1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 12:57:42.27 ID:EcaZBKKh0
~みかん畑~

ジェレミア「よし、これぐらいでいいだろう。アーニャ」

アーニャ「ふぁに?」モグモグ

ジェレミア「アーニャ、つまみ食いをするなら私にバレないようにしろといつも言っているだろう?」

アーニャ「美味しくて」

ジェレミア「当然だ。このジェレミア・ゴットバルトの手掛けるものに欠陥品は一つとして無し。品質管理は勿論のこと、糖度にも気を遣っている!!」

アーニャ「うん」

ジェレミア「しかし、最近は売れ行きが好調すぎて些か忙しいな。ナナリー様やアッシュフォード学園に贔屓してもらっているためか注文が多い」

アーニャ「嬉しい悲鳴」

ジェレミア「私はともかくアーニャに無理をさせるわけにはいかない。この辺りで手を打っておくべきだろう。働き手を募集しようと思う」

アーニャ「……なんで?」

引用元: ジェレミア「アーニャを養うことが我が大黒柱の務めである!!!」 




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:03:09.21 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「理由を説明した直後に理由を訊かれるとは、予想外だったな」

アーニャ「私、別にこのままでもいいけど」

ジェレミア「アーニャは学校もある。ここで働きながら通学するもの辛いだろう」

アーニャ「大丈夫だけど」

ジェレミア「まぁまぁ、私に対しての忠義が痛み入る。しかし、こちらにも君を立派なレディするという責務がある!!」

ジェレミア「こんな農場で身を窶し、世間をズレた感覚、嗜好を持ってもらっては困る」

アーニャ「どうして?」

ジェレミア「言っただろう。私の手掛けるものに欠陥品は一つとしてないと!!それはアーニャ!!君とて同じ事!!」

ジェレミア「私と一緒に生活していく以上、どこに出しても恥ずかしくない女性になってもらう。そういうことだ」

アーニャ「出て行く気ないけど」

ジェレミア「早速、募集チラシの作成に移るか」

アーニャ「話を聞いて」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:09:08.97 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア邸

ジェレミア「こういう広告はシンプルイズベストに限るか」カキカキ

アーニャ「ねえ、出て行く気、ないけど」

ジェレミア「よし。アーニャ、これでどうだ?」

ジェレミア「来たれ若人!!みかん畑で己が忠義を果たすとき!!!」

ジェレミア我ながら惚れ惚れする煽り文句だ」

アーニャ「こんなのいらない」

ジェレミア「このまま出荷数が多くなれば、君への負担も大きくなる」

アーニャ「そのときはモルドレッドを使う」

ジェレミア「この農場を消し炭にする気か。そもそもあれは廃棄処分されたはず」

アーニャ「作る」

ジェレミア「その覚悟やよし。ならばこそ、こちらも相応の覚悟で人員の募集をしよう」

アーニャ「その理屈はおかしい」

ジェレミア「いざ!!ジェレミア・ゴットバルト!!まいる!!チラシを貼りに!!」

アーニャ「……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:13:55.87 ID:EcaZBKKh0
数日後

ジェレミア「アーニャ、これを運んでくれ」

アーニャ「うん」

「すいません」

ジェレミア「ん?曲者か」

アーニャ「誰?」

咲世子「チラシを見てやってきました」

ジェレミア「咲世子!!咲世子か!!」

咲世子「ご無沙汰しております」

ジェレミア「どうした?君はナナリー様の傍でルルーシュ様への忠誠を示し続けるものだとばかり……」

咲世子「ナナリー様のお傍にいることも私の幸せでしたけれど、どうしてもルルーシュ様を思い出してしまって……うぅ……ぐすっ……」

ジェレミア「女性に涙は似合わない。このハンカチで拭うがいい」

咲世子「すびばぜん……チーン!!」

ジェレミア「ところで、働きにきたのか?」

咲世子「はい。何分、無職でして」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:19:24.60 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「そうか。SPの家系も君で最後となるか……」

咲世子「そんなことはありません。私が子を授かれば、その子に私の全てを叩き込みます」

ジェレミア「頼もしい。では、採用」

咲世子「ありがとうございます」

アーニャ「待って」

ジェレミア「どうした?」

アーニャ「ちゃんと面接したほうがいい」

ジェレミア「面接の必要などない。彼女は騎士道に殉じた人物。それだけで信頼に値する」

アーニャ「でも……」

ジェレミア「それに咲世子の身体能力は力仕事にも向いている。多大なる助けになることはまず、間違いない」

咲世子「頑張ります」

アーニャ「……」

ジェレミア「不満か?」

アーニャ「……別に」

ジェレミア「では、咲世子。作業着等を授与しよう。こちらへ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:26:28.45 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「では、簡単に仕事の説明を行う」

咲世子「はい」

アーニャ「……」

ジェレミア「アーニャ、そろそろ登校の時間ではないか?」

咲世子「行ってらっしゃいませ、アーニャさん」

アーニャ「……行ってきます」タタタッ

咲世子「私、嫌われているのでしょうか?殺意をもった眼差しを向けられていました」

ジェレミア「警戒しているだけだろう。人見知りをするようなタイプではないが、やはり年頃の娘。自身の領域に踏み込んできた者を気もするはず」

咲世子「なるほど。無言で年功序列ではなく、ここは実力社会だと私に訴えているわけですね」

ジェレミア「……イメージとしてはそうかもしれない」

咲世子「では、私の実力をアーニャさんに見てもらい、認めてもらうしかありませんね」

ジェレミア「そうだな」

咲世子「篠崎咲世子。不束ながら、ご助力いたします。ジェレミア様」

ジェレミア「私に忠誠を誓う必要はどこにもない。君の心はまだルルーシュ様と共にあるのだろう」

咲世子「……はい」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:32:46.39 ID:EcaZBKKh0
アッシュフォード学園

アーニャ「……」

カレン「おはっよ」

アーニャ「……」

カレン「ちょっと、無視?」

アーニャ「なに?」

カレン「なに?じゃなくて、挨拶したんだから返事ぐらいしてよね。過去にも色々あったけど、私は別にアーニャのこと嫌いってわけじゃないし」

アーニャ「おはよう」

カレン「うん。おはよう。で、なに見てたの?」

アーニャ「これ」

カレン「なに、これ?アルバイトの情報誌じゃない。アーニャ、バイトするの?」

アーニャ「わからない」

カレン「確か、みかん畑で働いてるんじゃなかった?」

アーニャ「そうだけど。あまり居たくない」

カレン「なんでよ?喧嘩?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:37:15.40 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「別に」

カレン「別にって顔してないでしょ」

アーニャ「……」

カレン「聞いている?」

アーニャ「咲世子って知ってる?」

カレン「咲世子?篠崎咲世子さんのこと?うん、面識あるけど?」

アーニャ「その人が来た」

カレン「へえ、良かったじゃない。あの人、肉体労働のプロって感じだからねぇ」

アーニャ「……それだと困る」

カレン「どうして?」

アーニャ「……」

カレン「あー、わかった。そうよねぇ、咲世子さんがいれば仕事しなくていいもんね。そうなると、アーニャは……クビ?」

アーニャ「……っ」

カレン「あー。ごめん、ごめん。冗談だから」

アーニャ「だから、アルバイトしたほうがいいかもって思って……探してた」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:42:19.39 ID:EcaZBKKh0
カレン「そっか……色々、大変ね」

アーニャ「……」

カレン「……ねえ」

アーニャ「なに?」

カレン「まだ、バイト募集してる?」

アーニャ「あげる。いいバイトなかったけど、貴方ならキャバクラでもいけばいい」

カレン「もうバニーは嫌!!っていうか、あんたどこでそんな言葉を!?」

アーニャ「冗談。さっきのお返し」

カレン「……アーニャのところのバイト、まだ募集してるかってこと」

アーニャ「してるけど?」

カレン「なら、雇ってくれない?」

アーニャ「いや」

カレン「こっちもお母さんのこととかあるし、アルバイトぐらいしたいなって思ってたところなの」

アーニャ「……」

カレン「面接だけでもいいからしてよ」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:47:30.79 ID:EcaZBKKh0
みかん畑

咲世子「ジェレミア様!!収穫終了しました!!」ダダダダッ!!!

ジェレミア「1日の作業をわずか2時間で終わらせるとは……流石だな」

咲世子「次は何をすればいいでしょうか?」

ジェレミア「そうだな。次は……」

アーニャ「ただいま」

ジェレミア「アーニャか。おかえりなさいました」

咲世子「お帰りなさいませ。―――あら?カレンさん?」

カレン「咲世子さん!!久しぶり!!」

咲世子「はい。お久しぶりです。どうしたのですか?」

カレン「紅月カレン!18歳!!バイト募集の情報を聞いてやってきました!!」

アーニャ「面接を……」

ジェレミア「いいだろう。採用」

カレン「わーい」

アーニャ「あの……それはなし……」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:53:04.22 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア邸

ジェレミア「なるほど、母君の治療費のために……」

カレン「性格にはお母さんが働けないので、生活費を色々と工面しないといけなくて」

ジェレミア「君も大変だな」

カレン「そんなことありません。ナナリーやゼロのほうが……」

ジェレミア「その二人と自分を比べるか。ふふふ、君は健気だな」

カレン「いえ……そんなことは……」

ジェレミア「よし。正式に採用しよう。こちらが作業着一式だ。君に贈呈するので、仕事を辞めても返却する必要はない」

カレン「本当ですか?」

ジェレミア「ああ。無論、洗濯は自分でしてもらうがな」

カレン「はい。それぐらいでしたら」

ジェレミア「いつから働ける?あとシフトの曜日指定はあるか?」

カレン「いつでも大丈夫です」

ジェレミア「頼もしい。紅月カレン、君の忠義に期待しよう」

カレン「任せてください」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 13:58:09.14 ID:EcaZBKKh0
みかん畑

