陽介「は?魔王?」 ラハール「そうだ」【P4G×ディスガイアD2】 前編

266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:14:44.88 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・11F】:::

ラハール「はあっ!」

ドンッ

番長「・・・おかえり」

ラハール「連れて来たぞ。アホを一匹な」

クマ「あれ?ここは・・・」

番長「・・・ボロボロだな」

ラハール「う、うるさい!連れて来たんだから文句を言うな!」

番長「いや、クマじゃなくて、ラハールが」

ラハール「ま、まあ慣れない空間だとどうしても・・・ってそんなことはどうでもいい!さっさとやれ!」

番長「ああ。来い、スルト」

>-カッ

>-ラグナロク

引用元: 陽介「は?魔王?」 ラハール「そうだ」【P4G×ディスガイアD2】 




267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:17:18.21 ID:MjtkXOAu0
-・・・・・・

クマ「クマ~・・・」

雪子「クマさん、大丈夫?」

千枝「クマ君にも、あったんだね。抑え込んでた気持ちが」

クマのシャドウ『・・・』

クマ「クマは、自分が何なのかわからんでずっと悩んでた」

クマのシャドウ『・・・』

クマ「確かに時々、本当の自分なんて何にも無いのかも・・・なんて気もしてたクマ」

ラハール「・・・」

クマ「けど、クマはココにいるクマ!今ココに生きてるクマよ!」

番長「・・・これからは、俺達も考えよう。クマのために」

千枝「そうだね。あたし達、よく考えたらクマ君に頼ってばっかりだったし」

陽介「だな。一緒に探そうぜ。クマ」

クマ「・・・皆も、本当のクマを探してくれる?」

ラハール「まあ、この世界のことについて調査していれば、いずれその過程で貴様の正体の手がかりが見つかるかもしれんしな。だが、進んで貴様に力を貸すつもりはないぞ。少なくとも俺様はな」

完二「そう言わねえで、手ぇ貸してやりゃいいじゃないスか。もうダチなんだからよ」

番長「いや、完二、ラハールのそれは照れ隠しだから」

陽介「そうそう」

ラハール「なっ、何が照れ隠しだ!」

クマ「センセイ・・・ラハール・・・完二・・・皆・・・」

クマのシャドウ『・・・』

>-支えあう仲間への想いが、立ち向かう"力"へと変わる・・・

クマ「クマ?何コレ何コレ?」

雪子「も、もしかして・・・クマさんの?」

>-クマは、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"キントキドウジ"を手に入れた!

クマ「これ、クマの・・・ペルソナ?」

りせ「それ、すごい力、感じるよ・・・よかったね、クマ・・・」ガクッ

千枝「りせちゃん!?」

番長「・・・限界、だな」

雪子「そ、そうだよね。いきなり力使わせちゃって・・・」

陽介「とにかく、さっさと戻ろうぜ」

番長「天城、里中、悪いけどりせのこと、家まで送って行ってやってくれ」

雪子「うん」

千枝「任せて」

268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:19:13.74 ID:MjtkXOAu0
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

>-・・・入り口まで戻ってきた。

ラハール「・・・オイ、俺様達はあっちに戻る。貴様も来るか?」

クマ「しばらく一人にして欲しいクマ」

陽介「オ、オイ・・・」

クマ「自慢の毛並みもカサカサだし。体を鍛えなおしたいクマ」

ラハール「は?」

クマ「毛が生え変わるまで、激しくトレーニングに励むクマ!あ、そーれ!フン!フン!」

ラハール「・・・」

完二「そっとしといてやりましょう。男には、一人でやんなきゃならない時ってのがあるんスよ」

ラハール「・・・そうか」

千枝「そ、そんな深い意味のある話?」

クマ「フン!フン!」

りせ「・・・」

陽介「と、とにかく、早くりせを送って行かねーと。クマ、俺達もう行くぜ?」

クマ「話かけないで欲しいクマ!あ、そーれ!フン!フン!」

番長「頑張れよ、クマ」

クマ「クマーッ!」

269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:20:27.86 ID:MjtkXOAu0
:::【ジュネス・家電コーナー】:::

番長「じゃあ、里中、天城。りせを頼むぞ」

千枝「うん」

雪子「皆も気をつけて帰ってね」

ラハール「・・・いろいろと貴様と話したいことはあるが、機会を改めよう。どうやら、さすがの貴様もボロボロのようだからな」

番長「・・・それ、さっきの仕返しのつもりか?」

ラハール「フン・・・なんの話かわからんな」

陽介「ボロボロなのはお互い様だろ?」

番長「確かにな。じゃあ、また明日」

ラハール「ああ」

270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:22:01.31 ID:MjtkXOAu0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「っあー・・・風呂入ってきただけで体が溶けそうだぜ」

ラハール「・・・」

陽介「さすがに今回は駄目かと思ったもんなー・・・」

ラハール「りせのシャドウの時か。まあ、番長の奴は力を溜めながら、反撃の機会を探っていたようだったがな」

陽介「マジ?毎度毎度すげーヤツだぜ・・・」

ラハール「俺様達の戦力増強より、シャドウ達の強くなる速度のほうが上だ。ここらで一度、レベリングしておくべきだろうな」

陽介「レ、レベリング?何言ってんだ?」

ラハール「・・・いい、さっさと寝ろ。話は明日だ」

陽介「言われなくても、今日は死んだように眠れますよ・・・」

ラハール「(・・・・・・本当の・・・自分・・・か)」

271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/12(火) 13:24:19.47 ID:MjtkXOAu0
>-次回予告
>-がんばれ女の子

シシリー「そこをどいて!フロンさん!」

フロン「駄目です!っというかまだ言ってるんですか!?」

シシリー「私とお兄ちゃんの愛を邪魔するというのなら、いくらフロンさんが相手でも容赦はしないわ!」

フロン「もお~~~いい加減にしてくださ~~~い!」

シシリー「フ、フロンさん・・・?」

フロン「私だってラハールさんやエトナさんに会いに行きたいですよ!それを、んもお~~~!なんですかシシリーさんばっかり!」

シシリー「い、いや、あの・・・」

フロン「私も人間界行きた~~~い!!」

シシリー「あの・・・ごめんなさい」

フロン「ふぐぅ・・・!」

シシリー「あ~・・・えっと、次回!天使な妹シシリー!【やっぱり仕事は大事】!」

フロン「ラハールさ~ん・・・エトナさ~ん・・・!」

シシリー「また見てね~♪」


:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「・・・!?」

マリー「どしたの?」

エトナ「な、なんか寒気が」

275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:48:21.07 ID:/PpYD8iv0
>-6/25(土) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

完二「ウィース」

千枝「お、完二君おつかれー」

完二「あれ?天城先輩来てないんスか?」

千枝「うん。学校にはどうにか来てたけど、もう力尽きて帰っちゃった」

陽介「昨日はきつかったもんなー」

ラハール「情け無い奴だな」

陽介「無茶言うなよ。普通の人間は、一晩寝ただけで全快とかしねーから」

千枝「私も体中ガタガタだよ~」

陽介「ほらな。体力馬鹿の里中ですらこうなんだ。普通の人間だと、体起こせないぐらいでも不思議はないぜ?」

千枝「誰が体力馬鹿だって?」

完二「俺ぁ割と平気スけどね。昨日は確かにきつかったっスけど」

番長「俺も、もう万全だな」

陽介「どんな体してんだよお前等・・・」

番長「・・・ま、まさか・・・見たいのか?俺達の体」

完二「えっ」

陽介「んなわけあるか!完二じゃあるまいし」

完二「テメそれどういう意味だ!?だから違ぇっつってんだろ!」

ラハール「・・・久慈川はどうなんだ?奴はペルソナを得たその日に能力を使っていたんだぞ。ペルソナを得ただけの天城や完二ですら、最初は学校を数日休んだほどだ」

番長「・・・気になるのか?」

ラハール「べ、別にそういうわけじゃない!」

陽介「じゃあどういうわけだよ。けど、確かにラハールの言うとおりかもな。実際どうなの?」

千枝「え、いやあたしに聞かれても・・・」

陽介「おいおい。昨日家まで送って行ったんだろ?」

千枝「まあそうだけど、家に送ってくまではとりあえず意識はあった。けど、あたしと雪子は、りせちゃんのお祖母ちゃんとしばらく話してから帰ったし、その後の様子はわかんないよ」

完二「学校にゃ来てなかったみたいスね」

陽介「そっか・・・」

ラハール「・・・」

番長「心配してるのか?」

ラハール「だ、誰がだ!」

番長「え、いや、陽介が」

ラハール「ぐっ・・・!」

陽介「まあ心配だな。けど、天城や完二の時みたいに、意識がはっきりしてたってんなら、何日か休めば大丈夫だろ」

番長「そうだな」

陽介「クマの奴は平気だろうけど、りせちーや天城は心配だな。早く元気出せるといんだけど」

千枝「雪子も今日は辛そうだったもんね・・・」

番長「色々話したかったけど、今日はやめておこうか。話し合うなら天城の意見も欲しいし、里中も陽介も疲れが残ってるみたいだから」

ラハール「・・・そうだな」

>-少し雑談をしてから解散した。

276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:50:58.63 ID:/PpYD8iv0
>-6/26(日) 朝
:::【沖奈市・海】:::

ラハール「・・・」

番長「陽介は来ないって?」

ラハール「ああ。さすがに明日にでもなれば元の調子に戻るだろうが、やはり奴も随分と堪えているようだな。それより・・・」

エトナ「?」

ラハール「何故こいつを連れて来た?」

番長「いや、暇そうだったから」

エトナ「なんです?アタシがいちゃ不都合でも?」

ラハール「・・・別にそういうわけではないが」

マリー「ねえ、これどうやって使うの?」

菜々子「わかんない。お兄ちゃ~ん」

番長「ああ。餌を付けようか」

エトナ「しっかし、釣りなんか何が楽しいんです?」

ラハール「知るか。俺様は呼ばれたから来てやっただけだ」

完二「先輩、釣りとかするんスね」

番長「ああ。けっこう、頻繁にな。この間、河のヌシを釣り上げたよ。そろそろ海のヌシだな」

完二「へぇ~」

277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:52:30.05 ID:/PpYD8iv0
番長「あ、ラハール。引いてるぞ」

ラハール「ど、どうすればいいのだ?」

エトナ「殿下、リール巻いて下さい。それですそれ」

ラハール「む・・・」

エトナ「殿下、逆!」

番長「じゃあ俺はタモを」

ラハール「き、きたぞ!」

サバッ

番長「お、イワシだな。普通はもう少し沖まで行かないと釣れないんだけど、群れからはぐれてこの辺まできたのかな?」


:::【魔界】:::

ヴァルバトーゼ「!?」

フェンリッヒ「閣下、どうかなされましたか?」

ヴァルトーゼ「今誰かに呼ばれたような気がした」


:::【沖奈市・海】:::

ラハール「お、おい。どうやって針を外せばいいのだ?」

番長「ああ、俺がやるよ。ほら」

ラハール「おお・・・」

エトナ「クーラーボックスに入れときましょうか」

278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:53:41.57 ID:/PpYD8iv0
菜々子「お、お兄ちゃん助けて!なんかきた!」

番長「よし、任せろ!」

マリー「ちょ、君!こっちも!」

番長「同時には無理だな。よし、完二、手伝ってやるんだ」

完二「お、俺スか!?」

ラハール「・・・」

エトナ「どうしました?」

ラハール「いや・・・何でも無い」

完二「おっしゃあ!」

マリー「やるじゃん。顔怖いクセに」

完二「か、顔怖いのは関係ねぇだろ!」

マリー「魚・・・魚か」

完二「?」

エトナ「何?またポエム?」

完二「あ?ポ、ポエ?」

マリー「なっ・・・や、違うし!」

ラハール「・・・」

菜々子「お兄ちゃんすごーい!」

番長「だろ?」

ラハール「・・・・・・こ、これは!?」

エトナ「あれ、どうしました殿下?」

ラハール「す、すさまじい引きが・・・おい、番長!」

番長「この引きは・・・ヌシか!?」

>-皆と楽しく過ごした。

279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:55:03.69 ID:/PpYD8iv0
番長「そろそろうちに戻ってお昼にしようか」

エトナ「手伝うよ。魚はどう使う?」

番長「生はちょっと怖いから、火を通そう。味噌汁、塩焼き、天ぷらとかかな。残った魚は一旦冷凍して・・・」

エトナ「天ぷら?油使うの?」

番長「面度だけど、釣りたて揚げたてはうまいぞ?」

エトナ「まあねぇ」

菜々子「菜々子も、何かお手伝いする」

番長「じゃあ、菜々子にはサラダとかおにぎりを作ってもらおうかな」

280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:57:09.62 ID:/PpYD8iv0
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

完二「う、うめえ・・・!」

千枝「な、泣くほど?・・・あむっ・・・!?・・・凄いこれ。これはちょっと敵わないな」

陽介「お前の場合は敵わないとか以前の問題だろ。つか、マジうまいな」

雪子「もっと早く呼んでくれれば、お料理手伝ったのに」

陽介「早く呼ばなくて良かったな、マジで」

雪子「それはどういう意味?」

陽介「察してくれ」

ラハール「・・・おい、釣りに来て無かった奴等は少しぐらい遠慮したらどうだ」

陽介「いや~、昼まで寝てたから腹減っててさあ」

千枝「同じく」

エトナ「いいじゃないですかケチくさいこと言わなくても」

ラハール「全く・・・」

陽介「ってそうだ。あまりの美味さに反応遅れたけど、あの子何者だ?またお前の知り合いか?」

マリー「・・・」

ラハール「いや、こいつは・・・」

エトナ「殿下のっつーか、まあアタシと番長の?」

陽介「え?」

番長「ベルベットルームの住人なんだ」

完二「へ~」

菜々子「?」

281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 14:59:04.18 ID:/PpYD8iv0
マリー「・・・君、アホの花村でしょ?エトナから聞いてる」

陽介「あの、エトナさん、いい加減アホはやめません?」

エトナ「え?なんでよ」

陽介「なんでって・・・」

千枝「あたし里中千枝。あなたは?」

マリー「・・・マリー」

千枝「へ~、マリーちゃんていうんだ」

雪子「私、天城雪子。よろしくね」

マリー「あ・・・うん」

番長「マリーは、自分を探しているらしい」

雪子「自分を?」

エトナ「詩人だねぇ。あ、詩人か」

マリー「ばっ・・・だからアレは違うってば!」

番長「ベルベットルームに来る前の記憶が、無いらしい」

マリー「・・・」

完二「そうなんスか。クマみたいなもんスかね?」

菜々子「クマ?クマってなあに?」

ラハール「クマはクマだ」

菜々子「?」

陽介「クマとは違って、マリーちゃんは人間だろ?」

エトナ「人間とは違う気がすんのよね。かと言って何か力を感じるわけでもないのが妙なんだけど」

雪子「え?人間、じゃないの?」

エトナ「なんか気配違うしね。あんた等とは」

番長「まあ、ベルベットルームにいる他の人達も、どこか人間っぽくないしな」

千枝「ふ~ん」

282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:01:59.38 ID:/PpYD8iv0
陽介「それにしても、記憶が無い・・・か」

番長「ああ。それで、何か記憶を取り戻す鍵になるようなものがないかと思って、時々ベルベットルームの外に連れ出してるんだ」

千枝「なるほど・・・」

陽介「じゃあそれ、俺も協力するぜ。マリーちゃん、色々遊びに行こう!」

ラハール「・・・!」

マリー「別に・・・いいけど」

千枝「花村?」

陽介「や、もちろん皆さんご一緒にですよ?」

マリー「・・・いいの?」

千枝「あー、ま、いんじゃない?あたしも協力するよ」

雪子「私も」

完二「・・・なに俺のほう見てんスか?皆して。え、俺もスか?」

陽介「そういう流れじゃね?」

完二「・・・まあ、別にいいスけどね。遊びついでで良いんしょ?」

陽介「妙な遊びはさせんなよ?」

完二「妙ってなんだよ」

陽介「や、まあ、暴走とか?」

完二「させねえよ。つか俺もしてねえよ」

雪子「・・・・・・あれ?ラハール君、どうしたの?」

ラハール「帰る」

陽介「え?おい・・・」

エトナ「・・・はぁ」

マリー「わ、私、なんか怒らせた?」

エトナ「いや・・・」

陽介「俺、ちょっと行ってくる」

エトナ「駄目。アタシが行くよ」

陽介「け、けど・・・」

エトナ「アタシにはわかんのよ。今はアンタじゃ駄目ってのがね」

陽介「エトナさん・・・」

>-・・・・・・

菜々子「なんだか、ラハールさん・・・苦しそうだった」

雪子「え?」

番長「苦しそう?菜々子、それは、どういうふうに?」

菜々子「・・・わかんない」

千枝「体調でも悪かったのかな?」

番長「そんな感じじゃなかったけど・・・まあ、エトナさんに任せよう」

陽介「・・・」

283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:05:17.58 ID:/PpYD8iv0
>-・・・・・・
:::【鮫川河川敷・川原】:::

ラハール「・・・何か用か?」

エトナ「あら、気付いてたんですか?アタシがついてきてたの」

ラハール「・・・・・・ここ最近、低いレベルでい続けた影響だろうな。随分と気配に敏感になった」

エトナ「ふ~ん」

ラハール「・・・・・・」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・俺様は、何か用かと聞いたのだぞ?」

エトナ「用があるのはそっちでしょ?殿下は、あの場で一人で帰るとか言い出したら、アタシか花村がついてくるだろって思ってた。違います?」

ラハール「チッ・・・」

エトナ「用がないなら、アタシ帰っちゃいますけど?」

ラハール「・・・貴様は、何故そんなに呑気にしていられるのだ?」

エトナ「えぇ?」

ラハール「・・・」

エトナ「殿下、アタシはフロンちゃんじゃありませんから。殿下が何考えてんのか一から十までわかるわけじゃないですからね?」

ラハール「・・・」

エトナ「・・・」

ラハール「マリーとかいう奴の記憶を取り戻すために、奴等が皆、協力するという話に自然な流れでなること。俺様はそれを不愉快に思った」

エトナ「余計なことをって感じですか?」

ラハール「・・・ああ」

エトナ「ありゃ花村の単なる下心でしょ?マリーちゃんと仲良くしたいってのがミエミエなんですよ」

ラハール「・・・奴はアホだがな、アホなだけの奴ではないぞ」

エトナ「あら・・・」

ラハール「陽介もだが、奴等全員に言えることだ。奴等はアホだが、アホなだけの奴等ではない」

284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:08:25.11 ID:/PpYD8iv0
エトナ「・・・それで?結局何が言いたいんです?」

ラハール「奴等はお節介だ。そしてアホのように呑気だ」

エトナ「はあ」

ラハール「無駄に楽しそうで・・・無駄に明るくて、無駄に前向きだ」

エトナ「・・・」

ラハール「まるでどこぞのアホ天使のようにな」

エトナ「・・・それで?殿下はそれをどう思ってるんですか?」

ラハール「・・・奴等のことを、奴等と一緒にいてやることを・・・悪くないと思いかけている」

エトナ「・・・」

ラハール「俺様はそれが、駄目だと・・・その・・・」

エトナ「それでいてもたってもいられなくて逃げ出した、と?」

ラハール「・・・」

エトナ「はぁ・・・こないだのアタシ絡みの騒動で、ちょっとはマシな奴になったと見直してたんですけどねえ。殿下のこと」

ラハール「なっ、何だいきなり!大体、貴様も悪いのだぞ!」

エトナ「え、アタシ?」

ラハール「奴等といて普通に楽しそうにして・・・あ、悪魔としてのプライドはないのか!貴様らしくないのではないか!?」

エトナ「・・・はぁ、アタシはフロンちゃんじゃないですから、こういう言い方しかしませんけどね。らしくないのは殿下のほうですよ?」

ラハール「何だと!?」

エトナ「ったく面倒な性格ですよね殿下も・・・」

ラハール「貴様・・・!」

エトナ「付き合ってらんないんで、アタシ、もう帰ります」

ラハール「おっ、おい」

エトナ「・・・番長にでも相談してみるんですね。今の会話、全部伝えて」

ラハール「な、何故人間なんぞに!」

エトナ「今の殿下の妙な気持ちも、"人間界で起きてる事"なんで。人間にどうにかして貰うのが筋ってもんですよ。つか、ぶっちゃけアタシ殿下のそんなとこ・・・見たくないんで」

ラハール「・・・」

エトナ「フロンちゃんなら、殿下と一緒になって考えてくれるんでしょうけどね。アタシは弱い殿下になんか興味ないですから」

ラハール「・・・や、奴のことは・・・今は関係ない・・・」

エトナ「・・・じゃ」

ラハール「ま、待て!」

エトナ「まだ何か?」

ラハール「お前は・・・どう、なのだ?」

エトナ「どうって、何がです?」

ラハール「奴等と・・・あの人間共と、いて」

エトナ「アタシゃ楽しんでますよ?こう賑やかなのも久々ですしね。特にフロンちゃん達が天界に行ってからは、静かなもんでしたから」

ラハール「・・・!・・・そうか・・・」

エトナ「じゃ」

ラハール「・・・ああ」

285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:09:57.42 ID:/PpYD8iv0
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

菜々子「あれ?ラハールさん?」

ラハール「菜々子、番長はいるか?」

菜々子「うん。お兄ちゃ~ん」

番長「・・・ラハールか」

ラハール「・・・」

菜々子「大丈夫?具合、悪いの?」

ラハール「・・・いや、そうではないのだ。すまんな」

番長「俺の部屋で話そうか」

ラハール「ああ」

286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:11:11.35 ID:/PpYD8iv0
>-・・・・・・
:::【堂島家・番長の部屋】:::

ラハール「陽介達はどうしたのだ?」

番長「食うだけ食ったら帰って行ったよ。やっぱりまだ、皆疲れが残ってるみたいだな。天城と里中は、洗い物手伝ってくれたけど」

ラハール「・・・そうか」

番長「皆、ラハールのこと、心配してたぞ」

ラハール「・・・いらん世話だ」

番長「・・・そうかな?」

ラハール「何だ貴様、何が言いたい?」

番長「いや・・・」

ラハール「・・・」

番長「聞いても良いか?何があって、エトナさんとは何を話してきたんだ?」

>-・・・ラハールの口取りは重かったが、溢れる"根気"と"寛容さ"で全てを聞き出した!

288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:15:32.91 ID:/PpYD8iv0
番長「・・・そんなに、駄目なことか?俺達と一緒にいて、それが楽しいと感じることって」

ラハール「悪魔らしくはないからな。良い奴とか、明るい奴とか、そんな奴等と一緒にいてやることなど」

番長「・・・ラハールの家来には、いなかったのか?俺達みたいな奴」

ラハール「いるにはいた。だが、俺様はこう見えて家来には寛容なのだぞ?どんな駄目な奴等でも、使ってやるという器量が魔王には必要だ」

番長「いや、寛容には見えてるよ。エトナさんとの関係とか見てるとさ」

ラハール「奴は・・・!・・・い、いや・・・何でも無い」

番長「特別だ、とか、言おうとした?」

ラハール「そんなワケあるか!」

番長「・・・まあいいけど、今までだって、良い奴と一緒にやってきたこともあったんだろ?」

ラハール「・・・一応な」

番長「じゃあ、別に俺達と一緒にいても良いんじゃないか?それを楽しいと感じても」

ラハール「貴様等は別に、家来ではないからな。俺様が寛容になってやる理由など、本来なら無いはずなのだ」

番長「けど、俺達に対して寛容になってる自分がいる。そういうことか?」

ラハール「・・・ああ」

番長「・・・」

>-・・・一つ気になるのは・・・

番長「エトナさんは、ラハールらしくないって言ってたんだよな?」

ラハール「そうだな。どういうつもりかは知らんが・・・」

番長「ラハールってさ、やりたいことをやりたいようにやる。そういう奴じゃ、ないのかな。俺の主観だけど」

ラハール「やりたいことを・・・やりたいように・・・まあ、俺様は魔王だからな。俺様は俺様の好きなように生きてきたぞ。例えそれがどんな我がままでも、力で押し通して強引にな」

番長「そっか。じゃあ、それだな」

ラハール「・・・どういうことだ?」

番長「悪魔らしくとかさ、そういうつまんないことに縛られて、ラハールの好きなようにやらないのって、ラハールらしい?ラハールらしくない?」

ラハール「・・・それは・・・」

番長「俺は・・・朝、釣りしてた時、ラハールは楽しそうしてたと思うんだ。あと、さっき皆で飯食ってた時も、途中まではさ」

ラハール「・・・まあ、そうだな。楽しく、とまでは言わんが・・・悪くはなかったぞ」

番長「じゃあ、良いだろ。それで」

ラハール「だが」

番長「悪魔らしくとか、悪魔らしくないとか、そんなことよりも、ラハールが今どうしたいのか。どういうふうにしていきたいのか。それが大事なんだと思う」

ラハール「・・・」

番長「ラハールがやりたいことを、ラハールがやりたいようにやる。それが、お前らしさなんだろ?」

ラハール「俺様、らしさ・・・」

番長「素直にやってれば、いいんじゃないか?素直になれないことも、いくつかあるかもしれないけど」

ラハール「・・・そうか。だから奴は・・・殿下のほうこそ、らしくないなどと・・・」

番長「少しは、楽になったか?」

ラハール「ああ。礼を・・・礼は言わんが、たすか・・・助かったわけでもないが・・・その・・・」

番長「楽しく、やろう」

ラハール「・・・ああ」

>-"ラハール"コミュのランクが"4"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

>-ラハールと楽しく過ごした。

289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:18:03.25 ID:/PpYD8iv0
>-夕方

ラハール「・・・あ・・・もう、こんな時間か」

番長「夕飯、食べていくか?」

ラハール「いや、生意気にも陽介風情が、この俺様のことを心配しておったのだろう?今日はもう、帰らせてもらうぞ」

番長「・・・そっか、そうだな」

:::【堂島家・玄関】:::

菜々子「帰っちゃうの?」

ラハール「すまんな、ウチで陽介が待っておるのだ。奴に構ってやらねばならん」

菜々子「・・・もう、大丈夫?」

ラハール「貴様、この俺様のことを心配しておったのか?そんなものは不要だ」

菜々子「元気、出たんだね」

ラハール「む・・・く、そ、そうだ!悪いか!」

菜々子「良かった」

ラハール「(ど、どうもこいつだけはやりにくいな・・・!)」

番長「陽介によろしく」

ラハール「ああ」

菜々子「・・・ばいばい」

ラハール「ああ。今日は帰るが、また貴様に構ってやるからな」

菜々子「うん!」

番長「・・・ラハール、早く帰れ」

ラハール「な、なんだ貴様その殺意のこもった笑顔は・・・い、言われんでも帰る!」

>-・・・・・・

菜々子「ラハールさん、元気出たんだね。良かった」

番長「そうだね」

290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:23:08.92 ID:/PpYD8iv0
>-夜
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「ふ~ん。多少は殿下も素直になれたか。ま、アタシにゃ別に関係ないけどね~」

番長「・・・」

エトナ「な、何よその目つきは」

番長「弱い殿下には興味ない・・・とか、言ってたんですよね。エトナさん」

エトナ「だっ、だから何!?」

番長「強いラハールになら、どうなんですか?」

エトナ「はっ、はあ!?///」

番長「あ・・・やっぱり」

エトナ「番長君?やっぱりとかじゃなくってさ、ほら、ね?わかるでしょ?余計な勘違いをする奴ってさあ、早死にするのよ?」

番長「あの・・・エトナさん、怖いです」

エトナ「うん、いや、いいから。ね?わかるでしょ?」

番長「は、はい。わかりました」

エトナ「わかれば良いのよわかれば」

マリー「・・・ねえ、あの子、怒ってたみたいなのって、どうにかなったの?」

エトナ「みたいね。ああ、マリーちゃんが気にすることじゃないのよホント。あいつ馬鹿だからさぁ」

番長「・・・」

エトナ「ねえ、だからその目つきは何なの?」

番長「あの、何でも無いですから。大丈夫です、言いませんから」

エトナ「アンタにはちょっと教育が必要みたいね・・・!」

>-・・・痛い思いもしたけど、しばらく楽しく過ごした。

291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:26:56.85 ID:/PpYD8iv0
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

陽介「そっか」

ラハール「・・・わ、悪かったな。あの場を、勝手に飛び出したりして・・・」

陽介「いや、全然良いよ。それより、お前が全部話してくれたことが、すげー嬉しい」

ラハール「陽介・・・」

陽介「ま、でも、俺じゃなくて相棒に相談したってのは、悔しいけどな。俺じゃ、あいつみたいに上手く言える自信ねーし」

ラハール「・・・これからは、俺様も・・・その・・・普段から、貴様等と一緒にいてやってもいいぞ」

陽介「何言ってんだ。今までもそうだったじゃねえか」

ラハール「い、今まではなんとなくいてやっただけだ。これからは・・・俺様自身の意思で、一緒にいてやろうと言っているのだ・・・」

陽介「どんだけ上から目線だよ?ま、お前らしいけどな」

ラハール「俺様らしいか?」

陽介「ああ」

ラハール「・・・ならば、それで良いのだろう」

陽介「おう」

ラハール「・・・」

陽介「けど、そういうことなら、エトナさんとこにも早めに行っといたほうがいんじゃね?今すぐにとは言わないけどさ。明日にでも」

ラハール「なっ、なんでアイツのところになど!」

陽介「や、だってさ・・・」

ラハール「い、行きたくない!」

陽介「行きたくないってお前・・・」

ラハール「俺様が俺様の意思で行きたくないと言っているのだ!だ、だからそれで良いのだ!」

陽介「無茶苦茶我がまま言ってねーか?それって」

ラハール「我がまま!上等ではないか!それでこそ俺様らしいのだ!」

陽介「いや、そりゃそうかもしんねーけど・・・」

ラハール「とっ、とにかく俺様は行きたくない!だから行かん!」

陽介「そうか・・・まあ、それでいいか」

292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 15:28:39.96 ID:/PpYD8iv0
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子

エトナ「真実はいつも一つ!」

ラハール「どうした急に?また頭がおかしくなったのか?」

エトナ「平和なベルベットルームで突如事件発生!」

ラハール「何だと!?」

エトナ「アタシが番長に買ってこさせたプリンが、何者かによって食べられていた!」

ラハール「・・・・・・・・・」

エトナ「犯人はこの中にいる!こんなこと、二度と繰り返させないわ!凄惨なこの事件の犯人、アタシが突き止めてみせる!」

ラハール「・・・というか貴様、番長に何をさせて・・・」

エトナ「次回、美少女探偵エトナ!"消えたプリンの行方!"」

ラハール「おい、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」

エトナ「Next エトナ's Hint!! 【金髪】 」

ラハール「金髪ってもう一人しかおらんではないか・・・」

301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 12:50:29.90 ID:iOtzMWVj0
>-7/10(日) 朝

>-俺達の担任、諸岡金四郎。通称モロキンが殺害されたらしい。
>-今までの殺人と同じく、死体が逆さ吊りにされて。

:::【ジュネス・フードコート】:::

番長「遅くなってすまないな、皆」

ラハール「来たか」

クマ「あ、センセイー!」

番長「・・・?」

陽介「だよな。そういう反応になるよな。聞いて驚けよ」

番長「もしかして、クマか?」

クマ「そうクマ!」

陽介「ってオイ!なんでわかるんだよ!?」

番長「え、いや、声一緒だし。俺のことセンセイとか呼ぶの、クマしかいないし」

陽介「そ、そうですか・・・」

番長「その格好、どうしたんだ?」

クマ「チエチャンとユキチャンがプレゼントしてくれたクマ!」

千枝「お代はほとんどラハール君が出してくれたんだけどね・・・」

番長「・・・へえ~」

ラハール「な、なんだその目は?文句があるのか?」

番長「・・・いや、別に」

ラハール「貴様・・・!」

陽介「ってそうじゃねーだろ!格好って服のことじゃなくて、人間みたいな体のことだろ!?」

番長「・・・そういえば、そうだな。どうしたんだ?」

クマ「一生懸命特訓したら生えてきたクマ!」

番長「そうか」

陽介「そうかで終わらせる話!?」

ラハール「騒がしいぞ陽介。問題があるわけでもないだろ。それより今は・・・」

雪子「うん・・・」

陽介「いや、まあ・・・そうだな」

完二「今回は、テレビん中、誰も来てなかったみたいスよ」

番長「・・・誰も?被害者のモロキンもか?」

完二「らしいス」

クマ「間違いないクマよ」

雪子「被害者の遺体は、これまでの二人と同じ逆さ吊りになって見つかったみたいだけど・・・」

番長「マヨナカテレビには誰も映っていなかった。そして、テレビの中の世界には誰も来ていなかった」

雪子「なんか、変だよね?」

ラハール「・・・」

302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 12:52:43.35 ID:iOtzMWVj0
千枝「もしかして、もうテレビの中に入れても殺せないって思ったから・・・ついにこっちの世界でやっちゃったとか?」

陽介「そっか。俺達がずっと被害者を救出してきたから」

完二「んだよそりゃ。じゃあ結局俺等のやってきたことって・・・」

陽介「・・・犯人に勢いつけさせちまっただけなのかな・・・」

ラハール「いい加減にしろアホ共。貴様等の顔の上に乗っている頭は飾りではないのだ。少しは使ってやれ」

陽介「うっせ!ちょっっと前まで、しょうもねーことでグジグジ悩んでたクセに、偉そうにすんなって」

ラハール「なっ・・・い、今そんなこと関係ないだろ!」

陽介「行けっつってんのに、エトナさんとこにも、未だに行ってねぇしよ~」

ラハール「やっ、やめんか!」

雪子「え、何?何の話?」

ラハール「うるさい!貴様には関係無い!」

番長「落ち着け」

ラハール「ぐ・・・!」

雪子「気になる・・・」

303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 12:58:00.95 ID:iOtzMWVj0
陽介「つか、そこまでいうなら、お前は何かに気付いてんのか?ラハール」

千枝「な、何かって何?」

ラハール「当たり前だ。今回の殺人の妙な点。番長、天城、貴様等も気付いているのではないか?」

番長「ああ」

雪子「やっぱり、二人もそう思うんだ?」

完二「あ?」

千枝「え?何々?」

雪子「千枝が言ったみたいに、もうテレビの中に入れても殺せないと知った犯人が、ついにこっちで犯行に及んだと仮定してみるよ?」

千枝「う、うん」

雪子「その場合、これまでの事件とのつながりをわざわざ見せるために、逆さ吊りにする必要が全くないの」

千枝「・・・あ」

ラハール「今までは、あっちで死んでこっちに出てくる時、偶然逆さ吊りになっていただけだからな。どうしてもモロキンを殺す必要があって殺したんだとして、これまでの事件との関連性をわざわざ作る必要など全く無いはずだ」

陽介「け、けど、なんか犯人には犯人なりの考えがあったんじゃねえか?」

番長「そうだな。じゃあ陽介の言ったように、もしかしたら犯人には犯人の考えがあったっていう解答をつけてみようか」

陽介「お、おう」

番長「もしかしたの話をするなら、今回の事件は、もしかしたらこれまでの事件と関係ないのかもしれない。っていう説も出てこないか?」

陽介「えぇ?」

番長「今までの事件と全く関係ない殺人を犯した今回の事件の犯人が、今までの連続殺人とつながりがあるかのように見せかけるため、モロキンを殺害後、逆さ吊りにしたっていう説」

陽介「け、けど、それって犯人に一体何の目的があって?」

番長「わからない。だけど、もしかしたら犯人には犯人の考えがあったのかもしれない」

陽介「あ・・・そういうことか」

ラハール「大体、仮に今回の事件も連続殺人の一環だったとして、マヨナカテレビに何も映っていなかったことはどう説明するのだ?俺様達は、マヨナカテレビは犯人の犯行予告だと踏んでいたはずだぞ」

陽介「た、確かに・・・」

番長「クマはどう思う?」

クマ「クマには皆が何言ってるのか全然わからんクマ」

番長「そ、そうか」

完二「俺もっスね」

陽介「いやお前はわかれよ・・・」

番長「何にしても、普通にこっちの世界で犯行に及んだんだとすれば、余程完璧に証拠を消していない限り、警察の捜査が進むはずだ。俺達はそれを待とう」

304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:01:18.00 ID:iOtzMWVj0
>-・・・・・・
:::【丸久豆腐店前】:::

>-皆でりせの様子を見に行くことになった。

直斗「・・・おや、奇遇ですね」

ラハール「貴様は・・・」

直斗「今度は久慈川さんを懐柔ですか?」

陽介「は?」

番長「何を言っているのかわからないな」

直斗「・・・今回の諸岡さん殺し、二人目の被害者である小西さんと同じ学校の人間である諸岡金四郎さんが殺害されましたね」

番長「ああ、そうだな」

直斗「二人目の被害者と三人目の被害者。確かに共通点はありますが、それ以前に今回の殺しはおかしいんですよね」

番長「おかしいっていうのは、具体的に何がだ?」

直斗「諸岡さんはテレビに映っていないんですよ」

ラハール「・・・」

直斗「どう思います?」

陽介「ど、どうって・・・」

番長「何を言っているのか、わからないな」

ラハール「ああ、そうだな」

直斗「・・・まあいいでしょう」

ラハール「待て、貴様は何者だ?」

直斗「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね。僕は白鐘直斗、探偵です」

陽介「探偵!?」

直斗「ああ、皆さんのことは結構ですよ。良く知っていますので」

ラハール「・・・」

直斗「では、いずれまた」

千枝「・・・な、なんだったんだろ?」

雪子「どう思う?」

番長「・・・ラハール、どう思った?」

ラハール「以前会った時のような、露骨に疑ってくる感じはなかったな」

番長「そうだな。けど・・・」

ラハール「ああ。本格的に俺様達を疑い始めたからそういう態度だったのか、それとも疑いが晴れたのか、どちらなのかまではわからん」

番長「面倒なことにならないといいけど・・・」

ラハール「・・・少なからず、勘は良さそうで、頭も回りそうな奴だ。このままでは多少、邪魔かもしれんな」

305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:02:42.95 ID:iOtzMWVj0
陽介「なあ・・・こいつらが何言ってんのか、良くわかんねーんだけど」

千枝「大丈夫。私もわかんなかった」

陽介「里中と一緒かー・・・」

千枝「こら、どういう意味よ?」

ラハール「里中、そういう意味だ」

千枝「ちょ、またそれ!?」

番長「里中、そういう意味だよ」

千枝「やっ、やめてよ番長君まで」

雪子「千枝、残念だけど・・・そういう意味だと思うよ?」

千枝「雪子まで・・・!?」

陽介「どんまい」

千枝「あんたのせいでしょ!?」

陽介「いや、お前の頭を俺のせいにされても・・・」

千枝「こんの・・・!」

陽介「そ、それより早くりせちーんとこ行こうぜ!」

千枝「あっ、こら待ちなさい!」

ラハール「・・・奴等、妙に仲が良いな」

番長「妬いてるのか?」

ラハール「アホか」

雪子「えっ、どっちに?」

ラハール「・・・アホか」

306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:05:16.73 ID:iOtzMWVj0
>-・・・・・・
:::【神社】:::

りせ「ごめんね。ほんとはウチに上がって行って欲しいんだけど、ウチで話すとまたお祖母ちゃんを心配させちゃうから・・・」

番長「いいよ、全然」

りせ「えっと・・・その・・・」

千枝「?」

りせ「助けてくれて、ありがとね!」

陽介「うおお・・・りせちー可愛すぎる~・・・!」

千枝「まだ蹴られ足りないのか?アンタは」

陽介「ちょっ、今のは一般的男子高校生のしかるべき態度だろ?」

千枝「番長君を見習いなさい」

陽介「こいつのどこが一般的なんだよ?」

番長「いいよ、全然。無事で良かった」

陽介「ほら、こんな堂々とした態度、ありえねーから・・・」

ラハール「・・・犯人の顔を見たりしていないか?」

りせ「あ・・・それなんだけど、全然。気がついたらあの世界にいて・・・」

雪子「じゃあ、私や完二君と同じだね」

ラハール「チッ・・・また進展なしということか」

りせ「ご、ごめんなさい」

ラハール「ば、ばかか!貴様が謝るようなことではない!」

番長「ラハール、落ち着け。いきなりそんなだと、りせがびっくりするぞ」

ラハール「あ、ああ・・・」

りせ「えと・・・それで・・・あの、私も、皆の仲間に入れて欲しいんだけど・・・きっと、私に出来ることもあるはずだから!」

陽介「マジ!?」

番長「ラハール、良いかな?」

ラハール「・・・知るか。貴様が決めることだ」

番長「そっか。歓迎するよ、りせ。りせがいてくれると心強い」

りせ「ほんと?やったー!」

陽介「りせちーと仲間・・・!」

ドガッ

陽介「っテーな!何すんだよ!」

千枝「うっさい!馬鹿!」

307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:06:27.00 ID:iOtzMWVj0
ラハール「・・・」

