1: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:21:35 ID:IS1


―――道すがら


加蓮「ていうか3人で集まるのが久しぶり?」トテトテ

李衣菜「うん、1ヶ月ぶりかな? 私がイギリスへ撮影しに行く時以来」トコトコ


加蓮「そっか……李衣菜が私たちを捨ててPさんとイギリスへ」

李衣菜「待って待って、記憶が改ざんされてる!」

加蓮「『いざロックの聖地へ~♪』ってPさんの腕ぐいぐい引っ張って出発口入ってったの覚えてるけど?」

李衣菜「あ、あはは……ちょ、ちょっとテンション高かったかも……?」

加蓮「ふふっ、ちょっとどころじゃなかったよ~? すっごく浮かれてたから泰葉と2人でしばらくネタにしてたもん♪」

引用元: 加蓮「泰葉んちに行くの久しぶりだね」李衣菜「そだねー」 




2: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:22:36 ID:IS1
李衣菜「お、思い出したら恥ずかしくなってきた……。でもっ、お仕事はちゃんとして来たよ?」

加蓮「とーぜんでしょ。浮かれて手を抜きました、なんて言ったらひっぱたくからね」

李衣菜「う、怖い……! 色々やってきたよ、MVの一部で使う映像とか――」

加蓮「あーストップ、泰葉んちに着いたらゆっくり聞かせてよ。そのためのお泊りでしょ?」

李衣菜「あ、そうだね。加蓮のお仕事の話とかも聞きたいし! 確かジュエリーデザインのあんさばだー。だっけ」

加蓮「アンバサダーね」

李衣菜「そうそれ!」

加蓮「間違っても餡かけ鯖煮じゃありません♪」

李衣菜「あはは、間違えたの加蓮でしょ♪」

3: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:23:21 ID:IS1
加蓮「ふふふ♪ 泰葉はどんなお仕事だったっけ?」

李衣菜「映画撮影が終盤に入ってて……そうそう、それからファンミーティングの準備もしてたね」

加蓮「んー……泰葉が一番忙しかったかも? ずっとバタバタしてたし」

李衣菜「かなぁ。Pさん、イギリスに滞在してる時もテレビ電話で泰葉とやり取りしてたみたいだし……というか、Pさんすぐ日本にとんぼ返りだったけど」

加蓮「あー、Pさんすぐ戻ってきてビックリしたよあの時! 李衣菜捨ててきちゃったの!? って」

李衣菜「ひどくない!? 『李衣菜のやりたいことをやりきって来い!』って激励されたのに!」

加蓮「あは、ごめ~ん♪」

4: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:24:06 ID:IS1
李衣菜「もうっ。まぁ1人じゃなかったけどさ……馴染みのスタッフさんとはずっと一緒だったからね」

加蓮「ずっと振り回してたんだ?」

李衣菜「ちがっ……わないかも。たくさんワガママ言っちゃったし……」

加蓮「ワガママじゃなくてこだわり、でしょ? 私もアクセサリーのデザインにしつこく口出ししたもん。悪いことじゃないよ、絶対!」

李衣菜「……うんっ、そうだよね! 絶対加蓮の方がスタッフさん振り回すもん!」

加蓮「なっ、そんなわけないしー! そんなこと言う李衣菜には私デザインのアクセ押し売るからね!」

李衣菜「ええっ!? せ、せめて学割とか効かない?」

加蓮「学割効くアクセってなに!?」


李衣菜「学生手帳お持ちだよー!」トコトコ…

加蓮「お持ちでもダメー!」トテトテ…


―――

――


5: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:24:54 ID:IS1


―――泰葉んち前


李衣菜「結局色々話しながら来ちゃったね」

加蓮「うーん、集まるとお喋りマシンになっちゃうよね私たち」

李衣菜「しょーがないしょーがない♪」

加蓮「しょーがなーい♪ っと、ぽちっとな」


ぴーんぽーん


…………ゥーイ……


加蓮「……なに、今のうめき声」

李衣菜「泰葉の声だったよ、『うーい……』って」

加蓮「おじさんの間違いじゃないのそれ」

6: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:25:43 ID:IS1

『……どちらさまぁ?』


李衣菜「あ、私だよ~。リーナ!」

加蓮「加蓮ちゃんもいるよ~」


『あぁ、いらっしゃぁ……いま開けるねぇ』ピッ


加蓮「なんか泰葉、声がデロデロしてない?」

李衣菜「怠そうな声だったね……大丈夫かな」


がちゃがちゃ……かちゃん

ぎぃ……


泰葉「ふわあぁ……いらっしゃいりいな、かれん~……」ドテラァ…


李衣菜「……部屋間違えたかな?」

加蓮「泰葉がこんなだらしないわけないよね。失礼しました~」

泰葉「え、あ、あぁ待って間違えてないよっ、2人とも待って~!」ヨロヨロ

7: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:26:42 ID:IS1


―――泰葉ルーム


加蓮「――ええ、いま起きたぁ!?」

泰葉「う、うん……。ドールハウス作ってたら……いつの間にかこたつで寝ちゃってて」

加蓮「ばっ……かじゃないの!? 風邪ひいたらどうすんの! どてら1枚でしかもこたつで!!」

泰葉「ごめんなさいごめんなさい! 明日2人が久しぶりに来ると思ったら寝付けなくて! ずっと触ってなかったしお仕事一段落したからちょっとだけやろうかなっt」

加蓮「言い訳しない!!」

泰葉「はいごめんなさい!!」


李衣菜「あはは、加蓮が一番怒るやつだ。片付け片付け……うわ、ココア乾いて底にこびりついてる。ふふ、もう」

8: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:27:48 ID:IS1
泰葉「うぅ……私はダメな子……! どんどんダメになってる……こんなことじゃダメ……ダメダメのダメ……」ズーン…