ジェレミア「では、仕事の説明を―――」

カレン「あの!いいですか?!」

ジェレミア「なんだ?」

カレン「私、アーニャに教わりたいです」

アーニャ「私……?」

ジェレミア「何故だ?」

カレン「ここではジェレミアさんの次にえらいんですよね?」

ジェレミア「まあ、農園を始めた当初からいるからな」

カレン「なら、アーニャはチーフみたいなものですよね。アーニャから仕事を教わっても問題ないと思います」

ジェレミア「まあ、確かに」

アーニャ「あの……どうして?」

カレン「私、アーニャと仕事がしたくて来たところもありますから」

ジェレミア「それならば仕方ないな。では、アーニャ。紅月カレンの指導は君に一任する」

アーニャ「めんどう……」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:04:21.97 ID:EcaZBKKh0
カレン「ほら、いこ」

アーニャ「うん……」

ジェレミア「年下からの指導というのは時として自尊心を傷つけるときもあるのだが、彼女の場合は当てはまらないのか」

ジェレミア「先輩を敬うことに長けている。ということか。素晴らしい」

咲世子「糖度チェック完了しました」

ジェレミア「もうか。早いな」

咲世子「漏れがあるかもしれませんから、ジェレミア様自身でチェックされるのがよろしいかと」

ジェレミア「その必要はないだろう。君が失敗することが想像できない」

咲世子「そこまで期待されると緊張します。このような仕事は初めてですから」

ジェレミア「ふふ。謙虚だな。流石は日本人。よろしい、このジェレミア・ゴットバルトが自らミスがないかチェックしよう」

咲世子「お願いします」

ジェレミア「任せよ!!」

アーニャ「どうして?」

カレン「これでアーニャはこの農園には必要不可欠な存在でしょ?私の教育係として」

アーニャ「……別にそんなことしなくてもいいのに」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:09:56.09 ID:EcaZBKKh0
夕方

ジェレミア「今日はこの辺でいいだろう。―――では、給与を渡す」

ジェレミア「咲世子!!ご苦労だった」

咲世子「いえ」

ジェレミア「カレン!!」

カレン「え!?」

ジェレミア「どうした?」

カレン「いや、だって。私、全然働いてませんよ?来て3時間しか経ってませんし、それにアーニャに仕事の説明を受けただけで……」

ジェレミア「それも労働だ。きちんとした対価を払わねばならない。君が受け取りを拒否するのなら、私は強硬手段に打って出る」

カレン「えー?」

ジェレミア「手渡しはやめて、振込みにする。いいのか?」

カレン「そのほうが助かります」

ジェレミア「よかろう。では、そうする。今月の預金額を見て腰を抜かすがいい」

カレン「待ってください!!手渡しで!!手渡しでお願いします!!なんか訳のわかんない大金が振り込まれてそうで怖い!!」

ジェレミア「いい判断だ。それでいい」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:14:59.30 ID:EcaZBKKh0
カレン「はぁ……」

アーニャ「続ける?」

カレン「うん。あの、明日は……?」

ジェレミア「午前5時には来てくれ」

カレン「朝のですか?!」

ジェレミア「午前といった」

カレン「……」

ジェレミア「不服か?」

カレン「えーと……」

アーニャ「……」

カレン「いえ!がんばります!!」

ジェレミア「うむ。咲世子はどうする?」

咲世子「できれば、住み込みをお願いしたいのですが。夜の警備もできますし」

ジェレミア「では、君の寝屋を作る必要があるな」

アーニャ「……住むの?」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:18:27.77 ID:EcaZBKKh0
カレン「はいはい!!」

ジェレミア「どうした?」

カレン「住み込みで働けるなら私も……」

アーニャ「……!」

ジェレミア「そうだな。そのほうが―――」

アーニャ「やめて」

カレン「え……」

アーニャ「……おねがいだから」

カレン「あ……」

ジェレミア「アーニャ。朝は早い。ここに居てくれたほうが彼女の体の負担も―――」

カレン「やっぱりいいです!私は自宅から通いますから!!」

ジェレミア「いいのか?」

カレン「はい!朝の3時におきればなんとかなります」

アーニャ「ごめんなさい」

カレン「いいのいいの。じゃあね、アーニャ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:23:43.09 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「ふむ……」

咲世子「では、私の寝室はどこになるでしょうか」

ジェレミア「案内しよう。都合よく、空き部屋は3部屋ほどある」

咲世子「助かります」

ジェレミア「気に入った部屋を使ってくれて構わない」

咲世子「はい」

ジェレミア「どの部屋にも冷暖房は完備している。クローゼットもある」

ジェレミア「風呂とトイレだけは共同になってしまうがな」

咲世子「問題ありません」

ジェレミア「ふっ」

アーニャ「……」

ジェレミア「アーニャ、中に入ろう」

アーニャ「うん……」

咲世子「ご気分が優れないのですか?」

アーニャ「大丈夫」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:30:17.12 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア邸

ジェレミア「アーニャ、夕食ができた。食すがいい」

アーニャ「いただきます」

ジェレミア「それにしても驚いたな。君がカレンの入居を拒否するとは。そこまでの軋轢があるのか?」

アーニャ「……」モグモグ

ジェレミア「溝は深いようだな」

アーニャ「……」

咲世子「ジェレミア様、夜の見回りに行ってきます」

ジェレミア「無理だけはしないように」

咲世子「はい」

アーニャ「……」

ジェレミア「咲世子にもあまりいい顔をしないのは、やはり戦の所為か?」

アーニャ「違う」

ジェレミア「そうか。何か不満があるならいつでもいってくれ。私が力になる」

アーニャ「うん……」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:37:19.95 ID:EcaZBKKh0
翌朝

カレン「ふわぁぁ……」

アーニャ「そこ、サボらない」

カレン「ごめん……でも、どうしてこんなに朝早いの……?」

アーニャ「品質管理は徹底してるから。小まめなチェックをしているだけ。はっきり言ってやりすぎだと思うけど、害虫が出ることも確か」

カレン「ふーん」

アーニャ「……こっちは終わり」

カレン「アーニャ、もしかして迷惑だった?私が来たこと」

アーニャ「別に」

カレン「そう?」

アーニャ「あなたが居なかったら、私はきっと本当に必要がなくなっていたと思うし」

カレン「なら、いいんだけど」

アーニャ「……」

咲世子「よし!!こちらは全て終わりました!!」

カレン「はや?!私たちまだ1/5も終わってないのに?!」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:46:13.66 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「ご苦労!朝食にしようか!!」

咲世子「はい」

カレン「やっと終わったぁ……。というか、アーニャ、いつもこんな生活してるの?」

アーニャ「そうだけど?」

カレン「すごいわね……」

アーニャ「慣れれば平気」

カレン「慣れかぁ……」

ジェレミア「そうそう。また、ナナリー様が我々のみかんを欲している。大型の注文が入った」

カレン「ナナリーですか?」

ジェレミア「ああ。政府関係者全員にポケットマネーで配っているらしい。ここの収入の2割ほどはナナリー様からのご注文で賄われている」

カレン「今のナナリー、指の先が黄色になってんじゃない?」

ジェレミア「ナナリー様には敬服せざるを得ない!!故に私は!!みかん一個といえど全力を尽くす所存!!!」

アーニャ「じゃあ、私が配達にいく」

カレン「そう言うのって業者に頼むんじゃ……」

ジェレミア「何をいう。アーニャはスペシャリストであろう。操縦に関してはな」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 14:55:35.51 ID:EcaZBKKh0
裏庭

ジェレミア「これだ」

カレン「ナイトメア?!しかも、無頼……?」

ジェレミア「独自に配達販売ができるように取り寄せた。ルルーシュ様がご愛用されていたナイトメアフレームを再現したものである」

カレン「まだ、こんなの残ってたんだ……」

ジェレミア「では、アーニャ。学校が始まる前に配達をお願いできるか?」

アーニャ「任せて」

カレン「アーニャ!私も一緒に行っていい?」

アーニャ「ナイトメアで登校する気?」

カレン「それもあるけど、ナナリーに会いたいなーなんて」

ジェレミア「残念だが会うことはできないだろう」

カレン「そうなんですか?」

ジェレミア「当然だ。配達物の受け取りに本人が出てくるわけがない」

カレン「それもそうですね……。でも、一緒に行きたい。乗せて」

アーニャ「……いいけど。運転の邪魔だけはしないで」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:02:40.56 ID:EcaZBKKh0
空港

アーニャ「着いた」

カレン「なんだ。飛行機で空輸するだけ……。そりゃ本人は―――」

ゼロ「待っていた!!!」バッ!!!

アーニャ「おはよう、ゼロ」

ゼロ「おはよう!!」

カレン「ぶふっ?!」

ゼロ「カレン?!どうして、君が!?」

カレン「あんたこそ?!なにしてるのよ?!ナナリーの護衛は?!」

ゼロ「ナナリー様にみかんの受け取りと空輸を命じられている。これは僕の仕事だからね」

カレン「アンタ、受け取って運ぶだけなの……?つかえねえ」

ゼロ「そんなことない!!これはナナリーがみかんが傷まないようにと考えて!!」

カレン「地が出てるけど、いいの?」

ゼロ「いや。これはナナリー様の勅命だからな。私はそれに従うまで!!!」バッ!!!

