5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:17:00.21 ID:2/1LKVFH0
鈴「り、理樹はあっちいけっ!」

理樹「な、なんなのさ急に怒って…」

鈴「なんでもないっ! フカーッ!!」

理樹「いや、そんなあからさまな態度とられても」

理樹「…ん? 手紙?」

鈴「!!?」

引用元: 理樹「あれ、鈴なにしてるの?」 鈴「!?」フカーッ 



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:19:21.18 ID:2/1LKVFH0
理樹「手紙書いてたの?」

鈴「ちっ…」

理樹「ち?」

鈴「違うわぼけー!!」

理樹「うっ脳天チョップが僕に炸裂…」

鈴「理樹のあほーっ!」ドタバタ

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:24:08.09 ID:2/1LKVFH0
数十分後…

理樹「うーん…」

恭介「気づいたか、理樹」

理樹「あ…恭介。来てたんだ…」

恭介「虫の知らせを感じたからな」

理樹「あはは…ほんと超能力者みたいだね」

恭介「なにがあった? 部屋に来てみればお前が気絶していてびっくりしたぞ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:27:18.74 ID:2/1LKVFH0
理樹「ああうん…それが…」

理樹「…」

理樹「…あれ?」

恭介「もしかして思い出せないのか?」

理樹「うん…そうみたいだ」

恭介「うーむ、よっぽどの衝撃を受けたのか…」

ガチャ

真人「筋肉筋肉ー♪」キンニクキンニク

謙吾「理樹、邪魔するぞ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:32:39.94 ID:2/1LKVFH0
理樹「ああ、二人ともいらっしゃい」

恭介「って、真人。お前今までどこほっつき歩いてたんだ。理樹が大変だったんだぞ」

真人「ん? ちょっと校舎の壁でロッククライミングにハマっちまってよ」

恭介「…」

謙吾「恭介、理樹がどうかしたのか?」

恭介「ああ。少し前に来てみれば理樹が白目ひん剥いて口を泡まみれにしててな」

理樹「僕そんなにひどい状態だったの!?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:37:06.68 ID:2/1LKVFH0
恭介「まあ、それは嘘なんだが」

理樹「嘘なら言わないでよ…」

真人「理樹はカニになったのか?」

理樹「ほら! 誤解する筋肉が出てくるじゃないか!」

謙吾「真人、そんなわけないだろう? 理樹の手を見てみろ、ハサミをもっていないじゃないか」

理樹「そこは区別のポイントじゃないからね!」

真人「確かに、赤色でもないな」

理樹「もういいから!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:43:08.21 ID:2/1LKVFH0
恭介「…ということだ」

真人「おい…もしかして、理樹が誰かに殴られたってことなのか?」

恭介「そうと決まったわけじゃない。が、理樹にそのときの記憶がない以上否定もできないな」

謙吾「別に部屋は荒らされてないな。強盗の線はないか」

理樹「まあ、ここは警備がしっかり行き届いてるし」

謙吾「貴重品は無事か?」

理樹「ああ、財布は僕の机に置いてあるし。強盗はないよ」

恭介「ふむ…」

…なんかものものしい雰囲気になってきたぞ。

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:50:29.92 ID:2/1LKVFH0
理樹「ねえ、僕は大丈夫だしそんなに真剣にならなくても」

真人「ばっかやろう! 理樹が危険な目に遭ったんだぞ! 真剣になるだろうが!!」

理樹「ま、真人…」

真人…変なところで必死になるんだから。全く、これだから真人は…。

真人「まっ、ノート見せてくれないと俺が困るしな」

理樹「僕の感動をむげにしないでよ!」

謙吾「まあ…単に理樹が転んで頭を打ったと考えられるのが相応か」

理樹「あーうん…僕もそんなところだと思うよ。僕には強盗に襲われたりする理由なんかないし」

恭介「…」

理樹「恭介も、そんなに考えることないって」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 03:57:01.95 ID:2/1LKVFH0
恭介「鈴はどうした?」

理樹「えっ?」

恭介「俺らが集まるとき、いつもあいつだってやって来るだろ」

理樹「それは…そうかもしれないけど」

謙吾「神北辺りとでも遊んでるんじゃないか? 鈴もいろいろ、女子との付き合いもあるだろう」

恭介「ああ。鈴も人見知りしなくなったしな。大分成長した」

真人「…の割には、納得してないみたいだな」

恭介「あいつを呼んでみるか」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:06:21.33 ID:2/1LKVFH0
恭介「…」

恭介「…ふぅ」

理樹「不在みたいだね」

恭介「仕方のない妹だな。俺が捕まえに行ってくる」

理樹「え? いや、そこまでしなくても」

恭介「ダメだ。俺が許さん」

恭介は鈴が関わっていると確信しているようだ。

恭介「5分ほど待ってろ」

理樹「え、ああ…うん」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:13:46.61 ID:2/1LKVFH0
5分後…

鈴「フカーッ!!」

真人「おいおい…5分きっかりかよ」

謙吾「さすが、恭介だな」

理樹「なんで二人とも時間なんて計ってるのさってツッコミはおいて…」

恭介「そら、鈴。理樹に言うことがあるんじゃないのか」

鈴「あ、あたしは知らんっ!」

恭介「…ったく」

恭介「おい、そこの大男共。しばらく席外すぞ」

真人「なにぃ?」

謙吾「どういうことだ?」

恭介「いいから、ほら。俺にジャンケンで勝ったらメシおごってやるから」

真人「お、おい! それ本当なんだろうな!?」

真人がメシに釣られている…。

恭介「…それじゃあな。理樹。頼むぞ」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:20:08.24 ID:2/1LKVFH0
理樹「え…?」

恭介「ほら、謙吾いくぞ」

謙吾「俺はメシに釣られたわけじゃないぞ」

恭介「ああ、分かってるから」

…バタン

鈴「っ!!」

恭介「おっと、言い忘れていたが」ガチャ

鈴「!?」

恭介「お前が話つけるまで、この部屋から出るの禁止な」

さすが恭介…完全に鈴の行動を把握している…。

恭介「んじゃな」バタン

鈴「…」

理樹「…」

理樹「えーと…」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:28:39.42 ID:2/1LKVFH0
理樹「…鈴」

