1 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:52:43.39 ID:0QxoIMGn0
絵里「……もう秋かぁ。早いなぁ」

絵里「今思えば、あんなに意地にならずに最初から素直になってればよかったのかもね……」

希「なになに? 珍しく後悔してるん?」

絵里「そうかも」

希「ふふ、それだけ楽しいってことやん。まだ秋やし、そんなに思い詰めんでも大丈夫やって」

絵里「だってー、私がしたことって……あんまりない気がして」

希「えりちは十分頑張ってるよ。ウチの分まで生徒会の仕事やってくれてるし」

絵里「それはμ'sのためではないでしょ。ていうか仕事しなさい」

希「はいはい」

希「そうやえりち、話変わるんやけど……」

絵里「何?」



希「過去に戻れるおまじない、って知ってる?」

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2 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:53:16.77 ID:0QxoIMGn0



絵里「おまじない、か……」

絵里「希ってよくこんなの知ってるわよね」

希「そうやろ? 海未ちゃんに教えたら眉唾物やって言われたんやけどね」

絵里「海未にも教えたの?」

希「うん。もう秋ですね、って感傷的になってたから」

絵里「そんなにほいほい教えていいものなの?」

希「大丈夫大丈夫。それができるのは選ばれし人のみやもん」

絵里「選ばれし人?」

希「そう。本当に後悔している人だけ」

絵里「……にわかに信じがたいとはこの事ね」
3 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:53:49.38 ID:0QxoIMGn0
希「まあウチは後悔なんてないからできないしー」

絵里「むぅ……」

希「なぁなぁえりち、ウチ今日はちょっと用事あるから、一旦ここで抜けてもいいかな?」

絵里「いいわよ」

希「ありがと。終わったら戻ってくるで」

絵里「あんまり慌てなくてもいいからね」

希「はーい」
4 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:54:15.33 ID:0QxoIMGn0



凛「あー、絵里ちゃんはっけーん!」

絵里「あら凛、どうしたの?」

凛「今日は希ちゃん、先に帰らなきゃいけなくなったみたい、って伝言だよー」

絵里「ありがとう凛。……汗かいてるけど、もしかして走ってきたの?」

凛「うん。なんだか希ちゃん、慌ててたみたいだから」

絵里「そう……って廊下は危ないから走っちゃダメです」

凛「はーい。絵里ちゃんはこの後の練習すぐ来られそう?」

絵里「もう少しかかりそう。でもすぐだから先に行ってて」

凛「わかった!」

絵里「走ったら危ないって……あらら、行っちゃった」

絵里「……よし。すぐ終わるって言っちゃったし、さっさと終わらせないとね」
5 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:54:42.93 ID:0QxoIMGn0



絵里「……や、やっと終わった」

絵里「うわ、もうこんな時間じゃない! 下校時刻まであと30分かぁ……」

花陽「あ、絵里ちゃん。やっぱりお仕事時間かかったみたいだね……手伝った方がよかったよね」

絵里「いいのよ、これは生徒会のだから。まあ練習には間に合わなかったけど……」

真姫「私たちにも少しくらい手伝わせなさいよ」

絵里「ううん、気持ちだけでもうれしいわ」

真姫「そう言って毎回断るんだから……」

絵里「学院の生徒募集がまた始まるんだから、忙しくなって当然よ」

絵里「それにスクールアイドルの活躍の場は広がるわけだし、そっちもちゃんとやってもらわないとね」

花陽「ありがとう絵里ちゃん」

絵里「ううん、他の楽しいからいいの」

真姫「あんまり無理しないでよ? 絵里も大切なμ'sの一員なんだから」

絵里「うふふ、ありがと」
6 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:56:18.25 ID:0QxoIMGn0



絵里「はー……ちょっと冷え込んできたかも」

絵里「1人で帰ると寂しいかな……」

絵里「いつもは希とかにことか、みんながいたわよね」

絵里「……」

絵里「さびしくないさびしくない」

絵里「ただほんのちょっと、時間が足りないだけだから……」
7 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:57:27.73 ID:0QxoIMGn0
絵里「うん、全然寂しくなんてない」

絵里「今は楽しいもの……」



絵里「おまじない……やってみようかな」
8 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:00:56.53 ID:0QxoIMGn0
絵里「まずは……えーと、自分の好きなものを1つ用意します、よね?」

絵里「μ'sのCDにしようかしら」

絵里「そして次に……過去に戻ったとわかるものを身に着けます」

絵里「えーと、これ! 時計でいいわよね。日付もついてるし」

絵里「それで最後に……お供え物?」

絵里「チョコしかないんだけどいいかしら」

絵里「それで部屋の明かりを消して寝る、と」

絵里「ふぅ、メモとっといてよかった……」
9 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:01:22.80 ID:0QxoIMGn0




絵里「じゃあ、おやすみなさい――――――――




10 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:03:26.72 ID:0QxoIMGn0



――――――――……! ……ち!――――――――

んん? 誰?

今日は土曜日のはずでしょ?

なんで起こそうとするの?

――――――――えり……! えりち!――――――――

あれ? 希がいるの?

私部屋で寝てたのに……?



希「えりち!」

絵里「は、はいっ!」
11 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:05:45.96 ID:0QxoIMGn0
希「だ、大丈夫? いきなり気絶したみたいに倒れたけど……」

絵里「気絶……ってここ生徒会室? あれ?」

希「えりち、保健室行く? 救急車呼んだ方が……」

絵里「ま、待って待って! 大丈夫!」

希「大丈夫やないって! もっと自分の身を大切に……」

希「……えりち、憑き物が落ちたみたいにすっきりした顔してる」

絵里「え?」

希「ん? なんで?」

絵里「いや、私に聞かれても困るわよ」
12 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:09:44.26 ID:0QxoIMGn0
絵里「えー、あ、そうだ! 今日って……」

絵里(何年何月何日、なんて聞いたら今度こそ病院に連行されかねないわよね)

絵里「このあと何かあったっけ?」

希「記憶にズレとか……」

絵里「ち、違うってば! 単に忘れちゃっただけよ」

絵里(希ったら過保護なんだから……)

希「今日はこの後、穂乃果ちゃんたちが部の申請に来るって言ってたよ?」

絵里(部の申請……部の申請!?)

絵里「えーっと、じゃあアイドル研究部の部員の数は?」

希「1人だけ」

絵里(ま、まさかこれって……成功してる!?)
13 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:13:32.67 ID:0QxoIMGn0
絵里「部の申請ね、うん。ほの……じゃなかった」

絵里(あれ? 私この時穂乃果たちのこと名前では呼んでなかったわよね?)

絵里「高坂さんたちが申請に来るのね?」

希「そうやで」

絵里(……ってことはにこがまだくすぶってる時期、か)

絵里(……なんとかしてあげたい)

絵里(でもでもタイプパラドックスとか……)

絵里(でもこれって夢みたいなものよね)

絵里「希」

希「どうしたん?」

絵里「希の仕事をとっちゃうかもしれないけど許してね」

希「?」
14 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:15:45.88 ID:0QxoIMGn0
穂乃果「失礼します」

絵里「はい、どうぞ」

絵里(……このころの私ってどんな表情だっけ?)

穂乃果「部の申請に……」

絵里「いらっしゃい」

穂乃果「え……」

海未「生徒会長……?」

ことり「か、かわいい」

絵里「え?」

絵里(へ、変な顔になってたかしら……手鏡は……あった)

絵里(……うわああああ!? すごく笑顔になってる!?)
15 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:19:10.92 ID:0QxoIMGn0
絵里(エリチカ、難しいことを考えるのよ……三角関数因数分解政治問題参勤交代……)

絵里「よし」

絵里「待っていたわ」

穂乃果「……は、はい!」

絵里(よし、これでよし。希の視線が気になるけど振り向いたら負けよ)

穂乃果「今日は私たちの部としての活動を認めてほしくて来ました」

海未「ちゃんと5人以上部員を集めてきたので部として認めてほしいです」

ことり「お願いします!」

絵里「……そう」

絵里(よく頑張ったわね、って褒めてあげたい……すごい、って言ってあげたい)
16 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:21:52.39 ID:0QxoIMGn0
絵里「その調子で頑張ってちょうだい」

ことり「……え?」

海未「……?」

希「えりち」

絵里「って希が言ってたわ」

穂乃果「ああ……」

絵里(ありがとう希……)

穂乃果「それで、部として認めてもらえますか?」

絵里「え? ああ、それはね……アイドル研究部って部があるからちょっと厳しいかもしれないわ」
17 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:27:21.53 ID:0QxoIMGn0
穂乃果「アイドル研究部?」

絵里「そう、この学校にはアイドル研究部って部がもうすでに1つあるの」

絵里「だから廃校になってしまうかもしれないこの学院で、同じような活動内容の部活を増やすわけにはいかないの」

穂乃果「そんなぁ……」

絵里「ごめんね。こればっかりはどうしても譲れないのよ」

ことり「……会長さん、今日はなんだか優しい気がするよ?」

海未「……何故でしょうね」

絵里(まずい! 希、パス!)

希「……仕方ないなぁ」

希「でもアイドル研究部の人と話をつけてきてくれたら、統合という形で部として認めることはできるよ」

穂乃果「本当ですか!?」

希「うん」
18 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:31:10.31 ID:0QxoIMGn0
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん。そのアイドル研究部に行ってみよう!」

海未「そうですね」

ことり「うんっ」

絵里「待って」

穂乃果「は、はいっ!」

絵里(そんなにびっくりしなくても……そっか、私はこの時まだ威圧的だったからね)

絵里「何の情報も持たずに行くつもり?」

穂乃果「それは……」

海未「そのくらいは私たちで調べます」

ことり「はい。生徒会の手を借りなくてもちゃんとやってみせます」

希「やって、えりち」

絵里「うーん……じゃあこれだけでも聞いていって」

絵里(にこの情報は3年生にしか伝わってないからね。少しでも教えないと)
19 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:37:14.74 ID:0QxoIMGn0
絵里「まずアイドル研究部の部員は1人なの」

穂乃果「1人!? でもこの前、部活には5人以上って……」

希「設立する時は5人必要やけど、そのあとは何人になってもいい決まりやから」

ことり「そうなんですか……」

絵里「それでね、その部員は矢澤にこって言う子なの。黒髪のツインテールで……こんな感じのね」

海未「わざわざ髪を下ろしてまでやっていただかなくても……」

絵里「あ、ごめんなさい……」

絵里(どうにも加減がわからないのよね)

海未「い、いえ、そんな、違うんです!」

希「まあまあいいやん? じゃあまた話付けたらおいでな」

穂乃果「はい! ありがとうございました!」

ことり「ありがとうございましたっ」

海未「ありがとうございました」
20 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:41:32.72 ID:0QxoIMGn0
絵里「……よかった」

希「ウチは何もよくない」

絵里「えっ」

希「どうしたんよえりち。急に丸くなって」

絵里(や、やばい……気付かれる)

希「むむむ……えりちからあやしいオーラがぷんぷんするでー」

絵里「くらえエア虫よけスプレー! ぷしゅー! 消臭効果つき!」

希「ぎゃー、やられたー」

絵里「ふっふっふ。生徒会室に置いてて正解だったわね」

希「……やっぱりおかしい。えりちノリよすぎ」

絵里(しまった)
21 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:45:21.19 ID:0QxoIMGn0
絵里「ほら、あれよ。昨日見たテレビが面白くて」

希「ちがーう。そんな表面上の楽しさと違う」

絵里「……思った以上に勉強が捗って」

希「えりちはかしこいもん」

絵里「ジュース買ったらもう1本出てきたの!」

希「それはうれしいなぁ」

絵里「でしょ?」

希「でも違う。えりちはもっと追い詰められてた」

絵里(て、てごわい)
22 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:48:05.34 ID:0QxoIMGn0
絵里(でもいずれバレそうね……ならいっそここで……)

絵里「希には全部話すわ」

絵里(というかこのおまじない教えてくれたの希だし)

希「え? いいん?」

絵里「いいわよ。全部教えてあげる」

希「なんかえりち、すごく楽しそう」

絵里「……まあ眉唾物が実際に起こったからね」

希「?」
23 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:51:14.18 ID:0QxoIMGn0



希「えりち、ちょっと病院いこか?」

絵里「……」

希「だって未来から来た、なんてそんなほいほいと信じられるわけないやろ?」

絵里(頭がおかしい人だと思われた……ぐすん)

希「やっぱり頭の病気になっちゃったんよ」

絵里「ひどい……信じてたのに!」

希「はいはい」

絵里(こ、このままじゃスクールアイドルライフどころか学院ライフも終わりを告げてしまう……)

希「……なんて、他の人ならそう言ってたんやろな」

絵里「え?」
24 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:55:37.37 ID:0QxoIMGn0
希「だってえりちのそんな真剣な顔、初めて見たもん」

希「軽々と冗談やめてやー、なんて言えるわけないやん?」

絵里「希……」

希「それにそのおまじないも気になるし……誰が考えたんやろ」

絵里(まあさすがに希から教えてもらったおまじないとは言えなかったけどね)

希「まあともかく、えりちが幸せそうならウチもうれしいよ」

絵里「ありがとう希。それでこそ私の親友だわ」

希「どういたしまして」

希「そしたら、これからどうやってμ'sを成長させていくかやな」

絵里「そうね。次は順番で言うとにこが仲間になる番だから……」

希「ってことは7人……」
25 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 23:58:41.31 ID:0QxoIMGn0
希「……」

絵里「どうしたの希」

絵里(なんか汗すごい)

希「……えりち、μ'sの名前の由来って……もう聞いた?」

絵里「うん。9人の女神でμ'sでしょ? 残りは希と私って」

希「うわああああああ……それ言う前にバレてたらちょー恥ずかしい……」

絵里(希もこんな顔するのね……)

希「で、えりちは早くみんなと仲良くなりたいと」

絵里「そういうこと。私が意地っ張りだったせいで時間がかかっちゃったしね」

希「ふーん……やっぱり意地っ張りやったんや」

絵里(ああ、希は最初から気付いてたものね)
26 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 00:02:22.65 ID:sOKRW9Cf0
絵里「まあ今私たちにできることは待つことよ。待って待って……」

希「にこっちが仲間になった隙を狙う、と」

絵里「そういうこと」

希「……えりち、生き生きしてる」

絵里「だって生きてるもの」

希「そういうとこ変わってないなぁ……これから穂乃果ちゃんたちに隠していけるんやろか」

絵里「そのあたりは希、任せたわよ」

希「ウチに丸投げなん!?」
43 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:08:33.37 ID:sOKRW9Cf0
――――――――――――――――

絵里「……すぅ」

希「ああ、えりち。おまじないやっちゃったんや」

絵里「……ん」

希「えりち本当に……後悔してたんやね」

絵里「……」

希「気付けなかったウチも悪いんよ」

希「大丈夫やで、えりち」




希「えりちならきっと、目を覚ましてくれる」

――――――――――――――――
44 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:11:13.41 ID:sOKRW9Cf0
絵里「今、穂乃果たちはにこを捕まえるために追いかけっこしてるのよ」

希「そうなん? 確かに一悶着あるってカードが告げてるけど……」

絵里「そうよ。穂乃果たちから聞いたもん。仲間にするのは私とにこが一番難しかったって」

希「ふふ、今では一番簡単なえりち」

絵里「そうなのよねぇ……」

希「どうするん? 助太刀しに行く?」

絵里「そうしたいのはやまやまなんだけど、今は生徒会の仕事があるでしょ?」

希「うん」

絵里「だからあの子たちに任せてて大丈夫なの」

希「……えりちが任せる、かぁ」
45 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:13:12.08 ID:sOKRW9Cf0
絵里「あれ? 私何か変なこと言った?」

希「そうやで、えりちが人に何か任せるなんて変やん」

絵里「……そうかしら?」

希「うんうん」

絵里「へぇ……気にしてなかったけど、私ってそんな感じだったんだ」

希「ふーん、未来では頼れる人がいっぱいなんや」

希「……それでもウチを頼ってくれたらうれしいけどなぁ」

絵里「そうねぇ、最初に頼るのは希かも」

希「ふふっ、それはうれしい」
46 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:15:23.32 ID:sOKRW9Cf0
絵里「……でも心配ね」

希「どうしたん?」

絵里「あの子たち、にこを追いかけるのに必死で怪我とかしないといいんだけど」

希「そっちでは怪我してた?」

絵里「してない。でも私が変わったからもしかするとってことも……」

希「うーん……ちょっと待っててな」

絵里「カードね」

希「カードや」
47 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:16:29.57 ID:sOKRW9Cf0
絵里「……どんな感じ?」

希「うーん、怪我とかはなさそうやけど、身近な人にちょっとした悪いことが起こるんやって」

絵里「悪いこと……ううぅ」

希「あ、ウチいいこと考えた!」

絵里「え?」
48 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:19:24.28 ID:sOKRW9Cf0




凛「待つにゃー!」

花陽「ま、待ってください!」

真姫「待ちなさい!」

にこ「ふん、捕まるもんですか!」
49 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:22:01.92 ID:sOKRW9Cf0
絵里「コラー! そこの1年生!」

真姫「わ!?」

凛「にゃにゃっ!?」

花陽「せ、生徒会長!」

にこ「誰が1年生ですって……げっ」

絵里「廊下を走るとは何事ですか」

真姫「そ、それは」

凛「ふかーい事情があって……」

絵里「ええい、問答無用! 4人とも生徒会室に来なさい! あと残りのメンバーも呼びなさい」

花陽「ええっ!?」
50 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:24:09.03 ID:sOKRW9Cf0
にこ「ここで捕まったら……ふんっ!」

絵里「あ! 待ちなさい!」

絵里(よし、にこが逃げた……作戦通りね)

凛「あー! 部長が!」

絵里「走らない」

凛「にゃー……」

絵里「あなたたちの身柄は確保しました」

絵里「小泉さん、2年生の3人を生徒会室に呼んできてください」

花陽「わ、わかりました……」

真姫「もー……嘘でしょ」
52 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:26:49.67 ID:sOKRW9Cf0
凛「どうしよう真姫ちゃん……凛たちμ's解散させられちゃうのかなぁ」

絵里(そんなことしないわよ、って言いたい)

真姫「私に聞かないでよ……」

絵里(ああ、真姫がしょんぼりしてる! ごめんね! ごめんね2人とも!)

絵里「はい、着いたわよ。中に入って」

真姫「……はい」

凛「もう2度とシャバの空気は吸えないかもしれないよ……」

絵里(大げさすぎよ……)
53 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:28:38.14 ID:sOKRW9Cf0



絵里「見なさい。もう外では雨が降りそうです」

穂乃果「……はい」

絵里「なのに渡り廊下を走ろうとしたり、校庭で駆け回ったりして……」

絵里「怪我したら危ないでしょ!」

海未「?」

ことり「え?」

希「えりち」

絵里「それでも高校生ですか!」

絵里(しまった、つい本音が)
54 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:32:03.72 ID:sOKRW9Cf0
花陽「会長さん、優しくなったって聞いてたけど……」

ことり「うん、違ったのかもしれない……」

絵里「……」

絵里(そう言われると悲しいわ……しかも花陽とことりっていうチョイスが……)

希「まあまあ。誰も怪我しなくてよかったってことで」

絵里「そうね……今度から気を付けてください」

凛「はーい」

真姫「はい……」

絵里「アイドルグループなんだから、ひざをすりむいただけでも衣装が着られなくなるでしょう?」

穂乃果「……?」

希「えりち」

絵里「って希が心配してたわよ」
55 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:35:49.87 ID:sOKRW9Cf0
絵里「今日のところはもう帰っていいわ」

穂乃果「すみませんでした」

海未「すみませんでした」

絵里「今日の練習は控えた方がいいわよ」

絵里(……そう、あの時の穂乃果みたいに倒れられたりなんかしたら)

穂乃果「あ、あのっ!」

絵里「え? どうしたの、ほ……」

ことり「ほ?」

絵里「ほ……ほら、もう雨が降ってきたし!」

真姫「え? あ……」

花陽「本当だ」

絵里(穂乃果って呼ぶところだった。危ない危ない)

希「えりち、しっかりせんと……」

絵里「わかってる、わかってるんだけどね……」
56 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:39:03.42 ID:sOKRW9Cf0
絵里「で、どうしたんですか高坂さん」

穂乃果「あ、はい。その、もしかしたらなんですけど……」

絵里「はい」

穂乃果「生徒会長は私たちのこと……心配してくれてるんですか?」

絵里(希! どうしようバレちゃった!)

希「……」

絵里(首を横に振らないで! こ、この状況じゃなんて言えばいいか……)

絵里(あ、そうだ)

絵里「あなたは私に心配してほしいんですか?」

穂乃果「……え?」
57 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:41:23.39 ID:sOKRW9Cf0
絵里「私に心配をかけて、どうするんですか?」

穂乃果「そ、それは……」

絵里「そんな風に誰かを心配させるかもしれないと思うのなら、まずその行動を慎みなさい」

穂乃果「……そう、ですね」

絵里(……言いすぎちゃったかな)

穂乃果「ありがとうございました!」

海未「ほ、穂乃果?」

花陽「穂乃果先輩?」

穂乃果「生徒会長の言う通りだよ! 誰かに心配をかけてるようじゃ、部として活動することなんて認められない」

穂乃果「私たち、もっとしっかりしなくちゃ!」
58 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:45:06.96 ID:sOKRW9Cf0
穂乃果「生徒会長だって学校の為に頑張ってるんだから、私たちがそのお荷物になっちゃいけないの」

穂乃果「もっと……ちゃんと学校の名前を背負って恥ずかしくないスクールアイドルにならなくちゃ」

穂乃果「だからっ、ありがとうございました!」

海未「……そうですね。ありがとうございました」

ことり「うん、もっと頑張らなきゃ……ありがとうございました!」

花陽「ありがとうございました!」

凛「ありがとうございました!」

真姫「ありがとうございました」

絵里(どうしよう。泣きそう)
60 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:47:29.31 ID:sOKRW9Cf0
希「えりちの熱い思い、みんなに伝わったみたいやね」

希「……えりち?」

絵里「うぅっ……ひっく」

希「え、えりち!?」

絵里「あの子たち……本当に……成長したわっ、くっ」

希「えりちって涙もろいんやなぁ……はい、ハンカチ」

絵里「ありがと……はぁ、落ち着いた」

絵里「まさか卒業式の前に泣かされることになるなんて……」

絵里(……あとはにこね)
62 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:49:49.68 ID:sOKRW9Cf0



絵里「よーしここは生徒会の権力を使うわ」

希「予定通り準備しといたで」

絵里「さすが希ね。チョコあげる」

希「ありがと、未来のえりちも持ち歩いてるんや」

絵里「もちろん。じゃあ放送室に行くわよー!」





――――――――矢澤にこさん、矢澤にこさん、至急生徒会室まで来てください――――――――



にこ「……しまった」
63 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:51:22.91 ID:sOKRW9Cf0



にこ「や、矢澤にこです……」

絵里「いらっしゃーい」

希「待ってたでー」

にこ「……」

絵里(あらまあ、見事におびえちゃって)

絵里「座って。別に部活を廃部にしてやるーなんて言わないから」

にこ「ほんと!?」

絵里(わかりやすい子)
64 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:55:55.75 ID:sOKRW9Cf0
希「ウチは東條希、よろしくね」

にこ「知ってる。よく部の様子、見に来てくれてたでしょ」

希「うん、だって心配やったから」

にこ「ふーん」

絵里「そして私が生徒会長の絢瀬絵里です」

にこ「それも知ってる」

絵里(まだ警戒してるわね……よし、こうなったら)

絵里「矢澤さん。あなたのアレが見たいわ」

にこ「えっ、アレって……」

絵里「とぼけても無駄よ! あの……こうしてこうやるやつよ!」

にこ「な、なんでそれを生徒会長が……」

絵里「ほら早く!」

にこ「は、はいっ!」
65 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/11(金) 23:59:19.93 ID:sOKRW9Cf0
にこ「にっこにっこにー!」

にこ「あなたのハートににこにこにー」

にこ「笑顔を届ける矢澤にこにこっ」

にこ「にこにーって覚えてラブにこっ!」

絵里「……にこがゲシュタルト崩壊してきた」

希「ウチも」

にこ「やれって言ったのあんたたちでしょうが!」

絵里「ふふふ、そうね」

絵里(このテンションの落差を見ると、やっぱり安心するわね)
66 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:01:59.72 ID:i4MvrJEY0
にこ「ふんっ、で、話って何」

希「オンオフはっきりしてるんやなぁ」

にこ「アイドルってのはいかにキャラを作れるかなのよ。当然じゃない」

絵里(やっぱりにこは希と打ち解けやすい、か)

絵里「話って言うのはね、にこにーさん」

にこ「……真顔でそれ言うのやめて」

絵里「じゃあにこさん」

希「それやと2個か3個かわからなくなりそうやで?」

絵里「じゃあにこ」

にこ「もうそれでいいわ」

絵里(希、ナイスフォロー!)

