俺P「こ、っこれから、よろ、よろしく、オナシャス!」 

俺P「こ、っこれから、よろ、よろしく、オナシャス!」 その2

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 21:36:05.99 ID:h0dD4ZgT0
社長「おお、君!そこの君だよ君!」

春香「……え?」

社長「ピーンときたんだよ、ピーンと!」

社長「どうだね、アイドルになってみないかね?」

春香「え、アイドル……?わ、私がですか!?」

私のアイドル人生は、ここから始まった

引用元: 俺P「こ、っれから、よろ、よろしく、オナシャス!」 



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 21:41:31.81 ID:h0dD4ZgT0
とりえは?と聞かれると私はいつも返答に困る

有体に言ってしまえば、私にとりえなんてないからだ

そんな私は、将来の夢なんてひとつもなかったし、ましてやアイドルになるなんて考えてもみなかった

春香「ねぇ……、お母さん」

春香「私、その……アイドルになりたいんだけど、だめかな?」

春香「……っ!!」

春香「ご、ごめんなさい、でも、」

『なにを考えているの?』

春香「ね、ねぇねぇ……」」

春香「今度わたし、その、アイドルになるかも、なんて……」

春香「……っ!」

春香「あ、はは……そ、そうだよね、うん……」

『あなたが?なれるわけない』


だから最初は、周りに対する、ささやかな反抗だった

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 21:49:00.92 ID:h0dD4ZgT0
社長「……今日から、君たちの仲間に加わった天海春香君だ!」

春香「よ、よろしくお願いします……!」

真「よろしく!菊地真です!」

千早「如月千早です。いっしょに頑張りましょうね」

春香「あ、……はい!」

正直に言ってしまうと、私はこのとき安心したのだ

春香「(あ、なんだ……意外とアイドルを目指す子たちって、普通の子なんだ)」

その事務所に……765プロにいたアイドルたちはみんな、私と同じ、どこにでもいる普通の子に見えた

ただ、ひとつだけ違っているところはあった

アイドルを目指す彼女たちの瞳は、とてもきらきらと輝いていたのだ

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 21:52:20.78 ID:h0dD4ZgT0
千早「んあーっ!!んあーっ!!」

春香「んぁ……、んぁ……」

春香「うーん、ダメだ……」

春香「千早ちゃんって歌すっごく上手なんだね!」

千早「そ、そう?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 21:58:57.72 ID:h0dD4ZgT0
真「お、っと、っと、ここでターン!」

春香「あ、っれっれ、あ、あーっ!!」ドンガラガッシャーン!

春香「あーあ……また失敗しちゃった」

春香「真ってすごいダンスうまいよね!尊敬しちゃう」

真「そ、そうかな?まぁ踊るのは好きだからね」

私と同じように見えた彼女たちは、私と違ってとりえを持っていた

春香「(当たり前だよね……アイドル目指すんだもん)」

春香「(歌も踊りもへたっぴ……やっぱり私じゃアイドルなんて……)」

最初からわかっていたことだから、ショックは大きくなかった

むしろ、私が衝撃を受けたのは、

雪歩「は、はぎわら、ゆき、ほ……です。ょ、よろしくお願いしますぅ……」

やよい「うっうー!高槻やよいでーす!貧乏ですけど、精一杯頑張りマース!」

彼女たちの存在だった

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:04:55.98 ID:h0dD4ZgT0
雪歩……、雪歩はどう贔屓目に見ても、アイドルに向いているとは思えなかった

……このなんのとりえもない私よりも

雪歩「あぁ……お、お、男の人!!わ、わたし、やっぱり無理ですぅ……!!」

春香「ああ、ちょっと、雪歩!?」

雪歩には、男性恐怖症という、アイドルにとって致命的な欠陥があった

というより、人とのコミュニケーションが苦手なんだろう

雪歩「……うぅ、やっぱり私なんかがアイドルなんて無理ですぅ。穴を掘って埋まってますぅ……」

春香「そ、そんなことないよ雪歩!雪歩はこんなに可愛いんだから、いつか絶対たくさんのファンの人ができるよ」

可愛いだけのアイドルなんて星の数だけいる。わかってはいたが、私はいつもそうやって彼女を慰めた

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:11:20.96 ID:h0dD4ZgT0
やよい……、やよいはいつだって限界ぎりぎりに生きている、可愛そうな子だと、私は思った