鈴「…」

理樹「鈴は僕が気絶してたの、知ってたの?」

鈴「きっ気絶したのか!?」

理樹「え?」

鈴「あっ…う」

理樹「ん?」

鈴「ーっ! ごめん、理樹!」

理樹「ちょ、ちょっとどうしたの? いきなり謝って…」

鈴「あたし…さっきまでこの部屋にいた…」

理樹「え?」

鈴「だけど、ちょっと恥ずかしかったからお前にチョップしたんだ」

理樹「ま、待って鈴。話が飛躍してるから」

鈴「そ、そうか…すまん」

理樹「ええと。僕の部屋に来てたんだね」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:34:36.00 ID:2/1LKVFH0
鈴「…うん」

理樹「それで、恥ずかしいってことは…僕が、何かしたってこと?」

鈴「ーっ!」

みるみる顔が赤くなる。よほどハレ  な行為をしたのだろうか…僕は。

理樹「それだったら、謝るのは僕の方だよ。鈴に恥ずかしい思いをさせてごめん」

鈴「り、理樹は悪くないんだっ。あたしが、その…」

ゴニョゴニョと口ごもらせる。

理樹「言いたくないんだったら、もちろん言わなくても」

鈴「てっ…」

鈴「手紙…書いてた」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:42:49.12 ID:2/1LKVFH0
理樹「手紙?」

鈴「そう…手紙だっ」

理樹「…ここで?」

鈴「うんっ」

普通、手紙は自分の部屋で書くのでは…と思ったが鈴はそこでは集中できないタイプなのかな。

理樹「自分の部屋じゃダメだったんだね?」

鈴「あたしも手紙書き始めて思った。あたしの部屋で書いた方がよかったな」

理樹「あ、そう…」

理樹「…それじゃ、僕が手紙の内容でも見た、とか?」

鈴「備前だ」

そのギャグ、激しくデジャヴュを感じるがここはスルーしておこう。

理樹「そっか…。それなら、やっぱり僕が」

鈴「違う! 悪いのはっ…言い出せない、あたしだ…」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:51:06.34 ID:2/1LKVFH0
理樹「鈴…?」

鈴「理樹っ!」

勢いよく差し出された両手。その小さくか細い指に、手紙が挟み込まれていた。

理樹「え…僕に?」

鈴「よッ読んで、くれ」

声が裏返るほど緊張しているなんて、鈴らしくない。一体何が書かれて…。

「理樹へ

いつもあたしと一緒にいてくれてありがとう。

お前は昔からあたしの味方でいてくれたな。うれしかった。

これからも、一緒にいてくれ。

                           鈴」

鈴「…」


耳まで真っ赤にさせて俯く鈴。一瞬、ただの感謝の手紙かと思ったけどそうじゃないみたいだ。

理樹「鈴…」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 04:57:04.13 ID:2/1LKVFH0
鈴「あっ…あああたしは本気だぞっ」

理樹「…ぷっ」

思わず笑いだす。だってあの時は、僕の方がドギマギしてたのに…。

理樹「…鈴」

鈴「理樹…」

理樹「ありがとう、鈴。すごくうれしい」

鈴「!!」

理樹「その、これからもよろしくね」

鈴「理樹、それはつまり…」

理樹「う、うん。もちろん…」

???「おい、馬鹿押すなよ!」

???「仕方ねーだろ! 聞こえないんだよ!」

???「ふええ、ケンカしないでえ~」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 05:04:42.31 ID:2/1LKVFH0
理樹「?」

ドアの方から、なにやら聞きなれた声がする…。

鈴「…」

鈴が思いっきりドアを開けると、雪崩のように人が流れてきた。

真人「いってえな! ドア開けるなら言えよ先に!」

小毬「い、いたいですう~…」

謙吾「まったく、お前の暑苦しい筋肉が邪魔になってることに気付かないのか」

真人「んだとお!」

クド「こ、小毬さん…私からどいて下さると助かるのですが…きゅう」

小毬「く、クーちゃんごめ~ん」

恭介「…ったく、しょうがねーなお前ら」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 05:12:31.14 ID:2/1LKVFH0
理樹「みんな、どうして」

恭介「悪いな理樹。密かに耳を欹てていたんだが、そこの筋肉が暴れだしてな」

恭介「…鈴」

鈴「…恭介」

恭介「ふ。さすがは、俺の妹だ」

理樹「え…恭介、やっぱり全部知ってたの?」

恭介「いいや。だが、最近の鈴の様子で容易に判断できた」

恭介「コイツ、お前と話すとき馬鹿みたいにテンパってたからな」

鈴「だっ…誰がテンパるか! このバカ兄貴!!」

恭介「まっ、ともあれハッピーエンドってやつだ」

恭介「そうだろ? きょーだい」

理樹「なっ…」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 05:20:32.00 ID:2/1LKVFH0
かあっと熱がこみ上げてくるのが分かる。ようやく、状況を理解できるようになってきた。

小毬「鈴ちゃん、おめでと~」

クド「リキも、おめでとうございますです! お幸せになって下さいねっ」

鈴「う…」

理樹「…」

二人とも急に黙ってしまう。だって、しょうがないよ。

真人「なんだ、鈴は理樹が好きだったのかよ」

謙吾「この期に及んで何を言ってるんだお前は」
 
真人「あれ? ちょっと待てよ…。理樹と鈴が結婚したら、俺がこの部屋から追い出されるじゃないか!!」

鈴「けっ…!?」

鈴「このっ…しねーーーっ!!」

真人「ぐわああああっ!?」

鈴「理樹、行くぞっ」

理樹「…うん!」

僕らの物語は、ここから始まるんだ。

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 05:58:55.06 ID:2/1LKVFH0
クド「リキー」

理樹「あ、クド。おはよう」

クド「おはようございますです」

理樹「今朝はヴェルカとストレルカの散歩かあ」

クド「はいっ。もう、元気いっぱいで困りますよ」

佳奈多「…コホン」

理樹「あ、二木さん…おはよう」

佳奈多「あなた、今の今まで気づいていなかったでしょう」

理樹「そ、そんなことは…」

佳奈多「まあいいわ。行きましょう、クドリャフカ」

クド「あ、待ってくださーい」

クド「リキ、また教室でー!」

理樹「うーん!」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:07:00.31 ID:2/1LKVFH0
教室

