1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 00:46:12.44 ID:v3zSS1U50
P「おはよう、春香」

春香「おはようございます!暑いですね~事務所はクーラー効いてて涼しい~!」

P「そうだな、しかも最新式だから余計涼しく感じるよな」

春香「え!?最新式だったんですか!?」

P「小鳥さんが奮発したらしい」

春香「え~!私知りませんでした……」

P「まぁ春香は最近あんまり事務所に来ていなかったからな……」

春香「そうなんですよねー……って、プロデューサーさんもじゃないですか?」

P「いや、俺は結構春香を帰した後とかに来てるからな」

春香「そ、そうだったんですか……」

P「まぁーじゃないと追いつかないしな、スケジュールとか」

春香「ありがとうございます!」

P「あ、当たり前のことやってるだけだって」

引用元: 春香「私、プロデューサーさんのこと……」 



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 00:48:31.23 ID:v3zSS1U50
春香「でも、アイドルである私のためじゃないですか」

P「いいんだよ、春香の支えになるのが楽しくてこの仕事をやっているんだ、それに」

春香「??」

P「プロデューサーであり俺はファンでもあるからな」

春香「……はい!」

P「それじゃあ、今日のスケジュールは……」


―――
――

春香「お疲れ様でしたー!」

P「ああ、今日のレッスンはなかなか良い感じだったな」

春香「そうですか?」

P「先生にも褒められてたじゃないか」

春香「えへへ、そうですね。やっぱり褒められると嬉しいですね」

P「そりゃ、誰だってそうだろ」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 00:51:28.13 ID:v3zSS1U50
春香「そうですか?」

P「ああ、俺も社長や小鳥さんに褒められると嬉しいからな」

春香「じゃあ私も褒めます!」

P「ははっ、ありがとう春香。でも立場的には俺が褒めるべきかもな。春香、今日のレッスンよく頑張った、偉いぞ」

春香「ぷ、プロデューサーさん……なんだか、照れますね」

P「素直に受け止めればいいさ、そろそろ駅だな……」

春香「はい、今日もありがとうございました」

P「ああ、気をつけてな」

春香「はい!」


―――
――
P「今日はオーディションだな」

春香「はい……凄い、き、緊張しちゃって……」

P「大丈夫だ、今までやってきたことを思い出すんだ」

春香「そ、そうですよね……」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 00:54:33.82 ID:v3zSS1U50
P「当たり前だ、今までの積み重ねがあってこその今回のオーディションだ……」

春香「……合格したら、海外出演の話しも来てるって本当ですか?」

P「……ああ、でも海外に行くわけじゃなく、今日撮ったものが海外に行くだけらしいけどな」

春香「そうですか……私……」

P「ん?どうした」

春香「……な、なんでもないです!」

P「そうか!とにかく、全力でぶつかっていけ!」

春香「はい!!」

―――
――

P「合格おめでとう、春香」

春香「ありがとうございます!」

P「今日の春香は本当に輝いていた。俺の目から見ても、きっと審査員、他のアイドル達から見ても輝いていたと思う」

春香「そ、そうでしょうか」

P「ん?なんだ、まだ何か不安があるのか?」

春香「い、いえ……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 00:57:37.21 ID:v3zSS1U50
P「素直に喜べ、これでまたファンが増えるし、ファンも喜ぶんだから」

春香「はい!」

P「よし、じゃあステージ、行ってこい!」

春香「……」

―――
――

春香「……」

P「今日のステージは裏方が最高だったな、春香がさらに輝いて見えていた」

春香「はい」

P「……どうした、オーディション前からずっと元気無さそうだけど」

春香「い、いえ、別にそういうわけじゃないんです……」

P「気になることがあるなら言うんだ、今までもそうしてきただろう」

春香「そうなんです、けど……」

P「春香?」

春香「や、やっぱりなんでもないです!今日もありがとうございました」

P「あ、待て、春……行ったか」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:01:13.33 ID:v3zSS1U50
―――
――

春香「おはようございます!」

P「ああ、おはよう春香。今日は営業だからな、体調とか大丈夫か?」

春香「はい!バッチリですよ!」

P「よし!じゃあ、今から車出すから、支度して待っててくれ!」

春香「分かりました!!」

―――
――

春香「天海春香です!よろしくお願いしまーす!」

「天海春香って、あ、あの天海春香か!?」

「うおおお、ラッキー!!何々?シークレットイベント?」

「よっしゃああああ!!サイン貰っちゃおうかな!」

春香「えへへー、皆さん元気ですかー!」

「「「うおおおおおおお!!」」」

春香「私も元気です!」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:04:22.29 ID:v3zSS1U50
P「……凄いな、春香の認知度はどんどん広がっている」

P「こういう、ローカルなイベントはもうやらないほうがいいのかもしれないな……」

春香「では!歌います!太陽のジェラシー!!」

P「あ、おい!曲が違……」

春香「あわわ!!ま、間違えちゃった!ち、違います!I want!!」

P「……やっぱり心配になってきたぞ」

―――
――

P「珍しいな、ああ言うミスは」

春香「えへへ、すみません」

P「まぁ、みんな笑ってくれたし結果オーライだ」

春香「そうですね!ポジティブに考えます!」

P「ああ、そのいきだ!」

春香「今日ってこれで終わりですか?」

P「いや、次はCM撮影だ。撮影現場にこのまま向かうから、車の中で昼をとってくれ」

春香「は、はい……」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:08:36.93 ID:v3zSS1U50
P「ん……?車で昼とるのが嫌だったら、撮影現場ついてからでもいいぞ」

春香「あ、いえ食べちゃいますね」

P「そうか?無理するなよ?」

春香「はい、ありがとうございます」

P(……なんだ、急に元気無くなったような気がするぞ)

P「よし、それじゃあ行こう」

―――
――

春香「うぅん!とろける味!贅沢なトロピカルフルーツ!とろけるマンゴープリン!」

スタッフ「はーい、これで最終カットです」

監督「春香ちゃんお疲れ様、最近良い感じなんじゃないのか?」

春香「い、いえそんなことないですよぉ」

監督「いやいや、765プロの春香ちゃんには私も期待しているからね。また頼むよ!」

春香「は、はい!ありがとうございました!」

―――
――

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:12:49.59 ID:v3zSS1U50
P「凄いじゃないか春香!あの気難しいって噂の監督に褒められたんだぞ!」

春香「は、はい……」

P「……どうした?嬉しくないのか?」

春香「い、いえ!そんなことないですよ!期待してるって言われちゃいましたーえへへ」

P「ああ、また仕事が来るかもな!あ、マンゴープリンいっぱい貰ったから、先に事務所に持って行っていいか?」

春香「はい!私も事務所行きたいなーって思ってたので!」

P「そうか、思ったより早く終わったから、まだそんなに遅くないし……よし、じゃあ事務所に向かおう」

春香「はい!!」

―――
――

P「戻りましたー」

小鳥「あ、おかえりなさい、プロデューサー」

春香「ただいま帰りました!」

小鳥「あら、春香ちゃんも。CM撮影じゃなかったの?」

春香「えへへ、それが早く終わって……これ貰ったのでみんなで食べようかなって」

小鳥「こ、これは……!!!まだ発売されてないマンゴープリン!!!」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:15:51.35 ID:v3zSS1U50
春香「私一人じゃ食べきれないので!」

