1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:05:17.10 ID:CRUm2ntk0
【七六五奉行所】

時は江戸……にすごくよく似たどこか星の違う時代。
アイドルなんているわけもないそんな場所だが
可愛い子がちやほやされるなんていうのは、古今東西変わりません。


その星でのある日のこと、茶屋の看板娘、特徴がないのが特徴という
春香さんが神隠しにあうという事件が起こった。


小鳥「はぁ、人探しの依頼ですね」

娘を探そうと、藁をもつかむ思いで親御さんがたずねたのは
万代七六五号奉行所、通称ばんなむなんて呼ばれてるところでありました。
そんな役所の仕事は何でも屋さんです。
なんでもお上が人気取りのためにつくったそうですが、なにも一万以上作ることは
ないでしょう。


春香母「これ、娘の人相書きです。何卒よろしくおねがいします」

こうして何度も頭を下げると、母君は家に帰られてしまいました。

白い紙に書かれた人相書きには 『のワの』とだけ。

こんなんじゃ見つかるはずもない。おまけに高木代官は昼行灯。
頼りになんかなりっこない。

小鳥「これでどうしろっていうの……」

引用元: 春香「プロデューサーさん!時代劇ですよ、時代劇!」 



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:08:16.85 ID:CRUm2ntk0
【神社】


ところ変わって郊外にある農村での事、たくさんの弟妹を抱えながらも
いつも笑顔で甲斐甲斐しく働く、可愛い娘さんがいたんだと。



ところがその家、ここのところおとっつあんの体の具合がよろしくない。
一家の稼ぎは減る一方、家計はもとより火の車。
そんなこんなで、借金の掛け取りがしょっちゅう家に押しかけてくる始末。


身売りをすれば借金はチャラ、そんなわけで娘さんは売り飛ばされることとなった。



長介「姉ちゃんが売られていくなんてそんなのいやだ。
   俺、父ちゃんの分まで働くよ。だから行っちゃいやだ」



あゝ、いつの時代も姉弟愛は美しい。
長男は姉の翻意するように、涙ながらに説諭します。


やよい「わがまま言わないの。お姉ちゃんが我慢すれば、みんな白いご飯食べられるんだから」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:13:10.45 ID:CRUm2ntk0
姉の覚悟は揺らぎません。
弟の説得むなしく、今日の昼に姉は売り飛ばされてしまいました。


売り飛ばされた先は、万代九六一号奉行所の悪代官、黒井崇男の元。
金貸しにろくな奴はいませんが、なんたってこいつは黒い。
官の身でありながら、金貸しなんざやる事自体おかしいですが
それ以外にも人さらいだの何だのと色々と黒い噂の耐えない男でありました。



姉がそんなところに売られたと知っちゃあ弟はたまりません。
とはいってもできることなんざ神頼み以外に何もない。



長介「姉ちゃんが早く帰ってきますように」


なけなしの賽銭を放り込んで、柏手を何度も打って頭を下げれば、
何やら奥から女の声がして参りました


???「その話、詳しく聞かせてもらえないかしら」



この女の正体は一体誰か。それはまた後ほどの話です。

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:19:02.56 ID:CRUm2ntk0
【ラーメン屋】

脱線するようで申し訳ございませんが、ラーメン。それはもはやただの食にあらず。
日々探求、日々精進するそのあり方はもはや人そのものといってもいいでしょう。


こんな駄文を書きながらお酒を飲んでいると、いつも食べたくなってくるから不思議でなりません。
なにを隠そうこのわたくしもその魅力に取りつかれた一人なのであります。


ところでこの世界でらぁめんといえば間違いなくこの人。四条貴音の姫君であります。


らぁめん好きがこうじて諸国を放浪、あちらこちらで事件に巻き込まれる
その生き様はどこかの副将軍みたいです。


貴音「博多、尾道、札幌、えとせとら……
   わたくしはまだまだ登りはじめたばかりなのですね。
   この果ても無きらぁめん坂を。らぁめん二十郎。まこと美味でありました」



響「ラーメンはもう食べ飽きたぞ……」



二十郎に天一、あげくに興味本位で購入した木久蔵ラーメンまで一緒になって食べなきゃならない
付き人響はラーメンなんてもう見たくもない。

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:24:30.32 ID:CRUm2ntk0
貴音「時に響、さきほど天下一品で耳に挟んだのですが、
   最近の江戸では竜宮小町なる義賊が名を轟かせているようですね。
   実に小気味のよい話ではありませんか」