春香「あ、どうしたのやよい?これからボイストレーニングだよ?」

やよい「あ……そ、その今日はわたし、弟たちの面倒見なきゃいけないんです」

春香「そうなんだ……ごめんね。引き止めちゃって」

やよい「いーえ、大丈夫ですよ。今日で遅れたぶんは、明日で取り返せますから」

やよい「……うっうー!明日も頑張りまーす!!」

空元気だ。見てて切なくなるくらいの。誰でも一目でそうとわかる

頑張ってもアイドルになれない人は星の数だけいる。わかっていたので、私には彼女を慰める言葉はなかった

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:18:23.79 ID:h0dD4ZgT0
私は彼女たちのおかげで、もう少しだけ765プロに残り続けることを決めた

こんな私でも、まだアイドルを目指してもいい……そんな免罪符を与えられた気がした

春香「…………」

真「……春香?」

春香「あ、あれ?どうかした?」

真「……春香は、たまにそうやって黙るときがあるよね」

春香「……そ、そうかな?」

醜い……私の心の中はとても醜いと、自覚はしていた

だけど私はこのときにはすでに、そういう自分を受け入れることができていた

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:23:16.61 ID:h0dD4ZgT0
765プロには次々と仲間が増えていった

真美「うっふっふ~ん。これで真美も、アイドルの仲間入りだね~ん」

美希「ふぁ……眠いけどミキ、アイドルになれたらいいなって思うの」

貴音「故郷の皆に……私の活躍をとどけて差し上げたいのです」

響「自分、沖縄から来たんだぞー!絶対、すっごいアイドルになってやるんだからな!」

彼女たちもアイドルを目指していた

彼女たちの瞳はきらきらと輝いていた

そんな輝きにあこがれて、私はこのとき、少しだけ……ほんの少しだけ、本気でアイドルを目指してみようと思った

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:27:29.98 ID:h0dD4ZgT0
彼女たちがアイドルになれるなら、私だって……違う

このときはマイナスの理由からではなく、純粋にやってみようと思ったのだ

彼女たちがなにがあってもくじけずに、ひたむきにアイドルを目指すその姿に、私はあこがれた

千早「春香っ!いまのところ音程はずしてる!」

春香「えっ!?ウソぉ……」

真「春香、ステップとちってるよ。曲をもっとよく聞いて」

春香「あ、う、うん」

春香「わ、わたし頑張るよ!」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:33:53.54 ID:h0dD4ZgT0
……だけど、終わりは突然に訪れた

律子「はい、皆聞いて!765プロから新ユニット、竜宮小町を結成します」

伊織「はーい!ナンバーワンアイドル伊織ちゃんが、ちゃちゃっとてっぺんとっちゃうわよ!!」

亜美「よっしゃーっ!!亜美、気合入れてがんばっちゃうよ~」

あずさ「あら~二人に置いてかれないようにがんばらなくっちゃ」

竜宮小町。アイドルからプロデューサーに転向した律子さんが、初めて作ったアイドルユニット

そのとき、私は確かに、夢の終わりを告げる鐘の音を聞いたのだ

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:42:13.13 ID:h0dD4ZgT0
終わりの音、絶望の音を、私たちは聞いた

『では、今週のオリコンチャートで1位をとりました皆さんに歌っていただきます』

『竜宮小町で、SMOKY THRILL』

やよい「……あ、伊織ちゃんたちだ」

真美「う、うん……亜美、すごいなぁ……」

真「ほ、ホントに、もうテレビに出れるなんて、ホントにすごいなぁ……!」

四角い箱の中で声援を受ける彼女たちの姿。それはとてもきれいで、華やかで、輝いていて、

私たちの心を砕くには十分なくらい……残酷な、光だった

春香「(あ……終わったんだな)」

春香「(これでみんな……もう終わりなんだ)」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:48:26.95 ID:h0dD4ZgT0
私はその夜、涙を流した

