9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 13:53:16.57 ID:mQ9e/OFA0

キョン「・・・・」

キョン「・・・落ちた・・・」

キョン「・・・あんなに勉強したのに落ちた・・・」

キョン「・・・・」

キョン「く・・・くくく・・・くくくく」

キョン「・・・すまん、ハルヒ・・・」

引用元: キョン「えっと・・・俺の番号は0016か・・・」 



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 13:57:22.82 ID:mQ9e/OFA0

ハルヒ「あれ・・・なによ、切れちゃった。電池切れかしら? でもどうやら受かったみたいね!」

ハルヒ「みんな聞いて! キョン受かったって!」

みくる「本当ですかぁ!?」

古泉「よかったですね。これで全員進学が決まりましたね」

長門「・・・めでたい」

ハルヒ「合格発表見たら直接部室に来るって言ってたからすぐ来るでしょ! キョンが来たら打ち上げパーティーよ!」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:04:52.31 ID:mQ9e/OFA0

ハルヒ「・・・遅いわね」

みくる「そうですねぇ・・・」

古泉「家族や友人の方々に連絡でもしているのではないでしょうか?」

ハルヒ「そんなもん後にしなさいよ! この部室に集まる機会ももうあんまりないのよ!?」

古泉「はあ・・・申し訳ありません」

長門「・・・もう少し待ってみる」

ハルヒ「もう!!」


 ガチャ

キョン「・・・・」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:09:10.31 ID:mQ9e/OFA0
ハルヒ「あ、やっと来た!! 遅い! 遅すぎよこの馬鹿キョン!! 何やってたのよ!!」

キョン「あ、ああ・・・すまん」

みくる「す、涼宮さん! それよりもまず先にすることがあるじゃないですか・・・!」

ハルヒ「あ、そうだったわね・・・せーのっ!」

 パン パン!

「おめでとーキョン(君)ーーー!!!」

キョン「え・・・?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:13:35.48 ID:mQ9e/OFA0
みくる「合格おめでとうございますぅ!!」

みくる「キョン君・・・よかった・・・本当によかったですねぇ・・・あんなに頑張ってましたもんね・・・グスッ」

キョン「朝比奈さん・・・」

古泉「おめでとうございます。僕も友人として、本当に嬉しい限りです」

キョン「古泉・・・」

長門「・・・おめでとう。あなたの努力が実った。おめでとう」

キョン「長門・・・」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:16:04.64 ID:mQ9e/OFA0
ハルヒ「まあ、当然よね!というより受かってもらわなきゃ困るわ! なにせあたしが直接指導してあげたんだからね!」

ハルヒ「まったく! 感謝しなさいよ!」

ハルヒ「・・・・」

ハルヒ「・・・でも、ホントにおめでとう、キョン!! よく頑張ったわね!!」

キョン「ハルヒ・・・」



キョン(受かってねえええええええええええええええ)

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:21:16.67 ID:mQ9e/OFA0
ハルヒ「ほら、あんたもせっかく合格したんだから、黙ってないで何か一言言いなさいよ!」

キョン「あ・・・いや・・・」

キョン「・・・・」

キョン「・・・・みんな・・・・」



キョン「・・・ありがとう」

一同「いえーーーーーい!!!!」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:24:38.56 ID:mQ9e/OFA0
─────

ハルヒ「酒が足りないわあ~酒が~!! 酒持ってこーーーい!!」

みくる「うええええええええええ!!」

古泉「あはははははは・・・げほっげほっ、んもっふ!!」

長門「よかった・・・合格おめでとう・・・よかった・・・私も嬉しい」

キョン「わかったから放せ長門・・・」

長門「いや・・・」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:31:57.00 ID:mQ9e/OFA0
鶴屋「やっほー鶴屋さんのおでましだっよっ!! おや~盛り上がってるにょろね~!」

鶴屋「キョン君、合格おめでとう! ハルにゃんから聞いたよっ!」

キョン「あ・・・はい・・・どうも」

みくる「げええええええええええ!!!」

鶴屋「みくる~大丈夫かい!?」

谷口「いよ~キョン!! おまえ受かりやがったんだってなー!! やったじゃねえか、正直信じられないぜ!!」

国木田「おめでとうキョン!! 僕も・・・ホントに嬉しいよ!! おめでとう!!」

キョン「あ・・・ああ・・・」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:39:37.19 ID:mQ9e/OFA0

ハルヒ「みくるちゃああああんもっと飲みなさ~い! あたしの酒が飲めないってえの!?」

みくる「もう・・・も・・・うおえええええええええ!!」

古泉「んも・・・んも・・・」

鶴屋「スモークチーズ持ってこいにょろ~!!!!」

長門「・・・脱ぐ」ヌギッ

谷口「国木田~国木田ああああ好きだあああああ!!」

国木田「離せよおおお僕はキョンが好きなんだあああああ!!」


キョン「・・・・」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 14:42:18.50 ID:mQ9e/OFA0
─────

ハルヒ「んが~んが~」

みくる「・・・・」ピクピク



キョン「・・・みんな」

キョン「・・・みんな、ありがとう」

キョン「そして・・・すまん・・・こんな嘘をついた俺を許してくれ・・・」


 ガチャッ

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 15:35:49.36 ID:mQ9e/OFA0
─────

ハルヒ「ん・・・ん~」

ハルヒ「あ・・・いつの間にか眠っちゃってなのね。今何時かしら」

古泉「ん・・・おはようございます」

ハルヒ「おはよう古泉君。・・・あら?」

ハルヒ「キョンがいないわ」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 15:38:39.55 ID:mQ9e/OFA0
古泉「おや、本当ですね」

ハルヒ「どこいったのかしら。もしかして一人で帰ったの?」

古泉「さあ・・・僕は見ていませんが。おや? これは・・・」

古泉「・・・・」

古泉「涼宮さん。これ、見てください」

ハルヒ「? なあに、これ。キョンからの書置き?」

ハルヒ「・・・・」


ハルヒ「・・・え・・・あ、あいつ・・・受かってなかった・・・の?」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 15:45:39.31 ID:mQ9e/OFA0

みくる「だめです。キョン君携帯にも出てくれないです」

ハルヒ「そんな・・・」

古泉「妙なことを考えていなければいいんですが・・・」

ハルヒ「やめてよ古泉君!」

古泉「申し訳ありません」

ハルヒ「・・・あたしが・・・あたしが勘違いしたせいでキョンを傷つけちゃった・・・」

ハルヒ「もしこれでキョンに何かあったら・・・」

ハルヒ「あああああん」

長門「泣かないで・・・大丈夫・・・」

ハルヒ「ああああああああああん」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 16:44:14.93 ID:mQ9e/OFA0

─────

それから数日が経ったが、ハルヒたちは結局キョンの居場所をつかむことはできなかった。

そしてそれぞれの新生活が始まる中、キョンもまた、新たな一歩を踏み出そうとしていた。

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 16:59:48.78 ID:mQ9e/OFA0
キョン「・・・・」

キョン(ハルヒも長門も朝比奈さんも古泉も・・・みんな一流大学に合格だ)

キョン(・・・俺にはそんなところに入れるような頭はない。あたりまえだが)

キョン(だいたい漠然と大学に入ろうと考えていたけど、俺はそれで本当にいいのだろうか? わからなくなってきた)

キョン(だから・・・まずは勉強よりも自分の力だけで生きていくことから始めてみよう。そして何か見つけよう)

キョン(そのための新生活だ)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 17:02:13.42 ID:mQ9e/OFA0
佐々木「やあ、キョン」

キョン「おう、佐々木」

佐々木「よかったね、いいところが見つかって。3万5千だっけ? 安いよね」

キョン「そうだな。これも佐々木のおかげだよ。ホントにありがとう」

佐々木「そ、そんな・・・いいんだよ、キョンのためだもん///」

キョン「本当に助かったよ、一人暮らしなんかしたことなかったからな」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 17:24:35.84 ID:mQ9e/OFA0
佐々木「でも、嬉しいよ。キョンが僕を頼ってくれて」

キョン「ああ・・・佐々木は一番頼りになるからな。こういう面じゃ」

佐々木「黙って家を出てきたって言ってたけど、誰にも知らせてないの? ここにいること」

キョン「一応親に書置きは残してきたけど、そうだな。佐々木以外誰も知らないな」

佐々木「そっか」

佐々木「・・・ねえ。時々遊びにきても構わないかな」

キョン「ん? ああ。いつでも来てくれよ。歓迎するよ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 17:29:03.95 ID:mQ9e/OFA0
佐々木「本当かい? じゃあ毎日くるよ。ご飯作ってきてあげる」

キョン「え、ああ・・・いいけど、おまえだって大学あるだろ?」

佐々木「大丈夫だよ。つまらない大学に行くくらいならキョンといっしょにいた方がいい」

キョン「つまらないのか? せっかく合格したってのに。サークルとか入らないのか?」

佐々木「うーん・・・なんだかね。どうも、みんな自分を必死に作ってるような気がして、落ち着かないんだよ」

キョン「そんなもんか」

佐々木「でも、君といると僕は本当に心が安らぐよ」

キョン「・・・・」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 21:34:54.27 ID:mQ9e/OFA0
佐々木「ちょっと部屋の中入ってみてもいい?」

