1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:02:45.15 ID:7URMTJYR0
 

杏「だからさ、超能力に目覚めたいなーって」

P「……急にどうした?」

杏「どうもしてないよ?」

P「なにに使う気なんだ?」

杏「決まってるでしょ、働かずに生きていくのに使うんだよ」

P「はぁ……お前なぁ」

杏「ん? なに?」

P「いや……相変わらず、働かない宣言をしてる時の杏の目は鈍く輝いてるな」

杏「働かないっていう意思を曲げたりはしないよ」キリッ

引用元: 杏「いっそ超能力にでも目覚めてみよう!」 P「なんだって?」 



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:04:51.96 ID:7URMTJYR0
P「まぁ……それで?」

杏「それでって、なにが?」

P「いやいや、超能力に目覚めてどうするんだって話」

杏「ん、聞きたいの?」

P「いや。特には」

杏「えー、じゃあいいや……話すのもめんどくさい」

P「そうか、ならいい」

杏「うん……」ゴロゴロ

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:10:00.38 ID:7URMTJYR0
杏「……ねぇ」

P「どうした?」

杏「時間まで待機って聞いたけど長くない? 帰っていい?」

P「ダメだな」

杏「はぁ、もう……この私を待たせようだなんていい度胸してるよね。帰っていい?」

P「だからダメだって。だいたい帰ってどうするんだ」

杏「え? うーん……だらける」

P「今まさにだらけてるじゃないか」

杏「ここは私のホームグラウンドじゃないから、これじゃあ半分ぐらいしかだらけれてないよ」

P「本気のだらけ、ねぇ……逆に見てみたいな」

杏「じゃあ帰らせてよ」

P「ダメだ」

杏「ちぇっ、ケチだなぁ」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:14:56.56 ID:7URMTJYR0
P「それで、なんだっけ?」

杏「んー、なにが?」

P「いや、なにかしたいって話してなかったか」

杏「え? 帰りたいけど」

P「だから帰ったってだな、時間もかかるし……あぁ、そうそう超能力だよ超能力」

杏「超能力? なにが?」

P「いや、杏がいきなりいいだしたんじゃないか」

杏「あー、そういえば言ったね?」

P「おいおい、どうした? 急になにを言ってるんだとは思ったが」

杏「いやー、ボーっとしてるといい案が浮かんだりするからそのまま口にだしただけだよ?」

P「つまり勢いか」

杏「そんな感じ」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:18:15.01 ID:7URMTJYR0
P「それで、超能力をなんに使うんだっけ?」

杏「別に聞きたくないっていってたじゃん、話すのもめんどうだからヤダ」

P「まぁまぁ、ほら……飴やるから」

杏「飴? ……んー、まぁしょうがないなぁ。 じゃあ聞かせてあげる」

P「あぁ、ありがとうな」スッ

杏「ナチュラルに頭撫でようとしないでよ、まったくもう……それでね」

P「はいはい、すまんね。 それで?」

杏「まずは基本、念動力はあると便利そうだよね」

P「サイコキネシスか。どう使う?」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:25:30.83 ID:7URMTJYR0
杏「えーっとね、まずは動かなくてよくなるのがいい」

P「あぁ、なんでも手元に運んだりできるようになるな」

杏「そうそう、そしたら私はもう不働の座を譲らなくてすむようになるんだよ」

P「便利そうだなぁ、だが……」

杏「ん?」

P「それで、ものを浮かしたり運んだりできるようになっても目の届く範囲ぐらいにしか力は及ばないもんじゃないか?」

杏「えー、そこらへんは『来い』って思ったらなんでも持ってこれるぐらいの感じがいいなぁ」

P「それに、トイレやらは自分が動かないと済ませられないだろ?」

杏「あっ、あー……そっか、ボトルばっかりじゃなぁ」

P「ボトル?」

杏「ん、こっちの話。 じゃあ、瞬間移動もあればいいな」

P「テレポートか」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:29:57.51 ID:7URMTJYR0
杏「うん、だってそれがあれば動かなくてもどこにだっていけるようになるじゃん」

P「なるほどな、確かに便利そうだ」

杏「まぁ、外に行くとかはともかくとしてトイレにひとっ飛びとかできるとらくちんだろうし」

P「サイコキネシスでも自分を浮かせられるんじゃないか?」

杏「えー、なんかそれは疲れそうだからヤダ」

P「わがままなんだな」

杏「別に想像でぐらい好きにさせてよー、ダメなら帰る」

P「はいはい、ワガママいうなよ……ほら飴」

杏「んー、もう……それで?」

P「あぁ、そうそうテレポートの話だよ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:35:27.87 ID:7URMTJYR0
杏「瞬間移動の? だからトイレにいくのが楽になるなーって」

P「そうだな、あとは帰宅とか出社とかも楽になるな」

杏「ちょ、ちょっとプロデューサー? 私は今『超能力でいかに働かないか』の話をしてるんだよ?」

P「ん? 楽に働けるようになるぞ? ギリギリまで寝てられるし」

杏「だーかーらー、ギリギリも余裕もないの! 働かないんだから」

P「もったいないじゃないか、そんな能力があるならきっとガッポリだぞ?」

杏「そ、それは……」

P「サイコキネシスだって使えるならきっと儲かるぞー」

杏「……たとえば?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:39:42.69 ID:7URMTJYR0
P「そうだな……テレポーテーションなら出社や移動時間の短縮だろ」

