1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 14:56:59.04 ID:BmR9UyY1P
   放課後 軽音部部室

唯「トンちゃん、今日も元気良さそうだね」

澪「見て分かる物なのか?」

唯「勿論。なんだか、笑ってるみたいじゃない」

紬「唯ちゃんらしい、優しい発想ね」

澪「亀が、笑う?」

律「こっっちは、生真面目さ全開だな」


引用元: 唯「トンちゃん、今日も元気良さそうだね」 


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 14:59:14.19 ID:BmR9UyY1P
唯「トンちゃん♪トンちゃん♪」

律「本当、唯はトンちゃんが好きだな」

唯「だって可愛いし見てて飽きないし、なんと言っても軽音部の仲間だからね」

紬「もしトンちゃんが話せたら、どんな事を言うのかしら」

澪「亀が、話す?」

律「それはもう良いんだ」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:01:14.13 ID:BmR9UyY1P
   カチャ

梓「済みません、遅れました」

唯「あずにゃん、トンちゃん見てあげて」

梓「・・・うん。今日も元気そうですね」

律「分かるのか」

梓「なんだか、笑ってるみたいじゃないですか」

紬「うふふ♪」

澪「亀って、やっぱり笑うのか?」

律「私もちょっと、背筋が寒くなってきたよ」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:03:14.60 ID:BmR9UyY1P
梓「トンちゃん♪トンちゃん♪」

律「・・・梓も、トンちゃんが好きだな」

唯「だって可愛いし見てて飽きないし、なんと言っても軽音部の仲間ですからね」

紬「もしトンちゃんが話せたら、どんな事を言うのかしら」

澪「それは私も聞いてみたいな」

律「本気だろ、お前」


9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:05:15.03 ID:BmR9UyY1P
律「とはいえ、唯と梓が同じ発想とはな」

梓「え」 びくっ

紬「トンちゃんが元気そうとか、笑ってるみたいとか。同じ事言ってたわよ」

梓「・・・この中野梓、一生の不覚っ」

唯「しどいよ、あずにゃん」

澪「でも良く観察していれば、トンちゃんの事がもう少し分かるのかな」

律「澪は普段怖がってばかりいるから、それも良いんじゃないのか」

唯「私、一日中トンちゃんを見てても飽きないよ」

律「それはそれでどうなんだ?」

梓(言えない。自分も見てられるなんて、絶対言えない)


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:07:14.91 ID:BmR9UyY1P
紬「今日のお菓子は、紅茶のパウンドケーキでーす」

澪「味も良いし、やっぱり風味が良いよな」

律「食べ応えだろ、食べ応え」 はむはむ

唯「私達は色々食べてるけど、トンちゃんは毎日同じご飯で飽きないのかな」

梓「一度聞いてみたいですね」

律「・・・お前を食べてやるっ、みたいな?」

唯「わっ、びっくりした」

梓「もう、またそういう事を」

澪「本当、律は子供だな。あはは」

律「さりげなく、部室を出て行こうとするな」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:09:18.30 ID:BmR9UyY1P
唯「もしトンちゃんが演奏するとしたら、どのパート担当なのかな」

紬「弦を押さえるのは難しそうだから、ドラムかキーボードね」

澪「律、ライバル登場だぞ」

律「私もまだ、トンちゃんに負けるレベルじゃないけどな」

唯「私達が帰った後、こっそり練習してるかも知れないよ。ドラムはずっと置いてあるし」

澪「自主練か」

律「・・・真夜中。誰もいないはずの音楽室から聞こえるドラムの音色。床はびっしょりと濡れ、ひたひたと這うような音がする」

紬「なんだか、素敵よねー」

梓(単なる怪談じゃないのかな、それ)


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:11:14.25 ID:BmR9UyY1P
澪「という訳で、トンちゃんに負けないよう練習するぞ」

律「ちぇっ、上手く繋ぎやがって。・・・最近同じ曲ばっか演奏しているし、そろそろ新曲なんてどうだ?」

唯「良いね、それ。みんなで、アイディア出してみようよ」

澪「普段は軽いノリが多いから、たまにはシックな曲も面白いんじゃないか」

唯「思い切って、演歌風とか民謡風も良いよね」

梓「唯先輩、民謡好きですね」

紬「いっそ、デスデビルの曲をコピーするのは?」

唯、律、澪「それは無いと思う」

紬「ですよねー♪」

梓(さりげなくひどいな、同感だけど)


