前回 ほむら「お願い、力を貸して!」俺「ふっ……任せな!」

1: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:16:04.36 ID:hAVNlr4f0
一瞥するには只凡百 沸立つ才の気色無し
されど内実逆模様 湛えた力は強大無比

白き剣先は魔の顕現 魑魅魍魎もが凍りつき
紅き剣戟は死の誘い 森羅万象を血に染める

天地を揺るがす其の閃光 次元の壁をも打ち崩し
安息の世を混沌せしめ 終焉の果てへ駆り立てる

彼の者は正に唯一無二 その眼前に敵は無し
彼の者は正に災の風 けして立ち向かうことなかれ


――――――とある知的生命体に伝わりし伝説『夢幻塵風(ヘヴン・ブレッザ)』より

引用元: マミ「もう、何も怖くない!」俺「一緒に戦おう、マミ!」 




6: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:20:36.66 ID:hAVNlr4f0
俺「見滝原市、か……この世界に来るのも久々だな」

俺「目的があるわけでもないが、他にやることもないし旅行気分でのんびり過ごすには良い所か」

俺「しかしまぁ、何というか……どうして俺はこう異常な事態に巻き込まれるんだろうな」

俺「この世界では魔法なんて存在しないはずなのに……」



QB「…………」トテトテ

俺(あんなのがいるなんてな……気になるし、つけてみるか)

11: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:26:24.62 ID:hAVNlr4f0
さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!」

俺(……なんだこりゃ。一体何が起こってるんだ?)

俺(ほむらって子に、あの生物が襲われて……まどかって子に助けを求めた)

俺(ほむらはなおあの生物を攻撃しようとしたが……さやかって子が乱入してきたってとこか)

俺(あの生物は何者だ? 何で襲われてるんだ?)

俺(疑問は尽きないが、確実に言えることは……)

ほむら「…………」

俺(この世界にも、魔法を使える奴は存在するってことだ。彼女のように……)

15: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:31:24.07 ID:hAVNlr4f0
俺(さて、どうしたものか)

俺(彼女に詳しく話を聞いてみるか? いや、答えてくれそうな雰囲気でもないな)

俺(なら、このまま隠れて傍観してるのが得策ではありそうだ)

俺(でも、その案は却下だな。だって……)



さやか「あれ、非常口は!? どこよここ!?」

まどか「変だよ、ここ! どんどん道が変わっていく!」



ズズ・・・



俺(目の前で死なれるのは……寝覚めが悪くなるからな)

18: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:36:15.08 ID:hAVNlr4f0
さやか「あーもう、どうなってんのさ!」

俺「俺もサッパリだよ。何が何やら」

まどか「きゃっ! だ、誰ですか!?」

俺「なぁに、怪しい者じゃない。多分君らと同じ、巻き込まれただけさ」

俺(魔力結界……魔法を使う何者かが、まだ近くにいる。それも恐らく、悪意ある者が)

俺(となると、ここに誘い込んできたということは、おそらく次に来るのは……)



使い魔「ミー、ニャー、スィー、スィー……」

まどか「やだっ、何かいる!」

俺(俺達への……攻撃!)

19: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:41:44.02 ID:hAVNlr4f0
さやか「冗談だよね? 私、悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどか!」

俺「……下がってろ」

俺(俺の敵じゃあないが、普通の人間であるこの二人にとっては脅威だ)

俺(やれやれ……旅行気分のつもりだったのにな。しょうがない、やるしかないか)

俺(……! いや……!)

カッ
ドオオオオオオオオオオン!!

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

俺(その必要は、なさそうだな)

20: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:47:32.86 ID:hAVNlr4f0
さやか「あ、あなたは?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね。でもその前に、一仕事片付けちゃっていいかしら」



ドンドン!!

まどか「す……すごい……」

俺「……あぁ、魔力自体も相当だがそれ以上に動きに淀みが無く、手馴れている。なかなかの使い手だな」

さやか「……へ?」

俺「あ、いや何でもない。忘れてくれ」

22: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:52:06.28 ID:hAVNlr4f0
さやか「えっと……お邪魔します」

マミ「遠慮しないで。キュゥべえに選ばれた以上、あなた達にとっても他人事じゃないからね」

俺「えっと……俺も上がっていいのか?」

マミ「はい。男の人は魔法少女になれないはずですが、キュゥべえが見える以上関係ありそうですし」

QB「しかし、何で君は僕が見えるんだろうね」

俺(その程度の姿を消す魔法なら俺には通用しないからなんだが……ま、言う必要もないか)

25: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 17:57:16.92 ID:hAVNlr4f0
キュゥべえ「僕は、君たちの願いごとをなんでもひとつ叶えてあげる」

キュゥべえ「そして、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム」

マミ「これよ」

まどか「わあ、きれい」

俺「……! それが、魔法少女になる代償か!?」

QB「そうだよ。僕と契約したものは、この石を手にして魔女と戦うんだ」

俺(このソウルジェムって……間違いない、これは……)

俺(キュゥべえ……ふざけやがって)

34: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:02:26.10 ID:hAVNlr4f0
マミ「戦いは命がけだし、恋する暇もないわ……あなた達も慎重に選んだ方がいい」

俺「……正直、やめといた方がいい。だって……まぁ、何だ……危険だしな」

まどか「確かに怖いけど……どんな願いも一つ、かぁ……」

さやか「んー、悩むなぁ」

マミ「じゃあ、しばらく私の魔女退治に付き合ってみない? その上で判断するってのはどうかしら」

さやか「いいんですか?」

マミ「えぇ、凄く大事なところだしね」

俺「……俺もついてっていいか?」

マミ「え? 多分、俺さんは男の人だから……」

QB「そうだね。魔法少女にはなれないよ」

俺「それでもいいさ。頼むよ、マミ」

マミ「分かりました。じゃあ俺さんも、鹿目さんも美樹さんも明日にまた」

38: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:07:28.42 ID:hAVNlr4f0
俺(…………)