キョン「おう、遠慮しないで入ってくれ。荷物なんか何もないしな」

佐々木「・・・本当に何もないね。まぁ手ぶらで出てきたんだから当然か。」

佐々木「あ、でも布団はあるんだ」

キョン「まあ布団だけはないと厳しいからな」

佐々木「そっか・・・布団あるんだ。ね、キョン」

キョン「?」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 21:38:09.02 ID:mQ9e/OFA0
佐々木「まあ今度僕がいらないテレビとか食器とか、適当に必要そうなもの持ってきてあげるよ」

キョン「ホントか? 助かるな」

佐々木「あ、そういえば、お隣さんに挨拶はしたかい?」

キョン「あー・・・まだなんだ」

佐々木「ダメだよキョン。そういうところはしっかりしておかなきゃ。君はもう大人なんだからね」

キョン「ああ。でも、まだお隣さんとは会ったこともない、っていうかいるのかどうかもわからないんだよ。プレートもないし」

佐々木「ふーん」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 21:40:34.50 ID:mQ9e/OFA0
─────

キョン「・・・ふう」

佐々木「・・・」


佐々木「・・・あ、もうこんな時間か。すっかり遅くなっちゃったな。そろそろ帰らなきゃ」

キョン「送っていくか?」

佐々木「いや、大丈夫だよ。ありがとう」

佐々木「それじゃ、またくるね。おやすみキョン」

キョン「おう。またな」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 21:50:25.60 ID:mQ9e/OFA0
─────

 チュンチュン

キョン「ふあ~あ・・・さてと」

キョン「さっさとバイト見つけなきゃな。このままじゃ今持ってる貯金なんか半年でなくなっちまう」

キョン「とりあえずメシでも買いに行くか」

 ガチャ

キョン「・・・ふう。まだ朝はちょっと寒いなー」

 ガチャ

キョン「あ」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 21:52:15.66 ID:mQ9e/OFA0
お隣「あらぁ? だぁれぇあなたぁ」

キョン「あ・・・お、おはようございます」

お隣「もしかしてそこに引っ越してきたのぉ?」

キョン「あ、はい。三日前に越してきました。え・・・キョンです。よろしくお願いします」

お隣「ふーん・・・そう。こんなボロっちいアパートにわざわざねぇ」

お隣「ま、何か困ったことがあったら言いなさぁい。協力してあげるわぁ」

お隣「じゃあねぇ」

キョン「あ・・・」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 21:58:55.03 ID:mQ9e/OFA0
キョン「・・・本当に隣に人住んでたのか」

キョン「・・・・」

キョン「綺麗な人だな・・・」


佐々木「やあ、おはようキョン」

キョン「!! さ、佐々木。今日も来たのか」

佐々木「なんだいそれ、君が毎日でも来ていいって言ったんじゃないか」

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/12(土) 22:05:01.45 ID:mQ9e/OFA0
キョン「学校はいいのか?」

佐々木「いいんだってば。それよりほら、ご飯作ってきてあげたよ」

キョン「あ、悪いな」

佐々木「それと、テレビとか友達に頼んで運んでもらうことにしたよ。もう少ししたら来ると思うよ」

キョン「おいおいいいのかよ」

佐々木「迷惑だったかい・・・?」

キョン「いや・・・全然助かるんだけど・・・」

キョン(俺まるでヒモじゃないか)

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 01:20:27.50 ID:qfUXCsdA0
 ブロロロロロロロロ

佐々木「あ、きたきた。おーいこっちだよ」

 キキッ

キョン「あ」

藤原「持ってきてやったぞ」

佐々木「ありがとう」

藤原「くそっ、なんで俺がこんなことを・・・」

佐々木「ついでに運ぶのも手伝ってくれたら嬉しいなぁ・・・」

藤原「・・・・」

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 01:26:32.90 ID:qfUXCsdA0
藤原「これで全部だな」

佐々木「ありがとうね。助かったよ藤原」

藤原「いや・・・別に・・・///」

キョン「なんか・・・悪いな」

藤原「・・・・」

佐々木「じゃあキョン、なんかご飯でも食べに行こうか」

キョン「え?」

佐々木「ほら早く行こう。お腹すいちゃったよ」

キョン「え・・・いやおいちょっと」

藤原「・・・・」

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:10:54.45 ID:qfUXCsdA0
─────

キョン(・・・はあ。また佐々木に何から何までおごってもらってしまった)

キョン(このままじゃ抜け出せなくなるな・・・自重しよう)


「きゃあああああああああ!!!!」

キョン「!?」

「いやっ、いやああああああああああああああ!!!!」

キョン「お隣さんか・・・!?」

235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:14:17.41 ID:qfUXCsdA0
キョン「どうしたんですか!?」

お隣「助けてええええええええええ!!!」

 がばっ

キョン「!!?」

お隣「何か・・・何かいるのよぉぉ!!」

キョン「な、何か・・・」


 カサカサカサカサ


キョン(・・・ゴキブリか)

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:14:44.41 ID:qfUXCsdA0

お隣「・・・気をつけてねぇ」

キョン「別に大丈夫ですよ」

 バコッ

キョン「はいやっつけました」

お隣「あ・・・」


お隣「ありがとぉ・・・」

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:19:31.58 ID:qfUXCsdA0
─────

お隣「ごめんねぇ・・・本当に助かったわぁ」

キョン「いえいえ。いいっすよ。だけどゴキブリくらい慣れないとこのアパートで暮らすの大変じゃないですか?」

お隣「そうなのぉ? 私あんなの初めて見たわぁ・・・あんな気持ち悪い生き物見たことないわぁ」

キョン「そんな大袈裟な」

お隣「これからもあんなのが出続けたらどうしよぉ・・・とても生活していけないわよぉ」

キョン「まあ、出たら呼んでください。退治しに行きますから」

お隣「あなた見かけによらずたくましいのねぇ・・・」

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:26:22.57 ID:qfUXCsdA0
お隣「お礼にお茶でも出してあげるわぁ」

キョン「あ・・・いいんですか?」

お隣「あがっていきなさぁい」

キョン「すいません、それじゃ」


 コト

お隣「はい、たぁんと召し上がれぇ」

キョン「はあ、どうも」

242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:27:16.64 ID:qfUXCsdA0
キョン(しかし・・・殺風景な部屋だな。長門の家みたいだ)

お隣「・・・どうしたのぉ? おいしくなかったかしらぁ・・・」

キョン「あ、いえ・・・そういうわけじゃ。おいしいです」

お隣「本当ぉ? ならいいけど・・・お茶なんて煎れるの初めてだからよくわかんないのよねぇ」


キョン「あ、そういえば、まだ名前を教えてもらってなかったんですけど・・・」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:30:31.71 ID:qfUXCsdA0
お隣「私ぃ? 私は・・・そうねぇ。銀ちゃんとでも呼んでくれればいいわぁ」

キョン「はあ・・・銀さん?」

お隣「ちゃんでいいわよぉ。堅苦しいわぁ」

キョン「いえ、なんとなく年上は敬語を使いたいんで・・・銀さんで」

お隣「真面目ねぇ」

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 04:49:18.67 ID:qfUXCsdA0

キョン「銀さんは、なんでまた一人暮らしなんてしているんです? どこかに勤めてたりするんですか?」

銀「別に何もしているわけじゃないわぁ。ただ・・・人間の生活っていうのがどんなモノか知りたくなっただけよぉ」

キョン(人間の生活?)

銀「友達に言われたのよぉ・・・人並みの生活をして普通の幸せを掴めってねぇ」

キョン「はあ」

銀「あなたはどうしてなのぉ?」

キョン「俺は・・・なんというか、自分に嫌気がさして。何か新しいことを始めてみようと思いまして。それで一人暮らしを」

銀「ふぅん」

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 05:08:02.72 ID:qfUXCsdA0
キョン「じゃ、そろそろ俺はこれで」

銀「あらぁ、もう帰っちゃうの? そぉ・・・」

キョン「よかったらまた来ます」

銀「いつでも来ていいわよぉ。それじゃあねぇ」

 バタン

キョン「・・・・」

キョン「変わった人だなぁ・・・」

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 05:13:21.56 ID:qfUXCsdA0
─────

ハルヒ「・・・・」

みくる「ひっ」

ハルヒ「・・・? なに、みくるちゃん・・・」

みくる「す・・・涼宮さん、大丈夫ですかぁ・・・?」

ハルヒ「何が・・・?」

みくる「その、なんというか・・・顔に元気がないですぅ・・・」

ハルヒ「あ、そう・・・」

古泉「元気を出してください。彼ならきっとすぐに帰ってきますよ」

ハルヒ「・・・・」

長門「・・・・」

251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 05:18:38.45 ID:qfUXCsdA0
ハルヒ「・・・どこに行っちゃったのかしら、あいつ・・・」

古泉「僕も各方面に当たって行方を捜しているのですが・・・」

みくる「きっとキョン君なら大丈夫ですよぉ。それより涼宮さん、大学の方はどうですかぁ? また新しいサークルとか作ったんですか?」

ハルヒ「つまんないわよ・・・クズみたいなヤツばっかり。格好ばっかり気にして・・・本当にどうでもいい」

ハルヒ「・・・高校時代に戻りたい」

みくる「・・・・」

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 05:22:37.91 ID:qfUXCsdA0

古泉(・・・ほぼ消滅しかけていた涼宮さんの力が最近戻りつつある。全て彼のことを思うストレスが原因でしょうね)

古泉(しかし、涼宮さんが願うにも関わらず彼の居場所が特定できないというのは、いったいどういうことなんでしょう?)

