1: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:28:41.91 ID:2RRuOz/a0
本スレは

凛「めざせポケモンマスター」 前編 

凛「めざせポケモンマスター」 後編 

凛「めざせ」 卯月・未央「ポケモンマスター!」 前編 

凛「めざせ」 卯月・未央「ポケモンマスター!」 後編  

凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」   

【モバマス】凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」(続) 前編 

【モバマス】凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」(続) 後編

の4スレの続きです

・ポケットモンスター×アイドルマスターシンデレラガールズのクロスSSです
・アイドルたちがポケモン世界を冒険します
・本SSの舞台は架空のガラル地方です。地名は同じですが、ホップやダンデ等は出てきません
・各世代から色々なポケモンが登場します
・ゲームともアニメとも異なるオリジナル設定が存在する可能性があります
・基本デレマスの子が出てきますが、稀にシャニマスが混ざる場合があります
・メガシンカ、Zワザ、ダイマックス全てが登場する予定です
・安価あり
・本SSは4スレ目より作者が変更しています


凛 手持ちポケモン

・ゲッコウガ ♂ Lv.70 げきりゅう
みずしゅりけん/ハイドロカノン/つばめがえし/みがわり
やんちゃなせいかく まけずぎらい

・ムクホーク ♂ Lv.68 いかく
ブレイブバード/インファイト/とんぼがえり/おいかぜ
いじっぱりなせいかく うたれづよい

・ドリュウズ ♀ Lv.67 すなかき
ドリルライナー/アイアンヘッド/じわれ/じしん
せっかちなせいかく ものおとにびんかん

・サンダース ♀ Lv.67 はやあし
シャドーボール/かみなり/じゅうでん/でんじは
おくびょうなせいかく ひるねをよくする

・サザンドラ ♂ Lv.69 ふゆう
りゅうせいぐん/あくのはどう/かえんほうしゃ/きあいだま
なまいきなせいかく ちのけがおおい

・チャーレム ♂ Lv67 ヨガパワー
とびひざげり/しねんのずつき/ほのおのパンチ/ビルドアップ
おだやかなせいかく しんぼうづよい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1585495721

引用元: 【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」 



2: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:32:46.52 ID:2RRuOz/a0
 


スパイクタウン

…………………………………………

『あ、ああ……私のかわいい――が――!!』

…………………………………………

『全部……全部……お前のせいだ!!』


??(や、やめろ……)


『少しの間……――を――』

3: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:33:35.54 ID:2RRuOz/a0
『あんたが――したせい――たし――』


『あんたなんかいらないわ……出ていきなさい!!』


??「うああっ――」ガバッ

??(…………)

??(……くそ、またあの夢か……)

??(……かなりうなされていたようだ。全身の汗が冷えて寒い)

??「……シャワーでも浴びるか……」

4: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:34:14.32 ID:2RRuOz/a0


シュートシティ

プアーン

凛「……!」

凛「詩織さん、ここが……」

詩織「はい、目的地のガラル地方です」

詩織「ここはガラルでも最大級の都市、シュートシティになりますね」

凛「シュートシティ……」

凛(広い……アイマスのどの町よりも)

凛(ここがガラル地方……)

5: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:34:58.65 ID:2RRuOz/a0
ザパァ

詩織「到着しました」

凛「ありがとう、詩織さん」

詩織「長旅、お疲れさまでした」

詩織「ガラル地方なんですが、とても広大な地方であるため、移動には電車が用いられているそうです」

詩織「ここから東に行くと駅があるので、まずはそこに行ってみてはいかがでしょうか」

凛「わかった。ここまで本当にありがとう」ペコリ

詩織「いえいえ。どうか良い旅にして下さいね。お気をつけて」ペコリ

6: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:35:32.88 ID:2RRuOz/a0
シュートシティ 駅

凛「ここが駅か」

凛「ええっと、まず切符を買って……」

凛「って、どこの切符を買えばいいんだろ……」

凛「とにかく、モバPや晶葉の研究所みたいな場所があればいいんだけど」

ジーッ

凛(地図を見ても、それらしき場所がない……)

凛「うーん、どうしたものか……」

7: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:36:24.34 ID:2RRuOz/a0
タタターッ

凛「……ん?」

凛「うわっ!?」

「!!」

ドンガラガッシャーン

凛「いたた……」

ポケモン「」ムキューッ

8: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 00:37:52.49 ID:2RRuOz/a0
凛「ポ、ポケモン……? ガラル地方のポケモンなのかな」

??「ああもう、勝手にどこかへ行かないでーっ」

凛「!」

ポケモン「!」

??「もう、どこに行ってたの。探したのよ!」
 
11: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:03:47.64 ID:2RRuOz/a0
 

凛「サルノリ……? このポケモンの名前?」

??「ああ、す、すみません! うちのサルノリが勝手にぶつかっちゃって……」

??「この子、駅に来るのが初めてなんです。だからついはしゃいじゃったみたいで……」

サルノリ「サルー!」

凛「そうなんだ」

凛「実は私もここに来るのは初めてでさ。アンタ……この地方のトレーナー?」

??「はい、そうです! あ、自己紹介が遅れましたね」

藍子「私、藍子っていいます! 出身はシュートシティです」

12: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:04:43.36 ID:2RRuOz/a0
凛「私は凛だよ」

凛「ねえ藍子、この地方のどこかにポケモン研究所……みたいな施設ってある?」

藍子「ポケモン研究所……ですか。聞いたことないですね」

凛「え……? もしかしてそんな施設はないとか……?」

藍子「そのポケモン研究所って場所に、何かご用があるのでしょうか?」

凛「ああ、私ね、ポケモン図鑑みたいなのがあったらもらいたいなと思って」

藍子「ポケモン図鑑ですか? それなら……」

13: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:05:25.60 ID:2RRuOz/a0
ピッ

ウィィン

藍子「これのことでしょうか」

凛「え……!?」

凛「それがこの地方のポケモン図鑑なの……!?」

藍子「はい。といっても図鑑以外の機能もありますけれど」

藍子「これはスマホロトムといって、色々と便利な機能がついているアイテムなんです。ポケモン図鑑はその中のアプリケーションの一つですね」

凛「スマホロトム……? アプリケーション……?」

14: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:06:10.65 ID:2RRuOz/a0
藍子「うーんと……要するに、これがポケモン図鑑ってことです!」

凛「そ、そうなんだ……」

凛(科学の力ってすごいなぁ……)

藍子「もしかして、スマホロトムをお持ちではないのでしょうか……?」

凛「そうなんだ。私は別の地方……アイマスっていう所から来たんだけど」

藍子「そうでしたか! そういうことでしたら、この近くにスマホショップがあるので、よければご案内しましょうか?」

凛「い、いいの?」

藍子「はい、これも何かの縁ですし!」

15: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:07:09.54 ID:2RRuOz/a0
1時間後

凛「へえ……これがスマホロトム……」

凛「本当にロトムが中に入っているんだ」

藍子「これがポケモン図鑑のアプリケーションですよ」

凛「」ポチッ

パッ

ウィィン

16: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:07:42.77 ID:2RRuOz/a0
凛「起動した……!」

凛「……?」

凛(これは……ポケモンのシルエット?)

凛(見たこともないポケモンのシルエットがずらりと並んでいる)

凛(私の持っている図鑑とは違うな)

凛「ねえ、これはどういうことなの?」

藍子「あ、この図鑑はですね……」

藍子「最初からガラルに生息しているポケモンのデータが全て入っているんです!」

17: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:09:00.74 ID:2RRuOz/a0
凛「え、そうなの……!?」

凛「その、出会ったポケモンをどんどん記録していく機械なんじゃ……」

藍子「いえ、既に何年か前に凄腕のトレーナーさんが全てのポケモンのデータを収集しきってしまったらしいんですよ」

藍子「ただ、図鑑にはロックがかかっていて、ポケモンと出会うことで初めてロックが解除されて、データが解禁されるという仕組みになっているんです」

藍子「たとえばこんな風に……」スチャッ

サルノリ こざるポケモン くさタイプ
スティックでリズムを刻むと、草花を元気にするパワーが音波になって広がる
このスティックはサルノリの群れが暮らす森に生えている木の枝が独自の変化を遂げたもの

藍子「なので図鑑を手に入れたら、実際にガラルを巡っていってシルエットの答え合わせをしていくような感じですね!」

18: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:10:00.02 ID:2RRuOz/a0
凛「な、なるほど……」

凛「じゃあ、この状態ではデータは何もないんだね」

藍子「そうですね」

凛(なるほど、結局は直接ポケモンに接触しないとデータが集まらないわけだ)

藍子「もしかして、この地方のポケモン図鑑を完成させるために遠い場所から来られたんですか?」

凛「うん、そうなんだ」

凛「私の知り合いがポケモン博士なんだけど……その人のためにデータ収集をしようと思って」

19: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:10:47.35 ID:2RRuOz/a0
藍子「へえ……それは珍しいですね」

凛「?」

藍子「この地方に来るトレーナーさんは、だいたいがポケモンバトルを目当てにされているって聞いたことがあるので」

藍子「ガラルではポケモンバトルがとても盛んなんです」

凛「まあ、それもあるかな。実はここに来る前にガラルで修行していたトレーナーとバトルしてさ」

凛「コテンパンに負けちゃったんだ。やっぱり、ガラルのトレーナーはみんな強いのかな」

藍子「そうかもしれないですね。ところでそのトレーナーさんって――」

20: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:11:19.64 ID:2RRuOz/a0
ガシャン!

凛「!」

ドン! ドン!! ドン!!

ワー キャー

藍子「な、なんですか!?」

『な、なんだこのポケモン!?』

『急に出てきやがって……くそ、すばしっこい!』

凛「あっちの方か!」

21: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:12:16.89 ID:2RRuOz/a0
タタタ

ザングース「ザングゥ!」

藍子「な、なんですか、あのポケモン……」

凛(あれは……ザングース)

凛(かなり気が立っているみたいだ)

ザングース ネコイタチポケモン ノーマルタイプ
普段は4本足で行動するが、怒ると後ろ足で立ち前足のツメが飛び出す
ハブネークとは先祖から続くライバルだ

『ザングースなんてこの辺にはいないんじゃないのか!?』

22: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:12:53.05 ID:2RRuOz/a0
ザングース「ザング……」ギロッ

『ひ、ひいっ!』

ザングース「ザングー!」バッ

『うわあ、やめ――』

凛「ゲッコウガ!」ポン

ガンッ

ゲッコウガ「ゲコ」

バシィ

23: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:13:26.39 ID:2RRuOz/a0
ザングース「ザングゥ……」ザッ

ザングース「ザングー!」

藍子「凛さん!?」

凛(ここは公共の施設だからあんまり派手なことはできないな)

凛「ゲッコウガ、一撃で仕留めるよ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

藍子「あぶな――」

24: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:14:05.36 ID:2RRuOz/a0
ズバッ

藍子「……!?」

『……!?』

ザングース「ザング……」

バタッ

藍子(今のは……いったい……)

『……す、すげえ。攻撃が、見えなかった』

25: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:14:41.87 ID:2RRuOz/a0
ゲッコウガ「ゲコ」シュタッ

凛「ふう……」

凛「……!」

パチパチパチパチ

『すげえー!!』

『あんなに危険なポケモンを一瞬で……!』

『助かったよ、ありがとうー!!』

凛「あ、ああ、どうも……」

凛(だいぶ目立っちゃったな……)

26: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:15:18.63 ID:2RRuOz/a0
藍子「あ、あの」

藍子「今のは……攻撃、したんですか?」

凛「うん。『つばめがえし』だよ」

藍子「つばめがえしって、あんなに素早く放てるんですか……?」

凛「まあ……そうだね」

藍子「……す、すごい……!」

藍子「すごいです、凛さん!」

27: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:16:06.35 ID:2RRuOz/a0
凛「いや、それほどでも……」

藍子「あ、あの、私、凛さんを見込んでお願いがあるのですが……!」

凛「……?」

ザワザワザワザワ

凛「……けっこう騒がしくなってきたね」

凛「場所を変えようか」

藍子「あ、はい!」

28: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:16:48.60 ID:2RRuOz/a0
30分後

??「ええ!? その場にいたトレーナーが退けたぁ!?」

駅員「ああ、そうだよ」

??「で、そのザングースは……?」

駅員「こちらで預かっているよ。どう対応するかはまだ決めてないけど」

??「でしたら、どうか私たちにもそのザングースを見せていただけませんか……?」

駅員「うーん、そう言われてもなあ」

29: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:17:42.61 ID:2RRuOz/a0
駅員「さっきもらった『都探偵事務所』って名刺もなんか胡散臭いし……」

駅員「そもそもこのザングース、どこから出てきたのかもわからないんだよなあ……」

駅員「……ん? もしかしてあのポケモンって君達の……」

??「ち、違います!」

駅員「違うならいいや。ていうかしつこいよ、これ以上居座るなら警察呼ぶよ?」

??「うう……」

??「み、都さん、今日はいったん帰りましょうよ~」

都「さくら殿……そ、そうですね……」

バタン

30: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:18:48.09 ID:2RRuOz/a0
都「はあ、また追い出されちゃった……」

さくら「まあ、この状況でしたら怪しまれるのも無理はなさそうですもんねぇ」

都「……だがさくら殿よ、おかしいとは思わないか?」

都「先日はキルクスタウンにクリムガンが出たと聞く。あの時は泉さんが対処してくれたが」

都「本来の生息地から遠く離れているはずのポケモンが突然、しかも暴徒化して各地の町に現れている」

都「これは何か事件の匂いがする……このガラルに恐ろしい危機が迫っている! 私はそう思わざるを得ない!」

さくら「そ、そうですね!」

都「よし! そうと決まればいったん帰って資料を整理するぞ!」

31: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:19:42.87 ID:2RRuOz/a0


藍子「あの、このガラル地方ではですね、ジムチャレンジというものがあるんです」

藍子「ガラル各地のジムを渡ってバッジを集め、全てのバッジを集められた人はトーナメントに出場できるんです」

藍子「さっきガラル地方ではポケモンバトルが盛んだと言いましたけど、そのジムチャレンジに参加するトレーナーがとても多いんですね」

藍子「そのトーナメントに出られるだけでもすごいんですけど、トーナメントを勝ち抜いたらチャンピオンと戦うことができるんです!」

凛「へえ……」

凛(基本的なシステムはアイマスと同じみたいだね)

32: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:20:54.71 ID:2RRuOz/a0
藍子「実は私もジムチャレンジに参加しようと思ってシュートシティに来たのですが」

藍子「実はサルノリをもらったのもつい一週間前で……なんというか、あまり自信がないんです」

サルノリ「サルー」ショボーン

藍子「そこでぜひ、凛さんにコーチをお願いしたいんです!」

凛「コ、コーチ……?」

藍子「さっきの凛さんのバトル、とてもかっこよかったです。私もああなりたいって思いました」

藍子「もしよければ……お願いできませんか!?」ペコッ

33: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:21:43.91 ID:2RRuOz/a0
凛「う、うーん……」

凛(コーチか……ポケモンを捕まえるのを手伝ったことはあるけど)

凛(バトルを教えるっていうのは経験がないな)

凛(まあ、でも……)

凛「そのジムチャレンジって、ガラルの色んな町に行くんだよね」

藍子「はい、そうです」

凛(なるほど……藍子についていったら、自然と図鑑も埋まっていくかもしれない)

凛(どのみちどこに行けばいいかわからなかったんだし)

34: ◆7P/ioTJZG. 2020/03/30(月) 21:22:33.95 ID:2RRuOz/a0
凛「……うん、いいよ。私でよければ」

藍子「ほ、本当ですか!? ありがとうございますっ!」

サルノリ「サルー!」

藍子「そうと決まれば……」

藍子「あの、実はこの町に最初のジムがあるんです!」

凛「え、この町に?」

藍子「はい。ジムチャレンジに挑む人が、必ず初めに訪れることになる――シュートジムです」

藍子「そのジムに挑戦するために、まずは私に稽古をつけてくれませんか!?」

36: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:43:21.70 ID:CntRc1EX0
投下します



凛「それじゃあ、藍子の今の力量を見ておきたいから、軽く模擬戦をしてみようか」

藍子「は、はい! よろしくお願いします!」

凛「よし。ゲッコウガ、よろしく」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

藍子「サルノリ、お願い!」ポン

サルノリ「サルー!」

凛「まずはこっちから攻撃してみるよ。うまく指示を出して避けてみて」

藍子「はい!」

37: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:44:06.26 ID:CntRc1EX0
凛「ゲッコウガ、みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュババ

藍子「わ、わ……サルノリ、躱して!」

サルノリ「サルッ」ヒョイョイ

凛「もう一回いくよ!」

ゲッコウガ「ゲコッ」シュババ

サルノリ「サルッ!」バシィ

凛「一発喰らったけど……うん、いい身のこなしだね」

凛「じゃあ次、攻撃してみて!」

藍子「は、はい!」

38: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:44:37.29 ID:CntRc1EX0
藍子「サルノリ、えだづき!」

サルノリ「サルー!」バッ

凛(……なるほど、あのスティックで攻撃するんだね)

サルノリ「サルッ!」

バシィ!

藍子「……」

凛「……」

ゲッコウガ「……」

39: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:45:07.01 ID:CntRc1EX0
ピシ ピシ

藍子「へっ?」

ポキッ

サルノリ「サル!?」

凛「……!?」

ゲッコウガ「ゲコ……!?」

藍子「ス……スティックが折れちゃったああ!?」

40: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:46:00.85 ID:CntRc1EX0
凛「レベル差がありすぎて攻撃が通じなかったみたいだね」

凛「ま、まあ、そんなに気にしないで……」

藍子「うう……」ガックシ

サルノリ「サルー……」ガックシ

凛「ところで、サルノリのスティックは大丈夫なの?」

藍子「あ、それは大丈夫です……予備のスティックがたくさんあるので」

藍子「はあ……でもこんなことになるなんて……」

凛「……」

41: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:46:40.73 ID:CntRc1EX0
凛「そうだね、一通り動きを見てみての感想だけど、攻撃力はまだまだみたいだね」

凛「でも身のこなしは悪くなかったよ。みずしゅりけんもうまく躱していたし」

藍子「あ、ありがとうございます!」

凛「まずはサルノリの特徴を理解して、この身軽さを活かせられるバトルスタイルを確立することが目標だね」

凛「よし……少し休んだら、再開しようか」

藍子「はい! よろしくお願いします!」

サルノリ「サルー!」

42: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:48:10.15 ID:CntRc1EX0
その後 シュートジム

藍子「ふぅっ……」

凛「準備はいい?」

藍子「はい!」

藍子「ずっと憧れだったジムの中に初めて入るんで、ドキドキしているんです……!」

凛「まあ、私もバトルを教えるのは初めてだったからどこまで通用するのかわからないけど……」

凛「あまり気負わないようにね」

藍子「はい、ありがとうございます!」

凛「よし、じゃあ入ってみようか」

43: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:49:39.32 ID:CntRc1EX0
ガラッ

藍子「わあ……ジムの中ってこんな風になってるんだ……!」

シュートジム受付「こんにちは!」

藍子「あ、あの、ジムチャレンジを申し込みたいのですが……!」

シュートジム受付「はい、わかりました! ではお名前と出身をお願いします」

藍子「はい。シュートシティの藍子です!」

シュートジム受付「……はい、藍子さんですね。この度はジムチャレンジへのご参加、ありがとうございます!」ペコリ

シュートジム受付「ジムチャレンジでは、ガラル地方の各地に点在しているジムへ挑戦していただき、ジムリーダーを倒すことでバッジを集めてもらいます」

シュートジム受付「バッジはこの金のリングに嵌め込む形となっておりますので、そのリングもお渡ししますね。失くさないようお願いします」

シュートジム受付「そしてこちらがジムチャレンジャー用のユニフォームになります。あちらに更衣室がございますので、ユニフォームに着替えてからチャレンジに臨むようにしてください」

44: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:51:23.86 ID:CntRc1EX0
シュートジム受付「ジムバッジを8つ全て集められたトレーナーは、ナックルシティで行われるトーナメントバトルにエントリーすることができます。このトーナメントを勝ち抜くことで、チャンピオンへの挑戦権を得られます」

シュートジム受付「ただし、ジムチャレンジを始めてから一定の期間内にバッジをすべて集められなかった場合、トーナメントに参加できるのは来年以降になるので気を付けてください」

シュートジム受付「また、ジムチャレンジ初挑戦のトレーナーは、例外なくまずはこのシュートジムからスタートしてもらいます」

シュートジム受付「なので早速ジムチャレンジをすることもできますが……」

藍子「はい、お願いします!」

シュートジム受付「はい、わかりました!」

~お着替え中~

シュートジム受付「それでは奥のドアから先へお進みください!」

凛「藍子、頑張ってね」

藍子「はい、ありがとうございます!」

タッタッタッ……

45: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:52:18.25 ID:CntRc1EX0

シュートジム受付「……ところでお連れ様は、ジムチャレンジは既にお申し込みされておりますか?」

凛「え、私? いや、まだだけど……」

シュートジム受付「あ、そうなんですか! ではご一緒にどうでしょう?」

凛(そうだな……ガラルのトレーナーともバトルしてみたいし)

凛「……じゃあ、私も。アマミタウンの凛、です」

シュートジム受付「……はい、ありがとうございます! こちらがジムバッジ用のリングとユニフォームです」

シュートジム受付「あ、それと……ジムチャレンジに挑めるのは一度にお一人だけとなります」

ジムチャレンジ受付「観戦をご希望の場合は、この先にあるスタジアムへどうぞ!」

凛「スタジアム……?」

46: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:53:07.21 ID:CntRc1EX0

??「ええ、そうよ」

凛「……?」

??「ガラル地方のポケモンバトルはスポーツのようなもの……時には大勢の人がジムバトルを見に来ることもあるわ。そんな時のために、各地のジムには巨大なスタジアムを設けているの」

??「ジムチャレンジに来たトレーナーには、そこで戦ってもらうわけ。まあ、シュートジムは最初のジムだから基本的にチャレンジ中は無観客だけどね」

夏美「挨拶が遅れましたね。シュートジムのジムリーダー、夏美です」ペコリ

凛(この人が……ガラルのジムリーダー)

凛「凛です。どうも」ペコリ

47: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:53:57.59 ID:CntRc1EX0
夏美「……もしかして、別の地方から来られたトレーナーかしら?」

凛「そうだよ。アイマス地方から来たんだ」

夏美「あら、やっぱりそうだったのね」

凛(……!)

夏美「なんでわかったんだろ、って顔してるわね。私、ジムリーダーになる前はCAをやっていたの。アイマスにも何度か訪れたことがあるわ」

夏美「アイマスはいい所ね。自然が豊かだし、ポケモンの生息数も膨大だから――」

夏美「……あら、話をしている場合じゃなかった。チャレンジャーがいるんだったわ」

夏美「……じゃあ準備してくるわ。またね」

48: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:55:10.22 ID:CntRc1EX0

ガラッ

ジムトレーナー女「ようこそ、チャレンジャー!」

藍子「!」

ジムトレーナー女「各地のジムではジムリーダーと戦う前に我々ジムトレーナーと戦ったり、そのジムならではのギミックを解いてもらったりするんだけど……」

ジムトレーナー女「シュートジムはシンプルイズベスト! 私とこの先にいる男のトレーナー、2人のトレーナーと連続でバトルしてもらいます」

ジムトレーナー女「そしてシュートジムは……ひこうタイプのジム! いくよ、ツツケラ!」ポン

ツツケラ「ツッツー!」

ツツケラ きつつきポケモン ひこうタイプ
秒間16連打で木を突き穴をほる
開けた穴は餌を仕舞う貯蔵庫や巣に使う

49: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:55:54.93 ID:CntRc1EX0

藍子「いくよ、サルノリ!」ポン

サルノリ「サルー!」

…………………………

ジムトレーナー男「つつく!」

ココガラ「ココー!」

サルノリ「サルー♪」ヒョイ

藍子「いい感じだよ、サルノリ!」

藍子「えだづき!」

サルノリ「サルー!」

50: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:56:35.46 ID:CntRc1EX0

バシィ

ココガラ「ココー」バタンキュー

藍子「や、やった……!」

ジムトレーナー男「くっ……戻れ、ココガラ!」

ジムトレーナー男「さすがだな……だがこの先のジムリーダーはもっと手強いぞ!」

ジムトレーナー男「さあ、先へ進むがいい」

藍子「この先に……ジムリーダーが……!」

ガコン

藍子「……」

51: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:57:55.41 ID:CntRc1EX0

ウィィーン

藍子「あわわ……」

藍子「床が動いてる……!」

藍子「あの先にあるのは……スタジアム?」

バッ

藍子「……!」

藍子(ここが……スタジアム……!)