亜美「何々→?って、プリンだ→!!!」

響「プリン!?」

やよい「プリンですかー!?」

春香「みんなで食べよ!」

雪歩「私お茶持ってきます~」

真「あ、僕も手伝うよ!」

春香「ふふっ」

P「……よし、明日の仕事準備しないとな」

春香「あ、プロデューサーさんも、一つ」

P「いや、俺甘いものはちょっとなぁ……」

春香「さっぱりしてますよ?男の人でも食べやすいと思います!」

P「でもなぁ、準備あるから」

春香「もう!あーん」

P「は、春香……あーん……」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:19:13.72 ID:v3zSS1U50
亜美「あれあれ→?兄ちゃんとはるるんラブラブですな→?」

やよい「ラブラブですー!」

響「自分もハム蔵にあーんするぞー!」

春香「そ、そんなんじゃないってー!プロデューサーさんお仕事で手が離せなかったからで」

亜美「慌てふためく所も怪しいですな→?」

春香「もー!亜美ー!」

P「ははっ、って春香時間大丈夫なのか?」

春香「え……あっ!もうこんな時間!?」

亜美「はるるんは忙しいですなー!」

やよい「凄いですー!私も春香さんみたいにお仕事ビシバシこなしたいなーって!」

春香「うん!みんな出来るよ!それじゃあ今日はお先に!」

P「おつかれさま、春香。気をつけてな」

春香「はい!」

亜美「ばいび→!」

やよい「お疲れ様でしたぁ!」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:21:37.42 ID:v3zSS1U50
バタンッ

春香「……」

春香「…………」

春香「……」フルフルッ

春香「帰らないと……」

―――
――

Prrrrr

春香「……ふぁああ、もひもひ」

P『春香か?ごめんな、朝早く。今日は事務所に寄らないで、駅で待っててくれ。車で向かえに行くからな』

春香「わ、わかりましたぁ……」

P『ああ、頼んだぞ』

ピッ

春香「ん、んーーー!!朝かぁ……」

春香「…………」

春香「あっ、ボーっとしてる場合じゃない!行かないと!」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:25:04.05 ID:v3zSS1U50
春香「……無い」

春香「無い!無い!!今日使う資料が……プロデューサーさんからもらって、えっと……うーんと、覚えてない……」

春香「今日の電車で読もうと思ってたのに……」

春香「あーもう、バカバカ……最近こういうミスばっか……」

春香「今日はテレビの撮影なのに……」

春香「どうしよう……もう一回プロデューサーさんに電話して……FAXしてもらうしか無いかな……でも、プロデューサーさん事務所に居るとは限らないし……」

春香「……でも、資料見れないのはもっと駄目だよね。で、電話してみよう」

Pr……ピッ

春香(わ、ワンコールで……)

P「どうした?何かあったか?」

春香「あ、あの……先日貰った資料なくしちゃって……今日のテレビ撮影の資料で」

P「そうか、今どこだ?家か?」

春香「はい……」

P「今からFAX送るから、受け取ってくれ。やり方分かるな?」

春香「は、はい!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:28:39.38 ID:v3zSS1U50
P『じゃあ、受け取り次第来てくれ。遅刻はしなさそうか?』

春香「はい、ギリギリ大丈夫です」

P『分かった、じゃあ待ってるからな』

ピッ

春香「……プロデューサーさん、事務所に」

春香「まだ4時半だよ……」

春香「…………」

春香「ううん、私のために頑張ってるんだもん、私も頑張らないと……」

―――
――

司会「今日はこの新コーナー!!旅人一番!!」

春香(……え?)

春香(し、資料にそんなこと書いてあったかな……)

春香(か、書いてなかったよね……ど、どうしよう、コーナーの内容知らない……でも知らないって言えないし……)

春香(そっか、プロデューサーさん一枚送り忘れて……)

司会「天海さんは、旅とかしたことあるんですかね?」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:32:36.27 ID:v3zSS1U50
春香「は、はい!た、旅ですか?そうですね、一人で旅はしたことないんですけど、中学の頃修学旅行には行きました!」

「それ旅って言うのか!」

「旅行だし、旅だろ!」

「まぁ、中学時代とか可愛い時代ですからね」

「可愛い子には旅させろとも言いますし」

「「「わははは」」」

春香(な、なんとか乗り切れられそうかな……)


―――
――

「あーちょっと天海くん」

春香「は、はい」

「ここのカットさ、なんでおどおどしたみたいになってるの?資料ちゃんと読んでくれたよね?」

春香「あ、す、すみません……それが……」

「あーそうなのね、はいはい……駄目だよしっかり読まないと。アイドルだからって、そういう所抜けてたら出演の依頼もね少なくなっちゃうから」

P「も、申し訳ございません!それは私のミスで……」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:36:58.26 ID:v3zSS1U50
「おたくさんのミス?」

P「はい……」

「まぁ、連帯責任ってやつ?正直に言うと誰の責任か、じゃなくて失敗したことがもうアウトなんだよね。責任の押し付け合いは、事務所に帰ってからしてくれないかな」

P「申し訳ございません……」

「……仕方ないか、まだ新人だしね。でも資料読まないで、あのアドリブは凄いと思うから、そこだけは評価しましょう」

春香「あ、ありがとうございます!」

P「ありがとうございます!!」

「じゃ、頑張ってね」

―――
――

P「春香、本当にごめん」

春香「ぷ、プロデューサーさんは悪くないです!そもそも無くしちゃった私が悪いですから……」

P「いやでも、しっかりフォロー出来てなかったのが悪い。それは俺の仕事だから……」

春香「……」

P「今後こんなこと無いようにするから……な?」

春香「わ、私も、そう、します……」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:40:15.97 ID:v3zSS1U50
P「……よし、責任の押し付け合いは見苦しいからな。次の仕事、頑張ろう」

春香「はい!」

P「今日はもうこれで終わりだから、送るよ」

春香「あ、えっと……」

P「ん、どうした?」

春香「で、出来れば事務所でゆっくりしてから、でもいいですか?あと帰りは一人で帰れますよ」

P「そうか、そうしてくれると助かる。このあと俺も事務所に戻る予定だったしな」

春香「……あの、プロデューサーさん」

P「? どうした?」

春香「昨日、事務所に泊まったんですか?」

P「ああ……そうだ」

春香「プロデューサーさんはよく私に『無理をするな』って言います。でも、無理をしているのはプロデューサーさんじゃないですか?」

P「……」

春香「……」

P「あのな、春香。春香が無理をしないように、俺が無理をするんだ」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:44:03.14 ID:v3zSS1U50
春香「そんなの!ち、違います!」

P「いいんだよ、大丈夫だしっかり休憩もしてる。春香が仕事している間も休憩してるし、ちゃんと仮眠もとってるから安心してくれ」

春香「……本当ですか?」

P「ああ、本当だ。安心してくれ」

春香「……はい」


―――
――

ピンポーン

千早『はい?』

春香「あ、千早ちゃん?今日お仕事早く終わったから、遊びに来ちゃった」

千早『ああ、今開けるわね』

ガチャッ

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:46:27.57 ID:v3zSS1U50
春香「んー……千早ちゃんの部屋は落ち着く」

