1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:20:29.88 ID:08rRNfgn0
(クソッ、人間共の城がこんなに広大なものとは……)
(しかしだだっ広いだけで、静かだな……)
(……人間は一人しかおらぬのだ。当然か)
(……いや、奴は本当に人間か?)
(しかしだだっ広いだけで、静かだな……)
(……人間は一人しかおらぬのだ。当然か)
(……いや、奴は本当に人間か?)
引用元: ・魔王「勇者! 何処だ!!」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:23:31.55 ID:hJG5P2T90
「(私ならここだ)」
(! 人間が魔王にテレパスを送るか? 送れるものか?)
「……玉座か。フンッ」
(! 人間が魔王にテレパスを送るか? 送れるものか?)
「……玉座か。フンッ」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:24:44.91 ID:hJG5P2T90
「やぁ、魔王。遅かったね。待ちくたびれたよ」
「ゆうs――え!? お前、女か!?」
「ああ。ロリでも可憐でもツンデレでも巨 でもないが、女勇者だ。済まないね」
「そ、そんな事は、わしは何でもいい!」
「では何だ、その顔は」
「いや、ふ、不満とかじゃなくて、全然、どっちかって言うと、わし的には……」
「魔王のくせに気持ち悪い奴だな。お前●●だろう。歳幾つだ?」
「…………さ、さんぜんさんじゅうろくさい……」
「否定せんのだな」
「ゆうs――え!? お前、女か!?」
「ああ。ロリでも可憐でもツンデレでも巨 でもないが、女勇者だ。済まないね」
「そ、そんな事は、わしは何でもいい!」
「では何だ、その顔は」
「いや、ふ、不満とかじゃなくて、全然、どっちかって言うと、わし的には……」
「魔王のくせに気持ち悪い奴だな。お前●●だろう。歳幾つだ?」
「…………さ、さんぜんさんじゅうろくさい……」
「否定せんのだな」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:25:25.34 ID:hJG5P2T90
「うるさい! 馬鹿にするな!! おかげで魔法使いになれたんだ!!!」
「魔王じゃないのか?」
「だから! 魔法使いから!! 進化して!! 魔王になったんだ!!!」
「魔王になっても●●か……ハッ」
「鼻で笑うな!! ●すぞ貴様ぁ!!!」
「やってみるか?」……シュル
「魔王じゃないのか?」
「だから! 魔法使いから!! 進化して!! 魔王になったんだ!!!」
「魔王になっても●●か……ハッ」
「鼻で笑うな!! ●すぞ貴様ぁ!!!」
「やってみるか?」……シュル
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:26:03.14 ID:hJG5P2T90
「い、いい、色仕掛けなどッ
ロリでも可憐でもツンデレでも巨 でもない人間の色仕掛け、など、き効かぬッ!
だから服を脱ぐではない!!」
「では目を背けるな。私を見ろ」……シュルシュル
「やめ、やめろ! やめて! わしはそんな事をしに来たのではない!!」
「だろうな。この世界には、もう私とお前しか居ないのだから」
ロリでも可憐でもツンデレでも巨 でもない人間の色仕掛け、など、き効かぬッ!