アーニャ「じゃあ、これにサインして」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:09:32.06 ID:EcaZBKKh0
ゼロ「枢木スザク……っと」カキカキ

カレン「こら!!故人の名前を書くな!!」

ゼロ「しまった!いつもの癖で!!」

アーニャ「学校あるから早くしてほしい」

ゼロ「ああ、ごめんごめん。すぐに書き直すよ、アーニャ」

カレン「ゼロにしては迂闊すぎない?」

ゼロ「まだ慣れていないだけだよ。これから頑張るつもりだ」

カレン「最初から全力でやりなさいよ」

ゼロ「カレン、学校は楽しいかい?」

カレン「え……。まぁ、うん」

ゼロ「それはよかった。アーニャ、ジェレミア卿はどうしている?」

アーニャ「元気。問題ない」

ゼロ「それならいいんだ。ナナリー様にいい報告ができる。―――ふはははは!!みかんは頂いていく!!さらばだ!!」

アーニャ「バイバイ」

カレン「ちょっと待って!!」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:21:58.65 ID:EcaZBKKh0
ゼロ「え?なに?」

カレン「ナナリーはどうなの?こっちも心配してるんだけど」

ゼロ「大丈夫だよ。ナナリーは元気だ。最近、指の先が黄ばんできたけど」

カレン「やっぱり……?」

ゼロ「関係者も最近みかんに飽きはじめているようだしね、独りで大量のみかんを食べているときもあるよ。この前は一個のみかんを丸ごと口に押し込んでいた」

カレン「批判とかされてるわけ?」

ゼロ「批判というか受け取らない人は徐々に目立ち始めている」

カレン「大丈夫なの?」

ゼロ「分からない。でも、ナナリーはジェレミア卿のみかんだからってだけで購入していないし、購入費はポケットマネーだから誰も文句は言えないはずだ」

カレン「このことアーニャには?」

ゼロ「勿論、伝えていない」

カレン「ゼロ、ナナリーを泣かせようにしなさいよね」

ゼロ「分かっている!!私はゼロ!!世界を壊し、創造する男だった!!!」

カレン「早く行きなさいよ」

アーニャ「……内緒話、終わった?」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:32:08.76 ID:EcaZBKKh0
みかん畑

ジェレミア「ふむ……」

咲世子「ジェレミア様、どうかされましたか?」

ジェレミア「いや、売れ行きが好調すぎて少しばかり不安の種が蒔かれた」

咲世子「不安の種ですか?バブルが弾けるとか?」

ジェレミア「主な出荷先はナナリー様、アッシュフォード学園、そして各青果店。しかし、これだけでは立ち行かなくなるだろう」

咲世子「そうなのですか?」

ジェレミア「特にナナリー様はそのうち、ご購入をやめてしまうだろう」

咲世子「何故ですか?ナナリー様はそんなことを……」

ジェレミア「個人で購入するにはあまりにも大量大金。我が忠義に果てはなくとも、ナナリー様の献身には限界もある」

ジェレミア「もっと画期的にこのジェレミア・ゴットバルトのみかんを広めなくてはならない」

咲世子「どうしてそこまで」

ジェレミア「愚問だな、咲世子。全てはアーニャのため」

ジェレミア「アーニャを養うことこそ、我が務め!!今はそう思っている」

咲世子「差し出された手をとった責任ですか?」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:39:13.04 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「そこまで偉そうなことを言うつもりはない。単純に、誘った側の責務がある。それを果たすまで私は死ねない」

咲世子「左様ですか」

ジェレミア「とはえ、農園だけではアーニャに将来の旦那が見つかるまで養えるかどうか……」

咲世子「そうですね。みかん農園なんて各地域にありますし」

ジェレミア「ああ、困った。どうすればいいのか!!」

ジェレミア「このジェレミア・ゴットバルト!!混乱の極み!!!みかんの嵐!!!」

咲世子「新しいモノを栽培するのはどうですか?」

ジェレミア「二兎追うもの一兎も追えずだ」

咲世子「そうですねえ……」

ジェレミア「……」

ジェレミア「ここは、誰かに知恵を借りるしかないか」

咲世子「知恵ですか」

ジェレミア「咲世子。誰か適任者を知らないか?」

咲世子「急に言われましても……」

ジェレミア「誰でもいい。誰か、このみかん畑に奇跡の種を植えてくれる人物を!!」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:47:21.26 ID:EcaZBKKh0
喫茶店

リリリン!

玉城「はーい」

咲世子『玉城さんですか?私です、咲世子です』

玉城「あー、咲世子。久しぶりだなぁ。何してんだよぉ。偶には俺の店にも顔だせっての」

咲世子『あの、実はご相談がございまして』

玉城「相談だぁ?」

咲世子『実は今、みかん畑で労働をしているのですが、今後の経営に不安がございまして』

咲世子『そこで同じ経営者である玉城さんの知恵を拝借したいと思いまして』

玉城「おー!!いい考えだ!!よし!!俺に任せろ!!で、状況は?」

咲世子『はい。実は―――』

―――ガチャン

玉城「ふふ、俺の経営力の見せ所だな!!だーっはっはっはっはっは!!!」

千葉「下品なマスターだな、全く」

藤堂「静かに茶も飲めん」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 15:48:46.84 ID:EcaZBKKh0
休憩

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:07:07.58 ID:EcaZBKKh0
千葉「で、何があった?」

玉城「それがよぉ。ジェレミア・ゴットバルトの経営するみかん農場をもっと大きくしたいって相談されたんだよ。で、どうしたらいいかって」

藤堂「国内生産だったか」

玉城「そうそう」

藤堂「厳しいだろうな。ライバルが多すぎるだろうし」

千葉「そうなんですか?」

藤堂「ああ。みかんに限らず他の農園の勢力を覆すのは並大抵のことではない」

千葉「なるほど。でも、ジェレミアのみかんは美味しいです。味では負けていないはず」

藤堂「それは同感だ」

玉城「やっぱりよぉ。目新しいことをしないと農園なんか盛り上がらないだろ?」

藤堂「どうするつもりだ?」

玉城「最近、流行ってるだろ?萌えなんとかって奴。あれをやればいいんだよ」

藤堂「……下らん」

玉城「なんだとぉ!?」

藤堂「何十番煎じかも分からない方法を用いて成功した事例など、私は聞いたことがない」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:14:51.12 ID:EcaZBKKh0
玉城「んだよぉ、方法の一つだってことだよぉ!!他にもイチゴを栽培するとかあるだろ」

藤堂「ふん、それも多くの者がやっていることだ。飽きられれば終わる」

玉城「そんなもんなんだってあるだろうが!!」

藤堂「大きくしたいのならば、そのように小さなことを重ねていってもジリ貧にしかならん。待っているのは痩せ細ったオーナーと農地のみ」

玉城「てめえ!!俺の考えに文句ばっかりじゃねえかよぉ!!」

千葉「貴様、死ぬか?」

玉城「や、やめろよ!!じゃあ、藤堂!!てめえには名案があるんだろうなぁ?!」

藤堂「ない」

玉城「なんだとぉ?!」

藤堂「現状の把握もできないうちに経営方針等を決めるなど、無責任の極みだ。お前も電話で状況を確認しただけ、詳しいデータも従業員も私たちは知らない」

玉城「ぐっ……」

千葉「藤堂さん、どうするのですか?」

藤堂「……」

玉城「俺だってよぉ!!咲世子に頼まれた手前、やるしかねえんだよ!!」

藤堂「……ならば、引き受けた責務を果たせ。私もできる限りの協力をしよう」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:22:08.78 ID:EcaZBKKh0
数日後 みかん畑

カレン「アーニャ、これはどうするー?」

アーニャ「向こう」

カレン「うんっ」

ジェレミア「カレンも仕事に慣れてきたようだ。これは喜ばしいこと」

咲世子「元々、飲み込みが早いかたですからね」

ジェレミア「ところで、咲世子の友人から連絡は?」

咲世子「それがまだ……」

ジェレミア「ふむ……できるだけ早め早めの対策を練っておきたいのだが……」

咲世子「今もいい打開案を考えてくれていると思いますよ」

ジェレミア「他人にばかり任せるのも我が道に反する。自力での開拓も目指さなければ」

カレン「アーニャ……ずっと気になってたことがあるんだけど」

アーニャ「みかんは無農薬」

カレン「そうじゃなくて。アーニャってさ、ジェレミアさんのことどう思ってるの?」

アーニャ「……別に」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:25:55.53 ID:EcaZBKKh0
カレン「ホントにぃ?」

アーニャ「ジェレミアとは雇い主と従業員の関係だから」

カレン「でも、私がここに住むこと反対したよね?咲世子さんが住むって言ったときも嫌そうな顔してたし」

アーニャ「してない」

カレン「強情ね」

アーニャ「本当になんでもない」

カレン「……好きじゃないの?」

アーニャ「好きってなに?」

カレン「恋人にしたいとかあるんじゃないの?」

アーニャ「全然、そんなこと、ない、けど」

カレン「動揺してるじゃん」

アーニャ「仕事して」

カレン「はいはい」

アーニャ「……別になんともない」

カレン「わかったから」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:30:46.10 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「そろそろ休憩にしようか」

咲世子「はい」

カレン「あー、やっと休憩かぁ。疲れたー」

ジェレミア「カレン、随分と慣れてきたようだな。これからも君の活躍に期待する」

カレン「あ、そうですか?」

アーニャ「……」

カレン「ジェ、ジェレミアさん、アーニャは私よりもよっぽど頑張ってるとおもいますけど!!」

ジェレミア「アーニャが誰よりも働いていることは百も承知だ。今更、アーニャにはいつも感服している次第だ」

カレン「だったら……」

ジェレミア「咲世子、飲み物の準備をしてくれるか?」

咲世子「はい」

アーニャ「いい、それ私がやる」

咲世子「え……」

ジェレミア「しかし、アーニャ。疲れただろう?」

アーニャ「平気。疲れてない」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:34:39.04 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「アーニャ、どうしたというのだ?」

アーニャ「……」スタスタ

カレン「アーニャ……」

咲世子「あの……」オロオロ

ジェレミア「まあ、アーニャに任せようか」

咲世子「そうですか」

カレン「あの、ジェレミアさん?アーニャは―――」

「失礼する」

ジェレミア「ん?曲者か」

咲世子「どちら様ですか?」

藤堂「ここがジェレミアみかん農園で合っているのか?」

ジェレミア「お前は……藤堂鏡志朗……」

玉城「さーよこ!!きてやったぜぇ!!」

咲世子「玉城さん!お待ちしていました!!」

ジェレミア「なるほど、奇跡の手土産でもあるのか。どうぞこちらへ、お茶でも出そう」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:40:25.00 ID:EcaZBKKh0
カレン「あ、藤堂さんだ」