響「そんなことより、さっきおっさんの話してた
  謎の怪鳥のほうが気になるぞ!」



何でもその怪鳥、茶屋で看板娘をはれるような美少女を十三人
集めれば現れて、そのメインヒロインの願いを叶えてくれるんだと。


なんとも都合のいい、ド○ゴンボールによく似た設定ですが、
そんなこと気にしちゃいけない、気にしない。
当SSはご都合主義満載でお送りしています。



貴音「なんとも面妖な、もとい興味深い話です……
   ところで響、美希は一体どうしたのです?」



響「おにぎりがたべたいのーって言ってさっきどっかに行っちゃったぞ」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:29:34.61 ID:CRUm2ntk0
貴音「美希の父君から昨今の情勢を聞きたく思い、
   とりなしてもらおうと思っていたのですが」



響「そのうち戻ってくるだろ」




貴音「そうですね、気長に待ちましょう。別段急ぐ旅でもありませんし。
   ところで響、今宵は久々にらぁめん以外のものを食べることといたしましょう。
   何を食べたいか、日が暮れるまでに考えておいてください」



響「本当か!? じゃあ自分行きたいお店があるんだ~」





待ち人遅くきたりといっても、待っててもこない奴なんて大勢いるものです。
さてさて話にでた美希とやらは一体どこにいってしまったのやら。

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:34:15.41 ID:CRUm2ntk0
【神社】


美希「あふぅ、なんだか眠くなっちゃたの」

おにぎりをたらふく食べて満腹になり、
神社の境内でお昼寝しようと横になった美少女が一人。
ボン・キュッ・ボンなわがままボディのあられもない寝姿は、
うまく書けないのが残念ですが実に  い。


一方で暗く、必死に神頼みをしてる奴も必ず神社にはいるものです。
美希が昼寝をはじめてしばらくの夕暮れ時、
先程話した少年が柏手を何度も打って必死に姉のことを祈っていました。



長介「姉ちゃんが早く帰ってきますように」


まだ子供である己の無力さ。
貧しい家に生まれてしまった不運。優しかった姉との思い出。
いろいろあるのでしょうがこういう光景に夕日が似合うのはなぜでしょう。
少年のくせして、すでに哀愁が漂っております。



長介「姉ちゃん、早く帰ってきてよ。
   もう俺、わがままなんかいわないからさ……」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:39:02.75 ID:CRUm2ntk0
その時、賽銭箱の向こうにある扉が勢いよく開き、
中から眼鏡をかけた知的な女性が現れた。



律子「その話、詳しく聞かせてもらえないかしら」



長介「だれだよ。わるいけどそんな人に話すような話でもないんだ」


少年がそう言って背を向けようとすると、奥からさらにぞろぞろと、
人が出てくる気配がする。

何事だと振り返ってみれば、麗しき乙女たちが並んでポーズを決めていました。


伊織「官が裁かぬ悪ならば!」

亜美「さばいて見せましょ、江戸の華!」

真美「八百八町に名を轟かす」

あずさ「竜宮小町ここに見参!」



律子(ふふふ……ポーズもだいぶ様になってきたわね)

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:45:22.02 ID:CRUm2ntk0
ところがそう思ってるのは、当の律子くらいのようです。


亜美「ねぇねぇ、リッちゃん、こういうのもうやめようよ」


真美「真美たちでも恥ずかしくなっちゃうよ」


あずさ「流石にこの年でこういうことするのって照れちゃいます」


伊織(私は結構かっこいいと思ってるんだけど……)


少年を置いてけぼりにして、ポーズのことでぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ。
女三人で姦しいと書きますが、五人もいるからそれ以上です。



長介「俺、家に帰ってもいいかな」



助けてくれるかもなんて、ちょっとでも期待した自分が
悔しくなった少年は言いました。

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:50:19.26 ID:CRUm2ntk0
律子「ちょっと待ちなさい。
   あんたのお姉ちゃんは私達が助けてあげる」




長介「本当に助けられるの?」



律子「当たり前じゃない。天に代わって悪をうつ。それが竜宮小町よ」



伊織「安心して任せておくといいわ」



長介「不安だなぁ」




少年の不安をよそに、ノリノリで話をすすめていく竜宮小町ですが
この後どうなるんでしょうか。それはやっぱり後の話。

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:54:14.34 ID:CRUm2ntk0
【七六五奉行所】

場面は最初に戻って、捜索願を受け取った美人受付嬢の小鳥さん。
だが顔がわからないことにはどうしようもない。

さてどうしようと頭を捻らせていたところに、
奉行所きってのくのいち、千早ちゃんが帰ってきた。


千早「音無さん、どうかしたんですか?」


小鳥「人探しの依頼なんだけど、こんな人相書きじゃわかるはずないわよね」

適当に書かれたとしか思えない人相書きを千早ちゃんに見せると、
顔がどんどん青ざめていく。どうしたものかとたずねようにも、
尋常じゃない様子だから小鳥さんも中々声がかけにくい。


