1: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:38:42.39 ID:kkPeaMdIP
皇暦2010年8月10日、日本は重要資源サクラダイトをめぐり、超大国神聖ブリタニア帝国との戦争を開始した。
しかし、圧倒的な戦力差、また新兵器ナイトメアフレームの投入の前に、日本はなす術もなく投降。
事実上、日本はブリタニアの支配下におかれ、その名を「11(イレブン)」とされた。

しかし、日本人の誰もが絶望を感じる中、二人の少年が立ち上がろうとしていた。

ルルーシュ 「……日本が」

スザク 「なんでこんな……」

ルルーシュ 「……スザク」

スザク 「……」

ルルーシュ 「僕は、ブリタニアを許さない。こんな不平等な世界は許さない!!」

ルルーシュ 「僕は――」

ルルーシュ 「ブリタニアをぶっ壊す!!」

引用元: ニートギアス 引きこもりのルルーシュ 



2: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:41:00.42 ID:kkPeaMdIP

no title

5: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:49:54.10 ID:kkPeaMdIP

no title

6: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:51:02.85 ID:kkPeaMdIP

no title

7: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:52:46.41 ID:kkPeaMdIP

no title

9: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:56:17.10 ID:kkPeaMdIP

no title

10: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 21:58:37.17 ID:kkPeaMdIP

no title

11: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 22:01:33.77 ID:kkPeaMdIP

no title

13: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 22:03:43.37 ID:kkPeaMdIP

no title

14: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 22:05:57.52 ID:kkPeaMdIP

no title

15: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 22:08:16.31 ID:kkPeaMdIP

no title

17: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 22:10:04.85 ID:kkPeaMdIP

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18: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/06/10(火) 22:12:05.18 ID:kkPeaMdIP





         STAGE 1 ニートの生まれた日







19: [―{}@{}@{}-] 挫けそうになってきた 2008/06/10(火) 22:13:08.33 ID:kkPeaMdIP
――それから七年後

カタカタッ カタカタ……

足の踏み場もないほど汚れた部屋に、パソコンの明かりだけが光を放つ。
ディスプレイの前には、コーラを飲みながら慣れた手つきでキーボードを叩く青年の姿があった。

ルルーシュ 「……駄スレ……馴れ合い……パート……」

彼、ルルーシュが見ているのは「ブリタニアちゃんねる」という掲示板である。
「ブリタニアちゃんねる」は、全世界から膨大なアクセスが行われる、世界最大の掲示板サイトだ。

ルルーシュ 「……ブリちゃんおわったな」

そう言うと、ルルーシュはサイトを閉じ、別のウィンドウを開いた。
そこにあったのは、「日本ちゃんねる 跡地」という文字と、全く活気のないスレッド。
この「日本ちゃんねる」(略してにちゃん)は、元々日本最大の掲示板で、かなりの活気もあった。
しかし、ブリちゃんの日本進出により、ほとんどのユーザーをそちらに奪われてしまったのだ。

ルルーシュ 「俺は……こっちのほうが好きだ」

そう呟くと、彼は新たなスレッドを立てた。
スレタイは「ブリちゃん おわったな」。このスレが彼の嫌う、駄スレ・定期だと、彼自身気づく事はない。
だが、彼はにちゃんを心から愛していたのだった。

20: [―{}@{}@{}-] 挫けそうになってきた 2008/06/10(火) 22:15:55.02 ID:kkPeaMdIP
コンコン

部屋のドアがノックされるが、ルルーシュは当然のように無視する。
もう一度扉を叩く音が聞こえたが、やはり彼は無関心のようだ。
そんな彼の態度に耐えかねてか、扉の向こうの人物が声を発した。

マリアンヌ 「ルルーシュ……ご飯は?」

ルルーシュ 「……」

マリアンヌ 「ねえ、ルルーシュ。いつまでこんなことを続けるの? お母さん心配だから、早く出てきてちょうだい」

ルルーシュ 「う、うううううう……」

マリアンヌ 「今ならまだやり直せるから! 友達だってきっと出来るから!!」

ルルーシュ 「うるせーんだよ、クソババア!!」

マリアンヌ 「……!」

ルルーシュ 「俺が悪いんじゃない! 周りのレベルが低すぎたんだ! わかったらさっさと消えろ!!」

マリアンヌ 「……ごめんなさい」

26: [―{}@{}@{}-] ありがとう 2008/06/10(火) 22:17:48.82 ID:kkPeaMdIP
どうやら母親は消えたようだ。
それからしばらくルルーシュは物に当り散らし(ティッシュ箱を投げたり、枕を殴ったり)して、再びディスプレイの前に座った。

ルルーシュ 「お……? C.Cからメッセが着てるぞ」

C.Cというのは、にちゃんの常連コテハンで、同じくにちゃんコテハン(糞コテ)であるルルーシュのネット友達だった。
彼女の立てるスレはなかなかクオリティが高く、にちゃんの住人から高い評価を受けている。
ルルーシュもまた、ネットを通じて得た彼女の不可思議な人間像に興味を持っていた。

ルルーシュ 「とりあえず、ひさしぶり と。さて内容は……」

メッセンジャーをゆっくりスクロールして、目を通していく。
それから彼は三十分間、それを眺め続けた。食い入るように。

ルルーシュ 「これは……」

思わず握られた手には、じっとりと汗が浮き出ていた。

30: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:20:51.82 ID:kkPeaMdIP
白で統一された、広くて綺麗なデザイン的な部屋。
その隅に置かれたデスクトップパソコンの前で、女はキーボードを叩いていた。

C.C. 「さて、どう来るか」

ルルーシュという糞コテは、プライドが高い。
そして、なにか人にはない力を持っている。
と自分では思っているような、中二病患者だ。、というのがここ数ヶ月のメッセのやりとりでC.Cが持った印象だった。

C.C. (ならば、絶対乗ってくると思うのだがな……)

この数ヶ月の苦労、無駄にはしたくない。
彼女の胸には、並大抵ではない思いがあった。
とうとう「あれ」が完成したのだ。「あれ」さえあれば……彼女はギリッと歯噛みをした。

33: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:25:34.10 ID:kkPeaMdIP
返事がきたのは、それから一時間後だった。
「あれ」を作ってきた長い過程に反して、たった一時間が永遠にも感じるような錯覚を体験していた。

C.C.「……」

大丈夫だろう。
いや、でも……。胸に一抹の不安がよぎる。
人選はミスってないはずだ。自己顕示欲が強くて、頭が空っぽなピエロ……。

C.C.は、意を決して返事を確認した。

C.C. 「……」

一瞬の緊張から、表情が消える。
しかしすぐに、彼女の表情は歓喜に満ちた。
「予想通りの男だ」という呟きとともに……。

34: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:28:26.56 ID:kkPeaMdIP
ルルーシュ (なんで、なんでこんなことになってしまったんだろう)
一通り目を通したルルーシュは、ふぅと溜め息をつく。決して賢者になったわけではない。
その内容は杜撰なものだったと言えよう。あくまで、冷静な目で見ればだが。
しかし、今興奮の絶頂にある彼の目には、それは素敵なネバーランドへの招待券にしか見えなかった。

ルルーシュ (しかし、俺に果たしてこの大役が勤められるのだろうか)

これから先、自分がやろうとしていることを想像して、ぐっと眉間にしわを寄せる。
さきほど、母親の前では粋がってみたものの、自分にはなにかをやり遂げられる自信がない。
というより、なにかをやり遂げたことが無いのだ。

だから、こうして今は自堕落な引きこもり生活を送っている……。


ルルーシュのまぶたの裏には、少し前の風景が流れ始めていた。

36: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:30:51.71 ID:kkPeaMdIP
――今から一年前

リヴァル 「おーい、ルルーシュ!!」

ルルーシュ 「なんだ?」
                              ・ ・
大声で彼を呼びとめ、早足でこちらへ向かってくる友達の姿を見て、ルルーシュは溜め息をついた。
またか……。始まるのだ、憂鬱な時間が。

リヴァル 「実はさ、チェスの約束があるんだけど……」

ルルーシュ 「でもまだ学校があるじゃないか」

リヴァル 「もう先方には約束を取り付けちゃったんだよねー。頼むよ、俺の顔を立てると思ってさ」

ルルーシュ 「わかったよ、行こう」

どうせ断ったって、ねちねちとついてくるのだ。
そんな醜態を周囲に晒すぐらいなら、さっさと用件をすませたほうがいい。彼はそう判断したのだった。

39: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:33:51.84 ID:kkPeaMdIP
ある貴族の館。
閉め切った空間、扉・主人の周りに陣取っている屈強な男たち。
主人と客人が囲んでいるのはチェス盤だったが、その異様なふんいき(←なぜか変換できない から、これがただのお遊びではないことが覗えた。
いや――この館の主人にとっては、余興に過ぎなかった。

主人 「さて、そろそろ苦しくなってきたんじゃないか?」

客人 「……う、うぅ」

主人 「さあ、早く打ちたまえ。さもなくば……」

その先は言わずとも、客人には主人の言わんとする事は理解できた。
進むも地獄、退くも地獄。
ごくりと唾を飲み込み、もうダメだ――そう思った瞬間、部屋に光が射した。

リヴァル 「お待たせしましたぁ!!」

ルルーシュ 「……」

客人 「君は……」

42: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:36:28.42 ID:kkPeaMdIP
突然現れた二人の学生に、屈強な男たちがすかさず反応する。
しかし、主人がそれを目で制し、彼らを見やった。

