絵里「つよくてにゅーげーむ」 前編

500 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 22:07:14.12 ID:RhpPp4pb0
――――――――――――――――

希「おかえり、花陽ちゃん。どうやった?」

花陽「うん。ちゃんと言えたよ」

希「それはよかった」

絵里「……すぅ」

花陽「絵里ちゃん、まだ寝てるね」

希「うん。幸せそうで何よりって感じかな」

花陽「ごめんね、急におまじない教えてほしいなんて頼んで」

希「いいよ。ウチも海未ちゃんに教えたときに聞かれてたんは知ってたし」

花陽「ふふ、希ちゃんは何でもお見通しだね」

希「それがウチやもん」

501 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/23(水) 22:09:28.74 ID:RhpPp4pb0
花陽「希ちゃんは……その……」

希「ああ、ウチが何でおまじない使わないか、って?」

花陽「……うん」

希「ウチはね。もう滅多なことがない限り使わんでいいんよ」

花陽「それって、前は使ってたってこと?」

希「そうやで。それはもう――――――――」




希「100や200なんて軽く超えるくらいに、ね」

――――――――――――――――
512 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 19:31:02.72 ID:TKfi33VN0
絵里「……真姫は何も聞かないの?」

真姫「話したくないならいい」

絵里「うん、ありがと」

絵里(……真姫はちょっとだけ、未来の真姫に似てるかも)

花陽「だ、誰か助けてぇぇ!」

絵里「え? 花陽?」

真姫「どうしたのよ、そんなに慌てて」

花陽「せ、戦争が……戦争があああああ!」

絵里「戦争……?」

真姫「穏やかじゃないわね」

花陽「もうみんな……やられちゃってて」

絵里(いったい何が起こったっていうの……?)

花陽「お、お願い2人とも。にこちゃんと穂乃果ちゃんを助けて!」

真姫「はぁ……絵里、行くわよ」

絵里「うん」
513 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 19:35:46.92 ID:TKfi33VN0



海未「明日は練習だと言いましたよねぇ……ふふふ」

にこ「に、にこは何もしてないってばぁ!」

穂乃果「ごごご、ごめんなさい海未ちゃん! まくら投げなんか始めた穂乃果が悪かったからぁ!」

希「」

ことり「」

凛「」

真姫「何よこの状況!」

海未「えぇ? 2人もどこかへ遊びに行ってたんですかぁ……!?」

絵里「わっ」

花陽「きゃあ!?」

真姫「は、速い……まくら?」

海未「次は仕留めますよ……ふふふ」

絵里(あー、なんとなく状況がわかった)
514 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 19:39:11.42 ID:TKfi33VN0
花陽「みんなが花陽のこと庇ってくれて……」

真姫「庇うって……枕から?」

花陽「うん」

絵里「で、この有様と」

絵里(死屍累々って感じね)

にこ「え、絵里! 助かったわ!」

穂乃果「真姫ちゃん! 花陽ちゃん!」

海未「あなたたちにはまだ、眠ってもらわないといけませんね……」

にこ「やばっ」

穂乃果「ひいっ!」

絵里(何か忘れてると思ったらこれかぁ)

絵里「海未ー、●●●見えてる」

海未「……」

海未「えっ!?」

絵里「とりゃあああ!」

海未「ぶっ……む、ねん……」

絵里「ふっふっふ、あなたの敗因は相手がこのエリーチカだったってことよ!」

絵里(まあ1回経験してるしね)
515 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 19:42:51.18 ID:TKfi33VN0
真姫「何よこれ。これがまくら投げだっていうの?」

花陽「た、たぶん……」

海未「すぅ……」

穂乃果「え、絵里ちゃん」

にこ「あの海未を一撃で……」

絵里「はいはい。それで、2人とも何してたのよ」

穂乃果「あ、うん。最初に穂乃果が目を覚ましたんだ。そしたら絵里ちゃんと花陽ちゃん、それに真姫ちゃんがいなくって」

絵里(事件は私たちが出てる間に起きたってわけね)

にこ「そうよ、それでみんな起こして探そうとしたら、希がふざけて幽霊にさらわれたーとか言うから……」

穂乃果「凛ちゃんもふざけて枕を投げたんだ……そう――――――――」



穂乃果「なかなか起きない海未ちゃんに向かって、ね」

絵里(何このシリアスムード)
517 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:00:35.13 ID:TKfi33VN0
絵里「で、邪魔されるのが嫌いな海未が怒った、ってわけね」

穂乃果「うん。真っ先に凛ちゃんがお星さまに……うう」

絵里「あー……よしよし」

絵里(でも前はにこが最初だったっけ)

絵里「にこ、成長したわね」

にこ「え、何が」

穂乃果「それに海未ちゃん、なんだか今までより強い気がして……」

絵里(未来から来てるデメリットがここで出て来るとは)

花陽「みんな大丈夫なのかなぁ?」

ことり「うぅ……」

真姫「ことりがうなされてるくらいじゃない? どうするのよ、これ」

穂乃果「あ、それはこの……」

絵里「この枕を敷いてあげて」

花陽「うんっ」

ことり「……くぅ」

真姫「本当ね。良い表情になった」
518 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:04:44.12 ID:TKfi33VN0
穂乃果「……絵里ちゃん、穂乃果の誕生日っていつだっけ?」

絵里「自分の誕生日も覚えてないの? 8月3日でしょ?」

穂乃果「すごい、もう覚えてくれたんだ……」

絵里「……あ」

絵里(しまった、これを知るのってもっと後だった……)

穂乃果「ことりちゃんのことも海未ちゃんのこともよく知ってるし、なんだかずっと一緒にいたみたいな感じがするよぉ」

絵里(鋭い)

花陽「そうだねぇ」

真姫「ま、そうね。私がトマト好きって見ただけで判断したみたいだし」

絵里(し、史上最大のピンチ!)

絵里(希は……寝てる)

にこ「……やれやれね」

にこ「私が絵里にいろいろ教えてたのよ」
519 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:07:56.79 ID:TKfi33VN0
穂乃果「え?」

花陽「にこちゃんが?」

にこ「ええ、μ'sに入りたい入りたいって絵里がうるさくて」

絵里「ちょ、にこったら!」

絵里(そうだけどもっと言い方が……)

にこ「でも、その願いは叶ったんでしょ? ね、真姫ちゃん」

真姫「えっ、何でそれを……」

にこ「にこにーはすべてをお見通しなのよ」

絵里(……なんだかんだ言っても、私はにこにも敵わないわね)

穂乃果「え? ってことは……」

花陽「絵里ちゃんがついに……」




絵里「そうよ。この度、絢瀬絵里は音乃木坂学院のスクールアイドルユニット、μ'sのメンバーとなりました」
520 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:12:31.37 ID:TKfi33VN0
穂乃果「ええええええええええ!?」

花陽「え、絵里ちゃんが!?」

にこ「えええええええ!?」

絵里「えっ、にこ。知ってたんじゃ……」

にこ「ししし、知ってたに決まってるでしょ!」

絵里(あー、いつものにこだわ。安心する)

絵里「ほらみんな、静かに。次に眠れる海未を起こしたら、みんなの意識の保証はできないわ」

穂乃果「……!」

花陽「……!」

真姫「だからって口をふさぐ必要はないと思うけど」

絵里「ふふっ、詳しいことはまた明日ね。それと――――――――」



絵里「みんな、よろしくね」
521 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:19:36.61 ID:TKfi33VN0
絵里(……とまあクールに言ってみたけど)

絵里「眠れないわ……」

絵里(みんな寝るの早いわね)

絵里(私は念願のμ'sに加入、って目的を果たせたせいで頭が冴えちゃってるから……)

絵里「はぁ……」

花陽「うぅん……たきたて」

絵里(花陽も帰っちゃったし、残るは海未と私だけ……)

絵里「あれ?」

絵里(何で私、μ'sに加入できたのに帰れないのかしら)

絵里「……あ」

絵里(そっか、早期加入はしてないものね。それに海未との留学を止める約束もあるし)

絵里(なら私はもう少し頑張らなきゃ……)
522 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:25:45.94 ID:TKfi33VN0



希「えーりち、おはよ」

絵里「……おはよう」

希「あらら? まだ眠いん?」

絵里「昨日あんまり眠れなくて」

希「もうちょっと寝とく?」

絵里「ううん、起きる。示しがつかないから」

希「うん、じゃあみんなに新メンバーですって言わなきゃね」

絵里「……そうね」
523 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:29:28.93 ID:TKfi33VN0
絵里「みんなは?」

希「外で待ってる。えりちが入ったって聞いてみんな喜んでたで」

絵里「あら、もうみんな聞いてるんじゃない」

希「ウチがバラしてしもた」

絵里「おばか」

希「えへへ、褒め言葉として受け取っとく」

絵里「はいはい……よし、用意終わりっと」

絵里「行くわよ希、新メンバーは雑用から始めなきゃ」

希「えー、球拾い?」

絵里「ふふ、そうかもね」
524 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:36:16.90 ID:TKfi33VN0



――――――――みんな、今日からよろしくお願いします――――――――



――――――――私、絢瀬絵里は、スクールアイドルとして頑張ります!――――――――



――――――――ってこらぁ! 抱き着いてこないの!――――――――



――――――――はいはい、練習ね、練習。わかってるわよ――――――――






――――――――大丈夫よ。時間はまだまだあるんだから――――――――
525 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/24(木) 20:47:28.68 ID:TKfi33VN0
海未「ではまずはランニングから……」

穂乃果「ええっ!? 絵里ちゃんと希ちゃんの歓迎は!?」

海未「これを歓迎にします」

ことり「えぇぇ……スパルタだよぉ」

真姫「これについて来れないようじゃ、μ'sにはついて行けないってわけね」

凛「あれ? 真姫ちゃんなんだかうれしそうじゃなーい?」

花陽「ふふ、本当だね」

真姫「べ、別にそんなことないわよ」

にこ「やっと3年生が仲間になってくれてうれしいわー。にこにー1人じゃ大変だったしぃ」

希「みんなの方が大変やったやんなぁ?」

にこ「どういう意味よ!」

絵里(やっと、追いつけたってわけね)

絵里(ここからが私のスタート……頑張らなきゃ!)
531 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 13:17:59.47 ID:FuvHsdwl0



海未「今日はこのあたりにしておきましょう」

絵里「あー、いい運動になったわ」

希「……そ、そんな……一応特訓してたのに」

穂乃果「」

ことり「穂乃果ちゃん! 目を覚まして!」

凛「凛ももうだめだよぉ……」

花陽「り、凛ちゃんしっかり!」

真姫「はぁ……はぁ……」

にこ「白いおひげのおじいさんがにこを呼んでる……」

海未「……あ、あれ? どうしたんでしょう、今日は普通の運動量に設定したつもりでしたが……」

絵里(海未はおそらく今が夏だということを忘れてる)
532 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 13:23:31.81 ID:FuvHsdwl0
にこ「おひげ……川も見える」

ことり「にこちゃん! 渡っちゃダメっ!」

真姫「え、絵里たちはどうしてそんなに……はぁ、はぁ……余裕そうなのよ」

海未「鍛えてますから」

絵里「そういうこと」

花陽「すごいなぁ……」

絵里「花陽もだいぶついて来れるようになったじゃない。上出来よ」

花陽「えへへ、そうかな?」

絵里(まあ未来と比べるとまだまだ伸びるけどね)

海未「では絵里、私たちは追加でもう1本、行きましょうか」

絵里「ええ」

希「頑張ってぇ……うぅ」

真姫「穂乃果、凛、にこちゃん。行くわよ」

凛「ラーメン……」

真姫「あー、冷蔵庫にケーキとラーメンがあったわね」

凛「なんでラーメンを冷蔵庫に入れてるの! 凛とってくる!」

穂乃果「ケーキ!」

真姫「……フ」

絵里(真姫が何気に扱いが上手くなってきてる)
533 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 13:30:05.10 ID:FuvHsdwl0
海未「どのくらい走りますか?」

絵里「んー、みんなを待たせても行けないし、100メートルのダッシュ10本くらいでどう?」

海未「そうですね」

ことり「あ、にこちゃんなら私持てるよっ」

にこ「にこぉ……」

花陽「じゃあ真姫ちゃん、肩貸すね」

真姫「ありがと」

希「ウチも肩貸すー」

真姫「ありが……ちょっと! どこ触ってんのよ!」

希「ありがとうございます!」

絵里「お姫様抱っこされたりおんぶされたり、にこはよく持ち上げられるわね」

海未「絵里は私が持ち上げてみましょうか?」

絵里「あはは、遠慮しとく」

絵里(だって今までダンスレッスン以外激しい運動してなかったから絶対太ったもの……)

絵里(持ち上げられませんとか言われたら……私……)

絵里「うわーん!」

海未「は、速いっ……! 私も負けませんよ!」
534 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 13:35:55.98 ID:FuvHsdwl0
絵里「うわああ!」

絵里(丸々太ったエリーチカはきっとみんなに丸焼きにされて食べられるんだわ……)

海未「あ、絵里! 足元見てください!」

絵里「へ? うわぁ!? ヤドカリ……」

絵里(しまった! 姿勢が崩れ……)

海未「絵里!」

絵里「わ」

海未「うわっぷ」

絵里「……ごめんなさい」

海未「いえ、尻餅をついただけで済んでよかったです」

海未「……海の中にですけど」

絵里(ずぶぬれ……海未、絶対怒ってるわ)
535 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 13:41:43.91 ID:FuvHsdwl0
絵里「ご、ごめんなさい海未……」

海未「大丈夫ですよ。私は怒ってませんから」

絵里「でも海未は私を庇って背中から……」

海未「いいんですよ。服には替えがありますから」

絵里「……海未、背中にわかめついてる」

海未「ええっ!?」

絵里(なんでこんなところにわかめが)

海未「なぜこんなところにわかめが……」

絵里「ぷふ」

海未「え、私、何か変なこと言いましたか?」

絵里「いや、同じときに同じこと考えてたから」

海未「そうでしたか……」

海未「これって食べられるんでしょうか」

絵里「くっ……ふふ」

海未「えっ、な、何ですか!」

絵里(わ、ワイルドすぎて……)
536 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 13:49:31.22 ID:FuvHsdwl0
絵里「一旦戻りましょうか」

海未「そうですね。濡れたままでは風邪をひくかもしれませんし」

絵里「あ、でもこの陽射しなら乾くんじゃない?」

海未「どうでしょう……脱いでどこかにかけておけばそうかもしれません」

絵里「……下 でいいの?」

海未「……戻りましょう」

絵里「うん、それがいい」

海未「しかしこのわかめ、大きいですね。どこからか流れてきたんでしょうか」

絵里「食べるの?」

海未「いえ、海に還しておきます」

絵里「……ボトルレター流す人みたい」

海未「何か文字を刻んでおきますか?」

絵里「ふふっ、いらなーい」

海未「そうですね。ふふふ」
544 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:15:44.87 ID:FuvHsdwl0




海未「さて、服を着替えましょうか」

絵里「穂乃果と凛に怒られちゃったわね。2人だけ遊んできてずるーい、って」

海未「遊んでいるわけではなかったんですがね」

絵里「そうね」

海未「……で、絵里。ここにいるんですか?」

絵里「え? ダメ?」

海未「いや、ダメというか……その……」

絵里(どうしたのかしらモジモジして)

海未「いや、着替えるので……」

絵里「あ、海未ってこんなにたくさん着替え持ってきてたの?」

海未「え? あぁ、そうですね。予備にと」
545 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:20:36.32 ID:FuvHsdwl0
絵里「何の予備なの?」

海未「穂乃果やことりが服を忘れたときなどに、ですよ」

絵里「なるほどね。だからこんなにたくさん……っていくらなんでも多すぎない?」

海未「はい、これはちょっと古いものが多いですから」

絵里「そうなの?」

絵里(って言われてみれば確かにそう見えるかも……新しくはなさそうだし)

海未「だから今来ているこの服も、実はこのまま捨ててしまおうかと思っていまして」

海未「この服が一番古いですから」

絵里(なるほど。帰りに荷物を減らそうってわけね)

海未「それに、この服はいずれ捨てることになるんですよ」

絵里「そうなの?」

海未「はい、帰ってすぐ服の整理をして捨てたんです。未来ではですけど」

絵里(そっか、そういう風に未来がわかるんだ)
546 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:23:33.56 ID:FuvHsdwl0
海未「ですから……その……」

絵里「え?」

絵里(海未が部屋の隅に逃げるように……)

海未「着替えるので……」

絵里「あ、そういうことね」

絵里「カメラに収めてほしいと」

海未「そ、そういうわけではなく……!」

絵里「えー? 亜里沙喜ぶと思うんだけどなぁ」

海未「ですが……」

絵里(海未をいじるのが楽しいだけなんだけどね)

絵里「ほら、ポーズ決めて」

海未「そ、そんなにすぐには決められません!」

絵里(あ、意外とノリノリだわこの子)
547 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:27:35.53 ID:FuvHsdwl0



絵里「……なんかもう、すぐだったわね」

希「そうやね」

にこ「本当よね。楽しい時間はあっという間に過ぎるって言うか」

絵里「合宿があんなに早く終わるとは……」

希「まあえりちも満喫してたやん」

絵里「そうだけど……なんだか気付いたら一瞬で終わったような気がして」

にこ「まあいろいろインパクトはあったけどね。2人がμ'sに入ったりしたし」

希「うん、そうやね」

絵里「うーん……もっと楽しみたかったかも」

にこ「欲張り言わないの」

絵里「はーい」

希「それに、亜里沙ちゃんも喜んでくれてたし」

絵里「そうね」
548 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:30:08.35 ID:FuvHsdwl0
絵里「何かやり残したことってあるかしら」

希「スイカ割り……は、したやんな?」

にこ「花火もビーチバレーもしたわ」

絵里「いや、そうじゃなくて……何か別のことを忘れてるような……」

絵里(なんだっけ? 私が加入してすぐにやったことをやってない気が……)

海未「絵里!」

希「あ、海未ちゃん」

にこ「そんなに慌ててどうしたのよ。珍しい」

海未「いえ、それが……大事なことを忘れていたんです」

希「大事なこと?」

にこ「何よそれ」
549 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:32:05.94 ID:FuvHsdwl0
絵里「……そうだ!」

絵里(思い出した。思い出したわ!)

海未「わかりましたか、絵里」

絵里「ええ、わかったわ」

希「なになに? 何するん?」

にこ「教えなさいよー」

海未「ええ、私たちは……」




絵里「アキバでまだ路上ライブをやってないのよ!」

にこ「へっ」

希「え?」
550 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:38:40.26 ID:FuvHsdwl0
にこ「あああっ、アキバで!? あのA-RISEがいるアキバよ!?」

絵里「そうよ」

海未「はい」

希「へぇ、それは何でやるん?」

絵里「ラブライブ出場枠は上位20位まででしょ? 今は確か50位くらいだから……」

にこ「え、今のμ'sはランキング19位よ」

絵里「えっ」

海未「ほ、本当ですか!?」

にこ「穂乃果たちにも……もちろん海未には言ったでしょ? 私と花陽しか自体を飲み込めてなかったみたいだけど」

海未「あ、あれ? そんなことは聞いた覚えが……」

海未「……すみません、あります」

絵里(あるんだ)
551 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:43:35.58 ID:FuvHsdwl0
海未「ですが何気ない会話だと思って……だってその頃のμ'sは50位にも入っていませんでしたから」

にこ「そうだったのよ。つい最近までμ'sは全然ダメダメだった」

にこ「でも! 学校説明会で撮られたPVの出来がよくて、それがものすごく評価されたのよ!」

にこ「撮ったのは?」

絵里「あ、私だ」

希「あー、えりちそういうの撮るん上手やもんなぁ」

絵里(……私の撮影でランキングの順位が上がった?)

絵里「ハラショー……」

にこ「で、順位が急激に上がってて……こっちに戻ってきてパソコンつけたら19位、ってわけよ」

にこ「海未たちには今朝集まってもらって話したけど、絵里と希にはまだだったわね」

絵里「あれ? 何で私たちには内緒に?」

にこ「それは……ほら、陰で支えてくれたんだし、サプライズーみたいなー……」

絵里(かわいい)

希「ふふっ」
552 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/25(金) 23:47:24.07 ID:FuvHsdwl0
にこ「まあともかく結果オーライよ! ラブライブ出場はほぼ確定……」

希「でも19位やと抜かれたりしそうやなぁ」

にこ「」

絵里「あ、そうね。意外とライバルグループが出てくるのも時間の問題かもしれないわ」

にこ「」

海未「それは心配ですね……」

にこ「……アキバでライブ、したほうがいいわよね」

絵里「部長のお好きなように」

にこ「じゃあやるわ」

希「おーっ! それに、ウチらにとったら初ライブになるんやし頑張らな」

絵里「私はもうやってる」

希「あ、そうか」
561 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:16:41.73 ID:xImziVXy0



絵里「というわけで、よ」

海未「どうしたんですか。私だけ残して」

絵里「ほら、ことりよことり。ミナリンスキーの」

海未「それがどうかしたんですか?」

絵里「……今の時期も、ことりはメイドをやってるのかしら?」

海未「……え」

絵里「夏休みに入る前だったからこそ、あのイベントは起こった……つまり」

海未「ま、まさか……!」

絵里「そうよ。もしかするとことりはもう……あの写真を買い取ってるかもしれない!」

海未「なんですって!?」

絵里「何の前触れもなくことりをメイドだと指摘するのは少し無理がありすぎる」

絵里「だから何としてもことりのメイド姿をゲットするのよ!」

海未「はいっ!」

絵里(……あるといいんだけど)
562 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:21:11.91 ID:xImziVXy0
海未「ですがことりの写真っていくらくらいなんでしょう」

絵里「うーん……でも写真だし高くて1000円くらいかしら?」

海未「なるほど。そのくらいですか……ううむ、難しいですね」

絵里(確かに海未はそういうのに無頓着そうよね)

海未「どうしました?」

絵里「え、あぁ。海未はそういうアイドルの写真とか持ってなさそうだなって」

海未「私もそれくらい持っていますよ。ほら」

絵里「……えっ」

海未「え?」

絵里(な、何で私と海未のツーショット写真を――――――――)

海未「あ、これは希からもらったんでした。せっかくなので記念に、と」

絵里「……ちょっとドキッとした」

海未「そ、そんな犯罪的な要素がありましたか!? た、たしかに私が持っているのは変ですが……」

絵里「ちがーう!」
563 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:25:45.98 ID:xImziVXy0



絵里「……海未隊員、そっちは?」

海未「オーケーです。いつでも行けます」

にこ「よーし。用意できたわね」

絵里「って何でにこが一番乗り気なのよ」

にこ「私たちはスクールアイドルなのよ? 外に出るとき迂闊に見つかるような真似は慎みなさい」

絵里(結局この展開は変わらないのね)

にこ「そう、まずアイドルと言えば変装。変装と言えば……」

海未「ルパンですか?」

にこ「いやいや」

絵里(海未は「またつまらぬものを斬ってしまいました」とか言いそうよね)

海未「でもこんな時期にコートとマスクとサングラスというのは……逆に目立ちませんか?」

にこ「……」

絵里「それに暑いし」

にこ「……じゃあやめとく」

絵里「ふふ、そうしましょう」
564 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:28:25.72 ID:xImziVXy0
にこ「あ、でもサングラスは似合ってるわよ」

絵里「あら、そう? にこもかわいいわよ」

にこ「ありがと」

海未「……」

絵里(私はまだですか、って顔してる)

絵里「海未も似合ってるわよ」

海未「本当ですか!?」

絵里「……制服が」

海未「……」

にこ「なんかもっとなかったの?」

絵里「いや、そういえば海未は装飾品を何も身に着けてなかったと思って」

海未「じゃ、じゃあこういうのはどうですか? 髪型を変えて変装とか――――――――」

にこ「採用!」

絵里「決定!」

絵里(なんか遊びたいだけになってきたわね。まあいいけど)
565 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:32:15.63 ID:xImziVXy0
にこ「じゃあ今から時計回りに隣の人の髪型を真似すること!」

絵里「ええ。わかったわ」

海未「はい」

海未「……って、私がツインテールですか?」

にこ「そうよ、それでにこがポニーテール」

絵里「私はそのまま下ろすだけね」

海未「つ、ツイン……」

にこ「何よ。にこにーの髪型に文句あるって言うの?」

海未「……やったことがなくて」

にこ「なるほど」

絵里「にこ、やってあげて。私はにこの髪整えるから」

にこ「……なんかこうして並ぶと毛づくろいみたい」

海未「そんな野生に帰ったみたいな……」

絵里「野生のにこ」

にこ「鳴き声はにこにーでお願い」

海未「新種の生物みたいですね」

絵里「UMAね」

にこ「手を動かしなさい」

絵里「はーい」
568 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:40:37.08 ID:xImziVXy0



絵里「よし、ついにアイドルショップに来たわ……」

海未「ごくり……」

にこ「ていうかあんたたち何しに来たの?」

絵里「え」

海未「あ、教えていませんでしたね」

絵里(でも教えると後々面倒ね。今は隠しておきたいし……)

絵里「にこのグッズが置いてあるわよ」

にこ「嘘っ!?」

絵里「ほらほらー、写真撮らなくていいのー?」

にこ「撮る撮る!」

絵里(計画通り……)

絵里「さ、海未。ことりの写真を……」

海未「わ、私のグッズもありますよね……ふふふ」

絵里(……私1人で探しましょうか)
569 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:43:54.57 ID:xImziVXy0
絵里(えーと……たしかこのあたりで穂乃果が見つけたのよね……)

絵里「うーん。これじゃないし、これでもない」

絵里(メイドって言っても結構な人の数あるわね……)

絵里「あ、この髪型はもしかして……」

絵里「……あった」

絵里(あった! これをひとまず買収しておけば……)

絵里「」

絵里(3890円……うぅ、高いわ)

絵里「……経費で落ちないかしら」
570 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:48:08.18 ID:xImziVXy0
海未「あ、絵里。見つけたんですか?」

にこ「んー。何の話よ」

絵里「ううん、なんでもない」

絵里(これでことりの正体を掴んだことになるのよね……よし)

絵里「じゃあこれで解散しましょうか」

海未「そうですね」

にこ「そうね。グッズがあるのわかったし、みんなにも教えないと」

絵里「あら、部長さん優しいのね」

にこ「ええ、きっと花陽なんか泣いて喜ぶと思うわ」

絵里(確かにそうだったわね)

絵里(ま、今日のところはこれで……)




ことり「すみません!」

絵里「」
571 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/26(土) 23:54:59.23 ID:xImziVXy0
ことり「あの、ここに写真が……私の生写真があるって聞いて……」

絵里(し、しまった! まさかこんなところで……)

ことり「あれはダメなんです! 今すぐなくしてください!」

にこ「……え? こと――――――――」

ことり「ひゃあっ!?」

海未「えっ、今の声は……」

絵里(しまった……これじゃ早すぎる!)

