3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:09:15.19 ID:zkkTjIDb0

遊馬「やべー!遅刻だ遅刻ー!」

俺の名前は九十九遊馬。中学一年生だ。
デュエルチャンピオンを目指しているんだ。

遊馬「かっとビングだ!俺!」

かっとビング!! それは勇気を持って一歩踏み出すこと!
かっとビング!! それはどんなピンチでも決して諦めないこと!
かっとビング!! それはあらゆる困難にチャレンジすること!

小鳥「ちょっと待ってよ。遊馬ー!」

鉄男「ったく。少しは落ち着けっつーの。」

こいつらは観月小鳥と武田鉄男。俺の同級生だ。

引用元: 遊馬「この問題ゼミでやってねえ!?ヤババナイト!」 


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:10:33.13 ID:zkkTjIDb0

――教室

右京「数学のテストを返すぞー。」

遊馬「げ!?そんなもんやったっけ?」

小鳥「もう、自分が受けたテストくらい忘れないでよ。」

右京「九十九遊馬。」

遊馬「はい!」

俺の点数は……65点か。まあまあだな。

右京「今回のテストの平均点は87点だ。少し簡単すぎたかな。」

遊馬「なん……だと……おい!小鳥!!鉄男!!お前らは何点だった?」

小鳥「98点よ。」

鉄男「85だ。」

遊馬「ええええ!!!マジかよ!!!」

右京「そこ、うるさいぞ。」

遊馬「す、すみません。」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:13:14.64 ID:zkkTjIDb0

右京「今回のテストは90点以上取れていればとりあえず安心。80点台だった人もきちんと復習すれば特に問題はない。」

右京「ただし、80点未満だった場合は頑張らないといけない。君たちは受験を控えている身だ。まだまだ時間があるから余裕だと思っていてもあっと言う間だぞ。」

右京「特に一年生のこの時期から躓いているようでは話にならない。一年生の授業内容は基礎の基礎。基礎を疎かにしていると二年生や三年生になった時についていけなくなるぞ。」

右京「だからこの時期からきちんと日々の授業を完璧に復習することが大切なんだ。」

復習か……まあどうでもいいか。
とにかくテストが難しいし、国・数・英が特にムズいけど……
テストなんて俺のかっとビングで乗り越えてやるぜ!

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:15:17.03 ID:zkkTjIDb0

――遊馬の家

遊馬「ただいまー。」

明里「遊馬ー。あんた宛てに郵便がきてるよ。」

遊馬「はぁ?郵便?」

明里「進研ゼミからだってさ。」

遊馬「漫画だけ抜いて捨てといて。」

明里「はいはい。」

春「これ遊馬。人様から貰った郵便物を読まずに捨てるなんていけないよ。」

遊馬「いいんだよ。どうせこれ不特定多数に送られてるダイレクトメールだし。」

春「遊馬ァ!!」

遊馬「ヒイイイ!!わ、わかったよ。とりあえず目を通すだけだからな。」

遊馬「まずは漫画だけでも読むか。」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:17:22.81 ID:zkkTjIDb0

カケル「俺は国立カケル!サッカー部に所属してる。」
カケル「ゼミ始めてから成績も上がったし、ゼミは短時間で復習できるから時間も余る。つまり、サッカーにも専念できる!」
カケル「この問題ゼミでやった!」
カケル「よっしゃああああ!!ハットトリックだ!!兄ちゃん見てるかぁー!!」


遊馬「ハッハッハ。ゼミやるだけで成績上がるわけねーだろ。それに部活とか全然関係ねー。」

春「なかなか良さそうじゃないか。どれ私がお金出すから遊馬もやりなさい。」

遊馬「はぁ!?何で俺が……」

春「遊馬。そういえば今日数学のテストが返ってきたんだって?」

遊馬「げぇー!何で知ってんだよ!」

春「さっき小鳥ちゃんと偶然会ってのう。それで話を聞いたんじゃ。で、遊馬の点数はいくつじゃったのかの?」

遊馬「えーそれは……」

明里「何?言えないほど悪いの?」

春「それならゼミをやるしかないのう。」

遊馬「わかったよ…」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:19:23.60 ID:zkkTjIDb0

