1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:30:38.76 ID:ogfvtnBp0


長門「…」

キョン「……そうだよな。お前に言ってもよくわからんよな」

長門「…」コク


キョン「しかしアレだ。誰かに言いたくて仕方ないんだ」

長門「…」

キョン「聞いてくれるだけ聞いてくれないか」

長門「…」

キョン「飴をあげるぞ」

長門「聞く。言って」


キョン「最初こそは鬱陶しい女だと思ってたんだが」

長門「…」モゴモゴ

キョン「それが最近……可愛くて可愛くて仕方ないんだ」







4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:34:29.06 ID:ogfvtnBp0


キョン「いつもアイツは俺の腕を無理矢理引っ張って連れて行くだろ?」

長門「…」コク

キョン「最初こそ従ってたんだが、この間どーしても嫌でそれを払ったんだ」

長門「…」


【回想】

ハルヒ「ほら! 早く来なさいよキョン!」グィグィ

キョン「あぁもう、鬱陶しい!」バシッ

ハルヒ「あっ」

キョン「いい加減にしろ。俺はお前のおもちゃでも下僕でもないんだ」

ハルヒ「なっ、なによ! 団長に逆らう気!?」

キョン「まったく。もう俺は帰るぞ」

ハルヒ「!」




8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:38:32.69 ID:ogfvtnBp0


キョン「するとハルヒのやつ、どうしてたと思う?」

長門「?」

キョン「両手で俺の制服を掴んで、下を向いて唇をかみ締めてたんだ」

長門「…」コク

キョン「そして顔を上げて、見上げがちに俺にこう言った」


【回想】

ハルヒ「ぐー……いいから来なさいよっ!」ググッ

キョン「…」

ハルヒ「あんたはあたしに逆らっちゃダメなの!」

キョン「わ、わかったよ」

ハルヒ「……ほら、行くわよ」

キョン「はいはい」




9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:40:41.93 ID:ogfvtnBp0


キョン「俺が逃げないように袖を掴んで、だけど抵抗しないように優しくな」

長門「…」モゴモゴ

キョン「たまらんかった。そして俺をそこまでして連れて行きたかった場所ってのがだ」


【回想】

キョン「? 焼却炉? こんな所に何の用事だ」

ハルヒ「…」

キョン「もうここは使ってないんだろ。また変なモノでも見つけたのか」

ハルヒ「実は……今日登校中にね」

キョン「?」

ハルヒ「……拾っちゃった」スッ

ネコ「にぃ」

キョン「…」




11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:48:49.58 ID:ogfvtnBp0


キョン「使ってない焼却炉の中からだ、まだ生まれて間もないような子猫を抱いてきた」

長門「ネコ?」

キョン「しかも考えると、その日の休み時間はずっとハルヒは教室にいなかった」

長門「……ネコの世話を」

キョン「あぁ、ダンボールにタオルやミルク、購買で買ったパンなんかも入れてな」


【回想】

ハルヒ「どうしたらいいと思う?」

キョン「どうって、子供じゃないんだから……だいたい拾ってくるなよ」

ハルヒ「だ、だって! ずっとあたしの足に擦り寄ってきたりね?」

キョン「子猫、飼えるのか?」

ハルヒ「だから困ってるんじゃない!」

キョン「SOS団で飼い手でも探そう」

ハルヒ「その間この子はどうするのよ!」

キョン「ここに置いておけばいいじゃないか。雨風も凌げるだろ」

ハルヒ「……可哀想よそんなの」




16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:06:41.98 ID:ogfvtnBp0


キョン「子猫を抱えて寂しそうにする様が可愛くて可愛くて……」

長門「飴」グィグィ

キョン「あぁ、もう食ったのか」ゴソゴソ


【回想】

ハルヒ「キョンの家で飼えない?」

キョン「ふざけるな。うちにはシャミセンも居るし、一匹で手一杯だ」

ハルヒ「い、いいじゃない!」

キョン「ならお前の家で飼えばいい。無理なんだろ? それと同じだよ」

ハルヒ「…」

キョン「……朝比奈さんとかにも相談しよう。な」

ハルヒ「でも、みんなダメだったら?」

キョン「そうなったら、仕方ない。少しだけウチで飼ってやる。もちろん飼い主が見つかるまでだ」

ハルヒ「! キョ、キョン! あんた中々いい奴じゃない!」

キョン「はいはい。ほら、とりあえず箱に戻してやれ」




17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:09:35.63 ID:ogfvtnBp0


キョン「人差し指で子猫と遊ぶハルヒの横顔って言ったらな……」

長門「…」モゴモゴ

キョン「それから結局、そのネコはしばらくうちで飼うようになったんだ」


【回想】

ハルヒ「ねぇキョン、ネコ元気?」

キョン「あぁ。シャミセンが面倒見てくれてるみたいだ」

ハルヒ「そっか。よかった」

キョン「飼い主は見つかりそうなのか」

ハルヒ「わからないわね……一応色々と当たってはみてるんだけど」

キョン「頼むぞ。うちの親も結構怒ってるんだ。高校生になって何匹拾ってくるつもりだってな」

ハルヒ「ごっ、ごめん」

キョン「……いいって」




18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:13:00.86 ID:ogfvtnBp0


キョン「そしてそのネコは貰われていったんだが」

長門「誰に?」

キョン「鶴屋さんだ。事情を言えば快く飼い主になってくれた」


【回想】

鶴屋「あとは任せとくといいよ! 私に飼われてあの子猫ちゃんも幸せっさ!」

ハルヒ「大事にしてくれる?」

鶴屋「そりゃもちろん!」

ハルヒ「そう……よかったわねキョン!」

キョン「喜んでるのはお前だろ?」

ハルヒ「時々見に行ってもいいかしら?」

鶴屋「もっちろん! いつでも歓迎するよっ!」

ハルヒ「……よかった」

キョン「…」