謙吾「やべっ、英語の辞書を忘れてしまった」

理樹「またなの謙吾…って、謙吾が!?」

謙吾「しようがない、二木から借りてくる」

理樹「い、いってらっしゃい」

模範生・宮沢謙吾は一体どこにいってしまったんだろうか…。

クド「リキー」

理樹「あ、クド。お疲れさま」

クド「はい!」

理樹「?」

クド「え…?」

クド「ちょっ…リキ…!?」

理樹「はい、糸くずついてたよ」

クド「あ、糸くず…。はい、糸くずですねっ…。これは、糸くずなのです」

なんか糸くずを連呼している。面白い。

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:15:12.71 ID:2/1LKVFH0
謙吾「くっ…」

理樹「あれ? 謙吾、辞書は?」

謙吾「今日は、英語の授業がないそうだ…」

理樹「…ざ、残念だったね」

謙吾「無念だ…」

理樹「まあ、他のクラスもあるし…」

謙吾「そうだな…」

二木「宮沢」

理樹「あれ、二木さんだ」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:24:07.61 ID:2/1LKVFH0
二木「探してみたら、あったわ」

謙吾「お、おお! これだ! これがあれば生きていける!!」

二木「…あなた、そんな性格だったかしら…?」

理樹「あまり突っ込まないであげて」

二木「そ、そうするわ」

クド「佳奈多さんは義理堅いのです」

二木「そんなんじゃないわ。気が向いただけ。それじゃあね」

二木さんも初対面のときとは性格変わったような…。

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:34:53.43 ID:2/1LKVFH0
英語の授業を無事乗り切り(真人は死んでいた)お昼休み、食堂

恭介「あー、なんか最近つまんねえ」

理樹「どうしたのさ突然…」

鈴「また馬鹿が始まったのか?」

恭介「どーしたもこーしたもねーよ! あと、馬鹿はお前だ鈴!」

鈴「なにぃ!?」

謙吾「兄妹喧嘩はそこまでにしろ。で、恭介。何が言いたいんだ」

恭介「何か…燃える勝負がしたいんだよッ…!」

真人「野球があるじゃねーか」

恭介「野球だとぉ? ハッ!」

恭介「…ああ。いいな、野球」

理樹「鼻で笑ったの忘れてる!?」

恭介「もちろん、野球はいい。というか、バスターズはもはや野球チームだしな」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:40:59.24 ID:2/1LKVFH0
恭介「だが、それだけじゃつまらん。もっと多岐に渡る、様々な活動をすべきだ」

恭介「そうだろ、お前ら!」

理樹「うーん…」

鈴「お前一人でやってろ」

真人「ああー、味噌汁うまいな! おかわりしようっと」

恭介「てめーら、真面目に答えろ!」

謙吾「恭介…! お前ってやつは…!」

謙吾「俺も全く同じことを考えていたんだ! 今の生活には刺激が足りない!」

恭介「おお! そうだ謙吾! お前は分かってるな!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:48:30.38 ID:2/1LKVFH0
恭介「で、何をするか、だ」

謙吾「何をするんだ?」

恭介「そこは我がバスターズのリーダー、直枝理樹氏の出番だ」

理樹「って、僕!?」

恭介「頼むぞ理樹。お前が引っ張っていくんだ」

理樹「リーダーは恭介でしょ…全くもう」

恭介「くく、文句いいつつも案を捻り出す理樹か」

理樹「茶化さないでよ…えーと」

クド「リキー!」

理樹「あれ? クド」

葉留佳「私もいますヨー!」

理樹「葉留佳さんも?」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 06:55:56.68 ID:2/1LKVFH0
恭介「能美に三枝か。今、ちょっと取り込んでるから話は」

クド「お願いしますっリキ!」

葉留佳「ちょーっと付き合ってくれますかネ?」

理樹「何か用?」

葉留佳「まあまあ、来れば分かる、来れば分かりますよぉ」

理樹「嫌な予感しかしないんだけど」

クド「リキ…」

それでも、クドがいるならそんなに厄介なことでもないかな。

理樹「ごめん、みんな。ちょっと行ってくるよ」

恭介「おい! お前は友情より女を取るのかよ! そんな風に育てた覚えはないぞっ!」

理樹「すぐ戻るから、ね?」

鈴「よし、行ってこい理樹」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 07:11:29.09 ID:2/1LKVFH0
理樹「それで、僕に用って?」

葉留佳「ふっふっふ。聞いて驚け見て笑え!」

クド「実はですね…」

来ヶ谷「こういうことなのだ少年」

理樹「うわ!?」

突然、段ボールから飛び出てきたのは来ヶ谷さんだった。

来ヶ谷「ふむ。理樹君は驚きすぎだな」

理樹「こんなところに人が潜んでるんて思わないって…」

葉留佳「理樹君ありがとー。それじゃ、もう帰っていいよ」

理樹「こ、これだけのために呼んだのっ!?」

呆れてものも言えない。

来ヶ谷「はっはっは。理樹君。最近は退屈していたのだろう?」

葉留佳「ていうか、私も退屈してますよ姉御ー」

僕を元気づけるために…って、美談にしようとしてる!

クド「リキ、ちょっといいですか」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 07:24:45.23 ID:2/1LKVFH0
くいくいと袖を引っ張っている。

理樹「何?」

クド「あのっ、放課後…予定ありますか?」

理樹「別にないけど…」

クド「それでしたら、私とその…あの、嫌でなければそのぅ」

理樹「ああ、うん。分かった。放課後に何か手伝ってほしいことがあるんだね」

クド「あ…そうなんです!」

理樹「オッケー。覚えておくね」

クド「あ、それと…なんか、ごめんなさい、なのです…」

理樹「いや、クドはそんな関係ないしねぇ…」


クドと放課後に付き合うことになった。

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 07:30:54.26 ID:2/1LKVFH0
放課後…

恭介「理樹ぃぃぃぃ」

理樹「うわ、恭介」

恭介「ひどいじゃないか、俺たちを置いて…結局戻ってこなかった」

理樹「ああ…忘れてた」

恭介「おい!」

理樹「ああ、それと今日は予定入ってるんだ。僕は遊べないからね」

恭介「なっ…なんだよ、それ…」

理樹「なんだと言われても…」

恭介「ハハ…理樹が…理樹が遠くに行っちまう…」

落ち込んでいるが、一過性のものだろうし放っておこう。
それよりもクドだ。

理樹「クド」

クド「あ、リキ! 覚えていて下さったのですね!」

理樹「そりゃ、まあ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 07:36:48.40 ID:2/1LKVFH0
クド「本日は、お買いものがあるので…」