りせ「そういえば、なんであの人ちょっと離れてるの?」

番長「ああ、りせが可愛いから照れてるんだよ」

ラハール「は?」

りせ「ほんと?私可愛い?」

番長「そう思ってるだろ?ラハール」

ラハール「アホか」

りせ「もー、私は番長先輩がどう思ってるか聞いてるの!」

番長「俺?まあ、一般的には可愛いんじゃいないか?」

りせ「なにその答え~!」

千枝「な、なんかテレビと随分キャラ違うんだね」

陽介「そうだな。けど、これがきっとほんとの久慈川りせなんだろ」

千枝「・・・そだね」

雪子「最近は、私がけっこう近づいても平気だったのに、りせちゃんは駄目なんだ・・・?」

千枝「ゆ、雪子暗いよ?大丈夫、慣れてくれたってことだよ」

308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:07:35.33 ID:iOtzMWVj0
>-夕方
:::【ジュネス・食品売場】:::

菜々子「・・・あ、あった!」

バッ

>-菜々子が取ろうとしていた品物が、突如奪われた。

ミツオ「・・・なんだよ。文句あんのかよ」

菜々子「え?」

ミツオ「馬鹿にしてんだろ?俺のこと」

菜々子「?」

ミツオ「なめやがって・・・ガキの癖に・・・!」

菜々子「・・・!」

ミツオ「俺を怒らせたらどうなるのか、教えてやる・・・!」

ラハール「オイ」

ミツオ「な、なんだよお前・・・!」

ラハール「・・・(菜々子が怯えている)」

ミツオ「な、、なんか文句あんのかよ・・・!」

ラハール「殺すぞ」

ミツオ「ひっ・・・な、なんだよ・・・!」

>-ミツオは逃げ出した。

309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:10:36.53 ID:iOtzMWVj0
菜々子「ラハールさん・・・」

ラハール「菜々子、何故一人でこんなところにおるのだ?」

番長「・・・あれ、ラハール?」

ラハール「なんだ、貴様も来ていたか」

番長「何か、あったのか?」

菜々子「あのね、助けて貰った」

番長「・・・そうなのか」

菜々子「うん。ラハールさん、ありがとう」

ラハール「れ、礼などいらん!それより番長、あまりそいつを一人にするな。人間にも危険な奴はいるのだぞ」

番長「ああ。すまないな、ラハール」

ラハール「・・・まあいい、今菜々子に絡んでいた奴なら、二度とそいつに近付こうとはせんだろう。安心しろ」

番長「さっきの凄い気配は、やっぱりお前か」

ラハール「人間でも貴様レベルになると、自分に向けられていなくても殺気に気付くのだな。昔いた地球勇者共より、貴様のほうが随分使えそうだ・・・」

菜々子「?」

エトナ「あら、なんだ今の殿下だったんだ。わざわざ見に来て損した気分だわ」

ラハール「エ、エトナ・・・!」

番長「じゃあ、ここは二人に任せて、俺達はいろいろ買うものあるから」

ラハール「お、おい」

菜々子「ラハールさん、またね」

ラハール「い、いや、おい」

番長「エトナさん、ウチで待ってますから」

エトナ「あいよ」

ラハール「・・・」

310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:13:14.41 ID:iOtzMWVj0
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::

ラハール「・・・番長たちと一緒にいたのか?」

エトナ「ええ、まあ。なんか事件が起きたとかで親父さん帰らないみたいで、晩ご飯に呼ばれました」

ラハール「・・・そうか・・・」

エトナ「なんか馴染んでたとこ見ると、ちょっとは吹っ切れたみたいですね?」

ラハール「別に馴染んでなど・・・いや、そうだな。多少はな」

エトナ「あら、案外素直ですね」

ラハール「まあ・・・番長と、貴様のおかげだからな。エトナ」

エトナ「!」

ラハール「貴様には・・・」

『いいですねぇ~。愛ですねぇ』

エトナ「げ」

ラハール「どうした?」

エトナ「・・・見られてたみたいです。フロンちゃんに」

ラハール「な、なんだと!?」

『見てなんかいませんよ~?弱い殿下になんか興味ありませんから!なんて言っちゃったエトナさんのことなんかも、見てなんかいませんよぉ』

エトナ「・・・ブッコロス///」

ラハール「お、おい!何を見られていたんだ!」

『いやぁ、せくすぃ~でしたねぇエトナすわぁん。私の"一回で良いから言ってみたい台詞ランキング"が変動しましたよ!』

エトナ「ッ・・・!・・・殿下は、気にしないで下さい。フロンちゃんはアタシが仕留めますから・・・!」

ラハール「そ、そうか」

『・・・』

エトナ「・・・聞こえなくなった。逃げやがったわね」

ラハール「全くあのアホ天使は」

エトナ「あれ、案外怒ってないですね?意外と冷静っつーか・・・」

ラハール「まあ、奴の奇行は今に始まったことではなかろう?」

エトナ「そりゃ、そうですけど・・・」

ラハール「とはいっても、今回の件の落とし前はそれなりに付けさせて貰うがな・・・!」

エトナ「結局怒ってるじゃないですか」

ラハール「当たり前だ!」

エトナ「・・・なんか安心しました」

ラハール「な、何がだ?」

エトナ「いえ、こっちの話です」

ラハール「・・・?」

エトナ「アタシそろそろ行きます。番長はどうでもいいですけど、菜々子ちゃん待たせちゃかわいそうですからね」

ラハール「そうか」

311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:16:19.51 ID:iOtzMWVj0
>-7/11(月) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

陽介「誰かが入れられてるって訳でもないのに、アッチの世界に行く?」

番長「ああ」

完二「何しに行くんスか?」

ラハール「アホ。観光でもしに行くと思うか?」

完二「観光・・・観光するにゃ面白くもなんともないスね」

千枝「もしかして、特訓?」

番長「そうだ」

陽介「特訓か~」

雪子「確かに、必要だよね」

番長「ああ。前回は本当に危ないところだった」

雪子「うん・・・」

ラハール「危なかっただけではない。クマのシャドウの出現、クマのシャドウの中にいた何者かの存在。あの世界も変化してきている」

番長「そうだな。だから俺達は、何があっても大丈夫なように、鍛えておくべきだと思う。新しい仲間も、二人増えたしさ」

クマ「二人ってシツレークマね!クマは元から仲間だったデショ!?」

番長「いや、戦力的にそれはどうだろうな」

クマ「センセー!?」

千枝「・・・ってそういやクマ君、こっちの世界でどうしてんの?まさか野宿とか?」

陽介「ああ、それならウチに居候させることにしたよ」

千枝「え、マジ?」

陽介「つっても、住み込みでバイトって形だけどな。元々ラハールがいたし、一人ぐらい増えても大したことねえと思ってさ」

千枝「は~・・・」

陽介「んだよ?」

千枝「いや、なんかアンタ意外と大人なんだなーとか・・・」

陽介「大人なのはウチの親父とお袋だよ。俺は二人に頼み込んだだけだ」

雪子「特訓ってことは、シャドウと戦うの?」

番長「そうしようと思ってる」

りせ「え?けど、あっちの世界って、いつもシャドウが出てるの?」

クマ「たぶん~、今まで皆の影響で変化した場所になら、集まってると思うクマよ?」

雪子「え~・・・ってことは」

完二「ま、またあっこに行くのか・・・?」

番長「う~ん・・・」

千枝「組み手とかどうかな!!」

陽介「ど、どした。ここ一番の大声で・・・」

千枝「お互いの長所も短所も見えるだろうしさ!誰が強いか解ってたほうが、番長君も作戦立てやすいじゃん!」

陽介「あ~、お前こういうの好きそうだもんな。特訓とか」

千枝「もち!」

番長「うん・・・じゃあ、とりあえず行ってみようか」

312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:19:25.74 ID:iOtzMWVj0
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

千枝「第一回!特別捜査隊一武道会!」

陽介「わ、わ~・・・」

ぱちぱちぱち

>-てれって~♪

りせ「司会は私、久慈川りせが担当します!参加者兼、解説者のクマさん。今回の大会はどうなると思いますか?」

クマ「フッフッフ~。モチロンクマの優勝!と言いたいところだけど~、今回ばかりは経験豊富なセンセイに華を持たせることになると思うクマ!」

りせ「ありがとうございます、解説者のクマさんでした」

雪子「何このノリ・・・?」

ラハール「知るか」

りせ「それでは第一回戦を始めましょう!」


>-陽介 VS ラハール

陽介「悪いけど、勝つのは俺だぜ?」

ラハール「陽介風情が寝ぼけたことを言いおって。良いだろう、その思いあがりごと叩き潰してやる!」


>-番長 VS 完二

完二「先輩、手加減無しっスよ?」

番長「ああ、もちろんだ」


>-千枝 VS 雪子

雪子「まさか千枝と試合なんて・・・」

千枝「くじ引きの結果だから仕方無いよ。雪子、思いっきり行くからね!」


りせ「一回戦はじまりましたね~、シードのクマさん。注目はどの試合でしょうか?」

クマ「やっぱりここはペルソナの無いラハールがどう戦うかが注目だと思うクマ!」

りせ「えぇ!?ラハール先輩、ペルソナ無いの!?」

クマ「アレ?リセチャン知らなかったクマ?」

>-・・・・・・

陽介「じ、直に俺を狙うのズルくねーか?」

ラハール「やかましい。貴様こそ、2対1なのだぞ?ペルソナばかり使ってないで、少しは体も使え」

陽介「お前相手に無茶言うな!」


りせ「うわ、ほんとだ。あの人何者?」


ラハール「俺様は、魔王ラハール様だ!」

>-緋天無双斬

陽介「うあっ!?」

ラハール「例えレベルが下がっていても、陽介なんぞに遅れをとるわけがない」

陽介「ち、ちっきしょ~・・・」

313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:21:19.24 ID:iOtzMWVj0
>-ラハール VS 雪子

ラハール「一応言っておくが、手加減はせん。そのほうが訓練になるからな。精々死ぬなよ?」

雪子「が、頑張る!」


>-番長 VS クマ

番長「ところで、なんでまた着ぐるみなんだ?」

クマ「こっちの世界ではこのほうが落ち着くクマ!」

番長「そ、そうか・・・」


りせ「二回戦が始まりました。ここで一回戦負けの人たちに敗者インタビューしてみたいと思います」

陽介「結構容赦無いのね・・・」

りせ「花村先輩、敗因は何でしょうか?」

陽介「いきなりそれ聞く?まあ、経験の差というか、地力の差というか、そんなところですかね」

りせ「なるほど。完二は?」

完二「途中までは勝てっかと思ってたんだけどよ・・・なんか気付いたら負けてたぜ」

りせ「自己分析の下手そうなコメントですね。千枝先輩はどうでしょうか?」

千枝「負けた・・・雪子に・・・」

りせ「ち、千枝先輩?」

陽介「すまん、そっとしといてやってくれ・・・」

314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:22:49.55 ID:iOtzMWVj0
>-ラハール VS 番長

ラハール「やはり貴様か」

番長「負けないぞ」

ラハール「減らず口を叩きおって・・・!」


りせ「お疲れ様です雪子先輩。残念ながら負けてしまいましたが、凄い戦いでしたね」

雪子「う、うん。ありがとう」

りせ「果たしてどちらが優勝するでしょうか?」

雪子「う~ん・・・ラハール君は強いんだけど・・・多分今回は」

315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:25:42.17 ID:iOtzMWVj0
>-・・・・・・

りせ「第一回、特別捜査隊一武道会反省会~!」

クマ「わ~・・・」

ぱちぱちぱち

番長「それぞれ、自分の欠点が見えてきたことだろうと思う。今後もこっちでの特訓を続けていこう」

ラハール「一回戦負けのアホ共。今回特に欠点を自覚したのは貴様等のはずだ」

陽介「う・・・」

千枝「返す言葉もございません・・・」

完二「・・・それが、よくわかんねんスよね。先輩とは、お互いにジオンガの打ち合いになったんスけど。体力は負けねーはずの俺が、削りあって気付いたら負けてたんスよ」

ラハール「体力が高い貴様が負けたのは、単に魔力の差だ」

番長「そうだな。里中と天城の試合も見ていたが、お互いに弱点をつきあう魔法戦になっていた。この試合でも、体力では勝っている里中が、天城に削りあいで負けていた」

千枝「はい・・・」

ラハール「貴様等一回戦敗退組に共通するのは、アホであるということだ」

陽介「関係なくね・・・?」

番長「それが、さっきラハールと話してたんだけど、無関係とも思えないんだ」

陽介「え、マジ?」

ラハール「ペルソナは使用者の人となりを表している。元々肉体的にそれなりである貴様等三人のペルソナは、力や耐久力、速さに優れ、知性のある天城のペルソナは魔力が極めて高い」

陽介「言われてみれば・・・確かに」

ラハール「そして、全てにおいて優れている番長の分身。イザナギは、高いバランスで全ての能力が優れている」

千枝「あ・・・!」

ラハール「こっちでの特訓もだが、貴様等三人は自分の知能もどうにか鍛えるのだな」

完二「勉強しろっつーことスか?」

番長「平たく言えばそうだな。使用者とペルソナの能力は、無関係じゃないと思う。まあ、勉強意外にも頭を鍛える方法は色々あるけど、俺達、学生だしな」

完二「うお~・・・」

雪子「じゃあ、私は筋トレとかしたほうが良いのかな?」

りせ「ムキムキの天城先輩かぁ・・・見たいような見たくないような・・・」

番長「筋トレより、ジョギングとかして体力を付けたほうがいいんじゃないかな。まずは」

千枝「あ、じゃあ、私と一緒に走ろうよ雪子。そのかわり・・・あの・・・勉強教えてください」

雪子「うん、そうだね」

クマ「クマはどうすればヨイ?」

ラハール「・・・・・・」

番長「・・・・・・・・・」

クマ「何で目を逸らすクマ!?」

316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:26:39.28 ID:iOtzMWVj0
>-夜
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「へ~。何か面白そうなことやってますね」

マリー「・・・それで、どっちが勝ったの?」

ラハール「な、何がだ?」

エトナ「番長と殿下の試合でしょ。え、まさか負けちゃいました?」

ラハール「うるさい!だ、大体奴は卑怯なのだ!開始前から力を溜めていきなりあんなペルソナを・・・!」

エトナ「うぅ~わ~、殿下負けたのか~~」

マリー「ふぅん・・・あいつ、強いんだ?」

ラハール「黙れ!奴に次の勝利はない!」

317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:27:36.63 ID:iOtzMWVj0
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「おいクマ。騒いでないでさっさと寝ろ」

陽介「まあそう邪険にすんなって。見るもん全部が新鮮なんだろ」

クマ「こっちの世界はイロイロあって楽しいクマね~。来て良かったクマ!」

ラハール「・・・そうか」

クマ「ラハールの世界にも一回行ってみたいクマ!」

ラハール「・・・・・・」

陽介「お、良いなそれ。俺も行ってみてえな」

ラハール「・・・・・・・・・そうか」

陽介「何目ぇ丸くしてんだ?」

ラハール「う、うるさい!いいからさっさと寝ろ!」

318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 13:30:31.99 ID:iOtzMWVj0
>-次回予告
>-BGM:愛したげる

フロン「突如天界を襲う魔の手!」

シシリー「な、何々?何かあったの?」

フロン「悪の魔神エトナが、魔界の猛者を率いて天界侵略にやってきた!」

シシリー「ええぇ~!?」

フロン「ごめんなさいエトナさん、貴女の野望は、私が止めてみせます!」

シシリー「それなら仕方無いね。エトナさんには死んで貰わなきゃ♪」

フロン「次回!フロン大戦!"夢のつづき"」

エトナ「・・・」

フロン「平成桜に浪漫の嵐!!」

エトナ「・・・ねえ何?二人とも、何?怒ってんの?」

シシリー「何が?」

フロン「何がですか?」

エトナ「うおぉ・・・」

331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:11:51.10 ID:Ildyny/S0
>-7/17(日) 正午
:::【テレビの中の世界】:::

ラハール「もう降参か?」

雪子「う、うん。ごめんね」

ラハール「何故謝る?」

雪子「私相手じゃ、ラハール君の練習にならないかなって」

ラハール「べ・・・別に、そんなことはないぞ」

雪子「そう?ならいいんだけど」

ラハール「それより、腹が減った。一度戻るぞ」

雪子「うん」

332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:13:15.21 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::

ラハール「おい、何をだらけている?」

陽介「俺はもう駄目だ」

雪子「調子はどう?」

千枝「ぼちぼち。せめて来週の試験範囲ぐらいはどうにかしたいんだけど」

りせ「先輩~、ここもわかりませ~ん」

ラハール「・・・奴もそっち組か」

陽介「そっちとか言うな」

完二「う~ん・・・」

ラハール「貴様は何を悩んでおるのだ?」

完二「先輩にわかんねーとこあったら聞けって言われたんスけど、どっからわかんねーのかがわかんねーんスよね」

ラハール「・・・」

陽介「俺もそんな感じだ」

ラハール「全く・・・大体陽介、貴様は別に頭が悪いわけではないのだぞ。やる気がないからそうなっているんだ」

陽介「解ってるよ。だからこの熱いなかで頑張ってるんだろ?」

番長「普段から真面目にやってれば・・・」

陽介「言うな。解ってる」

ラハール「俺様は飯が済んだらもう一度あっちの世界に行く。天城、番長、どうする?」

番長「俺は皆に付き合ってこっちに残るよ」

雪子「私はラハール君と一緒に行く」

ラハール「そうか」

陽介「あ、そだ。行くならクマも連れてけ。そろそろ今日のシフト終わるからよ。食品売場にいるはずだぜ」

ラハール「わかった」

>-各々、思い思いの時間を過ごした。

333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:15:46.28 ID:Ildyny/S0
>-7/23(土) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

千枝「終わったね~・・・」

陽介「ああ・・・終わったな。つか、前の試験の時も同じこと言ってなかったっけ?」

千枝「さすがにこないだより出来たもん・・・」

りせ「先輩のおかげで補習だけは免れたはず!」

完二「マジかよ。俺ぁさっぱりだったぜ」

クマ「なんかヨースケ達暗いクマね?」

ラハール「放っといてやれ」

番長「・・・そっとしておこう」

陽介「そういや、モロキンの件って進展あったのか?」

番長「わからない。堂島さん、そういうことは話してくれないから」

雪子「進展なかったらどうしようか?」

直斗「何もする必要はありませんよ」

ラハール「!」

番長「お前は・・・」

直斗「諸岡さん殺しの件で、警察は犯人の特定に至ったようです。近々指名手配する予定らしいですよ」

ラハール「・・・何?」

番長「犯人の特定に至ったって・・・それなら、どうしてこんなところにいるんだ?」

直斗「捜査の必要が無くなった以上、もう僕は用はないそうなので・・・犯人が特定されたことを、あなた方にお教えしようと思いまして」

番長「・・・その様子だと、随分無碍に扱われているみたいだな」

直斗「・・・!・・・とにかく、あなた方のお遊びもこれまでということです」

りせ「お遊び?何よそれ!」

番長「りせ、落ち着け」

りせ「でも・・・!」

直斗「・・・失礼、では」

334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:17:33.61 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・

陽介「何なんだ?あいつ」

ラハール「番長、どう思う?」

番長「・・・彼も、寂しかったんじゃないかな。随分頑張っていたみたいだけど、堂島さんの口ぶりからすると、警察からはあんまり快く思われていないみたいだったから」

ラハール「アホ。奴のことなんかじゃない」

番長「・・・犯人の特定に至った」

ラハール「ああ」

番長「なんか、変だよな」

ラハール「そうだな」

雪子「変?」

ラハール「こっちの世界で事に及んだとしても、今回の件で足がつくことはない。俺様はそう思っていた」

陽介「な、なんでだよ?」

ラハール「事件の犯人は極めて周到だ。天城も、完二も、りせも、誰一人その存在を知覚すらせずに誘拐された」

番長「そうだな。今回の犯行は、今までの犯行と比べて粗が目立つ。マヨナカテレビでの予告もなく、警察にも証拠を掴まれた」

ラハール「今まで全く足がつかずに誘拐を繰り返してきた奴にしては、少し・・・な」

番長「単なる模倣犯か、何か事情があって証拠が残る形で今回の犯行に及ぶことになった同一犯か・・・今の状況じゃ判断出来ないな」」

『お兄ちゃん!』

>-・・・何だ?
>-・・・今の・・・
>-・・・わからない。

ラハール「どうした?」

番長「いや・・・・・・なんでも、ないんだ。とにかく、俺達は一応、マヨナカテレビのチェックだけはしようか」

335: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:19:26.54 ID:Ildyny/S0
>-7/26(火) 夜
:::【マヨナカテレビ】:::

ミツオ『みんな、僕のこと見てるつもりなんだろ』

ミツオ『みんな、僕のこと知ってるつもりなんだろ』

ミツオ『それなら、捕まえてごらんよ』

>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「今のは・・・」

陽介「クマ、どうだ?」

クマ「これは・・・さっきの子の抑圧してる気持ちに、あっちの世界が共鳴して起きてる現象クマね」

ラハール「つまり、今の奴は既にあっちの世界ということか?」

クマ「そうクマ」

ラハール「・・・どういうことだ・・・?」

336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:24:19.55 ID:Ildyny/S0
>-7/27(水) 夏季休暇開始 朝
:::【ジュネス・フードコート】:::

千枝「やっぱり、昨日マヨナカテレビに映ってた奴が、今までの事件の犯人?」

ラハール「・・・」

陽介「捕まえてごらんよとか言ってたもんな」

番長「・・・まだ、わからない」

陽介「なんでだ?」

番長「法則が崩れていないんだ」

陽介「法則?」

雪子「もしかして、テレビに映っていたってこと?」

番長「・・・多分だけど」

ラハール「説明しろ。容量を得ん」

番長「モロキン殺しの犯人、報道されたろ?高校生の少年って」

ラハール「それが奴だと?」

番長「推測なんだけど・・・そうだとしたら、テレビで報道された人物っていう、今までの連続誘拐事件の被害者の法則に当てはまるんだ」

雪子「つまり、昨日映った人は今までと同じ、事件の被害者?」

番長「モロキン殺しの事件の犯人であり、連続誘拐殺人事件の被害者ってことになる。ただ、もちろん昨日の奴が連続誘拐殺人事件の犯人だっていう可能性もある」

陽介「どっちにしても、被害者ならとりあえず助けて警察に引き渡す。犯人なら捕まえて警察に引き渡す。行くしかねえだろ」

番長「・・・そうだな」

ラハール「・・・」

番長「クマ、昨日より前、一昨日とかにマヨナカテレビに映っていた、ぼんやりとした人影については、何かわかったか?」

クマ「はっきりとしたことはクマにはわからんクマ。ただ、シャドウみたいに大きな力を持ってるわけじゃないようには見えるんだけど・・・ぼんやりとしてて、よくわからんクマね」

番長「ぼんやりとしてて・・・か。やっぱり、被害者が入れられる前に移る映像については、犯行予告という線がまだ外せないな・・・だとすると」

ラハール「行くぞ」

番長「ああ」

337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:26:34.54 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・
:::【ボイドクエスト・1F】:::

ラハール「(・・・俺様が前に出ると前衛が多いな)」

完二「おいクマ、離れてても先輩等の場所がわかるって本当かよ?」

クマ「クマをみくびらないで欲しいクマね!鼻は確かに利かなくなってきたけど、それぐらいなら朝飯前クマ!」

雪子「なんか楽に進めるね」

ラハール「・・・シャドウ共も確実に強くはなっている。訓練したからだな」


>-・・・・・・
:::【ボイドクエスト・3F】:::

『・・・』

>-まただ・・・
>-今のは・・・
>-・・・喋っていない菜々子?
>-何でそんなもの頭の中に・・・
>-・・・わからない。
>-最近、多いな・・・

陽介「どうしたんだ?ぼーっとして」

番長「いや・・・なんでもないんだ」

りせ「・・・あっちのチームが階段見つけたみたい」

千枝「お、じゃあ合流しますか」

>-手分けして効率良く進み続けた。

338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:27:55.16 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・
:::【ボイドクエスト・10F】:::

ラハール「・・・いたな」

ミツオ「どいつもこいつも、気に食わないんだよ!」

ミツオのシャドウ『・・・』

ミツオ「たった二人じゃ誰も俺を見ようとしない。だから三人目をやってやった!」

ラハール「(三人目・・・そしてシャドウ。決まりだな)」

ミツオ「オレが・・・殺してやったんだ!」

ミツオのシャドウ『・・・』

ミツオ「何黙ってんだよ!」

ミツオのシャドウ『何も・・・感じないから・・・』

ミツオ「何言ってんだ?意味わかんねえんだよてめえ!」

ミツオのシャドウ『僕には・・・何も無い・・・僕は、無だ・・・そして、君は僕だ・・・』

ミツオ「何言ってんだ!?俺は無なんかじゃ・・・」

ラハール「番長、先手を打つぞ」

番長「待ってくれ。情報が欲しい」

ミツオ「なっ!なんだお前等!何なんだよ!こんなとこまで何しに来たんだ!」

完二「てめえをとっ捕まえに来たに決まってんだろが!」

千枝「あんたが・・・犯人なの!?」

ミツオ「はは・・・あははは!そうだよ!俺が犯人だ!誰も俺を見ようとしない!だからどいつもこいつも殺してやったんだ!」

番長「・・・これで、動機もおぼろげに見えてきたな」

ラハール「何・・・?」

ミツオ「偽者が何言おうが知るかよ!そうだ、お前なんか関係ない!」

ラハール「(シャドウは奴の本心・・・だが、動機?どういうことだ?)」

ミツオ「俺の前から消えうせろ!」

ミツオのシャドウ『・・・認めないんだね。僕を』

ゴッ

ミツオ「うっ、なんだ、これ・・・!」

番長「話は後だな。行くぞ!」

339: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:29:53.05 ID:Ildyny/S0
ミツオのシャドウ『アァァア!』

>-キャラメイク

ミツオのシャドウ『僕は・・・影・・・』

陽介「な、なんだこりゃ?」

番長「りせ、分析を頼む」

>-カッ

りせ「・・・見えた。本体は最初に出てきた小さいの。今のこれはただの殻だよ」

雪子「これを崩さないと、本体にダメージを与えられない?」

りせ「うん」

シュウウウウ・・・

陽介「ラ、ラハール!?なんだその剣!」

ラハール「全員、最大の一撃を叩き込む準備をしろ」

番長「スルト!」

>-カッ

ラハール「フン・・・貴様は言われるまでもないようだな」

陽介「お、おい。準備って?」

ラハール「いいからさっさとやれ。今から俺様が、あのデカイ外側の全域にダメージを叩き込んで一発でぶち壊す。その隙に全員で中身を仕留めろ」

完二「先輩、こっちもいいっスよ!」

クマ「いつでも来いクマ!」

雪子「コンセントレイト!」

>-カッ

ラハール「・・・こっちのチームは順応が早いぞ」

完二「先輩の言う事聞いてりゃ間違いねえスからね」

千枝「私もいつでもいいよ!」

ラハール「・・・・・・花村」

陽介「待て待て、俺だっていつでもいいって!」

ラハール「全く・・・」

>-大次元斬『一閃』

番長「今だ!行くぞ!」

陽介「おう!」

>-カッ

ミツオのシャドウ『・・・アァァ』

>-ささやき

陽介「まだ倒れないのかよ!?」

ラハール「チッ・・・」

ドンッ

>-月華・闇夜斬り

番長「駄目押しだ。スルト!」

>-カッ

>-ラグナロク

340: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:32:34.41 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・

陽介「おいおい、最後の、ラハールに当たるとこだったんじゃねえか?」

番長「大丈夫。ちゃんと狙ったし、最悪狙いがそれてもラハールなら避けるよ」

ラハール「無茶を言うな。全ての魔力を使い切って、そんな余裕はなかったぞ」

番長「・・・危なかったなー・・・」

陽介「おいおい・・・」

ミツオ「・・・?」

陽介「あ、気がついたか?」

ミツオ「何だよ・・・これ・・・お前等、何なんだよ!」

番長「お前の話を聞きに来たんだ」

ミツオ「話・・・?」

陽介「警察がお前を追ってるんだ。モロキン殺しの犯人・・・それから、前の二件もお前だろうってな」

完二「てめえが全部やったのか?」

ミツオ「全部・・・全部、俺・・・あはは、そうだよ!俺だよ!」

完二「畜生・・・!こんな野郎に・・・!」

ラハール「待て完二」

ミツオ「諸岡の野郎だけじゃない・・・頭悪そうな女子アナも、小西とかいう女も!全部俺がやったんだよ!俺が、全部だ!」

ミツオのシャドウ『・・・』

シュウウウウ・・・

りせ「消えた!?」

千枝「な、なんで!?」

ミツオ「はは・・・化け物め、消えやがった!ざまあみろ、チクショウ!」

ラハール「・・・」

ミツオ「うっ・・・」

完二「おい!」

りせ「かなり消耗してる。とにかく、早く連れ出さないと」


>-・・・・・・
:::【ジュネス・屋外】:::

>-呆然としていた久保美津雄を、警察に引き渡した。

千枝「これで、終わり・・・?」

りせ「・・・なんか、釈然としないね」

完二「やった理由もわけわかんねーし、んだよありゃ・・・!」

番長「皆、話がある。これからウチに来ないか?」

りせ「先輩の家!?行きたい!」

陽介「菜々子ちゃんもいんのか?」

番長「うん」

陽介「じゃあ調度良いや。今日は期待の新人もいることだし、付けようぜ、決着」

千枝「決着?」

341: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:35:05.59 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

エトナ「オラ、出来たわよ。ったく何でこんなしょうもないことに呼ばれなきゃなんないのよ」

陽介「エトナさん前に【乗った!】って言ってくれたじゃないすか」

エトナ「あぁ?ん~な前のこと忘れたわよ!」

ラハール「・・・文句を言う割には、きちんと作っているではないか」

エトナ「い、いいでしょ別に!」

ラハール「別に悪いとは・・・しかし何かと思えば、料理勝負か。あんな下らん話をまだ覚えていたとはな」

陽介「そんなん口実だよ。お前も食いたいだろ?りせちーの手料理」

ラハール「は?」

千枝「・・・!」イラッ

千枝「(・・・何でいらっとしたんだろ・・・?)」

菜々子「ねえ・・・!」

ラハール「どうした?」

菜々子「ほ、本物のりせちゃんだよ・・・!?」

ラハール「あ、ああ。そうだな」

りせ「よろしくね、菜々子ちゃん」

菜々子「は、はい・・・!///」

ラハール「(こういうところは年相応・・・か)」

完二「早く食いましょうよ」

クマ「クマもう待てないクマ!」

雪子「じゃあ私のから食べて」

ラハール「・・・あむ・・・」

雪子「ど、どうかな?」

ラハール「・・・普通だ」

番長「・・・本当だ・・・!」

>-感動だ・・・!

陽介「マジだ。これ普通だ。美味くも不味くもない、普通だ。毒物カレー殺人未遂の前科があるから警戒してたけど」

雪子「普通か~・・・」

ラハール「・・・まあ、大した進歩ではないか」

雪子「ほんと?」

菜々子「美味しいよ!これ」

雪子「菜々子ちゃん・・・!」

342: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:39:25.31 ID:Ildyny/S0
千枝「よし、次はアタシの!」

マリー「ん・・・お、不味い」

クマ「う~ん、不味い!」

千枝「不味い!?」

ラハール「ああ、普通に不味いな。器用なものだ。作ろうと思っても難しいものだぞ。普通に不味いものは」

千枝「マズイを連呼しないで・・・」

菜々子「んっ・・・これも、美味しいよ!」

千枝「菜々子ちゃん・・・!」

雪子「あ、本当だ。普通に不味い!あはは!」

千枝「ちょっと、笑うとこ!?」

りせ「じゃあ次は私!」

千枝「ほら花村、食べてみなさいよ。食べたかったんでしょ?」

陽介「聞いてたのかよ・・・食うのはいいけどこれ、なんか赤い煙がさ・・・」

千枝「いいから!」

陽介「よ、よし・・・っ!」ガッ

バタッ

千枝「花村ーッッ!?」

番長「うっ・・・こ、これは・・・」

ラハール「・・・どうした貴様等。辛いが、悪くないではないか」

エトナ「まあ、アタシ達からしたらそうですね。けどこれ、人間の舌にはちょっと合わないと思いますよ?」

りせ「そ、そんなことないもん!」

完二「辛っ!!げほっ、げほっ!」

エトナ「ほら」

ラハール「お~・・・」

菜々子「・・・!」

エトナ「あ、ちょ待ちなさい菜々子ちゃん!」

菜々子「うっ・・・!・・・か、辛いけど、お・・・おいしいよ?」

りせ「菜々子ちゃん・・・!」

エトナ「菜々子ちゃんスゲーわ・・・」

マリー「私はやめとこ」

エトナ「そのほうが良いわよ」

343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:43:11.79 ID:Ildyny/S0
番長「次は俺だな」

陽介「待ってました!」

千枝「復活早いな」

陽介「相棒のなら間違いはねえだろ!」

千枝「まあ確かに」

菜々子「んっ・・・美味しい!すっごい美味しい!全部美味しいけど、これはすっごく美味しいよ!」

ラハール「む・・・!」

エトナ「お~、やるじゃんアンタ」

マリー「・・・君、料理とか出来たんだ?」

番長「まあ、嗜む程度に」

陽介「そんなレベルかよこれ!なんかこう、ちゃんとしたレストランでシェフが作ったみたいな出来じゃね?ふわっふわでとろっとろで!」

クマ「さっすがセンセイ!最高クマ!」

完二「あ、クマ公!テメ食いすぎだコラ!」

エトナ「最後はアタシか。番長の後だと、ちょっと気が引けるけど」

番長「これは・・・シンプルだけど、美味しい」

菜々子「あ、美味しい!ほんとに美味しい!」

りせ「ほんとに?・・・菜々子ちゃん見捨てないで・・・?」

菜々子「あ、えと、りせちゃんのも美味しかったよ?」

マリー「へえ、普通に美味しいじゃん。エトナ、料理とか出来るんだ?」

エトナ「まあ、魔界じゃ殿下のエサ係はアタシかフロンちゃんだったしね」

番長「ラハール、どうだ?」

ラハール「・・・・・・一番、落ち着く・・・味だ。ど、どうでもいいだろ俺様のことは!!」

エトナ「・・・殿下・・・」

番長「良かったですね。エトナさん」

エトナ「・・・・・・・・番長君、後でベルベットルームにいらっしゃい?一人でね」

番長「え、いや、あの・・・は、はい」

>-皆と楽しく過ごした。

344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:47:23.78 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・

エトナ「じゃ、アタシ達帰ります。殿下、皆に迷惑かけないようにしてくださいね?」

ラハール「馬鹿言ってないでさっさと帰れ!」

菜々子「エトナさん、帰っちゃうの?」

エトナ「な~に?皆いるから寂しくないでしょ?お兄ちゃん達これから大人の話するんだから、邪魔しちゃ駄目よ?」

菜々子「う、うん・・・」

エトナ「・・・ん~、じゃちょっと帰る前に、一緒に庭で野菜のお手入れしようか」

菜々子「いいの?」

番長「いいんですか?」

エトナ「別にアンタ等のためじゃないわよ。菜々子ちゃんのため」

番長「すいません。じゃあ、お願いします」

エトナ「はいはい。ほら、おいで」

菜々子「うん!」

マリー「じゃ、私も一緒に」

エトナ「あ、番長君?後でね??」

番長「いや、あの、だから・・・はい」

マリー「また・・・呼んでね?」

番長「うん」

345: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 03:50:43.49 ID:Ildyny/S0
>-・・・・・・

ラハール「さて・・・話してもらおうか、番長。貴様の考えを」

番長「うん」

陽介「真面目な話といきますか」

雪子「けど、考えって?もうあの言い方、犯人だとしか思えないけど」

番長「久保はモロキン殺しの犯人。これについては間違いないと思う」

陽介「・・・その言い方、まるで今までの事件は違うって言ってるみたいだな」

番長「俺はそう思ってる」

千枝「え?けど、久保が自分で言ってたじゃん。全部俺がやったって」

完二「そっスよ」

ラハール「あれは嘘だ」

りせ「嘘?」

ラハール「そもそも、奴が今までの事件の犯人であれば、シャドウが出る訳がないのだ」

陽介「えぇ?」

ラハール「犯人は、被害者をテレビの中に入れることが可能な・・・ペルソナ使い。今までの見立てではそうだろう。奴の存在に気圧されて、肝心なことを忘れてはいないか?」

陽介「そ、そうか・・・」

ラハール「無論、根拠はそれだけではない。クマ、何故奴のシャドウが消えたのか、貴様ならわかっているのではないか?」

クマ「それは、アイツの本心を、アイツが受け入れなかったからクマね」

ラハール「やはりそうか。つまりは、全部奴がやったというのは嘘だったということだ。だが、マヨナカテレビでの【捕まえてごらん】という発言も奴のシャドウのもの、これも本心。このことから、少なくとも奴がモロキンを殺した犯人であるということも解る」

陽介「なるほど・・・」

ラハール「もう一つあるぞ。奴はモロキンのことを【三人目をやってやった】と言っていた。奴が本当に一連の事件の犯人なら、ありえん発言だ」

陽介「そ、そうか!」

完二「どういうことスか?」

陽介「山野アナと小西先輩、殺害されることで世間に広く知られた被害者は二人だけど。事件の被害者はこの二人だけじゃないだろ?」

雪子「・・・私達、だね」

完二「あっ・・・!」

346: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 04:02:02.58 ID:Ildyny/S0
陽介「お前の言ってることは解ったよ。けど、なんで久保はあんな嘘をついたんだ?」

ラハール「・・・問題はそれだ。俺様にはそれだけがどうしても解らなかった」

陽介「そうか・・・相棒はどうだ?」

番長「久保はきっと、自分を見て欲しかったんだと思う」

雪子「自分を?」

番長「モロキン殺しは多分、衝動的な犯行か、もしくは何かモロキンに個人的な恨みがあって行われたものだと思う」

陽介「ま、モロキン確かに、人の恨みは買ってそうな奴だったしな・・・」

番長「そして久保は、誰かに自分を見て欲しかったんだ。元々、どこか情緒に不安定なところのある奴だったんじゃないかな。どんな形でもいいから、誰かに自分を見て欲しい、誰かが見ていてくれないと落ち着かない。そんな気持ちばかりだったんだ。本心では、自分のことを空っぽな奴だと思っていながらも・・・それで、連続殺人の模倣として、モロキンを逆さ吊りにした。自分が連続殺人の犯人だという嘘をつくために」

ラハール「・・・」

番長「その後、モロキンを殺した少年として指名手配予定である報道がテレビで流れたことで、久保は連続殺人の犯人に目をつけられ、今回誘拐されてテレビの中の世界に入れられた。後は、皆が知ってる通りだ」

クマ「空っぽ・・・アイツも、空っぽだったクマね」

りせ「自分を、見て欲しかった・・・か」

番長「先生を殺したことは許されることじゃないし、久保はそのことについて法の裁きを受けるべきだ。けど、嘘をつきたくなる気持ちのほうだけは・・・わからないでもないんだよな。もちろん方法は間違っちゃいけないけど、自分を見てもらえないことほど、辛いことはないから・・・」

陽介「・・・ああ、そうだな」

完二「・・・」

番長「ラハール、納得したか?」

ラハール「・・・正直、俺様には理解出来ん。だが、貴様等が納得したのなら・・・それで良かろう。そういうものだと思っておいてやる」

番長「そっか」

>-・・・・・・

番長「今回の件で、一つはっきりしたことがあるな」

ラハール「・・・犯人の目星でもついたか?」

番長「具体的な犯人像が、少し見えてきていると思う」

雪子「犯人像?」

番長「ああ。久保がモロキンを殺害したことは、一部の警察関係者しか知らないことだ」

陽介「じゃ、じゃあ、犯人は警察官ってことか?それって、サスペンスとかだと最悪のパターンじゃん」

番長「その可能性もあるな。とにかく何らかの形で久保のことを知ることが出来る立場の人間。これが一つの具体的な犯人像だ。政治的な権力者、警察への協力者や、マスコミの関係者。別に警官じゃなくても、久保のことを知る方法はいくつか考えられる」

陽介「そ、そうか・・・」

>-しばらくの間、皆と事件のことについて話した。

347: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 04:04:38.76 ID:Ildyny/S0
>-次回予告
>-BGM:I'll Face Myself- Battle

完二「八十稲羽高校、そこは、日本屈指のワル共が集まる不良達のメジャーリーグ」

直斗「えぇ!?」

完二「汗と涙と喧嘩の果てに、ヤンキー達はお互いを理解し合っていく!」

直斗「そ、そうなんですか・・・?」

完二「そんなヤンキー達の笑いあり笑いあり、おまけにもう一つ笑いありの日常巨編!」

直斗「(転入、考えなおしたほうがいいかなあ・・・?)」

完二「魁!!八十稲羽高校!次回からよろしくな!」

フロン「学校生活は覗き見してませんでしたけど、なんだか大変そうですねえラハールさんも。不良達のメジャーリーグだそうですよ」

シシリー「覗き見?」

フロン「あ、覗きじゃありませんでした。監視ですね監視」

358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:07:25.64 ID:uKNtf3O30
>-8/1(月)
:::【鮫川河川敷・川原】:::

