1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 21:29:25.64 ID:ds18wi6P0
杏子「……オッサン、魔女を一撃で倒すなんてタダモンじゃねーな」

静虎「あなたがピンチに見えたので、つい手出しをしてしまったんですよ」

杏子「チッ……余計なことすんじゃねーよ。アレはあたしの獲物だったんだぞ」

静虎「そうですか。それはすみません」ニコニコ

杏子「……ヘンなオッサンだな。調子狂うよ、ったく……」

引用元: 杏子「灘神影流か……」 



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 21:33:19.56 ID:ds18wi6P0
杏子「っていうか、なんでオッサンはこんなところにいるんだよ?」

静虎「なんで、と言われてましても……」

杏子「ここは普通の空間じゃない。散歩気分で入ってこれるようなとこでもねーし」

静虎「それでしたら、裏路地から異様な気が溢れていたので、つい」

杏子「つい、って……」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 21:36:37.67 ID:ds18wi6P0
杏子「それで、魔女に押されてた私を助けてくれたってわけかい」

静虎「そんなところです。あなたも只者ではなさそうですが」

杏子「……まあね。色々あってさ」

静虎「こんな危険なこと、今すぐやめた方が良いですよ」

杏子「うるせーな。あたしの勝手だろ?」

静虎「ご両親も心配するでしょう」

杏子「……親なんていねーよ」

静虎「………………」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 21:44:01.03 ID:ds18wi6P0
――
――――
――――――

静虎「……で、住む家も無いって話やったからな。ウチに住んでもらおうと思った訳や」

熹一「お、おお。そういうことかいな……」

静虎「? なんや、熹一」

熹一「いや、いきなりオトンが女の子連れてくるさかい、よくない趣味に走ったんかと思たわ……」

静虎「アホっ」

杏子「……ウチ、って言っても倉庫じゃねーか。私が寝床にしてた場所と大差ねーぞ」

静虎「スミマセン……」

熹一「なんや、生意気そうなガキやなぁ」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 21:49:09.44 ID:ds18wi6P0
金時「ん? なんや、その子。静虎の隠し子か?」

静虎「お父さん……」ジロッ

金時「じょ、冗談や、冗談!」

熹一「実は、かくかくしかじかでな……」

 ………………

金時「……はぁ、なるほどな。うっかり静虎が変な趣味に走って」

熹一「それはもうええっちゅうねん!」

杏子「……くくっ」

熹一「お? なんや、無愛想なツラしとったけど、ちゃんと笑えるやん」

杏子「!? う、うるせーバカ!」

静虎「…………」ニコニコ

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 21:56:59.50 ID:ds18wi6P0
金時「ほな、今日は鍋やな」

静虎「そうですね」

杏子「鍋か……」

熹一「ん? どないした?」

杏子「そんなもん、久しく食べてないと思ってさ」

熹一「ほな、今日はたらふく食ったらええで!」

金時「一緒に住むんやったら、明日も明後日も鍋にしよか?」

杏子「やめてくれよ。そんな気を使われても困るしさ……」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:04:08.81 ID:ds18wi6P0
――
――――
――――――

グツグツ...

熹一「いただきます!」

静虎「いただきます」

杏子「………………」

静虎「…………」チラッ

杏子「い、いただき、ます……」

静虎「…………」ニコニコ

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:08:39.03 ID:ds18wi6P0
静虎「ところで君は、どうしてあんな化物と戦っていたんです?」

杏子「……別に、そんな丁寧な言葉使わなくていい」

静虎「…………そうか」

杏子「あたしが戦ってたのは、魔女。あたしは、それを退治する魔法少女さ」

静虎「……?」

熹一「魔法少女?」

金時「なんやそれ?」

杏子「説明すると長くなるから、かいつまんで話すけど――」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:15:27.24 ID:ds18wi6P0
杏子「――ってわけさ」

熹一「なんやそれ。願いを叶える代わりに一生戦わなアカンのかい」

金時「そもそも魔女とか魔法少女とかっていうのが、眉唾モンの話やなぁ……」

静虎「ですがお父さん。私は実際に、その魔女も、魔法少女の姿をした杏子も、この目で見ましたよ」

金時「ホンマかいな……」

杏子「でも、オッサン……えっと、セイコだっけ?」

静虎「ああ」

杏子「セイコが一撃で魔女を倒した時は、正直驚いたね……あたしや巴マミ以外に、魔女と戦えるヤツがいたなんて」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:24:36.06 ID:ds18wi6P0
静虎「巴マミ?」