アイドルの夢が終わってしまったことに?……違う。そうじゃない

皆と一緒に、頑張って、努力して、歌って、踊って、笑いあって……そんな、特別な日々が

なんのとりえもない私が、少しでも特別になれた気がする、そんな日々が終わってしまったこと

それが、どうしようもなく悲しかったのだ

春香「うぅ……う、……みんな」

春香「みんな、いままでありがとう……さようなら」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 22:54:20.81 ID:h0dD4ZgT0
私は次の日、765プロからの辞意を記した書類を胸にしまって、歩きなれた道を進んだ

いくらなんでも早すぎる……そう思わなくもなかったが、他の皆だって遅かれ早かれこうする運命なのだ

だったら、決断は早いに越したことはない

私は昨夜考えた皆へのお別れの言葉を復習しながら、事務所の扉を開いた

ギィ……

真「あ、春香!」

やよい「春香さん、おはようございまーす!」

春香「……え?」

そこにあったのは、昨日までと変わらない、765プロの姿だった

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:01:13.41 ID:h0dD4ZgT0
春香「な、なんで……みんな……?」

千早「……?どうしたの春香。変な顔して」

真美「ホントだ~!はるるんの顔芸面白いですぞ~」

砕けたはずだ。壊れたはずだ。終わったはずだった

全員、竜宮小町の成功で、思い知ったはずだった

現実の、残酷さを。自分たちの力のなさを。自分たちの夢のはかなさを

まさか自分だけ……?あれを見て心が砕けたのは自分だけ?

みんなの夢は、そんな程度で壊れるような、生半可なものじゃなかったの?

春香「……あ」

違った

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:09:06.52 ID:h0dD4ZgT0
貴音「悪い夢でも見ていたような表情ですね……」

響「睡眠不足はアイドルの敵だぞー?春香!」

美希「そうなの。ミキみたいにもっとよく寝た方がいいの」

違った。そうじゃなかった

やっぱり皆の心は砕けていた

皆の瞳にはもう……あのきらきらを見ることはできなかった

真「美希の場合はちょっと寝すぎじゃないか?」

ドッ ハハハハハハハハ!!

春香「は……ははは……そう、そうなんだ……」

皆は終わらせないつもりなのだ

アイドルの夢を……?違う

一緒に、頑張って、努力して、歌って、踊って、笑いあって……そんな、

生ぬるくて、あたたかい、平和な日々を

……ウソで塗り固めて、続けようとしていた

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:17:18.25 ID:h0dD4ZgT0
どこにも行かない。これ以上進まない

ずっとここに留まって、都合の良い夢だけを、見続ける

それが皆の、選択だった

そうか、そうなのか

それなら、私は……

春香「……ねぇみんな!私ね、皆にクッキーやいてきたんだ。皆で食べよう」

やよい「ホントですか?うっうー!私食べたいです!」

春香「はいはい。ちょっと待ってね、これを取って、と……」

千早「……春香?その紙はなに?」

春香「ううん。なんでもないよ。気にしないで……」

私は、それに結び付けていたお別れの手紙と、胸にしまってあった書類を、

ぐちゃぐちゃに丸めて、ゴミ箱に、捨てた

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:23:24.93 ID:h0dD4ZgT0
それからは、またあの日々が戻ってきた

事務所のテレビに竜宮小町の活躍が映し出されても、私たちはもう動揺することはない

響「お!竜宮小町がまた出てるぞ!」

真「すごいよなぁ……いつかボクたちも、絶対あいつらに追いついてやろうな!」

そう言う真の瞳は、うつろに開いている

春香「そうだね……みんな、頑張ろうね!!」

空々しい。何もかもが空々しい

だけど心地よい、私の大切な、かけがえのない日常

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:30:53.47 ID:h0dD4ZgT0
今度こそ、ずっと、続くと思っていた

