――それはもちろん、王道の対戦育成ゲームだろう。
――ゲーム内のプレイ時間表示ですら悉くカンストしている、
――その後のプレイングやリセットで消えて行った時間を含めれば更に…。



――いや、やりこみ度を時間だけで議論するのは早計というもの。



――アイテムコンプや低レベル縛りを引っ提げて挑むRPG系。

――全弾必中、全撃墜を目標に飛翔し続けたシューティング系。

――的確なライン取りでミリ秒を競い続けるレース系。

――1フレームの狭間に涙し、研鑽に邁進した格闘系。

――慣れぬ知恵熱を覚悟して、理論構築したパズル・シミュレーション系。

――スローライフ系も味があって長続きするし、
――クイズ系は出題問題を粗方頭に叩き込んだうえでボタンがお釈迦になるまで先読み早押しに励んだし、
――クリエイト系は不定期に閃いた時に怒涛の時間と気力を注ぎ込める。
――どんなゲームもやり込んできた、一概にいちジャンルを決めることは困難。
――ましてや、ひとつのソフトに絞り込むことなど……

677: Mii 2020/03/01(日) 04:09:33 ID:1YedFqgQ
ヒルダ「…あのー。それって、そんなに悩むことなんですか?よくわかりません。
    こんな奇策が効くなんて、聴いた時には半信半疑だったんですが」

デイジー「何を言ってる、お前が問いかけてk――――」



ぴしり。何かが固まった音がした。





ロゼッタ「――――――――デイジー姫」

目を見開いて、後ろを見やる。え、ちょっと、待ってほしい。







ロゼッタ「―――――――とっくに、3秒経ってます」Vサイン

デイジー「」



ゼルダ「――――――――はあぁぁぁぁ……」

678: Mii 2020/03/01(日) 04:12:38 ID:1YedFqgQ
~キノコ城 城下町~

ブラックピット「…………通算、4人中の2位以上が2割ってとこか…チッ。
        この俺がこの成績とは、腹立たしいことこのうえないな…
        このままで終わりたくはないぜ…」イライラ

賑やかな夜の街を、俺はブツブツ、苛立ちながら歩いている。



あのバカは、

「ハハハ、こんなもんでしょ、お互い。
そもそも、『真実の魔鏡から生まれた=初期ステを僕と対等のところまで優遇』っていう温情の奇跡がなかったら、
このスレ内でのブラピさんは2位以上なんて1割…いや『1分』切っても全くおかしくないんだよー?

ま、僕は飛翔能力で負けてる分、通常戦闘力をブラピよりちょっと高く設定されてるらしいから、
僅かながら僕のほうが勝率いいですけれどねフッフーン!」

などと、訳の分からない供述をしていたが。
…ああ、ムシャクシャする。酒でも一杯ひっかけたい気分だ。



ブラックピット「…そういえば、選手カードを提示することで安く酒が飲める店、
        割とあるみたいだな…」

所持金は決して多くないが…パンフレット片手に、少し当たってみるか。
居酒屋というよりは、洒落た店がいい。

679: Mii 2020/03/01(日) 04:15:22 ID:1YedFqgQ
あれこれ歩いて選んで、ようやく納得のいくバーを探り当てた。
ああ、クールな俺にふさわしいアンティーク調に整えられた内観だ。
インテリアもグラスも、中々のものじゃないか。

会釈を受けながら、カウンターに座った。さあ、お手並み拝見だ。



マスター「いらっしゃい。お客さん、当店は初めてかい?」


ブラックピット「ああ。アルコール強め…いや、明日を考えて弱めで。
        軽くほろ酔いできるくらいの、甘ったるくないカクテルを頼む。
        …店の雰囲気の割に、割とフランクな接客なんだな」

マスター「そりゃあね。この時期、たっくさん観光客が来るでしょう?
     どうやってその人たちを呼び込むかって言ったら…」

ブラックピット「…なるほど、気兼ねなく入って貰える、
        プライドを感じさせない店の方が繁盛するってわけか」

マスター「これはお厳しい。ですが、どんちゃん騒ぎで周囲に迷惑…とかでなければ、
     この店は誰でもウエルカムですよ。それに、腕に自信はありますよ」ハハハ

周りを見渡せば、テーブル席には家族連れまで割といる。
子供が、新鮮なジュースを飲んで満面の笑顔になっている。
…間違えて酒とか飲ますなよ?まあ、無用な心配か。
子供も行儀よく、大声で騒いだりしない。しつけが行き届いているな。

680: Mii 2020/03/01(日) 04:19:01 ID:1YedFqgQ
マスター「あ、今の時間帯、ラジオ放送を流しているんです。
     スマブラ開催期間限定の放送をやっておりまして。
     『意味は分からないが面白い』と皆さんから好評なんですよ。

     …カウンター席は音量が大きいですが、気になりませんかね?」

ブラックピット「本当にバーらしくないな。まあ、構わないぞ?この位の音量なら」

そう言えば、さっきから…心躍るようなBGMが流れていて、皆聴き入っている。
リスナーリクエストの音楽でも掛かっているのだろう。



それにしても…意味が分からないが面白い?どういうことだ?
この王国に集う者たちの思考はよくわからん。



マスターが出来上がったカクテルを持ってきた。
ほう、俺に合わせて、黒を基調とした色にしてくれたのか。
中々サービスがいいじゃないか。

ざっくりとカクテルの説明を受けて、知識はそれほどないが相槌を打って。
一口飲んで…これは、いける。ニヤニヤしているマスターには悔しいが…いい腕だ。
店選びに成功していたことに満足して、さらにもう一口――――

681: Mii 2020/03/01(日) 04:22:24 ID:1YedFqgQ











パルテナ「はいっ!新・光神話 パルテナの鏡より、『星賊船』をお送りしましたー!
     やっぱりいい曲ですねー!」

ピット「ですねー!」



ブラックピット「ブッフゥ――――ッ!?」

マスター「お客さん!?」



子供「うわ、マナーの欠片も無い人だなあ」ヒソヒソ

親「ホントにね。あんな人になっちゃいけませんよ?」ヒソヒソ

子供「はーい!」ヒソヒソ

682: Mii 2020/03/01(日) 04:26:08 ID:1YedFqgQ
周囲の注目浴びる中、マスターに謝罪して布巾を借りつつ、噴き出したカクテルを拭く。
…あのバカはともかく、何やってるんだ…!?あのバカはともかくっ!?



パルテナ「ラジオネーム『しぜんの ちからって すげー!』さん、
     リクエストありがとうございました!記念品を贈呈しておきますね!」

ブラックピット(もうひとり馬鹿がいた…!)



パルテナ「さてさて、スマブラ大会も、とっくに折り返し地点を過ぎ…
     いよいよ大詰めですね、ピットさん!
     優勝目指して止まない者、現状の順位を確固たるものにしようとする者、
     誰かを落とし込めようと画策する者…複雑なドラマが化学反応を起こしそう!」

ピット「その通りですね、パルテナさん!どういうわけか僕たち、
   街角でスカウトされたのを皮切りに固定枠までもらっちゃいましたけど!
   期間限定とはいえ、大抜擢ですよ!最後までやりきってみせましょう!」

パルテナ「さーて、それでは…!
     お待ちかね、『パルテナの何でも相談室』のコーナーでーす!
     ピットさん、初めて聴く方もいるかもしれないから、
     今一度分かりやすく説明してあげてくれませんか?」

ピット「合点承知!このコーナーは、主にこちらのパルテナさんが、ときたま私ピットが!
   いろんな人たちの疑問点や悩みに、鋭く際どく回答していくコーナーです!
   リスナーはもちろんのこと、ファイターやファイター候補が電撃来訪することもありますよ!」

683: Mii 2020/03/01(日) 04:30:04 ID:1YedFqgQ
パルテナ「さっそく始めて参りましょう!えっと…
     『パルテナさん、ピットさん、こんばんは!毎晩楽しく聴かせてもらってます!
     もう、お二人の天界漫才…いえ夫婦漫才がないと生きていられません!』」

ピット「わあ、ありがとうございます!…め、夫婦漫才だなんて、照れるなあ…」テレテレ

パルテナ「……でも、ここだけの話、ピットさんって…見られていないのをいいことに、
     放送中に私の胸とかをガン見してくるんですよ?酷いと思いませんか?」

ピット「濡れ衣!?」

パルテナ「それだけではありません…実は私たちの間には、権力・神格、身分的に大きな隔たりがあるのですが…
     それをいいことに、私に対して口では言えないほどの破廉恥な命令を――
     ああ、私はただ従い耐えるしかありません…ぐずっ…自由が、欲しい…!」

ピット「すっごい逆!百歩譲って起こりうるとしても真逆っ!」

パルテナ「ピットさんが素直に『青春を持て余してすいません』と謝るのなら。
     寛大な私の心で、水に流してあげても…構いませんよ?」

ピット「やだなあ、開幕早々マリオのポンプに流されたのはパルテナさんじゃないですかー」ハハハ

パルテナ「うまいっ!座布団1枚差し上げます!…要りますか?」

ピット「わーい!やったー!有難く頂きます!」

パルテナ「喜んでもらってよかったです。
     …ふう、今年のクリスマスプレゼントは安上がりで済みました」

ピット「要るかこんなもん!」ポイッ

684: Mii 2020/03/01(日) 04:33:04 ID:1YedFqgQ
パルテナ「ピットさん、話が逸れてますよ?軌道修正しましょうか」

ピット「誰が逸らしたんですか…あ、す、すいません。平常心、平常心っと。
   …はい、リスナーさんの手紙、続けてくださいパルテナさん」





パルテナ「…『ところで以前から思っていたんですけど。人間ミサイルが使えるピットさんって天使じゃ』
     ――おっと、検閲に引っ掛かっていた手紙を読み上げてしまいました。
     これは没ですね、失礼いたしました。次に行きましょう」

ピット「うおおぉーい!!?」





ブラックピット「」

685: Mii 2020/03/01(日) 04:37:01 ID:1YedFqgQ
ピット「違うんだよ…ポケモンのタマゴグループに『ひとがた』があるのと同じで
   あくまで『人間型ミサイル』ってだけなんだよ…きっと…」ブツブツ





パルテナ「落ち込んでいるピットさんは安静にしておいて、次でーす。
     『パルテナさん、遅くなりましたが、今回は出場おめでとうございます!』
     はい、ありがとうございます!

     『ところで、パルテナさんと同じく初参戦のロゼッタさんっていらっしゃいますよね?
     それに、前回から引き続き参戦のゼルダさんも!
     あと、ゼルダさんのそっくりさんも参戦されているみたいで…。

     彼女たちはいつごろ試合に出られるのでしょうか!まだ1戦もされていなくて、気になっているのです』

     …うーん。そうですね。こればっかりはなんとも言えませんねー。
     まずは閉ざされた空間から出てきてもらわないと…ゲフンゲフン。

     『それに加えて、もうひとつ。単刀直入に伺います!
     ロゼッタさんは何時頃マリオカートに戻られるのですか?
     マリオカートWiiの時の素人ぶり、失望させっぷりから、
     否定的な意見を言う人も大勢いるみたいですが、私は出てほしいです!』

     ――おおう、本当に単刀直入ですね。スマブラに直接関係ないのに」

ピット「…やっと持ち直しましたよ、パルテナさん。…答えにくい、厄介な質問ですね。
   いくらこのラジオ番組が、『ファイターたちに情報を伝えようとすると抑止力が働くフシギ仕様』とはいえ」

686: Mii 2020/03/01(日) 04:43:09 ID:1YedFqgQ
パルテナ「ですよねえ。まず3人…いえ4人が部屋から無事脱出できて、私たちと合流。
     タブーと大がかりな攻防戦、大乱闘。大会の残り消化に、しっかりオチまで用意して――」

ピット「うーん、どう考えても、それだけでこのスレの残りを全部使っちゃいますよねー。
   いやむしろ、このスレだけで終わらせられたら御の字なのかな…?
   >>650さんみたいに、もっと多くのファイターのことを描いて、
   マンネリ化を防いでくれ!と忠告してくれる人だっているっていうのに…。

   で、できるだけ頑張ります!収拾がつく程度に、風呂敷を拡げ過ぎない程度に!」アワワ

パルテナ「だいたい、スマブラ編が終わったら終わったらで、
     3Dワールド編もようやく中盤に入ったところですし…。
     まあ、あっちの方はステージを飛ばしていけば割と速いですけどね」

ピット「それでも、それなりに時間は食いそうですねぇ」

パルテナ「次のスレには『ルキナ救済編』が数百レス分、待っていますしねぇ…
     まあ、今言えるのはこの位ですね、次に参りましょうー」

ピット「うーん…いろいろと難しいなあ…次はどんな――――

    …………あれ?今、サラッと爆弾発言が聴こえたぞ?」

パルテナ「…むしろそちらの話ばかり構想・構成が捗ったそうです」

ピット「本編書けよコノヤロウ!いや、それも一応将来的には本編になるんだろうけどっ!?」



ブラックピット「」

687: Mii 2020/03/01(日) 04:48:22 ID:1YedFqgQ
パルテナ「気を取り直しましてー。
     『こんにちは!いきなりですが、無知な私に教えてください、女神様!
     魔力回路と魔術回路と魔法回路って、何が違うんですか!?
     細かい定義が知りたくて、気になり過ぎて、1日8時間しか眠れません!』

     まあまあ、それはお可哀想に」

ピット「不眠症ですね。鬱に繋がることもあるので、2週間続くようならお近くの病院へ!」

パルテナ「ああ、それで。この3つの言葉の意味の違いですが…。

     FPや魔力の通り道となっているのが『魔力回路』。
     術式を発動させるためのラインが『魔術回路』。
     これら2つを並走あるいは合流させ、魔法の形として取り出す機構全体が『魔法回路』。

     水道に喩えると、魔力回路に水を流し、魔術回路に電気やガスを流し、
     魔法回路として最終的に熱湯を取り出す……。
     おなじ『魔法が使えなくなった』という症状でも、
     どこにトラブルが発生したかで、緊急性や治療法がまるで変わってくる――」

ピット「うおぉ…な、なんだか真面目っぽいぞ…!」



パルテナ「――――っていうのはどうでしょう!」ドーン!

ピット「分かってましたよ!唯のブレ表記、統一してなかっただけですよねっ!」

パルテナ「なし崩しでやってきていましたが…今後は統一させます…」ショボン

688: Mii 2020/03/01(日) 04:52:04 ID:1YedFqgQ
ピット「…あ!だったら、お姫様方の『姫』の有無も表記ブレですね!リンクの台詞が気になってました!
   ゼルダのことは『ゼルダ姫』なのに、ヒルダのことは『ヒルダ』なのはおかしいと思ってたんですよ!」

パルテナ「いえ、それは仕様です」

ピット「…え?」

パルテナ「実際には打ち間違いでブレ表記は有ったりするのですが、基本的なスタンスとしては――

     ロゼッタ→お姫様方
     生粋の腰の低さから、感情が高ぶって『敢えて』呼ばないかぎり『姫』付き。

     キノピオ→ピーチ
     意志としては常に『姫』付き。選手紹介などで逆にピーチから説教されることも。

     ルフレなど→お姫様方
     新参者の礼儀として、『姫』付き。
     同様に、知り合って間もない関係の段階では『姫』付き。

     ゼルダ←→ヒルダ
     ゲームに準じて、互いに『姫』付き。(付けない場面もちょっとある)

     リンク→ゼルダ
     『幼馴染関係で既に名前呼び』の伝説の中を除き、『姫』付き。

     それ以外のケース
     『姫』は付けないことが多い。
 
    …こんな感じみたいですねー」

689: Mii 2020/03/01(日) 04:54:55 ID:1YedFqgQ
ピット「…あの、パルテナさん。
   リンクが、『ゼルダ姫』および『ヒルダ』って区別して呼ぶ理由が、
   ……………………ま、まだ分からないんですけど。分かりたく、ないんですけど」

パルテナ「断っておきますと、スレ主はゼルダというキャラはもちろん好きですよ?
     




     ただ、このスレにおいてはイベントにあまりにも恵まれないせいで、
     ゼルダに対するリンクの好感度がヒルダ以上に低――」

ピット「わああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!」



ブツッ……。



スタッフ「放送が乱れております。しばらくお待ちください」



ブラックピット「」

690: Mii 2020/03/01(日) 04:59:09 ID:1YedFqgQ



ブラックピット「…マス、ター。カクテル、オイシカッタ。

        …………勘定ヲ、タノム」ワナワナ



マスター「…ど、どうしましたか?急に顔色が…。
     申し訳ありません、あまりおもてなしできず。

     それにしても、いやあ、この破天荒な放送、癖になりませんか?
     意味はあんまり分からないんですが、不思議と笑顔になるんですよ。
   
     …おや?そういえば、今更で申し訳ありませんが、
     お客さんってもしかして、ブラックピットさんじゃ――」







ブラックピット「俺はあんな奴らの同類なんかじゃなあああああぁぁぁ―――い!!」ダダダダダッ!!

マスター「」

客「」

692: Mii 2020/03/07(土) 23:31:42 ID:vEDS9nbc
~閉ざされたフィールド~



とく、とく、とく。



4本のグラスに、桃色のアルコールが、静かに静かに注がれていく。



1本目。20mlくらい。

2本目。40mlくらい。

3本目。60mlくらい。

そして、4本目――――





「…………な、な、なななな――――」ブルブル

震える声が、聞こえてきます。

693: Mii 2020/03/07(土) 23:34:57 ID:vEDS9nbc
デイジー「まあ、しゃーない。一番の功労賞は間違いなくヒルダだし。
     お酒強いからしっかり堪能してもらえそうだし。…くっ、無意識に私の腕が拒絶するけど。

     …それにしても、私が飲んじゃって、いいの?
     一応、契約上は…所有権は3人に譲ったはずなんだけど」トクトク

ゼルダ「羨ましい(まあ、そうですよね。当然の帰結です)。
    …あ、デイジーもぜひご賞味ください、一人だけ除け者になど出来ません」ギリッ

ロゼッタ「ゼルダ姫、本音と逆です逆」

デイジー「――ありがとうね。そのかわり、一番少ないのでいいや。
     んー、3回に分けて飲み切るとしたら、こんなもんかな」





――――ざっと、150mlくらい。





ヒルダ「――――――――なーーーーーーーーーーーーーっ!?」

694: Mii 2020/03/07(土) 23:36:23 ID:vEDS9nbc
デイジー「いやいや、驚きすぎですよヒルダさん。
     みんなが良いって言ってるんだから、気が変わらないうちに頂いとこうよ。
     飲みたいと思った時が、お酒を飲むタイミングだよー?」

ヒルダ「おおおおおおお驚くに決まってるじゃないですか!?
    これだけで、ロウラル王国の年間予算、超えかねませんよね!?
    ななな、何か裏でも、あるのですかっ!?

    一生分の運を使い果たしそうなのですがっ!?
    ――――わ、私が頂いて、よろしいのですかっ!?」



ゼルダ「――――まあ、支障なしですね」フッ

デイジー「残機一つ分の運かー。大したことないじゃん」

ヒルダ「そういう意味じゃありませんっ!」

ロゼッタ「…と、ところで、私(40ml)とゼルダ姫(60ml)の差はなんですか?」

デイジー「私の気分」

ロゼッタ「酷いっ!?」

695: Mii 2020/03/07(土) 23:40:01 ID:vEDS9nbc
~回想~

デイジー「ふっ……………………頑張ったな、ヒルダ」スッ・・・

ヒルダ「――――あ」

デイジー「…………本当に、よく、頑張った。
     師として――いや。親友、として。嬉しい、んだと思う。

     ――あー。あまり『今の状態』だと勝手が分からない、が。
     …こんな、感じで――いいだろう、か」ナデナデ

ヒルダ「――――――――――――――――っ!――――――――っ!!」ガバッ

デイジー「おいおい、抱き着くな。今度は、嘘泣きではないと、信じたいものだが」

ヒルダ「――――ぐずっ…あたり、まえじゃ、ないです、かぁ……………っ!!
    やく、そく。おぼえてて、くれたんですね。
    うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――」ポロポロ

ゼルダ「――――いい、話ですね……涙腺が、ゆるみ、ます――――」グズッ・・・







ロゼッタ「絶賛踏みつけられ中でなければ、私もそう思えたんですが――っ!?」グチャッ

696: Mii 2020/03/07(土) 23:42:06 ID:vEDS9nbc



デイジー「何か言ったか?」ミシィィッ!