ルルーシュ 「代打ちに参りました」

客人 「よ、よろしく頼むよ!」

主人 「ふん、学生の分際で……。やめておけ、これはも終わった勝負だ」

ルルーシュ 「おや、貴族の分際でチェスを嗜むことができるとは。貴族というのも、進歩したものだ」

主人 「貴様っ……」

ルルーシュ 「ならば勝負を受けると良いですよ。チェスに身分は関係ない、そうでしょう?」

主人 「……そっちからだ。さっさと座りたまえ」

ルルーシュ 「では……」

リヴァルが客人を帰らせるのを目の端で確認すると、ルルーシュは深呼吸をする。
さて、悲劇の時間だ――。
鋭い眼差しで盤を見つめると、彼は迷わずキングを手に取ったのだった。

45: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:38:46.64 ID:kkPeaMdIP
――チェックメイト。

主人 「……」

ルルーシュ 「……」

その一言が放たれたのは、それから十分後のことだった。
十分、それだけの時間があれば充分。
それだけの時間があれば――

ルルーシュ 「ま、負けました……」

主人 「プギャーwwwwwwwwwwwww」

リヴァル 「プギャーwwwwwwwwww」

ボディカード 「ざまあwwwwwwwwwww」

ルルーシュ 「う、うう……」

あんな局面から勝てるわけ無いだろ、つか最初から打っても勝てねえよ。
たくさんの言い訳が溢れてくるが、ぐっとガマンする。
ここまでは予定通りなのだ。ここからが、大事だ。

ルルーシュ 「――あの」

50: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:42:37.52 ID:kkPeaMdIP
リヴァルには学校へ戻すよういったが、彼の運転するサイドカーはどうやらそちらへは向かわないようだ。
今日何度目かの溜め息をつくが、リヴァルの耳障りの笑い声は止む事はない。

リヴァル 「いやー、やっぱさすがだよ。ルルーシュは!!」

ルルーシュ 「……」

リヴァル 「泣き落とし、土下座。テクニックがすごいね! さすが『負け屋』だ!」

ルルーシュ 「……」

『負け屋』。その名の通り、勝負に負けることを仕事とするものだ。
ただし、この場合勝つ側に利益を提供するのではない。負ける側の面目を保つための、仕事なのだ。
貴族同士の戦いゆえ、なかには体面を気にする輩も多い。そんな彼らのために、ルルーシュが汚名を被る。

といっても、仕事は簡単ではない。
第一、対局相手には自分が『負け屋』であることを知らせていない。
なので、いかに相手を納得させるか(依頼者の顔を保つように頼み込むか)が難しいのだ。
しかし、この一年の過程で、彼は脳内に独自のマニュアルを完成させるほどになっていた。

51: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:44:36.31 ID:kkPeaMdIP
リヴァル 「いやー、それにしてもルルーシュの貴族風土下座からの、まんぐりルンバのコンボは最強だな!!」

ルルーシュ 「もうやめてくれ……」

プライドなど、とうに捨てた。
かつてあった崇高なプライドは、長年のぼっち生活によって崩れ去った。
今だってこうして人と会話できるのは、プライドを捨てているからだと、彼は認識していた。

元来高慢で自己主張の強いルルーシュが、友達を失うのは時間の問題だった。
小学校高学年から、中学校卒業までは一人ぼっちだった。その期間が、彼に生きる術を身につけさせた。
高校へ入学すると、彼は平身低頭に振舞った。プライドは捨て、人の後ろについてった。

リヴァル 「いやー、まじサイコー。面白いもの見れるし、金ももらえるし」

そうでもしないと、友達の笑み――それが嘲笑という名でも、
それを身近に感じる事はできないと、ルルーシュは体で理解していたから。

56: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:47:08.35 ID:kkPeaMdIP
リヴァル 「んじゃ、ここで降ろすぞ」

ルルーシュ 「ああ……」

ルルーシュがサイドカーから降りる。
すると、リヴァルがこちらも見ずにノートパソコンを見ながらニヤニヤしているのに気づいた。
なにを見ているのかな、とチラッと覗いてみると、そこには「日本ちゃんねる」とタイトルがうってあった。

リヴァル 「おい」

ルルーシュ 「あ」

リヴァル 「なに、人の勝手に覗いてんだよ」

59: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:49:20.33 ID:kkPeaMdIP
ルルーシュ 「ご、ごめん……じゃあ帰るよ」

友達は別れの挨拶さえ返さずに、じっとルルーシュの背中を睨み続けていた。
明らかな不快感を示されながらも、ルルーシュは一つの光を見出そうとしていた。

ルルーシュ (共通の趣味さえ作れれば、本当の友達になれるはずだ)

哀れな男の、稚拙な考え。
それが彼をより、惨めな人間へと仕立てようとは、このときは思いもしなかった。

61: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:51:54.54 ID:kkPeaMdIP
ルルーシュ 「はは、昔のことなんて……」

現実に意識を戻したルルーシュは、過去の痛みを胸にしまいこもうとしていた。
そうしないと、苦しいから。

しかし、なんとか思いを隠そうとしようとも、やはりそれはできなかった。
思い出というものは、良かれ悪かれ心に染み付くものなのだ。

仕方ない、と判断したルルーシュは、もう少し過去に浸ろうと考え、そこで思った。
リヴァルは今頃どうしてるだろう。
きっともう既に高校は卒業しているはずだ。大学へ進んでるのだろうか。

表面上とはいえ、かつて仲良くしてくれた男の顔を、ルルーシュははっきりと思い出すことができた。

65: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:55:12.79 ID:kkPeaMdIP
リヴァル 「はぁ……」

その頃リヴァルは自室でパソコンに向かい、にちゃんの掲示板を巡っていた。

環境の変化とは不思議なものだ、と彼は思う。
かつてはあれほど楽しかったにちゃんが、今ではやっているだけで心の負担になる。
しかし、高校卒業後フリーターである彼に他にやることはなく、そうやって悪循環な生活を送っているのだった。

リヴァル (そういえば……)

あいつは今頃どうしているのだろうか、とふと考える。
あいつほど、環境が急激に変化したやつはいるまい。
なにせ、自分の愚かな行動から、登校拒否、やがて退学への道を歩んでいったのだから。

リヴァルは、かつて自分が友と呼び、利用していた男の最後を思い出していた。

70: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 22:58:40.20 ID:kkPeaMdIP
教室の雰囲気(やっと変換できた)は、いつも変わることはない。
まさに「日常」。
リヴァルもその日常に浸る一人で、それが覆されるなど思いもしなかった。

いや、ある種の予期はあったが。

リヴァル (やべぇ、まさかルルーシュに、にちゃんやってるところ見られるとは……)

にちゃんは、所謂「オタク」や「ネクラ」な人間たちのみるサイトと、世間からは認識されている。
学校では、憎めないお調子者キャラであるリヴァルにとって、周囲の人間に隠れオタクであることがばれるのは非常に恐ろしいことだった。

リヴァル (ルルーシュに口止めしないと。でも、今までひどい扱いしてきたから……)

心の葛藤は、時間の概念を忘れさせる。
気づけば、もうそろそろルルーシュが登校してくる時間だった。

未だ腹も据えられず、かといって策も講じられていないリヴァルのもとへ、日常の崩壊は確実に背後へと迫っていた。
そしてやってきたそれは――彼の予想していた形ではないものだった。

73: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:01:29.12 ID:kkPeaMdIP
教室に入ってきたルルーシュ。
彼が発した第一声は――

ルルーシュ 「おいすーwwwww みんなおはようだお!!」

リヴァル 「……(ちょwwwwwwwww)」

教室の空気を凍らせるには、充分すぎる力を持っていた。
きっと、中には彼の言動を理解しているものもいただろう。
自分の席に向かいながら彼がしている、その奇妙な行動を。

81: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:05:03.58 ID:kkPeaMdIP

no title

93: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:08:35.03 ID:kkPeaMdIP

no title

105: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:15:16.50 ID:kkPeaMdIP
なんで鳥山明風に英語表記にしてんの?
なんでブーンなのにもっと楽しそうにやらないの?

驚きのあまり、とんでもないツッコミをしそうになるリヴァル。
こんなツッコミしたら、隠れオタってばれるじゃないか。
とすぐに冷静になって、だんまりを決め込む。

しかし、やがてルルーシュが、
「バルス!! エターナルフォースブリザード!!」「貴様らこんなことをして生きて帰れると思うな!!」と叫びながら先生たちに連行されるのを見た。
ほっと胸をなでおろしたリヴァルの胸中に、なにかおだやかでは無い感情がうずまいていた。

ルルーシュの大胆な行動を、
ルルーシュの華麗な「ブーン」を見て、彼の中で何かが変わったのだった。

112: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:21:32.73 ID:kkPeaMdIP
ルルーシュからの返事を確認してから、C.C.はずっと打ち込み作業に没頭していた。
そして約三時間かけ――彼女はある一つの文書を完成させた。

C.C. 「よし……」

その文書をドラッグしてコピーし、パソコンのメール機能へとセットする。
そして、宛名を複数名選び出し、送信のボタンを押した。

その瞬間、彼女の計画は始まりを告げた。

115: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:24:21.43 ID:kkPeaMdIP
そしてほぼ同時刻、彼らはそれを受け取った。
内容を確認し、彼らはなにを考えただろう。

しかし彼らは決して後悔などはしていないはずだ。
なぜなら彼らもまた、この一枚の文書によって、

そのプライドを、自分を支えてきたものの誇りを守ろうと決意したのだから。

ルルーシュもまた、強い意志をもった人間だった。

117: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:28:25.07 ID:kkPeaMdIP
ルルーシュ 「はぁはぁ、ナナリーたん」

彼は自分で作った、妹系人工知能(A.I)と画面越しにおしゃべりしていた。
ちょうど、そのときだった。

ナナリー 「お兄様、メールが来てますよ」

ルルーシュ 「え……まったくもう」

仕方ない、という風にルルーシュはメールボックスを開く。
今度ナナリーにメールを朗読してもうら機能をつけよう、などという考えも、
送り主の名前を見たら吹っ飛んでいった。