にこ「ことり……よね?」

ことり「こ、ことり? What? ドーナタディスカー?」

にこ「いや、あんた……」

ことり「チガイマース!」

絵里「にこ、どいて! 今捕まえないと確実に……」

にこ「え?」

ことり「ソレデハ、ゴーキゲンヨーゥ……ヨキニハカラエ、ミナノシュー……」

海未「にこ、そこをどいてください!」

にこ「え? だから何って……」

ことり「サラバッ」

にこ「あ、逃げた」

絵里「あー……」
572 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 00:03:21.79 ID:WKcCNGo30
絵里(3人じゃ確実に捕まえられない……でもここで逃せば……)

海未「絵里、逃げるルートはわかっていますよね」

絵里「でも今からじゃ間に合わないわ。希が待ち伏せしてないから……」

にこ「な、何の話をしてるのよ……?」

海未「一応行ってみましょうか」

絵里「そうね。たぶん逃げ切られたと思うんだけど……」

にこ「だ、だから何の……」

絵里「もー、にこが入口でもたもたしてるからー」

にこ「えっ、わ、私のせい?」

絵里(あ、あれ? 反応がなんか違う)

にこ「……ごめん」

絵里「だ、大丈夫よ! ごめんね、にこのせいなんかじゃないわ!」

にこ「……うん」

絵里(うぐっ……なんか本当にちっちゃい子いじめてるみたいで罪悪感が……)
573 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 00:10:55.83 ID:WKcCNGo30



絵里(でもここで逃げられた後、どうすればいいかなんてわからないし……)

海未「あれ? あそこにいるのはことりではありませんか?」

絵里「え?」

ことり「」

希「お、みんな遅かったなぁ」

絵里(の、希がことりを捕まえてる!?)

にこ「い、いるじゃないの! 大丈夫だったじゃない!」

絵里「そうね、結果オーライだわ。うん……」

絵里「でも希、どうして?」

希「え? なんかカードで占ってたら、捕まえるべき幸運のメイドさんがいるって出たからうろうろしてたんよ。そしたら……」

海未「う、占いってすごいんですね……」

絵里「うん」
574 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 00:20:28.56 ID:WKcCNGo30
にこ「それで……ことりは何でぐったりしてるの?」

希「あぁ、ついメイドさんやったからわしわししたくなって、つい」

ことり「」

海未「つい、で済むレベルなんですか……? かなりぐったりしていますけど……」

希「そこはほら、疲れがたまってたとかで」

絵里「何言ってるのよ希」

希「えへへ」

希「……よかった。えりち楽しそうやん」

絵里「え?」

希「ううん、なんでもなーい。じゃあウチはこれから用事あるから、それじゃっ!」

海未「え、ちょっと希! わ、ことり! しっかりしてください!」

絵里「何だか希の様子、変だったわね」

にこ「そう? あれがいつも通りなんじゃない?」

絵里「?」
575 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 00:24:09.09 ID:WKcCNGo30
――――――――

希「うん、えりち楽しそうやったよ」

花陽「よかったぁ……でもすごいね希ちゃん。ちょっと横になっただけでできるなんて」

希「ウチはもう慣れてるからなぁ。それに向こうに行っても倒れなくなったし」

希「あ、でもことりちゃんを捕まえられたのは偶然やったけどね」

花陽「え?」

希「ウチも細かな時間指定まではできないってこと」

花陽「そうなんだぁ」

希「まあこれなら心配ないで」

花陽「うん、わざわざお願い聞いてくれてありがとう」

希「ううん、いいっていいって」

――――――――
581 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:05:36.96 ID:WKcCNGo30




ことり「うぅ……ここは……」

海未「あ、ことり。目を覚ましましたか」

ことり「海未ちゃん……?」

海未「はい」

ことり「……ああああ!?」

海未「わわ、急に立つと危ないですよ」

ことり「わ、私バイトの休憩時間中で……あれ? ここ、お店の休憩室……?」

海未「安心してください。みんなには伝えていません」

ことり「え? ど、どうしてここが……」

絵里(うーん、何で私には気づいてくれないのかしら。位置取りが悪いの?)

ことり「……あ、あれ!? 絵里ちゃんどうしてメイド服に!?」

絵里(やっと気づいた。服だったのね)

絵里「ことりが休憩中に寝不足で倒れた、って言ったら店長さんが、今日はもう大丈夫だから早めに上がっていいって言ってたわ」

ことり「そ、それより何でここを……」

海未「それはですね……絵里」

絵里「……」

絵里(……言い訳考えてなかった)

海未「」
582 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:10:39.37 ID:WKcCNGo30
絵里(あ、そうだ!)

絵里「この写真の後ろの壁を見て推測したのよ!」

海未「どこのエージェントですか」

絵里「えっ」

絵里(まずかったかしら)

ことり「へぇ……すごいね絵里ちゃん。探偵さんみたい」

絵里(セーフ)

にこ「勤務終わりよー……ってことり、起きたのね。大丈夫?」

ことり「に、にこちゃんまでメイド服に……」

海未「まあこれは少し話さなければなりませんね」

絵里「そうね」

にこ「ここのメイド服いいわねー。すごくかわいい」

ことり「だよねっ!」

にこ「うおお、すごい食いつき」

絵里(そういえばことりは、ここの制服を気に入ったって言ってたっけ)

絵里「ことり、今からどうしてこうなったかを話すわ」

ことり「あ、うん」
583 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:17:11.73 ID:WKcCNGo30
絵里「まずことりは、あのアイドルショップにあった自分の写真を回収しに来たでしょ?」

ことり「うん、みんなにバレちゃうから……もうバレちゃったけど」

海未「このことは他のみんなには話していませんよ。大丈夫です」

ことり「……そっか」

絵里「で、偶然あそこにいた私たちはそれを発見した」

絵里(まあ元々ことりを捜しに来たわけじゃなかったし……あれはハプニングよね?)

ことり「あっ! それで私が逃げて……あれ? 思い出せない」

にこ「希のスピリチュアルパワーにあてられたのね」

ことり「え?」

にこ「ううん、なんでもない」

海未「そしてことりはとりあえず私たちに捕まりました」

ことり「うん」

海未「それで写真の背景からこのお店を見つけ出して、店内に入りました」

にこ「あの時大変だったわよね。海未がお姫様抱っこして入店したから王子様が来たって騒がれて」

ことり「えっ!?」

海未「だからフロアに出られなかったんですよ……」

絵里(海未って意外と周り見えてないのよね)
584 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:24:33.01 ID:WKcCNGo30
絵里「それで、ことりが休憩時間に来てたことがわかったから、代わりに残りの時間私たちでバイトしようって話になったのよ」

ことり「そ、そんな……ごめんねみんな。迷惑かけちゃって」

にこ「別にいいのよ。追いかけたのは私たちなんだし」

絵里「それに、案外楽しかったから」

ことり「ありがとう。そう言ってもらえるとうれしいかな」

海未「私はここでことりを見ていました。先ほど言った通りフロアに顔を出すことはできなかったので」

ことり「……海未ちゃん、出られたら出てたの?」

海未「はい。そうですよ?」

ことり「メイド服なんて恥ずかしい! とか言いそうなのに……」

海未「そ、それは……あれです! このスカートの丈が長かったので!」

絵里(あー、海未も最初は恥ずかしがってたわね)

にこ「まあにこは短い方が好きなんだけどね。かわいいし動きやすいし」

ことり「じゃ、じゃあ次の衣装はメイド服にしちゃう……?」

絵里「いいわよ」

ことり「やったぁ! ついにねんがんの……」

絵里「その前に、少しだけお願いがあるの」

ことり「ぇ?」
585 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:42:13.06 ID:WKcCNGo30
絵里「もうすぐ私たちは、このアキバでライブをしようと思ってるの。ラブライブ出場を確実にするために、ね」

ことり「そうなの?」

海未「そうです。今日絵里とにこと3人で話していたんですよ」

ことり「へぇ……楽しそうだねっ」

にこ「絵里」

絵里「まあまあ、そんなに急かしたって仕方ないでしょ?」

にこ「そうじゃなくて。ほら、先にやることあるでしょ」

絵里(……なんだっけ)

にこ「写真、写真あるんでしょ?」

絵里「あ、そうだった」

ことり「え? 写真?」

絵里「そうそう、ことりに似てたから買っておいたのよ。だからあげる」

絵里(本当は持っておくつもりだったけど、ことりの正体を掴んだ以上は仕方ないものね)

ことり「……3980円!? も、もらえないよっ!」

絵里(うわあああ……間違えてレシートも一緒に渡しちゃった)

にこ「格好つかないわねー」

海未「絵里らしいというかなんというか……」
586 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:55:05.94 ID:WKcCNGo30
絵里「まあ写真は置いといて、ともかくライブをやりたいの」

ことり「うん」

絵里「それでね、アキバでバイトしてたことりに曲の歌詞を書いてもらいたいの」

ことり「……ええっ!? わ、私が書くの!?」

絵里「うん」

海未「はい。きっと私より、こちらのことをよく知っていることりの方がうまく書けると思いますから」

にこ「まだ時間はたっぷりあるのよ。ていうかステージの予約もしてないし」

ことり「私に書けるのかなぁ……」

海未「大丈夫ですよ。私はもちろん、穂乃果も手伝ってくれると思いますから」

ことり「そっか……うん、がんばってみる!」

絵里(うんうん、いい調子ね)

にこ「それで絵里、どうするの?」

絵里「ああ、そうね……」

ことり「?」
587 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/27(日) 23:59:59.22 ID:WKcCNGo30
絵里「あのね。ことりがここでライブするにあたって……正体がバレちゃう可能性があるでしょ?」

ことり「……あ、そうだね。確かにあるかも……」

絵里「だからことり、みんなに話すか話さないか、どっちか決めておいてほしいの」

海未「えっ」

ことり「え……?」

絵里「ことりが話してもいいっていうなら、ことりの口から直接言ってもらうことになるわ」

絵里「でも話したくないって言ったのなら、私たちは他言はしない。絶対によ」

ことり「……絵里ちゃん」

にこ「絵里、いいのね?」

絵里「うん。こればっかりは強要できないもの」

絵里(それに、これでことりが本当に1人で抱え込んでしまわないかどうかがわかるもの)

海未「……」

絵里「それじゃ、ことり。私たちはお先に失礼するけど大丈夫?」

ことり「うんっ、今日はありがとうね!」

絵里「ううん、じゃあまた明日ね」

ことり「はーい」
588 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/28(月) 00:06:19.36 ID:5SrWsnu00




海未「絵里、あれでよかったんですか?」

絵里「うん」

海未「私は……その……」

絵里「ことりがね、話す方を選んでくれたら、きっと留学の話も打ち明けやすくなると思うの」

海未「あ……」

にこ「また未来の話? 私はそういうのパス」

絵里「にこは私が勝手に決めたのに異論はないの?」

にこ「別に。だって私はあんたを信用してるから」

絵里(……うれしい)

絵里「ありがと」

にこ「はいはい。気持ちだけ受け取っておくわ」

絵里「海未はどう? やっぱり納得いかない?」

海未「いえ……でも1つだけ――――――――」



海未「ことりが話さないと決めたら、どうなるんでしょう……」
589 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/28(月) 00:13:37.65 ID:5SrWsnu00
絵里「……その時はその時!」

海未「ずいぶん割り切りましたね……」

絵里「うーん、その時は私たち、というかμ's全体の信頼が薄いってことになるわ」

にこ「あー、嫌ね。それ」

絵里「まあ別の意味でそういうこともあると思うわ。変に意識されたら嫌だとか、そういうの」

絵里(伝説のメイド、ってなったら変に意識し合ってぎこちなくなるって考えるかもしれないし)

絵里「そういうことを打ち明けられて、相手のことも……いい意味で気にしなくなるようなら……」

絵里(……未来のμ'sに似てる、と思う)

海未「そうですね。私たちがもっとどっしり構えていれば、ことりも気兼ねなく話してくれるはずです」

にこ「んー、なんかことりにはずいぶん慎重ね。何かあるわけ?」

絵里「まあちょっとね」

にこ「その顔はちょっとって顔じゃないわよ」

絵里(しまった。顔に出てた)

にこ「でもあんたたちはそれを乗り越えた未来から来てるんでしょ? なら大丈夫よ」

海未「……にこ、いくつですか?」

にこ「何よ、ちっちゃいからってバカにしないでほしいんだけど」

海未「いえ、その逆で……あまりにも大人びた意見だったので……」

絵里「そうね。にこじゃないみたいだった」

にこ「どういう意味よ!」
590 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/28(月) 00:23:31.37 ID:5SrWsnu00
ことり「3人とも! 待って!」

海未「ことり?」

絵里「あれ? バイト終わったの?」

ことり「ううん、もう少しだけあるよ。だけどこれだけは言っておきたくて」

にこ「ふーん、何?」

ことり「私、みんなに自分のこと話すことに決めたよ」

絵里「!」

海未「……それはどうしてですか?」

ことり「みんなに、ことりのこと知ってもらいたいと思って」

にこ「隠してきたのに?」

ことり「うん。いつかは話さなきゃって思ってたんだ。隠し通せるはずもないし、隠し続けるのもなんだか嫌だったから」

絵里(……私たちが経験した未来のことりも、そんな風に考えてたのかしら)

ことり「だから、みんなに話すね」

ことり「……明日くらいに」

絵里(やっぱり恥ずかしいんだ)
597 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 00:06:53.63 ID:GrqS5S6s0



にこ「よーし。今から練習、始めるわよー!」

穂乃果「おーっ!」

凛「やるにゃー!」

絵里「あー、今日も学校暑いわね……」

真姫「今日も?」

花陽「昨日も練習してたっけ?」

絵里(しまった! 昨日はアキバライブの作戦の為に学校に集まってただけだった!)

絵里(な、内緒にしないと……ことりの正体が!)

希「えりちは生徒会の仕事で学校来たんよ、ね?」

絵里「あ、うんそれそれ」

穂乃果「なーんだ、みんなで遊んだりしたのかと思ったぁ」

にこ「……っそ、そんなわけないでしょ!」

海未「い、いや、あれは遊びでは……」

凛「?」

絵里(2人とも焦りすぎでしょ……人のこと言えないけど)

希「あれ? そういえばことりちゃん遅くない?」

花陽「本当だ。どうしたのかなぁ?」
598 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 00:11:55.73 ID:GrqS5S6s0
凛「もしかしたら夏休みの練習の日程間違えちゃったのかも」

海未「穂乃果じゃあるまいし、間違えませんよ」

穂乃果「海未ちゃんひどい! 助けて真姫ちゃん!」

真姫「え、私? ていうか穂乃果たちはことりと一緒に来なかったの?」

海未「はい。ことりには先に行っててくれと頼まれまして」

花陽「忘れてるってことはないのかなぁ」

希「じゃあどうしたんやろ」

絵里(……まさか今日、自分の正体をバラす気じゃ……でも何を用意するのかしら)

にこ「心配ね。ちょっと捜しに行ってみる?」



ことり「その必要はないよっ!」



希「わ、ことり……ちゃん?」

にこ「あっ」

海未「えっ」

絵里「」

凛「かわいい!」

ことり「……え、えへへ」

絵里(まさかメイド服着てくるなんて……)
599 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 00:17:10.72 ID:GrqS5S6s0
真姫「何よその服……こんな暑い中そんなの着てきたわけ?」

ことり「そうだよっ!」

にこ「……すごいわね」

穂乃果「お水飲む?」

ことり「うん、ありがと」

花陽「その服どうしたの?」

ことり「……うん、みんなにはちゃんと話しておきたくて」

絵里(じゃあことりはそのために……って、やりすぎな気もするけど)

希「ちょっと日陰に入ろか」

ことり「うん……そうする」

海未「絵里、まさかこれって……」

絵里「そのまさかでしょうね」

絵里(でも進歩よね、きっと……)

ことり「あ、暑いよぉ……」

絵里(でもやっぱり夏の昼間にロングスカートはやり過ぎだと思うわ)
615 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 21:47:59.26 ID:GrqS5S6s0
ことり「ふぅ、生き返ったぁ」

穂乃果「それでことりちゃん、何でメイド服なの?」

ことり「えっ、あ……」

絵里(穂乃果がいきなり核心を突いた)

ことり「これは……その……」

希「ウチも聞いてないけど、どういうこと?」

にこ「ことりの口から聞きなさい。きっと驚くわよ」

凛「ことりちゃん?」

ことり「えーと……」

絵里(まだ迷ってるみたいね……でもメイド服で来るって決意はあるみたいだし……)

ことり「わ、私……!」

海未「言いますか」

花陽「?」




ことり「昔々あるところに、ことりという少女がおりました」

穂乃果「わーっ! なになに? 昔話?」

絵里(なるほど)
616 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 21:53:24.66 ID:GrqS5S6s0
ことり「ことりはとてもかわいい服が好きです。服を作るのも好きです」

凛「ことりちゃんそっくりだね」

花陽「え、これってことりちゃんの話じゃ……」

絵里「花陽、それはタブーよ」

真姫「続きは?」

絵里(わお、真姫が催促してる)

ことり「そんなことりの高校2年生の春、とある誘いが来たのです……」

穂乃果「ごくり」

希「ふむふむ」

ことり「メイド喫茶で働いてみないか、と!」

凛「昔にメイド喫茶ってあったの?」

海未「喫茶ならありましたよ」

穂乃果「メイド重要なのに」

海未「……冥土は古来から存在します」

穂乃果「へぇ、それなら大丈夫だね」

にこ「海未、あんた意味……」

海未「話を進めるにはこれしかないんです」
617 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 21:57:53.38 ID:GrqS5S6s0
ことり「そこで私……じゃなかった。ことりは快くそれを引き受けようとして――――――――」

真姫「して?」

ことり「やめました!」

凛「ええっ!?」

花陽「やめちゃったの?」

ことり「うん」

にこ「そうなのね」

絵里(そっか、海未と私は知ってたけど、にこは知らないんだ)

ことり「しかしことりの意見は無視されてしまい、逸材だと言われ半ば強引に連れ去られてしまうのでした……」

希「事件の香りが」

にこ「ぷんぷんするわね」

海未「え、そういう話では……」

ことり「つづく!」

絵里「つづかない!」

ことり「ごめんなさい」

絵里(なぜ2部構成にしようと……)

618 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:03:04.46 ID:GrqS5S6s0
ことり「そしてことりは悪の研究所へ連れ去られ、改造人間に――――――――」

穂乃果「ええっ!?」

希「ライダーさんみたいやん」

ことり「ならずに」

真姫「ならないのね」

絵里(なんか視聴者一体型クイズみたいになってる)

海未「ことり、きちんと話してはどうですか?」

ことり「う、まだ心の準備が……」

にこ「体の準備はできてるじゃないの」

海未「に、にこ、それでは語弊が」

絵里「うん、いかがわしい意味に聞こえる」

にこ「……ちょっ、バカ! そんなつもりで言ったんじゃ……服よ服! この服がいけないのよ!」

ことり「えぇー? メイド服はいわゆるメイドさんの戦闘服だよ?」

にこ「あんたのせいでしょうが! さっさと続き話しなさいよっ」

真姫「にこちゃんも続き気になるのね」

絵里(にこちゃん『も』って……真姫も意外とそういうとこあるわよね)

ことり「えーっと、どこまで話したっけ」

穂乃果「ことりちゃんが改造人間になるとこ」

ことり「あ、そうそう」

にこ「ちがーう!」
619 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:06:33.35 ID:GrqS5S6s0
ことり「ではここでクエスチョン! 悪の秘密結社にさらわれたことりはどうなったでしょうかっ!」

絵里(あ、クイズだわ、これ)

穂乃果「はいはい!」

ことり「はい穂乃果ちゃん」

穂乃果「桃太郎!」

ことり「惜しいっ!」

海未「惜しい!?」

凛「はーい!」

ことり「じゃあ凛ちゃん」

凛「ラーメン!」

ことり「あー、遠くなったかな」

凛「ざんねーん」

にこ「ていうかもはや生物じゃないわよね……」

希「ウチもウチも」

ことり「はい希ちゃん」

希「おうどんさん」

ことり「ちょっと近くなったね」

絵里「ど、どこが……?」

620 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:09:55.61 ID:GrqS5S6s0
真姫「はい」

ことり「真姫ちゃん」

絵里(よかった……真姫ならまともな意見を――――――――)

真姫「シェフ」

ことり「いいね、その調子だよっ」

絵里(あー……まともすぎて外した)

花陽「あ、あのぉ……」

ことり「はい花陽ちゃん」

絵里(で、でも花陽なら――――――――)

花陽「悪の秘密結社ってどこにあるの?」

ことり「アキバかな」

絵里(ダメだった)

にこ「ねぇ、私たちが答え言ってもいいんじゃないの?」

絵里「あ、そっか。それもアリね」

海未「では私が言いますよ」

にこ「ん」

絵里「頼んだわ」
621 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:14:22.97 ID:GrqS5S6s0
海未「ことり」

ことり「はい海未ちゃん」

海未「メイド、ですよね?」

ことり「……」

海未「……」

ことり「ファイナルアンサー?」

海未「え、なんですかそれ」

穂乃果「ええっ!?」

凛「海未ちゃん知らないの?」

海未「え? な、何かの必殺技ですか?」

絵里(……意外と強そう)

真姫「要するにそれが答えでいいかどうか聞いてるんでしょ? はいでもイエスでもいいんじゃない?」

希「真姫ちゃん、そこはファイナルアンサーって言わな」

真姫「そうなの?」

にこ「そうよ。絵里にチョコあげれば何でも言うこと聞いてくれるってくらい常識よ」

絵里「ちょっと待って初耳なんだけどそれ」

希「あ、それウチが流したウワサや」

絵里(灯台下暗しじゃない!)
622 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:17:59.77 ID:GrqS5S6s0
希「でもえりち、考えて? たとえば花陽ちゃんが……」

花陽「私?」

希「あ、じゃあウチが今から言うことやって」

花陽「うん」

希「……で……して……する」

花陽「うん、やってみるね」

絵里「?」

花陽「……こほん」



花陽「絵里ちゃん、花陽のお願い……聞いてくれますか?」

絵里「ええもちろん」



絵里「……しまった!」

にこ「チョコなしでもいけるのね」

真姫「へぇ」

絵里(ウワサが!)

