46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:06:25.01 ID:R6ub9F7h0
さやか「見せてよ」

杏子「ほら、これ」

さやか「え」

杏子「え?」

さやか「いや、これって」

杏子「小さくて可愛いだろ?」

さやか「う、ぅん。小さいね……」

杏子「ほら、さやかに挨拶だ」カランカラン

さやか「あ、あの、私、ちょっと用事思い出したから」ダッシュ

杏子「あ、おい。さやか、さやか……」

杏子「いっちまいやがった……。なんなんだ? あいつ」

引用元: さやか「へー、あんたペット飼ってるんだ」杏子「いいだろ」 




47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:10:13.96 ID:R6ub9F7h0
さやか「……」タッタッタッ

さやか(何あれ。どういうこと?)

さやか(わかんない。わかいないよ、杏子)

さやか(なんで、あんなの引きずってるのさ)

まどか「あ、さやかちゃん。どうしたの?」

さやか「まどか」

まどか「そんなに走って、何処かに急いでいるの?」

さやか「……杏子が……」

まどか「?? 杏子ちゃんがどうかしたの?」

さやか「……あ、いや、なんでもないよ」

まどか「?」

さやか「急いでいるから、またね」ダッシュ

まどか「またね、さやかちゃん」

さやか「……」ダッシュ

さやか(……言えるわけがない。杏子があんな風になってるなんて)

 

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:14:35.87 ID:R6ub9F7h0
さやか「……ただいま」

さやか母「お帰り。もうすぐご飯よ」

さやか「うん。部屋にいるね」

さやか「……」

さやか(杏子、いったい何があったんだろう)

さやか(恐くなって思わず逃げて来ちゃったけれど……あれは……)

さやか(わかんない、わかんないよ、杏子。私にはあんたが何をしたいかわかんない)

さやか(なんであんな……)

さやか(恐いよ、杏子)



杏子「なんなんだろうな、あいつ。ま、いいか」

杏子「あたし達も帰ろうか、こうら」カランカラン

杏子「よしよし、いいこだな」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:21:28.75 ID:R6ub9F7h0
杏子「帰ったらご飯にしような。こうらは何が食べたい? なんでもいいぞ、好きな物言えよな」カランカラン

杏子「うん、そうか。わかった、それじゃあそうしようか。そうと決まれば買い物だな」

杏子「今はちゃんとお金持ってるから、スーパーで買い物が出来るんだ。もう盗みなんてしないからな」

杏子「だって、こうらのためだから」

杏子「じゃあ、ここで買い物していこうか」

警備員A「あの、お客様?」

杏子「ん?」

警備員A「すいませんがその……」

杏子「……ああ。ここペットの入店禁止なの?」

警備員A「ペット?」

杏子「まあ、あたしにとっては家族みたいなもんだけど」

警備員A「あの、お客様」

杏子「ごめん。入店禁止とは知らなかったんだ」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:24:38.73 ID:R6ub9F7h0
警備員A「あの……」

警備員B「お客様、よろしければ、お買い物の間は預かりましょうか?」

警備員A「え」

杏子「いいの?」

警備員B「当店のサービスです」

杏子「じゃあ、頼む。こうらは大人しい子だから、噛んだりしないからな」

警備員B「こうらちゃんって言うんですか」

杏子「じゃあよろしく」

警備員B「はい。ごゆっくり」

杏子「こうら、すぐ戻るから大人しくしてるんだぞ」カランカラン

警備員B「ごゆっくり」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:29:46.53 ID:R6ub9F7h0
警備員A「オヤジさん、いいんですか?」

警備員B「ああ、いいんだよ」

警備員A「だって、ペットって、それ……」

警備員B「あの子……杏子ちゃんにとってはペットなんだよ」

警備員A「知ってるんですか? あの子」

警備員B「……あの子の両親を知ってた」

警備員A「はぁ……」

警備員B「聞いたことがあるだろう、例の教会の……」

警備員A「あ……」

警備員B「だから、このペット……いや、こうらちゃんは儂が責任を持って預かる」

警備員A「……あの……」

警備員B「ん?」

警備員A「オヤジさんが非番の日は俺が預かりますよ」

警備員B「すまんな」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:32:45.55 ID:R6ub9F7h0
杏子「おっちゃん、ありがとうな」

警備員B「はい、どうぞ」

杏子「良い子にしてたか? こうら」

警備員A「静かに、良い子でしたよ」

杏子「そっか、お前、褒められてるぞ、こうら」カランカラン

杏子「そうか、うれしいか。良かったな」

杏子「それじゃあ帰ろうか」カランカラン


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:36:50.38 ID:R6ub9F7h0
さやか(昨日は思わず逃げたけれど……)

杏子「お、さやかじゃねえか。昨日はどうしたんだ?」

さやか「あ、杏子」

杏子「今度こそ、あたしのペット見てくれよな」

さやか「……うん」

杏子「ほら、ご挨拶」カランカラン

さやか「あ……」

杏子「こうらって言うんだ」

さやか「そうなんだ……」

杏子「ほら、こうら、さやかに挨拶」カランカラン

さやか「こうらちゃん……あは、こんにちわ……」

杏子「こいつ、可愛いけれど大人しいんだよな」

さやか「そ、そうだね」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:39:22.98 ID:R6ub9F7h0
さやか「あ、あのさ」