藍子(私、今からこの舞台に立つんだ……!)

凛「藍子!」

藍子「……! 凛さん!」

52: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:58:56.23 ID:CntRc1EX0

凛「ひこうタイプのジム……相性は悪かったはずだけど、よくここまで来れたね」

藍子「ふふ、これも凛さんの特訓のおかげです!」

夏美「ようこそ、シュートジムへ」ザッ

藍子「!」

藍子(向こう側から人が……!)

夏美「ジムリーダーの夏美です、よろしくお願いします」ペコリ

藍子「よ……よろしくお願いしますっ」

凛(ジムリーダーもユニフォームで戦うんだ)

夏美「まずはジムチャレンジに参加してくれてありがとうございます。そして、よくここまで辿り着きましたね」

53: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 22:59:44.21 ID:CntRc1EX0

夏美「他のジムもそうなんだけど、ジムリーダーとのバトルはこのスタジアムで行います。今日はお客さんは一人だけだけど、もしかしたらたくさんの人に囲まれてバトルする機会がどこかで巡ってくるかもしれないわね」

夏美「さて、私はひこうタイプのエキスパートなんですけど……」

夏美「見たところ、道中はサルノリしか戦っていませんでしたね」

藍子「はい。私はサルノリだけで挑ませてもらいます」

夏美「……なるほど」

夏美「では私も一匹で相手させていただきます」

54: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:00:31.81 ID:CntRc1EX0

夏美「……準備はいいかしら?」キッ

凛(……目付きが変わった。ジムリーダーを名乗るだけあって、かなりの腕前なんだろう)

藍子「はい!」

夏美「私は最初のジムを担当していることもあって、自然と伸びしろがあるトレーナーとないトレーナーの区別がつくようになったわ。あなたは……どちらかしら?」

夏美「では……ドローンロトム、お願いします」

ブーン……

凛(へえ、あれにもロトムが入っているんだ)

サッ

55: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:01:17.19 ID:CntRc1EX0

ドローンロトム『3……』

藍子「……」ゴクリ

ドローンロトム『2……』

夏美「……」

ドローンロトム『1……』

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

藍子「いくよ、サルノリ!」ポン

サルノリ「サルー!」

夏美「アオガラス!」ポン

アオガラス「カァーッ!」

*アオガラス カラスポケモン ひこうタイプ
足で小石を投げたりロープを敵に巻きつけるなど、道具をあつかう知恵をもつ
厳しい戦いをくぐり抜けて相手の力量を正確に判断する力が身についた


56: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:02:11.40 ID:CntRc1EX0
凛(……へえ)

凛(スタジアムは障害物が何も無い広いフィールドなんだね)

凛(アイマスではジムリーダーが思い思いにジムを改良していたみたいだけど、ガラルではそうじゃないみたい)

凛(小細工は通用しないってことだね)

藍子「サルノリ、えだづき!」

夏美「躱して!」

サルノリ「サルー!」バッ

アオガラス「カァー」ヒョイ

57: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:02:50.06 ID:CntRc1EX0
藍子「もう一回!」

サルノリ「サルー!」

ヒョイ ヒョイ

藍子「うっ……まだまだ……!」

凛(なかなか当たらないな……相手もかなりのスピードの持ち主だ)

夏美「……」

夏美「ついばむ!」

58: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:03:19.17 ID:CntRc1EX0
アオガラス「カァーッ!」

藍子「躱して!」

サルノリ「サルッ」ヒョイ

夏美「逃がさないわよ!」

アオガラス「カァ!」

藍子(追撃が……!)

ゴツンゴツンゴツン

サルノリ「サルッ……!」

59: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:04:02.71 ID:CntRc1EX0

藍子「ああっ、サルノリ……!」

凛「くっ……一撃であのダメージか」

凛「相性の悪さもあるだろうけど、やっぱりまだサルノリのレベルが足りなかったのか……」

サルノリ「サルー……」フラフラ

夏美「あと一息……ってところかしら」

藍子「あ、ああ……ど、どうすれば……」

凛「藍子、焦っちゃダメだ!」

60: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:04:35.04 ID:CntRc1EX0

夏美「……」

藍子「え、えだづき!」

サルノリ「サルー……」ヨロッ

夏美「……そんな状態での攻撃なんて」

アオガラス「カァ!」

バクッ

夏美「攻撃とは程遠いわね」

61: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:05:23.90 ID:CntRc1EX0

アオガラス「カァ」

ポーイ

藍子「……!」

凛(スティックが……放り投げられた……)

アオガラス「カァ!」

ゴツン!

サルノリ「サルー……」

バタンキュー

62: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:06:20.04 ID:CntRc1EX0
藍子「……!」

ドローンロトム『サルノリ、戦闘不能! サルノリ、戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、ジムリーダー・夏美!』

凛(……強い。パワーもスピードも敵わなかった)

夏美「アオガラス、お疲れ様」シュゥゥ

夏美「……少しジムチャレンジを甘く見ていたみたいね」

夏美「私を倒せないと、この先には進めないわよ。……出直してきてちょうだい」

藍子「……」

63: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:07:05.60 ID:CntRc1EX0

サルノリ「サルーッ」

凛「藍子、元気出して」

藍子「……」

凛「まあ、レベル差は歴然だったし……また特訓し直そう。ジムリーダーまではたどり着けたんだし」

藍子「……」

凛(参った……かなり落ち込んじゃってるな)

サルノリ「サルーッ」キーッ

凛(サルノリの方はかなり気が立ってる。よっぽど悔しかったのかな)

凛「まあ、今日はもう遅いし……また明日、再挑戦できるように頑張ろう」

藍子「……」

凛「……今日は色々とありがとう。それじゃ、おやすみ」

64: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:07:52.86 ID:CntRc1EX0
その夜

藍子(……)

藍子(……)グスン

藍子(……わかってる。バトルだから、勝つ人もいれば負ける人もいるのはわかってる)

藍子(でも……悔しい。自分が情けないよ)

藍子(……やっぱり私、トレーナーとしての才能がないのかな……)

65: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:08:29.64 ID:CntRc1EX0

藍子(こんな思いをするぐらいなら……)グスン

藍子(……)

藍子「サルノリ……」

藍子「今日はごめんね……私のせいで……」

藍子「……やっぱり私、ジムチャレンジ、諦めようかな……」グスン

サルノリ「……」

66: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/04(土) 23:09:22.49 ID:CntRc1EX0


翌日

テーテレテー テーレテレテー

凛(……ん?)

凛(スマホロトムに着信が……)

凛「もしもし……」

藍子『り、凛さん! 大変なんです!』

凛「藍子……どうしたの?」

藍子『サルノリが……いなくなっちゃったんです!』

70: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:44:51.98 ID:QoJR3cDH0
シュートシティ

凛「私は西側を探すよ。藍子は東側をお願い」

藍子「は、はい!」

タタタ

凛「西側……」

凛「……とはいえ」

ブティック店員『いらっしゃいませー、店内タイムセール中でーす!』

ヘアサロン店員『あら、あの子、とてもキレイな髪をしているわね……』

電話ボックス『もしもしー、こちらアルセウス製薬の者ですが――』

カップル『ねえねえ、あっちのカフェでお茶でもしない?』

サラリーマン『ええっと、スボミーインってどっちだっけ……』

71: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:45:45.59 ID:QoJR3cDH0
凛(……ただでさえ広い町なのに、二人がかりで探すのは無理があるな……)

凛「よし、ムクホーク」ポン

ムクホーク「ムクホー」

凛「ムクホーク、町のどこかで緑色の小柄なポケモンを見かけたら、私に教えてほしいんだ」

ムクホーク「ムクホー!」バサッバサッ

凛「よし……あっちの路地も探してみるか」

1時間後

ムクホーク「ムクホー」ショボン

凛「見つからない……」

凛(ていうかこの町、広すぎる……)

凛(こんな広い町であの小柄なポケモンを見つけろっていう方が無理なんじゃ……)

72: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:46:38.46 ID:QoJR3cDH0
テーテレテー テーレテレテー

凛「ん? ……もしもし」

藍子『あ、凛さん! サルノリ、見つかりました!』

凛「本当に? どこにいたの?」

藍子『それが……』



藍子「……あ! 凛さん! こっちです!」

夏美「あら、あなたは昨日の」

73: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:47:44.94 ID:QoJR3cDH0
凛「藍子。それに夏美さん」

凛「聞いたよ。夏美さんが連れてきたんだって」

夏美「そうなの。朝、ジムの前に立っていてね。一匹でジムに挑戦しようとしてきたのかしら、と思って」

夏美「そんなに昨日負けたのが悔しかったのかしら。根性のあるポケモンね」

サルノリ「サルー! サルー!」

藍子「サルノリ……」

夏美「……」

夏美「ねえ、藍子ちゃん」

74: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:49:07.33 ID:QoJR3cDH0
夏美「サルノリ、すごく悔しそうな目をしていたわ。今すぐにでも再挑戦させてくれ、って顔に書いてあった」

夏美「なのにあなたは真っ先にジム周辺を探そうとせず、違う場所を探していた」

夏美「もしあなたとサルノリが同じ気持ちだったなら、こうはならなかったはずじゃないかしら?」

藍子「……!」

夏美「ポケモントレーナーなら、ちゃんとポケモンと対話しなさい。ポケモンはトレーナーが思い通りに使役するだけの存在でもなければ、いつもあなたの行動に100%同意してくれる従順な存在でもない。まずはあなたがポケモンに耳を傾けることで、ポケモンもあなたに心を開いてくれるものよ」

夏美「しっかり対話して……それでまた私に挑戦したいって思ったなら、ジムで待っているわ」

75: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:50:55.70 ID:QoJR3cDH0
夏美「それじゃあね。それと、凛ちゃんの挑戦もいつでも受け付けているからね」ペコリ

スタスタ

藍子「サルノリ……」

サルノリ「サルー!」

サルノリ「サル! サル! サルーッ!」

藍子「……」

藍子「……うん、そうだよね。このままじゃ終われないよね」

藍子「……凛さん!」

76: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:52:02.55 ID:QoJR3cDH0
凛「!」

藍子「ごめんなさい。私、昨日は一度負けただけでジムチャレンジを諦めようとしていました。でもサルノリを見ていたら……やっぱり諦めきれなくなりました」

藍子「こんな私ですけど……また、特訓をお願いできますか!?」

凛「……うん。わかった」

凛「その意気だよ。今度は私も手抜きしない。絶対に夏美さんを倒そう!」

藍子「……はい!」

77: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:52:37.59 ID:QoJR3cDH0
翌日 ジムチャレンジ受付最終時間

夏美「……」

夏美「来たわね」

ザッ ザッ

藍子「夏美さん……」

夏美「待っていた甲斐があったわ」

夏美「ここへ来たということは……トレーナーとしての覚悟ができたということね」

78: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:53:16.92 ID:QoJR3cDH0
藍子「はい」

藍子「夏美さん。もう一度……勝負を挑ませてください!」

夏美「ふふ、望むところよ」

夏美「ところで、前はサルノリ一匹で挑んできたけれど……どう? あれから手持ちは増えたのかしら」

藍子「いいえ、増えていません」

夏美「!」

藍子「私はサルノリと一緒に、あなたを倒します!」

79: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:53:53.56 ID:QoJR3cDH0
夏美「……そう。ならいいわ」

夏美「ドローンロトム、よろしく」

凛(藍子……)

凛(大丈夫。きっと勝てるよ。サルノリを信じて……!)

サッ

ドローンロトム『3……』

ドローンロトム『2……』

ドローンロトム『1……』

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

80: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:54:24.94 ID:QoJR3cDH0
藍子「サルノリ、お願い!」ポン

サルノリ「サルー!」

夏美「アオガラス!」ポン

アオガラス「カァーッ!」

藍子(前回と同じくアオガラス……)

藍子(大丈夫。特訓してきたことを忘れないように……!)

藍子「サルノリ、えだづき!」

81: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:55:28.54 ID:QoJR3cDH0
サルノリ「サルッ!」

バシィ

アオガラス「カアッ!」

夏美(……へえ。以前よりも威力もスピードも上がっている)

夏美(単にレベルが上がったから、だけが理由じゃないようね)


………………………………………………

凛『まずはサルノリのメインの技、えだづきを特訓しようか』

藍子『はい!』

82: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:56:29.83 ID:QoJR3cDH0
凛『そうだな……サルノリ、とりあえず何回か素振りしてみて』

サルノリ『サルッ』ブゥン

藍子『ど、どうですか?』

凛『……』

凛『サルノリ。スティックを力任せに振ったらダメだよ。精度も落ちるし、スティックにも負担が大きい』

凛『こう、何というか……重力に任せるというか……うーん、うまく説明できないな』

凛『とにかく、余計な力を入れずに振る。そこから始めようか』

サルノリ『サルッ』

………………………………………………

83: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:57:11.14 ID:QoJR3cDH0
夏美「今度はこっちからいくわよ! ついばむ!」

アオガラス「カアー!」

藍子「スティックでガードして!」

サルノリ「サルッ!」

ガキン

夏美「まだまだッ!」

ゴツン ゴツン ゴツン

アオガラス「カアーッ!」

バシィ

サルノリ「サルッ……!」ズザァ

藍子(押し返された……!)

藍子(でもこれでいいんだ!)

84: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:57:52.93 ID:QoJR3cDH0
………………………………………………

凛『藍子、ポケモンに道具を持たせられることは知ってる?』

藍子『はい!』

凛『じゃあ、ジム戦でもサルノリに何か持たせてみようか』

凛『相手はひこうタイプ……サルノリには不利なタイプだね。前のバトルも、一発の攻撃で体力をギリギリまで削られていた』

凛『だからこれを持たせてみようか』ヒョイ

藍子『これは……?』

………………………………………………

85: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:58:39.15 ID:QoJR3cDH0
サルノリ「サルッ!」パクッ

シュィィィン

藍子「よし!」

夏美「なるほど……オボンの実ね」

夏美「でも持ち直したところで、私が有利なのは変わらないわよ!」

アオガラス「カアッ!」

凛(……いや)

凛(それは違うよ、夏美さん。持ち直したことが起点になるんだ……!)

86: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 21:59:18.66 ID:QoJR3cDH0

藍子「上に躱して!」

サルノリ「サルッ」ヒョイ

藍子「そのまま……アクロバット!!」

サルノリ「サルーッ!」

バシィ

アオガラス「カアッ……!」

夏美「!!」

夏美「アクロバット……いつの間にそんな技を……!」

87: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:00:30.35 ID:QoJR3cDH0
………………………………………………

凛『……とはいえ、えだづきだけでアオガラスと渡り合うには厳しいね』

凛『そうだ。藍子、これを使ってみてよ』

藍子『これは……?』

凛『これは技マシン。中にデータが記録されていて、すぐに新しい技を覚えられるんだ』

凛『そしてこの技マシンに記録されていているのは『アクロバット』。この技には特殊な効果があって……』

凛『バトル中に持たせていた道具がなくなった時、威力が倍になる技なんだ』

88: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:01:13.63 ID:QoJR3cDH0

藍子『持たせていた道具がなくなった時……』

凛『そう。つまり?』

藍子『つまり? ……ああ!』

………………………………………………


夏美(なるほど……オボンの実はサルノリの耐久力を上げるためだけじゃない)

夏美(この技を発動するためのイグニッションだったのね……!)

藍子「もう一回!」

89: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:01:49.53 ID:QoJR3cDH0

サルノリ「サルーッ!」

バシィ

アオガラス「カアッ!」

凛「よし……段々とペースを掴んできた」

凛「その調子だよ、藍子!」

夏美「ついばむ!」

アオガラス「カアッ!」

90: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:02:20.76 ID:QoJR3cDH0

藍子「スティックでガードして!」

サルノリ「サルッ!」ガキン

藍子「アクロバット!」

サルノリ「サルーッ!」

バシィ

夏美「うっ……いい切り返しね……!」

夏美「お返しよ、アオガラス!」

アオガラス「カアーッ!」

91: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:03:29.73 ID:QoJR3cDH0

ゴツン

サルノリ「サルッ……!」ズザァ

藍子「サルノリ……!」

凛(サルノリの体力は次で尽きる……)

凛(でもアオガラスもあと一撃が決まれば……!)

夏美「藍子ちゃん……やるじゃない」

夏美「えだづきの強化にオボンの実、アクロバット。戦術も素晴らしいわ。2日前とは見違えるくらい強くなっている」

92: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:04:33.89 ID:QoJR3cDH0

夏美「だけど一つだけ欠点があるとすれば……」

サルノリ「サルッ……!」ヨロッ

藍子「……!」

夏美「アクロバットは体全体を大きく使う技。その分リターンも大きいわ」

夏美「そんな技を連発していたから……もう攻撃を躱す体力もないんじゃないかしら?」

藍子「うっ……」

凛「藍子……!」

93: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:05:17.60 ID:QoJR3cDH0

夏美「苦手なタイプのポケモンで挑もうとしてくるガッツは素敵だったけど……これで終わりね」

夏美「アオガラス、ついばむ!」

アオガラス「カアッー!!」

藍子「……サ、サルノリッ!」

サルノリ「サルッ……」

ガキン

ピシッ

94: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:06:03.72 ID:QoJR3cDH0

藍子「!!」

ペキッッ

凛「……!」

藍子「あっ……」

夏美「……攻撃の要であるスティックも失ったようね」

夏美「とどめよ!」

アオガラス「カアー!」

凛「……!」

95: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:06:45.89 ID:QoJR3cDH0

グワッ

藍子(……!)

藍子「サルノリ、スティックでアオガラスの口を塞いで!!」

サルノリ「……!」

サルノリ「サルー!」

ガツン

アオガラス「カアッ……!?」

夏美「なっ……!?」

96: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:07:20.39 ID:QoJR3cDH0
藍子「そしてえだづき!!」

サルノリ「サルーッ!!」

バシィ

アオガラス「カアッ……!」

夏美「……!」

ドサッ

アオガラス「カアッ……」バタンキュー

97: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:07:51.35 ID:QoJR3cDH0

ドローンロトム『アオガラス戦闘不能! アオガラス戦闘不能!』

藍子「……!」

ドローンロトム『勝者、チャレンジャー・藍子!』

藍子「……や」

藍子「やった……」

藍子「勝った……!」

98: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:08:41.20 ID:QoJR3cDH0
藍子「やったああーー!!」

サルノリ「サルッ……!」グッ

凛「藍子……!」

凛「……はあ、心臓が止まるかと……」

藍子「サルノリ、よく頑張ったね……! ありがとう……!」

夏美「……」

夏美「折れたスティックの片方を使ってアオガラスの攻撃を防いで 、片方のスティックで攻撃……」

夏美「普通ならうろたえてしまう場面で、そんな瞬時の判断ができるなんて……」

99: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:09:35.70 ID:QoJR3cDH0
夏美「……いえ、これは油断した私の負けね」

夏美「……見事だったわ。知識も実力も、咄嗟の閃きも」

夏美「あなたならきっと、この先のジムチャレンジも勝ち抜いていける。そんな気がするわ」

夏美「でも……スティックが折れてサルノリは大丈夫なの?」

藍子「はい、予備はたくさんあるので!」

夏美「ふふ、そう。じゃあこれ、ジムチャレンジをクリアした証。フライトバッジよ、受け取って」

藍子はフライトバッジを手に入れた!

夏美「それからこの技マシンも……サルノリは覚えられないけど、いつか役に立つ機会が来るかもしれないから」

藍子は技マシン『ついばむ』を手に入れた!

100: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:10:19.61 ID:QoJR3cDH0
夏美「今日はしっかり休んで、サルノリを労ってあげてね。さて……」

バッ

夏美「次はあなたの番ね、凛ちゃん!」

凛「え、でももう今日はチャレンジの時間は終わったんじゃ……」

夏美「そんなことはもういいわ。私は今、あなたと戦いたいの!」

夏美「……待ってるわよ」

凛「……」コクリ

101: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/11(土) 22:11:43.36 ID:QoJR3cDH0

藍子「凛さん!」

凛「藍子、おめでとう」

藍子「ありがとうございます! これも凛さんに鍛えていただいたおかげです!」ペコリ

凛「ううん。たしかに道具を持たせたり技マシンを使うように考えたのは私だけど……」

凛「スティックが折れたときはもうダメかと思った。でもあんな応用ができるなんてね」

藍子「えへへ……始めて特訓した時もスティックが折れたじゃないですか。そのことを思い出して、そしたら閃いちゃいました」

藍子「でもこれで自信が持てました。凛さん、これからもコーチ、よろしくお願いします!」ペコリ

凛「ううん。こちらこそ」

凛「じゃあ、次は私の番だね」ザッ

104: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:06:27.98 ID:OQLWsWhk0
投下します



シュートジム スタジアム

藍子(駅でザングースと戦っているのは見ていたけど)

藍子(凛さんが誰かとバトルするのを見るのは初めてだな)

夏美「今日はもう遅いし、1対1、お互いに自慢のポケモンで短期決戦といきましょ!」

凛「1対1だね……わかったよ」

夏美「じゃあいくわよ!」

105: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:07:00.40 ID:OQLWsWhk0
ドローンロトム『3……』

ドローンロトム『2……』

ドローンロトム『1……』

ドローンロトム『バトル・スタート!』

凛「ゲッコウガ!」ポン

夏美「ドデカバシ、いくわよ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

ドデカバシ「ドデー!」

*ドデカバシ おおづつポケモン ノーマル・ひこうタイプ
体内のガスをクチバシの中で爆発させ、大岩も粉々にする木のタネを発射
番いが仲睦まじく、結婚式に連れてこられることも

106: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:07:38.00 ID:OQLWsWhk0
凛(ドデカバシ……?)

凛(さっきと違うポケモンだ。どうやら私の実力に合わせてきたみたいだね)

凛(……気をつけていこう)

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

夏美「ドデカバシ、タネマシンガン!」

ドデカバシ「ドデー!」バババ

107: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:08:12.30 ID:OQLWsWhk0
バチィ!

夏美「一発ごとの威力は同じくらいだけど……」

夏美「撃ち合いならドデカバシの勝ちね!」

バババ

ゲッコウガ「ゲコッ!」バチィ

藍子「ああ、ゲッコウガ!」

凛(っ……いきなり5回連続で攻撃してきた)

108: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:08:52.59 ID:OQLWsWhk0
凛「ゲッコウガ、狙いを絞らせないで接近するよ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ダダダ

夏美「もう一度タネマシンガン!」

ドデカバシ「ドデー!」バババ

ゲッコウガ「ゲコ!」

ゲッコウガ「ゲコッ」バッ

凛(また5回攻撃……)

凛(まさか……スキルリンク!)

スキルリンク
連続攻撃技を必ず最高回数で出すことができる

109: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:09:24.95 ID:OQLWsWhk0
ゲッコウガ「ゲコッ!」バチィ

夏美「怯んだわね! ドデカバシ、突っ込んで!」

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ」ズバッ

ドデカバシ「ドデ……」

夏美「……! つばめがえし……!」

夏美「あの一瞬で立て直してくるなんて、よく鍛えられているわね!」

110: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:09:54.42 ID:OQLWsWhk0
夏美「でも……ドデカバシ、ドリルくちばし!」

ドデカバシ「ドデ!!」

ゲッコウガ「ゲコ……!」ドゴォ

凛「くっ……」

夏美「追撃よ! ロックブラスト!」

ドデカバシ「ドデ!」バババ

凛「いったん距離をとって!」

ゲッコウガ「ゲコ!」タッタッタッ

ヒョイ ヒョイ ヒョイ

111: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:10:26.27 ID:OQLWsWhk0
藍子(すごい……ドリルくちばしが直撃したのに、あんなに速いロックブラストを難なく躱している)

藍子(さっきも攻撃を受けてすぐに立ち直っていたし……凛さんって何者なの……?)