俺(……マミは、知らないんだろうな……)

俺(もし、ソウルジェムのことを知ったら……マミは、どう思うか……)

俺(全貌が掴めない以上、今はもう少し『見』に回っておくか)

俺(しかし、マミ……心配だな……)

俺(近くで、様子を見ることにしよう)

プルルルルルル

俺「俺だ。物件を一つ回してほしい。群馬県見滝原市の……」

39: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:11:30.25 ID:hAVNlr4f0
マミ「さて、明日は頑張らないとね」

QB「そうだね。見学者も沢山来ることだし」

マミ「えぇ。鹿目さんに美樹さん……あと、俺さんも。キュゥべえも入れて5人もいるものね」

QB「……俺さん……ねぇ……」

マミ「やっぱり気になるの? 確かに男の人でキュゥべえが見えるのは不思議だけれど」

QB「いや、それも確かに気になるけど……もっと気になることがある」

マミ「?」

QB(『一瞥するには只凡百 沸立つ才の気色無し』)

QB(『されど内実逆模様 湛えた力は強大無比』)

QB(ここ何年かで、僕達の間に広まってきた……圧倒的な力を持つ男を詠った伝説)

QB(その男『夢幻塵風(ヘヴン・ブレッザ)』……伝説ほどの力を持っているなら、僕の姿が見えても……)

QB(……まさかね。伝説は伝説でしかない。実在するわけないか)

40: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:16:12.79 ID:hAVNlr4f0
マミ「さて、それじゃ魔法少女体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか」

さやか「一応、バットを持ってきました!」

まどか「すいません、私は何も……」

マミ「いいのよ。意気込みは十分伝わったわ」

俺「ピンチになったら俺が助けるから心配するな。こう見えてもそこそこ腕は立つんだぜ」

マミ「ふふ……お気持ちはありがたくいただきますね」

俺「冗談じゃないんだけどな……」

41: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:21:08.40 ID:hAVNlr4f0
マミ「見て。あれが魔女よ」

さやか「う……グロい」

まどか「あんなのと……戦うんですか……」

マミ「大丈夫。負けるもんですか」

俺(なるほど。確かに昨日の使い魔よりはだいぶ強そうだ)

俺(でも、マミほどではない。俺の出番は、なさそうだな)

42: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:25:05.31 ID:hAVNlr4f0
シュウウウウ

さやか「かっ、勝ったの?」

マミ「これがグリーフシード、魔女の卵よ。これで消耗した魔力を浄化するの」

俺「……マミ。ちょっとそれ貸してくれないか」

マミ「え? かまいませんけど……どうぞ」

俺「…………」

俺(このグリーフシードって……間違いない……)

俺(てことは魔女の正体はおそらく……マミはこのことを……知ってるわけないか)

俺(街の平和のために、正義の味方としてずっと一人で戦ってきたのに……)

俺(その代償が、この仕打ちか。くそっ、あんまりだぜ)

44: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:29:41.80 ID:hAVNlr4f0
マミ「あと一度くらいは使えるはずよ。あなたにあげるわ、暁美ほむらさん」

ほむら「…………」

さやか「あいつ!」

ほむら「貴女の獲物よ。貴女だけの物にすればいい」

マミ「そう。それがあなたの答えね」

さやか「くー、やっぱり感じ悪いやつ!」

まどか「仲良くできればいいのに……」

俺「…………」



ほむら(…………)

ほむら(あの男……俺。今までのループでは、一度たりとも存在しなかった)

ほむら(彼は、一体……ただの一般人なのか、それとも……とびっきりのイレギュラーか……)

46: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:34:18.04 ID:hAVNlr4f0
俺「それじゃ、俺とマミはこれで」

さやか「はーい、さようならー」



マミ「驚きました。俺さんが同じマンションだったなんて」

俺「あぁ、最近引っ越してな……ところで一つ聞いていいか?」

マミ「何ですか?」

俺「マミは……まどかとさやかに、魔法少女になってほしいか?」

マミ「そうですね……叶えたい願いがあれば」

俺「いや、マミ自身についてだ。今までずっと一人で戦ってきたんだろ?」

俺「仲間が、欲しかったんじゃないかと思ってな……」

マミ「…………」

マミ「私……本当は、鹿目さんや美樹さんが思うような強い子じゃないんですよ」

47: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:38:12.90 ID:hAVNlr4f0
マミ「無理してカッコつけてるだけで、一人ぼっちで泣いてばかり」

マミ「魔法少女なんて、いいものじゃないんです」

俺「…………」

マミ「だから……本当は、鹿目さんや美樹さんと一緒に戦いたいんですよ」

マミ「でも……やっぱり危険なことだし、そんなこと言えませんよね」

俺「そうか……」

マミ「やっぱり私……ダメな子ですね」

俺「……大丈夫だ。マミ、お前は一人ぼっちなんかじゃない」

48: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:42:14.86 ID:hAVNlr4f0
俺「俺が一緒にいる。約束する。ピンチの時は、俺が必ず助けてやる」

