1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:16:08.99 ID:VOQpUkO80
「白雪姫」
むかしむかし、あるところにルルーシュというお妃がいました。
彼女にはシャーリーという美しい娘がいて、ルルーシュはたいそう可愛がっていました。
シャーリーが7歳になったある日、ルルーシュは魔法の鏡に向かってこう言いました。
ルルーシュ 「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる……」
ルルーシュ 「この世で一番美しいのは誰か答えよ!」
パァァァァァァァ!!
ルルーシュ 「し、しまった! やめ、やめろおおおおおおおおおおおおぉ!!」
ルルーシュ 「……。この世で一番美しいのは、シ、シ……C.Cです」
C.C 「ほう、私をそんな風に思っていたのか」
ルルーシュ 「き、貴様!!」
C.C 「だが残念だ、ルルーシュ。私はお前のような童貞ボーヤには興味はない」
ルルーシュ 「く、くそおおおおおおおおおお!!」
シャーリー (……私の出番まだかなー)
むかしむかし、あるところにルルーシュというお妃がいました。
彼女にはシャーリーという美しい娘がいて、ルルーシュはたいそう可愛がっていました。
シャーリーが7歳になったある日、ルルーシュは魔法の鏡に向かってこう言いました。
ルルーシュ 「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる……」
ルルーシュ 「この世で一番美しいのは誰か答えよ!」
パァァァァァァァ!!
ルルーシュ 「し、しまった! やめ、やめろおおおおおおおおおおおおぉ!!」
ルルーシュ 「……。この世で一番美しいのは、シ、シ……C.Cです」
C.C 「ほう、私をそんな風に思っていたのか」
ルルーシュ 「き、貴様!!」
C.C 「だが残念だ、ルルーシュ。私はお前のような童貞ボーヤには興味はない」
ルルーシュ 「く、くそおおおおおおおおおお!!」
シャーリー (……私の出番まだかなー)
引用元: ・コードギアス 童話風のルルーシュ
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:19:21.14 ID:VOQpUkO80
「ウサギとカメ」
むかしむかし、あるところに足の速いスザクというウサギと、頭は良いが足の遅いルルーシュというカメがいました。
二人はとても仲良しでしたが、二人で野原を走り回ると、いつもルルーシュが遅れてしまいます。
ルルーシュ 「はぁっ、はぁっ、体力馬鹿が……」
スザク 「大丈夫かい、 ルルーシュ?」
そのたびスザクがルルーシュを気遣って手を差し伸べてくれます。
しかし、その行為をルルーシュは自分に対する辱めとしか思っていませんでした。
ルルーシュ (くそ、野生の世界は運動能力が全てだというのか……?)
ルルーシュ (僕が勝たなければ、この世界は差別に染まってしまう!!)
その日ルルーシュは、スザクにかけっこの勝負を申し込みました。
スザクはそれを快く引き受け、明朝にかけっこをすることになりました。
ルルーシュ (スザク……なんとしてでも勝ってやるからな!!)
むかしむかし、あるところに足の速いスザクというウサギと、頭は良いが足の遅いルルーシュというカメがいました。
二人はとても仲良しでしたが、二人で野原を走り回ると、いつもルルーシュが遅れてしまいます。
ルルーシュ 「はぁっ、はぁっ、体力馬鹿が……」
スザク 「大丈夫かい、 ルルーシュ?」
そのたびスザクがルルーシュを気遣って手を差し伸べてくれます。
しかし、その行為をルルーシュは自分に対する辱めとしか思っていませんでした。
ルルーシュ (くそ、野生の世界は運動能力が全てだというのか……?)
ルルーシュ (僕が勝たなければ、この世界は差別に染まってしまう!!)
その日ルルーシュは、スザクにかけっこの勝負を申し込みました。
スザクはそれを快く引き受け、明朝にかけっこをすることになりました。
ルルーシュ (スザク……なんとしてでも勝ってやるからな!!)
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:20:36.03 ID:VOQpUkO80
翌日、ルルーシュとスザクはブリタニア山の麓で落ち合いました。
ルルーシュ 「やあ、スザク。今日はよろしく頼むよ」
スザク 「ああ、ルルーシュ。君とかけっこするのは初めてだね。楽しみで、昨晩は眠れなかったよ」
ルルーシュ 「ははは……。スザク、寝不足じゃないか?目が赤いぞ……」
スザク 「そうかい?」
二人の目があいました。
それを合図に、ルルーシュが叫びます。
ルルーシュ 「やあ、スザク。今日はよろしく頼むよ」
スザク 「ああ、ルルーシュ。君とかけっこするのは初めてだね。楽しみで、昨晩は眠れなかったよ」
ルルーシュ 「ははは……。スザク、寝不足じゃないか?目が赤いぞ……」
スザク 「そうかい?」
二人の目があいました。
それを合図に、ルルーシュが叫びます。
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:22:15.41 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「枢木スザク に命ずる! お前は一割の力で走れ!」
スザク 「え、なにを……」
パァァァァァァァ!!
スザク 「ああ、わかってるよ。もちろん一割の力で走るさ」
ルルーシュ 「ふっ……」
C.C 「ルルーシュ、今日のかけっこはどうだった?」
ルルーシュ 「うるさい! お前は黙ってろ!!」
C.C 「その様子だと負けたようだな。ギアスは使わなかったのか?」
ルルーシュ 「やめろおおおおおお!! それ以上言うなあああああああ!!」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:25:20.80 ID:VOQpUkO80
「シンデレラ」
むかしむかし、あるところにナナリーという美しい少女がいました。
しかし彼女はブリタニア家に引き取ってもらった身分。
そのため、いつも三人の義姉からいじめられていました。
コーネリア 「ナナリー。私たちはこれから舞踏会へいく」
ナナリー 「はい、コーナリアお姉さま。楽しんできてください」
ユーフェミア 「ナナリー。あなたはお屋敷の掃除でもしていてくださいね。私たちがあなたのぶんまで楽しんできます」
ナナリー 「はい、ユーフェミアお姉さま。お屋敷をピカピカにして待っております」
ジェレミア 「ナナリー。おはようございました」
ナナリー 「今は夜だ。黙ってろオレンジ」
三人の姉はナナリーにひどい言葉を浴びせると、ブリタニア城へと出かけました。
むかしむかし、あるところにナナリーという美しい少女がいました。
しかし彼女はブリタニア家に引き取ってもらった身分。
そのため、いつも三人の義姉からいじめられていました。
コーネリア 「ナナリー。私たちはこれから舞踏会へいく」
ナナリー 「はい、コーナリアお姉さま。楽しんできてください」
ユーフェミア 「ナナリー。あなたはお屋敷の掃除でもしていてくださいね。私たちがあなたのぶんまで楽しんできます」
ナナリー 「はい、ユーフェミアお姉さま。お屋敷をピカピカにして待っております」
ジェレミア 「ナナリー。おはようございました」
ナナリー 「今は夜だ。黙ってろオレンジ」
三人の姉はナナリーにひどい言葉を浴びせると、ブリタニア城へと出かけました。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:30:50.72 ID:VOQpUkO80
一人掃除をするナナリー。健気に頑張る彼女ですが、やはり年頃の女の子です。
舞踏会で王子様と踊る自分を想像しては、打消し、また想像しては打ち消し……の繰り返し。
そうすると掃除も手につかなくなってしまい、ナナリーはふぅ、と溜め息をつきました。
ナナリー (私だって女の子です……。綺麗なドレスも着たいのです)
ナナリーは自分のみすぼらしい洋服を見て、更に深い溜め息をつきました。
すると、次の瞬間――彼女の前に一人の魔法使いが表れました。
C.C 「私は魔女。ナナリー、力がほしいか?」
ナナリー 「力……ですか?」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:36:31.17 ID:VOQpUkO80
C.C 「ああ、その力があれば、綺麗なドレスだって着れる。王子様と素敵な夜を過ごすこともできる」
ナナリー 「素敵……」
C.C 「条件は、0時までに帰ってくることだ。そうしないと、大変なことが起こる」
ナナリー 「わかりました。その条件、飲みます」
C.C 「良いだろう。契約だ……」
そういうと、魔法使いはア○ムの書類を数枚取り出し、ナナリーに何度かサインさせました。
最後に判子を押すと、契約は完了です。ナナリーは札束を右手に、莫大な利子をブリタニア家に背負わせて、城へと向かいました。
高級リムジンに乗り、綺麗なドレスとネックレス、そして透き通るようなガラスの靴を身につけたナナリーは、まさにお姫様のようでした。
城につきリムジンから降りると、運転手にチップを渡してナナリーは舞踏会へと向かいました。
ナナリー 「素敵……」
C.C 「条件は、0時までに帰ってくることだ。そうしないと、大変なことが起こる」
ナナリー 「わかりました。その条件、飲みます」
C.C 「良いだろう。契約だ……」
そういうと、魔法使いはア○ムの書類を数枚取り出し、ナナリーに何度かサインさせました。
最後に判子を押すと、契約は完了です。ナナリーは札束を右手に、莫大な利子をブリタニア家に背負わせて、城へと向かいました。
高級リムジンに乗り、綺麗なドレスとネックレス、そして透き通るようなガラスの靴を身につけたナナリーは、まさにお姫様のようでした。
城につきリムジンから降りると、運転手にチップを渡してナナリーは舞踏会へと向かいました。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:43:23.06 ID:VOQpUkO80
クロヴィス 「なんとお美しいお方……是非、私と踊りを」
シュナイゼル 「私と踊りはいかがでしょうか、小さなお姫様」
皇帝 「オールハイルブリタニアアア!」
舞踏会へ着くと、ナナリーはモテモテでうはうはの状態でした。
彼女はメンクイだったので、シュナイゼルを踊りの相手に選び、踊りを楽しみました。
しかし、時はやってきました。
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:50:10.57 ID:VOQpUkO80
ナナリー (いけない、もうそろそろで0時だわ! 帰らないと!)
シュナイゼル 「どうしました? お姫様」
ナナリー 「あの私、そろそろ帰らないと……」
シュナイゼル 「何故……あっ!!」
ナナリーは引き止めるシュナイゼルを無視して、全力で振り切りろうとします。
しかし、シュナイゼルがあまりにしつこかったので、最後は金にものを言わせてシュナイゼルを納得させました。
そうして、ナナリーは元いた屋根裏部屋へと戻ってきたのでした。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:55:07.29 ID:VOQpUkO80
ナナリー (素敵なひと時でした……)
C.C 「どうだった? 舞踏会は楽しめたか?」
ナナリー 「あ、はい!とっても楽しかったです!!」
C.C 「それは良かった」
ナナリー 「魔法使いさん。0時超えたら起こる大変なことって……」
C.C 「気にするな。君には関係ない」
ナナリー 「そうですか……。ありがとうございました!!」
C.C 「いい夢を見るんだぞ、ナナリー」
その夜、ナナリーはぐっすり眠りました。
その日、日付の変更と共に金融の利率が大幅に引き上げられる法律が適用されたことも、ナナリーには全く関係ありませんでした。
C.C 「どうだった? 舞踏会は楽しめたか?」
ナナリー 「あ、はい!とっても楽しかったです!!」
C.C 「それは良かった」
ナナリー 「魔法使いさん。0時超えたら起こる大変なことって……」
C.C 「気にするな。君には関係ない」
ナナリー 「そうですか……。ありがとうございました!!」
C.C 「いい夢を見るんだぞ、ナナリー」
その夜、ナナリーはぐっすり眠りました。
その日、日付の変更と共に金融の利率が大幅に引き上げられる法律が適用されたことも、ナナリーには全く関係ありませんでした。
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:59:00.66 ID:VOQpUkO80
翌日、ブリタニア城では騒ぎが起っていました。
シュナイゼル 「一同!! 昨日の娘を探すんだ!! 昨日の娘を探せ!!」
ΩΩΩ<イエス・ユア・ハイネス!
一時は金に惑わされたシュナイゼルですが、やはりナナリーのことが忘れられませんでした。
シュナイゼルは彼女を愛してしまったのです。
シュナイゼル 「しかし、顔をあまり覚えていない……。どうすればいいのだ」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 02:59:49.03 ID:VOQpUkO80
マオ 「僕に任せてください。シュナイゼル様」
シュナイゼル 「君は……」
マオ 「僕はマオ。人の心を読み取る能力を持っています。私の力を使えば……」
シュナイゼル 「素晴らしい! 今から街へ向かおう!!」
そしてシュナイゼルとマオ、その手下たちは街へと向かいました。
その様子を、一人の皇族が眺めていました。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:01:20.91 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「聞いたか、C.C。シュナイゼル兄様が、昨夜の娘を探しにいかれるそうだ」
C.C 「興味ないな。それに、どうせ彼には見つけることはできない」
ルルーシュ 「それがどっこい。マオという不思議な力をもった男を連れて行くそうだ」
C.C 「マオ!? いけない、彼を街の娘たちのもとへ向かわせてはいけない!!」
ルルーシュ 「知り合いなのかい?」
C.C 「ああ、昔のな……」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:03:09.43 ID:VOQpUkO80
一方そのころ、シュナイゼルとマオは街へと辿り着きました。
(見ろよ、皇族だぜ) (シュナイゼル様素敵……) (一体、なんの用事かしら?)
(シュナイゼル様の横にいる、あの怪しい男はなんだ?) (●●●●! ●●●●!)