>-皆で釣りに来た。

ラハール「・・・何を笑っとるんだ?」

エトナ「いやー、ちょっとさっき面白いことがありまして」

マリー「や、やめてってば」

ラハール「?」

陽介「釣りなんてガキの頃以来だぜ」

完二「こないだは食う時だけいましたもんね」

りせ「ここって何が釣れるんですか?」

番長「色々だけど・・・何を釣りたい?」

クマ「はいはーい!クマねー、イセエビ釣りたい!」

番長「それはちょっと無理だな」

菜々子「菜々子、イワシ釣る!」


:::【魔界】:::

ヴァルバトーゼ「!」

フェンリッヒ「あの、閣下?どうなされました?」

ヴァルバトーゼ「わからん。何かに呼ばれたような気がしたのだが」

フェンリッヒ「(最近閣下が変だ・・・)」


番長「イワシも無理かな」

菜々子「どうして?この前は釣れたよ?」

番長「この前は海だったからね。この川にはいないんだ」

菜々子「?」

千枝「旬じゃないとか?」

雪子「千枝。そもそも、イワシは海にしかいないよ?」

千枝「海にしかいない?そんなのあるの?」

陽介「あー、なんかあんじゃね?塩水にしか住めないみたいな」

千枝「え?なんで?」

陽介「さあ。魚には魚の都合があるんじゃね?」

番長「川に住む種類のイワシもいるにはいるんだけど、ここにはいないかな」

359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:09:46.35 ID:uKNtf3O30
ラハール「おい、さっさと始めるぞ」

番長「あ、うん。じゃあ餌を付けようか」

陽介「餌には何使うんだ?」

番長「これ」

千枝「うわ、虫じゃん」

りせ「菜々子ちゃん虫平気なの?」

菜々子「菜々子平気だよ?」

番長「虫が無理な人は、こっちの小魚とか小さいエビでもいいよ。ここだと虫のほうが食いつきは良いけど」

千枝「あたし断然そっち!」

雪子「私は虫でもいいかな」

陽介「俺もどっちかというと虫じゃないほうがいいかな・・・」

クマ「クマも!」

千枝「あれ?っていうか、こないだ食べた魚も虫で釣ったんだよね。つまり中の虫ごと・・・?」

陽介「そ、そういえば・・・」

番長「いや、さばく時に内臓とかは取ってるから」

ラハール「虫ごと食ったら何か不都合があるのか?」

陽介「いや不都合っつーかさ・・・」

エトナ「殿下、ちょっとは人間の気持ち考えてみましょうよ」

ラハール「何故だ?タンパクが豊富ではないか」

エトナ「うわ・・・」

『私も混ざりた~い!』

エトナ「・・・・・・」

ラハール「どうした?」

エトナ「いえ、何でも無いです。ほっときましょう」

『ぬおぅ!しょんなこと言わずに構って下さいよエトナさん!』

エトナ「うっさいわよ!仕事しなさい!」

菜々子「誰と話してるの?」

エトナ「ただの馬鹿よ。気にしなくて良いの」

菜々子「?」

360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:11:51.35 ID:uKNtf3O30
完二「っしゃー!」

雪子「おおー・・・完二君うまいね」

完二「まあ先輩の見よう見まねっスけどね。今日は釣るぜ~」

番長「完二、悪いけど、不慣れな人たちの補助も頼めるか?」

完二「あ~、良いっスよ」

菜々子「お兄ちゃん!」

番長「今行くぞ!」

りせ「先輩!」

番長「よし、完二、りせを頼む」

りせ「え~!?」

クマ「センセータスケテー!!」

番長「よし、自分で何とかしろ」

クマ「セ、センセー!?」

ラハール「・・・貸してみろ」

クマ「おおう、ラハール、中々やるクマね~。クマ彫れちゃいそう」

ラハール「死ね。次は自分でやれよ」

クマ「ヨシキター!」

361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:14:37.58 ID:uKNtf3O30
>-・・・・・・

陽介「くっ・・・なんで俺だけこんなに釣れないんだ・・・?」

マリー「あ、またきた」

陽介「マリーちゃん、なんかさっきから調子良いね?ちょっと俺と場所替わってみない?」

マリー「・・・いいけど」

陽介「・・・」

マリー「・・・あ、きた」

陽介「何でじゃああ!」

エトナ「要領が悪いのよ。アンタ引いてても気付かないでエサだけ持ってかれてんでしょ」

ラハール「・・・貴様はこんなとこでも落ちこぼれか」

陽介「落ちこぼれとか言うな!」

りせ「ちょっと完二、これどうすんの!?」

完二「だからさっき言っただろが!」

りせ「いいから手伝ってよ!」

完二「だー!」

千枝「おおっ!この引きは今日一番の大物の予感!」

番長「・・・いや、それ」

ザパッ

千枝「・・・長靴だ」

番長「・・・長靴だな」

雪子「た、確かに大物だよ千枝!あはは!」

千枝「ああ、泥が詰まってたから重かったんだ・・・」

雪子「大物!大物!」

千枝「相変わらず雪子のツボはよくわかんないな・・・」

クマ「釣れたクマー!今日のクマは絶好調クマよ!」

菜々子「・・・」

ラハール「・・・どうした?ぼけっとしてると魚に逃げられるぞ?」

菜々子「皆、楽しそう!」

ラハール「・・・・・・ああ、そうだな」

>-皆と楽しく過ごした。

362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:16:18.56 ID:uKNtf3O30
>-8/6(土) 雨
:::【八十稲羽商店街】:::

菜々子「・・・」

スッ

ラハール「おい、傘もささずに何をやっとるんだ?」

菜々子「あ、ラハールさん・・・」

ラハール「どうかしたのか?」

菜々子「う、ううん、大丈夫。傘ね、あげちゃった」

ラハール「あげた?」

菜々子「・・・」

ラハール「チッ・・・わかった。家まで送ってやる」

菜々子「ほんと!?」

ラハール「さっさと行くぞ」

>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

ラハール「む・・・なんだ、番長は留守か?」

菜々子「うん、最近、お兄ちゃん・・・あんまり家にいないんだ。夜も遅いし」

ラハール「・・・」

363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:19:37.23 ID:uKNtf3O30
>-8/7(日)
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「ふ~ん」

ラハール「ふ~んって貴様・・・そ、それだけか?」

エトナ「それだけかって、番長にも色々あるんでしょ。大方ワイルドの力を上げるために誰かとの絆でも深めてるんじゃないですか?アタシ達にゃ理解出来ない話ですけど」

ラハール「そうかもしれんが・・・あまり菜々子の奴を家に一人にしておくのは感心せん」

エトナ「そうは言っても、いっつも菜々子ちゃん連れ回すってわけにもいかないでしょ?」

ラハール「・・・貴様、随分奴の肩を持つではないか」

エトナ「んーなことないですよ。つか、殿下のほうこそ菜々子ちゃんの肩持ちすぎなんじゃないですか?」

ラハール「べ、別にそんなことはないだろ!」

エトナ「じゃーアタシだってそんなことないですよ」

マーガレット「・・・夫婦喧嘩は犬も食わないわよ」

ラハール「だ、誰が夫婦だ!」

エトナ「アンタ、死にたいのかしら?」

マーガレット「あら、今の貴女に私をどうこう出来る力があるとは思えないわね」

エトナ「ぐっ・・・!」

マーガレット「がたがた言ってる暇があったら、あなた達でその子に構ってあげればいいのではないかしら?」

エトナ「・・・なるほど」

ラハール「・・・その発想はなかったな・・・」

マーガレット「(・・・世話の焼ける夫婦だこと)」


>-・・・・・・
:::【堂島家・庭】:::

菜々子「よい、しょ」

エトナ「やっほー」

菜々子「あ、エトナさん!ラハールさんも!」

ラハール「何をしとるんだ?」

菜々子「あのね、庭のお野菜のお手入れしてるんだ!」

エトナ「手伝うわよ」

菜々子「うん!」

ラハール「馬鹿馬鹿しい・・・俺様は手伝わんぞ」

菜々子「一緒に、しないの・・・?」

ラハール「む・・・」

菜々子「・・・」

ラハール「わ、わかった。やればいいんだろ!?」

>-・・・・・・

ラハール「何やら妙な野菜ばかりだな・・・」

364: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:22:28.05 ID:uKNtf3O30
>-8/14(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::

番長「久保美津雄の容疑が固まったみたいだ」

ラハール「!」

陽介「それで、どうなったんだ?」

番長「モロキンの服からとれた指紋と久保の指紋が一致したみたいで、モロキン殺しは確定。これまでの連続殺人についても、久保の犯行だろうということで警察では処理するみたいだ」

千枝「え?」

雪子「け、けど、番長君とラハール君の見立てでは・・・」

ラハール「・・・」

番長「うん・・・警察としては、これまで事件に進展がなかったことで体裁が悪いらしくて、どうしても同一犯ということにして解決扱いにしたいみたいなんだ。ただ、堂島さんは違うんじゃないかと思ってるみたいだったけど」

りせ「何それ?」

完二「使えねえ奴等だぜ・・・」

陽介「まあ、元々警察だけじゃ無理だろうって俺達が始めたことだしな。俺達はこれまで通りってわけだ」

番長「そうだな。今のところ犯人に動きはないみたいだけど、今後も注意しておこう」


>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
>-エトナさんとマリーも呼んだ。

マリー「ふう・・・外暑すぎ」

クマ「そうクマね~・・・」

ラハール「おい、脱いでもいいか?」

陽介「なんか久々だなそれ。もちろん駄目だ」

雪子「え、ぬ、脱ぐ!?」

千枝「何に食いついてんのよ・・・」

エトナ「殿下はだらしないですね~相変わらず」

ラハール「やかましい!貴様は涼しそうな格好だからいいのだろうが、俺様はいろいろ着せられて暑苦しい思いをしとるのだぞ!」

エトナ「いいじゃないですか殿下もいつもの格好してれば」

陽介「補導されるから勘弁してください・・・いや、待てよ?涼しい格好になれるとこ、行くか?」

ラハール「は?」

番長「行くか?」

陽介「おう、行こうぜ」

365: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:25:09.04 ID:uKNtf3O30
>-・・・・・・
:::【沖奈市・海岸】:::

菜々子「海だー!」

りせ「プライベートで海なんていつ以来だろ・・・」

菜々子「りせちゃん眩しいの?」

りせ「あ、ううん違うの。サングラスでもしてないと大騒ぎになっちゃうから」

菜々子「?」

陽介「りせちーの生水着・・・生きてて良かった・・・!」

ラハール「アホか・・・」

エトナ「やっぱ殿下はそんな感じの格好のほうが違和感ないですね」

ラハール「そういう貴様は普段着と大して変わらんな」

マリー「・・・」

エトナ「何縮こまってんのよ?」

マリー「いや、恥ずいし・・・」

千枝「急にこんなとこまで来るとは思ってなかった・・・」

雪子「いいじゃん。なんか楽しいよ」

千枝「や、まあね」

陽介「おいお~い、りせちーだけじゃなく、その他も悪くないじゃん?」

完二「・・・」

陽介「完二、鼻血はやめとけよ?」

完二「う、うっせ!誰がそんなもん出すか!」

番長「菜々子に日焼け止め塗ってやってくれませんか?」

エトナ「はいはい、菜々子ちゃんおいで~」

菜々子「は~い」

クマ「エトナチャン!クマにも!」

エトナ「死ね」

クマ「エェ!?」

番長「あとで俺にもお願いします」

エトナ「ぶっ殺すわよ?」

りせ「先輩、むしろ私に塗ってください!」

番長「いや、マリーとかに頼めばいいんじゃないか?」

りせ「えぇ~!?」

陽介「・・・いつも思うけど、なんであいつりせのことああやってかわすんだ?最高じゃん、塗れよ」

完二「いや知らねーよ」

陽介「・・・ちょっと後で探り入れてみるか」

366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:27:50.85 ID:uKNtf3O30
>-・・・・・・

菜々子「砂のお城作ろ!」

エトナ「って言ってるわよマリーちゃん」

マリー「え、私?」

菜々子「エトナさんも!三人で!」

エトナ「えぇ~?まあいいけど、アタシが参加するからにはガチでやるわよ?」

菜々子「ガチ?ってなーに?」

エトナ「本気でってこと」


完二「おい、テメーは泳いでこねぇのか?」

りせ「いや、サングラス外せないしね。そういうアンタこそいいの?」

完二「なんか来ただけで満足しちまった。こういうことって今までなかったしな」

りせ「・・・ふ~ん・・・」


陽介「第一回、最高の水着姿決定戦!」

クマ「うおおお!」パチパチパチ

番長「・・・」

ラハール「・・・」

陽介「つーわけで、お前等ぶっちゃけどうよ?」

番長「菜々子が一番可愛いと思う」

陽介「ま、まじで?それはちょっと問題発言なんじゃ・・・」

ラハール「・・・どいつもこいつもどうでもいい」

陽介「それもそれで問題だぞ」

クマ「クマは皆可愛いと思うクマ!」

陽介「ああ、まあお前はそうだよな・・・」

番長「そういう陽介はどうなんだ?」

陽介「そりゃお前りせちーだろ!あのはち切れそうな胸!扇情的な腰とくびれ!」

番長「・・・」

ラハール「・・・」

クマ「・・・ヨースケちょっと気持ち悪いクマ」

陽介「お前にだけは言われたくねえ!」


千枝「ぶはっ!!・・・素潜り12分か・・・」

雪子「千枝凄い潜れるんだね。よく息続くなあ」

ラハール「おい、飯にするぞ」

雪子「あ、はーい、今行く」

367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:29:35.36 ID:uKNtf3O30
>-・・・・・・

千枝「ん~、ラーメン、焼きそば、カキ氷!海って感じですなぁ」

陽介「それで海を連想するって・・・お前はやっぱり食い気なのな」

千枝「やっぱりってどういうことよ?」

雪子「千枝、そういうことだよ」

千枝「それはもういいってば!」

???「HA~HA~HA~!」

???「O~H!ゴードン素敵!」

エトナ「で、殿下アレって・・・」

ラハール「見るな。目を合わすな」

番長「知り合いか?」

ラハール「いや、知らん」

エトナ「そうね」

クマ「はぐ!はぐ!」

マリー「ちょっと、落ち着いて食べなよ」

クマ「ン~!」

りせ「完二、がっつくとクマみたいよ?」

完二「あ・・・だな」

クマ「コラそこ!どういう意味クマ!?」

菜々子「ん・・・」

番長「菜々子もやきそば食べるか?」

菜々子「うん、一口頂戴!」

番長「はい、あ~ん」

菜々子「は、恥ずかしいよお兄ちゃん・・・///」

りせ「先輩、私も欲しいです!」

番長「いや、りせにはあげない」

りせ「そんな~!?」

陽介「(あ、あいつマジで・・・?)」

368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:32:08.64 ID:uKNtf3O30
>-・・・・・・
>-・・・砂の城を完成させた!

陽介「・・・な、なんか、凄いの出来たのな」

番長「設計はエトナさん、マリー、菜々子だ。あとは完二とりせも引っ張ってきて皆で作った」

りせ「疲れた~」

完二「だな。けどなんか面白かったぜ」

りせ「そうね~」

陽介「つかマジ凄すぎるだろ。このまま大きくすれば住めそうだぜこれ」

番長「そっちはどうだった?」

陽介「・・・察してくれ」

エトナ「何?なんかしてたの?」

陽介「いや、まあ・・・」

クマ「逆ナンクマ!」

エトナ「逆?」

陽介「ナンパですよナンパ・・・」

エトナ「逆じゃないじゃん。つーか相変わらずアホだねえ。こんな可愛い女の子達と一緒に来てんのに」

陽介「今日はイケる気がしたんですよ!けど、クマが肝心なとこで馬鹿なこと言い出して・・・」

マリー「・・・何の話?」

番長「・・・そっとしておこう」

ラハール「お、おいこれ魔王城ではないか!」

エトナ「あら殿下」

ラハール「あら殿下じゃない!何だこれは!」

エトナ「魔王城ですよ」

ラハール「貴様・・・」

菜々子「砂のお城だよ!凄いでしょ!」

ラハール「あ、ああ・・・凄いな・・・」

千枝「なんか見物してる人もいるじゃん」

雪子「凄い・・・私も一緒に作れば良かった」

エトナ「そっちは何してたの?」

千枝「スクワット!ラハール君発案で」

エトナ「こ、こんなとこまで来といてですか?」

ラハール「・・・なんだ?良いだろ別に。水中は抵抗が高いから普段より効率良く鍛えられる」

雪子「私はやってないよ?二人を見ながらのんびり泳いでただけ」

エトナ「ああそう・・・」

369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:34:56.10 ID:uKNtf3O30
>-夜

完二「買ってきましたよ~!」

番長「すまないな」

完二「いっスよこんなの。金は先輩等が出してくれたんだし」

陽介「うっしゃー!やるぜ!」

千枝「ちょっと、でかいのは後でしょ?」

陽介「最後は線香花火とか地味なので締めだろ?派手なの最初にやっとこうぜ」

千枝「言われてみればそっか」

雪子「ロケット花火だ。横に飛ばして良い?」

千枝「駄目でしょ!上に飛ばしなさい!」

菜々子「花火だ花火!りせちゃん、一緒にやろう!」

りせ「うん。あ、火には気をつけてね」

クマ「アギラオー!」

マリー「馬鹿!こっちむけんな!」

ラハール「・・・地味だな」

エトナ「ですねぇ。一丁派手にやります?」

ボッ

ラハール「・・・やるか?」

ボボッ

>-ドーン

菜々子「おっきい花火だー!」

陽介「あ、あいつら」

千枝「きれー・・・」

陽介「・・・ま、いいか」

>-皆と楽しく過ごした。

370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:36:24.36 ID:uKNtf3O30
>-8/20(土) 朝
:::【堂島家】:::

>-今日は勉強会を開くことにした。

りせ「菜々子ちゃんは、それ絵日記?」

菜々子「うん、他の宿題いっぱいあったけど、エトナさんとラハールさんが手伝ってくれて終わったんだ」

陽介「え、マジ?」

ラハール「な、なんだ貴様その目は」

陽介「ラハールも菜々子ちゃんには甘いんだな~」

ラハール「ぶっとばすぞ!」

陽介「自分の宿題はやってねーくせに」

ラハール「こんな単純作業やってられるか」

エトナ「あら、殿下宿題してないんですか?」

陽介「こいつ勉強は出来るくせに、宿題とかは全然出さないんですよ。けど、成績良いから先生達は文句言えなくて」

千枝「いいよね~ラハール君は」

陽介「や、流石に夏休みの宿題丸ごとやってなかったら何言われるかわかんねーぜ?だからやっとけって言ってんだけどよ」

ラハール「無意味だ。こんなもので知能が付くなら苦労はせん」

陽介「・・・これだ」

番長「知能は付かないかもしれないけど、やっていれば先生達からの評価は下がらないぞ」

ラハール「知るか。どうとでも評価しろ」

完二「か、かっけえ・・・!」

雪子「見習っちゃ駄目だよ?完二君の場合は宿題やればそのまま身に付くんだから」

完二「ウ~ス・・・」

371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:38:09.90 ID:uKNtf3O30
菜々子「ラハールさん、宿題してないの?」

ラハール「しとらん」

菜々子「どうして?菜々子の宿題手伝ってくれたから、時間無いの?」

ラハール「いや、別にそういう訳では・・・」

菜々子「宿題しないと、先生に怒られるんだよ?」

ラハール「いや、あのな・・・」

菜々子「・・・」

ラハール「う・・・ええい、やれば良いんだろうやれば!」

エトナ「菜々子ちゃんつえぇ・・・」

番長「だろ?」

陽介「何でお前が誇らしげなんだよ」

クマ「暇クマ~!暇クマ~!」

陽介「だから付いて来ても面白いことないっつったろ?」

クマ「皆集まるのにクマだけ仲間外れは嫌クマ~!」

陽介「んなこと言われてもなあ・・・今日で宿題全部やりきるつもりだから、遊んでる暇なんかないぜ?」

クマ「皆クマをほったらかして楽しそうに・・・クマは不幸な美少年クマ・・・!」

完二「楽しくねーつの・・・あ、先輩、この問題わかんねんスけど」

番長「ああ、それならさっきりせに教えたから聞くと良い」

完二「ウ~ス、おいりせ」

りせ「ん?どれ?ああこれね」

雪子「エトナさん、これなんですけど」

エトナ「ん~?」

千枝「エトナさんもラハール君みたいに博識なんだね」

陽介「年の功ってやつだな」

エトナ「花村、後で説教ね」

陽介「ええ!?いやあの、悪口言ってるわけじゃなくて、ほら、お婆ちゃんの知恵袋って言うじゃないですか!」

エトナ「後で折檻ね」

陽介「レベルアップさせちまった・・・」

372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:39:53.13 ID:uKNtf3O30
>-昼

千枝「はーい出来たわよ」

雪子「口に合うといいんだけど」

陽介「そ、それ以前に・・・これ口に入れても大丈夫か?」

番長「今回は大丈夫だ」

陽介「そう言われてもな・・・里中と天城が作ったカレーとなると、毒じゃないかがまず心配で・・・」

千枝「失礼ね、食べてから文句言いなさい!」

陽介「こないだもそう言われて、食った時には手遅れだっただろが」

千枝「いいから食べなさい!」

菜々子「いただきま~す」

陽介「あ、菜々子ちゃん待って!」

菜々子「?」

陽介「く、口に入れちまった・・・!」

菜々子「おいしいよ?」

ラハール「・・・」

エトナ「ん、まあイケルじゃん」

陽介「え、マジ?」

りせ「あ、おいしい!信じられない!」

千枝「く、久慈川さん?信じられないって一体どういうことかしら?」

クマ「うまいクマうまいクマ!」

ラハール「・・・普通にうまいぞ。何があった貴様等」

雪子「時々、エトナさんと番長君に、お料理教わってたんだ」

ラハール「・・・そうか」

完二「おかわりお願いします!」

陽介「・・・どうやら、マジで大丈夫そうだな」

千枝「まだ疑ってたんかい!さっさと食べなさいって!」

陽介「ん・・・うめえ!それ以前に普通に食えることに感動だ!」

千枝「お、おお。わかれば良いのよ」

陽介「疑って悪かった。前回が衝撃だったからな」

千枝「や、まあ、あれはね・・・常識が無かったねk私達に」

373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:42:24.80 ID:uKNtf3O30
>-・・・・・・

クマ「クマー・・・クマー・・・」

陽介「食うだけ食ったら居眠りかよ。何しに来たんだ?こいつ」

完二「俺も眠いっス・・・」

りせ「アンタは宿題終わらせなさい」

完二「わーってるよ、わかんねーとこ多すぎて一人じゃ絶対終わんねーしな・・・」

菜々子「ん~・・・」

エトナ「あら、菜々子ちゃん眠い?」

菜々子「うん・・・」

エトナ「じゃあ、ちょっとお昼寝してこよっか。おいで」

菜々子「は~い・・・」

エトナ「ちょっと菜々子ちゃん寝かしつけてくるわ」

番長「すいません」

陽介「・・・なんか意外だ。エトナさんてしっかりしてるんだな」

ラハール「奴は自分で対等以上の立場にあると認めている者に対しては面倒見が良いのだ。まあ、明確に格下であると思う相手に対してはその限りではないがな。プリニーとか陽介とか」

陽介「プリニーってのはよくわかんねーけど、やっぱ俺そういう風に見られてるのな・・・」

ラハール「こき使われないだけでもありがたく思っておけ」

陽介「うへ~」

番長「・・・最近、マヨナカテレビがないな」

ラハール「霧が出るほど長時間雨が降り続いていないからな。未だに犯人の動き頼みというのは、歯がゆいものだ」

雪子「そうだね・・・」

千枝「けど、なんかこう・・・平和なのも良いよね」

ラハール「・・・」

雪子「うん」

>-皆と楽しく過ごした。

374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 20:45:53.65 ID:uKNtf3O30
>-次回予告
>-BGM:ラハール様の賛美歌

シシリー「お兄ちゃんには魔王としての自覚が足りないと思うの!」

フロン「ど、どうしたんですか?急に・・・というか、今更?」

シシリー「あんな大人しく過ごして、隙あらばエトナさんとイチャイチャと・・・!」

フロン「別にいちゃいちゃという感じでもないような・・・あるような。まあ良いじゃないですか。愛ですよ愛」

シシリー「とにかく!エトナさんは許せないわ!」

フロン「あれ?ラハールさんの話じゃなかったんですか?」

シシリー「次回、超魔天使シシリー!【エトナ殺す】!!」

フロン「直球ですね。まあそれも愛ですかね。いってらっしゃ~い」

エトナ「・・・え、マジ?来んの?」

381: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:00:48.15 ID:z5j8zYL70
>-8/20(土) 夜
:::【辰姫神社・夏祭り】:::

ガリガリ

陽介「さっきから食ってばっかだな」

ラハール「屋台には普段見ない食い物が色々とあるからな。この際全部食ってやる」

陽介「屋台制覇する気かよ。いくら胃袋あっても足りねーって」

完二「手伝いますよ先輩」

クマ「クマも!」

陽介「お前等は奢られたいだけだろ。つかクマはちゃんと自分で小遣い貰ってるだろ」

番長「待たせたな」

陽介「お!遅いぜ・・・ってお前」

完二「浴衣スか。なんか雰囲気ありますね」

陽介「遅れてきたと思ったら・・・ずりーぞお前。一人だけお洒落しやがって」

クマ「センセー似合ってるクマ!」

番長「任せろ」

ラハール「・・・」

番長「ラハールにも着せようと思ってたんだけど、逃げられてさ」

ラハール「これ以上暑苦しい格好をさせられては敵わんからな」

番長「意外と涼しいんだぞ?」

ラハール「馬鹿を言うな。そんな長い袖で涼しいわけあるか」

382: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:01:47.55 ID:z5j8zYL70
エトナ「あれ、殿下浴衣着て無いじゃん。ちょっと番長、話が違うわよ」

番長「すいません。逃げられまして」

ラハール「エトナお前・・・」

エトナ「な、なんです?」

ラハール「い・・・いや・・・別に・・・」

クマ「おおう!エトナちゃんいつにも増してプリチー!」

シシリー「見とれてる場合じゃないよお兄ちゃん」

ラハール「!?」

エトナ「うわ・・・マジかよ」

陽介「お、おいラハール。お兄ちゃんってまさか・・・その子・・・」

ラハール「・・・・・・妹だ」

383: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:03:20.26 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・
>-女性陣と合流した。

雪子「この子がラハール君の妹・・・」

りせ「なーんか私達、せっかく浴衣着てきたのに話題もってかれちゃいましたね?」

千枝「いやま、しょうがないっしょ」

シシリー「貴女が雪子さんか・・・ふ~ん・・・」

ジロジロ

雪子「な、なあに?」

シシリー「あ、いえ・・・う~ん・・・」

ラハール「何をしとる阿呆」

シシリー「いや、美人だなーと思って」

雪子「あ、ありがとう?」

シシリー「・・・あんまり調子に乗らないでよね」

雪子「えぇ~・・・?」

ばっ

菜々子「わ」

シシリー「貴女が菜々子ちゃんね?」

菜々子「う、うん?」

シシリー「・・・確かに可愛い・・・」ジロジロ

菜々子「?」

がしっ

番長「菜々子に、何か?」

シシリー「いやいや、何でもないよ!?」

番長「そうですか、それなら良いんですよ」

シシリー「(・・・怖っ!ほんとに人間!?)」

エトナ「・・・あいつを怒らせないほうが良いわよ」

シシリー「そうみたいだね」

ラハール「・・・おいシシリー、貴様一体何をしに・・・いや、今は良いか」

シシリー「お兄ちゃん?」

ラハール「今日は祭りだ。遊ぶぞ。どうせ貴様もそのつもりだろ?」

シシリー「うん!」

384: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:05:00.81 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

菜々子「歩きにくい・・・」

番長「そうか?けど、似合ってるぞ」

菜々子「えへへ・・・」

陽介「・・・」

番長「・・・どうした?」

陽介「いや、なんでもない・・・なんでもないんだ」

エトナ「殿下、りんご飴」

ラハール「クマの食いかけでも食っとれ」

エトナ「やですよ、新しく買って下さい。つーかクマ、アンタこれ食べ切りなさいよ」

クマ「は~い」

シシリー「お兄ちゃ~ん、りんご飴」

ラハール「あ、ああ・・・ほら、買って来い」

エトナ「うわムカツク」

ラハール「何を言っとる。お前もさっさと買って来い」

エトナ「え・・・」

シシリー「む・・・!」

完二「兄妹らしいスけど、なんかあんま似てないスよね。あの二人」

雪子「そうかなあ・・・妹さん今は結んでるみたいだけど、触覚とか似てると思うよ?」

完二「しょ、触覚?」

385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:07:48.80 ID:z5j8zYL70
りせ「完二~!水風船取れない~!」

完二「知るかよ番長先輩に言ってこい」

りせ「先輩、菜々子ちゃんにばっかり構ってて寂しい・・・」

完二「ああ、なるほど・・・しょうがねえ、ちょっと手本見せてやっか」

千枝「見て見て金魚!超取れたよ!」

マリー「・・・え、何?それ食べるの?」

千枝「いや流石のあたしも金魚は食べないよ!?」

雪子「あ、食べないんだ」

千枝「何で意外そうなの!?」

雪子「マリーちゃんも歩きにくい?」

千枝「雪子、せめて置いてかないで・・・」

マリー「歩きにくいっていうか・・・なんか恥ずい」

雪子「恥ずかしくないよ。似合ってるよ」

千枝「いや、あたしはちょっとマリーちゃんの気持ちもわかるかな。普段しないような格好ってなんか照れるよね」

雪子「え?でも、千枝も似合ってるよ?」

千枝「おお、雪子はそういうのさらっと言うなあ・・・」

雪子「花村君はどう思う?」

陽介「お、スルーしかけてたけど、女性陣全員で浴衣とか、思い切ったことしたよな。そんためにわざわざ天城んちに行ってたわけだ?」

雪子「ちょっと人数多くて着付けに時間かかっちゃったけど」

陽介「いいよそんなん。俺等にとっちゃ良い目の保養ですから、多少の遅れぐらいはな?」

番長「・・・あ、俺?まあ、そうだな」

陽介「皆似合ってるけど、誰が一番だろうな?」

番長「菜々子だな」

陽介「そ、そうか・・・(やっぱりこいつ・・・)」

千枝「いつものことだけど兄バカだねえ・・・ここは雪子っしょ!浴衣と言えばこの女よ!」

番長「いや、菜々子だな」

千枝「お、珍しく頑固ね。花村はどう思う?」

陽介「俺?俺か・・・皆良いけど、まあ、普段とのギャップでいえばエトナさんと里中がぶっちぎりだな」

千枝「こら、エトナさんはわかるけど、私の浴衣姿にギャップを感じるってのはどういうことよ?」

陽介「えぇ?いや、だってお前、普段そういう・・・おしとやかってーの?そういう格好しないじゃんよ?」

千枝「どーせあたしにはこういうの似合いませんよ!」

陽介「そうは言ってねーだろ?普通に似合ってるよ」

千枝「あ、ぁぁ・・・そう・・・」

陽介「なんでそこで声小さくなるんだよ!?なんか恥ずかしいこと言ったみたいじゃねーか!」

千枝「う、うるさい!別にいいでしょどうでも!」

ギャーギャー

番長「・・・行こうか」

雪子「そうだね」

386: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:11:10.49 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・
>-わかれて見てまわることになった。

陽介「第一回、浴衣美人決定戦!」

クマ「うおおお~!」パチパチパチ

ラハール「・・・」

完二「・・・」

番長「花村は、さっきの流れから言って里中だな?」

陽介「ばっかお前りせちーに決まってんだろ!浴衣姿がどうかはともかく夏祭りよ!?あのりせちーと一緒よ!?」

>-・・・だめだこいつ。

完二「りせねえ・・・りせは番長先輩と一緒が良いって言い出すんじゃないスか?」

番長「いや、俺は菜々子と行くから」

完二「良いじゃないスか、りせも一緒に連れてけば。どうせ俺等五人に女七人いるんスから」

クマ「そう、女の子のほうが多いクマ!その差を解決するためにクマが一つ良い案を用意したクマよ!」

陽介「一応聞いてやろう。言ってみ?」

クマ「クマが七人全員をはべらせて遊ぶクマ!」

番長「却下だ」

陽介「聞いてみた俺がバカだったよ」

番長「けど、完二の一緒にっていうのは良い案だな。ラハールはエトナさんと妹さんを連れて行くだろ?」

ラハール「む・・・まあ、そうだな」

番長「完二はどうする?誰と回るのが良い?」

完二「え、いや、別に誰ととか・・・いや、どうでもいんスけど。いやまあ、強いて言うなら・・・あ、天城先輩スかね」

陽介「どもりすぎだろ。つーかそうか、天城かー。意外とムッツリだな完二」

完二「だ、誰がむっつりだテメッ!」

陽介「けど安心したぜ?男と一緒が良いとか言い出さなくて」

完二「んなっ!ざっけんな!いい加減しつけーぞコラ!」

番長「じゃあ俺はりせと菜々子を連れて行くとして、クマ、どうする?」

クマ「クマ?」

ジー

クマ「(セ、センセイから何か凄い視線を感じるクマ・・・)」

クマ「・・・」

番長「・・・」

クマ「ク、クマはマリチャンと一緒が良いカナー?」

番長「良し、じゃあそれで」

クマ「・・・フウ」

陽介「なんだ?となると俺は余った里中か?なんか、いつもと一緒だとせっかく祭りに来たって感じしねえなあ」

>-・・・だめだこいつ。

陽介「ま、良いや。おーい里中、俺と一緒に行くぞ」

里中「えっアンタと!?まあ、別にあんたがそうしたいんなら・・・」ごにょごにょ

陽介「何言ってんだ?いいや、また後でな相棒」

>-・・・だめだこいつ。
>-・・・そっとしておこう。

387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:12:35.89 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

りせ「・・・なんか、こうやってゆっくりしてるのも良いですね」

番長「・・・そうだな」

菜々子「お祭り、楽しいね」

番長「ああ。何か食べるか?」

菜々子「菜々子もうお腹いっぱいだよ」

りせ「私も~」

番長「・・・そうか」

菜々子「りせちゃんって、もうテレビには出ないの?」

番長「!」

りせ「・・・そっか、気になるよね。実はまだ迷ってるんだ。前はきっぱり辞めようと思ってたんだけど」

菜々子「?」

りせ「先輩と、先輩達と会って・・・一緒に遊んだり、勉強とか見て貰ったりして・・・」

番長「・・・」

りせ「なんか自分に余裕が出来たのかな。最近色々考えちゃうんですよね。私に出来ることって、なんなのかなー・・・とか」

番長「・・・出来ることより、やりたいことを考えたほうが良いんじゃないか?」

りせ「・・・うん、そうですよね」

菜々子「?」

番長「菜々子にはまだ、難しいかな」

菜々子「うん、よくわかんない」

番長「射的でもしようか。食べ物はもう良いんだろ?」

菜々子「うん!射的、する!」

388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:15:56.71 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

シシリー「エトナさんその格好疲れないの?」

エトナ「いやー思った以上に動きにくいわ。実は殿下にも浴衣着せるとか番長が言ってたから、アタシも付き合ってやっかーと思って着てんだけどさあ」

シシリー「えぇ?お兄ちゃん着てないじゃん」

エトナ「そうなのよ。殿下ったら、番長が着せようとしたら逃げたらしいの」

シシリー「えぇ~!?お兄ちゃんの浴衣見たい!」

ラハール「ええい、やかましい!誰がそんな暑苦しい格好するか!」

エトナ「暑苦しくはないですよ?むしろ涼しいぐらいで」

ラハール「何だと?そんなに長い袖なのにか?」

エトナ「ええ、これ余裕あるように作られてて、中には風が通るんですよ。ほら、見てください」

チラッ

ラハール「風が?・・・ああ、そうか、なるほど」

シシリー「ちょ、ちょっと・・・」

ラハール「あっ!・・・す、すまん!」

エトナ「?」

ラハール「その、袖から・・・中が見え・・・///!」

エトナ「あっ・・・///!・・・い、いや、良いですよ。ま、普段なら半殺しですけど?い、今のは見ろって言ったのアタシだし・・・」

ラハール「・・・」

シシリー「これだよ!!」

エトナ「うわっ」

ラハール「どうした急に・・・」

シシリー「お兄ちゃんさっき私に【一体何しに・・・】って聞いてたよね!?これだよこれ!こういう安易なイチャラブ展開の阻止!私はそのために来たの!」

ラハール「いちゃら・・・?何を言っとるんだこいつは」

エトナ「さあ?フロンちゃんと一緒にいすぎて頭おかしくなっちゃったんじゃないですかね?」

『失敬な!!』

エトナ「・・・」

『大天使様?いい加減書類の整理して下さい』

『待ってください今良いとこなのに・・・ああ~ん、アルティナさぁ~ん』

『駄目ですよ。もう切ります』

エトナ「・・・何してんだか」

ラハール「またフロンか?」

エトナ「ええ、もう見てないみたいですけど」

389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:18:26.98 ID:z5j8zYL70
:::【天界】:::

アルティナ「しかし、よろしかったのですか?シシリーを行かせてしまって」

フロン「まあ抜け出されるよりは、魔王達の監視のため短期派遣という形のほうが体裁が保てますからね。天使長の皆さんにも納得頂いたわけですし」

アルティナ「いえ、そういうことではなく・・・大天使様も、行きたかったのでは?」

フロン「私は立場上今はちょっと・・・それに、もうラハールさんには私が必要というわけでもないようなので」

アルティナ「・・・」


>-・・・・・・

ラハール「・・・人間界には、いつまでおるのだ?」

シシリー「・・・実は、今日だけなんだ」

ラハール「・・・・・・そうか」

シシリー「けど、私満足したよ?久しぶりにお兄ちゃんに会えたし、お兄ちゃんが今、どんな人達と一緒にいるのか、ちょっとでも見られたから」

ラハール「・・・天界での仕事は、大変か?」

シシリー「うーん、まあやることは多いけど、私はそれよりお兄ちゃんに会えないことのほうが辛いかな」

ラハール「そ、そうか・・・」

エトナ「フロンちゃんが無茶言ったら、文句言っても良いからね」

シシリー「いっつも言ってる。フロンさん無茶苦茶なんだもん、変なロボット作ったりとかさあ」

ラハール「・・・奴は相変わらずアホか」

シシリー「・・・お兄ちゃん、なんか嬉しそうだね?」

ラハール「そ、そんなわけあるか!」

シシリー「む~・・・!」

390: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:21:39.95 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

千枝「もう駄目・・・食えない」

陽介「お、おいおいどうした?体調でも悪いのか?」

千枝「いや、そういうんじゃなくて・・・帯がきつい」

陽介「あ、あ~・・・いつもより食えないのはそういうわけね?」

千枝「こりゃもう浴衣は駄目だな。せっかくの食い時に抑えなきゃならないなんて無理だわ」

陽介「もったいねーな。せっかく似合ってんのに」

千枝「・・・ほんとに、そう思う?」

陽介「な、なんだよ改まって」

千枝「いや、いいから・・・ほんとに、そう思ってる?」

陽介「そ、そりゃお前・・・」

クマ「ヨースケー!」

ガクッ

千枝「何かな?クマ吉君?」

クマ「あ、あれ?チエチャン何か怒ってるクマ?」

千枝「そんなことありませんわよ?」

クマ「やっぱり怒ってるクマ・・・口調がおかしいクマ・・・」

マリー「ほら、だから邪魔しちゃ駄目だって言ったのに」

雪子「ほんとだよ。せっかく良いところだったのに」

千枝「ゆ、雪子!?マリーちゃん!?まさか見てたの!?」

雪子「うん、覗いてた」

千枝「のぞっ!?」

完二「う~す・・・」

千枝「完二君まで!」

完二「いや、まあ、天城先輩の指示で・・・なんか面白いことあるっつーもんで」

マリー「結局面白くならなかったけどね」

完二「どういうこったよ?」

クマ「クマに聞かれてもわからんクマよ」

千枝「あんたらー・・・!・・・そこになおれー!」

陽介「(なんだったんだ今の・・・?・・・つーか結局皆集まってるし・・・まあいいや)」

391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:26:36.07 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

