女『やーえばっ』

八重歯「?」
八重歯「……どうしたんだよ」

女「なにを驚いてるんだ?」ニコ

八重歯「意味深な笑顔をしやがって…」
八重歯「……なにか良いことでもあったのか?」

女「良いことか…」ウーン
女「八重歯のこと、もう一度よく考えたんだ」

八重歯「わ、私の事を…よく考えたって……」
八重歯「女らしくないぞ。熱でもあるのか?」

女「そして、思った事がさ……」

女「"やっぱり八重歯が一番の親友だな"って」

八重歯「っ」
八重歯「……そうか」

女「八重歯って動揺すると耳が赤くなるよね」
八重歯「うるさいうるさい」

女「……まだ短い付き合いだけど、これからもう暫く仲良くさせてほしい」ニコ

八重歯「……」
八重歯「…………ああ、私たちには……これからがあるからな」ニコ

引用元: 女「記憶喪失が男子禁制の村で繰り返す死のループを安価で脱したい」 



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 20:25:11.27 ID:XIgTESNaO
女「既視感の事をロリに話したらさ」
女「『強い違和感を覚える相手と親密になれば、既視感についてわかるんじゃないか?』って」

八重歯「……ロリが…」

八重歯「それで、私か」

女「ああ、まずは八重歯だと思ったんだけど…」
女「……だめか?」

女「もしくはこれ以上親密にもなれないしな……」

八重歯「……」

女「どうした難しい顔をして?」
女「別に特に思い悩む事なんて… 八重歯「女が」

八重歯「……アンタが、本当にそう思うのなら…」
八重歯「……」

八重歯「私は、打ち明けようと思う」
女「?」

八重歯「……もう、決心した」
八重歯「今さら嫌だと言ったって 女「ありがとう」

女「大分考えた結果なんだろう?」
女「教えてほしいな、私の知らない八重歯」ニッ

八重歯「……ああ、後悔はするなよ?」ニコッ

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 20:34:08.59 ID:XIgTESNaO
八重歯「それでだ」

八重歯「アンタに会わせたい人がいる」

女「私に?」

八重歯「女は会ったことが無いと思う…というか接触出来ないようにしていたからな」
八重歯「そして、その人は女と会う事を好しとしていない」

女「私と会うのが嫌なのか?」

八重歯「嫌というか……向こうにも決心というものがあるんだよ」
八重歯「それを破って、私はその人に女を会わせたいと思う」
女「……」

八重歯「……それと」
八重歯「その人にあったら、知らなくても良い事を聞かされるだろう」

八重歯「……知らないままの方が幸せになれる」
八重歯「自分から振っておいて難だが…」

八重歯「……女は、どうする?」
女「私は……」

女『………………決めた』

①その人に会いたい
②その人が嫌だと言うなら会わない
③八重歯以外の人と話す事にする
>>30

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 20:38:28.48 ID:GaraT74M0

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 20:46:01.59 ID:XIgTESNaO
女「会うよ」
女「その人には悪いけど……」

女「私、謎は解き明かしたいタチなんだ。変かな」ハハ

八重歯「……いや、前にもそういう人がいたみたいだから。変ではないんじゃないか」

女「怒られたりするのかな?」

八重歯「主に私がな」

女「どうしてだ? 選んだのは私なのに」

八重歯「その人と会う話を提示した時点で私が怒られるのは確定しているんだよ」

女「……わるいな」
八重歯「気にすんな、言っただろう。これは私の決心でもある」

女「そうか…」
女「……それで、会うにしても先方の都合だってあるだろうし…」

八重歯「いや、ひとっ走り行ってくる」
八重歯「少しだけ待っててくれよ!」ニッ
タッタッタ…

女「あ、ああ……わかった」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 20:55:54.16 ID:XIgTESNaO
――…

八重歯『お待たせっ』

八重歯「それじゃあ行こうぜ!」

女「今からか?」

八重歯「当たり前だろ、何のために靴底減らして走ったと思ってるんだよ」

女「そう、そうだな」
女「……なんか緊張してきた」

八重歯「らしくないな。大丈夫だって」
八重歯「……そうだ。一つだけ伝えておく事がある」
女「?」

八重歯「話を聞いて、思った心に正直になって欲しい」
八重歯「私を嫌いになっても、思った通りにするんだ」
女「……?」

八重歯「女は悪くないんだ。悪いのは、私だからな」

女「……やーえばっ」
ガシッ

女「らしくないのはどっちだ?」ニッ
ポカポカ

八重歯「痛っ、痛いって、叩くなよもう」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:04:40.08 ID:XIgTESNaO
――…【茅屋】

女「ここが……」

八重歯「ウチよりもボロだろう? まあ、人間。住む場所でが決まるもんじゃない」

女「人間は決まらないが、稼ぎは知れる」

八重歯「痛烈な事を言うなよ……あの人は働いてないから仕方ないんだ」

女「働いてない? この村には生活保護の類があるのか?? ……まあ、あるか」

八重歯「生活保護? なんだソレ」
八重歯「人徳ってやつじゃないのか。皆が酒やら酒やら持ってきてくれる」

女「酒ばかりじゃないか」タラ
女「でも、この村では高価なお酒をもらえるのは…確かに、人徳があるんだろう」

八重歯「ごめん、それともう一つ」

女「?」

八重歯「その口調。女言葉に直してくれ」

女「……?」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:13:13.28 ID:XIgTESNaO
女「……かまわない…が」
八重歯「頼んだぞ。なんなら最初の方だけで良いんだ、話の流れを読んで戻してくれても構わない」
女「……わかった」

八重歯「……よし、行くぞ」
女「わかっ……た、わ」

ガラッ

八重歯「たのもーっ!」
女「さながら道場破りだな……」

八重歯「奥の部屋にいるみたいだ」

女「……」コク

――…
ガラッ

八重歯「失礼します」

『ああ、来たか。それとうるさいぞ八重歯。殴るからこっちに来い』

女「……女の子?」
女「(それに……眼帯)」

『……女…』
銀髪『……久しぶりだな』ニコ

女「? 久しぶり??」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:24:10.42 ID:XIgTESNaO
女「……はじめ、まして…?」ペコ

銀髪「ああ、そういえば……そうだったな」

銀髪「はじめまして。私は、見ての通り…」
銀髪「……目に邪魔なモノが付いてはいるが、それ以外はマトモな人間だ」

八重歯「見た目は小さいが、一応…年上だからな」

女「……はあ」
女「それと、今日は無理を言ってしまって……」

銀髪「なに、気にするな」
銀髪「お前が私の元へ来れたのは、八重歯が会わせても良いと判断したからだろう」

銀髪「それに、主だった村人全員には会ったんだろうし……最後が私だろうな、元の仲間内では」

女「元の、仲間内……」

銀髪「ああそうだな……そこから教えるか」

女「……」チラ
八重歯「……」コク

銀髪『女。お前は元々、この村で暮らしていた』
銀髪「私たちと共にな」ニッ

女「っ」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:31:03.49 ID:XIgTESNaO
女「…………それは、どういうことでしょうか?」
女「私には前いた街での記憶があります」

銀髪「ああ、それは本物の記憶だ」

女「では、この村で暮らしていたというのは……」

銀髪「そこの記憶は消えてないんだろう」
銀髪「残念だな。私たちの情事も全て忘れてしまうとは」ハァ

女「……情事?」

八重歯「気にするな。ないない」

銀髪「記憶の事もそうだが、まずは自己紹介からといくか」

銀髪「私は元お前の飼い主で……正妻というやつだ」
銀髪「夫でも間違いはないか」クス

女「正妻?」

八重歯「ないない」ハァ

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:38:42.28 ID:XIgTESNaO
銀髪「今はそこの愛人一号とべったりらしいが……」

八重歯「……」

銀髪「まあ今はそれでいい。前の女が私のものという事実は覆しようのないことだ」

女「それは……少し、頭を整理する時間が欲しいです」

銀髪「じゃあ勝手に話すから勝手に整理していろ」
銀髪「お前は賢いのが長所の一つだったのに……」チラ

八重歯「……大丈夫だよ。女はなんともない、報告しただろう」
八重歯「言われた通り、言葉遣いだって変わってる」

八重歯「皆が前の女の面影を少しでも見ないためにな」

銀髪「……」
銀髪「飼い主、とは言ったが」

銀髪「いまの飼い主は誰だかわかるか?」

女「……話の流れから言って、八重歯さんなんでしょう…」
女「……」

銀髪「そうだ。この村にはいくつかの掟がある」

八重歯「……」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:47:46.92 ID:XIgTESNaO
銀髪「サイレン。立ち入り禁止区域…」
銀髪「……それと、"三ヶ条"だ」

女「三ヶ条……?」

銀髪「知ってるもの者もいれば、そうでない者もいる」
銀髪「三ヶ条の"いち"」

銀髪『漂流者の所有権は、発見者に依存される』

女「所有権……」

八重歯「……」

銀髪「……話を進めるぞ」
銀髪「まずは、"漂流者"についてだ」

銀髪「漂流者とはよく言ったものだが、早い話が」

銀髪『記憶を消され、川へ流された者を言う』

女「記憶を……消され?」

銀髪「……めんどいな」
銀髪「私も健康な身体というワケではない」

銀髪「後で質問させてやるが、身体の都合がつけばな」
銀髪「それと教えなかった事を責めるなよ。八重歯には説明する権利が無い」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:56:32.95 ID:XIgTESNaO
銀髪「……」コホッ

女「体調がすぐれないようですが?」

銀髪「ああ、少しな…」

銀髪「……たしかに、すこし体調優れない」
銀髪「だからお前からの質問に答えよう……身体がもつまでな」コホッ

銀髪「なあに、私を引き当てた運だ。きっと上手くいく」

女「…………わかりました」

女『それでは……』

①サイレンについて
②禁止区域について
③三ヶ条の"いち"
④三ヶ条の"に"
⑤三ヶ条の"さん"
⑥金髪さんについて
⑦お嬢について
⑧八重歯について
⑨銀髪について
⑩その他