古泉「どう思います? 長門さん」

長門「・・・別の力が働いている可能性がある」

古泉「別の力? あ・・・まさかあの、佐々木さんが」

長門「おそらくは」

296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 11:42:18.04 ID:qfUXCsdA0
─────

 ガチャ

キョン「あ・・・銀さん。おはようございます」

銀「あら、おはよぉう」

キョン「どこか出かけるんですか?」

銀「ちょっと買い物にねぇ」

キョン「本当ですか? なら、よかったら俺もいっしょに行ってもいいですかね。この辺何あるのか全然把握してなくて」

銀「いいわよぉ。ついてきなさぁい」

299: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 11:50:28.84 ID:qfUXCsdA0

銀「・・・食糧ならこのスーパーで全部済ませられるわぁ。あと、雑貨品買うならあそこの小さいお店が安いわねぇ」

キョン「はあ。詳しいですね」

銀「まぁもう一年も住んでるからねぇ」


女「あ!!」

銀「? あ・・・」

女「水銀燈じゃねえですか!! 久し振りですぅ!!」

銀「す、翠星石・・・」

302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 11:55:29.19 ID:qfUXCsdA0
キョン「?」

女「おまえ一年間もどこフラフラしてやがったですか! みんな心配してたですぅ!!」

銀「そぉ・・・悪かったわねぇ」

女「? この抜けたツラしている人間は何ですか? おまえの新しいミーディアムですか?」

キョン「!!」

銀「ちょ、ちょっとぉ。失礼なこと言わないでよぉ。別にそういうわけじゃないわぁ。ただのお隣さんよぉ」

304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 12:00:10.27 ID:qfUXCsdA0
女「ふーん・・・お隣さんですか。なんでお隣さんと二人で買い物なんかしてやがるです?」

銀「べ、別に深い意味はないわよぉ」

女「そうですかそうですか。へぇーあの水銀燈がねぇ」

銀「ちょ、ちょっとやめなさぁいそういうことを言うのは」

女(・・・すっかり丸くなっちまったですねぇ水銀燈)

キョン(なんだこの人は)

306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 12:03:49.84 ID:qfUXCsdA0

銀「ごめんねぇ変な子に会わせちゃって」

キョン「友達ですか?」

銀「妹よぉ」

キョン「妹? へえ・・・あんまり似てないですね」

銀「昔はよくあの子とも殺し合いをしたものだわぁ・・・」

キョン「こ、殺し合い?」

銀「冗談よぉ冗談」

308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 12:08:53.94 ID:qfUXCsdA0
─────

キョン「・・・いやー、今日はいろいろ教えてもらえて助かりました」

銀「いいのよぉ。楽しかったわぁ」

キョン「俺もです。今度また、埋め合わせに何か御馳走させてください」

銀「本当ぉ? 楽しみにしてるわぁ」

銀「あ、そうだお茶でも飲んでいくぅ?」

キョン「いいんですか?」

銀「いいわよぉ。遠慮しないで上がっていってぇ」


佐々木「・・・・」

371: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:05:45.80 ID:qfUXCsdA0

キョン「それじゃ、おじゃましま・・・」

佐々木「キョン」

キョン「!? うおっ、ビックリした・・・佐々木か。遊びにきたのか?」

銀「あらぁ? お友達ぃ?」

キョン「あ、ええ」

佐々木「キョン。僕、ちょっと買い物がしたいんだ。付き合ってくれる?」

キョン「え、いや・・・今俺ちょうど行ってきたところなんだが・・・」

佐々木「いいから来てよ。ほら早く」

キョン「ちょ、おい・・・」

373: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:07:56.46 ID:qfUXCsdA0
キョン「おい佐々木、ちょっと待て・・・引っ張るなって」

佐々木「・・・・」

キョン「佐々木?」

佐々木「・・・・」


佐々木「・・・さっきの人、お隣さん?」

キョン「え、銀さんのことか? ああ」

佐々木「綺麗な人だね」

377: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:12:01.25 ID:qfUXCsdA0
キョン「ああ・・・まあそうだな」

佐々木「家に入ろうとしてたよね、キョン」

キョン「たまにお茶御馳走になったりしてるんだよ」

佐々木「なんで?」

キョン「なんでって・・・隣なんだからそれくらい普通だろ。それよりおまえなんだよさっきの。
    挨拶もしないでいきなり・・・挨拶くらいしろって言ってたのはおまえだぞ」

佐々木「・・・・」


佐々木「・・・そうだね。ちょっとどうかしてたよ。ごめんキョン」

381: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:15:47.22 ID:qfUXCsdA0
キョン「いや・・・まあ、いいんだけどな」

佐々木「・・・・」


佐々木「キョン、ご飯食べに行こうか?」

キョン「え?」

佐々木「お腹空いてるだろ? 最近近くにおいしいフランス料理のお店ができたらしいんだよ。行ってみない?」

キョン「ふ、フランス料理? 何言ってんだおまえ。俺にそんなもん食う金あるはずないだろ」

佐々木「大丈夫だよ。それくらい僕が出してあげるから」

384: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:23:46.49 ID:qfUXCsdA0
キョン「出してあげるっておまえ・・・いや、ダメだ。遠慮しておく」

佐々木「どうしてだい?」

キョン「俺、最近ちょっとおまえに頼りすぎだからな・・・少し自立しなきゃいけないんだ」

佐々木「そんなの気にしなくていいのに・・・」

 ぐうううううう

キョン「・・・・」

佐々木「ほら、やっぱりお腹空いてるんじゃないか。行こうよ」

キョン「いや・・・でも・・・」


キョン「・・・じゃ、ラーメンでもおごってくれ」

佐々木「オーケイ。僕は君が食べたいものならなんでもいいんだ。おいしいラーメン屋連れて行ってあげる」

393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:35:22.21 ID:qfUXCsdA0
─────

キョン「はあ・・・そろそろ本当にバイト見つけなきゃマズいな」

キョン「このままでは人間のクズになってしまう」

 コンコン

キョン「?」

キョン「はい・・・あ、銀さん」

銀「はぁい。晩御飯もう食べたぁ?」

キョン「? いえ、まだですけど」

396: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:41:52.66 ID:qfUXCsdA0
銀「じゃあちょっとうちに来なぁい? カレー作ってみたのよぉ。食べてみてぇ」

キョン「マジっすか? いただきます」

銀「どうぞぉ」

キョン「すいません、いつもいろいろ世話になっちゃって」

銀「いいのよぉ。せっかくなんだから誰かに食べてもらえた方が嬉しいわぁ」

キョン(・・・女の人の世話になりすぎだ俺。まあ昔からっちゃ昔からだが・・・)

403: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:50:07.28 ID:qfUXCsdA0
キョン「んぐんぐ」

銀「どうかしらぁ・・・?」

キョン「・・・うん。うまいです」

銀「ほんとぉ? よかったわぁ」

キョン「ホントに初めて作ったんですか? すごいですね」

銀「自分が作ったものを誰かが喜んで食べてくれるって嬉しいのねぇ。楽しいわぁ料理って」

404: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 16:53:38.30 ID:qfUXCsdA0
キョン(いっぱいあるみたいだからできるだけ食い溜めしておこう)

銀「・・・ねえ、この前来たあのかわいい子、あなたの彼女ぉ?」

キョン「ぐふっ! げふっ」

キョン「・・・さ、佐々木のことですか? あれは違いますよ。ただの友達です」

銀「ただの友達がどうして男の家に一人で来るわけぇ?」

キョン「いや、それくらい友達なら・・・まああるもんじゃないですか?」

銀「ふーん、そぉう・・・」

423: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 17:26:29.66 ID:qfUXCsdA0
キョン「そういう銀さんこそ、彼氏とかいないんですか?」

銀「私ぃ? 私はそんなもんいないわよぉ」

キョン「またまた。銀さんほどの美人ならいくらでも寄ってくる男がいるでしょう。選り取り見取りじゃないですか」

銀「・・・ありがとぉ」

キョン「え?」

キョン(・・・あ、美人って言ったことか)

銀「でも本当にいないわぁ。人間の男なんてロクなのがいないもの」

425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 17:29:10.70 ID:qfUXCsdA0
キョン「そうですかね。まあ否定はできないですが」