マミ「えっ……?」

俺「だから……絶望したりする必要なんてない。大船に乗った気持ちでいなよ」

俺「俺と一緒なら……何も怖くないぜ、マミ」

マミ「…………」

マミ「俺さん……あなたは本当に不思議な人ですね」

マミ「なんだかあなたに言われると……本当に、助けてくれそうな気がしてきます」

俺「そりゃそうだとも。実際、本当のことだからな」

マミ「ふふ……元気づけてくれて、ありがとうございます。俺さんの気持ち、凄く嬉しいです」

マミ「でも、本当に戦っちゃダメですよ。危険ですから」

俺「……ま、善処するよ。お、着いたな。それじゃまた」

マミ「はい、ではまた明日」

50: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:45:22.66 ID:hAVNlr4f0
マミ「ただいま」

QB「おかえり、マミ。何だか嬉しそうだね」

マミ「えぇ、実はね……」



QB「へぇ、そんなことが……」

マミ「一人で戦ってきた私のことを分かってくれて……助けてくれるって、言ってくれて」

マミ「私を元気付けるための冗談でも、凄く嬉しかったわ」

QB「冗談、ねぇ……」

QB「まぁ、そうだよね……しょせん伝説は伝説でしかないし……」

マミ「キュゥべえ、何をぶつぶつ言ってるの?」

QB「ごめんごめん、何でもないよ」

マミ「明日も頑張らないとね。鹿目さんや美樹さん……そして、俺さんのためにも」

QB「…………」

51: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:49:17.99 ID:hAVNlr4f0
俺「あれ? まどかとさやかじゃないか。キュゥべえも」

まどか「あ、俺さん。こんにちは」

俺「どうしたんだ、病院なんかで。どこか具合でも?」

さやか「いえ、実は友達のお見舞いに……会えませんでしたけど」

俺「それは残念……ん? これって……」

QB「グリーフシードだ! 孵化しかかってる!」

まどか「嘘……何でこんなところに!」

さやか「……まどか、マミさんを呼んできて。私はここで見張ってる」

52: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:53:08.02 ID:hAVNlr4f0
QB「怖いかい、さやか」

さやか「そりゃまぁ……ね。でも俺さん……まどかと一緒に行かなくてよかったんですか?」

俺「さすがにさやかを一人にするわけにはいかないさ」

さやか「ありがとうございます。いざとなったら……あたし、契約しますから」

俺「……極力やめておいた方がいいな、それは」

俺(どうする? ソウルジェムのことを言うか?)

俺(でも、さやかからマミに伝わるとまずい。やはりここは黙っておくしかないか……)

俺(……マミ……)

54: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 18:57:32.53 ID:hAVNlr4f0
まどか「マミさんはもう、一人ぼっちなんかじゃないです」

マミ「……そうね。そうなんだよね」

マミ「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの? そばにいてくれるの?」

まどか「はい、私なんかでよかったら」

マミ「ありがとう……でも、せっかくだから願いごとは何か考えておきなさい」

マミ「億万長者とか、素敵な彼氏とか、何だっていいじゃない」

まどか「いやぁ……その……」

56: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:01:00.61 ID:hAVNlr4f0
マミ「お待たせ!」

さやか「マミさん!」

俺「マミ……間に合ったか」

マミ「体が軽い……もう、何も怖くない」

QB「気をつけて! 魔女が出てくるよ!」



シャルロッテ「…………」

マミ「一気に決めさせてもらうわよ!」

俺(!! この魔女……マミ、気をつけろ!)

57: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:04:51.09 ID:hAVNlr4f0
マミ「ティロ・フィナーレ!」

ドォン!!

さやか「やったぁ!」

俺「…………」



シャルロッテ「……」ギュルッ

まどか「!」

さやか「あっ!」



マミ「……え?」

58: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:08:04.66 ID:hAVNlr4f0
マミ(あ…………)

マミ(逃げ…………いや、もう…………)



シャルロッテ「……」グワッ



マミ(私…………死ぬの? ここで…………?)

マミ(……………………)

マミ(嫌…………)

マミ(誰、か…………)



さやか「マミさん!」

まどか「いやぁーっ!」



マミ「たすっ……」

59: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:09:26.96 ID:hAVNlr4f0






        「天葬剣技『断頭閃舞(ギロチン・ストーム)』」






61: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:14:02.54 ID:hAVNlr4f0
ズガァァァァァァン!!

シャルロッテ「……!」

俺「危ないところだったな、マミ」

まどか「え……」

QB「そ……そんな、馬鹿な……」

さやか「お、俺さん……?」

マミ「…………」

マミ「俺、さん……」

俺「マミ……約束しただろう」

俺「ピンチの時は、俺が必ず助けてやるってな!」

65: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:17:45.30 ID:hAVNlr4f0
QB「ただの御伽噺じゃ、なかったんだ……」

シャルロッテ「……」ギロッ

俺「……あぁ、魔女さん。動かない方がいいぜ」

QB「『白き剣先は魔の顕現 魑魅魍魎もが凍りつき』……」

QB「『紅き剣戟は死の誘い 森羅万象を血に染める』……」

俺「『断頭閃舞(ギロチン・ストーム)』はお前の体をバラバラに切り刻んだ」

俺「だから……」

66: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:20:35.74 ID:hAVNlr4f0
QB「もう、間違いない……実在したんだ……」

シャルロッテ「……」グワッ

俺「少しでも動くと……終わりさ」

シャルロッテ「……!!!!!」グラッ

ブシュッ ブシュッ ブシュッ

QB「『夢幻塵風(ヘヴン・ブレッザ)』は……実在したんだぁぁぁぁぁぁぁ!」



俺「あばよ。お菓子の魔女さん」

ドォォォォォォォォォン!!