安価>>80-83

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:59:17.22 ID:GaraT74M0

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:59:33.69 ID:8wME67ks0

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 21:59:48.07 ID:6hsSttFt0

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 22:10:32.28 ID:XIgTESNaO
女「ではまず……」

銀髪「長くなりそうなら、まとめてくれよ」
銀髪「聞きたい事を聞けなかったじゃ問題外だろう」

女「……はい」

女「では、一つ目です」

女「"禁止区域について"教えてください」

銀髪「なんだ、私についてはいいのか。残念だな」

女「時間が無いのでしょう。辛辣な言い方になりますが、優先順位の差なので。すみません」

銀髪「いやいい。時に冷に徹する事が出来るところも可愛いんだお前は」クク
銀髪「そうだな……立ち入り禁止区域についてだったな」

女「はい……」

銀髪「あの二つは、"脱出経路"と"記憶改竄"のために立ち入りを禁止している」

女「脱出経路と、記憶の改竄……」

銀髪「改竄は……主に消去だな」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 22:39:34.81 ID:XIgTESNaO
銀髪「まずは"川"についてだ」

銀髪「川上は、隣村へと続いている。これも一つの脱出経路だな」

女「……近いんですか?」

銀髪「登るとなれば、手入れされている山道の倍以上は大変だろうな…」
銀髪「……脱出経路についてはツッコミ無しか」

女「はい。脱出という言葉を使うくらいですから、強制的に隔離されているのでしょう」
女「多少は懸念していた問題ですから、あまり驚いてはいません」

銀髪「なるほど」
銀髪「久しぶりだが、相変わらず魅力的だなお前は…」

銀髪「……よし、近くに寄れ」

八重歯「姉さん」

銀髪「……わかったよ」ハァ
銀髪「川には監視カメラが設置されている」

女「カメラ……」

銀髪「川上も…………川下にもだ」

女「脱出すればバレる、ということか」フム

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 22:48:06.43 ID:XIgTESNaO
銀髪「脱出するにはカメラを停止させないといけないワケだ」

女「……それは、制御装置というモノはどこに?」

銀髪「高台にある建物…」

女「っ」

銀髪「……と、金髪の家だ」

女「金髪さんの……」

銀髪「あいつは良い人間だけどな、優しい人間じゃあ無い」
銀髪「掟を破らねば、触らぬ悪魔に祟り無しってやつだな」

女「金髪さんが……」

銀髪「アイツの事は置いておくが、ちょうど高台の建物について出てきたな」

銀髪「もう一度説明すると、あそこの役割は記憶の改竄の他にはカメラ他の電子機械の操作。それと――…」

銀髪「――…殺しだ」

女「っ……」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 22:55:59.28 ID:XIgTESNaO
女「殺し……?」

銀髪「方法はだな…」

女「殺害方法について聞いているんじゃありません」
女「殺人をする必要があるということですか?」

銀髪「ああ」
銀髪「これは他の三ヶ条についてで教えられる」

銀髪「悪い子にはお仕置きってことだ」

女「……重いお仕置きですね」

銀髪「ああ重いさ」
銀髪「この村では規律破りがとんでもない重罪なんだ」

銀髪「そっちでは大量殺戮者を死罪にするだろう?」ニィ

女「……私、たまに川へ遊びに行こうかなとか思ったりしていたんですが」

銀髪「たまに大量殺戮をしようと思っていたと同義だな。この危険人物め」

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 23:04:38.56 ID:XIgTESNaO
女「……」

銀髪「あとは……」
銀髪「記憶操作だな。この辺に自生しているおっかない植物があってな」クス
銀髪「ソレが記憶の消去を可能としている大因だ」

女「……自生している植物…」
女「そういえば川からこちらへ来る時に……」チラ

八重歯「……通ったよ。あの時はわるかったな痛かっただろう」
八重歯「どうして通ったかは、今言わないけど」

女「……」フム
女「その植物については後で詳しく聞きましょう」

銀髪「ああ、そういえばまだあったな」

女「?」

銀髪「ダン…  ダン……」

女「?」

『ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン!!!!!』

女「っ!?」ビクッ

八重歯「……ごめんな、驚いたろう」ニッ

女「八重歯…………」ハァ

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 23:12:46.11 ID:XIgTESNaO
女「…………びっくりした」ハアァ

八重歯「わるいわるい」

銀髪「この音は知っているか?」

女「? いえ……」

銀髪「この音はだな…」コホッ

女「大丈夫ですか?」

銀髪「ああ……すまない、少し巻いていくぞ」
銀髪「音については大した理由じゃないから気にするな。その内にわかる時が来るだろう」

銀髪「次は、三ヶ条の"に"についてだな」
女「……」コク

銀髪「三ヶ条の"に"は…」

銀髪『"村から出すな"だ』
銀髪「それともう一つ」

銀髪『"広めるな"』
銀髪「こっちは二重の意味でもな」

女「……出したくない理由…」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 23:21:34.48 ID:XIgTESNaO
銀髪「『出すな』は"人"」

銀髪「『広めるな』は"ウイルスと情報"だ」

女「ウイルス……あの染色体が死滅するという…」

銀髪「わかっているなら話は早いな」
銀髪「私は難しい事は知らないが、この村にはY染色体を殺すウイルスが土着している」

女「……」

銀髪「実はな、ここの村人…中でも最近産まれたやつらや入ってきたやつらは知らないやつも多い」

女「……」

銀髪「……どうした? 黙りこんで」

女「いえ……一度に色々な事実を明かされて、少なからず困惑しています」

銀髪「……今この時間はお前が思っているより重要だぞ」
銀髪「この機を逃したら他では辿りつけない。そんな情報を聞いているんだ」

銀髪「まあ……村から出ない。謎もどうでもいい…というなら好きにすればいいが」

女「……いえ」
女「聞かせてください」

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 23:31:58.91 ID:XIgTESNaO
銀髪「この染色体を殺すウイルスには、他の弊害があってな……」

女「他の、弊害……」

銀髪「ああこれが意外と厄介らしくてな」
銀髪「多くを知っているわけじゃないから知ってる事だけを言うが…」

銀髪「……どっかの賢いバカが論文めいた手紙をどこぞに隠したらしいが、今となってはな」

女「……」

銀髪「ああ、こちらの話だ」
銀髪「それと、ウイルスによる弊害だったな」

銀髪「……それは」
銀髪「生存本能、種の保存。という意味で作用される…」

銀髪『……次第、同性である女に恋愛感情を抱くようになる』

女「っ」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/26(日) 23:42:55.53 ID:XIgTESNaO
女「女性に……ですか?」

銀髪「ああ」コホッ

銀髪「……男がいないんだ。有りモノで済ますしかないだろう、有り体に言えば」
女「……」

銀髪「殊更、余所者に対して惹かれることもわかっている」

女「……」

銀髪「こう、匂いがするんだよ」
銀髪「この村に染まりきってる人間とは違う。ヤニ臭くない綺麗で芳醇な香りがな」ニィ

女「……」クン…

銀髪「自分ではわからないだろう……」クク
八重歯「女はほぼ無臭だ。むしろ汗をかくと良い匂いがするぞ」グッ

女「サムズアップしないで」ハァ
女「……ええと、あとは村人がふらっといなくなって、ふらっと子供を作って戻ってくるという話ですが……」

銀髪「……」チラ

八重歯「……」

銀髪「……ああ、それについてはだ。後で話すよ」コホッ
銀髪「大分、視界が歪んできたからな」ニッ

女「……無理なら別の日にでも…」アセ

177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 00:01:17.13 ID:UY76O7zKO
銀髪「いや、もう一つくらいならいける」

女「では……」
女「三ヶ条の"さん"について教えてください」

銀髪「最後だな」
銀髪「三ヶ条の"さん"それは」

銀髪『"当主は絶対"』

女「当主?」

銀髪「あの女は村長という言い方を嫌がるからな」
銀髪「この村ではある理由で短いスパンで当主が変わる」

女「たしか、村長はいないと聞きました」

銀髪「そうだろう」
銀髪「当代纏役は『金髪』だからな」

銀髪「あいつが白が是と言えば、黒が異端扱いされるだろう」
女「?」

銀髪「ああ……いらん事も話しすぎたな」
銀髪「これについては、私も否定的ではないんだ」

銀髪「纏め役というのは必要だからな。」
銀髪「絶対だ。"絶対"曲がった解釈なんて必要ない。これが、全てだ」

女「金髪さんが……絶対…」

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 00:09:57.95 ID:UY76O7zKO
銀髪「……そうだ」
銀髪「最後に、こちらから質問させてもらおう」

女「?」

銀髪「お前から見て、私はどう映っている?」

女「……それは、外見上ですか」

銀髪「思ったこと全部話せ」

女「……身長は、低くて…華奢で最初は子どもかと」
女「あと、その眼帯に目がいって……」

銀髪「……」

女「話を聞くと、印象は変わりました」
女「強い、芯のある方だと思います」

女「目上の方に失礼ですが……賢い人だと思いました」

銀髪「……そうか」

女「それと、可愛いです」

銀髪「……そうかそうか」

八重歯「これでも女が来ると聞いて真っ先に風呂に入ったんだぞ」

銀髪「だまれ八重歯」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 00:20:34.34 ID:UY76O7zKO
――…

女「今日はありがとうございました」

銀髪「ああ……しばらくは来なくていいぞ」
女「……はあ」

銀髪「なに、悪い意味じゃない」
銀髪「女分は補給したからな。これ以上は発 してだめだ」

女「……なるほど」

八重歯「盛りのついた獣に大事な女を預けられるかっての」
女「はあ……」

銀髪「最後にもう一つ」
銀髪「私を呼び捨てで呼んでくれないか?」

女「?」
女「…………ぎ、銀髪」

銀髪「……ああ」
銀髪「満足だ。後は八重歯に送り狼になられないようにな」フリ

女「お邪魔しました」ペコ
八重歯「……また来るからな」

銀髪「良い酒でも持ってこい。今は別家のが一番だ」

八重歯「…………わかった」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 00:31:31.56 ID:UY76O7zKO
――…
女「中々に強烈な人だったな」フム
八重歯「村でも1、2を争う変わり者だからな」ハハ