121: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:34:33.11 ID:kkPeaMdIP
ルルーシュ 「C.C.……」

ルルーシュは急いで中身を確認し、入念に何度も繰り返し文章を読む。
そして……その瞳に熱い炎を宿した(と本人は思っている)

ルルーシュ 「俺は……この世界を変えてみせる」

ルルーシュ 「今度こそはやり遂げてみせる!!」

パソコンの前で独り言を呟いてる自分を変えることさえできない彼に、果たしてなにができるのだろうか。
同じくこの瞬間、彼の決意も始まりを告げたのだった。

124: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/10(火) 23:39:59.25 ID:kkPeaMdIP
           『日本ちゃんねる復興に向けての志』

我々の住処であり、かつて日本が集約されていた「日本ちゃんねる」。
巨大掲示板群として機能を果たしていた「日本ちゃんねる」の姿を、今も私は望んでいる。

その為にやるべきことは、ブリタニアちゃんねるを潰すことだ。

かつての「日本ちゃんねる」の勢いを吸収、いまや増幅させている怪物を倒すのは困難である。
しかし、人間に「不可能」という言葉は通用しない。
かつて、その勢いとユーザーは失われる事はないだろうと言われていた「日本ちゃんねる」が、
今こうしてそこらの掲示板と同じく、ネットの塵とされたように。

我々ならできるかもしれない。
いや、絶対できるだろう。

何故なら、我々には「ゼロ」という新たな救世主がいるのだから。

もう一度いう。
我々なら、必ずやり遂げられる。       
                                                     C.C.


STAGE 1 ニートの生まれた日  TURN END

150: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 00:51:17.17 ID:BFmnvnDXP





     STAGE 2 黒の無職団結成!! あ、あとついでに合衆国日本ちゃんねるも作ったよ







155: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 00:53:11.84 ID:BFmnvnDXP
そのメールを受け取ったとき、紅月カレンは震えた。
比喩でもなんでもない。
文字通り、体の芯から震えたのだ。

カレン 「これがC.C.の計画……」

とっておきの話がある、とメッセが送られてきたときには半信半疑だった。
しかし、今目の前にあるのはカレンが長年望んできた、しかし叶う事はなかった夢。

それが、今手に届くところにあるのだ。

カレン (それにしても……ゼロって)

彼女が首を傾げるのも無理は無い。
カレンも、にちゃんの主要コテハンの一人だったが、自分の知りうるコテハンの中にゼロというのはいなかった。
しかし、そうすると……。

カレンは一旦思考を止め、文章を再度見る。
そこにある「我々」の文字から察するに、他にもこのメールを受け取ったコテハンがいるのだろう。
カレンは自作の同人誌「どっきどきラブ@コテハン」を音読しながら、思考に耽ったのだった。

160: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 00:55:48.97 ID:BFmnvnDXP
男は中年で、無職だった。
しかも頑固者で武士道を志すという、とんでもないオプションつき。

今日も禅を組み瞑想をしているときに、そのメッセージを知らせる音を聞いた。

藤堂 「……耳障りだな」

見た目は完全アナログ人間で、真剣マニアな彼でもパソコンを持っているから驚きだ。
得意技の空中ブラインドタッチしながら(特に意味はない)メールボックスを開くと、そこには驚きの内容があった。

藤堂 「ブリタニアちゃんねるをぶっ壊す……?」

到底、信じがたい言葉だった。
かつては、彼も同じような行動を起こし、ブリタニアちゃんねるの鯖を一時的に停止させるという所業をおこしたことがある。
そのことから、彼は「無職の藤堂」とにちゃんの住民からは呼ばれていた。

そんな彼だからこそ、C.C.の言葉がにわかには信じられなかったのだ。

161: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 00:57:55.04 ID:BFmnvnDXP
女はシャワーを浴びていた。
その肢体は人並み異常のもので、男ならば思わず生唾を飲み下してしまう。

女はシャワールームから出ると、バスタオルを巻きそのままパソコンの前へと向かった。
「新着1件」と表示された画面を見て、その    を揺らしながら歓喜の声をあげる。

ラクシャータ 「やっと来たわね。待ってたんだから」

女は事前に計画を知っていた。
事前にC.C.に計画を打ち明けられた。「あなたの力なくてはできない」と。
丁度ブリタニア一のパソコン技術開発系の会社を辞め、暇になったところだ。

退屈しのぎになるのなら、どんな仕事も受けて見せよう。

●●な雰囲気を漂わせる唇が、わずかに綻ぶ。
彼女はお気に入りのパイポを手にとると、ゆっくり口元へと運んだのだった。

164: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 00:59:44.26 ID:BFmnvnDXP
C.Cは静かに、そのときを待っていた。
彼女の同志がここへやってくることを。

真っ白な部屋に、五人用の真っ白な円形テーブルと椅子。
その上にはパソコンが五台。と、大きなもちポテ明太子ピザ(もちろんピザハット)。

C.C. 「……」

果たして誰が最初にやってくるだろうか。
いや、彼らはここへ来るのだろうか。
所詮、にちゃんの古参コテハンという繋がりだ。なんの保証もない。

彼女がそんなことを考えていると、とうとう部屋のドアがノックされたのだった。

167: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:01:43.32 ID:BFmnvnDXP
「どうぞ」の声が聞こえたので、カレンは素直に部屋に入った。
ちょっと早く着すぎたかな、と思ったら、案の定一番乗りだった。

部屋にいたのは、色の白い綺麗な少女、いや、女性といったほうが正しいだろうか。
C.C.はにちゃんねるの常連コテハンなので、意外だった。

C.C. 「待っていた。私はコテ名C.C,」

カレン 「私はコテ名紅蓮」

C.C. 「君が紅蓮か。もうちょっとミーハーおばさん的なのを想像してたんだがな」

カレン 「お互い様よ」

二人は初対面だというのに、早々によろしくない雰囲気を作り出していた。

169: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:03:51.14 ID:BFmnvnDXP
自分が一番最後だろう、と思っていた。
元々時間にはルーズなのだ。早起きできないし、遅刻はしょうがない。
第一、自分がいないとこの計画は失敗なのだ。
ラクシャータは、ご自慢のパイポを吹かしながら、そう楽観視していた。

だから、部屋に入ってその空気を実感したとき、違う意味での焦燥感を感じていた。

ラクシャータ (なんか仲悪そうね……)

こんな感じでやっていけるのだろうか、と不安を感じつつも彼女は適当に挨拶をし、席についた。

かくして、この計画に携わる女性陣は集まったのだった。

172: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:05:26.42 ID:BFmnvnDXP
室内は微妙な空気に包まれていた。
C.C、カレン、ラクシャータ。
初顔合わせとはいえ、一応ネット上では交友関係にあったのだが。

カレン 「それで、あとの二人は男?」

余った席二つを見て、カレンがC.C.に尋ねる。

C.C. 「そうだが。そんなに男がいいのか? まあ、引きこもりだと出会いもないもんな」

カレン 「あんたっ……!」

ラクシャータ 「まあまあ、二人とも落ち着きなさいよ。ピザでも食べてリラックスしなさい。切り分けるわよ?」

C.C. 「そのピザは、私のおやつだが?」

カレン&ラクシャータ 「……」

176: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:07:45.63 ID:BFmnvnDXP
藤堂 「遅れてしまったか……」

しょうがない、朝の稽古をすませてからじゃないと出かけるわけにはいかないのだ。
願をかけているからな。うん、しょうがない。

無職とは思えない逞しい体つきと、鋭い眼光。
しかしそんな彼でも、険悪な女の薔薇に入り込んだときには萎縮してしまった。

C.C. 「遅いぞ、中年無職」

口の周りを真っ赤にした女。

カレン 「なんか臭いおっさんが来たな」

赤い髪をバンダナであげた女。

ラクシャータ 「あら、なんか不器用そうな男」

 はだけさせ、 間に 、パイポをはさんだ女。

藤堂 (ここ嫌だ……。帰りたい!)

そう、藤堂は典型的な中年無職であった。
女性に免疫がないゆえ、大の女下手だった。

こうして不安な要素しかないなか、彼らの会議は始まったのだった。

182: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:09:59.26 ID:BFmnvnDXP
C.C. 「さあ、会議を始めようか」

C.C.の指揮を邪魔するかのように、カレンが口を挟む。

カレン 「あと一人、来てないけど」

一つ空いた席を指差す。
確かに一つ、藤堂の隣の席が空いていた。

C.C. 「ああ、いい。そいつは来ないと連絡がきた」

ラクシャータ 「あらぁ、残念。若い子なら良かったのに」

カレン 「はん、この熟女め」

そんな女の喧嘩を横目に、一人目を瞑り腕を組む藤堂。
その姿からは、屈強な意志が感じられる。

藤堂 (無職の女っていうから、控えめでちょっとブサイクなのだと思ってたのに……)

藤堂 (……こいつら怖い!)