杏子「魔法少女の一人だよ。見滝原町に住んでて、アイツも魔女と戦ってる」

熹一「ふーん……ってか杏子、お前さっきから肉取り過ぎやろ!」

杏子「いいじゃん。野菜も取ってるし」

熹一「そういうことやあらへん!」

静虎「食べ過ぎなんは熹一や。この後の稽古で吐いても知らんで」

熹一「ゲッ……」

杏子「……稽古?」

金時「そや。ホンマは部外者には見せへんねんけど、杏子ちゃんには特別に見せたってもええかな」

杏子「………………」


杏子(……まあ、何が魔女と戦う時のヒントになるか分からねーしな……)

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:31:09.54 ID:ds18wi6P0
1時間後――


静虎「熹一、準備ええな」

熹一「おお!」

静虎「よし。ほな、まずは思い切り打ってこい。最初は破心掌からや」

熹一「破心掌? なんでいきなり……」

静虎「ええから早よせえ」チラッ

杏子「……ん?」

熹一「分かったて。ほないくでぇ! 灘神影流『破心掌』!!」


ドギャァァァア!!


静虎「むうっ!」

杏子「!? こ、この技、もしかして……」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:36:38.83 ID:ds18wi6P0
静虎「……これを会得すれば、もし手元に武器が無くても、魔女を倒すことができるだろう」

杏子「ま、マジかよ……槍無しでも戦えるってのか?」

静虎「ああ、その通りだ」

熹一「せやけど灘神影流の技は、次期当主候補でもない杏子には教えられへんやん?」

静虎「そうだ。つまり、目で見て盗むしかない。だが幸い破心掌は、灘神影流の中では会得が容易な方だ」

杏子「……簡単に言ってくれるね」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:40:49.68 ID:ds18wi6P0
その頃、見滝原町では――


シャルロッテ「――――」アーン

マミ「……え」

まどか「あっ……!」

さやか「マミさんっ!」


ゴシャァァァ!!


マミ「……っ!?」


鬼龍「なんだ……このデカブツ、ただの見かけ倒しか。足を運んで損したぜ」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:50:08.76 ID:ds18wi6P0
シャルロッテ「――――」アーン

鬼龍「ほう、まだ生きてるのか。灘神影流『霞突き』」ドシュッ!

シャルロッテ「――!?」

鬼龍「灘神影流『塊貫拳』」


ドグンッ


シャルロッテ「――――――」


鬼龍「終わったぜ」

マミ「……あ……あなたは、一体」

鬼龍「さあな……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 22:55:15.93 ID:ds18wi6P0
ほむら「巴マミ!」タタタッ

マミ「あ……暁美さん?」

ほむら「あなた、無事なの?」

マミ「え、ええ。危なかったけれど、あの人が助けてくれて」

鬼龍「助けたわけじゃない。俺はただ獲物を食っただけだ」

ほむら「…………!?」


ほむら(だ……誰!?)

ほむら(今まで何度もループを重ねてきたけれど、こんな男、知らない……!)

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:03:12.27 ID:ds18wi6P0
翌日、宮沢家――


ガラッ

鬼龍「よう」

熹一「オッ、鬼龍やないか。ここに顔出すなんて珍しいやん」

鬼龍「昨日、変な化物と妙なガキ共に会ったんでな。当主の耳には一応入れておこうと思ったのさ」

熹一「妙なガキ?」

鬼龍「なのはやプリキュアみたいな格好して、魔法少女がなんたらとかほざいてたが」

熹一「……あれ。なんやその話、昨日も聞いたような気がするんやけど」

鬼龍「ああ?」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:10:52.95 ID:ds18wi6P0
杏子「破心掌!」

ベチィン!