ロゼッタ「があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!?…ゲホッ!?
     折れまじだ!今確実に肋骨が何本か逝ぎまじだっ!?
     普通に血も吐いでるんでずげどぉ!

     …しかも中途半端に止めないで!いっそ殺してくださいよ!」ドクドク

デイジー「知らん。好きなだけ海老反りしとけ」ダンッ!!



ロゼッタ「」ジタバタ

ロゼッタ「」ジタ・・・バタ・・・

ロゼッタ「」・・・・・・・・



ロゼッタ「り、ふ…じ…ん――」チーン

697: Mii 2020/03/07(土) 23:45:07 ID:vEDS9nbc
ロゼッタ「…生かさず殺さずの状態で何十分も、さっきは酷い状態でした――
    精神が病んだらどうしてくれるのですか――」




デイジー「…え?あの程度で――」

ゼルダ「ロゼッタが――病む?」

ヒルダ「そんなことが有り得るのですか?」

ロゼッタ「…………………………………それにしても、さっきは酷い状態でした――
    精神が病んだらどうしてくれるのですか――」

デイジー「拗ねて繰り返しちゃったよ」

ゼルダ「……」

ヒルダ「……」

扱いが凄く雑になっています!心外ですっ!

デイジー「あ、あは、あはは。ごめん、ごめん。なんか、ロゼッタの図太さを信じ切ってる感じ?
     心臓に毛が生えてそうっていうか」

……その心臓、拳やら弓矢やら足やら、色んなものに貫かれてるんですが…。
そういえば、以前に自分でナイフを突き刺したこともありましたっけ…。
頑張ってください、心臓さん。私、まだまだ生き永らえたいので。
全力で応援させていただきます。扱いはすこぶる悪いですが。

698: Mii 2020/03/07(土) 23:49:39 ID:vEDS9nbc
デイジー「じゃあ…皆の勝利を祝して――かんぱーい!」

お疲れ様です、私含めて。



皆、思い思いに、これまでを振り返りながら――飲んで、語って、飲んで、食べる。



デイジー「序盤からロゼッタの調子がどうにもぎこちなかったのは、
     初期の初期に大分無茶をしていたことの副作用だったんだね。
     そのあたりを気付いておけば、負けなかったかもしれないのに…。
     くそぅ、私もまだまだ状況判断がぬるいなあ。

    それを含めて、作戦の根幹はロゼッタが割と噛んでたっぽいね」

ロゼッタ「まあ、その通りですね。最後の騙しは万が一の場合に備えてのとっておきでした。
     一緒に過ごしている間に、デイジー姫のゲーマー魂が黙っていないと思いましてですね――」

デイジー「むぐぅ、言い返せない。だからって、あんな作戦立てるなんて…むぐぐ……」



ヒルダ「……ああ、お酒は美味しいし、無事に強くなれましたし、
    ここまでやってきた甲斐が…ありました。
    …この強さ、絶対に無駄なんかにはなりません」ホワホワ

デイジー「――――殊勝なことだね。ヒルダが笑ってくれてると、
    私としても――間違ってなかったんだって、思えるよ」シミジミ

699: Mii 2020/03/07(土) 23:52:12 ID:vEDS9nbc
ゼルダ「…私も、見識が暗く狭かった、と痛感しています。
    …今の私なら、リンクに呆れられることも…きっとないでしょうか。
    ハイラルでも、なにか、皆で切磋琢磨できることを考案していきたい」

デイジー「ゼルダはゼルダで、いいところは一杯あると思うよ?
     あんまり私に感化されて、舵を切り過ぎることはないさ。
     気になったところから、ちょびっとずつ変えて行ったらいいんじゃない?
     キノコ王国とハイラル王国じゃ、勝手も色々違うだろうし」

ゼルダ「ふふっ…参考にしておきます」



デイジー「それにしても、みんながここまで成長しているなんて――

     …まあ、冷静にれいせーいに振り返ってみると、
     『初見殺しのオンパレードで事故っただけなんじゃ…』とも愚痴を零したくはなるけど」

ロゼッタ「え、得てして強敵に打ち勝つ時というのはそういうものですよ」

デイジー「…その強敵が、ストーリー的に1回倒せば舞台から退く悪役なら、
     それでもいい…というか、それを狙ってしかるべきだけど。
     今後も私の特訓を受けて、勝負して、いつか勝ってやろう…って思うなら、
     お互い知ってる手の内の範囲でポイントを主張していかないと、ね?」

それは強者だからこその主張、考え方ではないでしょうか…。
なかなか、そこまでは強気な姿勢では望めません。スペックオーバーもいいところです。

700: Mii 2020/03/07(土) 23:56:56 ID:vEDS9nbc
ゼルダ姫が、目をぱちくり。

ゼルダ「……大会が終わっても、特訓、していただけるのですか?」

デイジー「…どうしたの、急に。ま、私もみんなも、暇な時ならね。
     スマブラ会場までご足労は願うけど。残機が無いと流石に不慮の事故が怖い」

ゼルダ「……そうですね。では、時々、お願いしましょうか。
    とりあえず――吐き気を催さなくなるくらいになるまでは」



その願いに、デイジー姫は、面倒そうな顔をしながらも、とてもうれしそう。
ひとつ、また認められた証拠でもあるのですよね、デイジー姫にとって。



デイジー「ははは、いい意気込み。でも、果たしてゼルダにできるかなー?」

ロゼッタ「大丈夫ですよ、ゼルダ姫なら!私でも出来たのですから!」

ヒルダ「…結局、ロゼッタのその精神力はどのように培われたのでしょうか…?」

ゼルダ「ああ、それは私も気になっていました。純粋な戦闘力では私の方が高いのに」

ロゼッタ「どのように、と申しましても…」



ロゼッタ「…………」ポワン ポワン

701: Mii 2020/03/07(土) 23:59:47 ID:vEDS9nbc
~回想~

ピーチ「崖に突き落とす!マグマにダイブしなさい!ドッスンに潰されなさーい!」ドスッ

ワリオ「頭が吹っ飛ばなかっただけマシと思えよー」

マスター オブ ギャラクシー「空中散歩しようぜ!お前、残機1な!」

ディメーン「嫌だなあ、僕は刺してませんよ?彼女が勝手にトチ狂って自身を刺したんです」

ファイナル! チャンピオンシップロード「宇宙散策しようぜ!とりあえず1107回くたばれ!」
    
スーパーベルの丘「タイムアップの笛吹くの飽きたんですけど」

パックン「マミった?マミった?」

水「3D出身者は軟弱だのう」

プンプン「手裏剣投げたところに額がちょうどあるのよ」

デイジー「死ぬ気で覚えろ。さもなくば死ね」





ロゼッタ「……………………ハッ」トオイメ

デイジー「!!?」ゾクッ

702: Mii 2020/03/08(日) 00:03:02 ID:VE7VmNe6
ロゼッタ「むしゃくしゃしてきました。
     もっと食べましょう。食べて元気を付けましょう」パクパク

チコ「ボクもー」

チコ「ボクもー」

チコ「食べる―!」

デイジー「しょ、食欲旺盛だねぇ。いいことだよ、うん」

ヒルダ「うわぁ…ロゼッタったらよく食べますね。私たちはまだまだ吐き気のせいで
   及び腰になっているというのに。ねえ、ゼルダ姫」チラッ



ゼルダ「………………………………」

ゼルダ(お酒がなくなってしまいました…もっと欲しいです…)

ヒルダ「…………駄目な人です」ジトー

703: Mii 2020/03/08(日) 00:07:54 ID:VE7VmNe6
~キノコ城 城下町~

ブラックピット「…………スゥー、ハァー。…………スゥー、ハァー。

        ……………………よし、深呼吸終わり。今度こそ、まともに酒を飲むぞ――――」

俺はまた、大会参加帰りに、あのバーにやってきた。
他の飲み処に移ることもチラッと考えたが、やはり、あの味は捨てがたい。
価格テーブル的にも、選択肢は有ってないようなものだ。

ブラックピット「前回は飲み残して逃げ去る恥を晒したからな…!
        リベンジ、してやる、からな――――!」

そう…これは、リベンジだ。
リベンジであるから、忌々しいあのラジオ放送の時間帯からずらして来店、
なんてことは一切検討しない。まるで負けを恐れているようじゃないか。
俺があのバカに屈するだと!そんなこと、あってはならない。
正々堂々――正面から打ち破ってみせる。

――ここまで仰々しく考える時点で、若干負けている気がしなくもない。
――ええい、余計なことを考えるなっ!

悠々と席について、カクテルを2、3注文して味わって、マスターと歓談して…
あくまで優雅に、クールに、その場を後にするのだ。
多少は料理も出せるらしいからな。それ味わってみるのもいいだろう。
あのマスターのことだ、格別な味わいを繰り出してくるに違いない。

ピット「ブラピさーん、一級フラグ建築士の資格に応募してみなよ」

…なんだか幻聴が聴こえた。

704: Mii 2020/03/08(日) 00:14:05 ID:VE7VmNe6
さあ、扉の前で最後の深呼吸をして――
カランカラン、というベルとともに、いざ、参る!



マスター「あ、ぶ、ブラックピットさん!?
     え、えっと。前回は、どうもすいませんでした」

ブラックピット「畏まるな、悪いのは勝手に自爆して逃げた俺だ。
        さっそくだが、1杯目に前回と同じ奴を頼む。これで仕切り直したい」

マスター「あ、はい!すぐお作りしますね!レシピはバッチリですよ」タタタッ

…う、うん。あまりつっつかれても気が滅入るだけの話だ。
深く聞かず、なかったことにしてくれると一番ありがたい。
さあ、同じようにカウンターに座ろう。 逃 げ ち ゃ 駄 目 だ。

ちらほら、前回に見かけた顔の奴らがいて…
こちらを指差しつつヒソヒソ話しているが。今は無視だ、無視。
今日こそは俺の完璧な飲み方を目の当たりにして、平伏すがいい。



おっと、今日は…BGMではなく、歌が流れているようだ。
やはり、前回同様に皆が聴き入っている。

…これは。いわゆる、アニソンというやつか。

705: Mii 2020/03/08(日) 00:18:24 ID:VE7VmNe6



抱き締めた命のかたち――

その夢に目覚めたとき――



――――ああ、この…曲は。
――――アニソンに疎い俺でも知っている、有名な歌だ。
――――アニメ業界に革命をもたらした作品の、オープニングじゃないか。
――――これは、聴き入ってしまうのも納得だ。

俺も、思わず耳を傾ける。



誰よりも光を放つ――

少年よ、神話になれ――





……いい曲だ。だが、ちょっと待て。
この声。なんだか、違和感があるというか、なんというか…
というより、どこかで聞いた…いや、つい最近耳にした声色のような…?

706: Mii 2020/03/08(日) 00:22:30 ID:VE7VmNe6



パルテナ「ピットはハートを貢ぎながら  ホンキ度決める――

      女神なのに憑かれたまま  私は生きるぅぅぅぅ――――――――!!」

ブラックピット「…………!?」



パルテナ「残酷な天使のブラピ  魔鏡からやがて飛び立つ――

     ネタ走る熱いハデスで  エンディングをう・ら・ぎ・る・なぁらぁ――!

     この宇宙を抱いて輝く  少年よ、(光)神話になぁれぇぇ――――――――っ!」



客「うおおおおおおおぉぉぉぉ――――!!!」

客「パルテナさん、かっけぇ――――――――――――――――!!
  ラジオパーソナリティだけじゃなくて声優や歌手まで兼ねてるなんて!」

客「むしろそっちの方が本業だったりしてな!」

客「あはは、本業は女神だろー!」

ブラックピット「」

707: Mii 2020/03/08(日) 00:26:08 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ふぅ、歌い切りましたー!」

ピット「以上、ラジオネーム『カイロスマッギョ』さんのリクエストで、パルテナさんの熱唱による
   『残酷な天使のブラピ【新世紀 光神話・パルテナの鏡(概)】』でした――!
   最後の少年って私のことですよね、かっこいい歌詞だなあ!」



マスター「みなさーん、お静かに頼みますよー」

客「「「はーい、すいませんでしたー!!!」」」ペコリ





ブラックピット「」

ブラックピット(勝手に人の名前使うなとか。
        客のヤツらは前回俺を散々睨んでおいてこの騒ぎようか、とか…。
        ツッコミどころもいろいろあるが……

        まだ口に酒を含んでなくて、ほんっとうに良かったぜ…!!)ブルブル

708: Mii 2020/03/08(日) 00:30:30 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ふう、ちょっと化粧直ししてきますね」タタタ



ピット「わかりました!しばし、この私に任せてくださいパルテナさん!
   ――さて、それではお待ちかね、『パルテナの何でも相談室』のコーナーです!
   パルテナさんいなくなっちゃいましたけど!

   本日は、なんと!ファイターの1人にお越しいただきました!
   今のうちに紹介しておきましょう!

   はるかぜとともにプププランドへやってきた旅の若者、
   何でも吸い込む食いしん坊、コピー&ペースト…じゃなかった、コピー&変身!
   ピンクの悪魔こと、カービィさんです!どうぞ!」

カービィ「ハーイ!」

ピット「…とまあ、紹介はしたものの。
   今のままじゃ、さすがにお話を聞くもなにも、あったもんじゃないよねー。
   パルテナさんが戻ってきたら『翻訳の奇跡』を掛けてくれるから、
   ちょっとお菓子でも食べておいてね」

カービィ「――――ハーイ!」ギュルルルル ゴックン

709: Mii 2020/03/08(日) 00:33:48 ID:VE7VmNe6
パルテナ「…お待たせしました!申し訳ありませんー」



カービィ「大丈夫だよ、お菓子食べて時間を潰してたから」

パルテナ「それはよかった…って、まあ!
     カービィさん、普通にしゃべれるようになっていたんですね!
     奇跡を施す手間が省けました!

     …あれ?ピットさんはどちらに?入れ違いですか?」

カービィ「お菓子を食べてたら、急に目の前からいなくなったよ」

パルテナ「不思議ですね…まあ、時間も有限ですし、このまま始めてしまいましょう。
     『パルテナの何でも相談室』のコーナーです!

     早速ですが、カービィさんの悩みってなんですか?」





カービィ「ボク、スレ内で露出が少なくない?」

パルテナ「…カービィさんって基本裸ですよね?
     変身で装備や帽子を纏うことはありますが」

カービィ「出番が少なくない?ってことだよ!任天堂の主要キャラの一角でしょ!
     スマブラにだってずっと出演してるし!」

710: Mii 2020/03/08(日) 00:36:30 ID:VE7VmNe6
パルテナ「それは…」

カービィ「スマブラのストーリーモードでも目立つ役回りだし、
     もっと出番があってもいいと思うんだ。なのに、デデデ大王の方が出番が多い…」

パルテナ「そうしてあげたいのは、やまやま、なんですが…………」

カービィ「…??」

パルテナ「実は…………スレ主。



     カービィシリーズは、パズルゲームの『きらきらきっず』しか
     プレイしたことがないんですよおぉぉぉ――――っ!!
     そっちは割と極めたんですけどねぇっ!」

カービィ「」

パルテナ「最近までワドルディとワドルドゥをごっちゃにしてました!」

カービィ「!?」

711: Mii 2020/03/08(日) 00:39:54 ID:VE7VmNe6
カービィ「……まさか、スーパーデラックスすら、やったこと、ないの?」ブルブル

パルテナ「…あ!そういえば、やってましたね!これは失礼しました。
     2019年12月からですけど……。
     あと、カービィハンターズもやってましたか」
     
カービィ「きらきらきっず以外は全部未来の話のうえに無料プレイできる物しかやってない!?」

パルテナ「そのかわりカービィハンターズは3DS版もSWITCH版もしっかりこなしましたよ!
     どんな敵が相手だろうと、画面端から的確にビームばしばし撃って、時間を止めるだけの簡単な仕事でした!」

カービィ「唯の作業だよそれ!暇人なだけだよ!?」

パルテナ「だってアクション苦手だとこれが一番強いんですもん…
     2Dマリオの動きにしか適応不可なんですもん…」

カービィ「『もん…』って言われても…嘆きたいのはこっちなんだけど」

パルテナ「…ま、まあ。そんなわけで、キャラの理解が不十分といいますか…。
     掛け声も『ハーイ』が9割だし、ちょーっと扱い難い、といいますか…そのー」

カービィ「…スレ内のラスボスを吸い込んで一瞬で終わらせようかな。
     スマブラの順位見る限り、実力は評価してもらってるっぽいし、
     少なくとも巨大キノコとの組み合わせなら可能だと思うんだ」

パルテナ「やめてください話が壊れます」ガクブル

712: Mii 2020/03/08(日) 00:43:42 ID:VE7VmNe6
カービィ「――――問題が解決しないことがわかったので帰りまーす」ガチャッ

パルテナ「…ま、またのお越しをー」

カービィ「…………ハーイ!」



ピット「」ベチャァ



パルテナ「…ピットさん?どうしてそんなところで寝ているのですか?」

ピット「…………涎まみれの指輪にでもなった気分だ…………」

ブラックピット「」



パルテナ「…あら?スタッフさん?どうかしましたか?……ふむふむ。
     ピットさん、今日はもう少し時間があるそうなので、
     あと一人の相談も受けてみるそうです。まだ行けますか?」

ピット「…ええ、なんとか。でも、急にそんな事決めても、来訪者の都合が付きますかね?」

パルテナ「それが…本当に気が気でない悩み事を抱えていらっしゃるそうで。
     放送は明日の予定だったのが、既にいらしているそうです」

ピット「むっ!それは、なんとしても助けて差し上げたいですね!喜んで!」

713: Mii 2020/03/08(日) 00:48:53 ID:VE7VmNe6
パルテナ「それでは…『パルテナのお悩み相談室』、本日2回目!
     『ファイアーエムブレムif』の主人公、カムイ(女)さんです!」




カムイ「…………お願い、します」ドヨーン




ピット「…え、なにこの重苦しい雰囲気」

カムイ「…私、運命の分岐点で選択を迫られて、必死に悩んだ挙句に…
   天から聴こえてきた選択肢…『大乱闘に参戦する』を選んだんです。

   自分に降りかかる難題を一時放り出してまで、歴戦のファイターたちと戦い、
   より強くなって舞い戻るため、に…。

   ですが、やってきてみたら、おかしいんです。
   結局、DLC組の運命として、大会に出られなかったのは…
   肩透かしを食らって残念ですが、いいんです。納得、しています。

   でも、同じFE組の方々にお会いした時、どの方も愛想笑いをして…
   まともに、心の壁を取り払った会話をしてくれないんです。
   あの英雄王マルスですら、ぎこちなく、一歩引いているんです…!
   ましてや、練習試合など言い出せる雰囲気ではありません…。

   私、一体、何をしてしまったのでしょうか…!
   知らないうちに、取り返しのつかない失礼をしてしまったのでしょうか…!」ウルウル

714: Mii 2020/03/08(日) 00:52:38 ID:VE7VmNe6
パルテナ「…………あー」

ピット「…………あー」

カムイ「…!?何か、ご存知なのですか!教えてください!
    この王国ならではの作法?しきたり?それともやっぱり、実力!?
    頑張って直しますからっ!どうか、お願いしますっ!
    何の成果もなしに戻るなど、恥ずかしすぎます!きょうだいたちに顔向けできません!」ペコリ

パルテナ「大丈夫ですよ、貴方は全く悪くありません」

ピット「ある意味、全く大丈夫じゃないですけどねぇ…」

カムイ「それは、どういう…」

パルテナ「落ち着いて、どうか落ち着いて聞いてください。
     スレ主は、FEシリーズは、実は覚醒までしかやったことがありません」

カムイ「……?」

パルテナ「そして、ちょっと前に、無料トライアルでFE無双をプレイしたのですが。
     無双ものは初めてだったことも災いし、13章で乱心した貴方に殺されまくりました」

ピット「拠点なんて気にせず逃げて、正気に戻るまで相手をしちゃいけないのに、
   『ちょっと能力が高いくらいで、頑張ったら倒せるんじゃね?』と考えて
   突っ込んでいったのが浅はかでしたね」

カムイ「…………そ、それでとばっちり気味に嫌われてしまったということですか!?」

715: Mii 2020/03/08(日) 00:57:24 ID:VE7VmNe6
パルテナ「いえ、そういうわけではないのですが…。
     というか、それならばまだ救いがあったのですが…」

ピット「実はスレ主は、スマブラforはDLCなんて利用せず、ネット対戦もせず。
    ほぼオフラインでだけ楽しんで終わりました。
    いやあ、ライトプレイ極まりないですね。買っておいて損してますね。

    参戦告知動画にも、対戦動画にも、一切触れてきませんでした」

カムイ「…………話が、見えてきません!はっきり言ってください!
    何を聞かされようとも、覚悟はできています!」

パルテナ「…わかりました。現実は非情で残酷ですよ…?
   