24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:19:30.98 ID:ogfvtnBp0


キョン「嬉しさと寂しさが混じったハルヒの顔……あぁ、思い出すだけで」

長門「…」カリッ

キョン「それからこういうこともあってな」


【回想】

ハルヒ「キョン、糸くずついてるわよ」チョイ

キョン「あ、すまん」

ハルヒ「……あんた唇カサカサね。ちょっと切れてるじゃない」

キョン「? そうだな。この時期は仕方ない」

ハルヒ「リップとかつけなさいよ。見てて痛いわよ」

キョン「買いに行くのがめんどうでな」

ハルヒ「ならこれあげるわよ」スッ

キョン「?」

ハルヒ「まだ一回しか使ってないから、新品と変わらないわ」

キョン「……お、おぉ。ありがとう」




31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:24:28.25 ID:ogfvtnBp0


キョン「ぼーっと窓の外を眺めながらな、俺にリップクリームをくれたんだ」

長門「口紅のような」

キョン「そう、これだ。……もったいなくて中々使えん」

長門「…」

キョン「そうそう、こういうのもあった」


【回想】

ハルヒ「あんた昨日なにしてたのよ」

キョン「休みから風邪ひいてたんだよ。やっと治った」

ハルヒ「今日の英語、あんたが当たる日よ。出席番号的に」

キョン「マジでか」

ハルヒ「……暇だったからね。あんたの分もノートとっといたわ」

キョン「え?」

ハルヒ「バカはSOS団にはいらないの! ほら、ちゃんと予習しなさい!」


キョン「…」(ハルヒの字……なんか可愛くなったな)

ハルヒ「あ、そこね。マルつけてるとこ。テストにも出るんだって」ヒョイ

キョン「ん? ここか?」




33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:27:30.75 ID:ogfvtnBp0


キョン「後ろの席から身体を伸ばしてきてな」

長門「…」

キョン「そのときなんか……甘い香りというか」

長門「病気?」

キョン「違う」


キョン「やっと気がついたんだ。俺はあいつが好きなんだ」

長門「…」

キョン「しかもベタ惚れだ」

長門「……あまりオススメできない」

キョン「ハルヒをか?」

長門「あなたの言動」

キョン「…」

長門「まあ、気にしない。続きを言ってもかまわない」

キョン「あ、あぁ」

長門「あと……できればリンゴ味」

キョン「あるぞ。ほら」ガサガサ




42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:32:46.97 ID:ogfvtnBp0


【回想】

ハルヒ「ったく! なんでこんな日にストーブ壊れるのよっ!」ガタガタ

キョン「寒いな……」

ハルヒ「うー。寒い! 寒い寒い!」

キョン「うるさい」

ハルヒ「ちょっとこっち来なさいよ」グイッ

キョン「?」


ハルヒ「あああっ、まだ寒いわ!」

キョン「そ、そうだな」(近い……)

ハルヒ「あんたなんかまだいいじゃない! あたしなんかスカートよ!」スッ

キョン「…」



キョン「こう、二人っきりの部室で肩を寄せ合って……」

長門「この部屋?」

キョン「手の甲がハルヒの足に当たったんだが、冷たくてな。何故かそれすら可愛かった」

長門「…」




45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:38:09.83 ID:ogfvtnBp0


キョン「とにかくハルヒが可愛く見えてきてしまった俺はな」

長門「…」

キョン「……つまらないか?」

長門「わりと」

キョン「ぐるぐる飴もあるぞ」

長門「面白い。とてもユニーク」


【回想】

キョン「…」

ハルヒ「なによ? あたしの顔になにかついてる?」

キョン「……! や、なんでもない」

ハルヒ「あんたなんか、最近ずーっとあたしのこと見てるわよね」

キョン「なにを根拠に」

ハルヒ「よくあんたと目が合うもの」

キョン「…」

ハルヒ「なーに? もしかしてあたしに惚れちゃったとか?」

キョン「ふ、ふざけるな。それに目が合うってことは、お前も俺のこと見てるってことだろ?」

ハルヒ「! そっ、それは……うるさいわね!」





48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:42:21.87 ID:ogfvtnBp0


キョン「あぁもう! ダメだ! 思い出すだけでも可愛い!」

長門「…」

キョン「? どうした?」

長門「これは……噛り付くのか、少しずつ舐めるのか」

キョン「噛り付いたらアゴ外れるぞ」

長門「…」チロチロッ


キョン「まあそんな感じでな」ピリリッ

キョン「? っと、すまん電話だ……もしもし?」

長門「…」 ペロ

キョン「おう、わかった」

長門「?」

キョン「ごめん。用事が出来た。一方的に話してアレだったが、聞いてくれてありがとうな」

長門「かまわない」

キョン「それじゃ、また明日」

長門「さようなら」 ペロ




50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:45:21.46 ID:ogfvtnBp0


長門「…」

長門「……噛り付くと……アゴが外れる」


長門「…」

長門「飴の直径と、私の口の大きさは……口のほうが上」

長門「…」

長門「んぐ」

ガチャ

ハルヒ「……なにやってんの有希」

長門「…」

ハルヒ「アゴ外れるわよ」

長門「ぷは」

ハルヒ「……変なの」

長門「気にしないで」

ハルヒ「それより有希! ちょっと聞いてほしいことがあるの!」

長門「?」

ハルヒ「あのね? あたしね……キョンのこと、好きになっちゃったみたいなの!」モジモジ

長門「…」




53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:49:50.85 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「こんなこと有希に言うのはおかしいかも知れないけど、誰かに聞いてほしくてね?」