希「ふふん」
68 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:04:21.99 ID:i4MvrJEY0
絵里「私のことも絵里って呼んでちょうだい」

にこ「……やけに馴れ馴れしいというか、うわさに聞いてた生徒会長像とは全然違うんだけど」

絵里「へぇ、その噂ってどんな感じなの?」

にこ「厳しくて、鬼で、怖くて、近寄りがたくて、とって食われそうだって聞いてた」

絵里(……ひ、ひどすぎる)

希「まあ実際、えりちはそんな感じやったもんなぁ」

絵里「う、うるさーい!」

にこ「?」

絵里「それで、話って言うのはね……」
69 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:06:33.80 ID:i4MvrJEY0




にこ「はぁ? 未来から来たとかふざけてるんじゃないの?」

絵里(やっぱり……)

希「まあそう思ってしまうよなぁ……」

にこ「だいたいそんな簡単に信じられるわけないじゃない。今日話したばかりの生徒会長なのに」

絵里「そうよね……」

希「えりち、にこっちのことで知ってることないん?」

にこ「ちょ、にこっちって何よ」

絵里「そうねぇ……」

にこ「話聞きなさいよ!」
70 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:09:07.26 ID:i4MvrJEY0
絵里(にこの秘密、にこの秘密……あ)

絵里「にこはラブライブに出たがってる」

にこ「!」

希「当たり?」

にこ「……どこで聞いたのよ、それ」

絵里「だから未来よ」

にこ「ふざけたこと言ってんじゃ……!」

絵里「ふざけてない。これは真剣な話よ」

にこ「……ふん、話くらいなら聞いてあげてもいいわ」

絵里(よかった……)

希「えりちが真面目なキャラでよかったわぁ」

絵里「本当にそうね」
71 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:11:35.58 ID:i4MvrJEY0
絵里「えーと、どこから話せばいいのかしら……」

希「まずにこっちが入った後のμ'sについて話してみたら?」

絵里「そうするわ」

にこ「μ's? ああ、あの1,2年生のグループね」

絵里「まずにこがμ'sに入ったら、泣くわ」

にこ「泣くの!?」

絵里「だ、だって穂乃果たちがそう言ってたもの! あ、うれし泣きだそうだから大丈夫……」

にこ「何ルール勝手に決めてるのよ!」

絵里(うぅ……おこられた)

希「えりち、ファイト!」

絵里「うん……」
72 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:16:10.78 ID:i4MvrJEY0
絵里「で、みんなで練習したりカラオケで歌唱力対決したり……あとダンスの対決もしたって言ってた」

絵里「それでチラシ配りで、誰がオーラを持ってるか調べようとした、とも言ってたわね」

希「それって何かのイベントで?」

絵里「ううん、センターは誰がいいかってなって」

希「やって、にこっち」

にこ「……確かに私の言いそうなことばっかり」

絵里(やった! 好感触ね)

にこ「信じてあげてもいいわ」

絵里「ほんと!?」

にこ「……でも不信感が拭えない」

絵里「……そうよね」

希「えりち……にこっち」
73 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 00:18:36.86 ID:i4MvrJEY0
絵里(でもこのままにこがμ'sに入らなかったら……)

絵里(……よし!)

絵里「お願い、μ'sのみんなと話だけでもしてあげて! みんないい子なの!」

にこ「……どうしてそこまで言えるの?」

絵里「それは……」

絵里(……うん、決まってる)




絵里「μ'sが、みんなが大好きだから」
81 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:36:44.06 ID:i4MvrJEY0



絵里「あー、にこはちゃんとμ'sのみんなと話してくれたかなぁ……」

絵里(にこもμ'sのメンバーなんだけど……)

希「えりち、心配してても埒があかんよ? はい、飲み物でもどうぞ」

絵里「ありがとう希」

希「えっ、ちょ」

絵里「ふー、おいしかったわ」

希「それウチのやのにー」

絵里「あ、ごめん。私のはどっちなの?」

希「こっちやで」

絵里「あはは、ごめんね」

希「えりちー! それウチのって言ってるやろー!」

絵里(希って案外からかいやすいのね)
82 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:39:15.65 ID:i4MvrJEY0
にこ「生徒会長さーん」

絵里「!」

希「にこっちやね……開いてるよー」

にこ「はいはい」

絵里(……どっちだろう)

絵里「で、結局μ'sのみんなとは話してくれた?」

にこ「……」

絵里(無言……じゃあやっぱり)

にこ「……はなした」

絵里「本当!?」

希「おお、にこっち素直やん?」

にこ「別にあんたたちの為じゃないわよ」
83 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:41:59.99 ID:i4MvrJEY0
絵里「それでそれで?」

にこ「近い!」

絵里「……ここかしら」

希「えりち、まず座ってからやで」

絵里「そうね。そう……」

絵里(うう、早く答えが聞きたいわ)

希「で、にこっちはどうやったん? μ'sはどんな感じやった?」

にこ「ええ、スクールアイドルとしてはまだまだ未熟……それどころか遊び半分でやってる子もいた――――――――

絵里「そっ、そんなわけ……!」

にこ「って言えたらあんたたちの言うこと聞かないで済んだわよ」

絵里「……え?」

希「ってことは……」
84 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:45:10.32 ID:i4MvrJEY0
にこ「入ったわよ! μ'sに!」

にこ「何よ! 悪い!?」

にこ「あんたたちの口車に乗せられて話してみれば……何なのよ!」

にこ「あんな風に真面目に私の子と慕ってくれて……誰もバカにしないで……」



にこ「……誰も諦めるようなことは言わなかった」



希「にこっち……」

絵里「当たり前でしょ。私の大切な仲間なんですから」

にこ「……むかつく」
85 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:48:13.45 ID:i4MvrJEY0
絵里「もちろんあなたも、私の大切な仲間の1人になるわけよ」

にこ「なんかやだ」

絵里「ひどい」

希「でもこれで、あとはウチとえりちがμ'sに入るだけやんな?」

絵里「……そうね!」

にこ「いつもそんな顔してればいいのに」

絵里「え?」

にこ「あんたの笑顔、むかつくけどとっても綺麗だから」

絵里(……ほめられた)

希「あー、えりち顔あかーい」

絵里「そ、そんなのじゃないってばぁ!」
86 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:51:32.30 ID:i4MvrJEY0
にこ「ま、これからはあんたたちにμ'sの情報を提供すればいいのね?」

絵里「え? いいの?」

にこ「え、その気じゃなかったの?」

絵里「ぜんぜん」

希「あらら」

にこ「別に私は構わないわよ」

絵里(……そうね、にこを通じてμ'sの情報が入るってことは、それだけ干渉しやすくなる)

絵里(私と希の早期加入も夢じゃなくなるってわけね)

絵里「じゃあ頼むわよ、にこ」

希「ウチからもお願いやで、にこっち」

にこ「うん、それはいいんだけど……」

絵里「?」

希「?」
87 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:56:46.08 ID:i4MvrJEY0
にこ「……あのさ、私たち……その」

にこ「……」

希「……あぁ。ウチはわかったで」

絵里「え? なになに?」

絵里(全然わかんない。教えて希)

希「ほら、アレやんアレ。仲良しになった時の関係のこと……」

絵里(……あ)

絵里「ええ! にこ、私たちは友達よ!」

にこ「うぅっ……」

希「えりち、せっかくウチが言わんようにしてたのに」

絵里「あ、ごめん」

にこ「……もういいわよ」
89 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 19:59:58.20 ID:i4MvrJEY0
絵里「ふふ、にこってば可愛いところあるんだから」

にこ「うるさい」

希「うんうん、にこっちかわいいで」

にこ「もー! 怒るわよ!」

絵里「あはは、もう怒ってる」

にこ「何よ、絵里だって全然生徒会長らしくないし」

絵里「ぐはっ」

にこ「希って全然スピリチュアルじゃないし」

希「うっ」

90 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:02:55.04 ID:i4MvrJEY0
にこ「でも……友達だから気にしないでいてあげる」

絵里「……にこ」

希「……にこっち」

にこ「スーパーアイドルの矢澤にこ様と友達になれる人なんてめったにいないんだから……ありがたいと思いなさいよ!」

絵里「うふふ、ありがたーい」

希「うんうん、ありがたーい」

にこ「ぐぬぬ……もう練習あるから行くわ」

絵里「うん、いってらっしゃい」

希「もうすぐウチらも練習に参加するでー」

にこ「はいはい。じゃあ……」



にこ「また明日ね」
91 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:06:35.04 ID:i4MvrJEY0
絵里「また明日だって……ふふ」

希「えりちうれしそうやね」

絵里「だって、最初はにこが一番敵対心丸出しだったもの。仲良くなれるかどうか心配だったのよ」

希「えりちって友達と作るの得意そうやけどなぁ」

絵里(うーん、どうだろう……3年生になってからは周りが見えてなくて、クラスのみんなともちゃんと打ち解けてなかったし)

絵里(……昨日家に帰ったら亜里沙に驚かれて、学校について笑顔を見せただけでクラス全体が驚くし……)

絵里「希がいなかったらダメだったかもね」

希「もー、ちゃんと希ちゃん離れせな」

絵里「やだー」

希「しょーがないなぁ」
92 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:09:24.94 ID:i4MvrJEY0
――――――――――――――――

絵里「ふふ……」

希「えりち、うれしそうで何よりやで」

希「まだ5分しか経ってないのに、表情がころころ変わるんやから……」

絵里「のぞみ……」

希「はいはい、ウチはここにおるよ」

絵里「……うん」

希「……」

希「なぁえりち、このおまじないを教えてくれたのは――――――――





――――――――えりちやったって言ったらびっくりしてくれるかな?」



――――――――――――――――
93 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:11:52.62 ID:i4MvrJEY0



絵里「今日も楽しい生徒会日和よー!」

にこ「いちいち騒がしいわね」

希「えりちは今、毎日が楽しいんよ」

にこ「ふーん」

絵里「にこもμ'sに入ってくれたし、あとは私たちが合流するだけ……」

にこ「それ、穂乃果も同じこと言ってたわよ」

希「穂乃果ちゃんが?」

にこ「ええ、あんたたちをメンバーに入れたい、って」

絵里「ハラショー……」

絵里(そんなことを言ってくれるなんて……)

希「えりち、よかったね」

絵里「うんっ」
94 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:14:55.67 ID:i4MvrJEY0
にこ「でも私は反対したけどね」

絵里「ええっ!?」

希「にこっちの裏切り……?」

にこ「違うわよ。だって急に私が賛成するのもおかしな話じゃない」

にこ「仮にもあんたたちに捕まらないように逃げたりしたんだから」

希「へー、にこっちってよく考えてるんやね」

にこ「あったりまえでしょー? この頭脳明晰にこにーちゃんにできないことはないわ!」

絵里「でも今日は朝から教室で話したりしてたけど……」

にこ「それはいいのよ、それは」
96 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:17:39.27 ID:i4MvrJEY0
希「でもその光景を穂乃果ちゃんたちに見られたりしたら……」

にこ「なんとか言ってごまかすわ」

絵里「うーん……」

絵里(どうしよう。確かにバレてしまうとどうなるかわからない……でもにこと友達でいるのも大切……)

希「あ、わかった」

にこ「え」

希「えりち、耳貸して」

絵里「はいはい」

希「……にこっちはきっと、ウチらと話すのをやめたくないんよ」

絵里「なーるほど」

にこ「ちょ、希、何言ったのよ」

希「何にも言ってませーん」
98 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:20:19.51 ID:i4MvrJEY0
絵里「そうよ、希は何も言ってないわ」

にこ「騙されるもんですか」

絵里「にっこにっこにー」

にこ「流されるもんですか!」

絵里(くっ、効かない……)

希「まあ言ってしまうと、バレたときはバレた時や、っていう話をしてたんよ」

にこ「……ほんとかしら」

絵里「本当よ! 私の目が嘘を吐いているように見える!?」

にこ「わかった! わかったから近い!」

絵里「よーし、信じてくれたみたいね」

希「えrちもえりちで強引やなぁ」
99 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:25:33.72 ID:i4MvrJEY0
にこ「で、私がμ'sに入ったあと、あんたたちは何するの?」

絵里「え?」

希「ウチら?」

にこ「そうよ。未来では何してたの?」

絵里(そっか、もう私たちが動かないといけない……)

絵里「えーっと、センターは誰かって揉めたあと……」

絵里「あ、そうだ! 理事長にラブライブに出たいってμ'sのみんなが直談判だーって突撃するの」

希「ああ、生徒会を通さず直接理事長に許可してもらうことで、面倒なえりちの目をかいくぐろうってわけやね」

絵里「……面倒」

希「ご、ごめんやって!」

にこ「ほんとめんどくさいわね」
100 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:27:55.69 ID:i4MvrJEY0
絵里「……ん? でも希がその前に、どこかへ行ってたような気もする……」

希「ウチが?」

絵里「ええ。私にバレないように、こっそり何かしてたんだわ」

希「うーん、ウチがえりちにバレずにしそうなことって……なんやろ?」

にこ「前の絵里は強情だったんでしょ?」

絵里「お恥ずかしながら……」

にこ「じゃあ希も前の穂乃果たちと同じように、絵里の目をかいくぐってμ'sを宣伝しようとした、とか?」

絵里「宣伝……宣伝……」

絵里「そうだ!」

希「?」
101 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:30:41.58 ID:i4MvrJEY0
絵里「希! μ'sのPVを撮ってないわ!」

希「PV?」

絵里「そう、希は前にビデオカメラで、μ'sの1日なるものを録画してたの」

絵里「私も結局μ'sに入ってから見たんだけど……あの時のものだったとは」

希「え? それっていつやってたん?」

絵里「えーっと……希が言ってたのは……」

絵里「……たしかセンター争いの……前」

にこ「……それはもうやったんだけど」

希「……」

絵里「……」

絵里(どうしよう)
102 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:33:26.02 ID:i4MvrJEY0
絵里「私、大変なことを……」

希「ちょ、ちょっとくらい順番が前後したって大丈夫やって!」

にこ「そうよ! 早期加入しようっていうんだから、そんなところ気にしてどうするの!」

絵里「でもぉ……」

希「あー! こんなところにビデオカメラがあった!」

絵里「それ、生徒会の仕事で使うやつ……」

にこ「大丈夫よそのくらい」

希「じゃあにこっち行くで!」

にこ「ええ!」

絵里「ま、待って2人とも!」
103 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:33:52.25 ID:i4MvrJEY0
希「どうしたんえりち」

にこ「何?」

絵里「あの……」




絵里「完成したら、見せて?」
105 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:36:43.91 ID:i4MvrJEY0




絵里「ふぅ……満足したわ」

希「それはよかった」

絵里「希がカメラを向けることで、みんないい笑顔になるのね」

希「そんな、今やったらえりちでも笑ってくれると思うで?」

絵里「うーん、そうかしら」

にこ「ねぇ、私のとこはどうだった?」

絵里「……可もなく不可もなく」

希「そやね」

にこ「どういう意味よ」
106 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:38:53.29 ID:i4MvrJEY0
絵里「いつも通りかわいいってことよ」

にこ「ふんっ、何よ今更」

にこ「……ありがと」

希「きゃー! にこっち照れてるー!」

にこ「うるさーい!」

絵里「あとは理事長のところへ話に言ってくれればいいんだけどねぇ」

希「……えりち、今思ったんやけど」

絵里「何?」

希「たぶんこのままやと、えりちのところに来るで?」

絵里「……え」
107 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:44:24.65 ID:i4MvrJEY0
絵里「わ、私のところに? 何でよ? こわーい生徒会長のところにわざわざ?」

にこ「あんた、自分の顔見てみなさい。ほら、鏡」

絵里「……あ」

にこ「そんな笑顔を振りまいてる生徒会長のどこが怖いのよ」

絵里(し、しまった……)

希「でもそんなに悩まなくてもいいんと違う?」

にこ「なんで?」

絵里「……そうか、私がうまい具合に話を誘導すれば」

希「うん、早期加入が近づくで!」
108 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:46:54.83 ID:i4MvrJEY0



穂乃果「生徒会長! お話があってきました!」

絵里「はいどうぞ」

穂乃果「失礼します」

海未「失礼します」

絵里「あら今日は2人だけなのね」

穂乃果「はい、みんな練習で忙しいので」

絵里(頑張ってるのね。えらいえらい)

希「まあまあ、そこに座ってやー」

穂乃果「はい」

海未「はい」
109 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:50:14.92 ID:i4MvrJEY0
絵里「それで、話とは?」

穂乃果「……海未ちゃん」

海未「……はい。わかっています」

海未「ラブライブへの出場を認めていただきたいのです」

絵里(来たわね……)

希「ラブライブ? ラブライブって何?」

絵里(の、希……さすがの演技力ね。本当に知らないみたい)

海未「はい、私たちはスクールアイドルとして、この音乃木坂学院をアピールしようと思っています」

穂乃果「ラブライブというのは、そのスクールアイドルの頂点を決める祭典なんです」

絵里「なるほどね」
110 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:53:56.24 ID:i4MvrJEY0
絵里「それで優勝して、この音乃木坂学院の知名度を広めようってこと?」

穂乃果「はい!」

海未「それを許可していただきたいのです」

希「……えりち、本気みたいやで」

絵里「そうみたいね」

絵里(よし、ここでどうするかよね)

絵里(今の穂乃果たちのダンスは、一般人より少しうまい程度)

絵里(贔屓目で見ても、優勝は狙えない)
111 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:57:40.39 ID:i4MvrJEY0
絵里(だったら答えは1つ……)

絵里(焦らずゆっくりと、手順を踏んでいくべきね)

絵里「認めましょう」

穂乃果「本当ですか!?」

海未「ありがとうございます!」

絵里「しかし、1つだけ条件があります」

海未「条件……?」

絵里「はい、それをクリアできれば、ラブライブへのエントリーを認めます」

穂乃果「はいっ! やります!」

海未「穂乃果、内容はまだ……」

穂乃果「海未ちゃん、私たちに断るなんて選択肢はないよ!」

海未「……そうですね。生徒会長、内容を教えてください」

絵里(ああ、この目。この目が私を導いてくれたのね)

絵里(穂乃果や海未だけじゃなく、みんなが同じ決意を持ってる)

絵里(だから……目を離せない)
112 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 20:59:40.41 ID:i4MvrJEY0
絵里「条件は簡単です。努力すれば必ずクリアできます」

穂乃果「はい!」

海未「はい!」

絵里「今度の期末テストで、μ'sのメンバーが1人も赤点をとらないことです」

穂乃果「……」

海未「穂乃果!?」

ことり「穂乃果ちゃん!?」

真姫「あ、凛も!」

花陽「に、にこ先輩!?」

希「あらあら、みんな廊下で聞いてたんや」
113 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 21:03:02.00 ID:i4MvrJEY0
絵里(ふふ、予想通りの反応ね)

絵里「えー、ほの……じゃなくて、高坂さんは話を聞ける状態ではなさそうだから、園田さん、続きを聞いてください」

海未「わかりました」

絵里「他のみんなも入ってきていいわ」

真姫「失礼します……凛、しっかりしなさい」

花陽「凛ちゃん大丈夫?」

凛「な、なんとか……」

ことり「にこ先輩も、中に入ってください」

にこ「う、うらぎりものぉ……」

絵里(怒られちゃった)

希「そうみたいやね」
114 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 21:06:29.14 ID:i4MvrJEY0
絵里「学生として、部活と学業の両立は当たり前のことです」

絵里「ですから、スクールアイドルとして努力するのは構いませんが、そのせいで学業がおろそかになっては本末転倒です」

海未「はい……」

絵里「おバカアイドルで売り出す気がないのなら、しっかり勉強してテストに臨んでください」

にこ「そんな気はないわよぉ」

凛「凛もないよ……でもぉ」

真姫「でももだってもないわ。やらなきゃ仕方ないでしょ」

花陽「そうだよ、きっとできるよ!」

希「それでえりち、どうするん?」

絵里「ああ、それで私は……」



絵里「あなたたちの勉強を見ます」
115 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 21:09:37.55 ID:i4MvrJEY0
穂乃果「せ、生徒会長が!?」

海未「そんな、いいんですか?」

絵里「ええ。仕事はちゃんと片づけてあるし、ここ数日は暇になるの」

希「昨日一緒に頑張ったもんなぁ」

絵里「ねー」

絵里「じゃなかった。コホン、なので早速今日の放課後から勉強を見ますよ」

凛「きょ、今日から!?」

にこ「せ、せめて明日からでも……」

希「ダーメ。明日から始める―って言ってるとテストはすぐ迫ってくるで?」

穂乃果「教科書! 教科書がありません!」

絵里「知ってる? この学校では教科書の貸し出しは自由なのよ。図書室に置いてあるわ」

穂乃果「うぅ……」
116 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 21:13:04.08 ID:i4MvrJEY0
絵里「じゃあ部室へ行くわよ」