静虎「うん。アドバイスはできないが、いい感じではあるな」

鬼龍「……おい静虎。俺が来てるんだから挨拶くらいしたらどうだ」

静虎「すまんな。だが見ての通り、今は稽古中だ」

鬼龍「…………なんだそのガキは。こいつもおかしな格好してやがるな」

杏子「なんだよオッサン、邪魔すんじゃねーよ」

鬼龍「ああ?」

杏子「あ?」

熹一「お前ら、ケンカすんなや……」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:16:10.49 ID:ds18wi6P0
杏子「セイコ、続けようぜ」

静虎「……ああ。熹一、鬼龍に茶でも淹れてやってくれ」

熹一「しゃーないなぁ」

鬼龍「………………」


杏子「破心掌!」

バチィン!

鬼龍「腰の回転が足りんな」


杏子「…………破心掌!」

バチィン!

鬼龍「右脚はあと10センチ後ろがいい」

杏子「なんなんだよテメェ!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:23:33.67 ID:ds18wi6P0
静虎「鬼龍。杏子は……」

鬼龍「魔法少女なんだろ。だが後継者じゃねえから助言はするなってわけだ」

静虎「分かっているなら」

鬼龍「そんな閉鎖的だから、灘神影流は古い技しか残ってないんだ」

静虎「…………」

鬼龍「それにハイパーバトルで全世界に公開されたのに、今更だろう。もっと若い風を取り入れていけ」

静虎「それは、そうかもしれないが」

鬼龍「魔法少女、大いに結構じゃねえか。なあ、昨日の黒いガキ」チラッ

静虎「なにっ」



ほむら「……気付いていたのね」ガサッ

鬼龍「当然だ。昨日別れた後からずっと付け回してただろうが」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:27:17.52 ID:ds18wi6P0
杏子「ん? お前は……」

ほむら「佐倉杏子。まさか、あなたとこの男が関係していたなんて」

杏子「いや、知らねーって! こんな胡散臭いオッサン!」

鬼龍「…………」

杏子「そ……それよりお前、なんであたしのこと……」

ほむら「……お互い、話す必要があるようね。魔法少女のこと、この人達のこと」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:35:02.64 ID:ds18wi6P0
ほむら「――ということよ」

熹一「この小っこい装飾品が砕けただけで死んでまうなんて、信じられへんな……」

杏子「どういうことだ、おい……聞いてねーぞ!」

ほむら「インキュベーターからすれば、話すのは不都合でしょうね」

静虎「馬鹿な……人の命をそんな風に弄んでいいハズがない」

鬼龍「確かに、後ろでコソコソやってるヤツは気に食わねぇなぁ」

ほむら「ただ……私が何度も繰り返してきたループの中で、あなた達は今までは存在しなかった」

静虎「…………」

ほむら「それに……今は、巴マミが生きていて、佐倉杏子も新たな力を身につけようとしている」

杏子「…………」

ほむら「まどかも魔法少女になっていない。だから、もしかしたら今回は絶好のチャンスかもしれない」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:41:49.30 ID:ds18wi6P0
鬼龍「お前の話だと、最後にワルプルギスの夜とかいうヤツが来るんだろ」

ほむら「ええ。まどかが魔法少女にならずに4人だけで奴を倒すことができれば、全員が幸せになれるわ」

杏子「……その美樹さやかって奴も、魔法少女にならせたくねーな。まだ普通の人間なんだろ?」

鬼龍「じゃあ、そのガキに言っておけ。ナントカの夜は俺が殺すから問題無いってな」

ほむら「無理よ」

鬼龍「あん?」

ほむら「ただの人間が何をやったって、勝てる相手じゃないわ」

熹一「……鬼龍やったらいけるんちゃう? どんな相手か知らんけど」

静虎「怪物を超えた怪物、だからな」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:56:30.33 ID:ds18wi6P0
ほむら「……それについては、話すだけ時間の無駄のようね」

熹一「せやな」

ほむら「あと……美樹さやかについても、今のままでは魔法少女になるのは避けられないと思う」

静虎「なぜだ?」

ほむら「……美樹さやかが想っている、上条恭介という少年。彼は、一生腕が治らないという苦しみを抱えている」

ほむら「お互いが想い合っているにもかかわらず、そのコンプレックスが原因で、二人は仲違いをする」

熹一「好きって言うたらええんちゃうん? ただのヘタレやん」

鬼龍「まったくだな」

ほむら「……美樹さやかが魔法少女となることで上条恭介の腕は治るけれど、彼の交際相手は別の人物になる」

ほむら「そこに追い打ちで魔法少女の運命を聞かされ、美樹さやかは魔女化する」

杏子「ひ、悲惨じゃねーか……」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:02:01.74 ID:BzG23fe10
静虎「そのさやかという少女に、想いを伝えさせれば……」