杏子「なんだ?」

さやか「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

杏子「うん」

さやか「怒らないで聞いてくれるかな」

杏子「なんだよ、それ」

さやか「いや、大したことじゃないんだけど」

杏子「はぁ?」

さやか「杏子はさ……どうして、その……」

杏子「なんだよ、ハッキリ言えよ」

さやか「どうして……」

杏子「なに?」

さやか「どうして、ペットボトルにヒモ付けて引きずり回してるの!?」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:43:20.87 ID:R6ub9F7h0
杏子「はあ?」

さやか「はあ、じゃなくて。おかしいよね、それ、どう見てもゴミだよ、ゴミ」

さやか「ただのゴミ、ペットボトルだよ」

さやか「何でそんなものにヒモ付けて引っ張ってるのよ! わけわからないよ!」

杏子「おい」

さやか「誰が見てもペットボトルでしょう!?」

杏子「……お前、喧嘩売ってるのか?」ギリッ

さやか「え」ゾクッ

杏子「人の家族同然のペット捕まえてゴミってどういうことだよ」

杏子「いくらさやかでも、言って良いことと悪いことがあるだろう」

さやか「何言ってるの?」

杏子「謝れよ」

さやか「どうして、あたしが杏子に……」

杏子「違うだろ! こうらに謝れよ!!」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 18:45:54.78 ID:R6ub9F7h0
さやか「杏子……?」

杏子「謝れよ」

さやか「杏子……杏子?」

杏子「謝れよ」

さやか「なんで……なんで変身してるの?」

杏子「謝れよ」





ご飯食べてくる

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 19:39:37.66 ID:R6ub9F7h0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

杏子「謝れよ!」

さやか「……」

杏子「さっきから何黙ってんだよ、さっさと謝れよ」

さやか「……」

杏子「謝れよ」

杏子「謝れよ、謝れよ!」

杏子「謝れよ謝れよ謝れよ」

杏子「謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ」

杏子「謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ」

杏子「謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ謝れよ」

さやか「……」

杏子「あや……」ゲシッ

杏子「ぐっ」

ほむら「そこまでよ」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 19:45:01.69 ID:R6ub9F7h0
杏子「ほむら、てめ」

ほむら「巴マミ、美樹さやかの手当を」

マミ「わかってる」

まどか「さやかちゃん!」

マミ「美樹さんの息はまだあるわ。これなら大丈夫よ」

杏子「謝らせろよ!」

ほむら「そのペットボトルに何を謝れと言うの?」

杏子「てめえもか」ギリッ

マミ「佐倉さん、落ち着いて」

まどか「杏子ちゃん、どうして……」

杏子「どうしてだと? ふざけんな。まどか、お前の弟がゴミ呼ばわりされたらお前だってぶちキレんだろうっ!」

まどか「え……でも」

杏子「なんだよ、確かにこうらはペットだよ、でも、あたしにはかけがえのない家族なんだよっ! 誰にもゴミ呼ばわりなんてさせねぇ!」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 19:51:05.44 ID:R6ub9F7h0
ほむら「どういうことなの?」

マミ「さあ……私にも何がなんだか」

杏子「いいから放せ、さやかに謝らせなきゃなんねえんだっ!」

ほむら「貴方、美樹さやかがどんな状態がわかっているの?」

杏子「ああっ!?」

ほむら「貴方の槍で身体中を貫かれているのよ。話せるどころか、魔法少女……いえ、美樹さやかの能力でなければとうに死んでいるわ」

まどか「ひどいよ、杏子ちゃん……」

マミ「佐倉さん、こればかりは黙ってみているわけにはいかないわよ」

杏子「……ああ、そうか……そういうことか」

杏子「てめえら、揃ってグルだったって事か」

杏子「てめえら、揃ってこうらを虐めに来たって事か」

ほむら「正気に戻りなさい、佐倉杏子」

杏子「うるせえ」

杏子「てめえら、一人残らずたたきのめしてやる」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:00:40.97 ID:R6ub9F7h0
ほむら「そう、貴方がその気なら」カチッ

ほむら「時を止めたまま、巴マミとまどかに触れれば……」

マミ「……え? あ、時を止めたのね?」

まどか「……あ、ああ、ビックリした」

ほむら「今の内に、美樹さやかを連れてここを離れましょう。今の佐倉杏子に話は通じないと思った方が良いわ」

マミ「だけど、何処へ行くの? あの様子だと、追って来かねないわ」

ほむら「……私たちは皆、家が知られているのね」

マミ「何処に行くにしても、美樹さんはすぐに回復しないわよ」

ほむら「何処に行くべきかしら」


1 マミの家
2 ほむらの家
3 さやかの家
4 まどかの家
5 教会

安価107

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:03:37.74 ID:WBps25r00
5

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:08:02.77 ID:R6ub9F7h0
マミ「教会に行きましょう」