マオ (これだから街は嫌いだ。人間たちは醜い……)
シュナイゼル 「どうされました? マオさん」
マオ 「な、なんでもない。さあ、早く行こうじゃないか!」
そしてマオ達は、町の娘に片っ端から質問をしていきました。
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:05:05.37 ID:VOQpUkO80
シュナイゼル 「昨晩、君はなにをしていたか教えてもらえるかい?」
ヴィレッタ (昨晩はガキの使い見て、それからカップラーメン食って……)
ヴィレッタ 「父たちと晩餐会を楽しんでおりましたわ、シュナイゼル様」
マオ (体面を保ちたいか、醜い……)
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:08:37.35 ID:VOQpUkO80
シュナイゼル 「昨晩、君はなにをしていたか教えてもらえるかい?」
ユーフェミア (昨晩は貴族の方と、一夜を共にして……)
マオ 「!!」
ユーフェミア (あの方のモノはすごかったわ。ルルーシュとは比べ物にもならない……)
マオ 「シュ、シュナイゼル様! 次へいきましょう!!」
シュナイゼル 「え、なぜだい?」
マオ 「い、いいから!(このような破廉恥な思想、聞くにたえない!)」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:10:30.73 ID:VOQpUkO80
シュナイゼル 「昨晩、君はなにをしていたか教えてもらえるかい?」
コーネリア (昨夜か……。五人の男を一度に相手して疲れたな)
マオ 「お、おうふっ!!」
コーネリア (様々な 癖をもつものもいたが……あれはあれでそそられた。私もどうやら開発されたみたいだな)
マオ 「う、うう……」
コーネリア (しかしあの、ぶっとい《自主規制》はすごかった。死ぬような快感だったな。思い出しただけで……)
マオ 「やめ、やめろおおおおおおおおおおお!!」
シュナイゼル 「マ、マオさん!?」
コーネリア (昨夜か……。五人の男を一度に相手して疲れたな)
マオ 「お、おうふっ!!」
コーネリア (様々な 癖をもつものもいたが……あれはあれでそそられた。私もどうやら開発されたみたいだな)
マオ 「う、うう……」
コーネリア (しかしあの、ぶっとい《自主規制》はすごかった。死ぬような快感だったな。思い出しただけで……)
マオ 「やめ、やめろおおおおおおおおおおお!!」
シュナイゼル 「マ、マオさん!?」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:12:58.46 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「なあ、C.C」
C.C 「なんだ?」
ルルーシュ 「なんであのマオという男、街へ向かわせてはいけなかったんだ?」
C.C 「ああ、そのことか……。気になるか?」
ルルーシュ 「もったいぶらず教えろ」
C.C 「マオはな、女の肌もほとんど知らない初心なんだよ。所謂、●●ボーヤなんだ」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:14:20.07 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「それで?」
C.C 「あそこの女たちの心はマオには少々刺激的過ぎる。そういうことだ」
ルルーシュ 「可哀想なやつだ……」
C.C 「ルルーシュ。お前が思ってる以上に、街の娘たちは●に対して解放的だぞ」
ルルーシュ 「知っている。一度ユーフェミアという娘を、ひぃひぃ言わせたからな」
C.C 「……お前も可哀想だな」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:17:01.07 ID:VOQpUkO80
玉城 「……」
玉城 「……はぁ」
ジェレミア 「おはようございました」
玉城 (なんで舞踏会で、こんなのをお持ち帰りしちまったんだろう……)
ジェレミア 「朝からもう一度、いかがです?」
玉城 「や、やめろおおおおおおお!!」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:20:09.48 ID:VOQpUkO80
「赤ずきん」
むかしむかし、森の奥深くにある小さな家に、仲の良い母娘が住んでいました。
お母さん 「カレン、ミレイさんのところへお使いにいってくれる?」
カレン 「うん!!」
お母さん 「カレンは素直でいい子ね。気をつけていってらっしゃい!!」
お母さんはカレンにリフレインを持たせると、お使いに出かけさせました。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:22:19.87 ID:VOQpUkO80
カレン 「お使いかー……。歩いていくのも面倒くさいな」
カレン 「そうだ!!」
カレンは目を輝かせると、家の裏においてある紅蓮弐式に乗り込みます。
カレン 「これならあっという間に着くわ」
紅蓮弐式と共に、カレンは森の中を疾走していきました。
39: 見てるやついんのかww? 2008/04/20(日) 03:24:22.01 ID:VOQpUkO80
一方その頃、ミレイの家では大変なことが起こっていました。
ミレイ 「な、なにするの? 狼さん」
ルルーシュ 「うるさい!! 俺は狼だ!! 狼とはすなわち、女を襲うのだ」
C.C (なんという●●思想……)
ミレイ 「誰か助けてー!!」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:27:20.38 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「ははは、どうせこんなところには誰も来やしない!」
C.C 「そうか? 原作どおりだと、このあと猟師が鉄砲をもってここへ来るぞ?」
ルルーシュ 「ふん、そのときはギアスを使えばいいさ。ふふふ……はーはっはっはっは!!」
小さな小屋に、狼の高笑いが響きました。
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:29:58.94 ID:VOQpUkO80
一方そのころ、カレンは森の中を猛スピードで駆け抜けていきます。
カレン 「やっぱり森って気持ちいい。なんていうか、こう、故郷みたいな……」
道中、素敵な花を見つけました。
紅蓮弐式のアームを使い、花をいくつか摘みました。何故か、全て燃えてしまいましたが。
カレン 「変なの……。ま、いいか」
カレンは気を取り直して、紅蓮弐式を発進させます。
ときに火を噴きながら、地面を引き裂きながら。
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:33:11.70 ID:VOQpUkO80
カレン 「あ、リスさん発見! おーい、リスさん!!」
リス 「!! う、うわあああ、来るなああああああ!!」
カレン 「あ、ウサギさん!!」
ウサギ 「逃げろおおおおおおお!!」
カレン 「あ、大きな木。素敵!」
樫の木おじさん 「く、くるなああああああ!!」
カレン 「あ、こんなところに果物!!」
ジェレミア 「……」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:36:38.31 ID:VOQpUkO80
カレン 「おかしーなー……?」
何故か、森の植物も動物もみなカレンを避けていきます。
以前はとても仲良しだったのに……。カレンは、不信感を抱きました。
カレンは紅蓮弐式から降り、森の様子を見直します。
すると、大変な状態になっていました。
カレン 「森が……私たちの森が……燃えている?」
そうです。森は大火事になっていました。
カレンが育ってきた森が、カレンを育ててきた森が。
カレン 「嘘だ。嘘だああああああああああああ!!」
カレンの悲しみと、紅蓮弐式の炎は森中を駆け抜けていきました。
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:40:58.19 ID:VOQpUkO80
そのときです。カレンは、誰かの笑い声を耳にしました。
その声は本当に愉快そうで、カレンの心情を逆撫でしているようでした。
カレン (まさか、こいつが……!!)
その声は、ある小屋から聞こえてきます。
カレンは紅蓮弐式に再び飛び乗り、小屋へと猛発進させました。
そして、「赤ずきん」こと紅蓮弐式は小屋へと突っ込みました。
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:44:08.08 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「やりでも鉄砲でも隕石でもかかってこい! ははははは!!」
ミレイ 「うう……」
C.C 「……!! ルルーシュ!!」
ルルーシュ 「ははははははっ……ぐおおおおおおおおおお!!」
ルルーシュは、突如突っ込んできた紅蓮弐式に跳ね飛ばされました。
小屋は半壊で、紅蓮弐式の炎で燃え始めています。
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:46:12.99 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「な、なんだ! 貴様は!!」
カレン 「お前に名乗る名などない! お前だな、森を滅茶苦茶にしたのは!!」
ルルーシュ 「なんの話だ!!」
カレン 「森が大火事だ! 犯人はお前以外にいないだろう!!」
ルルーシュ (どうみてもそのナイトメアのせいだろう……)
ルルーシュ 「C.C!! 猟師どころか、ナイトメアがきたぞ! これではギアスもつかえない!!」
C.C 「計画には常にイレギュラーがある。ルルーシュ、お前が一番知っているだろう?」
ルルーシュ 「う、ううっ……」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 03:47:50.39 ID:VOQpUkO80
カレン 「黙れ悪党!! 私たちの森を返せえええええええ!!」
ルルーシュ (わ、私はこんなところで死ぬのか!?)
カレン 「うわああああああああああ!!」
ルルーシュ (た、たがが小娘の勘違いで……死ぬというのか?)
ルルーシュ (ならば、死ぬ前に……)
ルルーシュ 「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! お前は全裸になれ!!」
パアァァァァァァァ!
ミレイ 「はい、わかりました」
ルルーシュ 「う、うおおおおおお!! これで死ねる!!本望だあああ!!」
C.C 「流石ルルーシュだ……。お前の死に際、しかと目に焼き付けたぞ」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:22:01.83 ID:VOQpUkO80
「ヘンゼルとグレーテル」
むかしむかし、あるところに仲の良い兄弟がいました。
男の子はヘンゼル、女の子はグレーテルという名前です。
そんなある日、二人は森で木の実をとってくるよう、母親に言われました。
ユーフェミア 「いい? ヘンゼル、グレーテル。途中でわき道にそれたりしたら駄目よ?」
ルルーシュ 「ああ、わかってるよ。母さん」
C.C 「この品行方正の私に向かって、そんな口の利き方をするか」
二人は快い返事をし、二人で仲良く森へと向かいました。
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:25:42.41 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「グレーテル。日が暮れないうちに、さっさと終わらせてしまおう」
C.C 「ああ、そうだな」
二人は森の中を出来る限り早く歩き、目的地まで向かいます。
鳥たちがギャアギャアと騒ぎ、木の葉がザワザワと揺れる。
今日の森は、ちょっと不気味でした。
ルルーシュ (なにかあったら、僕がグレーテルを守らないと……)
C.C (なにかあったら、ヘンゼルを盾にして私を守らないと……)
二人は仲がいいので、考えていることも常に一緒でした。
そんな二人が、道に迷ってしまったのはそれから数分後のことでした。
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:29:28.37 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「困ったな……」
C.C 「そうだな……。ん? ヘンゼル、なんか良い臭いがしないか?」
ルルーシュ 「え、するかい?」
C.C 「ああ、するぞ。こっちだ……」
グレーテルはなにかに釣られているかのように、ふらふらと森をさ迷います。
ルルーシュは止めようとしましたが、ついていくのが精一杯でした。
そして、しばらくすると二人は大きな家を見つけました。
ルルーシュ 「やった! ここに住んでる人に、助けてもらおう!!」
C.C 「待て、ヘンゼル。この家なんかおかしいぞ……」
グレーテルはそう言うと、家の壁に近づきます。
そしておもむろに――かぶりつきました。
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:34:37.91 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「なにをやってるんだ!!」
C.C 「ガブリ……これはピザ!!」
ルルーシュ 「え?」
C.C 「聞いて驚くがいい、ヘンゼル。この家は、ピザで出来ているぞ」
そう言うなり、グレーテルはそのピザの家をどんどん食べ始めました。
ヘンゼルは良心が痛み、ほとんどピザを口にしようとはしませんでした。
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:39:24.15 ID:VOQpUkO80
ピザの家が残り僅かになったころ、グレーテルがヘンゼルに聞きました。
C.C 「ヘンゼル、君はピザを食べないのか?」
ルルーシュ 「僕はいいよ。お腹いっぱいさ」
そのとき、ヘンゼルの腹の虫がぐーっとなりました。
二人は思わず、くすっと微笑みます。
C.C 「食べておけ、ヘンゼル。少しだけでもいい」
ルルーシュ 「じゃあ少しだけなら……」
グレーテルは、指先でほんのちょっとだけピザを千切り、ヘンゼルに渡します。
ヘンゼルは、それを口の中に放り込みました。
それと同時に、ピザの家は跡形もなく無くなってしまいました。
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:44:04.01 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「おいしい……!!」
C.C 「そうだろう。ところで、ヘンゼル」
ルルーシュ 「なんだい、グレーテル?」
C.C 「君は今、ピザを食べたな?」
ルルーシュ 「あ、うん。ちょっとだけね」
C.C 「食べたんだよな?」
ルルーシュ 「う、うん」
C.C 「そうか、それならば……」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:47:25.96 ID:VOQpUkO80
C.C 「ところでヘンゼル。この家に住んでるのは、とても怖い魔女らしい」
ルルーシュ 「そ、そんな! 大変じゃないか!!」
C.C 「ああ、なんでも子供嫌いで、子供を焼いて食ってしまうそうだ」
ルルーシュ 「は、早く帰らな……あっ!」
ヘンゼルが素っ頓狂な声をあげます。
ヘンゼルは見てしまいました。向こうから、魔女が顔を真っ赤にしてやってくるのを。
ルルーシュ 「グレーテル!! もう魔女が来てる!!」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:50:52.21 ID:VOQpUkO80
C.C 「そうだな……。私もヘンゼルもピザを食べてしまった」
ルルーシュ 「そうはいっても、999%は君が食べたじゃないか」
C.C 「パーセンテージ? そんなのは関係ない。問題は、食べたか食べてないか、だ」
ルルーシュ 「裏切るのか?」
C.C 「ヘンゼル。私とお前は、ただの共犯者だ。大人しく一緒に、魔女に許しを請おう」
ルルーシュ 「く、くそおおおおおお!!」
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:51:10.32 ID:VOQpUkO80
グレーテルにまんまとはめられたヘンゼルは、がっくりと肩を落としました。
グレーテルは、ニヤリと笑いながらヘンゼルの肩にぽんと手を置きました。
C.C 「ピザ、おいしかったな」
