1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:24:46.29 ID:ffOT8E4c0
まどか「なんて、今はそんな気軽に呼べなくなっちゃいましたね」

神様「いえ、どうかお気になさらずに。わたしもあなたが来てくださると、地上で暮らした日々のことを懐かしく思い出します」

まどか「もう遠い昔のことみたいですね」

神様「昔のことですとも。あなたがこの世界を作り替える前の」

神様「しかし不思議なものです。誰もが辛い目に遭ったあの頃のことが」

まどか「今でも色あせない思い出になっているのね」

神様「この世界へ来る前に見たソウルジェムの輝き…… あの美しさを忘れられないから、わたしはこれを作ったのですよ」

まどか「フフッ だからコレ、中のマークは赤いんですね」

まどか「赤いソウルジェムっていったら」

神様「佐倉杏子…… 彼女はいつか、私に会いに来てくれるでしょうか」

引用元: まどか「おじさん、何を作ってるの?」 



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:26:35.85 ID:ffOT8E4c0
——風見野——

杏子「使い魔はみんなやられてるし、魔女もあたしが来た時にはもう半分死んでた」

魔女「グギェ……」

杏子「まだ息があんの? あらよっと、トドメだ!」ゴギッ

QB「もしかしたら、他の魔法少女が来ているのかもしれない」

杏子「やっぱそうかな。ま、コイツのグリーフシードはいただいてくけどな」

杏子「……ん? なぁQB、あそこにいるの」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:32:13.18 ID:ffOT8E4c0
QB「誰か倒れてるよ」(全身変わった色だけど……)

杏子「なんだありゃ? 使い魔か? いや、違うな」

杏子「魔女を倒して結界が解けて行くのに、まだ残ってるってことは」

QB「魔法少女かもしれない。調べてみよう!」

杏子「オイあんた、生きてるかい?」

行き倒れ「……うぅ……」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:37:01.80 ID:ffOT8E4c0
杏子(緑色の体に、頭のアレは触覚か? 近くで見ると、ますます使い魔か魔女みたいだ)

杏子(魔法少女…… じゃないよな。まさか)

杏子「答えな。もしかしたら助けてやるかもしれない。あの魔女を半殺しにしたのはあんたかい?」

行き倒れ「マジョ……? 知らない…… 邪悪な、気を……」

QB「杏子! とりあえず傷を治してあげようよ」

杏子「う~ん…… 捨てといちゃマズいかな?」

QB「今回のグリーフシードは彼のを横取りしたようなものだし、治すくらいの魔法は使ってあげてもいいんじゃないかな」

杏子「まぁいいか。魔法少女でもないのに魔女と戦ってるヤツがいるなら、うまくやれば漁夫の利にありつけるかもしれないしな」

QB「さすが、こういうことには機転がきくなぁ」

杏子「オマエが言うかい……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:42:23.59 ID:ffOT8E4c0
——教会——

????「ここは……?」

杏子「あたしの家だよ。喜べ、もう体は治ってるはずだ」

????「本当だ……」グッ

????「あなたは一体」

杏子「そりゃこっちが聞きたいよ。あんた、なんで魔女と戦ってたんだ? しかもその格好、一体ドコから来たの?」

????「そうか、昨夜戦ったあの化け物は魔女というのか」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:46:59.91 ID:ffOT8E4c0
杏子「答えなよ」

????「すまない。それがわたしも自分のことがわからないのだ」

杏子「なんだそりゃ? だから名前も『????』なのか」

????「北の果てで、物心つく前から一人で暮らしていた」

????「外へ出てみれば、どこにもわたしと同じ人間はいない…… わたしは一体何者なのだ?」

杏子「なんだか難しそうなオッサンを拾っちまったな」

杏子「じゃもう一つの質問に答えてもらうか。なんで魔女と戦ってた?」

????「禍々しい気を放っていた。放っておけば、人に危害を加えるだろう」

杏子「正解だよ。でも、そいつを狩るのはあたしみたいな魔法少女の役目なんだ」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:51:33.17 ID:ffOT8E4c0
????「あなたが、化け物と……?」

杏子「こう見えてもけっこう強いんだよ。それに魔法も使える。さっきケガ治してやったろ?」

????「あなたの魔法だったのですか。これはかたじけない」

杏子「おう、せいぜい恩に着てくれ。でもな、魔法ってタダじゃないんだな」ジャラ

杏子「魔女を倒すともらえる、コイツを使わなきゃならない。あんたはこれが目当てじゃないのか?」

????「わたしはただ、あの化け物を見逃せなかっただけです」

杏子「そっか、だったら好都合だな」

杏子「魔女は他にもいるんだ。助けてやった分、ちょいと手伝ってもらうよ。これから忙しくなりそうだしな」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:55:06.26 ID:ffOT8E4c0

QB(まったく、とんでもないものを味方につけたな。杏子は)

QB(ナメック星人…… まさか生き残りが、しかも地球に来ていただなんて)

QB(個体ごとに感情を持っていても、彼らには『欲』がない)

QB(身の丈に合わない希望を抱かず、深い絶望に陥ることもなく……)

QB(エネルギー回収の観点からは非効率も甚だしい、忘れられた種族)

QB(……しかし彼は、物心つく前から地球にいたようだ…… 観察してみる価値がありそうだ)

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:00:49.21 ID:ffOT8E4c0
——後日、マミさんの部屋——

まどか「具合はどうですか?」

マミ「もう平気よ。魔法少女は治りも早いの」

さやか「でも今までずっと戦ってたんでしょう、たまには休んでてくださいよ」

さやか「マミさんと転校生のおかげで、病院の人たちは無事で済んだんだし」

マミ「暁美さんにもちゃんと謝りたいわ。彼女が助けに来てくれなかったら、やられていたもの」

まどか「これから仲良くなれるといいですね。これから来るもう一人の子とも」

さやか「誰それ? まだ増えるの?」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:05:11.21 ID:ffOT8E4c0
マミ「昨日の戦いで、私だけじゃまだまだ力不足だって思い知らされたのよ」

QB「だから少し手伝ってほしいって、風見野にいる魔法少女に頼みに行ったんだ。でも彼女にも新しい仲間が出来ていたよ」

さやか「へぇ。そりゃ心強いね」

マミ「一人は知ってるわ。昔、一緒に戦ってたことがあるの。お友達はどんな子かしら…?」

 ピンポンピンポン

杏子「おぅマミ! 来てやったぞ! いるんだろ?」

さやか「……あれも魔法少女なんですか」

マミ「ちょっと待ってて。迎えに行ってくる」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:09:14.38 ID:ffOT8E4c0
 ガチャ

杏子「……久しぶりだな」

マミ「佐倉さん…… また来てくれるなんて」

マミ「それに今は他の魔法少女といっsy… どぅわあああああ!!!!!!!!」

まどさや「マミさん! どうしたんですか!?」ダッ



????「すみません。驚かせてしまいました」

杏子「ったく、これくらいでビビりすぎだっつーの」

マミ「ごめんなさい。てっきり魔法少女だと」

杏子「紹介しとこうか。そっちの二人は初めて会うな」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:13:20.26 ID:ffOT8E4c0
杏子「あたしは佐倉杏子。普段は風見野の魔女を狩ってんだ。マミがこの間の戦いで腰抜けたっていうから」

杏子「しばらく見滝原の魔女狩りも手伝う事になった。で、こっちは……」

杏子「あれ、そいや名前まだ決まってないんだっけか」

マミ「そんなことも知らずに組んでたの……?」(こんな魔女みたいなのと)

????「不便ですね。ではわたしの名前はピッコロにしましょう」

マミ「変わった名前ね」

ピッコロ「わたしの故郷の言葉で、『他の世界』という意味なんです」

ピッコロ「どこへ行っても、わたしは異邦人ですから」

杏子(おかしな名前つけやがって)

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:18:05.29 ID:ffOT8E4c0
マミ「すみません、さっきは……」

ピッコロ「いいんです。いつものことですから」

ピッコロ「それどころか、杏子やあなたのような魔法少女に出会えたことを、嬉しく思います」

杏子「このオッサンな、QBと契約したわけでもねぇのに魔法みたいなのが使えるんだぞ」

杏子「おかげで戦う時はだいぶ助かってる」

まどか「あの、一つ質問なんですけど、いいですか?」

ピッコロ「どうぞ」

まどか「ピッコロさんは、どうして魔女と戦うんですか?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:22:00.83 ID:ffOT8E4c0
ピッコロ「人を守るのに理由はいりません」

ピッコロ「杏子に危ない所を助けられた恩返しと、わたし自身の修行のためでもあります」

マミ「いいわね。私も見習わないと」

杏子「何かあったのか?」

マミ「この間の魔女との戦いで、私は危うく死ぬところだったの」

マミ「それを助けてくれたのが、最近来たもう一人の魔法少女、暁美ほむらさんなの」

さやか「あたしも感じ悪いヤツと思ってたから、ちゃんとお礼を言いたかったんだけど」

まどか「ほむらちゃん、すぐにいなくなっちゃったの」

杏子「そいつがQBの言ってたイレギュラーか…… で、マミ」

マミ「……悪い予感がするんだけど、なにかしら」

杏子「またやったの?」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:24:00.84 ID:ffOT8E4c0
マミ「やめて! その話は!」

さやか「アンタ何言ってんのさ! 何もないよ!」ブンブン

まどか「うん、そうだよ! 私たち何も見てないから…… ねぇマミさん?」オロオロオロ

杏子「吐けよ。素直な証人が二人もいるぞ」

マミ「や、やっちゃったわよ///」

マミ「でもしょうがないでしょ!? ホントに危なかったのよ!」

杏子「ハハハハッ!! そんなんだからマミのは黄色いソウルジェムなんだよ!」ケタケタ

ピッコロ(ソウルジェムには他の色をしたものもあるのか)

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:28:27.35 ID:ffOT8E4c0
マミ「だって…… あなたがいなくなってから…… ずっと一人で戦ってて」

杏子「こっちもそうだよ」

マミ「未来の後輩の前でこういうこと言うの、恥ずかしいんだけど…… 怖かったんだから」

杏子(……こっちもそうだよ)

マミ「だから戦えなくなった時、少し考えちゃったの」

マミ「これで佐倉さんに会う口実が出来た、って」

杏子「変な期待すんなよ。あたしは見滝原のグリーフシードにホイホイ釣られて来ただけだからな」

マミ「わかってるわ。だとしても、会いに来てくれて、嬉しかった」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:31:05.07 ID:ffOT8E4c0
——帰り道——

ピッコロ「邪悪な気を感じますね」

杏子「さっそくお出ましか、行くぞ!」

ピッコロ「はい!」


・  ——戦闘中


杏子「ふぅ、片付いたみたいだな」

ピッコロ「杏子、なぜ最初にあらわれた魔女の手下を見逃したのですか」

杏子「あれは使い魔ってんだ。アイツはグリーフシードを落とさない」

杏子「この間も言ったろ、魔法はタダじゃないんだ」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:34:47.18 ID:ffOT8E4c0
ピッコロ「使い魔とはいえ、放っておけばいずれ魔女に成長するのでしょう」

杏子「その時は狩るさ。見返りがあるなら、無駄な狩りじゃなくなる」

ピッコロ「しかし……」

杏子「魔物が人を襲う。人が魔物を吸い寄せる… どっちも大差ないさ」

杏子「使い魔に死ぬまで追い込まれるようなヤツは、放っといてもどっかで死ぬよ」

杏子「そんなののために魔力を振り分けて、いざって時思い切り使えなかったりしても困るだろ」

ピッコロ「……割り切れない話ではありますね」

杏子「ごめんな、あたしはオッサンが思ってるほど、イイ奴じゃないんだよ」

ピッコロ「それでも、あなたは仲違いしていた巴マミを助けに来たではありませんか」

杏子「……もう昔とは違うんだ。意地張るのに、ちょっと飽きちまっただけさ。さっさと帰るぞ」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:38:29.15 ID:ffOT8E4c0
——そして杏子の魔女狩りが始まり——

マミ「あら、いらっしゃい」

杏子「ほらよ、お土産のグリーフシードだ」

マミ「ありがとう。でももらっちゃっていいの?」

杏子「あのオッサンが手伝ってくれるから、むしろ余ってんだよ」 

マミ「佐倉さんは、あのピッコロさんといつも一緒なのね」

杏子「ああ。お互い宿無しだからな。教会の手入れして、住めるようにしたんだ」

マミ「本当にいいの? あの人と一緒で」

杏子「そういうの、やめなよ…… アイツ、自分の名前に『他の世界』なんて付けちゃってんだ」

杏子「ああ見えて、自分の素性とか、ずっと同じ姿の人に会った事ないとか、けっこう気にしてるような節があるんだよな」

杏子「魔法少女に会えて嬉しかったって言ってたのも、どこかであたしらを仲間だと思ってるのかもしれない」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:43:31.19 ID:ffOT8E4c0
マミ「あ…… ごめんなさい。でも、私が言いたかったのはそういうことじゃなくて」

マミ「言いづらいし、あんまり口を挟むのも悪いかもしれないけど……」

杏子「なんだよ? ハッキリ言いなよ」

マミ「仮にも、その…… お、男の人と一緒なんでしょ? ……不便じゃないかなって」

まどか「マミさんの●●●!」キャー

さやか「マミ先輩オトナ~!」ダイテ!

杏子「バ、バカ言ってんなよ! マミが心配してるようなことはないぞ!」

杏子「アイツも全然その気なさそうでさ、まるで坊さんといるみたいだ」

さやか「修行… って言ってたよね。魔女と戦うことを」

杏子「その成果がここに」ジャラジャラ

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:45:26.86 ID:ffOT8E4c0
さやか「あんた、意外とやるんだね」

杏子「意外って何だよ!」

まどか「ねぇ、今度杏子ちゃんの戦ってるとこ、見に行ってもいい?」

杏子「んなもん見てどうすんのさ?」

マミ「この子たちもQBに勧誘されてるの。でも迷ってるから、魔法少女がどういうものか、見学させてたのよ」

杏子「だったらイレギュラーにでも頼めよ。同じ学校なんだろ?」

さやか「アイツはどうも、私たちが契約しようとすると露骨に嫌がるんだよね」

杏子「当たり前だろ。こんなもんやりたがるアホの相手なんて、誰が喜んでするかっての」

まどか「そうかな。マミさんってかっこよくて、憧れちゃうけど……」

さやか「命がけで戦ってでも、叶えたい願いってのがねぇ」

杏子「お前らな… 見せ物じゃないんだぞ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:47:40.37 ID:ffOT8E4c0
さやか「ゴメン、そうだよね。杏子もマミさんの代わりにこの街の人たちを守ってくれてるんだもんね」

杏子「…へ? ナニ言ってんのお前?」

さやか「ナニって、あんたも魔法少女なんでしょ」

杏子「そうだよ。ったく、マミは魔法少女がどういうもんだか、教えてないのか?」

マミ「それは……」

まどか「教えてくれてるよ!」

まどか「マミさんはいつも私たちを守りながら、命がけで戦ってるし」

まどか「魔法少女として戦うことが、誰にも知られない、褒められもしないことだって、ちゃんと……」

杏子「マミは相変わらずみたいだな」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:49:11.60 ID:ffOT8E4c0
さやか「だったらあんたがマミさんみたいに教えられるっての? 魔法少女がどんなものなのか」

杏子「なんならマミよりうまく教えられるよ。教えてやろうか?」

杏子「魔法少女は、命をかけなくても生きていけるヤツが、憧れるようなもんじゃないってことを」

さやか「一理ある…… でももう一つ教えて」

さやか「命をかけなくても、私は生きて行けるけど、もし他の誰かが生き甲斐をなくしていたら」

杏子「やめろ。それ以上は言うな」

さやか「真面目な相談なの。聞いてよ」

杏子「だからだよ。んなことマジに考えるようなヤツは、魔法になんて手を出すな」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:52:43.48 ID:ffOT8E4c0
——その日の夜——

杏子「ソウルジェムに反応なし… そっちはどうだ?」

ピッコロ「魔女の気は消えました。すみません、逃げ切られたようです」

杏子「仕方ない。今日のところは……」

  ——だったらあんたがマミさんみたいに教えられるっての?

杏子「……いや、もうちょっと探してみるか」

ほむら「なら一緒に行きましょう」

杏子「!? 誰だテメェ!」

ほむら「佐倉杏子。あなたの力を貸してほしいの」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:53:40.50 ID:ffOT8E4c0
杏子「QBの言ってたイレギュラーか」

ほむら「話が早くて助かるわ。後ろの人も魔法少女?」(今まではこんなのいなかったのに……)

杏子「少女に見えるか? アシスタントだよ」

ピッコロ「あなたも魔法少女なのですね。わたしはピッコロと申します」

ほむら「ついて来て。あなたたちの探してる魔女の所へ案内するわ」

杏子「どうする? 信用できそうかね」

ピッコロ「魔女を取り逃がしたままではいられません。行きましょう!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:55:49.56 ID:ffOT8E4c0
——倉庫——

さやか「遅かったじゃない」

杏子「オイ、その格好は何だよ?」

さやか「ま、ちょっとした心境の変化ってヤツ? あんたや転校生に任せておけないからね」

ほむら「油断しないで! まだ息があるわ!」

さやか「しまっ……!」

ピッコロ「危ない!」バッシュウ!!

  ポタ

さやか「あ… ありがとうございます、ピッコロさん」

ピッコロ「さやか… あなたも契約したのですね」

杏子「マミには話したのかよ?」

さやか「ううん、まだ。明日行って来るよ」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:58:29.18 ID:ffOT8E4c0
ピッコロ「杏子も言った通り、あなたがたは命をかけなくても生きていける」

ピッコロ「それでも、まだ叶えたい願いがあったのですか」

さやか「なかったけど、できちゃったんだよ… でもゴメン。何かは言いたくない」

さやか「それと、あたしが魔法少女になったのは、願いを叶えるためだけじゃない」

さやか「ピッコロさん、言ってたよね? 人を守るのに理由はいらないって」

ピッコロ「だからといって、わざわざこんな戦いに赴くことはありません」

さやか「いいのよ。この力はね、使い方次第で素晴らしいものになるはずなんだ」

杏子「その使い方をわかってないヤツが、わかってないヤツを巻き込んだ……」

さやか「あんたそれ、マミさんのこと? それともあたしのこと?」

杏子「前の半分がマミで、後の半分がお前だ」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:59:31.86 ID:ffOT8E4c0
さやか「コイツ…!!」

杏子「やめときなって。新入りがあたしとやったって、勝ち目ないだろ」

杏子「それとも、試してみなきゃわかんないって?」

ピッコロ「やめなさい、杏子! さやかも… 同士討ちをするために魔法少女になったのではないでしょう」

さやか「そうだ… さっき魔女の口づけを受けた人の中に、同じくクラスの友達がいたんだ」

ほむら「志筑仁美なら大丈夫よ。意識を失っているだけ」

まどか「よかったねぇ~」ホッ

ほむら「私たちの事が知られると後で厄介だから、早めに退散しましょう」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:02:06.21 ID:s242xTP60
——マミさんの部屋——

マミ「ついにあなたも契約したのね」

さやか「すいません。簡単に考えちゃいけないって、念を押されてたのに」

マミ「気に病まないで。これから一緒に頑張りましょう」

さやか「はい!」

まどか「あの… わたしも」

ほむら「あなたはダメよ。鹿目まどか」

さやか「あんたヤケに拘るね。この間もわざわざ言いに来たし」

ほむら「私は彼女が契約したら何が起こるか、知っているから」

マミ「やっぱり… あなたは私たちの知らない情報をもっているようね」

ほむら「ごめんなさい。まどかが契約した時のことは、今はただ『恐ろしい事になる』としか教えられないわ」

ほむら(ソウルジェムが魔女を生む事まで話すのはまだ早いわね…)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:03:58.66 ID:s242xTP60
ほむら「でもそれだけ言ってもなかなか信用しづらいでしょうから、話せる所まで、順を追って説明しましょう」

ほむら「まず私の魔法について」

ほむら(そこで中身の入ったティーカップをおもむろに放り投げ)

三人「!!?」  ほむら(時間停止!)