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:13:14.93 ID:BmR9UyY1P
   30分後

律「・・・駄目だ。何も思い付かん」

紬「取りあえずお茶にしましょうか」

唯「ありがとー。ジャンルを考えるだけでも大変なのに、本当に曲を作ろうと思ったらもっと大変なんだね」

律「やっと気付いたか、平沢さんよ」

澪「お前が言うな」 ぽふ

梓「産みの苦しみって事ですか」

唯「案ずるより産むが易しだよ」

澪「お前もだ」 ぽふ


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:15:15.14 ID:BmR9UyY1P
紬「お待たせしましたー」

澪「ありがとう。・・・そういえば、誕生日っていつなんだろう」

唯「11月27日だよ。プレゼントなんて、そんな事気にしなくて良いからね」 ちらっちらっ

律「誰が唯の誕生日を聞いたんだよ」 ぽふ

紬「となると、トンちゃんの誕生日って事?」

澪「ああ。それって、いつだと思う?」

梓「そう言われると、ちょっと考えちゃいますね。・・・ペットショップから連れてきた日とか」

澪「でもそれは、引っ越して来た日だろ」

梓「あ、そうか」

紬「・・・謎は解けたわ」

律「みんな悪いけど、琴吹探偵のボケに付き合ってくれよ」


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:17:16.20 ID:BmR9UyY1P
紬「手がかりは全て揃っているわ。ヒレ、伸びる首。そして背中の甲羅」

律「で、その心は」

紬「言うまでも無いわね。つまりは、亀年って事なのよっ」

唯「おおっ、さすがムギちゃん」

律「・・・一応突っ込むけど、亀年なんて人類の歴史上一度も無いからな」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:19:14.31 ID:BmR9UyY1P
紬「うーん。意外な所を突いたと思ったんだけど」

澪「そもそも知りたいのは、誕生日だ」

唯「あ、そかそか。となると、卵が産まれた日?」

梓「もしくは、卵から孵化したした日じゃないんですか?」

澪「そうなると誕生日が2回?」

紬「スッポンモドキは誕生日を二度迎える。・・・これは新たなミステリーの予感ね」

律「まずは、その発想がミステリーだな」


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:21:14.94 ID:BmR9UyY1P
紬「誕生日もだけれど、トンちゃんは何をプレゼントしたら喜んでくれるのかしら」

唯「桜餅なんて、たまには良いよね」

澪「トンちゃんの話をしてるんだ。・・・例えば、別なスッポンモドキを連れてくるとか?」

梓「でも、ケンカしませんか?動物の相性って難しそうですし」

紬「そうよね。水槽内だと逃げ場もないし」

律「気の合わない奴と同居か。確かにそれは憂鬱だ」

唯、澪、紬、梓「全く、全く」

律「一斉にこっちを見るのは止めてもらえますか」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:23:14.99 ID:BmR9UyY1P
梓「それに子供が生まれたら大変ですよ」

律「水槽の中が、スッポンモドキでぎっちぎちか」

澪「・・・それは想像もしたくない」

唯「狭いながらも楽しい我が家って言うし、結構上手くやっていくかもよ」

律「そうか?」

唯「だって私だったら、ロッカーにみんなと入ってても楽しいもん」

梓「私は絶対入りませんけどね。唯先輩とは」

唯「もう、あずにゃんのいけず」

紬「だったら梓ちゃんは、私と二人で入りましょうね♪」

律「さりげなく、連れて行こうとするんじゃない」 ぽふ


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:25:17.42 ID:BmR9UyY1P
律「そもそもトンちゃんって、オスなのか?それともメスなのか?」

澪「それによって、贈るプレゼントも変わってくるな」

唯「桜が丘高校軽音部の部員なんだから、女の子じゃないの?」

律「・・・こう言っちゃ何だけど、女の子って顔か?」

梓「男の子でも女の子でも、スッポンモドキはこういう顔だと思いますよ」

紬「もしかして、案外美形かも知れないわね」

澪「だったら、プレゼントは鏡でも良いんじゃないのか」

唯「亀に鏡って、なんだかことわざにありそうだね」

律「誰1人理解出来んって意味だろうな」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:27:14.40 ID:BmR9UyY1P
唯「私はチョコババロアなんて嬉しいな」