ドーン

ドドーン

エトナ「今日の花火は派手ですね~」

ラハール「・・・これ以上派手にしようと思ったらギガが必要だな。町に被害が出てしまう」

陽介「やめろ」

番長「妹さんは?」

ラハール「帰った。一応天界の命ということで、俺様の様子を観察しに来ただけらしい」

番長「・・・そうか」

陽介「帰っちまったのか・・・良かったのか?」

ラハール「・・・奴には奴のするべきことがあるだろう。貴様等や俺様にも、するべきことがあるようにな」

番長「そうだな」

陽介「・・・ああ」

エトナ「ちょっとちょっと、こんなとこでまで真面目な話ですか?」

ラハール「む・・・言われて見れば、それもそうか」

菜々子「花火、綺麗だね」

ラハール「・・・そうだな」

雪子「花火、綺麗だね」

ラハール「そ・・・そうだな」

クマ「花火、綺麗だね!」

ラハール「・・・」

陽介「・・・花火」

ラハール「もういいわ!」

>-皆と楽しく過ごした。

392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:29:14.82 ID:z5j8zYL70
>-8/31(水)
:::【堂島家】:::

完二「スイカは!スイカはどこっスか!」

陽介「落ち着いて待てよ。人んちでお前・・・」

完二「落ち着けねーッス!」

ラハール「静かにせんか」

完二「あ、ウス」

陽介「なんだよその反応の差は!?」

完二「先輩、静かにしたほうがいんじゃないスか?人んちスよ?」

陽介「おまっ・・・!」

番長「もう少し待っててくれ。おじさんが貰ってくるから」

完二「う~す」

陽介「(完二も段々ふれぶてしくなってきたなあ・・・まあ、良いことだけど)」

ラハール「・・・しかし、良かったのか?エトナ達まで呼んでしまって」

番長「人数は多いほうが良いって、おじさんが言ってたからな」

千枝「今年の夏は色々楽しかったね~」

りせ「ん・・・ほんとに」

エトナ「まあ、暇はせずに済んだわね」

マリー「・・・楽しかった」

エトナ「あら、珍しく素直だ」

マリー「う、うるさい・・・!」

雪子「楽しかったけど、まだやってないことがあるよね」

菜々子「やってないこと?」

雪子「スイカ割り」

菜々子「スイカ割り!?スイカ割り、やりたい!」

クマ「クマも!クマも割る!」

番長「じゃあ調度良いな。おじさんが貰ってきたのでやろうか」

393: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:31:13.38 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

菜々子「・・・」

クマ「・・・」

堂島「あー・・・すまんな、割るって考えが無かったもんだから、切り分けて貰ってきちまった」

菜々子「・・・」

陽介「来年、また来年やろうぜ。スイカ割りは」

菜々子「来年?」

陽介「ああ」

菜々子「来年・・・お兄ちゃんいない」

番長「・・・」

ラハール「・・・」

エトナ「アタシ達もいないわよ」

陽介「そんなことないだろ」

番長「陽介・・・」

陽介「また来るだろ。ここに」

番長「・・・ああ、そうだな」

菜々子「ほんと?」

番長「・・・うん。また、ここにくるよ」

ラハール「・・・」

番長「もちろん、ラハールも、エトナさんも」

ラハール「む・・・」

エトナ「ですってよ殿下」

ラハール「き、貴様は、どうなのだ?」

エトナ「え?何がですか?」

ラハール「だ、だから!貴様はまた、ここに来ても良いのかと・・・そう聞いとるんだ」

エトナ「アタシがどうこうじゃなくないですか?アタシは一応殿下の家来ですから。殿下がどうしたいか、それだけですよ」

ラハール「む・・・」

菜々子「また・・・来てくれる?」

ラハール「・・・・・・ひ、暇ならな!暇ならだぞ・・・」

番長「・・・」

ラハール「・・・」

菜々子「・・・」

ラハール「・・・わかった!来る!また来てやる!」

菜々子「・・・えへへ」

ラハール「大体、来年の四月までは普通におるのだ。そういう話は気が早いぞ」

番長「そうだな」

ラハール「・・・そうだ」

>-皆と楽しく過ごした。

394: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:34:39.34 ID:z5j8zYL70
>-9/7(水) 放課後
:::【温泉・露天風呂】:::

ラハール「・・・俺様も随分と垢抜けたものだ」

番長「どうしたんだ?急に」

ラハール「風呂など大の苦手だったのだがな。クマや陽介と過ごす内に、気がつけば平気になってしまった」

番長「良いことじゃないか」

ラハール「・・・フン」

番長「・・・」

ラハール「・・・あの時は」

番長「?」

ラハール「はじめ陽介の部屋に住み着いた時は、思いもしなかった。想像だにしなかった」

番長「・・・何をだ?」

ラハール「出来れば・・・その・・・なんだ、死なせたくないと・・・そう思ってやっても・・・構わん奴等が、随分と増えてしまうことなどをな」

番長「今は、そう思ってるんだな」

ラハール「・・・まあ・・・な」

番長「増えるってことは、エトナさんは元からそう?」

ラハール「いや・・・奴は・・・まあ、家来だしな。大体、殺しても死なんような奴だぞ。奴が死ぬことなど考えたことも・・・あ」

番長「?」

ラハール「・・・なくはないが、あの時は結局、なんとかなったしな。奴はそもそも、俺様が心配する必要などない」

番長「信頼してるんだな」

ラハール「ま、まあ・・・家来としてな」

395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:36:29.00 ID:z5j8zYL70
番長「だそうですよー!」

ラハール「いきなり大声を出すな・・・なんだ?今のは」

エトナ「大声出さなくても聞こえてるわよ!・・・ったく」

ラハール「エトナ!?」

番長「隣の女湯に、来てるんですよ」

ラハール「き、貴様知ってて今のような・・・!」

番長「・・・いぇー」

ラハール「ぐ・・・まあ良い。別に聞かれて困るようなことは言っておらんからな」

番長「じゃあ、面と向かってエトナさんに・・・信頼してるぞって、言えるのか?」

ラハール「アホか!誰が言うか!」

番長「・・・じゃあ、やっぱり良かった。エトナさん呼んでおいて」

ラハール「チッ・・・お節介め。貴様のそういうところや、普段の訳のわからんところがアイツに似とるんだ」

番長「アイツ?」

ラハール「あ・・・いや、今のは忘れろ」

番長「わかった。胸に刻み込んでおこう」

ラハール「この・・・!」

番長「はは」

ラハール「・・・フン」

>-"ラハール"コミュのランクが"5"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

番長「・・・あ」

ラハール「何をニヤニヤしている!」

番長「なんでもない」

>-ラハールと楽しく過ごした。

396: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:40:03.46 ID:z5j8zYL70
>-・・・・・・

番長「明日から修学旅行だな」

ラハール「そうだな」

番長「俺は準備しなきゃいけないから先に帰るよ。ラハールはエトナさんを送って行ってやってくれ」

ラハール「は?」

番長「じゃ」

ラハール「お、おい!」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・い、行くぞ」

エトナ「あ、はい・・・」

ラハール「・・・」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・(番長め・・・!何故この俺様がこんな気まずい思いをせねばならんのだ・・・!)」

『これじゃ私が何のために行ったのかわかんないよ!!』

『はいはい、わかったから仕事しましょうね~』

『離してフロンさん!もう一度、もう一度私にチャンスを!』

エトナ「・・・天界は天界で、楽しくやってるみたいですね」

ラハール「・・・なんだ、また聞こえたのか?」

エトナ「はい」

ラハール「まあ、あのアホ天使がおれば、勝手に賑やかになるだろう。そのようなこと、魔界では迷惑なだけだったが、天界では良いことなのかもしれんな」

エトナ「・・・そうですねぇ」

397: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/04(木) 22:43:07.77 ID:z5j8zYL70
>-次回予告
>-BGM:Pandora Ignition

シシリー「結局お兄ちゃんと一緒に楽しく遊んでたら時間がきちゃった・・・」

フロン「あのー」

シシリー「何しに行ったんだろ・・・はあ・・・」

フロン「シシリーさ~ん」

シシリー「悪い虫いっぱいついてるし・・・もうどうしよう・・・」

フロン「時々ですけどねー、人間界行っても良いですよ」

シシリー「えっ!?」

フロン「食いつきが凄いですね・・・シシリーさんからの報告を受けてですね、私がちょっと頑張って報告書を作りまして、それが天使長の皆さんによく出来ていると歓心して頂けたので、それなりの期間を開けてという条件付きで、また監視に行く許可を貰ってきました」

シシリー「フロンさん・・・!そんなに私のことを・・・!」

フロン「なので次は私が行ってきますね」

シシリー「そ、そうはさせないよ!」

エトナ「いや、いいから予告やんなさいよアンタ達」

シシリー「・・・けっ・・・」

エトナ「シシリーちゃん!?こ、これが反抗期!?」

番長「いや、違うと思いますけど・・・(エトナさんまで三文芝居に加わらなくても・・・)」

エトナ「・・・そっか」

シシリー「次回!シシリープリンセス!【エトナいつか殺す!】」

エトナ「進歩が無い・・・」

406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:45:23.01 ID:JYOf+8pY0
>-9/8(木) 修学旅行 初日
:::【電車】:::

ラハール「帰りたくなってきた」

番長「なんでだ?」

ラハール「なんでって・・・むしろ何故わざわざこんなに遠出してまで勉強せねばならんのかをこっちが聞きたいところだな」

陽介「だよなあ。修学旅行ってのはもっとこう、楽しいもんのはずだ」

完二「先輩等、なんでまだ始まってもいねえのに愚痴ってんスか?」

陽介「何だ?お前聞いてないのか?今回の修学旅行はな、文字通り修学する旅行。何でも旅行先の高校と合同の勉強会みたいなのをやるらしいぞ」

完二「はあ!?なんじゃそりゃ!?」

陽介「やっぱ聞いてなかったか・・・」

番長「まあ良いんじゃないか?自由時間はそれとは別にあるし、何より普段受けられない違う学校の先生の授業を受けることが出来るんだぞ」

陽介「ポジティブだな・・・」

ラハール「教師や学校が変わったからと言って、何かが変わるわけでもあるまい」

番長「そうでもないと思う」

ラハール「・・・?」

番長「人が違えば考え方が違う。教え方が違う。どういう人がどういうことを考えていて、それを人にどうやって伝えるのか。そういうことを知ることが出来る」

ラハール「・・・」

番長「そして、学校。普段とは違う環境に身を置くことで、普段の自分を見つめなおす機会になると思う」

ラハール「・・・なるほど」

陽介「さすがにそこまで真面目に考える気にはなれねーけど、お前の言ってることも最もかもな」

完二「・・・あー、つまりどういうことスか?」

陽介「こいつみたいに何でも楽しめってことだよ。勉強もな」

番長「言い換えると、そうだな」

完二「・・・勉強も悪くねえってのは、先輩等に色々教えてもらってわかってるつもりスけどね。けど修学旅行でまでやることスかね?」

番長「だからこそ、勉強するだけの時間とは別に、俺達の自由時間もあるんだろう。学ぶだけじゃなくて、遊べってことだ」

完二「は~ん。なんか先輩に言われるとそんな気してきますね」

ラハール「・・・貴様いつになく饒舌だな」

番長「わかるか?」

ラハール「ど、どうした?」

番長「テンション上がってきた」ヒュンヒュン

ラハール「そ、そうか・・・」

407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:46:47.93 ID:JYOf+8pY0
>-夜
:::【シーサイドホテルはまぐり・外】:::

ラハール「・・・あっとういう間に夜がきたわけだが」

陽介「一日中授業だったからそんな感じするなー・・・」

雪子「けど、結構楽しかったね。なんだか個性的な先生だった」

ラハール「ん・・・まあ確かに個性的ではあったな」

番長「授業そっちのけで黒魔術の話をしだした時は、どういうリアクションを取ればいいかわからなかったな」

完二「く、黒魔術?」

りせ「先輩達よくテンション高い状態保てますね?電車でバスで移動してわざわざ授業って・・・まあ授業は良いですけど、スケジュールがタイトすぎ。アイドルじゃあるまいし」

陽介「いや、俺はそうでもねえかな。むしろテンション高いのは番長ぐらいじゃねえか?」

雪子「私も結構高いよ?」

陽介「あ、ああそう?」

千枝「雪子は月光館学園の授業楽しみにしてたからね~」

ラハール「・・・月光館学園か」

番長「・・・どうかしたか?」

ラハール「・・・いや」

ラハール「(・・・あの学校で感じたのは何かの力の残り香のようなもの・・・まあ、別に珍しいことでもないか。人間が思う以上に、悪魔や天使は人間界に関わっている。あの学校では少しそれが濃かったというだけで・・・)」

ふっふっふ~

>-・・・!?

ラハール「誰だ!」

フッフッフ~

番長「二人・・・いる・・・!」

408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:48:19.67 ID:JYOf+8pY0
クマ「センセーーー!会いたかったクマーーーーーー!」

ガバッ

番長「・・・・・・クマ?」

陽介「クマ!?お前何で!?つか何で!?何!?」

クマ「これ、ヨースケの旅のしおりクマ」

陽介「なくしたのかと思ってたら・・・お前が持ってたのかよ」

クマ「これ見てヨースケ達がここにいると思って頑張って来たクマ」

陽介「そ、そうか・・・何考えてんだか」

クマ「皆旅行に行くのにクマだけお留守番なんて我慢出来ないクマ!」

完二「つかお前何できぐるみのまま来てんだよ」

陽介「いや、それは別にいいだろ」

完二「あ?」

陽介「今気になるのはそこじゃねーだろ」

ラハール「・・・・・・!」

クマ「どうしたクマ?」

陽介「クマ、お前と一緒にいるその子・・・一体誰だ?」

ラハール「何故・・・」

番長「(・・・そうか、この人が・・・)」

ラハール「何故お前が・・・」

フロン「お久しぶりです。ラハールさん」

ラハール「あ・・・」

番長「・・・?」

ラハール「・・・っ!」

陽介「お、おいラハール!?」

ラハール「さっさと部屋に行くぞ」

陽介「えぇ!?」

ラハール「あ、いや・・・おいフロン、貴様いつまで人間界にいるのだ?」

フロン「・・・明後日までですね。休暇を返上して視察に来ていることになってますから」

ラハール「・・・そうか」

フロン「はい」

ラハール「・・・・・・宿は取っているのか?ここに」

フロン「ああいえ、何も考えずに来てしまいまして・・・」

ラハール「相変わらずアホな・・・天城、すまんが貴様等の部屋に置いてやってくれ」

雪子「え?まあ、いいけど・・・」

ラハール「・・・行くぞ陽介」

陽介「あっ、おい待てって!」

409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:49:31.32 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・

フロン「・・・顔も見たくないということでしょうか?まあ仕方ないですかねえ・・・」

番長「まさか。本当にそうだったら、泊まるところの心配なんかしませんよ」

フロン「・・・あなたが番長さん、ですね。私、今年の三月に天使長改め大天使になりました、フロンと申します」

番長「あ、はい。フロンさんのことは、ラハールやエトナさんから聞いています」

フロン「そうですか。良い評判なら嬉しいんですけど」

番長「いや・・・変な奴で、駄目な奴だと聞いてます」

フロン「まあそうですよね・・・正直仰る通りなところもありますし・・・」

番長「・・・立ち話もなんですから、明日にしましょう。天城、ラハールも言ってたけど、フロンさんを頼む」

雪子「うん。任せて」

クマ「クマはどうすればヨイ?」

番長「俺と完二の部屋に来るか?どうせクマも、泊まるところなんか考えてないだろ?」

クマ「イェ~ス、センセイはやっぱりクマのことワカッテルクマね~」

完二「こいつと一緒スか?」

番長「駄目か?」

完二「あ、いや、別に良いスよ」

クマ「ほんじゃフロンチャン、また明日クマ!」

フロン「はい」

410: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:51:54.55 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・
:::【雪子と千枝の部屋】:::

フロン「いや~、最初に八十稲羽に着いた時はちょっと困り果てましたよ。せっかく着いたのにラハールさんいないんですから」

千枝「えぇ?そっから何で今ここにいるの?しかも何でさっきクマ君と一緒にいたの?」

フロン「八十稲羽で困り果てていたところ、寂しげなクマさんと遭遇して意気投合しまして。少ない旅費でどうにか皆のところまで行けないかと二人で試行錯誤しました」

>-・・・・・・

フロン「という訳でフロンとクマの大冒険!トラックの荷台や列車の貨物室に忍び込み、ここまでなんとか辿り着いたワケですね!半日以上かけて」

りせ「ふわ~、スゴ・・・けどなんでそこまでするパワーありながら、修学旅行のこと知らなかったの?」

フロン「いや~、最近お仕事が忙しくて、休みを取れたのも人間界に来ることが出来たのも急な話でしたから」

雪子「・・・」

フロン「一度人間界に降りた以上また天界を経由するわけにもいかず・・・いっそ八十稲羽からここまで飛んで来られれば楽だったんですけど、飛ぶところを人に見られるわけにもいかず・・・」

雪子「フロンさんは・・・魔界で、ラハール君と一緒に暮らしてたんですよね?」

フロン「さん付けなんかしなくて良いですよ。愛の天使ラブリーフロンと呼んで下さい。もしくはフロンちゃんで」

雪子「じゃあフロンちゃんで」

フロン「あ、はい・・・まあ、そうなりますね。といっても、住んでいたところが大きなお城でしたから、そこまで一緒に暮らしていたという感じでもないような・・・あるような・・・」

雪子「その頃の話とか、聞かせて欲しいんですけど・・・駄目ですか?」

フロン「よろしいですよ。この部屋に置いて貰ってる身ですからねえ。何からお話しましょうか」

411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:55:33.66 ID:JYOf+8pY0
>-・・・魔界戦記ディスガイアのお話・・・

フロン「そんなこんなで、当初は愛に否定的だったラハールさんも、少しは受け入れてくれるように・・・まあ、当のラハールさんは口ではまだまだ否定的ですけど、内心が変わってくれたことは、私にもエトナさんにも通じています」

りせ「なんか思った以上にスケールが大きかったんですけど・・・」

雪子「う、うん・・・話の途中にあった宇宙艦隊って何?地球勇者とかも・・・面白そうだけど、そんなのありえないよね?」

フロン「あ、まあこの世界ではそうですね。率直に言うと、当時私たちと対立していた人間界は、この世界とは別世界の人間界なんです。世界というものは多次元的にいくつも存在していまして、その内の一つということになりますね」

千枝「ワケがわからないよ・・・」

雪子「うん。私はわかったから、千枝には後で説明するね」

フロン「多分、ラハールさんのお母さんが生きていた頃の人間界が・・・今のこの世界の文明レベルと同じぐらいなのではないでしょうか」

雪子「・・・なるほど・・・」

千枝「け、けど、ラハール君って随分強かったんだね?いっつも私達と一緒に頑張ってる姿からは想像つかないや」

フロン「・・・単純にラハールさん自身の力を制限させて貰っている上に、人間界にはラハールさんが本来の力を発揮するために必要な魔力が全くといっていいほどありません。相当な苦労を強いていることはわかっているのですが・・・」

りせ「・・・どうして、天使さんたちは今、私達のことを傍観してるの?私、ちょっとそこが納得いかない」

千枝「ちょっと、りせちゃん?」

フロン「・・・りせさんの仰るとおりだと思います。ですが、とにかく、貴女方が関わっている事件のことについて、天界は完全に第三者としての立ち位置を崩せないのです。私からこの件について言えることは、これ以外にないんです。これ以上のことは、今の私の口からお伝えすることすら出来ません」

りせ「・・・やっぱりな~んか納得いかないなあ。私達が死にそうな目にあってる時も、遠いところから見てるだけなんて・・・」

フロン「・・・申し訳ありません。私達に出来るのは、見ることと、見に来ることだけ。皆さんと・・・ラハールさんと一緒に戦えたら・・・どんなに良いか・・・!」

りせ「フロンちゃん・・・」

フロン「今のラハールさんは、短い間であれ、人間界で人として育んだ心と力で戦っています。皆さん、見ていることしか出来ない私が言うのは筋違いかもしれません。それでも、お願いします。ラハールさんを、どうかよろしく・・・!」

りせ「・・・」

千枝「ん~・・・言われるまでもないよね?」

雪子「うん」

千枝「というより、いつもよろしくして貰ってるのはこっちのような・・・」

りせ「確かに・・・っていうか、そんなこと勝手に言われてるなんてラハール先輩が知ったら、きっと怒るよ?」

フロン「あ~・・・それは、まあ、そうでしょうね」

りせ「私はまだ納得してないけど・・・天界はともかく、なんかフロンちゃんの気持ちはわかっちゃったし、もう良いや」

フロン「ほえ?」

りせ「ラハール先輩も果報者だな~」

フロン「へ?ちょ、ちょっとりせさん、それは一体どういった意味で・・・」

りせ「私もう部屋に戻りま~す」

千枝「あ、うん」

フロン「ちょっと待ってくださ~い!」

雪子「・・・行っちゃった。二人して」

千枝「・・・行っちゃったね。まあいんじゃない?確かりせちゃん一人部屋だったし」

412: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:56:14.86 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・

雪子「・・・なんだか、解っちゃった。いっつも、ラハール君がどこか寂しそうにしてた理由」

千枝「・・・・・・悔しい?」

雪子「ん~・・・不思議とそうでもない・・・っていうかなんか、安心したかも」

千枝「安心?」

雪子「フロンさんが、凄く・・・良い人なんだなって」

千枝「あ~・・・」

雪子「けど、ラハール君のことだから、フロンさんには言わないんだろうな・・・」

千枝「何を?」

雪子「大事なこととか・・・まあ、色々」

千枝「あ~・・・言わないだろうね」

雪子「・・・だよね」

413: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 01:58:01.63 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・
:::【陽介とラハールの部屋】:::

陽介「で、さっきの態度は何だ?」

ラハール「・・・」

陽介「当ててやろうか?」

ラハール「・・・何をだ」

陽介「フロンさんを一目見て、思わず喜んで抱きつきそうになって・・・それを堪えてたんだろ?」

ラハール「アホか。そんなわけあるか」

陽介「まあそりゃ流石に冗談だけど・・・人間界に何も言わずに送りこまれたこととか、色々監視されてることとか、そんなこと全部忘れて、フロンさんに会えたことが嬉しくなっちゃったんだろ?けど、同時にそれが無性に腹立たしくなった・・・ってとこか?」

ラハール「・・・・・・」

陽介「何も言わねーなら図星だと思っちゃうぜ?」

ラハール「勝手にしろ。思うだけなら貴様の自由だ」

陽介「何でそう意地張るのかねえ・・・」

ラハール「・・・」

陽介「お前はそうやって意地張ってりゃ良いのかも知れないけど、そんなんじゃフロンさんに誤解されるぜ?嫌われたんじゃねーかとかさ」

ラハール「・・・奴はただの俺様の家来だ。元より嫌うも何も無い。だが、俺様が止めるのにも関わらず天界に行ったことも、今回俺様を勝手に人間界に送りこんだことも、許せることではない。奴は今、ぬけぬけと俺様の目の前に姿を現せるような立場にはない。俺様の家来なら、言われずとも頭を下げながら出てくるべきだ」

陽介「・・・お前さあ」

ラハール「だが」

陽介「・・・」

ラハール「・・・奴は貴様が思うほど弱くはない。弱いのは・・・」

陽介「・・・・・・明日は、しっかりしろよ」

ラハール「・・・さっさと寝ろ」

414: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:00:31.71 ID:JYOf+8pY0
>-・・・回想
:::【魔界】:::

ラハール「貴様は俺様の家来だろうが!勝手なことは許さん!」

フロン「・・・しかしですね・・・」

エトナ「・・・殿下、もうしょうがないんじゃないですか?」

ラハール「エトナ・・・貴様までなんだ!」

エトナ「ど~せ今暇なんだし、ちょっとぐらい天界行ってきたって」

フロン「あの・・・ちょっとぐらい・・・という訳にはいかなさそうで・・・」

エトナ「え、そうなの?」

フロン「はい・・・無期限というか、天界での騒動を治め、次の世代の天使長や大天使候補が育成出来るまでは・・・もう魔界に帰ってくることは出来ないかと」

ラハール「・・・!」

フロン「ですが、もう私達が行かないことには・・・天界は・・・」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・どうしても行くというのなら、もう二度と魔界の土は踏ませんぞ!」

エトナ「で、殿下、そりゃちょっと言いすぎなんじゃないですかね?」

ラハール「ぐ・・・とにかく、俺様は許さん!」

>-・・・・・・

エトナ「あ~・・・最後のアレは、本気じゃないと思うわよ?」

フロン「いえ、それぐらいの覚悟でいろということではないかと」

エトナ「・・・ったくアンタも殿下も・・・さて、シシリーちゃん。隠れてないで出ておいで」

シシリー「あはは・・・バレてたんだ」

エトナ「隠れたり気配消したりとかは、元々アタシの得意分野だしね。殿下はカッカしてて気付いてなかったみたいだけど。何でわざわざ隠れてたの?」

シシリー「・・・お兄ちゃんが本気で怒ってるとこ・・・初めて見たから、なんだか怖くて・・・」

エトナ「はあ?何言ってんのよ。殿下はわがままだから、いっつも怒りっぱなしじゃん」

シシリー「・・・今日のは、ちょっと違うと思う」

エトナ「・・・」

フロン「シシリーさん、そろそろ・・・」

シシリー「・・・うん・・・」

エトナ「・・・どうしても行くの?」

フロン「・・・」

シシリー「・・・」

エトナ「・・・まあ、そんなしんみりしないでよ。殿下の機嫌なんてすぐ良くなるって」

フロン「守りたい場所や、守りたい方達がいる・・・今のラハールさんにそれがわからないとは、思っていません」

エトナ「フロンちゃん・・・」

フロン「けど、いつか・・・それを、今よりもずっと、解ってくれる時が来れば・・・」

シシリー「・・・うん」

フロン「だけど、今は・・・さようなら・・・です」

エトナ「さよならって・・・フロンちゃん!」

>-・・・・・・

エトナ「二人は、行っちゃったみたいですよ」

ラハール「・・・もう、知らん。馬鹿共め・・・!」

415: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:01:42.88 ID:JYOf+8pY0
>-9/9(金) 修学旅行 二日目
:::【シーサイドホテルはまぐり・ロビー】:::

番長「・・・あれ」

フロン「あら、番長さん」

番長「昨日は眠れましたか?」

フロン「寝る前にりせさんに色々問い詰められましたが・・・まあお陰さまで」

番長「?」

フロン「(・・・番長さん・・・ラハールさんもついている今回なら、この人ならきっと・・・)」

番長「・・・昨日のラハールの態度のことなんですけど」

フロン「え、は、はい。何でしょうか?」

番長「・・・あいつはきっと、フロンさんのこと、嫌ってなんかないですよ」

フロン「・・・」

番長「ただ、あいつの中で色々・・・」

フロン「私は、待つだけですから」

番長「え?」

フロン「ラハールさんがご自分の愛を、そしてご自分自身を、許せるようになるのを、待つだけなんです。今はまだ・・・」

番長「・・・」

フロン「ご心配ありがとうございます。けど、私は大丈夫ですから」

番長「・・・そうですか」

>-・・・二人の間柄は、俺が心配しなきゃいけないようなものじゃないみたいだ。
>-・・・そっとしておこう。

416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:04:51.78 ID:JYOf+8pY0
>-昼
:::【たこ焼き屋オクトパシー】:::

>-今日は一日自由行動だ。
>-皆でいろんな店を見てまわることになった。

ラハール「・・・タコではない何かが入っている」

陽介「何か!?何かって何!?」

ラハール「・・・わからん」

番長「・・・・・・わからない」

陽介「深刻そうに言うなよ・・・」

完二「何が入ってようと食えりゃ一緒っスよ」

クマ「そークマね~、あちち」

フロン「いやぁ楽しいですねえ。食べ歩きなんて久々です」

りせ「フロンちゃんって普段何食べてるの?」

フロン「人間の皆さんと同じようなものですよ。好きな食べ物はスイーツですかね」

りせ「へぇ~」

千枝「そうなんだ。なんか霞とか食べて生きてそうなのに」

雪子「ふふっ、千枝、それは仙人でしょ!」

千枝「え、爆笑するとこ?」

>-・・・どうやらフロンさんはりせ達と仲良くなったようだ。しかし、ラハールと会話をしていないのが気になる。
>-・・・心なしか、ラハールも元気がなさそうだ。

ラハール「・・・おい、フロン」

フロン「は、はい!?何でしょうか!?」

番長「・・・」

ラハール「・・・・・・貴様が、どういうつもりで俺様をここに送り込んだのか・・・それを今聞こうとは思わん。どうせ、今はまだ話せないことなのだろうしな。そうでないとしたらとっくに話しておるだろう・・・」

陽介「・・・」

ラハール「・・・話せる時が来たら・・・貴様の口から、色々と聞かせて貰うぞ。無論、詫びも含めてな」

フロン「・・・はい」

ラハール「それまで貴様の処分は保留だ。だから・・・・・・今は普通にしていろ」

フロン「・・・・・・正直いって、ラハールさんには、口を聞いて貰えなくても仕方が無いと思っていました」

ラハール「・・・フロン・・・」

フロン「ラハールさんやエトナさんが止めるのも聞かず、天界に行ってしまったこともですが、今回のことも・・・お察しの通り、今はまだ何もお伝え出来ません。それでも・・・ラハールさんを近くで見ていたくなって・・・私はここに来てしまいました」

ラハール「・・・いいと言ってるだろ。せっかく人間界に来たのだ。その・・・貴様が騒がしくないと・・・どうも俺様の調子が狂う」

フロン「ラハールさん・・・」

ラハール「大体だな、貴様と違ってシシリーの奴は図々しくも普通にしておったぞ。貴様も俺様の家来なら、少しはあいつを見習ってだな・・・」

417: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:06:46.70 ID:JYOf+8pY0
>-・・・何だこの空気は。
>-・・・・・あれ?でもラハールはエトナさんを・・・
>-・・・ん?あれ?
>-・・・。
>-・・・。
>-・・・・・・そっとしておこう。

陽介「(お、おい・・・俺はてっきり、ラハールはエトナさんと・・・その・・・そういう感じだと思ってたんだけど)」

番長「(・・・そっとしておこう)」

陽介「(お、おう・・・)」

フロン「も~・・・お会いしたかったんですよ~~!」ガバッ

ラハール「バッ・・・抱きつくな!アホか~~~っ!」

フロン「天界は堅苦しくって、息をつく暇もなく!」

ラハール「知るか!な、泣くな!離れろ!」

フロン「え~?普通にしてろって言ったじゃないですか~?」

ラハール「これの何が普通だ!貴様、天界の空気に当てられて頭がおかしくなったのではないか!?」

フロン「エトナさんとラハールさんのラ~ヴをウォッチするのも疲れました!」

ラハール「なっ・・・・・・///」

フロン「いつ見ても素晴らしいお二人の愛!人間界でより一層燃え上がるその関係を見て私は--」

・・・ゴゴゴゴゴ・・・

ラハール「黙れ~~~!」

ドンッ!!!

418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:10:40.11 ID:JYOf+8pY0
>-夜
:::【クラブ エスカペイド】:::

陽介「いろんな店あったなあ・・・しっかし最初の、昼間っから爆発ってどうなの?」

千枝「全員で全力疾走するハメになるとは思わなかったね・・・」

ラハール「・・・あ、あれはコイツが悪い」

フロン「いえ、あの・・・すいませんでした」

陽介「そりゃ責任転嫁じゃね?爆発したのはお前だろ」

ラハール「う、うるさい!」

クマ「ププ~、ラハールの困った顔面白かったクマねぇ~!」

ラハール「貴様、プリニーにしてやろうか・・・!?」

クマ「意味わかんないけど目つきが凄いクマ・・・」

陽介「あんま煽るなよ・・・」

りせ「お待たせ~!」

完二「な・・・!」

直斗「・・・」

陽介「お、おいりせ・・・そいつ・・・」

りせ「なんか一人寂しくたそがれてたから連れてきちゃった」

直斗「さ、寂しくなんか・・・!」

番長「高校生がこんな店に来てていいのか?」

雪子「確かに」

直斗「せ、先輩達に言われたくないですよ!大体、僕はこのお店の評判が良かったから気になってちょっと見に来ていただけで・・・!」

フロン「その方も皆さんのお知り合いですか?」

直斗「(だ、誰・・・?)」

ラハール「まあ知り合いといえば知り合いだが・・・おい久慈川、そんな奴引っ張ってきてどういうつもりだ?」

りせ「直斗も私達に混ぜてあげましょうよ。一人じゃ寂しいだろうし」

直斗「だ、だから別に寂しくなど・・・!」

番長「ラハール、良いんじゃないか?」

ラハール「・・・一々俺様に聞くな。貴様の好きにしろ・・・」

番長「じゃあ、一緒に飯でも食わないか?そっちに、特に予定とかなければだけど」

直斗「別に、それは構いませんけど・・・」

番長「完二、ちょっと席詰めてくれ」

完二「あ、ウス・・・」

直斗「・・・隣、失礼します」

完二「お、おう・・・」

陽介「・・・何?今の妙な空気何?完二やっぱお前・・・」

完二「ふざっ・・・!いい加減シメんぞてめぇ!」

フロン「愛ですね!」

完二「あぁっ・・・!?」

ラハール「フロン、さっきは普通にしていろと言ったが・・・やはり貴様少し黙っていろ」

フロン「お断りします!」

419: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:13:24.64 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・

千枝「(なんか変な味のジュースだなあ、飲みにくくてまだ一口しか・・・)」

ごっくごっく

雪子「はー・・・おいしい・・・!」

千枝「雪子凄い飲みっぷりだね。なんかあたしの口にはちょっと合わないんだよな・・・」

雪子「飲まないならちょーだーい」

ごっくごっく

ラハール「(・・・何だ?景色が若干揺れている・・・?)」

直斗「(何だろうこのジュース・・・このお店は確かにアルコールを取り扱っていないはず。さっき確認したし・・・まあおいしいから良いか。絶対ジュースだし)」

番長「うまい。もう一杯」

完二「うぃ~っす、ほらほら、つぎますよ~」

クマ「なんか気持ち良くなってきたクマね~・・・!」

りせ「んふふ、そうね~・・・!」

陽介「何か変な空気に・・・このジュース飲みづらくて俺全然飲んでないんだけど・・・ま、まさか、これ・・・」

千枝「あ、あんたも・・・?」

フロン「ふっふっふ」

陽介「な、なんですか?」

フロン「一滴たらすだけで気持ち良くなってしまう天界の至宝!こんなこともあろうかとこっそり持ってきちゃいました!」でで~ん☆

陽介「こんなこと!?どんなこと!?」

フロン「ご安心を。アルコールではないので合法れす」ひっく

陽介「もっとヤバくね!?」

フロン「大丈夫れすよ。明日にも響きませんから」

千枝「そういう問題!?」

フロン「いや~、気持ちよくなってしまえばラハールさんも少しは素直になれるのではないかと思いましてねぇ・・・!」

ラハール「き、貴様・・・!」

420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:15:27.35 ID:JYOf+8pY0
りせ「王様ゲーーーム!!」

ラハール「は?」

陽介「な、なんだなんだ・・・?」

りせ「私知ってるんだからね!こういう時は、王様ゲームするものなの!そういうルールなの!」

雪子「ルールなら仕方ないね~・・・!」

クマ「仕方無いクマね~・・・!」

直斗「そうですね~、ひっ・・く、ルールなら・・・!」

フロン「かにみそ!」

ラハール「何だその・・・王様ゲームとかいうのは」

りせ「くじを引いて~王様を決めて~、他の人は王様の命令に従うの!」

番長「よし、くじを作ったぞ」

陽介「無駄に手際がいいな・・・」

千枝「ど、どうすんのこの空気・・・?」

陽介「とりあえず適当に付き合って、ほどほどのところでこいつら引っ張って帰ろう」

千枝「よ、よし」

>-王様:ラハール

ラハール「・・・」

りせ「さあ~、命令はな~に?」

ラハール「・・・全員で、泊まるところに帰る」

りせ「ふざけんな~!」

雪子「そーだそーだ、面白いこと言え~!」

クマ「そーだクマ~!」

完二「俺はホ じゃねぇぞ~!」

フロン「かにみそ~!」

ラハール「・・・」

421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:16:56.49 ID:JYOf+8pY0
陽介「お、おい、なんか適当な命令しろよ。このままじゃおさまらねぇぞ」

ラハール「し、しかし命令といわれてもだな・・・」

陽介「王様以外は番号のついたクジを引いてるんだ。だから、何番と何番が何かするとか、そういうのだ」

ラハール「あ~、じゃ、じゃあ・・・一番と二番が・・・」

りせ「一番と二番がぁ~!?」

>-腕相撲 番長 対 陽介

番長「よし、かかってこい」

陽介「ま、まじでやんの?これ・・・寒すぎじゃね?」

番長「どうした?びびってるのか?」

陽介「コ、コイツ・・・よし、いいぜ。手強い気はするけど、俺だって最近鍛えてんだし、どうやらお前も酔ってるみたいだし、今なら・・・!」

ガッ

ラハール「・・・」

りせ「さ~っすが先輩!」

クマ「さすがセンセイ~ッ!」

フロン「かにみそ~っ!」

番長「任せろ」

千枝「ど、どんまい・・・?」

陽介「何も言うな・・・!」

422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:18:51.72 ID:JYOf+8pY0
>-王様:りせ

陽介「ヤバイ。これはヤバイ・・・」

りせ「よ~っし、じゃあ一番が二番に~~」

雪子「一番が二番に~!?」

>-キス 番長 → ラハール

番長「よし、いくぞ」

ラハール「ま、待て、正気に戻れ」

番長「びびってるのか?」

ラハール「びびるわ!アホか!?」

フロン「ラハールさん愛ですよ愛!」

ラハール「黙れ!アホか!!」

番長「そんなに怖がるなよ」脱ぎ脱ぎ

ラハール「ひぇっ・・・!?」

バッ

りせ「逃げたぞ~!追え~!」

フロン「かにみそ~っ!」

雪子「おえ~!」

直斗「おえぇぇぇっ・・・」

完二「お~い、しっかりしろ~、おら水」

陽介「早くも一人潰れた・・・」

クマ「クマ~・・・クマ~・・・むふっ・・・」

陽介「二人目・・・」

千枝「どうすんのこれ」

陽介「どうしようか・・・あ、ラハールが捕まった」

千枝「あ~」

>-皆と楽しく過ごした。

423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:21:47.34 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・
:::【シーサイドホテルはまぐり・ロビー】:::

直斗「・・・ここは」

陽介「お、おい大丈夫か?お前も戻してやりたかったんだけど、部屋がわかんなくてさ。部屋教えてくれたら今から連れてくぜ?」

直斗「・・・いえ、結構です。もう目は覚めましたから。一人で戻らせてください」

陽介「意識はしっかりしてるみたいだな。吐いてた割には立ち直りがはえーじゃん」

直斗「は、吐いてません!確かに危なかったですけど・・・!」

陽介「あはは、寝る前に水飲んどけよ。ま、ホテルまでは連れてきたんだし、こっからは一人でも大丈夫かな」

直斗「ど、どうも・・・」

陽介「・・・」

直斗「・・・こんな時に失礼かもしれませんが、一つ聞きたいことがあります」

陽介「な、なんだ?」

直斗「皆さんの、事件との関わりについて」

陽介「・・・」

直斗「・・・僕には、話して貰えないようなことでしょうか?」

陽介「いや、なんつーか・・・」

直斗「・・・やっぱり良いです。いきなりすみませんでした」

陽介「すまねえな。けど、俺等別に悪いことやってるわけじゃないんだ」

直斗「・・・そんなわかりきったことは良いんですよ。僕も、探偵なら自分で突き止めるべきでしょうしね」

陽介「直斗・・・」

直斗「・・・今日はありがとうございました。久慈川さんに言って僕を誘わせたの、貴方でしょう?番長先輩」

番長「気付いていたのか」

陽介「番長、いたのか・・・てっきり潰れて部屋に置いてきたもんだと」

直斗「フリですよ。一人だけ完全にシラフだったでしょう?番長先輩は」

番長「ああ」

陽介「え、えぇ!?けどお前ラハールに・・・」

番長「アレもフリだけだよ、あの場の空気を崩すわけにもいかないだろ?まあ、半分は面白がってやってたけど。本当にやっちゃったらいろんな人に殺されそうだし」

陽介「まあ確かに・・・」

直斗「・・・やはり僕はまだ正気に戻っていないようですね。あなたなんかにお礼なんて・・・今のは忘れて下さい。では、失礼します」

番長「またな」

直斗「・・・・・・」

424: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:23:15.24 ID:JYOf+8pY0
>-・・・・・・

番長「俺も、もう寝るよ。陽介も、早く戻れよ?」

陽介「おう」

千枝「・・・あ~・・・」

陽介「あ、お疲れ~」

千枝「お、おぉ~お疲れ。そっちも皆部屋に押し込めた?」

陽介「なんとかな。クマが完全に潰れてたし、完二も足元危うかったけど」

千枝「こっちは皆潰れきってたよ・・・フロンさんまで全くもう・・・」

陽介「マジでお疲れ・・・」

千枝「・・・けど、ちょっとフロンさんのイメージ変わったな~」

陽介「イメージ?」

千枝「うん。昨日はなんか、大人しくて良い人みたいなイメージあったんだけど・・・」

陽介「今は?」

千枝「大人しくないけど、良い人・・・かな」

陽介「そっか・・・確かにな」

千枝「だけど、一つ気になることがあるんだよね」

陽介「・・・お前もか」

千枝「・・・アンタも?」

陽介「あぁ」

・・・・・・かにみそって、なんだろう?

