魔王「あらあら、王様。ご飯は先ほど食べたじゃないですか」
王「そうだったか……。魔王のことをずっと考えていたからか、ご飯を食べた記憶がないのぉ」
魔王「まぁ……。ふふっ、駄目ですよ。これ以上食べたら太っちゃいますよ」
王「そうじゃったな。ふぉふぉふぉ」
勇者父(王がドラクエでよくいる老人みたいになってしまわれた……)
王「先ほどから耳の穴がむずむずしてのぉ……」
魔王「あら~、それなら私が耳かきしますね」
魔王「私の膝でよろしければ、頭を乗せていただけますか」ポンポン
王「悪いのぉ。ふぉふぉふぉ」
勇者父(勇者がいなくてよかった。あいついたら絶対切れてたわ)
魔王「それでは失礼しま……」
王「お、おぉ……? どうしたんじゃ。一思いにやってくれて構わんよ」
魔王「いえ、あの……。お恥ずかしいのですが、む、胸で王様がみえなくて……」
魔王「ごめんなさい。私ではお役になれないようです~」
王「いやいや、気にしないでくれ。年寄りの戯言だとおもってくだされ」
勇者父(これ絶対イチャイチャしてるよね。これ絶対イチャイチャしてるよね)
勇者父「王様、今から会議でございます。そろそろ会議室にいかれては?」
王「おぉ……、もうそんな時間か。わざわざすまないねぇ、年寄りになると時間の感覚がわからなくなるようだ」
勇者父「い、いえ。あ、ちょっと。お一人でいかれるんですか?」
王「あぁ、会議室ぐらい一人でいけるよ。兵士さん達はゆっくりしていてくださいな」
勇者父(どこにいったの、前の王様)
魔王「あらあら、無理しちゃいけませんよ。私が付き添いますね」
王「いいんじゃぞ。ワシ一人でも大丈夫じゃ……」
魔王「そんな水臭いこといわないでください。ね?」
王「わるいねぇ……」
魔王「いえいえ。それでは兵士様、失礼しますね」
王「失礼したねぇ……」
勇者父「いえ……」
バタン
勇者父「俺、思いついたんだけどさ」
兵士1「……は、なんでしょう」
勇者父「犯罪者予備軍とか性格が捩れた奴を、魔王としばらく住ませることで聖者にするビジネス」
兵士1「……儲かりそうですな」
勇者父「まさか三日であそこまで性格がかわるとは思わなかった」
兵士1「神業ですね」
勇者父「ああ。それか元々あーゆー性格だったのかもしれんな」
勇者父「心の支えがなかった所為で、ああなったのかもしれん」
勇者父「どの道、もどき共について話してもいい頃だろ」
兵士1「そうですね。あまり長引かせていいものでもありませんし」
勇者父「なら、今日魔王に相談してみるわ」
兵士1「よろしくおねがいします」
勇者父「あぁ……」
勇者父(しかしこんな簡単に事が進むとは思わなかった)
勇者父(これも魔王の力か……。まさか本当に魔物に助けられるとは)
夜
魔王「兵士様、どうかなさいましたか?」
勇者父「いきなり呼んでしまってすまんな。王様の調子はどうだ?」
魔王「えぇ、とても落ち着いていらして……。なんだか普通のおじいちゃんみたいになっちゃいましたね」
勇者父「催眠でもかけたのか?」
魔王「そんなことは。私もびっくりしています~」
勇者父「そうか。そうだよなぁ……」
勇者父「まぁ、そこらへんはいいや。そろそろ王にもう一度説得してみてはくれないか?」
魔王「あ、勇者もどきさんたちのことですよね」
魔王「もう話しても大丈夫でしょうか?」
魔王「もどきさんたちのことが目的で仲良くしているなんてこと思われたら……」
勇者父「確かにそうだけどこの調子なら大丈夫だろ」
魔王「そうでしょうか……。兵士様がそういうのでしたらやってみますが……」
勇者父(まさか魔王が渋るとはおもわんかったな)
勇者父「気になるなら軽く触れる形でも構わんよ」
魔王「……わかりました。それでしたらなんとか」
勇者父「ああ、がんばってくれ」
勇者父(魔王の顔色をみる限りではあまり乗り気ではないようだが……)
勇者父(王と長く接することで、本来の目的を忘れてしまったか?)
勇者父(それとも嫌われるのが怖いのか……)
勇者父(冷酷になれないというのは、彼女の弱みなのかもしれないな)
翌日
魔王「今日もいい天気ですね」
王「そうですのぉ……」
魔王「しかしだんだんと寒くなってきていますから、体調には気をつけてくださいね」
王「まだまだ、若者には負けんぞぅ」
魔王「あらあら」
魔王「最近は朝が特に冷えますからね。王様も震えてらしたでしょう」
王「おぉ、みられておったか。薄い布団をかけて寝たせいかのぉ……」
魔王「しかし王様より寒さに震えていた方がいらっしゃいました」
王「なんと。それはそれは可哀想に。いったいどの方がそんな目に」
魔王「牢屋にいらっしゃるもどきさんたちのお仲間さんです」
王「あぁ……彼らか」
魔王「王様。あのようなところにずっと閉じ込めておくのは、健康上よくありません」
魔王「そろそろどうなさるか、考えたほうがよろしいのではないでしょうか」
王「……」
王「魔王よ。その前にひとつききたいことがあるのじゃが……よいかの?」
魔王「あ、はい。なんでしょう?」
王「魔王は……、わしのことを、友達だとおもってくれてるかの?」
魔王「えぇ、もちろんです」
魔王「でもどちらかといえば、おじいちゃん、みたいな感じですね」
王「おぉ、そうか。そうか。ありがたいのぉ……こんな老いぼれにでも友達ができるなんて」
王「兵士さんよ、ちょっと、よろしいかのぉ」
勇者父「は、いかがなさいましたか」
王「勇者さん達を連れてきてくれないかのぉ」
勇者父「っ!?」
勇者父「こ、[ピーーー]気、なんですか?」
王「連れてきて、くれんかのぉ」
勇者父「……」
勇者父(三つ子の魂百までってことか……)
勇者父(だとしたらこのまま説得を続けても……無駄にしかならんだろう)
勇者父「わかりました。連れてまいります」
魔王「……」
王「勇者さん達を連れてきてくれないかのぉ」
勇者父「っ!?」
勇者父「こ、殺す気、なんですか?」
王「連れてきて、くれんかのぉ」
勇者父「……」
勇者父(三つ子の魂百までってことか……)
勇者父(だとしたらこのまま説得を続けても……無駄にしかならんだろう)
勇者父「わかりました。連れてまいります」
魔王「……」
バタン
魔王「……王様」
王「そう不安そうな顔をしないでくださいな。ふぉふぉふぉ」
王「あぁ……今日はなんだか寒いのぉ。魔王、こたつはどこにあったかのぉ」
魔王「こたつですか? えぇ、と、それはどんな物なのでしょうか」
王「おぉ、おぉ……。魔王はこたつを知らないのか。どれどれ、少し探してくるから待っておれ」
兵士1「王様、勝手に出歩かれては困ります! こたつならこの私が持ってきます!」
王「あぁ悪いのぉ……。ワシが王でなければ、こんな目に合わせんでもよかったのにのぉ」
魔王「……」
どっかの基地
勇者「ちょ、父さん。それまじ勘弁だわー」
勇者もどき1「……つまり俺達はおとりということか」
勇者父「そういうことになるだろう」
勇者父「さっき説明したとおり、お前達はそれなりの武器を持って、城に向かってくれ」
勇者父「王はお前らを公開処刑したがっている。捕まるかもしれんが、死にはしないだろう」
勇者父「俺はいち早く城に戻り、兵士に化けている」
勇者もどき1「んで、とりあえず俺たちは王の間に行き、王の話をきいて」
勇者もどき1「本当に俺たちを殺す気でいるなら、お前が王を殺すということか」
勇者父「あぁ」
僧侶「ちょっと待ってください。ど、どうして勇者様が王様を殺すのですか!」
勇者父「俺がオルゴを殺したから起こった騒動だ」
勇者父「俺が原因ならば、俺が決着をつけたい」
勇者父「それだけだ」
戦士「ちなみにオルゴのとどめをさしたのは、戦士だったりするのです」
勇者父「こまけぇことはいいんだお!!」
勇者父「昔、魔物を欺くために魔物の格好をして近づいたのに、お前が経験値きゃっほー☆とかいいながら魔物殺して、勇者ご一行ってばれた事忘れたとはいわせんぞ」
勇者父「しかもお前が最初にひんしになって、戦わなくていいボスと戦う羽目になった事」
勇者父「しかも「めんごー☆ ま、人間なんだし、ミスってあるよねキラッ☆」とかいって謝った事」
勇者父「忘れたとはいわせんぞ」ゴゴゴゴゴゴゴ
戦士「ひぃ」
僧侶「はじめて私たちそこで全滅しかかったからね……。なつかしいなぁ」
勇者「波乱万丈だったんだなぁ」
勇者父「ということで俺がやるのが冴えたやり方なのです」
勇者「いやいや、父さん。反逆の罪で処刑されるってそれ」
勇者父「ああ、そうだね」
勇者「そうだね、って。父さん、死ぬ気なの?」
勇者父「……言われてみればそういうことになるな」
勇者「勇者は反対しますとも」
勇者「誰が好き好んで、父親の自殺を認めますか」
僧侶「勇者ちゃん……」
僧侶(半殺しはするけど、やっぱり死なれるのはいやなんだね……。ちょっと安心した)
勇者父「だがな、この中の誰かが王を殺さなければ解決しない」
勇者父「王を殺せば、自分も処刑されてしまう」
勇者父「まぁもどき共も、その覚悟で王を殺そうと決心していたんだろう」
勇者父「だが、それはもどきがやる仕事じゃない」
勇者父「汚れ役はいつだって勇者の役目だ」
勇者「……ソースは?」
勇者父「たとえばぁ、幻想のぉ恋人にあったようなぁ、終わり方した勇者だとかぁ~。故郷に帰れなくなったりだとかぁ。いろいろあるじゃない」
者「た、確かに、そうだけどさ」
勇者「それなら現勇者の私がやるよ」
勇者父「てんくうのつるぎも持ったこともない甘ちゃんが何を言う」
勇者父「それに俺と約束したはずだろ。魔物も、人間も殺すなと」
勇者「――……っ」
勇者「……それ、なら……父さんだって……。言ってたじゃないか」
勇者「安易に死ぬ選択を考えるなって。自分の命ひとつ守れない奴に世界平和なんて無理なんだって」
勇者「父さんは自分の言葉に嘘をつくのか!」
勇者「どこぞの鳩ぽっぽじゃあるまいし、ブーメランはやめろよ!」
勇者父「……言うようになったなぁ」
勇者父「お前の言うとおりだよ。それに俺死ぬつもりねーし」
勇者「……は?」
勇者父「これでも俺、卑怯な奴でね。王殺した後はへんげのつえ使ってどっかに逃げようと考えてる」
勇者父「魔界でも、いっそ天界でもいいや」
勇者父「マスタードラゴンに頼んで、天空の城で一生過ごすのもいいなぁ」
勇者「……え?」
勇者父「ほかのもどき共には逃げる手段なんてねーだろ」
勇者父「俺が一番助かる確率が高くて、それかつ王を殺せる確立が高いから、俺が殺すんだ」
勇者父「納得はできないだろうが、こうみえてちゃんと逃げる手段を考えている」
勇者父「死ぬ気でやるが、本気で死のうとは思っていない」
勇者父「俺を信じてくれ。俺は絶対死なないし、殺されるつもりもない」
勇者「父さん……」
勇者「わかった。父さんがそこまでいうのなら、私は信じるよ」
勇者父「ああ、ありがとう」
勇者「本当に、死なないでね」
勇者父「もちろんだ」
戦士「途中から話がわかんなくなっちゃったんだけど、つまりどういうことだ?」
勇者父「いい話で終わらせようとしているところに首つっこまないでください」
―― 翌日 王の間
勇者父「今日の正午、勇者たちがくるようです」
王「おぉ、そうか……。ありがとうよ」
王「今日で、すべてがはじまるんだねぇ……」
勇者父「……」
魔王「……」
王「なんだろうね。長かったような、そんな気がするのぉ……ふぉふぉふぉ」
勇者父「そう、ですな」
魔王「兵士様、少しよろしいでしょうか?」
勇者父「は、なんでしょう」
魔王「ここでは話にくいことなので、いったん外に」ボソボソ
勇者父「……?」
中庭
魔王「兵士様、本当に王様を殺すのですか?」
勇者父「あぁ、そのことか。もしあのジジイが勇者達を殺すっていうのならばな」
魔王「……」
勇者父「どうした。青い顔をして」
魔王「王様は、殺させるような方ではありません」
勇者父「……」
魔王「勇者様、お願いです。王様を殺さないでください」
勇者父「それは――」
勇者父「王に言うんだな。勇者達を殺さないでくださいって」
魔王「……っ」
勇者父「魔王、これはお前のためでもあるんだぞ」
勇者父「お前は今、視野が狭まって目の前のことしか考えていない」
勇者父「内戦が起こったら、それこそ人も魔物も傷つくだろう」
勇者父「それが一人の命で何千人と助かる」
勇者父「今までは魔王を殺すことで、それが実現した」
勇者父「今回の場合は、お前ではなく王だった。それだけだ」
魔王「そんなの……」
勇者父「おかしいか? お前も同じようなことをしようとしていたじゃないか」
魔王「それはっ」
勇者父「お前は優しすぎる。覚えておけ、その優しさの所為で苦しむ人がいるということをな」
魔王「…………」
勇者父「それじゃ戻るぞ」
魔王「それでも私は……っ! 信じています!」
魔王「王様も勇者様も、もう誰かを殺す選択はしないということを」
魔王「人間はそんな安直な道に進まないと……私は信じています」
勇者父「……」
―― 正午
兵士1「王様、勇者達がやってきました」
王「おぉ、おぉ。入るように伝えてください」
兵士1「はっ!!」
魔王「王様……」
王「どうかなされたか、魔王。少し顔色がよくないのぉ。部屋で休んできたほうがいいんじゃないかぃ」
魔王「い、いえ。私は、大丈夫です」
勇者父「……」
勇者父(どくがのナイフで、いや、いっそのことはぐれメタルの剣で一思いに殺してやったほうが……)
勇者もどき1「王、てめぇ!! よくも仲間を捕らえやがったな!!」
勇者もどき2「ぶっころしてやる!!」
魔王「ちょ、ちょっと待ってください! 勇者様方、落ち着いてください!」
勇者もどき1「はい」
勇者もどき2「はい」
勇者「素直に魔王のいうことを聞くお前らが結構好きだよ」
王「確かに、勇者さんたちだのぉ……」
王「お久しぶりですなぁ、元気でしたか?」
勇者もどき1「え? あ、はい。げ、元気っすけど」
勇者もどき1「なんだよ、あいつ。なんか覇気がなくね?」ヒソヒソ
勇者もどき2「なんだが普通の老人みたいになってねーか」ヒソヒソ
勇者もどき3「もしかして魔王さんの影響ってこれか? 魔王さんすげーな」ヒソヒソ
王「どうかなされたか?」
勇者もどき1「い、え、何もないっすけど」オロオロ
勇者もどき2「ところで俺たちをどうして呼んだ!! ……ん、ですか?」
勇者もどき3「ばっか、お前らなんで敬語になってんだよ!!」
勇者もどき2「だってなんか前と違って、使わないといけない雰囲気なんだよ!!」
勇者もどき1「そうだそうだ!!」
勇者「お前らうるせえなぁ……」
王「そうだったのぉ……。わけを話さないといけんのぉ」
王「――最近、寒くなってきたのぉ。もう少しで雪がふるかもしれんなあ」
勇者もどき1「そうっすね」
王「ワシはな……。今まで寒さを味わったことがなかったんじゃ」
勇者もどき1「……は?」
王「温室で育てられ、父はワシがほしいといったものを全て買い与えてくれた」
王「金、権力、地位、学力、望めば望むほど父はワシにすべてをくれた」
王「ただ友人だけは、父はワシにくれなかった」
王「すまなかった。謝ってすむようなことではないとは思うが……謝らせてくれ」
勇者もどき1「!?」
勇者もどき2「!?」
勇者「王が……土下座しただと!?」
王「ワシはこの数日間、魔王殿と一緒にいた」
王「彼女はワシの友達に、なれたらよいといってくれた」
王「ワシは突然親鳥がきてくれた気分になった。やっと友人を与えてくれたとおもったよ」
王「でもそれは間違いだったんじゃ」
勇者「間違い?」
王「魔王殿はテーブルマナーもしないような人じゃったんだ」
魔王「え、あ、お、王様! そ、その話は……」
王「もちろんフォークとスプーンの使い方はしっておったが、内側から使い出してオロオロしたり、手を洗うようの水を飲んでしまっていた」
魔王「お、王様~。それは言わない約束でしたよ~!」
勇者「まぁ、魔族と人間とじゃマナーも何もかも違いますしね」
王「ワシははじめて人に知識を教えた」
王「それはそれは苦労したのぉ……。あぁ、こたつも知らなかったりしたのぉ」
魔王「お、王様~っ!」
王「まるで娘ができたようじゃったよ……。ワシの歳でいうなら孫なんだがな……」
王「はじめて知ったんじゃよ。雛に餌をあげる親鳥の気持ちを」
王「その苦労も多少な」
王「掛け布団を抱いて寝ているものだから、寒そうに身体を震わせてな」
王「思わずワシの掛け布団をあげてしまったよ。ふぉふぉふぉ」
魔王「え、あ。も、もしかして、この前薄い布団をかけてた理由って……」
王「あぁ……。兵士さんたちを起こすのもわるいからのぉ。適当なものをかけて寝てたら寒くて寒くて」
魔王「そ、そんな。ごめんなさいっ。わ、私……」
王「ふぉふぉ、気にしないでおくれ。そのおかげでワシは目を覚ますことができた」
王「普通は寒さで寝てしまうものなのだがな……ふぉふぉふぉ」
王「ほんとうに、すまなかった。勇者さん達を悪魔などいってしまって」
王「殺されても何も反論できないことをしてしまった」
王「この身ひとつしか差し上げるものはないが……」
王「どうか民や兵士には手を出さずに、ワシ一人の命で許していただきたい」
勇者「あ、私は無関係なので、もどきたちで決めてね」
勇者もどき1「……」
勇者もどき1「……」
勇者もどき2「……」
勇者もどき3「…………」
勇者もどき1「……」
勇者もどき2「…………」
勇者もどき3「……いい、んじゃないか。許してやっても」
勇者もどき1「あ、あぁ……。ん、まぁ……確かに……」
勇者もどき1「ただ仲間たちには絶対謝れよ」
勇者もどき2「んでもうこんなこと絶対やめろよ」
王「おぉ……ありがたい……ありがたい……」
勇者もどき3「そろそろ顔あげてくれよ。なんか、調子狂う」
勇者もどき1「だよ、な。なんか王じゃないみたい」
勇者もどき2「ところで仲間たちは?」
兵士1「お供様方は別室にいらっしゃいます」
勇者もどき1「おぉ、案内してくれるか」
兵士1「はっ。こちらです」スタスタ
王「ワシもいこう。改めてもう一度謝らなければ」
勇者「……」
勇者「そして、魔王と勇者の仲間たちが残ったわけなのです」
戦士「えぇ……と、よくわかんねーけど、これ一件落着ってことなのか?」
僧侶「う、うん。そういうことじゃない、かなぁ……」
勇者父「なんか、なんというか、不完全燃焼というか……戦う気満々だったのによ」
戦士「ま、よかったじゃないか! あははっ!! まさか誰も殺さずに解決できるとはよぉ!」
魔王「……」
勇者「これでも、魔王のおかげですね」
魔王「……え? あ? えぇっ!?」
勇者「どうやら魔王も今起きたことがわかっていない様子です」
勇者父「あー、もー、帰るべ。帰るべ」
戦士「ちょ、おま、このタイミングで帰るのかよwww」
勇者父「いや、だって、ねぇ。戦う以外の取り柄がない俺がこの場にずっといるのも」
勇者父「俺の役目終わった感じじゃん。あとは勇者に任せるよ」
勇者「まじですか」
勇者父「あの様子だったら、魔族と人間が同盟組むのも簡単だろう。お前達二人だけでもできるだろう」
僧侶「そう、だね。おばさん達はおいとましたほうがいいのかもなぁ」
戦士「あとは若い衆でやってくれってやつか。俺納得」
勇者父「そういうことだ。じゃ、若いのがんばれよ。ルーラ!」
勇者「ちょ!! まっ!! ……って、本当に帰りやがった……」
魔王「勇者さん……」
勇者「うーん……。ま、ちょっとここで待ちます? そのうち王も帰ってくるでしょう」
魔王「……本当に」
勇者「……はい?」
魔王「本当に、これで、終わったんでしょうか~」
勇者「そう、ですよ。魔王。これで本当に終わったんです」
勇者「私たちは誰も殺さず、内戦を止めることができたんですよ」
勇者「でも、魔王はこれからですよね」
魔王「……そう、ですね。これからです」
王「おぉ……。魔王、いらっしゃったか」
魔王「えぇ、王様。勇者様方は?」
王「帰られたよ。ふぉふぉふぉ……若いものは元気でいいねぇ」
魔王「はい。王様、少しお話が――」
王「同盟の件かい?」
魔王「っ、ど、どうしてそれを!?」
王「顔にかいてあるよ。ふぉふぉふぉ。魔王はわかりやすいからのぉ」
魔王「うぅ……」
勇者(これいちゃついてんの? ねぇ、これいちゃついてんの?)