穂乃果「穂乃果お腹すいてきちゃった」

絵里「ほら、パンあげるから」

穂乃果「わーい!」

にこ「……誘拐犯?」

絵里「なんてことを!」
623 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:22:17.22 ID:GrqS5S6s0
ことり「あ、あれー? 昔話はー?」

海未「みんな今を生きていますから忙しいんだと思いますよ」

ことり「海未ちゃん……」

海未「だからことりも、勇気を出して言ってみませんか?」

ことり「……うんっ!」

ことり「み、みんな聞いて! あのね、私は――――――――」




ことり「ミナリンスキーなんです!」



凛「……こ、ことりちゃん外国人だったの!?」

真姫「えっ」

花陽「え、えぇ!?」

ことり「あ、いや……」

絵里(あ、そっか。みんなミナリンスキーって単語自体知らないんだ)
624 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:27:47.80 ID:GrqS5S6s0
穂乃果「りゅ、留学しちゃったりするの!?」

海未「」

ことり「え?」

絵里(この子は妙に鋭いんだから……)

絵里「ねぇ、にこからも説明してあげて――――――――」

にこ「え、ちょ……こ、ことりがミナリンスキーだったの!? でも絵里の見せてくれた写真には……」

にこ「サイン……あった」

にこ「嘘……でしょ? こ、ことりが伝説のメイドだったなんて……」

絵里(私が説明した方がいいわね)

希「ミナリンスキーって今、アキバで有名な伝説のメイドさんやろ?」

絵里「え、希が知ってるの?」

希「うん、この前ちょっとアキバに寄った時に小耳にはさんで」

穂乃果「伝説の?」

希「そうそう。伝説の」

凛「へぇ……ことりちゃんが伝説の……」

凛「ええっ!?」

絵里「みんないったん落ち着いて」

真姫「何の話をしてるのよ」

花陽「ことりちゃんが伝説だったって話を……」

真姫「で、伝説!?」

絵里「だーかーらー!」
625 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:42:48.61 ID:GrqS5S6s0



ことり「――――――――というわけです」

凛「なるほど、ことりちゃんは伝説のメイドさんだったんだね」

真姫「花陽はミナリンスキーって知ってたの?」

花陽「うん、名前は聞いたことあって……その知名度はまさにアイドルと並ぶレベルで有名なメイドさんなんだよぉ」

穂乃果「ひどいよことりちゃん! そういうことなら教えてよ!」

穂乃果「言ってくれれば遊びに来て、ジュースとかごちそうになったのに!」

花陽「そこ!?」

絵里(わー、みんな面白いくらい同じ反応ね)

希「えりちは知ってたん?」

絵里「ええ、この前ことりを捕まえて……」

絵里(でもあれは普通の希じゃなかったから覚えてないのね)

絵里「まあいろいろあってね」

希「?」
627 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:46:48.82 ID:GrqS5S6s0
真姫「でも何でメイドなの?」

ことり「それは……自分を、変えたいなって思って」

ことり「私、穂乃果ちゃんや海未ちゃんと違って、何もないから……」

穂乃果「何もない?」

ことり「穂乃果ちゃんみたいにみんなを引っ張っていくこともできないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしてない……」

海未「……」

ことり「それに、絵里ちゃんみたいにみんなを支えられないから」

絵里「えっ」

絵里(……このころ、私のことは言ってなかったわよね)

絵里(…………)

希「えりち、なんで嬉しそうなん?」

絵里「ちょ、ちょっとね」

希「へんなえりち」
628 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 22:51:27.45 ID:GrqS5S6s0
穂乃果「そんなことないよ。ことりちゃんは歌もダンスも上手だよ!」

にこ「衣装もことりが作ってくれてるしね」

真姫「少なくとも、2年の中では1番まともね」

海未「!?」

絵里(海未は真姫の中でまともではない、というわけね)

海未「……ラブアローシュートでしょうか。しかしあれは私の持ち味を生かした特技で……」

絵里「自覚あるのね……」

ことり「……」

絵里「で、ことりはその結果、何か変われたと思う?」

ことり「えっ?」

凛「うんうん、変わるためにメイドさんになったんでしょ? なら何か変わってるはずだにゃー」

ことり「私が……変わって?」

穂乃果「うん!」

海未「はい」
630 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 23:06:05.23 ID:GrqS5S6s0
ことり「……ううん、あんまり思いつかないかも」

穂乃果「じゃあ穂乃果が見てあげる!」

ことり「えっ?」

海未「成長とは自分では実感しにくいものですからね」

希「ウチもカードで……むむむ」

にこ「にこもにこにー占いで」

凛「凛もチェックするにゃー!」

花陽「ま、真姫ちゃんどうしよう……私たちだけ何もないよぉ!」

真姫「べ、別にやらなくてもいいでしょ!」

絵里「みんな、ちょっといいかしら」

穂乃果「え? なに?」

真姫「?」

凛「なになに?」

絵里(……この際だし、みんなに言っておこうかしら)

絵里「週末、アキバでライブするわよ!」

花陽「ライブ!?」

凛「ライブ……」

穂乃果「そ、それって……ゲリラ?」

絵里「いや、普通のだけど」
631 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 23:10:44.61 ID:GrqS5S6s0
穂乃果「なーんだぁ」

絵里(ゲリラって穂乃果の中では結構レベル高いのかしら……)

真姫「アキバでやるの? 私は別にいいけど……新しい曲は、まだ終わりの方ができてないわ」

絵里「うん、だから週末」

真姫「……頑張ってみる」

絵里「真姫ならできるわ」

真姫「ええ、ありがと」

絵里(いざとなればアドバイスのフリして教えるんだけど……それは作る真姫に失礼な気がするから、最終手段としてとっておきましょう)

にこ「ラブライブ出場枠に入ったからって油断はできないの。だからこれで上位10位以内とかに入って……」

海未「入って?」

希「入って?」

にこ「……なんかすごいインパクトを与えるのよ!」

絵里(抽象的ね……)
632 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/29(火) 23:29:36.93 ID:GrqS5S6s0
絵里「とにかく、変わったかどうかは、簡単に1つわかると思うんだけど……」

穂乃果「え? そうなの?」

絵里「うん、だってことりはアキバで歌う曲の歌詞を書いてくれるって言ってくれたから」

花陽「そ、そうなの!?」

ことり「あ、うん。がんばってみようかなーって」

穂乃果「こ、ことりちゃん、そんな積極的なタイプじゃなかったのに……」

海未「これも成長じゃないですか?」

凛「ことりちゃん頑張ってね!」

ことり「うんっ!」

希「アキバのことだからことりちゃんに、かぁ。なるほど……じゃあ関西でライブするときは作詞はウチ?」

絵里「何でよ。希は関西出身じゃないでしょ?」

希「えへへ」

穂乃果「すごいなぁことりちゃん……穂乃果も応援してる!」

ことり「ありがとう」

絵里(まあこれでひとまずは安心ね。ことりとみんなの仲も深まったみたいだし……)

絵里「あ、衣装はメイド服ね」

凛「め、メイド……!? 凛はそんなの……ぐふっ」

花陽「り、凛ちゃん!?」

絵里(あー。凛は手ごわかったわねぇ……海未もだけど)

海未「何ですか?」

絵里「なんでもなーい」
642 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:09:20.52 ID:jSxqgRpJ0



絵里「じゃあことりは作曲を、穂乃果と海未はそれのサポートをお願いね」

穂乃果「了解です!」

海未「わかりました」

ことり「2人ともよろしくねっ」

絵里(……でもいつもこの3人って言うのも考え物ね)

絵里「じゃあ花陽と希もサポートしてあげて」

花陽「え?」

希「ウチらも?」

絵里「ええ。お願いね」

絵里(ことりが作曲のヒントをつかむには穂乃果の助言が必要……だけどそれは、みんなで考えることで早く見つけることができるんじゃないかしら)

絵里「で、私たちは……」

凛「り、凛はそれ……やだよ?」

にこ「何よ、まだこれはことりが着てきたやつなんだからいいじゃない」

真姫「ライブで使うのはもっと丈短いわよ」

凛「いやにゃあああ!」

絵里(凛の相手をしなくちゃね)
643 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:19:15.05 ID:jSxqgRpJ0
凛「か、かよちん助けて!」

花陽「凛ちゃん、似合うと思うよ?」

凛「ほ、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「大丈夫だよ。凛ちゃんなら頑張れる! ファイトだよっ!」

凛「……え、絵里ちゃんはそんなひどいこと……しないよね?」

絵里「しないしない」

真姫「絵里」

絵里(しまった、つい反射的に)

絵里「凛、残念だけどこれは必要なことなの……お願い、協力して!」

凛「にこちゃん」

にこ「にこはメイド服は可愛くて好きだなぁっ」

凛「真姫……ちゃん」

真姫「諦めなさい」

凛「……うぇぇ」

海未「凛」

凛「う、海未ちゃんなら……!」

海未「成長できますよ」

凛「て、敵だらけにゃー!」
644 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:25:12.68 ID:jSxqgRpJ0
ことり「じゃあ私たちは教室で作詞を頑張って来るね」

絵里「ええ、行ってらっしゃい」

穂乃果「よーし、がんばるぞー」

海未「穂乃果、私たちはあくまでもサポートですよ」

花陽「さ、作詞なんてすごいなぁ……」

希「大丈夫やって。ウチらは今できることをやろう?」

花陽「うん、そうだね」

絵里「じゃあ凛、一旦部室へ戻りましょうか」

凛「……」

にこ「別に取って食うわけじゃあるまいし、そんなに怯えなくても」

真姫「そうよ。そんなに怖がらないで」

絵里(凛ってやっぱり、こういう女の子っぽい服装は苦手なのね……)

絵里「凛。どうしても嫌だっていうならやめてもいいわ」

凛「えっ?」

にこ「……まあ無理強いはできないわね」

真姫「それはそうだけど……」

凛「ほ、本当?」

絵里「うん。だから、少しだけ私たちと話し合ってみない?」

凛「それなら……うん、凛も頑張る」

絵里(よし……これでちゃんと話す機会はできた)
646 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:40:07.41 ID:jSxqgRpJ0



にこ「じゃあ凛の要望は何?」

凛「スカートなし!」

真姫「ダメでしょそれは」

凛「えー」

絵里(まさかここまでとは……)

真姫「ていうか部室、暑くない?」

絵里「あれ? 冷房ついてない?」

にこ「え、ついてるわよ」

真姫「ふーん……でもちょっと暑い」

凛「ま、真姫ちゃん!?」

真姫「何?」

凛「そ、そんな……ボタンを開けすぎじゃない……?」

真姫「そう? 4人しかいないしいいじゃない」

にこ「わーお、真姫ちゃん色っぽーい」

絵里「にこ、その言い方全然色っぽくない」

にこ「わ、私は健全な可愛さをウリにしてるからいいの!」

真姫「私が不健全みたいな言い方やめなさいよ」
648 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:43:06.62 ID:jSxqgRpJ0
凛「……」

絵里(あれ? 凛の元気が急になくなったような……)

絵里「凛、どうしたの?」

凛「やっぱり凛は子どもっぽいのかなーって……」

絵里「子どもっぽい?」

真姫「……」

にこ「なんでこっち見るのよ」

真姫「他意はないわ」

絵里「ええ」

絵里「で、凛。それはどういう意味なの?」

凛「だから、凛はそういう真姫ちゃんみたいな色っぽさがないから……その、女の子らしくないじゃないかなぁって」

絵里「……」

にこ「……」

真姫「……」

凛「ね? だからスカートも似合わない――――――――」

真姫「凛って女の子らしいわよね?」

にこ「うん」

絵里「そうよね」

凛「えっ!?」
649 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:47:41.84 ID:jSxqgRpJ0
にこ「凛、あんた心配しなくてもかわいいわよ」

凛「え、そ、そんなこと……」

にこ「私の言葉が信じられない?」

凛「ち、違うよ! そうじゃなくて……」

真姫「私にボタン開けすぎだって指摘したじゃない」

凛「うん」

真姫「女の子らしくない、って指摘したのよね?」

凛「……それは」

絵里「凛はねぇ……自分で思ってるよりも女の子らしくしようとしてるわよ?」

凛「そう……なの?」

絵里「ええ、本当に女の子らしくないなら、髪にだって気を遣ったりしないし、お肌だってどうでもよく思ってるはずだわ」

絵里「身だしなみなんて関係ないし、可愛いものにも興味を示さない……そんな感じだと思うの」

凛「そう? でもそれは身だしなみだから……」

絵里「ことりがメイド服を着てきたときに、凛は最初になんて言った?」

凛「……あっ」

絵里「そうよ。かわいい、って反応したわ」

絵里「それってきちんと女の子らしく反応したってことよね?」

凛「あ……うぅ……」
650 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/30(水) 23:52:05.56 ID:jSxqgRpJ0
にこ「気にしすぎなのよ、凛は。女の子らしさを」

凛「そうなの? でも普通そんなこと、凛は考えたりしないから……」

真姫「だから何? 女の子らしさなんて意識して生きてる人なんてそうそういないわよ?」

絵里「うんうん。意識してるぶんだけ、凛は女の子らしいわ」

凛「で、でも! それとこれとは話が別だよ! 凛にはスカートなんて似合わないもん!」

にこ「へぇ……本当にそうかしら?」

凛「にゃっ!?」

真姫「それこそ、話は別よね?」

凛「え、み、みんな目が怖いよ……?」

絵里「前から凛にはいろんな可愛い服を着させたいと思ってたのよね」

絵里(この部室なら結構衣装揃ってるし……)

凛「ま、待って……にゃあああああ!」
658 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 10:41:48.90 ID:Mb5iK3Mv0



絵里「じゃあ今日の線か報告です」

穂乃果「……」

ことり「……」

絵里(な、なんか落ち込んでる? それに海未たちもいないし……)

にこ「どうしたのよ、残りの3人は?」

ことり「負けちゃったの……」

穂乃果「穂乃果たちは敗北したのです……」

真姫「何の話?」

ことり「負けちゃったんだよぉっ!」

絵里「わわ、どうしたのことり」

絵里(何があったって言うの……?)

にこ「穂乃果、どういうこと?」

穂乃果「あまりにも歌詞が浮かばなかったから、言ったん寝てみようって希ちゃんが言ったの」

絵里(斬新な)
659 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 10:45:19.75 ID:Mb5iK3Mv0
真姫「それで?」

穂乃果「そしたらね、誰がことりちゃんを最初に眠らせることができるかって言って――――――――」

絵里(あ、展開が読めた)

穂乃果「――――――――膝枕選手権が始まったんだ」

絵里「やっぱり」

にこ「何やってるのよ」

真姫「遊びじゃないのよ?」

凛「2人だって凛を着せ替え人形にして遊んでたにゃ……」

にこ「うっ」

真姫「ぬ」

ことり「わぁ! 凛ちゃんそのリボンかわいい!」

絵里(復活早いわね)

凛「あっ、つけたままだった……もー! ちゃんと全部取ってって言ったのにー!」

にこ「えーしょうがないでしょー、似合ってたんだから」
660 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 10:53:28.27 ID:Mb5iK3Mv0
ことり「凛ちゃんの衣装にはリボンをつける、っと」

凛「こーとーりーちゃーん!」

ことり「うふふ」

穂乃果「……楽しそう」

絵里(お、温度差がすごい)

絵里「それで? 海未たちはどうなったの?」

穂乃果「それでね、ことりちゃんに膝枕してる間は他の人が暇だから、希ちゃんが1人ずつ膝枕をしてあげるってことになったの」

絵里「うんうん」

穂乃果「そしたら……海未ちゃんが眠たくなってきちゃったみたいで……」

絵里「……うん」

穂乃果「次に花陽ちゃんが海未ちゃんを膝枕したら……完全に……もう……」

穂乃果「幼馴染の膝は弱かったの……ぐすん」

絵里(ああ、目的からそれていくさまがありありと浮かんでくるわ……ことりを寝かせなきゃいけないのに)

絵里「海未もきっと疲れてたのよ」

穂乃果「で、でも! 海未ちゃんは私たちの番になっても全然眠そうになかったもん!」

絵里「それはあれよ、もう少し続けてたらきっと穂乃果たちの番で……」

穂乃果「違うよ……きっと穂乃果たちの膝には魅力がないんだよ……」

絵里(ひ、膝枕ってこんなに奥深いものだったかしら)
662 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 10:58:53.50 ID:Mb5iK3Mv0
絵里(でもμ'sのリーダーである穂乃果をこのままにしておくわけには……)

穂乃果「……」

絵里「よし、わかったわ。私を寝かせてくれるかしら?」

穂乃果「絵里ちゃんを?」

絵里「そうよ。たとえ幼馴染じゃなくたって、私を寝かせることができたら魅力があるってことじゃない?」

絵里(我ながら超理論だけど)

穂乃果「そ、そうか……そうだよね! わかった!」

絵里「うん、じゃあお願いします」

穂乃果「頑張るよ!」

ことり「あ、そうだ! この衣装とこの衣装を組み合わせて……」

凛「ま、まだ着替えるの!?」

真姫「……そういえばやっぱり暑い気がするんだけど、この部室」

にこ「もう温度下げちゃいなさい。1度くらい怒られないわよ」

真姫「そうよね」

ことり「これは……尻尾がいるよっ」

凛「尻尾!?」

穂乃果「穂乃果のお膝はどうですか?」

絵里「うん、えっと……そうね、ベストコンディションよ!」

絵里(寝たふりでもいいかしら……)
664 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:03:18.07 ID:Mb5iK3Mv0
絵里(あれ? そういえば海未たちは今どこに……)

真姫「海未たちは今どこにいるの?」

絵里(おお、真姫がナイスフォローを)

ことり「えー……あ、そうだ。教室で寝てるよ」

絵里(異様な光景ね……)

にこ「とりあえず連れてくるわよ」

真姫「そうね」

凛「り、凛も行く! これ以上かわいい服ばーっかり着てたら凛じゃなくなっちゃう!」

ことり「そっかぁ……じゃあ私も行こうっと」

凛「……ことりちゃん衣装下ろして」

ことり「あ、つい」

真姫「え、まだ暑いの?」

にこ「今のは違うでしょ」

ことり「じゃあ穂乃果ちゃん、ここはお願いねっ」

穂乃果「うん!」

絵里(ねたふりねたふり)





にこ「ふふ、よく雪山では寝たら死ぬぞーって言うわよね」

穂乃果「」
665 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:06:17.49 ID:Mb5iK3Mv0
穂乃果「……」

絵里(行ったわね……よし、これで寝たふりを続ければ……でもさっきにこが何か言ったような気がするけど何だったのかしら)

穂乃果「え、絵里ちゃん、起きてる……?」

絵里「……」

絵里(穂乃果の自信のためにも返事はしちゃダメよね)

穂乃果「ねぇ、絵里ちゃん……本当に寝ちゃったの?」

絵里「……」

絵里(なんだか声に影があるような気が……)

穂乃果「ど、どうしよう……ほ、穂乃果……」



穂乃果「絵里ちゃんを殺しちゃった――――――――」



絵里(えっ、何の話!?)
666 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:09:49.98 ID:Mb5iK3Mv0
穂乃果「絵里ちゃん! 起きて!」

絵里(で、でもここで起きたら穂乃果の自信が……)

穂乃果「絵里ちゃん! 目を覚まして!」

絵里(うわああ揺らされるうう)

絵里(な、何なの急に……どうして起こしたいの?)

絵里(……あ、これだけ揺らしても起きなければ、自分の膝枕は完璧だって証明できるものね)

絵里(ここは心を鬼にして……起きない!)