千早「春香っ!いまのところ音程はずしてる!」

春香「えっ!?ウソぉ……」

千早「もう……春香はしょうがないわね……ふふ」

春香「あ、はははは……」

壊れるはずがなかった……だってもう、壊れているんだから

真「春香、ステップとちってるよ。曲をもっとよく聞いて」

春香「あ、う、うん……!」

真「まったく、春香はしょうがないなぁ……」

春香「あ、はははは……」

砕けきった私たちは、これからもきっと砕け続けて、

お互いの傷を舐めあって、生き続けていくんだろう

そう思っていた……なのに、


俺P「こ、っれから、よろ、よろしく、オナシャス!」

あの人が、やって来た

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:38:31.51 ID:h0dD4ZgT0
プロデューサー、とその人は名乗った

いや、正確に言うとその人の言うことはよくわからず、社長がそう紹介してくれた

俺P「お、俺は、あの、俺はプロ、プりゅ、」

春香「お、落ち着いてください!聞いてますから!」

俺P「プロデューサー!お、俺、プロデューサー!」

春香「は?プロデューサーって・・・あなたが!?」

俺P「そ、そうっす・・・ハイ」

春香「え・・・」

私たちの中に、妙な部外者が立ち入ってくる。そんな不快感を感じるよりもまず、

こいつはなんなんだ、と思ったのを覚えている

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:42:44.28 ID:h0dD4ZgT0
だから、最初は気にもとめなかったのだ

正直に言おう、私は彼のことを心底どうでもよく思っていた

勝手に失敗して、勝手に嫌われて、勝手に落ち込んで、勝手にやめていくだろう……

そう思っていた

俺P「あ、あ、あ、あ、あ・・・・!!」

俺P「イ、ヒヒヒヒ・・・」

こんな奴だったのだから

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:48:42.30 ID:h0dD4ZgT0
この人の存在が私たちに与える影響はゼロのはずだと、そう思っていた

変わりなく日々を続いていく、そう思っていた……なのに、

そうだ、また、『なのに』だ

私が続くと思ったものは全てくつがえされる。いい加減うんざりだ

俺P「あ、そそ、そっすねー・・・あ、いや、うん、いん、いんじゃないっすか?」

……うるさい

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:52:44.20 ID:h0dD4ZgT0
俺P「だ、だから、君はダメじゃない!すごい!す、すごいんだって!」

……うるさいって

俺P「何でそんなこと言われなくちゃいけねーんだっ!!……って思ってる」

……だからどうした

俺P「おっりゃああああっ!!いまてめさわ、さわっただろコラシャス!!」

……日本語をしゃべれ

俺P「ちょ、ちょ、ストッ、コラシャス!!」

……だから、コラシャスってなんなんだ

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/06(日) 23:58:10.98 ID:h0dD4ZgT0
俺P「は、あ?え、あ、ハハハ?」

……笑うところじゃない

俺P「コラシャス!!!!!てめーらコラシャス!!」

……だから、やめてってば

俺P「どーんな種も蒔けば芽だつんです!!
   マルマルスーパースターッ!!」

……やめろ、やめろ

俺P「いっしょに帰ろう、響!!みんなが待ってる!」

……やめてよ、お願いだから

俺P「アイドルマスター、目指しましょうよ、みんなで!!」

やめてよ!

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:04:03.71 ID:Hgrwc/aK0
俺P「お、おざーすっ!」

『おはようございまーす!!』

俺P「あ、うん、ハハ……」

春香「(どうして、みんな……?)」

私は見てしまった

彼女たちの瞳が、あの頃のように輝いているのを

……プロデューサー

私はあなたを見くびっていたのでしょうか

あなたは私たちを変えてしまうのでしょうか

私の765プロはどこかへいってしまうのでしょうか

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:10:26.69 ID:Hgrwc/aK0
春香「(そんなことは……させない)」

私が続くと思ったものは全てくつがえされる?

