1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/10(木) 01:39:07.96 ID:gS25HTIP0
>-4/11(月)
:::【陽介の部屋】:::

陽介「言ってる意味がわかんねーよ」

ラハール「・・・貴様は俺様を知らんのか?」

陽介「知ってるわけねーだろ!」

ラハール「・・・だが、貴様の父親と母親は俺様のことを知っている風だったぞ」

陽介「問題はそれだよ。だからお前何なんだって聞いてんだよ。それを・・・なんだ?魔王だ?ふざけんなよ!」

ラハール「ふざけてなどおらん」

陽介「クソッ、一体何なんだよお前は」

ラハール「・・・うんざりしているのは俺様のほうだ。だが、貴様には何か特別なものがあるのかもしれん」

陽介「特別?どういうことだよ」

ラハール「貴様の父親と母親は、俺様を親戚のガキだと言っていた。自分のことを魔王だとか悪魔だとか名乗る痛い癖がある子だとな」

陽介「ああ、俺もそう聞いたよ。お前の親の都合だかなんだかで、今日から一年うちに居候して、俺と同じ高校に通うことになったってのもな」

ラハール「・・・学校にまで通うことになっているのか」

陽介「しかも、俺とお前は年に2~3回は会ってて仲もよくて兄弟みたいな・・・で今日から相部屋だ!?ふざけんな!俺はお前のことなんて昨日まで見たことも聞いたこともなかったっつの!」

ラハール「そのことを、父親や母親には言ったのか?」

陽介「言ったよ。けど、親父もお袋も、何おかしなこと言ってるんだ?って反応だった。おかしいのは俺のほうなのかよ」

ラハール「いや、貴様は正常だ。貴様とは今日が初対面だ」

陽介「・・・少なくとも、話は通じる奴みたいだな。お前」

ラハール「もう一度聞く、貴様は俺様のことを知らんのだな?」

陽介「さ、さっきからそう言ってんだろ。凄んだって駄目だぞ」

ラハール「では、貴様は犯人ではないということか・・・」

陽介「犯人?お前何言って・・・」

ラハール「俺様のレベルを1にし、周囲の人間の記憶を改竄して人間界に送り込んだ何者かがいるはずだ」

陽介「レ、レベル?記憶を改竄?」

ラハール「・・・犯人には心当たりが多すぎるが、最も怪しいのはアイツだな」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404923947

引用元: 陽介「は?魔王?」 ラハール「そうだ」【P4G×ディスガイアD2】 




2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:40:28.54 ID:gS25HTIP0
>-ラハールの回想
:::【魔王城】:::

エトナ「何ですか~殿下?わざわざ呼びつけたりして」

ラハール「暇だ」

エトナ「何ですそれ、知りませんよ!アタシは忙しいんです」

ラハール「俺様は暇だ」

エトナ「じゃあ殿下も手伝って下さいよ。つかテンション低いですねー・・・」

ラハール「断る。大体貴様、一体何をそんなに駆けずり回っているのだ」

エトナ「何やってるのかも知らんで断るって・・・辺境の竜王族と魔界貴族達が戦争起こしそうなんで、未然に仲裁に入ってるんですよ。根回しとかいろいろ大変なんですからね?」

ラハール「アホか。そんなものは双方力付くで叩き伏せろ」

エトナ「アホは殿下のほうですよ。力で押さえつけてるだけじゃ駄目だって、ペタもマオもロザリンドも、ヴァルバトーゼも言ってたじゃないですか」

ラハール「・・・フン、あいつらは暇になったらそれぞれの魔界に帰って行ってしまったではないか」

エトナ「いやまあ・・・っていうか大体殿下、皆帰っちゃって寂しいのはわかりますけど、いつまでもだらだらしてられちゃ困りますよ」

ラハール「だ、誰が寂しがってなどいるか!」

エトナ「殿下です。なんか声も低いしやたら暗いし」

ラハール「ぐっ・・・!」

エトナ「フロンちゃんも大天使になるとか言って、シシリーちゃん連れて天界に帰っちゃいましたしね~」

ラハール「あ、あいつらの話は今は関係ないだろう!」

エトナ「ありますよ。殿下が寂しがってるって話ですからね」

ラハール「貴様・・・!・・・と、とにかく俺様は暇なのだ!どうにかしろ!」

エトナ「どうにかねえ・・・」

ラハール「それも家来の務めだ」

エトナ「わっかりましたよ。じゃあ、"どうにか"しちゃいますんで、今日はもう寝ちゃって下さい。明日から暇じゃないようにしてみます」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:41:52.05 ID:gS25HTIP0
:::【エトナの部屋】:::

エトナ「ってわけでさあ。フロンちゃんが帰っちゃった分、アタシに無茶苦茶言ってんのよ」

フロン『あはは、珍しくエトナさんのほうからご連絡下さったのはそういうわけでしたか』

エトナ「笑い事じゃないよホント。アタシの仕事は手伝わない、けど暇なのはどうにかしろってさあ」

フロン『困ったラハールさんですねえ』

エトナ「しみじみ言ってる場合じゃないっての・・・・・ねえ、フロンちゃんもシシリーちゃんも、まだこっちに帰って来られないの?」

フロン『申し訳ありません。天界も人材不足な上、お恥ずかしい話ですが少し荒れていまして・・・』

エトナ「・・・そっか」

フロン『けど、なんだか嬉しいですねえ』

エトナ「え?」

フロン『最初は私を敵だとまで思っていたエトナさんが、魔界を私の帰る場所だとまで言ってくれるなんて。愛ですねえ』

エトナ「ば、ばか!?べっ、別にそんなんじゃないわよ!殿下がうっとうしいからフロンちゃんに押し付けたいだけなの!」

フロン『うふふ、ではそういうことにしておきましょう』

エトナ「ぬぐぐ・・・!」

フロン『まだそっちに帰ることはできませんが、そのかわり、ラハールさんの暇潰しに良い案がありますよ。暇潰しついでに、魔王のお仕事をしないラハールさんをこらしめちゃいましょう』むふぅ

エトナ「おっ、良いじゃん詳しく聞かせてよ」

フロン『はい。実は人間界で------』

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:42:51.57 ID:gS25HTIP0
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「というわけで、その日はさっさと寝てしまうことにしたのだが、起きてみれば何故か人間界にいて、おまけに俺様のレベルは1にされていたのだ」

陽介「・・・・・・」

ラハール「俺様が寝ている間に、エトナが俺様やこの周囲の人間に何かしたというのが濃厚なのだが、いくらなんでもあいつ一人で出来ることとも思えん・・・」

陽介「ちょ、ちょい待て。突っ込みどころが多すぎて、話に全くついていけん」

ラハール「なんだ貴様、理解の遅い奴だな」

陽介「ふざけんなよ!大体、今の話を信じろってのかよ!?」

ラハール「信じるも何も、貴様の父親も母親も、何故か俺様のことを仲の良い親戚だと言い張る。だが、貴様は俺様のことを知らぬ。このことをどう説明するというのだ」

陽介「いや、それについちゃ確かに俺もわけわかんねーけどよ、それとさっきの突拍子無さ過ぎる話を信じることは別だろ」

ラハール「事実だ」

陽介「魔界だとか魔王だとか悪魔だとか・・・」

ラハール「事実だと言っておるだろう!」


ようすけ~ラハールちゃ~ん、ごはんよ~


陽介「・・・仕方ねえ。とりあえず話は置いといて、飯にしようぜ」

ラハール「・・・俺様もか?」

陽介「当たり前だろ」

ラハール「だが、俺様の話を信じないのであれば、貴様にとって俺様は得体の知れない奴だろう」

陽介「まあな。けど親父もお袋も、お前のことを親戚だって言い張ってんだ。俺だけ否定してたって、俺が変な奴扱いされちまうだけなんだよ」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:43:25.82 ID:gS25HTIP0
>-一時間後
:::【陽介の部屋】:::

陽介「そんで?本当のことを話す気になったか?」

ラハール「先ほど話したことが全てだ」

陽介「・・・あれを信じろっつってもなあ。お前、見た目は普通に俺達と変わんない人間だもんよ。髪型はスゲーけどさ」

ラハール「仕方あるまい。よく見ていろ」

ボッ

陽介「火、火!?手から火が出てんぞオイ!」

ボボボボ

ラハール「これで多少は信用する気になったか?」

陽介「わ、わかったからそれ消せ!その火!」

シュウウ・・・・

ラハール「レベル1にされてしまったとは言え、この程度のことなら造作もない」

陽介「・・・マジで一体何なんだよお前・・・!」

ラハール「さっきから言っておろう」

陽介「・・・?」

ラハール「超魔王ラハール様だ」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:44:31.58 ID:gS25HTIP0
>-4/12(火)
:::【登校道】:::

陽介「言っとくけど、俺はお前を完全に信じたわけじゃないぞ。変なことしたら、親父とお袋が何言おうとたたき出すからな!」

ラハール「貴様にそれが可能とは思えんがな」

陽介「・・・くっ」

ラハール「・・・まあいい。いずれにせよ貴様には、俺様が魔界に帰る手伝いをさせねばならん。多少は人間界の常識にも従ってやろう」

陽介「・・・そうかよ」

ラハール「(それに、かつて母上がしていたような、人間の生活というものに興味が無いわけではないからな・・・)」

陽介「けど、お前ってやっぱ本当に普通じゃないんだな。けっこう飛ばしてんのに、平気でチャリと併走して息も切らしてねえし」

ラハール「人間の軟弱な足腰と一緒にするな。しかし、この学生服というヤツはどうにかならんのか?暑苦しくて敵わん。脱いでも良いか?」

陽介「良いわけあるか!昨日みたいな上半身裸に半ズボンにマフラーなんてイカレタ格好したら、速攻たたき出すからな!?」

ラハール「貴様言うにこと欠いてイカレタ格好だと?」

陽介「イカレタっつって何が悪---」

ドカッ

>-・・・ポリバケツに突っ込んで暴れている人がいる。
>-・・・そっとしておこう。

ラハール「・・・オイ貴様、一人で何を遊んでいる。それも人間の風習か?」

陽介「んがー!?」

ガッ

ラハール「全く世話の焼ける・・・!」

陽介「わ、悪ぃラハール。あぁ!?チャリが!?」

ラハール「道具に頼るからいかんのだ。自分の足で走るんだな」

陽介「そ、そうすっか。このままじゃ、お前が転入初日に遅れちまう」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:46:04.05 ID:gS25HTIP0
:::【教室】:::

モロキン「あー、今日は二人の転入生を紹介する。都会から来たらしいが、うかれるなよお前等!特に女子!」

ラハール「・・・」

番長「・・・」

>-・・・俺だけじゃないのか。
>-この髪型は、今朝見た覚えがある。

男子A「す、すげー何あの髪型?」

女子A「凄いね。ってか外人?」

陽介「(不安だ・・・)」

モロキン「所詮は二人とも、爛れた都会から辺鄙な地方に飛ばされた、いわば落ち武者だ」

番長「・・・誰が落ち武者だ」

>-勇気が上がった。

ラハール「フン、喧嘩を売っているなら話が早い。さっさと表に出ろ」

陽介「(あの馬鹿!つーかもう一人もなんかすげーな)」

モロキン「なっ・・・き、貴様等覚えておけよ!二人とも腐ったミカン帳に書いておいてやるからな」

ラハール「上等だ。面倒だからここでも構わんぞ。さっさとかかってこい」

陽介「(勘弁してくれー!)」

モロキン「なっ!貴様のほうは特によーく覚えておくとしよう!大体貴様等は」

千枝「先生!」

モロキン「ん?」

千枝「転校生達の席、こことここで良いですか?」

モロキン「あ?・・・あー、そうだな」

陽介「(サンキュー里中!あとで何か奢るぜ!)」

モロキン「ほら貴様等、さっさと席につけ!」

ラハール「あ?なんだ、やらんのか?」

モロキン「やるか馬鹿者!今からホームルームだ!」

>-・・・・・・

千枝「最悪でしょ?あいつモロキンっていうんだ」

番長「はあ・・・」

ラハール「・・・」

モロキン「静かにしろ!ホームルームを始めるぞ!」

>-・・・・・・霧が濃いな。

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:47:32.04 ID:gS25HTIP0
>-ホームルーム後

モロキン「では今日はこれまで!明日から通常授業だから覚悟しておけ!特にラハール、貴様だ!」

ラハール「Zzz・・・」

ガラガラ

男子A「見たんだよマヨナカテレビ!俺の運命の相手、山野アナだった!」

男子B「マジで?」

ピーンポーンパーン

放送『全校生徒にお知らせします。学区内で事件が発生しました。繰り返し---』

陽介「事件?まいいや、ラハールお前なー・・・」

千枝「えっ何何?花村、もしかして知り合い?」

陽介「いや、知り合いっつーかさ・・・ってやべ!今日特売あっから店の手伝いしねーと!おいラハール!急いで帰るぞ!」

ラハール「慌しい奴だな。少しは落ち着きを持て」

陽介「お前に言われる筋合いねーっつの!」

千枝「・・・行っちゃった。私たちも帰ろっか」

雪子「そうだね」

>-・・・帰ろう

千枝「あっ、番長君!」

番長「?」

千枝「帰り一人?一緒に帰らない?なんか物騒だしさ」

番長「うん」

千枝「あたし里中千枝、こっちは天城雪子ね」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:48:31.15 ID:gS25HTIP0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「あんま口悪いこと言うなよな」

ラハール「しかし、俺様と一緒にきた奴も似た様なことを言っていたではないか」

陽介「ありゃギリギリセーフだけど、表に出ろとかはいくらなんでもアウトだろ?」

ラハール「・・・難しいものだな。区切りがよくわからんぞ」

陽介「じゃあもう、あんまり言い返さないで、うっとうしい奴は無視しとけ」

ラハール「よかろう」

陽介「はあ・・・ったく」

バッ

ラハール「おい、踏むところだったぞ」

陽介「あ、ああ。これは里中に借りた・・・今日返そうと思って持ってったけど、ドタバタしてて渡し損ねてたんだな・・・悪い、サンキュ!」

ラハール「・・・フン」

陽介「(こいつ、もしかしたら根は悪い奴じゃないのかもしれねーな)」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:49:46.59 ID:gS25HTIP0
>-4/13(水)
:::【登校道】:::

ラハール「・・・オイ。暑くてたまらん。ズボンは我慢してやるから、せめて上ぐらいは脱がせろ」

陽介「だから駄目だっつってんだろ!登校し終わる前に捕まるっつーの!」

ドカッ

ラハール「・・・」

陽介「んがー!?」

ラハール「(よくよく考えればもう場所はわかるのだ。こいつは放っておいても辿り着けるな)」

スタスタ・・・

>-・・・またか。

陽介「ラ、ラハールさっさと助け」

ガッ

番長「大丈夫か?」

陽介「お、おお。助かった。サンキュ、確か、ラハールと一緒に転入してきたやつだよな。名前は確か・・・」

番長「番長だ」

陽介「そうだった。悪い番長。助かった。しっかしラハールの奴先に行きやがったな・・・?」

番長「急がないと、遅れるぞ」

陽介「あぁ、そうだな。ちょっと急ぐか」

番長「二日連続でポリバケツに突っ込んでる奴を見たの、はじめてだ」

陽介「俺もこんな経験初だよ・・・」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:51:49.99 ID:gS25HTIP0
:::【教室】:::

陽介「おいラハール。ひでーじゃねえか、おいてくなんてよ」

ラハール「そんなことまで知るか」

陽介「この薄情者・・・ま、いいや。なあ番長、放課後暇だろ?この町の名物、ビフテキ奢ってやっから、一緒に来いよ!」

番長「え?そんな、悪いよ」

陽介「良いって良いって、今朝助けて貰ったお礼させてくれ!」

千枝「何々?ビフテキ行くの?」

陽介「あっ、そうだ里中、お前にも奢るよ。昨日助けて貰ったからな」

千枝「昨日?昨日ってあたし、何かしたっけ?」

陽介「いや、朝ラハールをさ、モロキンから」

千枝「あ、あーそういえば・・・ってそうだ!ラハール君紹介してよ花村、知り合いなんでしょ?なんかちょっと彼、近寄り難いっていうか・・・」

ラハール「・・・」

陽介「そ、そうだな・・・なあラハール」

ラハール「・・・」

陽介「お、おいラハール。なんか言えよ」

ラハール「うっとうしい奴を無視しろと言ったのは貴様だぞ」

陽介「お前俺がうっとうしいってか・・・!」

千枝「おお、やはり何か近寄り難きものを感じますぞ・・・」

陽介「・・・まあいいや、お前も来いラハール。今日は奢ってやるよ」

ラハール「?」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:52:47.31 ID:gS25HTIP0
>-放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

千枝「あ、何よこれビフテキじゃないじゃん!」

陽介「悪ぃ、三人分はやっぱちょっと無理があった」

千枝「ま、いっか」

ラハール「何だこれは?どう食えばいいのだ」

千枝「え?ラハール君、たこやき食べたことないの?」

ラハール「無い」

番長「これは、こう、ほら」

ラハール「・・・なるほど、こうか」

番長「そうそう」

テレビ『先日、遺体で見つかったのは---』

番長「・・・」

千枝「あ、これ昨日の事件でしょ?」

陽介「近所でこんなヤバイ事件起きるなんてな・・・」

陽介「(まさかラハールなんか関係あったり・・・いや、こいつはずっと俺と一緒にいたな)」

ラハール「あちっ!」

陽介「(・・・まず、そんな奴じゃねーか)」

陽介「そのへんに犯人とかいるかもな」

千枝「や、やめてよ。もっと楽しい話しよ」

番長「楽しい話か・・・」

千枝「そうだ。最近噂になってる、マヨナカテレビって知ってる?」

番長「マヨナカテレビ?」

陽介「雨の夜の午前12時に消えてるテレビを見ると、運命の相手が映る・・・なんつー、しょうもない都市伝説だよ」

千枝「そうそう。今晩雨だしさ、皆で試してみない?」

陽介「お前よくそんな幼稚なネタで盛り上がれんなあ・・・こっちはそれどこじゃないっつーか」

千枝「よ、幼稚!?幼稚ですと!?」

>-・・・・・・

ラハール「うむ。悪くないな、たこやき」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:53:59.33 ID:gS25HTIP0
陽介「こいつら聞いてねーし・・・あっ、小西先輩!」

小西「あぁ、花ちゃん」

陽介「お疲れ様です!」

小西「おつかれー」

陽介「・・・な、なんか、元気無いですね」

小西「んーん、ちょっと、疲れてるだけ」

>-・・・・・・

小西「ねーそっちの二人ー」

番長「?」

ラハール「む?」

小西「転校生なんだって?」

番長「あ、はい」

ラハール「そうだ」

小西「こいつ友達少ないからさ、仲良くしてあげてね」

番長「は、はあ」

ラハール「・・・」

小西「ああ、でも花ちゃん面倒見良くて良い奴だけど、ウザかったらウザいって言いなね?」

陽介「えぇえ?」

番長「いや、そんな」

小西「冗談よ」

陽介「先輩、冗談きついっすよ」

小西「じゃあ私もう行かなきゃ」

陽介「あっ、先輩、こないだの話・・・!」

小西「ああ、うん。良いよ。じゃあ、暇な時連絡するね?」

陽介「マジ?やったー!」

千枝「何々?どしたの?」

陽介「へへ、デートのお約束だよ」

千枝「あーそういうこと」

ラハール「・・・ウザいな」

千枝「お、おお・・・ラハール君刺々しいね」

陽介「お前なー・・・!」

番長「・・・ウザいな」

陽介「ば、番長まで!?」

番長「冗談だ」

陽介「だから冗談きついって!」

ラハール「俺様のは冗談ではないぞ」

千枝「お、俺様?」

陽介「お前なー・・・!」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:55:18.53 ID:gS25HTIP0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「そろそろ十二時か」

ラハール「・・・気にしているのか?マヨナカテレビというやつのことを」

陽介「お前聞いてたのかよ。たこやきに夢中で、話聞いてなかったかと思ったぜ?」

ラハール「反応しないだけで、聞いてはいる。何が俺様が魔界に帰るための手がかりになるか、わからんからな」

陽介「つか、これって二人で見るとどうなるんだろうな?同じ相手が見えたら、運命の相手かぶっちゃうぜ」

ラハール「信じておるのか?幼稚な話だと言っていたのは貴様のほうだろう」

陽介「いや、まあ別に信じちゃいねえけどさ」

>-十二時

陽介「・・・人影?でもなんかぼんやりしてて、よくわかんねえな」

ラハール「このテレビという奴は、つけていなくても勝手に何かが映るものなのか?」

陽介「いや・・・」

ラハール「気になるな。異常な現象というものは、調べてみたい」

陽介「そうだな」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:56:15.33 ID:gS25HTIP0
>-4/14(木) 放課後
:::【教室】:::

千枝「え?テレビに入った?」

番長「うん」

陽介「俺もラハールも、テレビに変な人影が映ってるのは見えたけど」

千枝「あたしも見た!雪子はもう帰っちゃったけど、そもそもマヨナカテレビ見ようとしてないってさ」

陽介「しかし、どうせ夢かなんかだろうけど、テレビが小さくて入れなかったっての、無駄にリアルだな」

千枝「じゃあ大きいテレビだったら入れたりして」

ラハール「・・・行くぞ」

陽介「お、おい、行くってどこに」

ラハール「異常なことを調べたいと言っただろ。大きいテレビがあるところに案内しろ」

陽介「・・・わかったよ。悪いけどお前等、付き合ってくんね?」

千枝「なんか面白そうだから良いけど、番長君は?」

番長「良いよ。行こう」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:58:12.72 ID:gS25HTIP0
:::【ジュネス・家電コーナー】:::

陽介「・・・マジで来たけど、なんか俺等馬鹿っぽくね?」

千枝「まあ良いじゃん。うちテレビ買い換えたかったからさ、調度色々見てみたかったとこなんだ」

陽介「ああそういうこと・・・」

千枝「花村のコネで安くなんない?」

陽介「そういうのは無理無理」

番長「え、コネ?」

陽介「ああ、俺ここの店長の息子なんだ。俺もここに転校して来てんだ。半年ぐらい前にな」

千枝「ジュネス便利だけど、そのおかげで商店街は寂れちゃったよねー」

陽介「おいおい、そういうこと俺の目の前で言う?」

千枝「陰口は嫌いですから」

ラハール「おい、どうだ?」

番長「・・・大きいテレビ・・・だな」

スッ

番長「・・・入った」

ラハール「入ったな。そのまま、入れるか?」

番長「んー・・・」

陽介「・・・・・・は!?」

千枝「ええええええ!?」

陽介「何!?何で!?手品!?」

千枝「何で!?っていうか何で!?」

番長「なんか、空間がある」

陽介「空間って何!?」

千枝「っていうか何!?」

ラハール「入れそうか?」

番長「・・・このままいけば」

陽介「入れそうって、おい!ちょっと!ひ、人来てるって!」

千枝「え、ちょ、ここにテレビに手突っ込んでる人いるんですけど!?」

ラハール「何か不都合があるのか?」

陽介「無駄に冷静に構えてんじゃねー!どど、どうする!?」

千枝「ど、どうするって知らないよ!?」

ドンッ

番長「あっ」

ラハール「む」

千枝「うわっ!?」

陽介「んなっ!?」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 01:59:40.69 ID:gS25HTIP0
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

>-・・・・・・

陽介「な・・・なんだよここ」

ラハール「・・・妙な空間だな」

陽介「み、妙な空間?」

>-・・・霧が濃い。

ラハール「多様な力の混在を感じる。とはいえ、今の俺様にわかるのはその程度だな。俺様が認識し切れないほど広い空間だ。何より、霧が濃くて視界が悪すぎる」

陽介「お前、もしかして、ここのこと知ってんのか?」

ラハール「・・・知らんな。少なくとも来たことはないはずだ」

陽介「本当だろうな?」

ラハール「こんなことで嘘をついて何になる?」

陽介「そ、それもそうか・・・」

千枝「ね、ねえ・・・ここ何?」

>-・・・・・・なんだろう、この感じ。
>-・・・・・・わからない。

番長「わからない。テレビの・・・中?」

千枝「テレビの中って・・・え、これってさ、私達、帰れるの?」

ラハール「・・・」

番長「・・・わからない」

千枝「わ、わからないって・・・」

陽介「と、とにかく落ち着いて出口を探そうぜ。俺達が入ってきた入り口があるなら、出口だってあるはずだ」

番長「俺もそう思う」

千枝「そ、そだね」

陽介(小声)「なあ、もしもの時は頼むぜ。なんか変な危険があるかもしれないからな」

ラハール「・・・まあ、よかろう」

ペタ・・・ペタ・・・ペタ・・・

千枝「な、なにあれ?なんか来る!?」

陽介「に、逃げよう!」

番長「うん」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:01:43.96 ID:gS25HTIP0
:::【マヨナカテレビ・山野真由美の部屋】:::

千枝「何この部屋?なんか・・・嫌な感じ」

陽介「このポスター、どっかで見た覚えが・・・」

ラハール「・・・」

>-・・・・・・

千枝「出よ。なんか、やだ、この部屋」

陽介「そうだな」

ガチャ

>-!?

番長「なんだ、こいつ」

陽介「お、お前何だ?」

クマ「君達こそ誰クマ!」

千枝「しゃ、喋った!?」

クマ「クマは、クマクマ。ずーっとここに住んでるクマ」

バッ

ドカッ

ラハール「貴様、何者だ。人間ではなかろう?」

クマ「ひ、ひいっ!?痛いクマ!?」

陽介「お、おいラハール!あんま手荒なことは・・・」

ラハール「言え。何者だ。言わなければ・・・!」

ボッ

クマ「ひえええ!?」

ボボボボ

千枝「ええええ!?何!?何その火!」

番長「明るい」

陽介「待て待て待てって!落ち着かないと話も出来ないだろ!?な!?」

ラハール「チィッ・・・」

シュウウウ・・・

クマ「ク、クマはクマだってさっきから言ってるクマ・・・と、とにかく、早くあっちに帰るクマ!そうしないとシャドウが、シャドウが・・・!」

ラハール「あっち?あっちとは何のことだ?」

クマ「い、良いからこれを使って早く!」

番長「これ・・・って、眼鏡?二つ?じゃあ、ラハールも、はい」

ラハール「何だ。これを付ければ良いのか?」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:03:13.97 ID:gS25HTIP0
>-・・・霧が晴れて見える。

ラハール「視界が・・・」

番長「・・・何だ?あれ」

クマ「き、来たクマーーーーっ!」

ダダダダダダダダ

千枝「な、なによ・・・アレ」

陽介「な、なんだ?」

>-・・・何だアレ?

失言のアブルリー「・・・!」

ラハール「来るぞ!」

陽介「く、来るってなんだよ!?」

千枝「と、とにかく逃げよ!」

ラハール「オ、オイ、何も逃げる必要は・・・全く・・・!」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:05:16.16 ID:gS25HTIP0
>-・・・・・・

千枝「キャッ!」

陽介「里中!や、やべえ・・・もう、逃げ場が・・・!」

ラハール「わかりやすくて良いではないか」

陽介「わ、わかりやすい?」

ラハール「こいつらが見せているのは、剥き出しの、殺意だ」

千枝「殺意って・・・嘘・・・うっ!」

陽介「里中!?駄目だ、気絶しちまった・・・!」

ラハール「良いんだろう?陽介、やっても!」

陽介「やってもって・・・お前、やれんのか?」

ラハール「俺様を誰だと思っている!」

>-汝は我、我は汝。

番長「ペルソナ」

>-カッ

陽介「なっ、何だ何だ!?」

ラハール「・・・ほお、貴様もやれるのか?」

番長「・・・多分」

ラハール「良し、二対三だ。リハビリには良かろう」

ボッ

ラハール「ハーッハッハッハッハ!」

>-ファイア

ゴオッ!

番長「イザナギ!」

>-カッ

バチバチバチ・・・

陽介「す、すげえ・・・!」

ラハール「フン、他愛も無い」

番長「・・・これが・・・俺の・・・力・・・?」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:06:29.09 ID:gS25HTIP0
>-・・・・・・

陽介「里中!しっかりしろ!」

里中「ん・・・あ、あれ?さっきの、変な奴等は・・・?」

陽介「こいつ等がやっつけた」

番長「うん」

ラハール「あの程度、相手の内に入らん」

里中「マ・・・マジ?」

陽介「マジだよ。つーか凄ぇな番長。さっきのアレ、ペルソナっつったっけ?」

番長「・・・俺にも、良くわからない」

ラハール「・・・(本当に解っていないようだな。あれは一体・・・)」

里中「っていうかそんなことより、またさっきの変なの来ない内に、こんなとこ早く出ようよ!」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:07:57.77 ID:gS25HTIP0
>-最初にいたところに戻ってきた。

クマ「君達!シャドウはどうしたクマ!?」

陽介「シャドウ?さっきの奴等のことか?」

ラハール「なるほど貴様の手の者だったのか?なんだ話が早いではないか」

ボッ

クマ「クマーッ!?」

陽介「だ、だから落ち着けってお前は!」

クマ「ムキー!クマだって迷惑してるクマよ!最近こっちによく人が来てシャドウが暴れてるから!」

ドンッ

>-・・・テレビ?

クマ「ほらほら帰った帰った!」

陽介「え?お、おい!」

ラハール「む、おい花村!押すな!」

陽介「い、いやこのクマが!」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:09:33.08 ID:gS25HTIP0
:::【ジュネス・家電コーナー】:::

千枝「・・・帰ってきた?」

陽介「帰ってきた・・・みたいだな」

ラハール「チィッ・・・奴の言っていたあっちというのは、人間界のことか・・・!」

>-・・・人間界?

番長「・・・あ、このポスター」

千枝「・・・演歌歌手の、柊みすず?」

陽介「あー、死んだ山野アナの、不倫相手の嫁さんだろ?」

番長「さっきの部屋に、同じポスターがあった。顔が切られてたけど」

千枝「え、じゃあさっきの変な部屋って・・・」

番長「・・・山野アナが死んだことに、何か関係がある・・・?」

ラハール「・・・」

陽介「も、もうやめようぜ。そういう話、なんかメンタル的に無理だわ」

ラハール「帰るぞ」

陽介「お、おう」

千枝「あっ、ちょっと待って、あの火を出すのって」

ラハール「・・・俺様にもよくわからん」

千枝「えぇ?」

ラハール「貴様もそうだろう?先ほどの力のこと、良くわからぬのであろう?」

番長「うん・・・まあ」

千枝「先ほどの力・・・?そういやさっきも」

ラハール「そういうことだ。帰るぞ花村」

陽介「お、おう。そういうことだから、じゃあまた明日な」

千枝「ちょ、ちょっと・・・まあいいや、なんか寒くなってきたし、早く帰りたい」

番長「うん」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:11:13.78 ID:gS25HTIP0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「おい、良くわかんないってどういうことだよ?」

ラハール「そういうことにしておいたほうが都合が良かろう。なにやら、人間界には魔界に関する知識が無いようだからな」

陽介「ま、そうか・・・」

ラハール「しかし気になる。テレビの中のことといい、奴の使ったペルソナという力のことといい」

陽介「・・・あれって、やっぱお前に何か関係あったりするんじゃねえの?非常識なものに触れてる一般人の身としては、なんか繋がりがあったりするんじゃないかって思っちまうんだけど?」

ラハール「・・・わからん。俺様が人間界に送り込まれたことと無関係だとは断言出来んが、少なくとも俺様にはテレビの中にあった世界のことも、奴の使った力のこともわからんな。まあ、貴様には信じられんことかもしれんが」

陽介「・・・信じるよ」

ラハール「花村・・・」

陽介「何だかんだで助けられちまったし、何かお前見てると、悪い奴じゃないって気してきたしな」

ラハール「・・・フン。好きにしろ」

陽介「とにかく、お前が火を出したことは、お前自身もよくわかんない力だってことにしとくんだな?」

ラハール「ああ。それと、もう一度あの世界に行くぞ!クマとかいう奴の力で、あの世界から人間界に帰って来られたのだ。奴を利用すれば、俺様が魔界に帰る手段が得られるかもしれん」

陽介「そ、そうだな・・・不安だけど、タイミング見てもっかい行くしかねーか」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/10(木) 02:12:46.72 ID:gS25HTIP0
>-次回予告!
>-BGM:頑張れ女の子

エトナ「突然ラハール殿下がいなくなり、新美少女魔王エトナは大忙し!」

ラハール「おい」

エトナ「数々の根回しと暗さ・・・作戦を経ても、竜王族と魔界貴族達の戦争は止まりそうにないの!」

ラハール「今暗殺って言おうとしただろ」

エトナ「けど、美少女魔王エトナは負けない!亡きラハール殿下のためにも!」

ラハール「おいコラ」

エトナ「地獄で見ていて、ラハール殿下!エトナは立派に・・・立派に魔王を勤めて見せます!」

ラハール「ふざけるな!」

エトナ「次回、新美少女魔王エトナ!美少女と戦争」

ラハール「・・・もう好きにしろ」

エトナ「私は負けない!殿下の遺影に誓って!」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:40:17.48 ID:3MUHxw6A0
>-4/15(金)
:::【教室】:::

陽介「昨日からずっとメールしてんのに返事がないんだよなー。なんか嫌われるようなことした?俺」

番長「小西先輩か?」

陽介「そうそう」

ラハール「嫌われるようなことといえば・・・存在ではないか?」

陽介「へこむから冗談でも勘弁してくれ」

ラハール「別に冗談を言ったつもりでは」

>-パトカーのサイレンが聞こえる。

番長「また事件・・・か?」

ラハール「・・・」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:41:11.95 ID:3MUHxw6A0
>-生徒が体育館に集められた。
:::【体育館】:::

陽介「あれ?天城はどうした?」

里中「なんか家の手伝いあるらしくて帰っちゃった。ほら、旅館の」

陽介「大変だな・・・」

ラハール「旅館?旅館とはなんだ?」

里中「あ、雪子んち、このへんで一番大きな老舗旅館なんだ。雪子はそこの次期女将さんだね」

ラハール「?」

陽介(小声)「旅館についてはあとで教えてやる」

ラハール「そうか」

陽介「・・・つーか、先輩どうしたんだ?ここにも来てねーみたいだし、連絡取れねえし・・・」

モロキン『静かにしろ!今から校長先生からありがたいお話があるからな!』

校長『えー・・・本日は皆さんに、悲しいお知らせがあります。3年B組の小西早紀さんが、今朝早く、遺体で発見されました』

陽介「・・・は?」

ラハール「何だと?」

番長「え・・・」

里中「・・・花村」

陽介「・・・・・・!」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:42:14.64 ID:3MUHxw6A0
:::【実習塔・1F廊下】:::

男子A「山野アナの時みたいに逆さ吊りだったらしいぜ」

男子B「今度は電柱だってな」

陽介「・・・」

>-・・・そっとしておこう。

番長「今は、一人にしてあげよう」

千枝「うん・・・」

番長「ラハール。行こう」

ラハール「貴様等は先に行け。俺様は話がある」

番長「・・・わかった」

陽介「・・・」

ラハール「・・・二日前」

陽介「え?」

ラハール「俺様が小西という女を見たときは、自ら死を選ぶような人間には見えなかったがな」

陽介「当たり前だろ!ふざけたこと言うんじゃねえよ!」

ラハール「落ち着け馬鹿者。自ら命を絶ったわけでないということは」

陽介「・・・わかってるよ。先輩は、誰かに殺されたんだ・・・!」

ラハール「マヨナカテレビ」

陽介「・・・マヨナカテレビ?」

ラハール「昨日、貴様が疲れて早々に寝静まってしまった後、俺様は再びマヨナカテレビを見た」

陽介「・・・何が、映ってたんだ?」

ラハール「おそらくだが、あの小西とかいう女だ。二日前よりは多少はっきりと映っていた」

陽介「小西先輩が・・・?」

ラハール「山野とかいう女が死んだ事件。にゅうすとやらで何度も見たが、あの事件はテレビの中の世界に関係しているかもしれん」

陽介「・・・どういうことだ?」

ラハール「昨日あの世界に行ったとき、妙なポスターが貼られていた部屋があったことを覚えているであろう?」

陽介「妙なポスター・・・柊みすずか」

ラハール「そうだ。マヨナカテレビのことを話している餓鬼共の話を聞けば、山野とかいう女が映っていたのを見たという者もいるようだ」

陽介「・・つ、つまり何だ?マヨナカテレビに映ったら、殺される。そう言いたいのか?昨日の変な部屋が、山野アナが死んだ事件に関係してるって」

ラハール「現象と状況だけを見ればな。誰がどうやってやったかまでは知らんぞ」

陽介「・・・」

ラハール「貴様に言いたかったのはそれだけだ。後は貴様がどうするか。どうしたいかを考えるのだな。俺様はいずれにせよ、もう一度あの世界に行くぞ」

陽介「・・・ああ」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:43:41.07 ID:3MUHxw6A0
>-昼休み
:::【屋上】:::

陽介「悪いな、集まって貰っちまって」

里中「良いよ。何?話って」

陽介「もう一度、テレビの中の世界に行きたいんだ」

里中「は!?もう一度って」

番長「・・・マヨナカテレビか」

陽介「ああ」

里中「ど、どういうこと?」

番長「実は俺、昨日もマヨナカテレビを見たんだ」

陽介「どうだった?」

番長「映っていたのは・・・小西先輩、だったような気がする」

里中「・・・え?」

陽介「そっか・・・実はラハールも見たらしいんだ。昨日、小西先輩がマヨナカテレビに映っていたのを」

里中「ラハール君も?」

ラハール「そうだ」

陽介「山野アナも、何日か前にマヨナカテレビに映ってたらしいんだ」

里中「え、山野アナも?それって・・・」

陽介「昨日テレビの中に入った時に、変な部屋があったろ?山野アナが死んだことに関係してるかもしれないって話してた」

番長「あったな」

里中「あの気味悪い部屋か・・・」

陽介「小西先輩が死んだことも、あっちの世界に何か関係があるかもしれない。俺はそれを知りたいんだ」

里中「花村、け、けど・・・」

陽介「番長がいてくれれば、あっちの世界に入れる。着いて来てくれとまでは言わないから、放課後、テレビの中に俺達が入れるようにして欲しい」

里中「お、俺達?」

陽介「ラハールも、来てくれるって言ってるんだ」

番長「ラハールも?」

ラハール「ああ。俺様は俺様で、気になることがあるのでな」

番長「・・・そうか。わかった。放課後、ジュネスに行こう」

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:44:58.36 ID:3MUHxw6A0
>-放課後
:::【ジュネス・家電コーナー】:::

