7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:31:49.65 ID:WtMKvr9c0

セラ「イリヤさん。洗濯物を出しておいてください」

イリヤ「はーい。あっ、セラ、キリツグのと一緒に洗濯しないでね」

セイバー「キリツグが聞いたらショックを受けますよ」

リズ「さいきんキリツグはかれいしゅうがする」

セラ「リズ、なんてことを言うのですか!」

引用元: 切嗣「最近、娘が反抗期だ」 



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:33:59.64 ID:WtMKvr9c0

切嗣「なあ士郎」

士郎「どうしたんだ、じいさん」

切嗣「最近、娘が反抗期な気がする」

士郎「あ~、確かにな」

士郎「今朝も──」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:34:31.48 ID:WtMKvr9c0

切嗣「アイリ、おはよう」

アイリ「おはよう、キリツグ」

切嗣「士郎、おはよう」

士郎「おはよう」

切嗣「おはよう、セイバー」

セイバー「おはようございます」

切嗣「イリヤ、おはよう」

イリヤ「…………」

セラ「旦那様、おはようございます」

リズ「キリツグおはよう」

切嗣「あ、ああ。おはよう二人とも」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:38:23.65 ID:WtMKvr9c0

士郎「──確かに反抗期だな」

切嗣「他の家の子ならともかく、うちのイリヤには反抗期なんか来ないと思ってたのに」

士郎「典型的な駄目親父だな」

切嗣「なぁ、士郎! 僕の何がいけない!? ご近所さんからは『衛宮さん家の旦那さんはずいぶんお若いですね』と評判なのに!」

士郎「その後に『でもあの人はちゃんと働いてるのかしら。ずっとくたびれたスーツばかり着てるし』って続くけどな」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:40:53.14 ID:WtMKvr9c0

切嗣「どうすればいい、士郎!」

士郎「俺に聞かれても分からないよ」

切嗣「やっぱり加齢臭か! この首の辺りから漂う加齢臭が原因か! まだギリギリ三◯代なのに……士郎、シャネルの五番を投影するんだ!」

士郎「落ち着けよ、じいさん」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:44:47.37 ID:WtMKvr9c0


──冬木市新都にある、とある英雄王がオーナーを勤める店『BAR 赤枝』──


切嗣「とまぁ、こんな感じたな」

時臣「ざまあみろ、といった気分だ。ようこそ、こちらの世界へ」

時臣「ようやく君も年頃の女の子を持つ父親として一皮剥けたのだな」

切嗣「そんなものか?」

時臣「そんなものだ。父親は誰しも同じ経験をする。私も凛が洗濯物を分けて洗うように妻に伝えているのを見たときはショックだった」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:49:23.36 ID:WtMKvr9c0

時臣「最近は口も聞いてくれないし、顔を合わせただけでも若干嫌そうな顔をされる」

切嗣「分かる分かる。あれはキツいな」

時臣「年頃の娘の心を開かせることはどんな魔術を使っても不可能だろうな。それこそ魔法でも使わないと無理だろう」

切嗣「結局、何処でも父親は同じというか」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:52:48.79 ID:WtMKvr9c0

時臣「君はまだいい。息子がいるのだろう」

時臣「うちは女性二人に私一人だから、物事の決定権が女性側にあるんだよ。もちろん妻は私を立ててくれているが、やはり主導権は向こうのものだ」

切嗣「うちにしても女性陣が強い。アイリもああ見えてかなり我が強いからね。士郎もフェミニストというか女性相手には強く出られない質だから、毎回最終的には女性陣の意見が通る」

時臣「でも、日本では妻が実権を握りつつも外では夫を立てる家庭が一番理想的らしいからな」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 21:53:58.38 ID:WtMKvr9c0

切嗣「あっ、そういえば言い忘れてたが、この前娘が分裂した」

時臣「!? ゴホッ、ゴホッ!」

切嗣「おい、酒を吹くな。汚いだろう。『優雅たれ』という家訓が泣くぞ」ニヤニヤ

時臣「貴様、私が酒を飲む瞬間を狙っただろ!」

ランサー「お客様、お静かに」

切嗣時臣「「すみません」」

25: >>23マスターに恵まれなかった方のランサー 2011/11/21(月) 22:00:07.89 ID:WtMKvr9c0

時臣「で、娘が分裂とはどういうことだ」

切嗣「詳しいことはアインツベルンにも関係するので言えないが、イリヤの中に封印されていた本来のイリヤの人格が肉体を得た、というところだ」

時臣「そうか、なら詳しくは聞かないでおこう。冬木のセカンドオーナーとして戸籍ぐらいは用意しといてやる。もちろん、報酬はいただくが」

切嗣「恩にきる。ちなみに名前はクロエと付けた」

時臣「駆け落ち同然とはいえ、アインツベルンにも連絡くらいはしておくべきだな」

切嗣「そうだよな。ああ、今から胃が痛いよ」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:04:40.77 ID:WtMKvr9c0