銀「あ、違うわよぉキョン君は別よぉ。あなたはいい人だもの。とても珍しいわ」

銀「あなたなら私のミーディアムにしてあげてもいいわぁ」

キョン「はあ。どうも」

キョン(なんのことかわからんけど)


銀「・・・でも、私は・・・」

銀「・・・もう、誰かを愛するなんていうのは・・・こりごりなのよぉ・・・」

キョン「え?」

長門「そう」

キョン「え?」

431: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 17:31:32.30 ID:qfUXCsdA0
銀「きゃあ!!」

キョン「うわっ!!!」

長門「・・・・」

銀「・・・だ、だぁれぇあなた・・・いつの間に入ったのぉ?」

キョン「な、長門・・・?」

長門「そう」

433: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 17:34:10.02 ID:qfUXCsdA0
キョン「な、なんでおまえがここに?」

長門「・・・カレーの匂いにつられた」

キョン「は?」

長門「というのはジョーク」


長門「あなたに話がある。緊急事態」

キョン「緊急事態?」

長門「そう・・・ひとまずあなたの部屋へ」

450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 18:25:19.18 ID:qfUXCsdA0
長門「・・・でもその前にカレーが食べたい」

銀「え・・・ああ、食べるぅ?」

長門「コクリ」

 ガツガツガツ

長門「・・・ごちそうさま」

長門「おいしかった」

銀「そう・・・よかったわぁ」

453: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/13(日) 18:28:39.33 ID:qfUXCsdA0

キョン「じゃ、じゃあ・・・銀さん、ごちそうさまでした。おやすみなさい」

長門「ごちそうさま」

銀「はぁいおやすみぃ」


 バタン


銀「・・・・」

銀「へえ・・・あの子結構モテるのねぇ・・・いろんな女の子とっかえひっかえ・・・」

600: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 00:11:11.02 ID:v1lJo5eo0

 ガチャ

キョン「なんもない部屋だけどまぁくつろいでくれ」

長門「・・・・」

キョン「久し振りだな長門」

長門「四ヵ月ぶり」

キョン「そうだな・・・もうそんなに経つか。早いな」

長門「会いたかった」

キョン「え・・・あ、うん。そうか、ありがとう」

609: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 00:20:21.79 ID:v1lJo5eo0
長門「どうしていなくなったの?」

キョン「ああ・・・なんか、自分が嫌になってさ」

長門「どうして?」

キョン「あれだけ一生懸命ハルヒやおまえが俺に勉強教えてくれて・・・それで、模擬試験じゃ合格点数取れてたのに」

キョン「それなのに落ちて、なんか何もかも面倒になったんだ・・・」

キョン「一人暮らし始めた時は最初、新しい一歩だとか思っていたけど」

キョン「今考えたらただの逃避だな。俺はおまえらから逃げ出したんだ」

長門「・・・・」

615: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 00:23:59.08 ID:v1lJo5eo0
長門「みんな・・・特に涼宮ハルヒがあなたのことを気にかけている」

長門「戻ってこないの」

キョン「・・・今更あいつらに会わす顔はねえよ。合格祝賀会までやってもらっちまったしな」

長門「気にすることはない・・・」

キョン「俺が気にするんだ」

長門「・・・・」


キョン「それより、どうして俺がここにいることわかったんだ?」

620: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 00:29:37.34 ID:v1lJo5eo0
長門「あなたの情報を追跡した。情報プロテクトがかけられていたせいで時間がかかった」

キョン「プロテクト? ふーん・・・まぁ長門や古泉達にはいつかバレると思っていたけど」

キョン「・・・ハルヒたちも俺がここにいること知ってるのか?」

長門「まだ。あなたがここにいることを知っているのは今のところ私だけ」

キョン「そうか・・・なら、あいつらには教えないでもらえるか」

長門「・・・あなたがそう言うなら」

キョン「悪いな・・・あいつらの気持ちは嬉しいけど、今は会えないよ・・・」

623: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 00:34:30.45 ID:v1lJo5eo0
長門「そう」

長門「・・・・」

キョン「長門?」

長門「・・・・」


長門「この4か月で私の情報プログラムには大量のバグが発生した」

長門「原因はあなた」

キョン「え・・・」


長門「会いたかった」

630: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 00:39:40.09 ID:v1lJo5eo0
キョン「そ、そうか・・・すまんかった」

長門「私もここにいたい」

キョン「え・・・? こ、ここにいたいって」

キョン「もしかして、住みたいってことか? ここに」

長門「そう」

長門「迷惑はかけない。ダメ?」

キョン「おまえな・・・わかってんのか? それ、同棲ってことだぞ」

長門「理解している」

727: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 06:00:43.99 ID:v1lJo5eo0
キョン「・・・悪いけど、無理だ。第一そんなことになったら、俺は理性を抑えられる自信がない」

長門「理性?」

キョン「う・・・ともかくダメなもんはダメだ」

長門「お願い・・・」

キョン「ダメ」

長門「・・・・」


キョン「そういえば、緊急事態ってのはいったいなんなんだ。また何か事件でも起きたのか?」

728: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 06:09:13.30 ID:v1lJo5eo0
長門「・・・涼宮ハルヒのストレスが原因で、彼女に力が復活しつつある」

キョン「なにぃ!?」

長門「・・・しかしそれはまだ微力で、全盛期の千分の一程度。無視できるレベルのもの。あなたが心配する必要はない」

キョン「え? な、なんだそうか・・・よかった」


キョン「ん? なんだ。じゃあ、別に緊急事態でもなんでもないじゃないか」

長門「・・・・」

729: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 06:10:02.55 ID:v1lJo5eo0
長門「さっきのはただの嘘」

長門「早くあなたと話がしたかっただけ」

キョン「・・・長門」

長門「・・・帰る」

キョン「ごめんな・・・暇だったら、いつでも遊びに来てくれよ。歓迎するから」

長門「了解した」

キョン「大学・・・がんばれよ。彼氏でもさっさと作っちまえ」

長門「・・・・」

 バタン

771: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 14:50:25.05 ID:v1lJo5eo0
─────

キョン「俺がいなくなったせいでハルヒがストレスねぇ・・・」

キョン「・・・アイツにとって、俺は結局なんだったんだろうな」

キョン「やっぱり今度ちょっと様子でも見に行ってやるか」

 コツコツコツ

銀「あらぁキョン君」

キョン「あ、銀さん。おはようございます」

772: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 14:54:22.64 ID:v1lJo5eo0
キョン「昨日はすいませんでした。いきなり友達がやってきたりして」

銀「ううんいいのよぉ。あの子もカレーおいしいって言ってくれたしねぇ。それはいいんだけどぉ・・・」

銀「あなた女の子の友達多いのねぇ」

キョン「は?」

銀「それもみんなかわいい子ばっかりよねぇ。すごいわぁ。モテるのねぇ」

キョン「え・・・いや、いやいやいや。あ、うーん・・・あれ?」

773: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 14:59:08.43 ID:v1lJo5eo0
キョン「いやちょっと待ってください。それ、全然勘違いですよ。モテたことなど生まれてこの方ないですよ。彼女もできたことありません」

銀「またまたぁ。いいじゃなぁいどうしてそんな嘘つくのぉ?」

キョン「嘘じゃないですよっ」

銀「ふーん・・・まぁいいわぁ。でも、男こ子なら女の子は大事にしなさぁい」

銀「本命はしっかり決めておいた方がいいわぁ。他の子を悲しませるようなことしちゃダメよぉ?」

キョン「本命って・・・」

銀「じゃあねぇ」

キョン「あ・・・」

774: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:03:41.38 ID:v1lJo5eo0

キョン「・・・うーん、どうしよう。すっかり銀さんに勘違いされちまってるぞ」

キョン「ちゃんと誤解は解いておいた方がいいなぁ・・・」

キョン「・・・・」

キョン「よし決めた。日ごろのお礼もかねて、今日飯でも誘ってみよう」

キョン「・・・金が足りるか心配だが」

 プルルルルルルルル

キョン「?」

781: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:15:54.42 ID:v1lJo5eo0
キョン「もしもし」

佐々木『やあ、キョン』

キョン「あ、佐々木か。どうした?」

佐々木『今日、暇かい? よかったら晩御飯でも食べにいかない?』

キョン「え、ああ・・・悪い。今日はちょっと忙しいんだ」

佐々木『え、忙しい?』

キョン「ああ」

783: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:19:25.41 ID:v1lJo5eo0
佐々木『どうして? キョン、もしかしてバイトでも始めたの?』

キョン「いや、そういうわけじゃないんだが・・・」

佐々木『だったらどうして? 何があるんだい?』

キョン「うーん・・・ともかく今日は無理なんだ。悪いな、それじゃ」

佐々木『ちょっと待ってキョ』

 プツッ ツーツーツー

キョン「ふう・・・」

787: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:23:29.34 ID:v1lJo5eo0

キョン「悪いな佐々木。どうしても銀さんには早めに言っておきたいんだ」

キョン「・・・・」

キョン(しかし、佐々木のタダ飯の誘いを断ってまで、今日銀さんを誘う理由もなかったよな)