女「……そうだ」
女「所有権の話だけど」
八重歯「……」

女「ただ"家に置いておく"というだけなのか?」
女「なにか目的があって……」

女「それに漂流者……高台で記憶を消した者を川に流す…」
女「どこから連れてきたんだ? 隣の村から??」
女「じゃあ、この村は…………人攫いの 八重歯「女」 

女「っ」ビクッ

八重歯「熟考しているところわるいんだが…」ポリ
八重歯「……今日の夕飯どうしようか」

女「あっ」
女「そういえば、なにも用意していなかったな……」
八重歯「ロリの家にタカるのも悪いしな……」

女「うーん……」
女「……」チラ

八重歯「ロリの母さんがな……」ブツブツ

女「……」

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 00:45:17.49 ID:UY76O7zKO
――――――………
『姉さん』

銀髪『……ああ、八重歯か。どうした?』

八重歯「女さんがいないみたいだけど……」キョロ
銀髪「アレは私のだぞ。他を探せ」

八重歯「そういうのじゃないって」
八重歯「……初めて料理作ってみたからさ」

銀髪「そうか、では家主が最初に戴こう」パク
八重歯「あっ」

銀髪「……しょっぱい」ウェ
八重歯「……なるほど、家主は毒味役にもなる。と」

銀髪「おいこら」
銀髪「女なら……また金髪とか別家とかはべらかしに行ってるんだろう」フワァ
八重歯「……旦那なんでしょう? いいの?? それで」

銀髪「なに、完全な一人占めというのも人間関係に齟齬を産むんだ」
銀髪「私は寝てるから……昼食の時間になったら起こしてくれ」フワァ

八重歯「……姉さんって、綺麗な目してるよね」

銀髪「そうか?」
銀髪「この両目で女を落としたようなものだからな」フフン

八重歯「さいですか……」ハァ

206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 00:56:14.93 ID:UY76O7zKO
――…
『ただいまー』

八重歯「あっ」
八重歯「おかえりなさい」ニコ

女『ただいま。八重歯』ニコ
女「銀髪は……?」
八重歯「姉さんなら奥で寝てるよ」

女「そうか……」
八重歯「今日は……夕飯の支度をしたんだ」

女「八重歯が?」
女「偉いな。姉さんにも見習ってほしいところだよ本当」ナデ

八重歯「ん……」
八重歯「また頭を撫でて…」
八重歯「……歳だって一つしか違わないんだから子ども扱いしないでよ」

女「……そうだなぁ」
女「……うーん」ナデナデ

八重歯「……ちょっと、話聞いてましたか?」

女「ああ、聞いてたよ」
女「偉いなぁ八重歯は」ニコッ
ナデ

八重歯「……もういいよ」ハァ

213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 01:04:26.60 ID:UY76O7zKO
女「銀髪にお土産があるんだ」スッ

八重歯「お酒……ですか?」

女「うん。酒蔵三家、お嬢の他にもう二家ある内の一家のらしいんだけど…」
女「……銀髪、最近はこっちの方が好きらしいから」

八重歯「ふーん」

女「よし、じゃあ八重歯の初料理。いただきますか」

八重歯「大したものじゃないけど……」

女「なになに。愛情込めて作ったものが美味しくないワケないだろう」

八重歯「……愛情は込めてないけど」

女「照れるなよー」ナデナデ

八重歯「ん……それ禁止っ」

女「……わかったよ」

八重歯「まったく…… 女「あっ、それとね」

八重歯「?」

女「今度、当主様に直談判しに行こうと思うんだ」パク

八重歯「……ふーん」モグ

218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 01:14:57.06 ID:UY76O7zKO
八重歯「直談判って、なにを言いに行くの?」

女「私がこの村に来てからしばらく経つだろう?」

八重歯「うん……知らないけど」

女「経つんだ。それでさあ」
女「この村を出る許可が欲しくってさ」パク

八重歯「え……」

女「『村から出る方法は無い。理由は教えられない』じゃあ納得出来ないんだ」
女「村民を減らしたくないだけなら、私はまた戻ってくるし…なんなら、この村の事を広めて人を集める事にも喜んで協力する」

八重歯「……でも」

女「ああ、銀髪もそこら辺には首を突っ込むなと言っていた」
女「金髪には相談したんだ……勿論、猛反対されたけど」ハハ

八重歯「……この家では、姉さんの言うことは絶対だって」

女「……そうだな」
女「わかってくれないかなー」
女「銀髪だって、私がこの村を嫌いで出たいって言ってるワケじゃないってわかってるはずなんだけど……」

八重歯「姉さんのこと、好き?」

女「? うん」

八重歯「…………そう」

222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 01:26:49.12 ID:UY76O7zKO
――…
八重歯「……ふわぁ」
八重歯「……まだ夜中だよ」
八重歯「……トイレに行こう」ンショ
――…ペタペタ…
八重歯「……ん?」

『可愛いなあ、女は』『酔ってるのか? くるしいから少し離れろって』

八重歯「……二人とも、まだ起きてるんだ」フワァ

銀髪「女……」
女「…………ん」

銀髪「好きだ」
女「わかってるよ」

銀髪「愛してる」
女「……はいはい」

女「銀髪に甲斐性は無いけどな」
銀髪「……身長と甲斐性は無い方が人間として魅力的なんだよ」プイ

八重歯「……またいつものか…」
八重歯「……寝よう」

チュッ
『んっ……』

八重歯「……?」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 01:33:43.24 ID:UY76O7zKO
八重歯「……」チラ

女『……はい、ストップ』
チョップ

銀髪「っ……なんだよツレないな」

女「まったく…油断も隙もない」
女「それにツリは金髪だけで間に合ってる」フワァ

女「今度、また釣りに付き合うんだ」

銀髪「……浮気者」
女「なにがだよ」

銀髪「正妻は私だぞ」
女「はじまった」ハァ
女「……旦那じゃなかったのか? お前は」

銀髪「……ニュアンスが伝わればどっちでも構わない」

女「……そうか」
女「重々承知しているよ」

銀髪「そうか、ならいい」ニコ


八重歯「……」

八重歯「…………」ギュ

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 01:42:27.13 ID:UY76O7zKO
――…
―…

『銀髪さん』
ドンドン

銀髪「なんだよ朝っぱらから……」

村人A『おたくで囲ってる子が、昨夜村長のところに行ったって話だけど』

銀髪「!?」
銀髪「あのバカ……」クシャ

銀髪「八重歯!」
八重歯「……はい」ウト

銀髪「私は婆の所に行ってくる! お前は家で留守番していろっ!」
八重歯「……? はい…」フワァ

――…
―…
ガラッ

銀髪「……」
八重歯「遅いよ……もう何してたの? 女さんも見当たらないし…」ハァ

銀髪「……」
銀髪「…………女は…」

八重歯「……?」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 01:51:59.75 ID:UY76O7zKO
――――――………

八重歯「……ん…」
八重歯「……」チラ
女「……」スゥ…

八重歯「……」
八重歯「……アンタは、また謎を解明しようと奔走するんだろうね」

女「……」zzz

八重歯「……」
八重歯「ダメだよ。もう…」
女「……ん…」スゥ

八重歯「……あんな失敗は二度と起こさないから」ギュッ
女「八重歯……」ムニャ

八重歯「……」ポリ
八重歯「な、なんですか? 女さん。……なんて」

八重歯「今さら戻れないよ…」
八重歯「……私は、格好良い女さんに憧れて…見よう見まねで演じてるんだから」

八重歯「……」チラ
女「……」スゥ…

八重歯「……でも、決心したんだ」

八重歯「今度は、ちゃんと……私が守るって」

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:06:24.16 ID:UY76O7zKO
――…
女「八重歯、おかわり」
八重歯「はいはい」

女「そういえば今日さ、夢を見たんだよ」
八重歯「」ピクッ
八重歯「……へえ、どんな?」

女「八重歯と、銀髪さんと三人で暮らしてる夢」ハハ
八重歯「…………どんな内容だった?」

女「笑うなよ? 銀髪さんの言う通り、私と銀髪さんが変に仲が良くてさあ…」
八重歯「……」

女「それで、なにか理由があって村長のところに行くんだよ」
八重歯「っ」
八重歯「……それで?」

女「そこまで」
八重歯「?」

女「そこから曖昧でよく覚えてないんだ」
八重歯「……そうか」

女「それとさ、仕事が終わったらまた銀髪さんのところに行こうと思うんだけど」パク
八重歯「……どうしてだ? しばらくは来るなっって言っていただろう」ヒク

女「わかるんだよね照れ隠しって。普段からあまり人と話したりしないから私たちと会うのが楽しいのかな?」ニコ

八重歯「………………また、銀髪姉さんなんだ…」ヒクッ

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:14:41.83 ID:UY76O7zKO
八重歯「ダメだ」

女「?」

八重歯「もう……しばらくは行かないでほしい」
八重歯「色々と聞けたろ? もう当分は良いんじゃないか??」

女「……まだ聞きたい事はあるけど、それだけじゃないんだ」

八重歯「……それだけじゃないって?」

女「単純に、私が会いたいからかな」
八重歯「……」

女「なんか楽しかったんだよ。自然と気がおけない仲になれそうな気がしてさ」

八重歯「……たしかに、私は決心をして姉さんに会わせた」
八重歯「けど、もうこれ以上はダメだ」

八重歯「あの人は……またアナタをダメにする」キッ

女「……八重歯」

女『……私は』

①わかったよ、会わない
②会いたいから、会う
③こっそり会いにいく

安価>>242

242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:16:05.66 ID:EBWfLXLB0
3

244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:22:51.58 ID:UY76O7zKO
女「……それでも、私は…」
女「(……)」

