2: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 11:25:41.97 ID:qGkS9/bIO
どこか遠い時間軸



「杏子……巴さん……」

戦友の亡骸に縋り泣く黒髪の少女、その後ろには宇宙人と、少女が二人。


「あ、あんたなにやってんのさ!?」

「……まだ温かい…せめてその間だけでも触れて居たいの……」

赤髪の少女の亡骸の頬に舌を伝わせる。


「彼女はもう限界だ。彼女の話ではこの僕ですら気が遠くなる程この一ヶ月を『強制的に』ループしているんだ」

「魔女になろうと、ソウルジェムを砕かれ用と、その度に元に戻され……」


「そんなのって……」


「彼女を救いたくないかい?もしその意思と覚悟があるなら」

「僕と契約して魔法少女になってよ!」

引用元: ほむら「……誰でも良いから助けてよ」 



3: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 11:33:05.37 ID:qGkS9/bIO



「ありがとう、■■■、また貴方に助けられちゃったわね……」

足元に真っ黒の巨大な南京錠を転がした黒髪の少女、彼女が仰いだ空には、それを覆い尽くす巨大な魔女。


「君の呪いを解く為には彼女程の素質が必要だった。しかし、彼女のソウルジェムは大きくなりすぎた。暴走して宇宙の生命は僕と君達二人以外は全て滅んでしまったよ」

「……あんたはそれでいいわけ?」

「宇宙さえ保たれれば生命なんて計算に入れるに値しないのさ。しかし僕も限界が近いようだ、君も契約するなら今のうちだよ」

「そっか……じゃああたしは……」

4: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 11:44:40.36 ID:qGkS9/bIO
我々の知る時間軸


ほむら「……今度こそ貴方を」


……

しかし彼女の行動は裏目に出続ける。
契約の獣を襲い、差し出されたグリーフシードを突き返したせいで今目の前に居る少女との関係は最悪だ。


ほむら「貴方は鹿目まどかを魔法少女に誘導している」

マミ「貴方も気付いて居たのね、彼女の素質に」

  「自分より強い相手が増えるのは面白くないって?いじめられっこの発想ね」

ほむら「……ッ!!」



「それなら貴方はいじめっこじゃない……」

「でも魔法少女に誘導するのはぼっちの発想だよね、ティヒヒ」

「いやいや、あたしなら……●犯罪者の発想をするかな」

5: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 11:58:22.93 ID:qGkS9/bIO
夜中の公園という人の居ないところに、自分達の会話に口を挟む聞き覚えのある三つの声。

マミ「なんですって……?」

ほむら「私じゃないわよ!?」

一つに至っては自分の声だ。

マミ「美樹さん達も居るの?」


「人違いですよティヒヒ」

「そそ、人違いさ、ハハッ」

「……それはミッキーさんよ」


マミ「からかわないで頂戴、少しこっちに来てくれるかしら?」


「……行くわよ」

6: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 12:07:21.91 ID:qGkS9/bIO
現れたのは、人形を抱いてローブを纏った黒髪の少女と、煌めく青色の髪の長身の少女。
それぞれ暁美ほむらと美樹さやかに酷似している。

ほむら「……私…?」


「混乱してるよティヒヒ」

「混乱してるうちに発想を事実にしてくるよ」

「私はパス」


謎の笑い声をあげる人形も鹿目まどかに非常によく似ていて……いや、そのものと言ってもいいかもしれない。

マミ「きゃあぁぁぁ!?」

「グレープフルーツの収穫だー!」

「泣かない程度にしておきなさい……」

7: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 12:11:53.08 ID:qGkS9/bIO


「あーあ、泣いて帰っちゃった……」

「あれ程言ったのに……貴方は節度を知らないわ」

「あたしの尻撫でながらいうこと!?」


……


ほむら「貴方達は何者かしら?」

   「随分見覚えのある外見だけれど」

暁美ほむらは警戒している。
自分そっくりの人物が現れただけでなく、鹿目まどかそっくりの人形と美樹さやかそっくりの人物も現れた。
イレギュラー中のイレギュラーだ。

8: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 12:21:19.15 ID:qGkS9/bIO

「あたし達…?名前は思い出せないけど…魔法少女だということは言い切れるかな」

「私は違うけどねティヒヒ」

「別に貴方は何もしなくていいからそんなことは気にしなくていいのよ」

……

柳に扇風機をあててる気分を暁美ほむらは感じる。

「でもこの際便宜上名前をつけましょう。私は……かえで」

「じゃあ…あたしは……」

「さかなでいいよウェヒヒ」

「ひどっ!?」

「それでこの子がたまきよ」

……

9: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 12:27:12.77 ID:qGkS9/bIO


ほむら「それで、何の用かしら?」

さかな「いやぁ、かえで?に似てるのが居るなぁって」

……

たまき「あと険悪ムードだったからぶち壊したくてねウェヒヒ」

ほむら「……」

かえで「……そう、宿を取らせて欲しくて話しかけたのよ。記憶も家も無いから」

……イレギュラーは手元に置いておくべき、そう考えたほむらは二人と一体を家に招くことにした。

かえで「こいつの寝床は浴槽でいいわ」

さかな「ちょっとぉ!?」

15: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 16:57:21.36 ID:qGkS9/bIO


たまき「振り子刃なんて何の為にあるのかな?」

ほむら「……」

かえで「何の為も何もここは彼女の結界よ」

さかな「魔法ってそんなこと出来るのか……」

たまき「さかなちゃんには無理だよティヒヒ」


……

どうやら私そっくりなかえでさんは比較的マトモな性格なようだが、ボディタッチが激しい。

たまきとか云う人形は口が悪い。

さかなは平たく言えばバカだ。

16: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 17:30:04.38 ID:qGkS9/bIO
たまき「かえでちゃん、身体拭いてくれない?」

かえで「わかったわ。ほむらさん、濡れタオル貸してもらえないかしら?」

人形なので手入れが必要なのか。

……

たまき「ティヒヒくすぐったいよ」

かえで「ホコリがついてもいけないからあとで筆でも手入れしないとね」

さかな「目がおかしいぞあんた」


かえで「ねぇ、ほむらさん、一緒にお風呂入らないかしら?」

ついに私に矛先が来た。

かえで「貴方と話せば何か思い出せる気がするの」

この人は真面目な顔とむくれた顔しかしないから何を考えているのか、もとい本当に真面目なことを考えているのかわからない。

17: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 18:12:53.97 ID:h6yYmF6IO

しかし、押し切られてしまった。
貞操の危機かもしれない。

前の学校のクラスメイトや志筑さんが騒ぎ立てる様な展開になるかもしれない。


……

脱ぎ方がいやらしい。
ストリップというのはこういうものなのだろうか。

……

かえで「ごめんなさい、髪洗ってくれないかしら?」

何かをされることを警戒しているが、どうも何もしてくる気配がない。

かえで「身構えなくて良いわよ。貴方とはゆっくり話さなきゃいけないから」

18: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 18:33:50.94 ID:h6yYmF6IO

しばらくシャワーの音だけが響く。
私の頭皮をマッサージしてくれているのだが、時折背中に身体を押し付けてくる意味がわからない。

それを注意しようと思った瞬間、急に止めて一呼吸置いて、彼女は口を開いた。



かえで「……私達は貴方を助けに来た」

……

ほむら「……どういうこと」

かえで「そのままよ。更に言えばそれは自分達の祈りの為」

……

ほむら「どこまで知っているの?」

かえで「追い追い話すわ」

19: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 18:41:49.99 ID:h6yYmF6IO

第一印象から大量の謎を振り撒く彼女、意味深なセリフを吐き、風呂を上がっていった。


ほむら「……まず、私を救うってどういうことよ……」

   「別に誰の助けだって……」

広くなった浴槽に、カポンと音を立てて鼻迄浸かる。

今の私は彼女と同じむくれた顔をしていたかもしれない。

20: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 18:51:55.71 ID:h6yYmF6IO

上がった私と入れ違いに、さかなさん…?が風呂に入っていった。
もしかしたら本当に風呂で寝るのかもしれない。

かえで「ねえ、髪を弄らせてくれないかしら?」

……この人は私と違って随分自由だ。
許可もしていないのに、既に私の髪の匂いを嗅いでいる。

ほむら「同じシャンプー使ってるんだから同じ匂いよ」

かえで「よく考えればそうね」

ドライヤーで乾かしたばかりの私の髪を梳かし始める。
三周目以降に髪を人に触らせたことはない。
こんなのはいつぶりだろうか……


あら…?

21: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 19:04:52.64 ID:h6yYmF6IO
何故私は三つ編みにされている……?

ほむら「ちょっと…?」

……

かえで「何故三つ編みにするかってことかしら?」

   「いえ、何故三つ編みのことを知っているのかといった方が良いかしら?」


……この人は……

かえで「わかっているとは思うけど記憶喪失になっているのは、あの二人だけよ。私は全て覚えている」


   「そして見ればわかるけど、私は貴方よ」


……

ほむら「どうして私が二人もいるのかしら?それに性格が違い過ぎないかしら?」

かえで「……私は貴方を助けに来た。私の呪いは貴方の祈りが遂げられることで完全に解ける」

呪い……?

ほむら「貴方、何回ループしたのかしら?」

かえで「自分の意思でしたのが━━━━、呪いでループしたのが━━━━」

   「私はこの一ヶ月をやり直していたんじゃなくて、やり直させられていたのよ。結果に関わらずね」

22: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 19:13:55.75 ID:h6yYmF6IO
彼女の話では、彼女は元は私と同じだったが、繰り返すループの中で美国織莉子のお抱えの未契約の少女の契約で呪いをかけられたという。

その呪いとは盾の砂が落ち切った後、しばらくすると自動でループ始点に戻ってしまうという呪い。
その次の周回でまどかを死なせず契約もさせず、ワルプルギスの夜を越えることが出来た。しかし、勝手にループしてしまったそうだ。

23: ◆USZbC4nXcg 2012/10/23(火) 19:25:36.03 ID:lWHdQP+IO
酷すぎる……

かえで「魔女になったことも何度もあるわ。その度に魂を元に戻され次のループに飛ばされたわ」

   「ソウルジェムを砕いたりしたこともあったけど結果は同じ」

そんな強大な呪いを……

かえで「そして今から話すことは他人後じゃないわよ」

ほむら「……話して」

30: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 08:57:04.17 ID:5okpaZZIO

彼女の話では、私のループのせいでまどかの魔法少女の素質が大きくなり続けているという。

かえで「つまり地球滅亡は間接的に私達のせいということになるわ」

ほむら「そんな……私がまどかに……」

愕然とする私の三つ編みを結い終わった彼女は私の頭を撫でながら話を続ける。

かえで「それだけなら『まどかを契約させなければ良い』で済む」

   「まぁそれが出来ないからループしているのでしょうけど」

   「しかし、このループでは美国織莉子がそのことに気付いてしまう」

ほむら「……まさか」


かえで「そうよ、このループこそ私が呪われたループ」

31: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 09:06:54.09 ID:5okpaZZIO
かえで「貴方を助けるというのは、貴方を呪いから守るということになるわ」

ほむら「……じゃあ、最悪次のループに送り出せば良いってことなのね」

それを聞いて彼女はため息をつく。

かえで「愚かね、次のループでも同じことが起こるかもしれない、いや、高確率で起こるわ」

   「意味はないけれど何重にも呪いをかけられていたわ」


つまりはこのループで終わらせない限りは……
いや、美国織莉子にしてみればループの期限など関係ない。

32: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 09:15:45.89 ID:5okpaZZIO
かえで「もちろんまどかを地球破壊爆弾から、魔法少女の資質無しにする方法はあるわ」

ほむら「……教えて頂戴」

かえで「ねぇ、どうしてお嬢様の志筑さんが契約できず、不登校児の呉キリカや孤児の千歳ゆまが契約出来るかわかるかしら?」

……

ほむら「成る程ね」


どうやらワルプルギスの夜を越えた後、まどかが契約など必要としない強い心を持っていれば、因果の糸こそ解けなくとも魔法少女の資質を失うこととなるらしい。

かえで「ワルプルギスの夜を越えなきゃいけないのは、多分私達のループのせいね」

33: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 09:23:23.99 ID:5okpaZZIO

ほむら「でも、今日の時点で何もまだ美国織莉子の起こすアクションは起きてないわよ?」

まどか達は巴さんと接触してしまったし、魔法少女狩りなども起きていない。

かえで「魔法少女狩りが起きるのは呉キリカまたは千歳ゆまが美国織莉子の為に契約してから」

   「更に今回は契約の願いで呪いをかけることを漠然と予知していて、その二人のどちらかの契約を保留させている」

……

かえで「とりあえず最初は今週末のお菓子の魔女のことを考えましょう」


それもそうだ。

35: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 09:35:48.20 ID:5okpaZZIO


ただ倒すだけでは、まどか達は魔法少女に対する憧れを捨てられない。

かえで「本当にただ倒すだけなら、あの青魚がどうにか出来るのよ」

ほむら「でも私達の問題は戦力ではなく……」

かえで「人間関係よ、誰にも頼らないなんて不可能なの」

   「貴方だって、なんだかんだ言って杏子にかなり信頼を寄せているんじゃないかしら?」


確かに杏子は事前に言えば真実を受け止めてくれるし、見返りさえあれば戦力にもなってくれる。

かえで「不可能を覆すことが出来るのは契約の願い以外に無いと思いなさい。やれ想いだの信念だのそんなものでできたら……いえ、こんな話はやめましょう」

36: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 09:43:42.44 ID:5okpaZZIO


次の日、目覚めると私の布団の中に当たり前の様にもう一人私が寝ている。

部屋の隅にある開かれた鞄にはまどか人形もといたまきが眠っている。
あれはどういう存在なのか。

風呂場の方を覗くと脱衣所のマットの上で猫の様に丸まって眠るさかなさん。
身体が私よりかなり大きいのに随分無理をする。
言ってくれれば布団を用意したのに……

37: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 09:52:14.91 ID:5okpaZZIO


ほむら「今日は特に魔女も使い魔も現れないはずよ」

かえで「今日は呉キリカが契約する予定の日よ。当然美国織莉子が接触し、恐らく阻止するわ」

さかな「で、どうするの?あたしらは何かするべきなの?」

かえで「接触と契約を両方阻止するわ」

   「三つ編みはその為」

……

たまき「あくまでもアクションを起こすのはほむらちゃんだよティヒヒ」


どうやら彼女達にも『私を助けに来た』ということは伝わっているらしい。

38: ◆USZbC4nXcg 2012/10/24(水) 10:03:23.19 ID:5okpaZZIO

ほむら「呉キリカの資質を消すことは出来るのかしら?」

かえで「まず不可能ね、あの子はまどかと違ってコンプレックスではなく、根本から性格が……」

たまき「根暗だねウェヒヒ」

さかな「このジャムパン、超美味いっすね」

……

しかし……

ほむら「最悪始末してしまえば……」

たまき「……それじゃあ美国織莉子と同じじゃない」

そう言った彼女は、今まで見せなかった三つ目の表情を見せた。
とてもとても悲しいその表情は、何か過去があることを物語っているのは言うまでもない。

44: ◆1jVUKlu67k 2012/10/25(木) 07:37:03.65 ID:Rp/o5j1IO
三つ編みにメガネ、制服の私と、ゴスロリに身を包み同じくロリータ衣裳の人形を抱く『私』は学校の最寄りの隣の駅に立っている。

かえで「呉キリカはこの電車で美国織莉子に声をかけようとするわ」

   「しかし、勇気を出せない彼女は話しかけられずに終わる」

   「それがパターンα、しかし今回は美国織莉子はそれを予知している」

ほむら「パターンβ、美国織莉子から話しかける……ってところかしら?」

たまき「ティヒ、そうなったら最後呪いの手駒だよ」

45: ◆1jVUKlu67k 2012/10/25(木) 07:47:25.06 ID:Rp/o5j1IO
ほむら「だからこの駅で話しかける……と」

かえで「そう、貴方があの子の呉キリカになるのよ」

何を言っているんだ一体。

かえで「はぁ……頭が固いのね。早い話が『お姉様』とか呼んで擦り寄って来いって言っているのよ」

ほむら「……え?」

かえで「えじゃないわよ、いいから似た者同士仲良くしてらっしゃい」

   「未契約のあの子は人の好意を無碍に出来る程の根性はもっていないわ」

また無理矢理送り出されてしまった……

46: ◆1jVUKlu67k 2012/10/25(木) 07:53:30.52 ID:Rp/o5j1IO
たまき「ねぇ、かえでちゃん」

かえで「何かしら?」

たまき「パターンってどれくらいあるの?」

かえで「正確に数えることはできないけど、あの辺り周りの物で一番笑えたのは世界の滅亡を予知してそのまま絶望して魔女化したパターンね」

たまき「ウェヒ、ウェヒヒ」

人形は不気味とはまた違った感じの笑い声をあげる。

たまき「それはとってもまぬけなんじゃないかな」

かえで「所詮まだケツの青い女学生よ」

   「あの子蒙古斑まだあるから」

たまき「その理屈はおかしいよ」

47: ◆1jVUKlu67k 2012/10/25(木) 08:02:00.02 ID:Rp/o5j1IO


ほむら「……」

呉キリカと会うループはそんなに多くなかった。
毎回美国織莉子を異常な程敬愛し、身も心も投げ出し戦う。
最期には大体半魔女化して学校を襲い、完全に魔女化した時に巴さん達に絶望を叩きつける。

戦闘力は固有魔法などを使えば巴さんと善戦できる程の物。


『似た者同士仲良くしてらっしゃい』


ほむら「どういうことよ……」

48: ◆1jVUKlu67k 2012/10/25(木) 08:10:11.29 ID:Rp/o5j1IO

ほむら「……来た」


猫背で歩いている呉キリカを見つける。
鞄の中を何やら漁っている。恐らく定期券だろう。

『美国織莉子は駅の反対側から乗ってくる。駅に入るのをなんとか阻止しなさい』

『あと、口調は昔の物にしなさい』

……


腹を決めろ、暁美ほむら。


ほむら「あの……ごめんなさい」


勇気を振り絞り、私は呉キリカに話しかけた。

49: トリップ間違えてた ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 08:18:38.64 ID:Rp/o5j1IO
キリカ「……何」