だから服を脱ぐではない!!」
「では目を背けるな。私を見ろ」……シュルシュル
「やめ、やめろ! やめて! わしはそんな事をしに来たのではない!!」
「だろうな。この世界には、もう私とお前しか居ないのだから」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:27:08.12 ID:hJG5P2T90
「…………分かっているのなら――服を着ろ!!」
「居なくなって見ると広く感じるものだな、この世界を」ゴソゴソ
「どうしてこうなったと思っている。
どうして人も魔族も、全て滅ぼした!? 勇者とは名ばかりか!!」
「……魔王が勇者を語るか。滑稽だな」
「何故わしと貴様だけが残っている!? これは何の真似だ!!」
「居なくなって見ると広く感じるものだな、この世界を」ゴソゴソ
「どうしてこうなったと思っている。
どうして人も魔族も、全て滅ぼした!? 勇者とは名ばかりか!!」
「……魔王が勇者を語るか。滑稽だな」
「何故わしと貴様だけが残っている!? これは何の真似だ!!」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:28:12.23 ID:hJG5P2T90
「男女が二人きりの世界……フフッ、アダムとイブのようだな」
「ふざけるなッ!!」
「お前など願い下げだがな」
「わしだって貴様のような殺人鬼、断固お断りだ!」
「ふざけるなッ!!」
「お前など願い下げだがな」
「わしだって貴様のような殺人鬼、断固お断りだ!」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:29:02.16 ID:hJG5P2T90
「なんと言うか、なぁ……」
「…………」
「出来心だったんだ」
「ハッ、出来心で人も魔族も滅んでたまるか」
「実際滅んでしまったがな」
「ッ……なんだ! その出来心とは!?」
「…………」
「出来心だったんだ」
「ハッ、出来心で人も魔族も滅んでたまるか」
「実際滅んでしまったがな」
「ッ……なんだ! その出来心とは!?」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:29:57.18 ID:hJG5P2T90
「タンスの金品を奪っても、どれだけ民家を物色しても、誰も私を咎めなかったんだ」
「……勇者だしな」
「誰も私に親切だ。崇められもした。
心の何処かで何かが引っかかっていたが、それでも私は戦った。人々の為に」
「貴様のおかげで魔族はこの様だ」
「ざまぁ」
「黙れ!!」
「……勇者だしな」
「誰も私に親切だ。崇められもした。
心の何処かで何かが引っかかっていたが、それでも私は戦った。人々の為に」
「貴様のおかげで魔族はこの様だ」
「ざまぁ」
「黙れ!!」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:30:34.34 ID:hJG5P2T90
「お前達の居る魔界への扉も開き、
私達コチラ側の世界からソチラ側へ行こうとした時、ふと思ったのだ」
「…………」
「何処まで「勇者だから」が通じるのか、と」
「勇者だから?」
「王宮の宝物庫、将来の居城、フィアンセ……
段々と要求や行動をエスカレートしてやった。そして」
「そして?」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:31:19.21 ID:hJG5P2T90
「そして誰もいなくなった」
「まだ早いだろう!? 端折るんじゃない!!」
「面倒な奴だな。お前にとって耳の痛い話だぞ」
「魔王に耳の痛い話とは、是非聞かせてもらおうか」
「面倒な奴だな」
「貴様が面倒なだけだろう!?」
「まだ早いだろう!? 端折るんじゃない!!」
「面倒な奴だな。お前にとって耳の痛い話だぞ」
「魔王に耳の痛い話とは、是非聞かせてもらおうか」
「面倒な奴だな」
「貴様が面倒なだけだろう!?」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:32:06.29 ID:hJG5P2T90
「魔族に操られていた人間が居た。私がそいつを殺した」
「愚かな人間の心は操りやすい。クックッ……そうやって殺しあうが――」
「だが私は何も咎められることも無く、旅を続けた」
「――なに!?」
「魔族も魔族に操られた人間も、私の前に立ち塞がる者は全て斬って捨てた」
「愚かな人間の心は操りやすい。クックッ……そうやって殺しあうが――」
「だが私は何も咎められることも無く、旅を続けた」
「――なに!?」
「魔族も魔族に操られた人間も、私の前に立ち塞がる者は全て斬って捨てた」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:32:52.71 ID:hJG5P2T90