女「わかった。会いには行かない」

八重歯「そうか……」
八重歯「無理を聞かせてわるいな」フゥ

女「じゃあ今度はいつ会いに……」

八重歯「? 私が良いって言うまでダメだよ」ニコ

女「……」

女「……八重歯にも譲れないものがあるんだな」

八重歯「うん」
八重歯「規律は絶対。なにがあっても守らないと、守りたい人を護れないから」

八重歯「だから絶対。死んでも絶対。殺しても絶対」

女「……」

八重歯「これが私の覚悟だよ。わかってくれたよな?」ニッ

女「…………わかったよ」

女「……」

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:32:44.35 ID:UY76O7zKO
――…【茅屋】

女「……来ちゃった」
女「……」

トントン

女「ごめんくださ… 『なんだ? いま出るから少し待て…』

銀髪『……って』
銀髪「どうした? 昨日、しばらく来るなって言ったはずだぞ」ソワソワ

女「……」クス
女「可愛いなぁ」

女「あっ、ごめんなさい」アタフタ

銀髪「……いや、いい」
銀髪「お前は初対面の時もそうやって私を褒めたよ」

銀髪「……変わってないんだな。お前は」ニコ

女「っ……」カァ
女「あれ、おかしいな……顔が熱い…」

銀髪「とりあえず上がっていけ。美味い酒があるんだ」

女「まったく……体調を気にしてくださいよ?」ハァ
八重歯『……』

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:41:43.18 ID:UY76O7zKO
女「?」ゾワッ
女「っ」クルッ

シーン…

女「……?」
女「気のせいか……」

銀髪「なにもたついてるんだ。早く来い」
女「あっ、はい。いま行きます!」

――…

銀髪「八重歯は一緒じゃないんだな」
女「それが……ちょっとありまして」

銀髪「なんだ? 喧嘩でもしたか」ハハ
女「そういうのではないんですが」
女「あまり遅くならないなら、大丈夫だと思うので」ニコ

銀髪「……そうか」
銀髪「今日は、久しぶりにお前と酒を交わせるな」トクトク

銀髪「夢みたいだ。幸せだ」
女「大げさですよ」

銀髪「……けど、決まりでな。愛する事は出来ても、愛し合うことは出来ないんだ」

女「愛し合う事が可能である前提で話を進めないでください」ハァ
八重歯『……』

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 02:53:33.27 ID:UY76O7zKO
銀髪「八重歯、いつの間に来たんだ? 気がつかなかったぞ」

八重歯『嘘つき』

女「八重歯……」

銀髪「まあ、座れよ。ほら、注いでやるから」

八重歯「銀髪さんの前ではなにも出来ないので。このまま見させていただきます」
女「……」

銀髪「……」グビ
銀髪「……そうか、わかった」

銀髪「女。お前、ウチに住め」

八重歯「ダメですよ。忘れましたか? 三ヶ条の"いち"」

銀髪「漂流者自身にも選択の権利があるだろ」

八重歯「始めの一度だけです」

銀髪「いまお前の元に返すのは危険だと判断した」

八重歯「危険? 殺される寸前までいかした人間が、なにを言っているんです??」
八重歯「私は、二の轍を踏みません」

銀髪「……また記憶を消すと言うならお前でも容赦はしないぞガキ」

八重歯「ガキ? 外見の話ですかー? 冗談ですよね、ロリと大差ない見た目で」クス

261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 03:01:59.61 ID:UY76O7zKO
銀髪「……言うようになったな。女のケツばかり追い回していた子供だった頃のお前は可愛かったよ」

八重歯「やめてください。褒めないでください」
八重歯「昔の話はしないでくださいよ。眼帯の事だって、女さんに教えてあげても良いんですよ?」

銀髪「……見損なわせるな。八重歯」

八重歯「カッコイイじゃないですか。女性を守るために名誉の負傷。片目には名誉の勲章」
八重歯「男子かくあるべき。というか……重いですよね正直」ハァ

銀髪「重いのはお前の方だと思うが……」

八重歯「……重いのはアンタの罪だよ」
八重歯「これ以上茶化すと、あの人に言うしかなくなりますけど?」

銀髪「……」

八重歯「どうしました? 黙りこんで」クス

銀髪「……女、お前は出ていけ。今のコイツは見せられない」

八重歯「は?」

女「………………」

262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 03:09:39.75 ID:UY76O7zKO
女「……」

八重歯「ほら、帰ろう? ここに居たって楽しいことなんか無いよ」

女「どうしたんだよ八重歯……」

八重歯「なにが? どうもしないよ」
八重歯「どうして嘘を吐いたの?」

八重歯「ねえ、やっぱりコイツの方が大事なんだ」

女「ちがう……話を聞いてくれ」

八重歯「なにが!? なんの話を聞けって!??」
八重歯「楽しそうだよね嬉しそうだよ姉さんと話している時の女さんはっ!」

銀髪「……」

八重歯「殺されずに済んでも、記憶を無くして…」
八重歯「……ようやく、妹でしかなかった私の方も向いてもらえると思ったのに…」

女「……」

八重歯「だからっ、私が、一番初めにアナタを見つけたのに!!」ヒック

女「…………八重歯」

266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 03:24:08.10 ID:UY76O7zKO
八重歯「もう、全部台無し…」
八重歯「……やっぱり、会わせたりなんかしなければ良かった…」グスッ

女「……私は」
八重歯「また、嘘を吐くんでしょう」

女「……私は…」
女「……お前を一番に想っている」
八重歯「今さら……ニヤついた顔だって見ていたんだから私は…」

女「……言っただろう?」
女「よく、考えて想った…」

女「『やっぱり八重歯が一番の親友だ』……って」
八重歯「っ」

女「その……八重歯が私をそんなに大事に想ってくれていた事は、驚いたよ」
八重歯「どうせ、子供なんです……私は、どうやっても女さんにはなれません」ポロッ
女「……そこだよな」

八重歯「……」ヒック
女「今の……女の子らしい八重歯の方が、私は…………可愛いと思う」
八重歯「……っ」

女「ほら……私の真似なんだろう?」
女「私自身には恋愛感情を抱くのは難しいっていうか……」ナデ

八重歯「…………撫でるな……ばか…」グス

銀髪「…………はぁ~…」フゥ

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 03:31:20.16 ID:UY76O7zKO
八重歯「……」グシュ

女「……落ち着いた?」

八重歯「…………」コク

女「……良かった」
女「(割りと本当に……)」ハァ

八重歯「女さん」

女「……なんか、慣れないな。敬語を使われるの」

八重歯「私にとってはこっちが普通なんです…」
八重歯「……今度からは、背伸びをするのをやめて。また少し低い目線から向き合っていきたいと思います」

女「……ああ」

八重歯「やっぱり。この方が落ち着きます」

女「そうか、私も今の方が八重歯らしいんだなと思うよ」

八重歯「……はい」ニコ

銀髪「……良い雰囲気のところ悪いんだけどさ…」
銀髪「……ちゃぶ台がひっくり返って大惨事だから片付けろ」ハァ

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 03:40:53.02 ID:UY76O7zKO
――…

八重歯「女さん、朝ご飯。出来ましたよ」コトッ

女「ありがとう」ニコ

八重歯「……」ジィ

女「……」パク

女「うん、美味しい」

八重歯「……ヨシ」

女「日に日に上達するなあ八重歯は」ナデ

八重歯「ん……はい、毒味役がいますから」ニコッ

銀髪「……女。お前の幸せな朝食は、私が毎朝 舌を辛くしている上で成り立っている事を、美味と一緒に五臓六腑に染み渡らせてわかるように」
女「はは……お疲れさまです」

八重歯「もう少し塩味を強くした方が……」ブツ
女「……八重歯」

八重歯「?」

女「今の八重歯は庇護欲が湧かされて、すごくカワイイなー」ナデナデ

八重歯「……そう、ですか」カァ
プイ

274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 03:53:53.20 ID:UY76O7zKO


 この村が隠している秘密には、あれから深く関わらないようにしている。

 それは銀髪さんが教えてくれないという事もそうだが…
 ……八重歯が、嫌がるからという理由が大きいだろう。

 いま私たちは、再び前のように三人で暮らしている。
 村の秘密は、やっぱりまだ気になるけど……

女「……八重歯」

八重歯「は、はい」

女「……やーえば」

八重歯「……はい…」テレ

 この生活を崩す事と私の好奇心。秤に乗せると、やはり……この生活が勝ってしまう。

女「八重歯、耳かきしてやるよ。ほら、頭のせて」ポンポン

八重歯「ひ、ひざまくら……ですか」ゴクリ

銀髪「……楽しそうなところ悪いが、ちゃぶ台の上の食べたものを片してからにしてくれ」ハァ

 この生活が続いていく。私にとって、他に敵うもののない――…これが、かけがえない。幸せなのだから。


     ‐YAEBA END‐

413: ◆0f/9jKtPus 2012/02/27(月) 20:00:18.10 ID:UY76O7zKO
●●●〇〇〇〇●〇〇〇〇〇●〇〇●〇〇〇◆◇◇☆ ■□□□□ ▼


――…

女『やーえーばーあーつーい~』

八重歯「言うなよ……余計に暑くなるだろ…」ハァ

 ジリジリと太陽光が全身を焼いていく。
 ただでさえ畑仕事で小麦色に染まった肌が、このままだとこんがりウェルダンである。
 ウルトラバイオレットを遮光性の弱い障子越しに浴びながら、私と八重歯はムッとするような熱気に負けてしまっていた。

女「エアコン……扇風機…」

八重歯「すぐに文明の利器に頼ろうとするな。"納涼"という素晴らしい言葉があってだな……」

女「……工夫をして暑さをしのぐ事だろう」
女「風鈴は?」
八重歯「ない」

女「じゃあ森林浴とか? 川の方にいけば……」

八重歯「川に行くくらいなら、ここで蒸し焼きになることを選ぶ」
女「……」ハァ

 ウェルダンよりは美味しくいただけそうな提案だが……ならば、さながらこの家はカマドか。同じカマド料理なら、今は久しいピザが食べたい。

女「川の本流じゃなくてもさ、村に流れている小さいのがあるだろう?」
八重歯「……金髪さんに頼めば、水着くらい都合をつけてくれるかもな…」ウーン

426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:15:13.39 ID:UY76O7zKO
――…