長門「…」

ハルヒ「ほーら。グミあるわよ?」

長門「幾らでも言って」


ハルヒ「あれは雨が降ってた日の下校だったわ」

長門「…」カミカミ


【回想】

ハルヒ「雨、降ってるわね」

キョン「どうする? やむまで待つか?」

ハルヒ「そうするわ。別に急いで帰りたいわけじゃないし」


キョン「ほら、ハルヒ」

ハルヒ「? なによ?」

キョン「傘、一本だけ見つけてきた」

ハルヒ「……あ、相々傘なんて嫌よ! 窮屈だもの!」

キョン「? なに言ってるんだよ。先に帰ればいいじゃないか」

ハルヒ「え?」

キョン「残ってても寒いだけだろ。こんなとこで待ちぼうけしてたら風邪ひくぞ」

ハルヒ「…」




66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 04:29:36.39 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「キョンからすればなにげないことだったのかも知れないけど」

長門「…」カムカム

ハルヒ「……優しいとこもあるじゃんって思ったの」

長門「…」ハムハム

ハルヒ「でも一人で帰れってのはちょっとなんか嫌でね。結局相々傘して帰ったんだけど」


【回想】

ハルヒ「ちょっと! もう少しそっち寄りなさいよ!」

キョン「うるさいな」

ハルヒ「肩が濡れちゃうじゃない」

キョン「仕方ないだろ。この傘、小さいんだよ」

ハルヒ「ふん」


キョン「ほら、俺自転車だし傘持ってけ」

ハルヒ「?」

キョン「ダッシュで帰って風呂にでも入るよ」

ハルヒ「濡れるわよ?」

キョン「気にしないよ。ほら」グッ

ハルヒ「……あ」(肩……あんなに濡れてる)




69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 04:36:29.14 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「むすっとした顔でさ? まったく、素直じゃないんだから!」

長門「どっちも」

ハルヒ「え?」

長門「なんでもない」ハムハム

ハルヒ「それでね? また違う日なんだけど」


【回想】

ハルヒ「なにそれ! ちょっとよこしなさい!」パクッ

キョン「あ、こら」

ハルヒ「んぐんぐ……美味しいわね」

キョン「人の昼飯を」

ハルヒ「いいじゃない! 減るもんじゃないでしょ?」

キョン「思いっきり減ってるんだが……ほら」スッ

ハルヒ「?」

キョン「思いっきりかぶりつきやがって。ソースついてたぞ」

ハルヒ「……わ、悪かったわね!」 




71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 04:40:38.89 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「なーんであたしもあんなのでキュンキュンしちゃうのかしらね?」

長門「もう一個」クイクイ

ハルヒ「あーん」


ハルヒ「この間なんかね、たまたま一緒の電車に乗ってたんだけどさ」

長門「…」モグモグ


【回想】

キョン「珍しいな、休日に偶然逢うなんて」

ハルヒ「なんでこんなに混んでるのよ」

キョン「どこかで陸上の競技会やるって言ってたな」

ハルヒ「ふぅん」

キョン「……ハルヒ、こっち側立ってな」

ハルヒ「?」

キョン「いや。ほらカバン持っててやるよ」


ハルヒ「ねぇ」

キョン「あ?」

ハルヒ「さっきのなんだったの?」

キョン「あぁ……いや、知ってる奴が乗っててさ」

ハルヒ「キョンの同級生?」

キョン「そいつがお前のこと見ててな。あんまり女周りでいい噂聞かない奴だったからさ」

ハルヒ「…」




73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 04:45:37.01 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「キョンは自分の背中を盾にしてね? あたしを守ってくれたのよ!」

長門「…」コク

ハルヒ「あんまり人に頼るのは好きじゃないんだけどさ……キョンになら甘えてもいいかなって」

長門「そう」

ハルヒ「だからね、試しに甘えてみたらどうなるかと思ってね」

長門「?」


【回想】

ハルヒ「うー、つかれたわキョン」グイッ

キョン「なんだよ、重い」

ハルヒ「子猫の貰い手探すために色々走り回ったのー」

キョン「あぁ、そういうことか」

ハルヒ「疲れたー」

キョン「そうか。偉いぞハルヒ」ナデナデ

ハルヒ「!」

キョン「……お前は行動力は有り余ってるからな。たまにはこうやって休むことも大切だぞ?」

ハルヒ「あ……う、うん。わかってるわよ」




78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 04:50:34.10 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「もうダメだったわ。あたしの中の女の子の心が全部キョンに向いちゃった」

長門「グミ」

ハルヒ「よしよし、ハリボーあげるわよ」

長門「?」

ハルヒ「じゃーん! クマのグミよ!」

長門「!!」


ハルヒ「学校の坂道あるでしょ? あそこに雪が積もってた日があってね」

長門「……クマー」


【回想】

ハルヒ「すごいわねー! 真っ白だわ!」

キョン「足滑らさないように気を」

ハルヒ「え? !!」ツルッ

キョン「っと!」ガシッ

ハルヒ「……び、びっくりしたっ!」

キョン「言ってる傍から、気をつけろって」

ハルヒ「だって」

キョン「ほら、ゆっくり歩けば危なくないから」スッ

ハルヒ「う、うん。そうね!」


キョン「水溜りは避けろよ。凍ってるからな」

ハルヒ「わかってるわよ」(手……キョンの手、暖かいわね)




83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 04:57:25.92 ID:ogfvtnBp0


ハルヒ「それからずっとね、キョンと二人っきりのときはなるべく手繋いで歩くようになったの」

長門「交際?」

ハルヒ「そ、そういうのじゃないわよ! あくまでもね、あたしのボディーガードっていうか」


ハルヒ「あ、もうこんな時間! 今日は観たいTVがあるの!」

長門「…」コク

ハルヒ「先に帰るわね。あと、今の話キョンには内緒ね?」

長門「?」

ハルヒ「その……恥ずかしいじゃない! あたしが好きってのがバレたら!」

長門「…」

ハルヒ「またハリボー買ってあげるから」

長門「約束する」グッ

ハルヒ「それじゃーね! また明日っ!」


長門「…」

長門「クマと……ぐるぐる」

長門「至福」



305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 00:23:23.63 ID:0oA4ACqz0