千早「これは……春香じゃない」


小鳥「え? なんでわかるの、千早ちゃん」


千早「春香がどうかしたんですか! まさか、春香の身になにか」


小鳥「えーとね、話すと少し長いんだけど……」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:00:22.13 ID:CRUm2ntk0
単に春香さんが行方不明。ただそんだけの話なんですが
なんでもない話を長々とするのはお局様にはありがちなこってす。
話があっちへ行きこっちへ行き、話が終わったのは日も落ちそうな夕暮れ時、
カラスがカアとないて、子供ももう帰る時間でした。


小鳥「それでね、吉澤さんたらひどいのよ。私に嫁の貰い手がないのは妄想癖
   のせいだなんていうの。そんなこと関係ないじゃない。全く失礼しちゃうわ」



千早「話の腰を折ってすいませんが要するに春香が行方不明になったということでよろしいんですね。
   あぁ、でもいったいどこにいってしまったのかしら」



小鳥「あら、もうこんな時間なのね。ついつい話し込んじゃったわ。それにしても千早ちゃん、
   あれで正体がわかるなんてちょっと信じられないんだけど」




千早「いいえ、春香はあれでいいんです。一目見てそうだとわかりましたから
   いい人相書きだと思います」



小鳥(一体どんな娘なのかしら……)

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:05:08.25 ID:CRUm2ntk0
【神社】

美希「あふぅ……もう夜なの。あれ、なんか中に人がいるみたいだね。
   なにしてるんだろ?」

美希の目覚めた宵の口、暗い神社の中で話す人影がひい、ふう、みい、よう、いつ。
何やら良からぬ企みをしている様子だが、中々話がまとまらないようです。

伊織「ようはその黒井ってやつを叩きのめせば早いんでしょ? 簡単じゃない」


律子「九六一奉行所には用心棒もたくさんいるのよ? これまでとは訳がちがうわ」


あずさ「今回は人さらいですからね~」


亜美「なんか亜美達悪者みたいだね→」


伊織「あんたたちねぇ、私たちはあくまでもやよいを助けるために
   こうするんだから。竜宮小町は義賊なのよ!」


そんな話を聞いてしまえば、この娘が黙っていられるわけがない。
なんたって、付き人よりは義賊のほうが、よっぽどカッコがいい。


美希「その話、ミキにもくわしく聞かせるの!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:11:50.51 ID:CRUm2ntk0
律子「ちょ、ちょっとなんでここにいるのよ。っていうか誰よ、あんた」

美希「さっきまでそこでお昼寝してただけだよ?
   ミキね、ラーメンばっかり食べさせられるのはもう嫌かなって」

あずさ「あらあら~ダイエット中でずっと食べていないけど
    なんだか私もラーメンが食べたくなってきちゃったわ」

亜美「亜美はとんこつ→」

真美「じゃあ真美は醤油→」

律子「ちょっとあんた達は黙ってなさい。正体がバレちゃったんだから、
   もうちょっと緊張感持って」


美希「お願いしますなの!ミキ、竜宮小町に入ればきっとキラキラ出来るかもって」


伊織「あんたねぇ~ただでさえ真美いれてから定員オーバーなんだから諦めなさい」


その時、律子の眼鏡がきらりと光りました。


律子「キラキラ……そう、それよ!」


一体それがどれだかはわかりませんが、どうやら律子、妙案を思いついたようです。
さてさてどんな作戦なんでしょうか?

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:17:37.59 ID:CRUm2ntk0
【七六五奉行所】

ところまたまた変わって七六五奉行所。


かつて春香さんにえらく世話になった千早ちゃん、義理がたい性格だからなんとか恩を返したいと
常々思っていたが、ようやくその機会がめぐってきた。


千早「絶対見つけてあげるから、待ってて春香」


小鳥「とりあえず、春香ちゃんの働いてた茶屋はここよ。頼んだわね、千早ちゃん」


千早「任せてください」


黒尽くめの装束を着て、ほっかむりで顔を隠すと、
どこからどう見てもくのいちだ。

折よくその日は月に一度の闇夜の晩。
暗い夜に紛れると、千早ちゃんはあっという間に茶屋まで走って行きました。

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:24:16.14 ID:CRUm2ntk0
【茶屋】

旦那「仕方ねぇよ。ああするしかなかったんだ」

奥方「あんたの道楽が過ぎるのが悪いんだろう。
   なんであんないい娘がその尻拭いしなきゃなんないんだい」

旦那「そりゃあ、俺もわりいと思ってるがよ。
   なんてったって小娘一人と引換に借金棒引きとくらぁ、何も損な話じゃねぇじゃねぇぜ。
   まったく黒井の旦那も豪気なこった。おお、そうだ。
   どうせ他所様の娘なんだし、次の娘も可愛いやつを雇って売れば、しばらく遊んで暮らせるぜ」