ほむら「無理よ、ヘタレだもの。それに交際したとしても、腕を治すために魔法少女にはなると思う」

金時「なんや、最近の若者は難儀やなあ……」

熹一「……なんとかして腕を治すしかあらへんな」

ほむら「だから、それは無理だと言ってるでしょう。最新の医療技術でも治らないのだから」

静虎「………………」

鬼龍「………………」

ほむら「…………なに?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:05:27.44 ID:BzG23fe10
病院――


さやか「ちょ、ちょっとおじさん!」

恭介「な、何をするつもりだ!?」

静虎「灘神影流には、いくつか秘伝のツボがある」

恭介「ちょっ、やめ――」

静虎「ふんっ」

グリッ

恭介「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

さやか「恭介ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:10:24.87 ID:BzG23fe10
病院の庭――


鬼龍「よう」

尊鷹「………………」

鬼龍「お前が近くにいると分かるんだ。俺たちは繋がってるからな」

尊鷹「……これは」


ゴゴゴゴゴゴ......


鬼龍「その空間には魔女ってヤツがいる。やってみたが、大した相手でも無かったぜ」

尊鷹「……それは私が判断する」ザッザッ

鬼龍「ちっ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:16:26.68 ID:BzG23fe10
ドゥゥン...


鬼龍「えっ」

尊鷹「……体が影絵のように」

鬼龍「面白い余興だな」


使い魔「ウフフフフフ...」

使い魔「ケケケケケケケケ」


鬼龍「細かいのが出てきたぜ」

尊鷹「………………」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:21:59.42 ID:BzG23fe10
尊鷹「灘神影流『鷹鎌脚』」


ブワッ...

使い魔「ケケ……――」


尊鷹「…………」

鬼龍「俺の出番が無いだろうが」

尊鷹「知らん」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:26:46.98 ID:BzG23fe10
エルザマリア「ウフフフフフフ......」

マミ「くっ、強い……!」

QB「………………」

マミ「でも、私がやらないと。これくらいでへこたれてちゃ、鹿目さんや美樹さんに笑われちゃうわ!」

エルザマリア「ウキャァァァァァ!」


ドドドドドッ!


マミ「きゃあああっ! か……影で触手を作り出すなんて……」



鬼龍「先客がいるみたいだぜ」

尊鷹「………………」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:32:49.87 ID:BzG23fe10
エルザマリア「キャキャキャ......!?」

ザッ...

尊鷹「………………」

マミ「えっ……」

鬼龍「また会ったな、 のでかいプリキュア」

マミ「あ……あなたは、あの時の……!」

QB「なんだい、君たちは。魔法少女には見えないけれど」

鬼龍「魔法オッサンだ」

QB「……ええ? わけがわからないよ……」

鬼龍「お前は何だ?」

QB「……僕の名前はキュウべぇ。魔法少女のサポーターみたいなものさ」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:43:23.48 ID:BzG23fe10
鬼龍「……お前が元凶ってわけだ」

QB「何がだい?」


鬼龍「灘神影流『塊蒐拳』」


ドギュルッ...


QB「なに――うっ」

鬼龍「気分はどうだ?」

QB「……君は僕に何をしたんだい。体の自由がきかない」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:50:06.72 ID:BzG23fe10
鬼龍「塊蒐拳は、鍛えた人間が受けても体に強烈な異常をきたし、数年後には絶命するって技だ」

鬼龍「つまり、お前のサイズなら身体機能が停止してもおかしくないんだよ」

QB「………………」

鬼龍「お前は今のところ生きてはいるが、体はロクに動かないだろう」

QB「………………」

鬼龍「……フン。もう口もきけないか」

鬼龍「お前が死んだら次の同族が来るそうだが、生きたまま思考能力が失われている場合は、どうなるんだろうな」

QB「………………」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:55:10.29 ID:BzG23fe10
エルザマリア「キエァァァァァァァァ!」

ドドドドッ!