ルルーシュ 「黙れ!!」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 12:51:54.24 ID:VOQpUkO80
「ヘンゼルとグレーテル」 おしまい
121: 本編見てないとわからないかも 2008/04/20(日) 12:56:51.90 ID:VOQpUkO80
「マッチ売りの少女」
むかしむかし、あるところに貧乏な少女がいました。
彼女の名はニーナ。街の人たちからは、「マッチ売りの少女」と呼ばれています。
ニーナ 「マッチ、マッチはいりませんかー」
彼女はかんかん照りの日も、雨の日も、雪の日も、風の日も、マッチを売り続けます。
どんな日でも必ずマッチを打っているので、そう呼ばれるようになったのでした。
しかし、彼女のマッチは全く売れませんでした。
ニーナ 「どうして売れないんだろう……」
そんなことを呟いていると、一人の貴族が近づいてきました。
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:00:36.99 ID:VOQpUkO80
ロイド 「んー、面白そうなものを売ってるねぇ」
ニーナ 「買ってくれるんですか?」
ロイド 「マッチでしょ? 235円の」
ニーナ 「はい、そうなんです! このマッチは(ry」
そこからは少女のマシンガントークが始まります。
どうにかしてマッチを売ろうと、必死にマッチの必然性を訴えます。
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:03:26.86 ID:VOQpUkO80
ロイド 「あは! それは素晴らしい」
ニーナ 「!! じゃ、じゃあ買ってくれるんですね?」
ロイド 「残念でした~。一言も買うとはいってませ~ん」
ニーナ 「!!」
それ以来、マッチ売りの少女が現れることはなくなったそうな。
「マッチ売りの少女」 おしまい
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:06:44.22 ID:VOQpUkO80
「浦島太郎」
むかしむかし、あるところに浦島太郎というたいそう誠実な青年がいました。
彼の唯一の趣味は釣りで、今日は浜辺へと出かけます。
スザク 「今日は大量だといいな……」
スザクか浜辺へやってくると、なんと四人の子供が亀をいじめていました。
スザクはそれを見かねて、四人に声をかけます。
スザク 「君達、やめるんだ!」
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:09:29.38 ID:VOQpUkO80
千葉 「うるさい! こいつが私たちに災いをもたらすんだ!」
朝比奈 「こいつは殺すべきだ……」
仙波 「そういうことだ」
卜部 「文句あるなら、かかってこい!!」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:12:45.57 ID:VOQpUkO80
鼻息の荒い四人に対して、浦島太郎は溜め息をつきます。
そして、四人に説教を始めました。
スザク 「暴力で解決しようなんて間違ってる。
そんなに亀をいじめたいなら、自分の亀をいじめて悶えてればいいのに」
その発言のお陰もあってか、四人の子供たちはそそこさと退散していきました。
そして浦島太郎は、いじめられていた亀を介抱してやります。
134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:16:25.35 ID:VOQpUkO80
スザク 「大丈夫かい?」
ルルーシュ 「くそっ! なぜまた亀なんだ!!」
スザク 「なにをわけのわからないことを……。とりあえず、手当てをしよう」
ルルーシュ 「ふん、このお人よしが……」
浦島太郎は亀を丁寧に手当てしてやりました。
そのかいもあってか亀は元気になり、お礼に浦島太郎を竜宮城へ連れて行くといいだしました。
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:21:00.82 ID:VOQpUkO80
スザク 「いいよ、別に」
ルルーシュ 「いいから、来るんだ。そこにはこの世にはない、楽園がある」
スザク 「僕はこの世で満足している。だから、いいんだ」
ルルーシュ 「このわからずやがぁ!! 枢木スザクに命じる――」
不思議な力を使われて、浦島太郎は竜宮城へと行くことになりました。
途中海の中で何度も気を失いそうになりましたが、絶対遵守の力でそれは許されませんでした。
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:26:03.31 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「着いたぞ。降りろ、もう酸素はあるはずだ」
スザク 「夢のような話なのに、酸素不足なんて夢がないんだね」
ルルーシュ 「海に潜っていいのは、窒息する覚悟のあるものだけだ」
スザク (自分が連れてきたくせに……)
亀にうながされるままに、浦島太郎は竜宮城の本殿へと入りました。
そして、そこには可愛らしい乙姫がいました。
神楽耶 「ようこそ、竜宮城へ。うちの亀を助けてくださったそうで」
スザク 「いえ、たいしたことではありません」
神楽耶 「どうぞ、好きなだけおくつろぎください。私たちは、あなたを歓迎します」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:31:14.03 ID:VOQpUkO80
それから数年、浦島太郎は夢のような生活を楽しみました。
毎日魚たちとたわむれ、乙姫と談笑し、海を中から眺める。
争いのない生活に、浦島太郎は幸せを感じていました。
しかし、浦島太郎には気がかりが一つありました。
スザク 「乙姫、実は私にはユーフェミアという妻がいます。心配なので、今日にてここを旅立ちます」
神楽耶 「そんな……」
スザク 「楽しかった。本当にありがとうございます。……それでは」
神楽耶 「……はい。では、これを持っていってください」
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:34:45.75 ID:VOQpUkO80
スザク 「これは?」
神楽耶 「玉手箱です。ただし、いざというとき以外、決して開かないで下さい」
そして、浦島太郎は再び亀に乗って、竜宮城を出ました。
その両手に、大きな玉手箱を持って。
その背中を、乙姫様と魚たちは悲しそうに見送ります。
これから起こる、辛い現実を知っているのですから。
桐原 「大丈夫でしょうか、乙姫様。あの男、地上では既に数百年たっていると知ったら……」
神楽耶 「トラフグ、大丈夫です。このとき渡さずして、なんの玉手箱ですか。それに……」
桐原 「それに?」
神楽耶 「玉手箱には、その辛い現実を和らげるように、なるべく楽しくメッセージをこめておきましたから」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:38:42.69 ID:VOQpUkO80
地上についた浦島太郎を待っていたのは、非常な現実でした。
知ってるものは、誰もいない。両親も、最愛の妻も。
スザク 「ユフィ……」
浦島太郎は、ある墓石の前でひざをつきます。そこに刻まれていたのは、妻の名前でした。
スザク 「どうして、どうしてこんなことに……」
ルルーシュ 「浦島太郎よ、今こそ箱を開けるときではないか?」
スザク 「箱……」
何故かまだいる亀にうながされ、浦島太郎は箱を開けることにしました。
スザク 「1,2の3!!」
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:41:48.25 ID:VOQpUkO80
⊿
/ / パカ
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/ / ノヽ∩ /
/ / (,,〇) /__< 自分をー世界さえもー変えてしまえそうなー瞬間は何時もすぐ傍にー
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150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:46:10.52 ID:VOQpUkO80
箱から飛び出た物体は、そのまま海へと飛び込みました。
呆然としている浦島太郎に、亀はそっとささやきました。
そうです。浦島太郎が竜宮城にいたのはたった数年ですが、実は地上では数百年の時が経っていたのです。
乙姫様は、それを歌にこめニュアンスを変え、玉手箱にこめたのでした。
ルルーシュ 「乙姫様の気のきいたプレゼントだ。メッセージに込められた意味、しかと受け取るがいい」
スザク 「自分も、時間も、世界さえも一瞬で変わってしまうだと……。うっ、うっ、ユフィ……」
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 13:52:19.39 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「お前が泣いたって、死んだ人間は生き返らない。しょせん、自己満足。どれだけ背伸びしたって、どうせ世界は変わらない」
スザク 「うわああああああああああああああああああ!!」
ルルーシュ 「どうした!! なにが悲しい!?」
そんな様子を、一羽の鶴が見つめていました。
C.C 「亀よ、慰めてるつもりだろうが……それは追い討ちだ」
それから三日三晩、浦島太郎は叫び続けました。
そしてなんやかんやで、亀と鶴と一緒に余生を共にすることにしましたとさ。
めでたし。めでたし。
「浦島太郎」 おしまい
159: 悪い、お花を摘みにいってた 2008/04/20(日) 14:16:16.58 ID:VOQpUkO80
「狼少年」
むかしむかし、ある村に一人の少年がいました。
彼の発言はいつも、村に大騒ぎを起こさせます。
ゼロ 「力ある者よ、我を恐れよ!力無き者よ、我を求めよ!世界は我々黒の騎士団が裁く!!」
ΩΩΩ<いいぞいいぞー!!
ゼロ 「私は今ここにブリタニアからの独立を宣言する。その名は合衆国日本!!」
ΩΩΩ<ゼーロ! ゼーロ! ゼーロ!
彼の発言は、人々に勇気を与え続けました。
彼は、村の人々から愛されました。
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:20:17.82 ID:VOQpUkO80
それから数年後、村は以前と変わらないままでした。
しかし、変わったことが一つだけ。
ゼロ 「何故だ! 何故、誰も俺のいうことを信用しない!!」
C.C 「愚問だな、少年よ」
ゼロ 「なんだと!!」
C.C 「世界を裁くといっておきながら、ブリタニア軍には常に劣勢。ランスロットにいつもやられる始末」
ゼロ 「うっ……」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:23:19.28 ID:VOQpUkO80
C.C 「国を築くといいながら、最終戦争では雲隠れ」
ゼロ 「くっ、うっ……」
C.C 「そんなお前を誰が信用するか? カレンどころか、お前に首ったけの神楽耶にさえ疑われてるじゃないか」
ゼロ 「やめろおおおおおおおおおお!! 本編のことには触れるなああああああ!!」
C.C 「二期では、私を失望させないでくれよ……」
そんな少年は仲間を見捨てるニホンオオカミになぞらえて、村のみんなからは「狼少年」と呼ばれ続けたそうな。
「狼少年」 おしまい
165: ちょいと長め 2008/04/20(日) 14:25:32.97 ID:VOQpUkO80
「桃太郎」
むかしむかし、あるところに仲のいいお爺さんとお婆さんが住んでいました。
扇 「千草、山へ芝刈りに行ってくるよ」
ヴィレッタ 「いってらっしゃい。晩御飯までには帰ってきてね」
扇 「ああ、わかってるよ。いってくる」
おじいさんはおばあさんの手を握ると、ナイトメアに乗って山へ向かいました。
ヴィレッタ 「さて、川へお洗濯にいかないと……」
おばあさんは、洗濯物をもって川へと向かいました。
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:29:19.02 ID:VOQpUkO80
おばあさんはせっせと川で洗濯をします。
ヴィレッタ 「二人ぶんだからすぐ終わるわ。……子供、ほしいなぁ」
川上から大きなオレンジが流れてきました。
「全力で見逃す!」「全力で見逃す!」と擬音を立てながら、オレンジは流れてきます。
おばさんはそれに従い(別に言われなくてもそうしたが)、大きなオレンジを見逃すことにしました。
オレンジは「全力で見逃す!」「全力で見逃……ちょ、ちょっと」「全力で……おーい! え、まじで!?」と擬音を立てながら、川下へと流れていきました。
ヴィレッタ 「さて、洗濯終わり。晩御飯を作らないと」
おばさんは家へ戻り、晩御飯の支度を始めました。
そして出来上がると同時に、おじいさんが帰ってきました。
169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:33:54.21 ID:VOQpUkO80
ヴィレッタ 「お帰りなさい」
扇 「ただいま、千草。芝を刈ってたら、近くの木にこんな大きなオレンジが生っていたから、とってきたよ」
そういうと、おじいさんは大きなオレンジを床におきました。
今は擬音は発生していませんが、間違いなく川にいたオレンジです。
ヴィレッタ 「まあ、今夜は炙りオレンジね」
扇 「そうだな。半分にしよう」
おじいさんとおばあさんの談笑を尻目に、一人生死をかけた男がそのオレンジの中で息を潜めていました。
ジェレミア (俺は一体どうなるんだ……)
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:37:30.48 ID:VOQpUkO80
結局、オレンジは一刀両断されることになりました。
おじいさんが、大きな斧をとりだします。
扇 「そーれ、死ねっ!!」
ジェレミア 「う、うわああああああああああ!!」
おじいさんがオレンジに斧を振り下ろすと、オレンジは綺麗に二つに割れました。
大きなオレンジですが、中に身は一切入っていませんでした。
代わりに、貴族風の男が入っていました。おじいさんとおばあさんは、たいそう残念に思いました。
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:41:36.29 ID:VOQpUkO80
ジェレミア 「た、助けてくれてありがとう。私の名は……」
扇 「オレンジから生まれたから、レンジ太郎でどうかな?」
ヴィレッタ 「とっても素敵ね」
ジェレミア 「……」
かくして、男の名は「レンジ太郎」となりました。
男は成長期を終えていたためすくすくとは成長せず、とりあえず日々農業に従事していました。
174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:44:57.17 ID:VOQpUkO80
一年後、レンジ太郎の周りでは不穏な出来事が起こっていました。
それまでは平和だった村で、盗み、火事、殺し……。
これらは全て、ブリタニアに住むブリタニア軍たちの仕業です。
おじいさんたちイレブンは、彼らを「鬼」と呼びました。
扇 「よく聞け、レンジ太郎」
ジェレミア 「はい、おじいさん」
扇 「今我々は、鬼に苦しめられている。そこで、だ」
ヴィレッタ 「レンジ太郎、あなたに鬼を懲らしめにいってほしいの」
ジェレミア 「お世話になった二人のためとあらば、なんなりと」
こうして、レンジ太郎は鬼退治へ行くことになりました。
おばあさんからは銃を、おじいさんからはナイトメアを餞別にもらいました。
177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:47:56.73 ID:VOQpUkO80
道中、レンジ太郎は犬に出会いました。
一人では心細いレンジ太郎は、犬にこう言います。
ジェレミア 「お前、私の仲間になるつもりはないか?」
藤堂 「冗談も休み休み言ってほしい。だれがお前なんかに」
ジェレミア 「……」
犬が去ってしまったので、ジェレミアは仕方なく先に進みます。
目から汗が垂れても、決して気にしません。
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:51:56.10 ID:VOQpUkO80
次に、レンジ太郎は猿に出会いました。
さきほどのトラウマもあるけれど、レンジ太郎はめげずに言います。
ジェレミア 「お前、私の仲間にならないか?」
ルルーシュ 「いいだろう……。だがその前に」
ジェレミア 「なんだ?」
ルルーシュ 「お前のナイトメア、私にくれないか?」
パァァァァァァァ!!