穂乃果「絵里ちゃん……おきてよぉ……」

絵里(……なんで泣き声みたいなのが)

絵里(ちょっと薄眼で見てみようかしら)

穂乃果「うえぇん……」

絵里「!?」

絵里「ど、どうしたの穂乃果!?」

穂乃果「や、やった! 絵里ちゃんが生き返った!」

絵里「え? 何? 何なの?」
667 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:15:35.70 ID:Mb5iK3Mv0
穂乃果「よかったぁ……」

絵里「どういうことなの?」

穂乃果「だって体温が下がると死んじゃうから……」

絵里「……冷房のこと?」

穂乃果「うん。よくお母さんもクーラーつけたまま寝ると風邪ひくっていうし……絵里ちゃんはお布団も被ってなかったから……」

絵里(ここでこんなかわいいイベントが起きるとは……起きて良かった)

絵里「大丈夫よ、私の故郷はロシアなんだし、寒いのには慣れてるわ」

絵里(たぶん)

穂乃果「本当に?」

絵里「そうよ」

穂乃果「……ロシアってどのくらい寒いの?」

絵里(あんまり覚えてない)

絵里「鼻水が出たら凍るくらいよ」

穂乃果「ええっ!? じゃあお外でジュースも飲めないよ!?」

絵里「ふふ、そうなるわね」
668 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:22:38.43 ID:Mb5iK3Mv0
海未「……おはようございます」

ことり「連れてきたよっ!」

穂乃果「あ、おかえりー」

絵里「おかえりなさい」

希「あ、えりち何してたん?」

絵里「内緒よ」

にこ「また遊んでたんじゃないの?」

絵里「またとは何よまたとは」

真姫「あー、外は暑かったわ……」

花陽「教室は結構涼しかったよ?」

真姫「あんなの涼しいうちに入らないわ」

凛「……ちょっと寒くないかにゃー」

にこ「うわっ!? 何よその格好!」

ことり「衣装をアレンジしてみました。ずばりヘソ出し!」

花陽「お、お腹が冷えちゃうよぉ」

ことり「そうだねぇ……じゃあ下に何を着よっか」

凛「制服がいいにゃああああ!」
669 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:29:59.08 ID:Mb5iK3Mv0



希「作詞の完成度は……まあはっきり言って0かな」

絵里「こっちの方は大丈夫よ。凛はちゃんと可愛い服着てくれたし」

凛「不本意ながら」

穂乃果「海未ちゃんの浮気は今回大目に見ます」

海未「う、浮気と言うわけでは……というか私は少しぼーっとしていただけですよ」

花陽「ふふっ、でもうとうとしてたよね」

海未「花陽! それは言わない約束で……」

にこ「珍しいこともあるのね。花陽が主導権を握るなんて」

絵里(まあ作詞が全然できてないのは予想通りだからいいとして……)

ことり「うーん……何で浮かばないんだろう」

絵里(ことりが滅入ってしまわないか心配ね)

絵里「じゃあ今日は早いけど解散にしましょうか。各自ストレッチはやっておくこと。いいわね?」

花陽「はーい」

真姫「はいはい」

にこ「んー、そうさせてもらうわ」

絵里「あとことり、こっちに来て」

ことり「え? 私?」

絵里「うん」
670 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 11:36:07.48 ID:Mb5iK3Mv0
絵里「……よし、みんな出て行ったわね」

ことり「何か話するの?」

絵里「そう、ちょっとだけね」

絵里(少しヒントをあげるくらいならいいでしょう……それに時期が違うから本当にうまく詞が完成するとは限らないし)

絵里「ことりは、歌詞を作るとき何を考えてる?」

ことり「うーん……お菓子とか衣装とか……可愛いもののことばっかりかなぁ?」

絵里「アキバのことは考えてる?」

ことり「うんっ! 最近話題のマカロンのこととか、メイド服のこととか!」

絵里「じゃあ、自分のことは?」

ことり「自分の……こと?」

絵里「ええ、ことりが歌詞を書くんだから、ことりの目線になって書いてもいいってことよ」

ことり「……」

絵里「今はわからないかもしれないわね。ほら、穂乃果たちを待たせてるから帰りましょうか」

ことり「……うんっ!」

絵里(これで何かつかめるといいんだけど……)

ことり「……うふふ、歌詞、できちゃったかも」

絵里「えっ、もう!?」
694 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 20:22:50.91 ID:Mb5iK3Mv0


絵里「もしもし、希」

  希「はーい、ウチですよー」

絵里「ちょっと相談があるんだけど」

  希「なんでもいいよ、ウチでよければ」

絵里「ありがと」

  希「ううん、前のえりちはいっつも1人で頑張ろうとしてたもん。これくらいいいよ」

絵里(ふふ、頼もしいわね)
695 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 20:26:32.01 ID:Mb5iK3Mv0
  希「それで、相談って?」

絵里「ことりのこと」

  希「ああ、歌詞のこと? ウチ、怒られちゃう?」

絵里「怒らないわよ。むしろ感謝してる」

  希「え?」

絵里「希はあんまりμ'sに馴染んでないのに、みんなとうまく仲良くしてくれて」

  希「ううん、ウチはそんな……それに前から穂乃果ちゃんたちとは話したりしてたし」

絵里「それがすんなりできるから、私は楽できるのよ」

絵里「ありがと」

  希「……もしかしてウチ、口説かれてる?」

絵里「?」
696 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 20:30:40.45 ID:Mb5iK3Mv0
絵里「それで話って言うのは、お察しの通り歌詞のことよ」

  希「わかった。それでどう相談なん?」

絵里「いや、ね? ことりにヒントを出そうと思ってちょっと助言したのよ」

  希「うんうん」

絵里「そしたら……閃いちゃったみたいで」

  希「え? それって悪いこと?」

絵里「いや、未来では穂乃果の助言で閃いたらしいのよ」

  希「あー、えりちやからタイムパラドックスが起こるかもって?」

絵里「そういうこと」

  希「……でもなんとなく、ことりちゃんに助言するのはえりちやと思ってたよ」

絵里「え?」

  希「まあそんな風に思えたってだけで、深い意味はないんよ」

絵里「ふーん……そうなんだ」
698 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 20:53:22.68 ID:Mb5iK3Mv0
  希「あんまり気に病んでも仕方ないし、今日はもう寝たら?」

絵里「え、もうそんな時間?」

  希「今ちょうど10時半」

絵里「あ、ごめん、長話しすぎたわね」

  希「ううん、楽しかったで」

絵里「じゃあおやすみ」

  希「おやすみー」




絵里「そうよね、私が気にしても仕方ない、かぁ」

絵里「うん……」

亜里沙「お姉ちゃん、ちょっといいかな?」

絵里(亜里沙? こんな時間まで起きてるのは珍しいわね)

絵里「いいわよ」

亜里沙「お邪魔しまーす」
699 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 20:59:53.72 ID:Mb5iK3Mv0
絵里「どうしたの?」

亜里沙「えへへ、誰と話してたの?」

絵里「希よ」

亜里沙「希さんかぁ……うん、お似合いだね!」

絵里「え? お似合いって?」

亜里沙「だって、夜に電話をかける相手って言えば恋人なんじゃないの?」

絵里(少女漫画恐るべし)

絵里「あの、亜里沙。どうして私がそんなにモテモテだと思ってるの?」

亜里沙「μ'sはお姉ちゃんがモテモテだからできたんじゃないの?」

絵里「そんなわけないでしょ……ていうか情報源はどこよ」

亜里沙「だって雪穂が、お姉さんがいつもお姉ちゃんの話ばっかりしてるって言ってたから」

絵里(それは結構うれしい)

亜里沙「犬みたいだって」

絵里「えっ」
701 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 21:07:51.10 ID:Mb5iK3Mv0
亜里沙「μ'sのみんなをしっかり導いてくれて、楽しいときや悲しい時がすぐに顔に出るみたいだよ」

絵里「うっ」

絵里(それは……自覚あるけど、導くなら犬じゃなくても……)

亜里沙「ぼーっとしてたら置いて行かれそうになるくらいすごい勢いで前に走ってて、でもちゃんと待っててくれるのがお姉ちゃんだって言ってたみたい」

絵里(それは犬だわ)

亜里沙「そんなお姉ちゃんが亜里沙は大好きです」

絵里「ふふ、ありがとう」

亜里沙「……だから今日は、一緒に寝ていいかな」

絵里「え、急にどうしたの?」

亜里沙「夏終盤! 心も冷えるホラー特集っていうので見たんだ……日本には、首が長い冷気をまとった壁のように大きい猫のヨーカイがいるんだって……」

絵里(なんかいろいろ混ざってる)

絵里(そしてなんか怖くなってきた)
706 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 21:22:34.80 ID:Mb5iK3Mv0
絵里「いいわよ。じゃあ今日は冷房つけちゃおっか」

亜里沙「いいの?」

絵里「ええ、地球にやさしい生活をしてる絢瀬家だもの。たまには涼んだって怒られないわ」

亜里沙「ハラショー……」

絵里「枕は持ってきてね」

亜里沙「わかった!」

絵里(そういえば、最近は亜里沙と一緒に寝るなんてことはなかったわね)

絵里(……結構久しぶりなんじゃないかしら)

絵里「ちょっと旅行みたいな気分ね」

亜里沙「持ってきたよ!」

絵里「うん、わかっ……」

絵里(YES/NO枕!? それは枕だけど枕じゃない!)

絵里「そ、それをどこから……」

亜里沙「雪穂と一緒にUFOキャッチャーやったらとれたの! 1回でだよ! 1回で!」

亜里沙「でも雪穂は、これは使わない方がいいって言うの。何でかなぁ?」

絵里(穂乃果の妹さんって穂乃果に似てなくてよかったわね)
704 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 21:21:00.08 ID:Mb5iK3Mv0
亜里沙「じゃあ寝よっか」

絵里「う、うん……」

絵里(お姉ちゃんなんだか動揺を隠せません)

亜里沙「あ、お姉ちゃん見て見て、裏もカラフルでかわいいの!」

絵里(ああ、さっきのはピンクのハートマークにYESだったから、裏はNOで……)

亜里沙「青いハートなの」

絵里(裏もYESだった)

亜里沙「今日はどっちにして寝ようかなぁ」

絵里(発言の意味があってるだけに怖い……)

絵里「亜里沙、今日は私と同じ枕で寝ましょう」

亜里沙「え?」

絵里「それは……あの、観賞用にしたほうがいいわ」

亜里沙「あ、それいいね!」

絵里(まあ鑑賞してても問題だけど……)

絵里「じゃあ電気消すから、こっちおいで」

亜里沙「はーい」
708 : ◆eyH5F3DPSk 2014/07/31(木) 21:27:16.57 ID:Mb5iK3Mv0
亜里沙「……ねぇお姉ちゃん」

絵里「なに?」

亜里沙「……近いね」

絵里「え、暗くてよく見えないんだけど」

亜里沙「お姉ちゃんの匂いがするもん」

絵里「そんなのわかるの?」

亜里沙「うん、すぐわかるよ」

絵里(……ますます犬みたいね)

亜里沙「チョコの匂いがする」

絵里「ええ!? そんなに匂いつくほど食べてないわよ?」

絵里(勉強する前に食べたけど、ちゃんと歯磨きしたし)

亜里沙「ううん、これはね、亜里沙のとっても好きな匂いだから……」

絵里「……亜里沙?」

亜里沙「くぅ……」

絵里「ふふ、寝ちゃったのね。暗いとすぐ寝ちゃうんだから」

絵里「……」

絵里(……匂わないわよね?)
714 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 22:48:59.42 ID:3xyDQXyn0



亜里沙「お姉ちゃん、起きてよぉ」

絵里「ん……」

絵里(あれ、何で亜里沙がここに……そっか、私たち昨日一緒に寝て――――――――)

亜里沙「もう8時だよ? お姉ちゃんってば」

絵里(8時……でも今は夏休みだから……)

絵里「……はちじ?」

亜里沙「8時だよ。もう、お姉ちゃんずっと起きないんだから」

絵里「……うわあああああ! 朝練、遅刻じゃないの!」

亜里沙「ふふ、大丈夫だよお姉ちゃん」

絵里「え? なんで?」

亜里沙「亜里沙がすでに遅れるって連絡を入れておいたからね!」

絵里「あ、亜里沙……」

亜里沙「えっへん。泥船に乗った気でいてね」

絵里(沈む沈む)
717 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:02:47.42 ID:3xyDQXyn0
絵里「で、みんなはなんて?」

亜里沙「お姉ちゃんの為に朝練は11時からにするって言ってくれたよ」

絵里(あー……みんなには迷惑かけたわね)

絵里「ありがとう、亜里沙」

亜里沙「どういたしまして」

亜里沙「あ、お姉ちゃん。ことりさんからメールが届いてたよ」

絵里「そうなの?」

亜里沙「うん」

絵里「……えーっと」

絵里(歌詞ができました、かぁ……)

絵里「えっ」

絵里「た、タイトルが違ったりは――――――――」

絵里(Wonder zone、よね……よかった)

亜里沙「お姉ちゃんラブレター?」

絵里「亜里沙、お姉ちゃんはそんなにモテません」

亜里沙「うそだー」

絵里(……まあ確かにラブレターは増えたけどね)
718 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:09:28.67 ID:3xyDQXyn0
亜里沙「お姉ちゃんって本当によく寝るよね」

絵里「どうしたの急に」

亜里沙「いやー、7時から起こしても起きなかったから」

絵里「……そんなに寝てたの?」

亜里沙「うん、だから電話したの」

絵里(そんなに疲れてたっけ……? でもなんだかんだ言って最近はしゃいでるところもあるわね)

亜里沙「だから、寝てるお姉ちゃんにはいたずらし放題だなぁって心配になって」

絵里「うーん、そうかしら」

亜里沙「そうだよ。身の毛もよだつくらいに警戒しないと」

絵里「毛を逆立てて?」

亜里沙「あ、そっちだ」

絵里(それでも意味はちょっと違うけどね)

絵里「でも亜里沙はいたずらしないでしょ?」

亜里沙「どうかなー?」

絵里「えー? 何したのよぉ」

亜里沙「お姉ちゃんの寝顔を撮って送信したの」

絵里「」
720 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:15:53.04 ID:3xyDQXyn0
絵里(そ、それは……)

絵里「誰に!?」

亜里沙「μ'sのみなさんに」

絵里「」

亜里沙「うそです」

絵里「亜里沙、今日晩ご飯抜き」

亜里沙「し、死んでしまいます!」

絵里「許しません」

亜里沙「じゃ、じゃあお姉ちゃんのとって置いたチョコ食べちゃうもん!」

絵里「ごめんなさい」

亜里沙「お姉ちゃん泣かないで」

絵里「だ、だってぇ……あれは並ばないと買えない……」

亜里沙「食べないから!」

絵里「今度は本当?」

亜里沙「本当だよ! 牛に二言はないよ!」

絵里(それ牛じゃなくて武士よ)
721 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:22:06.48 ID:3xyDQXyn0


絵里「ごめんね、みんな……」

絵里(間違えて部室に行っちゃってさらに遅れちゃったわ……今日は音楽室だったの忘れてた)

ことり「ううん、大丈夫だよっ」

希「えりちは最近何かと頑張ってたから疲れが出たんやろうね」

にこ「あんたに倒れられたら困るんだから、しっかりしなさいよ?」

絵里「うん、ありがとう」

海未「それではことり、歌詞の方を」

ことり「はーい。真姫ちゃん、ピアノお願いっ」

真姫「ん」

花陽「絵里ちゃん、ここに座って」

凛「凛が温めておきました!」

絵里「夏なのに」

穂乃果「あはは、じゃあ2人とも、よろしくね」

ことり「うんっ」

真姫「ええ」
722 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:25:21.18 ID:3xyDQXyn0
――――――――――――――――

絵里「わんだー……」

希「えりち、歌ってるなぁ」

花陽「うん、楽しそうだね」

希「そうやね……花陽ちゃん、ちょっと外出てくる?」

花陽「え?」

希「お腹すいたやろ? ご飯食べに行こ?」

花陽「うん、そうしよっか」

希「どこにする?」

花陽「あ、花陽、オススメのお店知ってるんだぁ」

希「じゃあえりち、また後で」

花陽「絵里ちゃん、ちょっと待っててね」

絵里「……うん」

希「ふふ、返事した」

花陽「うん」

――――――――――――――――
724 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:34:04.58 ID:3xyDQXyn0
ことり「……どうかな?」

穂乃果「……」

凛「……」

真姫「え、ちょ、ちょっとみんな、どうしたのよ」

花陽「いい……」

ことり「え?」

花陽「すごくいいよ! これ、すっごくいい!」

絵里(花陽の語彙が少なくなるほどの高評価)

穂乃果「ことりちゃんらしいというかなんというか……いいよ!」

絵里(穂乃果の語彙は……もともとそんなになかったわね)

海未「なんというか、ことりっぽい感じがします。ふわふわしていてかわいらしい曲ですね」

絵里(海未は知ってるものね。でも歌詞もまったく一緒でよかったわ)

ことり「え、絵里ちゃんはどう思う?」

絵里「え、私?」
725 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:38:48.72 ID:3xyDQXyn0
ことり「絵里ちゃんのアドバイスがあったから作れたんだよっ! だから……」

にこ「何よ、あんた作詞の手伝いもできるの?」

凛「凛に可愛い服を着せつつことりちゃんをフォロー……さすが絵里ちゃん!」

絵里「や、やめてよ」

穂乃果「さすが生徒会長!」

希「よっ、生徒会長!」

絵里「は、恥ずかしいじゃない……」

絵里(あー……こんな風に褒められるの、慣れてないのよね)

真姫「ほら絵里。感想、言ってあげたら?」

絵里「うん、そうね……」

絵里「ことり」

ことり「は、はいっ!」

絵里「良くできてるわ。自分のことを題材にして、そこにアキバをテーマとして入れる」

絵里「それが上手くまとまっていて、伝えたいこともちゃんと表現できてる」

絵里「ばっちりよ!」

ことり「……ありがとう絵里ちゃん、大好きっ!」

絵里「わ、ことり!?」

希「わー! ことりちゃん大胆!」

にこ「ふふふ、ちょっとこの部屋暑くない?」

凛「お暑いにゃー」

絵里「や、やめてってば!」
726 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:43:40.78 ID:3xyDQXyn0
ことり「ふふっ」

絵里「ことりも離れて、ほら」

ことり「やだー」

穂乃果「ことりちゃんばっかりずるーい! 穂乃果も後ろから……えーい!」

絵里「わっ、穂乃果まで……もー!」

希「ウチは右からー」

凛「じゃあ凛は左から」

絵里「つ、捕まった……」

にこ「……」

真姫「……」

花陽「……」

海未「……」

絵里(第2波の準備ができてる気がする)
727 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:46:28.49 ID:3xyDQXyn0
絵里「と、とにかく! この曲はアキバライブの曲に決定します!」

ことり「はーい」

穂乃果「楽しみだねっ!」

絵里「あとは……そう、ダンス! ダンスをみんなで考えて、それからライブよ!」

海未「絵里にはもういい案があるのでは?」

絵里「え? あ……」

絵里(そっか、未来で使ってる振りつけを使えばいいんだ)

絵里「じゃあダンスは今できたから、今日から早速特訓よ」

凛「は、速すぎるにゃ!」

絵里(あ、しまった)

花陽「きっと絵里ちゃんは前から考えてくれてたんじゃないかな?」

希「まあえりちのことやし、それで寝坊したんやない?」

絵里「ち、違うってば!」

にこ「じゃあまず踊ってみなさいよ」

絵里「えー、じゃあ海未も」

海未「わ、私もですか!?」

穂乃果「絵里ちゃんひどい! 海未ちゃんには教えて穂乃果たちには教えてくれないなんて!」

絵里「それはあれよ、海未に考えるの手伝ってもらったりしてて……」

海未「そ、そうですよ。ことりが変な催促をされていると勘違いしないよう秘密裏に……」

にこ「……あんたたちごまかすのヘタすぎるでしょ」

絵里「うっ」

海未「」
728 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/01(金) 23:50:13.16 ID:3xyDQXyn0
絵里「とにかく! 次のライブに向けて練習よ!」

絵里「これでμ'sのラブライブ出場を決定的なものにするんだから!」

穂乃果「おー!」

花陽「お、おーっ!」

凛「頑張るにゃー!」

真姫「そうね」

にこ「ラストスパートよ!」

ことり「おーっ!」

希「ウチも頑張るよ!」

海未「はい、頑張りましょう」

絵里「ではまずダンスから……真姫、ことり、お願いね」

真姫「いつでもどうぞ」

ことり「うん!」

絵里「じゃあ……ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー――――――――」
733 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 21:30:44.69 ID:1eBwE8kL0



穂乃果「というわけで、今日は待ちに待ったアキバライブの日です」

凛「お、お客さんいっぱい集まってる……」

花陽「緊張してきたぁ……」

真姫「十分練習はしたんだから大丈夫よ」

海未「はい、そうですよ」

凛「海未ちゃんはともかく、なんで真姫ちゃんはそんなに落ち着いてるの?」

真姫「1人なら心細いかもしれないけど、みんなとならやれる気がするもの」

希「真姫ちゃんも丸くなったなぁ」

真姫「べ、別にいいでしょ」

絵里(このままずっと見ていたい)

ことり「みんな、もうすぐ本番だよっ。メイドさんの気持ちになり切ってね!」

にこ「かなり難しいこと言われたわね」

絵里「にこならできるわよ」

にこ「そう?」
734 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 21:34:36.49 ID:1eBwE8kL0
絵里「うん、なんかメイドっぽいもん」

にこ「ふっふっふ、そうよね。アイドルとして魅力的なにこは当然――――――――」

絵里「ちっちゃいし」

にこ「なんですってぇ!?」

絵里(怒った)

希「えりち、そんなに笑顔やと、にこっちまた怒るよ?」

絵里「しまった」

にこ「むむむ……」

穂乃果「まあまあ、にこちゃんそんなに怒らないで」

真姫「そうよ。にこちゃんがちっちゃいのは周知の事実だし」

ことり「かわいいから構いません」

にこ「ぐぬぬ」

花陽「ふふっ、みんな相変わらずだねぇ」

凛「うんうん」

絵里「あら、2人とも緊張は?」

花陽「あっ……」

凛「なくなったにゃー!」
735 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 21:41:56.00 ID:1eBwE8kL0
絵里「そうそう、その調子でいいのよ。ちゃんと成果は出てくれるわ」

絵里(だって前より確実に、私たちはうまくなってるから)

穂乃果「絵里ちゃんに言われるとそんな気がしてくるよ」

絵里「あら、私は事実を言ったまでよ?」

海未「そうですね」

ことり「じゃあラブライブ出場に向けて、ラストスパートのこのライブ……絶対成功させようねっ!」

真姫「それよりことり、センターだけど大丈夫?」

ことり「えっ」

希「ほら、服とかちゃんとチェックして……」

ことり「は、はい!」

にこ「一番輝くポジションなんだから、しっかりしなさいよね」

ことり「頑張りますっ……」

絵里(あああああ……ことりが見る見るうちに緊張してきてる)

海未「ことり、今回のライブが成功したらチーズケーキを買って、みんなで食べましょう」

穂乃果「ホールでね!」

ことり「ほんと!?」

海未「はい、みんなはそれでいいですか?」

凛「ケーキ!」

花陽「うんっ」

絵里(ふふ、さすが幼馴染ね)
736 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 21:51:02.86 ID:1eBwE8kL0
ことり「よーし……成功あるのみだよっ!」

絵里(こ、ことりの目が本気だわ……!)

海未「その勢いで頑張りましょう」

希「そろそろ出る?」

絵里「そうね。もういい頃合いかも」

にこ「穂乃果、リボン緩んでる」

穂乃果「え、どっち?」

花陽「あ、エプロンの方だよぉ」

にこ「他にどこがあるの?」

穂乃果「髪の毛のところ」

絵里「ん? こうして見ると、ちょっとそっちのリボンにも違和感が……」

穂乃果「ええっ!?」

絵里「冗談よ」

穂乃果「もー、ひどいよ絵里ちゃん!」

絵里「あはは、今日は亜里沙も雪穂ちゃんも見に来てくれるんだから頑張らないとね」

穂乃果「うんっ!」

真姫「希、寝ぐせ」

希「えー!? 何で今!?」

真姫「冗談よ」

絵里(あら、真姫も余裕出来ちゃって)

ことり「じゃあ……今日は最高のライブにしようねっ――――――――」
737 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 21:55:09.29 ID:1eBwE8kL0




穂乃果「……疲れた」

凛「め、メイド服がこんなに動きにくいなんて」

真姫「予想外ね……」

花陽「わ、私もギリギリ……」

希「えりちー、おんぶー」

絵里「はいどうぞ」

希「え、や、やっぱり恥ずかしいから遠慮しとく……」

絵里「?」

海未「それにしてもみんな、よく動けていましたね」

穂乃果「わーい、褒められたぁ……でももう動けません」

にこ「今日は暑かったのもあるからねぇ……あっつい」

ことり「みんな、今日は打ち上げをしようと思うんだ」

凛「あ、明らかにことりちゃんの体力が有り余ってるにゃ!?」

絵里(チーズケーキパワー恐るべし)
738 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:01:20.47 ID:1eBwE8kL0
ことり「このあたりでオススメのお店を知ってるんだぁ……みんなはどう?」

真姫「……別に私はいいけど」

絵里(真姫がすごい勢いで着替え始めた)

絵里(なるほど、みんなと一緒に打ち上げしたいってわけね)

凛「真姫ちゃん、素直に一緒に行きたいって言えばいいのに」

真姫「あっ、暑いから早く行きたいだけよ! ここの更衣室狭いもの」

花陽「ば、ばっさりだね……」

にこ「どれくらいおいしいか、このにこが見極めてやろうじゃないの!」

希「ウチは大丈夫やでー」

穂乃果「穂乃果もケーキは食べたいです……でももう立ち上がれません」

絵里「仕方ないわねぇ。ほら穂乃果、ばんざーい」

穂乃果「ばんざーい」

絵里(あっ、妹みたい)

真姫「……絵里って何かとみんなに甘いわよね」

絵里「えっ」

希「それがえりちやからね」

海未「そうですね」
739 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:05:45.90 ID:1eBwE8kL0
絵里(そんなに甘いかしら……うーん)

花陽「絵里ちゃんも着替えないと……花陽が手伝うね」

絵里「ありがとう」

凛「じゃあかよちんは凛が」

花陽「ありがとう凛ちゃん」

ことり「凛ちゃんは私が」

凛「助かるにゃー」

にこ「毛づくろいみたい」

真姫「そうね」

希「花陽ちゃん、ちょっと横通るよ」

花陽「うん」

絵里「わひゃぅ!?」

花陽「え、絵里ちゃん!?」

凛「どうしたの?」

ことり「なになに?」

絵里「……花陽がくすぐってきたの」

花陽「え? 私なにもしてないよ?」

希「ふっふっふ、今のはウチや」

絵里「ぐぬぬ」

絵里(油断してたわ……)
740 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:10:15.06 ID:1eBwE8kL0
絵里「よくもやってくれたわね希!」