425: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/11(木) 02:24:01.48 ID:JYOf+8pY0
>-次回予告
>-BGM:なし

シシリー「次回!【フロン殺す!】」

フロン「・・・」

シシリー「・・・」

フロン「・・・あ、あの~、それだけですか?もっとこう・・・」

シシリー「他に何か?」

フロン「あ、いえ、なんでもありません」

433: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 00:35:35.47 ID:2ZQKFsdj0
>-番外編・フロンとクマの大冒険!

>-修学旅行初日

フロン「・・・いません」

フロン「・・・ここにもいません!」

フロン「どこにもいませえええん!」

フロン「(どうしましょう・・・そうだ、ベルベットルームでエトナさんに!って駄目だぁ、番長さんかラハールさんがいないと入れません・・・!)」

フロン「(くぁー・・・これは困りましたねぇ~・・・!)」

フロン「(大見得切って出てった手前、また天界に戻るのも気まずいですねぇ~・・・)」

トボトボ・・・

クマ「・・・」

フロン「あれは・・・あの~!」

クマ「ン!?な、何クマ!?」

フロン「やはり間違いない!アナタがクマさんですね!?」

クマ「ク、クマのことを知っているとは・・・キミは何者クマ!?」

フロン「ふっふっふ・・・私は愛の天使!フロンと申します!」

クマ「フロンチャン!?キミがフロンチャンクマ?言われて見れば変な格好クマ~!」

フロン「変な格好・・・私のことをどう聞いてるんですか?」

クマ「ラハールがね~、変な格好の変な奴だって言ってたクマよ」

フロン「あ、そうですか~・・・」

クマ「フロンチャンどうしてココにいるんだクマ?」

フロン「そうでした!クマさん!ラハールさんは今どこにいらっしゃるんですか!?」

クマ「ラハール達なら皆で楽しく修学旅行に行ったクマよ。このプリチーなクマを置いて・・・オヨヨ~・・・!」

フロン「しゅうがくりょこぉおおぉ!?」

:::【なんかのトラックの荷台】:::

クマ「(フ、フロンチャン、これホントに大丈夫クマ?)」

フロン「(しっ、お静かに!私達はこっそり忍び込んでるんですよ!)」

クマ「(ケ、ケド・・・)」

フロン「(このトラックのナンバープレートには確かに私達が行きたいところの県名が書かれていました!そういうのはそこに戻るって知ってます!漫画で読みました)」

クマ「(ふ、不安クマ~・・・)」

434: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 00:39:40.52 ID:2ZQKFsdj0
:::【なんかばれて追い出されました】:::

フロン「困りましたね~・・・」

クマ「困ったクマね~・・・」

フロン「幸い行きたい方向には近づいているようですが・・・お腹すきましたね~」

クマ「お腹すいたクマね~・・・」

フロン「・・・」

クマ「・・・」

フロン「・・・」

クマ「・・・こうなったらクマのお小遣いを使うクマ。お腹すいては修学旅行にも行けないクマ」

フロン「駄目ですよぉ。それはもっとピンチの時に使うためにとっておきましょう。それがなくなったらホントに帰れなくなっちゃいますし」

クマ「そういわれても・・・」

???「あら、何してるの?」

フロン「あ、貴女は!?お久しぶりです!」

???「本当に久しぶりね。けど、私もう行かなきゃ」

フロン「そうなんですか?せっかく会えたのに・・・」

???「ん~。そうだ。お腹すいてるんでしょ?お弁当あげるわ」

フロン「い、良いんですか?」

???「良いのよ。じゃあね」


>-・・・・・・
:::【なんか宇宙船】:::

???「どうしたんだい?ジェニファー?そんなに嬉しそうにして」

???「なつかしい子に会えたのよ、ゴードン」


>-・・・・・・
:::【なんかサービスエリア】:::

フロン「・・・思わぬ旧知に会えました。お弁当一緒に食べましょうか。その後、次に忍び込むトラックを探しましょう」

クマ「クマもイイノ?」

フロン「もちろんですよ~」

クマ「すまんクマ・・・」

フロン「何を言ってるんですか!私達は一緒に旅をしている同志ではありませんか!」

435: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 00:41:58.24 ID:2ZQKFsdj0
>-数時間後
:::【なんかの電車の貨物室】:::

フロン「(もう少しでポートアイランド駅ですね!)」

クマ「(どうなることかと思ったけど、何とか辿り着けそうクマね!)」

フロン「(はい!)」

>-・・・・・・
:::【シーサイドホテルはまぐり・外の外】:::

クマ「ここまで来てどうしたクマ?」

フロン「うぅ~・・・やはりラハールさんに会うのは気まずくて」

クマ「どうしてだクマ?」

フロン「・・・色んなことで、ラハールさんはきっと私を怒ってるんですよ」

クマ「でも、フロンチャンはラハールに会いたくてここまで頑張って来たんだクマ!それに、ラハールもきっとフロンチャンに会いたいクマよ!」

フロン「クマさん・・・」

クマ「さあ、一緒に行くクマ!クマ達は同志クマ!」

フロン「はい!」


フロン「ふっふっふ~」

誰だ!

クマ「フッフッフ~」

>-本編に続く。

 
439: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:40:14.37 ID:2ZQKFsdj0
>-9/10(土) 修学旅行最終日
:::【鍋島ラーメン はがくれ】:::

千枝「油と塩分が体に染み渡る・・・!うんまーい!」

完二「マジ美味いスねここのラーメン」

陽介「結局昨日の夜はまともに食えなかったもんな~・・・そのせいで余計美味く感じるぜ」

雪子「え?そうなの?なんか昨日は楽しかった記憶しかなくて・・・夜のことはあんまり覚えてないんだけど」

りせ「私も~。けどなんか楽しかった気がする」

直斗「・・・」

陽介「君達のせいなんだよ・・・」

フロン「おいしいですねぇ~・・・しかし良いんですか?ラハールさん。私にまで奢って頂いて」

ラハール「黙って食え。大体、次からは金ぐらい持ってこい」

フロン「あ、はい。そうします・・・あれ?次も来て良いんですか?」

ラハール「なっ・・・!い、今気にするとこはそこじゃないだろ!」

番長「照れるなよラハール」

ラハール「貴様絞め殺すぞ・・・!」

フロン「愛ですねぇ~」

ラハール「だっ、黙れ!」

クマ「はぁ~~・・・やっと落ち着いた気分クマ。来て良かったクマね~」

フロン「そうですねぇ~」

ラハール「呑気なアホ共だ・・・聞いたぞ。ここに来るために随分無茶をしたそうではないか」

フロン「あはは・・・」

ラハール「笑ってる場合か・・・天界でも無茶しているのではないだろうな?」

フロン「危険なことはないんですが、ただただやることが多いというか・・・」

ラハール「・・・・・・天界は大事か?」

フロン「・・・はい。ずっと生まれ育ってきたところですから」

ラハール「・・・・・・・・・そうか」

番長「・・・」

440: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:43:59.17 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・
:::【土産屋】:::

千枝「直斗君先行っちゃったね」

りせ「ホントは寂しいクセに素直じゃないんだから・・・」

ラハール「・・・」

番長「菜々子のとおじさんのと・・・あと、エトナさんのと・・・」

陽介「チーフのとバイトの後輩二人のと・・・駄目だこりゃキリがねー。フロアごとにまとめよう」

ラハール「・・・そろそろ、天界に帰る時間か」

フロン「はい。ご迷惑おかけしました」

ラハール「・・・・・・」ヒュッ

ぱし

フロン「・・・これは?」

ラハール「土産だ。シシリーにも食わせてやれ。貴様一人で食うなよ?」

フロン「・・・はい。ありがとうございます」

ラハール「・・・・・・もう、さっさと帰れ」

陽介「おいおい、寂しいからってそりゃないんじゃね?」

ラハール「・・・」

フロン「・・・また来ますから」

ラハール「・・・早く行け」

陽介「あんまりいられると引きとめたくなっちまうもんなー?」

ラハール「・・・」

フロン「ラハールさん・・・」

りせ「フロンちゃん、またね。あ、これ私からお土産」

千枝「じゃー私からはこれ」

クマ「クマはこれ!」

雪子「はい。シシリーちゃんの分とフロンさんの分」

フロン「皆さん・・・どうもありがとうございます。ご迷惑もおかけしてしまったのに・・・」

りせ「ううん、楽しかったよ!」

陽介「気苦労もあったけどな・・・」

千枝「ま、たまにはいいじゃん」

フロン「・・・では皆さん、ラハールさんをよろしくお願いします」

完二「任してくださいよ!」

ラハール「アホか!貴様も返事をするな!」

>-皆でフロンさんを見送った。

441: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:46:00.52 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・
:::【帰りの電車】:::

陽介「クマの奴、自信満々で一人で帰るとか言ってたけど、ほんとに大丈夫か?」

ラハール「・・・」

番長「なんとかなるだろ」

ラハール「・・・」

陽介「・・・」

ラハール「・・・」

番長「・・・暗いぞラハール。そんなに寂しいのか?」

ラハール「・・・」

完二「マジで寂しいんスね。ラハール先輩が言い返さねーなんて」

陽介「だな」

ラハール「・・・うるさいぞ貴様等」

番長「少し考えたんだけど・・・」

ラハール「・・・?」

番長「フロンさんとシシリーちゃんが天界に行くのを止めたのって、要は心配だったんじゃないか?二人が」

ラハール「・・・」

番長「自分の手の届かないところで、危険な目とかにあって欲しくなかったんだろ?ただ寂しいってだけなら、お前は二人を引き止めたりしないはずだ」

ラハール「・・・・・・考えたこともなかったが・・・」

番長「本当に?」

ラハール「・・・ああ。だが、思えばフロンのアホが一度死にかけたのは、俺様の目の前での事だった・・・結局アレは勘違いで済んだが、俺様がついていてもそうなのに、奴を放っておくと・・・確かにどんな危険に首を突っ込むか、わかったものではないかもしれんな」

陽介「ま、確かに無茶苦茶な人みたいだしな・・・けど、お前をそんな素直にしちまうほどしっかりした人なのも間違いないわけだし、そこまで心配することないと思うぜ。ああいう人は、自分に何かあった時に誰がどんだけ悲しむか・・・そういうこと解ってるだろ、きっと」

ラハール「・・・・・・・・・奴が殺されたと思ったとき・・・俺様は自分の命を捨てて奴のことを助けようとした・・・フロンはそれを望まないと、わかっていながら・・・もうあんなのはご免だと・・・確かにそう、思っていたのかもな・・・」

陽介「・・・マジ?」

ラハール「ああ・・・やはり俺様は自分勝手なのだろう・・・」

番長「良いんじゃないか?それが、ラハールらしさだろ?」

ラハール「フン・・・・・・そうだな」

>-"ラハール"コミュのランクが"6"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

ラハール「・・・・・・いらんことを喋りすぎたな。俺様は寝る。着いたら起こせ」

番長「ああ、わかった」


完二「ただのヤベー人かと思ってたけど・・・フロンさんって凄ぇんスね」

陽介「ヤベー人ってお前・・・」

442: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:47:06.27 ID:2ZQKFsdj0
>-夜
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「どうでした?旅行」

ラハール「・・・・・・愛マニアが来たぞ」

エトナ「へっへ。それで、どうでした?」

ラハール「・・・貴様知っていたのか」

エトナ「そりゃまあ、シシリーちゃんが愚痴ってきましたから」

ラハール「全く・・・どうもこうもない。好き勝手遊んだら帰っていった」

エトナ「あらら、そりゃまたフロンちゃんらしい」

ラハール「・・・貴様も・・・」

エトナ「え?何です?」

ラハール「・・・いや、何でもない」

>-・・・・・・

マリー「・・・あれ?なんか忘れてったよ?」

エトナ「何々?何これ?巌戸台まんじゅう?」

番長「こんばんわ」

エトナ「お、来たわね番長」

番長「これ、お土産です。巌戸台まんじゅう」

エトナ「・・・これって・・・」

番長「あ、ラハールにも貰ったんですか?お土産」

エトナ「・・・そーゆーことか、これ。殿下が土産とはねー・・・」

番長「・・・エトナさんもマリーも来れば良かったのに」

エトナ「旅行にまでついてかないわよ。めんどくさい」

マリー「・・・あ」

エトナ「どしたの?」

マリー「・・・ラハールが言いかけてたのって、それかなって思って。一緒に来ればって・・・」

エトナ「えぇ?ないない」

マリー「そうかな・・・?」

番長「?」

443: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:48:31.52 ID:2ZQKFsdj0
>-9/12(月) 夜
:::【陽介の部屋】:::

クマ「アレレ?この子こないだの子クマ」

陽介「こないだの子?」

ラハール「・・・?」

陽介「現役高校生、探偵王子特集・・・何だこの番組?」

クマ「甘いマスクとな・・・ウヌヌ、生意気クマね」

陽介「なんか意外だな。こいつこういう番組に出るのとか断りそうなのに」

ラハール「・・・下らん。さっさと寝るぞ」

陽介「へいへい」

クマ「もっと遊ぶクマ~!」

陽介「俺等は明日も学校だっつの」

クマ「夏休みが懐かしいクマね~・・・」

陽介「学校行ってないお前の口からそれを聞くとは思わなかったぜ」


>-9/14(水) 夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「・・・映ったな。マヨナカテレビに」

ラハール「貴様にはどう見えた?俺様には人の影だとしか判断出来なかったが」

陽介「・・・ぶっちゃけ俺も似たようなもんだ。どっかで見たような気はすんだけど・・・ぼやけすぎだな」

ラハール「とりあえず、明日集まるか」

陽介「明日は洋服売場の特売あるから、俺等は手伝う予定だったろ」

ラハール「む・・・まあいいか、次の被害者候補を絞り込むための話し合いなら、俺様達に手伝えることはないし・・・ぼやけた映像なら、まだ被害者はテレビの中にいない」

陽介「・・・そうだな。皆には悪いけど、明日は店の手伝い終わらせてから合流しよう」

444: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:49:54.41 ID:2ZQKFsdj0
>-9/15(木) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

りせ「あれ?番長先輩は?」

雪子「すぐ行くから先に集まっておいて欲しいって。職員室に呼ばれちゃって」

完二「あぁ?番長先輩がセンコーに呼び出しっスか?」

千枝「なんか用事押し付けられちゃったんじゃないかな?番長君、先生とかに頼まれたら断らないし、先生達にも頼りにされてるから」

りせ「ふ~ん・・・」

直斗「・・・ここにいましたか、皆さん」

りせ「あれ?直斗?」

直斗「番長先輩やラハール先輩達がいらっしゃらないようですね。まあ、そのほうが都合が良いです。あの方達がいては、何を聞いてもはぐらかされそうですから」

千枝「な、なんの話?」

直斗「今回の連続殺人事件のことについて、僕の考えを皆さんに聞いて貰おうと思いまして」

雪子「今回の事件は、警察では解決したことになってるって聞いたけど?」

直斗「・・・貴女がいましたか・・・まあ良いです。警察は、面目を保つために解決したことにしたがっているようですが・・・僕はまだ解決したとは思っていないんですよ」

雪子「その、根拠は?」

直斗「違和感があるんですよ」

千枝「い、違和感?」

直斗「今回の誘拐殺人の被害者は三名・・・そのうち三人目は、二人目と随分と期間が離れていましたね」

雪子「・・・そうだね」

直斗「しかし、二人目と三人目が被害にあう間に・・・実はいるんですよ。一人目の被害者や二人目の被害者のように、失踪していた人たちが。その人たちは無事に帰ってきているようですが」

りせ「そ、それって・・・」

直斗「天城雪子さん、巽完二さん、久慈川りせさん。失踪して、失踪している間のことは何も覚えてないと仰っている三名」

雪子「それは・・・」

直斗「偶然同じようなケースで失踪した三名が、三名とも同じグループと仲良くなって今は一緒に行動している・・・一体これはどういう偶然でしょうか?」

千枝「・・・何が言いたいのよ?」

直斗「皆さんの中に、二人目の被害者・・・小西早紀さんと接点のあった方がいらっしゃいますよね。今この場にはいないようですが・・・」

千枝「それ、花村のこと!?だから、何が言いたいの!?」

直斗「・・・実は皆さんのグループの中に犯人が、もしくは皆さんのグループそのものが犯人グループなのでは・・・」

りせ「そんなわけないでしょ!?」

直斗「・・・」

りせ「・・・アンタ、前に私達のこと遊びとか言ってたけど、そっちのほうが全然遊びよ!勝手に変なこと妄想して、失礼なこと決め付けて!」

直斗「決め付けてはいませんよ。それに、以前そういう予想を立てそうになっていたことは事実ですが、今の僕の考えは全くの逆なんです」

りせ「・・・え?逆?」

直斗「先日・・・花村先輩に、皆さんの事件との関わりについて質問した時、花村先輩はこう仰いました。俺達は別に悪いことをしているわけじゃない・・・と」

りせ「そ、それが何?」

直斗「悪いことをしているわけじゃないのなら、悪くはない何らかのことをしているのではないか・・・と、そう思いました」

千枝「・・・」

445: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:50:49.80 ID:2ZQKFsdj0
雪子「ちょっと待って。まだ、直斗君が、事件が終わってないって思う根拠のことを聞いてないよ?」

直斗「・・・まずい話題は変えようということですか?まあいいでしょう。元々そのために来ていますし」

雪子「・・・」

直斗「一人目、二人目と、科学捜査がこれほどまでに発達している現代において、何一つ証拠を残すことなく殺人を犯してきた犯人が・・・三人目のような、ひどく雑な、あらゆる証拠が残っていた殺しをしてしまうでしょうか?これが一つ、僕の感じている大きな違和感です」

雪子「・・・なるほど」

直斗「それだけではないです。失踪して無事帰ってきている三名と、最初の被害者二名、この五名に通じていた共通点が、三人目の被害者、諸岡さんにはないんですよ。メディアにとりあげられ、この町で急激に知名度を増したという共通点がね」

雪子「わ、私達三人は・・・」

直斗「僕は・・・何事も、例え小さなものでも違和感というものは無視すべきではないと考えています。違和感が何一つなくなった時、目の前にあるのは真実ですから。そうは言っていられないことも多々ありますが・・・今回の違和感は無視するには大きすぎる」

完二「・・・」

直斗「話を戻しましょう。僕は皆さんのことを、被害者を救出し、犯人のことを追い詰めることが出来る何らかの手段を持っている人たちだと思っています」

りせ「!」

直斗「いずれにせよ、事件を終わりにしたがっている警察からは、今の僕は厄介者扱いされています・・・僕がこれ以上何かを知ろうと思ったら・・・何か大胆な働きかけが必要です」

雪子「え・・・?」

直斗「僕は、遊びのつもり・・・ないですから」

りせ「・・・」

直斗「では、失礼します」

>-・・・・・・

完二「・・・つーことがあって」

番長「・・・そうか・・・」

完二「すんません。俺ぁ・・・口開いたら言っちゃいけねえことまで言っちまいそうで、ずっと黙ってました」

番長「いや、良いんじゃないか?」

雪子「最後に言ってた・・・大胆な働きかけって・・・何だろう?」

番長「・・・わからないな。もうすぐ後の三人も合流する時間だし、それから考えよう」

446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:51:54.87 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・

ラハール「・・・」

番長「どう思う?」

ラハール「貴様等、昨日のマヨナカテレビは見たか?」

陽介「ウチはラハールと俺で見たぜ。クマはさっさと寝ちまって見てねーけど」

クマ「最近なかったから油断して寝ちゃったクマ」

番長「・・・俺は見たけど、ぼやけすぎてて、人影だってことぐらいしか・・・」

ラハール「俺様達もそうだ。だが、これまで通りなら、同じ日のマヨナカテレビでも、見る者によって見える映像の鮮明度が違うはずだ」

完二「・・・あの、俺も見たんスけど・・・あれ、直斗だったんじゃねえかと思うんスよね」

ラハール「何!?」

完二「・・・いや、俺もぼやけてて、よくはわかんなかったスけど」

ラハール「・・・まさか」

雪子「ど、どうかしたの?」

ラハール「・・・一昨日、奴はテレビに映っていた」

陽介「あ~・・・そういや、探偵王子とか言われて特集組まれてたな」

千枝「へぇ~、なんか彼、そういうの断りそうなのにね」

ラハール「・・・やはり」

陽介「どした?」

ラハール「おい、誰か奴の行き先を知っている者はいないか!?」

完二「行き先っつわれても・・・」

りせ「家ってこと?ちょっと、解らないです」

千枝「けど、どしたの?そんな慌てて」

ラハール「まだ解らんのか、貴様等」

番長「・・・おとり捜査・・・か」

ラハール「・・・ああ」

雪子「おとり捜査・・・って、犯人に狙われるために、テレビに出たってこと?」

447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:53:34.15 ID:2ZQKFsdj0
りせ「な、なんでそんな・・・」

番長「・・・遊びのつもりはないってことだろうな」

りせ「そんな・・・!」

陽介「ど、どうすんだよ!」

ラハール「だから、誰か奴の行き先を・・・!」

>・・・わからない。

ラハール「・・・!」

番長「学校で聞こうにも・・・もう学校は閉まってるな。うちはどこの部活もそんなに熱心じゃないし・・・」

完二「ど、どうすんスか!?おとりってあいつ・・・!」

番長「・・・・・・もし犯人を誘ったのなら、人をつけるなり何なり、それなりの準備はしておくだろう」

完二「けどよ!」

番長「・・・早まったことをする奴だ。もう少し、冷静かと思っていたんだけどな・・・」

ラハール「チッ・・・」

番長「何か久々だな、舌打ち」

ラハール「言ってる場合か!」

番長「・・・そうだな。けど、今は俺達にはどうしようもない・・・」

完二「・・・!」

番長「今日は時間も時間だ。解散しよう。明日直斗が無事なら、無茶なことはやめさせなきゃな」

完二「無事ならって先輩!」

番長「無事じゃなかったら、俺達が助けに行こう」

完二「・・・ウス」

448: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:54:09.90 ID:2ZQKFsdj0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「今日はまだ寝るなよ?」

クマ「わかってるクマ!けど、なんでナオトクンはおとりなんて無茶なことするクマかね~?」

陽介「確かにな・・・そんな危ないことしなくたって・・・」


:::【マヨナカテレビ】:::

直斗『皆さんこんばんは。探偵王子こと、白鐘直斗です』

直斗『【世紀の大実験・ゲノムプロジェクト】へようこそ』

直斗『僕がこれから受けるのは、人体改造手術・・・禁じられた、素晴らしき秘法!』

直斗『あなたがたは今こそ目にするでしょう・・・この僕の新たなる旅立ち、新たなる誕生の瞬間を!』

直斗『僕という人間が、ある日を境に、全く別の人生を歩み始める・・・』

直斗『そんな記念日を、皆さんと共に体験したいと考えています』

直斗『どうぞ、お楽しみに!』


>・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

陽介「・・・マジかよ」

ラハール「おいクマ、今の・・・」

クマ「間違いないクマ。ナオトクンのシャドウクマ」

ラハール「あの阿呆・・・わかっていながらむざむざと・・・!」

449: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:55:34.43 ID:2ZQKFsdj0
>-9/16(金)
:::【テレビの中の世界】:::

ラハール「・・・どうだ?」

りせ「・・・確かに・・・いる・・・それに、この世界・・・大きくなってる・・・」

ラハール「大きく・・・・?まあいい、居場所は掴めたか?」

りせ「・・・なんとか。私だって皆と一緒に特訓してたんだし」

番長「良し、行こう」


>-・・・・・・
:::【秘密結社改造ラボ・6F】:::

ラハール「おい、何を立ち止まっている?」

番長「あ、ラハール・・・この扉、何か認証キーのようなものが必要らしい」

ラハール「・・・どいてろ」

ガキンッ

ラハール「ハァァアアアアァァ!!」

バキッ

ラハール「よし、開いたぞ」

陽介「無茶するなぁ・・・」

ラハール「モタモタしている場合ではなかろう」

完二「その通りっスよ」

450: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:58:09.22 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・
:::【秘密結社改造ラボ・9F】:::

完二「直斗!」

直斗「・・・待ちくたびれましたよ」

ラハール「・・・」

直斗「この子の相手をするのに、ほとほと参っていたところです」

直斗のシャドウ『やだやだ、行かないでよ!』

直斗「君との会話は無意味だ。僕はもう帰らないと」

直斗のシャドウ『なんで?なんで僕だけ置いていくの?どぉしていつも僕だけひとりぼっちなの!?』

直斗「・・・」

直斗のシャドウ『寂しい・・・寂しいよ!』

りせ「直斗・・・」

直斗「僕と同じ姿形・・・君は一体何なんだい?」

直斗のシャドウ『どうしてそんなことを言う?僕は、お前だよ』

直斗「僕?」

直斗のシャドウ『子供の仕草はフリじゃあない・・・だって皆お前に言うだろ?子供のくせに、子供のくせに・・・ってさあ』

直斗「な、何を・・・」

直斗のシャドウ『どんなに事件を解決しても、必死に考えて力を尽くしても・・・子供ってだけで、誰も認めてくれない』

番長「・・・」

直斗のシャドウ『周りが求めてるのは、お前の頭だけだ・・・名探偵扱いはそれが欲しい間だけ、用が済んだら・・・子供は帰れ、だ』

直斗「そ・・・」

直斗のシャドウ『世の中の二枚舌にお前はなす術もない。独りぼっちの、ただの子供だ』

ラハール「(・・・番長)」

番長「(・・・ああ)」

直斗のシャドウ『僕、大人になりたい・・・今すぐ大人の男になりたい・・・ちゃんと認めて欲しい・・・僕は、いて良い・・・意味が欲しい!』

直斗「やめろ!自分がいて良い意味なんて、自分で考えられる!」

直斗のシャドウ『フフ・・・無理だって言ってるのに。じゃあ例えば、今お前が子供であるという事実を、どうする?』

直斗「やめろ・・!」

直斗のシャドウ『本心じゃ憧れてる。強くてかっこいい、小説の探偵みたいな大人の男に』

陽介「おい。このままじゃ・・・」

完二「良いんスよ、これで」

陽介「い、良いって・・・」

直斗のシャドウ『お前は所詮子供なんだ・・・自分じゃどうしようもない』

完二「いっぺんてめえとケンカしねえと、見えてこねえもんもある・・・アンタならわかんだろ」

陽介「完二・・・」

完二「俺等はとりあえず、ケンカの手伝いしてやりゃあ良いじゃないスか」

451: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 17:59:16.95 ID:2ZQKFsdj0
直斗のシャドウ『そろそろ診察は終わりだ・・・人体改造手術に移ろうか』

直斗「ど、どういうつもりだ・・・!」

直斗のシャドウ『白鐘直斗・・・かっこよくて男らしい名前だよな。けど、事実は変えられない。性別の壁は越えられない・・・』

直斗「だ、黙れ!」

直斗のシャドウ『君は男じゃないんだから』

直斗「!」

ラハール「・・・あ、そういうことか」

番長「どうした?」

ラハール「嫌悪感の正体だ」

完二「お、男じゃねえ?」

直斗「僕は別に駄々をこねているつもりはない!それじゃ、何も・・・解決しない!」

直斗のシャドウ『あはは・・・それさあ、お前が言われたことじゃないか!駄々をこねていても、何も解決しないよ、ナオトくん!ってさあ!』

直斗「な・・・!」

直斗のシャドウ『お前あの時泣いてたよな・・・自分の口からそんなこと言うなんて、何を守ろうとしてるんだ?』

直斗「なにを・・・」

直斗のシャドウ『いいさ、もう無理しなくていいから。そのための人体改造手術だから。駄々をこねたまま・・・一歩も動けない。僕にはお前がよくわかるよ』

ラハール「(・・・さて・・・)」

直斗のシャドウ『僕はお前なんだ』

直斗「そんなバカな・・・!」

直斗のシャドウ『もう解ってるんだろう?』

直斗「違う・・・違うっ!」

直斗のシャドウ『そうかよ・・・これで・・・!』

ズズ・・・

番長「スルト!」

>-カッ

>-ラグナロク

ドッ

直斗のシャドウ『・・・何なんだ?君達は』

ラハール「知る必要はない。天城!行くぞ!!」

雪子「はい!」

>-魔王ディメンション

452: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 18:02:08.00 ID:2ZQKFsdj0
直斗「これは一体・・・あれは・・・」

番長「・・・あれはお前なんだ」

直斗「僕・・・?ラハール先輩と天城先輩と・・・あいつは、どこへ?」


>-回想

番長「魔王ディメンション?」

ラハール「ああ。俺様が作った空間に敵を引きずりこんで、自由を奪ってタコ殴りにする技だ。今の俺様の魔力なら、敵と俺様以外にあと一人連れて行けるだろう。俺様と同じチーム・・・天城か完二かクマを、状況に応じて連れて行く」

番長「・・・ボス用か」

ラハール「そう
いうことだ」

>-・・・・・・

番長「ラハールのための、ラハールの空間だ。けど、あんまり長くはもたないだろうな。ラグナロクをまともに食らって平気そうにしてるような相手だ・・・お前のシャドウは思っていた以上に強力だった」

直斗「・・・シャドウ?」

完二「あれはな、お前が抑え込んできたお前自身なんだよ」

クマ「・・・ナオチャンが今まで、見てこようとしなかった・・・見たくなかったナオチャンのキモチクマ」

直斗「そんな・・・」

完二「あいつは俺等がぶちのめして大人しくさせる。けどな、あいつを受け入れんのはお前の仕事だ」

番長「・・・そうだな。そして、それはお前にしか出来ない」

直斗「僕の仕事・・・僕にしか・・・」

りせ「・・・直斗、どうしても駄目なら、無理はしなくても良い。でも、受け入れたほうが、直斗にとっても良いと思う」

千枝「・・・うん」

陽介「だな。ま、俺等はもうひとふん張りしてくっか!」

番長「ああ。多分、そろそろだな」

直斗「・・・皆さん・・・」

ドサッ

ラハール「駄目だ。火はたいして利かん。色々やったが・・・弱点もなさそうだ」

雪子「ごめん皆、倒しきれなかった・・・」

ラハール「・・・ラグナロクの時点で火への耐性に気付くべきだった。俺様の人選ミスだ」

番長「火以外の耐性は?」

ラハール「無いはずだ。好きに料理してこい」

番長「よし!行くぞ!」

完二「ウス!」

>-カッ

直斗のシャドウ『本当になんなんだ貴方達は・・・!』

453: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 18:04:28.30 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・

直斗「せ、先輩その怪我は・・・!」

ラハール「・・・空間が解ける時の無防備な状態を狙われた。まあ、こんなものより魔力が尽きたことのほうがまずいがな」

雪子「待ってて、すぐに・・・」

>-ディアラマ

ラハール「・・・そんな力が残っているなら、貴様も加勢してこい」

雪子「け、けど・・・」

ラハール「良いから行け!これ以上俺様に・・・情けないことをさせるな」

雪子「・・・わかった」


>-・・・・・・

番長「ジャターユ!」

>-カッ

番長「スカディ!」

>-カッ

番長「カルティケーヤ!」

>-カッ

陽介「だいぶ自由にそいつら使えるようになったな。そうなるともう反則みたいなもんだ」

番長「ああ・・・(というより、俺のレベルがペルソナ達に届きつつある・・・?)」


>-・・・・・・

ラハール「・・・馬鹿な奴等だろう?」

直斗「え・・・?」

ラハール「シャドウが力を得る前に叩いてしまえば楽なのに・・・シャドウをその持ち主が受け入れるのが一番だからと・・・まあ、わかっていてやらせてる俺様も似たようなものか」

直斗「・・・・・・」

454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 18:07:29.08 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・

直斗のシャドウ『どうして邪魔するんだよ!改造しないと・・・僕は・・・僕は!』

直斗「そうじゃ、ないでしょう?」

直斗のシャドウ『・・・』

完二「直斗・・・」

直斗「・・・幼い頃、両親を事故で亡くした僕は、祖父に引き取られました」

直斗のシャドウ『・・・』

直斗「僕は友達を作るのが下手ですから・・・祖父の書斎で、推理小説ばかり読んで過ごしていた・・・」

直斗のシャドウ『将来の・・・夢は、かっこいい、ハードボイルドな大人の探偵』

直斗「・・・そうだね」

直斗のシャドウ『・・・』

直斗「・・・そんな僕を見て、祖父は僕のことを気遣ってくれたのでしょう。祖父に持ち込まれる相談事を内緒で手伝うようになりました」

直斗のシャドウ『・・・嬉しかった・・・でも・・・』

直斗「・・・・・・少年探偵なんて肩書きを付けられるようになって、確かに嬉しかった。でも、上手くいく事ばかりじゃないんです」

千枝「・・・子供のくせに?」

番長「・・・」

直斗「はい。事件解決に協力しても、喜ばれることばかりじゃなかった。僕が子供だということ自体が気に触っていた人も多く・・・でもまあ、それだけなら、時間が解決することなんですけどね」

直斗のシャドウ『・・・』

直斗「女だってことは、変えようが無い」

雪子「女でいるのは、嫌い?」

直斗「僕がなりたい、かっこいい探偵に・・・合いませんからね」

番長「何より、警察は男社会・・・だな」

直斗「・・・ええ。軽視される理由がこれ以上増えたら、誰にも必要とされなくなる・・・そんな気がしました」

完二「それで男の格好ってわけか?」

直斗「・・・はい」

完二「そうじゃねえだろうが」

直斗「・・・」

完二「なめられてんなら、見返してやれるようになりゃいい。本当はお前にだって、わかってんだろ?」

ラハール「力だな。貴様を認めない奴がいるなら、認めざるをえないほど強くなれば良いだけだ」

直斗「・・・はい」

直斗のシャドウ『・・・うん』

直斗「・・・ごめんね、僕は見たくないからって、君という子供を閉じ込めてきた。でも僕は確かに君だ・・・君は、僕なんだね」

>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-直斗は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"スクナヒコナ"を手に入れた!

直斗「ん・・・っと、皆さんには全部見られちゃいましたね。はは・・・情けない」

完二「んなことねえよ」

直斗「フフ・・・それにしても、ズルいですよ・・・こんなことをずっと隠していたなんて・・・いや、言えるわけがないか・・・」

番長「身をもって解ってしまったな。けど、あんまり無茶をするな。犯人を誘い込んでおいて、誘拐されてちゃ世話ないぞ」

直斗「す、すいません・・・けど、これでわかりました。事件がまだ終わっていないということを・・・」

陽介「ま、詳しい話は後だ。とりあえず外に出ようぜ」

455: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 18:10:11.64 ID:2ZQKFsdj0
>-・・・・・・
:::【ジュネス・家電コーナー】:::

直斗「・・・」

千枝「こりゃしばらくは安静だね。私達で送っていこう」

りせ「はい」

雪子「うん」

>-ひとまず解散した。


>-9/16(金) 昼休み
:::【屋上】:::

ラハール「うむ、悪くは無い」

番長「うまいって素直に言ってくれよ。菜々子と一緒に作ったんだ」

ラハール「・・・そうか。弁当を食えなどとぬかすから、どういうことかと思ったが」

番長「・・・直斗は、しばらく安静らしい」

ラハール「まあ、そうだろうな・・・無茶なことをしおって・・・」

番長「心配してたもんな、ラハールは」

ラハール「ふ、ふざけるな!身の程を知れと言ってやりたいだけだ!大体、冗談を言っている場合ではないぞ」

番長「・・・そうだな」

ラハール「貴様の力が、最初に呼び出した強力なペルソナ達に追いつきつつある・・・それが何を意味するかまでは知らんが、確かなのは、今後も敵が強くなり続けるなら、俺様達ももっと強くならなければならないということだ」

番長「そうだな。直斗のシャドウとの戦いは、一見楽勝にみえたけど・・・」

ラハール「・・・ああ、僅差だ。俺様の魔力も尽きたし、貴様等の中にも力を使い果たしていた奴がいたはずだ。少しでも俺様達のレベルが低かったら、どうなっていたかわからん」

番長「うん。今後は直斗も戦いに加わるだろうし、皆で訓練を続けていこう」

ラハール「フン・・・奴の頭なら魔力の心配はいらんだろうし、鍛えるのも楽そうだな」

番長「まあ、今は休もう。体を休めるのも大事だ」

ラハール「・・・ああ」

>-ラハールと楽しく過ごした。

456: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/13(土) 18:11:29.94 ID:2ZQKFsdj0
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子

クマ「クマは真面目な話は苦手クマ!」

フロン「どうしたんですか?いきなり」

クマ「なんか真面目な話してると皆しんみりしてて嫌クマ」

フロン「んーまっ!そんなんじゃ立派なクマさんになれませんよ!」

クマ「ケド~」

フロン「わかりました!クマさんを立派なクマさんにするため、特訓しましょう!」

クマ「特訓?何するクマ?」

フロン「次回、フロンとクマの大冒険!【密林での死闘!!】」

クマ「密林!?何するクマ!?」

フロン「戦うのはクマさんだけですけど、私も応援頑張りま~す!」

ラハール「・・・毎回思うが、滅茶苦茶言ってて楽しいのか?」

フロン「まあそれなりに。ラハールさんもやってみます?」

ラハール「いや、やらん」

461: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:29:01.94 ID:yqw/S7Tu0
>-10/01(土) 放課後
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「ん・・・ああ~・・・よし、これで陽介の部屋の漫画は全部読んだな」

クマ「もう全部読んじゃったクマか?」

ラハール「俺様は貴様と違って、四月からここにいるからな・・・ん?あれは・・・」


>-・・・・・・
:::【陽介の家の外】:::

ラハール「おい、どうした?」

菜々子「・・・」

ラハール「・・・貴様一人か?番長は?」

菜々子「・・・一人・・・」

ラハール「何?」

菜々子「・・・」

ラハール「・・・全く、話があるのならそう言え。まあいい、とりあえず部屋に上がっていけ」


>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

クマ「アレ?ナナチャン?どうしたクマ?」

菜々子「クマさん・・・こんにちは」

クマ「ハイコンニチハクマ!」

ラハール「散らかっとるが好きに座れ」

菜々子「うん・・・」

クマ「チョットラハール!お客様が来たんだからお茶でも出さないと駄目クマ!」

ラハール「そうか。じゃあそうしろ」

クマ「ナ、ナンデクマが!?」

ラハール「いいからさっさと行け」

クマ「モー、しょうがないクマねー・・・」

ドタドタ

ラハール「・・・」

菜々子「・・・ラハールさん・・・」

ラハール「何だ?」

菜々子「死んじゃった人は、どこに行くの?」

ラハール「・・・正しい心を持った奴なら、天国というところに行くだろうな」

菜々子「天国・・・菜々子のお母さんも、天国に行ったのかな・・・」

ラハール「・・・そうだろうな」

462: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:33:16.97 ID:yqw/S7Tu0
菜々子「じゃあ、菜々子も死んで天国に行ったら・・・お母さんに会えるのかな?」

ラハール「・・・・・・!」

菜々子「・・・」

ラハール「・・・そうかもしれんな。だが、お前が死んだら、番長も、お前の父親も、悲しむぞ」

菜々子「そっか・・・お兄ちゃんも・・・お父さんも?お父さんも、菜々子が死んだら悲しいのかな?」

ラハール「当たり前だ。何を言っとる」

菜々子「・・・・・・あのね・・・昨日の夜ね・・・お兄ちゃんとお父さん・・・ケンカしてたんだ」

ラハール「何?」

菜々子「お兄ちゃんがね、お父さんに、もっと菜々子を大事にしろって・・・言ってた。でもね、お父さん・・・子供が口出しするなって、お兄ちゃんに・・・言ってた」

ぽろ・・・ぽろ・・・

ラハール「おい、泣いてはいかんぞ」

菜々子「・・・お父さんは、菜々子のこと・・・好きじゃないのかな・・・!?」

ラハール「泣くなと言っとるだろう。俺様はお前の父親のことを良く知っているわけじゃないが、お前の質問には答えてやれるぞ」

菜々子「・・・ほんと?」

ラハール「好きじゃないだと?そんなわけあるか」

菜々子「ほんと?」

ラハール「俺様は貴様等とは少しばかり違うがな・・・子供が大事じゃない親なんぞ、どこの世界にもおらん。それぐらいは知っている」

菜々子「・・・じゃあ何で、お父さんは菜々子の話を何にも聞いてくれないの?お父さんはなんで・・・お仕事ばっかり大事にするの?」

ラハール「・・・・・・もう泣くな」

菜々子「う、うん・・・わかった。もう、泣かないよ」ごしごし

ラハール「・・・・・・いいか、少し考えてみろ。今、お前の家には誰がいる?お前と、お前の父親と・・・あと一人、誰がいる?」

菜々子「・・・・・・お兄ちゃん!」

ラハール「そうだ、番長だ。お前の父親が、お前のことを大事にしないなら・・・あいつが黙っていないだろう。お前は、あいつが何かするのを待っていれば良い」

菜々子「・・・わかった」

クマ「さー、わかったところでケーキ持ってきたクマ~!ナナチャン一緒に食べるクマ~!」

ラハール「・・・貴様途中から聞いてただろ?聞いてたなら何故気の利いたことの一つぐらい言ってやれんのだ?」

クマ「クマはラハールみたいにイイコト言えないクマ~!」

ラハール「だ、黙れ!」

クマ「さ、ナナチャン一緒に食べよ~!」

菜々子「良いの?」

クマ「モチロン!ナナチャンはお客様クマよ~!」

ラハール「・・・フン・・・」

クマ「でもね、ナナチャン。ナナチャンが死んじゃったら、センセイやナナチャンのお父さんだけじゃない、クマも、ラハールも、エトナチャンもヨースケも、み~んな悲しむクマよ」