金髪『水着……ですか』

八重歯「ウチには水着らしい水着なんて無いし……」

女「その前に、水着はあるんですか? この村に」

八重歯「失礼なやつだな……あるよ。隣の村から仕入れてくるんだ」

女「隣の村から……」

金髪「とても残念なのですが…」
金髪「……ほとんどの水着は他の住人の方々が先に借り入れてしまったので、ありません」

八重歯「なっ」

女「……そうか、まあ行動に出るのが遅かったからな…仕方ない」

金髪「残っている水着はあるのですが……」スッ

女「…………これは……」

八重歯「……仲間内ではあの酒飲みか、ロリくらいしか着れないな…」

金髪「……ここに空気を通す穴がありまして、中々に理にかなってる代物ですよ」ニコ

430: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:21:53.54 ID:UY76O7zKO
――…
ザワザワ…ワイワイ

ピピッ

ロリ『はい女さんの勝ち~!』

八重歯「……ああもうっ、次は負けねえ!」

女「……」チラ

ワイワイ キャッキャ

女「向こうでは皆が川で水浴びをしているのに…」
女「……こっちでは、50m走か」ハァ

八重歯「落ち込むなよ。これはこれで気分がさっぱりするなぞ」ニコ

女「……それに、ストップウォッチなんてどこから持ってきたんだ?」

ピピッ
ロリ「ホラっ、ピッタシっ!」

八重歯「すげーコンマ00まで丁度だ」

女「『20:00:00.00』……どんなストップウォッチだ」タラ

438: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:33:20.44 ID:UY76O7zKO
ロリ「皆は、中川の方で遊んでたよ?」

女「"皆"?」

八重歯「ああ、ポニテや他の村人も……大体皆だな」

女「考えることは皆同じということか……」

『……女さん』

女「?」

金髪『先程はお力になれず……』

女「ああ、早い者勝ちですし。後で足くらいは浸からせてもらうので、それで十分ですよ」ニコ

金髪「……私のを代わりに貸せたら良かったのですが…」スッ

女「……」
女「私も、細い方ではありますけど……金髪さんのなら少しサイズが…」ポリ

金髪「すみません、付けたくても脂肪が付かないんです」ハァ

八重歯「……女の言う"サイズ"って、ウエストやヒップの事じゃ無いと思うんだが…」

ロリ「……それを言ったら色々と終わっちゃうよ八重歯…」

440: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:43:27.65 ID:UY76O7zKO
女「でも、スレンダーな女性の方がモテますよ」

金髪「そうでしょうか……」

女「男性目線からすればまた違うとは思いますが、同性から見たら羨ましいくらいの…こう……シュッとした感じです」

金髪「やだ女さんったら。……照れます」

八重歯「……たしかにシュッとしてるな、こう…シュッと」シュッ

ロリ「八重歯……八重歯って意外と命知らずだよね」

『おーい金髪さ~ん』

金髪「?」

村人B『……あれ?』金髪「……どうか、しましたか?」

村人B「ええと……」チラ

金髪「……」

村人B「先ほど会った時はこう……タユーンとした感じで…」

八重歯「今はシュッとした感じということか」
村人B「そうですそうです」ニコ

金髪「…………あのバカ…」

ロリ「……あのお馬鹿さんしかいないね」ムゥ

444: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:50:01.29 ID:UY76O7zKO
ロリ「捜します?」

金髪「……いえ、本人を捜すのは骨が折れます」
金髪「手綱を握っている人間を見つけた方が早いでしょう」

ロリ「……女さん、八重歯」

女「? どうした」

ロリ「看護士さんか、メイドさんがここら辺にいるか捜すのを手伝ってほしいんだけど、良いかな?」ニコ

女「看護士さんと、メイドさん……構わないが」

八重歯「……また一悶着お越しに来たのか…」ハァ

女「?」

――…

女「看護士さん看護士さん……メイドさんメイドさん……」キョロ

女「あっ」

看護士『日射病予防に水を配ってま~す』ニコ

女「いたいた……」フゥ

450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:54:00.72 ID:UY76O7zKO
女「すみませーん」

看護士「あっ」
看護士「お水ですか?」ニコッ

女「あっ、いや。ちがうんです」
女「友達が貴方を探していて……」

看護士「お友達が……まあ」
看護士「それで、そのお友達というのはどなたでしょうか?」ニコ

女『ええと……』

①金髪さん
②ロリ

安価>>452

452: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 20:54:38.10 ID:r8Qz9sOT0


だれかで今後のストーリーがかわるのか

455: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:00:49.17 ID:UY76O7zKO
女「金髪さんです」

看護士「…………まあ」
看護士「金髪さんが私をお呼びになっているんですか……」

看護士「……うーん」
看護士「それでは、早急に出向かないといけませんね」ニコ

女「はあ……助かります」

看護士「では、ほんの2、3分だけお時間をください。すぐに戻りますので」ニコニコ

女「私は……構いませんが」

――…

看護士「お待たせしました。では、行きましょうか」

女「はい。場所は中川のここから少し…」

――…

金髪「……」

看護士「……」ニコ

女「金髪さんが立ちながら貧乏ゆすりしている……」

ロリ「女さんには見せたくないと思うんだけど、今は短気が勝っちゃってる状態みたい」

458: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:08:26.65 ID:UY76O7zKO
金髪「……どこにいます?」

看護士「どなたがですか?」ニコ

金髪「決まっているでしょう。貴女が連れてきたあの女の事です」

看護士「正確には勝手に飛び出したあの人を追って来たのですが…」
看護士「……なにぶん、今は看護士なので。人命の安全を保証する事の方が優先されます」ニコ

金髪「……」
金髪「…………女さん」

女「? はい」

金髪「もしかして、この看護士さんは……見つけてた後にどこかへ行きましたか?」

女「ええと、なにか用があるみたいでしたので2、3分ほどどこかへ……」

金髪「……」
金髪「……逃がしましたわね」

看護士「さあ、なんのことでしょうか」

金髪「好き勝手に動き回らないようにと厳重に言い付けてあるはずですが」

看護士「それは……すみません。あの人は人に縛られないので…私からお詫びします」ニコ

463: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:16:44.92 ID:UY76O7zKO
ロリ「女さん」ヒソ

女「?」

ロリ「もしかして、金髪さんの名前を出した?」

女「……うん。まずかったかな」

ロリ「あー……、言っておかなかったこっちのミスだから。気にしないで」
ロリ「と、なると…」

金髪「となると、もうこの場には居ないという事…」
金髪「……呼び立ててすみません。話はこれで済みました」

看護士「そうですか」
看護士「それでは……皆さん。日射病にはお気をつけください」ペコ

――…

女「あー、大分涼しくなってきたな……」ピチャピチャ
八重歯「足だけでも、冷たくて気持ち良いな」バシャバシャ

ロリ「八重歯~うるさいよー」チャプチャプ

八重歯「……って、お前はちゃっかり水着着てるのかよ」

ロリ「だってー、金髪さんが余ってるから着て良いって。」
ロリ「ホラ見て見てっ、ここに空気が通る穴が空いてるんだよー」ビヨーン

女「こらこら、あまり引っ張るもんじゃないぞ」タラ

466: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:28:06.26 ID:UY76O7zKO
――…

女「ふう、遊んだ遊んだ」

女「……おっ」

女「あれは…」
女「金髪さーん」フリ

『?』

女「先に帰ったんじゃなかったんですか? どうしてここに……」

『いや、とりあえず家の方はあの悪魔が包囲しているだろうからさ……怒りが冷めるまでどこかに姿を隠そうと思って』

女「?」
女「なんか……少し、いつもと感じが違いますね」
『……』

女「……というか」
女「胸になにを入れてるんですか? 中川で食べなかったスイカですか??」

『……スイカかー、私も皆と食べたかったな~』タユン

女「……変な事を言いますが」
女「もしかして、金髪さんじゃない……とか?」

『っ……』

女「(…………あやしい)」フム

469: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:34:15.99 ID:UY76O7zKO
『……そうだ』

『私に……付いてきてよ』ニコ

女「?」

女『……それは』

①良いですが……
②やめておきます

安価>>475

475: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:35:53.88 ID:0S8jA0UC0

480: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/27(月) 21:40:23.47 ID:UY76O7zKO
女「折角のお誘いですが……これからというのは」

『…………そう』
『とても、残念だ』

『それじゃあ、またどこかで会ったら。よろしくね~』ニコ
スタスタスタ…


女「……」
女「コロコロと表情の変わる人だな…」

女「金髪さんの家族なんだろうけど……」

女「……金髪さんの華奢な身体に、あの胸…」

女「……とんでもないものを見たような気がする」フム

545: ◆0f/9jKtPus 2012/02/28(火) 01:34:45.51 ID:lyKGaMhgO
女「なんにせよ、今度金髪さんに聞こう」
『やめておいた方が良いと思うわ』

女「?」
女「……貴方は」

黒髪『初対面の人間が何を言うんだと思うでしょうけど』
黒髪「あの女に近づくのは止すことね」サラ

女「……」
女「それは、金髪さんの事ですよね?」

黒髪「話の流れからいって他の誰がいるのかしら」
黒髪「聞いていたほど頭が回るワケじゃないみたいね」

女「……今まさに『初対面が何を言うんだ』と思いました」

黒髪「あらそう。でも頭が回りすぎてもダメらしいわよ」
黒髪「過去に動き過ぎて消された子がいるって話だし……」

黒髪「でもさっき、あの子の誘いを断ったのは賢明ね」
黒髪「首を突っ込むと簡単にトばされるから。歩く断頭台みたいな女だから」フゥ

女「……?」

551: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 01:45:18.83 ID:lyKGaMhgO
女「先に会った女性は、金髪さんのご親族の方ですよね?」
女「双子の片割れと言われても納得出来るくらい似ていましたけど」