律「だから、お前の好みは聞いてないんだよ」

唯「もう、りっちゃんのいけず。いいもん、今度憂に作ってもらうから」

澪「・・・一つ聞きたいんだけど。唯の誕生日には、憂ちゃんがケーキを作ってくれるよな」

唯「この前は、ブルーベリータルトを作ってくれたよ」

紬「えーと。憂ちゃんの誕生日の時は?」

唯「レアチーズケーキを作ってくれたよ」

梓「・・・唯先輩は、つくづく幸せですね」

唯「えへへ。あずにゃんもそう思う?」

梓(皮肉って分かってないんだから。まあ、そういう所も唯先輩らしいけど)


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:29:14.81 ID:BmR9UyY1P
   夜 平沢家リビング

唯「トンちゃんの誕生日って、結局いつなんだろうね」

憂「動物の誕生日は難しいと思うよ。動物園で生まれる動物も、気付いたら生まれてた時もあるし」

唯「そうなると、いつお祝いしてあげればいいのかな」

憂「何月とか何日とかこだわらずに、いつでも良いんじゃないのかな」

唯「どういう事?」

憂「お祝いしたいって気持があれば、その時がトンちゃんの誕生日だと私は思うよ」

唯「はー。憂は良い事言うね」

憂「トンちゃんのために一所懸命考えてるお姉ちゃんも立派だよ」

唯「えへへ♪」

憂「ふふ♪」


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:31:14.27 ID:BmR9UyY1P
唯「だったら、プレゼントは何にしようかな」

憂「プレゼント?」

唯「私は、チョコババロアなんて喜ぶと思うけど」 ちらっちらっ

憂「それは、お姉ちゃんが食べたい物でしょ」

唯「えへへ。分かっちゃった?」

憂「丁度材料があるし、今から作ってみるね」

唯「私も及ばずながら手伝うよ」

憂「ありがとう、お姉ちゃん♪」

唯「憂ー♪」


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:33:14.35 ID:BmR9UyY1P
   翌朝 3年生教室

唯「という訳で昨日は、チョコババロアを食べました」

和「全く。相変わらず仲が良いわね、あなた達は」

唯「姉妹だからね」

和「さらっと言ってくれちゃって」

唯「えへへ」

律「うーすっ。ん、どうした?」

和「唯と憂が仲良いって話」

唯「りっちゃんも、聡君と仲良いよね」

律「まあ、普通だろ。それに姉弟だしな」

和「さらっと恰好良いわね」

唯「りっちゃん♪りっちゃん♪」

律「も、もう良いって」

澪(和、もっと言え)


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:35:14.20 ID:BmR9UyY1P
紬「やっぱり兄弟って、仲が良い物なのかしら」

律「唯と憂ちゃんは特別って気もするけれど」

唯「そかな。私は憂が大好きなだけで、それは普通だと思ってるよ」

澪「たまにすごいよな、唯って」

唯「本当にすごい?」

和「たまにって言ったでしょ」

唯「もう、和ちゃんのいけず」

律、澪、紬「あはは」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:37:16.79 ID:BmR9UyY1P
   2年生教室

純「トンちゃんの誕生日?トンちゃんって、あの亀でしょ」

憂「スッポンモドキだよ」

純「・・・いや、その辺はどうでも良いんだけどさ」

憂「純ちゃんの猫ちゃんは、いつが誕生日?」

純「特に決まってないけど、大抵私の誕生日と一緒にお祝いするかな」

梓「何よ、それ。純だってやってるんじゃない」

純「そ、それはその。・・・だって、可愛いもん」

梓「トンちゃんも可愛いよ」

純「亀、なんだよね」

憂「ま、まあ。その辺はあれだから」

梓(・・・亀を可愛がるのって、もしかして変なのかな)


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:39:15.01 ID:BmR9UyY1P
梓「純は、誕生日に何をプレゼントしてる?」

純「大抵はおもちゃかな。後は、ご馳走だね」

憂「お刺身とか?」

純「そうそう。でも栄養を摂りすぎても良くないから、滅多にあげないけど」

憂「動物は体が小さい分、デリケートだもんね」

梓「だったらトンちゃんも、ご馳走をたくさんあげるのは良くないんだ」

純「私の誕生日には、ご馳走を一杯プレゼントしてくれて良いからね」 ちらっちらっ

梓「唯先輩も、そんな事言ってたな」

純「・・・この鈴木純、一生の不覚っ」

梓(それ、私も言った台詞だし。憂、何故か喜んでるし)