      色々な事柄が、奇跡的に絡み合った結果――――








     貴方が、鈴を転がすような声色で、可愛い系のキャラだなんてこと、
     2020年になって初めて知ったんですよ!
     おまけに、極端すぎて完全にキャラが固定されちゃったんですよ!」

カムイ「」

716: Mii 2020/03/08(日) 01:00:01 ID:VE7VmNe6
ピット「それは、決して悪いことじゃありません。
   作り声でもなければ、むしろ大多数の女性にとっては褒め言葉でしょう。

   しかし…しかしっ!このスレにとっては、致命的っ……!」

パルテナ「剣を頭上に掲げて『皆、私に付いてきなさい!』とか言いそうな、
     リーダーシップ溢れる、リンに似たキャラとして動いてもらう予定だったのに!
     もちろんスレ内では弱キャラの部類には入りますが、活発に動かせそうで、
     中盤終盤でルキナと組ませたり、ルフレと裏事情で絡ませたりできたのに!

     座禅して5秒で足首がもげてしまいそう、とか言う子を、
     今更どう扱えばよいというのですか!難易度ルナティックですよ!
     座禅素人の一般人でも確実に1分は平然としてますよ!」

カムイ「い、いえ、絆会話の間の時間経過は普段通りではないといいますか…
    …って、う、裏事情!?むしろどうしてそちら側を先に知ったのですか!?」



パルテナ「設定資料って読み漁るの面白いですよね。ネットに流されまくりですけど」

ピット「世界観以外にも、威力計算とか成長限界とか。
   買ってもいないゲームの、最高ダメージを計算して遊んだりね」

カムイ「」

717: Mii 2020/03/08(日) 01:05:35 ID:VE7VmNe6
カムイ「」プルプル

カムイ「もう、許しません!流石の私も…堪忍袋の緒が切れちゃいました!」ゴゴゴ

ピット「ちょ、ちょっと、カムイさん!乱心しないで!何度目!?
   こちらとしても押さえつけるなんてことはできればしたくないんです!
   ラジオ局にもすごく迷惑が掛かりますし!おまけにそれ、唯の八つ当たり!」

カムイ「そんなに乱心した記憶、ありませんよ!お覚悟をっ!」



バサッ!!!





カムイ(竜)「――――――――激流咆―っ!!」ゴオオオオッ!





パルテナ「奇跡で機材諸々を守って、と。ピット、抑えてください!

     残念ながら、カムイさん…ピットとはただでさえ実力差があるうえに――」ピカーッ

718: Mii 2020/03/08(日) 01:10:17 ID:VE7VmNe6
ピット「えいっ」パシッ



パルテナ「このスレ内の、特にキノコ王国内では。
     フェアリータイプのピットにドラゴン技は効きません。貴方の天敵ですね」

ピット「なんか最近効かなくなったんですよね」

カムイ「」ポンッ

ピット「すいません。ほんと、すいません。当初から相性関係をそう描写しちゃってるんで。
   竜に変身しなければ、水技っていう言い訳もまだ立ったんですけど――
   パルテナ様…じゃなかった、パルテナさん。ちょっと連れて行きますね」ガシッ

パルテナ「いえ、こちらもついつい戦闘モードに入っていました」

カムイ「いやあぁぁ――」ズルズル



カービィ(物影)「……………………」

カービィ(彼女よりはマシかぁ…)



ブラックピット「」

――――ブラックピット、2敗目。

719: Mii 2020/03/19(木) 00:13:15 ID:NXmrz8H2
~キノコ城 執務室~

コン、コン。



マリオ「ピーチ、ちょっといいかー?」ガチャッ



ピーチ「…………あー、マリオ?どうし…たのー?」グデー

マリオ「…机に突っ伏して、ここまで絶不調とは思わなかった。
    無理せずベッドで寝とけばいいのに…」

ピーチ「…………何もせずとも仕事は湧いてくるのよ…。
   おまけにスマブラ大会が問題抱えまくりの状況だし…しんどい…
   キノピオ達も『今こそ姫様のお役に立つ時!』って意気込んでくれてるんだけどね…」グデー

マリオ「ほう、そりゃあよかったなあ!」





ピーチ「…慣れないことやったせいで失敗が多くて、却ってチェックの手間を増やしてるけど」ガクッ

マリオ(知ってた。思いっきり知ってた。まるで成長していない)

720: Mii 2020/03/19(木) 00:15:29 ID:NXmrz8H2
ピーチ「はやくこのストレスから解放されたいぃ…」ウルウル

マリオ「弱気にも程があるな、雨どころか槍でも降りそうなレアっぷりだぞ。
   まあ、職業病だから今更変えられないか。口出しはしない。
   …ただ、本格的にぶっ倒れるのだけはやめてくれよ?分かってるとは思うけど」

ピーチ「…はーい」ヒラヒラ

マリオ「とりあえず、スッキリドリンクとフレッシュジュース、お待ちどう。
   あとキャシーデラックス作って貰ってきたぞ。少しは体調も良くなるだろ」サッ

ピーチ「――――頂くわ!」ガバッ







ピーチ「ごちそうさまでした。…うん、少し持ち直したわ、ありがとう!」

マリオ「お粗末様でしたっと。じゃあ、頼みがあるんだけど。
   ちょっくら、俺の手のひらに思いっきりパンチかましてみろ。
   それで元気度を確かめるぞ」スッ

ピーチ「何よ、それ…別に良いけど。怪我するんじゃないわよ――――はあぁぁっ!!」

721: Mii 2020/03/19(木) 00:17:37 ID:NXmrz8H2
バシイィ――ン!!



マリオ「……ふむ、まあそこそこ元気にはなってるか。
   そういうことなら、改めてお願いがあるんだが。無理言って済まないな」ヒリヒリ

ピーチ「あら、何かしら?」

マリオ「事態が事態だからな、念のため、備えに備えて…助っ人を呼びたいんだけどさ。
   …デイジーにメールで連絡とってくれないか?というか、もっと早く気付けばよかった」

ピーチ「…そんなの、とっくにやってるわよ。
   どこをほっつき歩いてるのか、電源切られたままで、一向に捕まらないけど」

マリオ「…あ、そうなんだ。一応、個人のメールだけじゃなくて、
   サラサ・ランドの王室向けにも送ったんだよな?」

ピーチ「…………あっ」

マリオ「おいおい…大臣の誰かが行き先をほのめかしてくれるかもしれないぞ?」

ピーチ「ひ、日頃は直接連絡が取れてばっかりだったから…!
    わ、わかった!すぐに連絡を取ってみるわ!」

マリオ「頼んだぞー」ガチャッ

722: Mii 2020/03/19(木) 00:19:23 ID:NXmrz8H2
マリオ「…ううむ、本当に気付くのが遅かったな…
   今からだと、間に合ってくれるかどうか。俺も、テンパってるのか?
   …まあ、悔やむのは後にしよう。さてと、あとは…」



トゥルルル・・・



ルイージ『あ、兄さん!とりあえず、1UPキノコは順調に回収できてるよ!
     今で大体100個くらい!』

マリオ「全然足らん。冗談抜きに、その10倍は持ってこい」

ルイージ『ええっ!?そんなに要るの!?』

マリオ「…と、言いたいとこだが。
   まあ、集めることに躍起になり過ぎて、敵さんの仕掛けを見過ごすのは
   本末転倒だからな。回収数に関わらず、3日後には帰還してくれ」

ルイージ『了解!その時にはちゃーんとネタ晴らししてよね!
     兄さんのことだから、理由はあるんだろうけど、はは』

マリオ「悪いな、助かるよ」

723: Mii 2020/03/19(木) 00:22:11 ID:NXmrz8H2
プツッ。


マリオ「……ピーチもルイージも、すり替わってる可能性は低いな。たぶん。
   『外見ゼルダ』が一向に参戦したがらなかったところを考えると、おそらく大した戦闘力は持ってない。
   …というか、『ロゼッタ自身の強さ』までが限界なんだろうな。

   確実に戦闘力がロゼッタより高い奴なら安全、か。
   …逆に言うと、市民に化けてる可能性は残ってるのかぁ、はぁ。

   偽者になれる条件は何だ?不明確過ぎて動きにくいったらありゃしない。
   空間魔法についてもっと勉強しておいたらよかったな。

   人や物の流れに大きな変化は…なさそうか?
   ファイター以外の盗難被害は…特に、出てないな。本当かな?
   非常事態宣言のマニュアルってどうなってるんだっけ…?

   …やばいな、ピーチにおんぶにだっこ状態で、キノピオ達を笑ってられないぞ?
   ピーチが戦線離脱したタイミングで仕掛けられたら…ゾッとするな。

   もうちょいピーチの体力がマシな瞬間に、流石に事情を伝えておくか…?
   そんでもって、偽ロゼッタをとっとと成敗した方がいいのかな…」ウーン

724: Mii 2020/03/19(木) 00:24:16 ID:NXmrz8H2
八百屋「お、リンクじゃねえか!最近は怒涛の勢いで追い上げてるな!
    応援してるぜ、頑張んな!ほれ、リンゴ持ってけ」ポイッ

リンク「サンキュー、有難く頂いとくよ。優勝なら任せとけ!

   …しっかし、前々から思ってたんだが、俺ってハイラル王国出身だぞ?
   キノコ王国民なら何の勝負であれ、マリオに勝ってほしいもんじゃないのか?」

主婦「馬鹿ねー、頑張って戦うファイターを応援するのに、出身なんて関係ないわよ。
  うちの家は全員、リンクさんの大ファンなのよ?」

子供「そーなの!勇者は絶対負けないの!マリオなんてドカーンなの!
  吹き飛ばして、壁に叩きつけちゃうんだから!」

リンク「いやいや、流石に言いすぎだぞー。どこのジーノだよ」ポンッ

子供「ふみゅう」

リンク「まあ、応援してくれるのは嬉しいよ。大会終了まで、熱い声援をよろしくな!
   裏切らない活躍、させてもらうから!」

子供「…!!うん!」パアアア

725: Mii 2020/03/19(木) 00:29:52 ID:NXmrz8H2
リンク「(ガブッ)…うん、今日もオッチャンのとこのリンゴは最高だね!
   甘い蜜!こぼれる果汁!これがたったの1個3コイン!」チャリン

八百屋「おお、毎度……………って、そのリンゴはお前にやったんだよ!」

リンク「またまたー、実はちゃっかり払ってもらう予定調和だったんだろー?」

子供「…八百屋さん、悪い人?」

リンク「そうだぞ、このオッチャンは悪い人なんだ。
   並べられた果物や野菜はみずみずしいし、奥さんは美人だし、従業員の給料も高いんだ。
   ……ほら、何か裏がありそうだろ?30分以内に誰かが命を失いそうな不自然さだ」

子供「ほ、本当だ…妙だね…!」ゴクリ

八百屋「ちっがーう!リンクもふざけるのはやめろぉ!」

リンク「おまけに、ここだけの話…少し前に、このオッチャンは風邪で休んでたんだ。
   その間は、奥さんがメインで店を開いてたんだけど。

   なんと、ミカン1個買いにきただけで2時間捕まって惚気話に付き合わされた。
   このオッチャンは極悪人と言えるのではなかろうか」

子供「…極悪人だね――!」キラキラ

八百屋「いい加減にしろー!」カアァ

リンク「はっはっは、またなー!」

726: Mii 2020/03/19(木) 00:33:49 ID:NXmrz8H2
子供「リンクー、大会中だからって、最近付き合い悪いぞー。今日こそ遊ぼうぜ!
  かくれんぼでも、鬼ごっこでもいいからさ!俺、すぐに仲間集めるよ!」

リンク「悪い、忙しいんでまた今度なー。大会終わったら嫌っちゅうほど遊んでやるから!
   不貞腐れて、いたずらしすぎるなよー!」ヒラヒラ



老婦「おやおや、リンクじゃないか。この前は、荷物持ってもらって、本当に助かったよ。
  ほら、そのときのお駄賃だよ」

リンク「何十キロもある風呂敷包みを背負うなんて無茶、もうしないでくれよ。
   よろけてた所を目にしたときは肝が冷えたぜ…。よく街はずれまで行こうと思ったな。
   ま、俺にとっちゃ50トンくらいまでなら持ちっぱなしでも平気だから。お金だなんてとんでもない!」

老婦「ふふ、リンクなら…そう言うと思ってさ、これをあげようとおもってねえ」



リンク「――――紙袋のなかには?



    ――――ぱんぱかぱーん! 赤 い マ フ ラ ー !



    …………って、完成度たかっ!これは流石に対価がデカすぎじゃないか!?
    おまけにこれ、すっげー手間掛かってるだろ!?駄目だろ、こんなに簡単に手放しちゃ!」

727: Mii 2020/03/19(木) 00:37:17 ID:NXmrz8H2
老婦「元々趣味で作り貯めしておいて、眠ってたのを持ってきただけさね。
  どうか貰っておいておくれ、せっかくあげたいと思ったんだから。

  それとも、いつでも渡せるようにずーっと手提げの中に入れていた…
  老い先短い、しがない老人の気持ちを無駄にするのかい?」

リンク「…それは卑怯っすよ、ううう…。俺にはクリティカルヒットだよ…。
   老い先短いとか冗談でも言わないでくれよ…。  

   …あー、婆ちゃん、編み物大好きだからなー。家の中、完成品で埋もれてたよね。
   そういうことなら、有難く貰っておきまーす。これから寒くなるから嬉しいや。
   返却要請は受け付けられないので、ご了承くださーい。どうも、それじゃ!」

老婦「傷んで来たら、また作ってあげるからねー」ヒラヒラ

リンク「傷む前提かい!…いやまあ、巻きながら剣を振ったりしたら
   速攻で傷みそうではあるけれど。むしろ何かの拍子にバッサリ行きそうだけど。

   できる限り大事に使わせて頂きまーす!」ビシッ



リンク「……………………あったかいな」ポカポカ

728: Mii 2020/03/19(木) 00:40:19 ID:NXmrz8H2
パン屋「り、リンクさん!」

リンク「んー?」クルリ

パン屋「あの!その!…………し、新作のパンが焼けたんです!
    おひとつ、持って行ってください!焼き立てです!」

リンク「おー、美味しそうだな!でもそれ、売り物…………」

パン屋「持って行ってください!」ズイッ

リンク「だからそれ、売り物…………」

パン屋「持って行ってください!!」ズイズイッ

リンク「俺だけ贔屓してもらうってのも…………」

パン屋「持って行ってください!!!」ズイズイズイッ

リンク「え、これって『貰う』って言わないとループするタイプの選択肢?」

パン屋「う、ううう……………」

リンク「わ、わかったわかった、貰う貰う」ヒョイ

パン屋「…………!」パアアアア

パン屋「か、感想お待ちしてますね!――――キャーッ!」タタタッ

リンク「お、おう…?」

729: Mii 2020/03/19(木) 00:45:06 ID:NXmrz8H2
男「リンク…ここを通るたびに看板娘といちゃつきやがって。リア充め、爆発しろ」

男「そうだそうだ!俺たちのオアシスにズカズカ踏み込んでくるんじゃねぇ。
 姫様方とキャッキャウフフしとけよ!」

リンク「って、またお前らかよ、懲りないなあ。何がしたいんだよ。
   お姫様と相思相愛?…どこの勇者の話をしているんだお前は。

   あの子は店主なんだから看板娘ってのはおかしいって前から言ってるだろ?
   ついでに、爆弾ならしょっちゅう爆発させてるとも言ってるぞ!

   それに、いちゃついてるとか何を言ってるのかわからないけど、
   パンをこうやって貰ったのは初めてだぞ」

男「なん……だと……」

男「…………一歩前進してしまった、だと…!
 俺たちがどれだけ勇気を振り絞ってあの子に話しかけているのか、知りもしないで…!
 ええい、その性根、今日という今日こそ叩き斬ってやる」ビシッ

男「頑張ってください兄貴!」





リンク「…木剣突き付けて俺に喧嘩を売る方が百万倍勇気が要ると思うんだけどなぁ」

730: Mii 2020/03/19(木) 00:48:38 ID:NXmrz8H2
男「ぐだぐだ抜かすな!さあ、そこの広場で勝負だ!まさか逃げはしないよな!」

リンク「うわー、こわーい。逃げよーっと。お前の勝ちでいーよー」テクテク

男「えっ」

男「えっ」

リンク「これでお前の初勝利じゃん、よかったなー。
   百連敗くらい?したけど、終わりよければすべてよしだなー」

男「そそそ、そりゃないぜリンク!いやリンクさん!
 そのうち回転切り教えてくれるって約束だったじゃねーか!」

リンク「そういうことはしっかり覚えてるのな。
   でも、ちょっとマジで忙しくてですね。構ってられないんですよ…。また今度な!悪い!」タタタッ

男「……」ショボーン

男「……イテッ!?…な、なんだあ?…小冊子?」コツン



――初心者でもわかる回転切りの操作法――

リンク「簡単なマニュアル作っといた!ちょっとそれ読んで独学でやってみてくれ!
   ただしケガだけはするなよー!剣を握る時は、周囲の人や物にぶつからないことを確認だ!」タタタッ

男「うおおお、流石だぜ!ありがとな!!……でも、なんで『操作法』?」

731: Mii 2020/03/19(木) 00:51:24 ID:NXmrz8H2




リンク「はっはっは、あんなに喜んでもらえるなんて、単純だなー。











    さってと。一切合財、俺たちで守ってみせますか!
    そのために、俺たちは今、ここにいるんだから――――」

732: Mii 2020/03/19(木) 00:56:17 ID:NXmrz8H2
ウェンディ「へー、このアクセサリ、中々イカスじゃない。…どうかしら?」

ロイ「うーん、僕もこういった装飾品には疎いけど…よく似合ってると思うよ。
  あ、でも効果の方はまかせて。しっかり情報は集めてるから。

  えーっと、『セーフティーリング』…
  『防御・魔防・素早さの微強化と属性ダメージ無効化、状態異常・即死効果を受けない』だね。
  すごいよ!さすがウェンディ、お目が高い!いい選択なんじゃないかな!」

ウェンディ「いい事言ってくれるじゃないの!」

イギー「そうかぁ?アクセサリが可哀想じゃない?――イデッ!?」

ウェンディ「何かほざいた?」

イギー「なんでもありません」プシュー

ルドウィッグ「ふむ、それにしても、どの店も良いアイテムが揃っているな。
       いい加減、城の皆に土産として何を買ってやるか決めないといかんな…。
       できるだけ動きを束縛されずに、手頃な価格で良効果のものを…」

ロイ「だったら、ルドウィッグ。このリストが役立ったら嬉しいな。
  僕なりに、キノコ王国の装備品を、同系統の戦闘効果でグループ分けしてみたんだ」バサッ

ルドウィッグ「…うおぉ!?こいつは分かりやすいな!
       性能比較に、稀少性ランキングに、費用対効果!
      販売店舗の詳細や値崩れ状況まで載っているではないか!
      よ、よく調べ上げたな…!」ペラッ ペラッ

733: Mii 2020/03/19(木) 01:04:37 ID:NXmrz8H2
ロイ「特に在庫状況と価格変動は気にするべきかな。
  大会期間も間もなく終了するから、売り抜けたい各店舗の思惑が絡み合って
  大きく価格変動が起きるはずだよ。目的のものを安く買い叩くチャンスだ。

  ただ、目がくらんで法外な価格で外れ品や劣化品を買わされる可能性もあるから、
  情報網を駆使しつつ…必要な物だけを必要な数だけ買う計画を事前に立てた方がいい」

レミー「最近のロイってマジで戦略面で冴えてるなー!見習いたいよ。
   
   ところで、ロイはどの装備に興味を惹かれた?
   オレはバトルのたびに6回までダメージを無効化してくれる
   ガードシェルDXが超欲しいんだけど…2,400,000コインか。
   一瞬2,400コインに見えちゃったけど、気のせいか。たっかいなあ、やっぱり」

ロイ「そんな異常性能なら激安だと思うけれどね…そうだね、僕が気になってるのは…
  1日1万歩歩くだけでとんでもない威力を発揮するようになる『テクテクブーツ』かな。

  …いやほんと、なんだよこれ…。どういう原理?たったの1万歩で?えええ…。
  僕の知り得る神器たちより踏みつけの威力が出るみたいなんだけど…
  世界は広いなあ…………キノコ王国の技術?は凄いなあ…」フゥ



モートン「…………?ジンギ?何ソレ?」

ラリー「尊いものさ、きっと」

734: Mii 2020/03/19(木) 01:07:55 ID:NXmrz8H2
クッパJr.「ねえパパ、もう面倒だから、店の商品全部買い取って、後で分配決めようよ。
     時間がいくらあっても足りないよ」

クッパ「それでは駄目だぞ、Jr.よ。やりくりはとても大事なのだ。
   
   それはもちろん、ワガハイのお金があればできないことではない。
   だがそれだと、使われず仕舞いのアイテムが大量に出る。
   そんな浪費ばかりではクッパ軍もじきに立ち行かなくなるのだ」

クッパJr.「この程度のお金で大げさじゃない?それにお店の人は商品が完売すれば大喜びでしょ?」

クッパ「塵も積もればなんとやら、なのだ。それに、我が帝国の懐が痛むだけではないぞ?

