1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:24:32.54 ID:B3i2ZWZNP
剣心「…そうでござったか、なるほど道理で外が明るい」

薫「……」

剣心「薫殿、かたじけないが御飯を」

薫「…いつまでこんな生活続けるの?」

剣心「おろ?」

引用元: 剣心「薫殿、おはようでござる」 薫「もう昼なんだけど」 



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:26:21.07 ID:B3i2ZWZNP

薫「毎日毎日昼過ぎまで寝て、道場にも碌に顔出さずに!」

剣心「…」

薫「何もせずにタダ飯喰らって……必死に道場経営してる私の身にもなってよ!!」

剣心「…」

薫「これじゃただの穀潰しじゃない!このままじゃまずいとか、働いてお金入れようとか思わないの?」

剣心「…」

薫「黙ってないで何か言ったらどうなのよ!?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:29:30.73 ID:B3i2ZWZNP

剣心「すまないでござるよ」

薫「謝るんだったら何で変わろうとしないの?」

剣心「…」

薫「…もういいわ」

剣心「薫殿」

薫「ご飯はどっか外で食べてきて。私忙しいから」

剣心「……」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:33:19.17 ID:B3i2ZWZNP

剣心「……」

剣心「また薫殿を怒らせてしまったでござる」

剣心「なんとかして機嫌を直してやらねば…」グゥー

剣心「…その前に何か食べたいでござる」

剣心「しかしお金が…」

剣心「……」グゥー

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:37:24.86 ID:B3i2ZWZNP

剣心「…」キョロキョロ

剣心(ふふふ、知っているでござるよ)

剣心(薫殿がいつもこの箪笥に金子を隠すことを)

剣心(今日もまた拝借するでござる。かたじけない)

剣心「…」ゴソゴソ

剣心「…おろ?」

剣心「無い…一文の銭も無くなっているでござる…」

剣心「……」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:41:09.44 ID:B3i2ZWZNP


剣心「左之?」

左之介「おうなんだ剣心。またブラブラ遊び呆けてんのか」

剣心「蕎麦でもたぐろうかと思ってな」

左之介「なんだメシか?俺もまだなんだが食いに行くか」

剣心「御相伴にあずかるでござるよ」

左之介「赤べこか?」

剣心「いや、もっと安い店の方がいいでござる」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:46:00.06 ID:B3i2ZWZNP

左之介「ああ、お前ツケが随分溜まってたからな」

剣心「最近はどうも足を運び辛いでござるよ」

左之介「……」

剣心「…どうした左之?」

左之介「…お前、金持ってんのか?」

剣心「……」

左之介「まさか奢れって言うんじゃないだろうな?」

剣心「そのまさかでござるよ」

左之介「てめえ!!」ボカッ!

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:48:36.54 ID:B3i2ZWZNP

剣心「ぐっ…」

左之介「いい加減にしやがれ!!もう二度とたからねえって前に誓ったばかりじゃねえか!」

剣心「そこをなんとか」

左之介「ふざけんじゃねえ!!帰れ!!帰って金持ってこい!!今まで貸した分全部!!」

剣心「左之…」

左之介「利子要求しない分だけ有難く思え!その代わりさっさと持ってこねえと本気で殴り倒すぞ!!」

剣心「…うぅ……」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:52:37.87 ID:B3i2ZWZNP

左之介「チッ…もういい加減愛想が尽きたぜ」

剣心「左之ぉ…」

左之介「金持ってくるまで二度とここには来んな。分かったら今日は帰れ」

剣心「……」

左之介「帰れ」

剣心「……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 21:58:33.07 ID:B3i2ZWZNP

剣心「うぅ…とうとう左之にも頼れなくなったか」

剣心「拙者はどうすれば……」

剣心「…おろ?」

弥彦「さぁいらっしゃい!新鮮なアサリとシジミだよ!」

剣心「あれは…弥彦…?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:01:58.16 ID:B3i2ZWZNP

弥彦「あれ?剣心じゃねーか」

剣心「弥彦、こんなところで何を」

弥彦「見れば分かるだろ。ちょっとした小遣い稼ぎさ」

剣心「……ほぉ…」

弥彦「一人前になるにはまず金銭面で一人立ちしなきゃ駄目だって言われてさ」

弥彦「いくら強くなったって、自分で稼いでなきゃいつまでも餓鬼扱いされちゃうしな。剣心もそう思うだろ?」

弥彦「これも早く剣心に追いつきたいが為さ!…ちょっと魚臭いのが嫌だけどな」

剣心「…」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:06:39.75 ID:B3i2ZWZNP

弥彦「…剣心?」

剣心「弥彦。偉くなったでござるな」

弥彦「へへ…剣の方はまだまだだけどな」

剣心「時に」

弥彦「ん?」

剣心「一つ頂いてもよろしいでござるか」

弥彦「あ、これか?うんいいよ」

剣心「かたじけないでござる。では」ヒョイ

弥彦「おいおいちょっと待て!そんないきなり」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:11:58.75 ID:B3i2ZWZNP