千早「そうかしら?何も無くて、殺風景じゃない」

春香「だからかなぁ、開放的っていうか」

千早「ふふ、そういう言い方もあるのね」

春香「うん……」

千早「……それで」

春香「え?」

千早「何の相談かしら?」

春香「あー……あはは、千早ちゃんには隠し事出来ないなぁ」

千早「私が春香に隠し事出来ないように、ね?」

春香「そうだね、えへへ……えっとね……あのね、怒らない?」

千早「……まぁ内容によるわね」

春香「そうだよねぇー……じゃあ怒らせちゃうかも」

千早「怒るけど、でも、真剣に聞くわ」

春香「……えっと、ね」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:50:24.99 ID:v3zSS1U50
千早「うん」

春香「今日失敗しちゃって……ね」

千早「そう……」

春香「テレビの撮影だったんだけど、資料がしっかり揃った状態のを見てなかったから、新コーナーのこと知らなくって……」

千早「……それは、大きいわね」

春香「今日の失敗が、って訳じゃないんだけどね……あのね、ちょっと、疲れちゃったのかな」

千早「春香……」

春香「私がアイドルしてるのって、ファンのみんなが幸せになってくれるからなんだけどね」

千早「ええ、知ってるわ」

春香「でもね……その、ファンとの距離が、遠いっていうか」

千早「……そうね」

春香「テレビの撮影とかって、ファンと直接触れ合うわけじゃないし、テレビを通してじゃない?」

千早「でも、いろんな人が見れるわ……テレビを通して、春香を」

春香「それはわかってるんだけど……」

千早「春香の言いたいことは理解出来る。でも……それはきっとワガママかもしれないわ」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 01:57:49.02 ID:v3zSS1U50
春香「わが……まま……?」

千早「テレビに出たくても出れない人だっていっぱいいる、歌いたくても歌えない、ステージが用意されていない人だっている」

春香「……」

千早「でも、春香は歌えるわ、踊れるわ、輝けるわ。いろんな人を幸せに出来るじゃない」

春香「私……」

千早「春香、あなたはアイドルなのよ」

春香「私は、アイドル」

千早「……やっぱ私が一番!今輝いているみたい」

春香「そりゃ生まれながらダイヤの……原石みたいだもん」

千早「もっとビッグにならなきゃ」

春香「もう何かの間違いでしょ……」

千早「まだ私に気づいてない遅れた人たちも、この魅力ビームでハートをロックオン!するの」

春香「……」

千早「もっとビッグにならなきゃ、ね?」

春香「でも、でも……プロデューサーさんが……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:02:10.28 ID:v3zSS1U50
千早「プロデューサー?」

春香「……私の代わりに無理をしてる」

千早「どういうこと?」

春香「私が無理をしないように、無理をしてくれてる」

千早「……それは、駄目ね」

春香「だよね、あはは……」

千早「春香、一人目のファンって誰だったか覚えてるかしら」

春香「プロデューサー、さん……」

千早「私がさっきから言ってる事、全部春香が教えてくれたことじゃない」

春香「私が……」

千早「春香がアイドルをやっている理由は?」

春香「ファンのみんなを幸せにしたいから……」

千早「じゃあ、プロデューサーもじゃない」

春香「そっか、そうだよね!!」

千早「……そうよっ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:04:44.43 ID:v3zSS1U50
春香「ありがとう、千早ちゃん!私なんか見えてなかったのかもしれない……何か忘れてたのかもしれない!」

千早「ええ、落ち込んでる春香なんて、春香らしくないわ」

春香「私、頑張ってみる」

千早「頑張って」

春香「ご、ごめんね、話すだけ話してなんだけど、これから事務所向かってみるね!」

千早「ええ、行ってらっしゃい」

―――
――

バンッ

春香「プロデューサーさん!!」

P「うおわ!?は、春香!?ど、どうしたんだ、帰ったんじゃ……」

春香「ち、千早ちゃんの家行ってました……」

P「ああ、そういえば近かったな」

春香「そ、そうじゃなくてー!!」

P「ど、どうした、とりあえず座ろう。座って話そう、な?」

春香「は、はい」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:08:27.06 ID:v3zSS1U50
P「……それで?何があった?」

春香「プロデューサーさん、今日も泊まるつもりなんですか?」

P「あ、ああ……そうなるかもな、企画の資料に目を通して承認したりしないといけないからな。泊まったほうが効率も良いし……」

春香「駄目です!やっぱり無理してます!」

P「だから、さっきも言ったけど……」

春香「違います!プロデューサーさんは……プロデューサーさんは!プロデューサーでもあるんですけど!私のファンでもあるんです!」

P「は、春香……」

春香「私がデビュー当時から言ってたこと覚えてますか?」

P「……ああ、『ファンのみんなを幸せにする』だっけか」

春香「なら、プロデューサーさんも幸せにならないといけません。過労で倒れたりしたら……」

P「あのな、春香……」

春香「……」

P「俺は幸せだ」

春香「……!?」

P「春香をプロデュース出来る、俺は幸せなんだ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:13:27.83 ID:v3zSS1U50
春香「でも、それじゃあ……あの、えっと……」

P「俺は過労で倒れたりなんかしない」

春香「そんな、でもふらふらして……」

P「ふらふらしても、春香のためにって思うと頑張れるんだよ」

春香「でも……」

P「じゃあ喩え話をしよう。春香のファンが一人居た、そのファンは一日中大仕事をしていて、くたくただ。だけど今日は春香のシングルCD発売日、一本道で帰ればあっという間につくけど、そのファンはCDショップに寄ってCDを買う」

春香「……」

P「それと同じなんだよ……たとえふらふらしてても、大仕事終えた後でも、倒れそうでも、春香の為なら頑張れる」

春香「なんで、どうして……そこまで」

P「春香が俺たちを幸せにしてくれるからだろ」

春香「プロデューサーさん……」

P「だから恩返しなんだよ」

春香「……ありがとうございます」

P「だから、俺のことは気にするな」

春香「……全く気にしないってのは無理ですけど、なるべく、そうしてみます!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:17:02.45 ID:v3zSS1U50
―――
――

春香「もーっと遠くで泳いでーみたい……」


監督「やっぱり春香ちゃんの歌最高だね。俺もうすっかりファンだよ」

春香「はい!ありがとうございます」

監督「それじゃあ、次も春香ちゃん枠あけておくから、よろしくね」

春香「はい!」

春香(テレビを通して幸せを送る……それでふらふらになってる人も頑張れる)

春香(……でも、何かが引っかかる、本当にそれでいいのかな)

春香(プロデューサー、さん……)

P「お疲れ春香」

春香「ひゃぅ!?」

P「お、おい、どうした?大丈夫か?」

春香「だ、大丈夫ですよー!」

P「そ、そうか」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:20:34.39 ID:v3zSS1U50
春香(あ、あれ……私、あれ……)

P「次はラジオの収録だな」

春香「はい!」

P(よかった、戻ってくれたみたいだな、また春香に)

春香(今何を思った?何を考えた?何を感じた……?)