王「ふぉふぉふぉ。魔王殿、ワシはいっこうにかまわんよ」
王「もう、人間と魔物が争う必要もない」
王「こちらからも頼もう。ワシら人間と生きてはくれんかの?」
魔王「―― はい、もちろんです」
魔王「わた、わたしたち……まものは……に、にんげんと……っ、いっしょに……」グズグズ
勇者「魔王、そんな大切なところで泣かないでくださいよ。はい、ハンカチ」
魔王「勇者さんありがとうぉ……」グズグズ
魔王「それでは、改めて」
魔王「私たち魔物は、人間と一緒に生きることをお約束します」
魔王「これから先、何百年、何千年先も――」
魔王「ずっと、ずっと永遠に」
王「あぁ、よろしくおねがいしますのぉ……」
魔王「はい。こちらこそ、末永くよろしくお願いいたします」ペコリ
王「ふぉふぉふぉ」
魔王「ふふっ」
勇者(なんか結婚式みたいや……。なんか悔しいわぁ)
勇者自宅
勇者父「あいつらうまくやってんのかなぁ……」
僧侶「た、たぶん大丈夫だとおもいますよ。勇者様の娘さんですもの」
戦士「あーあー、俺たちもあんくらい若かったらなぁ」
僧侶「充分、戦士君は若いよ」
戦士「最年少のお前が何をいうか」ペチッ
僧侶「うぅ、殴らないでよぉ」
勇者父「あーしかし疲れたなぁ」
戦士「確かに疲れたな。まさかこんなことになるとは思わなかったな」
勇者父「これで俺が生きている間ぐらいは平和じゃねーの」
戦士「はははっ! お前が死んだあとは俺がこの世の中を平和にしてやんよ!」
勇者父「お前何歳ぐらいで死ぬつもりなん?」
戦士「777」
勇者父「人として100ぐらいで死んどけよ……」
戦士「ラッキーセブンだよ!!」
僧侶「それじゃ、私、そろそろ教会に戻るね」
勇者父「ああ、お疲れさん」
僧侶「あの……、勇者様。また、教会にいらしてくださいね」
勇者父「もちろんだとも」
僧侶「……はい。ありがとうございます。えへへ……」
勇者父「おう。じゃ、またな」
僧侶「うんっ!」
戦士「あーあー、なんかおあついねえ」
勇者父「何がだよ」
戦士「なんでもないですぅー! 離婚まじかの戦士さんももう帰りますぅー!」
勇者父「素直に謝っとけよ」
戦士「浮気は文化!」
勇者父「靴下もはけよ」
戦士「やだこった! じゃ、また連絡しろよ!」
勇者父「ああ」
戦士「桃鉄今度はまけねーからな!!」
勇者父「それはこっちのセリフだ!!!」
勇者父「……」
勇者父「……みんな帰ったか」
勇者父「なぁ、母ちゃん」
勇者父「なんだかあっけないもんだよなぁ。最後なんていつも」
勇者父「あんたの死に顔みたいにあっけないわなぁ」
勇者父「もう少し、生きててくれたら」
勇者父「今の俺を叱ってくれたかもしれないのになあ……」
魔王城前
勇者「こうして魔王は王と平和同盟を結び――」
勇者「一応形としては、魔王の夢である人間と魔物が共存する世界が生まれましたとさ」
魔王「本当に、形として、ですけれどね」
勇者「そうですね」
勇者「これからかもしれませんね。魔物のイメージを変えていかなければ」
魔王「えぇ……」
魔王「そうだ、勇者さん。これをみてください」
勇者「なんですか、この紙切れ。コピー用紙ですか?」
魔王「ふふっ。これ勇者様との契約書なんですよ」
勇者「え!? でも、何もかいてないじゃないですか」
魔王「どうやら王と交わした同盟で、契約書は契約終了とみなしたのでしょう」
勇者「あぁ……そうなんですか」
魔王「だから、勇者さん。これからは自由ですよ」
勇者「へ?」
魔王「今まで助けていただいてありがとうございました」
勇者「ちょ、魔王?」
魔王「これからは私、一人でやっていきます」
勇者「いやいや、待ってください」
魔王「?」
勇者「そんなハテナ、みたいな顔しないでください」
魔王「あなたは、人間界に戻り、人間としてこれからの人生を全うしてください」
勇者「……」
勇者「そう、ですか」
勇者「わかりました。私は人間界に戻ります」
魔王「……はい」
勇者「だから、その、本心を言ってもらえますか?」
魔王「え?」
勇者「いや、だって、気づいていないかもしれませんが、さっきからずっと私の服つかんでいるじゃないですか」
魔王「あ、わわっ……」
魔王「あの、これは、そういうことじゃなくて! そのっ!! あのっ……えっと」
勇者「あぁ、もう。魔王。いいんですよ。そんな意味不明なやさしさみせなくても」
勇者「魔王と私の仲じゃないですか」
勇者「これからも二人でやっていきましょう」
魔王「ゆう、しゃさん……」
魔王「本当に、いいんですか? 私といてくださるんですか?」
勇者「もちろんですよ」
勇者「魔王一人じゃ心配ですからね」
魔王「勇者さんっ」ダキッ
勇者「んごっ!!」
魔王「ありがとうございます。私たち、ずっと、ずっと一緒にいましょうね~!!」
勇者「わか、わかりましたからっ、離してください。し、しn……」
こうして私たちは――。
とくに前とかわらず。
契約とか交わした約束忘れないよとかそんなの関係なしに。
魔王として、勇者として、世界をひとつにする為戦い続けるのだった――。
トゥルー 完
エピローグ
―― あれから、何十年の月日が流れた。
魔物と人間の溝はじょじょになくなり、町にでかけると魔物と人間が楽しそうに会話している姿がそこにはあった。
これも、今となってみれば普通の事で。魔物と話したことがない人間のほうが珍しいだろう。
一緒に学校に通ったり、同じ職場で働いたり。
魔物と人間は共存している。
確かに、そうだといえるだろう。
だけれどもまだ魔物を嫌う人間が少なくないのは事実だ。
時より送られてくる魔王の手紙には、悲しそうな字でそう書いてあった。
仕方がないことではあるだろうが、本当に共存する世界など……作れないのかもしれない。
ただ、それに近づけるよう魔王は努力しているらしい。
らしい、というのは、私は現役を卒業してしまい――、今は文面でしか魔王の活躍を把握できないからだ。
あの時戦っていた父と同じぐらいの歳になり、私はすっかりくたびれてしまっていた。
歩くのも杖がないと歩けないし、なんだかあのころの父よりも私は老いてしまっていた。
若いころに無茶しすぎたのか……。はたまた別の理由なのか。
検討もつかない。
しかし……魔王は相変わらず美しいままだと聞く。
魔物と人間とでは、こんなにも老いるスピートは違うのかといいたいぐらいに。
勇者母「はぁ……」
私はため息をつく。
できることなら、魔族として生まれたかった。
なんて、現金かなあ。
とんとん、と軽い足取りで誰かが歩いてくる。
まぁ、あいつだろうが。
勇者「……ただいま」
勇者母「あぁ、お帰り。今日ははやかったねぇ」
私の自慢でもないクソな息子である。
イケメソだから調子のりやがって、私と違って高学歴で、モテてむかついて愛らしい息子である。
自分の息子でなければもげろ、といいたいレベルである。
お母さん知ってるんだぞ、この前ラブレター貰ったの。
私だって貰ったことも書いたこともないっつーの。うらやましい限りだわ。
まぁ……、そんなことはともかく。
私は息子にいわなければいけないことがあるのだ。
それはあの日、私が18歳になったとき、唐突に父からいわれた言葉である。
勇者母「勇者よ、聞いてほしい話がある」
勇者「なんだ。真剣な顔をして」
一昨日出した手紙を、魔王は読んでくれただろうか。
読んでくれたのであれば、きっと今頃魔王は喜んでいるだろう。
もしかすると歓迎パーティでも開くぐらいの勢いかもしれない。
彼女の思い出の片隅に残っている笑い顔が、頭の中に浮かんだ。
勇者母「お前も今年で18だ。そろそろ勇者として旅立っていいんじゃないか?」
勇者「大学に行くのを反対した理由はそれか。この平和な世の中に勇者など必要ないじゃないか」
勇者「それとも何か。魔王でも倒してくればいいのか?」
冗談交じりでいう息子の顔は、余裕の笑顔だ。むかつく。
まぁ、魔王がいい奴だということは、一応は知っているだろう。TVとか教科書とかでだろうけども。
あんな国民的大スター、ともいえる魔王を助けてやってくれ、なんていったらこいつも驚くだろうか。
勇者母「そういう殺生なことじゃなくて、魔王を助けてやってほしいんだけど」
勇者「え?」
勇者母「え?」
勇者「なにそれ、こわい」
予想どーり驚く息子と、ドヤ顔の私。
そうして、勇者と魔王の人類救出計画はまたもや幕をあけるのです。
魔王が王子に惚れられ、結婚を前提にお付き合いしたいとか言われたりとか。
魔王にとっては一世一代といえるぐらいの大恋愛を息子とするとか、しないとか。
側近がそれを聞いて逃げ出して、魔王に泣きつくとか。
魔王の父さんが復活しそうになるとか、ならないとか。
それはそれで……また別のお話。
勇者父「魔王を助けてやってくれ」勇者「え?」 fin
勇者「めっちゃ眠い」
魔王「あらー、勇者さん。おはようございます~」バサッバサッ
勇者「今日は洗濯ですか」
魔王「はい。今日は風が心地よくて素敵ね~」
勇者「あまり天候とか変わらないような気がするんですが」
魔王「それは勇者さんが魔界にあまりいないからわからないのよ~」
魔王「魔界はずーっと同じような天候でわかりにくいけれど、これでも毎日違うのよ?」
勇者「勉強になったなあ」
484: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:39:15.26 ID:8tWHkztno
魔王「そういえば昨日スライムたちが魔界に帰ってきましたけど、何かあったんですか?」
勇者「ああ、そのことなんですけど、ちょっと話聞いてもらいますか?」
勇者「できれば側近さんとかもいるといいんですけど」
魔王「あら~、側近ちゃんもですか。 ごめんなさい、勇者さん。丁度側近ちゃんは――」
勇者父「魔王アッァァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
勇者「父さん!?」
戦士「 もませてくれー!!!」
魔王「ひっ、え、あ、ゆ、勇者様!? と、戦士様!? ど、どうしたんですか~?」
僧侶(私もいるよぉ……)
485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:39:57.23 ID:8tWHkztno
勇者父「論より証拠だ。まずこれをみてくれ、どう思う?」
戦士「いやその前に俺のはどうおもう」ギンギン
魔王「え、あ、やっ。やめてください、そういうのは……ちょっと……」
戦士「ウブだね、グッヘッヘッヘ。ほらほら」ブラブラ
勇者「戦士さん、それ以上やったらもぎ飛ばしますよ」
戦士「ひぃ」
486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:40:26.32 ID:8tWHkztno
魔物「」ピクピク…
魔王「あ、えっと、これ、魔物、ですよね」
魔王「あら、でも、どうしてこんなにボロボロに?」
勇者父「俺がボコボコにしました。僧侶食おうとしたので」
魔王「え、そ、僧侶さん、大丈夫でしたか?」タプーン
僧侶「は、はい。だ、大丈夫です」ペターン
僧侶(……巨 は何十年たっても苦手だなぁ)
487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:40:54.37 ID:8tWHkztno
勇者「僧侶さん襲ったって本当なの」
勇者父「ああ、本当だ。この目でしっかりみた」
魔王「人間を襲う魔物なんて……そんな……」
勇者「こいつ一匹だけとかじゃないでしょうか」
勇者父「それはさすがに楽観視しすぎだろう」
勇者「ですよねー」
488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:41:42.99 ID:8tWHkztno
魔王「……あら、でも、この魔物……。ううん……」
勇者「どうしたんですか?」
魔王「……こんな魔物、魔王軍にいたのかなって。私が忘れているだけかもしれませんが~……」
魔王「ちょっとこの子、回復させてもよろしいでしょうか?」
勇者「どうするんですか?」
魔王「本人から少し話を聞こうと。おしおきもしないといけませんしね」
489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:42:24.55 ID:8tWHkztno
勇者父「……まぁ、そういうことなら。だけど、このままだと絶対逃げるよな。縄とかない?」
魔王「あ、はい。あると思います。縄とってきますね。どうぞ城の中でお待ちください」
勇者「じゃ、いつもの個室で待ってます」
魔王「はーい、案内お願いしますね」タタタッ
勇者「わかりました」
勇者父「……」
戦士「……」
勇者「……なんすか?」
勇者父「なんでもないですよ」
戦士「ええなんでもないですよ」
勇者「なんだかむかついてきた」
490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:42:54.21 ID:8tWHkztno
魔王城 個室
戦士「やっぱくさいよねー」
勇者父「うんうんくさい」
戦士「だよねー」
魔王「お待たせしました~」
側近「失礼します」
勇者父「あれ、君だれ?」
側近「お会いするのは初めてですね。私は魔王様の側近をやっています、側近と申します」
勇者父「……ああ、魔王に電話かけるといつも出る子か」
勇者「声で判断できるほど電話してたのかよ」
勇者父「一人さびしい夜に、魔王の声を聞いて」
側近「勇者殿からの電話はとらないようにしますね」
勇者父「すいませんでした」
491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:43:35.38 ID:8tWHkztno
魔王「人を襲う魔物が現れたということで、側近ちゃんも呼んでみたんですよ」
魔王「きっと私以上に魔物は把握していると思いますので~……」
側近「そ、そんなことは……。と、とりあえずその魔物をみせてもらいますか?」
勇者父「これです」
魔物「」ピクピク……
側近「うむ……」
側近「……これは私も、みたことありませんね」
魔王「じゃあ、やっぱり本人から話を聞くしかないですね~……」
492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:44:02.06 ID:8tWHkztno
勇者父「縛ったよー」
魔王「あら~……難しそうな縛り方で縛りましたね~……」
勇者「なぜ 縛りなのか」
戦士「魔王ちゃん! 俺を縛ってくれ!!」
魔王「あ、え、私にこんな縛り方はできません~……」
勇者父「そもそも戦士よ。こーゆー胸してるんだから、こっちが縛ったほうが迫力あっていいとおもうぞ」
戦士「それもそうだな。魔王ちゃん、縛らせてくれ」
側近「私がしばいてあげましょうか?」
戦士「さいきんのおんなのこってこわい! なんでもすぐにほんきにする!!」
僧侶(私、影うすいなぁ……)
493: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:44:28.91 ID:8tWHkztno
側近「ベホマズン!」
魔物「オ、オオオオオ、ウヒョーwwwwwナンダカシラナイケドwwwwwカラダカルイwwwwww」
魔物「ッテwwwwアレwwwwwココドコwwwwwwwwwwwww」
勇者「こいつの声聞き取りにくいなぁ」
魔王「はじめまして、魔物さん。わたしは、魔王と申します~」
魔物「エwwwwwハイ?wwwwwマオウwwwww?チョwwwwwニセマオウサマktkrwwwwww」
魔王「偽? あ、わ、私、偽の魔王だったんですか~!?」
側近「大丈夫です、魔王様。あなたは偽の魔王ではありません」
魔物「ヨクミタラwwwwシバラレテタwwwwwwコーユープレイwwwwwスキクナイノニwwwwwwwww」
494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:44:55.55 ID:8tWHkztno
勇者父「お前がいう魔王とは何者だ」
魔物「ゼッタイwwwwwオシエナイwwwwwwwww」
魔王「あ、私の父、のことでしょうか。名前はエスタークっていうんですけど」
魔物「ダレソレwwwwwwwwwwwwwwww」
側近「どうやら違うみたいですね」
勇者父「そういえばエスタークどうなってんの? まだビンビンギンギンで寝てるの?」
魔王「あ、はい。恥ずかしながら……。あと千年ぐらいで目覚めると思うんですが」
勇者父「千年以上もあの格好で寝るなら俺は死を選ぶ」
戦士「俺もだ」
魔王「実の父を殺せるほど、私は冷酷にはなれません~……」
勇者「なんだか魔王の口から殺せるとか聞くとものすごい違和感を覚えるよ」
495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:45:26.76 ID:8tWHkztno
魔物「イイカラハナセヨwwwwwwオマエラヲwwwwタベツクシテwwwwwマオウサマノトコロヘwwwwwカエルカラwwwwww」
勇者「だからその魔王の名前をいえってば」
戦士「そうだそうだ」
魔物「ゼッタイwwwwwオシエナイwwwwwwwコンナシバリカタシタwwwwwヤツラニハwwwwwゼッタイニwwwwww」
勇者「あーもう、聞き取りづらい。聞き取りづらい」
496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:47:22.86 ID:8tWHkztno
側近「魔王様、これは計画にかなり重要な打撃を与える出来事です」
側近「なんとしてもこいつからマオウサマの情報を聞き出さなければいけません」
魔王「え、ええ、そうね~……。どうしましょう」
側近「ずばり拷問しかないでしょう」
勇者父「うわ、ひどい」
戦士「さすが魔物、やることが汚い」
側近「そ、それしか解決方法が思いつかないんですからいいじゃないですか!!」
勇者「そうだよ、父さんたち。ちっ な側近さんにそれ以外の解決方法がうかぶとおもったr」
側近「うるさいぞ勇者!!!!」
497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:47:50.40 ID:8tWHkztno
魔王「……そうですね~。でも僧侶様を襲ったのですから、その分のお仕置きは同じ魔物としてしなければいけませんし」
魔王「わかりました。私、ちょっと叱ってみますね~」キリッ
戦士「魔王ちゃんの喋る速度って×1.5ぐらいにすれば丁度よくなりそうだよね」
魔王「あ、あら~? わ、わたし、そんなに喋る速度遅いですか?」
戦士「子守唄みたいで素敵だってことさ。どうだい、今夜。女としての悦びを俺の剣で刻み込んでやるぜ」ドヤッ
498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:48:45.06 ID:8tWHkztno
魔王「す、すいません。それはまた今度にお願いします。今日は勇者さんと寝る約束が」
勇者「ちょ、あぁぁぁあ!! たんま! 魔王まって! 戦士さん言っておきますけど、そーゆー意味じゃないですからね。アレの方向じゃないですからね」
戦士「これは、新種のツンデレか何かかな」
勇者父「父親としては喜んでいいのか悲しんでいいのかわからない」
魔王「……えっと、ご、ごめんなさい?」
499: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:49:51.07 ID:8tWHkztno
魔王「とにかく、叱りますね。いいですか、魔物さん。私は今からあなたを叱るんですよ?」
魔物「ンwwwwwwオwwwwwwヨクミタラwwwwwオッパイデカイwwwwwジュクジョモエノwwwwwオレニトッテハwwwwテンスウタカイデスヨコレwwwww」
魔王「だ、だめですよ。女の人をそういう目でだけで見ては」オロオロ
魔物「オッパイマミマミシタイwwwwwwwwww」
側近「……」
勇者「大丈夫だって、側近さん。いつか大きくなるよ」
勇者父「むしろ大きくならないでくれ」
側近(くっ、こ、この親子。できることなら八つ裂きにしたいっ……!)