杏「それはさっき聞いたけど……」

P「サイコキネシスなら……こう、町の平和を守ったりとか?」

杏「えーっ、そんなの面倒なだけじゃん……だいたい報われないんだよ、そういうの」

P「でもかっこいいっていろんな人に尊敬されるぞ?」

杏「ヒーローとかそういうのは光とか千佳とかにいってよ……私は、働かない方法考えてるの」

P「うーん、だから……」

杏「やっぱり念動力は家に引きこもってほしいものとったりに使うのが一番ってことだね?」

P「……そうかもしれないなぁ」

杏「ふっふーん、働かずして勝つ……いい言葉だよね」

P「初めて聞いたな」

杏「今考えたからね」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:45:24.47 ID:7URMTJYR0
P「あー、それでだな……そう、テレポートのほうが便利かもしれないな」

杏「え? あんまり動く気がない私には最悪なくてもいいかなって気がするんだけど」

P「いやいや、たとえば……そう、向こうに荷物がある、重い、運べない! とかの時にだな」

杏「きらりを呼んで運ばせる?」

P「お前はきらりをなんだと思ってるんだよ……」

杏「私をおもちゃかなにかと勘違いしてる怪物」

P「……」

杏「……まぁ、別に嫌いじゃないけど。力加減がなさすぎるのがダメだよね」

P「ほう?」ニヤニヤ

杏「ちょ、なんで笑ってるのさ! それで、なに?」

P「おっと、そうだったそうだった」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:51:07.68 ID:7URMTJYR0
P「重くて運べない荷物があったとして、動かしたい場所が決まってるとするだろ?」

杏「……それこそ、サイコキネシスの使い場じゃないの?」

P「いやいや、廊下とかで精密に動かすのは面倒なんだよ」

杏「えーっ、いまさら設定のせるの?」

P「別にいいだろ、妄想だし……それでだな」

杏「まったく、プロデューサーのほうがノリノリじゃんか……それで?」

P「テレポートさせてやればいいんだよ、その場所まで」

杏「ん?」

P「いや、こう……運びたいものをシュンッって」

杏「自分以外も運べるの?」

P「え、そういうものだろ?」

杏「んー……価値観の相違ってやつだね。 これはいったん帰宅して頭を冷やした方が」スクッ

P「待て」ガシッ

杏「ダメ?」

P「ダメ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:54:13.33 ID:7URMTJYR0
杏「はぁ……帰りたい……」

P「まぁまぁ、もう少しでお仕事だから待ってくれよ」

杏「あーっ、思い出しちゃった……帰りたい……」

P「そういわずにだな……話を続けないか?」

杏「……めんどくさい、帰りたい」

P「飴2個でどうだ」

杏「ん……んー、しょうがないなぁ。いいよ?」

P「おう、それで……超能力で働かない方法だっけか」

杏「うん、その話」コロコロ

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 15:57:35.62 ID:7URMTJYR0
P「さっきまでは身の回りを便利にすることに超能力使う話だったよな」

杏「うん、動かなくても欲しいものが来たり、動かなくても好きなところ行けたら便利だよね」

P「じゃあ、生活費は?」

杏「え?」

P「いや、働かないのなら金だってないだろ? 飲まず食わずでいるわけでもないだろうし」

杏「あー……そっかぁ、そういうのもあるのかぁ……生活保護とか」

P「ダメだな。いっそまっとうに働かない方法を考えてみようじゃないか」

杏「案外ノリノリだね、プロデューサー」

P「考えてるうちに楽しくなってきたんだよ」

杏「ふーん、それで?」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:01:19.31 ID:7URMTJYR0
P「まず……犯罪は無しだ」

杏「超能力があれば完全犯罪とかできそうだし、それでお金稼げばいいじゃん……」

P「それはなんかロマンがないだろ? 人の財布テレポートで盗るとか」

杏「うわぁ、私よりプロデューサーのほうが犯罪者の素質あるよ」

P「ひどい言われようだな、やり方を知ってるからやらないで済むっていうだろ?」

杏「その理屈はおかしいんじゃない?」

P「そうか? そうだな……うん、まぁいいや」

杏「……いいの?」

P「いいってことにしといてくれ」

杏「ふーん、じゃあまぁいいや」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:06:25.57 ID:7URMTJYR0
杏「それで、どうやって稼ぐの?」

P「そうだな……まず……未来予知とかはどうだ」

杏「うん?」

P「それで勝つ馬を予知して買う、と……競馬とかでな」

杏「確かにそれでいいかもしれないけど……私まだ17歳だよ?」

P「あっ」

杏「なにその顔」

P「いやぁ、そういえば杏が働かなくてすむ方法だったな」

杏「そうそう、まじめに考えるんじゃなかったの? 無責任だなぁ」

P「すまんすまん、ギャンブルは無しか」

杏「まぁ、バレなきゃイカサマじゃないっていうからいいと思うんだけど……」

P「杏はさすがにごまかせないだろうからなぁ……」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:11:52.56 ID:7URMTJYR0
杏「それで、どうするの?」

P「うーん……じゃあやっぱり働くしかないな」

杏「えーっ、働かないための超能力だよ! なんで超能力使ってまで働くこと考えないといけないんだー!」

P「まぁまぁ、もしもの話だって。 きっと楽に働けるだろうし」

杏「楽に……週休完全8日制とか」

P「それはさすがに無理だな、物理的に」

杏「不可能を可能にするのが超能力らしいよ、プロデューサー」

P「かっこいいセリフだな」

杏「うん、だから私も不可能を可能にしてみようかなって思ってきたよ」

P「ほう?」

杏「ためしてみようよ、週休8日」

P「ダメだな」

杏「やっぱり? ……はぁ、帰りたい……」

P「はいはい、飴な」ナデナデ

杏「んん……って、撫でないでっていったじゃんか! もう」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:15:35.34 ID:7URMTJYR0
P「はっはっは、すまんすまん」