黒髪「……貴女」
黒髪「その口調、どうにかならないかしら」

女「?」
女「どこかおかしいところでも?」

黒髪「大アリね」
黒髪「素の口調じゃないわよねソレ」

黒髪「大根役者が一番に見つけた時は男性口調だったじゃない」

女「……」
女「どこかで見ていらしたんですね」

黒髪「私には隠さなくていいわ」

女「……まあ、特に隠していたものでもないけど」

黒髪「? 隠しているのは口調じゃなくて、女食いのスケコマシってところよ」

女「ソースは誰だよ縛り上げてやる」

黒髪「まあこわい言い方…私も襲われるのかしら」

女「……"も"ってなんだよ人をまるで強 魔みたいに言うな」ハァ

553: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 02:00:10.50 ID:lyKGaMhgO
黒髪「ごめんなさい。今のは私の、貴女へ寄せるイメージが記憶を捏造する形となって現れただけよ」

女「どんなイメージで私を見てるんだよ」

黒髪「? 美人強 魔だけど」

女「それは喜ぶべきなのか怒って然るべきなのか……」タラ

黒髪「怒るところよ。美少女●犯罪者さん」

女「ああわかった殴って然るべきところだな」

黒髪「乱暴はやめて。こんなところで」

女「他の場所なら良いのか……」アセ

黒髪「そうね…」

女「おい」

黒髪「……他の場所で話をした方が良さそうだわ」
黒髪「今度、貴女とまたお話をしたいのだけれど。いいかしら?」

女「この流れでOKをもらえると思ってそうなのが驚きだ」
女「……まあ、今度な」

黒髪「本当は人目が無いところが良いのだけれど……それだと襲われてしまうわね」フム

女「真剣な顔でアホな事言わないでほしい……切実に」ハァ

555: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 02:09:25.33 ID:lyKGaMhgO
――…

女「今日は色々あったよ」パク

八重歯「ほう……あれから何かあったのか」モグ

女「実はさあ…」
女「(……)」

女「(黒髪の女の事も言うべきだろうか…)」
女「(ふざけた事を言っていたけど、話の内容自体は、人目が無いところでしたいっていう秘密裏的な匂いを出していたし)」

女「……」

女『実はね……』

①メロンな金髪さんに誘われた事を話す
②黒髪のところまで話す
③何も無かったと言う

安価>>560

561: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 02:12:12.19 ID:Qx3Fna5g0
2

563: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 02:22:43.69 ID:lyKGaMhgO
女「金髪さんそっくりの女の子に会ってさ」

八重歯「……」
八重歯「もしかして、胸が毎日増量キャンペーン中のアレか」

女「やっぱり知っているか。そうそう、その人。金髪さんとは双子かなにか?」

八重歯「……まあ、そんなところだ」

女「そうか……」
女「『付いてきて』なんて言われたんだけどさ」

八重歯「っ」
八重歯「それで、どうした?」

女「断ったよ。なんとなく気乗りしなかったし」パク

八重歯「……そうか」
八重歯「ナイス判断だ。もし次も同じような事があったら……」

女「ああ、その後に黒髪の綺麗な人に会ってさ」

八重歯「……」
八重歯「次から次へと…こっちの身が持たないぞ……」ハァ

566: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 02:35:57.34 ID:lyKGaMhgO
女「饒舌な人だったな……」

八重歯「黒髪だろうが、あまり深く付き合うのはやめておけよ?」
八重歯「それに、饒舌ときたか」フム

女「仲良くなったらマズイのか?」

八重歯「まあ、仲良くなりたくてなれる相手でもないか…」
八重歯「……あまり人とは話をしないんだよ」

女「……好き勝手なことを言われたんだが」

八重歯「女はつくづく変なのに好かれるタチなんだな」

女「八重歯も含めてか」

八重歯「うるさいわ」
八重歯「人の気も知らないで……」ムゥ

――…
ザクッ ザクッ

女「ふぅ…、休憩にするか」

『休憩ついでに女の子をそこらの茂みに連れ込む気かしら』

女「……振り返らなくとも誰だかわかるぞ」タラ

568: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 02:48:16.18 ID:lyKGaMhgO
女「それで、今日はなんの用でしょうか」

黒髪「いちいち口調の事、指摘しないと直してくれないのかしら」

女「別に、構わないと思いますけど」

黒髪「素を隠している人間に、本音をさらけ出す気にはなれないじゃない」

女「まず貴方が胡散臭いので。信用するまでこのまま変えません」

黒髪「そう……それもそうね」
黒髪「それにしても、毎日大変ね。畑仕事なんて」

女「仕方ないですよ。食べるためですし…」
女「……それに、案外楽しいですよ」ニコ

黒髪「……」
黒髪「源氏物語的に、小さい子を好みの大きさまで育てる楽しみを農作業に見いだした。と」
黒髪「おそろしい子 女「お前の発想がだよ」

黒髪「あら、言葉遣い。戻ってるわよ」

女「……うるさいな、用件はなんなんだ?」

黒髪「今日は特に無いけど……?」

女「なにしに来たんだよ……」

572: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 03:02:03.88 ID:lyKGaMhgO
黒髪「親交を深めに来たのよ」クス

女「深まるというか、深い亀裂は走ってるよそこかしこに」

黒髪「なるほど。ソレを埋められた時、真の友情が築き上げられるわけね」

八重歯『なにしに来たんだよ』

黒髪「あら……」

八重歯「昨日女の話を聞いたから張っていたら案の定これだ」
八重歯「これ以上関わるな」

黒髪「それを言う資格が貴方にあるのかしら」

八重歯「あるよ。女を守るのは私だからな」

黒髪「……一生懸命に誰かを演じて」
黒髪「素の自分を隠している人間がよく人のことを言えるわね」

八重歯「……おい」

黒髪「視線だけで●まされそうなくらいの凄い睨みね。野蛮だわ」

八重歯「……いい加減にしろよ」

黒髪「力加減が下手なのは貴女の方だと思うのだけれど」
黒髪「鍬の持ちすぎで力が付きすぎたんじゃないのかしら」

八重歯「……」イラ

574: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 03:12:49.06 ID:lyKGaMhgO
黒髪「その実は、ゴリラの仮面を被ったお猿さんだもの」

八重歯「……調子に乗りすぎだぞ」

黒髪「西ローランド八重歯さんの学名は『ヤエバヤエバヤエバ』かしら」フム

八重歯「よくわからないが、アホほど馬鹿にされてるのは伝わった」ビキ
八重歯「……次は無いぞ」

八重歯「帰れ。飼い主にもアンタの事は言っておくからな」

黒髪「……私も、貴女の1トンの握力に立ち向かう気は無いわ」
黒髪「それでは……またね、女さん」フリ
スタスタ…

八重歯「二度と来るな!」
八重歯「ったく……」

八重歯「塩撒いとけ塩っ」

女「……」
八重歯「女?」

女「この村には学校というものが無いが、やけに余計な知識を蓄えているみたいだな……」フム

578: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 03:26:26.42 ID:lyKGaMhgO
――…【集会所】
ザワザワ…

女「ん~」ノビ

黒髪「おヘソをちらつかせて、誰かれ構わず誘惑しているのかしら」

女「…………八重歯に見られたらまた怒られるぞ」

黒髪「困ったものね。八重歯さんにも」

女「お前の方が厄介だよ」
女「八重歯なだって失礼な事ばかり言って」

黒髪「豹の皮を被った仔猫さんっていうアレのことかしら?」

女「どんな都合の良いねじ曲げ方をしたら仔猫と猿を間違えるんだよ」

黒髪「あの子って、畑仕事なんて柄じゃないと思うの」

女「……お前にしてはまともな事を言うな。たしかにそうだ」

黒髪「身体の線だって細いし、顔つきだって可愛らしいし。意外と着痩せするタイプだから腹が立つわね」

女「おいおい、本音駄々漏れだぞ」タラ

黒髪「……冗談は、ここまでにして」
黒髪「先日、八重歯さんの報告によって。私がお世話になっている家主さんがとても不機嫌なの」

女「完全に自業自得だけどな」

688: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:00:03.53 ID:lyKGaMhgO
女「お世話になってる家主さん……って、居候でもしているのか?」

黒髪「ええ」
黒髪「お世話になってる身だから、片身が狭くて……」フゥ

女「居候なんだから多少の不都合は覚悟しておくべきだな」
女「そういえば、お前が畑仕事しているところを見たことないな」

黒髪「家主が『働かなくていい』って言ってくれるからお言葉に甘えているのよ」
女「それは……甲斐性のある家主さんだ」

黒髪「だから、日常的に暇なの」
黒髪「家で本を読んだり、情報収集したり…後は日課の散歩くらいかしら」

女「良い身分だな…」
女「……情報収集というのはどんな情報を集めてるんだ?」

黒髪「そうね」
黒髪「機が熟したら教えるわ」

女「なにを大袈裟な……」
女「じゃあ今は散歩の途中、ってワケか」

黒髪「家主に会いたくないから逃げてきた、という解釈でも間違いはないわ」

女「間違いはないというより、それが理由なんだろ……」ハァ

694: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:12:28.84 ID:lyKGaMhgO
女「早い内に謝っておいた方が良いと思うけど」

黒髪「いま謝っても、後で謝っても結果は一緒」
黒髪「あの人は約束や決まり事を破る事を一番に嫌がる人だから」

黒髪「時間をおいたら怒りがおさまる。なんてことはないでしょうね」ハァ

女「どっちでも一緒なら、いま謝ってこい。楽になるぞ」

黒髪「楽になりずきて天国に召されないかしら」
黒髪「というか、八割方死んだようなものかもしれないわね」

女「……酷い折檻を受けるとか?」

黒髪「……少し、キツく怒られるだけよ」
黒髪「二回目は確実に死体となっているでしょうけど」

女「……」

黒髪「…………冗談よ」

女「……」
女「いや……、大変なんだなお前も色々と」

697: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:24:04.11 ID:lyKGaMhgO
黒髪「……」
黒髪「貴女が一緒なら、また違うかもしれないわ」

