青葉「今回はなんですか？」

提督「モーツァルトの『フィガロの結婚』だね。喜劇だからドタバタするだけで人も死なないしハッピーエンドだよ」

衣笠「三回目にしてようやくのハッピーエンドね」

敷波「フィガロは今まで以上に人多いよね……大丈夫かな」

提督「独唱持ちの役だとほとんど全員になるから、目立つキャストだけに絞ろうか」

提督「まず主人公のフィガロだ」

敷波「主人公なのにテノールじゃないんだよね」

提督「テノールだと面白おかしく伯爵を懲らしめる感じが出ないからじゃないかな。ジョルジュ・ジェロモンとはちょっとタイプが違うけど、これもバリトンの守備範囲だ」

青葉「じゃあこれも提督ですか？」

提督「やりたいとは思うね。悪い役の多いバリトンの中では珍しく楽しい役だし」

提督「それはそうとして、フィガロか……」

敷波「明るくてちょっとおどけた感じの人がいいよね」

提督「……分かった。これは伊勢だ」

敷波「ほんとだー。完全に伊勢さんだね」

衣笠「あーなるほど、あんな感じなんだ」

提督「あんな感じだね。一幕フィナーレの「もう飛ぶまいぞこの蝶々」とか絶対似合う」

敷波「うんうん」

青葉「日向さんはどうです？」

提督「日向か……」

青葉「ちょっと違いますかね？」

提督「ちょっと違うな」

提督「でもありだな」

衣笠「あらっ」

提督「意外とノリノリでひょうきんな演技してくれそうだし」

敷波「それもそれで見てみたいよね」

敷波「次はスザンナ？」

提督「だな」

衣笠「フィガロの婚約者、だっけ」

提督「うん。というか、結婚式の日の話だから妻と言ってもいいんじゃないかな」

青葉「で、スザンナは誰なんですか？」

提督「これがなあ、衣笠が合うんじゃないかと思うんだよ」

衣笠「ほんと！？」

提督「ほんとほんと。可愛らしさもしたたかさもあるし感情の変化も多いからなかなか難しいんだが、衣笠ならしっくりはまる気がするんだよな」

青葉「ベタ褒めじゃないですか」

衣笠「なんか、そこまで言われたら照れくさいね」

衣笠「提督がそこまで言うならちょっと歌ってみようかな？なんちゃって」

提督「歌う？楽譜あるぞ」

衣笠「楽譜まであるの！？」

青葉「そういや初回でも聞き忘れましたけど、なんでそんなのまで持ってるんですか」

提督「昔趣味で声楽教わってたことがあって、その時に買ったんだよ」

衣笠「そうなんだ」

青葉「しれっと言ってますけどなかなかな趣味ですね」

提督「まあ、メジャーな趣味ではないよね」

敷波「あれ？司令官ってフィガロ歌ったことあった？」

提督「ないけど？」

衣笠「あらっ」ｶﾞｸｯ

青葉「なおさらなんで持ってるんですか」

提督「楽譜屋で見つけたと思ったらうちの本棚に刺さってた」

衣笠「レンズが生えてきたみたいな言い草よね」

青葉「ああ！なるほど！」

提督「そういうことだ」

敷波「なんか通じちゃってるし」

提督「あとは陽炎あたりも似合うんじゃない？」

敷波「それ言おうと思ってた」

提督「さすが敷波お目が高い」

衣笠「私と陽炎ちゃんそんなに似てる？」

青葉「割と近いところはあるよ」

提督「ほら」

衣笠「そうなんだ」

提督「それから伯爵夫人のロジーナ」

敷波「はいはい。これは扶桑さんにやってほしい」

提督「ほんとだ扶桑めちゃくちゃ似合いそうだな。スザンナやフィガロと結託して伯爵懲らしめるの、意外とノリノリでやりそう」

提督「それに扶桑と衣笠の二重唱か……胸が熱いな」

衣笠「伯爵夫人とスザンナも一緒に歌うんだ」

提督「うん。なんならスザンナは重唱らしい重唱全部に一枚かんでるから」

衣笠「なにそれすごい」

衣笠「陸奥さんは？」

提督「大いにありだね。というか完璧に近いと思う」

提督「由良とかでも似合うかな」

敷波「うんうん。由良さんと陽炎でケルビーノ着せ替えて遊んでほしいよね」

提督「すごく分かる」

提督「じゃあ次はそのケルビーノだ」

敷波「お小姓だから男の子だけど、歌うのは女性なんだよね」

提督「男というほどじゃない男の子な年齢だからだろうな。少年性を出すには女性を使うのは自然なことだ」