藤堂「紅月も働いているのか」

カレン「ええ、アルバイトで」

ジェレミア「彼女は黒の騎士団での活躍を彷彿とさせる働きをみせてくれている」

藤堂「なるほど」

玉城「カレーン!!元気だったかぁ!!」

カレン「先週も行ってやったでしょ!?あのクソまずいコーヒーを飲みにね!」

玉城「てめぇ!!まずいってなんだよ!!普通っていえ!!」

千葉「普通で満足なのか。謙虚かそれは?」

カレン「千葉さんまで。お久しぶりです。藤堂さんとは?」

千葉「結婚はまだ。藤堂さん、自分探しをしている最中で」

カレン「はぁ……」

アーニャ「もってき……増えてる」

ジェレミア「ありがとう、アーニャ。それは頂こう。残りの分は咲世子に用意させる」

アーニャ「わかった……」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:50:41.91 ID:EcaZBKKh0
藤堂「ジェレミア、ここの従業員は?」

ジェレミア「紅月カレン、アーニャ・アールストレイム、篠崎咲世子。そしてこの私!!忠義に生き!!忠義のために死ぬ男!!ジェレミア・ゴットバルト!!である!!」

ジェレミア「それがどうかしたかな?」

藤堂「……なるほど。これなら既に前提条件はクリアしているようなものだな」

ジェレミア「前提条件?」

藤堂「この農園を大きくしたい。そのように聞いた」

ジェレミア「ああ。その通りだ」

藤堂「では、まずは大々的な宣伝をしたほうがいい」

ジェレミア「コマーシャルでも流すつもりか?」

藤堂「いや、話題を作る。そうすることでこの農園のみかんの知名度を全国区にまで広げる」

ジェレミア「なるほど。しかし、話題作りのためになにをするつもりだろうか。びんちょうタンなるものを作るか?」

藤堂「違う。ここに今、様々な武器を持つ者が揃っていることに気がつかないか?」

ジェレミア「武器?」

藤堂「そう。喫茶店経営者の玉城。料理人顔負けの千葉。天才的な女中の篠崎。活発な美少女の紅月。寡黙な美少女のアーニャ。ここから導き出せる答えはただ一つ」

ジェレミア「……まさか。メイド喫茶か?」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 16:58:41.93 ID:EcaZBKKh0
藤堂「いや、そのようにチープなものではない」

ジェレミア「ほう?まだ私の想像の斜め上を行くのか?」

藤堂「最終目標はここのみかんを様々な商品に変え、世界で唯一のみかんで世界を席巻する企業にすることだろう?」

ジェレミア「うむ」

アーニャ「そうなの?」

藤堂「では、その先駆けとして店を出す。農園の喫茶店だ」

ジェレミア「メイド喫茶ではないのか?」

藤堂「可憐な店員は必須だ。ただし、そこを強調し、話題を得るようでは水物な商売と同じ」

藤堂「みかん専門の喫茶店と称し、店を出す。出す料理、飲み物はすべてみかん尽くし」

ジェレミア「ほう。みかんのみの料理など手ごわいのではないか?」

藤堂「千葉ならばそれができる」

千葉「がんばります」

藤堂「喫茶店で人気が出た料理をコンビニなどに卸す。それでまたこのジェレミア農園のみかんは有名になる」

ジェレミア「上手くいくだろうか」

藤堂「無論、保障はない。しかし、こういうことでもしないと農園そのものを大きくするのは難しい」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:05:42.79 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「やるの?」

ジェレミア「世界を席巻するみかん農園。考えはすばらしいが……」

藤堂「どうする?」

カレン「なんで藤堂さん、あんなに協力的なんですか?」

千葉「自分探しの最中だからな」

玉城「カレンはあれだよな、バニーのウェイトレスだよな!!やっぱよぉ!!」

カレン「だれがするかぁ!!」

藤堂「ジェレミア、お前がオーナーだ。好きにするといい。私は提案に来ただけなのだからな」

咲世子「お飲み物、お持ちしました」

藤堂「すまない」

ジェレミア「……よし。やろうではないか!!」

アーニャ「え……本当に?」

藤堂「おぉ!!ありがたい!!」

ジェレミア「このジェレミア・ゴットバルト!!全力で我がみかんを世界に広めてくれる!!!」

アーニャ「また、人が増える?」

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:10:53.86 ID:EcaZBKKh0
藤堂「では、詳しい話をするか」

ジェレミア「ああ。中で腰を落ち着かせて今後の経営方針を決めよう」

藤堂「玉城、いくぞ」

玉城「あいよ」

千葉「藤堂さん……ついに……うぅ……」

アーニャ「……」

カレン「アーニャ、いいの?」

アーニャ「ジェレミア、嬉しそう」

カレン「え……」

アーニャ「ジェレミアが嬉しいなら、何もいえない」

カレン「そう……」

千葉「どうした?何か問題でもあるのか?」

アーニャ「別に。少し、散歩してくる」

カレン「あ、ちょっと。私も散歩する!!」

千葉「どうしたんだ……?」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:15:29.85 ID:EcaZBKKh0
裏庭

アーニャ「よっと」

カレン「アーニャ!!無頼で散歩するの?!」

アーニャ「そうだけど」

咲世子「カレンさん。アーニャさんは時々、ああしてストレスと発散させているとジェレミア様が」

カレン「アーニャ!!私もいくって!!」

アーニャ「勝手にすればいい」

カレン「はいはい。咲世子さん、ジェレミアさんには今日は早退するって行っておいてください!!」

咲世子「分かりました」

アーニャ『発進』ギュルルル

カレン「まって!!いきなりはだめぇ!!」

咲世子「行ってらっしゃいませー」

千葉「あれは無頼か……」

咲世子「配達用のナイトメアです」

千葉「ジェレミア・ゴットバルトの忠義は本物か」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:19:31.38 ID:EcaZBKKh0
空港

アーニャ『到着』

カレン「死ぬかとおもった……。って、空港?」

アーニャ「……いた」

カレン「え?」

ゼロ「……」

カレン「ゼ、ゼロ?」

アーニャ「ゼロ、こんにちは」

ゼロ「アーニャ。こんにちは。今日はどうしたんだい?」

アーニャ「実は……」

カレン「ゼロ!!あんたぁ!!なにやってんのよぉ!!!」

ゼロ「カレン!?どうしてここに?!」

カレン「私の台詞よ!!ナナリーの護衛は!?」

ゼロ「ふはははは!!今日はナナリー様の勅命を受け、配達物の受け取りに来ているだけだ!!」

カレン「……あんた、もしかして必要とされてないの?」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:24:13.87 ID:EcaZBKKh0
ゼロ「違うな!!間違っているぞ!!!」

アーニャ「ゼロの仕事は空港で荷物を受け取って終わり」

ゼロ「アーニャ?!」

カレン「情けな……」

ゼロ「ま、待ってくれ、カレン!!これには海よりも深い事情があるんだ!!」

カレン「何よ?」

ゼロ「ナナリーはゼロのことを嫌っているんだ」

カレン「ナナリーが?」

アーニャ「ナナリー、ルルーシュを刺したゼロのこと大嫌いみたい。このまえゼロから聞いた」

カレン「なるほど……」

ゼロ「本当はSPとしてナナリーの傍に居たいんだけど、ナナリーはそれを絶対に許してくれなくて」

カレン「そうなんだ」

ゼロ「たまに護衛任務に就くこともあるけど、大半はこうしている」

カレン「英雄ゼロも地に落ちたわね」

ゼロ「これが僕の罪なら甘んじて受けるよ。でも、少し辛い」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:30:53.11 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「ゼロ、話を聞いて」

ゼロ「うん、まだ時間もあるし大丈夫だよ」

アーニャ「実はジェレミア、今度喫茶店をすることにした」

ゼロ「そうなんだ。でも、そうなると従業員が増えちゃうね」

アーニャ「そう」

カレン「……」

ゼロ「アーニャはどうしたい?」

アーニャ「分からない」

ゼロ「応援したいか?それとも反対か?」

アーニャ「……どっちもある」

ゼロ「難しいね。でも、今のアーニャは応援したいんじゃないかい?」

アーニャ「どうして?」

ゼロ「邪魔したいって思っているなら、こんな相談はできないと思うから」

アーニャ「……そう?」

ゼロ「一度、応援してみるのもいいと思うよ。ジェレミア卿もアーニャのことを思っての決断のはずだから」

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:37:34.77 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「それなら……してみる」

ゼロ「うん。完成したら教えてくれ。ナナリーと一緒に行くから」

アーニャ「分かった」

カレン「ゼロ。あんた、いつもアーニャの愚痴を聞いてやってるの?」

ゼロ「愚痴じゃないよ。アーニャはジェレミア卿に話せないことを抱えているだけだ」

カレン「それを愚痴って言うんじゃ」

ゼロ「カレンも喫茶店、手伝うのかい?」

カレン「まあ、一応従業員だしね」

ゼロ「余計、見に行きたいな」

カレン「来なくていいわよ。ナナリーだけ連れてきて」

ゼロ「本当にそうなるかもしれないから、そんなこと言わないでくれ!!」

カレン「地が出てるって」

ゼロ「カレン!!本当にそうなる可能性を考えないのか!!愚か者め!!!」バッ!!