キョン「可愛いよなぁ……」

古泉「? なにがですか?」

キョン「いや、ハル……! なんでもない。気にするな」

古泉「はい」


キョン「…」パチッ

古泉「そうきますか」

キョン「…」

古泉「では」パチッ

キョン「おぉ」

古泉「で、ついに涼宮さんに恋をしたと?」

キョン「うん……ここがこうくるなら……はっ!?」

古泉「そうですか」




308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 00:33:41.76 ID:0oA4ACqz0


古泉「いやぁ、おめでとうございます」

キョン「まて、まて。おめでとうと言うのもおかしいし、俺は別に」

古泉「いいですね、美男美女でお似合いです」

キョン「人の話を聞け」


古泉「言い漏らしましたよ。涼宮さんが可愛いと」

キョン「……確かにまあ……そう思うところはあるがな」

古泉「おめでとうございます」

キョン「黙れ」

古泉「テレないでもいいですよ」

キョン「別に可愛いと言ったからといって、好きだとか恋したとか……」

古泉「好きじゃないんですか?」

キョン「好きじゃないな」

長門「嘘」ヒョコ

キョン「!? おまっ、長門!? いつからそこに」

長門「彼は私に涼宮ハルヒのことについて~」

キョン「ほら長門、ミルキーあるぞ」

長門「なにも聞いてない」

キョン「よし」

古泉「なにか隠蔽してますよね、それ?」





314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 01:21:57.74 ID:0oA4ACqz0


キョン「長門、大人しく本を読んでるんだ」スッ

長門「…」グッ

トコトコ


古泉「……ミルキー一袋で買収ですか」

キョン「なんのことだ」

古泉「甘いのが好きなんですね。長門さん」

キョン「みたいだな」

古泉「あなたは好きですか?」

キョン「そうだな……どうだろう」

古泉「甘えるのと、甘えられるのならどちらが」

キョン「そりゃ甘えられるほうが……何を言ってる!?」

古泉「はは、そうですか」

キョン「あのな、だから俺は別にハルヒのことなんて」

古泉「えぇ、わかってますよ」




320:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 01:32:57.59 ID:0oA4ACqz0


古泉「可愛いですよね。涼宮さん」

キョン「……そうだな」

古泉「あなたが好きになるのも仕方ないと思いますよ」

キョン「だから違うって」


古泉「いいじゃないですか。ここには僕と彼女しか居ないのですし」

長門「…」モゴモゴ

古泉「彼女は彼女で、色々と知ってそうですしね」(口が……リスのように)

キョン「だからなんで、可愛いと言ったら好きだということにだな」(すげぇ……リスがいる……)

古泉「可愛いと思うことは、恋愛感情にとても近いことだと思いますよ」

キョン「そうか?」

古泉「えぇ。それにあなたと彼女は異性関係ですし」

キョン「ならお前だって」

古泉「そうですね。どちらかといえば好きですね」

キョン「ほらみろ」

古泉「だからといって、あなたが好きではないということには」

キョン「うるさいな」

古泉「では、嫌いなのですか?」

キョン「……き、嫌いじゃないがな……」




324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 01:51:33.94 ID:0oA4ACqz0


古泉「なにをそんなに否定するのですか?」

キョン「否定もなにも」

古泉「男性が女性を好きになるのは当たり前のことじゃないですか」

長門「…」コク

キョン「…」


キョン「まあ……その、なんだ」

古泉「はい」

キョン「可愛いと思うようには、なってる」

古泉「涼宮さんをですか?」

キョン「そうだよ」

古泉「えぇ。可愛いですよね」

キョン「その……確かに前よりは気になってたりはするな」

古泉「最近じゃずっとあなたにおんぶ抱っこですよね」

キョン「何を言っている」

古泉「それだけあなたの傍に居る印象ってことですよ」




326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 01:57:36.95 ID:0oA4ACqz0


古泉「たまにはいいじゃないですか。そういう話も」

キョン「たまにはって」

古泉「彼女だって、あなたのことを好いていると思いますよ?」

キョン「そ……そんなのわからないだろ」


古泉「わかりますよね?」チラッ

長門「…」コク

キョン「なんでだよ」

古泉「なんでと言われましても、観たままといいますか」

キョン「…」

長門「明らかにあなたを贔屓している」

キョン「ハルヒがか?」

古泉「えぇ。僕は違うクラスだからわかりませんが、彼女とよく話している異性はあなたぐらいしか思いつきませんし」

キョン「それはお前だってそうじゃないか」

古泉「僕ですか? はは、でも僕は彼女と二人きりで話したことがあまりありませんし」

キョン「…」

長門「…」クィクィ

キョン「? どうした」

長門「歯についた。とても気になる」

キョン「……そのうちとれるさ」




328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 02:05:19.30 ID:0oA4ACqz0


古泉「いいじゃないですか。彼女だって、あなたに好かれていることを知れば喜ぶと思いますよ?」

キョン「知らん。というか、何故俺があいつに」

古泉「では告白されるのを待つつもりですか?」


キョン「なんでそういうことになるんだ」

古泉「それはどうでしょう? 彼女の性格から言うと」

キョン「人の話を聞け」

長門「涼宮ハルヒがあなたに秘めた想いを伝える可能性は、ゼロに等しい」

キョン「長門は飴を食べてなさい」

古泉「こちらとしても、あなたと引っ付いてくれるほうが嬉しいのですがね」

キョン「なんでお前達の為に」

古泉「あなた以外が彼女と付き合うことはないと思いますし、その逆は……閉鎖空間が」

キョン「…」

古泉「本当はうすうす気がついているのではないですか? 彼女があなたに好意を持っていること」

キョン「……そりゃまあ……よく懐いてくるな、とは。そういうレベルでだぞ?」

古泉「十分じゃないですか。もうこれは相思相愛ですよ」

キョン「勝手なことばかり言うな」




331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 02:09:27.38 ID:0oA4ACqz0


