いつみ「そりゃ確かに試作品を食べる時もありますけど…月に1回メニューが変わる時ぐらいですよ？」


いつみ「しかも今月はもうやったばかりですから当分無いですし」


イミナ「なん…だと…？」


イミナ「まぁいいか、スイーツの賄いぐらいは出るんだろ？」


いつみ「スイーツの賄い！？そんなの出るわけないでしょ！？」


イミナ「ええっ！？」


イミナ「じゃあ何の為にここでバイトしてんだよ！？」


いつみ「お金の為ですよ！みんな大体そうなんです！」


イミナ「で、でも社割ぐらいはあるだろ？」


いつみ「ありますけど１日体験で割り引かれると思います？」

イミナ「分かった、何日働けば良いんだ？」


いつみ「社割でスイーツ食べる為に何日も働くぐらいなら普通に客として食べに来れば良くないですか！？」


イミナ「いや…アタシがファミレスとか恥ずかしいしさ…」


いつみ「普段ビキニで戦ってる人が何を恥ずかしがる事が…」


イミナ「ビキニじゃねーよ！ビキニアーマーだよ！」


いつみ「ビキニじゃないですか！」


いつみ「とにかく！受けちゃった以上は１日体験させますから！んで最後にスイーツ奢ってあげるんでそれで勘弁して下さい！」


イミナ「上等だ！完璧に接客してやっから覚悟しとけよ！」


いつみ「じゃあこれ制服のメイド服です」ｽｯ


イミナ「えぇ…アタシにメイド服は無いだろ…」


いつみ「壁に当たるの早いな！」

～


イミナ(メイド服)「うっわ…スースーする…」


いつみ「普段からスカート履いてますよね？」


イミナ「それはそれ、これはこれだ」


いつみ「いや普段からエテルノでメイド服とかそれより恥ずかしい格好してるじゃないですか！」


イミナ「あれはエテルノだからノーカンだ」


イミナ「現実世界であんなの着てられるか？」


いつみ「一部のコスに関しては無理ですね」


イミナ「だろ？」


いつみ「まぁ何言われようとウチはファミレスなのに何故かメイド服って店なんで他に制服無いから諦めてください」


イミナ「ちぇっ」

いつみ「じゃあ接客の仕方なんですけど…」


イミナ「客の事をご主人様～とか呼んだり、萌え萌えきゅん！とか絶対やらないからな？」


いつみ「それはウチでもやらないです」


イミナ「メイド服なのに？」


いつみ「メイド服なのにです」


イミナ「なんだこの店」


いつみ「店員がただメイド服着てるだけのファミレスですが何か？」

イミナ「まぁアタシも接客業の経験はあるから心配すんなって！」


いつみ「へぇ！それなら大丈夫そうですね！」


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


いつみ「あっ、お客さん来たんで早速お願いします！」


イミナ「おう！」


イミナ「らっしゃーせ！１名様ですね！１名様ご案内ー！」


いつみ「居酒屋の接客！」

いつみ「ウチはファミレスですからね！？」


イミナ「分かってるって」


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


イミナ「はーい！ご注文お決まりですか！」


イミナ「はい！ハンバーグセット１つとドリンクバーですね！はい喜んでー！」


イミナ「ハンバーグセット一丁！ドリンクバー一丁ー！」


いつみ「だからファミレスって言ってるでしょうが！厨房に直で注文伝えなくて良いんですって！」


イミナ「威勢が良い方が気持ちいいだろ」


いつみ「居酒屋ならね！でもウチはファミレスなんですよ！ファミリー！」

いつみ「もうちょっとこう…大人しめな感じの店での接客経験は無いんですか？」


イミナ「あぁ、それならあるぞ」


いつみ「じゃあ次からはそっちの感じでお願いします」


イミナ「おう！任せとけ！」


いつみ「さっき任せた結果が居酒屋だったんですけどね」


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


イミナ「本日はご来店ありがとうございます、お客様」


いつみ「うん、まぁちょっと丁寧すぎる気もするけどＯＫかな」

イミナ「お客様を担当させていただきます、居吹イミナと申します」


いつみ「あ、自己紹介いらないですよー」


イミナ「こちらのお席へどうぞ」


イミナ「ご注文はお決まりでしょうか？」


イミナ「はい、はい、かしこまりました」


イミナ「仰せのままに」


いつみ「執事喫茶の接客！」

いつみ「メイド服着て執事ってややこしいな！」


いつみ「っていうかイミナセンパイが執事喫茶でバイトしてた事にビックリですよ！」


イミナ「マリが良いバイト紹介してくれるって言うから付いて行った先がそうだったんだよ」


イミナ「普段通りの態度で接客すれば良い簡単な仕事だって聞いてたのによ」


いつみ「そりゃマリセンパイは普段通りでも良いでしょうけども」


いつみ「万が一今のがウケると今後アタシらもやらないといけなくなっちゃうんで止めて下さい」


イミナ「いいんじゃないか？メイド執事ファミレスとか面白そうだぞ？」


いつみ「やる側の身にもなって下さいよ！他人事だと思って！」

いつみ「一旦、接客やめてキッチンやってみましょうか」


イミナ「料理…料理かぁ…」


いつみ「料理苦手ですか？」


イミナ「お菓子作りなら出来るんだけどな…」


いつみ「器用なんだか不器用なんだかよく分からないですね」


イミナ「焼き菓子なら任せてくれ！」


いつみ「ファミレスで焼き菓子は出ないですって！」


いつみ「接客もキッチンも出来ないとなると…後は清掃とか搬入とかの雑務をやってもらうしか…」


\ｷｬｰ!/ \ﾜｰ!/


いつみ「ん？レジが騒がしいな…って！」


\ｶﾈｦﾀﾞｾ!/


いつみ「強盗！？ファミレスに！？」

\ｵﾄﾅｼｸｼﾛ!/


イミナ「なんだァ？テメェ…」


いつみ「だから強盗ですって！」


いつみ「うわぁ…刃物持ってるし…」


いつみ「こ、こういう時は大人しく従って…」


イミナ「おい、アタシのバイト体験はどうなるんだよ」


いつみ「言ってる場合ですか！？今日は閉店に決まってるでしょ！」


イミナ「スイーツ奢ってくれる約束だろ！？」


いつみ「強盗来てるのに無理ですよ！」


\ﾀﾞﾏﾚ!/


イミナ「いま大事な話してんだ！テメェが黙ってろ！」ﾊﾞｷｨ!


\ｸﾞﾜｰ!/


イミナ「あっ」


いつみ「あっ」

～


［ココベガ・チームハウス］


リョウコ「居吹さん、バイト体験うまくいってますかね～」


ハヅキ「心配ないさ、ああ見えてイミナも普通の女の子だからね」


マリ「もし正式にバイトする事になったらみんなで客として行ってやろうよ」


リョウコ「やめてあげてください」


アコ「…はにゃ！？」


ハヅキ「どうしたんだいアコ？急にあたしに尻触られたみたいな声だして」


マリ「例えが気持ち悪いね」


アコ「イミナっちの写真がネットニュースに載ってるのだ！」


リョウコ「ええっ！？」


アコ「これを見るのだ！」


［お手柄！メイド服の女子高生が空手でファミレス強盗を逮捕！警察に表彰される！］


リョウコ「情報量が多い！」


END