女「? 私が??」

黒髪「貴女を連れていけばまた違うかもしれないということよ」

女「それは……確かに、他人の私がいれば強くは怒れないかもしれないけど」
女「根本的な解決になっていないんじゃないか」

黒髪「今死ぬか後で死ぬかの差よ」

女「……その二択なら後の方が良いな…」

黒髪「どうかしら? 付いてきてもらえる??」

女「そうだな……」

女『…………』

①……仕方ない。
②やっぱり行けない。

安価>>703

703: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:26:38.69 ID:CamuMv2S0
1

706: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:36:50.05 ID:lyKGaMhgO
女「仕方ない。付いて行けば良いんだろう?」ハァ
女「(黒髪と一緒に行動する事、八重歯にはバレないようにしないとな……)」

黒髪「なにしてるの? その足は飾りかなにかかしら」

女「……お前は、次から次に人を小馬鹿にして…」


『あ……あの、黒髪さん』
『楽しそうだね、私たちも混ざって良い?』

黒髪「……」

女「……おい、話しかけられてるぞ」

黒髪「……」フイ
スタスタ…

女「あっ、おい!」

――…

女「……あれから何度か話しかけられて、全部無視なんてどういうつもりだ?」タラ

黒髪「……信用出来ない人間とは話をすることすら拒否反応が出るわ」

女「……」ハァ
女「……生き辛そうな性格してるんだな」

黒髪「そう? ありがとう」

708: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:48:27.28 ID:lyKGaMhgO
――…【黒髪 宅】

女「へえ……予想より遥かにデカい敷地だな」
女「門から玄関までの道のりが、ウチとは何十倍もあるぞ」

黒髪「こっちよ」
スタスタ…

女「マイペースというか、つくづく人に気を使わない女だな」

――…

ガラッ
黒髪「………………ただいま」

女「壁に鹿の剥製って…」
女「……それも十や二十じゃきかないんだが」

黒髪「"鹿廊下"。そっちの道は、死にたくなったら踏み込んでみたらいいわ」
黒髪「気分の良くなるお薬だっていただけると思うし」

女「……たしかに、ただただ不気味だよ」

『……おかえりなさいませ。黒髪様』

黒髪「ウチで働いてるメイドよ、集会所でも見たことあると思うけど」

メイド『中川の一件依頼ですね。よいこそいらっしゃいました』ペコ

女「……看護士さん?」

715: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 20:57:12.60 ID:lyKGaMhgO
女「その格好は……」

メイド「本業はメイドです。こちらのお屋敷で雇ってもらっています」

女「はあ」
女「(……オンオフがハッキリしているのか、普段とは真逆に冷淡さを感じる)」

黒髪「彼女は私が招待したの。部屋へお連れして」

メイド「……承知しました」
メイド「では、こちらの方へ」

女「……」

黒髪「私は、いま家の主人に話を通してくるから」
黒髪「それまで、タンスに閉まってある 着を漁らないようにお願いするわ」

女「人聞きの悪いことを言うな」
黒髪「そっちは"猫廊下"」

黒髪「『生きたいなら猫、死にたいなら鹿』……頭に入れておく事ね」

女「? ああ…」
女「……言う通り、こっちの廊下には猫の置物が溢れかえっているな」フム

721: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 21:07:53.62 ID:lyKGaMhgO
――…

女「……」ポリ
女「部屋に通されたのは良いんだけど…」

女「お茶うけをいただく以外にすることが無い……」

女「……」キョロ

女「にしても、凄い量の蔵書だな」
女「壁四面全てが本棚で囲まれている……」

女「ドアが無かったら方向感覚が無くなりそうだ」

女「……」パク


女「……」ポリポリ
女「……遅いな」チョビ

女「……」

女「……ったく 『いらっしゃい!』

女「っ」ビクッ

『驚かせちゃったかな? ごめんねー』ハハ

女「貴女も遊びに…」
女「……ん? 金髪さんじゃない…??」

726: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 21:19:18.56 ID:lyKGaMhgO
『一応、二度目だよね』ニコ
お嬢『呼び方は"お嬢"でいいよ。私も、女さんって呼ぶからさ』

女「お嬢……ですか? ええと…」

黒髪「この子はまな板さんの妹さんで、この家の当主をやってるわ」

女「妹さん? 歳の差を感じないくらい瓜二つだけど…」チラ

お嬢「?」ニッ
タユンタユン

女「……どっちがお姉さん、だったかわからなくなりそうだ」

お嬢「今日は何をしに来たの? なにか思い出したとか??」

女「いや……記憶を喪失している部分は相変わらず忘れたままですが…」

お嬢「…………そうか」
お嬢「思い出なんてまた作ればいいんだよ。うんうん」

女「……はあ」

黒髪「馴れ馴れしいでしょう」

女「お前は初対面から図々しいけどな」

730: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 21:28:46.74 ID:lyKGaMhgO
女「あっ、実は黒髪さんに誘われて……」

お嬢「ああいや、話はもう済んだよ」
お嬢「二回、約束を違えたら私の意思に関係なく罰を与えるけど。今回はもう許した」ニコ

女「そうですか……」ホッ
女「ん? なら私は必要なかったんじゃないか」

黒髪「いいえ。貴女は必要よ」

女「……?」

黒髪「この子のお守りをお願いしたいの」
黒髪「私も、毎日相手をするのは疲れるのよ」コキ

女「……まさに図々しいのお手本だな」
女「訪問販売とか向いてるんじゃないか」

黒髪「馬鹿馬鹿しいことを言ってないで…後は頼んだわよ。30分はお願い」

女「おい、勝手に決めるなよ」

お嬢「騒々しいなあ、女さん。とりあえずお話しようよ」

女「……」ハァ
女「わかりました。私も、色々と聞いて見たいことがありますし…」

737: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/28(火) 21:40:35.93 ID:lyKGaMhgO
――…

女「あの……」

お嬢「んー?」ニコニコ

女「なにか良いことでもあったんですか?」

お嬢「うん。現在進行形でね」

女「? そうですか……」

お嬢『銀髪』

女「?」

お嬢『村長のアホ婆』

女「? どうしました??」

お嬢『…………神様』

女「?」

お嬢「なにかピンとくる言葉はあった?」
女「い、いえ……」

お嬢「……そうかぁ」

女「(初めて、黒髪にこの場に居て欲しいと思ってるよ……)」

790: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 01:30:48.63 ID:Z7kxr4LcO
女「……金髪さんとは、一つ違いですか?」

お嬢「うん。一歳違い」
お嬢「そうだ、ゲームやろうよゲーム!」

女「ゲーム?」
女「どんな遊びですか?」

お嬢「ゲームは知っていたよね? ほら、器械の…液晶画面があって。光る……」

女「……?」

女「…………え?」

女「ゲームって、あのゲームですか?」

お嬢「そうだよ。二人でやれるものは無いけど」

女「どうして、この村にそんな物が……」

お嬢「漂流者のバックパックに入っていたんだよ」
お嬢「女の子と仲良くなって、付き合うやつだけど」

女「……美少女ゲームというやつか?」
女「複数人でプレイするゲームでは無いと記憶しているが……それに、電気は?」

お嬢「充電は女さんが…ええと、まあ適当に上手くやってるよっ」

795: ◆0f/9jKtPus 2012/02/29(水) 01:42:50.39 ID:Z7kxr4LcO
――…

ピコピコ…

GAME <美少女『また貴方? 一人にして欲しいんだけど』>

女「……ほら、一人にして欲しいんだってさ」

お嬢「一人にしてほしいって言うから、一人にしていたら仲良くなれないままゲームオーバーになるんだよ。おかしな話だよね」

ピコピコ…

お嬢「それにこの子、女さんに似てると思わない?」

女「……私は、こんなに目がつり上がってるだろうか…」

お嬢「うん。クールなところがまた似てる」
お嬢「何回やってもクリア出来ないんだけど……」

女「そういえば、充電はどうやってるって?」

お嬢「電池って、また充電出来るっていうから減ってきたら高台で入れるんだ」
お嬢「充電しても減るスピードが早くなってきて、そろそろやり辛いけど……」

女「……たしかに、電池は充電専用のモノでなくともある程度は電気を入れられるが…」フム
女「持ち運び用のゲーム器の画面を二人で見るのは少し首が痛くなってくるな……」コキ

797: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 01:57:37.88 ID:Z7kxr4LcO
女「という事は、高台…高台の建物? には、電気を作る機械でもあるということか」

GAME <美少女『修学旅行で熊に出くわすなんて……』>

お嬢「あっ、大変だ!」

女「北海道に来て山の中を好きに歩くからだよ……自由行動にしてはリスキーすぎる」

GAME <『フゥーハハハ!』>

GAME<美少女『この声はっ!?』>

GAME<主人公『俺、推参!!』>シュバッ

お嬢「カッコイイー!!」

女「まあ……高笑いはともかく、ピンチに駆けつけるのは格好良いよな確かに」

お嬢「一度で良いから言ってみたいなー…」
お嬢「……『〇〇推参!』とか、『こ、この声は!?』とか言われてみたい」ウンウン

女「……まずソレを言う機会が無いな」
女「多少、オーバーテクノロジーのような気もするが……」

黒髪『ただいま……って、またそのゲーム? いい加減一人くらいは落とせたのかしら』

799: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:05:42.32 ID:Z7kxr4LcO
女「知っているのか?」

黒髪「よくやらされたから。クリアは出来ていないけれど」
黒髪「一人の女の子とばかり仲良くしたら、他の子の高感度が落ちる。って……そこまでリアルに作る必要無いと思うわ」