春香(違う、私じゃない、違う……)

春香(もっと……プロデューサーさんに仕事してもらいたいって思うなんて、違う……)

P「……?春香、ほら行くぞ」

春香「はい!」

春香(き、気のせいだよね)

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:25:38.06 ID:v3zSS1U50
―――
――

春香「そうなんですよー、私のお母さん凄いお菓子作るの好きだし得意で、私も~……」


「春香ちゃんお疲れちゃ~ん、凄い人気だよねぇ、最近。オリコンにもバンバン載っちゃってさ。この前見たよ、Mスタ……本当こんな弱小ラジオに出てもらっていいのかなって思っちゃうくらいだよ」

春香「そ、そんな弱小だなんて!私このお仕事大好きですから!」

「そう言ってくれるとありがたいね、またよろしくね~!」

春香「はい!お疲れ様でした!」

P「お疲れ春香」

春香「はい、今日のトークどうでしたか?」

P「ああ、塩と砂糖をガチで間違えて、漫画に出てくるような失敗クッキーが出来たくだりが面白かったな」

春香「よりにもよってそこなんですか!?」

P「はっはっは!」

春香「早く次のお仕事行きましょう!」

春香(え?)

P「次?って、今日は終わりだけどな、あはは、すまんこのあとも用事入れればよかったな」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:27:26.19 ID:v3zSS1U50
春香「あ、いえ、違くて……あれ?」

P「どうした?」

春香「な、なんでもないです」

春香(お仕事はしたいけど、この感じは違う……おかしい)

春香「あ、で、でもちょっと、気分が……」

P「何!?頭とか痛いのか?」

春香「あはは……すみません、今日は直帰でもいいですか?」

P「あ、ああ。病院には行かなくて平気か?」

春香「はい……」

春香(なんなの……これ)

―――
――

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:31:49.00 ID:v3zSS1U50
春香「あー……」

春香(頭痛い……)

春香(お仕事したいけど、私はファンのみんなに喜んでもらうからであって)

春香(プロデューサーさんに仕事して欲しいから仕事してるんじゃなくって……)

春香(なんでそんな当たり前のこと考えてるんだろう……)

春香(変なの……)

―――
――

春香「おはようございます!」

P「ああ、おはよう。もう体調は大丈夫か?」

春香「はい!プロデューサーさんも大丈夫ですか?」

P「ああ、昨日は家帰ったからな。ぐっすり眠れたよ」

春香「え、それはよかっ……」

春香(あれ……)

P「ん?どうした」

春香「い、いえなんでもないです」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:38:07.12 ID:v3zSS1U50
春香(素直によかったと思えないのはなんでだろう)

P「よし、今日はレッスンだ。頑張れよ、春香!」

春香「はい!えっと、レッスンしてる間はプロデューサーさんどうするんですか?」

P「そうだな、ちょっと休憩してもらおうかな」

春香「そう、ですよね……」

P「うん?」

春香「い、いえなんでもないです!」

P「はっは、おかしな春香だな」

春香(おかしな、私?)

P「この前春香に言われた通り、流石に休憩挟まないとキツイからな……」

春香「は、はい、ちゃんと休憩とってください……」

P「……?」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:46:02.00 ID:v3zSS1U50
―――
――

春香「そこにひざまついて!!」


「そうそう、良い感じね」

春香「そ、そうですか?」

「うん、前回とは見違えるくらい」

春香「……?」


P「お疲れ春香」

春香「は、はい……」

P「ん?どうした?」

春香「変にほめられちゃいました……」

P「ど、どんなふうにだ?」

春香「I wantでボイスレッスンしてたんですけど、なんか雰囲気が変わったっていうか」

P「おお、そうか。そもそもI wantはいつもの春香とは違う良い感じのギャップがあるからな」

春香「そ、そうなんですけど……」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:54:23.02 ID:v3zSS1U50
P「……どうした?」

春香「あの……えっと、なんか最近おかしくて」

P「やっぱり体調悪かったのか?」

春香「身体は元気なんですけど……私の考えじゃ絶対に出ない考えが出るっていうか……」

P「……そうか、なるほどな。少しずつランクアップしていって、考え方が変わったのかもしれないな」

春香「そうなんでしょうか……」

P「大丈夫だ」

春香「私が私じゃなくなるみたいで……」

P「春香は春香だ、どんな春香でも俺は受け入れる」

春香「プロデューサーさん……」

P「だから、気にするな、な?」

春香「……はい」

―――
――

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 02:58:52.27 ID:v3zSS1U50
P「明日はオフだ」

春香「久しぶりな気がしますね」

P「そうだなぁー……ゆっくり休んでくれ、春香も疲れてただろう」

春香「……はい、あの、プロデューサーさんも休みですか?」

P「あーそうだなぁ、20日ぶりくらいか」

春香「そ、そんなになんですか!?」

P「はっはは、でも苦じゃないよ」

春香「……じゃあ、もっと働きませんか?」

P「……え?」

春香「え、いや、なんでも……あ、あれ……」

P「春香……?」

春香「私……」

P「おい、春香!!」

春香「!?」

P「いいから言いたい事を言え」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:04:01.99 ID:v3zSS1U50
春香「……もっと、私のために働いて欲しいです」

P「……そうか」

春香「ごめんなさい……」

P「いいんだ、むしろ嬉しいさ」

春香「……え?」

P「I wantがしっくりきた意味が分かった。まぁなんだ、言い難いが……そういうのに目覚めたんじゃないか?」

春香「え、え?」

P「Sadisticだ」

春香「サディ……」

P「春香にはその気があるんだ」

春香「……よ、よくわかりません」

P「そうだな、そのうち分かるさ」

春香「あの……」

P「俺に言い難いことはどんどん言っていい。言ったろ、俺はどんな春香でも受け入れるってな」

春香「は、はい……」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:11:19.06 ID:v3zSS1U50
P「むしろそういうのを出してみたらどうだ?」

春香「ええ!?」

P「I wantがギャップ狙いだったけど、それをスタンダードにしていけばそれはそれで良い感じかもしれないだろ?」

春香「む、無理ですよぉ!!」

P「はっはっは、まぁ冗談にしろ、今後次第だな。春香がどう変わるかで、って話しだ」

春香「私が、どう変わる……」

P「そうだ」

春香「……じゃあ見ててくれますか?」

P「もちろんだ、むしろファンとして、プロデューサーとして近くで見れるのは嬉しいな」

春香「はい!ありがとうございます!」

P「ああ!!」

春香「じゃあ、明日もお仕事頑張ってくださいね!!」

P「あ、ああ!!」

春香「……あ、ああ!!また私……」

P「だ、大丈夫だ、大丈夫だぞ」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:16:18.88 ID:v3zSS1U50
―――
――

「この前のライブすごかったんだっけ?」

春香「はい、ちょっとI wantの前にノリノリになっちゃって……」

「いやーでもまさかファンのみんなの頭を下げるなんてね、でもファンのみんな幸せそうでしたよ、ある意味」

春香「あはは、そうでしょうか……?」

「うんうん、じゃないと下げないし」

春香「なんか申し訳ないです……」

「いつもの春香ちゃんとは思えなかったからね!でもそこのギャップがまた良い!」



春香「お疲れ様でしたー」

P「お疲れさん、春香」

春香「あ、ありがとうございます。やっぱりラジオの収録は面白いですね」

P「ああ、聞かれた内容がまたライブのことだったけどな……」

春香「当分この話しばっかりですね……」

P「そうだな、まぁ今みたいに答えればいいさ」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:23:47.58 ID:v3zSS1U50
春香「ある新聞だと『歴史に残るライブ・イベント』とかって……」