時臣「しかし、本当に子供の考えていることは分からん」

切嗣「またそこに戻るのかい?」

時臣「私としては凛を優雅で淑やかに育てたつもりなのだが、それに反発するようにお転婆に育ってしまった」

切嗣「親の心子知らずとはよくいったものだな」

時臣「ああ。私たちはいつだって子供のためにと行動するのに」

切嗣「いつだって理解されない、報われない」

時臣「別に感謝しろなんて押し付けがましいことは言わないが、だからといって我々がこんなに邪険にされるいわれもない!」

切嗣「そうだそうだ。世の子供たちは親の有り難みをもっと理解するべきだ!」

ランサー「…………」

41:   2011/11/21(月) 22:12:30.05 ID:WtMKvr9c0

ランサー「お客様方、お節介を承知で言わせてもらう。子供に文句があんなら、本人に面と向かってそう言え。こんなところでオッサン同士愚痴ってても、なんにもならないぞ」

ランサー「世の中にはな、ほんの小さなすれ違いから取り返しのつかない事態にまで発展しちまうこともあるんだ。親子だから、兄弟だから、言わなくても分かってくれるなんて思ってたら、いつか大事なものを失うぞ」

切嗣「……そうか、たしか君は自分の息子を……」

ランサー「俺だけじゃない。英霊の中じゃあ親兄弟や子供と仲良く幸せに暮らしてたような奴の方が少ない。キャスターやヘラクレス、お宅のセイバーもその一人だ」

ランサー「まっ、ようは話し合ってみろってことだな。それが一番だ」


切嗣「話し合い、か」

時臣「たしかに、無視されるからのが辛いからと最近はあまり話し掛けなくなっていたかもしれない」

切嗣「よし、試してみるか」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:17:44.50 ID:WtMKvr9c0

──衛宮家リビング──


切嗣「イリヤ、クロエ! 今日はパパと一緒にお風呂に入ろう!」




切嗣「士郎、僕はいったい何を間違えたんだろう?」

士郎「強いて言うなら全部だな」


END

61: とりあえずはじめます 2011/11/21(月) 22:33:59.50 ID:WtMKvr9c0

由紀香「ギル君、こんにちは」

ギル「こんにちは由紀香、さぁ行きましょう。今日は僕がエスコートしますよ」

由紀香「じゃあよろしくね」

ギル「はい、由紀香」




タマモ「さあご主人様、デートしましょう」

白野「う~ん。最後の最後に女同士でデートってどうなんだろ」

タマモ「なら私が呪術を使って、ちょちょいのちょいでご主人様を男にしましょうか?」

白野「それはゴメンだ」

63: >>62ありがとうございます。 2011/11/21(月) 22:36:14.79 ID:WtMKvr9c0

雁夜「バーサーカー、すまなかったな。頼りないマスターで」

ランス「」フルフル

雁夜「たったの四日間だった。けど、葵さんも桜ちゃんもずっと笑顔だった。それが見れただけで充分満足だ。ありがとうバーサーカー」

ランス「……私も」

ランス「貴方がマスターで良かった」

雁夜「……そうか」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:37:45.20 ID:WtMKvr9c0

言峰「アサシンよ、今までご苦労だった。暇をとらす。残り一日自由に過ごせ」

ハサン's「はっ。今までお世話になりました」



言峰「……シスターカレン。君は何処かに行かないのかね?」

カレン「私は五日目以降も生きていられますから」

カレン「それに貴方が、皆が最後の一日をどのように過ごすか興味を持っているように、私も貴方が最後をどのように過ごすか知りたいのですよ」

カレン「ですから最後まで貴方の傍にいます」

言峰「物好きだな」

カレン「貴方に似たんですよ」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:41:20.57 ID:WtMKvr9c0