希「わ、え、えりち許してー!」

穂乃果「ま、前が見えない……」

花陽「わわっ、絵里ちゃん急に動いたら……」

凛「か、かよちん! 結び目がぁ……」

ことり「凛ちゃん動いちゃダメぇ!」

海未「あー……」

真姫「先に着替えててよかったわね」

にこ「うん」

絵里「喰らいなさい……くすぐったいツボ!」

希「あははは……や、やめっ、あははは!」

にこ「うるさいわよ、もー……」

にこ「にこも混ぜなさいよっ!」

真姫「えっ」

海未「そ、そっちですか!?」
741 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:16:21.30 ID:1eBwE8kL0



絵里「いやー、まさかみんなで温泉に行くことになるとは」

希「汗かいちゃったもんなぁ」

にこ「主に3年生のせいって言うのがシャクよね」

穂乃果「いきかえるー」

海未「そういえば穂乃果の立ち位置は日影がなかったですもんね」

ことり「ケーキ、おいしかったぁ……」

凛「うんうん、あんなケーキは初めて食べたよ」

花陽「でもでも、あそこのプリンもおいしかったよぉ」

真姫「……何でここは富士山の絵があるの?」

絵里「えーっと……そういうデザインよ!」

希「スピリチュアルパワーが出るんよ!」

にこ「にっこにっこにー」

穂乃果「にこちゃん、最後のは関係ないよ」

にこ「希のも関係ないでしょうが」

絵里(あ、よかった。合ってたんだ)
742 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:25:44.72 ID:1eBwE8kL0
穂乃果「近くの銭湯でもよかったんだけどね。なんとカバンの中からクーポンが出てきちゃったから」

海未「ちゃんと整理していないことがこんな時にで役に立つとは思いませんでしたね」

穂乃果「うんうん」

凛「かよちん、凛あのサウナに行きたいにゃ」

花陽「うん、いいよぉ」

絵里(こんな近くに温泉ができてたなんて……これもタイムパラドックスってやつかしら。みんな行ったことなかったものね)

希「えりちはここ来たことあるん?」

絵里「ううん、初めてよ」

希「そうやんな、この辺ってあんまり来たことないし」

穂乃果「穂乃果もね、学校帰りにおいしそうな匂いに誘われてこっちに来たんだ」

絵里「あはは、結局何の食べ物だったの?」

穂乃果「お好み焼きだった」

絵里(あ、スイーツとかじゃないんだ)

穂乃果「その時にね、いい食べっぷりだーって店主の人がくれたんだぁ」

希「今日のケーキの食べっぷりもすごかったなぁ」

にこ「お皿まで食べそうだったものね」

穂乃果「ぎくっ」

にこ「えっ」
743 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:31:03.22 ID:1eBwE8kL0
海未「そういえば珍しいですね。銭湯ではないのに富士山の絵と言うのは」

ことり「うん」

真姫「……そういう決まりがあるの? 富士山の絵を置いていい場所とか」

海未「ああいや、別にそう言うわけでは……」

希「実はこの富士山の絵を飾っているところは、世界の温泉研究家が星3つをつけたところだけなのだー!」

真姫「ええっ、そうなの……?」

にこ「常識よ、常識」

絵里(こういう時、2人は息ぴったりよね)

ことり「真姫ちゃんって結構素直だね」

海未「そうですね、なんでも鵜呑みにしますし」

真姫「え? 何のこと?」

穂乃果「眠くなってきちゃった」

絵里「寝たら沈むわよ」

穂乃果「それは困るね」

凛「暑いにゃああ……」

花陽「あ、暑い……」

海未「わ、2人とも大丈夫ですか?」

ことり「顔真っ赤だよ?」

凛「ちょっと油断してたの……」

花陽「もうダメぇ……」
744 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:40:02.03 ID:1eBwE8kL0
希「水風呂に入ったら?」

凛「そうするにゃ」

海未「足からゆっくり浸かるんですよ」

花陽「うん」

真姫「何? そっちのお風呂は何か違うの?」

にこ「手を突っ込んでみたらわかるわ」

真姫「……」





真姫「こ、壊れてる……!?」




にこ「ぶふっ」

希「よ、予想通りの反応過ぎて……ぷくく」

絵里(私も最初はそう思ったわ)
745 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 22:51:18.73 ID:1eBwE8kL0




穂乃果「夜風が涼しい!」

海未「そうですね」

絵里「忘れ物、ないわよね?」

希「うん」

凛「ここのフルーツ牛乳おいしかったね」

にこ「ええ、まさかあれほどとは……」

真姫「あの瓶のキャップってあんな風に開けるのね」

花陽「真姫ちゃんは何飲んだんだっけ」

真姫「コーヒー牛乳よ。花陽は?」

花陽「テイクアウトコーナーでおにぎりを……えへへ」

真姫「本当にご飯好きなのね」

花陽「うんっ」

ことり「おにぎり、おいしかった?」

花陽「うーんと……すごく惜しいというか、炊き加減はよかったんだけど水の量が多いみたいで、ちょっと柔らかい感じだったかなぁ?」

花陽「それを海苔でカバーしようとしてるんだけど、海苔も湿っちゃっててかなりべたべたなイメージが強くて……」

花陽「あれだともう少し固めにして、海苔ももう少し薄いので……」

にこ「なんかお腹すいてきたんだけど」

希「ウチも」

絵里「コンビニでも寄っちゃう?」

海未「そうしましょうか」
746 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:10:52.19 ID:1eBwE8kL0



海未「買いすぎちゃいましたね……」

絵里「安いって罪よね……」

真姫「穂乃果のそれ、何?」

穂乃果「アメリカンドッグだよ、食べてみる?」

真姫「いいの?」

穂乃果「うん、はい、あーん」

真姫「え」

絵里「ほら真姫、穂乃果が待ってるわよ」

真姫「う、うん。わかってるけど……」

希「もう遅いし誰もいないよー」

真姫「わ、わかってるわよ!」

絵里(ふふふ、緊張してる緊張してる)

凛「真姫ちゃんファイトだよ!」

穂乃果「凛ちゃん、それ穂乃果の台詞なのにぃ」

凛「えへへ。ちょっとだけ貸して」

穂乃果「それならいいよっ! 真姫ちゃんも、早く食べてくれないと穂乃果も食べられないよぉ」

真姫「ま、待って。まだ心の準備が……」

にこ「ことりのそれ、何?」

ことり「ビスケットだよぉ、食べる?」

にこ「んー1つちょうだい」
747 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:15:07.07 ID:1eBwE8kL0
ことり「はい、あーん」

にこ「ん……まあまあね」

ことり「サクサクしてておいしくない?」

にこ「でもパサパサしてる」

ことり「あ、花陽ちゃんも1つ食べる?」

花陽「ありがとう。もらうね」

真姫「……」

絵里(信じられないという目が)

穂乃果「真姫ちゃん、ことりちゃんを見習って、さあどうぞ!」

真姫「はむっ」

希「おお!」

凛「食べた!」

真姫「……」

穂乃果「お味のほどはいかがですかな?」

真姫「……いたい」

穂乃果「……え?」

真姫「舌噛んだ……」

穂乃果「ええっ!? だ、大丈夫!?」

絵里(かわいい)
748 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:20:25.27 ID:1eBwE8kL0
希「こうやってみんなで食べながら帰るのって、ちょっと行儀悪いけど楽しいなぁ」

花陽「うん、そうだねぇ」

凛「かよちん。凛たちはもうここで……」

花陽「あ、うん。じゃあみんな、また明日ね」

穂乃果「また明日ー!」

海未「明日は9時からですよ」

凛「わかってるにゃー」

ことり「気を付けてねっ」

絵里「早めに寝るのよー」

にこ「あんたに言われたら説得力あるわね」

絵里「うっ」

花陽「うふふ、じゃあね」

真姫「ん」

絵里(そっか、ここからだと2人は一番近いのかぁ……)

絵里(……こういうのっていつでも寂しいわよね)
749 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:23:54.86 ID:1eBwE8kL0
にこ「私もここでお別れね」

希「ウチもかなー」

穂乃果「にこちゃんも希ちゃんも、また明日!」

にこ「はいはい」

希「また明日ー」

真姫「じゃあ、私もこのあたりで」

ことり「真姫ちゃんも、さよなら」

真姫「ええ、さよなら」

海未「舌は大丈夫ですか?」

真姫「もう大丈夫。軽いものだったし」

絵里「またね、3人とも」

にこ「明日は寝坊するんじゃないわよー」

希「それウチの台詞やのにー」

真姫「絵里は特に気を付けてね」

絵里「あ、あれ?」

絵里(なんか子ども扱いされてる気分……)
750 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:31:08.98 ID:1eBwE8kL0
穂乃果「絵里ちゃんはおうちどっちだっけ?」

海未「もう少し先ですよ。ね?」

絵里「そうよ」

ことり「あれ? なんで海未ちゃん知ってるの?」

海未「そ、それは……」

絵里(あはは、この子はやっぱりそういうとこ緩いわね)

絵里「1度来たことがあるのよ」

穂乃果「えっ! いいなぁ……」

ことり「私たちも行ってみたいよぉ」

絵里「また今度、それなら構わないわ」

穂乃果「約束だよ!」

ことり「お願いねっ」

絵里「うん、約束ね」
751 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:32:11.48 ID:1eBwE8kL0
海未「すみません絵里……」

絵里「いいのいいの。隠しておくことでもないから」

絵里(穂乃果とことりが来てくれるきっかけにもなったし)

穂乃果「あ、じゃあ穂乃果たちはこの辺で」

絵里「あら、もうこんなところまで来てたのね」

ことり「絵里ちゃん、ばいばい」

絵里「バイバイ」

海未「また明日、ですね」

絵里「ええ」

穂乃果「またねー!」

絵里「はいはい」
752 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/02(土) 23:33:57.57 ID:1eBwE8kL0




絵里(1人ぼっちになっちゃった)

絵里「はー……」

絵里(1人の夜って結構心細いのよね)

絵里(そういえば最近、帰りに1人で歩くことなんてなかったわね)

絵里(帰りはほとんどみんな一緒で……)

絵里「……あれ?」




絵里(私、1人で家に帰ったことなんてあったっけ?)
765 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 12:36:42.64 ID:PgW48hee0



希「えりち! ランキングが! ランキングー!」

絵里「どうしたのよ希、まるでランキングの妖精みたいよ?」

希「何のその妖精さん」

絵里「いや、自分でもよくわかんない」

希「あはは……じゃなくて! μ'sのアイドルランキングが……」

絵里(そういえばアキバでライブやった後、ちゃんと見てなかったわね)

絵里(結局打ち上げとか言って……買いすぎたわね)
766 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 12:43:24.85 ID:PgW48hee0
希「携帯でも見られるはずやから……これで……これ!」

絵里「んー? どれどれ?」

絵里(……あれ? 少し桁が足りないような……)

絵里「これってμ'sの順位よね? A-RISEじゃなくて」

希「うん、ウチもびっくりしてたんやけど……にこっちなんか今朝、興奮して鼻血出してた」

絵里「ああ、もうみんな来てるんだ……ってことは全員知ってるわけね」

希「うん。今日の練習は祝杯からやね! えりちも生徒会の仕事は置いといて早く行こ」

絵里「ええ」





絵里(……まさか1位までのし上がるとは)
768 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:14:57.53 ID:PgW48hee0
絵里「まさに快進撃って感じね」

海未「はい、予想以上の結果になりましたから」

絵里(前はどのくらいだったかしら……確か2ケタはあったわね)

花陽「ゆ、夢みたいだよぉ……」

にこ「こんなところじゃまだまだ終わらないわ! むしろこれからが始まりなのよ!」

にこ「気合入れて行くわよ!」

穂乃果「にこちゃん鼻にティッシュ詰めたまま言っても格好良くないよぉ」

にこ「うっさい」

ことり「でもにこちゃんの言う通りだね」

真姫「そうね。20位以内だからって優勝が決まったわけでもないし」

凛「うんうん、凛たちはもっと頑張らなきゃね!」

希「でも今日は、ひとまずお祝いかな」
769 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:17:10.99 ID:PgW48hee0
花陽「……えええええ!?」

凛「どうしたのかよちん!?」

真姫「何よ、何かあったの?」

花陽「こ、これ見て! A-RISEが……!」

にこ「んー?」

海未「なんですか?」

穂乃果「……7日間連続ライブ?」

凛「そんなに?」
772 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:22:48.05 ID:PgW48hee0
希「ラブライブ出場チームは、2週間後の時点で20位以内に入ったグループ」

希「どのスクールアイドルも最後の追い込みに必死なん」

絵里「20位以下に落ちたところだってまだあきらめてないだろうし、今から追い上げてなんとか出場を勝ち取ろうとしているスクールアイドルもたくさんいる」

真姫「つまり、これからが本番ってわけね」

にこ「それ、今にこが言ったでしょー」

ことり「喜んでる暇はないってことだね……」

穂乃果「よぉし……もっと頑張らないと!」

花陽「で、でも今から何をすれば……」

海未「私たちは1位だからと言ってのんびりしているわけにもいきませんし……」

絵里(……あ、そうだ)

絵里「学園祭でアピールするのはどう?」
774 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:25:54.07 ID:PgW48hee0
絵里(一応屋上になるはずだから、部費とかは全部そっちに回すようにしてあるし……大丈夫よね)

にこ「よし、そうとなったらまずはこの部長に仕事をちょうだい!」

絵里「ふふ、うってつけの仕事があるわ」

にこ「?」

海未「ああ、あれですね」

絵里「そう、あれよ」

にこ「え?」
775 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:29:32.18 ID:PgW48hee0



にこ「……なんで講堂がくじ引きなわけ」

絵里「昔から伝統なのよ」

にこ「むぅ……」

穂乃果「にこちゃん」

にこ「ま、任せてなさい!」

絵里(あら、頼もしくなっちゃって)

にこ「絵里、希、私に運を分けて」

絵里「はいはい」

希「んー……ぷしゅっ! これで大丈夫やで」

にこ「よーし……」

絵里(結果は予想出来てるんだけど……)

希「……えりち。カードがあんまりよくなかったんやけど、大丈夫かなぁ」

絵里(本当によく当たるのね……)
776 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:33:48.70 ID:PgW48hee0
にこ「見てなさい……」

海未「どんな結果であれ、私たちはにこを恨みませんからね」

凛「うんうん」

花陽「にこちゃんがんばってね!」

穂乃果「ファイトだよっ」

にこ「ラブライブ出場、学校存続のためにも負けるわけにはいかないわ! 行くわよ……」



にこ「そりゃああああああ――――――――」
777 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:35:29.95 ID:PgW48hee0



にこ「あああああ……」

穂乃果「……」

ことり「……」

希「……」

凛「……」

花陽「講堂……」

真姫「……使えないのね」

絵里「み、みんな、気を落とさないで」

海未「そうですよ、何も終わったわけじゃないんですから」

絵里(まあこうなるのは予想出来てたけど)

778 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:39:13.61 ID:PgW48hee0
にこ「でもどうすれば……せっかくの出場が……ううぅ」

絵里「大丈夫よ、にこのせいじゃないわ」

にこ「わかってるけど……でも引いたのはにこじゃない」

にこ「絵里、どうしたらいいの?」

絵里(くっ、こっちのにこは私を頼ってくれててめちゃくちゃかわいい……)

絵里(じゃなくて)

絵里「屋上でやりましょう!」

穂乃果「屋上って……ここで!?」

希「お、屋外ライブ?」

花陽「……それはアリかも」
779 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:45:00.17 ID:PgW48hee0
凛「で、でも屋上じゃなくたって、グラウンドとか体育館とか……」

海未「どちらも運動部が使っています」

真姫「なら……ここしかないんじゃない?」

ことり「そうだね、とってもμ'sらしいし!」

絵里「ふふっ、決まりね」

にこ「でもどうするの? 簡易ステージでも作る気?」

絵里「こんなこともあろうかと、設置の準備は万端です!」

凛「ええっ!?」

真姫「先見の明ってやつね……」

穂乃果「すごいよ絵里ちゃん!」

絵里「えへへ……」

絵里(まあ知ってたからね)

絵里「じゃあステージについては私が……」

海未「私も手伝いますよ」

絵里「うん、私と海未で準備するから、今は安心して練習するわよ!」

花陽「おーっ!」

ことり「がんばろう!」
781 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/04(月) 13:53:54.23 ID:PgW48hee0
絵里「……海未」

海未「はい、わかってます」

絵里「留学の手紙は来てるみたいなの?」

海未「いえ、どうやらまだのようで……そんなそぶりも全く見せないのです」

絵里(来てない……そんなこともありえるのかしら?)

絵里「でもしばらくは様子見ね」

海未「はい」

穂乃果「2人とも、練習始まるよー」

絵里「はいはい」

海未「はい」
789 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 09:44:23.81 ID:E8ts5IVh0
海未「凛、動きすぎ!」

凛「はいっ!」

希「わわっ」

花陽「あ、ごめん希ちゃんっ」

海未「希、花陽、ポジションが近い!」

希「はい!」

花陽「あ、あれぇ……?」

絵里(……みんなの動きが変ね)

絵里「一旦練習ストップ!」

穂乃果「へ?」

ことり「どうしたの?」

絵里「あのね、みんな」

海未「動きがおかしいですね……」

絵里(やっぱり海未は気付いてたみたいね)
790 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 09:47:44.24 ID:E8ts5IVh0
海未「どうしたんですか?」

にこ「どうしたって言われてもねぇ……」

凛「凛が動きすぎたせい?」

海未「それは違いますよ」

凛「よかったぁ」

希「なーんかこのダンス、今までやったら結構しんどかったのに、余力が有り余ってる感じがあるなぁ……ウチの気のせい?」

花陽「あ、花陽もそう思うよ」

真姫「1位だったから舞い上がってるんじゃない?」

穂乃果「真姫ちゃんうれしそう」

真姫「ち、違うわよ」

絵里(んー……? 前はこれで結構大変だったはずなのに)
791 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 09:52:11.49 ID:E8ts5IVh0
海未「あの、絵里。まさかとは思いますが……」

絵里「え? なに?」

海未「……みんなの実力が、未来よりも上がっている可能性があります」

絵里「ええっ!?」

穂乃果「どうしたの2人とも」

絵里「な、なんでもないわ……」

絵里「……ってそれ、ちょっとまずくない?」

海未「はい、実力に合ったダンスではないせいで、ちょっと空回り気味な部分があるようです」

絵里(そうか、1位になれたのは運でも何でもなく、ただμ'sの実力が上がってしまったせい……)

絵里(私たちのトレーニングでここまで鍛え上げられたってわけね)

海未「絵里、どうします? ダンスを変えた方がいいんでしょうか」

絵里「ダンスを丸々変えてしまうのは、学園祭に間に合うかどうかのプレッシャーになりかねないわ。穂乃果のこともあるし」

海未「そうですね……では付け足しということで、ダンスのボリュームを増やしてみましょうか」

絵里「そうね」
792 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 09:57:15.16 ID:E8ts5IVh0
絵里「みんな聞いて、ちょっとだけダンスを変えるわ」

ことり「どんな風に?」

にこ「まさか丸々変えるとか言わないでしょうね」

絵里「安心して。そんなこと言わないわよ」

海未「はい、ただ単純に所々ダンスの動きを追加しようかと思いまして」

凛「追加?」

希「ポーズとか増やすってこと?」

海未「はい、今のままでは不完全燃焼で終わりそうなので……」

穂乃果「できることなら何でもやらないとねっ! みんなはそれでいい?」

ことり「いいよぉ」

花陽「頑張ります!」

真姫「そうね。早く取り掛かりましょう」

絵里(もはや従来のダンスじゃ対応できない……なんだかカッコイイわね)
793 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:02:37.42 ID:E8ts5IVh0
海未「まずはここのあまり動かない部分から説明しましょう」

絵里(海未もノリノリね)

理事長「失礼していいかしら」

絵里「わっ、理事長!?」

希「あ、こんにちは」

理事長「こんにちは」

理事長「ふふ、そんなに驚かなくてもいいのに」

絵里「すみません……」

絵里(……屋上までの階段で、上ってくる音が全然聞こえなかった)

絵里(私がドアの真横に立ってたのに……恐ろしい)

穂乃果「理事長もお祝いに来てくれたんですか?」

にこ「こ、こら穂乃果……」

理事長「お祝いに来ました」

にこ「えっ」

真姫「?」
794 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:03:46.24 ID:E8ts5IVh0





理事長「あなたたちのおかげで、この音乃木坂学院の廃校はなくなりました」





795 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:06:08.39 ID:E8ts5IVh0
絵里「」

希「それって……」

ことり「わ、私たちの夢が……」

花陽「……叶った?」

穂乃果「……」

海未「り、理事長! 本当ですか!?」

理事長「ええ。スクールアイドルグループのμ'sが活躍する音乃木坂学院なんですから」

にこ「で、でもまだラブライブに出場すると決まったわけでは……」

理事長「いいえ、評価されたのはその過程ですよ」

真姫「過程?」

理事長「はい」
796 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:10:54.68 ID:E8ts5IVh0
理事長「できたばかりのスクールアイドルグループが、ランキング外から一気に1位まで上り詰めた」

理事長「それはこの学院の知名度を大幅に上げたのです」

理事長「だからそれを、お祝いに来ました」

凛「凛たちが……何だか実感がわかないにゃ!」

真姫「信じられないけど……理事長が言うんだから本当のことよね」

花陽「穂乃果ちゃん、やったね!」

穂乃果「……」

希「あれ? 穂乃果ちゃんどうしたん?」

穂乃果「……」

海未「穂乃果?」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「や……」

にこ「や?」





穂乃果「やったああああああああああ! 」
797 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:16:03.83 ID:E8ts5IVh0
穂乃果「これで音乃木坂に後輩も入ってくる……廃校がなくなる」

穂乃果「学院が存続できた……ランキングも1位になった……」

穂乃果「も、もう嬉しいことがありすぎて倒れるかも……ぐふっ」

真姫「わ、穂乃果?」

海未「ちょ、ほ、穂乃果ぁ!」

ことり「穂乃果ちゃん!?」

理事長「あらあら。本当に倒れちゃったのね……保健室に連れて行きましょう」

理事長「絢瀬さん、頼める?」

絵里「……あっ、はい!」

希「息もしてるし心臓も動いてる……気絶?」

にこ「はぁ……心臓に悪いわね。絵里、頼んだわよ」

絵里「うん」

理事長「あ、それと南さん。こちらへ」

ことり「はい」
798 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:19:02.24 ID:E8ts5IVh0



絵里(これは嬉しい誤算……これで穂乃果が思いつめてしまう原因の1つがなくなった)

絵里(穂乃果が落ち込んだ理由はライブの失敗、ことりの留学の2つだった……)

絵里(でも留学については廃校阻止の跡、すぐに上げて落とされたせいもあるのよね)

絵里(だったらこれってすごくいいことじゃない!)

絵里(後はライブを成功させて、ことりの留学のことを早く知らせるだけ)

絵里(完璧ね)

絵里「ふふふ……」

穂乃果「」

絵里(穂乃果がちょっと重いけど)
799 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:21:24.33 ID:E8ts5IVh0
絵里「失礼しまー……あれ?」

絵里(保健の先生がいない……ああ、出張中なんだっけ)

絵里「ベッド借りますよー」

絵里「……よいしょ」

穂乃果「うーん……」

絵里「うふふ、幸せそうな寝顔」

絵里「……私もちょっと、寝ちゃおうかしら」

絵里「穂乃果が起きる前に……アラームをセットしておきましょう」




絵里「……おやすみなさい」
800 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:27:16.64 ID:E8ts5IVh0
――――――――これで夢が叶ったわ。よかったじゃない――――――――

そうね。すごくよかった。

――――――――あとは元の世界に帰るだけよ――――――――

元の世界?

ちょっと待って。私が今ここを離れるわけにはいかないわ。

――――――――それはどうしてかしら?――――――――

だってこっちでは、まだ私がサポートしなきゃいけないことがたくさん残ってる。

――――――――ここで戻ったら後悔するってことね――――――――

そう。後悔する。

だから私はもう少しだけ、μ'sを導く必要があるの。

――――――――そう……ならくれぐれも元いた場所を忘れないでね――――――――




―――――――――私はここにいるんだから――――――――

え? 私?

どういうこと? あなたも私なの?