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:41:19.59 ID:BmR9UyY1P
 放課後、軽音部部室

紬「お茶、入りましたー」

唯「ありがと、ムギちゃん。・・・今日も美味しいね」

律「なんて言うのかな。この一杯のために生きてるって気がするよ」

澪「同感だ」

紬「そう言ってもらえると嬉しいわ♪」

唯「ムギちゃんの分は、私が淹れてあげようか?」

紬「え」 びくっ

律「なんて言うのかな。この一杯のために、生きるか死ぬかって気がするよな」

唯「もう、りっちゃんはー」

澪、紬「あはは」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:43:35.48 ID:BmR9UyY1P
唯「・・・そう考えてみると、トンちゃんはいつも水ばっかり飲んでるんだよね」

律「確かに、それはその通りだな」

紬「お茶を飲ませてあげたいけれど、多分体には良くないだろうし」

澪「ちょっと可哀想だな」

紬「だからトンちゃんの分も、みんなで飲んであげて」

唯「合点承知。りっちゃんがジョッキでぐい飲みするよ」

律「みんなでって言っただろ」

紬「まあまあ。まずは一献どうぞ」

律「おーっとっと。こぼれるこぼれる」 

澪「唯も、ほら」

唯「っとっと。ご返杯、ご返杯」

澪「ムギも座って座って。今日はどんどん行こう」

紬「そんなに飲ませて、一体私をどうする気?」

澪「ば、馬鹿。そんなんじゃないから」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:45:49.82 ID:BmR9UyY1P
  カチャ

梓「済みません、遅れました」

律「なーかーのー」

梓「は?」

澪「座れ」

梓「は、はい」

澪「飲め」 こぽこぽ

梓「い、頂きます」

澪「いける口だな」

梓「はぁ」

澪「お茶は飲んでも飲まれるな」

梓「・・・で、その心は」

澪「何言ってるんだ、梓」

梓(いや。それは私の台詞なんだけど)



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:47:45.72 ID:BmR9UyY1P
唯「あずにゃん。寂しかったよー」 きゅっ

梓「何ですか、急に」

律「なーかーのー」

梓「・・・律先輩も」

紬「ごめんなさいね。みんな、どうかしてるみたい」

梓「何かあったんですか」

紬「・・・今日は、トンちゃんの分も飲んであげて」 こぽこぽ

梓(まさかっ・・・。って、トンちゃん普通にいるし)

紬「トンちゃん、今頃どこで何をしてるのかしら」

梓(裏返って泳いでますよ)


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:49:44.34 ID:BmR9UyY1P
 10分後

梓「・・・で、お茶に酔ったと」

律「いやー。面目ない」

紬「昔の人は、玉露でも酔ったらしいわね」

澪「私達の場合は、雰囲気に酔ったって気もするが」

唯「あずにゃーん」 きゅっ

梓「唯先輩は、結局抱きついてくるんですね」

唯「つまりはそれが、私の本質。いついかなる時もぶれない、私の軸なんだよ」

律「結構嫌な話だな」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:51:51.34 ID:BmR9UyY1P
梓「さっき純達と話してたんですけど、純は猫の誕生日にご馳走をあげるそうです」

律「ご馳走か。亀って、普通何食べるんだ?」

澪「草食系だから、藻とか?」

紬「スッポンモドキは雑食じゃないかしら」

唯「どういう事?」

紬「・・・つまり、色々食べるんだと思うわよ」

梓「そう言えばペットショップだと、色々な物が売ってますよね」

澪「色々って、何?赤とか青とかパステルグリーンとか、そういうメルヘンな事だよな。そうだよなっ」

梓「え、ええ。まあ。そういう事だと思いますよ」

律「その辺は私も、あまり突っ込みたくないな・・・」


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:53:52.29 ID:BmR9UyY1P
澪「・・・ご馳走以外で、トンちゃんが喜ぶ物を考えよう」