   品質の良し悪しを気にせず物が売れていくと、粗悪な商品が淘汰されなくなる。
   職人のモチベーションが下がって良質な物が生まれにくくなるし、
   販売者は性能と価格との関連性を読み解けなくなって仕入れの質が悪くなる。
   つまり、良質な物に出会える機会自体が減る。

   その結果、業界自体の縮小を招くのだ。回り回って、将来的に全員が損をするのだ。
   何百年先かわからんがワガハイの跡を継ぐのなら、こういったことは少しずつでも理解していかなければならん」

クッパJr.「ふーん、そんなもんなんだ。…店主のおじさん、失礼なこと言ってゴメンな」

店主「あはは、大丈夫ですよ。
   しっかし、まあ。クッパ大魔王たちに何食わぬ顔で戦闘用アクセサリを勧めるとか、
   平和な時代になったものですねー。改めて思いますよ」

クッパ「何食わぬ顔て」

735: Mii 2020/03/19(木) 01:11:45 ID:NXmrz8H2
店主「それにしても、クッパさんとこの技術班なら、店売りに負けない装備品とか、
   らくらく作れそうなんですけど。気のせいですか?」

クッパ「…作れないことはないが、割とマッドな技術者集団だからな…。
   効果と引き換えに精神を侵食されるとか、副作用ありきの闇の装備が多いのだ」

店主「なにそれ怖いです」

クッパ「それに、実力を底上げしすぎる装備品を買い与えたところで、碌な事にならん。
   自分のチカラを過信して努力を怠って、しまいには弱っちい兵士を生み出すだけだ。
   そんな稀少な装備品は製作費ばかり掛かって、全員に配るのもままならんしな。

   ちょこっと底上げして、『あと少し強ければこんなことができるんだ』と知って
   ますます修業に邁進できる、くらいでなければいけないのである」

店主「ごもっともですね。今後も、末永くお付き合いしていきたいものであります」

クッパ「…うむ!実にキノコ王国の民は呑気で楽観的で――愉快な性格をしている!
   ワガハイにも、こんなに門戸を開放しているのだからな!」

店主「はははははははは」



ピュウウウウウ――――

店主「でも無理やり通ろうとして破壊した入口の扉は弁償してくださいね。
  思いっきり風が入ってきて寒いですし」

クッパ「間もなく修復作業係のトゲノコたちが到着しますハイ」

736: Mii 2020/03/19(木) 01:14:50 ID:NXmrz8H2
~キノコ城 執務室~

マリオ「……………………え?なんだって、ピーチ?」

ピーチ「難聴主人公か。だから、サラサ・ランドから返信があったんだってば。

   『どうやらデイジー様はキノコ王国に向かわれた模様です。
   大会の間居座って、観戦三昧のことでしょう。
   我々を出し抜いてほくそ笑む様子が、ありありと浮かび上がりました。

   ピーチ様は、あの方に絆されて匿われているのでしょうか?
   あの方の為にもなりませんので、ここは心を鬼にして…
   むしろ、はやくこちらまで突き返してください。政務が山積みです。
   それだけが私どもの切なる願いです』

   っていう恨みがましい返信がね。大臣も相当まいってるわね…。

   これ、どういうことかしら。もしかして、隠れて観戦してる?
   ちっとも気付かなかったわ…!」

マリオ「…………」

マリオ「……………………」

マリオ「…………………………………………」

マリオ「………………………………………………………………………………っ!?」ハッ

737: Mii 2020/03/19(木) 01:16:50 ID:NXmrz8H2
マリオ「…………」ワナワナ

ピーチ「…………どうしたの?」



マリオ「…な、なあ、ピーチ。これまで、グースカ寝ていた、とかを除いて…
   デイジーに電話が繋がらなかったことって、ほぼないんだよ、な?」

ピーチ「ないわよ?というより、電源が切られていた事自体が、記憶にないわ。
   それがどうし――」





マリオ「ちょおっと用事を思い出したぁ――――っ!!じゃあなーっ!!」ダダダダダダッ!!

ピーチ「」

ピーチ「去っていった……」

738: Mii 2020/03/19(木) 01:18:47 ID:NXmrz8H2
~閉ざされたフィールド~





――――どうして、こんなことに、なってしまったんだろう。





皆が、半狂乱になって、暴れている。

目の前の惨劇に、思わず目を覆いたくなります。






あんなに、あんなにも平和な時間が過ぎていたのに。

それもこれも、ぜんぶ、私のせい。
争いを振りまくジンクスでも、持ち合わせているのでしょうか。



「…………わたし、が」

739: Mii 2020/03/19(木) 01:20:39 ID:NXmrz8H2











ロゼッタ「あははははははは!」フラフラ

デイジー「はっはっはっは!」フラフラ

ゼルダ「あなたたち、笑いすぎだゴラァ――!」ヨロヨロ



ヒルダ「私が『平等に残りのお酒を飲みましょう』とか言ったばっかりに――っ!?」ガクブル

740: Mii 2020/03/19(木) 01:22:46 ID:NXmrz8H2
確かに私は、お酒に強いと自覚していましたが。
ここまで差が付くとは、思いもよりませんでした。案外、度数が高いのでしょうか…?
そこまで悪酔いしたことがないまま今日まで生きてきたので、よくわかりません。



ヒルダ「え?え?え?何ですか、これ?

   お酒をデイジーから頂いた段階で、残り900mlくらい。

   前回に300mlくらい消費して、残り600mlくらい。

   あと2回と言わず、飲みつくしてしまおうって提案して、1人あたり150ml。

   私が美味にほんわかしている間に、何で此処まで本格的に酔うんです!?
   特にデイジーっ!これまで少量ずつ飲んできたから露わにならなかっただけで、
   貴方も割とお酒弱いんですかっ!?」

これは、勿体ない飲ませ方をさせてしまったかもしれません。盛大に恨まれそうです。
…いえ、案外楽しそうだから無問題なのでしょうか。

やっぱり、ここまでの酷い酔い方をしたことがないので、3人の気持ちを想像しきれません。

741: Mii 2020/03/19(木) 01:24:28 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「あははははは!なんだかとっても楽しいです!世界が回って見えます!
    世界の中心に私がいるのですね!」グルグル

デイジー「まったくぅ…相変わらず馬鹿だな、ロゼッタはー。
     それにしても、ロゼッタ。勝手に実分身で2人に増えないでよー!
     どっちが本物だよ、こらー!」ケラケラ

ゼルダ「デイジー、完全に酔っているではないですかー!なっさけない!
    貴方には3人目が見えないのですかー?やれやれぇー」クスクス

デイジー「その言葉、のし付けてお返しするよー!なーにが3人目だ!
     4人目が見えてない人に説教されたくありませーん!」

ゼルダ「あらー?3人目が見えていなくて4人目が見えているということは、
    それは3人目でしょう?子供でも分かる理屈ですよぉ?」

デイジー「え、3人目が見えていないから、3人目ぇってこと?
     あれ?あれ?3人目って、なに?哲学?」

ヒルダ「」

742: Mii 2020/03/19(木) 01:26:30 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「お二人とも、ダメダメですねー!
     デイジー姫には4人目が見えていて、
     ゼルダ姫には3人目が見えているのでしょう?
    
     つまり、ここには7人いるということですよっ!カンペキな理論ですっ!」

デイジー「うぎゃあ!これは迂闊だったぁ!ロゼッタって天才っ!?」バシバシ

ロゼッタ「ふふふ、それほどでも……痛いですよー。背中を叩かないでください。
     全く、子供なんですからー」

デイジー「ロゼッタは、えらいっ!」バシバシ

ロゼッタ「ふふふ、ごほっごほっ―――うぷっ」

ヒルダ「きゃー!きゃぁーーーーっ!?吐かないで、吐かないでくださいっ!
   心臓貫かれて吐かない人が、お酒くらいで吐かないでくださいっ!!」

デイジーを引っぺがして、ロゼッタの背中を懸命にさすります。
顔を青くしながらも…どうにか汚いことにならずに済みました。私、えらい。

ちょっと、長らく介抱してくれていたロゼッタの気持ちが分かった気がします。
…こんな形で分かりたくはありませんでしたが。

743: Mii 2020/03/19(木) 01:29:52 ID:NXmrz8H2
はあ……。一人だけ素面だと、負担が全部回ってきて大変です。

デイジー「おー?さっきから見てれば、ヒルダが酔ってない!もっと飲め飲め!」

ヒルダ「一応言っておきますと、このお酒の強さなら…
   仮に私一人で瓶まるごと、1000mL全量を飲んでいたとしても、
   そこまで酔わない自信がありますよ?」

ゼルダ「自慢かっ!」ビシッ!

ヒルダ「いえ、あの、そんなことを言いたいのではなくてですね」

デイジー「そんなヒルダちゃんの弱点が知りたいなっ」

…弱点なら山のようにあると思いますが。特に戦闘力方面。

デイジー「なにをそんな悟った顔をしてるかなー?
     …そうだ!ロゼッタみたいに黒歴史を持ってたりしない?」

ヒルダ「…黒歴史?」

デイジー「そっ!酒の肴になりそうな、面白いやつ!
     自作ライトノベルでニマニマした経験があるとか!魔法少女ポーズを世間にばら撒かれたとか!」

ロゼッタ「」グサッ

デイジー「男装癖があるとか!自分に酔って悪役にわざと攫わせたとか!」

ゼルダ「」ザクッ

744: Mii 2020/03/19(木) 01:32:06 ID:NXmrz8H2
ヒルダ「酒の肴って…これほどの果実酒に対して、失礼極まりなくないですか?

   …そうですね、ユガの口車に乗せられてリンクと敵対したことが
   最大の黒歴史と言えば黒歴史ですけれど…はあ……思い出すだけでため息が」

デイジー「…………」フッ



デイジー「まったくもってつまらないっ!」ガオーッ!

ヒルダ「!?」



デイジー「なにさなにさ、いい子ぶっちゃって!
    誰しも、黒歴史の一つや二つ、笑えるのがあるはずだよ!」

…私にとってはつまらなくはないんですけど……。
笑って済む黒歴史くらい、真の黒歴史が帳消しになるのなら幾らでも抱えますよ。

745: Mii 2020/03/19(木) 01:34:11 ID:NXmrz8H2
ヒルダ「だいたい、それを言うならデイジーの黒歴史…
    ああ、それは『裏の顔』でお腹いっぱいですか。

    では、たとえばピーチ姫の黒歴史とか、すぐに思い浮かぶのですか?
    教えて頂きたいものですが」

デイジー「マリオに助けられた初期のころは、誰にも敬語でおしとやかに猫を被ってた」

ヒルダ「ちょっと意外ですが、それも大して面白くはないですよね。
   そう簡単に、面白い黒歴史なんて探しても見当たらないもので――――」









デイジー「ああ、そういえば。酔った席で超偶然に耳にしたけど。
     敵の要塞を全裸徘徊プレイしたことがあるとか聞いたなあ」

ロゼッタ「」

ゼルダ「」

ヒルダ「」

746: Mii 2020/03/19(木) 01:36:25 ID:NXmrz8H2
…え?
…いや、いや。…………ええええっ!?

ロゼッタ「そそそそそそそそ、そんなこと有り得るわけがないでしょうっ!?
    あのピーチ姫が、ですよっ!?そんな破廉恥なっ!?
    酔った勢いで、ピーチ姫を貶めようとしても、そうはいきませんよっ!!
    いくらなんでも、怒りますよっ!!」

デイジー「…でも、妙に具体的だったんだよなあ。
     『足音を立てないようにそーっと通路を掻い潜って、
     発見されずに攻略のカギをマリオに伝えることができたわ。
     無事に更衣室に戻ってくることができて本当によかった。
     脱いだドレスも取られてなくて助かったわー』って。

     ――――あ、私がここでばらしたことは、4人だけのヒミツねー。私まだ死にたくない」

ヒルダ「」

ゼルダ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「…これは夢これは夢これは夢これは夢」ブツブツ

ロゼッタ「これはぁ、夢ぇ――」フラァ

ロゼッタ「」バタリ

――――ピーチ姫の印象を、凄まじく負の方向に見直さなければならないですね。
――――残念です。とても。

747: Mii 2020/03/19(木) 01:39:40 ID:NXmrz8H2
…あ。ゼルダ姫が、ロゼッタのグラスを勝手に掻っ攫って、
ちょっと残っていたお酒を呷りました。あーあー、ロゼッタ怒りますよ…?

ゼルダ「――忘れましょう!」キリッ

ヒルダ「そう簡単には忘れられない気がするのですがっ!」

デイジー「いやいや、忘れてねー!じゃないと私の首が飛んじゃいそうだしー!」

ゼルダ「…はい!私はたった今忘れましたぁー!!」

デイジー「ということはー?あとは、ヒルダが忘れれば万事解決だぁねー!」ユサユサッ!

ヒルダ「にゃにゃにゃにゃにゃ」グラグラグラグラ

完全な酔っ払いに、乱雑に肩を掴まれて体を揺すられます――!
ゼルダ姫まで加わって、ぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐら~!

さ、すが、に。気持ち悪く、なって、きまし、た――

いっそのこと、気絶してしまった方が、楽でしょうか――

それがいいです、そうしましょう――

748: Mii 2020/03/19(木) 01:46:52 ID:NXmrz8H2
ゼルダ「あぁ、ヒルダ姫ったらこんなに汗をかいて…!」ケラケラ

デイジー「相当暑がってるみたいだからドレスぜーんぶ脱がせ――」ズイッ



ヒルダ「ハンマアアアアァァァァ――――ッ!!!!!」フルスイングッ!!



ゼルダ「」バタリ

デイジー「」バタリ

ヒルダ「はぁっ!はぁっ!なんですか、もうっ!!油断なりませんよ全くっ!…ねえ、ファントム・ユガ!
    
    ………………………あれ?ユガ?」クルリ



ヒルダは もえさかるハンマーを にぎりしめながら ふりかえったが
とくに だれも いなかった▼

ハンマー「そろそろ消えるでー」シュン・・・

ヒルダ「……………………………えっ、何、今の」チラッ

ヒルダ「…ああ、夢か幻覚ですか。わたし、なんだかんだ酔ってたんですね…
    …………おやすみなさい…………」ズルズル・・・

749: Mii 2020/03/19(木) 01:50:20 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「――――っつぅ」

酷い頭痛を感じながら、のろのろと起き上がる。



う、うわぁ。周りは酷い惨状です。

デイジー姫とゼルダ姫が折り重なるかのように倒れ込んでいて。
ヒルダ姫はヒルダ姫で、壁に寄りかかって、ずり落ちそうな態勢で寝ています。

それ、でも、チコたちは平常運転。
私が起きたのを見て取って、すぐさまコップに水を汲んできてくれました。
ありがとう、チコ。助かったわ!

こくこくと、ゆっくりと…でも一気に、飲み干します。



チコ「…………」フヨフヨ

チコ「あ、お酒残ってる」ペロッ

チコ「………………………………まずぅい」

チコ「まだ地面の方がおいしいねー」

750: Mii 2020/03/19(木) 01:52:11 ID:NXmrz8H2
がんっ! がんっ! がんっ!



…それでも。頭がっ!頭が、ガンガンしますっ!!!
昨日は飲み過ぎてしまいました!全然お酒に強くないのにっ!
突拍子もないことを、散々言った気がしてなりません!あわわわ…!!



がんっ! がんっ! がんっ!



耳鳴りが、途轍もない!全身に響いているような、この五月蠅さ!敵いません!
無意味にも頭を押さえて、ヨロヨロ、フラフラ…!

ロゼッタ「う、ぐう…響きます、ねえ……!!」

チコ「ママも気付いた?絶対、何か鳴ってるよねえ!」

チコ「一体何の音だろ…?」

ロゼッタ「そう、貴方たちも気付いたのね、この頭痛の――――」

…………え?
そんな、馬鹿な事、有り得るわけがないじゃないですか。

751: Mii 2020/03/19(木) 01:54:13 ID:NXmrz8H2
がんっ! がんっ! がんっ!



チコ「なんだか、空間がほんのちょっとだけ振動してるっていうか…
   誰かが、何かに殴り掛かってるっていうか…!」









ロゼッタ「………………………………ああああああああっ!!?」





意識、一気に、フルスロットル。
待ちに待った、福音。





――――外部からの、干渉ですっ!!!

752: Mii 2020/03/19(木) 01:56:23 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「みんなっ!今のママは魔法の制御が鈍ってるから、
     どうか助けてほしいの!お願いするわ!」ダダダダダッ!!

チコ「うん!」

チコ「そういうことだったんだね!」

チコ「きたきたきたー!!」

チコ「待ってましたぁ!」

チコ「外に出られるー!?」

チコ「やったあああああ!!」

チコ「絶対に脱出してやろうねっ!!」

チコ「いっくよーー!!」

チコ全員と、一目散に…あの、忌々しい結界のもとへっ!!
魔法陣をサササッと描いて、手のひらを扉に向けてっ!



ロゼッタ「――――解析、開始――――っ!!」パアアアアアアア

チコ「「「「「「「「わああああああああああああああっ!!!!!」」」」」」」」パアアアアアアア

光り輝く私とチコたちとで、敵のセキュリティロックに華々しく突撃です!!

753: Mii 2020/03/19(木) 02:00:02 ID:NXmrz8H2
がんっ!! がんっ!! がんっ!!



外で、何かが扉に、激しく当てられているのでしょう。

以前やったときは、幾重にもモザイク掛かって、まるで読み解けなかった空間情報が。
衝撃の瞬間だけ、一気に濁流の如く、私の頭に流れ込んできます。
今の私にとっては処理は中々きついですが、泣きごとなど言っていられません!

ふたたび空間情報の流れがストップする前に。自分のFPを繊細に流し込んで。
「こちら」と「あちら」との、空間の正しい繋がりを…細い糸で橋渡し。
もともとその領域に蠢いていた、「誤った」空間情報に、ほんのちょっと風穴が空きました。
衝撃のたび、地道に同じことを繰り返し…少しずつ、風穴を拡げます。
要らなくなった、異常値を示す空間情報は、どんどん破棄してしまいます!

最初は、うっすらぼやけて。やがて、おぼろげに浮かび上がって。
どんどん、どんどん……向こう側が、くっきり、鮮明になっていきますっ!!



ぱりんっ!

ロゼッタ「……!!」グッ!

結界の一部が、ちりりと削れました。結界が、崩壊を始めたのです。
ほどなく、結晶全体が、光の粒子となって薄く散り散りに拡散し始めました!

こうなれば、しめたもの!

754: Mii 2020/03/19(木) 02:01:27 ID:NXmrz8H2
ギュィインと、ピントが合った空間情報は、もう答えを丸写しできるような段階。
ますます怒涛の如く修正・校正されていきます!
あとは流れ作業!止まることを知りません!!



ロゼッタ「ラスト、スパートォ――――!!!」パアアアアアアアア

チコ「「「「「「「「おおおおおおおおおお――――――――っ!!」」」」」」」」パアアアアア



パリイイイイイイィィィィ――――ン!!!



とうとう、私たちを3か月近く苦しめてきた結界が。
ニセモノたちを、好き放題させてきた結界が。役割を果たせなくなり――
正常な扉を、私の目の前にもたらすことと、なりました――!!