奥方「あんたって人は……」


壁に耳あり障子にメアリー。いえいえ、誰かの胸に耳があるとかそんな話じゃありません。
どうやら千早ちゃん、息をひそめながらその話を盗み聞きしていたようです。


千早(なんてこと……春香はあの黒井代官のところに……)


なんたって腕利きの用心棒が集う九六一奉行所のこと。
千早ちゃんですら忍びこむのが精一杯で、春香さんを連れだす余裕なんかあるはずもない。

千早(雪歩に協力を頼むほかなさそうね……)


千早ちゃんは雪歩にどんなことを頼むつもりなんでしょうか?

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:29:30.66 ID:CRUm2ntk0
【雪歩の家】



雪歩「あれ? 千早ちゃん、こんな時間に一体どうしたの?」


千早「じつは頼みたいことがあって」


かくかくしかじか話をすれば、
雪歩の目には涙が溜まってオロオロするばかり。


雪歩「大変だよぉ……春香ちゃんが売られちゃう」


千早「大丈夫。必ず助けだすわ。けどそれには雪歩、あなたの力が必要なの。
   穴を掘って、春香を連れ出す逃げ道を作ってちょうだい。見張りは私が眠らせておくから」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:35:16.25 ID:CRUm2ntk0
【寿司屋】

寿司も好物です。
いろんな寿司屋で食ってまいりましたが、未だに職人さんは男しかみたことがない。
ところがここ江戸に一件、女の職人が切り盛りするうまい寿司屋があるとのこと。


四条貴音の姫君と付き人響はその店を訪れました。


貴音「ここですか、響」


響「うん! すっごくおいしいらしいぞ」


ガラガラっと、戸を開けてみるとそこにはとびっきりの美少年、いや美少女が。
それにしたってねじり鉢巻がここまで似合うやつなんて、男でもなかなかいないものです。


真「へい、いらっしゃいお客さん!今日もいいネタ入ってますよ」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:41:04.75 ID:CRUm2ntk0
貴音「それではわたくしは大トロを」


響「自分はエンガワで!」


真「へへーん。とびっきりのお寿司をご馳走してあげるよ」


貴音「時にそこのもの、竜宮小町なるものをご存知ですか?」


真「お客さん、竜宮小町のこと知りたいの?何でも聞くといいよ!
  へへへ、実はボク、竜宮小町の大ファンなんだ!」


そうでしたっけ? まあそういうことにしといてください。

きっとチャキチャキの江戸っ子、真にとって
竜宮小町なんていうのは痛快愉快な存在なんでしょう。

繰り返しになりますが、当SSはご都合主義満載でお送りさせていただきます。

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:47:44.19 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所】

またまたまたまたところは変わって九六一奉行所。
いい加減皆様も後を追うのにつかれてきたでしょうが
いかんせん登場人物が多いんだから仕方が無い。

ところで悪いことしてる奴は、そのぶん敵も多いもんです。

しかしそこは用心深い悪代官のこと。

最強の用心棒、木星といわれた三人をはじめ、
腕に覚えのある猛者をゴマンと揃えて奉行所を守らせておりました。



冬馬「しっかし、暇なもんだぜ……あれ?
   なんか女の泣き声がするな……」



見回り中、女の泣き声を耳にした冬馬がその出処をさがすと、
おおっと、なんとこんなところに隠し階段が!
恐る恐るそこを降りてみれば、下には隠し牢がありました。

牢の中には年もはかない女の子一名、リボンをつけた女の子一名。

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:52:59.83 ID:CRUm2ntk0
やよい「家にかえりたいよぉ……
    長介達お腹すかせてるんだろうなぁ……」


春香「私なんでこんなところに連れてこられたんだろう……
   何されちゃうのかなぁ……」


冬馬「おい、お前ら! 一体どうしたんだ。
   詳しく話を聞かせてくれ」


かくかくしかじか、まことに便利な言葉です。たったニ行で
やよいと春香さんは身の上話を冬馬に伝えました。


冬馬「おっさん……そんな黒いことしてたのかよ……」


そりゃあ名前からして黒井ですからねえ。


やよい「助けてくれるんですかぁ……?」


冬馬「ああ、俺に任せとけ!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:59:10.56 ID:CRUm2ntk0
この青年、黒井代官にうまいこと騙されていたようでして、
今まで何も知らなかったみたいです。