185: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:12:04.40 ID:BFmnvnDXP
C.C. 「さて、この際だし、不満のあるものは今吐き出してもらおうか」

この様子ではうまくいくものもうまいかないと判断したのか、C.C.が提案する。
それに対してカレンが言葉を発した。

カレン 「実際このメンバーで、計画は成功するの?」

それは重い一言だった。
口げんかこそすれど、胸中に込める思いは同じ仲間だ。
大事なのは、計画が成功するか、否か、だった。

カレン 「実際、この数ヶ月メッセを交わしたのは、C.C.あなただけ」

カレン 「この計画を建てるだけの度胸があるんだから、それなりのモノもあるんでしょう」

そこでカレンは後の二人を見やる。
「あなたたちはどうなのよ」と言いたげな目をしている。

C.C. 「ああ、彼女――コテ名パイポなら私が保証する。先日まで、ブリタニアで指折りのPC技術開発者だった女だからな」

カレン 「すごい……」

ラクシャータ 「まーねぇ。たいしたことあるわよ」

187: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:14:03.89 ID:BFmnvnDXP
C.C.が続けて言う。

C.C. 「紅蓮についても、私は認めている。日本チャンネル全盛期の頃から、あなたの行動力には惚れていた」

カレン 「ま、まあね」

コテ「紅蓮」は、にちゃん随一の行動派として知られていた。
西にクオリティあればスネークをし、東に天災あらばにちゃんねらーを率先してボランティアをした。
C.C.が彼女を呼んだのも、そういう理由だった。

ラクシャータ 「さて、そうすると……」

一同の視線が藤堂に集まる。
彼はそれを感じたせいか、額から一筋冷や汗が流れるのを感じた。

189: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:16:11.14 ID:BFmnvnDXP
藤堂 「わ、私は……」

口ごもる藤堂に、カレンが不審な目を向ける。
それを見て藤堂は、とうとう俯いてしまった。

C.C. 「お前ら、『無職の藤堂』って知ってるか?」

カレン 「あー、あの有名な」

ラクシャータ 「名前だけなら」

C.C. 「彼が、それだ」

二人の視線が再び藤堂に集中する。
その両眼は開かれていて、驚きの表情は隠しきれていない。

カレン 「す、すごい。このメンバーなら……」

『やれる』
みんなが、そう感じた。

194: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:18:41.57 ID:BFmnvnDXP
結束感が高まると、自然と蟠りも氷のようにとけていく。

ラクシャータ 「ところで、なんで『無職の藤堂』って呼ばれてるの?」

カレン 「彼はね、一度ブリちゃんの鯖を停止させたことがあるのよ」

ラクシャータ 「どうやって?」

カレン 「えーと、なんだっけ? 聞いたことあるけど思い出せないわ」

C.C. 「だ、そうだ」

藤堂に対しての、期待感が着実に高まってきている。
ちょっと頬を染めた藤堂は、静かに口を開いた。

198: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:20:59.32 ID:BFmnvnDXP
藤堂 「……ブリちゃんのトップページで、24時間ずっとF5連打してた」

C.C, 「……」

ラクシャータ 「……」

カレン 「……(そーいえば、あまりに暇人じゃないとできない所業から『無職の藤堂』って呼ばれるようになったんだっけ)」

再び氷が固まっていくのを、藤堂は肌で感じていた。
無職の藤堂、人生のピークは一瞬で過ぎたようだ。

206: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:23:40.14 ID:BFmnvnDXP
しばらくの沈黙の後、カレンが口火を切った。

カレン 「そういえばあの文書にあった、救世主・ゼロって誰?」

C.C. 「ああ、そろそろ出番だな。みんな画面を見てくれ」

C.C.に促され、三人はそれぞれの前にあるディスプレイに注目する。
そしてC.C.が慣れた手つきで、手元のパソコンを操作し、

C.C. 「ゼロ、出番だ」

その声と同時に、画面の向こう側に一人の人間が現れた。

208: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:25:30.23 ID:BFmnvnDXP

no title

214: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:28:31.46 ID:BFmnvnDXP
ポカンと口を開ける四人だったが、画面が即座に入れ替わった。
それは、可愛らしい少女のA.Iだった。

ナナリー 「みなさん、ちょっとお待ちくださいねー」

カレン 「これは人工知能!? すごい……」

ラクシャータ 「解剖してみたいわねぇ」

藤堂 (……カワユス)

ゼロが現れたのは、それから十分後のことだった。
ナナリーという名のA.Iが「お待たせしましたー」というと画面が切り替わる。

215: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:31:00.09 ID:BFmnvnDXP

no title

222: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:35:29.20 ID:BFmnvnDXP
もう初めましてじゃないだろ常考……という突っ込みもなく、ゼロの登場シーンは終わった。
それもそうだろう。さきほど、プライベートチックで赤裸々な一面を見せてしまったのだから。

カレン (胡散臭い……)

C.C. 「この方が救世主・ゼロだ」

C.C. 「これから演説を行う。心して聞くといい」

あのC.C.がこれほど持ち上げるような人物……。
三人は、若干緊張した面持ちで画面を見つめる。

その中の人が、ただの無職とは想像もせずに。

225: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:39:01.24 ID:BFmnvnDXP
ルルーシュ (あー、家で待機っていうからおかしいと思ったんだよ)

ルルーシュ (変な衣装着せられるし、長い演説覚えさせられるし)

ルルーシュ (まあいい、あとはなるようになれだ!!)

ルルーシュは深呼吸をすると、ゼロという偶像になりきりはじめた。

ゼロ 「よく聞け!! 我々の故郷である、日本ちゃんねるは今終焉へと向かっている!!」

ゼロ 「君達はそれを防ぎ、再びかつての栄光を取り戻そうと集まった者たちだ」

ゼロ 「君達の志、高く評価しよう!!」

演説は続く。

226: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:40:26.03 ID:BFmnvnDXP
ゼロ 「我々は無職だ!!」

ゼロ 「世間からは馬鹿にされる無職だが、この掲示板上においてこれほど重要なことはない!」

ゼロ 「この計画を、日本のネットユーザーを救うことが出来るのも、我々が時間を最大限に活用できる無職だからだ!!」

ゼロ 「それを胸に刻め!! 心の糧にしろ!! 無職ということを誇れ!!」

ここまで台本どおりに読めたことにほっとしつつ、(ここで一旦一息いれる)の文字に従って、拍をとる。
彼の演技は、客観的に見てもなかなかのものだった。

カレン (無職……誇る)

ラクシャータ (なかなかエネルギッシュでいいわぁ)

藤堂 (素晴らしい……)

C.C. (いいぞ、ルルーシュ。さあ、続けろ!!)

231: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:42:53.77 ID:BFmnvnDXP
ルルーシュは再び深呼吸をし、台本どおりの演説を始めた。

ゼロ 「よって、我々は一つの意思を持った集団となった!」

ゼロ 「打倒ブリタニア! 復活にちゃんという志の下で!!」

ゼロ 「つまり、我々は仲間だ!! 我々は……」


ゼロ 「 「 黒 の 無 職 団 だ ! !」 」

235: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:44:49.07 ID:BFmnvnDXP
その言葉が響いた瞬間、四人の間に流れる空気が変わった。
やれる。このメンバーと、ゼロがいれば、きっとやれる。
口には出ない、不思議な期待感で部屋が充満していった。

C.C. (よくやった。ルルーシュ)

ゼロ (やった、できた!! あとは……ん?)

台本の最後に、(希望ならば適当にアドリブを)と書いてあった。
ルルーシュは特にアドリブのきくほうではなかったが、このときは何故か、
つい言ってしまった。

238: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:46:04.45 ID:BFmnvnDXP

no title

244: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 01:49:48.82 ID:BFmnvnDXP
――ブリタニアちゃんねる・管理部

シャルル・ジ・ブリタニア 「オール・アク禁・ブリタニアァァァァァァ!!」

そこでは、大規模なアクセス禁止処置の作業が行われていた。
いくら自由を許すブリちゃんでも、荒らしは徹底的に潰す。
それが世界一たる所以かもしれない。

スザク 「管理人……」

シャルル・ジ・ブリタニア 「なんだ?」

スザク 「実は……」




スザク 「ブリタニアちゃんねるを潰そうという、不穏分子を発見しました」

STAGE 2 黒の無職団結成!! あ、あとついでに合衆国日本ちゃんねるも作ったよ TURN END

409: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:31:53.66 ID:BFmnvnDXP





        STAGE 3 動き出す 無職達 




 

410: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:34:02.92 ID:BFmnvnDXP
ルルーシュ 「疲れた……」

『負け屋』のおかげで演技はお手の物だったが、それでも慣れないキャラとして振舞うのは骨が折れる。
しかし、役目を終えたルルーシュの心中には、今までには無い充足感と達成感で満たされていた。

ルルーシュ (俺にもやれた……)

しかし、ここでやり遂げたと思ってはいけない。
これからが本番なのだ。それまでに、「あれ」を使いこなせるようにしていないと。

ルルーシュ (しかし、あんな化け物を俺に託すとは……)

「あれ」がC.C.から送り届けられ、その内容を聞いたときには愕然とした。
これは、魔人の力だ。だが、ゼロである君ならその力を使いこなせることが出来るだろう。
C.C.の言葉には、正直まんざらでもなかったが……。

ルルーシュ 「やはり俺は特別な才能を持っているのだ。ふふふ……」

ルルーシュ 「はははははhっ、gげほっ、ごうぇえ!!」

416: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:38:19.90 ID:BFmnvnDXP
C.C 「……」

最初の計画は既に完成していた。後は、実行に移すのみだった。
C.C,の考えた計画は至ってシンプル。いきなり直接、ブリタニアちゃんねるの鯖を叩きにいくだけだ。
もちろん、そんな単純な計画でうまくいくとは到底思っていない。今回の目的は、黒の無職団の名ををネット上に知らしめることだ。

C.C. (うまくいけばラッキー。最悪失敗しても、なんらかの波は起こせるはず)

やはりブリちゃんとは圧倒的なユーザーの差がある。
それを埋めるために、今回ド派手な行動を起こし、支持者を得なければならない。

C.C. (カレン達はうまくやっていけるだろう。あとはルルーシュ……)

メールが届いたのは、丁度物思いに耽ろうと思った瞬間だった。
彼女は思考を遮ることができず、そのメールを見過ごしてしまった。

418: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:40:52.00 ID:BFmnvnDXP
ブリタニアちゃんねる・運営部では、二人の男女が額を寄せ合って話をしていた。
決して男女の関係を匂わせているのではない。
ただ、周囲の耳に入っては困るような内容だったのだ。