500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:50:18.33 ID:8tWHkztno
魔物「チwwwwチwwwwチwwwwチwwwwヲッパーイwwwwwボイーンwwwボイーンwwwww」
魔王「だ、だから、そ、そういう目では……うぅ……」
勇者「なにをやっているんですか魔王。この前のカンダタみたいにバイーンとやっちゃってくださいよ」
魔王「ご、ごめんなさい」
魔物「ヘイヘイwwwwwマオウサマwwwwwビビッテルwwwwwww」
魔王「も、もうっ、そういうこといっちゃメッ!」ツンッ
魔物「ギャアァァアアアアアアアアアア!!!!!!!ウデガァアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
戦士「魔物君の腕、ふっとばされたー!!!!」
501: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:50:56.87 ID:8tWHkztno
魔王「ど、どうしましょ~……。こ、ここまでつよくやるつもりは、なかったんですけど」
魔物「イタイヨオオオオ!!!タスケテヨオオオ!!」
側近「助けてほしければマオウサマとやらの名前を言うがいい!!」
魔物「オ、オルゴ・デミーラサマダヨオオオオオオオ!!!ダカラナオシテエエエエエエ!!!イダイヨオオ!!!」
側近「オルゴ・デミーラ……?」
勇者「なんか聞いたことある」
勇者父「お前がゴルゴゴルゴいっていたやつじゃねーの」
勇者「あ、そうかも」
勇者父「もー、有名なスナイパーさんと間違えるなんて勇者はドジっ子だなあ!」
勇者「えへ☆」
魔物「イイカラタスケロヨオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
502: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:51:30.90 ID:8tWHkztno
側近「あの魔物は回復させた後、牢屋の中にいれてきました」
勇者父「さすが側近、行動ははやい」
勇者「胸がない分、はやいんだよ」
側近「みんな違って、みんないいんだ!!!!」
僧侶(その通りだよ、側近さん。がんばれ側近さん)
504: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:52:13.21 ID:8tWHkztno
勇者「これで、賢者さん達が崇める神様が魔王だということがわかりました」
勇者父「魔王といえば、同じ魔王の魔王。魔王について魔王は知っていますか?」
戦士「魔王がゲシュタルト崩壊しそう」
魔王「えぇ……と、オルゴさんは、父が以前話していたと思うんですけれど、確か以前はここに住んでいた魔王だとおもいます」
魔王「ただ、何かが原因で別次元にいってしまったみたいですね」
魔王「お子さんが反抗期にでもなり、落ち込んじゃったのですかね。ふふっ」
勇者父「そんなメンタル弱いのかよ魔王って」
505: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:52:45.47 ID:8tWHkztno
勇者「なんでわざわざ帰ってきたんですかね」
勇者父「もしかしてエスタークが怖くて逃げて、封印させていることを知って安心したから戻ってきたりとかしてwwwwwwwwwww」
戦士「超豆腐メンタルじゃんwwwwwやばいwwwwwwwwww魔王やばいwwww」
魔王「魔王が二人いると、どっちのことを言われているかわからなくて、戸惑いますね~」
506: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:53:17.38 ID:8tWHkztno
勇者父「正体が魔王ということならば、さっそくぶっ潰しにいかなきゃな」
戦士「ああ、そうだな」
僧侶「うん、じゃあ、私もがんばるね」
僧侶(この年になっても戦うなんていやだなあ)
側近「……勇者殿、ちょっと待ってください」
側近「確かに相手が魔王であることはわかりましたが、まだ情報が少なすぎます」
側近「一ヶ月……いや、三ヶ月ぐらい待っていただけないでしょうか?」
勇者父「長すぎwwwwwwwwwwwwww」
507: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:54:05.21 ID:8tWHkztno
側近「しかし、今戦ってしまえば……確かに勇者殿の力であれば勝てるでしょう」
側近「だけれど…………その……」
魔王「……?」
側近「そ、そうです。今、教皇が魔王だと知られてしまえば、ただでさえ悪い魔物のイメージがもっと悪くなります」
勇者父「だが、あの魔物が人を襲うようなことが多数あればそれよりももっと悪いイメージがつくだろう」
508: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:54:42.49 ID:8tWHkztno
側近「あ……。で、ですが、その、今は」
勇者父「側近とやら、ひとつ勘違いしているようだが、俺は魔王軍の為に動くわけじゃない」
勇者父「人の為に動くのだ。お前らの都合など知ったことじゃない。そういうのは勇者に頼め」
勇者「誰のために動いてやっているとおもってんだ、この親父」
戦士「おっさんは適当にかっこいいこといいたいだけだよ」
勇者父「外野うるさい!!」
509: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:55:26.67 ID:8tWHkztno
勇者父「ということでだな、あきらめてくれ側近」
側近「……わかりました」
魔王(……なにか側近ちゃん、隠し事でもしているのかしら。いつもと雰囲気が違うような気がするわ~……)
魔王「えぇ~と、それでも一日ぐらいは休んでいってください」
魔王「こちらで勇者様方用の武器なども差し上げたいですから」
510: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/03(土) 21:55:56.45 ID:8tWHkztno
勇者父「えぇ~わるいなあ、くれるのお?」
魔王「はい。それが世界平和につながるのでしたら是非お使いください」
勇者父「じゃ、ありがたくもらっておきます」
戦士「世界平和のために魔王ちゃんの●が必要ですので、●●りさせてください」
勇者「もぎ取りますよ」
521: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:55:03.72 ID:CRnM+G+2o
勇者「お風呂気持ちよかったです」
勇者父「俺たちも一緒に入りたかった」
側近「堂々と覗き見した人が何を言うんですか」
勇者父「覗かない選択を選ぶ奴がいたらそれは男じゃない」キリッ
戦士「そうだそうだ!!」
僧侶(ど、どうしよう~、ゆ、勇者様に裸みられちゃったよぉ……)
魔王「zzz……」
522: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:55:31.98 ID:CRnM+G+2o
勇者父「俺たちはどこで寝ればいいの?」
戦士「できれば魔王ちゃんの胸の中でおねんねしたいお」
勇者父「じゃ俺は側近で」
側近「廊下があいていますのでそこで寝てください。冷たくて気持ちいいですよ」
勇者父「まじですか」
勇者「そうだね側近さん。それがいいとおもうよ」
側近「ほう、お前と話が合うなど珍しい」
勇者「変 は女の敵ですから」
側近「僧侶殿には部屋をご用意していますから安心してください」
僧侶(よかった……、私も床で寝るかとおもったよぉ……)
523: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:56:03.63 ID:CRnM+G+2o
勇者父「まさか魔物に裸土下座する羽目になるとはおもわなんだ」
戦士「世も末だのぉ……」
勇者「この歳にもなって父親の哀れな姿を見せられる娘の気持ちにもなれ」
側近「ふふ……。それでは勇者殿達の部屋にご案内しますね」
勇者父「ここまでやってブタ小屋に放り込まれるってことはないよな?」
戦士「まっさか~☆」
側近「……」
勇者父「え、ちょ、側近ちゃーん。どうしてそこで黙るのかな~?」
側近「……ちっ、では案内します」
戦士「え~、ここ、舌打ちするとこ? 今、舌打ちするとこかな?」
勇者「ざまぁああああ!!」
524: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:56:30.80 ID:CRnM+G+2o
勇者「そして二人きりになった」
魔王「zzz……」
勇者「でも魔王は寝ているから、実質一人です! 魔王起きてくださいよ。よだれたれてますよ」
魔王「う~ん……えっ、あ、わ、よだれ!? え、あっ……」
勇者「嘘ですよ。ほら、立ちながら寝ないでください」
魔王「あ、あら~、また私ったら……」
勇者「いいから部屋にいきましょう」
魔王「はーい」
525: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:56:56.78 ID:CRnM+G+2o
勇者「魔王様のベッドなう」
魔王「勇者さん、少しお話したいことがあるんですが、大丈夫ですか?」
勇者「はい、なんでしょう」
魔王「明日、貴方のお父様はオルゴさんを倒しに行くんですよね」
勇者「そうみたいですね」
魔王「少し側近ちゃんの様子がおかしくありませんでしたか?」
勇者「……う~ん……、どうだろう」
勇者「そういわれてみれば、そんなよーな、って感じですけど」
526: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:57:22.96 ID:CRnM+G+2o
魔王「そこで勇者さん、もし良かったら側近ちゃんを明日監視していただけないでしょうか」
勇者「え、まじすか」
魔王「えぇ……、私がやりたいんですが、そういうのは私向いていなくて……」
勇者「……確かに。そうっすね。う~ん……、まぁ、魔王がそういうなら協力しますよ」
魔王「よかった~。それじゃ午前三時から監視よろしくおねがいします~」
勇者「え? ちょっといみがわからないです。三時? 午前? 今、十二時ですよ」
魔王「側近ちゃん、朝起きるのはやくて~……」
勇者「」
527: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:57:48.84 ID:CRnM+G+2o
勇者「ま、まぁ、がんばってみます。任せてください」
魔王「ごめんなさい~、お願いしますね」
勇者「はい……」
勇者(私早起き苦手な上、そういうの向いていないような気がするんだけどなあ~……)
528: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:58:46.99 ID:CRnM+G+2o
勇者「おはようございます。只今二時半です」
勇者「実質一時間しか寝てないんですよ。今日実質一時間しか寝てないんすよ~」
勇者「身体だるいですが、魔王のためがんばってきます」
魔王「zzz……」
勇者「うらやましいから、魔王のほっぺたつんつんしておこう」ツンツン
勇者「うわ、柔らかい」
勇者「ついでに胸もやっておこう」フニフニ
勇者「うわ、柔らかい」
529: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:59:20.17 ID:CRnM+G+2o
勇者「側近の部屋の前です。只今の時刻は三時。出てくる気配はありません」
勇者「側近の部屋の前です。只今の時刻は三時十二分。中から物音がします」
勇者「こちら勇者。大佐、聞こえるか。只今の時刻は三時二十一分。目標は廊下に移動した」
勇者「こちら勇者。大佐、ダンボールを手に入れた。これでかつる」
勇者「なんだと、コントローラを2Pにするだと!? そんなメタ発言をしてもいいとおもってるのか!! クタラギさーん!!」
側近(さっきからダンボールが動いているんだが、これはいったいなんだろうか……)
530: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 16:59:49.14 ID:CRnM+G+2o
側近「ごちそうさまでした」
勇者「今日の側近の朝ごはんは、バナナと牛乳だったけどダイエットでもしてるのかな」
勇者「減る胸もないというのに!!」
側近(なんだろう……。何故か怒りがそこはかとなくわきあがってくる)
勇者「カロリーメイトがたべたいなあ」
531: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:00:18.61 ID:CRnM+G+2o
勇者「こちら勇者。側近は何故か魔王城から出て行き、ルーラを使った」
勇者「卑怯な、ルーラを使われたらどこにいったかわからないというのに」
勇者「賢者さんのところにいったらダウトなんだから、そこにいってみようと思う」
勇者「ルーラ!」ビュン!
532: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:00:44.59 ID:CRnM+G+2o
勇者「こちら勇者。教会に潜り込んだなう」
信者1(ダンボールが動いている……)
信者2(きっと私、疲れてるのね……)
勇者「賢者がいるだろう最上階に向かって進むなう」
533: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:01:10.28 ID:CRnM+G+2o
側近「―――」
勇者「向かっている途中で目標を発見! 限りなく黒に近いグレーやで~」
勇者「ジョニー側近に今度下剤でも混ぜてみようかな……」
側近(なんだろう、なんだか寒気がする……)
534: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:01:38.02 ID:CRnM+G+2o
側近「賢者、いるか。入るぞ」トントン
勇者「最上階についたら大きなドアがあったなう」
勇者「ボスのカギがないと開かないレベルやでこれ!!」
勇者「側近にぴったりついていって中にはいるというチートを使うなう」サササッ
側近(なんだろう、今、後ろをみたらトラウマになりそう)
535: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:02:03.75 ID:CRnM+G+2o
勇者「適当に隅に隠れて話を聞きます」
勇者「まさか厨二病真っ盛りのころに買ったペン型録音機がこんなところで役立つとは……」
側近「賢者よ、面倒なことが起きた」
教皇「……何が起きたというのです?」
側近「昨日、お前は僧侶のところに魔物を放っただろう」
教皇「ええ。当たり前ですよ。勇者様を惑わす女などいりませんから」
側近「その所為で魔王様にお前の存在がばれた」
教皇「……ほう。エスタークの娘にですか」
536: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:02:34.52 ID:CRnM+G+2o
側近「あぁ……。少し早いが今日にでも魔物を放たなければまずいだろう」
教皇「ふふふ……、そんな慌てなくても娘ぐらいなら私でも倒せます」
側近「それとお前が大好きな勇者にも存在がばれた」
教皇「なんですって……!」
側近「ああ。明日にでもここに乗り込んでくるだろう」
教皇「……」プルプル……
勇者(よし、録音はこのくらいでいっか。リレミトを使って……)
勇者(あぁあああああああ!!! 私まだ11レベだったあぁあああああああ!!)
勇者(やっべ、これやっべ。すっげやっべ。どうやって帰ろう)
537: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:03:10.45 ID:CRnM+G+2o
教皇「ところで、先ほどから隅のほうでダンボールが震えてるんですが、なんですかあれ」
勇者(しかもこのタイミングでばれたー!!)
勇者「ふははっ!! ばれてしまっては仕方ない! 私は勇者! じっちゃんの名にかけて月にかわって成敗してくれる!!」ガバッ!!
側近「ゆ、勇者!? どうしてお前、こんなところに!?」
勇者「うるさい裏切り者めが!! 私が闇に葬ってやろう!! ふははっ!!!」
538: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:03:46.03 ID:CRnM+G+2o
側近「口ほどにもなかった」
勇者「」ピクピク……
教皇「作戦がばれてしまったら仕方ない。勇者様の娘ですが殺しましょう」
勇者「いやまってくださいよ。私主人公ですよ」
勇者「目の前がまっしろになるだけで教会に自動送還されるシステムになるんですから、殺したって無意味ですよ」
側近「そうだな。それよりも捕らえておくほうがいいだろう。勇者殿が来たときに役に立つかもしれん」
教皇「そうですね。ふふ……」
勇者(とりあえずペン型の録音機は無事なんで安心しています)
側近「それでは私はいったん魔王城に帰るな。リレミト!」
541: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:05:15.93 ID:CRnM+G+2o
戦士「ふぇぇ……豚箱くさかったよぉ……」
魔王「おはようございます、なんだか獣くさいですがどうしたんですか?」
戦士「豚に妊娠させられそうになったのぉ……」
魔王「あら~、戦士様は女の人だったんですね~」
戦士「ふぇぇ……」
勇者父「いい歳したおっさんがこんなことやってる現実にドン引き」
僧侶(ちょっと勇者様もくさいよぉ……)
542: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:05:49.88 ID:CRnM+G+2o
魔王「ごちそうさまでした」
側近「魔王様、今日こそは政務の勉強をしてくださいね」
魔王「あら~……?」
側近「? どうしましたか?」
魔王(側近ちゃんはここにいるのに、勇者さんはいない。どうしたのかしら~……)
魔王「いいえ、なんでもありません~。それでは勇者様、私は勉強してきます」スタスタ
勇者父「うぃーす」
戦士「俺たちは賢者でも倒しにいこうぜwwwww」
僧侶「そ、そうだね……」
543: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:06:21.09 ID:CRnM+G+2o
側近「その件なのですが、勇者殿。武器の手配が終わっていないのでもう一日待っていただけないでしょうか」
勇者父「まじで」
側近「明日になればメタル系の装備を用意することができます」
側近「相手は腐っても魔王です。こちらとしても万全な装備で向かっていただきたいのですが」
戦士「確かにそのほうが安全だなwwww」
勇者父「おっし、わかった。なら明日いくことにすっか」
側近「ありがとうございます」ペコリ
魔王「……」
544: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:06:55.29 ID:CRnM+G+2o
魔王城 中庭
勇者父「なら今日は訓練でもすっかwwwww」
戦士「そういえば最近まったく働いていないですものねwwwwww」
魔王「勇者様、ちょっとまっていただきますか~?」
勇者父「お、魔王。どうしたんですか? 勉強しなくていいんですか?」
魔王「それは今からします~。それよりも、これを持って行ってオルゴさんのところへ」
勇者父「あれ、メタル装備じゃん。明日にならないと手に入らないんじゃないの?」
魔王「いいえ。父がマニアだったものですから、こういうものは腐るほどたくさんあるんです」
僧侶「で、でも、さっき側近さんが明日にならないとって……」
545: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:07:22.52 ID:CRnM+G+2o
魔王「不思議ですよね~。側近ちゃんも知っているはずなのに~……」
勇者父「なんだかめっちゃ怪しいヨカーン」
魔王「……あと昨日勇者さんに側近ちゃんを尾行するように頼んだんです」
魔王「しかし魔王城に勇者さんがいる気配が感じられません」
魔王「もしかすると……賢者さん達に捕まってしまったのかもしれません」
勇者父「な、なんだってー!!」
魔王「ごめんなさい、勇者様。貴方の了解もなしに危ない橋を渡らせてしまって……」
546: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:07:50.88 ID:CRnM+G+2o
勇者父「それはかまわないけど、捕まったとなると危険だな」
僧侶「はやく助けにいってあげないと、ひどいことになっちゃうかもしれませんね」
戦士「信者に●●破られたりとか?」
勇者父「そういうのは薄い本で充分だぁああああ!!! 魔王、この装備もらって行ってもいいですか!?」
魔王「はい、構いません」
勇者父「よっしゃ、装備して賢者のところに向かうぞ!!」
547: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:08:41.87 ID:CRnM+G+2o
勇者父「最上階まで余裕でした」
僧侶「魔物もまったくいませんでしたね……」
戦士「適当に信者に入会したいんですがー、アリシャス!! とかいってればこれたもんなー」
勇者父「しかしこのボスのカギがないとあかなそうな扉はなんだ」
戦士「エバラのごまだれ~」
僧侶「確か……勇者様さいごの鍵持っていませんでしたか?」
勇者父「あぁ、ある。だからなんかさっき中ボスみたいな奴いたけど無視してここまで来たってわけさ!」
戦士「きゃー、勇者様ずるいー!」
548: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:09:09.01 ID:CRnM+G+2o
勇者父「ちょっと通りますよっと」バンッ!
教皇「!?」
魔物A「ウハwwwwwwクルノwwwwwハヤスギwwwwwww」
魔物B「マダwwwwアサノwwwwwwハチジwwwwwナノニwwwwwwww」
戦士「うお、あの魔物がたくさんいっぞ!!」
僧侶「うぅ……怖いよぉ……」
549: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:09:42.47 ID:CRnM+G+2o
勇者父「ここで会ったが八年目! 勇者を返してもらおうか!!」
教皇「勇者? 勇者様、何をおっしゃっているんですか?」
勇者父「ごまかすな!! いるということはわかっているんだ!! たぶん!!」
教皇「何を根拠に……」
勇者父「根拠はない!! 仮にいなかったとしても、お前の崇めている神を倒すことは変わらぬよ!」
戦士「オルゴという魔王に会わせてくれ賢者!」
教皇「あぁ……。オルゴ・デミーラ様ですか。オルゴ様なら、私の……中に」
戦士「……」
勇者父「あれなんでお前●内にか! とかいわないの?」
戦士「いや、魔王が●内にいるって想像すると気持ちわるいなって」
僧侶「うぅ……馬鹿なこといってないで倒そうよぉ……」
550: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:10:11.70 ID:CRnM+G+2o
戦士「というか中にいるってどういう状況なんだ?」
勇者父「あれなんじゃないの。多重人格みたいな」
勇者父「いきなり現れて「クク、この小娘は意思が強い……」とか言い出す、邪気眼の子とかいるじゃん。そういうのじゃないの?」
戦士「やばいwwwwwww賢者こんなおばさんになってまで邪気眼とか救いようがないwwwwww」
勇者父「いってやるなよwwwwwかわいそうじゃんwwwwwwwwぷぷぷwwwww」
教皇「私は魂をオルゴ様の下に返しただけです!!」
戦士「おっさん涙でてきたよ。まさかこんなこと言う人になるなんて……」
教皇「うるさいですね!!神にわが命捧げるのは喜ばしいことなのです!!」カァ///
551: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:10:48.61 ID:CRnM+G+2o
勇者父「……あれ、ということはお前賢者じゃないってこと?」
教皇「えぇ、私はオルゴ・デミーラ。全能の神です」
勇者父「どうして賢者はお前なんかに魂を売ったんだ?」
教皇「そんなこと、私がしるはずがないでしょう」
教皇「ただ、そうですね。とても悲しんでいたんでしょうね。とても、乗っ取りやすかったですし」
教皇「今となっては誰も知る事は出来ない……。ふふ、魔王に毒された勇者よ。この私が闇に葬ってくれよう!」
勇者父「うわ、勝手に戦闘態勢にはいりやがった」
オルゴ・デミーラがあらわれた!
552: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:11:15.15 ID:CRnM+G+2o
勇者父「こいつ脳みそ丸出しんごwwwwwwwwww」
戦士「ンゴゴゴwwwwこれは社会現象にならないwwwwww」
僧侶「ひぃ、気持ちわるいです……」
勇者父「どうやらあいつ律儀に待ってくれているってことは、俺たちから先行のようだ」
戦士「そのようだな」
勇者父「さすがに脳みそ出している奴に負けるはずないから、一時間くらいこの体制でいよーぜwwww」
戦士「焦らしプレイktkrwwwwwwwwwwwwww」
僧侶「脳みそ一時間もみているのいやだよぉ……」
553: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:11:41.32 ID:CRnM+G+2o
一時間後
勇者父「でさー、あいつくさいのー」バリバリ
戦士「だよねー、あいつまじくさいよねー」バリバリ
僧侶「このお煎餅おいしいですね……」バリバリ
デミーラ「……」
勇者父「ちょwwwwここにファミコンあったwwwwww」
戦士「刺さっているのが桃鉄とか結構いい趣味をしている」
勇者父「今から桃鉄99年やろーぜwwww」
戦士「負ける気がしない」
僧侶「私それやったことない……」
デミーラ「…………」
554: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:12:08.73 ID:CRnM+G+2o
二時間後
戦士「なんで貧乏神こっちにばっかよこすんだよ!! ぶっ殺すぞ!!」
勇者父「リアルファイトをする日がやってきたようだな」
僧侶「喧嘩はだめだよぉ……。あ、私目的地着いちゃった」
勇者父「ちょwwww一番遠いの俺じゃんwwwwwww」
戦士「ざまぁあwwwwwwwwwww」
デミーラ「あの……ちょっと、貴方たちのターンなんですけど」
勇者父「今いいところなの!! ちょっと待ってなさい!!」
デミーラ「ひぃ……」
555: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:12:54.27 ID:CRnM+G+2o
三時間後
戦士「やっぱハリケーンがいないと途中からだれるな」
勇者父「ほぼ僧侶の勝ち決定だもんな」
戦士「仕方ないからNPCいじめる遊びしようぜwwwwwwww」
勇者父「よっしゃのったわwwwwwwwwwww」
デミーラ「……」グスン
556: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:13:24.86 ID:CRnM+G+2o
四時間後
戦士「飽きたわ」
勇者父「飽きたわ」
僧侶「えぇ、でも後21年ですよ?」
戦士「それでも飽きたわ。めっちゃ負けて悔しい」
勇者父「俺も悔しい。桃鉄とマリオパーティだけは子供のころから一位だったのに」
戦士「むかついてきたからそろそろデミーラ倒すか」
勇者父「おっしゃ、倒す倒す」
デミーラ「!? ふ、ふはは、勇者たちよ! 倒される心の準備はできたか!!」
557: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:13:50.62 ID:CRnM+G+2o
勇者父「うらああぁぁあしねええええええ!!」
勇者父の攻勇者父の勇者父の攻勇者父の攻撃!勇者父の攻勇者父の攻撃!!
デミーラ「ぶぼぼぼっぼぼぼぼぼぼぼっぼおっぼっぼぼぼbb」
オルゴ・デミーラに9999のダメージ!
558: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:14:22.24 ID:CRnM+G+2o
デミーラ「ほほ、ぼうやたち。あなたの攻撃はその程度なn」
戦士「よっしゃ次は俺の番だあああああ貧乏神滅びろおおおおおお!!!」
戦士の攻撃!
オルゴ・デミーラに9999のダメージ
デミーラ「せ、せめてセリフはいわせなs」
勇者父「うらああぁぁあ戦士はまけんぞおおおあああああああ!!」
勇者父の攻撃!
オルゴ・デミーラに9999のダメージ
デミーラ「うがああぁぁああああせめてターンはまもってよおおおおおおお!!!!」
559: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:14:53.68 ID:CRnM+G+2o
戦士「最後は俺だあああああ!!」
デミーラ「だから次はオレ様のターンだと!」
戦士の攻撃!