唯「えーと、あれ。登れるような岩なんてどうかな。ずっと泳いでばかりだと、疲れちゃうよね」

律「そう言われてみればそうか」

梓「いえ。スッポンモドキはずっと水の中で暮らしてるので、そういう場所は必要無いそうです」

澪「それに環境を変えるのも、あまり良くないよな

唯「住み慣れた家が一番って事?」

紬「狭いながらも楽しい我が家って、唯ちゃんも言ってたじゃない。私もそう思うわ♪」

唯、紬「ねー♪」

律、澪、梓(いやいやいや)


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:55:54.81 ID:BmR9UyY1P
律「それなら、物以外ってのはどうだ」

唯「例えば、どんなの?」

律「水槽を掃除するとか」

梓「この間したばかりですよ」

律「じゃあ澪が、お背中流しまーす♪とか」

澪「やらないんだ。大体、環境を変えるのは良くないって言ったばかりだろ」

律「トンちゃんが駄目なら、私の背中を流してくれよ」

澪「どうして私が」

紬「だったら、私が代わりに流しましょうか♪」 にぎにぎ

梓(どう考えても、揉む手付きなんだけど)


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:57:51.40 ID:BmR9UyY1P
   カチャ

さわ子「あー、疲れた。ムギちゃん、濃い緑茶をお願い」

紬「ただ今お持ちしまーす」

唯「さわちゃんは、トンちゃんのプレゼント何が良いと思う?」

さわ子「美容液とかバッグとか旅行券とか」

律「トンちゃんのって言っただろ」

さわ子「冗談よ、冗談。でも急にプレゼントって、どういう訳?」

梓「あの。トンちゃんの誕生日がいつかって話になって。だったらプレゼントをと思いまして」

さわ子「相変わらず夢見がちというか、なんというか」

澪「それで、何か良いアイディアはありますか?」

さわ子「肩たたき券なんて良いんじゃない?」

律「真っ先にボツになるアイディアだろ、それ」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 15:59:53.66 ID:BmR9UyY1P
さわ子「だから冗談だってば」

梓「さっき出たアイディアとしては、別なスッポンモドキを飼おうかとも思ったんですけど」

さわ子「止めた方が良いわよ」

澪「水槽の中が子供でぎっちぎちになって、部室中に卵が溢れるって事ですか?」

さわ子「・・・あのね。大抵ケンカしちゃうからよ。それにスッポンモドキの繁殖は難しくて、日本の水族館で唯一繁殖例があるだけなの」

紬「詳しいですね、さわ子先生」

さわ子「一応は私がスポンサーだし、なんと言っても教師だから。そのくらいは知っていて当然よ」

律「亀の甲より年の功とも言うしな。だははー」

さわ子「・・・浦島太郎の来ない亀より悲惨な目に遭わせるぞ、このデコッパチ」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 16:01:52.73 ID:BmR9UyY1P
律「あー、ひどい目に遭った」

澪「自業自得だ。それにしても、いざ考えてみると難しいな」

紬「結局トンちゃんは、何が一番嬉しいのかしら」

梓「何でしょうね。唯先輩は、どう思いますか」

唯「・・・何もしないのが一番じゃないかな」

梓「はい?」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 16:03:52.18 ID:BmR9UyY1P
澪「分かるか?」

律「全然分からん。唯の言う事は、いつも分からん」

紬「まあまあ。唯ちゃん、どういう事?」

唯「つまり普段通り過ごすって事だよ」

梓「それって」

唯「トンちゃんは、私達の仲間だよね」

澪「・・・ああ。大切な、大切な仲間だ」

律「私達にとって、みんなが普段通りに過ごしてると嬉しいみたいに」

紬「トンちゃんも、私達が普段通りに過ごしているのが一番嬉しい」

梓「だから何もしないのが一番って事ですか」

唯「・・・ち、違うかな」

律、澪、紬、梓「違わないっ♪」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 16:05:52.10 ID:BmR9UyY1P
律「唯にしては上出来な答えだったな」

唯「もう、りっちゃんはー」

律「冗談だよ、冗談。それにしても、普段通りか」

澪「私達が、一番得意な事だな」

紬「私、お茶淹れるわね♪」

梓「はいですっ」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 16:07:20.88 ID:BmR9UyY1P
唯「お茶、美味しい」

律「お菓子、うめー」

澪「今日も幸せだ」

梓「はいですっ」

紬「うふふ♪」


唯、律、澪、紬、梓「そうだよね、トンちゃん♪」



                              終わり