李衣菜「か、加蓮怒りすぎだよ……。めちゃくちゃ落ち込んじゃった」

加蓮「ふ、ふんっ。泰葉が悪いんだからっ!」

泰葉「ぐす……」

李衣菜「や、泰葉~? ほら、新しいココア淹れたから飲みなよ。ね?」

泰葉「うん、ありがとう……」ズズ

加蓮「ったくもう。……で? 具合は悪くないわけ?」ズイッ

泰葉「う、うん。顔を洗ったら目も覚めたから……」

9: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:29:40 ID:IS1
加蓮「……目がまだ赤い。ほんとばか」

泰葉「しゅん……」

李衣菜「まぁまぁ、夜更しくらい私もしちゃうし! オフだって分かってるから泰葉も徹夜しちゃったんだよね?」

泰葉「そ、それはもちろん。お仕事があったら絶対こんなことにならないよっ」

李衣菜「ね、こう言ってるからいいよね、加蓮?」

加蓮「…………ま、そこは信頼してるから分かってるけど。……泰葉っ」

泰葉「は、はいっ」

加蓮「――罰ゲームのハグだあああああっ!」ガバーッ

泰葉「きゃああああああっ!?!?」コテーンッ

李衣菜(結局心配してるだけなんだよねー加蓮って♪)


ウリウリウリウリーッ

キャハッ、ヤアアアアンッ

10: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:30:27 ID:IS1


―――


泰葉「あ、改めまして。ようこそ2人とも」ボサッ

李衣菜「うん、久しぶりの泰葉の部屋だ♪」

加蓮「うーん満足♪」テカテカ

泰葉「も~。……んんっ、李衣菜はこないだ帰ってきたんだよね。海外でのお仕事、お疲れさまでした」ペコリ

李衣菜「いえいえ、泰葉も映画撮影とファンミーティングでお疲れさまだよ!」

泰葉「ふふ、充実した毎日だったよ。加蓮も毎日遅くまで事務所で頭を抱えてたよね? すごく頑張ってた」

加蓮「んー、まぁね。アクセサリーのデザインのことも勉強しながらだったから。それも楽しかったけどね」

11: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:31:08 ID:IS1
泰葉「私も出来上がりが楽しみ♪ 加蓮の想いがこもったアクセサリーだもんね」

李衣菜「へぇ~。私も楽しみになってきたなぁ」

加蓮「な、なんだか照れちゃうな。でも……そうだなぁ。私の気持ちがアクセサリーに乗って誰かに届く、って思うと……すごく嬉しいかも♪」

李衣菜「へへ、やり切った顔だね♪」

加蓮「ふふんっ、私はいつだってやり切る女だよ♪ 自分で後悔したくないし、人にさせたくないからね。2人もそうでしょ?」

泰葉「……うんっ。誰かを笑顔にするために、妥協なんてしたくないもの」

12: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:31:49 ID:IS1
李衣菜「私も! 憧れの聖地で、ロックの本場で恥ずかしい真似したくなかったからさ。全身全霊で良いもの作ってきたよ」

泰葉「ロックの本場……李衣菜の目がずっと輝いてるのが想像できちゃうね♪」

加蓮「よくPさんも李衣菜を置いて戻ってこれたよね~。目を離したらすぐ『聖地巡礼~!』ってどこか行っちゃいそう♪」

李衣菜「……そ、そうなると困るからって初日にほとんど一緒に回ってもらっちゃったりして……」

泰葉「……はぁ」

加蓮「……ふぅ」

李衣菜「『やっぱりな』って顔やめてよ~! お仕事はちゃんとしてきたってばぁ~!」

13: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:32:34 ID:IS1
加蓮「Pさん、李衣菜と1日で離れられて良かったかもよ……」ヒソヒソ

泰葉「そうだね……浮かれ李衣菜と一緒なんてきっと疲れちゃうよね」ヒソヒソ…

李衣菜「聞こえるようにひそひそ話するのやめて!? すごく悪いことした気になっちゃうよ!」

加蓮「実際そうだよ? Pさんとイギリス観光なんて羨ましい羨ましい!」

泰葉「どうせならみんなで行きたかった!」

李衣菜「あっそれが本音だなー!? ちゃんとお仕事に関連した所だけだったよ、もっと色々行きたかったけど!」

14: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:33:10 ID:IS1
泰葉「じゃあ今度のファンミーティングはイギリスで……!」