希「ちょちょ、えりち待って」

絵里「え?」

希「……なんでえりちが先に行ってしまうんよ」

絵里「あ、そっか」

絵里「では希、案内お願いね?」

希「はーい」

穂乃果「うー……生徒会長が優しくなったと思ったのにぃ」

海未「内容は易しいものではありませんか」

にこ「どこがよ!」

凛「そうだよ!」

真姫「はいはい、早くしなさい」
117 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/12(土) 21:17:44.25 ID:i4MvrJEY0
絵里(これでみんなと一緒に勉強できるわね)

絵里「ふふふ」

希「えーりち、笑い声が漏れてる」

絵里「ごめんね。でも後ろのみんなには見えないでしょ?」

希「ウチからも見えてないけど、笑い声でわかってしまうんよ」

絵里「それは大変だわ」

希「うん」

絵里「突然真顔になるのも難しいわね」

希「ぷっ……」

絵里「え?」

希「えりちが真顔になろうと頑張ってるの想像したら……ぷぷ、笑えてきた……」

絵里「ぐぬぬ」
130 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 00:51:15.91 ID:XscbuIV20
絵里「さて、ここが部室ね」

絵里(うんうん、変わってない変わってない)

希「じゃあさっそく勉強始めよか」

真姫「まずこの中で赤点とりそうな教科を並べていきましょう」

にこ「な、何でにこを見るのよ!」

希「μ'sの心配要素その1、矢澤にこ」

にこ「やめなさいよ!」

凛「り、凛はもうダメかもしれないにゃ……ぐふ」

花陽「ダメだよ凛ちゃん。せっかく生徒会長さんが手伝ってくれるんだから」

絵里(……やっぱりまだゲスト待遇って感じね)
131 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 00:54:16.26 ID:XscbuIV20
海未「ではまず穂乃果の勉強は、いつも通り私とことりで見ます」

ことり「頑張ろうねっ」

穂乃果「がんばります……」

真姫「凛のは私と花陽ね」

花陽「うん」

凛「2人の犠牲は無駄にしないよ」

真姫「なんで初めから諦めてるのよ!」

希「賑やかやね」

絵里(この空気……まだ数日しか経ってないのに懐かしく感じるわ)
132 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 00:56:42.31 ID:XscbuIV20
希「じゃあウチとえりちで、にこっちの勉強を見るんやね?」

絵里「そういうことね」

にこ「せ、生徒会コンビ……」

希「ウチはそんなに賢くはないよ?」

にこ「えー、でも絵里が……」

絵里「え?」

にこ「学年1位でしょ?」

穂乃果「学年!?」

凛「1位!?」

絵里(……ああ、そうだっけ。順位とかあんまり気にしてないから忘れてた)

希「えりち、忘れてたって顔してる」

絵里「ぎくっ」
133 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 01:01:31.80 ID:XscbuIV20
希「まあそういうわけやから、困ったらえりちにも聞いてあげてな」

絵里(え、そこまでしなくても……)

希「いいやろ?」

絵里「……わかったわ。何か質問があれば私に聞いてもいいわよ」

花陽「こ、心強すぎます……!」

海未「1位……」

真姫「へぇ……」

穂乃果「さすが生徒会長ですね!」

絵里(……とっても恥ずかしい)

ことり「3年生の1学期中間の成績で1位ってことは、それまでの学年でも全部1位だったりするんですか?」

絵里「あまり覚えてないけれど……どうだったかしら」

希「ウチが知ってる限りでは、えりちが1位以外をとったところは見たことないよ」
134 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 01:04:43.23 ID:XscbuIV20
ことり「きゃー!」

花陽「すごいです!」

海未「なるほど、だから生徒会長に選ばれたんですね」

絵里(普通に会話できてる……うれしい)

絵里(でもやっぱりメリハリは必要よね)

絵里「はい、おしゃべりはここまでよ。各グループで勉強すること、いいわね?」

穂乃果「はい!」

凛「はーい」

にこ「はいはい」

希「にこっち、教科書逆さまやで」

にこ「……じ、実は矢澤家に伝わる秘伝の暗記方法があってね」
139 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 17:52:58.62 ID:XscbuIV20
――――――――――――――――

希「ふぅ、そろそろあっちの準備できたんと違うかな」

絵里「……んー」

希「うんうん、大丈夫。まだ10分しか経ってないよ」

絵里「……ふふ」

希「いい夢見てるんやろうなぁ」

絵里「……」

希「なぁえりち、昔のえりちは怒りっぽかったやんな?」



希「……でも、やっぱり思い浮かぶのは笑顔のえりちやで」

――――――――――――――――
140 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 17:55:42.65 ID:XscbuIV20
絵里(みんな勉強するのはいいけど……やっぱり誰も質問しに来てくれないわね)

絵里(うーん、穂乃果あたりなら来てくれると思ったんだけどなぁ)

にこ「絵里」

希「えりちー」

絵里「あ、何?」

にこ「ここがわかんないのよ」

絵里「うんうん、教えてあげる」

絵里「ここの文法はね? この単語から最後までが主語になってるの」

にこ「ええっ、長すぎない?」

希「でも英語ってそんなんばっかりやで」

にこ「むむ」
141 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 17:59:09.09 ID:XscbuIV20
絵里「ということは、どうなるかわかるわよね?」

にこ「この単語がわかんない」

絵里「それは……素直な、って意味よ」

にこ「じゃあここは『彼女は素直だ』になるわけね」

希「なんかえりちみたい」

絵里「え? どういうこと?」

にこ「あんた素直でしょ」

絵里「ああ、そういうこと」

絵里(前は希に素直になるんやーとか言われてたのにね)
142 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:01:27.74 ID:XscbuIV20
穂乃果「あ、あのっ!」

希「お、穂乃果ちゃんどうしたん?」

絵里(なーんだ、希に質問かぁ。私かと思ったのに)

穂乃果「せ、生徒会長に質問したくて」

絵里「!?」

希「えりち、出番やでー」

絵里(も、もう!? そんな早くに!?)

絵里「な、何かしら?」

にこ「声が上擦ってるわよ」

絵里「にこは静かに勉強してなさい」

にこ「はーい」
143 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:03:46.72 ID:XscbuIV20
絵里「コホン……それで、質問とはなんですか?」

穂乃果「この、数学の問題がわからなくて」

海未「……」

ことり「……」

凛「……」

真姫「……」

花陽「……」

絵里(う、うわー! みんなこっち見てる!)

絵里(ど、どうしよう希、にこ……)

希「にこっち、それでこの続きはこうや」

にこ「希ちゃんありがとう! よぉーくわかったにこっ」

絵里(ぐっ……勉強してろなんて言っちゃったから本当に勉強してるし……)
144 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:07:16.87 ID:XscbuIV20
絵里「この問題ね、うん。わかったわ」

絵里(ってここまでできてるなら、あと一息で解けるじゃない)

絵里(……まさか試されてる!?)

絵里(いや、そうだとしたら……でもでも、穂乃果がそんなことする子だとは思えないし……)

絵里(よし)

絵里「高坂さん」

穂乃果「はいっ!」

絵里「もう1度一緒に問題を読んでみましょうか」

絵里(何も考えなくていい。私はサポートするだけだから……)
145 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:09:41.52 ID:XscbuIV20
絵里「ここでこの点がぐるぐると回転しています」

穂乃果「はい」

絵里「そしてもう1つ、ここに点が加わるわけです」

穂乃果「はい!」

希「……えりちもμ'sに加わりたいです」

絵里「はい、私も……希」

希「おしい」

絵里「おしくない」

絵里「じゃあ続きを読むわね?」

穂乃果「はい!」
146 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:13:32.19 ID:XscbuIV20



絵里「楽しかった!」

希「えりち、うれしそうで何よりやで」

にこ「ほーんと、単純なんだから」

希「にこっちもうれしそうやん?」

にこ「別にそんなんじゃないし」

絵里(まだぎこちなさは残るけど、それでもみんなと一緒に勉強できるなんてだいぶ進歩したわよね……)

絵里「この調子で明日もがんばりましょう」

希「うん」

にこ「そっか……明日も続くんだっけ」

絵里「でも今日、にこは頑張ってたのでごほうびをあげます」

にこ「えー、成績がいい」

希「いくら生徒会でも成績を上げるのは無理やなぁ」
147 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:15:55.01 ID:XscbuIV20
にこ「じゃあ何をくれるの?」

絵里「このチョコです」

にこ「ふーん、ありがとう」

絵里「……普通のチョコと思ったら大間違いよ? これはガーナ直輸入の新鮮なブラックチョコレートなんだから」

にこ「ええっ!?」

絵里「なんちゃって」

にこ「にこにーチョップ」

絵里「いたい!」

希「生徒会室で起こるバイオレンス、その実態やいかに!」

にこ「撮るんじゃないわよ!」
148 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:19:24.85 ID:XscbuIV20
絵里「あ、2人とも。今日はちょっと用事があるから先に帰るわね」

希「うん、わかったー」

にこ「車に気を付けなさいよ」

絵里「もう、子どもじゃないんだから……」

絵里「……あれ? 何の用事だっけ」

希「迷子センターに連れて行かな」

にこ「ほーら、チョコがあるわよー」

絵里「ううう」

にこ「こどもこどもー」

希「こどもえりちー」

絵里「ぐぬぬ」

絵里「あ、思い出した。亜里沙と一緒に帰るんだった」
149 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:22:03.35 ID:XscbuIV20
にこ「ありさ? 誰よそれ」

希「えりちの妹さんやで」

にこ「へー、あんた妹いたの」

絵里「いるわよ」

にこ「その亜里沙さんは大変でしょうね」

絵里「もー、バカにして」

にこ「こんな楽しそうに笑う姉がいたら、何で悩んでても忘れちゃうでしょ?」

絵里「……チョコもう1枚あげる」

にこ「はいはい」

希「にこっちも素直にそういうこと言うようになったんやね」

にこ「にこに弱点はないにこっ」
150 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:27:10.94 ID:XscbuIV20



絵里(えーっと……校門前に集合だったわよね)

絵里「ちゃんと迷わず来れてるといいんだけど……」

絵里(あ、いたいた)

絵里「亜里沙ー!」

亜里沙「お姉ちゃん!」

海未「……お姉ちゃん?」

絵里「あ」

絵里(あー……忘れてた。そうだわ、海未が一緒にいたんだっけ)
151 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:31:16.21 ID:XscbuIV20
絵里「えーと、その……これは……」

海未「生徒会長、妹さんが見ていたこの動画は一体……」

絵里(そうそう、見られてたのよね……)

亜里沙「お姉ちゃん、μ'sのメンバーの園田海未さんと知り合いだったの!?」

絵里(うああ……なんて言えばいいかわからない、一緒に勉強しただけだもの……)

海未「はい、私はあなたのお姉さんと知り合いですよ」

絵里(……あれ?)

亜里沙「ハラショー! お姉ちゃん、どうして言ってくれなかったの?」

絵里「それはねー……そう、サプライズよ。驚かせたかったの」

亜里沙「うん、亜里沙すっごく驚いたよ!」

海未「それは光栄です」

絵里(……海未が意外にも親しげだわ。なんでかしら)
152 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:33:27.14 ID:XscbuIV20




絵里「はい、お金よ」

亜里沙「うん、飲み物買ってくるね!」

絵里「おでんやおしるこはダメよ?」

亜里沙「わかった!」

絵里(前はおでん買ってきたものね……あれは海未も驚いてたし)

海未「生徒会長」

絵里「ひゃ、はいっ!」

絵里(……な、何だろう。海未の目がいつになく真剣で怖い)

海未「率直に言います」




海未「μ'sに入ってください」
153 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:35:14.44 ID:XscbuIV20
絵里「……」

海未「……」

絵里「…………」

海未「…………」

絵里「ちょっと待ってて、電話がかかってきたみたい」

海未「わかりました」

絵里(とりあえずこの場を離れて、と)

絵里「……」

絵里(希に電話をかけよう)
154 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:37:42.51 ID:XscbuIV20
  希「もしもーし、ウチやでー」

絵里「どどっ、どどどどどどうしよう、希」

  希「……どうしたんえりち、声震えてるけど」

絵里「μ'sに入れって言われた……」

  希「えっ」

絵里「……海未に」

  希「なんでそんな急に?」

絵里「わからない、わからないのよ……」

  希「でもえりち、ここで加入すればいいんと違う? せっかくのお誘いやし」

絵里「……そうなんだけど」
156 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:40:56.87 ID:XscbuIV20
  にこ「何よーどうしたの?」

  希「えりちがμ'sに誘われたんやって」

  にこ「えっ!? 誰に?」

絵里「海未によ」

  にこ「はー、あの海未がね……」

  希「えりち、もう入ってしまったらいいやん」

絵里「ダメよ、ダメなの」

  希「なんで?」

絵里「私がここで加入したら……」



絵里「期末試験そっちのけで遊んでしまいそうになるから……」

  にこ「……あんたらしい」

  希「うん、えりちらしい」
157 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:44:25.92 ID:XscbuIV20
絵里「でも入りたくないわけじゃないの」

  希「それをうまく伝えたいんやね?」

絵里「そういうこと」

  にこ「じゃあ期末で誰も赤点とらなかったら加入する、って言えばいいんじゃないの?」

絵里「そ、そうね……あ、でも希はどうなるの?」

  希「ウチ? ウチは……どうしよっか」

  にこ「私が後でどうにか誘うから気にしなくていいわよ」

絵里「ホント? 信じていい?」

  にこ「ええ、嘘ついたらあんたたちの電話番号とメアドを消してやってもいいわ」

  希「うふふ、本気みたいやで」

絵里「わかった、わかったわ……うん、そうする」
158 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:47:09.36 ID:XscbuIV20
絵里「ありがとう2人とも」

  希「ううん、いいよー」

  にこ「ちゃんと一言一句間違えず伝えるのよ」

絵里「うん、もう切るわね」

  希「はいはーい」

絵里「……うん」

絵里(海未にちゃんと伝えましょう)

絵里(希と一緒じゃないのはちょっと嫌だけど……この機会を逃す手はないわ!)

絵里「ごめんなさい園田さん、待たせちゃって」

海未「いえ、構いませんよ」

絵里「それであの……答えだけど……」
160 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:50:39.28 ID:XscbuIV20
海未「はい」

絵里「私はμ'sに……」

海未「うっ……」

絵里(ん? 海未の顔色が悪くなってる?)

絵里「あの、園田さん」

海未「……」

絵里「園田さん? 園田さん!」

海未「……」

絵里(返事をしない……それに今にも倒れそう!)

絵里「園田さん……ねぇ! しっかりして!」



絵里「海未っ!」




海未「……ん? ……えり?」
162 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 18:54:45.13 ID:XscbuIV20
絵里「え?」

絵里(い、今確かに、私のことを名前で……)

海未「あれ? 私、さっきまで家にいたはずですが……」

絵里「あ、あの」

海未「絵里?」

絵里(また呼んだ)

海未「……す、すみません! もたれかかってしまって……」

絵里「いや、いいのよ」

絵里(まさか……もしかしたら)

絵里「あの……海未?」

海未「はい、何ですか? 絵里」



絵里(やっぱり……未来の海未だ)
165 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 19:02:05.09 ID:XscbuIV20
絵里「海未、ここがどこだかわかる?」

海未「はい、ここではよく遊びましたから」

絵里「じゃあ今、いつだかわかる?」

海未「え? 今は秋でしょう? 何を言っているんですか絵里――――――――」

海未「葉桜……?」

絵里「そうよ海未。今はまだ1学期。期末試験も終わってない時期なの」

海未「そんな……嘘でしょう?」

絵里(なぜ海未がこっちに……)

絵里(……そういえば)



『海未ちゃんに教えたら眉唾物やって言われたんやけどね』



絵里「あなた……希に教えられたおまじないをやったのね」
166 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 19:10:22.03 ID:XscbuIV20
海未「おまじない……?」

海未「ま、まさかあれ、本当に……!」

絵里(やっぱり……)

絵里「海未、落ち着いて。ここは夢の世界よ」

絵里「大丈夫、大丈夫だから」

海未「……ありがとうございます。少し取り乱してしまいました」

亜里沙「飲み物買ってきましたー!」

絵里「あら、早かったわね」

海未「ありがとうございます、亜里沙」

亜里沙「えっ!? あ、ありがとうございます!」

海未「?」

絵里「海未、ここは過去だから急に名前で呼んだら……」

海未「あっ、すみません。亜里沙さん」

亜里沙「……さっきのままでよかったのに」
167 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 19:21:22.36 ID:XscbuIV20
絵里「亜里沙、悪いけどもう1本何か買ってきてくれない?」

亜里沙「え?」

絵里「今日は亜里沙、ちゃんと学院まで来られたからご褒美よ」

亜里沙「もう、お姉ちゃんってば……私、子どもじゃないんだからねっ!」

海未「それでも買いに行きましたね」

絵里「うん、そういう子だもの」

絵里(そろそろ本題に入らないといけないわね)

絵里「海未、詳しい話はまた今度、と言いたいところだけど、今日はうちに泊まりなさい」

海未「……わかりました。聞かせてください」

絵里(想定外だわ。まさか海未もこっちに来るなんて……)
188 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:26:45.58 ID:dCUDao4a0




海未「お邪魔します」

絵里「はい、いらっしゃい」

海未「……あら? ご両親はいらっしゃらないのですか?」

絵里「ふふふ、なんと都合のいいことに2人とも今日は旅行でいないのよ」

絵里(ペアチケットだったし、たまにはゆっくりしてもらうのも悪くないわよね)

海未「それで亜里沙は……」

絵里「穂乃果のところに泊まるんだって。雪穂ちゃんと約束してたって言っててね」

絵里「せっかく海未が来たのに私はなんて間の悪い子なのー! って嘆いてたわ」

海未「ふふ、そうですか」

絵里(海未を連れてきたからちょっと過去とは展開が違ったけど、大丈夫よね?)
189 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:29:26.83 ID:dCUDao4a0
絵里「さて、何から話そうかしら」

海未「そうですね……じゃあここに来た経緯を教えてもらえますか?」

絵里「うん」

絵里(えーっと、最初はどこから話そうかしら)

絵里「まず初めに、私はにこがμ'sに加入するちょうど前の頃に来たの」

海未「……結構時間が経っていますね」

絵里「そうなのよ。早期加入したいけど、なかなか糸口がつかめなくて」
190 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:32:14.32 ID:dCUDao4a0
海未「私が来たのはいつごろなんでしょうか」

絵里「海未が、何で私たちの活動を邪魔するんですかー! キーッ! って言ってた頃ね」

海未「そ、そんなことは一言も……!」

絵里「あはは、冗談よ冗談」

海未「はぁ……そう考えると絵里もずいぶん丸くなりましたね」

絵里「うん、自分でもそう思うわ」

絵里(やっぱり話せる人がいるのっていいわね)

海未「絵里、携帯電話が光ってますよ」

絵里「あ、マナーモードにしてたんだった。ありがとう海未」

絵里(……希から? こんな時間にどうしたのかしら)
191 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:33:47.44 ID:dCUDao4a0
絵里「ちょっと出るけどいいかしら」

海未「構いませんよ」

絵里「ありがと」

絵里(まあ何の用事であれ、ついでに海未のことも話しちゃいましょう)

絵里「はい、もしもし」

  希「えりちこんばんは」

絵里「こんばんは。どうしたの? 勉強でわからないところでもあった?」

  希「まあそんなところかなー」
192 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:35:15.01 ID:dCUDao4a0
  希「単刀直入に聞くで、えりち」

絵里「うん」

  希「えりちってさ、未来から来たんやろ?」

絵里「そうよ」

絵里(ってなんだかこの返し、漫画かアニメの主人公みたいなセリフね)

  希「それで思ったんやけど……」




  希「期末試験の問題、わかるやんな?」


193 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:37:46.72 ID:dCUDao4a0
絵里「!?」

絵里(そ、そうだった! 私は問題を知ってるんだ!)

海未「ど、どうしたんですか絵里! 汗がすごいですよ!」

  希「あれれ? 海未ちゃんの声聞こえたけど……」

絵里「ダメよ! 絶対にダメ! カンニングなんてぜーったいダメなんだから!」

絵里(あああああ、でも私は問題を知ってるのよね……ものすごくずるいわ。生徒会長なのにこんなずるいこと……)

絵里「うわああああああ」

海未「え、絵里! 気を確かに!」

  希「ご、ごめんえりち! 真面目なえりちにそんなこと言ってごめん!」

絵里「うう、私どうすればいいの……」
194 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:40:11.62 ID:dCUDao4a0
  希「あの、にこっちにヤマだけでも教えてあげて?」

絵里「え? ヤマ?」

絵里「でも私、問題知ってるからヤマじゃなくて……」

  希「そこはヤマっていう体でお願い」

絵里「……にこ、そんなに大変なの?」

  希「うん、もうジョーズに襲われるタイタニックくらい」

絵里(それはもう死が確定していると言っても過言ではないわね)

絵里「特にどの教科が?」

  希「国数英社理」

絵里「全部……」
195 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:42:17.60 ID:dCUDao4a0
絵里「わかった、わかったわ……」

  希「カードもな、にこっちが爆死する未来を告げてて」

絵里「うん、電話して教えるわ。教えてくれてありがとう希」

  希「いいっていいって、それより海未ちゃんの声は……」

絵里「あ、そうそう。海未も未来の海未になったのよ」

  希「……?」

海未「呼びましたか?」

絵里「……海未の口から教えてあげた方がいいかも」

海未「?」
196 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:45:03.27 ID:dCUDao4a0



  希「へぇ、海未ちゃんはウチのこと名前で呼んでくれるんや」

海未「あ、すみません。いつもの癖で……」

  希「いーのいーの。それの方がなんか親しげな感じするし」

海未「ではこのままで」

  希「みんなの前ではのんちゃんって呼んでな」

海未「えぇっ、希先輩ではなくですか!?」

  希「あはは、海未ちゃん思った通りからかいやすいなぁ」

絵里(希ってば、やってること未来と一緒)

海未「はぁ……良くも悪くもあなたは今も昔も変わりませんね」

  希「海未ちゃんそれあと10年くらいたってから言うセリフやで」
197 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:47:59.75 ID:dCUDao4a0
海未「それで、どうするんですか?」

絵里「何が?」

  希「何のこと?」

海未「いや、期末試験の後のことですよ」

絵里「え? 大丈夫なんじゃないの? このままの調子でいけば……」

  希「うんうん」

海未「未来では、絵里がダンスを教えてくれましたよね」

絵里「そうね」

海未「ダンスを教えてもらうきっかけはどう作るんですか?」

絵里(どう作ろう)
198 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:54:14.14 ID:dCUDao4a0
絵里「で、でも私はさっき、海未にμ'sに勧誘されたし……」

海未「ですが過去は、私たちをふるいにかけるという名分があったじゃないですか」

絵里「そうね」

  希「そうなん?」

絵里「そうなの」

海未「しかし希から話を聞いた限りでは、今のあなたを恐るるに足らない存在です!」

絵里「ひぇぇ」

  希「確かに今のえりちにはそういう威厳がないもんなぁ」

絵里「の、希まで……」
199 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 20:57:42.78 ID:dCUDao4a0
海未「そしてあの時のように、穂乃果たちが喰らいつくようにあなたの特訓についていかなければ……」

絵里「ついていかなければ……?」

海未「あんな風な急激なスキルアップは望めません!」

絵里「そ、そんなぁ!」

  希「つまり、海未ちゃんが言うには、えりちが一度μ'sのみんなを突き放す必要があるってことやね」

海未「ええ、そういうことです」

絵里「つ、突き放す……」

絵里(そ、そんなこと……みんなを突き放す?)