オルゴ・デミーラに9999のダメージ
デミーラ「ぎやああぁぁああああああああああああああ!!!!!!」
勇者父「おいしいところ取られたあああああああああ!!!!!!!!!!」
560: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:15:32.29 ID:CRnM+G+2o
デミーラ「ど……どうしてオレさまは……こっちの世界でも……まけるのだ……」ドロドロ
デミーラ「しかも……四時間も……放置されたあげく……一度も攻撃……させてもらえないで……」ドロドロ
勇者父「うわ、めっちゃ溶けてる!!wwwwwwww」
僧侶「というか泣いています」
戦士「ざまぁあwwwwwwwwwwwwwwww」
デミーラ「おのれ……おのれ……たかがデクの人形ごときが……」
デミーラ「貴様らも道連れだ!! 骨すら残さん!!」チッチッチッ
勇者父「ちょ、おま、それ、ばくはt――――!!」
561: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:16:01.30 ID:CRnM+G+2o
――
戦士「うおおおおおおおおおおおいてえええええええええええええええ!!」
僧侶「だ、大丈夫ですか戦士くん!! ベホマズン!!」
戦士「はー、はー、助かった。僧侶がいてくれて本当よかったよ」
僧侶「う、ううん。わ、私こそ、守ってくれてありがとう……」
戦士「どんな状況でも女は守るのが紳士のたしなみですよ」キリッ
魔物A「エ、ナニコレwwwwwマサカwwwwマオウサマwwwwシンジャッタノwwwww」
魔物B「ソウッポイwwwwwwwwドウスッカwwwwwwwwwwww」
魔物C「セメテwwwwユウシャノwwwwナカマモwwwwコロソウトオモッタケドwwwwメッチャゲンキダシwwwww」
562: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:16:32.25 ID:CRnM+G+2o
魔物A「ニゲルガwwwwwカチデスwwwwwwwwwww」
戦士「させるかぁあああ!!」
魔物A「ウギャアアアアアアアアア!!!」
戦士「どーーーん!!!」
魔物B「ソンナアアアアアアアアアアア!!!!!」
戦士「がらがらどっしゃーん!!!」
魔物C「バイバイキーンwwwwwwwwwwww!!!」
戦士「よし、これでオルゴが呼んだ魔物の殲滅も終わったみたいだな」
僧侶「そうだね……、で、でも勇者様と勇者ちゃんはどこにいるんだろう」
僧侶「もしこの瓦礫のしたとかに埋まってたら、はやく治療しないと……本当に死んじゃうよ……」
563: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/04(日) 17:17:02.12 ID:CRnM+G+2o
戦士「うぐぐ……。僧侶、キメラの翼はもっているか?」
僧侶「う、うん」
戦士「魔王のところにいって、応援を呼んできてくれ!! 俺は呼びかけしながら探してみる!!」
僧侶「う、うん。わかった! まだ魔物いるかもしれないから気をつけてね!!」
戦士「あたぼーよ!! まかせとけ!!」
572: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:18:05.08 ID:vzLaP/aHo
勇者「寝落ちしてたら建物崩れてきたでござる」
勇者「運よく柱みたいなのが私を守ってくれて、下敷きにならないですんだけどこのまま放置されたら死ぬよなぁ……」
勇者「どないしよー。ルーラ使ったら絶対頭ぶつけるもんなぁ……」
勇者「メラで縄を焼ききって……、いや、服まで燃えるか」
573: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:20:24.67 ID:vzLaP/aHo
戦士『勇者あああああああああああああああああ勇者ちゃああああああああああああああ!!!!! どこだああああ!!!!!!!』
勇者「お、戦士さんがいるみたい。勇者はここですy 戦士『勇者ああああああああああああああぁあああああああああああ!!!』
勇者「ここでs 戦士『勇者ちゃああぁぁあああああああああああああ!!!』
勇者「だめだったわ、あの人の声でかすぎて私の声届かないわ。これ積んだわ」
574: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:23:05.25 ID:vzLaP/aHo
魔王『せ、戦士様、勇者さん達見つかりましたか!?』
勇者「お、魔王ログインしたお」
戦士『魔王ちゃん! いんや、まだ見つかってない!』
魔王『そうですか……。力持ちな魔物たちを連れてきたので、それで見つかればいいのですけれど……』
戦士『ありがとう! そしてありがとう!! よっしゃ手分けしてやるぞおおおおおおお!!』
勇者「私はここにいるよ」
575: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:24:51.68 ID:vzLaP/aHo
勇者「初埋まり…ドモ…。俺みたいな勇者で瓦礫とおねんねしてる11レベの野郎、他にいますかっていねーか、はは」
魔王『いっそのことメラゾーマで瓦礫をふっ飛ばしたくなりますね~……』
ゴーレム『そりゃいいですねえ!! ばばーんとやっちゃいますかあ!?』
魔王『ふふ、なんちゃって。さすがにそんなことは、最終手段ですよ~』
ゴーレム『ですよねー!! わっははは!!』
勇者「なんだか地上の会話が怖いです」
576: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:28:02.21 ID:vzLaP/aHo
スライム1「あー、勇者さまみつけたー!」
勇者「女神が光臨なさった!! スライムだからこんな狭いところまでこれるんだね!!」
スライム1「勇者さま大丈夫? 今、魔王さま呼んでくるね!!」プルンプルン
勇者「ありがてぇ……ありがてぇ……」
スライム1『魔王さまー!! 勇者さまみつかったよー!!』
魔王『まぁ、こんな小さい穴の先にいるのー? 勇者さんー? きこえますかー? ただいまマイクのテスト中ですー! ふふっ』
577: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:30:01.77 ID:vzLaP/aHo
勇者「聞こえてますよー! マイスのテストってなんですかー?」
魔王『よかった、無事みたいですねー。けれどどうしましょう。こんな小さい穴ですと助けるのも大変そうね~……』
ゴーレム『メラでふっ飛ばしましょう』
魔王『あら~』
勇者「おいやめろ」
578: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:33:24.29 ID:vzLaP/aHo
勇者「救出されました」
魔王「勇者さん無事でよかったです~!」ダキッ
勇者「うわおっ!! 抱きつかないでください。 胸が、胸で、い、いきg……」
魔王「勇者さんよかった~……。助かってよかったわ~……」パフパフ
勇者「……」ガクッ
スライム1「魔王さま、どちらかというとトドメさしちゃった感じなんですけど……」
579: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:37:51.46 ID:vzLaP/aHo
魔王「ごめんなさい、ごめんなさい!」
勇者「いや、まあ、ある意味ご褒美だとおもってますから、気にしないでください」
戦士「うおおおお!!!! 勇者ちゃん無事だったか!!」ダダダッ!
僧侶「よかった~。心配したんだよ~」タタタッ
勇者「あ、戦士さんと僧侶さん。……あれ、父はどうしたんですか?」
戦士「それが勇者ちゃんと同じように埋まっちまったみたいで……」
勇者「まじですか、大事ですね」
580: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:41:47.41 ID:vzLaP/aHo
戦士「あぁぁあああでもさっきから呼びかけても、掘ってもぜんぜんでてこねーんだよ!!」
僧侶「勇者様に限ってし……あ、そ、そうじゃなくて。生きているには決まってるんだけど!」
勇者「あ、別に変な気を使わないでいいですよ。とりあえず探しましょう」
僧侶「う、うん。がんばろうね」
581: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:45:14.75 ID:vzLaP/aHo
勇者「私が発掘されて一時間ぐらいは経過しましたかね」
魔王「そう、ね~……。大体そのくらいだと思うわ~……」
勇者「うーん、父さんどの辺に埋まってるんだろ」
魔王「……」ジー
勇者「? どうしました? 私の顔になにかついています?」
582: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:48:20.03 ID:vzLaP/aHo
魔王「そういうわけではなく、よく冷静でいられるなーって」
勇者「……そういえば、なんででしょう」
魔王「あら、自分でもわからないのー?」
勇者「う~ん、なんでしょうね。父さんがこんなことで死ぬとかはおもえないし」
勇者「実感がないっていうんですか。たぶん大丈夫だろうなって」
魔王「お父さんのこと信じているのね」
勇者「そうなのかなぁ……」
583: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 18:54:57.69 ID:vzLaP/aHo
戦士「ぜんぜんみつからんなぁ……」
僧侶「もう夜になっちゃうね」
魔王「どうしましょ~……。夜目が利く魔物がいますから、それに任せるのも……」
勇者「でも魔物だけ行動してたら信者に変な目に見られそうですね」
信者『――……』
戦士「そういや、さっきからウロチョロしているもんな」
勇者「もしかしたら賢者さんが魔物だったってこともばれちゃったり?」
僧侶「可能性としてはあるとおもうよ……」
584: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:01:02.92 ID:vzLaP/aHo
戦士「信者についてはどうしようもないだろ。何百人といるんだろ?」
僧侶「そうだね。今の私たちには勇者様を探すぐらいしかできないよ」
戦士「そうだな。完全に日が暮れるまで――」
勇者父『うおおおおおおおおおおおっ!!!! わかったぞおおおおおお!!!』
戦士「!?」
585: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:04:15.75 ID:vzLaP/aHo
魔王「い、今の勇者様の声ですよね?」
勇者「どうやらそのようだな。とりあえずは生きているみたいですね」
戦士「うおおおおおおおおおお!!! 勇者どこだああああああああああああ!!」
勇者父『!? なんだここは!! 賢者はどこにいった!?』
戦士「勇者!! どこにいる!! どこにいるぅううううううう!!」
勇者父『俺はここにいるぞおおおおお!!!!』
勇者「私と同じようなこといってる……」
586: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:09:03.99 ID:vzLaP/aHo
勇者父「救出された」
勇者「父さん、無事で何よりです」
勇者父「なんだか俺は夢をみていたような気がする」
魔王「大丈夫ですか?」
勇者父「……賢者、なんだか賢者の、夢をみていた、ような」
勇者父「ん、でも、気のせいか……?」
587: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:15:31.51 ID:vzLaP/aHo
戦士「あんま無茶すんなよ。いい歳なんだからさ。今日はもう帰って休もうぜ」
魔王「あ、それなら、私の家に……。できれば看病させていただきたいんですけど」
戦士「豚箱じゃなきゃ俺は大歓迎です!!」
勇者父「右に同じく」
魔王「あ、はい。わかりました~。それではルーラでちゃちゃっと戻りましょう」
588: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:22:15.83 ID:vzLaP/aHo
魔王城
勇者「魔王城につくなり、魔王は父さん達の看病をしはじめてボッチなう」
勇者「もう三時間ぐらい帰ってこないし、寝るまで看病する気なのかなぁ……」
勇者「私も眠いし、もう寝ちゃおうかなあ」
魔王「ただいま帰りました~。ごめんなさい、勇者さん。一人ぼっちにさせちゃって」ガチャ
589: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:28:17.99 ID:vzLaP/aHo
勇者「おかえりなさい。どうでした?」
魔王「ふふっ、ぐっすり眠っちゃいましたよ~」
勇者「ご迷惑おかけしました」
魔王「いえ、元はといえば私の所為なのですから……」
魔王「あ、勇者さん。側近ちゃんの件、どうでした?」
勇者「魔王の想像通りですよ。これを聞いてください」
590: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:31:13.80 ID:vzLaP/aHo
魔王「あら~、これは、ペン型の録音機かしら?」
勇者「えぇ、会話は一通り録音しましたので……そういえば側近さんは?」
魔王「一応のことを思って牢屋に……」
勇者「そう、ですか。明日、事情でも聞くんですか?」
魔王「……そうね。本当はこんなことしたくないのだけれど……」
勇者「仕方ないですよ。裏切りは裏切りですから」
魔王「…………」
勇者「今日はもう寝ましょう。魔王も疲れましたよね?」
魔王「……はい。勇者さん、おやすみなさい」
591: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:37:32.32 ID:vzLaP/aHo
勇者「朝になり、いつもの個室で側近含めて全員集まっています」
勇者「正直息苦しいです」
魔王「側近ちゃん、勇者さんから録音したもの聞かせてもらったわ」
魔王「どうして、裏切るようなことしたの?」
側近「…………」
魔王「怒っているわけじゃないのよ。だから、正直に話して?」
側近「……」
戦士「刑事物のドラマみたいwwwwwwwwwww」
592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:47:25.88 ID:vzLaP/aHo
側近「何を話したところで、魔王様を裏切った事実は変わりません」
側近「私はいまさら弁解するつもりはありません」
側近「どうぞ、魔王様。私を煮るなり焼くなり好きにしてください。そのくらいの覚悟はできています」
魔王「側近ちゃん……」
勇者「でも納得できないですよ。あんなに魔王様ラブの側近さんが裏切るなんて」
戦士「俺たちそこらへんわからないから話についていけないな」
勇者父「せやな」
594: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:54:53.97 ID:vzLaP/aHo
魔王「なら側近ちゃん、私にどうして裏切る様なことをしたのか、話して?」
側近「……」
魔王「お願いよ、側近ちゃん……」
側近「…………」
戦士「さっそく煮るなり焼くなり発言をスルーしはじめた側近」
勇者父「運命はいかに!!」
勇者「ちょっと父さん達うるさいよ」
599: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 19:58:37.00 ID:vzLaP/aHo
後見人「側近、魔王様に話したらどうだい?」
側近「……後見人」
勇者父「うわ、だれこれ。まるで今まで普通にメインキャラとしていましたよっていう感じで現れた魔物」
戦士「こーゆーのやな感じだよねぇ。あたしらの今までの活躍全部なかったことにされてるっていうか。なんかむかつくわよねぇ」
勇者父「そうよねぇ」
勇者「だからうるさいってば」
600: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:03:16.79 ID:vzLaP/aHo
後見人「どの道、もう君の計画は丸つぶれだよ」
後見人「それなら魔王様にすべてお話しするべきだ。本人もそれを望んでいる」
側近「……」
魔王「側近ちゃん……」
側近「……」
側近「……わかり、ました。お話します」
601: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:08:58.74 ID:vzLaP/aHo
側近「魔王様を助けるために、私は……魔王様を裏切りました」
魔王「私を助けるため?」
側近「魔王様に気持ちよく死んでもらうための準備です」
魔王「……!」
勇者「超展開キター!!」
勇者父「ど、どういうことなの……?」
側近「勇者殿の妻が勇者を出産した翌年、私は賢者に声をかけました」
勇者「あ、私たちはスルーの方向性でいくのね」
勇者父「悲しき世の中よ」
602: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:16:29.28 ID:vzLaP/aHo
側近「勇者が二人に増えてしまう事態は、魔王様、あなたも想定外でしたよね」
魔王「え、ええ。人間よりも私たちの30年は短いものですし……」
側近「だから貴方の勇者に魔王の代わりになってもらう計画に歪が入りました」
勇者「新情報多すぎて処理できない小卒ですが何か」
勇者父「安心しろ、俺もよくわかってない」
603: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:19:21.30 ID:vzLaP/aHo
側近「勇者が二人いれば……どちらかが邪魔をすることは確かでしょう」
側近「実際に、もし、人と魔物の戦争が今起きたとしたら……」
側近「勇者は魔王様を守り、勇者殿は武力で戦争を止めてしまうことでしょう」
側近「そして、いつまでたっても魔王様は死ぬことはできません」
側近「そうなってしまったら、いつまでも魔物は悪いまま」
側近「魔王様が望む世界を作ることができません」
勇者「つまりどういうことなの僧侶さん」
604: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:24:23.12 ID:vzLaP/aHo
僧侶「えぇ、私に聞くの? えーと、私もよくわかんないんだけど、うーんと」
僧侶「たぶんなんだけど、魔王と勇者ちゃんは魔物をよく見せようといろんなところでボランティアをしてるんだよね?」
勇者「はい」
僧侶「それで魔物が好きな人が増えたとするでしょ?」
勇者「はい」
僧侶「だけど魔王のイメージはいつまでたっても悪いままだから、心のそこから魔物が好きな人が増えないんじゃないかなあ」
605: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:28:08.90 ID:vzLaP/aHo
勇者「どうしてですか?」
僧侶「魔王とか、王様ってその種族の代表だよね。代表のイメージが悪かったら、たとえ個人個人はよくても悪くみえちゃうものなんだ」
勇者「……?」
勇者父「DQNの親から生まれたっぽい心愛姫なんていう名前の女がお前の会社の面接にきたとする」
勇者父「そして受け答えが普通によかったとする。だけど他に恵子って名前の女で受け答えが普通によかった奴がいる」
勇者父「お前はどっちを採る?」
606: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 20:33:16.27 ID:vzLaP/aHo
勇者「……恵子」
勇者父「どうしてだ?」
勇者「だってDQNから生まれた子って、なんか嫌じゃん」
僧侶「勇者ちゃん、そういうことだよ。説明が下手でごめんね」
勇者「いえ。ということは、魔王のイメージが悪いから、魔王を殺して私や父さんみたいな勇者を魔王の代わりにする」
勇者「そして、魔物のイメージをアップアップっていう計画があったってことなんですね」
610: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 21:42:49.55 ID:vzLaP/aHo
僧侶「うん、だけど、この世界に強い力を持つ勇者が二人いてしまった……」
僧侶「その所為で魔王を殺す状況が作りにくくなってしまった」
僧侶「だから……賢者ちゃんを使って勇者様を殺そうとしたってことなのかな」
側近「いいえ、僧侶殿。それは違います」
側近「もし勇者のどちらかを殺すのであれば、私は勇者を向かわせていたでしょうね」
勇者「そうですね、私11レベですもんね」
611: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 21:46:32.74 ID:vzLaP/aHo
側近「……三ヵ月たてば、魔物のイメージは今よりもよくなるでしょう」
側近「そのときに賢者、いやオルゴの手先である魔物に人間を襲わせます」
側近「油断、するでしょうね。30年間一度も魔物は人を襲ったことはないのですから」
側近「民は王に怒りをぶつけ、焦った王は勇者もどきをたくさん魔界に派遣するでしょう」
側近「そしてそれを知った勇者殿、あなたもきっと魔界に現れる」
側近「勇者もどきが戦争をしかけてくるのと同時に、勇者殿がオルゴ討伐に出かけてしまえば……」
側近「勇者は実質一人です」
612: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 21:50:25.37 ID:vzLaP/aHo
勇者「…………」
魔王「……」
側近「その状況であれば、魔王様、あなたが望むようなシナリオが絵描けるわけです」
魔王「そのために……賢者様をオルゴさんに……?」
側近「それは彼自身が望んだことです」
魔王「でもその提案をしたのは、貴方なんですよね……?」
側近「……はい」
勇者父「……」
613: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 21:54:59.48 ID:vzLaP/aHo
側近「勇者殿、私はあなたのお仲間を殺した、といっても過言ではないでしょう」
側近「魔王様、勇者殿、もう一度いいます。私はどんな処分でも受け入れる覚悟です」
勇者父「……俺は」
勇者父「……処分は魔王に任せる」
魔王「ゆ、勇者様……、本当に、それでいいんですか?」
勇者父「ああ、構わない」
614: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 21:59:10.21 ID:vzLaP/aHo
魔王「…………」
魔王「……側近」
側近「はい」
魔王「貴方は、とても、ひどいことをしました」
魔王「間接的ですが一人の人間の命を奪い……、利用しました」
魔王「だから私はあなたを……」
魔王「…………」
615: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:02:18.34 ID:vzLaP/aHo
魔王は、迷っているようだった。
私は魔王と側近が実際どのくらいの付き合いなのかを知らないけれど、あの様子じゃ随分と昔から一緒にいたのだろう。
親友ともいえるかもしれない彼女を自らの手で裁かなければいけないその重み。
目を閉じ、考える彼女の顔は悲しみの色が濃く、見ていて悲痛なものだった。
……だけれど少しの沈黙の後、彼女は目を開け、しっかりと側近を見つめなおす。
616: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:05:33.65 ID:vzLaP/aHo
魔王「貴方を百年間、牢屋に閉じ込めます」
魔王「いいですね?」
側近「はい」
勇者「……」
617: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:10:34.87 ID:vzLaP/aHo
勇者「側近さんが魔王につれられて牢屋に行ってしまわれた」
勇者父「百年も閉じ込めておくのか」
後見人「人間よりも魔物の百年という月日は短いものです」
後見人「妥当なものでしょう」
勇者父「そこまでしなくても、おしおきぐらいでよかった気がするんだけど」
勇者「お仕置きのほうがつらいような気がします」
勇者父「デコピンで腕ふっとばすもんな」
戦士「エスタークよりつよいんじゃねーのwwwwwwwww」
618: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:15:07.66 ID:vzLaP/aHo
魔王「ただいま戻りました」
勇者「おかえり、魔王。顔色悪いけど大丈夫?」
魔王「え、ええ……」
勇者父「おっしゃ、次はあんたの番だな」
勇者「へ?」
魔王「え?」
勇者父「この馬鹿やろうがぁああああぁ!!」バチンッ!