キョン「それにその、本当にいいのか?」

古泉「?」

キョン「俺が……その、ハルヒと……つっ、付き合ってもだ」

古泉「なにも問題ないですよ。逆になにか問題でも?」


キョン「それにもしあいつが俺のことを好きだったとしてだ」

古泉「はい」

キョン「……あいつには願望実現能力と言うのがあるだろ?」

古泉「相手の想い、ましてやあなたのことは操れないと思いますよ」

キョン「…」

古泉「彼女だって、あなたが自分を好いていることを認知してはいないんです」

長門「自覚はあるかもしれない。ただそれを確認する術を、彼女は知らない」

キョン「お前も言うか」

長門「あなたと同じような話を、何度か私は彼女から聞いている」

キョン「!?」

長門「……クマー」ヒョコ

キョン「それは……あいつが食ってたグミ?」




334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 02:17:26.59 ID:0oA4ACqz0


古泉「そういえばここ最近、閉鎖空間も生まれていないんですよね」

キョン「?」

古泉「それはつまり、彼女はこの世界に何らかの望みを持っていると」

キョン「…」


古泉「彼女も女の子ですから。そういう悩みを抱えていても不思議ではありません」

キョン「悩みって……」

古泉「あの人は私を好きだろうか? この想いは、一方通行じゃないのだろうか? と」

キョン「真顔でなにを言ってるんだ」

古泉「事実涼宮さんは、中学時代に何人もの男性と交際していたらしいじゃないですか」

キョン「…」

古泉「あなたにとってそれは気分いいものではないでしょうが、彼女が恋愛に興味を持っていることは確かでしょう」

キョン「だけどあいつは、そういうのは」

古泉「彼女の性格を考えると、本音というのは秘めたまま明かさないのではないかと」

キョン「それに、高校に入ってからは誰とも付き合っていないだろうし」

古泉「それはSOS団があるからでしょう? そして、誰とも付き合う理由がないということでは?」

キョン「なら俺だって」

古泉「あなたが居るから、誰とも付き合う気にならないのでは?」

キョン「…」




341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 03:09:36.52 ID:0oA4ACqz0


キョン「ハルヒは別に、誰かと付き合いたくて付き合ってたわけじゃないぞ」

古泉「そうですか?」

キョン「昔のアレは、単に断らなかっただけで……結局は一日と経たずに別れたりとかだな」

古泉「誰一人、彼女を楽しめることができなかった。そういうことですよね」


古泉「では今はどうでしょう?」

キョン「今?」

古泉「彼女はSOS団を作り、自分の願望のまま人材を集めた」

キョン「…」

古泉「そこにあなたも居ます。それは彼女があなたに居てほしかったからですよ」

キョン「そ、そうか? 俺はそうとは……」

古泉「現にほら、彼女はいつも楽しそうに笑っている」

長門「あなたの隣に居るとき、彼女は笑顔でいる可能性が高い」

キョン「お前ら……」

古泉「…」(あと少しです長門さん)

長門「…」コク




343:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 03:15:48.64 ID:0oA4ACqz0


古泉「どうでしょう? 今日辺りにでも、彼女に告白してみては?」

キョン「!? なっ、なんで俺がっ」

古泉「彼女もそれを望んでいます。あなたもそれを望んでいるはずです」


キョン「……だけど、あいつが……その、わからないだろ?」

古泉「僕が思うにですね」

キョン「なんだよ」

古泉「恐らく、あなたに告白されても彼女は断ると思います」

キョン「……はぁ?」

古泉「性格上仕方ないことだと思います。だけど、それで折れちゃだめですね」

キョン「?」

古泉「断るということは、昔に比べてまず考えるという行動を起こしているということになります」

長門「…」コク

古泉「嘘だ。この人はそんなことを言う人じゃない。といった疑いですかね」

キョン「……もし本当に拒否されてたらどうするんだよ」

古泉「本当に拒否するかどうかは、彼女のあなたに対する今までの行動が答えを示していると思いますよ」

キョン「…」

古泉「怖いのですか?」

キョン「怖いわけないだろ、子供やあるまいし……告白の一つや二つぐらい」

古泉「ええ、そうですね」

長門「…」モゴモゴ




344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 03:19:14.81 ID:0oA4ACqz0


古泉「少なくとも僕らは応援しています。あなたと彼女の関係を」

キョン「待て待て。なんでもう付き合ってるかのような」

古泉「告白するんでしょう? なら、もう付き合ったも同然かと」


キョン「ま、まだ決めたわけじゃないし……万が一断られた日には」

古泉「だから大丈夫ですよ」

キョン「逃げたら?」

古泉「追いかければいいです」

キョン「頑なに拒否されたら?」

古泉「頑なに答えればいい」

キョン「しつこいと思われないか?」

古泉「どっちが折れるか、それが問題です」

キョン「……無理矢理イエスと言わせているような」

古泉「彼女が素直になるか、あなたが素直になるか。そういうことでしょう」

キョン「…」

古泉「頑張ってください」




346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 03:23:24.82 ID:0oA4ACqz0


ガチャ

ハルヒ「やっほー!」

キョン「!」


ハルヒ「あれ、なによ三人共。居るなら居るって」

キョン「ど、ドコ行ってたんだよ」

ハルヒ「みくるちゃんがねぇ、紅茶の葉を一緒に貰いに行ってくれないかってさ」

みくる「いまいち道がわからなかったので、涼宮さんに着いてきてもらったんです」

キョン「そうか……」

古泉「…」(長門さん)ヒソヒソ

長門「御意」

キョン「?」

古泉「それでは、僕達はこれで」

長門「また明日」

キョン「!」

みくる「あたしもちょっと職員室へ。涼宮さん、これで美味しいお茶淹れてあげてくださいね」

ハルヒ「え? あ、こら! 皆ドコに!?」

キョン「お、おい!」


ハルヒ「……なによー。どうしたの皆」

キョン「…」




401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 23:25:59.77 ID:USZQI5KW0