杏「まったく、もう……セクハラ被害として訴えて慰謝料ぶんどってあげようか?」

P「構わんが、裁判ってめちゃくちゃ面倒だぞ? やりたいのか?」

杏「え、そうなの? ……じゃあやめてあげる。そのかわり慰謝料」

P「はい、ロイヤルキャンディー」

杏「あっ、わーい! ……じゃなくて!」コロコロ

P「さっそく食べてるな、感想は?」

杏「……うん、結構おいしいかな? じゃなくって、もうっ」

P「まぁまぁ、おちつけ」スッ

杏「だから撫でようとしないでよ、もう……あー、手を払うのも面倒なんだから」

P「まぁまぁ」ナデナデ

杏「んー、もう……」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:20:18.68 ID:7URMTJYR0
P「それでだな、話の続きだ」ナデナデ

杏「んー、話? ……ってなんだっけ」

P「ほら、超能力の」スッ

杏「あー、うん……あ、やめるの?」

P「なにをだ?」

杏「……別に、なにも」

P「あぁ、それで楽に働く方法なんだが」

杏「働かないのは無しだっけ?」

P「もちろん無しだ、っていったよな?」

杏「覚えてなーい、覚えるのもめんどくさい」

P「まったく……」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:26:57.44 ID:7URMTJYR0
P「そう、引越しのバイトとかは楽そうだよな」

杏「あー、荷物全部瞬間移動させたりとか?」

P「そうそう、別にサイコキネシスで動かしてもいいし」

杏「それなら楽かなぁ……あ、でも」

P「なんだ?」

杏「外でなきゃいけないのめんどくさい……人と話すのもめんどくさい……」

P「あー……確かにクレーマーとかも多いのかなぁ」

杏「うん、やっぱり無しだよ。 それに時給制だといっぱい働かさせられて疲れるだけだし」

P「あ、そういう問題もあるか……」

杏「うん、寝てるだけでお金がもらえてなおかつ時給制ならともかくさ」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:33:47.33 ID:7URMTJYR0
P「寝てるだけ、ねぇ……超能力でもそういうのはあんまり」

杏「んー、じゃあどうするの?」

P「いっそ、クレアボヤンスとかダウンジングとか活用してみるか」

杏「……? どういうこと?」

P「ほら、徳川埋蔵金とか聞くだろ? あれを見つけてさ」

杏「あー、透視とか探知とかそういうの? でもそれってチマチマしててめんどくさそう」

P「そうか? 当たればでかいと思うんだが」

杏「だいたい、本当にあるかどうかもわかんないのに探してなかったら疲れるだけ損するし……」

P「……それも一理あるか」

杏「疲れるのは嫌だし、やっぱり働かないで家でごろごろするのが一番じゃないかな」

P「おいおい……」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:43:09.21 ID:7URMTJYR0
杏「だいたい、働かなくてもいいように超能力が欲しいって話だったのに……」

P「いやぁ、結構有効活用できそうだと思ったらついな」

杏「あーあー、帰りたいなー」

P「テレポーテーションでか?」

杏「……一瞬で帰れたら楽だろうけど、帰る時間ぐらいなら我慢するよ?」

P「つまり同じ時間の収録にも耐えられる、と」

杏「そのりくつはおかしい」

P「そうかな? やってみないとわからんぞ」

杏「わかりきってる! 私の限界は私にしかわかんないの!」

P「……無理をおしてステージにたつアイドルみたいなセリフだな」

杏「無理をおしてお仕事においやられそうになってるアイドルのセリフだよ」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:49:36.14 ID:7URMTJYR0
P「はぁ……まぁまぁ、そういうなよ」スッ

杏「いうよ、いわなきゃ勝手にお仕事増えるし」バシッ

P「でもそれだけ杏が魅力的ってことだよ」スッ

杏「おだててもごまかされないからね」バシッ

P「いやいや、俺自身も杏のことかわいいって思ってるぞ?」スッ

杏「えっ……」

P「ん? どうした?」ナデナデ

杏「ちょ、だから撫でないでってば……」

P「ははは、かわいいぞ杏」ナデナデ

杏「ん、んもう……」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 16:57:00.71 ID:7URMTJYR0
P「……んー、で……なんの話だっけ?」スッ

杏「あっ」

P「どうした?」

杏「……別に。私が帰ってもいいって話じゃなかったっけ?」

P「おいおい、そんな話はしてないだろ」ビシッ

杏「いてっ! ひ、ひどい! プロデューサーからアイドルへの暴力行為! これは許されないよ!」

P「大丈夫大丈夫、痛くない痛くない」

杏「殴るほうも痛いなんていうけど、殴られるほうがいたいんだからな! まったく、まったくぅ!」

P「はいはい、すまんかった」

杏「そんな謝り方はないよ! もう、あぁ……疲れた」

P「はい、飴」

杏「ん……じゃなくて! もう」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:04:16.01 ID:7URMTJYR0
P「まぁまぁ、そんなに強く叩いた覚えはないんだが……痛かったか?」

杏「それは……そう、すごく痛い! めちゃくちゃ痛い! これは今すぐ病院いかなきゃいけないぐらい痛い!」

P「そうか……なら」

杏「うん、これは帰らないと」

P「ちゃんと救急車呼んで安静にして運んでもらわないといけないよな?」ピップップッ

杏「ちょ、ちょっとストーップ!」

P「ん、どうした?」

杏「へ、平気だから、だいじょうぶだから!」

P「そうかぁ、ならいいんだけどな?」ピッ

杏「くっ……おおごとになったら次からサボれなくなるじゃないか……」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:18:15.11 ID:7URMTJYR0
P「それで……だな」