理樹「なるほど。荷物持ちね」

クド「あ、そんなに重いものではないのです! リキに選んでもらいたかったので…」

クド「お茶っ葉なのです」

理樹「お茶?」

クド「はい!」

理樹「分かった。僕はあまり詳しくないけど、それでよければ」

クド「あ、ありがとうございます!」




恭介「理樹…理樹…」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 07:43:55.64 ID:2/1LKVFH0
商店街…

理樹「色んなお茶があるんだなぁ」

クド「リキはどれがお好みですか?」

理樹「そうだな。やっぱり飲みやすい…ほうじ茶とかかな」

クド「それならこちらのこぅなーですね」

クド「…はっ! 今の発音、ねいてぃぶっぽくなかったですか!?」

理樹「う、うん。ぽかったね」

クド「わふーっ! リキに褒められたのですー」

楽しそうだな、クド。

…しばらくしてほうじ茶と煎茶を買って店を出た。

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 07:55:45.22 ID:2/1LKVFH0
クド「あの、リキ」

理樹「うん?」

クド「まだお時間、よろしいでしょうか…?」

理樹「うーんと」

まだ夕方の5時前だ。僕も予定なんかないし、素直に応じよう。クドだし。

理樹「大丈夫だよ」

クド「それなら、これから行きたい場所があるのですが…」

理樹「部室?」

クド「あ…はい、そうです!」

買った茶葉をさっそくふるまいたいのだろうか。

理樹「うん。行こう」

クド「ハイ!」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 08:08:47.94 ID:2/1LKVFH0
クド「ほうじ茶は30秒ほどで抽出するのがいいのですー」

理樹「へえ…そうなんだ」ズズ

クド「いかがでしょうか?」

理樹「うん、おいしいな。さすがクド」

クド「ありがとうございます」

理樹「さて、そろそろ門限かな」

クド「あ…もうですか」

理樹「それじゃあね、クド。今日はありがとう」

クド「あ…待ってくださいっ」

理樹「え?」

クド「あのっ…もしよろしければ…」

クド「これからも、お願いしてもよろしいでしょうか…?」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 08:13:20.83 ID:2/1LKVFH0
鈴田さんの声いいよね

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 08:26:12.56 ID:2/1LKVFH0
これからも…ってことは買い物とか、お茶とか?

理樹「僕でいいならもちろんだよ」

クド「あ…リキ…」

クド「…ありがとうございます、です…」

理樹「?」

何故か、顔を伏せるクド。変なことは言ってないはず…。

理樹「また明日、学校でね」

クド「はいっ…また明日、です…」

クド「…リキ」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 08:32:34.27 ID:2/1LKVFH0
しかし、その日以降クドが僕を誘う日は来なかった。

理樹「あ、クド。おはよう」

クド「! り、リキ…おはようございますです」

クド「そっそれでは失礼しますです、はい」

理樹「…」

パタパタと教室に入っていく。なんか避けられてるような…。

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 08:40:31.59 ID:2/1LKVFH0
理樹「うーん」

鈴「理樹っ」

理樹「え? あ、鈴か…」

鈴「どうした、最近元気がないぞ」

理樹「いや、そんなことないよ」

鈴「あるっ。あたしには分かる」

う…鋭い。幼馴染は分かるものなんだなぁ、やっぱり。

理樹「ありがとう、鈴。でも、大丈夫だから」

鈴「…あまり無理するな」

理樹「うん」

クド「…リキ」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 08:52:08.98 ID:2/1LKVFH0
真人「さーって、筋トレするか! 理樹、お前もどうだ!」

理樹「遠慮しておくよ」

謙吾「理樹、最近学食で新しいメニューになった『激辛麻婆丼』、挑戦してみないか?」

理樹「いや、辛いものはそんなに…」

鈴「…理樹」

大丈夫とは言ってもやはり気にしている。その姿を見て、僕の仲間が心配している。
どうにかしなくちゃ。

理樹「…クドだ」

クドが見えた。そう、僕はクドと普段通りにいってないからわだかまりになっているんだ。
自覚はないけど…原因があるはずだ。

理樹「僕、ちょっと行ってくるねっ」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 09:01:01.70 ID:2/1LKVFH0
理樹「クドっ」

クド「え…?」

クド「リ…リキ…!」

理樹「クド…ちょっと、いいかな」

クド「えと、その、ええと…! …わふー…」

理樹「あのさ、…最近、なんというかいつもと違うというか」

クド「!」

理樹「たぶん、あの放課後の一件からだよね…」

クド「あの、それはっ…!」

クド「…わふ」

理樹「クド…」

クド「…ごめんなさいです、リキ。私が、私が…」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 09:07:14.67 ID:2/1LKVFH0
理樹「いいんだよクド。謝る必要なんてない」

クド「…」

理樹「ただ、ちょっと避けられてるなって気がしてさ」

クド「わふっ!」

理樹「もしかして嫌われるようなことを」

クド「き、嫌いなんかじゃありませんっ!」

理樹「うわっ…クド?」

クド「私はっ…私は…っ!」

クド「リキのことが好きなんですっ!」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 09:16:13.61 ID:2/1LKVFH0
理樹「…へ?」

クド「リキ…リキ…ッ!!」

理樹「ク、クド…!」

クド「リキ!」

理樹「クド!」

美魚「こっ…これは一体…」

理樹「え!?」

クド「わふ!?」

僕らの目の先には西園さんがそびえ立っていた。

美魚「直枝さん…意外と大胆ですね…この衆人環視の中…」

衆人環視どころか、この廊下には3人以外ひとっこ一人いない。

美魚「見られるのが好き…ということなのでしょうか。その年で、そんなマニアックな…」

なんか誤解されまくってるぞ。

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 09:24:28.96 ID:2/1LKVFH0
美魚「卑 です!」

理樹「いや、違うからね何から何まで」

美魚「という冗談はさておいて」

美魚「直枝さん。彼女が心配そうに見詰めていますよ」

理樹「あ…」

クド「リ、リキ…」

心配というか、怯えているといった方が正しい。さっきの告白は勢いで言ったみたいだ。

美魚「さぁ、直枝さん。レディを待たせるものではないですよ」

理樹「分かってるよ…コホン」

理樹「クド」

クド「わふっ…」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 09:31:42.39 ID:2/1LKVFH0
理樹「突然で僕もかなり驚いてるけど…」