73: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:25:28.52 ID:hAVNlr4f0
マミ「俺さん……わ、私……」

俺「今までずっと一人で、辛かっただろう。でも、もう心配いらないさ」

俺「これから、俺が一緒に戦うよ。だから……何も、恐れることはない」

マミ「……俺、さん……」

マミ「私……頼っていいんですか? あなたを……」

俺「当然さ。さぁ、帰ろうか。マミ」

マミ「俺さん……あの……」

マミ「助けていただいて……ありがとう、ございます……」

俺「気にするなよ。俺達は、仲間なんだから」



ほむら「……一体、何が起こってるの……」

まどか「あ、ほむらちゃん……」

さやか「いや、あたしも何が何だか……」

QB「『夢幻塵風(ヘヴン・ブレッザ)』……あ、あんなの反則だよ……わけがわからないよ……」

74: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:29:02.87 ID:hAVNlr4f0
さやか「…………」

俺「さやかじゃないか。どうした、浮かない顔して」

さやか「俺さん……あの、一つ聞いてもいいですか?」

俺「何だ?」

さやか「俺さんも、魔法使えるんですよね……恭介の腕を治すことって、出来ますか?」

俺「……すまない。『天使の曙光(クラレ・ルーチェ)』という強力な治癒魔法を使えるには使えるが……」

俺「あれで治せるのは魔力絡みのことだけだ。彼のような物理的ダメージには、効果がない」

さやか「そう、ですか……すみませんでした、変なこと聞いて」

俺「いや……力になれなくて申し訳ない」

78: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:32:31.16 ID:hAVNlr4f0
マミ「ティロ・フィナーレ!」

シュウウウウ

俺「討滅完了か……昨日の今日で心配してたけど、調子よさそうだな」

マミ「えぇ。俺さんが助けてくれるって思うと、何のプレッシャーもありませんし」

俺「まぁ、大抵の場合は俺が手を貸すまでもないさ。マミは強いからな」

マミ「そんな……あら?」

俺「……今、確かに魔女の気配がしたな」

マミ「ちょっと遠いかもしれませんね。急ぎましょう」

80: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:35:22.19 ID:hAVNlr4f0
さやか「あ、マミさん。俺さんも」

俺「さ、さやか……その格好……」

さやか「あはは、心境の変化ってやつですよ」

まどか「さ、さやかちゃん……」

マミ「そう……美樹さん、魔法少女になったのね」

マミ「色々思うところはあるけど……そう決心したのなら、何も言うことはないわ。一緒に頑張りましょう」

さやか「……はい!」

俺「…………」

85: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:39:12.20 ID:hAVNlr4f0
俺(さやかは魔法少女になった……好きな男の怪我を治すために)

俺(でも、さやか魔法少女の秘密を知らない……それを知ってしまったら、きっと……)

俺(こうなったら、やるしか……)

ほむら「ちょっと、いいかしら」

俺「……確か、暁美ほむら……だっけか」

ほむら「えぇ、少し時間をくれないかしら。俺……あなたに話があるの」

87: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:42:33.98 ID:hAVNlr4f0
俺「なるほど……何度も別の時間軸をループして、か……」

俺「全てはワルプルギスの夜を倒し、まどかを救うため……」

ほむら「信じられないでしょうけど、事実よ」

俺「いや、これで色々と納得がいったよ。それで、話というのは?」

ほむら「単刀直入に言うわ。ワルプルギスの夜を倒すのに、協力してくれないかしら」

ほむら「あなたの力は私達を上回る……ぜひとも、戦力として欲しいのよ」

俺「……協力するのは構わないが、一つ問題がある」

ほむら「問題?」

俺「あぁ。さやかのことだ」

91: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:46:19.60 ID:hAVNlr4f0
俺「ほむらは、ソウルジェムのこと……魔女のことも、全部知ってるって言ったよな?」

ほむら「……そうね」

俺「もし、さやかがそのことを知ったら……」

ほむら「過去の時間軸では例外なく絶望し、魔女となっていたわ」

俺「……そうか。なら……ワルプルギス戦に参加すると確約は出来ないかもしれない」

ほむら「……どういうこと?」

俺「ソウルジェムのことも、魔女化のことも、全て魔法に起因した変異だ」

俺「だったら、俺の治癒魔法『天使の曙光(クラレ・ルーチェ)』で、人間に戻すことは可能だ」

俺「実際、近いうちに実行するつもりだったしな」

俺「でも……ほむらの話を聞いて、事情が変わったよ」

93: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:49:23.78 ID:hAVNlr4f0
俺「『天使の曙光(クラレ・ルーチェ)』は強力なぶん、消費する魔力も桁違いだ」

俺「使ってしまったらほぼ全魔力を使い果たしてしまい……一ヶ月はしないと、魔力は元に戻らない」

ほむら「そうなると……ワルプルギスの夜とは戦えなくなる、ってことね」

俺「だが、もしさやかが魔女化したら使わざるをえない」

俺「だから……ワルプルギスの夜を倒すまで、ソウルジェムの秘密を守り通さなければな」

俺「さやかにはもちろん……マミにも、な」

ほむら「…………」

95: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:52:59.57 ID:hAVNlr4f0
シュウウウウ

俺「…………」

マミ「美樹さんも、だいぶ慣れてきたわね」

まどか「さやかちゃん……頑張り過ぎじゃない?」

さやか「大丈夫だよ。正義の味方の勤めだし……マミさんに、俺さんだっているものね」

杏子「ちょっとちょっと。何やってんのさ、アンタたち」

さやか「だっ、誰!?」

マミ「……佐倉さん……」

杏子「久しぶりだな、マミ」

96: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:55:11.27 ID:hAVNlr4f0
杏子「さやかっつったっけ? あんた、卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」