制服と体躯で後輩と見抜かれたらしい。
随分と強気に思える態度だ。

ほむら「その……保健室に居た先輩ですよね?」

キリカ「……保健室には居たけど」

ほむら「その……少しお話したいな……って」

キリカ「……ごめん、急いで……」

ほむら「そこをなんとか……!」

押せばなんとかなるのか、態度を見て行けると確信を持てた。

キリカ「……わかった」

50: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 08:26:04.63 ID:Rp/o5j1IO


連れて来られたのはなかなかオシャレな喫茶店。

キリカ「……いつもの二つ」

マスター「あれ?友達連れてくるなんて珍しいね」

キリカ「いや……ちが……」


いつものが通用する程通っているのだろうか。
意外なところもあるものだ。


キリカ「……お代は割り勘…だよ」

ほむら「それは……もちろん」

51: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 08:32:57.06 ID:Rp/o5j1IO
出てきたのはパフェ。
アイス部分がどうやら紅茶かコーヒーの味の様だ。

マスター「膝掛けいるかい?」

ほむら「あ、お構いなく……」

……

キリカ「それで話って……」

ほむら「あの……保健室に行ったときに少し隣のベッドを覗いちゃったんですけど……」

   「その時の先輩の格好が素敵で……少しお近付きになりたいなって……」


よくもまぁこんなことをいけしゃあしゃあと……

52: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 08:53:47.39 ID:Rp/o5j1IO
キリカ「私は……君の気のせいなんじゃ…ないかな?」

ほむら「……気のせいでも構わない、一度お話するくらいなら、バチは当たらないかなって……ごめんなさい……」

キリカ「別に……でも、私が幻滅されるような人間ってことには……」

二人とも吃りながら話す。

ほむら「先輩はハードボイルドな寝相で授業をフケて、オシャレな喫茶店の『いつもの』が通じる程の常連」

   「十分かっこいいです……」

それを聞いて彼女は黙り込む。


ほむら「そこまで否定するなら……私のためにかっこいい先輩を演じてくれませんか?」

53: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 09:00:27.95 ID:Rp/o5j1IO


彼女は黙り込んだままになってしまった。

仕方ないので、私も黙々とパフェを食べ始める。

ほむら「甘っ!?」

マスター「キリカちゃんは甘い物が大好きだからね、砂糖を煮詰めたミルクティーのアイスをメインに作ったキリカちゃん専用メニューってところだよ」


……

キリカ「でもやっぱり……なれないよ」

いつまでヨイショし続ければいいのか……

ほむら「いいえ、演じることはできます」


私は髪を解いた。

59: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 13:44:30.07 ID:Rp/o5j1IO
キリカ「……君、噂の…」

ほむら「そうです、二年の転校生、暁美ほむらです」

メガネを外す。別に無くても見えるし、かけていても逆に目が痛くなることもない。

キリカ「……私をからかっていたの?」

ほむら「いいえ……こっちが素です」

何故素を見せなければいけないんだろうか。
他に方法はあるだろうに……
ただあの人の云う通りにやるしかないのだろうが……

ほむら「こうやって無理にお高く止まってれば外面は繕うことができます」

   「しかし、どうでしょう。そう振る舞えば振る舞う程本当の自分とすれ違いどんどん心にストレスが溜まりました」

キリカ「……」

ほむら「だから先輩に拠り所になって欲しいんです」

……冗談じゃないとまでは言わないけど、なんで……

60: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 14:01:23.51 ID:Rp/o5j1IO
『脅しをかけなさい』


ほむら「違う自分になったところで、どこかで元の自分が拒絶します」

   「先輩もこの毒杯を飲んでくれませんか?」

……


……



……


ほむら「フられちゃったわね」

たまき「大丈夫だよほむらちゃん、これで契約は阻止できたから後はさかなちゃんの出番だね、ティヒヒ」

かえで「上出来よ。貴方も話そうと思えば話せるじゃない」

ほむら「身体をベタベタ触らないで」

61: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 14:14:30.04 ID:Rp/o5j1IO

呉キリカは私に『ごめん、それは流石に……』とだけ言って帰って行った。

お代はツケにして行った様なので、私の分だけ払って私も喫茶店を後にした。


かえで「あとは美国織莉子の手札にしない為に、彼女を優しさ等で包んであげる必要があるわね」

たまき「そこはさかなちゃんがどうにかしてくれるよ、ティヒ」

さっき私は何故あんなところで本音を言ってしまったのだろうか?何故適当を言わずに……

かえで「……似た者同士なのよ、あの子と貴方は」

   「次の問題は明日のお菓子の魔女ね」

たまき「かえでちゃんが云うと字が違って聞こえるねティヒヒ」

かえで「汚らわしい魔女ね……」

62: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 14:26:22.90 ID:Rp/o5j1IO


キリカ「言ってた程はできないけど……」

   「少しくらいなら……」



QB「彼女は今、契約を必要としていない様だ……今日頃行けると思ったんだけどな……」




キリカ「あぁっ……」

さかな「どうかしました?」

66: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 16:59:22.10 ID:Rp/o5j1IO


ほむら「遅刻して学校に行ったはものの、そんなに気にされないのね」

かえで「まる一週間サボって杏子と横須賀旅行したり、生意気な小学生に三日間監禁された後三日間監禁し返したこともあるから安心して頂戴」

たまき「ティヒ?かえでちゃん記憶あるの?」

かえで「あったかのように話してるだけよ」

さかな「そうそう、さっきの人?嫁になるのだーって言ったら満更でもない顔してたよ」

かえで「彼女は漫画の様な物に憧れてるのよ。真にミッション系に通うべきは彼女ね」

真面目な空間だったはずの私の部屋は、変 と性悪と馬鹿に汚染されている。

67: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 17:11:52.95 ID:Rp/o5j1IO
かえで「それで……明日ね」

ほむら「病院の魔女……」

一気に真面目な空気になる。
相変わらず壁の画面にはまどかや巴さんのあられもない姿が映されているが、どうやら性悪と馬鹿には見えていないらしい。
私をからかっているようだ。

かえで「●
う……巴マミは結界入口で出会った貴方を捕縛するわ」

   「そしてまどかは平然とそれについて行くわ。どれくらい平然としているかといえば上下の下着を盗まれても気づかないくらい平然としているわ」

さかな「どうやって取ったんだよ……」

たまき「っていうか絶対記憶あるよね?」

68: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 17:19:27.34 ID:Rp/o5j1IO
かえで「その後、まどかがこの結界を出たら契約すると言って、 牛は『もう何も怖くない』『こんな気持ちで戦うの始めて』『終わったら特大のケーキをお願いしましょう』とか散々死亡フラグを立てるわ」

ほむら「どうやって聞いたのかは置いておくとして、その後の展開を知ってるこっちとしては笑いを禁じ得ないわね」

たまき「ティヒwwwwティ━━━━ヒヒヒヒヒwwwwww」

さかな「ごめん、あたし笑うとエラが痛くなるから笑うの控えていい?笑いたいんだけど」


エラって何よ。

69: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 17:27:59.28 ID:Rp/o5j1IO
かえで「単に手を貸すだけじゃ、まどかが契約するわね」

   「そこでこの二人の出番よ」

たまき「ウェヒ?」

さかな「えーっと、食い殺されるギリギリに……」

かえで「吹き飛ばすわ、これは私の役目」

さかな「それであたしがこの絵の太巻きを一口サイズにカットするんだっけ?」

たまき「あれ?わたしの出番は?」

かえで「可愛い貴方は何もしなくていいのよ」

たまき「ウェヒ、くすぐったいよ、ティヒヒ」

……

ほむら「私は縛られなきゃいけないの!?」

70: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 17:34:21.98 ID:Rp/o5j1IO


ほむら「というわけでまた縛られてしまったわ」

かえで「学習しないわね」

ほむら「貴方が縛られろって言わなかったかしら……」

かえで「あと、私が居るから話し方は素で良いわよ」

ほむら「う……弱みを見せてるみたいで…」

たまき「縛られてる時点で十分…ティヒ」

さかな「解放する?」

かえで「好きになさい、でも出しゃばらないで頂戴ね」

71: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 17:42:05.94 ID:Rp/o5j1IO


かえで「ハァイ、ビアンカ、彼女がなんて言ってるかわかる?」

さかな「うーん……あたし読唇術は持ち合わせてないの、ごめんねライラ」

たまき「耳を使いなよ、死亡フラグ三つくらい立てたよ」

姦しい……まさにこんな気持ちで戦うの始めて……



ほむら「そんなこんなで結界深奥よ」

かえで「……たまき、いえ、環、行くわよ」

たまき「ウェヒ?」

72: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 17:53:15.15 ID:Rp/o5j1IO


マミ「今日という今日は速攻で決めさせて貰うわよ!」

高いイスをマスケットで殴り破壊し、落ちてきた魔女を更に殴り飛ばす。

マミ「それそれそれ!!」

マスケット銃を撃っては捨てを繰り返し高く魔女を打ち上げる。
そして、大砲を召喚し、一呼吸。




マミ「ティロ・フィナーレ!!」

魔女の身体を弾丸が貫き、そこから出たリボンが魔女を握り潰さんと包み込む。

73: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 18:00:39.17 ID:Rp/o5j1IO
さやか「よっしゃあ!!」

まどか「やったぁ!」

マミ「ふふっ」

ドヤ顔で召喚した紅茶をすすろうとしたその瞬間、魔女の口から巨大な太巻きの様な第二形態が現れ、マミに喰い千切らんと襲いかかる。


さやか「……ぁ!!」



かえで「気が変わった、魔女をぶっ飛ばすわよ」

74: ◆USZbC4nXcg 2012/10/25(木) 18:13:24.00 ID:Rp/o5j1IO
かえで「ドールを持っていて頂戴」


渡された人形から光が放たれ、かえでの菱形の盾に宿る。
たちまち盾は巨大な弩に姿を変える。



かえで「フィニトラ・フレティーア」


放たれた巨大なピンク色の光線は魔女の顔面を抉らんとする。

83: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 08:19:19.71 ID:91M/cb/IO
さやか「マミさん!」


まどかは既に腰を抜かしている。

爆発音と共に吹き飛ばされた魔女が扉の方に向き直り、ポップな顔で睨みつける。


かえで「あとは頼んだわ」

さかな「おう!任せとき!」

青いソウルジェムを取り出す。
しかし、その宝石は透き通ってはおらず、さながらラピスラズリのようであった。

84: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 08:25:48.10 ID:91M/cb/IO
水と音楽記号のエフェクトを撒き散らしながら変身する。

ほむら「……?」

上半身は重装備の鎧、下半身は翡翠色のタイツに魚の鱗を彷彿とさせるスカート。
そして、武器は腰に鞘付きの剣二本と、背中に赤いリボンに巻かれた大剣が一本。

かえで「かっこいいわよ、魚から勇魚に格上げしてあげるわ」

たまき「いさなって小魚ともかくねティヒヒ」


さやか「あた……し……?」



さかな「来いよ太巻き、恵方に背向けて切り分けて皆でお喋りしながら喰ってやる」

85: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 08:37:05.61 ID:91M/cb/IO
魔女は雄叫びをあげる。

さかな「うるさいな!」


背中の大剣に手をかけるとリボンが忽ちほどける。

さかな「行くよ」


天井に迫る程のムーンジャンプを繰り出し、魔女もその最高点を予測して飛びかかる。

最高点に魔法陣を展開し、更に飛び上がる。
そして魔女の脳天を両断せんと斬りかかる。


マミ「あ……」

かえで「もちろんあんなものじゃ終わらないわ。魔女もいさなもね」

ほむら「確かにこの魔女は脱皮を繰り返すわね」

たまき「ウェヒ?いさなちゃんの隠し球って?」

87: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 08:46:09.26 ID:91M/cb/IO
真っ二つになった魔女は中からまた魔女が生まれる。

かえで「理由はまだ言えないけれど、彼女は単純な戦闘力だけならこの時間軸で契約した場合のまどかに匹敵するまでに膨れ上がることもあるわ」

ほむら「……」

かえで「ほら、一つ目の隠し球が出るわよ」


さかな「……スラー」

88: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 08:51:19.42 ID:91M/cb/IO
魔女が再び喰らいかからんとしているのに、対して自分の目の前で大剣を振り回し続ける。

マミ「……彼女は何をしているの?」

かえで「スラーとは音符と音符を滑らかに繋ぐ物よ。後は見ていればわかるわ」


……

魔女がさかなに接近した時、さかなは剣を止めた。それを見た魔女は歓喜の表情で大口を開け迫る。


さかな「バーカ」


マミ「バーカというのは……」

かえで「馬鹿のことよ」

ほむら「……」

89: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 09:11:07.39 ID:91M/cb/IO
突如魔女の顔面がズタズタに斬り裂かれる。

かえで「……斬撃が空間に残るのよ。いかにも魔法剣術でしょう?」

しかし忽ち次の魔女が這い出てくる。


さかな「こいつ面倒だな……」

   「ア・レグロ」


身体が青く輝き、胸についたメトロノームの動きが早くなる。

背中に大剣を収め、腰の二本の剣を握る。

90: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 09:22:33.02 ID:91M/cb/IO
ほむら「貴方なら今の彼女になんと名付けるかしら……」

マミ「えっと……」

かえで「スクワルタトーレ」

ほむら「えっ」

かえで「斬り裂き魔のことよ」

マミ「……中々いいじゃない」

たまき「死にかけた人が必殺技考えるなんて良いごみ…」

ほむら「それ以上いけないわ」


巴さんはどうやら観戦に夢中になることで、現実から目を背けているようだ。
今の彼女に罵りなどをしたら戦えなくなってしまう。

91: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 09:35:49.62 ID:91M/cb/IO
両手でそれぞれ剣を構える。

さかな「斬れ味が良ければ押し負けなんてしないからな!」

スカートをカラカラ鳴らしながら、舞う様に魔女に斬撃を高速で加えて行く。

さかな「きぁっははは!!どうしたどうした?再生が追いついてないよ!?」


かえで「戦闘狂のケがあるのよね……」

たまき「ウェヒヒ、一方的に勝てるなら良いよ」

マミ「スクワルタトーレね……」

92: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 09:43:23.46 ID:91M/cb/IO
かえで「魔女も弱ってるわ、そろそろトドメにしたら?」

さかな「了解」


……

さかな「ピアニッシモ」

身体が縮み出す。


さやか「何やってるの……?」

失神しかけているまどかを介抱しつつ、自分そっくりの魔法少女の戦いを見守っていたさやかは、それの謎の行動に疑問を抱く。

まどか「……一寸法師かな」

93: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 09:50:45.21 ID:91M/cb/IO
ご名答。

さかなは魔女の体内に入り込んだ。


マミ「あぁ……」

かえで「いや、そこまでのバカじゃないわよあの子も」

……


『クレッシェンド』


魔女がぶちぶちと音を立て始める。

さやか「一寸法師ってより……」



さかな「ヴォォォォォォァァォォッ!!!」


魔女を斬り破り中から雄叫びをあげるさかなが現れた。

かえで「上出来ね」

ほむら「……」


私たちは崩れる結界を後にした。

94: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 09:59:07.09 ID:91M/cb/IO


ほむら「私の言ったことわかったわよね?」

マミ「ごめんなさい……」


巴さんは向こうが半ば従属する形で協力関係になることができた。


さやか「転校生が二人…あたしも二人……?」

ほむら「よく似た別人だと思って頂戴。私はこんな変 じゃないし、貴方はあんなに強くなれない」

さやか「何をっ!?」

かえで「事実よ、あの子は別格なの。私や巴マミだってあそこまでの戦闘力は持っていない」


そんなこんなでどうにか私の悪い印象を払拭することはできたようだ。

95: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 10:05:16.95 ID:91M/cb/IO
ほむら「次は……上條恭介の腕と、ハコの魔女…だね」

かえで「あー、めんどくせぇ……私あのモヤシ嫌いなのよね」

   「契約阻止しても、あいつが自殺未遂起こしたりするし……口づけ無しでよ?だったらひと思いに死んどけって話よ」

   「こっちから励ましに行けば言い寄って来るし……」

ほむら「……」

たまき「少し思い出して来たけど、あの人、誰にでも靡くよね」

かえで「一人を除いてね」

さかな「ヴォォォ!!」

104: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 18:58:24.15 ID:91M/cb/IO


さやか「ねぇ、いさなはあたしなの?」

さかな「わかんない、あたし記憶喪失な上にバカだからさ。戦うこととかえでにお尻を触られること以外にあたしに価値は無いよ」

……

さやか「そんな悲しいこと言わないでよ。あたしそっくりの顔でそんなこと言われたら……こっちまでそんな気になるじゃん」

さかな「だったらさ、あんたが教えてよ」

それを聞いてさやかは凍り付く。

さかな「否定だけして何も言わないのは無責任だよ」


さやか「あるよ……あんたの存在価値は絶対……」

105: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:04:41.32 ID:91M/cb/IO


さやか「というわけで、恭介のお見舞いに行こうか」

   「ちょっと大人になったさやかちゃんを見せてあげて恭介をびっくりさせちゃおう!」

さかな「……ちょっとちがくない?」

さやか「いいのいいの!」

さかな「まぁかえでも行けって言ってたし……」


瓜二つの二人が病室に向かう。
大きい方は小さい方から恭介の話を聞きながら。

さかな「……少しだけ漠然と思い出してきた気がする」

さやか「案外別の世界のあたしだったりして?」

変に鋭いのは相変わらずだが、一歩足りないのも相変わらずだ。

106: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:08:54.53 ID:91M/cb/IO
夕日の差し込む病室に入る。
小さい方は扉の外で待ち構える。