「そんな旅を続けていると、私は天界へと召喚された」
「あやつらは勝手だからな」
「何かと思えば、突然、私は勇者には不適格だと」
「……だろうなぁ」
「だから私には消えてもらい、別の勇者を設けると言ったんだ」
「……天界での削除は魂の消滅。輪廻からも抹消か」
「あやつらは勝手だからな」
「何かと思えば、突然、私は勇者には不適格だと」
「……だろうなぁ」
「だから私には消えてもらい、別の勇者を設けると言ったんだ」
「……天界での削除は魂の消滅。輪廻からも抹消か」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:33:26.70 ID:hJG5P2T90
「そう。だがそんな話、黙って従えるものじゃあないだろう?」
「…………」
「だから、正当防衛さ。まず天界を滅ぼしてやった」
「…………人間の分際で、その意味が分かっているのか」
「あぁ、だからお前はここへ来たんだ」
「…………」
「だから、正当防衛さ。まず天界を滅ぼしてやった」
「…………人間の分際で、その意味が分かっているのか」
「あぁ、だからお前はここへ来たんだ」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:34:18.11 ID:hJG5P2T90
「人間界へ帰ると、巫女らは神のお告げが聞こえぬと喚いていたが、
そこへ行く術は私しかないのだから、バレる心配はなかった」
「もう勇者ではないな」
「世界をもう一巡りしながらも、私は無法を続けた」
「外道め」
「フフッ、言ってくれるな。
……まぁ、ゆっくりと人間界を回って再び魔界への扉の前に立った時、
誰も居なくなっていたんだ」
そこへ行く術は私しかないのだから、バレる心配はなかった」
「もう勇者ではないな」
「世界をもう一巡りしながらも、私は無法を続けた」
「外道め」
「フフッ、言ってくれるな。
……まぁ、ゆっくりと人間界を回って再び魔界への扉の前に立った時、
誰も居なくなっていたんだ」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:35:06.24 ID:hJG5P2T90
「なんの為に戦っていたか、誰の為に何を殺してきたか、
少しづつ感覚が麻痺していったんだ」
「では何のために魔界へ来た」
「だから麻痺していたんだ。何の為に何を成さねばならぬのか。
ただ最初の目的、魔王を、お前を倒す。それだけが頭から消えなかった」
「あぁ貴様ヤンデレか。眠れないわ」
「ハッハッ、面白くない奴だな。これだから●●は」
「●●の何が悪いんだああああああ!!!」
少しづつ感覚が麻痺していったんだ」
「では何のために魔界へ来た」
「だから麻痺していたんだ。何の為に何を成さねばならぬのか。
ただ最初の目的、魔王を、お前を倒す。それだけが頭から消えなかった」
「あぁ貴様ヤンデレか。眠れないわ」
「ハッハッ、面白くない奴だな。これだから●●は」
「●●の何が悪いんだああああああ!!!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:35:57.06 ID:hJG5P2T90
「ま、天も滅ぼしたし、それから益々自分がおかしくなっていたと思う」
「…………」
「魔界の事はすまないがあまり覚えていない。
ぼんやりと、ただお前の城へ向かっていた」
「今考えると恐ろしいな」
「そして最後の扉に手をかけた時、やっと気がついたんだ。
あぁ……私は何をしてるんだろうって」
「…………」
「魔界の事はすまないがあまり覚えていない。
ぼんやりと、ただお前の城へ向かっていた」
「今考えると恐ろしいな」
「そして最後の扉に手をかけた時、やっと気がついたんだ。
あぁ……私は何をしてるんだろうって」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:36:58.26 ID:hJG5P2T90
「遅すぎるだろう」
「誰も居ない世界でお前を殺して何になる。面倒くさい」
「何もならなくても面倒くさいは酷いだろ」
「いいや、面倒くさくなって、私はそこで帰ったのさ」
「…………」
「誰も居ない世界でお前を殺して何になる。面倒くさい」
「何もならなくても面倒くさいは酷いだろ」
「いいや、面倒くさくなって、私はそこで帰ったのさ」
「…………」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:37:41.22 ID:hJG5P2T90
「誰も居ない人間界に帰って来て、すぐにその異変に気がついた」
「だろうな」
「魔族は知っていたのか?」
「魔王だから知っていたのだ」
「あぁ、●●だからか」
「●●●●言うんじゃなああああい!!!」
「だろうな」
「魔族は知っていたのか?」
「魔王だから知っていたのだ」
「あぁ、●●だからか」