――数日後

遊馬「やべー。ついにゼミが届いたよ。」

アストラル「遊馬。ゼミとはどんな効果だ?いつ発動する?」

遊馬「そうだ!アストラル。もしかしたらこのゼミの問題を解けばお前の記憶が戻るかも知れないぞ!」

アストラル「なんと!ゼミには私の記憶を戻す効果があるのか。」

遊馬「だから、この問題集全部やるよ。」

アストラル「いいのか?」

遊馬「ああ。」

アストラル「よし、では私がゼミの問題を全てやっておこう。」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:23:14.39 ID:zkkTjIDb0

――数ヵ月後

右京「それでは予告していた通り、テストを行う。」

遊馬「えー!聞いてねーよ!」

小鳥「結構前から言ってたわよ。」

遊馬(くそー……問題が全然解けねえ……)

アストラル「遊馬、問1の答えはX=4だ。」

遊馬「えっ」

アストラル「問2はX=-2。問3はX=5。」

遊馬「お前答えがわかるのかよ。」

アストラル「この問題はゼミでやった。」

遊馬「すげえ……」

アストラル「遊馬。このテスト解くぞ!」

遊馬「ああ。」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:26:57.42 ID:zkkTjIDb0

――数日後

右京「この前やったテストを返すぞ。」

右京「九十九遊馬。」

遊馬「はい!」

右京「よく頑張ったな。」

遊馬「うおおおおお!!100点!!」

鉄男「ハァ!?遊馬が100点!?」

小鳥「うそ……得意なのは体育くらいの遊馬が100点なんて。」

キャッシー「遊馬君凄い……きゃっと。」

徳之助「遊馬が100点取るなんて何か裏があるに違いないうら。」

遊馬「おいおい。失礼なこと言うなよ。実力だよ。(アストラルの)実力。」

孝「とどのつまり。遊馬君は伏竜鳳雛だったと言えるでしょう。」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:28:34.72 ID:zkkTjIDb0

その後も、アストラルがゼミの問題を解いて俺に答えを教えるカンニングコンボのお陰で俺は成績がどんどん上がっていった。

アストラル「この赤い下敷きを上に乗せると答えが隠れるのか!!なんて恐ろしい効果なんだ。」

アストラル「バカな!どうして、赤ペン先生は私に直接会ってないのにここまで的確にわかりやすく指導できるんだ!!これだけ頭が回るということはデュエルの腕も相当強いのかも知れない。」


俺らの代より上の先輩にシャークってやつがいるんだけど、そいつはカンニングしたせいで高校入試から永久追放されたらしい。

自分の腕にマジックで問題と答えを書くマジックコンボだと流石に無理があったそうな。

俺はそんなヘマはしないぜ!

そして、高校入試当日――

遊馬「アストラル。この問題は?」

アストラル「それは……流石にゼミでもやってなかった。」

遊馬「この問題ゼミでやってねえ!?ヤババナイト!」

アストラル「落ち着け。私が周りの受験生の答案を見てきて答えを探ってくる。」

遊馬「頼むぜ。」

アストラル「私のターン!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:30:43.95 ID:zkkTjIDb0

そして、試験の結果は――

遊馬「よっしゃああ!!!合格だ!!!かっとビングだ俺!!!」

小鳥「………遊馬。私落ちてた。」

鉄男「俺もだ……」

遊馬「え?」

小鳥「私……遊馬と同じ高校行きたかったのに……でも、どんだけ頑張っても遊馬に追いつけなかったよ…………」

鉄男「遊馬。おめえはすげーよ。表向きでは努力してるように見せないのに、こんな結果残すなんてよ……見えないところで相当努力してたんだろ?」

遊馬「あ……それは……」

鉄男「初めて会った時は能天気なやつだと思っていたけど、やっぱりおめえのかっとビングはすげーよ。」

小鳥「違う高校行ってもまた仲良くしてね?」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/22(土) 18:31:29.72 ID:zkkTjIDb0

―――
――


遊馬「なあアストラル……」

アストラル「なんだ?」

遊馬「例えばその紙に正解を書けたとして一年先十年先変わるのかな……」

アストラル「何のことだ?」

遊馬「なんでもねえ。何が正しいなんてなかったんだ……行くぞアストラル。」

アストラル「行くってどこにだ?」

遊馬「いざ、絶望の彼方へ――」

王の力は人を孤独にする……
さあ、君もゼミを始めて志望校に合格しよう!

END