千枝「ねえ、やっぱやめようよ!また昨日みたいに変な奴等出てきたらどうすんのよ!」

陽介「こいつがいれば大丈夫さ」

ラハール「あの程度なら問題ない」

番長「・・・俺も行こう」

陽介「マ、マジ?お前がいてくれるとすげーたのもしいわ」

ラハール「足を引っ張るなよ?」

番長「ああ」

千枝「番長君まで・・・待ってってば!同じところに出られる保障もないし、昨日のクマに会える保障もないじゃん!」

陽介「・・・じゃあ番長、これはお前に渡しとくよ」

番長「ゴルフクラブ・・・か」

陽介「親父がもう要らねえって言ってた物だけど、こんなもんでも無いよりゃマシだろ」

番長「・・・ラハールは、どうするんだ?」

ラハール「あの程度なら素手で構わん」

番長「そうか」

千枝「だ、だから待ってってば!」

陽介「里中、大丈夫だ。お前は来なくて言い」

千枝「えぇ・・・?」

陽介「確かに、昨日と同じ場所に出られるかわからないし、昨日のクマに会えるかもわからない。だからお前はこれを頼む」

千枝「な、なにこれ・・・」

陽介「命綱だ。これを俺達に結んどくから、いざって時は引っ張り上げてくれ」

千枝「こ、こんなので・・・」

陽介「小西先輩のためにも・・・行きたいんだ、俺は」

千枝「花村・・・」

ラハール「行くぞ」

番長「うん」

千枝「あっ、だから待ってってば!」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:45:54.14 ID:3MUHxw6A0
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

陽介「い、いてて・・・ケツから落ちた」

番長「・・・前と同じ場所だ」

ラハール「そのようだな」

クマ「キ、キミタチ!?また来たクマか!?」

陽介「おう。また来たぜ」

ラハール「調度良い」

クマ「な、何クマ!?」

ラハール「痛い目にあいたくなければ、俺様の質問に答えろ!」

クマ「何クマー・・・?」

番長「落ち着けラハール。暴力は良くない」

ラハール「落ち着いていられることではない!締め上げてでも聞くことがある!」

クマ「オヨヨヨヨ~・・・」

ラハール「オイ貴様、昨日この世界と外にある人間界にゲートを開いただろう。貴様は時空の渡し人か?」

クマ「な、何のことクマ?クマはただのクマクマ・・・」

ラハール「む・・・では質問を変えるが、貴様、この外の人間界以外の、更なる違う世界にゲートを開くことは出来るか?」

クマ「む、無理クマよー・・・クマに出来るのは、あっちの世界とこっちの世界を行き来させることだけクマ。あっちの世界から入った人を、同じところに帰してるだけクマ」

ラハール「チッ・・・」

陽介「おいラハール、もうそのへんにしとけ。怖がってんだろ」

ラハール「フン。もう俺様の用は済んだ」

番長「そうか」

ラハール「あとは、貴様等の用事だな」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:48:15.46 ID:3MUHxw6A0
クマ「・・・なんかキミタチ怪しいクマ。さてはキミタチが犯人クマね?」

陽介「何のことだよ?」

クマ「最近霧が晴れる頃にあっちの世界からこっちに人を放り込んでるヤツがいるクマ!」

番長「霧?」

クマ「あっちで霧が出た日は、こっちで霧が晴れるんだクマ」

番長「そういえば、山野アナの時も、今回も・・・事件の日には霧が出てたな」

クマ「キミタチは自分でここに来られるみたいクマ。それならここに人を放り込むことも出来るはずクマ!だからキミタチが犯人だクマ!」

陽介「ふざけんな!んなわけあるか!」

ラハール「というより、貴様が一番怪しいのだがな」

クマ「ク、クマはずっとこっちの世界にいるクマだって言ってるクマ!」

番長「もしかして、小西先輩も山野アナも、自分の意思でこっちに来たわけじゃなくて、無理やり放り込まれたのかも・・・」

クマ「だーかーら!その犯人がキミタチなんでしょーが!正直に言ったほうが身のためクマよ!」

ラハール「おい、こいつ殺して良いか?」

クマ「クマーーッ!?」

陽介「だからお前は落ち着けって!物騒なことばっか言ってんじゃねえっつの!」

ラハール「先に喧嘩を売ってきているのはこいつのほうだろうが!」

番長「落ち着け」

ラハール「む・・・」

番長「俺達は、この世界と事件が何か関係があるのかもしれないと思ってここに来たんだ。知ってることがあるなら教えて欲しい」

クマ「事件とこの世界の関係クマか?」

番長「そうだ」

クマ「本当にキミタチは犯人じゃないクマね?」

ラハール「しつこいぞ貴様!」

クマ「ひいっ!?」

番長「落ち着け」

ラハール「・・・わかっておる」

クマ「あ、あの人怖いクマ・・・」

番長「大丈夫だ。俺達はお前に何もしない」

クマ「クマ・・・ありがとクマ」

陽介「な、なんか番長って凄ぇな」

ラハール「俺様が凄んでも何一つ動じんとはな。人間にしては、度胸がある」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:49:52.77 ID:3MUHxw6A0
クマ「クマ・・・キミタチが犯人じゃないって信じても良いクマ」

陽介「なんだよ急に掌返して」

クマ「その代わり、本当の犯人を探し出して、こんなことやめさせて欲しいクマ」

番長「犯人探し?」

陽介「何で俺達がそんなことしなきゃいけないんだよ?」

クマ「クマにはキミタチしか頼める人がいないんだクマ。クマはただここで静かに暮らしたいクマ・・・けど最近は騒がしくて大変クマ・・・」

ラハール「・・・」

番長「わかった」

陽介「お、おいおい。何でまた?」

番長「いや、なんか可哀想だし。もう知り合いだろ?」

陽介「お前って凄ぇなー・・・」

クマ「本当クマ?」

番長「ああ」

クマ「やったー!」

番長「その代わり、お前にも協力して貰うぞ。クマ」

クマ「わかったクマ!」

陽介「・・・まいいか」

ラハール「オイ、俺様は知らんぞ。今回はこの世界に知りたいことがあるかと思って来たが、特に収穫はなさそうだからな」

番長「そこをなんとか、手を貸してくれないか?」

ラハール「断る。そこまでの義理はない」

番長「・・・そうか」

陽介「って、そういや命綱は・・・」

番長「切れてるな」

陽介「あちゃー・・・」

番長「外で里中が心配しているはずだ。一旦クマに会えたことを伝えてくる」

陽介「おう。じゃあ俺達は待ってるわ」

番長「クマ。一度あっちの世界に戻してくれ」

クマ「はいクマ!」ぼんっ

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:52:00.18 ID:3MUHxw6A0
ラハール「・・・一体なんなのだアイツは?お人よしにも程がある。天使じゃあるまいし・・・」

陽介「ま、俺も困ってる人は助けなさいって小学校の先生に言われてっけど、今回の件は軽く引き受けるには事が大きすぎるよな」

ラハール「困ってる人は助けなさいだと?アホか?何故そんなことをせねばならん」

陽介「人が困ってる時に助けてあげたら、自分が困ってる時に助けてもらえるだろ?そういう理想論みたいなもんだよ」

ラハール「・・・・・・ならば俺様には必要無い。俺様は一人でも強いからな」

陽介「つってもお前、現に今困ってんじゃん?」

ラハール「それは・・・!」

陽介「とりあえず、今後どうするかは別として、今日んところは付き合おうぜ。俺も先輩がなんで死んだか気になるし・・・まだこの世界に手がかりが何も無いって決まったわけじゃないだろ?」

ラハール「・・・それもそうだが、アイツがいればなんとかなるだろう。別に俺様がいなくても良いのではないか?」

陽介「そう言わずにさ。また今度たこやき奢っから!」

ラハール「た・・・たこやきか・・・!?よ、よし。良いだろう。だが勘違いするな!たこやきに釣られた訳ではないからな!」

陽介「はいはい。なんかお前のこと、ちょっと解ってきたわ」

ラハール「知った風な口を聞くな!」

陽介「っと、戻ってきたみたいだな・・・って里中!?」

番長「ただいま」

里中「あ、本当にクマいるじゃん」

クマ「はぁーいラブリーなクマクマよー」

陽介「なんで!?お前は来なくて良いって言ったじゃんか!」

里中「いやいや、あんたらがどうなってるのかも解らないで外で待ってるとか絶対無理だから!ま、クマがいて帰れるってわかったんだしね。私も行く」

陽介「・・・仕方無いか。番長とラハールから離れんなよ」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:53:12.94 ID:3MUHxw6A0
:::【異様な商店街】:::

陽介「なんだここ?まるで八十稲羽の商店街じゃん」

千枝「け、けどなんか空気悪い・・・」

クマ「このあたりでー、この間女の子を見かけたクマよ」

陽介「女の子・・・?ってもしかして、この写真の人じゃなかったか!?」

クマ「そうクマ!この子クマ!確か、あのお店に入っていって、気配がなくなったクマ」

陽介「・・・先輩の店だ」

千枝「ね、ねえ、なんか聞こえない?」

おばさんA『聞いた?小西さんちの早紀ちゃん。ジュネスでバイトしてるんだって』

おばさんB『困ったもんよね。ジュネスが出来たせいで商店街が大変だっていうのに』

おばさんA『ご両親も可哀相だわ。お店も大変でしょうに』

ラハール「・・・」

陽介「・・・クソ!何だよこれ!ふざけんな!誰が言ってんだよ!」

ダッ

番長「花村!」

ラハール「追うぞ」

番長「うん」

里中「あの馬鹿、人には離れるなとか言っといて!」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:55:28.15 ID:3MUHxw6A0
:::【小西酒店】:::

小西(父)『何度言やわかるんだ早紀!小西酒店の長女として、恥ずかしくねえのか!』

陽介「な・・・なんだ?」

小西(父)『よりによってジュネスなんかでバイトしやがって!』

陽介「親父さんの声・・・?なんで・・・?誰がいるのか!?」

小西早紀『・・・ずっと・・・言えなかった』

陽介「こ、小西先輩!?どこですか!?」

小西早紀『私・・・花ちゃんのこと・・・』

陽介「お、俺の・・・こと・・・?」

ラハール「・・・」

小西早紀『ウザイと思ってた』

陽介「・・・え?」

ラハール「・・・やはりか」

小西早紀『ジュネスの店長の息子だから仲良くしてただけなのに、勘違いして勝手に盛り上がって』

陽介「そんな・・・!」

小西早紀『ホント、ウザイ』

陽介「ウザイ・・・?」

千枝「花村・・・」

小西早紀『ジュネスなんてどうだって良い。ウチの店も、親も!商店街も!全部なくなればいいのに!』

陽介「・・・嘘だ・・・嘘だ!先輩はそんな人じゃねえ!」

陽介のシャドウ『はは・・・はっはっはっは!』

ラハール「何だ?」

里中「な、何?一体・・・」

クマ「ひぃっ!?」

陽介のシャドウ『悲しいなあ、可哀相だなあ、俺』

陽介「何だよ・・・」

陽介のシャドウ『何もかもウザイと思ってんのは、こっちのほうだっつの』

陽介「何なんだよこれ・・・」

陽介のシャドウ『なあ、俺?』

陽介「俺・・・?」

里中「は、花村が二人!?」

クマ「オヨヨ~・・・!」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:57:47.90 ID:3MUHxw6A0
陽介「・・・お前、誰だ?」

陽介のシャドウ『俺はお前だ』

陽介「・・・俺?」

陽介のシャドウ『小西先輩のためなんてカッコつけたこと言ってるけど、俺には解ってるんだぜ?』

陽介「な、なんだと?」

陽介のシャドウ『お前は単に、この場所にわくわくして来ただけなんだろ?』

陽介「え・・・?」

陽介のシャドウ『退屈すぎる田舎暮らしにうんざりしてるもんな?ラハールのことだって、刺激的で面白そうだから付き合ってやってるもんなあ?』

陽介「お、俺はそんな・・・」

ラハール「・・・」

陽介のシャドウ『あわよくばヒーローになれると思ったんだよなあ?大好きな先輩が死んだっていう、それっぽい口実もあるしさ。はは、ウケるぜ』

陽介「お前何なんだ・・・何言ってんだよ!」

里中「花村・・・」

陽介のシャドウ『我は影、真なる我。さっきから言ってんだろ?俺はお前さ。お前の、影だ』

陽介「ふざけんな!俺は・・・俺はお前なんか知らない!」

陽介のシャドウ『はははは・・・あーそうかよ』

陽介「お前なんか、俺じゃない!」

陽介のシャドウ『そうだな。もう、お前なんか俺じゃない!俺は俺だ!』

ゴッ

クマ「ひえーっ!?人からシャドウが!?」

千枝「なっ、何これ!?」

番長「デカい・・・里中は下がれ!」

千枝「わ、わかった!」

陽介「こんな・・・なんだよ・・・なんなんだよ・・・?」

ラハール「チッ」

陽介のシャドウ『[ピーーー]』

陽介「・・・」

バッ

ラハール「ボケっとするな!貴様死にたいのか!」

陽介「お、俺は・・・」

ラハール「腑抜けおって・・・!」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:59:57.91 ID:3MUHxw6A0
番長「イザナギ!」

>-カッ

陽介のシャドウ『邪魔なんだよ!どけ!』

番長「くっ、重い!?」

ラハール「(・・・あれでは、長くはもたんな)」

陽介「ラハール・・・俺は・・・」

ラハール「話は後だ!下がれ!」

陽介「あ、ああ・・・」

番長「くっ・・・!」

ラハール「くらえ!」

>-ウィンド!

陽介のシャドウ『効かないんだよォ!』

ラハール「無効だと!?耐性か・・・!」

番長「この間の奴等とは桁違いだ」

ラハール「・・・そのようだな」

里中「花村!」

陽介「違う・・・あんなの・・・俺じゃない・・・」

クマ「・・・アレは元々ヨースケの中から出てきた物クマ」

陽介「そんな・・・!」

陽介のシャドウ『お前は孤立するのが怖いからヘラヘラしてんだろぉ?一人ぼっちは寂しいもんなあ?怖いもんな?』

ラハール「うるさい奴だ・・・!」

>-ファイア!

番長「イザナギ!」

>-カッ

陽介「嫌だ・・・嫌だ!あんなの俺じゃない!」

ダッ

ラハール「離れるな阿呆!」バッ

陽介のシャドウ『へへ・・・』シャッ

陽介「!?」

ラハール「世話の焼ける・・・!」シャッ

ドカッ

ラハール「ぐふっ・・・!」

陽介「ラハール!?」

ラハール「くっ・・・一人で飛び出すな!こっちの身がもたん!」

陽介「ラハール・・・」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:01:31.15 ID:3MUHxw6A0
里中「な、なにこれ、周りが・・・!?」

クマ「ま、周りのシャドウが共鳴を始めたクマ!今の内に止めないと、ヨースケのシャドウと融合して大変なことになるクマよ!」

番長「そう言われても・・・」

陽介のシャドウ『俺は全部知ってるぜえ?ほんとはウザがられてるの解ってるくせに、良い人ぶって、頼られてるつもりでいたんだよな?』

陽介「だ、黙れ!」

陽介のシャドウ『小西先輩のことだって、別に好きじゃなかった。退屈で、刺激が欲しくて、それで遊びたかっただけなんだろ?』

陽介「違う!」

ドガッ

ラハール「いい加減にしろ!」

陽介「痛っ!な、何で・・・?」

里中「ラハール君!?ちょ、ちょっと・・・」

ラハール「さっきから聞いておればウダウダとぬかしおって!退屈だった、刺激が欲しかった、結構なことではないか。何をそんなに嫌がっておるのだ!」

陽介「お・・・俺は・・・」

番長「先輩のことは、本当に好きだったんだろ?」

陽介「あ・・・ああ、本当に・・・好きだった」

番長「なら、良いじゃないか」

陽介「番長・・・」

陽介のシャドウ『おいおいおい、勘弁してくれよ』

ラハール「黙れ!」

>-獄炎ナックル!

ドドーン!

陽介のシャドウ『!?』

番長「・・・いつの間にそんな」

ラハール「俺様は殴られるだけでも殴るだけでもレベルを上げる。貴様と違ってな」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:02:29.50 ID:3MUHxw6A0
陽介「・・・」

ラハール「自分が怖いのか?」

陽介「え・・・?」

ラハール「この数日程度の観察に過ぎんが、俺様から見れば貴様等は不思議な生き物だ。嫌なことを嫌と言えん。したいことをしたいと言えん」

陽介「ラハール・・・」

ラハール「しかしそれは、貴様等の常識でも良いこととはされていないはずだ」

陽介「・・・」

ラハール「俺様は言うぞ。貴様がウザイ時はウザイとな。今の貴様は果てしなくウザイ!」

陽介「・・・そうだよな」

番長「誰だって、自分でも見たくない自分を持ってるはずだ。陽介、あれはお前なんじゃないのか?」

陽介「・・・あれは・・・」

ラハール「臆すな」

陽介「・・・ああ。あれは俺だ」

番長「そうか。でも、あれがお前の全てじゃないはずだ。小西先輩を好きだって気持ちも、本当の気持ちなんだろ?」

陽介「・・・ああ」

里中「花村・・・」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:03:31.24 ID:3MUHxw6A0
陽介「・・・本当は・・・解ってたさ。解ってたけど、みっともねえし、嫌だし、認めたくなかった。誰にも嫌われたくなくて、誰にでも気使ってさ・・・俺だって、こんな俺のこと、ウザイと思うよ。ラハールが、はっきり言ってくれたみたいにな」

ラハール「・・・フン」

千枝「・・・」

陽介「・・・けど、小西先輩を好きだって想う気持ちは、本物だった」

陽介のシャドウ『クソッ・・・!』

クマ「お、起き上がってきたクマ」

陽介「・・・あいつも、あいつだって、俺の一部ってことなんだな」

陽介のシャドウ『テメエラ・・・!邪魔すんだよ・・・!』

陽介「全部ひっくるめて俺だってことだな」

陽介のシャドウ『ち、近寄るんじゃねえ!ウゼエ!ウゼエんだよ!』

クマ「今だクマ!」

番長「行くぞ、ラハール」

ラハール「ああ」

番長「イザナギ!」

>-カッ

ラハール「風が通用しないというのなら・・・!」

>-スター

ピカッ

陽介のシャドウ『うぅっ!うああああ!』

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:05:24.03 ID:3MUHxw6A0
>-・・・・・・

陽介「・・・おい」

陽介のシャドウ『う・・・あ・・・』

陽介「お前は俺で、俺はお前だ」

陽介のシャドウ『・・・ああ』

>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-陽介は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"ジライヤ"を手に入れた!

陽介「こ、これが・・・俺の・・・」

ラハール「ペルソナ、か?」

番長「みたいだな」

陽介「・・・難しいもんだな。自分と向き合うってのも」

ラハール「俺様には良くわからんがな。ウザイならウザイでよかろう」

番長「難しいのか・・・」

陽介「お前等はなんか別格だわ」

里中「・・・花村、大丈夫?」

陽介「ああ、すまねえな。にしても、ずっとウザイと思ってた・・・か。盛大にフラれたぜ」

ラハール「・・・」

陽介「番長、ラハールも、ありがとな。二人がいてくれて助かった」

番長「いいよ」

ラハール「そうだな。たこやきを奢れ。それでチャラにしてやろう」

陽介「わかったよ」

番長「あ、じゃあ俺も」

陽介「お前もかよ!」

千枝「あ、じゃあ私も」

陽介「わかったわかった!バイト代入ったら皆に奢る!」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:07:34.55 ID:3MUHxw6A0
ラハール「・・・おいクマ、貴様シャドウとやらのことを何か知っている風だったな?」

クマ「クマクマか?」

陽介「クマ、もしかして先輩は、もう一人の自分に殺されたのか?さっきの俺みたいになって・・・それで・・・」

クマ「多分、そうだと思うクマ」

ラハール「・・・なるほど」

クマ「ココにいるシャドウも、元々は人間から生まれたものなんだクマ。けど、霧が晴れた時に暴走するクマ」

番長「さっきみたいにか?」

クマ「そうクマ。意志のある強いシャドウを核にどんどん大きくなって、宿主を殺してしまうクマ。だからクマは、こっちには誰も来てほしくないんだクマ・・・」

陽介「それが、町で霧が出た日に、こっちで死人が出る原因ってことか」

千枝「そうだったんだ・・・」

陽介「俺も、下手すりゃ死ぬとこだったんだな」

番長「小西先輩も、山野アナも・・・一人だったんだな。こっちの世界で」

陽介「ああ。俺みたいに、助けてくれる奴がいなかった。だから先輩は・・・っつ!」

千枝「花村、どしたの?どっか痛むの?」

陽介「いや・・・」

ラハール「疲れだろうな。あれほど大きな力に目覚めたのだ。反動が無いほうがおかしい」

番長「俺も、最初は頭痛に悩まされた」

千枝「・・・そっか。じゃあ、今日はもう帰ろう」

番長「そうだな。クマ、また来るよ」

クマ「お願いしますクマ!」

ラハール「俺様は来んぞ」

クマ「ラハールは別に良いクマ~~」べーっ

ラハール「・・・やはり殺しておくか」

クマ「クマーーーッ!?」

番長「落ち着け」

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:09:12.47 ID:3MUHxw6A0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「ラハール・・・今日は」

ラハール「アホ、さっさと寝てしまえ。話は明日でも出来るであろう」

陽介「あ、ああ・・・けど、マジ、ありがとな」

ラハール「フン・・・」

ラハール「(・・・自分の気持ちに素直に、か)」

ラハール「(俺様は・・・いや、そもそも魔王に素直さなどいらん!)」

ラハール「(これではまるでどこぞのアホ天使ではないか!)」

ラハール「(下らん・・・寝るか)」


:::【千枝の部屋】:::

千枝「(自分自身と向き合う・・・か。花村、凄いや・・・アタシは・・・・・・)」

千枝「(そういえば、番長君もペルソナが使えるってことは、ああやって自分と向き合ったりしたのかな・・・?)」

千枝「(ラハール君も、なんか言ってること変だったし、謎が多いんだよなー・・・変なこと起こりすぎて、わけわかんなくて突っ込む暇なかったけど)」

千枝「(外国人、とかかな?明日聞いてみよ)」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 02:11:51.90 ID:3MUHxw6A0
>-次回予告
>-BGM:White Tiger

アクターレ「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!次回予告!!!!!!!!!!!!!!」

アクピンク「にゃあ」

エトナ「何やってんのアンタら?」

アクターレ「あ、いやあの、これはですね」

エトナ「二秒やるから消えな。それで許してあげる」

アクターレ「撤収!!!撤収ーーーー!!!!」

アクピンク「にゃあ」

>-次回予告
>-BGM:頑張れ女の子

エトナ「気を取り直して次回予告!」

プリニー「エトナ様ー。ゲヘナの海、今季限定プリン買って来たッスー!」

エトナ「あ、今忙しいから冷蔵庫入れといて」

プリニー「了解ッス!」

エトナ「気を取り直して次回予告!」

ラハール「・・・」

エトナ「ついに始まってしまった種族間戦争!魔界でも最上位に位置する竜王族と魔界貴族達の戦争は、このままでは魔界全土に広がりかねない!」

ラハール「いい加減真面目にやる気は無いのか?おい」

エトナ「そこでエトナは、自慢のグラマラスボディーを駆使して、自ら竜王族にスパイとして潜り込む!」

ラハール「は?」

エトナ「すると、なんとそこで待ち受けていたのは魔界貴族へのスパイ任務だった!多重スパイとして暗躍しながら、両種族の対立の深さを知るエトナ!」

ラハール「なんかそっちはそっちで大変そうだな・・・どうでも良いが」

エトナ「次回、美少女密偵エトナ、美少女と潜入」

ラハール「・・・」

エトナ「キミのハートに、潜入しちゃうゾ☆」

ラハール「お、おえぇええぇ・・・」

エトナ「殿下、ちょっとお話が」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:05:26.74 ID:yJXra0XS0
>-4/16(土)

バンッ

陽介「里中?どした慌てて」

里中「雪子来てない!?」

陽介「天城?いや、今日はまだ」

里中「電話もずっと留守電だし、メールも返事来ないし、今朝から連絡つかないの!」

番長「え?」

里中「・・・マヨナカテレビ」

陽介「マヨナカテレビ?」

里中「見た?昨日」

陽介「わり、俺は疲れててすぐ寝ちまって・・・」

ラハール「俺様は見たぞ」

番長「俺も。けど、ぼんやりしてて、誰なのか解るような状態じゃなかった」

ラハール「そうだな」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:06:23.40 ID:yJXra0XS0
里中「私・・・映ってたの雪子だと思う」

陽介「え?」

里中「映ってたあの着物、着てるとこ見たことあるし」

陽介「え、じゃあ連絡取れないって・・・天城まさか」

里中「やめてよ!」

陽介「あ、悪い・・・」

番長「何か、他に用事があるんじゃないか?家の手伝いとか」

里中「そ、そうだよきっと・・・」

ラハール「・・・だと良いがな」

里中「そんな・・・!」

陽介「お、おい。不安になるようなこと言うなよ」

里中「私、今から雪子の家に行ってくる!」」

陽介「おいおい。今からって、授業始まるぞ?」

里中「けど・・・」

ピピピピピ

里中「・・・はい、もしもし。あ、雪子?うん・・・うん」

陽介「無事みたいだな」

番長「うん」

里中「良かったー。今朝から急に忙しくなっちゃったんだって」

陽介「となると、マヨナカテレビに映ってたの誰だろうな?」

番長「とりあえず。またクマのところに行ってみよう。誰かテレビの中の世界に行ってないか知りたい」

陽介「だな。ラハールはどうする?」

ラハール「俺様は知らんと言っておる。勝手にやれ」

番長「けど、陽介が寝た後もマヨナカテレビを見たりしてるってことは、なんだかんだ言って興味があるんじゃないか?」

ラハール「う、うるさい!」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:08:20.38 ID:yJXra0XS0
>-放課後
:::【ジュネス・家電コーナー】:::

陽介「で、結局着いて来てるしな」

ラハール「やかましい!暇だから来てやっただけだ!手伝うとは言っとらん!」

陽介「はいはい。素直じゃねえなあ」

番長「・・・人が多いな」

陽介「だな、珍しく。まあ今日は家電セールだから当然か」

ラハール「人が多いと何か不都合があるのか?」

陽介「あるのかってお前、テレビに入るとこ人に見られるわけにはいかねーだろ?」

ラハール「は?何故だ」

千枝「何故だ・・・って、なんか、前からちょっと思ってたんだけどさ。ラハール君て何者?なんか常識が通用しないというか、自由というか」

陽介「あ、ああー・・・えっと、そう、外国人!外国人なんだこいつ!日本の常識を学びに来ててさ!」

千枝「あー、やっぱそうなんだ。どこの国?」

ラハール「魔界だ」

千枝「マカイ?聞いたことないなー。どこにあるの?」

陽介「み、南のほうだよ南のほう!今はそんなこといいだろ!おい番長、こっそり手突っ込んで、中の様子調べてみろよ」

番長「ああ」

ガブッ

番長「・・・噛まれた」

里中「えぇ?噛まれたって」

クマ『何々?これなんの遊び?』

陽介「遊びじゃないの。おいクマ、そっちに誰か入ってきてないか?」

クマ『こっちにクマか?誰も来てないクマよ。むしろクマは一人で寂しん坊してるクマ。寂しんボーイクマ』

陽介「本当だろうな?」

クマ『嘘なんてつかないクマ!今日もクマの鼻はビンビン物語クマよ!』

陽介「・・・つーことは、マヨナカテレビには人が映ったのに、あっちには誰も来てない。どういうことだ?」

ラハール「・・・」

番長「わからない。とりあえず、今夜もマヨナカテレビを見てみよう」

陽介「だな」

ラハール「おい、クマ。一つ貴様に聞きたいことがある」

クマ「ムム、ラハールもいたクマか。何クマ?」

ラハール「ああ----」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:11:15.36 ID:yJXra0XS0
>-夜。
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「クマに聞いた話では、俺様達があっちの世界に最初に入った日、俺様達が帰ってしばらくするとあっちの世界に小西という女が来た・・・ということだったな」

陽介「ああ。けど、それがどうかしたのか?わざわざクマに確認取ってまで」

ラハール「少しは頭を使え。番長の奴は気付いておったぞ。俺様達はそのさらに前日、マヨナカテレビで女の影を見ている」

陽介「その前日・・・た、確かにな」

ラハール「その時はおぼろげにだったが、実際に小西があっちの世界に行かされた後は、もう少しはっきりとマヨナカテレビに映るようになった」

陽介「・・・つまり、今回も、被害者があっちの世界に入れられたら、マヨナカテレビの映像が鮮明になるだろうっつーことか?」

ラハール「わからんがな。少なからず、今日ジュネスに行った段階であっちに誰も行っていないということは、今までの事件の流れとの不整合にはならんということだ。山野とかいう女の時にどうだったかまでは知らんがな」

陽介「なるほどな。けどお前、そんなことまで考えてたんだな。やっぱ協力するつもりあるじゃん?」

ラハール「・・・ちと考えたのだが、俺様が人間界に送り込まれたことには理由があるのかもしれん」

陽介「理由?」

ラハール「人間界、というよりこの場所というべきか。俺様が貴様等と同じ学校に通うのが一年という期間付きであることと、俺様が来た途端に異常な事件がはじまったことが、無関係とは思えんのだ」

陽介「・・・確かにな。それについちゃ、俺もそう思ってたところだ」

ラハール「俺様は、この事件の解決のために送り込まれたのかもしれん。俺様が人間界で暴れたりせんように、俺様の力を最低にまで制限した状態でな」

陽介「・・・なるほど。そう言い出すってことは、お前をここに送り込んだ奴に、見当がついたってことか?」

ラハール「見当ならはじめからついておる。こんな下らんことを考えるのはアホ天使の奴ぐらいだ。大方奴が考えて、エトナが協力したというところだろう」

陽介「何言ってるかわかんねーけど、なんかお前嬉しそうじゃね?」

ラハール「う、嬉しいわけあるか!こんな下らんことをされた以上、帰ったら奴を引きずってでも魔界に連れ戻してやる!俺様の家来の分際で好き勝手やりおって・・・!」

陽介「お、おお、よくわからんけど、そうか」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:13:55.55 ID:yJXra0XS0
ラハール「・・・番長の奴をどう思う?」

陽介「番長?あいつがどうかしたか?」

ラハール「奴の転入も一年という期間付きだ。俺様と同じな。そして、発生した事件について調べている貴様等人間共の中心的な存在であり、貴様のような経緯を経ずに、はじめから力に目覚めていた」

陽介「・・・何が言いたいんだ?」

ラハール「奴が犯人として怪しいと考えることも出来るのではないかという話だ」

陽介「ん、んなまさか!だとしたら、俺を助けてくれたことはなんだったんだよ?それに、最初にテレビの中に手が入ったなんて話を、俺達にしたメリットは?」

ラハール「無いな。だが、出来るか出来ないかだけで言えば、奴には可能であったはずだ。誰かをテレビに入れるということがな」

陽介「お、俺は信じるぞ番長を。つか、あいつが犯人なわけないっつの!」

ラハール「現段階では、俺様もやつのことを犯人だと言っているわけではない。だが、そう簡単に他人を信じるだとか言うな。奴をも疑うということを選択肢から外すな。他人とは疑うものだろう。あろうことか、貴様はあいつを信じ、頼る気でいるではないか!虫唾が走る!」

陽介「信じちゃ・・・いけねーのかな?」

ラハール「何だと?」

陽介「俺さ、シャドウと・・・つーか、自分と向き合ったじゃん?きつかったけど、お前と番長のお陰で、なんとかさ」

ラハール「・・・それがどうかしたか?」

陽介「自分と向き合うってのは、自分を信じるってことだと思ったんだ」

ラハール「自分を?信じるだと?」

陽介「ああ。最初、お前等に見られてもいたし、すげー嫌だったし、俺の中にああいう気持ちもあるってことを認めたくなかった。認めちまったら、俺が本当にそういう奴だとしか思えなくなりそうだったから」

ラハール「・・・」

陽介「けど、あれだけが俺の全部じゃない。悪いとこもあるけど、良いとこもある。そう。俺は、俺にも良いところがあるって信じることが出来たから、自分を、自分の嫌な所を受け入れることが出来たんだ」

ラハール「・・・」

陽介「それに気付かせてくれたのは、他でもないお前と番長なんだぜ?」

ラハール「何・・・?」

陽介「番長は、俺が先輩を好きだったって気持ちを再確認させてくれた。お前だって、俺にびびんなって言ってくれたろ」

ラハール「・・・」

陽介「お前等は、俺自身を信じさせてくれた二人なんだ。だから俺は、お前のことも、番長のことも信じたい」

ラハール「花村・・・ふ、ふん!気持ちの悪いことを言うな!」

陽介「気持ち悪いって、ひでーなあ」

ラハール「・・・まあ、とはいえ俺様も、貴様がただの情けない人間だということは目の当たりにしたわけだからな。貴様のことは疑わずにおいてやろう」

陽介「ひでー・・・そこはせめて信じるって言ってくれよ。同じことじゃんか」

ラハール「お、同じではない!この俺様が誰かを信じるなど、ありえん!」

陽介「ま、今はそういうことにしとくか」

ラハール「ぐっ・・・!」

陽介「・・・っと、言ってる間に十二時になりそうだな」

ラハール「む・・・」

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:14:57.43 ID:yJXra0XS0
>-十二時。
:::【マヨナカテレビ】:::

雪子『こんばんわ~!』

雪子『えっとぉ、今日は私、天城雪子がナンパ。逆ナンに挑戦してみたいと思いま~す!』

雪子『題して、ヤラセなし!突撃逆ナン!雪子姫の白馬の王子様探し!』

雪子『も、超本気!見えないとこまで勝負しよ!はぁと、みたいなね』

雪子『もう、私用のホストクラブをぶったてるぐらいの意気込みでぇ、じゃあ、行ってきま~す!』


>-・・・・・・
:::【番長の部屋】:::

ピピピッ、ピピピッ

>-・・・陽介から電話だ。

番長「・・・もしもし」

番長「・・・うん。そうだな」

番長「・・・うん。じゃあ明日」

ピッ

>-・・・・・・録画しとけば良かった。

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:16:43.95 ID:yJXra0XS0
>-4/17(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::

番長「来たか」

千枝「ごめん、雪子の家に寄ってきて遅くなった」

番長「天城の?」

千枝「雪子・・・昨日の夕方ごろから急にいなくなったって・・・警察に捜索願いも出したんだって・・・!」

陽介「何!?」

番長「・・・ここで話してる暇はないな。まずクマのところに急ごう」

陽介「ああ」


:::【テレビの中の世界】:::

ラハール「オイ、誰かここに来ていないか?」

クマ「ラ、ラハール!?もう来ないって言ってなかったクマか?」

ラハール「やかましい!誰か来ていないかと俺様が聞いている!」

番長「クマ、教えてくれ」

クマ「き、来てるクマ・・・昨日、センセイ達が帰ったちょっと後ぐらいクマね」

ラハール「む・・・」

ラハール「(・・・ちょっと後、となると、昨日はあの後全員でたこやきを食ったりして一緒にいたから、やはり番長は犯人ではないということか・・・まあ、花村の言っていたことも最もだ。端からそうだとも思っていなかったが)」

千枝「どっちにいるか解る!?」

クマ「わかるクマ!ここからちょっとだけ離れたところクマよ!」

陽介「案内してくれ」

クマ「わかったクマ!」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:17:39.53 ID:yJXra0XS0
-・・・・・・
:::【雪子姫の城・城外】:::

クマ「この中クマ!」

千枝「この中に、雪子が・・・!」

陽介「里中!電話で、お前は下がってるって約束したろ?」

千枝「やっぱりアタシも行く!だって雪子が!」

陽介「シャドウが出たらどうすんだよ?お前は外で待っててくれ」

千枝「絶対やだ!だって、雪子だよ!?雪子がいるんだよ!?怖がってるかもしれない・・・シャドウに襲われて、危険な目にあってるかもしれない!私が、私が助けてあげなきゃ・・・!」

陽介「つっても、お前にシャドウと戦う力はないだろ?大人しく俺達に任せとけって」

千枝「私にはこれがあるから」

陽介「・・・鉄パイプ?縦に長い変な鞄持ってきてると思ったら・・・そんなもんで」

千枝「こんなふうに言い争ってる場合じゃないでしょ!アタシ・・・行くから!」

ダッ

陽介「おっ、おい!」

番長「追うぞ」

ラハール「・・・」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:19:29.76 ID:yJXra0XS0
:::【雪子姫の城・1F】:::

陽介「あ、あいつ足はえー!見失っちまったぞ!」

番長「・・・俺達より先行しているのに、シャドウに阻まれたりしていないってことか・・・?これは・・・?」

ズズ・・・

シャドウ「オォ・・・」

ラハール「雑魚が沸いてきたな。蹴散らすぞ!」

番長「・・・二人で戦っててくれ。俺は少しクマと話さなきゃいけない。特に陽介は、ペルソナを使うのは初めてだろ?今の内に慣れてくれ」

陽介「え?お、おい」

ラハール「好都合だ。一匹でも多く消し飛ばして、俺様がレベルを取り戻す糧にしてやる!」

>-ファイア!

陽介「ま、待てって俺もやるよ!来い!ジライヤ!」

>-カッ

番長「クマ、シャドウは霧が出た日にだけ暴れるんだろ?どうして俺達には襲い掛かってくるんだ?」

クマ「んー・・・きっと、センセイ達が力を持ってるからクマよ」

番長「力?それと、センセイってなんだ」

クマ「センセイはー、クマと約束してくれたしー、強くてカッコイイしー、だからセンセイ!」

番長「そ、そうか。力ということは、ペルソナを持ってるからってことか?」

クマ「そうクマ・・・普通の人じゃ、シャドウを倒すのはとても無理クマ。でも、ペルソナの力や、ラハールみたいな力があれば戦える。だからシャドウは、センセイ達のことを危険だと思って、先に攻撃して来るんだクマ。多分だけど」

番長「なるほど。ということは、先に行った里中は、シャドウに襲われていない?」

クマ「多分そうクマ」

番長「・・・そうか。安心だが、追いつくには骨が折れそうだな」

陽介「うわっ!痛ってえ!ペルソナがダメージを受けると、自分にも返ってくるみたいだ・・・!」

ラハール「世話の焼ける・・・!」

>-ヒール!