ジェレミア 「もちろんだ。持っていくといい」
ルルーシュ 「ああ、ありがとう」
かくしてレンジ太郎は、猿芝居に騙されておじいさんからもらった大事なナイトメアを盗まれてしまいました。
レンジ太郎がそれに気づいたのは、日も落ちてからのことでした。胸がきりきりと痛みますが、レンジ太郎はめげません。
180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:53:46.25 ID:VOQpUkO80
ジェレミア (仲間もできず、大事なナイトメアも盗まれてしまう。俺は……)
ぐ~、とお腹が鳴ります。仕方ないので、レンジ太郎はおばあさんからもらった銃で狩りをすることにしました。
そしてそのとき、丁度良く雉が飛んできました。
ジェレミア 「ひゃあぅっ!!」
レンジ太郎は尋常ならざるスピードで、雉を打ち落としました。
183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 14:56:45.03 ID:VOQpUkO80
ジェレミア 「今夜は鍋だな……」
ディートハルト 「う……おやめください」
ジェレミア 「ほう、命乞いか?」
ディートハルト 「命だけは……」
ジェレミア 「よかろう、なら私の仲間になれ」
ディートハルト 「……はい」
かくして雉が仲間になりました。
こんな卑怯な取引をもちかけてよかったのだろうか、とレンジ太郎は三日三晩悩み続けましたが、そのうち自然に忘れてしまいました。
185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:00:59.03 ID:VOQpUkO80
それから長い旅を続けました。
ときに雉が脱走を図り、ときに雉がレンジ太郎を攻撃し、ときに雉が戦いの場で裏切り。
厳しい旅でしたが、レンジ太郎はそれを乗り越えてとうとうブリタニアに辿り着きました。
ジェレミア 「やっとここまで辿り着いたな」
ディートハルト 「そうですね」
ジェレミア 「長かったな……。なあ、もしもの話だが」
ディートハルト 「なんです?」
ジェレミア 「もし私が鬼たちを退治したら、金太郎や浦島太郎のように伝記ができるのだろうか?」
ディートハルト 「ははっ、買い被りすぎですよ」
ジェレミア 「……」
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:06:07.47 ID:VOQpUkO80
ブリタニアには、沢山のナイトメアが待ち構えていました。
どうやらレンジ太郎がブリタニアに鬼退治に来るということが、事前にリークされていたようです。
ジェレミア 「これは困ったな」
ディートハルト 「しょうがない、私の足につかまりなさい。空からいきましょう」
ジェレミア 「ああ」
これまでの旅と同様に、レンジ太郎は「空を飛ぶ」というチートを使って、ナイトメアたちをかわしていきます。
目指すは、国王のいるブリタニア城です。
189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:10:54.54 ID:VOQpUkO80
ジェレミア 「到着だ。ありがとう」
ディートハルト 「ここで、歴史が変わる瞬間が見れるなら、あなたについてきたことも無駄ではなかったかもな」
ジェレミア 「雉……」
ディートハルト 「さあ、さっさとケリをつけようじゃないか」
ジェレミア 「ああ」
しかし、一人と一匹を待っていたのは、予想だにしない人物でした。
190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:14:38.69 ID:VOQpUkO80
ヴィレッタ 「おや、レンジ太郎。ずいぶんと早かったな」
ジェレミア 「おばあさん、何故ここに……?」
ヴィレッタ 「取り戻したんだよ、記憶を。私は昔ブリタニアの任務の途中で記憶を失ってな、そこであのイレブンに拾われたんだ」
ヴィレッタ 「そうでなければ、どうして純血の私があの男のもとで生活なんかするか……」
ジェレミア 「おばあさん……」
ディートハルト (……これはこれで視聴率をとれるかもしれんな。タイトルは『実録! これが親子の残酷な運命~記憶喪失の果てに~』てな感じで……)
191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:19:12.13 ID:VOQpUkO80
ジェレミア 「おばあさん。……おじいさんは?」
ヴィレッタ 「おばあさんと呼ぶな。虫酸が走る。あのイレブンか?あいつはな……」
ヴィレッタ 「――殺した」
ジェレミア 「お、おばあさん……」
ジェレミア 「記憶をうしなってたとはいえ、優しかったおじいさんを……」
ジェレミア 「なぜ、なぜ……」
194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:22:31.65 ID:VOQpUkO80
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196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:25:26.09 ID:VOQpUkO80
ヴィレッタ 「やつがイレブンだったからさ」
ジェレミア 「たったそれだけの理由で……」
ジェレミア 「殺したというのか……」
ヴィレッタ 「そうだ」
ジェレミア 「この鬼め……。おじいさんの敵、うたせてもらおう!!」
ヴィレッタ 「来い」
197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 15:27:04.99 ID:VOQpUkO80
結論から言うと、レンジ太郎はあっさりと負けてしまいました。
しかしレンジ太郎が敗れたあと、犬と猿が雉の仲間になり、なんとかしてブリタニアをやっつけました。
犬と猿と雉は英雄となり、イレブン達から称えられました。
その後、雉監修で様々な特番も組まれました。
三匹の銅像も街に建てられました。
しかし、何故か雉の提案で、その横にオレンジの木が植えられたそうです。
レンジ太郎は仲間も宝も命さえも失いましたが、きっと天国でなにかを思っているのでしょう。
そうでなければ、ときどきその木から「全力で奴らを見逃す!」と聞こえてくるのは、何故でしょうか。
レンジ太郎は、やっぱりまだどこかで生きているのかもしれません。
「桃太郎」 おわり
254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:17:44.67 ID:VOQpUkO80
「ジャックと豆の木 」
むかしむかし、あるところにジャックという男の子がいました。
彼は一頭の牛と、お母さんと一緒に日々を過ごしていました。
スザク 「よし、今日もいっぱい搾ってやるからな!」
ジェレミア 「モ~! モ~! (ちょ、ちょっと、セクハラだぞ!!)」
スザク 「ははは、元気だな」
ジャックは牛からとれるミルクを売り、そのお金で暮らしを助けていました。
しかし、やがて牛も老いてしまい、とうとうミルクを出さなくなってしまいました。
255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:20:33.67 ID:VOQpUkO80
セシル 「しょうがないわね。スザク、この牛を売って生活の足しにしましょう」
スザク 「ごめんな、モー太郎……」
ジェレミア 「モー……(いえいえ、役に立たない私が悪いのです。お世話になりました)」
ジャックは街へ牛を引いていき、しばしお別れのときを楽しみました。
すると途中で、眼鏡をかけたおじさんに声をかけられました。
258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:24:00.42 ID:VOQpUkO80
ロイド 「あは! 君、面白そうな牛を持っているね~」
スザク 「うちのモー太郎は見世物じゃありません」
ロイド 「うんうん、大事に世話をしていたというのがよくわかるよ。毛並みも良いし、目が生き生きとしている」
スザク 「はあ……」
ロイド 「良ければ、これと交換しないか~い?」
そういっておじさんが指差したのは、大きな白いロボットでした。
その機体は白い光を放っていて、スザクは瞬く間に魅了されてしまいました。
260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:27:11.39 ID:VOQpUkO80
ロイド 「これはね、ランスロットというナイトメアなんだよ。これさえあれば、な~んでもできる。君、これを見てどう思う?」
スザク 「す、すごいです……」
ロイド 「そーだよね! どう? その牛君と交換しない? 今なら魔法のマメもつけるよ」
スザク 「あ、お願いします!!」
ジャックはランスロットに飛び乗ると、嬉しそうに操縦しながら帰りました。
そしてランスロットをお母さんに見せると、たいそう怒られました。
261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:30:42.61 ID:VOQpUkO80
セシル 「こら、スザク! 変なおじさんからナイトメア受け取っちゃだめっていったでしょ!!」
スザク 「ごめんなさい。でも……」
セシル 「でももへちまもないの! 魔法のマメだって、役に立たないと思いますよ」
そう言って、お母さんは魔法のマメを窓から放り投げました。
その晩、ジャックはお母さんの炊き込みジャムご飯を食べ、しっかりトイレで吐き出してから布団に入りました。
翌朝、ジャックは窓から外を見て驚きました。
なんと魔法のマメが木となり、天高く雲の上まで続いていたのです。
262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:33:53.55 ID:VOQpUkO80
スザク 「ランスロットに乗って、登ってみよう」
ランスロットに搭乗し、ジャックはどんどん木を登っていきます。
そしてあっという間にてっぺんに辿り着くと、大きなお城を見つけました。
そして城の中に入ると、大男が袋をもって鼾をかいて寝ています。
その袋の中には、大量の金貨が入っていました。
スザク (あれがあれば、お母さんは喜ぶはずだ! でも……だめだ)
スザク (間違った方法で手に入れた財産に、価値は無いと思うから)
ジャックはなんとか思いとどまると、その日は家に帰りました。
263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:37:07.59 ID:VOQpUkO80
翌朝、ジャックは再びお城へとやってきました。
そして中へ入ると、今度は大男が鶏とたわむれているのを見ました。
皇帝 「金の卵を産む鶏は素晴らしい。素晴らしいぞおおおおお!!」
皇帝 「オール・ハイル・ブリタニアアアアアア!!」
大男がそう叫ぶと、鶏はびっくりして金の卵を産みました。
大男はその卵を掴むと、鶏を放って部屋から出て行きました。
スザク (あの鶏を持ち帰れば、僕らの生活は豊かになるに違いない。でも、だめだ)
スザク (僕に鶏をびっくりさせるほどの、あの大男のような素晴らしく響く声をもっていないから)
その日もジャックは、なにも持ち帰らずに家に帰りました。
母子の生活は苦しいものでしたが、ジャックは盗みまでして幸せを得たいとは思っていませんでした。
264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:40:56.29 ID:VOQpUkO80
しかし次の日も、ジャックは城へ忍び込みました。
すると大男は、そのよく響く声で誰かを呼び出しました。
ユーフェミア 「はい、なんでしょうか。お父様」
スザク (う、美しい……!!)
娘に一目ぼれをしたジャックは、その晩迷わず娘を盗み出しました。
そしてそのまま結婚し、ジャックは幸せを手に入れました。
大きなマメの木は、その日のうちに切り落としてしまいました。
267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:45:17.65 ID:VOQpUkO80
彼は後々、こう語ります。
スザク 「大事なのは方法じゃないよ、結果さ」
その後、ジャックはゼロという革命家と手を組み、世界を変えていきましたとさ。
ルルーシュ 「……」
C.C 「なんだ、お前とスザクと仲良くやってるじゃないか」
ルルーシュ 「なにか、なにか間違っている気がする……」
「ジャックと豆の木」 おしまい
270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:50:26.17 ID:VOQpUkO80
「北風と太陽」
あるところに、あまり仲の良くない北風と太陽がいました。
ある日、北風が太陽に提案をしました。
ルルーシュ 「太陽よ。どっちが知己に富み、どちらが力をもっているか勝負しないか?」
スザク 「ああ、かまわないよ」
ルルーシュ 「勝負の方法はこうだ。これから通る旅人の、上着を脱がせたほうが勝ちだ」
スザク 「それでいいよ。じゃあ、どっちからやろうか?」
ルルーシュ 「先手必勝。私からやろう」
273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 19:54:37.20 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ (この勝負、上着を脱がせるのに大事なのは、旅人に上着を脱がせたいと思わせることだ)
ルルーシュ (私が風を起こせば寒がり、更に上着をしっかりと身につけるだろう。太陽が日を浴びせれば、旅人は暑がり上着を脱ぐだろう)
ルルーシュ (それはつまり、太陽の圧倒的有利。この勝負、太陽は勝利を信じて疑わないだろう。だが……)
ルルーシュ (逆にこの圧倒的不利な状況で私が勝てば、やつは完全なる敗北を認めざるをえない!!)
ルルーシュ (私にはギアスがある……パーツはそろった。 私の勝ちだ!!)