さかな「やっほ」

恭介「……さやかか」

さかな「ふふーん、何か変わったのかわからないー?」

恭介「……ごめん」



さやか「えっ」

さかな「えっ」

107: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:17:13.38 ID:91M/cb/IO


かえで「……はっ」

突如悪夢から目覚めたように起き上がる。

たまき「13時間24分15秒ぶりの起床だねかえでちゃんティヒヒ」

ほむら「9651回振り子が揺れたわ」

かえで「さかなは?」

ほむら「美樹さんのところに」

かえで「病院の屋上に張り込むわよ!!」

たまきを抱きかかえた、メガネにストレートヘアーのほむらをお姫様抱っこしたかえでは一目散に部屋を飛び出す。

108: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:20:01.23 ID:RKAVMdhIO


かえで「……はっ」

突如悪夢から目覚めたように起き上がる。

たまき「13時間24分15秒ぶりの起床だねかえでちゃんティヒヒ」

ほむら「9651回振り子が揺れたわ」

かえで「さかなは?」

ほむら「美樹さんのところに」

かえで「病院の屋上に張り込むわよ!!」

たまきを抱きかかえた、メガネにストレートヘアーのほむらをお姫様抱っこしたかえでは一目散に部屋を飛び出す。

110: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:29:29.01 ID:/qIwnWIIO

街を駆け抜けながら人形と少女は話す。
人形は舌を噛む心配が無い。

たまき「ウェヒ?契約しちゃうの?」

かえで「あのモヤシがヒステリック起こしてさかなに八つ当たりなんてしたら……」

ほむら「一層美樹さんは……」

かえで「いや、あのモヤシがボコボコにされるわ」




恭介「さやかは僕をいじめてるのかい?」

さかな「……えっ」


さやか「えっ」

111: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:35:12.85 ID:/qIwnWIIO
恭介「もう聴きたく無いんだ……弾けもしない音楽なんて……」

  「もう治らないんだ!!」

突如CDプレイヤーを叩き割る。

  「もう痛みさえ感じないんだ……」


さやか「あ……あぁ……」


さかな「へぇ」

   「じゃあその腕が治る方法があるって言ったら?」

恭介「……バカにしてるのかい?現代の医療じゃ治らないって言われたんだよ…」

112: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:39:16.54 ID:/qIwnWIIO
恭介「それこそ奇跡や魔法でも無きゃ治らないってね……」

さかな「あるよ…奇跡も魔法もあるよ……」

恭介「え……?」

予想外の返答に戸惑う。
先程の言葉と合わせれば、彼女が奇跡や魔法を起こせるように思われる。

しかし、そこに招かれざる客が現れる。


かえで「でもダメね、お前如きに奇跡や魔法など起きない」


さやか「ちょっと!?」

ほむら「あぁ…いっちゃった……」

たまき「ウェヒヒ、上條くん生きてられるかな?」

113: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 19:49:05.61 ID:/qIwnWIIO
恭介「だ、誰なんだ!」

かえで「奇跡って物はね、相応の行いをした者に起きるものなの」

   「お前みたいな何もかも持っていて当たり前だと思っている様な奴には絶対には起きない」

   「起こさせない」

睨まれ凍り付いた恭介を他所にその場に居る女を全て連れ病院から出て行く。


さやか「ちょっと……」

かえで「感謝しなさい、私の言葉は優しい方よ。さかななら更なる暴言に加え、肉体言語が混じってもう一つの手までダメになったかもしれないわ」

たまき「ウェヒヒ…」

114: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:01:49.08 ID:/qIwnWIIO
さかな「何あいつ?散々尽くしたさやかにあの態度?信じられない……」

さやか「ちょっと…恭介をそんな悪く言わないでよ!」

ほむら「そうだよ、彼は少し感情的になってしまっただけで……」

   「だからこそ……美樹さんは感情的にならないでよ?」

さやか「でも……見てられないよ……」

かえで「いいえ、契約してはいけないわ」

さかな「あたしも反対、結果がなんとなくわかるんだよね。退院したら多分あいつさやかと距離を置いたりするよ」

たまき「最悪他の女の子と付き合い始めるかもね」

さやか「……」

ほむら「……もしどうしても契約すると言うなら、巴さん…あと鹿目まどかに相談しなさい」

   「それでもすると云うなら私のところに来て、全部本当のことを教えるから……」

115: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:09:14.99 ID:/qIwnWIIO


さやか「……」


さやかは二人に相談した。
その結果は


『私がこの前言ったこと覚えている?どんなに親しくてもあくまでも自分の思い通りには動かない他人。それにね、願い事の結果はね思っているよりずっと優しくない物になるかもしれないの』


『上條君の為に魔法少女になるの?この前のマミさんだっていさなさん達が来なかったら食い千切られて死んでたかもしれないんだよ?ほむらちゃんはもっと酷い死に方をした人を見たって言うんだよ?やめなよ……』


さやか「……」

116: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:17:03.10 ID:/qIwnWIIO


ほむら「……美樹さんは」

かえで「絶対契約させないわ」

さかな「うん」

たまき「上條君の腕は…?」

さかな「実はあたしの魔法で治る」

   「でも治してやんない。治していいと思える態度になったら治す」

かえで「永久に訪れないことを保証するわ。退院した後ワカメに靡くわ」


まぁ、ソウルジェムの秘密を全て話してしまえば契約することは無いだろう。

117: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:23:08.57 ID:/qIwnWIIO
数日後


ほむら「思いとどまってくれたから安心してたのに……」

たまき「自殺未遂頂きましたーウェヒッヒッヒッヒ!!」

かえで「そのまま死んどけよ……」

さかな「もうどうしよう……」

ほむら「……もう少しで美樹さんが来るわ」

さかな「……全部話す?」

たまき「治せることはどうしようかなぁ」

かえで「治さない理由とソウルジェムの秘密を知れば納得するわきっと」

118: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:30:14.80 ID:/qIwnWIIO


さやか「ソウルジェムが魔法少女の本体で……濁り切ると死んで魔女が産まれる……?」

たまき「そうだよウェヒヒ」

約束通り私達のところに訪れた美樹さんにソウルジェムの秘密を全て話す。

さやか「それじゃあんた達ゾンビにされたような……」

かえで「ふざけないで心臓もちゃんと動いてるわ、触って確かめなさい」

たまき「逆に触らせる方向にも行ったのかな?ティヒヒヒヒ」

かえで「あ、でもやっぱりゾンビになると思ってていいわよ。そういう認識で構わないわ」


……

さやか「要するに恭介の腕が治る代わりに……」

さかな「さやかは死ぬ。そう考えた方がいいよ」

さやか「……わかった、もうこれ以上あんた達にも心配かけないよ。あたし、契約しないって約束する」

たまき「……絶対だよ?」

119: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:41:28.91 ID:/qIwnWIIO
さやか「それで……治せるんだよね」

さかな「うん、でもやだ」

さやか「だよね……」

さかな「さやかに免じてなんて甘いこともいわない。これは彼が自分を見つめ直すためのこと。私達が悩むためのことじゃない」

かえで「貴方にはもっと良い人が居るわよ。そうね、まどかなんてどうかしら?」

まどかは確かに美樹さんに依存してるクチもあるけど、まどかは女じゃ……

さやか「ははっ、案外悪くないかもね」

かえで「もし落としたら私にもお裾分けして頂戴」

さやか「なんだそりゃー!」

120: ◆USZbC4nXcg 2012/10/26(金) 20:45:14.31 ID:/qIwnWIIO
さやか「ところで、このことはマミさんは……」

ほむら「知らないわ。知った状態で生きている魔法少女なんて少数よ」

たまき「わたしもさっき知ったよウェヒヒ」

この人形は言っていることが一貫していないから怖い。
キュゥべえとは逆に。

さやか「教えたら……マズイよね」

かえで「ええ、それこそ自[ピーーー]るかもしれないわ。最悪私達を巻き込んで」

さやか「はは……そこは上手くあんた達が話してよ」

かえで「ええ、任せなさい」

130: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 11:43:41.85 ID:9H0O1eyIO


「ねぇ、貴方が教えてよ…!」

「私をこんなにしたのは貴方でしょう!?」

「なんとか言いなさいよ……」

「ずっと……ずっとずっとずっとずっと燃え盛ることを強いられて……何がほむらよ……」

131: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 11:53:31.06 ID:9H0O1eyIO


「……」

「別の私が貴方にした仕打ちのことについてはなんとも言えませんが……」

「私とて占い師、悩める者を導くのが務め」

「……」

「楓……楓の葉の様に燃え上がらずとも、燃え上がる様を思い浮か…」

132: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 11:59:20.18 ID:9H0O1eyIO


かえで「……」

たまき「おはよう、かえでちゃん」

かえで「おはようたまき、最悪の目覚めも貴方が居れば最高の目覚めに変わるわ」


ほむら「コーヒーと紅茶とココアとコンソメスープどれがいい?」

さかな「ほむらさん、このジャムパン美味いっすね!」

かえでは嫌な夢を見た様な顔をしていた。
恐怖の類ではなく、私で言えば丁度芸術家の魔女に襲われた時を思い出すような……

かえで「人の心配する暇があったら自分の心配、何歩か譲ってまどかの心配をしなさい」

かえでとたまきはちょくちょく私の心を読んでくる。
かえではともかく、たまきはそういう魔法なのだろうか。

133: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:12:25.74 ID:9H0O1eyIO

ほむら「ねぇ、みんなソウルジェムを見せてくれない?」

かえで「もう……ちょっとだけよ?」

さかな「ソウルジェムって恥ずかしい物なの!?」

たまき「ウェヒヒ……」


ほむら「……」

かえでのソウルジェムは私の物と殆ど同じ、しかし金属部分に銃痕が何箇所ある。
自分で砕こうとしたのだろう……

さかなのソウルジェムは金属部分はいつもの美樹さんと殆ど同じ、石はラピスラズリの様に透明度とは無縁。濁りも見受けられない。
変身した時の人魚の魔女を彷彿とさせる格好も合わせて考えるとどうだろう……

たまきのソウルジェムは……
金属部分までピンク色で、それ以外はまどかと全く同じ。

134: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:17:29.16 ID:9H0O1eyIO


かえで「貴方に不都合があるような隠し事はしないわ」

たまき「早く学校行ってきなよ」

ほむら「うん……」



かえで「ちゃんと元に戻り始めてるわね」

   「私と違ってまだ戻れるんだから……」

たまき「ウェヒ?」

かえで「なんでもないわ」

135: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:30:09.06 ID:9H0O1eyIO


その日の放課後、まどかから連絡が入った。志筑さんが魔女の口づけを受けたようだ。


ほむら「いつもと場所が違うじゃない!」

かえで「……なんらかの偶然が重なって活動日がズレて、その間に移動したのね……」

たまき「……間に合うかな?」

さかな「痛くない?」

ほむら「……大丈夫よ」


私は今度はさかなにお姫様抱っこされて魔女の居る場所へ向かう。

136: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:35:56.93 ID:9H0O1eyIO


さかな「口づけを受けた人は全員気絶させておいたよ」

かえで「ワカメは腹パンしておいた?」

さかな「この顔でやったら後に響くでしょ……」

たまき「早く行かないと……」

ほむら「まどかが危ないわ……」


どうやら巴さんはまだ来ていないようだ。
家から遠いのと、かえでとさかなの脚が速いことでついた差だろうか。

137: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:41:51.10 ID:9H0O1eyIO

ほむら「まどか!」


使い魔にびろびろに引き延ばされているまどかの姿が見えた。

さかな「あたしに行かせて、ア・レグロ、メゾフォルテ、スタッカート」

かえで「貴方は言わないと使えないのはわかってるけど、言い方によってはティロいわよ」

たまき「ティロ?」

背中の大剣を振り回し、使い魔に斬りかかる。

さやか「邪魔だ邪魔だ邪魔だァッ!!!」

まどかを離さんと、使い魔が大量に道を阻むのを蹴散らす。


まどか「ほぇっ……」

解放されたまどかをキャッチする。

ほむら「……遅れてごめんなさい」

まどか「ほむらちゃん……」

138: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:49:40.08 ID:9H0O1eyIO
かえで「そのまま魔女もぶっ飛ばしてきて頂戴」

   「私は怠けるわ」

たまき「ホムッ」

かえで「おい」



さかな「いさなちゃんの直感と推理に寄ると、さっきの大量の使い魔が湧いてきたところに居るよね?魔女」

大剣を振りかぶり、その場所に突っ込む。

さかな「早く帰りたいんだぁぁ!!!」



さかな「!?」

鎖の音が聞こえたと思ったら、次の瞬間自分が動けなくなっていた。



杏子「悪い、勝手なのは承知だ。でもこいつ、譲ってくれないか?」

  「こっちは新人が居て、弱い魔女でも狩って練習させなきゃいけないからさ」

織莉子「……」

139: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 12:52:49.49 ID:9H0O1eyIO
ほむら「ッ!!??」

訳がわからない。
杏子とあいつが一緒に居て、どうも杏子を師と仰いでいるようだ。
というか杏子が新人の面倒を見るなんて……

かえで「……ちょっと想定外ね」

たまき「誰だっけあれ?ウェヒヒ」


さかな「……わかった、でも離して」

杏子「悪いな。グリーフシードは渡すよ」

さかな「いいよ、消耗してないし、新人にプレゼントしてあげて」

140: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 13:00:23.31 ID:9H0O1eyIO
杏子「織莉子、行って来い」

  「画面を見ないで、只管ぶん殴れば勝てる相手だ」

織莉子「了解しました」


しかし、その顔はあのラスボス臭のする物ではなく、真っ直ぐで強いヒーローのそれだった。


かえで「……」

さかな「良い目してんじゃん」


幸いなのはあいつが杏子に対して下手に出ていることだろうか。
まぁ基礎戦闘力で言えば私以下だから……

141: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 13:06:18.61 ID:9H0O1eyIO

織莉子「狩りというより屠殺になりますが……」


水晶の槍を召喚する。
いつもは水晶玉しか出さないはずなのに……

かえで「……武器だけで戦う杏子が師だからかしら」

   「それにしても杏子の髪って埋もれたくなるわよね」

ほむら「……ノーコメントよ」


彼女は魔女に槍を構え、駆け寄る。
その速度は決して速くない。
やはり私と同程度か。

148: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 17:33:45.53 ID:9H0O1eyIO
杏子「身体は横向けて槍と顔は正面向けろ!!」

織莉子「はい!」

杏子「練習で構え方あってても今出来なきゃ意味ねえぞ!!」


まだ未熟なようだ。
と言っても毎回呉キリカや予知魔法に頼り切りだったのでその時よりは遥かにマシ。

気休め程度の威力の水晶玉を放つだけ。
なまじ命中率が高いだけにイライラする。
まぁまどかを始末する為の時間稼ぎに過ぎなかったのだから十分だったのか。

149: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 17:45:16.04 ID:9H0O1eyIO
しかし今回は勝手が違う。
呉キリカは居らず、千歳ゆまは契約しても補助型にしかならない。

かえで「杏子が寝首を掻かれることはありえないわ」

   「猫撫で声で近づいてきたクソガキの正体を見抜いて頸の骨をへし折ったこともあるわ」

ほむら「杏子ってそんな怖いことする子だった!?」

かえで「あの時は一人こっちも殺されてたから……」

……

水晶の槍でブラウン管の魔女を突き回す。
本体には中々攻撃が当たらないが、羽根を着々と落としている。


杏子「突くだけじゃなくて薙ぎ払え!!」

織莉子「私のは刺突特化です!」

杏子「打撃でも良いんだよ!!当たらねえ刺突よりはマシだっつの!!」



さかな「あの子あんまりセンス無いね……」

たまき「それ思った…わたしが戦った方が幾分かマシなんじゃ……」

150: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 17:50:25.94 ID:9H0O1eyIO
ダメ元らしい雰囲気で刺突からのフェイント打撃攻撃を加える。

槍が砕けると同時に、魔女は声にならない声を上げ、床に叩きつけられる。

杏子「ほれ見ろ!あとは画面を下に向けてマウント取ってズタズタにしてやれ!」

織莉子「はい!」


ほむら「凄い力押しね」

かえで「トリッキーとはかけ離れてるわね」

151: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 17:59:33.19 ID:9H0O1eyIO



さかな「本当にマウント取ってズタズタやるんだ……」

ブラウン管から黒い液体やら煙やら砕けた水晶やらいろいろ噴き出す。


織莉子「ッ!!……仕留めました」

杏子「まぁ……いいか。あそこに残ってる使い魔にそのナイフ当ててみろ」

織莉子「はい!」


ほむら「杏子が使い魔を消すなんて……」

かえで「教育熱心すぎるでしょ……」

152: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 18:06:20.92 ID:9H0O1eyIO


杏子「本当悪いな……グリーフシードまで貰っちまって」

さかな「別にいいよ、新人のうちはグリーフシードいっぱい持っておかないと死ぬから……」


その死ぬはどっちの意味だろうか。

杏子「それでもって……まだお願いがあるんだけど聞いてくれねえかな……」

ほむら「ならばこっちのお願いも聞いてくれないかしら?」

杏子「あぁ……」



ほむら「ワルプルギスの夜討伐に協力してほしい」
杏子「ワルプルギスの夜討伐に協力してくれないか?」

……

ほむら「!?」

153: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 18:23:47.50 ID:9H0O1eyIO
杏子「なんで知ってるんだ!?」

ほむら「……私の魔法よ。そっちも何故……」

杏子「こいつの魔法で……」

奥でおとなしくしていた白い大女がこちらにやってくる。

織莉子「……私の魔法は未来予知。二週間後程後にワルプルギスの夜がやってくる。それを倒さなければより恐ろしい魔女が産まれることを予知しました」

杏子「あたしとベテランがもう一人居りゃ勝てるとは思ったんだが……」

杏子と私の時点で勝機はある。
ましてやさかなやたまき、巴さんが居れば更にそれは大きくなる。

ほむら「喜んで協力させてもらうわ。私は暁美ほむら」

さかな「私は……いさな!」

かえで「暁美かえでよ」

織莉子「美国織莉子です」

154: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 18:33:12.42 ID:9H0O1eyIO