ほむら(その間に中身をカップへ戻して… こぼさないように)

ほむら(うん、全部おさまったわね。したら再開、と)

マミ「なにを…! あ、あれ?」

さやか「今のも魔法なの?」

ほむら「ええ。私はQBと契約して、時間を操作する魔法を得た」

まどか「どんな願い事をしたの……?」

ほむら「それはね、鹿目まどか」

ほむら「あなたとの出会いをやり直す事」

ほむら(今まで何度も同じ時間を繰り返してきたってことまでは話してもよさそうね)

ほむら(まずはそこをわかってもらわないと、話が進まないから)

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:07:45.70 ID:s242xTP60
——翌日 病院——

男の子「あんこねーちゃん!」

杏子「おう、今日は残さなかったかい?」

男の子「ぜんぶたべたよ!」

杏子「よ~し、いい子だ!」ワシワシ

杏子「ご褒美にお菓子あげたいけどな、退院まで我慢だってさ」

男の子「うん、まってる!」

杏子「それじゃああたしはおばあちゃんのトコ行かないと。またな」

女の子「おねえちゃん!」ダキッ

杏子「……行かせてよ」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:09:53.73 ID:s242xTP60
母親「ごめんなさいね、この子ったら楽しみにしちゃってて」

女の子「絵、かいたの!」パッ

女の子「おねえちゃんとね、おじさん!」

ピッコロ「おや、わたしもですか」

杏子「似てるなぁ… でもゴメンな、明日も来るからさ」

女の子「やくそく!」

杏子「いいよ~」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:12:27.23 ID:s242xTP60
——病室——

看護師「息子さんと杏子ちゃんが来てくれましたよ」

杏子「よぅ、ばあちゃん!」

ピッコロ「失礼します」

老婆「いつもありがとうねぇ」

杏子「ナニ言ってんだよ。ほら、足もんであげよう」

老婆「ああ、ありがとうねぇ、杏子ちゃんが来てくれると、からだが軽くなるようだわ」

杏子「こんな立派な病院にいるんだ。きっとすぐに良くなるよ」

杏子(そうだ… これほど大きな病院なら、魔女も集まるから、絶好の狩り場になる)

杏子(中で動きやすくするために、このばあちゃんを幻覚魔法でダマして、息子と孫って設定にした)

杏子(本物の息子さんはそう滅多に顔出さないみたいだし、まぁいいだろ)

杏子(子供たちに取り入れば、小児科病棟も行きやすいしな)

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:15:40.82 ID:s242xTP60
杏子「今日はずいぶんと大漁だったな」

ピッコロ「ええ。これでしばらくこの病院も安心でしょう」

杏子「したら明日はあの子たちに構ってやるか」

ピッコロ「小さい子には優しいのですね」

杏子「……昔な、あのくらいの妹がいたんだ」

ピッコロ「家族が…」

杏子「いや、何でもない。忘れてくれ。それよりあれ見てみろ」

ピッコロ「むこうの棟、屋上に人が?」

杏子「普段はカギかかってて入れないようになってるはずだ」

杏子「何かあったのかもしれない。行ってみよう!」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:17:32.11 ID:s242xTP60
杏子「この音…」

ピッコロ「いい音色ですね」

杏子「おい、お前ここで何してるんだ?」

上条「バイオリンの練習だよ。君は?」

杏子「あたしらは入院中のバァちゃんをお見舞いに来たの。屋上に誰かいたから、気になって」

上条「……そっちの緑の人も?」

ピッコロ「ええ。わたしも彼女と一緒で、お見舞いに」

上条(なんで緑なんだ……?)

杏子「それより屋上、カギかかってたろ」

上条「もう長い事入院してるんだ。そのくらいどうとでもなるよ」

杏子「タチの悪いヤツだなぁ。いつもここで練習してるの?」

上条「手をケガしてたんだよ。最近弾けるようになって嬉しくてね。よかったら聞いていってよ」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:19:42.64 ID:s242xTP60



杏子「…いいな。今のはなんて曲なんだい?」

上条「ウイグルの民謡だよ」

杏子「ほぅ… バイオリンってのは、クラシックを弾くためのもんじゃなかったんだな」

上条「リクエストがあればなんだって弾けるよ。何かあるかい?」

杏子「せっかくだから聴いてみたいけど、言われてもな…」

杏子「あ、そうだ。Gガンダムって知ってるかな」

上条「また懐かしいのが出たね…」

杏子「小さい頃、再放送見て大好きだったんだ。あれのオープニング曲弾いてみてくれよ」

上条「よし、ぼくも見てたから、たぶんまだ覚えてる」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:22:56.53 ID:s242xTP60
杏子(懐かしいな…… こんな曲だった)

杏子(このアニメって、そうだ、確か主人公の兄貴がおかしくなっちゃって、兄弟で戦うんだよな)

杏子(親父さんが… 死刑だっけ? いや生きてたかな)

『お前のせいで母は死に、親父は冷凍刑!』

杏子(あの兄貴も最初はいいことしようとしてたんだよな……)

『俺はお前を追ってこのザマだ!』

杏子(あたしにはもう、追いかけてくる人もいないか)

 ツン……
杏子(やっべ、あんま思い出さない方が良かったかも)



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:25:23.52 ID:s242xTP60
  パチパチパチ

杏子「やっぱいい曲だわ! お前スゲェな!」

上条「ありがとう。そうだ、これから時間ある?」

杏子「あるよ」

上条「ぼくの友達がもうそろそろお見舞いに来るんだ。よかったら、会ってあげてよ」

杏子「どんな子だい?」

上条「同い年の女の子だよ。毎日来てくれるんだ」

ピッコロ「では、わたしは先に」

杏子「悪いね。見回りするなら、昨日の続きから頼むよ」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:28:09.16 ID:s242xTP60
——病室——

さやか「おかえり。どこ行ってたのよ」

上条「さやか、もう来てたんだ。ちょうどよかった。紹介したい人がいるんだよ」

さやか「後ろの… 杏子!?」

杏子「お前か!」

さやか「ちょっと、何であんたがココにいんのよ? 恭介に何したの!?」

上条「屋上で会ったんだよ。知り合いだったんだね」

杏子「新入りさんよ、この病院はあたしらのナワバリなんだぜ」

さやか「ナワバリって、そんなつもりで、よりにもよって病院にまで来てたワケ?」

杏子「当然だろ。こんないい場所を見逃せるかよ」

杏子「おっと、でもやる気なら場所を変えるぞ。小児科の四階に空き部屋があったはずだ」

さやか「ごめん恭介。ちょっとコイツと話があるんだ。すぐ戻るよ」

上条「あ、ああ。行ってらっしゃい」

杏子(空きの病室に結界を張れば、多少暴れられても取り押さえられる。ちょっと頭冷やしてやるとすっか)

上条「知り合いだったんだ… でも、随分仲悪そうだったな」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:30:17.24 ID:s242xTP60
——小児科病棟——

女の子「おねえちゃ~ん!」

杏子「おっと、ゴメンな。お姉ちゃん遊んでられないんだ」

女の子「おともだち!?」

杏子「そうだぞ。さやかっていうんだ」

さやか「勝手なことを…!」

杏子 小声「合わせろよ」

女の子「さやかちゃん!」

さやか(コイツ、この子たちとどういう関係なんだろ?)

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:36:28.27 ID:s242xTP60
——病室——

上条(腕が治った以上、もうすぐ退院するんだよな。さやかが戻って来たら話しておこう)

上条(この間、八つ当たりしたこともちゃんと謝って。……むこう三、四年くらいはからかわれるかな)

上条(その頃どうなってるんだろう。きっとさやかにもいい彼氏とかできて、僕から離れて行っちゃうのかね)

上条(いつまでも今回みたいに助けてもらってちゃいけない、か……)

上条(それとも、もしかして… いや、それはないだろ? だって、僕もさやかがこんな目に遭ったら、そりゃあ心配にもなるしさ)

上条(でも、もしさやかがその気だとしたら、僕のしていることは)

上条(中身のない希望を持たせるようなものだ……)

カラッ
さやか「お待たせ!」

上条「さやか!? あの子は?」

さやか「……先に帰るってさ」

上条「そうなのかい。実は僕…」

さやか「いいよ。あたしも帰る。また今度聞かせて」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:38:39.35 ID:s242xTP60
——ほむホーム——

ほむら「……」ギリギリギリ

まどか(ほむらちゃんがこわいよぅ)

マミ(来なきゃ良かった……)

ほむら「」クヮッ!

さやか(ひいっ…!)

ほむら「見なさい、これを」バン!

ほむら「私が集めたワルプルギスの夜の資料よ」

マミ「よくこんなにたくさん溜め込んだわね… どうやったの?」

ほむら「その辺は原作でも描写がないから、自分でもわからないけれど」

ほむら「おそらく、記録媒体を盾の中にしまっておけばループしても持ち越せるとか、そういうのなんじゃないかしら」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:42:09.61 ID:s242xTP60
ほむら「ともかく、こうまでしっかり情報収集しても、そう簡単には勝てない相手なのよ」

ほむら「だから佐倉杏子の協力も必要だというのに、あなたは何をしてるの!?」

さやか「だ、だってアイツが……」

ほむら「ほぅ?」ギリッ

さやか「すいませんでした! もうしないから!」

まどか(ほむらちゃんがおさまらないよぅ…)スリスリ

マミ(よって! 鹿目さん、もっとこっちよっていいから!)スリスリ

ほむら(……このくらいでいいかしら)

ほむら(早いうちにある程度ぶつかって、いろいろ吐き出しといてもらった方が後々スッキリするでしょう)

ほむら「わかったら次回から気をつけることね」

さやか「」ホッ…

まどマミ(フゥ…)

まどか「杏子ちゃんとこれからも仲良く出来るといいけど、できるかな?」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:45:12.58 ID:s242xTP60
さやか「まぁ、そのワルプルギスの夜ってのを倒すためなら、協力はするよ」

マミ「それだけじゃない。きっと仲直りできるわ。私たちの所に戻って来てくれた子なんだから」

ほむら「可能性はあるわね。今回はいつものループと大きく違う要素が二つもあるから」

まどか「一つはピッコロおじさんだね」

ほむら「得体の知れない人ね… 魔法少女ではないようだけれど、魔女と戦う力はあるし、QBが見えている」

まどか「ずっと厳しい修行をしてきたって言ってたから、そのおかげなのかな」

さやか「どんな修行したらあんなになるんだよ……」

マミ「とはいえ佐倉さんがコンビを組んで一緒に暮らしてるくらい、信頼してる人よ」

マミ「味方になってくれたら、頼もしいわね」

まどか「いい人そうだしね」

ほむら「そしてもう一つの「いつもと違う要素」というのが、肝心のワルプルギスの夜についてなのよ」

ほむら「ここにある情報は全部、前回までに集めたもの」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:46:55.82 ID:s242xTP60
マミ「新しい情報は?」

ほむら「ないのよ。こっちへ来てから、ワルプルギスの夜に関する情報は何も手に入っていないの」

さやか「何それ? もしかして、ソイツこの世界にはいないのかな」

ほむら「そうだといいけど…… でも確かに、魔法少女歴の長いマミも聞いた事ないのよね?」

マミ「ええ。他の魔法少女の子たちも、そんな話はしていなかったわ」

ほむら「となると、本当にいない可能性は高いわね」

マミ「QBなら何か知ってるかしら」

ほむら(知ってても素直に話してくれるかどうか……)

QB「僕も知らないね」

さやか「あ、来てたんだ」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:49:08.51 ID:s242xTP60
ほむら「知らないって、ワルプルギスの夜を!? 本当に?」

QB「うん。ほむらの話をまとめると、よほど強力な魔女なんだろう」

QB「そんなのがいれば、他の場所で活動しているぼくの仲間たちが知っているはずさ」

まどか「QBって、他にもいるんだね」

QB「念のため、この画像を他の仲間たちにも送ってみようか?」

ほむら「それならよく写ってるやつをあげるわ」

ほむら(QBがこれほど協力的ということは…… ワルプルギスの夜はこの時間軸では存在しないか)

ほむら(あれを排除する事が、インキュベイターにとっても好都合なことなのか)

ほむら(……いや、それは考えすぎね。本当に知らないようだから)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:52:17.10 ID:s242xTP60
——教室——

さやか(あれ…?)

まどか「上条くん、退院してたんだ」

さやか「うん、そうみたいね。知らなかったわ」

さやか(なんだ…… 言ってくれれば良かったのに。って、あたしが聞かずに帰っちゃったからか)

まどか「さやかちゃんも行かなくていいの?」

 男子生徒A「手はもういいのか?」

 上条「それが急によくなったんだ。先生もビックリしてたよ」

 男子生徒B「すごいケガだったもんな… バイオリンは弾けるの?」

 上条「まだ今まで通りとまではいかないけど、弾けるよ。慣れればそのうち戻ると思う」

 男子生徒A「今日はリハビリとか行かないの? だったら復帰祝いしようぜ!」

さやか「…やっぱいいや。向こうは向こうで忙しそうだし」

まどか「そうだね。退院したから、いつでも会えるもんね」

仁美(……どうしたら……)

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:53:46.58 ID:s242xTP60
——放課後——

マミ「行くわよ! 『Una pallottola della magia infinita』!!」

マミ「う~ん……」

まどか「すごいですよ、マミさん! さっきよりだいぶ増えてますよ!」

マミ「ちょっと名前が長いけど、使えそうね」

杏子「お前ら、何やってんだ?」

まどか「あ、杏子ちゃん、いらっしゃい。おじさんも」

マミ「美樹さんが魔法少女になってくれたんだから、私も頑張らないと」

マミ「まずは今まで使ってた技を改めて特訓してたのよ」

ピッコロ「魔法少女の技には、名前があったのですね」

杏子「マミだけだよ。昔からココでよく練習してたんだ」

マミ「あら、佐倉さんの技もいくつか考えたじゃない」

まどか「杏子ちゃんにもあったの!?」ワクワク

杏子「……やめろよ」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:56:03.60 ID:s242xTP60
まどか「えぇ~ かっこいいのに」

杏子「わざわざ口に出す事ないだろ。出してみてどうなるってんだよ?」

杏子「だいたいさっきの技はなんて読むんだ?」

マミ「そ、それは……」タジタジ

マミ(言えない…… 『無限の魔弾』をexcite翻訳でそれっぽくイタリア語にして)

まどか(コピペしただけだから、読み方わかんないなんて……)

QB「でも効果がないこともないよ」

まどマミ(ナイスフォロー!)

QB「魔法少女の魔法の根源は君たちの感情エネルギーだからね」

QB「ちなみに、僕らが魔法少女を生み出す事は出来ても、その力を使いこなせないのは、僕らに感情がないからさ」

杏子「そういう仕組みだったのかよ…」

ピッコロ「感情と技の名前に、何の関係が?」

まどか「気分が乗ってた方が強いんだよ」

QB「そういうことみたいだ。僕たちには理解しかねる現象だよ」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:59:25.89 ID:s242xTP60
ピッコロ「ううむ…… 技に名前をつけて、そんな効果があるとは、思いつきませんでした」

杏子「マジメに考えるな。マミのアレがうつるぞ」

まどか「マミさんはいいの! かっこいいんだから」

杏子「ハイハイ…… んでもう一人の新入りはどうした? 今日はいないのかい?」

まどか「さやかちゃんなら、今日はお友達と出かけてるよ。ほら、この間助けた子と」

マミ「美樹さんに何か用事?」

杏子「大したことじゃないんだ。ただちょっと、気になっててさ」

まどか「でもきっと、もうすぐ帰って来るよ。一緒に行った子が習い事の時間だから」

杏子「いや、いいよ。邪魔して悪かったな」

マミ「待って! せっかくだから、佐倉さんも練習に付き合ってほしいの」

マミ「それに、ピッコロさんの戦い方も見学させてもらえないかしら」

ピッコロ「魔法少女でないわたしの戦い方が、参考になりますかね」

QB「それなら実戦で見せてもらった方がいいんじゃないかな」

杏子「お出ましか」

QB「まだ孵化したばかりみたいだ。今なら犠牲が出るまでに間に合う。急ごう!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:02:21.35 ID:s242xTP60
——夜——

杏子「やっと見つけた」

さやか「……」

杏子「まどかがもうすぐ来るっていうから待ってたんだぞ。一体ドコ行ってたんだ?」

さやか「あんたが知らなくていいことよ」

杏子「まぁ、そうだけどさ…… さっきの魔女はあたしたちだけで倒しちゃったしな」

さやか「!」

杏子(この家から聞こえて来るの、バイオリンの音色か? しかも表札に上条って…… そうだ。あの病室にも同じ名札がついてた)

杏子「そうじゃないかって気がしてたけど、まんま正解だったみたいだな」

杏子「バイオリンの男の腕が治ったのは、魔法の力かい」

さやか「そうだよ。あたしがやった」

杏子「なら大事にしてやりなよ。家の前まで来て、何をそんな辛気くさい顔してんだ?」

さやか「そうもいかないんだよ…… あたしたち、魔法少女なんだから」

杏子「カタギの人とはお付き合いできませんってか? じゃあわざわざ家にまで来なけりゃいいのに」

さやか「今日、同じクラスの友達に呼び出されたんだ……」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:04:19.74 ID:s242xTP60
QB「杏子がさやかを見つけたみたいだよ」

マミ「場所はわかる? 行ってみましょう!」

まどか「さやかちゃん、魔女が現れたのに来なかったもんね」

QB「テレパシーにも反応がない。文字通りふさぎ込んでるようだったね」

ピッコロ「何事もなければいいのですが」



——歩道橋——

杏子「ここなら練習の邪魔にもならないだろ」

さやか「そうね。今度こそケリをつける!」

ほむら「待ちなさい。二人とも」バッ

杏子「お前、いつの間に……」

ほむら「美樹さやか。話が違うわ。佐倉杏子とも協力しあわないと、ワルプルギスの夜には勝てないのよ」

さやか「だって、コイツが…」

ほむら(また始まった!)

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:06:26.36 ID:s242xTP60
杏子「どうした? 内輪もめか?」

ほむら「そうよ。悪いけど、あなたの前に私が彼女を黙らせないといけないようね」

杏子「んじゃ待っててやる。あたしの出番来なそうだけどな……」

さやか「二人とも、バカにして!!」

まどか「さやかちゃん、やめて!」

マミ「暁美さんも! 私たち止めに来たはずでしょ!」

ピッコロ「魔法少女同士、先日も病院で戦ったというのに、まだ足りないのですか?」

さやか「いいところに来たね。教えてよ、ピッコロさん。あなたも杏子と同じなのかどうか」

さやか「あたしは魔法少女になる契約までして、恭介を… ピッコロさんもこの間会った男の子の手を治したんだ」

さやか「それをコイツは、魔法で半殺しにして、あたしに面倒見てもらうようにでもしたらいいって!」

まどか「なんてことを……!」

マミ「佐倉さん、いくらなんでも言い過ぎよ!」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:09:08.29 ID:s242xTP60
ピッコロ「本当なのですか?」

杏子「確かに言ったさ。先輩として、この新入りに魔法ってものを教えてやらなきゃいけないからな」

さやか「どうなんだい。まだコイツの味方をするっていうなら、ピッコロさん。次はあなたの番になるよ」

ピッコロ「わたしには… 杏子が自身も魔法少女でありながら、どこか魔法の力を軽蔑している節があるように見えます」

ピッコロ「しかしその力は、本来人々を魔女から守れる、尊いものではありませんか」

杏子(こいつ、むこうにつく気か?)