277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:00:00.75 ID:VOQpUkO80
そしてしばらくすると、北風と太陽の前に旅人が現れました。
ルルーシュ 「それじゃあ太陽、いってくるよ」
スザク 「ああ、頑張れ!!」
北風はゆっくりと地上に降りていき、旅人の前に降り立ちます。
そして旅人と目を合わせると、太陽に聞こえないような小さな声で言いました。
ルルーシュ 「北風が命じる。お前は……上着を脱げ」
280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:03:22.16 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「さ、上着を脱いでくれないか?」
C.C 「……なにを言っている。こんな寒いのに、脱ぐわけないだろう」
ルルーシュ 「な、なんだと!?」
C.C 「ぬかったな、北風よ。私にギアスは聞かない」
ルルーシュ 「く、くそおおおおおおおおおお!!」
C.C 「私に上着を脱いで欲しかったら、ピザハットのもちポテ明太子ピザでももってくるんだな」
ルルーシュ 「く、仕方がない! 待っていろ」
283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:07:38.91 ID:VOQpUkO80
北風がデリバリーでピザを注文している間に、太陽は旅人に熱風を吹き付けました。
旅人はとても暑かったので、あっさりと上着を脱ぎました。
スザク 「僕の勝ちだね。北風さん」
ルルーシュ 「そ、そんな……。馬鹿な……」
リヴァル 「ちわーっ、ピザハットですー。もちポテ明太子ピザ、お持ちしましたー」
C.C 「ああ、ありがとう。領収書は、『北風様』にしておいてくれ」
ルルーシュ 「やめろ! やめろおおおおおおおおおおおお!!」
リヴァル 「はい、かしこまりーっ」
287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:12:12.11 ID:VOQpUkO80
やっぱり自分の能力にあったことをするべきなのです。
まさに、「分不相応」といったところでしょうか。
そう考え直した北風は、とりあえずピザを食べて火照った旅人の体に涼しい風を送ってあげましたとさ。
ルルーシュ 「ふーっ! ふーっ! く、くそっ!」
C.C 「風が弱いぞ。もっと気合を入れろ」
「北風と太陽」 おしまい
294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:31:25.58 ID:VOQpUkO80
「かぐや姫」
むかしむかし、あるところに竹取りを仕事とするおじいさんがいました。
ある日、おじいさんが竹藪に入ると、その中に一本、黄金に輝く竹がありました。
扇 「不思議な竹だ。切ってみよう」
扇 「そーれ!!」
おじいさんが竹を真横にかちわると、なんと中から真珠の様に可愛らしい赤ん坊が出てきました。
おじいさんはたいそう驚き、大事に赤ん坊をかかえて家へと戻りました。
297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:36:41.06 ID:VOQpUkO80
扇 「おばあさん!! 赤ん坊だ! 赤ん坊が出てきたぞ!!」
カレン 「おじいさん……。 それはどこのどいつの子だああああ!! 答えろ!!」
扇 「ま、待て! 落ち着け!!」
カレン 「落ち着いてられるかああああ!! 行くぞ、紅蓮弐式!!」
扇 「だから違うって!! 竹の中から……」
カレン 「うるさい! これが世で流行の熟年離婚だああああああ!!」
おじいさんの浮気を疑って、紅蓮弐式を起動させようとするおばあさんをなんとかなだめて、おじいさんはことの経緯を話しました。
それを聞いたおばあさんは、とたんに上機嫌になり、赤ん坊を大事に育てよう、と二人で約束しました。
そして二人は、この赤ん坊を「かぐや姫」と名づけました。
かぐや姫は、すくすくと元気に、それでいてとても美しく成長していきました。
その美しさはたちまち都で有名になり、沢山の貴族、果ては皇族までやってくる騒ぎとなった。
303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:41:11.05 ID:VOQpUkO80
玉城 「おーい、かぐやの君よ!! 俺だ! 中納言が迎えにきたぞ!!」
扇 「かぐや姫、中納言様がお見えになっているぞ」
神楽耶 「お断りです! だって中納言様、口ばっかなんですもの!!」
マオ 「かぐや姫~! 僕が来たよ~!!」
カレン 「かぐや姫、大納言さんがいらっしゃったよ」
神楽耶 「お断りです! だって大納言様、私の心を読み取るんですもの!!」
皇帝 「オール・ハイル・ブリタニアアアアアアア!!」
扇 「かぐや姫、皇太子様が……」
神楽耶 「お断りです!!」
307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:44:52.20 ID:VOQpUkO80
しかしかぐや姫は、どんなに名声を受けていても、どんなに財産があろうとも、どんなに地位が高くとも、誰一人としてその顔を見せようとはしませんでした。
もちろんそれには、理由がありました。
神楽耶 「拝啓、ルルーシュ様。今宵の満月はとても美しく……」
神楽耶 「……だめです。今日は書ける気がしません」
神楽耶 「ルルーシュ様……。私の将来の夫、ルルーシュ様……」
そう、かぐや姫は恋をしていたのです。
その青年はルルーシュといい、かぐや姫の屋敷の使用人でした。
それゆえ、かぐや姫はおじいさんとおばあさんに打ち明けることもできず、日々悩んでいました。
309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:47:07.93 ID:VOQpUkO80
ある日、ルルーシュが屋敷の清掃をしていました。
それを見つけたかぐや姫は、ルルーシュのもとに駆け寄ります。
神楽耶 「ルルーシュ様!! お待ちしておりました」
ルルーシュ 「おやめ下さい、お姫様。私のようなものに、様付けなど」
神楽耶 「いいのです! これは私の命令です。様付けをさせなさい!!」
ルルーシュ 「ははっ、姫様の頼みとあらば断るわけにもいかないな」
神楽耶 「はい!!」
それからかぐや姫は、ルルーシュと楽しくお話をして過ごしました。
ルルーシュと話していると、かぐや姫は普段見せないようなとびきりの笑顔を見せました。
311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:50:14.72 ID:VOQpUkO80
ある晩、おじいさんとおばあさんがかぐや姫を呼び出しました。
神楽耶 「なんですか? お話って」
扇 「かぐや姫、お前はどんなお方の求婚も頑なに断ってきたな」
カレン 「今まで、なにかそうとうな理由があるのかと思っていたわ」
扇 「だが、かぐや姫。私たちはがっかりだ。まさかその理由が……あの使用人だったなんて」
神楽耶 「!!」
扇 「私たちはあまり良く思ってないのだ。あの使用人である、ルルーシュという男にお前が好意を寄せることを」
カレン 「かぐや姫、考えなさい。末永い幸せを考えたときに、あなたはやはり皇族たちと……」
神楽耶 「お断りします!!」
扇 カレン 「!!」
312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:53:23.76 ID:VOQpUkO80
神楽耶 「なぜ、愛してもいない方と一生を共にしなければいけないのですか!?」
神楽耶 「なぜ、長く豊かに暮らすことを、幸せとするのですか!?」
扇 「かぐや姫……」
神楽耶 「私には、私にはもう……。長い時間など残されていないというのに」
扇 カレン 「……」
神楽耶 「月は、もう近い……」
かぐや姫は悲しそうな顔をすると、そのまま無言で立ち去ってしまいました。
おじいさんとおばあさんは、その様子をただ見ていることしかできませんでした。
316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:56:45.16 ID:VOQpUkO80
それから、かぐや姫の様子は変わっていきました。
毎日毎日部屋にこもり、夜には月を眺めます。おじいさんおばあさんとも口を利かなくなり、食事もとらなくなりました。
おじいさんとおばあさんは、かぐや姫は病に伏せられたと皇太子達に伝えました。
ある満月の晩、おじいさんとおばあさんは、かぐや姫のことで話し合いをしていました。
扇 「やはり、あの使用人を解雇したから……」
カレン 「それで、かぐや姫は……」
二人が自分たちの行為を悔いていると、襖が開きました。
そこには、かぐや姫が立っていました。
神楽耶 「それは違います。おじいさん、おばあさん」
神楽耶 「これにはわけがあるのです……」
かぐや姫は、ゆっくりと理由を話し始めました。
318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 20:59:43.01 ID:VOQpUkO80
かぐや姫は、この世界の人間ではないこと。
手違いによって、竹の中に生れ落ちたこと。
本来は月の世界の住人であり……今宵、月の使者のお迎えがくること。
神楽耶 「私はもう月の世界に帰らなければなりません。」
神楽耶 「ルルーシュ様に会えないことは悲しいことです」
神楽耶 「でもそれ以上に、私はお二人と別れることが悲しいのです。私の……お父さん、お母さん」
扇 「かぐや姫……」
カレン 「うぅ……」
神楽耶 (ごめんなさい……)
このとき、かぐや姫は嘘をつきました。
かぐや姫の心は、おじいさんとおばあさんより、ルルーシュのことを思っていたのです。その思いは、彼女自身にはどうすることもできません。
しかし、今までお世話になった御恩として、とても小さな、しかし大きな嘘をついたのでした。
321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:03:17.11 ID:VOQpUkO80
その夜、おじいさんとおばあさんは皇太子たちに頼み、屋敷の周りを護衛してもらいました。
月の使者が来ても、かぐや姫を連れて行かれないようにするためです。
扇 「かぐや姫、お前は私たちの娘だからな」
カレン 「私たちが、絶対守るからね」
神楽耶 「……」
そして、月が完全に満ちた頃、月の使者たちはやってきました。
シュナイゼル 「おお、かぐやよ。わが娘、美しきかぐやよ」
コーネリア 「ずいぶん美しく育ったものだ。そこの二人、礼を言う」
扇 カレン 「……」
神楽耶 「父上、母上……」
おじいさんおばあさんはおろか、護衛人さえも、そのあまりの神々しさに動くことはできません。
神楽耶 (ルルーシュ様……)
かぐや姫が、月の牛車に乗ろうとした、そのときでした。
月の使者が来ても、かぐや姫を連れて行かれないようにするためです。
扇 「かぐや姫、お前は私たちの娘だからな」
カレン 「私たちが、絶対守るからね」
神楽耶 「……」
そして、月が完全に満ちた頃、月の使者たちはやってきました。
シュナイゼル 「おお、かぐやよ。わが娘、美しきかぐやよ」
コーネリア 「ずいぶん美しく育ったものだ。そこの二人、礼を言う」
扇 カレン 「……」
神楽耶 「父上、母上……」
おじいさんおばあさんはおろか、護衛人さえも、そのあまりの神々しさに動くことはできません。
神楽耶 (ルルーシュ様……)
かぐや姫が、月の牛車に乗ろうとした、そのときでした。
324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:06:39.59 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「ちょっと待ってくれ!!」
神楽耶 「ルルーシュ様!!」
シュナイゼル 「なにものだ?」
ルルーシュ 「ただの使用人だ。いや、元・使用人と言うべきか。……あなたたちに、言いたいことがある」
コーネリア 「……」
ルルーシュ 「今まで娘を放っておき、突然やってきて、あげくの果てに育ての親から娘を奪うとはなにごとか!!」
シュナイゼル 「!!」
325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:09:06.23 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「それが子に対する、親のすべきことなのか? 傷つく人ばかりで、自分たちさえ良ければどうでも良いのか!?」
コーネリア 「すまなかった。本当にすまなかった……」
ルルーシュ 「……泣き落としなぞ」
シュナイゼル 「……元・使用人さん。私たちの行為は、決して許されるものではない。だが……」
シュナイゼル 「私たちも苦しかった。この行為が、どれだけの人を傷つけるかと思うと」
シュナイゼル 「だがそれに耐えてここに来たのは……やはりわが娘のことを、それだけ愛しく感じているだと思っています」
神楽耶 「……」
327: なんか臭くてごめん 2008/04/20(日) 21:11:35.59 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「……。よかろう、ならば試してやる」
ルルーシュ 「あなたがたの愛の深さをな!! ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、あなたがたはその愛の深さだけ涙の粒を流せ!!」
パァァァァァァァァァ!!