陽介「うお、傷が・・・ラハール!サンキュ!」

ラハール「礼を言われる筋合いはない!こんな雑魚相手に苦戦する貴様を、哀れに思ってやっただけだ!」

陽介「はいはい」

番長「二人とも、待たせたな。俺もやる」

>-カッ

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:22:31.96 ID:yJXra0XS0
:::【雪子姫の城・2F】:::

クマ「この扉の先にチエチャンがいるクマ!」

番長「・・・ラハール、この建物のことをどう思う?」

ラハール「・・・話は後にしろ」

番長「・・・そうだな。行こう」

バンッ

陽介「里中!」

千枝「・・・」

陽介「良かった、無事か」

雪子『赤が似合うねって・・・』

陽介「天城の声?」

雪子『私、雪子って名前が嫌いだった』

雪子『雪なんて、冷たくてすぐ溶けちゃう・・・はかなくて、意味の無いもの』

雪子『でも、私にはぴったりよね。旅館の跡継ぎってこと以外に、なんの価値もない私には・・・』

雪子『千枝だけが、私に意味をくれた。雪子には赤が似合うねって・・・』

陽介「・・・天城の、心の声か?小西先輩の時にも聞こえたみたいな」

ラハール「知るか。俺様に聞くな・・・しかし、だとすれば」

雪子『千枝だけが、私に意味をくれた』

雪子『千枝は明るくて、強くて、何でも出来て・・・私に無いものを全部持ってる』

千枝「雪子・・・」

雪子『私なんて・・・私なんて千枝に比べたら』

番長「・・・」

雪子『千枝は・・・私を守ってくれる・・・何の価値も無い私を』

雪子『私にそんな資格なんて無いのに・・・』

雪子『優しい、千枝』

千枝「雪子・・・あ、あたし・・・」

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:24:15.13 ID:yJXra0XS0
千枝のシャドウ『優しい千枝、だってさ。笑える』

千枝「・・・出たわね・・・!」

陽介「里中が二人・・・俺の時と同じってことか」

千枝のシャドウ『あの雪子が!』

千枝「なっ、何よ・・・何を言うつもり・・・!?」

千枝のシャドウ『あの雪子が、あたしに守られてるって?自分には何の価値もないって?』

千枝「・・・雪子・・・」

千枝のシャドウ『そうでなくちゃねえ』

千枝「何ですって・・・!?」

千枝のシャドウ『雪子ってば、美人で、色白で、女らしくって、男子なんかいつもちやほやしてる』

番長「・・・」

千枝のシャドウ『そんな雪子が、あたしを時々卑屈な目で見てくる!それがたまんなく嬉しかった・・・!』

千枝「なっ・・・」

千枝のシャドウ『雪子なんて、本当は私がいなきゃ何にも出来ない』

千枝「そんな・・・」

千枝のシャドウ『私のほうが、私のほうが・・・』

千枝「やめてよ・・・」

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:26:14.04 ID:yJXra0XS0
千枝のシャドウ『私のほうがずっと上じゃない!』

千枝「あたしはそんなんじゃない!」

陽介「里中・・・!」

千枝「違うの・・・あたし・・・あんなこと・・・」

千枝のシャドウ『へえ、そんなこと言っちゃうんだ?』

陽介「落ち着け里中!あれは、あれは・・・きっと俺の時と一緒だ」

千枝「違う!違うよ!」

千枝のシャドウ『私はあんたよ!私は里中千枝!』

千枝「違う!あんたなんかあたしじゃない!」

陽介「馬鹿っ・・・!」

千枝のシャドウ『はは・・・あはははははは!』

ラハール「全く・・・人間という奴等はどうしてこうも」

番長「それも、人間らしさだからだ」

ラハール「そういうものなのか?」

番長「んー、多分・・・」

ラハール「・・・まあいい。行くぞ」

千枝のシャドウ『我は影、真なる我。あんたにはもう消えて貰うよ。私は私だけで十分だから』

陽介「させるかよ!行けジライヤ!」

>-カッ

千枝のシャドウ『何?邪魔する気?いいよ、踏み台にしてあげる!』

>-マハジオ

番長「ぐっ・・・!」

ラハール「ぐあっ!」

陽介「っ!?」

>-Weak!

クマ「ヨ、ヨースケは電撃が弱点みたいだクマ!危ないクマ!」

番長「陽介!里中を連れて下がっていろ!」

陽介「わ、悪ぃ・・・そうするわ・・・くっ!」

番長「クマ!一階で戦ったシャドウ達には、それぞれの弱点があった!あいつの弱点を探れないか!?」

クマ「わ、わかんないクマ。調べるにしても、時間がかかりそうクマよ!」

ラハール「そんな時間があるか!片っ端からあててみればいいだけのことだ」

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:28:32.80 ID:yJXra0XS0
>-・・・・・・

陽介「里中、怪我は無いか?」

千枝「う、うん・・・・花村、あたしね・・・あたしも、花村みたいになるのかもしれないって覚悟してここに来たんだ・・・」

陽介「えぇ?」

千枝「・・・覚悟はしてたんだ。こないだの花村を見て・・・もしもの時は、私も戦おうって決めて、これを持ってきて」

陽介「鉄パイプか。そんなもんでどうにかなるなら、俺達も苦労してないって」

千枝「・・・覚悟はしてたのに、いざとなると、無理だよ!あんな、あんな私を受け入れるなんて・・・私には・・・!」

陽介「里中・・・」

>-・・・・・・

ラハール「・・・見つけた。風だ!」

番長「疾風属性か」

ラハール「撃てるか?」

番長「・・・・・・」

千枝のシャドウ『雪子は私の踏み台、本当は何にも出来ない私の、大事な大事な踏み台なの』

ラハール「・・・こいつの目的は、あの里中とかいう女か・・・!」

番長「・・・どういうことだ?」

ラハール「今この場に、シャドウと奴自身、二人の里中が存在している。片方がいなくなれば、自分が唯一の里中になるということだろう」

番長「・・・それで、あいつは自分を受け入れさせないようなことを言ってる・・・ってことか?」

ラハール「ああ。とはいえ、あれも里中という女自身の、本音の一部でもあるのだろうがな。どの程度までそうなのかは知らんが、動揺しているのがその証拠だ」

番長「なるほど・・・」

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:31:00.55 ID:yJXra0XS0
>-・・・・・・

千枝「あれを、あれを受け入れちゃったら、私は・・・」

陽介「大丈夫だ」

千枝「え・・・?」

陽介「たとえあれがお前の本音だったとしても---うわっ!?」

千枝のシャドウ『邪魔なのよ!妙なこと言おうとしないでくれる?』

ラハール「チッ、抜けられたか・・・!」

番長「・・・っ!ラハール、力を貯める時間が欲しい。少しの間、頼む!」

ラハール「何?チィッ、わかった!急げ!」

千枝のシャドウ『うふふ・・・!』

陽介「ぐ・・・あぁっ!」

千枝「花村!」

ラハール「その阿呆を離せ!」バッ

千枝のシャドウ『だから邪魔だってば!』

>-マハジオ

ラハール「ぐっ・・・!」

陽介「うあああああ!」

>-Weak

千枝「花村!ラハール君!」

千枝のシャドウ『雪子が羨ましい、雪子が妬ましい。だから私は雪子の傍にいるの。そうすれば雪子が私を求めてくれる。あの雪子が』

千枝「やめて・・・っ!」

千枝のシャドウ『そうでしょ?ねえ、私』

千枝「やめてって言ってんのよ!」バッ

陽介「ば、ばか・・・くんな・・・!」

千枝のシャドウ『なあに?こんなので私をどうにかしようっての?』

千枝「キャッ!」

陽介「くっそ・・・ジ、ライヤ!来い!」

>-カッ

>-ガル

千枝のシャドウ『何っ!?』

>-Weak

陽介「ビンゴッ・・・!」

ラハール「その得物、借りるぞ」

千枝「ラ、ラハール君・・・?」

>-一文字スラッシュ

バシュッ

陽介「サンキュ・・・!」

ラハール「礼などいらん!そんな暇があったら、さっさと言いたいことを言うんだな。時間ぐらいは稼いでやる。得物も手に入ったことだしな」

陽介「お、おう・・・!」

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:33:39.31 ID:yJXra0XS0
千枝「花村・・・」

陽介「里中、お前は・・・怖いんだろ?」

千枝「えっ?」

陽介「あいつを、お前が今まで、見たくなかった自分を受け入れちまうと・・・自分が本当に嫌な奴になっちまいそうで、怖かったんだろ?」

千枝「花村・・・」

陽介「俺もそうだった」

千枝「花村も・・・?」

陽介「天城に対する嫉妬、羨望、天城が自分を頼ってくれてる時の優越感。そういうもんがあるのは仕方ねえさ。俺達は人間なんだ。汚い一面も持ってる」

千枝「・・・」

陽介「けど、お前等二人の間柄って、それだけじゃないだろ?」

千枝「それだけじゃ・・・ない?」

陽介「損得抜きでも、お前は天城のことが好きで、天城だってお前のことが好きで、お前等は友達のはずだ」

千枝のシャドウ『何余計なこと言おうとしてんのよ!』

ラハール「少し黙れ!今面白いところではないか」

>-魔王玉

ドンッ

千枝のシャドウ『アアアアアア!』

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:35:58.78 ID:yJXra0XS0
陽介「嫌な気持ちや、よこしまなところ。そんなもんは誰にだってある。けどそれだけじゃない」

千枝「・・・」

陽介「それだけじゃないって思えたから、俺は自分の嫌な一面も受け入れたんだ。お前だって同じだろ?あれもお前なのかもしれない。だけど、お前だって、それだけじゃないはずだ」

千枝「・・・それだけじゃ・・・ない」

千枝のシャドウ『ウウッ・・・ヤメロッ・・・!』

クマ「い、今クマ!」

番長「・・・待たせてすまない。もう良いぞ、ラハール」

ラハール「遅いぞ・・・!」

番長「すまない。来い、ジャターユ!」

>-カッ

千枝のシャドウ『な・・・何そよれ・・・?』

ラハール「何・・・?」

陽介「ち、違うペルソナ?あんなのありかよ」

千枝「花村、ありがとう。あたし、頑張る」

陽介「・・・おう」

番長「行け、ジャターユ!」

>-カッ

>-ガルダイン

千枝のシャドウ『アアアアアアア!?』

>-Weak

ラハール「(一撃だと!?なんだあの馬鹿げた力は・・・だが、番長自身の力が高まったわけではない。急に桁外れに強力なペルソナを使っている・・・!?)」

千枝のシャドウ『・・・・・・』

千枝「・・・あんたも、あたしだね」

千枝のシャドウ『・・・・・・うん』

>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-陽介は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"トモエ"を手に入れた!

千枝「な、なに・・・これ」

陽介「ペルソナだ」

千枝「ペルソナ・・・私の・・・?」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:37:38.04 ID:yJXra0XS0
番長「ああ・・・ぐっ!」

クマ「セ、センセイ!?どうしたクマ!?」

ラハール「・・・力を使いすぎたのだろうな」

千枝「番長君・・・うっ・・・!」

陽介「里中も、今日は無理だな」

千枝「そっ、そんな・・・早く雪子のところに行かないと・・・!」

クマ「霧が出るまでは大丈夫クマ」

千枝「霧?」

クマ「こっちで霧が出るか、センセイ達がユキチャンに近づくまで、ユキチャンが襲われることはないんだクマ」

陽介「霧か・・・つーことは、俺達の世界で霧が出てから晴れるまで。つまり、次の雨の日までは大丈夫ってことか?」

クマ「そういうことクマ」

ラハール「・・・」

陽介「今日はもう無理だ。一旦戻って、体制を立て直そう」

千枝「そんなっ!・・・あ・・・!」

陽介「・・・お前も、体が言うこと聞かないんだろ?俺もそうだったから、わかってんだぞ」

千枝「そ、それは・・・」

ラハール「俺様も魔翌力が尽きた。今日これ以上先へ進もうとするのは無謀だ」

陽介「お、なんだ冷静じゃん?てっきり、まっすぐ突っ込むことしか考えてないのかと思ったぜ」

ラハール「猪みたいに言うな!それだけでは生きてこられんかったからな・・・」

陽介「そ、そうか・・・」

番長「・・・今日は戻って、体を休めよう」

千枝「け、けど・・・」

番長「俺達が倒れたら、誰が天城を救うんだ?俺達に失敗は許されない。だからこそ、万全の状態で向かうべきだろう」

千枝「そ、それは・・・」

陽介「番長の言うとおりだ。ぶっちゃけ俺も、満身創痍だしな」

千枝「花村・・・わかった。今日は、皆の言うとおりにする・・・」

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:39:55.84 ID:yJXra0XS0
>-・・・元の世界に戻れる場所に帰ってきた。
:::【テレビの中の世界】:::

番長「陽介、悪いけど、里中を家まで送ってやってくれないか?俺は少し、ラハール達と話したいことがあるんだ。何を話したかは、後でラハールから聞いてくれ」

陽介「話したいこと?まいいや、わかったぜ」

千枝「花村・・・」

陽介「ほら、肩貸してやっから、お前んちまで行くぞ」

千枝「う、うん」

番長「さて・・・」

ラハール「話とはなんだ?」

クマ「何クマ?」

番長「まず、クマ。さっきの城は、最初からあの場所にあったのか?」

クマ「違うクマ。元は何も無いところだったクマよ。けどユキチャンに影響されて、ああいう風に変わっちゃったんだクマ」

ラハール「変わった?どういうことだ」

クマ「こっちの世界は、人のココロの影響を凄く強く受けてるみたいクマ。よくはわからないけど、ユキチャンが来てからあのお城が出来てしまったのは確かクマよ」

番長「・・・なるほど。あっちの世界で、マヨナカテレビに天城が映った番組が流れたんだが、あれはあの場所で撮っていたものなのか?」

クマ「トッテル?よくわかんないけど、こっちの世界はこっちの世界クマ。何かをとってるなんてこともないし、あっちの世界で見えたなら、多分きっとそれはこっちの世界の様子が見えてしまっただけクマ」

番長「ということは、あれは天城のシャドウの仕業・・・ってことか?」

ラハール「・・・さあな。だが、小西とかいう女の時は、あんなものは無かった」

番長「ああ。小西先輩が、こっちに入れられてすぐにシャドウに殺されたからなのかな・・・」

ラハール「いずれにせよ、今は確かなことは何も言えんだろう」

番長「そうだな」

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:41:18.34 ID:yJXra0XS0
ラハール「・・・一つ聞くが、貴様さっきのペルソナは何だ?ペルソナとは、自分と向き合うことで手に入る、たった一つの力だったのではないのか?」

番長「俺のペルソナ能力は、ワイルドと言って、いろんなペルソナを使いこなす力・・・らしいんだ」

ラハール「らしい?」

番長「俺も人から聞いただけなんだ。まあ、実際そうみたいだけど」

ラハール「聞いた?誰に聞いた」

番長「八十稲羽の商店街に、青い扉があるんだ」

ラハール「・・・青い扉だと?俺様が八十稲羽に来た最初の日、花村の阿呆に連れられて行ってやった時は、青い扉の店などなかったぞ」

番長「俺にしか見えない扉・・・みたいなんだ」

ラハール「何?」

番長「その扉は、ベルベットルームっていう変な部屋につながってて、そこにいる人たちに、俺の力のことを教えてもらった」

ラハール「・・・それはいつごろからだ?」

番長「こっち・・・八十稲羽に転校してきてからだ」

ラハール「・・・」

番長「そこの人たちは、これから俺に大きな試練が待ち受けているって言ってた。多分、この事件のことだと思うんだけど・・・」

ラハール「なるほど。貴様がクマの要求をさっさと受け入れたのはそういうことか」

番長「うん。まあそれもあるけど、クマは単に可哀相だったし」

クマ「センセイ・・・」

番長「・・・ラハール。一度、ベルベットルームに来てくれないか?」

ラハール「何?しかし、その入り口は貴様にしか見えんのだろう?俺様が入れるのか?」

番長「それは、今からベルベットルームの人たちに聞いてみる」

ラハール「今からだと?」

番長「うん。実はここにもあるんだ。青い扉」

ラハール「何?」

番長「ちょっと待っててくれ」

スッ

クマ「セ、センセイが消えたクマ!?」

ラハール「・・・ベルベットルームとやらに入ったのだろうな」

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:44:58.28 ID:yJXra0XS0
>-次回予告
>-BGM:全ての人の魂の詩

イゴール「ようこそベルベットルームへ」

エトナ「・・・あ、あれ?ここ・・・どこ?」

イゴール「ここは、夢と現実、精神と物質の狭間の世界」

エトナ「えっ?つーか、アンタ誰?」

イゴール「申し遅れましたな。私の名はイゴール。ベルベットルームの主を勤めさせて頂いております。こちらは助手の」

マーガレット「マーガレットと申します。そしてこっちは・・・ほら、自己紹介なさい」

マリー「・・・マリー」

エトナ「えっ?」

イゴール「あなた様にもこれから私の助手を務めて頂くことになっております。よくよくお見知りおきを」

エトナ「は?」

イゴール「それでは、次回、"ベルベットルーム"」

エトナ「え、ちょっと待っ」

>-次回予告!
>-BGM:がんばれ女の子

フロン「じゃすてぃーーーーすふろん!」

エトナ「ねえ」

フロン「ふがいない新魔王エトナさんを哀れに思った、大天使フロン!」

エトナ「ねえってば」

フロン「こうなったら、私が戦争をやめさせてみせます!

エトナ「フロンちゃ~ん、アタシに何かしたでしょ?」」

フロン「竜王族さん達も、魔界貴族さん達も、戦争なんてやめましょうよ!世界は愛で満たすべきなんです!」

エトナ「ねえってばーーー!」

フロン「しかーし、フロンの愛の言葉は、魔界の悪魔さん達には受け入れられない!ふぐぅ!」

エトナ「おい、聞け」

フロン「こうなったら、愛の戦士ジャスティスフロンに変身して、強引にでも戦争なんかやめてもらっちゃいましょう!むふぅ!」

エトナ「え、ちょっと、何アタシの努力台無しにしようとしてんの?そういうのが駄目だと思ったからさあ」

フロン「次回!愛の戦士ジャスティスフロン!愛と正義」

エトナ「おい!」

フロン「さあ皆も、じゃすてぃーーーーすふろん!!」

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 22:49:40.33 ID:BY2SDVpO0
>-時は遡って4/16(土)AM01:00
:::【ベルベットルーム】:::

>-・・・ここは

イゴール「今宵は一つご忠告をしなければならないことがあり、お呼びたてした所存でございます」

番長「・・・俺は、寝てたはずだ」

イゴール「ご心配を召されるな。現実のあなた様はお眠りになられております」

番長「・・・忠告って?」

イゴール「お一人ほど、おなた様のお仲間の中に極めてイレギュラーな存在がいらっしゃるかと存じ上げます」

番長「イレギュラーな存在・・・?」

イゴール「その方は、あなた方に立ちはだかる困難の解決において、極めて重要な鍵を握る方。出来ますれば、その方とよくよく絆を育むのがよろしいかと」

番長「・・・誰のことなんだ?」

イゴール「残念ながら、私共にご忠告差し上げられるのはここまで。あとはあなた様自身がお考えになることです」

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 22:52:00.88 ID:BY2SDVpO0
>-4/17(日)
:::【ベルベットルーム】:::

番長「・・・なんか、また増えてる」

イゴール「彼女はエトナと申します。いずれ来たるもう一人のお客人のお相手を役目とする者」

番長「そうなのか。よろしく」

エトナ「あ?あんた誰よ」

マーガレット「言葉を慎みなさい。お客人に対する態度ではないわ」

エトナ「何?やろうっての?」

番長「マーガレットさん。俺なら、構わないから」

エトナ「・・・ふーん。で?あんた誰?」

番長「番長です」

エトナ「あー、あんたがこいつらの言ってた、ワタクシドモのお客人ってわけね」

番長「・・・はい。多分」

エトナ「多分?まいいや、よろしくね~。別によろしくすることもないだろうけど」

番長「は、はあ・・・」

イゴール「ところで、本日この時にこのベルベットルームをお訪ねになられたということは、この部屋の本来の役割を求めていらしたわけではなさそうでございますな」

番長「あ、そうだ。一人、ここに連れて来たい人がいるんだけど」

イゴール「こちらに、でございますか?」

番長「うん。多分、前に言われた、イレギュラーな存在って、その人のことだと思うんだ」

イゴール「それは何故でございましょう?」

番長「なんか、変だし。力も、俺や陽介、他の人とは違うんだ」

イゴール「なるほど、でございますね。承知致しました。もし本当にあなた様の想うその方が、イレギュラーな存在であれば、ベルベットルームに来て頂くことも可能かと存じ上げます。どうぞお連れ下さい」

番長「わかった」

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 22:54:07.63 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

ラハール「・・・戻ったか」

クマ「オヨヨ~~!?消えたセンセイが突然また現れたクマ!?」

番長「うん。ラハール、来て良いってさ」

ラハール「話がついたか」

番長「うん。まあ、とりあえず、来てくれ」

ラハール「良かろう」

>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::

ラハール「・・・」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・おい」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・おいこら、なんとか言え」

エトナ「・・・えー、あー・・・どちら様でしょうか?初対面ですよね」

ラハール「貴様・・・!」

番長「知り合いなのか?」

ラハール「ああ。おいエトナ、俺様が貴様を見間違うと思うのか?その貧相な体、貴様は俺様の家来、エトナであろう」

エトナ「誰が貧相ですって!?」

ラハール「やはりな」

エトナ「あ・・・・・・もー、何なんですか?殿下~、せっかくこっちが知らんぷりで押し通そうと思ってるのに」

ラハール「阿呆!大体貴様、何故こんなところにおる!」

エトナ「そりゃアタシが聞きたいとこですよ」

ラハール「・・・何?おい、俺様を人間界なんぞに放り込んだのは貴様ではないのか?」

エトナ「まーアタシっちゃアタシですけど、やったのはアタシじゃないですよ」

ラハール「どういうことだ?」

エトナ「殿下が暇だ暇だうるさかったんで、フロンちゃんに相談したんですよ。そしたら何か、人間界で大事件があったらしくて、殿下を送り込んで解決させよー!みたいな話になって。だから怒るんならフロンちゃんを怒って下さい」

ラハール「大方そんなところだろうとは思っていたがな、フロンをけしかけているのは貴様ではないか!」

エトナ「やだなー殿下、けしかけるなんて人聞きの悪い」

ラハール「ふざけるな!」

92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 22:57:47.47 ID:BY2SDVpO0
エトナ「つーかアタシだって困ってるんですってば。やることあんのに、目ぇ覚ましたら急にこんなとこにいて」

ラハール「・・・貴様も送り込まれたということか?」

エトナ「そうっぽいですね。こいつらに聞いても何も知らないっていうし」

ラハール「こいつら?」

イゴール「お話を邪魔しては悪いと思い、申し遅れましたな。私の名はイゴール。このベルベットルームの主を勤めさせていただいております」

マーガレット「主の助手を務めております。マーガレットと申します」

マリー「・・・マリー」

イゴール「私共が存じ上げておりますのは、ラハール様も番長様と同じくこのベルベットルームのお客人であること。そして、そこのエトナがラハール様のお手伝いを勤めさせて頂くことになっておりますこと。この二つだけでございます」

エトナ「こればっか言ってんですよ」

ラハール「客人?」

イゴール「我々の務めは、迷えるお客人のお手伝いをさせて頂くこと。とはいえ、あくまでお手伝いのみでございます。各々のお客様が抱える謎、または困難といったものは、お客様方ご自身の力で解決しなければなりません」

ラハール「は?どういうことだ」

エトナ「早い話が、アタシが外に出で一緒に戦うとかはNGなんですって。それがこの部屋のルールらしいですよ」

ラハール「・・・では、俺様の手伝いとは、何だ?」

エトナ「魔法を使えるようにします」

ラハール「・・・魔法?既に使えるぞ」

エトナ「ああいや、殿下って武器ばっかで、魔法なんてせいぜい最弱の属性魔法ぐらいしか覚えなかったじゃないですか。そこで、アタシなら魔界の魔法を全部殿下にお渡し出来ます。ただ、熟練度は自分で上げて下さいね」

ラハール「なるほど」

番長「・・・魔界?」

エトナ「げ、ヤバ。こういうの言っちゃまずい?」

マーガレット「貴女が知っていることをお客様にお話する分には、問題無いわ」

エトナ「あ、そう?」

ラハール「・・・貴様には、俺様のことを話しておこう」

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 22:59:36.50 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・

番長「へー、魔王だったのか。なんか凄いな」

ラハール「き、貴様嫌に素直に信用するのだな」

番長「こんなことで嘘をつく必要ってないだろ?陽介は知っているのか?」

ラハール「ああ。奴だけはな。ただ、他の奴等には隠しておこうという話をしてある。素直に言ったところで信用されるような話でもないからな」

番長「ふーん・・・」

ラハール「・・・よし、エトナ。補助魔法を片っ端から寄越せ」

エトナ「補助魔法ですか?いいですけど、てっきり殿下のことだから、テラ系の攻撃呪文使わせろーとか言い出すかと思ってましたよ」

ラハール「阿呆。そんなものがあったところで、今の俺様の魔翌力では撃てん。それよりも、最も強大な力を持つ番長を補助するほうが効率が良い」

エトナ「え?殿下のレベルが下がったからといって、同レベルで殿下より力があるんですか?」

ラハール「よくわからんが、こいつは同レベルではないのだ。こいつ・・・というより、こいつのペルソナはな」

エトナ「ペルソナは?よくわかんない言い方ですね。一応、ペルソナって力のことはイゴールから聞いてますけど」

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:02:13.45 ID:BY2SDVpO0
番長「・・・最初の違和感は、財布だったんだ」

エトナ「財布?」

番長「見に覚えの無い札束が詰まった、自分の財布だった。他にも、俺はこの事件やペルソナのことを・・・知っているような、そうでないような、よくわからない気分に時々なるんだ」

ラハール「・・・どういうことだ?」

番長「俺はもしかしたら、どこかでペルソナを使っていたことがあるのかもしれない」

ラハール「何?八十稲羽に来てから使えるようになったのではないのか?」

番長「いや、記憶の上では確かにそうなんだけど・・・マーガレット。ペルソナ全書を見せてくれ」

マーガレット「はい、どうぞ」

ラハール「・・・なんだこれは?」

番長「ペルソナ全書。俺が所持していたことがあるペルソナを、ここから呼び出すことが出来るらしいんだ」

マーガレット「ただし、対価は頂くことになっております」

ラハール「対価?」

番長「どうやら、現金・・・らしい」

ラハール「フン、どこもかしこも金ということか。それで、これがどうかしたのか?ペルソナのことなど、俺様には関係なかろう」

番長「このペルソナ全書には、最初から・・・見たことも無い強力なペルソナがたくさん並んでいた」

ラハール「貴様、つい先ほど自分が所持していたことがあるペルソナを、と言っていたではないか」

番長「そうなんだ。俺はこのペルソナ達を知らない。なのに、全書にはたくさんのペルソナがいた」

ラハール「・・・それで、どこかでペルソナを使っていたことがあるのかもしれない・・・というわけか」

番長「ああ、ただ、本当に覚えはないんだ」

ラハール「・・・」

イゴール「覚えがなくても、ペルソナ全書に刻まれているペルソナ達は、皆一度は貴方様が所持していたことのあるペルソナでございます。貴方様の記憶に残らぬ、何らかの形で、そのペルソナ達を用いていたということですな」

ラハール「・・・それも、貴様等ベルベットルームの住人は知らぬこと、というわけか?」

イゴール「飲み込みが早いお方のようで幸いです。仰る通りでございますな」

ラハール「フン・・・それだけわかれば十分だ。エトナ、さっさと補助魔法を寄越せ」

エトナ「はいはーい、よし、これでいいですよ」

ラハール「・・・うむ。おい番長、俺様はもう行くぞ。阿呆の花村もそろそろ家に帰っている頃だろうからな」

番長「あ、ああ」

ラハール「・・・そういえば貴様、財布に詰まっていた札束はどうしたのだ?」

番長「念のためにと思って・・・ペルソナ全書にある、目に付いた強力なペルソナをいくつか召喚するのに使いきった」

ラハール「なるほど・・・そのうちの一つが、先ほど見せたジャターユか」

番長「ああ」

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:04:54.52 ID:BY2SDVpO0
ラハール「合点がいった・・・だが貴様、自分の身の丈に合わん程の強大な力を用いたせいで、貴様自身への負担が生半可ではなかった。その上、出すためだけにあれほど時間を要していたら、とてもではないが気軽に使えるものではないぞ」

番長「・・・そうだな。すまない」

ラハール「謝ることはない。気軽には使えんが、使い道はあるのだ。貴様の強力なペルソナ達にはな」

番長「・・・ああ」

ラハール「どうやら結局、俺様が人間界に送り込まれたのも、貴様等に手を貸すためのようだしな・・・アホ天使の思惑に従うのは癪だが、今後も俺様は手を貸してやる。ただし、足を引っ張るなよ」

番長「うん。ありがとう」

ラハール「れ、礼などいらん!俺様は行くぞ!」

番長「あ・・・」

エトナ「・・・ごめんねー、殿下ああいう奴だから。まー口じゃああ言ってるけど、多分あんたのこと嫌いじゃないから、安心しなさい」

番長「そうなのか?」

エトナ「結構、人間ってやつに興味もあるだろうしね。アタシ達も人間と関わってこなかったわけじゃないんだけど、なんつーかアタシ達の関わってきた人間って、どいつもこいつも頭のおかしい奴ばっかでさ。普通の人間ってのを、殿下はよく知らないの」

番長「普通の・・・人間」

エトナ「ま、人間に興味がある理由は、殿下の口から直接聞きなさい。聞けるぐらい、殿下と仲良くなってからね。アタシからは言えない」

番長「わかった。ありがとう」

エトナ「殿下はともかく、アタシはさっさと帰りたいからさ。ちゃちゃっと事件の一つや二つ解決しちゃってね」

番長「ちゃちゃっとって・・・」

エトナ「ほら、わかったら行きなさい!あんまり遅いと、殿下が心配とかしちゃうわよ~」

番長「あ、ああ」

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:06:45.78 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

ラハール「遅い!何を話していたのだ!」

番長「・・・エトナさんの言うとおりだ」

ラハール「な、何だ貴様。あいつに何か吹き込まれたのか?」

番長「いや、なんでもない」



>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「ワイルドねえ・・・」

ラハール「あれからあったことは以上だ」

陽介「そっか。あいつだけ、いくつもペルソナ使い分けられるのかー。なんかずりー」

ラハール「使い分けられても、使いこなせなければ意味がない。貴様なんぞ、ジライヤで手一杯だったではないか。番長の場合も、召喚したペルソナがどいつも強大すぎる。奴がバランスよく扱えるのは、やはりイザナギだけだろうな」

陽介「ま、確かにそうかもな。けど、見に覚えの無い札束をペルソナの召喚に使っちまうなんて、あいつも思い切ったことするよな」

ラハール「結果的に、それが里中とかいう女のシャドウを倒すことに繋がったのだ。間違った行動ではないであろう」

陽介「そりゃそうだな。けどお前、その里中とかいう女って呼び方はどうにかなんねえのか?あいつもきっと、これからは一緒に戦うって言い出すぜ。せめて里中って呼んでやれよ」

ラハール「む・・・どう呼ぼうと俺様の勝手だ」

陽介「それとさ、そろそろ俺のことも名前で呼んでくれよ。ほら、陽介って」

ラハール「こ、断る!俺様は寝る!」

陽介「あ、おい」

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:11:08.39 ID:BY2SDVpO0
>-4/18(月)放課後
:::【だいだら】:::

>-陽介から5000円もらった。

陽介「手持ちはペルソナに使っちまったんだろ?これで皆の分まで装備見繕ってくれ」

番長「俺が?」

陽介「ああ、結局、こん中で一番頭使って戦えそうなのはお前だからな」

番長「そうか。じゃあ、陽介には二刀流、里中には蹴り技用の強化靴・・・」

里中「うわっ、なんか凄い強そうなのあるよ。けどたっか・・・!」

番長「ラハールはどうする?」

ラハール「何でも構わん。剣でも槍でも斧でもな、ナックルや弓も使えるぞ」

番長「じゃあ、とりあえず俺と同じ長刀を」

ラハール「よかろう」

陽介「お揃いだなぁお二人さん」

ラハール「気味の悪いことを言うな!シャドウの前に貴様から八つ裂きにするぞ!」

陽介「おーこわ」

ラハール「ニヤニヤするな!」

千枝「ちょっと、遊んでる場合じゃないでしょ。武器決めたら、早く雪子を助けに行こう」

陽介「おう、けど里中。お前は無理すんなよ。昨日ペルソナに目覚めたばっかで、今日だって体が本調子に戻っちゃいないだろ?」

千枝「無理しちゃ駄目なのは、あたしだけじゃなくて皆そうでしょ」

陽介「まあな。けどお前は心配だ。また突っ走るんじゃないかってな」

千枝「き、昨日のことはごめんってば・・・」

番長「・・・行こう。里中の言うとおり、誰も無理をしてはいけない。堅実に、確実に天城を救出しよう」

陽介「おう!」

千枝「うん」

ラハール「・・・」

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:13:52.57 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・1F】:::

千枝「ふー・・・」

陽介「滅茶苦茶シャドウが沸いてたけど、ようやく落ち着いたな」

クマ「皆頑張るクマ。ユキチャン本人の気配はずっと上のほうの階にあるクマよ」

千枝「ずっと上、か・・・番長君、そういえばイザナギしか使ってないね。なんか、この間は他のも使ってなった?」

番長「今持ってる他の奴等は、強力すぎて呼び出すのに時間がかかるんだ。使うと物凄く疲れるし、バランスはイザナギが一番良い」

ラハール「・・・フン。さすがに気付いておったか」

番長「ああ。けど、多分天城のシャドウとも戦うことになると思う。その時は、まず皆で弱点を探って、その後はラハールを中心に、俺が、弱点をつくことの出来る強力なペルソナを呼び出す時間・・・を稼いで欲しい。その間は、俺はほとんど無防備になる」

ラハール「・・・まあ、それがよかろう。とはいえ、里中のシャドウほど強いとも限らんだろう。その場合はわざわざ強力なペルソナを呼ぶまでもない。イザナギのまま戦え」

クマ「そのことなんだけどぉ、時間がたてばたつほど遠いところにいるシャドウもここに呼び寄せられるクマ。そいつらを取り込んで、この間のチエチャンのシャドウより、ユキチャンのシャドウは強くなってると思うクマ」

千枝「そっか・・・」

陽介「じゃあ、番長の言うとおり戦うしかねえな」

ラハール「・・・戦うことだけを考えておけば良いとも思えんがな」

陽介「え?」

ラハール「いや、何でも無い。急ぐぞ」

番長「ああ」

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:14:44.95 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・2F】:::

千枝「・・・雪子?」

ラハール「いや・・・あれは」

番長「違う」

雪子のシャドウ『あらぁ?サプライズゲスト?うふふ、盛り上がって参りました!というわけで、次はこのコーナー』

『やらせナシ!突撃逆ナン!雪子姫の白馬の王子様探し』

クマ「何だクマ?」

陽介「い、今文字が空中に浮かんだぞ?」

ラハール「・・・」

千枝「アンタ、誰?」

雪子のシャドウ『えぇ?なぁに言ってるの?私は雪子。雪子は私』

千枝「・・・違う」

雪子のシャドウ『あらぁひどい』

千枝「アンタの方じゃない!本物の雪子はどこ!」

雪子のシャドウ『うふふ。それでは、はりきって行ってみたいと思います!』バッ

千枝「あっ、待ちなさい!」

陽介「消えた・・・!」

クマ「反応は上の階にうつったクマ!」

番長「進もう」

ラハール「・・・」

100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:16:02.75 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・6F】:::

クマ「ねえ、逆ナンって何クマ?」

陽介「んーなもん後にしろ!そんな状況かよ!」

>-・・・シャドウが俺達に立ちはだかるのは、本当にクマが言っていたように自衛のためなのか?
>-・・・今は考えるのはよそう。

番長「ラハール。魔翌力はどうだ?」

ラハール「今日は温存出来ている。花村の阿呆と違って、今回の新入りは使えそうだからな」

千枝「雪子・・・っ!」

花村「おい!阿呆って言うな!」

ラハール「・・・だが、やはり決め手になるような一発を撃てるほど、力を取り戻してはいない。いざという時は貴様が決めるしかないぞ」

番長「・・・わかった」

陽介「おいスルーかよ!?」

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:17:13.42 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・8F】:::