ジェレミア 「その話は本当なのか……?」

ヴィレッタ 「平社員の証言ですから、なんとも言えませんが」

ジェレミア 「情報の筋は?」

ヴィレッタ 「なんでも、直接コンタクトを取っているとか……」

ジェレミア 「ふむ、そいつをここに呼べ」

ヴィレッタ 「そうしようとしたんですが、どうやら他の人間に呼ばれているようでして」

ジェレミア 「まあいい、その話が本当でも嘘でも、私のすべきことは変わらないさ」

男が自信たっぷりに口の端を歪める。
そして、紫色のパソコンを見つめ、
「このサザーランドに敵うわけがあるまい」と言ったのであった。

422: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:43:33.16 ID:BFmnvnDXP
ロイド 「おめでとぉー!! 君に、素晴らしいプレゼントだ!」

スザク 「……!!」

この部屋に足を踏み入れたときには、たいした期待は抱いていなかった。
しかし、これを目の前にし、もしかしたら……という考えが頭を過ぎったときから、足の震えが止まらなくなっていた。

スザク (まさか、これが僕のものになるなんて――)

セシル 「あらゆるパソコン技術に関するテストであなたはずば抜けていたわ。あと、運動神経と壁走りも」

スザク 「しかし僕は――」

ロイド 「だいじょーぶだよぉ! あのことは関係ないさ! それに、これを扱わせるなら君以外にいないと思っていたんだよねぇ」

スザク 「……ありがとうございます」

ロイドの言葉に対して、強い感謝の念を示す。
しかしスザクの目はもう、既にロイドを捉えてはいない。ただ、それを見つめていた。
白を貴重としたデザインに、光を反射させているその物体を。

424: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:47:13.16 ID:BFmnvnDXP
決行日、黒の無職団の面々はパソコンに向かい、C.C.の合図を待っていた。
彼女の合図が来れば、とうとうブリタニアとの戦争が始まりを告げるのだ。

おそらく浮き足立っているであろう彼らに対し、C.C.はマイクで語りかける。

C.C. 「みんな、聞いているか」

C.C.の問いかけに対し、それぞれメッセで返事をする。
それを確認すると、C.C.は言葉を続けた。

C.C, 「今回の作戦は、あくまでブリタニアを潰すための第一歩だ。決して、足早にはならないように」

C.C. 「それぞれのできることをやれば、必ずこちらに流れは傾くはずだ」

C.C, 「私は君たちを信じている。以上だ」

そこまで言って、C.C.は手元のキーボードをいじった。
メッセに表示されたのは、「GO」の文字。
それが、作戦の始まりを告げる合図だった。

425: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:50:00.44 ID:BFmnvnDXP
切り込み隊長は、藤堂だった。
彼に与えられた役割はいたってシンプル。
たった一つ、ブリちゃんにスレを立てるだけ。

藤堂 (……)

いつになく鋭い目つきで、真剣にパソコンの画面を見つめている。
そこに表示されているのは英語ばかりで、どうやら外国のサイトのようだった。

C.C. 『君にはスレ立てを頼みたい。――ただし、アクセス元を割り出されないようにだ』

ホストを隠してスレ立てをする。
その作業は慎重さを必要とはするが、決して難しい作業ではない。
その精密な作業には、やはり彼は適役だったようだ。

藤堂 「できたっ!!」

藤堂は何重もの海外サイトからアクセスし、とうとうそのスレを立てることに成功した。
そしてそのURLをカレンに送り、それをもって彼の役割は終了となったのだった。

430: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:53:46.27 ID:BFmnvnDXP
待ちに待った藤堂からの合図が送られてきた。
カレンは燃える闘志を心に秘め、大きく深呼吸をする。

彼女の役割は、このスレをブリタニアちゃんねる中に宣伝することだ。
宣伝文句はすでにC.C.が作っていて、人を惹きつけるには充分な書き回しとなっている。
この役割も、行動派の彼女だからこそできることだ。

藤堂が立てたスレには、ブリちゃんに対する宣誓布告が記されているはずだ。
そうやって注目を集めた上で、自分たちの作戦を展開する。
手はずは完璧だ。

カレン 「よし……」

あとは自分のできることをするだけだ。
彼女はただひたすら、スレの宣伝文をブリちゃん中にばらまきはじめた。
主要板はもちろん、独男板、鬼女板、壁子板など細部まで。

その作業は、彼女にとっては朝飯前だった。
自分の仕事をやりとげた彼女は、そういえば藤堂はどんな文句でスレを立てたんだろう、と考える。
そして、カレンはそのスレを開いてから、あんぐりと口を開けたのだった。

433: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 20:59:16.97 ID:BFmnvnDXP
黒の無職団 本部

1 :以下、皇帝にかわりましてが無職がお送りします。 :2008/06/10

無理だ、不可能だ。人々は口をそろえて言う。
職種、地位などは決して関係ない。やろうという強固な意志を持ったものが、やり遂げるのだ。
のんびり構えているブリタニアちゃんねるの運営共よ、我々はあなたたちに宣戦布告をする。
藤子・F・不二夫がドラえもんの作者である事は不動たる事実だが、ブリタニアちゃんねるがここにあり続けることは不動の事実ではないのだ。
堂々と我らは、宣戦布告をする。ブリタニアちゃんねるを潰しにかかることを。
だんご三兄弟のように、潰す。そして、日本ちゃんねるの栄光を取り戻す。
よって、我々は手始めに、今日一日ブリちゃんの鯖を停止させる作戦を開始する。全てのネットユーザーよ、とくと見るがいい。
|  ^o^ |b<いぇーい

442: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:04:25.74 ID:BFmnvnDXP
カレン 「無、職、の、藤、堂、だ、よー……」

頭を抱えたカレンから出てきたのは、藤堂に対する素直な感想だった。

カレン 「あの馬鹿……」

これはひどい縦読み、と言わざるを得ない。
四行目と六行目ひどすぎるだろ……。どんな例えだよ。
それに最後の「だよー」って伸ばすところがむかつく。あんないかつい顔してるくせに、ぶりっこするな。
つっこみたい衝動をカレンはどうにか抑える。

そして、ラクシャータとゼロがうまくできますようにと祈りながら、
彼女の自作同人誌「紅蓮を纏った少女☆ドキドキ大冒険」の執筆を始めるのだった。

445: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:08:00.51 ID:BFmnvnDXP
その日、ブリちゃんのあるスレにどんどん人が集まってきていた。
そのスレタイは「黒の無職団 本部」で、内容はブリちゃんに対する宣戦布告だった。

そのスレにつくレスは、「通報しました」「記念パピコ」などといったものばかりだったが、
確実にスレの勢いは高まりつつあった。
なにかが起こる、ブリちゃんねらー達はそう感じていのだ。

広範囲な宣伝で、あらゆる板から人が集まっていた。
そこへまた、人が集まってくる。
これからなにが起こるんだろう。人々がそのスレに期待を抱いた瞬間――


ブリタニアちゃんねるは、たった一つのURLを残し――動きを止めた。

446: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:10:52.10 ID:BFmnvnDXP
ブリタニアちゃんねる外の掲示板群が、ひさびさに盛り上がりを見せた日だった。
とくに盛り上がりを見せるのは、日本ちゃんねる。
それもそのはず、あの強大なブリタニアちゃんねるに喧嘩を売ったのは、我らが日本ちゃんねるのユーザーなのだ。

予想スレ、釣りスレ、実況スレ(といっても、肝心のブリちゃんは動きを見せないが)など様々なスレが立ち並び、
事の顛末を見届けようとしている。

黒の無職団と名乗るものたちは、とんでもないことをやってのけた。
あの無職の藤堂でさえ、ゲリラ戦を仕掛けたというのに、彼らは宣戦布告した後、悠然と言葉通りの事を起こしたのだ。
中にはブリちゃんの釣りだというものもいたが、その言葉は決して祭りを白けさせる力を持っていなかった。

それほど、彼らは黒の無職団に期待をかけ始めていたのだ。

449: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:12:58.38 ID:BFmnvnDXP
その男は、この国のマスメディアを憂えていた。
本質を捉えず、視聴率を優先した報道ばかり。
彼もネット放送という、マスコミに関わる職業についていたが、自分の心を誤魔化す事はできなかった。

だからこそ、黒の無職団の登場は彼に衝撃を与えたのだった。
そして、ブリちゃんに残されたURLをクリックすると、彼は更に大きな衝撃を受けることとなった。

「我が名はゼロ!! 黒の無職団の、代表を務めるものだ!!」

URLをクリックした瞬間、流れ始めた映像には――英雄が映っていた。
ディートハルトはゼロの言葉を噛み締め、それを心に浸し、感動を感じていた。
この革命家の映像を、世界中からブリちゃんにアクセスしている人々が見ているのか――。

そうして感銘を受けたディートハルトは、自分の勤めるネット放送をジャックし――もちろんこんなことをすればクビになるが――
黒の無職団を追いかけたネット放送を流し始めたのだった。

452: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:16:56.40 ID:BFmnvnDXP
ジェレミア 「ほう、本当に起こるとはな……」

ヴィレッタ 「あの男の言葉、虚言ではなかったようですね」

ジェレミア 「面白い……黒の無職団、ゼロ」

ヴィレッタ 「そんな悠長なことを言っていられる状況ではないのでは?」

ジェレミア 「なーに、奴らは”今日一日”という長い時間を我々に与えてくれているんだ」

ジェレミア 「ゆっくり楽しもうではないか。なあ、サザーランド」

紫色のボディが、鋭い光を放つ。
まるで、抑えられない興奮が溢れ出しているかのようだった。

455: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:20:30.21 ID:BFmnvnDXP
ラクシャータの技術力さえあれば、鯖を停止させ、外部リンクへ誘導することなど朝飯前だった。
しかし、あくまでそれは一時的なものであり、彼女の仕事の第一段階に過ぎない。