絵里「……できるわけないでしょぉ」

海未「ま、待ってください、今のはたとえですから! 泣かないでください!」

  希「あらら、海未ちゃん悪い子ー」

海未「やめてください!」
200 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:00:22.22 ID:dCUDao4a0
海未「ですからみんなには緊張感を持ってダンスレッスンをしてもらいたいわけです」

絵里「……じゃあ私、どうすればいいの?」

  希「緊張感なぁ」

海未「私にいい考えがあります」

絵里「ほんと?」

海未「ええ、ですがこれは絵里に聞かれては意味がありません。希と話したいので携帯電話を貸してもらえますか?」

絵里「いいわよ。希は?」

  希「おっけー」

絵里「はい海未」

海未「ありがとうございます。少し席を外しますね」

絵里「うん」
201 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:03:04.73 ID:dCUDao4a0
絵里(何で教えてくれないのかしら)

絵里(……もしかしたら私も緊張感を持たなきゃいけないのかも)

絵里「緊張感緊張感……うーん、どんな感じかしら」

絵里「やっぱりつり目?」

絵里(でも私、たれ目なのよねぇ……上げたらそれらしいかも)

絵里「びよーん」

海未「絵里、終わりまし……ぶふっ」

絵里「うわぁ!?」

  希「んー、どうしたん?」
202 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:12:33.03 ID:dCUDao4a0
――――――――――――――――

希「ん、電話……ああ」

希「もー、みんな後悔しすぎやんなぁ。えりちもそう思うやろ?」

絵里「んー……」

希「ちょっとだけ待っててな、えりち」

絵里「海未……ノック……」

希「あれ、海未ちゃんもそっち行ってるん?」

絵里「……ぅ」

希「……まあいっか」

希「ウチはみんなができるだけ幸せになってほしいんよ」

――――――――――――――――
203 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:17:18.81 ID:dCUDao4a0



にこ「ほぁぁ……」

希「どうしたんにこっち、期末そんなに悪かったん?」

にこ「ち、違うの……その逆で……」

希「んー?」

希「……」

希「んー!?」

絵里「どうしたの?」

希「にこっちが! にこっちやけど、にこっちやないんよ!」

絵里「え、何? トトロ?」
204 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:19:57.44 ID:dCUDao4a0
希「ほら、えりちにも見せてあげて」

にこ「……あんたに教えられたヤマ、全部当たったんだけど……ほかに自分で張ってたヤマも当たって」

絵里「えええ!? なにこれ!?」

海未「どうしました?」

絵里「う、海未! 見て!」

海未「ふむふむ、平均点91点……絵里のテストですか?」

希「にこっちのや……」

海未「え?」

希「にこっちのテスト結果……」

海未「またまたご冗談を」

にこ「……」

海未「え、本当に……?」
205 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:25:29.66 ID:dCUDao4a0
穂乃果「生徒会長生徒会長生徒会長!」

絵里「ほの……どうしました高坂さん」

穂乃果「μ'sの1年生、2年生は全員赤点回避できました! あとはにこ先輩だけで……」

にこ「……」

希「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「ま、まさか……!」

海未「これを見てください」

穂乃果「……88、95、90、89、93……す、すごい、希先輩か生徒会長のテストですか?」

海未「それは……」

希「にこっちのなんよ」

穂乃果「にこっ……!?」

にこ「……」

穂乃果「」

海未「ほ、穂乃果! しっかりしてください!」
206 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:30:23.16 ID:dCUDao4a0




海未「というわけで期末も終えたので、作戦会議を始めます」

絵里「おー!」

希「おーっ」

にこ「……なんで海未がいるの?」

絵里「海未も未来から来たのと入れ替わったの」

にこ「なんかその超理論で納得しちゃう自分が嫌になってきたわ」

海未「そこ、私語は慎んでください。今から大事な話をするんですから」

絵里「ごめんなさい」

にこ「はいはい」

希「海未ちゃんの方が生徒会長っぽいなぁ……」
208 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:34:41.02 ID:dCUDao4a0
海未「まず私たちの今の実力では、ラブライブしつじょ……」

海未「出場など到底不可能です」

にこ「ごめんもう1回言って」

絵里(鬼だわ)

希「鬼やでにこっち」

にこ「え、何て言ったかわかんなかったもの」

海未「私たちのじゅつりょ」

希「ほら、μ'sの現在の実力は、海未ちゃんが身を持って証明してくれたやろ?」

絵里(希もなかなかの鬼だわ)
209 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:40:09.68 ID:dCUDao4a0
海未「と、とにかく! 絵里のダンスレッスンが必要となるのです」

にこ「なんで? 私たちってそんなに下手かしら」

海未「過去の絵里はお遊びにしか見えないって言ってました」

にこ「……あんた、本当にそういうキャラだったのね」

絵里「だ、だって! あのころは本当に大変だったんだもん!」

希「まあまあ、にこっちも実際、実力不足は感じてるわけやろ?」

にこ「まあね」

絵里「ここで私の出番ってわけよ」

にこ「それも何で?」

海未「絵里はバレエをやっていましたから」

にこ「……?」

絵里「たぶんにこの考えてるバレエはバレーだと思うわ」
210 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:45:09.38 ID:dCUDao4a0
希「でもな、今のえりちが特訓するって言って出て行ってもみんな緊張感なんてないやろ?」

にこ「確かにね。今の絵里が怒っても全然怖くないもの」

絵里「そう?」

海未「ええ、今の絵里は牙の抜かれた獅子です」

絵里「がおー」

希「かわいい」

にこ「かわいい」

絵里(……ほんとだわ)
212 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/14(月) 21:52:06.28 ID:dCUDao4a0
海未「なので絵里にはこれを付けてもらいます」

にこ「なにこれ……メガネ?」

希「それにウィッグ?」

絵里「……何このラインナップ」

海未「変装です」

絵里「えっ」

海未「あなたには変装して、ダンスレッスンをしてもらいます!」

絵里(え、そんな簡単なことじゃバレる……)




絵里「私がダンスコーチを務めるエリーと申します」

凛「初めまして!」

花陽「よ、よろしくお願いします」

真姫「本当に大丈夫なの?」

絵里(騙せた)
222 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:14:41.02 ID:mCz4RYGr0
絵里(まあこの調子で、行けるところまで行っちゃいましょう)

絵里「まず初めに、あなたたちの柔軟性のチェックをします」

海未「ではことり、前に出てきてください」

ことり「はいっ!」

絵里(わー、素直ねみんな)

穂乃果「みんな! ちょっと待って!」

花陽「え?」

凛「どうしたんですか穂乃果先輩」

真姫「?」

穂乃果「おかしいよ、何かがおかしい……」

絵里(ま、まさか穂乃果……)

海未「……」
223 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:17:09.62 ID:mCz4RYGr0
穂乃果「だってさ、急にダンスコーチが来るなんて変だよ」

凛「……それはそうかも」

真姫「そうかしら? コーチが来るなんて普通のことじゃない」

穂乃果「でもでも! 生徒会長が許してくれるのかな? そんなにお金かかること……」

ことり「前の生徒会長だったら認めてくれなかったかもしれないけど、今なら大丈夫だよ!」

花陽「わ、私もそう思います」

絵里(うん、私も認めるわ)

海未「ど、どうしたんですか穂乃果。急にそんなことを言い出して」

絵里(声が震えてる……海未って演技下手なのね)

穂乃果「だって……いないんだもん」
224 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:19:34.63 ID:mCz4RYGr0
海未「いない?」

ことり「いないって……」

絵里(ま、まさか生徒会室!?)

絵里(いや、万が一のために希をポニーテールにしてカーテンの影からうっすら見えるようには細工したはず……)

絵里(私の変装姿が見たいって騒いで大変だったけど)

真姫「誰かがいないのと何の関係があるっていうの?」

穂乃果「……その人が変装してる」

花陽「そ、そんな……」

海未「」

絵里「」
225 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:22:39.65 ID:mCz4RYGr0
凛「じゃあその人は……」

穂乃果「うん、そうだよ凛ちゃん」

海未「……」

絵里(あぁ、海未が固まっちゃった)

絵里(……いっそのことここでバレた方がいいのかもね)

絵里(緊張感の話は仕方ないけど、こればっかりはどうしようもないか)

絵里(それに、私のことを見抜いてくれたのがちょっとだけうれしいし……)

絵里「よく見抜いたわね。そうよ、実は私は――――――――」




穂乃果「にこ先輩ですよね!」

凛「にこ先輩にゃー!」



海未「ことり、前に出てきてください」

ことり「はーい」
226 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:26:38.77 ID:mCz4RYGr0
真姫「でも、にこ先輩がいないのはどうして?」

穂乃果「えっ、にこ先輩ならここに」

海未「穂乃果は黙っていてください」

凛「あれ、スルーなの? 凛たちの名推理は……」

ことり「凛ちゃん、向こうでことりと一緒に遊ぼっか」

絵里(そういえばにこは用事で今日は抜けるって……でも何の用事なんだろ)

絵里「あら、もう1人メンバーがいるのね」

花陽「はい、先輩が今日は来てなくて」

絵里(みんなには話してないのかしら)

絵里「……海未、あなたは聞いたわよね」

海未「はい。にこはただの用事だと言っていましたよ」

穂乃果「用事なの?」

海未「はい」
227 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:29:59.33 ID:mCz4RYGr0
ことり「それなら今日は私たちだけで特訓だねっ」

凛「最初は柔軟性? 凛は瞬発力なら自信あるよー」

真姫「私は別に、信用してるわけじゃないし……」

花陽「ど、どうしよう……緊張してきちゃったぁ」

絵里(みんな全然緊張してない……というか逆にフレンドリーよね)

海未「はて? 私だったら相当緊張するんですが……」

絵里(なぁーるほど)

絵里「ではことりさん、地面に座って、足を広げて上体を倒してみてください」

ことり「はーい」

ことり「……よいしょっと、これでいいですか?」

絵里「うん、ありがとう」

絵里(やっぱりことりは大丈夫そうね)


228 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:32:10.66 ID:mCz4RYGr0
穂乃果「わぁ……やっぱりことりちゃん柔らかいね!」

ことり「えへへ、ありがと」

凛「凛もそのくらいぺったりついてみたいにゃー」

花陽「うん、そうだよね」

絵里(この時はみんな、どのくらい柔軟できたかしら……)

海未「では次は真姫、来てください」

真姫「え、私もやるの」

海未「当然でしょう」

真姫「うぅ……苦手じゃないけど知らない人の前でやるのって変な気分」
229 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:38:23.24 ID:mCz4RYGr0



絵里(一通り見終わったけど……海未以外のみんな実力は未来の半分もついてない)

絵里(当たり前だけど、みんなこれからどんどん成長していくのよね)

絵里「ふふ」

海未「どうしました?」

絵里「なんでもないわ」

絵里「それじゃ、バランスをとる練習よ。こうやって両手を伸ばして……こうやるの」

凛「わー、それくらいなら凛もできそ……」

絵里「これを左右の足、交互に5分を3セットよ」

凛「……30分耐久フラミンゴ対決?」

花陽「り、凛ちゃん落ち着いて!」
230 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:42:14.01 ID:mCz4RYGr0
絵里(あの時の私はムキになってたのもあって、少し時間を長くとりすぎちゃったのよね)

絵里(でもこのくらいならみんな……)

真姫「う……」

花陽「ふぬぬ……」

凛「こ、これはつらいにゃ……」

絵里「……」

絵里「やっぱり10分を3セット」

凛「お、鬼がいる!」

穂乃果「ま、まだまだー!」

絵里「ど、どうしてそんなに体力がないの?」

海未「……ああ、そういえば今朝、なっていなかったのでトレーニングの内容を増やしたんです」

絵里(今のみんなに海未式トレーニングはハードね)
231 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 19:47:17.15 ID:mCz4RYGr0
絵里「じゃあ今日は簡単なものから始めましょう」

穂乃果「そ、そんな! 私たちまだやれます!」

凛「凛も……こんなところで諦めたくない!」

絵里(ふふ、そういうところは変わってないんだから)

絵里「でもね、みんなが体を壊したら大変でしょ? だから今日はちょっとした有酸素運動を中心にするわ」

絵里(海未式は確か腕立てや腹筋なんかのウェイトトレーニングよね。なら柔軟はここで軽めにして……)

海未「そうですね。今の実力を失念していました……すみません」

ことり「い……いいんだよ、海未ちゃん」

真姫「なんで……そんなにしゃべれるのよ……」
232 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:03:39.92 ID:mCz4RYGr0




希「もー、えりち、ウチを置いてって……」

絵里「ごめんごめん。でもこの格好で生徒会室に入ったらバレちゃうから」

希「ウチも見たいー。えりちの変装見たいー」

絵里「じゃあ……少しだけね?」

希「やった!」

絵里「私は絢瀬絵里ではなく、さすらいのダンサーエリーよ!」

希「……」

絵里(あ、あれ? 反応がない……)

希「えりちはライトブラウンやなくて金髪が似合うよ」

絵里「あ、うん」

希「メガネだけでいいんよ。ウチ、えりちの髪の毛好きやし」

絵里(知らなかった)
233 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:06:35.97 ID:mCz4RYGr0
絵里「じゃあもう1回……」

絵里「賢さの象徴であるメガネ!」

希「今はドジっ子のアイテムでもあるみたいやで」

絵里「えっ」

希「うんうん、黒縁似合うやん。海未ちゃんもよくこんなの持ってたなぁ」

海未「ただのパーティーグッズですよ」

絵里「あら海未、おかえり」

海未「はい、ただいま戻りました。絵里……」

海未「……のんちゃん」

希「……今ウチにはえりちとにこっちというものがありながら浮気しかけるところやった」

絵里(それでも2人いるんだ)
234 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:10:42.50 ID:mCz4RYGr0
海未「これからどうしますか?」

絵里「ああ、ダンスレッスンについてよね」

海未「はい。それです」

絵里「たぶんペースはこのままでいいと思うわ。学校説明会にもまだ時間がある時期から始めてるし……」

海未「そうですよね」

絵里「あと海未、あんな過度なトレーニングはもう少し先までお預けよ?」

海未「そうですね……私もなかなかこちらの感覚がつかめずにいるんですよ」

希「何をやらせたん?」

海未「腕立て20回を5セットと……」

希「ウチはマネージャーがいいなぁ」

絵里(正しい反応よね)
235 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:14:52.45 ID:mCz4RYGr0
海未「希! そんなことを言っていてはラブライブ出場は夢のまた夢ですよ!」

希「のんちゃん」

海未「のっ……私がどれだけ恥ずかしい思いをしてその言葉を言わなければならないか考えたことがありますか?」

希「ちょっと背伸びするだけでいいんやってー、な?」

絵里「そうねのんちゃん」

海未「絵里まで!」

絵里「ぷぷぷ」

絵里(海未もちょっとはこっちに慣れてきたみたいね)
236 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:17:44.61 ID:mCz4RYGr0




にこ「おはよう絵里、希」

絵里「んー、おはよう」

希「あ、にこっち何その袋。もしかしてウチらにプレゼント?」

にこ「そうよ」

希「なーんて、知ってるよ。にこっちがプレゼントなんて……え?」

にこ「あんたたちには世話になったからお礼。とくに絵里はヤマを当ててくれたし」

絵里(あれは知っていた打明けだから、あんまり気にしないでほしんだけど……まあいいか。受け取らないわけにはいかないしね)

希「わぁー、うれしい! これ開けてもいい?」

にこ「いいわよ」
237 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:21:11.41 ID:mCz4RYGr0
絵里「私も開けていい?」

にこ「絵里はダメ」

絵里「なんで!?」

にこ「嘘よ。開けてみて」

絵里「わーい」

希「……こ、これは」

絵里(こ、これは!?)




希「焼肉の……タレ?」

絵里「チョコ!」
238 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:23:50.88 ID:mCz4RYGr0
希「に、にこっち……これは」

にこ「あんた焼肉が好きだって言ってたから」

希「それは違うやろー! こんなかわいらしいラッピングの中からこんな香ばしい……じゅるり」

にこ「それは冗談でクッキー渡そうと思ったんだけど満足してるみたいだからいらないわね」

希「いるいる。それとこれとは別腹やで」

絵里(チョコレート……手作り……)

絵里「バレンタインにはまだ早いわよね?」

にこ「違う。そういう意味じゃないから」
239 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:29:08.03 ID:mCz4RYGr0
絵里「今日は練習来るのよね?」

希「……っていうかこれ作ってたから昨日休んだんと違う?」

にこ「……べ、別にあんたたちの為じゃないんだから!」

絵里「あ、にげた」

希「ツンデレ……にこっちかわいい!」

絵里(なんだか未来のにこより照れ屋さんというか……なんでかしら?)

絵里「今日は生徒会の仕事は特にないし、私だと勘違いされる理由も少ないだろうから……練習見に来る?」

希「10秒に1回はウチの方見てくれるならいいよ」

絵里「ええっ!?」

希「えりち、そろそろ冗談に気付かな」
240 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:34:22.80 ID:mCz4RYGr0




絵里「さあ、今日も練習を始めましょう」

花陽「はいっ!」

ことり「はい!」

絵里(……あれ? 花陽のおでこ、に……絆創膏?)

真姫「花陽、おでこどうしたの?」

花陽「えっ? あ、こ、これはね……」

凛「かよちんが朝からお寝坊さんで、急いで着替えてたら足がもつれて転んじゃったの」

花陽「り、凛ちゃん! 言わない約束だったのにぃ……」

凛「あ、ごめんかよちん」

絵里(なんだ、大したケガじゃないならよかったんだけど)

絵里「初めは昨日みたいに各自ストレッチからよ」

穂乃果「はい!」
241 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:39:37.85 ID:mCz4RYGr0
にこ「し、しんどい……」

絵里「……にこ先輩は昨日休みましたからね、なんちゃって」

にこ「ちょ、耳元で囁くのやめなさいよ」

絵里「あ、チョコおいしかったわよ」

にこ「いきなりプライベートな話をするんじゃない!」

穂乃果「どうしたの? エリーさんとにこ先輩、親しげですけど……」

にこ「あ、あぁ。姿勢がずれてるって注意されただけよ」

絵里(穂乃果ってこういう時だと鋭いのよね……あのラブライブの時はもっと切羽詰った感じで――――――――)

絵里(あれ? もしかしたら、私ならその未来を変えられるんじゃ……)




絵里(ラブライブに出場できる――――――――?)
242 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:43:25.86 ID:mCz4RYGr0
絵里「……」

にこ「絵里、どうしたのよ」

絵里「え? いや、なんでもないわ」

絵里(そうか、私なら止められる)

絵里(未来を変えることが……できる)

絵里「みんな、ラスト5分頑張って!」

ことり「はい!」

真姫「はい」

花陽「はいっ!」

海未「花陽、少しバランスが良くなったのではありませんか?」

花陽「本当……ですか? それだとうれしいなぁ……」

にこ「朝は転んだ分、今はバランスよくなったんじゃないの」

花陽「ええっ!?」
244 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:47:56.64 ID:mCz4RYGr0
希「やー、みんながんばってるなぁ」

穂乃果「の、希……先輩!」

海未「どうしたんですか?」

希「みんなにスポーツドリンクの差し入れやでー」

凛「やったにゃー! っとと、転ぶとこだった」

真姫「あと4分……くっ」

絵里(昨日は疲労もあったせいでふらふらだったけど、今はだいぶしっかりしてるわね)

絵里(これなら本当にラブライブに……ううん、今は学校説明会のことだけ考えなくちゃ)

希「ふーん、そんな風に練習するんやね……」
245 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:51:01.65 ID:mCz4RYGr0



絵里「よし、今日の練習はここまでよ! みんなお疲れさま!」

穂乃果「ありがとうございました!」

ことり「ありがとうございましたっ!」

凛「あ、ありがとうございましたぁ……」

真姫「はぁ、はぁ……ました……」

海未「ありがとうございました」

花陽「ありがとうございました!」

にこ「」

希「にこっちー、生きてるー?」

にこ「……かろうじて」
246 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:54:03.94 ID:mCz4RYGr0
絵里(まずは生徒会室に戻って……結局仕事が出てきたし、あれを片付けないと)

絵里「じゃあまた明日ね。あそれと、今日は早めに寝なさい」

凛「凛は言われなくても早く寝るにゃー……」

真姫「そうね……はぁ」

絵里(ふふ、みんないい感じに疲れてるわね。睡眠もばっちりとれそうでいいじゃない)

希「エリーさん、ドアを開けておきました」

絵里「ありがと」

希「……えりち、ドア閉めたよ」

絵里「うん。希、戻るわよ」

希「はいはーい」
247 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 20:56:55.85 ID:mCz4RYGr0
絵里「まずはあの資料を適当にまとめないと」

希「うん、ウチも気が向いたら手伝う」

絵里「気が向かずとも手伝うの」

希「えへへー、わかってるって」

絵里「うーん、運動した後は結構気持ちいわいね」

希「あれ? えりちも動いてたん?」

絵里「まあみんなのサポートをしてたらそれなりに、ね」

希「そうなんや」
248 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 21:00:03.28 ID:mCz4RYGr0
絵里「あー、生徒会室は涼しいわね」

希「風通しがいいんやろうね。風水的にも」

絵里「あら、希は風水もできるの?」

希「なんとなくかなー」

絵里「あはは、それじゃダメなんじゃないの?」

希「たぶん四方八方に招き猫を置けば金運上がると思うで」

絵里「それはそれで怖いわよ」



花陽「あのっ、すみません! 小泉花陽です!」
249 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 21:02:56.07 ID:mCz4RYGr0
絵里(花陽? どうしたのかしら)

花陽「せ、生徒会長さんいますか?」

絵里「はいはい。開いてるから入ってちょうだい」

花陽「失礼します」

希「そんなに声出さんでも聞こえるよー」

花陽「すみません……」

希「あ、怒ったわけやないんよ」

絵里「それでどうしたの? 何か落し物かな?」

絵里(落し物……花陽の落し物っぽいものは届いてないけど)
250 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/15(火) 21:05:31.97 ID:mCz4RYGr0
花陽「私、生徒会の仕事をお手伝いしたくて!」

絵里「え?」

絵里(仕事を……?)