しかし一本気な熱血漢でもある彼が、こんな悪事を黙ってみていられるわけがない。

黒井代官のところに乗り込んでいくと、このことを問い詰めた。



冬馬「おい、おっさん! あんた何やってんだよ!?
   なんの罪もねえ女子供を売ろうなんざ男のすることじゃねえ」


黒井「駒の分際でご主人様のいうことに口を出すな」


冬馬「また駒扱いかよ……俺らにだってなぁ、
   ゆるがせにできねぇ仁義ってもんがあんだよ!」



そういって抜き打ちに切りかかる冬馬でしたが
そこは悪運強い代官のこと。刃は羽織をかすめただけで体には届かなかった。

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:02:02.51 ID:CRUm2ntk0
黒井「ふん。飼い犬に手を噛まれるとはこのことだ。
   ものども、であえ、であえ!」


黒井代官が呼ぶと、奥からは剣客が蟻のようにぞろぞろと
現れてまいりました。


多勢に無勢、これではいかに冬馬が強くとも無理があります。

――そんな時、頼れる仲間がやってきた。


翔太「まったく冬馬くんは、一人でなんでも勝手にきめちゃうんだから」


北斗「ほっとけないね」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:07:58.70 ID:CRUm2ntk0
冬馬「みんな……ありがとよ。
   へへっ。俺達が三人集まったんならもう怖いもんなんてねえぜ!」


念心合体でもしてア○エリオンでもゴーするのかと思えば、
そんなことはもちろんない。


切りかかってくる敵を三人でばっさ、ばっさと仕留めながら
冬馬はもろ肌を脱いで、こう啖呵を切りやがった。



冬馬「腕に覚えがあると思えばどいつもこいつも
   雑魚ばっかじゃねえか。俺達を倒したきゃ
   矢でも大砲でも持って来やがれ!」



――大砲がきました。ついでに吹き矢も。



さてさて一体何がおきたのか。

それを知りたきゃ場所を変えつつ、もう少し話を巻き戻さずばなりません。

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:14:03.21 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所の天井裏】



千早(どうやらあの男の人、味方みたいね……)


天井裏にいる千早ちゃん、節穴から一部始終を見ていた様子でして、
早速援護しようと取り出したるは、どんな人も一発快眠、
吹き矢のその名は『眠り姫』。なんでもこれが刺さったら最後、
とある迷探偵のごとく深い眠りに落ちてしまうんだと。
ちなみに他には、伝書鳩『蒼い鳥』なんかもあるんだそうな。



千早(黒井代官を眠らせておけば、とりあえず楽に春香も助けられそうね……)



思いっきり息を吸い込んで、代官に矢の照準をあわせ、さあ吹こうとした刹那、
耳をつんざく大轟音。千早ちゃんの手は思わずぶれて、矢はあさっての方向へ。



千早(いけない……! 外しちゃった……それより何が起こったの!?)

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:20:41.94 ID:CRUm2ntk0

【九六一奉行所の塀の上】


律子「これが七色牡丹、こっちの玉は煙はらはら玉」


なぜだか地響きのする塀の上に乗ってからというもの、
原因はわからないが今日に限ってよく眼鏡の曇る律子さんは、
仕方なく射手を美希と伊織に任せることに。


美希「七色牡丹をあの人たちにうてばいいんだよね」


どうやらいつもは挨拶がわりに空へとぶっ放す花火を
黒井代官に向けて撃っちまえ、という作戦らしい。


律子「そうよ。簡単でしょ? 本当は人に向かって撃っちゃあいけないんだけど今日は別。
   悪党なんだからおもいっきり痛い目見せてあげなくちゃ。
   そしたら亜美と真美はその混乱に乗じてやよいを連れ出す。
   空に花火が上がったら、それが煙はらはら玉を撃つ合図だから、煙に紛れてずらかるわよ」


亜美真美「合点承知! ところでやよいっちはどこにいるの?」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:26:13.00 ID:CRUm2ntk0
あずさ「それならさっき門番の方が教えてくれたわ~
    良い人よね、ほんと。なんで悪い人の手下なんかやってるのか
    不思議なくらいよ~それは置いといて、あそこに隠し階段があるんですって。
    やよいちゃんはきっとそこにいるわ」