理樹「クドとあまり話せなかったこの数日間、僕は傍目から見ても落ち込んでいたんだ」

理樹「クドといつも通りに過ごせない…今まで当たり前だったことが取り払われたとき、それは苦しいものなんだって分かっていたはずなのに」

理樹「いつの間にか、クドの存在は僕の中で膨らんで膨らんで…かけがえのないものになっていったんだと思う」

クド「っ…」

理樹「クド…僕も好きだったんだ」

クド「リキ…」

理樹「クドの方から言わせちゃって、ごめんね。…もっと早くに気づいていれば」

クド「…いいえ、リキ」

クド「私…とっても嬉しいです…!」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 09:42:38.00 ID:2/1LKVFH0
理樹「うん、クド」

クド「リキ…大好きです」

理樹「僕も…好きだよ」

僕らは自然と顔を近づけ…クドの、小さて柔らかそうなくちびる目がけ…。

その先に、やはり西園さんがいた。

美魚「ひゅーひゅー」

理樹「からかわないでよっ!」

美魚「これは失礼。しかし、わたしも祝福するべきでしょう。おめでとうございます」

理樹「あ、うん…」

クド「…んーっ……?」

クドがさっきからくちびるを突き出しているものだから、ついおかしくて笑いがこぼれてしまう。

クド「え…?」

理樹「あはは、クド、いつまでやってるの」

クド「はっ! リ、リキっ!? ひどいですー!?」


キスは当分お預けかな。それでも僕は、最高の幸福を手に入れた。

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:06:40.60 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「おーい、理樹くーん」

理樹「え? 来ヶ谷さん?」

来ヶ谷「ちょうどよかった。今から私に付き合え。ちなみに、拒否権はない」

理樹「ちなみにもなにも、どうせいつものことだし…」

来ヶ谷「ん? 何か言ったか少年」

理樹「はいはい…分かりましたよ」

来ヶ谷「うむ。物わかりがいい子は好きだぞ」

理樹「…で、今日はなに?」

来ヶ谷「ああ。本日の議題は…コレだッ!」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:14:05.70 ID:2/1LKVFH0
神 北 女 史 の ● ● ● を 奪 還 せ よ ! !

理樹「…はい?」

来ヶ谷「書いてある通りだ。読んでみるといい、理解が早まるぞ」

理樹「…」

来ヶ谷「む…どうした、理樹君。何か不満か?」

理樹「不満しかないよ…」

奪還て。

理樹「…まず、なぜ小毬さん…?」

来ヶ谷「面白そうだからだ」

理樹「うん、まあそういうと思った…我ながら情けないことに」

来ヶ谷「ほう、私の考えが分かるのか。大したものだな」

理樹「…で。●●●って」

来ヶ谷「面白そうだからだ」

理樹「…」

うーん、今日はいつにもまして疲れる。

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:22:17.56 ID:2/1LKVFH0
理樹「それじゃ奪還ってなんだよ! 来ヶ谷さんのものじゃないでしょ、 着は!」

来ヶ谷「ふっふっふ。少年、こんな言葉を聞いたことはないだろうか」

うわあああ、次に来ヶ谷さんが言う言葉が分かってしまう!

来ヶ谷「お前のものはおれのもの」

来ヶ谷「おれのものもおれのもの」

理樹「…絶対言うと思ったよ」

来ヶ谷「ほう。これも分かったのか。なるほど…」

来ヶ谷「…私と理樹君は、とても相性がいいのかもしれないな」

理樹「なっ…」

来ヶ谷「ふっ。別に深い意味はないぞ?」

理樹「わ、分かってるよ!」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:31:08.92 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「さて、理樹君にその気がない以上無理強いするのも悪い」

理樹「え? 珍しいね、やめてくれるんだ」

来ヶ谷「私一人でやってみせる」

理樹「絶対だめだよっ!」

来ヶ谷「全く…理樹君、最近ノリが悪くなっているだろう」

理樹「僕は悪乗りなんかするタイプじゃないよ…」

来ヶ谷「それなら別の案を出せ、理樹君」

理樹「そんな、いきなり言われたって」

来ヶ谷「早くしないと、小毬君の下へ向かっていくぞ」

理樹「やめなって! ああもう、それじゃ今日は僕と一日、付き合ってもらう!」

来ヶ谷「なっ…」

理樹「これなら文句ないでしょ…って、来ヶ谷さん?」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:38:02.59 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「…」

理樹「…あの。来ヶ谷さん?」

来ヶ谷「…分かった」

理樹「えっ」

来ヶ谷「今日は、理樹君と一緒だ」

理樹「え、あ…うん」

来ヶ谷「…」

理樹「…」

あれ、僕何かまずいこと言っちゃったんじゃ…。

来ヶ谷「理樹君。君が言い出したんだ。ちゃんとエスコートしてもらわないと困る」

理樹「う、うん。そうだけど」

来ヶ谷さんの雰囲気が突然変わったような…。

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:47:50.58 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「…」

理樹「それじゃまずは外に出ようか…」

来ヶ谷「ああ」

理樹「…?」

おかしい。いつもの来ヶ谷さんとは明らかに違って見える。
こんなに大人しい来ヶ谷さんは初めて見た。

来ヶ谷「…で、それからどこに行くんだ?」

理樹「うーんと…」

行き先って言ってもこの辺だと商店街しかないしなぁ。
…仕方ない、行こう。

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 10:53:26.98 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「ふむ。ウィンドウ・ショッピングか」

理樹「あはは…僕がもう少しお金もちだったら良かったんだけどね」

来ヶ谷「いや…これはこれで趣があっていい」

理樹「そう言ってくれると助かるよ」

さっきから来ヶ谷さんを見てるとどうも落ち着かない様子でいる。
いつも大胆不敵かつ冷静沈着な来ヶ谷さんとは想像もつかない。
そして、そんな来ヶ谷さんを見て僕はちょっと可愛いなって…って僕は何を考えてるんだっ。

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 11:02:15.15 ID:2/1LKVFH0
理樹「ちょっと休む?」

来ヶ谷「…ん。そうだな」

理樹「じゃ、そこのファミレスに入ろう」

………………

店員「ごゆっくりどうぞ~」

理樹「…ふう」

来ヶ谷「…ふぅ」

理樹「来ヶ谷さん、何だか疲れてない?」

来ヶ谷「大丈夫だ」

理樹「そう? それにしてはいつもより元気が…」

来ヶ谷「大丈夫だ。それより理樹君の方は」

理樹「僕?」

来ヶ谷「…私といて、つまらないんじゃないのか?」

理樹「え? いや、そんなことないよ。むしろ楽しいよ」

来ヶ谷「!」

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 11:13:54.62 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「そ、そうか。楽しいのか…」