花陽「生徒会長さんがμ'sに入ってくれないのは、きっと仕事が忙しいからだと思って……」

絵里(あ、そっか。海未が全然音沙汰なしだったからそういうことに……)

希「なあえりち、そういうことにしてた方が加入しやすいんと違う?」

絵里「そうね。うん、それがいいわ」

絵里「ありがとう小泉さん、人手不足で困ってたのよ。是非とも手伝ってほしいわ」

花陽「あ、ありがとうございます! がんばります!」
258 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:28:46.79 ID:6xsAjb/h0




絵里(最近は順調ね。うんうん)

絵里(ダンスレッスンもうまくいってるし、花陽のおかげで仕事も捗るし)

絵里(これで後はさりげなくメンバーに入れたら……)

絵里「希、にこ。おはよう」

にこ「おはよ」

希「おはようえりち。今日もいい笑顔やね」

絵里「あ、また笑ってた?」

にこ「幸せを振りまいてどうするのよってくらいね」

絵里(き、気を付けなきゃ)
259 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:32:44.93 ID:6xsAjb/h0
絵里「今日は1時間目何だっけ」

希「数学やったよ」

にこ「あー、期末終わったのになんで授業があるのかしらね」

絵里「夏休みの課題を出す期間がいるのよ、きっと」

にこ「うわー、いらなーい」

絵里「じゃあみんなで宿題を早く片付けてしまう会、みたいなのする?」

にこ「……する」

希「やっぱりみんなと一緒なら何でもいいんやねー。にこっちかわいい」

にこ「うるさい」
260 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:36:34.94 ID:6xsAjb/h0
希「でもえりち、結局学校説明会はμ'sのみんなにやってもらうんやろ? 理事長とかに言った?」

絵里「ああ、それはもう済ませたわよ」

絵里(海未の指摘で思い出したんだけどね)

にこ「え? 私何も聞いてないけど」

絵里「たぶん今日くらいに海未と花陽から伝えられると思うわ」

にこ「なんで花陽も?」

希「最近生徒会の仕事手伝ってくれるんよ」

にこ「へー……あの子もそんな体力ついたんだ」

絵里「え?」
261 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:39:52.54 ID:6xsAjb/h0
にこ「だってあんたたちの仕事を手伝うのって、練習が始まる前か後のどっちかでしょ?」

絵里「あ」

希「……本当や。ウチそんなこと全然……」

にこ「凛や海未はともかくとして、花陽は結構いっぱいいっぱいなんじゃないの?」

絵里(そうか、このころの花陽はすごく体力が低かったわよね……)

絵里「うん……でも花陽が生徒会を手伝いたいって言ってくれるのを退けるのは、ちょっと気が引けるかも」

にこ「そこはアレよ。なんか言いくるめればいいのよ」

希「そんな、にこっちやあるまいし」

にこ「どういう意味よ!」
262 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:42:35.88 ID:6xsAjb/h0




花陽「この表はここで……こうして……」

絵里(また花陽は練習の後に仕事に付き合ってくれてる)

絵里(うーん、やっぱり心配ね……何て切り出そうかしら)

絵里「……」

絵里(にこにはああ言われたけど、やっぱり私には直球しか投げられないわね)

絵里「ねぇ小泉さん。つらくはないの?」

花陽「え?」

絵里「あ、変なこと聞くようでごめんなさいね。ただ練習の後にこうして仕事を手伝ってくれるのは……」
263 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:45:29.63 ID:6xsAjb/h0
花陽「え? あ、大丈夫ですよ。最近はエリーさんのダンスレッスンのおかげで体力が付きましたから!」

絵里(うわぁ、すごくうれしい)

絵里「そう? あまり無理しないでね。学校説明会にはあなたも出てもらうんだから」

絵里(……よく考えたら私、この手前くらいにはμ'sに加入してたわよね)

絵里(うう、これってとっても不味い気がするわ)

花陽「生徒会長? どうしたんですか?」

絵里「あ、ううん、なんでもないの」

絵里(うーん、何かいい策は……うーん)
264 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:50:08.10 ID:6xsAjb/h0
花陽「あの……」

絵里「え? 何?」

花陽「生徒会長がμ'sに入ってくれないのは、やっぱりお仕事が忙しいからですか?」

絵里(……いいえ、そんなことない。なんて言ったら入れるんでしょうね)

絵里(でもそれをするとエリーとしてダンスコーチができなくなる)

絵里「まあそんなところかもね。廃校を阻止するためには生徒会としての活動も重要だから」

絵里(ああああ、ここで仲間に入れてほしい、なんて言えたらどれだけ楽かしら)

花陽「そう……ですよね」

絵里「あ、いや。いつもはそんなことないのよ。でも最近は希がこの時間になったら用事でいなくなっちゃうから……」

絵里(しまった。これじゃ花陽にもっと無理させちゃうことになる……)
265 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 21:54:41.37 ID:6xsAjb/h0
花陽「私、なるべく早く生徒会長にμ'sとして活動してもらいたいんです」

絵里「……それはどうしてかしら」

絵里(花陽、何でそんなに深刻そうな顔を……?)

花陽「それは――――――――生徒会長がやりたいことをできないんじゃないのかもしれない、と思ったので」

絵里(鋭い)

絵里「その私のやりたいことって言うのが、μ'sに入って活動したいということだと思っているわけね?」

花陽「え、あ……はい。今の生徒会長は何かと私たちを気にかけてくれているみたいなので、もしかしたら、と」

絵里(……花陽にしては強気な意見だわ。確信させるほど私の本心ってわかりやすかったかしら?)

絵里(まあ隠していてもどうしようもないし、少しだけ教えるのもいいかもね)

絵里「そうよ。私はμ'sに入りたいわ」
268 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:00:46.94 ID:6xsAjb/h0
花陽「やっぱり――――――――」

絵里「でもできない理由は、生徒会の仕事が忙しいからじゃないの」

絵里(ダンスコーチとしてみんなに緊張感を持ってもらうこと)

絵里(それに海未と私の秘密がバレにくくするために)

花陽「それはっ、生徒会の仕事が片付けばすぐに終わることでしょうか」

絵里「ううん、そういうものじゃないの」

花陽「……そうですか」

絵里(花陽は本当に優しいのね)

花陽「でも私は生徒会の仕事を手伝うことをやめたりはしません」

花陽「生徒会長のお役にたちたいんです。私たちのために手を尽くしてくれる生徒会のために」

絵里「ありがとう。本当に助かっているわ」

絵里(私も今、花陽がいなくなったら困るからねぇ……)
269 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:03:27.49 ID:6xsAjb/h0
花陽「あ、あと、生徒会のこととは関係ないんですけど……」

絵里「何?」

花陽「生徒会長のこと……え、絵里先輩、と呼んでもいいでしょうか?」

花陽「あっ、ダメならダメで構わないんです!」

絵里(……かわいい。心の底から癒されたわ)

絵里「もちろん大丈夫よ。好きに呼んでくれていいわ」

花陽「ありがとうございます!」

絵里「じゃあその代わり、私もあなたのことを花陽、と呼んでもいいかしら?」

花陽「はいっ、絵里先輩!」
270 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:07:36.11 ID:6xsAjb/h0




絵里(あぁ、今日はかなり仲が進展したと見て間違いないわね)

絵里(これで気兼ねなく花陽って呼べる……ふふふ)

絵里「あ、そうだ。希はこのあたりでバイトしてるんだっけ。行ってみようかしら」

絵里(巫女さんだったわよね。あんな美人ならすぐ見つかるはず……)

絵里「えーと、確かこっちのはず……」
271 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:09:43.66 ID:6xsAjb/h0
希「いーち、にー、さーん……」

絵里(巫女姿で片足立ちしてる)

絵里「……希?」

希「うひゃあ!?」

希「ってえりち、驚かさんといてよぉ」

絵里「何してたの?」

希「え? 見てわかるやろ?」

絵里(さっきまでしてた片足立ちのことかしら? でもあれって……)
272 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:12:20.91 ID:6xsAjb/h0
絵里「もしかして、私の特訓のメニュー?」

希「ぴんぽんぴんぽん! 大正解!」

希「ウチもダンスは得意なんやけど、こういう柔軟ってあんまりしたことなくて」

絵里「だから見よう見まねでやってたわけね」

希「うん、だってえりちがμ'sで活躍することになったら、ウチが足引っ張ってられないやろ?」

絵里「もう、希ったら……」

絵里(もしかしたら未来の希も、こうして練習してたのかも)
273 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:17:05.09 ID:6xsAjb/h0
希「みんなには内緒やで?」

絵里「仕方ないわね」

絵里(……でも)

絵里「角度が甘いわ。もっとこうよ、こう!」

希「え、そんなに傾くん?」

絵里「そうそう。そんな感じ」

希「ちょ、ちょっとつらい……」

絵里「そのくらいでちょうどいいの。終わるまで掃除は私が代わってあげる」

希「そ、それはそれで嫌やー!」
274 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:20:46.42 ID:6xsAjb/h0
――――――――――――――――

希「えりち、ただいま」

絵里「希……角度」

希「角度?」

絵里「角度……かく……」

希「うーん、なんのことやら」

希「まああっちもあっちで無事にできたみたいやし、これで大丈夫やね」
275 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:24:00.74 ID:6xsAjb/h0
希「そうや、えりちに昔話をしてあげましょう」

絵里「……くぅ」

希「まあ寝てるし、ウチの自己満足みたいなものやからいいよね?」




希「えりち、昔はウチがμ'sにつけてた名前はμ'sやなかったんよ」

希「それに、ウチが名前を付けてなかった頃もあった」

希「μ'sが9人っていうのは、ウチが思いついただけの――――――――そう、偶然の産物なんよ」

――――――――――――――――
276 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:26:28.61 ID:6xsAjb/h0




絵里「うー、眠い」

希「ウチもー」

海未「朝からどうしたんですか。話があると言うから生徒会室まで来たんですよ?」

絵里「だって希の角度が」

希「えりちがスパルタやって」

海未「?」

絵里「まあそれはいいとして、昨日花陽と仲良くなれたのよ」

海未「花陽と? 生徒会の仕事の手伝いの延長で、ですか?」

絵里「違う違う。そんなに事務的なものじゃなくて」
277 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:28:47.40 ID:6xsAjb/h0
希「そういえば昨日のえりち、はしゃいでたもんなぁ」

絵里(まあ嬉しかったからね……実際花陽とは一番距離があると感じてたし)

海未「具体的にはどのような感じで仲良くなったんですか?」

絵里「名前で呼び合うくらいにね!」

希「ああ、言ってたなぁ」

絵里「希半分寝てたじゃない」

希「だってハードやったもん」
278 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:33:55.34 ID:6xsAjb/h0
海未「それはだいぶ現代、というか未来に近づいてきましたね」

絵里「ええ、あとは先輩っていうのを外してもらえれば……完璧よ」

希「えりち先輩?」

絵里「ダメダメ、ちゃんと呼びなさい」

希「ち先輩」

絵里「本体消えたわよ!」

海未「ふふ、絵里は生き生きしていていいですね」

絵里(希にもそんなこと言われた気がする)
279 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:38:24.40 ID:6xsAjb/h0
海未「今日もコーチ役をやってくれるんでしょう? 楽しみにしていますよ」

絵里「あらあら、そんなこと言って実は海未もつらくなってきたんじゃない?」

海未「いえ、きちんと個別にトレーニングは行っていますから」

希「真面目やね」

絵里「真面目だわ」

海未「こ、これくらい普通ですよ!」

絵里「真面目だわ」

希「真面目やね」

海未「だから当たり前だと……まさか絵里、個別のトレーニングをしていないわけではないでしょうね?」

絵里「し、してます!」

絵里(ちょっと軽くしてるけど……)
280 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:45:14.67 ID:6xsAjb/h0
絵里「あ、そうだ海未。学校説明会についての注意事項はみんなに説明した?」

海未「はい。というか1度やりましたし」

絵里「そうね。だけどステージの位置が少しずれるからその説明を放課後にするわ。今日大丈夫?」

海未「はい、もちろんです。練習終わりにまた会いましょう」

絵里「うん、ありがと」

希「ウチらも教室戻ろっか。きっとにこっちが涙目で探してるで」

絵里「あはは」

にこ「や、やっと見つけた……!」

海未「うわぁ!?」

絵里「に、にこ?」

にこ「私も呼びなさいよ!」

希「あらら、にこっち本当に涙目や」

にこ「うるさい!」
281 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/16(水) 22:51:35.61 ID:6xsAjb/h0
絵里「ごめんねにこ、1人にしちゃって」

にこ「違うわよ! まだ来ないから遅刻するんじゃないかと……」

希「にこっちが来るの遅かったから先に行ってたんよ。今度から待つで」

にこ「だーかーら」

海未「にこ」

にこ「海未からも何とか言って……」

海未「すみません、私も気が利かずに」

にこ「うがー! 違うって言ってるでしょ!」

絵里「チョコあげる」

にこ「そんなもので釣られるか!」

絵里(これが反抗期なのね……)
293 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 21:51:41.55 ID:WE0Pfa1u0




絵里「海未、お待たせ」

海未「わざわざ練習を休みにしなくてもよかったのですが……」

絵里「ダメよ。今日は休養日なんだから」

海未「誰が決めたんですか?」

絵里「わたしです」

海未「ふふ、μ'sにまだ入ってないのに」

絵里「い、痛いところを」
294 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 21:55:13.56 ID:WE0Pfa1u0
海未「それでステージの位置の変更はどのあたりですか?」

絵里「うん、少し手前に動くのよ。7人だとステージが小さくていいからね……」

絵里「……小さくて」

海未「自分で言っておいて落ち込まないでください」

絵里「でも……」

絵里(だってまだ加入できてないもん……)

海未「考えてることはわかりますよ。だからと言って焦っていても仕方がないでしょう?」

絵里「そうね。そうよね……」

海未「私も何とか学校説明会に間に合うように、加入を催促したりしてみますから。うまく渋ったり……とりあえず演技を頑張ってください」

絵里「演技って」

海未「すんなり加入したらそれはそれで変でしょう」

絵里(まあそうなんだけどねぇ)
295 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 21:57:30.55 ID:WE0Pfa1u0
海未「それと少し、話は変わりますが構いませんか?」

絵里「いいわよ」

海未「……今日は花陽は来ませんか?」

絵里(えーっと、練習は休みだ、って言ったらもともと用事で来られないとか言ってたっけ……)

絵里「用事でもともと練習に出る気はなかったらしいし、おそらく来ないわ」

海未「そうですか。では……」



海未「花陽はもしかすると、おまじないを実行しているのかもしれません」
296 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 21:59:52.10 ID:WE0Pfa1u0
絵里「え? 花陽が?」

絵里(花陽が後悔? でもそんなの言ってなかったわよね?)

海未「はい、花陽の動きは格段に良くなっています」

海未「それに何より、生徒会の仕事を手伝い始めたのが疑問です」

絵里「でもそんな――――――――」



『やっぱりお仕事時間かかったみたいだね……手伝った方がよかったよね』



絵里「……あ」

海未「思い当たるフシがありましたか」
297 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:03:41.60 ID:WE0Pfa1u0
絵里「で、でも花陽は倒れたりしなかったわよ?」

海未「何も私たちの前で起こっているとは限らないでしょう」

絵里(そういえばそうね。確かにいつ起こってもおかしくはないはず)

絵里(でも人が倒れるなんて重大なこと、誰かが見逃すはずがない)

絵里「なら誰かがきっと目撃して――――――――」



『かよちんが朝からお寝坊さんで、急いで着替えてたら足がもつれて転んじゃったの』



絵里「まさか……」

海未「……クロ、確定ではないのですか?」

絵里「く、クロって、何も犯罪者じゃあるまいし」

海未「言ってみたかっただけですよ」
298 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:07:16.00 ID:WE0Pfa1u0
絵里「でも仮にそうだとして、どうやって確かめればいいのかしら」

海未「ここはもうストレートに言ってしまっていいのではないでしょうか」

絵里「なんで?」

海未「こちらからおまじないの話を切り出せば、花陽の警戒心は解けるはずです。おそらく彼女は私たちがこちらにいることを知りません」

絵里(……そうかもね)

絵里「じゃあ明日、生徒会の仕事に付き合ってもらう時に聞いて見るわ」

海未「はい、お願いします」

絵里(でも花陽の後悔って何なのかしら。生徒会の仕事を手伝いたいだけとは思えないんだけど)

絵里「あ、そうだ海未」

海未「なんですか?」

絵里「海未の後悔って……何?」
300 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:09:57.18 ID:WE0Pfa1u0
絵里「あ、もちろん話したくなかったら話さなくて……」

海未「いいえ、特に話してしまって問題はありません」

絵里「そうなの?」

海未「きっとあなたにもわかるはずですよ。絵里」

絵里「私にわかるはず?」

海未「はい」

絵里「何だろう……あ」

絵里「ことりの留学関連、だったりする?」

海未「それで正解です」

絵里(やっぱり)
302 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:12:06.86 ID:WE0Pfa1u0
海未「ただ、それだけではないんです」

絵里「?」

海未「私がもっとしっかりしていればよかった、と」

海未「私は穂乃果を混乱させ、ことりの思いをいたずらに揺らして……」




海未「結局は適当な理由をつけて、ことりを助けてもらうのに穂乃果を利用したんですよ」


305 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:15:59.47 ID:WE0Pfa1u0
絵里「ち、違う! 海未だってあの時は追い詰められていたでしょ!?」

海未「だとしても結果は同じです。穂乃果に任せてしまったんです」

絵里(ああ、なんて言えばいいのかしら……こういう時は――――――――)

絵里「違う、海未は……海未だけのせいじゃない」



絵里「それなら気付かなかった私だって同罪よ!」



海未「……絵里」

絵里「だから自分だけを責めないで。海未、お願いだから……」

海未「すみません、そうですね……少し滅入っていたようです」
306 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:19:17.83 ID:WE0Pfa1u0
絵里(うん、これでいいのよね。海未たちだけの問題じゃないもの)

海未「ですがやはり、私の後悔はそれなんです」

海未「自分はあの時何もできなかった。そんな風に思えるんですよ」

絵里「……私も海未を手伝うわ」

海未「え?」

絵里「2人ならきっと、なんとかできるはずよ」

海未「……ありがとうございます」

絵里「ううん、困ったときはお互い様でしょ?」

海未「はい、そうですね。私も絵里がμ'sに入れるよう協力しますから」

絵里「ありがと」
307 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:23:32.02 ID:WE0Pfa1u0
花陽「あのぉ……誰かいますか?」



絵里「!」

海未「花陽が来ましたよ……!?」

絵里(な、なんで? 今日は用事って言ってたのに……)

海未「……でもこれは、おまじないを行ったかどうか調べるいい機会ではありませんか?」

絵里「そっか……うん、じゃあ海未、ここにいてね」

海未「はい」

絵里「……花陽、どうしたの?」

花陽「あ、絵里先輩! 入ってもいいでしょうか。昨日忘れ物をしちゃってて」

絵里「いいわよ、入ってちょうだい」

花陽「ありがとうございます」
308 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:26:56.98 ID:WE0Pfa1u0
花陽「あれ? 海未先輩?」

海未「はい。絵里に用事があったので」

花陽「……絵里先輩を呼び捨て? あれ? そんなに仲が良かったんですか?」

絵里(海未はもう聞く気満々みたいね。私も乗らなきゃ!)

絵里「そうよ、先輩禁止って言ったじゃない」

花陽「先輩……禁止」

海未「……」

絵里(さあ、花陽はどう出るのかしら)





花陽「で、でも! 先輩を呼び捨てにするのは……」



海未「えっ」

絵里「あ、あれ?」

絵里(思ってた反応と違う……)
309 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:30:25.91 ID:WE0Pfa1u0
絵里(いや、海未の見立ては間違ってないはず。このまま疑問をぶつけてみれば……)

絵里「は、花陽。最近体力がついてきたみたいだけど、どうしてかしら?」

花陽「それは……」

海未「それは?」

花陽「……朝ごはんを我慢せずに、おかわりするようにしたんです」

海未「お、おかわり?」

花陽「太っちゃうのが嫌だったんですけど、やっぱりちゃんと食べなきゃ、と思って……」

花陽「でもそのおかげでダンスレッスンについて行けるようになったんです」

絵里(なん……だと)
310 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:33:35.29 ID:WE0Pfa1u0
海未「じゃあ生徒会の仕事を手伝っていたのは?」

花陽「だってエリーさんって、絵里先輩ですよね?」

絵里(バレてた!?)