P「はっはっは!話題になるのは良いことだろ?」

春香「そうなんですけど……」

P「まぁまぁ、いいじゃないか。それじゃあ次の仕事行くぞ!」

春香「はい!!」


―――
――

春香「今日もお疲れ様でした」

P「ああ、お疲れ」

春香「あの、事務所寄っていいですか?ライブの時から行ってなくて」

P「そうだったか、じゃあ行ってみるか」

春香「はい!!」


春香「お疲れ様でーす」

P「戻りました―」

小鳥「あら、春香ちゃん!!」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:38:02.61 ID:v3zSS1U50
春香「小鳥さん!なんか久しぶりな気がします……」

小鳥「あら、私は春香ちゃん毎日見てるから、そうでもないわ、ふふ」

春香「えへへ……」

P「小鳥さん、お茶もらってもいいですか?」

小鳥「はーい!」

春香「わ、私もやりますよ!」

―――
――

やよい「あ、春香さん!!」

春香「やよいー!久しぶり!」

やよい「うっうー!ハイターッチ!!」

春香「イェイ!」

小鳥「ふふ、春香ちゃんは変わらないわね……」

伊織「それはどうかしら?この前のライブとか」

春香「あ、あはは……」

伊織「女王様キャラは私のキャラだったのにー!」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:40:21.73 ID:v3zSS1U50
春香「そ、そこは譲りたいけど!」

伊織「もー!いらないわよ!春香が得たファンでしょ!」

春香「えへへー……」

亜美「それで?はるるんは?」

真美「兄ちゃんとはどうなのかっ!?」

春香「どうって?」

亜美「言わせるかー!?」

真美「言わせるのかー!」

春香「え、えっと……うーん?」

伊織「……あざといわね」

春香「え、え!?」

やよい「春香さんはプロデューサーのことが好きなんですかぁ?」

春香「え、えええええええええ!?!?」

小鳥「はい、プロデューサーさん。お茶です」

P「ありがとうございます!」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:43:21.59 ID:v3zSS1U50
春香(私が、えっ……プロデューサーさんのこと?)

春香(い、今まで考えたことなかった……プロデューサーさんは1ファンとして、1プロデューサーとしてとしか……)

春香(お、男の人としては……)

春香(で、でも……今までで一番私を見てきてくれたし……)

春香(ああ、もう分からないよぉ……)

亜美「はるるんが苦悩モードに……」

やよい「もー亜美がいじめるからだよ!めっ!」

亜美「え→!でもやよいっちも気にならない?」

やよい「き、気になるけど……」

春香「ハッ……」

亜美「おかえり、はるるん!」

真美「結論出た!?」

春香「け、結論は……」

亜美「結論はぁー……?」

真美「結論は!?」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:45:36.50 ID:v3zSS1U50
春香「か、考えたことなかった……」

やよい「えぇ!?」

伊織「はぁ!?」

亜美「おおっと→!!!これは狙ってるのか→!?」

春香「ち、違う違う、本当に、本当に考えたことなくて……」

やよい「本当なんですねー……」

真美「お似合いだと思うけどね→!」

春香「そ、そうなのかなぁ……うぅ、ちょっとごめんね、そろそろ行かないと」

やよい「はーい!春香さんいってらっしゃいですー!」

亜美「いてら!はるる→ん!」


春香(プロデューサーさんが……)

P「春香?」

春香「はははひ!?!??」

P「お、おい?」

春香「な、なんでもないれふ!」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:47:51.88 ID:v3zSS1U50
そろそろ眠い……

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:53:12.86 ID:v3zSS1U50
P「変な春香だなぁ」

春香「そ、そんなことないですよぉ」

P「よし、それじゃあ駅まで送るよ」

春香「は、はい……」

P「……?」

―――
――

春香「あー……」

春香(本当に考えたことなかった……意識したことなかった……)

春香(プロデューサーさん……のこと、かぁ……)

春香(悩んだ時も支えてくれて、変わりそうな私も受け入れてくれて……私のことを私より知ってて……)

春香(……よく考えたら、さ)

春香(隣に居るのが当たり前になってるっていうか……それってもう夫婦レベル!?)

春香(そ、そんな、うーん……)

春香(分からないや……)

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:56:07.68 ID:v3zSS1U50
―――
――
P「このオーディションを超えれば……」

春香「……」

P「春香?」

春香「は、はい!?」

P「大丈夫か?」

春香「だ、大丈夫です……」

P「……そういう時は大丈夫じゃないよな?」

春香「……あ」

P「どうしたんだ?」

春香「あ、あの……なんか、デビューした当時のことを思い出して」

P「そうか……今日はデビューした日だもんな」

春香「はい……その日にオーディションって」

P「でも、そのデビューした日に、同じように階段を登れるのは良いことじゃないか?」

春香「……怖いんです」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 03:59:01.65 ID:v3zSS1U50
P「怖い?」

春香「有名になるのが」

P「……そうか、そうだよな。有名になるというのは、いろんな人がのしかかるのと同じことだからな……」

春香「こんなこと言ったら有名になりたい人達に怒られますよね」

P「いや、そんなことはない。なってみて考えてみると辛かったっていうのはよくあることだし」

春香「……はい」

P「だから、怖がってもいい。少しずつ有名になってきた……ここで引き下がるのは、今まで追い抜いてきたアイドルたちに失礼だろ?」

春香「分かってます……」

P「なら大丈夫だ、な?全力で、行ってこい」

春香「……はい!」

春香(ああ……)

春香(プロデューサーさんには嘘をつけない、隠し事ができない……元気を貰ってる)

春香(もし、この気持ちが好きって気持ちなら……)




春香(私は……プロデューサーさんのことが、好きなんだ)

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 04:01:31.65 ID:v3zSS1U50
―――
――

P「合格おめでとう!春香!!」

春香「あ、ありがとうございます!」」

P「本当に、おめでとう……」

春香「ぷ、プロデューサー?」

P「実はな……このオーディションは目標だったんだ」

春香「え……?」

P「だから、デビューの日にこのオーディションが開くと聞いて、俺は嬉しかった……」

春香「この、オーディションが……」

P「全力でぶつかっていって欲しかったのはそのせいなんだ」

春香「プロデューサーさん……」

P「……全力でステージ上で踊ってこい」

春香「……はい!!」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 04:03:34.45 ID:v3zSS1U50
―――
――

春香「お疲れ様でした!」

P「ああ、お疲れ様だ……今日の春香は最高に輝いていた」

春香「ふふ、本当ですか?でもプロデューサーさん、いつも輝いてたって言いますよね」

P「え、そ、そうだったか?」

春香「そうですよー!