凛「回り込んでみずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

ドデカバシ「ドデ……!」

凛(やっぱり……)

凛(あのドデカバシってポケモン、クチバシが大きすぎて小回りが効かないんだ。だからスピードで翻弄すれば……)

112: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:11:00.54 ID:OQLWsWhk0
凛「接近してつばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

夏美「……」

夏美「ドデカバシ!」

ドデカバシ「ドデ!」グググ

藍子「……?」

藍子「ドデカバシのクチバシが赤くなってる………?」

凛「……! しまった……ゲッコウガ、気をつけて! 何か来る!」

夏美「もう遅いわ……喰らいなさい! くちばしキャノン!!」

ドデカバシ「ドデェー!!」

ズギュン

113: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:11:31.12 ID:OQLWsWhk0
凛「なっ……」

凛「速い……ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ――」

ズドォォォォン

藍子「わわ……!」

藍子(す、すごい……あんな威力の技を受けたら、さすがのゲッコウガも……)

シュゥゥ

夏美「どうかしら……?」

114: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:12:07.19 ID:OQLWsWhk0
ゥゥ……

身代わり人形「」コテッ

夏美「……!?」

凛「ゲッコウガ!」

夏美「……! 後ろッ――」

凛「ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ」ゴポォ

ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ズドォォォン

115: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:12:57.97 ID:OQLWsWhk0
ドデカバシ「ドデッ……」

ドデカバシ「ドデェ」バタンキュー

ドローンロトム『ドデカバシ戦闘不能! ドデカバシ戦闘不能! 勝者、チャレンジャー・凛選手!』

凛「よし……!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュタッ

藍子(……!)

夏美「あらら……また負けちゃったわ」

夏美「みがわりか……あの一撃で決めるつもりだったこと、バレバレだったみたいね」

夏美「ちなみにさっきの技はくちばしキャノン。あのままゲッコウガが攻撃を決めていたら、やけどのダメージと相まって倒れていたわね」

116: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:13:32.46 ID:OQLWsWhk0
凛「……そうだね。少し判断が遅れてたら危なかった」

夏美「ふふ。その奢らない姿勢も素晴らしいわ」

夏美「これ、フライトバッジよ。受け取って」

凛はフライトバッジを手に入れた!

凛は技マシン『ついばむ』を手に入れた!

藍子「……!」

藍子「すごい……凛さん、カッコいい……!」

藍子(私も、あんな風になりたい……!)

117: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:14:10.63 ID:OQLWsWhk0
夏美「それにしても凛ちゃんがこんなに強いなんてね。驚いたわ」

夏美「二人はどういう関係? もしかして師弟関係みたいな感じなの?」

凛「ああ……まあ、そうだよ」

夏美「なるほどね。納得」

夏美「……さて、これからの行き先だけど」

夏美「この町から電車に乗ってずーっと南下していったら、エンジンシティという町に着くわ」

夏美「その町にもジムはあるのだけど……凛ちゃんはともかく、藍子ちゃんにはまだ厳しいかもね」

118: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:15:05.72 ID:OQLWsWhk0
夏美「だから次はエンジンシティの西側にある町、ターフタウンに向かってみなさい」

藍子「はい!」

夏美「たしかあのジムは最近新しいジムリーダーが赴任して……あかり、って名前だったかな……?」

夏美「ま、とにかく。二人とも素晴らしいトレーナーね。今後が楽しみだわ」

夏美「まだまだ先は長いけど、一つの目標に向かって努力し続ける姿はとても美しいと思うし、私も応援したくなるわ。ジムチャレンジ、頑張ってね」

凛「はい。短い間でしたがありがとうございました」

藍子「ありがとうございましたっ!」

119: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:15:38.55 ID:OQLWsWhk0

翌日

シュートシティ発→エンジンシティ着車両

凛(エンジンシティまで4時間……)

凛(ガラルって本当に広いんだなあ)

凛(そういえば電車に乗るのも初めてだけど……)

凛(いいな、こういうの。過ぎていく景色を眺めているだけで楽しいし)

凛「そういえば藍子はどうしてポケモントレーナーになろうと思ったの?」

藍子「どうして……ですか。そうですね……」

藍子「何かきっかけがあったわけではなくて。気づいたら目指していた、って感じですね」

120: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:16:07.93 ID:OQLWsWhk0

藍子「子供の頃から、近所のあちこちでポケモンバトルをしている人がたくさんいたんです。それに影響されたのかもしれないですね」

藍子「サルノリは、私が旅立つって決めたときに親戚から譲ってもらったポケモンなんです。藍子ちゃんはいつも穏やかだから、草タイプのポケモンが似合うんじゃないかって」

凛「へえ……」

藍子「凛さんには何かきっかけがあったんですか?」

凛「そうだね、私も他の人のバトルを見たのがきっかけだったな」

凛「ポケモンリーグのチャンピオン決定戦で、当時のチャンピオンを倒したチャレンジャーがすごくかっこよかったんだ。そのバトルの映像は何回も見ていたな」

121: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:16:44.39 ID:OQLWsWhk0

藍子「うんうん、やっぱりバトルが強い人って憧れちゃいますよね!

ガタンゴトン

車内アナウンス『車両はただいまナックルシティを通過いたしました――』

藍子「……あ! 凛さん、見てください!」

凛「?」

藍子「今通っているトンネルを抜けたら――」

ゴゴゴゴ……

バッ

122: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:17:18.17 ID:OQLWsWhk0
凛(……!)

凛(これは……)

凛「藍子、ここって……」

藍子「わあ……! ここがワイルドエリア……!」

凛「ワイルドエリア……?」

藍子「うーん、なんて言ったらいいでしょうか」

藍子「とにかく、この辺りに住んでいる人はとても少なくて。ずっと自然が広がっているエリアなんです」

藍子「それで、一口にワイルドエリアといってもいくつかの地域に区分けされているんですけど、その一帯ごとにたくさんのポケモンが住んでいるんです!」

藍子「って私も、テレビやネットで見たことがあるぐらいなんですけどね」

123: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:17:50.85 ID:OQLWsWhk0
藍子「この辺りはナックル丘陵という地域ですね。――あっ、ほら!」

ダイオウドウ「ダイオー」ズシンズシン

ギアル「ギギー」フヨフヨ

パッチール「パッチ~」フラフラ

オドシシ「オドー!」ドドドド

クヌギダマ「クヌ」プラーン

ルチャブル「ルチャッ!」

124: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:18:23.05 ID:OQLWsWhk0

凛(……!)

凛(すごい……あちこちにポケモンの姿が見える)

凛(草むらもあるけど、その外側にもポケモンがいる。こんな光景は見たことがない……)

藍子「どうですか?」

凛「……すごい。こんな場所があるなんて。本当にポケモンばかりなんだね」

凛「まるでサファリゾーンみたいだ。……いや、サファリゾーンでもこんなにたくさんのポケモンが歩き回っているのは見たことがないよ」

藍子「サファリゾーン……アイマス地方にはそんな場所があるんですか?」

凛「うん。と言っても町の中にある施設なんだけどね。規模は段違いだよ」

藍子「そうなんですね。……あっ。あれ――」

125: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:18:50.55 ID:OQLWsWhk0

凛(……ん?)

アゲハント♂「アゲー」

アゲハント♀「アゲ~♪」バサバサ

凛(アゲハントの番いだ。とても仲が良さそうに飛んでいる)

パシャッ

凛「?」

藍子「よし……いいのが撮れた」

凛「藍子、それは……カメラ?」

藍子「はい。写真を撮るのが私の趣味なんです」

126: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:19:23.54 ID:OQLWsWhk0
藍子「トイカメラといって、すぐに現像できるものではないんですけど……そこが気に入っているんです」

藍子「日常の中で感じた幸せを、思い出として少しでも残しておきたいなって思って。それに、トイカメラで撮った写真ってすごく面白いんです。例えば……」

パラパラ

凛(これは……シキジカ達が遊んでいる写真だ)

藍子「この写真、所々が白飛びしちゃっているんですけど、それによってシキジカの元気で眩しい感じがより伝わってくるというか。私のお気に入りの一枚なんです」

藍子「あと、これはコダックがあくびをしている所を偶然見つけて撮ったんです。あまりにも口が大きく開いていたので。面白くてつい――」

藍子「……はっ! す、すみません。ちょっと、ね、熱が入りすぎちゃいました……!」

凛「……!」

127: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:20:10.16 ID:OQLWsWhk0

凛「……ふふっ」

藍子「?」

凛「……いや、ごめんね。そのアルバム、ポケモンばっかりが写ってるから、藍子って本当にポケモンが大好きなんだなって思って」

凛「私もポケモンが大好きだからさ、通じ合ったと思ったんだ」

凛「藍子はすごいね。知れば知るほど惹き込まれるというか、そんな魅力がある気がする」

藍子「へ……そ、そうですか? そう言われると照れちゃいますね……」

藍子「そうだ。凛さんのことも撮っていいですか?」

128: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:20:46.79 ID:OQLWsWhk0

凛「私? うん、いいけど」

藍子「じゃあ折角なんで、ワイルドエリアを背に向けて撮ってみましょう! あ、ちょうど向こう側にケンタロスの群れが――」

ケンタロス「ケンター!」

ドドドドドド

藍子「じゃあ撮りますよ。はい、チーズ!」

パシャリ

凛「な、なんか恥ずかしいな、これ――」

129: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:21:24.76 ID:OQLWsWhk0

凛「……!?」ゾクッ

凛(何だ……この感覚!?)

凛(私の後ろに、何かが……いる)

凛(でも背中は窓のはず――)クルッ


バッ

ヨクバリス「ヨクバー!」ドドン

凛「うわっ!?」

130: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:22:06.39 ID:OQLWsWhk0

パシャリ

ヨクバリス「……」

ヨクバリス「ヨクバー」スタスタ

凛「い、今のは……?」

ヨクバリス よくばりポケモン ノーマルタイプ
どんなに硬い木の実の殻も自慢の歯でボリボリ齧る
ガラルではよく見るポケモン

藍子「ヨクバリスというポケモンですね……お弁当につられて近づいてきたんでしょうか」

凛「そ、そうなんだ……」

凛「それにしてもすごいインパクトだった。夢に出てきそうだ……」

131: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:22:40.77 ID:OQLWsWhk0

凛「……って藍子。どさくさに紛れて写真撮ってたでしょ」

藍子「あれ、バレちゃいました? 凛さんがビックリしている顔が新鮮で……」

凛「消して」

藍子「……さて、どうしましょうかね♪」

凛「消して。今すぐ」

藍子「ふふっ……私の気が向いたらでいいですか?」

凛「ダメ」

パシャリ

藍子「やったあ、膨れっ面の凛さんも撮れちゃいました♪」

凛「~~~っ」

132: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/19(日) 00:29:42.09 ID:OQLWsWhk0
今回はここまでです

ちなみに設定としてジムリーダー達にルールが設けられています
・ジムリーダーはチャレンジャーの力量に合わせたポケモンを選出する。故意に実力差のあるポケモンを選択してはいけない
・バトルのルールはジムリーダーの判断で、臨機応変に決めることができる。ただし提示したルールへのチャレンジャーの承認は必要。
・ジムリーダーは任意で、メガシンカ、Zワザ、ダイマックスなどを使用することができる。ただし併用は不可
・このうちダイマックスのみ、チャレンジャーがダイマックスバンドを所持していなければ使用することができない。ただしエンジンジムは除く

このルールに乗っ取ったため、夏美はダイマックスを使えませんでした
いつか再戦する機会があれば使うことになるかもですが

次回はゲットの安価があるので何卒宜しくお願い致します
ここまで読んでいただき有難うございました

135: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 11:30:47.54 ID:EvRb76ut0
エンジンシティ

凛「たしか夏美さんの話では、ここから西に向かった所に次のジムがあるんだよね」

藍子「はい! さっそく向かいましょう!」


3番道路

タンドン「タンドー」バタンキュー

ホープトレーナー「ああ、僕のタンドンが……!」

凛「いい調子だよ、藍子」

藍子「はいっ!」

136: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 11:31:22.63 ID:EvRb76ut0

ガラル鉱山

藍子(コロモリには草タイプの技はあまり効かないから……)

藍子「サルノリ、アクロバット!」

サルノリ「サルー!」バシィ

コロモリ「コロー」バタンキュー

藍子「よしっ!」

サルノリ「サルッ――」

137: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 11:31:56.88 ID:EvRb76ut0

カッ

藍子「!? サ、サルノリ!?」

凛「これは……進化だ!」

ゴゴゴゴゴゴ

バチンキー「バチー!」ドン

バチンキー ビートポケモン くさタイプ
2本のスティックで激しいビートを刻む
ビートを刻むことに夢中になるあまり、戦いでは相手が気絶しても気づかない

藍子「……!」

藍子「バチンキー……これからもよろしくね!」

バチンキー「バチ」

138: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 11:32:54.02 ID:EvRb76ut0

4番道路

凛「そうだ、藍子」

藍子「はい?」

凛「さすがに手持ちのポケモンが一匹じゃ心もとないから、そろそろ新しいポケモンを捕まえてみたらどうかな?」

凛「ちょうどこの辺りもたくさんポケモンがいるし……」チラッ

凛「ほら、あの辺りとか」

139: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 11:35:10.72 ID:EvRb76ut0

マホミル「……」フヨフヨ

マホミル クリームポケモン フェアリータイプ
空気中の甘い香りの成分が集まって生まれたポケモン
ガラル地方のカフェには欠かせない存在

アブリー「……」ブーン

アブリー ツリアブポケモン むし・フェアリータイプ
大好物の花粉や蜜を求めて花畑を飛び回る
生き物が発するオーラから動きを先読みして敵を翻弄する

藍子「そうですね……じゃあ私、>>140を捕まえてみます!」

 
マホミル 

141: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:34:04.85 ID:EvRb76ut0

凛「マホミル……あっちのクリームっぽいポケモンだね」

凛「よし、じゃあやってみよう」

凛「まず、ポケモンをゲットする時は倒しちゃうとダメなんだ。ギリギリまで弱らせることでゲットできる確率が高まるからね」

凛「そこに気をつけて、うまく攻撃してみようか」

藍子「はい! バチンキー、お願い!」ポン

バチンキー「バチ」

藍子「えだづき!」

バチンキー「バチ!」ズッ

142: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:34:32.48 ID:EvRb76ut0

マホミル「マホ」ヒョイ

藍子「横に躱された……でも!」

バチンキー「バチッ」

マホミル「!?」

ズドン

藍子「スティックが2本になった分、攻撃範囲も増えてるんだよ!」

マホミル「~っ」フラフラ

143: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:35:03.53 ID:EvRb76ut0

凛「よし、いい感じだね! ボールを投げてみて!」

藍子「はい! ええっと……いけー、モンスターボールっ!」ヒョイ

マホミル「!」

ボム

コロンコロン

藍子「……」ドキドキ

凛「……」

コロ……

カチッ

144: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:35:34.00 ID:EvRb76ut0

藍子「!」

凛「うん。この音が鳴ったらゲットできた証だね」

藍子「やった……初めてのゲット……!」

藍子「うまくいきました! 凛さん、ありがとうございます!」

凛「どういたしまして」

凛「でもゲットするのが終わりじゃないよ。しっかりバトルにも出して鍛えてあげないとね」

凛「それからさっきのバチンキーの技も……えだづきがダブルアタックにパワーアップしたみたいだね」

凛「特訓も兼ねて、もう少しこの道路に居座ろうか」

藍子「はい!」

藍子(マホミル……よろしくね!)

145: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:36:01.96 ID:EvRb76ut0

ターフタウン

藍子「ここがターフタウンですか……」

藍子「……!?」

男「zzz」スヤァ

女「うう……」グッタリ

凛「これは……!? 町の皆が倒れてる……!」

凛「どうしたの、大丈夫!?」

146: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:36:33.99 ID:EvRb76ut0

女「……ううっ……あ、あなたは……?」

女「……いや、それよりも……町にいきなり、キノコのポケモン、が……」

女「そのポケモンの胞子で、みんな大変な、ことに……」

凛「キノコのポケモン……?」

ガサッ

藍子「……っ!」

タマゲタケ「タマッ!」

タマゲタケ きのこポケモン くさ・どくタイプ
モンスターボールに似た模様で誘い毒胞子を吹きかける
なぜ似ているかはナゾである

147: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:36:59.71 ID:EvRb76ut0
凛「タマゲタケ……?」

女「……き、気をつけて……!」

ガサッ ガサッ ガサッ

凛「! 一匹じゃ……ない!」

タマゲタケ「タマー!」バッ

タマゲタケ「タマッッ!」バッ

藍子「わわっ……!」

148: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:37:25.33 ID:EvRb76ut0

凛「タマゲタケの大群……!」

凛(どうやら町の人達が倒れているのはこのポケモンが原因みたいだ)

凛(どのタマゲタケも気が立っている……なんとか抑えないと)

凛「サザンドラ!」ポン

サザンドラ「サザーッ!」

凛「あくのはどうでタマゲタケ達を牽制して!」

サザンドラ「サザー!」バババ

タマゲタケ「タマゲ……!」ドガッ

149: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:37:54.46 ID:EvRb76ut0

タマゲタケ「タマ……!?」

アタフタ

藍子「他のタマゲタケ達が慌ててます!」

凛「よし……何とか戦意を削がせたみたいだ」

フヨフヨ……

凛(……ん?)

サザンドラ「サザ……?」ピトッ

150: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:38:20.50 ID:EvRb76ut0

サザンドラ「zzz」スヤァ

凛「!? サザンドラ……!」

凛「眠らされた……これはキノコのほうし!」

タマゲタケ「タマー!!」バッ

タマゲタケ「タマー!!」ババッ

藍子「えっ!?」

凛(しまった……後ろにも!)

151: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:39:23.31 ID:EvRb76ut0

タマゲタケ「タマー!」ブワッ

凛(……!?)

ビリッ

凛(しまっ……!)

藍子「うっ……体、がっ……」ビリビリ

藍子「り、凛さ……!」

凛「ごめ、ん……私も、動かな、い……」ビリビリ

タマゲタケ「タマー!!」

藍子「……!」

凛「……!」

152: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:40:08.93 ID:EvRb76ut0


『トロピウス、はっぱカッター!!』

バッ

タマゲタケ「タマッ!?」

ズバズバズバ

『アマカジ、アロマセラピー!』

ホワワー

藍子「……!」パァァ

凛「……!」パァァ

凛(身体中の痺れが取れた……!)

153: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:40:35.47 ID:EvRb76ut0

??「もう、少し町を離れてる隙に……!」

??「皆さん、大丈夫ですか!?」

凛「うん……助かったよ。ありがとう」

藍子「ありがとうございます……そうだ、タマゲタケは!?」

タマゲタケ「タマ……」

??「今の攻撃で一部は正気に戻ったみたいですね」

154: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:41:30.82 ID:EvRb76ut0

??「見たところあなた達は……かなり腕が立つみたいですね」

??「すみませんが、私はアマカジを連れて町を見てきます。なので残りのタマゲタケを落ち着かせるのを手伝ってもらえないでしょうか?」

凛「わかった。藍子」

藍子「はい。バチンキー!」ポン

バチンキー「バチ!」



数分後

??「ありがとうございます。おかげで助かりました」ペコリ

155: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:42:05.31 ID:EvRb76ut0

凛「いや、それはこっちの言葉だよ」

藍子「こちらこそ、助けていただいてありがとうございました!」

藍子「私は藍子です。ジムチャレンジで各地を旅している途中なんです」

凛「凛です。よろしく」

藍子「ところであなたは……?」

??「ああ、申し遅れましたね!」

あかり「私はターフタウンの果樹園のオーナー、あかりです!」

156: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:43:07.22 ID:EvRb76ut0

凛「あかり……?」

凛「ということは、アンタがジムリーダー?」

藍子「えっ!?」

あかり「んご! ジムリーダーも兼任させてもらっています!」

藍子(んご……?)

凛(なるほど……はっぱカッターでタマゲタケを追い払っていたぐらいだから、どうりで強いわけだ)

藍子「あの、ジムリーダーでしたら……!」

藍子「落ち着いたらで大丈夫なので、ジムに挑戦してもいいでしょうか!?」

157: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:43:34.79 ID:EvRb76ut0

あかり「はい! いつでも大歓迎ですよ!」

藍子「ありがとうございます! よろしくお願いしますっ」

??「……あのーっ」

凛「?」

藍子「?」

あかり「?」

??「さっき、町の外からタマゲタケの群れを見かけてこの町に来てみたんですが――」

158: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:44:56.67 ID:EvRb76ut0

あかり「タマゲタケならもうこの町にはいないかもしれませんよ?」

??「ええっ!? ……ということは、もう誰かが対処してしまったとか……!?」

あかり「ま、まあ、そうですね。誰かというか、私たちが対処しましたが」

??「なんと……せっかく現場に来たのに、また一歩遅かった……がっくし……」

藍子「あの、あなたは……?」

??「……ああ! 申し遅れました!」

都「私はブラッシータウンで探偵事務所を経営しています、都という者です! 以後、お見知り置きを」ササッ

凛(名刺まで……細かいなあ)

藍子(都探偵事務所……初めて聞く名前だなあ)

159: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:45:30.03 ID:EvRb76ut0

凛「あ、私は凛だよ。こっちは藍子」

藍子「よ、よろしくお願いします」

あかり「私はターフタウンジムリーダーのあかりです!」

都「よろしくお願いします! 私、実は今、ある事件の調査をしていまして……」

凛「事件?」

都「いかにもっ! 最近ガラル地方各地で、その辺りに生息していないはずのポケモンが突然暴れだすという事件が頻発しているんです!」

都「ニュースにもなっているはずですが、何か心当たりはありますか?」

160: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:46:05.62 ID:EvRb76ut0

凛「心当たり……」

凛(……! もしかして……シュートシティの駅でザングースが暴れていたのって……)

都「その顔……何か思い当たる節がありそうですね」

都「もしよければ、重要参考人として話を聞かせてくれませんか?」

凛「うん。実は――」

カクカクシカジカ

都「な、なんと! あの時のザングースを撃退したのはあなただったのですね……!」

都「……」

161: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:47:26.58 ID:EvRb76ut0

都「よし、決めました! 凛さん、今からあなたを今回の事件の調査員に任命させて下さい!」

凛「ちょ、調査員……?」

都「はい。と言っても怪しい人を尾行したり張り込みしたりはしなくて大丈夫です。ただ何か事件に関わる情報を得た時には、すぐ私に連絡してほしいのです!」

都「こちら、私の連絡先になります!」バッ

凛「うーん……」

凛(話が急だけど、たしかに気にはなるな……何者かの力で暴れさせられていたのだろうか。それとも……)