ピッコロ「だからこそ、その力を同じ魔法少女へ向けることなど、あってはならないことです。今はどちらの味方もできません」

まどか(おじさんの言う通りだよ。さやかちゃんだって、こんな戦いをしたくて魔法少女になったんじゃないのに……)

さやか「そうかい。だったらそこで見ていなよ」

ピッコロ「その前に一つ、どうかご理解いただきたい」

ピッコロ「本来であれば人の手に負えない力を持つ我々が、迂闊に人の命運を左右する事は危険なのです」

ピッコロ「杏子もそう伝えたかったのではないでしょうか」

杏子(やっぱり、このオッサンはあの人と同じことを言う……)

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:12:15.04 ID:s242xTP60
さやか「あいつにそんな深い考えがあるかい?」

マミ「あるわよ。佐倉さんだって、本当は知っているもの!」

杏子「マミ! 口をはさむな!」

さやか「変身したな… だったらこっちも!」

  パシッ
まどか「さやかちゃん、ごめん!」ブンッ!

ほむら(しまった……!)

さやか「まどか! 何すんのよ!」

まどか「もう上条くんの腕は治ったんだよ。こんなもので戦ってたら、さやかちゃんだってもたないよ!」

さやか「でももうあたしは魔法少女なんだ。魔女と戦わないと…… あれっ」クラッ

  パタン

まどか「…?」

杏子「オイ、どうしたってんだよ…」タタタタッ

杏子「コイツ死んでるじゃねーか!」

まどか「そんな… さやかちゃん!」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:15:03.00 ID:s242xTP60
QB「無駄だよ。そっちは抜け殻なんだから」

マミ「抜け殻ってどういうこと!? 暁美さん、あなたなら何か知って……」

まどか「ほむらちゃんがいない!?」

杏子「…ソウルジェムと何か関係あんのか」

QB「さすが杏子は鋭いなぁ。ソウルジェムには君たちの魂が詰まってる。肉体はそこから遠隔操作しているだけなんだ」

QB「つまりまどかがさっき投げ飛ばしたのは、さやかそのものってことだね」

マミ「そんな… それじゃあ私たちは、操り人形みたいなものじゃない!」

ピッコロ(魔法少女が人形だったと……?)

杏子「やっぱそうか」

マミ「佐倉さん、あなたは知ってたの?」

杏子「ソウルジェムには、『魔力の源』以外の役割もある」

杏子「なんとなく想像はしてた… あたしたちの気分とか、健康状態なんかと関係があるって」

ほむら「気づいて、しまった… ようね……」ハァ ハァ

まどか「ほむらちゃん? 息上がって、どうしたの?」

ほむら「これを… 美樹さやかに……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:17:48.50 ID:s242xTP60
——ほむホーム——

ほむら「話を整理しましょう」

ほむら「今回初参加の佐倉杏子とピッコロさんには、まず私の素性から話しましょうか」

杏子「ゆっくりわかりやすく頼む。頭痛くなってきた」



杏子「なるほどな。あたしはソウルジェムを砕かれて死んだことあるのか」

マミ「あ、あの… ごめんなさい。どう言ったらいいかわからないけど、その時のこと、覚えてなくて」

杏子「謝んなって! あたしだって覚えてないんだから」

さやか「あんた魔法少女にケンカ売るからバチが当たったんだよ」

杏子「そうか… うん、そうかも…… いや、んなことより問題なのは、あたしらが魔女になるかもってトコだろ」

マミ「しかも暁美さんが今までそのことを伏せてたのは、やっぱり私のせいだったのね……」

ほむら「今さら言っても仕方ないけど、あの時は運がなかったのよ。私たちもうまく協力しあえなかった」

さやか「今の話だと、あたしが一番魔女になりやすいんだよね」

さやか「それってもしかして、その、恭介のことかな」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:20:21.20 ID:s242xTP60
まどか(上条くんの……?)

ほむら「そうみたい…… なんだけど」

さやか「だけど?」

ほむら「私にもよくわからないのよ。ほら、あの…… 男の子のこととか、あんまりわからないから」

まどさや「ああ……」

マミ「それは仕方ないわね」

ほむら(話が早いのはいいけど… モヤモヤくるわね)

さやか「今日も仁美に呼び出されちゃってさぁ」

杏子「関係ない話だったらあとでしろよ」

さやか「あるんだよ。その子もあたしと同じ人が好きで、一日だけ待つから心残りがないようにって、背中押してくれたんだ」

さやか「そのつもりで恭介の家の前まで行ったけど、いざとなると迷っちゃったんだ。魔法少女なのに…… ってさ」

杏子「そこであたしと会ったわけだな」

さやか「でも皆、安心して。今は落ち着いたから。っていうか、ビックリしすぎて今まで仁美のこと忘れてたわ!」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:22:38.88 ID:s242xTP60
マミ「志筑さんのことも深刻な問題ね」

まどか「どうするの? もう一日待っててもらう?」

さやか「やめとくよ。待たせるのも悪いし、今のほむらの話を聞いちゃうとね……」

さやか「万が一うまくいっても、あたしはいつ死んじゃうかわからないし、操り人形だし」

さやか「それを隠してずっと付き合い続けるなんて、気が引けるでしょ」

杏子「ここにいる魔法少女は、恋だの何だの諦めてるヤツばっかだからな。あたしらには縁のない話だったんだよ」

マミ&ほむ「私は諦めてないわよ!」

さやか(……魔法少女は恋もできない、とか言ってませんでしたっけか)

杏子「ほほぅ、こりゃ面白そうなこと聞いちまったな」

マミほむ(まずい……)

まどか「ほむらちゃんの諦めてない話、聞きたいなぁ」

杏子「マミも素直になっていいんだぞ~」

マミ「い、いいでしょそんなこと! 今は私たちにとって重要な話をしてたんだからね!」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:25:30.26 ID:s242xTP60
ほむら「でもいいことね」クスッ

ほむら「いつもこの話をする時は気が重かったのよ。たいていパニックになるわ、かといって黙ってたら何人か魔女になったりするわで……」

マミ(耳が痛いわ)

杏子「そりゃまぁ、ショッキングな話だし、特にマミはQBと仲良かったからなぁ」

マミ「今回ばかりは、気持ちの整理に少し時間がかかりそうね…」

さやか「杏子はどうなのさ? さっきからあんまり落ち込んでそうに見えないけど」

杏子「堪えたのは最初だけかな」

杏子「魔法少女ってのは生きてればずっと戦うもんだと思ってたからな。自分が人形だろうがゾンビだろうが」

杏子「それによく考えてみたら、さやかにとってのアイツみたいに、遠慮する相手もあたしにはいないんだ」

杏子「こうなったら気楽なもんさ」

マミ(近くに人がいないのもそれはそれで寂しいことだわ……)

マミ(丸くなったと思ってたけど、やせ我慢は変わってないのね)




マミ(あ、今ディスプレイの前で「ある意味丸いのはあんただろ」って思った子はあとでちょっと来なさい! 大事な話があるわ!)

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:26:29.04 ID:s242xTP60
まどか「でも、魔法少女が魔女になるなんて、そんなの酷いよ!」

ピッコロ「人々を魔女の呪いから守り続けたというのに、やがては魔女となって呪いをまき、同じ魔法少女に狩られる」

ピッコロ「なんという悲惨な結末だ……」

さやか「だからほむらは、あたしたちを契約させたくなかったんだね」

マミ「知らなかったとはいえ、ごめんなさい。最初からあなたを疑ってばかりいたわ」

ほむら「もういいのよ。こうしてちゃんとわかってもらえたんだから」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:28:03.34 ID:s242xTP60
——翌日の昼休み——

上条「さやか、ちょっといいかな」

さやか「どうしたの?」

上条「話があるんだ。昨日するつもりだったんだけど、早く帰っちゃっただろ? だから今日は昼休みのうちに」

さやか(どうしよ… まだ仁美に昨日のこと話してないんだよね)

さやか「行ってきてもいいかな?」

仁美「ええ、どうぞ」

ほむら「? 別にわざわざ断る事ないでしょう」

さやか(あんたに訊いたんじゃないんだよ…)

まどか(ほむらちゃん、本当に気が利かないなぁ)

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:29:55.05 ID:s242xTP60
さやか「よし、それじゃ場所変えた方がいいよね」

男子生徒A「なんだよ上条! 今度は密会か!?」

男子生徒B「めでたいことが続くねぇ~!」

上条「あんまりからかうなよ!」

上条「ごめんね、さやかを借りてくよ」

まどか「うん、行ってらっしゃい」

ほむら「静かになっていいわ」

さやか「あんた容赦ないな! 知ってたけど!」

まどか 小声「ほむらちゃん、何の話か大体わかるんでしょ? 教えてよ」

ほむら「知らないわよ。それに、こういうことは本人から聞いた方がおもしろいじゃない」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 07:36:03.31 ID:s242xTP60
まどか「さやかちゃん、まだかな」

仁美「もう朝になっちゃいましたね」

 ガラッツ
さやか「おはよう、みんな!」

まどか「さやかちゃん、遅いよぉ~!」

さやか「ゴメン! 連投規制ってヤツ? で書き込めなくなっちゃってさぁ」

まどか「朝まで保守してくれた人たち、ありがとう!」

マミ テレパシー『それじゃあ再開するわ。楽しんで行ってね!』

ほむら「まずは授業終わったら、上条くんとどうなったのか聞いてみましょう」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 07:43:06.75 ID:s242xTP60
——放課後——

マミ「お昼休みにそんなことがあったのね」

まどか「そうなんですよ。だから午後の授業の間、ずっと気になってて」

ほむら「結果は……?」

さやか「う~ん…… それがさぁ」

さやか「あたしが恭介のこと好きだっての、感づいてたみたい。でもやっぱりそんな風には見られないてさ」

まどか「そんな… さやかちゃん、あんなにしっかりお見舞いに」ハッ!

まどか(もしかして)

マミ「それは残念だったわね」

さやか「きょうだいも同然なんだって、言われてみればそうかもしれません。まぁもともと脈なかっ……」

さやか「ん? まどかどうしたの?」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 07:50:40.47 ID:s242xTP60
さやか(後ずさりして)

マミ(けっこう本気で怖がってるみたいね)

さやか「ククククク…」

まどか「!」ビクッ

さやか「バレちゃ仕方ねぇ! さやかちゃんは悪い魔女になっちゃったのだ!」ガバッ

まどか「ひゃんっ!」

さやか「フフフフ、まどかを食べちゃうぞ~」

まどか「マミさん助けてぇ!」

マミ「魔女め、こっちへ来なさい! この巴マミが相手になるわよ!」ビシッ!

ほむら「それはないと思うわ」

さやか「うん… ないわ、マミさん…… いろいろと」

マミ「いきなり素に戻らないでよ!///」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 07:54:18.04 ID:s242xTP60
まどか「えっ…… ウソなの?」

ほむら「私は魔女になったさやかも見た事あるのよ。間違いないわ」

まどか「もぅ~ マミさんまで一緒になってからかってたんだね!」

さやか「ごめんごめん! でも大丈夫だよ! ほむらの話だとこれがきっかけで魔女化することが多かったみたいだけど」

さやか「そんなアッサリいくなんて期待してなかったっていうか。まぁ、予想通りってとこだね」

さやか「だからかな。今の所何ともないし、この後だって、仁美の番なんだよ」

まどか「そっか、昨日待っててもらったもんね」

さやか「恭介にあんないい彼女が出来たら、おめでたいことだもんね」

ほむら「うまくいくかしら……」

さやか「いくよ! だって仁美だよ!」

マミ「美人だし、育ちもいいし」

まどか「お菓子作りもうまいよ!」

さやか「こりゃ断ったりしたら天罰がくだるね!」

ほむら(そっちは心配してないのに…… まったく)ハァ

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:00:05.20 ID:s242xTP60
——数日後 夜——

さやか「食らいな、トドメだ!!」ドゴォッ!

マミ「やったようね」

ほむら「あの硬かった魔女が一撃で……」

杏子(あれじゃ中のグリーフシードもブッ壊れてるんじゃないか?)

 コソコソカサササ

まどか「まだ使い魔が残ってた!?」

さやか「逃がすか! 全員ツブす!」

 ガキィィィイン!!

さやか「杏子? また邪魔する!」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:05:01.27 ID:s242xTP60
杏子「お前はもう休んでなよ。使い魔に本気で相手することないって。オッサン、後は任せた!」

ピッコロ「はい!」シュバッ!

 ピキャァァァァ!!!!

マミ「相変わらずやりますね。あれだけの使い魔をまとめて倒すなんて」

ピッコロ「杏子と二人で戦っていると、大抵使い魔の後始末はわたしの役目なんです。慣れますよ」

さやか「あんた、まだそんなことしてたの?」

杏子「相手が小物だとやる気出ないんだよなぁ」

さやか「しっかりしなよ。使い魔だってみんな殺しておかなきゃダメだよ」

杏子「お、おう… そうするよ……」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:11:04.97 ID:s242xTP60



QB「ワルプルギスの夜について、何かわかったかい?」

ほむら「あいかわらず収穫なしよ。そっちは?」

QB「捜索範囲を広げてみたけど、それらしい報告は一件もないね」

QB「ところで、最近他のみんな、特にマミが冷たい… と言ったらいいのかな。様子がおかしいんだ」

ほむら「ソウルジェムが魔女を生む事を、話したのよ。みんなショックを受けていたわ」

QB「それを知った地求人は、いつも同じ反応をするな」

ほむら「まどかはもう契約しないでしょう。諦めなさい」

QB「困ったことになったな」

ほむら「それなら考えてみてほしいのだけど」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:16:49.38 ID:s242xTP60
ほむら「魔女になったまどかは、10日で地球上の文明を滅ぼす。これは予測できるでしょう」

QB「うん。膨大なエネルギーを回収できるだろうね」

ほむら「あなたという個体がノルマを達成できても、これだけ豊富な漁場を失うことになるのよ」

ほむら「嫌ならまどかとは契約しない方がいいわ」

QB「わかったよ。でも君たちのそばにいるのは構わないかな。使い終わったグリーフシードを回収するのも、ぼくの役目なんだ」

ほむら「いいわよ。でも、しばらくの間、マミとさやかに距離をおかれるのは我慢しなさい」

QB「寝床に困るなぁ」

ほむら「だったら私のところへ来たらいいわ」

QB「…寝込みを襲われると、この体がもったいないんだけどな」

ほむら「平気よ。まどかと契約しないとなった以上、あなたは私の敵じゃないから。ワルプルギスの夜を探してもらってる借りを精算するわ」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:23:00.53 ID:s242xTP60
QB「ありがとう。もう一つ、気になる事があるんだけど、いいかな」

ほむら「言ってごらんなさい」

QB「さやかの消耗が予想以上に激しいようなんだ。学校で何か、変わった事でもあったのかい?」

ほむら「確かに、だんだん戦い方が荒っぽくなっていってるわね。でも学校であったことといえば」

ほむら「……上条恭介と、まぁ…… いろいろあったようね」

QB「君にはちゃんと感情があるのに、よくわかってないようだね」

ほむら「ほっといてよ」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:28:03.09 ID:s242xTP60
——翌朝 教室——

 ガラッ
まどか「おはよう、ほむらちゃん!」

さやか「今日は遅かったね」

ほむら「おはよう。昨夜夜更かししちゃって」チラッ

ほむら(いた……)

 カツカツカツ

ほむら「おはよう」

まどさや「!?」ナンデ

上条「あ、ああ… おはよう」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:28:49.91 ID:s242xTP60
上条(何でぼくの所に…?)ドクンドクン

ほむら「……///」

ほむら(声をかけてみたけど…… どうすれば……)

男子生徒A ヒソヒソ「暁美ちゃんどうしたのよ?」

男子生徒B ヒソヒソ「知るか。だがいざとなったら上条に制裁をだな」

上条「…あの……」

ほむら「な、なんでもないわ! 気にしないで!」クルリ

上条(気にするよ!)

まどさや(するでしょ……)

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:34:40.86 ID:s242xTP60
——昼休み——

さやか「で、今朝の件ですが」

ほむら「はい……」シュン

さやか「急に恭介に話しかけたりして、何かあったの? 授業中にもほむらファンの男子からあたしに手紙で質問来たよ」

ほむら「実は昨夜、QBと話してたのよ。さやかの消耗が激しいって」

さやか「あたしの?」

マミ「確かに戦ってると、時々人が変わったようになることもあるわね」

まどか「杏子ちゃんも心配してたよ」

さやか「そ… そうかな? 気をつけるよ」

ほむら「でも特に変わった事もないようだし、もしや上条くと何かあったのかと思ったのだけど」

ほむら「探りを入れようにも、どうしたらいいかわからなくて…」

さやか「あれじゃストレートすぎだよ……」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:40:11.67 ID:s242xTP60
まどか「ダメだよ! ほむらちゃん、今までずっと一人で戦ってたからかもしれないけどさ」

まどか「できないことまで一人でやろうとしないで、もっとわたしたちに相談してもいいんだよ」

ほむら「返す言葉もないわ… 実際に声をかけてみるまでは難しいことだと思わなかったのよ。でもいざとなると緊張しちゃって……」

さやか「また杏子に『お前の戦い方は無駄が多すぎる』とか指摘されるのも癪だし、気をつけないとなぁ」

ほむら(素直に話も聞くようね。この様子だと特に問題なさそうだけど……)

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 08:45:26.33 ID:s242xTP60
——病院——

女の子「さやかちゃん!」

さやか「へ、あたし?」

女の子「おねえちゃんは!? いないの?」

さやか(ああ、この間会った子か)

杏子「ねーちゃんもいるよ~」ヒョイ

女の子「あそぼうよ!」

杏子「おう、今日はいいもの持ってきたぞ」



さやか「あの子たち、喜んでたね」

杏子「入院生活が退屈なんだよ」

さやか「あんたさぁ。小さい子扱うのにずいぶん慣れてるじゃない」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:01:46.70 ID:s242xTP60
杏子「あたしの家は教会だったんだ。来てくれる人は少なかったけど、その分一人一人といろいろ話し込んだりしてな」

杏子「日曜学校とかクリスマス会とか、人が集まる時は、あたしが小さい子のまとめ役だったんだな」

さやか「へぇ……」

杏子「興味なさそうじゃない」

さやか「ないこともないけど、ピッコロさんはともかく、あんたが教会にいるとこなんて、ちょっと想像できないよ」

杏子「だろうね」

杏子「……」

杏子「あたしももう、そんないい所にいたなんて、自分でも信じられない」



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:07:40.04 ID:s242xTP60
さやか「じゃああんた、風見野に住んでるってのは、最近までずっと野宿してたわけ?」

杏子「『野』とはなんだよ。家ならあるぞ。多少焼けちゃっただけだ。あとはアパートやビジネスホテルの空き部屋とかな」

さやか「無断で侵入してたんでしょ」

杏子「世の中はあたしらみたいな例外の子が生きてくようにはできてねぇのさ」

杏子「それに払うもんなら払ったぞ。そこに住んでる魔女を狩ったりしてな」

さやか「それって自分のためじゃない!」

杏子「お、よくわかったな。だけどさ、自分以外の誰かのためにってのは、そこまで素晴らしいものかい?」

杏子「…いや違うな。確かにいいことだ。いいことすぎて、ついやりたくなっちゃうんだな」

杏子「だからいつの間にか、自分がやっていることも『誰かのために』なんだって、思いたくなってくるんだよね」

さやか「何が言いたいのよ?」

杏子「魔法は魔物の法… 本来、外道の論理なのさ」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:14:25.33 ID:s242xTP60
杏子「そんなものを持ち出して『あの人のために、何かしてあげたい』なんてキラキラしてたバカの見本を、見といてほしかった」

杏子「さやかもさ、少しはあたしを見習って、あれこれ自分勝手にやったらいいんだ」

さやか「なるほどね… あんたのこと、少し誤解してた。もっとロクでもないヤツだって。そこは謝るよ」

さやか「だけど、あたしをここに連れて来たのってさ」

杏子「足りてないでしょ。グリーフシード」

さやか「それなんだよね。ゴメン、ありがたいけど受け取れないよ。これは自分で解決したい問題なんだ」

杏子「強情なヤツだなぁ… わかってたけどさ。だったらその意気でいってみようか!」

さやか(魔女の反応!?)