シュナイゼル 「う、う、うぅ……。う、うう、私の娘よ……!!」
コーネリア 「うっ、うっ、私は、私は……お前を……愛しているぞ」
二人の涙は、たちまち川となり、湖となり、そしてとうとう一つの大きな海を作り出しました。
二人はそれほど、かぐや姫を愛していたのです。
329: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:13:32.11 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ (……そうか。私は愚かだった)
彼は、それを見てひしひしと感じました。
やはり血の繋がりというのは、かけがえのないものなのだと。
ルルーシュはかぐや姫の手を握り、そっと言います。
ルルーシュ 「姫様、あの二人のところにおられればきっと幸せに過ごすことができるでしょう。……今以上に」
神楽耶 「……」
ルルーシュ 「私めの茶番により、ご出発の儀を汚してしまい申し訳ありませんでした」
ルルーシュ 「せめて、お見送りだけは……」
神楽耶 「なりません!!」
330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:15:42.87 ID:VOQpUkO80
叫んだかぐや姫の瞳には、うっすらと涙の膜がはっていました。
彼女はそれに思いを込めるように、ルルーシュに向かって叫びます。
神楽耶 「どうして、どうして愛するものの側を、永遠に離れることができましょうか!?」
神楽耶 「最愛の人がいない世界に、本当の幸せなどあるのでしょうか!?」
神楽耶 「私は、私はこんなにあなたを愛しているのに……」
涙は思いとなって、溢れ出しました。
彼女の思いを受け止めると、ゼロはかぐや姫の両頬を手で包みます。
333: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:17:05.80 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「私も、あなたを愛していました」
神楽耶 「じゃ、じゃあ……」
ルルーシュ 「しかし、それ以上にあの二人はあなたを愛しています。私の涙では、せいぜい湖程度しかできません」
ルルーシュ 「そうです、姫様。永遠に幸せでいられるのです」
神楽耶 「ルルーシュ様……?」
ルルーシュ 「最後に、一つだけ願いがあります。私を愛しているのなら、私の目をその大きな瞳で見つめて下さい」
神楽耶 「はい……」
ルルーシュ 「さようなら、かぐや姫。……ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる――」
335: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 21:19:17.30 ID:VOQpUkO80
それからすぐに、かぐや姫は月へと帰っていきました。
おじいさん、おばあさんはたいそう悲しみ、病に伏してしまいました。
一方ルルーシュは、満月を見つめながら懺悔をしていました。
小さな嘘をついたという、大きな罪を――。
ルルーシュ (姫様、本当は私は……)
星が、ゆっくりと流れていきました。
それから数十年後、あのときできた涙の海は「かぐやの海」と名づけられていました。
表向きの、一般に伝わっている呼び名は――「愛の海」。
しかし、ただ一人の男だけは、自分を戒めてこう呼んだそうです。
「偽りの海」と。
「かぐや姫」 おしまい
おじいさん、おばあさんはたいそう悲しみ、病に伏してしまいました。
一方ルルーシュは、満月を見つめながら懺悔をしていました。
小さな嘘をついたという、大きな罪を――。
ルルーシュ (姫様、本当は私は……)
星が、ゆっくりと流れていきました。
それから数十年後、あのときできた涙の海は「かぐやの海」と名づけられていました。
表向きの、一般に伝わっている呼び名は――「愛の海」。
しかし、ただ一人の男だけは、自分を戒めてこう呼んだそうです。
「偽りの海」と。
「かぐや姫」 おしまい
399: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 22:54:45.08 ID:VOQpUkO80
「三匹の子豚」
むかしむかし、あるところに三匹の子豚がいました。
一番年下の子豚は、スザク。
真ん中の子豚は、ジェレミア。
一番年上の子豚は、ルルーシュといいました。
ある日、三匹のお母さんがこう言いました。
咲世子 「三匹とも、よく聞いて下さいね。あなたたちはね、今日からこの家を出なければいけないのよ」
401: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 22:57:29.65 ID:VOQpUkO80
スザク 「わかりました、お母さん」
ジェレミア 「承知いたしました、お母様」
ルルーシュ 「何故です? お母さん」
咲世子 「なにがなんでもです。あなた達は、それぞれ各自で家を建ててもらいます」
スザクは正直者、ジェレミアは心優しいのですが、ルルーシュはちょっと捻くれていました。
咲世子はルルーシュの性格を直すためにこの計画を思いついたのですが、ルルーシュだけでは拗ねてしまうので、三匹同時にしたのでした。
407: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:00:58.84 ID:VOQpUkO80
こうして、三匹は家を出て、大野原に各自の家を建てることになりました。
スザクはちょっと自信なさげ、ジェレミアは上の空、ルルーシュは自信たっぷりのようです。
ルルーシュ 「なあ、君たちはどんな家を建てるつもりなんだい?」
スザク 「僕はとりあえず、頑丈な家を作ろう」
ルルーシュ 「ふっ、その程度か。機能性・便利性なくては、いずれその家に飽きよう」
ジェレミア 「私はとりあえず、庭で果物を育てようと思う」
ルルーシュ 「ほう、趣味を取り入れるか。しかし、それでは住居性に乏しくなるだろう」
スザク 「じゃあ、兄さん。あなたはどんな家を建てるんですか?」
ルルーシュ 「ははっ、それは見てのお楽しみさ」
スザク (う、うぜえ……)
413: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:04:25.03 ID:VOQpUkO80
三人の間に不穏な空気が流れましたが、なんとかみんな取り繕いながら進んでいきます。
そして大野原に辿り着いたところで、三人は別行動をすることにしました。
まず、三男のスザクは頑丈なレンガを探しにいきます。
街までいって、レンガを大量にわけてもらいました。
スザク 「これだけレンガがあれば、立派な家ができるぞ!!」
スザクはせっせと作業を始めました。
次男のジェレミアは、オレンジの木を探しに行きました。
森までいって、大量のオレンジをわけてもらいました。
ジェレミア 「これさえあれば、寒さもしのげるぞ!!」
ジェレミアはオレンジの中に体をうずめると、いびきをかきはじめました。
どうやら彼の家は、完成したようです。
419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:08:08.28 ID:VOQpUkO80
さて、長男のルルーシュはどうでしょう。
なにやら、携帯電話を片手に指示を出しています。
ルルーシュ 「ああ、P班は鉄筋を用意しろ。もちろん数はごまかすなよ」
ルルーシュ 「扇たちは、コンクリートとセメントを用意してくれ。道具一式も忘れずにな」
ルルーシュ 「四聖剣はそうだな、タイルとバスタブを用意してくれ。憩いの場もほしい」
ルルーシュ 「ああ、よろしく」
ルルーシュ (パーツは揃った……)
ルルーシュは電話を切ると、彼らが到着するのを待ちました。
426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:12:06.54 ID:VOQpUkO80
夜になると、それぞれの家が完成しました。
スザクの家は、レンガ造りの頑丈な平屋。
スザク 「暖炉あたたかいな……」
ジェレミアの家は、オレンジ畑。
ジェレミア 「私は貴族だ。貴族なんだ……」
ルルーシュの家は、3DKユニットバス二階建ての邸宅。
ルルーシュ 「耐震性、耐火性、防犯……全て完璧だ」
それぞれ、自分の家でくつろいでいました。
しかし、そのときです。
森のほうから、轟音が響きます。
429: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:15:24.95 ID:VOQpUkO80
カレン 「うおおおおおおおおおおお!!」
なんと紅蓮弐式にのった狼、カレンが大野原へ降りてきたのです。
目的はわかりませんが、このままでは彼らの家は大変なことになってしまいます。
まず、カレンはジェレミアの家へやってきました。
カレン 「子豚くん、子豚くん、中にいれておくれ……って、玄関もないただのオレンジ畑じゃないかああああ!!」
ジェレミア 「な、なんだ!?」
ジェレミアは何故かカレンの逆鱗にふれ、家(オレンジ畑)を燃やされてしまいました。
家を失くしたジェレミアは、急いでルルーシュの家へと逃げ込みます。
435: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:18:19.59 ID:VOQpUkO80
――ルルーシュの家
ルルーシュ 「ふふふ、はーっははっはっは! この家は僕だけの世界だ!!」
ルルーシュ 「私はここに、ルルーシュ王国の建国を宣言する!!」
ジェレミア 「兄さん、一人のときはこんなことを……」
ルルーシュ 「……」
441: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:22:18.60 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「いつの間に入った!?」
ジェレミア 「そんなことより大変だ!! 火を吐く狼に襲われた!! じきにここも襲われる!!」
ルルーシュ 「安心しろ、この家は耐火性もばっちりだ……。な、なんだ!?」
次の瞬間、玄関がまるごと吹き飛ばされました。
どうやら、紅蓮弐式が突っ込んできたようです。
ルルーシュ 「なにが狼だ!! ナイトメアじゃないか!!」
443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:26:10.72 ID:VOQpUkO80
カレン 「子豚くん、子豚くん、中にいれておくれ……って、もう中に入ってるじゃないかああああああ!!」
ルルーシュは何故かカレンの逆鱗にふれ、家を内部から破壊されてしまいました。
ルルーシュ 「なんということだ。これが狼……違いすぎる」
ジェレミア 「早くしろ! スザクの家へ逃げないと!!」
ルルーシュ 「く、くそ! ナイトメアが家を壊しにくるというのはイレギュラーだった……」
ジェレミア 「いいから早く!!」
二人は、急いでスザクの家へ向かいました。
447: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:30:26.73 ID:VOQpUkO80
――スザクの家
ルルーシュ 「スザク!! スザク!!」
ルルーシュとジェレミアは必死にドアを叩きます。
スザク 「兄さんたち! どうした!!」
ジェレミア 「とりあえず、中へ入れてくれ!!」
スザクは二人を家の中へ案内し、温かいお茶を入れてあげました。
そして二人を落ち着かせると、事情を聞きだします。
453: 2008/04/20(日) 23:36:05.60 ID:VOQpUkO80
スザク 「そんな、ナイトメアに乗った狼が……」
ジェレミア 「ああ、ここも時期に襲われよう」
ルルーシュ 「とんでもない想定外だった。私の家でも潰されたのだから、スザクの家ではひとたまりもあるまい」
しかし、スザクはにこりと笑います。
そして小さなキーを取り出しました。
スザク 「こんなこともあろうかと……ね」
そういうと、スザクは家の外に出ました。
ルルーシュとジェレミアは、それに従います。
455: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:37:45.44 ID:VOQpUkO80
カレン 「 私は悪い狼だああああ!!」
ルルーシュ 「なに、もう来ただと!?」
ジェレミア 「ど、どうする!?」
スザク 「大丈夫さ。こんなときのために、ランスロットを用意しておいた」
スザクはそう言うと、家の裏手にまわりランスロットに乗降します。
456: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:41:14.39 ID:VOQpUkO80
ルルーシュ 「でかしたぞ、スザク!!早く乗せるんだ!!」
ジェレミア 「私も、私も乗せてくれ!!」
とりあえず、スザクはジェレミアをランスロットに搭乗させます。
ぴょんぴょんと跳ねるルルーシュに対し、スザクは笑顔でいいました。
スザク 「ごめん、兄さん。これ二人用なんだ!」
ルルーシュ 「ウ、ウザク!! 貴様あああああ!!」
465: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/20(日) 23:44:23.41 ID:VOQpUkO80
そしてスザクはランスロット持ち前のスピードで逃げ出すと、遠い街へと向かいました。
ルルーシュは、普段からもっと兄弟と仲良くするべきだったのかもしれません。
豚の丸焼きになった今、今までの行いを悔い改めていました。
カレン 「ポークも悪くないかもしれないな……」
ルルーシュ 「や、やめるんだ!!」
C.C 「ポークのあそこは、やはりポークビッツのようだな」
ルルーシュ 「お前は黙ってろ!!」
ΩΩ<いっただきまーす!!
「三匹の子豚」 おしまい
663: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:36:20.48 ID:wDWJhU880
「人魚姫」
むかしむかし、ある海に人魚姫という半魚人がいました。
彼女はとても美しい声をもち、ときおり夜の浜辺で歌っていました。
そのあまりに美しい歌声に、いく人もの船乗りたちが心惑い、船ごと海のそこに沈んでしまったとの言い伝えがあるほどです。
シャーリー 「♪キレイに片方だけ~ とうかんか~く~! とうかんか~く~!!」
ルルーシュ 「う、うおおおおおおおおおお!! なんだこの騒音は!!」
千葉 「 動力停止!! 船底破損!! この船は間もなく沈みます!!」
ルルーシュ 「なんだと!? ……原因は!?」
仙波 「……原因不明です。強いていえば、今さっき大きな空気の震えがあったことが……」
ルルーシュ (さっきの下賎な歌だな……!!)
ルルーシュ 「やむをえん!! みなのもの、脱出だ!!」
今宵もまた一艘、彼女の美しい歌声で船が沈んでしまったようです。
罪も犠牲も知らない人魚姫は、夜が明けるまで気分良く歌い続けました。
667: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:42:45.36 ID:wDWJhU880
シャーリー 「あー、いっぱい歌って気分が爽快! さ、帰ろ……あら?」
ルルーシュ 「う……」
なんと、浜辺に青年が打ち上げられていました。青年は気を失っているようです。
シャーリー (素敵な人……)
なんと人魚姫は、その青年に一目ぼれをしてしまいました。
そしてどうにか彼を助けようと、試行錯誤します。
668: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:46:18.37 ID:wDWJhU880
シャーリー 「人間には……心臓マッサージが効くってきいたわ。やってみよう!!」
シャーリー 「それ!!」
ルルーシュ 「うっ!!」
シャーリー 「はっ! ほっ! やっ! たっ!」
ルルーシュ 「げはっ! がはっ! ぐはっ! ……うおええええ!!」
青年が水をはきだました。どうやら、意識を取り戻したようです。
人魚姫は、青年に姿を見られる前に海へと潜っていきました。
なぜなら、人魚は人間の世界では、見世物あつかいされていたのです。
671: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:49:39.99 ID:wDWJhU880
しかし海に戻ってからも、人魚姫は青年のことを忘れることはできませんでした。
シャーリー (ああ、あの人のことを思うと、尾びれがキュッってなっちゃう……)
シャーリー (でも私は人魚。人間と恋をできるわけない)
シャーリー (そういえば、どんなことでも叶えてくれる魔女がいるって聞いたことあるわ)
シャーリー (代償は大きいらしいけど、この思いには代えられない……)
人魚姫は意を決して、魔女のもとを訪ねることにしました。
魔女の家は海の奥底にあり、人魚姫でも見つけるのに三日かかってしまいました。
672: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:52:51.35 ID:wDWJhU880
C.C 「それで? 願い事はなんだ?」
シャーリー 「はい、実は……人間にしてほしいんです!」
C.C 「変わった人魚だな」
シャーリー 「人間に恋をしちゃったんです。結ばれるには、人間になるしか方法はないんです!!」
C.C 「いいだろう。ただし、代償は声だ。お前の声をいただこう」
シャーリー 「はい!!」
C.C 「それともうひとつ、もしその男が他の娘と結婚してしまうと、お前はピザとなって死んでしまう」
シャーリー 「……はい」
675: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:56:28.94 ID:wDWJhU880
こうして人魚姫は、声と引き換えに人間の下半身を与えられました。
そして人魚姫は、冥土の土産だ、と魔女に綺麗なお洋服をもらい、地上まで魔法で送ってもらいました。
シャーリー (さて、あの人を探さないと……あ!!)