剣心「おろ?」モグモグ

弥彦「いくら剣心だからってタダってことはねえだろ」

剣心「一つ二つくらい見逃してほしいでござるよ」モグモグ

弥彦「おいおい…後で払ってくれよ」

剣心「…弥彦」

弥彦「?」

剣心「実は前から弥彦に教えたいと思っていた、飛天御剣流の極意があってでござるな」

弥彦「な、なんだとっ!!」

剣心「今の弥彦ならきっとモノにできるでござろう。御代はそれで…いいでござるな?」

弥彦「ああ!それなら何円払っても足りないくらいだ!絶対だぞ!剣心!」

剣心「はっはっは」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:28:27.34 ID:B3i2ZWZNP



剣心「うむ……飢えは無くなったが、まだ全然足りないでござるな」

剣心「さてどうするか…」

剣心「……」グゥー

「あ、あの……!」

剣心「?誰でござるか」

燕「剣心…さん」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:33:13.33 ID:B3i2ZWZNP
剣心「燕殿か」

燕「これ……食べてください」

剣心「な…」

燕「残り物をこしらえたものだけど…まだ美味しく食べられるはずです」

剣心「燕殿……どうして」

燕「私、知ってるんです……剣心さんが街をふらついている時は、必ずお腹を空かしてるって」

剣心「…」

燕「赤べこにももう来なくなっちゃったし……可哀想で、私」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:38:06.19 ID:B3i2ZWZNP

剣心「燕殿…」

燕「妙さんには黙っててくださいね。きっと怒られちゃうから」

剣心「かたじけないでござる。有難く頂戴いたす」モグモグ

燕「あの…」

剣心「おろ?」モグモグ

燕「たまには道場に来て下さい……弥彦も寂しがってますから」

剣心「ああ、承知したでござるよ」モグモグ

燕「お願いします」

剣心「燕殿の握った握り飯は美味しいでござるなぁ」モグモグ

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:43:40.25 ID:B3i2ZWZNP



剣心「ただいまでござる」

薫「……」

剣心「薫殿?」

薫「……」

剣心「薫殿。拙者が悪かったでござる。そろそろ機嫌を直してほしいでござるよ」

薫「じゃあ働くの?」

剣心「ああ」

薫「ほんと?」

剣心「本当でござる」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:46:05.65 ID:B3i2ZWZNP

薫「もう何度目よその台詞っ!!だったら行動して証明してみなさいよっ!!」

剣心「おろ…」

剣心(今回はまた一段ときついでござるな)

剣心(参ったでござるよ…どうすればよいのか)

剣心(……)

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:49:10.65 ID:B3i2ZWZNP

剣心「薫殿ー」

薫「…なによ」

剣心「仲直りするでござる」

薫「きゃっ…ちょっと、なによ」

剣心「拙者が悪かったでござるよ」

薫「いやっ…いきなり何するのよ馬鹿っ!」

剣心「薫殿…」

薫「この…ろくでなし!!」バシィッ

剣心「ぐふっ」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:54:21.78 ID:B3i2ZWZNP

薫「最低!!もう出てけ!!顔も見たくない!!」

剣心「薫殿……」

薫「出ていけ!!この馬鹿!!」

剣心「薫殿……」

剣心「……」

剣心「あぁ……」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 22:56:40.32 ID:B3i2ZWZNP



剣心「……」

斎藤「……おい」

剣心「……?」

斎藤「お前そこで何してるんだ」

剣心「…お前は……」

斎藤「市内の警備で回ってるんだ」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 23:01:47.39 ID:B3i2ZWZNP

剣心「…そうか」

斎藤「随分とみすぼらしくなったな」

剣心「……」

斎藤「髭くらい剃ったらどうだ」

剣心「……」

斎藤「ふん。抜刀斎がここまで堕ちるとはな」

剣心「……」

斎藤「ちょうどいいから一応言っておくが、俺はもうすぐここを去る」

斎藤「…決着をつけられると、少しでも期待していた俺が馬鹿だったよ」

斎藤「最後に見たお前がこんな有様で失望した」

剣心「……」

斎藤「じゃあな」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/02(水) 23:04:52.78 ID:B3i2ZWZNP



剣心(薫殿の所から追い出されてもうしばらく経ったでござる)

剣心(みんな今頃何をしてるのでござろう……もう長らく会ってないでござる)

剣心(そろそろ帰ろうか……)

剣心「……しかし」

剣心「飯は燕殿が運んで来てくれるから苦労しないし、別にこのままでも生きていけるでござるな」

剣心「……」

剣心「もう何をするのも面倒でござる」




終わり