P「ははは、でも……眩しくて見えにくいくらい、綺麗だった」

春香「……じゃあ、今ここで見てください、今の私を」

P「あ、ああ……」

春香「……」

P「……」

春香「プロデューサーさん」

P「……どうした?」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 04:10:53.65 ID:v3zSS1U50



















春香「私、プロデューサーさんのこと……」










6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 20:54:32.58 ID:v3zSS1U50
P「……待て」

春香「……え?」

P「それ以上は駄目だ」

春香「わ、私まだ、何も……」

P「……流石にそこまで言われれば俺にも分かるさ」

春香「あ、あの……えっと、え……」

P「……まだ、待ってくれ」

春香「待つ、ですか……?」

P「ああ、まだ……その、駄目なんだよ」

春香「駄目ってどういうことですか、気持ちを伝えるのも駄目なんですか!?」

P「……すまん」

春香「……」

P「は、春香……泣かないでく……」

春香「泣いてません、泣きません……ここで泣いたら私、アイドルできません」

P「……」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 20:56:43.02 ID:v3zSS1U50
春香「……帰ります、さようなら」

P「ああ、気をつけてな……」

―――
――

P「おはようございます、って……あれ?」

小鳥「おはようございます、プロデューサーさん。春香ちゃんまだみたいで」

P「今日は事務所に集まってからだったはずだけど……」

小鳥「何かあったんでしょうか、昨日とかどうだったんですか?体調とか」

P「いや、体調は……大丈夫だったんですけど」

小鳥「体調『は』?」

P「あ……」

小鳥「何かあったんですか?」

P「あはは……そう、ですね、何かはありました……」

小鳥「……よかったら話してください」

P「はい……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 20:59:00.41 ID:v3zSS1U50
―――
――

小鳥「なるほど、春香ちゃんが……」

P「俺自身もびっくりしたんです、春香はアイドルとして見ていたし……」

小鳥「でも春香ちゃんも一人の女の子ですよ」

P「そう、なんですよね……」

小鳥「だから、きちんと向き合わないと……気持ちすらも聞かないなんて、正直プロデューサーさん、最低ですよ?」

P「あああ、やっぱりそうですよね……」

小鳥「もしかしたら、今日来ないかもしれないですね……」

P「そうなったら、大変だ……今日はレッスンだからまだ良いが、明日とかに響いたら……」

小鳥「そういう為にプロデューサーさんが居るんじゃないですか」

P「……そうですね」

小鳥「きちんと向きあってください、逃げちゃ駄目ですよ?」

P「はいっ」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:02:11.01 ID:v3zSS1U50
―――
――
春香「あー……」

春香「何にもする気にならないかも……初めてだなぁ、お仕事サボっちゃったの……」

春香「……」

春香「プロデューサーさん心配してるかな」

春香「……」

春香「ううん、でも悪いのはプロデューサーさんだし……」

春香「……もう涙も出ない」

春香「あはは、お仕事出来る顔じゃないや……」

春香「はー……プロデューサーさんのバカ……」

春香「バカバカバカ……馬鹿……」

春香「お仕事して倒れちゃえばいいのに……」

春香「……やっぱりやだ、倒れちゃやだ」

春香「うぅー……なんで好きになっちゃったんだろう」

春香「恋愛なんて、したことなかったのに……」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:09:53.10 ID:v3zSS1U50
春香「告白って難しいんだなぁー」

春香「前にドラマで告白シーンやったけど……実際に自分でしたことなかったから、監督さんに凄い駄目だしされたなぁ」

春香「……懐かしい、もう数ヶ月も前のことなんだ」

春香「でも、ドラマと現実は違う……話しすら聞いてくれなかったもん……いつもしっかりしてるプロデューサーさん……なのに」

prrrrr

春香「……」

[     着信     ]
[プロデューサーさん]

春香「そりゃ電話も来るよね……」

春香「やっぱり心配してくれてるんだなぁ……」

春香「ちょっと嬉しい、けど……電話は出れないかな」

春香「……切れた」

春香「メールだけしておかないと……」

春香「……今日はおやすみします、っと……」

春香「ちょっと寝よう、久々にゆっくり……」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:19:32.25 ID:v3zSS1U50
―――
――
「そうなんですよ、体調悪いってことみたいで……」

「はい、連絡来たので……お見舞いに来ました」

「ふふ、あの子も喜ぶと思いますよ」

春香「……え?」

「春香ー!プロデューサーさんが来てくれたわよー!」

春香「え、ええええ!?!?!ちょ、ちょっと、ままま!!待ってください!!」

「はいはい」

春香「ど、どうしよう……うぅ……」

P「春香ー?」

春香「や、や!!待ってください!!」

P「分かった分かった」

春香「……」

P「……?」

春香「や、やっぱりいいです、入ってください」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:26:28.55 ID:v3zSS1U50
ガチャッ

P「お邪魔するぞ」

春香「はい……」

P「……き、綺麗だな、春香の部屋」

春香「あ、あんまりジロジロ見るのは駄目ですよ!?」

P「あ、ああ!すまない」

春香「……もう」

P「ごめんな、急に来て」

春香「大丈夫です。来るかなーって思ってたので」

P「はは、そうか」

春香「で、でもびっくりしました……」

P「……」

春香「……」

P「昨日はすまなかった……」

春香「……え?」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:34:53.62 ID:v3zSS1U50
P「俺無神経だったな……」

春香「……そうですね」

P「正直俺も驚いたんだ……」

春香「驚いた……ですか」

P「ああ、俺は春香をアイドルとしてしか見れなかった……だけど、昨日の春香を見て一人の女の子として見る事ができるようになったんだ」

春香「……」

P「ごめんな、今まで気づいてあげられなくって」

春香「いいんです……私もプロデューサーさんのことを意識し始めたのは、最近ですから」

P「そ、そうなのか?」

春香「はい……なんかおかしいですよね、私」

P「おかしい?」

春香「最初はプロデューサーさんが遠くなるのが嫌だったんです……覚えてますか?曲名間違えちゃった奴とか」

P「……ああ、覚えてるぞ」

春香「……素で間違えちゃったこともあったんですけど、わざともあったんです」

P「……」

 

25:   2012/08/20(月) 21:41:02.89 ID:v3zSS1U50
春香「なんだか、仕事が大きくなれば大きくなるほど、プロデューサーさんとの距離が遠くなる気がして……だから、わざと失敗して、大きな仕事はまだ駄目って事にしてたんです……
    プロデューサーさんだけじゃない、いろんなファンのみんなとの距離が……遠くなるような気がして」

P「春香……」

春香「あとは、Sadisticの時もです……」

P「……」

春香「あの時、というか今もなんですけど、たまにその気が出ちゃうんです……でもそれは私の本性だし、私もそれを今認めてる」

P「そうだな」

春香「見え始めて、私はプロデューサーさんに嫌われる、アイドルとしての路線が違うからもうプロデュースしてくれないって思っちゃったんです」

P「……そうか」

春香「それでも、プロデューサーさんは認めてくれました。どんな春香でも春香は春香だ、って……」

P「そうだ、それは今でも思ってる」

春香「そういうのを思い出したら……好きってことを意識して思い出したら……もっと好きになっちゃって……」

P「……」

春香「でも、好きになったら気持ちを伝えないと辛くて……だから、昨日……伝えようと思ったんです。プロデューサーさんにとってあのオーディションが特別だったなら、私も同じように特別なオーディションにしたかったんです」

P「春香……」

春香「でも、失敗しちゃいました。えへへ」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:43:38.50 ID:v3zSS1U50
P「本当にすまなかった!」

春香「ぷ、プロデューサーさん!?」

P「そういう思いを俺は踏みにじってしまった……本当にすまない……」

春香「あ、頭上げてください!や、や……私……」

P「……」

春香「……」

P「……春香」

春香「はい」

P「……もう一度頼んでもいいか?」

春香「……はい」

P「……」

春香「私、プロデューサーさんのことが……大好きです」

P「……ああ、俺も……春香のことは大好きだ、でも……」

春香「……」

P「……すまない、俺は、春香を……恋愛対象には……見れない……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:45:47.86 ID:v3zSS1U50
春香「あ、あは……」