失神しているまどかやそれを介抱するたまきには目もくれない。
魔法少女の素質がわかるのはキュゥべえと一緒に居る巴さんくらいだろうか。

杏子「あたしは佐倉杏子だ。杏子って読んでくれ」


かえで「あんこちゃん!」
たまき「あんこちゃん!」

杏子「あんこじゃねえ!!」

何故口頭ではわからない読み間違いネタをできるかのツッコミがないのは幸いだ。

織莉子「桜餡子……成る程」

こいつもバカだった。

155: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 18:51:09.22 ID:9H0O1eyIO


ほむら「思わぬ形で早い段階で戦力が集まったわね」

   「あいつが居るのがよくわからないけれど」

かえで「あの子の予知は思ったより漠然としているの。恐らく今あの子にはワルプルギスを一撃で倒した魔法少女が魔女化して地球を滅ぼすビジョンしか見えていないわ」

さかな「つまり……」

たまき「見かけ通りの真っ当な正義の魔法少女…かな?」

かえで「そうよ、でもその魔法少女の正体がわかり次第契約の有無を問わず殺そうとする」

   「つまり早く予知に映らない程度にまどかの契約の可能性を落とす必要があるわ」

156: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 19:05:14.01 ID:9H0O1eyIO
ほむら「そこまで漠然として居るのに、呪いなんてどうしてかけられたの…?」

さかな「あの子頭良さそうだったからねぇ……」

たまき「胸に栄養吸われて馬鹿になったのは」

さかな「かえでが聡明なのは」

ほむら「貴方たちそれ以上いけないわ」


かえで「……最期の力を振り絞って予知魔法をバーストして私の正体を全て見破って……」

   「統計上命を張らないとはっきりとした予知は見れないわ。直近は話が別だけれど」

成る程……

157: ◆USZbC4nXcg 2012/10/27(土) 19:13:59.66 ID:9H0O1eyIO

さかな「で、次は何をすれば良いの?」

たまき「まどかちゃんの契約の阻止と、真実の伝搬だね」

かえで「あんこちゃんとまどかはともかく、あの豆腐メンタルは気をつけなきゃダメね」

   「ちなみに隠したままワルプルギスの夜を越えると大体あの●獣が『最強の魔女を倒した君達は最強の魔女になれるかもね』とか負け惜しみを言いながらさらっと教えるわ」

たまき「ティヒヒ似てるね」

かえで「辞めて頂戴嬉しくないわ」


私達の行動指針は決まった。

167: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 07:23:47.43 ID:ecyJBzBIO


マミ「佐倉さんと共同戦線……」

かえで「経堂は通過します」

ほむら「ワルプルギスの夜と戦う上で彼女は非常に大きい戦力になる」

   「彼女は確かに貴方と逆のタイプの魔法少女だったけれど、今は後輩の教育をしているわ」

マミ「そう……まぁワルプルギスの夜相手じゃどうこう言ってられないし、佐倉さんが良ければ私はいいんだけど……」

かえで「私達は主義ややり方よりもっと大事な物を全員で共有すべきよ」

それに『真実』が含まれるのは言うまでもない。

169: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 07:35:36.77 ID:ecyJBzBIO


ほむら「ワルプルギスの夜に対抗する上で必要な戦力について詳しく教えてくれないかしら?」

かえで「私達の装備は米軍フルセット固定とするわね」

菱形の盾からホワイトボードと似顔絵のマグネットを取り出す。
見たこともない顔も紛れている。

かえで「まず、私達一人では勝てないわ」

ほむら「その度に遡行していたの…?」

かえで「勝っても負けても死んでも魔女化してもオールリセットよ」

   「魔法少女達をベテラン組と新人組にわけるわね」

似顔絵のマグネットをわけ始める。
一つ人魚の魔女の鎧兜みたいなマグネットがあるのはさかなをさしているのか。

170: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 07:44:49.39 ID:ecyJBzBIO
かえで「クソガキは……今回は居ないみたいだけど、対魔女戦闘力は低いから新人扱いね」

ほむら「ちょっと待って、呉キリカがどうしてそっちにあるのよ」

かえで「あの子は戦闘の天才、魔女化以外に隠し球を三つ持っているわ」

新人組には美樹さん、千歳ゆま、謎の銀髪の少女、美国織莉子が振り分けられ、ベテラン組には巴さん、杏子、呉キリカ、見たこともない金髪ツインテールの少女二人、黒髪の垢抜けない少女が一人、そして星のマークがついたまどか。

かえで「まどかや見たことない顔は気にしなくては良いわ。特にこのまどかは今回に関してはなんの意味も持たないから」

どうやらたまきのことではなさそうだ。

171: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 07:52:43.26 ID:ecyJBzBIO
かえで「新人組と二人だと相討ちにすら持ち込めず死ぬわ」

振り分けなかったマグネットの中から鎧兜のものをつまみ、私に突きつける。

かえで「でも最悪今回はさかなと貴方と二人で挑めるからまどかさえ契約させなければ勝てることにはなるわ」

理論上はね、と付け加え、あくまでも見捨てる気は無いことを強調する。

かえで「ベテラン組と二人、もしくはそれに加え新人組一人の場合は相討ちになるわ。全員死ぬとは限らないけれどね」

マグネットをペタペタ貼って解説を始める。

172: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:00:12.81 ID:ecyJBzBIO
巴さんと二人の場合は巴さんが犠牲になる。

ほむら「私が契約する前もそうだったわね……まどかを守るために自分の弱点の熱戦を正面から受け止めて……」

呉キリカと二人の場合も同様。

かえで「彼女と組む場合は戦力を十分にしておかないと、必ず魔女化するわ」

   「理由は火力の確保、限界、グリーフシードの供給……あの子はそういう子よ」

金髪の少女の目つきが怖い方を指す。

かえで「彼女と二人の時は二人とも死ぬわ」

黒髪の少女のマグネットをつまむ。

かえで「この子も同様」

173: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:13:46.38 ID:ecyJBzBIO
ナースキャップの方の金髪の少女はスルーする。

かえで「この子は二人になることはなかったわね」

それでもまだ一人残っている。

ほむら「……杏子は」

かえで「杏子と二人、もしくはそれプラス千歳ゆま、美樹さやかのパターンはかなり多かったから少し長くなるわ」

杏子の周りは因果の糸が複雑に張り巡らされており、関係なさそうなことが関係してくるらしい。

二人の時、美樹さんが魔女化していたら杏子が相討ち、していないで魔女化のことを知っていたら私が杏子に看取られて死ぬ。何も知らない場合は更にパターンが分かれる。

かえで「杏子はハートの熱さに影響されやすいの。杏子に頼む時の態度でも変わるわ」

……杏子に必死に頼み込めば二人とも生存、あっさり承諾された時は互いの濁り切ったソウルジェムを砕いて心中。

ほむら「今回、もし杏子と二人になったら……」

かえで「さかなが何者かに暗殺されない限りありえないわ。でもさかなが居なければ心中エンドね」

174: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:20:44.96 ID:ecyJBzBIO
かえで「あんこちゃんと美樹さやかが仲間になった時は、美樹さやかはベテラン程とは言わないけれど隠し球無しの呉キリカ程度には強くなるわ」

この三人なら犠牲なしで勝てるようだ。

かえで「美樹さやかに足りないのは指導よ。呉キリカは人に教えるなんてことはできないから美樹さやかの真っ当な師匠になり得るのは実質あんこちゃんだけね」

杏子がギリギリで参加する場合は、私が美樹さんを庇って死亡。倒すことはできるらしい。

ほむら「千歳ゆまは……」

かえで「杏子が死ぬパターンで代わりに死ぬだけよ。心中の場合は彼女だけが生き残るわ」

……

175: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:30:34.42 ID:ecyJBzBIO
杏子と呼んだりあんこちゃんと呼んだり安定しないのはどうでも良いとして……

ほむら「今回のパターンは……」

かえで「まだ魔女化のことが明るみに出ていない、そして美国織莉子があんこちゃんについて槍なんて持ち出したのは始めてのパターンだから……」

それはそうか。

かえではマグネットを並べて遊び始める。
杏子、ナースキャップの少女、黒髪の少女の三人を編成し、こちらに見せる。

かえで「杏子が巴さんと別れてから組んでた三人組よ。いざこざ起こして解散したみたいだけど」

   「まぁ、ベテランが私達以外に二人以上居れば勝てると思ってもいいわ」

   「……倒立状態ならね」

176: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:36:47.63 ID:ecyJBzBIO


杏子「おい……何してると思ったら使い魔追っかけてたのかよ」

織莉子「……」

杏子「グリーフシード落とさない奴を狩るのがどういうことかわかってんだろうな?」

  「っていうか自分で言ったよね?ソウルジェムが濁り切ったら魔女になるって」

織莉子「しかし……使い魔も人を襲うので……」

杏子「何甘いこと言ってるんだ?使い魔に食われるような奴はほっといても死ぬんだよ」

  「しかもワルプルギスと戦うんだぞ?グリーフシード一個あるかないかで戦局か変わるんだぞ」

  「目先の命助けて悦に浸って、救えるもんも救えなくなるなんてバカやんじゃねえぞ……わかったな」



まどか「え……」

マミ「魔法少女が魔女に……」

177: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:42:47.22 ID:ecyJBzBIO

マミ「……そんなの嘘よ」

まどか「ただの噂かもしれませんよ!少女が成長したら女になるー…みたいな」

マミ「そ、そうよね……」

  「そういえば美樹さんは……」

まどか「その……上條君がまた自殺未遂起こして、それを殴っちゃって……」

マミ「あら……魔女の口づけじゃないのね?その彼」

まどか「みたいです……」

178: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 08:49:57.06 ID:ecyJBzBIO

杏子「お、マミじゃん。久しぶり」

マミ「ライトなのね……佐倉さん」

  「別にそっちが気にしないならいいけど」

織莉子「この方が……見滝原の守護神?」

マミ「そんな大層なものじゃないわよ……貴方は…確か美国……」

織莉子「美国織莉子です。予知と……」

水晶の槍を取り出す。

織莉子「杏子さんの指導で槍を使っております」

マミ「あら……佐倉さんにも弟子が」

杏子「……まぁな」

186: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 18:17:25.75 ID:helUmAMIO


杏子「ん?そいつは……魔法少女じゃないな」

まどかに顎をしゃくり、嫌そうな顔で話す。

マミ「ええ、そうよ」

杏子「なんで一般人を……いや、面倒だからいい」

  「お前今すぐ帰れ、織莉子、送ってってやんな」

織莉子「はい」

まどか「じゃ、じゃあマミさん、また明日……」

杏子「……また明日…ねぇ」

187: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 18:39:11.97 ID:helUmAMIO

残された赤と黄色の魔法少女は気まずそうな雰囲気を醸し出す。


杏子「おい、なんで一般人なんか連れ回してる」

  「まさか、魔法少女のポジティブキャンペーンなんてしてるんじゃないだろうな?」

マミ「それは……」

杏子「魔法少女ってのがどんなもんだかあんたもわかってるはずだよねぇ?」

  「たった一つの目先の希望の為に、その先にあるはずの幸せな人生を諦めることになるんだよ?」

マミ「……でも鹿目さんには大きい素質が」

杏子「あんたには選択の余地は無かったけどな、あいつには魔法少女にならない道がある。契約しなきゃただの人間だ」

マミ「そんなに否定するなんて……さっきの話は本当なのね……」

189: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 18:43:31.60 ID:helUmAMIO

杏子「さっきの話?」

マミ「魔法少女が魔女に……って」

杏子「さぁねえ、織莉子の話でしかないからな」

  「まぁ、あたしは親父に魔女と罵られ、使い魔に人間を食わせてるから魔女みたいなもんかもしれないけどな」

マミ「……美国さんに詳しく聞いてみるわ」

杏子「あ、あとあいつ、美国って呼ぶと期限悪くするから気をつけろよ。あいつに睨まれたら動けなくなるし」

マミ「それは魔法……?」

杏子「いや、違うね」

190: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 18:53:13.22 ID:helUmAMIO


まどか「その……織莉子ちゃんってすごい大きいね」

織莉子「なんでこんなに大きくなってしまったのでしょうか……加えて変身した時には帽子。二メートルに迫ってしまいます」

まどか「ほんの五センチだけでもいいから分けて欲しいよ……」

織莉子「中学生ならまだチャンスはあるはずですよ?」

このフクロウとパンダの幼獣が並んで歩いている風景を、鴉もとい、暁美ほむら達が見れば卒倒するだろう。
しかし、フクロウは目の前のそれがパンダの幼獣とは気づいていない。

191: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 19:05:09.31 ID:helUmAMIO

まどか「ねぇ、織莉子ちゃんはどんな願いで魔法少女になったの…?」

織莉子「……私は━━━━」


長い身の上話が始まった。
話すことに対して抵抗は無いのだろう。
手の内すら隠さない。
まどかに隠したところで、なんの意味も無いのだが。

まどか「お父さん……もしかして魔女に……」

織莉子「いえ……嵌められたのです」

   「しかし死んでしまえば同じ」

   「だから、私は裏から人の為になることが出来ればと」

   「願い事は自分の為に使いましたけどね」

192: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 19:13:43.64 ID:helUmAMIO

織莉子「私は生きる意味を知りたいと願い、それで手に入れた魔法は未来予知」

   「まだ使い慣れていなくて、戦闘中に相手の動きを予測するくらいしかできませんけどね……」

まどか「頑張れば占いとかも……?」

織莉子「できるかもしれませんね……」

まどか「頑張ってね!本当に当たる占いなんて出来たらそれこそ救われる人がいっぱい居るよ」

織莉子「……はい!」


その一瞬、織莉子のソウルジェムが少し煌めいた。

193: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 19:24:08.92 ID:helUmAMIO


たまき「魔法少女って大体どっかに闇を抱えてるから、そこを上手く掬ってあげるとチョロかったりするよね、ウェヒヒヒヒヒ」

かえで「チョロくてもその後が問題ね」

さかな「面倒臭い女と思われたら嫌かな……」

ほむら「まどかに話せない原因の一つね」

お茶をしながら話し込む。
といってもたまきは当然食事ができない。

さかな「このジャムパン超うまいっすね、ほむらさん」

ほむら「貴方のせいでジャムがもう無いのだけど」

かえで「呉キリカよりはマシよ」

195: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 19:34:19.85 ID:helUmAMIO


仁美「上條君どうしてますの……?」

さやか「ん?自殺未遂三回も起こして流石のあたしもブチ切れて殴って説教したら静かになったよ」

仁美「えっ……そんな……」

さやか「あいつ本気で自分の価値がバイオリンしか無いと思ってるんだよ……」

まどか「わたしよりコンプレックス強いみたい……」

さやか「だからさ、仁美もちょっと力になってやってよ。もうあたし疲れちゃってさ……」

196: ◆USZbC4nXcg 2012/10/29(月) 19:44:02.52 ID:helUmAMIO

ほむら「良いの?彼は恐らく志筑さんに靡くわよ」

さやか「なんて言うか……視野が狭かったかなって。転校生、いや、ほむらのこと悪者だと思ってたけど違ったのもあるし」

   「初恋は失恋するものって言うじゃん?それに恭介と付き合ったとしても私が甘やかしちゃうだけなんだよね多分。そこの辺仁美は上手いから」

美樹さんは上條恭介に愛想を尽かした訳では無いが、一歩引いて考えられるようになったようだ。

さやか「仁美をちゃんと幸せにできた時は、いさなに頼もうと思ってるよ」

204: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 10:59:53.61 ID:rPWQGhOIO
自由の女神の腕の上のような結界に来ていたのは、杏子、さかな、織莉子、マミの四人だった。


さかな「よーし!あたしの魔法があればどんな傷受けてもゴリ押しで勝てるしあたしに行かせて!」

杏子「……新人の前でそんな戦い方すんじゃねえ」

さかな「ちぇー……」

マミ「でもどうしましょう……近接戦闘は危険過ぎるし……私なら大砲でゴリ押しできるけど」

杏子「別にあたしも頑張れば別に危なくないゴリ押しできるけど」

織莉子「ゴリ押し好きですねみなさん……」

   「でも大砲で思いつきました。少し見ていてください」


手元に水晶の槍を召喚し、魔女を睨み深呼吸をする。

205: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 11:09:01.19 ID:rPWQGhOIO
杏子「あー……あいつ元々物を飛ばして戦う奴だったな」

織莉子のイメージにそぐわない掛け声と共に槍は、非力な彼女にそぐわない速度で飛んで行く。

マミ「拳銃の暁美さんとは別の意味で魔法少女らしくないわね……」

さかな「武器を飛ばす……それもありか」


メジャーリーガーやオリンピック選手も青ざめる速度で飛ぶ槍は使い魔や触手を真っ二つにしながら着実に魔女との間合いを詰めて行く。

206: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 11:17:40.48 ID:rPWQGhOIO
しかし、流石は魔女と言ったところだろうか、あるいは使い魔に何度も当たった時点で威力を削がれていたのか、魔女に大ダメージを与えることができなかった。

杏子「惜っしいなぁ……発想は良いと思うんだけど」

  「あたしの槍より重い槍ってのも活かしてると思うし」

マミ「でも、この魔女の使い魔はすぐ湧いて来ちゃうから同じことをやってもダメそうね……」

さかな「……あたしがやっていい?危ないことはしないからさ」

杏子「……ああ」

207: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 11:28:00.04 ID:rPWQGhOIO
さかな「おりゃー!!!」

大剣を思い切り魔女に投げつける。

杏子「ちょっ!?」

魔女に当たった瞬間に魔女は粉砕されていた。

マミ「……少し自信を失うわね」

織莉子「フィジカルの違いですか……」

208: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 11:35:04.31 ID:rPWQGhOIO
さかな「グリーフシード欲しい人!」

杏子「ここはあたしの縄張りじゃないからいいよ」

マミ「ストックがあるから、織莉子さんどうぞ」

織莉子「どうも……」

暫しの沈黙の後、マミが口を開く。

マミ「ねぇ、魔法少女が魔女になるって本当なの?」


さかな「ッ!!」

209: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 11:47:41.51 ID:rPWQGhOIO
織莉子「証明する方法は取れませんが、本当です。私の予知能力でワルプルギスの夜を一撃で倒した魔法少女が地球を滅ぼす魔女になったのを見ました」