「●●●●言うんじゃなああああい!!!」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:38:28.20 ID:hJG5P2T90
「ならご存知の通り、空が、天が割れていた」
「天界は鼻持ちなら無いが、奴らが“世界”を保っていたんだ」
「何処へ行く当ても無かったから、とりあえず王都へ向かったんだが、
その途中もずっと天は裂け、落ち、ゆっくりと地上も溶けていった」
「天界は鼻持ちなら無いが、奴らが“世界”を保っていたんだ」
「何処へ行く当ても無かったから、とりあえず王都へ向かったんだが、
その途中もずっと天は裂け、落ち、ゆっくりと地上も溶けていった」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:39:33.96 ID:hJG5P2T90
「魔界と同じだな。お前が来た時にも崩壊は始まっていた」
「魔界なんてそんなモンかなって、思ってたんだけどね」
「そのせいでわしは貴様の侵入に気がつかなかったのだ……ッ」
「気付いた所でどうしようも無かったよ。むしろ気付いて出てきてたら、殺してた」
「……天も滅ぼしたのなら、冗談ではないな」
「魔界なんてそんなモンかなって、思ってたんだけどね」
「そのせいでわしは貴様の侵入に気がつかなかったのだ……ッ」
「気付いた所でどうしようも無かったよ。むしろ気付いて出てきてたら、殺してた」
「……天も滅ぼしたのなら、冗談ではないな」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:40:16.24 ID:hJG5P2T90
「そして此処にたどり着いて、間もなくお前もやってきた」
「わしはずいぶん貴様を探したがな。
なんだこの城は。客人を迎え入れる気がないのか」
「お前のような侵入者を防ぐ方が重要だからな。
さぁ事情は分かった? 何か言い残すことがあれば聞いてやろうか。
私も消えてしまうだろうけど。フフフッ」
「…………」
「わしはずいぶん貴様を探したがな。
なんだこの城は。客人を迎え入れる気がないのか」
「お前のような侵入者を防ぐ方が重要だからな。
さぁ事情は分かった? 何か言い残すことがあれば聞いてやろうか。
私も消えてしまうだろうけど。フフフッ」
「…………」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:41:00.24 ID:hJG5P2T90
「…………」
「……言葉も無いか? じゃあ おろしだけでもやっとく?」
「…………貴様は、本当に人間か?」
「…………どういう意味かな?」
「……言葉も無いか? じゃあ おろしだけでもやっとく?」
「…………貴様は、本当に人間か?」
「…………どういう意味かな?」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:41:56.26 ID:hJG5P2T90
「全てを滅ぼす異常な強さ、歪んだ精神、人から魔王へのテレパス……
人間ではないと考えた方が納得だ」
「異様な存在は別の存在である、か。存外、排他的だな、魔王」
「貴様自身こそ人間であると疑っておらぬのか。だからすべてを斬り捨てる事が」
「出来るさ。人は脆い。だからお前達魔族に付けいれられる。
だから簡単に壊れる。それがたまたま、勇者だっただけさ」
人間ではないと考えた方が納得だ」
「異様な存在は別の存在である、か。存外、排他的だな、魔王」
「貴様自身こそ人間であると疑っておらぬのか。だからすべてを斬り捨てる事が」
「出来るさ。人は脆い。だからお前達魔族に付けいれられる。
だから簡単に壊れる。それがたまたま、勇者だっただけさ」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:42:49.79 ID:hJG5P2T90
「ではわしへのテレパスは――」
「気付いてない? この世界の崩壊が、そこまで進んでいるんだよ」
「どういう事だ?」
「もう全てのものが、少しづつ消えかかっている。
まだ目には見えないけれど、私達の肉体も崩壊を始めている」
「!?」
「溶けかけた精神を、お前の方へ少し飛ばしてみただけさ」
「気付いてない? この世界の崩壊が、そこまで進んでいるんだよ」
「どういう事だ?」
「もう全てのものが、少しづつ消えかかっている。
まだ目には見えないけれど、私達の肉体も崩壊を始めている」
「!?」
「溶けかけた精神を、お前の方へ少し飛ばしてみただけさ」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:43:29.95 ID:hJG5P2T90
(●●●目で笑いおって……あの小娘)
(しかし本当に、もうどうしようもないのか……)
「これだけ溶け始めると、お前の考えもだだ漏れだな」
「うぉっ! や、やめろ! 聞くな!! プライバシー侵害だぞ!!」
「好きで聞いてるんじゃないんだが……」