これは運命でしょうか。
なんと、人魚姫が地上に降り立った直後に、あの青年が浜辺に現れたのです。
リヴァル 「だから違うよルルーシュ。猫耳には至高の萌えがあってだな……」
ルルーシュ 「悪いがリヴァル、僕には猫耳趣味はないよ」
シャーリー (これはチャンスよね!! さっそく声をかけ……あ)
ここで初めて、人魚姫は声の大事さに気づきました。
気持ちよく歌を歌うことも、人に愛を伝えるのも、全て声あってのものです。
それに気づくと、人魚姫は悲しくて、涙を流し始めました。
677: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 21:58:47.77 ID:wDWJhU880
ルルーシュ 「どうしました、お嬢さん」
シャーリー (!!)
ルルーシュ 「なにか悲しいことでもあったのですか?」
シャーリーはなんとかして声を発しようとしますが、当然出るはずがありません。
仕方がないので、砂浜に指で文字を書きました。
わたしには こえがありません なので とてもかなしいのです
678: みんなどこへ消えてしまったの・・・ 2008/04/21(月) 22:01:26.17 ID:wDWJhU880
リヴァル 「喋れないのか……。可哀想に」
ルルーシュ 「お嬢さん、身寄りは?」
人魚姫は、ふるふると首を横にふりました。
すると青年は、人魚姫の手をとり言いました。
ルルーシュ 「お嬢さん、よければ私と一緒に暮らしましょう」
シャーリー (……!! ……はい!)
こうして、人魚姫は青年と一緒に住むことになりました。
二人は仲良く暮らしましたが、決して恋仲になることはありませんでした。
679: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:04:24.30 ID:wDWJhU880
ある晩、青年が人魚姫にあることを告白しました。
それは、人魚姫もよく知っていることでした。
ルルーシュ 「実は俺は昔、死に掛けていたところを助けてもらったことがあるんだ」
シャーリー (……!!)
ルルーシュ 「残念ながら顔は見逃してしまったが、私はあのかたに大変恩義を感じている」
ルルーシュ 「声からすると女性のようだった。見つけることができれば、ぜひ妻として迎えたいと思っている」
シャーリー (それは私……私なのよ!!)
人魚姫は必死に伝えようとしますが、やはり声なしには伝えることはできませんでした。
そして青年は、明日街で有名な人探し屋を連れて、その人を探しにいくと言いました。
それを聞いた人魚姫は、その夜静かに涙を流しました。
シャーリー (こんなに、こんなに近くにいるのに……!!)
680: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:07:44.54 ID:wDWJhU880
そして翌日、その人探し屋が青年の家にやってきました。
ルルーシュ 「今日はお願いします」
マオ 「ん~、僕に任せてよ~」
シャーリー (……軽そうな男の人)
ルルーシュ 「マオさん、この子はしゃべれないんです。挨拶ができないことは、どうかお許しください」
マオ 「別に構わないさ。さ、その命の恩人とやらを探しに行こうか」
ルルーシュ 「はい」
シャーリー (命の恩人は……私なのに)
マオ 「……へぇ」
681: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:10:37.23 ID:wDWJhU880
それから一日、青年は友人とマオと人魚姫を連れて、街中の娘を訪ねました。
しかし、誰一人として、青年の探す女性ではありませんでした。
日も暮れた頃、四人は浜辺で休憩をとることにしました。
ルルーシュ 「いったい、どこにいると言うんだ。俺の命の恩人よ……」
マオ 「実はですね、僕は知ってるんだよ。その命の恩人が誰かを」
ルルーシュ 「え……」
リヴァル 「だれ? だれ!?」
シャーリー (……)
マオ 「実は僕、不思議な力を持っているんだ。人の心が読み取れてしまう……」
シャーリー (……!!)
マオは、人魚姫のほうを向き、ニヤリと笑いました。
しかし、誰一人として、青年の探す女性ではありませんでした。
日も暮れた頃、四人は浜辺で休憩をとることにしました。
ルルーシュ 「いったい、どこにいると言うんだ。俺の命の恩人よ……」
マオ 「実はですね、僕は知ってるんだよ。その命の恩人が誰かを」
ルルーシュ 「え……」
リヴァル 「だれ? だれ!?」
シャーリー (……)
マオ 「実は僕、不思議な力を持っているんだ。人の心が読み取れてしまう……」
シャーリー (……!!)
マオは、人魚姫のほうを向き、ニヤリと笑いました。
683: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:14:58.53 ID:wDWJhU880
ルルーシュ 「それで、一体誰なんだ?」
マオ 「それは君がよく知っている人物だよ……」
マオはそう言うと、人魚姫を指差しました。
シャーリー (……!!)
リヴァル 「まじかよ!!」
ルルーシュ 「……!!」
マオ 「彼女は声が出ないからね、それを伝えることができなかったんだ」
マオは夕日を見上げます。
そしてシャーリー、青年と順番に見て……不敵な笑みを浮かべました。
684: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:19:32.45 ID:wDWJhU880
マオ 「しかし、君は騙されているんだ」
シャーリー (なに、なにを言おうとしてるの……?)
ルルーシュ 「なんだ?」
マオ 「彼女はなんと……元・人魚なんだよ!!」
マオ 「それがなにを思ってか、声と引き換えに人間の足を手に入れた!!」
マオ 「魔女との汚れた契約を結んでね! だから喋れないのさ!!」
ルルーシュ 「なん……だと……」
シャーリー (違うの!! 私はあなたが好きだったから!! だから声を失ったの!!)
687: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:26:31.31 ID:wDWJhU880
マオ 「君は、そんな呪われた人魚を妻にできるのかい!?」
マオ 「僕らの間じゃ、せいぜい見世物にされる人魚だ。しかも、この人魚は、見世物にさえふさわしくないほどの下衆だ!!」
マオ 「どうなんだい!?」
シャーリー (そうよ……どうせ、私は人魚。人間と結ばれることはないんだわ)
人魚姫は顔をうすめると、静かに泣き出しました。
一方、青年も頭をかかえて砂浜に座り込んでいます。
ルルーシュ 「なんということだ……」
リヴァル 「ルルーシュ……」
689: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:29:22.76 ID:wDWJhU880
ルルーシュ 「リヴァル、覚えているか?」
リヴァル 「なにを?」
ルルーシュ 「私が昔、猫耳には興味はないと言ったことを……」
リヴァル 「ああ、それが今なんの関係があるんだよ」
青年は顔を覆い、くくっと笑みを洩らします。
そして、両手を広げて立ち上がりました。
692: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:33:22.99 ID:wDWJhU880
ルルーシュ 「素晴らしいこともあったものだ……」
ルルーシュ 「リヴァル、私は生粋の……」
ルルーシュ 「人魚っ娘萌えなんだよ!!」
ルルーシュ 「 命の恩人が元・人魚だなんて最高じゃないか!!」
マオ (馬鹿な!! この僕でも……C.Cが人魚だったら萌えられないというのに!! こいつ……変 か!?)
ルルーシュ 「ふふふ……はーっはっはっは!!」
702: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/21(月) 22:38:17.41 ID:wDWJhU880
ルルーシュ 「なあ、僕と結婚してくれないか……?」
シャーリー (……もちろん!!)
人魚姫は、感激の涙を流しました。
その後、人魚姫に声がもどることはありませんでしたが、二人は末永く幸せに暮らしました。
C.C 「ふん、どうやらピザは食い損ねたようだな」
C.C 「それにしても、最近の海は穏やかだ……」
そうなんです。余談ですが、人魚姫が声を失ってからというものの、この海での遭難事故は一切なくなりました。
なぜかはわかりませんが……。
「人魚姫」 おしまい
759: ◆bAt3E3sVXo 2008/04/22(火) 00:52:28.43 ID:tgdGNzFq0
「幸福の王子」
むかしむかし、ある街に「幸福の王子」と呼ばれる像が建っていました。
頭部にはサファイアでできた仮面、腰の銃にはエメラルドが輝き、体は金箔のマントに包まれていて、心臓は鉛で作られていた。
そして最大の特徴は――真っ赤なルビーが組みこまれた左目。
この美しく、不気味な輝きを放つ像は、街のシンボルとなっていました。
街の子供たちはみな、「幸福の王子」を友達のように親しみ、よくいたずらをしていました。
顔に落書きをされようとも、「幸福の王子」という字が「幸福の玉子」に書き換えられていても、王子は街のみんなを愛していました。
カレン 「幸福の王子、こんにちは!!」
ルルーシュ 『こんにちは、カレン。今日も元気だな』
762: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 00:54:15.09 ID:tgdGNzFq0
ナオト 「おいおい、カレン。像は返事なんかしないぞ」
ルルーシュ 『なにを言っている。私はこうして喋っているであろう』
カレン 「……そうだね! バイバイ、幸福の玉子!!」
ルルーシュ 『私は玉子ではない! 王子だ!!……じゃあな』
こうして、毎日必ず王子のところにやってくる子供たちはたくさんいます。
王子はいつもそれを楽しみにしていました。
ルルーシュ (幸福の王子という像に生まれて本当に良かった……)
王子の心臓である鉛は、いつもどこか温かいぬくもりに包まれていました。
766: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 00:57:57.23 ID:tgdGNzFq0
ある日、いつも通り王子が子供たちと戯れていると、あることに気づきました。
ルルーシュ (おかしいな。今日はカレンが来ない……)
王子はちょっと心配になり、カレンの家のほうを見ました。
幸い、カレンの家はここから近いので、中の様子をのぞくことができました。
カレン 「ごほっ、ごほっ、げほっ!!」
ナオト 「 カレン、大丈夫だぞ。俺がついているからな」
カレン 「うん、ありが……ごほっ!!」
ナオト 「俺が、俺がもっと金を稼げれば、薬を買ってやれるのに……」
ルルーシュ (……)
767: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 00:59:37.51 ID:tgdGNzFq0
カレンの家は、小さいカレンとナオトの兄妹の二人暮らしで、ナオトの年齢では大した仕事もありません。
彼らはその日暮らしをしていくのがやっとで、とても病気を治すようなお金は持っていませんでした。
カレン 「お兄ちゃん、私はお兄ちゃんと一緒にいられるだけで元気になれるよ……」
ナオト 「カレン……」
ルルーシュ (世の中は、なんと不公平なことか……)
ルルーシュ (小さな子供が病に苦しむ。これほど悲しいことがあろうか……)
王子はこの世の不条理を憂いながらも、自分ではどうすることもできないことをわかってました。
像は人間と会話もできない、自ら動くこともできない。
今日ほど、王子は自分が像であることを悔しく思ったことはありませんでした。
770: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:02:04.23 ID:tgdGNzFq0
そんなある日、王子の足下に一羽のツバメがやってきました。
ツバメはブリタニアから来た渡り鳥で、王子に色々な旅の話を聞かせました。
一体と一羽は、あっという間に仲良しになりました。
そこで王子は、ツバメにある頼みをすることにしました。
ルルーシュ 「なあ、ツバメよ。頼みがある」
スザク 「なんだい?」
ルルーシュ 「実はあそこの家の娘が、病気で苦しんでいるんだ」
ルルーシュ 「しかし貧乏なので、薬を買うこともできない。そこで、だ」
ルルーシュ 「私の腰にさしてある銃からエメラルドを抜き取り、彼らにそれとなく渡してくれないか?」
スザク 「だが断る」
775: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:04:27.49 ID:tgdGNzFq0
ツバメの思わぬ返答に、王子は焦りました。
ルルーシュ 「何故だ!? そのエメラルドを売れば、あの娘の薬を買うこともできよう!」
スザク 「そうだね。結果的に、あの娘の病気は治るかもしれない」
スザク 「だが考えてもみなよ。君のエメラルドを売って、金を得る? 盗人に等しい行為じゃないか」
スザク 「間違った方法で得た結果は、後々悲惨なことをひきおこすよ」
ルルーシュ 「しかし、もしあの娘が死んでしまったら……。頼む、お前にしかできないんだ」
ツバメは悲しそうに目を伏せ、「これが長年の旅で得た結論さ」と呟きました。
そしてそのまま、どこかへ飛んでいってしまいました。
779: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:06:24.46 ID:tgdGNzFq0
それからしばらく、街では大雨が続きました。
カレンはあれから更に病を重くし、苦しそうに寝込んでいます。
ルルーシュ (なぜ、なぜ私は動けないんだ。なぜ、私は像なんだ)
王子が自分を嘆いていると、ふと足下に柔らかな感触を感じました。
それはなんと、いつかのツバメでした。
ルルーシュ 「……なんの用だ」
スザク 「雨宿り、させてもらうよ」
ルルーシュ 「勝手にしろ……」
王子はツバメに対して怒りを感じてたし、今すぐにでもここから追い出したいとさえ考えています。
しかし、動くことのできない自分にはそれさえできない。そう思うと、怒鳴る気力さえ失ってしまうのでした。