雪子「・・・ここは・・・?」

雪子の声『ごめんね。何度も誘ってくれてるのに、一緒に遊びに行けなくて・・・』

雪子「・・・私・・・の声・・・?」

千枝の声『ううん。自分の家のことじゃ仕方ないよ。旅館、大変そうだもんね』

雪子「千枝の声?これって・・・」

雪子のシャドウ『仕方ない・・・か』

雪子「え・・・?」

雪子のシャドウ『千枝は私の大事な人』

雪子「え・・・私・・・?」

雪子のシャドウ『千枝はいつも私を助けてくれて、何にも出来ない私と一緒にいてくれる、私の大事な人』

雪子「千枝・・・」

雪子のシャドウ『だった』

雪子「だった?」

雪子のシャドウ『でも千枝じゃ駄目。私を自由にしてくれない。千枝ならいつかきっとって思っていたのに、千枝は仕方ないよって言った』

雪子「・・・」

雪子のシャドウ『仕方ない。家のことだから、旅館の跡継ぎだから、仕方ない』

雪子「あなた・・・」

雪子のシャドウ『冗談じゃないわ!そんなの嫌!』

雪子「あなた、何?あなたは何なの?どうしてそんなことを・・・」

雪子のシャドウ『どうしてってなあに?私は雪子、天城雪子。あなただよ?』

雪子「・・・私・・・?」

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:18:55.11 ID:BY2SDVpO0
バンッ

千枝「雪子!」

雪子「千枝・・・?」

陽介「とりあえず無事か。けど・・・」

番長「既に来ていたか」

ラハール「貴様等、構えろ。いつ仕掛けてくるかわからんぞ」

陽介「あ、ああ・・・!」

千枝「雪子、聞いて!そいつは、雪子なの。雪子の中にあった、隠してきた気持ちの一部」

雪子「私の・・・一部・・・?」

雪子のシャドウ『あらあら・・・王子様が四人も。ねえ、雪子どっか行っちゃいたいんだ。誰も知らないずうっと遠く。王子様なら連れてってくれるよね?ねえ、早く』

千枝「よ、四人って、まさかあたしも入ってるの?」

クマ「四人目はクマでしょー!」

ラハール「いや、それはない」

雪子のシャドウ『千枝・・・そうよ。私の王子様。いつだって私をリードしてくれる、強くて素敵な王子様!』

雪子「・・・」

雪子のシャドウ『でも、もう千枝なんかいらない』

ゴッ

千枝「えっ・・・?」

ラハール「チッ・・・花村!行け!」

>-スピードアップ

陽介「俺!?くっ、ジライヤ!」

>-カッ

ガッ

>-シャンデリアが里中めがけて降ってきた。

千枝「は、花村・・・」

陽介「お、重みーんだよ!ぼけっとしてんな里中!」

ラハール「ぐだぐだぬかすな!一番速いのは貴様のジライヤだろうが!」

>-ブレイブハート

陽介「うぉっ、力が・・・これなら!」

>-カッ

ガシャンッ

陽介「よっしゃ!」

千枝「・・・」

番長「器用だな、ラハール」

ラハール「言ってる場合か!」

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:21:32.45 ID:BY2SDVpO0
雪子のシャドウ『結局千枝じゃ駄目だった。私をどこへも連れて行ってくれない。だからもう千枝なんていらないの』

千枝「いら・・・ない・・・?」

雪子のシャドウ『千枝じゃ私をここから連れ出せない。救ってはくれないから』

雪子「やめて・・・違う・・・!」

ラハール「・・・おい、あれは奴の本心だと思うか?」

番長「半分ぐらいは。けど、全部ああいうことではないと思う」

ラハール「・・・強さだけでなく、狡猾さも増しているということか」

雪子のシャドウ『老舗旅館の跡継ぎ?女将?たまたまあの家に生まれたっていう、ただそれだけのことで、私の人生全部が最初から最後まで決められている・・・そんなの嫌!まっぴらよ!』

雪子「そ・・・そんな・・・!」

千枝「・・・いらない・・・」

雪子「千枝、違う!違うの!私はあんなこと思ってない!」

千枝「け、けど・・・」

雪子のシャドウ『私はずっと待ってるの。私を、ここじゃないどこかに連れて行ってくれる王子様を。私一人じゃどこへもいけない。だから・・・』

雪子「・・・」

ラハール「あのシャドウが力を得る前に先手を打つぞ」

番長「ああ。イザナギ!」

>-カッ

陽介「待てってお前等、俺も行く!」

>-カッ

雪子のシャドウ『せめて私の本音ぐらい聞いてよ!私の、天城雪子の!』

雪子「違う!あなたなんか私じゃない!」

ラハール「!」

番長「間に合え・・・!」

ゴッ

雪子のシャドウ『うふふふふ・・・あははははは!そう?別に良いわよそれで・・・力が漲るわ』

番長「くっ・・・!」

ラハール「・・・止むをえん、とりあえず打ち合わせ通りにやるぞ」

番長「ああ」

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:23:08.04 ID:BY2SDVpO0
雪子のシャドウ『我は影、真なる我。まずは、もういらない千枝に、死んでもらおうかしら』

千枝「・・・」

雪子「や、やめて・・・!」

>-マハラギ

陽介「させっかよ!」

>-カッ

>-ガル

千枝「は、花村・・・」

陽介「だからぼけっとしてんな!お前が呆けてどうすんだよ!?」

千枝「け、けど・・・あたし・・・いらないって・・・」

陽介「・・・っ!」

雪子のシャドウ『そうよ!私をどこかへ連れてってくれない千枝なんか、もういらない!』

雪子「違う・・・やめて・・・!」

>-マハラギ

陽介「くそ・・・おさえらんねえ・・・!」

ゴッ

陽介「うわあああ!」

千枝「キャッ!」

>-Weak

雪子「千枝!」

ラハール「・・・番長、予定変更だ。貴様は奴等の目を覚ましてやれ」

番長「ああ」

>-ブレイブハート
>-スピードアップ
>-シールド
>-マジックアップ
>-マジックバリア

ラハール「おい、少し俺様と遊べ」

雪子のシャドウ『なあに?どういうつもり?あなた一人で私をどうにかするの?』

ラハール「それが出来ればそうしているかもな。まあ不本意だが、それだけではいかんのだ」

ドッ

105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:25:03.34 ID:BY2SDVpO0
番長「・・・里中」

千枝「番長君・・・」

番長「お前の時のことを、思い出せ」

千枝「あたしの・・・時・・・?」

番長「シャドウは確かに、里中の本音も言った。嫉妬とか、羨望とか、そういうものを天城に対して向けてしまうことがある、お前の本音を」

千枝「・・・」

雪子「千枝・・・?」

番長「だけど、シャドウが言ったことが、全部本当のことだったか?本当のことばかりだったか?」

千枝「・・・!」

番長「お前と天城は、小さい頃からずっと一緒に、二人で生きてきたんだろう?隠してる気持ちの一つや二つで、お互いを求め合わなくなる。そんな間柄じゃ・・・ないだろ?」

千枝「番長君・・・あたし、わかった!」

番長「・・・そうか」

陽介「里中・・・」

千枝「花村・・・あたし、もう大丈夫。二人はラハール君のところへ。雪子は私が・・・!」

陽介「本当に、大丈夫か?」

千枝「私は花村に・・・番長君に、ラハール君に、助けて貰った。次は、あたしの番だから・・・!」

陽介「・・・よし、行くぜ番長!」

番長「ああ」

>-カッ

ラハール「はぁ・・・はぁ・・・なんだ貴様等、もう済んだのか?」

陽介「里中が何とかするさ。お前は随分きつそうだな?」

ラハール「俺様も戦いながらレベルを上げてはいるがな・・・奴は時間を経るごとに周囲のシャドウを取り込んでいる・・・!」

番長「じゃあ、ここからは打ち合わせ通りで」

ラハール「貴様、淡々としているな。本当に人間か?」

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:26:55.02 ID:BY2SDVpO0
>-・・・・・・

千枝「雪子」

雪子「違う・・・違うの千枝・・・!」

千枝「ううん、良いんだよ」

雪子「え・・・?」

千枝「あたしにも、あったんだ。同じことが」

雪子「同じ・・・?」

千枝「あたしね、ずっと雪子が羨ましかったんだ。美人で、頭も良くて、礼儀正しくて、旅館の・・・跡継ぎで」

雪子「千枝・・・」

千枝「妬ましかった・・・羨ましかった・・・何でも持ってる、何でも出来る、雪子が」

雪子「そんな・・・そんなこと・・・」

千枝「私はそんな、嫌なことを考えたりもする、普通の女の子。当の雪子がどう思っているのかも、考えたりせずに・・・」

雪子「千枝・・・」

千枝「雪子だって辛かったんだよね。旅館の跡継ぎっていう、決められた道じゃなくて、雪子は、どこかに行きたかったんだよね?自分で選んだ、どこかに」

雪子のシャドウ『余計なこと言わないで!』

ラハール「おい、少し黙れ。今面白いところではないか」

>-獄炎ナックル

ドンッ

雪子のシャドウ『邪魔よ!』

ラハール「チッ・・・火は効かんな」

番長「疾風と電撃は、俺と陽介で試した」

ラハール「ならば・・・」

>-クール

雪子のシャドウ『ああっ!?』

>-Weak

ラハール「これだ」

番長「氷結か」

ラハール「そのようだ。貴様は離れて力を貯めろ。後はなんとかするぞ、陽介!」

陽介「よ、陽介・・・名前で・・・?お、おう!行くぜ、ラハール!」

107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:28:37.92 ID:BY2SDVpO0
雪子「千枝・・・私は・・・」

雪子のシャドウ『そうよ!どこかに行きたいけど、自分でどうにかするなんて無理!だから私は誰かにどこかへ連れて行って欲しかったの!人にばかり頼って、なんて最低なのかしら』

雪子「やめて・・・」

千枝「最低、ね。いいじゃん別に」

雪子「千枝・・・?」

千枝「それに、雪子なら、雪子は強いから、誰かに頼らなくても、行きたいところに行けると思うよ」

雪子「そんな・・・私は・・・そんなに強くない・・・」

千枝「・・・そうだよね」

雪子「え・・・?」

千枝「雪子だって、そういうふうに思うこともあるんだ。誰かに頼りたい時だってある」

雪子「千枝・・・」

千枝「嫌な時は、どこかに行きたくなったって良いじゃん。頼りたい時は、誰かに頼ったって良いじゃん」

雪子「・・・」

千枝「私は雪子の、そんな気持ちを考えもせずに・・・何年も一緒に、生きてきたっていうのに、気付かずに」

雪子「千枝・・・」

千枝「一緒に行こう」

雪子「一緒に・・・?」

千枝「雪子を、雪子の本音を受け入れに」

雪子「私の・・・本音・・・」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:29:57.88 ID:BY2SDVpO0
雪子のシャドウ『やめてって言ってんのよ!』

>-マハラギ

千枝「!」

>-クール
>-ガル

ぶわっ

ラハール「オイ里中、道はくれてやる。行くならさっさと行って来い」

陽介「なるべく早くな。そろそろ限界だ」

千枝「・・・うん」

雪子「私は・・・私の本音は・・・」

千枝「雪子、一緒に考えよ。雪子がどうしたいか。雪子がどうするのか」

雪子「千枝・・・っ!」

千枝「雪子なら、きっと一人でもどこへだって行ける。でも、困った時は誰かに頼ろう?私とかさ、頼りないかもだけど・・・」

雪子「ううん・・・そんなことない。頼りなくなんか、ない」

千枝「雪子・・・」

雪子「そうだね・・・行こう。行きたい」

千枝「うん」

109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:31:44.28 ID:BY2SDVpO0
雪子のシャドウ『来るな!』

>-マハラギ

ラハール「ハアッ!」

>-クール

陽介「ジライヤ!」

>-ガル

千枝「トモエ!」

>-ブフ

雪子のシャドウ『来るな!来るな、来るな!!』

>->マハラギ

>-クール
>-ガル
>-ブフ

>->マハラギ

>-クール
>-ガル
>-ブフ

雪子のシャドウ『来るなって・・・行ってるのに・・・!』

陽介「な、なあ・・・マジもう限界なんだけど」

ラハール「・・・少し黙れ。今面白いところではないか」

陽介「・・・わーったよ!」

>->マハラギ

>-クール
>-ガル
>-ブフ

雪子「どこかに行きたい。けど、私には何も出来ない。怖い。誰かに連れて行ってもらいたい」

雪子のシャドウ『・・・』

雪子「確かに、私の気持ちだね。ずっと、見て見ぬフリをしてきた」

雪子のシャドウ『くっ・・・そ・・・!』

番長「・・・待たせたな」

ラハール「遅い、陽介が根を上げていたぞ」

陽介「いや、良いタイミングだぜ」

雪子のシャドウ『来るなああああ!』

>-マハラギ

番長「来い、スカディ」

>-カッ

>-ブフダイン

雪子のシャドウ『嫌あぁぁああああ!』

>-Weak

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:33:28.88 ID:BY2SDVpO0
雪子「・・・ごめんね。あなたを受け入れられなくて」

雪子のシャドウ『・・・』

雪子「私は、弱いから・・・見ないフリをしていれば、怖くないと、思っていたから・・・」

雪子のシャドウ『・・・』

雪子「・・・けど、あなたは、私だね」

雪子のシャドウ『・・・うん』

>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-雪子は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"コノハナサクヤ"を手に入れた!

千枝「雪子」

雪子「千枝・・・」

千枝「ごめんね。私は、私は何にも気付けなかった・・・雪子の・・・」

雪子「違う、千枝が謝ることなんてない」

千枝「けど・・・」

雪子「どこかに連れて行って欲しい。確かに私はそう思ってた。けど、千枝は連れて行ってくれない・・・そうも、思ってた」

千枝「・・・うん」

雪子「でも、やっぱりそれじゃ駄目だよ。本当にどこかに行きたいなら、自分が、変わらなきゃ」

千枝「雪子・・・」

雪子「それに、そんなこと関係ない。そんなこと関係なくても、千枝は私を守ってくれて、ずっと私と一緒にいてくれて・・・本当に、大事な人、大事な友達だから」

千枝「雪子!」バッ

雪子「千枝!」

千枝「頑張ろ。あたし、雪子のためなら、何だってするから・・・!」

雪子「千枝・・・!」

陽介「・・・な、なんかこういうの、見てて照れるな」

ラハール「・・・そういうことを言うから貴様は花村なのだ」

陽介「なっ!おい!さっき名前で呼んでくれたじゃんか!」

ラハール「知らん!貴様の聞き間違いだ!」

陽介「えぇ~・・・せっかくデレてくれたと思ったのによ~・・・」

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:34:58.23 ID:BY2SDVpO0
番長「天城、体は大丈夫か?」

雪子「体・・・?あっ・・・!」

千枝「雪子!?」

雪子「な、なんか・・・辛い」

番長「ペルソナに目覚めた反動だな」

ラハール「そうでなくとも、丸一日以上気を失っていたのだろう」

番長「そうだな。今日はもう帰ろう」

陽介「俺等も限界だしな」

ラハール「貴様と一緒にするな。俺様は」

番長「限界、だろ?」

ラハール「う、うるさい!」

クマ「もー終わったクマかー・・・?」

陽介「クマ?お前どこ行ってたんだよ」

クマ「なんかヤバそうだったから部屋の外で待ってたクマよ・・・」

陽介「お前なー・・・」

番長「いや、懸命だろう。あの業火の中じゃ、普通ひとたまりもないぞ」

陽介「ま、それもそうか・・・」

雪子「・・・」

陽介「とにかく帰ろうぜ!天城がすげーきつそうだ。里中、送ってやれるか?」

千枝「任して!今日は大丈夫」

番長「いろいろ話さなきゃいけないことはあるけど、またにしよう。天城が体調を取り戻してから・・・かな」

千枝「だね」

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:36:21.01 ID:BY2SDVpO0
>-次回予告
>-BGM:Last Engage

ヴァルバトーゼ「何だこれは!せっかくプリニー共を別魔界見学に連れてきてやったというのに、エトナもラハールもいないではないか!」

フェンリッヒ「なにやら説明的な口調ですが、そうですね」

ヴァルバトーゼ「しかも魔王城から離れたところで戦争が起きているだと!?ラハールは何をしている!?」

ラハール「おい」

ヴァルバトーゼ「やむをえん!プリニー教育係は一時休職だ!しばらくこの魔界の魔王を勤め、戦争を止めようではないか!」

ラハール「おい!」

ヴァルバトーゼ「フェンリッヒ!早速根回しを始めるのだ!この魔王ヴァルバトーゼが、戦争など許さん!」

フェンリッヒ「畏まりました。全ては、我が主のために。(フフ・・・このままこの魔界を我が主のものに・・・!)」

ヴァルトーゼ「次回、ディスガイア4!魔王ヴァルバトーゼ!」

ラハール「乗っ取るな!!」

ヴァルトーゼ「イワシッ!!」

エトナ「で、出番が・・・」

119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:22:29.63 ID:sRNXUJCh0
>-4/19(月)
:::【教室】:::

千枝「おはよー」

番長「おはよう」

陽介「おはよーっす・・・」

千枝「あらら、元気無いね花村」

陽介「そりゃ昨日の今日だしな。つーか普通そうだろ。お前元気すぎじゃね?」

千枝「鍛え方が違いますから」

番長「俺も平気だけど」

ラハール「・・・昨日の疲れなんぞを残しているのは貴様だけだ」

陽介「えぇ~?俺が少数派なのかよ」

番長「・・・里中、天城は今日来られるのか?

千枝「ううん、まだ体調戻らないみたいで、しばらく学校休むみたい。けど、心配しないでって言ってたから、何日かしたら大丈夫だと思う」

番長「そうか」

ラハール「・・・天城から生まれたシャドウは、貴様等二人のものより力を持っていた。天城の体にかかった負担は、貴様等以上だろうな」

番長「そうだな」

陽介「だよな・・・あのシャドウとやりあえたのも、ほとんど防御に徹してたからで、実際まともなダメージ入れられたのって番長ぐらいだったんじゃね?」

ラハール「奴とは属性の相性も噛み合わんかったからな。奴は俺様の得意とする火の力を受け付けなかった」

千枝「・・・皆、ごめんね。私、雪子を助けなきゃって意気込んでたのに、皆がいなかったら私・・・」

陽介「あー・・・やめやめ。あんまこういう話教室ですんのもあれろ?天城が元気になったら改めてってことで、今は話題変えようぜ」

千枝「う、うん・・・」

番長「そうだな」

120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:23:36.25 ID:sRNXUJCh0
>-放課後
:::【教室】:::

ラハール「番長、話がある。少し付き合え」

番長「いいけど・・・」

陽介「え?おいラハール、今日は店の手伝いしねーと」

ラハール「重要な話だ。人手が足りんなら里中にでも頼め」

陽介「ええぇ~?」

ラハール「行くぞ」

番長「うん」

陽介「お、おいおいおい・・・」

里中「ま、大事な話なら仕方ないっしょ」

陽介「あ、あの~・・・じゃあ、里中さん、大変申し訳ないんですが、店の手伝いをですね・・・バイト代はちゃんと出るんで」

里中「いいよ、今日は特に予定もないし。雪子の見舞いに行こうかとも思ってたんだけど、今は行って騒がしくするより静かに寝かせてあげたいかも」

陽介「マ、マジ?ほんっと、うちのラハールがごめん・・・!」

里中「いいってそれぐらい」

121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:25:17.18 ID:sRNXUJCh0
:::【屋上】:::

ラハール「・・・」

番長「話って?」

ラハール「・・・一晩考えたが」

番長「?」

ラハール「今回の事件が、俺様が送り込まれなければならないほどの大事件とは思えん」

番長「・・・」

ラハール「貴様等人間同士の間で殺しあうというのは、何も珍しいことではないはずだ」

番長「それは・・・まあ、人間全体で見れば、確かに」

ラハール「確かにやり方こそ特殊だが、規模は小さい。今のところ死人は二人、天城が殺されかけたことを含めても、被害者はたったの三人だ。花村や里中は、自分からあの世界に行ったわけだしな」

番長「うん」

ラハール「この事件には・・・現段階では俺様達が感知すらしていない、強大な何者かが関与しているかもしれん」

番長「強大な、何者か?それは、犯人とは別に・・・ってことか?」

ラハール「・・・貴様鋭いな」

番長「まあ、感知していないとかいわれると、そうとしか思えない」

ラハール「今回の事件の真犯人とは別の、強大な何者かの関与。それこそが、俺様が送り込まれなければならかった理由だと思っている」

番長「・・・なるほど」

122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:34:30.14 ID:sRNXUJCh0
ラハール「昨日は有耶無耶の内に、とりあえず天城の救出まではしたが、貴様は今後も今回の事件に関わっていくつもりなのだろう?」

番長「うん。昨日も話したけど、やっぱりクマと約束したし」

ラハール「里中や天城は知らんが、おそらく花村の阿呆は貴様と共に事件に立ち向かうつもりだ」

番長「ああ」

ラハール「俺様も一応手を貸してはやるがな・・・やはり人間界のことは人間が中心となって解決すべきだ。貴様が指揮を取ってやれ。あの阿呆一人では、何も出来はせん」

番長「俺が?ラハールがやっても良いんじゃないか?魔王だったんだろ?」

ラハール「だからこそだ。俺様が指揮をとっても、力と恐怖での支配にしかならんぞ。それでは貴様人間は本来の力を発揮出来ないだろう」

番長「本来の、力?」

ラハール「・・・貴様等人間の心とはよくわからんものだ。下らんことで良くも悪くもなる。貴様等の力、ペルソナは心の力だ。これからもあの世界でシャドウと渡り合うつもりならば、肉体だけではなく心もうまく取り扱うべきだ。天城のシャドウと戦った時、花村の阿呆は気の持ちようでその力を大きく揺るがせていた。俺様に支配されたような状態では、おそらくペルソナはまともに使えん」

番長「・・・」

ラハール「貴様なら、そのあたりうまくやれるのではないか?」

番長「わからないけど、ラハールがそういうなら、やってみるよ」

ラハール「フン・・・それでいい。昨晩、あの後俺様一人でベルベットルームに呼び出されて聞いたのだが、貴様の力・・・ワイルドは、他者と絆を育むことでその力を増すらしい。薄気味の悪い話だが、精々うまくやるのだな」

番長「・・・ああ」

ラハール「とはいえ、俺様と絆なんぞを築けると思うなよ。一応手は貸してやるが、貴様等人間に気を許す気など全く無いからな」

>-言葉とは裏腹に、ラハールからの信頼が伝わってくる・・・
>-ラハールとの間に、ほのかな絆の芽生えを感じる・・・

>-我は汝・・・、汝は我・・・
>-汝、新たなる絆を見出したり・・・

>-絆は即ち、まことを知る一歩なり。
>-汝、"世界"のペルソナを生み出せし時、
>-我ら、更なる力の祝福を与えん・・・

>-ラハールとの絆に呼応するように、心の力が高まるのを感じた・・・

>-"世界"属性のコミュニティである、"ラハール"コミュを手に入れた。

番長「・・・」

ラハール「どうかしたか?」

番長「いや、なんでもない。一緒に頑張ろう。よろしく」

>-握手をしようと手を差し出したが、拒まれてしまった

ラハール「頑張るのは貴様等だ。俺様は多少手を貸してやるだけに過ぎん」

>-素直じゃないみたいだ。

ラハール「・・・貴様、何をニヤけている!」

番長「いや、だからなんでもないって」

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:36:20.92 ID:sRNXUJCh0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「おいラハール、里中が明るくて良い奴だったから助かったけど、もう今日みたいなのは勘弁しろよ」

ラハール「チッ・・・そもそも店の手伝いなど、俺様の性に会わん」

陽介「口じゃそう言ってっけど、お前結構楽しそうにやるじゃん」

ラハール「だ、誰が楽しそうだ!」

陽介「つーか、働かざる者食うべからずだ。それはお前が元いたところでもそうだろ?」

ラハール「・・・」

>-4/29(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::

ラハール「・・・」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・いらっしゃいませ」

エトナ「・・・くく・・・くく・・・も、もうだめ!マジで!あの殿下が、あの殿下が働いてる!」

ラハール「馬鹿笑いしおって・・・!貴様、後で必ず八つ裂きにしてやる・・・!」

エトナ「すいませーん、この店員さん目が血走ってて怖いんですけど~」

ラハール「・・・っ!」

陽介「ラ、ラハール、ここはもういいから、あっちのお客様の対応してきてくれ」

エトナ「あー笑ったわー・・・!」

番長「楽しそうだな」

エトナ「そりゃ楽しいわよ。何たってあの殿下が働いてるんだもん!いらっしゃいませだって、似合わねー!」

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:38:17.60 ID:sRNXUJCh0
陽介「つか、その子って・・・」

番長「ラハールから聞いてないか?エトナさん。ラハールの家来らしい。ラハールが働いてるところを見たいって言ってたから、連れてきた」

陽介「あー・・・その子がエトナさんね」

エトナ「アンタが阿呆の花村?」

陽介「ア、アホっていうな!初対面だろ!?」

エトナ「なんか陽気そうな人間ねー」

陽介「つ、つか・・・あの、その格好って一体どういうことなの?ラハールもおかしな格好してたけど、悪魔って皆そうなの?」

エトナ「あ?何よ。殿下はともかく、アタシの服装に文句付けようっての?」

陽介「いや別に、そういう訳じゃねーんだけど、なんか・・・露出度高すぎじゃね?///」

エトナ「へー、●●●奴だねぇアンタ」

陽介「いやいや普通に目のやり場に困るだろ!」

エトナ「そう?」

番長「いや、別に。陽介は●●●奴だな」

陽介「おっ、おい!お前だってちょっとおかしいと思うだろ!?///」

番長「いや、別に。目の保養にはなると思うけど」

陽介「ほよ・・・っ!お前ってやっぱすげーわ・・・」

125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:39:54.10 ID:sRNXUJCh0
エトナ「アンタって裏表なさそうで良いわねー。だけど、アタシに変な気起こしちゃ駄目だよ。消し炭になりたくなかったらね」

番長「は、はい」

陽介「こえー・・・目がマジじゃねーか・・・けどさ、あんまラハールからかわないでやってくれよ?あいつ口は悪いけど、中身はけっこう繊細な奴だと思うからさ」

エトナ「・・・!」

陽介「っと、俺も仕事しねーと、じゃ、またな!」

番長「うん。また」

エトナ「・・・あんなやつに言われなくても、わかってるっつの・・・」

番長「・・・・・・」

エトナ「・・・何も言わないんだね、アンタ」

番長「・・・」

>-エトナから、わずかな感謝が伝わってくる・・・
>-エトナとの間に、ほのかな絆の芽生えを感じる・・・

>-我は汝・・・、汝は我・・・
>-汝、新たなる絆を見出したり・・・

>-絆は即ち、まことを知る一歩なり。
>-汝、"太陽"のペルソナを生み出せし時、
>-我ら、更なる力の祝福を与えん・・・

>-エトナとの絆に呼応するように、心の力が高まるのを感じた・・・

>-"太陽"属性のコミュニティである、"エトナ"コミュを手に入れた。

エトナ「また連れ出してよ。あの部屋で静かにしてると頭おかしくなるからさー。アンタか殿下が一緒ならどこ行っても良いらしいし」

番長「は、はい」

エトナ「殿下が連れ出してくれりゃいいんだけど、素直にそうしてくれるとは思えないしねー・・・」

>-・・・何か心配事でもあるのだろうか。エトナの気分は良くないようだ。

番長「ラハール、随分怒ってましたね」

エトナ「え?あー、まあね。アタシに見られたくないところだろうし・・・」

番長「・・・」

エトナ「まあいいや、面白いもんは見たし、帰るわ」

番長「あ、送っていきます」

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:41:26.96 ID:sRNXUJCh0
>-4/30(土)放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

陽介「よっし、今日は天城の快気祝いだ。俺の奢りだから、ぱーっとやってくれ」

雪子「あ、ありがとう」

番長「すっかり元気そうだな」

雪子「うん。けっこう休んだし、勉強のほうも遅れを取り戻さないと」

ラハール「・・・どうでもいいが、何故お前がいるのだ?エトナ」

エトナ「え?何ですか、いいじゃないですか。阿呆の花村君が奢ってくれるっていうんだから」

陽介「だからアホはやめてってば!」

千枝「というか、皆知り合いなの?あたし知らないんだけど」

雪子「あ、私も」

エトナ「アタシはエトナ。よろしくね~」

ラハール「こいつは俺様の魔法を使えるようにしてくれたやつだ。おいエトナ、余計なことは言うなよ」

エトナ「はいはい」

千枝「へ~・・・え、じゃあエトナさんも魔法が使えるの?ラハール君みたいな力が」

エトナ「まあ多少はね」

127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:45:35.45 ID:sRNXUJCh0
陽介「そっか・・・なあ皆、ちょっと聞いてくれ」

番長「なんだ?」

陽介「俺は今回の事件の犯人を突き止めたい。テレビに放り込んで、シャドウに殺させるとか・・・とても警察に捕まえられるようなもんじゃないと思うんだ」

千枝「あたしもやるよ!」

雪子「・・・私も」

番長「天城も?」

雪子「自分に、命を狙われるような理由があるなら・・・私はそれを知りたい」

番長「そうか」

陽介「番長も、やるつもりなんだろ?」

番長「うん。クマと約束してるし」

ラハール「・・・ならば貴様等、犯人を突き止めて殺そうというわけだな?」

陽介「え・・・こ、殺そうってお前」

ラハール「そういうことであろうが?法というやつで裁けはせんのであろう?ならば殺してしまうのが一番早い。あっちの世界でやれば、それこそバレはせんだろうしな」

陽介「お前・・・」

ラハール「大体貴様、犯人は小西の仇であろう?貴様が一番そうしたいと思っているのではないか?」

陽介「・・・俺達は、感情とか、復習とかで誰かの命を奪うとか、そういうふうには出来てないんだよ。例えそれがバレなくてもな」

ラハール「は?」

陽介「犯人をつきとめて、絶対にこんなことは止めさせる。俺達の目的はそういうことなんだ」

千枝「う、うん。花村の言うとおりだよ」

ラハール「素直にやめてくれればいいがな」

エトナ「殿下~殿下ちょっと、皆ドン引きしてますって」

ラハール「何故だ?」

陽介「何故だってお前・・・」

番長「ばれないからって、犯人の命を奪うようなことをしたら・・・それこそ犯人のやっていることと同じになってしまうだろう?俺達はそういうことをさせないために事件のことを調べるし、犯人を見つけたいんだ」

千枝「そ、そうだよ」

ラハール「犯人と同じ・・・か。だが、人間同士での殺し合いなど、何も珍しいことではあるまい」

番長「確かに、この世界全体で見ればそうかもしれない。だけど、俺達日本人はそういうふうには生きていないし、だからこそ犯人のやっていることが許せないし、やめさせたい」

ラハール「・・・面倒な考え方だな」

番長「面倒かもしれないけど、それが俺達の考えだから、ラハールも手を貸してくれ」

ラハール「・・・貴様に指揮を取れと言ったのは俺様だからな、面倒だが、俺様も付き合ってやる。俺様達の世界では考えられんような甘っちょろい理屈だが、俺様は別に・・・貴様等のそういうところが嫌いではないからな」

128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:52:03.61 ID:sRNXUJCh0
エトナ「(ちょっとはフォローしてやっかー・・・ったく殿下は)」

千枝「お、俺様達の世界?」

エトナ「あー、えっとね、私達の国では、何にも珍しいことなんかじゃないんだ。殺し殺され、奪い奪われ。そういうことはね。むしろそれが当たり前っつーか」

千枝「そ、そうなんだ・・・」

エトナ「だからまー、殿下もこういうキツイこと言うかもしんないけど、仲良くしてやってね~。この人の"嫌いではない"って、最上級の褒め言葉だから」

ラハール「ふ、ふざけるな!何が褒め言葉だ!」

エトナ「実際そうじゃないですか。殿下がそんなデレデレしてるとこ、フロンちゃんの前以外じゃはじめて見ましたよ?」

ラハール「なっ!奴の話は今関係なかろう!大体誰がデレデレしている!?」

番長「落ち着け」

ラハール「む・・・」

雪子「それより、今殿下って言った?」

エトナ「それよりってあんた・・・いやまあ言ったけど」

雪子「殿下ってことは、王子様なの?」

エトナ「んー、まあ一応ね」

ラハール「王子ではない。王だ」

千枝「えぇっ!?」

雪子「王様なの!?」

エトナ「・・・殿下、隠す気あります?素性」

ラハール「あ」

エトナ「あ、じゃないですよ。せっかく、こっちが気使ってやってんのに」

陽介「ラハール。やっぱ、皆には話しておいても良いんじゃねえか?どうせお前、こんままだとボロ出まくるだろ」

番長「俺もそう思う。俺から話そう」

ラハール「・・・構わんが、信用されなくても俺様は知らんぞ」

129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 14:59:14.22 ID:sRNXUJCh0
>-溢れる"伝達力"でラハールのことやベルベットルームのことを話した。

>-うまく伝わったようだ。

千枝「なるほど・・・それにしても、魔王様かー・・・なんか思ってたのと違うかも」

雪子「魔王っていう名前のイメージとはちょっと違うけど、でも確かに落ち着きとかは凄いよね」

ラハール「な、なんだ貴様等、今の話を信用するのか?」

千枝「いやまあ、荒唐無稽・・・だっけ?確かにそうなんだけど、あたし達もうペルソナとかいう不思議な力や、テレビに入るとかいう不思議体験しちゃってるからね。なんでもこいって感じ」

雪子「うん」

ラハール「・・・」

陽介「ほらな、やっぱこいつらなら大丈夫なんだよ」

ラハール「・・・陽介」

陽介「お、名前キター!」

ラハール「や、やかましい!」

雪子「ねえ、魔界ってどんなところなの?」

ラハール「ちっ、近寄るな貴様!」

雪子「え、ええっ!?」

陽介「ちょ、おいラハール?」

雪子「わ、私何か嫌われるようなことした・・・?」

エトナ「違う違う。殿下はムチムチした女の子が苦手なんだよね。例えばアタシみたいな豊満なボディーの女の子がさ」

陽介「・・・アタシみたいな?」

エトナ「あぁ!?何よ、文句あんの?」

陽介「い、いや、なんでもありません」

雪子「・・・そうなんだ?」

ラハール「そっ、そうだ!だからそう近寄るんじゃない!」

番長「ウブだな」

ラハール「・・・おい、はじめて貴様に殺意を覚えたぞ」

番長「ふっ・・・」

ラハール「鼻で笑うな!」

番長「けど、それなら里中は平気なんじゃないか?」

千枝「ちょっ、それどういう意味!?」

ラハール「・・・平気でもないが、苦手というほどでもないな」

千枝「ラハール君まで!?」

>-皆と楽しく過ごした。

130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 15:02:29.65 ID:sRNXUJCh0
>-夕方
:::【テレビの中の世界】:::

千枝「エトナさん帰っちゃったけど、良いの?」

ラハール「奴は一緒にはやっていけんのだ。今奴がいる部屋のルールだと、さっき番長が説明しておっただろう?」

千枝「あ、そっか・・・」

クマ「クマー・・・クマクマー・・・」

ラハール「・・・」

陽介「おーいクマ、何してんの?」

クマ「クマー・・・あ、ヨースケ」

陽介「どした?なんか暗いぞお前」

クマ「皆が帰っちゃってー、誰も来なくなってー・・・クマは・・・一人で寂しんボーイしてたクマ・・・」

番長「そうか」

千枝「クマ君・・・」

陽介「けど、お前今までずっとこの世界で一人だったんだろ?」

クマ「そうなんだけどー・・・」

雪子「ねえ、その人、誰?っていうか・・・何?」

クマ「クマはクマクマー!」

雪子「・・・意味がわからない」

クマ「ひどいクマ!まあいいクマ、ユキチャンこの間は大変だったクマね~」

雪子「この間?」

番長「クマは、天城の救出に強力してくれていたんだ」

クマ「戦うのは無理だけどー、クマの鼻はシャドウの場所を突き止めるクマ」

雪子「そうなんだ。ありがとう、クマさん」

クマ「クマーン・・・」

陽介「クマ、今日は報告に来たんだ」

クマ「報告?何クマ?」

番長「ここにいる皆で事件の犯人をつきとめて、人をここに放り込むのをやめさせる。そう決めた」

クマ「おおー、え、皆ってラハールもクマか?」

ラハール「何だ貴様その目は?俺様がいては嫌か?」

クマ「だってー・・・ラハールは怖いしー・・・」

ラハール「・・・おい、やはりこいつ殺していいか?」

クマ「オヨヨ~~ッ!?」

陽介「やめろって、そういうとこが怖いって言われてんだろ?」

番長「落ち着け」

ラハール「む・・・」

131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 15:04:35.64 ID:sRNXUJCh0
クマ「まーラハールは怖いけどぉ~、強いからいてくれると嬉しいクマ!」

ラハール「そ、そうか・・・」

クマ「じゃー、ユキチャンにも眼鏡が必要クマね!用意してあるクマよ!」

雪子「眼鏡?そういえば皆してるね」

千枝「この眼鏡してれば、こっちの世界で霧が出てても、視界がはっきりするの」

クマ「はいこれ!」

千枝「え?ちょっとそれ・・・」

雪子「おお!」

陽介「あ、天城?」

雪子「どう?似合う?」

番長「・・・」

ラハール「・・・」

陽介「似合うっつか・・・おいクマ、なんだよこの鼻眼鏡は?」

クマ「あまりに暇で作ってしまったクマ」

陽介「ふざけんな」

雪子「はい、次、千枝の番」

千枝「えっ、あたし!?」

雪子「はい」

千枝「・・・もー、はい。似合う?」

番長「・・・」

ラハール「・・・」

雪子「ち・・・千枝、似合う!凄い似合ってる!似合いすぎ!あはははは!」

陽介「あ、天城さん?」

千枝「雪子の馬鹿笑いが出たか・・・」

陽介「これどういうことよ?天城がこんなふうに笑ってるとこなんて、見たことないぞ?」

千枝「気を許せる人の前でだけ、雪子はこうやって笑えるんだ。今まではせいぜい私とか、家族や旅館の人の前でだけだったんだけど」

陽介「・・・そっか。よかったな」

千枝「うん・・・」

陽介「けどお前、その眼鏡つけたまんまそういうこと言っても、なんか、アレだな」

千枝「アレって何よ!」

番長「でも、本当に似合ってるよ」

ラハール「そうだな」

千枝「嬉しくないから!」

132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 15:09:45.67 ID:sRNXUJCh0
>-・・・・・・

クマ「皆、帰っちゃうクマか?」

陽介「今日はもう遅いからな」

クマ「そうクマかー・・・」

番長「寂しいのか?」

クマ「クマは今、自分がなんなのかわからんで悩んでるんだクマー。けど一人で考えてもわからないクマよ」

千枝「自分が・・・なんなのか?」

陽介「確かに、お前の存在はなんか謎だけど、俺達がいたってわかるようなもんでもないぞ?」

クマ「そうだけどー・・・クマー・・・」

雪子「クマさん。私も今、自分がなんなのか・・・自分が何をしたいのか考えてるんだ」

クマ「ユキチャンもクマか?」

雪子「うん。だから今度一緒に探そう。またくるから、それまで待っててね」

クマ「ユキチャンは優しいクマねー。わかったクマよ」

番長「じゃ、また」

133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 15:15:20.89 ID:sRNXUJCh0
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子

フロン「はーあー・・・」

エトナ「ちょっとフロンちゃん?」

フロン「はー・・・」

エトナ「ちょっと、次回予告はじまってんだけど?」

フロン「もーそんなやる気出ませんよー。エトナさんもラハールさんも楽しそー、私も人間界行きたーい!」

エトナ「行きたーいってアンタ、今アンタが来たら殿下の怒り爆発よ?」

フロン「けど魔界も天界も大変だし、それどころじゃないのはわかってはいるんですけどー・・・」

エトナ「あーもう、こいつウゼー」

フロン「はい、じゃあ次回、かにみそーっ・・・」

エトナ「雑すぎる」

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:39:39.70 ID:BE6EDgkI0
>-5/2(月)夜
:::【堂島家】:::

菜々子「代わってって」

番長「うん・・・」

堂島『すまんが、明日からの連休はつぶれそうだ』

番長「え?」

堂島『若い奴が一人体調を崩してな、そいつが取り掛かっていた事件の内容からして、穴は空けられん。俺が出るしかなさそうだ』

番長「けど、それじゃ菜々子は・・・」

堂島『そうだな。菜々子を遊びに連れて行く約束をしていたが、どうにもならん。すまんが奈々子のこと、気にかけてやってくれんか?』

番長「わかりました」

>-・・・・・・そうか。だから菜々子の元気がなかったのか。

>-・・・電話をしよう。

番長「・・・陽介か?ラハールに代わってくれ」

:::【陽介の部屋】:::

陽介「おいラハール、番長からだ」

ラハール「は?」

陽介「いいから出ろって」

ラハール「・・・何だ?どうした?」

ラハール「・・・は?」

ラハール「・・・何故それを俺様に言う」

ラハール「・・・・・・そ、そうか。一番頼りに・・・ああ」

ラハール「・・・知るか!自分でどうにかしろ!」

ラハール「・・・は?」

ラハール「・・・・・・そうか」

ラハール「・・・何故そんなことまで俺様が!」

ラハール「・・・む・・・そ、そうか・・・」

ラハール「わかった。今回は手を貸してやる」

ピッ

陽介「何の話だったんだ?