ラクシャータ 「さて、ここからね……」

原因不明の鯖停止を復旧させようと、必ず誰かしらブリちゃん関係者がアクセスをしてくるはずだ。
彼らの技術力があれば、鯖を復旧・移転させるのは容易であろう。
それを邪魔することが、ラクシャータの最重要任務だった。

ラクシャータ 「アクセス確認十七回線……おっと、まだまだ増えるわぁ」

ラクシャータ 「まったく、多忙ほど面白いものはないわねぇ」

微かに緩んだ頬を引き締めると、彼女はそれら全てに干渉をはじめた。
相手に気づかれてもいい。しかし、相手がそれに気づいたときには全て終わっている。
ラクシャータはそれぞれのデータを、我らが総統へと送り続けた。

458: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:24:40.41 ID:BFmnvnDXP
データを次々と受信するのを見て、ルルーシュはふぅと溜め息をついた。
やっと自分の出番が回ってきたのだ。最後にして、最大の任務が。

彼はラクシャータから送られてきたデータを確認する。
そして、一通りの事務的行動を済ますと、とうとう「あれ」の実行ファイルを開いた。

ルルーシュ 「ギアス……」

C.C.から送られてきたのが、ギアスという名前のファイルだった。
ギアス――所謂新型ウイルスだ。
その力は強大で、命令ファイルを添付させて他人のパソコンに干渉すれば、どんなパソコンもその命令に従わざるをえない。
例えそれが、どんなに醜悪で、名誉に関わることであろうとも。

466: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:28:51.75 ID:BFmnvnDXP

ルルーシュ (俺は……絶対遵守の力を手に入れたのだ)

ルルーシュは心を震わせ、感激の情念を鳥肌として放出させる。
そして彼は片目を覆うと、実行のボタンを押した。

ルルーシュ 「ルルーシュ・ランペルージが命じる! 貴様らのパソコンは……爆発せよ!!」

もうちょっとましな命令は思いつかなかったのだろうか。

471: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:31:52.27 ID:BFmnvnDXP
C.C. 「やった……」

進行状況が映されたディスプレイに、沢山の「デリート」の文字が浮かび上がる。
さきほどまでアクセスしていた沢山の回線が、一度に消えてなくなったのだ。
ルルーシュがどんな命令を下したのかは知らないが、成功にはかわりない。

C.C. 「まさか、こんなにうまくいくとは……」

正直、冗談半分で考えた作戦だった。
鼻くそをほじりながら(実際ほってないけど)考えられるような、稚拙な内容。
まあ結果オーライというやつだろう。

C.C, 「よし、こうなったらいけるところまでいってしまおう」

彼女はピザを食すかたわら、彼らに適当なエールを送った。

475: [―{}@{}@{}-] >>473前者じゃないの? 2008/06/11(水) 21:35:29.83 ID:BFmnvnDXP
ルルーシュ 「C.C.からメッセだ。……がんばれー、だと……?」

ルルーシュ 「この女……もしかして俺に気があるのか?」

そう思い、過去の彼女とのメッセのやりとりを思い出す。
今思えば、フラグたるものがいっぱいあるような気がする。
「俺職につけたら結婚するんだ」と送ったときも、「さいですか」とわざと素っ気無い返事をして、照れ隠ししていたなぁ。

ルルーシュ 「は、いかん」

ルルーシュ 「俺にはナナリーたんがいるというのに……」

浮気をしかけた自分を戒め、ナナリーTシャツ(直接プリント)を手に取る。
新たな回線のデータがラクシャータから送られてきたのは、ちょうどそのときであった。

479: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:38:50.84 ID:BFmnvnDXP
ジェレミア 「ふん、雑魚共はやれらてしまったようだが、私はそうはいかんぞ。反乱分子共」

マイPC「サザーランド」を操り、何度も行われる干渉を避けていく。
しかし、とうとう彼も、自由自在に動くその蛇に捉えられてしまった。

ジェレミア 「し、しまった!」

一方、ルルーシュは送られてきたデータの主に、どんな命令を課そうかと考えていた。
爆発だけじゃ芸がない。そういえば、最近妹が爆発したスレを見てないな。

ルルーシュ 「そうだ……!」

これなら面白いことになりそうだ、と彼はニヤリと微笑む。
その瞳は、人の不幸をあざ笑うものだった。
そして彼は命令を、実行に変換した。

485: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:41:44.20 ID:BFmnvnDXP

no title

493: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:46:04.31 ID:BFmnvnDXP
新型ウイルス「ギアス」が、サザーランドにとりついた瞬間――
異変が起こった。

ジェレミア 「な、なんだ!? 何が起こった!!?」

彼が事態を把握しない内に、あるフォルダが展開されはじめる。
そのフォルダ名は――「わが国のオレンジ栽培における最重要考案(ジェレミア策)」
なんという隠蔽体質。

そしてそのフォルダはその名を残したまま――飛び出した。

ブリタニアちゃんねる関係者のパソコンにも、もちろん黒の無職団のパソコンにも。
各国の大統領のパソコンにも、一般家庭のパソコンにも。
「わが国のオレンジ栽培における最重要考案(ジェレミア策)」と名づけられたフォルダが――中身は●●zipばかりだが――
世界中にその軌跡を残した瞬間だった。

もちろんその後、ジェレミア卿が「オレンジ」という名で日本ちゃんねるで祭り上げられたのは、言うまでもない。

498: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:50:43.62 ID:BFmnvnDXP
ルルーシュ 「くくく……はーっはっは!!!」

愉快、愉快、愉快……。
彼はその言葉を繰り返し、届いたフォルダを見ながら、捩れる腹筋を抱える。
全く、ブリちゃん関係者が大量の  画像を保持しているだけでも問題なのに、それを隠すためにフォルダ名まで偽装するとは。
ちなみに自分はごみ箱にいちいち隠しています。
ちなみに自分はごみ箱にいちいち隠しています。


ルルーシュ 「それにしても素晴らしいな、ギアスは」

この力さえあれば、なんでもできる。
優越感に浸っていたとき、もう一本新たな回線がアクセスするのを見つけた。

ルルーシュ 「この期に及んで、まだ攻めてくるか……」

ルルーシュ 「ふん、ラクシャータ。早くこいつのデータを抜き取ってしまえ」

507: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:54:18.77 ID:BFmnvnDXP
一方、ラクシャータは思わぬ苦戦を強いられていた。

ラクシャータ 「こいつ……速いわ」

黒の無職団の罠に踏み込んできたその回線は、ラクシャータの干渉を優々とかわしていた。
その速さ、光。
そしてとうとう、その回線はラクシャータの包囲網を突破していった。

ラクシャータ 「これは……とんでもない化け物ね」

ラクシャータ 「早くC.Cに連絡しなきゃ……」

そう思いながらも、指が震えて思うように動いてくれない。
彼女は畏怖していたのだ。その体験したことのない、圧倒的な速さに。
それを生み出したであろう、人物に。

ラクシャータ (一体、どうやってあんなものを創り出したのかしら……)

509: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 21:56:36.60 ID:BFmnvnDXP
ロイド 「適合率90%!! 素晴らしいー!!」

セシル 「スザク君、無理しちゃだめよ」

スザク 「大丈夫です」

スザクはその純白のパソコン「ランスロット」の驚異的な速さに驚きながらも、それを見事使いこなしていた。
たくさんの同士が沈んでいった罠も容易く抜け、もう既に復旧作業に取り掛かかっている。
このランスロットなら、やれる。彼はそう確信した。

スザク 「それにしてもロイドさん」

ロイド 「なぁ~んだい?」

スザク 「向こうも相当の技術者のようですが、それも軽くあしらうランスロットの速さはどうやって創り出したんですか?」

スザクの純粋な疑問に、ロイドは笑みを浮かべて答えた。

ロイド 「プロバイダが……フレッツ光だからさー!」

スザク 「光通信うめえwwwwww」

516: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 22:00:25.96 ID:BFmnvnDXP
C.Cは呆然としていた。
さきほどまで止まっていたブリちゃんが、今既に動きを再開している。
何が起こったのだろう。さきほどまで、完全に優位に立っていたのに。

C.C (あの回線がアクセスしてからだ……)

どうやら、ブリタニア側にも切り札があったらしい。
彼女の開発した「ギアス」と、対等の力を持つほどの。

そのとき、彼女の部屋の電話が鳴った。

C.C 「はい、もしもし」

「あ、こちらYAHOO BBです。契約のほう、引き続き頼みたいのですが」

C.C 「あ、よろしくお願いします」

521: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 22:04:50.56 ID:BFmnvnDXP
かくして黒の無職団の攻撃は、わずか半日で沈められた。
しかし、有言実行とまではいかないものの、その快進撃は多くの無職に希望を与えていた。

扇 「黒の……無職団」

玉城 「ゼロ、こいつらすげえ……」

ディートハルト 「素晴らしい……」

作戦は失敗したものの、C.C.の目論見は結果的に成功していたのだった。

それに加えて、ディートハルトが画策した黒の無職団を追ったネット中継。
そして、救世主ゼロの登場。

始まりの攻防は、ブリタニアちゃんねるに軍配があがった。
しかし、世界の無職たちは、確実に動き出していた。

524: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/11(水) 22:07:51.58 ID:BFmnvnDXP
ルルーシュ 「ギアス使っても俺は駄目なのかああああああああああ!!」

ナナリー 「お兄様、落ち着いて……」

ルルーシュ 「……ナナリーたんに、ギアス使ってもいい?」

ナナリー 「……」

ルルーシュ (はぁはぁはぁはぁ、ギアス使えばあんなことやこんなことm)