785: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:08:28.65 ID:tgdGNzFq0
雨の勢いはどんどんと増していきます。
さすがに退屈してきた王子は、ツバメに話しかけることにしました。
ルルーシュ 「ツバメよ、聞いてくれないか」
スザク 「なんだい?」
ルルーシュ 「あのカレンという娘、今の姿からは想像できないが、病に伏せる前はたいそう元気な娘だった」
スザク 「……」
ルルーシュ 「毎日私のところへきては、あいさつをする。掃除もしてくれる」
スザク 「いい子なんだね」
ルルーシュ 「まあ、あいさつと言っても悪口だがな。掃除をするのも、私にイタズラ書きするから、兄に怒られてやるだけだ」
スザク 「はは……」
787: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:10:43.42 ID:tgdGNzFq0
ルルーシュ 「だが……あの娘だけは、私に話しかけるのを欠かしたことはなかった」
ルルーシュ 「彼女は私を友達のように思っていたのかもしれないな。……まあ、私もだが」
スザク 「……そうか」
ルルーシュ 「なあ、ツバメよ。友にたいしてなにも出来ない私の苦しみ、理解できるか?」
スザク 「ごめん。わからないんだ……」
ルルーシュ 「ふん、お前には心というものがないのか。……私の心は今、冷え切ってしまっている」
ルルーシュ 「どうして、どうして……友を救うことのできない私を、みなは幸福の王子と呼ぶのだろうか」
雨宿りをしているツバメの頭に、ぽつんと一粒滴が落ちてきました。
そしてそれはあっという間に、大雨となりました。
792: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:12:52.04 ID:tgdGNzFq0
スザク 「わかったよ。僕が行ってこよう」
ルルーシュ 「本当か!?」
王子が嬉しそうな声をあげます。
スザク 「本当さ、雨が止んだら行ってくるよ。……だから、泣くのを止めておくれ」
ルルーシュ 「な、泣いてなどいないぞ!! これは雨だ! そうさ、雨に決まっているだろう!」
スザク 「おや、丁度雨は止んだようだ。……何故か、僕の頭にだけ集中豪雨してるけど」
ルルーシュ 「だ、黙れ!!」
スザク 「それじゃあ雨も止んだし、いってくるよ」
ルルーシュ 「……ありがとう」
そう言うとツバメは銃からエメラルドを抜き、それを口にくわえます。
そしてカレンの家めがけて飛んでいきました。
797: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:15:36.61 ID:tgdGNzFq0
カレン 「ごほっ、ごほっ……。あ、ツバメさん……」
ナオト 「なにかくわえているぞ……エメラルドだ!!」
ナオト 「よかったな、カレン!! これを売ればお薬を買えるぞ!!」
カレン 「本当?」
ナオト 「本当だとも!! よかった、本当に良かった……」
その様子を見届けると、ツバメは黙って家から出て行きました。
その背後には、いつまでもカレンを抱きしめ続ける兄の姿がありました。
802: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:17:58.82 ID:tgdGNzFq0
ルルーシュ 「……ご苦労」
スザク 「……うん」
ルルーシュ 「本当に、ありがとう」
スザク 「こんなこと、これっきりだよ」
ツバメはそう言いましたが、それからも王子の頼みを度々聞き入れました。
そして、しまいには自ら進んで宝を配るようになりました。
街のみんなは彼を「幸福のツバメ」と呼び、「幸福の王子」を「幸福の王子・改」と呼び、更に親しみました。
しかし、それとは対照に、宝を失った王子の体はみすぼらしくなり、とうとう残るは左目のルビーだけとなりました。
そして、ツバメも時間の経過と共にどんどん老いぼれていきました。
808: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:22:17.41 ID:tgdGNzFq0
そしてとうとう、ツバメは飛べなくなってしまいました。
町中に宝を配るというのは、小さなツバメにとっては酷なことだったのでしょう。
元々小さかった翼は、更に小さく見えました。
スザク 「ふふ、お互いボロボロだね」
ルルーシュ 「……すまない、ツバメよ。お前がこうなるまで、頼みごとをしてしまって」
スザク 「いいんだよ、僕がこうしたくてやったんだ。だから、いいのさ」
ルルーシュ 「本当にすまない……」
王子は、ツバメに対して強い罪を感じていました。
こうなるまで、ツバメに重労働をさせてしまったこと。
何度も説得して、渡り鳥なのにこの街に縛りつけ、自由を奪ってしまったこと。
王子は、せめて最後に恩返しをしようと考えました。
811: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:24:22.72 ID:tgdGNzFq0
ルルーシュ 「ツバメよ、聞いてほしい」
スザク 「なんだい?」
ルルーシュ 「私の目を見て、聞いてほしい」
スザク 「あ、ああ……」
一体と一羽の目がばっちりと合いました。
そして次の瞬間、王子は静かに言いました。
ルルーシュ 「幸福の王子が命じる……ツバメよ、自分の好きなように残りのときを過ごせ」
左目のルビーが、強い光を放ちました。
815: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:26:47.01 ID:tgdGNzFq0
パァァァァァァァァァァァ!
スザク 「う……」
ルルーシュ (これでいい、これでいいんだ)
ルルーシュのせめてもの恩返しは、ツバメに自分の心からの意思で羽ばたいてもらうことでした。
ツバメがこの街から離れようとしないのは、ツバメが宝を配ることに、責任感と圧迫感を感じているからだ。
ツバメが宝を配らないと、貧乏人が苦しんでしまう。ツバメを「幸福のツバメ」と呼び、待っている人たちがたくさんいる。
ツバメはそう考えて、自分の自由を縛ってしまっている。そうさせたのは自分だ。
だから、ギアスをかけたツバメは、どこか遠くへ飛んでいくだろう。
彼は、渡り鳥なのだから。
ルルーシュはそう考え、ツバメにギアスをかけたのです。
818: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:28:30.62 ID:tgdGNzFq0
ルルーシュ 「ツバメよ、大空へ羽ばたくが良い。絶対遵守なのだから、その傷ついた羽も動かせよう」
スザク 「ああ、羽も動かせるみたいだ……」
ツバメはそう言うと、静かに羽ばたき始めました。
そして大空へ――向かわず、そっと王子の肩に止まりました。
ルルーシュ 「絶対遵守といえど、やはりその羽では無理なのか……」
王子は、自分の不甲斐なさを大変残念に思いました。
しかし、ツバメは笑顔で答えます。
スザク 「違うよ。羽はものすごく元気さ」
ルルーシュ 「ならば、何故……」
スザク 「自分の好きなように残りのときを過ごせ――。そのままだよ、僕はここで残りのときを過ごしたいのさ」
824: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:30:39.61 ID:tgdGNzFq0
ルルーシュ 「……ツバメ。何故だ?」
スザク 「何故か……?その理由を言う前に、君にいくつか謝らなければいけないことがあるんだ」
ルルーシュ 「なんだ?」
スザク 「一番最初に聞かせた旅の話さ、あれ全部嘘なんだ。僕は臆病だから、ずっとこの街の近くの森に住んでいた」
ルルーシュ 「……」
スザク 「僕の嘘の話で仲良くなった君は、僕を信頼したんだろうな。だから僕に頼みごとをしたんだろう」
スザク 「あのとき僕はこう言ったよね、『間違った方法で得た結果は、後々悲惨なことをひきおこすよ』、と」
ルルーシュ 「ああ」
827: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:32:35.39 ID:tgdGNzFq0
スザク 「あれはね、生まれたてのころにいつも親から言われていたんだ。唯一の肉親から贈られた言葉」
スザク 「だから、あの言葉だけは僕にとって絶対だった。……だから僕は断ったんだ、君の頼みを」
スザク 「嘘の話で得た僕に対する信用を、結果に結び付けてはいけないってね」
スザク 「でも今は、人々に宝を配ることは間違っていなかったと信じているよ」
スザク 「そして、本当に悪かった。ごめん」
ルルーシュ 「気にするな、もう昔のことさ」
それを聞くと、ツバメはにっこり笑います。
そして再び話を始めました。
831: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:35:02.51 ID:tgdGNzFq0
スザク 「昔、君は僕にこう言ったね。『友にたいしてなにも出来ない私の苦しみ、理解できるか?』、と」
ルルーシュ 「お前はわからない、と言ったな」
スザク 「あのときの僕にはわからなかったんだよ。本当に。何故なら……友達なんて、できたことなかったから」
ルルーシュ 「……そうか」
スザク 「僕は生まれてからすぐ孤独になった。僕を気にかけてくれる仲間なんて、一人もいなかった」
スザク 「渡り鳥なのにおかしいだろう? 森に一人で住んでるなんて」
スザク 「でも、しょうがないんだ。僕の孤独は、じっとしていないと抑えることができなかったんだ」
ルルーシュ 「……」
836: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:37:11.53 ID:tgdGNzFq0
スザク 「僕の孤独は一生晴れる事はないと思っていたよ」
スザク 「君に出会うまで……」
ルルーシュ 「ツバメ……」
スザク 「さあ、遅れたけど、最初の質問に答えようか」
ルルーシュ 「……」
スザク 「僕がここにいるのは……君が僕の最愛の友だからだ。僕は一生の最期を、最初で最後の友の側で過ごしたいだ……け……」
そう言うと、ツバメは静かに瞳を閉じました。
そしてそっと、その小さな体を王子に傾けました。
841: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:39:47.15 ID:tgdGNzFq0
ルルーシュ 「違う。違うぞ。俺はそんなことをさせるために、ギアスをかけたわけではない……」
ルルーシュ 「お前はこの街を抜け、世界へ渡るのだ。それがお前の望む自由だったはずだ」
ルルーシュ 「だが、ツバメよ。お前がそれを望むというなら……。それがお前の幸福と言うなら……」
ルルーシュ 「私は受け入れよう。なにせ私は、幸福の王子だからな……」
それからしばらくして、王子の左目のルビーが地面へと落ちました。
そして王子の心臓である鉛が、小さな音を立てて割れて、粉々になりました。
845: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:41:50.26 ID:tgdGNzFq0
それから数年後、街はだいぶ様子も変わり、にぎやかになっていました。
店が立ち並び、人々は陽気にあいさつをかわす。とても素敵な街でした。
その中に、雑巾とバケツを持つ一人の少女がいました。
カレン 「よし、今日もやってやるか!!」
彼女は雑巾を水に浸すとよく絞り、なにかを磨き始めます。
カレン 「あー、相変わらずゴツゴツとした像ね。磨きづらいっつーの」
少女はふと、像のしたに彫られた文字を見ました。
元の文字は、「幸福の王子と幸福の鳥の像」と彫られていたのですが――。
それを見ると「やられた!」と叫び、そしてしばらくすると、そっと笑みをこぼしました。
850: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/04/22(火) 01:44:26.55 ID:tgdGNzFq0
カレン 「またあなたね、C.C。いたずらっ子なんだから」
C.C 「ふん、やめてほしかったら東京ドームサイズのピザを持ってこい」
カレン 「なにが、幸福の玉子と幸福のにわ鳥よ。それじゃあ、幸福の親子丼じゃない」
そう言って笑うと、少女は再び像を磨き始めました。
少しずつ綺麗になっていく、王子とツバメ。
街の人々に幸福を与え続けてきた一体と一羽でしたが、
少女は寄り添う二人の間に、本当の幸せを垣間見たような気がしました。
862: 2008/04/22(火) 01:48:06.97 ID:tgdGNzFq0
掃除を終えた少女は、その像を見つめると、突然手を合わせました。
そして目を瞑り、小さい声で呟きます。
カレン 「ありがとう、幸福の王子」
ナオト 「ありがとう、幸福のツバメ」
カレン 「お兄ちゃん!?」
少女が振り返ると、そこには少女の兄がたっていました。
ナオト 「だってほら、この像たちは最愛の妹の命の恩人だから、しっかりお礼を言わないと」
カレン 「最愛とか恥ずかしいから言わないでよっ! もー……」
笑顔を見せながら、触れ合う兄妹。
その二人の間にも、確かにかけがえのない「幸福」がありました。
「幸福の王子」 おしまい
876: ◆bAt3E3sVXo 2008/04/22(火) 01:52:04.90 ID:tgdGNzFq0
あとがき
二日間?三日間?付き合ってくれてありがとうございました
ほとんどが書きながらのいきあたりばったりだったから、遅くていらついたり矛盾とか多かったと思う
本当にごめんね
でもコードギアス好きだからさ、本当にごめんね
また今度こんな機会あれば、書けるといいなー
最後くさい話でごめんね
んで本当にありがとう
「コードギアス 童話風のルルーシュ」 おしまい
二日間?三日間?付き合ってくれてありがとうございました
ほとんどが書きながらのいきあたりばったりだったから、遅くていらついたり矛盾とか多かったと思う
本当にごめんね
でもコードギアス好きだからさ、本当にごめんね
また今度こんな機会あれば、書けるといいなー
最後くさい話でごめんね
んで本当にありがとう
「コードギアス 童話風のルルーシュ」 おしまい
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