みくる「上手くいきましたか?」

古泉「えぇ。遠巻きに見ても、彼が涼宮さんのことを好きなのは明確でした」

長門「彼女側も、それは同じ」


みくる「色々と相談されることも増えてたんですよ」

古泉「相談?」

みくる「キョン君と何したとか、どう思われてるのか、どんなことが好きなの? とか」

古泉「そうですか」

みくる「だけどキョン君がどーにかならないと、あの二人の進展はなさそうでしたしね」

長門「私が聞かされていたそれは、淡い恋人同士のそれとよく似ていた」

古泉「恋愛相談をされるのって、面白いけど疲れますよね」

長門「糖分でカバー」スッ

みくる「あ、ハリボーですね。美味しいですよねそれ」




413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/21(金) 23:54:23.64 ID:USZQI5KW0


キョン「…」

ハルヒ「あー、寒かった。外凄いわよ、今年一番寒いかも!」

キョン「そ、そうか」

ハルヒ「?」


ハルヒ「紅茶飲む?」

キョン「あ、あぁ。もらうよ」

ハルヒ「ちょっと待ってなさいよー」

キョン「…」(後ろ姿……)

ハルヒ「さっきね」

キョン「ん?」

ハルヒ「軽音部の人に、卒業生のライブがあるって言われてさ」

キョン「ほう」

ハルヒ「文化祭のときのを見て、なんか気に入ってくれたみたいで……チケットくれたんだ」

キョン「行ってこいよ。そういうの、楽しそうだ」

ハルヒ「……二枚、あるんだけど?」

キョン「?」

ハルヒ「だから、二枚あるの!」

キョン「……わ、わかったよ。行く、いつだ?」

ハルヒ「えっとね」




416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 00:00:12.62 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「はい、熱いから気をつけなさいよ」

キョン「ありがとう」

ハルヒ「なっ……なんかあんたに感謝されるのは変な気分ね!」

キョン「うるさい」


ハルヒ「お茶請けはコレよ」ガサガサ

キョン「?」

ハルヒ「美味しいシフォンケーキ見つけたの。この紅茶を売ってる店の隣でね」

キョン「ケーキ屋か?」

ハルヒ「ううん。ふふっ、隣でお茶の葉売ってるのに喫茶店があるの。そこのケーキ」

キョン「へぇ……面白そうだな」

ハルヒ「雰囲気はよかったわよ。今度行ってみる?」

キョン「いいかもな」

ハルヒ「ほら、飲んでみてよ」

キョン「熱い」フーフー




419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 00:09:20.85 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「どう?」

キョン「いつものより香りが強いな」

ハルヒ「そうでしょ」

キョン「でもいい香りだ。なんていうやつだ?」

ハルヒ「……なんだっけ」


キョン「おいおい、覚えとけよ」

ハルヒ「いーのいーの。次行ったときに覚えとくわ!」

キョン「…」(しかし何で俺は)

ハルヒ「あたしもストーブー! そっち寄りなさいよっ!」ググッ

キョン「はいよ」(ハルヒに惚れちまったんだろうな……うーん)

ハルヒ「?」




420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 00:18:16.19 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「そーいえばそこのミルキーの包み紙の山は……何?」

キョン「長門の食べた後だ。あいつ甘いの大好きだろ」

ハルヒ「あー。あたしもグミ沢山あげたわね」


ハルヒ「さっき何話してたの?」

キョン「別に。いつも通り古泉とボードゲームしてただけだ」

ハルヒ「ふぅん」

キョン「いつも通りがそんな部活もどうだと思うけどな」

ハルヒ「ボードゲーム部?」

キョン「小学校か」

ハルヒ「あはは。ほんとだ、小学校にありそうね!」

キョン「…」(ちくしょう……可愛いなぁ)

ハルヒ「はー。暖まるなぁ」




423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 00:28:30.16 ID:omQYBjLf0


キョン「なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ?」


キョン「変なことを聞くが……」

ハルヒ「?」

キョン「お前に告白してきた男ってのは、どんな奴らだったんだ?」

ハルヒ「ほんとに変なことね。別に、普通の男子よ?」

キョン「……そうだよな。ごめん」

ハルヒ「なになに? なんでそんなこと聞くの?」

キョン「なんとなくだよ。深い意味はない」

ハルヒ「ほんとに?」

キョン「ほんとに」

ハルヒ「……好きな人が、できたとか?」

キョン「そうじゃない」

ハルヒ「そっか。よかった」

キョン「……よかった?」

ハルヒ「! なっ、なんでもないわよ!!」

キョン「お、おう」




424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 00:32:44.88 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「キョンは告白されたことないの?」

キョン「ないな。したこともない」

ハルヒ「へー、まあ見てりゃなんとなくわかるけどね!」


キョン「なんだよそれ」

ハルヒ「女っけがないわ!」

キョン「オッサンか」

ハルヒ「ほら、谷口とかと女の子の話してても、あんまりのってないじゃない」

キョン「……そうか?」

ハルヒ「そうよ。へぇ、とかあぁ、とかしか言ってないじゃん」

キョン「別に興味ないわけじゃないぞ」

ハルヒ「本当かしら。もしかして、こっちとか?」チョィ

キョン「ふざけるな」

ハルヒ「あはは! 冗談よ冗談! 古泉君に言っとくわ~」

キョン「あのなぁ」(……ハルヒ以外の子なんてどうでもよくなってるもんなぁ……)




427:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 00:40:53.35 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「みんなドコ行ったのかしら?」

キョン「ほんとうだな。こんなに寒いのに」


ハルヒ「…」ククッ

キョン「…」

ハルヒ「そういえば」

キョン「ん」

ハルヒ「……先週ね、告白されたわ」

キョン「え? ほんとうか?」

ハルヒ「高校入ってからは初めてだったわね」

キョン「それで、その……どうしたんだ?」

ハルヒ「もちろんNGよ。生憎、初対面の人と付き合えるほど時間的余裕はないわね」

キョン「そうか」

ハルヒ「だけどね」

キョン「?」

ハルヒ「その……面と向かって言われたのは、ちょっとドキってしたわ」

キョン「…」

ハルヒ「野暮なこと聞かないでよ。相手がダレとか」

キョン「聞かないよ。聞くわけないだろ」

ハルヒ「……そうね」

キョン「…」




432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 01:24:58.06 ID:omQYBjLf0