どうやらお色気で門番の人をたぶらかしたらしいあずささん。
そりゃああの●が迫ってきたらなんだって答えちゃいますよ。
本人に自覚がないから恐ろしい限りです。


伊織「なんで危険はらはら玉から撃たないの?」


律子「あんたたちの狙いが定まんないでしょ?」


伊織「そっか。それもそうね」


律子「それじゃあ、作戦開始よ!」


美希「それじゃあいっくのー」


ちょうどその頃冬馬は啖呵を切っている真っ最中。
うまい具合にいい的があると、美希はその尻を狙い、
バズーカをズドン、ズドンと二連発。

美希「あはっ♪ ミキ、今、すっごくキラキラしてるの」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:32:07.89 ID:CRUm2ntk0
伊織「逃げる奴は用心棒よ! 逃げない奴はよく訓練された用心棒よ!」

ノリノリの伊織は逃げ惑う用心棒を撃つ、撃つ、撃つ。
容赦は一切ございません。


残りはあと三分の一くらいでしょうか?
炸裂する火薬を前に、用心棒はどんどん倒れていきました。
もちろんそれには、あわれ木星三人も含まれております。



律子「さーて、あとはいつもどおり空にも
   二、三発打ち上げて頂戴。竜宮小町ここに見参ってね。
   亜美達への合図でもあるし」


美希「はいなの~」


た~ま~や~! か~ぎ~や~!

君がくれたのかは知らないが、
七色牡丹は江戸の夜空にきれいな花を咲かせておりました。

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:38:06.86 ID:CRUm2ntk0
【寿司屋】

真「お客さん、ホントよくたべるなぁ~作りがいがあるけど
  ネタがもうすぐなくなっちゃうよ」

今日はもうのれん下ろさなきゃね、と一旦手を止め外に出てみると
夜空には綺麗な綺麗な七色牡丹が咲いている。

真「りゅ、竜宮小町だー! しかもこの近くじゃんか。
  寿司なんか握ってる場合じゃないや。
  お客さん、ごめん。ボク、行かなきゃ!」


贔屓の竜宮小町が近くにいるんだから真が興奮するのも無理はない。
下駄履きにねじり鉢巻、割烹服のまま、韋駄天の速さで九六一奉行所まで
走っていった。

響「なんだかおもしろそうだな。
  貴音! 自分たちも行くぞ!」

貴音「今少しばかりお待ちください。
   このいくらとうにを食べるまで、
   わたくしはここから動きません」


響「ほら、歩きながら食べればいいだろ~早く早く~」


響に促され、無理やり後を追わされる姫君の手にはうにといくらが
ひしと握られておりました。

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:44:07.03 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所】

律子「はい。あとはこの危険はらはら玉を打って
   とっととずらかるわよ」

計画通りにいっているようですが、なにやら少し様子が変だ。

伊織「律子、地響きがどんどん強くなってるわよ?
   なんだか霧もさっきより濃くなってきたみたいだし」

美希「そんなこと気にしてちゃダメなの、デコちゃん。
   さっさと危険はらはら玉うつの」

しかし地響きのせいで、あずささんのたわわな    は暴れ    と化している。
しかも収まる気配はありそうにありません。これはただごとじゃない。

あずさ「いけない……私もう立ってられません。
    って、きゃっ! 嫌だわ、落ちちゃう」


伊織「どどどどどど、どうしたのよ!?て、何よこれ~!!」


突然襲ってきた湯柱とひどくなった地響きのせいで、竜宮小町の
面々足すことの一名、引くことの二名は、九六一奉行所の敷地内へ真っ逆さまにFlyaway。

律子「ペロっ……これはまさか、温泉?」

何度目のセリフかわかりませんが、いったい何が起きたんでしょうか?

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:49:10.48 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所の敷地外、ただし塀の近く】


雪歩「安全第一、はぎわら~♪メットは大切いのちづな~♪」



律子たちが塀の上に来る少し前のこと、
萩原建設社歌を口ずさみながらひたすら穴を掘り続ける少女が一人、
春香ちゃんを助けるためならがんばりますぅ、と懸命に頑張っておりました。
ところが硬い岩盤にぶつかって、どうにもこれ以上はほれそうにない。



雪歩「でもね、こんな時でも大丈夫!
   ゆ~き~ど~り~る~」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:54:20.42 ID:CRUm2ntk0
ドラ○もんの声マネをしてドリルを取り出すと、硬い岩盤はどんどん掘削されてきました。
けれども人を助けるために穴を掘るなんて、なんだかア○マゲドンを思い出します。
あの主題歌良かったですよね。