ラハール「里中に連絡しろ」

陽介「え?」

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:42:02.87 ID:BE6EDgkI0
>-5/3(水・祝日)
:::【ジュネス・フードコート】:::

菜々子「・・・」

番長「皆、いきなりの連絡だったのに、集まってくれてありがとう」

千枝「いいよいいよ、どうせ暇だったし」

雪子「私も、まだ病み上がりだから家のことはしなくていいって」

千枝「番長君のいとこなんだよね?お名前なんていうの?」

菜々子「菜々子・・・です」

千枝「あたし里中千枝」

雪子「私、天城雪子」

エトナ「エトナだよ。よろしくね~」

ラハール「・・・」

エトナ「殿~下~」

ラハール「・・・ラハールだ」

エトナ「もうちょい愛想よく出来ません?」

ラハール「ふざけるな!出来るか!それより貴様等、連絡先ぐらい教えあっておけ。毎度毎度俺様を中継するわけにはいかんぞ」

番長「そうだな。里中、天城、連絡先を教えてくれ」

千枝「そうだね」

雪子「うん」

陽介「はい、お待ちどう。たこやき六人前!」

菜々子「たこやきだ!」

ラハール「・・・何だ貴様、たこやきは好きか?」

菜々子「うん!」

ラハール「そうか・・・」

陽介「はー、今日はさすがに人多いわ」

ラハール「おい、貴様が座ってどうする?仕事はどうした?」

陽介「もうシフト上がりだよ。けど、せっかくの連休にジュネスってどうなの?菜々子ちゃんかわいそうじゃね?」

千枝「確かに」

陽介「ん~な力強く同意しなくてもいいだろ」

菜々子「菜々子、ジュネス好きだよ?」

館内放送『ジュネスは、毎日がお客様感謝デー』

菜々子「あ!エビデイ、ヤングライフ♪ジュ・ネ・ス!」

陽介「奈々子ちゃん・・・!」

ラハール「・・・!」

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:43:55.34 ID:BE6EDgkI0
菜々子「でも、本当はお弁当持って、皆で来るはずだったんだ」

雪子「お弁当?菜々子ちゃん作れるの?」

菜々子「んーん・・・えへへ」

>-皆の視線を感じる・・・

エトナ「え、アンタが弁当作んの?」

番長「うん。まあ」

千枝「確かに、番長君器用そうだもんね」

雪子「なんか、何でも出来そう」

番長「何でもは無理」

エトナ「そんな真面目に言わんでも・・・」

陽介「しっかし、家族の弁当係か。里中さんよりよっぽど器用なんじゃないの?お兄ちゃん?」

菜々子「・・・お兄ちゃん・・・」

ラハール「・・・」

千枝「ちょっと花村、何で今あたしが料理出来ないって決め付けた?」

雪子「えぇっ!?出来るの!?」

千枝「ゆ、雪子まで・・・!」

ラハール「下手な見得は張らんほうが身のためだぞ」

千枝「ラハール君まで!?い、いいよ、そこまでいうなら皆で勝負しようよ皆で!」

ラハール「は?」

陽介「いいねぇ、勝負」

千枝「えっ」

エトナ「面白そーだね。乗った」

陽介「おっ、ノリ良いねエトナさん。じゃあ、審査員は菜々子ちゃんだな」

菜々子「え?菜々子?」

陽介「里中はともかく、エトナさんとか、菜々子ちゃんのお母さんよりうまいもん作っちゃうかもよ?」

番長「!」

千枝「あたしはともかくってそれどういう意味?」

菜々子「・・・お母さん、いないんだ。事故で死んだんだって」

ラハール「!」

エトナ「(さすがアホの花村君、普通ナチュラルに踏むかよこんな地雷・・・さて、殿下は何か言うのかね?)」

陽介「え?・・・そっか・・・その・・・ごめん」

菜々子「?」

ラハール「・・・」

菜々子「ううん、菜々子平気だよ?お母さんいなくても、菜々子にはお父さんいるし」

エトナ「・・・」

菜々子「お・・・お兄ちゃんもいるし///」

>-!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

番長「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:47:18.48 ID:BE6EDgkI0
ラハール「・・・」

エトナ「(・・・お兄ちゃん、か)」

>-・・・あれ・・・?

『菜々子は、大丈夫、だよ、お兄ちゃん』

>-・・・何だ・・・?・・・今の・・・頭の中に・・・一瞬・・・

>-・・・消えた・・・

>-・・・何だったんだろう・・・

>-・・・わからない

菜々子「今日はジュネスに来れたし、凄い楽しいよ!」

千枝「菜々子ちゃん・・・!」

雪子「わ、私、いつでも菜々子ちゃんと遊んであげるから!」

千枝「あたしも!」

陽介「俺も!」

エトナ「・・・殿下ー、盛り上がってるけど、混ざらなくていいんですか?」

ラハール「・・・やかましい」

エトナ「元気無いな~・・・今、誰と誰のこと考えてるのか、当てたげましょうか?」

ラハール「・・・よせ。余計なことを言って、馬鹿な人間共の平和ボケに水を刺すこともなかろう。たまには静かにしていろ」

エトナ「!・・・はいはい」

144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:49:48.99 ID:BE6EDgkI0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「・・・どした?」

ラハール「は?何がだ」

陽介「なんかお前、今日元気無くね?」

ラハール「・・・貴様には関係無い」

陽介「関係無いってこたねえだろ。暗~いまんまでいられたら、気になるって」

ラハール「・・・」

陽介「話したくねえようなことなのか?」

ラハール「・・・・・・」

陽介「・・・」

ラハール「・・・俺様の、母上は・・・」

陽介「・・・母?」

ラハール「俺様が幼い頃・・・病で死に瀕していた俺様の命を救うために、自らの命を以って俺様の命を救った」

陽介「なっ・・・!」

ラハール「昼間の馬鹿騒ぎの時、それを少し思い出した」

陽介「昼間・・・ああ、そっか・・・あん時の話か・・・菜々子ちゃんも・・・」

ラハール「・・・俺様の母上は人間だ」

陽介「に、人間?」

ラハール「俺様は、先代の魔王・・・俺様の父であるクリチェフスコイと、人間の母上の間に生まれた、悪魔と人間のハーフだ」

陽介「・・・マジ?」

ラハール「・・・俺様が、貴様等人間に対して・・・興味が無いわけではないのも、そのせいかもしれん・・・」

陽介「ラハール・・・」

ラハール「今日は少し・・・そういうことを考えていた。それだけだ」

陽介「・・・そっか」

ラハール「気が済んだか?安心しろ、こんな下らんことを考えるのは、そもそも俺様の性に合わん。すぐに元の調子に戻る」

陽介「安心はしたけど、下らんことってこた無いだろ。案外、お前がここに来た意味の一つかもよ?そういうこと考えるのもさ」

ラハール「・・・はっ」

陽介「な、何だよその笑い方」

ラハール「あのアホ天使の考えそうなことだと思ってな・・・全く、余計な気を利かせる奴だ」

陽介「余計とか言ってる割には、なんか嬉しそうじゃん?」

ラハール「やかましい!う、嬉しいわけあるか!」

145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:53:59.15 ID:BE6EDgkI0
>-5/6(金)放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

千枝「おーい花村、あんたが勉強しようって言い出して集まったんでしょうが。寝ててどうすんのよ!」

陽介「ん~、あと五分・・・」

番長「天城、この問題なんだけど」

雪子「あー、そこ私も悩んでるんだ。ラハール君、これなんだけど

ラハール「だっ、だから近寄るな!・・・ああ、これはな」

千枝「ほらほら、あんたもこの三人を見習いなさい!」

陽介「優等生組には混ざれない運命なんだ・・・!」

千枝「訳わかんないこと言って机に突っ伏してんじゃないの!」

雪子「・・・そういえば、ラハール君は真面目だよね」

ラハール「まあ、そこで寝ている阿呆に学校とやらでの真面目な過ごし方を説明されたからな。といっても、俺様にそう言っておきながら、当の阿呆はその有様だが」

千枝「ほら、正論言われてるよ」

陽介「誰もが真面目に生きてるわけじゃないんですよー・・・」

ラハール「学校とやらに通ったことはなかったからな。勉強は面倒だが、学生生活という奴に興味・・・が無い訳ではない」

番長「学校、行ったことなかったのか?」

ラハール「俺様の魔界にはそんなものは無いからな」

雪子「の割には・・・勉強出来るよね」

ラハール「生きている時間の長さが貴様等とは違うのだ。貴様等が躍起になって学んでいることのほとんどは、俺様にとっては既に知っていたことばかりだ。最も、歴史とかいう奴は全く知らなかったがな。これも興味が・・・無い訳ではないから、すぐに覚えてしまった」

千枝「え?ラハール君、年幾つ?」

ラハール「1313だ」

番長「え?」

ラハール「1313歳だ。何度も言わせるな」

雪子「1313!?」

千枝「えぇ~・・・?」

番長「じゃあ、エトナさんも同じぐらいだったりするのか?」

ラハール「奴のほうがわずかに年上だな。奴は1470歳だぞ」

千枝「わ、わずかにって・・・」

陽介「せんよんひゃっ・・・ババアもババアじゃん」

番長「・・・陽介、死んでも、元気でな」

陽介「え?」

エトナ「花村君?ちょっとあっちでアタシとあそぼっか」

陽介「えっ、エトナさん!?・・・ラ、ラハール助け---」

ラハール「化けて出るなよ」

陽介「死ぬ前提!?おい、ちょ---」

146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:56:20.68 ID:BE6EDgkI0
>-・・・・・・

陽介「」

千枝「花村・・・馬鹿な奴だった・・・」

ラハール「さっきから寝ておったのだから、気絶しておっても大して変わらんな」

エトナ「扱いひどいですねー」

ラハール「・・・それより貴様、何かあったか?あの部屋から勝手に出てはいかんのであろう?」

エトナ「はい、天界から殿下に手紙です。届けにきました」

ラハール「天界から?」

『お兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたい---』

ラハール「・・・」

>-・・・そっとしておこう。

雪子「何これ・・・?」

千枝「ちょ、ちょっと怖いかも・・・?」

ラハール「・・・ヤツらしいな」

エトナ「ですね。シシリーちゃん、天界行ってからずっとその調子みたいです」

ラハール「・・・そうか」

エトナ「精々フロンちゃんに感謝することですね」

ラハール「なっ、何故奴の話になる!?」

エトナ「ごくごくたまーに、こっちの殿下の様子を見てるみたいですよ。元気無い殿下に、フロンちゃんなりに気利かせた差し入れってとこでしょ」

ラハール「ふざけるな!見ているだと!?今すぐやめさせろ!」

エトナ「そう言われても、こっちからフロンちゃんに何か伝える手段、アタシだって持ってませんよ。あっちから一方的に声が降りてくるんですから」

ラハール「くっ・・・あのアホ天使め・・・!」

番長「・・・さっきから話についていけないんだが、その、フロンさん?っていうのはどんな方なんですか?」

エトナ「元は魔界に堕とされた堕天使だったんだけど、相次ぐ天界の人材不足で、今天界で大天使やってる子なの。立場はともかく、フロンちゃんほど力のある天使なんて他にはいないだろうから、そういう事情でなったんだと思うけどね。ま、アタシ達の知り合い」

番長「大天使?」

エトナ「今天界で一番強い権力の持ち主ってこと。名前ぐらい覚えといたほうが良いかもよ?百年ぐらい経てば、アンタ達皆死んだ後お世話になってるはずだからさ」

番長「なるほど」

147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:57:55.01 ID:BE6EDgkI0
千枝「そ、そんな凄いのと知り合いなんだ・・・っていうか死後の世界とかほんとにあるんだ?な、なんか怖くなってきた」

雪子「私凄く興味ある」

千枝「ゆ、雪子。目がマジだね」

雪子「うん」

エトナ「あ・・・こういうこと言うのマズイんですかね?」

ラハール「ベルベットルームのルールはともかく、あまり褒められた話ではなかろう」

エトナ「ですよね。ごめんね、この話は終わり!」

雪子「え~?もっと聞きたかった・・・」

エトナ「ごめんごめん。お詫びに殿下が面白い話するからさ」

ラハール「だ、誰がするか!というか貴様、もう帰れ!」

エトナ「あ~、殿下ひどい。アタシだけ仲間外れですか?

ラハール「今から事件のことについて話さねばならん。貴様はそういうことに口出し出来んのだろう?」

エトナ「ちぇ~、わかりましたよ」

番長「あ、エトナさん」

エトナ「今日は送ってもらわなくて良いよ。アタシが勝手に来ただけだし、アンタは真面目な話でもしときなさい」

番長「わかりました」

エトナ「じゃ皆、まったね~」

雪子「・・・なんだか、エトナさんって面白いね。明るくて」

千枝「確かに」

番長「うん」

ラハール「・・・」

148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:59:54.01 ID:BE6EDgkI0
陽介「よし!じゃあ事件の話しようぜ」

千枝「って、起きてたんかい!」

陽介「いや、起きてたけどさ、なんかエトナさんがいると起き辛くて・・・」

千枝「あー・・・」

番長「それで?事件の話って?」

陽介「おう!俺なりに、今までの事件のことをまとめてみたんだ」

雪子「今までの・・・事件」

陽介「ああ、最初の被害者である山野アナ。そして、次の被害者である小西先輩、最後に、三番目の被害者、天城。この三人の共通点を考えてみた」

千枝「共通点っつったって・・・てんでバラバラじゃん?この三人ともに共通することなんて・・・」

陽介「いや、無いこともない」

番長「まず、女性であること」

陽介「それも、そうだな」

千枝「それも?それぐらい何じゃない?」

陽介「考えてもみてくれ、小西先輩は、最初の被害者である山野アナの第一発見者で、天城の家、天城屋旅館には山野アナが事件当時泊まっていた。山野アナの事件をはじまりとすると、その後の被害者は皆、山野アナの死亡前後に何らかの関わりを持っているんだ」

ラハール「・・・」

千枝「まあ、そりゃ確かに」

番長「天城は、山野アナと何か話をしたりはしたのか?」

天城「う、ううん・・・お母さんは話をしたみたいだけど・・・」

陽介「こうは考えられないか?山野アナに何らかの関わりを持っていた女性が狙われている」

千枝「うん・・・けど、漠然としすぎてるね」

雪子「確かに・・・」

番長「マヨナカテレビのことも、気になる」

陽介「そうだな。今思えば、あれは犯行予告みたいなもんだったのかもしれない」

ラハール「・・・」

番長「犯行予告。犯人が、これから狙う人物を映しているってことか?」

千枝「言われて見れば、そんな感じもするかも」

ラハール「・・・いや」

149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:03:56.95 ID:BE6EDgkI0
番長「どうかしたか?」

ラハール「・・・何でもない」

番長「何か思いついたんなら教えてくれ」

ラハール「・・・クマの奴は・・・」

番長「・・・クマ?」

ラハール「マヨナカテレビのことを、こちらの世界の様子が見えているだけ・・・と言っていた」

番長「そうだな」

ラハール「そうだとすれば、犯行予告だと考えるのには無理があるのではないか?クマが言うには、被害者は放り込まれているものの、それ以外にこっちからあっちに来た人間は俺様達ぐらい・・・やはり犯人がしていることは、被害者をテレビに放り込んでいること、だけなのではないか?」

番長「・・・」

ラハール「しかし、だとすれば腑に落ちんことが一つある」

雪子「腑に落ちないこと?」

ラハール「ああ。被害者が放り込まれる前にも、俺様達はマヨナカテレビに被害者らしき人影が映るのを見ている」

千枝「・・・確かに」

陽介「そうだな。クマの言うとおり、あっちの世界の様子が見えているだけのものがマヨナカテレビだとしたら、それはちょっと順番がおかしいってことになる」

番長「犯人が、何らかの能力を使って、マヨナカテレビで犯行予告をしているっていうのはどうかな。ほら、俺達のペルソナみたいな」

ラハール「・・・それならば合点がいく話だ。犯人がこちらの世界からやっていることであれば、クマの奴には感知出来んだろうしな」

番長「何にしても、今の段階では推測の域を出ないと思う。これからはとにかく、マヨナカテレビのチェックを欠かさずにやろう。後、雨が降った後はあっちの世界に行ってみて、クマに様子を聞こう」

陽介「だな。今出来るのはそんぐらいか」

雪子「そうだね」

千枝「・・・あー」

陽介「どうした?そんなぼーっとして」

千枝「いや、なんか、番長君とラハール君凄いなーと思って・・・なんか警察みたい」

陽介「確かに・・・ま、今後の方針も決まったし、今日は解散しようぜ!」

千枝「ちょっ、アンタ全然勉強してないでしょ!駄目!来週テストあんだから、あたし達が監視してる間にやっときなさい!」

陽介「わ、わかったよ。そんな引っ張るなって」

ラハール「・・・番長、少し話がある」

番長「・・・わかった。皆、ちょっとラハールと飲み物を買ってくる。何が良い?」

千枝「あー、あたしオレンジ」

雪子「お茶で」

陽介「炭酸なら何でも~」

150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:10:55.61 ID:BE6EDgkI0
:::【ジュネス・自動販売機前】:::

ラハール「・・・菜々子の奴はどうしておる?」

番長「元気にしてるよ。連休では堂島さん・・・菜々子のお父さんが、菜々子と遊ぶ約束をしてたんだけど、仕事で急に無理になって・・・けど、皆が一緒に遊んでくれたから」

ラハール「・・・そうか」

番長「菜々子が、どうかした?」

ラハール「・・・俺様にも、妹がおる。少々強烈な奴がな」

番長「さっきの手紙の?」

ラハール「そうだ」

番長「妹か・・・」

ラハール「俺様の妹は、天使と悪魔のハーフだ」

番長「え・・・天使と?」

ラハール「・・・こっちの世界でもいろいろあってな。とにかく、俺様の父親と・・・とある天使のハーフなのだ」

番長「そう、なのか」

ラハール「妹は・・・ハーフということで、他の天使共によく思われていなかったらしくてな。つい最近俺様と知り合うまで、ほとんど愛情といったものを知らずに育ってきたらしい」

番長「妹さんの、お母さんは?」

ラハール「・・・妹は母親のことも良くは知らん」

番長「そうなのか・・・」

ラハール「まあ、フロンの先代の大天使が多少はよくしてくれていたようだが・・・奴も、たった一人の天使にそう構っていられるほど暇ではなかったようでな」

番長「・・・」

ラハール「・・・最近、天界で騒動があったということで、フロンの奴が引っ張り出され、ついでに俺様の妹も、手が足りんということで付いて行った。妹の奴は俺様と離れることを嫌がっておったようだが・・・俺様は正直、安心した」

番長「安心?」

ラハール「・・・まだ、兄というものが、妹というものにたいしてどう接してやれば良いか・・・俺様にはよくわからん。妹の奴のことを、どういうふうに思ってやればいいのかもな・・・正直言うと、扱いに困っていたようなところがあってな。奴と離れることを嫌がる以上に、奴に対してどう接すれば良いかわからんという悩みがなくなることを・・・安心したのだ」

番長「・・・」

151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:13:30.53 ID:BE6EDgkI0
ラハール「兄とは、どういうものだと思う?」

番長「・・・俺は、菜々子の・・・実の兄っていうわけじゃないから・・・」

ラハール「似たようなものだ。大体、菜々子の方は実の兄のように想ってくれているのではないか?」

番長「そうだといいけど・・・まだ、知り合って一ヶ月ぐらいだし。お互いに・・・遠慮することは、結構・・・あるかな」

ラハール「・・・」

番長「俺の主観で構わなければ・・・なんだけど」

ラハール「ああ、構わん」

番長「どう接すれば良いか解らないなら・・・それを、妹にも話してしまって、一緒に解決すればいいんじゃないか?兄妹って、そういうもの・・・のような気がする」

ラハール「・・・」

番長「妹さんは、ラハールのことを好きでいてくれるんだろ?」

ラハール「おそらくな。まあ、貴様もあの手紙を見たのだ。その辺りは大体察したのではないか?」

番長「うん、まあ・・・お互い嫌いあってるとかなら、別に、どう接したらいいのかわからないなんて、そのままで良いと思う。それはそれで一つの、家族の形かもしれない。けど、そうじゃないなら・・・一緒に解決すればいいんじゃないか?それが、多分・・・家族、だと思う」

ラハール「・・・はっ」

番長「な、なんで笑うんだ?」

ラハール「理詰めでは整然とした物言いをする貴様が、感情論になった途端に言葉を遅らせるのが・・・どうもおかしくてな」

番長「・・・」

ラハール「だが、貴様の意見は参考にしてやる。礼を・・・礼は言わんが、気が向けばまた貴様に相談してやっても構わん」

番長「・・・ああ」

ラハール「だ、だから笑うな!貴様!」

番長「ごめん」

>-"ラハール"コミュのランクが"2"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

ラハール「戻るか。あまり長いと阿呆が変に勘ぐる」

番長「陽介に、今の話は・・・?」

ラハール「しとらん。奴に兄弟はおらんからな。使えそうな意見など出てくるはずもない」

番長「・・・そうか」

ラハール「・・・妹の母、とある天使のことなのだが・・・いや、良い。忘れろ」

番長「どうした?」

ラハール「俺様も、なんでも貴様に話すほど気を許してはいないということだ」

番長「そうか・・・」

ラハール「・・・ん?いや、違う!俺様は貴様に全く気を許してなどおらんからな!?そこは勘違いするんじゃないぞ!」

番長「わかったわかった」

ラハール「雑に返事をするな!」

152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:15:13.07 ID:BE6EDgkI0
>-5/9~5/12 中間試験

>-5/12(木)放課後
:::【教室】:::

陽介「終わったな」

千枝「うん・・・終わった」

番長「・・・この世の終わりみたいな顔だな」

雪子「番長君とラハール君はどうだった?」

番長「全部満点じゃないかな。誤字とか脱字さえなければ」

ラハール「俺様もそうだ」

陽介「何なんだこいつら・・・」

千枝「私は何も聞いてない・・・私は何も聞いてない・・・」

陽介「おーい、現実かえってこい里中」

153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:17:07.26 ID:BE6EDgkI0
>-5/13(金)
:::【陽介の部屋】:::

陽介「そういやお前さ、みんなで勉強した日ぐらいから、また元気になったみたいだけど・・・番長と、何か話したのか?」

ラハール「大したことではない。妹の話を少しな」

陽介「ふーん・・・」

ニュース『完二「てめえら何しにきやがった!」』

ニュース『完二「見せもんじゃねえぞゴラァ!」』

陽介「こわー・・・ほんとに同じ高校生かよ?」

ラハール「なんだ?こいつは」

陽介「うちの学校にいる巽完二っていう不良だよ。暴走族ぶっつぶしたとか、暴走族の頭やってるとか、色々噂あるけど・・・テレビの非行少年特集なんかにまで取り上げられてるってことは、ただの噂じゃなかったみたいだな」

ラハール「不良というと、俺様と同じということか」

陽介「は?お前、学校ではどっちかっつーと、すげー優等生じゃね?」

ラハール「何を言っている?優等生は貴様のほうであろう」

陽介「えぇ?俺が優等生?うーん・・・」

ラハール「(・・・マオの魔界の連中の話と、何かが噛み合わんな・・・人間界に来たとはいえ俺様は魔王、暮らしに不都合がない程度であれば、悪いことをしておくに越したことはないと思っていたのだが・・・)」

>-12時
>-・・・・・・

陽介「映ったな」

ラハール「・・・巽完二・・・」

陽介「やっぱお前にもそう見えた?」

ラハール「ああ」

陽介「明日は皆で集まる約束してるし、早速捜査開始だな」

ラハール「法則が一つ崩れたな」

陽介「法則?」

ラハール「山野とかいう女の事件に関連している、女。一応、そのような目星を付けていたはずだ」

陽介「そういやそうだな・・・」

ラハール「・・・番長の奴の意見を聞きたい。話は明日だな」

陽介「おう。おやすみ」

ラハール「・・・俺様は、寝る時の挨拶などせんぞ」

陽介「はいはい」

154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:19:07.97 ID:BE6EDgkI0
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「はぁ~い殿下」

ラハール「・・・俺様は寝ていたのだが・・・」

エトナ「大丈夫ですよ、現実の殿下は寝てるらしいんで」

ラハール「・・・どういうことだ・・・?」

エトナ「この部屋は夢と現実の狭間にあります。今ここは殿下の夢の中、ってわけですね」

ラハール「・・・夢の中でまで、何のようだ・・・?」

エトナ「一つお伝えしておこうと思いまして」

ラハール「・・・なんだ・・・?」

エトナ「アタシも詳しくは聞いてないんですけど、今回の事件、どうやら天界が直接関わるにはいかない事情があるらしいんです。天使が出張ってきて即解決!ってわけにはいかないみたいなんですよ」

ラハール「・・・事情・・・?」

エトナ「なんか、どうしても人間の力で解決しなきゃいけないことみたいで、そんでまあ、半分は人間の殿下なら助っ人ぐらいは・・・ってことらしいです」

ラハール「・・・」

エトナ「正直よくわかんないですけど、一応伝えとこうと思って。フロンちゃんが言うには、"人間じゃない者の視点があることで、変えられる未来があるかも"とかなんとか」

ラハール「・・・変えられる・・・未来・・・?」

エトナ「まあ話はそれだけです。後はお客様自身でお考えになって下さい。ってね」

ラハール「・・・フン。すっかり部屋の住人気取りではないか・・・」

エトナ「結構アタシも楽しくなってきちゃったんですよ。無口で無愛想で、なんか殿下みたいなだなーとか思ってたマリーちゃんって子が、実は結構面白い奴で---」

>-・・・・・・

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:20:35.23 ID:BE6EDgkI0
>-次回予告
>-BGM:魔立邪悪学園

ラズベリル「何だって!?あのラハールが、学校で不良をやってるって!?」

折り鶴の明日禍「そうですわお姉様!無遅刻無欠席!授業中には居眠りもしないらしいんですの!」

ラズベリル「何!?不良の鏡じゃないか!」

リリアンの狂子「それだけに留まらず・・・なんと、地域に貢献するアルバイトまでしているほか、テストで満点を取るそうですわ!」

ラズベリル「アルバイトだって!?し、しかも・・・テ、テストで・・・満点・・・!?」

マオ「ハァ、ハァ・・・あのラハールが不良とは、失望したぞ。だが同時に興味が出てきた。解剖して・・・脳を調べてみたい」

ラズベリル「おぉ~、珍しく気が合いそうじゃないか。私もラハールに会いたいと思ってたところだよ」

折り鶴の明日禍「お姉様、話が微妙にかみ合ってませんわ」

ラズベリル「なんとしてもラハールにサインを貰わなきゃね!最凶の不良として、サインを書いて貰わないと!」

リリアンの狂子「では、早速参りましょう」

ラズベリル「よし!次回、ディスガイア3・ラズベリル編、"最凶の不良のサイン!"」

フロン「ついに次回予告からも追い出されました。エトナさぁ~ん」

エトナ「いやアタシに言われても・・・自業自得なんじゃない?」

フロン「しょぉんなぁ~・・・」

162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:32:05.96 ID:q2f2OLt60
>-5/16(月)
:::【ジュネス・フードコート】:::

陽介「それでは、稲羽市連続殺人事件、特別捜査会議をはじめます」

千枝「長いよ」

雪子「あっ、じゃあここは特別捜査本部?」

陽介「それそれ。天城良いこと言うな」

番長「それより皆、昨日のマヨナカテレビは見たか?」

千枝「見た見た」

ラハール「巽完二だな、あれは」

番長「そうだな」

雪子「やっぱり、皆もそう思ったんだ・・・」

陽介「タイミング良くニュースで見かけたからな。非行少年特集」

千枝「あたしもそのニュース見たよ。色んな噂あったけど、やっぱ本当だったんだね」

雪子「完二君か・・・昔は、ああいう子じゃなかったんだけど・・・」

千枝「え?雪子、知り合い?」

雪子「うん。あの子の家、染物屋さんでね。うちの旅館、随分昔からお土産を仕入れてるの。完二君とは、もう随分話してないけど・・・」

陽介「へえ~」

番長「話が早い。早速その染物屋に行こう」

ラハール「・・・そうだな。マヨナカテレビに映った奴が狙われているのだとすれば、次に狙われるのは巽完二だ」

番長「そういえば天城、事件当時の記憶は戻ったか?」

雪子「ううん・・・やっぱり駄目。玄関のチャイムを聞いたような気はするんだけど・・・そこから記憶がなくて、気がついたらあっちの世界だった」

ラハール「・・・」

163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:33:44.18 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・
:::【巽屋】:::

完二の母「ごめんなさいね。お役に立てなくて」

直斗「いえ、興味深い話が聞けて良かったです。では、僕はこれで」

番長「・・・」

ラハール「!」

陽介「何だ?今の奴」

ラハール「・・・わからんが、何故か強烈な嫌悪感があった。何だったのだ・・・?」

陽介「嫌悪感?」

完二の母「あら雪ちゃん?お久しぶりね」

雪子「お久しぶりです。あの、完二君は?」

完二の母「あの子まだ帰ってないのよ。ごめんなさいね」

番長「・・・」

雪子「帰って無いって・・・何かあったんですか?」

完二の母「大丈夫よ。あの子の帰りが遅いなんて、よくあることだから」

雪子「そうですか・・・」

ピンポーン

「すいませーん、お届け物です」

完二の母「はーい!ごめんね雪ちゃん、私ちょっと外すわ」

雪子「あ、いえ、もう帰りますから」

完二の母「そう?」

>-店の外に出た。

陽介「ん?ありゃ巽完二と、さっきの・・・」

番長「隠れよう。今はまだ、顔を合わせたくない」

陽介「おう」


完二「俺に話?」

直斗「ええ、あなたに興味があるもので」

完二「興味?べ、べつに、いいけどよ」

直斗「じゃあ、明日の放課後・・・迎えに行きます」

完二「・・・興味って言ったか?」

完二「・・・男のあいつが・・・男の俺に・・・興味・・・?」

完二「・・・ん?何見てんだテメエ等!」

陽介「やべっ、逃げんぞ!」

ラハール「上等だ。締め上げて話を聞くぞ」

陽介「バッ、バカ!良いから逃げるの!」

完二「チッ・・・何だってんだ」

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:35:33.09 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・
:::【神社】:::

ラハール「何も逃げる必要はないだろ!」

陽介「いやいや、あんな商店街のど真ん中でお前と巽完二が喧嘩なんか始めたらやべーっつの」

番長「遠くて何を言ってるのか聞き取れなかったな」

雪子「うん」

ラハール「俺様にはよく聞こえていたぞ」

千枝「ほんと?」

陽介「マジかよ?俺なんか全然何言ってるかわかんなかったぜ?」

ラハール「悪魔の聴力を貴様等と一緒にするな。何やら帽子の奴のほうが巽完二に対して興味があるから話をしたいと言っていたようだな。巽完二のほうは戸惑っていたようだ。だが、明日の放課後、どうやら話とやらをするらしい」

陽介「興味?」

番長「明日か・・・気になるな」

ラハール「ああ」

陽介「完二のことは監視しといたほうがいいだろうな。別にあの帽子君が犯人だっていうつもりはないけど、いつ狙われるかもわからないし」

番長「そうだな。ただ、天城の時と同様のパターンで犯人がくるとしたら、家のほうも監視したい」

陽介「じゃ、二手に分かれたほうがいいな」

雪子「そうだね

陽介「ってことで天城、連絡先交換してくれ。今後も必要だろうしな」

雪子「え~?」

陽介「え~って・・・」

雪子「ラハール君は、携帯持って無いの?」

ラハール「は?そんなもの持ってるわけなかろう。俺様に連絡する時は、陽介の物を通すのだな」

雪子「じゃあ仕方無いか・・・花村君のでいいや」

陽介「し、仕方無いって・・・」

千枝「あんま気にしないほうがいいよ。雪子、悪気はないから・・・多分」

165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:36:21.49 ID:q2f2OLt60
>-5/17(火)
:::【学校・校門前】:::

直斗「待たせちゃったかな?」

完二「いや、俺も今来たとこだ」

ラハール「・・・追うぞ」

陽介「待て待て。お前沸点低いから、尾行がバレた時にあいつと揉めるかもしれねえ。完二は俺が追う」

千枝「じゃあ、私もそっちに」

番長「なら、俺達は巽屋の周りを監視してみよう」

雪子「うん」

166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:38:27.60 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・
:::【巽屋前】:::

雪子「犯人、来るかな」

番長「怖いのか?」

雪子「うん。けど、今は何かしなきゃって気持ちのほうが強いかも。私にも、何か出来るはずだから」

ラハール「・・・」

番長「あまり気負うな」

雪子「えっ・・・そう、見える?」

番長「どうだろうな?」

ラハール「・・・何故俺様に聞く」

番長「ラハールには、俺達がどう見えてるのかなって」

ラハール「・・・知るか。だが、また被害者が出る前に、天城は一度あっちの世界で訓練しておくべきかもしれんな」

雪子「訓練?」

ラハール「ペルソナのだ」

番長「確かに・・・里中には、何としても天城を助けようって気持ちの昂ぶりがあったから、はじめてでもしっかり使えていたけど・・・」

ラハール「陽介の奴がはじめて使った時などはひどいものだった。それでも、がむしゃらのままに里中を救えはしたがな」

雪子「・・・あの・・・二人とも、私の時は本当にありがとう」

ラハール「は?」

番長「?」

雪子「えと・・・ちゃんと、面と向かってお礼を言えてなかったなって・・・」

ラハール「いらん」

雪子「え?」

ラハール「礼などいらん。あの時は、こっちが勝手にやっていただけに過ぎん」

雪子「そ、そう・・・?」

番長「天城、ラハールは口じゃこう言ってるけど、内心悪くないなって思ってるから、気にしなくていいよ」

ラハール「き、貴様!勝手なことを言うな!」

雪子「そうなの?ラハール君」

ラハール「うっ、うるさい!だから近寄るな!」

雪子「・・・うふふ」

ラハール「な、何故笑う!?」

雪子「ごめん。なんだか楽しくて」

ラハール「・・・」

167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:40:19.23 ID:q2f2OLt60
雪子「私ね、男の子とこういうふうに過ごしたことなかったから・・・今まではずっと千枝と一緒で、それが一番楽しかったから」

番長「・・・」

雪子「男の子と連絡先交換したのも、番長君がはじめてだったんだ」

番長「そうなのか?」

雪子「うん」

番長「・・・」

雪子「二人とも、頼りにしてるから・・・いざという時は、守ってね」

ラハール「阿呆。自分の身ぐらい自分で守れ」

雪子「そんな・・・」

番長「大丈夫。口ではこう言ってるけど、本当にいざって時は守ってくれるから」

ラハール「貴様!だから勝手なことを言うな!」

番長「もちろん、俺も」

雪子「・・・うん」

ラハール「・・・」

番長「・・・」

>-・・・・・・

ピピピッピピピッ

>-陽介から電話だ・・・

番長「・・・どうした?」

番長「・・・うん。うん・・・わかった」

ラハール「何かあったか?」

番長「尾行、バレたって」

ラハール「チッ・・・あの阿呆共・・・」

番長「それで、あっちは飯食って解散するってさ。思いっきりバレたから、今日これ以上尾行するのは難しそう・・・らしい」

雪子「そっか」

番長「完二は今家にむかってるらしいから、一応家に入るのを見届けてから今日は解散しよう」

ラハール「む・・・」

番長「陽も沈んできたし、雨も降りそうだ。一度家に入れば完二も外出することはないだろうし、犯人も家に押しかけて完二を誘拐するっていうのは難しいと思う。仮に出来たとしても、ここは商店街のど真ん中だ。証拠は残るだろうし、もし完二があっちの世界に放り込まれたら助けに行けば良い。何も起きなければ、それが一番良いし」

ラハール「・・・それはそうだがな」

番長「まあ、陽介も電話で言ってたけど、完二もそう簡単に誘拐されたりはしないだろう。一応、この辺りでは喧嘩の強さで有名だからな」

雪子「確かに、そうかも」

番長「それに、あんまり長時間こんなところでたむろして、俺達に妙な噂が立つと後々困る」

ラハール「・・・よかろう。今日のところは解散だな」

168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:43:29.82 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「あら殿下、自分から来るなんて珍しいですね」

ラハール「・・・今日は他の連中はおらんのか?」

エトナ「どっか行ってるみたいですよ。よく知りませんけど」

ラハール「・・・ギガ系までの魔法と、チャージとアンチを全て寄越せ。あと、エスポワールもだ」

エトナ「なんかありました?」

ラハール「別に何も無いがな・・・そろそろ次のことが起きるかもしれんのだ。ギガ系となると、今の力では精々撃てて二発だろうが、使えるものは持っておくに越したことは無い」