あなたも絢瀬絵里なの?
801 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/05(火) 10:28:18.93 ID:E8ts5IVh0
それと――――――――





               ――――――――もう1つ






     元いた場所って――――――――













                      ――――――――どこ?
815 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 11:40:25.99 ID:2SxFxISk0
絵里「……あれ? ここは……保健室?」

絵里(私、さっきまで何してたんだっけ?)

穂乃果「んー……」

絵里(あ、そうか。穂乃果を運んできて……)

絵里(アラームもまだ鳴ってなかったのね……早く起きすぎたかも)

海未「失礼します」

絵里「あ、はーい」

海未「おや。保健の先生はいらっしゃらないんですね」

絵里「出張中みたいで」

海未「そうでしたか」
816 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 11:42:14.13 ID:2SxFxISk0
絵里「それで、どうしたの?」

海未「……ここではなんですし、一旦部室へ戻りましょうか」

絵里(ああ、ことりの話ね)

絵里「わかったわ」

海未「はい、みんなはまだ屋上で練習していますから」

絵里「穂乃果は……そうね、ちょっとメモを置いておきましょう」

海未「はい」
817 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 11:46:38.47 ID:2SxFxISk0



絵里「で、どんな感じだった?」

海未「はい。理事長がことりを呼んだ時点でだいたいの察しはついたんですが……やはりことりは見るからに不安げでした」

絵里「そうよね……」

絵里「たぶん今日あたり、海未に相談を持ちかけて来るんじゃない?」

海未「はい、おそらくはそうなりますね」

絵里「今回は穂乃果の様子も落ち着いてるし、まだ幾分ましになるとは思うけど……早めに話しておいた方がいいのは確かね」

海未「そこで相談なんですが……」

絵里「何かしら?」

海未「今日、一緒に帰ってくれませんか? 私とことりと一緒に」

絵里(なるほど、話しやすい空気を作ろうってわけね)

絵里「もちろんよ」

海未「ありがとうございます」
818 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 11:48:45.92 ID:2SxFxISk0
絵里「……でも何で私も一緒に?」

海未「え? だってそれは――――――――」

絵里「それは?」

海未「今、私たちを引っ張ってくれているのは、他の誰でもない絵里だからですよ」

絵里「……そっか」

絵里(うれしいなぁ……)

絵里(……でも犬みたいとか言われてたのよね)

絵里「それじゃ、穂乃果はどうする? あのままにしておくのは心配だし……」

海未「そうですね……」

海未「あ! いいことを思いつきましたよ」

絵里「?」
819 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:02:01.32 ID:2SxFxISk0



絵里「こ、ことりー?」

ことり「あ、絵里ちゃん……」

絵里(み、見るからに暗い……私たちは何でこんなこと気付かなかったんだろう)

絵里「練習頑張りましょうね」

ことり「うん……穂乃果ちゃんと海未ちゃんは?」

絵里「穂乃果の付き添いで先に帰ることになったの。だから帰りは2人きりね」

ことり「うん、そうだね……」

絵里(暗い)

希「あれー、2人とも今日は早退?」

にこ「早退って何よ。まだ夏休みなんだから」

真姫「そういえば宿題やったの?」

にこ「」

希「」

凛「」

絵里(あ、こっちも大変なんだ)
820 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:05:47.12 ID:2SxFxISk0
希「え、えりち手伝ってぇ!」

にこ「助けてにこーっ!」

絵里「わわっ、抱き着かなくてもちゃんと手伝うから、ね?」

希「わーい」

にこ「さっすがー」

凛「凛も教えてほしいにゃー……」

花陽「わ、私も絵里ちゃんに教えてほしいところあるなぁ……」

真姫「……私も」

絵里(あらら、結局みんな教えてほしいのね)

ことり「……」

絵里(それよりことりを早く何とかしないと……)

希「あ、えりち。ちょっといい?」

絵里「え? いいけど……」

にこ「あんたたちはちゃんと練習してなさいよ」

凛「どこか行くのー?」

にこ「手伝ってもらう日を決めるのよ。後で教えるから」
821 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:08:31.01 ID:2SxFxISk0
希「で、ことりちゃんどうしたん?」

にこ「急にテンション下がったわよね」

絵里「あ、2人とも気付いてたんだ」

にこ「当然じゃない」

希「うん、あの時はえりちも海未ちゃんも穂乃果ちゃんもいなかったから、変化にはすぐ気付けたんよ」

絵里「え? どういう意味?」

にこ「目立つ3人がいなかったから、ことりの様子が浮き彫りになってたってこと」

絵里「なるほど……」

希「えりち、何か知ってる?」

にこ「そうよ。あんた最近私たちに未来の話しないじゃない」

絵里「え、あ……」

絵里(そうだ。2人には教えてたんじゃない……何で忘れてたんだろう)
822 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:13:36.73 ID:2SxFxISk0
希「教えられる範囲でいいから何かない? ことりちゃんすごくつらそうで……」

絵里「そうね……」

絵里(留学はことりが隠しておきたいことよね……)

絵里「あのね、これは私も経験したわ」

にこ「じゃあ……」

絵里「でもね。これはことりの許可なしには言えないの。ごめんなさい」

希「そっかぁ……」

にこ「ま、あんたに任せてれば間違いはないでしょうね」

絵里「え?」

にこ「信頼してるのよ。絵里」

希「うんっ、えりちに任せてれば安心やね」

絵里「2人とも……ありがとう」
823 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:19:36.58 ID:2SxFxISk0
にこ「それで、また海未と何か話してたんでしょ? それは話せる?」

絵里「ええ、それは大丈夫よ」

希「聞かせて聞かせて」

絵里「海未がね、いい考えがあるって言って……」

希「あ、それでことりちゃんと2人にしようとしてたん?」

絵里「あら、バレてたの?」

にこ「バレバレよ。だから穂乃果と一緒に帰ったのね」

絵里「正解」

絵里(……2人に頼れたらもう少し楽になるのかしら)

絵里(でも、これは海未にとってもことりにとっても……穂乃果にとっても大切なこと)

絵里(私がやらなきゃね……!)
824 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:23:45.37 ID:2SxFxISk0
にこ「じゃあ戻るわよ」

希「えりち、応援してるで」

絵里「うん」

花陽「あ、日程決まったの?」

希「ううん、えりちの予定次第ってことになって」

絵里「ごめんね」

真姫「いいのよ。それじゃ、始めましょ。ダンスの付け足しはある程度海未がやってくれたから」

凛「今日もいっぱいおどるにゃー!」

にこ「あんたなんかバカっぽいわよ」

凛「ええっ」

ことり「……うん」

花陽「ことりちゃん、どうしたの?」

ことり「ううん、なんでもないよ」

絵里「……」
825 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:29:20.51 ID:2SxFxISk0




希「はー……今日はこのくらいにしとく?」

にこ「そうね」

凛「あれ? もう終わり?」

花陽「まだ余力は残ってるよ?」

絵里「あえて残してるのよ。夏バテだってあるし、みんなが穂乃果みたいに倒れられたら困るからね」

真姫「ふーん……ならもう解散?」

絵里「ええ。もう解散」

凛「そっかぁ。じゃあ真姫ちゃん、かよちん、帰ろっ」

花陽「うん」

真姫「そうね」

希「じゃあウチら帰ろっか」

にこ「うん」
826 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:33:22.97 ID:2SxFxISk0
絵里「ことりもほら、帰ろう?」

ことり「うん、そうするよ」

絵里「……」

希「ウチらは先に出とくでー」

絵里「はーい」

絵里(希には気を遣ってもらってばっかりね……ふふ)

ことり「……」

絵里「ことり?」

ことり「……絵里ちゃん」

絵里「なぁに? 私はここにいるわよ?」

ことり「うぅっ……絵里ちゃん……っ」

絵里「え、ど、どうしたの? ことり、泣かないで」

ことり「絵里ちゃん、ごめんねっ……ごめんね……」

絵里(何で泣くの……? 留学の相談じゃないのかしら)
827 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:40:20.11 ID:2SxFxISk0
ことり「絵里ちゃん、ことりね……」

絵里「うん、聞いてるわ」

ことり「お母さんから……手紙が届いたって言われて……」

絵里「うん」

ことり「私が……今すぐ留学しないか、って」

絵里(今すぐ……ちょっと急ね)




ことり「残りの夏休みと2学期の最初の方までの間……短期留学をしないか、って」




絵里「短期……留学?」

絵里(そんな……いくらなんでも急な……)

絵里(それに未来と違う)
828 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:42:54.79 ID:2SxFxISk0
絵里「服飾関連の話……よね?」

ことり「……よくわかったね、絵里ちゃん」

絵里「うん、だってことり、衣装作るの上手だもの」

ことり「えへへ、ありがと……」

絵里「ことりは留学したいの?」

ことり「うん、したいよ……でも……」

絵里「でも?」





ことり「もし、ラブライブに出場しちゃったら、私はそれまでに帰って来れないの」
829 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 12:47:57.02 ID:2SxFxISk0
ことり「だから、私はどうすればいいかわからなくって……」

絵里「そう、なんだ……」

ことり「絶対に間に合わないってわけじゃないの。すぐに帰って来れることもあるっていうんだけど、そのところが曖昧で……」




絵里(ことりが帰って来る可能性に賭けて、ラブライブ出場を決めるか)

絵里(ことりが帰って来る可能性を捨てて、ラブライブ出場を逃すか)

絵里(ことりに留学をあきらめてもらって、ラブライブ出場を決めるか)

絵里(……私1人には、到底選べない)



絵里「……私以外にはもう話した?」

ことり「ううん、まだだよ。海未ちゃんと穂乃果ちゃんにも聞いてほしいんだけど……」

絵里(やっぱりそう来るわよね……)
830 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/06(水) 13:06:00.16 ID:2SxFxISk0
絵里「それっていつまでに決めなきゃいけないの?」

ことり「1週間後までだよ」

絵里「1週間後……」

絵里(1週間ってことは、ラブライブ出場が決まるかどうかの前日よね)

絵里(どちらにせよ、決まってからの判断はできない……それに学園祭もある)

絵里「……」

絵里「まずは海未たちに話しましょうか」

ことり「ま、待って絵里ちゃん!」

絵里「え?」

ことり「まだ、私……自分で結論を出してから、2人に話したくて」

絵里「ことり……」

ことり「だから今は、2人には話さないでほしいの」

絵里「うん、わかった」

絵里(結論……かぁ)
847 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:22:21.38 ID:mFlMGG3F0



絵里(私は、どうするべきかしら)

絵里(ことりの意志は尊重したい……でも穂乃果たちに早く教えたいって言うのもある)

絵里「ううー……海未はこの重圧に耐えてたのね」

絵里「……よし、部屋でごろごろしてても仕方ない」

絵里(誰かに相談してみようかしら)

亜里沙「お姉ちゃん、起きてるー?」

絵里(妹に頼るのも……いいわよね?)
848 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:26:31.51 ID:mFlMGG3F0
絵里「ええ、起きてるわ。入っていいわよ」

亜里沙「ん、ありがとう」

亜里沙「明日ね、雪穂と遊ぶから、お昼に亜里沙は家にいないんだ」

絵里「うん、わかった」

亜里沙「伝えたかったのはそれだけなの」

絵里「……じゃあ私からもお話があるんだけど」

亜里沙「恋文?」

絵里「日本語にしただけで、聞いてることは前と変わらないじゃない……」

亜里沙「でも恋文の方がかっこいいよ! 矢に結んで下駄箱に撃つんだよねっ!」

絵里「それは矢文よ。そんなバイオレンスな現代は恐ろしいわ」
849 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:30:47.66 ID:mFlMGG3F0
亜里沙「だったら……なんだろう?」

絵里「ちょっとね、相談よ」

亜里沙「そ、相談!?」

絵里(何でこんなに驚くのかしら)

亜里沙「物は相談ってやつだよね!」

絵里「おお、その使い方は間違ってないわね」

亜里沙「うん、今日授業で習ったもん!」

絵里(なるほど、だからテンション高かったんだ)

亜里沙「何かなぁ……恋愛相談かなぁ」

絵里(でも考えは変わってない、と)
850 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:33:26.31 ID:mFlMGG3F0
絵里「あのね、私の友達でKさんって子がいるの」

亜里沙「Kさんね、うん」

絵里「別にメモは取らなくてもいいんだけど……」

亜里沙「ううん、お姉ちゃんからの相談だもん。ちゃんと解決したいから」

絵里(亜里沙……)

亜里沙「それで、誰に告白するの?」

絵里「亜里沙、もう寝なさい」

亜里沙「ごめんなさい」
851 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:36:51.77 ID:mFlMGG3F0
絵里「Kさんはね、幼馴染の2人に大切なことを隠してます」

亜里沙「大切なこと?」

絵里「そう、大切なこと」

亜里沙「お姉ちゃんは何で知ってるの?」

絵里「Kさんに相談されたのよ。どうしたらいいか、って」

亜里沙「そうなんだぁ……でもお姉ちゃんなら相談したいって思えるなぁ」

絵里「どうして?」

亜里沙「お姉ちゃんは優しいから」

絵里「……そう?」

亜里沙「うん。過保護」

絵里「えっ」

亜里沙「あ、違う。面倒見がいいっていうやつ」

絵里(びっくりした)
852 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:41:35.70 ID:mFlMGG3F0
亜里沙「じゃあお姉ちゃんは、Kさんがどんなことを隠してるかも知ってるんだ」

絵里「そうね。うん、とっても大切なことなの」

絵里「Kさんはその幼馴染とちょっとした……そうね、約束めいたものをしてるの。日時が決まった約束を、ね」

亜里沙「うんうん」

絵里「でもちょうど、Kさんの夢を叶えられるチャンスが来たのよ」

絵里「だけどそのチャンスをつかむと、幼馴染2人との約束が守れないかもしれないの」

絵里「だから私に、どうしたらいいか、って」

亜里沙「なるほどぉ……」

絵里(ちょっと難しかったかしら)

亜里沙「Kさんはどうしたいって言ってるの?」

絵里「チャンスをつかみたいんだって。でも約束を破るのも嫌なのよ」

亜里沙「なら話は簡単じゃないかな?」

絵里「え?」
853 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:46:41.08 ID:mFlMGG3F0
亜里沙「お姉ちゃんに相談してきたってことは、それはお姉ちゃんに何とかしてほしいってことだよね?」

絵里「うん、まあ……そうなるわね」

亜里沙「でしょ? だったらお姉ちゃんがそれを手伝ってあげればいいんじゃないかな?」

絵里「手伝う?」

亜里沙「うん。1人ならできなくても、2人ならできるかもしれないよ」

絵里(1人ではできなくて2人ならできる……)

亜里沙「オールフォアワン、ワンフォアワンだよ!」

絵里「亜里沙、それって……お前のものはおれのもの、おれのものもおれのもの、って風になってるわよ」

亜里沙「あれ?」

絵里(ふふ、でも亜里沙に相談してよかった)

絵里「ありがとう。ちょっと解決できるかもしれないわ」

亜里沙「どういたしまして。三角関係ってやつのお話でしょ? 亜里沙も聞けて、また1つ大人になったよ」

絵里(この子、本当にブレないわね……尊敬するわ)
854 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:50:14.08 ID:mFlMGG3F0
絵里「じゃあ亜里沙、おやすみ」

亜里沙「うん、おやすみなさい」

絵里「明日は暑いから、飲み物とタオル、忘れないようにね」

亜里沙「はーい」

絵里「……」

絵里(1人より2人、かぁ……)

絵里(いい言葉ね)

絵里「ことりが結論を出すまで焦っても仕方ないわよね」

絵里「だったら私は、ことりの意見を受け止められるよう、どっしり構えておかないと」

絵里(ちょっと気が楽になったかも)

絵里(明日も練習あるし、早く寝ましょう)
855 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:53:31.83 ID:mFlMGG3F0




絵里「……雨、かぁ」

絵里(穂乃果からの練習中止の電話で起きたけど、確かにこの雨じゃ練習は無理そうね)

絵里(ちょっとでも降ると屋上は使えないし、部室じゃできることも限られるし……なら休養日ってことにした方がいいわよね)

絵里「亜里沙、遊びに行くのは大丈夫なの?」

亜里沙「うん、おうちに入れてもらうから大丈夫だよ」

絵里「何かお菓子でも持っていく?」

亜里沙「ちゃんと買っておきました」

絵里「なるほど、なら安心ね。じゃあ気をつけていってらっしゃい」

亜里沙「いってきまーす」
856 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/07(木) 23:56:15.47 ID:mFlMGG3F0
絵里「……」

絵里(暇だわ)

絵里(私、練習がない日って何してたかしら)

絵里「あ、電話だ。誰からだろう……」

絵里「……ことりから?」

絵里「もしもし」

  ことり「絵里ちゃん?」

絵里「そうよ。どうしたのことり? 相談の続き?」

  ことり「ううん、私、決めたの」

絵里「決めたって……もしかして」




  ことり「私、留学しないことにする」
857 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:00:14.21 ID:dQRdtHtj0
絵里「えっ……」

絵里(嘘……てっきりことりは留学するものだとばかり……)

  ことり「あのね、昨日一晩中考えて決めたんだ」

  ことり「今は私、絵里ちゃんたちとまだ一緒にいたいの」

  ことり「みんなに迷惑をかけたくないし、これが1番いいと思って」

絵里「ことり……」

  ことり「だから今日、穂乃果ちゃんと海未ちゃんにも話そうと思って……でもやっぱり、絵里ちゃんがいてくれた方が心強くて」

絵里「そう、なのね……」

絵里(私が口出しできることじゃないわよね……でも……)

絵里「穂乃果たちを呼ぶなら、私の家に来たら?」

  ことり「え?」

絵里「今日は亜里沙がいなくてさびしかったの。私もいるし、それじゃダメかしら?」

  ことり「ううん、そんなことない……そうさせてもらうね」

絵里「ええ、じゃあ待ってるわ」
858 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:03:00.73 ID:dQRdtHtj0
絵里「……」

絵里(ことりが考えて決めたのよね……なら私が口出しできる余地は……)

絵里「なら何で、自分の家に呼んだのよ……」

絵里(ことりに話を聞きたかったから? 違うわよね)

絵里(ことりに意見を変えてほしかったから……よね)

絵里「……」

絵里(私ができることはなかった、それが嫌だから)

絵里「……私ってば嫌な子」

絵里「でも……」




絵里(あれは絶対、ことりの本心じゃない――――――――)
859 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:05:14.33 ID:dQRdtHtj0



ことり「お邪魔します」

絵里「いらっしゃい。どうぞ、あがって」

ことり「はーい」

絵里(クマができてる……相当悩んでたみたいね)

絵里「お茶とオレンジジュース、どっちがいい?」

ことり「ジュースがいいかな」

絵里「わかったわ」

ことり「……」

絵里「……」

絵里(雨って、結構雰囲気を重くするものなのね)
860 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:07:50.74 ID:dQRdtHtj0
絵里「穂乃果たちは?」

ことり「遅れて来るよ。あと30分くらい後に来るって言ってたから」

絵里(30分、かぁ……)

絵里「なら少しお話でもしましょうか」

ことり「うん、そうしよっか」

絵里「はい、ジュース」

ことり「ありがとう」

絵里「……」

ことり「何のお話する?」

絵里「それは――――――――」

絵里(うん、迷ってちゃダメ。ことりの本心を聞かなきゃ)

絵里「ことりが留学をやめた理由について」

ことり「!」
861 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:10:36.21 ID:dQRdtHtj0
ことり「そ、それは電話でも話したよね?」

絵里「そうね。ことりの顔はちゃんと見てないからわからないけど」

ことり「……私が嘘ついてると思ってる?」

絵里「ええ」

ことり「嘘なんてついてないよぉ。だってあれは心からそう思ってて……」

絵里(それが本心なら……本心ならどうして……)

絵里「ことり、どうしてそんな悲しそうな顔をするの?」

ことり「そっ……そんな顔、してない!」

絵里「してるわよ」

ことり「してないもん……悲しくないもん」
862 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:13:53.63 ID:dQRdtHtj0
絵里「ことり」

ことり「だからもう、この話はおしまいで――――――――」



絵里「留学なんてしたくないって、笑って言える?」




ことり「……」

ことり「……そんなの」

絵里「うん」



ことり「そんなのっ……言えないよぉ……!」

ことり「したいよ、留学……」



絵里(やっぱりね。ことりは2人に気を遣ってる)

絵里(心配させないように、隠そうとしてる)

絵里「ごめんね、こんなこと言って」

ことり「……ううん、嘘ついてごめんね」

絵里「いいのよ。本心が聞けたから」

ことり「……」
863 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:18:41.53 ID:dQRdtHtj0
絵里「穂乃果たちには、留学はしないって言うつもり?」

ことり「うん……ラブライブはみんなの夢で、穂乃果ちゃんやにこちゃんはきっと叶えたい夢だから」

絵里「でも本当は行きたいのよね?」

ことり「そうだよ……でも迷ってたら何もかも、間に合わなくなっちゃうから」

絵里(間に合わない、か)

絵里(留学が始まってから帰って来る日程が、ラブライブ以前だったらことりは留学できる)

絵里(それさえどうにかできれば……)

絵里「ん? ちょっと待って」

ことり「どうしたの?」

絵里「ことり、修学期間は決まってるわよね?」

ことり「うん、もちろんだよ。それは決まってるけど……手続きがいろいろあって」

絵里「手続きって言うと……留学先での事務みたいな?」

ことり「そういうこと」
864 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:22:55.77 ID:dQRdtHtj0
絵里「……」

絵里(1人より2人、よね)

絵里「ことり、留学しなさい」

ことり「えっ!? で、でも絵里ちゃん、それじゃラブライブに……!」

絵里「決めた、決めたわ私」

ことり「決めたって何を……」




絵里「私、絢瀬絵里は、あなたの留学の付添人になります」

絵里「事務も手続きも何もかも、全部私が引き受けてあげる」




ことり「ええっ!?」
865 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:26:13.07 ID:dQRdtHtj0
絵里「そうと決まれば話は早いわ。早速理事長に電話して」

ことり「で、でも」

絵里「ほら早く!」

ことり「は、はいっ!」

絵里「私、一応生徒会長だからきっと大丈夫よ」

絵里(ちょっと自信ないけど……)

ことり「絵里ちゃん……」

ことり「あ、もしもしお母さん? 留学の話なんだけど……うん」

ことり「うん、それでね、絵里ちゃんが付き添ってくれるって言うんだけど……うん、そう。手続きとか……」

ことり「……わかった」

絵里「どうだって?」

ことり「絵里ちゃんに代わってほしい、って」

絵里(ここが正念場ね……)

絵里「うん、わかったわ」
866 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:29:38.16 ID:dQRdtHtj0
絵里「もしもし、お電話代わりました」

  理事長「絢瀬さん、ことりから話は聞きました。その件についてですが……」

絵里(……神様、お願いします)




  理事長「もちろん許可します」




絵里「……」

  理事長「あのー、聞こえましたか?」

絵里「え、あっ、はい!」

絵里(喜びの余り、つい意識が……)

絵里「ありがとうございます!」

  理事長「いいえ、感謝するのは私の方です。娘の背中を押してくれてどうもありがとう」

絵里「理事長……」

  理事長「2学期の最初の出席は公欠扱いにしておきます」

絵里「はいっ!」
867 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:34:32.97 ID:dQRdtHtj0
  理事長「本当はダメなんですよ? 私の独断で決めてしまうのは……」

  理事長「ですがあなたなら、誰も文句は言いませんよ。学院の存続に貢献してくれているあなたなら、成績も優秀ですし。全教科満点ですからね」

絵里(テストの問題を知ってた効果がここに出てくるとは)

  理事長「非の打ちどころがないんですから、これは成績優秀者の……いえ、生徒会長としての付き添いを許可します」

絵里「ありがとうございます」

  理事長「ですが条件があります」

絵里「何でしょうか」

  理事長「私や教員のみなさまに、お土産を買ってきてくださいねっ」

絵里「もちろんです!」

  理事長「ではこの話は終わりです。向こうの学校にも話しておきますね」

絵里「ありがとうございました」
868 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:38:37.82 ID:dQRdtHtj0
ことり「え、絵里ちゃん、どうだった?」