キョン(なんでだろう。最近俺、銀さんのこと気にしすぎな気がする)

793: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:31:21.28 ID:v1lJo5eo0
─────

 コツコツ

銀「はぁいだあれぇ・・・あら、キョン君」

キョン「こんばんわ」

銀「こんばんわぁ。どうかしたのぉ?」

キョン「銀さん、晩御飯とか、もう食べちゃいました?」

銀「? まだだけどぉ?」

キョン「じゃあ、いっしょにどうですか? 前の約束通り御馳走しますんで」

銀「ほんとぉ? いいのぉ?」

キョン「ええ」

銀「嬉しいわぁ。ちょっと待っててねぇ今準備するからぁ」




佐々木「・・・・」

797: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:37:06.95 ID:v1lJo5eo0
─────

銀「なんだか悪いわねぇ。本当にいいのぉ?」

キョン「いいんですよ。この前もカレー食べさせてもらったし。他にもホントいろいろお世話になってますしね。そのお礼です」

銀「そんなの気にしなくていいのに・・・でもありがとぉう」

キョン「いえいえ」

キョン(・・・確か前に佐々木が言ってた店がこの辺にあったはずだけど)

キョン「あ、あったあった」

銀「え、ここぉ?」

800: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:41:40.49 ID:v1lJo5eo0
キョン「はい」

銀「ここって・・・フランス料理店じゃなぁい。大丈夫なのぉ? こんな高そうなところ・・・」

キョン「大丈夫大丈夫。この前バイト代入ったばっかりなんですよ」

銀「本当にぃ?」

キョン「大丈夫。心配しないでください」

キョン(・・・3万あれば足りるよな)

銀「・・・・」

 
809: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:49:50.81 ID:v1lJo5eo0
─────

 トクトクトク

キョン「・・・・」

銀「キョン君・・・あなたワインなんて大丈夫なのぉ?」

キョン「え? ぜ、全然平気ですよ。まかせてください」

キョン(ビールとチューハイくらいしか飲んだことないけど・・・)

銀「あなた年いくつだっけぇ?」

キョン「あ・・・えーっと。19です」

銀「あはははは。未成年飲酒ねぇ。逮捕されるわよぉ」

キョン「はははは」

817: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 15:58:17.41 ID:v1lJo5eo0
キョン「そういえば、銀さんは年いくつなんですか?」

銀「あらぁ。ダメよぉ女性に年尋ねるなんて。紳士のすることじゃないわぁ」

キョン「あっ・・・すいません」

銀「・・・そうねぇ。少なくともあなたの20倍は生きてるわよぉ」

キョン「は?」

銀「冗談よぉ冗談」

キョン(・・・禁則事項なのか)

818: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:03:36.79 ID:v1lJo5eo0

銀「・・・あ、すごぉいおいしい! こんなにおいしい物生まれて初めて食べたわぁ」

キョン「本当だ。フランス料理ってだけはある」

銀「おいしいわぁおいしいわぁ」


キョン「・・・あの、銀さん」

銀「? なぁにぃ?」

キョン「ええっと・・・この前来た、佐々木や長門のことなんですけど」

キョン「あの二人は本当にただの友達なんで、その、誤解しないでくださいね」

819: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:07:57.66 ID:v1lJo5eo0
銀「・・・いいのぉ? そんなこと言っちゃって」

キョン「いいのも何も、本当にそうなんですよ」

銀「でも、きっとあの子達はあなたのこと好きだと思うわよぉ」

キョン「そんなことはないですよ・・・多分。俺は・・・ただのダメ人間ですから」

銀「・・・・」


銀「そんなことないわぁ」

キョン「え?」

銀「あなたは自分で思っているよりも、とっても素敵よ。もっと自分に自信を持ちなさぁい」

キョン「・・・銀さん・・・」

820: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:12:33.35 ID:v1lJo5eo0
─────

「お会計29800円になります」

キョン(ぎえっ!!!)

銀「・・・大丈夫なのぉ本当に。私少し出そうかぁ?」

キョン「あ、いえいえいえ。全然問題ないですよ。えーっと、じゃあ3万で」

キョン(・・・明日から一日カップラーメン一個だな)

銀「・・・・」


銀「ありがとぉうキョン君・・・」

826: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:18:47.67 ID:v1lJo5eo0
─────

 ヒュオオオオオ…

銀「ああ・・・夜風が気持ちいいわぁ・・・」

キョン「そうですね・・・」

銀「うふふ・・・なんかちょっと酔っちゃったぁ・・・ねぇキョン君、ちょっと掴まってもいい?」

キョン「え? あ・・・ええっと・・・」

キョン「・・・ど、どうぞ」

銀「ありがとぉ・・・・」

 ぎゅっ

キョン「・・・・」

キョン(ドキドキドキドキ)

829: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:22:47.41 ID:v1lJo5eo0
キョン(・・・いい匂いがする)

銀「・・・あ、ほら見てぇ。満月よぉ」

キョン「あ・・・ホントだ」

銀「綺麗ねぇ・・・」

キョン「・・・・」


キョン「・・・あなたの方が綺麗ですよ」ボソッ

銀「え?」

キョン「あ、いやいやいや。なんでもないです。はい」

835: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:28:40.77 ID:v1lJo5eo0
─────

銀「・・・今日は本当にありがとうねぇキョン君」

キョン「いえ。楽しかったです。また御馳走させてください」

銀「ダメよぉ今度は私が御馳走するわぁ。そんなに高いものはできないけどねぇ」

キョン「本当ですか? じゃあ楽しみにしてます」

銀「うふふ」

キョン「・・・それじゃ、また。おやすみなさい」

銀「あ、待ってキョン君」

キョン「? あっ」

 ちゅっ

837: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/14(月) 16:30:26.55 ID:v1lJo5eo0
キョン「・・・・」

銀「・・・今日のお礼よぉ。それじゃあねぇ」

キョン「・・・・」

 バタン



キョン「・・・・」

キョン(・・・キ、キスされてしまった・・・)

キョン「銀さん・・・」

280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:32:28.86 ID:YdqxCd1q0
キョン「・・・・」

キョン「・・・・」

キョン(・・・はっ。いつまで俺は呆けてるんだ・・・)

キョン「・・・寝るか」


 ガチャ


キョン「・・・?」

キョン「あれ? 鍵が開いてる・・・」

281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:32:57.89 ID:YdqxCd1q0
キョン「鍵かけ忘れたっけ?」

キョン「・・・・」

キョン「ま、まさか泥棒じゃないだろーな・・・まあ特に盗られて困るものもないけど・・・」


 ガチャ


キョン「・・・・」

キョン(・・・人がいる気配がする・・・)

キョン(まさか・・・本当に泥棒かよ)

282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:33:17.70 ID:YdqxCd1q0
キョン「だれだ? だれかいるのか!?」

キョン「・・・!?」


佐々木「・・・・」


キョン「・・・さ、佐々木? 佐々木か?」

佐々木「・・・・」

キョン「うっ」ゾクッ

283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:34:18.62 ID:YdqxCd1q0
佐々木「キョン・・・」

キョン「や、やっぱり佐々木か・・・おまえどうやって家入ったんだよ・・・」

佐々木「・・・・」

キョン「ていうか何やってんだ? 電気もつけないで・・・」

 パチッ

キョン「・・・?」

キョン「お、おい、どうしたんだその顔?」

佐々木「・・・・」

284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:34:51.98 ID:YdqxCd1q0
キョン「目、真赤だぞ。もしかして泣いてたのか・・・?」

佐々木「・・・・」

キョン「おい佐々木。どうしたんだよ。何があったんだ?」

佐々木「・・・・」


佐々木「ひどいじゃないか・・・キョン・・・」

キョン「は?」

286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:35:25.20 ID:YdqxCd1q0
キョン「な、なにがだ」

佐々木「今日、僕がご飯食べに行こうって誘ったのに、どうして断ったんだい・・・?」

キョン「え? いや・・・だから今日はちょっと用事があって・・・」

佐々木「用事? どんな用事・・・?」

キョン「そ、それは・・・」

佐々木「お隣さんとご飯、食べに行ってたんだよね・・・」

キョン「!!」


佐々木「全部・・・見てたよ・・・」

287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:36:33.06 ID:YdqxCd1q0
佐々木「それも・・・この前僕が行こうって言ったのに、来てくれなかったお店に食べに行ってたね・・・」

キョン「・・・・」

佐々木「帰って来るとき・・・お隣さんは君の腕に抱きついていたね・・・」

キョン「・・・・」

佐々木「今そこで、キスをしていたね・・・」

キョン「・・・・」


佐々木「ひどいよ・・・キョン・・・」

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:37:23.30 ID:YdqxCd1q0
キョン「・・・つ、付けてきてたのか?」