杏子「ありゃ使い魔だろ? 4~5人ばかり食ってグリーフシードを孕む魔女になるまで待てよ」

まどか「い……一体、何言って……」

杏子「ふん。人助けだの正義だののために力を使うなんて馬鹿じゃねえの」

さやか「あんた……」

マミ「……あなた、まだそんなことを言ってるのね」

杏子「マミもだ。聞いたぜ、魔女に油断して殺されかけたってな」

97: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 19:58:59.47 ID:hAVNlr4f0
杏子「甘い奴ら同士で集ってるから、そんな落ちぶれるのさ。遊び半分で魔法少女やってんじゃねえよ」

杏子「いっそ、ここでぶっ殺しちまった方が面倒ねぇかもな」

さやか「ふざけんな! 誰が、あんたみたいな奴に……!」

マミ「佐倉さん……あなたと戦いたくはないけど、仲間に手を出すというなら容赦しないわ」

杏子「はっ、何なら二人がかりでも……」



俺「マミ、さやか、下がってろ。俺が戦う」

マ・さ・ま「お、俺さん!?」

99: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:02:11.93 ID:hAVNlr4f0
杏子「何なんだ、あんた。男ってことは魔法少女じゃないはずだが」

俺「かつては『夢幻塵風(ヘヴン・ブレッザ)と言われた者さ……もっとも、今はただの一人の男だがな」

杏子「なんだそりゃ……」

俺「目を見ればわかる……さっきの言葉、本心で言ってるわけじゃないだろ」

俺「剣は嘘をつくことができない。剣を交えれば、お前の考えてることもわかるってもんさ」

杏子「なんだか知らねぇが……やるってんなら、相手になってもらおうか!」

100: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:06:10.31 ID:hAVNlr4f0
杏子「潰れな!」ドゴォッ!!

俺「……!」

ズガァァァァァン!!

マミ「俺さん!」

杏子「ふん、トーシロが……ん?」

俺「へぇ、なかなかの威力だな。マミ級の魔法少女ってのは、間違いなさそうだ」

杏子「おっかしいなぁ……全治3ヶ月ってぐらいにはかましてやったんだが」

杏子「しかし……何ニヤニヤしてんだ?」

俺「いや……ストレートも、なかなか似合ってるじゃないかと思ってね」ヒラヒラ

杏子「そ……それは、あたしのリボン!?」

杏子「い、いつの間に……まさか、今の一瞬で……!」

102: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:09:07.26 ID:hAVNlr4f0
俺「ほら、返すよ……でも、お遊びで済むのはここまでだ」

俺「もし、これ以上を望むというなら……」ゴゴゴゴゴ・・・

杏子「……ぐっ……」

俺「俺も、黙っちゃいないぜ……」

杏子「…………」

杏子「忠告だけはしておくぜ。魔法の力で他人を幸せになどできないって……」

杏子「お前にも、さやかって奴にも……マミにもな」

マミ「…………」

103: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:12:41.75 ID:hAVNlr4f0
ピンポーン

俺「マミ、いるか? ちょっと話がしたいんだが」

マミ『俺さんですね。はい、あがっていいですよ』



俺「そうだったのか……かつて一緒に、ね……」

マミ「彼女は、家族が散り散りになってから……自分のためだけに、その力を使っているんです」

俺「他人のために魔法の力を使っても、幸せになんかならない、か……」

俺「でも、心の底からそう思ってるってことはないだろうな」

マミ「……そう、思いますか?」

俺「実際剣を交えてそう感じたし……マミの弟子だったんだろ? それだけで理由は十分さ」

俺「……助けて、やりたいな。あいつも……」

マミ「……できますよ。俺さんなら、きっと。だって……私も、助けてくれましたから」

マミ「俺さんがいなかったら……本当に、どうなっていたか……感謝してもしきれません」

俺「ははは、そんな大した人間じゃないって」

俺(……佐倉、杏子か……何も起きずに、ワルプルギスの夜を迎えられればいいが……)

105: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:16:04.48 ID:hAVNlr4f0
俺「ワルプルギスの夜が来るまで、あと10日……」

プルルルルル

俺「ん……まどか? 何だろう」

俺「もしもし」

まどか『俺さん、大変です! さやかちゃんと杏子ちゃんが……』

俺「何だって!?」

まどか『マミさんもこっちに向かっています……二人を止めて下さい!』

俺「わかった、すぐ行く! どこだ!」

106: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:19:09.76 ID:hAVNlr4f0
さやか「そんな……」

杏子「それじゃあたし達、ゾンビにされたようなもんじゃないか!」

QB「戦いにはこっちの方が都合がいいだろう?」

俺「…………」

まどか「……俺さん……」

ほむら「……美樹さやかの、ソウルジェムが……」

俺(……遅かったか……)

マミ「う、嘘……嘘よ、そんな……」

マミ「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

俺(…………マミ…………)

107: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:22:39.13 ID:hAVNlr4f0
マミ「……俺さん……」

俺「一日中、そうしてうずくまってたのか……学校も行かずに」

マミ「……もう、いいんです……」

俺「マミ……」

マミ「……もう、いいんですよ……私、死んでるようなものなんですから……」

マミ「それに……私のせいで、美樹さんが……」

マミ「私が……魔法少女に誘ったりしなければ、美樹さんは……!」

俺「ちょっと話を聞いてくれ。ソウルジェムと……ワルプルギスの夜についてだ」

俺「マミの体も……元通りに治すことだって、可能だ」

マミ「……え……」

108: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:25:58.41 ID:hAVNlr4f0
俺「……まぁ、ざっと今話した通りだ。今は無理だが、ワルプルギスの夜を倒したら必ず戻す」