絵里「ふふふ……」

ことり「え、絵里ちゃん……?」

絵里「許可が下りたわ!」

ことり「ってことは……」

絵里「ええ、そういうことよ。修学期間は?」

ことり「5日間だけ!」

絵里(ラブライブ出場が決まれば、そのちょうど1週間後にラブライブ本戦が始まる……ってことは完璧ね)

絵里「私が手続きを済ませれば、ラブライブに絶対出場できるわよ」

ことり「やったぁ!」

ことり「絵里ちゃん、ありがとう……本当にありがとうっ!」

絵里「いいのよ。だってことりは大切な仲間なんだから」

ことり「うんっ! ありがとう!」
869 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 00:42:55.14 ID:dQRdtHtj0
絵里「今日はちょっとお高いチョコでも食べちゃう?」

ことり「え、いいの?」

絵里「お祝いだからね。まあ穂乃果たちが来てからだけど」

ことり「うん、そうだねっ」

絵里(あの時、亜里沙に食べられてなくて本当によかった……)

絵里(私もわざわざ残してて、本当によかった)

絵里「じゃあ後は学園祭よ!」

ことり「私も衣装作り、もっと頑張るね!」

絵里「ええ、頼んだわよ」

絵里(よかった……本当に……)

絵里「……あれ? 外、晴れてるわね」

ことり「本当だ……私たちをお祝いしてくれてるのかも」

絵里「ふふっ、そうかもね」
880 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:04:32.40 ID:dQRdtHtj0



海未「お邪魔します」

穂乃果「おじゃましまーす……わぁー! 絵里ちゃんのおうち、絵里ちゃんの匂いがする!」

絵里「え? そう?」

穂乃果「うん、なんというか……チョコかな」

絵里(やっぱり)

絵里「2人ともあがって。ことりがリビングで待ってるから」

穂乃果「はーい」

絵里「……で、海未。話があるんだけど、いい?」

海未「ええ。私もそう来るとは思っていました」

絵里「察しがいいのね」

海未「はい。1度経験していますからね」
881 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:09:18.11 ID:dQRdtHtj0
絵里「まあ、ことりの留学についての話よ」

海未「……絵里には話したのに、私には教えてくれませんでした」

絵里(海未がしょんぼりしてる……かわいい)

絵里「海未、心配しないで。ことりにとって2人は大切な人だから、言うのを躊躇っちゃったのよ」

海未「そうだといいんですが……」

絵里「今はラブライブ出場の大事な時期だから、2人に心配かけたくなかったのかもね」

海未「ううむ……私も穂乃果のように周りが見えていなかった、と思われていたのでしょうか」

絵里(……確かに今の海未は、ラブライブに対して結構乗り気に見えるかも。練習量とか、穂乃果たちから見たらかなり気合入ってるように見えるし)

絵里「まあそれは置いといて」

海未「むむ、なんだか誤魔化された気分です」

絵里「ご、誤魔化してなんかないってば」
882 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:12:19.85 ID:dQRdtHtj0
絵里「それでね、本題に入ろうと思うんだけど……」

海未「はい」

絵里「……ごめんなさい!」

海未「え? どうしたんですか?」

絵里「あの、私……海未の意見を聞く前に、結論出しちゃって……」

海未「結論……? 結論とは?」

絵里「それは――――――――」

穂乃果「海未ちゃん、絵里ちゃん。何してるのー?」

絵里「あ、今行くわ!」

絵里「海未、ことりの話を聞いてくれればわかると思う」

絵里「今回は許してください……」

海未「え、絵里。顔を上げてください」

絵里「でも……」
883 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:17:23.25 ID:dQRdtHtj0
海未「私は、μ'sのみんなと一緒で絵里を信頼しているんですよ?」

絵里「うん、それはわかってるんだけど……」

海未「いいえ、わかっていません」

絵里「え?」

海未「私が全幅の信頼を寄せているんです。それはつまり、あなたの結論に異論を挟まないということです」

絵里「海未……」

海未「それに、悪い結果ではないことは、絵里の顔を見ればわかります」

絵里「ありがとう、海未」

海未「いえ、こちらこそ」

穂乃果「絵里ちゃーん、早く来ないとこの高そうなチョコ、ことりちゃんと食べちゃうよー?」

絵里「ま、待って! ほら海未、早く早く!」

海未「わわっ」
884 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:20:23.75 ID:dQRdtHtj0
ことり「ふふ、2人で何してたの?」

絵里「ちょっとあれよ。内緒のお話」

ことり「そうなんだ」

穂乃果「えー、2人だけの内緒?」

海未「大したことではありません」

穂乃果「なんかずるい……そうだ、ことりちゃん。穂乃果と内緒のお話をしよう」

ことり「何を話すの?」

穂乃果「絵里ちゃんの癖について……どうかな?」

ことり「あ、それは気になる!」

絵里「私の癖?」

絵里(何かあったかしら……って、気付かないから癖になってるのよね)
885 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:23:38.63 ID:dQRdtHtj0
穂乃果「絵里ちゃんはね……して……時に……なの」

絵里「?」

ことり「へぇ……そうなんだ」

海未「絵里の癖とは何なんでしょうね」

絵里「何かしら…というか、穂乃果はよく気付いたわね」

穂乃果「だってわかりやすいんだもーん」

ことり「言われてみれば確かにそうかも……」

絵里「えー? 何? 教えてよぉ」

穂乃果「えへへ、内緒だよー」

ことり「うん、内緒っ」

絵里(な、何だか気になって来るんだけど……)

海未「それよりことり、何か話があると言っていませんでしたか?」

ことり「あ、そうだった」
886 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:25:45.66 ID:dQRdtHtj0
ことり「2人にはね、大事なお話があるの」

ことり「ね、絵里ちゃん」

絵里「ええ」

穂乃果「なになに?」

海未「穂乃果、ひとまず座りましょう」

穂乃果「うん」

絵里「いや、椅子に座っていいのよ?」

穂乃果「……床の方がなんだか落ち着く」

絵里「あっちにソファあるけど……」

穂乃果「じゃあそっち!」

絵里(は、速い……穂乃果の方が犬っぽい気がするわ)
887 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:28:59.88 ID:dQRdtHtj0
穂乃果「それで、大事な話って……」

ことり「うん、2人には結論が出てから話そうと思ってて、絵里ちゃんに相談に乗ってもらってたの」

穂乃果「絵里ちゃんに?」

絵里「そうよ」

穂乃果「なら安心だね」

海未「そうですね」

絵里「ほ、穂乃果もそう言うの?」

穂乃果「うん、だって絵里ちゃんなら大丈夫だもん。頼りになるから」

絵里「……そっか」

絵里(こういう風に、ちゃんと信頼されてるってわかるのはうれしいわね)
888 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:31:19.46 ID:dQRdtHtj0
絵里「えへへ……」

ことり「あ、穂乃果ちゃんの言った通りだ」

穂乃果「でしょー?」

絵里「え?」

ことり「絵里ちゃんの癖が出てるんだよっ」

絵里「……どこだろう」

絵里「海未、わかる?」

海未「……あ、今のでわかりました」

穂乃果「だよねだよねっ? 絵里ちゃんの癖、すぐわかるもん!」

ことり「ふふっ」

絵里(わ、わからない……自分のことって全然わからないのね)
889 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:33:09.77 ID:dQRdtHtj0
ことり「じゃあ本題に入ります」

海未「はい」

穂乃果「うん」




ことり「私は、絵里ちゃんと一緒にパリに行くことになりました」




海未「絵里と一緒に……?」

絵里(うふふ、驚いてる驚いてる)

穂乃果「は、は……」

ことり「?」

穂乃果「ハネムーン!?」

絵里「え」

ことり「ち、違うよぉ!」
890 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:40:13.12 ID:dQRdtHtj0



穂乃果「なるほどー……って、ええっ!? 留学!?」

ことり「短期だから、ちゃんとラブライブ前には帰ってこられるようにしておいたよ」

穂乃果「え、ラブライブのこと気にしてくれてたの?」

ことり「あ、うん。だって出場できるかできないかは重要だから……」

穂乃果「そっかぁ……うれしいなぁ」

絵里「え? 穂乃果、ラブライブのこと、気にしてないの?」

穂乃果「ううん、そんなことないよ。ラブライブの出場は、今のみんなの目標だから……すっごく大事」

穂乃果「でも、穂乃果がことりちゃんの立場だったら、絶対そんな風に決断できないなぁと思って……」

穂乃果「ラブライブのことを考えて動けないと思ったから、うれしかったの」

海未「そうですね。穂乃果は目の前のことにしか集中できませんから」

穂乃果「うっ」

絵里(自分のミスがないから冷静に考えられる……だけじゃなくて、穂乃果はもともとこんな子よね)

絵里(なら、私や海未が余計な気を回さなくてもよかったかも)
891 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 20:45:21.88 ID:dQRdtHtj0
海未「ことりも納得しているようですし……私も自分のことのようにうれしいです」

絵里(そうね。海未はそれを1番望んでたし)

ことり「ありがとう、海未ちゃん」

海未「いえいえ、親友のことですから」

穂乃果「出発はいつぐらいになるの?」

ことり「あと6日後だよ。そこから5日間パリへ行って……それから帰って来るの」

海未「ということは、ラブライブ出場が決まる日の前の日に出るんですか?」

絵里「そうなるわ。それで、ラブライブ開催の2日前に帰って来るの」

穂乃果「わー……ハードスケジュールだね」

ことり「うん、だから絵里ちゃんと一緒に、向こうでもきちんと練習するつもりだよっ」

絵里「だからこっちの心配はしなくていいわ」

穂乃果「はーい」
896 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:02:03.75 ID:dQRdtHtj0
絵里「それと、そっちのダンスコーチは海未に任せるから、サボらないようにね?」

海未「もちろん、私がいる限りサボらせませんよ」

穂乃果「お、鬼教官……」

海未「まだまだ甘い方ですよ?」

穂乃果「ええっ!?」

絵里(確かに、みんながちゃんとついてきている分、ダンスレッスンやトレーニングは軽くなってるわよね)

絵里(前よりも成長してるから、一気に詰め込む必要がないってことだし……)

絵里(それに海未が残って私がことりと一緒に行くから、ダンスもちゃんと練習できる)

絵里(……あれ? これ、思ったより完璧じゃない?)
897 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:06:35.20 ID:dQRdtHtj0
ことり「じゃあ後は、学園祭に向けてラストスパートだねっ!」

海未「はい」

絵里「そうね」

穂乃果「……ねぇ、学園祭って……3日後だよね?」

絵里「ええ、そうだけど……」

絵里(どうしたのかしら。穂乃果の声音がずいぶん暗いような……)

穂乃果「……練習、しなくていいのかな」

絵里「!」

海未「!」
898 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:08:52.56 ID:dQRdtHtj0
穂乃果「あ、雨でも少しくらいは……」

絵里「ダメよ!」

海未「許しません!」

穂乃果「ひぃっ!? こ、怖いよ2人とも!」

海未「体調を崩しでもしたらどうするんですか!」

絵里「そうよ! 穂乃果の代わりはいないんだから!」

穂乃果「ご、ごめんなさい、もう言いません……」

海未「もう……許すのは今回だけですからね?」

絵里「自分を大切にするのよ、穂乃果」

穂乃果「はーい……」

絵里(まさかここで来るとは……油断ならないわ)
899 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:12:29.23 ID:dQRdtHtj0

★ss内時間を基準に、わからなくなった人用に日程表みたいなの

前日→ことりがエアメール受け取る
今日→ことりが結論出して絵里のところへ&絵里と留学決定

3日後→学園祭

6日後→ことえり出発
7日後→ラブライブ本戦出場グループ決定

11日後→ことえり帰還

13日後→ラブライブ本戦
901 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:20:25.93 ID:dQRdtHtj0
穂乃果「うん、雨が止んでるって言ってもまだ地面はぬかるんでるし、転んじゃうかもしれないよね」

絵里(んー、ちょっと違うけど)

絵里「まあそういうことよ」

絵里「とにかく、穂乃果は無茶しないように気を付けるように」

海未「あなたが倒れてしまっては元も子もありませんからね」

穂乃果「ごめんなさい」

海未「わかればいいんですよ」

絵里「ええ」

ことり「穂乃果ちゃん、私も無理せず頑張って来るからね」

穂乃果「うん、穂乃果も無理しないようにする」

穂乃果「よーし、じゃあ明日からは練習がんばろう!」

ことり「おーっ!」
902 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:24:11.44 ID:dQRdtHtj0




穂乃果「じゃあまた明日ね、絵里ちゃん」

絵里「ええ。雨が降らないようにてるてるぼうずを頼んだわよ」

穂乃果「うん! 雪穂にも手伝ってもらうね」

絵里(あー……雪穂ちゃんに悪いことしたかも)

ことり「今日はありがとう……絵里ちゃんには感謝してもしきれないよ」

絵里「ううん、私はことりの夢を叶えてほしかったから、自分のためにやったのよ。感謝はいらないわ」

ことり「えへへ。絵里ちゃん、大好きだよっ」

絵里「ふふ、私もよ」

海未「……絵里、この後時間、いいですか?」

絵里「構わないわ」
903 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:26:23.65 ID:dQRdtHtj0
ことり「また内緒のお話?」

絵里「そうよ、大事なお話をするの。主にダンスについて、ね」

穂乃果「んー……それなら穂乃果たちが聞いても仕方ないかも」

海未「少し時間がかかると思うので、2人は先に帰っていてくれますか?」

ことり「うん、わかった!」

穂乃果「海未ちゃんも、遅くならないようにね」

海未「はい」

絵里「2人とも、気を付けてね」

穂乃果「はーい」

ことり「はい」

絵里(まあまだ5時だし明るいから大丈夫だろうけどね)
904 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:29:24.80 ID:dQRdtHtj0
海未「……絵里、あなたには感謝してもしきれませんね」

絵里「えへへ、そう?」

海未「はい。私もまさか喜んで見送ることになるとは思いませんでしたよ」

絵里「私もよ。まさか見送られる側になるなんて、夢にも思わなかった」

海未「そうですね……」

絵里「……」

海未「……」

海未「絵里」

絵里「なに?」

海未「私はおそらく、学園祭を終えたら戻ってしまうと思います」

絵里「あら、寂しくなっちゃうわね」

海未「いえ、これが普通のことなんですから」

絵里(普通のこと、ね……ん? 普通……?)
905 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/08(金) 21:31:56.18 ID:dQRdtHtj0
海未「絵里はまだ、戻らないのですか?」

絵里「私はまだ、やることが残ってるもの」

海未「そうですか……」

海未「あなたも無茶しないでくださいね」

絵里「ええ、穂乃果に言った手前、そんな無茶はしないわ」

海未「それを聞けて良かったです。ではまた明日」

絵里「ええ、また明日ね」

海未「……絵里!」

絵里「んー?」

海未「絵里、本当にありがとうございます」




海未「私もあなたのことが、大好きですよ」
912 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:11:27.51 ID:R9gMhgkG0



絵里「ん……朝、か」

絵里(まだ6時ね、よし。今日は早く起きれた)

絵里(学園祭まであと2日……ステージの設置も終わったって理事長から連絡あったし、今日はリハやって衣装合わせ……)

絵里(明日は休みにしてもいいかな。予報はやっぱり、午後から雨みたいだし)

絵里「……」

絵里(なんだか体がだるいかも)

絵里「熱……はなさそうね」
913 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:13:30.99 ID:R9gMhgkG0
亜里沙「お姉ちゃん、おはよう」

絵里「ああ、亜里沙。おはよう」

亜里沙「ねむーい……」

絵里「あはは、なら何で早く起きたのよ」

亜里沙「お姉ちゃんが練習行くの、見送ろうと思って」

絵里「そっか、ありがと」

絵里「……亜里沙、体温計とって」

亜里沙「うん……どうしたの? 風邪?」

絵里「いいえ、念のためよ」

亜里沙「はーい」

絵里「ん、ありがと」
914 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:19:10.65 ID:R9gMhgkG0
絵里「……」

絵里(穂乃果にああ言った手前、自分が風邪ひいてたら示しがつかないわよね)

絵里「あ、出た」

絵里「……35℃、かぁ」

亜里沙「お姉ちゃん、大丈夫だった?」

絵里「うん、全然たいしたことなかったわ」

亜里沙「よかったぁ」

絵里「朝ごはん、何にする? 昨日の残りでいい?」

亜里沙「うんっ!」

絵里(心配しすぎかしら。やっぱりあんなことがあったから、必要以上に気にしちゃうのね)
915 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:23:15.48 ID:R9gMhgkG0



絵里「じゃあ亜里沙、行ってきます」

亜里沙「うん、行ってらっしゃい」

穂乃果「おはよう、絵里ちゃん!」

絵里「えっ」

海未「あ、やっぱりこの時間帯でしたね」

ことり「海未ちゃん、絵里ちゃんのことよく見てるんだねぇ」

海未「絵里は目立ちますからね」

絵里「ど、どうしたの? 家はこっちの方じゃないわよね?」

ことり「今日は何でかみんな、早起きしすぎちゃったの」

穂乃果「だから絵里ちゃんを誘って一緒に行こうって」

絵里(なんだ、そういうことかぁ……びっくりしちゃった)
916 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:29:49.76 ID:R9gMhgkG0
亜里沙「あぁっ! 穂乃果さん! 海未さん! ことりさん!」

穂乃果「亜里沙ちゃん? おはよー。いつも雪穂と遊んでくれてありがとうね」

亜里沙「お、おはようございます!」

ことり「あ、それパジャマ? かわいいねっ」

海未「ふふふ、そうですね」

亜里沙「はっ……お、お見苦しい姿を!」

絵里「亜里沙、落ち着いて」

亜里沙「今すぐ第一礼装を!」

絵里(なんかそれだけ聞くと強そうね)

穂乃果「なにそれ? 何だか強そうだね」

海未「学生ならば制服のことですよ」

穂乃果「へー」

絵里(穂乃果と同じ考えしてた……)

ことり「絵里ちゃん、どうしたの? うなだれちゃって……」

絵里「ううん、何でもない……」
917 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:33:55.42 ID:R9gMhgkG0
絵里「亜里沙、何もそこまでしなくていいわよ」

亜里沙「で、でもパジャマじゃ……はっ! いっそ脱げば――――――――」

絵里「落ち着きなさい」

亜里沙「はい」

海未「私たちはそんなに偉い人たちではありません。友達感覚で接してくれていいんですよ?」

亜里沙「わ、わかりました……じゃあ……」

亜里沙「サインください!」

海未「ええっ!?」

絵里(この子は友達にサインを要求する子なのね)

絵里「ていうか亜里沙、第一礼装なんて難しい言葉、よく覚えてたわね」

亜里沙「えへへ、かっこよくて……」

絵里(くっ、さすが我が妹……)
918 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:37:57.95 ID:R9gMhgkG0
ことり「みんな、そろそろ時間だよ」

穂乃果「あ、本当だ……それじゃ、亜里沙ちゃん。またね」

海未「また学園祭で会いましょう」

亜里沙「はい!」

絵里「亜里沙。お留守番、よろしくね」

亜里沙「自宅警備員だね」

絵里「それは違う」

亜里沙「えっ!?」

絵里(あれ、これって前にも言ったわよね……?)

亜里沙「あ、そっか。前にも違うって言われたよね。ついうれしくて記憶が……」

絵里(本当に大丈夫なのかしらこの子)
919 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:41:14.49 ID:R9gMhgkG0




希「わぁ……すごいなぁ」

凛「おっきいにゃー!」

にこ「屋外ステージってこんなに出来良いのね。屋根もあるし」

凛「ちっちゃいにゃー」

にこ「あんた今どこ見て言った!?」

凛「きゃー!」

絵里「みんなー、おはよう」

花陽「あ、絵里ちゃん、おはよう」

真姫「おはよう。ステージ、できてるわよ」

穂乃果「わー! 本当だ! でっかい!」

海未「屋根ですか……ふふ、さすが絵里ですね」

ことり「結構広いね」

絵里(おお、確かに結構いい感じね)
920 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:53:38.20 ID:R9gMhgkG0
にこ「はぁ……にこたち、ここで踊るのね」

絵里「気に入ってくれたかしら」

にこ「もちろんよ! スーパーアイドルにこちゃんはステージを選ばないわ!」

にこ「でもこのステージは選択肢にあったら選びたくなるくらい素敵ね……このハートマークあたりがかわいいし」

絵里(あれ? こんな装飾頼んだっけ……)

絵里「……まさか」

理事長「そのまさかです!」

希「り、理事長!?」

花陽「ええっ!? ステージの裏から……」

凛「気配がなかったのに……」

絵里(理事長がどんどん謎なキャラに)
921 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 20:54:24.79 ID:R9gMhgkG0
絵里「この装飾、理事長が取り計らって……」

理事長「はい、そうですよ。とびきり可愛くしてもらえるように頼みましたからね」

絵里「ありがとうございます」

絵里(理事長……こんなことまで……)

理事長「ほらここ、光るんですよ!」

希「わ! すごい!」

穂乃果「楽しそう!」

絵里(……本当に私たちのため、よね?)
922 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:00:38.57 ID:R9gMhgkG0
ことり「じゃあ先に衣装合わせしちゃおっか」

海未「ことり、それより先に……」

ことり「あ、そうだった」

穂乃果「……なんだっけ?」

絵里「ああ、あれよ。あれ」

穂乃果「あー、あれね!」

にこ「?」

真姫「何の話?」

花陽「何だろう……」
923 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:03:36.83 ID:R9gMhgkG0
ことり「みんなに伝えたいことがあります」

希「どうしたん? 急にそんな改まって」

にこ「何か隠し事してたの?」

絵里「まあ……そんなところかしら」

凛「なになにー?」

理事長「ふふ、すぐにわかりますよ」

穂乃果「どうせだからステージに立ってやらない?」

ことり「えっ」

にこ「それいいわね。ほら、上がって上がって」

絵里「わ、べ、別にそこまでしなくても……」

海未「まあいいんじゃないですか? これくらいなら」

絵里(海未までー……まあいいか)

絵里「ことり」

ことり「うんっ」
924 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:07:20.81 ID:R9gMhgkG0
ことり「私と絵里ちゃんは、学園祭が終わった3日後に、5日間だけパリへ行ってきます」

真姫「なっ……」

花陽「ええっ!?」

凛「そ、それ……」

希「……完全に」

にこ「ハネムーン……じゃないの」

理事長「ほほう……そういう体にしてもよさそうですね」

ことり「違うよぉ!」

絵里「だ、ダメですから!」

絵里(な、何なの!? ハネムーン、流行ってるの!?)