……

マミ「そんな……それなら私は今までなんの為に……」


さかな「……杏子、変身解いてソウルジェムを隠して。死にたくなかったらね」

杏子「あ?あぁ」


顔色一つ変えず淡々と話す織莉子、徐々に顔色が悪くなるマミ。


織莉子「ですが、それが貴方に関係あるのでしょうか?」

210: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 11:55:58.77 ID:rPWQGhOIO
マミ「え……」

織莉子「今までならなかった上に、そんな心配をしたこともなかったのでしょう?」

   「むしろならないように対策を取れるから、今までよりそんな心配は減るはずです」

マミ「でも、いつかは…!」

織莉子「それは人間が食事を取らなければ身も心も飢えるのと同じです」

……


さかな「あれ?大丈夫な感じ?」

杏子「みたいだな」

211: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 12:06:22.23 ID:rPWQGhOIO


織莉子「はぁ……」

今魔女になるわけではないから死を選ぶことはない。
そんなことを偉そうに言ったが、その地球を滅ぼす魔女を生み出さないように未然にその魔法少女を殺さなければならない。たとえ未契約だとしても。

織莉子「ダブルスタンダードですよね……」

   「しかし私の役目はそれだけじゃない……占いの為に予知の腕を磨きましょう」

まどかへの感謝の念を噛み締めながら家路につく。

212: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 12:15:37.32 ID:rPWQGhOIO

ほむら「えっ、巴さんが魔女化のことを受け入れた!?」

さかな「うん。織莉子がなんか説得してたよ」

たまき「手間が省けたね、ティヒヒ」

ほむら「あとはまどかなんだけど……どういう角度で……」

かえで「呼び出して長々話すのも野暮よね……」

213: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 12:31:28.42 ID:rPWQGhOIO

まどか「マミさんにもう来るなって……」

さやか「あー、魔法少女のことは関わらない方がいいからねぇ……」

まどか「でも、この街に大きい魔女が来るんでしょ?私が契約すれば……」

さやかはまどかに顔を近づけ、睨みつける。

さやか「あんたがそんなことを考えるのはなんで?」

   「責任感だとしたらいさな達を信用してないことになるし、コンプレックスの解消だとしたらね、そんな妙なもんに頼るなんてあたしが許さないよ」

まどか「え……」

さやか「もしそんなくだらないことで契約したらあたし……まどかのこと」


   「殺しちゃうかも」

   「……なんてね、ははっ」

まどか「……」

221: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 16:32:11.87 ID:rPWQGhOIO


美国織莉子は自分の生きる意味を知る為に契約した。

そして真っ先に見た物は地球を覆い尽くす『誰にも勝てない魔女』

これの誕生を阻止するのが自分の役目だと思っていた。
その目的の為なら人を殺めることや、自分が死ぬことも厭わないと思っていた。

222: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 16:39:03.16 ID:rPWQGhOIO

しかし予知で見た手駒と成りうる少女は現れなかった。
何者かに予知を覆されたのだろう。

そして更に予知で見た物は、空を暴れまわる巨大な魔女、それを一撃で倒した魔法少女があの『誰にも勝てない魔女』となった光景。

これにより、あの巨大な魔女を自分もしくは他の魔法少女と倒せば、その最悪の魔女は生まれないかもしれない。

223: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 16:43:52.87 ID:rPWQGhOIO
そう思い、ベテランの魔法少女を探し出し、情報や私の探知能力と交換で協力と師事を仰いだ。

そしてその後にも協力者を増やし、自分の腕も磨いていった。

魔女を倒し、魔女が産まれるのを防ぐのが
私の生きる意味なのだと思っていた。

224: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 16:47:56.25 ID:rPWQGhOIO
しかし、それはある少女の言葉で覆された。

思えば普通の魔法少女ならば、予知など手に入れれば、私のようには使わず、彼女が言ったように使うだろう。

本当に彼女にとっては何気ない一言、でもそれで私の視野はとても広がった。


……

織莉子「紅茶とコーヒー、どちらが良ろしいですか?」

まどか「甘いコーヒーを…お願いします」

225: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 16:56:39.79 ID:rPWQGhOIO
薔薇園での小さなお茶会。

運び込まれたお菓子はマシュマロ、ラスク、そしてショートケーキ。

織莉子「家にあったものを引っ張り出しただけなので……」

まどか「お、おかまいなく!」

豪邸の威圧感にやられてまどかは緊張している。
コーヒーにマシュマロを浮かべ、コーヒーを啜る。
家でココアでやっていることの癖だろうか?

織莉子「今度までにはココアも用意しておきますね」

226: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:14:03.81 ID:rPWQGhOIO

まどか「それで用って……」

織莉子はまどかの何気ない一言が、自分の心を動かし、占いの為に魔法の腕を磨いたと伝えた。

織莉子「だから最初に占うのはまどかさんと決めていたんです」

まどか「へぇ……なんか照れ臭いな」

織莉子「……では、早速」

227: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:19:42.73 ID:rPWQGhOIO
織莉子が見たのは、ワルプルギスの夜が来る中、さやかと祈るまどかの姿。

キュゥべえがそこにやってきて、さやかが激昂する中、まどかに戦況を見せる。


しかし、そのタイミングでさかなが大打撃を叩き込み、優勢に見えたのでむしろ安心してしまった。


誰もが勝利を確信していたその瞬間、凄まじい轟音が響く。

228: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:20:17.18 ID:rPWQGhOIO



ワルプルギスの夜が反転した。




織莉子「ッ!!?」

229: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:26:48.22 ID:rPWQGhOIO
それを見たキュゥべえは『これで単純な戦闘で勝つことはほぼ不可能となった。君ならば可能だけれどね』と契約を迫る。


織莉子「まさか……貴方が……」


まどか『私……契約する』



織莉子「あ……鳴呼……」


織莉子が悲哀に打ちひしがれている間に、薔薇園の風景が歪み始める。

230: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:31:39.38 ID:rPWQGhOIO
まどか「お、織莉子さん!魔女です!」


巨大な鎧の化け物が現れる。


織莉子「……邪魔です」

白い光と煌めく石のエフェクトを撒き散らしながら変身し、重槍を直様呼び出す。

無言で鎧の関節部分に刺突を加える。
一発、二発……

しかし、余程硬いのか魔女はビクともしない。


まどか「お、織莉子さん!」

231: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:35:08.87 ID:rPWQGhOIO
織莉子は血走った目で魔女を見据え、次の手を考える。

魔女も様子見を決め込んでいるようで互いに動かない。



「ヴォォォォォ!!!見てらんない!!もうあたしにやらして!」

突如空から音符のエフェクトを撒き散らしながら現れたさかなが魔女に大剣の一撃を加える。


さかな「へへん、重力速度を使った攻撃…ってやつ?かえでから教わったんだ」

重力加速度だ。

232: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:38:26.06 ID:rPWQGhOIO
さかな「あーはっはっはっは!!!ホント良いダイエット!」

戦闘狂が大剣で魔女を切り刻み続ける。

まどか「いさなさん……そんなにやっても疲れるだけだよ」

さかな「あ、もう死んでた?」

まどか「そこは気付こうよ……」

……

織莉子「ごめんなさい……占いはまた今度に……」

さかな「ん?占い?まぁまどかはあたしが送ってくよ」

まどか「…じゃあ、失礼します……」

233: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:41:35.06 ID:rPWQGhOIO

スクラップと化した魔女の死体を他所に、お茶会のテーブルに突っ伏して考える。

考えるというより、心を落ち着けているのだろうか。


織莉子「まどかさんに生かされたような物なのに……」

   「私はまどかさんを殺さなければならない……!!」


ソウルジェムが濁り始めた。

234: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:52:25.04 ID:rPWQGhOIO

織莉子「何かの間違いでは……」

もう一度予知を試みる。


━━━━

女学生達がステージに向かってアンコールを叫んでいる。

『Encore!! Encore!!』

ステージに立つは私。

『Oh, shit!! I almost forgot!!』

透明な銃を取り出し客席に突き付ける。

『You're coming with me!!』

悲鳴が響く中、ヤケにアメリカンな笑い声を上げながら私は女学生達を射[ピーーー]る。

『Haha, byebye!』

客席は静かになり、最後に自分の口に銃を突っ込み自害する。

235: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 18:53:58.66 ID:rPWQGhOIO

……

織莉子「ブロックされている……!」

   「私が深層心理で見たくないと思っているから……?」

……

変身を解き、薔薇園の中に寝転がる。
棘など知ったことでは無い。


また少しソウルジェムが濁った。

236: ◆USZbC4nXcg 2012/10/30(火) 19:01:51.78 ID:rPWQGhOIO


かえで「柄にも無く昼寝なんかして、夕方まで目覚めないお姫様に目覚めの……」

   「    キスを」

キリッとした顔を決めたかえでは、眠るほむらに寄り添い頬をつつく。

ほむら「んむぅ……」

かえで「そこはほむぅでしょうが……」

宣言通り顔を近づけ、唇を重ねる。


ほむら「ん~~!!」

目覚めたほむらは抵抗する素振りを見せるが、顔を動かさないあたり相手の舌を思いやっているようだ。

かえで「んぉはよう」

ほむら「……おはよう」

249: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 08:42:22.88 ID:cQdCJfXIO


ほむら「……ファーストキスを『自分』に奪われるなんて思ってなかった」

   「貴方は初めてなんかじゃないんでしょ?」

……

かえで「まどかが━━━周、杏子も同じ。マミが━━━周、さやかが━━━周、キリカが━━━周、あとは一周ずつね」

   「あと、上條恭介に無理矢理一回されたからそれプラス泥水が一回ずつね」

圧倒的ループ回数……彼女が挙げた数を足すだけで私のループ回数を上回る。
孤独に戦ったループも合わせれば更に膨大になるのだろう。

かえで「もう私は少女って歳でも無いわね」

   「お母さんより歳上になって……」

250: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:02:09.96 ID:cQdCJfXIO
かえで「それでも身体はいつまで経ってもこのまま」

   「歪な成長を続け、文字通りの永遠の迷路に突き落とされる……そんな運命を貴方に辿って欲しくない」

今度は私の手を取り、指輪に口付ける。

かえで「愛してるわ、まだ戻れる私」

   「この歪な愛を受け止めてくれないかしら……?」

再び顔が近づき、吐息が触れる。

ほむら「私は……」



たまき「ティヒヒヒヒヒヒ、まずいコトが起きたみたいだよ」

かえで「Oh……」

ほむら「……」

251: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:05:51.42 ID:cQdCJfXIO

まどか「織莉子さーん……」

インターホンを鳴らし、屋敷の主の声を待つ。

……

まどか「おかしいなぁ……」

異変を感じ取ったまどかは変なところでアクティブなのか、屋敷に入り込む。

まどか「お邪魔します……」

252: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:13:51.87 ID:cQdCJfXIO

相変わらず静かな薔薇園、たまに何かが動く音がするのは猫か何かだろうか。

まどか「庭に居ないってことはやっぱり家の中かな……」

家のドアにもう一つついた呼び鈴を鳴らす。

……

まどか「出ない……でもなんだか凄い嫌な予感がする……」

正面玄関は鍵がかかっているので、かかっていない出入り口を探すことにした。

253: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:24:42.31 ID:cQdCJfXIO
……

まどか「ここもだめ……」

……


まどか「ダメだ……」


……

まどか「……」

家の周りを一周してしまった。

しかし、収穫が完全に無かったと言えば嘘になる。

まどか「豪邸って地下室から庭の何処かに繋がってたりして……」

半ば探検を楽しみつつ、庭にある倉庫にやってきた。

254: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:31:30.01 ID:cQdCJfXIO
扉は……小さい倉庫なのに何故か二つ。

一つはやはり固く閉ざされている。


まどか「このもう一個の扉どっかで見たような……」


明らかに不自然なその扉に手をかけ、まどかは中へ進む。

まどか「暗いなぁ……」

255: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:41:43.49 ID:cQdCJfXIO
……

暗い倉庫の中を歩く。
地面は硬いはずなのに、足音がしない。

まどか「あれ……倉庫広すぎないかな?」


暫く歩くと、突如眩い光がまどかを包み込んだ。

眩んだ目を、凝らすとそこはプールに挟まれた狭い道。プールには大きな水晶玉が沢山浮かんでいる。

その水晶玉を覗き込むと、映像の様なものが微かに見える。

256: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 09:53:33.09 ID:cQdCJfXIO
「ごめんな、あのおじさんタバコ臭かっただろ?あの人には新しいスーツを勝ってあげた方がいいかなぁ」


「お嬢様、いくらお嬢様の身体が強くとも所詮は女の身、剛の術より柔の術を使った方がよろしいかと」


「お父様……!どうして……」


「良い神経してますわね」


「君の願いはエントロピーを凌駕した」


「あ……あり……」


「へぇ…そんな大物が来るのか」


「是非」


「占い師になるの?」

257: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 10:13:52.24 ID:cQdCJfXIO
「生かされているのに!!」

「Oh,shit!!」

「……鳴呼」



まどか「これ……織莉子さん…?」


正面の扉が開き、歩いていた地面が吸い込まれる。

258: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 10:18:30.76 ID:cQdCJfXIO

真っ白な空間に、いくつもの球体が飛び交っている。

岩の様な物、電気の玉、ガスの玉、水晶玉……

その中心には真っ白な肌の胎児。


そして、空間の片隅には……
既に動かなくなった織莉子の姿があった。

264: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 18:18:20.88 ID:cQdCJfXIO

環の魔女

性質は全知
通称・ラプラスの悪魔

彼女は貴方達の行動、結界内の物の動きすべてを知り尽くして居る。
そして、十手百手先の行動をしかけてくる。


……

265: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 18:26:02.88 ID:cQdCJfXIO
下に、この魔女と対峙した者の記録を残す。


生前と違い、予知能力は完全。
飛び交う様々な球体はガスと雷が要警戒。
槍使いが感電死、銃士がガスで窒息し重体になった。
この魔女に勝ちたいなら……球体の対策は万全に、攻撃が通る時に惜しみなく火力を注ぐべき。
本体は見かけ通り非常に脆い。

266: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 18:31:41.96 ID:cQdCJfXIO
まどか「織莉子さん……織莉子さん!!」

飛び交う球体を意にも介せず、死体に駆け寄る。
神に愛されているのか、魔女が敵意を抱いて居ないのか、まどかには球体が擦りもしない。

まどか「起きてください!!魔女にやられちゃいますよ!!」

……


まどか「……死んでる」

水晶玉、白を基調とした結界、先程の映像が繋がり、まどかに最悪の真実を突き付ける。


まどか「魔法少女って魔女になるの……?」

267: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 18:40:59.97 ID:cQdCJfXIO


たまき「……手遅れだったね」

かえで「どこでこうなったの……」

ほむら「……この魔女は……」

かえで「……美国織莉子だったものよ」

何故美国織莉子が魔女に……
そして、まどかが死体に縋り泣いている。

たまき「とりあえずまどかちゃんを逃がそう」

268: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 18:52:32.79 ID:cQdCJfXIO
まどか「……」

かえで「まどか、逃げるわよ。ここは危険だから」

まどか「……」

かえで「黙りこくっているなら無理にでも連れて行くわよ」

無理矢理お姫様だっこをして、結界を抜け出す。


まどか「……どうして織莉子さんは魔女になったの」

かえで「私達に言えるのはソウルジェムの濁り切った魔法少女は魔女になるということと、ソウルジェムは精神的ストレスなどても濁るということだけよ」

まどか「……」

269: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 19:07:54.51 ID:cQdCJfXIO

かえで「ほむら、杏子に彼女が魔女になったと伝えてきて頂戴」

ほむら「……巴さんには」

かえで「……任せるわ」


……

まどか「織莉子さんは……自分の魔法が人の役に立つんじゃないかって張り切ってたんだよ……」

   「それをとても喜んでたんだよ?なのにどうして……」


まどかは泣きながら嘆く。

かえで「……この世界は、魔法少女と云う物は思ったより優しい物では無いの」

   「魔法少女と云うのはね、たった一つの希望の為にすべてを諦めなければいけないの」

まどか「そんなのってないよ……」

かえで「……これが貴方が憧れてきた物の正体」

   「私達やさやかが止めた理由、わかってくれたかしら?」

270: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 19:20:21.06 ID:cQdCJfXIO
まどか「元に戻す方法はあるの…?」

かえで「こればかりはどうにもならないわ。貴方は焼いたステーキを生肉に戻せる?」

   「それと、契約して生き返そうだなんておもわないことね。彼女もまた貴方に魔法少女になって欲しくない人間だったから」

まどか「……」


━━━━


杏子「……散々気を付けろって言ってたあいつが魔女になるってどういうことだよ!」

ほむら「……ソウルジェムはメンタルの悪化でも濁るの。何かが彼女を酷く悩ませたようね」

杏子「……戻す方法はあるか?」

ほむら「契約、それも相当な素質が必要ね

杏子「……ちっくしょう……」

ほむら「……私もまさか彼女が魔女になるとは思わなかったわ」

271: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 19:25:36.05 ID:cQdCJfXIO
まどか「……どこ行くの」

かえで「あの魔女を始末しにいくわ」

たまき「あれはもう織莉子ちゃんじゃない、人を呪う魔女だからね」

まどか「待って、わたしも」

かえで「無理よ、庇いきれないから」

まどか「……」


たまき「……かえでちゃん、泣いてるの?」

かえで「……泣いてなんかいないわ、ほむん!」

たまき「……」

272: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 19:38:13.93 ID:cQdCJfXIO


空間の中央にいる胎児を睨み付ける。


かえで「たまき、速攻で終わらせるわよ」

たまき「ティッ━━━━ヒヒヒヒヒヒ!!!了解!」

人形から光の玉が出て、かえでの盾に入り込む。
盾が桃色に輝き、盾が巨大なボウガンに変形する。


かえで「……」

飛び交う球体が静止する。
時間停止は予知の天敵だ。

かえで「……ボンバルダメント」


轟音が響き、鳴り止んだ時には結界は消し飛んでいた。

273: ◆USZbC4nXcg 2012/10/31(水) 19:42:37.14 ID:cQdCJfXIO


かえで「……折角誰も死なずに……上手く行くと思っていたのに」

たまき「……」

かえで「……でも、まだ希望はある」

   「いや……希望に……なる」

たまき「ウェヒ?」

かえで「……貴方の予知、役に立てさせてもらうわ」

281: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 10:33:14.51 ID:XJlwZDGIO