杏「うん」

P「……なんの話だっけか」

杏「虐げられる私が帰ってもいいかって話?」

P「それはダメだな。このあとの収録は長丁場だし抜けられる内容でもないし」

杏「うぅ、虐待だぁ……」

P「おいおい、人聞きの悪い……ほら、飴を」

杏「こ、今回は飴なんかじゃごまかされないからな!」

P「そうか……そういえば杏。さっきあげたの、いくつかしまってたよな?」

杏「う……か、返せば帰ってもいいの?」スッ

P「いや、そんなこと言った覚えはないが」バッ

杏「あっ、こらっ、かえせー! ドロボー!」ピョンッ

P「はっはっは、届かんなぁ」

杏「ぐ、ぐぬぬ……」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:22:52.30 ID:7URMTJYR0
P「ほらほらどうした、がんばれ杏」

杏「くっ、このっ……ふんっ、もういい! それ好きな味じゃなかったやつだし」

P「……まるで酸っぱいブドウの話だな」

杏「疲れるのいやだし、負け惜しみじゃないし、ふーんだ」

P「そうかそうか、杏はこの味は好きじゃないってことだな……次からは買ってこないから」

杏「あっ……それは……」

P「ん、どうした?」

杏「……それは別に買ってきてもいいよ。いろいろ食べたいから」

P「でも好きじゃないんだろ?」

杏「す、すき……なの! 別にいいだろっ、好きなの残してても! イジワル、変 っ!」

P「そうかそうか、わかった」

杏「……なにさ、にやけちゃって」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:29:18.89 ID:7URMTJYR0
P「いやいや、素直になる杏もかわいいと思ってな」

杏「……おだてて働かせようって魂胆でしょ?」

P「さてどうだろう」

杏「そこは否定しなよ、まぁ働かないけど」

P「でもなんだかんだで最近は事務所まで来てくれるようになったじゃないか」

杏「それは……まぁ、来ないときらりが家を襲撃したりとかするし」

P「あぁ、そういうのをしたこともあったなぁ」

杏「って、まさか指示したのプロデューサー!?」

P「あ、さて……どうだったかな」

杏「くぅ……私は死も覚悟したんだよ? 慰謝料を要求する!」

P「かまわんが、さっきもいったとおり裁判は面倒だぞ?」

杏「ぐぬぬ……卑怯者、とーへんぼく、すっとこどっこい、べらぼうめー!」

P「へいらっしゃい、何握りやしょう」

杏「からかわないでよ、もうっ!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:36:36.80 ID:7URMTJYR0
杏「はぁ……帰りたい……」

P「まぁまぁ」スッ

杏「だから撫でないで。ヘン  っ」バシッ

P「大丈夫大丈夫」スッ

杏「やめてってば」バシッ

P「ほれほれ」スッ

杏「しつこいっ!」バシッ

P「ふーむ、そうとう機嫌が悪いな」

杏「誰のせいだと思ってるのさ、まったく」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:40:06.35 ID:7URMTJYR0
P「まぁ杏、そうすねるなよ?」スッ

杏「別にすねてないよ、帰りたいだけ」ベシッ

P「そうか? そんなにきらり襲撃が嫌だったのか」スッ

杏「プロデューサーはアイツの怖さをわかってないから簡単にそんな指示ができるんだよ」バシッ

P「きらりは杏と仲良くなりたいっていってるからつい、なぁ」スッ

杏「つい、で死にかけてたまるかってこと」バシッ

P「……なぁ杏?」

杏「……なに? 帰ってもいい?」

P「……すまなかったな」

杏「……? なにが?」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:44:21.67 ID:7URMTJYR0
P「いや、さすがにお前への配慮が足りかなったかなと」

杏「今さらだね……うん、まったく足りてないよ」

P「そうか、そうだよなぁ」

杏「わかった? わかったらこの杏様に週休8日と大量の貢物を捧げたまえっ」

P「……考えてみるよ」

杏「……え? あれ? いいの?」

P「うん、考えるだけなら」

杏「つまり……やるつもりはないってことだよね?」

P「そうともいうかもしれないな」

杏「そうとしか言わないよ、もうっ」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:50:14.90 ID:7URMTJYR0
P「そうそう、ほら飴」スッ

杏「あっ、返してくれるの?」

P「まぁこれもモチベーション維持のために必要だろ?」

杏「まぁね、休むのの次の次の次ぐらいに好きだから」

P「思ったより間があるんだな?」

杏「そりゃあ女の子だからね、休むだけじゃないんだよ」

P「へぇ、たとえば?」

杏「たとえば……うーん、アレとか?」

P「どれだ?」

杏「……うん」

P「お前、適当言ったな?」

杏「いやいや、ちょっと胸がいっぱいで言葉がでてこなかっただけだよ?」

P「そうか、そんなに小さいのにな」

杏「ちょっ、セクハラにもほどがあるんじゃないの?」

P「おっと、すまんすまん」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 17:57:28.60 ID:7URMTJYR0
P「いやぁ、杏といると年の離れた妹といる気分になってなぁ」

杏「ふーん……きょうだい、いるの?」

P「いや、一人っ子だけどなんだかなぁ、ちょっと手のかかる妹みたいでかわいいぞ杏」

杏「……ふーん、家族にならセクハラしてもいいって思ってるんだ?」

P「え? あぁ……すまんな。つい忘れそうになる」

杏「これでも現役JK世代なんだからね? まったく、相手次第じゃ問答無用で逮捕だよ?」

P「杏以外にはいわないさ」

杏「……それって褒めてる? けなしてる?」

P「さぁ? とりあえず杏は杏らしいままでかわいいぞ」スッ

杏「ごまかさないでってば」バシッ

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 18:04:41.07 ID:7URMTJYR0
P「んー……まぁ、杏はうちの事務所の中でも一番の才能を感じる子だっていうのは本当だな」