魔王「――っ!?」
勇者「うわ、平手打ちした」
619: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:19:55.06 ID:vzLaP/aHo
魔王「ゆ、勇者様……?」
勇者父「傷心のところ悪いが、エスタークの代わりに説教させてもらう」
勇者父「側近がいっていたお前が死んで俺か娘に魔王を代わってもらうというのは、本当だな?」
魔王「……は、い」
勇者父「この馬鹿野郎!! 何度でもいってやろう! 馬鹿! 馬鹿女!」
勇者父「まず自分の命を粗末にするその精神に馬鹿野郎だ! バーロ!!!」
620: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:24:03.69 ID:vzLaP/aHo
勇者父「その上俺や娘にお前なんざの願いをかなえる為に魔王になれだぁ? 馬鹿も休み休みいえ」
勇者父「確かにお前が死ねば、魔物全体のイメージは確実によくなるだろう」
勇者父「だがな、そこからどうする? お前はもういないんだぞ」
勇者父「意思を継ぐ奴はいるかもしれない。しかし完全にお前の願いをかなえてくれる奴はお前自身しかいないんだぞ」
勇者父「他人に任せるほどお前の世界平和ってやらは軽いことなのか?」
魔王「ち、がいます。私は、本当に、心から……」
621: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:28:30.25 ID:vzLaP/aHo
勇者父「自分の命ひとつ守れない奴に世界平和なんて無理なんだよ」
勇者父「俺の父ちゃんも、爺ちゃんも、戦って、勝って、生きてたから、人間界を平和に導くことができた」
魔王「……」
勇者父「それにな、お前が死んだら、エスタークだって、お前の母ちゃんだって、俺だって娘だって悲しいんだ」
622: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:31:27.06 ID:vzLaP/aHo
勇者父「安易に死ぬ選択を考えるな。お前は魔王だが、その前に一人の女だろう」
勇者父「そのでけー でも押し付けながら泣きつけば、助けてくれる男は何百人といるぞ」
勇者父「たとえば勇者とか、戦士とか」
勇者「私男じゃない上に戦士さんと同列とかすごく嫌なんですけど」
戦士「傷ついた……」
623: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:35:28.63 ID:vzLaP/aHo
勇者父「うん、まぁ、少なくても俺たちは絶対助ける」
勇者父「戦士はおいといて、お前は一人じゃないんだからさ」
戦士「えーっ」
勇者「そうですよ、魔王。戦士さんとかはともかくとして私たちを信用してください」
戦士「え、ともかくって何? どうして俺、そんなに扱い悪いの?」
魔王「ゆうしゃさん……う……っ……ごめんなさい……わたし……わたし……っ」
624: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:41:45.16 ID:vzLaP/aHo
勇者「魔王、マジ泣きタイム終了しました」
戦士「正直俺も泣きたかった」
魔王「ごめんなさい勇者さん、あなたの服が鼻水だらけに……」
戦士「俺が舐めるから気にしないで」
勇者「いやいや、なに舐めようとしてるんですか。セクハラで訴えますよ」
戦士「殴んないでー!!」
625: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:43:52.83 ID:vzLaP/aHo
勇者父「これからどうやって人間に魔王軍が受け入れられるかの会議を行うー!!」
戦士「ぱふぱふー!」
勇者「どうしましょうね。今までどおりにやっていきながら、何かやる形なんですかね」
僧侶「魔王が受け入れられるようになればいいんだよね……」
626: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:45:25.24 ID:vzLaP/aHo
勇者父「というかそれは簡単だろう」
魔王「あら~」
勇者「というと」
勇者父「おまいらこの魔王をみて、最初になんとおもった」
戦士「 がでかい」
勇者「巨 」
僧侶「……えへへ」
魔王「……」
勇者父「胸以外だ!!」
627: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:47:46.45 ID:vzLaP/aHo
戦士「こんな可愛い子が魔王のはずがない」
勇者「普通の人間」
僧侶「優しそうな人……」
魔王「あ、あら~、照れますね~……」
勇者父「と、いうことだ。人間界にいってたくさんの人と交流すればいいだけの話だ」
勇者「じゃ問題はその方法かぁ」
戦士「アイドルになるとか」
勇者「おったまげーしょん!」
628: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:48:49.86 ID:vzLaP/aHo
戦士「俺、プロデューサになるから、一緒にAランク目指そうぜ!!」
勇者父「運命の人に会うためじゃなくて、世界が平和になるために歌うのか。 間が熱くなるな……」
勇者「やばい、ケツカッチンだ!」
魔王「……? でも私、その、歌うのも苦手ですよ」
勇者「ちょっと試しに歌ってみてください。はい、マイク」
魔王「どうして勇者さんマイクなんて持ってるんですか?」
勇者「3、2、1、はい!」
魔王「あわわ……」
629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:49:17.94 ID:vzLaP/aHo
勇者父「いいじゃん」
勇者「普通にかわいい」
僧侶「わ、私よりうまい……」
戦士「俺の 間がAランク」
魔王「そ、そんなベタ褒めはやめてください……。もうっ……」
勇者「ところで先ほどから空気の後見人さん。魔王がアイドルになったら困ります?」
631: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:50:08.32 ID:vzLaP/aHo
後見人「そうですね、さすがに国のトップがアイドルなのは……」
勇者父「まずいかー……」
戦士「いい案だとおもったんだけどなあ」
勇者「キラッ☆」
僧侶「他になにかあるかなぁ……」
632: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:50:45.48 ID:vzLaP/aHo
キメラ「すいませーん、魔王様。はいってもいいですかー?」トントン
魔王「あ、はい。どうぞー」
キメラ「しつれいしまーす」ガチャ
魔王「キメラちゃん、どうしたのー?」
キメラ「人間界で怪しい動きがあったので報告しまーす」
キメラ「なんだか勇者もどきが王の城に集まっているようでーす」
キメラ「そこで工作員を忍ばせたところ、明日勇者とその仲間たちを集めて王は何かの発表をする、という情報が手に入りましたー」
魔王「まぁ……」
633: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:51:55.32 ID:vzLaP/aHo
勇者父「もしかして賢者が死んだことで錯乱して、魔王城に攻めてくるつもりじゃ……」
勇者「その可能性は高いですなぁ」
魔王「ど、どうしましょう……」
勇者父「明日、俺と勇者で城にいってみよう。一応勇者だし、詳しい話は聞きやすいだろう」
勇者父「ただ大事をとって、準備はしといてくれ」
魔王「せ、戦争の準備ですか? そんな……」
634: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:52:49.38 ID:vzLaP/aHo
勇者父「一応だ、一応。もしなったら俺が全力でとめるから」
魔王「は、はい……」
勇者「もう向かう?」
勇者父「おい、キメラ。その集会は何時ころやるんだ?」
キメラ「明日の正午くらいですねー」
勇者父「なら明日向かおう。それまでは準備をしよう」
戦士「これはまた面倒なことになりそうだぞお」
勇者「父さんが働きすぎて私の立場がない」
僧侶(私の立場のほうが……)
635: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:54:12.49 ID:vzLaP/aHo
勇者「時間が過ぎるのは早い。もう後は寝るだけです」
勇者「そして戦の準備だとかいって魔王城は父親好みの城にされました」
魔王「せっかく観光用にしていたのに……」
勇者「そんな私も父さんに鍛えられて20レベになりました。やったね!!」
魔王「明日、どうなるんでしょう……」
勇者「大丈夫ですよ、たぶんきっと恐らく」
636: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:55:07.53 ID:vzLaP/aHo
魔王「そう、ですよね。こういう時こそ冷静でいないと……」
勇者「そうですよ」
魔王「戦争なんてそんなおったまげーしょんなナウいことは起きませんよね」
魔王「大丈夫です、だんだん落ち着いてきました~」
勇者「本当に落ち着いていますか?」
637: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:55:49.97 ID:vzLaP/aHo
勇者「まあ、魔王も女の人ですからね。不安なのはよくわかります」
勇者「私を安眠用抱き枕として使ってくれて構いませんよ」
魔王「ありがとうございます~。うわあ、これはすごく癒されますね~ふふっ」
勇者「本当にだいじょうぶでふか、いつものまほうじゃなひ……んぐお、む、むねg……」
魔王「うう~……ゆうしゃさ~ん……」ギュー
勇者「ぢぬ!! まほうぢぬ!!」
638: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:56:18.10 ID:vzLaP/aHo
勇者「最初から私が抱きしめればよかったですね」
魔王「ご、ごめんなさい……」
勇者「なるべく痛くないようにしますけど、息苦しかったりしたらいってくださいね」
魔王「はい。ありがとうございます~……ふふっ」
勇者「どうしたんですか、なんだか楽しそうですね?」
魔王「いえ、私のほうが年上なのに……今日は勇者さんのほうがお姉さんにみえるな、って」
勇者(そういえば魔王って何歳なんだろう……)
639: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:57:22.51 ID:vzLaP/aHo
勇者「それなら今日だけお姉さんってことで」
魔王「あら……ふふっ。それならお姉ちゃん、と呼んだほうがいいですか?」
勇者「一回呼んでみてください」
魔王「お、お姉ちゃん~」
勇者「ツボです」
魔王「あ、あら~……それはそれで困ったわ~」
640: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:58:23.91 ID:vzLaP/aHo
勇者「話全然代わっちゃうんですけど、知りませんでしたよ。魔王が死のうとしてたこと」
魔王「……そう、ね。貴方には最後の最後まで言わないでおくつもりだったから」
魔王「ごめんなさい」
勇者「謝らないでください。でも、よかったですよ。早めにわかって、防止できて」
勇者「そんなことになって直前に言われたら私、魔王のこと殺してしまうかも……しれませんし」
魔王「勇者さん……」
641: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/05(月) 22:59:00.01 ID:vzLaP/aHo
勇者「魔王は生きてくださいね。絶対に」
魔王「私がこういうのも変かもしれませんけど、勇者さんもですよ」
魔王「勇者さんも、生きてくださいね。約束ですよ」
勇者「はい。絶対に死にませんので安心してください」
魔王「約束ですよ? 破ったらひどいですからね」
勇者「……はい」
664: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:11:06.11 ID:KkLQMQHso
勇者「次の日になりました」
勇者父「準備はいいか野郎共」
勇者「野郎つっても私と父さんだけじゃん」
勇者父「気分だ! 気分!!」
665: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:14:22.12 ID:KkLQMQHso
城
勇者「城に着きました。勇者もどきがたくさんいますな~」
勇者父「見事に男ばっかりだな」
勇者「一人ぐらいは私以外の女勇者いるだろ!」
勇者父「いたとしても自分にも見えない妖精さんに話しかけるような女の子じゃないかな」
勇者「お近づきになりたくないね」
666: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:17:33.64 ID:KkLQMQHso
勇者「くっせえ、男くっせえ……」
勇者父「我慢しろ勇者だろ」
勇者「だけどさあ。ああ、くっせぇ。はやく王こないかな」
王『皆のものよく集まった!!』
王『わしは人間の王。王じゃ!!』
勇者もどき「「おおー!」」
勇者「ようやく始まったよ。一時間くらい待たされたっつーの」
667: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:21:57.81 ID:KkLQMQHso
王『今日はお主ら勇者に言わなければいけないことがあったため、お前らを呼んだ』
王『言わずかもがな。先日、我が神の声を告げてくれる教皇様が天に昇られた』
勇者もどき1「あぁ、あの魔物が教皇だったやつかぁ」
勇者もどき2「俺あれ神が魔物だって聞いたぜ」
勇者もどき3「ひでーwwwwww」
王『…………そう、お主らの言うとおりだ。我が神は……魔物だった』
668: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:24:13.46 ID:KkLQMQHso
王『神こそ魔物』
王『魔物こそ神、だったのだ』
勇者「へ?」
勇者父「は?」
王『ワシは間違っていたのだ。魔物こそが悪だと信じ、勇者こそが救世主だと信じてきた』
王『お主らの所為でな!』
670: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:29:00.30 ID:KkLQMQHso
勇者もどき1「え、なに、どういうこと?」勇者もどき2「どういう理論だよ、それ」
勇者もどき3「はぁ?」勇者もどき4「なになに?」
ザワザワ……
ザワザワ……
ザワザワ……
勇者「なんだこの展開」
勇者父「俺にもよくわからん」
671: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:32:45.34 ID:KkLQMQHso
王『ワシは気づかなかったのだ。だが、今、はっきりとわかる。それもそうだ、悪くもない魔物を危める勇者などただの殺人狂にしかすぎん』
王『神である魔物を殺す貴様らこそ、悪魔でありすべての元凶だ』
王『よって貴様ら悪魔は処刑する!!』
勇者もどき1「なんだと!? おい、今までの恩を忘れたのか!!」
勇者「はあああああぁぁあ!?」
勇者父「きがくるっとる」
672: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:39:54.10 ID:KkLQMQHso
王『うるさい、悪魔共め! 貴様らのような屑など元より不要なもの』
王『価値がないただの豚だ!!』
王『捕らえろ』
勇者「兵士がたくさんでてきましたーっ!」
兵士s「貴様らを拘束する!!」
勇者父「王、本気かよ、引くわ」
673: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:45:13.00 ID:KkLQMQHso
勇者もどき1「うわぁあっ!! 魔法使い大丈夫か!!」
勇者もどき2「リレミト!! ……あれ?」
勇者「これは逃げるしかあるまい。リレミト!」
勇者「……」
勇者「なんだ、これ。魔法が使えない……?」
675: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:50:19.23 ID:KkLQMQHso
勇者父「リレミト!! ……そうだな。使えないなこれ」
王『逃げようとしても無駄だ!! この町全体に魔法防御壁を作ったからな!!』
勇者「なにそのFFチックなものは」
勇者父「パルスのファルシにルシにされてコクーンのファルシにパルスへパージされたんですね。わかりません」
勇者「かりそめの平和に酔いしれるんですね、わかります」
676: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:54:38.59 ID:KkLQMQHso
勇者もどき1「だ、誰か、せかいじゅのはを!! 魔法使いが! 魔法使いが!!」
勇者もどき2「かまってやれるか!! うわぁあっ!!」
勇者「なんだかカオス。私たちも逃げないとやられちゃうかもね」
勇者父「俺は負ける気がしないが……魔王に報告せんといかんもんな。逃げるか」
勇者「100レベのご身分はいいものですね!! すたこらさっさ~」スタスタッ
兵士「勇者が逃げるぞー ぐあっ!!」バンッ!
勇者父「峰打ちじゃい」キリッ
677: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 21:59:19.32 ID:KkLQMQHso
兵士1「せいやっ!!」
盗賊「うわぁっ!! すいません!! もう悪いことしません!!」
兵士1「お前を拘束する!!」
盗賊「ひぃ!! お願いです! 俺には病気の母さんが!!」
兵士2「うらっ!! おとなしく捕まれ!!」
勇者もどき3「やなこった!! てめぇらみたいなやつらには絶対捕まらん!!」
勇者もどき4「ちくしょう……ゆるせねぇ。ゆるせねぇよ……」
678: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:07:40.80 ID:KkLQMQHso
兵士3「ははっ、お前ら勇者など皆殺しだ!!」
勇者もどき4「うるせぇ!! お前ら覚えておけよ!! 許さんからな!!」
兵士3「これは王の命令なのだ!! 恨むのなら王を恨むがよい!!」
勇者「これはひどい」
勇者父「そういえば道具袋のなかにそらとぶくつがあったよ」
679: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:12:05.63 ID:KkLQMQHso
勇者「そういうの先にいうものでしょ」
勇者父「おっし、お前がはいてくれ。俺はお前にしがみつく」
勇者「おk」ゴソゴソ
兵士4「そこの勇者!! 拘束する!!」
勇者父「なんだこいつら。馬鹿のひとつ覚えみたいに拘束拘束って」
勇者「きっと同じセリフしかいえないんだよ」
兵士4「黙れ!! 死ね!!」ビュッ!
680: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:16:48.00 ID:KkLQMQHso
勇者父「せいやっ!!」バンッ!
兵士4「ぐあっぁ!!」バタンッ……!
勇者父「兵士弱すぎワロタ」
勇者「父さんが強すぎるんだと思うよ。実際に兵士に勇者もどき達やられっぱなしだし」
681: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:20:16.18 ID:KkLQMQHso
勇者父「もどき共は対人戦になれていないだけだと思うよ」
勇者父「逆に兵士は対人戦になれてるから強くみえるだけだ」
勇者「あー、MMOでのPvPと、モンスター戦並みに違うってことだね」
勇者父「なにMMOって。また変なのやって!! 父さんそういうのよくないとおもうよ」
勇者「私はFF14を続けるよ」
682: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:24:17.30 ID:KkLQMQHso
勇者「飛ぶ準備ができました」
勇者父「よっしゃ、じゃ飛んでくれ」ギュッ
勇者「腰とかつかむのやめてくれませんか。セクハラで訴えるぞ」
勇者父「いいじゃん! 父親なんだからいいじゃん!!」
勇者「父親だからこそいやなんだよ。じゃ、飛びよー。びゅーん」
勇者父「あ、これいきできn」
684: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:30:22.07 ID:KkLQMQHso
魔王城
魔王「勇者さん達、大丈夫でしょうか……」
後見人「キメラ、人間界の様子はどうだ?」
キメラ「私が偵察してた時はいつもとあまり変わりませんでしたねー」
キメラ「今もキメラ達が監視しているので怪しい動きがあったら連絡を――」
勇者「うあああぁああああああああっああ!」
勇者父「息できねええええええええ!!」
キメラ「!?」
685: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:33:15.19 ID:KkLQMQHso
魔王「あら~、勇者さん。おかえりなさい~」
勇者「はぁ……はぁ……た、ただいま……でごわす……」
勇者父「しぬかとおもった」
魔王「あら、そらとぶくつでここまできたの? すごいわね~」
勇者「あ、あれって、ルーラとちがって……スピードが……はぁ……うぅ……」
魔王「あら~、大丈夫? 吐きそう?」
勇者「だ、大丈夫です……」
勇者父「俺は限界です、おろろ」
686: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:37:46.35 ID:KkLQMQHso
勇者「もらいげろした」
魔王「勇者さん、大丈夫ですか……?」ナデナデ
勇者「背中なでなできもちいれす」
後見人「……」ナデナデ
勇者父「男に背中なでなで……き、きもち……い……です」
後見人「無理に言わなくていいんですよ」
687: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:43:59.34 ID:KkLQMQHso
後見人「それで……どうでしたか?」
勇者父「あぁ……」
勇者「なんだかよくわからないけど、かくかくじかじかでごわす」
魔王「まぁ……。王様がそんなことを?」
後見人「気がおかしくなってしまったのでしょうか」
魔王「さぁー、どうでしょう。ただ、どんなに歪んでも賢者様が彼にとっての正義なのでしょうね~」
勇者「I love you と書いて、あなたこそが我の正義と読みます」
688: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:48:23.41 ID:KkLQMQHso
魔王「ほかの勇者方はどうなったんでしょうか~?」
勇者「さぁ……。一応は勇者なんですし、逃げ切る人が多いんじゃないですか」
勇者父「だが勇者の仲間は結構捕まっていたな」
勇者「あとで公開処刑とかなったりして」
後見人「話を聞く限り、ありえない話ではないですね」
689: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:55:05.63 ID:KkLQMQHso
魔王「でも、そんなことしたら、暴動が起きてしまいます~」
後見人「それも覚悟の上なのか……、それともそれすら分かっていないのか……」
勇者「たぶん後者じゃないですか。あの王に冷静な判断ができるとは思えません」
勇者父「同感だな。魔王よ、そこでひとつ話がある」
魔王「はい、なんでしょう?」
690: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 22:58:42.76 ID:KkLQMQHso
勇者父「少しだけでいい。勇者と俺達を解放してはくれないか?」
魔王「……といいますと?」
勇者父「仮にこれで内戦になってしまったら、そちらとしても困るだろう?」
勇者父「だから俺達で内戦を止める」
勇者父「それまで、魔物の好感度アップアップ作戦はお休みさせてもらえないだろうか」
691: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:02:09.87 ID:KkLQMQHso
魔王「それは構いませんけれど、契約書が許してくれるかどうか~……」
勇者「私を置いて話を進めないでもらえるかな。もし契約書からNG出たら、私が魔物の好感度アップアップ作戦を進めるよ」
魔王「それだったら大丈夫ですね~」
勇者父「勇者に負担かけてしまうことになるのだが、お前はそれでいいのか?」
勇者「大丈夫なんじゃない? やってみないことにはわかりませんえん」
692: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:05:27.92 ID:KkLQMQHso
魔王「しかし、どうやってとめるんですか~?」
勇者父「俺は、そうだな。王に近づいてみたいと思う」
勇者「それって大丈夫なの? 父さん、元勇者じゃん。捕まるかもよ」
勇者父「こういうときに便利なのはアイテムと相場が決まっている」
勇者父「へんげのつえ~」
勇者「似てないね」
693: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:07:47.51 ID:KkLQMQHso
魔王「あら~、元ネタがわからないわ~」
勇者「なん……だと……! 青狸を知らない人がいるとはっ!!」
後見人「魔王様はNHK以外のアニメはみてはいけない、とエスターク様に言われているんですよ」
勇者「マインちゃんがぎりぎりか……」
魔王「あら~」
694: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:10:33.83 ID:KkLQMQHso
勇者父「ということで、このへんげのつえで何かに変身して王を止める役をやります」
勇者「賢者さんには変身できないの?」
勇者父「俺がやった中では、魔物とか商人とかにはなれるけど、特定の人物にはなれなかったよ」
勇者「惜しいなぁ……」
勇者父「でも使いようはあるさ。んで、戦士と僧侶、そして勇者。お前は勇者もどき側をなんとかしてくれ」
695: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:12:57.28 ID:KkLQMQHso
勇者「うーん、王のほうにまわされるより楽そうだね」
勇者父「王はともかくとして、もどき達は何をするかわからない」
勇者父「暴動を起こすかもしれないし、腹いせに魔物を殺しまくるかもしれない」
勇者父「適度に抑えつつ、やらせつつ、気の高ぶりをとるんだぞ」
勇者「楽でもなかったわー。むしろ大変な分野だわー」
魔王「……」
696: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:13:23.79 ID:KkLQMQHso
勇者父「戦士達には俺から話しておこう」
勇者「うまくできるかなあ」
勇者父「戦士はアレだが、僧侶は頼りになるだろう。無理だとおもったら大人に頼って僕と一緒に内戦を止めようよ!!」
勇者「何かのアニメであったような……」
697: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:13:50.19 ID:KkLQMQHso
後見人「勇者殿、魔物の助けはいりますでしょうか?」
勇者父「それは……たぶん大丈夫だと思う。むしろ魔物が関わってきたらどえらい騒ぎに」
後見人「わかりました。では我々魔物はおとなしくしていましょう」
魔王「そう、ですね~……」
魔王(でも黙って静観していろというのも、良いことなのでしょうか~……)
魔王(人間さんたちが困っているのに、魔物が知らん振りというのも~)
698: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:15:29.38 ID:KkLQMQHso
勇者父「ということで、今日の夜から活動していきましょう」
勇者「明日からとかじゃないの? どうして今日からなの?」
勇者父「夜のほうが忍びやすいかなって。明日になったらどっちも警戒するだろうし」
勇者「うげー、徹夜フラグきたわー」
勇者父「人間の平和を守るのも勇者の仕事ですよ」
勇者「ブラックすぎるわー。就職情報で堂々の一位取れるレベルだわー」
699: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:17:26.93 ID:KkLQMQHso
勇者父「夜まで寝てればいいのよさ。起こしてやるから」
魔王「あ、そうですね。勇者様も寝てください。時間を指定してくださったら私が起こしますよ~」
勇者父「結婚ほやほやの若妻っぽく「も~あなた、朝よ。はやく起きなきゃだぁめ」とかいって起こしてくれるんですか?」
魔王「あ、あら、ぜ、善処します~……」
勇者父「ちっ……」
勇者「調子にのるな、ということですよ」
700: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:22:17.28 ID:KkLQMQHso
勇者「おはようございます、夜です。完全に昼夜逆転です」
魔王「おはようございます、勇者さん。がんばってくださいね~」
戦士「夜こそ俺のバトルステージだぜ!!」
僧侶「もう若くないんだから、無理はしないほうがいいとおもうんだけどな……」
勇者父「ということで、魔王。どのくらいかかるかわからないけど、俺達はいったん失礼するぜ」
701: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:23:15.18 ID:KkLQMQHso
魔王「えぇ……。人間さんの平和をお願いします~」
勇者父「うっす! か~ら~の~ ルーラ!!」ビュン!!