海未「」

絵里(海未が放心状態だわ)

絵里「そんなにショック受けなくても」

海未「……絶対にバレない自信があったのに」

絵里「じゃあ花陽はそのレッスンをつける代わりに、仕事を手伝ってくれてたの?」

花陽「はい、お世話になっているからそれくらいは」

絵里「……ってことは花陽は」

海未「こちらの世界の人……」

花陽「?」
311 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:37:42.38 ID:WE0Pfa1u0



絵里「希……」

希「わ、どうしたんえりち。がっかりって顔してるけど」

絵里「軸がブレたわよ」

希「うう、厳しいなぁ」

希「で、何かあったん?」

絵里「花陽に正体がバレてた」

希「ええ!? 未来から来てたって?」

絵里「違う。エリーさんの方」

希「ああ、なら納得やね」

絵里「な、なんで!?」
312 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:40:24.00 ID:WE0Pfa1u0
希「あんなメガネとウィッグだけで、えりちの可愛さがごまかせるわけないやろー?」

絵里「……そうだったのね」

希「えっ、ツッコミは……」

絵里「何だか自信なくしたのよ」

希「変装の?」

絵里「変装の」

希「それ、いる?」

絵里「いるわよ! だってスクールアイドルだってバレたら大変なのよ?」

希「なんかにこっちみたいなこと言うなぁ。仲良しさんなんやね」

絵里(大変なことになったことはないけど、きっとこれからなるはずなのよね。たぶん)
313 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:45:18.21 ID:WE0Pfa1u0
希「それでえりち。明日からどうするん?」

絵里「え? 明日って?」

希「いや、あと3日で学校説明会やろ? 練習メニュー強化したりするんかなぁって」

絵里(そうね、土日を挟んで学校説明会だし気が抜けないわよね。ダンスも完璧になってきたし後は……)

絵里「……3日?」

希「うん」

絵里「……私まだ、μ'sに入ってない」

希「あ」
314 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:47:19.75 ID:WE0Pfa1u0
絵里「説明会だから月曜日は午前中だけよね? ね?」

希「え、えりち落ち着いて! ウチ転ぶ! 転ぶから!」

絵里(どうしよう……土日で加入? それとも月曜の午前……違うわ、私が加入したのはもっと前だった気が……)

絵里「めちゃくちゃ出遅れてるじゃない!」

希「えりち待って、深呼吸や!」

絵里「人工呼吸!?」

希「ちがーう!」
315 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:50:37.51 ID:WE0Pfa1u0




絵里「……今日は学校説明会よ。みんながんばってね」

希「えりちはこんなやから、みんながんばってな?」

穂乃果「せ、生徒会長、大丈夫なんですか?」

凛「なんだかぐったりしてるにゃー……」

真姫「私たちの出番の前に倒れちゃいそうで怖いわ」

ことり「生徒会長、あんまり無理しないでくださいね?」

絵里「うん、大丈夫よ……」

絵里(結局穂乃果たちの完璧な7人版ダンスポジションを急に変えるわけにもいかないし、私はμ'sの加入に失敗してしまった)

海未「すみません……」

絵里「ううん、いいのよ」
316 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 22:53:51.47 ID:WE0Pfa1u0
にこ「もうちょっとしゃきっとしなさいよ」

絵里「しゃきしゃき」

にこ「このもやしっ子!」

希「にこっちも怒り方が雑になってきてるで」

花陽「絵里先輩! 私たち、絵里先輩の分も頑張ります。だから見ててくださいね」

絵里(うぅ……花陽がかわいい)

希「ほらえりち、みんな見に来てるよ」

絵里(……そうね)

絵里「うん、もう大丈夫よ」

ことり「わ、すごい! 普段の表情に戻った!」

凛「生徒会長パワー?」

希「えりちは強がりやからね。こういうの得意なんよ」

絵里「希、余計なこと言わない」

希「はーい」
318 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 23:03:41.38 ID:WE0Pfa1u0
絵里「この度、音乃木坂学院は廃校の危機を――――――――」






絵里「希! 見て見て、穂乃果たちのステージがこんなに近いわ!」

希「うん、えりち。スピーチの時と変わりすぎ」

絵里(そういえばこのライブをここで見るのは初めてね。私はこのころからμ'sのステージに立ってたんだっけ)

絵里(……この視点も悪くないわね)

絵里「……あとはいつ入るかなんだけど」

希「カードは言うてるよ、もうすぐやって」

絵里「希が言うならそうよね」

希「おお、ついにえりちもウチの占いを信じてくれるように……ってそっか。えりちもう素直やもんね」
319 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/17(木) 23:06:56.96 ID:WE0Pfa1u0
絵里「ていうか希、屋外でもカード使えるのね」

希「大事なのは何を占いたいか想像してめくることなんよ?」

絵里「そうなんだ」

希「うん」

絵里「あれ? でももうすぐって何かイベントあったかしら」

希「えりち、覚えはないん? 何か大きな出来事の途中で入れる、って出てるで」

絵里(大きなイベント? イベント……)





絵里「……合宿?」
327 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:21:31.42 ID:IAZjWvi40



絵里「……」

希「え、えりちどうしたん? なんていうか悪い気が漂ってる感じやけど……」

絵里「これからね、みんなは合宿に行くのよ」

希「そうなん?」

絵里「うん」

絵里「うぅぅ……」

希「ちょ、ちょっとえりち!? なんで泣くん!?」

絵里「だって私μ'sのメンバーじゃないもの……一緒に行く理由がないじゃない」

絵里(お留守番なんて……お留守番)
328 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:25:59.30 ID:IAZjWvi40
希「で、でも学校説明会はいい感じやったやん?」

絵里「そうね。廃校は阻止できそう」

希「うん、そうやろ?」

絵里「でも合宿行けない」

希「うう……それは……そうや、みんなにどうにか掛け合ってみたら?」

絵里「なんていえばいいのかしら……みんな聞いてくれるかしら」

希「よしよし。えりちはみんなのために頑張ってるやろ? みんなもちゃんと気付いてくれるって」

絵里「そうかなぁ……」

絵里(そうだといいんだけど……でもどうやってついて行けばいいのかしら)

希「えりち、何の前触れもなくウチに抱き着いてるけど、これを見られたら色々誤解されるで?」
329 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:27:40.98 ID:IAZjWvi40
絵里「だって心配で……」

希「大丈夫やって。カードもそう告げてるし」

絵里「なんて?」

希「いいことあるよーって」

絵里(……なんか抽象的)

希「抽象的やと思ったやろ?」

絵里「ぎくっ」

希「でも占いってそんなものやで」
330 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:30:36.67 ID:IAZjWvi40
穂乃果「生徒会長、副会長! お話があります!」

希「ほら、ウワサをすれば……」

絵里「え? 何の話かしら」

希「えりち、鈍感すぎる」

絵里「?」

希「とりあえず入れてあげよう」

絵里「あ、そうね。はーい、どうぞー」
331 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:34:46.39 ID:IAZjWvi40
花陽「こんにちは」

絵里「こんにちは」

希「こんにちはー、って今日は珍しいメンバーやね」

真姫「……」

穂乃果「ほら、真姫ちゃんから言っちゃってよぉ」

真姫「わ、わかってるわよ……」

絵里(真姫? どうしたのかしら、顔が赤いけど……)
332 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:38:33.50 ID:IAZjWvi40
真姫「合宿の許可をいただきに来ました」

絵里「ああ、そのことね」

絵里(やっぱり誘われないかぁ……)

希「えりち、顔に出てる」

絵里「きりっ」

希「うん、それで大丈夫」

絵里「許可ね。許可を出すからこの申請用紙に……」

真姫「……この度は生徒会長と副会長のお世話になりました」

絵里「え?」

絵里(どうしたのかしら急に)
333 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:42:45.46 ID:IAZjWvi40
真姫「…………」

穂乃果「真姫ちゃん頑張って」

花陽「頑張ってぇ」

真姫「わ、わかったってば」

希「ふむ、なるほど……」

絵里(希は何かわかったみたいね)

真姫「だから……その……」



真姫「合宿に同伴してもらえませんか」
334 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 21:52:06.08 ID:IAZjWvi40
絵里「ど……同伴!?」

絵里(同伴……ってことは)

絵里「合宿について行っていいの?」

花陽「はい、真姫ちゃんが成長した姿を見てほしいって」

真姫「は、花陽!」

穂乃果「真姫ちゃん、最初は生徒会はμ'sの敵なのよ! なんて言ってたのに丸くなっちゃってぇ、このこのー」

真姫「穂乃果先輩まで!」

希「どうする、えりち?」

絵里(でででででも、ここで即答したらあれよね、格好がつかないっていうか……)

絵里「μ'sのみんなは納得してるのかしら」

穂乃果「はい!」

絵里(……平常心平常心……でも顔が緩んでしまう)
335 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 22:02:35.06 ID:IAZjWvi40
絵里「希はどう?」

希「ウチは大丈夫やで」

絵里「……じゃあ、行こうかしら?」

穂乃果「やったぁ!」

花陽「ありがとうございます!」

真姫「ま、まあ私の誘いを断るなんてありえないわよね」

希「よかったなぁえりち」

絵里「ふふ、そうね」

穂乃果「じゃあみんなに伝えてきます!」

絵里「あ、申請書、忘れないでよ?」

花陽「はいっ!」
336 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 22:10:18.39 ID:IAZjWvi40
希「……えりち、みんな出て行ったで」

絵里「うわあああ! どうしよう希、誘われちゃった! 誘われちゃったわ!」

希「えりち散歩に行く前の犬みたい」

絵里「ひどい」

希「えりちはどういうキャラでいたいん?」

絵里「クールな……生徒会長?」

希「クールかぁ……それは無理そうやなぁ」

絵里「どういう意味?」

にこ「ちょっとあんたたち!」

絵里「うわぁ!?」

希「にこっち、ノックノック」

にこ「今しといた」

絵里「遅いわよ」
337 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 22:21:09.93 ID:IAZjWvi40
にこ「今聞いたんだけど、あんたたち合宿についてくるのよね?」

絵里「そうだけど……どうしたの? そんなに慌てて」

希「あ、もしかしてにこっち、嬉しすぎて遊びに来てくれたん?」

にこ「そうじゃなくて、これなら合宿中に加入すればいいんじゃないかと思って」

絵里「合宿中に?」

希「なるほど……カードが示してたのはそれやったんやね」

絵里「あ、そういうことだったんだ」

絵里(確かに時期外れるけど……それならどうにかなるかも)
338 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/18(金) 22:26:35.99 ID:IAZjWvi40
にこ「……正直3年生が私1人だったから寂しかったのよ」

希「お、にこっちの本音が」

にこ「そうよ。私だってそう思うことはあるわ」

希「うーん、やっぱりにこっちかわいいなぁ。えりちとは違うタイプで」

絵里「だからクールで……」

にこ「ま、私はかわいいところが取り柄だからねっ!」

希「はいはい」

にこ「軽っ」

絵里「だから私はかわいくしてるわけじゃ……」

にこ「じゃあ一応具体的なスケジュールを教えるわよ」

希「うん」

絵里「聞いてよぉ!」
345 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 08:53:03.35 ID:53NLCWef0




絵里「たっだいまー」

亜里沙「おかえり……ってお姉ちゃんどうしたの? ずいぶん嬉しそうだけど」

絵里「今日は学校でいいことがあったのよ」

亜里沙「私当ててみるね!」

絵里「どうぞどうぞ」

亜里沙「えーっとねぇ……わかった! 今日でラブレターが300通目!」

絵里「残念、ハズレです。そりゃあ最近はめちゃくちゃ増えたけど……」

亜里沙「そうだね、たしか今は670通目だったね。ごめんなさい」

絵里「え? そんなにあったっけ?」
346 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 08:55:25.63 ID:53NLCWef0
亜里沙「だってお姉ちゃん、前はラブレターなんて見向きもしなかったのに、今じゃずーっとお返事書いてるでしょ?」

絵里「それで数えてたの?」

亜里沙「うん、だいたい1通に3分使ってたから数えてた」

絵里「私が部屋から出て来ない時間を?」

亜里沙「うん」

絵里「その間、亜里沙はずっと何してたの?」

亜里沙「あんぱんと牛乳を持ってハリコミ!」

絵里「ハリコミ……」
347 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 08:59:33.56 ID:53NLCWef0
亜里沙「じゃあラブレターじゃないとしたら……プレゼント?」

絵里「亜里沙はどうして自分の姉がそんなにモテモテだと思っちゃうの……?」

亜里沙「だってお姉ちゃん、かわいいもん」

絵里(実の妹にまで!)

絵里「ど、どうして可愛いのかしら」

亜里沙「え? えー……うーん」

亜里沙「……お姉ちゃんのメインパーツの1つ、って感じだからかな?」

絵里(言語化しづらい本質的なものなの……?)
348 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:01:23.60 ID:53NLCWef0
亜里沙「……あー! わかった!」

絵里「次は当たるかしら」

亜里沙「μ'sのメンバーに……」

絵里(お、これは近いかも――――――――)

亜里沙「告白されたの?」

絵里「亜里沙、少女漫画没収」

亜里沙「ひどい!」

絵里(この子はどうしてそんなに色恋沙汰が好きなのかしら……むむむ、私の育て方のせい?)
349 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:03:53.40 ID:53NLCWef0
亜里沙「よよよ……セチガライヨノナカデス」

絵里「はいはい」

亜里沙「くぅぅ……もう3回間違えたから亜里沙に解答チャンスは残ってません」

絵里(そんなに悔しがらなくてもいいのに)

絵里「じゃあ答えを言っちゃおうかなー?」

亜里沙「あ、お姉ちゃん。冷蔵庫にチョコレートあるよ」

絵里「てろりろりん! 解答権が1つ増えました!」

亜里沙「やったぁ!」
350 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:08:46.49 ID:53NLCWef0
亜里沙「じゃあね……もうすぐ夏休みだから……うーん」

絵里(夏休みって単語を入れてきたわね。やっと気づきそうだけど……)

亜里沙「たぶんお姉ちゃんのことだしμ'sかチョコか生徒会のことで……」

絵里(おお、鋭い。っていうか亜里沙から見たら、私の世界にはμ'sとチョコと生徒会しかないの?)

亜里沙「みんなで合宿?」

絵里「えええぇ!? 急に当てて来るの!?」

亜里沙「え? だって雪穂がメールで、μ'sが合宿するって送ってくれたの思い出して」

絵里(思わぬ伏兵が)
352 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:16:18.39 ID:53NLCWef0
亜里沙「亜里沙も合宿行きたいなぁ」

絵里(たぶんみんなならオッケーしそうだけど……)

亜里沙「密着! μ's24時! みたいなの撮るの」

絵里「良い子は早く寝なさい!」

亜里沙「あっ、でも宿題まだ終わってないの……」

絵里(我が妹ながら良い子過ぎる。まだ夕方だというのに寝る気満々じゃないの)

絵里「宿題なら私も手伝ってあげるから、ね?」

亜里沙「チョコはいいの?」

絵里「ちょっと食べてくる」
353 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:20:37.10 ID:53NLCWef0




希「えーりち、おはよ」

絵里「ええ、待っていたわこの時を」

希「忘れ物ない?」

絵里「大丈夫、ばっちり準備したもの」

希「……えらい大きい旅行かばん用意したんやなぁ。2つも持っていくん?」

絵里(ん? あれ? こんなかばん用意した覚えが……)

絵里「……まさか。ちょっと開けてみるわ」

希「どうしたん? 中身のチェック?」

亜里沙「ハリコミ!」

絵里(やっぱり入ってた)
354 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:23:43.49 ID:53NLCWef0
希「亜里沙ちゃんおはよ」

亜里沙「おはようございます希さん。亜里沙は今ハリコミをしてるのです」

絵里「亜里沙、見つかってるから」

亜里沙「……こういう時は煙を出してドロンだよね?」

絵里「ドロンしなくていいから。出てきなさい」

亜里沙「はーい」

希「亜里沙ちゃんもついてくるん?」

亜里沙「いいえ、私はお姉ちゃんにカメラを持って行ってもらいたくて」

絵里「え?」

亜里沙「えーっと……そう、ニョッキ!」

絵里「チェキね、ていうかインスタントカメラでいいのに」
355 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:26:44.62 ID:53NLCWef0
亜里沙「はい、ちゃんと写真撮ってきてね」

絵里「うん」

亜里沙「まずは1枚、希さん寄ってくださーい」

希「はーい」

絵里「え? ここで撮るの?」

亜里沙「はい、ペリメニ」

絵里「……普通でチーズでいいでしょ?」

亜里沙「ハラショー! それは思いつかなかった!」

希「ロシア風やね」

絵里「ロシアに怒られちゃうわ」
356 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:29:33.98 ID:53NLCWef0
亜里沙「行ってらっしゃい! 亜里沙は自宅警備員になっておうちを守るからね!」

絵里「そのセリフはなんか違うわよ」

希「まあまあ、亜里沙ちゃんなりにえりちのこと応援してるんやって」

絵里(そっか、前の私は亜里沙にも心配かけたものね)

絵里「行ってきます」

希「いってきまーす」

亜里沙「旅の恥は道連れだよ!」

絵里「混ざってる混ざってる」
357 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:32:14.92 ID:53NLCWef0




穂乃果「あ、生徒会長! 副会長! こっちです!」

絵里「あら、私たちが1番最後?」

希「ごめんなぁ、えりちが夜眠れんかったみたいで」

絵里「ちょっと希!」

絵里(そんなことは……あったけど!)

希「うふふ、これは内緒やったね」

絵里「ちがーう!」

絵里(ぐぬぬ、突然の裏切り……)

にこ「あんたたち朝から元気ねー」
358 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:36:46.90 ID:53NLCWef0
凛「にこ先輩、若さが足りないにゃー」

にこ「足りてるわよ」

穂乃果「見た目は1番若いのに」

にこ「なっ」

絵里(あはは、穂乃果ナイスツッコミ)

海未「では、私から1つ提案があるのですが……」

ことり「なになに?」

花陽「提案?」

海未「はい、この合宿をよりよいものにするために必要なことです」

希「へぇ、何やろ?」
359 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:40:13.95 ID:53NLCWef0
海未「ずばり、先輩を禁止したいと思います」

穂乃果「先輩……」

ことり「禁止?」

にこ「……あー」

絵里(なるほどね、私の代わりに、ってわけね)

希「よかったやんえりち」

絵里「うん」

海未「先輩後輩を気にするのはいい心がけですが、それがライブ中に出てしまうのはあまり良いとは言えません」

花陽「つまり、先輩を意識しすぎてギクシャクしちゃうってことですか?」

海未「その通りです」

凛「そうだね、凛たちまだ生徒会長のこと名前で呼んだことないもんね」
360 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:43:29.17 ID:53NLCWef0
絵里「あら、花陽は呼んでくれてるわ。ね?」

花陽「はい、絵里先輩」

穂乃果「そ、そんなところに思わぬ伏兵が!」

絵里(あなたの妹もよ、穂乃果)

希「ウチのこともほとんどみんな副会長やし……のんちゃんって呼んでくれたん海未ちゃんだけやもんね?」

海未「そ、その話は……!」

にこ「にこのことをにこにーって呼んでくれたのは絵里だけよね」

絵里「そうね」

凛「凛たちの知らないところで思わぬコミュニティが……」

ことり「ってあれ? 真姫ちゃん、全然しゃべってないけどどうしたの?」

真姫「……ぇ?」

絵里(そういえば、何でサングラスかけて壁に寄りかかってるの?)
361 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:46:44.51 ID:53NLCWef0
花陽「真姫ちゃんどこか調子悪い?」

真姫「あ、いや。そうじゃなくて」

穂乃果「穂乃果みたいに元気出していこう!」

海未「穂乃果はうるさすぎます」

穂乃果「明るいって言ってよ海未ちゃん!」

絵里(でもどうしたのかしら。前はこんなことなかったのに……)

希「さては真姫ちゃん、1番楽しみで眠れなかったんは真姫ちゃんやないん?」

真姫「……」

にこ「……?」

ことり「真姫ちゃん?」

凛「……寝てるにゃー!?」

絵里「ええっ!?」
362 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:50:31.89 ID:53NLCWef0



海未「……」

ことり「海未ちゃん、飛行機初めて?」

海未「い、いえ。初めてではありませんよ。この状況も1度経験していますし……ですが緊張してきて……」

真姫「……」

にこ「本当に楽しみにしてたのね」

絵里「うん、歩いてるときもフラフラだったし」

希「それはそれで嬉しいんやけど、別荘までちゃんと案内してくれるんかなぁ?」

絵里「私が知ってるから大丈夫よ」

にこ「ああ、そうだったわね」
363 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 09:53:57.08 ID:53NLCWef0
凛「何を知ってるんですかー? 絵里先輩」

絵里(ふぉぉ! 凛が私のことを名前で!)

希「凛ちゃん、先輩禁止、やろ?」

凛「あ、そうだった……すぅ……絵里ちゃん!」

絵里「……ありがとう、凛」

凛「わー! 名前で呼んでもらえたにゃー!」

花陽「よかったね、凛ちゃん」

絵里(うう、久しぶりだわ……この喜びだけで5年は生きられるわ)

希「あ、そろそろ離陸するみたい。みんな荷物上に入れた?」

穂乃果「はーい」
367 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/19(土) 11:11:07.38 ID:53NLCWef0
穂乃果「ふふふ、これで生徒会長と副会長をうまくこっちのペースに乗せて……」

ことり「自然とμ'sに加入させるんだよねっ!」

海未「……素直に言えばきっと入ってくれますよ?」

花陽「ううん、生徒会は仕事があるーとか言うからダメだよ」

凛「外堀から埋めるの」

絵里(何話してるんだろう。タイヤの音で聞こえないわね)
372 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 00:17:43.32 ID:rDLAKpOe0



真姫「ここが別荘よ」

穂乃果「で、でっかい……」

凛「すごいにゃー……」

真姫「え? そんなに驚く?」

にこ「ぐぬぬ」

絵里「にこは専属の料理人がいることになってるのよね」

にこ「え、何の話よ」

海未「ぷっ……」

にこ「え、だから何?」
373 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 00:21:06.54 ID:rDLAKpOe0
希「ウチ一番乗りー!」

ことり「あー、希先輩ずるいです!」

海未「ことり、先輩は禁止ですよ」

ことり「あ、そうだった……コホン、希ちゃん!」

希「はーい」

ことり「……」

絵里(……私を見てる? ってことは私を呼ぼうとしてるの?)

穂乃果「ことりちゃん頑張って!」

ことり「……会長ちゃん?」

絵里「惜しい」
379 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 09:44:52.83 ID:rDLAKpOe0



穂乃果「うわー! ベッド大きい!」

凛「大きいにゃー!」

海未「穂乃果、凛。まずは練習メニューを伝えるのでこちらに集まってくれますか?」

穂乃果「う、海未ちゃんはこのベッドを見て何とも思わないの?」

凛「海未先輩は……」

海未「凛?」

凛「う、海未ちゃん!」

絵里(私は呼んでくれるかしら?)

凛「あ、絵里ちゃん」

絵里「ありがとうございます!」

海未「だいぶ自然になりましたね」
380 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 09:49:00.97 ID:rDLAKpOe0
希「えりち、どうしたんドアに向かって謝ったりして」

絵里「凛が私を自然に呼んでくれるようになったの」

凛「絵里ちゃんは凛のこと、何のためらいもなく呼べるのって何で?」

絵里(しまった)

希「えりちはこっそり呼ぶ練習してたんよ」

絵里「え、希……」

海未「はい、みんなと仲良くなれるように、ですね」

絵里(ちょ、ちょっとそれは恥ずかしいんじゃ……)

凛「か、感激にゃ……」

穂乃果「絵里ちゃん……」

絵里(あ、距離は縮まったかも)
381 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 09:51:51.84 ID:rDLAKpOe0
穂乃果「穂乃果のことも名前で呼んでください!」

絵里「穂乃果」

穂乃果「ぅやったー!」

凛「凛のことも!」

絵里「凛」

凛「やったにゃー!」

絵里(……た、楽しいわ。楽しすぎてたまらない!)