杏「……へぇ?」

P「無理に働かせるのだって、このままじゃもったいないって思うからだしな」

杏「ふーん……私のこと、認めてるんだ?」

P「もちろん。普段はあまり言わないけどな……それを理由に休みたいっていうだろ?」

杏「まぁ、そうだけど……」

P「期待してるからこそ、ちょっと無理させたくなっちゃうんだけどな」スッ

杏「……なら」

P「ん?」ナデナデ

杏「……もっと、褒めて、認めてよ」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 18:13:29.80 ID:7URMTJYR0
P「認める……? なにを?」ナデナデ

杏「なんでもいいから……私を……杏を、ここにいてもいいよって言って?」

P「あぁ、杏はここにいてもいいんだ」ナデナデ

杏「……」

P「……いや、ここにいてほしいんだ」ナデナデ

杏「……うん」

P「ほら、杏……お前はがんばってるよ、努力してるから」ナデナデ

杏「……そんなこと」

P「人によってものさしは変わるんだよ、杏なりにがんばってるんだろ?」

杏「……」ギュッ

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 18:22:59.85 ID:7URMTJYR0
P「昔何があったのかは知らないし、詮索しないさ」

杏「ん……」

P「だから……今ここにいる杏の、精一杯をみせてくれてるだけで十分だ」ギュッ

杏「そう、わかった……ねぇ」

P「……ん、どうした?」

杏「今食べてる飴ね、一番好きな味なんだ」

P「あぁ……それ、でっ……!?」チュッ

杏「んっ……ね、おいしいでしょ?」

P「杏……お前……」

杏「……見せてあげるよ、プロデューサー。私の本気」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 18:34:50.31 ID:7URMTJYR0
杏「……そろそろ時間だよね?」

P「……そうだ、な。杏……お前……」

杏「どうしたの、プロデューサー? 本当に犯罪者になっちゃっうのが怖い?」

P「いや、そういうわけじゃなくて……」

杏「別に……いつか、元アイドルの双葉杏がー、みたいな●●に出て売るのもいいかもしれないって思ってたけど」

P「ちょっ、お前っ!?」

杏「大丈夫だよ、プロデューサー。もうそんな気はないから」

P「当たり前だ、だいたい俺だって杏に手を出したりはしないぞ?」

杏「うん、私もまだしない……一生働かなくても生きていけるぐらい稼ぐから」

P「なっ……」

杏「そしたらさ、なにもしないでだらだらしよう? 本気の私を、本当の私を全部見せてあげる」

P「……俺でいいのか?」

杏「もうちょっと自信もってもいいよ、プロデューサー? プロデューサーが、いいんだから」

杏「さぁ、働いて……一緒に、帰ろうっ!」


おわり

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 18:40:09.49 ID:7URMTJYR0
ありがとうございましたーって早口でいうとアイドルマスターって聞こえるよね
アイドルマスターッ!

ぐだぐだだらだらした話書こうと思ったら杏ちゃんがデレてた
杏ちゃんかわいい、一緒のおうちに帰りたい。覚醒杏っていうのもありじゃね?


お題くれたらデレてない杏ちゃんと他キャラの絡みのショート書きながら時間つぶします
ちょっとヒマを持てあましてるのでどうか

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 18:53:59.26 ID:7URMTJYR0
杏「……帰りたいなぁ、事務所待機とかさせるぐらいなら家にいても問題ないと思うんだけど」

杏「そもそもなんで私がアイドルなんて……やっぱりだまされてるんじゃないかなぁ?」ゴロゴロ

ガチャッ

杏「ん……プロデューサー? ねぇ、やっぱり今日は……」

きらり「うきゃっ? かわいい子だーっ☆ やっほほー!」グアッ

杏「んなっ、ひぐっ!?」

きらり「ありゃりゃー? だいじょぶー? ねぇねぇいくつー?」ブンブン

杏「んぐっ、はなっ……やめっ……」

P「おーいきらり、そろそろやめてあげてくれないか」

きらり「あっ、Pちゃんオッスオッス! この子だぁれー☆」パッ

杏「……っぐ、あぁっ……」

P「あぁ、そいつは双葉杏……お前の先輩だよ」

きらり「そっかー! 杏ちゃんオッスオッスー! 元気だしてがんばるにぃっ☆」ユッサユッサ

杏「はなっ……せぇっ……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 19:01:25.97 ID:7URMTJYR0
http://iup.2ch-library.com/i/i0644023-1337853536.jpg
http://iup.2ch-library.com/i/i0644024-1337853536.jpg

杏「っぐ、はぁっ……プロデューサー、なんなのさ、こいつ……」

P「ん? こいつは……」

きらり「うきゃー! あのね、きらりはきらりって名前でねー、アイドルでねー」グアッ

P「ストーップ!」ガシッ

きらり「んにぃ? だめー?」

P「あぁ、それ以上は命にかかわりそうだから勘弁してやってくれ」

きらり「りょーかい☆ 杏ちゃんかわいーからぎゅーってしたいな!」

杏「……で、それ……なんなの?」

P「うちの事務所の新しいアイドル、諸星きらりだ。 先輩としてよろしくしてやってくれ」

きらり「きらりん☆」

杏「……こんな巨神兵を?」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 19:44:45.45 ID:7URMTJYR0
きらり「きょしんへー?」