アーニャ「ゼロ、ありがとう。バイバイ」

ゼロ「ああ。さらばだ!!!ふはははははは!!!!」

177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:46:06.58 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア邸

アーニャ「ただいま」

ジェレミア「おかえりなさいました」

アーニャ「話は終わったの?」

ジェレミア「ああ。オープン予定は半年後、それまでに様々な料理の開発、各小売店への根回し等も済ませる」

咲世子「それから、アーニャさん」

アーニャ「なに?」

咲世子「接客を覚えてもらいます」

アーニャ「なんで?」

咲世子「接客業務をアーニャさん、カレンさん、そして私でやるからです」

アーニャ「あの……」

ジェレミア「アーニャ、やってはくれないだろうか。アーニャのメイド服姿を私は堪能したいと思っている!!!」

アーニャ「……ロリコン?」

ジェレミア「アーニャは15歳!!ギリギリ、ロリ回避といったところ」

アーニャ「……」

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 17:54:39.08 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「無論、アーニャには拒否権がある。嫌ならばしなくて結構だ」

アーニャ「断ったらどうなるの?」

ジェレミア「今まで通りの業務をしてもらえればいい」

アーニャ「……」

咲世子「どうされますか?」

アーニャ「……やる」

ジェレミア「おお!!そうか。アーニャがウェイトレスを買って出てくれたら安心だ!!」

アーニャ「……」

咲世子「では、採寸をいたしましょう」

アーニャ「うん」

ジェレミア「うむ。これで全ての準備は整った」

ジェレミア「あとは伸るか反るかの大勝負」

ジェレミア「しかし、我が忠義の炎を絶やすことなく、この身が朽ちるそのときまでルルーシュ様とナナリー様に捧げる!!!」

ジェレミア「ナナリー様に最高のみかんとみかん料理をご提供できるように死力を尽くします!!!」

ジェレミア「これぞ!!みかんの嵐!!!」

186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:02:58.00 ID:EcaZBKKh0
翌日

カレン「あの……スカート短いし、胸がすごく主張してくる服ですね……これ……」

咲世子「藤堂さんのデザインですから」

アーニャ「スースーする」パタパタ

咲世子「アーニャさん!!スカートで扇がないでください!!すぐに見せてしまいます!!」

アーニャ「見せちゃダメ?」

カレン「ダメだって。変なお客さんが増えちゃうし」

アーニャ「どんな?」

カレン「なんか太ってて脂ぎってて、カメラ持ってるような奴よ」

アーニャ「ふーん」

咲世子「では、基本的なマナーから学んでいきましょうか」

カレン「はい」

アーニャ「わかった」

千葉「喫茶店であることを考慮して、手の込んだ料理ではなく軽食を中心にしたほうがいいか?」

ジェレミア「無論だ。でなければ、大量生産するときのコストが大きくなる。とはいえ、メニューは豊富にあったほうがいいだろうし、いくつかそうのような料理は開発しておいたほうがいい」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:07:49.30 ID:EcaZBKKh0
咲世子「お帰りなさいませ、ご主人様。さん、はい」

カレン「お帰りなさいませ、ご主人様」

アーニャ「お帰りなさい、ご主人様」

咲世子「いいですね」

藤堂「待ってくれ、篠崎」

咲世子「は、はい?」

藤堂「紅月はそのままでもいいだろう。だがアーニャ」

アーニャ「なに?」

藤堂「君は違う口調にしておこう」

アーニャ「違う口調?」

藤堂「ああ。君は普段の口調で構わない」

咲世子「しかし、それでは接客に支障が」

藤堂「まぁまぁ。では、少し実践的な練習をしてみようか。私が客の役をしよう」

藤堂「まずは紅月から」

カレン「は、はい」

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:14:54.06 ID:EcaZBKKh0
藤堂「失礼する」

カレン「お帰りなさいませ、ご主人様。お疲れになったでしょう?こちらでお寛ぎくださいませ」

藤堂「ああ」

カレン「何か私にできることがあったら言ってくださいね?」

藤堂「―――ちょっといいか」

カレン「はぁーい」テテテッ

藤堂「このみかんジュースとみかんゼリーを」

カレン「畏まりました」

カレン「―――お待たせしました、ご主人様。どうぞ」

藤堂「食べさせてくれるか?」

カレン「はい。では、あーん」

藤堂「ふむ……うまいっ」

カレン「嬉しいです」

藤堂「―――紅月。経験でもあるのか?」

カレン「ないですよ!!」

197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:19:36.33 ID:EcaZBKKh0
藤堂「失礼する」

アーニャ「おかえり」

藤堂「席はあるか?」

アーニャ「ああ、こっち」

藤堂「ふむ。注文いいか?」

アーニャ「注文、いいですかじゃないの?」

藤堂「注文……いいですか?」

アーニャ「口、くっさ」

藤堂「……」

アーニャ「で、なに?みかん丸ごとでいい?あんたのために料理つくるとか面倒だし」

藤堂「い、いや……」

アーニャ「ほら、あーん」ググッ

藤堂「うぐぅ?!」

アーニャ「無様」

藤堂「―――やり過ぎだが、悪くない」

204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:27:25.80 ID:EcaZBKKh0
咲世子「い、今のでいいのですか?!」

藤堂「アーニャはまだ15歳。許される年齢だ。あと2年したら駄目だろうがな」

アーニャ「手がベトベトになった」 ペロ

カレン「舐めないで洗ってこないと」

アーニャ「そうする」

咲世子「クレームの元ではないですか?」

藤堂「週に一度だけああいう店員が現れると謳っておけば問題はない」

咲世子「はぁ……藤堂さんがそういうのでしたら」

玉城「おーい、コーヒー入れたぜ」

藤堂「ああ、すまない」

玉城「月に一度はカレンのバニーちゃんを拝めるんだろうなぁ?」

カレン「しないって言ってるでしょ?!」

藤堂「そのような低俗な店にするつもりはない」

玉城「ぜってぇ受けると思うんだけどなぁ。アーニャのバニーちゃんでもいいぜ?」

カレン「変 !!消えろ!!」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:33:00.33 ID:EcaZBKKh0
数ヵ月後

咲世子「喫茶店のほうも出来上がりつつありますね」

ジェレミア「ああ。もうすぐだ。もうすぐ、我が忠義が形となる」

アーニャ「……」

カレン「はぁ……はっきり言って不安で一杯だけど……」

千葉「時期的にみかんが旬となる。タイミングはばっちりだ」

藤堂「うむ。問題はない」

玉城「ワクワクするなぁ!!」

カレン「玉城、自分の店は?」

ジェレミア「そうだった。玉城よ。これまでの協力に感謝する」

玉城「え?」

藤堂「当然だろう。君には君の店があるのだからな」

玉城「ちょっとまてよぉ!!」

ジェレミア「藤堂、貴方もこれまでありがとう。もう十分だ」

藤堂「なに……」

213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:39:26.43 ID:EcaZBKKh0
ブリタニア政府 

ナナリー「では、こちらの案件はお願いしますね。あと、みかんもどうぞ」

「それは結構です。では」

ナナリー「……」

ゼロ「ナナリー様」

ナナリー「勝手に入ってこないでください」

ゼロ「申し訳ありません。ええと、このチラシをお見せしたかったのです」

ナナリー「チラシですか?」

ゼロ「こちらです」

ナナリー「紙飛行機にして、そこからこちらに飛ばしてください」

ゼロ「……どうぞ」フワッ

ナナリー「……」パシッ

ナナリー「ジェレミア農園喫茶……近日オープン……。まぁ、アーニャさんが広告に写ってます!これは行かないと」

ゼロ「よければ私と二人で行きませんか?」

ナナリー「寝言は寝ていってください。私は一人で行きますから」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:46:02.71 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア農園喫茶

ジェレミア「では、現時刻をもってオープンしましたでございます」

カレン「やったー」

咲世子「感無量ですね」

千葉「ここはスタートラインに過ぎないのだろう?」

ジェレミア「その通り!!我々の伝説はここから刻まれる!!ここが終わりではなく、始まりなのだ!!!」

カレン「とはいっても、お客さんがゼロじゃあ」

アーニャ「うん」

ジェレミア「それでも結構。ナナリー様や関係者各所から無数の花も頂いた!!尽力するしかないのである!!!」

カレン「まぁ、そうですけど」

千葉「では、私は厨房に戻る」

カレン「お願いします」

アーニャ「接客開始」

咲世子「がんばりませんと」

ゼロ「注文、いいですかー?」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 18:54:20.33 ID:EcaZBKKh0
ジノ「ここかー。カレンが働いているって噂の喫茶店は」

リヴァル「行こうぜ」

ニーナ「楽しみ」

カランカラーン

カレン「おかえりなさいま―――げ?!」

ジノ「おー!!カレン!!すごく可愛いじゃないか!!カメラを持ってくるべきだったか!!」

カレン「なんで……」

リヴァル「俺が誘ったんだよ」

カレン「余計なことを……」

アーニャ「ジノ。おかえりなさい」

ジノ「アーニャ!!こっちも可愛いなぁ!ただいまぁ、あははは」

咲世子「どうぞ、こちらのテーブル席へ」

ニーナ「メイドさんかわいい……」

ジェレミア「うむ。徐々に客が入り始めたか。この調子が続いてくれれば初日は成功といえるか……」

ゼロ「あのー注文いいですかー?」

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:01:37.06 ID:EcaZBKKh0
カレン「お待たせしました。みかんプリンです」

ニーナ「みかんだぁ。おいしそう」

アーニャ「みかんジュース。どうぞ」

リヴァル「あ、はいはい。本当にみかんだけなんだなぁ。すげー。いくら旬の果物でもここまで徹底している店ってないぜ」

咲世子「そこが当店の売りですから」

ジノ「ははっ。こんなに美人の店員がいるなら、これからも贔屓にさせてもらおうかな」

カレン「毎回全品頼んでくれるなら来てもいいけど?」

ジノ「それを1ヵ月続けたら、カレンをテイクアウトできるのかな?」

カレン「で、できるかぁ!!」

ニーナ「あ、おいしい。酸味が少し効いてて、さっぱりしてる」

カレン「でしょ?それ、オリジナルだから」

ニーナ「持って帰ろうかな。ミレイちゃんも喜ぶだろうし」

カレン「どーぞどーぞ」

ゼロ「あのー注文したいんですけどー」

アーニャ「ゼロ、もう3時間以上いるけど仕事は平気なの?」

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:10:29.79 ID:EcaZBKKh0


ゼロ「ナナリー。来なかった……どうして……」

カレン「ありがとうございましたー」

アーニャ「閉店、ガラガラ」

ジェレミア「お客様の人数は150名。予想を遥かに上回る結果だったな!!」

咲世子「この規模のお店で、立地条件も良いとはいえない場所だと考慮すれば成功でしょうか」

ジェレミア「悪くはない。だが、まだまだこれからだ」

カレン「でも、そんなに宣伝もしてないのに、どうして……」

千葉「それがネット上で誰かがこの店を大絶賛してくれているようだ」

アーニャ「なんのために?」

千葉「分からないが。紅月のボーイフレンドとかじゃないのか?」

カレン「そんなのいないし」

ジェレミア「まぁまぁ、その電子の妖精が我々に味方している以上、その波に乗らせてもらうほうがいい」

咲世子「これでお客様も増え、お店も農園も大きくできますね」

アーニャ「……」

242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:18:51.15 ID:EcaZBKKh0
数日後