佐々木「・・・・」

キョン「お、おまえ・・・何考えてんだよおまえ・・・おかしいぞ。どうしたんだよいったい・・・」


キョン「だいたい・・・なんだよその責めるような言い方は・・・」

キョン「そうしたからって、何が悪いっていうんだ? 俺が銀さんとどこで何をしようが」

キョン「おまえには関係ないだろ! 違うか!?」

佐々木「・・・・」


佐々木「・・・うっ、グスッ、うっ・・・」

キョン「!!」

佐々木「うう・・・グスッ・・・」

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 14:38:07.62 ID:YdqxCd1q0
キョン「さ、佐々木・・・」

佐々木「どうして・・・君は僕を見てくれないの? あの人の方が僕よりいいの?」

佐々木「こんなに僕は君のことが好きなのに・・・君は僕のことを嫌いなの?」

キョン「・・・・」

佐々木「僕は君に・・・あんなに尽くしたじゃないか・・・! いろんなことをしてあげたじゃないか・・・!」

佐々木「それなのに・・・どうしてなんだよ・・・あんまりだ・・・!」

296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:08:16.35 ID:YdqxCd1q0
佐々木「昔から君はずっとそうだ! 僕は君のことをいつも見ていたのに、君はそれに気付いてくれない!」

佐々木「高校に入る時だって、君と同じところを受けるはずだったのに、君は何も言わずに志望校を変えた!」

佐々木「・・・僕が三年間、どれだけ寂しい思いをしたか、君にわかるかい・・・?」

キョン「・・・・」


佐々木「・・・・」

佐々木「・・・ごめん。僕はひどいことを言っているな」

297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:09:01.98 ID:YdqxCd1q0
佐々木「君の世話をしたのは、僕がそうしたかったからだ。そうするのが楽しかったからだ」

佐々木「それなのにそれを持ち出すなんて、おこがましいにもほどがあるよね・・・」

キョン「そ、そんなことは・・・」

佐々木「・・・でも・・・キョン、お願いだ・・・」


佐々木「僕と、ずっといっしょにいてくれないか・・・」

佐々木「お願いだよ・・・僕だけを見て。他の人のことはもう見ないで・・・」

佐々木「・・・今の僕は、君がいなかったら・・・生きていけそうにないよ・・・」

298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:10:53.02 ID:YdqxCd1q0

キョン「・・・・」


キョン「・・・佐々木」

佐々木「・・・?」

キョン「ありがとう。俺みたいなヤツを好きって言ってくれて・・・本当に嬉しいよ」

キョン「あと・・・ごめんな、今まで。おまえの気持ちに気付いてやれなくて」


キョン「・・・でも」


キョン「悪い。やっぱり俺はおまえのこと、仲のいい友達としてしか・・・どうしても見れない・・・」

299: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:14:12.49 ID:YdqxCd1q0
佐々木「・・・・」


佐々木「そう・・・か・・・」

キョン「すまん・・・」

佐々木「ううん。いいんだ。正直言うと・・・前からわかっていたから」

佐々木「君の口からハッキリ答えが聞けてスッキリしたよ」

佐々木「ありがとう」

キョン「・・・・」

300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:14:33.80 ID:YdqxCd1q0
佐々木「・・・帰るね」

キョン「・・・ああ」

佐々木「当分ここには来ないと思う・・・気持ちの整理がまだできそうにないからね」

佐々木「だからしばらくは何もしてあげられないけど・・・大丈夫かい?」

キョン「大丈夫さ。すぐにバイトも見つける。なんとかしてやっていくよ」

佐々木「くっくっ。そうか。君ならきっとどこでもうまくやっていけるよ。頑張って」


佐々木「・・・じゃあ」

キョン「あ、佐々木」

301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:15:02.00 ID:YdqxCd1q0
佐々木「何?」

キョン「・・・さっきは・・・怒鳴ったりして、ホントにごめんな」

キョン「俺、おまえに、本当に感謝してるから・・・」

佐々木「・・・・」


佐々木「うん。わかった。僕の方こそ勝手なマネしてごめんよ」

キョン「いや・・・」

佐々木「じゃあね」

キョン「おう。またな」

302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:15:22.02 ID:YdqxCd1q0

キョン「・・・・」

キョン「ごめんな、佐々木・・・」

キョン「本当に、ごめんな・・・」

303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:18:58.53 ID:YdqxCd1q0
佐々木「・・・・」

佐々木「・・・ふう。ふられてしまったな・・・」

佐々木「・・・どうしようかなぁ。これから・・・」


佐々木「・・・うっ」

佐々木「うう・・・あああああ・・・」

佐々木「あああああああああああああん」

317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 15:40:51.70 ID:YdqxCd1q0
─────

キョン「・・・・」

キョン「・・・・」

 コンコン

銀「キョン君? いるぅ?」

キョン「・・・・」

銀「今、暇かしらぁ? よかったらまた買い物でもいっしょに行かなぁい?」

キョン「・・・・」

321: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 15:46:36.99 ID:YdqxCd1q0
銀「・・・留守かしらぁ」

キョン「・・・銀さん」

銀「あ、いるんじゃなぁい。どぉ? キョン君」

キョン「・・・すいません、ちょっと風邪引いたみたいで・・・具合悪いんで、ちょっと行けないです」

銀「え・・・ほ、本当ぉ? 大丈夫ぅ?」

キョン「はい・・・すいません」

銀「・・・そぉ・・・わかったわぁ・・・」


キョン「・・・・はぁ」

325: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 15:48:54.10 ID:YdqxCd1q0

キョン「・・・・」

キョン「・・・・」

キョン「・・・腹減った・・・でも金ねぇ・・・」

キョン「・・・何もヤル気おきない・・・」

 コンコン

キョン「?」

銀「キョン君、入るわよぉ」

327: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 15:55:17.43 ID:YdqxCd1q0

 ガチャ

キョン「あ・・・」

銀「・・・こんにちわぁ」

キョン「・・・こんちわ」

銀「本当に具合悪そうねぇ・・・大丈夫ぅ? 病院とか行った方がいいんじゃなぁい?」

キョン「あ、いえ・・・それほどでもないんで・・・それに金もないし・・・」

銀「だめよぉ!」


銀「・・・体は、大事にしなさぁい。風邪だからって甘く見ちゃだめよぉ。何があるかなんて・・・わからないんだからぁ」

キョン「はあ・・・」

329: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:02:55.96 ID:YdqxCd1q0
銀「あ、そうだ。おかゆ作ってみたのよぉ。もし食べれるなら食べてみてぇ。食欲ないなら捨てちゃっていいわぁ」

キョン「え・・・わざわざ俺のために?」

銀「そうよぉ。銀ちゃん特製たまご粥よぉ。おいしいかはわからないけどねぇ」

キョン「あ、じゃ、じゃあ・・・いただきます」


キョン「・・・・」

キョン「・・・うまいです」

銀「本当ぉ? よかったわぁ」

331: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:08:01.24 ID:YdqxCd1q0
キョン「実は腹減って死にそうだったんです。助かりました」

銀「えぇほんとぉ? ならすぐ言えばいいのにぃ。ご飯くらいいつでも作ってあげるわぁ」

キョン「いや・・・俺はもう・・・」

キョン「誰かに頼るのは・・・やめようと・・・思って・・・」

 ポロポロ

銀「・・・!? ちょ、ちょっとぉキョン君・・・?」

キョン「ぐっ・・・うっ」

銀「どうしたのぉ・・・?」

333: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:12:22.11 ID:YdqxCd1q0
キョン「す、すいません・・・」

銀「・・・・」

キョン「・・・・」


銀「・・・薬も今、買ってきたわぁ。どれが効くのかわからないから適当にたくさん買ってきちゃったけど」

銀「ご飯食べたら飲んでねぇ。それじゃ、私そろそろ帰るわぁ」

キョン「もう・・・帰っちゃうんですか?」

銀「私がいたんじゃゆっくり休めないでしょお? 早く布団入って寝ちゃいなさぁい」

銀「それじゃあねぇ」

 きゅっ

銀「・・・?」

340: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:28:10.52 ID:YdqxCd1q0
銀「キョ、キョン君・・・?」

キョン「お願いです・・・もうちょっといっしょにいてもらえないですか」

キョン「・・・一人だと・・・なんか押しつぶされそうで・・・」

銀「・・・・」

キョン「俺・・・俺は、銀さんといると、とても心が安らぎます」

キョン「だから・・・もう少しいっしょにいてください・・・」

銀「キョン君・・・」

343: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:31:58.49 ID:YdqxCd1q0
─────

キョン「・・・・」

銀「・・・・」


銀「・・・風邪、少しは良くなったぁ?」

キョン「あ、はい。だいぶ」

銀「そぉ・・・それじゃ、私そろそろ帰るわぁ」

キョン「はい。ありがとうございました」

銀「寂しくなったらいつでも呼んでいいわよぉ」

キョン「そうさせてもらいます」

銀「うふふ」


キョン「あ、銀さん」

347: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:34:03.57 ID:YdqxCd1q0
銀「なぁにぃ?」

キョン「・・・あの・・・」


キョン「なんか・・・順序狂っちゃったけど・・・」

キョン「・・・・」

キョン「俺、銀さんのこと、好きです・・・」


銀「・・・・」

銀「ありがとぉキョン君」

349: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:37:50.79 ID:YdqxCd1q0
キョン「・・・・」