マミ「……ああ言ってた彼女が魔女になってしまうなんて」

ほむら「……ソウルジェムの濁りは精神状態とも相互関係にあるの」

   「落ち込めばソウルジェムは濁り、ソウルジェムが濁れば暗くなる。そういう悪循環に陥るように出来ているわ」

杏子「ってことはやっぱりあいつらは最初からあたしらを魔女にするために……!」

マミ「……」

沈黙。
杏子は悔しがり、マミは悲しみ、ほむらは三周目の悲劇の再来を警戒している。

ほむら「……私達と同じ運命を辿る人を増やさないためにも、ワルプルギスの夜を倒しましょう。色々考えるのはその後……ね?」

マミ「……そうね、今までヒーロー気取ってたのに、一番強大な敵と戦わないなんてちゃんちゃらおかしいわよね」

杏子「ワルプルギスもキュゥべえもぶっ飛ばしてやろうぜ!」

今回はいやに立ち直りが早い。
美国織莉子の言葉はそれほど響いたのだろうか。

282: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 10:46:02.04 ID:XJlwZDGIO

まどか「……そんなこと、云うなんて」

   「あなたたちやっぱり、わたしたちの敵なんだね……」

QB「やれやれ……宇宙の為に死んでくれる気になったら、いつでも呼んでくれよ」


……

まどか「……」

窓を叩く音が聞こえる。

まどか「……誰?」


さかな「やっほ」

たまき「ティヒ」

付け髭をつけたさかながたまきを抱きかかえ、窓に張り付いて居た。

283: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 10:52:54.53 ID:XJlwZDGIO


まどか「……いさなさんとたまきちゃんって」

   「どう見ても別の世界のさやかちゃんとわたしだよね」

たまき「まぁ……そうだろうね。記憶が曖昧だけど、この家がなんだか懐かしいよティヒヒ」

さかな「詳しいことはかえでしかわからないんだよね」

まどか「……二人は魔法少女なんだよね?」

   「何を……願ったの?それは……あんな残酷な運命に釣り合う物だったの…?」

284: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:02:05.37 ID:XJlwZDGIO
さかな「……あたしはさ、何を願ったかわからないけど、結果さやかを契約させなくて済んだし、かえでの役にもきっと立ててるし後悔はしてないよ」

   「まぁソウルジェムが何故か濁らないんだけどさ」

ラピスラズリのようなソウルジェムを突き出す。
相変わらず穢れも無ければ、透明度もない。

さかな「もしかしたら既に半分くらい魔女なのかもしれないけどね、ハハハ……」

まどか「……」

たまき「わたしはわたしがなんで人形なのかもわからないけど、かえでちゃんが必要としてくれる、それだけで幸せだよ」

まどか「……わたしもほむらちゃんのこと、もっと考えた方が良いってことなのかな…?」

285: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:12:41.34 ID:XJlwZDGIO


たまき「……かえでちゃん」

かえで「何かしら?」

無言で頭を撫でて居たかえでに呼びかける。

たまき「織莉子ちゃんの結界で、見たんだよね」

   「まどかちゃんが何を願うか」

……

かえで「……ええ」

   「でも、あれではほむらは最後まで報われない」

たまき「私達の出番は?」

かえで「最重要よ。上手くいけばまどかの願いは叶い、ほむらも報われる」

たまき「……さかなちゃんはどうする?」

かえで「……さっぱり考えてなかったわ」

たまき「ティヒヒ……可哀想だよ」

286: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:18:14.80 ID:XJlwZDGIO


市内に避難指示が出る。
スーパーセルの発生が観測されたようだ。


マミ「ティロ・フィナーレとか言ってられないわね……あれくらいを基本で行くくらいにしないと……」

杏子「あそこまで飛んで行くのか……近距離は辛いね」

さかな「俄然負ける気がしないね!」

ほむら「今度こそ……決着をつけてやる」

287: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:21:36.27 ID:XJlwZDGIO

マミ「かえでさんとたまきさんは…?」

ほむら「……避難所でまどかを見張っているわ」

杏子「でも……不足はないな」

さかな「おう!」


戦闘員四名、全員ベテラン。
統計上死者ゼロパターン。

288: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:30:20.64 ID:XJlwZDGIO


マミ「暁美さんのワンマンアーミーには負けないわよ」



杏子「来いよ、面白ピエロ」

  「逃げんなら今のうちだぞ」



さかな「ヴォォォォァァ!!!」



ほむら「……来る!」

289: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:35:29.29 ID:XJlwZDGIO
結界に隠れる必要が無いとは言え、魔女は結界とセットであるもの。

象など祭りを象徴する物が大量に現れる。
こちらに攻撃をしかけてくる気配はない辺り、使い魔では無いだろう。


さかな「待ってて……力を溜めるから先に戦ってて……うんと大きいの一発お見舞いする」

ほむら「了解したわ」


杏子「マミ、道を作ってくれ」

マミ「了解!」

290: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:49:22.21 ID:XJlwZDGIO
バズーカとロケットランチャー、軌道計算されたミサイルを余さず当てて行く。

マミ「くっ……風に煽られてリボンが届かないわ」

ほむら「杏子!タンクローリーをぶち込むからその上に乗って!」

杏子「助かった!」

巴さんが私の撃ち終わった物を自分仕様に改造し、リボン弾を撃ち続ける。

マミ「こっそり武器の設計図を読んだ甲斐があったわ」


杏子「さぁ、あたしもデカイの行かせて貰うよ」

タンクローリーから飛び立ち、私もタンクローリーを手放す。

杏子「上からだよ!」

顔面にタンクローリー、スカートに巨大な槍が激突する。

291: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 11:55:19.17 ID:XJlwZDGIO

マミ「このペースで大丈夫なの?」

ほむら「三人居れば戦死無しで勝てるはずだから四人ならもう少し楽に……」

対艦ミサイルをお見舞いし、誘い出した場所にある大爆弾トラップに嵌める。

爆発が収まった頃に杏子が魔女に上方から追い討ちをかける。

後は私は時間停止による補助に徹するしかない。
しかもそれも制限時間があるが、今回は大丈夫だろう。


さかな「オーケー、杏子に伝えて。今すぐそこどけって」

水色に輝く大剣を持ち上げ、魔女を睨む。

292: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 12:04:09.19 ID:XJlwZDGIO


まどか「……」

QB「やぁ」

さやか「あんた、この期に及んで来たの?」

QB「僕はこの街が危ないと伝えに来たんだよ」

まどか「嘘よ……わたしが魔女になったら地球が滅びるんでしょ」

   「それにあの四人だったら勝てるって信じてる」

QB「どうかな?相手は伝説の魔女。戦況を見てみるかい?」

さやか「まどか!こんな奴の相手なんて」

まどか「……見るよ」

293: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 12:08:39.45 ID:XJlwZDGIO



杏子「よし、良いぞ!」

さかな「ヴォォォァァァァ!!!鎌鼬ィィィッ!!!」


大剣で力任せにその場で袈裟斬り。
その斬撃が魔女に向かって飛んで行く。


轟音が響くが、それは攻撃が当たった音ではない。
魔女の上半身が落ちる音。

さかな「っしゃあ!!!」


上半身も川の中に落ちる。

ほむら「……あと一踏ん張りね」

294: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 12:16:13.97 ID:XJlwZDGIO



まどか「いや、大丈夫そうだよ」

QB「……そうかい、しかし何が起こるかわからないからいつでも契約できるように僕はここにいるよ」

さやか「なにそれ、あたしにソウルジェムあったら絶対濁るわ」

かえで「……」

たまき「……」

まどかとさやかは勝利を確信し、キュゥべえも半ば契約を諦めていた。

まどか「考えてた願いが無駄になってよかっ……」


避難所の端から突如悲鳴が聞こえる。
振り返ると、その辺り一帯が抉れている。

QB「おや……ここに居て正解だったようだね」

たまき「……ほざいてなウェヒヒ」

295: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 12:21:44.22 ID:XJlwZDGIO

さかな「ぎゃん!?」


突如現れた闇に握り潰される。


杏子「いさな!?」

ほむら「嘘よ……今までこんなパターン……」

マミ「本当に反転するなんて……」


身体を欠損させられたことにより、本気を出さざるを得なくなった魔女は、街を洗い流さんと歯車を下に向け、力を強める。


舞台装置の魔女 正位置
生存戦闘員二名、非戦闘員一名
十分生存率30%

302: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 16:17:21.32 ID:XJlwZDGIO

幸い攻撃ペースが早かったために、まだ砂が残っている。

ほむら「二人とも……逃げるわよ!」

杏子「避難所はどうすんだ!?」

ほむら「今そんなこと気にしてどうするのよ!?あれに近づくことすら出来ない…!」

   「さっきのを見たでしょう?一番強いあの子が一瞬でぷちゅんよ!?」

マミ「……不本意だけど、綺麗事言ってられないわ」

マミがリボンで三人を束ねる。

303: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 16:19:53.45 ID:XJlwZDGIO
ほむら「時間停止をかけるわ」

杏子「それであたしが走って」

マミ「私が障害物を破壊するわ」

三人が一呼吸置く。

……

杏子「逃げんぞ!!!」

空飛ぶ歯車を背に向け、三位一体は全速力で逃げ出す。

305: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 16:28:07.52 ID:XJlwZDGIO


QB「……まどか、残念ながら本気を出したワルプルギスの夜が壊すのはこの街だけでは済まない」

   「文明を一つひっくり返す程。放っておけば東アジア一帯は滅びるだろうし、当然君達は死ぬ」

   「逆立ちならさやかが『力が欲しい』と願えば倒せたけど、こればかりはまどかでないとダメだね」

さやか「くっ……」

まどか「……ほむらちゃん達はどうしたの」

QB「さかな…だったかな、彼女が死んで力の差を感じて逃げ出したよ」

かえで「戦略的撤退よ。人聞きが悪いわね」

たまき「綺麗事言って死んだら意味ないからね、ウェヒヒ」

306: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 16:35:53.52 ID:XJlwZDGIO

決意の表情のまどかが口を開く。


まどか「……契約するよ」

QB「まぁ、すぐに魔女化するわけじゃないし、なんだったら地球の外で魔女になってくれれば地球は滅びないで済むかもしれないんだ」

  「さぁ君はその魂と引き換えに何を願う」

たまき「ウェヒヒ」

かえで「……」

さやか「あぁ……」


まどか「わたしは……現在過去未来、全ての魔女を産まれる前に消し去りたい」

QB「その願いは……!」

まどか「この手……」



たまき「ティ━━━━ヒヒヒヒヒ、そこまでだよ」

307: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 16:47:18.87 ID:XJlwZDGIO

謎の衝撃波が鳴り止み、まどかとキュゥべえとさやかは唖然とした表情でかえでとたまきを見つめる。


かえで「そういう自己犠牲の願いをするのは美国織莉子の結界で知っていたわ」

   「それじゃほむらが報われないじゃない……それに、ほむらのループが止まるから私達は無意味に消えるし……」

たまき「まぁわたしもわたしでわたしのことだから知ってたから、わたしの願い事にわたし対策をしておいたんだよね」

辺りをピンク色の光が突如支配する。
たまきのスカートの植物の柄が伸びて身体全体を包み込む。

『その願いはあなたじゃなくて、わたし達が叶える』

『かえでちゃん、着いて来てくれる?』

かえで「ええ……もちろん!」


まどか「……任せていいの?」

『もちろん、わたしはあなたなんだから』

308: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 16:57:25.45 ID:XJlwZDGIO

目を覚ますと真っ白の空間。

ここは……どこ?
確か私は巴さんと杏子と逃げていたはずじゃ……

『ほむらちゃん』


これは……まどかの声。

『わたしの願いを叶えるお手伝いをしてくれないかな?』

『わたしがたまきちゃん達に力を渡している間……』


気がつくと目の前に何体かの魔女が居た。

『呪いに立ち向かって欲しい』

かえでの声で締められる。

309: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:08:37.33 ID:XJlwZDGIO

ほむら「これだけの魔女に一人で立ち向かえと……?」

「一人じゃないよ」

「私達が集まってもこれだけの数は厳しいかもしれませんが……」


振り返るとハンマーを担いだ猫耳に緑髪の少女と、巨大な水晶の槍を構えた白い大女が居た。


ゆま「行くよ」

織莉子「……蹴散らす」

310: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:28:28.39 ID:XJlwZDGIO
私の知る魔法少女の中では最も弱い二人だが、この空間では何故か異様に強い。

いや、魔女が弱いのか。
槍を持って走る美国織莉子はまるで戦車、

千歳ゆまは……あれも戦い方としてありなのだろうか……只管ハンマーを自分を軸にして遠心力で叩きつけている。


ほむら「私も戦わなければ……」

武器を取り出そうと盾に手を入れるも、妙に物が少ない。

小さいボウガン、それも宝石がついている辺り魔法製のもの、それしか武器がない。


織莉子「この空間のどこかに扉があるはずです、進んでください!」

ゆま「ここは……わたしたちに任せて!」

311: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:31:30.60 ID:XJlwZDGIO

戦闘に参加することなく、私は次の部屋に進むこととなった。

次の部屋にはたった一体の魔女が居た。
半鳥半人の魔女だ。

ほむら「こいつくらいなら……!」

ボウガンを構え、戦闘体制に入る。

「まぁまぁ慌てるなって」



さやか「セイレーンと人魚が戦った方が面白いでしょ?」

312: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:33:56.35 ID:XJlwZDGIO
バイオリンの弓のような物を持つ魔女と、美樹さんが鍔迫り合いしている。


さやか「あっちに扉があったよ…!」

   「あんたが戦うべきはずっと先に居るとおもう!」

ほむら「……任せるわ!」


再び私は戦うことなく、先に進んだ。

313: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:41:55.33 ID:XJlwZDGIO

次の部屋に居たのは巨大な人形の魔女。

関節を狙えば、簡単に倒せるだろう。
……辺りを見回してみる。
恐らく誰かしら居るのだろう。



「……あんまり人をアテにするのも考え物よ?」

誰も居なかったはずの方向から飛び出した黄色いリボンが人形に絡まり、関節を砕く。


マミ「さっ、とっとと片付けちゃうから暁美さんは先に行きなさい」

  「私は頼っても良いわよ!」

314: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:44:46.11 ID:XJlwZDGIO

大砲の轟音を聞きながら次の部屋へ進む。

しかし、今会った彼女達はどの彼女達なのだろうか。

千歳ゆまは契約していないはずだし、槍を使う美国織莉子は前例は無いはず……


ほむら「……まさか、これってかえでの呪いの消化じゃあ……」

315: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 17:47:40.95 ID:XJlwZDGIO
次の部屋には、ワルプルギスの夜の小型版が居た。

小型と言えど正位置、既にこちらに敵意を向けて居る。

順番的に呉キリカあたりだろうか……?


ユウリ「あたしらなら勝てるって言ってたっけ?」

ミチル「でも小さいし…でも正位置……わかんない!」

316: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:05:33.43 ID:XJlwZDGIO

一発撃ち込んだら随分弱ったので、二人に任せて私は次の部屋へ向かわせて貰った。

ほむら「……あのマグネットの魔法少女ね」

次は委員長の魔女の結界と銀の魔女の結界を合わせたような、空を高速で移動する部屋。

飛行機の背中で私と、ワルプルギスの夜と同じような格好の女が対峙している。

武器を構えた瞬間、後ろで物凄い音がした。



ユウリ「素晴らしい力だな」

かずみ「……ユウリ、この飛行機落とすつもり?」

317: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:10:34.01 ID:XJlwZDGIO
ほむら「あなたたちもう倒して来たの!?」

ユウリ「あー……人違いだ、多分ね」

かずみ「……」

凹んだ足場から脚を抜き、2丁拳銃を構える。
もう一人は杖を構える。

ユウリ「さっさと行きな」

かずみ「ハッチの中だよ」

318: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:14:51.55 ID:XJlwZDGIO

中々ハッチに入るのは苦労した。

中は宇宙空間。


目の前に居るのはキュゥべえの被り物を被ったマントの人型魔女。

針を放ってくる。刺さった足元から水色の煙が上がる。
なんらかの毒があるのだろう。



QB「こいつは僕が引きつけておくから、君は進むと良いよ」

ほむら「なっ!?何故お前が」

QB「水臭いな?魔法少女のサポートが僕たちの役目だろう?」

  「こんな奴は始めて見たけどね」


飲み込めぬまま、更に進む。

319: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:18:41.97 ID:XJlwZDGIO
大きな扉を開くと、大広間に巨大な脳みその化け物が座している。

先の魔女と言い、かえでの資料で見たことがある。
先程の針の魔女、そしてこの忘却の魔女は宇宙人由来の魔女。

そして、この魔女はワルプルギスの夜に匹敵する程の魔女らしい……。



「趣味がわるいね」

「……案内ご苦労さん」

320: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:26:23.65 ID:XJlwZDGIO
例の如く振り返ると、呉キリカと……
馬に跨り、燃え盛る髪に中華服の杏子。

━━━━

かえで「呉キリカは天才よ」

━━━━

かえで「一番強かった魔女?」

   「そうね……杏子ね。ある意味ワルプルギスの夜よりタチが悪かったわ。タダでさえ強いのに」

━━━━


キリカ「よくわからないけど全力出して良いのかな?」

杏子「……邪魔するならあんたらの命も保証できねえ」

321: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:31:08.05 ID:XJlwZDGIO
龍の咆哮、英語の掛け声、飛沫の音、炎の音を背後に聞きながら、雫の描かれた扉を開ける。

雫……まどかのソウルジェムね。

と云うことは、次はまどかが来るか、今度こそ私の手番。


……


『あと少しで終わるわ、時間稼ぎでも良い、頑張って頂戴』


時間稼ぎ……?
役不足、倒す気で行かせて貰おう。

322: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:41:08.75 ID:XJlwZDGIO
荒れ果てた見滝原、天をも掴まんとする巨大な魔女。
こちらには気づきもしない。