理樹「全然退屈しないからね、来ヶ谷さんと一緒だと」

来ヶ谷「…そうなのか」

理樹「まあ、いきなり小毬さんに突撃ー、とかされると困るけどね」

来ヶ谷「…ん」

…本当にどうしたのだろう。あまりにも普段と違いすぎる。
何か、温かいものでも頼もうかな。

来ヶ谷「り、理樹君。お腹が空いているだろう。おねーさんが特別におごって…」

理樹「え?」

その刹那、互いの手が触れ合った。思っていたよりずっと、来ヶ谷さんの手は温かい…。
いや、熱いくらいに火照っていた。

来ヶ谷「っ!?」

いきなりのことに驚いたのか、手を引っ込める来ヶ谷さん。

理樹「あ…ごめん」

来ヶ谷「い、いや…私の方こそ」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 11:25:48.35 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「…っ」

理樹「来ヶ谷さん、本当に大丈夫?」

来ヶ谷「り、理樹君…」

理樹「あ、うん」

来ヶ谷「私も…」

来ヶ谷「理樹君と一緒にいると、楽しいぞ…」

理樹「っ!」

ドキリとした。来ヶ谷さんがそんなことを言うとも思ってなかったし…
それに、こんなに顔を紅潮させるなんて。
…これじゃまるで、告白だ。

来ヶ谷「…い、言っておくがな」

来ヶ谷「きょ、今日に限ったことでもないからな…」

理樹「う、うん…ありがとう」

何だかとてもドキドキしてきた。

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 11:34:56.90 ID:2/1LKVFH0
理樹「あの、来ヶ谷さん」

理樹「僕も、今日だけじゃなくてさ」

理樹「いつも、いつでも僕らを楽しませてさ」

あれ…なんだろう、僕。

理樹「破天荒だけど、やっぱり楽しさが溢れてて」

勝手に口が動いて…。

理樹「そんな来ヶ谷さんに憧れてて…」

言葉が紡がれる。

理樹「…ああ」

うん。確信した。

理樹「僕、来ヶ谷さんが好きなんだ」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 13:34:11.05 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「り…理樹君…!?」

理樹「…ごめん来ヶ谷さん。いきなりこんな…」

来ヶ谷「……」

理樹「…」

来ヶ谷「…全く、理樹君には敵わないなっ」

理樹「っぷ!?」

来ヶ谷さんは突然僕を抱きしめてきた!

理樹「…っ!?」

来ヶ谷「私もっ!」

来ヶ谷「君がっ! 理樹君が好きだっ!」

理樹「…!」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 13:42:37.96 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「私がどんな風に告白しようか悩んでいたのに…私が馬鹿みたいじゃないか! はっはっは!」

来ヶ谷「理樹君! 理樹君!」

理樹「ぎゅう…」

結局、僕たちは相思相愛だった。
その事実を確認できた僕は、来ヶ谷さんの胸に圧迫されるというご褒美のような苦しみで意識を失った。

…………

来ヶ谷「…理樹君」

理樹「…ん」

来ヶ谷「…! 気づいたか、理樹君」

来ヶ谷「すまない、理樹君…私としたことが、つい舞い上がって」

理樹「…来ヶ谷さん」

来ヶ谷「強く締め上げすぎた。もう少し加減をしなければ…」

理樹「…僕たちは、恋人同士でいいんだよね?」

来ヶ谷「なっ…!? なにを突然!!」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 13:52:04.58 ID:2/1LKVFH0
来ヶ谷「…そうだ! 私と理樹君は…こ、恋人だ!」

理樹「よかった…これが夢だったら、また気絶してたよ」

来ヶ谷「…っ! あ、あまり恥ずかしいことを言わせるなっ! 馬鹿っ!」

理樹「ふふ…さっきから思ってたけど焦ってる来ヶ谷さん、可愛い」

来ヶ谷「ーっ!」

いつも人のことは弄りまくるくせに…自分が攻められると結構脆いんだなぁ、来ヶ谷さん。

理樹「来ヶ谷さん」

来ヶ谷「な、なんだ!」

理樹「これからも、よろしくね」

来ヶ谷「……」

来ヶ谷「…ああ」

来ヶ谷「これからは、ずっと一緒だからな。覚悟しろ、理樹君」

理樹「…お手柔らかに」

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 14:24:37.68 ID:2/1LKVFH0
昼休み、食堂…

真人「よっしゃ、今日は何食おうかなーっと」

謙吾「お前、そんなに昼飯が楽しみなのか」

真人「ったりめーよ! 謙吾っちは楽しみじゃねーのかよ」

謙吾「そんなもの…楽しみに決まってるだろうっ!」

理樹「二人とも、早く席に座ろうね。邪魔だからね」

鈴「謙吾も馬鹿がいたについてきたな」

馬鹿がいたにつくものとは思わなかったよ…。

恭介「よう、お前ら」

理樹「恭介」

恭介「授業お疲れさん。今日の放課後はバスターズの練習試合だからな、しっかり栄養補給しておけよ」

理樹「うん」

恭介「お前らは何食べるんだ?」

真人「『激辛麻婆丼』ってのがうまそうだな」

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 14:32:18.24 ID:2/1LKVFH0
恭介「あー…それはだな、真人」

謙吾「やめておいた方がいいと思うぞ、それは」

真人「あ? 何でだよ」

謙吾「その『激辛麻婆丼』はあまりの辛さで、完食できる生徒は一人しかいないらしい」

真人「何だとぉ!?」

恭介「俺も挑戦してみたんだが…途中でタラコくちびるになってな。あえなくリタイアだ」

理樹「へぇ、恭介もダメだったんだ」

恭介「想像を絶する辛さだな、ありゃ」

鈴「どーせお前のことだから、その生徒にカツアゲでもしにいったんだろ」

恭介「誰がカツアゲなんてするか! 21世紀だぞ、今は!」

理樹「でも恭介…話は聞きに行ったんじゃないの?」

恭介「いーや、この件は手つかずだ。どうも、入っちゃいけない領域のような気がしてな」

理樹「ふーん…」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 14:48:10.32 ID:2/1LKVFH0
謙吾「なんでも手が変形するだの、翼が生えているだの、わけのわからない噂ばかり耳にする」