ロゼッタ「や、やった――――」サッ

755: Mii 2020/03/19(木) 02:05:33 ID:NXmrz8H2
…さて、ここで問題です。

扉の向こう側では、おそらくこちらの反応を期待して、衝撃を与え続けてくれていた。
そして、結界が消えたことで、自由を取り戻した扉。
そこに、扉が無事に解放され、大喜びかつ有頂天になって、咄嗟に駆け寄った私。

一体どうなるでしょーうか?





マリオ「YAHOOOO――――!!」

リンク「ヤアアアァァ――――!!」

クッパ「ふんっ!!」





扉「」ビタアアアァァァァ――ン!!

ロゼッタ「」ベチイイイイィィッ!

チコ「「「「「「「「ぎゃーーーーーー!!?」」」」」」」」

3強「「「あ」」」

756: Mii 2020/03/19(木) 02:08:28 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「…………」ガクガクブルブル



ロゼッタ「…………」ガクガクブルブル



ロゼッタ「…………」ガクガクブルブル



デイジー姫のパワーを見せつけられ、もう怖いものなし…と思っていた私を殴りたい。
復活した感じでは、扉ごと、フィールドの果てまで吹き飛ばされたはずなのに、
扉にビンタされてからの記憶がありません。

痛みは覚えていないのに、体が震えています。
開始コンマ何秒かで、体が「得体の知れないナニカ」に変わり果てていたみたいです。
あまりにも速すぎて、チコたちにグロテスクな所を見せなかったのが不幸中の幸い…!
な、なる、ほどー。3強のパワーを一度に受けると、私程度はこうなるん、です、ね…!



ロゼッタ「落ち着いて、私――。落ち着いて、私――。
    残機はある、いくらでも、ある――――――――」ガクガクブルブル

マリオ「本当に…本当に、済まなかった!その、無理は絶対にするなっ!
   素直に横になってろ!今すぐ精神安定剤でも処方してやるから――」アセリ

757: Mii 2020/03/19(木) 02:10:07 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「………………………………………………………………
    …………………………………………………………………
    ……よ、よし。なんとか、耐え抜きましたよ、マリオ。
    ……………………もう、大丈夫です。収まってきました」ガク・・・ブル・・・

マリオ「…なんだって!?」アングリ

リンク「…有り得ねぇぞ、そのレベルで!?」ビクッ

クッパ「何時からそんなにタフになったのだ!?」アゼン



ロゼッタ「……………………」スッ・・・

ロゼッタ「まあ…………いろいろと、あったのですよ」ニコッ

チコ「あったのですよー」フヨフヨ

チコ「ですよー」フヨフヨ

チコ「よー」フヨフヨ

マリオ「」

リンク「」

クッパ「」

758: Mii 2020/03/19(木) 02:14:02 ID:NXmrz8H2
マリオ「ま、まあそれはおいとこう、なっ!そ、それで!ゼルダとヒルダは、いるんだよなっ!?
    全員生きてて、無事を担保できて、初めて俺たちは…反撃できるんだ!」

ロゼッタ「もちろんです!早速案内しますねっ!!」タタタッ!



ロゼッタ「みなさんっ!ううっ…!マリオ達が、とうとう駆けつけてくれましたよ!もう大丈夫ですっ!!」バンッ!



ゼルダ「お、おさけー!追加のおさけはまだですかー!…どのコップも、空っぽ…」フラフラ

デイジー「ええい、よくばりめー!アル中めー!とっくに空になったよ!
    そんなに飲みたいなら、瓶を逆さに掲げて一時間でも二時間でも待ってろー!
    日が変わったのにいつまで酔っぱらっとるか、お前さんはー!アハハ!」ケラケラ

ゼルダ「中々…滴が落ちてきませんねー」フラッ

ヒルダ「…う、え、リンク?……みな…さん?」ピシリ



マリオ「」

クッパ「」

リンク「」

ロゼッタ(あ、早まったかもしれない)

759: Mii 2020/03/19(木) 02:19:16 ID:NXmrz8H2
リンク「と、とりあえず、ヒルダは風呂にでも入りたかったんだな!

   ロゼッタにつられてノックもナシに入ったのが悪かった!マジでごめん!
   事態が落ち着いたら、慰謝料払って土下座もさせてもらうから!

   でも一旦、服を脱ごうとするのはやめようか、うん!お互いのために!
    着がチラ見えするくらいのタイミングでまだ助かったわ!
   もうちょい遅かったらCERO CとかDになるとこだった!



   あと、ゼルダ姫は…もうちょっと恥じらいをお持ちになったらいかがでしょうか…」



リンクの 好感度が 5下がった!▼



ゼルダ「……いやあああああああああああぁぁぁぁ!!?」バッ!

ヒルダ「……きゃあああああああああああああぁぁ――――!!?」バッ

760: Mii 2020/03/19(木) 02:21:27 ID:NXmrz8H2
デイジー「…あー、マリオたちだー!まったくぜんぜん気付かなかったなー!」

マリオ「嘘つけ」

ロゼッタ「えっ、デイジー姫、酔ってますよね?」

マリオ「デイジー姫の悪酔いは『悪乗りする酔い』って意味だからなー。
    案外、意識ははっきりとしてたりするぞ。
    あんな派手な音までさせたし、俺たちの声にもちょっと前から気付いてたろ」

デイジー「てへぺろー」

ロゼッタ「なら協力してくださいよ!?」



マリオ「…次にお前は『それだと面白くないじゃんー』と言う」

デイジー「それだと面白くないじゃんー…ハッ!?」

761: Mii 2020/03/19(木) 02:23:27 ID:NXmrz8H2
ひと悶着ありながらも、とりあえず身を整えて、改めて彼らと向き合います。

ゼルダ「……」ズーン

ヒルダ「……」シクシク

デイジー「お勤めご苦労様っした!貴方たちも、私たちも!」ビシッ!

ロゼッタ「あ、あはは。でも、本当に…ありがとう、ございます。
     私たちの生存を――信じてくれていて」

リンク「…まー、生存を信じるか、偽者に騙されてるかの二択って感じだけどな。

   それにしても…本当はもっと早く助けられたのに。
   ちっくしょー!結果的には俺の直感で正しかったってことじゃん、マリオ!
   まあ結果的には、だから文句はこれ以上言わないけどっ!」

マリオ「す、すまん。まさか、4人目がデイジーだとは夢にも…。
    ずっと敵の人員でカウントしてたんだが、まさか音信不通ってとこから
    デイジーの居場所が決まるとは思わなかった」

ロゼッタ「デイジー姫の存在まで気付かれていたのですね!すっごく話が早いです!
    …私たちも、なんとなくではありますが、状況は分かります!
    今、私たちに化けた偽者がどこかに居る…そうですよね!?」

762: Mii 2020/03/19(木) 02:26:05 ID:NXmrz8H2
クッパ「ああ!その通りなのだ!やっぱりロゼッタの能力なのだな!
    …正確には、自分を被害者側に仕立て上げるため、偽ロゼッタが偽ゼルダたちを葬って見せたのだが…。
    おかげで、ワガハイたちを除けばまだ騙されたままなのだ。

    それに、本当に偽者が1人だけになったのか、単に収納しているだけなのかは分からんな。
    というより、偽者が何人いるかすら…。偽者が増える条件とかは、どうなのだ!?」

ロゼッタ「その件なら、大丈夫です!分身体に、新たな分身を作る能力はありません!
     だから、増えることはないんです!その1人ないし3人と、暗躍する敵を倒せばハッピーエンドですよっ!

     そして、その暗躍する敵、とは――」





全員「――――タブー」





…よかった!この認識はドンピシャだったようです。思わず握り拳を作ります。
これで間違っていたりしたら、目も当てられませんでした。

マリオ「……本当に、驚いたな。そこまでよく情報を集められたよなあ」

ロゼッタ「ほとんどデイジー姫のおかげですけどね!運が味方しています!」

デイジー「えっへん」

763: Mii 2020/03/19(木) 02:27:58 ID:NXmrz8H2
リンク「改めて、ちゃんと自己紹介させてください。俺はリンク、ハイラルの勇者です。
   ゼルダ姫とヒルダを助けてくれてありがとうございます」

ロゼッタ「ほうき星の主、ロゼッタと申します。よろしくお願い致します。
    こちらこそ、お二方には感謝してもし切れません。
    あ、砕けた話し方で大丈夫ですよ?」

リンク「あ、やっぱり?さっすがマリオファミリー、話が分かる。
   じゃあさ、話が分かるついでに、ひとつ頼まれてくれないか?
   ちなみに、ヒルダも。もちろんゼルダ姫もお願いします」



ロゼッタ「…?」

ゼルダ「頼み…」

ヒルダ「…とは?」



リンク「大前提なんだけど、ロゼッタに聞きたい。
   ロゼッタの言う所の結界が破られた以上、もうこの空間が…
   本来の世界と隔離されることはないとみていいんだよな?」

神妙な面持ちで、そう彼は問いかけてきました。

764: Mii 2020/03/19(木) 02:30:28 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「はい、それはもうないと思います。一連の解呪工程で、空間情報をかなりの部分、インプットできました。
    同程度の結界を張り直されたところで、格段に速く解呪できるでしょう。

    仮に私の分身が今この場に現れて、より強い結界を張り直そうとしたところで…
    時間が掛かる上に、貴方たちの誰か、あるいはデイジー姫に瞬殺されますから」

マリオ「…そこで、ゼルダじゃなくてデイジーの名前が先に挙がるのか?
    ……………………ま、まさか…!」



デイジー「…ま、そういうことだね」フッ



マリオ「…にゃるほど、合点がいった。おめでとう、と言っておこう」

デイジー「…………ありがとう、と返しておくよ」プイッ

ゼルダ「照れてますね」

ヒルダ「ふふっ」

クッパ「…………うむ」

リンク「…………?」

マリオは、なんだか温かい目で我々を一瞥します。
デイジー姫の言葉を借りるなら…まさしく。まあ、そういうことなのです。

765: Mii 2020/03/19(木) 02:32:58 ID:NXmrz8H2
あ、そうでしたそうでした。

ロゼッタ「結局、私たちへの頼みって…なんですか?」

リンク「えーーっと……」



ぽりぽりと、頬を掻いたあと。





リンク「…あと5日…いや、あと3日だけ、このフィールドに留まっておいてくれない?
   このとーり、頼む!」





そう言って、手を合わせて見せたのです。



――――ええええええええっ!?

766: Mii 2020/03/19(木) 02:39:57 ID:NXmrz8H2
ゼルダ「ど、どうしてですかっ!?」

ヒルダ「どうして…!」

せっかく、ようやく脱出できると思っていたのに。不満が噴出します。
ゼルダ姫は、悲しみに暮れてリンクに突っかかろうとします。

――あ。

ロゼッタ「…………もしかして、炙り出しの準備、ですか?」

それなら…納得。



リンク「…………おお、ロゼッタ、ご明察!すげぇ!俺なんかちっともわからなかったのに。

   無事と分かったらこっちのターン…って言っただろ?
   今のまま3人に戻って来られても、事態が釈然としないんだよ。
   3人のこと…特にロゼッタのことをよく知らない人たちにとっては。
   最悪、全員が『本物はどこだ、悪いのはどっちだ』で疑心暗鬼になっちまう。
   敵は敵で、慎重に行動されちゃうしな。

   周囲から、偽者をしっかり悪と認識させたうえで、颯爽と登場してもらうからさ。
   今エサをばら撒けば、どんなに幼稚でも…確実に偽者は食いつくみたいだぜ?
   いや、正確には…もう食いついているんだ」



彼の顔は…わるーい顔で。なんだかとっても、活き活きとしていました。

767: Mii 2020/04/04(土) 22:52:57 ID:1BIb5Sbs
~選手控室~



ガヤガヤ……。



クッパ「ほれほれ、とっとと貴重品はワガハイの『大魔王の金庫』に放り込んでしまうのだ!」



最初は疑り深かった選手共だったが、リンクがかの有名な剣と盾をアッサリと預け、無事に守り切った実績がある。
今となっては、疑う余地もなく――戦場から戻ってきた者が、大切な武器や防具を預け入れていく。
信用してもらえたようでなによりなのだ。



ロゼッタ「……」ジーッ

クッパ「さあ、並べ並べー。…お、ロゼッタ。なんだったら、お前のその魔法の杖も、
   厳重管理のもとワガハイが保管してやるのだ、光栄に思うがよい」

ロゼッタ「あ、ご親切にありがとうございます。でも、お気遣いなく。
     私の場合、杖がないと咄嗟の行動もままなりませんし…。
     それに、変な力で奪われたりしないよう、魔法付与も万全ですから」

クッパ「む?そうか?ならば別によいのだが」

768: Mii 2020/04/04(土) 22:56:35 ID:1BIb5Sbs
リンク「おーいクッパ、俺のマスターソードとハイリアの盾…
   今度は3日ばかし、預けたままにしておいてくれよー。ラストスパート前に最後の息抜きがしたいんだ。
   バトルから離れて、町のみんなと遊んでくるからさ」ヒョイ

クッパ「…はあ?リンク、まだポイントで負けていながら余裕を見せるとは…いい度胸だ。
   大会終了まで、のこり6日しかないのだぞ?その半分を無駄に過ごすのか?」

リンク「いいだろー?マリオやクッパに比べて、俺のバトルはハイペースなんだ。
   ルキナやルフレの特訓もあるし、ちょっと疲れ気味でさ。

   それに、町のみんなを…いい加減、相手してやらないとうるさいんだ。
   大切な知り合いばかりだからさー」

マリオ「やれやれ…じゃあ、せっかくだし俺とクッパも休んでやろうか?
    俺たち3人、他の選手の追随はもはや許していない状況だし…。
    最後まで延々と参加してたんじゃ観客もマンネリだろ。
    ここは平等にいこうじゃないか平等に。その方が優勝の価値も上がるってもんだ」
   
クッパ「勝手に決めるとはふてぶてしい…ったく、ワガママな奴らなのだ。
   この貸しは高くつくぞ、覚えておくのだ」ハァ

リンク「マジでか!そいつはいいや!
   サンキュー、マリオ!ありがとう、クッちゃん!」

クッパ「誰がクッちゃんだ!…あらよっと、確かに仕舞ってやったぞ!」



しばらく動かさないということで、金庫の奥底に…
マスターソードと、ハイリアの盾を収納。これで、よし。

769: Mii 2020/04/04(土) 23:00:47 ID:1BIb5Sbs
クッパ「はい、次の奴!…はい、次っ!
   チンタラせず、とっととスムーズに持ってくるのだー!
   ワガハイも頭を切り替えて、とっとと羽を伸ばしたいのだ!」



持ち寄ってくるアイテムを、片っ端から仕舞い込んでいく。
流石に量が多く、10分そこらは掛かってしまうな。



ロゼッタ「ああ…あの剣と盾、取り出すには面倒なことになりましたよ?
    そのようなことをして、大丈夫なのですか?折角優勝を狙える位置に付けているのに…」

リンク「だからこその、マリオとクッパの提案だろ?
   …あ、そうだ。これ幸いと、ルフレとルキナの特訓時間、ちょちょいと伸ばすか。
   そのくらいのスタミナは付いてきたみたいだし」

ロゼッタ「…それって、息抜きするって趣旨からすると本末転倒ではありませんか?」

リンク「ダイジョーブダイジョーブ、そこまで緊迫感のある戦闘じゃないし。
    マスターソードもハイリアの盾も一切不要だし~?」ヒラヒラ

ロゼッタ「はあ…そ、そんなものですか。
     やはり3強という存在はどこまでも規格外なのですね」

リンク「お褒めに預かり光栄です、ははは」

770: Mii 2020/04/04(土) 23:03:54 ID:1BIb5Sbs
クッパ「…よし、ロック完了なのだ。
   そういえば、リンクの特訓風景、間近で見たことはなかったな。
   面白そうなのだ、少し後で覗いてやるとしよう」



ロゼッタをちらりと伺うと、ニコニコと笑っているようで…
何か、考え込んでいるような様子。



…どうだろうか。





マリオ「俺も俺も。…でも、パトロールも忘れるなよー」

クッパ「任せるのだー」ドシン ドシン

リンク「おー!」スタスタ





ロゼッタ「…………」

771: Mii 2020/04/04(土) 23:07:27 ID:1BIb5Sbs
パルテナ「…おや、ロゼッタ?どうしたのですか?もしかして、暇していましたか?暇を弄んでいましたか?
     んもう、そんなに暇なら、大会に参加すればいいでしょうに」クスクス

ロゼッタ「あ、いえ、ちょっと考え事を」

パルテナ「あ!暇だというのなら、ちょうどよかったです!私に付き合ってもらえませんか?
     そろそろ帰還に向けて、お土産屋さんを見て回りたかったのですが…
     一人で回るのは心もとなかったのです。さあさあ!」グイグイ

ロゼッタ「わ、わかりました。それでは…御供させていただきますね」

パルテナ「よし!スカウト成功です!なし崩し的にうちの軍に入りませんか!好待遇を保証させて頂きますよ!
     衣食住と私を崇め奉る権利、それにお代わり2回…いえ5回まででどうでしょう!」

ロゼッタ「うちの軍!?何の話ですか一体!?」

パルテナ「聞くも涙語るも涙…話せば長くなりますが…
     うちの軍は戦力の大部分をピットが担っていたのにですね、
     勝手にブラピが誕生して、おまけに自然軍に取り入ってしまったばっかりに、
     戦力バランスが崩れに崩れてですね……正直私は不公平だと言いたくて言いたくて……

     私とピット以外のまともな…汎用キャラでない味方を、早く誕生させてくださいよ任天堂さん!」

ロゼッタ「いきなり何を言っているのですか!?」

パルテナ「正直、自然王の気まぐれで私たちは生き永らえているようなものでして、
     女神としてやるせないんですよ!分かりますかこの気持ち!!」

ロゼッタ「あいにく全く分かりません!」

772: Mii 2020/04/04(土) 23:12:08 ID:1BIb5Sbs
~夜~



シイィィィイン――――



穏やかに流れる風の音、そして…どこかで梟の鳴く声のみが、ほんの僅かに聞こえてくる。

人気はなく、照明は一切付けられず――ただただ、「ソレ」が佇むのみ。

そこへ、招かれざる客が、ひとり。



「…………」シュンッ!!

「……………………」



(……………………さて)スィー

(…………しばらく、あのアイテムは眠ったままになるはずですし)



ロゼッタ(お仕事、始めちゃいますか♪)ニヤリ

773: Mii 2020/04/04(土) 23:18:05 ID:1BIb5Sbs
ロゼッタ(監視カメラなんて、意味はないですよ。いくら懸命に、金庫を映し続けていたところで。
     死角から一気に金庫の中へ転移すればいいだけですし、
     金庫の中に監視する類のものがないことは確認済ですし。
     この程度の次元破り、私に掛かれば――――)



シュンッ!!

ロゼッタ(…楽勝ですね、魔法で周囲を照らして、と。
     …うん、なにかトラップが感知作動する様子もない、と。
     隠密のためローブを羽織っているので、カメラ程度はそもそも怖くないですが。

     前に転移失敗したように偽装してみせましたが…
     この程度の空間制御も、パルテナは突破できないのですか?案外、大したことないんですね。

     おっと、無駄口は叩いていられません。とっとと、やることをやって…ずらかりましょう。
     烏合の衆の他のアイテムたちは、逆に残しておいた方がばれなくてよさそうですね)



マスターソード「――」パアアアアア

ハイリアの盾「――」キラキラ

ロゼッタ「それでは、早速――――これが、伝説の装備、ですか。
    ふふ、全てが手遅れになった3日後の大混乱が、楽しみで仕方ないですね…!!
    せいぜい、仲間割れを思う存分してください――」ゾクゾク

774: Mii 2020/04/04(土) 23:24:45 ID:1BIb5Sbs
~元、閉ざされたフィールド~

私の巧妙な?…偽装によって、禍々しい結界に再び包まれた扉。
もっとも、偽者たちの目を欺くためのダミーなので、閉じ込める能力は一切ありません。
鍵が付いたままの錠前があるだけのような状態です。気にしないでおきましょう。
そんなことより、最後の仕上げが大事、大事。


ヒルダ「それでは、参ります――」スッ・・・

デイジー「うん!バッチ来ーい!」サッ

ヒルダ「はあああああっ――――――――――――――――――――

     ――――――――――――――――ビルダーハンマァ―――ッ!!」サッ

バキバキバキィっと、連続した連結音とともに!
片手を掲げたヒルダ姫が…その手に、燃え盛るハンマーを具現化させました!!
ファントム・ユガのハンマーに比べれば小さいものですが、なかなかの迫力です!
炎が揺らめき、その存在感を確かに示しています!