・ 戦闘中

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:20:12.93 ID:s242xTP60
杏子「コレ持ってきなよ。お前がトドメをさしたんだ、文句ないだろ?」

さやか「あんた、最後わざと手加減しなかった?」

杏子「強情な上に疑り深いヤツめ… スキあり!」ヒョイッ

 シュルルルル……

さやか「あ… 余計なことして!」

杏子「さやかが危なっかしいからいけないんだ。まだ一回くらい使えそうだから、残りはあたしがもらっとくよ」

さやか「好きに使いな」プイ  (……あ、あそこにいるのって)

さやか「ほら帰るよ。もう用は済んだでしょ」

杏子「せかすなよ。まだ遊んでない子がいるんだぞ。それとも外に何かあるのか?

杏子「ん? あの中庭にいるの、上条じゃないの?」

さやか「そうだよ! だからとっとと帰るの!」

杏子「吹っ切れたならもういいじゃん。せっかくだから聞いてこうよ」

さやか(ほむらといいコイツといい、なんでこう……!)

さやか「いいわよ。そこまで言うなら行ってやろうじゃないの」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:24:14.79 ID:s242xTP60
——中庭——

上条「さやかと、あの時の… 良かった。仲直りしたんだね」

杏子「まぁな。今日は検診かい?」

上条「うん。それと入院中に顔見知りだった人たちのお見舞い。ちょっと会ってくだけのつもりがこれだよ」

さやか「仁美に構ってやらなくていいの?」

上条「そういう言い方やめてよ。僕のケガって、もう諦めろとまで言われたのに、突然治っただろ?」

杏子(さやかと引き換えに、な……)

上条「だから長いこと入院してたけど、これ見て希望を持てたって人もいるんだ。それともう一つ」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:28:53.96 ID:s242xTP60
——マミさんの部屋——

マミ「付き合ってるワケじゃない?」

ほむら「まどか… あなたそれをどこで?」

まどか「どこも何も、普通に聞いたよ」

——回想——

まどか「お~い、上条くん」

上条「なんだい?」

まどか「仁美ちゃんとどうなの? うまくやってる?」

上条「やっぱりそう思われてるのか……」

男子生徒A「な? 訂正されなきゃ、誰だってそう思うだろ?」

上条「かといってわざわざ言いふらすことでもないでしょ。志筑さんとは、そういうのじゃないよ」

まどか「へぇ… ほむらちゃんが気にしてたよ」

男子生徒AB「!!!」

男子生徒B 小声(…全力で行くか?)

男子生徒A(行け!)

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:33:25.34 ID:s242xTP60
——回想終了——

ほむら「勝手に変な尾ひれ付けないでもらえるかしら」

まどか「ちゃんとその後、ほむらちゃんはさやかちゃんが心配なのってフォローしといたよ」ドヤッ

ほむら「それもまた… 間違ってはいないけど……」

マミ「ともかく、もったいないことしちゃったのね。断っちゃうなんて」

まどか「上条くんって、女の子に興味ないのかもよ」

ほむら「えと… そ、そういうのもアリなの?」ドキドキ

マミ(暁美さんの中で、未知の言葉が生まれてきているわ……)

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:37:00.48 ID:s242xTP60
さやか「あたし、これからどうすればいいんだろ」

杏子「上条のことかい?」

さやか「仁美なら、恭介にはもったいないくらいって思ったんだけどなぁ……」

杏子「そうかい」

さやか「興味なさそうだね」

杏子「実際ないんだよ。それってもう、さやかが関係する話じゃないでしょ。放っときなよ」

杏子「仁美って子のことは知らないけどさ、上条の演奏はあたしも聞いてる」

杏子「あんなうまいんじゃ、久々に弾けるようになって、夢中になる気持ちはわかるよ」

さやか「だね。きっとそのうちどうにか… お、噂をすれば」

仁美「……」

さやか「仁美? どしたの、ボーっとして?」

仁美「? あら、さやかさん。すみません。考えごとをしていたら、気がつかなかったようですね」

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:43:22.17 ID:s242xTP60
さやか「ちょっといいかな。あたし、仁美に謝りたいことがあるんだ」

仁美「そんなにかしこまらなくてもいいですよ。何かありました?」

さやか「さっき恭介に会ったんだ。話を聞かせてもらったよ」

杏子(…いづらい空気になるなぁ)

 ——『さやかにあんなこと言った日に、「コッチならまぁいいや」なんて気にはなれないよ』

さやか「あいつ、あの日もお昼にあたしとちょっと… やりあっちゃててさ。いろいろとすり減ってたのね」

さやか「だから…… ごめん。あたし、仁美の足引っ張ってたんだ」

仁美「それだけ?」

さやか(……)ゾクッ

仁美「よくわかってますわね。上条さんが入院してる間、毎日のように顔を出して」

仁美「うっとうしくなることもあったでしょうに、今は何を考えてましたの?」

さやか「何って… 仁美と恭介ならきっとうまくいくと思ったのに… それの邪魔して……」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:46:43.40 ID:s242xTP60
仁美「他には?」

杏子「さやか! そいつから離れろ!」

さやか「他に… あるわけない…… ないよ……」カタカタ

仁美「私の目はごまかせませんわ。さやかさんの中にある、わずかな感情」

杏子「魔女の口づけだ! 憑かれてる!」

仁美「『あんなに面倒みてあげたのに』ですって… まったく、よく言うわね」

杏子(使い魔が集まって来る!? こうなりゃ結界で!)ガシガシガシッ!

杏子「足止めくらいにはなるか。さやか! まずは逃げるぞ!」グイッ

さやか「仁美ならいいのに… 仁美ならいいのに… 仁美になら」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:52:55.99 ID:s242xTP60
——マミさんの部屋——

まどか「さやかちゃん! しっかりしてよ……」

杏子「寝室でしばらく休ませとこう。いいよな?」

マミ「ええ。寝かせるなら着替えも用意してくるわ」

杏子「まどか、悪いけどさやかの面倒見ててやってくれ」

ほむら「その間に、私たちはさやかを追いつめた魔女の対策を考えておきましょう」

まどか「うん。行こう、さやかちゃん」

杏子「あとコレを持ってな。予備のグリーフシードだ」

まどか「さやかちゃんのソウルジェムが濁りだしたら、これをあてがえばいいんだよね」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 09:58:00.89 ID:s242xTP60
ほむら「相手の弱みにつけこむ魔女……」

杏子「接触した時間はほんの少しだけど、さやかの様子を見ると、一番痛い所を正確に突いてくるみたいだ」

マミ「暁美さん、あの魔女に遭遇したことは?」

ほむら「ないわね。初めて見るタイプだわ」

杏子「作戦なんかどうだっていい。あのオッサンに本体を探してもらってる。見つかったらすぐ行こう!」



ピッコロ(近くに魔女の気を感じる…… どこに潜んでいるのだ?)

『わたしをお探しかね』

ピッコロ「誰だ! …わたしと同じ姿…!?」

『ああ、わたしたちは一心同体だからな』

ピッコロ「黙れ、魔女め! 魔法で姿形を変えようと、その邪悪な気は隠せない!」

『隠すつもりもない。言っただろう? 一心同体と』

ピッコロ「本当にわたしだと言うのなら、魔女を捜すのに協力してもらおうか」

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:01:25.62 ID:s242xTP60
『…まぁいい。お前とはいずれまた会うだろうからな。わたしは使い魔に戻るとしよう。本体に会いたければ、ついて来るがいい』

ピッコロ(今度は使い魔らしいものに変身したか。では今までのは、本当に……?)

ピッコロ(その前に、まずは連絡を。杏子!)


——結界——

杏子「無事だったのか」

ピッコロ「奇妙な使い魔に遭いました。気をつけてください」

マミ(特に私は、暁美さんに聞いた過去の話みたいにならないように……)

杏子「わかってる。今日は一匹も逃さない!」

『お姉ちゃん、どうしてそんな怖い顔してるの?』

杏子「この声…」ゾクッ

『覚えててくれたんだね』

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:04:03.61 ID:s242xTP60
杏子「忘れるもんかよ。今どこにいるんだ?」

マミ「佐倉さん、誰と話してるの? それは使い魔よ!」

杏子「モモの声がする… 生きてたんだ!」

マミ「そんなわけない! あなただって、その場にいたでしょう」

杏子「そうだ… モモはあの時殺されたんだよな… もう遺体も残ってない」

モモ『死んだ人だって生き返るよ。私は魔法少女、条理を覆す魔法少女になったんだから……』

モモ『お父さんに殺される前、QBと契約してたの』

杏子「なんだ、お前もだったのか」フラリ

マミ「佐倉さん、待って! 待ちなさい!」

ピッコロ(わたしと一心同体と言った使い魔よ、今のやり取りは聞こえていたか?)

『杏子の様子がおかしかったな』

ピッコロ(杏子を惑わしているのは誰だ? どうすれば解ける?)

『お前の知らないものを、わたしが知っているはずがないだろう』

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:10:22.03 ID:s242xTP60
『しかし手がかりはある。我々は単に相手が持っている悪の気を映し出しているだけなのだ』

『ヘビは自分の毒で死なないが、地球人は、自分の『悪』に滅法弱い』

ほむら(杏子… いつもは精神的に安定している彼女が、こうまで簡単に破られる…)

『何もかも開き直ったように振る舞っている彼女でさえ、心の中のどこかしらに自分の、『悪』を認めたくない一面があるものだ』

ピッコロ(それを突きつけて責める… いや、自分を責めさせるというのか)

『正視したくない汚れを見れば見るほど、地球人は自分が悪くなどない、潔白な人間だと思いたがる』

『それは欲だ』

ピッコロ(欲はすなわち毒… 使いどころによっては簡単に人を死へ追いやる猛毒…)

『お前も今まで旅をしてきて、見たことあるだろう』

ピッコロ(知らないことではない。だが今は!)ガシッ

ピッコロ「杏子! さやかと同じ手にかかってはいけません」

杏子「さやか… さやかもやられた……」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:17:06.76 ID:s242xTP60
モモ『一緒に戦おうよ。こっちへ来れば、もう迷わなくていいんだから』

杏子(あたしが迷ってるのか?)

モモ『あの時みたいに… お父さんがおかしくなった、あの時みたいに……』

 ザンッ!!
            ポト


杏子「ふぅ、モモのマネなんかしやがって。危うく騙されるところだった」

マミ「よかった。正気にかえれたようね」

杏子「ああ、すっかり余計な時間食ったな。急ごう!」

ほむら「ここの魔女は手強い相手だわ。焦らないで」

杏子「そう… でも手加減はなしだ。コイツだけは、グリーフシードの欠片も残さない!」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:23:08.76 ID:s242xTP60
——最深部——

モモ『待ってたよ。お姉ちゃん』

杏子「また出たな。二度も食うか!」

 ズッバァア!!

モモ『無駄だよ。使い魔の代わりはいくらでもいるんだから』

杏子「黙れ! お前を倒さなけりゃ、さやかはどうなる!」

モモ『ラクにしてあげたらいいよ』

モモ『お父さんにしてあげたみたいにね』

杏子「やめろ…… やめろっ!!」  ドシュウ!!

マミ「佐倉さん! 離れて!」

ほむら「白兵戦は避けた方がいい。援護するわ!」

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:25:59.80 ID:s242xTP60
杏子「マミ! この間のアレで!」

マミ「覚えててくれたのね!!」

マミ(無限の魔弾たちよ… 本体は一番魔力の大きい敵…… 当たれぇ!!)

 ドォッツ!!   キェアアアア!!!

杏子「魔女の鳴き声!? そこか!」

ピッコロ「動きを封じます!」シュバッ!!

マミ(腕が伸びた!?)

佐倉父『また殺すのか』

杏子「それがあたしの役目だったんだ」

 

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:31:39.75 ID:s242xTP60
——回想——

テレビ『飼育員の男は、生後一ヶ月の小熊を殺し、その後獣舎へ身を投げました』

杏子「ひどいな……」

モモ「クマちゃん、死んじゃったの?」

テレビ『他の職員に助け出されましたが、間もなくして搬送先の病院で死亡が確認されました』

杏子「うん… それに、この人もだ」

テレビ『警察では職場での人間関係に悩んだ末の自殺と見て捜査を進めています』

杏子「悩み事があったなら、この人もウチに来てたら、死なずに済んだのかな」

佐倉父「どんな教えにも、そこまでも力はないよ。魔法じゃないんだから」

杏子「魔法、かぁ」

杏子(白いヤツが言ってた。契約すれば、あたしは魔法少女になれるって)

杏子「……もしも魔法が使えたら?」

佐倉父「人の手に負えないものを都合良く利用して、誰かの命運を左右するんて、いけないことだよ」

杏子「それもそっか。難しいもんだなぁ」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:37:53.72 ID:s242xTP60

・ 数週間後

杏子「モモ! …これも魔女の仕業か!」

マミ「まだ近くにいるわ!」

QB「来るよ! もうここにも火の手があがってる。早く逃げよう!」

杏子「魔女、なのか…? だってあれ……」

佐倉「追い払ったと思ったら、また来たのか、悪魔め! しかも今日は仲間もいるようだな」

杏子「……父さん……」

佐倉「むしろ好都合だ! お前たちがわたしに持たせた悪魔の力をもって、今日こそ成敗してくれるわ!」

杏子「あたしだよ、杏子だよ…… そっか、こんな格好してるから、わかんなかったんだね」

マミ「いけない! 変身を解いたら危ないわ」

佐倉「ほぅ……」

佐倉「普段はそうやって人間に化けていたのか」

 ドゴッ   グシュアアッ!!!!
杏子「ぐぉっ!!」

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:43:18.48 ID:s242xTP60
——回想終了——

杏子(親父は人間でいながら魔力を持った… あたしがあんあ願い事をしたから、持たされてたんだ!)

杏子「こいつは使いたくなかったけどな、お前にだけは解禁だ!」

マミ「あの技、もしかして……」

杏子(マミ… 別れる間際まで、あたしを止めようとしてくれたマミ! その気持ちをわからずにいた……)

杏子(だけど今は違う! マミに名前をもらったこの技で!)

杏子「食らえ、『ロッソ・ファンタズマ』!! 全開で行くぜッ!」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:45:23.08 ID:s242xTP60
ほむら「結界がとけていくわ」

ピッコロ「杏子は打ち克ったのか…」

杏子「……」カタン

マミ「佐倉さん?」

杏子「ゴメン、力使いすぎた… 起こしてくれ」

マミ「おどかさないでよ」

杏子「あん、ちょっと待った。あんま動かさないで」

マミ「じゃ、しばらくこうしてましょうか」ギュッ

杏子「ああ……」

杏子「マミ」

マミ「なぁに?」

杏子「……マミあったかいな」

マミ「」フフッ

マミ「知ってたくせに」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:51:05.84 ID:s242xTP60
—— 朝 ——
ショウ(これからどうすんだよ… なんだって信用取引なんかに手出しちまったんだよ!)

ショウ(ああ…… 仕事行きたくねぇなぁ……)

魔女『だったら、死んじゃおっか? ラクだよ~』

ショウ(それもアリだよな…)

魔女『せっかくの貯金も四日で溶けちゃったもんね』

魔女『生きてても損したお金のことばっかり気になって、ツラいだけだよね』

ショウ(そうなんだよ… いつか独立する時の開店資金にするつもりだったのに)

ショウ(…ところで、お前誰だ? じゃないな。何なんだ?)

魔女『私は救済の魔法少女! みんなに希望を振りまくの!』キキキキキッ

ショウ(俺、そうとうキテんのかね)

魔女『ウソじゃないよ!』キキッ

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 10:55:58.96 ID:s242xTP60
ショウ(でも少女っていうか……)

魔女『おばけみたい… かな?』

ショウ(いや、バケモノにしちゃあ、なぁ)

 モッフモッフ
ショウ(かわいいな。さしずめ妖精さんってトコか)

ショウ(……ナニ言ってんだ俺は… やっぱ疲れてんだよ)

魔女『ホントに!? ありがとう、そんなこと言われたの久しぶりだよ!』

ショウ(そうなのか? こんなモコモコしてるのに)

魔女『うん。私が見える人って少ないの。しかも、困った人を助ける魔法少女だから……』

ショウ(心に余裕ないヤツが多いのか。俺もだけどさ)

魔女『あとは他の魔法少女ね。私を見ただけで襲ってくるの』

ショウ(なんだそりゃ? 物騒だな。仲間じゃないのかい?)

魔女『本当はそうなんだけどね。なかなか話を聞いてくれな…』



さやか「間に合ったぁ!」 グジャア!!

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:00:18.44 ID:s242xTP60
ショウ(うおあっ! おい、大丈夫か!?)

魔女『いきなり来た…! お願い、力を貸して!』

ショウ(冗談じゃねぇ! とっとと逃げるぞ!)グイッ

さやか「魔女め… 普通の人を利用して!」クワッ!!

ショウ「なんだよお前は! コイツと同じ、魔法少女なんだろ!?」

さやか「……同じ?」ザッシュウ!!

ショウ(盗られた!?)

さやか「あたしと、このバケモノが?」ググググググ

魔女『ピキャアァァァアア!!!!』

ショウ(何か武器は… あった、マンホール!)

ショウ「バケモノはテメェだろ! 食らえ!」ブンッ!