俺「だから……それまで、決して絶望しないでくれ」

マミ「…………」

俺「信じてもらえないのも無理はない。だけど……俺は、何があってもマミの味方だ」

俺「前に約束しただろう。ピンチの時は、必ず助けるって」

俺「疑っているかもしれない。信用しきれないかもしれない」

マミ「…………」

俺「でも……俺を信じてくれ。何があっても……俺は、マミを守ってみせる」

マミ「…………」

マミ「俺さん……」

109: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:29:01.61 ID:hAVNlr4f0
俺「だから、安心して……」

マミ「俺さん!」ダキッ

俺「お、おいマミ!?」

マミ「お願いです、私を……私を、助けて下さい!」

マミ「わ、私……怖くて、本当に怖くて……うぅっ……」

俺「……マミ……」

俺(そうだよな……まだ、中学生の女の子だもんな……)

マミ「お、俺さん……俺さん……」

俺「言ったろ。ピンチの時は……必ず、助けるって」

111: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:32:32.91 ID:hAVNlr4f0
俺「……どうだ、少し落ち着いたか?」

マミ「あ、あの……本当に、すみませんでした……」

俺「無理もないさ。でも、必ず治してみせるから……まず、ワルプルギスの夜を倒さないと」

マミ「……そうですね。もし、倒せたら……その時は、お願いします」

俺「心配するな、任せておけ」

俺(マミの方は何とかなりそうだ……だが、さやかは……)



杏子「お、お前……!」

まどか「さやかちゃん、もうやめて!」

さやか「あはははは! その気になれば痛みなんて、完全に消しちゃえるんだ!」

112: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:36:15.11 ID:hAVNlr4f0
俺「すまないな、みんな。わざわざ集まってもらって」

まどか「……本当にみんなを、治すことができるんですか?」

ほむら「でも、そのかわりに魔力を失い……回復は、ワルプルギスの夜には間に合わない」

杏子「信じて……いいのか?」

マミ「心配ないわ。俺さんは、絶対に助けてくれるから」

杏子「へぇ、こいつのこと誰よりも信頼してるんだな」

マミ「し、信頼って! そりゃ勿論してるけど別にそういう意味じゃなくて!」

杏子「まだ何も言ってねぇだろ……」

まどか「ふふ……マミさん、顔が赤いですよ」

マミ「か、鹿目さんまで! もうっ!」

俺「……おい、何を騒いでるか知らないが話を続けるぞ。選択肢は三つある」

116: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:40:35.01 ID:hAVNlr4f0
俺「まず一つは、このままさやかを放置し……魔女化したら、倒す」

俺「これなら俺が全快の状態でワルプルギスの夜を迎え撃てる」

俺「だが、この選択肢は絶対に採らない。理由は言うまでもないな」

ほむら「……二つ目は?」

俺「さやかを放置し……魔女化したら『天使の曙光(クラレ・ルーチェ)』で全員まとめて治す」

俺「だが、この方法だとワルプルギスの夜とは戦えなくなる。敵の力が未知数な以上、避けたいところだな」

マミ「じゃあ、残る選択肢を……」

俺「あぁ。さやかを魔女化させない……これしかない」

俺「しかし……そのためにどうするかが問題だ」

117: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:43:57.70 ID:hAVNlr4f0
杏子「治せるってことは言ったんだろ?」

俺「言ったんだが、恭介の腕も治せなかったのにそんな話とうてい信じられないって……」

ほむら「美樹さやかは、巴マミほどは俺のことを信頼し切れてないみたいね」

俺「そうだな……ん、待てよ? どうしてさやかは俺の話を信じられないんだ?」

ほむら「それは……あなたの力が、よくわかってないからじゃないかしら?」

杏子「まぁ、あたしもよく知らねぇけどな。腕が立つとは聞いてるが」

俺「つまり……俺の力を示すことができれば、可能性はあるってことだな」

俺「教えてくれ。この辺りで、一番広くて人気のない場所はどこだ?」

まどか「お、俺さん……何を……」

俺「賭けに出てみる。あぁ、心配しなくていい。そんな大それたことが起こるわけじゃない」

俺「せいぜい……少々、地形が変わっちまうくらいさ」

118: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:48:08.95 ID:hAVNlr4f0
さやか「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって言ってたよね。今ならそれ、よく分かるよ」

杏子「さ、さやか……」

さやか「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない」

杏子「お前、ソウルジェムが……」

さやか「魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」



プルルルル

ほむら『今佐倉杏子が接触してるけど、やっぱりダメそう……やるしかないわ。準備はできてる?』

俺『あぁ、いくぜ!』

119: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:52:32.67 ID:hAVNlr4f0
杏子「……やめろ、さやか……」

さやか「あたしって……」

杏子「さやかぁぁぁっ!」

さやか「ホント……」



カッ

さやか「! なっ、何!?」

杏子(始まったか!)

120: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:55:23.52 ID:hAVNlr4f0
ドゴォォォォォォォォッ!!