エトナ「あー、それなんですけど殿下、同時に持てる魔法は10個まで・・・みたいです」

ラハール「何だと?」

エトナ「どうも、魔力に色々と制約がかかってるみたいで。武器系の特技はまあ別なんですけど、魔法は10個まで。今持ってるのでいらないのがあれば処理しますんで、とにかく10個選んで下さい」

ラハール「チッ・・・やむをえんか」

>-ヒール
>-メガヒール
>-ギガヒール
>-エスポワール
>-クール
>-ウィンド
>-スピードダウン
>-シールド
>-スピードアップ
>-マジックバリア

エトナ「えらく受身ですね。殿下らしくもない」

ラハール「防御さえ出来れば、後は番長の力でどうにかなるからな」

エトナ「ファイヤとスターはいらないんですか?」

ラハール「俺様を誰だと思っている。獄炎ナックルと魔王玉があるだろう。普段は剣を使っているからウィンドもいらんかと思ったが、常に剣を持っているとは限らん、ウィンドは必要だ」

エトナ「・・・ん?魔王玉?もう撃てるんですか?」

ラハール「俺様固有の技なら、レベルが足りなくても魔力さえあれば撃てるようだ。おそらくメテオインパクト改も撃てんことはないだろうな。とはいえ、今のままでは大した威力にはならん、まだ使うこともないだろうが」

エトナ「レベルは制限されても技は制限受けてないってことか・・・なんかフロンちゃんもややこしいことしてきますね~。その割りに魔法は十個までなんて決まってるし」

ラハール「意味のある制限とも思えん。おそらくフロンのかけた制限ではなく、この部屋かもしくは人間界のルールだろうな。ルールというよりやむをえんことなのかもしれん。人間界には単純に魔力が充満しておらん」

エトナ「ま、それもそうですね。ところで、どうです?人間界」

ラハール「・・・どうとはなんだ?」

エトナ「いや、なんか殿下、楽しそうだなーと思って」

ラハール「そんなわけあるか!」

エトナ「えぇ~?」

ラハール「その目をやめろ!・・・だが、そうだな。不思議と不快ではない」

エトナ「あらら、殿下にそこまで言わせますか」

ラハール「何がそこまでだ!・・・面倒なことばかりだがな、どうも人間というやつには・・・面倒なことを楽しむというような節もあるようだ」

エトナ「面倒なことを楽しむねえ。悪魔のアタシにゃ、理解できませんね」

ラハール「何が言いたい?」

エトナ「深い意味はないですよ」

ラハール「チッ・・・俺様はもう行くぞ」

エトナ「はいはい、またどうぞ」

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:46:15.68 ID:q2f2OLt60
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

>-12時
:::【マヨナカテレビ】:::

完二『こんぱんわ』

完二『今日は性別の壁を越えて真実の愛を探求する、とある施設のご紹介です』

完二『レポーターはこのボク、巽完二君どぇす』

完二『あぁん、アツいのぉ。こんなにアツくなったボクの体、一体どうすればいいの?』

完二『こうなったら、もっと奥まで、突☆入!しちゃいまぁ~す!』


>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

陽介「・・・」

ラハール「・・・」

陽介「・・・な、なあラハール・・・今のって」

ラハール「・・・」

陽介「お、おい・・・駄目だ固まっちまってる・・・番長に電話してみっか」

ピピピッピピピッ

陽介「もしもし?見たか?」

番長『あれは無いな』

陽介「お、おぉ・・・見たみてーだな」

番長『一応、録画したけど』

陽介「いらねーよ・・・」

番長『・・・今回は助けに行かなくても良いんじゃ・・・』

陽介「いや、駄目だろ。気持ちはわかるけどさ」

番長『やっぱり駄目か?』

陽介「そりゃな。ほっとくってわけにはいかないだろ」

番長『・・・ラハールはどうしてる?』

陽介「あまりのショックに固まっちまった・・・」

番長『やっぱり助けに行かなくていいんじゃ・・・案外自力で受け入れるかもしれない』

陽介「しっかりしてくれ。アレが、完二にとって受け入れたくない一面だとしたら、無理なんじゃね?一人じゃ」

番長『まあ、そうだな・・・とりあえず、明日予定通り集まろう』

陽介「おう。しっかりしてくれよ。頼りにしてるぜ相棒」

番長『・・・相棒?』

陽介「なんかさ、やっぱお前は頼りになるなーと思ってさ・・・ラハールのこと、元気付けてくれたの・・・お前なんだろ?」

番長『・・・気付いてたのか』

陽介「まあ、一応家じゃ四六時中一緒だしな。それでも、俺には話したくねーこともあるみたいで」

番長『・・・そうか』

陽介「ラハールのことだけじゃない。里中の時も、天城の時も、お前がいなかったらどうなってたかわからねえ」

番長『・・・』

陽介「頑張ろうぜ。今回のはちょっと、俺も嫌だけど・・・まあ、天城の時と同じようにやろう」

番長『そうだな』

170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:46:50.19 ID:q2f2OLt60
:::【番長の部屋】:::

>-相棒か・・・
>-ま、まさか・・・陽介も性別の壁を越えて・・・?
>-・・・ってあほか。
>-・・・寝よう。

171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:48:42.87 ID:q2f2OLt60
>-5/18(水)放課後
:::【テレビの中の世界】:::

陽介「何?わからない?」

クマ「誰かが来ていることはわかるクマ。でも、どこにいるのかが・・・」

ラハール「何故だ?天城の時は探り当てたではないか」

クマ「きっとクマが色々余計なことを考えているせいクマ。クマはどっからきたの、とか・・・クマは一体何者なの?とか・・・」

ラハール「・・・」

クマ「何かカンジクンの手がかりになるようなものがあれば、探れると思うクマ」

番長「手がかり?どういうものが欲しいんだ?」

クマ「物じゃなくても、カンジクンがある程度どういう人なのかがわかれば良いクマ。最近何を考えていたか、とかクマよ」

番長「何を考えていたか・・・」

千枝「一旦外出て、聞き込みしてこようよ」

雪子「そうだね」

ラハール「面倒だな・・・いっそ今回は諦めてしまったほうが良いのではないか?」

陽介「いや駄目だろ」

千枝「そうだよ!」

番長「駄目か・・・」

千枝「番長君まで・・・」

172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:50:50.75 ID:q2f2OLt60
:::【巽屋】:::

完二の母「ごめんなさいね。完二は昨日から帰って来ないのよ」

雪子「そうなんですか?不安・・・ですね」

完二の母「ええ。黙っていなくなるのはいつものことなんだけど、一日帰って来ないなんてはじめてで・・・」

千枝「へぇ~。なんか意外。夜通し喧嘩とかしてそうなイメージある」

陽介「お、おい。お母さんの前で言うことかよ」

完二「ふふ、いいのよ。確かにあの子、少し乱暴なところがあるし・・・前も、バイクに乗った子達と喧嘩しちゃってね」

陽介「それって、暴走族潰した・・・とかいう?」

完二の母「周りにはそう思われているんだけど・・・あれは私のせいでもあったの」

ラハール「私のせい?」

完二の母「私バイクの音がうるさくて、眠れない日が続いて・・・それであの子怒っちゃって」

番長「お母さんのために、暴走族を一つ潰してきた、というとこですか?」

完二の母「そうなるかしら。あの子、昔から私のこととなると見境無くなっちゃうから・・・」

千枝「へぇ~・・・」

陽介「意外と親想いっつーか、どんだけ激しい親孝行だよ」

ラハール「(・・・母親想い・・・か・・・)」

173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:52:28.81 ID:q2f2OLt60
:::【巽屋・外】:::
>-巽屋を見ている小さな子がいる。

少年「あの、お兄ちゃんいますか?」

番長「お兄ちゃん?お兄ちゃんって、ここの?巽屋の?」

少年「うん、あのね、これ・・・」

>-これは・・・?

少年「あのね、ボク、セナちゃんからお人形ついたストラップ貸して貰ったんだ。けど、そのお人形川でなくしちゃって、それで・・・」

>-某日
:::【河原】:::

少年「うぅ・・・えぇえええん」

完二「・・・オ、オイ、どうしたんだ?」

少年「セナちゃんから借りたお人形、なくしちゃって・・・」

完二「男がそんな簡単に泣くんじゃねえよ」

少年「だってぇ・・・」

完二「ケッ、なくなっちまったもんはしょうがねえだろ」

少年「そんな・・・」

完二「うっせえな~ったく。同じもんは無理かもしんねえけど、似たようなもん俺が作ってやるから、もう黙れ」

少年「・・・え?」

完二「そのかわり、どんな人形だったか教えてもらうぞ。俺が作ってやっから、それ持ってその・・・なんだっけ?」

少年「・・・セナちゃん」

完二「あー、そのセナちゃんに正直に謝りに行け」

少年「う、うん・・・」

>-・・・・・・

少年「僕にもセナちゃんと同じものを作ってくれたんだ。お兄ちゃんが作ってくれたからセナちゃんも許してくれて・・・だから、お兄ちゃんにお礼を言いたくてきたの」

番長「ということことは、それ、完二が作ったのか」

千枝「嘘!?マジ!?」

雪子「ねえ、それちょっと、見せて貰っても良いかな?」

少年「うん!」

陽介「すげーなオイ。普通に土産屋とかで売れるんじゃねーの?これ」

千枝「あの完二君の手からこんな繊細なものが・・・」

陽介「お前より器用なんじゃね?」

千枝「う、悔しいけどこれは・・・!」

ラハール「・・・」

雪子「ねえ、これ、ちょっと借りても良いかな?」

174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:55:46.90 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・
:::【ジュネス・エレベーター前】:::

陽介「完二が作ったもんなら、確かにクマのいってた完二のニオイってのもわかるかもな」

雪子「うん。これでどうにか出来ればいいんだけど・・・」

直斗「・・・またお会いしましたね」

陽介「お、おお。昨日の今日だな」

番長「・・・何かあったのか?」

陽介「いや、昨日完二に見つかった時にちょっと顔を合わせただけだ」

直斗「ご存知ですか?巽完二君、昨日から行方がわからないそうなんです」

番長「らしいな」

直斗「・・・」

陽介「そうだ。お前なんか完二のこと知らねえか?昨日、なんか話してただろ?」

直斗「・・・僕は大した話はしていませんよ。いくつか質問をしてみただけですから」

陽介「そっか」

直斗「ですが、そうですね。彼は何か思い悩んでいるようでしたよ」

番長「思い悩む?」

直斗「ええ。態度が変だったので、僕も正直に彼にそのことを伝えたのですが・・・変だと。そしたら、随分とそのことを気にしていたようです」

千枝「なんか意外だね。人の言うことなんて全然気にしなさそうなイメージあるのに」

直斗「人を見た目で判断してはいけないということでしょう。もうよろしいですか?僕はこれから用事がありますので」

ラハール「・・・」

番長「ああ、ありがとう」

>-・・・・・・
:::【エレベーター内】:::

ラハール「オイ、さっきの奴」

番長「ああ、俺達を疑っていたな」

陽介「え?何それ?」

雪子「どういうこと?」

ラハール「知るか。だが、奴も今回の事件を調べる立場の者なのかもしれんな」

千枝「・・・探偵、とか?」

陽介「オイオイ、科学捜査ばっかのこの時代に探偵ってお前。このご時世に探偵の仕事なんて、浮気調査とかそんなんだろ?」

千枝「なっ、何よ!ちゃんと事件の捜査とかやってる探偵だっているらしいんだからね!あたしテレビで見たような気がするし!」

陽介「気がするだけかよ。でもま、確かに旗から見たら俺達怪しいかもな。被害者のことをやたらと嗅ぎ回ってるし」

千枝「けど、それはあたし達が!」

陽介「わかってるよ。大きな声出すなって。事情を知らない人から見たらってこと」

雪子「確かに、そうかも・・・」

番長「慎重にやろう。俺達がやるしかないんだ」

雪子「うん」

ラハール「・・・」

175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:57:53.56 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

クマ「悩んでたクマか?」

番長「うん、何で悩んでいたかはわからないけど」

クマ「そうクマか・・・」

雪子「あとこれ、完二君が作ったんだって」

クマ「フムフム・・・よし!今ならカンジクンのニオイを辿れる気がするクマよ!」

>-・・・・・・
:::【熱気立つ大浴場前】:::

千枝「ね、ねえクマ君・・・マジで、ここ?」

クマ「間違いないクマ!」

千枝「そ、そっか~~・・・」

雪子「行くしかないね」

ラハール「・・・俺様は帰る」

番長「俺も」

千枝「ちょ、二人とも!っていうか番長君、さっき俺達がやるしかないって言ったばっかでしょ!?」

番長「あれは言葉のあやでした」

千枝「そんなさわやかに誤魔化そうとしても駄目!行くよ!」

陽介「そうだぜ?二人とも、皆でやるしかないんだ。っつーわけで、あとは皆に任せて俺は帰るからさ」

千枝「駄目に決まってんでしょ!何言ってんのアンタまで!」

陽介「無理無理無理マジ無理だってこれ!ノーマルな男子が入っちゃイケない熱気漂ってるから!マジで!」

千枝「訳わかんないこと言ってないで、行くよ!」

陽介「ひっぱんなってオイ!っていうか里中さん本当にわからない!?お願いだから今回だけは察して!?」

ラハール「・・・よし、帰るぞ」

番長「そうだな」

雪子「駄目だよ。二人とも、行こ?」

176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 18:59:55.39 ID:q2f2OLt60
:::【熱気立つ大浴場・1F】:::

完二のシャドウ『あっはぁ~ん、皆さん、ご注目ありがとうございむぁす!ボク、完二』

番長「イザナギ!」

陽介「ジライヤ!」

ラハール「緋天!」

千枝「待って待って!まだ早いって!」

ラハール「もう手遅れだ」

番長「その通りだ」

千枝「そういう意味じゃなくて!」

完二のシャドウ『うふふふ、アヤシイ熱帯天国からお送りしていまぁす!アツい湯気のせいで、ムネがビンビンしちゃう!』

千枝「うわ・・・」

雪子「これはひどい・・・」

番長「だよな」

完二のシャドウ『んふ、皆の視線もアツくなってきたところで、このコーナー、イっちゃうよ?』

『女人禁制!突☆入!?愛の汗だく熱帯天国!!』

陽介「ヤバイ、これはヤバイ」

千枝「確か雪子の時も、ノリは大体こんなだったよね・・・」

雪子「えぇっ!?嘘!?」

陽介「やっぱマヨナカテレビのあの映像は、シャドウがやってんのか・・・?」

完二のシャドウ『それでは、更なる愛の高みを目指して、突☆入!』

番長「待て!」

完二のシャドウ『行くぜゴラァア!』

番長「追うぞ!」

177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:00:54.23 ID:q2f2OLt60
雪子「私はあんなんじゃない・・・私はあんなんじゃない・・・」ブツブツ

陽介「里中、お前が余計なこと言うから」

千枝「な、なんかごめん雪子」

シャドウ「オォオォ・・・」

番長「来るぞ!」

雪子「私はあんなんじゃない!」」

>-カッ

>-マハラギ

陽介「うお、すげえ・・・」

番長「どうやら、気持ちの昂ぶりなら、怒りでもペルソナの力になるみたいだな」

ラハール「・・・俺様が言うのもなんだが、貴様の冷静さは人間としてどうかと思うぞ」

雪子「これ以上気持ち悪いこと言ったら灰にしてやる」

ラハール「そうだな。俺様も手を貸そう」

千枝「灰は駄目!ラハール君も煽らないの!」

雪子「え~?」

ラハール「駄目なのか?」

千枝「いや駄目でしょ。けど、なんか花村の言いたいこともなんとなくわかってきたかも。こんなとこずっといたら頭おかしくなりそう。さっさと助け出そう」

陽介「だろ?」

番長「よし、行こう」

178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:02:08.15 ID:q2f2OLt60
:::【熱気立つ大浴場・11F】:::

完二「なんだ?ここ・・・俺ぁ確か家で・・・」

ザワザワ・・・

完二「あぁ!?誰かいんのか!?出てきやがれ!」

生徒の声『巽完二、喧嘩ばっかりしてる、ろくでなしの不良』

完二「なんだとこら!?」」

生徒の声『暴走族潰して、今は自分が総長になってお山の大将気取りかよ』

完二「勝手なこと言ってんじゃねえ!俺はそんなもんになった覚えはねえぞ!」

生徒の声『学校でカツアゲしてんのも、どうせあいつなんだろ?』

完二「なっ、違ぇ!決め付けてんじゃねえぞ!」

生徒の声『巽完二、お前はそういう奴だ』

完二「ざけんな!勝手なこと言ってんじゃねえ!出て来いゴラァ!」

完二のシャドウ『うふふふ、また無理しちゃって。勝手なこというなぁっ!って嘘ばっかり』

完二「あぁ?今度は誰だ?」

完二のシャドウ『コワモテで強い不良の完二、とっても男らしいよねぇ。だから皆にそう思われたいんだ。でも、ホントは違う』

完二「・・・!」

完二のシャドウ『うふ~ん』

完二「俺・・・?」

バンッ

雪子「完二君!」

完二「ア、アンタ・・・つかお前等?確かこの間の・・・何しにきやがった!」

番長「助けに来た」

完二「助けに?」

完二のシャドウ『もう嘘をつくのはやめようよ。ボクは君、君のヤリたいことだよ』

完二「あぁ!?ざけんなコラ!」

179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:06:42.66 ID:q2f2OLt60
陽介「よせ!聞くな!」

番長「待て、陽介」

陽介「な、なんでだよ?あのままじゃまた・・・」

番長「完二が自分で自分を受け入れられるなら、それが一番良い」

陽介「そりゃそうかもしれねーけど、受け入れるっつったってあれは・・・」

ラハール「・・・」

完二のシャドウ『女は嫌いだ。ボクがお裁縫したり絵を描いたりしてるとぉ、皆"気持ち悪い、男の癖に"って馬鹿にしてぇ~』

完二「て、てめぇいい加減にしねぇと・・・な、なんだこりゃ・・・頭が・・・痛ぇ・・・!」

完二のシャドウ『男の癖に・・・男の癖に・・・男の癖に!何が悪いんだよお!じゃあ男らしいって何なんだよ!?』

完二「・・・」

完二のシャドウ『女は怖いよなあ』

完二「ざっけんな・・・!」

完二のシャドウ『男が良い。男の癖にって言わないし』

完二「怖くなんかねえ・・・!」

完二のシャドウ『だから男が良いんだ』

完二「・・・違う!」

完二のシャドウ『違わないよ。君はボク、ボクは君さ』

完二「てめえみてえなのが、俺なもんかよ!」

完二のシャドウ『うふふふふふ!ボクは君、君さ!』

ゴッ

完二「な、なんだ・・・てめえ・・・!」

クマ「で、出たクマ・・・」

180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:13:08.69 ID:q2f2OLt60
番長「行くぞ」

千枝「あ、結局こうなるんだ?」

番長「クマは危ないから、部屋の外で待ってろ」

クマ「はいクマ!皆、頑張るクマ!」

番長「思った以上に問題が深刻だったんだけど、どうしようか?」

ラハール「俺様に聞くな。それを考えるのがリーダーである貴様の仕事だ」

完二のシャドウ『我は影、真なる我・・・』

雪子「これが、完二君の本音?」

ラハール「・・・どうだろうな。里中や貴様の時もそうだったが、シャドウは時を経るごとに歪んできている」

番長「男の癖に・・・っていうところは、本音っぽかったけどな」

陽介「だな。っつーか、今は話してる場合じゃねえんじゃね?」

ナイスガイ『・・・』

タフガイ『・・・』

陽介「なんか、余計なもんまで出てきてんぞ」

番長「手分けして当たろう、まずは弱点を探るんだ」

ラハール「(意志のある強いシャドウに加えて複数、これでは・・・!)」

ナイスガイ『あら、イイオトコ』

タフガイ『よろしくねぇん』

番長「呼ばれてるぞ陽介」

陽介「いや、イイオトコといえばお前だろ」

千枝「言ってる場合か!」

>-カッ

>-マハブフ

ナイスガイ『いやぁん!』

>-Weak

タフガイ『すずしいわねぇ』

ラハール「(涼しいだと・・・?)」シャッ

>-獄炎ナックル

タフガイ『アツゥイ!』

>-Weak

ラハール「これで決まりだな」

番長「ああ、天城はラハールを、陽介は里中を援護してくれ」

陽介「ま、まさかお前・・・」

完二のシャドウ『うふ』

番長「あいつは俺が、一人で」

陽介「ひ、一人ってオイ!」

千枝「花村!早く手貸して!番長君ならきっと大丈夫だよ!」

ラハール「火を貸せ天城、立ち回りは指示してやらんこともない」

雪子「う、うん!」

完二「・・・」

181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:14:37.76 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・

タフガイ『アツくなってきたわねぇ!』

ラハール「チッ・・・いかんな」

雪子「ど、どうしたの?」

ラハール「こいつはやたらタフだが、力はそこらへんの雑魚共に多少毛が生えた程度。それはつまり・・・」

雪子「完二君のシャドウ本体が、相当・・・強いってこと?」

ラハール「貴様理解が早いな。わかっているなら急ぐぞ!」

雪子「はい!」

>-カッ

>-・・・・・・

完二のシャドウ『何?力も使わずに時間稼ぎのつもり?時間なんだ稼いだって、キミタチがボクをどうにか出来るとは思えないけどなあ』

番長「・・・」

182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:22:08.86 ID:q2f2OLt60
>-・・・・・・

ナイスガイ『オォ・・・痛い・・・けど、なんだか悪くない気分・・・!』

シュウウウ・・・

陽介「よし!」

千枝「押忍!」

陽介「ラハール達のほうはもうちょいってとこか・・・相棒は!?」

番長「」

完二のシャドウ『やあ、今度はキミタチ?』

陽介「相棒!」

千枝「そ、そんな・・・」

陽介「てめえ!」

千枝「よくも!」

完二のシャドウ『あはは!』

>-マハジオ

陽介、千枝「!?」

シャッ

>-魔界横一文字

ドンッ

ラハール「(やはり今の力なら、ほんの一瞬とはいえ真空の盾を作り出せる。この技は使えるぞ)」

ラハール「闇雲に突っ込むな!アホか貴様等!」

陽介「ラハール・・・け、けど、番長が・・・」

番長「」

完二のシャドウ『見たとこ、キミタチの中で一番強いんだろ?そのヒト。もう終わりだねキミタチ』

雪子「そんな・・・番長君が・・・」

ラハール「・・・」

完二のシャドウ『一番強そうなのも死んじゃったし、せっかくだからキミタチが来るの待っててあげたよ。だから、せいぜい楽しませてね』

ラハール「それで俺様達が相手をしているやつらを放っておいたということか・・・」

千枝「こいつ・・・!」

183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:25:10.53 ID:q2f2OLt60
ラハール「ハーッハッハッハ!馬鹿め!」

完二のシャドウ『!?』

陽介「ラ、ラハール?」

ラハール「フン、器用なことだ。まさかそんな下らん手でこの状況を乗り切ろうとはな。おい起きろ!」

番長「あ、やっぱりバレてた?」

陽介「えぇっ!?」

千枝「って超元気じゃん!」

雪子「えー・・・」

ラハール「貴様のような奴が、そう簡単にくたばる訳が無い」

完二のシャドウ『ふぅん、まだ生きてたんだ?でも、だから何?それでどうするの?このボクをさあ』

ラハール「だから馬鹿だと言っておる。こいつがただ黙って死んだフリなどするものか」

番長「カルティケーヤ」

>-カッ

完二のシャドウ『なっ、何それ!?そんな力・・・どこから!?』

ラハール「弱点は探ったのか?」

番長「いや、全然。けど、皆一緒なら物理攻撃でもいけるかなって。皆、援護を頼む」

ラハール「よし、行け!」

>-スピードアップ

陽介「ジライヤ!」

>-カッ

>-スクカジャ

千枝「トモエ!」

>-カッ

>-タルカジャ

雪子「コノハナサクヤ!」

>-カッ

>-ディア

番長「行くぞカルティケーヤ!」

>-カッ

>-刹那五月雨撃

ドドドドドド!

完二のシャドウ『んぐふ!こんなのとやってらんないよ!こうなったら!』

>-ジオンガ

完二「!」

184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:26:34.49 ID:q2f2OLt60
ラハール「いかん!」

陽介「完二!」

ザッ

番長「ふう」

千枝「番長君!?」

バチッ!

番長「大丈夫だ。カルティケーヤは電撃を反射する」

ラハール「・・・そこまで考えておったか」

番長「怪我は無いか?」

完二「お前・・・」

番長「これ、お前が作ったんだろ?」

完二「そ、それあのガキに作ってやった・・・んだよ、悪ぃか?男の癖にこんなもん作っちゃよ」

番長「いや、良いんじゃないか?」

完二「あ、あぁ!?」

番長「男が何したって、女が何したって・・・別に、良いんじゃないか?」

完二「・・・・・・」

番長「俺は、そう思うよ」

完二のシャドウ『やめてよ!そんなに優しくされたら!』

千枝「もう、あんたいい加減うっさい!」

陽介「やるぜ!」

雪子「うん!」

>-マハブフ
>-マハガル
>-マハラギ

完二のシャドウ『邪魔だよ!邪魔しないで!』

ラハール「・・・おい、貴様。びびってんじゃねーぞ」

完二「あぁ!?」

ラハール「俺様が思うに、貴様は臆病だ。その臆病さがアレを生んだ。自分の始末ぐらい、自分で付けて見せろ。無理な話ではなかろう?」

完二「・・・チッ」

完二のシャドウ『なんだよ!来ないでよ!』

完二「うっせんだよボケ!」

ドカッ

完二のシャドウ『あうっ!?』

千枝「えぇ~・・・」

陽介「シャドウを素手で殴り飛ばしちゃったよ・・・」

完二「おい立て。てめえも俺なら、こんなもんでくたばるタマじゃねーだろ」

完二のシャドウ『・・・』

完二「ったく情けねえぜ・・・自分の中にこんなもんがいるなんてよ」

ラハール「・・・」

完二「女だ男だじゃねえ。人に拒絶されるのが怖くて、びびってよ・・・誰からも嫌われようとしてんだ。俺は」

番長「完二・・・」

185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:27:38.70 ID:q2f2OLt60
完二のシャドウ『誰でも良い!ボクを受け入れて!」』

完二「だからうっせえっつってんだろ!」

ドカッ

完二「・・・その癖これだ。結局俺は、誰かに受け入れて欲しがってんだ」

番長「良いよ、受け入れるよ。趣味の一つや二つ、男らしくなくたって別に良いじゃないか」

陽介「そうだな」

千枝「そうだよ、かわいいじゃん!」

雪子「うん」

ラハール「フン」

完二「・・・アンタ等・・・」

完二のシャドウ『・・・』

完二「とっくに知ってるよ。テメエは俺で、俺はテメエなんだ」

完二のシャドウ「・・・」

>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-完二は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"タケミカヅチ"を手に入れた!

完二「な、なんだ・・・こりゃ・・・」

番長「ペルソナだ」

完二「あぁ?ペルソナ?」

番長「詳しい話はまたにしよう。今日は疲れただろ?」

完二「あ、あぁ・・・」

186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:29:27.13 ID:q2f2OLt60
>-5/19(木)
:::【教室】:::

陽介「おーい・・・試験の結果、壁にはってあるってよ」

千枝「あはは、雪子駄目じゃん」

陽介「聞けよ」

千枝「今は聞きたくないの!察せよ!」

陽介「そ、そうか。まあ俺も見たくはないけど・・・」

番長「行くか」

ラハール「ああ」

陽介「えぇ~?」

雪子「あ、私も行く」

千枝「えぇ~?」

:::【廊下】:::

>-ラハールと同率一位、全教科満点だ!
>-天城はその三位。陽介と里中は・・・
>-・・・そっとしておこう。

ラハール「まあ、このようなところだろうな」

雪子「私もいつもより良い点取れたな。二人と一緒に勉強できたおかげかも」

ラハール「だから近い!離れろ!元々貴様の物分かりが良いだけだろう。うちの花村は・・・全く」

陽介「そこで俺に触れちゃう?しかも花村に戻っちゃう?」

千枝「どんまい」

陽介「お前に言われたくねえよ。俺より下じゃんか」

千枝「下を見ても向上はしませんぞ」

陽介「だからお前に言われたくねえって」

千枝「けど、三人とも凄いね」

陽介「だな。年季の入ってるらハールはともかく、番長はバイトや部活、天城は家の手伝いしながらこれだし・・・こりゃ俺達も言い訳なんか出来ないぜ?」

千枝「だ、だよね?あたし達も頑張ろう。次の次ぐらいから・・・」

陽介「そこはせめて次って言っとけよ」

187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:32:04.78 ID:q2f2OLt60
>-夜
:::【堂島家】:::

番長「ただいま」

堂島「おお、帰ったか」

菜々子「おかえりなさい」

堂島「そういや、試験の結果が出るとか言ってたな。どうだった?まあ、悪くても別に構わんが」

番長「一番でした。友達のラハール君っていう子と同じで、全教科満点です」

菜々子「一番!?お兄ちゃん凄いね!」

堂島「ぜ、全教科満点!?たいしたもんだ。俺が学生の頃なんか・・・ああいや、そうだな。試験前の連休で菜々子の面倒まで見させちまったのに、よく頑張ってるようだし、少しは小遣いでもやるか。無駄遣い・・・は、お前なら心配無いか。好きに使うといい」

番長「ありがとうございます」

菜々子「菜々子もお兄ちゃんに何かプレゼントする!何がいいかなあー・・・」


:::【陽介の部屋】:::

陽介「ちきしょー・・・お前だけお袋に小遣い貰いやがって」

ラハール「ふむ。人間とは、あの程度の試験で多少出気が良かったからと言って金までくれるのか」

陽介「まあ、ウチが特殊なんじゃね?俺の出来がよくないからさ~」

ラハール「・・・」

陽介「けど、お袋はラハールなら当然!って反応してたし、案外、お前がこっちで真面目にやるの、フロンちゃんって子に予想されてたのかもな」

ラハール「・・・かもな。つくづく腹の立つ奴だ」

陽介「またそんなこと言って。お前、案外フロンちゃんって子のこと好きなんじゃねえの?」

ラハール「ふっ、ふざけるな!そんなわけあるか!貴様消し炭にしてやる・・・!」

ボッ

陽介「火はやめろ火は!」

188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:35:45.45 ID:q2f2OLt60
>-6/6(月)放課後
:::【屋上】:::

完二「ウ、ウーっス。こないだはその、助かりました」

千枝「あれ?敬語なんだ?」

完二「や、だってその・・・先輩・・・だったんスね。てっきり同い年かと思ってたんスけど」

雪子「なんか可笑しいね」

完二「か、勘弁してくださいよ」

陽介「体の調子はもう大丈夫なんか?」

完二「ウス、もう余裕っスよ」

番長「早速、事情を説明するよ」

>-・・・・・・

完二「犯人の野郎に放り込まれた・・・か」

番長「何か覚えてないか?」

完二「家にいたのは覚えてるんスけど・・・なんか、どっかで記憶途切れてて、目覚ましたらあっこにいたんスよ」

陽介「天城の時と同じか」

雪子「そうだね」

千枝「じゃ、やっぱ犯人は家に押し入ったってことかな?」

ラハール「いや、何か違和感があるな・・・」

千枝「違和感?」

完二「え?何スか?先輩等もしかして、犯人探ししてるんスか?」

雪子「うん。実は私も、テレビの中に入れられたみたいなんだ。私の時は、ここにいる皆が助けてくれた」

陽介「こんな事件、警察が捜査するには限界があるだろ?被害者が出そうになったら助けて、なんとか犯人を突き止めようとしてるんだ」

完二「・・・俺も頭数に入れてもらって良いスか?」

番長「わかった。歓迎するよ」

陽介「相棒話早っ!つか、マジか?すげー戦力なんじゃん!」

千枝「だね。シャドウ素手で殴り倒すぐらいだし」

雪子「よろしくね。完二君」

完二「うっす!巽完二!先輩等のために命張るっす!」

ラハール「(何だこの違和感は・・・天城の時とは何かが違う・・・)」

189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/20(日) 19:37:47.09 ID:q2f2OLt60
>-次回予告
>-BGM:戦友よ

エトナ「なかったことにされつつあった地球勇者達!アニメの失敗は彼等のせいじゃないのに!」

ラハール「まあ、もっと根深いところに原因があるな」

エトナ「そんな地球勇者達の復讐の幕が今開く!時間を超えて、八十稲羽のラハールの元に彼等が降り立つ!」

ラハール「ヒロインが二人ともかわいくないとか、ヒロインが二人ともクズすぎるとか」

エトナ「平和な街中で、魔王と地球勇者達の死闘が勃発する!次回作の主人公はどちらの手に!?」

ラハール「かわいくないどころか電波だとか、電波どころかただのアホだとか」

エトナ「次回、地球魔王戦記ラハール!"忘れられた勇者達"!」

ラハール「エトナはただの●女、フロンはあざとすぎる、とかな」

陽介「お、おい・・・ヤバくね?」

エトナ「殿下、ちょっとお話が」

フロン「ラハールさん。私からもちょっと良いですか?」

ラハール「よし、逃げるぞ陽介」

陽介「俺を巻き込むな!」

195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:43:14.37 ID:YuNd79Hn0
>-6/15(水)
:::【沖奈市】:::

ラハール「暑い」

完二「そ、そうっスね、も、もう無理っス俺」

陽介「息整えてから喋れよ」

番長「だらしがないな。ラハールは顔色一つ変えて無いぞ」

完二「無茶言わないで下さいよ」

陽介「チャリでついてきただけでも大したもんだろ」

番長「ラハールは自分の足でついてきたぞ」

陽介「こいつは別だよ。完二は人間だぞ?」

ラハール「無駄口を叩いてないで、さっさとこんなところまで連れてきた目的を吐け」

陽介「俺と相棒のバイク見てわかんねぇか?」

ラハール「・・・」

陽介「・・・」

ラハール「わかるか阿呆」

陽介「はあ、これだからお前は駄目なんだよ。長く生きてたって精神的にはおこちゃまだな」

ラハール「そうか貴様、そんなに死にたければ今ここで殺してやる!」

番長「落ち着け」

ラハール「落ち着けるか!」

陽介「ナンパだよナンパ」

ラハール「は?」

陽介「やっぱモテるにゃバイクだろ!」

ラハール「・・・は?」

196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:44:39.53 ID:YuNd79Hn0
>-数分後

ラハール「・・・貴様は行かなくて良かったのか?」

完二「ぶっちゃけそんな余裕ねえっスよ。帰りのこと考えたら休んどかねーと足もたねーや」

ラハール「・・・そうか」

完二「ラハール先輩こそ、行かなくていんスか?」

ラハール「アホか。せっかくの人間界だから、たまには町から出てみるのも良いかとは思ったがな。何かと思えばナンパ?アホか」

完二「二回もアホって言わなくてもいいっしょ」

ラハール「アホなものはアホだ」

完二「ま、それについちゃ同感スけどね」

ラハール「・・・俺様は景色を見ているだけで充分だ。人間界は明るい。これは魔界では見ることの出来ない景色だ」

完二「・・・マジで先輩、悪魔なんスね」

ラハール「そうだ」

完二「さっきの走りで実感しましたよ。ずっと3~40キロで走ってんのに、平気な顔でついてきてんスからね」

ラハール「あの程度なら魔法で移動速度を上げるまでもない」

完二「すげーぜ」

ラハール「・・・貴様の母親は、元気にしているか?」

完二「ウチのババア?まあ、元気スけど」

ラハール「・・・そうか」

完二「どしたんスか?急に」

ラハール「貴様は、俺様に似ているのだ」

完二「あん?」

ラハール「母親を大事にしているところや、面倒見の良いところがな」

完二「や・・・べ、別に大事になんかしてねースけど・・・」

ラハール「・・・ふん。下らん謙遜はいらんぞ」

197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:46:01.97 ID:YuNd79Hn0
エトナ「親は大事にしといたほうがいいよー。アタシ達はしたくても出来ないからさ」

完二「・・・ん?」

ラハール「誰かがつけてきている気配はあったが、貴様だったか」

エトナ「ち~す」

完二「え、あ、ウス」

エトナ「新入り君ですか?」

ラハール「そうだ。こいつは完二、特捜隊の新メンバーだ」

エトナ「アタシはエトナ。よろしくね」

完二「あ、エトナさんっスか。話は花村先輩とかから聞いてます」

エトナ「しっかし、面倒見がいいところが似てるって、殿下のどこが面倒見がいいんです?」

ラハール「は?俺様ほど家来の面倒見が良い魔王もおらんだろう」

エトナ「本気で言ってそうなとこが怖いなあ」

ラハール「それより貴様、何の用だ?わざわざこんなところまでついてきて」

エトナ「まあ、ここまで来たのは私もぶっちゃけ遠出してみたかっただけなんですけど、お手紙です」

ラハール「またか」

『お兄ちゃんに会いに行きます』

ラハール「・・・なんだこれは!本気か?」

エトナ「まあ出来るかどうかは知りませんけど、フロンちゃんが止めるのに苦労してるって愚痴ってくるんで、どうもやる気はあるみたいですね」

198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:47:28.64 ID:YuNd79Hn0
ラハール「あの馬鹿は変わらんな・・・」

エトナ「ですね。殿下はけっこう変わってきてるのに」

ラハール「・・・おい、俺様の何が変わったというのだ?」

エトナ「人間達と暮らしてみて、殿下が一番わかってるんじゃないですか?」

ラハール「・・・口を慎め。俺様は何も変わってなどおらん!」

エトナ「アタシゃそうは思いませんけどね~」

ラハール「チッ・・・」

エトナ「ま、こんな奴だけど、仲良くしてやってね」

完二「あ・・・ウス!」

ラハール「誰がこんな奴だ!貴様も返事をするんじゃない!」

完二「す、すんません」

ラハール「チッ・・・まあいい、完二。飯でも奢ってやる。来い」

完二「え。いんスか先輩?」

ラハール「後輩が遠慮などするな。ここではそういうものだろうが」

エトナ「うわー、気前の良い殿下って気持ち悪いですね~」

ラハール「やかましい!バイト代とやらを貰ってはいるがな、飯は勝手に出てくるし、馬鹿な家来共に装備を買ってやる必要も無い。ここでは金の使い道など大してないからな。それだけだ」