菜々子「クマさんも・・・ラハールさんも?」

ラハール「・・・」

クマ「ね~ラハール?」

ラハール「・・・ああ」

菜々子「・・・そっか。じゃあ菜々子は死んじゃったら駄目なんだね」

ラハール「アホか・・・当たり前だ」

463: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:36:24.20 ID:yqw/S7Tu0
>-夜
:::【陽介の部屋】:::

陽介「ただいま~」

クマ「おかえりヨースケ!」

ラハール「・・・」

ピピピッ ピピピッ

陽介「ん?相棒から?」

ピッ

陽介「おう、どーした?手を貸して欲しい?は!?菜々子ちゃんが家出!?こんな時間にか!?」

ラハール「!?」

クマ「ナ、ナナチャンがイエデ!?」

ラハール「貸せ!」

陽介「お、おい!」

ラハール「番長!貴様がついていながら何をやっとる!」

番長『・・・ラハール・・・・・・な、菜々子を見つけなきゃ。手を貸してくれ』

ラハール「(番長が焦っているところなど、初めてだな・・・)わかった。黙ってそこを動くな」

陽介「ど、どうすんだ!?」

クマ「クマは何すればヨイ!?」

ラハール「貴様等も黙れ」

陽介「・・・」

シーン・・・・・・

ラハール「(何でも良い・・・菜々子・・・【悪口】を言え!ここからどれぐらい離れたところにいるかわかれば、周囲の音も聞ける・・・!)」

::::::::::::::::::::::::::::
もうアンタなんか大っ嫌いよ!
あんなやつ死ねば良いのに・・・
ざっけんなよババア!
ゴードンのバカ~~!ワタシというものがありながら~! 待ってくれジェニファー誤解なんだぁ~!
【お父さんの・・・ばか・・・】
::::::::::::::::::::::::::::

ラハール「・・・いた・・・ここは・・・」

ちょろちょろ・・・

ラハール「・・・水の流れる音・・・海か・・・いや、これは川か・・・?」

番長『川・・・そうか、鮫川の河川敷だ!ラハール、ありがとう!』

ラハール「礼を言ってる暇があったら、さっさと行け!」

ピッ

陽介「おい!どういうことだよ!?」

クマ「クマはどうすればヨイ!?」

ラハール「・・・後は番長に任せろ。菜々子の居場所はわかった。この家からだと遠すぎる。まあ、奴の家からは近いがな・・・」

陽介「なんで場所が?」

ラハール「・・・・・・魔王様は地獄耳だからな」

464: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:38:03.14 ID:yqw/S7Tu0
>-・・・・・・
:::【鮫川河川敷】:::

堂島「番長、菜々子はいたか!?」

番長「・・・いました。あそこに」

堂島「菜々子・・・・・・!」

番長「・・・」

堂島「お前が、行ってやってくれないか」

番長「え?」

堂島「本当の父親じゃない・・・なんて言われちまったな」

番長「・・・」

堂島「頼む・・・お前が迎えに行ってやってくれ。お前の言うことの方が、素直に聞くだろう・・・」

番長「・・・分かりました」

堂島「俺は菜々子が無事ならそれでいい・・・すまんな」

>-・・・・・・

菜々子「・・・お兄ちゃん・・・」

番長「家に帰ろう」

菜々子「・・・うん・・・」

番長「お父さんも、菜々子のことを見つけてくれていたんだよ」

菜々子「・・・そっか・・・」

番長「・・・」

菜々子「お父さん・・・お母さんのこと忘れちゃったのかな?」

番長「・・・菜々子・・・」

菜々子「菜々子、お母さんに会いたい・・・」

・・・もう泣くな

菜々子「・・・でも、菜々子・・・泣かないよ・・・!」

番長「・・・・・・」

菜々子「お父さん、きっとお母さんのこと忘れちゃったんだ。写真も捨てちゃったし・・・」

番長「そんな・・・」

菜々子「お父さん・・・菜々子もすてるのかな・・・」

番長「きっと、忘れてなんかないよ」

菜々子「・・・・・・帰る」

465: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:39:34.73 ID:yqw/S7Tu0
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

ピピピッ ピピピッ

陽介「あ、番長!?菜々子ちゃんは!?そっか・・・ラハールが教えてくれた場所にいたか・・・良かった」

ラハール「貸せ」

陽介「おい!」

ラハール「電話なんぞかけてる暇があったら、しゃきっとしろ!」

ピッ

陽介「・・・どうしたんだよ?」

ラハール「・・・・・・」

陽介「いつになく不機嫌だな・・・」

ラハール「ベルベットルームに行ってくる」

陽介「こんな時間にか?あ、おい!」

466: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:42:46.19 ID:yqw/S7Tu0
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

堂島「・・・菜々子は?」

番長「疲れて寝入っちゃいました」

堂島「そうか・・・」

番長「・・・」

堂島「こんな時間にすまんが、少し話したい。良いか?」

番長「もちろんです」

堂島「すまんな・・・」

番長「・・・」

堂島「俺は、怖かったんだ」

番長「怖かった??」

堂島「・・・・・・あいつが、菜々子の母親が轢き逃げされたのはな・・・保育園にいる菜々子を迎えに行く途中でのことだった・・・」

番長「・・・!」

堂島「人通りのない道で轢かれたあいつは・・・轢かれてからしばらくの間誰にも発見されず・・・結局かえらぬ人となった」

ラハール『・・・・・・』

堂島「そのことを菜々子には言えなかった」

番長「どうしてですか?」

堂島「俺は警察官だ。悪い奴を捕まえるのが仕事・・・母親が殺されたってのに、悪い奴を捕まえるのが仕事のはずの父親は犯人を捕まえられないなんて・・・言えんよ、そんなの」

番長「・・・」

堂島「・・・菜々子がいなきゃ、あいつが殺されたりすることはなかったんじゃないか・・・そんなとんでもないことを考えそうになる自分が・・・たまらなく嫌になった」

番長「・・・それは・・・・・・」

堂島「・・・そしてな、菜々子はあいつに似てるんだ・・・似すぎてる!菜々子を見てると・・・あいつのことがチラつくんだよ。それが怖かった・・・一時期はお前の両親に、菜々子を預けることを考えていたぐらいにな」

番長「でも、結局そうはしなかったんでしょう?本当はおじさんにも解ってるんじゃないですか?」

堂島「・・・」

番長「菜々子は生きています。そして、おじさんの家族です」

堂島「・・・・・・俺は怖かったんだろうな・・・また大事な家族を作って・・・それをまた失うかもしれないってことが・・・」

番長「・・・」

堂島「それで俺は、あいつを轢き逃げした犯人を追うことに必死になって・・・肝心の菜々子と触れ合う機会を、作ろうとしてこなかった・・・」

番長「もう、逃げないで下さい。菜々子から」

堂島「・・・・・・逃げないで下さい・・・か。逃げる奴を追う立場の俺が、そんなことを言われるとはな・・・けど、その通りだな」

番長「俺も、いますから」

堂島「ああ。お前がいなきゃ、俺は駄目なままだっただろう・・・話に付き合わせて悪かったな。今日はもう良いぞ」

番長「・・・はい」

堂島「菜々子と・・・きちんと話をしなきゃな」

番長「・・・」


>-・・・・・・

ラハール「・・・・・・」

467: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:44:59.04 ID:yqw/S7Tu0
>-10/02(日) 朝
:::【堂島家】:::

菜々子「お兄ちゃん!」

番長「・・・どうした?」

>-菜々子は随分と興奮しているようだ。

菜々子「お母さんに会えたの!それでね、お父さんと三人で、お話した!」

番長「・・・?」

堂島「菜々子・・・お前もか?」

菜々子「え?お父さんも?」

堂島「・・・ああ・・・夢の中にお前と、お前の母親が出てきて、三人で色々話した・・・!あんなに意識がはっきりしてる夢は初めてだ・・・」

菜々子「お父さん・・・」

堂島「しっかりやれってことなのかもしれんなあ。あの世でまで気苦労かけさせてちゃ、いかんよなあ・・・!」

菜々子「お父さん、泣くのは駄目なんだよ!」

堂島「あぁ、ああ・・・そうだな・・・!」

番長「・・・」


>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「(フン・・・これ以上は、俺様が聞く必要はないな)」

クマ「ラハール?さっきから何一人でニヤニヤしてるクマ?」

ラハール「ど、どうでもいいだろ!」

クマ「あ、わかったクマ~~!フロンチャンのこと考えてるクマね?」

ラハール「アホ!そんなわけ・・・いや、そうとも言えるか」

クマ「?」

ラハール「奴とエトナには一つ借りが出来てしまったからな・・・まあ、いいか」

468: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:47:16.17 ID:yqw/S7Tu0
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::

堂島「・・・轢き逃げの犯人をな、ようやく捕まえた」

番長「え?」

堂島「一年前に犯行に使われた車も出てきて、当時の自供やその後の足取りも噛み合っている・・・」

番長「・・・」

堂島「正直、犯人を捕まえるのは無理かもしれないと思いながら、これまでひたすら、捕まえようとやれることは全部やってきた・・・一時期は、犯人を捕まえたらこの手で絞め殺してやろうと思っていたこともある」

番長「・・・そんな・・・」

堂島「だが、今日の俺は不思議と落ち着いていたんだ。怒りや恨みが消えたわけじゃないんだがな・・・そんなことをしちまったら、俺は警察官じゃなくなる。それ以前に、人間じゃなくなる。菜々子の父親じゃ、いられなくなるからな」

番長「・・・」

堂島「今の俺には、菜々子と・・・お前がいるからな」

番長「・・・はい」


>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「(しかしフロンの奴・・・菜々子の母親のことはともかく、【道を外れた人間】の逮捕にやけに簡単に協力しおった。これはつまり、俺様達が追っている連続誘拐殺人の真犯人が・・・【道を外れた人間】ではないということなのではないか?)」

ラハール「(だとすると・・・【道を外れていない人間】が犯人?いや、例えどんな事情があろうと、二人も殺している人間に対して天使共がそんな判断をするわけがない・・・)」

ラハール「(じゃあ悪魔や天使が犯人?その場合は天界が表だって動きそうなものだが・・・うむ。駄目だ、全然わからん)」

469: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:49:50.68 ID:yqw/S7Tu0
>-10/03(月) 昼休み
:::【屋上】:::

番長「ありがとうラハール」

ラハール「な、何の話だ?」

番長「菜々子とおじさんのことだよ。エトナさんに聞いたぞ」

ラハール「あのバカ!貴様に話したのか!?」

番長「・・・菜々子がラハールに相談したって言ってたから、もしかしたらと思ってたんだけど・・・やっぱりそうだったか」

ラハール「き、貴様、誘導尋問というわけか?随分とせこい真似を・・・!」

番長「お礼ぐらい言わせてくれ」

ラハール「やめろ気持ち悪い!体がかゆくなる!大体、貴様が情けないから、この俺様がわざわざ手を貸してやったのだぞ!」

番長「・・・そうだな」

ラハール「・・・貴様がついていながら、菜々子に家出などさせるな」

番長「・・・ああ・・・なんていうかな・・・一緒に住んでいるからこそ、遠慮してしまうことって・・・あるんだ」

ラハール「・・・・・・」

番長「何だよ目丸くして・・・」

ラハール「いや、貴様も人間らしいことを言うのかと思ってな。人間じゃないのではないかと疑っていたのだが」

番長「ひどいな」

ラハール「フン・・・所詮貴様も人間だったか」

>-ラハールからの信頼を感じる・・・
>-"ラハール"コミュのランクが"7"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

>-・・・割と本気で疑われていたのかもしれない。
>-・・・ひどいな。

>-ラハールと楽しく過ごした。

470: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:52:34.18 ID:yqw/S7Tu0
>-10/6(木) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

ラハール「犯人のことは覚えてないだと?」

直斗「は、はい・・・すいません」

番長「けど、犯人が来ると思って準備はしていたんだろ?」

直斗「う・・・それが、実際来るかどうかは僕自身半信半疑な状態だったので・・・それに・・・その・・・」

陽介「もしかして、怖かったのか?」

直斗「・・・はい」

ラハール「全く・・・そうならそうで、無茶なことをするんじゃない」

直斗「仰るとおりです・・・」

完二「覚えてねーもんは仕方ないんじゃねえスか?」

ラハール「多少は進展があると思っていたのだが・・・まさか収穫なしとはな」

直斗「面目ない・・・」

ラハール「・・・まあいい」

雪子「直斗君、これからどうするの?」

直斗「これから・・・ですか?」

雪子「もし良かったら、私達と一緒に」

直斗「あ・・・も、もちろんです。僕も皆さんと共に戦わせて下さい」

471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:57:58.58 ID:yqw/S7Tu0
>-10/9(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::

>-勉強会

菜々子「ラハールさんこんにちは!」

ラハール「あぁ・・・・・・元気そうだな」

菜々子「うん!」

クマ「ハァ~イナナチャン、コンニチハクマ!」

菜々子「こんにちはくま!」

雪子「菜々子ちゃん、なんだかいつになく元気だね?」

ラハール「フン・・・・・・何か良いことでもあったのだろう」

エトナ「あったんでしょうねぇ~?」ニヤニヤ

ラハール「む・・・・・・な、何しに来た?」

エトナ「暇潰しです」

ラハール「・・・」

番長「俺が呼んだんだ。助っ人にと思って」

エトナ「来週試験らしいじゃないですか。真面目に勉強する奴等をからかいにきました」

ラハール「全く・・・一年のバカ二人の面倒を見られる新入りが増えたからな。貴様の出番は無いかも知れんぞ」

りせ「ちょっとラハール先輩!完二は確かにバカだけど、私を完二と一緒にしないでください!」

完二「おいこら」

ラハール「一緒だ一緒・・・」

直斗「当てにされるのは嬉しいんですが・・・僕もしばらく学校に来ていませんでしたから、あまり期待しないで下さいね」

雪子「そうだよね。まあ、直斗君にわからないところあったら、私達に聞いて」

陽介「俺とか里中に聞くなよ?他の四人に聞いてくれ」

直斗「あの・・・それはもちろん解っているんですが」

千枝「ちょ・・・」

直斗「そちらの・・・方は?八十稲羽高校の方じゃないですよね?何度か目にしたことはありますが、面識は・・・」

陽介「あれ?知らなかったか?エトナさん。ラハールの家来だ」

直斗「け、家来?」

番長「・・・もしかして、まだ誰も直斗に言ってないのか?」

直斗「??」


>-あふれる伝達力でラハールのことを直斗に説明した。

直斗「にわかには信じ難いですが・・・まあ、皆さんが仰るなら信じざるを得ませんね。言われて見れば、確かにラハール先輩はありえない髪型をしていらっしゃいますし」

ラハール「どういう意味だ」

エトナ「そういう意味ですよ」

ラハール「そうかそういう意味か」

千枝「え、今の会話で何が通じたの?」

陽介「いや俺に聞くな」

>-皆と楽しく過ごした。

472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 01:01:24.82 ID:yqw/S7Tu0
>-10/29(土) 文化祭初日
:::【合コン喫茶】:::

ラハール「・・・合コンいかがっすか~」

雪子「・・・・・・誰も来ないね」

ラハール「帰って良いか?」

雪子「・・・うん、駄目」

クマ「みんな~~遊びに来たクマよ~!」

陽介「おぉうクマ・・・」

クマ「アレレ?だ~れも着てないクマね。ナンデ?」

陽介「何でだろうな?強いて言うなら合コン喫茶とかいうアイデア自体が悪いんじゃね?」

千枝「発案者アンタじゃん・・・」

番長「・・・クマが来て調度偶数だ。俺達でサクラをやろう」

ラハール「は?」


>-・・・・・・

ラハール「なんで俺様が女側だ」

陽介「しゃあねえだろ男のほうが多いんだから」

ラハール「帰って良いか?」

番長「そんなこと言うなよ・・・とりあえず座ったけど、合コンってこれから何するんだ?」

ラハール「知りもせんで店開いてたのか」

番長「そうなるな」

ラハール「・・・」

陽介「お互いに質問とかしあうんじゃね?」

クマ「ゴシュミは!?」

千枝「え、趣味?」

クマ「ハイ!チエチャンから!」

千枝「えっと・・・今はいろんなトレーニングとかかな?格闘技全般」

クマ「ナルホド!ハイユキチャン!」

雪子「趣味・・・趣味・・・特に無いかも」

クマ「無いクマか?」

番長「なんでも楽しめるっていうことだろう。良いことなんじゃないか?」

クマ「ナルホド!じゃー次ラハール!」

ラハール「・・・・・・趣味・・・特に無いな」

クマ「またそれクマ?」

ラハール「実際無いんだから仕方ないだろ」

クマ「モー」

ラハール「答えたし帰って良いか?」

番長「じゃあ次は好みの異性のタイプ」

ラハール「おい。無視か」

473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 01:03:31.40 ID:yqw/S7Tu0
番長「はい、ラハールから」

ラハール「は?」

番長「はい、ラハールから」

ラハール「ふ、ふざけるな!何故そんなことを答えなければならんのだ!」

番長「合コンのルールだからな。仕方無い」

陽介「ルールなら仕方ねーな」

クマ「仕方無いクマね~」ニヤニヤ

ラハール「貴様等・・・・!」

番長「ほら、早く」

ラハール「ぐ・・・・・・そうだな。とりあえず、ムチムチは苦手だ」

番長「ムチムチじゃないのが好み・・・と」

ラハール「誰も好みだとは言っとらん!ムチムチが苦手だと言っただけだろうが!大体貴様なんだそのメモは!」

番長「まあ気にするな。どんな性格の子がタイプなんだ?」

ラハール「せ、性格なんか知るか!」

番長「性格なんか知らない・・・なるほど。つまり明るくても攻撃的でも良い・・・と、じゃあ、具体的に誰?」

ラハール「は?」

番長「具体的に誰?」

ラハール「二回言うな!いい加減にしろ!」

ガラッ

エトナ「何騒いでんですか~・・・って、何やってんの?アンタ等」

番長「合コンです」

エトナ「客がやるんじゃないの?」

番長「いや、お客さん来なくて暇で」

エトナ「ああそう・・・」

474: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 01:07:06.19 ID:yqw/S7Tu0
>-・・・店番を引き継いで、皆で文化祭を見てまわることになった。
:::【占いの館 THE長鼻】:::

エトナ「な、何やってんの?」

マーガレット「占いよ」

ラハール「貴様はベルベットルームの・・・」

陽介「なんだ?この広さ。ありえなくね?」

千枝「ほんとだ。中、めっちゃ広いじゃん。おーい雪子、おいで」

雪子「は~い」

番長「・・・」


>-・・・・・・・・・・・・

『・・・・・・元気で』
>-・・・今の、ありえないぐらいかっこいい声は・・・?
>-・・・なんだろう・・・?

『・・・どうでもいい』
>-・・・・・・。
>-・・・わからない。

番長「・・・」

ラハール「・・・?」

陽介「・・・あ、あれ・・・何で俺ぼーっとしてんだ?」

千枝「ん?完二君?直斗君に、りせちゃんも?あれ?さっきまでいたっけ?」

雪子「いなかった・・・よね?」

クマ「クマ~・・・?」

完二「先輩等・・・?俺、確かさっきまで・・・」

直斗「え・・・?皆さん・・・?」

りせ「?」

エトナ「・・・・・・」

マーガレット「・・・あまり貴方達ばかりに長居されても困るのだけど?」

直斗「そ、そうですよね・・・?」

エトナ「ほら、出てった出てった。殿下、ちょっと先行っといて下さい。アタシこいつと話があるんで」

ラハール「あ、ああ・・・」

475: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 01:10:01.71 ID:yqw/S7Tu0
>-・・・・・・

エトナ「本当にあいつら、さっきまでのことなーんも覚えちゃいないみたいね。あんだけ忘れない忘れない言ってた癖に・・・」

マーガレット「そうね。覚えているのは私達のような、元々夢と現実の狭間の住人だけ。貴女のお客様ならひょっとしたらと思っていたけど・・・無理だったみたいね」

エトナ「・・・」

マーガレット「あら、寂しいの?」

エトナ「バァカ言ってんじゃないわよ。アタシはそんなに感傷的じゃないっつの」

マーガレット「なら良いけど」

エトナ「・・・あいつらは、あっちの奴等とまた会えるわけ?」

マーガレット「それを今の私が知る由は無いわね。けれど、少なくとも私の記憶が確かなら、あちらの方々のうち一人は既にこの世にはいないわ。そして、もう一人、ほとんどこの世にはいないようなことになっている方がいるわね」

エトナ「それって、あっちのワイルド?」

マーガレット「ええ、そうよ」

エトナ「その話、詳しく聞かせて」

マーガレット「・・・・・・私達ベルベットルームの住人が、この世のことに関与してはならないわよ?」

エトナ「わかってるっつの。大体、アンタの妹が未だにどうにも出来てないようなこと、今のアタシにゃどうしようもないわよ。ただ聞きたいだけ」


>-・・・・・・

ラハール「・・・やけに長かったな」

エトナ「すいません。色々・・・・・・色々、聞いてまして」

ラハール「行くぞ。せっかくだから全員で見て回るらしい」

エトナ「・・・はい」

476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 01:12:06.08 ID:yqw/S7Tu0
>-次回予告
>-BGM:全ての人の魂の詩

エトナ「語られなかった、もう一つの戦い」

エトナ「二人のワイルドと一人の魔王」

エトナ「四つの迷宮と、扉にかけられた四つの鍵。そして謎の時計塔」

エトナ「不思議な学校で出会った、善と玲」

エトナ「十五人と二匹と一機(?)のペルソナ使いと魔王は、何を想い、何故戦うのか」

エトナ「次回、【PQ×ディスガイアD2】。第一話、【不思議の国の魔王】」

フロン「・・・」

エトナ「・・・」

フロン「・・・へ?やるんですか?」

エトナ「え?やるわけないじゃん。どんだけ長くなると思ってんのよ」

フロン「で、ですよね~・・・」

481: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:22:29.79 ID:EJlRVRs90
>-10/30(日) 文化祭二日目
:::【体育館】:::

堂島「・・・っと、ここか」

菜々子「お兄ちゃん達が出るコンテスト、もうすぐ?」

堂島「そうだな。とはいえ、見て面白いもんかは知らんぞ?」

司会者「レディースエン、ジェントルメーン!」

司会者「文化祭2日目の目玉イベント、ミス?八高コンテストの始まりでーす!」

司会者「さっそく一人目からご紹介に入りましょう!」

司会者「稲葉の美しい自然が生み出した暴走特急、破壊力は無限大!」

司会者「1年3組、巽完二ちゃんの登場だ!」

完二「うっス!」

菜々子「・・・」

堂島「・・・」

菜々子「・・・怖いね」

堂島「そうだな・・・まあとはいえ、あいつもこんなもんに出るようになったんだ。丸くなったのは良いことだ」

司会者「さあ二人目、ジュネスの御曹司にして爽やかイケメン、口を開けばガッカリ王子!2年2組、花村陽介ちゃんの登場だ!」

陽介「ど、ども」

堂島「・・・ナヨナヨしてっからああいう格好が似合わないわけじゃないはずだが、ありゃ化粧が悪いな」

菜々子「か、かわいい、よ?」

堂島「無理はしなくていいぞ」

司会者「都会の香り漂うビターマイルド、泣かした女は星の数!?2年2組に舞い降りた転校生、番長ちゃん!」

番長「・・・かかってらっしゃい」

菜々子「お兄ちゃんかわいいね!」

堂島「そ、そうか?あいつの場合顔立ちは整っとるんだが、体格が誤魔化せんからなあ・・・観客もがっかりしとるな」

司会者「さ~てお次は飛び入り参加、出場者たちのお仲間が登場です!」

菜々子「お仲間?クマさんかなぁ」

司会者「自称、王様fromテレビの国、キュートでセクシーな小悪魔ベイビー!その名も、熊田ちゃんだ~!」

クマ「ハートを、ぶち抜くぞ?」

菜々子「クマさん可愛い~~!」

堂島「ああ、たいしたもんだな。化けるような気はしてたが」

司会者「さあ、最後はこの人!俺様何様ラハール様!高校生とは思えないその堂々たる物腰は、悪魔か天使か!?ラハールちゃん!!!」

ラハール「ハーッハッハッハ!!」

ダンッ

堂島「て、天井から飛び降りてきたぞ・・・?」

ラハール「俺様が、ラハールちゃんだ!」

菜々子「ラハールさんスゴ~イ!」

堂島「あれがラハールか?体格が違うような気がするが・・・あの谷間はどうやって作ってんだ?」

482: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:23:32.86 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【1F・渡り廊下】:::

堂島「じゃあ、今から仕事に出るから、菜々子のこと頼んだぞ。飯はさっき食わせておいたから」

番長「はい」

陽介「おいラハール、女子の暗い空気をどうにかしてこいよ」

ラハール「何故俺様が・・・」

陽介「ミス?コンで優勝した後、ミスコンにまで飛び入り参加して優勝しちまったのはお前だろが」

りせ「女子票で直斗とかに負けるならともかく・・・ラハール先輩に負けるなんて・・・」

雪子「ラ、ラハール君に・・・女らしさで負けた・・・」

陽介「・・・ほら」

ラハール「し、知るか!」

菜々子「皆、かわいかったよ?」

りせ「ありがとー菜々子ちゃん・・・」

番長「完二もかわいかったのか?」

菜々子「え?えっ~と・・・」

完二「お、おい、菜々子ちゃん!?」

千枝「さすがの菜々子ちゃんでもアレは無理か・・・」

陽介「まあ完二はちょっとな・・・」

直斗「ラハール先輩の女装ってどうやってやったんですか?まず身長から違っていたような・・・」

エトナ「ラハールちゃんになってもらっただけよ」

直斗「えぇ・・・?」

番長「それより、いつになくノリノリだったような・・・」

エトナ「あれは開き直ってただけね~。アタシは見てて面白かったから良いけど」

ラハール「ぅぐ・・・そういうエトナこそ、派手好きな貴様がミスコンに参加しなかったのは、俺様に負けるのが怖かったからだろうが」

エトナ「あぁん?何?ケンカ売ってんですか?」

ラハール「フン・・・良い機会だ。思えば、貴様とサシで本気でやりあったことは無かったからな。一度主従関係をよりはっきりとさせておくか」

エトナ「へぇ、殿下アタシに勝てると思ってたんですか?今ならレベルも同じぐらいだし、調度良いですね」

ゴゴゴ・・・・・・

陽介「ちょ、ストップ!スト~ップ!」

エトナ「うっさいわよ」

ラハール「黙ってろ陽介・・・!」

菜々子「ケンカ、駄目だよ?」

ラハール「む・・・そうだな」

エトナ「あ、違うのよ菜々子ちゃん」

陽介「何この違い・・・」

クマ「どんまいヨースケ!」

番長「菜々子は八十稲羽にて最強」

>-皆と楽しく過ごした。

483: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:25:11.23 ID:EJlRVRs90
>-夜
:::【天城屋旅館・玄関】:::

雪子「取材はお断りしたはずです。お引取り下さい」

テレビ局の人A「そんなこと言わないでよ。呪われた旅館の次期女子高生女将さん」

雪子「・・・呪われた旅館?」

ラハール「(・・・あれは・・・?)」

テレビ局の人A「知ってるよ?ここ、あの山野アナが泊まってた旅館なんでしょ?事件以降、客足途絶えて大変らしいじゃん」

雪子「・・・」

テレビ局の人A「だからさあ、良い案持ってきた訳よ。あの呪われた旅館は今!女子高生若女将の恥ずかし奮闘記!」

雪子「・・・・・・」

テレビ局の人A「面白おかしく撮って、ちょこっとアンタが温泉でサービスカット入れてくれれば、視聴率もバッチリ、この旅館の人気もうなぎのぼりって訳よ。わかるでしょ?」

ラハール「・・・」

雪子「お断りします」

テレビ局の人A「あのさあ、立場わかってる?こんなド田舎のボロ旅館、俺達みたいなのに目付けてもらえるうちがチャンスよ?」

雪子「・・・お引取り下さい」

テレビ局の人A「ったく、次期女将さんなら懸命な判断してくださいよ。大体、老舗旅館っつったって、古いだけじゃんか。建物もぼろいし、料理もチマチマしてるだけだし」

ラハール「(仕方無い、行くか・・・む)」

484: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:28:09.21 ID:EJlRVRs90
雪子「・・・ざっけんじゃなわよ」

テレビ局の人A「・・・はぁ?」

テレビ局の人B「・・・」

雪子「侮辱するのもいい加減にして!あなたがたの局の取材は、今後一切、断固拒否します!」

テレビ局の人A「・・・あそう。おい、撮ったか?」

テレビ局の人B「はい」

テレビ局の人A「そっちがそういうつもりなら、今の暴言、報道させてもらっちゃうよ?」

雪子「ご自由にどうぞ。こちらからは、番組スポンサーの方々に抗議致しますから」

テレビ局の人A「はぁ?」

テレビ局の人B「ス、スポンサーはヤバイすよ・・・」

テレビ局の人A「・・・行くぞ」

雪子「・・・はあ」

ラハール「フン・・・今のクズ共、どうやら相手が悪かったようだな」

雪子「ラ、ラハール君!見てたの!?」

ラハール「ああ・・・む」

:::::::::::::::
ちゃんと撮ってたか?
え?そりゃまあ、けど、スポンサーに抗議するって
バーカ。一旦引いたけどな、まずはスポンサーに根回しすんぞ。今の啖呵が撮れてりゃ、やりようはいくらでもあんだよ
:::::::::::::::

ラハール「チッ・・・少し待ってろ」


>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・外】:::

ラハール「おい」


ラハール「死してなお、死んだほうがマシだと思えるような労働を、魔界で未来永劫無給で続けたくなければ・・・せめて真っ当に生きてろ」


ラハール「いいな?」

テレビ局の人A「は・・・はい・・・」

ラハール「(力はまだまだだが、迫力は俺様本来のものが戻ってきたようだな)」

485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:30:19.45 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・玄関】:::

雪子「ラ、ラハール君・・・今の・・・」

ラハール「・・・・・・奴等にとっては、相手が悪かったようだな。それだけだ」

雪子「・・・私・・・」

ラハール「意地を張りたいのなら、用心をしろ。人間だろうが悪魔だろうが天使だろうが、関係ない。貴様にはおよそ想像もつかんようなクズ共は、どこにでもいるものだ」

雪子「・・・」

ラハール「しかし、随分とこの旅館に熱心だな。貴様は、どこかへ行きたかったのではないのか?」

雪子「・・・最初はね、そうかもしれないって思ってた」

ラハール「・・・・・・どういうことだ?」

雪子「ここで生まれて、ここで育ってきて・・・確かに私は、決められた人生を送ろうとしてる、籠の中の鳥みたいな気がしていた。それは、私のシャドウが言っていた通り」

ラハール「・・・」

雪子「だから、一人でも生きていけるようにって、料理とか色々勉強して、色んな職業のこととかを調べたりしたんだ。千枝と一緒に」

ラハール「・・・料理は随分マシになったな」

雪子「・・・うん。だけどね、改めて、私が何をしたいのか、これからどういう風に生きてみたいのか考えてみて・・・気付いたんだ。この旅館が凄く大事だっていうことに」

ラハール「大事?」

雪子「うん。ここはね、私を育ててくれた両親、仲居さんや板前さん達・・・小さい頃からずっと一緒に生きてきた、家族や、家族みたいに想ってきた人達がいて、その人達が守り続けてきた旅館なんだ」

ラハール「・・・」

雪子「だから私は、この旅館を継いで、私もこの旅館を守っていきたい」

ラハール「・・・・・・そうか」

雪子「・・・ご、ごめんね長々と語っちゃって」

ラハール「アホか。俺様はな、この半年、人間界で人間共を見てきて、たの・・・悪くないと思っている」

雪子「ラハール君・・・」

ラハール「いろんなことを考えている奴等がいて、いろんなことで悩んでいる奴等がいる・・・強いのか弱いのか、まるでわからんような人間共を見ているやるのは、結構たの・・・悪くないのだ」

雪子「・・・」

ラハール「だから、貴様の話を聞いてやるのも・・・・・・悪くない」

雪子「ふふっ・・・」

ラハール「な、何故笑う?」

雪子「楽しいって言っちゃえばいいのに」

ラハール「た、楽しいわけあるか!悪くないだけだ!」

雪子「ふふ・・・あれ、そういえば他の男の子達は?」

ラハール「ああ、奴等なら風呂に行ったぞ。俺様は風呂で騒がしすぎるのはご免だから、後で一人で行くつもりだ」

雪子「そっか」

ラハール「・・・しかし、良かったのか?全員で押しかけてしまって・・・エトナとマリーまで」

雪子「良いの。部屋は空いてたし」

ラハール「ならいいが」

雪子「気遣ってくれてありがと」

ラハール「ちょ、調子に乗るな!気遣ったとかそういうわけじゃない!お、俺様はもう行くぞ!」

雪子「あ、うん」

486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:31:18.64 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・露天風呂】:::

マリー「ふ~・・・」

エトナ「たまにはこういうのも良いわね~」

菜々子「お風呂、気持ち良いね!」

エトナ「ね」

マリー「うん」

りせ「直斗もこっちおいでよ!」

直斗「ぃいえ、あの・・・」

りせ「・・・・・・えいっ!」

直斗「わあぁ!?」

りせ「直斗って意外と良いカラダしてるんだよねぇ~?」

千枝「肌もスベスベしてる!」

直斗「ちょ、ちょっと二人とも!」

エトナ「アンタ等なんかアブないわね・・・」

直斗「もぉぉ・・・な、菜々子ちゃん!」

菜々子「なぁに?」

直斗「大丈夫?熱くない?この露天少し温度高めだけど」

菜々子「大丈夫!」

直斗「最近、堂島さん・・・お父さんとはどう?僕が警察に出入りしてた時は、ずっと忙しそうにしていたけど・・・」

菜々子「お父さん?お父さんね、菜々子のお話、ちゃんと聞いてくれるようになったんだ」

エトナ「・・・」

菜々子「お母さんとお父さんと、三人でお話してから」

直斗「・・・お母さん?」

りせ「お母さんって・・・」

菜々子「菜々子嬉しかった。お父さんも泣いてた・・・菜々子今までごめんって言って、それからなんだ。お父さんが忙しくても、菜々子のお話ちゃんと聞いてくれるようになったの」

千枝「菜々子ちゃんのお母さんは、確か・・・」

りせ「う、うん・・・」

エトナ「夢の世界よ」

直斗「え?」

エトナ「夢の世界で引き合わせてあげたの。フロンちゃんがね」

マリー「エトナも頑張って叫んでたもんね。フロンちゃ~ん!って」

エトナ「う、うっさいわよ!いいでしょ別に!」

りせ「そうなんだ・・・」

千枝「・・・」

487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:32:04.11 ID:EJlRVRs90
菜々子「・・・エトナさんなの?エトナさんが、お母さんに会わせてくれたの?」

エトナ「違う違う。殿下よ」

菜々子「殿下?ラハールさん?」

エトナ「そ。ああ、けど、このことは内緒よ?アタシがばらしたって知ったら、殿下絶対怒るから」

菜々子「・・・うん、わかった」


『エトナ、頼む』

『た、頼むって・・・』

『フロンが貴様を見ている時なら、貴様が叫べば届くはずだ』

『いいですけど、フロンちゃんがやってくれるかは知りませんよ?』

『頼む』

『・・・わかりました・・・』


エトナ「いいからやれとか、さっさとやれとかじゃなくて、殿下がアタシに『頼む』なんてね・・・断れるわけないじゃん」

菜々子「どうしたの?」

エトナ「ああいや、何でもないのよ」

488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:34:24.43 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・宴会場】:::

菜々子「えへへ・・・」

ラハール「・・・どうした?」

菜々子「隣でご飯食べて良い?」

ラハール「別に、それは構わんが・・・」

エトナ「じゃーアタシは菜々子ちゃんの隣」

菜々子「うん!」

ラハール「・・・・・・?」

りせ「せ~んぱい、一緒に食べよ!」

マリー「番長は私と一緒なんだけど」

りせ「な、なにぃ~?」

番長「いや、あの・・・菜々子・・・」

マリー「仕方ないなあ。私の反対側になら座ってて良いよ。番長、これおいしいよ」

りせ「そ、それこっちの台詞なんですけど!はい先輩、あ~ん」

番長「いや、あの・・・菜々子・・・」

陽介「見ろ、あいつらの華のある光景・・・それに比べてこっちは・・・」

クマ「これ凄いおいしいクマ!」

完二「」ガツガツ

陽介「聞いてすらいねーし・・・」

千枝「何ぶつぶつ言ってんの?」

陽介「おう、里中。直斗も」

直斗「・・・どうも」

千枝「よ~し、食うぞ~!」

陽介「そんな気合入れんなよ・・・」

千枝「気合も入るっしょ!こんなに凝った料理はじめてだよ!」

直斗「隣、よろしいですか?」

完二「直斗・・・あ、ああ、別に」

直斗「・・・・・・気難しい方だと、勝手に思い込んでいたのですが」

完二「あ?」

直斗「ラハール先輩のことです。思っていた以上に、良い方だったみたいで」

完二「おう。自慢の先輩だぜ。まあ先輩等、皆そうなんだけどよ」

直斗「・・・はい、僕もそう思います」

>-・・・俺を挟んでりせとマリーが白熱しだした。
>-・・・そっとしておこう。

>-皆と楽しく過ごした。

489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:35:48.96 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・大浴場】:::

ラハール「・・・・・・む」

番長「・・・やあ」

ラハール「貴様、風呂にはさっき入ったのではないのか?」

番長「さっきは露天だったから、今度はこっちにと思って」

ラハール「物好きめ・・・アホ共はどうした?」

番長「陽介達か?なんか、卓球してる。里中や直斗も一緒みたいだ」

ラハール「無駄に元気な奴等だ・・・」

番長「元気があるのは、いいことじゃないか」

ラハール「まあ、無いよりはな・・・それより貴様、菜々子に何か言ったのではないだろうな?」

番長「何かって?」

ラハール「奴の母親のこととか・・・今日の菜々子はやけに馴れ馴れしかったぞ」

番長「言ってないけど・・・」

ラハール「・・・ならいいが」

番長「菜々子は鋭いからな。俺は何も言ってないけど、気持ちは伝わってしまうのかもしれない」

ラハール「・・・まあ、確かにな」

番長「それか、もしかしたらエトナさんがばらしたんじゃないか?」

ラハール「・・・いや、それはないだろう。アレは奴にとっても人に知られたくない話のはず、奴も人助けの片棒を担いだわけだからな」

番長「片棒を担いだって・・・何もわざわざ悪いことみたいに言わなくても」

ラハール「余程貴様と菜々子に気を許していない限り・・・・・・まさかアイツ・・・いや、まさかな・・・」

490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:38:42.30 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・外】:::

エトナ「あれ?殿下?どしたんです?」

ラハール「・・・外の空気を吸いにな。貴様こそ、どうした?」

エトナ「アタシも殿下と一緒ですよ」

ラハール「・・・」

エトナ「殿下の魔力、随分落ちてますね?」

ラハール「・・・わかるか」

エトナ「そりゃまあ」

ラハール「・・・魔界と違って、ここでは使った魔力を回復しようと思ったら自分で魔力を生み出すしかない。不本意だが、規則正しく生活して、睡眠と栄養を充分取ってな」

エトナ「ほぉ~・・・殿下の口から規則正しくなんて台詞が出てくるとはね~」

ラハール「・・・レベルが上がってきた分、魔力の絶対量が増えた。たかだが数時間訓練しただけでも、魔力を全快にするには数日がかりだ」

エトナ「ま、そうでしょうね」

ラハール「これまでは随分俺様と番長の力が際立っていたのだが、まだ戦いが続くようなら、そろそろ他の人間共にももっと強くなってもらわねばならん」

エトナ「家来のレベル上げなら殿下の得意分野でしょ?」

ラハール「・・・奴等は家来ではない」

エトナ「殿下・・・」

ラハール「・・・・・・場合によっては、貴様の力をあてにするかもしれんぞ」

エトナ「アタシはベルベットルームの住人ですよ?客人の力に直接なったりしたら、マーガレットが黙ってないですって」

ラハール「・・・そうだな。良い、今のは忘れろ」

エトナ「はいはい。な~に弱気になってんだか」

ラハール「なっとらん。俺様は強いから、俺様の力が足りないせいで誰かを死なせてしまうことなど考えたこともないし、そもそも臆病でもないから、誰かを失うことも怖くない」