 ガコン   グギ

さやか「なにすんのさ? 首が中で外れちゃったじゃない」

さやか「でも便利なもんね。痛みは全然ないや」プラン

ショウ「ウソだろ……!」

153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:03:05.41 ID:s242xTP60
——同時刻——

ピッコロ「これが最後の一体!」

杏子「待った! なぁ、その使い魔さ… 逃がしてくれないかな……」

杏子「さやかの分のグリーフシードを作ってもらわないと…」

ピッコロ「一時しのぎにはなるでしょう。だからといって、人を襲わせて作ったグリーフシードを、さやかが受けとりますか?」

QB「真相を知ったら、それこそ一気に魔女化しかねないよ」

杏子「だけどさぁ」

 フシュゥゥゥ

杏子「消えちゃう」

QB「誰かが本体の魔女をたおしたんだね」

杏子「さやかは……」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:06:53.84 ID:s242xTP60
さやか「グリーフシードは… あったあった! じゃあまずは首を治して、と」

ショウ「返せよ」

さやか「あんた、まだいたの?」

ショウ「それはアイツのなんだろ… 希望を振りまく魔法少女って言ってた、アイツが落としたものなんだろ!」

さやか「そうよ。こうして、あたしの穢れを吸わせるの」シュルッ

ショウ「……」

さやか「なんだぁ。これしか吸ってくれないのか。全然足りないよ…」

さやか「浄化しても、いくら浄化しても、また穢れてくる…… 穢れ落ちない…」

ショウ(……当たり前だろ…… バケモノのくせに……)

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:08:42.18 ID:s242xTP60
——ほむホーム——

ほむら「また切らしたの?」

さやか「ごめん… どんどん穢れてくるんだ……」

ほむら「余計な穢れを増やさないようにしないと、いつまでたっても焼け石に水よ」

まどか「おねがい、ほむらちゃん。さやかちゃんもまだ立ち直れてないんだよ」

ほむら「もういい加減にして!」

まどか「」ビクッ

さやか「そんなあたらなくても」

ほむら「あなたに言ったのよ! 次から次へと消費するグリーフシードを確保するの、どれだけ大変だと思ってるの!」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:11:09.92 ID:s242xTP60
杏子「まぁまぁ… ほむらが言ってた決戦の日って、今日なんだろ? でも外見てみろよ」

ほむら「晴れてるわね」

杏子「そんなすごい嵐なんてすぐには来ないって」

QB「ぼくの仲間たちも、未だワルプルギスの夜を発見できていない」

杏子「そいつが来ないんだったら、あんまピリピリすることないだろ、なぁ」

ほむら「だけど…… このペースで消費していったら、どうなるかわかる?」

ほむら「魔女は何もない所から無尽蔵に発生する訳じゃない。供給が追いつかなくなるのも時間の問題だわ」

マミ「美樹さん。辛いかもしれないけど、私たちにとって無駄な穢れを増やすのは死活問題なのよ」

さやか「わかってる… でも……」

ほむら「『大丈夫』『平気』『わかってる』 口ではそう言い続けて、出した結果がこれじゃないの!」

ピッコロ「さやかを隔離しましょう」


一同「……」


杏子「オイ」

杏子「今取り消せば、聞かなかった事にしてやる」

158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:15:22.80 ID:s242xTP60
ピッコロ「冗談ではありません。皆で共倒れを避ける、唯一の方法です」

まどか「さやかちゃんはどうなるの?」

ピッコロ「魔女の多い地域を探して、しばらく専念してもらいましょう」

QB「いいアイデアかもしれないね。ここから近くて、手薄になってる場所をピックアップしておこうか」

杏子「さやか。お前はどうする?」

さやか「うん… QBの言う通り、いいと思うよ。気分転換にもなるし、今度こそちゃんと吹っ切って帰ってくる!」

まどか「でも一人で行っちゃうなんて…」

杏子「あたしも行くよ。ここの魔女は、マミとほむらがいればもう充分だろ」

ピッコロ「いけません」

杏子「なんでさ!?」

ピッコロ「もしものことがあれば、魔女となったさやかと戦う可能性があるのですよ」

ピッコロ「先日の魔女が使ったような虚像ではなく、本物のさやかを、あなたが手にかけられますか」

杏子「さっきから皆が考えたくないことを言うなぁ」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:18:18.88 ID:s242xTP60
さやか「だけど、確かにここまで悪化しちゃったからには、最悪のことも考えておいた方がいいかもしれない」

さやか「ほむら。悪いけど一緒に来てくれる?」

ほむら「えっ、あの… 私でいいの?」

さやか「いざとなったらガツンとやってくれそうだからね」

ほむら「そうじゃなくて… 私と二人きりなのよ。イヤじゃない?」

さやか「? どこが?」

ほむら「どこって、それは……」

ほむら(てっきりもっと嫌われてるものと思ってたけど、意外と根に持たないのかしら……)

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:22:05.94 ID:s242xTP60
マミ「暁美さんはワルプルギスの夜に備えなくていいの?」

ピッコロ「それについても考えました」

ピッコロ「以前ほむらに聞いた話の中で、ワルプルギスの夜が複数の魔女の集合体である可能性が指摘されていました」

杏子「街一つ壊滅させるほどの魔女なんて聞いた事ないからな」

まどか「でもこの世界にはいないんでしょう」

ピッコロ「これから生まれるものだとしたら?」

ピッコロ「もしさやかを助けるのが遅れていれば、連鎖的に四人全員が魔女になることも考えられます」

マミ「四人合体して一つの強大な魔女になると…」

ピッコロ「あなたたちの結束はそれほど強いのです。裏目に出たら、何が起こってもおかしくない」

ほむら「しかも、今日は決戦の日。奇妙に符号が合うと言えなくもないわね」

さやか「自分で言うのもおかしいけど、あたしをきっかけにそこまで起こりうるんだ……」

まどか「大丈夫だよ! ほむらちゃんもついてるんだから!」

ほむら「せっかく指名されたんだもの。やり遂げてみせるわ!」

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:25:53.03 ID:s242xTP60
QB「ちょっと遠くなるけど場所も見つかったよ。地図を出すから、ちょっとモニター借りていいかな」

ほむら「いいわ。どこかしら」

QB「ここみたいだよ」パッ

QB「既に一人魔法少女がいるけど、なかなかうまく戦えないみたいだ。ほむらは彼女のフォローもすることになるね」

ほむら「縄張りにいさせてもらう分くらいは働かせてもらうわ」

マミ「そこなら確か見滝原から夜行バスが出てたはずよ。アクセスしやすくてよかったじゃない」

さやか「バスなんか出てるんですね。マミさん詳しいなぁ」

マミ「昔からある温泉地なのよ。ついでに骨休めしていらっしゃい」

さやか「ハハ、なんだか傷心旅行も兼ねてるみたい」

まどか「ほむらちゃんも疲れてるでしょう。のんびりしておいでよ」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:28:21.14 ID:s242xTP60
マミ「ネットでバスの予約しちゃいましょうか。早速今夜出発でいいかしら」

さやか「いいですよ~ あ、どうかな。いきなり二人もいなくなったら、騒ぎになるんじゃない?」

杏子「そこはあたしが何とか辻褄合わせとくよ」

マミ「得意の魔法でね~♪」

まどか「バンバン♪ バンバン♪」

杏子「やっつけねーよ!」

杏子「ハッ ///」

まどか ヒソヒソ「乗ってきましたね」

マミ ヒソヒソ「意外と、前はこういうの好きだったのよ」

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:30:11.79 ID:s242xTP60
杏子「…と、ともかくさやか! 気にしないで行ってこいよ。帰ってくるの、皆で待ってるから」

マミ「今夜発で二人分、予約できたわ」

さやか「早いですね」

マミ「会員登録してあったの」

マミ「このメンバーなら、ワルプルギスの夜が本当に来ても、きっと乗り越えられる」

マミ「そしてら皆でお祝いに旅行でもしようかって、調べたりしてたのよ」

ほむら「この一ヶ月が終わった後のこと… そうね、無事に乗り切れたら、その先もあるんだった……」

マミ「特に暁美さんはずっと戦ってきたんだもの。盛大にお祝いしないと!」

167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:34:24.58 ID:s242xTP60
——夜——

杏子「さやか、ちゃんと治して帰って来たらいいな」

ピッコロ「先ほどはすみませんでした。つい熱くなって、語りすぎました」

杏子「誰かが言わなきゃいけなかったことだ。でも、誰も言えなかった」

ピッコロ「わたしはあなたの心配をしただけです。さやかに入れ込みすぎではないかと」

杏子「そうかもな。何にせよ、おかげでさやかは助かるんだ」

杏子「…いつも、ありがとう」

ピッコロ「いいえ…」

杏子「ハハハッ! あたしがこんなこと言うなんて、自分でもおかしくなってくるな! 今のは貴重だぞ~」

杏子「でもな、マミに呼ばれてから、変わった気がするよ。前のあたしだったら、さやかをどうにかしようなんて思わなかったかもしれない」

杏子「さっきもだ。オッサンがあたしのこと気にかけてくれたっていうの、嬉しかったよ」

ピッコロ「ならあまり心配させないでください」

杏子「そこで最後の一仕事、さやかのお餞別にグリーフシードを持たせてやろうと思ったけど、この辺の魔女も減ったなぁ」

ピッコロ「それはそれで、二人も安心して旅立てるでしょう」

杏子「まだ時間がある。見送りの時間ギリギリまで探してこう」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:39:58.18 ID:s242xTP60
——ほむホーム——

ほむら「旅行の用意なんてしたことないから、いざとなると何を持っていけばいいやら」

マミ「とりあえずはお菓子ね! さっき買っておいたわ」

ほむら「まっさきにお菓子?」

マミ「だって夜光バスも初めてでしょ。眠れなかったら、お腹空いちゃうじゃない」

ほむら(だからって、夜食にスコーンなんか買って来るから……)

ほむら「朝まで乗ってて酔わないかって方が心配だわ」

マミ「薬も持ってく? こんな姿、鹿目さんが見たらガッカリしちゃうかしらね」

ほむら「どうしてそこで急にまどかが出てくるのよ?」

マミ「暁美さん、ただでさえ張りつめてるのに、二人も面倒見るわけでしょう」

マミ「私がそう心配してたら、鹿目さんが『ほむらちゃんなら、できないわけないんです!』ですって」

ほむら「嬉しいけど期待しすぎね」

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:43:59.13 ID:s242xTP60
マミ「教えてよ。前に言ってた『諦めてない』相手は鹿目さん?」
  ※>>72のことです

ほむら「あれは勢いで言っただけよ。 …そういうのよくわからないから」

マミ「と言ってはぐらかしても、この部屋にだって鹿目さん宛に書き貯め  ほむら「どうして知ってるのよ!!」

マミ「何も知らないけど?」

ほむら(……やられた)

ほむら「まどかは特別… だけど、他の皆だって、憧れの人だったのよ。前の私は助けてもらってばかりいたから……」

ほむら「特にマミさんはまどかと同じ、私が最初に出会った魔法少女なんだからね」

マミ「その頃から続いてた戦いが、ようやく終わるのね」

マミ「これまでは怒ると怖い子を演じてたみたいだけど、帰ってからは少しずつでいいから、可愛いところも見せてほしいな」

マミ「今、私をマミさんって呼んでくれたみたいにね」

ほむら「調子狂うなぁ、もう…」

マミ「あまり美樹さんに厳しくしないであげてね、ってことよ」

ほむら「気をつけるけど、手がかかる子ほど可愛いものよ」フフッ

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:47:34.54 ID:s242xTP60
QB「困ったなぁ~ 困ったなぁ、もう。ほむらがいないんじゃ、ぼくは寝る場所に困るなぁ」

マミほむ「」イラッ

ほむら「わたしがいない間、ここにいてもいいわ」

QB「それじゃ夜一人で寂しいしなぁ」

ほむら「まどかの所へでも行ったら? 契約できない今なら許してあげる。お友達も沢山いるでしょう」

QB「全部ぬいぐるみじゃないか」

ほむら「なら杏子の所は? 刺激的な生活をおくれそうだし、ピッコロさんもいるから寂しくないわ」

QB「それはあまり『住居がない』という問題の根本的解決になっていないよね」

QB「あ~あ、どうしようかなぁ~」チラッ

マミ「……ウチに来る?」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:50:15.57 ID:s242xTP60
——電車内——

まどか「荷物重そうだね」

さやか「着替えがとりあえず四日分、いつもの乳液にドライヤーと、学校行けないから教科書も… って慌ててたら、こんなになっちゃった」

まどか「洗濯とかできるかな。その前に、住む場所見つかるかな」

さやか「むこうにいる子も、マミさんやほむらと同じく一人暮らしなんだって。QBの紹介で、居候させてもらえることになったの」

さやか「だからさしあたって困ることはないかな」

まどか「もしあっても、ほむらちゃんがなんとかしてくれるよ」

さやか「まどかはほむら好きだなぁ。さっきも似たようなこと言ってた」

まどか「うん、大好き!」

さやか(あんなエピソード聞かされちゃあね…)

さやか「悪いね。しばらくほむら借りてっちゃう」

まどか「その分、帰ってきたらたっぷり甘やかしてあげるの」

さやか「逆じゃないの?」

まどか「ないの!」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:54:24.46 ID:s242xTP60
さやか「ったく、こんな時に妬けるなぁ……  ん? あれ今朝の」

まどか「どうしたの?」

まどか(向かい側の席に誰かいるのかな?って、あの人どう見ても…)

ホストB「捨てる時もホント厄介っすよね。ショウさんその辺うまいから羨ましいっすよ」

さやか「ねぇ」

ショウ「…また会ったな」

さやか「聞かせてよ。その人の話」

ホストB「知り合いっすか?」

ショウ「ああ、そんなとこだ」

ショウ(どうする…… こんな所で暴れだしたら、逃げ切れねぇ)

176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 11:58:08.60 ID:s242xTP60
まどか「さやかちゃん、やめようよぉ」

ショウ(…仲間か? こんなおとなしそうな子が? このバケモノ女の正体に気付いてないんだな)

ショウ「ここじゃ何だな。次の駅で降りるぞ」

ホストB「いいんすか?」

ショウ「お前は先に行け。あんたもそれでいいだろ? コイツの知ってることは代わりに俺が話す」

さやか「いいよ」

ショウ(よし… 魔法少女でなければ無差別に襲う訳じゃない。これで確認できた)

ショウ「それから、お友達もだ。俺たち大事な話があるんだよ。悪いけど外してくれないかな」

まどか「いえ、わたしも行きます。さやかちゃんを一人にできないから…」

ショウ(ちっ、バカヤロウ…!)

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:02:47.06 ID:s242xTP60
ショウ「はぐれるのが心配かな。携帯くらい持ってるだろう」

まどか「…は、はい……」カタカタ

ショウ「それとも、その子から眼を離すと何かあるのかな」

まどか「それは……」

ショウ(ただの『お友達』じゃねぇな。何か知ってる… だがどこまで?)

ショウ(震えててもついてくるってことは、よっぽどの事情があるのか)

ショウ(となると、迂闊に引き剥がせばバケモノ女を刺激するリスクがある)

ショウ「いいよ。三人で降りよう」

まどか「はい! さやかちゃん、バスの時間…」

さやか「出発まではまだ時間あるよ。間に合わせる」

ショウ(この時間に出るバス、あの荷物… 夜行か?)

ショウ「だったらバス停で待ちながら話せばいいだろ。どこだい」

さやか「駅前の高速バスターミナル」

ショウ(荷物はカバン一個。ちっこいのがこの女を見送りに来ただけだとすると、出発時間になればこの二人は別れる)

ショウ(それまで地雷を踏まないように、おとなしくさせておくには……?)

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:07:06.42 ID:s242xTP60
——バスターミナル——

ショウ(しばらく探ってみてわかった)

ショウ(ちっこいのは時間までテコでも動かないつもりだな。まだ震えてるってのに、大した度胸だ。こりゃいい女になるぜ)

ショウ(それとバケモノ女の方もだいぶ読めて来た。その潔癖な性格、曲がった事は許せないタイプ……)

ショウ(以上を踏まえて俺とこのチビちゃんが生き残るには、だ)

さやか「じゃああなた、その子たちが捨てられてくのを見て、どうとも思わなかったの?」

ショウ「思う事なんかないさ。奴らは決まってやっちゃいけないことに手を出すからな」

ショウ「『捨てられた』って言うけどな、追い出されて当然のヤツらが居座るのを黙認してたら、悪くない人が報われないだろう」

さやか「その子たちがどんなことをしたっていうのよ! みんなあなたのために…」

ショウ「それがいけないんだ… お嬢ちゃんたちに、ちょっとロマンチストなことを聞こうか」

ショウ「『愛』ってのは金で買えるものだと思うかい?」

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:10:55.83 ID:s242xTP60
さやか「いきなり何言ってるの? 買える訳ないでしょ!」

ショウ「そっちのちっこい方は?」

まどか「わたしも、買えないと思います…」

ショウ「何故そう思った?」

まどか「わたしにはパパとママと、3さいの弟がいます。みんな仲が良くて、とっても優しくしあえています」

まどか「でも、代わりに何かそういうやり取りしてるわけじゃない。だから反対に、物とかお金とかを持ってきても…」

まどか「うまく言えないけど… きっと噛み合わないんだと思います。もし何か必要だとしたら、もっとこう… 形のないものなんですよ」

ショウ「素晴らしいねぇ、子供の言いそうなことを言ってくれる」ハハハッ

さやか「いけないっての? 何がおかしいのよ!」

ショウ「俺だよ。俺を含めた大人たちがおかしい。子供にわかることも忘れちまった大人が……」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:12:44.83 ID:s242xTP60
ショウ「その通り、愛ってのは何かと引き換えに手に入れるものじゃないのよ」

ショウ「しかしあの女たちはこう言うんだ。『あんなに尽くしてあげたのに』ってな」

さやか「それは、お金とかとは違う…!」

ショウ「金で払うか、行動で払うか。つまるところ、かけたコストに結果が見合ってないと言ってるんだ」

ショウ「やってることは金で買ってるのと変わらないのに、まぁそこまではいいんだけども、これぞ無償の愛でございってツラしてんの」

さやか「さっきから言ってるのって……」

ショウ「何かを手に入れるのに、それに値しないものを「値する」ものとして与え、見返りだけは求める。言ってみれば善意の粉飾決算だな」

ショウ「詐欺は良くないことだとわかろうとしない → どこが悪いのかわからない → 反省しない → 改善しない」

さやか「…あたしのこと?」

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:16:34.25 ID:s242xTP60
—— 一方 ——

マミ「時間が止まるって、こういう状態になるのね…」

ほむら「手を放さないでよ。マミさんも止まっちゃうから」

マミ「したら二人で探せないもんね」

ほむら(待ち合わせ場所にさやかたちがいない。魔女の気配もする…  無事でいるといいけど)

マミ「! いたわ、あそこよ! そばにいる人、苦しいのかしら?」

ほむら「時間停止を解除するわ」

ほむら「その人は?」

まどか「ほむらちゃん! さやかちゃんが大変なの!」

ショウ「なんだ、いきなり来て… お前らも、こいつの… 仲間…… 魔法 少女……」

さやか「あたしなら、まだ…」

ほむら(さっきから反応してる魔女の気配はこれ?)

杏子「どうなってんだ!? そいつ、あたしらのことを知ってんのか? それよりさやかは!」

ショウ「また来た… なぁ、俺とそこのチビちゃんも殺すのか…? 昼間ツブした、魔法少女みたいに……」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:19:42.23 ID:s242xTP60
さやか「違う! あれは魔法少女じゃない!」ダッ

まどか「さやかちゃん! どこへ行くの!」

ほむら(手遅れだった…… 最後の最後で…)

杏子「ほむら! まどかを見ててくれ」

杏子 小声「これがバレないようにな」

ほむら(魔女の口づけ!? 今できたものなの?)