銀「・・・・」

キョン「あの・・・銀さんは、俺のこと・・・」

銀「・・・もう少し待ってぇ」

キョン「え?」


銀「・・・私は、よくわからないのよぉ。自分でも、自分のことが・・・」

銀「だから、もう少しだけ待ってちょうだぁい。今はまだ、アパートのお隣さんということにしておいてぇ」

銀「ね?」

キョン「・・・・」

キョン「はあ・・・」

銀「ごめんねぇ」

355: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:40:08.67 ID:YdqxCd1q0

─────

それからさらに一月が過ぎ・・・

キョンもバイトが見つかり、ギリギリながらもなんとか生活を維持していた。

358: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:44:57.15 ID:YdqxCd1q0

キョン(・・・今日はようやく初給料日か・・・長かったぜ)

キョン(これで少しはまともなもんが食えるな。最近はホントに二日に一食だったからな)

キョン(・・・でも、その前に銀さんとなんか食いにいくことが先だな。もうフランス料理なんかは無理だろうけど)

キョン(喜んでくれたらいいなぁ・・・まあ、あの人は何でも大抵のことは喜んでくれるけどな)

キョン「!!」

 キキーッ

キョン「うおわっ!!」

362: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 16:51:13.81 ID:YdqxCd1q0
キョン「な、なんだ?」

 ガチャ

キョン「あ・・・」


古泉「お久しぶりです」

キョン「こ、古泉・・・」

古泉「探しましたよ。ようやく見つけることができました」

キョン「おう・・・久し振りだね」

古泉「ええ。つもる話があるので、とりあえず車に乗ってください」

366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 16:58:23.27 ID:YdqxCd1q0
ねってなんだねってなだろ

370: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 17:27:24.91 ID:YdqxCd1q0
─────

銀「~♪」

 コンコン

銀「? はぁい」

銀「だぁれぇ? キョン君?」

 ガチャ

銀「あ・・・」

真紅「久しぶりね、水銀燈」

銀「し、真紅・・・」

372: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 17:31:25.89 ID:YdqxCd1q0
真紅「元気だったかしら? どこに行ったのかと思ったら、こんなところにいるとはね・・・」

銀「・・・何の用?」

真紅「・・・久し振りの再会なのに、随分ね。まあいいわ。率直に言うわ」


真紅「あなたの力が必要なの」

銀「・・・・」

真紅「お願い。私たちに力を貸して」

390: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 17:55:49.11 ID:YdqxCd1q0
─────

古泉「お久しぶりですね。半年ぶりですか」

キョン「ああ・・・そうだな」

古泉「どうですか? 一人暮らしの方は。もう慣れましたか?」

キョン「金がないからな・・・正直きついよ。今はバイトも三つ入れてるし」

キョン「でも、楽しいこともある」

古泉「そうですか・・・」

キョン「そんなことより、機関の車でわざわざやってきたってことは、俺に何か話さなきゃいけないことがあるんじゃないのか」

391: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:01:51.93 ID:YdqxCd1q0
古泉「察しがいいですね。その通りです」

キョン「ハルヒか?」

古泉「はい。あなたがいなくなってから再び始まった神人の活動が、ここ2週間程度の間に急激に激しくなりだしました」

古泉「恐らく・・・本当に大学という新たな環境を見限ってしまったのでしょう」

古泉「最近の彼女の力は、SOS団を設立する前と同程度のものがあります」

キョン「・・・そうか」

キョン「・・・それで、それをわざわざ俺に聞かせて、俺にどうしろって言うんだ」

古泉「彼女に会ってあげてください」

393: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:05:29.62 ID:YdqxCd1q0
古泉「彼女の力を抑えられるのはあなただけです。あなたは「鍵」なのですから」

キョン「・・・・」


キョン「冗談じゃないぞ」

古泉「は?」

キョン「あのな、古泉。俺も、ハルヒも、もうお互い高校を卒業したんだ。もう子供じゃないんだぞ」

キョン「あいつの機嫌が悪くなるたびに俺が呼び出されてたんじゃ、俺は一生何もできないじゃないか」

古泉「・・・・」

396: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:08:43.72 ID:YdqxCd1q0
キョン「俺には俺の事情があるんだ。いつまでもそんなことには付き合いきれん」

キョン「今の生活を壊してまで、またアイツに振り回されるなんてのはごめんだ」

古泉「・・・・」

古泉「ですが・・・彼女はあなたを必要としています。そして、あなたにとっても、彼女は大切な存在だったはずです」

古泉「あなたは高校時代、彼女のことを想っていたんじゃなかったのですか」

キョン「・・・・」


キョン「昔の話だよ」

キョン「それに・・・今、俺にも、好きな人がいるんだ」

398: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:11:15.93 ID:YdqxCd1q0
古泉「・・・・」

古泉「そうですか・・・」

キョン「悪いな。ここで降ろしてもらえるか」

古泉「・・・・」

 キキッ

キョン「・・・じゃあな、古泉」

古泉「・・・・」

古泉「では」

399: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:13:34.24 ID:YdqxCd1q0
キョン「ん?」

古泉「友人として、彼女に会ってもらうことはできないでしょうか。彼女はあなたのことを純粋に心配しているのです」

古泉「自分の勘違いであなたを傷つけてしまったと、あの時からずっと後悔しています」

古泉「もし、あなたが彼女のことを怒っていないのならば、会いに行ってあげてください」

キョン「・・・・」


キョン「わかった。約束する」

古泉「ありがとうございます。それでは、また」

キョン「ああ、じゃあな」

 ブロロロロロロロロロン…

403: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:15:44.48 ID:YdqxCd1q0

キョン「・・・・」

キョン「・・・すまん、古泉、ハルヒ・・・」

キョン「俺が一番大切なのは、彼女だけなんだ」

キョン「俺は今の生活を、どうしても壊されたくないんだ・・・」

404: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:17:22.69 ID:YdqxCd1q0
─────

 コツコツコツコツ

キョン「・・・・」

キョン「・・・あ」


銀「・・・お帰りなさぁい」


キョン「・・・・」

キョン「銀さん・・・」

406: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:20:34.69 ID:YdqxCd1q0
キョン「ど、どうしたんですか? もう夜遅いですよ」

銀「・・・・」

銀「キョン君のことをね・・・待ってたのよぉ」

キョン「え・・・」

銀「・・・・」


銀「・・・キョン君・・・ごめんねぇ」

キョン「・・・? な、何がですか・・・?」

銀「・・・・」


銀「・・・お別れの・・・挨拶をしなきゃいけないわぁ」

408: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:23:38.71 ID:YdqxCd1q0
キョン「え・・・?」

銀「私ねぇ・・・引っ越すことにしたのぉ・・・ここから・・・」

キョン「ひ、引っ越す・・・?」

銀「そう・・・」


キョン「・・・そ、そんな」

キョン「そんな。嘘でしょう? 銀さん」

銀「本当よぉ。今日、これからいなくなるのぉ」

銀「もう部屋には何も置いてないわぁ」

411: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:26:56.33 ID:YdqxCd1q0
キョン「今日? 今日、引っ越すんですか?」

銀「そうよぉ」

キョン「・・・・」


キョン「そ、そんな。あんまりですよ。急すぎますよ」

キョン「俺・・・そんなの納得いかないですよ。嫌ですよそんなの」

キョン「なんで? どうして引っ越すんです」

キョン「どうしてここからいなくならなきゃいけないんですか?」

414: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:39:41.84 ID:YdqxCd1q0
銀「・・・・」

銀「・・・ごめんなさい・・・わけは、どうしても言えないわぁ」

キョン「そんな!」

銀「本当に・・・ごめんなさいねぇ・・・でも・・・」


銀「・・・仕方・・・ないのよぉ・・・」


キョン「・・・・」

キョン「・・・そんな・・・」

415: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:40:39.43 ID:YdqxCd1q0
銀「・・・・」

銀「・・・キョン君・・・」

銀「・・・キョン君、私のこと、好きって言ってくれたわよねぇ・・・」

キョン「・・・・」

銀「嬉しかったわぁ。あんなに嬉しかったことは、生まれて初めてだったかもしれないわぁ・・・」

銀「ちょっと聞いてくれるかしらぁ?」

キョン「・・・なんですか・・・?」

423: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:47:22.52 ID:YdqxCd1q0
銀「私ねぇ、友達が病気で死んじゃったのよぉ・・・その子は人間の女の子なんだけどねぇ」