(しかし本当に、もうどうしようもないのか……)
「これだけ溶け始めると、お前の考えもだだ漏れだな」
「うぉっ! や、やめろ! 聞くな!! プライバシー侵害だぞ!!」
「好きで聞いてるんじゃないんだが……」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:44:11.92 ID:hJG5P2T90
(クソッ……どうする、どうすんの、わし)
「ふむ……」……シュルシュル
「貴様なぜまた脱ぐ!?」
「え? いや、卒業しときたいかなぁって」
「お、おこと、お断りだ!! もし魔法使えなくなったらどうする!?」
「……もう世界も終わるんだし、どうでもいいと思うけど」
「ふむ……」……シュルシュル
「貴様なぜまた脱ぐ!?」
「え? いや、卒業しときたいかなぁって」
「お、おこと、お断りだ!! もし魔法使えなくなったらどうする!?」
「……もう世界も終わるんだし、どうでもいいと思うけど」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:44:46.73 ID:hJG5P2T90
「だ、大体、●●●●言う奴に限ってだいたい 」
「悪いが、私は無法の限りを尽くしたつもりだ」
「…………」
「なんだお前、●●厨だったのか。だからか」
「ち、厨じゃない!! それは個人のアレなんて言うかアレだと思っとるわ!!」
「悪いが、私は無法の限りを尽くしたつもりだ」
「…………」
「なんだお前、●●厨だったのか。だからか」
「ち、厨じゃない!! それは個人のアレなんて言うかアレだと思っとるわ!!」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:45:24.86 ID:hJG5P2T90
「本当に面白くない奴だな。何か心残りでもないのか」
「山ほどあるわ!! だがもう何をしても、何を残しても……意味がないではないか……」
「……魔王のほうがよほど人間らしい気がするな」
「魔族の方が本能に忠実であるのだ。天上人は理性に、人間はそれらが混沌だ」
「なるほど」
「不安定で不確定。だから貴様のような者も出来てしまったのだろう」
「山ほどあるわ!! だがもう何をしても、何を残しても……意味がないではないか……」
「……魔王のほうがよほど人間らしい気がするな」
「魔族の方が本能に忠実であるのだ。天上人は理性に、人間はそれらが混沌だ」
「なるほど」
「不安定で不確定。だから貴様のような者も出来てしまったのだろう」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:46:20.71 ID:hJG5P2T90
「はぁー……」
「…………」
「はぁー…………」
「…………」
「はぁー………………」
「…………そんなに惜しいか?」
「当たり前だ!!」
「…………」
「はぁー…………」
「…………」
「はぁー………………」
「…………そんなに惜しいか?」
「当たり前だ!!」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:47:02.88 ID:hJG5P2T90
「ふむ。では二人で残してみるか?」
「は? 何を? どうやって? どこに? 全部意味ねぇよ」
「ただでさえ面倒くさいのにグレるな」ヒュッ
「リンゴ……? 禁断の果実とでも言うつもりか」
「始まりの実だ。天界を滅ぼした時ついでに持ってきた」
「ッ!!」
「は? 何を? どうやって? どこに? 全部意味ねぇよ」
「ただでさえ面倒くさいのにグレるな」ヒュッ
「リンゴ……? 禁断の果実とでも言うつもりか」
「始まりの実だ。天界を滅ぼした時ついでに持ってきた」
「ッ!!」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:47:44.29 ID:hJG5P2T90
「私達の世界では、それが天地創造の種であると伝わっている」
「……魔界でもそうだ。始まりの実から全てが生まれた。
天上人が腹の子の命を差し出して、その実が育つのだと」
「天界のほうがよっぽど地獄だな」
「あやつらには意思など無いに等しい。だから“世界”の管理者に適任なのだ」
「……魔界でもそうだ。始まりの実から全てが生まれた。
天上人が腹の子の命を差し出して、その実が育つのだと」
「天界のほうがよっぽど地獄だな」
「あやつらには意思など無いに等しい。だから“世界”の管理者に適任なのだ」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:48:37.08 ID:hJG5P2T90
「さて……始まりの実と、男と女…………どうする?」
「なっ、ど、どうって、きききさっきさっ」
「落ち着け●●。お前の貞操を奪う気はない」
「……え? 初めから?」
「……さぁ?」
(くっ……くそビ め……ッ!)