穂乃果「やっぱりそう思っちゃうよねぇ」

海未「普通は思いませんよ」
925 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:14:00.40 ID:R9gMhgkG0



にこ「なーんだ、短期留学……って、短期留学ぅ!?」

真姫「ラブライブには間に合うんでしょ? なら心配する必要はないわ」

凛「ふっふっふ、真姫ちゃんがそう言いながら泣きそうになったの、凛は知ってるよー?」

真姫「凛、あとでステージの裏に来なさい」

凛「い、今怒ってほしいにゃ……」

希「えりちも一緒に行くん?」

絵里「ええ。事務とか1人だと時間がかかりそうなものを手っ取り早く終わらせるためにね」

花陽「ことりちゃんも絵里ちゃん、すごいなぁ……」

ことり「えへへ、ありがとう」

絵里「ことりは選ばれたからともかくとして、私は別にすごくないわよ?」

花陽「そ、そんなことないよぉ!」
926 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:20:10.24 ID:R9gMhgkG0
海未「そうですよ。絵里のその決断は素晴らしいと思います」

真姫「そうね。そんな発想、普通じゃ出てこないわ」

穂乃果「絵里ちゃんも十分すごいよ! 私たちじゃ絶対、思いつかなかったもん」

凛「かっこいいにゃ」

絵里「ふふ、大袈裟ね」

理事長「いいえ、発想と行動力はとても評価できるものです」

絵里「あ、ありがとうございます……」

絵里(なんだかくすぐったいわね)

にこ「ぷぷ、照れてる照れてる」

希「えりちかわいー!」

絵里「う、うるさい!」
927 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:23:47.70 ID:R9gMhgkG0
希「でもことりちゃん、5日間も1人占めできるなんていいなぁ」

穂乃果「本当だ……!」

ことり「えへへ、やったぁ」

にこ「……」

真姫「……」

海未「どうしました2人とも、急に黙り込んで」

真姫「べ、別に」

にこ「うらやましいとか思ってないし……」

花陽「わ、わかりやすい……」

理事長「私も学生なら……いや、ここは理事長という権限を利用して……」

絵里(何の話?)
928 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:27:26.53 ID:R9gMhgkG0
希「いやでも、パリでもきっとモテモテなはず……」

にこ「それは困るわね」

花陽「でもありえそう……」

海未「まあ、そうですね」

穂乃果「うぅ……ことりちゃん、よろしくね!」

ことり「うん、頑張るよっ」

絵里「ねぇ凛、みんな何の話してるの?」

凛「んー? 絵里ちゃんはモテモテだねって話」

絵里(凛も亜里沙みたいなこと言うのね)
929 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:33:36.43 ID:R9gMhgkG0



海未「ではもう1度、通してやってみましょうか」

花陽「うんっ!」

凛「なんだかうまくできた気がするにゃー!」

真姫「そうね。凛の動き、よかったわよ」

凛「そう? そう言われるとうれしいなぁ」

希「真姫ちゃんの動きもなかなかよかったで」

真姫「そうだった? だといいんだけど……」

にこ「確かに今日はみんな、ダンスのキレがあるわよね。何かしたの?」

絵里「たぶんみんな、いい感じに緊張感を持ってるんだと思うわ」

穂乃果「緊張感?」

絵里「そうよ。1人で抱え込まずに、みんなで責任を背負ってるっていう緊張感があるの」

絵里(前とは違う、みんながみんなのために頑張ってる雰囲気が、ね)
930 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:38:41.17 ID:R9gMhgkG0
希「理事長も見てくれたらよかったのになぁ」

海未「仕事が残っていると言っていましたし、仕方ないでしょう」

ことり「そうだね」

にこ「何だか癖になりそうね。学園祭だけで終わらせたくないって言うか……」

穂乃果「何言ってるのにこちゃん」

にこ「え?」

海未「そうですよ。これからが始まるんです、私たちは」

にこ「……っはは、そうよね。なんか弱気になってたのかも」

にこ「よーし……学園祭まで気合入れていくわよ!」

絵里「あー、それなんだけど……」

にこ「え? なに?」

絵里「明日はね、休みにしようかと思って」
931 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:43:49.70 ID:R9gMhgkG0
花陽「休み? どうして?」

絵里「ほら、明日は午後から雨だって予報が出てるでしょ?」

凛「なら、午前中だけでも……」

絵里「ダメよ。本番を控えて風邪でも引いたら大変だもの」

海未「ふふ、そういうことですか」

絵里「うん、そういうこと」

穂乃果「?」

絵里(変わってない保証はないからね。もし雨が降って、誰かが体調を崩したりしたら……)

希「確かにリハーサルはちゃんとできてたなぁ」

真姫「ま、わざわざリスクを冒してまでやる必要はないわね」

にこ「そうね」
932 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:51:27.14 ID:R9gMhgkG0
花陽「だったら今日で完璧にしなきゃ……って、もうダメなところはないか」

凛「不思議だね、今までだったら本番まで必死になってやらなきゃ間に合わなかったのに」

穂乃果「海未ちゃんと絵里ちゃんのおかげだね! きっと、練習メニューがしっかりしてるからだよ」

絵里(あら、鋭い。ちょっと意地悪してみようかしら)

絵里「私たちが加入する前は海未がメニュー組んでたんじゃないの?」

穂乃果「それはそうなんだけど……なんだか突然別のスイッチが入ったみたいに、メニューが大幅に変わったんだよぉ」

絵里(お、さすが幼馴染ってところかしら)

ことり「あー……あれはハードだったねぇ」

海未「う」
933 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:53:02.94 ID:R9gMhgkG0
にこ「まあいろいろあったのよ」

希「そうやで。海未ちゃんにもいろいろあるんよ」

真姫「?」

海未「そ、そうですよ。色々あるんですよ」

絵里(そっか、2人は知ってるものね)

絵里(まああの海未式トレーニングは相当ハードだし……そっか、そうよね。変なスイッチ入ったみたいに見えるのは当然か)

絵里「それじゃ、もう1回通しでやるわよ」

凛「おー!」

花陽「がんばろうっ」
934 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 21:58:14.59 ID:R9gMhgkG0



穂乃果「……疲れたぁ」

ことり「はぁ……はぁ……」

希「こ、この後衣装合わせやるん?」

にこ「ちょっと汗が……」

海未「……絵里」

絵里「うん、そうよね。そうなるわよね」

絵里(やりすぎたわ……リハーサルとか言いながら結局10回も連続でやればこうなるわよね)

花陽「も、もう立てないよぉ……」

凛「す、スタミナが足りないにゃ……」

真姫「私はまだ踊れるけど」

絵里「真姫、足震えてる」

真姫「そ、それだけ元気が有り余ってるのよ」

絵里(でも気力だけでも立てるってすごいわね……真姫もだいぶ成長してるのかぁ)
935 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/09(土) 22:07:51.73 ID:R9gMhgkG0
絵里「そうねぇ……衣装はどうしましょうか」

ことり「あ、私の家に持って行ってからする?」

希「ことりちゃんの家に?」

ことり「うんっ、シャワーもあるし、すぐに手直しもできるから」

絵里「そうね。なら、お邪魔しようかしら」

海未「みんなはそれでいいですか?」

穂乃果「穂乃果はそれでいいよ」

真姫「着替えは……そっか、制服があるわね」

凛「凛、今日は練習着で学校来ちゃおうとか思わなくてよかったぁ」

花陽「そうだね」

にこ「じゃあ決定ね。ことり、案内よろしく」

ことり「はーい。でも、あと5分くらい休憩させてからにして……」

穂乃果「そうだね……」

絵里(これは雨が降っても降らなくても、結局休みにしなきゃいけなかったわね)
939 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:26:35.14 ID:jklQ1TNP0




希「おじゃましまーす」

ことり「はーい、いらっしゃい」

凛「ことりちゃんの家、結構広いんだね」

花陽「そうだねぇ」

ことり「そんなことないよぉ」

真姫「シャワー、誰から行く?」

穂乃果「よーし、ここはじゃんけんで……」

絵里「そうね。終わった人から衣装合わせするから……ことりからがいいんじゃない?」

ことり「あ、うん。じゃあお先に失礼します」

海未「はい」
940 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:29:13.18 ID:jklQ1TNP0
穂乃果「落ち着くねー」

海未「私たちは何度も来ていますからね」

凛「そっか、穂乃果ちゃんたちは幼馴染だもんね」

にこ「自分の家と一緒みたいな感覚なの?」

穂乃果「そんな感じかな」

海未「幼馴染ですから」

にこ「ふーん」

絵里(幼馴染、ね。それだけ大切な関係で、壊さないように大切にしなきゃいけない)

絵里(そう考えると窮屈なところもあるわよね)

絵里(でもうらやましいかも)
941 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:32:03.66 ID:jklQ1TNP0
穂乃果「絵里ちゃん?」

絵里「え?」

凛「今の絵里ちゃん、すごく大人っぽい顔してたよ」

絵里「まるでいつもは子どもみたいな言い方ね」

真姫「えっ」

にこ「あんたいつもすぐ顔に出るじゃないの」

絵里「えっ」

花陽「そ、それだけ表情豊かってことだよぉ」

絵里(花陽の気遣いがつらい)

海未「絵里はすぐ表情に出ますからね」

希「え、海未ちゃんがそれ言う?」

海未「」
942 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:37:37.89 ID:jklQ1TNP0
ことり「みんなー! バスタオルは新品の、置いておくよー!」

絵里「あ、はーい!」

希「次は誰行く?」

穂乃果「ことりちゃんのお家のシャワー、ちょっと使い方わかりにくいから、穂乃果たちが教えてあげないと」

海未「ああ、確かにそうですね」

穂乃果「じゃあ穂乃果と一緒に行きたい人ー」

にこ「ええっ!? 一緒なわけ!?」

穂乃果「?」

海未「まあ合宿でもお風呂、一緒でしたから大丈夫ですよ」

絵里「なら誰が行く?」

凛「じゃあ凛が行く! 汗でべたべただから先に入りたいにゃ」

穂乃果「それなら凛ちゃんでけってーい! 早く行こう!」

凛「ラジャー!」
943 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:40:05.14 ID:jklQ1TNP0
希「ふ、2人一緒かぁ……」

海未「?」

絵里「?」

真姫「……その、何か問題でも? みたいな顔やめなさいよ」

海未「え、ですが……」

花陽「あの露天風呂と違って、シャワーだとほら、近く……」

絵里(何が?)

にこ「花陽、やめなさい。何を言っても無駄よ」

希「そうやね。きっと2人は何にも考えてないよ」

海未「どういう意味ですか?」

絵里「そうよそうよ」

真姫「言葉通りの意味よ」
944 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:42:43.55 ID:jklQ1TNP0
ことり「はー、さっぱりしたぁ……ってどうしたの?」

にこ「いや、使い方教えるために2人で入る、とか言い出したから」

ことり「……」

真姫「ことりからも何か言って……」

ことり「ナイスアイディアだよっ! 私もそうすればよかったなぁ……」

にこ「」

真姫「」

海未「そうでしょう?」

絵里(うんうん、やっぱりその反応よね)

希「う、ウチ、えりちと一緒がいいなぁ」

花陽「わ、私も……」

にこ「私もそれがいいわよ」

真姫「……私も」

絵里(あれー? 何でみんな私を指名するの?)
945 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:45:24.59 ID:jklQ1TNP0
海未「ふふ、絵里は人気ですね」

ことり「そうだねぇ」

絵里「えー? なんで?」

希「えりちとやったら落ち着くんよ」

にこ「付き合い長いしね」

花陽「お姉ちゃんみたいな感じで……」

真姫「話したいこともあるし」

絵里(なんだ、そういうことね。うれしいなぁ)

にこ「あ、そうだ。穂乃果と凛は今、一緒にいるんでしょ?」

ことり「そうだよ」

希「なら、2人の様子を聞けばどれだけ恥ずかしいかがえりちたちにもわかるはず!」

絵里「?」
947 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:49:28.72 ID:jklQ1TNP0
ことり「このあたりが聞こえやすいんじゃないかな。ドア1枚だけだし」

にこ「よし、じゃあ耳をすませてみて」

絵里「ん」

海未「はい」



凛「ひゃっ!?」

穂乃果「え? どうしたの?」

凛「つ、冷たいにゃ!」

穂乃果「わ、本当だ。ごめんね凛ちゃん」

凛「いいよぉ……でもびっくりしたよ」

穂乃果「えへへ、凛ちゃんもあんな可愛い声出すんだね」

凛「ほ、穂乃果ちゃんのせいだよぉ! もー……仕返しー!」

穂乃果「きゃあっ、冷たいよ凛ちゃんっ!」

凛「あはは」

穂乃果「ははは」
948 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:51:47.20 ID:jklQ1TNP0
海未「……楽しそうですね」

絵里「うん」

真姫「これは人選ミスすぎるわ……」

花陽「うん……」

ことり「?」

絵里(恥ずかしい……何のことかしら)

にこ「ああもう……にこはもうパス! この2人は恥じらいがないもの」

希「ウチも」

花陽「私も……」

真姫「考えるだけ無駄ね」

絵里(い、言われたい放題な気が……)
949 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:55:28.06 ID:jklQ1TNP0
ことり「2人と一緒に入りたい人は……そうだ! このサイコロで決めよう」

にこ「どうやって決めるの?」

ことり「1の目がでたらにこちゃんが、2で希ちゃん、3で真姫ちゃん、4で花陽ちゃん。そして5で海未ちゃんで6が私!」

花陽「な、何か変な気が……」

真姫「なんでことりが入ってるのよ!」

ことり「サプライズだよぉ」

絵里「でも、海未と一緒じゃないと私、使い方わからないわよ?」

にこ「……」

希「……」

真姫「勘で何とかして」

絵里「えっ」
950 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 00:58:24.53 ID:jklQ1TNP0
ことり「じゃあいくよ……ダイスロール!」

にこ「1……ナンバーワン!」

希「2番……にー!」

真姫「さんさんさんさん……」

花陽「4がいいなぁ……」

絵里(花陽以外からの執念が凄まじい)

ことり「あ、5だね」

海未「私ですか」

真姫「」

にこ「」

希「」

絵里「ええっ!? 何その反応!?」
951 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:02:05.73 ID:jklQ1TNP0
真姫「……ちょっと残念だったってだけよ」

にこ「うん、私もそうよ」

希「できるならえりちとがよかったなぁ……」

花陽「そうだねぇ」

絵里(何でそんなに人気なのかしら。子どもっぽいから?)

絵里「じゃあほら、海未から使い方教わった後に、みんなに教える役をやるわ。それでいいでしょ?」

にこ「んー、じゃあそれで」

希「うん」

真姫「それならいいわ」

花陽「そうだね」

海未「ふふ」

絵里「海未、どうしたの?」

海未「いえ、どうもしていませんよ」

絵里(何だろう)
952 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:04:57.63 ID:jklQ1TNP0
穂乃果「あがったよー」

凛「ふー、いい運動になった……ってあれ? 何でみんなこっちに来てるの?」

ことり「気にしないで」

希「うんうん」

にこ「深く考えると頭がパンクするわよ」

凛「じゃあやめとく」

穂乃果「うん」

凛「あ、そうだ。次は誰?」

海未「私と絵里です」

穂乃果「そっかー、絵里ちゃんは海未ちゃんがゲットしたんだぁ」

絵里「ゲットって?」

凛「貴重なチャンスだからね」

絵里(貴重?)

海未「ほら、絵里。入りましょう」

絵里「あ、うん」
955 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:08:16.26 ID:jklQ1TNP0
絵里「海未」

海未「はい」

絵里「使い方、教えてくれる?」

海未「わかりました」

海未「まずここをこう回して、ここを押すんです」

絵里「うん」

海未「で、ここを押してからこれで温度調節をして……」

絵里「なるほど」

海未「これで出ます」

絵里「……ぬるい」

海未「ふふ、すぐに温度を上げますよ」
956 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:09:43.45 ID:jklQ1TNP0
絵里「ねぇ海未」

海未「なんですか?」

絵里「私、何であんなにみんなに好かれてるのかしら」

海未「好かれてる……ですか」

絵里「あ、ごめん。自惚れてるみたよね……」

海未「いえ、それで合っていますよ」

絵里「え?」

海未「絵里は確かにみんなに好かれています」
957 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:13:07.27 ID:jklQ1TNP0
絵里「あら、海未ならその理由、わかるのかしら」

海未「はい。もちろんです」

絵里「え? そうなの?」

海未「だってもうすぐ、絵里はパリに行ってしまうんでしょう?」

絵里「うん、でもたった5日よ?」

海未「絵里は今、μ'sの中心ですからね。その中心がいなくなってしまうのはとても寂しいんですよ」

海未「だからああやって、出発の前に話しておきたいんです」

絵里「中心……そんな自覚、全然なかったわ」

海未「それはそうですよ。自分の立ち位置なんて、そう簡単にわかりません」

海未「前に私が、穂乃果とことりの仲介役だと思い込んでいたように……」
958 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:17:01.97 ID:jklQ1TNP0
絵里「思い込んでいた?」

海未「はい。本当はもっと自由に動けたはずなんです」

海未「穂乃果を鼓舞して、ことりを連れ戻して……その2つは私がやるべきだったんですよ」

絵里「でも、海未はあの重圧の中を耐えてきたんでしょ?」

絵里(ことりに秘密を隠してほしいと言われることと、穂乃果に伝えてしまいたいと思う間で……)

絵里(悩むことりに何も言えない重圧と、隠せば隠すほどこじれていくのが手に取るようにわかる、ことりの穂乃果への思いと……)

絵里「私だって結構つらかったのに、海未なんてもっとつらかったでしょう?」

海未「ですが、1番つらかったのは、穂乃果とことりなんですよ」

絵里「海未……」
959 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:19:34.93 ID:jklQ1TNP0
海未「結局その役目は、絵里にとられてしまいましたけどね」

海未「私は何もできなかったようです」

絵里「海未、そんな風に自分を責めないで」

海未「ええ、ですが……」

絵里「私は海未が協力してくれるのが、とても心強かったわ」

海未「……そうですか」

海未「そう言われると、少し楽になりました」

絵里「それに、ここまで私をサポートしてくれたのは海未じゃない」

海未「そうですね。絵里は危なっかしいですから」

絵里「そ、それはいいの!」
960 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:21:38.06 ID:jklQ1TNP0
絵里「……ねぇ海未」

海未「はい」

絵里「私がパリに行っちゃうの、海未は寂しい?」

海未「さて、どうでしょう」

絵里「?」



海未「その頃には、私はここにまだ残っているかどうかわかりませんからね――――――――」



絵里(残る?)

絵里(残るって、何だっけ?)
961 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 01:26:02.97 ID:jklQ1TNP0
絵里「海未、残るって……」

海未「そろそろあがりましょうか。後がつかえています」

絵里「いや、そうじゃなくて……」

海未「ほら、あなたはまだ、役目が残っているでしょう?」

絵里「役目って……」

絵里(希たちに使い方を教えること? それとも――――――――)

海未「学園祭、頑張りましょうね」

絵里「ええ。うん、そうね……だから海未……ってもう着替えたの!?」

海未「はい。絵里がゆっくりしてたんですよ? 何か考え事ですか?」

絵里「まあ、そうだけど……」

海未「ふふ、希やにこたちと、また一緒に入りますか?」

絵里「ええっ!? それはしないわよ、2度手間じゃない」

海未「そうですか。なら早めに着替えた方がいいですよ」

絵里「あ、うん……」

絵里(……あ、聞きそびれちゃった)
968 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 10:30:47.84 ID:jklQ1TNP0
希「えりちおそーい!」

にこ「海未が出てきたのに何であんたは出てこないのよ」

絵里「え、あ、ごめん」

にこ「なんだ、着替え中だったの」

絵里「うん」

希「……なんでそんな平然としてるんよ、2人は」

絵里「え? まだ私、下 姿だし……」

にこ「別にどうってことないでしょ?」

希「し、下 の方が……ごめんなんでもない」

絵里(どうしたんだろう。希らしくないけど)
969 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 10:35:40.85 ID:jklQ1TNP0
絵里「あーでも、やっぱりブラはいいや。ずっとここにいるわけだし」

にこ「!?」

希「えりち!?」

絵里「えっ」

にこ「あんた、今……ブラウスから引っこ抜いたわね」

絵里「うん」

希「えりち、それは女子としてどうなん?」

絵里「そうね、おしとやかに脱ぐべきだったわ」

にこ「そういう意味じゃないわよ!」

絵里「えー、でも暑いし」

にこ「うっさい。早くやり方教えなさいよ」

絵里「理不尽!」
970 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 10:39:29.38 ID:jklQ1TNP0
絵里「えっと……まずここを押して、こうしてこう」

希「うんうん」

絵里「で、ここを回すと……」

にこ「ちょ、あんたそこ……!」

絵里「え……ああああああ!」

絵里(シャワーの真下にいたから濡れた……ああ……)

希「えりち、止めるで!」

にこ「希! そっち温度……」

絵里「あったかくなってきた……」

にこ「あんたは早くどきなさいよ!」

絵里「うぇぇん」
971 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 10:54:51.29 ID:jklQ1TNP0
絵里「うう、スカートと●●●は無事だけど……」

にこ「ことりに服借りてきなさい」

絵里「そうする」

希「はい、バスタオルやで」

絵里「ありがとう……」

絵里(髪の毛もせっかくまとめたのに……)

絵里「また戻ってくるから!」

にこ「いいから行きなさい。使い方覚えたから」

絵里(私は……不要……)

希「えりち、ショック受けてるとこ悪いけど、ウチらそんなこと思ってないよ」

絵里(よかった)

にこ「本当に顔に出るわね……」
972 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 10:58:18.43 ID:jklQ1TNP0
絵里「ことり」

ことり「あ、絵里ちゃん……絵里ちゃん?」

穂乃果「あー、絵里ちゃん髪おろしてる」

凛「ていうか……濡れてる?」

絵里「うん、ことり、服貸して」

ことり「え、ちょ、ちょっと待っててね」

真姫「何したのよ……ほら、タオル貸して。拭いてあげるから」

絵里「ありがとう」

花陽「服も脱いだ方がいいよ。スカートは……濡れてないから大丈夫そうだね」

絵里「んー」

海未「……絵里、なぜ下 を手に持っているんですか?」

絵里「外したから」

花陽「!?」


973 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 11:02:00.85 ID:jklQ1TNP0
ことり「ごめん絵里ちゃん! 絵里ちゃんのサイズに合うの、これしかなくて……」

絵里「メイド服?」

絵里(でも学校説明会の時に着た衣装があるはず……)

絵里(あ、そうか。私、学校説明会の時は撮影役だったっけ)

絵里「ありがとう。じゃあ早速着替えてくるわ」

ことり「うん、ブラウスは洗濯する?」

絵里「いいの?」

ことり「みんなのバスタオルと一緒でよければだけど。今日はすごく天気がいいからね」

ことり「あ、じゃあ穂乃果ちゃんたちの練習着もお洗濯する?」

真姫「え、いいの?」

ことり「うんっ!」
974 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 11:05:42.25 ID:jklQ1TNP0
希「次は真姫ちゃんと花陽ちゃんやね」

にこ「……揉まれた」

絵里(何だろう。人生の荒波にかしら)

海未「おかえりなさい」

穂乃果「練習着、みんなの洗っていい?」

希「いいよぉ」

にこ「いいの? そこまでしてもらって……って……絵里、あんた何してるのよ」

希「……えりち、何でメイド服?」

絵里「ああ、服がなくてね」

ことり「私の服はサイズが合わないから」

希「まあいいか……えりちが変なのはいつものことやし」

絵里「えっ」
976 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 11:07:29.02 ID:jklQ1TNP0
真姫「ほら、行くわよ花陽」

花陽「うん」

絵里「私も教えに行くわ」

凛「凛もいきたーい」

真姫「凛、まだ衣装合わせがあるでしょ」

凛「あっ」

穂乃果「あ」

海未「……ああ」

絵里「……」

花陽「みんな、忘れてたんだぁ……」

絵里(返す言葉もございません)
977 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 11:12:46.40 ID:jklQ1TNP0
穂乃果「じゃ、じゃあことりちゃん。衣装合わせしよう!」

希「そうやね」

ことり「うん。みんな、着替えてみて」

絵里「私もー」

にこ「絵里、あんた教えなさいよ」

絵里「あ、そうだった」

穂乃果「もうちょっとメイドらしくしてみたら?」

絵里「何なりとご命令を!」

凛「軍隊みたい」

絵里「ええっ!?」

花陽「絵里ちゃん隊長?」

絵里「イエッサー!」

真姫「それ、おかしいわよ」
978 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 11:15:49.09 ID:jklQ1TNP0
――――――――

希「んー。おいしかったなぁ」

花陽「そうだねぇ」

希「えりちはあと……30分ってところかな」

花陽「時間制限とかあるの?」

希「うん、あっちの時間で長いことうろうろしてると、だんだんあっちが自然やと感じるようになるんよ」

花陽「そ、そうなんだぁ……」

希「でもそれは、現実より大きく逸れた行動とかをしてないと起きないんよ。だから普通は大丈夫」

花陽「そっか」
979 : ◆eyH5F3DPSk 2014/08/10(日) 11:17:29.88 ID:jklQ1TNP0
希「でもあっちの居心地がよすぎると――――――――




       ――――――――離れたくなくなってしまうかも、ね









        つづく