尊鷹「灘神影流『弾丸すべり』」


ドドド......

尊鷹「…………」

マミ「す、すごい。触手が体をすり抜けていくわ!」


尊鷹「灘神影流『塊蒐拳』」


ドギュルッ...

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:59:12.68 ID:BzG23fe10
エルザマリア「アアアアアァァァァァァァ!!」

ドシュウゥゥゥゥゥゥ...

鬼龍「体が耐え切れずに自壊したようだな」

尊鷹「……なるほど。確かに大した相手ではない」

鬼龍「だから言っただろう」

マミ(あ、あれが大した相手じゃない……?)

マミ「……あら? キュウべぇは?」

鬼龍「あのペットなら、先に戻るって言ってたぜ」

マミ「そ、そう……珍しいわね。今までそんなこと無かったのに」

鬼龍「………………」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:03:18.59 ID:BzG23fe10
病院――


ガラッ

マミ「…………」

さやか「あっ、マミさん! 聞いてっ、聞いてください!」

マミ「な、なに?」

さやか「恭介の腕、治ったんです! ほら!」


恭介「ど、どうも……」フリフリ


マミ「……そう。良かったわね、美樹さん」

さやか「はい……! ううっ、ホントに良かった。良かったよぉ、ぐすっ……」

恭介「さ、さやかぁ……また泣くんだから、もう」

マミ「ふふっ」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:06:49.58 ID:BzG23fe10
鬼龍「流石は静虎だな」

静虎「鬼龍。それに……」

尊鷹「………………」

静虎「……そっちはどうだった」

鬼龍「尊鷹が魔女とかいうのを倒した。俺はペットと遊んでたがな」

静虎「…………そうか。では、後はワルプルギスの夜という者を倒すだけか」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:15:42.95 ID:BzG23fe10
宮沢家――


熹一「ここでこの錠剤を入れるんや」

杏子「やめろ! 食い物を粗末にするんじゃねぇ!」

熹一「食べるんやから粗末にしてへんやろ」

杏子「取合せとかあるだろ! 白米に錠剤なんて聞いたことないぞ!」

熹一「宮沢家特製スペシャルライスやのになぁ」

杏子「ったく、キイチはセイコとは大違いだな……」

熹一「それは、オトンが凄過ぎるんや」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:22:52.77 ID:BzG23fe10
ほむら「二人とも、遊んでる暇があったら手伝って」

杏子「遊んでねーよ!」

ほむら「まったく……どうして私が料理を作らされているのかしら。しかも7人分も」

熹一「悪いなァ、ほむらちゃん。ウチ、マトモにメシ作れるのオトンしかおらんねん」

ほむら「……宮沢熹一はともかく、佐倉杏子はもう少し頑張った方がいいわ。お嫁に行けなくなるわよ」

杏子「余計なお世話だ!」


ガラッ


静虎「ただいま」

杏子「あっ……おかえり、セイコ!」

鬼龍「静虎だけかよ」

尊鷹「………………」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:27:27.69 ID:BzG23fe10
熹一「うまい!」

静虎「うん、おいしい」

金時「ほむらちゃんはええお嫁さんになるやろなぁ」

ほむら「そ、そんなこと、ないです……///」

杏子(ちぇっ……なんだよ、ほむらばっかりいい格好してさ)

鬼龍「…………」ガツガツ

尊鷹「…………」ガツガツ

金時「お前らも何か言わんかい」

鬼龍「おかわり」サッ

尊鷹「同じく」サッ

静虎「わ、私もおかわりを……///」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:32:38.37 ID:BzG23fe10
数日後――


杏子「破心掌!」

ほむら「菩薩拳!」


ドギャァァァァァ!!