カレン「千葉さーん!!みかんゼリー追加でー!!」

千葉「紅月!!こっちはフルーツサンドの用意で手がいっぱいだ!!」

カレン「じゃあ、アーニャ!!キッチンのアシストして!!」

アーニャ「うん」タタタッ

「すいませーん」

カレン「は、はーい!!」

ジェレミア「これは大変だ。予想以上の客入り。ここまで来ると、嬉しい悲鳴を通り越し、阿鼻叫喚!!!」

カレン「はぁ……はぁ……なんで……こんなに……」

アーニャ「疲れた」

カレン「アーニャ!!その場でしゃがむな!!」

咲世子「注文追加です」

千葉「篠崎!!もうお前は自分で作って自分で配膳しろ!!」

咲世子「分かりました」ダダダッ

ゼロ「すいませーん。みかんジュース、おかわり」

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:24:42.75 ID:EcaZBKKh0


ジェレミア「皆の者、ご苦労様」

咲世子「連日、お客様が増えていますね」

カレン「あの……すいません……」

ジェレミア「アルバイトの募集は既にかけている」

カレン「あ、そうですか……」

アーニャ「……みかんは?」

ジェレミア「注文の電話が鳴り止まない。たった数日で世界が変わった」

千葉「喜ばしいことだが、やはり人手が圧倒的にたりないな」

咲世子「そうですね……」

ゼロ「……あの、手伝いましょうか?」

カレン「もう閉店ですけど?」

ゼロ「あ、うん……それじゃあ……」

アーニャ「バイバイ」

ゼロ「また、明日」

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:32:08.65 ID:EcaZBKKh0
数日後 早朝

ジェレミア「今日も頑張らなければ。しかし、このままではカレンとアーニャが疲労で倒れてしまう」

ジェレミア「従業員の増員は急務か」

カランカラーン

ジェレミア「申し訳ない、まだ開店してないのです。お引取りを」

「ほう?ジェレミア、少し見ない間に大きな口が聞けるようになったものだな」

ジェレミア「その声は?!」

コーネリア「……久しいな」

ジェレミア「コーネリア様!!!ど、どうして!!?」

コーネリア「これを見てやってきた」

ジェレミア「アルバイト情報誌……まさか?!」

コーネリア「お前がオーナーなら雇ってくれると思ってな」

ジェレミア「しかし、何故?コーネリア様がアルバイトなどと……」

コーネリア「……色々あるのだ。訊くな」

ジェレミア「あぁ、コーネリア様。身分を捨て、この世で生きる辛さは身をもって痛感しております!!共にがんばりましょう!!!」

264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:37:37.82 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「咲世子!!」

咲世子「はい」

ジェレミア「では、コーネリア様。詳しい仕事の内容はこちらの咲世子から説明させますので」

コーネリア「よろしく頼む」

咲世子「キッチンとホール。どちらをご希望でしょうか?」

コーネリア「メ……メイドになれるほう……が、いい、かな」

咲世子「では、キッチンですね。こちらへ」

コーネリア「よし」

ジェレミア「まさか、コーネリア様が……これは頼もしい……」

カランカラーン

ジェレミア「申し訳ない、まだ開店―――」

星刻「分かっている」

ジェレミア「あ、あなたは……中華連邦の……生きていたのですか?」

星刻「それよりも、まだアルバイトの募集はしているのか?」

ジェレミア「え、ええ……それがなにか?」

272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:44:33.92 ID:EcaZBKKh0
星刻「それはよかった。天子様」

天子「は、はい……あの……」

ジェレミア「天子様、ご無沙汰しております。先の戦争では、多大なる無礼を……いくら謝罪の言葉を並べても我が罪は消えないでしょう」

天子「いえ、それはもう気にしていませんから」

星刻「今日は折り入って話がある」

ジェレミア「なんでしょうか?」

星刻「天子様と私を期間限定で雇ってはもらえないだろうか?」

ジェレミア「お二人を?!ですが、中華連邦のほうは?」

天子「私がお願いしたことなのです。日本の様子を知るために長期間の滞在を決めました。そして、日本のみなさんがどのような生活をしているのかを知りたいと」

ジェレミア「日本の?」

星刻「ああ。中華連邦も見習うべきところが今の日本にあると天子様が仰ってな。そのときここの存在を知った」

ジェレミア「いいのですか?飲食業は見た目よりもハードですが」

天子「構いません!!お願いします!!」

星刻「天子様にメイド服を!!!」

ジェレミア「分かりました。では、期間限定で雇いましょう。こちらも人手不足で困っていたところですから」

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:50:12.96 ID:EcaZBKKh0
天子「ありがとうございます!!」

ジェレミア「カレン!!」

カレン「はい。って、天子様と星刻!?」

ジェレミア「二人に仕事の説明を」

カレン「は、はい。じゃあ、えっと……ホールとキッチン。どちらがご希望ですか?」

天子「私はホールでお願いします。色々な人と接したいので」

星刻「私はキッチンでいい。天子様の姿をいつでも監視できるのでな」

カレン「分かりました。じゃあ、天子様は制服のサイズを測らないとだめですね」

天子「お願いします」

カレン「咲世子さん!!キッチンのほうもう一人、お願いします!!」

咲世子「承知しました。千葉さんにやってもらいます」

千葉「なんだと!?こっちも開店準備で忙しいのに!!」

コーネリア「おい!!メイド服の授与はまだか?!」

咲世子「キッチンでメイド服なんて着るんですか?汚れますよ?」

コーネリア「貴様!!私を謀ったな?!」

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 19:56:49.13 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「バイト募集の効果は出てきている……素晴らしい!!これならアーニャにも楽をさせることができる!!」

アーニャ「おはよう。何の騒ぎ?」

ジェレミア「アーニャ!!聞いてくれ!!嬉しい知らせばかりだ!!」

アーニャ「どういうこと?」

ジェレミア「これで君は学校から帰ってきていきなりホールを駆け回るような苦行をせずにすむ!!」

アーニャ「……」

カランカラーン

ジェレミア「申し訳―――ん?!」

C.C.「美味しいみかんピザが食えるのはこの店でいいのかな?」

ジェレミア「C.C.……何故……」

C.C.「聞いてくれ、ジェレミア。ピザを食べるのにお金がいるんだ。なので楽して食べられるところを探していたら、ここに行き着いた」

ジェレミア「……」

C.C.「メイド服を着て立っていてやるから、賄いはみかんピザで頼むぞ?」

ジェレミア「あ、ああ……」

アーニャ「また、増えた……」

292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:03:07.58 ID:EcaZBKKh0
カレン「じゃあ、説明は以上です。私はこれから学校ですから分からないことがあったら、ジェレミアさんか咲世子さんに聞いてください」

天子「は、はい」

カレン「そんな固くならないで、リラックス、リラックス」

天子「は、はい……」

C.C.「なんだ、この服は。胸が少し緩いな」

カレン「それ、私にピッタリの制服だからねー」

C.C.「今のはむかついた。お前、先輩だからと調子に乗るなよ?」

カレン「あーら、随分態度のでかい後輩ね。あんた、最後までルルーシュと何してたのよ?!」

C.C.「お前が聞いたら卒倒するぐらい大人なことだよ、小娘」

カレン「なっ……!!」

C.C.「生娘には刺激が強い話だったかなぁ?」

カレン「おのれ……」

アーニャ「カレン、学校遅れるけど」

カレン「あ、うん!C.C.!!帰ってきたらイジメてやるからね!!!」

C.C.「できるものならやってみろ」

294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:08:43.58 ID:EcaZBKKh0
裏庭

カレン「あー、新人に説明するのに時間食っちゃった」

アーニャ「無頼なら間に合う」

カレン「よっと。今日は私が運転するから」

アーニャ「よろしく」

カレン「アーニャ、本当にいいの?」

アーニャ「……」

カレン「このままここが大きくなるのはみんなが望んでることだとは思うけど」

アーニャ「……カレン、呼ばれた」

カレン「え?」

アーニャ「咲世子も呼ばれた」

カレン「アーニャ……?」

アーニャ「私はもう……ジェレミアにとって、必要ないかもしれない」

カレン「そ、そんなことあるわけないでしょ!?」

アーニャ「私より仕事ができる人ばかり入ってくる……もう……私は……」

298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:13:49.08 ID:EcaZBKKh0
喫茶店

ゼロ「特盛みかんパフェとみかんジュース」

天子「は、はい。と、特盛みかんとジュースパフェ……ですね?」

ゼロ「いや、全然違います」

天子「あ、ご、ごめんなさい!!ごめんなさい!!」

ゼロ「特盛みかんパフェとみかんジュースで」

天子「みかん盛りのジューシュ?」

ゼロ「そんなのあるんですか?」

天子「な、ないです……」

ゼロ「……他の人は?」

天子「ごめん……なさい……ごめっ……なさい……」

ゼロ「そんな泣かれても困るのは私のほうだ!!ふざけるな!!!」バッ

星刻「お客様?」

ゼロ「え……」

星刻「表に出てもらいましょうか?」

305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:20:30.19 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「今日も大繁盛!!素晴らしい!!」