ドワナクロージュアアーイ ドワナフォーリャアスリープ~♪
チャララランチャチャチャーチャーチャチャチャーチャ♪

ちなみにこうして歌詞を掲載すればジャスラックも何も言えません。
SS書きは抑えておきたい豆知識です。



雪歩「もう少しで貫けそう……あ、あれれぇ~
   なんか出てきて……きゃあああああああああ」


どうやら岩盤層の下にある温泉を掘り当ててしまったようで、
吹き出した湯柱で、雪歩は遙か高い空まで飛ばされてしまいました。

穴掘り雪歩、まさかまさかの天元突破のグレンラガン!
それにしたって今日はどんな空色デイズなんでしょうか。

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:57:23.07 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所隠し牢】

外で何が起こっているかなんて知るよしもない亜美と真美は
やよいを救おうと、必死に牢の鍵と格闘していました。

春香「誰だか知らないけど助けてくれるんだね~
   よかったよう、心細かったよう」

亜美「この人だれ?」

真美「まぁまぁ、ついでに助けちゃおうよ」

亜美「真美ってば、やさし→」


真美「いやいや亜美こそ亜美こそ→」

やよい「あれえ? この音は花火ですかぁ?」


亜美「よっし、開いたね。合図の時間もちょっきし」


真美「それじゃあ、逃げるよ」

ところが出口近くまでいくと、煙のけの字も見えません。
いや、湯けむりなら見えておりますが。

亜美達一行は、煙が上がるまで地表近くで待機することにいたしました。

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:01:19.65 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所】


煙に乗じてずらかるはずが、濡れてしまっちゃしょうがない。
美希と伊織の手元には湿って役に立たなくなったバズーカだけが握られておりました。

臨機応変なことが苦手な律子は、突然の事態にただただ困惑するばかり。



律子「私の完璧な計画が……」


美希「大丈夫なの、律子、さん!
   こんな時にはプランBなの!」


伊織「具体的には?」


美希「…………」


律子「CでもDでもいいからどうにかしないと私達……」


美希「ちなみにミキはFカップなの!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:05:57.83 ID:CRUm2ntk0
伊織「そんなこと今はどうだっていいわ!
   あんたもない頭、さっさとひねりなさい。
   ……そういえば律子、もしこのまま捕まっちゃったら
   どうなるの?」



律子「知らぬが仏よ」


女は天下のまわりもの。このまま売られて何をされてもおかしくはありませんが、
そんなことお嬢様の伊織に言えるわけがない。

必死にポーカーフェイスを心がけておりますが
律子の唇は真っ青です。



あずさ「あらあら~大ピンチじゃない」


こんな時、助っ人が登場するのはもはやお約束。

黄門様が現れるのは話の終わる、決まって十五分前のことです。

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:10:19.90 ID:CRUm2ntk0
【九六一奉行所】


響「ふぅ~やっと追いついたぞ」


真「うわぁ~あれが竜宮小町か~後でサインもらっちゃおうっと」


少し遅れて、姫君もちゃんと到着しましたが、その顔は何か浮かない様子。
どうやら走ってくる最中、いくらの粒はほとんどこぼれてしまったらしい。
申し訳程度にいくらのった寿司を、悲しいお顔で御見つめになっておられます。


黒井「なんだ、お前たちは」


大体こういうことを言う奴は悪役と相場が決まっております。
ははーん、こいつが悪党かと、得意げになって響は
いつもの口上を並べました。



響「聞いて驚くなよ! この御方は天下の将軍様が姫君、四条貴音なんだぞ」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:14:10.79 ID:CRUm2ntk0
ところが姫君、うにを頬張りながら、悲惨なことになったいくらを見続けています。


響「ほら、貴音。あれだぞ、あれ」


貴音「響……わたくしは今、そういう気分ではございません」


ここで空気をよんで真が一言。


真「いくらならまた握ってあげるよ」


貴音「まことですか? ……それではトロとイカとタイの握りもぜひ」


真「わかったから、早く早く」


真の返答を聞くと、姫君の顔はパアッと明るくなり、懐から例のアレを取り出しました。
そうです、アレです。例のアレですよ、アレ!



貴音「頭が高いですよ、皆の者! この紋どころが目に入らぬのですかぁ」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:19:21.46 ID:CRUm2ntk0
三つ葉葵の紋かはわかりませんが、悪代官とはいえ黒井も官。
そのご威光にはおののくばかり。


しかし、本当の悪人なんてのは決まって往生際が悪いもんです。
黒井代官、ひれ伏す用心棒を足蹴に、庭から外へ逃げようとして行きました。



黒井「これで私が終わるとでも思ったか。ははははは。
   今回のところはお前らに勝ちを譲るとしよう。それではアディオス」



黒井代官が塀をよじ登って、さあ逃げようとしたその時!