エトナ「やりぃ。アタシはスイーツが食べたいですね」

ラハール「誰が貴様にまで奢るか!貴様はさっさと帰れ!」

エトナ「え~。いいじゃないですか人間界でぐらい奢ってくれても。あの部屋にいるとお腹すかないですけど、その分食べる楽しみがないんですよ~」

ラハール「・・・・・・行くぞ」

エトナ「え?」

ラハール「魔界に帰ったらこんなことはないと思え」

エトナ「そ、それって」

ラハール「いらんなら置いていくぞ」

エトナ「行きます行きます!ほら完二行くよ!殿下の気が変わんないうちにね!」

完二「あ、ウス」

エトナ「(ドケチの殿下がねえ・・・な~にが俺様は変わってなどいないんだか・・・)」

199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:48:51.47 ID:YuNd79Hn0
>-一時間後

陽介「・・・」

完二「どしたんスか暗い顔して」

陽介「収穫・・・0だ。正直へこむぜ」

エトナ「花村はアホだからね~。女にはけっこう、そういうのわかっちゃうもんなのよ」

陽介「エトナさんきっつー・・・」

ラハール「・・・貴様はどうだった?」

番長「俺か?15人から連絡先を貰ってきた。一人は男性だけど」

陽介「15人!?」

エトナ「さすがだねぇ」

完二「すげーぜ番長先輩・・・つか一人男・・・?」

ラハール「花村、つまりこういうことだ」

陽介「こういうことってどういうこと!?っていうかまた花村に戻っちゃう!?」

エトナ「いやーこういうことでしょ」

陽介「だからどういうこと!?」

>-皆と楽しく過ごした。

200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:50:14.40 ID:YuNd79Hn0
>-6/17(金)
:::【林間学校初日】:::

>-昼食

陽介「里中はアレだけど、天城は旅館の若女将だから期待値高いと思うぜ?」

番長「いや・・・どうだろうな」

>-何故か嫌な予感がする・・・
>-何故だろう・・・
>-・・・わからない

陽介「どうだろうなって、どうしたよ?楽しみだろお前も」

番長「なんだろう・・・なにか・・・嫌な予感が・・・」

ラハール「・・・奴等に任せても良かったのか?」

陽介「いや、女の子の手料理って食ってみたいじゃん?」

ラハール「俺様にはわからん」

番長「なんだろう・・・この感じ・・・」

陽介「まあ確かに里中がいるのは不安だけど、天城がいるからなんとかなるって」

千枝「誰が不安だって?」

陽介「お、出来たか」

千枝「駄目だしは食べてからしてね」

雪子「お、おまたせー・・・」

201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:51:41.25 ID:YuNd79Hn0
陽介「キタキタ!」

番長「・・・いただきます」

ラハール「・・・」

陽介「・・・ん!?」

番長「!?」

ラハール「?」

陽介「がはっ・・・水・・・水を・・・!」

千枝「ど、どしたの?な、何々?」

番長「!???」

雪子「ほ、ほら番長君も、水」

ラハール「・・・何だ貴様等、情け無い」

千枝「そ、そうだよ花村。ラハール君平気そうじゃん」

陽介「ふざけんな!むしろ何でお前平気なんだよ!」

番長「不味くないのか?」

ラハール「不味いな」

千枝「えっ」

雪子「やっぱり・・・」

陽介「やっぱり!?今やっぱりっつった!?」

ラハール「凄まじい刺激臭と多様で不愉快な食感。味は最早言葉で表現する方法が見当たらん・・・魔界でもここまで不味い物を作るのは難しいだろう。兵器に使えるかもしれんな」

陽介「兵器って・・・お前等これ、何入れたんだよ!?」

千枝「ま、まあ色々・・・色々ね?」

雪子「う、うん・・・色々。片栗粉とか・・・うん、色々」

陽介「せめてカレーに使うもんだけ入れろよ!」

ラハール「軟弱な奴等め。俺様は飯を食えずに死にかけたこともあるからな。これでも食えるだけマシだ」

陽介「し、死にかけた・・・?」

番長「ラハール。あんまり食べると体を壊すぞ」

ラハール「俺様をなめるなよ。こんなもので・・・かはっ!」

陽介「ラハールーーーーッ!?」

番長「・・・だから言ったのに」

陽介「冷静に構えてる場合!?」

202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:52:52.08 ID:YuNd79Hn0
>-・・・・・・

ラハール「まさかこの俺様を殺しかけるとは・・・やはり兵器に使えるかもしれんな」

陽介「兵器に使うのはいいけど、実際問題今ここにある大量のカレーどうすんだよ?つか、カレーじゃねえな。この毒物」

千枝「か、川に流すとか?」

番長「・・・汚染されるぞ。川が」

雪子「そ、そこまで言わなくても・・・」

大谷花子「何?それ余ってるの?」

雪子「大谷さん」

千枝「そ、そうそう。皆お腹一杯になっちゃってさあ!」

大谷花子「なら私が貰ってもいいかしら?」

千枝「どうぞどうぞ!」

陽介「お、おいそれ殺人未遂だぜ・・・!」

千枝「大谷さんならイケるって」

大谷花子「んん、新食感ね。美味しいわ」

ラハール「こ、こいつ人間ではないのか・・・!?」

番長「しーっ」

203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:55:57.66 ID:YuNd79Hn0
>-夜
:::【テント】:::

番長「・・・ところで、何で完二までここに?」

完二「いいじゃねっスか。一年のテント、葬式みてえに静かなんスよ。あっこにいたら息詰まっちまうぜ」

陽介「まあ、お前がいりゃな・・・つか、よくサボんないで来たな。林間学校なんて」

完二「フケたら進級させねーとか言われてよ。ざけんなってんだ」

ラハール「・・・どうでもいいが、狭いぞ」

陽介「ま、三人用のテントだしな」

番長「多少狭いぐらいは別に良いんだけど・・・ここは一つ、はっきりとさせておくべきことがあるんじゃないか?」

ラハール「?」

陽介「だ、だよな。やっぱお前もそう思う?」

完二「何スか?」

陽介「完二・・・ここは正直に答えて欲しいんだけど・・・やっぱお前って・・・アッチ系なのか?」

完二「あぁ?アッチ?何のことだよ」

番長「俺達、今・・・貞操の危機か?」

完二「貞操・・・あ、ああぁ!?ざけんな!そんなじゃねえっつってんだろ!」

陽介「な、なんで豪快にキョドるんだよ!?なおさら本物っぽいじゃんか!」

番長「そうだな」

完二「ざっけんな!今はもう、お、お、おおお女なんてなんともおもってねーよ!」

陽介「噛みすぎだろ!怖ぇーって!」

完二「くっそ!じゃあ見せてやんよ!女なんて平気だってことをよ!」

番長「どうやってそれを証明するつもりなんだ?」

完二「今から女子のテントに行ってやらあ!」

番長「よし、行け」

陽介「お、おいおいバレたら停学だぞ!?」

完二「巽完二!男見せてやるぜ!おらあああ!」

204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:57:14.11 ID:YuNd79Hn0
陽介「行っちまった・・・」

ラハール「・・・貴様等、悪ふざけが過ぎるぞ。花村の阿呆はともかく、番長まで何だ」

番長「あいつ、やっぱりまだ俺達にどこか遠慮があるだろ?」

ラハール「・・・」

番長「そういうわだかまりを、少しずつでも減らしていかないとな・・・と思って。とりあえずイジれるネタって、今のところこれぐらいだからさ」

ラハール「・・・そこまで考えているなら良かろう。さっさと寝ろ」

陽介「えー・・・俺割とマジで怖かったんだけど」

ラハール「だから貴様は花村なのだ」

陽介「花村っていうカテゴリーみたいに言うのやめてくれよ・・・」

番長「ラハール。寝る前に少し、親睦を深めないか?」

ラハール「は?」

番長「蛍光ランプとトランプを持ってきた」

陽介「準備良すぎだろ」

ラハール「俺様は付き合わんぞ。そんな下らんことやってられるか」

番長「逃げるのか?」

ラハール「は?」

番長「俺達に負けるのが怖いから、逃げるのか?」

ラハール「だっ、誰が逃げるか!いいだろう、やってやろうではないか!」

205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:58:29.34 ID:YuNd79Hn0
>-数分後

千枝「おじゃましまーす・・・」

雪子「・・・」

陽介「お、おい、どうしたんだよ!夜に男子のテントなんか来て、バレたら停学もんだぞ!」

千枝「大きな声出さないで」

陽介「あ、ああ・・・」

千枝「あたし達もわけわかんないんだって。いきなり完二君があたし達のテントにきてさ・・・」

雪子「うん・・・」

千枝「そんで、いきなり勝手に気絶しちゃって・・・テントに入ってきた途端ね」

雪子「え?」

千枝「だよねー雪子!」

雪子「あっ・・・う、うん。そう。勝手に気絶しちゃった」

ラハール「・・・貴様等二人がかりで殴って気絶させたか」

番長「なるほど」

千枝「えっ、え!?そっ、そんなことありませんわよ?」

陽介「なるほどな。事情はわかったけど、どうすんだよ?こんなとこまできて」

千枝「明日の早朝になったら戻るからさ、皆が起きだす前に。それまでいさせてよ」

雪子「お願い」

陽介「・・・どうするよ?」

番長「いいんじゃないか?別に」

ラハール「ふざけるな。冗談ではないぞ」

番長「元を辿れば後輩、完二の不手際だし・・・先輩の俺達が後始末するべきだと思うけど」

ラハール「む・・・チッ、勝手にしろ。ただし貴様等、俺様に近寄るなよ」

千枝「は~い・・・」

206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 13:59:54.06 ID:YuNd79Hn0
>-一時間後

千枝「花村~・・・起きてる?」

陽介「・・・なんだよ?」

千枝「・・・・・・あの・・・ごめんね」

陽介「何だよ急に。完二が突っ込んできたなら仕方無いだろ」

千枝「いや、それだけじゃなくてさ・・・昼間のカレーのこととか」

陽介「そうだな。あのせいで腹減って寝れねーや」

千枝「ごめん・・・」

陽介「おいおい。お前等に任せきった俺達も悪いんだし、何もお前等だけのせいじゃないだろ?」

雪子「・・・二人とも、起きてたんだ?」

千枝「おぉ、雪子も起きてたんだ」

陽介「つか普通寝れねーよな狭いし腹減ってるし。こいつら二人はやっぱ何か違うな」

千枝「二人は寝てるの?」

陽介「ぐっすりだな。図太いっつーか器がでかいっつーか・・・」

千枝「ラハール君はともかく、番長君ってなんか凄いよね」

雪子「あ、それわかる」

陽介「だよな。なんか同じ高校生とは思えないところが多々あるわ。俺達よりラハールとかエトナさんに近いような」

207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 14:01:59.02 ID:YuNd79Hn0
千枝「エトナさんか・・・ラハール君とエトナさんって、魔王とその家来、なんだよね?」

陽介「一応そうらしいけど、全然そうは見えねーよな。むしろエトナさんのほうが偉そうっつーか」

雪子「そうかな?やっぱりラハール君って何か風格あるし、私はなんだか納得いくけどな」

陽介「マジ?俺にはちょっとひねたハイスペックなガキにしか見えないぜ?すげー奴なのは確かだけど」

雪子「花村君の見る目がないんだよきっと」

陽介「きっつー・・・天城さん俺にやたら辛辣じゃないですか?」

雪子「え?そう?」

陽介「しかも無自覚かよ。泣けてきたぜ」

ラハール「・・・オイ花村、誰がガキだ?」

陽介「お、起きてたのかよ」

ラハール「貴様等が騒がしいから目が覚めた」

雪子「あ・・・ごめんねラハール君」

ラハール「・・・構わん。阿呆の花村が悪い」

陽介「全部俺のせいかよ?」

ラハール「貴様が一番俺様に近いのだ。貴様の声が一番良く聞こえる」

陽介「そう言われると反論出来ねー・・・」

ラハール「・・・番長は確かに、人間離れした所のある奴だがな」

陽介「え?」

ラハール「貴様等と同じ人間であることは確かだ。何でも出来る奴だと思い込まず、精々貴様等が力を貸してやるのだな」

陽介「・・・わかってるよ。けど、力を貸すのはお前もだろ?」

ラハール「俺様は知らん」

陽介「まーたそんなこと言って」

雪子「・・・あ」

陽介「どうした?」

雪子「千枝、眠れたみたい」

陽介「そっか」

ラハール「・・・貴様等もさっさと寝ろ」

陽介「へいへい」

208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 14:04:11.47 ID:YuNd79Hn0
>-6/18(土)
:::【林間学校二日目】:::

千枝「終わったー!」

番長「・・・いろいろあったな」

雪子「ほんとにね。誰も停学にならなくて良かった」

陽介「それシャレになんねーよな・・・」

完二「・・・なんか体痛ぇんスよね。昨日のことよく覚えてねーし・・・なんか誰かにぶん殴られたような・・・?」

千枝「き、気のせいだよ気のせい!」

雪子「そ、そうそう!」

完二「あー・・・?」

ラハール「それより、珍しく全員集まっているのだ。事件の話でもしたほうが良いのではないか?」

番長「真面目だな」

陽介「おいおい、せっかく川があんだぜ?ここは泳ぐとこじゃね?」

千枝「泳ぐっつったって、あたし達水着とか持ってきて無いし」

雪子「んー・・・」

陽介「何だ?水着があれば泳いでたのに~ってか?」

千枝「そうそう!あー、残念だなー!」

雪子「うん。水着ないからしょうがないよ」

陽介「へっへっへ」

千枝「な、なにその笑い方・・・」

陽介「じゃーん!ジュネスオリジナルブランド!初夏の新作だぜ!」

完二「うわ、引くわ・・・」

ラハール「・・・はぁ」

209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 14:05:34.96 ID:YuNd79Hn0
>-数分後

完二「あれ、先輩等、同じ水着なんスね?」

番長「これか?おじさんに貰ったんだ」

ラハール「俺様のは花村が勝手に見繕った」

陽介「堂島さんもジュネスで買ったんだろうな。ラハールのも俺がジュネスで買ってきた奴だし」

ラハール「やはり窮屈な服などないほうが落ち着くな」

完二「えぇ?」

番長「やっぱり、悪魔は薄着なのか?」

ラハール「そうだ。生身の防御力が優れているから、貴様等のように普段からゴテゴテした服を着る必要などない。最も、戦闘時にはそれなりの装備をしていくがな」

完二「あー・・・それでエトナさんもああいう感じだったんスね」

陽介「やっぱお前もそう思う?あれちょっと薄着にも程があるよな」

ラハール「・・・確かにな。奴には人間界に相応しい格好をしろと言っておくか」

番長「いや、その必要は無いと思う」

ラハール「は?」

番長「むしろそんなことはしないほうが良いよ」

ラハール「ど、どうしたのだ貴様・・・そんなに押しの強い貴様など見たことが無いぞ」

番長「俺のことは良いから、とにかくエトナさんにはありのままでいて欲しいんだ」

ラハール「そ、そうか・・・」

陽介「お、きたきた」

千枝「・・・///」

雪子「・・・///」

陽介「お~・・・」

千枝「あ、あんまジロジロ見んな!」

雪子「ど、どう・・・かな?」

ラハール「は?」

雪子「いや、あの・・・水着」

ラハール「・・・どうでもいい」

>-・・・"どうでもいい"?
>-・・・どこかで聞いたことがあるような・・・
>-・・・わからない。

雪子「どっ、どうでも!?」

ラハール「それより、あまり近寄るんじゃないぞ」

陽介「お?なんだお前照れてんのか?」

ラハール「ふ、ふざけるな!」

210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 14:08:15.03 ID:YuNd79Hn0
陽介「完二はどうよ?」

完二「あ?なんスか?」

陽介「お、お前・・・」

番長「鼻血出てるぞ」

完二「えっ、あ、やべっ」

ラハール「アホが・・・それより貴様等、珍しく全員集まっているのだ。事件のことについて少し話したいのだが構わんか?」

番長「真面目だな」

ラハール「貴様がやる気にならんでどうする!」

完二「事件のことスか?」

ラハール「完二が被害にあったことで、被害者の共通点が一つなくなった」

千枝「共通点?」

番長「・・・女性であったことか」

雪子「そうだね」

陽介「ま、性別に特に意味はなかったのかもな」

雪子「山野アナの事件に関係している人っていう点も、完全に消えたと思う」

ラハール「・・・そうだな。貴様の時から既に怪しかったが、完二は山野とかいう女とは完全に無関係だ」

完二「山野・・・って、山野アナのことスか?」

陽介「他に誰がいんだよ」

完二「関係・・・なくもねースけど、いや、やっぱねーか?」

番長「どういうことだ?」

完二「一応、ウチの巽屋に、特注の品を注文してたみてえなんスよね、山野アナが。まあ死んじまって結局売れ残ってるんスけど」

千枝「・・・そっか。じゃあ関係なくはないんじゃない?」

陽介「どうだろうな・・・天城の時はまだ、山野アナが泊まってた旅館の手伝いを天城がしてたけど、完二は別に、あの店の手伝いとかしてるわけじゃねえんだよな?」

完二「まあそっスね。店のこたぁお袋が全部やってるみてえスよ」

ラハール「やはり最初の事件との関連性はなくなったと見たほうが良いだろうな」

千枝「ちょっと、いいかな。大したことじゃないんだけど・・・」

番長「何だ?」

千枝「山野アナは不倫報道・・・小西先輩は、山野アナの第一発見者として・・・雪子は旅館の次期女将として・・・で、完二君は非行少年として」

完二「あん?」

陽介「・・・あっ、被害者は全員、被害にあう前にテレビに映っているってことか?」

完二「テレビだ?テレビなら、マヨナカテレビとかいうのに映ってたんしょ?俺ぁ見てねースけど」

陽介「そうじゃねーよ。普通にニュースとか、誰でも見てるようなテレビ番組って話」

番長「そういえば、確かに完二は非行少年特集に出ていたな。一応モザイクかかってたけど、本人だって丸解りだったぞ」

完二「あー、アン時の取材とかいう奴らか。クソが!」

雪子「・・・うん、一つ見えたね。被害者の共通点」

ラハール「被害にあう前にテレビ番組に出ている・・・か」

陽介「テレビつながりで何かあんのかもな」

番長「・・・全部のテレビ番組をチェックしていたらキリがないな。やっぱり次の被害者に目星を付けられるのはマヨナカテレビぐらいか」

千枝「そうだね・・・」

211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 14:09:46.33 ID:YuNd79Hn0
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子

シシリー「私のお兄ちゃん!愛しいお兄ちゃん!」

番長「呼んだか?」

シシリー「仲睦まじく愛し合っていた二人の仲は、突如悪の大天使フロンに引き裂かれてしまう!」

番長「菜々子じゃなかったか・・・帰るか」

シシリー「私が全力でお兄ちゃんに会いに行こうとしても、二人の仲が許せないフロンに妨害を受けてしまう!」

フロン「シシリーさーん。仕事してくださーい」

シシリー「こうなったら強行突破よ!私の持てる力の限りを尽くして、フロンをやっつけてやるわ!」

フロン「というか誰が悪ですか!ちょっとシシリーさーん」

シシリー「待っていてお兄ちゃん!私達の未来は、私の力で切り開いてみせるから!」

フロン「二人の未来の前に、天界の未来をどうにかしてくださーい」

シシリー「次回、夢のシシリー王国!"フロンをやっつけろ"!」

フロン「言っとくけどそう簡単にはやられませんからね~」

シシリー「脳みそくすぐっちゃうよ♪」

:::【陽介の部屋】:::

ラハール「・・・!・・・な、なんだ・・・悪寒が・・・!」

陽介「カレーがまだ残ってんじゃね?」

218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:19:14.09 ID:9mzBHQ760
>-6/21(水)
>-放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

ラハール「なんだその・・・りせ?とかいうのは」

エトナ「殿下知らないんですか?たまにしかこっち来ないアタシでも知ってますよ。休業発表したアイドルですよアイドル」

ラハール「アイドル?というと、ランサローテのようなものか」

番長「魔界にも、アイドルっているのか」

ラハール「ああ。魔王である俺様より目立っていたから、引き摺り下ろして家来にしてやった」

エトナ「面白かったですね~、あの時の殿下」

ラハール「その話はするな!あの時の俺様は、魔界の異変にあてられてどうかしていたのだ」

エトナ「へっへっへ」

ラハール「間違ってもあの時の話をするなよ?」

エトナ「どうしましょうかねぇ~?ラハールちゃん?」

ラハール「貴様ぁ・・・!」

雪子「なんの話?」

エトナ「まあいわゆる黒歴史って奴かね。殿下の」

陽介「うお、それ超聞きたい!」

千枝「私も興味あるかも」

番長「是非聞かせて下さい」

エトナ「どうします殿下?こう言ってますけど」

ラハール「やめんか!大体貴様、今日は事件のことについて話すために集まっているのだ。貴様がいては不味いのではないか?」

エトナ「え~?どうせ大した話にならないから着て良いって、番長君に言われましたけど?」

ラハール「番長貴様・・・!」

番長「まあ実際、雨は降ってるけど・・・今の段階じゃ何の予測も立てられないだろ?」

ラハール「それはそうだが・・・」

番長「雨は降ってるから、マヨナカテレビのチェックはしてみよう。明日は完二も呼んで、もう一度集まろう」

ラハール「マヨナカテレビをふまえて・・・ということか」

陽介「そうすっか」

219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:22:10.06 ID:9mzBHQ760
>-6/22(水)
>-放課後
:::【教室】:::

陽介「絶対あれはりせだって!」

千枝「そう?なんかはっきりしてなかったよ?」

陽介「いやいや、あれはりせだ!あの胸!あの腰つき!そしてあの無駄のない脚線美!」

ラハール「・・・貴様はどう思う?」

番長「久慈川りせ、だったと思う」

ラハール「・・・妙だな」

雪子「どうかしたの?」

ラハール「・・・俺様の目にははっきりと見えなかった。人影らしきものがぼんやりと映ってはいたが、個人の特定に至るような特徴が見えるほどの鮮明さはなかった」

雪子「あ・・・私もそんなかんじだ」

完二「俺もっスね」

陽介「いやいや、あれはりせだろ!」

番長「・・・ちょっと、待ってくれ」

陽介「えぇ?」

番長「俺達それぞれの目に、別のものが見えている可能性・・・ってことか?ラハール」

ラハール「そうだ。陽介と里中の目に見えているものが微妙に違う。これについてはまだ良かろう。少なくとも見ているテレビはそれぞれの家のテレビ。多少なりとも映り方が違っていてもおかしくはない」

番長「けど、同じテレビで見ていたはずのラハールと陽介に違うものが見えている」

ラハール「そうだ」

陽介「え?どういうことよ?」

220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:24:05.63 ID:9mzBHQ760
ラハール「貴様がさっき吐き散らしていた気持ちの悪い台詞を思い返してみろ」

陽介「気持ちの悪いって・・・」

千枝「確か・・・胸、腰つき、脚線美、だっけ」

ラハール「そうだ。俺様にはそれらの形がはっきりと確認出来るような映像は見えていなかった」

陽介「え?」

番長「・・・俺には、顔まで少し見えていたんだ。あれは間違いなくりせの顔だった」

陽介「顔?俺には顔までは見えてなかったな・・・」

雪子「見る人によって、見え方が違う・・・ってこと?」

ラハール「そうなるな」

完二「え?つまりどういうことスか?」

ラハール「そこまではわからん」

完二「わからん?」

番長「そうだな・・・見る人によって見え方が違う。それは間違いないみたいだ。けど、それが何の意味を持っているかは、今の段階では推測すら出来ない」

ラハール「・・・・・・確か、りせとかいう女は今この町にいる・・・ということだったな」

完二「らしいスね」

ラハール「番長、貴様・・・そいつに会ったりはしたか?」

番長「昨日会ったけど・・・どうして?」

陽介「え!?会ったの!?マジで!?」

番長「うん。ジュネスで、りせが落とした携帯を拾って渡したんだ」

陽介「しかもウチに来てたのかよ!」

番長「なんか眼鏡かけて変装してたけど、間違いないと思う」

陽介「うわー!マジかよ!」

ラハール「少し黙れ阿呆・・・こうは思えんか?映っている人物に対する認識が深ければ深いほど、鮮明に見えている」

番長「・・・確かに」

千枝「え?どういうこと?」

雪子「りせちゃんのファンである花村君と、実際にりせちゃんに会った番長君には凄くはっきり見えて、他のメンバーにはあんまりはっきり見えてない・・・確かに、りせちゃんに対する認識が深いほど、はっきり見えてるね」

完二「あー・・・あ?つまりどういうことスか?」

ラハール「そこまではわからん」

完二「またそれっスか」

番長「だからなんだで終わる話じゃないような気はするけど、やっぱり、何かわかることが増えるような情報じゃないな。今のところは」

ラハール「そうだな」

陽介「じゃあ、今はこれから俺達がどうするか考えようぜ」

雪子「私、りせちゃんの家わかるよ。多分だけど」

番長「本当か?」

雪子「うん。丸久豆腐店だと思う」

ラハール「・・・どうする?」

番長「行こう。りせの様子が気になる」

陽介「なら急ごうぜ。こうしてる間にも犯人が来てるかもしれねえ」

千枝「あ、ごめん。私と雪子、ちょっと職員室行かなきゃいけないから、先行ってて」

番長「わかった」

221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:29:27.64 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・
:::【丸久豆腐店前】:::

陽介「な、何だこの人だかり?」

男性「駄目だ。りせちーいないや。いつもの婆さんがいるだけだ」

女性「マジ?やっぱただの噂か。帰ろ帰ろ」

ラハール「・・・」

陽介「人だかりが散ってく・・・ここにゃりせちーはいないってことか」

番長「一応、中まで入ってみよう」

完二「そっスね」


:::【丸久豆腐店】:::

陽介「すいませーん!」

りせ「はーい・・・」

陽介「え・・・」

りせ「あれ?あなた・・・」

番長「どうも」

完二「お前がりせ?」

りせ「そうだけど、何で呼び捨て?」

陽介「ほ、本物のりせちーだ・・・!」

りせ「・・・何?お豆腐買いに来たんじゃないの?」

陽介「えぇ?いや、違うって」

番長「がんもどき六つ下さい」

りせ「・・・がんもね」

ラハール「態度の悪い店員だな」

陽介「お前が人のこと言えるかよ」

りせ「・・・はい」

番長「どうも」

222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:33:18.14 ID:9mzBHQ760
陽介「・・・おっと、本題忘れるところだったぜ」

りせ「本題?」

番長「最近、何か変わったことはないか?」

りせ「変わったこと?」

番長「例えば・・・誰かに見られているとか」

りせ「ストーカーとかってこと?そういうの珍しくないし、別に最近特にって感じはないと思うけど」

陽介「りせちーが、誘拐されるかもしれないんだ」

りせ「え?誘拐?」

完二「いきなりんーなこと言われても信じられねえよな」

陽介「けど、本当なんだ」

りせ「・・・わかった。気をつける」

番長「マヨナカテレビって、知ってるか?」

ガララッ

堂島「ごめんください」

番長「・・・」

足立「あれ?君確か・・・」

堂島「・・・ここで何してる?」

番長「がんもどきを買いに来ました」

堂島「・・・・・・お前、巽完二・・・」

完二「・・・」

ラハール「(おい、蹴散らすか?)」

陽介「(馬鹿やめろ!)」

陽介「お、俺達買い物に来ただけなんで、もう帰りま~す!ホラ、行くぞ!」

ラハール「・・・」

223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:36:01.21 ID:9mzBHQ760
>-数分後
:::【丸久豆腐店前】:::

堂島「・・・」

足立「どうかしたんですか?堂島さん」

堂島「・・・今回、久慈川りせが次に犯人に狙われるかもしれないと感じたのは、言っちまえば俺の勘だ。捜査線上で調べたいくつかの状況を照らし合わせてみてはいるが、どれも特に根拠付けになるようなもんじゃない」

足立「はあ・・・?」

堂島「それを、事情も知らないはずの高校生達が先回りってのは、一体どういうことだ・・・?」

224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:37:54.65 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::

陽介「堂島さんに、りせちーと会ってるところを見られた」

千枝「堂島さん?堂島さんって、番長君とこの?」

番長「・・・ああ」

完二「まずったっスね」

ラハール「下手すれば貴様が疑われるようなことになりかねんぞ」

番長「・・・そうだな。堂島さんは元々、俺達が何かをかぎまわっていることに勘付いていたみたいだから」

陽介「今回はよりによって、りせちーに、もしかしたら誘拐されるかもしれないって忠告した直後だ」

千枝「あちゃー・・・」

雪子「ど、どうするの?」

ラハール「・・・番長、貴様が決めろ」

番長「ああ。今日はもう、りせと接触するのは難しいかもしれない。明日改めて丸久豆腐店に張り込みをかけよう」

千枝「そうだね。それがいいかも」

225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:39:30.54 ID:9mzBHQ760
>-6/23(木)
>-放課後
:::【丸久豆腐店前】:::

番長「りせはどうしてる?」

千枝「普通に店番中」

番長「そうか」

陽介「何も起きなきゃ、それが良いんだけどな」

雪子「そうだね」

ラハール「・・・オイ貴様、何か用か?」

番長「あれ?足立さん?」

足立「え?あ、いや、堂島さんに君達の監視を・・・ああ、いや、なんでもないよ」

ラハール「チッ・・・やはりそうなるか」

陽介「ま、しょうがねえさ。それに、発想変えてみろよ。警察が一緒なら頼もしいじゃんか」

完二「何でサツと一緒に張り込みなんか・・・」

雪子「まあまあ」

番長「・・・あれは?」

>-丸久豆腐店前の電柱に登って、中をカメラで見ている男がいる。

完二「オイ!何してんだテメ!」

怪しい男「や、やば・・・」

>-男は電柱を降りると、端って逃げ出した。

ラハール「逃がさん」

ドンッ

怪しい男「ええっ!?」

ガッ

完二「せ、先輩はえぇ!」

足立「ちょっと!乱暴はヤバイって!被疑者が怪我すると、警察は大変なんだ!」

ラハール「大人しくしろ」

怪しい男「な、なんだよ!?ただ僕はりせちーを!し、知ってるんだぞ!盗撮は罪にはならないんだ!」

完二「人殺しといてゴタゴタ言ってんじゃねえぞ!」

怪しい男「ええぇ!?なんの話・・・」

足立「話は書で聞こう」

ガチャ

足立「これ言ってみたかったんだよね~」

ラハール「・・・」

226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:46:56.29 ID:9mzBHQ760
足立「後は警察に任せて、こいつはきっちり尋問させてもらうから」

怪しい男「じ、尋問!?な、なんでだよ!」

足立「しらばっくれんじゃないよ!君は連続殺人の容疑者なんだぞ!」

怪しい男「ええ!?}

足立「犯人逮捕、ご協力感謝します!それじゃ」

番長「はい・・・」

ラハール「・・・」

陽介「・・・これで、終わったってことか?」

千枝「あたし達、やった・・・のかな」

完二「俺、あんな情けねぇ奴に誘拐されたんすかね?」

陽介「どうだろな?スタンガンとか、睡眠薬とか、いきなり気を失わせて連れてく方法なんていくらでもあるし、今のあいつは俺達に見つかって、馬鹿っぽい奴のフリしてただけかもしれないし・・・」

雪子「怖いね・・・」

番長「あとは警察が調べてくれるよ。俺達は解散しようか」

ラハール「・・・」

千枝「りせちゃんの様子見ていかない?もう大丈夫だって教えてあげないと」

陽介「だな!」

227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:50:43.41 ID:9mzBHQ760
:::【丸久豆腐店】:::

りせ「なんか昨日より増えてる」

千枝「ども」

番長「今、連続誘拐事件の容疑者が捕まったから、それを伝えに来た」

りせ「連続誘拐事件?」

番長「このへんであったんだ」

陽介「被害者のうち二人は、殺害されてる」

りせ「・・・それって、山野アナウンサーの?」

陽介「そうそう。次に狙われるのりせちーっぽかったからさ、ここの前で張ってたんだ。けど、もう捕まえたから、安心してくれ」

りせ「ふーん・・・」

ラハール「・・・一応、まだ用心しておけ。犯人が一人とは限らん」

陽介「おいおい、今不安にさせるようなこと言わなくて良いだろ」

番長「いや、ラハールの言うとおりかもしれない。容疑者は捕まったけど、一応用心しておいてくれ」

りせ「・・・わかった。ありがと」

番長「あと、せっかくだし、がんもどき三つ下さい」

陽介「このタイミングで買い物とか、お前の心臓どうなってんだよ?」

番長「いや、美味しかったし」

陽介「そ、そうか」

りせ「はい、がんも三つね。あと、これ」

番長「あれ?お豆腐?」

りせ「おまけしといてあげる」

番長「ありがとう」

りせ「いいよ。また買いに来てね」

陽介「り、りせちー・・・笑顔がまぶしい・・・!」

ラハール「アホか。帰るぞ」

番長「ラハール・・・皆も、ちょっと良いかな?」

228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:52:58.71 ID:9mzBHQ760
:::【神社】:::

千枝「・・・これでほんとに終わったのかな?」

番長「・・・わからない」

陽介「ま、警察の取り調べの結果を待つしかないだろ。俺達は」

雪子「そうだね」

完二「大丈夫スかね。足立なんかに任して」

番長「足立さんが取り調べするわけじゃないだろうし、大丈夫だよ」

陽介「署まで行きゃ堂島さんもいるだろうしな」

ラハール「堂島・・・か。まさか貴様の伯父が警察だったとはな」

番長「ああ。どうも、俺達は犯人探しごっこをやってると思われてるみたいだ」

完二「ごっこねえ・・・ごっこだったら良かったんスけどね。俺等はマジだ」

番長「そうだな」

千枝「けど、これで終わりだったら・・・どうする?あたし達」

陽介「どうするって、どういうことだよ?」

千枝「う、うん・・・だって、犯人が捕まったとしてもさ、テレビの中の世界が危ないって状況は、変わらない・・・わけじゃん?」

陽介「そりゃそうだけど、犯人がいなきゃ悪用されることもないだろ?」

千枝「それだよ。犯人は、あたし達と同じ・・・多分、ペルソナ使いだよね」

陽介「えぇ?」

千枝「や、だってさ・・・」

ラハール「・・・なるほど」

陽介「ど、どういうこったよ?」

ラハール「犯人は、貴様等とは異なる何らかの形でペルソナ能力を得て、その結果テレビの中に人を入れることを可能にした。ならば、犯人が何故ペルソナに目覚めたのか知る必要があるな」

番長「そう。犯人がさっきの奴だったとしても、また別の形で能力を得た人が、第二第三の犯人になる可能性は残る。あの世界の悪用っていう可能性は、残るんだ。俺もそれを皆に伝えておきたかった」

雪子「そっか・・・そうだね」

陽介「なるほどな」

完二「つっても、どうすんスか?」

千枝「や、あたしに聞かれても・・・」

番長「今日は解散しよう。それで、また日を改めてクマのところに行ってみよう。今は警察の取調べの結果も待たなきゃいけないし」

陽介「だな。もし今回の事件がきっちりこれで終わりなら、改めてあの世界の調査をしようぜ。何かわかることがあるかもしれない」

番長「うん」

雪子「そうだね」

千枝「・・・」

ラハール「・・・番長、里中、少し良いか?話がある」

千枝「あたし?」

番長「俺も?」

陽介「どした?何か気になってんのか?」

ラハール「貴様は良い、先に帰れ」

陽介「え~?」

229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:55:43.97 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・

番長「話ってなんだ?」

ラハール「・・・里中、先ほど貴様が、これから俺様達がどうするかという話をしていた時、貴様妙に暗かったな。あれは何故だ?」

千枝「あ・・・」

ラハール「気にな・・・ったわけではないのだが、その・・・な」

番長「気になったんだな?」

ラハール「や、やかましい!」

千枝「・・・なんか、寂しくなっちゃってさ。ああやって、皆で集まるのが終わりだと思うと」

ラハール「寂しいだと?」

千枝「今ね、あたしと雪子、色々やってんだ。料理の練習とか、色んな職業のこと調べたりとか」

ラハール「・・・」

千枝「雪子の今後のため・・・でもあるんだけど、あたし自身も、あたしが将来どうするのか考えとかなきゃいけないし」

ラハール「それと今の話と、何か関係があるのか?」

千枝「うん。そういう時期だけど・・・ううん、そういう時期だからこそ、何かみんなで集まってわいわいやるのって楽しくてさ。そういうのが、なくなるのかなーとか思うと」

番長「大丈夫だよ」

千枝「え?」

番長「別に、事件のことなんかなくても、俺達もう友達だろ?いつでも集まって、何かやればいいさ」

千枝「番長君・・・」

番長「ラハールもな」

ラハール「・・・は?」

番長「友達だろ?」

ラハール「ふ、ふざけるな!誰がだ!」

陽介「うんうん、番長の言うとおりだぜ」

千枝「わ、花村」

ラハール「悪趣味だな。盗み聞きか?」

陽介「だって気になるだろ。しっかし、お前が里中のこと気にするなんてな」

ラハール「だっ、誰が気になどしているか!」

番長「ラハールだろ」

陽介「だな」

ラハール「貴様等・・・!もう知らん!俺様は帰る!」

230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:56:40.36 ID:9mzBHQ760
陽介「・・・ったくあいつは」

千枝「ちょ、ちょっと、怒って帰っちゃったけど、大丈夫なの?」

陽介「いやいや、あいつは怒ってなんかねえよ」

番長「そうだな」

千枝「え?けど・・・」

陽介「わかりにくい奴かもしんないけど、あいつは・・・なんつーか、好意を隠したがるんだよな」

千枝「好意?どういうこと?」

陽介「普通さ、俺達って、よくない気持ちのほうを隠したがるだろ?」

千枝「?」

番長「・・・例えが良くないけど、嫉妬とか、激しい羨望とかさ」

千枝「・・・あ、うん」

陽介「あいつは逆なんだ。誰かを好きって気持ちとか、楽しいって気持ちとか、そういうとこ、人に見せたがらないみたいだ」

千枝「そうなんだ・・・」

陽介「安心しろって。あいつが本気で怒ってる時は、黙って睨んでるか、低い声で静かにキレるぜ。逆にあいつが大声出してる時は、大体照れ隠しだ」

千枝「・・・そっか」

陽介「めんどくせー奴だよな。完二にはびびんなとか言っといてさ」

千枝「あはは・・・けど、なんでなんだろうね?ラハール君が、良い気持ちを隠したがるの」

陽介「なんで、か。そういや考えたことなかったな。あいつ、中々自分のこと話してくれないから」

番長「過去に、何かあったんだろうな」

千枝「過去・・・か」

番長「エトナさんなら知ってるかもしれないな。今度、それとなく聞いてみるよ」

陽介「お、頼むわ。直に聞いても、素直に答えてくれるとは思えねえし」

231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:57:15.39 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・
:::【河原】:::