さやか「な、何……あれ……光の、柱……?」

杏子「……魔法だ。天に向かう、魔力の奔流……そ、それも……桁外れの、威力の……」

杏子(さ……さすがにこれほどとは、予想してなかったぞ……俺……)

QB「な、何だいアレは! あんなの……見たことないよ!」

さやか「キュゥべえ、いたの!?」

QB「一体、誰が……いや、あんなことできるのは一人しかいない……」

QB「『天地を揺るがす其の閃光 次元の壁をも打ち崩し』……」

QB「『安息の世を混沌せしめ 終焉の果てへ駆り立てる』……」

マミ「……そう。あれは、俺さんよ」

さやか「……俺、さんが……」

121: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 20:58:21.83 ID:hAVNlr4f0
マミ「俺さんね、凄く悩んでたの。美樹さんを治せるってことを信じてもらうには、どうすればいいか」

マミ「それで、出した結論が……自分の力を見せること」

マミ「美樹さんも魔法少女なら、わかるでしょう? あの閃光が、どれほどの威力を持っているか」

マミ「しかも……周りへの被害を考えて、あれでも本気の一割も出してないそうよ」

さやか「お、俺さん……そこまで……」

マミ「そうよ。だって『夢幻塵風(ヘヴン・ブレッザ)』と呼ばれて伝説になるほどの人だもの」

マミ「だから、美樹さん……賭けてみないかしら、あの人に。絶望するのは、その後でも遅くないわ」

さやか「…………」

さやか「マミさんは……なんで平気なんですか? こんな体にされて……」

マミ「平気なわけじゃないわ。今だって、本当は凄く怖い。消えてしまいたいほどに」

マミ「でも……私は、俺さんを信じてるから」

122: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:02:13.17 ID:hAVNlr4f0
マミ「確かに俺さんとはまだ会って一ヶ月も経ってない、短い付き合いよ」

マミ「でも……あの人は私を励ましてくれて、助けてくれて、一緒に戦ってくれた……」

マミ「私が、一番頼りにしている人なの。だから、私はあの人を信じてる」

マミ「約束してくれたもの。私がピンチの時は、必ず助けてくれるって。だから、今回も助けてくれる」

さやか「…………」

マミ「美樹さん……」

さやか「……信じて……いいんですか? マミさんを……俺さんを」

さやか「あたしを……助けて、くれるんですか?」

マミ「えぇ、必ずよ。あの人は、そういう人だもの……」



QB「わけがわからないよ……わけがわからないよ……」ガタガタ

124: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:05:12.65 ID:hAVNlr4f0
俺「ふぅ、お待たせ」

マミ「あ、俺さん!」

さやか「……俺さん……お願い、します……」

さやか「あたしを……助けて下さい!」

俺「……当たり前さ! だから、二度と絶望なんてするんじゃないぜ、さやか!」

さやか「……はい! あたしも……俺さんを、信じてみます!」

マミ(……一件落着、ね……)

125: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:08:13.16 ID:hAVNlr4f0
ほむら「お疲れ様。あら、美樹さやかは?」

俺「まどかに謝りに行くってさ。立ち直ったみたいで何よりだよ」

ほむら「そうね……これで、最高の状態でワルプルギスの夜を迎えられる。感謝するわ、俺」

俺「みんなのおかげさ。やっぱり持つべきものは仲間だな」

マミ「俺さん……私、本当に俺さんに会えてよかったです」

俺「い、いきなり何を言い出すんだ、マミ……」

127: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:11:31.93 ID:hAVNlr4f0
マミ「もし、俺さんがいなかったら……私は、今も孤独を感じながら戦っていたかもしれません」

マミ「お菓子の魔女に殺されてもいたし……ソウルジェムのことを知ったら、立ち直れませんでした」

マミ「私、ずっとあなたに頼りっぱなしです。あはは、やっぱり私ダメな子ですね」

俺「いいんだよ、頼って。昔から、女の子を守るのは男の務めっていうしな」

俺「まだ中学生なんだ。だから……無理なんかしなくていい。やれることだけやって……あとは、全部俺に任せな」

マミ「……俺さん……」

マミ「これからも……私と一緒に、戦ってくれますか?」

俺「あぁ……一緒に戦おう、マミ!」



ほ・杏(私達、完全蚊帳の外だ……)

QB「わけがわからないよ……わけがわからないよ……」ガタガタ

128: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:14:42.83 ID:hAVNlr4f0
『避難警報が発令されています、市民の皆さんは避難してください。繰り返します……』



ピンポーン

俺「ん……来たかな」

ガチャッ

マミ「おはようございます、俺さん」

俺「おはよう、マミ。調子はどうだ?」

マミ「ふふ……万全ですよ」

俺「そうか……じゃあ、行こうか」

マミ「はい!」

129: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:17:43.09 ID:hAVNlr4f0
まどか「あ、マミさん! 俺さん!」

マミ「お待たせ。みんな揃ってるようね」

ほむら「みんなバッチリよ。今回は負ける気がしないわ」

俺「でも……本当に、俺は戦わなくていいのか?」

杏子「ま、これは元はといえばあたし達の問題だからな。俺はまどかを守っててくれよ」

さやか「まずいと思った時だけ、助けてくれればいいですよ」

俺「そうか。じゃあ、俺はまどかと一緒に後ろで……」

QB「やれやれ、君のせいで計画が台無しだよ」

俺「キュゥべえ!」

130: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:20:34.77 ID:hAVNlr4f0
杏子「てめぇ、よくノコノコ顔出せたもんだな」