ミレイ「すいませーん」

ジェレミア「なんでしょうか?」

ミレイ「今、突撃取材してるんですけど、カメラ入ってもよろしいですか?」

C.C.「いいんじゃないか。別に。いい宣伝になるじゃないか」

ジェレミア「ここには様々な人種が集まりすぎている」

C.C.「だからこそだろ。こんなに面白い店員がいる喫茶店なんて私は知らない」

咲世子「オーダー入ります!!みかんソースのステーキ!!」

コーネリア「よろこんで」

千葉「それは居酒屋だ!!お前、どこでバイトをしていた?!」

コーネリア「か、畏まりました!!ご主人様!!」

咲世子「低音すぎます。もっと声を高くしてもらいませんと」

コーネリア「む、難しいことを言うな!!」

ジェレミア「分かりました。取材してください。このジェレミア・ゴットバルトの名を刻むために!!!」

ミレイ「ありがとうございまーす」

319: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:31:37.12 ID:EcaZBKKh0
ミレイ「みなさーん、こんにちはー。お昼を如何お過ごしでしょうか?今日の突撃街の人気店のお時間です!!」

ミレイ「今日、ご紹介するのはここ!ジェレミア農園喫茶!!もぎ立てフレッシュなみかんを使って様々な料理を提供することで今、注目を浴びつつあるお店です」

ミレイ「では、中に入ってみましょうかー♪」

ゼロ「うぅぅ……ぅぅ……」

ミレイ「入り口の前に大きな黒いゴミ袋がありますね。これは少し不衛生かもしれません。横に置いておきましょう」

ゼロ「ぅぅ……ぅぅうぅ……」

ミレイ「では、気を取り直して、お邪魔しまーす」

天子「おお、おかわりなさいませ、ごしゅじんしゃま!!」

ミレイ「いきなり違法な感じがします」

C.C.「お帰りなさいませ、ご主人様。お疲れになったでしょう?どうぞこちらへ」

ミレイ「可愛い子も居れば美人のメイドさんも居る。この喫茶店は一味違うようです」

咲世子「ご注文をどうぞ。ご主人様」

ミレイ「どれどれ。おー、見てください。どれもみかんが入っているようです。このみかんは表にある農園で取れたものですか?」

咲世子「はい。オーナーはみかん一個を栽培するのでも全力を出しています」

ミレイ「それは素晴らしい。かなり期待ができそうです。では、この大人気と書かれたみかんゼリーをお願いできますか?」

332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:41:55.35 ID:EcaZBKKh0
ミレイ「―――とても個性的な店員が独創的でありながら確かな味を提供するお店。間違いなく、星5つ!!」

ミレイ「みなさんも是非、このみかんの味を堪能してみては如何でしょうか?それでは、また明日ー!!」

スタッフ「カット!!お疲れ様でした!!」

ミレイ「ふー……」

咲世子「ミレイ様、ご立派です」

ミレイ「ありがとう。それにしても、咲世子さんはこういうの本当に似合うわね」

咲世子「ありがとうございます」

ミレイ「本当はずっと来たかったの。ニーナがお土産でくれたみかんプリンがとっても美味しかったから」

千葉「その言葉が何よりの励みだ」

ミレイ「じゃあ、咲世子さん。またくるわ。今度はプライベートで」

咲世子「行ってらっしゃいませ、ご主人様」

C.C.「もういっちゃうんですかぁ?ご主人さまぁ」

天子「い、いってらっしゃいませ!!ごしゅじんしゃま!!」

コーネリア「またのご来店を!!」

千葉「だから、それ違うぞ。間違ってはいないが」

342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:49:44.91 ID:EcaZBKKh0
午後

カレン「あー今日も忙しくなりそー」

アーニャ「……」

カレン「アーニャ、考えすぎだって」

アーニャ「……でも……ジェレミアは私のこと褒めてくれない」

カレン「……!」

アーニャ「褒めているのはいつもカレンと咲世子と……えーと……」

カレン「千葉さんね。千葉凪沙」

アーニャ「そのナギサのことばかり」

カレン「それは、ほら、もうアーニャはジェレミアにとっていて当然の存在になっていて……」

アーニャ「きっと消えても何も思わないと思うけど」

カレン「そんなこと―――」

C.C.「お前たち、早くこい」

カレン「C.C.?どうしたの?」

C.C.「どうしたもこうしたもあるか。店がバーストするぞ。早く働け」

348: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:54:06.95 ID:EcaZBKKh0
咲世子「追加オーダー!!みかんゼリー!!」

千葉「みかんたっぷりフルーツサンドできたぞ!!」

カレン「はーい!!」

コーネリア「特盛みかんパフェもできた、持っていけ」

天子「は、はい……」

アーニャ「大丈夫?」

天子「は、はぃ……」ヨロヨロ

アーニャ「不安」

星刻「みかんピザができたぞ」

C.C.「ありがとう」

星刻「……」

C.C.「はむっ」パクッ

アーニャ「それ賄いじゃないけど」

C.C.「……ごめんなさぁい、ごしゅじんたまぁ」

星刻「狙いすぎていて腹が立つな」

352: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 20:59:55.57 ID:EcaZBKKh0
カランカラーン

C.C.「おかえりなさいませ―――」

ナナリー「C.C.さん」

C.C.「……カレン、接客は任せる」

カレン「ちょっと!C.C.?!」

ナナリー「カレンさん、お久しぶりです」

カレン「ナナリー?!どうして……」

ナナリー「やっと来ることができました。でも、座れそうにないですね」

カレン「えーと……えーと……」

ジェレミア「ナナリー様!!ようこそお越しくださいございました」

ナナリー「ジェレミアさん」

ジェレミア「今すぐ席をご用意いたします」

ナナリー「いえ、特別扱いは結構です。普通のお客さんとしてきましたから」

ジェレミア「ナナリー様……」

カレン「じゃあ、席があくまで暫くお待ちくださいね、お嬢様」

360: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:07:34.11 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「お待たせしました、お嬢様」

ナナリー「アーニャさん、お久しぶりです」

アーニャ「うん。案内する」

ナナリー「ありがとうございます」

アーニャ「ここでいい?」

ナナリー「はい」

アーニャ「どれにする?」

ナナリー「そうですねー……えーと……えーと……」

ゼロ「―――私は帰ってきた!!!」バンッ!!!!

アーニャ「ゼロ、おかえりなさい」

ゼロ「ナナリー様!!相席、よろしいですか?」

ナナリー「良く聞こえません。あなた、誰ですか?」

ゼロ「これは異なことを!!私の名はゼロ!!世界を壊し、創造した男だ!!!」バッ

ナナリー「なんですか。この大きなゴキ―――」

アーニャ「ナナリー、待って。私に任せて」

366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:17:38.16 ID:EcaZBKKh0
ゼロ「何かな、アーニャ?」

アーニャ「おかえり、ご主人。まずはやることがあると思うけど?」

ゼロ「なんだと?」

アーニャ「まずは跪いて「今日も生き恥を晒して帰ってきてしまいましたワンワン」でしょ?」

ゼロ「な、何故そのようなことを私がいわなければならない!!」

アーニャ「言ってくれないと相席は認められないけど?」

ゼロ「できるか!!そんなこと!!私はナナリー様と相席をするために待っていたのだ!!」

アーニャ「随分と態度の大きなご主人。それだとこの社会をうまく生きていけないと思うけど?もっと賢くならないと」

ゼロ「おのれ!!こちらは客だぞ!!ふざけるな!!!」

アーニャ「お客様は神様だ。なんて思うほうがどうかしていると思う。そんな屑の頭を開けたら、きっと何も詰まってないんでしょ?笑える」

ゼロ「それ以上、侮辱するならこちらにも考えがある!!」

アーニャ「口、くっさ」

ゼロ「臭うわけないだろう!!」

アーニャ「そんな仮面つけてマントまでして、存在そのものも、くっさ」

ゼロ「……っ」

376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:25:42.07 ID:EcaZBKKh0
ナナリー「アーニャさん!!もういいですから!!事実は人を酷く傷つけますし……ふふ……」

ゼロ「ナ、ナナリー……!!」

C.C.「言いたい放題だな。何かのイベントか?」

カレン「そういえば、今日はアーニャの毒舌キャラの日だ」

ジェレミア「アーニャ!!それぐらいにしておくのだ!!仮面の騎士が人目につかぬ場所で泣いている!!」

アーニャ「そうなの?」

ゼロ「うぅぅ……ぅぅ……」

アーニャ「―――よっわ」

ゼロ「おわぁぁぁああああああ!!!!!!」ダダダダダッ

ナナリー「……アーニャさん、ありがとうございます」

アーニャ「あれ、男性限定のサービスだから。ナナリー、注文は?」

ナナリー「では、このみかんのショートケーキとみかんジュースを」

アーニャ「わかった。待ってて」

ジェレミア「アーニャ、あのキレ、あの毒舌。素晴らしい。私も罵られたい!!」

カレン「ジェレミアさん……」

380: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:30:59.32 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「お待たせしました」

ナナリー「どうも」

アーニャ「食べさせてあげる」

ナナリー「いいんですか?では、あーん……」

アーニャ「あーん……どう?」

ナナリー「……」

アーニャ「ナナリー?美味しくない?」

ナナリー「い、言え。とても美味しいです」

アーニャ「もう一口、いる?」

ナナリー「はいっ」

アーニャ「あーん」

ナナリー「あーん……おいしい」

アーニャ「よかった」

ナナリー「……」

コーネリア「メイド服はまだかー!!!」

386: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:44:20.45 ID:EcaZBKKh0
カレン「いってらっしゃいませー、ご主人様ー」

