1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 00:37:06.68 ID:UbskyrML0
喪黒「私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん。ただのセールスマンじゃございません。私の取り扱う品物は心、人間の心でございます。ホーホッホッ・・・」

喪黒「この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかり、そんな皆さんの心のスキマをお埋め致します。いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。さて、今日のお客様は・・・」


保登 心愛(ほと ここあ)


『味蕾ダイエット』オーホッホッ・・・




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408203416

引用元: ココア「ココロのスキマ、お埋めします・・・?」 




2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 00:38:24.48 ID:UbskyrML0
ココア「えええぇぇぇ!?」

チノ「どうしたんですか、ココアさん」ガチャ

ココア「チノちゃぁぁん! 体重が! 体重が・・・!」シクシク

チノ「体重が増えていたんですか?」

ココア「どうしよう・・・! 今までこんなことなかったのに!」

チノ「いつもの為体な生活が原因だと思います。増えてしまったものは仕方がないです、今回思い切ってダイエットをして   みたらどうですか?」

ココア「えぇ~!? 私、ダイエットなんてしたことないよぉ!」

チノ「シャロさんに聞かれてみては如何ですか? 過去に紅茶ダイエットをしたことがあるみたいですので」

ココア「うん・・・」ショボン

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 00:39:34.50 ID:UbskyrML0
ココア「(・・・とは言われたものの)」

ココア「(毎日紅茶を飲みに行くのもお金がかかるし、わけてもらうのも気が引けるし・・・)」

ココア「はぁ・・・どうしよう」

喪黒「おやぁ? お嬢さん、ため息なんてしてどうしたんですかぁ?」ヌッ

ココア「ひぃっ!? お、おじさん誰ですか・・・?」ビクビク

喪黒「おっと、これは失礼しました。実は私、せぇるすまんをしています」スッ

ココア「ココロのスキマ、お埋めします・・・?」

喪黒「はい。私は何か不安事がある方のココロをスキマをお埋めするため、無償でボランティアをしているんです」

ココア「無償? おじさん偉いですね!」

喪黒「いえいえ、全てはお客様のためですから・・・ところで、差支えなければ、私にもお嬢さんの悩み事を聞かせては頂   けないでしょうか?」

ココア「はい・・・実は」


・・・・・・・・・・・・

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 00:40:40.74 ID:UbskyrML0
喪黒「ほほぅ、そんなことがあったのですね」

ココア「私、ダイエットなんてしたことがなかったので、どうして良いか・・・」シュン

喪黒「よろしい! 私が何とかしてあげましょう!」

ココア「本当ですか!?」

喪黒「はい。私が調合したこの特製のギムネマ・シルベスターを毎日飲んでみて下さい。
   余計な間食をとらずに済むはずですよ」スッ

ココア「え・・・良いんですか?」

喪黒「はい、これはボランティアなので一銭も頂きません。ただし、条件があります」

ココア「条件ですか?」

喪黒「この紅茶はココアさん以外の人には絶対に飲ませないでください」

ココア「はい、わかりました。ありがとうございます、喪黒さん」タッタッ

喪黒「・・・・・・」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 00:49:03.00 ID:UbskyrML0
ココア「さてと、早速飲んでみようかな」コポコポ

ココア「・・・うん! 凄いおいしい!」

チノ「ココアさん、失礼します」ガチャ

ココア「ひゃい!?」ビク

チノ「・・・? 何をそんなに驚いているんですか?」

ココア「あ、あはは・・・何でもないよ」

チノ「そうですか・・・ん? 何か良い匂いがしますね」クンクン

ココア「あぁ! 今紅茶を飲んでいたんだけど、もう飲んじゃって・・・」

チノ「そうですか・・・」シュン

ココア「(シュンとするチノちゃん可愛い! ・・・じゃなくて! 良かったぁ、少しだけにしておいて)」

ココア「ところでチノちゃん、どうかしたの?」

チノ「あ、はい。実は今クッキーを焼いてきたんです。ダイエット中のココアさんのために、糖分は控えめにしてみまし    た」

ココア「(思いっきり甘甘のイチゴジャム使っているよね!?)」

ココア「そ、そうなんだ! ありがとう、頂くね!」ヒョイパク

ココア「・・・・・・」モグモグ

ココア「(あれ・・・? 全然甘くない・・・)」

チノ「どうですか?」

ココア「・・・うん! とっても美味しいよ、チノちゃん」

チノ「あ、ありがとうございます・・・///」

ココア「(こうまで何も感じないと、食欲自体失せてくるなぁ・・・)」モグモグ

ココア「(でもダイエットにはもってこいだよね! 目標の体重になるまで続けてみよう!)」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 00:57:43.39 ID:UbskyrML0
ココア「あ! 喪黒さん!」