杏「……背がでかいってこと」

きらり「そうかなー? 杏ちゃんはちっこくてかわいーね☆」

杏「私は……そりゃあちょっと小さいけど、別に、そんなの気にしてないし」

P「まぁ、お前ら同い年なんだけどな」

杏「えぇっ!? ありえないでしょ……いや、まぁそもそも大きさがありえないけど……」

きらり「うきゃー! 杏ちゃんとおんなじだってー! ハピハピ☆ いぇいっ」グアッ

杏「ちょ、やめっ……いぎっ……くる、しっ……」

P「きらり、どーどー」

きらり「あー、杏ちゃんごめんにぃ……」

杏「し、死ぬかと思った……」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 19:53:12.20 ID:7URMTJYR0
杏「プロデューサー、本気? こんなのデビューさせるの!?」

P「あぁ、きらりは大物になるぞ」

きらり「うきゃーっ! てれてれっ☆ Pちゃんてばおじょーずー!」バシバシ

P「はっはっは、勘弁してくれきらり。痛いからな」

杏「物理的にはもう十分すぎるぐらい大物じゃんか……はぁ……帰っていい?」

P「いやいや、杏はきらりに先輩として振る舞いとかを教えてほしかったんだが……」

杏「えっ……正気?」

P「それぐらいできるかなーって」

きらり「うきゃーっ! 杏ちゃんよろよろー☆」ギュアッ

杏「ちょ、まっ……っぐぅ……!」ギリギリ

P「はいどーどー」

きらり「あっ……ごめんにぃ……」

杏「……げほっ……帰りたい……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 19:56:27.97 ID:7URMTJYR0
杏「……じゃあ教えてあげるけど」

きらり「うんうん!」キラキラ

杏「そっちのソファーが、私がだらけるためのスペース。座らないでね」

きらり「うきゃー! まっかしてー☆」

杏「で、あっちが入り口で……うーんと……あ、あっちに冷蔵庫がある」

きらり「うんうん!」

杏「だから私がジュースっていったらとってきてね?」

きらり「りょーかいっ☆」

P「お前はなにを教えてるんだ」ビシッ

杏「いてっ!?」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:02:29.10 ID:7URMTJYR0
杏「えー、だって教えてやれっていったから……」