黒髪「面倒だから放っておけば謎の爆発音がして、そうしたらもうクリアなんて出来そうも無いし」フゥ

女「……遅かったな、どこに行っていたんだ?」

黒髪「ああ、感謝するわ。おかげで有意義な時間を過ごせたから」クス

女「なにをしていたんだよ……」
女「そうだ」

女「(そろそろ帰らないと、八重歯に勘づかれるかも)」
女「すみません、そろそろ帰りたいんですけど」

お嬢「えぇ~もう?」

女「少し都合がありまして……」

お嬢「……それじゃあ、次に会う日取りの約束をしようか」

女「? 約束、ですか……??」

801: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:11:41.79 ID:Z7kxr4LcO
お嬢「うん。実はこっちも大事な約束が控えていてさ」
お嬢「三日後に、また遊んでくれないかな?」ニコ

女「三日後?」
女「……たぶん、大丈夫だとは思いますが」

お嬢「私が無事な確率は、10分の1くらいだと思うけど」

女「?」
女「よくわかりませんが……」

女『なら……』

①三日後、また会う
②明日も会いに来る
③八重歯のことがあるので、極力会わないようにする

安価>>807

807: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:16:11.47 ID:mJlpN+i30
2

811: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:25:09.85 ID:Z7kxr4LcO
女「三日後と言わずに、明日。また来ますよ」

お嬢「その提案は死ぬほど魅力的なんだけど~…」
お嬢「……実際に死んでしまったら、遊ぶどころの話じゃ無いと思うし」

女「……なにやら不穏な話ですね」

お嬢「こう見えて以外と修羅場を潜り抜けてきてるから」ハハ
お嬢「今度ばかりは、相手があの悪魔だから分が悪いけど……」

お嬢「やるだけやってみる。勿論負ける気は無いけどさ」ニコ

女「……そういえば、普段は何をしているんですか?」

お嬢「ああ、ウチは酒蔵だよ」
お嬢「そして私はさながらエクソシストというワケ」

女「……エクソシストはまあ、わかりましたが」

お嬢「絶対信じてないよね……」

黒髪「……」ハァ

女「……?」

814: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:33:13.09 ID:Z7kxr4LcO
――…

トボトボ…

女「今日は、来てよかったよ」

黒髪「……そう」

女「それにさっき、どうして溜め息なんてついたんだ?」

黒髪「…………ああ、あれね」
黒髪「連れてきておいて悪いのだけれど」

黒髪「この家にあまり足を踏み入れるのはお勧めしないわ」
黒髪「というよりキープアウト。立ち入り禁止よ」

女「……もう約束したから今さら遅いけどな」

黒髪「まあ、私の方も色々と収穫はあったし…」
黒髪「……付き合わせて悪かったわね」

黒髪「それと明日……気を付けてね」

女「? ああ……」

黒髪「……」
黒髪「それと…ポケットに入っている 着については、お礼として黙認しておくわ」フゥ

女「盗ってないから」ハァ

816: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:43:50.79 ID:Z7kxr4LcO
――…【黒髪 宅】
カァー カァー

女「遅くなったな……もう夕方だ」
女「……お」

金髪『あら……』

女「金髪さん」
金髪「女さん、どうしてこちらに?」

女「ああ、妹さんと遊ぶ約束を……」

金髪「……」
金髪「帰りなさい」

女「え?」

金髪「これは、命令です」
金髪『すぐにここから立ち去りなさい』

女「……金髪さん?」

女「(でも、会う約束だったし…)」
女「……」
女『じゃあ……』

①帰る
②帰らない
安価>>820

820: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:48:14.42 ID:QSrlRepNi

823: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 02:55:25.38 ID:Z7kxr4LcO
女「まず、一度妹さんと会ってから……」

金髪「……」
金髪「…………」

女「金髪さん?」

金髪「……言うことは聞いてくれない、と」
女「……すみません…」

金髪「……」
金髪「…………残念です」
スタスタ…

女「あ……」
女「……付いていって良いのかな」

女「とりあえず、呼び鈴が無い以上…中に入るしかないからな」

――…
お嬢「いらっしゃい」ニコ

金髪「……」

お嬢「……」

女「……? メイド「女様は中へどうぞ」

女「っ」ビクッ
女「あっ、はい……」

825: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:04:17.83 ID:Z7kxr4LcO
スタスタ…
女「……」チラ
女「(二人は……"鹿廊下"の方に歩いていったみたいだな)」

女「金髪さんはよく来るんですか?」
女「姉妹だから、当然か」ハハ

メイド「……いえ」
メイド「次に何度か来れば多い方で」
女「……そう、なんですか」

――…

女「ここは…客間かな」キョロ

女「とりあえずまたお茶うけで時間を潰すけど……」ハム
女「……」

――…
女「……遅い」

ガラッ

女「あっ、話が混みました?」

黒髪『……』
女「……なんだ、黒髪か」

黒髪「…………金髪に、会ったの?」
女「?」

829: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:10:21.37 ID:Z7kxr4LcO
女「会ったけど……」

黒髪「なにか言われた?」

女「お嬢と会う約束で来たら、『帰れ』って」

黒髪「それで、断ったの?」

女「だからここに居るんだけどな…断ったよ」
女「二度も聞かれたけど、帰るにせよお嬢に一言言いたかったし」

黒髪「……」

女「?」
女「いまお嬢を待ってるところなんだ」

黒髪「……」チッ

女「?」
金髪『あの子なら、今日はもう会いたくないとのことです』

女「あ、金髪さん」
女「そう……ですか」

金髪「ええ、ですからお引き取りください」ニコ

黒髪「……」

831: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:24:33.50 ID:Z7kxr4LcO
女「会いたくないというのは……?」
金髪「心変わりの激しい子ですから」ニコ

女「……そう、ですか」
女「では伝言を… 金髪「そうですね」

金髪「二日後、またいらしてくれたら都合が良いです」ニコ
女「都合って……お嬢の都合ですか?」

金髪「……」ニコ

女「たしかに、元々明後日に会いたいというのがお嬢の提案でしたが……」
金髪「……」ニコ

黒髪「……帰りなさい」
女「?」

黒髪「すぐによ。そして、八重歯さんにこう言うの…」
黒髪「……『銀髪に会わせてくれ』って」ヒソ

女「(銀髪?)」
女「とりあえず、今日のところは帰ります」ペコ

金髪「道中、お気をつけください」ニコ

ピシャッ

『見逃しなさい』『……なんの事ですか?』『…ヶ条の……を知らなかっただけ……』

女「……? 襖越しで、よく聞こえないけど。なにか揉めているのか…??」

833: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:31:14.79 ID:Z7kxr4LcO
――…

女「ただいまー」

八重歯「遅かったな。どこで道草食ってたんだ?」

女「道草というかお茶うけのお菓子というか……」

八重歯「そういえば」
八重歯「集会所でアンタと黒髪が楽しそうに話していたって、耳に入れたんだが」

女「……」
女「どう、だったかな…」

女「少しだけ話したような気もしたけど、天気の話くらいだよ……うん」

八重歯「……」ジィ…

女「(目がすわっていて怖い……)」

女「(そういえば、黒髪が八重歯になんか言えって言っていたな……)」チラ

八重歯「……」ジィ……

女「……」タラ
女「(とてもじゃないがいま黒髪の名前なんて出せないな……)」

834: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:35:56.93 ID:Z7kxr4LcO
――…二日後
【黒髪 宅】

女「たしか、今日だよな」

トントン

女「すみませーん」

ガラッ

メイド「……いらっしゃいませ」

女「あの……お嬢は…」

ペタ… ペタ…

お嬢『……』

女「ああ、お嬢。この前は都合が悪いみたいだったからさ」

お嬢「……」

お嬢「……」

女「?」

お嬢「……」

女「……どう、した?」

837: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:41:45.23 ID:Z7kxr4LcO
お嬢「……」
女「気分でも悪いのか?」

お嬢「そうだな」
お嬢「とりあえず上がれ。すぐに支度する」

女「支度?」

お嬢「ああ」

女「どこかに行くのか?」

お嬢「ああ」

女「……どこへ?」

お嬢「……付いてきてくれますよね~」

女「……」

女「どこに、行くんだ?」

お嬢「そうですね」

お嬢「ここから見えるだろう」


女「……」

お嬢『高台の建物』

841: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 03:51:34.87 ID:Z7kxr4LcO
――…【高台の建物】
女「ここって……禁止区域だよな」

お嬢「……」
お嬢「私は、ここの責任者だから。入っても良いんだ」ニコ
女「……責任者」

お嬢「ほら、案内するよ」
ギュッ

女「ちょっと、引っ張らなくても歩けるって」

お嬢「ごめんごめん」
女「それで、中にはなにがあるんだ?」

ギィ…

お嬢「……」
女「暗いな…証明のスイッチは……」

ガチャンッ

女「っ」

女「おい、なにも見えないぞ」


『非常に残念です』

女「?」

845: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 04:01:07.24 ID:Z7kxr4LcO
『一昨日。約束を反故にされました』

女「なにを言っているんだ、会いに行ったハズだけど」

『当主のお願いを聞き入れませんでした』

女「当主? 当主って誰だ??」

クス… クス…

女「……」

『ダブペナ。記憶。身体。』

女「? おい、まず明かりを……」


『命は……黒髪に免じて助けてあげる』

女「黒髪? 黒髪がなんだ??」

ダン… ダン……

『アイツが人と仲良くしてるところなんて、家に置いて以来初めて見たよ』

ダン…ダンダン……

女「……なんの音だ…」

849: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/29(水) 04:12:39.94 ID:Z7kxr4LcO
ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

女「っ!」

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン女「うるさいっ……ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン女「お嬢! 聞いているのかダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン黒髪は、最後までキミの心配をしていたよダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンあの子はダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン助けてあげてってさダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン女「……ダメだ、ドア…ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン黒髪からのダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン伝言ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン



『舌が無いから喋られなかったけど』


     ‐END‐