ヒルダ「えーーい!!」ブンッ!!

ドゴォッ!!

デイジー「ぐわっ!!…ナイスインパクトッ!
     表の私だと、構えてないと大ダメージを食らいそうだねっ!」

激しい打撃とともに、ズズズッ!とデイジー姫が後ずさり。体を大きく持って行かれました。
プスプスと、皮膚が焦げている気配まであります。

775: Mii 2020/04/04(土) 23:27:56 ID:1BIb5Sbs
ゼルダ「ふむ、私のマジカルカッター同様、威力について…
    基礎体力レベルだけでなく、魔法レベルについても参照しているようですね。
    これは面白くなってきました」

デイジー「アイテムありルールでの『ハンマー』みたいなものと思ったけど…
    行動が制限されないし炎の属性ダメージもあるっぽいし、
    更には敵の手に渡らないハンマーでしょ!?
    FPを消費する以外の点においてはむしろ上位互換っぽい!凄いよ!」

ヒルダ「ま、まあ、攻撃範囲が狭いうえに予備動作が長めなのがネックですが。
    そこそこ敏捷性のある人には決まらないですよね…」

デイジー「そこはあれだ、向かってくる敵に不意打ちで具現化させてぶちかますとか」

ヒルダ「あ、それはよさそうですね!
    …それにしても。夢じゃなかったんですね、この新魔法」

ロゼッタ「ビルダーハンマーとは…洒落ていますね。
    『ヒルダ』と『ビルダー』を掛けているのですよね!」

ヒルダ「…………なんだか恥ずかしくなってきました。名前、変えましょうか」

デイジー「それは駄目だよ!メーカー的に!」

ヒルダ「は、はいっ!?」ビクッ

…妙に、デイジー姫が力説しています。何か裏事情でもあるのでしょうか。
ヒルダ姫が、目を点にしています。

776: Mii 2020/04/04(土) 23:33:42 ID:1BIb5Sbs
ロゼッタ「…私も、何か肉弾戦用の魔法を覚えた方がいいのでしょうか」

ゼルダ「…別に、無理に覚えなくてもよいのでは?
    ロゼッタの場合特に、魔法を繰り出した方がよほど高火力でしょうに」

デイジー「まあ、物理面でも最低限の火力があると戦略の幅はグンと広がるだろうけど。
     …よーし、それじゃあヒルダ!あと3日の間に、その新技…カンペキにしてみせようね!」



デイジー姫は、「やっぱりこの4人で最終決戦に殴り込みしたいじゃない?」ということで。
自由の身になってもなお、私たちと一緒にフィールドに残ってくれています。…ただただ感謝を。



デイジー「いーい?万全の状態で颯爽と繰り出して、偽者たちを叩きのめすんだよ!
    そこで私は腕を組んでフッと笑ってこう言うんだ、『3人は私が育てた』と!」

ゼルダ「なんですかその茶番は」

デイジー「言ってみればこれは、トリプルバトルっ!
    登場の段階から横並びになって、ポーズを決めてババーンと目立って、
    その後は息を合わせて一斉攻撃するんだ!」

ヒルダ「う、ええ?恥ずかしいですよ、そんな戦隊ものアニメじゃありませんし!
   下手をすれば洗脳でもされたのかと白い目で見られますよ!」



…う、うん。感謝、を?

777: Mii 2020/04/04(土) 23:39:16 ID:1BIb5Sbs
ゼルダ「ロウラルにもそんなアニメが放送されているんですね…驚きです」

ヒルダ「単純な勧善懲悪ものは、むしろ苦難の道を歩むロウラルでこそ年齢問わず人気があるんですよ…」

ゼルダ「そ、そうですか…」

デイジー「今の3人は、何よりも『偽者じゃない』ことをアピールする必要があるんだよ?
    ちょっとネジが飛んでるな、くらいのインパクトを出すことで
    『流石にこれが偽者ってのは有り得ないだろ』って思わせるのが重要さ!」

ヒルダ「そんなことで無駄に引かれたくありません!?
    ロゼッタも、そんな茶番は無意味…いえ逆効果だと思いますよね!」



ロゼッタ「両腕を拡げて、両肩にチコを乗せてふわりと登場してみましょうか」ワクワク

チコ「ロゼッタ&チィコォー!!」ビシッ

チコ「華麗にけんさーん!…ってことだねー!!」シャキーン!



ヒルダ「」

ゼルダ「駄目ですこの人、早くなんとかしないと…」

着地と同時に、杖をビシッと掲げてみればいい感じでしょうか。
使い魔を使役した魔法少女っぽくて楽しそうです……………………。
あ、いえいえ!変な妄想に憑りつかれていました!

778: Mii 2020/04/04(土) 23:42:43 ID:1BIb5Sbs
~キノコ城 城下町~

カランカラン…。



ブラックピット「…………」

マスター「…あ」

ブラックピット「…………何も、言うな」

マスター「あ、はい。…え、ええと。
     カウンター席はお止めになった方がよろしいのでは――」

ブラック「…いいからとっとと、カクテルを作ってくれ…。
    レシピは、もう分かってるよな…?」

マスター「…………承知致しました」サッ



客「……あの人も懲りないなあ」ヒソヒソ

客「時間帯ずらせばいいのに…」ヒソヒソ

ブラックピット「聞こえてるぞお前ら…!」ゴゴゴ

客「」ビクッ

779: Mii 2020/04/04(土) 23:49:03 ID:1BIb5Sbs
トゥルルルル……!



ブラックピット「…………ん?電話か?チッ、人が緊張してるってのに。
        誰から…って、ナチュレか。…もしもし?どうした?何か用か?」ピッ

ナチュレ『おー、ようやく繋がったか!わらわを待たせるでない!
     ちょっとお前に、参考までに聞きたいことがあってのう!
     わらわ直々に連絡を取ってやったことに感謝するがよいのじゃ!』

ブラックピット「…手短に話せのじゃロリ、今は気が立ってるんだ」

ナチュレ『誰がのじゃロリかっ!?
     相変わらずぶっきらぼうな態度しかせん奴め。まあよいわ。






     
     今、パックンフラワーに関する論文を纏めておるのだが…
     ブラックパックンはパックンフラワーの一種だという解説は…
     世間の、人間どもの一般認識に合致しておるかのう?』

ブラックピット「………………………………は?」

780: Mii 2020/04/04(土) 23:51:55 ID:1BIb5Sbs
ナチュレ『ブラックパックンはパックンフラワーの一種であるとする情報が
    Wikipedia等、信頼性の低い所にポツポツと載っているには載っているのだが、
    何度考えても、どうにもしっくりこなくてのう。

    これが『パックン』の一種である、というのなら、まあわかるのじゃ。
    『口をパカッと開けてマリオを飲み込まんとする敵の総称』といったニュアンスになるからのう。

    じゃが、『パックンフラワー』とまで言ってしまうと、
    ファイア攻撃に弱いこと、物をぶつけることで倒せること、
    なにより植物であることなどの要素が必要になってくるじゃろう?

    ブラックパックンは、POWブロックやハイヒールドロップでしか倒せん。
    ダメージ通過はできず、壁や地面との間にマリオが挟まれれば圧死する。
    マリオ3ではPスイッチでコイン化までする、要するにブロック的、障害物的扱いじゃ。
    おまけにとある情報筋によれば、砲台顔負けの重量を誇るそうじゃ…!
    要するに、植物かどうかも疑わしい鉄の塊…!

    これをパックンフラワーの一種に含めるのは、ちと違和感があってのう。
    派生として紹介するのにとどめておいた方がいいのか、迷っておるのじゃ。
    ほれ、ブラック繋がりで、率直な意見を述べてみい――』

ブラックピット「どうでもいいわそんなもんっ!!!」プツッ

マスター「…ブラックピットさん、お静かにお願いします」

ブラックピット「――っ、すまない」

どうして俺の周りの奴は、ことごとく――俺の邪魔ばかりしやがるんだ…!
余計な恥をかきまくっているじゃないか…許さんぞ…!

781: Mii 2020/04/04(土) 23:59:40 ID:1BIb5Sbs
パルテナ「スマブラ大会も、ほんとのほんとにラストスパート!優勝の可能性を残すファイターは、なんと…!
    マリオさん、クッパさん、そしてリンクさん!以上の3名となっております!」

ピット「ある意味、なんの面白みもへったくれもない途中結果ですね」

ブラックピット(始まってしまったか――――)ブルッ

パルテナ「ピ、ピットさん、そういうことを言ってはいけませんよ。
     なんでも、示し合わせて御三方とも休息を取られるそうで、最後の3日間が本当に待ち遠しくなって参りました!」

ピット「ま、まあ強いて言うならば…最後に残った微妙なポイント差を…
   リンクさんがどうやってひっくり返すかが見ものですね」

パルテナ「そうでしょうそうでしょう!さーて、それでは…!いつものごとく、『パルテナの何でも相談室』のコーナーでーす!
     本日は、なんとっ!次回大会のファイター候補にノミネートされている有望株の戦士にお越しいただきました!

     幼稚園児のころから戦闘訓練に明け暮れていた強者!
     魔導師の卵、アルル・ナジャさんです!どうぞっ!!!」ババッ!


アルル「……………………」

パルテナ「まさか、スレ内でぷよぷよが登場したと思ったら
    キャラクター自身が飛び入り参加するなんて、意外でしたね!ある意味贔屓なんでしょうか?」



アルル「………………………………帰っていい?」ハァ

パルテナ「!?」

782: Mii 2020/04/05(日) 00:03:39 ID:VXE9Xe5k
アルル「ぶっちゃけ、次回参戦ノミネートとか、有り得ないから。
    ボク自身、次回スマブラに参戦できるとは全く思ってないし。
    大会名物とかいう激辛カレーっていうのを食べて、お土産でも買って、早く帰りたいよ」

パルテナ「こ、これは意外な展開にっ!?」

ピット「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!なんですその放送事故!
   参戦希望だから、わざわざ来訪希望されたんでしょう!?
   それがどうして、そんなに消極的というか否定的な態度を取るんですか!?」

アルル「……いや……その……魔王やら変 やら友達たちに勝手にアポイント取られただけだし…
   全く来る気はなかったんだけど、体裁として、礼儀として、一応来ただけというか…
   それはかんっぜんにこちら側の不手際だから、謝るよ、本当にゴメン」ペコリ

パルテナ「」

ピット「」

783: Mii 2020/04/05(日) 00:08:14 ID:VXE9Xe5k



「アルルが参戦してくれれば、きっと私も色替えキャラとして参戦できるよ!頑張って!」

アルル(ごめんアミティ、魔導戦闘の経験はボクしか持ってないから、
    万が一ボクが参戦できたとしてもアミティは無理だと思う…)



「参戦した暁には、科学的見地から的確な行動をとり、敵を翻弄して見せます!」

アルル(りんご…公式から思いっきり『ぷよを消すオワニモのチカラのみ与えられた』って言われてるよね。
    アミティ以上に深刻だよ。チキュウ人のりんごは戦えないよ。背景のぷよ連鎖スタンドでも使うの?)
 


「大乱闘?駄目です!そんな喧嘩をしちゃ!もっと愛し合いましょう!」

アルル(アリィ…二重人格をキャラの旨みにしたいのはわかるけど、
   どっちかというとドッペルゲンガーアルルやダークアルルで間に合ってるんだよ…。
   それに、酷なことを言うけど、アリィだけ不評なクロニクルのせいで知名度が…)



アルル「こんな感じ」

ピット「あちゃあ」

784: Mii 2020/04/05(日) 00:10:51 ID:VXE9Xe5k
アルル「…………」ハァ

アルル「大体ねえ、スマブラに出るからには魔導物語がベースになると思うけど、
   いまやぷよぷよのイメージが99%のボクに、魔導物語を想起できる人がどれだけいるっていうの?
   海外展開なんかもっと絶望的だよ?
   版権問題も相変わらずだし、解決しなきゃならない課題が山積みだよ…」

ピット「そんなの、開発スタッフの勢いでどうにでもなりますって!
   私やパルテナさんを見てください!どれだけ新要素・改変要素があったと!」

アルル「なんか論点がずれてる気がするんだけど…」

パルテナ「で、でもですね!私、アルルさんの大ファンなんです!
     だから、そんなに簡単にあきらめてほしくないなって…!」

アルル「…え?ボクの…ファン?う、嬉しいけど…ど、どうして?」ドキッ







パルテナ「漫才の大先輩、始祖みたいな人ですから!!」キラキラキラキラ

アルル「すっごく傷ついたよ!」ガーン!

785: Mii 2020/04/05(日) 00:14:41 ID:VXE9Xe5k
ピット「…と、いうわけで!やっぱり参戦したくなっちゃったー、
   みたいな宣言をしていただけないでしょうか!放送としてもそれが一番穏便なので、ぜひ!」

アルル「嫌だよ!!」

パルテナ「そこをなんとか――――そうです!いいことを思いつきました!
     参戦を果たした暁には、なにか一つ望みをかなえて差し上げますから!
     私の奇跡の力で!どどーんと!」



アルル「――」ビクッ



パルテナ「おおっ!意外にも食いついてくれたみたいですね、ふふふ…!
     さあ、倫理的に問題でない事なら、なんでも一つ願いを――」

アルル「『聖魔導物語』をなかったことにしてほしい」

パルテナ「」

ピット「えっ」

アルル「『聖魔導物語』をなかったことにしてほしい」

パルテナ「2回言った!?
     えーっと、流石にそれは私の力の限界を超えていまして…」

アルル「なぁんだ…」

786: Mii 2020/04/05(日) 00:17:56 ID:VXE9Xe5k
パルテナ「あ、では意中の方の好感度を上げて差し上げるとかどうでしょう!
    シェゾさん?それとも案外サタンさん?」フフフ

アルル「はい?」

ピット「まあまあ、そんな恥ずかしがらずにー」ニヤニヤ

アルル「…………どうしてそれでボクが喜ぶと思ったかなあ…?
    ちょっと痛い目に遭いたいみたいだね――――」ユラァ

ピット「…あれ?あっれれー?カムイさんと同じことになりそうな気配です!
   アルルさん、落ち着いてください…駄目だ、そういえば元来好戦的な人でした!」

パルテナ「くっ、仕方がありませんね…!ピットさん、確実に抑え込みますよ!
     アルルさん、申し訳ありません!正当防衛させてもらいます!」ザッ・・・



ピット「お覚悟をっ!」ダダッ

パルテナ「参りますっ!」パアアアア

787: Mii 2020/04/05(日) 00:24:07 ID:VXE9Xe5k
アルル「…ばよえーん!」キラッ!!

ズギャアアアアアアアア――――ン!!



パルテナ「」チーン

ピット「」チーン

アルル「…あのねー。登場作品数の分だけ強くなるんでしょー?
    初登場時期こそ負けてはいるけれど、ナンバリングタイトルと共に頻繁に出演して、
    おまけに多機種展開フルパワーなボクに、2人が勝てるわけないじゃないかー。
    …とりあえず、ボクは帰るね、スタッフさん。保存の効くカレーとか見つかるといいなぁ」テクテク

スタッフ「あ、はい。ありがとうございましたー。おーい、一旦放送止めろー」


ブツッ……。

スタッフ「放送が乱れております。しばらくお待ちください」


ブラックピット「…………もう耳栓でも付けるかな」ズーン

マスター「つ、次からは音量を落としますよ!気をしっかりお持ちください!
     はい、御注文のカクテルです!」ユサユサ   

客「だから時間帯ずらせばいいのに」

788: Mii 2020/04/12(日) 18:23:33 ID:1MumzHu6
~3日後~

ロゼッタ「…………いよいよ、ですね」

ゼルダ「……ええ」

ヒルダ「長かったような、短かったような……」

デイジー「程よい長さに感じられたっていうんなら、それはきっと――
     充実した日々だったってことなんじゃないかな!」

勝負の時を、固唾を飲んで今か今かと待っています。
そんな私たちの緊張をほぐすべく、デイジー姫が元気溌剌と声を投げ掛けてくれます。

ロゼッタ「…最初の頃は、そうも言っていられないどん底状態でしたけれどね」

デイジー「うぐぅ…」

ヒルダ「…ふふ、今となってはそれも――い、い、おもい、でです、よ」ブルブル

デイジー「えーっと、無理しなくてもいいよー?まだ私にぶつけたい本音とか恨みつらみとかあるなら、
     今のうちに吐き出しちゃいなよ。…おっと、本当に嘔吐するのはノーサンキュー」

ヒルダ「――」プルプル

ヒルダ「――――――――もち、こたえ、ました」

デイジー「ちなみに今までの死亡カウント数を教えてあげると――――」

ヒルダ「聴きたくない聴きたくないっ!!」ブンブン

789: Mii 2020/04/12(日) 18:26:27 ID:1MumzHu6
ヒルダ姫が、それはそれはもう、必死に首振り。
まだちょっと顔が青いですね。大丈夫でしょうか。

マリオたちからの合図が有れば、たちまち空間転移で「打合せの場所」へ。
もう制約がないのは本当にすがすがしい気分です。
…欲を言うならば、こっそり戻っておいてサポートに向かいたくはあったのですが、
偽者や黒幕に気配で勘付かれたり出くわしたりしたら本末転倒だから、とのこと。

チコたちがそわそわしています。
私はみんなをあやしつつ、チコ2人を両肩に乗せて、スタンバイ。

ヒルダ「…ロゼッタ、本気でそんな状態で登場するおつもりで?」

ロゼッタ「ふふ、鍛えられたおかげで全く重くありませんよ?」

ヒルダ「そういうことでは、なくてですね…」

ゼルダ「ヒルダ姫、つっつかないでおきましょう。
    あんまり言及すると『貴方たちにもチコをお貸しします』とか言いかねません」

ヒルダ「た、確かに……」

790: Mii 2020/04/12(日) 18:27:35 ID:1MumzHu6
デイジー「さてと。…みんなー、気合いは十分だねー?
     …やれるだけのことは、やった。覚悟も、ビシッと固めた。
     私は緊急時以外は後衛サポートに徹するから――――

     みんなの成長っぷり、仲間に、そしてにっくき敵共に――
     思う存分、見せてやれー!」



ゼルダ「――――言われなくても」

ゼルダ姫が、目を細め。



ヒルダ「――――できる限り、やってみます」

ヒルダ姫が、拳をグッと握り。



ロゼッタ「――――承知いたしました」スッ・・・

私は、最後の精神統一を済ませます――――

791: Mii 2020/04/12(日) 18:30:41 ID:1MumzHu6
~選手控室~

選手たちの目が、血走っている、この感じ。
別に、怒りに我を忘れている…というありがちな意味ではなく、
それだけ皆が大会に集中しているってこと。強者も弱者も関係ない。
誰だって、前の自分を、昨日の自分を超えるために凌ぎを削っているのだから。
大会は間もなく終わる。最後の踏ん張り、正念場。

…ただし、今から――――「ありがちな意味」での、目の血走りを――――
俺たちは、目にすることに、なるだろう。
そう、「ロゼッタ」の思惑通りに。

クッパ(989888241983…っと)

クッパ「よーし、皆、集まったな!それではアイテムを返却していくぞ!
   必要な者はさっさと並べ!」

もはや恒例作業、ずらりと選手たちが一列に並ぶ。

ピーチ「…………私は今日は参戦しないって言ってるのに…
    どうしてこんなところに呼び出されたのよ…………はぁ…」

マリオ「まーまー。疲労困憊中のピーチにも、この闘志を燃やす選手たちを見て
   元気を出してほしかったんだ。楽しんでる奴はちゃんと楽しんでるんだよ。…元気出た?」

ピーチ「…それ、どっちかというとクッパの金庫の存在のおかげでしょ?
    気兼ねなく、後顧の憂いなく参戦できるようになったから…。
    私の無力さに、むしろ打ちひしがれるわね……」

マリオ「駄目だこりゃ。処置無し」

792: Mii 2020/04/12(日) 18:32:45 ID:1MumzHu6
オリマー「生命維持装置が無事でなによりだ」

ピカチュウ「チャア……ピカッ!?ピッカー!!!」

ニャース「電気玉のひとつ前に、これ見よがしに雷の石を預けたのは誰だぁ!…って言ってるニャ」

ロボット(ヒジョウヨウ、エネルギー・・・)

ディディーコング「任天堂の帽子、確かにゲーット!これ失うと大問題だからなー!
          正直ピーナッツポップガンより優先順位高いよ…」

シュルク「今日も無事に、モナドが帰ってきたね。
     …いえ、あの、穴あき包丁じゃないです。
     斬った敵がはがれやすいとか、ないです。本当にないですから」

ワリオ「俺んとこで作ったクソゲーの山、盗まれてた?盗まれてた?
   あー、盗まれてたわ。こりゃ、1個あたり10億コイン弁償して貰わなきゃな。
   …………嘘つくな?チッ、ばれたか」



リンク「……………………」

793: Mii 2020/04/12(日) 18:36:21 ID:1MumzHu6
クッパ「よーし、これで今朝の分は全部吐き出したな――――」



リンク「…………おいクッパ、俺のマスターソードは?」



クッパ「えっ、知らんぞ?」

ピット「…あれ?なんだか…様子が、おかしいぞ?」



リンク「…………ハイリアの盾も。まだ受け取ってないぞ」

クッパ「何だと!?そんな馬鹿な、もう金庫の中には残っていないぞ!?
   …でも、確かに…帳簿上は、有るはず、だよな…!」ペラッ

リンク「はあああああああああああ!?」



ザワザワザワ・・・・・・!!!