それは、私が自分で行動を起こさなかったから。いつだって見ているだけだったから

春香「(『なのに』はもう、うんざりなんです、プロデューサー)」

私は、みんなを先には行かせない

全員そろって、ここにとどまろう

前になんか進まないで、傷を舐めあおう

私は、私の大切な765プロを、絶対に壊させない

春香「(それにはプロデューサー……)」


あなたは、いりません

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:19:15.51 ID:Hgrwc/aK0
…………

千早「え、プロデューサーが?そ、そんなことを?」

春香「う~ん、よく聞こえなかったけどね。独り言だったみたいだし」

春香「でもまぁ『あいつの楽曲なんて知るわけねーだろ。どマイナーアイドルのくせにって』」

春香「それはたしかに言ってたかなぁ……」

千早「そ、そんな……本当に?」

春香「うん……だってプロデューサー、千早ちゃんが聞いても、最初は答えてくれなかったんでしょ?」

千早「そう、だったわ……」

春香「それに、よく考えてみると、あの人って実はダメな人でしょ?」

春香「みんなの楽曲を全部覚えてるなんて、ちょっと信じられないなぁ……」

千早「そ、それは……」

春香「プロデューサーってああ見えて、誤魔化すのがうまいんだね」

千早「…………」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:24:36.09 ID:Hgrwc/aK0
…………

美希「……え、ハニーが?」

春香「うーん、この前真ちゃんといっしょに歩いてるの、偶然見ちゃったんだよね」

春香「『あいつ、俺のことバカにしてたくせに急に手のひら返しすぎ』って」

春香「『正直、うっとうしい』……真ちゃんに、相談してたみたいだね」

美希「ま、真クンに……?」

春香「真は、最初からプロデューサーのこと気にかけてたみたいだからね」

春香「やっぱり信じられるんじゃないかな……他の誰かより」

美希「そうなの……そうなのかな」

春香「うん……そうだよ?」

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:29:48.80 ID:Hgrwc/aK0
…………

真「……な、プロデューサーが!?」

春香「プロデューサーと美希がいっしょに歩いててね、私偶然見ちゃったんだけど」

春香「『いつまでも美希につっかかってきてうざい』」

春香「『お節介ってことがわかってないんだよな』とかなんとか、美希と話してみたい」

春香「ひどいよね……」

真「ぼ、ボクはそんなつもりじゃ……!!」

春香「うんうん、わかるよ」

春香「真は善意でやってるのにね、まぁ本人たちがそういってるんだし」

春香「もう関わらないであげたら?」

真「……そ、そうしたほうがいいのかな」

春香「うん……そうだよ?」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:36:30.35 ID:Hgrwc/aK0
…………

雪歩「……え、そ、そうなの?」

春香「うん、『仲間意識感じてんじゃねーよ』って」

春香「『あんなコミュ障でアイドルやれるわけねーだろ。いっしょにすんな』って」

雪歩「うそ……私は……」

春香「雪歩、なんだかんだ言ってプロデューサーにやさしくしてあげてたもんね」

春香「それが、プロデューサーにはそう見えてたらしいよ」

雪歩「そんな…………」

…………

春香「ふふ……プロデューサー」

春香「私はもう、ためらいませんから」

春香「あなたに消えてもらうためには、なんだってしますから」

春香「だから、覚悟して帰ってきてください」

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:37:50.00 ID:Hgrwc/aK0
…………

俺P「あーあ、とりあえずまぁ」

俺P「今日は帰って●●●●でもするか!」

158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:45:04.79 ID:Hgrwc/aK0
俺P「社長と音無さんに連絡は入れたし、」

俺P「響さんも疲れてるみたいだし、皆との顔合わせは明日でいいよな」

俺P「明日からまたアイドルプロデュース!」

俺P「それにはまず疲れた体を一新させないとな!●●●●で」

ガヤガヤ

女「オニーサン。安くしとくよ?」

俺P「い、いや、お、俺はいいです!!」

俺P「う、うわ……ここらへん怪しい店じゃん……」

?「……ねぇ、お兄さん」

163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:49:47.15 ID:Hgrwc/aK0
俺P「え、あ、?」