凛「まあ、そういうことなら」ピピッ

162: ◆7P/ioTJZG. 2020/04/25(土) 22:48:09.56 ID:EvRb76ut0

都「ありがとうございますっ!」

都「今ガラル地方には大きな野望が渦巻いている……そんな風に感じます。大変なことが置き売前に、共にこの事件を解決しましょう!」

都「では私はこれにて。……あ、やっぱりジムリーダーさんの連絡先も聞いておこうかな」

あかり「あっはい……いいですけど」

都「ありがとうございます。では私は現場で聞き込みに向かいますので、これにて!」

タッタッタッ

藍子「何というか……忙しない人でしたね」

凛「まあ……悪い人ではなさそうだし、別にいいんじゃないかな」

あかり「でも突然暴れ出す、というのは気になりますね。私も他のジムリーダー達に相談してみます」

あかり「では私はこれで。次はジムでお会いしましょうね」

藍子「はい!」

169: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:37:50.00 ID:mODqF4wg0

凛「サンダース、シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

藍子「躱して、バチンキー!」

バチンキー「バチ」サッ

凛「藍子、ただ攻撃を躱すだけじゃダメだよ。時には反撃もしないと」

サンダース「ダース」

藍子「……!? いつの間に……!」

170: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:38:22.77 ID:mODqF4wg0

凛「でんじは!」

サンダース「ダース!」

バチンキー「バチッ……!」ビリビリ

凛「回避すると隙も生まれるからね。はい、クラボのみ」ヒョイ

藍子「ありがとうございます……でも反撃ってどうやって……?」

凛「そうだね、例えばシャドーボールだったら同じくらいの威力の技で打ち返すこともできるし、もっと強力な技だったら叩き割ることもできるかもね」

凛「それから相殺することもできるし、直接攻撃の技なら受け流すこともできる。反撃といってもたくさんあるから、臨機応変に対応していくことが大事だね」

藍子「臨機応変に……はい、わかりました! もう一度お願いします!」

171: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:38:55.09 ID:mODqF4wg0

??「……」ジーッ

あかり「智絵里ちゃん」ポン

智絵里「あっ……あかりちゃん」

あかり「ん……ああ、凛ちゃんと藍子ちゃんの特訓を見ていたんですか」

智絵里「はい。凛さんと藍子さん……そんなお名前だったんですか」

智絵里「私、見ていたんです。あのキノコのポケモン達と戦ってるお二人を。すごくかっこよくて……いつかお礼を言いたいなって」

智絵里「あの時、私も何とか戦おうとしたけど、全く役に立てなくて……フシギダネもいっぱい傷つけちゃったし」

フシギダネ「フッシー?」

172: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:39:27.78 ID:mODqF4wg0

あかり「そんなことないですよ、智絵里ちゃん」

あかり「智絵里ちゃんも勇敢に立ち向かってくれたじゃないですか。私はその気持ちだけでも嬉しいです」

智絵里「あかりちゃん……」

あかり「……そうだ。あの二人、今度ジムチャレンジに来るみたいだから、その時は智絵里ちゃんも招待してあげますよ!」

智絵里「えっ……本当ですか?」

あかり「智絵里ちゃんも果樹園のお手伝いばかりじゃ疲れるだろうし、息抜きにどうかなって!」

智絵里「あ……ありがとうございますっ」

フシギダネ「フッシー!」

あかり「いえいえ!」

173: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:40:18.01 ID:mODqF4wg0

ターフジム

凛「うん、2匹ともコンディションはバッチリだね」

凛「じゃあ藍子、頑張ってきてね」

藍子「はい! 行ってきます!」

ガラガラ……

ジムトレーナー「ようこそ、チャレンジャー!」

ジムトレーナー「早速だが、ここターフジムでは一つの課題に挑戦してもらうぞ!」

藍子「はい!」

ジムトレーナー「ここのジムリーダー、あかりは果樹園のオーナーも務めている。つまり季節を問わず色んな果物を収穫して、ガラル全土へ届けているわけだが……」

ジムトレーナー「ちょうど大量のリンゴが収穫できたんだ。それを仕分けてほしい」

174: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:40:53.82 ID:mODqF4wg0

藍子「仕分ける……?」

ジムトレーナー「そうだ。今から赤いリンゴと緑のリンゴがあのカゴの中から降ってくる」ドドン

藍子(かなり巨大なカゴが上から吊るされている)

藍子「カゴ……ってあれのことですか?」

ジムトレーナー「そうだ。あのカゴから落ちてくるリンゴを色ごとに2つのカゴに仕分けてくれ」

ジムトレーナー「チャレンジは2回。仕分けミスした個数によって何人のジムトレーナーと戦うかが決まるぞ。よりミスが少ないほど、リスクを減らしてジムリーダーに挑むことができるわけだ」

175: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:41:37.66 ID:mODqF4wg0

ジムトレーナー「ちなみに2回目のチャレンジではイガグリも混ざってくる。イガグリはどちらのカゴに入れてもいけないから気をつけたまえ」

ジムトレーナー「求められるのはトレーナーとしての瞬発力というわけだな。それでは頑張ってくれたまえ!」

ゴゴゴ……

藍子(カゴが傾いてきた……!)

ゴロッ

藍子(よし……!)

藍子「赤は左、緑は右……」サッ サッ

藍子「……ってあれ? 赤と緑が同時に……わわっ……!」

176: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:42:12.53 ID:mODqF4wg0

数十分後

藍子(ふうっ……戦ったトレーナーは2人か)

藍子(これでようやくジムリーダー戦だ――)

バッ

藍子「!!」

ワァァァァァァ

『チャレンジャー、頑張れー!』

『新米だっけ? 瑞々しくていいなぁー!』

『あかりんごー! コテンパンにしてやれーい!』

177: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:42:48.07 ID:mODqF4wg0

藍子「こ、これは……?」

藍子(たくさんの人が集まっている……みんなジムチャレンジを見に来たの……?)

凛(藍子、かなり緊張しているな)

凛(無理もない。たった一人のチャレンジにこんなに大人数が集まるなんて)

凛(それほどガラル地方はバトルが盛んなんだね)

あかり「チャレンジャー!」ザッ

藍子「!」

178: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:43:27.35 ID:mODqF4wg0

あかり「リンゴの仕分け、お疲れ様でした! おかげで助かったんご」ペコリ

あかり「えへへ……夢中で果樹園をやっていたら、規模が大きくなりすぎちゃって……一人じゃ手に負えなくなったから、ジムの仕掛けに使わせてもらったんです」

あかり「……さて。あなたの手持ちポケモンは2匹ですね。では私も2匹で挑ませていただきます!」

藍子「は、はい……」

あかり「……あ、もしかして緊張してますか?」

あかり「大丈夫ですよ、この町の人々は優しいので!」

あかり「それにみんな知っていますよ。藍子ちゃんや凛ちゃんに助けられたことを」

藍子「……!」

179: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:44:40.60 ID:mODqF4wg0
あかり「でも私は手加減しません! 栄養満点のリンゴを食べている私のポケモン達は強いんごよ!」

ドローンロトム『3……』

ドローンロトム『2……』

ドローンロトム『1……』

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

藍子「バチンキー!」ポン

バチンキー「バチ!」

あかり「まずはあなたです、ベイリーフ!」ポン

ベイリーフ「ベーイ!」

ベイリーフ はっぱポケモン くさタイプ
首のまわりからスパイスのような香りを発散させる
元気を出させる効果がある他、なぜか戦いたくなる

180: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:45:26.40 ID:mODqF4wg0
藍子 手持ちポケモン

バチンキー ♂ Lv.24 しんりょく
ダブルアタック/アクロバット/はたきおとす/いやなおと
むじゃきなせいかく ちのけがおおい

マホミル ♀ Lv.22 スイートベール
ドレインキッス/てんしのキッス/アロマセラピー/あまいかおり
おだやかなせいかく のんびりするのがすき

181: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:46:08.62 ID:mODqF4wg0

藍子「バチンキー、ダブルアタック!」

バチンキー「バチ!」ブン

あかり「リフレクターんご!」

ベイリーフ「ベイ!」パァァ

ガキン

藍子「っ……!」

あかり「つるのムチ!」

ベイリーフ「ベイ!」ブゥン

182: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:46:41.11 ID:mODqF4wg0

バチンキー「バチ!?」ガシッ

藍子「バチンキー!」

あかり「そのまま放り投げちゃって!」

ベイリーフ「ベイー!」

バシィ

バチンキー「バチ……!」

藍子「バチンキー……!」

183: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:47:22.82 ID:mODqF4wg0

凛(……さっそく厄介な展開になったね)

凛(物理攻撃がメインのバチンキーからしたら、リフレクターを張られると厳しくなる……)

凛(効果が切れるのを待つしかないけど、それまでバチンキーが耐えられるかどうか……)

あかり「ベイリーフ、エナジーボール!」

ベイリーフ「ベイ!」ボッ

藍子「バチンキー、かわ――」

184: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:47:50.34 ID:mODqF4wg0

凛『藍子、ただ攻撃を躱すだけじゃダメだよ』

藍子(……!)ハッ

バチンキー「バチ……!」ドガッ

『おいおい何してんだ! 今のは躱せたぞ!』

『しっかりー!』

あかり「どうしましたか!? 目の前のバトルに集中してください!」

藍子「……はい!」

185: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:48:31.32 ID:mODqF4wg0

藍子「バチンキー、もう一度ダブルアタック!」

バチンキー「バチ!」ブゥン

あかり「無駄です! こっちにはリフレクターがあるんご!」

ベイリーフ「ベイ!」ガキン

藍子「一撃じゃなくても……」

凛『強力な技だったら叩き割ることもできるかもね』

藍子「追撃すれば!!」

186: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:49:14.94 ID:mODqF4wg0

藍子「バチンキー!」

バチンキー「バチ!」

ガッ

ベイリーフ「ベイ!?」

バチンキー「バチ!」

ピョン

『おお……!? リフレクターを土台にして跳んだぞ!?』

藍子「そのままアクロバット!!」

187: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:49:48.98 ID:mODqF4wg0

バチンキー「バチッ!!」

ドガッ

あかり「……!」

ピシッ

凛(……! リフレクターにヒビが……!)

バチンキー「バチ……」グググ

バチィ!!

188: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:50:43.22 ID:mODqF4wg0

バチンキー「バチッ」スタッ

あかり「なるほど。攻撃を防がれた反動でタメを作り、さらに強力な一撃へ繋げる……さすがです!」

あかり「ですが、リフレクターを破るには至らなかったようですね!」

あかり「まだまだ攻めるんごよ! エナジーボール!」

ベイリーフ「ベイ!」ボッ

藍子(思い出せ……凛さんとの特訓を!)

凛『例えばシャドーボールだったら同じくらいの威力の技で打ち返すこともできるし――』

189: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:51:19.54 ID:mODqF4wg0

藍子「バチンキー、押し返すよ!」

バチンキー「バチ」ザッ

藍子「ダブルアタック!!」

バチンキー「バチ!!」

ドガッ ドガッ

グググ……

ギュゥン!

190: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:52:00.08 ID:mODqF4wg0

あかり「!!」

ベイリーフ「ベイ……!」ズドン

『おお!! エナジーボールを打ち返したぞ!』

『やるじゃねえかバチンキー! カッコいいぜー!!』

ワァァァァァァ

あかり「くっ……!」

フッ……

191: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:52:38.14 ID:mODqF4wg0

藍子「リフレクターが消えた! バチンキー、一気に決めるよ!」

バチンキー「バチ!」ダッ

藍子「アクロバット!!」

バチンキー「バチッ!!」

ドガッ

ベイリーフ「ベイ……!」

ドスゥン

ベイリーフ「ベイ……」バタンキュー

192: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:53:26.68 ID:mODqF4wg0

ドローンロトム『ベイリーフ戦闘不能! ベイリーフ戦闘不能!』

ワァァァァァァ

凛「よし……藍子、やるじゃん」

あかり「戻ってください、ベイリーフ」シュゥゥ

藍子「よし……これで2対1です!」

あかり「……はたしてそうでしょうか?」

藍子「えっ……?」

パタン

193: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:53:58.41 ID:mODqF4wg0

バチンキー「バチ……」バタンキュー

藍子「!!」

ドローンロトム『バチンキー戦闘不能! バチンキー戦闘不能!』

藍子「ど、どうして……!」

あかり「アクロバットでリフレクターが割られそうになった時、咄嗟にどくのこなを振り撒いておきました。念には念を入れててよかったんご♪」

藍子「くっ……」

あかり「これでお互いに残り一匹ですね……ですがエースが残っているのは私の方!」

194: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/02(土) 22:54:28.19 ID:mODqF4wg0

あかり「さあ、決めますよ! アップリュー!」ポン

アップリュー「リュー!」

アップリュー りんごはねポケモン くさ・ドラゴンタイプ
りんごの皮の翼で飛んで強酸性の唾液を飛ばす
火傷するほど強酸性の液体を頬袋に溜める

藍子「……」

藍子(マホミル……これがデビュー戦だね)

藍子(強そうな相手だけど……頑張って!)

藍子「マホミル!」ポン

199: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:24:16.84 ID:PSxe7ukT0

マホミル「マホー!」

あかり「なるほど、マホミルですか」

藍子(相性がいいのはこっちの方だ……まずは攻めよう!)

藍子「マホミル、ドレインキッス!」

マホミル「マホー!」チュッ

アップリュー「リュー!」

シュゥゥ

200: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:25:31.21 ID:PSxe7ukT0
 

あかり「ドレインキッス……攻撃しつつ体力を吸い取る技ですね」

藍子「どう……?」

藍子「!!」

アップリュー「リュー!!」バサッバサッ

藍子「き、効いてない……!?」

あかり「りんごパワーの前にフェアリー技は効かないんご!」

あかり「お返しです、アシッドボム!」

201: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:26:07.62 ID:PSxe7ukT0

アップリュー「リュー!」ブシャー

藍子「マホミル、危ない!」

マホミル「マホッ!」ヒョイ

藍子(なんとか躱せた……でもどうして……?)

藍子「……も、もう一度! マホミル、ドレインキッス!」

マホミル「マホー!」

凛「藍子! 無闇に攻めちゃダメだ!」

あかり「何度来ても同じです! アップリュー、リサイクル!」


202: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:26:45.96 ID:PSxe7ukT0

アップリュー「リュー」

ポンッ

マホミル「マホッ!」チュッ

藍子「!」

シュゥゥ

藍子「あれは……きのみ!?」

藍子「きのみがドレインキッスを弱めているの……!?」

マホミル「マホ……!?」

203: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:27:42.68 ID:PSxe7ukT0

あかり「その通り。アップリューにはロゼルの実を持たせてますからね!」

ロゼルの実
フェアリータイプの技の威力を弱める

あかり「さらにアップリューの特性は『じゅくせい』。これは持たせた木の実の効果を倍にする特性です」

じゅくせい
持たせた木の実の効果を倍にする

凛(なるほど、それでフェアリー技をほとんど受け付けなかったのか)

あかり「あなたも道中に見かけたと思いますが、4番道路にはフェアリータイプのポケモンが何種類か生息しています」

あかり「そのポケモンを活用して私に挑む人があまりにも多いので、こうやって対策しちゃいました♪」

204: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:28:46.09 ID:PSxe7ukT0

あかり「相性が良いからと高を括っていたようですが、そう簡単には倒されませんよ!」

藍子「……!」

凛(まずいな……こうなると正攻法では太刀打ちできない)

凛(なんとか木の実の復活を阻止しないと……)

藍子「……」

藍子(どうしよう……)

藍子(マホミルの攻撃技はドレインキッスだけ。でもそれじゃ大きなダメージは与えられない)

藍子(でもバチンキーも倒されたし、交代させることもできない……)

205: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:29:22.18 ID:PSxe7ukT0

あかり「アップリュー、アシッドボム!」

アップリュー「リュー!」ブシャー

マホミル「マホッ……!」ヒョイ

藍子(マホミルは身のこなしが軽いから何とか躱せているけど、それも長くは続かない……)

藍子(それに……)

ガヤガヤガヤガヤ

『チャレンジャー! 攻撃しないと倒せないぞー!』

『どうしたどうした、降参かー?』

206: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:29:56.23 ID:PSxe7ukT0

藍子(ダメだ、気を取られちゃいけない……)

藍子(どうする……? 考えろ、私……!)

アップリュー「リュー!」ブシャー

マホミル「マホ……!」ドバッ

藍子「!」

あかり「ようやく攻撃が当たりましたね! 追撃です、エナジーボール!」

アップリュー「リュー!」ボッ

マホミル「マホッ……」ドガッ

207: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:30:51.21 ID:PSxe7ukT0

藍子「!」

ドサッ

マホミル「マホ……」

あかり「どうやら次の攻撃が最後みたいですね」

藍子「っ……」

藍子(どうしたらいいの……? 考えろ、私……!)

藍子「……?」

藍子(この匂いは……)

藍子(マホミルから……?)

208: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:31:31.56 ID:PSxe7ukT0

藍子(そうか……マホミルってたしか、空気中の甘い香りの成分が集まったポケモンなんだっけ)

藍子(……待って。マホミルが覚えている技って……)

藍子(そうか……! そうだ!)

藍子(たしかに攻撃できるのはフェアリー技しかない……それでいいんだ!)

マホミル「マホミル!」

マホミル「!」

藍子「もう少し頑張って……攻撃を躱し続けて!」

209: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:32:01.01 ID:PSxe7ukT0

マホミル「マホ……!」グググ

あかり「まだ足掻くつもりですね! いいでしょう、何度でもお相手します!」

アップリュー「リュー!」ボッ

マホミル「マホ!」ヒョイ

藍子(たぶんチャンスは1回だけ……)

藍子(マホミルも頑張っているんだ。絶対に見逃さない……!)

マホミル「マホ!」ヒョイ

マホミル「マホッ」ヒョイ

210: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:32:49.31 ID:PSxe7ukT0

マホミル「!」

チッ

あかり「これも当たりませんか……かなり根性のあるポケモンですね!」

あかり「アップリュー!」

藍子「マホミル、上に躱して!」

アップリュー「リュー!」ブシャー

マホミル「マホ!」

211: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:33:16.05 ID:PSxe7ukT0

藍子(今だ!)

藍子「マホミル!」

あかり「ドレインキッスは効きませんよ!」

藍子「違う……キッスはキッスでも!」

藍子「てんしのキッス!」

マホミル「マホ」

チュッ

212: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:33:55.23 ID:PSxe7ukT0

あかり「へっ!?」

アップリュー「……!?」

アップリュー「リュー」ピヨピヨ

凛「!」

『おお……!』

『すげえ、まさかてんしのキッスを当てるなんて……!』

『いいぞー!!』

ワァァァァァァ

213: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:34:26.18 ID:PSxe7ukT0

藍子「そしてドレインキッス!」

マホミル「マホ!」チュッ

シュゥゥ

あかり「しまった……リサイクルをしないと……!」

あかり「アップリュー!」

アップリュー「リュー」バシィ

あかり「ああっ! 自分を攻撃しないで!」

214: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:34:58.56 ID:PSxe7ukT0

藍子「よし……もう一回ドレインキッス!」

マホミル「マホ!」チュッ

アップリュー「リュー!?」

キュゥゥゥン

パァァ

マホミル「マホー♪」

ワァァァァァァ

『すげえ! 形勢逆転だァ!!』

215: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:35:27.53 ID:PSxe7ukT0

藍子「マホミル、どんどん攻めて!」

マホミル「マホー!」

チュッ

アップリュー「リュー!」

あかり「あああ……アップリュー!」

アップリュー「……リュ?」パチッ

凛(! 混乱が解けた……!)

216: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:36:02.41 ID:PSxe7ukT0

あかり「お返しです! アップリュー、アシッドボム!」

アップリュー「リュー!」ブシャー

マホミル「!」

藍子「マホミル、構わずに突っ込んで!」

マホミル「マホ!」

ドバッ

マホミル「マホ……」

藍子「よし……耐えられた!」

217: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:36:32.91 ID:PSxe7ukT0

藍子「トドメのドレインキッス!」

マホミル「マホ!」チュッ

アップリュー「リュゥゥゥ……!」

キュゥゥゥン

フッ……

トスン

アップリュー「リュー」バタンキュー

218: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:37:05.81 ID:PSxe7ukT0

ドローンロトム『アップリュー戦闘不能! アップリュー戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、チャレンジャー・藍子選手!』

ワァァァァァァ

『いい勝負だったぞー!!』

『ブラボー!!』

パチパチパチ

藍子「あ……み、みなさんありがとうございます……っ」

219: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:37:38.52 ID:PSxe7ukT0

藍子「マホミル!」

マホミル「マホ」

藍子「頑張ったね……すごいよマホミル!」ギュッ

あかり「……」シュゥゥ

あかり「見事でした、藍子ちゃん」

あかり「相性が良いから高を括っていた、と言いましたが、相性に拘りすぎて周りが見えていなかったのは私の方でしたね。勉強になったんご」

220: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:39:57.50 ID:PSxe7ukT0

あかり「しかし、まさかてんしのキッスとは……命中率が低い技なのに、よく当てようとしたんごね」

藍子「私は最初から必ず命中すると信じていましたよ?」

あかり「え?」

藍子「マホミルは常に甘い匂いを漂わせているポケモンだって、バトル中に思い出したんです」

藍子「だから逃げ回っている間、ずっと『あまいかおり』を振り撒いていました♪」

あかり「……!」

あかり「はー、これはしてやられたんご……私もまだまだ未熟ですね!」

221: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:40:50.52 ID:PSxe7ukT0

あかり「ではこれ、約束のアップルバッジんご!」

藍子はアップルバッジを手に入れた!

あかり「あと、これも強力な技だから是非使ってみてほしいんご!」

藍子は技マシン「エナジーボール」を手に入れた!

藍子(やった……これで2つ目のバッジだ……!)

あかり「またバトルしましょう! 次はしっかり混乱対策しなきゃね!」

藍子「はい! こちらこそ! ありがとうございました!」グッ

222: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:41:32.16 ID:PSxe7ukT0

~その後~



藍子「……あっ、凛さん!」

藍子「凛さんもバッチリ、アップルバッジゲットですね!」

凛「うん、まあね」

凛「次はいったんエンジンシティに戻るんだっけ」

藍子「そうみたいですね」

タッタッタッ

??「あ、あのっ……!」

223: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:42:02.89 ID:PSxe7ukT0

凛・藍子「?」

智絵里「あの、突然すみません。私、この町に住んでいる智絵里と言います」

智絵里「さっき、スタジアムでジムチャレンジを観戦していたんですが……」

智絵里「お二人のバトル……すごくかっこよかったです!」

藍子「あ、ありがとうございます!」

藍子(これはまさか……私達のファン!?)