魔王「……」
魔王「いって、しまいましたね」
後見人「寂しいですか?」
魔王「えぇ、少し……」
702: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:25:43.90 ID:KkLQMQHso
魔王「後見人さん、少しお話があるんですけれど、いいでしょうか~?」
後見人「それが魔王様の望みでしたら」
魔王「私は人間界に行こうと思っているんです~」
後見人「それは、どうしてでしょうか?」
魔王「黙って人間さん達同士の戦争をみていられません~」
魔王「それに私は今度こそ人間さんを信じきりたいです」
後見人「信じきりたい?」
703: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:26:10.66 ID:KkLQMQHso
魔王「私は、きっと心の底から人間さんを信じられなかったんです」
魔王「その所為であんな選択を選ぼうとしてしまった」
魔王「……勇者様や勇者さんにいわれてそう気づいたんです」
魔王「だから今度は、今度こそ、私は心の底から人間さんを信じます。信じています」
704: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:28:44.05 ID:KkLQMQHso
魔王「その大好きな人間さん達が……戦争をするのは私には耐え切れません」
魔王「だから私は私のやり方で戦争をとめようと思っているんです~」
後見人「しかしそれはあまりにも危険すぎます」
魔王「大丈夫よ~、確かに人間さん達の中には痴漢したり、悪いことをしようとする人もたくさんいますが」
魔王「みんな、幸せになるためにやっているんですもの。きっと分かり合えるわ~」
705: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:30:14.64 ID:KkLQMQHso
後見人「あなたの考えは危険すぎます」
後見人「あなたが死んでしまったら、私達魔物は路頭に迷ってしまいます」
後見人「それを承知で、人間界に行こうと決心なされたのですか?」
魔王「えぇ。……ふふっ、大丈夫よ。そんな悲しそうな顔しないで」
魔王「人間さんも大切だけれど、それ以上に私は魔物が大好きで、大切よ~」
魔王「絶対に無茶だけはしないわ~」
706: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:32:05.30 ID:KkLQMQHso
後見人「そうですか……」
後見人「わかりました。政務のほうは私にお任せください」
後見人「魔王様は魔王様のやり方で、夢をかなえてください」
魔王「……ありがとう」
魔王「それなら、まずお休みすることにしますね」
魔王「もう、私眠くて~……」コクリコクリ……
707: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/07(水) 23:34:41.43 ID:KkLQMQHso
後見人「はい、分かりました。部屋までお運びしましょう」
魔王「ごめんなさい。よろしくおねがいしまぁ~……zzz……」
後見人「魔王様、立ちながら寝てはいけませんよ」
魔王「……zzz……」
後見人「……本当に、任せても大丈夫だろうか……」
720: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:17:43.60 ID:HOmogL6Wo
勇者「朝です。やっぱり徹夜でした」
勇者もどき1「俺はゆるせねぇ、前々からあのバカ王嫌いだったんだ」
勇者もどき2「あぁ、俺もだぜ。人を使い捨ての何かを勘違いしてるんじゃねーのか」
勇者もどき3「くっそ!! 仲間もみんなやられちまったし……」
勇者「まぁ、まぁ、落ち着いてください。そんな怒っても仲間は返ってきませんよ」
721: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:18:16.43 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき1「そうだ、俺たちはなんとか逃げられたが、魔法使いは……!」
勇者もどき2「とりかえしにいかなければ、殺されてしまうかもしれない」
勇者もどき3「冗談でもそういうことはいうな!」
722: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:18:45.87 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき1「いや……、あの王のことだ。もしかすると……」
勇者「なんだかやばい流れになってきてるわ」
戦士「難しくてついていけない」
僧侶「たくさん男の人がいて怖いです……」
723: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:19:21.55 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき2「なら取り返しに、それだけじゃない!! あの王をぶっ殺そうぜ」
勇者「いやちょっと待ってくださいよ。そんなことしたっt」
勇者もどき1「それはいい考えだ!! あんな奴王でいる資格などない!!」
勇者もどき共「「「おおおおお!!!」」」
勇者「あかん、これあかんわ」
724: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:19:56.18 ID:HOmogL6Wo
勇者「だから落ち着いてくださいってば」
勇者もどき1「落ち着いてられるか!! 仲間が死ぬかもしれないんだぞ!!」
勇者「お気持ちはわかりますが、王と戦争などしても何もなりませんよ」
勇者「そもそも王を殺したら、次に誰が王になるんです?」
725: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:20:25.37 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき2「んなしらねーよ!! 俺はただ王をぶっ殺したいだけだ!!」
勇者もどき1「そうだそうだ!!」
勇者もどき3「女はひっこんでろ!!!」
勇者「あかん、こいつらアホや。小卒にアホいわれるほどアホや」
726: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:20:53.26 ID:HOmogL6Wo
勇者「だめだ、あいつら。三日間説得しても首を縦にふらねぇ」
僧侶「妙に一体感あるもんね……」
戦士「すごい一体感を感じる。今までにない何か熱い一体感を」
勇者「風……なんだろう吹いていない確実に、着実に、俺たちのほうには」
僧侶「え、えと、私その元ネタはわからないなぁ」ワタワタ
727: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:21:20.18 ID:HOmogL6Wo
勇者「しかしどうしましょうか。このままじゃ確実に内戦ですよ」
僧侶「そうだね……。勇者様のほうはどうなんだろう」
戦士「音沙汰なしってことは、あまりイクナイってことだろうな」
勇者「う~ん……」
728: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:22:12.97 ID:HOmogL6Wo
ワイワイ
ガヤガヤ
勇者「どうでもいいけど、なんかもどき達のスクツ騒がしくないですか?」
僧侶「スクツ、って巣窟のこと? 読み方そうくつだよ」
戦士「僧侶の純粋さに泣ける。気になるしいってみっか」
勇者「なんかめっちゃいやな予感するよこれ」
729: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:22:47.48 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき1「今日こそ決戦の日だ!! 今すぐ乗り込むぞ!!」
勇者「うおーーい!! マジでいやな予感あたっちまったよー」
勇者もどき2「もどき共!! さあいくぞ!! 風は俺たちに吹いてきてる!!」
戦士「中途半端でいいから! とにかく最後までやらなくていいから!! 流されてくれ!!」
730: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:23:14.50 ID:HOmogL6Wo
勇者「そうだそうだ!!」
勇者もどき1「黙れ筋肉と 豚がっ!! 女の意見なんてきいてられるか!!」
??「あら~、だめですよ。そんな汚い言葉いっちゃ」
勇者「!?」
731: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:23:47.60 ID:HOmogL6Wo
魔王「ほぅら、落ち着いてください。まずは深呼吸ですよ~」
勇者もどき1「えっ、あなた誰ですか? デカ」
勇者もどき2「この女の仲間? つーか美人だなおい!」
ザワザワ……
732: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:24:20.64 ID:HOmogL6Wo
魔王「皆さん、深呼吸ですよ~。ひっひっふーすれば皆落ち着きますからね~」
勇者もどき1「は、はぁ。じゃ、やってみます。ひっひっふー」
勇者「魔王それちょっと違うと思います、というかどうしてこんなところにいるんですか」
魔王「ふふっ、勇者さん。ちょっと私も世界救っちゃおうかなって」
733: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:24:48.57 ID:HOmogL6Wo
魔王「あら~、あなた動悸がすごいわねぇ~。心臓がドッキンドッキンしているわよ~」
勇者もどき2「あ、あの……。その、ダイレクトに触られると……」
魔王「よくみたら顔も赤くて熱っぽいわ。大丈夫ですか?」
勇者もどき2「いや、そりゃ、息がかかるぐらいに、そのそんな近いと……そりゃ……」
734: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:25:31.38 ID:HOmogL6Wo
魔王「風邪ですか? ちゃんと安静にしないとだめですよ。あっちにベットがあったので休んでください」
勇者もどき2「もしかして俺、誘われてるの? いいのこれ。理性ぶっ飛ばしていいですか!」
勇者「いや、だめです。だめですよ。何腰に手回してるんですか。私がぶっ飛ばしてやろうか」
735: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:26:09.14 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき1「ま、魔王やってるんですか。えとご趣味とかは?」
魔王「趣味ですかー? あ、あの、少し恥ずかしいのですが……お、お昼寝、とか」
勇者もどき2「わかります。俺も昼寝大好きですよ!!」
魔王「気が合いますね~。私よく立ちながら寝ちゃって怒られるんですー」
勇者もどき3「かわいいじゃないですか。俺の妹なんて逆立ちしながら寝てたから大丈夫ですよ~」
勇者もどき1「なんだそれwww犬神家かよwwwww」
勇者もどき3「うっせえwwww」
勇者「なんだよこの合コンムードは」
736: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:26:42.31 ID:HOmogL6Wo
勇者「私来たときは全員総スルーだったのによぉ……」
僧侶「ま、まぁ、勇者ちゃんはどっちかっていうと女の子に受ける子だもんね」
勇者「なんとなく傷つきました」
勇者もどき4「俺、こんな可愛い子が魔王だなんて知らなかったよ~」
勇者もどき5「実は俺知ってた! 魔王城で会いましたよね!?」
魔王「……? あ、あぁ、思い出しました。庭を荒らした人ですよね」
勇者もどき5「その件は申し訳ないっす!! すいませんでした!!」ペコリ
魔王「あらあら」
737: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:27:28.42 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき2「俺、仲間やられちゃって心が痛いんです」スリスリ
魔王「あらあら、可哀相に~」ナデナデ
勇者「まじでぶっ飛ばしてもいいですか」ギリギリ
僧侶「勇者ちゃん落ち着いて落ち着いて!!」
738: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:28:06.25 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき1「なんだか今日はこのまま魔王さんとカラオケいこうぜ」
魔王「カラ、オケ、ってなんですか~? 桶屋さんですか?」
勇者もどき2「歌をうたうところですよ。魔界にはそういうのないんですか?」
魔王「ありませんね。人間界にはそんな面白そうなところがあるんですね~。ふふっ」
勇者もどき5「ちょ、抜け駆けはずりーぞ。俺、魔王さんと同じ部屋な」
勇者もどき3「俺も俺もwwww」
739: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:28:55.23 ID:HOmogL6Wo
勇者もどき6「まじずりー。俺も混ぜろよ。じゃ、俺たちいってくるんで。お疲れ様でーす」ゾロゾロ……
勇者「もどき共が全員戦場じゃなくてカラオケにいきやがった」
僧侶「よくみたら戦士くんもいないね……」
勇者「くっそ、なんか女として負けた気がする」
僧侶(勇者ちゃんは若いから逆転できそうだけど、私とかもう救いようがないよぉ……)
740: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:29:57.84 ID:HOmogL6Wo
勇者「しかし、まぁ、結果オーライですよね」
僧侶「そう、だね。私たち何にもできなかったのに、魔王さんがきたらいきなり空気かわったよね……」
勇者「これが胸の差か」
僧侶「……あ、あの、私の胸をみながらは……いってほしくない、かな?」
741: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:30:35.82 ID:HOmogL6Wo
勇者「私、魔王のこと心配なんで追いかけてきますね」
僧侶「戦士くんがついているから大丈夫じゃないかな?」
勇者「なんだかこれで薄い本みたいな展開で、全員にまわされるとかなったらと考えると……」
僧侶「そ、そんな漫画じゃあるまいし……」
勇者「それでも心配なんです! いってきますね!!」
742: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:31:03.29 ID:HOmogL6Wo
勇者「カラオケ終わっての帰り道……なん……ですが……」
魔王「ゆうひゃしゃんら~。うふふっ」
勇者「すっごい酒くさいですけど。どんだけ酒飲んだんですか」
魔王「もういっけんいひまひょうよ~。ふふっ、ふふっ、ふふふふっ!」
勇者「あぁ、暴れないでください!! へんなヘナヘナしないで!!」
743: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:31:42.54 ID:HOmogL6Wo
魔王「あ、らぁ……。うふふっ、こうみたら……ゆうひゃしゃんすごい……かわひい……」
勇者「あぁ、もう、やめてください。どうしたんですか、身体すりすりさせないで下さい!」
魔王「うふふっ、もう~、恥ずかしがるゆうしゃひゃんも……うふふっ……」
勇者「うわ、やめt……」
744: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/11(日) 21:32:25.85 ID:HOmogL6Wo
勇者「死ぬかとおもった」
僧侶「お疲れ様。魔王さんは寝た?」
勇者「うん。もう、ぐっすり……」
僧侶「首のところすごく虫刺されてるね。大丈夫?」
勇者「はは……、大丈夫です。むしろ私相手でよかったなあって」
僧侶「……?」
754: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:41:59.82 ID:1m3CGfIx0
勇者「しかし不本意ながら、魔王光臨したことでいい方向に話がいきそうですな」
僧侶「そうだね。勇者ちゃんと私以外に女の人っていなかったから、その点でも安心できるね」
勇者「あとはこの流れをどううまく使うか、ですね」
僧侶「やっぱり勇者様に報告をして、お互い助け合わないと難しい、かも」
755: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:43:04.22 ID:1m3CGfIx0
僧侶「こっちの闘志を冷やしたって、あっちの闘志が燃えているならどうしようもないからね……」
勇者「そう、ですねぇ……。しかし私も僧侶さんも王様のところには近づけない」
僧侶「捕まるのは嫌だもんね」
勇者「う~ん、がんばりましょう。明日までに解決案を出しましょう」
僧侶「うん」
756: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:43:38.83 ID:1m3CGfIx0
勇者「朝まで討論したのにいい案が一個もでなかったでござる」
僧侶「ご、ごめんね。私、ちょっとこういうのは苦手、かも……」
勇者「小卒の私には何もかもが難しい世界だぜ!!」
757: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:44:06.71 ID:1m3CGfIx0
僧侶「やっぱり私が変装して勇者様に会いに行くよ」
勇者「それだと危険ですって。それなら私が行きます」
僧侶「何かあったら私、勇者様に顔向けできなくなるよ……。そういうのは大人に任せて……」
魔王「おはようございます~。今日は一段と空が青くて世界がぐらぐらとゆれて……、あ、もしかして地震ですか!?」
魔王「あらあら大変~、勇者さん、鍋を持って外にでなきゃ危ないですよ~……」
勇者「おはようございます、それきっと二日酔いですよ」
758: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:44:40.76 ID:1m3CGfIx0
魔王「あら、まぁ、私、いつお酒なんて飲んだのかしら~? 頭がズキズキしますね」
勇者「昨日のこと覚えていないんですか。まぁ、魔王らしいですけど」
僧侶「二日酔い用の薬ありますよ。魔王さん、飲みます?」
魔王「あらあら、ごめんなさい、いただきますね~」
759: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:45:27.62 ID:1m3CGfIx0
僧侶「水なしで飲めるタイプだけど、水がないと苦いから今水持ってきますね」
魔王「あら~、そこまでしていただくのは悪いですよ。私が持ってきますね~、よっとと~あら~」ガッチャーン!!
勇者「うわ、包丁のところにつっこんだわー。朝から血だまりだわー」
魔王「どうしましょう。包丁が折れてしまったわ~……。べ、弁償しないと……」
勇者「無傷な上、包丁が……ま、まじで折れてる。これが魔王パワーか。末恐ろしい」
勇者「触るものみな傷つけた!」
760: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:45:59.07 ID:1m3CGfIx0
魔王「ほ、包丁って一億ぐらいですか。どうましょう、今日はカード持ってきてないわ~……」
僧侶「そ、そんなに高くはないですよ。安心してください」
魔王「カンストする程度の持ち金しかないんですが、これで包丁分を」ジャララ……
僧侶「魔王さんそんなにはもらえないよぉ……。そんな家より高い包丁がこんなボロい基地なんかにあるわけないよ……」ワタワタ
勇者「レオなんとかレスみたいにチャイム押したら全員出てきそうなぐらい壁薄いしね!!」
761: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:46:28.00 ID:1m3CGfIx0
魔王「す、すいません。私あまりお金の価値がわからないので……」
僧侶「うーん、なら、私が適当にもらっておくね。ありがとう」
勇者(三万もってったで! 確実に自分のポケットマネーにする気満々だろ僧侶さん!)
僧侶(えへへ、これでテレビ通販の圧力鍋買えるぞ~)
762: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:46:53.85 ID:1m3CGfIx0
勇者「ということで、かくかくじかじかということを話し合っていたんです」
魔王「そんな、じゃ寝ないで朝まで話し合っていたの?」
勇者「そういうことになりますね。今から私は寝ますけど」
魔王「あら~、私は、ということは……僧侶様は?」
763: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:47:20.12 ID:1m3CGfIx0
僧侶「私は勇者ちゃんが起きる正午まで起きてようかなって」
魔王「それは大変ですねー。どうしましょう~」
魔王「あ、それなら私が勇者様に報告してきますね」
勇者「魔王がですか!?」
764: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:47:48.06 ID:1m3CGfIx0
魔王「たぶん王様は私の姿を知らないとおもうから、大丈夫よ~」
僧侶「た、たしかに、私や勇者ちゃんがいくよりは……安全かもしれないね」
魔王「ふふっ、僧侶様もこういっていることですし、私一肌脱いでがんばりますよ」
勇者「でも心配ですよ……。もしものことがあったら……」
魔王「あらあら、勇者さん。心配性ね~。ふふっ、側近ちゃんみたい」
勇者「うぐ……」
765: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:48:31.05 ID:1m3CGfIx0
勇者「否定できないことがつらい」
魔王「ということで私はいってきますね。えぇ、と、ルーラでは町にはいけないので直前のところに飛びますね。ルーラ」シュン!
勇者「……まじでいっちゃった」
僧侶「だ、大丈夫だよ。一応魔王さんも大人なんだし」
勇者「一応、ね」
僧侶「……うん」
766: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:49:10.22 ID:1m3CGfIx0
王の間
勇者父「兵士の格好になって王様を化かしているが……」
王「知らん!! 勇者など皆殺しだ!! 国民全員がみている場で公開処刑だ!!」
勇者父「王、民にとってみれば勇者は魔物から守ってくれるヒーローです」
勇者父「ヒーローを処刑してしまったら、民は怒り狂うでしょう」
王「ならばそいつらも殺せばいいこと! ワシこそ政治、正義なのだ!!」
勇者父(だめだこりゃ……)
767: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:50:11.94 ID:1m3CGfIx0
城内
勇者父「これはどうしたもんかねぇ」
兵士1「私に尋ねられても……」
勇者父「君は代々王に仕えている兵士だと聞く。今の状況はどう思う?」
兵士1「そうですね。いいにくいのですが、最悪でしょう。民の間では人権や正しい法律について感心を持つものが多くなりつつあります」
兵士1「王中心の国家から、民中心の、議会をもって政治を進めていくあり方に変えていったほうが良いのではないかと」
768: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:50:42.22 ID:1m3CGfIx0
勇者父「確かに、先代ならともかく今の王に国は任せられん」
勇者父「それならば俺たちが物事を決めていったほうが、国のためかもしれんな」
兵士1「はっ、しかし、そうなれば王としての立場がなくなってしまいます」
兵士1「それを恐れているのでしょう。王は毎晩眠れないようでうめき声をあげています」
769: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:51:18.14 ID:1m3CGfIx0
勇者父「ストレスが限界まできてしまっての暴走か……」
勇者父「あるいは捌け口がなくなってしまった所為での……、まぁ、民にとってしてみればいい迷惑だな」
兵士1「勇者殿、私は兵士として王に仕える立場。王への罵詈雑言は本来許されません」
兵士1「もちろん王に逆らうことも。どうか勇者殿、王を救ってください」
勇者父「あぁ、わかっている。お前らにしてみても無駄に人を殺すのは嫌だろうしな」
770: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:51:47.63 ID:1m3CGfIx0
勇者父(だからといって、解決方法は……)
勇者父(口で説得など無理な話だろう。新しいストレスの捌け口を探すか……殺すか)
勇者父(あるいは心の支えを探すか……、どれも容易なことではないだろうな)
勇者父(しかしやらなければ内戦に……)
勇者父(どうするべきか……)
771: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:52:14.06 ID:1m3CGfIx0
同時刻
魔王「あら~、せっかくお城についたのに勇者様が見つかりませんね~……」
魔王「道に迷ってしまったのかしら? でも、城内で迷うなんていくらなんでも」
魔王「私ならありえそうですね~……」
魔王「困ったわ~。兵士さんに聞くのも悪いですし……」
魔王「王様に聞いてみましょう」
772: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:52:43.24 ID:1m3CGfIx0
王「勇者は皆殺しだ!! ふじこふじこ!!」
兵士「はっ、只今我々は生き残りの勇者共の捜索に全力を尽くしています!」
王「今すぐみつけろ!! 今日中にだ!!」
兵士「王様、それはさすがに不可能でございます」
王「不可能でもやるのだ!!」
魔王「あら~、修羅場ですね~」
兵士「!? だ、誰だ!!」
773: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:53:10.09 ID:1m3CGfIx0
魔王「私は魔王といいます。勇者様をご存知ないでしょうか~」
兵士「ま、魔王だと!? 俺たちを殺しにきたのか!!」
魔王「殺しに~? どうしてそんな物騒なことをしないといけないんでしょうか~?」
兵士「王様、お下がりください!! この兵士、命に代えても王様を――」
王「この無礼者めが!! 兵士よ、お前が下がれ!!」
兵士「……は?」
774: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:53:43.11 ID:1m3CGfIx0
王「何をあほ面をしているのだ!! 魔王殿の目の前で!!」バゴン!!
兵士「ひぎい!!」
魔王「……え、えと、王様。どうか、なされたんですか?」
王「おぉ、魔王殿。お初にお目にかかります」サササッ
魔王「や、やめてください。土下座なんて……」
775: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:54:10.21 ID:1m3CGfIx0
王「魔王殿、わしが無知なばかりに神である貴女に歯向かってしまった。このようなことで許してはもらえないと思うが、侘びだけでもさせてくれ」
魔王(えぇ、と、勇者さんの話だと……賢者様、いえ、オルゴさんを王様は神だと思っている)
魔王(ということは……同じ魔王の私も神様だと勘違いしているのかしら?)