銀「その子が生きてる時はねぇ、私はそんなこと考えもしなかったの・・・けどねぇ」

銀「・・・私はその子のことを・・・愛していたのよぉ・・・」

キョン「・・・・」

銀「その子は死ぬ前に言ったわぁ。人並みの生活をして普通の幸せを掴めって・・・だけど・・・私にはそれがどんなことかわからなかった」

銀「だからこうやって一人暮らしを始めたのぉ。少しでもそれがわかりたくて」

銀「そして・・・あなたが隣りに引っ越してきて・・・それからの毎日は、本当に楽しかったわぁ。あなたはとても優しかったから」

銀「だけど、私は怖かったわぁ。誰かを好きになるということが。もう、あんな悲しみを味わうのは嫌だったから・・・」


銀「・・・でも・・・」

銀「今、私は・・・あなたのこと・・・本当に好きよぉ」

425: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:52:31.03 ID:YdqxCd1q0

キョン「・・・・」

銀「・・・・でも」

銀「私は・・・もう、行かなくちゃいけないわぁ」

銀「・・・今までありがとう、キョン君」

銀「本当に楽しかったわぁ」

 バサッ

キョン「・・・?」

銀「あ・・・見てぇキョン君」

銀「満月よぉ」

銀「綺麗ねぇ・・・」

427: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:54:59.57 ID:YdqxCd1q0

キョン「・・・本当に」

キョン「本当に、行っちゃうんですね」

銀「・・・ごめんなさい」

キョン「・・・・」


キョン「わかりました。俺の方こそ、今までありがとうございました」

キョン「俺も、本当に楽しかったです。俺、銀さんに会えてよかった」

銀「・・・・」


銀「・・・うふふ。そうやって言ってもらえて嬉しいわぁ」

428: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 18:58:45.69 ID:YdqxCd1q0
銀「じゃあねぇ、キョン君。さようならぁ」

銀「いい? 自分に自信を持つのよぉ。あなたは自分が思っているよりも、とても素敵な人よぉ」

銀「あなたなら、どんなことも負けずに乗り越えられるわぁ」


銀「・・・・」

銀「多分・・・もう二度と会えないだろうけど・・・」

銀「元気でねぇ。私、あなたのこと、忘れないからぁ!」

キョン「俺もです!」


銀「それじゃあねぇ」


 バッサバッサ

431: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 19:00:46.45 ID:YdqxCd1q0

─────

そう言って、背中から生えた天使のような翼を広げて

彼女は俺の前から、満月の輝く夜の空へと、消えて行ってしまった。

俺はそれを、しばらくの間黙って見送った後、

自分の部屋へ戻って、泣いた。

493: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:08:37.73 ID:YdqxCd1q0
─────

キョン「・・・・」

 コンコン

キョン「・・・?」

キョン「はい」

 ガチャ

キョン「あ・・・」

佐々木「やあ」

キョン「佐々木・・・」

佐々木「久しぶり」

494: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:09:57.24 ID:YdqxCd1q0
キョン「・・・来てくれたのか」

佐々木「うん。一応気持ちの整理はできたからね」

佐々木「でも、やっぱりキョンの顔が見たくなっちゃってさ」

佐々木「迷惑だったらすぐ帰るよ」

キョン「迷惑なんてことないさ」

佐々木「そう? そうやって言ってくれると嬉しいよ」

495: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:10:36.67 ID:YdqxCd1q0
佐々木「元気だったかい? ご飯とかちゃんと食べてた?」

キョン「ん・・・ああ。なんとかやってたよ」

佐々木「バイトは始めた?」

キョン「ああ。三つ始めた」

佐々木「三つも? すごいねキョンは」

キョン「でも昨日全部やめた」

佐々木「え?」

497: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:11:54.69 ID:YdqxCd1q0
佐々木「ど、どうして?」

キョン「うん・・・あのな。わざわざ世話してくれた佐々木には悪いんだけど」

キョン「俺、家に帰ろうと思ってるんだ」

佐々木「えっ?」

キョン「昨日家に電話入れて親にも謝った。で、もう一回受験勉強始めようと思う」

キョン「今からやって間に合うかわかんないけどな」

佐々木「・・・本当に?」

キョン「ああ」

499: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:12:36.89 ID:YdqxCd1q0
佐々木「・・・・」

佐々木「偉い。偉いよキョン。それでこそキョンだ」

キョン「ありがとう・・・でも、怒らないのか?」

佐々木「怒る? 僕が? 何を怒るっていうんだい」

キョン「だって、部屋探しとかしてくれたの、全部佐々木じゃないか。それなのに、それを無駄にしちまうようなことして」

佐々木「何言ってるんだい。僕は君がそれを望んだからそうしただけさ。新しい目標ができたなら、そっちを応援するよ」

キョン「・・・本当にいいヤツだな、おまえ」

佐々木「な・・・や、やだな。照れるじゃないか///」

500: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:14:22.84 ID:YdqxCd1q0
佐々木「・・・でも」

キョン「ん?」

佐々木「お隣さんは・・・いいのかい?」

キョン「ああ・・・銀さんならもういないよ」

佐々木「えっ?」

キョン「もう二度と会わないだろうって言われたよ。振られちまったんだ」

佐々木「・・・・」

佐々木「・・・そう・・・なんだ」

502: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:15:54.54 ID:YdqxCd1q0
キョン「・・・でも俺、あの人と会えてホントによかったよ。いろんなことをなんか勉強した気がする」

キョン「またやり直す気にもなれたしな」

キョン「・・・いい人だったよ。本当に感謝してるんだ」

佐々木「・・・大丈夫?」

キョン「ああ」


佐々木「・・・ね。勉強さ。がんばりなよ。僕も教えてあげられるところは教えてあげる。協力するからさ」

キョン「ああ。何から何まで、本当にありがとうな、佐々木」

佐々木「いいんだよ」

507: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:22:41.11 ID:YdqxCd1q0
─────

半年後

ハルヒ「・・・はあ」

男「ねえねえねえ君、新入生!? めっちゃかわいいねー!!! ねえ、よかったらウチのサークル入らない!? 絶対おもしろいよ!!」

ハルヒ「うるっさいわね!! 気安く話しかけないで!!!」

男「・・・・」


ハルヒ「・・・つまんない」

508: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:24:23.58 ID:YdqxCd1q0
ハルヒ(・・・高校の時は・・・おもしろかったな・・・)

ハルヒ(有希がいて・・・みくるちゃんがいて・・・古泉君がいて・・・)

ハルヒ(・・・キョンが・・・いつも傍にいてくれて・・・)

ハルヒ(宇宙人も未来人も超能力者も、見つからなかったけど・・・)

ハルヒ(でも、みんながいてくれて・・・本当に楽しかった)


ハルヒ(・・・キョン・・・)

ハルヒ(あんた・・・どこに行っちゃったのよ・・・いいかげんに帰ってきなさいよ・・・)

ハルヒ(・・・馬鹿・・・)

「よっ」

513: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:30:57.32 ID:YdqxCd1q0
ハルヒ「・・・?」

キョン「久しぶりだなハルヒ」


ハルヒ「・・・え?」

キョン「探したぜ。元気だったか? 今、おまえなんかサークル入ってるのか?」

ハルヒ「・・・・」

キョン「今日からおまえの一年後輩だからな。ヨロシク頼むよ。もしなんかおもしろいサークル入ってるんだったら紹介してくれ」

ハルヒ「・・・・」

キョン「おいハルヒ。ハルヒ?」

523: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:39:29.40 ID:YdqxCd1q0
ハルヒ「・・・・」

ハルヒ「あんた・・・今までどこいってたのよ・・・」

キョン「ん? あ、ああ・・・悪かった。ちょっと一人暮らししたりして自分に喝を入れてたんだ。去年、おまえに教えてもらったのに落ちちまったからな」

キョン「でも、俺今回勉強始めたのかなり遅かったんだけどさ、去年のが頭に残ってて、結構スラスラ勉強進んだんだよ」

キョン「まさかおまえと同じところに入れるとは思ってなかったけどな。できすだよ。でも」

キョン「これからもヨロシクな」

ハルヒ「・・・・」


ハルヒ「このっ・・・馬鹿ああ!!」

526: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:42:14.18 ID:YdqxCd1q0
キョン「!!?」

ハルヒ「あんたね・・・あたしがどれだけあんたのことを・・・!!」

キョン「ん?」

ハルヒ「・・・・っ! も、もういいわよ・・・この馬鹿!!」

キョン「おい、ちょっと馬鹿バカ言いすぎだろ」

ハルヒ「うるさいこの馬鹿!!」

キョン「やれやれ」


キョン「・・・で」

キョン「おまえ今、なんかサークルとか入ってるのか?」

528: ◆xx.eG/82sU 2008/07/15(火) 22:42:50.48 ID:YdqxCd1q0
ハルヒ「入ってないわよ!!」

キョン「なんだ、入ってないのか。ふーん・・・じゃあ適当にどっか探すかな」

ハルヒ「ダメよ! あんたが入るサークルはもう決まってるんだから!」

キョン「は?」

ハルヒ「SOS団2よ!!」

キョン「あ? な、何言ってんだおまえ・・・お、おいまさか」

ハルヒ「そうよ! 今すぐ委員会に行って、とりあえず同好会として登録するわ!」

ハルヒ「メンバーが集まったらすぐ部として格上げよ! キョン、ついてきなさい!!」

530: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/07/15(火) 22:43:11.72 ID:YdqxCd1q0