ほむら「きゃああっ!」

杏子「うわ……び、びっくりした……」

熹一「灘神影流は、技の練度が上がると威力も爆発的に増すんや。二人で打ちあったらそうなるやろな」

静虎「それだけ二人が本物の技を身につけつつあるという証拠だ」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:37:41.47 ID:BzG23fe10
ほむら「まどかも美樹さやかも魔法少女にならなかった。しかも、巴マミは生きている」

杏子「あたしらも灘神影流の技を使えるようになったし、これで負ける気がしねーな」

熹一「まあいざとなったらこの宮沢熹一様がなんとかしたる!」

杏子「え? キイチって強いのか?」

ほむら「そうは見えないけれど」

熹一「おい……ワシ、オトンや尊鷹に勝っとるんやぞ……」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:42:49.53 ID:BzG23fe10
そして、決戦の日――


ほむら「ついに、この日が来た……今度こそ、未来を手に入れてみせるわ」

マミ「暁美さん……」

杏子「あんまり気合入れすぎんなよー」

熹一「……なんや、えらい天気になっとんなぁ」

鬼龍「スーパーセルだな」

静虎「あれもワルプルギスの夜の影響か」

尊鷹「………………」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:48:20.86 ID:BzG23fe10
ドゴォォォォォン!!


ワルプルギス「キャハハハハハハ!」


ほむら「来た!」

静虎「これは……」

熹一「なんやこれ、殺気か!? ピリピリ感じるわ!」

尊鷹「いや、殺気と言うには無邪気すぎる……」

鬼龍「強いて言えば、邪気ってとこか」

杏子「おいおい……あんなのに勝てんのかよ?」

マミ「勝つしかないのよ、私たちは」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:55:56.06 ID:BzG23fe10
ドゴゴゴゴゴゴ...


熹一「撃ってきよったで!」

ほむら「みんな、ヘリに乗って! 予定通り、接近戦を仕掛けるわ!」

杏子「さすがにこの距離じゃ、マミの銃撃でも届かねぇもんな」

マミ「そういうあなたは、飛ぶ斬撃とか無いのかしら?」

杏子「ないない」

熹一「オトン、遠当てよりもっと飛ぶパンチとか無いんか?」

静虎「無い」

熹一「つまらんなぁ」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:01:51.32 ID:BzG23fe10
バラララララ...

ほむら「今よ、飛び降りて!」


バッ バッ バッ


熹一「うひょおおおおおお!!」ヒュウウウウ

マミ「すっ、スカートが……///」バタバタ...

鬼龍「中学生が黒か……」

杏子「テメー見てんじゃねー! 殺すぞコラ!」ジャキン

静虎「……緊張感の欠片も無いな」

尊鷹「静虎、私は先に行く。空中の姿勢制御など、慣れたものだ」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:06:13.57 ID:BzG23fe10
尊鷹「『鳳腿』」

ゴッ!!

ワルプルギス「キャハハハハハハ!」


静虎「『虎腿』」

ドゴォォ!!

ワルプルギス「キャハハ……?」


鬼龍「『龍腿』」

ゴギャァァァ!!

ワルプルギス「………………」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:09:47.26 ID:BzG23fe10
熹一「トドメの『玄腿』や!」

ドグシャァッ!!

ワルプルギス「…………キ」


ワルプルギス「キエアアァァァァァァァ!!」

ぐるんっ


ほむら「う、嘘……ワルプルギスの夜がひっくり返るのは、追い込まれた時だけのはず」

ほむら「ま……まさか、宮沢一族4人の蹴りを食らうだけで、既に……?」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:14:54.57 ID:BzG23fe10
熹一「灘神影流『斧旋脚』」ゴギャッ

静虎「灘神影流『錐揉み貫手』」ズボッ

鬼龍「灘神影流『霞突き』」ドスッ

尊鷹「灘神影流『兜浸掌』」ドギュルッ


ワルプルギス「――――ッッ!!」


杏子「まだ終わってねーよ!」バッ

ワルプルギス「キャハハハハ!」ギロッ

ほむら「!? 佐倉杏子、危ない!」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:18:28.93 ID:BzG23fe10
ワルプルギス「ウケケケケケケケ!」


ドドドドドドドッ!!


ほむら「狙い撃ちされてる!」

杏子「~~~~~ッ!!」


杏子「な……」

杏子「灘神影流『弾丸すべり』っ!」


スッ スルッ...


ほむら「えっ……た、弾が体を」

マミ「あの時の……」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:24:54.54 ID:BzG23fe10
杏子「おりゃああああああぁぁぁぁ!!」

ズガンッ!