急に空から何かが降ってまいりました。



雪歩「きゃー誰か助けてぇ~」

親方~空から女の子が~
しかも飛行石なんかもっちゃいません。

もう止まれない、もう戻れない速度で、
雪歩は黒井代官の頭にダイブしていくじゃあありませんか。

どうやら今の今まで空に飛ばされていたようです。

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:24:20.57 ID:CRUm2ntk0

雪歩「あれれ? 私ったら人を下敷きにしちゃったぁ。
   ごめんなさい、ごめんなさい」


ノビた黒井代官に必死で頭を下げる雪歩だが、
天井裏から出てきた千早はやさしくその必要はないことを教えてあげました。


千早「お手柄よ、雪歩」


隠し階段から亜美は顔を出すと、どうやらなにやら様子が変な事に気がついた。



あずさ「もう出てきて大丈夫よ、亜美ちゃん達。
    私にもよくわからないけど、多分大丈夫だから」


美希「だからいったでしょ? これがプランBなの」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:27:37.79 ID:CRUm2ntk0
伊織「あんた何もしてないじゃない!」


久々の地表に出たやよいと春香ですが、事情が全くわからない。


やよい「私達、助かったんでしょうか……?」


春香「なんか、よくわかんないけどそうみたいだね……」




と、全員揃って悪が成敗されたところで話を終わりにしてもよろしいんですが
それじゃああんまりうまくない。長く続いたこの話も、
ここいらでいい加減下げをつけることといたしましょう。
横文字でいうところのエピローグってやつです。

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:31:27.16 ID:CRUm2ntk0
【エピローグ・旧九六一奉行所、現在温泉宿】

小鳥「はぁ~生き返るわね~温泉なんて何時ぶりかしら」

何もしてないくせに、こういう場所にはきっちりくるのはさすがです。
九六一奉行所は取り潰され、温泉宿として改装されることになりました。

明日から一般の民衆に開放とのことですが、姫君の特別なはからいで
今日はあの日のめんつだけで温泉に浸かっております。

どこをみても●●●●、●●●●、ちっ  。
ここがこの世の桃源郷か。

千早「くっ……!」

春香「どうしたの? 千早ちゃんったら変なの」

やよい「うっうー温泉きもっちいいですぅ~」

響「なぁ、貴音! あれ見て、あれ」

大事なところも隠さずに、響はざぶうっと湯の中から立ち上がると
突然空を指さした。


貴音「なんと面妖な……!」

さーて、この言葉もいい加減に飽きてまいりましたが
これで最後となりましょう。一体何が起こったんでしょうか?

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:34:38.62 ID:CRUm2ntk0
                    ,。、_,。、
                  く/!j´⌒ヾゝ
                ミ ん'ィハハハj'〉 ももんげ
                 .  ゝノ´ヮ`ノノ
                ( ̄       ̄)
                  ̄/    / ̄
                 ⊂し'⌒し'



そういえば、ここにはべっぴんが十三名。
おまけにみんな個性も違って揃ってます。
どれもこれも甲乙つけがたく、誰が一番なんか決められるわけもない。


ところが謎の怪鳥ももんげは春香さんの肩に止まったようです。
そりゃあ、なんたってあなた、わた春香さんはメインヒロインですよ、メインヒロイン。
締めはやっぱりこの人でなきゃいけません。

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:36:20.41 ID:CRUm2ntk0
響「春香! 願い事叶えてくれるらしいぞ! やったな」


真「ボクをとびっきりの乙女にするように頼んでくれると
  うれしいかなって」

やよい「もやしを……」

雪歩「男の人が苦手なの直してくれるのうれしいかなぁ、なんて」


美希「ミキはおにぎりがいいの!」

あずさ「ぜひ運命の人を……」

小鳥「春香ちゃん! 結婚相手よ、結婚相手。
   イケメンで、お金持ちで、それから性格も良くて……」



みんなの願いを取り入れようにも、ばらばらすぎてまとまるわけがない。


春香「うーんと、じゃあ、今みたいな楽しい時間が
   ずっと続けばいいかなぁなんて」


少しハニカミながら春香さんが願いを言うと、怪鳥ももんげは再び空高くまで飛んでいった。

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:36:46.53 ID:CRUm2ntk0
春香「願い、叶えてくれるといいなぁ」


ちなみにこの後、ももんげが願いを叶えてくれたかはわかりませんし、
彼女たちがどうなったかも、わたくしは知りません。


ですがどこかの星の違う時代、彼女たちに瓜二つな少女達が、
とある事務所で楽しく仲良く、みんな一緒にアイドルやってたりなんかする話があるそうです。



なにはともあれ、一件落着の大団円。
めでたし! めでたし!!


       【おしまい】