QB「僕のことも大体暁美ほむらから聞いただろう。まどかを契約させるのが目的だって」

まどか「…………」

QB「ワルプルギスの夜なら、きっとそこまで追い込んでくれるかと思ったんだけど……どうやら、僕の負けのようだ」

QB「『彼の者は正に唯一無二 その眼前に敵は無し』」

QB「『彼の者は正に災の風 けして立ち向かうことなかれ』」

QB「君を敵に回した時点で、こうなることは決まっていたのかもしれないね」

QB「さ、僕はもう行くよ。結果が見えてる以上、ここにいる意味はないからね」

マミ「どこに行くの?」

QB「この街を離れて、また新たな魔法少女候補を探すとするさ。じゃあね、マミ」

マミ「…………」

マミ「さようなら……キュゥべえ」

131: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:23:42.26 ID:hAVNlr4f0


まどか「みんな……頑張って!」



さやか「迷惑かけちゃった分、ここで取り返さないとね!」



杏子「あぁ……あたしもな!」



ほむら「今度こそ……勝ってみせる!」



俺「……! 来るぞっ!」



ワルプル「アハハハハハハハハハハハハ!!」

マミ「行くわよ、みんな!」

132: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:26:45.27 ID:hAVNlr4f0
俺「まどか、俺のそばから離れるなよ」

まどか「はい……でも、みんな押してるように見えます」

俺「実際、押してるよ。このままいけばおそらく勝てるだろう」

俺「みんな、最初会った時よりもずっと動きがいい。強くなったよ」

まどか「ふふ……それはきっと、俺さんのおかげですよ」

俺「どういうことだ? 俺がいるから、負ける心配もなく戦えるってことか?」

まどか「はい。でも……マミさんに限っては、それだけじゃないと思います」

134: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:30:37.93 ID:hAVNlr4f0
まどか「きっと……俺さんに、カッコいいところを見せたいんですよ」

俺「え? どういうことだ?」

まどか「それは……ふふ、教えてあげません♪」

俺「なんだそりゃ……」



まどか(『戦いは命がけだし、恋する暇もないわ』)

まどか(『億万長者とか、素敵な彼氏とか、何だっていいじゃない』)

まどか(マミさん……きっと、女の子らしい普通の恋に憧れていたんですよね)

まどか(そして……一緒に歩み、戦ってくれる人が現れた。優しくて、強くて、素敵な人が)

まどか(マミさん……もうみんな、気付いてますよ。マミさんの気持ち)

俺「?????」

まどか(……でも、当人だけは気付いてないみたいですけどね……)

136: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:34:00.85 ID:hAVNlr4f0
ワルプル「ア・・・アハ・・・」

ほむら「あと一息よ!」

杏子「マミ! とどめを頼む!」

さやか「マミさん!」

マミ「…………」

マミ「俺さん、一つお願いがあります」

俺「何だ?」

マミ「手を……握っていて、くれませんか?」

139: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:37:34.44 ID:hAVNlr4f0
俺「……別に構わないが、特に意味があるようには……」

マミ「確かに、威力が増すわけではありません」

マミ「でも……俺さん、あなたに……手を、握っていてほしいんです」

俺「……わかった。ほら……これでいいか?」ギュッ

マミ「……ありがとうございます。これで……何も、怖くない……」

マミ(俺さん……あなたと出会えて、本当によかった……)

ワルプル「ア・・・アハ・・・」

マミ「おやすみなさい……」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

141: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:40:52.02 ID:hAVNlr4f0
『見滝原市を襲った暴風から一ヶ月が経過しました。爪跡は残っているものの、復興は順調に……』



まどか「ねぇ、聞いた? 俺さん、今日から復帰できるって」

さやか「うん。凄かったねー、あの魔法。本当に体が元通りになって……魔法の力だけは残してくれて……」

ほむら「おかげで上條恭介にも告白する決心がついたからね」

さやか「こ、こら転校生! それは照れるからやめろって言ったじゃん!」

杏子「まぁ、あいつがいたら負ける心配が全くなくなるからな。ぶっちゃけあいつ一人でもいいだろ」

さやか「俺さんの復帰はホント嬉しいねー。特に、マミさんにはね」

まどか「そこでさ、ちょっと考えてみたんだけど……」

142: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:43:42.69 ID:hAVNlr4f0
俺「お待たせ、マミ。久しぶりだな」

マミ「あ、俺さん! 今日からまた、よろしくお願いします!」

俺「あぁ、こちらこそ。他のみんなは?」

マミ「そろそろ来る頃だと思うんですけど……」

プルルルルル

マミ「あら……鹿目さん?」

まどか『もしもし、マミさんですか? 実は私達全員行けなくなりまして、今日は俺さんと二人でお願いします』

マミ「え!? ちょ、ちょっと、どういうこと!?」

まどか『そういうことです。じゃ、頑張って下さいね……色々と♪』

ピッ

143: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:46:30.02 ID:hAVNlr4f0
俺「マミ、まどかは何て?」

マミ「あっ!? そ、その……みんな、来れなくなったって……」

俺「そうなのか……ならしょうがないな。二人でやるか」

マミ「え!? あ、はい、そうですね……ふ、二人で……」

俺「よし、じゃあ行こうか、マミ」

マミ(……もう、みんなったら……!)

マミ(でも……今日からまた、俺さんと一緒なのね……)

145: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:49:38.04 ID:hAVNlr4f0
私はずっと一人だった。

頼れる仲間がほしかった。



俺「あれが魔女だな! 行くぞ、マミ!」



魔法少女なんて、いいものじゃない。

女の子らしい、恋もできない。



マミ「はい!」



それでも、あの人は助けてくれた。

みんなみんな、あの人は叶えてくれた。



マミ「俺さん……明日も、明後日も、これからもずっと……一緒に、いてくれますか?」

146: ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ 2012/01/17(火) 21:51:32.47 ID:hAVNlr4f0
俺「勿論さ。これからも……ずっと一緒だ!」

マミ「俺さん……」



俺さん……今なら、迷いなく言えます。



俺「よし今だ、マミ!」



あなたがいれば。

もう、何も怖くない。



マミ「ティロ・フィナーレ!」



END