クッパ「…おい、カメック!聞こえておるか!急ぎ、全員を連れてこい!
   魔法の痕跡がないか、徹底的に調査するのだっ!!」トゥルルル

カメック『しょ、承知致しましたっ!』

794: Mii 2020/04/12(日) 18:39:41 ID:1MumzHu6
ピーチ「ま、まさ、か――――」





カメック「…間違いありません。金庫に張られた術式の一部が、一部抉られていることが確認されました。
     何者かによる――――侵入ならびに強奪行為の結果、でしょう」

リンク「――――――――」ブルブルブルブル

デデデ「Oh・・・・」

クッパJr.「パパがあんなに自信満々だった金庫が、こんなにあっさり――――!!
     嘘だ嘘だっ!こんなの間違ってるっ!認めないぞっ!!」

リンク「――――どういう、ことだよ」

マリオ「リン、ク…………!!」

リンク「――――どういうことだ、マリオ――――ッ!!!」ガシッ

マリオ「グハッ――」

クッパ「お、おい――――」

リンク「俺はっ!!俺は、なあっ!!マリオとクッパがあんなに自信ありげなものだから、
   信用してっ!信頼してっ!俺の宝物たちを、何の不審もなく預けてたんだぞっ!!
   他のファイターにも信用してもらえたらいいなっていう想いも込めて――っ!
   なのにこれは、どういう了見だっ!!ふざけんなぁっ!!」ギリリリ

795: Mii 2020/04/12(日) 18:41:44 ID:1MumzHu6
マリオ「――――」

ピーチ「や、やめてリンク!!マリオは悪くないのっ!!
   わ、私が――ちゃんとしていない、ばっかりに――――!!
   キ、キノコ王国として、しっかり対価は支払わせてもらうから――――っ!」

リンク「対価、だとっ!けっ!冗談じゃ、ないっ!!
   あの剣と盾の代わりだなんて、キノコ王国が用意できるわけねーだろ!
   話になるかよっ!ハッ!!

   …もしや。おい、一連のこと……全部、キノコ王国の、仕込み、か――?」

ピーチ「…はぁ!?」
   
リンク「そうだ…そうだよ――
   考えてみれば、キノコ城をちょっと要補修にするくらいで、
   ゼルダ姫とヒルダを亡き者にできるくらいなら――――
   ハイラル潰して一強王国になるため、やっすい料金、だよな――」

ピーチ「フザケたこと言わないでっ!キレるわよ私でもっ!!」



一触即発、大混乱。団結力がガラガラと崩れていく、音がする。



リンク「そう考えちまうくらい、お前らのやったことは論外、問題外なんだよっ!!
   どうなんだ、ええっ!!マリオ、何とか言ってみやがれや!!」ドスッ!!

796: Mii 2020/04/12(日) 18:44:30 ID:1MumzHu6
マリオ「――――――――――――――――――――――――――――――
    ―――――――――――――――――――――――すまん」

リンク「聴こえねーよ!」ガンッ!

マリオ「――――――――すまない――本当に、済まなかった――――」

ピーチ「…………リンク、やめて――――お願い――――っ!」ウルッ

ロゼッタ「そ、そうですリンクさん!そんなことをしても何も解決しないですよ!」

ルキナ「リ、リンクさん!きっと、誤解です!見ていられませんっ!
    そ、そんなことをなさらないで――」グズッ








リンク「ルキナがそう言うならやめとくわ」パッ

マリオ「それがいいそれがいい」

ピーチ「」ズルッ

ロゼッタ「」

ルキナ「えっ」

797: Mii 2020/04/12(日) 18:50:19 ID:1MumzHu6
ピーチ「…え?今の、なに?」

リンク「…悪い悪い、ちょっと芝居打たせてもらった。
   一応、間違って受け取った人が名乗り出てくることも願ってたからな。
   まあ、誰も出てこないし、盗まれたことが確定したわけだが。

   俺が3日間もマスターソードとハイリアの盾を預けっぱなしにするって
   さんざん自分から言いふらしたら、そりゃあ確かに犯人も盗みたくなるだろ。
   足もだいぶ付きにくくなるし絶好のチャンスだよな」

ピーチ「…し、芝居って。結局盗られたら意味がないじゃない!」





リンク「いやだって、取られたの模造品だし」

クッパ「急ごしらえで我が技術部に造らせたのだ」

マリオ(ま、十分に見慣れている人は引っ掛かりようがない、くらいの再現度だけどな!)

ピーチ「」

ロゼッタ「」

クッパ「ん?どうした?特にロゼッタ、えらく驚愕しているみたいだが」

ロゼッタ「い、いえ、別になんでも……」

798: Mii 2020/04/12(日) 18:54:58 ID:1MumzHu6
ざわざわと、さっきとは別の意味で騒がしくなってきた。


リンク「はい、全員集まってるなー!こんだけ騒いだってこともあるしー。
    それでー。ここにいるみんなを証人として、何がしたいかと申し上げますとー。

    模造品には、クッパ帝国技術部の粋を集めた闇のトラップ――
    超強力な呪いの仕掛けを施していたんだよねえ」

クッパ「うむ。非常時の為に秘密裏に開発していた負の代物が、
    まさか役に立つ時が来るとはワガハイも考えていなかったぞ」

ピーチ「……………………えっ」

ロゼッタ「…………………………………………はい?」

リンク「ここに、偽マスターソードと偽ハイリアの盾、それぞれに対応した呪詛を込めた水晶玉がありまぁす。見えてるよなー!
   もうここに犯人が潜伏しているわけもないから、種明かししちゃうぞ!

   偽マスターソードに対応している方の水晶玉を、このように割りますとっ!」ブンッ



リンクが、握り拳大の2つの水晶玉をどこからともなく取り出し――
そのうちのひとつを、床に向けて叩きつける。
赤く光っていた方の水晶玉が、パリィンという高い音と共に、粉々に砕け散って消えて行った。



ロゼッタ「……っ!」ゾクッ

799: Mii 2020/04/12(日) 19:02:25 ID:1MumzHu6
ピット「これで、どうなったの?」

クッパ「水晶を割った瞬間において、『偽マスターソードに最後に触れていた』輩に残機数貫通の『死の呪い』を付与する。
    今頃犯人は、意味も解らぬ倦怠感と吐き気と殺気に襲われていることだろう。

    更に、この呪いは個々人のFPなり魔力なりに反応する類の物なのだが、
    その者に対して魔力供与を施していた関連者がいるならば、
    対象者を芋ヅル式に増やして死刑宣告ができる優れものなのだ。どうだ、呪いって凄いだろう!」

リンク「ふんぞり返るだけのことはあるよ、マジで。あとは、こっち…盾に対応する水晶玉を割って、呪いを発動させるだけだな。
   体中の細胞がたちまち煮え滾ってから爆発四散、苦しむ暇もなく絶命するんだとさ」

サムス「自業自得だがやることがえげつないな!?」

リンク「サムス、知ってるか?基本的に国家転覆罪ってすべからく死刑なんだぜ?」

ピーチ「す、すごいわ…!!流石に技術力で負けたかも……!!
    ち、ちなみに呪いを回避されたりはしないの?ポカミスとかやめてよね」

リンク「ああ、一応そこが問題だったから、あえて3日間も時間を空けたんだけどな。
   
   2つの水晶玉は連動した絡繰りで、60秒おきに立て続けに割らないと効果を発揮しないんだが、
   その間に、この呪いを付与された人が、水晶玉を割った人…
   つまり俺に対して触れると、儀式に失敗して呪いをなすり付けられるらしいんだよ。
   俺の足元に、魔法陣が展開してるだろ?まだ儀式途中なんだ。
   
   万が一にもタッチされて逆に殺されました、じゃあ笑い話にもならないからさ。
   犯人が完全に遠くに離れる頃合いを待ってたわけだ」

ピット「へえ…ってブラピさん、その『その回りくどい儀式に厨二心くすぐられました』って顔、やめてください」

800: Mii 2020/04/12(日) 19:06:20 ID:1MumzHu6
リンク「悪いけど、ここまでやってきた犯人には慈悲はないぞー!
   そんじゃ、カウントダウンしていって、もうひとつの水晶玉も割っちゃいまーす!
   せいぜい愉しい思いをしたまま、訳も分からず野垂れ死ぬがよい!
   …って言っても体すら残らないし、野垂れ死ぬこともできないか。まあいいや。

   じゅーう!きゅーう!はーち!なーな!ろーく!」

ピーチ「犯人の死に様を偶然目撃しちゃう無関係者のことだけが気懸りなんだけど……」ドキドキ

ワリオ「…ハッ!あっけない幕切れだな…ま、不届き者にはお似合いか」

パルテナ「ワリオが言うとちょっと違和感があるような…まあ、報いは受けるべきでしょうか」

リンク「ごー!よーん!さーん!にー!いーち!!」バッ



リンク「――――ゼロッ!!」



ガッシャアアアァァン!!



何の疑いもナシに、思いの丈を腕に籠め。
リンクが両腕をブンっと振りかぶり、力任せに叩きつけ――――
青く光っていた方の、2つ目の水晶玉が、割れた。

801: Mii 2020/04/12(日) 19:10:52 ID:1MumzHu6

そして、皆が――――――――目を、見張る。



ガシイイィッ!!

クッパ「――――なお。
   そんなご都合主義満載の呪いは、流石に作れなかったのだ。
   せいぜいが、対象者に腹痛をもたらすくらいの作用しかない。
   まあ、1つ目の水晶玉の効果さえあればハッタリには十分だと思ったので、
   それすら搭載していないが」

リンク「そゆことそゆこと。…………さぁてと。







   
    背中から転移で突進してきたのが無駄になって、悪いな。
    ま、そんなわけで…色々と聴きたいことがあるんだけどな――――ロゼッタ氏?」



ロゼッタ「――――――――ハァッ、ハァッ――――!!」ブルブル

容疑者、ここに確保なり――

802: Mii 2020/04/12(日) 19:14:47 ID:1MumzHu6
いつもの穏やかな顔とはまるで異なる、目つきの悪いロゼッタが、息を荒げている。
我に返って、表情を引っ込めても、流石に遅い。周囲の目にはしっかり焼き付いた。

ロゼッタ「…い、いえ。ちょっと、首筋に蚊が止まっていたもので」

リンク「マジか!!こんなときに、犯人と疑われかねないことまで承知のうえで
   蚊を叩き潰しに突撃してきてくれたのか!ロゼッタさんすげえ!
   よっぽどの聖女なんだな!疑って悪かった!」

ロゼッタ「い、いえ。気にしないでください、ふふ…」



リンク「あるいは、この場でそんな言い訳が通じると思っている心底の馬鹿なんだな!」

ロゼッタ「――え」

クッパ「さて、ここで特に意味はないが1個目の水晶玉の呪いを強めるのだ。カメック、やれ」

カメック「あ、はい」ピカアアァ

ロゼッタ「――――――――がああぁっ!?」ガハッ



紫電の靄が、彼女の周りに立ち込める。口を覆いかけて、咄嗟にやめたはいいものの。
彼女は、体がよろめくのを防ぎきれない。

ロゼッタ「――――――――――――――――ハァッ、ハァッ…何を…」ヨロッ

803: Mii 2020/04/12(日) 19:18:28 ID:1MumzHu6
クッパ「……」ヤレヤレ

リンク「語るに落ちたな」

むらびと「…………ロゼッタ、さん?嘘、でしょ?」

ファルコ「…まさ、か。全部が全部、こいつの、仕業?…そりゃ、立場的には――可能、だな…」

ピーチ「嘘よっ!!ロゼッタが…ロゼッタがっ!そんなこと、するわけ、ないっ!!
   きっと、私、疲れすぎで悪夢を見てるんだわ…!!」フラッ

ロゼッタ「そ、その通りですピーチ姫!信じてください、私です!ピーチ姫の友人のロゼッタです!
     マリオ達は洗脳か何かをされていて、私を罠に掛けようとしているのです!」

ピーチ「な、なんですって――」

パルテナ「……それはおかしいですね。
     マリオにリンクにクッパ、この御三方を操れているというのなら、
     そんなまどろっこしいことをせずとも、単純に暴れ回らせるだけで――
     黒幕は私たち全員を亡き者にして、キノコ王国を潰せると思うのですが。
     この状況、鯛で海老を釣っていませんか?」

ピット「悔しいけど言えてます」

パルテナ「ついでに言うと、そんな状況なら3強の皆さんに責任転嫁できるので…
     無駄死にしないためにも、従順な駒として一時的にでも寝返っておきますね♪
     要するに洗脳されてようがいまいが、今やることはマリオ達との同調ですよ?」

ピット「ドヤ顔でぶっちゃけましたねパルテナ様!」

804: Mii 2020/04/12(日) 19:23:07 ID:1MumzHu6
マリオ「なーんか釈然としないが…嘘は付いてないが、正解でもないんだぞ。
    こいつは、ロゼッタだけどロゼッタじゃないんだぞ」

ピーチ「…え?……ニセモノ?ロゼッタの!?
   ――――総員、最大限警戒してっ!!」

マリオ「うん、話が早くて助かる」













ロゼッタ「――――何時から、気付いていたのですか?後学のためにご教授ください」

ピーチ「――っ!――ほん、とうに…」



流石に、本物のふりは、止めることにしたらしい。
汗ばみ、身悶えながらも、薄気味悪い笑みを浮かべつつ、ロゼッタが問うてくる。
じりじりと、人がいない壁の方に、後ずさりしながら。意地汚く活路を見出そうとしているようだ。

 

806: Mii 2020/04/12(日) 19:29:37 ID:1MumzHu6
 

リンク「まあ、俺たちの話し合いの結果からすると、
   初期の初期としてはチートっぽい気付き方だったけど……」ポリポリ

クッパ「まあ、そうだな」コホン

マリオ「なにより、金庫に跳ね返されてあっさり引き下がった時点で確定だったな。

   空間魔法に命を懸けてるロゼッタだぞ?もしも本物なら――
   『あり得ませんっ!なんとしてでも突破して見せますからね!』
   とかなんとか言って、ここぞとばかりに気の済むまでチャレンジするだろうに。

   そもそも、ロゼッタが本気を出したら、カメックたちが集団で頑張ったところで
   魔法レベル差の暴力で一瞬で破れるはずだし」
   
カメック「えっ、酷くない?」



クッパ「というより、ロゼッタが本当に跳ね返されるくらいの術式だったとしたら
   パルテナごときは光の粒と化すか体が切断されてあの世行きだったろうしな」

パルテナ「えっ、酷くない?」

807: Mii 2020/04/12(日) 19:32:13 ID:1MumzHu6
ロゼッタ「――――」





ロゼッタ「――――くっ」シュン!

ピット「ああっ!空間転移で逃げたっ!」

マリオ「大丈夫だ!そんなに距離を稼げるわけじゃない!
   おまけにあのニセモノは大したチカラを持っていないからな!

   ただ、観客に絡まれると面倒だ!外には逃がすなっ!
   非公式試合仕様のフィールドに追い立てろ!」ダダダッ!

リンク「りょーかい!」ダダダッ!

ソニック「俺たちから逃げ切れると思うなよっ!」ダダダダダダダダ

ファルコ「――アイツ、もう許さねえぞ!待ちやがれ!」ダダダッ!

フォックス「ファルコがいつになく切れている…!」ダダダッ!

808: Mii 2020/04/12(日) 19:38:36 ID:1MumzHu6
ロゼッタ(――――最低です、こんなばれ方をするとは。
     もう、とっとと爆弾を起爆させてしまいましょうか)タタタタッ

ロゼッタ(――!あのフィールドの扉、半開きですね。
     追いかけっこをしたところでじきに追いつかれる…仕方ありません、滑り込みましょう)

バタンッ!

ロゼッタ(はぁ、はぁ……これで時間を稼げます、ね)

ロゼッタ『申し訳ございません、タブー様。このような体たらくとなってしまい……』

     『――まあ、よいだろう。お前が本物ではないと露見したところで、
     私がお前に期待するところは、特に変わりはしない。
     能力余すことなく私に協力し、場を攪乱し、キノコ王国の崩壊に努めよ。
     それさえ達成されたならば、この程度の粗相など些細なことだ』

ロゼッタ『寛大なお言葉、感謝いたし、ます――――っ!?』



リンク「偽ロゼッター!ここかぁー!想定通り過ぎて恐ろしいぜ!」ダンッ!!

マリオ「控室に全員集まってたのに、半開きに『しておいた』扉が閉まってたら
   居場所を教えてるようなもんだよなぁー!
   このあたりのウッカリ具合はしっかり本人から引き継いでるな…!」

ファイターたちが、次々に雪崩れ込んでくる。
たちまち私は、フィールドの中央で――袋の鼠になりました。

809: Mii 2020/04/12(日) 19:43:24 ID:1MumzHu6
リンク「もう逃げられないぞ!さあ、観念しろ!
   そんでもって!ここに!最後の証拠を突き付けるっ!」

マリオ「さあさあ、舞台は整った!本物のロゼッタたちの、ご登場だっ!」ポチッ!

ピーチ「本物っ!?いつの間に確保してたのっ!?
    どうして私たちに言ってくれなかったのよ!」

マリオ「…敵を欺くにはまず味方か――――」バシッ

マリオ「…痛いじゃないか」

ピーチ「当たり前よっ!むしろこの程度で済んで感謝しなさい!」



ゴゴゴゴゴゴ……!!!



ロゼッタ「――――!?」

見上げれば、空中に、まばゆい光――
光り輝く空間の裂け目から、登場するはずのなかった3人…いえ、4人…!?
彼女らが、颯爽と登場し――――

ロゼッタ(馬鹿なっ!まさか…あの女が…!
     イレギュラーが、よくもやってくれましたねえ…………!)ギリッ

810: Mii 2020/04/12(日) 19:47:12 ID:1MumzHu6
ドキドキ、ハラハラ。
4人の乙女が、皆の待つフィールドへ、飛び降りる形で颯爽と登場――――!
まもなく、地面に降り立ちます――――!



デイジー「にゃはは!『馬鹿なっ!まさか…あの女が…!(ギリッ)』とか思ってそうな、ひっどい顔だねえ!

     …いけっ!ゼルダ!ヒルダ!ロゼッタ!」ヒュゥゥ 

ゼルダ「私たちを指差さないでくださいっ!…まったく。
    それにしても、今の隙のうちにリンクなら不意打ちで一撃のもと倒せますよね。
    …ははあ、そういうことですか」ヒュウウ

ヒルダ「…もう、何を呑気なことをいっているのですか。舌を噛みますよっ!
    罠が仕掛けられている可能性もゼロではありません、気を引き締めて!」ヒュゥゥ

ロゼッタ「さあ…想定通り、ファイターの皆さんが集まったところで――――
     本物と認識してもらいつつ、華麗に登場して見せましたよ、このフィールドに――――
    そう、『イッシュポケモンリーグ』へとっ!」ヒュゥゥ

チコ×2「「わー!」」



――――この程度の高低差、今では何てことはありませんっ!
――――いざっ!着地しますっ!