ナナリー 「ダメです」

ルルーシュ 「……」

ナナリー 「……プツッ――」

ただ一人、歩みを止めたニートを残して。


STAGE 3 動き出す 無職達  TURN END

570: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:17:54.13 ID:oMlh/G7bP





          SATGE 4 立ち止まるゼロ




 

574: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:19:37.21 ID:oMlh/G7bP
ゼロ率いる黒の無職団が、ブリちゃんの鯖を停止させるという大事件から一週間後。
ネット世界は、確実に変わりつつあった。

ブリタニアちゃんねるに立てられたスレが落ちてからというものの、
日本ちゃんねるに「黒の無職団に入団したい人が集まるスレ」なるものが立てられ、
にちゃんはかつての活気を取り戻しつつあった。

C.C. 「ラクシャータ、入団希望者たちをブリちゃんの網に引っかからないように、ここへ誘導してくれないか?」

ラクシャータ 「お安い御用よぉ」

578: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:21:54.04 ID:oMlh/G7bP
C.C. 「それからカレン、しばらくは君がここの責任者となってくれ」

カレン 「き、急にどうしたのよ? あなたはどうするの?」

C.C 「ちょっとばかり、訪ねなければいけないところがあるんだ」

C.C. 「それから……」

藤堂 「……」

C.C. 「カレン、ゼロから連絡があったら教えてくれ」

カレン 「はいはーい」

藤堂 「……」

580: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:23:38.12 ID:oMlh/G7bP
カレン (私がリーダー代理かー。それにしてもゼロ……)

あの一夜から、ゼロとは全く連絡を取れていない。とC.C,が言っていた。
あれだけの活躍を見せておきながら、何故。
カレンは彼の苦悩を想像できないことが、敬愛者として非常に心苦しかった。

ラクシャータ 「さーて、仕事仕事」

藤堂 「稽古だ」

不安を感じているのは二人とて同じだった。
あの日以来、ゼロは黒の無職団にとってなければならない人へとなっていたのだ。

583: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:25:06.43 ID:oMlh/G7bP
一方、ルルーシュは完全なる引きこもり生活を送っていた。
一日で唯一会話を交わすのは、A.Iのナナリーのみ。

ルルーシュ 「なあ、ナナリー」

ナナリー 「なんですか、お兄様」

ルルーシュ 「あのさ……」

ナナリー 「なんでしょう?」

ルルーシュ 「俺のことどう思ってる?」

ルルーシュ 「お兄様……大好きです///」

ルルーシュ 「俺もだよ、ナナリー」

ナナリー 「一人でなにやってるんですか?」

587: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:28:42.64 ID:oMlh/G7bP
ルルーシュ 「♪朝も夜もネットばかりして」

ルルーシュ「♪腰に来るよ 座位生活」

ルルーシュ 「♪目まいも 激しくなる」

ルルーシュ 「♪画面の向こうと こっち側で」

ルルーシュ 「♪交われない ナナリーと俺」

ナナリー 「お兄様、もっとポジティブにいきましょう……」

590: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:31:02.59 ID:oMlh/G7bP
この一週間で、ルルーシュのネクラぶりに拍車がかかっていた。
ギアスで変われると思った自分。ギアスをもってしても、やり遂げられなかった自分。
結局中途半端な自分が、情けなくて鬱陶しかった。

ルルーシュ 「はぁ……」

ナナリー 「お兄様、元気出してください……」

ルルーシュ 「うん……」

ナナリー 「そうだ! ダンスを踊ると元気が出るって聞きましたよ!」

ルルーシュ 「へえ……」

ナナリー 「私が歌を歌いますから、それにあわせて踊ってください!」

ルルーシュ 「あ、ああ……」

592: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:33:25.46 ID:oMlh/G7bP

no title

597: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:35:58.24 ID:oMlh/G7bP

no title

600: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:38:33.92 ID:oMlh/G7bP
ルルーシュとナナリーが馬鹿なことをやっていると、久しぶりに部屋にノックの音が響いた。

ルルーシュ 「……!」

小夜子 「ルルーシュ様、お手紙が届いております」

ルルーシュ 「なんだ、小夜子さんか。ドアのしたの隙間から通してくれ」

ナナリーの次にルルーシュが心を許しているのは、家政婦の小夜子さんだった。
ルルーシュのことならなんでも心得ているので、会話をしていて煩わしい気持ちを感じることもない。

部屋に通された手紙を見ると、ルルーシュは驚いた。

ルルーシュ 「アッシュフォード学園生徒会同窓会だと……」

ナナリー 「まあ、素敵ですね」

ルルーシュ 「……」

開催日は、明日だった。

603: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:41:07.34 ID:oMlh/G7bP
翌日、某焼肉店に四人の男女が集まっていた。
「予約席」と紙が置かれたそこには、二人分ほどスペースが余っている。

ミレイ 「みんなひさしぶりーっ!」

シャーリー 「いぇーいっ!!」

リヴァル 「ひゃっほーぃ!」

ニーナ 「ゆーふぇみぁっ!」

意味不明なテンションだが、見ててどこか微笑ましいものはある。
だが、その中にいざ入ろうとすると難しいものがあった。

スザク (遅れてきちゃったけど……入りづらい)

ルルーシュ (しまった、遅れてしまった……)

スザク 「あ」

ルルーシュ 「あ」

入り口で鉢合わせた二人は、どこか気まずそうに顔を伏せた。

607: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:43:26.37 ID:oMlh/G7bP
仕方なく、スザクが先に入ることにした。

スザク 「みなさん、遅れてすいません……」

ミレイ 「おー! スザク君!」

シャーリー 「待ってましたー!」

リヴァル 「へいへい、座りなー!」

ニーナ 「……ぺっ」

スザク 「あはは、どうもー」

すんなり輪に溶け込むスザクを横目に、ルルーシュはここへ来たことを後悔していた。
スザクが来る事は予想はしていたが……。やはり、顔を合わせづらいものがあった。

608: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:44:59.89 ID:oMlh/G7bP
それというもの、二人の間には蟠りがあった。

小学生時代、二人は親友だった。
いつも二人で駆け回り、なにをやるにしても彼らが中心となっていた。
お互いを認め合う、いい関係だった。

小学校五年時にスザクが転校したときは、ルルーシュはショックを受けた。
二人はいつか必ず会おうと約束し、涙の別れをした。

そして高校在学時、スザクは戻ってきた。
約束を果たすためかどうかは定かではないが、彼はルルーシュの元へとやってきたのだ。

しかし、ルルーシュはもうかつてのルルーシュではなかった。
小学生まではリア充、という典型的な道筋を歩んだルルーシュは、スザクを受け入れなかった。
いや、受け入れられなかったのだ。今の惨めな自分と、スザクが釣り合わないとわかっていたから。

ルルーシュがスザクを避けるように生活していたら、いつの間にか二人の間には溝ができていた。

609: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:47:16.05 ID:oMlh/G7bP
店の前にずっと立っているルルーシュを、不審者扱いする輩が現れ始めたので、
彼は仕方なく店内へと入った。

ミレイ 「あ、遅いぞー! 副会長!!」

シャーリー 「待ちくたびれたよー。こっちはお腹空かせてるんだからねー」

リヴァル 「……全く、主役は遅れての登場かぁ?」

ニーナ 「……ひさしぶり」

ルルーシュ 「みんな……」

萎れた心が、少しだけ潤ったような気がした。

スザク 「はむっ、はふはふ、はむっ!肉うめえwwww」

ルルーシュ 「……」

が、やっぱり気のせいだったらしい。
こうして、アッシュフォード学園生徒会の同窓会は始まったのだった。

612: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:49:09.07 ID:oMlh/G7bP
場は予想以上に盛り上がっていた。
ルルーシュもその中にしっかりと溶け込み、その雰囲気を楽しんでいた。

シャーリー 「そういえばさー、学園祭のときルルがさー」

ルルーシュ 「シャーリー! その話はやめろ!!」

リヴァル 「え、なになに? 教えてよー」

ルルーシュ 「やめろ! 頼むからやめてくれ!!」

ミレイ 「気になるー」

シャーリー 「えー、どうしようかなー」

ワイワイガヤガヤ

スザク 「みんなさ、もうちょっと野菜食べてよ。俺だけじゃん、野菜消費してんの」

ニーナ 「空気嫁」

615: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:51:12.35 ID:oMlh/G7bP
やっぱり来て良かった。そう思い始めたルルーシュに、突如地獄の時間が訪れた。
それは、近況報告の流れだった。

ミレイ 「みんな今なにしてんのー?」

リヴァル 「僕は神山満月ちゃん!」

シャーリー 「リヴァル君はフリーターでオタクでーす」

リヴァル 「あ、ひでえな! このやろう!!」

ニーナ 「ふふふ」

リヴァルもオタクであることをすっかりカミングアウトし、以前よりすっきりとした表情を見せるようになっていた。

616: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:53:10.24 ID:oMlh/G7bP
ニーナ 「私は研究所に」

シャーリー 「私は大学生ー」

スザク 「僕はネット関係の仕事に」

リヴァル 「会長はー??」

ミレイ 「うふふ、秘密。副会長は?」

一同の視線が、ルルーシュに集まる。
これはヤバイ、脈拍が乱れる。汗が滴る。

620: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:55:14.46 ID:oMlh/G7bP

シャーリー 「ねえ、なにやってんのー?」

ルルーシュ 「……け」

リヴァル 「け?」

ルルーシュ 「け、警備員……」

624: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 00:58:45.35 ID:oMlh/G7bP
なんとなく事情を察したのか、彼らはそれ以上なにも言わなかった。