キョン「やっぱり、そういうのは直接言われるほうがいいのか」

ハルヒ「そりゃそうよ。っていうか、電話とかで言われるのは嫌いだわ」


キョン「どうして?」

ハルヒ「どうしてって……じゃあ、なんで直接言えないの?」

キョン「そりゃ、恥ずかしいから」

ハルヒ「だからって他の手段を選ぶってのが嫌ね」

キョン「いいじゃないか。メールだって電話だって、伝えるってことは同じだろ?」

ハルヒ「だったら電話やメールと付き合えばいいじゃない」

キョン「それは」

ハルヒ「好きな人に直接想いを伝えられないで、それからどうやって付き合っていくのよ」

キョン「……そうは言っても、それで付き合って結婚してるカップルも多いと思うぞ」

ハルヒ「なんにせよ、あたしは嫌。直接告白してくれないと……あたしも返事しないわよ」

キョン「…」(それは、まさに……言えってことか)




435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 01:37:19.75 ID:omQYBjLf0


キョン「なら、ハルヒはどうなんだ?」

ハルヒ「どうって、なにが?」

キョン「だからさ。お前なら……直接言えるか?」


ハルヒ「いっ、言えるわよ! 決まってるじゃない!」

キョン「本当か? 本当に言えるのか?」

ハルヒ「本当のほんと! 言えるったら言える!」

キョン「ま、そんなのわかったもんじゃないけどな」

ハルヒ「ー! なによ! だったら言ってやるわよ!」

キョン「…」

ハルヒ「あ……その、えっと……」

キョン「ほら、座れって。ごめん、言い過ぎた」

ハルヒ「う、うん。まったくもう」

キョン「…」




438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 01:55:01.38 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「……キョンは?」

キョン「俺?」


ハルヒ「キョンは、ちゃんと面と向かって言えるの?」

キョン「……どうだろ。そんときになってみないとわからんな」

ハルヒ「無理ね。キョンには絶対無理」

キョン「なんで言い切るんだよ」

ハルヒ「わかるわよそれぐらい。あんたにはそんな器用なことできないわ」

キョン「やってみないとわからないだろ」

ハルヒ「わかるわよ」

キョン「ただ好きだって言えばいいんだろ」

ハルヒ「言えるの?」

キョン「……言えるよ」

ハルヒ「ほんとうかしらね」


キョン「ハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「好きだ」

ハルヒ「…」

キョン「ほら、言えた」

ハルヒ「……えっ……?」






440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 01:57:47.30 ID:omQYBjLf0


キョン「言えるっていっただろ。だから……言ったぞ」

ハルヒ「なっ、なに言ってるのよ!」

キョン「……お前が言えって言ったんだろ」


ハルヒ「そうじゃないわよ! そういうのは、その」

キョン「…」

ハルヒ「……やめてよ。そんな、冗談で言っていいことと」

キョン「冗談じゃない」

ハルヒ「…」

キョン「その……なんていうか、あの……そのまま。お前のこと、好きだ」

ハルヒ「…」






442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:00:25.72 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「あ、あたしも好きよ? まあ、SOS団の団員なら皆」