恭介「ま、パンドラの匣ってやつだな」

理樹「パンドラ、ね…」

真人「決めた! 『激辛麻婆丼』頼むぜ!」

理樹「話全く聞いてない!!」

恭介「いいよ。好きにさせておけ」

鈴「アホだな」

理樹「…それにしても恭介が全く動かないなんて珍しいね。そんな変な噂があったらすぐに飛びつくはずなのに」

恭介「さっきも言った通り、これは触れちゃいけない気がするのさ」

恭介「理樹、お前も深入りすると、大変なことになるかもしれないぞ?」

理樹「う…」

…まるで僕の心を見透かすように釘を刺す。でも恭介のこの言い方…引っかかるな。
まあ、保留にしておこう。


…真人は案の定、ヒィヒィ泣きながら極悪料理と格闘していた。

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 15:01:52.78 ID:2/1LKVFH0
練習試合後…

恭介「野球部相手に14-0、完封勝ちか。もはや敵なしだな」

理樹「なんていうか、ホントリトルバスターズってめちゃくちゃだよね…。野球部に申し訳ないよ」

恭介「なーに言ってやがる。6打数6安打、2ホーマーのお前が言うセリフじゃないな」

理樹「まぐれだよ、まぐれ」

理樹「それに、鈴の方がすごいよ。野球部に対して散発の2安打、2塁も踏ませない好投だったから」

鈴「ふにゃっ!」

恭介「おう、なんだこいつ。照れてやがるな。そんなに嬉しかったか? 理樹に褒められるのが」

鈴「うっさいわ、ぼけー!」

理樹「なんだかお腹減っちゃったな…恭介、ちょっと購買に寄っていい?」

恭介「おう。だが晩飯は俺らと一緒だからな。食いすぎるなよ」

理樹「うん」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 15:18:41.71 ID:2/1LKVFH0
理樹「…タマゴサンドでいいかな」

適当に軽食を取るため、食堂に行く。

理樹「ん…?」

まだ夕食時のピークではないため、人はまばらだ。
だから、その小柄で白銀の長髪をなびかせた、異質な雰囲気を醸し出す生徒にすぐ目が留まった。

理樹「え…あのメニューってもしかして」

激辛麻婆丼…? あれは一人の生徒しか食べられないってお昼に…。

理樹「…あ」

もしかして、彼女がその生徒なのかな?
どうしよう、声をかけてみようかな。でも恭介はやめた方がいいって言ってたし。

理樹「…あれ?」

気が付くと、その生徒は消失していた。あわてて周りを見渡す。まだ生徒はあまり集まっていない。見つけるのは容易なはず…。
それなのに、完全に見失っていた。ほんのわずか、数秒間の出来事なのに。なぜ…?

176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 15:32:11.92 ID:2/1LKVFH0
理樹「…っ」

思わず寒気が走る。謙吾は確か、手が変形するとか言ってた…そんなこと、あるわけないけど。

僕は、注文を受けたおばちゃんに話を聞きに行った。

理樹「え…? いや、だって今、確かに…」

オバ「いいや、麻婆丼はお昼に大きな生徒さんが一回頼んだきりだよ」

大きな生徒…真人のことだろう。それ以来、全く注文がないだって? それじゃ、僕が見たのは一体何だ?

オバ「そもそも、あの麻婆丼、全然売れないしねぇ。今日の注文も1週間ぶりのはずよ」

おばちゃんが嘘をついているとは思えない。というか、嘘なんてつく必要なんてないし。

理樹「…ありがとうございました」

…僕の見たものは、幻覚だったのだろうか。
いや、そんなわけない。人間を見間違うわけなんかない。でも、じゃあこの状況は…。

恭介が僕に注意した理由、なんとなく分かった気がする。

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 15:57:06.07 ID:2/1LKVFH0
夕食後、理樹・真人の部屋

真人「ふっ…ふっ…!」

理樹「飽きないね、真人も」

真人「当たり前よ! 俺は怠けるのが嫌いだからな!」

少しでもその熱意を勉強に向ければいいのに。
…筋肉が満載されたテキストがあれば、あるいは…?

理樹「うっ…」

自分で想像しておいて気分が悪くなってしまった。

恭介「よう」

理樹「恭介、どうしたの」

恭介「どうしたのはお前の方だ。祝賀会だってのに、まるで敗残兵だっただろ、お前」

理樹「別にそんなんじゃ…」

恭介「…昼間のアレか」

理樹「…」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 16:08:14.87 ID:2/1LKVFH0
理樹「違うよ」

恭介「…」

理樹「ただ、ちょっと疲れてただけ」

恭介の力は、借りない。
これは、僕が解明するべきだ。

恭介「お前がそう言うなら、しょうがない」

理樹「ありがとう、恭介…」

真人「筋肉…筋肉…」

そうして僕の、探偵稼業は始まりを告げた。



―GRAND END―

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 16:14:53.24 ID:2/1LKVFH0
もう勘弁してくれ、俺が悪かった

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 16:41:20.61 ID:2/1LKVFH0
あれから一週間が過ぎた…。
麻婆生徒は影も形も現さない。朝・昼・夜と顔を出したが全く手がかりがつかめない。

理樹「幻覚だったのかな…やっぱり」

今日もまた、何も収穫を得られず引き揚げようとした。が。

理樹「…!」

いた。見つけた。小柄で銀髪、麻婆丼を運んでいる。今日はちょうど一週間。
あの子は、この時間帯に出没するのか。今度は、直接話しかけて…!

理樹「あ…あの!」

???「…え?」

反応してくれた!