P「……」

春香「本当は……分かってたんです」

P「え?」

春香「プロデューサーさんならそう言うかなって思ってたんです」

P「そ、そうなのか……?」

春香「はい……ただのネガティブ思考だったら良いなって思ってたんですけど、やっぱり当たっちゃいました」

P「……すまん」

春香「謝らなくてもいいです!それだけ……アイドルとしての私が大事って事ですから」

P「春香……」

春香「あの、えっと……でも、一つだけ、お願いしてもいいですか?」

P「……なんだ?」

春香「手、握ってください」

P「……ああ」

ギュッ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:47:53.52 ID:v3zSS1U50
春香「……」

P「……」

春香「あ……あは……駄目、もう涙は出さないって決めてたのに」

P「春香……」

春香「……プロデューサーさん、私はアイドルなんです、よね?」

P「ああ、そうだ、春香はアイドルだ」

春香「じゃあ、もし……もしですよ?アイドルの頂点に立って、そして……引退をしたら」

P「……ああ」

春香「……また、考えてくれますか?」

P「もちろんだ」

春香「えぐっ……ひっく……」

P「……」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:51:31.36 ID:v3zSS1U50
―――
――

春香「おはようございまーす!」

小鳥「あら、春香ちゃんおはよう。体調は大丈夫なの?」

春香「はい!すっかり元気いっぱいですよー!」

小鳥「ふふ、いつもの春香ちゃんに戻ったみたいね」

春香「って、あれ?小鳥さん……」

小鳥「ごめんなさい、ちょっと聞いちゃった、ピヨッ!」

春香「もー!プロデューサーさん口軽いなぁ……」

小鳥「まぁまぁ、あの場で相談出来るの私くらいだったから」

春香「はー……って、あれ?プロデューサーさんは?」

小鳥「まだ来てないみたいだけど」

春香「……?」

prrrrrrrrrrr

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:53:45.24 ID:v3zSS1U50
小鳥「はい、こちら765プロ…………え?」

春香「お茶淹れようかな~」

小鳥「ぷ、プロデューサーさんが!?」

春香「……え?」

―――
――

医者「過労、ですな」

春香「やっぱり……」

小鳥「ここの所おやすみもなかったから……」

医者「芸能界に関わる人間にはつきものですからな」

春香「私のせいだ……私が……」

小鳥「違うわ、春香ちゃん。あなたのせいじゃないわ」

春香「いろいろ積み重なって、それで……」

小鳥「春香ちゃん!!」

春香「!?」

小鳥「……先生、プロデューサーさんは?」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 21:57:14.06 ID:v3zSS1U50
医者「今は病棟のほうに居ます。まぁしばらく安静にしていれば治るでしょう、怪我などが無かったことが不幸中の幸いとでも言いますか」

小鳥「分かりました……今お見舞いというのは?」

医者「大丈夫です、行ってあげてください」

小鳥「春香ちゃん?」

春香「はい……」

小鳥「……私は、事務所に戻らないといけないから、春香ちゃん、お見舞いお願いね。お仕事の件に関しては社長から連絡してくれたみたいだから」

春香「分かりました……」

小鳥「あんまり自分を責めたら駄目よ、春香ちゃんが自分を責めたら……プロデューサーさんが悲しむと思うわ」

春香「……はい」

―――
――

春香「ぷ、プロデューサーさん」

P「春香!?」

春香「お、お見舞いに……」

P「仕事はどうしたんだ?って、そうだよな……俺が車出す予定で……」

春香「そ、それ所じゃないですよ!?」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:00:40.64 ID:v3zSS1U50
P「くー……今日の営業上手く行けば……」

春香「もう、プロデューサーさん!」

P「な、なんだ?」

春香「過労だったんですよ?もー……コホン、えっとですね」

P「……?」

春香「前にプロデューサーさんは私に無理させない為に、無理してるって言いました。それはファンとしてです」

P「ああ、そうだな」

春香「でも、プロデューサーさんが倒れてしまって、病院通いになるのは私がアイドルとしてファンにはそうなってほしくないです」

P「う……」

春香「私に出来ることがあったら言ってください……私はアイドル、プロデューサーさんはプロデューサーなんですから」

P「ああ、すまない……って昨日から謝りっぱなしだな」

春香「ふふっ、そうですね!」

P「早く治さないとなぁ……」

春香「そうですよ……引退まで、私を見届けてくれるのはプロデューサーさんじゃないと私は認めません!」

P「そうだな、俺もそこまで見届けるまで死ねない」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:03:38.98 ID:v3zSS1U50
春香「死ぬなんて不吉です!」

P「あ、ああ、そうだったな。でも、本音だ……春香と一緒に最後までアイドル業をやりたい」

春香「……はい、それでまた考えてもらうんですから!」

P「そ、そうだったな」

春香「……はい!」

P「なぁ、春香」

春香「はい?」

P「アイドルの頂点に立ってって昨日言ってたよな」

春香「そうですね」

P「アイドルの頂点ってなんだろうな」

春香「それは……ランクとかって意味ですか?」

P「それもあるんだろうけど、仮にランクがトップになったとして、毎回CD出したら1位になることが本当にアイドルの頂点なのかって話しだ」

春香「……?難しいですね」

P「そうだな、俺もまだまだ新米のプロデューサーだからな……でも、大切なことだと思う」

春香「……そうですね、アイドルの頂点。CDの売上、ファンの人数だけがってわけじゃない」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:06:49.17 ID:v3zSS1U50
P「ああ、そうだな」

春香「私は……考えだと思います。ファンのみんな、ううん、ファンじゃない人たちみんなを幸せに出来るアイドル」

P「それが……春香の考えるアイドルの頂点か?」

春香「はい!それで、みんなを幸せにしきったら……私はきっと引退するんだと思います」

P「……そうか」

春香「結局は自己満足かもしれません、でも……その自己満足で少しでも幸せになってくれる人が居れば、私は自分の為に、そしてみんなのために頑張れるんだと思います」

P「……はは、もうその考えがあるだけアイドルの頂点は近いのかもしれないな」

春香「え、ええ!?そうでしょうか……」

P「そうだよ……ああ、そうだ。カバン取ってもらっていいか?」

春香「? はい」

P「えっと……あった、はい」

春香「こ、これって……!!」

P「そうだ……ライブの企画決定案だ」

春香「し、しかも……」

P「ドーム公演だ」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:15:45.78 ID:v3zSS1U50
春香「……もしかして、この為に」

P「ああ、今まで頑張ってきたんだけどな、まさか倒れるなんてな」

春香「プロデューサーさん……ありがとうございます!」

P「お、おい、春香ここ病院!」

春香「ああぅ!?そ、そうでした……」

P「はっは、でも……いろいろあっての、ドーム公演だ。全力で……今までの思い出をぶつけろ!」

春香「はい!」

―――
――









41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:19:36.52 ID:v3zSS1U50
そして、月日がたって。
明日はいよいよドームライブ。
私のことを支えてくれるファンのみんなが詰まっているドーム……そして、私がそのファンのみんなを幸せにする。

春香「プロデューサーさん!」

P「あれ?春香、まだ事務所に居たのか」

春香「えへへー、なんだか明日ライブって考えると……帰っても寝れなそうで」

P「おいおい、しっかり睡眠は取るんだぞ?」

春香「はい!それは大丈夫です、プロデューサーさんもですよ?」

P「はっは、そうだな。この前の件があるからな、今日は帰ってしっかり睡眠を取るさ」

春香「……プロデューサーさん」

P「どうした?」

春香「ドームですよ!ドーム!」

P「あ、ああ、そうだな!」

春香「えへへー、言ってみたかっただけです」

P「変な春香だなぁ」

春香「公演前ですから!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:35:14.78 ID:v3zSS1U50
P「そうだな……よし、終わった。送るよ、春香」