杏子「マミとオッサンはその人を頼む。できそうなら浄化もだ」

ピッコロ「しかし、さやかはもう…」

杏子「絶対に死なすなよ。そんなことになったら、今度こそさやかは戻ってこられないぞ!」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:22:47.21 ID:s242xTP60



杏子「やっと見つけた。時間ないんだから、探させるなよ」

さやか「来たんだ…… ちょうど良かった。これ持って」

杏子「ソウルジェム? 真っ黒じゃないか。でもごめんな。グリーフシードはもうないんだ」

さやか「ごめんね。あたしがみんな使っちゃったから」

杏子「一個くらい持たせてやりたかったんだけど、この辺の魔女もあらかた狩り尽くしちゃったみたいだ」

さやか「もういいんだよ。あたしさ、これ砕いちゃおうとしたんだ。魔女になる前に」

さやか「でももうそんな力も残ってないや… だから杏子、それ壊しといてくれないかな」

杏子「……」

 グッ

杏子「どうかな? あたしの手の中」

186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:25:55.69 ID:s242xTP60
さやか「気持ちいいよ… ぬるま湯にひたってるみたいだ……」

杏子「あたしでさえ誰かにそう言ってもらえるようになった。そのきっかけを与えてくれたのは、さやかなんだよ」

杏子「いざとなったらソウルジェムをブッ壊すことも考えてたけどさ、やっぱやめだ」パッ

杏子「このまま魔女になっちゃいなよ」

さやか「嫌だよ… そんな…」

杏子「もう疲れただろ」

杏子「人の幸せを願ったはずなのに、心のどこかに自分も救われたらって欲が出て来て、そんなの出しちゃう自分のことがイヤになる」

杏子「どこかで挽回しようとしても、不器用なもんだからうまくいかなくて、そのせいでまたイヤになる」

杏子「いっそ開き直っちゃえばラクになれるのに、そしたらお前の場合、魔法少女としてやってく目的がなくなちゃうもんな」

さやか「どっちに転んでも結果は一緒だったんだ… ほむらが何度繰り返しても変えられなかったみたいに……」

杏子「一緒なら、最後くらい思い切っちゃったらどうだい。今まで我慢しすぎだったんだ」

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:29:13.29 ID:s242xTP60
さやか「でも……」

杏子「怖いか? ならこれでどうだ!」

 ぎゅっ

杏子「昔さ、これからずっと戦ってくんだと思って怖くなった時、マミがこうしてくれたんだ」

さやか「…あんた、けっこう細いんだね。痩せちゃったの?」

杏子「頼りないかもしれないけど、お前にはあたしが一緒にいてやるよ。たとえ魔女になったって止めてみせる」

さやか「ごめんね…… 最後まで… みんなに迷惑かけて……」

杏子「またそうやって! QBが言ってた。魔法少女が絶望に陥るそう… ナントカはエネルギーになるんだって」

188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:31:11.34 ID:s242xTP60
杏子「希望と絶望は差し引きゼロなんだ」

さやか「ああ…… だから幸せを祈った分、恨みや妬みも溜まっていく……」

杏子「反対にもなるんだよ。その絶望は、いつか希望になって… 生まれ変わるんだ」

さやか「…そんなの無理だよ……」ハハッ

杏子「でもね、本当に出来ちゃうかもしれないよ。なにせあたしら、条理を覆す魔法少女なんだからな!」

さやか「できるかな… でもありがとう、ちょっとラクになった……」

さやか「じゃああたし、行ってくる。ちゃんと受け止めてよね」ムクッ

杏子「任せろって」





杏子「またな」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:35:20.28 ID:s242xTP60
——ターミナル——

ほむら「あの光!」

マミ「まさか……」

QB「でも間違いない。あれはさやかだ」

ピッコロ「間に合わなかったというのか…」


杏子「そんなもんじゃないだろ!? もっとだ! もっとブチまけろ、さやか!」

杏子「誰にもぶつけなかった憤り! 思った通りの自分になれなかった悔しさも!」

杏子「お前の溜め込んで来た絶望、全部出し切っちまえ! 一つ残らず潰してやるよ!」

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:39:41.05 ID:s242xTP60
——ターミナル——

ショウ「んっ…… どうしてたんだ? 俺…」

まどか「おじさん! 気がついたみたい」

ピッコロ「無事だったようですね」

まどか「みんなは今ちょっと出かけているの。あなた、魔法少女のことを知ってるんですか?」

ショウ「知ってるも何も、最初に背の高い子と二人でいたろ。あいつが他の魔法少女を殺すとこを見ちまってる」

まどか「それは誤解です! 相手はどんな子でした?」

ショウ「『子』っていうか、なんだか動物みたいなのだったぞ。このくらいのサイズで、モコモコしてた」

ピッコロ「どうやら魔女のようですね」

ショウ「似たようなもんじゃねーか」

まどか「魔女は危険なんです。もしかしたら、あなたが殺されてたかもしれないんですよ」

ショウ「ああ、そう言ってた。死んじゃおうか? って」

まどか「わかってたんじゃないですか」

ショウ「俺もあの時、死んじまってもまぁいいかと思ってたんだよ。わざわざ聞きに来てくれる分、人間の女よりよっぽど良心的だぜ」

まどか「今まで、ひどいめに遭っていたんですね」

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:46:01.31 ID:s242xTP60
ピッコロ「何故殺すのでしょうか…」

ショウ「難しいことを聞くな。それに、失礼だがその体、あんたも魔法少女の仲間かい?」

ピッコロ「いえ、わたしは修行の途中で彼女たちに出会いました」

ショウ(修行と言ったのか? 坊さんみたいなヤツだ… そういえばどことなく似てるな、あの時の)

ピッコロ「魔女も魔法少女も、人間も、元をたどれば一つの血のものだというのに…」

ショウ「人間は欲に生かされてるからさ」

ピッコロ(自らの『悪』を認めたくないという欲がその身を滅ぼすと、悪意の魔女も言っていた)

ショウ「とはいえ、決して悪いことばかりじゃない。誰かさんの欲のおかげで文明は進歩して、俺たちはこんな便利に暮らせるわけだ」

ショウ「より便利に、より豊かで幸せになろう。もしできれば他の誰かもっていう気持ちが、誰にだって少しはあるだろ」

ショウ「いい方向に捉えればそうなるものが、時と場合によっちゃあ人も殺すおっかないもんと、根っこの部分で結びついてんのよ」

ショウ「いや、もしかしたら同じものなのかもしれない。俺が昔聞いた話の受け売りだけどな、子供の頃、近所に教会があって」

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:49:11.07 ID:s242xTP60
杏子「そんな話をしてる場合じゃないぞ!」

まどか「杏子ちゃん! さやかちゃんは?」

マミ「美樹さんは……」

ほむら「消滅したわ」

杏子「さやかならいるだろ、すぐそこに!」

QB「もう追いついて来た!」

ショウ「な、なんだ!? おい、どこだよココは!」

まどか(この人、結界に引きずり込まれて来た… さやかちゃんに呼ばれてるの?)

まどか「おじさん、この中でヘタに動かないで! わたしたちといれば安全だから」

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:53:05.28 ID:s242xTP60
まどか「大きい…」

ピッコロ「あれが、ワルプルギスの夜……?」

ほむら「違うわ。確かにいつもより手強いけど、あれはさやかだったものよ」

杏子「本来ならもうちょっと楽勝だったのね」

オクタヴィア「」ブンッ!

ショウ「うおあああ!!」

マミ「騒ぐんじゃありません!」

ショウ「この子ら、あんなのと戦ってたのかよ…」

杏子「おいオッサン、あいつはさっきまでの戦いで、マミのティロ・フィナーレを至近距離から二発食らってごらんの勢いだ」

杏子「何かないか? 突破口を開けそうな技は?」

ピッコロ「一つだけ。ただ、実戦で使うのは初めてです」

杏子「贅沢言ってる場合じゃなさそうね。ぶっつけ本番だ」

ピッコロ「気を溜めるのに時間がかかります。それまで注意を引きつけられますか?」

杏子「しょうがない、また分身か… マミも魔弾を増やせるかい?」

マミ「やってみるわ!」

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 12:55:50.13 ID:s242xTP60
ピッコロ(……まだか)

『良かったなぁ』

ピッコロ(お前は、使い魔の! 生きていただと?)

『今のわたしは使い魔ではない。あの魔女との接触がきっかけで目覚めたのだよ。お前の中に潜む魔族のサガが』

『それより良かったではないか。とっておきの大技でさやかを始末できるぞ』

ピッコロ(なんと……!)

『目障りだった。せっかく皆で稼いで来たソウルジェムを食い尽して、危うく杏子まで引きずりこむところだったさやかが』

ピッコロ(そんな理由で、わたしがさやかを撃つと思っているのか)

『よせ。わたしに隠し事は通用しない。お前が溜め込んでるその『気』のことも手に取るようにわかる』

ピッコロ(やめろ……!)

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:01:48.76 ID:s242xTP60
『素直になれ、ピッコロよ。邪魔者は消してしまうに限る。見てみろ』

杏子「まだか!?」

マミ「こっちも長くはもたないわよ!」

『撃てばあの二人も助かるぞ。何も憎しみだけで撃てと言っているのではない。ほんの少し混ぜてやるだけだ』

ピッコロ(仕方ないか… 充填完了だ! 発射する!)

『それでいい! 『助けるためなら仕方ない』よなぁ!』

『お前も仲間だ! 立派な魔族になれる! さぁ撃て! 悪魔の光で、魔女を貫く…!』

ピッコロ(しまった、口車に!)

『これが『魔貫光殺砲』だ! 受けてみろ、さやか!!』 ズォビッ!!

 ギャルル……!!!

マミ「鎧に穴が! …なんて威力……」

杏子「中身を直接叩くぞ! 分身を集中させる!」

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:04:40.60 ID:s242xTP60
杏子「さやか! 今行くからな! ラクにしてやる!」

オクタヴィア「グオオオオオ!!!」ガシッ!!

杏子(捕まった!!)

  ググググググ

   グシャッ

杏子「ぐあああああっ!!」

マミ「佐倉さん!」ドシュウッ!!

  ドサッ

杏子「ありがとう、マミ…」

マミ「そのケガでは無理よ! 治るまで後退して!」

杏子「いや、まだ行ける… 今ので勝機が見えた!」 ダッ

オクタヴィア「!」

200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:07:53.89 ID:s242xTP60
杏子「二度も捕まるかよ!」

 ブォン!
杏子(しまった、さっきのはおとり……!?)

 バギャアッ!!
杏子「ぐっ…!!!」

杏子(魔法で治るのか、これ…? だけどな、完全に潰さなかったのはお前のミスだ!)

マミ「佐倉さん! 何をしてるの! 戻って来て!」

杏子「ウデ一本残ってれば何とかなる! オッサンの開けた穴はあそこだな!」

 ドサッ
杏子「さやか! いいこと教えに来てやったよ!」

オクアヴィア「グオオオオオオ!!!!」

杏子「騒ぐなっての。傷に響くんだから」

杏子「見ろよこの体! お前が生んだ絶望の魔力だか何だかのせいで、全身ボロボロだ!」

杏子「でもその痛みを消さずにここまで来られたんだ。いいことってのはな、さやか!」

杏子「絶望を受け止める覚悟から、新しい希望が生まれて来る……」

杏子「あたしら魔法少女ってそういう仕組みだったんだよ!」

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:12:10.15 ID:s242xTP60
まどか「さやかちゃんが……」

ほむら「たおされていくわ。この世界でも…」

ほむら(何か落とした? グリーフシード? ……それだけじゃない。あれは) タッタッタッタ

ほむら「やっぱり」

マミ「暁美さん、それってもしかして、美樹さんの剣かしら?」

ほむら「そうみたい。持ち主の魔力を失っても、剣だけが残るなんて…」

杏子「死んでもまだ、あたしらと一緒に戦ってくれるのかな」

ほむら「ねぇ杏子、この剣は私が使っていいかしら?」

杏子「なんでこっちに聞くんだよ」

ほむら「あなたが一番、彼女の事をわかってる気がしたから」

杏子「いいよ。さやかもほむらを信頼してたからな。ちゃんと使いこなしてやってくれよ」

ほむら「ありがとう。では盾にしまっておきましょう」

ほむら(美樹さやか…… まったく、最後まで手のかかる子だったけれど)

ほむら(あなたの魔法少女としてのプライド、決して忘れはしないわ)

204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:16:33.17 ID:s242xTP60
——それから半年後のほむホーム——

マミ「それでは、いただきま…」 ピンポーン

ほむら「…またいいタイミングで来るわね」

杏子「あの野郎、まさか狙ってたのか?」

まどか「出てくるね」ガタッ

まどか「いらっしゃ~い」

ショウ「よぅ、いい匂いするな」

まどか「今夜はすき焼きなんですよ~」

ショウ「ありがてぇ… ありがてぇ……」

  杏子「ヤクザに食わせる分はないぞ! 何の用だ!?」

まどか「…すいませんね。杏子ちゃん、お肉久しぶりだから気が立ってて」

ショウ「上がっていいかな?」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:18:40.90 ID:s242xTP60
ショウ「それで今回の魔女らしい情報ってのがだな… 地図でいうとこの辺だ」

マミ「普段見回りに行く範囲からだいぶ外れてますね」

ほむら「そこまで行くと、他の魔法少女の縄張りになっていそうね」

杏子「あー、思い出した。小さい頃、その辺へは近づくなってよく言われてたわ」

ショウ「いかがわしい外人のたまり場で、半ばスラム化してるような地域なんだ。ここ何ヶ月かで急に自殺者が増えてるらしい」

杏子「言っちゃ悪いけどさ、それ普通に連続殺人事件じゃないの?」

ショウ「と思うだろ? でもこの間死んだ人が現場にこんなのを書き残してた」

ほむら「これ…! 魔女の文字に間違いないわ」

ショウ「やっぱそうか。という訳でさ、調べてみてくれないかな」

212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:21:11.83 ID:s242xTP60
ほむら「珍しいわね。いつもだったら、そんなとこにいる人なんて放っておいていいとか言いそうだけど」

ショウ「近頃、見滝原の魔女も増えてきてるんだろ? もしかしたら、発生元はここかもしれないんだぞ」

杏子「けっこうじゃねぇの。どうせ死ぬのは不良外人だろ? ちゃんと管理して、グリーフシードの養殖場にしちゃえばいいんだ」

マミ「またそんなこと言う… いいわ。調査は私が行く」

ショウ「ゴメンな。本当だったら、女の子に行かせるような場所じゃないんだけどな。俺も行って魔女の所まで案内するよ」

杏子「そういう時こそあのオッサンに行かせりゃ張り切ったろうになぁ」

まどか「ピッコロさん、どこにいるんだろう。あれから連絡とかないの?」

杏子「ないね。半年前、さやかと戦った後に姿を消して、それっきりだ」

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:26:07.41 ID:s242xTP60
——翌日——

マミ「魔女狩りに行って、興味深い子に会ったわ。その子も魔法少女なの」

杏子「やっぱり誰かの縄張りだったんだな」

まどか「どんな子だったんですか?」

マミ「ダージリンから来た子でね、けっこうベテランみたいだから、いろいろ聞かせてもらったわ」

杏子「なんだ、紅茶の話か」

ほむら テレパシー(ダージリンって地名だったの?)

まどか(インドにある紅茶の名産地なんだよ)

ほむら(ああ、あの……)

マミ「むこうにいた頃、彼女にも何人か仲間がいたようだけど、ケタ違いに強力な魔女があらわれて、皆やられてしまったの」

ほむら「まさか…!」

マミ「その魔女の特徴を聞いて来たわ。上下逆さまで、火を噴く攻撃をしてくるって」

杏子「ほむらに見せてもらった資料の通りだ」

ほむら「ワルプルギスの夜… ついにあらわれたわね!」

218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:30:32.02 ID:s242xTP60
まどか「大丈夫かな…? 三人だけで」

ほむら「三人じゃない。四人よ。さやかの剣も力を貸してくれる」

ほむら(そう。いざとなったらこの四人でかかれば……)

杏子「ワルプルギスの夜、か… 本当に来るのかな?」

ほむら「来るでしょう。きっと」

杏子「だって、今までほむらが戦ってたワルプルギスの夜って、いつもなら半年前に来てたんでしょ?」

まどか「今度のは遠くに出たみたいだし、もしかしたらここまでたどり着かないとかは…?」

マミ「そうだといいけど」

ほむら「都合良くいかないケースを想定しておくにこしたことはないわ」

ほむら「それはそうとQB」

QB「ごめんよ…… まさかもう出ないだろうと思って、捜索を打ち切ってたんだ……」

ほむら「今はどこにいるの?」

QB「それもわからないね。目撃情報らしいのを集めてみたけど、出現する場所も時期もバラバラだ」

杏子「いつ来るかわからないのがもどかしいな」

ほむら「念のため、下準備をしておくわ」

220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:33:22.24 ID:s242xTP60
——結界——

  ズドォォォォ……!!
マミ「またダミーだったようね」

杏子「本体は上だ!」

ほむら「おあつらえむきね。空中戦用のフォーメーションを試すわよ。打ち合わせ通りに!」

マミ&杏子「了解!」



杏子「今度こそ!」 ズバァッ!!

杏子(踏み込みがきかない!)

魔女「ウォォォオオオオ!!!」ブォン!!

杏子「身動きもか! これだから空中戦は」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:34:47.13 ID:s242xTP60
マミ「佐倉さん!? リボンを出すわ!」

ピッコロ「それには及びません!」バッ

杏子(!? …飛んでる… あたし、落ちてないの?)

ピッコロ「間に合いましたね」

杏子「おいオッサン! 帰って来たのか? 今までドコ行ってたんだよ!」

ピッコロ「話の前に、まずはあの魔女を片付けます!」

 ドゥン!!

マミ「今の、見えた?」

ほむら「…何も」

222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:36:40.86 ID:s242xTP60
——ほむホーム——

まどか「おかえりなさい! あれ、みんなも一緒?」

ほむら「ただいま。今日はマミと杏子だけじゃないわよ」

まどか「ダージリンの子… じゃない、ピッコロさん!? 帰って来てくれたんですか?」

ピッコロ「はい。もう戻ることはないと思っていましたが」

杏子「ここで始めるなよ。あがらせてもらうぞ」

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:39:49.99 ID:s242xTP60
杏子「さて、まずはどうしていきなりいなくなったのか、からかな」

ピッコロ「さやかを撃った時のことです。わたしは自分の中に巣食う、悪の気と対面しました」

杏子「そんなもん、誰にだっているよ」

ピッコロ「しかし、わたしの『悪』は魔法少女だったさやかを手にかけたのです」

まどか「でも、あの時さやかちゃんを止めなかったら……」

ピッコロ「憎しみの『気』をこめてしまった、ということです。もう皆さんと一緒に戦ってはいけないと思い、旅に出ました」

杏子(そんなの気にしなくていいのに)

まどか「杏子ちゃんと会う前もずっと一人旅だったんですよね」

ピッコロ「そうです。また旅に出て、わたしは出会いました。この地球の神と」

杏子「……また変なのが出てきたな」

ピッコロ「変ではありません。本物です」

杏子「それが変なヤツだっての」

ほむら「杏子の言う通りだけど、話が進まないわ。一通り聞いてからにしましょう」

224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:44:16.47 ID:s242xTP60
ピッコロ「残念ながら神にも寿命があるのです。わたしは後を継ぎたいと思いましたが、断られました」

ピッコロ「神はわたしの中にある『悪』の気を見抜いておられたのです」

まどか「おじさんがダメだったら、他の人もみんなダメなんじゃない……?」

ピッコロ「わたしは厳しい修行の末、『悪』をこの体から分離させる事に成功しました」

マミ(サラッと言うけど、そんなのどうやったのよ……?)