──そして四日の深夜二三時五五分

ディル「マスター、暫しのお暇をいただきます」

ケイネス「ランサーよ」

ディル「はい」

ケイネス「私は決して理想的なマスターではなかった」

ディル「いえ、そんなことは!」

ケイネス「いや、私が一番よく分かっている。お前は不出来なマスターに最後まで忠義を尽くしてくれた。すまなかった、そして、ありがとう」

ディル「……勿体無きお言葉!」



──残り四分

バゼット「ランサー、未熟なマスターのせいで貴方には苦労をかけました」

ランサー「今さらなにいってやがる。いい女ってのはな、別れの時には男を笑顔で見送るものなんだよ」

バゼット「まったく、あなたは相変わらずですね」

69: らっきょは『式「コクトーぉ……コクトーぉ」クチュクチュ』ってタイトルです 2011/11/21(月) 22:44:48.71 ID:WtMKvr9c0

──残り三分

切嗣「お別れだね、アイリ、イリヤ。セラ、リズ、バーサーカーも世話になったね」

アイリ「少しの間だけど楽しかったわ」

イリヤ「バーサーカー、あんまり一緒にいてあげられなくてゴメンね」

バーサーカー「」フルフル

切嗣「君たちはこれからどうするんだい?」

セラ「私たちはこれからも城を守り続けていきます」

リズ「がんばる」


──残り二分

時臣「凛、遠坂の家を頼むぞ」

凛「任せてお父様。私は立派に遠坂の名を継いでみせるから」

葵「アーチャーさんもありがとうね。この子はそそっかしいところもあるから大変だったでしょう」

アーチャー「そんなことはない。貴女たちの娘は立派に育っている。誇りに思うべきだ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:46:13.77 ID:WtMKvr9c0

──残り一分


ライダー「サクラ、今までありがとうございました」

桜「ライダー……」


黒「あと少しで終わりだな」

赤「うむ。余は充分今世を堪能したぞ」

リリィ「私も楽しかったです」

白「主には感謝してもしきれません」

黒「まさか、自分と会うなんて経験をするとは思いもよらなんだ。それも二人も」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:46:50.58 ID:WtMKvr9c0

赤「奏者よ。最後に我が儘を言わせてくれ」

士郎「なんだい?」

赤「余は……余はやはり消えたくない! 嫌だ! 余たちはあくまで英霊のコピー、消えてしまえばここでの出会いも思い出も全て忘れてしまう!」

白「ネロ、あまり主を困らせるものではありません」

リリィ「そうですよ。最後に泣き顔なんて駄目ですからね」

レオ「がう」

黒「世話になったぞ、シロウ。それでは──」


──時計の針は午前零時を指し示し、イレギュラーな聖杯戦争は終わりを迎えた──

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:48:33.80 ID:WtMKvr9c0

士郎「あれ?」


──はずだったのだが……


青「こ、これはいったい!?」

黒「む?」

リリィ「あら?」

白「これは?」

赤「なんと!?」

レオ「がう?」

桜「ライダーも!?」

ライダー「桜!?」

士郎「なんでさ」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:50:14.54 ID:WtMKvr9c0

──消えるはずだったサーヴァントも死者も誰一人としてかけることなく五日目を迎えた──


青「シロウ、おかわりを」モキュモキュ

黒「私もハンバーガーを追加だ」モキュモキュ

リリィ「これ美味しいですね」モグモグ

白「納豆というらしいですよ」モグモグ

レオ「がう~」

青「レオは納豆が駄目なようですね」

士郎「どうなっているんだ?」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:52:08.66 ID:WtMKvr9c0

カレン「いったいどうなっているのでしょう」

言峰「皆目見当もつかんな」

アベ「言っとくけど俺は無関係だからな。つーか早く天井から下ろしてくれないか? 腕が紫色なんだけど」

言峰「神の思し召しということで良いだろう」

カレン「あら、ずいぶんと柄にもないことを言うのですね」

言峰「たまにはハッピーエンドというのも悪くないだろう」

カレン「……かもしれませんね」

アベ「ヤバいヤバい! もう腕の感覚無くなってきた!」


END……?

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/21(月) 22:56:18.32 ID:WtMKvr9c0

──オマケ──

──時は遡り四日目の二三時五◯分頃


大河「あ~気持ちい~~。まさか柳洞寺から温泉が湧き出るとはね」

大河「一番風呂で入れてくれるなんて零観ちゃんも気前がいいわー!」

大河「結構大きいから、今度来るときは士郎やセイバーちゃんたちも揃って『みんなで一緒』に入りたいなー!」


今度こそEND