?「お兄さんだよ。ねぇ、ちょっと話し聞いてよ」

俺P「あ、お、俺?な、なに?」

?「ん、ちょっと……頼みがあるんだけど」

俺P「た、頼み……?」

?「探し物があるんだ。お兄さん、いっしょに探してくれない?」

俺P「……え?そ、それ、俺じゃなきゃだめなの?」

?「うん、ダメだよ。……私は、お兄さんがいいの」

俺P「う、ぶほっ!そ、そう!?」

俺P「(なんだ、女子高生にモテるとか、俺どうした!?)」

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:54:28.65 ID:Hgrwc/aK0
?「ふふ……やっぱりお兄さんなら聞いてくれると思ったんだぁ」

俺P「え、え?なん、なんで?」

?「え、だって……お兄さん優しそうだし、かっこいいし……」

俺P「ほ、ほほっ!?まじか!」

?「うん……ねぇ、腕組んでもいい?」

俺P「はいぃぃっっ!?ちょ、おま、コラシャス!」

?「え、ダメなの?」

俺P「い、いやむしろ、おっけー、かな。う、うん、そうだね!」

?「やったぁ!」

俺P「(なんなんだこれ……いつもの妄想じゃないよなこれ?)」

俺P「(つまり……俺にもついにモテ期が……!!)」

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 00:58:44.03 ID:Hgrwc/aK0
俺P「あ、あの、で、ど、どこに行くの?」

?「うん?……楽しいところだよ?」

俺P「そ、そう?」

俺P「(なんだ……?ゲーセンとかで落としたのかな?)」

?「うん……じゃあ、ここに入るね」

俺P「あぁ、うん……うん!?」

俺P「こ、こここおこお、こおっ」

俺P「っこ、ここって……?」

?「……なに?」

俺P「ら、らぶ……!?」

俺P「(ら、ラブホテルじゃん……!!)」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:03:22.76 ID:Hgrwc/aK0
俺P「ちょちょと、ちょちょちょちょっ!!」

俺P「ま、まずいって!だ、だめだめ、ここはまずい!!」

?「なにが……?何が問題なの?」

?「落し物探しに来ただけだよ?」

?「まさか……お兄さん何かする気なの?」

俺P「いいいや、!?いや、まさか、ね!!し、しないよ!!」

?「じゃあいいじゃん、入ろうよ」

俺P「いやでも、ま、まずいって、あ、ちょっと」

グイグイッ!

俺P「(いやだ、最近の女子高生って大胆!ってか強引!!)」

?「……はい、おっけー」ビリリッ

俺P「……は、ひぎっ!!?」

ドサッ

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:09:33.54 ID:Hgrwc/aK0
?「ふふ……」

?「ふふふ……ははは……」

?「あははははは……!!」

?「●●にしてはよく抵抗しましたね、プロデューサー」

春香「リボンを外して、眼鏡をかけて、」

春香「ウィッグをつければ……私を私だと見抜ける人は、そうはいませんよ」

春香「事務所の公式プロフィールに今度から書いてもらいましょうかね」

春香「特技、変装って……ふふ」

男「あ、あの……?言われたとおり撮ったけど……」

春香「あぁどうも、これ約束のお金です」

男「……どうも、それじゃ」

男「(……いっちゃってる女だなありゃ。これ以上関わらない方がよさそうだ)」

春香「ふふ……あははははは……!!」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:15:35.28 ID:Hgrwc/aK0
…………

俺P「……ふがっ!」

俺P「あれ、俺……?」

俺P「なんで道で倒れてるんだろう……あ、てか、あの女子高生は!?」

俺P「……い、いない!?って、てことは、」

俺P「やっぱり夢だったのかぁ……!!」

俺P「まぁ俺なんかがモテるわけないもんなぁ……うわ、夢に出たラブホの目の前じゃん」

俺P「たまってんのかな俺……早く帰って●●●●しよ」

フフ……アハハハハハ……!