ピッコロ「『悪』を分離させた事でわたしは認められ、この地球の神になりました」

まどか「じゃあ今日はお祝いに…? じゃ、なさそうだね……」

ほむら「魔女化したさやかを倒した日は、本来なら私たちの決戦の日」

マミ「分離した『悪』の部分って、まさか」

ピッコロ「ワルプルギスの夜…… あれはわたしのことだったのです」

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:46:02.94 ID:s242xTP60
まどか「なら良かったじゃない」

杏子「うん。なんか肩の力抜けちゃったよ」

ピッコロ「?」

まどか「おじさんの『悪』の部分でしょ? そんなのきっと大して強くないよ」

杏子「神様に会ったのが、あたしみたいなのじゃなくてよかったな!」

マミ「でも、ダージリンに現れたのは強かったって」

QB「それはおそらく完全体だからだね」

ピッコロ「ワルプルギスの夜は他の魔女を襲い、その力を吸収し、今や通常の魔女よりも遥かに強くなっています」

杏子「で、でもさ、この四人でかかって倒せないほどじゃないだろ?」

ピッコロ「しかし… わたしにはあれと戦えない事情がありまして…」

杏子「そっか、だから弱いうちに倒しておかなかったんだな」

QB「その事情というのを、ちゃんと彼女たちに話しておいた方がいい」

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:48:19.82 ID:s242xTP60
QB「君も地球暮らしが長いだろう。ここでのルールには従っておいて損はないんじゃないかな」

ほむら「引っかかる言い方ね」

杏子「まるでオッサンがお前の仲間みたいじゃないか」

QB「そうだよ。彼は地球から遠く離れたナメック星で生まれた、君たちの言い方をするなら異星人さ」

マミ「異星人…!?」

ほむら「QBの他にも、地球へ来ていたというの?」

ピッコロ「わたしが異星人…」

杏子「自分でも知らなかったのかよ!?」

ピッコロ「ええ… どおりで皆と少し違うと……」

QB「その昔、ナメック星は天変地異で壊滅的な打撃を受けた」

QB「生き残ったわずかなナメック星人が、ひとまず子供だけでも逃がそうと、送り出したのが地球へ着いたようだね」

まどか「その通りだとしたら、すごいですね! 宇宙人なのに地球の神様になっちゃうなんて」

杏子「アウェーで優勝しちゃったんだもんな」

ピッコロ「ほめられる資格などありません… ワルプルギスの夜を生み出したわたしには」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:53:02.15 ID:s242xTP60
ピッコロ「くわえてもう一つ。あれは私の化身であり、殺せばわたしも消えてなくなります」

杏子「戦えない事情ってのはそれか。神様が自殺するわけにもいかないって」

ピッコロ「わたしは地球人に、地球の神を殺すという重荷を背負わせてしまった……」

ほむら「なら私が引き受けるわ。あれとは因縁があるもの」

ピッコロ「いいえ、今度現れた時には、わたしが戦います」

まどか「戦ったら、おじさんも死んじゃうのに…?」

ピッコロ「殺さずに封じ込める方法を教わったのです」

ほむら「では明日の訓練でその方法というのを見せてもらえるかしら」

マミ「私たちもピッコロさんを援護するフォーメーションを考え直しましょう」

杏子「……封じ込めちゃっていいのかな?」

ほむら「当たり前でしょう。あんなもの、野放しにしていいことなんて一つもないわ」

杏子「いや、どうしてかな… うまく言えないんだけど…… 何か大切な事を見落としてるような」

230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:56:15.78 ID:s242xTP60
杏子「なぁオッサン、さっき言ってた『悪』の部分を切り離すのって、神様になるためなんだよな?」

ピッコロ「はい。たとえわずかでも『悪』の気を持つ者が神の座については行けませんから」

まどか「切り離すなんて、よくできたね」

QB「ナメック星人は温厚で礼儀正しいと言われていたんだ。おそらく地球でいう『悪』というのが彼らになかった精神なんだろう」

QB「とはいえ、長らく地球人に混ざって暮らしていた彼は例外だったようだけどね」

ほむら「『悪』が後付の精神だから、どうにか切り離す事ができた、というわけかしら」

QB「ナメック星人に悪意を抱かせるなんて、君たち地球人は最高の研究材料だよ」

マミ「元を正せば、私たちの影響だったというわけね……」

杏子「う~ん、まだスッキリしないなぁ……」

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 13:58:48.67 ID:s242xTP60
——そしてピッコロも混ぜた訓練が始まり——

まどか「この子たち、みんな魔法少女なの?」

QB「頼みの綱はピッコロの魔封波だけど、使い魔との戦いもあるから、協力を呼びかけたんだ」

杏子「へぇ、QBも張り切ってんだな」

QB「地球で好き勝手に暴れられたら、僕たちだって困るんだよ」

杏子「まどかと契約しないってのと同じ理由か。にしてもよくこんなに集まったな」

QB「この作戦が成功したら、特別にぼくがストックしてるグリーフシードをわけてあげる約束をしたんだよ」

杏子「マジで!? あたしらにはそんなこと言ってなかったのに!」

QB「君たちはこの街を守るという使命を果たせればそれでいいじゃないか」キリッ

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:05:06.74 ID:s242xTP60
ほむら「私たち以外には、本当だったらワルプルギスの夜と戦わなきゃいけない理由はないのよ」

ほむら「報酬を与えて協力してもらった方が信頼できるでしょ」

杏子「まぁ、一理ないでもないな……」

魔法少女A「あれ、杏子じゃない? あんたも来てたんだ」

魔法少女B「QBがあんな気前いいと怪しいけど、なんだかんだで魅力だよね」

杏子「うるさいな、あたしはタダ働きなんだよ!」

ほむら「誰?」

杏子「風見野の魔法少女。何度か会った事あるんだ」

魔法少女A「へぇ… 巴マミにとりいってそっちの縄張りに入れてもらったって噂、本当だったんだ…」

杏子「そんな話になってんの!?」

ほむら「あながち間違いでもないじゃない」

杏子「大間違いだよ! …ったく、誰だよ変な噂広めるのは…」

マミ「ウワサは乙女のビタミン剤だもの、仕方ないわ」

マミ(私もひとりぼっちじゃないってアピールしたことあるけど……)

マミ(どうやら変に尾ひれが付いちゃったようね。気をつけないと)

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:10:17.89 ID:s242xTP60
杏子「お、いつかのインド人も来てるのか」

まどか「ワルプルギスの夜について教えてくれた子たちだね」

マミ「向こうのエリアのお友達も一緒みたいね」

魔法少女 印「マミ~! 久シブリね!」

魔法少女 中「ナカマ いぱい きたよ~!」

魔法少女 米「私たちはピッコロさんの補欠みたいね。でもいざって時は任せて!」

魔法少女 巴「ありがとう! これだけいれば、もう何も怖くないわね!」

魔法少女 焰「よろしく。ずいぶん大所帯になってきたわね」

杏子「……いやお前らは普通にマミとほむらのままでいいんだよ」

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:12:39.72 ID:s242xTP60
——合同訓練開始から二週間——

魔法少女A「天気予報で情報をつかめるなんて、珍しい魔女もいたもんだな」

ほむら「でも間違いないわ。今までもワルプルギスの夜は嵐になってやって来た。それに」

ピッコロ「通常の魔女とは比べ物にならない気を感じます」

魔法少女A「本人が言うならアテになる、か」

魔法少女B「オジさん、神様なんでしょ? こんなとこにいてもいいの?」

ピッコロ「ワルプルギスの夜を封印するまでの間は、わたしの付人が代理を務めてくれています」

マミ「必ず成功させないとね……」

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:14:55.56 ID:s242xTP60
——上条家——

杏子「……」

 パチパチパチ
杏子「いい演奏だったよ。違いのわからないヤツに言われても、ありがたくないかもしれないけどね」

上条「わざわざ聴きに来てくれたんだもの。嬉しいよ」

杏子「ここんとこ、ずっと考えてるけど、わからないことがあってさ」

杏子「さやかならどうするかって思ったら、急に聴きたくなったんだよ」

上条「……君はさやかのこと、どこまで知ってるんだい?」

杏子「おしかけといてゴメン、話していいのかわからない」

上条「ぼくのケガのことは知ってるんだね。さやかのことを考えててこれを聴きに来るくらいだから」

杏子「聞き返していいかな、そっちこそさやかになんて聞いてるの?」

上条「詳しいことは何も。ただ、僕はこう思うことにしてる。この手はさやかが恵んでくれたんだって」

杏子「……いつ気付いた?」

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:17:24.94 ID:s242xTP60
上条「さやかが亡くなってからかな。でも確信に変わったのはたった今、事情を知ってそうな君の反応を見て」

杏子「相変わらずタチの悪いヤツめ…」

上条「どうやったのかはわからないけど、彼女の言葉を借りるなら、奇跡か魔法のどっちかなんだね」

上条「それで考え事の方はどう? 何かわかりそう?」

杏子「全然だね……」

上条「ならもう一曲聴いていってよ。今度はもっと心をこめて弾く。さやかが遺してくれた、この手で」

杏子(この演奏を守るために、さやかは魔法少女になって、死んでいった。起こるはずの無い奇跡のツケを清算したんだ……)

杏子(ならやっぱり、ワルプルギスの夜も、どこかで誰かが清算しないといけないのかな)

杏子(封印じゃなくて、倒しちゃえばいい…? 殺すの?)

杏子(そうなるとわかってて、なんで前の神様は『悪』の気を地上に置いて来させたんだろう……?)

239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:19:01.79 ID:s242xTP60
——当日 避難所——

ショウ「この嵐も魔女の仕業なんだろ? そんなケタ違いのヤツに勝てるのかい?」

まどか「どうなのQB?」

QB「今回の目的は封印だよ。万が一失敗したとしても、マミ・杏子・ほむらの三人と」

QB「応援に来てくれた魔法少女も合わせて12人。計算上、ワルプルギスの夜の戦闘力を上回るね」

まどか「どうにかなるみたいですよ」

ショウ「ならこっちはこっちの仕事に専念しますか」

QB「そうだよ。ワルプルギスの夜より、君は債務の心配でもしてたらいい」

まどか「ショウさんの借金の方が問題みたいです」

ショウ「そっちは半年がかりでこの間完済したよ。俺、今日はボランティアで来てるの」

まどか「わたしも何か手伝いましょうか?」

ショウ「弟ちゃんと遊んでなよ。でもまた後で会おう。QBに戦況を聞きたいから、通訳してくれ」

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:22:48.56 ID:s242xTP60
杏子「こいつら、使い魔と思ったら全員魔女なのかよ…」

マミ「グリーフシードを落としてくれるから回復できるけど、こう多いとキツいわね」

ピッコロ「これでは本体に近づけないな…」

杏子「あんたはなるべく手を出すな」

ほむら「そうね。魔封波の前に余計な体力を消耗しない方がいい」

マミ「魔弾とリボンの魔法で道を作るわ! ピッコロさん、ついてきて!」

ピッコロ「すまない、マミ!」

マミ「この程度でワルプルギスを封印してもらえるならね!」

杏子「」ハッ!

ピッコロ「決着をつけるのは、元凶であるこのわたしの役目ですから!」

杏子(違う……!)

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:23:50.40 ID:s242xTP60
ほむら「ボーッとしてる場合じゃないわよ! 援護しないと」

杏子「反対だ! 止めてくる!」

ほむら「ちょっと! どこ行くのよ!?」

ピッコロ「ワルプルギスの夜よ! お前を殺さずに倒す方法を、地球人が教えてくれたぞ!」

杏子「やめろ!」

ワルプルギス「!!!?」

ピッコロ「魔封波だ!」カッ!

 ズオオオオ……!!

杏子「そいつに手を出すなーっ!!」

ワルプルギス「ギャアアアアア!!!!!」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:30:08.81 ID:s242xTP60
まどか「あれが魔封波? おじさんたちは勝ったの?」

QB「安心するのはまだ早いよ。あれを閉じ込めてようやく完成なんだ」

まどか「でもワルプルギスの夜が捕まって、逆さになってる」

QB「元々逆さまだったのが、元に戻る? まさか!?」

まどか「6を逆さにすれば、9になる… そんなの……」

QB「撃ち返す気だ! ピッコロ! 早く逃げて!」



ピッコロ「!!」

杏子「待ってろ、今助けるから!」

ほむら「離れなさい! 巻き込まれたいの!?」

 グアアアア!!

ピッコロ「わ、わたしは死んでも構わない……」

ピッコロ「誰でもいい、こいつを倒すのだ! 世を清めてくれ!」

 ボッ!

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:34:27.69 ID:s242xTP60
ほむら「杏子、確認しておきたいことがあるのだけど」

杏子「なんだい?」

ほむら「魔封波が通用しなくて、ピッコロさんが封印された以上、私たちが戦うしかないわ」

ほむら「ワルプルギスの夜を倒せば、神様も死ぬ事になる。それでいい?」

杏子「今更死人を出さずにどうにかしようってのは、都合が良すぎる」

杏子「それにあれは、人間の手で倒さなくちゃいけないものだ」

マミ「でもそうしたら、ピッコロさん… 神様まで」

杏子「ワルプルギスの夜は、人間の持っていた『悪』の気がナメック星人に溜め込まれて出来上がったもの」

杏子「地上に災厄を起こして、『悪』を与えた人間に、悪の報いを与えてまわる」

杏子「きっとそれが神様の役目なんだ…… だからあれは神様じゃなくて、人間が受け止めて、倒さなきゃいけない」

247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:36:27.68 ID:s242xTP60
ほむら「それを聞いて安心したわ。心置きなく戦えるもの」

杏子「今度こそ、皆でほむらのループを終わらせような!」

ほむら「私一人でやるわ。あれとは因縁があると言ったでしょう。それにね、切り札を使うの」

ほむら「でもコントロールできる自信はないわ。あなたたちまで巻き込んではいけない。さがっていて」

マミ「暁美さん、何を使うつもりなの?」

ほむら「まず最初にミサイル攻撃をしかける。ワルプルギスの近くにいる魔法少女は全員退避を」

ほむら「それと、あなたたちはちょっとソウルジェムを貸して」

杏子「どうするつもりよ?」

ほむら「二人の穢れをわけてもらうわ」

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:39:17.68 ID:s242xTP60
——ワルプルギスの夜 足下付近——

魔法少女A「ほむらからテレパシーだ! 印にも通訳頼む!」

魔法少女 米「やってるわ! でも」

魔法少女 印「魔封波は失敗したんでしょう? この手で仇を討つチャンスなの! やらせて!」

杏子『まだいたのか!? 早く逃げなよ! ほむらは手加減する気ないぞ!』


 ゴオオオオオ……

魔法少女A「魔女がもう一体! 誰がやられた!?」

杏子『コイツは味方なんだ! それより逃げなってば!』

魔法少女 米「了解! 行くわよ、二人とも!」

249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:42:05.38 ID:s242xTP60
——避難所——

まどか「あれは、さやかちゃんの……」

QB「魔女オクタヴィア。間違いないね」

まどか「さやかちゃん、生きてたの?」

QB「違うよ。あれはおそらく、彼女の剣に宿った魂とグリーフシードから再生したものだ」

QB「しかし膨大な魔力が必要になるはず。ほむらのソウルジェムでは供給が追いつかないくらいの」

まどか「ならどうやって?」

QB「ほむらのソウルジェムは限界を越えている。あれはおそらく、魔女の力だ」

QB「マミと杏子の穢れを引き受けて、許容量を突破させたみたいだね」

まどか「そんな…… ほむらちゃんまで!」

QB「でもおかしいよ。ソウルジェムは文字通り『限界を越えている』のに、グリーフシードへ変質しない」

QB「かろうじて魔法少女としての自我を保てるよう抑えて、魔女の力だけを取り出している」

まどか「ソウルジェムって、そういう使い方もできるんだ」

QB「まさか! 完全に想定外だよ! 幾度となくワルプルギスの夜と戦い続けて来た彼女の、執念がなせる業だ……」

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:45:48.72 ID:s242xTP60
——オクタヴィア コックピット——

11人の魔法少女たちからひっきりなしにテレパシーが飛んで来る。
けれども、その中の一つとして、今のほむらに理解できるものはなかった。

(人間の言葉がわからない…… 本当にもう半分以上、人間じゃなくなっている)

ボディに合わせて巨大化した剣を一振りし、手応えを確かめる。

(ということは、うまくいったようね)

限界を超えたソウルジェムの魔力でオクタヴィアを再生し、中枢に収まる。
魔女の力と、魔法少女の魂を融合させるというアイデアは以前からあったものの、元に戻る方法がないため、使い物にならなかった。

(さやかが遺してくれたものなんだからね、大事に使わせてもらうわよ!)

251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:47:10.23 ID:s242xTP60
ループを繰り返し、幾度となく戦ってきたが、今回のオクタヴィアはいつになく手強かった。
その巨体は今、完全にほむらの制御下にあり、意のままに動く兵器と化している。
突然現れた魔女を敵と認識したのか、直立したワルプルギスの夜がこちらを向き、悲鳴に似た雄叫びをあげた。
体格は互角、しかし白兵戦に持ち込めば武装と技量の差で優位に立てる。

(行くよ、オクタヴィア)

かすかに震えたオクタヴィアへ呼びかける。出来る限り優しく、小さいな子供を諭すように。

(怖がることはないわ。あれは地上の人々が生み出した悪意……)

優しく。魔女を優しく扱うのも奇妙な感覚ではあったが、彼女を乗りこなせなければ勝ち目は無い。

(おまえを作った美樹さやかは、そういうのを相手にしてたんだから!)

252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:49:17.15 ID:s242xTP60
ワルプルギスとの直接戦闘を想定した上であらかじめ調査していた武器に『合図』を送る。
魔女の力も借りて増幅したテレパシーが電子部品に入り込み、『彼ら』にまるで人の手で操作されているような錯覚を起こさせる。

(市街地を通るから高度をとらせるように…… それと距離がある分、着弾までタイムラグがあるわね)

その間、余計に動き回られるわけにもいかない。かといってまだ間合いを詰めるのは早い。
ほむらが車輪の魔法で牽制しつつ、左腕の盾を構えると、直後にワルプルギスの火炎放射がオクタヴィアに襲いかかった。
魔女の力を集めてきたワルプルギスにとって、魔女との戦いは手慣れたもの。
その炎は魔力を帯びた熱線の塊であり、盾で防いでいようと、人魚のボディに悲鳴を上げさせるには充分すぎた。

(このままじゃ持たない!)

後退し、追って来るワルプルギスの位置情報を送信すると、彼らはすぐ目と鼻の先から反応を返した。

(速かった!)

音速を超えて飛来したミサイルの群れが上空で赤外線画像誘導のシーカーを目覚めさせ、ハイダイブで炎の発生源へ一斉に降り注ぐ。
彼らは陸上自衛隊の地対艦ミサイルで、その前身となった空対艦ミサイルASM-3は、
開発中、あまりにもオーバースペックだったため予算申請を却下されたほどの代物だった。
直撃すれば米海軍の世紀空母でさえ一撃で戦闘不能に追いやるミサイルが、
超音速でなだれ込んで火球を広げ、ワルプルギスの夜を押し潰す。
火球にまた後続のミサイルが突入し、絶え間ない爆発による轟音は
ワルプルギスのあげる悲鳴を呑み込んでかき消し、避難所にも届いて、建物全体に振動を這わせた。

254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:51:37.64 ID:s242xTP60
 一撃で戦闘不能に追いやる」につてちょっと補足

実は現代の軍艦は「装甲を厚くして、攻撃されても耐える」ということをあんまり考えていません。
ならミサイル来たらどうするの? というと、電波や赤外線で妨害するとか、迎撃用のミサイルで撃ち落とすとか、
そもそも敵を対艦ミサイルの射程距離まで来させないようにするとか、そうやって防御してるわけです。
今回登場したASM-3もまた、「すごい威力」よりも、通常の二倍のスピードや、
複数の誘導方式を使い分けるセンサーなど、ミサイルとしての総合的な性能強化を重視して開発されています。

というわけで、ミサイル一発当たったら、とんでもない大ダメージになるのが普通なのでした。

255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:52:27.15 ID:s242xTP60
—— 避難所 ——

ショウ「今の爆発、マミちゃんがやったのかい?」

まどか「わかりません。あんなの、わたしも聞いてないから」

ショウ「核じゃないよな……?」

まどか「……たぶん」

QB「だけど、通常兵器じゃ魔女には致命傷を与えられない」

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:54:08.76 ID:s242xTP60
「うろたえさせれば!」

間合いを詰める隙は存分にあった。
地上では機動力に制限のあるボディを跳ねさせ、無我夢中でオクタヴィアの剣を振り下ろす。
確かな手応えを感じると、頭に血が上ったほむらも冷静さを取り戻し、続く第二波、第三波を正確に繰り出す。
美樹さやかの剣を手にしてからの半年間、以前は心のどこかで『来ないもの』と思いかけていた半年間の成果だ。

(それもこれで終わる!)