「だからだだ漏れだって」
「なっ、ど、どうって、きききさっきさっ」
「落ち着け●●。お前の貞操を奪う気はない」
「……え? 初めから?」
「……さぁ?」
(くっ……くそビ め……ッ!)
「だからだだ漏れだって」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:49:18.60 ID:hJG5P2T90
「で、ではどうする!? 始まりの実は腹の子を食って育つのだぞ!」
「あー……子どもじゃなきゃ、いけないのかな?」
「はぁ?」
「私達を食わせる。正確にはそれをノアの箱舟とする」
「……魔界語で説明してくれ」
「あー……子どもじゃなきゃ、いけないのかな?」
「はぁ?」
「私達を食わせる。正確にはそれをノアの箱舟とする」
「……魔界語で説明してくれ」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:50:00.59 ID:hJG5P2T90
「今だから出来るんじゃないかと思う。この溶けかけた肉体と精神ならば」
「何をしようと言うのだ!」
「私がお前に精神を飛ばし、お前はそれを受け取った。
ならば、精神、可能ならば肉体も、始まりの実へと飛ばし、宿らせる」
「……リンゴの中で、生きよと言うのか!?
だがそれも、始まりの実も世界と共に消滅するのではないか!?」
「何をしようと言うのだ!」
「私がお前に精神を飛ばし、お前はそれを受け取った。
ならば、精神、可能ならば肉体も、始まりの実へと飛ばし、宿らせる」
「……リンゴの中で、生きよと言うのか!?
だがそれも、始まりの実も世界と共に消滅するのではないか!?」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:50:45.81 ID:hJG5P2T90
「産むが安し、なんて言うけど、世界を創造するほどの物だ。
そうそう消えるとは思えない」
「何の根拠にもならんな」
「始まりの実は本当に子どもを喰うのか?
子どもを、命を作るモノが揃っていれば、始まりの実は成長し得ると思う」
「……わしと、貴様、か」
「選択の余地が無いだけさ」
そうそう消えるとは思えない」
「何の根拠にもならんな」
「始まりの実は本当に子どもを喰うのか?
子どもを、命を作るモノが揃っていれば、始まりの実は成長し得ると思う」
「……わしと、貴様、か」
「選択の余地が無いだけさ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:51:22.63 ID:hJG5P2T90
「貴様は……」
「うん?」
「貴様の希望は、心残りは何か無いのか?
始まりの実になるとして、貴様はどう思うのだ?」
「私は…………」
「うん?」
「貴様の希望は、心残りは何か無いのか?