凛「ありがとう」

224: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:42:44.26 ID:PSxe7ukT0

智絵里「あの、それとですね……」

智絵里「先日は町を救っていただいてありがとうございました!」ペコリ

藍子「町を救ったって……タマゲタケのことですか?」

凛「いや、救ったなんてそんな……」

智絵里「もしよければ、お礼がしたいので……よろしければ、私の家に来てくれませんか?」

凛「そんな、いいよ。私達もあかりがいなかったら大変なことになってただろうし」

智絵里「い、いえ、どうしてもお礼をしないと、私の気がおさまらないというか、何というか……!」

225: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:43:33.63 ID:PSxe7ukT0

智絵里「と、とにかくっ、お待ちしております。それではっ!」

タッタッタッ……

藍子「……行っちゃいましたね」

藍子「凛さん、どうしましょう?」

凛「うーん……」

??「行ってあげてください」

226: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:44:07.99 ID:PSxe7ukT0

藍子「!」

凛「あかり……」

あかり「大丈夫です。ちょっと人見知りな所はありますけど、とても誠実な子なので」

あかり「それに……きっとお二人から聞きたいことがたくさんあるんだと思うんです」

凛「それはどういう……?」

あかり「あとは智絵里ちゃんが説明してくれると思います。勇気を出した智絵里ちゃんに、どうか応えてくれませんか」ペコリ

凛・藍子「……?」

227: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:44:50.37 ID:PSxe7ukT0

智絵里の家


凛「この家みたいだね」

凛(小さな木造の一軒家だ。隣にはリンゴの木が植えられている)

藍子「お邪魔しまーす……」ガラッ

智絵里「!!」

智絵里「来てくださったんですね……! ありがとうございます!」ペコリ

智絵里「どうぞ、上がってください!」

228: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:45:24.21 ID:PSxe7ukT0

智絵里「これ、あかりちゃんの果樹園で採れたリンゴで作ったジュースです。どうぞ」

凛「ありがとう。いただきます」

ゴクゴク

藍子「わあ……おいしい……!」

タッタッタッ……

フシギダネ「フッシー!」

藍子「!」

フシギダネ たねポケモン くさ・どくタイプ
生まれたときから背中に不思議なタネが植えてあり、体とともに育つ
太陽の光をいっぱい浴びることで大きく育つ

229: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:46:40.58 ID:PSxe7ukT0

藍子「わあ、かわいい……!」

智絵里「フシギダネ、この人たちはお客さんだよ」

フシギダネ「フッシ~」

凛「このフシギダネは……智絵里のポケモン?」

智絵里「はい、そうです」

智絵里「この町に来る前から一緒に暮らしているので、もう家族みたいなものですね」

藍子「へえ、そうなんだ」

凛「町に来る前……ってことは、この町の出身じゃないの?」

智絵里「はい。出身はハロンタウンです」

230: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:48:30.85 ID:PSxe7ukT0

智絵里「……私、本当はフシギダネと一緒に、ジムチャレンジに挑戦するつもりだったんです」

智絵里「でも私は身体が弱くて……旅に出てすぐに、倒れてしまったんです」

藍子「……」

智絵里「それでも私は何とかフシギダネと一緒に旅をしたくて。もう一回チャンスをもらったんですが……やっぱりまた倒れちゃいました」

智絵里「それでもう旅は止めて、どこかでゆっくり暮らそうと思っていた時に、色んな人にいい町だよって勧められたのがターフタウンだったんです」

智絵里「今はこの町で、あかりちゃんの果樹園のお手伝いをしています」

凛「……そうだったんだ」

231: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:50:41.19 ID:PSxe7ukT0

智絵里「……私、もうジムチャレンジも諦めました」

智絵里「だから今、ジムチャレンジをしている人がすごく羨ましいんです。これまでどんな景色を見てきて、どんな人やポケモンと出会ってきたか――どんなバトルをしてきたのか――ずっと聞いてみたかったんです」

凛(……そうか。だからこうして家に呼ぼうとしたんだ)

智絵里「お礼のつもりが、またお願いみたいになっちゃいましたね。すみません」

智絵里「もしよければ……二人のお話、たくさん聞かせてもらえませんか?」

凛(勇気を出して……っていうのはそういうことだったんだね)

凛「うん、私でよければ話すよ」

232: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:52:48.93 ID:PSxe7ukT0

藍子「私も、全然いいですよ! といっても旅は始めたばかりであんまり話せることはないと思うんですけど……」

藍子「あ、じゃあ私も凛さんにたくさん聞きたいことがあるんです!」

凛「え?」

藍子「凛さんはガラルに来る前、アイマス地方でも旅をしていたんですよね?」

智絵里「アイマス地方……? 詳しく聞きたいです!」ガバッ

凛「あ、うん……じゃあそこから話そうかな」

凛(いつの間にか藍子が智絵里サイドに回ってきた……)

凛「そうだな……私はアイマス地方のアマミタウンっていう町の出身なんだけど――」

233: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:54:17.14 ID:PSxe7ukT0

凛(智絵里は話を聞かせてくれたお礼にと、夕食を用意してくれた。ほとんどリンゴ料理だったけど……)

凛(それから寝床も用意してくれた)

凛(その日、私は夜が更けるまでこれまでの旅のことを話した)

凛(ポケモンリーグで蘭子の試合を見たのがきっかけで旅に出たこと、アイマスの町のこと、ジムリーダーたちのこと、アルセウスと出会ったこと――卯月や未央たちの話もした)

凛(自分で自分の話をするのはなんだか恥ずかしかったけど……目を輝かせながら聞く智絵里と藍子はすごく眩しかったな)

凛(時間はあっという間に過ぎていって、そして……夜が明けた)


テ↑レレレ↓レッテッ↓テ↑ー

234: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:55:03.46 ID:PSxe7ukT0

翌朝


智絵里「昨日はありがとうございましたっ!」

凛「ありがとう。こちらこそ楽しかったよ」

藍子「私も楽しかったです!」

智絵里「もしよければ……またこの町に帰ってきてください。おいしいリンゴジュースを用意してお待ちしています」

智絵里「どうかお気をつけて!」ペコリ

フシギダネ「フッシー!」

藍子「またね!」

凛「智絵里こそ、元気でね」

235: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/09(土) 22:56:14.57 ID:PSxe7ukT0

ザッザッザッ

藍子(次のジムは……エンジンシティ)

藍子(昨日、あかりちゃんから聞いた話だと――)


あかり『エンジンジムはチャレンジャーにとって鬼門と呼ばれています』

あかり『高い壁ですが……藍子ちゃんなら大丈夫! 頑張ってくださいね!』


藍子(……よし。頑張らなきゃ)

藍子「では向かいましょう! エンジンシティに!」

242: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:11:22.66 ID:cPmOc7rt0

エンジンシティ

凛「エンジンシティ……前は通り過ぎただけだったけど」

凛「ここもシュートシティぐらい大きな町だね」

藍子「そうですね。かつてはこの町のスタジアムでジムチャレンジの開会式が開かれたこともあったらしいので」

凛「へえ、開会式なんてあったんだ」

藍子「ジムは……あっちの方みたいですね!」

243: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:12:05.32 ID:cPmOc7rt0

ゴゴゴ……

凛「……これは?」

藍子「どうやって上に行くんでしょう……」

??「これは昇降機だよ。なんだ、この上に行きたいのか――」

??「――って!」

凛「!!」


晶葉「凛! 凛じゃないか!!」

244: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:13:04.50 ID:cPmOc7rt0

凛「晶葉!」

晶葉「おお……久しぶりだな! 思わず大声が出てしまったよ」

凛「晶葉こそ、どうしてここに……?」

晶葉「ふふふ。あれから凛の後を追ってガラル地方へ足を踏み入れたのだが――」

晶葉「なんとこの度! エンジンシティにラボを設立することにしたのだ!」

晶葉「どうしても解明したかったからね。キョダイマックスするイーブイの謎を……!」

凛「へえ……そうだったんだ」

245: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:14:03.23 ID:cPmOc7rt0

藍子「あ、あの……凛さん、お知り合いですか?」

凛「うん。アイマスでお世話になっていたんだ」

晶葉「初めまして。私は晶葉。アイマス地方の研究者だ」

藍子「研究者……!?」

晶葉「ああ。アイマスではポケモン預かりシステムなんかを開発したりしていたのだが……」

晶葉「この地方のシステムはもっとすごいな。まさかパソコンを介さずともどの場所からも預かりボックスと連動できるとは」

藍子「そ、そうなんですか? 私、まだ2匹しかポケモンを持っていなくて、預かりシステムを使ったことがなかったんですが……」

晶葉「む……そのセリフ、前に誰かからも聞いたような……」

246: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:14:49.98 ID:cPmOc7rt0

晶葉「まあいい。で、私はイーブイが好きなんだが」ポン

イーブイ「ブブーイ!」

藍子「わあ……かわいい……!」

イーブイ しんかポケモン ノーマルタイプ
今現在の調査ではなんと8種類ものポケモンへ進化する可能性を持つ
イーブイだけがとても不安定な遺伝子を持っている理由は未だ解明されていない

晶葉「どうやらガラルにはダイマックスするイーブイ――のみならず、キョダイマックスするイーブイ、というのもいるらしくてね。その調査をしに来たんだ」

晶葉「ただ、何も情報がなくてな。イーブイとレッツゴーするといいらしい、という噂はこの町で聞いたのだが……いまいち意味が分からない」

晶葉「なにかこのことについて聞いたことはあるかね?」

藍子「キョダイマックス? レッツゴー? いえ……わからないです。すみません」

晶葉「いやいや、別にいいんだよ」

247: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:15:25.47 ID:cPmOc7rt0

晶葉「ところで君は……?」

藍子「あ、申し遅れました! 私、藍子っていいます」

藍子「今は凛さんと一緒にジムチャレンジで各地を巡っています」

晶葉「そうなのか」

晶葉「それにしても凛さん、か……ふふっ」

凛「何がおかしいの」

晶葉「いやいや、すまない……ところで、この上に行きたいんだったか」

248: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:16:04.34 ID:cPmOc7rt0

藍子「え……あ、はい」

晶葉「じゃあここに乗っかれば上に上げてもらえるよ」

藍子「乗るだけで……?」

ストン

ゴゴゴ……

藍子「!」

ガゴンッ!

249: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:16:48.58 ID:cPmOc7rt0

藍子「うわっ……!」

ガガガガ

ピタッ

藍子「わわっ……」

晶葉「はっはっは! 随分な驚きようだな!」

晶葉「エンジンシティは蒸気機関が発達した町なんだ。その昇降機も蒸気機関が利用されているわけだな」

凛「へえ……こんな仕掛けになってるんだ」

250: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:17:23.12 ID:cPmOc7rt0

藍子「あ……ありがとうございます!」

晶葉「構わないよ。できれば藍子にもイーブイを譲ってやりたかったのだが……」

晶葉「あいにく、今は譲れる子がいないんだ。すまないね」

晶葉「さて、私は用事があるのでそろそろ行くよ。凛、元気でな」

凛「うん、晶葉こそ元気でね」

晶葉「キョダイマックスするイーブイについての情報を知ったら、すぐに伝えてくれよ」ズン

凛「わ、わかったよ」

251: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:17:56.07 ID:cPmOc7rt0

エンジンジム前

藍子「見えました、あれがエンジンジムですね……」

藍子「……ん?」

ガタンガタン

ガッコンガッコン

藍子「あれは……工事中なんでしょうか?」

凛「そうみたいだね」

凛「ジムの入り口も塞がれている……」

252: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:18:46.90 ID:cPmOc7rt0

凛「すみません」

??「あら? もしかしてチャレンジャーの方かしら?」

藍子「はい、そうです!」

??「ごめんなさいね。見ての通り今日は工事の予定があって、ジムを臨時休業しているの」

凛「うーん、なら仕方ないね」

藍子「わかりました、ではまた改めてお伺いします」

??「ごめんなさいね」

??「おーい、レナさん!」

タッタッタッ

253: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:20:00.31 ID:cPmOc7rt0

レナ「あら、涼ちゃん」

??「工事に付き添ってくれてるんだね。ありがとう」

??「ところでその人たちは……?」

レナ「ああ、二人ともジムチャレンジに来たみたいなんだけど、今日は工事があるからジムを閉めてるって伝えていたところなの」

涼「そうか……タイミングが悪かったな」

涼「アタシは涼。ここのジムリーダーなんだけど、アタシもこれから工事に付き添わなきゃいけないんだ」

涼「また明日以降に来てくれるか? すまないね」

藍子「あ、いえいえ、お構いなく!」

254: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:20:37.60 ID:cPmOc7rt0

凛「ところで工事っていうのは……?」

涼「ああ、これのことだよ」

凛「これは……金のリング?」

涼「ジムチャレンジャーなら、この形、見覚えがあるんじゃないか?」

藍子「……ああ! バッジを嵌め込むリングですか?」

涼「その通り」

涼「今、各地のスタジアムにジムチャレンジの象徴として、このリングを象ったオブジェを建てて回っている最中なんだ」

255: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:21:30.36 ID:cPmOc7rt0

涼「で、この方がデザイナーで企画者のレナさん」

レナ「レナです。どうも」ペコリ

藍子「ど、どうも」

凛「そういうことだったんだ」

涼「ああ。……というわけで、今日は明日に向けてコンディションを整えておいてくれ」

涼「いい勝負をしような!」

藍子「はい!」

256: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:21:58.89 ID:cPmOc7rt0


翌日


ガラッ

ジムトレーナー「ようこそ、チャレンジャー」

ジムトレーナー「昨日も来てもらったみたいね。ごめんなさい」

藍子「あ……いえいえ!」

ジムトレーナー「――さて、エンジンジムはいわタイプのジム。チャレンジャーには岩のように硬い精神力とパワーが求められる」

ジムトレーナー「そこで君にはこれの相手をしてもらおう」

ドドン

257: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:22:42.92 ID:cPmOc7rt0

藍子「これは……岩の壁ですか?」

ジムトレーナー「一枚岩……モノリスと呼ばれるものだね」

ジムトレーナー「君は今から自慢のポケモン1匹で、この岩を砕いてほしい」

ジムトレーナー「制限時間は3分。それまでに岩を壊せなかった場合、ジムトレーナーとバトルになるから注意してくれ」

ジムトレーナー「岩は全部で2枚ある。なお、ポケモンは途中で交代してはいけないから気を付けてくれ」

藍子「……はい!」

藍子「それじゃあ、バチンキー!」ポン

バチンキー「バチ!」

258: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:23:24.04 ID:cPmOc7rt0

3分後

ブブーッ

バチンキー「バチ……」フラッ

藍子「こ、壊せなかった……」

藍子「想像以上に頑丈な壁だったね……」

ジムトレーナー「時間切れか……残念だが、私と戦ってもらうよ!」

ジムトレーナー「行ってこい、サイホーン!」ポン

サイホーン「サイー!」

サイホーン とげとげポケモン いわ・じめんタイプ
頭は悪いが力が強く高層ビルも体当たりでコナゴナに粉砕する
カロス地方ではサイホーンレースという競技が人気だ

259: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:24:07.36 ID:cPmOc7rt0

藍子(疲れてる上にバトルなんて……!)

藍子「バチンキー、頑張って!」

バチンキー「バ、バチッ!」

…………………………

サイホーン「サイ」バタンキュー

ジムトレーナー「うん、よく鍛えられているね」

ジムトレーナー「じゃあ次の壁を壊してもらおうか」ドドン

260: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:24:51.93 ID:cPmOc7rt0

藍子(……)

藍子(さっきは闇雲に攻撃しちゃったけど、それじゃあの壁は壊せない)

藍子「バチンキー、真ん中を狙うよ!」

バチンキー「バチ!」

…………………………

ドドォン

藍子「よし……壊せたっ!」

261: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:25:23.54 ID:cPmOc7rt0

バチンキー「バチ……」バタリ

藍子「バチンキー、頑張ったね……ありがとう!」

バチンキー「バチー」

ジムトレーナー「うむ、見事だ。その調子で涼さんとのバトルも頑張ってくれ」

藍子「はい!」

藍子(この後のバトル……バチンキーを回復させるためにも、まずはマホミルで頑張らなくちゃ)

ザッ

ワァァァァァァ

262: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:26:02.84 ID:cPmOc7rt0

藍子(すごい人……! やっぱり町が大きいから、スタジアムに集まる人も多いんだ……!)

藍子(熱気もすごい……)

凛「……」

??「隣、失礼するよ」

凛「あ……はい」

凛「……」

凛(すごいオーラを感じる人だ)

??「……どうかした?」

凛「いえ……何でも」

263: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:26:51.03 ID:cPmOc7rt0

ザッ

涼「ようこそ、チャレンジャー」

涼「1枚目の岩は苦戦したみたいだけど、2枚目は何とか壊せたみたいだね。あえて頑丈な作りにしていたんだが……」

涼「意外とやるじゃないか。どうやらこのバトル、期待してよさそうだな」

藍子(プ、プレッシャーがすごい……)

藍子「は、はい!」

涼「使用ポケモンはお互い2匹ずつ、だな」

264: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/16(土) 23:27:21.40 ID:cPmOc7rt0

涼「さて……ここまでジムチャレンジを進んできたアンタの実力、アタシが試させてもらうよ」

涼「言っておくが、アタシは手加減を知らないんだ。これまで何人ものチャレンジャーがアタシの前に跪いて消えていった」

涼「さあ、アタシという壁を乗り越える姿を見せておくれ!」

ドローンロトム『3……』

ドローンロトム『2……』

ドローンロトム『1……』

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

269: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:42:54.60 ID:XbJx76k70

涼「メレシー、GO!」ポン

メレシー「メレー!」

メレシー ほうせきポケモン いわ・フェアリータイプ
地下深くの高温高圧な環境で生まれたポケモン
地底の奥深くにはメレシーの群れとその女王が暮らす宝石の国があるという

藍子「マホミル!」ポン

マホミル「マホー!」

270: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:43:26.39 ID:XbJx76k70

凛「メレシー……守りが堅いポケモンだね」

凛「攻撃力が物足りないマホミルで攻めるのはちょっと厳しいかな……」

藍子「マホミル、ドレインキッス!」

マホミル「マホ」チュッ

藍子「よし……まずは先制!」

涼「……」

271: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:44:01.58 ID:XbJx76k70

メレシー「メレ」ズン

藍子「うう、あまり効いてないみたいだね……」

涼「メレシー、ロックカット!」

メレシー「メレ!」ガガガ

藍子「!? 自分の身体を磨いている……?」

涼「そう。ロックカットは身体を磨き、空気抵抗を少なくすることでスピードを上昇させる技」

涼「これで本来なら鈍足なメレシーのスピードを補う、ってわけだ」

272: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:44:39.21 ID:XbJx76k70

藍子「なら……動きを封じます!」

藍子「マホミル、てんしのキッス!」

スカッ

藍子「うっ……一度であんなに素早くなるなんて……!」

涼「まだまだ!」

メレシー「メレ!」ガガガ

凛「まずい……メレシーがどんどん加速していく」

凛(このままじゃ手がつけられなくなる。マホミルじゃ有効打がないから、バチンキーに代えるべきだと思うんだけど……)

凛(どうやら藍子はそのつもりはないようだ)

273: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:46:08.97 ID:XbJx76k70

藍子「……」

藍子(バチンキーはまだ十分に休めていない。マホミルにはまだ頑張ってほしいんだけど……)

藍子(……ううん、このままマホミルでいこう!)

藍子「あまいかおり!」

マホミル「マホ」フワワ~

涼「なるほど、今度はそれでスピードを封じようというわけだ」

涼「だけどもう躱す必要もない。メレシー、かくばるだ!」

メレシー「メレ!」ガキン

274: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:46:38.59 ID:XbJx76k70

藍子「!」

涼「そのままマホミルに突撃!」

メレシー「メレ!」ビュン

マホミル「マホッ……」ドガッ

藍子「マホミル!」

涼「角張った状態のメレシーはボディそのものが武器というわけだな」

涼「どんどん攻めるぞ! うちおとす!」

メレシー「メレ」ドン

275: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:47:08.98 ID:XbJx76k70

藍子「避けて!」

マホミル「マホ」ヒョイ

涼「回避先に突撃!」

メレシー「メレ!」ビュン

マホミル「マホッ!」ドガッ

藍子「ああっ!」

マホミル「マホ……」ヨロッ

276: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:47:50.78 ID:XbJx76k70

涼「読み通りだったね。これで決めさせてもらおう……ストーンエッジ!」

メレシー「メレ!」ゴゴゴゴ

ドゴオッ

藍子「……! マホミル!」

マホミル「マホ……」バタンキュー

ドローンロトム『マホミル戦闘不能! マホミル戦闘不能!』

涼「よし、まずはアタシが先制だな」

277: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:48:27.82 ID:XbJx76k70

藍子「そんなっ……ほとんどダメージを与えれられなかった……!」

凛(……マホミルに固執したのが裏目に出たね)

涼「どうした、そんなもんかい?」

涼「このままだとアタシのペースのまま勝負が決まっちまうよ!」

藍子「マホミル……ごめんね」シュゥゥ

278: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:48:57.21 ID:XbJx76k70

藍子「……バチンキー!」

バチンキー「バチ」

藍子(本当はもっと休ませたかったけど……)

藍子「頑張って、バチンキー!」

藍子「ダブルアタック!」

バチンキー「バチ!」ブゥン

メレシー「メレ……」ドン

279: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:49:27.70 ID:XbJx76k70

涼「構うな、ロックカット!」

メレシー「メレ」ガガガ

メレシー「メレ!」ヒョイ

藍子「二打目が躱された……!」

ヒュンヒュンヒュン

藍子「さっきより更に素早くなった……!」

藍子(このままだとマホミルと同じことになっちゃう……)

280: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:49:54.57 ID:XbJx76k70

涼「正面から突撃!」

メレシー「メレ!」ビュン

藍子「迎え撃って、バチンキー!」

バチンキー「バチ!」

メレシー「メレ!」カクッ

藍子「!? 曲がった!?」

涼「死角から突撃!」

281: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:50:26.34 ID:XbJx76k70

メレシー「メレ!!」

ドンッ

バチンキー「バチッ……」

藍子「……! いつの間に……」

涼「よし、更に能力を上げるぞ!」

藍子(ダメだ、何とか食い止めないと……)

藍子(……! そうだ! あの技があった!)

282: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:51:01.33 ID:XbJx76k70

涼「かくば――」

藍子「させません! ちょうはつ!」

バチンキー「バチ」ホイホイ

メレシー「メレー!!」ムキーッ

涼「! しまった……!」

藍子「これでもうメレシーは能力を上げられませんよ!」

涼「ふっ、これだけやれれば十分さ!」

涼「メレシー、ストーンエッジ!」

283: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:51:42.37 ID:XbJx76k70

メレシー「メレ!」ゴゴゴゴ

藍子「躱して、バチンキー!」

藍子「そしていやなおと!」

バチンキー「バチ!」ォォォン

メレシー「メ、メレー!」

涼「メレシー!」

藍子「チャンス……ダブルアタック!」

284: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:52:13.07 ID:XbJx76k70

バチンキー「バチ!」ブゥン

ドガッ

メレシー「メレッ……」

藍子「もう一発!」

バチンキー「バチ!」

ドン

メレシー「メレ……」ズザァ

285: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:52:40.32 ID:XbJx76k70

涼「メレシー!」

藍子「これで終わりです!」

バチンキー「バチ!」

ドガッ ドガッ

メレシー「メレー」バタンキュー

ドローンロトム『メレシー戦闘不能! メレシー戦闘不能!』

ワァァァァァァ

286: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:53:19.07 ID:XbJx76k70

涼「戻れ、メレシー」

涼「なるほど、いやなおとをモロに喰らったのはマホミルがあまいかおりを振り撒いていたからだな」

涼「どうやらアンタも変化技の使い方が上手なようだね」

藍子「ありがとうございますっ!」

涼「いいね、調子づいてきたじゃん。それじゃあアタシの切り札、見せてあげるよ」

涼「ギガイアス!」ポン

ギガイアス「ギガ」ズシィィン

ギガイアス こうあつポケモン いわタイプ
体に生えたオレンジ色の結晶で太陽光線を吸収
体内でエネルギーを増幅させ、撃ち出す攻撃は山を吹き飛ばす威力


287: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:54:02.32 ID:XbJx76k70

藍子(ギガイアス……すごい威圧感だ)

藍子(でも相性は悪くない。勝てない相手じゃない……!)

涼「……」

涼「戻れ、ギガイアス」シュゥゥ

288: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:54:54.71 ID:XbJx76k70
藍子「えっ!?」

凛「ギガイアスをボールに戻した……!?」

ザワザワザワ

『ついに来るか……アレが』

『いやー、これを見たかったんだよねー!』

藍子「ど、どういうことですか……?」

涼「チャレンジャー……藍子と言ったか」

涼「ガラル地方各地のスタジアムがこんなに大規模な作りをしている理由は2つある。わかるかい?」

涼「一つはバトルの文化が盛んだから。周りを見てもらえばわかる通り、ガラル地方の皆はポケモンバトルが大好きだからね」

涼「そしてもう一つの理由は……ガラルでしかできないバトルができるから」

289: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:55:44.51 ID:XbJx76k70

グググ……

藍子「!?」

藍子(モンスターボールが……大きくなっていく……!?)

グンッ

グンッ

グンッ

涼「さあ、見せてあげるよ……」


涼「ダイマックス!!」

290: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:57:10.18 ID:XbJx76k70

ブゥン

カッ

ズドォォォォォン

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

凛「……!!」

藍子「う、うそ……」

藍子(ギガイアスが……見上げるくらいに大きくなった……!?)