李衣菜「それファンのみんな来る!? いくらなんでも厳しいって!」

泰葉「え、そうかな? 流行りのバスツアーとかでファンのみんなと観光って楽しそうだなって」

加蓮「確かに! イギリス観光といえば2階建てバスなイメージあるしっ」

李衣菜「……なんかいけそうな気がしてきた」

泰葉「でしょう? 私ね、初めてのファンミーティングでとっても楽しかったから。2人にも味わってもらいたくて考えてたの♪」

15: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:33:43 ID:IS1
加蓮「ふふっ、泰葉ずっとそれ言ってたよね。ファンとツーショットの写真いっぱい見せられちゃった。みんな笑顔なの♪」

泰葉「え、えへへ……」

李衣菜「そうなんだ。あとで私にも見せて、泰葉!」

泰葉「うんっ。ふふふ……私みたいになりたい、って女の子がいてね。とっても嬉しかった……涙が溢れちゃいそうなくらい」

李衣菜「そっか♪」

加蓮「ふふ。私も昔、泰葉をテレビで見てて『こうなりたいな』って思ってたことあったもん。ずっと同じだね♪」

16: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:34:19 ID:IS1
李衣菜「あ、私もテレビで見てたよ泰葉のこと! かわいいなぁすごいなぁって思ってた」

泰葉「や、やだ……やめてよ2人ともっ。なんだか恥ずかしい……!」

加蓮「それが今じゃ、寝不足を怒ったりハグしたり……」

李衣菜「こたつを囲ったりお泊りしたりねー。そう考えると不思議だよねっ」

泰葉「わ、私は……今、こうして普通の女の子で居られるのが不思議だよ。2人が私に憧れてくれたように、私はこんな日常に憧れてた」

加蓮「……んふふっ♪」

李衣菜「へへ♪」

17: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:35:04 ID:IS1
泰葉「これからも3人で……ううん、Pさんやちひろさんも含めて一緒に居られたら、って思うの。……あれ、恥ずかしいこと言ってる?」

李衣菜「まぁ、いつもどおり?」

加蓮「うん、いつものポエミィ泰葉だよ?」

泰葉「い、いいもん……! もう多少恥ずかしくたって2人には隠せないからっ」モゾモゾ

加蓮「あ、こたつに隠れた。待て待て~♪」モソモソ


「きゃ、ちょっ! か、かれん!? ダメ、そこは脇の、ひゃああんっ」

「わぁお柔らかい……! どれどれ、おじさんがスタイルをチェックしてやろう♪」

「や、やだあああああっ!」


ごそごそ……ごつん、ごとっ


李衣菜「……ふふっ。帰ってきた、って感じだなぁ♪ ただいま!」


―――

――


18: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:35:41 ID:IS1


―――翌日、事務所


李衣菜「おふぁよぉ……」

泰葉「ござい……」

加蓮「まぁふ……」

「「「ふわぁぁ……」」」


P「……お、おはよう。でっかいあくびだな」

泰葉「き、きのう……久しぶりに3人でお泊りだったので……」

加蓮「たくさんお土産話で盛り上がっちゃってね……ぁあもう、李衣菜寄りかかんないで……」

李衣菜「ふやぁ……ねむ……」

19: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:36:15 ID:IS1
P「夜更しはダメだぞー。今日はミーティングだけだからいいけどな」ポフ

泰葉「はい……」

加蓮「Pさん私も……頭ぽふってして……」

P「はいはい……ほら、李衣菜も起きろ」ポンポン

李衣菜「……ふあっ。あ、Pさんっ。おはようございますぅ」

P「はいおはよう。……ん? その持ってる紙束はなんだ?」

20: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:36:54 ID:IS1
李衣菜「あ、そうですっ! これはですね……!」ドサ

泰葉「これから私たちがやりたいこと、やってみたいことをメモしたものなんですっ」バサ

加蓮「お互いのお仕事とか夢とか、一晩中話し合ってたのっ。Pさんに見せたらなんとか実現できないかなって♪」ドンッ

P「す、すごい量だな!? そうか……みんながやりたいことか。……よし、全部見せてみろ! 俺が3人の夢をなんでも叶えてみせる!」

加蓮「さっすが~♪」

李衣菜「やっぱり私たちのプロデューサーですねっ!」

泰葉「よろしくお願いしますね♪」

21: ◆5F5enKB7wjS6 20/12/13(日)12:37:36 ID:IS1

P「ちひろさん、ちひろさーん! 緊急です、手伝ってくださいー!」

ちひろ「は、はいはーい! なんでしょうプロデューサーさ――えええなんですかこの紙~!?」

P「夢が詰まってるんです、あの子たちの!」

ちひろ「夢……なるほど、分かりました! サポートなら任せてください♪」



加蓮「楽しみ♪」

泰葉「たくさんの人を笑顔にしようねっ」

李衣菜「うん! さ、私たちもPさんたちに混ざろうっ。一緒に叶えようよ、夢!」

「「おー!」」



おわり