エトナ「・・・それ、ぜ~んぶ逆ってわけですか?」

ラハール「・・・・・・勝手なことを言うな」

エトナ「はいはい」

491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:47:41.44 ID:EJlRVRs90
>-11/1(火) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::

コレイジョウタスケルナ

直斗「これ以上助けるな・・・か」

ラハール「これが、貴様の家のポストに直接入っていたという手紙か」

番長「・・・ああ」

直斗「では、お預かりします。僕のつてで調査させてみます。指紋でもなんでも、何か手がかりになるようなものが出てくると良いのですが・・・」

ラハール「・・・期待薄だろうな。これまで足取り一つ掴ませてこなかったような奴が、わざわざむこうから仕掛けてきておいて、手がかりを残すとは思えん」

直斗「ええ・・・」

完二「今はそんなこと話してる場合じゃないっスよ!」

ラハール「何?」

完二「犯人のヤローに番長先輩んちが割れちまってんスよ!?何してくるかわかんねえようなヤローに!どうすんスか!?」

直斗「あ・・・」

ラハール「・・・・・・番長、何かあったらまずは俺様に連絡を寄越せ」

千枝「私にも!すぐ駆けつけるから!」

番長「・・・わかった」

>-皆と今後のことを少し話し合った。

492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:48:16.14 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【神社】:::

完二「・・・んだよ?話って」

直斗「僕には・・・皆さんの仲間でいる資格がないのかもしれません」

完二「あぁ?」

直斗「・・・ショックでした。巽君の、先ほどの言葉が」

完二「・・・」

直斗「犯人に先輩の居場所が解ってしまっていること、そんな非常事態だというのに、僕の頭は調査のことで一杯で・・・」

完二「あ~・・・」

直斗「何よりもまず、番長先輩の身を案じるべき事態なのに・・・僕は・・・」

完二「・・・自分で解ってんなら良いんじゃねえか?」

直斗「巽君・・・」

完二「けどま、番長先輩にゃ侘びの一つでも入れといたほうが良いぜ」

直斗「・・・はい」

>-・・・・・・・

直斗「・・・はぁ・・・」

ラハール「・・・」

直斗「ラ、ラハール先輩」

ラハール「話し声が聞こえて、何かと思ってな」

直斗「聞いてらしたんですか・・・」

ラハール「・・・気に病むことはないぞ」

直斗「え?」

ラハール「俺様も番長の身を案じたりはしなかったからな。とはいえ、俺様の場合は貴様とは少し違うが・・・番長は生身の人間が相手なら、多少のことは自分でどうにか出来る奴だ。俺様はそれを良く知っている」

直斗「・・・」

ラハール「番長の奴も人間離れしたところのある奴だが・・・貴様の冷静さも中々見所があるな。家来にしてやっても良いぐらいだ」

直斗「・・・それは褒められているのでしょうか・・・?」

ラハール「お、俺様は人を褒めたりなどせんぞ」

直斗「・・・」

ラハール「む・・・し、しかしな、奴等は番長を除き、どいつもこいつも直情的な馬鹿共だ。天城でさえ、冷静に見えて中々の激情家だからな・・・」

直斗「・・・?」

ラハール「だからまあ・・・貴様がそうやって冷静でいられることが、いつか奴等の助けになるかもしれん。貴様は貴様のままで、奴等の仲間になってやればいい」

直斗「・・・先輩・・・」

ラハール「・・・・・・いらんことを口にしすぎたな。帰る」

直斗「は、はい・・・」

ラハール「・・・」

493: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:49:50.10 ID:EJlRVRs90
>-11/2(水) 昼休み
:::【屋上】:::

番長「菜々子が風邪引いたよ」

ラハール「何?お、おい、貴様、それがわかっていて菜々子を一人家に置いてきたのか?」

番長「ま、まあ学校あるし・・・それに、一人じゃないんだ。おじさんが仕事休んで看病してくれてる」

ラハール「フン・・・・・・あの仕事熱心な父親がか。なら良い」

番長「昨日は少し熱が上がってたけど、今朝はけっこう良くなってきてたし」

ラハール「・・・・・・そうか」

番長「・・・熱が出て弱気になってたのかな。春になったら、俺やラハールがいなくなること、凄く寂しがってたぞ」

ラハール「いなくなるわけではない。俺様は気が向いたらここに来てやるぞ。貴様もそうだろうが?」

番長「ああ・・・けど、やっぱり今みたいにいつでも会えるような状況とは、違うだろうから・・・」

ラハール「・・・まあな」

番長「だから、春まで一杯遊ぼうって約束しておいたぞ。ラハールの分も」

ラハール「き、貴様!勝手に約束するな!」

番長「ラハールならきっと、一緒に遊んでくれるって言っといたから、そうしてくれよ?」

ラハール「・・・全く・・・・・まあいい、気が向いたらな」

番長「ああ、気が向いたら、で良いさ」

>-ラハールと楽しく過ごした。

494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:52:02.72 ID:EJlRVRs90
>-11/4(金) 放課後
:::【テレビの中の世界】:::

千枝「やっぱ無茶だよラハール君。いくらラハール君でも3対1なんて・・・」

ラハール「そっちには新入りも一人いるからな。無茶ではないはずだ」

千枝「け、けど・・・」

ラハール「・・・一人で複数のシャドウを相手にすることもあれば、全員で一体の強力なシャドウを仕留めなければならんこともある。これはそのための訓練だと思え」

完二「なるほどな・・・けど、やるからには手加減なしっスよ」

ラハール「そうでなければ意味がない。直斗も、良いな?」

直斗「は、はい!」


>-・・・・・・

ラハール「・・・よ、よし・・・思った以上に・・・今回の新入りも使えそうだ」

バタッ

完二「先輩!」

直斗「ラハール先輩!」

ラハール「大騒ぎするな馬鹿共・・・はぁ、はぁ・・・魔力が切れただけだ・・・」

千枝「だ、大丈夫?」

ラハール「寝ていれば回復する・・・俺様はここでしばらく寝るから、貴様等は先に帰れ・・・」

直斗「・・・」

完二「・・・マジで寝ちまった」

千枝「ど、どうする?」

完二「置いてく訳にもいかねえスよ。花村先輩んちまで、俺が背負って運んどきます」

直斗「あ、僕も行きます!」

千枝「私も行くよ。ノシちゃったの私だし・・・」

完二「ま、そ~スね」

千枝「ちょっとは否定しなよ」

完二「いやぁ、里中先輩の蹴りはマジ半端ねぇスから」

直斗「・・・そうですね」

千枝「も~・・・」

495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:53:58.36 ID:EJlRVRs90
>-11/5(土) 夕方
:::【陽介の部屋】:::

ラハール「ん・・・」

ラハール「(・・・陽介の部屋?何故・・・)」

ラハール「・・・これは?」

「ラハールへ。お袋達には体調悪いって言っとくから、今日は学校休め」

ラハール「チッ・・・」

ラハール「(丸一日以上寝ていたというわけか・・・)」

ラハール「(・・・思っていた以上に、魔力の無い世界でそれなりの力を使うのは面倒だな・・・)」

ラハール「(今までは力自体が大したこと無かったから何とかなってきたが、そろそろ誤魔化しも利かんというわけか・・・)」

ラハール「(こんな有様では、俺様が奴等に力を貸してやれるのも・・・)」

ラハール「(・・・そういえば昨日は雨だったが、マヨナカテレビを見損ねたな・・・まあ、奴等がいるから、そう心配することもないか・・・)」

496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:54:59.96 ID:EJlRVRs90
>-夜
:::【ジュネス・倉庫】:::

陽介「もう、こんな力仕事して平気なのか?」

ラハール「魔力が尽きただけだからな。体自体は特に問題ない。むしろ動かしておいたほうがいい」

陽介「大丈夫ならいいけどよ」

クマ「カオに落書きしても起きないから心配したクマよ~?」

ラハール「やはりアレは貴様か!あとでボコボコにしてやるから覚悟しておけよ・・・!」

クマ「イヤァ~ン、心配でやっただけクマよ~!」

ラハール「アホか!何が心配でだ!」

ピピピッ ピピピッ

陽介「・・・里中からだ。こんな時間に・・・?」

ラハール「・・・」

陽介「・・・おう。どうした?」

陽介「・・・菜々子ちゃんが?」

陽介「・・・解った。すぐ行く」

ラハール「何かあったのか?」

陽介「菜々子ちゃんが犯人に浚われたかもしれないらしい。番長には連絡がつかないって・・・」

ラハール「・・・・・・は?」

クマ「・・・ナナチャンが?」

陽介「直斗も向かってるみたいだから、ラハールは今すぐ番長の家に行ってくれ。俺とクマは、里中達と合流する」

ラハール「・・・おい、菜々子がって・・・どういうことだ・・・」

陽介「ぼーっとしてる場合かよ!お前の足ならすぐ行けるだろ!今は急げよ!」

ラハール「くっ・・・!」

ドンッ

497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 01:58:47.21 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【堂島家・外】:::

ラハール「直斗!」

直斗「・・・先輩・・・」

ラハール「菜々子と番長は!?」

直斗「番長先輩は警察に拘束されているようです。菜々子ちゃんは・・・」

ラハール「・・・っ!」

直斗「待ってください!どこへ行くんですか!?」

ラハール「菜々子を探しに行くに決まってるだろうが!」

直斗「今は僕の話を聞いてください!」

ラハール「そんな場合じゃ!」

直斗「僕が少しでも冷静でいられることが、皆さんの力になれる・・・今がその時です。闇雲に走り回るよりも、少しでも犯人の目星をつけておいたほうが良いはずです」

ラハール「・・・・・・・・・わかった。話せ」

直斗「はい、まず番長先輩ですが、本日新たに犯人からこのような文面の手紙が送りつけられていたようです」

コンドコソ
ヤメナイトダイジナ
ヒトガイレラレテ
コロサレルヨ

ラハール「・・・イレラレテ・・・か」

直斗「・・・そして、それを見られた堂島さんに、警察署に連行されて、今もまだ拘束されています。連続誘拐殺人の、重要参考人として」

ラハール「・・・・・そういうことか・・・!」

直斗「そのため、菜々子ちゃんはこの家に一人で留守番をしていました」

ラハール「・・・続けろ」

直斗「はい、次にこの家の状況ですが、僕が来た時には既に玄関の扉は開け放たれており、中には誰もいませんでした。しかし、玄関の鍵をこじ開けられたような痕跡は一切ありません」

ラハール「何?」

直斗「・・・僕よりは菜々子ちゃんに詳しい方として、ラハール先輩に伺います。菜々子ちゃんは、一人で留守番をしている時に、知らない人が来ても家の鍵を開けるような子でしょうか?」

ラハール「ありえんな。奴はそんなに無知ではない」

直斗「わかりました。では、つまり、犯人は菜々子ちゃんの顔見知り、もしくは菜々子ちゃんが警戒せずに鍵を開けてしまう立場の人物ですね」

ラハール「・・・なるほど」

直斗「少し話の軸を変えて、今までの被害者、特に僕たちの中の四人の話をさせていただきます」

ラハール「・・・ああ」

直斗「僕を含める四人がさらわれたのは、いずれも夕方、まだ陽の明るい時間帯だと思われます。だというのに、怪しい目撃情報の一つも出ていません」

ラハール「・・・」

直斗「よって、犯人は少なくとも、人の家を訪ねても全く怪しまれずに、かつ人一人を隠しておけるような車の持ち主・・・つまりは、運送業者です」

ラハール「・・・届け物なら、菜々子も怪しまずに家の鍵を開けてしまった・・・そういうことか?」

直斗「はい、おそらく」

ラハール「・・・悪くない推理だ。よし、俺様は今すぐそれらしい車をしらみ潰しに探し回る。貴様は番長のところへ行って、どうにか奴を警察署から引っ張り出して来い!」

直斗「し、しかしラハール先輩、探し回ると言っても・・・どうするんですか?」

ラハール「走るしかなかろう!心配するな、俺様はもう冷静だ。だが番長・・・いくら奴でも、菜々子の危機に平静を保てるとは思えん。他の奴等も、番長が取り乱していてはどうなるかわからん・・・貴様は冷静でいろ。いいな!?」

直斗「はい・・・!」

ドンッ

直斗「は、はや・・・よし、僕も・・・!」

498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:03:53.61 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【稲葉中央通り】:::

ラハール「(あれは間違いなく菜々子の父親・・・つまり、あのパトカーが追っているトラックが・・・!)」

ラハール「絶対に逃がさんぞ・・・!」

ドドドドドド・・・

堂島「菜々子・・・!」

生田目「あ、悪魔だ・・・悪魔がおいかけてくる・・・!」

ラハール「(足が千切れても構わん・・・!もっと速く・・・!)」

生田目「このままじゃ・・・」

キキィ~~~ッ!!

ラハール「・・・いかん!」


>-・・・・・・

ラハール「う・・・・・・!」

陽介「ラハール!ラハーーール!」

雪子「ラハール君!」

ラハール「貴様等・・・」

直斗「ラハール先輩!」

ラハール「直斗・・・貴様はあの車を調べろ・・・あの中に・・・菜々子が・・・」

直斗「・・・・・・はい・・・!」

足立「ちょ、ちょっと。事故現場はしっかりと保存とかしないと。勝手にものを動かされちゃ困るよ!」

直斗「僕が今からそれをします」

ラハール「・・・はっ・・・はっ・・・」

ラハール「(・・・そうか。犯人のトラックが横転して・・・それに突っ込む菜々子の父親を、助けてやろうと思って・・・この体を・・・緩衝材にしたのだったな)」

陽介「お、おい・・・今立ったりしたら・・・!」

ラハール「・・・菜々子の・・・父親は・・・?」

陽介「・・・堂島さんは・・・」

堂島「・・・・・・」

ラハール「・・・・・・・・・おい・・・」

499: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:05:18.82 ID:EJlRVRs90
堂島「げほっげほっ・・・」

ラハール「・・・生きてはいるようだな・・・よし・・・」

陽介「おい、無茶するな」

ラハール「・・・俺様を通せ・・・」

ラハール「(受けたダメージが自然治癒しはじめてからでは、回復魔法は大した効果を持たん・・・今しかない・・・!)」

完二「先輩、肩貸します」

ラハール「・・・ああ」

堂島「菜々子・・・菜々子・・・!」

ラハール「はぁああ・・・!」

ヒール

ラハール「(これで精一杯とは・・・情け無い・・・!)」

クマ「ラ、ラハール・・・自分だって怪我してるクマよ・・・!?」

ラハール「黙れ・・・俺様はどうでも・・・っあ!・・・ぐ・・・!」

陽介「・・・アバラが折れてる。内臓だってどうなってるか解ったもんじゃない。今すぐ救急車が来るから、お前も、堂島さんと一緒に病院に行け」

ラハール「人間の医者に、見せられる体ではない・・・!」

陽介「っ・・・しゃあねえ、完二、かわってくれ。俺がそいつに肩を貸す」

完二「ウス」

500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:06:43.09 ID:EJlRVRs90
ラハール「・・・どうだ、直斗」

直斗「・・・荷台にも運転席にも、誰もいませんでした。ただ、荷台にはテレビが一台置かれていました。おそらく、犯行に用いられたテレビでしょう」

番長「離してくれ里中!」

千枝「駄目!」

クマ「センセイ!こんなトコロから入ったら、どんな危険なトコロに出るかわからないクマよ!」

番長「俺一人でも行く!」

千枝「あたし達を馬鹿にしないで!番長君が行くなら、あたし達だって、どこにでもついて行く!けどね・・・」

りせ「先輩・・・もし私達に何かあったら、誰が菜々子ちゃんを助けに行くの・・・!?」

千枝「・・・りせちゃんの言う通りよ」

番長「・・・!」

陽介「この後ジュネスに忍び込んで、いつもの家電コーナーのテレビから入ろう。鍵なら俺が何とかする。だから、今はまず落ち着いてくれ。お前がそんなんじゃ、俺達はまとまらないぞ」

番長「陽介・・・・・・ああ、すまない・・・皆・・・」

直斗「・・・この日記帳、生田目が書いたものでしょうね」

番長「直斗・・・」

直斗「運転席に置いてありました。読みます。『僕は、新世界の存在を知った。ならば、人を救わねばならない』」

完二「あぁ?救う?どういうこったそりゃ」

直斗「・・・・・・これは、被害者達の現住所です。山野真由美、小西早紀、天城雪子、巽完二、久慈川りせ、僕の名前も・・・未遂で助かった方たちの名前も記されている。そして、諸岡先生の住所は書かれていない・・・」

足立「・・・凄い!そりゃ、決まりだよ!」

番長「・・・」

直斗「・・・最後のページの内容、『こんなに小さな子が映ってしまうなんて・・・この子だけは、絶対に救ってあげなくては・・・』」

ラハール「(それが、それが菜々子だというのか・・・!)」

完二「番長先輩!堂島さんが!」

ラハール「・・・」

番長「おじさん!」

堂島「番長・・・菜々子は、菜々子は俺の生き甲斐だ・・・!」

ラハール「・・・」

堂島「お前になら、出来るんだろ・・・!?頼む、頼む・・・!菜々子を助けてやってくれ・・・!」

堂島「・・・・・・必ず、助けます!」

501: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:07:28.12 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

雪子「アマテラス!」

クマ「ペルクマー!」

>-カッ

>-ディアラハン

ラハール「む・・・・・!」

番長「ラハール!」

ラハール「(・・・とりあえず、このままかけ続けて貰えば体はどうにかなるか。だが、魔力は・・・)」

雪子「ま、まだ動かないで」

クマ「ふぉおおお!」

ラハール「・・・番長、エトナを呼べ」

番長「エトナさんを・・・?」

ラハール「急げ。菜々子が待っている」

番長「・・・わかった」

502: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:09:58.24 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::

エトナ「・・・はぁ?アンタ・・・アンタねえ、何やってんのよ!?アンタがいながら・・・!」

ガッ

番長「・・・っ」

マリー「エ、エトナ・・・」

エトナ「・・・アタシも行く」

番長「エトナさん・・・」

マーガレット「待ちなさいエトナ」

エトナ「・・・何?何か用?アタシこれから忙しいんだけど・・・!」

マーガレット「貴女はこのベルベットルームの住人。お客人に直接力をお貸しすることは禁じられているわ」

エトナ「うっさい!殿下がやられて、大事な子が危ない目に遭わされて、こっちはキレてんのよ!邪魔しようってんなら、アンタをぶっとばしてでも行くから・・・!」

マーガレット「・・・聞きなさい。貴女は元々、期間限定の仮初の住人。その期間が多少短くなる程度のこと、私は構わないわ。貴女は根源からして、私の妹とは違うから・・・」

エトナ「・・・」

マーガレット「けれど、本当に行くのであれば、貴女はもちろん、おそらくは貴女のお客人も、もう二度とこのベルベットルームに足を運ぶことが出来なくなるわ。それを良く考えてから行くのね」

エトナ「そっか・・・・・・わかった」

マリー「・・・エトナ、行くの?」

エトナ「うん、ごめんねマリーちゃん・・・けど、また会えるでしょ。こっからは、番長に連れ出して貰いなさい」

マリー「・・・うん・・・・・・」

エトナ「(今、殿下に渡してる呪文は・・・だから、私は・・・よし、これで良いわね)」

番長「もう、良いんですか?」

エトナ「急がなきゃなんないでしょ。行くわよ」

番長「はい」

エトナ「・・・・・・マーガレット、あんがとね。アタシ、別にアンタのこと嫌いじゃなかったわよ?迷宮の世界では、ちょっと世話んなったし」

マーガレット「そうかしら。私は、うるさい貴女がいなくなると思うと清々するわよ?」

エトナ「・・・いつかぶっとばす。じゃあね」


>-・・・・・・

マーガレット「・・・さて、主になんて言い訳しようかしらね?」

マリー「・・・知らないよ。鼻にはマーガレットが説明しなよ」

503: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:16:07.97 ID:EJlRVRs90
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::

エトナ「・・・殿下・・・魔力が・・・」

ラハール「・・・・・・ああ・・・」

エトナ「それで私をって訳ですか・・・ったく情けない【陛下】を持つと、家来はしんどいな~」

ラハール「なっ・・・お、おい・・・今・・・」

エトナ「何ですか?【殿下】。まいいや、ちょっと動かないで下さい」

ラハール「お、おい・・・!」

シュウウ・・・

ラハール「・・・」

エトナ「・・・アタシの魔力、半分送りました」

ラハール「・・・ああ」

エトナ「・・・アタシも、行きます」

ラハール「そうか・・・・・・なら、この剣を使え」

エトナ「これは・・・?」

ラハール「俺様が使っている剣だ。貴様は出来れば槍が良いのだろうが、今は持ち合わせが無い。我慢しろ」

エトナ「・・・はい。けど、殿下は?」

ラハール「素手で構わん。今回ばかりは、犯人を直接ぶん殴らなければ怒りが収まりそうに無い・・・!」

エトナ「・・・わかりました。番長、こっちは準備良いわよ」

ラハール「ああ・・・だが、二人分の戦力を当てにされると困るぞ。二人あわせて、精々一人分というところだろうな」

番長「・・・そうか。皆」

陽介「ああ」

クマ「行くクマ!」

千枝「うん」

雪子「急ごう」

完二「ウス」

りせ「場所は突き止めたよ」

直斗「・・・・・・はい」

番長「菜々子を助けるぞ!」

504: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/18(木) 02:16:54.99 ID:EJlRVRs90
>-次回予告
>-BGM:HEAVEN

エトナ「・・・まさか、あんたが死ぬとはね・・・」

エトナ「・・・プリニーになったら、精々コキ使ったげるから、覚悟しなよ?」

エトナ「・・・・・・菜々子ちゃん、今行くからね」

エトナ「次回、【P4G×ディスガイアD2】。最終話、【天上楽土】」

エトナ「・・・どうして、こんなことになっちゃったのかなぁ・・・!」

510: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/20(土) 22:29:03.42 ID:06lMxX8W0
>-・・・・・・
:::【天上楽土・第2天】:::

ラハール「(ここにきてからの妙な高揚感と不安・・・これは一体・・・なんだ・・・?)」

エトナ「なるほどね。こういう戦いをしてたワケですか」

ラハール「・・・油断するな。いつも通りなら、ボスは相当面倒だぞ」

エトナ「りょ~かい」


クマ「ペルクマ!」

完二「オラオラオラ!」

直斗「天城先輩!そちらに行きました!」

雪子「わかった!」


ラハール「(レベルは同程度でも、俺様もエトナも、やはりもうこいつらと同じように戦うことは出来ない・・・か・・・)」


>-・・・・・・
:::【天上楽土・第3天】:::

ラハール「どうした?何故立ち止まっている」

番長「この扉の先に、強いシャドウの反応があるらしい。それで、そっちと合流してからと思って」

ラハール「・・・そうか」

511: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/20(土) 22:30:33.53 ID:06lMxX8W0
>-・・・・・・

???『怖いなぁ。失うのは、怖い』

ラハール「!」

???『うざいな~~~・・・いい加減【陛下】には、はっきりして欲しいわよね』

エトナ「!」

ラハールのシャドウ『だって僕は弱いし、皆のことが大好きだから・・・そうだろう?僕』

エトナのシャドウ『そうでしょ?アタシ』

クマ「ラハールとエトナチャンのシャドウ!?」

番長「そんな・・・」

陽介「け、けど、なんかラハールのシャドウ、明らかに幼くねえか?それに、僕って・・・?」

ラハール「母上が死んだ頃の・・・あの頃のままの俺様か。とっくにあんな弱さは捨てたと思っていたのだがな・・・」

ラハールのシャドウ『家来の皆も、フロンちゃんもエトナちゃんもシシリーも、人間のお友達も、後輩達も、みんなみ~んなだ~いすき。だから怖いんだ。僕が弱いせいで、誰かがいなくなっちゃうのが・・・』

陽介「・・・ラハール・・・」

ラハール「チッ・・・・・・陽介、番長、天城・・・いや、貴様等全員、先に行ってろ。貴様等の力の気配を辿れば、俺様とエトナだけでも貴様等に追いつく」

番長「けどラハール!」

ラハール「一分一秒が惜しい。菜々子は犯人と一緒にいるのだぞ!」

番長「それは・・・」

512: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/20(土) 22:32:28.76 ID:06lMxX8W0
ラハール「・・・こいつらの相手は、俺様達がする。いや、俺様達がするべきだろう・・・」

番長「・・・・・・わかった。先に行くよ」

りせ「番長先輩!?」

番長「俺達がいないほうが、素直に受け入れられるものもあるだろ。きっと」

陽介「・・・・・・そうだな・・・わかった」

りせ「・・・」

ラハール「ぐだぐだ言ってないでさっさと行け!」

陽介「・・・わかってるよ。けど、すぐ追いついて来いよ?待ったりしねーかんな!」

千枝「花村、良いの?」

陽介「おう。あいつらなら絶対・・・!」

ラハール「・・・」

雪子「ラハール君・・・」

ラハール「天城、俺様チームの指揮はこれから貴様が執れ。良いな」

雪子「・・・・・・・・・絶対、はやく追いついてきてね。約束して」

ラハール「・・・いいだろう。わかったらさっさと行け」

雪子「うん」

完二「先輩・・・」

直斗「ラハール先輩・・・」

クマ「ラハール・・・エトナチャン・・・」

ラハール「貴様等も、急げ。必ず菜々子を助けろ」

完二「俺等だけじゃ無理かもしんねえッス!」

ラハール「・・・完二・・・」

完二「だから、さっさと先輩等も来て下さいよ!?」

ラハール「フン・・・余計な心配をするな。もう行け」

完二「ウッス!」

直斗「・・・」

完二「オラ!行くぞ!」

直斗「し、しかし・・・」

完二「クマ公も急げ!先輩を困らせんな!」

クマ「ケ、ケド・・・」

完二「良いから行くぞ!」

クマ「アァ、チョット完二!」

ラハール「・・・すまんな、完二・・・」

513: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:29:21.94 ID:wEMFmJas0
ラハールのシャドウ『うぅ・・・うぅ・・・』

ラハール「泣くな、みっともない」

ラハールのシャドウ『だって怖いんだもん。僕は魔王だけど、結局魔界にいなかったらちゃんと力が使えるわけじゃないんだ・・・!僕は皆が大好きだから、皆のことを守りたい。なのに・・・!』

ラハール「全く・・・貴様も俺様なら、もっとしゃきっとしろ!」

ラハールのシャドウ『え・・・今・・・?』

ラハール「・・・そうだな。俺様には、大事に想ってやっても構わん奴等がいる。守ってやっても構わんと・・・想える奴等がいる。だというのに、今の俺様は弱い・・・そんなこと、考えたくもないと思っていたが、最早そんなことを言っている場合ではない・・・特に今はな」

ラハールのシャドウ『・・・』

ラハール「俺様が弱いせいで、また大事なものを失うようなことは・・・絶対に嫌だ・・・!」

ラハールのシャドウ『・・・』

ラハール「・・・俺様には力がいる。悪魔としてのものだけではなく・・・貴様も俺様なら、わかるな?」

ラハールのシャドウ『・・・うん』


>-・・・・・・

ラハール「さて、厄介なのは・・・やはり貴様のほうか」

エトナ「・・・殿下・・・アタシは・・・」

エトナのシャドウ『もう嫌!【陛下】!、アタシと一緒に死んで下さい!』

ラハール「随分と歪んだシャドウになったものだ。こうなると何がどこまで本音だか、わかったものではないな・・・」

エトナ「あんなのアタシじゃない・・・!」

ラハール「・・・・・・話は後だ。俺様は少し、貴様のシャドウを黙らせてくる。【いいモノ】も手に入ったしな」

>-カッ

514: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:31:39.80 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【天上楽土・第10天】:::

菜々子「お兄ちゃん!」

番長「菜々子を離せ!」

生田目「く、来るなあっ!」

直斗「先輩!犯人を刺激しないで・・・!」

番長「くっ・・・」

直斗「あなたが、生田目太郎さんですね?」

生田目「・・・僕を知っているのか?」

直斗「あなたは、誘拐した人をテレビに入れていた犯人・・・間違いありませんか?」

生田目「テレビに・・・そうだ!テレビに入れたんだ!」

直斗「(・・・どうにか、生田目をなだめて菜々子ちゃんを引き離さなければ・・・!)」

直斗「あなたの目的は何ですか?日記を拝見しましたが、救済するということが目的なのですか?」

生田目「・・・雨の日のテレビに映るのは、僕に助けて欲しいって合図なんだ・・・!だから僕はテレビに映った人を救済しなきゃいけない・・・!」

直斗「(・・・どうすれば良い?明らかに錯乱して、正気を失いかけている・・・!)」

りせ「救済ってなによ!」

生田目「お前等・・・そうだ、お前等、俺が救った奴等だ!」

雪子「・・・!」

生田目「お前等、俺がテレビにいれてやらなかったらどうなってた!?」

りせ「どうなってたって・・・・・・自分と、向き合えないままだったってこと・・・?」

雪子「そんな・・・私達はテレビの中に入れられてせいで殺されるところだったのに・・・!」

生田目「・・・僕は救済しなきゃいけないんだ・・・!」ブツブツ・・・

完二「んだこいつ・・・殺すことが、こいつの言う救済だってのかよ・・・!」

515: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:33:12.36 ID:wEMFmJas0
生田目「この子は絶対に僕が救うんだ・・・!」

ぐぐ・・・

菜々子「あうっ・・・」

番長「菜々子!」

生田目「救うんだぁぁあああああ!!」

>-カッ

番長「くっ・・・イザナギ!」

>-カッ

バッ

番長「菜々子!菜々子!!」

菜々子「お兄・・・ちゃん・・・」

クマ「こ、これは・・・シャドウがコイツに惹かれて集まってきてるクマ!」

生田目「あ、あ、あ・・・!」

>-カッ

陽介「くっ・・・!」

番長「・・・りせ、菜々子を抱いて、離れていてくれ」

りせ「はい!」

菜々子「・・・」

クニノサギリ『そのこを・・・わたせ・・・!』

完二「もう容赦しねえぞ!てめえ!来い、ロクテンマオウ!!」

>-カッ

陽介「行くぜスサノオ!」

>-カッ

クニノサギリ『きゅうさい・・・するんだ・・・!』

>-マハラギダイン

番長「火がくるぞ!天城!里中をかばってくれ!」

雪子「はい!」

ゴオッ

千枝「ご、ごめん雪子」

雪子「平気、もう私に・・・火は効かないから」

516: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:42:56.10 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・

陽介「さすがにタフな相手だぜ」

番長「きっと、あと一息だ・・・!」

クニノサギリ『じゃま・・・するな・・・!』

>-クアドコンバージ

>-場の雰囲気が変わった・・・

りせ「これは・・・皆、防御して!」

番長「何・・・!?」

クニノサギリ『・・・!』

>-マハジオダイン

番長「くっ・・・!」

りせ「今この周辺は、電撃の威力が高まってるみたい」

番長「・・・わかった。完二、俺達で撃つぞ!他の皆は回復や補助を中心に頼む。特に直斗はマカラカーンを出来るだけ張ってくれ!」

完二「ウス!」

直斗「了解です!」

517: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:44:23.49 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・

千枝「ま、まだ倒れないの・・・?」

雪子「はあ・・・はあ・・・・・・まだ来てくれないの?ラハール君・・・エトナさん・・・!」

クニノサギリ『じゃま、じゃまするな!じゃまするな!』

>-あやつる

番長「!?」

クマ「センセ~!」

番長「・・・そんな・・・体が・・・!」

>-ペルソナチェンジ:スカディ

>-ブフダイン

雪子「えっ・・・?」

>-Weak

雪子「・・・ぁっ・・・」どさっ

千枝「雪子!」

陽介「番長!何を!?」

番長「天城!そんな・・・皆、俺から・・・俺から離れてくれ・・・!」

りせ「番長先輩があやつられてる!や、やばいよ!」

直斗「そ、そんな・・・!」

番長「・・・!」

>-ペルソナチェンジ:スルト

番長「やめろ・・・スルト・・・!」

クマ「あのペルソナは、センセイのペルソナで一番の・・・!」

陽介「こんな・・・マジかよ・・・」

千枝「嘘・・・番長君・・・」

番長「やめろおおおおおお!!」

>-ラグナロク

タタタッ

ラハール「ペルソナ」

>-カッ

518: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:48:16.25 ID:wEMFmJas0
ラハール「・・・・・・やめろはこっちの台詞だ」

エトナ「雪子ちゃん、ちょっと待っててね~」

>-カッ

>-ディアラハン

雪子「・・・あ・・・」

エトナ「これでよし、と」

雪子「遅いよ・・・ラハール君・・・エトナさん・・・!」

エトナ「ごめん、アタシのせいで遅れた・・・泣かないで、雪子ちゃん。もう大丈夫だから」

ラハール「・・・陽介、何が起きている?説明しろ」

陽介「あ、ああ・・・あのデカイのが敵だ。番長はあいつに操られてるらしい」

ラハール「全く・・・・・・まあいい、菜々子は取り戻せたようだからな。久慈川、もう少し離れていろ」

りせ「は、はい!」

ラハール「(・・・全員疲れきっているようだが、もう一働きしてもらうしかないか)」

ラハール「陽介、番長のかわりに、貴様がこいつらを率いてあのデカブツの相手をしろ。エトナ、手を貸してやれ」

陽介「お、おう!」

エトナ「了解」

519: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:49:13.85 ID:wEMFmJas0
ラハール「・・・さて」

番長「ラハール・・・俺から離れてくれ・・・!」

ラハール「ふざけるな。今の俺様が貴様なんぞに負けるとでも思ってるのか?しかし、貴様へのリベンジがこんな形とはな・・・いや、気に食わんな。今回は勝ち星に数えないでおいてやろう」

番長「・・・っ!」

>-ペルソナチェンジ:スカディ
>-ブフダイン

ラハール「スルト!!」

>-カッ

>-アギダイン

番長「・・・!?」

>-ペルソナチェンジ:ジャターユ
>-ガルダイン

ラハール「ツィツィミトル!!」

>-カッ

>-マハジオダイン

番長「・・・ラハール・・・それは・・・」

>-ペルソナチェンジ:スルト
>-ラグナロク

ラハール「フン・・・ロキ!!」

>-カッ

>-ニブルヘイム

ドンッッ!!!


りせ「ご、互角・・・?っていうかラハール先輩のアレって・・・!」

ラハール「互角だと思うか?生憎、俺様は魔王様でもあるのだ!」

獄炎ナックル

ドッ!

番長「ぐふっ・・・!」

ラハール「(・・・見えた!こいつを操っている力の塊・・・これをぶち壊せば)」

>-カッ

番長「あ、体が・・・動く・・・!」

ラハール「良し。さて、奴等だけでは荷が重いようだからな・・・俺様達も行くぞ」

番長「・・・ああ!」

520: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:51:04.82 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・

クニノサギリ『うぐ、じゃま、じゃまするな・・・おまえか・・・おまえのせいで・・・!』

ラハール「!」

>-あやつる

ラハール「・・・・・・」

直斗「ラハール先輩!!」

ラハール「フフ・・・ハーッハッハッハ!教えておいてやる!超魔王を操ることは出来ない!」

クニノサギリ『おまえは・・・なんなんだ・・・!?』

ラハール「だから言ってるだろ。俺様は!」

番長「魔王ラハール様だ」

ラハール「・・・おい、先に言うな」

番長「あ、ごめん」

ラハール「まあいい、とどめだ」

番長「ああ」

>-カッ

521: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:55:51.42 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・

番長「菜々子・・・気を失ってるのか?」

クマ「・・・きっと、ナナチャンにはこの世界にいること自体がよくないクマ・・・」

番長「なっ・・・い、急いで出よう!」

陽介「だな」

ラハール「・・・」

エトナ「殿下、コイツどうします?コイツが菜々子ちゃんさらってったんでしょ?今ここで、アタシが殺りましょうか?」

ラハール「よせ、それは奴等が望まん。ソイツも連れて行くぞ。警察に引き渡す」

エトナ「・・・了解」

完二「しゃあねえ。俺が運びます」

ラハール「ああ、頼むぞ」

522: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:56:51.63 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院】:::

番長「・・・」

ラハール「・・・」

番長「熱は下がってたけど、菜々子の風邪は治りきってたわけじゃないかったんだ。最近寒かったし・・・」

陽介「そっか・・・菜々子ちゃん・・・」

番長「なのに俺は・・・」

りせ「・・・先輩・・・」

クマ「ナナチャンはまだ小さいから、ちゃんと自分のシャドウを出すことが出来なかったクマ。それでアッチの世界にいることに耐えられなくて・・・」

雪子「・・・そっか・・・」

エトナ「・・・」

直斗「僕のせいだ!」

ラハール「直斗・・・?」

直斗「一刻も早く菜々子ちゃんをこっちの世界に連れ戻すべきだったのに、どうにか犯人をなだめようと、長々話をしようとしたりして・・・!」

ラハール「・・・」

直斗「強引にでも、すぐに取り戻すべきだったんです・・・!元々常識が通じなくなってるような奴相手に、話なんかしてる場合じゃなかった・・・!」

完二「・・・」

直斗「僕のせいで、菜々子ちゃんは・・・!」

千枝「・・・直斗君のせいじゃないでしょ」

直斗「ですが・・・!」

完二「もうやめろや」

直斗「・・・・・・巽君・・・」

完二「過ぎたことを後悔してよ、自分を責めて俺等で傷舐めあって、それが何か菜々子ちゃんのためになんのかよ?」

直斗「・・・」

完二「もう、俺等に出来るのは菜々子ちゃんを信じて待つことだけだろが。てめえを責めてる暇があったら、ちっとでも菜々子ちゃんのために無事を祈るんだ」

直斗「・・・あ・・・」

完二「そうだろ?直斗・・・番長先輩もっスよ」

番長「・・・完二の言うとおりだな」

直斗「はい・・・・・・はい・・・!」

クマ「・・・・・・」

523: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:58:00.76 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・

エトナ「殿下、菜々子ちゃんに、アタシ達の力で何か出来ないんですか?」

ラハール「・・・・・・菜々子の体は極端に衰弱していた。あれは単純に回復魔法でどうにかなるレベルではない」

エトナ「けど・・・」

ラハール「・・・俺様が貴様に貰った魔力はもう尽きたが、貴様自身にはまだ残っている魔力があるな?」

エトナ「はい」

ラハール「それを直接菜々子に注いで体力を取り戻させるという方法は考えられなくもないが・・・普通の人間の体、それも菜々子のような幼い体に強引な魔力の使い方をしたら一体どうなるのか・・・下手をすれば逆に命に関わるかもしれん。危険すぎる」

エトナ「・・・」

ラハール「・・・・・・だがまあ、何か出来るとすれば、完二が言っていたように・・・祈ることだろう。そんなことに意味があるのかは知らんがな」

エトナ「・・・はい・・・」

ラハール「大体、菜々子の奴は生きている。それに、奴があれほどまでに衰弱した原因である世界からは連れ出したのだ。これからは快復していくはずだ」

エトナ「・・・・・・ですよね」

524: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 11:59:56.43 ID:wEMFmJas0
>-11/21(月) 昼休み
:::【屋上】:::

番長「今朝連絡があって、菜々子の面会が出来るようになったって」

陽介「マジか!」

千枝「やったじゃん!」

りせ「じゃあ、早速放課後菜々子ちゃんのとこ行こうよ!」

スタスタ

陽介「お、おいラハール、どこ行くんだよ?」

ラハール「は?・・・菜々子のところに決まってるだろう」

陽介「今すぐにか!?」

番長「授業さぼったら、菜々子に怒られるぞ?」

ラハール「む・・・・・・それもそうか。奴は意外と口うるさいからな」

番長「菜々子の悪口はやめてくれ」

ラハール「だから貴様何だその殺気のこもった笑顔は・・・べ、別に悪く言ったわけではない!」

直斗「菜々子ちゃんは快復に向かっているんですね・・・本当に・・・良かった・・・!」

完二「・・・直斗・・・」

直斗「あ・・・そういえば、生田目の意識が戻って、事件についての供述をはじめているようです。一応、罪を認めてはいるようで」

雪子「そうなんだ・・・」

直斗「警察側は随分と混乱しているようですが、本人が罪を認めている以上、まともに動かざるをえないでしょう」

雪子「じゃあ・・・ほんとに終わったんだね」

直斗「・・・そうですね。一応僕個人としてはまだ気になっているので、ことの裏付けは色々と取っている段階ですが・・・」

陽介「ぬかりねーな。直斗は」

直斗「か、からかわないで下さい!大体、本当にぬかりなかったら、菜々子ちゃんを危険な目に遭わせずに済んでいたはずですから・・・」

陽介「直斗・・・」

完二「そりゃ言わねぇ約束だろ。菜々子ちゃんは元気になりはじめてんだ。あとは少しでも早く全快してもらおうぜ」

直斗「・・・はい」

りせ「・・・なんか最近、完二のクセにかっこつけすぎなんじゃないの?」

完二「んだそりゃ。俺のクセにってどういうことだテメエ」

番長「完二、そういうことだ」

完二「ちょ、先輩」

ラハール「完二、悪いがそういうことだ」

完二「ラハール先輩まで!?」

千枝「なんかそれなつかしいね」

雪子「ね」

>-皆と楽しく過ごした。

525: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:00:39.66 ID:wEMFmJas0
>-放課後
:::【菜々子の病室】:::

エトナ「あ、お兄ちゃん来たわよ~菜々子ちゃん」

番長「・・・菜々子」

菜々子「お兄ちゃん・・・」

>-・・・!?
>-・・・なんだ?
>-・・・俺は、この光景を、知ってる・・・?