???「…私が、見えるの?」

理樹「そりゃあ、見えるよ。幽霊でもないんだし」

???「そう…あなたが…」

あまり表情を崩さないが、驚いているようだ。そして、真面目な面持ちに変わる。

???「私は、立華かなで。手を貸してくれるかしら」

理樹「僕は、直枝理樹。力って…?」

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 16:52:55.50 ID:2/1LKVFH0
奏「私は、この世界の人間ではないの」

理樹「…え?」

奏「どうしてかは分からない。だけどあたしは本来、ここにいるべきではない存在」

理樹「…」

奏「誰に話しかけても、あたしを認識できなかったけど…あなたは見えるのね」

理樹「…」

トンデモ話だけど…僕は、僕たちは同じくらい、不思議な経験がある。この子の話を信じよう。

理樹「それで、僕は…」

奏「こっちよ。ついてきて」

と、そこに立華さんの前方に生徒が歩み寄る。

理樹「あ、あぶな…!」

しかし、そこには信じられない光景があった。立華さんが、生徒を真正面からすり抜けたのだ。

理樹「…!」

奏「…一応、信用してくれる根拠になったかしら」

理樹「うん…」

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 17:02:10.49 ID:2/1LKVFH0
立華さんに連れてこられた場所。そこは体育館だった。
何の変哲もない、普通の体育館だがただ一つ違ったのは。

理樹「おかしいな…誰もいないなんて」

放課後のこの時間はバスケ部が練習に明け暮れているはずなのに。
休みにしたって、一般生徒に解放されるから誰かいてもいいはず。

立華「毎週金曜日。午後5時30分から6時の間。この場所は他の時空と一線を画すの」

立華「本当は、生徒もいるのよ。見えないだけで」

理樹「…そ、そうなんだ」

信じるしかない。

理樹「僕は、何をすれば?」

立華「…もうすぐ、始まる」

理樹「始まる?」

ふと、時計を確認する。5時30分ちょうどだった。
そして、次の瞬間。

理樹「…!? な、なに、これ…」

立華「…始まったわ」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 17:09:58.16 ID:2/1LKVFH0
体育館のありとあらゆるところから湧いて出てくる黒い影。

理樹「な…なに、この影は」

奏「『影』よ」

理樹「あ、うん…まぁ、それは分かるんだけど」

奏「気を付けて」

理樹「え?」

突然、立華さんに倒された。

理樹「! ど、どうしたの…」

奏「あの影に触れてはダメ」

奏「自我を失うわ」

理樹「え…」

あまりにも急展開過ぎて頭がおいつかない。必死に理解しようとする。

奏「また…!」

理樹「くっ!」

今度はとっさによけられた。あの影は一体何なんだろう。僕たちを狙っている?

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 17:22:37.22 ID:2/1LKVFH0
奏「うまいわ。直枝くん」

理樹「でも…なんなの、これ…」

奏「…たぶん、あたしを追ってきた狩人のようなもの」

理樹「か、狩人?」

奏「あたしは無意識に、この世界へ飛ばされたわ。当初は影の反応なんてなかったけれど」

奏「気づいたら、そこに影がいた。…本当にあたしを追ってきたかどうかは分からないけど」

理樹「君の世界に、この影はいるの?」

奏「ええ。倒さなければならない、敵」

…す、すごい世界もあったものだなぁ。

奏「直枝くんは、あれを」

指の方向にはステージ。なぜか、カーテンが閉まっている。

奏「おそらく、あれが鍵。こっちとあたしの世界を繋ぐ、ワープポイントよ」

奏「あたしじゃ、影の相手をするだけで精いっぱい。直枝くん、あのカーテンをはがしてほしい」

奏「隙を見て、あたしは戻るわ。…お願い」

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 17:31:41.57 ID:2/1LKVFH0
理樹「…分かった! 任せて」

奏「…ありがとう。気を付けて」

その瞬間に、立華さんは体が変化した。腕が鋭いナイフのように変形。背中には翼が。

…噂は本当だったんだな。

立華さんが道を確保するように、影をなぎ倒していく。おかげで、負担なくカーテンまでたどり着く。

理樹「っく!?」

お、重い!? ただの布が、なぜこんなに…!

奏「!? 直枝くん、逃げてっ!!」

立華さんの声が聞こえた。僕の背後に黒い影が忍び寄っていたのだ。
慌てて逃げようとするが、タイミングが遅かった。

奏「直枝く…っ!!」


パン! パン! 


銃声が鳴り響いた。

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 17:41:11.77 ID:2/1LKVFH0
奏「直枝くんっ!」

理樹「…」

僕は無事だ。自我もあるし、体も無傷。今の銃声は、立華さんが…?

理樹「立華さんっ、僕は大丈夫!」

急いで体勢を立て直し、再びカーテンへ。すると、さっきまでの重さがどこへやら、なんなく開けることができた。
銃弾の影響かな。

理樹「立華さん!」

完全にカーテンを開く。そこから、虹色にうねり渦巻く奇妙な空間が姿を現す。

奏「間違いないわ…ここよ」

理樹「早く! 立華さん!」

影はまだ発生している。もたついていると機を逃してしまう。

奏「ええ!」

ステージに乗り、僕に顔を向ける。

奏「ありがとう…あなたのことは忘れないわ!」

理樹「うん! さようなら、立華さん!」

…午後6時。全ての時空の歪みが消えた。

197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 17:52:22.08 ID:2/1LKVFH0
翌日…

恭介「理樹!」

食堂にて。いつものように、みんなで食事をとっている。

恭介「…終わったようだな」

理樹「ああ、うん…いろいろ、大変だったけどね」

恭介「…ご苦労さん。やっぱり、お前はすげぇよ」

理樹「いやいや、そんな…」

あの出来事がつい昨日のことだったなんて信じられない。けど、それは確かにあったんだ。

真人「ん? …うわ、あいつあんなもん食うのかよ」

理樹「なに? 真人」

真人「ああ、『激辛麻婆丼』だ。あんなの、人間は食えねーよ」

真人の目線を追ったが、生徒は人混みに紛れてしまったようだ。


…ところで、あの事件で疑問に思う点が二つある。
一つは、僕を助けてくれた、銃声。立華さんかと思ったけど、手には剣だけしかなかったし。

そして、もう一つ。激辛麻婆丼を食べる生徒の噂だ。立華さんは僕以外に見える人はいないと言っていた。
…それなら一体、噂はどこから出たのだろう?

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/15(日) 18:02:55.93 ID:2/1LKVFH0
恭介「そら、ヒーロー! ごはん大盛りだ!」

理樹「ちょっ、恭介」

おそらく、来週のあの時間帯になっても何も起こらないだろう。
これからは、またいつも通り、みんなで騒ぐ生活が待っている。







???「…まったく、世話が焼けるんだから、理樹くんは」

???「…いつも、見守ってるんだからね」

???「…さて、あの子が食べてたお気に入りはどんな味かなーっと…」

???「っ!!?? か、辛ッ!! な、なによ、コレ!!? こんなの食べられないじゃないの!!」

???「…メニューの名前、確か激辛とかなんとか…」

???「フ…なによ? 自業自得、おバカなあたしってわけ?」

???「あーはっは! そうよ! あたしはいつもこんなマヌケなのよ、あーーっはっはっはっ!!」

???「…うぅ、辛い」

END