776: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:54:45.73 ID:1m3CGfIx0
魔王「王様、顔を上げてください。あなたは謝罪をする相手を間違っています」
王「なんと慈悲深い。神よ、わしは貴女以外の誰に謝ればいいというのか」
魔王「勇者様方、いえ、民に謝ってください」
王「それはどういうことなのでしょうか」
魔王「勇者様方はあなたを信じて、平和を夢見て、魔物と戦ってきました」
魔王「それを否定し、反逆者としたあなたはおかしいです」
777: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:55:48.42 ID:1m3CGfIx0
魔王「そして今、内戦が始まるか始まらないかの瀬戸際です。民は、不安がっています」
魔王「あなたは王として、勇者を殺すことよりも、もっとやらなければいけないことがあるのではないでしょうか」
王「お言葉ですが、神よ。勇者は貴女方神を傷つけた悪魔です」
王「そしてそれはワシも同じ。ワシもいずれ罪を償いましょう。同じ悪魔を葬った後で」
778: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:56:15.07 ID:1m3CGfIx0
王「これは聖戦なのです。けして内戦ではありません」
王「神よ、また貴女は私を言葉で試そうとするのですね」
魔王「あ、あら~、どうしましょう~……。どう説明しても正反対の意味で捉えられそうだわ~」
王「神よ、今日はこの城にお泊まりください。崇めさせてください」
魔王「お泊りですか~。ふふっ、楽しそうですね~」
779: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:56:41.29 ID:1m3CGfIx0
城内
勇者父「どうしたものか……」
勇者父「まったく考えが浮かばないぞ……」
魔王「あら~、もしかして勇者様ですか~? 見ない間に細くなりましたね~」
勇者父「魔王!? どうしてお前がここに!?」
780: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:57:13.80 ID:1m3CGfIx0
魔王「勇者様に会いに行こうと思ったら、王様に会っちゃいまして~」
魔王「今日泊まっていけ、など男らしいことをいわれたのでそのお言葉に甘えたのですが……」
魔王「案内された部屋から一歩、二歩、……三歩ぐらい歩いたらどの部屋なのか忘れてしまって迷
子になってしまったんです~」
魔王「でも、勇者様に会えたので結果おーらいですね。ふふっ」
勇者父「わけがわからないよ」
781: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:58:12.33 ID:1m3CGfIx0
魔王、勇者側のことを報告中……
勇者父「……あぁ、勇者側はそういう状況なのね。なんとなく把握できたわ」
魔王「こちらのほうはどうですか? あの王の様子ですと……あまり良いほうに進んでいないようですが」
勇者父「そのとおりだな。状況はよくない」
勇者父(……いや、待てよ。魔王をつかえばもしかすると……)
魔王「それでは私は一晩泊まりましたら、勇者さんのところへ帰らせてもらいますね~」
782: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:58:46.40 ID:1m3CGfIx0
勇者父「まってくれ。魔王、ひとつだけ頼みたいことがある」
魔王「はい、なんでしょう」
勇者父「王の娘になれ」
魔王「……はい?」
勇者父「義理でもいいぞ。娘になってやってくれ」
魔王「あの……私の理解力がない所為なのか、あまり話がよくわからないのですが……」
783: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:59:13.71 ID:1m3CGfIx0
勇者父「今、王は生きがいをなくし、ストレスマッハで頭がパーだ」
勇者父「そこでお前が娘、まぁ、娘みたいなものになって、王のメンタルを平常にする」
勇者父「王はお前という生きがい、癒しを手にすることで、元の王に戻る」
勇者父「そこでお前や俺で、内戦をやめるよう説得し、エンドだ」
勇者父「わかったか?」
784: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 22:59:41.39 ID:1m3CGfIx0
魔王「なんとなくは……。えぇ、と、どうすればいいんでしょうか?」
勇者父「普段通りでいいさ。魔王が好きなように王の隣にいてやってくれ」
勇者父「たぶんそれだけで大丈夫だ。たぶん」
785: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/15(木) 23:00:31.54 ID:1m3CGfIx0
魔王「は、はぁ……。わかりました。それなら明日、一度勇者さんに報告した後、来て王様とお話ししようと思います」
勇者父「あぁ、そうしてくれ」
勇者父(なんとなく、解決の糸口がみえてきたぞ……!)
793: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:27:02.08 ID:cglUNKrHo
―― 翌日
勇者「じゃ、魔王は父さんとこ行くの?」
魔王「えぇ、ふふっ、うまくいくかはわかりませんが」
戦士「魔王ちゃんならあの王も丸くできるかもしれんなぁ」
魔王「あら~、そうですか~?」
僧侶「確かに……」
794: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:27:39.46 ID:cglUNKrHo
魔王「勇者さんたちはどうするんですか?」
勇者「私たちは今までどーりに止めようとがんばります」
戦士「合コンに誘い続けたら案外なんとかなるような気がしてきた」
魔王「ふふっ、戦士さまったら」
戦士「ハァハァ、魔王ちゃんに窘められたよぉ」
勇者「きもっ」
795: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:28:06.04 ID:cglUNKrHo
魔王「ということで、私は王様のところにいってきますね」
勇者「変なことされたらすぐにいうんですよ」
魔王「はい、わかっています」
勇者「魔王のわかっていますは、あてにならないというソースがあってな……」
796: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:28:41.79 ID:cglUNKrHo
城内
魔王「戻ってきました、勇者様」
勇者父「忘れてたけど俺変装してるんだよね。勇者様じゃなくて兵士とでもよんでくりゃ」
魔王「あら~、妙に細くなったわけはそういうことでしたか」
魔王「では兵士様とお呼びしますね」
勇者父「ういうい」
797: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:29:07.70 ID:cglUNKrHo
勇者父「魔王はともかく王の側にいて、適当に介護なり話し相手になりなってやってくれ」
勇者父「俺もすぐ側にいるから、なんかあったらすぐ相談してくれや」
魔王「はい、わかりました」
798: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:29:50.62 ID:cglUNKrHo
王「おぉ、神よ。いかがなさったか」
魔王「王様とお友達になりたくて来ちゃいました」
王「友達……ですと? ワシとですか?」
魔王「はい」
王「……」
魔王「どうか、なさいましたか?」
魔王「もしかして、友達は嫌でしょうか? それでしたら――」
799: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:30:32.41 ID:cglUNKrHo
王「ワシと……本当に友達になって……くださるんでしょうか?」
魔王「え?」
王「……」
王「……神よ、ワシは今まで友達と呼べる人物は一人もおりませぬ」
王「勿論友達との付き合い方も知りません」
王「そんなワシと、あなたは友達になるというのですか?」
800: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:30:59.22 ID:cglUNKrHo
魔王「なる、というよりなれたらいいな、って思っています」
王「……どう、違うのですか」
魔王「友達は今から友達になりましょう、はい、なりました、っていうものではなく」
魔王「お互い気が合うなー、一緒にいて楽しいなー、って思っていく内にいつの間にかなっているものだと、私は思っています」
勇者父「つまり●●いことしない恋人同士みたいな感じですね」
魔王「ゆう……へ、兵士様、そのたとえはちょっと……」
王「……」
王(友達……か……)
801: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:31:27.99 ID:cglUNKrHo
―― 三日後 昼
勇者「それダウトー!!! ぜってーダウトおおおおおお!!」
勇者もどき1「はい、ちがうー。おーまえのまけー」
勇者「うわあああああああああ!!!!」
勇者もどき1「まじで勇者ってダウトよえーよな」
勇者もどき2「これで5回連続負け? やばいwwww」
戦士「ねぇwww今どんな気持ちwwwwどんな気持ちwwww」
勇者「私、切れそう」
802: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:31:55.50 ID:cglUNKrHo
勇者「10回連続で負けるとかないわー。まじないわー」ビュンビュン
僧侶「ゆ、勇者ちゃん。落ち着いて。剣振り回さないで、……ね?」
戦士「まー、まさか、こんなトランプで足止めできるとはおもわなかったなー」
僧侶「魔王さんが、もどきさん達にしばらく落ち着いてるよういったみたいだよ」
戦士「……あぁ、そんなこと、いってたよーな。いってなかったよーな」
803: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:32:21.73 ID:cglUNKrHo
勇者「しかしもどき共、魔王の言うことなら聞くんですね」
僧侶「ま、まぁ、ベタ惚れだったからね」
戦士「魔王>>>越えられない壁>>>>>>>>仲間」
勇者「これはひどい」
804: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:32:48.70 ID:cglUNKrHo
勇者「天然が故になんとなーく逆らえない感じだもんげ」
戦士「そうだなあ。あと美人だもんな。あんな美人に駄目とか言われたら普通やめる」
僧侶「……」
戦士「あと でかいしな!! 服着てても凄さがわかるってのがいい!! ドゥフフwwwもちろんお世話になってますwwww」チラッ
勇者「よく女の人口密度が高い空間でそんな発言できるものだと、ある意味では尊敬します」チラッ
僧侶「ち、ちらちらとこっちみるのやめてよぉ……。じ、自分でも小さいってことぐらいわかってます!」
805: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:33:15.02 ID:cglUNKrHo
勇者「しかしこれで多少は足止めできそうですな」
僧侶「これで王様が納得してくれたら……なんとかなるのかな……」
戦士「さぁな」
僧侶「ただ王様、そんな簡単に魔王さんの意見、聞くのかな?」
戦士「頑固の塊みたいな奴だもんなあ……。魔王ちゃんでもきついかもな」
勇者「案外、簡単にやっちゃうかもですよ」
806: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:33:42.55 ID:cglUNKrHo
勇者「それこそ「飯はまだかのー?」「あらおじいちゃん、ご飯は一昨日食べたじゃない」みたいな関係に」
戦士「んなわけないだろさすがにwwwwww」
僧侶「そうだよぉ、さすがの魔王さんでもそんな」
戦士「ですよねーwwww」
807: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:34:09.94 ID:cglUNKrHo
王「飯はまだかの……」
魔王「あらあら、王様。ご飯は先ほど食べたじゃないですか」
王「そうだったか……。魔王のことをずっと考えていたからか、ご飯を食べた記憶がないのぉ」
魔王「まぁ……。ふふっ、駄目ですよ。これ以上食べたら太っちゃいますよ」
王「そうじゃったな。ふぉふぉふぉ」
勇者父(王がドラクエでよくいる老人みたいになってしまわれた……)
808: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:34:35.96 ID:cglUNKrHo
王「先ほどから耳の穴がむずむずしてのぉ……」
魔王「あら~、それなら私が耳かきしますね」
魔王「私の膝でよろしければ、頭を乗せていただけますか」ポンポン
王「悪いのぉ。ふぉふぉふぉ」
勇者父(勇者がいなくてよかった。あいついたら絶対切れてたわ)
809: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:35:01.73 ID:cglUNKrHo
魔王「それでは失礼しま……」
王「お、おぉ……? どうしたんじゃ。一思いにやってくれて構わんよ」
魔王「いえ、あの……。お恥ずかしいのですが、む、胸で王様がみえなくて……」
魔王「ごめんなさい。私ではお役になれないようです~」
王「いやいや、気にしないでくれ。年寄りの戯言だとおもってくだされ」
勇者父(これ絶対イチャイチャしてるよね。これ絶対イチャイチャしてるよね)
810: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:35:27.74 ID:cglUNKrHo
勇者父「王様、今から会議でございます。そろそろ会議室にいかれては?」
王「おぉ……、もうそんな時間か。わざわざすまないねぇ、年寄りになると時間の感覚がわからなくなるようだ」
勇者父「い、いえ。あ、ちょっと。お一人でいかれるんですか?」
王「あぁ、会議室ぐらい一人でいけるよ。兵士さん達はゆっくりしていてくださいな」
勇者父(どこにいったの、前の王様)
811: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:35:56.64 ID:cglUNKrHo
魔王「あらあら、無理しちゃいけませんよ。私が付き添いますね」
王「いいんじゃぞ。ワシ一人でも大丈夫じゃ……」
魔王「そんな水臭いこといわないでください。ね?」
王「わるいねぇ……」
魔王「いえいえ。それでは兵士様、失礼しますね」
王「失礼したねぇ……」
勇者父「いえ……」
バタン
812: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:36:25.71 ID:cglUNKrHo
勇者父「俺、思いついたんだけどさ」
兵士1「……は、なんでしょう」
勇者父「犯罪者予備軍とか性格が捩れた奴を、魔王としばらく住ませることで聖者にするビジネス」
兵士1「……儲かりそうですな」
勇者父「まさか三日であそこまで性格がかわるとは思わなかった」
814: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:36:51.61 ID:cglUNKrHo
兵士1「神業ですね」
勇者父「ああ。それか元々あーゆー性格だったのかもしれんな」
勇者父「心の支えがなかった所為で、ああなったのかもしれん」
勇者父「どの道、もどき共について話してもいい頃だろ」
兵士1「そうですね。あまり長引かせていいものでもありませんし」
815: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:37:31.12 ID:cglUNKrHo
勇者父「なら、今日魔王に相談してみるわ」
兵士1「よろしくおねがいします」
勇者父「あぁ……」
勇者父(しかしこんな簡単に事が進むとは思わなかった)
勇者父(これも魔王の力か……。まさか本当に魔物に助けられるとは)
816: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:37:57.42 ID:cglUNKrHo
夜
魔王「兵士様、どうかなさいましたか?」
勇者父「いきなり呼んでしまってすまんな。王様の調子はどうだ?」
魔王「えぇ、とても落ち着いていらして……。なんだか普通のおじいちゃんみたいになっちゃいましたね」
勇者父「催眠でもかけたのか?」
魔王「そんなことは。私もびっくりしています~」
817: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:38:23.91 ID:cglUNKrHo
勇者父「そうか。そうだよなぁ……」
勇者父「まぁ、そこらへんはいいや。そろそろ王にもう一度説得してみてはくれないか?」
魔王「あ、勇者もどきさんたちのことですよね」
魔王「もう話しても大丈夫でしょうか?」
魔王「もどきさんたちのことが目的で仲良くしているなんてこと思われたら……」
勇者父「確かにそうだけどこの調子なら大丈夫だろ」
魔王「そうでしょうか……。兵士様がそういうのでしたらやってみますが……」
818: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/24(土) 21:38:52.34 ID:cglUNKrHo
勇者父(まさか魔王が渋るとはおもわんかったな)
勇者父「気になるなら軽く触れる形でも構わんよ」
魔王「……わかりました。それでしたらなんとか」
勇者父「ああ、がんばってくれ」
勇者父(魔王の顔色をみる限りではあまり乗り気ではないようだが……)
勇者父(王と長く接することで、本来の目的を忘れてしまったか?)
勇者父(それとも嫌われるのが怖いのか……)
勇者父(冷酷になれないというのは、彼女の弱みなのかもしれないな)
826: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 22:56:47.13 ID:eai77pWU0
書き終わるまでゆっくりと投下していきます。
827: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 22:57:41.21 ID:eai77pWU0
翌日
魔王「今日もいい天気ですね」
王「そうですのぉ……」
魔王「しかしだんだんと寒くなってきていますから、体調には気をつけてくださいね」
王「まだまだ、若者には負けんぞぅ」
魔王「あらあら」
魔王「最近は朝が特に冷えますからね。王様も震えてらしたでしょう」
王「おぉ、みられておったか。薄い布団をかけて寝たせいかのぉ……」
828: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:00:54.39 ID:eai77pWU0
魔王「しかし王様より寒さに震えていた方がいらっしゃいました」
王「なんと。それはそれは可哀想に。いったいどの方がそんな目に」
魔王「牢屋にいらっしゃるもどきさんたちのお仲間さんです」
王「あぁ……彼らか」
魔王「王様。あのようなところにずっと閉じ込めておくのは、健康上よくありません」
魔王「そろそろどうなさるか、考えたほうがよろしいのではないでしょうか」
王「……」
829: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:04:25.60 ID:eai77pWU0
王「魔王よ。その前にひとつききたいことがあるのじゃが……よいかの?」
魔王「あ、はい。なんでしょう?」
王「魔王は……、わしのことを、友達だとおもってくれてるかの?」
魔王「えぇ、もちろんです」
魔王「でもどちらかといえば、おじいちゃん、みたいな感じですね」
王「おぉ、そうか。そうか。ありがたいのぉ……こんな老いぼれにでも友達ができるなんて」
王「兵士さんよ、ちょっと、よろしいかのぉ」
勇者父「は、いかがなさいましたか」
830: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:07:32.08 ID:eai77pWU0
王「勇者さん達を連れてきてくれないかのぉ」
勇者父「っ!?」
勇者父「こ、[ピーーー]気、なんですか?」
王「連れてきて、くれんかのぉ」
勇者父「……」
勇者父(三つ子の魂百までってことか……)
勇者父(だとしたらこのまま説得を続けても……無駄にしかならんだろう)
勇者父「わかりました。連れてまいります」
魔王「……」
831: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:07:58.94 ID:eai77pWU0
saga忘れていました。投稿しなおります。
832: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:08:26.65 ID:eai77pWU0
王「勇者さん達を連れてきてくれないかのぉ」
勇者父「っ!?」
勇者父「こ、殺す気、なんですか?」
王「連れてきて、くれんかのぉ」
勇者父「……」
勇者父(三つ子の魂百までってことか……)
勇者父(だとしたらこのまま説得を続けても……無駄にしかならんだろう)
勇者父「わかりました。連れてまいります」
魔王「……」
833: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:12:05.50 ID:eai77pWU0
バタン
魔王「……王様」
王「そう不安そうな顔をしないでくださいな。ふぉふぉふぉ」
王「あぁ……今日はなんだか寒いのぉ。魔王、こたつはどこにあったかのぉ」
魔王「こたつですか? えぇ、と、それはどんな物なのでしょうか」
王「おぉ、おぉ……。魔王はこたつを知らないのか。どれどれ、少し探してくるから待っておれ」
兵士1「王様、勝手に出歩かれては困ります! こたつならこの私が持ってきます!」
王「あぁ悪いのぉ……。ワシが王でなければ、こんな目に合わせんでもよかったのにのぉ」
魔王「……」
834: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:15:23.16 ID:eai77pWU0
どっかの基地
勇者「ちょ、父さん。それまじ勘弁だわー」
勇者もどき1「……つまり俺達はおとりということか」
勇者父「そういうことになるだろう」
勇者父「さっき説明したとおり、お前達はそれなりの武器を持って、城に向かってくれ」
勇者父「王はお前らを公開処刑したがっている。捕まるかもしれんが、死にはしないだろう」
勇者父「俺はいち早く城に戻り、兵士に化けている」
835: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:20:19.26 ID:eai77pWU0
勇者もどき1「んで、とりあえず俺たちは王の間に行き、王の話をきいて」
勇者もどき1「本当に俺たちを殺す気でいるなら、お前が王を殺すということか」
勇者父「あぁ」
僧侶「ちょっと待ってください。ど、どうして勇者様が王様を殺すのですか!」
勇者父「俺がオルゴを殺したから起こった騒動だ」
勇者父「俺が原因ならば、俺が決着をつけたい」
勇者父「それだけだ」
戦士「ちなみにオルゴのとどめをさしたのは、戦士だったりするのです」
勇者父「こまけぇことはいいんだお!!」
836: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:22:19.91 ID:eai77pWU0
戦士「だったら俺が殺すべきなんだよね」
勇者父「お前へんげの杖使ってもばかだから戦士のままじゃねーか。主に性格が」
戦士「そんなことないもんねー! ソースだせソース! いつ戦士のままだった! 何時何分何十秒!? 地球が何回回ったとき!?」
勇者「子供かよ……」
勇者父「お前へんげの杖使ってもばかだから戦士のままじゃねーか。主に性格が」
戦士「そんなことないもんねー! ソースだせソース! いつ戦士のままだった! 何時何分何十秒!? 地球が何回回ったとき!?」
勇者「子供かよ……」
837: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:26:21.24 ID:eai77pWU0
勇者父「昔、魔物を欺くために魔物の格好をして近づいたのに、お前が経験値きゃっほー☆とかいいながら魔物殺して、勇者ご一行ってばれた事忘れたとはいわせんぞ」
勇者父「しかもお前が最初にひんしになって、戦わなくていいボスと戦う羽目になった事」
勇者父「しかも「めんごー☆ ま、人間なんだし、ミスってあるよねキラッ☆」とかいって謝った事」
勇者父「忘れたとはいわせんぞ」ゴゴゴゴゴゴゴ
戦士「ひぃ」
僧侶「はじめて私たちそこで全滅しかかったからね……。なつかしいなぁ」
勇者「波乱万丈だったんだなぁ」
838: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:29:15.33 ID:eai77pWU0
勇者父「ということで俺がやるのが冴えたやり方なのです」
勇者「いやいや、父さん。反逆の罪で処刑されるってそれ」
勇者父「ああ、そうだね」
勇者「そうだね、って。父さん、死ぬ気なの?」
勇者父「……言われてみればそういうことになるな」
勇者「勇者は反対しますとも」
勇者「誰が好き好んで、父親の自殺を認めますか」
僧侶「勇者ちゃん……」
僧侶(半殺しはするけど、やっぱり死なれるのはいやなんだね……。ちょっと安心した)
839: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:30:36.13 ID:eai77pWU0
勇者父「だがな、この中の誰かが王を殺さなければ解決しない」
勇者父「王を殺せば、自分も処刑されてしまう」
勇者父「まぁもどき共も、その覚悟で王を殺そうと決心していたんだろう」
勇者父「だが、それはもどきがやる仕事じゃない」
勇者父「汚れ役はいつだって勇者の役目だ」
勇者「……ソースは?」
勇者父「たとえばぁ、幻想のぉ恋人にあったようなぁ、終わり方した勇者だとかぁ~。故郷に帰れなくなったりだとかぁ。いろいろあるじゃない」
840: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:31:19.11 ID:eai77pWU0
者「た、確かに、そうだけどさ」
勇者「それなら現勇者の私がやるよ」
勇者父「てんくうのつるぎも持ったこともない甘ちゃんが何を言う」
勇者父「それに俺と約束したはずだろ。魔物も、人間も殺すなと」
勇者「――……っ」
勇者「……それ、なら……父さんだって……。言ってたじゃないか」
841: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:32:22.52 ID:eai77pWU0
勇者「安易に死ぬ選択を考えるなって。自分の命ひとつ守れない奴に世界平和なんて無理なんだって」
勇者「父さんは自分の言葉に嘘をつくのか!」
勇者「どこぞの鳩ぽっぽじゃあるまいし、ブーメランはやめろよ!」
勇者父「……言うようになったなぁ」
842: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:34:24.46 ID:eai77pWU0
勇者父「お前の言うとおりだよ。それに俺死ぬつもりねーし」
勇者「……は?」
勇者父「これでも俺、卑怯な奴でね。王殺した後はへんげのつえ使ってどっかに逃げようと考えてる」
勇者父「魔界でも、いっそ天界でもいいや」
勇者父「マスタードラゴンに頼んで、天空の城で一生過ごすのもいいなぁ」
勇者「……え?」
843: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:35:40.41 ID:eai77pWU0
勇者父「ほかのもどき共には逃げる手段なんてねーだろ」
勇者父「俺が一番助かる確率が高くて、それかつ王を殺せる確立が高いから、俺が殺すんだ」
勇者父「納得はできないだろうが、こうみえてちゃんと逃げる手段を考えている」