喪黒「おや、ココアさんではありませんか」

ココア「喪黒さんからもらった紅茶、凄い効きめなんですよ! 本当にありがとうございます!」

喪黒「ほほぅ、それは良かったですねぇ」

ココア「体重も元に戻ったことだし、今日であの紅茶を飲むのは最後にしますね」

喪黒「そうですかぁ、頑張ったかいがありましたね」

ココア「はい! ・・・あ、早く戻らないとチノちゃんに怒られる・・・!」

ココア「喪黒さん、ありがとうございました!」タッタッ

喪黒「いえいえ・・・良いんですよぉ・・・約束を守ってくれれば・・・」フリフリ

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 00:58:39.36 ID:UbskyrML0
ココア「ふぅ・・・やっと仕事が終わった」コポコポ

ココア「この紅茶も今日で終わりか・・・短い間、お世話になりました」ゴク

リゼ「ふぅ、のどが渇いた・・・」ガチャ

ココア「リゼちゃん!?」

リゼ「おぅ、ココアお疲れ・・・ん? 何飲んでいるんだ?」ヒョイ

ココア「あ・・・それは!」

リゼ「良い香りだな! シャロからわけてもらったのか? 丁度良かった、今のどが渇い
ていたところだったんだ。少し飲ませてくれ」ゴク

ココア「あ・・・ああ・・・!」ガクガク

リゼ「ギムネマ・シルベスターかな? 良い味だ、ありがとうなココア・・・?」

喪黒『ココアさん・・・約束を破ってしまいましたね?』

ココア「こ、これはリゼちゃんが勝手に・・・!」

喪黒『いいえ、言い訳は聞きません。どんな形であれ、他の人に紅茶を飲ませてしまった
んです。もう私はどうなっても知りませんよ?』

ココア「そ、そんな・・・許して!」


喪黒「ドーーーーーン!!!!」

ココア「ぎょへええぇぇぇ!?」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:00:03.00 ID:UbskyrML0
チノ「ココアさん、どこに行ったんでしょう?」ガチャ

ココア「・・・・・・」ガサゴソ

チノ「!?」

ココア「・・・・・・」ムシャムシャ

チノ「ココアさん! 冷蔵庫を荒らして何をしているんです!?」

ココア「・・・・・・ないの」ボソ

チノ「はい・・・?」


ココア「何を食べても何の味もしないの!!」クワッ


チノ「え・・・え!?」

ココア「人参も・・・クッキーも・・・コーヒーも何を食べても何の味もしないの!!
    嫌だあぁぁ!! 私の舌はどうなっちゃったのぉ!?」ポロポロ

チノ「そ、そんな・・・」

ココア「嫌あああぁぁぁぁ!!」ポロポロ



喪黒「女性とダイエットは何時の時代も縁が切れない関係・・・食べたいものを我慢して、好きでもない運動をする・・・   大変なことですよねぇ」

喪黒「しかし、太っている方が幸せなのかもしれません。人間にとって、食す行為は必須であり、楽しみでもありますから   ねぇ」

喪黒「適切なダイエットをして、無駄な脂肪を落とすのは良いことですが、味蕾までダイエットをしてしまうのはどうかと   思いますよぉ?」


喪黒「オーッホッホッホッホッ・・・」



10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:15:14.55 ID:UbskyrML0
喪黒「さて、次のお客様は・・・」


香風 智乃(かふう ちの) 『すくすくバナナ』オーホッホッ・・・



11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:21:31.47 ID:UbskyrML0
リゼ「はぁ・・・また大きくなったな」

チノ「どうしたんですか?」

リゼ「いや、胸が・・・な///」

チノ「・・・」ピク

リゼ「その、ブラジャーが最近きつくなって・・・」

チノ「・・・そうですか」



ココア「あれぇ?」
チノ「ココアさん、どうしましたか?」

ココア「チノちゃん、もしかして身長縮まった?」

チノ「は?」ピク

ココア「何だか目線が少し高くなったような・・・もしかして私の背が大きくなった!?」

チノ「・・・そうなんじゃないですか」イライラ

ココア「えへへぇ、そうかそうか、チノちゃんは私を越えられるかなぁ~?」ニヤニヤ

チノ「ふんっ!」ギュイーン

ココア「やめて! チノちゃん! 私をミキサーにかけようとしないで!」バリバリバリ

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:33:46.05 ID:UbskyrML0
チノ「まったく・・・何で私だけが」