291: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:57:56.06 ID:XbJx76k70

涼「……本来は、ダイマックスバンドを所持していないチャレンジャー相手にダイマックスは使っちゃいけないんだけど」

涼「エンジンジムは特別でね。チャレンジャーにガラルならではのバトルを味わってほしいという意味で、相手に関係なくダイマックスを使うことを許可されているのさ」

涼「ま、それがキッカケで『鬼門』だとか『登竜門』だとか言われるようになっちまったけどな」

涼「御託はもういいか。……攻めるぜ、ギガイアス!」

涼「ダイロック!!」

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙!!」グワッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

藍子「……!? 岩の壁……?」

藍子「あんなの……どうやって避ければ……!?」

292: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:58:25.65 ID:XbJx76k70

グゥン

藍子「! バ、バチンキー!!」

バチンキー「バチ――」

ドォォォォォォォン

凛「……! なんて威力なの……!?」

藍子「……!」

シュゥゥゥ

293: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 22:59:23.31 ID:XbJx76k70

バチンキー「バチ……」ヨロッ

藍子「バチンキー……!」

涼「耐えたか。やるじゃないか」

涼「だが、それもいつまで持つかな?」

ゴォォォォ

凛「! 砂嵐が……!」

藍子「そ、そんな……」

294: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:00:33.25 ID:XbJx76k70

涼「ダイロックは攻撃で飛び散った石や砂を巻き上げて砂嵐を起こすんだ」

涼「これで準備万端だ。さあ、どこからでもかかってきな!」

藍子「……」

藍子(どうすれば……いいの……?)

藍子(そもそもあんな大きなポケモンに、普通の技は通じるの……? 弱点はあるの?)

藍子(わからない……でも一つだけわかることは)

藍子(無闇に攻撃していたら……絶対に勝てない)


295: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:01:07.90 ID:XbJx76k70
藍子「バチンキー、ダブルアタック!」

藍子「狙いは……オレンジの結晶で!」

バチンキー「バチ!」

ドガッ ドガッ

ギガイアス「……」

藍子「やっぱりそうだよね……」

涼「そんな攻撃じゃ痛くも痒くもないぜ!」

296: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:01:49.15 ID:XbJx76k70

涼「ダイアース!」

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙」

ボコッボコッ

藍子「……! 地面に潜った……!」

藍子「あんな大きな体でそんなことしたら……!」

バチンキー「バチ!?」グラグラ

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

ドォン

バチンキー「バチ……」グググ

297: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:02:33.60 ID:XbJx76k70

藍子「そんな……」

凛(……藍子もかなり強くなったと思ってたんだけど)

凛(それでも手も足も出ないなんて……)

凛(あれがダイマックス……)

凛(ただ巨大化するだけじゃなくて、技も変化している……? それとも元々ああいう技なの?)

凛(そういえばボールが大きくなる前、涼の腕から何かのエネルギーが出ていたような……)

298: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:03:22.18 ID:XbJx76k70

藍子「バチンキー、もう一度オレンジの結晶にダブルアタック!」

バチンキー「バチ!」ドガァ

藍子(バチンキーの全力でも、全然ダメージを与えられない……)

藍子(効果は抜群のはずなのに)

藍子(……)

藍子(待って……)

藍子(バチンキー、でも……?)

299: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:04:22.49 ID:XbJx76k70

涼「次、いくよ! ギガイアス、ダイスチル!」

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙!!」ゴゴゴゴ

藍子「バチンキー、躱して!」

バチンキー「バ、バチ!」

ドゴオッ

藍子「うう、躱すのもギリギリ……」

藍子(でもさっきの技……地面から鋼を突き出していた)

300: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:04:59.36 ID:XbJx76k70

藍子(もしかしたら……!)

藍子「バチンキー! ギガイアスに思いっきり近づいて!」

バチンキー「バチ!」ダダダ

ザワザワザワ

『……何をする気だ……?』

藍子「いやなおと!」

バチンキー「バチー」ォォォン

藍子「そしてアクロバット!」

301: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:05:58.73 ID:XbJx76k70

バチンキー「バチ!」ドガッ

涼「いい攻め方だが、ダイマックスは体力も増えるんだ。削り切れるかな?」

藍子(……まだだ)

藍子(待つんだ……さっきのダイスチルを!)

藍子「もう一度いやなおと!」

バチンキー「バチ」ォォォン

涼「ダイロックで反撃!」

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙」グワッ

302: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:06:36.51 ID:XbJx76k70

藍子「怯むな……私……!」

藍子「あの岩の壁は……さっき壊したものと同じだ」

藍子「脆い一点を突けば!」

バチンキー「バチ!」

ドガッ ドガッ

ゴォォォォン

『おお! ダイロックを打ち破ったぞ!』

『やるじゃないか!!』

ワァァァァァァ

303: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:07:12.19 ID:XbJx76k70

「……ダイロックは攻略できたみたいだね」

涼「じゃあこれはどう!? ダイアース!」

ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙」ボコボコ

藍子「バチンキー、私に合わせてジャンプして!」

バチンキー「バチ」

ゴゴゴゴ……

ググッ

藍子(……)

304: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:08:00.49 ID:XbJx76k70

藍子「今だよ!」

バチンキー「バチ!」ピョン

ゴゴゴゴゴゴゴ

藍子「そのまま結晶の突起に掴まって!」

バチンキー「バチ!」ガシッ

グォォォォォォ

??「へぇ……!」

藍子「よし……」

バチンキー「バチ」スタッ


305: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:08:50.25 ID:XbJx76k70

涼「これも避けたか」

涼「だけどこれは避けられるかな!? ダイスチル!!」

藍子「それを待っていました!」

藍子「バチンキー、ギガイアスの足元に潜って!」

バチンキー「バチ!」ダダダ

ズザァ

涼「なっ!?」

306: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:10:19.69 ID:XbJx76k70
ゴゴゴゴ……

涼「……しまった!」

ドゴオッ

ギガイアス「ギガア゙ッ゙!?」

凛「! ダイスチルがギガイアスに命中した!」

??「なるほど。相手の技を利用して攻撃したってことか」

??「効果は抜群だし、いやなおとを聴かされてたから相当なダメージだな」

ギガイアス「ギガア゙……」グラッ

307: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:10:56.10 ID:XbJx76k70

藍子(よし……今なら!)

藍子「バチンキー、ダブルアタック!!」

バチンキー「バチ!!」

ドガッ

ギガイアス「ギガア゙ア゙……!」

藍子「もう一回!!」

バチンキー「バチィ!!」

ドゴオッ

308: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:11:55.37 ID:XbJx76k70

涼「……!」

ギガイアス「ッ……」


ドカァァァァァァン


ギガイアス「ギガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……」シュゥゥゥゥゥ

バチッ

ギガイアス「ギガ……」ズゥン


309: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:12:35.59 ID:XbJx76k70
ドローンロトム『ギガイアス戦闘不能! ギガイアス戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、チャレンジャー・藍子!』

ドワァァァァァァァ

『す……すげぇー!!』

『ダイマックスポケモンを倒すなんて!!』

『新星の誕生だァー!!』

藍子「はあ……はあ……」

藍子「勝った……勝ったんだ……!」

バチンキー「バチ……」

310: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:13:20.96 ID:XbJx76k70

涼「ギガイアス、戻れ」

涼「……ふう。見事だった」

涼「バチンキーのスピードを活かして、ギガイアスの攻撃をギガイアス自身に仕向ける。あたしが思いついてほしかった攻略法を見事に実践してくれたな」

涼「そして最後のバチンキーの攻撃……『しんりょく』が発動していたこともあって、なかなかガツンと響いたよ」

涼「いやあ……しっかり届いたぜ。アンタの魂のビート」

311: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:13:58.09 ID:XbJx76k70

涼「受け取ってくれ!」

藍子はハードバッジを手に入れた!

藍子は技マシン「ストーンエッジ」を手に入れた!

涼「そして、アタシに勝った証明として、これも渡しておこう」

ピラッ

藍子「これは……?」

涼「ワイルドエリアの通行証明証だよ」

312: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:14:36.72 ID:XbJx76k70

涼「ワイルドエリアは危険な場所もたくさんあるからね。誰もが自由に出入りできるわけじゃない」

涼「だからアタシに勝たないとワイルドエリアには行けないようにしてるのさ」

涼「その紙切れを町の外にいる警備員に渡して、ワイルドエリアに出てみな。そこから次にアンタが目指すのは……ナックルシティだ」

涼「世界はまだまだ広い。これで満足せず、さらに上を目指してくれよな」

藍子「ありがとう、ございます……!」

グッ

藍子(これで…… ついに行けるんだ。ワイルドエリアに……!)

藍子(そして、その先の町に……!)

313: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/24(日) 23:15:14.32 ID:XbJx76k70

??「……!」

凛「……はあ」

凛「毎回毎回、息が詰まりそうになるバトルばかりだけど……」

凛「藍子……やるじゃん。どんどん成長してる……」

凛「私も負けてられないね」

??「……ちょっと待って」

凛「?」

??「アンタ……あのチャレンジャーの知り合いかい?」

凛「??」

317: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:55:28.29 ID:GuNokB1T0

エンジンジム前

凛「藍子」

藍子「あ、凛さん!」

藍子「……と、お隣の方は?」

凛「ああ、ちょっと藍子と話をしたいらしくて……」

??「取り合ってくれてありがとな。あとは自分で話すわ」

318: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:56:02.92 ID:GuNokB1T0

つかさ「突然悪いな。あたしはつかさ。さっき、アンタのジムバトルを観戦させてもらっていたんだ」

藍子「そ、そうなんですか」

つかさ「これ、名刺な」ピラッ

藍子(……)

藍子(この人、なんか……すごいオーラを感じる。歳はそんなに変わらないはずなのに)

藍子(……ってこれ……!?)

319: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:56:47.64 ID:GuNokB1T0

つかさ「いやあ……単刀直入に言うと素晴らしいバトルだった!」

つかさ「多くのチャレンジャーが躓くダイマックスという壁を、まさか初戦で突破するとは。ホント驚いたよ」

つかさ「そしてアタシは感じた……アンタには、バトルのセンスがある」

藍子「セ、センスですか?」

つかさ「アタシは将来有望なトレーナーが好きでね。是非、色々と話をしたいと思ったんだ」

つかさ「よければこの後、一緒に食事はどうかな?」

藍子「食事……ですか」

凛「藍子、どうする?」

藍子「私は構わないですけど……凛さんはいいんですか?」

320: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:57:29.60 ID:GuNokB1T0

凛「うん、私はいいよ。ジムに行くのは明日にするつもりだし」

つかさ「よし、決まりだな」

つかさ「今日はアタシの奢りだ。何か食べたいものはあるか?」

藍子「いや、私は特に……ていうか、奢りってそんな……」

つかさ「将来有望なトレーナーに投資するのは当然のことさ」

藍子「……」

藍子(正直、ちょっと怪しいけど……)

藍子(凛さんも信頼しているみたいだし……ついていって大丈夫かな?)

藍子(というか……どうしてこんな人が私なんかに……?)

321: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:58:10.80 ID:GuNokB1T0

つかさ「特に指定がないなら、近くにチーズカレーが美味しい店があるんだ。そこでいいかい?」

藍子「は、はい」

凛「私もそれで」

つかさ「よし、じゃあ行こうか」



カレー専門店 スパイスパラダイス

つかさ「……さて」

322: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:58:57.05 ID:GuNokB1T0

つかさ「初めて会う人に食事に誘われて、しかも奢るなんて言われたらそりゃ誰だって警戒するよな」

つかさ「だからまずはアタシの話をさせてもらうよ」

つかさ「改めて、つかさだ。よろしくな」

藍子「は、はい……」

藍子「ところでつかささん。さっき貰った名刺に、マクロコスモスって……」

つかさ「ああ。そこの社長をさせてもらってるんだわ」

藍子「しゃ、社長……!?」

323: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 20:59:36.65 ID:GuNokB1T0

つかさ「はは、そんなビビんなくていいよ。てか気軽につかさって呼んでくれ」

つかさ「若しくはつかさ社長でもいいぞ」

藍子「そ、そんなっ……!」

凛(……こんな若い女性が社長を務めているなんて。世界は広いなあ)

凛「藍子、マクロコスモスって?」

藍子「それはもう、ガラルではよくCMが流れている大企業中の大企業ですよ!」

凛「大企業……!?」

324: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:00:26.77 ID:GuNokB1T0

つかさ「そうだな、CMもやってるし、今はジムチャレンジのスポンサーも務めている。アンタ達の持っているユニフォームにも、ウチの企業ロゴが入っているはずさ」

つかさ「で、アタシはマクロコスモスの行っている事業の中でも、ネットワーク関連の事業でヘッドをやってたりもする」

凛「社長をやりながら?」

つかさ「ああ」

凛「へえ……すごいね」

つかさ「マクロコスモスを知らないってことは……アンタ、ガラルの人間じゃない?」

凛「そうだよ。私はアイマス地方って所から来たんだ」

325: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:01:20.65 ID:GuNokB1T0

つかさ「へー、けっこう遠いじゃないか。なんでまたガラルに来ようと?」

凛「ガラルのポケモンを調査したかったから。それから、もっと広い世界を旅したかったんだ」

つかさ「へえ、なるほどね」

つかさ「てか、二人はどういうカンケーなんだ?」

凛「私も藍子もジムチャレンジをしているんだけど、私はコーチをしてるって感じかな」

藍子「そうです。私から凛さんに頼んだんです」

つかさ「ほう、師弟関係ってこと。コーチってことは……アンタの実力も大したものなんだろうね」

つかさ「さて、凛もなかなか面白そうなんだけど……まずはアンタと話をしたいな、藍子」

326: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:01:55.80 ID:GuNokB1T0

藍子「は、はいっ」

つかさ「話っつーか、これは提案なんだが」

つかさ「藍子……もっと強くなりたくないか?」

藍子「え、えっ?」

つかさ「今日、ジムリーダーの涼がダイマックスを使っていた……あれ、どうだった?」

藍子「す、すごいなと、思いました」

つかさ「だろうね。ポケモンがあんだけデカくなるんだもの」

327: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:02:43.39 ID:GuNokB1T0

つかさ「でも……アンタもあの力を使うことはできるよ」

藍子「!?」

つかさ「アイマス出身のヤツもいることだし、まずダイマックスのことを説明しようか」

つかさ「まず、この地方にはガラル粒子というエネルギーが存在する。このエネルギー、まだまだ未知の部分も多いんだけど、ポケモンに作用するエネルギーであることはわかっている」

つかさ「ダイマックスしたギガイアスが赤っぽくなってただろ? あの赤い光がガラル粒子ってわけ。ここまでOK?」

凛「うん」

藍子「はい」

328: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:03:55.78 ID:GuNokB1T0

つかさ「ガラル粒子はポケモンに特殊なパワーを与える。このパワーは周りの空間を歪ませ、あたかもポケモンが肥大化しているように見せるんだ。この現象をダイマックスと呼んでいる」

つかさ「つまり、ポケモンが実際にデカくなったわけじゃなくて、デカくなったように見えるだけ。この効果は一時的なもんで、ボールに戻したりすれば元のサイズに戻る」

つかさ「この仕組みを利用して、ガラルではポケモンバトルの際にダイマックスが用いられている。ま、メガシンカやZワザみたいなもんだな」

つかさ「ただ、ガラル粒子は全世界どこにでも存在するわけじゃない。だから今のところ、ガラル以外の地方ではダイマックスは使えない」

つかさ「もし使えたとしても、戦えるバトルフィールドは用意されていないだろうしな。ガラルでのポケモンバトルが人気なのもこういう特別感があるからだろう」

329: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:04:45.40 ID:GuNokB1T0

つかさ「あと、ガラルのどこでもダイマックスができるわけじゃない。相応のエネルギー量がある場所じゃないとダメなんだ」

つかさ「だからガラル各地のジムやスタジアムはちゃんとダイマックスができる場所――パワースポットに建てられている」

藍子「そうだったんですね」

つかさ「じゃあトレーナーはどうやってこのエネルギーをポケモンに与えるか。そこで使うのがこれさ」

ジャラン

藍子「……それは?」

330: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:06:02.79 ID:GuNokB1T0

つかさ「こいつはダイマックスバンド」

つかさ「このバンドにはガラル粒子が凝縮された物質――ねがいぼしのエネルギーが蓄えられている。このバンドからモンスターボールを通じてエネルギーを与えるわけだな」

凛「だから涼は一度ポケモンをボールに戻していたんだ」

つかさ「そ。で、ガラルのポケモンバトルではこの力を使うことでバトル中に一度だけ、手持ちの一匹を自由なタイミングでダイマックスさせることができる」

つかさ「ちなみにこのバンドはマクロコスモスが開発したんだ。ま、実際に携わっていたのはアタシじゃなくて先代の人間だけどね」

つかさ「で、このダイマックスバンドは皆が皆持っているわけじゃあない。各地のジムリーダーだったり、ジムチャレンジをある程度勝ち抜いたヤツだったり、もしくは金持ちだったり……要するに選ばれしトレーナーにのみ与えられているんだな」

331: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:06:35.22 ID:GuNokB1T0

つかさ「前置きが長くなっちまったが……もう察しはついてるか?」

藍子「え……?」

藍子「ま、まさか、これを……私に?」

つかさ「そういうこった」

藍子「えええええ!?」

凛「……!」

藍子「ど、どうして……!」

332: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:07:17.65 ID:GuNokB1T0

つかさ「さっきも言ったろ。将来有望なトレーナーに投資するのは当然だってね」

つかさ「アンタはこれを使うだけのセンスを持っている。で、アタシはそれを認めた。そんだけさ」

藍子「……」

藍子(私も……あの力を使えるの……?)

藍子(……いや、使っていいの……?)

藍子「……本当にいいんですか? 私なんかに――」

つかさ「そう謙遜すんな。言っただろ、アンタにはセンスがあるって」

333: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:08:11.38 ID:GuNokB1T0

つかさ「それに、これがアンタにとって特別アドバンテージになるわけじゃない」

藍子「それはどういう……?」

つかさ「たしかジムチャレンジのルールでは、チャレンジャーがダイマックスバンドを所持していたらジムリーダーもダイマックスを使っていい、みたいなのがあったはずだ」

つかさ「だからアンタがダイマックスを使うなら、向こうもバンバン使ってくる。アドバンテージというよりは、バトルの幅が広がるってことだな」

凛「なるほどね」

藍子「……」

凛「藍子」

藍子「!」

334: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:09:24.83 ID:GuNokB1T0

凛「私は使ってみてもいいと思うな。藍子ならきっと使いこなせるとも思う」

藍子「凛さん……」

藍子「……」

藍子「……わかりました。ダイマックスバンド……下さい!」

つかさ「そう言ってくれると思ったぜ。じゃあこれは今からアンタのものだ」

藍子はダイマックスバンドを手に入れた!

チャキッ

藍子「これが……ダイマックスバンド……!」

335: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:10:43.76 ID:GuNokB1T0

つかさ「使い方はまた追って説明するわ。ま、有効活用してくれ」

つかさ「ちなみにそのバンド、もう一つあるんだが」ジャラン

つかさ「これは凛の分――になる予定だ」

藍子「ええ!?」

凛「え……私!?」

つかさ「ああ。こんだけセンスのあるトレーナーを指導しているアンタも中々のセンスがあると見た」

つかさ「それに口ぶりとか佇まいとかからも、トレーナーとしての経験の深さを感じる」

336: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:11:42.09 ID:GuNokB1T0

つかさ「……でも、まだ「感じる」ってだけで確信は得られていない。だからまずはアンタにもダイマックスバンドを渡すよ」

つかさ「それを使って、明日、ジム戦に望んでほしい。で、アタシを納得させてほしいんだ」

つかさ「ダイマックスバンドを譲るに相応しいかどうかを」

凛(……なるほどね。試験みたいなものか)

凛(本当に、私にも使えるのかな……ダイマックス)

凛(もし使えたら、よりバトルの幅が広がりそうだけど)

凛「……わかった」

つかさ「決まりだな」

つかさ「じゃあ凛。明日のジム戦……楽しみにしてるぜ」

凛「……うん」

337: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:12:08.47 ID:GuNokB1T0

翌日 エンジンジム

凛「……」

ザッ

ワァァァァァァ

凛(すごい……昨日と同じくらいたくさんの観客がいる)

凛(本当にみんなポケモンバトルが好きなんだね)

凛(……さて)

チャキッ

338: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:12:56.36 ID:GuNokB1T0

凛(ダイマックスバンド……使い方は昨日つかさに一通り教わったけど)

凛(一度ボールに戻してからバンドを起動して……大きくなったボールを自分の後ろに投げる、だっけ)

凛(いきなり使って大丈夫なのかな……色々と)

ザッ

涼「ようこそ、チャレンジャー!」

涼「おっと、アンタは工事の時以来だな」

凛「そうだね」

涼「……どうやら道中の壁は難なく壊してきたみたいだな」

涼「それにその腕につけているのは……ダイマックスバンド」

339: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:13:50.95 ID:GuNokB1T0


凛「……」

涼「へへっ、どうやらアンタ相手にはいつも以上に容赦なく戦ってよさそうだね!」

凛「もちろん。全力でバトルしよう」

涼「よし。そうだな……団体戦、ってのはどうだ? 使用ポケモンは3体、2本先取した方が勝ち」

涼「一度場に出したポケモンはどちらか一方が倒れるまで交代はナシだ。もちろん、ふきとばしやドラゴンテールみたいな技も禁止。これでどうだ?」

凛「うん、いいよ」

凛(涼はいわタイプ使いだったね。なら私も相性のいい3匹を選ぼうか)

涼「ちなみにダイマックスも有りだ。どのタイミングで使うか……楽しみにしてるよ」

340: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:14:22.55 ID:GuNokB1T0

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

涼「まず先鋒は……いくぜ、アーマルド!」ポンッ

アーマルド「アーマ!」

アーマルド かっちゅうポケモン いわ・むしタイプ
大昔絶滅したポケモンの一種
伸び縮みする巨大なツメで獲物をくし刺しにして捕らえる

凛「いくよ……ドリュウズ!」ポン

ドリュウズ「ドリュ!」

341: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:15:00.36 ID:GuNokB1T0

つかさ「……ほう」

つかさ「あのドリュウズ、かなりハイレベルだな。こっちまでオーラが伝わってくるぜ」

つかさ「こりゃ見物だな」

藍子「ど、どっちもおっかなさそうなポケモンですね……」

凛「ドリュウズ!」

涼「アーマルド!」

ドリュウズ「ドリュ!」

アーマルド「アーマ!」

342: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:15:29.90 ID:GuNokB1T0

ガキィン!!

『おぉ……早速正面からぶつかり合ったぞ!!』

凛「アイアンヘッド!」

涼「させないぜ、シザークロス!」

ドリュウズ「ドリュ!」グワッ

アーマルド「アーマ!」

ズバッ

343: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:15:55.22 ID:GuNokB1T0

ドリュウズ「ドリュ……」グググ

アーマルド「アーマ……」グググ

藍子「ど、どっちも押し合っていますね……!」

つかさ「ああ……だが押し勝つのは」

ドリュウズ「ドリュ!!」

ドォン

つかさ「ドリュウズだったな」

344: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:16:24.80 ID:GuNokB1T0

アーマルド「アーマ……」ズザァ

凛「一気に攻めるよ! いわなだれ!」

ドリュウズ「ドリュ」ゴゴゴゴ

涼「アーマルド、切り裂け!」

アーマルド「アーマ!」

ズバズバズバズバ

『おお! すごい勢いで岩が切られていくぞ!』

『切れ味鋭すぎだろ……!』

345: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:16:55.60 ID:GuNokB1T0

アーマルド「アマ……」

アーマルド「!?」

涼「ドリュウズがいない……地面に潜ったか!」

凛「ならアーマルド、じしんで引っ張り出せ!」

アーマルド「アーマ!!」ゴォォォォ

凛(……しまった!)

ボコッ

ドリュウズ「ドリュ……!」ドゴォ

346: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:17:50.71 ID:GuNokB1T0

藍子「ああっ……!」

つかさ「じしんは地面の中にいるポケモンにいつも以上のダメージを与える技だ。こりゃ痛手だな」

涼「追撃だ、シザークロス!」

アーマルド「アーマ!」

ズバッ

ドリュウズ「ドリュ……!」

ドスン

凛「ドリュウズ、大丈夫!?」

ドリュウズ「ドリュ……!」グッ

『いいぞー涼! 相性の不利なんてひっくり返してやれー!!』

347: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:18:28.05 ID:GuNokB1T0

凛「……」

凛(涼が早い段階でじしんを見せてきたのはドリュウズが地面から攻めてくるのを警戒しているから……)

凛(だから多分、もう地面に潜ることはしないだろうと考えているはず)

凛(なら、それを逆手に取って……!)