P「そうじゃなくて、アイドルとしてだな?」

杏「アイドルとして……うーん……」

きらり「?」キラキラ

杏「……だめだよ、こいつ黙ってても目立つから私のサボりテクが使えなさそうだもん」

P「そうじゃなくてな……まぁ、今日のところはいいか。きらり、ちょっといいか?」

きらり「うきゃっ? りょーかいっ! まっかせるにぃ☆」

スタスタスタ……ガチャン

杏「……おいてくことないんじゃないかなぁ、帰ってもいいのかな?」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:08:58.97 ID:7URMTJYR0
~~~~☆幾度かの日が昇り、幾度かの月が堕ちし時(数日後です!)☆~~~~

杏「……っぐぅ……」

杏「帰りたい……なんだか、身体が重い……」

杏「あー……なんで事務所まできちゃったんだろ……」

杏「やっぱり帰らないと……ダメな気がする……」

ガチャッ

杏「……プロデューサー? 今日はちょっと、調子悪いから帰っていい?」スッ

きらり「おはおはー☆」

杏「」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:15:16.31 ID:7URMTJYR0
杏(最悪……! こいつ、私のいうことちっとも聞かないんだよね……)フラフラ

杏(この体調で抱きつかれたら……本気で……まずいかも……)

杏「……きらりか。私は帰るから……」フラフラ

きらり「うきゃ? 杏ちゃん?」

杏「……なに? 早く帰りたいんだけど……」

きらり「……? こっちみて?」ジー

杏「なにが……?」ジッ

きらり「……ふんふん、大変だぁ!」

杏「……は?」

きらり「Pちゃん! Pちゃーん! どこどこー! おーい!」

ガチャッドターンガシャーン

杏「お、おい! そんなひっくりかえしたりとかしたらあとで怒られる……ぞ……?」フラッ

杏(あ、あれ? 家を出る時は全然大丈夫だと思ったのになぁ)

杏(なんだかクラクラして……変……?)

バタッ

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:24:10.14 ID:7URMTJYR0
杏「ん……んん……?」

P「よかった……目が覚めたみたいだな」

杏「ここは……?」

P「悪いな、家じゃなくて……病院だよ」

杏「……あれ? なんで?」

P「いや、事務所についたら荒らされてるみたいな状況でびっくりしたんだけどな……あれ」

きらり「……んにゅ……杏ちゃん……はぴはぴぃ……」

杏「……あいつがどうしたの?」

P「杏をだっこしたまま病院に駆け込んだらしい」

杏「はあぁっ!?」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:31:58.28 ID:7URMTJYR0
杏「え、ちょっと……どういうこと?」

P「いや……杏、お前流行性のなんたらって病気だったらしくてな?」

杏「……最初から事務所こないで家にいればよかった……」

P「早めの対処ができたから薬で十分、らしい……家から出てくれたおかげで助かったんだぞ」

杏「……へぇ、でも私……?」

P「で、事務所で待機してくれてたんだろ?」

杏「まぁ……一応。帰ろうとしてて……それで……」

P「急に倒れた、って聞いたぞ?」

杏「……そうそう、え? 救急車とか呼んだんじゃないの?」

P「いや、事務所前は朝の時間帯だと車通りも多いよな?」

杏「うん、まぁ……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:39:24.74 ID:7URMTJYR0
P「それできらりは杏を抱きかかえたまま病院まで走ることにした……らしい」

杏「病院までって……ちょっと待ってプロデューサー、ここどこ?」

P「○△町だな」

杏「……!? ありえない、車でだって何分かかる距離だと思ってるの?」

P「うん、だから病院側から連絡が来た時はびっくりしたよ……『保護者としてあなたの名前を繰り返している』ってな」

杏「……本気で、抱えてここまで走ったの? あいつが?」

P「あぁ……目が覚めたらお礼言っておけよ?」

杏「うん……」チラッ

きらり「……んにゅぅ……Pちゃんも……はぴはぴ……」

杏(よく見たらこいつ……足とかボロボロじゃないか……)

杏(自分のこと嫌ってるやつを助けようとか、しかも……すごい距離を走って?)

杏「……ほんと、バカなやつだね?」

P「いい子だろ?」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 20:42:49.50 ID:7URMTJYR0
杏「……ちょっとは、感謝してあげてもいいかな」

P「ほう……?」

杏「そいつの目が覚めたら……これ、あげて」スッ

P「飴……?」

杏「別に、まだいっぱい持ってるから……いいよ」

P「おまえなぁ、直接渡せば……」

杏「私はもう寝るの! こんなどうどうとだらだらできる機会めったにないから!」バサッ

P「おいおい、布団にもぐることないだろ」

杏「あーあー聞こえない! 寝てる! ぐーぐーぐー!」

きらり「……んにゅぅ、いっしょにハピハピすぅ……杏ちゃん、だいすきぃ……」


おわり

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 21:31:46.69 ID:7URMTJYR0
 

―――はじめまして、私の名前は島村卯月、17歳!
ごくごく普通の女の子です。でも……この前街を歩いていたらスカウトされちゃってびっくり
怪しい人かと思ったけどしっかりした事務所で……あの双葉杏ちゃんも所属してるんです
そう、ここからが私のシンデレラストーリーの始まり!


卯月「……」



卯月「そう思ってた時期が私にもありました」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 21:38:53.76 ID:7URMTJYR0
杏「……それで?」

卯月「その……私……」

杏「話がないなら帰りたいんだけど……」

卯月「いやっ、待って!」

杏「……なに?」

卯月「あの、その、私……」

杏「ふむふむ?」


卯月「個性が欲しいんです!!」

杏「なんだって?」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 21:45:58.46 ID:7URMTJYR0
卯月「だって、私の周りの……この事務所の子達ってみんな個性的で……」

杏「……うーん、まぁ確かに?」

卯月「だって、上は31歳のお酒飲みの人から、下は9歳の魔法少女までいるんだよ!?」

杏「そうだね、たいしたもんだよ」

卯月「その中にあって中途半端な17歳! それなのに」

杏「……」

卯月「個性派で売れている杏ちゃんに、アドバイスが聞きたいの!」

杏「……きらりに聞けば?」

卯月「き、きらりちゃんは……その……」

杏「びびりめ」

卯月「うぐっ」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 21:52:22.32 ID:7URMTJYR0
杏「まぁ、きらりとまともに会話のキャッチボールができる人は少ないかな」

卯月「だ、だよね? だからその」

杏「『しかたない』……って?」

卯月「……」

杏「……まぁ、そこまでいうなら一緒に考えてあげてもいいよ?」

卯月「う、うん……」

杏「報酬は……ロイヤルキャンデー1袋ね」ニヤッ

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 21:58:09.59 ID:7URMTJYR0
卯月「はい」サッ

杏「うん、ごくろう! ……あれ? 用意してたの?」

卯月「うん、最初プロデューサーさんに相談したんだけど」

杏「……私に聞けって?」

卯月「う、うん……」

杏「……へー、そっかぁ……めんどうなことを私におしつけようっていうんだぁ……ふーん……」

卯月「あ、杏ちゃん?」

杏「卯月」

卯月「な、なに?」

杏「わかった、見返してやろうじゃんか……それで思いっきり手間賃ぶんどってやる!」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 22:04:57.10 ID:7URMTJYR0