キョン「そうじゃない。……わかるだろ」

ハルヒ「…」


ハルヒ「……本気?」

キョン「冗談で言うと怒るんだろ」

ハルヒ「そんなの……」

キョン「本気だ。俺は、お前にならこうやって直接言える」

ハルヒ「…」


ハルヒ「……ごめん。無理」

キョン「…」

ハルヒ「あの、だって……」

キョン「そっか」

ハルヒ「…」




443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:03:34.55 ID:omQYBjLf0


キョン「ならいい。言えたことだけでも十分だ」

ハルヒ「あのっ」

キョン「……忘れてくれ」


ハルヒ「わ、忘れられるわけないじゃない!」

キョン「なら覚えててくれよ。無理なら無理でいいし、俺も不満はない」

ハルヒ「……なによそれ」

キョン「だって仕方ないだろ。降られたらおしまい。そういうことだ」

ハルヒ「でもそんな簡単に」

キョン「……お前がダメだって言うんなら、俺は我慢するしかないだろ」

ハルヒ「…」


キョン「…」

ハルヒ「キョン……」

キョン「ほら、紅茶冷めるぞ。あぁ、もう冷めてるか」

ハルヒ「…」




445:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:06:48.68 ID:omQYBjLf0


ハルヒ「…」

キョン「……帰るな、俺」


ハルヒ「待ちなさいよ」

キョン「…」

ハルヒ「あんた……ど、どうするのよ?」

キョン「なにを?」

ハルヒ「だから、明日から……ココ、来る?」

キョン「来ていいなら。来ないでほしいから、来ない」

ハルヒ「…」

キョン「いやほんと、気にしてないぞ? まだその……友達でもいいしさ」

ハルヒ「そんなこと言われて友達のままでいられるわけないじゃない!」

キョン「…」

ハルヒ「他の子はどうか知らないけど……無理よ……明日から、またいつも通りなんて」

キョン「じゃあどうすれば」

ハルヒ「……わかんない」




451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:37:10.82 ID:/N9Dukfo0


ハルヒ「……でも無理よ……」

キョン「…」


ハルヒ「あ、あんたがその……そう言ってくれるのは、嬉しいけどさ」

キョン「ん」

ハルヒ「でも、あたしは……」

キョン「…」

ハルヒ「…」

キョン「別に、今すぐ答えてくれなくても」

ハルヒ「あたしは」

キョン「っ……うん」

ハルヒ「あたしは……あ、あたしも」


ハルヒ「好き……だけど」

キョン「…」

ハルヒ「だけど、わかんないよ。そんなの……わかんない」




452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:39:47.30 ID:/N9Dukfo0


ハルヒ「今更そんなこと……急に言われても」

キョン「今更急に、ってなんだよ」

ハルヒ「どっちでもいいわよ! そうじゃなくて」


ハルヒ「そんなの……無理だもん」

キョン「なにが?」

ハルヒ「好きって言われて、嬉しいけど……どうすればいいかなんて」

キョン「答えてくれればいい」

ハルヒ「…」

キョン「俺が好きだって思ってることを、知っててくれ」

ハルヒ「…」

キョン「それで、できれば……いや。ハルヒの気持ちも、それでいいんだな」

ハルヒ「うん……」

キョン「…」

ハルヒ「でも、それで……無理だよ。キョンと付き合うなんて、今更そんなの無理」




453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:46:00.99 ID:/N9Dukfo0


キョン「なんでだよ。俺は頑張ったぞ、ちゃんと告白した」

ハルヒ「わかってるけど、あの、それはそうなんだけどさ」


ハルヒ「……ずっとこのままだって思ってたから」

ハルヒ「初めて友達と、それ以上の関係と、そういうの全部求めてもいい人って」

ハルヒ「だから……今が楽しいから……これ以上、なにを望んでいいかわかんないよ」


キョン「…」

ハルヒ「嬉しいけど、どうすればいいかわかんないよ」

キョン「どうって……」

ハルヒ「卑怯、卑怯よキョン! あ、あんたこういうときだけ……バカッ!」

キョン「……すまん」

ハルヒ「あ、謝ってどうするのよ……もう……もー」

キョン「?」

ハルヒ「わかんないわかんない! どーしろって言うのよバカキョン!」ポロポロ

キョン「お、おいハルヒ」

ハルヒ「本当に告白しちゃうなんて、バカ! んっ、キョンのアホ!」

キョン「……ごめんって。ほら、泣くなよハルヒ」

ハルヒ「うっさい!」グスッ




455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 02:53:27.41 ID:/N9Dukfo0


キョン「どうして泣くんだよ、なんで」

ハルヒ「もー! 全っ部キョンの所為っ!」


キョン「…」

ハルヒ「そういうのはもうちょっと気を利かせて、んっ、言いなさいよっ!」

キョン「言えって、言ったのはお前だろ」

ハルヒ「なにも今、言わなくても、いっ、いいでしょっ!」ポロポロ

キョン「……前から、ずっと好きだったんだよ」

ハルヒ「……んっ……だからって」

キョン「いつからかわかんなかったけど、ずーっとハルヒのこと……可愛い子って思ってたんだ」

ハルヒ「あたしだって! ずーっとキョンのこと見てたわよっ!」

キョン「なっ」

ハルヒ「ずっと好きだったし、ずっと……待ってた……」

キョン「ハルヒ……うん」

ハルヒ「んっ、もうっ!」




458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 03:03:36.78 ID:/N9Dukfo0


キョン「ほら、座って落ち着けハルヒ」スッ

ハルヒ「さっ、触んないでよ!」

キョン「っと……すまん」

ハルヒ「あ……も~っ!」


キョン「なんだよ。どうすればいいんだよ」

ハルヒ「…」ピッ

キョン「? 両手広げて……何?」

ハルヒ「わかりなさいよっ!」

キョン「……だって触れるなって」

ハルヒ「うるさい!」

キョン「わかったよ。ほら」


ギュッ


キョン「……これでいいか」

ハルヒ「黙ってて! んっ……バカキョン」

キョン「…」

ハルヒ「バカバカ……ッ……んっとにバカ」

キョン「そうだな、ちょっとわかってなかったかも」

ハルヒ「このあたしがOKしたんだから、つまらない思いさせたら怒るんだからねっ」

キョン「あいよ」

ハルヒ「……いいっていうまで、このままなんだからねっ」

キョン「わかってる。……ありがとう、ハルヒ」ナデナデ

ハルヒ「…」ギュー




459:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 03:11:03.39 ID:/N9Dukfo0


キョン「…」

ハルヒ「んっ……ひっく」

キョン「…」(下向けない……ああっ)


ハルヒ「…」

キョン「もう、いいか」

ハルヒ「…」ギュゥウウ

キョン「いたっ、痛いっ」

ハルヒ「…」

キョン「……はい、すいませんでした」

ハルヒ「ずーっと、好きだった?」

キョン「?」

ハルヒ「きーてるの。答えなさいよ」

キョン「あ、あぁ。好きだったよ。ずっと好きだった」

ハルヒ「……一緒だったね」

キョン「?」

ハルヒ「うっさい」

キョン「なにも喋ってないだろ」

ハルヒ「…」スリスリ




461:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/22(土) 03:20:12.64 ID:/N9Dukfo0


古泉「……おや?」

ハルヒ「あっ」

みくる「!」(手……繋いで、わぁっ)

キョン「古泉……っと」パッ


古泉「今日はもう、終わりですか?」

キョン「あ、あぁ。というか、どこ行ってたんだお前達」

長門「適当に、ウロウロと」

キョン「チョコついてるぞ」

長門「…」フキフキ

みくる「あの、みんなでお茶をですね」

ハルヒ「…」

みくる「涼宮さん?」

ハルヒ「なによっ」

みくる「ひいっ」

キョン「こら、ハルヒ」

ハルヒ「……今日は解散!」

長門「…」コク

ハルヒ「明日また、いつも通り部室に集まりなさい! 団長命令!」

古泉「はい。わかりました」

ハルヒ「そういうことだからね! ほら、帰るわよキョン!」グッ

キョン「っと、こら。ひっぱるなハルヒ!」


古泉「……どうやら大成功みたいですね」

みくる「はぁい。涼宮さん、とってもいい笑顔でした」

長門「甘い」

古泉「まだ食べる気ですか」

長門「……甘いのでお腹一杯。おしまい」ポンポン