凛「ドリュウズ、もう一度いわなだれ!」

ドリュウズ「ドリュ!」ゴゴゴゴ

涼「……?」

涼「また同じ手を使ってきた……何か企んでいる?」

348: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:18:58.07 ID:GuNokB1T0

涼「アーマルド、横に躱せ!」

アーマルド「アーマ!」サッ

凛(……! 読まれたか……)

凛「なら回避先にドリルライナー!」

ドリュウズ「ドリュ!」ギュルルル

涼「くっ、これは避けられないか」

涼「ストーンエッジで防ぐよ!」

349: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:19:33.19 ID:GuNokB1T0

アーマルド「アーマ!」ボコッ

ガキィン

涼「よし、ストーンエッジごとシザークロスでブッ飛ばせ!!」

アーマルド「アーマ!」

ズバッ

凛(……! 岩が切り裂かれた……!)

凛(……ラッキー)

350: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:20:01.98 ID:GuNokB1T0

ドリュウズ「ドリュ……!」

ゴゴゴゴ

シュゥゥ……

涼「……?」

涼「いない……またどさくさに紛れて地面に潜ったのか……?」

涼(いや、さっきのじしんを見てもその行動を取るのか?)

涼(……どっちだ!?)

ゥゥ……

ドリュウズ「……」スタッ

351: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:20:36.66 ID:GuNokB1T0


涼「……なんだ、そこにいるじゃないか!」

涼「決めるぜ、アーマルド! シザークロスだ!」

アーマルド「アーマ!」ズバッ

ドリュウズ「!」

藍子「ああ……!」

……ニュッ

涼「……?」

ウニュニュニュニュ

身代わり人形「」コテッ

352: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:21:06.70 ID:GuNokB1T0

涼「なっ……!? みがわり!?」

涼「ドリュウズの姿をしていたはずだったのに……!」

涼「アンタ、何をしたんだ? ……いや、それより本物は――」

凛「ドリュウズ!」

ボコッ

涼「地面……!?」

凛「ドリルライナー!!」

ドリュウズ「ドリュ!」ギュルルル

353: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:21:43.19 ID:GuNokB1T0

ドォォォン

アーマルド「アーマ……」

バタンキュー

ドローンロトム『アーマルド戦闘不能! アーマルド戦闘不能!』

ワァァァァァァ

『な、なんだ……!?』

『何が起こったんだ……!?』

つかさ「今のは……みがわりの応用か? あんなの、アタシも初めて見たな……」

藍子「す、すごい……」

354: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:22:12.72 ID:GuNokB1T0

凛(……ふう。ゲッコウガが使ってたみがわり、ドリュウズも使えるようになったみたいだね)

凛(でも)

ドリュウズ「ドリュ……!」ガクッ

凛「やっぱりまだ負担が大きかった……戻って!」

凛「ありがとう、ドリュウズ」

涼「チッ……想像以上の強さだね。もう後がなくなっちまった」

355: ◆7P/ioTJZG. 2020/05/29(金) 21:22:46.72 ID:GuNokB1T0

涼「けどそれでこそアタシも昂るってもんだぜ! いけ、メテノ!」

メテノ「メテ!」

凛「チャーレム!」

チャーレム「チャー」

*メテノ ながれぼしポケモン いわ・ひこうタイプ
ナノ粒子が突然変異し生まれたポケモン
もともとオゾン層に棲んでおり、身体の殻が重くなると地上に向かって落ちてくる

凛(初めて見るポケモン……ひこうタイプなんだ)

凛(でも交代はできない。チャーレム、頑張って……)

360: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:09:24.52 ID:YV3VCBII0

凛「チャーレム、ビルドアップ!」

チャーレム「チャー」ズゥン

涼「マジカルシャイン!」

凛「躱して!」

チャーレム「チャー」ヒョイ

涼「へえ……その攻撃を躱すとはね」

凛「しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」ドガッ

361: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:10:15.56 ID:YV3VCBII0

メテノ「メテッ……」

ボロッ

凛(! 殻が剥がれた……守りが薄くなったってこと?)

凛「チャーレム!」

涼「即効でケリをつけるよ、メテノ!」

涼「からをやぶる!」

メテノ「メテ」クワッ

バラバラバラ

362: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:11:07.77 ID:YV3VCBII0

凛「!?」

凛「あれは……中から蒼いボディが出てきた……!?」

メテノ あおいろのコア
大気中のチリを喰らっており、喰ったチリの成分をよってコアの色合いが決まる
コアの色は現在7色が発見されている

パァァ

メテノ「メテッ!」

涼「よし、いくぜ! アクロバット!」

メテノ「メテ!」

ギュン

363: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:12:17.05 ID:YV3VCBII0

凛「はや――」

チャーレム「チャ!?」

ドゴォ

凛「! チャーレム!」

涼「もう一発!」

メテノ「メテ!」ドゴォ

藍子「わわわ……チャーレムが……!」

つかさ「あれはメテノの特性『リミットシールド』だな」

リミットシールド
HPが減ると殻が壊れて攻撃的になる

364: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:13:34.12 ID:YV3VCBII0

藍子「リミットシールド……?」

つかさ「ポケモンの中には、ああやってバトル中に姿が変わったりするのもいるってことだ。もちろん能力も変わったりする」

つかさ「堅い殻を脱ぎ捨てたメテノはより身軽に、つまりアクティビティになるってトコだな」

涼「もういっちょ!」

メテノ「メテ!」

ドゴォ

凛「くっ……」

凛(からをやぶるで下がった能力を白いハーブで元に戻して、さらにアクロバットに繋げる……)

凛(道具と技のコンボ……私が最初に藍子に教えたような戦法だ)

365: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:14:04.04 ID:YV3VCBII0

涼「どうした、手も出せないか!?」

凛「……なんの!」

凛「チャーレム、よく見て躱して!」

チャーレム「チャー……」

チャーレム「チャー!」ヒョイ

涼「へえ……!」

凛「とびひざげり!」

366: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:14:33.24 ID:YV3VCBII0

チャーレム「チャー!!」

ドゴォッ

メテノ「メテ……」

フラッ

凛「よし、あと一撃で!」

凛「あのスピードにチャーレムも慣れてきた……次で決める!」

涼「慣れた……か。なら!」

涼「もっかいからをやぶるってのはどうだ!?」

367: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:15:17.64 ID:YV3VCBII0

凛「!?」

メテノ「メテ」クワッ

シュゥゥ

メテノ「メテ」

藍子「メテノの身体がさっきより小さくなった……!?」

涼「これで仕留めるぜ、アクロバット!」

メテノ「メテッ!」

ギュン

368: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:16:03.77 ID:YV3VCBII0

チャーレム「!」

ドゴォッ

凛「チャーレム!」

ズサァ

チャーレム「チャー」バタンキュー

ドローンロトム『チャーレム戦闘不能! チャーレム戦闘不能!』

ワァァァァァァ

涼「よし、これで五分五分だな!」

凛「……まさかリスクを背負ってもう一回能力を上げてくるとはね」

凛「お疲れ、チャーレム」

369: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:16:59.38 ID:YV3VCBII0

涼「……さて」

涼「お互いに大将の登場だな」

涼「もちろんダイマックスもするんだろ?」

凛「……もちろん」

凛「ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

涼「行くぜ、セキタンザン!」ポン

セキタンザン「セキ!」

*セキタンザン せきたんポケモン いわ・ほのおタイプ
普段は穏やかだが鉱山を荒らす人間には容赦しない
1500度の炎で焼きつくしてしまう

370: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:17:32.48 ID:YV3VCBII0

凛(セキタンザン……3番道路で見かけたタンドンの進化系、かな)

涼「さて……じゃあ早速やってやるか!」

涼「セキタンザン!」シュゥゥ

凛「じゃあこっちも……ゲッコウガ!」シュゥゥ

涼「……」

凛(えっと、ボールに戻したらバンドを起動する――)

コォォォォ

凛(! バンドから紫の光が……)

ォォォ……

371: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:18:22.89 ID:YV3VCBII0

グンッ

凛「!?」

ズン

凛「お、重っ……」

つかさ「凛、体勢を立て直せ!」

凛「……っ!」

ガシッ

凛「な、なんて重さなの……」

涼「その調子だと、どうやらダイマックスは使い慣れてないみたいだな」

涼「いいか、こうやって後ろに投げるんだぜ」グッ

372: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:19:03.12 ID:YV3VCBII0

涼「そら行け! キョダイマックス!!」

凛「くっ……」グワッ

凛「ゲッ……コウガ……! ダイマックス!」

カッ

ズドォォォォォン

ゲッコウガ「ゲゴォ゙ォ゙ォ゙」

セキタンザン「ゼギギギギィィ!!」

373: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:19:35.65 ID:YV3VCBII0

凛(……!?)

凛(これが……ダイマックス……!)

凛(ゲッコウガもセキタンザンも見上げるぐらい大きい……)

凛(……でもセキタンザンの方が一回りぐらい大きいような……?)

凛(いや、大きさだけじゃない。さっきと姿が変わってる……)

『ついに揃ったな! ダイマックス同士が!』

『ま、涼の方はキョダイマックスだけどな!』

凛(キョダイマックス……?)

凛(……そういえば晶葉もキョダイマックスって言葉を使ってたような……)

374: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:20:26.10 ID:YV3VCBII0

凛(……ん?)

『よし、みんな歌うぞ!!』



オイ! オイ! オイオイオイ!



オイ! オイ! オイオイオイ!


375: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:21:24.98 ID:YV3VCBII0

オーオーオオー!!


オーオオオー!!


オオオー!!



藍子「き、急にみんな歌しだしましたよ……!? つかささん、これは!?」

つかさ「ダイマックスポケモンが出てきたとき専用のガヤってやつだな」

376: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:21:56.23 ID:YV3VCBII0

凛(スタジアムのみんなが合唱している……)

涼「これでこそポケモンバトルって感じだな……テンション上がってくるぜ」

涼「さあ、この調子でブッ飛ばしていくぜ、セキタンザン!」

涼「ダイバーン!」

セキタンザン「ゼギギギィィ」

ゴォォォォォォォ

凛「ゲッコウガ!」

凛「みずタイプの技は……ダイストリーム!!」

377: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:22:41.37 ID:YV3VCBII0

ゲッコウガ「ゲゴォ゙ォ゙ォ゙ォ゙」

ゴポオッ

ズドォォォォォン

藍子「うわっ……!」

藍子「スタジアムが揺れてます……!」

つかさ「ははは! これでこそダイマックスバトルだな!」

つかさ「ほら、観客も盛り上がってるぞ」

ドワァァァァァァァァ

378: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:23:23.74 ID:YV3VCBII0

凛「技の威力は互角……か」

凛「もう一度! ダイストリーム!」

涼「させないぜ、セキタンザン!」

ゲッコウガ「ゲゴ」ゴポオッ

セキタンザン「ゼギギギィィ!!」

ゴゴゴゴ

凛「地面に潜った……!?」

凛「避けられた……いや、予備動作はそんなに遅くなかったはず」

凛「じゃあ、セキタンザンが速くなっている……?」

379: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:24:15.11 ID:YV3VCBII0

ドガッ

涼「ダイアースだ!」

セキタンザン「ゼギギギィィ!!」

ドゴォッ

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲゴォ゙……!」

ワァァァァァァ

涼「みずタイプの技が効くと思ったんだろうがな、セキタンザンの特性は『じょうききかん』っつーんだ」

じょうききかん
みずタイプかほのおタイプの技を受けると素早さが上がる

380: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:25:10.04 ID:YV3VCBII0

涼「おかげでスピードアップできたぜ! セキタンザン、ダイバーン!」

凛「ダイストリームが駄目なら……」

凛「ダイジェット!」

ゲッコウガ「ゲゴォ゙ォ゙ォ゙」

ギュン

ズドォォォン

凛(っ……これじゃ攻撃を防ぐので精一杯だ……!)


381: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:25:50.66 ID:YV3VCBII0

涼「今だ……セキタンザン!」

涼「キョダイフンセキ!!」

セキタンザン「ゼギ゙ィィ……」

グググ

セキタンザン「ゼギギギィィィィ!!」

ドゴォォォォン

凛(!? これは……ふんか!?)

凛(いや、それ以上の威力っ――)

ドガガガガガガ

382: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:26:45.58 ID:YV3VCBII0

ゲッコウガ「ゲゴ……」

凛「ぐっ……」

涼「驚いたか? これがキョダイマックスの力だぜ」

凛「キョダイ……マックス……?」

涼「そう。一部のポケモンはダイマックスとは違った姿――キョダイマックスした姿に変わることがあるんだ。セキタンザンもその一匹だな」

涼「さっきの技はキョダイマックスしたセキタンザンにしか使えない技、キョダイフンセキ。攻撃と同時に相手を岩で囲み――」

ゲッコウガ「ゲゴッ……!?」ゴゴゴ

涼「追加ダメージを与える!」

383: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:27:30.03 ID:YV3VCBII0

ゲッコウガ「ゲゴッ……!」

ドゴォン

凛「ゲッコウガ……!」

涼「これで逃げ道はなくなったな。スピードの上がったセキタンザンに岩の囲い……おまけにゲッコウガはダイマックスのおかげで本来のスピードを活かした立ち回りができない」

涼「頼みの水技もセキタンザンにとっちゃ燃料。相性がいいからって油断したな」

凛(燃料……)

凛(……)

384: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:28:08.96 ID:YV3VCBII0

凛「たしかに水技は逆効果かもね」

キッ

凛「でも、まだ私は諦めてないよ」

凛「ゲッコウガ!」

涼「おっと、動けば岩で足止めするぜ!」

凛「誰も動くなんて言ってないよ……地面に向かってダイストリーム!!」

ゲッコウガ「ゲゴォ゙ォ゙ォ゙」ゴポオッ

385: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:28:47.07 ID:YV3VCBII0

涼「! さっきダイアースで開けた穴から……!」

セキタンザン「ゼギ!」ドゴォォォォン

涼「だがセキタンザンには効かないぜ!」

凛「そうだろうね……」

凛「だからゲッコウガ! もっと水を撃ち込んで!」

涼「なっ……!?」

『ゲッコウガが攻撃を止めない……?』

ザワザワザワ

386: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:29:23.54 ID:YV3VCBII0

『セキタンザン、ずっと攻撃を受け続けてるけど……』

『じょうききかんがあるからムダなんじゃねーの?』

つかさ「へえ……なるほどね」

藍子「な、何がですか、つかささん」

つかさ「ま、見てなって」

ゲッコウガ「ゲゴッ……」

凛「ゲッコウガ、もういいよ」

387: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:30:11.66 ID:YV3VCBII0

ゲッコウガ「ゲゴッ」バシュウッ

涼「……どうやら気が済んだみたいだな」

涼「じゃあ終わりにしようか、セキタンザ――」

セキタンザン「ゼギ……」

涼「……セキタンザン、どうした?」

セキタンザン「ゼギ」

セキタンザン「ゼギギギギギギギ」

涼「お、おい、セキタンザン!?」

388: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:30:49.95 ID:YV3VCBII0

凛「いくら水をエネルギーに変えられるからって……限界がある。ポケモンだって生き物だからね」

凛「今のセキタンザンは一度に大量の水を浴びすぎたせいで、蒸気機関が暴走している感じ――かな?」

涼「そんな……おい、セキタンザン!」

セキタンザン「ゼギギ……ギギ……」

凛「もう次を受け入れる余裕はないみたいだね!」

ポツッ

藍子「!」

パラ……

ザァァァァァァ

389: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:31:17.56 ID:YV3VCBII0

『スタジアムに雨が……』

『ダイストリームの影響だわ、きっと』

凛「ゲッコウガ、ダイストリーム!!」

ゲッコウガ「ゲゴ」ゴポオッ

ゲッコウガ「ゲゴォ゙ォ゙ォ゙!!」

ズドォォォォォン

涼「ぐあっ……!」


ドカァァァァァァン

390: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:31:56.79 ID:YV3VCBII0

セキタンザン「ゼギ……」

バチッ

セキタンザン「セキ……」

バタンキュー

ドローンロトム『セキタンザン戦闘不能! セキタンザン戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、チャレンジャー・凛!!』

ワァァァァァァ

391: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:34:00.52 ID:YV3VCBII0

凛「……ふう、危なかった」

シュゥゥゥゥゥ

凛「……バトルが終わったら元通りになるんだったね」

凛「ありがとう、ゲッコウガ」

ゲッコウガ「ゲコ」

つかさ「なるほどね……相手の特性を逆手に使った逆転の発想、か」

つかさ「素晴らしかったぜ、凛」

つかさ「藍子。アンタのコーチさん、アタシの想像以上にすげぇトレーナーだったわ。もっと誇っていいと思うぜ?」

藍子「……!」

392: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:36:53.52 ID:YV3VCBII0

涼「くそ……また負けちまったか」

涼「ま、アンタの方が何枚も上手だったってことだね。ダイマックスも、初めてにしちゃいい使いまわしだった。油断してたの、アタシの方だったね」

涼「これ、ジムバッジだよ」

凛はハードバッジを手に入れた!

凛は技マシン「ストーンエッジ」を手に入れた!

涼「それから、これも」

凛はワイルドエリアの通行許可証を手に入れた!

凛「これは……」

涼「それがあればワイルドエリアを自由に探索することができる」

涼「次の目的地はナックルシティだ。電車で向かうのもいいが、これからに備えてワイルドエリアを通って行ってみるのもいいかもな」

393: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:38:12.07 ID:YV3VCBII0

涼「まだまだ先は長い。アンタの活躍、楽しみにしているよ」

凛「うん……ありがとう」

グッ



つかさ「見事だったぜ、凛」

つかさ「約束通り、そのダイマックスバンドはアンタのもんだ。好きに使ってくれ」

凛「ありがとう、つかさ」

凛はダイマックスバンドを手に入れた!

394: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:38:53.65 ID:YV3VCBII0

つかさ「次はナックルシティだったか。気を付けてな」

つかさ「そうだ。ワイルドエリアに出向くなら先にキャンプキットを買っときな。あるのとないのとじゃ大違いだ」

藍子「キャンプキットですね。わかりました!」

つかさ「……じゃアタシは行くわ。またどっかで会えたらよろしくな。あと、マクロコスモスのこともご贔屓に」

凛「ありがとう。またね」

藍子「またお会いしましょうねー!」

ザッザッ

395: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/07(日) 23:40:42.99 ID:YV3VCBII0

藍子「いよいよワイルドエリアに行くんですね、私たち……!」

凛「うん。私も……すごく楽しみ」

藍子「じゃあ早速――」

凛「待って。気持ちはわかるけど……色々と持ち物も整えたいし、出発は明日の朝一にしよう」

藍子「わかりました!」

藍子(これまでずっと、電車の窓から見ているだけだったワイルドエリア……)

藍子(いったいどんな場所なんだろう……!)


399: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 12:59:33.85 ID:3xNQT/u20

警備員「通行許可証はありますか?」

凛「うん」

藍子「はい!」

ピラッ

警備員「……はい。ではどうぞ」

タッタッタッ……

藍子「わあ……!」

凛「……!」


凛・藍子「ここが……ワイルドエリア……!」

400: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 13:00:24.25 ID:3xNQT/u20

キバ湖・東 天気:晴れ


藍子「ええっと、今いる場所は……」

藍子「ここですね。キバ湖・東ってエリアだそうです」

藍子「ナックルシティ方面へ行くには……ここから西にある橋を渡るみたいですね」

凛「よし。じゃあ行こうか――」

??「チョーット待ッタアー!」

401: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 13:00:59.49 ID:3xNQT/u20

凛・藍子「??」

??「ソコノ貴方! ワイルドエリアデハキャンプガフカケツ! ソシテキャンプニハカレーガフカケツ!」

??「トイウワケデ……カレーノグザイ、カッテカナイ!? カッテカナイ!?」

凛「あれ……これってたしか」



エンジンシティ

藍子「凛さん。ちょっとポケモンセンターで買い物をしてきてもいいですか?」

凛「うん、いいよ」

402: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 13:01:41.03 ID:3xNQT/u20

ウィーン

凛「へえ……ガラルではポケモンセンターの中にフレンドリィショップがあるんだ」

藍子「そうなんですか? 私、これが常識だと思っていました」

藍子「すみませーん」

ガシャンッ

??「イラッシャイマセ!」

藍子「え……ロ、ロボット……!?」

藍子「私、今までずっと人間だと思ってました……!」

403: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 13:02:29.12 ID:3xNQT/u20

??「ハイ! ワタシハAK07。亜子ドノがカイハツしたセッキャクロボットデス」

凛「亜子どの……?」

亜子ロボット「亜子ドノはガラルチホーノフレンドリィショップヲケーエーサレテイルオカタデス。トテモショーバイネッシンナオカタナノデスガ……」

亜子ロボット「ヒトリデスベテノフレンドリィショップヲエーギョースルノハフカノーナノデ、カクチニセッキャクロボットヲダイリデセッチシテイルノデス」

凛「へ、へえ……そうなんだ。それにしてもよくできてるなあ」



凛「あの時のロボット……」

凛「ワイルドエリアにもいるんだ……」

404: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 13:03:24.49 ID:3xNQT/u20

亜子ロボット「カッテカナイ!?」

凛「うーん……カレーの材料、かあ」

藍子「せっかくですし、何か買いますか?」

凛「そうだね、じゃあ……」



>>404 コンマ
0-19→とくせんリンゴ 20-39→ゆでタマゴ 40-59→ヤシのミルク
60-79→レトルトバーグ 80-99→モーモーチーズ

406: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/06/13(土) 13:57:48.05 ID:qj73ldcK0

407: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:51:31.73 ID:3xNQT/u20

凛「じゃあこれ……とくせんリンゴで」

亜子ロボット「オカイアゲアリガトーゴザイマス! アリガトーゴザイマス!」

藍子「あかりちゃんが育てたリンゴなのかな。大事に食べないとですね」

凛「そうだね……っと、そうだ。藍子、ちょっとお願いがあるんだけど」

凛「少し歩いたらフィールドワークをさせてほしいんだ。この辺りにどんなポケモンがいるのか知りたいから」

藍子「そっか、凛さんはガラルのポケモンを調査しに来られていたんですよね」

藍子「それなのに私の目的にばかり付き合わせて……すみません」

凛「ううん、全然いいんだよ」

藍子「凛さんの気が済むまで、調査して下さい! 私も手伝いますので!」

凛「うん。ありがとう」


408: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:52:10.50 ID:3xNQT/u20

……………………………………

凛「この橋を渡った先がエンジンリバーサイドって地域みたいだね」

凛「……ん?」

モヤモヤ

藍子「霧……でしょうか」

凛「そうみたいだね。こっちは晴れてるのに」

エンジンリバーサイド 天気:霧

凛「とにかく行ってみようか」

ザッザッ

409: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:52:51.59 ID:3xNQT/u20

凛「……うん、そんなに濃くはない。歩けないほどではないね」

凛「藍子、肩を並べて歩こう。はぐれないようにね」

藍子「は、はい」

ザッザッ

ミブリム「ミブー」

シュシュプ「シュー」

藍子「……この辺りはフェアリータイプのポケモンが多いんですね」

410: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:53:31.59 ID:3xNQT/u20

凛「そうだね……どのぐらいのポケモンが住んでるのかはわからないけど」

凛「今は霧が出ているから、それに反応してフェアリータイプのポケモンが活発に動き回っているんじゃないかな……たぶん、だけど」

藍子「霧に……」

藍子「ということは、霧が出ていない時はまた別のポケモンが活動しているってことでしょうか?」

凛「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるね」

凛(でも、天気によって現れるポケモンが違うってなると……)

凛(これだけ広いワイルドエリアに、どれだけのポケモンが住んでいるのか……把握するのはキリがなさそうだ)

411: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:54:00.46 ID:3xNQT/u20

藍子「……あれ?」

藍子「あそこ、誰かいますね。……トレーナー、かな?」

凛「ん……本当だ」

凛(女の子と女性のトレーナーがいる)