ルルーシュ 「……うっ」

頑張ってるみんなに比べて、この情けない俺はどうだ。
そう考えると、自然と涙が頬を伝った。

ミレイ 「副会長……今は辛い?」

ルルーシュ 「……はい」

ミレイ 「そうなら……ここで、できる限り吐き出しちゃいなよ、ね?」

ミレイの優しさに、ルルーシュは心がほんのり温まるのを感じた。

628: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:02:52.86 ID:oMlh/G7bP
一方、その頃C.C.は重要な会談に挑んでいた。
相手は古い伝統を持つ、「キョウト」というサイトの首脳。
C.C.は、ブリちゃんを倒すためには彼らの力が必要だと判断したのだった。

C.C 「初めまして、神楽耶様、桐原さん」

神楽耶 「こちらこそ」

桐原 「……」

C.C. 「それでは、早速用件なのですが――」

C.C,は、黒の無職団の進退を決めるであろう交渉に、
全身全霊をかけて臨むのであった。

632: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:07:54.88 ID:oMlh/G7bP
そして、カレンのもとへは沢山の無職(入団希望者)がやってきていた。
あまりの数の多さのため、流石に一人では捌ききれない。
仕方がないので、藤堂に手伝ってもらうことにした。

カレン 「はい、次の三人どうぞー」

扇 「はい」

玉城 「おう」

ディートハルト 「失礼します」

カレン (また個性の強そうなのがきたなー……)

634: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:09:24.69 ID:oMlh/G7bP
藤堂 「次の四人、入りたまえ」

藤堂は真面目に場を仕切っていた。
稽古中だったが、頼まれたら手伝わないわけにはいかない。
決して、暇だったわけではない。

朝比奈 「藤堂さん、お久しぶりです」

藤堂 「む?」

顔を見上げると、そこには懐かしい面々がいた。
かつては共に無職の道を歩んでいたはずの、同胞たち。

藤堂 「お前ら、ここは職持ちが来るところじゃないぞ」

千葉 「あはは、クビになっちゃったんですよー」

仙波 「だが、決して半端な気持ちでここへ来たわけではありません」

卜部 「よろしくお願いしますよ」

藤堂 「ふっ……」

黒の無職団は、着実に歩みを進めていた。

638: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:11:46.40 ID:oMlh/G7bP
同窓会の雰囲気は、序盤とはうってかわって静かになっていた。
みんなは親身になって、ルルーシュの告白を受け止めていてくれた。

ルルーシュ 「俺は……何をやっても中途半端で……」

ルルーシュ 「本当になにも続いたことがなくて……」

ルルーシュ 「今だって自作の人工知能としか、会話を交わさないんだ」

ミレイ 「そう……」

ルルーシュ 「最近、やっとやり遂げられそうなことが見つかったのに……」

ルルーシュ 「みんなの期待を裏切った上、途中で逃げ出して……」

スザク 「それは人として最悪d シャーリー 「黙ってなさい」

ルルーシュ 「今日もみんなに引け目を感じて、悔しくて……!」

リヴァル 「ルルーシュ……」

642: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:14:23.57 ID:oMlh/G7bP
半分くらい吐き出したが、それは辛いだけだった。
しかし、そんなルルーシュを慰めるかのように、ミレイが声をかけてくれる。

ミレイ 「ルルーシュ、あなたは自分の良いところを知らないで生きてる」

ミレイ 「あなたは、とっても優しい。今日だって、来ることさえ辛かったはずなのにちゃんと来てくれた」

ミレイ 「きっとみんなのことを気遣ったのね。でもそれって、言い換えれば仲間思いって言うんじゃない?」

ルルーシュ 「会長……」

ニーナ 「私もなんて言っていいかわからないけど……」

ニーナ 「あなたを必要としてくれる人たちがいる、それって中途半端な人間には無いことですよね? でしゃばってごめんなさい……」

ルルーシュ 「  ニーナさん……」

649: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:18:17.67 ID:oMlh/G7bP
リヴァル 「俺もうまいことは言えないけどさ……」

リヴァル 「俺、お前のお陰で正直に生きることができるようになったんだぜ。お前に感謝してる人間もいるってことを忘れないでくれよ」

シャーリー 「そーそー。みーんなルルに感謝してるんだから」

ルルーシュ 「リヴァル、シャーリー……」

ああ、どうして俺はこんなにも優しいみんなを忘れていたのだろう。
例え慰み言葉だとしても、それらは自分に勇気を与えてくれる。
人間のぬくもりは不思議と、自分に生きる気を与えてくれる。

スザク 「ルルーシュ」

ルルーシュ 「なんだ」

スザクの瞳は、今までのようなふざけたものではなかった。
それはかつての親友の瞳。
ルルーシュはそれを、真正面から受け止めた。

652: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:20:55.61 ID:oMlh/G7bP
スザク 「お前が誰かの期待を裏切った事は、最悪なことだと思う」

ルルーシュ 「……」

スザク 「しかし、失敗を大きな成功に変えるのが、俺の知っているルルーシュだ」

スザク 「お前はそういう男だ」

ルルーシュ 「スザク……」

スザク 「だからお前はもっと胸を張って、自分らしく生きるんだ。いつかお前の心の高鳴りが世界を揺らすはずだ。
     かつてお前は俺のライバルだった。だが今は……。追いついて見せろ!ルルーシュ!お前h
             
               ~~ くさい(うざい)ので カット~~

657: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:23:28.81 ID:oMlh/G7bP
同窓会は、十一時過ぎまで続いた。
店から出てきたみんなは笑顔で、とても良いものであったことが覗える。
ルルーシュもまた、清々しい気分だった。

ルルーシュ (本当に来て良かったな……)

崩れかけた体が、挫けかけてた心が、蘇るようだった。
彼らの言葉が、そしてなによりスザクの言葉が、ルルーシュを奮い立たせた。
そう、ゼロとしてのルルーシュを。

みんなと連絡先を交換し別れた後、ルルーシュはC.C.と出会った。
彼女は、一人の少女を連れていた。

C.C. 「久しぶりだな、ルルーシュ」

ルルーシュ 「ああ」

C.C. (どうやら悩みは解消したようだな……)

658: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:24:56.99 ID:oMlh/G7bP
神楽耶 「初めまして、ルルーシュさん」

ルルーシュ 「あ、幼女」

神楽耶 「え?」

ルルーシュ 「あ、いえ。あ、どうも」

C.C. 「神楽耶様、こいつがゼロです」

神楽耶 「あなたがゼロ様!? お目にかかれて非常に光栄です!!」

ルルーシュ 「は、はあ……はあはあはあ」

C.C, 「さあ、ルルーシュ。みんなのもとへ向かおう」

ルルーシュ 「ああ」

664: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:28:23.53 ID:oMlh/G7bP
ルルーシュらが向かったのは、以前C.C.が会議を行った部屋だった。
そこには既にカレン達もいて、ルルーシュ――いや、ゼロ――を出迎えてくれた。

カレン 「初めまして、ゼロ」

藤堂 「お初にお目にかかります」

ラクシャータ 「よろしくねぇ」

ゼロ 「ああ、よろしく」

C.C. 「見ろ、ゼロ。そのパソコンを。彼らは全員、黒の無職団員だ」

指差されたその先にあったディスプレイには、千人をゆうに超える人間たちがいた。
彼らはなにかを叫びながら、熱狂していた。

666: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:30:47.10 ID:oMlh/G7bP

no title

672: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:34:27.67 ID:oMlh/G7bP
信じられない光景だった。
これほど自分を必要としてくれている人たちがいる。
一種の感動で胸を打ち震わせていると、カレン達も忠誠の言葉を発した。

カレン 「あなたなしでは、私たちは勝つことは出来ません」

藤堂 「我々はあなたに命を託した。無職の代表である、ゼロに」

ラクシャータ 「しっかりしてくんないと、怒るわよぉ」

神楽耶 「将来の妻として、精一杯頑張ります!!」

C.C. 「……随分期待されているようだな」

ゼロ 「……ああ」

ゼロ (今は例え偽りでも、ゼロとしての資質と信頼を、俺はいつか本物にしてみせよう!!)

逃げていたルルーシュが、決意を固めた。
立ち止まっていたゼロが、再び歩き出した。
止まっていた時計の針が、再び時を刻み始めた瞬間だった。

675: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:37:19.89 ID:oMlh/G7bP
広い室内に、集まる数人の男女。
彼らは「ニート・オブ・ラウンズ」と呼ばれる、ブリちゃんを取り仕切る精鋭たちだ。
スザクも前回の活躍が認められ、晴れてその一員となったばかりだった。

ジノ 「おいおい、なんだよスザク。提案って?」

アーニャ 「今携帯小説書いてるからあとにして……」

スザク 「真剣な話なんだよ。君らも今、反乱分子が叛乱を企ててるのは知っているだろう?」

ジノ 「ああ」

スザク 「彼らは着実に力をつけているはずだ。だから、こちらも大きな力を手に入れなければならない」

アーニャ 「大きな力?」

スザク 「そうさ……」

「人工知能」と呟いたスザクの表情は、満面喜色に覆われていた。

679: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:41:23.37 ID:oMlh/G7bP
ルルーシュの知らないところで、ナナリーを手に入れようと魔の手が伸びていた。
しかし、それだけはかった。

ブリちゃん側は、もう一つ大きな力を手に入れようとしていた。
研究員たちが覗いている、大きなカプセルの中にいる人物、かつては貴族だったもの。

そしてそのカプセルにヒビが入り、割れた。
      ・ ・
中にいた人間が、そのおぞましい姿を現した。

684: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:44:37.08 ID:oMlh/G7bP

no title

692: [―{}@{}@{}-] 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 2008/06/12(木) 01:48:15.36 ID:oMlh/G7bP

ネットの世界は、確実に大きなうねりを作り始めていた。

ゼロ率いる黒の無職団――日本ちゃんねる復興派。

世界最大の防衛力でその身を固めようとしている――ブリタニアちゃんねる支持派。

その世界の主導権を握ろうとしている二つの勢力
――勝つのはどっちだ。


SATGE 4 立ち止まるゼロ TURN END