春香「はい!」

―――
――

そうして―――

春香「ファンのみんなーーーー!!」

「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」

春香「今日はありがとーーーー!!ドームっていう大きな所で、私が今ここに立っていられるのはファンのみんなのおかげだよーーー!!」

「「「おおおおおおおおおおおおお春香ああああああああああ!!」」」

春香「えへへ、それじゃあ聞いてください!!みんなー準備はいいかな!?最初の曲は―――『I want』!!」

―――
――

春香「……ふー、みんな大丈夫ー!?」

「「「大丈夫だあああああ!!」」」

春香「そっか!!じゃあ、次はこの曲!!『THE IDOLM@STER』!!」

「「「わあああああああああああ!!!」」」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:39:00.01 ID:v3zSS1U50
―――――
―――


春香「はぁはぁ……みんなまだ元気かなー!!!」

「「「いえええええい!!!」」」

春香「あはっ!すっごい!!私も負けてられない!!」

「「「うおおおおおおおお!!!」」」

春香「えへへ、でもね、次で最後の曲なんだ……」

「「「ええええええええええええ!?!?!」」」

春香「ふふ、最後の曲は―――『太陽のジェラシー』!!」

「「「うおおおおおおおおおおおっっ」」」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:43:20.02 ID:v3zSS1U50
春香「……もっと遠くへ泳いでみたい、光満ちる白いアイランド、ずっと人魚になっていたいの夏に、今Diving!!!」

春香「Dream、夢なら醒めないで!スパンコールの波間でーはしゃぐー二人!」

春香「まるで!太陽がヤキモチを妬いてる!み、た、い、ね!ハートも焦げて、しまいそうよ!」

春香「ねぇ!いいかけたーー!!言葉聞いてみたい、キュンとキュンと、甘いよ、か、ん!!」

春香「追いかけて!逃げるふりをして、そっと潜る、私マーメイっ!」

春香「……つかまえて「好きだよ」といってほしいー」

春香「………熱い永遠の今ー、きっときっと……未来がはじまるー……」

春香「あ、れ……」

P「!?」

春香「お、おかしいな、あれ……」

P「お、音楽止めてください!!!」

「はい!!おい!フェードアウトだ!!緊急事態だよ!!」

P「春香……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:46:52.58 ID:v3zSS1U50
春香「あ、あれーおかしいなー」

「春香ちゃーん!!」

「大丈夫かー!!」

「春香ーーー!!」

春香「み、みんなごめんねーー!!ちょっとだけ……ちょっとだけ待ってて!!」

―――
――

春香「……プロデューサーさん」

P「春香、大丈夫か?」

春香「私……なんか、駄目で……太陽のジェラシーの歌詞が……歌えなくて……」

P「……ああ」

春香「いつもなら可愛い曲で元気いっぱい歌えるのに……」

P「ごめんな、選曲ミスだ……」

春香「違うんです!こんなのじゃ、こんなのじゃみんなを幸せになんて……アイドルの頂点なんて!!」

P「春香!!」

春香「!?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:49:32.37 ID:v3zSS1U50
P「あれを見ろ!!!」

春香「……」

P「あんだけの人が春香の為だけにここまで来て歌を聴いてるんだ!!」

春香「……はい」

P「もう今この空間に居るだけで、ファンのみんなは……俺も含めて幸せなんだよ!!」

春香「ッ」

P「でも……そこで、アイドルであるお前が幸せじゃなくてどうするんだ!!」

春香「私……」

P「春香、大丈夫だ……」

春香「プロデューサーさん……」

P「ちょ、ちょっと耳を貸せ……」

春香「……?」

P「……俺は春香のことが大好きだ、今までも、これからもずっと、だ」

春香「……ぷ、プロデューサー……さん……」

P「よし!歌ってこい!!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:51:20.97 ID:v3zSS1U50
春香「はい!!」



春香「みんなー!ごめんね!!」

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」

「春香ちゃーん!!大丈夫かーーー!!」

春香「うん!!もう大丈夫!!パワー充電完了!」

「「「わっはっはっは!!」」」

春香「それじゃあ……今度こそ、歌います、太陽のジェラシー!!」

「「「わああああああああああ!!!!!」」」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:54:11.24 ID:v3zSS1U50
―――
――

P「……終わったな」

春香「はい、終わりました」

P「みんな幸せそうだったか?」

春香「はい……ファンのみんなも何かを感じたみたいで、最後の太陽のジェラシーは……凄かったです」

P「そうだな」

春香「……私って本当にアイドルなんですね」

P「なんだそりゃ」

春香「えへへ……」

P「春香はアイドルだよ、立派な……みんなを幸せにしてくれるアイドルだ」

春香「……はい」

P「……だから、これからも」

春香「……」

P「幸せにしてくれ?」

春香「ふふっ……違いますよ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:56:32.10 ID:v3zSS1U50
P「……?」

春香「一緒に―――幸せになるんです!」

P「ああ、そうだな!」


アイドルという階段を登っていくのは、とっても難しい。

ドジな私はいつだって踏み外してしまうことがある。

それでも、踏み外した分、ううんそれ以上に登って行っている。

何故なら大好きなプロデューサーさんが居るから。

大好きなファンが居るから。

私は登っていける……そして、アイドルの頂点に立って……。

大好きなみんなにもっと幸せを運んであげる。

だから、私はアイドルをしている。

そして―――。

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 22:59:22.86 ID:v3zSS1U50
――――――――
――――
―――
――


P「……春香、本当にいいのか?」

春香「……はい、私は―――もう、みんなに幸せをプレゼントして、みんなから幸せをもらいましたから」

P「でも、突然すぎないか?次のライブで引退だなんて」

春香「実は、数ヶ月前から考えてたんです」

P「……おいおい、相談して欲しかったぞ?」

春香「えへへ……でも、頂点に立とうって思ってからもう4年ですから」

P「そうだな、あっという間だったか?」

春香「もちろんです!」

P「はは、そうか、俺もだ」

春香「プロデューサーさん……」

P「うん?」

春香「私はアイドルの頂点に立てたのでしょうか」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 23:01:42.95 ID:v3zSS1U50
P「立てたさ、それは俺が……春香の第一のファンとして認める。いや、きっと……次のライブを待ってくれているファンのみんな、CDを買ってくれるファンのみんなが思ってるさ」

春香「……ふふ、そうですね」

P「満足したのか?春香は」

春香「もう、満足以上ですよ」

P「そうか、俺は―――楽しかったよ」

春香「それは私もです!」

P「だよな」

春香「それで、ですね」

P「……ああ」

春香「覚えていますか?」

P「もちろんだとも、昨日のことのように覚えてる」

春香「えへへ……なんだか恥ずかしいですね」

P「そういえばそうかもな」

春香「えっと……じゃあ、もう一回やっちゃいましょうか」

P「い、今か?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/20(月) 23:02:36.00 ID:v3zSS1U50
春香「だ、だ、だ駄目ですか!?」

P「駄目ってことはないが……」

春香「……」

P「……」

春香「プロデューサーさん!」

P「あ、ああ!」









春香「私、プロデューサーさんのこと……」








おしまい