衣笠「アニメの声優もそういうことよくあるもんね」

提督「うん。それと同じようなものだね」

青葉「これは誰ですか？」

提督「これは青葉だな」

青葉「ええっ！？」

敷波「ああー」

提督「もしくは敷波」

敷波「ふえっ！？」

敷波「あ、あたしもなの？」

提督「すっごい偏見だけど、敷波って小姓の役すごく似合いそうなんだよね」

敷波「お小姓の役なんてそんなにあったっけ……」

提督「有名どころだとリゴレットにもいるな」

敷波「リゴレット……ああ、『悪魔め、鬼め！』の前に一瞬出てくる子ね」

提督「そこそこ」

敷波「で、でもさ。話の流れだけ考えたら私よりも漣のほうがケルビーノっぽくない？」

提督「……確かに」

敷波「でしょ？」

提督「でも漣っぽいのは一幕ぐらいであとは割と翻弄される側だから敷波っぽくもあるんだよな」

敷波「否定できない……」

衣笠「でもいつもは翻弄する側の子が翻弄されるのは見てみたいよね」

提督「そうだねー青葉」

青葉「そ、そうですね……」

提督「あ」

敷波「なに？」

提督「もっと適任な子思いついた」

青葉「誰ですか？」

提督「皐月だよ」

敷波「ああーほんとだー」

敷波「ほんとだー」

衣笠「二回言っちゃうレベルなんだ」

提督「二回言っちゃうレベルなんだよ」

提督「ケルビーノって「かわいいねっ！」って言う役でもあるし「かわいいねっ！」って言われる役でもあるから皐月は本当にぴったり」

衣笠「そ、そうなの？」

敷波「うん。すごい要約だけどだいたいあってる」

提督「それから伯爵だな」

敷波「伯爵もバリトンなんだよね」

提督「そうだね」

青葉「『フィガロの結婚』にはテノールいないんですか？」

提督「いるにはいるよ。脇役で」

青葉「脇役で」

提督「しかも、二人いるんだけどどっちも伯爵側だから観客から見てあんまりいい印象にならない」

提督「おまけに出番が被ってないからこの二人を一人が演じる時もあるし、片方は独唱持ってるけど演奏されないことの方が多いという不遇っぷり」

衣笠「なんかかわいそう……」

提督「伯爵もバリトンなので私も歌いたいけど、それはそれとして人選をだな」

衣笠「伯爵キャラってぜんぜんいなくない？」

提督「いないなあ……」

提督「しいて言うならビルマルクとか」

敷波「ああー。ビスマルクさんいいね」

提督「本人がどう思うかはともかく、夫人に詰められてうろたえるとことかすごく見てみたいんだよね」

衣笠「見たいシーン選び絶妙すぎない？」

提督「ネルソンもいいだろうな」

衣笠「ああー。なんか、伯爵っぽいの似合いそう」

青葉「戦艦以外だと誰がいます？」

提督「戦艦以外か……」

提督「木曾……はだめだな。イケメンすぎるから普通にスザンナが浮気しそう」

敷波「松風はどう？」

提督「松風はいいな。伯爵やってほしいぞ」

提督「そうなると、バランス的に他のキャストも神風型で固めたほうがいいのか？」

敷波「あっそうか」

衣笠「神風型でするならフィガロとスザンナは誰ですか？」

提督「フィガロは神風、スザンナは春風かな」

敷波「じゃあ伯爵夫人は……朝風？」

提督「んでケルビーノが旗風か。これはこれで面白そうだな」

提督「こんなところか」

敷波「だね」

提督「個人的にはバジリオバルトロマルチェリーナの独唱も好きなんだがいかんせんメインの五人に比べるとだいぶ地味だからなあ」

敷波「バジリオとマルチェリーナなんてしょっちゅう独唱カットされるもんね」

提督「私も劇場で二回観たけど二回ともカットされてたからなあ」

青葉「しれっと言ってますけど、司令官やっぱりなかなかの経験してますね」

提督「たまたま二回観ただけだよ。たまたまね」

青葉「次はどうします？」

敷波（まだやるんだ）

提督「どうしようかな。他にも好きな作品はあるんだが、これ以上作品ごとに掘り下げても今以上に読者減るしそもそも私もしゃべれるほど詳しくはないからな」

敷波（うわあ突然のメタ発言だ）

提督「そうだ。アラカルトにして有名な曲に似合う艦娘について話すっていうのはどうかな？」

衣笠「いいんじゃない？」

青葉「ではそれで！」