凛「女の子の方は……泣いてる?」

藍子「……ちょっと様子を見に行きましょう」

412: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:55:07.81 ID:3xNQT/u20

タッタッ

女の子「くすん……くすん……」

藍子「あの……どうしたんですか?」

??「ああ。実はね」

??「この子が手持ちポケモンとはぐれちゃったみたいなの」

女の子「うう……ヒメンカ……どこに行っちゃったの……」

凛(ヒメンカ……この子のポケモンの名前かな)

凛(でもどうしてこんな場所で? 見るからにこの女の子、通行許可証は持ってなさそうだけど……)

凛「……もしよかったら、何があったか教えてくれないかな」

413: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:55:43.34 ID:3xNQT/u20

女の子「うう……」

女の子「昨日、パパとママが大きな声でケンカしていて、パパはヒメンカに向かって怒鳴ったりしていたの……ヒメンカ、すごく怖かったかもしれないのに、私、なにもできなくて……」

女の子「それで朝になったら……一緒のお布団で寝てたヒメンカがどこかに行っちゃって……」

??「私はこの子がワイルドエリアに行かせてくれって警備員にお願いしているのを見つけて。私が一緒ならいいでしょってなんとか説得して、探している所なの」

女の子「うん。おまわりさん、ヒメンカがワイルドエリアに出ていく所を見てたんだけど逃げられちゃったんだって……」

??「で、色んな人に情報を聞きながら歩いてきて、この辺りに来たんだけど……」

??「探してるうちにだんだん霧が濃くなってきたから、この子、不安になっちゃったみたいで」

414: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:56:26.59 ID:3xNQT/u20

凛「……そうだったんだ」

女の子「……わたし、ヒメンカに嫌われちゃったのかな……」グスン

藍子「……」

藍子「私、手伝います!」

女の子「えっ?」

藍子「私も一緒にヒメンカを探します!」

藍子「私もよく子供の頃、迷子になっていて……迷子の寂しさがわかるんです。このまま放っておけないです」

415: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:57:16.74 ID:3xNQT/u20

藍子「そのヒメンカ、なにか特徴はありますか!?」

女の子「あ、あの、私のヒメンカ……すごく珍しいんだって、お友達が言ってた。色違い、なんだって。ピンクの花なの」

女の子「……お姉ちゃん、お願い! ヒメンカが見つからなかったら……わたし……!」

凛「ピンクの花のポケモンだね。わかった。もう泣かないで」

凛「私も手伝うよ」

藍子「凛さん……!」

416: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:58:14.97 ID:3xNQT/u20

女の子「うっ……うっ……ありがとう……!」

??「二人ともありがとう」

聖來「私は聖來よ。よろしくね」

凛「凛だよ。こっちは藍子」

聖來「凛ちゃんに藍子ちゃんだね。改めて、よろしく!」

藍子「――とは言っても、この霧の中でどこを探せばいいんでしょう……」

聖來「そのことなんだけど……もうすぐかな」

417: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:58:41.94 ID:3xNQT/u20

藍子「?」

タッタッタッタッ

聖來「お、戻ってきた!」

ワンパチ「イヌヌワン!」

ワンパチ こいぬポケモン でんきタイプ
おやつに釣られて人の仕事を手伝う食いしん坊
パチパチと電気をまとってひた走る

聖來「この子は私の手持ちのワンパチ。さっきからヒメンカの匂いをたどってもらっていたの」

聖來「ワンパチ、なにか見つかった?」

418: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 20:59:09.67 ID:3xNQT/u20

ワンパチ「ワパッ! ワパッ!」

聖來「……うん、あっちの方だね」

藍子「行ってみましょう!」


ザッザッザッ……


ワンパチ「ワパッ!」

聖來「ワンパチ、この辺り?」

凛「……でもポケモンの姿は見当たらないね」

ワンパチ「ワパ……」ショボーン

419: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:00:06.84 ID:3xNQT/u20

聖來「……うーん、それとも匂いを見失ったのかも。今はシュシュプとか匂いの強いポケモンもうろついてるし」

聖來「いるとしたら草むらの中かな。ヒメンカは花のような姿をしているから、紛れ込んでいるかもしれない」

藍子「じゃあここからは手分けして探した方がよさそうですね」

聖來「そうだね。まずは地面に目印を書いて……」ザッザッ

聖來「ここを起点に、私はこの子を連れて北を探すわ。凛ちゃんは西、藍子ちゃんは東の方をお願い。見つかったら連絡して!」

藍子「はい!」

凛「わかった」

420: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:00:40.54 ID:3xNQT/u20

数十分後

藍子(ヒメンカもきっと女の子と同じくらい不安なはず……早く見つけてあげないと)

藍子「ヒメンカー。どこにいるのー?」

藍子「ヒメンカー……」

藍子「……!」

ゴソッ

421: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:01:10.59 ID:3xNQT/u20

藍子(なにかが草むらのなかでうずくまっている……)

藍子(ピンク色……もしかしたらヒメンカかも?)

ザッザッザッザッ

藍子「あの……」

ポケモン「!」クルッ

藍子「あ……」

422: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:01:44.30 ID:3xNQT/u20

サニーゴ「サニ……」

藍子「ヒメンカ……じゃない?」

藍子「このポケモンって……」

サニーゴ さんごポケモン みず・いわタイプ
暖かい南の海に生息する
どんどん育っては生えかわる頭の先はきれいなので、宝物として人気が高い

藍子「サニーゴ……?」

藍子「南の海に住んでいる……? でもどうしてこんな所に……」

サニーゴ「サニ……」

423: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:02:14.79 ID:3xNQT/u20

藍子「! あなた、ケガしてるの……?」

藍子「たいへん……すぐに手当てしてあげるね!」

藍子「えっと、キズぐすりは――」

ザザッ

藍子「!」

バッ

424: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:03:00.45 ID:3xNQT/u20

ガラルサニーゴ「サニー!!」

藍子「!!」

サニーゴ さんごポケモン ゴーストタイプ
ガラルのすがた
急な環境の変化で死んだ太古のサニーゴ
大昔海だった場所によく転がっている

藍子「く、黒いサニーゴ……!?」

ガラルサニーゴ「サニ!」バッ

藍子「わっ……!」

ガラルサニーゴ「サニー!!」ボッ

サニーゴ「サニ……」ドガッ

425: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:03:55.68 ID:3xNQT/u20

藍子「……! ピンクのサニーゴを攻撃してる……!?」

藍子「えっと……えっと……バチンキー!」ポン

バチンキー「バチ!」

テテテテンテンテンテテテン テテテテンテンテンテテテン

藍子「聖來さんから電話……はいっ!」

聖來『藍子ちゃん! ヒメンカ、見つかったよ!』

藍子「そ、そうなんですか! ……ってえっと、私それどころじゃなくて――」

426: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:04:27.07 ID:3xNQT/u20

ガラルサニーゴ「サニー!」ボッ

藍子「わわっ、バチンキー! アクロバット!」

バチンキー「バチ!」ドガッ

聖來『藍子ちゃん!? 誰かと戦ってるの!?』

藍子「そ、そうなんです! 黒いサニーゴがピンクのサニーゴを攻撃してて……」

聖來『ピンクのサニーゴ……? そんなサニーゴはガラルにはいないはずだけど? どういうこと……』

427: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:04:57.52 ID:3xNQT/u20

バチンキー「バチィッ!」ズザァ

藍子「! バチンキー!」

ガラルサニーゴ「サニー!!」

バッ バッ バッ

ガラルサニーゴB「サニ」

ガラルサニーゴC「サニー」

ガラルサニーゴD「ニーゴッ!」

428: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:06:02.97 ID:3xNQT/u20

藍子「! 仲間が……!」

藍子「聖來さんごめんなさい! いったん切ります!」

聖來ア『あ、藍子ちゃん!?』プツッ

藍子「黒いサニーゴたち、すごく怒ってる……何とかしないと」

藍子「バチンキー、ダブルアタック!」

バチンキー「バチ!」

ドガッ ドガッ

429: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:07:17.06 ID:3xNQT/u20
※本SSのバチンキーが使うダブルアタックはくさ技扱いなのでサニーゴには普通に効いてます


ガラルサニーゴA「サニッ……」

ガラルサニーゴB「サニー」

ガラルサニーゴC「サニー!!」

バチンキー「バチ……!」ドガッ

藍子「ううっ……キリがない……!」

藍子「もう一回ダブルアタック!」

バチンキー「バチ――」

バチンキー「バチ!?」ピタッ

430: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:07:48.47 ID:3xNQT/u20

ガラルサニーゴA「サニー!」ボッ

バチンキー「バ、バチッ……」ドン

藍子「えっ……ダブルアタックが出せなかった……?」

ガラルサニーゴB「サニー!」

サニーゴ「……!」

ドガッ

サニーゴ「サニ……」ズザァ

431: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:08:21.14 ID:3xNQT/u20

藍子「……! サニーゴ!」

藍子(どうしよう……どうすれば……!?)

ガラルサニーゴC「サニー……」ギリリ

藍子(何とかしてピンクのサニーゴを守らないと……)

藍子(でもバチンキーとマホミルだけじゃこの数は……)

藍子(……)

432: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:08:47.55 ID:3xNQT/u20

ガラルサニーゴD「ニーゴ!!」バッ

藍子(……やるしかない!)

藍子「お願い……モンスターボール!」

サニーゴ「!」

ボンッ

ガラルサニーゴD「!」

コロ……コロ……

433: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:09:16.66 ID:3xNQT/u20

カチッ

ガラルサニーゴD「!?」

ゴツン

藍子「あ、危なかった……!」

藍子「バチンキー、アクロバットでサニーゴを牽制して!」

バチンキー「バチ!」ドガッ

藍子「よし、今のうちにボールを……」

ガラルサニーゴD「二……」

ガラルサニーゴD「「ニーゴッ」

434: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:09:48.24 ID:3xNQT/u20

ドンッ

藍子「ああっ、モンスターボールがっ!」

ヒューン

藍子「そんな……あの霧の中に消えちゃったら……!」

パシッ

藍子「!」

435: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:10:17.75 ID:3xNQT/u20

凛「藍子、大丈夫!?」

藍子「り、凛さん!」

聖來「藍子ちゃん!」

女の子「お姉ちゃん!」

藍子「あ、聖來さん達も……」

ヒメンカ「ヒメッ」

藍子「! ヒメンカ、見つかったんですね!」

聖來「ええ! それよりも……」

436: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:10:52.53 ID:3xNQT/u20

聖來「サニーゴ達を鎮めるよ! ワンパチ、エレキフィールド!」

ワンパチ「イヌヌワンッ!」

バリリリリ

ガラルサニーゴC「サニッ……!」

凛「ゲッコウガ!」ポン

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ」

シュババババ

437: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:11:30.76 ID:3xNQT/u20

ガラルサニーゴA「サニー……!」

ガラルサニーゴB「サ、サニーッ」

ザザザザッ……

凛「よし、これで大丈夫そうだね」

藍子「お二人とも……ありがとうございますっ」

聖來「いいのよ。困ったときはお互い様だし」

藍子「ヒメンカ、見つかってよかったね」

女の子「うん……お姉ちゃんたち、ほんとうにありがとう……!」ペコリ

438: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:12:10.01 ID:3xNQT/u20

聖來「……ところで、ピンクのサニーゴってどういうこと?」

藍子「あ、そのボールに入っているんです……勢い余ってゲットしちゃったんですけど」

ポン

サニーゴ「サニ」

凛「へえ、サニーゴか」

聖來「……ホントだ。ピンク色のサニーゴなんて初めて見たよ」

聖來「それにしてもかなりダメージを負ってるね……はい、キズぐすり」シューッ

サニーゴ「サニー!」

439: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/13(土) 21:13:00.82 ID:3xNQT/u20

凛「聖來。初めて見たってどういうこと? それにさっき、サニーゴ達を鎮めるって……」

聖來「あれ、知らないの? この地方に住んでるサニーゴはピンク色じゃなくて、さっきみたいな黒い色のサニーゴなんだよ?」

凛「えっ……あれもサニーゴだったの……!?」

藍子「そうみたいなんです。図鑑にも2つの姿のサニーゴの情報が載っていました」

凛「……」チャキッ

凛「本当だ。黒いサニーゴの方は……大昔に絶滅したサニーゴ……?」

??「ええ、そうよ」

凛・藍子「??」

444: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:21:19.32 ID:FqFl7jRq0

聖來「……どちら様?」

??「急にごめんなさい。私は奏。ポケモントレーナーよ」

奏「太古のガラルにも、その子のように鮮やかな色のサニーゴが生息していたわ。けれど突然降りかかった隕石によって、ガラルの環境は大きく変わってしまった」

奏「その結果、環境の変化についていけず、サニーゴは絶滅してしまった……さっきのサニーゴはゴーストタイプ、つまり亡霊ってことね」

藍子「ぼ、亡霊……!?」

445: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:22:24.77 ID:FqFl7jRq0

奏「ええ。学術的にはリージョンフォーム……なんて呼ばれてるらしいけど」

奏「……とにかく、他の地方で見られるようなサニーゴはガラル地方にはいないはずなのよ」

奏「さっきのサニーゴ達……姿の全く違う、けど同種であるはずの存在を認められずに、排斥しようとしたのかもしれないわね」

聖來「……ということは、さっき藍子ちゃんが戦っていた所も見ていたんだ」

奏「ええ」

聖來「……助けようとは思わなかったわけ?」

奏「うーん、もともとは私が狙っていたポケモンだったし……うまく共倒れしてくれないかなって見守らせてもらっていたわ」

446: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:23:34.24 ID:FqFl7jRq0

女の子「……!」

聖來「この……」

凛「待って」

凛「……何が言いたいの?」

奏「……」

奏「単刀直入にお願いするわ。あなたがゲットしたサニーゴ、私に譲ってもらえないかしら」

藍子「!!」

凛「……最初にゲットしたのは藍子だよ」

奏「ええ、それはもちろんわかっているわ」

447: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:24:10.88 ID:FqFl7jRq0

凛「……理由は?」

奏「明確な理由なんてないわ。強いて言うなら……珍しいから、かしら」

奏「希少価値がある存在は手元に置いておきたい。それって人間の性じゃない?」

藍子「……」

奏「まあ断るのは当然よね。だから……藍子、といったかしら。今から私とバトルしない?」

藍子「バトル……?」

奏「ガラルはポケモンの生息環境も厳しいし、トレーナーも皆ハイレベルで厳しい……ましてやここはワイルドエリア。弱肉強食の世界よ」

448: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:25:32.79 ID:FqFl7jRq0

奏「まあ、無理にとは言わないわ。さっきの戦いで消耗しているでしょうし、逃げるなら逃げてくれてもかまわないけど?」

聖來「言わせておけば……!」グッ

藍子「……」

藍子「わ――」

凛「わかった。私が受けて立つよ」

藍子「……!? 凛さん!?」

奏「……あら、貴方にはバトルを申し込んだ覚えがないわよ」

449: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:27:03.23 ID:FqFl7jRq0

凛「私にはわかる……アンタ、相当強いでしょ。藍子じゃたぶん敵わない」

凛「明らかに自分より格下の相手にそんなバトルを挑むなんて、都合がよすぎる。そう思わない?」

奏「……」

奏「へえ、その言い方だと、貴方もけっこうな手合いみたいね」

奏「わかったわ。貴方との方がいいバトルができそうだし。でも条件は同じよ。私が勝ったら、サニーゴを譲ってもらうわ」

凛「……アンタが負けたら?」

奏「その時はその時で考えるわ。負ける気はないし」

藍子「り、凛さん……!」

凛「……下がってて、藍子」

450: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:28:08.97 ID:FqFl7jRq0

聖來「わわ……大変なことになっちゃったな……」

女の子「……」

聖來「……そうだ、いつまでもこの子を預かっておくわけにもいかない……」

凛「いいよ、聖來さん。町まで送ってあげて」

聖來「あ、ありがとう、凛ちゃん! 藍子ちゃん! いつかお礼させてもらうね!」

女の子「お姉ちゃんたち、ありがとう……きをつけて!」

タッタッタッ……

凛「……」

451: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:29:02.02 ID:FqFl7jRq0

奏「私は一匹で充分よ。貴方はどれだけ使ってくれてもいいけど……」

凛「私も一匹で十分だよ。ゲッコウガ……よろしく」

ゲッコウガ「ゲコ」ザッ

奏「いくわよ、ブリムオン」ポン

ブリムオン「ブリム」

ブリムオン せいじゃくポケモン エスパー・フェアリータイプ
静寂を好み、争いを嫌うポケモン
頭痛になるほどのサイコパワーを周囲に放ってほかの生物を遠ざけている

452: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:29:44.29 ID:FqFl7jRq0

凛(初めて戦う相手……フェアリータイプ、か)

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ」

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

奏「撃ち落とすわよ、パワーウィップ!」

ブリムオン「ブリム!」ブゥン

バチイッ!

453: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:30:18.22 ID:FqFl7jRq0

藍子(! 大量のみずしゅりけんを一発で……!)

凛「なるほど……その髪が武器なんだね」

凛(あの長い髪の中……そこに本体があるはず)

凛(さっきのパワーウィップをもう一度誘導できれば……)

凛「ゲッコウガ、つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

奏「じゃれつく!」

ブリムオン「ブリム!」ボコスカ

454: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:30:55.89 ID:FqFl7jRq0

ゲッコウガ「ゲコ……!」

凛「くっ……すごいパワーだ」

ゲッコウガ「ゲコ!」バン

凛「よし、振り払った! みずしゅりけん!」

奏「……」

奏「なるほどね。……パワーウィップ!」

ブリムオン「ブリム!」ブゥン

凛「よし、隙ができ――」

455: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:33:51.14 ID:FqFl7jRq0

凛「!?」

凛「髪の中は……空洞!?」

ブゥン

凛「しまっ……」

ゲッコウガ「ゲコ!?」

ドゴォ

凛「ゲッコウガ!」

藍子「そんな……空洞ってどういう……」

奏「残念ね。ブリムオン自体はとても小さなポケモンなの」

奏「そしてその体は髪で隠しつつサイコパワーで浮かせているわ。当てられるものなら当ててみなさい」

ブリムオン「ブリム」

456: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:34:21.06 ID:FqFl7jRq0

凛「……なるほど。そんなポケモンもいるんだね」

凛「わかった。なら当ててみせるよ」

凛「ゲッコウガ、突っ込むよ!」

ゲッコウガ「ゲコ」

凛「かげぶんしん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

奏「へえ……面白いじゃない」

457: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:34:50.97 ID:FqFl7jRq0

奏「パワーウィップで薙ぎ払って!」

ブリムオン「ブリム!」ブゥン

フッ フッ フッ

ゲッコウガ「」ピョン

奏「唯一避けたそれが本体ね……! ブリムオン!」

ブリムオン「ブリム!」

バシィッ

458: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:35:17.93 ID:FqFl7jRq0

フッ

奏「あら……」

凛「本体は後ろだよ!」

凛「ゲッコウガ、空洞に潜り込んで!」

ゲッコウガ「ゲコ」バッ

凛「つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

459: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:36:02.01 ID:FqFl7jRq0

ブリムオン「ブリムッ……」

藍子「やった……ブリムオンを突き上げた!」

凛「ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ」ゴポォ

ゲッコウガ「ゲコォ!!」

ズドォォォン

奏「……」

460: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:37:10.05 ID:FqFl7jRq0

ドサッ

ブリムオン「ブリム……」バタンキュー

藍子「……!」

凛「勝負あったね」

奏「……ふうっ……」

奏「お疲れ様、ブリムオン」

奏「……貴方、凛と言ったわね」

奏「ふふ……強いじゃない。ガラルにまだこんなに強いトレーナーがいたなんて。私、貴方のこと気に入ったわ」

461: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:39:49.73 ID:FqFl7jRq0

凛「……?」

奏「ありがとう。私、最近すごく退屈していたんだけど……たった今、新しい目標を見つけたわ。次こそ貴方を打ち負かすという目標を」

奏「そのお礼として……サニーゴは好きにしていいわ。弱肉強食の世界と言ったのは私だし、敗者に口なし、ね」

奏「……でも次に会ったときは、今回みたいにはいかないわよ。必ず貴方を跪かせてみせる」

奏「だからそれまで私のこと、覚えておいてね――」

チュッ

凛「えっ……!?」

奏「……ふふ。じゃあね」

スタスタ

462: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:40:37.31 ID:FqFl7jRq0

凛「……」

藍子「……」

藍子「な、何だったんでしょう、あの人……」

凛「……わからない……」

藍子「でも凛さん、かなり根に持たれてしまいましたね……ごめんなさい」

凛「い、いいよ。藍子は悪くないんだし」

凛「それにサニーゴを守れたんだ。むしろ誇るべきだと思う」

463: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:42:40.12 ID:FqFl7jRq0

藍子「そんな……そうだ。このサニーゴ……どうしましょう」

藍子「奏さんのお話では、サニーゴにとってガラルは生きづらい環境なんですよね……」

凛「うん。……そもそもどうしてこのサニーゴがワイルドエリアにいたのかもわからないし、不自然だね」

藍子「いったんエンジンシティに戻って、涼さんに相談した方がいいでしょうか……?」

藍子「このまま私なんかが連れていてもいいのかわかりませんし……」

凛(うーん……こういう時にモバPのような人がいてくれたらいいんだけど……)

凛(……)

藍子(……)

凛・藍子「うーん……」

464: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:43:38.51 ID:FqFl7jRq0

サニーゴ「サニ」スリッ

藍子「!」

サニーゴ「サニー!」ニコッ

藍子「サニーゴ……」

藍子「……っ」

藍子「この子……ヒメンカを探しているときに草むらで見つけたんです。ずっとボロボロのままうずくまっていて……」

藍子「……もしかしたらずっと独りだったのかも。本当は生きられないはずの環境に迷いこんで、仲間のようで仲間じゃないポケモンに追われて……」

465: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:44:52.51 ID:FqFl7jRq0

凛「藍子……」

藍子「……凛さん。やっぱりこのサニーゴ、私が面倒を見ます」

藍子「モンスターボールに入っていれば大丈夫だと思いますし、それに――」

凛「……うん、わかった」

凛「藍子の気持ちはちゃんとサニーゴに伝わってると思うよ。それに……」

サニーゴ「サニー!」

凛「サニーゴもそれを望んでるみたいだし」

藍子「……!」

466: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:46:08.63 ID:FqFl7jRq0

藍子「サニーゴ……これからよろしくね!」


サニーゴが手持ちに加わった!


サニーゴ(はりきり) Lv21
わんぱくな性格 うたれづよい
みずでっぽう/げんしのちから/アクアリング/こらえる

467: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:46:39.83 ID:FqFl7jRq0

凛(……生息地によって姿が変わる。そんなポケモンもいるんだね)

凛(でもどうしてこのサニーゴはガラルに迷いこんだんだろう)

凛(……まあいいか、では片づけられないよね。藍子がいなかったらどうなっていたかわからないし)

凛(ポケモン自身が迷いこんだんじゃなかったら……トレーナーが連れてきた?)

凛(だとしたら誰が? どんな目的で?)

凛(……いずれにせよ、放ってはおけないね)

468: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:47:27.21 ID:FqFl7jRq0

ハシノマ原っぱ 天気:晴れ

凛「もう日が暮れてきたし、この辺りで寝泊まりしようか」

藍子「はい!」

バサッ

藍子「おお、いい感じのテントですね!」

凛「そうだね……野生のポケモンに襲われないか不安だけど」

469: ◆7P/ioTJZG. 2020/06/20(土) 23:48:45.98 ID:FqFl7jRq0

凛「さて……夕食はどうしよう」

藍子「あ、それなら凛さん。カレーを作りませんか?」

凛「カレー?」

藍子「はい、2日連続になっちゃいますけど……ガラルではけっこう有名な料理なんです。私もよく作っていました」

凛「へえ。……そういえば肇もそんなことを言っていたな」

凛「じゃあカレーにしようか。せっかく具材も買ったんだし」

藍子「はい! えっと、たしかキャンプキットの中にお鍋が……」

ドン

藍子「じゃあさっそく作ってみましょう!」