勇者父「死ぬ気でやるが、本気で死のうとは思っていない」
勇者父「俺を信じてくれ。俺は絶対死なないし、殺されるつもりもない」
勇者「父さん……」
844: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:37:26.35 ID:eai77pWU0
勇者「わかった。父さんがそこまでいうのなら、私は信じるよ」
勇者父「ああ、ありがとう」
勇者「本当に、死なないでね」
勇者父「もちろんだ」
戦士「途中から話がわかんなくなっちゃったんだけど、つまりどういうことだ?」
勇者父「いい話で終わらせようとしているところに首つっこまないでください」
845: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:38:55.85 ID:eai77pWU0
―― 翌日 王の間
勇者父「今日の正午、勇者たちがくるようです」
王「おぉ、そうか……。ありがとうよ」
王「今日で、すべてがはじまるんだねぇ……」
勇者父「……」
魔王「……」
王「なんだろうね。長かったような、そんな気がするのぉ……ふぉふぉふぉ」
勇者父「そう、ですな」
魔王「兵士様、少しよろしいでしょうか?」
勇者父「は、なんでしょう」
魔王「ここでは話にくいことなので、いったん外に」ボソボソ
勇者父「……?」
846: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:41:06.88 ID:eai77pWU0
中庭
魔王「兵士様、本当に王様を殺すのですか?」
勇者父「あぁ、そのことか。もしあのジジイが勇者達を殺すっていうのならばな」
魔王「……」
勇者父「どうした。青い顔をして」
魔王「王様は、殺させるような方ではありません」
勇者父「……」
魔王「勇者様、お願いです。王様を殺さないでください」
勇者父「それは――」
勇者父「王に言うんだな。勇者達を殺さないでくださいって」
847: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:42:17.77 ID:eai77pWU0
魔王「……っ」
勇者父「魔王、これはお前のためでもあるんだぞ」
勇者父「お前は今、視野が狭まって目の前のことしか考えていない」
勇者父「内戦が起こったら、それこそ人も魔物も傷つくだろう」
勇者父「それが一人の命で何千人と助かる」
勇者父「今までは魔王を殺すことで、それが実現した」
勇者父「今回の場合は、お前ではなく王だった。それだけだ」
848: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:44:18.29 ID:eai77pWU0
魔王「そんなの……」
勇者父「おかしいか? お前も同じようなことをしようとしていたじゃないか」
魔王「それはっ」
勇者父「お前は優しすぎる。覚えておけ、その優しさの所為で苦しむ人がいるということをな」
魔王「…………」
勇者父「それじゃ戻るぞ」
魔王「それでも私は……っ! 信じています!」
魔王「王様も勇者様も、もう誰かを殺す選択はしないということを」
魔王「人間はそんな安直な道に進まないと……私は信じています」
勇者父「……」
851: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:47:33.40 ID:eai77pWU0
―― 正午
兵士1「王様、勇者達がやってきました」
王「おぉ、おぉ。入るように伝えてください」
兵士1「はっ!!」
魔王「王様……」
王「どうかなされたか、魔王。少し顔色がよくないのぉ。部屋で休んできたほうがいいんじゃないかぃ」
魔王「い、いえ。私は、大丈夫です」
勇者父「……」
勇者父(どくがのナイフで、いや、いっそのことはぐれメタルの剣で一思いに殺してやったほうが……)
852: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:48:01.14 ID:eai77pWU0
勇者もどき1「王、てめぇ!! よくも仲間を捕らえやがったな!!」
勇者もどき2「ぶっころしてやる!!」
魔王「ちょ、ちょっと待ってください! 勇者様方、落ち着いてください!」
勇者もどき1「はい」
勇者もどき2「はい」
勇者「素直に魔王のいうことを聞くお前らが結構好きだよ」
853: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:48:43.10 ID:eai77pWU0
王「確かに、勇者さんたちだのぉ……」
王「お久しぶりですなぁ、元気でしたか?」
勇者もどき1「え? あ、はい。げ、元気っすけど」
勇者もどき1「なんだよ、あいつ。なんか覇気がなくね?」ヒソヒソ
勇者もどき2「なんだが普通の老人みたいになってねーか」ヒソヒソ
勇者もどき3「もしかして魔王さんの影響ってこれか? 魔王さんすげーな」ヒソヒソ
王「どうかなされたか?」
勇者もどき1「い、え、何もないっすけど」オロオロ
854: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:49:10.44 ID:eai77pWU0
勇者もどき2「ところで俺たちをどうして呼んだ!! ……ん、ですか?」
勇者もどき3「ばっか、お前らなんで敬語になってんだよ!!」
勇者もどき2「だってなんか前と違って、使わないといけない雰囲気なんだよ!!」
勇者もどき1「そうだそうだ!!」
勇者「お前らうるせえなぁ……」
王「そうだったのぉ……。わけを話さないといけんのぉ」
855: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:51:08.49 ID:eai77pWU0
王「――最近、寒くなってきたのぉ。もう少しで雪がふるかもしれんなあ」
勇者もどき1「そうっすね」
王「ワシはな……。今まで寒さを味わったことがなかったんじゃ」
勇者もどき1「……は?」
王「温室で育てられ、父はワシがほしいといったものを全て買い与えてくれた」
王「金、権力、地位、学力、望めば望むほど父はワシにすべてをくれた」
王「ただ友人だけは、父はワシにくれなかった」
856: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:52:24.46 ID:eai77pWU0
王「いんや、当然のことじゃろうなぁ……。ワシは知らなかったんじゃ」
王「雛のようにぴーぴーないているだけで、親鳥がいつでもご飯をくれると思っていたんじゃからな」
勇者「話がみえないですけど。つまり、どういうことなんですか?」
王「雛は知らなかったのじゃ。親鳥がほかの動物に狙われて傷だらけになりながらも餌をとってくることを」
王「特権だともいえるのぉ。与えられているものは、与えてくれているものの痛みを知ることはできない」
王「傷口に雨風が当たり、痛さや寒さに耐えながらも雛に餌を与え続ける、など考えられるはずもない」
王「雛のようにぴーぴーないているだけで、親鳥がいつでもご飯をくれると思っていたんじゃからな」
勇者「話がみえないですけど。つまり、どういうことなんですか?」
王「雛は知らなかったのじゃ。親鳥がほかの動物に狙われて傷だらけになりながらも餌をとってくることを」
王「特権だともいえるのぉ。与えられているものは、与えてくれているものの痛みを知ることはできない」
王「傷口に雨風が当たり、痛さや寒さに耐えながらも雛に餌を与え続ける、など考えられるはずもない」
857: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:53:40.94 ID:eai77pWU0
王「すまなかった。謝ってすむようなことではないとは思うが……謝らせてくれ」
勇者もどき1「!?」
勇者もどき2「!?」
勇者「王が……土下座しただと!?」
858: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:54:44.15 ID:eai77pWU0
王「ワシはこの数日間、魔王殿と一緒にいた」
王「彼女はワシの友達に、なれたらよいといってくれた」
王「ワシは突然親鳥がきてくれた気分になった。やっと友人を与えてくれたとおもったよ」
王「でもそれは間違いだったんじゃ」
勇者「間違い?」
859: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:55:38.49 ID:eai77pWU0
王「魔王殿はテーブルマナーもしないような人じゃったんだ」
魔王「え、あ、お、王様! そ、その話は……」
王「もちろんフォークとスプーンの使い方はしっておったが、内側から使い出してオロオロしたり、手を洗うようの水を飲んでしまっていた」
魔王「お、王様~。それは言わない約束でしたよ~!」
勇者「まぁ、魔族と人間とじゃマナーも何もかも違いますしね」
860: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:56:31.43 ID:eai77pWU0
王「ワシははじめて人に知識を教えた」
王「それはそれは苦労したのぉ……。あぁ、こたつも知らなかったりしたのぉ」
魔王「お、王様~っ!」
王「まるで娘ができたようじゃったよ……。ワシの歳でいうなら孫なんだがな……」
王「はじめて知ったんじゃよ。雛に餌をあげる親鳥の気持ちを」
王「その苦労も多少な」
861: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:57:09.18 ID:eai77pWU0
王「掛け布団を抱いて寝ているものだから、寒そうに身体を震わせてな」
王「思わずワシの掛け布団をあげてしまったよ。ふぉふぉふぉ」
魔王「え、あ。も、もしかして、この前薄い布団をかけてた理由って……」
王「あぁ……。兵士さんたちを起こすのもわるいからのぉ。適当なものをかけて寝てたら寒くて寒くて」
魔王「そ、そんな。ごめんなさいっ。わ、私……」
王「ふぉふぉ、気にしないでおくれ。そのおかげでワシは目を覚ますことができた」
王「普通は寒さで寝てしまうものなのだがな……ふぉふぉふぉ」
862: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:58:28.40 ID:eai77pWU0
王「ほんとうに、すまなかった。勇者さん達を悪魔などいってしまって」
王「殺されても何も反論できないことをしてしまった」
王「この身ひとつしか差し上げるものはないが……」
王「どうか民や兵士には手を出さずに、ワシ一人の命で許していただきたい」
勇者「あ、私は無関係なので、もどきたちで決めてね」
勇者もどき1「……」
863: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/26(月) 23:58:54.70 ID:eai77pWU0
勇者もどき1「……」
勇者もどき2「……」
勇者もどき3「…………」
864: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:00:43.06 ID:rOH8awkn0
勇者もどき1「……」
勇者もどき2「…………」
勇者もどき3「……いい、んじゃないか。許してやっても」
勇者もどき1「あ、あぁ……。ん、まぁ……確かに……」
865: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:01:37.52 ID:rOH8awkn0
勇者もどき1「ただ仲間たちには絶対謝れよ」
勇者もどき2「んでもうこんなこと絶対やめろよ」
王「おぉ……ありがたい……ありがたい……」
勇者もどき3「そろそろ顔あげてくれよ。なんか、調子狂う」
勇者もどき1「だよ、な。なんか王じゃないみたい」
866: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:02:12.69 ID:rOH8awkn0
勇者もどき2「ところで仲間たちは?」
兵士1「お供様方は別室にいらっしゃいます」
勇者もどき1「おぉ、案内してくれるか」
兵士1「はっ。こちらです」スタスタ
王「ワシもいこう。改めてもう一度謝らなければ」
勇者「……」
勇者「そして、魔王と勇者の仲間たちが残ったわけなのです」
867: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:02:38.44 ID:rOH8awkn0
戦士「えぇ……と、よくわかんねーけど、これ一件落着ってことなのか?」
僧侶「う、うん。そういうことじゃない、かなぁ……」
勇者父「なんか、なんというか、不完全燃焼というか……戦う気満々だったのによ」
戦士「ま、よかったじゃないか! あははっ!! まさか誰も殺さずに解決できるとはよぉ!」
魔王「……」
勇者「これでも、魔王のおかげですね」
魔王「……え? あ? えぇっ!?」
勇者「どうやら魔王も今起きたことがわかっていない様子です」
868: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:03:04.56 ID:rOH8awkn0
勇者父「あー、もー、帰るべ。帰るべ」
戦士「ちょ、おま、このタイミングで帰るのかよwww」
勇者父「いや、だって、ねぇ。戦う以外の取り柄がない俺がこの場にずっといるのも」
勇者父「俺の役目終わった感じじゃん。あとは勇者に任せるよ」
勇者「まじですか」
勇者父「あの様子だったら、魔族と人間が同盟組むのも簡単だろう。お前達二人だけでもできるだろう」
869: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:03:54.62 ID:rOH8awkn0
僧侶「そう、だね。おばさん達はおいとましたほうがいいのかもなぁ」
戦士「あとは若い衆でやってくれってやつか。俺納得」
勇者父「そういうことだ。じゃ、若いのがんばれよ。ルーラ!」
勇者「ちょ!! まっ!! ……って、本当に帰りやがった……」
870: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:04:28.18 ID:rOH8awkn0
魔王「勇者さん……」
勇者「うーん……。ま、ちょっとここで待ちます? そのうち王も帰ってくるでしょう」
魔王「……本当に」
勇者「……はい?」
魔王「本当に、これで、終わったんでしょうか~」
勇者「そう、ですよ。魔王。これで本当に終わったんです」
勇者「私たちは誰も殺さず、内戦を止めることができたんですよ」
勇者「でも、魔王はこれからですよね」
魔王「……そう、ですね。これからです」
871: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:05:12.52 ID:rOH8awkn0
王「おぉ……。魔王、いらっしゃったか」
魔王「えぇ、王様。勇者様方は?」
王「帰られたよ。ふぉふぉふぉ……若いものは元気でいいねぇ」
魔王「はい。王様、少しお話が――」
王「同盟の件かい?」
魔王「っ、ど、どうしてそれを!?」
王「顔にかいてあるよ。ふぉふぉふぉ。魔王はわかりやすいからのぉ」
魔王「うぅ……」
勇者(これいちゃついてんの? ねぇ、これいちゃついてんの?)
872: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:05:49.99 ID:rOH8awkn0
王「ふぉふぉふぉ。魔王殿、ワシはいっこうにかまわんよ」
王「もう、人間と魔物が争う必要もない」
王「こちらからも頼もう。ワシら人間と生きてはくれんかの?」
魔王「―― はい、もちろんです」
魔王「わた、わたしたち……まものは……に、にんげんと……っ、いっしょに……」グズグズ
勇者「魔王、そんな大切なところで泣かないでくださいよ。はい、ハンカチ」
魔王「勇者さんありがとうぉ……」グズグズ
873: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:07:41.52 ID:rOH8awkn0
魔王「それでは、改めて」
魔王「私たち魔物は、人間と一緒に生きることをお約束します」
魔王「これから先、何百年、何千年先も――」
魔王「ずっと、ずっと永遠に」
874: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:08:07.51 ID:rOH8awkn0
王「あぁ、よろしくおねがいしますのぉ……」
魔王「はい。こちらこそ、末永くよろしくお願いいたします」ペコリ
王「ふぉふぉふぉ」
魔王「ふふっ」
勇者(なんか結婚式みたいや……。なんか悔しいわぁ)
875: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:08:42.52 ID:rOH8awkn0
勇者自宅
勇者父「あいつらうまくやってんのかなぁ……」
僧侶「た、たぶん大丈夫だとおもいますよ。勇者様の娘さんですもの」
戦士「あーあー、俺たちもあんくらい若かったらなぁ」
僧侶「充分、戦士君は若いよ」
戦士「最年少のお前が何をいうか」ペチッ
僧侶「うぅ、殴らないでよぉ」
876: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:10:01.51 ID:rOH8awkn0
勇者父「あーしかし疲れたなぁ」
戦士「確かに疲れたな。まさかこんなことになるとは思わなかったな」
勇者父「これで俺が生きている間ぐらいは平和じゃねーの」
戦士「はははっ! お前が死んだあとは俺がこの世の中を平和にしてやんよ!」
勇者父「お前何歳ぐらいで死ぬつもりなん?」
戦士「777」
勇者父「人として100ぐらいで死んどけよ……」
戦士「ラッキーセブンだよ!!」
877: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:10:46.30 ID:rOH8awkn0
僧侶「それじゃ、私、そろそろ教会に戻るね」
勇者父「ああ、お疲れさん」
僧侶「あの……、勇者様。また、教会にいらしてくださいね」
勇者父「もちろんだとも」
僧侶「……はい。ありがとうございます。えへへ……」
勇者父「おう。じゃ、またな」
僧侶「うんっ!」
878: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:11:30.21 ID:rOH8awkn0
戦士「あーあー、なんかおあついねえ」
勇者父「何がだよ」
戦士「なんでもないですぅー! 離婚まじかの戦士さんももう帰りますぅー!」
勇者父「素直に謝っとけよ」
戦士「浮気は文化!」
勇者父「靴下もはけよ」
戦士「やだこった! じゃ、また連絡しろよ!」
勇者父「ああ」
戦士「桃鉄今度はまけねーからな!!」
勇者父「それはこっちのセリフだ!!!」
879: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:12:21.64 ID:rOH8awkn0
勇者父「……」
勇者父「……みんな帰ったか」
勇者父「なぁ、母ちゃん」
勇者父「なんだかあっけないもんだよなぁ。最後なんていつも」
勇者父「あんたの死に顔みたいにあっけないわなぁ」
勇者父「もう少し、生きててくれたら」
勇者父「今の俺を叱ってくれたかもしれないのになあ……」
880: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:13:01.11 ID:rOH8awkn0
魔王城前
勇者「こうして魔王は王と平和同盟を結び――」
勇者「一応形としては、魔王の夢である人間と魔物が共存する世界が生まれましたとさ」
魔王「本当に、形として、ですけれどね」
勇者「そうですね」
勇者「これからかもしれませんね。魔物のイメージを変えていかなければ」
魔王「えぇ……」
881: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:13:39.29 ID:rOH8awkn0
魔王「そうだ、勇者さん。これをみてください」
勇者「なんですか、この紙切れ。コピー用紙ですか?」
魔王「ふふっ。これ勇者様との契約書なんですよ」
勇者「え!? でも、何もかいてないじゃないですか」
魔王「どうやら王と交わした同盟で、契約書は契約終了とみなしたのでしょう」
勇者「あぁ……そうなんですか」
882: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:14:06.55 ID:rOH8awkn0
魔王「だから、勇者さん。これからは自由ですよ」
勇者「へ?」
魔王「今まで助けていただいてありがとうございました」
勇者「ちょ、魔王?」
魔王「これからは私、一人でやっていきます」
勇者「いやいや、待ってください」
魔王「?」
勇者「そんなハテナ、みたいな顔しないでください」
883: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:15:00.37 ID:rOH8awkn0
魔王「あなたは、人間界に戻り、人間としてこれからの人生を全うしてください」
勇者「……」
勇者「そう、ですか」
勇者「わかりました。私は人間界に戻ります」
魔王「……はい」
勇者「だから、その、本心を言ってもらえますか?」
884: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:15:34.06 ID:rOH8awkn0
魔王「え?」
勇者「いや、だって、気づいていないかもしれませんが、さっきからずっと私の服つかんでいるじゃないですか」
魔王「あ、わわっ……」
885: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:16:16.07 ID:rOH8awkn0
魔王「あの、これは、そういうことじゃなくて! そのっ!! あのっ……えっと」
勇者「あぁ、もう。魔王。いいんですよ。そんな意味不明なやさしさみせなくても」
勇者「魔王と私の仲じゃないですか」
勇者「これからも二人でやっていきましょう」
魔王「ゆう、しゃさん……」
886: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:16:42.86 ID:rOH8awkn0
魔王「本当に、いいんですか? 私といてくださるんですか?」
勇者「もちろんですよ」
勇者「魔王一人じゃ心配ですからね」
魔王「勇者さんっ」ダキッ
勇者「んごっ!!」
887: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:18:03.71 ID:rOH8awkn0
魔王「ありがとうございます。私たち、ずっと、ずっと一緒にいましょうね~!!」
勇者「わか、わかりましたからっ、離してください。し、しn……」
こうして私たちは――。
とくに前とかわらず。
契約とか交わした約束忘れないよとかそんなの関係なしに。
魔王として、勇者として、世界をひとつにする為戦い続けるのだった――。
トゥルー 完
888: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:19:55.21 ID:rOH8awkn0
エピローグ
―― あれから、何十年の月日が流れた。
魔物と人間の溝はじょじょになくなり、町にでかけると魔物と人間が楽しそうに会話している姿がそこにはあった。
これも、今となってみれば普通の事で。魔物と話したことがない人間のほうが珍しいだろう。
一緒に学校に通ったり、同じ職場で働いたり。
魔物と人間は共存している。
確かに、そうだといえるだろう。
889: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:20:40.96 ID:rOH8awkn0
だけれどもまだ魔物を嫌う人間が少なくないのは事実だ。
時より送られてくる魔王の手紙には、悲しそうな字でそう書いてあった。
仕方がないことではあるだろうが、本当に共存する世界など……作れないのかもしれない。
ただ、それに近づけるよう魔王は努力しているらしい。
らしい、というのは、私は現役を卒業してしまい――、今は文面でしか魔王の活躍を把握できないからだ。
あの時戦っていた父と同じぐらいの歳になり、私はすっかりくたびれてしまっていた。
890: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:21:31.74 ID:rOH8awkn0
歩くのも杖がないと歩けないし、なんだかあのころの父よりも私は老いてしまっていた。
若いころに無茶しすぎたのか……。はたまた別の理由なのか。
検討もつかない。
しかし……魔王は相変わらず美しいままだと聞く。
魔物と人間とでは、こんなにも老いるスピートは違うのかといいたいぐらいに。
勇者母「はぁ……」
私はため息をつく。
891: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:22:10.94 ID:rOH8awkn0
できることなら、魔族として生まれたかった。
なんて、現金かなあ。
とんとん、と軽い足取りで誰かが歩いてくる。
まぁ、あいつだろうが。
勇者「……ただいま」
勇者母「あぁ、お帰り。今日ははやかったねぇ」
私の自慢でもないクソな息子である。
イケメソだから調子のりやがって、私と違って高学歴で、モテてむかついて愛らしい息子である。
892: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:22:48.28 ID:rOH8awkn0
自分の息子でなければもげろ、といいたいレベルである。
お母さん知ってるんだぞ、この前ラブレター貰ったの。
私だって貰ったことも書いたこともないっつーの。うらやましい限りだわ。
まぁ……、そんなことはともかく。
私は息子にいわなければいけないことがあるのだ。
それはあの日、私が18歳になったとき、唐突に父からいわれた言葉である。
893: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:23:47.23 ID:rOH8awkn0
勇者母「勇者よ、聞いてほしい話がある」
勇者「なんだ。真剣な顔をして」
一昨日出した手紙を、魔王は読んでくれただろうか。
読んでくれたのであれば、きっと今頃魔王は喜んでいるだろう。
もしかすると歓迎パーティでも開くぐらいの勢いかもしれない。
彼女の思い出の片隅に残っている笑い顔が、頭の中に浮かんだ。
勇者母「お前も今年で18だ。そろそろ勇者として旅立っていいんじゃないか?」
勇者「大学に行くのを反対した理由はそれか。この平和な世の中に勇者など必要ないじゃないか」
894: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:25:02.07 ID:rOH8awkn0
勇者「それとも何か。魔王でも倒してくればいいのか?」
冗談交じりでいう息子の顔は、余裕の笑顔だ。むかつく。
まぁ、魔王がいい奴だということは、一応は知っているだろう。TVとか教科書とかでだろうけども。
あんな国民的大スター、ともいえる魔王を助けてやってくれ、なんていったらこいつも驚くだろうか。
895: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:25:37.46 ID:rOH8awkn0
勇者母「そういう殺生なことじゃなくて、魔王を助けてやってほしいんだけど」
勇者「え?」
勇者母「え?」
勇者「なにそれ、こわい」
予想どーり驚く息子と、ドヤ顔の私。
896: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2011/09/27(火) 00:26:38.22 ID:rOH8awkn0
そうして、勇者と魔王の人類救出計画はまたもや幕をあけるのです。
魔王が王子に惚れられ、結婚を前提にお付き合いしたいとか言われたりとか。
魔王にとっては一世一代といえるぐらいの大恋愛を息子とするとか、しないとか。
側近がそれを聞いて逃げ出して、魔王に泣きつくとか。
魔王の父さんが復活しそうになるとか、ならないとか。
それはそれで……また別のお話。
勇者父「魔王を助けてやってくれ」勇者「え?」 fin
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