チノ「私だっていつかはきっと・・・」ペターン

チノ「・・・・・・」ズーン

喪黒「自分の胸を触ったりして、何をしているんですかぁ?」ヌッ

チノ「っ!?」ビク

喪黒「おっと、驚かして申し訳ございません。何やら落ち込んでいるようでしたので」

チノ「はい、まぁ・・・」

喪黒「貴女みたいな可愛い女性がそんな顔をしていては台無しですよ。私でよければお力になれることがあるかもしれません」

チノ「はい、実は・・・」
喪黒「なるほど、もっと成長したいと」

チノ「はい、いつまで経ってもこんな体で・・・みんなが羨ましいんです」

喪黒「思春期特有の悩みですねぇ・・・よし、それではこれをどうぞ」スッ

チノ「これは・・・バナナですか?」

喪黒「はい、これはただのバナナではありません。2週間ほどで10cmは身長が伸びるでしょう。豊 もあるんですよ」

チノ「そ、そんなにですか・・・! でもこれ・・・」

喪黒「あぁ、申し遅れました。私こういう者です」スッ

チノ「ココロのスキマ、お埋めします・・・?」

喪黒「はい、ボランティアのようなものですから、そちらの商品に関しては一銭も頂きません。」

チノ「あ、ありがとうございます・・・」

喪黒「ただし、このバナナは1日に1本以上は食べないで下さい。それだけ約束をして下さい」

チノ「はい、わかりました」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:37:40.98 ID:UbskyrML0
チノ「では早速食べてみましょう」モグモグ

チノ「・・・甘くて美味しいですね」

チノ「さて、これでどうなるか・・・」


――― 翌朝 ―――

チノ「おお! 凄いです・・・!」ポヨン

チノ「胸が少しだけ大きくなりました」キラキラ

チノ「この調子ならば・・・みんなを越えられます!」


――― 2週間後 ―――

ココア「チノちゃん、私の気のせいかもしれないんだけど・・・」

チノ「何でしょうか?」ドヤ

ココア「この2週間で随分大きくなったね・・・」

チノ「そうでしょうか?」ドヤ

ココア「それに胸も・・・」

チノ「気のせいですよ」ドヤ

ココア「う、うん・・・」シュン

チノ「(どうしてそんな顔をするのでしょうか?)」

リゼ「確かにここ最近でチノは大きくなったような」ボヨン

リゼ「しかし、何か異常じゃないか? 体に不調はないか?」ボヨヨン

チノ「・・・大丈夫です」ポヨン

リゼ「そうか、それなら良いのだが」160cm

チノ「・・・くっ」154cm

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:42:51.81 ID:UbskyrML0
――― その夜 ―――

チノ「ダメです・・・このままじゃダメです!」

チノ「もっと、もっと沢山食べて大きくならないと・・・!」

喪黒『このバナナは1日に1本以上は食べてはいけません』

チノ「・・・・・・」

チノ「・・・あむっ」モグモグ

チノ「別に1本も2本も変わりませんよね・・・バナナは体に良いですから」


――― 翌日 ―――

チノ「ふふん」ボヨン

ココア「チ、チノちゃん・・・?」

チノ「はい、何でしょうか?」161cm

ココア「本当に・・・チノちゃんだよね・・・?」

チノ「何をおかしなことを言っているんですか? 私は私です」ドヤ

ココア「う、うん・・・そうだよね」

チノ「(日に日にココアさんの表情が曇っていく・・・どうしたんでしょうか?)」

リゼ「お、おいチノ・・・さすがにおかしくないか・・・?」ヒキ

チノ「私は問題ありません、お気になさらずに」ドヤ

リゼ「いや、おかしい! 今すぐ病院に行って来い!」
チノ「だから私は大丈夫だと」

リゼ「いいから早く!」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:46:41.00 ID:UbskyrML0
チノ「(まったく、リゼさんもしつこいですね、私は大丈夫だというのに・・・)」

喪黒「チノさん」ヌッ

チノ「あ、喪黒さん」

喪黒「貴女、約束を破りましたね」

チノ「な、何を・・・」ギク

喪黒「誤魔化しても無駄です。私はしっかりと知っているのですから」

チノ「しょ、証拠はあるんですか・・・!」

喪黒「何はともあれバナナを必要以上に食べたのは事実です。あのバナナの摂取量を間違えるとどうなるか・・・私は知りませんよ?」

チノ「え・・・」サー



喪黒「ドーーーーーン!!!!」

チノ「わーーーーー!?」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 01:51:13.62 ID:UbskyrML0
チノ「あの、ココアさん・・・」

ココア「あ、私コーヒー豆の補充してくるね!」ソソクサ

チノ「あ・・・」

リゼ「あ、チノ、あれを・・・」

チノ「はい?」ズイ

リゼ「う・・・」

チノ「どうしましたか?」176cm

リゼ「い、いや何でもない・・・」

チノ「そうですか・・・」ボボヨン

女性客1「ねぇ、あの女の人、凄い背高いね」ヒソヒソ

女性客2「そうね、でもちょっと高過ぎない?」ヒソヒソ

女性客1「うん、ちょっと怖いよね」ヒソヒソ

チノ「・・・・・・」シュン



喪黒「男女問わず、誰でも身体的コンプレックスを持っているものです。身長、顔、胸の大きさ・・・それらのコンプレックスを抱えながら、人々は日々強く生きているのです」

喪黒「コンプレックスを克服するというのは良いことですが・・・物に頼ってばかりではいけませんねぇ」

喪黒「大き過ぎ、というのも辛いものなんですよぉ、オーッホッホッホッホッ・・・」