因果の糸のせいか、私と美樹さんはあの魔女に密着でもしない限り直接害を被ることは無い。

ほむら「ちょっと威力不足ね……」

少し念じると、脚付きの大きいバリスタに変型した。
これなら……

ほむら「穴が三つ空いてるわね」

この大きさに見覚えがある。
……

ほむら「……グリーフシードね」

盾を漁るとちょうど三つグリーフシードがあった。

ほむら「どうなるかは知らないけどとりあえず行くわよ……!」

それを詰め込み、魔女の人間で言えば心臓がある場所目掛けて放つ。

323: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:50:13.98 ID:XJlwZDGIO
極太の光の矢が魔女に突き刺さる。

そこからいやに血色の良い委員長の魔女が、救済の魔女の身体を食い破り這い出し、救済の魔女を縛り付け始める。


ほむら「……次はお菓子の魔女!」

放たれた光は軌道を変え、救済の魔女を頭からかぶりつく。

瘴気が少し薄くなった気がした。

324: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:55:43.62 ID:XJlwZDGIO
ほむら「最後は……銀の魔女!」


放たれた光の矢は、加速し、加速し、光本来の速度に追いつく。
加速して光速になるということは相当な加速度。与える衝撃はとてつもない。

魔女の悲鳴が響き渡る。
自分の天国を作り上げて居るこの魔女から悲鳴を聞くことなどあっただろうか。


ほむら「さぁ、撃って撃って撃ちまくるわよ!」

325: ◆USZbC4nXcg 2012/11/02(金) 18:58:45.79 ID:XJlwZDGIO


最後の一撃を撃ち終わったと同時に魔女も崩れ消えた。
そういう風になっていたのだろうか。

ちなみな最後の一撃をティロ・フィナーレと読むか、フィニトラ・フレティアと読むかはわからない。

私は単に和田アキ子のような掛け声をかけただけだった。


辺りを桃色の光と紫の炎が包み込む。

346: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:05:16.22 ID:/rtB5UpIO
気がつくと私は未だ杏子の背中に乗せられ、巴さんとの間に挟まれていた。

さっきのは夢だったのだろうか。
しかし夢にしては疑問が残る。記憶に無い人物が居たりしたのだから。


杏子「ハァ…ハァ……こんだけ逃げりゃ……」

マミ「そうね……、少し休んだ方が効率は上がるかもしれな……」

振り返ると後ろから桃色の矢が大量に私達を追い越して行く。

杏子「んだありゃ!?」


QB「君達が風見野まで逃げてくるとは思わなかったよ……」

マミ「キュゥべえ、アレは何かしら?」

QB「……鹿目まどかの契約により、現在過去未来、総ての並行世界の魔女が生まれる前に消し去られて居るのさ」

  「最も、願ったのは人間のまどかだけれど、叶えたのは彼女ではなく、人形から羽化した『たまき』だけれどね」

347: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:09:51.81 ID:/rtB5UpIO
上空の魔法陣から第二波がやってくる。

空は晴れ渡り、遠くに見える舞台装置が瓦解していくのがわかる。


マミ「本当に鹿目さんなら簡単に倒せてしまうのね……」

QB「しかしおかしいね、彼女程の素質なら契約から暫くすれば魔翌力が暴走して魔女になるはずなんだけどね」

……

348: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:19:29.51 ID:/rtB5UpIO

かえで「……恥ずかしいから私は隠れてるわね」

たまき「ティヒヒ、いいよ、わたしに任せて」


姿が変わり、それを恥じて隠れるかえでと、人形から羽化した薄桃色のツーサイドアップに金色の目の女神のようなたまき。

ひとしきり矢を射終えた後、まどか達に向き直る。

たまき「……絶望なんかで終わらせたくない、あなたの願いはわたしの願い、わたしが確かに叶えるよ」

まどか「……うん!」


次の瞬間、この世界は書き換えられ、消え去った。

349: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:29:18.91 ID:/rtB5UpIO

ほむら「また異空間……」

QB「おや、君は時間操作系の魔法の使い手だからここに来れたのかな。ならば見届けようか」

  「鹿目まどかの願い、もとい『たまき』と『かえで』の行方を」


遠くに巨大な流星の様な物が見える。
ソウルジェムの穢れの様な物が漏れ出ている。

QB「あれが彼女達の新しいソウルジェムだ。一つの宇宙を救うという希望は一つの宇宙を終わらせるに至る絶望を孕むのさ」


「……『わたし』、いや、わたしが望んだのは誰も絶望しない世界、誰も絶望しないならわたしだって絶望する必要は……」

流星のようなソウルジェムに光の矢が射られる。

「……無い!」

350: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:33:51.64 ID:/rtB5UpIO
巨大なソウルジェムは矢によって浄化され、消え去った。


女神の様なたまきは、後ろに隠れたかえでの頭を撫でながらこちらに微笑みかける。

暗転

かえで「好い加減目に悪いわ……」

351: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:39:04.22 ID:/rtB5UpIO

『たまき、かえで……いや、鹿目まどか、暁美ほむらの二人。君たちの人生は終わりも始まりも無くなり、この宇宙の一員では無くなった』

『一つの上の領域へシフトし、書き換えられた世界で永久に魔女を滅ぼす概念となった』

ほむら「……」


かえで「相変わらず口数が減らない●獣ね。自分をそこまで賢く見せたいかしら?」

たまき「……語弊というか間違いがあるよ」

352: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:45:25.82 ID:/rtB5UpIO
たまき「私達はほむらちゃんがあれ以上ループしないと存在すらしないもの」

   「ほむらちゃんがループ出来なくなった今、私達は切り離され別の存在となった」

『……成る程、君達は元々矛盾した存在だったんだね』


ほむら「……貴方達は消えてしまうの?」

   「私も貴方達のことを忘れてしまうの……?」

哀しみに暮れるほむらの目の前にたまきとかえでが現れる。

353: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 07:54:24.00 ID:/rtB5UpIO
かえで「……本当の歳がばれちゃうわね。こればかりは忘れて欲しいわ」


少なくとも母親よりは歳上の女性、白髪の三つ編みを肩の前に出し、頭頂部と後ろ髪は先程の女神のスカートの中の様に宇宙空間の様になっていて、古典的な魔女の衣装に身を包み、大きく開いた胸元には横になった砂時計の刺青。

たまき「今ならわたしにもほむらちゃんの今までの頑張ってきたこと、全部わかるよ」

   「そこのおばさんの尻軽っぷりもね」

かえで「うっ……おばさんは辞めて頂戴……」

354: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:07:34.50 ID:/rtB5UpIO
たまき「それに……かえでちゃんの呪いを解決するにはこうするしかなかったの」

   「……でも大丈夫、ほんの少しなら本当の奇跡が起きてくれるはずだから」

ほむら「……うん」

まどかとお揃いの赤いリボンを渡される。


かえで「その……今まで『やっぱり燃え上がるなんてできない』なんて言って、美国織莉子にもらった名前を名乗って居たけど」

   「今なら『ほむら』と胸を張って名乗ることができるわ」

ほむらを抱きしめ、囁く。

355: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:16:10.62 ID:/rtB5UpIO
かえで「私はイカレてるって思うこともあったわ。頭のおかしいxxxxなのだと……何故こんな時間を無為にしてるんだと」

   「けど貴方を見てると正気を取り戻せた。貴方の瞳を見てると全てがすとんと腑に落ちたの」

たまき「正気とか辞めてよね。自分自身に手を出す人のどこが正気なのかな?」


ほむら「……」

ほむらは黙ってかえでの頬に口付けた。


かえで「……そろそろお別れね。いつか会えるけど、会えるも何も私は貴方だし、会った時は貴方が死ぬ時だから会わない方が良いわよね」

ほむら「……いつか、再び会う時まで……私は……」

たまき「気を張らないで良いよ、ほむらちゃんは普通の女の子で居てくれたら嬉しいから」


そしてほむらは再編された世界へ戻る。

356: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:21:10.52 ID:/rtB5UpIO


ほむら「……病室」


カレンダーを確認すると今日はループ起点の日だ。
手には赤いリボンが握られていた。

メガネをかけ、リボンで髪を編まないでお下げにして、ソウルジェムを確認する。

ほむら「流石に魔法少女辞めることはできないわよね……」

『再編』されたというこの世界のことを確かめなくては……

357: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:27:54.10 ID:/rtB5UpIO
ソウルジェムはあるが、あの二人の言う通り背伸びは辞めよう。
視力の矯正はせず、メガネをかけたままにする。

さて……この世界について知るには……
インキュベーターもしくは巴さんに聞くのが一番ね。
でも病室を抜けるのは看護婦さんに怒られてしまうから、インキュベーターにしておきましょうか。

358: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:37:07.14 ID:/rtB5UpIO

QB「おや、君とは契約した覚えはないんだけどね」

この言葉から魔法少女は私だけでは無いことがわかる。

ほむら「この街には魔法少女は何人居るのかしら?」

QB「二人組のベテランが居るよ、候補生は……四人…いや五人かな」

……美樹さん、美国織莉子、呉キリカ、千歳ゆまの四人を入れても尚余る…まどかも居るのね。

ほむら「……ソウルジェムは濁りきるとどうなるの?」

QB「肉体ごと消滅するよ。そうならない様にケアをするのも僕達の仕事さ」

  「これを知らないのはまずいよ、契約の前に全員に教えてるはずなんだけどね」

どうやらシステムのあり方がかなり違うらしい。

359: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:45:47.41 ID:/rtB5UpIO
ほむら「……では、魔法少女は何と戦うの?」

QB「人々の負のエネルギーの集まった瘴気から産まれる魔獣さ。姿は……背の高い僧侶の様だと言えば伝わるかな」

呪いは姿を変えて残っているのね……

QB「その分だとソウルジェムの浄化方法も知らないだろう」

ほむら「魔獣の落とすもので取り除くのかしら?」

QB「そうだね、方法は二つある。二つ目は今度他の魔法少女に見せて貰えば良いとして……」

  「魔獣の落とすこの小さな『グリーフボックス』にサッとね」

孵ることはないから卵ではなく、私達の穢れを入れるから箱……

ということは……

360: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 08:56:45.42 ID:/rtB5UpIO
ほむら「インキュベーター」

QB「……孵卵器?」

やはり。


ほむら「ごめんなさい、キュゥべえ」

   「貴方の名前の由来を教えてもらえるかしら?」

QB「……歴史の教科書に同じ名前の人物が居るだろう?彼の娘の願いでつけられた名前さ。それまでは契約者とか呼ばれていたよ」

……大体飲み込めた。
あとは力を確かめればいいが……

QB「見たところ君は病の身だ、マミ達かユウリ達に退院日まではグリーフボックスをわけてもらっておくよ」

ほむら「えっ……?」

QB「病室を抜け出さないと二つ目はできないからね。皆には二つ目を行って貰うとして、君からソウルジェムの穢れを回収させて貰うことにするよ」

……この世界はかなり優しいものに改変された様だ。

361: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:08:42.19 ID:/rtB5UpIO
それから退院まで、キュゥべえは私にグリーフボックスを届けてくれた。

そのついでに魔法少女周りのことを教えてもらっていた。

QB「ここ数日で二人も契約したんだ。鹿目まどかと美国織莉子、二人とも残酷な運命に臆することもなくね」

  「彼女達は長生きするだろうね」

ほむら「そう……」

まどかが契約した。だけどこの世界なら契約しても大丈夫、そう思えた。

QB「二人ともなかなかユニークな魔法を使うんだ。織莉子は預言の魔法を使うんだ。まるでこの世界すべてを見渡している存在からの知識を下ろしてきているようなね」

……それはあの二人のことだろうか。

QB「そしてまどかは魔獣が産まれる前の瘴気自体を攻撃できるんだ、凄いだろう?」

……産まれる前に……

362: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:15:58.04 ID:/rtB5UpIO
その次の日は巴さんを連れてきた。


マミ「貴方が噂の謎の魔法少女?」

ほむら「はい……でもそんな噂だなんて」

マミ「キュゥべえったら貴方の話ばっかりするのよ?」

確かに契約した覚えのない魔法少女など居たら話題にはなるだろうか。

マミ「退院まであと少しね……魔法を使って和らげるのは退院してからにしなさい?今のうちは病院に甘えておくのが、一番よ」

……

ほむら「……そういえば、限界を迎えた魔法少女はどうなるんですか?」

キュゥべえにも聞いたが、魔法少女の視点ではどうなのかを聞いてみる。
この世界のキュゥべえは感情を理解するよう努めて居るようだが、人間に聞くに越したことはない。

363: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:21:37.18 ID:/rtB5UpIO
マミ「……何やら不思議な炎のようなエネルギーに包まれて、肉体ごと消滅するわ」

  「日本の魔法少女の中では『焔環の理』と呼んでいるの」

ほむら…たまき……成る程。
彼女達が……

マミ「ただ……人としての死を迎えることができないのは……悔やまれるわね」

364: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:33:55.38 ID:/rtB5UpIO


次の日は杏子が来た。

杏子「キュゥべえが言ってた契約した覚えのない魔法少女ってのがあんたか」

  「まぁー……なんかトロそうだな」

唐突に頭を撫でられる。
巴さんと同居しているらしいので、家族は失っているけれど、おそらくキュゥべえの尽力で立ち直ったのだろうか。
私の知っている杏子より気さくだ。

杏子「可愛い後輩にはさー……」

急に手を止め、耳元で囁く。

杏子「手取り足取り教えてやんないとさ」


……『他に同類が居ない』ことから杏子は立ち直る過程で道を踏み外し同性愛者になってしまったようだ。

この分だと巴さんはかなり苦労しているのだろう。

365: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:40:28.67 ID:/rtB5UpIO
その次の日はあすなろ市の魔法少女二人がやってきた。

ユウリ「これくらいならあたしの魔法で治せそうだね」

あいり「……本音は脱がしたいとかそんなんじゃないの?」

治癒魔法で病気を治して貰った。
これでは医者も形無しだろう。


その次の日もあすなろ市の魔法少女がやってきた。

ミチル「明日退院?おめでとう!」

小型のワルプルギスと戦った時に居た子だ。
飛行機の上の時の子とは雰囲気が少し違う。

ほむら「ありがとう……」

366: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:49:03.70 ID:/rtB5UpIO

そして次の日、私は退院した。


マミ「これが暁美さんの初陣になるのかしら?」


私は巴さんに連れられて、瘴気の結界に脚を踏み入れる。


ソウルジェムを取り出し、変身する。
格好に概ね変化は無い。

強いて云うならば、盾が菱形に変わっていることか。

マミ「武器をイメージして頂戴、なんでもいいわ。何かしら出てくる筈だから」

ほむら「はい……」

367: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 09:51:17.74 ID:/rtB5UpIO
今まで私は魔法の武器を持っていなかった。

しかし、この盾は収納や防御こそできても時間停止などの特殊なことは出来ない模様。

……

慣れ親しんだ武器を想像する。

盾が紫色に輝く。

368: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:00:43.51 ID:/rtB5UpIO
私の手に握られて居たのは機関銃。

マミ「あら……見かけによらず質実剛健な物を……」

もう少し他の物を想像してみよう……

マミ「バズーカ砲と……ロケットランチャー……かしら?」

舞台装置と戦った時に使った物に似て居るがところどころ私を象徴するディテールが施されている。

マミ「暁美さん……武器が好きなのかしら?」

ほむら「いえ……別にそういう訳では……」

しかし両手が塞がってしまうのは嫌なので、もっと身軽な物を想像してみる。

369: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:09:13.07 ID:/rtB5UpIO
……


マミ「やっとマジカルな物が出てきたわね」

半ば呆れた表情で私の手元を見る。

握られていたのはデザートイーグルを上回る大きさの拳銃。戦隊物に出てきそうだ。

反動が怖いので肉体強化を強め、両手で持ち一発撃ってみる。

銃声が鳴り響く。火薬の匂いがしない銃は久しぶりだ。

ほむら「思ったより……反動は強くない」

マミ「気に入ったのはあったかしら?」

まぁどれも慣れ親しんだ武器ではあるので、どれも採用ではある。

370: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:18:16.10 ID:/rtB5UpIO

マミ「じゃあ二つ目の浄化方法について説明するわね」

そう言って彼女は銃を一丁取り出す。
いつものマスケット銃ではなく、木目調の猟銃。

マミ「魔法少女の武具は二種類、宝石が入っている通常の武器と、『楓』の武器」

  「何故、浄化用の武器は楓でできているのかはわからないのだけれど……」

それを瘴気に向かって放つ。

マミ「とりあえずソウルジェムの穢れをエネルギーに変換して使えるそうよ」

QB「僕としてはあまり好ましくないんだけどね、まぁ長生きしてもらうためには仕方ないかもしれない」

システムとしては致命的な欠陥だと思うが、それはかえでの細やかな復讐だろうか。

371: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:29:40.60 ID:/rtB5UpIO
マミ「さ、行くわよ!」

  「わからないことがあったらどんどん聞いて頂戴!」


魔獣が現れ始める。
同時に巴さんは大量のマスケット銃を召喚する。

ほむら「私は……」

巴さんの構えからして、強めの使い魔と同じ程度。
ならば私は一発の威力を上げよう。

ほむら「マジカルバズーカ砲で良い…かな?」

372: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:32:19.51 ID:/rtB5UpIO


……


マミ「……本当はベテランなんじゃない?」

  「動きに無駄が全然ないわ」

ベテランじゃないとは言っていないし、貴方の戦い方には些か無駄な動きがわざと足されているような……

マミ「この分だと佐倉さんを取られそうで怖いわ」

373: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:37:14.72 ID:/rtB5UpIO
ほむら「魔獣との戦いは初めてなんですけど……その、戦闘経験はそこそこ……」

マミ「他に戦うようなことがあるのね……入院してたのは……」

ほむら「心臓病です」

マミ「銃創から入った菌で……」

ほむら「持病です。傷一つない肌です」

マミ「……」

374: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 10:46:45.20 ID:/rtB5UpIO
その後は巴さんと別れて家に帰った。

……


……


やっとまどかとの約束を果たせた、と言っても私は何もしていないに等しいが。

それなのに、なんだろうこの虚しさは。
たった1ループ一緒にいただけではないか。

家の中は静かだ。
頬を赤らめた自分の鏡写しはいないし、変な笑い方をする性悪人形も、ジャムパンを絶賛する馬鹿も居ない。


ほむら「……」

382: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 18:40:21.47 ID:xfYodRXIO

今日学校に行けば、一番最初の時の様にまどかが私を保健室に連れて行ってくれて、きっと名前を褒めてくれるのだろう。

でもそのまどかはいやらしい笑い方などしないし、毒舌も吐かない。

ほむら「……何言ってるんだろ」

折角望んだ結末が訪れたのに……

朝食に淹れた紅茶も冷めてしまった。
どうしてベッドから出たのかしら?