ナナリー「……」

カレン「ナナリー?まだ、帰らなくてもいいの?」

ナナリー「あ、ごめんなさい。お邪魔でしたら……」

カレン「そんなことないよ。お客さんも落ち着いたしね」

ナナリー「夕方にこうなるのですか?」

カレン「喫茶店で夕食を済ませるって人はそんなにいないから」

ナナリー「なるほど」

アーニャ「みかんピザ、追加」

千葉「承知!!」

C.C.「疲れた」

咲世子「C.C.さん!!接客を!!」

C.C.「もう空いたし、私の今日の労働は終わりだ」

天子「あわ……わ……おさらが……たおれる……」ヨロヨロ

星刻「天子さま……最高だな……」

392: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:51:41.84 ID:EcaZBKKh0


ジェレミア「皆の者、お疲れ様でございました」

コーネリア「おい、貴様。メイド服はどうなっている」

咲世子「頑張り次第で、私のようにキッチン兼ホールを任せられるようになれば良いだけの話です。貴方ならできる」

コーネリア「そ、そうか……よし」

天子「すぅ……すぅ……」

星刻「天子さま……あぁ……我慢だ……寝込みを襲うなど……武人ではない」

ナナリー「……」

カレン「ナナリー、今日はどうするの?泊まっていくの?」

ナナリー「あの、アーニャさん」

アーニャ「何?」

ナナリー「部外者の私がこんなことを言うのは、差し出がましいことであると十分に承知しています。けれど、私のように悲しい思いだけはしてほしくありません」

アーニャ「……」

C.C.「ナナリー……」

ナナリー「アーニャさん。素直な気持ちを言えるときに言っておかなければ、後悔します。私のように」

399: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 21:59:57.96 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「あの、ナナリー様?」

ナナリー「相手のためだと自分を偽り、何も言わなかった。もしもっと早く告白していれば結末は違っていたかもしれない」

カレン「それって……」

ナナリー「最近の私はそのことばかりを考えています」

星刻「ルルーシュのことか?」

ナナリー「はい。私はお兄様と一緒にいれるだけでよかった。お兄様の居ない明日なんて苦しいだけです。今も、今日で世界が終わるならどんなに楽だろうって考えています」

アーニャ「そう」

ナナリー「アーニャさん。確かに自分の気持ちを押し込め、ただ笑っていれば全てが解決するときもあります。でも、それでも誰かが傷つきます」

C.C.「その誰かは自分自身か」

ナナリー「お兄様を止める事はできなかったかもしれません。けれど、後悔はしないで済みました」

ナナリー「それだけでも全く違う想いで結末を見届けることができかもしれません」

アーニャ「……」

ナナリー「だから、アーニャさん。お節介なのは分かっています。大きなお世話であること。でも、知ってしまった以上は放っておくことは私にはできません」

アーニャ「うん……」

ナナリー「アーニャさん……」

403: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:05:00.35 ID:EcaZBKKh0
カレン「はいはい!!じゃあ、解散しましょうか」

千葉「そうだな。藤堂さんもお腹を空かせているころだろうし」

星刻「天子さま、行きましょう」

天子「あぁい……」

星刻「ぐはっ?!」

咲世子「ナナリー様、今晩は私の部屋でおやすみになられてはどうでしょうか?」

ナナリー「はい。お世話になります」

ゼロ「ナナリー!!迎えに来たぞ!!」

ナナリー「消えろ」

C.C.「ほら、空気を読め」

ゼロ「どうしてだ!!ナナリー!!」

コーネリア「メイドになるまで……ふふふ……」

アーニャ「……」

ジェレミア「座ろうか」

アーニャ「うん」

407: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:12:07.91 ID:EcaZBKKh0
ジェレミア「アーニャ、やはり私に言いたいことが、不満があったのだな?」

アーニャ「うん」

ジェレミア「何故、言ってくれなかった」

アーニャ「……ジェレミア、とても嬉しそうだったから」

ジェレミア「当然だ。君を養う目処がついたのだからな。農園だけでは君が自立するまで些か心許なかった」

アーニャ「……」

ジェレミア「君を守ることができる。そう思うと歓喜の念も内側から溢れてくるというもの」

アーニャ「……私は、違う」

ジェレミア「何が違う?」

アーニャ「私はジェレミアと一緒に居られたらそれでいい」

ジェレミア「アーニャ……」

アーニャ「二人でみかんをとって、いっぱい運んで、ジェレミアによくやってくれたって頭を撫でてほしいだけ」

ジェレミア「しかし、私は大黒柱。君を養う義務がある!!」

アーニャ「養わなくていい。ここまでしないとダメなら、学校いかない。ご飯はみかんだけでいい」

ジェレミア「だが……それでは……君の幸せが……」

409: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:18:24.63 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「あなたが……居てくれたら……それでいい……」

ジェレミア「アーニャ……それで幸せなのか?」

アーニャ「うん……幸せ」

ジェレミア「あとで我侭を言うことは許さないぞ?」

アーニャ「……」

ジェレミア「好きな服もアクセサリーも自由には買えなくなるかもしれない!!それでもいいというのか?!」

アーニャ「うんっ」

ジェレミア「分かった。アーニャの覚悟、ここで見たり!!その熱意、意思、矜持を我が心に刻み込もう!!」

ジェレミア「そして!!私もそれに応えなくてはならない!!それが紳士!!騎士!!!」

アーニャ「……うるさい」

ジェレミア「ああ、すまない。少し熱が入ったな」

アーニャ「で、どうするの?」

ジェレミア「喫茶店は残す。既に従業員もいるし、その中には皇族もおられる。潰すことは私にはできない。だが、私がオーナーから退くことはできる」

アーニャ「ジェレミア……」

ジェレミア「大黒柱を他の者に譲るというのは癪ではあるが、アーニャの頼みであるのなら迷いはない」

425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:28:55.69 ID:EcaZBKKh0
アーニャ「うれしい……」

ジェレミア「私も君の気持ちを蔑ろにし過ぎていたな。反省しよう」

アーニャ「私も我侭言って……ごめんなさい」

ジェレミア「アーニャ、女性の我侭をどれだけ許容できるかで男の価値は決まる」

アーニャ「……」

ジェレミア「君のように美しい女性の初めての我侭で立腹するほど、私は狭小な器は持っていないと自負している」

アーニャ「ごめんなさい」

ジェレミア「ふふ……アーニャ、よく話してくれたな」ナデナデ

アーニャ「……♪」

ジェレミア「君を知らず不幸の沼に落とそうとしていたとは。私もまだまだ修行が足りないといったところか」

アーニャ「喫茶店、どうする?」

ジェレミア「オーナー候補は既にいる。あいつ以外に任せられないだろう」

アーニャ「……ジェレミア、これからは?」

ジェレミア「また以前の生活に逆戻りだな。君と私だけでみかんを栽培するだけの生活に」

アーニャ「幸せ……それが、一番……」

438: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:39:21.39 ID:EcaZBKKh0
翌日

ジェレミア「君に全権を譲ろうと思う」

咲世子「しかし、私に経営の才はないのですが」

ジェレミア「問題はない。星刻もいるし、私も放任するわけではない」

咲世子「おかざりのオーナーですか」

ジェレミア「それでもオーナーという肩書きはまさに無敵だ。誰も君には逆らえない」

咲世子「人事も一任させてくれると?」

ジェレミア「勿論だ。経理は……君のほうがいいかもしれないな」

咲世子「お任せください」

ジェレミア「あと、ここからは秘密の話だが」

咲世子「はい」

ジェレミア「喫茶店を切り捨ててはアーニャを養うことができなくなるかもしれない。既にこの農園は喫茶店に頼っているようなものだからな」

咲世子「なるほど。もしものときは喫茶店の売り上げの一部を譲渡しろと?そのような心配は不要だと思いますが……」

ジェレミア「恥ずかしい話だが君は我が大黒柱となった。アーニャを養うのは我が大黒柱の務めである!!!私の務めはアーニャの笑顔を守ることにある!!!」

咲世子「承知いたしました。元々、あの店は貴方のもの。おかざりのオーナーに拒否権はありません」

446: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:46:48.89 ID:EcaZBKKh0
喫茶店

カレン「あー!!もう!!なんでこんなに忙しいのよ!!」

C.C.「働けー、メイドども」

カレン「あんたが働きなさいよ!!」

C.C.「私はピザが食えればそれでいい」

天子「おぉ……ぉ……」フラフラ

星刻「天子様!!3番テーブルまでもう少しです!!」

天子「しんくー!!きらいー!!!」

星刻「がはっ?!なぜ……?!」

千葉「手が遅いぞ!!何をやっている!!!」

コーネリア「これでも全力だ!!おい、新オーナー!!私の働きをみておけ!!」

咲世子「……それ以上、仕事が遅くなればクビです」

コーネリア「バ、バカな……!!」

ゼロ「アーニャの罵りフルコースはないんですか?」

カレン「冷やかしなら帰って!!というか、ゼロ!!あんた見たさで来る客も多いんだから出て行け!!仕事が増えるでしょ!!」

458: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 22:59:26.78 ID:EcaZBKKh0
みかん畑

ジェレミア「アーニャ、これを運んだら休憩をしよう」

アーニャ「うん」

ジェレミア「今日は本当によく働いてくれたな。いや、アーニャはずっと良くやってくれている」

アーニャ「……」

ジェレミア「いつしか君が傍にいることが当たり前になり、感謝の言葉も私の口から消えていた」

アーニャ「私も当たり前になってたから、言えなかったことがある」

ジェレミア「聞こうか」

アーニャ「―――ありがとう。ジェレミア。大好き」

ジェレミア「ふふふ。そうか。君の口からその言葉が聞けるとは思わなかった。親愛なる者へは中々口にできないメッセージだな。特に身内ともなると尚更だ」

アーニャ「うん」

ジェレミア「では、私も言葉にしておこう。私もアーニャのことは好きだ。これからも果実を育んでいこうではないか、君と私の絆も一緒にな」

アーニャ「ジェレミア……」ギュッ

ジェレミア「さぁ、咲世子特製のお茶を飲んだら、作業を再開しよう。アーニャ、君の忠義と活躍に期待する!!」

アーニャ「うん、がんばる。貴方といるために」
                              おしまい。