菜々子「あ、お兄ちゃんのお友達だ」

ラハール「菜々子・・・って、誰が友達だ!違う!」

菜々子「お友達じゃないの?」

ラハール「・・・!・・・し、知り合いだ知り合い」

菜々子「?」

ラハール「それより貴様、こんなところで何をしている?もう夕方だぞ」

菜々子「菜々子のお友達の家に行ってたんだ。今からおうちに帰るの」

ラハール「チッ・・・あまり遅くなるな。最近は物騒だからな」

菜々子「ご、ごめんなさい」

ラハール「あ・・・あーもう!俺様が家まで送ってやる!」

菜々子「ほんと?」

ラハール「いいからさっさと行くぞ」

232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 03:59:16.28 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

番長「・・・あ」

ラハール「あ」

菜々子「お兄ちゃんただいま!」

番長「おかえり。どうしたんだ?ラハール」

菜々子「あのね、おうちまで送ってくれたの!」

番長「・・・」

ラハール「・・・ちっ、違う!俺様はただの通りすがりだ!かっ、帰る!」

番長「まあ、そう言わずにウチに上がっていってくれ」

ラハール「は?何故俺様が」

番長「夕飯、一緒に食べよう」

ラハール「・・・は?」

233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 04:00:53.12 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・
:::【堂島家・居間】:::

番長「堂島さん、今日は帰れないって。電話があったよ」

菜々子「そうなんだ・・・」

ラハール「(何故俺様はこんなところにいるのだ・・・)」

番長「お弁当、三人分買ってきてしまったから、ラハールがいて調度良かったよ。あ、陽介には連絡しといたから」

ラハール「貴様嫌に手際が良いな」

番長「なんか嬉しくてさ。ラハールが菜々子を送ってくれるなんて」

ラハール「だ、だから通りすがりだと言ってるだろ!」

番長「まあまあ」

菜々子「・・・けんか?」

ラハール「いや、違うぞ・・・これは・・・あの・・・」

番長「大丈夫だよ」

菜々子「・・・ほんと?」

ラハール「あ、ああ、そうだぞ。喧嘩などしとらん」

番長「うん。ご飯にしようか」

菜々子「あ、がんもどきだ!」

番長「美味しかったから、また買ってきたよ。りせの店で」

ラハール「・・・さっきの奴か」

菜々子「お兄ちゃん達、りせちゃんに会ったの?」

番長「うん」

菜々子「いいなー。菜々子もりせちゃんに会いたい」

ラハール「・・・会いに行けば良かろう」

菜々子「え?」

番長「そうだな。今度、一緒に行こうか」

菜々子「いいの?」

番長「うん。ラハールも一緒に」

ラハール「なっ・・・!」

菜々子「?」

ラハール「・・・・・・わかった、一緒に行こう」

菜々子「やったー!」

>-三人で楽しく過ごした。

234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 04:03:34.04 ID:9mzBHQ760
>-・・・・・・

番長「菜々子は寝たみたいだ」

ラハール「はぁ・・・結局こんな時間までここにいるとは思わなかったぞ」

番長「せっかくだし、今日は泊まって行ってくれないか?」

ラハール「は?何故そうなる」

番長「いいじゃないか。さっきも、俺が風呂に入ってる間菜々子に付き合っててくれたし。そのお礼。今から帰るのも面倒だろ?」

ラハール「・・・」

番長「俺達の前では気丈にしてても、やっぱり堂島さんがいないと寂しそうなんだ。菜々子は」

ラハール「・・・そうか」

番長「今日はラハールがいたから、いつもより寂しくなかったみたいだ」

ラハール「・・・・・・そうか」

番長「俺の部屋に行こうか。テレビもあるし、今日のマヨナカテレビはそれでチェックしよう」

ラハール「よかろう」


:::【番長の部屋】:::

ラハール「随分小奇麗な部屋だな。陽介の部屋とは大違いだ」

番長「陽介の部屋は、あんまり片付いて無いのか?」

ラハール「酷い有様だ。最も、俺様は散らかっていたほうが落ち着くがな」

番長「そっか」

ラハール「・・・菜々子の奴は貴様がいない時、家でいつも一人なのか?」

番長「堂島さんが帰れる時は、堂島さんと一緒なんだけど、最近はどうも仕事ばっかりで・・・」

ラハール「チッ・・・」

番長「本当は俺も、菜々子をあんまり一人にしたくはないんだけど」

ラハール「・・・何もかも貴様がという訳にはいかんだろう。貴様には成すべきことがあるからな」

番長「そうだな」

ラハール「・・・」

番長「・・・菜々子は、物分かりの良い・・・いや、物分かりの良すぎる子なんだ。一人でいることに慣れてるし、留守番もちゃんと、一人で出来る」

ラハール「だが・・・内心寂しがっているのではないか?一人でいることを平気そうにしてはいてもな」

番長「・・・そうだな」

ラハール「た、たまには・・・たまにはだぞ!俺様も、菜々子に構ってやっても構わんぞ」

番長「え?」

ラハール「・・・奴を見ていると・・・俺様の妹のことを思い出す。物分かりの良いフリをして、内心誰よりも寂しがっていた・・・あいつのことをな。最も、最近は随分態度に出すようになってきていたが」

番長「ラハール・・・」

ラハール「・・・や、やはり今のは無しだ!忘れろ!」

番長「いや、駄目だ。無しにはしない」

ラハール「貴様・・・!」

番長「たまには、でいいから、菜々子と遊んでやってくれ」

ラハール「ま、まあ、たまにはな!・・・たまにはだぞ」

>-"ラハール"コミュのランクが"3"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

>-ラハールと楽しく過ごした。

235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 04:05:26.00 ID:9mzBHQ760
>-12時
:::【マヨナカテレビ】:::

りせ『マールキュン!りせチーズ!』

りせ『みなさーん、こんばんわ。久慈川りせです!』

りせ『この春からね、私進級して、いよいよ花の女子高生アイドルにレベルアップ!やたー!』

りせ『今回はですね、それを記念して、もうスゴい企画に挑戦しちゃいます!』

りせ『えっとね、この言葉、聞いたことあるかな?スゥ・トォ・リィッ・プゥ』

りせ『きゃあ、恥ずかしー!ていうか、女子高生が脱いじゃうのって、世の中的にアリ!?』

りせ『でもね、やるからには、ど~んと体当たりで、まるっと脱いじゃおっかなって思いますっ!』

りせ『きゃはっ、おっ楽しみに~!』



:::【番長の部屋】:::

番長「・・・録画しといて良かった」

ラハール「アホか。貴様わかっているのだろうな?」

番長「ああ、多分今回もシャドウが映ってる。つまり、昼間捕まえた男は犯人じゃなかった」

ラハール「犯人じゃなかったのか、早くも第二の犯人が現れたのか・・・いずれにせよ、りせはテレビの中の世界に入れられたと見て間違いあるまい」

番長「そうだな」

ラハール「チッ・・・未然に防げれば、それが一番マシなのだがな」

番長「けど、俺達みたいな一般人が、いつまでも人の家を監視してるわけにはいかないし・・・」

ラハール「わかっている」

番長「明日、早速テレビの中の世界に行こう」

ラハール「ああ。奴等を全員呼び出しておけ。俺様も手を貸してやる」

236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/03(日) 04:07:00.34 ID:9mzBHQ760
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子

シシリー「数々の天使の監視をくぐり抜け、ついに人間界への門に辿り着いたシシリー!」

フロン「あの~、いいから仕事しませんか?」

シシリー「しかし、そこで待ち受けていたのは、悪のラスボス。大天使フロンだった!」

デスコ「ラスボスデスか?呼びマシたか?」

フロン「すいません。呼んでないので帰ってください」

シシリー「待っててお兄ちゃん!絶対、会いに行くから!」

フロン「警備隊の皆さん出動してくださ~い。またシシリーさんの脱走で~す」

シシリー「次回、史上最強の妹シシリー!卑怯者の大天使!」

番長「・・・」

シシリー「まだまだぁ~!」

番長「・・・」

ラハール「・・・オイ、何か言ったらどうだ?」

番長「・・・」

ラハール「・・・」

>-・・・・・・そっとしておこう。

243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:31:29.13 ID:MjtkXOAu0
>-6/24(金) 放課後
:::【テレビの中の世界】:::

クマ「クマー・・・」

ラハール「おいクマ」

クマ「皆が外で楽しそうにしてる間も~・・・クマは一人で考えごとしてたクマよ~・・・」

ラハール「そんな下らんこと知るか」

クマ「下らんとは何クマ!どーせ皆クマのことなんて忘れて楽しくしてたんでしょ!」

陽介「何だ?最近来なかったから拗ねてんのか?」

雪子「忘れてなんてないよ。時々は思い出してたから。時々は」

ラハール「貴様正直だな・・・」

クマ「クマは自分がなんなのか、ずっと考えてたクマ。けど考えてもやっぱり答えは見つかんないし~・・・」

番長「自分が何なのか、か。案外、難しいことなのかもな」

ラハール「難しいわけあるか。俺様は魔王ラハール様だ」

番長「・・・」

ラハール「何だ貴様その目は!」

千枝「今はそういう話してる場合じゃないでしょ?」

完二「そっスよ」

244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:33:39.47 ID:MjtkXOAu0
クマ「何かあったクマか?まーそうじゃなきゃだ~れもクマのところなんか来ないクマね~」

陽介「本格的に拗ねだしたぞ・・・」

ラハール「また一人、ここに来ているはずだ。死にたくなければさっさとそいつの所に案内しろ」

クマ「そうしてあげたいのは山々クマ。けど、その人の特徴が何かわからないと、その人の場所まではわからないクマよ。確かに誰かがきてるような感じはするけど~」

千枝「ってなると、また町で事情聴取?」

番長「・・・こっちにきた人は多分、久慈川りせ。アイドルだ」

クマ「アイドル?」

番長「けど、アイドルをやり続けることに疲れて、俺達の町に来ていた」

クマ「疲れる?何で疲れるクマ?」

番長「りせちーというアイドルを演じ続けること、そして誰もが自分のことをりせちーとして見てくることに疲れていたんだ」

陽介「お、おい。何でそんなこと知ってんだ?」

番長「・・・学校で、りせに会ったんだ」

陽介「いつのまに!?」

番長「りせの転入初日だな。帰りに偶然会って、家まで送っていった。その時に色々、話を聞いたんだ」

陽介「何て手の早い奴だ・・・けど、それマジ?今の話」

番長「辛そうにしていたからな・・・本当の話だと思う」

クマ「どういうことクマ?クマには話がよくわからんクマよ」

番長「本当の自分を、誰も見てくれないと悩んでいたみたいなんだ」

クマ「本当の自分?クマも、本当の自分がわからんで探してるクマ」

番長「案外、クマと同じような悩みなのかもな。本当の自分を見てくれないことに悩んでいるというよりも、一体何が本当の自分なのかわからないという風だったから」

クマ「・・・」

番長「探せるか?」

クマ「やるクマ!そのリセチャンを助けるクマよ!」

番長「よし、頼むぞ」

ラハール「(・・・本当の自分・・・か・・・)」

245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:37:46.50 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・入り口】:::

陽介「な、なんじゃこりゃ?」

クマ「ここクマ!リセチャンはここにいるクマよ!」

陽介「ここってあれだろ?温泉街とか旅館とかの横に付き物な、大人のお店」

ラハール「?」

完二「お、大人の・・・!」

千枝「またこういう感じか~・・・」

雪子「あ、旅館って言っても、ウチには無いからね?」

ラハール「何をグダグダ言っとるんだ。さっさと行ってこい」

番長「・・・行ってこい?ラハールは?」

ラハール「行きたくない」

陽介「行きたくないってお前子供じゃないんだから」

ラハール「し、しかしあのムチムチが脱ぐのであろう?俺様には無理だ。耐えられん」

陽介「そうだよな!脱ぐよな!・・・って、違う!そうさせないために俺達は行くんだろ!」

番長「・・・本当にそう思ってるか?」

陽介「お、思ってるよ!?」

番長「・・・そうか」

雪子「花村君最低」

完二「ドン引きっスね」

陽介「何この集中砲火・・・」

千枝「花村、大丈夫。あたしはわかってるから」

陽介「里中・・・!」

千枝「男の子だもんね。仕方ないよ」

陽介「わかってるってそっち!?だから違うって!」

246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:39:28.44 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・1F】:::

ラハール「離せ貴様!俺様を担ぐな!」

番長「駄目だ。戦力が多いに越したことはないからな」

陽介「もう観念しろよ。完二の時よりゃマシだろ?」

ラハール「どっちもどっちだ」

シャドウ「オォ・・・」

千枝「来たよ!」

完二「うお、これが・・・」

ラハール「チッ・・・もう降ろせ。俺様もやる」

番長「はい」

ラハール「はいじゃないだろアホが・・・だが、りせが自分を受け入れられない時の説得は貴様がやれ。俺様は戦いに手を貸すだけだぞ」

番長「・・・いつも通りじゃないか?」

ラハール「そうと言えばそうだな。まあいい、行くぞ!」

>-メガクール

247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:40:23.51 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座3F】:::

>-手分けして探索することになった。
>-その階をある程度探索したら予め決めておいた場所に集まり、上に行く階段があったら次の階に行くという方法だ。

ラハール「完二のペルソナは随分と力があるようだな」

雪子「うん。けど、魔法はあんまり強くないみたい」

ラハール「それは貴様と俺様で補えば良かろう。りせと接触する階までは、このチーム分けで登って行けるはずだ」

雪子「そうだね。まあ、危なくなったら一旦引き返してあっちと合流すればいいし」

完二「・・・先輩ら、俺ん時も、こうやって登ってきたんスか?」

雪子「そうだよ。完二君の時は男の子達が皆嫌がって大変だったんだ」

完二「・・・そっスか」

ラハール「・・・どうかしたか?」

完二「いや、悪ぃなって・・・思って。俺なんかのために」

ラハール「・・・ならば、今度は貴様の番だ。精々体を張れ」

完二「ウッス!」

>-カッ

248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:42:24.02 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・5F】:::

番長「まだりせは遠いか?」

クマ「そうクマね。リセチャン本人はまだまだ上クマ」

千枝「そっか。完二君、あっちチームでしっかりやれてるかな?」

番長「ラハールがいるし、色々手を貸してやってくれてるよ。きっと」

陽介「そうだな。あいつ何気に面倒見良いみたいだからさ」

番長「確かに」

千枝「へぇ~」

番長「昨日も、うちで菜々子の相手をしてくれてたんだ」

千枝「え、うちでって番著君ちで?」

番長「うん。昨日泊まっていったんだ」

陽介「お前からメールきた時は何事かと思ったぜ」

番長「昨日も堂島さん帰って来なかったから、ラハールが菜々子と遊んでくれて良かったよ。菜々子が楽しそうにしてたから」

千枝「そ、そんなイベントが・・・」

クマ「なんだか外の皆はクマそっちのけで楽しそうクマね~・・・」

陽介「おいおい、また拗ねだしたぞ」

番長「なんなら、クマも今度こっちに来たらいいんじゃないか?」

陽介「あ、それいいかもな。ウチでバイトしてけよ。子供客に受けそうだ」

クマ「そっちにクマか?クマ、行っても良いクマか?」

陽介「いんじゃねーの?テレビから出てくるとこ人に見られなければ」

千枝「っていうか来られるのかな?」

陽介「大丈夫なんじゃね?俺達だって行ったり来たりしてるわけだし」

クマ「センセイ。クマ、行っても良いクマか?」

番長「ああ。良いと思うぞ」

クマ「そうクマか・・・」

番長「・・・?」

>-なんだか、クマの反応が変だ。

249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:44:44.98 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・7F】:::

>-皆で集まって休憩することになった。

ラハール「そっちは、何かりせのシャドウから接触があったか?」

番長「今のところないな。たまに声は聞こえてくるけど、直接会ったりはしてない」

雪子「じゃあ、こっちと同じだね」

完二「そっスね。俺ん時もこんな感じだったんスか?」

陽介「いや、完二の時はなあ・・・」

千枝「あんま思い出したくないっていうか・・・」

完二「あぁ?」

クマ「アァッハァ~ン、皆さん、ご注目ありがとうございむぁあす!ボ・ク、完二♪」

完二「な、なんだテメいきなり!」

クマ「完二のシャドウ、こんなだったクマよ?」

完二「う、嘘つけゴラァ!ざっけんじゃねえぞ!」

番長「残念ながら、そんな感じだったぞ」

完二「ま、まじかよ・・・」

雪子「か、完二君その顔面白い!」

完二「面白いってなんだよ!」

ラハール「・・・貴様等、能天気なのは構わんが、少しは休め。今回もまた、前回よりシャドウが強くなっている」

番長「確かに、ぞろぞろ沸いてくる奴等も、かなり手ごわくなってきたな」

クマ「たぶん、このへんで騒ぎがあるのを嗅ぎ付けた、ここから遠いところにいるシャドウ達も呼び寄せるようになったからクマね。何かこのへんで騒ぎがあるたびに、もっともっと遠くのところにいるシャドウ達も呼び寄せてしまってるクマよ」

番長「・・・厄介だな」

陽介「つーことは、事が起こる度にシャドウは強くなっていく・・・ってわけか。骨が折れるぜ」

千枝「頑張らないとね」

250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:46:59.71 ID:MjtkXOAu0
ラハール「番長、りせのシャドウが来たらどうする?早々にこちらから仕掛けてしまったほうが良いのではないか?」

番長「いや、やっぱり、出来ればりせにも自分と向き合って欲しい。見たくない自分を見ないままでいても、進歩はないから」

ラハール「・・・よかろう」

雪子「完二君の時みたいに、複数に襲ってこられたらどうしようか?」

番長「・・・そうだな。その時は、皆で固まって行動するより、多少わかれて戦ったほうが良いかもしれない。今わかれてるチームごとにわかれて戦おう。必要があれば、チーム分けは適宜考えるけど」

ラハール「・・・」

千枝「やっぱ、最終的には番長君をサポートする感じになるかな?」

陽介「ま、それも場合によるって感じじゃねーか?前回は複数の強敵っつー予想外のパターンがきたわけだし、今回も予想しないような戦いになるかもしんねー」

番長「・・・そうだな。基本的には俺が指示を出すけど、もし俺が指示を出せないような状況になったら、ラハールに指示を仰いでくれ」

ラハール「・・・おい、何故俺様だ」

番長「まあ、頼りになるし」

ラハール「そ、そうか・・・いや、だがな、やはり事が人間界で起きている事である以上、それを解決する中心は人間であるべきだ。俺様はあくまで手を貸してやっているだけ。もし貴様に何かあった時は、陽介が指揮を取るべきだ」

陽介「・・・えっ、俺?」

ラハール「番長の次に経験が長いのは貴様だろうが」

陽介「いや、つっても里中とはそんなに変わんねーぞ?」

千枝「ま、いいじゃん。あたしそう器用に頭回る子じゃないし」

陽介「それは確かにそうだな」

千枝「自分で言っといてなんだけど、納得されると腹立つな・・・」

251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:49:52.50 ID:MjtkXOAu0
クマ「クマはどうすればヨイ?」

番長「クマ?うーん・・・クマはいつもみたいに部屋の外とかで隠れて待ってれば良いんじゃないか?」

クマ「そんな寂しいこと言わないで欲しいクマ。リセチャンは本当の自分のことで悩んでる。クマだってそんなリセチャンのために何かしたいんだクマ!」

ラハール「・・・そうは言っても、貴様そのあたりの雑魚の相手すら出来んだろうが」

雪子「んー・・・じゃあ、りせちゃんを守ってあげて。私や完二君の時みたいに、体が辛くなっちゃうと思うから」

クマ「わかったクマ!」

ラハール「おい、何もこいつにやらせることはないだろ」

雪子「じゃあ、ラハール君がやる?」

ラハール「断る」

雪子「じゃあ、別にいいでしょ?」

ラハール「・・・好きにしろ」

完二「俺はどうすりゃいんスか?」

陽介「いやお前は普通に戦えよ。つかこの流れでどうすりゃって・・・お前大丈夫か?」

完二「あん?」

ラハール「使えることは俺様が保障してやろう。まあ、里中並みのアホであることも事実だがな」

千枝「ちょ、あたし並みってそれどういうことよ!?」

完二「?」

ラハール「そういうことだ」

千枝「そういうことってどういうこと!?」

番長「里中、そういうことだ」

千枝「だからどういうこと!?」

クマ「チエチャン、ソ~ユ~ことクマよ」

千枝「なんかクマにだけは言われたく無いぞ・・・!」

クマ「クマ差別いくない!」

雪子「よし、いこっか」

千枝「よくない。よくないよ雪子・・・けど、休めたし行こうか!」

252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:50:53.15 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・11F】:::

千枝「・・・いた!」

陽介「本物も一緒か」

りせのシャドウ『キャーハハハハハ!!』

りせのシャドウ『見られてる!見られてるのね、いま、アタシ!』

りせ「やめて・・・」

りせのシャドウ『んもぉ!ホントは見て欲しいくせに!』

りせ「もうやめて!」

りせのシャドウ『ふふ、おっかしー。やめてだって』

ラハール「・・・!」

番長「落ち着け」

ラハール「・・・わかっておる」

りせのシャドウ『ざっけんじゃなわよ!』

りせ「!」

りせのシャドウ『アンタはあたし!あたしはアンタでしょうが!』

りせ「違う・・・違うよ・・・!」

りせのシャドウ「キャハハハ!ほら見なさい、もっとアタシを見なさいよ!アタシの全てを見て!』

ラハール「・・・帰っていいか?」

雪子「うん、駄目」

253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:53:09.51 ID:MjtkXOAu0
りせのシャドウ『これがあたし!これがホントのあたしなのよぉぉお!』

完二「いやどれだよ・・・」

りせのシャドウ『良い質問ね!芸能人のりせなんかじゃない!ここにいる、このアタシを見て!』

完二「あぁ?」

りせのシャドウ『ベッタベタなキャラ作りなんかして、ヘド飲み込んで作り笑顔なんてまっぴら!』

陽介「りせちー・・・」

りせのシャドウ『りせちー!?誰それ!?そんなヤツ、この世に居ない!!』

陽介「・・・!」

りせのシャドウ『あたしは、あたしなのよ!ほらぁ、あたしを見なさいよ!』

りせ「わ、たし・・・そんなこと・・・」

りせのシャドウ『さーて、皆さんお待ちかね。今から脱ぐわよぉ!丸裸のあたしを、目に焼き付けな!』

りせ「やめ、て・・・やめて!」

ラハール「おい、このままでは・・・」

番長「わかってる。わかってるけど・・・何を言ってやればいいのか」

ラハール「チッ・・・!」

りせのシャドウ『何でやめなきゃいけないの!?裸にでもなれば、ホントのあたしを見て貰えるでしょ!?何も着飾ってない、ホントのりせを!!』

りせ「あなたなんて・・・あなたなんて私じゃない!」

りせのシャドウ『うふふ・・・アハハハハ!オーッホッホッホッホ!』

番長「やるしかないか・・・皆、構えろ!」

ゴッ

りせのシャドウ『これで・・・あたしが、アタシィィィィッ!!』

りせ「な、なに・・・これ・・・!」

りせのシャドウ『我は影・・・真なる我・・・』

バッ

番長「よし」

りせのシャドウ『ちょっと、客がステージに上がって来ないでよ!!』

番長「受け止めろラハール!」

ラハール「なっ・・・!」

りせ「番長先輩・・・?・・・なんで・・・キャッ」

ラハール「なっ!投げるな!」

ガシッ

ラハール「ひいぃいいいい!?」

番長「りせはクマに任せてくれ!」

ラハール「降りろ!」

りせ「え・・・?・・・何・・・?」

クマ「リセチャン!こっちクマ!」

番長「よし、行くぞ」

ラハール「貴様後で覚えてろよ・・・は、吐きそうだ・・・!」

陽介「そこまでかよ。吐いてもいいけど、全部終わってからにしてくれよ」

>-カッ

254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:53:44.72 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・

りせ「・・・これは・・・何なの・・・?」

クマ「リセチャン大丈夫クマか?」

りせ「頭が、痛い・・・あれは、あれは一体なに?」

クマ「・・・あれはリセチャンクマ。リセチャンが抑圧してきた、もう一人のリセチャン」

りせ「もう一人の、私・・・?」

255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:55:09.17 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・

カッ

ラハール「・・・弱点が見当たらん。とはいえ、さすがに六人がかりだと楽だな」

番長「・・・」

りせのシャドウ『あぁ~あ、ヤなお客。踊り子に手ぇ出そうなんて』

雪子「このままいければ・・・!」

りせのシャドウ『いい加減邪魔なのよ!』

>-マハアナライズ

>-番長は能力を分析された!
>-ラハールは能力を分析された!
>-陽介は能力を分析された!
>-千枝は能力を分析された!
>-雪子は能力を分析された!
>-完二は能力を分析された!

陽介「なんだ?この光・・・!」

千枝「な・・・なんともない?」

完二「つまんねーフカシこいてんじゃねーぞ!」

>-カッ
>-ジオンガ

>-攻撃が当たりそうにない!

完二「あぁ!?」

りせのシャドウ『おさわりは禁止だから。キャハハッ!!』

ラハール「何をやっている完二!」

>-緋天無双斬
>-Miss!

ラハール「・・・!?」

>-メガクール
>-Miss!

>-メガウィンド
>-Miss!

>-攻撃が当たりそうにない!

ラハール「なんだと・・・!」

りせのシャドウ『禁止だって言ってるでしょ!?』

>-ガルーラ

ラハール「ぐっ!」

番長「分析・・・されたのか?」

ラハール「何?」

番長「さっきの光で、俺達全員の力を読み取られたんだ。それぞれに何が出来るか、何をしてくるかがわかっているから、完全に避けられている」

ラハール「チッ・・・!」

陽介「ど、どうすんだ?」

番長「・・・全員で、一斉に行くぞ!」

雪子「わかった」

千枝「よし!」

完二「行くっスよ!」

>-カッ

256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:56:20.98 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・

りせ「・・・先輩達、戦ってる」

クマ「もう一人のリセチャン。リセチャンがそれを受け入れられないと、ああやって力と意志を持って大きくなってしまうクマ。周りのシャドウも取り込んで、強くなっちゃう。リセチャンは、もう一人の自分、受け入れたくないクマか?」

りせ「・・・私は・・・わかんない。わかんないよ」

クマ「あれは本当のリセチャンクマ。リセチャンが見ようとしてこなかったリセチャンクマよ」

りせ「本当の私・・・本当の私ってなんだろ。そんなもの、あるのかな・・・無いかも」

クマ「・・・無い・・・?」

りせ「私には、本当の自分だと思えるものなんて・・・どこにも・・・」

クマ「本当の自分なんて・・・無い・・・?」

257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:57:46.01 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・・

>-攻撃が当たりそうにない!

陽介「ぜ、全然無理なんですけど」

番長「こんな・・・」

りせのシャドウ『観念しなさいよ!』

>-アギラオ

千枝「あ・・・!」

ラハール「チッ・・・!」

>-魔界横一文字

バシュッ

千枝「あ、ありがとラハール君」

ラハール「・・・もう何度もこうはいかん・・・こいつは各属性の魔法を使いこなしている。誰かが弱点を付かれれば、一気に包囲を崩されるぞ」

番長「・・・魔力はあとどれぐらい残っている?」

ラハール「・・・今のような真似は、精々あと二回が限界だ」

番長「・・・」

258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:58:42.83 ID:MjtkXOAu0
りせのシャドウ『ウフフ、もういい加減、諦めなさいよ!』

>-マハガルーラ

ラハール「何!?」

番長「っ!」

>-Weak

完二「げっ・・・!」

>-Weak

ラハール「番長!完二!」

番長「まずい・・・!」

>-One More

りせのシャドウ『次ィッ!』

>-マハラギオン

千枝「キャッ!」

>-Weak

陽介「里中!」

りせのシャドウ『次!次ィッ!』

>-マハブフーラ

>-マハジオンガ

ラハール「チッ・・・!」

>-魔界横一文字

バシュッ

ラハール「止め切れん・・・!」

ドッ

ラハール「くっ!」」

雪子「ラハール君!」

陽介「馬鹿!俺等をかばって無茶すんな!」

ラハール「べ、別に貴様等をかばってなど・・・おらん・・・!」

陽介「こんな時に意地張ってる場合かよ!」

259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 12:59:52.19 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・

りせ「・・・私なんて・・・」

クマ「・・・」

りせ「・・・ううん。やっぱり違う」

クマ「リセチャン・・・?」

りせ「りせちーも、私も、あの子も、全部、本当の私」

クマ「・・・」

りせ「あの子と、話したい」

クマ「・・・わかったクマ!」

りせのシャドウ『キャハハハハッ!もうわかったでしょ!?最初から、アンタ達に勝ち目なんか無かったのよ!』

りせ「もう、やめて」

りせのシャドウ『何?また?もう遅いわよ』

クマ「そんなことないクマ!」

ラハール「クマ・・・無茶をするな・・・!」

クマ「クマは何の役にも立たんかもしれないクマ!それでもクマは、リセチャンのために何かしたいクマよ!」

260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:03:07.50 ID:MjtkXOAu0
りせのシャドウ『健気ねぇ!でも、そんなの無駄よ!』

>-マハアナライズ

りせのシャドウ『解析完了ォッ!』

ドンッ!!

ラハール「ぐっ!」

陽介「うあっ!」」

雪子「・・・あ・・・!」

番長「・・・・・・皆、逃げろ・・・」

ラハール「お、おい。貴様・・・」

番長「こいつは俺が食い止めるから・・・」

ラハール「ふざけるな!」

陽介「お前一人残して逃げるとか、ありえねぇから」

完二「・・・アンタを死なせるぐらいなら、俺が残ります」

クマ「し、死ぬとかそんなの駄目クマ!」

千枝「そ、そうだよ。皆で勝つ方法、考えよう」

雪子「千枝の・・・言う・・・とおりだよ」

千枝「雪子・・・」

雪子「千枝、ちょっと・・・手を貸して。一人じゃ・・・立てないの」

ラハール「チッ・・・!」

>-メガヒール

雪子「あ・・・」

ラハール「・・・今のが正真正銘最後の魔力だ。まだ立てる奴はさっさと立て。どうにかヤツを叩き潰すぞ」

りせのシャドウ『これで最後よ!』

>-マハアナライズ

クマ「あわわわ。クマどうすれば良い?センセイ!みんな!」

番長「・・・りせを連れて逃げろ」

クマ「そんな・・・クマ、また一人になるクマか・・・?」

りせ「私のせいで・・・こんな・・・」

クマ「リセチャン・・・もう、こうなったらやってやるクマよ!」

陽介「お、おい」

ラハール「阿呆!一人で前に出てどうするつもりだ!」

クマ「か、考えるより先に体が・・・どうすればヨイ?」

ラハール「アホか・・・」

クマ「こ、こうなったらやってやるクマ!クマの生き様、しかと見るクマ!」

バシュウウウ!

ラハール「な、なんだこのエネルギーは・・・!」

完二「おいクマ!何する気だ!」

クマ「ヌオオオオオッ!」

ラハール「クマーーーッ!」

>-カッ

261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:04:26.44 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・

りせのシャドウ『・・・』

りせ「・・・わかってるよ」

りせのシャドウ『・・・』

りせ「本当の自分なんて、どこにもいない」

りせのシャドウ『・・・』

りせ「テレビの中のりせちーも、あなたも、私も、全部本当の私。全部あって、それで私だって」

りせのシャドウ『・・・』

りせ「確かに、辛かった。"りせちー"であることが。ううん、誰もが、私じゃなくて・・・"りせちー"を見ていることが」

ラハール「・・・」

りせ「だから私は、誰かに、私を見て欲しかった。本当の私を」

りせのシャドウ『・・・』

りせ「だけど、全部私なんだよね。"りせちー"も・・・あなたも」

>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-りせは、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"ヒミコ"を手に入れた!

りせ「・・・これ・・・?」

番長「ペルソナだ。りせの」

りせ「私の・・・?」

262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:07:12.91 ID:MjtkXOAu0
千枝「あとで全部ゆっくり説明するから。今は・・・っ!?」

ラハール「この気配は・・・!」

クマ「本当の・・・自分・・・?」

陽介「ク、クマ無事だったか。ど、どうした?」

クマのシャドウ『"本当"?"自分"?』

番長「そんな・・・」

クマのシャドウ『実に愚かだ』

雪子「クマ君の・・・シャドウ・・・!?」

クマ「クマ?お、おわあっ!なんじゃあお前は!?」

クマのシャドウ『真実を得ることなど不可能だ』

ラハール「・・・」

クマのシャドウ『真実は常に、霧に隠されている』

千枝「あれがクマ君の内面・・・け、けど・・・何を言って」

りせ「・・・待って。あれは確かにクマ君だけど・・・何かの強い干渉を・・・」

完二「わ、わかんのか?」

クマのシャドウ『手を伸ばし、何かを掴んでも、それが真実だと確かめる術は決して無い。であれば、真実を求める事に何の意味がある?』

ラハール「・・・」

クマのシャドウ『目を閉じ、己を騙し、楽に生きて行く・・・その方が賢い生き方ではないか?』

クマ「な、何言ってるクマ!お前の言う事、全っ然わからんクマ!」

ラハール「・・・オイ、あれに干渉している何かの正体を探れんか?」

りせ「・・・やってみる」

クマ「クマの頭があんまり良くないからって、わざと難しいこと言ってるクマね!?クマはこれでも一生懸命自分が何なのか考えてるクマよ!」

クマのシャドウ『それが無駄だと言っているのさ。お前は初めから空っぽなんだからね』

クマ「!?」

クマのシャドウ『お前は心の底では気付いている。でも、それを認められずに別の自分を創ろうと必死になっているだけさ』

クマ「そ、そんな・・・」

クマのシャドウ『失われた記憶など、初めから無い。お前には、何も無い』

263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:09:22.48 ID:MjtkXOAu0
ラハール「・・・」

りせ「わ、わからない・・・見ようとしても、霧みたいなものが邪魔して・・・!」

ラハール「・・・わかった。無理はするな」

クマのシャドウ『お前が何かを忘れているとすれば、それは"その事"そのものに過ぎない』

クマ「そ、そんなの・・・ウソクマ・・・」

クマのシャドウ「ならば教えてやろう。お前の正体は、どうせただの』

クマ「やめろって言ってるクマ!」

クマのシャドウ『黙れ』

ドガッ!

雪子「クマさん!」

クマのシャドウ『お前達も同じだよ。真実など探そうとするから、辛い目に遭う』

番長「お前は一体、何なんだ?」

クマのシャドウ『ハハ・・・まだ知りたいというのか。真実を』

番長「・・・」

クマのシャドウ『では、一つ真実を教えてやろう・・・お前達はここで死ぬ』

ゴッ

完二「ま、まじか」

陽介「まさかの連戦かよ・・・!」

クマのシャドウ『我は影・・・真なる我・・・』

ズオッ

ラハール「クマ!」

千枝「ク、クマ君が・・・食べられた・・・!?」

りせ「・・・大丈夫、構えて」

完二「おいテメエ・・・んな体で戦おうってんじゃねえだろうな?」

りせ「戦うのは無理。でも、私には多分、観えるから」

完二「みえる・・・?」

264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:10:58.78 ID:MjtkXOAu0
りせ「ペルソナ」

>-カッ

クマのシャドウ『お前達の好きな真実を与えてやろう。ここで死ぬという、逃れ得ぬ定めをな!』

ラハール「・・・おい、どうする?」

番長「・・・一番強いのを呼ぶよ。ずっと溜めてたから、すぐにでも・・・けど、クマが食われたままだ。このままあいつを倒すと、どうなるか・・・」

りせ「・・・みえた。あの中で、クマ君と、別の何かがせめぎあってる」

ラハール「今、どちらが優勢だ?」

りせ「・・・・・・クマ君じゃないほう」

ラハール「チッ・・・おい番長、わかっているだろうな?」

番長「・・・ああ、クマを頼む」

ラハール「フン・・・」

陽介「お、おい、ラハール!?」

クマのシャドウ『何だお前は・・・』

ラハール「黙って入らせろ!」

バッ

クマのシャドウ『・・・自ら喰われるとは、愚か者達の中でも、飛び抜けて愚かなようだな』

265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:13:48.59 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【???】:::

クマ「・・・」

クマのシャドウ『何故探そうとする?何も無い自分を』

クマ「・・・」

クマのシャドウ『諦めてしまえば良い。どうせお前には何も無いのだ。何も無いのなら、お前などいなくても良い』

クマ「・・・・・・」

クマのシャドウ『・・・素直だな。それで良い。お前には、初めから何も無いのだ』

ラハール「オイ、調子に乗るなよ」

クマ「・・・ラハール・・・?」

クマのシャドウ『何だお前は・・・人間がここに来られるわけが・・・いや、お前は・・・人間ではない・・・だが、俺とも違う・・・?』

ラハール「そんなことはどうでもよかろう。オイクマ。貴様ふざけるなよ」

クマ「・・・」

ラハール「貴様には何も無いのかもしれん。過去の記憶、本当の貴様、そんなものはどこにも無いのかもしれん」

クマ「・・・」

ラハール「だが、貴様は確かに生きている。今ここに生きているのだ」

クマ「・・・生きて・・・」

ラハール「そうだ。それの何が不満だ?どうでもいいでは無いか、初めから何も無くても。大体だな、どんなヤツだろうと、初めは何者でもない。生きて行く内に、自分が何者なのかを見つけていく。俺様が宇宙最強の超魔王になったようにな」

クマ「・・・クマは・・・生きてる・・・」

ラハール「わかったらさっさと意識をはっきりさせろ!自分が何なのか知りたい。貴様にはそれだけか?他には何も無いのか?」

クマ「・・・クマは・・・そっちの世界に・・・皆のいる世界に・・・行ってみたいクマ・・・」

ラハール「・・・」

クマ「・・・ヨースケと・・・センセイがね・・・きても良いって・・・言ってくれたんだクマ・・・」

ラハール「なら、さっさと行くぞ。奴等が待っている」