海未「では一度ロビーに……」

絵里「」

希「えりち、まだまだ時間はあるやろ? そんな絶望に満ちた顔せんでも」

絵里「わかったわ……」
382 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 09:58:30.10 ID:rDLAKpOe0



海未「これが、合宿での練習メニューになります!」

希「おぉー」

ことり「すごい、こんなにびっしり……」

穂乃果「むー……」

海未「――――――――と言いたいところですが、最初は海で遊ぶのいいでしょう」

穂乃果「あ、あれ? てっきり海未ちゃんなら初日から練習だー! って言うと思ったんだけど……」

ことり「うん、意外……」

海未「はいはい。それでは海を満喫しましょう」

絵里「海未は私ですが」

花陽「ふふ。何ですか、それ?」

絵里「海未のモノマネよ」

海未「こ、今回はやっていませんよ!」
383 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:03:32.83 ID:rDLAKpOe0
穂乃果「うふふふふー!」

凛「あははははー!」

花陽「す、すごい……踊りながら走り回ってる」

にこ「満喫してるわね」

海未「ええ、にこも行ってみてはどうですか?」

にこ「私はまだいいの。日焼け止め塗らなきゃ」

希「ウチが手伝おっか」

にこ「え、遠慮します」

絵里「じゃあ私がやる?」

にこ「……絵里ならいいか」

絵里(何その反応)

384 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:07:47.20 ID:rDLAKpOe0
海未「私は遠泳でもしましょうかね……」

絵里「お、やる気満々じゃない」

海未「ええ、せっかく海に来たんですから」

絵里「海未は私ですが」

海未「や、やめてください……」

希「んー? 今から何するん?」

絵里「遠泳よ」

真姫「……」

絵里(真姫がこっち見てる)

絵里「真姫も来る?」

真姫「いや、いい」

絵里(やっぱりしんどいのは嫌よね)
385 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:11:22.91 ID:rDLAKpOe0
にこ「ちょっとー、にこに日焼け止め塗りなさいよぉ」

絵里「あ、ごめんごめん」

海未「では私は行ってきますね」

穂乃果「あれ? 海未ちゃん何かするの?」

海未「遠泳です。あの岩まで一緒に来ますか?」

穂乃果「海未ちゃん、もっと楽しいことしようよぉ」

海未「え? 別に楽しくないわけでは……」

ことり「やー!」

凛「わっぷぶぶ」

穂乃果「ほら、ことりちゃんみたいに水鉄砲持ってさ!」

海未「私はそんなもの、持ってきていませんよ?」

花陽「わ、私が持ってきました!」

絵里「ええ!?」
386 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:16:12.20 ID:rDLAKpOe0
花陽「凛ちゃんが一緒に持っていこうって言って……」

凛「ことりちゃんには負けないにゃー! 凛は……これとこれ!」

希「お、2丁拳銃ってやつやね」

ことり「ふふふ、私に勝てるかなぁ?」

凛「ふっ、小学校から愛用するこのマグナムで、ことりちゃんをこてんぱんにするよ!」

海未「始まってしまいましたね」

絵里「そうね……にこお肌すべすべ」

にこ「いつまで撫でてんのよ」

絵里「だって……ねぇ、真姫」

真姫「え、私に話振られても困るんだけど……」

ことり「みんなのハートを撃ち抜くぞっ」

海未「」

希「あ、あれ? 海未ちゃんどうしたん?」
387 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:20:16.62 ID:rDLAKpOe0
海未「どうやら知られてしまったようですね……もっと過去に来ていれば隠蔽できたものを」

絵里「え、海未どうしたの」

にこ「絵里、ちょっと抱き寄せないで。私のことぬいぐるみかなんかと勘違いしてない?」

絵里「あ、ごめん。ジャストフィットで」

にこ「何よそれ」

海未「この場にいる全員を粛清します! ええい、すべてを忘却の彼方へと送ってあげます!」

希「海未ちゃんそれパラソルやで!?」

真姫「うわっ、まぶし……」

穂乃果「絵里ちゃん、にこちゃん。お腹すいてきちゃった」

絵里「自由人ね……穂乃果は」
388 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:24:29.00 ID:rDLAKpOe0


穂乃果「買い出し?」

ことり「うんっ、スーパーが結構遠いらしくて」

海未「負けてしまいました……やはり銃器の扱いを学ぶべきでしょうか……くすん」

にこ「あんた何目指してんのよ。バトルマスター?」

絵里(そうか、前は真姫と希が買い出しに行ったのよね……)

穂乃果「じゃあ穂乃果が行くよ!」

絵里(って言ったら真姫が……)

真姫「そうね。誰かついてきてくれるとうれしいわ」

絵里「あれ」

希「?」

海未「真姫の台詞が……違う?」
389 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:29:51.70 ID:rDLAKpOe0
真姫「で、誰か一緒に来てくれる?」

穂乃果「穂乃果が! 穂乃果が行くよ!」

凛「凛も行きたいにゃー」

花陽「わ、私も……」

希「ウチも!」

ことり「私も行きたぁい!」

真姫「みんな来るの?」

海未「ちょっと待ってください」

穂乃果「どうしたの?」

海未「買い出しに行く人は私についてきてください」

真姫「え、でも場所……わかるの?」

海未「はい、途中で見てきましたから」

絵里(海未……?)
390 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:36:42.36 ID:rDLAKpOe0



真姫「……」

絵里(まさか真姫と、別荘で2人きりになるとは)

真姫「絵里、少し聞きたいことがあるの。いい?」

絵里「え? いいわよ?」

絵里(何だか親しげだけど――――――――まさか真姫もおまじないの!?)

真姫「……私、ちゃんとできてるかしら」

絵里「え?」

真姫「だ、だから。みんなに変な風に思われてないかしら、って」

絵里「……真姫、顔真っ赤よ」

真姫「ううう、うるさいわね!」

絵里(真姫かわいい……)
391 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:43:45.31 ID:rDLAKpOe0
真姫「……絵里、よくよく考えてみたら、ダンスのレッスンをしてたのはあなたでしょ?」

絵里(真姫にもバレた)

真姫「エリーっていうダンスコーチが来る初日、落し物を拾って生徒会室に顔を出した時、ポニーテールにしてる希がいたの。それで気が付いたわ」

絵里「今まで気が付いてなかったのに?」

真姫「あ、あれは演技に決まってるでしょ!」

絵里(かわいい)

真姫「思い出してから変だと思ったのよ。よく見たらウィッグ動く度にズレてたし、メガネも度が入ってなかったし」

絵里(今思えばよく騙せたわよね)

真姫「って、そんな話をしたかったわけじゃないの」
392 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:50:04.60 ID:rDLAKpOe0
真姫「私が言いたいのは……そう、絵里と希にとても世話になったってこと」

絵里「それで?」

真姫「絵里なんか特に……その、私たちを目の敵にするように見てたじゃない?」

絵里(そうだったわね。そんな時期もあった)

真姫「でも変わった。自分がしたいようにするっていうスタンスにね」

真姫「不思議なくらい……私たちに優しくしてくれた」

真姫「だ、だからね……笑わないでよ?」

絵里「笑わないわ」

真姫「い、今にやにやしてるじゃない!」

絵里(真姫かわいいんだもん)
393 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:52:41.21 ID:rDLAKpOe0
真姫「と、とにかく! そんな絵里を見て私は……」

絵里「?」

真姫「……私は、ね」

真姫「変わりたかった。変わりたかったの……」

絵里(あ、あれ? 急にムードが……)

真姫「すごいなぁ、って、絵里は」

真姫「私もそんな風に、できたら」

真姫「……だから、私は今、ちゃんとできてる?」

絵里(そうか。真姫は変わろうと必死になってるのね……自分の殻を壊そうとしてる)

絵里(なら私にできるアドバイスはたった1つね)
394 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:55:32.61 ID:rDLAKpOe0
絵里「真姫、正直に言うわ」

真姫「……わかった、覚悟した」

絵里「今の真姫はとーっても――――――――」

真姫「……」

絵里「かわいい」

真姫「かわいい!?」

絵里「うん、もっと自信持っていいわよ」

真姫「ち、ちがっ。私が聞きたいのはそういう……」

絵里「変わった変わってないなんて、誰かに言われて決めるものじゃないでしょ?」

真姫「……あ」

絵里「自分が変わろうとして前を向いた。それだけで真姫は今までよりもずーっと変わった!」

真姫「……」

絵里「これが私の意見です。おしまい!」

絵里(……ちゃんと先輩っぽくできたかな?)
395 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 10:59:06.97 ID:rDLAKpOe0
真姫「ありがとう、絵里」

絵里「ふふ、どういたしまして」

真姫「自信ついた」

絵里「これからも精進するように」

真姫「……はい」

絵里「よろしい」

真姫「絵里はなんか、話しやすいのよね。すごく」

絵里「そう? そう言われるとうれしいわ」

真姫「花陽の言ってた通りね。いい先輩だわ」

絵里(……先輩できてた!)

絵里「じゃあ今、記念写真を撮りましょ」

真姫「え? なんで急に?」

絵里「妹から頼まれてるのよ。ほらほら、近くに寄って寄って」

真姫「えぇ? ……仕方ないわね」
396 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 11:02:54.49 ID:rDLAKpOe0
絵里「はい、ペリメニ!」

真姫「ちょ、何よそれ」

絵里「ふふふ、これぞロシア流なのよ」

真姫「何それ、意味わかんない」

絵里「細かいことは気にしない。ね?」

真姫「はいはい。じゃあこのことは……」

絵里「私と真姫だけの秘密にしておくわ」

真姫「……ありがと」

絵里(なんか秘密ばっかり増えていくわね……ま、それも悪くないか)

希「ただいまー!」
397 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 11:04:13.12 ID:rDLAKpOe0
ことり「いっぱい買ってきたよっ!」

凛「あー! 絵里ちゃんと真姫ちゃんがくっついてるにゃー!」

穂乃果「あららー? 2人で何かしてたのかなぁ?」

真姫「し、してないわよ! 何も!」

絵里「そうよ。秘密なんだから」

真姫「ちょ、ちょっと絵里!」

花陽「わぁ、自然に呼び合ってるね!」

海未「もう慣れてしまったようですね」

真姫「だから……違うんだってば!」




にこ「ちょっとぉ! みんないないと思ったらどこ行ってたのよ!」
398 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 11:07:55.27 ID:rDLAKpOe0
絵里「あれ? にこ?」

穂乃果「にこちゃん?」

にこ「あんたたち……水鉄砲で撃ちまくった挙句、ビーチバレーのボールぶつけて遠泳させて……」

にこ「人が疲れて寝てる隙に買い物まで行って……!」

凛「に、にこちゃん怒らないで!」

花陽「ごめんなさい……」

にこ「むむむ……!」

希「要するに、今からにこっちに構えばいいわけやんな?」

にこ「え」

絵里「そうね。相手してあげられなかった分、にこを目いっぱい愛でなきゃ」

にこ「ちょ、そ、そういう意味じゃ」

穂乃果「皆の者! 突撃ー!」

ことり「わー!」

希「わしわし!」

にこ「ぎゃー!」
399 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/20(日) 11:10:38.70 ID:rDLAKpOe0
海未「絵里、どうでしたか?」

絵里「ううん、真姫も違ったわ」

海未「そうですか」

絵里(希はやっぱり、私たち以外の人に教えてないのかしら?)

海未「みんなそれくらいにしてくださいね。夕食はにこが作ってくれるそうですから」

にこ「ちょっとぉ! この状況を見て何言ってんのよ!」

真姫「素直になればいいのに」

にこ「あんたには言われたくな……ぎゃー!? 今服に顔突っ込んだの誰よ!?」

穂乃果「穂乃果だよっ」

にこ「出てけ!」
413 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:00:08.65 ID:bo6kX3vs0



希「にこっちまだー?」

にこ「もう少し待ってなさい」

穂乃果「にこちゃん、おなかすいたよぉ」

にこ「だーかーらーまーだーでーすー」

絵里「にこってエプロン似合うわね」

にこ「急に何よ」

絵里「私たちなんかヒモみたいだなぁって……」

凛「確かに、にこちゃん1人でキッチンに立ってるとそれっぽいかも」

ことり「花陽ちゃんはごはん炊いてるけどね」
414 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:03:25.96 ID:bo6kX3vs0
海未「にこ、本当に私たちは休んでいていいんですか?」

にこ「別にいいわよ。私は寝てたんだから」

絵里「抱き着いていい?」

にこ「真私、包丁持ってるけどいい?」

絵里「ヨクナイ!」

ことり「あはは、絵里ちゃんって意外とユーモアあるんだね」

絵里(……はっ、つい素が)

希「ふふ、みんなが先輩禁止に慣れてきたみたいに、えりちも緊張がほぐれてきたんよ」

絵里「そういうことです」

真姫「ふーん」

穂乃果「……何で真姫ちゃんそんなに絵里ちゃんにべったりなの?」

真姫「え」
415 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:08:33.76 ID:bo6kX3vs0
真姫「べ、別にそんなべったりってわけじゃないでしょ!」

海未「あら、先ほどにこのところへ行こうとして、絵里が少し動いただけで反応したように見えましたが」

真姫「そ、それは違って……」

凛「2人きりの間に、やっぱり何かあったんだね」

希「気になるなぁ」

真姫「え、絵里!」

絵里(真姫に頼られた!)

絵里(……こんな機会滅多にないし、ちょっとからかっちゃおうかしら)

絵里「ふふふ、知りたい?」

穂乃果「知りたい!」

真姫「絵里!」

絵里「なーんちゃって。真姫に口止めされてるからこれは秘密よ」

ことり「うー、残念」

真姫「……」

絵里(真姫真っ赤になってる。かわいい)
416 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:12:21.66 ID:bo6kX3vs0
真姫「むー……」

絵里「ふふ、ごめんね。みんなには言わないから」

真姫「……別にいいけど」

絵里(……撫でたい)

凛「凛も、絵里ちゃんと秘密作りたいにゃー」

希「ウチもウチも」

絵里(希はいっぱいあるでしょ)

希「んふふ」

にこ「そろそろできるからお皿の用意お願い」

海未「わかりました。みんな、動きますよ」

穂乃果「海未ちゃん、穂乃果の分も頑張って動いてね」

海未「外に出されたいですか?」

穂乃果「はい、働きます」
417 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:15:22.01 ID:bo6kX3vs0
花陽「ごはん炊けたよー!」

ことり「おお、ぴったりだねっ」

海未「花陽の炊くごはんはおいしいですからね」

凛「あれ? 海未ちゃん、かよちんのご飯食べたことあったっけ?」

海未「えっ、あ」

絵里(海未って案外脆いわよね……)

絵里「ほら、花陽の作るごはんはおいしいって凛が言ってたんでしょ?」

凛「うん、言ったよ」

絵里「それを海未が聞いてただけよ」

海未「そ、そういうことです」

凛「なーんだ」
418 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:18:21.45 ID:bo6kX3vs0
ことり「花陽ちゃんの分は……」

絵里「あ、待って。花陽はご飯とカレーのお皿別にしてあげて」

花陽「え、絵里ちゃん!? なぜそれを……」

絵里(しまった)

絵里「えーっと……これはね」

花陽「私がご飯を分けて食べるタイプだって覚えててくれたんですね!」

絵里「え」

花陽「生徒会のお手伝いで1度しか言ったことがなかったのに……すごい」

ことり「へぇ、そうなんだぁ」

にこ「記憶力いいのね、絵里って」

絵里「あはは。ありがとう」

絵里(あぶなーい!)
419 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:25:03.57 ID:bo6kX3vs0
にこ「サラダも作ったから、残さず食べなさいよ」

ことり「にこちゃん、お母さんみたい」

にこ「そんな年じゃないっての」

穂乃果「花陽ちゃん、どうしてご飯とカレーを分けるの?」

花陽「気にしないでください」

凛「凛はこっちのかよちんも好きにゃー」

海未「ではいただきましょうか」

希「そうやね」
420 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:28:44.11 ID:bo6kX3vs0



絵里「ごちそうさまでした!」

にこ「はい。お粗末様」

花陽「おいしかったねぇ」

にこ「どう? 私の料理はおいしかった?」

穂乃果「うんうん!」

希「なかなか簡単に作れるものやないよ。おいしかったで、にこっち」

真姫「ええ、おいしかったわ」

凛「真姫ちゃん、サラダいっぱい食べてたけどそんなに好きなの?」

絵里「真姫はトマトが好きなのよね」

真姫「え? それ、言ったっけ?」

絵里(ぎゃー!)

希「見てたらわかるって、なぁえりち」

絵里「そ、そうね!」

絵里(いつもみたいになってきたから気が緩んでるわね。しっかりしないと……)
422 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:33:48.74 ID:bo6kX3vs0
凛「次は何する?」

花陽「お風呂がいいかなぁ。食器を片づけてからね」

穂乃果「うん、今日はもう疲れちゃったし……」

ことり「うん」

海未「……何故みんな、私を見るんですか?」

真姫「海未は練習しようって言いそうだからよ」

海未「ほう……そんなに練習がしたいのですか」

にこ「ひぃっ!」

凛「い、嫌にゃあ!」

海未「しませんよ。私も鬼ではありません」
423 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:37:34.73 ID:bo6kX3vs0
ことり「う、海未ちゃんが海未ちゃんらしくない……!」

希「じゃあそれぞれ食器片づけよか」

穂乃果「……絵里ちゃんお願い!」

絵里(あら。穂乃果が海未じゃなくて私に……)

絵里「ダメよ。みんな片付けるんだから穂乃果も一緒にやりましょう。ね?」

穂乃果「……絵里ちゃんの柔らかい反応の方が穂乃果は好きかも」

凛「凛も」

海未「私、そこまで厳しくしていましたか?」

にこ「絵里は特別優しいからね。それにみんな甘えたことなかったんだしいいんじゃない?」

真姫「まるで甘えたことがあるような口ぶりね」

にこ「ま、まだないわよ!」

希「まだ」

花陽「まだ?」

にこ「うっ」
424 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:43:24.61 ID:bo6kX3vs0
絵里「お風呂どうする? みんなで入る?」

希「真姫ちゃんはそれでいい?」

真姫「別にいいわよ。ていうか何で私に聞くの」

希「みんな、真姫ちゃんの意見を聞きたそうやったから」

ことり「よかったぁ」

花陽「うんっ」

真姫「断られると思ってたの?」

凛「真姫ちゃんはイミワカンナイ! って言うと思って……」

真姫「はぁ……私ももうちょっと頑張らなきゃいけないみたいね」

海未「頑張る?」

絵里「こっちの話よ」

絵里(真姫もだいぶ素直になってる……これなら大丈夫そうね)
425 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:48:47.09 ID:bo6kX3vs0



凛「お風呂広いにゃー……」

穂乃果「ごくらくごくらく」

にこ「……でかい」

希「もー、にこっち。どこ見てるん?」

絵里(このお風呂はいつ入ってもいいわね……すごく落ち着く)

真姫「ちょっと絵里」

絵里「ん、何?」

真姫「相談、したいんだけど」

絵里「いいわよ。あっち行く?」

真姫「うん」

ことり「あったかいねぇ」

海未「寝たりしないでくださいよ?」

花陽「……ぇ?」

ことり「は、花陽ちゃん寝てたよね?」

花陽「あ、え……ね、寝てないよっ!」
428 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:53:55.99 ID:bo6kX3vs0
真姫「やっぱり私、向いてないのかしら」

絵里「落ち込んでるの?」

真姫「やっぱりすぐには変われないと思って」

絵里(うーん、本当は今くらいだともっとツンツンしてたって言ってあげたいわね)

真姫「そういえば絵里は、μ'sに入らないの?」

絵里「……誘ってくれれば入ろうと思ってるわ」

真姫「え?」

絵里「ふふっ、楽しみにしてるわ」

真姫「え、ちょ、ちょっと……」

絵里(真姫はどうするのかしら。ふふ、ちょっといじわるだけど、これも真姫の成長具合を確かめるためのチェックなのよ?)
429 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 21:56:47.83 ID:bo6kX3vs0
希「えーりち、何話してたん?」

絵里「真姫との秘密のお話、かしら」

希「なら聞かないでおこうかな」

絵里「ありがとう」

にこ「ちょっと絵里、あんたもでかすぎるのよ」

絵里「え? 何が?」

絵里「……ていうかにこ、ちゃんと足ついてる?」

にこ「バカにするんじゃないわよ! もー!」

絵里「ふふふ」

絵里(……にこもなかなか怒るとかわいいかも)
430 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/21(月) 22:01:50.33 ID:bo6kX3vs0
穂乃果「そろそろあがる?」

花陽「うん、もうのぼせちゃうかもしれないし……」

凛「えー、凛まだ泳ぎ足りないよぉ」

海未「ここは泳ぐところではありませんよ」

ことり「でも本当に、泳げそうなほど広いよね」

穂乃果「ここから飛び出して海に落ちたら泳げるよ?」

凛「そ、そこまではしたくないにゃ」

にこ「明日に備えて早く寝なきゃいけないし、もうあがってもいいんじゃない?」

海未「そうですね。練習は明日の早朝から行いますから、きちんと寝なければなりませんよ」

凛「あ、朝から……」

希「ウチ低血圧で……」

海未「ふふふ、未来のあなたはそんなことを言っていませんでしたよ……」

希「ぐぬぬ」

絵里(希もやっぱり子どもっぽいところあるのね)
441 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 00:01:13.17 ID:RhpPp4pb0



穂乃果「お布団ひろーい!」

凛「ごろごろー!」

にこ「これ1回やってみたかったのよねー」

絵里(混ざりたい)

希「えりち、ウチも一緒に行ってあげよか?」

絵里「希!」

海未「ほら、枕を持ってきましたからもう寝なさい」

真姫「そうね。明日も早いんだし」

絵里「……」

希「……」

真姫「えっ、何その反応」

ことり「?」
442 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 00:06:40.38 ID:RhpPp4pb0
花陽「でもみんなで寝るのって、なんだか楽しいね」

ことり「うんっ、合宿みたいで……」

海未「これは合宿ですよ?」

ことり「そういえばそうだったね」

絵里(そっか、今日は特に何も練習してないからね)

にこ「んー、お肌のお手入れしないと」

絵里「手伝う?」

にこ「別にいいわよ」

凛「……ごろごろし飽きたにゃー」

穂乃果「うん、今ので体力の半分くらいなくなったよ」

希「穂乃果ちゃん、そんなこと言ってたらえりちと腕相撲したら負けるんと違う?」

穂乃果「なんですと!?」

絵里「なんで急に腕相撲?」

希「えりち、みんなと触れ合えるよ」

絵里「よーし、私と腕相撲したい人は来なさい!」

穂乃果「やるやるー!」

凛「わーい!」
443 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 00:10:27.16 ID:RhpPp4pb0
ことり「まずは私から行きます」

絵里(ことりは確か……かなり弱いはず。手加減してやりましょう)

穂乃果「レディー……ファイッ!」

ことり「ふぬぬ……!」

絵里(よわっ)

絵里「……わー、つよーい」

海未「接待じゃないんですから。というか布団敷くの手伝ってくださいよ」

花陽「まあまあ、きっとみんな絵里ちゃんと遊んでみたいんだよぉ」

海未「はぁ、わかりました。仕方ありませんね」

ことり「も、もうダメぇ……!」

絵里(あ、このことりの頑張ってる表情いいわね。かわいい)
444 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 00:14:29.21 ID:RhpPp4pb0
絵里「えいっ」

ことり「あう」

希「えりちの勝ちー」

絵里(まだまだ余裕ね。ちゃんと鍛えててよかったわ)