俺P「……っ?」ブルッ

俺P「なんだ……急に寒気が……まぁいいか」

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:24:31.89 ID:Hgrwc/aK0
アラーム「シラヌガ ホトケ ホットケナイ」

バシッ

俺P「うーん……よし、行くか!」

…………

俺P「みんな、喜ぶだろうな~……響さんが無事帰って来て」

俺P「それに俺も、ちょっとは尊敬されちゃうんじゃね?」

俺P「『やっぱりプロデューサー、頼りになる……』」

俺P「とかなんとか言われちゃったりして……!」

俺P「おっと、もう事務所か、妄想はこれくらいにして……」

俺P「ん、んっ!」

ガチャッ

俺P「みんな、おはよう!」

シーン……

俺P「あ、あれ?」

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:30:04.52 ID:Hgrwc/aK0
俺P「あ、あの、え?あ、お、おはよう!」

シーン……

俺P「え……む、無視?」

俺P「あ、ち、如月さん?」

千早「…………」プイッ

俺P「えあ、あ、あの?」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん……」

俺P「お、音無さん……!なんか、お、俺、あの!」

小鳥「た、大変ですよ……」

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:33:36.99 ID:Hgrwc/aK0
小鳥「朝きたら、その……」

小鳥「プロデューサーさんの、そ、その、変な写真が……」

俺P「しゃ、写真……?な、なに?」

俺P「あ、……た、高槻さん。それ、なに見て……」

やよい「……ひっ!?」

やよい「ち、近寄らないで下さいっ!!」

俺P「……え?」

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:39:52.76 ID:Hgrwc/aK0
ヒラヒラ……

俺P「あ、写真……っ!?これは……!?」

俺P「(お、俺がロ 物の  ゲを買っているところ!?)」

俺P「な、なんでこんなものが……!?」

真美「に、にーちゃん……最低だよ……」

俺P「あ、いや……!?」

俺P「こ、これは、その、あくまで趣味だから……!」

俺P「所詮ゲームだよ!!べつに君たちをどうこうしようってわけじゃ、ないし、」

俺P「そ、それだけでここまで嫌わなくても……!」

真「……それだけ、ですか」

雪歩「本当に、それだけなんですか……?」

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:45:11.95 ID:Hgrwc/aK0
俺P「な、なな、何を、言って……」

美希「ハニー……じゃあこれはなんなの?」

俺P「な、なんだって、」

俺P「……えっ!?」

俺P「こ、これは……!?」

俺P「(昨日の……、女子高生との写真!?)」

俺P「(俺たちがラブホに入っていくところだ……!)」

俺P「(これじゃ、まるで……!)」

春香「……実際にどうこうしようってわけじゃないんじゃなかったんですか」


春香「プロデューサー」

216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:48:59.11 ID:Hgrwc/aK0
俺P「……っ!?」ゾクッ

俺P「(まただ……昨日と同じ寒気が……!!)」

俺P「……あっ」

スルッ

俺P「(写真が……)」

ガチャッ

響「みんなー!!心配かけてごめんなー!」

響「自分、今帰ったさー!……ってあれ?なにこの空気」

ヒラヒラ……

響「ん、なんだこれ?」

224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 01:55:39.36 ID:Hgrwc/aK0
俺P「や、やめ……!!」

響「写真か……?なんの……」

響「……っ!?」

響「う、ウソ……だ……」

響「ぷ、プロデューサー……?」

俺P「あ、ああっ……」

響「……っ!!」

ガチャバタンッ!

ダダダダダ……

俺P「ひ、響さん……!?」

俺P「み、みんな、こ、これは、ちがっ!」

シーン……

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/07(月) 02:00:34.35 ID:Hgrwc/aK0
真美「…………にーちゃん」

貴音「プロデューサー……」

やよい「…………うぅ」

千早「…………最低、です」

雪歩「…………信じられないですぅ」

美希「ひどいよ…………ハニー」

真「…………」

春香「最低ですね、プロデューサー」


春香「あなたみたいな人、この事務所にはいりませんよ」