始まりの実になるとして、貴様はどう思うのだ?」
「私は…………」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:52:30.73 ID:hJG5P2T90
「この世界を滅ぼしたのは私だ。悔いも未練も許されないだろう」
「誰も居ない世界でそんな言葉に意味などあるか!! 貴様の本心を言え!!」
「…………フフッ、今のはちょっと驚いたな。本心、か……」
「…………」
「そうだなぁ……」
「誰も居ない世界でそんな言葉に意味などあるか!! 貴様の本心を言え!!」
「…………フフッ、今のはちょっと驚いたな。本心、か……」
「…………」
「そうだなぁ……」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:52:53.48 ID:08rRNfgn0
支援
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:53:21.68 ID:hJG5P2T90
「お前は嫌いじゃないよ。それ以上でも以下でもない」
「だから貴様の」
「それしか無いんだ。全て失って……いや捨ててしまったから」
「…………」
「いつでも殺せる魔王なんて、恐れるような者でもないし」
「貴様が化け物なんだ」
「だから貴様の」
「それしか無いんだ。全て失って……いや捨ててしまったから」
「…………」
「いつでも殺せる魔王なんて、恐れるような者でもないし」
「貴様が化け物なんだ」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:54:12.87 ID:hJG5P2T90
「お前となら、何か成せるかもしれないし、成せないかもしれない」
「ふん。自己意識の薄い奴め」
「魔王はもっと自己顕示欲の塊かと思っていたけど、存外そうでもないね」
「やかましい。……むっ」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:54:58.36 ID:hJG5P2T90
「視覚的にも肉体が薄れてきた、か……でも」
「始まりの実は実体を保っておるな」
「それでも、可能性はゼロじゃない。嫌ならいいさ。どっちでも」
「いまさら雰囲気の無い事を言うな」
「え? どっち?」
「始まりの実は実体を保っておるな」
「それでも、可能性はゼロじゃない。嫌ならいいさ。どっちでも」
「いまさら雰囲気の無い事を言うな」
「え? どっち?」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:55:30.66 ID:hJG5P2T90
「手を貸せ」
「あぁ行くの? 別に手とか繋がなくても」
「やかましい! わしの胸の高鳴りを返せ!!」
「……気持っち悪ッ。私はまだお前と子を成す気はないぞ」
「えぇ!?」
「あぁ行くの? 別に手とか繋がなくても」
「やかましい! わしの胸の高鳴りを返せ!!」
「……気持っち悪ッ。私はまだお前と子を成す気はないぞ」
「えぇ!?」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:56:05.27 ID:hJG5P2T90
「まぁ始まりの実の中でも意識が保っていれば、考えてやるよ」
「クッ……そんな事も分からん物に頼るしかないとは……」
「確実に消えるよりは、新たな命にかけようじゃないか」
「貴様がどっちなんだ!?」
「どっちでもいいと言っただろう」
「クッ……そんな事も分からん物に頼るしかないとは……」
「確実に消えるよりは、新たな命にかけようじゃないか」
「貴様がどっちなんだ!?」
「どっちでもいいと言っただろう」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:56:42.87 ID:hJG5P2T90
「いいか、絶対に手を離すなよ」
「……手汗が気持ち悪いから離したいな。お前ら汗も赤いし。カバか」
「…………で、どうやって意識を飛ばすのだ」
「…………魔法と同じ要領だ。一点に集中、放出、拡散だ」
「……手汗が気持ち悪いから離したいな。お前ら汗も赤いし。カバか」
「…………で、どうやって意識を飛ばすのだ」
「…………魔法と同じ要領だ。一点に集中、放出、拡散だ」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:57:42.61 ID:hJG5P2T90
「わしは物理型の魔王だったから、貴様がやれ」
「……こんな奴の為に旅をしていたのか……」
「うるさい!! 早くせんと消えるぞ!?」
「……長い旅だったが、こんな最後もいいか」
「……こんな奴の為に旅をしていたのか……」
「うるさい!! 早くせんと消えるぞ!?」
「……長い旅だったが、こんな最後もいいか」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:58:19.07 ID:hJG5P2T90
「待て。それはどういう意味だ。“最後”?」
「あぁ、言葉のあやだ。この世界の物語の、最後さ」
「本当に大丈夫なのか、おい!?」
「あぁ、言葉のあやだ。この世界の物語の、最後さ」
「本当に大丈夫なのか、おい!?」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 22:58:53.25 ID:hJG5P2T90
「小さなリンゴの物語は、また別の機会に語るとしよう」
そして誰も居なくなった。
了
そして誰も居なくなった。
了
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