ほむらはくずおれたワルプルギスの頭をつかみ、全身をふるわせて雄叫びをあげた。
その魂の鼓動はオクタヴィアにも伝わる。
解放されたパワーがワルプルギスの夜を無人となったビルへ叩きつけ、壁を崩し、鉄骨をねじ切る。
倒壊するビルが巻き上げる粉塵の中、二体の化物の闘争本能が燃え盛り、完全な魔女化を抑えているほむらを引きよせる。

(まだよ… 理性を失うには早すぎる!)

259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:56:02.96 ID:s242xTP60
杏子「ほむらの様子、おかしくない?」

マミ「このままなら勝てるわ。きっと」

杏子「確かにほむらが押してはいるよ。でもワルプルギスがしぶとすぎのかな… トドメをささないよね」

マミ「ピッコロさんがいるからかしら?」

杏子「あのオッサンを殺すことにもなるんだ。抵抗あるのかもな」

杏子「だからさ、あたしも手伝ってくるよ。辛い役目ばっかりさせられない」

マミ「それなら私の方が適任だわ。佐倉さんはここで待ってて!」

杏子「おいマミ! 一人で行くのかよ!」

260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 14:57:53.94 ID:s242xTP60
まどか「マミさん!? 危ないよ!」

ショウ「一人で行った! ほむらたちの間に入る気か?」

QB「無謀すぎるよ!」

まどか「テレパシー中継できる? 早く戻るように言わなきゃ!」

ショウ「間に合わない、見るな!」ガバッ

まどか「ああっ……」

ショウ(ウソだろ? 魔女って人を喰うのか……?)

まどか「ショウさん、マミさんはどうなったの?」

ショウ「…あの子はな……」

ショウ(おいQB! 余計なこと言うなよ!)

QB(黙ってた方がいいみたいだ)

QB(……あれ?)ピコン

QB(これも黙ってた方がいいのかな?)

262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:00:27.55 ID:s242xTP60
杏子「ほむらが言ってた。マミは魔女に頭から喰われて死んだことがあるって」

杏子「変えられない運命ってヤツなのか……?」

マミ『ちょっとくらいなら変えちゃってもいいのよ! 『ティロ・フィナーレ』!!』ズドォォオムッ!!!

マミ「脱出成功ね!」

杏子「生きてた!?」

マミ「QBの言う通り、便利なものね。頭のソウルジェムさえ無事なら再生できるのよ」

マミ「中でピッコロさんを探して連れて来たわ!」

263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:03:33.61 ID:s242xTP60
——オクタヴィア 内部——

ほむら(誰だろう? 金髪の子が、ワルプルギスから出てきた)

ほむら(知ってる子だったはずなのに… いけない、もう時間がない……)

さやか『あれはマミさんだよ。一緒に出てきたのがピッコロさん』

ほむら(そうだっけ……?)

さやか『その半分だけ魔女になる技、消耗するみたいね』

ほむら(完全にこれと同化する前に…)

さやか『うん、次ので終わりにしよう』

ほむら(いいの? あれをたおしたら、いけないような……)

さやか『死にはしないから、思いっきりやればいいんだよ。やり方はわかるよね?』

ほむら(モノマネだけど…)

さやか『あたしも手伝うよ! じゃあ行こっか!』

ほむら(これで終わらせる! 『スクワルタ・トーレ』!)

ほむら&さやか「4倍だあ——っ!!!!!」

264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:06:19.56 ID:s242xTP60
杏子「いいぞ、ほむら!」

魔法少女B「そのまま押し切っちゃえ!」


——避難所——

ショウ「マジかよ… こりゃあ勝てるぞ!」

まどか「マミさんも無事だったし、これでほむらちゃんも報われるんだね」

QB(これだから地球暮らしはやめられないよね……)

QB「いや、残念だけどワルプルギスの夜はまだ生きている」

まどか「ほむらちゃん、あんなカラダに無茶のかかる技まで使ったのに」

ショウ「だけどむこうもかなり弱ってるぞ。あと一歩だ!」

265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:08:56.86 ID:s242xTP60
マミ「生き残った子たちがワルプルギスに群がってるわ」

杏子「グリーフシードに目がくらんだか……」

魔法少女 B「杏子、あんたも人のこと言えるの?」

杏子「痛いトコ突くね」

ピッコロ「いけません、ワルプルギスの夜は、『悪』の気でできた化物」

ピッコロ「彼女たちのむき出しになった欲求を奪い、体力を蓄えたら」

杏子「冗談じゃないよ! 止めに行こう!」

マミ「暁美さんはさっきの大技でもう限界みたいだわ。私たちが何とかしないと!」

266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:11:23.95 ID:s242xTP60



杏子「だめなのか……」クラッ

マミ「私たちでも、あれを倒して手に入るグリーフシードが必要である以上」

杏子「欲を完全に消す事はできない…… それも奪い取られて、あいつを回復させてるみたいだ」

ピッコロ「ワルプルギスの夜め、想像以上の化物になっていたか……!」

マミ「もう魔法も弾切れ… どうやっても、勝てないようになっているみたいね……」ガクッ

まどか「みんな、ありがとう。もう休んでて」

杏子「まどか!?」

マミ「どうしてここに? 危険よ!」

268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:13:25.85 ID:s242xTP60
まどか「みんなが苦しんでるの、テレパシーで聞こえてたから」

まどか「わたしが契約しないと、あれには勝てないんでしょう」

杏子「やめろ! そんなことしなくたって、あんなの…」

QB「もう立っているのがやっとじゃないか」

まどか「QB、わたしの願い事、叶えてくれるよね?」

QB「言ってごらん。もう大体予想はつくけどさ」

まどか「うん、わたしの願いはね」

269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:15:13.44 ID:s242xTP60
QB「まどか、君の願いはわかった。そして僕に願いを拒否する権利はない」

QB「だけど一つ、お願いさせてほしい。その願いは取り下げてくれないかな」

まどか「どうして?」

QB「『全ての魔女を生まれて来なかったことにしたい』それじゃあおそらくワルプルギスの夜は倒せない」

ピッコロ「やはりそうか……」

QB「あれは確かに魔女の力を取り入れて強化されているけど、元はピッコロに蓄積された、地球人たちの悪意が生んだ物」

QB「完全にトドメをさせない以上、いずれ復活してこの世に災厄をもたらすことになる」

まどか「そんな……」

マミ「QBでも手に負えないというの?」

QB「君たちも戦ってみてわかったろう。あれは魔女たちを従える王」

ピッコロ「大魔王、といったところか」

270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:17:43.08 ID:s242xTP60
杏子「いいじゃねぇの。やりなよ、まどか」

まどか「でも、それじゃあ助からないって」

杏子「魔法少女が魔女になるって、その仕組みが気に入らなかったんだろ?」

杏子「だったら叶えたい願いを叶えればいい。思った通りに叫ばなきゃ、願いは空まで届かないんだ」

杏子「それとQB、もしまどかの願いが叶ったらさ、魔女になった子たちを魔法少女に戻してやれないかな」

QB「それはぼくの役目じゃないね。願いを叶えたまどかがやる事さ」

QB「しかし、仮に魔女にならなかったことにすると言っても、彼女たちは魔法少女として限界を迎えている」

マミ「戻れるのは最期だけなのね」

杏子「他に何が起こる? もうちょっと詳しく聞かせてよ」

まどか「杏子ちゃん、何が気になるの?」

杏子「希望と絶望のそう… 転移? だっけか」

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:19:22.01 ID:s242xTP60
ほむら「……? 私、元の体に戻ってる? でもここは?」

ほむら「まさか、私が倒れてる間に何もかも……」

まどか「壊されたんじゃないよ。作り替えるの」

ほむら「まどか! 契約したの!?」

まどか「ごめんね。ほむらちゃんが今まで何度も、わたしを契約させないように頑張ってきたのに」

杏子「でもほむら、まどかを責めないでやってほしいんだ」

杏子「今はやらなきゃいけないことがあるからな。ほら、あれを」

ほむら「ワルプルギスの夜! やっぱりまだ生きていたのね」

まどか「今はマミさんとピッコロさんがなんとか食い止めてくれてるよ」

杏子「これから作り替える新しい世界に、あれを連れては行けない」

ほむら「でも、魔女オクタヴィアの力を使っても勝てなかった……」

杏子「だからみんなでやるんだよ! そのために今、QBが頑張ってるんだ」

272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:22:05.67 ID:s242xTP60
ほむら「QBも? 何をしているの?」

杏子「元に戻った魔法少女全員にテレパシーをつないでくれてる。過去も未来も、まどかが成仏させてくヤツ全員にな!」

QB「地球で稼働していた歴代QBを中継機代わりにしようとしてるんだ」

杏子「あ、それと通訳も頼むね」

QB「また面倒だなぁ」

まどか「QB、わたしも手伝うから頑張ろうよ!」

まどか「あれのせいで新しい世界が上手く作れなかったら、QBだって困るでしょう?」

QB「仕方ないか。ここまで来てエネルギーを回収できなくなったら元も子もないからね」

QB「地球の言葉でいう、『乗り掛かった船』ってヤツだ! 出血大サービスするよ!」

ほむら(ああ、コンコルド効果っていう……)

まどか(ほむらちゃん! 余計なこと言わないの!)シーッ!

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:25:07.70 ID:s242xTP60
QB「準備完了、と! これで全員につながったはずだよ!」

まどか「どうぞ、杏子ちゃん! わたしは行ってくるね!」

ほむら「私も、マミたちに加勢してくるわ!」

杏子「よ~し。聞こえるかい? あたしは佐倉杏子。みんなと同じ、魔法少女だ」

杏子「そして今、ワルプルギスの夜っていう魔女の親玉みたいなのと戦ってる」


杏子「こいつを倒すのに、皆の力を貸してほしい」

マミ「この声、佐倉さん?」

ピッコロ「呼びかけているようですね」

杏子「といっても大した事じゃないんだ。ちょっとずつだけ、みんなの元気をわけてくれ!」

ほむら「私たちは足止めに専念しましょう。彼女の所へは行かせないように!」

マミ「暁美さん! もういいの?」

ほむら「まどかも戦っているんだもの、いつまでも休んでられないわ」

274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:27:42.86 ID:s242xTP60
——別の時代——

杏子「QBが言ってた。希望と絶望がエネルギーになるって」

魔法少女「なに? この声……?」

まどか「お願い、あなたの元気もわけてあげて!」

杏子「これを聞いてる魔法少女たちは、深い絶望を経験してきたはずだ」

魔法少女「うん、いいけど」

まどか「ならこうするの。両手をあげて!」

杏子「でも思い出してほしい。本当はみんな、絶望よりも得意なのがあるだろ?」

魔法少女「そうだよ… わたしには、叶えたい願いがあって」

杏子「希望を振りまく、魔法少女になったくらいなんだから!」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:30:58.49 ID:s242xTP60
マミ「光る物が… 彗星? 違うわよね」

ピッコロ「過去と未来の、呼びかけに応じてくれた全ての魔法少女から分け与えられた希望」

ほむら「集まって行くわ。なんて大きさ!」

ピッコロ「巨大なソウルジェムか? そうだ、鮮烈だが温かみがある輝き…」

ピッコロ(当然のことだ。本当に優れた力を持つもの、真剣なものは美しいに決まっている)

杏子「待たせたな、ワルプルギスの夜! こいつはお前を倒すために力を貸してくれた、魔法少女たちの」

杏子「元気玉だっ!!」

277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:31:34.80 ID:s242xTP60
ピッコロ「絶望にのまれ、魔女になっていった魔法少女たちが、元の姿へ戻って」

マミ「新しい希望に生まれ変わる!」

ほむら「今度こそ、無数に並列する時空の彼方へ!」

杏子「吹っ飛べぇっ!!」ブォン!!

まどか「さぁみんな、一緒に!」

魔法少女全員「Sparking!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:36:11.72 ID:s242xTP60
杏子(じゃあな、ピッコロ(他の世界)の大魔王)

杏子(それと神様… 前の代の、地球の神様)

杏子(あんた本当にヒドい奴だな! 滅多に働かないし、たまに動けばロクなことしない)

杏子(……でもちょっと気が利いてた)

杏子(下界の人間がナメック星人に与えた『悪』は、下界で清算させる)

杏子(たまにはらしいことするじゃん、見直したよ)

杏子(じゃあな! 新しい世界で縁があったらまた会おうな!)

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:37:04.01 ID:s242xTP60
『お姉ちゃん、もう行くの?』

杏子「モモかい? どうして?」

『まどかちゃんに聞いたの。もう過去も未来もないんだって』

杏子「そうだな。いろんな時代の魔法少女が、さっき助けてくれた」

『頑張ったお姉ちゃんにいいものあげるよ』スッ

杏子「なにこれ? 透き通ってて、中に星が光ってる… きれいだね。どこにあったの?」

『どこにもないよ。これから作るものだから、この時間にはまだ存在しないの』

『7つ集めると願いが叶うんだって』

杏子「それじゃ魔法少女の契約と同じじゃないか」

『ちがうよ。神様が新しい世界に授けてくれる、新しい希望なんだから』

杏子「希望、か… だからきれいなんだ……」

『それ持ったら一緒に行こうよ、次の世界へ!』

280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:38:13.21 ID:s242xTP60
まどか「でもね、みんな一緒には行けないの」

ピッコロ「神となったわたしたちは、本来なら下界の人間と関わるべきではないのです」

まどか「だからほむらちゃん…… ごめんね、ここでお別れしないといけないの」

ほむら「私の願い、これからも叶うのかな」

まどか「わたしとの出会いをやり直すっていう?」

ほむら「ここで別れても、またまどかのもとへ導かれて出会い、次の私が下界へ生まれて、また出会いをやり直す」

ほむら「人の一生なんて、神様に比べれば短いものよ。またすぐ会いに行くわ」

まどか「……平気なの? 寂しくない?」

ほむら「当たり前じゃない。わかったら行きましょう。お互い行くべき世界へ」

281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:41:03.44 ID:s242xTP60
まどか「……」

まどか「でも、もう一つお願いしてたよね。わたしを守れるようになりたいって」

ほむら「過去を見たの!?」

まどか「わたしも神様の一員なんだよ」

まどか「きっと次は、今のほむらちゃんに守ってもらわなくていいくらい、立派になるから!」

まどか「ほむらちゃんも、もっと素敵な子になってなきゃ、迎えに行ってあげないからね」

ほむら「楽しみにしてなさいよ」フフッ

282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:42:16.48 ID:s242xTP60
杏子「あたしらもまたどっかで会うの?」

ピッコロ「ええ。あなたならきっと」

杏子「なら別れはいらないな」

マミ「ずいぶんあっさりしたものね」

杏子「このくらいでいいんだよ。それにね、オッサンによく似た人を知ってんの。新しい世界でまた会うんだわ」

マミ「……誰かしら?」

『私も知ってる!』ヒョコッ

マミ「モモちゃん!!?」

『あ、マミさん久しぶりだね~!』

杏子「でも今回はこれで最後だし、言っておこうか」

杏子「ありがとな。あんたと一緒にいる間、時々あの人のことを思い出せたよ」

ピッコロ「わたしこそ、共に過ごせた時間は短いながらも、大事なことを教わりました」

『じゃあ行こっか! まどかちゃんとオジさん、またね~!』

283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:45:43.60 ID:s242xTP60
——それから——

杏子「さやか!」

杏子「マミ! さやかは?」

マミ「いってしまったわ……」

杏子「前に言ってた、円環の理ってヤツか… せっかく友達になれたってのに……!」

ほむら(まどか… さやかを迎えに来てくれたのね)

 コロン

ほむら「何か落としたわよ」

杏子「ああ、ありがとう」

マミ「きれいね。宝石なの?」

杏子「よくわかんないんだよ。いつだったか教会の跡で拾ったんだけど、親父がこんなの持ってたなんて聞いたことない」

杏子「金目のもんじゃなさそうだけど、お守り代わりっていうのかな、きれいだから時々眺めたりしてるんだ」

284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:47:30.79 ID:s242xTP60
マミ「不思議ね…」

まどか『それはね』

ほむら「まどか!?」

マミ「!」

杏子「まどかの声が聞こえたのか?」

ほむら「ええ、その球のこと… ドラゴンボールっていうみたい」

杏子「ドラゴンボール……」

マミ「心当たりが?」

杏子「いや、ないな。でも… いい名前だよ、ドラゴンボール」

杏子「口に出すと、なんだか勇気がわいてくる…… 不思議な響き……」

マミ「心が洗われるような、赤い星の煌めき」

ほむら「ドラゴンボール… その名にふさわしい力があるようね」

285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:50:21.45 ID:s242xTP60
 ディナー中止のお知らせ
 本日貸切につき、ディナータイムの営業を中止させていただきます。
 あしからずご了承ください。
              ロッソ・ファンタズマ 店主

ショウ「そうか、さやかが……」

マミ「いずれはこうなるものとわかっていたけど、いざとなるとね」

ショウ「残ったのは三人とも一人暮らしか。じゃあ今夜はさやかの送別会だ! 好きなだけ注文してくれ!」

杏子「今日はあたしらのお別れでもあるんだよ。これを」

ショウ「へぇ、きれいだな」

ほむら「それと同じ物が、世界中のどこかにあと六個あるの。見つけると願いを叶えてくれるんですって」

ショウ「それを探しに行くってのかい。願い事はあるの?」

マミ「三人で考えてみたんだけど、もう出て来ないの」

杏子「願いなんかどうだっていい」

杏子「これは神様からの挑戦状だからな。できるもんならやってみろって、そう言われてるように思うんだ」

286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:52:40.69 ID:s242xTP60
杏子「バカみたいだろ? 探すったってアテはないし、何も叶えてもらいたいワケじゃないのに、探しに行くって」

ショウ「なら結構じゃねぇの。頭カラッポの方が、その分デッカイ夢を詰め込めるんだぜ」

杏子「ほぅ…… たまにはいいこと言うね」

ショウ「俺、小さい頃風見野に住んでたんだ。今は無くなっちゃったけど、風見原に教会あったの知ってる?」

杏子(それって…!)

ショウ「日曜学校で行ったことあるんだ。そこの神父さんが変わった人で、俺はその人の話聞くのが好きだった」

ほむら(もしかして)ヒソヒソ

マミ(でしょうね)ヒソヒソ

ショウ「確かその時言われたことだ。子供の頃はおかしなこと言うなぁと思ってたけど、今になってよくわかる」

杏子「……いい人だったんだね……」

ショウ「余計なこと考えずに突っ走るのもいいもんだぜ。行ってきなよ。土産話よろしくね」

杏子「待ってろよ、すごいのしてやるからな!」

287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:54:33.25 ID:s242xTP60
——天界——

まどか「ほむらちゃんにドラゴンボールのこと、教えちゃいました」

神様「まったく、いたずら好きな神様もいたものだ」

まどか「おじさんだって嫌いじゃないでしょう。7つも集めないといけないなんて」

神様「ドラゴンボールを探す者は、世界中を旅して、何人もの魔法少女に出会って、学んでいく」

神様「知恵と勇気と、あらゆる困難を乗り越える精神が必要とされるでしょう」

神様「それ自体が修行といえる過酷な旅の末に、七つ全てのドラゴンボールへたどり着いたような人間であれば、いいではありませんか」

神様「一度くらい奇跡を起こしたって」

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 15:57:36.00 ID:s242xTP60
まどか「そこまでしなきゃ、人の力で奇跡は起こせない、か……」

まどか「やっぱりいたずら好きで、意地悪な神様ですね」フフッ

神様「よく言われますよ」

まどか「だからこそ、あの子たちがどう乗り越えるか、楽しみになります」

神様「乗り越えられるかどうかは心配いらないようですね」

まどか「ドラゴンボールは神様が地上の人間たちへ贈った、七つの希望」

まどか「何度深い絶望に捉われても、その度に這い上がって、いつか全てを集められると」

まどか「そう信じさせてくれる子たちですもの」


 —— 完 ——