ワルプルギス「!?」

ほむら「奴に槍を突き刺して、何を……」

杏子「正直なとこ、魔法少女が直接攻撃したところで、あいつに決定的なダメージなんて与えられそうにない」

ほむら「…………」

杏子「でも、刺さった槍を後ろから押しこめば、体をブチ抜くくらいはできるんじゃないか?」

ほむら「……なるほど。その賭け、乗ったわ」


杏子「灘神影流『破心掌』!!」 パァン!

ほむら「灘神影流『菩薩拳』!!」 ドスッ!

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:30:22.34 ID:BzG23fe10
ワルプルギス「ギャアアアアアアアアア!!」

杏子「くそっ、まだ生きてやがる!」

ほむら「もう少しで、外殻が完全に破壊できるのに……!」


熹一「『幻突』」


ゴッシャァァァァァァ!!


杏子「キイチ!?」

熹一「これでええんやろ? もう中まで丸見えや」

ほむら「巴さん!」


マミ「ええ! ティロ……フィナーレ!!」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:39:02.76 ID:BzG23fe10
ワルプルギス「オオオォォォォォォ......」


ほむら「……お……終わっ、た…………?」

マミ「ええ。暁美さん」

杏子「もうあんなのとは、二度とやりたくねーよ」

ほむら「…………うっ……ひぐっ、うっく……やっと、やっと……!」ポロポロ

マミ「長い間、お疲れ様」ギュッ

ほむら「うっ、わぁぁぁぁぁ……!!」


鬼龍「だから言っただろ。俺が殺すから問題ないってな」

熹一「お前だけの力ちゃうやろ」

静虎「思えば、4人で何かをするというのは初めてだった」

尊鷹「フ……それも、最初で最後だろうな」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:44:25.22 ID:BzG23fe10
マミ「最後の瞬間に『巴さん』って呼んでくれたわね。ありがとう」

ほむら「う、あっ……あれは、その……///」

杏子「羨ましいね。あたしも杏子って呼んでくれよ」

鬼龍「おい杏子」

杏子「お前じゃねーよ!」

熹一「感動のシーンに水差すなや、魔法オッサン」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:47:43.84 ID:BzG23fe10
尊鷹「熹一。私はもう行く」

鬼龍「俺もだ。世界の危機とやらは去ったんだろ」

熹一「あれ? この後祝勝会やると思うねんけど、二人とも来えへんの?」

尊鷹「群れるのは性に合わない」

マミ「えっ……い、行っちゃうの……?」

尊鷹「………………」

杏子「キリュウのオッサンも、こんな時くらい付き合えばいいじゃん」

鬼龍「ぬう……」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:53:28.82 ID:BzG23fe10
静虎「さあ行こう、鬼龍、尊鷹」

熹一「そや! 折角やし、まどかちゃんとさやかちゃんも呼ぼうや」

静虎「ああ、それがいい」

マミ「美樹さんには、上条くんとの交際内容を根掘り葉掘り聞かないとね」

ほむら「くす……それは、楽しみね」

杏子「……セイコ」

静虎「ん?」

杏子「ありがと。あたしがあんたに会わなかったら、今頃……」

静虎「……皆が幸せな未来を迎えられて、良かった」

杏子「うんっ」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 02:56:33.58 ID:BzG23fe10
熹一「あ、そういえばオトン」

静虎「ん?」

熹一「身寄りの無い杏子をウチの家族にするっちゅう話、どうなったん?」

杏子「え……!?」

静虎「ああ。私の養子として迎えるか、お前が杏子と結婚するか、どちらかだな」

熹一「ふーん……って、はぁぁ!?」

杏子「けっこん、って……///」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 03:04:01.33 ID:BzG23fe10
静虎「二人ともすっかり仲良うなっとるし、ええと思うで」

熹一「べっ、別に仲良うあらへんし! ちゅーか杏子もイヤやろ!?」

杏子「そ、そう、かな……///」

熹一「アレ……」

ほむら「杏子。だから前に言ったでしょう、料理を頑張らないとお嫁に行けないって」

杏子「い、今から練習するし……」

マミ「大丈夫よ。お料理ならちゃんと教えてあげるから」

静虎「どちらにせよ、杏子は『宮沢杏子』として新しい家族の一員になるんや」

熹一「そ、そか……まぁ、全然構へんけどな!」

杏子「……へへっ。家族か……あたし、また家族と一緒にいられるんだな……!」



終わり。