811: Mii 2020/04/12(日) 19:50:16 ID:1MumzHu6
ゼルダ「ハッ!」

ダァーン!!
50kg OVER!▼



ヒルダ「ふっ!」

ダァーン!!
50kg OVER!▼



ロゼッタ「お待たせ、しましたぁっ!!」

ズッシャアアァァ――――ンッ!!!
150kg OVER! 砂煙が 舞っている!▼



ロゼッタ「…………ふえっ?」カアァ

ゼルダ「」

ヒルダ「」

マリオ「」

リンク「」

812: Mii 2020/04/12(日) 19:58:08 ID:1MumzHu6
ピット「…150超マイナス40×2だから……
   BW仕様なら上限も設けられてないし……」

パルテナ「やめて差し上げなさい!」ポカッ

ピット「」チーン

ピーチ「そうよ!ロゼッタの身長205cmからすると84kgでようやくBMI20よ、
    まだ痩せてるんだから!たぶん!」ヒソヒソ

Wii Fit トレーナー「はい、至って健康体と思われます」ヒソヒソ

デイジー(ロゼッタ、ほぼ吐き気を催すこともなく、毎日しっかり食べてたからなあ…
     脂肪だけ付いていったわけでもなく体格もしっかり強化されてるし、
     全く悪いことじゃないんだけど……本人はそうは思ってないだろうなあ…)



むらびと「……えっとお、重い方が…本物?」

ロゼッタ「」グサッ

ファルコ「そ、そこは強い方が本物、とかにしておけよ!
     女は体重のことを口出しすると怖えんだよ、知っとけ!」ヒソヒソ

ロゼッタ「――――――――」

ロゼッタ「」ギロッ

フィールド「消し飛ばされそうな殺気をひしひしと感じるぜ!ハハッ!」

813: Mii 2020/08/19(水) 20:39:12 ID:sn8BwqIA
ななな、なんですか、このフィールド仕様っ!?顔から火が出るとはこのことです!
こんなフィールドを選択するだなんて…!マリオ、恨みますからねぇっ!!
恥ずかしさと怒りのままに、無性に地団駄を踏みたくなってきました!
…2回目の砂煙とかが起きたら恥の上塗りなので、やめておきましょう。

と、とりあえず、ですねっ!
なんだか激しく体重バレしたような気がしますが、きっと錯覚です!
今はそんなことは捨て置いて、しっかり敵を見据えましょう、ええ!

マリオ「――――よしっ!ロゼッタ!ズルい気はするが、今すぐ制空権を!
    空中庭園《スカイガーデン》を展開してくれっ!そうすりゃタブーも形無しだ!」

リンク「…空中庭園?なんだ、それ?」

御存じのない方は、はて?という顔をされますが。
なるほど、相手の出鼻を挫くのは正当ですね!
分身たちの、そしてタブー本人の得意とする空間魔法を封じ込めてしまいましょう!
所詮分身たちの魔法レベルでは、このS+ランク魔法を行使するなどということは、到底できなかったでしょうから!

ロゼッタ「はいっ、おまかせ――――――――」



ぴしり、と。
杖を振り翳した状態で、思わず、固まってしまいました。



ロゼッタ(そういう私も、S+ランク魔法なんて現状では使えっこないじゃないですかっ!?
     魔法の制御力が落ちたこと、マリオ達に伝えそびれていましたぁ――――!!?)

814: Mii 2020/08/19(水) 20:44:58 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ(偽)「あら?どうしたのですか?
        ――――まさか、できないのですか?『本物の私』ときたら」クスッ

――悟られた!?

ここに来て、小さく笑って見せる『偽者の私』。
自分に笑われると、なんだか無性に腹が立ちますね。

マリオ「え、おい待て、それは本当に想定外になっちゃうんだけど。
    敵さんは空間魔法を早々と使えなくなるっていう大前提があったんだけど。
    いろいろと計画が狂うんだけど!なんでできないんだ、ロゼッタ!?」

ロゼッタ「え、えっと、ちょっとした事故の副作用で――――っ!」

マリオ「うおぉーい!?報・連・相!!先に言っといてくれよ!」

ロゼッタ「すすすすいません!!」ガバッ

思わずマリオに叫ばれます!
これは平謝りするしか選択肢がありません!

ロゼッタ(偽)「へえ、そうだったんですね。
       何から何までそちらに都合よく、というわけではないようで安心しました」

ニタリ、と嫌な笑い方をして、偽者の私がすぅっと浮かび上がります。
…いえ?浮かび上がるというより、上へと引き寄せられている?
まるで、主と仰ぐ者の元に馳せ参じるかのように。――――まさかっ!

ロゼッタ(偽)「貴方たちは追いつめたつもりなのでしょうが――
       まさか、逆に誘い込まれたとは、思ってもいないのですね」フワァ

815: Mii 2020/08/19(水) 20:51:55 ID:sn8BwqIA
マリオ「先行きが不透明になってきたな…手間がやたら掛かりそうだ…
    で?勿体ぶらずにとっとと出てこいや、ラスボスさんよ」



    『――――そこまで言うのなら、致し方ない』



j跪くがよい、とでも言いそうな高圧的な雰囲気とともに…空間がねじ曲がり、亀裂が発生。
ぬるっと、スライムのような軟体性の物体が、突如として――どこからともなく、流れ出してきました――!
無秩序に発光して、各部位がビビッドに存在を主張してきます。

デイジー「何あれ…気持ち悪い…うげぇ」

ピーチ「うん、久しぶりね、デイジー!
    そして、歯に衣着せぬ率直な意見を、代表して出してくれてありがとう」

うにょうにょとグロテスクに蠢いたあと、ほどなくして半透明な人の形をとっていき――
やがて、体格が固定された模様です。
ただ、大きさ自体は波打つように…常時、変化。5メートル~10メートルを行ったり来たり。
なんというか、ただただ不気味です。ステレオタイプなエイリアン、といった感じです。

     『この会場…いや、この王国もろとも破壊し尽くしてくれる――
      私の復讐劇、とくと味わうがよい――――!』

ピーチ「……はぁ。これ以上、私たちの王国に難癖付けるのはやめて下さる?
    というか、災難がキノコ王国に集中し過ぎよ…」

体調不良も相まって、不機嫌極まりない元首様の嘆きが、力なく発せられて消えていきました。

816: Mii 2020/08/19(水) 20:56:15 ID:sn8BwqIA
裏切り者の私の分身体が、フッと追加で現れて…計、3人。
なるほど、ゼルダ姫とヒルダ姫の姿を偽るのはやめたということですか。
今さら、意味ないですもんね。でもあれで…全部のはず。

さきほどまで皆の視線の的だった偽者が浮かび上がっていき…そのままタブーのもとへ。
こうしてみると、2メートル超えの私でも小さく見えますね。
ほら、あんな感じにタブーの肩にストンと座って、しな垂れかかって――
それを受け入れるかのように、タブーが片腕で抱きかかえるようにして――

って、私の姿で何やってくれてるんですか!?別の意味で大問題なんですけどっ!?
私、そんなにふしだらな人間ではありません!目に毒!おぞましい!鳥肌ものです!!
顔面蒼白、大慌ての私を尻目に、顔を赤らめながら流し目でこちらを眺めて、み、せ、て――――
ええ、大層煽情的ですこと。

パルテナ「いかがわしい」

サムス「いかがわしい」

ワリオ「いくら俺でも引くわー」

ロゼッタ「ああああああぁぁ!?」ゾワッ!

817: Mii 2020/08/19(水) 21:00:31 ID:sn8BwqIA
なにこれ酷い!酷すぎます!
衆目に晒す事、耐えられません!

ロゼッタ「…………キレました!ええ、流石の私も堪忍袋の緒が切れました!!
     マリオッ!あの破廉恥極まりない、頭からっぽそうな馬鹿面を晒す女狐、
     私がとっとと成敗してしまって構いませんかねっ!?」

マリオ「お、おう。正論とはいえ本人から言われるとすっごくシュール。
    お、俺たちも手助けするから、や…やってみるか?無理はするなよ?」ビクッ



ロゼッタ(偽2)「なにをそんな、強がりを」

ロゼッタ(偽3)「貴方程度に、そんな大それたことができますか?
         大人しく、タブー様に周りが蹂躙される所を…怯えながら眺めていなさい」

残る2人の偽者の私が、憎たらしい顔をしながら、からかうように声をかける。
人を見下して、止まない目です。眩暈がします。
いったい、どれだけこの人たちは――マリオ達に迷惑を掛けてきたというのでしょうか。
もう、想像するだけで泣きたくなります。



自業自得ながら、私自身への今後の風当たりまで――暗雲立ち込めていて。

818: Mii 2020/08/19(水) 21:05:12 ID:sn8BwqIA

ロゼッタ(偽2)「…いえ、そもそも――私たちをいつまでも軽んじていることが、
         とてつもない命取りになったり――」シュンッ!



リンク「――ぎっ!?」

クッパ「――なっ!?」

マリオ「――げげっ!?」

――――なんと。
一瞬の隙を狙われて。偽者のうちの1人が、テレポート。
さすが私の分身、とか言っている場合では、ありませんね!



ヒルダ「ひゃっ――――」グッ

ヒルダ姫の背後に突如として現れ、腕を回し――
たちどころに首を絞める体制に入りました――――!

ヒルダ「――――が――ぅ――――」ギチギチ

ピーチ「――っ!」

819: Mii 2020/08/19(水) 21:10:35 ID:sn8BwqIA
愉快痛快といった感じで、彼女は興奮気味に話します。

ロゼッタ(偽2)「ゾクゾクしますねぇ…!ああ、動かないでくださいねー、皆さん。
        一人でも何かアクションを起こせば、首をぽきりと折りますよ?
        いくら私でも、この人相手ならばそのくらいのこと、訳ないですよ?
        それなりに筋力差はあるんですからね、ふふ、ふふふ」

無駄に妖絶な顔持ちを醸し出した分身体。…いや、ほんと、やめてください。それはともかく。
致命的な遅れを取ったピーチ姫は、驚愕の顔を隠さないまま固まってしまいました。

サムス「…………お前、最低な奴だな。弱者を狙うなんて。
    陰でコソコソ動いて、同士討ち狙って、挙句の果てに人質か。正々堂々戦うという矜持はないのか?」

ロゼッタ(偽3)「貴方ごときに説教される筋合いはありません。
        すべてはタブー様の思し召し、タブー様の意向ありき――」

マルス「これは、ちょっと、腹立たしすぎる光景だね――吐き気を催すくらい」



どのファイターたちも、動けない。責任を背負えない。ピーチ姫の指示を仰ごうという雰囲気です。
やろうと思えば、1秒先に、ヒルダ姫の命は尽きる、そういうことですか。

820: Mii 2020/08/19(水) 21:14:53 ID:sn8BwqIA
ピーチ「ごめん、なさい。痛い、苦しい思いをさせることになるけど、
    ここは心を鬼にして――――」ウルッ

マリオ「……!?駄目だ、ピーチ!大ポカやっちまった!
    今は『乱闘中』制御下じゃない!フィールド内でも残機制度が働かん!!
    死んだらそれまでだ!!」

ピーチ「――――なんで、よぉっ!!」

ここにきて、痛恨の準備不足、紐の掛け間違い――!
ほんとのほんとに、ピーチ姫がなすすべ無しで立ちすくんでしまいました。

ロゼッタ(偽2)「あは♪意気込んでおいて、なんともお粗末なものですね!
        形勢逆転!この駆け引き、私たちの勝利――」











ヒルダ「――――言いたい……こと、は、それ、だけ…ですか?」

821: Mii 2020/08/19(水) 21:20:24 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ(偽2)「…は?馬鹿なのですか?立場をわきまえていますか?
        少しは黙っておいた方が身のためで――」グググ
(基礎体力レベル:Lv.20)



ヒルダ「――――ふんっ!!」ガンッ!

ヒルダの 頭突き!
ロゼッタ(偽2)の 顔面に クリンヒット!▼

ロゼッタ(偽2)「ふべっ」フラリ


ヒルダ「胴ががら空きですっ!!」ザンッ

ヒルダの 肘突き!▼

ロゼッタ(偽2)「がっ!?」ヨロッ


ヒルダ「吹っ飛べええええぇぇぇ――――っ!!」グワンッ!
(基礎体力レベル:Lv.28)

スマッシュ攻撃発動! ヒルダの ビルダーハンマー!▼

ロゼッタ(偽2)「」バチコーン!

リンク「」

822: Mii 2020/08/19(水) 21:24:11 ID:sn8BwqIA
ヒュルルル――――


ゼルダ「あ、ゴミが飛んできましたね。目障りなので蹴っておきましょう」ゲシッ!
(基礎体力レベル:Lv.54)

デイジー直伝! ゼルダの 回し蹴り!▼

ロゼッタ(偽2)「――ぁ――」グシャッ

コンボが つながった!
かいしんの いちげき!▼


ロゼッタ「ぜ、ゼルダ姫!やりすぎです!これ、背骨折れてないですか!?
     やめてあげてください!間違っても死亡させてはなりません!」ダダダッ

ロゼッタ(偽2)「――――そ、そぅで、す。た、す、け、て」ドクドク



ロゼッタ「経験値、しっかり返してもらわないといけませんからね!
     …あれ、もしかして還元されるのを抵抗してますね!?生意気な!
     さっさと返してください!さあ!さあ!」ギュッ

びたぁーん!

ロゼッタ(偽2)「」ベチィッ

マリオ「」

823: Mii 2020/08/19(水) 21:31:39 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ「あなたがっ!」ブンッ

びたぁーん!

ロゼッタ(偽2)「」ベチィッ


ロゼッタ「経験値を、返すまでっ!」ブンッ

びたぁーーん!

ロゼッタ(偽2)「」ベチィッ


ロゼッタ「足首を掴んで地面に全身を叩きつけることを――やめないっ!!」ブンッ
(基礎体力レベル:Lv.42)

びたぁーーーん!

むらびと「」ガクガクブルブル

ファルコ「真っ赤な花が咲いてるな」ブルブル

クッパ「拷問かな?」ブルブル

824: Mii 2020/08/19(水) 21:37:42 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ(偽2)「ふ、つ、うに――し、に、たい――」

ロゼッタ(偽2)「」シュウ・・・

ロゼッタ「ほっ、用済みになって消えていきました。1人分、経験値回収成功!
     …血がやたら跳ねちゃいましたけど。汚いです…」

      『……………………』

デイジー「お粗末と自覚してくれててよかったね。
      話が早くて助かるぅー」

まあ、今の私たちの実力なら、こんなところでしょう。
甘く見ていたのは敵も同じのようですね。私たちの努力が功を奏しています。

あれ?残り2人の偽者の私が、怯えて震えている気がするのですが、気のせいでしょうか。
まあ、些細なことなので放っておきましょう。

あと、デイジー姫がドヤ顔をしています。「私が育てた」と書いてありそうな顔です。
…なんだか私としても幸せなので。こちらも放っておきましょう。

825: Mii 2020/08/19(水) 21:52:59 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ「さて、これで人質は…一切いなくなりまし――――」


ロゼッタ(偽1)「――こ、これを見ても、まだそんなことが言えますかっ!?
        空中庭園《スカイガーデン》――!!」パアアアアアアァァ


タブーとくっ付いていた偽者が、流れを引き戻すべくアクションを――
…え、ええっ?えええっ!?ちょっと、なんでですかっ!?
魔法レベル50程度じゃ、使えない、はず…!

――改めてよく見れば、なんてことはない。
――まさにすぐそばにいるタブーが、同調して光っています。
――あの偽者、タブーの補佐を利用して実力を底上げしてますねっ!意外と考えてた!
――空間能力適性があるタブーなら、可能でも不思議ではありません!

まずいです!相手の空間魔法を封じるどころか、
こちらが制御下に置かれてしまいます!猪口才な!

ゼルダ「ロゼッタ!余計なこと考える暇があるなら、こちらも対抗です!」バッ

ロゼッタ「そ、そうでした!あっちが底上げなら、こちらだって!
     …いやいや、それでもランク的に無理過ぎるような…や、やっては、みます、けど!
     ゼルダ姫、力をお借りしますよ!

     ――――相互演算《ダブルスロット》からの…空中庭園《スカイガーデン》――!」パアアアアァァ

826: Mii 2020/08/19(水) 21:59:25 ID:sn8BwqIA
ふたつの結界を張ろうとする力が、何も見えないようでいて確かに激しくぶつかり合い。
私には、互いに相手を押しのけるべく、打ち勝つべく…バチバチと激しい音を立てていることが認識できます。

…あ、やっぱりきつい!?無理が祟って、既に魔法回路が悲鳴を上げています!
底上げがまるで不十分で、ものの3秒で眩暈がしてきました!
ザザーッ…と、視界にノイズまで走ります。我ながら情けないっ…!

リンク「おうおう!俺たちのことも無視すんなよ!
    みんな!ロゼッタがわやくちゃやってる間にタブーを始末すればオシマイ――」


   『――――舐めるなっ!』


ポンッ!ポンッ!ポンッ!


ロゼッタ(偽4)「――――」バッ

ロゼッタ(偽5)「――――」バッ

ロゼッタ(偽6)「――――」バッ


ズラーーッ!!


ロゼッタ「…!?」

827: Mii 2020/08/19(水) 22:02:01 ID:sn8BwqIA
リンク「…………げげっ、なんか増えた!?」

ロゼッタ「え―――」

大事な魔法の行使中だというのに、思わず、唖然。

長さ10メートル以上、直径1メートルほど、といったところでしょうか。
タブーが触手のようなものを何本も空間に出現させ、ブンブンと振り回す。
その軌跡が、空間にノイズを走らせたかと思うと――
何人もの、いえ何十人もの分身体を出現させたのです。相変わらず、全員私。わぁい。

あらら?分身体は無秩序に増えない増やさない、という術式の縛りを設けていたのですが、
偽者とタブーとの間でどんな洗練もとい魔改造が働いたのでしょうか。
あんなことをしたらとてつもなくFPを消費するのに…………って。
そういえば、FPに関しては湯水のように使いこなしてのける相手でした!
偽者たちがなんだか羨ましく感じるのは悲しいサガですね!

デイジー「わあ、ロゼッタがいっぱーい。
    人によっては大喜びしそうな光景ですな」

ピーチ「呑気なこと言ってないの!
   ロゼッタ!本気で、空間制御をなんとかして!そうすればみんなまとめて――――」

…が、駄目っ!!
追加召喚された偽者たちの一部が、代表の偽者の傍に集って…
案の定、杖を光らせて助太刀を始めます!術式作用を直列繋ぎ。数の力、わっかりやすい!

828: Mii 2020/08/19(水) 22:09:03 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ「ぎぎ、ぎ…………一方的に、押され、て――」パアアアアアアア

ゼルダ「スペック差が、モロに……ぐっ」パアアアア

歯を食いしばったところで、押されることには変わりありません。まずいまずいまずい!
おまけに、増えてきたFPがあるとはいえ、たいそう燃費の悪い、この魔法。
ジリ貧すぎて手詰まりです。私が本調子で在ればこんなことには――!


ロゼッタ「ぐうっ!?」バチッ!

ゼルダ「痛っ!?」バチィッ!

ロゼッタ(偽1)「ハッ!!」パアアアアアアア


ロゼッタ(偽1)の スカイガーデンが 競り勝った!
キノコ王国に 相手の スカイガーデンが 展開されている!▼  シィーン・・・!
こちらの 空間魔法は 全て無効化され 再展開もできない!▼



お、おし負けて、しまいました!私の空中庭園、発動失敗!?
バックファイアまで襲い掛かってきて、ゼルダ姫ともども、激しい痛みに腕の焦げ。
さっそく満身創痍なうえに、これでもう、空間魔法ありきの私は戦闘において役立たず同然です。
大変なことになってしまいました…!

829: Mii 2020/08/19(水) 22:13:29 ID:sn8BwqIA
ピット「要するにどうなったのピーチ!三行…いや一行で説明よろしく!」

ピーチ「――相手の空間魔法が通り放題、こっちは売り切れ状態になったわ!」

ピット「わかったようなわからないような説明ありがとう!」

パルテナ「――ふむ」シュンッ

Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!▼

パルテナ「きゃっ!?テ、テレポートが弾かれました!?」

パルテナさんが確かめていたところで、敵側が矢継ぎ早に次の行動に…って。



    『フィールド、強制転送!』

ロゼッタ(偽)「「「「「「「「ハアアアァァァァァ!!!」」」」」」」」パアアアアアァァ



ロゼッタ「なにか大がかりなことを始めて――――!?
     い、いけません!このフィールドが『召喚』されようとしています!!」

ピーチ「え、ど、どこによ?」

ルイージ「うえっ!?け、景色がぐちゃぐちゃになってきてるよ、兄さ――」