絵里「ふふふ、どんどんかかって来なさい!」

海未「では、次の相手は私です」

絵里(あ、これは勝てない)

穂乃果「ファイッ!」

海未「ていっ」

絵里「あー」

希「海未ちゃんの勝ち」

穂乃果「海未ちゃんなら仕方ないね」

凛「うん」

ことり「負け戦だよね」

海未「修行が足りませんよ」

絵里「海未式トレーニングを3セットから6セットにしようかしら……」

にこ「どんだけ勝ちたいのよ」
445 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 00:21:28.37 ID:RhpPp4pb0
穂乃果「穂乃果も腕相撲したーい」

凛「じゃあトーナメント戦にすればみんな楽しめるにゃ」

真姫「え、寝るんじゃ……」

希「よーし、ウチがペンと紙とってくるで」

ことり「賞品を決めなきゃね」

海未「私はどこにいればいいんですか?」

花陽「優勝者と対決するポジションかなぁ?」

絵里(ん? こんなの合宿でした覚えないんだけど……まあいいか)

凛「凛は真姫ちゃんと戦いたい!」

真姫「そういうシステムじゃないでしょ」

希「1回戦は凛ちゃんと真姫ちゃんにけってーい」

凛「わーい! きっと真姫ちゃんはピアノ弾いてるから強いはずにゃ」

真姫「別にそんなことないんだけど……」

絵里(ピアノって腕で弾くものじゃないわよね)
457 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 15:42:20.58 ID:RhpPp4pb0
凛「真姫ちゃん……ここで会ったが100年目、決着を付けるよ!」

真姫「はいはい」

絵里(真姫、結構余裕そうね。強いのかしら)

ことり「審判は誰やる?」

にこ「んー、じゃあ私やるわ」

凛「真姫ちゃん、ほら、手を出さないと」

真姫「わかってるわ。わかってるから」

真姫「……」

海未「真姫? どうしました?」

真姫「いや、大丈夫だから」

穂乃果「本当に? 顔赤いけど……」

花陽「ま、真姫ちゃん……もしかして」

希「なるほどなぁ」

絵里(ああ、手を握るだけで緊張するってわけね)

絵里「真姫、ここで距離を縮めるのよ!」

凛「?」

真姫「……わかった。よし、やるわよ」
458 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 15:45:49.88 ID:RhpPp4pb0
にこ「レディー……」

凛「ちょちょ、ちょっと待って!」

にこ「え、あ……真姫ちゃんちょっと大丈夫なの?」

ことり「真姫ちゃん。顔上げなくていいの?」

真姫「いいのよ」

海未「汗が出ていますが」

真姫「気のせいよ」

絵里(なるほど、顔が近いと)

凛「んー真姫ちゃんがいいならいいけど……」

穂乃果「それじゃにこちゃん、張り切ってどうぞ!」

にこ「レディー、ファイッ!」
459 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 15:52:36.44 ID:RhpPp4pb0
凛「うにゃあああ!」

真姫「ぐ……」

希「お、真姫ちゃん耐えてる」

穂乃果「盛り上がってまいりました!」

にこ「まだ始まったばっかりじゃない。それに膠着状態だし」

絵里「に、にこがそんな難しい言葉を言うなんて……!」

にこ「にこにーチョップ」

絵里「げふ」

絵里「……後ろにいたのに当たった」

凛「負けないにゃー!」

穂乃果「負けた方には買い出しで私が間違えて買ってきた青汁をプレゼントします」

凛「」

真姫「ふっ……」

凛「あっ」

真姫「青汁は嫌よ」

花陽「瞬殺……」

海未「やりますね」

真姫「……もうやだ、やりたくない」
460 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 15:58:20.24 ID:RhpPp4pb0
絵里「あら、結構強かったのに」

真姫「緊張するから」

希「凛ちゃんの手の触り心地はどうやった?」

真姫「……ぷにぷにしてた」

真姫「って何言わせるのよ!」

希「きゃー!」

凛「あ、青汁……」

穂乃果「ぐふふ、凛ちゃんどうぞ」

凛「うっ」

花陽「り、凛ちゃん大丈夫?」

凛「……思ったよりおいしくてコメントに困るよ」

絵里(芸人殺し……って芸人じゃないか。アイドルだしそれくらいは……)

凛「にゃあああああああ!? にがあああああい!」

絵里「」

穂乃果「あ、粉を入れる量間違えちゃった」

海未「底に溜まっていたというわけですね……」

絵里(穂乃果に任せたのが運の尽き、かぁ……)
461 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 16:03:19.73 ID:RhpPp4pb0
希「次は誰と誰やる?」

ことり「じゃあ私やりたいっ」

絵里(これだと後に長引けば長引くほど怖い……なら)

絵里「じゃあ私がやるわ」

希「おー、リベンジマッチ?」

にこ「凛、いつまで寝てるのよ」

凛「うにゃああ……かよちんお水ちょうだい……」

花陽「はい」

凛「ありがと。うう、喉が……こうなったら真姫ちゃんに責任とってもらう」

真姫「せ、責任って何よ」

凛「……何にしよう」

真姫「考えてから言いなさいよ」
462 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 16:08:18.72 ID:RhpPp4pb0
希「ファイッ!」

絵里(まずは様子見ね)

ことり「くぅぅぅ……」

絵里(かわいい)

穂乃果「じゃあ10秒以上決着がつかなかったら2人とも負け!」

絵里「えっ」

ことり「あうっ」

絵里(しまった。つい勢いで……)

花陽「絵里ちゃん強いね」

ことり「次は負けないもん!」

絵里「ふふ、次戦う時を楽しみにしてるわ」

穂乃果「今度はちゃんと入れたから大丈夫だよ! さあことりちゃん」

ことり「……」

絵里(ああ、ことりの顔が一瞬にして真っ青に!)
463 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 16:11:30.05 ID:RhpPp4pb0
穂乃果「さあ、一気にぐいっと!」

ことり「うん、すぐに終わらせよう……えいっ!」

海未「ほ、穂乃果!」

穂乃果「え?」

海未「水に溶かす場合は専用スプーンを使えって書いてあるじゃないですか!」

希「え、穂乃果ちゃん何使ってたん……?」

穂乃果「……おたま」

ことり「」

絵里「おたま!?」

絵里(ことりが音もなく倒れた!)

真姫「犠牲者がまた1人……」

花陽「お、恐ろしいゲームに手を出しちゃったよぉ……」
464 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 16:18:10.11 ID:RhpPp4pb0
穂乃果「凛ちゃん、ことりちゃん……私のせいでこんな……」

ことり「」

凛「凛はまだ生きてるよー」

穂乃果「私が責任をとって……飲みます!」

絵里(穂乃果の悪い癖が)

穂乃果「うわああああ!」

希「お、おたま3杯!?」

真姫「全然溶け切ってないじゃない!」

海未「やめてください死んでしまいます!」

穂乃果「みんな、ありがとう……」

穂乃果「ぐはっ……」

海未「穂乃果あああああ!」

花陽「穂乃果ちゃん!」

希「3人も犠牲に……」

絵里(こんなバイオレンスな合宿……私知らない!)
467 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:12:15.96 ID:RhpPp4pb0
にこ「……どうする?」

真姫「私に聞かれても……ねぇ絵里。どうするの?」

花陽「絵里ちゃん……」

絵里「え? 私?」

希「おお、いつのまにかえりち、みんなの中心やね」

絵里(……嬉しい)

絵里「そうね。まず穂乃果とことりを寝かせましょう」

海未「わかりました……ことりは私が運びますから、穂乃果はお願いします。まあ言っても数歩動かすだけでいいのですが」

絵里「え? 私たち7人でやるの?」

海未「はい、穂乃果は寝相が悪いので。それに、ことりの枕を取ってこなければなりませんから……よいしょ」

凛「わぁー! 海未ちゃんすごいにゃー!」

希「おー、うらやましいなぁ」

花陽「お姫様抱っこ……」

海未「え? 変でしたか?」

絵里「ううん、ことりをお願いね」
468 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:16:23.27 ID:RhpPp4pb0
ことり「枕が……うーん」

海未「はいはい、今から取りに行きますから」

穂乃果「……」

絵里(さて、穂乃果をどうしましょう。転がすわけにもいかないし……)

希「えりちもお姫様抱っこできるんと違う?」

絵里「え? 私が?」

凛「うんうん、絵里ちゃんならできるよ」

絵里(やってみたことないけど……できるのかしら?)

絵里「そうね、じゃあにこあたりからやってみましょう」

にこ「何よ。私が練習台ってわけ?」

絵里「誰だって本命よ」

にこ「……」

希「えりち……罪作りな生徒会長や」

絵里「?」
469 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:20:54.24 ID:RhpPp4pb0
絵里「いくわよ」

にこ「いつでもいいわ」

絵里「よっと、わっ、軽っ!」

にこ「み、見たらわかるでしょ、このプリティーなボディーのどこに無駄なお肉がついてるっていうの」

真姫「急に饒舌になり始めたわね」

にこ「な、何言ってるのよ。そんなわけないじゃない。私はいつだって饒舌だって言うのに」

凛「にこちゃん。顔赤くなってきたよ」

希「ははーん。もしかして予想以上に居心地良かったん?」

にこ「ば、バカ! そんなわけないでしょ!」

絵里「あら、高いところ怖かった? すぐに下ろすわね」

にこ「バカ」

絵里「えっ、何で」

花陽「あはは、にこちゃんももっと素直に甘えたらいいのに」

にこ「ぐぬぬ」
472 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:24:33.47 ID:RhpPp4pb0
希「あ、そうや。その前に……これ!」

花陽「インスタントカメラ?」

希「そうそう、えりちの妹さんから預かってきたんよ。じゃあ撮るでー」

にこ「え、何それ聞いてないわよ! 写真は事務所を通してから……」

凛「事務所なんかないにゃー」

希「はい、ペリメニー」

絵里「ペリメニー」

にこ「何よそれ!」

穂乃果「うぅん……」

真姫「あ」

凛「穂乃果ちゃんのこと忘れてたにゃ」
474 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:29:31.62 ID:RhpPp4pb0
凛「じゃあ凛は足を持ちます」

希「ウチは背中を」

花陽「私は腰ね」

真姫「頭」

絵里「あら、私たち余っちゃった」

にこ「……そうね」

希「いくで、せーのっ……」

凛「おお、みんなで持つとかるーい」

絵里(なんか謎の民族に連れ去られる光景っぽい)

にこ「なんか眠くなってきたわ」

絵里「お肌のお手入れしないと」

にこ「そうだった……あっちにあるから移動して」

絵里「はーい」
475 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:32:39.68 ID:RhpPp4pb0
希「お布団とうちゃーく」

真姫「ゆっくり下ろしていくわよ」

花陽「うん」

凛「ゆっくりね」

穂乃果「うぅ……」

花陽「あ、起きちゃった?」

穂乃果「……そらから……おんなのこが」

凛「ぶふっ」

花陽「ほ、穂乃果ちゃん……」

真姫「ちょ、みんな笑い出してどうしたのよ、危ないでしょ」

希「絶対起きてるやろ!」

絵里「なんだかおもしろいことになってるわね」

にこ「そうね」
477 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:39:00.67 ID:RhpPp4pb0



絵里「じゃあもう電気消すわよ」

希「うん」

凛「えー、まだ凛眠くないよぉ」

にこ「大人しくしなさい」

真姫「わっ!?」

凛「にゃっ!? にこちゃんが怖い!?」

海未「ああ、あれですね」

絵里「ええ」

にこ「パックよパック」

花陽「へぇ、そうなんだぁ」

絵里(あれ? 花陽は意外と驚かないのね)
478 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:46:42.23 ID:RhpPp4pb0
希「今日は色々遊んで疲れたし、ぐっすり眠れそう」

海未「それに、明日は早いですからね」

凛「そ、そうだった……」

絵里「もう消していい?」

花陽「うん」

絵里「アラームセットしておくからね」

真姫「はいはい」

絵里(あー……今日は楽しかったわ)

絵里「おやすみなさい……」





絵里(ん? 何か忘れてる気が……まあいいか)
479 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 17:49:40.07 ID:RhpPp4pb0




――――――――……て、え……ちゃん――――――――

……誰? まだ夜でしょ?

――――――――……きて、絵里ちゃん――――――――

んー、まだ寝ていたいんだけど……。



――――――――起きて、絵里ちゃん――――――――




はなよ……?
485 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:15:54.07 ID:RhpPp4pb0
花陽「ごめんね絵里ちゃん、ちょっといい?」

絵里「いいけど……今何時?」

花陽「夜の10時だよ。みんな疲れてて早く寝ちゃったから」

絵里(そっか、結局最後に時計見たのって8時くらいだったわね)

絵里「外に出る?」

花陽「うん、その方がいいかな」

絵里「わかったわ。ちょっと待って」

絵里(でもどうしたのかしら。こんな時間に……)

絵里「うん、大丈夫よ。行きましょう」

花陽「わかったよぉ」
486 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:18:19.38 ID:RhpPp4pb0



絵里「うーん、潮風が気持ちいいわね」

花陽「そうだね。ちょっと暗すぎる気もするけど」

絵里「このあたりは周りに建物が少ないからかも」

花陽「うん」

絵里(……そろそろ話を聞こうかしら)

絵里「で、花陽。何の話かしら」

花陽「それなんだけど……真姫ちゃん」

真姫「ん」

絵里「あら、真姫もいたの?」

真姫「……大事な話だからね」

絵里(何のことかしら)
487 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:21:55.18 ID:RhpPp4pb0
花陽「真姫ちゃん。話した通りにお願いね」

真姫「……わかってる」

絵里「大事な話って何? 楽しい事だといいんだけど」

花陽「絵里ちゃんにとっては楽しいことだと思うよ。みんなも喜んでくれる」

絵里「……それってやっぱりμ'sの――――――――」

真姫「ダメ、言わないで」

絵里「え?」

真姫「私が、言いたいの」

絵里(……なるほどね)

真姫「絵里、率直に言うわ」




真姫「μ'sに入って」
488 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:26:08.01 ID:RhpPp4pb0
絵里「それ、希にも言った?」

真姫「ええ、聞いたわ」

花陽「希ちゃんも、絵里ちゃんには聞いたのかって言ってたよ」

絵里(あはは、やっぱりそっか)

絵里「答えは?」

真姫「もちろん了承してくれた。だから――――――――」

絵里「最後は私、ってわけね」

花陽「うん。そういうこと」

絵里(結局遅れはしたけど、加入順は変わらなかったかぁ……)

絵里「私も答えは決まってるわ。こっちからお願いしたいくらいだったもの」

真姫「ってことは……」

絵里「うん。私、絢瀬絵里はμ'sに入ります」

真姫「……よかった」

花陽「うんっ!」

絵里(ふふ、私もうれしいわ。ちょっと予定とは違ったけど)
489 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:28:45.60 ID:RhpPp4pb0
花陽「生徒会の仕事はどう?」

絵里「え? どうしたの急に」

花陽「生徒会の仕事。忙しくないかってこと」

絵里「ああ、それなら大丈夫よ。花陽が手伝ってくれたおかげで楽になったし」

絵里(まあどんな仕事が出るかわかってるからね。前は溜めちゃってた仕事もすぐ終わったもの)

花陽「嘘じゃない……よね?」

絵里「ええ。嘘なんてつかないわ」

花陽「そっか。よかったぁ……」

真姫「花陽? あなた……」

花陽「なに?」




真姫「あなた、何で泣いてるのよ」
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/23(水) 21:29:40.67 ID:X2phTyow0
!?
491 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:31:48.19 ID:RhpPp4pb0
花陽「あ、あれれ? 本当だ……」

絵里「は、花陽? 大丈夫?」

花陽「うん、そういうことじゃないの。大丈夫。大丈夫だから」

花陽「あは、泣くつもりなんて……なかったんだけどなぁ」

絵里(どういうこと? 花陽はどうして……)

花陽「真姫ちゃん、最後のお願い、聞いてくれる?」

真姫「……いいわよ」

花陽「ありがとう」

絵里(最後? 最後って何?)

真姫「で、何? まあわかってるけど」

花陽「……さすが真姫ちゃんだね」

花陽「うん、少しだけ絵里ちゃんと2人きりにしてほしいの」

絵里(花陽……あなた一体……)
492 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:34:47.43 ID:RhpPp4pb0
真姫「じゃ、ちゃんと戻って来なさいよ」

花陽「うん。ありがとう」

真姫「絵里、花陽を頼んだわ」

絵里「え、あ……ええ。わかった」

真姫「……じゃあね」

花陽「……それじゃ絵里ちゃん、本題に入ろっか」

絵里「どういうこと? 花陽、あなたどうしたの?」

花陽「ふふ、絵里ちゃん、そんなに焦らないで」

絵里(まさか、まさか花陽は――――――――)




花陽「そう。思ってる通り、私は未来の人間だよ」
493 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:39:23.26 ID:RhpPp4pb0
絵里「で、でも! 花陽は私が聞いてた時、何も知らなくて……」

花陽「だって絵里ちゃん、未来から来た私が生徒会の手伝いをしたい、って言っても聞いてくれないでしょ?」

絵里「それは……」

花陽「絵里ちゃんは優しいから。気を遣わせないように、なんでも1人でやってくれるもん」

花陽「それに頼ってばかりの私たちのままじゃ……ダメなの」

絵里「花陽……」

花陽「希ちゃんが教えてくれたおまじない、本当に効くんだね。びっくりしちゃった」

絵里「……花陽は私の為にここへ来たって言うの?」

花陽「うん」

絵里「花陽の後悔って、やっぱり……」




『やっぱりお仕事時間かかったみたいだね……手伝った方がよかったよね』



花陽「うん、絵里ちゃんがみんなとの時間をもっととれるようにするため」
494 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:45:08.52 ID:RhpPp4pb0
絵里(私の為に……花陽は私のことでそんなにも……)

花陽「私は絵里ちゃん1人で何でも抱え込んでほしくなかったの。希ちゃんみたいに、私にも打ち明けてほしかった」

絵里「ごめん……ごめんなさい」

花陽「私たちをもっと頼ってくれてもよかったのに」

絵里(私は結局、花陽をこんなにも追い詰めてた)

絵里(気を遣わせてた……)

絵里「花陽、ごめんなさい……本当に……」

花陽「ううん、私は怒ってないの。むしろ嬉しいくらい」

絵里「え?」

花陽「だって今は、私のことを頼りにしてくれたんだから、ね?」

絵里「ええ、でもそれとこれとは……」

花陽「一緒だよぉ。頼ってほしかったっていう私のエゴなの」

絵里「そんな、違うわ! 花陽はそんな……エゴなんかじゃ……」

花陽「ううん、これは自分の為でもあったの。絵里ちゃんが頼ってくれる自分になりたいっていうね」
495 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:48:53.77 ID:RhpPp4pb0
花陽「だから……絵里ちゃんに明かせなかったんだ。私が来たって」

花陽「後ろめたかったのかもしれない。純粋に絵里ちゃんのために来たわけじゃないから」

絵里「花陽……」

花陽「ありがとう。私に幸せな夢を見せてくれて」

花陽「私はここで、先に戻ってるね」




花陽「もう、満たされたから――――――――」





花陽「うっ……」

絵里(倒れる!)

絵里「花陽!」

花陽「……あれ? ここは……絵里ちゃん?」

絵里(先輩が……ついてない)

絵里「花陽?」

花陽「あ、あれ? 何でこんなところに……んー? 私、寝てたよね?」
496 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:53:05.68 ID:RhpPp4pb0
絵里(どういうこと? 花陽の記憶は今どうなってるの?)

絵里「花陽、今皆はどこで何してるかわかる?」

花陽「え? 今は合宿でしょ? みんな同じ部屋で寝てたし……まくら投げをして……」

花陽「あれ? まくら投げ、してたっけ?」

絵里(戻ってる……? ここまで未来の花陽がいたのがすっかり消えてしまったみたいに――――――――)

花陽「絵里ちゃん、私どうしちゃったのかなぁ……」

絵里「ううん、大丈夫。戻りましょ」

花陽「んー、絵里ちゃんってμ'sに入ってるよね? なんだか今まで絵里ちゃんがメンバーにいなかったような気がして……」

絵里「花陽は疲れてるのよ。もう寝ましょう」

花陽「うん……変なこと言ってごめんね」

絵里「いいえ、構わないわ」

絵里(過去の花陽の記憶は、私が介在していないものに切り替わってる……ってことはもう、未来の花陽はいないのね)
497 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 21:57:23.46 ID:RhpPp4pb0
真姫「花陽、絵里」

絵里「あら、待っててくれたの?」

花陽「真姫ちゃんも起きてたの?」

絵里「あ」

絵里(そうか、真姫は前、こんな時間に起きてないから記憶が食い違ってるんだわ……)

絵里「ま、真姫、これはね……」

真姫「花陽、そういうことだったのね……最後って言うのは」

絵里(……ああ、全部話してたんだ)

真姫「そうよ、少し眠れなくて起きてたの。花陽たちを待ってたわけじゃないわ」

花陽「そうなんだぁ」

絵里「じゃあ花陽、ここから戻れるかしら」

花陽「うん、ありがとう絵里ちゃん。戻れるよ」

絵里「気を付けてね」

花陽「うん」
498 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 22:01:53.41 ID:RhpPp4pb0
絵里「……真姫、どこまで聞いたの?」

真姫「今日で変わってしまうってことだけよ。それと3つのお願いだけ」

真姫「希と絵里にμ'sに入ってもらうことを頼むこと。それとさっきの2人きりにしてってことだけ」

絵里(ほとんど何も話してないってことね)

真姫「絵里に持ちかけられた、誘ってくれたらμ'sに入るってやつ。それを花陽に話したら、任せてって言われて……」

絵里「凛には?」

真姫「すぐ寝ちゃったから、話せなくて」

絵里(私たちが寝た後に話したってことか)

真姫「深くは聞かないけど、花陽は何で泣いてたのかだけ教えてくれる?」

絵里「それは……私のせいよ」

真姫「絵里の?」

絵里「そう、彼女に気を遣わせてたせい」

絵里(私が悪かったのよ……うん、それは違いない――――――――)




真姫「それは違うんじゃない?」
499 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 22:05:02.46 ID:RhpPp4pb0
絵里「……どうしてそう思うの?」

真姫「あの子はほとんど何も教えてくれなかったけど、絵里のことを悪く言うようなことは言わなかった」

真姫「頼ってくれて、うれしかったって」

絵里「本当?」

真姫「私はそんな気を遣えるほど器用じゃないもの」

絵里「あはは、ありがと……」

絵里(……それがせめてもの救いね)

真姫「やだ、絵里にまで泣かれたら困るじゃない」

絵里「泣いてないってば」

真姫「ほら、ハンカチ」

絵里「ありがと……ありがとぉ」

真姫「もう……綺麗な顔が台無しよ」