杏「まずは個性とはなにか、だね」

卯月「はい先生!」

杏「私は働きたくない。きらりは一切の裏表なしであんなキャラだ」

杏「……あと同年代だと……あなべべ? あべべな? だったか、あれはプロのキャラ作りの成果だね」

卯月「なるほどなるほど」

杏「まぁあれ、本当に同じ年か怪しいけど」

卯月「えっ?」

杏「そこら辺まで含めてキャラじゃないかなぁってね……じゃあ続けるよ」

卯月「は、はいっ!」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 22:11:12.34 ID:7URMTJYR0
杏「それで、まぁ……私やきらりは狙ってやってるわけじゃないから」

卯月「ふむふむ」

杏「たぶん卯月には荷が重い」

卯月「そ、そんなぁ……私だって……」ガーン

杏「……じゃあ卯月、働きたくないって言ってみて?」

卯月「え? あ……働きたく、ない?」

杏「あまァい!」バァン

卯月「ひっ」

杏「そんな程度の働きたくなさで働きたくないとか舐めてるの! 『がんばれできるよ』って言われたいだけでしょ!」

卯月「え、えっ」

杏「何を言われても働かない! それぐらい思ってないでなにが働きたくないか」

卯月「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! 働きません、働きませんからぁ!」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 22:16:35.77 ID:7URMTJYR0
杏「……と、まぁ。中途半端な覚悟でやればこういう風に怒る人もいると思うけど」スッ

卯月「ひぇっ……え?」

杏「あ、私は別にどっちでもいいけどね? 働きたくないっていいながら自分から働くってのは変だけど」

卯月「ほ、本気でびっくりしたよ……」

杏「まぁとにかく、今売れてるアイドルの後追いはやめたほうが無難じゃないかな?」

卯月「う、うんわかった」

杏「……卯月だけの個性があればいいんだけどなぁ」

卯月「うぐっ」

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 22:41:36.97 ID:7URMTJYR0
……っと、戻ったかな?
不安定すぎるだろ鯖……

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 22:46:15.61 ID:7URMTJYR0
卯月「わ、私にも趣味ぐらいあるよ!」

杏「へぇ……なに?」

卯月「……友達と長電話」

杏「……普通」

卯月「うぐっ」

杏「その相手って……未央じゃないよね?」

卯月「うぐぐっ」

杏「……傷のなめあいみたいでかわいそうだよ?」

卯月「うあぁぁぁっ!」

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 22:56:03.80 ID:7URMTJYR0
卯月「だって、だってだってだって!」

杏「落ち着こう、クールにクールに」

卯月「あ、杏ちゃんが煽ったんだよ?」

杏「まさかこんな地雷だと思わなかったんだよ……ごめんね?」

卯月「う、うぅ……売れてる子にはわかんないよ……」

杏「うーん……最初は適当にごまかして報酬だけいただく予定だったけど」

卯月「……」チラッ

杏「……まじめに考えてみようか、個性を」

卯月「ありがとー! 杏ちゃんはかわいいなぁ! よーしよしよしよし!」ワシャワシャ

杏「やめて、離せっ! もう、気軽に撫でないでよね」

卯月「ごめんごめん、つい……やっぱり杏ちゃんはかわいいなぁ」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 23:00:37.20 ID:7URMTJYR0
杏「まぁそれで……個性か」

卯月「うん、どうすればいいと思う?」

杏「うーん……めんどくさくなってきた、やっぱり帰っていい?」

卯月「え、えぇっ!? まじめに考えてくれるんじゃなかったの?」

杏「ほら、果報は寝て待てっていうし……バカの考え休むに似たりっていうし……」

卯月「う、うん?」

杏「休んでたって、バカの考えぐらいは浮かぶってことだよね?」

卯月「ち、ちがうよ!? しかもバカの考え、ってろくなことにならなさそうだよ!?」

杏「あー、そうなの? 残念……うーん……じゃあ……」

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 23:18:26.52 ID:7URMTJYR0
杏「……うーん、どれもしっくりこないなぁ」

卯月「杏ちゃん……その……」

杏「あ、お疲れ様。やめてもいいよ?」

卯月「さ、さすがにこの……
    『一人称ボクで中二病でサラシ巻いててヤンキーでニートで電波で褐色肌でオッドアイでお酒好きでお菓子好きで食べるの好きで
     さらにメカ開発も得意でヒーローに憧れてて魔法少女にもなりたくて人生にも達観してて妄想と漫画描くのが得意で眼鏡かけてて
     なおかつ天才で元秘書スキルもってて愛が重くて天真爛漫で歌がうまくてギャグが得意で人を笑わせるのが大好きで
     それでいて愛想がないのが悩みで動物が好きででもアレルギーのせいでふれあえなくてふとした瞬間に自然な笑みを見せる』
    っていうのは……キャラ盛りすぎだよぉ……」

杏「途中から何か足せないかなぁって楽しくなってきてたかな」

卯月「ひ、人が真剣に悩んでるのに遊ばないでよっ!」

杏「いやぁ……いろいろさせて思ったんだけど……」

卯月「な、なにかな?」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 23:26:37.58 ID:7URMTJYR0
杏「……卯月は、なにがしたいの?」

卯月「えっ? だから私は売れっ子に……」

杏「……売れっ子、か……」

卯月「な、なになに? なんなの?」

杏「本当に……個性って必要?」

卯月「……え?」

杏「いや、例えば……765プロの天海春香とか」

卯月「は、春香さんかぁ……憧れるよね」

杏「あぁなりたいなら、個性を無理につける必要ないんじゃないの?」

卯月「あっ……そう、かな」

杏「うん。あの個性派揃いの765プロで……それでいて、『765プロといえば』で真っ先に答えられる存在」

卯月「……そっか……」

杏「私に聞くよりよっぽどいいアドバイスもらえそうだしね。今度聞きに行ってみれば?」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/24(木) 23:31:34.40 ID:7URMTJYR0
卯月「そ、そんな無理だよ! 私なんて」

杏「諦めてちゃ、最初からゲームオーバーだよしまむらくん?」

卯月「ぐぬぬ……」

杏「だから、今の自分を誇れるように磨かなきゃ。 ……見てくれてる人もきっといるよ、たぶん」

卯月「そう、かな……」

杏「うん、ひょっとしたら、可能性としては、ありえるぐらいで」

卯月「か、可能性ががんがん下がっていくよっ!?」

杏「冗談冗談。まぁ……何がきっかけかなんてわかんないもんだからさ」

卯月「そうだね……うん、私がんばるよ!」

杏「うんうん、私は草葉の陰から応援してるよ……あぁ疲れた、帰りたい……」

卯月「あはは、アドバイスありがとう! はいキャンディー」

杏「ん、ありがと……あれ? 報酬とは別でくれるの?」

卯月「うん、これは個人的なお礼だから!」

杏「そう……まぁ、できるとはいわないけど。 負けないでね卯月」

卯月「ふっふーん、今に杏ちゃんより上のランクになっちゃうから見ててよね!」

143: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 2012/05/25(金) 00:39:58.63 ID:iGjI6q6D0
杏「やれやれどうだか……ま、せいぜいがんばってよ」

卯月「うん、本当にありがとうね杏ちゃん!」

杏「まぁ……私より売れっ子が増えれば私は働かなくてもよくなるし」

卯月「とかなんとかいっちゃってー、優しいんだからー」ツンツン

杏「んもー、やめてってばっ!」

卯月「……ふふっ、私、なってみせるよ……トップアイドルに!」


おわり