ほむら「……体感年齢はどんどん増えても、心はあの頃のまま、むしろ弱くなって……」

   「誰かを切り捨てたりする度に誰かが恋しくなって……」

朝の雨が窓を曇らせて、何も見る事が出来ない 。
たとえ見えたとしても、すべてが灰色でしょうけど……

ほむら「学校休もうかしら……」

383: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 18:48:43.49 ID:xfYodRXIO

しかし、ベッドから出てしまった以上顔を洗ったりしないと気がすまない。

顔を洗い、髪を整える。

ほむら「……」


全てが灰色に見えるでしょうけど、ここにはあなたのリボンがある。
それを考えると、

ほむら「悪くは無いわ、悪くは無い……」

紅茶を温め直し、ついでにトーストをもう一枚食べることにする。

ほむら「……遅刻でも良いから行こうかな」

和傘の様な傘をさし、私は学校に向かうことにする。

384: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 18:56:42.73 ID:xfYodRXIO
……

トラックが水溜まりの水を跳ねあげて早乙女先生に直撃させたらしく、そのおかげで私はホームルームに間に合ってしまった。

ほむら「……暁美ほむらです」

オドオドもせず、堂々ともしていない微妙な態度で挨拶をし、そそくさと席につく。

和子「暁美さんは心臓の病気で入院してました、皆仲良くしてあげてくださーい」



さやか「おぉ……美人」

385: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 19:11:17.41 ID:xfYodRXIO
質問攻めに適当に答えている間に、まどかがやってきて私を保健室に連れて行ってくれた。


まどか「暁美さんのリボ……」

ほむら「ほむら、でいいよ」

まどか「ほむらちゃん…リボンお揃いだね」

ほむら「これは……大切な人達から貰ったんだ」

   「お揃いはリボンだけじゃないよ?」

指輪のソウルジェムを見せる。
紫色の石が煌めく。

まどか「ほむらちゃんも……魔法少女なの?」

ほむら「……うん」

386: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 19:25:30.51 ID:xfYodRXIO

今回は魔法で病気を誤魔化していないため、薬を本当に飲まなければならず、更に雨などで身体が怠いので保健室で一限目を休んでしまった。

もちろんまどかも一緒に。
私はまどかとすぐに打ち解けた。


まどか「それじゃ、前の学校では『お姉様』とか言ってたの?」

ほむら「クラスの子は言ってたけど、私はそういう縦割りの活動にはあんまり参加できなくて……」

まどか「そっか……そ」

さやか「おーい!まどか!あんたばっかサボってズルいぞー!」

   「まどかは二限目に出て、転校生の看病はお見舞いマイスターのさやかちゃんに任せるのだ!」

まどか「そ、そう?じゃあよろしくね、さやかちゃん。じゃあ後でねほむらちゃん!」

387: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 19:36:37.93 ID:xfYodRXIO
まどかと入れ替わりに美樹さんがやってきた。

さやか「にしし、あたしはサボりたいだけなんだけどね」

ほむら「はぁ……」

怠い身体を楽にして、今にも寝んとする。
しかし、初対面でこれは失礼なので話しかけておこう。

ほむら「あの……美樹さんは……」

さやか「さやか、さやかって呼んで。あたしもほむらって呼ぶから」


……これは始めてのパターン。

388: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 19:44:29.98 ID:xfYodRXIO
ほむら「……さやかは…ジャムトーストって好き?」

それを聞いて美樹さん、いやさやかは噴き出す。
初対面の人にジャムパンが好きかなんて聞かれたら当然の反応かもしれないが。

さやか「ジャムって…まぁ好きだけどさ」

   「友達がお坊っちゃまやお嬢様、それにまどかの親なんかは料理好きだからジャムは結構色々食べてるよ」

   「でもなんでジャム?」

ほむら「ううん、昔の友達がジャムトーストが好きで、貴方に似てたから」

さやか「ふーん……でさ!━━━━」

389: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 19:51:43.82 ID:xfYodRXIO

元々気を赦した相手には気さくなさやかとはすぐに仲良くなることが出来た。

しかし時々私の顔を深く覗き込む。


ほむら「……私の顔に何かついてる?」

さやか「……いや、美人だなって。いや、かっこいいよね」

私の眼鏡を外し、更に顔を近づける。

さやか「こうすれば下手な男よりかっこいいよ。前の学校そのまま行ってたらきっと後輩にモテモテだっただろうねぇ」

頬を突きながら、更に続ける。

さやか「でもこの頬っぺたは女の子の特権って奴?」

   「あんた得してるよー、このこの!」

高校はあそこに戻るのも良いかもしれない。

390: ◆USZbC4nXcg 2012/11/05(月) 20:27:26.38 ID:xfYodRXIO

まどかは魔法の特性上、弱い瘴気の時は一人で行動する様だ。
魔法少女としての力はそれ程強い方ではなく、普遍的な強さ。
並行世界の因果が云々は世界の改変で無かったことになったらしい。

QB「まどかの素質が大きかったら他の魔法少女はお役御免になってしまうところだったね」

ほむら「……でも、今のシステムじゃ魔法を私利私欲の為に使って、魔獣を狩らない人が多くなるんじゃない?」

QB「……それを契約違反として、取り締まる魔法少女が居るんだよ」

ほむら「契約違反……ね」

QB「君もよく知っている人だよ」

395: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 11:20:28.61 ID:fCJ47CeIO

怯えた少女が一人駆け込んでくる。

「あんたら!また『書記官鳥』が来るよ!」

暫しの沈黙の後、もとより部屋に居た二人が青ざめる。

「なぁ……私達……何回警告無視したっけ?」

「ざっと……四回?」


扉の前に居る少女の背中が押される。


その背後に居たのは、ヨーロッパの狩人の衣装に身を包み、猛禽の翼を広げた少女。



マミ「言って聞かないなら、放り込むしか無いわよね?」

396: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 11:27:52.04 ID:fCJ47CeIO

ほむら「巴さんがそんな汚れ役を……?」

QB「捕縛魔法は彼女の十八番だからね。捕まえて魔獣と無理矢理戦わせるんだ」

  「それでも戦わない魔法少女には手足にリボンを括り付けて操り人形の様にしてね」

どうやら巴さんはこの世界では破格の強さを誇っている様だ。魔法の応用も
また、杏子も改変前の様な武器での戦闘は勿論、元々の幻覚魔法を使うと云う。


QB「そういえば君は武器以外に何を使うんだい?」

397: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 11:32:46.67 ID:fCJ47CeIO
……

私の固有魔法は時間遡行と副産物の時間停止だった。
しかし今は盾から時計のディテールが消え、それも使える様子が無い。

契約の時に言ったことは『私は鹿目さんとの出逢いをやり直したい』『護られる私ではなく護れる私になりたい』

二つ目は終わる様な物ではないから盾は無くならないようだが……


ほむら「……盾の中に色々しまえて便利よ」

QB「それだけかい……」

398: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 11:43:07.61 ID:fCJ47CeIO



まどか「私の弓は春夏秋冬のモードがあってね……」

   「春は光の矢を普通に撃つんだけど……」

ほむら「秋は『楓』?」

まどか「そうそう!それで冬は瘴気を固めちゃう奴!」

ほむら「……じゃあ、夏は?」

まどか「本当に光の速度で飛んで行く矢」

ほむら「それ、春要るの?」

まどか「えへへ……春は追いかけたり、散らばったりするからそれはそれで便利なんだ」

399: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 11:48:41.89 ID:fCJ47CeIO
まどかと魔法少女のことを話していると、誰かが駆けてくる音がする。
間違えるはずもない、さやかだ。


さやか「あんたら二人で抜け出してなんだぁー?駆け落ちかー?」

まどか「えへへ…そんなんじゃないよ、さやかちゃん」

さやか「……そうか!…あ、放課後は恭介のお見舞い行くから今日はあたし抜きで帰って」


……この世界でも美樹さんはあの男の為に契約するのだろうか。
別にこの世界では死ぬことは無いだろうけど、統計上の彼女の報われなさから考えると思い止まって欲しいのだが……

400: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 11:56:50.57 ID:fCJ47CeIO

まどか「マミさんの紅茶が美味し過ぎて織莉子さんってばいじけてコーヒーしか淹れなくなっちゃったんだよ」

ほむら「でも紅茶は飲むんだね」

まどか「うん、美味しい物は辞められないからね」

   「この間も杏子ちゃんと『七分三分の盃を交わす』とか言ってマグカップとティーカップで……」

ほむら「ふふっ…なにそれ」

どうやら、見滝原の魔法少女同士は仲が良い様だ。
風見野は改変前の様に杏子という強者が居ない以上、縄張り争いになっているとか。

401: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:07:55.58 ID:fCJ47CeIO

……そういえば、まどかや美国織莉子の契約が妙に早かった。

転校初日に雨が降っていた。

……

全体的に起こる物事が早くなっている……?

ということは……もしや!?


ほむら「……まどか、ごめんなさい。ちょっと用を思い出したわ」

まどか「あっ……じゃあね……」


私は病院へと駆け出した。

402: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:16:10.75 ID:fCJ47CeIO
上條恭介の病室を覗いて見ると、割れたCDが散乱していた。

そしてさやかの姿は既に無かった。

ほむら「……ッ!!!」

啖呵を切って出て行ったとすれば、魔法少女のことは知っているのだろう。

だとすれば……

エレベーターのボタンを無意味に連打し、屋上へ急ぐ。

403: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:23:12.99 ID:fCJ47CeIO


時既に遅し。


私が着いた時に、様々な花が咲き誇る屋上は水色の光に包まれていた。


さやか「……あたし気づいちゃったんだ。あんたがまどかと話してた時になんか淋しそうな顔をしてたの」

ほむら「……」

さやか「あたしの願いは恭介の腕を治すことなんかじゃないよ」

……?

さやか「あんたのリボンとか見たり、ジャムパンのこととか色々考えた結果、願いが決まったんだ」

ほむら「さやか……何を……?」

404: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:26:57.63 ID:fCJ47CeIO



さやか「Guess who's back」


そう言って取り出したソウルジェムは透き通っておらず、まるでラピスラズリ……



ほむら「まさか……」

さやか「……闇の淵から帰ってきたよ」

   「今のあたしと混ざってるけどね、ただいま」



ほむら「……おかえり」

405: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:33:20.20 ID:fCJ47CeIO
数年後


私は元々通っていたミッション系の学校の高等部に杏子と、私の実家から通うことになった。

まどか達は巴さんと同じく、市内の公立高校に進学したそう。
さやかは高校に入ってから急に学力が伸び……

406: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:42:49.72 ID:fCJ47CeIO

某大学


ほむら「この四人で寮になるなんてね……」

まどか「偶然……必然……?」

さやか「はいはい、医学部生が通りまーす」

杏子「なんであたし歯学部なんて入ったんだろ……」


私は製薬会社志望、まどかは看護師志望。
杏子は私と同じ大学に行きたいが為に適当に取った推薦でここに、そしてさやかは言うまでもなく医者になる為にこの大学に集まった。

407: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:52:36.59 ID:fCJ47CeIO

一応、少女と呼べる年齢で無くなれば魔獣を狩る義務はなくなるようで、巴さんは新人教育の方に当たっている様だ。

マミ「『書記官鳥』って呼ばれて何年目かしら……」

杏子「鳥なら良いだろ……織莉子とあたしなんて馬だぞ」

ほむら「私なんてホマンドー……もう少し先輩を敬って欲しいかな……」

さやか「あたしのは気に入ってるよ、ふふん」

まどか「わたし通り名なんて無いよ……」

織莉子「無い方が良いです……」

408: ◆USZbC4nXcg 2012/11/06(火) 12:56:25.03 ID:fCJ47CeIO


ほむら「……二人とも見てくれているかな?」

さやか「多分ね。どこに居ても見守ってくれてるよ」

ほむら「……わかっていても変な風に考えてちゃうかな」

さやか「それはわかる」

ほむら「……トースト食べる?」

さやか「あ、食べる。いただきまーす……」

   「何のジャム塗ったの?これ」



ほむら「スイートチリソース」

さやか「ヴォォォォォォ!!!」



Fin

430: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 10:42:15.43 ID:Uz0xR8ZIO
 

オマケどうぞ

431: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 10:46:32.30 ID:Uz0xR8ZIO

QB「おや、織莉子の魔女を倒したようだね」

かえで「……」

QB「ところで、これを見てくれよ」

キュゥべえの身体に真っ黒なグリーフシードが刺さっている。

QB「織莉子の使ったグリーフシードが刺さってしまってね。回収できないんだ」

  「このままでは僕を巻き込んで、魔女が孵り、魔女と僕は一体になってしまうだろうね」

432: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 10:51:26.95 ID:Uz0xR8ZIO
かえで「ハン……●獣にはお似合いね」

QB「●獣か……的を射ているね」

  「この魔女の性質は……ああ」

  「色欲だ」

グリーフシードにヒビが入り、空間が歪み出す。

QB「君は鹿目まどかとの契約に対する大きな障害だ。君には退場してもらうのが良いと思ってね」

キュゥべえもろともヒビが広がり、魔女が孵る。

433: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:03:31.07 ID:Uz0xR8ZIO
妖しい結界が張り巡らされる。
ピンクと紫を基調とした宮殿のような内装だ。

かえで「その配色には悪意を感じるわ……」

ソウルジェムを取り出し、変身しようとする。
しかし、突如現れた影にソウルジェムをひったくられてしまう。

QB「退場してもらうと言っただろう?僕達も本来はここまで積極的な行動をすべきでは無いのだけれど、君は特別だ」

かえで「……ッ!!」

キツく歯を食いしばる。
そしてソウルジェムを奪われた時の対策を考える。

QB「君には魔女になってもらおう、それがいいね。もうじき口付けにあてられた一般人がやってくる」

  「もう一度言うよ、この魔女の性質は色欲だ。少女の心を折るにはもってこいだろう?」

434: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:11:02.26 ID:Uz0xR8ZIO

かえで「……」

大きく息を吐き出し、力を抜く。

QB「諦めたのかい?」

かえで「……」


暫くすると、口付けにあてられた一般人が集まってきた。

変身していないため、肉体強化もしょっぱく中学生の女子の中では強い程度しか力が出せない。

集まったそこそこ屈強な成人男性達に思うがままに……




かえで「されるわけないでしょうが」

435: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:13:34.80 ID:Uz0xR8ZIO
QB「現実逃避かい?現に既に君の服は引き裂かれ、今にも純潔を失わんとしているじゃないか」

挑発がてらに、キュゥべえが手の届かないギリギリのところまで近寄ってくる。

かえで「……コ……ーレ」

何かを呟き、キュゥべえを指差す。

QB「なんだい?聞こえないな」



かえで「トッコ・デルマーレ」

436: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:18:17.12 ID:Uz0xR8ZIO
トッコ・デルマーレ


あすなろ市の魔法少女の徒党、プレイアデス聖団が使う魔法。
ソウルジェムと肉体のリンクを断ち切る魔法。

本来は相手の魔法少女の無力化に使う魔法であるものだが、暁美ほむらに限っては話が別。

彼女の肉体にはもう一つ魂がある。


かえで「……」

437: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:23:35.44 ID:Uz0xR8ZIO
QB「……ソウルジェムとの通信を絶ってどうして動けるんだい?」

かえで「……」

かえでの身体がくすんだ金色のモザイクに包まれ、髪の毛が三つ編みにされる。

モザイクの切れ間からは引き裂かれた服の代わりにアジアの僧侶の様な服が覗いている。


QB「そのかっ……」

キュゥべえに話す暇を与えず、指先から破壊光線を放つ。
かえでのフレームが歪みに歪んだソウルジェムを残してキュゥべえは塵となる。

438: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:28:30.02 ID:Uz0xR8ZIO
かえで「……」

肉体ごとの時間遡行、ましてや彼女だけでなく美樹さやかの肉体まで連れてのことである。
それによってもたらされた世界の歪みをかえでは自分の肉体の方の魂に無意識のうちに押し付けていた。

我を失ったかえでは、結界の奥へと進む。
三つ編みの髪が二匹のサソリを思わせる。

439: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:35:44.75 ID:Uz0xR8ZIO
……

風船人形のような魔女は、かえでの破壊光線でハチの巣にされてしまった。

元々戦闘が強くない魔女が、実力差のある相手とぶつかるとこうなる。
ハコの魔女もこうなり易い魔女だった。

かえで「……」

結界が崩れ、再び殺風景な倉庫に戻される。

まどか「これ…ソウルジェム…大事なものでしょ…?」

ソウルジェムに触れた瞬間、かえでは正気に戻った。

かえで「……送っていくわ」

442: ◆USZbC4nXcg 2012/11/07(水) 11:57:10.44 ID:Uz0xR8ZIO

「俗に云う神様転生って奴でまどかの兄になったんだけど……」

「さやかに弟が居るし、ほむらは父親と姉が同居してるし……」

「マミさんなんてアメリカ男二人と同居してるってどういうことオイ!!」


メタ知識を持つ何人もの転生者を巻き込んで尚、運命の歯車は残酷に回り続けてしまうのだろうか。



杏子「モモ……お前生きてたのか……?」

モモ(あんこちゃんマジごめん)