エトナ「・・・どしたの?」

番長「あ、いえ、何でも・・・」

堂島「すまんな番長」

番長「おじさん」

堂島「まだちゃんと話が出来るほど体力が戻ってはいないらしいんだ」

菜々子「菜々子は、大丈夫、だよ、お兄ちゃん」

番長「・・・無理して喋らなくて良い。元気になったら、約束通りいっぱい遊ぼうな」

菜々子「うん・・・」

番長「ラハールも来てくれたぞ。ラハールも一緒に遊んでくれるから」

菜々子「・・・ラハールさん・・・ほんと?」

ラハール「ああ。本当だ」

菜々子「・・・良かった・・・・・・」

堂島「寝ちまったか・・・まあ、まだまだ休ませてやらんといかんだろうな」

番長「・・・はい」

看護士「堂島さん!また部屋を抜け出して・・・菜々子ちゃんが心配なのはわかりますけど、あなたもまだまだ絶対安静なんですからね!」

堂島「ああ、いや、すまん・・・」

足立「すいません!すぐ僕が病室戻しますから・・・」

堂島「あ、こら、何しやがる足立!」

526: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:02:24.66 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・待合室】:::

足立「生田目のことについて、色々新しい事実が出てきてるみたいでね~」

番長「新しい事実?」

直斗「それは一体・・・」

足立「・・・ホントは言っちゃいけないんだけど、まあ君達なら良いか」

ラハール「・・・」

足立「例の日記に、殺された山野アナや小西さんのことが書かれてて・・・どうも生田目、小西さんにも言い寄ってたらしいよ」

千枝「え?」

足立「それで相手にされてなくて、殺しの動機もそのへんなんじゃないかって言われてるんだけどね」

陽介「そ、そんな理由で・・・先輩を・・・!」

足立「あ・・・っと・・・はは、僕はもう仕事に戻るね。堂島さんも寝かせてきたし」

ラハール「・・・・・・陽介」

千枝「・・・花村」

陽介「・・・・・・わり、心配すんな。もう犯人は、捕まえたんだしな・・・」

527: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:04:27.29 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【稲羽中央商店街】:::

千枝「あれ?そういえば、エトナさんって今どこで暮らしてるの?確かベルベットルームってとこからは、出てきたんだよね?」

エトナ「ん?ああ、コイツんち」

りせ「せっ、先輩の家!?」

番長「うん。おじさんも菜々子も入院中だし、部屋は空いてるから」

エトナ「せめて菜々子ちゃんが元気になるまでは人間界にいたいしね~。野宿はさすがにヤだし」

りせ「そ、それはそうでしょうけど、いくらなんでも先輩の家って・・・先輩!私も先輩の家に住みたいです!」

番長「?・・・りせには住む家があるだろ?」

りせ「そうですけど・・・」

雪子「あの・・・元気になるまではって、菜々子ちゃんが元気になったら、エトナさんは魔界に帰っちゃうんですか?」

エトナ「まあ、住むとこなくなっちゃうしね。今だって、番長んちにおいて貰ってんのは菜々子ちゃんのお父さんには伝えてないから、勝手にって感じだし」

雪子「・・・でも、それじゃ菜々子ちゃん、寂しがるんじゃ・・・せめて、ラハール君がいる春までは一緒に・・・」

エトナ「・・・・・・ま、しょーがないっしょ?アタシはあの部屋飛び出て菜々子ちゃん助けに行ったこと、別に後悔してないしね」

雪子「・・・エトナさん・・・」

528: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:05:41.47 ID:wEMFmJas0
主婦A「聞いた?谷口さんちの息子さん、この霧のせいで気分悪くなって倒れたらしいの」

主婦B「本当?やっぱり引っ越したほうが良いのかしら・・・」

マジキチ「逃げろ!この霧は毒ガスだ!死ぬぞ~~~!」


りせ「何アレ?ヤバくない?」

直斗「・・・今のは極端ですが、この霧について、人体への悪影響を心配している方は多いみたいですね」

エトナ「そういや最近、霧凄い濃いですね?」

ラハール「そうだな。まるで、あっちの世界のようだ」

完二「・・・あっちの世界・・・?」

カチャ

完二「・・・マジかよ」

陽介「どうした?完二」

完二「眼鏡っスよ。かけてみて下さい」

千枝「眼鏡って・・・あっちの世界で使ってる?」

ラハール「・・・?」カチャ

エトナ「ああ、クマに貰ったアレか」カチャ

ラハール「これは・・・」

エトナ「霧が晴れて見える。凄いんですねこの眼鏡」

ラハール「ああ・・・ってアホか!この眼鏡は、テレビの中の世界での霧が晴れて見える眼鏡だぞ!つまりこれは・・・どういうことだ?」

エトナ「どういうことと言われても・・・さあ?」

千枝「・・・なんだか、あっちの世界の霧が、こっちに漏れてるみたい」

直斗「そ、それって・・・!」

千枝「え、やだ。今の、テキトー言ってみただけよ?」

『真実は常に、霧に隠されている』

ラハール「(・・・確か、クマのシャドウがそう言っていたな。いや、正確には、クマのシャドウを装っていた正体不明の奴が・・・か)」

直斗「しかし・・・」

ラハール「もしそうだとしたら、体に悪影響があったという話も・・・あながちデタラメではないのかもしれんな」

エトナ「どういうことです?」

ラハール「・・・考えてもみろ。菜々子はアッチの世界に行っただけであれほど体を弱らせたのだ。その影響力が、こちらの世界にまで響いてくれば・・・」

エトナ「なるほど」

番長「クマに聞いてみよう」

529: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:08:24.35 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【愛屋】:::

クマ「確かに最近の霧は、アッチの世界の霧によく似てるけど・・・似てるってこと以外はクマにはなんもわからんクマ」

番長「そうか・・・」

クマ「・・・ねえ皆・・・クマはまだ、ここにいても良いクマか?」

ラハール「は?」

完二「急に何言ってんだ?」

クマ「アッチの世界をオカシクしてる犯人を見つけるっていう約束を・・・皆果たしてくれたクマ・・・だから、クマがここにいて良い理由はもう無くなっちゃったクマ」

ラハール「・・・」

クマ「ケド、せめてクマ、ナナチャンが元気になるまではここにいたいクマ・・・」

ラハール「・・・アホか貴様」

陽介「そうだな」

クマ「ラハール・・・ヨースケ・・・」

ラハール「俺様が今ジュネスでやっている仕事は、俺様がいるうちに全て貴様に引き継ぐのだ。春からは貴様にやらせるからな。勝手にテレビの中に帰られては、陽介が困るぞ」

陽介「ま、俺がっつーより、店的にちょっとしんどいだろうな。つーわけで、お前がたとえ嫌がったとしても、しばらくはウチにいてもらう」

クマ「・・・ヨースケ・・・ほんとに・・・ほんとにクマは・・・いても良いクマ?」

陽介「だからそう言ってんだろ」

クマ「ヨースケー・・・」

番長「クマ、陽介にいじめられたら、ウチにおいで」

クマ「セ、センセー!!」ぶわっ

陽介「いやいじめねーよ」

りせ「先輩!私も先輩の家に住みます!」

番長「?・・・りせには住む家があるだろ?」

りせ「だ、だからそういうんじゃなくて・・・」

エトナ「いて良い理由・・・ねぇ・・・」

雪子「・・・」

530: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:11:22.17 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・ラハールを誘って、エトナさんを含む三人で夕食をとることにした。
:::【堂島家】:::

エトナ「なんか最近、フロンちゃんが何も言ってこなくなったんですよね」

ラハール「・・・何?」

エトナ「たま~に雑音みたいなのは聞こえてくるんですけどね。ま、事件は終わったから、もうたいしてアタシ達の監視をしてないのかもしれないです」

ラハール「・・・・・・そうか」

エトナ「番長~、コーヒー飲みたい」

番長「わかりました」

ラハール「お、おいエトナ貴様、いつもそんな調子で番長をこき使っているのか?」

エトナ「え?そりゃ、そうですけど?」

ラハール「全く・・・番長、嫌なら嫌と言っても構わんのだぞ?貴様は別にエトナの家来ではないのだ」

番長「いいよ、これぐらい。エトナさんがベルベットルームにいられなくなったのは、菜々子を助ける加勢に来てくれたからだし」

ラハール「・・・貴様がそう言うなら別にいいが・・・」

ピピピッ ピピピッ

番長「・・・はい」

ラハール「・・・」

番長「・・・え?」

ラハール「どうした?」

番長「な、菜々子の容態が・・・急変したって・・・」

ラハール「は?」

531: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:13:16.40 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::

番長「菜々子・・・!」

ラハール「・・・・・・・・・」

エトナ「何よこれ・・・!」

番長「・・・」

エトナ「・・・フロンちゃん!見てんでしょ!?聞いてんでしょ!?何とかしなさいよ!アンタ今、大天使でしょ!?何とか言いなさいよ!!」

ラハール「・・・・・・」

エトナ「このまま菜々子ちゃんに何かあったりしたら・・・アンタ、絶交よ!?わかってんの!!?」

ラハール「・・・落ち着け、エトナ・・・」

エトナ「・・・なんで・・・・・・なんでそんなこと言うんですか?落ち着けなんて・・・殿下はなんで、そんなに落ち着いてんですか!?」

ラハール「貴様には・・・本当に、そう見えるのか?」

エトナ「・・・?」

ラハール「今の俺様が・・・落ち着いているように・・・見えるのか・・・!?」

エトナ「・・・っ」

ガチャ

医師「・・・堂島菜々子さんのご家族の方ですね?」

番長「は、はい・・・!」

医師「こちらへ・・・菜々子ちゃんに会ってあげてください」

番長「・・・わかりました・・・!」

ガチャ

エトナ「嘘でしょ・・・何でよ・・・」

532: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:22:05.91 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・

完二「先輩!」

陽介「ラハール!菜々子ちゃんは!?」

りせ「嘘だよね・・・菜々子ちゃんは、元気になるんだよね・・・?」

直斗「・・・」

千枝「ね、ねえ・・・菜々子ちゃんは・・・!?」

ラハール「・・・今、集中治療室の中に番長が呼ばれていった・・・」

雪子「そんな・・・・・・それって・・・」

クマ「ナナチャン・・・?」


>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::

番長「菜々子!」

菜々子「・・・」

>-・・・喋らない・・・菜々子・・・
>-・・・喋らないんじゃない・・・喋れないんだ・・!
>-・・・この光景も、見たことがある。
>-・・・思い出した。全てを・・・
>-今更・・・!
>-どうして今更・・・!?
>-【前回】と同じなら、菜々子は、このまま・・・!
>-俺はまた、菜々子を助けることが出来ないのか・・・!?
>-・・・嫌だ・・・嫌だ!

菜々子「お兄・・・ちゃん・・・」

番長「菜々子!ここだ!俺はここにいる!」

菜々子「お兄ちゃん・・・」

番長「しっかりしろ!菜々子!」

菜々子「怖・・・い・・・よ・・・」

番長「菜々子!菜々子!!」

菜々子「お兄ちゃん・・・お父・・・さん・・・」

ピー・・・・・・

番長「菜々子ぉぉおおお!!」

>-そんな・・・!
>-俺はまた・・・俺はまた菜々子を、失うのか・・・!?
>-一体、一体なんのために・・・俺は・・・!

堂島「菜々子・・・嘘だろ・・・菜々子・・・!」

番長「っ・・・!」

533: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:24:18.90 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::

りせ「嫌、こんなの嫌・・・!」

雪子「菜々子ちゃん・・・!」

直斗「・・・!」

完二「・・・ちくしょう!」ガッ

陽介「何でだよ・・・おかしいだろこんなの・・・!」

千枝「うっ・・・!」

クマ「・・・」

ラハール「・・・」

エトナ「・・・殿下・・・どこ行くんですか?」

ラハール「・・・」

エトナ「ま、まさか殿下・・・!」

ラハール「・・・・・・落ち着け。今回はフロンの時とは違う・・・」

エトナ「・・・はい・・・」

ラハール「そもそも、菜々子の命には、俺様の命では不足だろう・・・おそらくは菜々子の父親か、番長でなければ・・・」

エトナ「・・・伝えるんですか?番長にそれを・・・」

ラハール「・・・」


>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::

ラハール「番長・・・」

番長「・・・ラハール・・・俺は・・・!」

ラハール「・・・・・・今だからこそ、貴様に伝えなければならないことがある」


>-・・・・・・ラハールの話を聞いた。

番長「ありがとうラハール。教えてくれて」

ラハール「・・・では、貴様は・・・」

番長「決まってる。菜々子を助けてくれ」

ラハール「・・・・・・菜々子は、それを望まないかもしれんぞ」

番長「・・・そうだな。けど、俺がそうしたいから・・・」

ラハール「・・・・・・そうか」

番長「俺も・・・やっぱり自分勝手なんだろうな」

ラハール「・・・・・・ああ・・・」

ラハール「(同じだな・・・俺様も・・・貴様も・・・)」

>-"ラハール"コミュのランクが"8"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

534: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:29:55.54 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::

陽介「ど、堂島さん・・・?」

堂島「はぁ・・・はぁ・・・!」

陽介「あ、あんなに急いで・・・一体・・・?」

足立「・・・ん?堂島さん・・・?」

エトナ「・・・」

足立「皆どしたの?菜々子ちゃんは?」

陽介「・・・菜々子ちゃんは・・・」

足立「そ、そんな、嘘だろ・・・!?ってことは堂島さん、ま、まさか・・・!」

直斗「まさかって、何ですか・・・!?」

足立「生田目の病室に・・・?」

直斗「それ、一体どういうことですか!?」

足立「ちょ、ちょっと、そんな乱暴に・・・」

完二「あの野郎がこの病院にいやがんのかよ!?」

陽介「被害者と加害者を同じ病院に置くって、どういう神経してんだ!?」

足立「僕にそう言われても・・・大きい病院だし、そもそもまだ動かせる状態じゃないし・・・!」

千枝「堂島さん・・・今ここで生田目のところに行くって・・・生田目を、どうにかするつもり・・・!?」

雪子「どうにかって・・・」

りせ「そんな・・・!」

エトナ「ねえ、どこよ?犯人がいるところ」

足立「そ、そんな、さすがに君たちにも言える訳ないよ。これは極秘事項中の極秘事項なんだ・・・!」

エトナ「うっさい。今すぐ死にたくなきゃ教えな」

足立「・・・はあ。とにかく、僕が今君達に構ってる暇はないんだ。僕は今すぐ堂島さんを止めに行かなきゃいけない。けど急ぐから、誰かが着いて来てても気付かないかもね」

陽介「足立さん・・・」

足立「・・・僕は行くよ」

陽介「すいません・・・!」

535: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:32:12.62 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::

陽介「ど、堂島さん・・・?」

堂島「はぁ・・・はぁ・・・!」

陽介「あ、あんなに急いで・・・一体・・・?」

足立「・・・ん?堂島さん・・・?」

エトナ「・・・」

足立「皆どしたの?菜々子ちゃんは?」

陽介「・・・菜々子ちゃんは・・・」

足立「そ、そんな、嘘だろ・・・!?ってことは堂島さん、ま、まさか・・・!」

直斗「まさかって、何ですか・・・!?」

足立「生田目の病室に・・・?」

直斗「それ、一体どういうことですか!?」

足立「ちょ、ちょっと、そんな乱暴に・・・」

完二「あの野郎がこの病院にいやがんのかよ!?」

陽介「被害者と加害者を同じ病院に置くって、どういう神経してんだ!?」

足立「僕にそう言われても・・・大きい病院だし、そもそもまだ動かせる状態じゃないし・・・!」

千枝「堂島さん・・・今ここで生田目のところに行くって・・・生田目を、どうにかするつもり・・・!?」

雪子「どうにかって・・・」

りせ「そんな・・・!」

エトナ「ねえ、どこよ?犯人がいるところ」

足立「そ、そんな、さすがに君たちにも言える訳ないよ。これは極秘事項中の極秘事項なんだ・・・!」

エトナ「うっさい。今すぐ死にたくなきゃ教えな」

足立「・・・はあ。とにかく、僕が今君達に構ってる暇はないんだ。僕は今すぐ堂島さんを止めに行かなきゃいけない。けど急ぐから、誰かが着いて来てても気付かないかもね」

陽介「足立さん・・・」

足立「・・・僕は行くよ」

陽介「すいません・・・!」

536: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:34:18.82 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室前】:::

堂島「菜々子を、菜々子を返せ!」

警察官A「堂島さん、落ち着いてください!」

警察官B「駄目ですよ堂島さん!」

堂島「お前が、お前が菜々子を・・・殺してやる・・・殺してやる!!」

警察官A「堂島さん!」

堂島「ぐぅ・・・っ!」

足立「うわ・・・やっぱり!堂島さんだってまだまだ安静にしてなきゃいけないのに・・・」

堂島「は、離せ足立・・・!俺は・・・あいつを・・・!」

足立「・・・・・・すいません、堂島さん」

堂島「足立・・・!」

足立「・・・堂島さんを病室まで運びます。すいませんけど、手伝ってもらえませんか?お医者さんも呼ばなきゃ・・・」

警察官A「は、はい!」

警察官B「もちろんです」

足立「・・・・・・」

陽介「足立さん・・・」

足立「・・・僕は堂島さんの病室に付き添ってくるよ」

エトナ「・・・ここか・・・生田目・・・!」

足立「僕だってね・・・僕だって、殺してやりたいぐらいだよ・・・!」

陽介「・・・」

ガタンッ!

直斗「今のは・・・!」

陽介「生田目の病室からだ!」

537: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:36:18.34 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室】:::

直斗「生田目太郎・・・!・・・窓を開け放って・・・どういうつもりですか・・・!」

完二「てめえ・・・菜々子ちゃん殺しといて・・・てめえだけどこに逃げるつもりだコラァッ!!」

生田目「こ、怖かったんだ・・・だから・・・!」

完二「菜々子ちゃんがてめえにどんだけ怖い目にあわされて!・・・どんだけ・・・っ!」

ガッ

生田目「ひっ・・・」

ダッ

ラハール「落ち着け完二!」

完二「ラハール先輩・・・」

ラハール「・・・貴様等がどこへ行ったのかと思えば、まさか犯人が同じ病院にいたとはな」

完二「・・・」

ラハール「そいつを放せ。貴様が掴みかかっていては、まともに話も出来ん」

完二「今更何を話そうっつーんスか!!」

ラハール「いいから放せ!」

完二「・・・・・・ウス」

生田目「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

陽介「おい生田目・・・お前だけ生きて、しかも逃げようってのか!?」

千枝「菜々子ちゃんは・・・あんたのせいで・・・!」

生田目「お、俺は、何も・・・ただ・・・」

>-0時

マヨナカテレビの生田目『救済は失敗だ。お前達が邪魔したせいでな』

りせ「こ、これって・・・マヨナカテレビ!?」

陽介「もう一人の生田目・・・?あのシャドウは倒したのに、なんで・・・?」

直斗「・・・思えばあの時、生田目が自分と向き合うことはなかった。ペルソナになれなかったシャドウ・・・ということでしょうか?」

マヨナカテレビの生田目『救済は失敗したが、あれは俺のせいじゃない』

エトナ「・・・あんたのせいじゃないですって・・・!?」

ラハール「(・・・・・・失敗・・・・・・?)」

マヨナカテレビの生田目『それに、どうせ法律は俺を殺せない』

番長「・・・」

>-・・・【前回】と一緒だ。
>-・・・そして、【前回】・・・俺達は・・・

生田目「な、なにを・・・」

千枝「あれが、生田目の本心?じゃあやっぱり、わかってて殺そうとしてきたんだ・・・!」

陽介「・・・法律?それがどうしたよ。俺はもう、お前を許す気はねえぞ」

538: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:38:34.17 ID:wEMFmJas0
生田目「ち、ちがう・・・やめてくれ・・・」

完二「やめろだ?まだ何もしてねえだろ・・・まだな」

りせ「か、完二ちょっと・・・」

マヨナカテレビの生田目『好きにすれば良いさ。あの子が死んで俺を恨んでるんだろう?俺はどっちだっていいんだ、生きるも死ぬも大差ない。でもお前等は違うよな・・・クク・・・』

ラハール「・・・」

マヨナカテレビの生田目『ク、クク・・・俺は救済を続けるぞ・・・それが俺の使命だからな!』

プチンッ

雪子「・・・消えた・・・使命って、使命って何よ・・・!」

生田目「や、やめてくれ・・・!」

陽介「・・・やめてくれ?」

完二「やめるわけねえだろ!」

りせ「ちょ、ちょっと完二、何を・・・!」

完二「こいつがこのまま野放しなんて、そんなの許されるわけねえだろ!」

雪子「だからって・・・どうする気?」

陽介「・・・俺は完二と同感だ。このまま、ただここを出て行くなんて、俺には出来ねえ・・・!」

千枝「き、気持ちはわかるけど・・・でも花村・・・」

直斗「・・・・・・・・・病室にこんな大きいテレビが置いてあるとは、思いませんでした」

千枝「な、直斗君・・・?」

直斗「・・・こんな物が置いてあっては、いつ生田目が逃げ出しても仕方ありませんね。最も、一度入ったら、自力で出る方法などありませんが・・・それに、テレビの中の世界だなんて話、僕達以外の誰も信じようとはしないでしょうね・・・」

千枝「な・・・何言ってるの・・・直斗君・・・!」

りせ「そんな、まさかそれって・・・本気なの・・・?」

完二「じゃあテメエはこのまま帰れるのかよ・・・!」

りせ「それは・・・だけど・・・・・・」

539: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:42:03.68 ID:wEMFmJas0
エトナ「まどろっこしいわよアンタ等。突き落とすんでしょ?アタシがやったげる」

ラハール「やめろ」

エトナ「・・・何ですか?その手、放してもらえませんか?邪魔なんですけど」

ラハール「もしこれからここで何かがあったとしても、それは俺様達悪魔がするべきことではない。とはいえ・・・こいつらが何かをするというのであれば、俺様達にそれをやめさせる権利は無いがな・・・」

エトナ「・・・放してください」

ラハール「駄目だ。貴様は何もするな」

エトナ「・・・やですよ」

ラハール「エトナ、命令だ」

エトナ「・・・・・・・・・わかりました・・・!」

雪子「ラハール君・・・エトナさん・・・」

千枝「・・・駄目だよ。許せるとか許せないとか、そういう問題じゃない!やっていいことと悪いことがあるでしょ!」

陽介「里中!!」

千枝「・・・」

陽介「聞いてくれ。皆も」

生田目「やめてくれ・・・やめてくれ・・・!」

陽介「・・・やるなら今しかない。こんな機会、もう二度と巡ってこない・・・このままじゃこいつは野放しになる!そしてまた、救済とかいって人を殺し始める」

千枝「・・・それは・・・」

陽介「そしたらまた、菜々子ちゃんや先輩みたいに、無実の人が死んでいくんだぞ!俺は・・・俺はそのことを見過ごせない!」

千枝「花村・・・それは・・・だけど・・・・・・」

陽介「大切な人を殺されて、それを償わせることも出来なくて、また同じことが繰り返されるのまで見過ごせっていうのかよ!」

千枝「・・・」

陽介「そんなの・・・俺には無理だ!」

ガッ

生田目「ひぃっ・・・!」

ラハール「待て」

陽介「・・・なんだよ。お前さっき、お前達にやめさせる権利はないとか言ってただろ・・・!」

ラハール「・・・・・・俺様は、貴様等に手を貸してやっているだけだ。だから貴様がそいつを殺すのなら、確かにそれをやめさせる権利は俺様にはない・・・」

陽介「・・・だったら・・・」

ラハール「だが、だが陽介・・・教えてくれ・・・!」

540: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:46:28.43 ID:wEMFmJas0
番長「・・・」

>-ラハールが、泣いている・・・

陽介「・・・なんだよ」

ラハール「俺様はな・・・以前、貴様が言っていたことが嬉しかったのだぞ・・・!」

陽介「なんの・・・なんの話だよ・・・!」

番長「・・・」

>-陽介も、泣いている・・・

ラハール「お前達は、たとえバレないからと言って・・・人を、殺したりなどしないと・・・!俺達はそういうふうには、出来ていないと・・・貴様は言った・・・!たとえそれが、大事な人の復讐であっても・・・!」

陽介「・・・」

ラハール「俺様はその時、口ではそのことを面倒だと言って馬鹿にしたがな・・・本当は、本当は嬉しかったのだぞ・・・!人間にも、そういう考えが出来る奴等がいるということが・・・!」

陽介「ラハー・・・ル・・・!」

ラハール「確かに今、ここでそいつを殺せば、ことは簡単なのかもしれん・・・!・・・それに・・・確かに罪を償わせるのも、そいつを改心させるのも難しいのかもしれんっ・・・!・・・だが・・・!」

陽介「・・・・・・!」

ラハール「俺様は・・・お前達に・・・人殺しなど、させたくない・・・!・・・お前達に、あの頃の気持ちを・・・忘れて・・・欲しくないのだ・・・!」

エトナ「殿下・・・」

ラハール「お前達に・・・犯人と同じ事を・・・して欲しくないのだ・・・!」

陽介「馬鹿・・・野郎・・・!」

ラハール「教えてくれ陽介・・・この気持ちは、俺様のこの気持ちは・・・俺様の、ただのわがままなのか?・・・・・・頼む・・・教えてくれ・・・!」

陽介「・・・馬鹿野郎・・・!・・・お前に・・・お前にそんなこと、言われたら・・・俺は・・・!」

ラハール「陽介・・・!」

陽介「出来ねえよ・・・もう、俺には、出来ねえ・・・!」

完二「・・・クソッ・・・!」

直斗「・・・っっ!」

>-完二も、直斗も、泣いている・・・
>-里中も、天城も、りせも、泣いている・・・
>-・・・そっぽをむいているけど、きっとエトナさんも・・・
>-・・・ありがとうラハール。
>-・・・お前がいれば、皆はきっと大丈夫だ。

番長「・・・皆、外に出よう。ここにいたら、冷静に話が出来ない」

陽介「相棒、お前凄ぇよ・・・なんでそんなに、落ち着いてんだよ・・・!」

番長「・・・・・・」

生田目「やめてくれ・・・やめてくれ・・・」

>-・・・生田目は錯乱している。
>-・・・今はとても、まともに会話が出来る状態じゃない・・・

>-皆と病室を後にした。


>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::

クマ「ナナチャン・・・ごめんね・・・ナナチャン・・・さようなら・・・!」

541: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:50:21.94 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・待合室】:::

番長「俺達は多分、まだ生田目のことを誤解している。冷静な頭で状況を見返した時に、気になる点がいくつかあったんだ」

陽介「誤解?今更あんな奴の何を・・・!」

番長「時間がないんだ。今は聞いてくれ陽介」

陽介「じ、時間・・・?」

ラハール「・・・確かに、俺様達は奴のことを憎い犯人としてしか見てこなかった。冷静に今の状況を考えようとしていたことは、なかったかもしれんな」

陽介「・・・・・・まあ・・・な」

直斗「・・・僕もです。菜々子ちゃんのことを想うあまり、冷静ではいられない日々が続き・・・いえ、今は僕の話は良いですね。それより番長先輩、気になる点というのは?」

番長「うん。まず、俺の家に届いた二通の手紙だ」

コレイジョウタスケルナ

コンドコソ
ヤメナイトダイジナ
ヒトガイレラレテ
コロサレルヨ

番長「これらはおそらく、生田目が俺に送りつけた物ではない」

千枝「・・・え?」

ラハール「・・・・・・そうか」

雪子「確かに・・・」

陽介「・・・コレイジョウタスケルナってのは、今思えばおかしいな。あいつは殺すことを救済だって言ってたんだ。だとしたら俺達がやってるのは【助けることの邪魔】、コレイジョウジャマスルナとかのほうが、適切だ」

完二「イレラレテコロサレルってのも変スよね。てめえがやってんなら、イレテコロスだろ」

番長「まず、俺達は、生田目は殺すことを救済だと言っているっていう・・・思い違いをしているんじゃないか?」

陽介「・・・えぇ?」

りせ「どういうことですか?」

番長「あっちの世界で俺達が最初に生田目に追いついた時、生田目は天城達を見てこう言ってたんだ。『俺が救った奴等だ』って」

雪子「・・・殺すことが救済なら、私達は救済されてないのに・・・そういうこと?」

番長「ああ」

直斗「・・・先輩は、犯人は生田目だけではない。そう思っているんですね?」

番長「そうだ。少なくとも、俺に手紙を送りつけた何者かが、生田目とは別にいると思ってる」

ラハール「・・・なるほど」

番長「この違和感から目を背けたまま、生田目だけが犯人だって、あいつは殺すことを救済だなんて言ってる殺人鬼だって・・・そう決め付けて、あいつを殺してしまうのは、簡単かもしれない。でも、それじゃ俺達は駄目なんだ。俺達は・・・犯人を追う、真実を追う、人間だから」

陽介「・・・番長」

番長「陽介達が思いとどまってくれて・・・ラハールがいてくれて良かった。本当は、俺だって・・・!」

ラハール「・・・」

りせ「先輩・・・」

陽介「そうだよな。お前が一番・・・だって、例え犯人が他にいたんだとしても・・・少なくとも菜々子ちゃんはあいつに・・・!」

番長「菜々子は死なせない」

陽介「・・・え?」

542: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:54:06.76 ID:wEMFmJas0
番長「ラハールが救ってくれるんだ」

エトナ「・・・」

陽介「ま、まじか!?」

りせ「本当!?ラハール先輩!」

ラハール「失われた菜々子の命を呼び戻し、それなりに健康な状態に戻してやることは・・・可能だ」

直斗「そんなことが・・・!」

陽介「・・・あれ?けど・・・そんなことが出来るなら・・・なんでさっさと・・・」

ラハール「・・・相応の・・・代償がいる・・・」

陽介「代償?」

ラハール「命というのは、とてつもなく強大な"力"そのものだ。仮に俺様に魔王としての全ての力が戻っていたとしても・・・命ほどの力に干渉しようと思ったら、適切な代償が必要だ」

雪子「適切な・・・・・・代償・・・?」

番長「俺の、命らしい」

完二「・・・あぁ?」

陽介「な、なんでそんな・・・!」

りせ「先輩・・・嘘でしょ・・・!?」

番長「ラハールがさっき、教えてくれたんだ。俺の命を使えば、菜々子の命をこの世に呼び戻せるって」

陽介「ラハールお前・・・どうしてそんな・・・そんなこと教えたら、こいつは・・・こいつはそうしてくれって言うに決まってるじゃねえか!」

ラハール「俺様が、今そいつに与えてやることが出来る選択肢を・・・与えないということは・・・そいつに対する裏切りだ。そんな気がした・・・」

陽介「けどお前・・・!」

番長「皆にはすまないと思ってる。まだまだ謎を残したまま、俺はいなくなることになる。後のことは、陽介とラハールに頼む」

陽介「ふ、ふざけんな!そんな勝手な・・・大体お前!」

番長「菜々子には、俺よりもずっと長い未来があるはずだ。俺の命一つで菜々子が死なずに済むなら・・・俺は迷わない」

りせ「先輩!・・・嫌、やだよ先輩・・・!」

陽介「・・・わかった。ラハール、俺の命を使ってくれ」

千枝「花村!?一体何を・・・」

陽介「・・・未来があるって話をするなら、番長は俺よりずっと頭が良くてさ、健康で、分別あって、大人で・・・俺よりずっと良い未来があるはずだ。なら、番長が生きてたほうが良いさ」

千枝「そんな・・・良い未来があるとか、どっちが生きてたほうがいいとか・・・そういうんじゃないでしょ命って!番長君も!」

完二「待って下さいよ」

直斗「た、巽君・・・まさか・・・」

完二「・・・俺はアンタ等に命を救われたんだ。命の恩人が死のうって時に、俺が生きてようってのはムシが良過ぎんだろ。ラハール先輩、やんなら俺の命を使ってください。番長先輩のためなら仕方ねえ。俺は命ぐらい張るぜ」

ラハール「陽介も、完二も、駄目だ・・・」

陽介「ま、待てよ!俺は本気だぜ!こう言えば番長がやめるんじゃねえかって、確かにそういう気持ちもあるけどな・・・番長のためなら俺は」

完二「俺だって!」

ラハール「・・・そういう問題ではない・・・命を呼び戻そうと思ったら、お互いをこれ以上ない程大切に想いあっている間柄にある者の命が、代償でなければならない。菜々子の場合は、番長か・・・あとは精々、奴の父親ぐらいだろうな」

陽介「そんな・・・」

完二「・・・・・・」

番長「おじさんと菜々子が、一緒に生きていけるなら・・・俺はそれでいい」

エトナ「・・・殿下、番長、そろそろ・・・」

番長「菜々子が一度死んでから一時間以内・・・だったな。あと二十分ってとこか」

千枝「番長君・・・本気なの・・・!?」

543: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 12:57:55.51 ID:wEMFmJas0
番長「最後に、皆にお別れを言わせてくれ」

陽介「・・・」

番長「陽介」

陽介「・・・な、なんて言や・・・いいのかな・・・もう、本気なんだよな?」

番長「ああ、だから、最後にお別れを・・・」

陽介「・・・・・・・・・わかった。そ、そうだな、もし死んじまったって、きっと天国に行けばフロンさんが融通効かしてくれんだろ!そうしたら、ほら、幽霊でもいいからさ、俺達に会いに来いよ!」

番長「それは・・・」

ラハール「・・・気休めを言っても、番長のためにはならんから事実を言うが、番長は自ら命を絶つ罪人として死ぬことになる。まともに天界に行くのはまず無理だ。フロンの奴も、今は天界にはプリニーが溢れかえっていると言っていたからな・・・天界でプリニーをやるのも無理だろう・・・」

陽介「ざ、罪人って・・・」

ラハール「・・・せいぜいプリニーとして魔界で働かされるか・・・その場合はまだ良いが、今はプリニーの数が多くなりすぎて生産が追いつかんという話も聞く・・・プリニーになることも出来なかった場合は、おそらくは転生すらさせられることなく、魂が消滅する・・・」

陽介「そんな・・・」

番長「そのことはさっきも教えて貰ったし、俺は納得済みだ」

陽介「・・・そうか・・・・・・なんでこんな話してんのに、お前笑ってんだよ・・・!」

番長「皆が最後に見る俺の顔を、泣き顔や暗い顔に、したくないから・・・」

陽介「番長・・・!」」

番長「陽介、今までありがとう」

陽介「そんなん・・・こっちの、こっちの台詞だよ馬鹿・・・!」

番長「里中」

千枝「番長君・・・駄目だよ・・・!」

番長「・・・今まで、ありがとう」

千枝「・・・・・・!」

番長「天城」

雪子「番長君・・・」

番長「天城も陽介も里中もいるし、ラハールがついててくれる。後のことは心配してないけど・・・くれぐれも、後輩達を頼む」

雪子「・・・うん・・・わかった・・・!」

番長「ごめんな、最後に頼みごとなんて」

雪子「い、いいよ・・・そんなの・・・!」

544: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 13:00:03.63 ID:wEMFmJas0
番長「完二」

完二「ウス」

番長「・・・・・・しっかりやれよ」

完二「先輩・・・番長先輩・・・!」

番長「泣いたら駄目だぞ。菜々子がそう言ってた」

完二「ウ、ウス・・・!」

番長「りせ」

りせ「嫌・・・駄目・・・先輩・・・!」

番長「・・・りせ、最後なんだ」

りせ「最後なんかじゃない・・・!そんなの、無理・・・!」

番長「りせ」

りせ「・・・・・・」

番長「・・・」

りせ「・・・最後なら、そんなの絶対嫌だけど・・・本当に、最後なら・・・!」

番長「ああ」

りせ「・・・私の気持ち・・・先輩に伝えます・・・先輩、私、先輩のことが大好き・・・!」

番長「・・・・・・そうだったのか?」

りせ「き、気付いてなかったの?」

番長「・・・・・・ごめん」

りせ「もー・・・!・・・バカ・・・バカ・・・!」

番長「・・・ごめん」

りせ「先輩、最後に、キス・・・してください・・・!」

番長「・・・・・・わかった」

>-・・・・・・。

りせ「・・・先輩・・・!」

番長「・・・・・・りせ、りせの気持ちは嬉しい。けど、俺はもういなくなるから、りせの気持ちにはこたえられない」

りせ「・・・・・・はい・・・!」

番長「直斗」

直斗「・・・短い、間でしたが・・・お世話になりました・・・!本当に・・・本当に・・・!」

番長「これからも、頑張ってくれ。事件のこと、任せたぞ」

直斗「はいっ・・・必ず・・・!」

545: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 13:03:05.34 ID:wEMFmJas0
番長「エトナさん」

エトナ「・・・まさか、アンタが死ぬとはね・・・」

番長「すいません・・・」

エトナ「・・・プリニーになったら、精々コキ使ったげるから、覚悟しなよ?」

番長「はい」

ラハール「・・・」

番長「ラハール」

ラハール「貴様が今、やろうとしていることは・・・かつて俺様がやりかけたことと、良く似ている・・・だから、貴様がやることを否定するつもりは一切無い」

番長「・・・」

ラハール「死んでも達者でやれ。貴様になら出来るはずだ」

番長「・・・わかった」

ラハール「・・・」

>-"ラハール"コミュのランクが"9"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!

番長「出来ればクマにもお別れを言いたいんだけど・・・さっきからどこ行ったんだろう・・・?」

陽介「そ、そういやあいつ・・・俺達が生田目の病室に行く時ついてきてなかったな・・・つーことは、菜々子ちゃんがいる・・・治療室じゃねえか?」

番長「そうか・・・行こう」

ラハール「・・・ああ」

546: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 13:07:27.68 ID:wEMFmJas0
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::

医師「ああ、探しましたよ番長さん!」

番長「・・・?」

医師「菜々子さんが息を吹き返したんです」

番長「・・・え・・・?」


>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::

ピッ ピッ ピッ

医師「心肺停止からの生還は、ごく稀にですが、ありえない事ではありません」

番長「・・・菜々子・・・」

医師「とはいえ、原因不明の症例ですから、今後どこまで回復するかの見通しは立てられませんが・・・菜々子さんは今、必死に生きようとしています」

番長「菜々子・・・!」

医師「我々も、全力を尽くします」

番長「お願い・・・します・・・!」

陽介「・・・やったぜ・・・やったぜ菜々子ちゃん・・・!」

雪子「うっ・・・ぐすっ」

千枝「良かった・・・ほんとに・・・」

完二「はは、すげえぜ・・・こんな・・・!」

りせ「良かった・・・菜々子ちゃんも・・・先輩も・・・!」

直斗「・・・・・・・・・!」

エトナ「やるじゃん菜々子ちゃん・・・心配させるんだから・・・まったくもう・・・!」

ラハール「・・・・・・」

番長「前回は・・・そのままだったのに・・・菜々子・・・良かった、菜々子・・・!」

ラハール「・・・・・・前回?」

番長「・・・・・・ラハールには、いや、皆には話さないとな。もう話している時間はないと思っていたから・・・言えなかったけど」

ラハール「・・・」

番長「前回のことと・・・今回のことを」

>-・・・続く。

547: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/21(日) 13:10:00.09 ID:wEMFmJas0
>-次回予告
>-BGM:Pursuing My True Self

りせ「こんばんは~~!りせちーだよっ!」

番長「どうも、オシャレな番長です」

りせ「次回からは、りせちーと番長先輩のラブストーリーをお送りします!」

番長「え?」

りせ「んもーとぼけちゃってー!皆の前でキスまでしちゃったんだから、もう付き合うしかないですよね!」

番長「え、いや、あれは・・・」

りせ「というわけで、次回、【八十稲羽ラブストーリー】!第一話、【現れた恋敵、その名はマリーちゃん!?】」

番長「あの、りせ、あれは・・・」

りせ「お楽しみに~~!」

ラハール「・・・・・・好き勝手やっとるが、ほっといていいのか?」

エトナ「まあ今回ぐらいはね。大目に見てあげる」

ラハール「・・・・・・というか貴様、前回の予告で最終話がどうとか言ってなかったか?」

エトナ「ええ、最終話でしたよ?今回は第一部、魔王ラハール編の最終話でしたから。次回からは第二部、ペルソナ使い・もう一人のワイルド編が始まります」

ラハール「・・・・・・・・・」