1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:02:41.63 ID:7SGcpybk0
俺がまだ野生だったころ、今の主人は俺を捕まえに来た。
主人は俺を捕まえ、UだのVだの言って喜んでいた。

俺は嬉しかった。
存在を認めてもらえたようでとにかく嬉しかった。

早速手持ちに入れてもらえた俺は、旅をすることを楽しみにしていた。
だが主人が向かったのは育て屋だった。
きっとまだ未熟な今の俺は戦力にならないと判断したのだろう。

引用元: メタモン「今日もまた卵を作る作業が始まる」 



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:05:08.30 ID:7SGcpybk0
少し経つともう一匹の預けられたポケモンがやってきた。メスのイーブイだ。
こんな子と一緒に居させてくれる主人はなんて良い人なのだろうと思った。

「子作りをしろ」という伝言が育て屋のお爺さんからあったから、イーブイとたくさん作った。
その時主人はマグカルゴだけを手持ちに入れてひたすらサイクリングをしていた。
何の意味があるのだろうか。時々「チッ、いらねえよこんなゴミ」と言ってる声も聞こえた。

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:13:35.30 ID:7SGcpybk0
少し経つと、主人は満足気な顔をしてサイクリングをやめた。
イーブイとの子作りも少しつかれていたのでそろそろ出して欲しかった。

そこで見てしまった。
主人がボックスから大量のイーブイを逃しているところを。
俺たちの子なんじゃないかと不安になったが、主人はきっとそんなことをする人ではないだろう。
そう思えているうちは幸せだった。

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:17:59.46 ID:7SGcpybk0
次の日はイーブイと入れ替わりでオスのベトベターがやってきた。
この日も子作りをしろということだったが正直あのベトベターとはやりたくない。
だが主人の命令は絶対なので渋々子供を作った。

その時の主人は全く昨日と同じことをしていた。
昨日と違うといえば「めざパを粘らない分楽だな」と言っていた。

やはりその後は大量のベトベターを逃していた。
少し悲しい気持ちになったが、今日は育て屋から出してもらえた。
旅に出ても問題ないくらいレベルが上がったからだろう。
そう思っていたらボックスに入れられてしまった。
明日からの旅に備えて寝よう。

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:23:36.49 ID:7SGcpybk0
次の日、主人がボックスの中を見に来た。
やっと旅に行けるとわくわくしていた。
俺と同じボックス内にいたメタモンは手持ちに入れてもらっていたが、俺は入れてもらえなかった。
今日はまだ休憩していろということか。

だがそのメタモンも育て屋に預けられていた。
主人はメタモン六匹で旅をしようとしているのだろうと考え、嬉しくなった。

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:27:12.13 ID:7SGcpybk0
それから一週間近くずっとボックス内にいた。
他のメタモンは入れ替わりで育て屋に預けられていたから俺の出番はなかった。
でもそれでよかったのかもしれない。遂に確信してしまったからだ・・・

あの逃していたポケモンたちはやはり生まれたばかりのポケモンだったのだと。
これだけの期間同じ様子を見ていたのだから嫌でも気付いてしまった。
それだけではない。
もう、旅に行くこともできないのだろう。
きっと・・・それから一週間近くずっとボックス内にいた。
他のメタモンは入れ替わりで育て屋に預けられていたから俺の出番はなかった。
でもそれでよかったのかもしれない。遂に確信してしまったからだ・・・

あの逃していたポケモンたちはやはり生まれたばかりのポケモンだったのだと。
これだけの期間同じ様子を見ていたのだから嫌でも気付いてしまった。
それだけではない。
もう、旅に行くこともできないのだろう。
きっと・・・

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:29:17.94 ID:7SGcpybk0
ミスりました

それから一週間近くずっとボックス内にいた。
他のメタモンは入れ替わりで育て屋に預けられていたから俺の出番はなかった。
でもそれでよかったのかもしれない。遂に確信してしまったからだ・・・

あの逃していたポケモンたちはやはり生まれたばかりのポケモンだったのだと。
これだけの期間同じ様子を見ていたのだから嫌でも気付いてしまった。
それだけではない。
もう、旅に行くこともできないのだろう。
きっと・・・

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:33:49.13 ID:7SGcpybk0
次の日、久しぶりに手持ちに入れてもらえた。
だが、もうわかっている・・・

案の定育て屋に預けられた。
久々の相手は性別不明のコイルだ。
自分が言える立場でもないが、性別不明と子作りとかどうしろと。
そこからはいつもと同じ流れだった。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:38:04.76 ID:7SGcpybk0
次の日は久しぶりに主人がどこか遠くへ行ったようだ。
聞いた話では性格臆病を捕まえに行くと言っていたそうだ。
当然俺が手持ちに入ることもなかった。

数時間後、主人がボックスにやってきた。
そして新しいメタモンがボックスに加わった。
主人はニックネームを付け無い派なのだがどこかで新しい言葉を覚えてきたのか、
このメタモンには珍しくニックネームをつけていた。

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:40:53.18 ID:7SGcpybk0



"ウムキカイ"



すべてを・・・悟った。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:46:23.72 ID:7SGcpybk0
俺は一生育て屋とボックスを往復し、ただ卵を産むだけの人生なんだ。
自由はない。ただやらなくてはならないことをやるだけの人生。
毎日同じことの繰り返し。
なんのために生きているのだろうか。
こんなことのために生まれてきたのだろうか。
主人が捕まえにきたときに必死に抵抗して逃げていればまた違った人生だったのかな・・・
いつも手持ちに入れてもらえてるマグカルゴが羨ましい・・・

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:52:10.98 ID:7SGcpybk0
俺が小さかった頃、親に聞いたことがある。
昔は唯一変身ができるポケモンとして面白がって旅をさせてもらえていたと。
だが3年後にポケモン同士で卵を作ることができると
人間に発見されてしまったせいでこうなってしまったのだと。

その後、ボックスから手持ちに入れられた。
もうやることはわかっている。

今日もまた、卵を作る作業が始まる。

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 14:56:47.07 ID:7SGcpybk0
生活に変化がないまま10数年たってしまった。
おかげで俺も100レベルになったが旅に行けることはない。
いつもと同じ光景だ。

だが一ついつもと違うことがあった。
ボックスにいる俺の隣にマグカルゴがいる。
いつもマグカルゴがいたところには蛾のようなポケモンがいた。

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 15:01:33.58 ID:7SGcpybk0
マグカルゴはとても悲しそうな顔をしてうつむいていた。
少し声をかけてみようという気になった。

メタモン「いつも手持ちにいたのにどうしたんだ。嫌われたか。」

マグカルゴ「・・・」

メタモン「何かあったのだろう。言ってみろ。」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/19(金) 15:07:05.29 ID:7SGcpybk0
マグカルゴ「・・・嫌われたわけじゃない。ただ、ただ・・・私に力が足りなかっただけだ。」

メタモン「お前はいつも手持ちにいたし変身しかできない俺とも違う。足りないものなんて無いはずだ。」

マグカルゴ「・・・確かに私は技が一つしかないわけでもない。殻を破るという強力な技も手に入れたしな。」

メタモン「強化されたのなら何故手持ちから外されたんだ。」

マグカルゴ「殻を破るなんていらなかった。技の追加なんて私にとってはどうでもいいんだ。



                              ・・・ただ、翼が欲しかった・・・・・・」



~Fin~