ほむら「教会……佐倉杏子の?」

マミ「灯台下暗しよ」

ほむら「確かに、逃げ込む先としては無茶も良いところね」

マミ「それだけじゃないわ」ドヤッ

マミ「もしかしたら、佐倉さんがこうなってしまった理由がわかるかも知れない」

ほむら「そうと決まれば急ぎましょう」

まどか「うん」




112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:13:45.18 ID:R6ub9F7h0

――教会

マミ「とりあえず、美樹さんをそこに寝かせて。ある程度回復すれば、自己回復できるはずだから。暁美さん、それから」

ほのか「グリーフシードならここにあるわ。使って」

マミ「ありがとう」

まどか「……ほむらちゃん、マミさん、あれ」

ほむら「不自然ね。どうして、こんなところに冷蔵庫が?」

マミ「しかもこれ、新品よ。まだ新しいわ」

まどか「あの、こっちに、ペットボトルが沢山置いてあるよ」

ほむら「全部きれいに洗ってあるわね」

マミ「どういうことなの……?」




119: しまった、キュアホワイトがいるwww 2012/01/23(月) 20:18:37.98 ID:R6ub9F7h0
まどか「……ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「なに? まどか」

まどか「どうしてかな。私、この冷蔵庫を開ければ何かがわかるような気がする」

ほむら「……」

まどか「開けなきゃいけないような気もするんだ」

ほむら「まどか……」

まどか「でも、開けるのが恐い。どうしてだろう。開けるのがたまらなく恐いよ」

ほむら「まどか、下がっていて」

マミ「暁美さん?」

ほむら「巴マミ、貴方も下がっていて」

マミ「でも」

ほむら「言いたくはないけれど、私は色々な物を見てきているから」

マミ「……そんな」

ほむら「今は、何も言わないで」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:27:52.03 ID:R6ub9F7h0
ほむら「開けるわ。まどか、巴マミ、私が良いと言うまで、こちらを見ないで」

まどか「うん」

マミ「わかったわ」

ほむら「開けるわよ」カチャ

ほむら「!?」バタン

マミ「今、締める音がしたけれど」

ほむら「……っ……あんなものは、一瞬でも見れば充分よ」

まどか「ほむらちゃん何を……うえっ、げほっげほっ!!」

マミ「うっ……な、なに、この匂い……」

ほむら「冷蔵庫の中のものの匂いよ」

マミ「これって……」

ほむら「巴マミ、まどかの前では口にしないで」

マミ「ええ……」


132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:33:03.71 ID:R6ub9F7h0


杏子「……あいつら……ふざけやがって……」

杏子「こうらは、家族なんだ……ペットなんかじゃ……」

杏子「……あれ? こうら、どうした?」

杏子「そうか、もう駄目なのか。じゃあ、帰ってご飯にしようか」

杏子「メインディッシュはまだまだたくさんあるぞ、一緒に食べような」

杏子「ああ、お前をゴミ扱いした奴は絶対に許さないから」

杏子「お前は家族だもの、ゴミじゃない。ゴミなんかじゃない」

杏子「うん。わかってるよ、こ・う・ら」

杏子「帰ろう」


134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:40:42.98 ID:R6ub9F7h0
まどか「ほむらちゃん、冷蔵身の中身って」

ほむら「わすれなさい、まどか」

マミ「ええ、そのほうがいいわ」

まどか「でも……」

ほむら「今はそんなことより、貴方は美樹さやかについていてあげて」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「お願い」

まどか「うん。わかったよ」トボトボ

ほむら「……ペットボトルは不透明なものだった」

ほむら「中身が見えないことで、気付くべきだったのかも知れない」

マミ「無茶よ。あの状況で中身まで気を回す人なんていないわ」

ほむら「……」

マミ「それに……あれを手に入れるなんて、普通じゃ考えられないもの」

ほむら「それこそ、魔法少女でもなければ……ね」

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:45:50.95 ID:R6ub9F7h0
マミ「!! あ……ああ……」

ほむら「どうしたの?」

マミ「思い出した……思い出したのよ!」

ほむら「落ち着いて、巴マミ。何を思い出したの」

マミ「……桃子、一郎、桂」

ほむら「はい?」

マミ「最後の文字を繋げば、こ・う・ら……」

ほむら「……!!」

ほむら「そういえば……何処かのループで聞いたことがあるような……」

マミ「亡くなった……佐倉さんの家族の名前……」 

ほむら「じゃあ……やっぱりそうなのね……冷蔵庫の中身は……」

マミ「佐倉さんは……三人をペットボトルに入れて……」

まどか「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

ほむら「まどか!!」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:47:58.65 ID:R6ub9F7h0






           「なんだ、ここにいたのか」






141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/23(月) 20:50:50.13 ID:R6ub9F7h0
警備員A「あ、いらっしゃいませ」

杏子「あの、またこいつら預かって貰って良いかな」

警備員A「勿論ですよ、こうらちゃんと……あれ、二匹?」

杏子「うん。いいかな」

警備員A「ええ、二匹とも預かりますよ。ところで……」

杏子「ん?」

警備員A「新しい子の名前はなんて言うんですか?」

杏子「ああ、そいつは  か み ら  って言うんだ」



   終